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2010-02-04 第174回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年二月四日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  一月二十七日     辞任         補欠選任      中谷 智司君     広田  一君      蓮   舫君     富岡由紀夫君  一月二十八日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     荒木 清寛君      山本 博司君     鰐淵 洋子君  一月二十九日     辞任         補欠選任      鰐淵 洋子君     山本 博司君  二月一日     辞任         補欠選任      山本 博司君     鰐淵 洋子君  二月三日     辞任         補欠選任      相原久美子君     柳澤 光美君      風間 直樹君     白  眞勲君      藤田 幸久君     行田 邦子君      衛藤 晟一君     岸  信夫君      鰐淵 洋子君     浜田 昌良君  二月四日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     川崎  稔君      行田 邦子君     谷岡 郁子君      柳澤 光美君     相原久美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         神本美恵子君     理 事                 亀井亜紀子君                 谷  博之君                 白  眞勲君                 松山 政司君                 丸山 和也君                 山下 栄一君     委 員                 相原久美子君                 大久保 勉君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 谷岡 郁子君                 富岡由紀夫君                 那谷屋正義君                 平山  誠君                 広田  一君                 松浦 大悟君                 水戸 将史君                 柳澤 光美君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 荻原 健司君                 岸  宏一君                 岸  信夫君                 佐藤 信秋君                 中村 博彦君                 松村 龍二君                 山本 順三君                 荒木 清寛君                 浜田 昌良君                 仁比 聡平君                 又市 征治君    国務大臣        内閣総理大臣   鳩山由紀夫君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    菅  直人君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    原口 一博君        法務大臣     千葉 景子君        外務大臣     岡田 克也君        文部科学大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策))    川端 達夫君        厚生労働大臣   長妻  昭君        農林水産大臣   赤松 広隆君        経済産業大臣   直嶋 正行君        国土交通大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  前原 誠司君        環境大臣     小沢 鋭仁君        防衛大臣     北澤 俊美君        国務大臣        (内閣官房長官) 平野 博文君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        中井  洽君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        亀井 静香君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全、        少子化対策、男        女共同参画))  福島みずほ君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      仙谷 由人君    内閣官房長官        内閣官房長官  松井 孝治君    副大臣        外務大臣    福山 哲郎君        財務大臣    峰崎 直樹君        防衛大臣    榛葉賀津也君    大臣政務官        財務大臣政務官  大串 博志君        財務大臣政務官  古本伸一郎君        防衛大臣政務官  楠田 大蔵君         ─────        会計検査院長   西村 正紀君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        諸星 輝道君    説明員        会計検査院事務        総局次長     河戸 光彦君        会計検査院事務        総局第一局長   鵜飼  誠君        会計検査院事務        総局第二局長   小武山智安君        会計検査院事務        総局第五局長   真島 審一君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成二十年度一般会計歳入歳出決算平成二十  年度特別会計歳入歳出決算平成二十年度国税  収納金整理資金受払計算書平成二十年度政府  関係機関決算書(第百七十三回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百七十三回国会内閣提出)(継続案件) ○平成二十年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百七十三回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、蓮舫さん、中谷智司さん、山本香苗さん、山本博司さん、衛藤晟一さん、風間直樹さん、藤田幸久さん及び相原久美子さんが委員辞任され、その補欠として富岡由紀夫さん、広田一さん、荒木清寛さん、岸信夫さん、浜田昌良さん、白眞勲さん、行田邦子さん及び柳澤光美さんが選任されました。     ─────────────
  3. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事白眞勲さんを指名いたします。     ─────────────
  5. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 平成二十年度決算外二件を議題とし、本日は全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 柳澤光美

    柳澤光美君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本柳澤光美でございます。  おかげさまで私はこの決算委員会総括質疑に二回、安倍総理福田総理のときに立たせていただきました。そして、今日、鳩山総理を目の前に、総理幹事長のときに副幹事長で大変な御指導をいただきました。また、大臣皆様にも日ごろから大変親しく御指導をいただいております。そして、委員長席には決算委員会一緒にやってきた神本さんが委員長で座られて、ここへ立って、改めて政権交代したんだなと、しみじみと感じて感動をいたしております。  ただ、大変うれしいんですが、逆に大変緊張をしておりまして、私はどちらかというと野党向きで与党慣れをしておりません。質問にもおかしなところがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  ちょっと自己紹介しますと、私はUIゼンセン同盟と申しまして、民間のあらゆる産業、業種に働く労働者が集まり、二千五百組合、百七万人の仲間がいます。ですから、私の政治信条は、無駄にしません、汗と税。まじめに働く者が報われて、正直者がばかを見ない世の中をつくりたい。特に、源泉徴収といって給料から天引きで一円もごまかしなく納めている税金社会保険料無駄遣いだけは何としても止めたい。そんな思いで、初当選からこの五年半、一生懸命私なりに訴え続けてきました。しかし、何も変わりませんでした。  そんな思いを、今日はちょっとその不満もひっくるめて少し新内閣皆さんにぶつけさせてもらおうというふうに思って、ちょっと質問が増え過ぎまして幾つかカットもせざるを得なかったんでまた答弁者の方には御迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いしたいと思います。  今年は実は選挙番なのでこの決算委員会は外していただきましたが、私はずっと決算委員会に所属をして、理事も務めさせていただいてきておりまして、この決算委員会には私なりに強い思い入れがございます。決算重視参議院として、与野党、そして党派を超えて諸先輩がこの決算委員会の充実を図られてきました。  本来であれば、この審議は昨年行われて予算に反映されなければならない。ただ、政権交代があり、時間がなかったことは理解はしております。  また、この後、この通常国会の中で、常任委員会の合間を縫って省庁別審査が七回、准総括総括、大体四月、五月の二か月で大変な委員会スケジュールを組みます。与党として、是非御協力いただきたい、また大臣皆様にもお願いをしておきたいと思います。  そこで、是非鳩山総理から、参議院決算重視に対する御所見と決算委員会に対する御協力も含めて御答弁いただければと思います。
  7. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 柳澤委員が今日まで大変決算委員会で御活躍、御指導されておられること、何よりだと思っています。  参議院が特に決算を重視されておられることは、私は大変重要なことだと、そのように思います。私は、やはり日本社会というのはどうも入口が大事で出口が軽んじられていると、そういう思いが常々いたしておりまして、大学入試とかいろんな子供の教育のものに関しても、入るときは一生懸命やるけれども出るところは余り気にしないというようなことになっては本来いけないわけでありまして、むしろその中身が大事だということになれば、出口を、すなわち予算と同じぐらいあるいはそれ以上に決算というものを重視する必要があるのではないかと。予算がどのように使われてきたか、どのような意味があったかということを検証することがその次の予算に反映をされるべきであります。どうもそこのところが今日までの日本国会在り方の中で軽んじられてきたなと。  そこを参議院大変決算を重視して近年大変頑張っておられることは何よりだと思っておりますし、是非その決算重視参議院在り方を、更にこれからも御指導柳澤委員、いただきたいと思っておるところでございます。
  8. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  私は、総括質疑の冒頭にいつも膨大に膨れ上がっている国の借金について質問をしてきました。(資料提示)  国の公債は平成二十二年度末には六百三十七兆円に達し、国民一人当たりほぼ五百万、四人家族では二千万近くにもなります。長短の借入金を入れると、債務残高平成二十年度末で八百四十六兆円、二十二年度末には九百七十三兆円に達すると見込まれております。地方財政も厳しく、二百兆円を超える債務があると言われており、国と地方を合わせると一千兆円を超える額になる。これは、毎年十兆円ずつ返しても百年以上掛かる。  福田総理のときにも質問に立たせてもらったときに言いました。これは、私たち子供どころか、孫の代になっても返せるんだろうかと思われるほどの膨大な借金です。民間の企業でいえば倒産、個人でいえば、言葉が悪いですがサラ金地獄自己破産と言われるような状況だろうというふうに思っています。  この問題は予算審議の中でも随分されておりますので、簡単に鳩山総理それから菅財務大臣からこれに対する御認識をお伺いしたいと思います。
  9. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今のそのグラフを見てもお分かりのように、大変国借金、膨れ上がっております。地方も合わせて一千兆というとてつもない額になってきているというのは非常にゆゆしき問題だと、そのように思っておりまして、先進国の中で最悪であると、そのように思わなければなりません。  この問題の解決は、私は、短期的、中期的、長期的なビジョンが必要だと思っております。短期的にはやはり、そうはいっても、財政規律とともに、やはり国民皆さんいのちを守らなきゃならないと、社会保障も充実させなきゃならないというところでの難しさがあります。それをどのようにしてぎりぎりでやっていけるかという議論。それから、中期的には、中期財政フレームというものをどのようにつくり上げていきながら、安定して将来的には財政規律やっぱり大丈夫だぞというところを見出していかなきゃならぬと思います。  ただ、私はやはり長期的なビジョンが必要で、それは、先ほどまさに柳澤委員が国と地方を合わせてとおっしゃった。私は国と地方を合わせた議論が必要だと思っていまして、最終的には地域主権国家というものを大胆につくり上げて、国のできることはできるだけ小さくして、地域でできることは大いにもう地域で何でも解決できるような世の中に変えていくと、その仕組みの中で解決策を探していくことができるのではないかと、そのように思っておりまして、このような短期、中期、長期のビジョンというものをしっかりとつくり上げることが新政権の大きな課題だと、そのように認識しております。
  10. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今もこのグラフを改めて見ながら、本当にその重さを改めて痛感をいたしているところです。  御承知のように、まずこの鳩山政権でやりつつあることは、これまでの財政中身が本当に投資効果があり、あるいは国民が安心して逆に消費に回れるようなものであったのかなかったのか。まずは歳出中身の見直し。それには、無駄の排除ということと同時に、本当にこの成長にちゃんとつながるようなものになっているということが必要だと思っています。  そういうことで、昨年の末に新成長戦略をまとめて、その中では、目標ではありますけれども、二〇一〇年から二〇年の十年間で名目GDPを三%、実質二%成長させて、GDPを二〇二〇年には六百五十兆円、名目で引き上げていこうと。やはり財政再建のためにはそのことがないとどうしても難しいと、このように思っております。  そういうことで、今年の五月、六月までには国家戦略室が中心になって中期財政フレームを出して、成長財政規律を両立させる方向性を打ち出して、国民皆さんにこれならやれそうだという姿をお見せしたいと、このように考えております。
  11. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。これは私たち責任じゃなくて前政権責任だという開き直りはできませんし、本当に私たちの力で子供や孫の代にツケを残さない、頑張っていきたいなと私も思っております。  次に、先ほど言った地方財政状況ですが、大変残念なことに、最初に立った総括をしたときに北海道の夕張市の財政破綻の話をさせていただきました。今市民の皆さん財政再建に向かって血のにじむような努力をされています。しかし、この厳しい経済下、人口の流出も続いて状況は更に悪化していると言われております。国としても最大の支援をこの場でお願いしておきたいと思いますが、このような厳しい財政地方自治体もたくさんあると。地方財政状況はどのようにとらえ、今後どのようにされていくのか。地方担当原口大臣の方から簡単にお話しいただければと思います。
  12. 原口一博

    国務大臣原口一博君) おはようございます。柳澤委員にお答えいたします。  その前に、同じ青いバッジを付けていただいていますが、まさに拉致問題に熱心に取り組んでくださっております委員にこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。  その上で、地方財政状況ですけれども、今二百兆円借入金残高がございます。景気低迷による税収の大幅減、そしてやっぱり一番効いているのは三位一体改革財政力が弱けりゃ弱いほど、そして自治体の規模が小さけりゃ小さいほど厳しくなっています。  じゃ、これをどう変えるか。今、私たちは三つの方策を考えています。一つは、地域にある資源、これをやはり創富力と、富を生み出す力と言っていますが、たくさんいいものがあります。これをどう掘り返していくか。地域経済のダイナミズムをまず回復する、これが第一だと。それから二番目は、今回、交付税措置でも、先ほど夕張お話がありましたが、厳しい自治体により厚い、今回十一年ぶりの一・一兆円の交付税の増額、これをやらせていただく。三番目は、総理お話しになったとおり、やはり自らの地域を自らがデザインする、自らが経済や様々なものを責任を持ってつくっていく、この地域主権改革、これを行うことによって地域を再生していきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。
  13. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。是非、国だけではなくて地方も、本当に両方が良くならなければこの財政再建はできないだろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  私はいつもみんなに言っているんですが、今の国の状態を人間の体に置き換えると、バブルで太り過ぎて倒れて病院に入ってベッドに寝ていると。そこに赤字国債という血液を輸血で送り続けた。ところが、その血液が多くの器官にたまってしまって、しかも血管に血栓ができて詰まっている。細胞、つまり国民一人一人には血液が届いていない。そして、九七年に金融危機が起きて、心臓である銀行がおかしくなる。少し持ち直したのに、一昨年の秋にリーマン・ショックが起きて、細胞、つまり国民は将来が心配で血液をみんなため込んでいる。全身が紫色にうっ血して血液が回らない。そこにデフレスパイラルになりましたから、むしろ体温が下がって生命の危険さえ起きている、それが現状だというふうに私はとらえています。これは、これでは駄目になる、大手術をしなければ駄目だということで、内科から外科病棟に移して担当医も替えた、それが政権交代だろうと。  ところが、各臓器機能不全にかなり陥っていますし、この五十四年間も政官業の癒着の下で悪化した病状は思った以上に重い。今すぐ手術をしたいんだけれども、したらいのちにかかわる。それなのに、その状況の中で髪の毛が、ひげが、つめが必要以上に伸び続けている。去年から取り組んだのは、まず、伸び過ぎた髪やつめを切って、ひげをそって、少しあかをこすって身ぎれいにしようやと。そして、各機能不全に陥っている臓器検査をするというのが事業仕分だったというふうに私は思っています。  実は、この問題の中で、事業仕分でも、特に今後、母屋でおかゆをすすっていて離れですき焼きでどんちゃん騒ぎと言われた特別会計の問題、そして九十八の独法の下に四千五百を超えてぶら下がっている公益法人、二万六千名の天下り、年間十二兆を超える私たち税金が使われている。事業仕分というのは本当にこれからが本番だろうと。昨年、省庁事業仕分、全事業の一割ちょっとぐらいしかまだ行われていない。そんなことも含めて、今後事業仕分をどのように進められるのか、仙谷大臣の決意も含めてお話しいただければと思います。
  14. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) どうもおはようございます。簡潔にということでございますので、簡潔に申し上げます。  事業仕分国民関心と御支持をいただいたわけでありますが、今後はこの特別会計、それから独法公益法人、すべて聖域なく取り上げてまいりたいと思います。そして、そのレーゾンデートルといいましょうか、何のためにこの特別会計公益法人独立行政法人が存在するのか、存在する必要があるとしても、どのようなやり方で何のためにやっているのか、これを国民皆さん方に見ていただいて、もう必要ないものは必要ないということにしなければいけないというふうに考えているところでございます。  今、ハトミミドットコムということで、国民の声というものも募集をしております。約半月で八百件ぐらいの声が寄せられておりますので、非常にまじめな御提言が多いというふうに報告が上がってきておりますので、こういうものも参考にして、気合を入れてこの仕分手法独法公益法人、それから特別会計、これを皆さん方一緒に見直してまいりたいと思っております。
  15. 柳澤光美

    柳澤光美君 参議院決算委員会はその事業仕分をかなり突っ込んでやってきたわけですが、二〇〇七年の総括質疑で、私は安倍総理タウンミーティング無駄遣い質問に立ちました。駅から歩いて五分の会場に閣僚のためにハイヤーを東京から四台、五十七万も掛けて持っていっている、これが大きな話題になりました。しかし、一番の問題は随意契約で丸投げしていたことなんです。契約先の請求に対して言われたとおり全部払っている、しかも、偽装した報告書をそのまま堂々と出している。  安倍総理がその結果責任を取って百万円を返納されるというようなことも起きましたが、そんなことを求めたわけではなくて、驚いたのは、結果として、一回平均一千二百万掛かっていたタウンミーティングが九十万を切りまして、十分の一以下になりました。これは、まず随意契約の丸投げを止めたと。ただ、大事なのは、その後、内閣府の皆さんが自ら事業仕分をして自分のできることは自分たちでやろうと、その努力があったから実現したことなんです。  ところが、この良さの拡大というのは全く広がりませんでした。事業仕分も同じなんですが、当たったのが運が悪い、できればうそをついて逃げたいと、それが僕は実態だろうというふうに思っています。ですから、あの事業仕分も他の省庁担当以外には問題に全く関心がないし、広がっていない。  そこで、実はそのときの決算委員会会計検査院独立行政法人の徹底的な検査を要請をしました。その結果、これが二〇〇八年に出てきたものです。去年、いわゆる追加でこれが出ました。これだけの膨大な量になります。これはもう独立行政法人白書と言ってもいい労作で、会計検査院皆さんには敬意を表したいというふうに思っておりますが、正直言いまして、二〇〇八年の十一月に決算委員会でこれを基に質問に立ったんですが、当時は鳩山邦夫総務大臣でした。本当に言うとおりだと、おっしゃるとおりだと、何とかしたいという答弁が返ってきただけで、何も変わりませんでした。  そこで、指摘したポイントだけ何点かお話をします。  各省庁独立行政法人随意契約というのは件数で九四・六%、金額で九九・三%。そして、公益法人とは件数で七二・七%、金額で八五・四%。そして、随意契約は多少減っているんですが、一方で一者応札が大幅に増えている。競争が全く行われていない。  独立行政法人随意契約を見ると、件数で七五・五、金額で七五・一%。しかし、公益法人との随意契約件数では九三・八%、金額に至っては九八・一%が全部随意契約になっている。それから、いわゆる、言葉が悪いんですが、ピンはねと言われる、公益法人から何もしないで再委託をしていることなんですが、これは金額で四二・六%、特に関係法人だと五〇・五%と半分以上になっている。中には委託率が一〇〇%を超えているところも幾つかある。  そしてもう一つ、OBの天下りがいるといないでは、随意契約が、府省庁の国では件数で四倍、金額で八倍。独立行政法人では件数で十倍、金額で二十三倍。独立行政法人公益法人の間では、契約で七倍、金額で二十三倍になっています。  是非、先ほど仙谷大臣から改廃も含めてというお話がありましたが、これはもう徹底的にやらなければ私は駄目だというふうに思いますので、もう一度御決意をいただけますか。
  16. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 大変熱心に取り組んでいただいておりまして、敬意を表したいと存じます。  今のお話ですが、結局のところ、もしその独法が行っている公共サービスといいましょうか、ものが必要であるという前提に立っても、理事の数から始まって、民間並みの選択と集中に基づいたガバナンスがあるんだろうかと、こういう観点から考えますと、今、柳澤議員がおっしゃられたような話は完璧なモラルハザードというような状態を示しておるわけでありますから、これは事業そのものが必要だとしても、徹底的にその見直しをしていただかなければならないと私は思っております。  そういう観点でもう一つお願いしたいことは、この決算委員会でここまで熱心に取り組んでいただいておるわけでありますから、この分科会の中で一つ一つの事業なり独法を取り上げて集中して審議をしていただくと。その前提として、決算委員会委員部といいましょうか事務局に、やはり調査局も含めた細かなところまでもちゃんと調査分析できる部局でもおつくりをいただいて、日常的に監視の視点から分析、調査をしていただくということもお考えいただいた方がいいんではないかと。やっぱり本来のこの決算委員会の仕事だと私は思います。  実質的に我々が展望しておったGAOのような機能をこの決算委員会が持っていくということなしには、やっぱりどうしても細かいところまで目が行き届きません、細かいところまで行政の中におっても行き届きませんので、これはやっぱり第三者的な視点からの監視ということが極めて重要だなと最近改めて感じておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  17. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 補足して、仙谷大臣に、行政評価を所管する大臣としてお答えをさせていただきます。  この大臣にならせていただいて三つのことをやりました。  一つは、今おっしゃった一者応札、これは物すごい数でした。これを改めるようにということで行政評価局に指示をいたしました。  二つ目は、五代連続の天下りです。これがどれぐらいあるのかと、これも調査をさせていただきました。  そして、行政刷新会議で行政評価局の機能強化ということを指示をいただきました。事業仕分の中で唯一仕分けられずに、もっとやれと言われたのがこの行政評価でございまして、是非有効に活用いただいて、独法はやはり原則廃止、サンセットを入れていかないとこのことは止まらないというふうに思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
  18. 柳澤光美

    柳澤光美君 よろしくお願いします。  次に、公共事業の見直しについて質問をしたいと思います。  前原大臣になられて、本当にダムの問題、空港の問題、多くの隠れていたものが次々と明るみに出てきました。そのお話もしようと思ったんですが、ちょっとカットしまして、ただ、いや、質問はします。  民主党のコンクリートから人へというキャッチフレーズがメッセージが強過ぎて、いろんな声がちょっと出てきています。  公共事業がすべて駄目なのかと、コンクリートは要らないのかというような声も上がっておりますし、私の地元、長野県でもバイパスが分断されてできていて、これ、つながらなくなるのかという声も上がりましたし、実は私を応援してくださる皆さんにセメントで働いている人や生コンで働いている人もおりますので、是非、公共事業の見直しは、それは精査をしてやる。必要な公共事業はきちんとやっていく。コンクリートもセメントも必要なんだということも含めて、ちょっと御答弁をいただけますか。
  19. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今、柳澤委員がおっしゃったように、コンクリートが悪いと申し上げているわけではありません。コンクリートから人へというのは予算配分の重点を変えていくという意味でございまして、国土交通省だけでも平成二十二年度予算案では四兆八千五百八十五億円の公共事業費を計上しておりますし、また高度経済成長時に造られた様々なインフラの更新、維持、改修、こういったものも生まれてきますし、そういったものについては当然ながらコンクリートを使ってやらなくてはいけないということであります。  したがいまして、この場をお借りして申し上げると、コンクリートが悪だと申し上げているのではなくて、今の日本における社会状況、つまりは少子高齢化、人口減少、莫大な財政赤字、この日本の置かれている状況の中で予算の使い道を公共投資から医療、介護、教育、こういったものにシフトしていくという意味でのコンクリートから人へという言葉を使わせていただいているということでございますので、コンクリートが悪いわけではありません。セメント業界で働いている方々ももちろん悪いわけではありません。それは、誤解を与えているとすれば申し訳ないことだと思っております。
  20. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。大臣からきちんとお答えいただいて、みんなも安心しているだろうなというふうに思っております。  そうはいっても、コンクリートの中の箱物の無駄遣いというのは、私も全国を回って山ほど見ています。これは、国だけではなくて地方一緒で、私は市庁舎も立派過ぎるというふうに思いますし、それから、使われればいいんですが、文化センターだとかスポーツセンターだとかたくさんある。この箱物は、造るときに自分のお金ではないんで非常にぜいたくに造って税金無駄遣いする。  ただ、問題は、できた後、水道、光熱、修理でもずっと維持費が掛かる。これはダムも空港もそうだったというふうに思うんですが、もっと困るのは、そこに必ず館長とか所長とか理事長とかというポストができて、天下りをしてきて、その人件費もずっと税金が使われていく。私は国民皆さんに訴えたいんですが、国だけではなくて地方においても、地方財政無駄遣い、もっともっと監視をしていただきたいということを訴えさせていただこうと思っております。  実は、会計検査院の見直しとか、在外公館で岡田大臣にも、在外公館、一回全部事業仕分してくれというお願いをしたいと思ったんです。済みません、時間がないんで、またの機会にまた決算委員会等でお話をさせていただければと思います。  実は、次に、私がずっと当選以来真剣に取り組んできました自殺問題について質問をさせていただきたいと思います、少し決算にも絡めてですね。  私は、多くの働く仲間が過労死や過労自殺、あるいは精神障害による自殺者が出る、そんなのを身近にも見てきました。ですから、自殺問題には強い関心を持っていました。そこで、少しお時間をいただいて、自殺の実態と取組の経過をお話しさせていただきたいと思います。  交通事故による死亡者は警察庁の努力もあって五千人を切りました。ところが、自殺者は増え続けています。ちょっとパネルを、二枚目出してもらえますか。  向かって左側が昭和五十三年から二十一年までの自殺の推移であります。皆様も御承知のように、自殺者が急増し三万人を超えたのは一九九八年です。そして、そこから三万人をずっと超え続けている。  実は、その九七年から九八年の動きを右側のグラフにしました。で、どこで伸びたか。一年間で見ると、九八年の三月に急激に増えたんですね。これは、九七年の十一月に三洋証券、北海道拓殖銀行が破綻して、さらに山一証券が自主廃業に追い込まれる。その年度の決算期、つまり九八年の三月に完全失業率が四%を超え、倒産件数が一九九〇年以降最多を記録する。私たちはこれを九八・三ショックというふうに呼んでいますが、実は自殺者は、完全失業率と全く同じトレンドを描きます。倒産や失業、経済や雇用情勢というのは、自殺に大きな影響を及ぼしています。  お手元に、自殺の経緯をちょっと簡単にまとめた、取組経緯をまとめた資料をお出ししましたので、ちょっと簡単に説明させていただきたいと思います。  私は、二〇〇四年に初当選すると同時に、がんを公表されて亡くなられた山本孝史さんが主宰をする自殺対策の勉強会にすぐ飛び込みました。そして、希望する厚生労働委員会に入って、そのときの大臣が尊敬をする尾辻大臣で、民主党の筆頭理事山本孝史先生でした。  二〇〇五年に法案審議の合間を縫って参考人質疑を行い、そして、自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議まで行いました。その結果、秋には内閣府に自殺対策関係省庁連絡会議が設置されました。良識の府参議院で良かったと心の底から感動したのを昨日のことのように覚えているんですが、しかし、全く前進はありませんでした。  そこで、法制化を目指そうと、山本先生が中心になって二〇〇六年一月に、前年の厚生労働メンバーを中心に尾辻会長、山本事務局長で、超党派の自殺防止対策を考える議員有志の会を結成しました。私もそのメンバーに加わりました。その六月に、議員立法で自殺対策基本法を成立させることができました。実は、そのとき厚生労働委員会は審議日程が詰まっておりました。たまたま私が内閣委員会の理事でしたので、委員長提案で参議院内閣委員会を通して、衆議院に回して可決をするという離れ業のような法案になりました。  おかげさまで、翌年、二〇〇七年の四月に内閣府に自殺対策推進室が設置、六月に自殺対策大綱が閣議決定、十二月に自殺対策白書が発刊。しかし、自殺者は全く減らずに、十年間三万人を超える状況になりました。  そこで、十二月の二十日の内閣委員会で自殺の質問に立ちました。本当にくしくもその翌日、二十一日に、いのちを削って自殺対策基本法とがん対策基本法を通された山本孝史さんが亡くなりました。大変なショックを受けました。  ただ、このままでは山本さんに申し訳ないと。翌二〇〇八年の五月に尾辻さんにも相談をして、尾辻会長、私が事務局長となって超党派の自殺対策を考える議員有志の会を結成をして今に至っております。  そこで、鳩山総理にお伺いしたいと思います。  鳩山総理は六月の党首討論で自殺問題を取り上げてくれました。当時の河村官房長官がお涙ちょうだいだとコメントをされて、自殺対策に取り組む関係者から大変な怒りが上がりました。代表の皆さんとともに官邸に河村官房長官を訪ねました。抗議をさせていただきました。河村官房長官は、本当に真摯に対応していただいて、そんな意味で言ったんではないと丁重なおわびもいただきました。  でも、私はもう政権交代しかないとそのとき強く思いました。そして、国民皆さんのお力で悲願の政権交代が実現。鳩山総理は所信表明の中でも自殺問題に時間を割いてくださり、全国から大きな反響が寄せられ、期待が本当に高まりました。施政方針演説でも、いのちを守る社会の基盤として、自殺対策を強化すると力強く訴えていただきました。  残念ながら、年間の自殺者は、速報値で昨年三万二千七百五十三人、十二年間連続で三万人を超えてしまいました。しかし、パネルの右側のグラフを見ていただきたいと思います。一昨年と昨年の月別の自殺者の比較です。九月から二〇〇八年を下回ってきました。私は、これは絶対偶然ではないと。国のトップリーダーが強くコンクリートから人へ、友愛政治を訴えられ、鳩山総理思いが全国に広がる、それがここにつながってきているだろうと私は確信をしています。  鳩山総理は施政方針演説で、「いのちを守りたい。」から始まり、いのちを二十四回も使っていのちの大切さを訴えられました。マスコミ報道では理念的とか詩的だなどと報道され、野党の皆さんも批判されますが、私は鳩山総理の考えと全く一致です。私も国の最大の使命は国民いのちを守ることだと考えます。そして、その最大の悲劇が自殺だと。  何でいのちの問題に真正面から向かわないのか、私にはどうしても理解ができません。一日平均百人近い方が自殺に追い込まれている。何のために世界第二位の経済大国になったんですか。経済というのは、経国済民、経世済民、国を治めて民を救うという言葉からできたと聞いています。民が救われない経済は間違っていると思います。何が情緒的ですか。何が理念的ですか。私は鳩山総理の演説に感動して涙が流れそうになりました。鳩山総理が目指す友愛の実現は必ず自殺者が減ることにつながると確信をしております。  鳩山総理いのち、そして自殺に対する思いをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 柳澤委員山本孝史議員を継がれて、ある意味で後継の形で自殺対策に大変積極的に取り組んでおられることを心から敬意を申し上げたいと思いますし、感謝をいたしたいと思います。  先ほどお話がありましたように、九月から前年に比べては減っているかもしれませんが、しかし、それでもまだ多くの方が自殺をされてしまわれているということは、大変これは我々とすれば痛烈な思いで、何とか自殺対策をもっと強化をしなければいけないと、今そのことで真剣に考えているところでございます。  柳澤委員お話しされましたように、やはり主たる原因は経済的な側面が極めて大きいと思っております。したがいまして、雇用問題に対してまず私ども最初に取り組んだところでございまして、雇用調整助成金の拡充、あるいは新たな雇用の創出というものによって多くの方々に自分たちの居場所と出番というものをつくり出していくことがまず何としても大事だなと、そのようにも思っておりますが、ただ、そうはいっても経済状況、そう簡単にすぐに明日にも元気になり切るなんていうことがなかなかできない経済状況だということを考えたときに、そうでなくとも、それでも居場所と出番というものを見出していけるような、お互いにお互いを支え合うような社会にしていきたいと。みんな一人じゃないよと、あなたの味方がここにもいるよ、あそこにもいるよと、そういう社会に変えていくことが大変大事だと思っておりまして、御高齢の方がだれにもみとられずに亡くなってしまわれるようなことも含めてでありますが、居場所と出番を何としてもつくり上げていきたい。  ハローワークとかそういうところでも心のケアなどを始めているところでありますが、もっと何か根本的な社会を変える、支え合いの新しい公共というのもその一つなんですが、そういう社会をつくり上げていくことで自殺対策に大きく前進できればな、そのように考えているところであります。
  22. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。  実は福島さんが一緒に有志の会のメンバーとしてやらせていただいて、今回担当大臣になられて大変うれしく期待をしております。そして、福島担当大臣になってから鳩山政権の新しい自殺対策が次々と打ち出されました。  まず、十月に自殺対策緊急戦略チームが結成をされ、そこに民間からNPO法人、一緒にやってきたライフリンクの清水代表、そして参考人質疑にお越しいただいた秋田の本橋教授が参与として参加をされました。急速に対策が打たれ始めました。十一月には自殺対策一〇〇日プランが取りまとめられ、年末年始に向けた緊急対策では厚生労働省、ハローワークの御協力もあって、ワンストップで年末年始も開いていただくという具体的な行動が起きました。  そこで、二月までに徹底的なプランを立てようということで、一〇〇日プランが立てられました。なぜ百日かというと、そのグラフの左側を見ていただけますか。  月別の自殺者を見ると、三月が必ずピークになります。ここがやっぱり決算期を迎える。それが五月まで尾を引きます。ですから、この鳩山政権における自殺対策は三月にピークを持っていこうと、ここまでに計画をきちんと立てて、三月を月間にして、ここの人たちを一人でも救えれば年間の自殺者を減らすことができると、それがこの一〇〇日プランだと思います。  私は自殺に数値目標を持ってはいけないというふうに思いますが、フィンランドは国を挙げてやったら三〇%減りました。私は三万人どころか、できるだけ減らしたい、そんな思いでおります。  福島大臣の自殺への思いと御決意もいただければと思います。
  23. 福島みずほ

    国務大臣福島みずほ君) どうもありがとうございます。柳澤議員とは本当に自殺対策を考える議員有志の会で一緒にやってきまして、事務局長としてこの間牽引をしていただきまして、本当にありがとうございます。  そんな中で、私自身が内閣府の特命担大臣として、まさにこの自殺対策をするようになりました。今おっしゃっていただいたように、自殺対策緊急対策チームをつくりまして、いろんな施策を出してきたところです。  自殺対策一〇〇日プランのことも言っていただきまして、ありがとうございます。近日中に閣僚レベルの自殺総合対策会議を開きまして、政府全体のまさにいのちを守る自殺対策緊急プランを決定したいと考えております。その中では、例えば連帯保証制度の見直しも検討ということもあるかもしれませんし、実際、役に立つというか、生きる支援につながるような総合的なそれぞれの施策をきちっと打っていきたいと思っております。  最近は宗教者の皆さんやいろんな方たちも、例えば自死遺族の方たちももちろんそうなんですが、多くの方たちが何とか自殺する方をなくそうといろんな形で手をつなぐようになりました。ハローワークで働く人、労働局で働く人、薬剤師さん、医師、介護士、看護師さん、それから学校の先生、気付いて声を掛けることで何とかそこで、よく眠れますか、大丈夫ですかと相談に乗ることで実際、自殺に追い込まれる方をなくすことができると思っています。でも、一番大事なことは、政治が、国家が、国家意思として自殺をなくすということをはっきり決めて、そのための施策をすることだと考えています。  先ほど申し上げましたいのちを守る自殺対策緊急プラン、この内閣が言う例えば雇用、労働者派遣法の抜本改正、雇用を守ることもそのことにつながると思っています。  一緒に頑張ってやっていきましょう。よろしくお願いします。
  24. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。  本当に鳩山総理が目指す鳩山内閣、人のいのち、友愛政治、これが実現するときに自殺者は確実に減ってくると、私たちも頑張りたいと思います。  総理は、施政方針演説で新しい公共によって支えられる日本ということを強く訴えられました。私も全く同感です。  実は、この自殺対策の取組は、本当に新しい公共の見本と言ってもいい取組経過でした。法案の成立、そしてその後の取組の中心になったのは、NPO法人をする民間団体、弁護士会や司法書士会などの関係団体、新しい公共の皆さんがその中核を担いました。毎日二十四時間電話相談をされている日本いのちの電話連盟や、各地の自殺防止センターの大きな組織から、東尋坊で声掛けを続けている茂さん、秋田で中小企業経営者の相談に乗っている蜘蛛の糸の佐藤さん、あるいは奄美大島で市の職員として多重債務問題を全国から受けてたくさんの方を救われている禧久さん、いろんな組織が百五十を超えると言われています。その民間団体のネットワークを構築して私とタッグを組んで自殺対策に取り組んでいただいたのが実はライフリンクの清水さんです。  清水さんは元々NHKのディレクターをされていて、「クローズアップ現代」で自殺問題を取り上げました。そして、自死遺児の皆さんにも番組に出た方がいいということで口説いて出ていただきました。しかし、残された家族も含めた悲劇の現状を知る中で、このままでは駄目だと。実は、私が当選した二〇〇四年の四月にNHKを退職されて、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクを設立をしました。それからは、むしろ有志の会も清水さんに引っ張られるぐらいで対策を進めてきました。本当に清水さんのおかげだと言っても過言ではないと思っています。  私は反省しています。政治家は法律を作るまで、官僚の皆さんは、法律ができると、それに基づいて予算を確保して、机上論の対策を立てておしまい。プラン・ドゥーまではやるけれども、シー、チェックの最も大事なところが欠落していると思っております。  もう時間がないので少し飛ばして説明さしてもらいたいと思いますが、一方で、自殺対策をやるには実態をどこまで正確に早く知るかというのが最大のテーマになります。  警察庁には何回も何回もお願いして、なかなか壁が厚くて、そのときに中井大臣だったら一発だったろうなというふうに思うんですが、おかげさまでデータが出るようになって、二〇〇八年に実はこの自殺対策白書、職業別、地域別、所轄別、仕事別、膨大な資料がまとまりました。  実は、これは全部民間皆さんがやってくれたんです。ライフリンクの清水さんを中心に、精神科医、経済学者、弁護士など自殺対策の第一線で活動している民間の有志の皆さんが集まってプロジェクトを組んで、実は東京大学の澤田教授と教室の生徒さんも全部ボランティアで協力をいただきました。税金は全く使っていません。それで、二か月でできました。これを当時の岸田担当大臣に手渡し、関係する自治体にも全部配り、そして衆参の全国会議員の事務所にも配付をさしていただきました。しかし、余り反応はありませんでした。この詳しいことは是非ライフリンクのホームページでダウンロードしていただければ見ていただけるので。  この中で分かったのは、地域的な特色が出てきました。そのグラフの左側を見てください。各地域でずっと出ているんですが、豊田市でやはり中高年の被雇用者、労働者が多い、あるいは大阪市の西区で自営業者が多い、これは地域特性も含めてある程度予測が付きます。しかし、一番下を見てください。埼玉県のさいたま市の浦和区では、どういうわけか年代に関係なく無職の女性の方が多い。大体、自殺は男性と女性は五対一なんです。じゃ、これはどうしてなんだというのは、これは地域皆さんとも協力していただいて分析を掛けて、もうそれぞれの地域で問題を、どこでどうすればいいのか、西区だったら本当に多重債務問題を、それから被雇用者が多いところであれば連合に言う、経営者にも言う、あらゆるハローワークの動員も掛ける、そんなことが今求められているんだろうというふうに思っています。  それから、もっと画期的なのは、その表の右側です。有志の皆さんが遺族の皆さんを回って聞き取り調査をしました。三百を超えました。その三百名を分析をして、自殺の経路や自殺要因の連鎖というものが見えてきました。これもまた是非御覧になっていただきたいというふうに思うのですが。  確かに、最後は六割以上の方がうつ病で亡くなられるんですが、問題はうつ病対策だけでは駄目なんです。何でうつ病になったかという元を絶たないといけないと。その元はどこにあるかと。それは小泉・竹中改革から崩壊した家庭、学校、地域社会そして職場、そこからスポイルされて悩んで悩んでうつ病まで行って、最後は自殺まで行ってしまう。  自殺の問題は、本当に日本社会社会的問題であって社会構造上の問題なんです。人に対する思いやり、助け合い、血縁、地縁、職場の縁という、人間を大切にするという日本が実現しなければ本当の自殺対策は終わらないだろうというふうに私は感じております。  もう一つ問題提起があります。  警察庁の方からデータを出していただいていますが、更に早く詳しく、もっと言えば、原票もちょっと付けましたが、それが内閣府に来て専門家が早く分析をして、地域の特色、職業の特色を分析して地域と連携する。これはもう中井大臣からも分かっているよという御答弁もいただいておりますし、でも一言いただけますか、済みません。
  25. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 柳澤先生の熱心なお取組に心から敬意を表します。  私、大臣に就任してお部屋へごあいさつに伺いましたときにこの問題を御提起いただきまして、以来検討をさせていただいております。できる限り詳しく生のデータが出せるように、更にあと一つ二つハードルがございますが、これを乗り越える工夫をしていきたい、そして少しでも自殺防止につながるようにお手伝いを精いっぱいしたいと考えています。
  26. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。  今回、緊急対策で、ワンストップでハローワークの対応をいただきました。実は、私はハローワークには強い思い入れがございました。  二〇〇四年に当選して二〇〇五年の通常国会でこのハローワーク問題で質問に立ちました。求職者があふれているのに、土日、祭日、全部休んで、九時から五時までしか開けていない、お昼休みも相談窓口閉める、夕方も四時には閉めてしまう、冗談じゃないと。僕らサービス業だったら、お客様の来てくれるときに三百六十五日、二十四時間開ける、だからシフトをしいて交代で勤務をして交代で休みを取るんだ、何でできないんですかという質問をして、そのときも尾辻大臣が前向きにとらえていただいて、翌四月一か月で六百八か所あるハローワークが全部シフト制を入れて九時から五時まで相談業務に乗る、二十万都市の大きいハローワークから夜七時まで開ける、土曜日も開くことになりました。  一昨年派遣切りがあったときに厚生労働省の労働局に行って、派遣切りで困っている皆さんに相談に乗るには年末開けなかったら大変なことになる。むしろ、外国人のいらっしゃるところには、ブラジル語が分かること、通訳を配置するぐらいにはすべきだと。それが、今回、政権交代をして、年末年始も開けていただくことになりました。  厚生労働省の皆さんには本当に努力をいただかなきゃいけないんですが、ただ、内閣府と厚生労働省がばらばらに動いてはいけない。厚生労働省もいろんな今取組をされようとされているのは分かっておりますが、是非、内閣府と厚生労働省が連携をしてやっていただきたいと、その辺を長妻大臣に最後お伺いしたいと思います。
  27. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 柳澤委員におかれましては、本当に自殺対策に長年取り組んでおられて敬意を表します。  先ほど御紹介いただいたNPO法人ライフリンクでありますが、その報告書の一節に、自殺は極めて個人的な問題である、と同時に、社会構造的な問題であるというふうに書いてありまして、私も全く同感であります。  そういう意味では、この内閣全体で社会構造的な問題に取り組むということでございまして、福島大臣とも連携をいたします。ハローワークで保健婦さんを配備をする、あるいは今度は新規事業でありますけれども、ハローワークに住居・生活相談アドバイザーという方を新たに配備をして御自宅の問題、生活の問題、そういう問題もきめ細かく相談に乗る、こういう体制等も考えているところであります。
  28. 柳澤光美

    柳澤光美君 本当にありがとうございました。鳩山総理、それから閣僚の皆さん、何があろうが、石にかじりついても四年間みんなで頑張りませんか。私たちが必ず日本を良くできるんだと、そんな思いで私も頑張ります。  ありがとうございました。
  29. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 関連質疑を許します。那谷屋正義さん。
  30. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本那谷屋正義でございます。  まず、質問の冒頭に、先日ありましたハイチ大地震でいのちを落とされた方々あるいは被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。  そして、この間、鳩山総理を始め本当に各大臣の方々には、連日のように一日座っていらっしゃるという本当に大変な状況の中、御苦労さまでございます。私どもはその何分の一かだと思いますけれども、本当に大変なことだなというふうに思いますので、そうはいいながらも今日はよろしくお願いいたします。  それでは、早速質問に入りたいと思いますが、衆議院で二〇一〇年度の予算審議、つまり本予算審議に入る前にこの参議院において決算全般質疑を行えるということになったことに対して高く評価をしたいというふうに思います。開催にこぎ着けるに当たって関係者の方々に、その努力に敬意を表すると同時に、また私にこういう機会を与えていただいたことも感謝を申し上げたいというふうに思います。  しかし、先ほども柳澤委員の方からございましたように、本来は政府予算案が固まる前の昨年の秋に開かれるべきであったというふうに思います。提出が臨時国会の終了直前になったということが、まあもろもろある理由の中で最も大きな理由でありますけれども、例年十一月の二十日ごろにこれが提出をされるということになりますと、いわゆる臨時国会の中で十分にそれを審議するということは大変困難な状況も生まれてくるということでないかというふうに思います。  この決算の提出というものについては、実は民間企業においても、あるいは地方公共団体においても今だんだん早くなってきている。とりわけ、民間企業においては、東京証券取引所に上場している企業の場合には、三月末決算の企業の大半が五月中に提出をしていると。これは、いわゆるそれまで六十日ルールというのがあったわけですけれども、最近にはこれを四十五日ルールということで更に早まっている。  また、地方自治体においては、例えば東京都は二〇〇八年度決算が昨年秋の九月議会に提出をされている。私の地元の神奈川県でも、十月から十一月にその決算審議が行われているというような状況であります。また、全国都道府県議会議長会事務局のまとめによりますと、二〇〇七年度には三十五都道府県が、次年度予算へ反映させるために決算審査の迅速化に取り組んでいるということでございます。  IT化が進んでいる今日、国の決算についても、せめて十一月の初めごろに国会提出を前倒ししていただけないか。決算重視参議院にふさわしい決算審査を行うためにも、是非そうしていただけるよう御努力をいただきたいと思いますけれども、総理の見解をお願いしたいと思います。
  31. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 那谷屋委員の御指摘、誠にそのとおりだと基本的に思います。先ほども申し上げましたように、予算の方が重要で決算は二の次みたいな国会での在り方が長年続いてきた、それは違うと、むしろ決算を重視すること、それをいかに、翌年とはなかなかならないとしても、翌々年の予算にきちっと反映をさせるかということが求められてきたと、そのように思います。  そう思いながら、去年も十一月二十日前後、毎年このころに、国会開会中であれば国会に提出してきたということでございまして、これではもう既に予算編成が終わりつつあるという、なかなか反映しにくいという状況ではないかと思います。  むしろ、できれば今年からそういったことを改めて、できるだけ早めに提出をいたして、そして参議院を中心として決算でよく御審議をいただいて、それを予算に、予算編成に大いに反映できるようにしていくことが肝要だと、そのように思っておりまして、今お話ありましたように、IT化が進んでおりますので、これは前向きに検討をやはりするべき問題だと、そのように思っておりますので、努力をいたさせるようにいたします。
  32. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非お願いをしたいと思います。  昨日の参議院の本会議において仙谷大臣の方から、本来事業仕分というものについては国会でやっていただくべきものではないかというような答弁がございました。しかしながら、長年の自民党一党支配であったそういうふうな状況の中で、これまでの無駄遣いですとか、こういったものをしっかりと出すには、やはりなかなか、今のような状況の中で、決算委員会だけでそれができるということにはならない。しかし、そうは言うものの、この決算委員会をより充実させていくということ、そして併せて事業仕分、しばらくはこの両輪でこの国の予算無駄遣い、こういったものについて徹底的に洗い出していく、このことが大事ではないかと、このように思っているところであります。  昨年の十一月に会計検査院は、この平成二十年度の決算検査報告国会に提出をいたしました。国、地方の不適正な経理や無駄遣いの記述が満載であります。指摘された件数は過去二番目に多い七百十七件、指摘された金額は過去最悪の二千三百六十四億円に上っておりまして、その前の年、平成十九年度、千二百五十三億円の二倍近い金額ということになっております。大変遺憾なことであります。  国民が納めた貴重な税金や保険料等が無駄に使われてきたかと思うと実に腹立たしい思いでありますけれども、今般の検査報告の指摘について鳩山総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  33. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) ただいま那谷屋委員が御指摘されましたように、二十年度の決算検査報告によると、大変遺憾な話でありまして、指摘件数七百十七件、十九年度の二倍近い二千三百六十四億円という不適正な経理あるいは無駄遣いの指摘がなされたところでありまして、このことに関しては誠に遺憾に思っております。  この検査報告では、公益法人などに設置された基金等などの問題に指摘をいただいておったわけでございます。そこで、私どもも平成二十二年度の予算を編成するに当たって、まずはここに無駄遣いがあるのではないかと、公益法人などの基金というものを取り崩すことが必要ではないかということで、かなりこの努力をいたしたのも事実でございまして、会計検査院の指摘に従いまして、個別の事務事業ごとに相当効率性などを洗い直したわけでございまして、その結果、旧政権の下ではなかなかこれは見過ごされていた部分はあったと思いますが、公益法人などの過剰な基金の積立ての国庫への返納などを行いまして、これは、二千三百六十四億円のうちの総額約千六百九十億円分を、これは二十二年度の予算に反映させることができた、そのように考えているところでございます。
  34. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございます。  今総理が言われたように、公益法人の基金の部分で非常に多過ぎるということで国庫に返納するということ、これも一つの方法だというふうに思いますけれども、今回の検査報告の特筆すべき指摘ということでありますけれども、これは、国、地方共に不適正な経理が蔓延していたということでございます。  会計検査院検査した二十六府県、二政令市、そして十三市町村の自治体のすべてで、国の補助金に係る事務費に関して業者に架空の取引を指示して虚偽内容の書類を作成するなどの不適正な経理処理が行われていました。  また、国段階におきましては、内閣府や厚労省、経産省など多くの国の行政機関でも地方自治体同様に不適正な経理処理が行われ、そして庁費等を支払っている事態が幅広く見られていたということで、これまた極めて遺憾なことでありますけれども。  今総理がおっしゃったような形でそうした無駄をなくしていくということ、大変重要ではないかと思いますが、もう一度、民主党政権ではこうしたことを新たに引き起こさないんだ、徹底して再発防止に取り組むということを国民の前で総理の方から誓っていただければと思います。
  35. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) おっしゃるとおりでありまして、平成二十年度の決算検査報告の中でこのような大変、国さらには地方公共団体そろってでありますが、不適正経理があったということでございまして、こういうことをやれば国やあるいは地方自治体に対する国民の信頼というものが完全に失われてしまうと、そのように非常に私どもとしてはあってはならないことだと、なくさなきゃならない、今その思いを強めているところでございます。  そこで、昨年の十一月でありますが、私の方から各閣僚に対して、こういった検査報告があったと、これはゆゆしきことだと、このようなことは新政権の中では決して起こしてはならないと、確実に改善をしなければいけないということで、このことを指示をいたしたところでございますし、また、総務省を通じてすべての地方公共団体に対して、このようなことが起きていることに対して、是非これは改善をしなきゃならないと、適正かつ公正な財政運営に努めなきゃいかぬぞということを、総務省を通じて公共団体に対して申したところでございます。  私どもとして、このようなこと、預け金というようなことのようでありますが、こういうことが何か平然と今まで行われていたというようなことは、やはり国民皆様方から見ればとてもとても許される話じゃないと、そのように理解をいたしておりますので、新政権においてはこのようなことがないように、なくなるように最善の努力をしていきたい、そのように思っております。
  36. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非共に頑張っていきたいというふうに思いますが、そのためには、なぜ今回のように不適正経理がこれほどまで幅広く蔓延してしまったのかという原因もやはり分析する必要があるだろうというふうに思います。  国の予算の効率的執行という言葉をよく耳にするわけでありますけれども、しかしこれまでは、これはいわゆる掛け声ばかりでありまして、実際に具体的な手だてが講じられないまま今日まで至っているということであります。  例えば、私がある予算担当者で、仮に一億円の予算をゆだねられたといたします。一年間、その予算の効率的な使用を心掛けて、節約して節約して、そして年度末に三千万円を使い残したと。普通で考えれば、これは当然、よく頑張ったということで褒められなければならないわけでありますけれども、これまではどうかというと、どうして使い残した、使い残したら来年度の予算が減額される心配があるじゃないかというような形でしかられてしまうということもよく耳にいたします。  きれいに使い切れば褒められる、節約などせずに、例えば随意契約で値段が高くなっても気にしなくなる、年度末に不要の物品を買いたくなる。さらに、今般の不適正経理からいえば、使い残さないために、翌年度の領収書の日付を今年度にごまかす、あるいは業者に預けて必要なときに引き出すといった、こういった不正な行動の背景に予算を使い切ろうとする心理が働いていたとすれば、予算の効率的執行を促すような仕組みというものを早急に考えていかなければいけないと、こういうふうに思うわけであります。  例えば、頑張って予算を節約したらば、節約した予算のその担当者が評価される仕組みづくり、それから、節約した予算の一定の割合が例えば次年度予算にプラス査定されるような仕組みづくり、こういうことを真剣に今こそ考えていく必要があるのではないかと。こうした考え方はもう古くからあったわけでありますけれども、旧政権の下ではそこにどうしても踏み切っていかなかったという部分がございます。  財務省は、繰越制度の一層の活用に向けた取組についてと題した文書を発出して、年度末の使い切り等無駄な予算執行の排除に向けて予算の繰越制度を活用する改善措置を講じたと承知をしているわけでありますけれども、こうした動きというのは一歩前進だというふうに思いますが、今私が提案申し上げましたように、その節約した担当者が評価される仕組みづくり、あるいは節約した予算の一定割合を次年度にプラス査定するような仕組みづくり、こういったものについても検討すべきではないかと思いますけれども、菅財務大臣の所見を伺いたいと思います。
  37. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今、那谷屋議員からの問題提起は私も全く同感でありまして、従来はとにかく年度末に残さない、残すと来年度の予算が逆に減らされてしまう、マイナス評価だと、こういうことが良心的な行政運営を逆にゆがめてきたと、このように思います。  そこで、まずできることからやろうということで、今御指摘をいただきました繰越制度というものがこれまでもあったわけですけれども、非常に面倒で非常に使いにくかったということで、まずはすぐにできるというところから、この繰越制度をかなり簡略、迅速にいたしました。それはもう今御指摘のとおりであります。  さらには、複数年度予算という形で、繰越しということを超えて、例えば三年間ぐらいの予算を組んでその中で年度ごとのことを詳しく組んでいくと、そういうやり方の中で繰越しを更に超えて、ある程度、二年、三年にわたる行政運営の中での執行ということができるように次の段階ではしていきたいということで、今年の中期財政フレームなどではそういうことも念頭に考えていきたいと思っております。  さらに、今御指摘の何かプラス査定をするような仕組みがないかということで、これも是非検討してみたいと思っています。ただ、不用額の中には、一生懸命そういうふうに効率的な運用で、いい意味で余らせたものと、元々何かの要素で執行できなかった場合等々がありますので、それも含めていい意味のインセンティブが働くような工夫を是非またいろいろお知恵を借りながらやっていきたいと、このように考えております。
  38. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 そうした予算を執行する関連の公務員についても今人事評価が行われているわけでありますけれども、そうした頑張ったところにしっかりと評価が下りるということ、これがやはり励みになるというふうに思いますので、是非御検討いただけたらというふうに思います。  次に、教育関連について御質問をしたいと思います。  鳩山総理の施政方針演説は、新聞報道で理念先行というふうな指摘がされています。しかし、今は明治以来百五十年にわたって変わらなかったこの国の理念を根本的に組み替えているところであり、施政方針演説でしっかりと理念を打ち出すということはむしろ私は当然のことだというふうに思っています。  で、私なりにその総理思いを整理をさせていただきますと、これまでは要するに戦前も戦後も追い付け追い越せということでもって、自分の会社の利益あるいは自国の富、これを積み重ねていく、これを一つの成長というふうに言っていたわけであります。成長のあかしというふうに言っていたわけでありますけれども。しかし、新しい時代、これからは、今、柳澤委員からもありましたけれども、それで本当にすべてなのかということでありまして、成長というのは一人当たりのGDPを一円でも多くすることを自己目的とするものではなくて、一人一人の潜在能力を高めること、このことにつきましては昨年の九月、国連総会で総理が高らかに人間の安全保障の目的を言われましたけれども、そこと相通ずるものがあるのではないかというふうに思っています。  私も〇六年の通常国会の本会議質問で、これは日本ではなくて、ヒマラヤ山ろくの人口七十万人弱のブータンという国がありますけれども、そのブータンが挑む国民総幸福量の指数というものについて触れさせていただきました。こうしたもの、あるいは国連の人間開発指数などのように、市民の満足度、幸福度というものもこれからは重要な成長の尺度というふうになっていくのではないかというふうに思っています。  そしてさらに、総理の描かれる社会像の中に、先ほども言われましたけれども自立と共生、そしてきずな、そして居場所と出番というこの言葉、これは学校現場で教員が子供たちと日々求めているものでありまして、総理が目指す社会は教育界が大切にしてきた価値と本当に近いものであるなというふうに思うわけでありますけれども、総理の目指す社会について、もう一度見解をお願いしたいと思います。
  39. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 那谷屋委員が政治には理念が必要だと言っていただくこと、大変勇気付けられるところでございます。私は、やはり理念なき政治が結局は日本をこのような現実、現状にしてしまったと、そのように思っております。理念先行と言われようと、やはり理念なき政治がもたらした弊害というものを考えたときに、理念をしっかりとつくり上げていく、そしてそれをみんなで理解をしながら新しい政治というものをつくり上げていきたいと、私はそのように思います。  私が友愛という一つの言葉を大事にしているのは、この自分自身、今までどうも経済成長至上主義というものに陥って、自分だけが良ければよいという世の中になり過ぎてしまったんじゃないかと。自分は頑張る、それは結構です。ただ、自分の会社、自分だけが良いという世の中で、結局ほかの方々の幸せというものを必ずしも見極めることができなかったのではないか、そのように思っています。  むしろ、その発想を変えて、私以上に人の幸せが自分の幸せと感じられるような社会というものをどうすればつくり上げていけるのか。そのためには、やはりきずなというものを大事にする社会ではないか、そのように思っておりまして、家族同士のきずなも大事、やはり会社も大事ですから、会社の中で、それこそ経営者から働いておられる労働の方々すべて、あるいは株主も含めてですが、みんながお互いに幸せを享受できるような社会というものをつくり上げていく支え合いの社会、そこに私は新しい公共というものの必要性も感じているところでございまして、こういったものを、理念としての体系をしっかりとつくり上げて、新しい、ある意味での、資本主義自体もそういう意味で変えていく必要があるのかもしれません。  もうければいいということだけではない価値というものを先ほどお話しされました。幸せというものをどのように数値化することができるのかどうかという議論はあります。ただ、ブータンが世界の中で二番目でしたか、幸福度が高いと。日本は七十何位だったか忘れましたが、大変低いところになってしまっていると。これは宗教的な部分もあるいはあるのかもしれませんが、しかし、そういった価値観というものをもう一度見直すことが今求められているんだと思っておりまして、そこで、先ほど柳澤議員がお話しされたような自殺対策にも資するような新しい政治というものを私は見出すことができるのではないか、その教育の理念と私は共通するものがあると、そのように考えています。
  40. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございます。  ですから、そういう意味では、子供の小さいうちからそうした思いというものを、そういったものをきちっと身に付けていくということ、それが学校教育の中に今まさに求められている、これまでもそのようにしてきたということでございます。  ところが、本委員会で審議の対象となりますこの平成二十年度決算というものは、前政権で編成された予算に基づいてでありますけれども、やはり財政優先主義に毒された小泉流改革路線の逆風をもろに受ける形で、教育への公財政支出はどんどん減少してきているわけであります。  ちょっと資料を御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)少子化しているのだから教育費は減らしても当然という、そういう指摘もあるわけでありますけれども、同じように少子化が進展している韓国それからイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、こういったところを見てみますと、これは教育支出が増加しているわけであります、それぞれ増加の仕方は違いますけれども。しかし、独り日本だけが減少しているということであります。  鳩山政権は、この来年度の本予算案の中で、文教予算は三千百九十一億円増の四兆二千四百十九億円で八・一%の増と、伸び率は実に昭和五十四年度以降三十年ぶりの高さと、まさにコンクリートから人への真骨頂ではないかというふうに思うわけであります。  是非これを続けていただきたいと思うわけでありますが、昨年末に閣議決定された成長戦略基本方針では、教育への言及が乏しいという指摘が経済関係者からも上がっているわけであります。  教育こそ最大の成長投資というふうなこと、新成長戦略を肉付けするためには、中期的な財政フレームを定めるときに今言った教育こそ最大の成長投資という理念実現を最優先するべきではないかというふうに思います。このための具体的な手だてに政策と財政を是非総動員していただきたいというふうに思うわけですけれども、総理の見解をお願いしたいと思います。
  41. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) コンクリートから人へという言葉を使い過ぎるとコンクリートの関係の方々に御迷惑をお掛けいたすわけでありますが、そういう趣旨ではないことを先ほど前原大臣からお話がありました。  まさに人への投資がこれからの我が国の成長というか発展のために最も重要であることは、これはどなたも否定できないことだと思います。にもかかわらず、財政が厳しいという一言の中で今まで教育予算というものが削られ続けてきてしまった、これも事実だと思います。そこで、新政権としては、やはりそうではない、人に投資することの重要性というものを認識すべきだということで五・三%文教科学予算を増やさせていただいたということでございまして、このことはこれからも当然のことながら続けてまいりたい。まだまだだ、そのような思いを持っているところでございます。  成長戦略という、この成長という言葉の中で、必ずしも新成長戦略の中に入らなかったのでありますが、議論はかなりありました、教育こそ成長を導く源ではないかという議論は相当いたしたところでございまして、那谷屋委員お話のとおり、まさに日本の未来を導いていくための投資として、すなわち成長の礎として教育があることは当然のことだと、そのように思っておりますので、是非、新成長戦略、これは今年の六月ごろまでには作り上げてまいりたいと思います。その中に教育の位置付けというものもしっかりと見詰めてまいりたい、そのように考えております。
  42. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、そういう意味で教育もしっかりと力を入れていただけるというお話だったというふうに思いますが、私としては、その四大成長分野を支える科学・技術立国戦略と雇用・人材戦略という二つの土俵、土台の片隅に教育があるということではなくて、この二つの土台を支える大黒柱としてこそまさに人づくりあるいは教育というものが据えられる必要があるというふうに確信しているところでありますので、この目的意識を鮮明にして初めて、総理が施政方針演説で訴えられたこの国の理念が実現することになる、この点をどうかしっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。  そうした中で、文科省の今回の予算にも反映されております様々な施策あるいは今後の施策ということで、三つの段階を示されています。  第一段階というのは、まずこの経済状況の中で貧困対策を行う。そこで、いわゆる高校の授業料実質無償化、そして子ども手当、こういったものによって貧困対策、もちろんそれですべてではありませんけれども、少しでもそういったことで国としての仕事をしていきたいということでありますから、大変重要なことではないかと、早期に成立をさせていきたいというふうに思っています。第二段階に教員の質と量、第三段階は教育内容と教育行政というふうな形でプランが組まれています。  どれも大切で一度にやっていくべきものではないかなというふうに思いますけれども、やはり一度にいくということもなかなかありませんので、私は、こういうふうな形で是非、現場に即した様々な施策が出されるよう私も力を注ぎたいというふうに思っているところであります。  その教員の質と量というふうなところでありますけれども、実は意外と学校の教員が今どのような状況にあるかということについて、それこそ言葉の上ではよく理解されているんですが、なかなか把握がされていないというふうな状況もありますので、今日はちょっとそれを御紹介をさせていただきたいと思います。(資料提示)  日本の教員の授業時間というのは、これを御覧になりますと、この黄色いのがそうなんですけれども、他国に比べて非常に少ないというふうな指摘もされるわけであります。一方で、いわゆる勤務時間、これは千九百六十時間ということで大変多くなっている。  これは各国の中でもトップを切っているということでありまして、これはどういうことかということは、我が国の教員の果たしてきた役割というのは、授業だけではなくて、放課後に子供を学習、生活指導の両面からきめ細かく手助けしたり、掃除ですとか遠足、マラソン大会、職場体験活動といった特別活動も子供たち一緒に行っているわけでありまして、それはここには加算されていません。そして、これらというのは他国には例がありません。まさに教職員の頑張りに支えられてきた、日本の学校教育界が培ってきた財産だというふうに私自身は思っております。  それから、この資料ではありませんけれども、お手元にお配りした教員の一日の、小学校担任の一般的な一日ということで、これは超過勤務の平均ということで月四十二時間の場合ということであります。七時四十五分に出勤をして、十八時四十五分退勤。その間、ほとんど休憩がありません。この七時四十五分から十八時四十五分というふうな時間だけを見られると、これは、そんなの、もっと民間は厳しいぞ、企業は厳しいぞという御指摘もあるかというふうに思いますが、当然これだけではなくて、早朝練習、行事等がある場合にはもっと早く出勤をする。そしてさらに、残った業務というのを持ち帰り、それでも間に合わない場合には土日に出勤をすると、こういうような状況になっているわけであります。  もう一つの用意させていただきました資料を見ていただきたいと思いますけれども、今の月の超過勤務の平均四十二時間というのは、この円グラフの中で見ますと水色の部分に該当します。小学校では約六〇%、それから中学校では何と三六%でありまして、それ以外の方たちはどうかといいますと、月平均四十五から八十時間、これは健康を害する危険がある、それから八十時間から百時間、健康を害する危険度が更に増える、百時間からいくと健康を害する危険が大だというような状況に今なっているわけでありまして、中学校に至ってはこの百時間を超える方たちが九%というふうになっているわけであります。こういうふうにほとんど休憩もなく長時間にわたって勤務をしている、しかも相手が人間だということの中で非常に精神的な苦労も多いわけであります。  私も、もう二十数年前、初任だったんですけれども、初任で初めてその学校に行ったときに、いきなり、高学年だったんですが、朝から六時間授業をやって、ふと気が付いたら、トイレに行ったのが午後の六時ぐらいだったということで、トイレに行く暇もなかったという状況でございました。そんなふうな過酷な状況の中で今先生方が働かれているということでございます。  このように現場で頑張っていらっしゃる先生方の定数あるいは学校環境整備など、物心両面にわたって支え励ます社会というものが非常にこれから大事ではないかというふうに思っているわけでありますけれども、総理の見解をお願いしたいと思います。
  43. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今、那谷屋委員から改めてこのグラフ、表などを拝見させていただいて、子供たちのために頑張っておられる教員の皆さん方の毎日は大変なんだなと、改めてそのことを実感いたした次第でございます。  子供を教育する、はぐくむということは大変大事な、ある意味では最も貴い仕事であるわけでありますが、そういった方々が、授業時間はある意味で各国から見るとそれほど多くはないにもかかわらず、むしろ放課後子供たちと接して子供たちの様々な情操教育などに役立てておられるというようなことを考えたときに、やはりこの勤務実態を考えて、更に必要な手当て、手だてをしなければいけないな、そのように感じたところでございます。  お話を伺うと、先般も首長さん方から、例えば給食費を払わない方々、御両親のところに教員の方々がお伺いをして、そして門前払いを食ったり、いろんなことがあると、そういうところの時間もまたあるんだというようなお話もされました。本当に必要なお仕事のほかにそういった意味での本来ならば教員がなさる話ではない雑務の部分も相当時間が取られておられるんじゃないかなと、そのようにも考えておりまして、御苦労をしのんだわけでありますが、やはり政府としても、この教員の数の問題を含めてしっかりやらなければいけないことがあるんではないか、そう思いますし、また新しい公共、いろんな学校でも新しい試みも行われておりますので、そういったボランティアの教員というものを置くような学校もございます。  いろんな手だてがあろうかと思っておりますが、こういった超過勤務の実態というものをこのまま放置していくわけにはいかないだろう、そのように考えておるところでございます。
  44. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございます。  本当に次から次へと仕事が来る、特に相手が子供でありますし、また子供の保護者であるということで、今お話しいただいたように、給食費ですとか、これから、四月からはなくなりますけれども高校の授業料の徴収に入るとか、そういうような本来の業務ではないことまでやらなければならない。そしてまた、そこに大きな精神的な負担が掛かっているということでありますので、何としてもここに手だてを加えていただきたいというふうに思うわけであります。そのことが子供たちに非常にいい教育につながっていくんではないかと、このように考えているところであります。  さて、もう言うまでもありません、昨年の総選挙で政権交代が行われた。この政権交代国民の大きな意図としては、やはりそれまでの前政権では、弱者切捨てあるいは地域いじめというふうな形で称される部分があって、もうそれには懲り懲りだというような思いがあったというふうに私も理解をしておりますが、教育においても、実は、言ってみれば教員いじめと指摘される教員免許更新制度が実はスタートさせられたわけであります。  本来、教育公務員特例法に定められた研修というものとそれから教免法とを強引に結び付けて、研修と教員の身分というものを結び付けて、そしてその身分を危うくする制度というそのものに私は疑問を感じているわけでありますけれども、先生になって十年を経験した、十年ごとに免許失効の有無を懸けて講習を受ける制度ということで、二〇〇九年度、今年度から本格実施がされているわけであります。なぜ教員の免許だけが更新制なのかという不公平感もありまして、現場の教員は大きなプレッシャーと負担が掛かっているわけであります。  今申し上げましたように、過酷な環境の中で子供たちのために懸命に取り組み、さらに精神的にも金銭的にもその負担に耐えて今先生方は頑張っていらっしゃるわけでありますけれども、そうした教員に是非この際文科大臣から温かいメッセージを寄せていただけたらと思うので、よろしくお願いします。
  45. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。  教育現場の生の声をいろいろとお伝えいただいて、ありがとうございます。  私たちは、教員の、先ほどは残業の問題とかで、数を増やすということは新年度の予算でも大幅な教員増の定数を図ることを目指しておりますけれども、質において、やはり教える中身も随分変化をしていくし、高度化していく、専門化していく。そして、ややもするとコミュニケーション力が最近の子供は不得手であるという子供にどういうやり方で教えたら教えられるのかという、その指導法。それから、先ほどもお触れになりましたけれども、モンスターペアレントと言われるような事象まで発している保護者との関係、あるいは地域との関係、安全の確保等々、教員に求められる資質が大変高く求められることになってきて、そして同時に国民関心も非常に高い。  そういう意味で、改めて私たちは、教員の養成過程と採用過程と現場に行った研修過程、それぞれで質を高めていくということを総合的に考えて施策を取るべきだと。そういう中で、教員の免許制の在り方も抜本的に見直していきたいと。そういう中で、今、教員免許更新制は教員の十年ごとの資質の向上を図るという目的でやられているわけですけれども、これもより質の高い教員の在り方の中に包含をして、制度設計をする中で取り組んで検討を進めてまいりたいと思います。  そういう中で、実は先週の土曜日も私、たまたまでありますが、先生の出身校の横浜国立大学で教員免許の講習を受けておられる現場を見学させていただきました。十五名の先生が休日、まさにいろいろ、結構交通がそんなに便利なところでないところでありますが、来られて、費用を負担をして、そして大変熱心に勉強しておられました。そういう部分では、やはりそういう研さん努力に関する姿勢は改めて有り難いことだというふうに思います。  これからいろいろ制度を我々変更していこうということでありますので、御不安も多少お持ちかもしれません。そういう意味では、適宜私たちの考えている方向を情報提供をして、皆さんが頑張っていただける環境をつくっていきたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。  以上です。
  46. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 文科大臣直々に現場の先生方へのメッセージというのはこれまでなかなかなかった話でありまして、これも政権交代の一つの果実といえば果実かなと、こんなふうにも思うわけでありますけれども。  二〇一〇年度の予算の中で、今言われたように、この制度の見直しに関する予算が組まれています。つまり、新たな制度を見据えると、今の段階というのが移行期というふうにも言えるわけであります。この移行期に、実はその更新の対象となる教員が講習を受けるべきなのかどうなのかというふうに迷っている方が多いということであります。  施行年も含めて、いわゆる第一グループと言われる方々の中では、昨年は様々な諸事情によって講習を受けられずに、このままだと来年の今ごろには免許を失効させてしまうという、そういう教員も少なくない状況になっています。二期目の講習はこの二月に始まってはいますけれども、本格的になるのは四月からの募集というふうに聞いています。それまでの間で、こうした移行期で迷える方々に、今文科大臣が言われましたけれども、具体的にどうするべきかということをマスコミを通じて談話なりコメントなりをしていただくようにこの場では要請をしておきたいというふうに思います。よろしくお願いをしたいと思います。  次に、いのちを大切にする鳩山政権が迅速に取り組むべき課題の一つに、私は学校施設の早期耐震補強の完了問題があるというふうに考えています。  この間、私はこの耐震化の課題について様々な委員会において二十一回質問をしております。だんだんだんだん改善されてきました。その結果、例えば〇八年十二月に私が質問をしたときには、まだ耐震補強がされていない、講じられていない学校施設が四万八千棟あったわけでありますけれども、現在は半減に近い二万五千棟になっていると。しかし、これでいいということではなくて、これがゼロにならなきゃいけないというふうに思うわけであります。  このことは、自治体のお金があるかないかでもって子供や住民のいのちにある意味格差が付けられてしまっていると言っても過言ではないというふうに思うわけでありまして、まあ適当ではないかもしれませんが、地獄のさたも金次第というふうに言われますが、いのちのさたも金次第というふうな今状況になっているんではないかというふうに思うわけであります。  来年度予算においては二千二百棟分の耐震化に向けた財政措置が講じられているものの、このペースでいくとあと十年掛かってしまうということになるわけでありまして、世界を震撼させたあのハイチ大地震の惨状に地震列島に住む私たちが取り組むべき教訓は非常に多いのではないかと。ハイチの大地震では、学校施設の半数が完全に倒壊をし、教育機能にも壊滅的な被害をもたらしたと報道されております。  公立学校の耐震化早期完了こそは、そこで学ぶ児童生徒のまさにいのちを守るそのものであります。さらに、災害時には学校施設が地域の方々の避難生活のよりどころとして、つまりは被災者のいのちをつなぐライフラインとしてなくてはならない機能を果たしているということも御承知のとおりだろうというふうに思います。  学校施設にかかわる耐震化予算、これはコンクリート予算ではなく人のための、いのちを守るための予算そのものだというふうにとらえるならば、是非そのことを御認識いただいて、さらに完了時期も明確にした学校耐震化にかかわる推進計画の速やかな策定に向けて総理としての指導力を発揮していただきたいと、このように思うわけでありますけれども、決意をよろしくお願いします。
  47. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 那谷屋委員が長年にわたって子供たちのために頑張っておられる、特に学校の耐震化に対して非常に力を入れておられること、何よりでございます。これは旧政権も頑張ってこられたということでございます。  私ども、今、那谷屋委員お話のとおり、平成二十二年度の当初予算でありますと、このままでいくとあと十年まだ掛かってしまうということになります。十年間の間に何が起きるか分からないと、おっしゃるとおりだと思っておりまして、そのことを考えたときに、私どもはもっと急がなければならないと、そのように考えております。  今回の予算案の中に、御案内かもしれませんが、これは経済状況というものも見極める必要があると、そしてどこにということもこれから考えていかなければならないと思いますが、まさにいのちを守る予算だと銘打ったわけでございまして、コンクリートでいのちを守るということも十分に可能でございます。そういう意味で、学校の耐震化の予算は更に拡充してまいりたいと、私はそう思っております。二兆円の景気対策の枠がございますので、それをできる限り、今お話ありました、那谷屋委員の御指摘の学校の耐震化の予算に充当してまいりたいと思っております。  その上でいろいろと検討してまいりたいと思いますが、十年は掛かり過ぎだという認識は持っておりますので、より計画をもっと加速をさせていくように全力を挙げてまいりたい、そのように思います。
  48. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 これがなかなか進まなかった理由というのは、やはりいつ起こるか分からないことにお金を掛けるよりも目の前にある問題について解決していかなきゃいけないという、そういうふうなことがどうしてもあったんだろうなというふうに思うわけでありますが、この間、世界でも大きな地震が起こっている、この前は中国でもありました。あるいは、この日本というのは本当に地震列島と言われるぐらい、どこでいつ大きな地震が起こるか分からないということの中でゆっくりしているわけにはいかないというふうに思いますので、今お話ありましたその推進計画、これを少し綿密なものにしていただいて、それを、各地方公共団体にもそのことを徹底していただいて、早期にこれに取り組む、そういったことが大事ではないかというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、雇用問題について少しお尋ねをしていきたいと思います。  現在の雇用失業情勢というものについて、昨年十二月の完全失業率が依然五%を超えているほか、新規学卒者を見ても、高校新卒者の就職内定率が十一月末現在では六八・一%、大学新卒者就職内定率が十二月一日現在では七三・一%にとどまるなど、大変厳しい状況になっています。  私自身も新卒者の内定状況の現状が心配になりまして、昨年の九月末に岩手県立盛岡商業高校にお邪魔をいたしまして、校長先生からこれまでにない深刻な内定状況についてのお話を聞かせていただきました。そして、その後どうなったかと。九月でしたから、その後どうなったかということで、一昨日、盛岡商業の内定率の現状をお伺いしたところ、子供たちも学校も本当に頑張りに頑張って約九割に達するまでになったということであります。しかし、これは全国平均に比べて高いわけでありますけれども、この数字に決してだまされてほしくない、安堵してほしくないという御意見もいただいたところであります。  例えば、就職先については、県内志望であったにもかかわらずその県内では求人がなく、やむなく県外に勤め先を見付けざるを得ないようなこと。つまり、優秀な人材が県外に流れてしまうという、そういうふうなことでその県の将来的な悪影響が懸念されるということであります。  それから、高校新卒者の採用試験と思っていたのに大卒予定者や社会人経験者との混合採用試験で大変な苦労をしたこと、それから、買手市場の傾向が強まるばかりで、いわゆる採用者側のめがねにかなう者が出るまで採用試験が延々と繰り返されていく、学歴偏重の是正という掛け声に反して大卒者重視の流れが固定化されてきたこと等々を述べられておりました。  また、そういう中で、望み薄の就職をあきらめて親の経済負担に気兼ねしながらも仕方なく進学を選んだ者、経済的にその可能性すら閉じられてニート化せざるを得ない者など、内定率の算定式に乗らない層も存在することも決して忘れないでくださいということでございました。  このことは、本人の人生を狂わせるだけでなくて社会的損失も大変大きい。いわゆるロストジェネレーションと呼ばれる世代を二度と生まないためにも、御労苦をあえて承知で言わせてもらいますけれども、新卒者の個々人のレベルにまでまなざしを置いた実効ある対策が必要ではないかと思うわけでありますけれども、長妻大臣の御見解をよろしくお願いします。
  49. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今御指摘のように、新卒者の方々の内定率というのは大変低い状況で、高校卒業の方は言うに及ばず、特に大卒者の方はこの統計を取り始めてから最悪になったということで、例の就職氷河期以上の今大変な状態であります。  私どもとしても、厚生労働省のハローワークに、新卒者向けだけのサポートのためにジョブサポーターという方々をこれまでよりも倍増して九百人を超える方を各ハローワークに配備しまして、新卒者の方というのはなかなかハローワークに来られませんので、そのジョブサポーターはそこに座っているんじゃなくて、もう常時外に、学校に、高校に訪問して、そこで高校の就職担当、進路の担当の先生とお話をして、そして希望を聞いて、企業に訪問するということで、学校と企業をつないでいって、ハローワークの中で活動するんじゃなくて学校に出向いていくと、こういうようなことを強化していこうということと、あとは、今年三月末までに新卒者の方も含めた就職説明会を全国で厚生労働省主催で百五十回開いていこうということで、もう今、一月、二月、三月というのは本当にぎりぎりの新卒者にとっては就職の勝負どころでありますので、もう一回マッチングをしようということ。あるいは新しい事業としては、事業主の方が新卒者の方を体験雇用ということで雇っていただくと助成金をお支払いする。そして、もう一つは、これも新卒の方でなかなか仕事が見付からない場合は、その間、就職の訓練をもう一度受けていただいて、かつ一定の要件で生活費も受けていただくという最終的なセーフティーネットというのも用意をしているところでございます。  万全を期してまいります。
  50. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 時間の方が来ましたのでもう質問の方は終わりにしたいと思いますが、今の雇用問題について言えば、例えば昔私たち子供のころは、大人あるいは親から一生懸命勉強すれば偉くなれるんだぞと、こういうふうに言って、私なりに頑張ったつもりでありますけれども、今は一生懸命勉強したってどうってことないじゃんというふうに逆に子供から言われちゃうと返す言葉がない状況があると。まあそれは、いい仕事をするためにというか、偉くなるために勉強するんじゃないということでまた返さなきゃいけないわけですけれども。しかし、やっぱり子供たちにすればそういったことが見えてくるわけでありますから、やはり一生懸命頑張ってそれぞれ安定した職に就ける、こういったことについて私たち国がしっかりとやっていかなければいけないと、こういうふうに思うところでございますので、どうかこの雇用問題、長妻大臣を中心に是非頑張っていただきたいというふうに思います。  長妻大臣の政治家としての姿勢という意味では、シベリア強制抑留者にかかわる様々な法案、そして消えた年金問題の発掘及び解決に向けたたぐいまれなる行動力、こういったものを取っても私は大いに学ぶところがございました。その根底には、あくまで国民のためにという固い信念に基づいて、不正や不正義を決して許さない、人間味にあふれる熱い思いがあるからではないかというふうに思っておりますので、どうかその思いを実現、形にしていただけるよう、私も微力ながら頑張らせていただくことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  51. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 関連質疑を許します。白眞勲さん。
  52. 白眞勲

    白眞勲君 民主党・新緑風会・国民新日本白眞勲でございます。  早速でございます、早速質問に入らせていただきたいと思います。まず、拉致問題について総括的な御質問をしたいと思います。  拉致被害者が二〇〇二年に帰国してからもう既に丸七年が過ぎてしまいました。しかし、残念ながら、それ以降、御家族の帰国はあったんですけれども、拉致問題は実際にはほとんど動いていない状況だと思うんですね。  そこで、新政権になって、まず鳩山総理にお伺いしたいんですけれども、拉致問題解決への取組に対する決意についてお話をお聞かせ願いたいと思います。
  53. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 白眞勲委員にお答えをいたします。  拉致問題に対して大変な御関心を持っていただいておりますこと、何よりでございます。  この拉致問題に対しては、党の中でかつて私が拉致問題対策本部長を務めておりましたが、その後、今の中井大臣に党の中で対策本部長として頑張っていただいています。今その中井大臣に政府の中でも拉致問題対策本部を取り仕切っていただいているところでございます。拉致は決して許されないと。拉致の被害を受けられた方たち、被害者が一日も早く皆さん無事にお帰りになられるようなその日を、政府として総力を挙げて頑張らにゃならぬ、そのように思っています。  私は、昨年の秋でありましたか、総理になった直後に拉致の被害者の御家族の方々とお会いさせていただいて、大変皆様方の御家族もお年を取ってこられておられますので、もう一日も待ってられないんだと、政府は何をしてくれるんだという思いを大変強く感じたところでございます。  その思いにやはり新政権としてもこたえていかなければならない。どこにネックがあるのかということも見定めていかなければなりませんし、北朝鮮の方を動かさなければならない話でございますので、我々として、まずは情報収集をしていくことも大変重要だと思っておりますし、また、その意味でも関係の諸国とも連携を取ることも大事だと思っております。そのようなことを行っていきながら万全の対策を取って、この拉致問題を何としても進めてまいりたいと、その決意でございます。
  54. 白眞勲

    白眞勲君 ありがとうございます。  総理の並々ならぬ決意というのが伝わってまいったんですけれども、そこで、今総理からも御家族の思いということがありました。また、中井大臣が現在その御担当であられるということですので、御家族の皆さんはもちろんなんですけれども、国民にとっても極めて重要かつ喫緊の問題であるにもかかわらず全く動いていない理由につきまして、一体どうしてなのかというのが国民の一般的な考え方ではないのかなというふうにも思うんですね。もちろんこれは、一義的には北朝鮮側に問題があることはこれは言うまでもない。しかしながら、今までの政府は一体何をやってきたんだろうかという部分について、拉致問題を担当されている中井拉致担当大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  55. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 拉致問題に対して超党派の議員連盟あるいはまた民主党の対策本部の一員として白先生が随分御活躍いただいていることを心から敬意を表します。  鳩山総理の今お話あったような並々ならぬ思いから拉致担当大臣を命ぜられました。五か月近くになるわけでありますが、過去の検証というものを余りやっておりませんが、就任いたしましてびっくりいたしましたことは、拉致被害者と思われる方々の情報収集を余りやってこられなかったなと。一体どこに情報があるんだろうと愕然とした思いを抱く中で、来年度予算で約倍額の予算付けをしていただきまして、その中で徹底した情報収集、安否の確認、これを重点的にやっていきたい、この思いで体制をつくり、人を集めて、今準備を進めているところであります。
  56. 白眞勲

    白眞勲君 今まさに中井大臣がおっしゃいました部分だと私も思うんですね。つまり情報収集、これは非常に重要なことであるというふうに私は思うんですね。  私も、この情報収集の予算について、今の予算年度と来年度の予算の比較をしましたところ、平成二十二年度、来年度の予算案で拉致問題解決のための総合的施策の推進等経費を見ますと、安否情報体制の強化経費が前年よりも大幅に増額して四倍以上増額されていると、これが多分その理由だというふうに思うんですね。これ、極めて重要だと思います。  そういう中で、一体当時何が起こって、今現在の状況はどうなっているかということもしっかり把握することが重要だと。なおかつ、北朝鮮側にこの我々が持っている事実というのはこうなんだということを突き出す、そういったことも必要ではないんだろうか、そういうふうにも思うわけなんですが、その件について本当に実行していただきたいと思います。  そして、これと関連しまして、今までの拉致に関する捜査の状況につきまして、大臣が御就任されてその辺りの検証というのはいかがでございましたでしょうか。
  57. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 御激励ありがとうございます。  従来の中で、幾つかの事件でほとんど解明されているのもあることはあります。しかし、大半は時の壁の中に隠れて、実態がはっきりと把握されていない。したがって、今から捜査をしてどこまで認識されるかどうかを含めて、不安なところもありますが、幸い国家公安委員会委員長も兼務をいたしておりますので、警察庁の方に要請をいたしまして、警察庁長官も全国本部長会議等で再三にわたって拉致問題の捜査の見直し、これを命じてくれておるところでございます。  そういう中で、何人か特定失踪者と言われる方々、あるいは警察へ二十年ぐらい前に行方不明でひょっとしたら拉致じゃないかと言われている方々、こういった方々がお元気で見付かったという件もございまして、改めて捜査をきちっとやるということの大事さを痛感をいたしております。  これからも気を抜くことなく、拉致あるいは拉致と疑いのある事件について強烈に捜査をしていく、この方針を堅持させていきたいと考えています。
  58. 白眞勲

    白眞勲君 今非常に重要なお話をしていただいたと思うんですね。  つまり、特定失踪者の、ちょっともう一回確認をさせていただきたいんですけれども、千番台と言われている、つまり、特定失踪者問題調査会が拉致の可能性の高い失踪者としてリストアップした方が見付かっていたということでよろしいんでしょうか。それは何人かも含めて、ちょっとお願いします。
  59. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) おっしゃる特定失踪者という名簿に載っていらっしゃる方々の中からは三人御健在で見付かっています。その他、各警察本部に、うちの家族は拉致じゃないかとお届けのあった方の中で五人御健在なのが見付かっております。  特定失踪者の会からは申し訳ないというおわびがそのたびに入りますが、僕は何にも悪くないと、お元気で見付かればこれほど結構なことはないと、したがって徹底的に捜査をすべきだと、このように考えております。
  60. 白眞勲

    白眞勲君 いや、それは元気で見付かるにこしたことはないわけでして、非常にそれは、私はそんなに問題だとは思っていませんけれども。  逆に、この特定失踪者のうちの千番台のリストについて、今度は拉致被害者に認定する可能性のある方というのはいらっしゃるんでしょうか。
  61. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 旧来の政権のお作りになった三原則は極めて難しく、今の時点で新たに認定するというのは本当に困難だろう、こう考えています。そういう中で、幾つかの情報を今確認をさせておりますけれども、御健在、間違いなく北朝鮮で拉致されて生きているんじゃないかと思われる方もないわけではありません。  したがいまして、ここらを含めてこの認定をどうするか、あるいは追跡調査をどのようにやっていくか、頑張っていきたいと思います。
  62. 白眞勲

    白眞勲君 これも今非常に重要なお話をしていただいたというふうに思うんですね。  現在、拉致被害者、政府認定の方は十七名、そのうち五名の方が御帰国されて、今安否不明者十二名というふうに聞いておるんですけれども、そうすると、このいわゆる十二件の拉致の事件があって、そのうちの十七名が認定拉致被害者の方ですけれども、この方々が増える可能性があるということでよろしゅうございますか。
  63. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) そういうことの確認のために調査を急ぎ、また、認定の業務をどう考えるかということについても、十分与党の皆さん、あるいは超党派の議員の皆さん方とも相談して考えていきたいと思っています。
  64. 白眞勲

    白眞勲君 なかなか中井大臣としては言いにくい部分かもしれませんが、もしよろしければということで、非常にこれは御家族の方々も気にしている部分でもあるだろうと思います。国民皆さんも非常に気になる部分でもあるという中で、今のその認定拉致被害者について、もう一回ちょっと、何かしつこく聞いて申し訳ないんですけれども、つまり何人ぐらいの認定拉致被害者が増えそうな雰囲気なんでしょうか。もしよろしければお答え願いたいと思います。
  65. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 御家族の会の方とも御面談をいたしまして、そのときにも強い御要請をいただいております。それらのそれぞれの御要請に対して、現地の警察等あるいは当時の調査状況等照らし合わせ、また先ほど申し上げて、少し踏み込み過ぎて、白先生だから申し上げたんですけれども、情報等を十分精査しながら考えていきたいと、こういう状況であります。
  66. 白眞勲

    白眞勲君 もう一つお聞きしたいんですけれども、今までよくマスコミで、うわさのレベルだと思いますが言われていたのが、拉致の実行に関して日本にも協力者がいたのではないかということについては、その辺りは、捜査状況といいますか、いかがでしょうか。大臣お答えください。
  67. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 当時そういう拉致ということが警察の頭の中にあれば、もう少し調査の仕方が違ったのではないかと思われる事案が幾つもあります。そういう中で、確定的に、国内の協力者、共犯者を確定できた事件とできていない事件とがあることは誠に残念だと考えております。これらの事案についても引き続き調査を緩めない、徹底的に追跡をしていただく、こういうことをお願いしてあります。
  68. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、日本にも協力者がいる可能性があるということでよろしゅうございますか。もう一度、確認のために御答弁願います。
  69. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 私自身はそのように認識をいたしております。  しかし、事件として、事案としてきちっと調査ができているかどうかということについては、個々の事件、申し上げるわけにいかないところを御理解ください。
  70. 白眞勲

    白眞勲君 この前、一月の二十日の日なんですけれども、これ外務大臣にちょっとお聞きしたいと思っているんですが、韓国からちょっと大きなニュースが飛び込んでまいりました。これは国家人権委員会、これ韓国の政府機関ですけれども、北朝鮮の政治犯収容所六か所に推定約二十万人が収監されているという調査結果が発表されたんですね。今までは、うわさというか、いわゆる北朝鮮の脱北者の証言等で政治犯収容所があるとの情報はあったんですけれども、韓国の国家機関による実態調査としては今回初めてということで、つまり韓国政府が公式に認定したわけなんですね。認めたわけであるということで、そこでは、その収容所では暴行や拷問が行われているとの報告がなされているわけなんですが。  これで、ちょっと外務大臣にお聞きしたいんですけれども、ここには、この収容所には以前北朝鮮に渡った日本人もいるのではないかというような話もあるんですけれども、この辺りについての可能性についてはどのように御認識されていますでしょうか。外務大臣お答えください。
  71. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今委員御指摘の国家人権委員会の調査結果でありますが、脱北者を中心にヒアリングを行って、その結果をまとめたものだというふうに理解をしております。委員おっしゃるように、約二十万人の政治犯、そして拷問や強制労働など深刻な人権被害に遭っているという旨の調査であります。  こういった北朝鮮の人権問題につきましては、大変深刻な事態であるというふうに懸念をしております。今までも、国連の人権理事会を含めあらゆる機会をとらえて、国際社会と連携を深めつつそういった懸念を表明してきたところでありますが、今後ともこういった北朝鮮の人権状況の改善を促していく必要があるというふうに考えております。  そして、二番目の御質問の、日本人がいるのではないかということでありますが、そのことについて特段新しい情報を得ているわけではございません。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 今回、今までも当然韓国側とは連携を深めているかと思いますけれども、より一層この辺りの連携を深めていただいて、そしてまた、この報告書を韓国政府は国連に提出する予定だというふうにも聞いておりますので、これは私は、国連の場でしっかりとこの人権侵害の状況をやはり日本も取り上げる。これ拉致問題、これは完全な人権侵害です。ですから、そういったものでその拉致問題を世界中の人たちからあぶり出していくというやり方もどうかなというふうに思うんですけれども、この辺につきましては、どうでしょう、総理、お考えありましたらちょっと聞かせていただきたいと思うんですけれども。
  73. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 突然のお尋ねでございますので、必ずしも十分私は認識をしていないところでございますが、これは当然重要な話でございますので、十分に考えてからお答えをしなきゃいかぬ話だと思っておりまして、早急に可能性の話ができるとは思いません。
  74. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) アメリカにも北朝鮮人権週間というのがございまして、毎年四月に行われます。この行事には民主党と自民党さんから毎年議員が御参加いただいております。  また、我が党の中川正春議員を中心に、韓国あるいはモンゴルあるいはベトナムの国会議員らと北朝鮮の人権に関する国際議員連盟というのをつくって毎年議論をいたしておりまして、私ども民主党時代からここへ正式に党として参加をいたしております。本年、タイで会合が行われまして、私は初めて日本側の行政を代表して出席をいたしました。  なお、アメリカの北朝鮮人権週間は本年韓国で行われる、こういう予定になっておりますので、これに対しても行政側としても参加者を出していきたいと考えております。  白先生にも何回かお出かけをいただいたと承知しています。これからもよろしくお願いいたします。
  75. 白眞勲

    白眞勲君 本当に中井大臣はこの件につきまして御尽力いただきまして、このタイでの、たしかあれはチェンマイだったかもしれませんが、日帰りで東京から公務の合間を縫って行っていただいたということを聞いておりまして、本当に御苦労を掛けているなというふうに思いますが、まさに今おっしゃったように、我々は超党派で北朝鮮人権法というのを作ったわけなんですね。  ここでポイントなのは、この法律、民主党案では脱北者に対しての保護、支援をより具体的に規定していたんですけれども、当時の与党、自公案ではこの辺りはほとんど外されてしまったという経緯があって、ただ、国際的な流れの中での国連人権規約とか、迫害を受けている人に対して柔軟に対処するのが世界的な流れであるという観点からすると、まだまだ日本はこの点遅れているような感じがするんですが、中井大臣、いかがでございますか。
  76. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 総理外務大臣や法務大臣と十分打ち合わせたわけではありません。しかし、私どもはいわゆる北朝鮮人権法を超党派で国会で成立させますときに、脱北者を日本は助けるべきだと、こういうことを主張いたしましたが、残念ながら与党側がどうしても折れ合わず、脱北者の中で日本人、それから特別永住者とその子孫、これだけは助けると、こういう極めていびつな案になっております。  私どもとして、できる限りここの枠を各役所と連携して取り払っていきたい、こう私自身は考えておりますので、議員立法でできた法律でございますので、是非とも国会におかれましても白先生を中心に御議論をお進めいただきたいとお願いいたします。
  77. 白眞勲

    白眞勲君 鳩山総理にちょっとお聞きしたいんですけれども、今まで委員会等の質問で北朝鮮へいつ行くのかということが何度も聞かれているようなんですが、総理は現実にタイミングが熟しているというようなことを感じているわけではないということで、その機が熟したらという意味、この機が熟すって大体いつごろだということで御認識されているのか、ちょっとお聞きし、最後にしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  78. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) この北朝鮮の問題は、日本にとっては拉致は大変大きな問題であります。ただ同時に、核、ミサイルの問題もあります。それを、やはりすべてを考えていかなければならないテーマだと思っております。  その中で、私は、拉致問題に対して私が訪朝することによって十分進展が望めるなという状況になればという意味で申し上げたところでございますが、くどいようですけれども、核、ミサイルの問題、これは世界の多くの国が大変懸念を感じているテーマでもありますので、こういったものと併せて議論をしていく中で機が熟したらと、そのような思いで申し上げているところでございます。
  79. 白眞勲

    白眞勲君 次に、話題を変えまして防衛調達の件につきましてお話の方を聞きたいと思います。  防衛大臣に、本当に簡単にですけれどもお聞きしたいんですけれども、今、次期戦闘機について検討中だというふうなことを聞いております。そういう中で、例えばF22というようなレーダーに映りにくい最新鋭の戦闘機を購入するとなると、一体この辺り幾らぐらいなものなのか、ちょっとお答え願えればと思います。
  80. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) お答え申し上げます。  次期戦闘機については、現在のところ諸外国の最新型の戦闘機の情報を収集しておりまして、それに対しまして我が国の要求性能等を勘案しながら現在検討をしている段階で、なかなか絞り込むというような状況には全くなっていないわけでありますが。  値段の問題、これはなかなか難しい話なんですが、一概に幾らというふうには言えませんけれども、公に刊行されている情報その他から申し上げますと、二〇〇九年度における米空軍のF22の取得単価は約百四十億、また二〇一一年度予算における米空軍のF35取得見積単価は同じく百四十億と、こういうことになっております。
  81. 白眞勲

    白眞勲君 想像を絶するぐらいの値段の高さだと私は思うんですね。  一機だけ買うわけにいきませんからね、戦闘機って。やっぱり、せめて十機ぐらいそろえなきゃいけないとなると一千四百億。といっても、アメリカが言っている値段ですから、これ日本仕様にすると何か吹っかけてくるんじゃないかなというような、そういうイメージも何か私はわいてくるわけですね。一説には二百二十億円くらいするんじゃないかとか、いや四百億ぐらいになっちゃうんじゃないかとか、そういうような、ともかく非常に値段の高いものであると。  私は、これを何とか節約してこれから防衛費を節約していかなきゃいけないんじゃないかなということで、ちょっと、このオフセット取引というのを私はいつも御提案を今しているんですね。  ちょっとこれを御覧いただきたいと思うんです。(資料提示)オフセット取引というのは、上の方に、普通は日本に対して兵器を輸入してお金を払う、これ普通の通常の取引なわけですね。ところが、これをオフセット取引ということにいえば、簡単に言えば、あなたのところの兵器を買ってあげるから私のところの何かをその代わりに買ってくれという取引なんですね。  つまり、この図で説明しますと、防衛省が調達する兵器の輸入に関しては輸入すると代金を払うけれども、このオフセット取引の場合は、その代金の五〇%の物品、ここでいうと、例えば新幹線だとかあるいは農産物でもいいわけなんですね、何でもいいんです。何でもいいからその分を代わりに買ってもらう、こういう取引なわけなんですね。つまり、五〇%分の見返りを最初から要求するという取引なわけなんですね。  これは、なかなか日本では違和感のあるというか、余り聞いたことがない取引かもしれませんが、世界中ではこれ当たり前のように取引が行われていまして、EUの大部分の国々はもちろんですけれども、隣の韓国でさえ行われている。インドでも新しい兵器の購入にこのシステムをまた導入しようとしているわけなんですね。  ですから私は、例えば日本ですと、今まで防衛省だけということになりますと、なかなか売る商品がないんですよ、防衛省に。(発言する者あり)売っちゃいけないんです、売っちゃいけないんですよ。だから、どうすればいいかといえば何か別のものを持ってこなきゃいけないわけなんです。今までのみたいな縦割りの省庁ではそれができにくかったわけなんですね。それをやっていったらどうですかというのが私の提案なんですよ。新幹線なんか私はいいじゃないかと思っているんですよ。リニアモーターもいいですよ。  前原大臣、新幹線の売る役割を今やっていますけれども、防衛の調達というか防衛についても非常にお詳しい方でいらっしゃると聞いておりますので、是非これについて、お考えあったらちょっと御披露願いたいと思います。
  82. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 新幹線、リニアの売り込みを今一生懸命にアメリカのみならず世界各国にやっておりまして、我が国の成長戦略の一つとして位置付けたいというふうに思っております。そういう意味では、今議員の御提案の件というのは参考にさせていただいて、政府全体として検討するに値するというふうに思っております。  ただ、防衛の問題で、まずは防衛調達の問題、先ほどの戦闘機の話も純粋なインポートなのか、あるいはライセンス国産なのか、買った後どういうような維持管理の契約を結ぶのか、そういった問題が大変重要でございますので、まずは防衛省で調達の在り方議論をしていただく中で、防衛省からそういった政府全体としての話に広がるのであれば是非検討させていただきたいと、このように思います。
  83. 白眞勲

    白眞勲君 大臣、ありがとうございます。本当、そうなんですね。  と同時に、これはもう一つメリットがあるのは何かといいますと、つまり買う、要するに武器メーカーが新幹線を買わなきゃいけなくなるわけですよね。新幹線を武器メーカーが買っても、これどうするのということになりますと、これが、彼らが今度は別の国にそれを売り込むような役割を果たしてくれるわけなんですよ。つまり、日本の販売代理店をそこでまたやってくれるということになる。これはいいんですね。  つまり、今までいわゆる武器メーカーとか兵器メーカーというのは武器商人とか何かってやゆされているわけですよ。ところが、そうじゃないんだと。これからは、憲法九条を持っている日本としては、こうやって新幹線を武器メーカーに売らせるということをすることによって、よく言われますよね、紛争というのは実は武器、兵器メーカーがつくっているんじゃないかみたいなことも言われるわけですから、そういう汚名を晴らすためにもこういったことをどんどん日本としてもやっていくべきなんではないんだろうか、そういうふうに思うんですね。それと同時に、輸出の拡大ですね。新幹線を売れば輸出が拡大される、雇用の拡大という観点から。  直嶋大臣、どうですか、聞いてみて。感想をちょっとお聞きしたいと思うんですけれども。
  84. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) なかなか柔軟な発想で、大胆な提案をいただいているわけなんですが、今も前原大臣からお話がありましたように、日本の今後の様々な成長戦略を考えた場合に、今新幹線のお話が出ていますが、新幹線だけではなくて、例えば水システムとかあるいは発電所のシステムとかを含めて、単に単体の輸出ではなくてそういうシステム全体の輸出を促進していきたいというふうに思っていまして、そういうことの中で私は議論の余地はあると思うんです。  ただ、武器の調達についてはやはり元々の趣旨をきちっと、まず、ですから我が国の武器の調達をどういうふうにするかという、これは防衛省の方でやはり性能等も含めてお決めになって、その上でそれと併せてどういうことができるかという話になっていくと思います。ですから、入口の段階で防衛省とはよく連携を取らなきゃいけないとは思っております。
  85. 白眞勲

    白眞勲君 まさにこれはオールジャパン、オール内閣でやっていかなければいけない問題だと私は思うんですね。なかなか防衛省ですと、オフセットといっても、なかなか防衛省だけでオフセットはできないわけです。でも、オフセットをやったところで防衛省にとってみてのメリットは何だと、防衛省単体としてのメリットは何だといった場合に、なかなかそこも議論の余地がありという部分もあるかと思うんですね。  ですから、国家的な視点、これ、予算や税制の骨格を編成するということを鳩山総理は施政方針演説でおっしゃったわけですけれども、このオフセット取引というのはまさに縦割り行政の打破と、また菅財務大臣財政演説でおっしゃったんですけど、複数年度を視野に入れた中期財政フレームの拡大、この防衛調達というのはまさにそうだと思うんですね。韓国なんかは戦闘機を、何ですか、多年度でやるんですね。それで、一機おまけしてもらったりしているんですよ、いっぱい買うからといって。いや、本当なんですよ、これ。  こういうことをやることによって安くいいものを買っていくというやり方がやはり、いいものというのは、武器をいいものと言っていいのかどうか分かりませんけど、少なくともそういう性能のいいものを買っていく必要性があるという部分では是非これを国家戦略として考えていただきたいと思うんですが、鳩山総理、いかがでございましょうか、御感想をまたお願いします。
  86. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 白眞勲委員の大変斬新な発想に私は大変面白い、興味を感じたところであります。  オフセット取引というものも提案されたわけでありますが、私どもは、御案内のとおり、いわゆる族議員というものはおりません。したがって、縦割りの予算というものをとことん見直そうじゃないかというところで新しい予算を組んできたと、そのように考えております。事業仕分などもその一環で行ってきたわけでありますから、私どもの縦割り行政の枠にとらわれない新しい政権として新しい発想を今御提案いただいたなと。いろいろと現実になりますと難しいところもあろうかと思いますが、こういった新しい提案を大いに検討してまいりたいと思っておりまして、白眞勲委員の御提案に対してむしろ感謝申し上げたいと思います。
  87. 白眞勲

    白眞勲君 ハトミミドットコムというのができたということですから、是非国民皆さん、私も国民の一員でございますので、是非そういった面でこういった課題について果敢に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、防衛大臣、何か言いたいことがありそうな感じですので、じゃ。
  88. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) お答えいたします。  白議員は常にこの問題を提起されて、前政権の中では、私がたまたま委員長をしていたときも盛んに質問をされておりましたが、全く前向きな答弁がなかったわけでありまして、それに比べて、今総理も含めて大変理解のある発言をされましたが、防衛省の立場とすれば、武器輸出三原則もあって、平和国家としての理念という大事なものもあるわけで、この資料にも、なぜか新幹線の上に長野県のリンゴが代替で出ておったりして、それはちょっと誘われぎみなきにしもあらずでありますが。  我々とすれば、オフセット取引の前に極めて厳しい財政事情も横たわっておりますし、対象になるF4はほぼ四十機ということでありますから大変な金額になるわけでありまして、防衛省の防衛調達と国家戦略としてのこの新幹線等の売り込みということは今すぐ連動するというふうには考えておりませんけれども、日ごろの熱い思いだけはお聞きさせていただきます。
  89. 白眞勲

    白眞勲君 熱い思いだけはという、そのだけがちょっと気になったところなんですけれども、これやっぱりオールジャパンで是非お願いできればと存じます。  続きまして、日本航空の問題に入らさせていただきたいと思います。  日本航空が経営破綻した原因は、もうこれは一義的には会社自体に問題があったことということは間違いないと思うんですけれども、私は果たしてそれだけだったのかという疑問があるわけなんですね。  ちょっと前原大臣、この件についてどういうふうにお考えでしょうか。
  90. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 白議員におかれましては、このJALの問題については、再建計画のときにもいろんなアドバイスをいただきまして本当にありがとうございました。  今議員おっしゃったように、いろんな要因が複合的にあると思います。会社自体の硬直的な組織の問題もさることながら、やはり、いい時期に大量に大型機を買って、そして赤字体質でいたということも大きな要因でありましょうし、それ以上に、国の責任としては、九十七、弟子屈空港というのが閉鎖されましたので、九十八を造って、またこれから増えていく可能性があるわけでありますが、それだけの空港を造って、そして造ったんだから飛べという形で航空会社に強いてきて不採算路線を無理やり押し付けてきたということもかなり大きな原因だというふうに思いますし、またリーマン・ショックや新型インフルエンザ、そういった外的な要因、複合的な問題として日本航空の今の状況にあるということだと思います。
  91. 白眞勲

    白眞勲君 まさに今、前原大臣がおっしゃいました部分というのを、複合的にあるんだという部分だと思うんですが、その一端を担っているのが私は、日本の国内線の着陸料がべらぼうに高いんではないんだろうかということに私は気付きまして、ちょっとここにパネルを用意しました。(資料提示)  二枚目のパネル、御覧いただきたいと思うんですね。羽田、伊丹、新千歳が一番こちら側にあるかと思うんです。真ん中のフランス、シャルル・ドゴール、ニューヨーク、ヒースロー空港、これは国際空港です。その横のイギリスのガトウィックというところからソウル、まあバンコクは国際空港かもしらぬけど、この辺り見てください。この伊丹、羽田の着陸料に比べると全然違いが如実に出ているのがお分かりいただけるかと思うんですね。  これは一体何かというと、これだけ高いお金をもらっていわゆる空港特会として特別会計の中に入れられて、それで、今、前原大臣御指摘のあったようにそれで空港を新しく造る。空港を新しく造るだけではない。空港を造れば当然これ、空港だけ造ったって、滑走路だけ置いたってしようがないわけで、ペンペン草生えるだけだから。そこに結局飛行機を飛ばさなきゃいけないなということになりますと、需要予測というのを、極めて大甘な需要予測、まあでっち上げだったんじゃないかという報道まであるぐらい、そういう需要予測をして、そこで赤字路線を飛ばさせるという、航空会社にとってみれば、着陸料で負担させられ、また今度は、要するに路線をつくってまたそこで赤字を負担させられるというような、こういう部分というのが私はあったんではないんだろうかと。  つまり、最初から分かっているにもかかわらず赤字路線を就航させているというような部分、これは私は、その当時のやっぱり責任は政治家にもあったんではないんだろうか、あるいは役所にもあったんではないんだろうか、そういうふうに思うわけなんですけれども、その辺りについて、前原大臣、もう一度どうでしょうか。
  92. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 白委員のおっしゃるとおりだと思います。  空港整備特別会計、今整備勘定と言っておりますけれども、これは着陸料や空港使用料、こういったもの、あるいは貸付けやあるいは一般会計から入れて、そして施設を造り続けると、こういう仕組みになってきたわけでありまして、これが日本航空のみならず日本の航空会社の大きな足かせ、重荷になっているということはおっしゃるとおりだと思います。
  93. 白眞勲

    白眞勲君 私は、やはりこれ、アジアの水準まで下げたっていいんじゃないんかなと思うんですよ、もう着陸料は。そういうことによって、これ最終的には利用者が負担させられているわけですから。  今、羽田—福岡あるいは羽田—北海道の千歳、この路線というのは世界でも有数のお客さん、一番、二番を争うんじゃないかと言われるぐらいのお客さんが多い路線です。その路線を抱えていながら、航空会社は今あっぷあっぷの状況であるという中で、もう空港も大体造り終わったのかもしれない中で、もちろん羽田の拡張工事とかそういったものはあるかもしれませんが、そういった問題については逆に私はもう少し柔軟に考えてもいいんではないんだろうかというふうに思いますが、着陸料の軽減についてはどうでしょうか。
  94. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 全く白眞勲委員のおっしゃるとおりでありまして、ただ、議員は御承知だと思いますけれども、空港使用料というものと合わせると他国はかなり高くなるということでありますが、それは考え方の違いで、航空会社の負担軽減のためには着陸料を見直していくということは、私は、競争力を取り戻すためには大事なことでありますし、空港整備勘定の見直しを、特別会計全体を菅財務大臣の下でやられますけれども、それに符合してしっかりやっていきたいと思います。  あともう一つ、例えば空港とターミナル会社が別々というのがありまして、そしてターミナル会社はぼろもうけしているということがあります。これも今、国土交通省の成長戦略会議の航空部会でこのところにもやはり抜本的にメスを入れていかないといけないと。空港だけは赤字体質で、そしてターミナル会社はもうかっていると。これも一体として見直す中で、今おっしゃった方向で着陸料をやはり引き下げて競争力を高めていくというのが必要だと考えております。
  95. 白眞勲

    白眞勲君 まさに前原大臣、私の御指摘と全く同感で、私も同じ考えでございますが、もしかしたらこの部分は国交省さんとの考えが、若干意見が違う部分があるかなんというのがあるのは何かといいますと、やはり人、物、金の日本への流れを倍増させることを目標とするというのが今回の新成長戦略の一環であります。  菅大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、そうすると、阻害要因となっている規制を大胆に見直すということになれば、例えば空港特別会計、これをもうやめちゃって一般会計にした方がいいんじゃないか。一般会計の中で、国家戦略の一環として透明性を持って、つまりその特別会計と一般会計を合わせた総予算を全面的に組み替えるということ、これは総理の施政方針でもはっきりとおっしゃっている。という中であるならば、航空会社は、単に航空会社と単体であるかもしれないけれども、日本の物流の一翼を担っている。これから、逆に言えば日本の物流の主流となり得る部分が私はあると思う。  そういう関係でいいますと、一般会計で透明性を高めつつ値段を相当下げるべきであるというふうに思うんですけれども、菅大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  96. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 今の白眞勲議員の議論を聞いておりまして、私も、日本に多くの飛行場がありながらいろいろな理由で競争力がない、あるいはハブ化していないということを、どのようにしたらある意味でブレークスルーできるかという視点は非常に重要だと思っております。  今御指摘の、特別会計をやめて一般会計と一緒にすべきでないかと。特別会計というものは、元々はその部分について逆に透明性を高くするという趣旨があったんですけれども、場合によったらそれが隠れみのになっていろんな問題が起きているという意味では、他の特別会計も含めて、この特別会計在り方については徹底的に見直す必要があると思っております。  ただ、飛行場を調べてみますと、関空とか中部とか成田は会社経営になっていて、この着陸料収入もたしかその会社に入るような仕組みになっているところもあります。ですから、そういう意味で、すべてを一般会計にすることで物事が解決するのか、どちらにしてもそこに安くすれば何らかの財政負担が掛かるわけでありますから、その財政負担を逆に言えばどのように賄っていくのかということと併せて検討する必要があるのかなと。  この問題はやはり国交省が所管されておりますので、十分国交省の意見を含めて前向きに検討していきたいと思っております。
  97. 白眞勲

    白眞勲君 まさに今、菅大臣がおっしゃっていただいた、そして前原大臣も御指摘いただいたとおりです。  例えば、空港、飛行機、航空会社、離島航路をどうするんだとか、そういった問題もあります。こういった課題もある。そういったことを総合的に、やはりこれもよくコミュニケーションを取っていただいてやっていただきたいというふうに思います。  最後に、残りの時間で、鳩山総理お話しになった中に、いのちという言葉を施政方針の中に入れていただいたということで、このいのちの大切さという観点から、ちょっと私は御提案をひとつやりたいなというふうに思っております。  今先ほども家族のきずなが大切だということを、きずなということも総理は今おっしゃったわけでございまして、政治には理念が必要だということを考えますと、私は今、日本の置かれている状況の中で、毎日のように目を背けたくなるような事件というのが多発している、まさにいのちの大切さが失われつつあるような今の状況があるということは全く私も同感であります。  そういう中で、このいのちを守るという中で、やはり、そのいのちというのは何かといえば、親がいたからこそ自分がいたわけであり、親はといえばおじいちゃん、おばあちゃんがいたからこういう、つまりいのちの流れの中の自分がいるんだということを知ることによって、その自分いのちの大切さというものを学ぶことが必要なんではないか。特に子供たちに対してそのいのちの大切さというものを学ばせる必要性があるんではないんだろうかというふうに思います。  そういう中で、今私は、この国は核家族社会が非常に中心になってきました。三世代にわたる、つまりおじいちゃん、おばあちゃん、親そして子供というこの三世代にわたる交流というのが少し少なくなってきているんではないんだろうかなというふうに私は思っているんですね。  ちょうど鳩山総理もこの前二人目のお孫さんが誕生したということで、私もちょっとこの前調べたら、閣僚の皆さんの中にも結構お孫さんがいらっしゃる。今日はもう個人情報になるかもしれませんから言いませんが、長妻さんはまだだと思いますけれども、お孫さんもいると。やっぱりお孫さんというのはかわいいんですよ、間違いなくかわいい。やっぱり愛情を施しますよ、愛情を与えますよ。愛情を与えた子供たちというのは、またそれがまたほかの方に伝播していくという中でも、私は三世代にわたる交流というのは非常に重要だと思っている。  そういう中で、ひとつ私は御提案があるのが、おじいちゃん、おばあちゃんに会うときには、旅行に行ったり、あるいは田舎にいるおじいちゃん、おばあちゃんのところに会いに行くんであるならば子供の行っている学校を休み扱いにしない、二、三日学校を休み扱いにしないで、欠席扱いにしないから行っておいでというような制度をつくったらどうだというふうに私は思っているんですね。  私はこれを親孝行制度と言っているんですよ。じいちゃん、ばあちゃんと孫が一緒に旅行するのが何で親孝行かといえば、私も子供を持って思ったのは、親孝行というのは何かというと、一番重要なのというのは孫をおじいちゃん、おばあちゃんのところに会わせること、孫を抱かせることが親孝行なんだなと私は思ったんですね。ですから、そういう部分での親孝行という概念を少し鳩山政権の中にも入れてみたらどうだろうかというふうに私は思うんですね。  ですから、具体的には、小学生に対して年間二日程度、二日以上やると海外旅行に行っちゃったりしたら良くない、だから二日程度だったら国内旅行だろうということで、これ校長先生の裁量でやるか、あるいは学校教育法を一部改正してやるか、それの休みを与えてみたらどうかなというふうに思うんですね。実はこの制度、韓国ではもうありまして、非常に評判いいんですよ。  やはりおじいちゃん、おばあちゃんと一緒におふろに入ったりすれば、自分の体と違うなというのが分かるわけです、じいちゃん、ばあちゃんの体は。でも、それはやっぱり人生の年輪というものをそこに感じたりすることができる。それから、当然、情操教育にも私はいい影響を与えると思うんですね。あるいは、田舎に、おじいちゃん、おばあちゃんのところに行けば、農業の後継者の育成、おれ、じいちゃん、ばあちゃんの後継ぐよという子だって出てくるかもしれない。  そしてもう一つは、おじいちゃん、おばあちゃんが元気になるんですよ。今まではおばあさんと二人で見詰め合いながら御飯とみそ汁か、何ですか、漬物で食べていたけど、孫が来るといえば、じゃハンバーグ買おうかといえば、地方経済の活性化につながっていく。いや、これそうなんですよ。ですから、私はこの制度を少し活用したらどうかなというふうに思うんですね。  一度厚生労働大臣にちょっとお聞きしたいんですね。どうですか、今医療費の節約が叫ばれていますよ。やっぱりじいちゃん、ばあちゃんが元気になってもらうというのが一番だと思うんですけど、長妻さん、どうですか。
  98. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) いろいろ今お話をいただきました。  学校については文部科学省からお答えがあるかもしれませんけれども、ただ、今の視点というのは非常に重要だと思いますのは、実は今、全国各地の自治体で共生型施設、つまり保育所と介護施設が一緒になっている施設があるんですね。そこで今報告されていますのは、小さいお子さんと要介護の方が出会って、そこで交流すると、今までは歩けなかったお年寄りが、その小さいお子さんに、こっち来てと言うと歩いて行くことができたとか、いろいろ交流することによって予期しない効果が上がっているということもありますので、これはそういう意味で厚生労働行政の中でも、小さいお子さん、そしてお年寄り、そういう方々が一緒に過ごせるような施策というのも検討していきたいと思っています。
  99. 白眞勲

    白眞勲君 ありがとうございます。  例えば田舎で、孫が来るといえば、おじいちゃん、悪いけど布団を二階に上げて干してくれないと言えば、分かったよと言って多分二階までお布団を上げて、例えばおじいさん、これいい運動になるわけですね。そういう健康にもいいわけですよ。  ですから、いや、これ本当、私は至ってまじめなんですね。でも、今見ても、与野党席みんな、やじも何も飛ばなくなってみんなげらげら笑っている。こういうみんなが楽しくなるようなそういう施策を、私はこれ役所ではできない施策だと思うんですよね。こういうものをやっぱりみんなと一緒になってこれからのやはり国づくりにしていくというのが重要なんじゃないかなというふうに私は思うんですね。  ちなみに、私ちょっと数字で考えてみたんですね。これが、そのパネルを作りました。(資料提示)  親孝行制度について。小学校一年から六年生までの児童は七百六万人いる。三割がこの制度を利用すると、二百十一万人の子供たちがいるわけですけれども、旅費一万円、お小遣い、外食で一万円、二万円を消費すると仮定すると四百二十四億円の経済効果になるんですね、これ。これ大きいんですね。なおかつ、一番重要なのは、国の予算を一銭も使わない。それが一番重要だと私は思っているんですね。  そしてもう一つは、高齢者の皆様は例えば非常に、郵貯で今百七十六兆円ですかね、総務大臣、大体、預金残高があります。結構高齢者の方も預金されています。国から税金出せというと高齢者の方はやっぱり怒りますよ。私のとらの子をどうしてくれるんだという話になる。しかし、孫が金出せと言ったら、お金ちょうだいと言ったら喜んで出してくれる。やっぱり私は、喜んで出していただけるシステムとしてこの親孝行制度というのは非常に私はいいと思うんですね。  経済産業大臣経済政策としていかがでございますか。
  100. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) もうこの問題は、何年前ぐらいからですかね、私がまだ参議院の政審会長をやっているころに白先生から御提案いただいて、ずっとそれから取り組んでおられて、いや、その意志の強さというか、感心をいたした次第であります。  それで、今お話しのように、やはり世代間を超えた交流とか、それから今おっしゃったような経済効果も確かにあると思うんですね。ですから、それは、こういう交流を進めることは非常にいいことだと思います。ただ、学校との関係をどうするかというのは多分一つあるんじゃないかというふうに思っていまして、そういうことも含めて検討すればいいというふうに思っています。
  101. 白眞勲

    白眞勲君 おっしゃいましたとおりです。学校との関係をどうするか、重要です。そして、もう一つは、やはり親がいないお子さんをどうするかとか、そういった問題もあります。  文部科学大臣、これについていかがでしょうか。余り後ろ向きの答弁はやめていただきたいと思うんですけれども。
  102. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。  今議員がおっしゃいました効果というのは、幅広くいろんなことであることは間違いないというふうに思います。おじいちゃん、おばあちゃんと交流の機会を持つこと、あるいは、じかに当人のおじいちゃん、おばあちゃんではなくて、年代の違う人との交流というのは両方にメリットがあることは間違いないことだと思いますが、ただ、学校の教育上、今の制度でいいますと、欠席扱いにしないということを法で決めているのは、例えば感染症にかかって出席停止とか、あるいは先般のインフルエンザのように学級閉鎖をするとか、あるいは忌引等々を示しておりまして、このような旅行等の自己都合によるものを制度として想定はしていない制度であることは間違いがございません。同時に、教育現場というのは、学校教育というのは集団で教育をするというのを前提としているというのでありますので、そういう意味で、こういうものを制度化して一律にやるというには相当慎重な議論が必要ではないかというふうに思っております。
  103. 白眞勲

    白眞勲君 文部科学省としてはそういうふうに言わざるを得ないと思うんですけれども、やっぱり全体として、つまりオールジャパンとして考えた方が私はいいと思ってこの制度を提唱しているわけです。  鳩山総理、最後に一言何かお願いします。お孫さんもいることだし。
  104. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 川端大臣がちょっと水差しちゃったようで、申し訳ない思いがありますが。  私も、白眞勲委員が当選されて、一番驚いて、また面白いなと思った制度は、実際に韓国が現実にやっているという親孝行制度だと、そのように考えておりました。ついにまた来たなという思いで。  でも、新政権として、十分にこういうものを考えていくようなある意味で柔軟性が必要だと思っておりまして、一律にやることはいかがかというふうに答弁をしたわけでありますが、それならば、例えば特区みたいな話で、親孝行特区みたいなところで、例えばこの地域だけでもやってみると、そしてその効果をどのようになるかを検証するというようなことは大変ある意味で大事じゃないかなと思っていまして、私も自分の孫まだ見ていませんけれども、親を飛び越して、じいちゃん、ばあちゃんと孫との間の接触ということによって大変孫は啓発されると思います。いのちというものを大切にするというのは、これは間違いない話だと思います。それだけに、一律だから無理だと、それでおしまいにしないで、ならばどういうやり方があるかということを少し検討してみたいなと、そのようにも考えております。
  105. 白眞勲

    白眞勲君 ありがとうございます。非常に前向きな御意見、本当に有り難いなと思っています。  テレビも大体終了時間になりましたけれども、一言私の方から、この問題、今本当にこういういのちというものがこれからのやっぱり私は課題になってくると思うんですね。そういった観点から、やはり韓国ではお墓がおまんじゅうみたいになっているんですよ。南の斜面にあるんですけれども、御先祖様が順番にこう並んでくるんですね。ですから、おまえのひいおじいちゃんはこれだよ、その上はこれだよというのをどんどんどんどん下りてくるというものがあって、自分いのちが、ああ、こうやって来ているんだなというのが分かるようになっているという部分もあります。  ですから、そういう観点から、こういういのちの流れ、これ一番私は人間の根幹だと思っています。学校教育は、ただ勉強を教える、いわゆる知識を学ぶ場かもしれませんが、それと同時に情操教育、委員長もまさにそういう面では御賛同をいただいていると私は聞いておりますし、非常にこういった面ではいいと思います。  それともう一つは、残された親は何するのと。夫婦水入らずになるんですよ。少子化に役立つんです。そういう部分もありますので、やはりこの制度も是非積極的に利用していただきまして、私の質問とさせていただきます。  今日はありがとうございました。
  106. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  107. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、柳澤光美さん及び行田邦子さんが委員辞任され、その補欠として相原久美子さん及び谷岡郁子さんが選任されました。     ─────────────
  108. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 休憩前に引き続き、平成二十年度決算外二件を議題とし、全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 丸山和也

    ○丸山和也君 丸山和也でございます。時間が限られておりますので、儀礼的答弁は一切なしにしてやらせていただきますので、そこのところは御了承いただきたいと思います。  鳩山総理の昨年十月における所信表明演説、それから今国会での施政方針演説、これは非常に、鳩山カラーが出ているという、また、いのちを大切にしたいという、そういう心あふれる非常にユニークな演説であったと私は思っています、世間がどう言おうと。  ただ、一般紙面とか新聞を見ますと、鳩山首相は言葉の重みをかみしめよ、これは日経新聞ですけれども、翌日の新聞ですね。それから、首相は難題は素通りだとか、あるいは読売新聞にいきますと、いのちを連発、二十四回していると、しかし具体的な内容がないとか、かなり厳しいというか、情緒的で理念的で具体性に欠けると。しかも、この時期において一番問題とされている御自身並びに幹事長の政治と金の問題についてはほとんど突っ込んだ触れ方がされていないと。こういうことと相まって、非常に全体的にはすばらしい演説だった、心を揺り動かされた、日本国民の魂を揺さぶったと、こういうふうな評価は残念ながらなっていない。これは、一国の総理の演説として、私も日本国民の一人として、正直言って残念あるいはもったいないという気持ちがしておりますが、総理御自身のお口で、恐らくこれは自画自賛された立派な演説をされたと思われていると思うんです。にもかかわらず、やや冷ややかなというか、熱いものが伝わってこないというような評価をされていると思うんですが、この点については、なぜそうなっているかということも含めて最初に一言お聞きしたい。それから私の質問をさせていただきたいと思っています。
  110. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 丸山委員から、私の施政方針演説、所信表明の部分も含めて、御評価とまた世間の御批判のお話をいただきました。  私も、様々メディアを中心に御批判をいただくこと、それはそれで残念だと思っておりますし、やはりなかなか理念というものを先行させる政治というものを理解していただけないのかなというところは寂しくは思います。  ただ、私は、その一つ一つの御批判は御批判として、私は批判をいただくということはむしろ感謝すべきことだと思っておりまして、人間それなりに成長させていただくためには、ある意味でおだてていただくことも有り難いですが、御批判も大変有り難いと。その一つ一つをいかにそしゃくをして自分のものにしていくかということでございまして、その御批判には真剣に耳を傾ける必要があろうかと思います。  ただ、私は、やはり理念というものを先行させる、理念があって初めて政治というものがうまく機能すると、そのように思っておりまして、その意味で自分にとって悔いのない施政方針演説の内容だったと思っておりますし、具体性がないということも、実はよく聞いていただければ、あるいは読んでいただければ、それなりに自分思いも具体的な施策として、マニフェストという言葉は、連立政権であるがゆえに下げさせていただきましたけれども、政策に落とし込んで、なぜこういう政策になったかということも自分としては申し上げたつもりでありますが、やはり自分の、まだまだ未熟であるがゆえに十分に浸透、国民皆さんに御理解いただけなかったとすれば自分の未熟さゆえだと、そのように反省しております。
  111. 丸山和也

    ○丸山和也君 非常に謙虚なお答えをいただいて、次の質問、どういうふうに切り出そうかと考えるところでありますけれども、まず、やっぱり鳩山総理というのは、僕は最高権力者という言葉を使うのは嫌なんですけれども、国家の、日本国の最高指導者だと思うんですね。それから、まだまだこれからだとおっしゃいますけれども、現に内閣総理大臣日本の最高指導者であります。  だから、私はやはり、私の今日お聞きしたい最高指導者としての条件、資質ということについて、私は私なりに考えました。一つはやっぱり見識だと思いますね。これはやはり今おっしゃった理念とか思想ということになると思います。それからもう一つはやっぱり胆力ですね、胆力。これはやっぱり、物事を決断して実行する、それからいろんなことでぐらぐらしない、不動心というか、こういう胆力の問題と。それともう一つは、非常にこれも大事なんですけれども、品格だと思います。この品格に当たるのは、やはり宗教心とか道徳心だと思います。この三つがやはりどこの国の指導者であっても要求されるんじゃないかと思います。それがいかほど備わっているかによって、やっぱり偉大な指導者かどうかというような、あるいは評価をされる度合いが変わっていくんじゃないかと思います。  ここで、一番目のやっぱり見識、総理も先ほどおっしゃいましたように、理念が非常に大事だと。全く同感であります。それで、鳩山総理の理念の出発点、友愛という言葉を昨年度から何度かお聞きしております。それで、今回は更にやや具体化したものとしていのちを守りたいというような言葉も出ています。  そこで、この理念について少しお聞きしたいんですけれども、友愛政治の原点ですということを所信表明演説で昨年申されていますね。これは、友愛政治の原点と。弱い立場の人々、少数の人々の視点を尊重することだと。そして、ここに青森のおばあちゃんの話がありました。自分の息子が自らいのちを絶った。そのおばあちゃんの手を握って、そのときの思いから、これも引用しながら友愛政治の原点だとおっしゃいました。さらに、そればかりじゃなく、アインシュタインの幸せについての引用もございました。それから、今回の施政方針演説では、ガンジーの、一九二五年にたしか書いた言葉だと思うんですけれども、七つの罪ということです。社会的罪っていうんですか、これについて引用されました。  やはり総理は、非常に理念とか宗教心とか道徳心に対する、潜在的にそういうものに引かれるところが非常に強いお方だと私は見ているんですよ。だからこそ、アインシュタインを引いたり、ガンジーの七つの罪ですか、これを引用されたりされている。そこから友愛とかいのちを守るという思想が出ているんだと思うんです。  そこでお聞きしたいんですが、この友愛政治ということについて、随所に断片的には触れられているんですけれども、ここでもう一度述べていただきたい。なぜかというと、いろんな施策、いろんな政策がこれからどんどん出てまいりますでしょうけれども、基本的にはやはり自分の持っている政治理念、骨格とする理念のテーストといいますか、味が政策ににじみ出てくると思うんですよ。また、そうでなければ理念を高々と掲げる意味は全くないと思うんですね。利害調整とかだけをやっていればいいようになってしまいますけれども、そうじゃなくて、理念政治ということであれば、その理念にどれだけ深い思いがあるか、この理念がどれだけ自分思いが強いかというところがないと、やっぱり理念的だとか、あるいは口先で言っているだけだと、きれい事だとか、あるいは弱いじゃないかとか、情緒的だということになって終わってしまうと思うんです。そういう、危険性って言ったら変ですけれども、そういう危惧も若干持っているものですから、改めて友愛ということ、それだけに限りませんけれども、そこに焦点を当てた、長々とというと時間がなくなりますので、そこを短く魂を込めてちょっと説明してほしいんですが。
  112. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 友愛の原点のお尋ねをいただいて、有り難く思っております。  私は、フランス革命の例を出すこともないかとは思いますが、自由というものが行き過ぎると、これは弱肉強食に陥ってしまうと。そうなると弱い立場の人は去れみたいな議論になってしまう。一方のその対極の平等ということを重んじ過ぎると、これは社会的なコストが掛かり過ぎる、あるいは自立心が失われるということになろうかと思います。その両者をバランスを取る、そこに愛があると思っておりまして、博愛とかあるいは友愛という考え方、私はそれを現代流にアレンジすれば、自立と共生というものをうまくバランスを取らせる考え方が友愛だと、そのように考えております。  弱い立場の方々に、私たちは、だから補助金漬けにすればいいという話を申し上げているつもりはないんです。むしろ、そういった方々が自立心を持って社会の中で頑張っていこうじゃないかと、その頑張っていこうという思いをうまく政府が支えていけるような、そういう政府でありたいと思っておりますし、また、そういった方々が社会の中で頑張っていくときに、当然一人では生きていけません、お互いに違いというものをむしろ認め合いながら、その違いというものを生かせる社会をつくっていく、共生と言いますが、共に生かされる共生の世の中、思想というものを大事にしていきたい。  その二つをやはり結び付ける考え方が愛だと、友愛だと、そのように考えておりまして、私の申し上げている友愛の精神は、だから、弱い立場の方々にそのまま政府がだからお金をくれてあげます、喜んでくださいということではなくて、その方々が社会の中でお互いに支え合っていく、そのことをうまく政府というものが後押しができる、そういう新しい政府の姿、私は新しい公共ということも大事にしたいと思いますが、そういう発想の中で新しい社会というものをつくり上げていきたい、これが私の友愛の原点だと、そのように思っております。
  113. 丸山和也

    ○丸山和也君 よく、東洋といいますか、中国並びに日本の歴史の中で、仁という言葉がありますね、仁政の仁。仁愛とか仁義とかいろいろ使われますけれども。このいわゆる仁という言葉も、私の理解するところでは他人の立場に立って他人を思いやった思いやりの心だと、究極はですね、というふうにも言われて、いわゆる仁のある政治、仁政とも言われているというふうに私は理解しているんですけれども、総理の言われているやっぱり友愛というのも、こういう仁の心に通じるものとしてとらえていいんでしょうか。
  114. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) まさに仁という言葉は大変に最も尊い教えではないかと、そのように思っておりまして、仁愛という思い、仁義という言葉もありますが、仁という思想と、私は、ただ助けるということではなくて、お互いの幸せ、人の幸せを自分の幸せと感じることができるような助け合いの社会をつくり上げていきたい、それを友愛と名付けておりますが、私は、仁と極めて近い発想ではないか、そのように考えています。
  115. 丸山和也

    ○丸山和也君 私の尊敬する台湾の指導者、李登輝さんもやはり仁という言葉を非常によく使われる。それで、これは西洋の愛とは少し違うんだけれども、西洋では愛とか慈悲とか言うんだけれども、少し違う、やっぱり仁だというところで、これが日本の非常に一つの、政治の最高の理念の一つじゃないかということをおっしゃっていたものですからお聞きしたんですけれども、後にもちょっと引用しますけれども、そういう深い、ある意味では深い、深遠な哲学といいますか理念を持ってこれから政治をやられようとしているんだと思います。また、そう私は一国民として期待するところでありますけれども。  具体的な問題、少しお聞きしたいと思うんですけれども、普天間基地問題、まずここから行きたいと思いますけれども。  これについては、亀井大臣にまず少しお聞きしたいんですけれども、これは亀井大臣の「月刊日本」という雑誌に述べられているところによりますと、「対米自立は神の声だ」と。カメの声じゃないです、神の声ですからね。それで、若干引用させていただきますと、政権は替わり、新しい時代が来ているのだ、我々は対米従属ではない、対等な日米関係を目指しているのだ、それは神の声だと。それで、若干飛ばしますけれども、この問題に時間が掛かるのは当然だ、自民党だって十三年掛かってできなかった、私は総理には自信を持ってやるように言っていると。  こういう、これは亀井大臣がおっしゃったことにほぼ間違いありませんか。大臣
  116. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 間違いございません。
  117. 丸山和也

    ○丸山和也君 そこで、鳩山総理に、並びに岡田外務大臣等も含めてお聞きしたいんですけれども、この普天間基地問題というのは外交問題であるだけでなく、基本的に僕は総理の力量が最初に試されている事件だと私は思うんですね。  そこで、私は、本当にそういう覚悟を持って、あるいは総理は県外移転あるいは国外移転ができれば望ましいとまでおっしゃっていた。でも、なかなか現実的には非常に難しい諸問題の中で、いろんな大臣からは、現状のままということもあり得るとか、あるいはかつての政権で十三年間掛かって決めた案に落ち着くこともあり得るとか、いろんなことが意見として言われているのでありますけれども、本当に総理、この問題を解決するのに、あるいはめどを付けるのに五月までというようなことは僕はばかげた話じゃないかという気がしております。  本当に総理が命運を懸けて、あるいは胆力を持ってこの基地問題を解決されようとするのであれば、少なくとも三年、あるいは私の想定される四年の議員の任期の間に政治生命を懸けてやりますと、このくらいの取組を、覚悟を示されないと、本気でどこまで考えられているのかというそっちの不安の方が、私だけじゃなく多くの国民が持っているんじゃないかと思います。  いろんな案がある中でどれかを選ぶというただの作業をやるんじゃなくて、本当にこの問題を、まあ対米従属か独立かどうかは別にしまして、解決するには僕は三年ぐらいの期間を掛けてやりますという覚悟を示されるべきじゃないかと私は思うんですけれども、そこは非常に見解は違うんですけれども。総理は、この点について、私の責任で五月末までには必ずやりますと言われる言葉は重いんですけれども、覚悟がどこまであるのかという点について、そんなに簡単にいくのかなという点で、やや言葉が先行しているように思いまして、不安に思っているんで、ひとつ御説明願いたいと思います。
  118. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 御案内のとおり、丸山議員、この普天間の移設の議論というものは十三年前に起きた、スタートした話ではありますが、これから更に三年間、例えば普天間の周辺でお暮らしになっておられる方々のお気持ちを考えれば、とてもとても、あと三年間、結論を出すまで待ってくれという話にはならないと思います。一日も早く普天間の移設を決めてくれと、その思いが強いと思います。私も、当然、あと何年も、十三年掛かったんだからあと何年間掛けても決めればいいではないかと、そのくらいにゆとりを持てればいいですが、そんな普天間の基地の周辺の皆様方の思いはないと思っておりまして、一日も早くしなければならない。  また、アメリカから見ても、普天間の移設先を更にあと三年間、決着をするまで延ばせるなどというような時間的なゆとりも彼らにもないと、そのように思っております。  したがって、私どもとすれば、やはり今年のまあ前半だなというくらいの思いで、五月末までに決めなければ、これはやはり政治家として決断ができないということになるわけで、何としても五月末までに最終的な結論を出すということに決めたわけでありまして、そこに覚悟のほどを是非読み取っていただきたい。  その間に、言うまでもありませんが、沖縄の県民の皆さん、あるいは関係の方々、さらにはアメリカともしっかりとすり合わせをする時間まだまだあると思っておりますので、必ず結論を出させていただくと、そこに是非覚悟を認めていただければと思います。
  119. 丸山和也

    ○丸山和也君 非常に生意気なことを言いますけど、そこが覚悟のない表れじゃないかと私は思うんですね。もちろん、せっぱ詰まっているから、沖縄県民の方の一日も早い、もうこれ当然ですけれども、一日も早いからといって、今までの、あんなAかBかCかという、かき混ぜてどれかにするとか、あるいはほかにないかということをいろいろやりましたけど、まあこれがベターです、あるいはこれが最善です、あるいはやっぱり元に落ち着きましたとか、これは半年間ぐらい問題を慌てふためいて一生懸命やったというだけで、本当の、まあ神の声か別かどうかしまして、対米関係における日本の基地の在り方の問題を根本的に総理が体を懸けていのちを懸けて解決したということには僕はならないんじゃないかと思うんです。早く決着を付けたということだけに、結果のみを焦るようなことになるんじゃないかと。これは非常に生意気なことを申し上げておりますけれども。  だから、私はやはり批判を覚悟で、これくらいの期間はください、それに向かってやります、それでできなかったら私は辞職しますとか、そういうことを堂々と申されるのが僕はむしろ総理大臣の見識であり、胆力であり、資質じゃないかと、私はこのように思っています。いかがですか、総理
  120. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 丸山委員、例えばその三年間の間にまた普天間で何か起きたらどうするんですか。私は、そういう意味でこの一三年も遅過ぎると思っておりますし、さらに、二〇一四年までにというこの最終的な合意というものは、やはり基本的に守るべき最大限努力をしなきゃならないリミットだと思っております。  そのことを考えたときに、三年後に、例えば二〇一三年辺りに決めて一年で移設ということは現実に不可能だと思っておりますものですから、私としては、一番はやはり普天間の周辺にお住まいの皆様方にとって、沖縄の県民の皆さんの負担をできるだけこれは和らげていくために、少なくさせていただくために、できるだけ早く結論を見出さなければならない、そこに政治の意思というものを認めるべきだと、私はそのように考えます。
  121. 丸山和也

    ○丸山和也君 この点については考えが違いますけれども、これ以上言っても平行線でありますのでここで終わりますけれども、是非、やっぱりいったん決めた以上は、その移転、どこに移転されるか、移転されないかも含めて、今後長期にわたってまたそれが存続するわけですから、そこら辺の重みをかみしめて、後世から、本当によく検討した、よく十分吟味して決めたな、立派だと言われるような結論を是非出していただきたい。これはもう魔法、マジックはありませんから、よくここまで検討してやったなという、そういう評価が得られるかどうかの問題だと私は思っておりますので、そこのところをよくお覚悟していただきたいと思っております。  それからもう一つ、政治と金の問題にも入りますから、次の次に入りますから御安心いただいて、消費税問題について少しお聞きしたいと思います。  午前中にもありましたけれども、今やっぱり国の借金がこのままほっておくと近いうちに一千兆円になろうかと。あるいは、予算を見ましても、収入より借入れの方が多いと、借金の方が多いと、逆立ちしている予算だと。それで、先進国の中で最悪の財政状態だということは、これ、菅大臣含めどなたも異存はないわけでありますけれども、ここでやはり、まずは、無駄を省き生活を最優先するというマニフェストもあるでしょうけれども、国家財政の規律の問題について、これもやっぱり非常に覚悟が要る問題だと思いますけれども、切り込まないわけにはいかないと思うんですね。これは普天間の基地問題と同じようにやっぱり一刻の猶予もならない問題だと思っています。  総理は、私の在任期間中は消費税については議論は別にしても手を付けることはしない、上げることはしないと、こういうふうにおっしゃっているんですけれども、このような見解でよろしいんでしょうか。本当にいいと思われますか。お答え願います。
  122. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私どもがなぜ、この衆議院選挙を戦って、それから四年間消費税を上げるべきではないかと、そう申し上げたのは、その間にやはり大掃除をやらにゃならぬと。  すなわち、様々な、旧政権、恐縮でありますが、いろいろな無駄遣いあるいは不要不急の事業、そういうものがあった。特に、いわゆる特別会計、一般会計だけではありません、特別会計も含めた中でまだまだ我々としてやらなければならない財政歳出というものの削減の努力をしなきゃいけない。これは並大抵の話じゃないと。  御案内のとおり、選挙を戦った後、事業仕分を行いました。その事業仕分、時間的な余裕が必ずしも十分ではなかったという状況の中でありましたから、一〇〇%だと、百点満点だということは申し上げるつもりはありません。しかし、それでもかなりの無駄というものを削減することができたわけでありますが、しかし、まだ足りないと。  むしろ、特殊法人あるいは独立行政法人公益法人、こういったところに大きな、これは相当長い年月の間につくり上げてしまった無駄というものがある、あるいは必ずしも公正でない部分というものがある。それを徹底的に排除するには時間がどうしても掛かる。そのことをまずやろうじゃないかと。それをやらないで、途中でもうお金が足りないから消費税を上げましょう。税の話にした方がむしろ楽かもしれない。  しかし、そうではないもっとスリムなというか、無駄なぜい肉がない日本財政というものに変えていくということを真剣に行わなければいけないじゃないか、それをやるためには時間が掛かるぞということで、私どもとして、徹底的な歳出削減の努力をまず決意をするために、そんな簡単に税の議論で済ませませんよと。消費税というものは、苦しいけれども、まだその議論に、議論というか、議論は大いにして結構ですが、この四年間は上げませんよということを誓わせていただいて選挙を戦い、そして政権交代ができたわけであります。  それは国民皆様方への誓いでもありますから守らなきゃいけない、そのように思っておりまして、したがって、大いに議論は結構でありますが、消費税をこの四年間の間に触ることはしない、そのように決めております。
  123. 丸山和也

    ○丸山和也君 心構えとしてはやはり分かりやすいと思うんですよ、今までいろいろ無駄があったと指摘されているわけですから。その無駄を徹底的に排除して、それの上でなお足りない場合は消費税を上げると。  しかし、常識的に考えても、幾ら節約、節約じゃない、削減しても、あるいは事業仕分仙谷大臣等が中心になって随分やられましたけれども、予算から削減されたもの六千八百億でしたか、あるいはいろいろこれからもまだ仕分されるでしょうからどんどん出るでしょうけれども、それにしても、近々予想されている子ども手当、それから農家戸別所得補償、いろいろな問題を考えますと、到底仕分作業で削減したり無駄な予算を排除するだけでこれだけの財源が生み出せる。少なくとも、民主党がマニフェストで言っている政策を全部四年後に実現したとすれば、十数兆円のやっぱり支出が必要になってくると思うんですけれども、これだけのものを無駄を排除でできるということは到底あり得ない。だから、姿勢として、精神論としてはもちろん正しいと思うんですよ。そして、その方が国民説得しやすい。  だけれども、こう言っちゃあれですけれども、政権も替わったわけですから、よくおっしゃる言葉、今までの借金は旧政権がつくったんだと。おれたちはこれからやるんだという新しい立場であれば、無駄は削除するけれども、やっぱり必要なものをいただきますよと堂々と出された方が僕はいいんじゃないかと思うんです。  そうしないと、四年間待っている間にも更に国家財政が悪化していって、もっと厳しい状況になると。例えば、早く消費税も上げた方が助かったのが、四年後あるいは五年後、民主党の議員さんもほとんどの方聞いてみると大体一〇%ぐらいがいいんじゃないかとおっしゃる。ただ、年数に関しては四年後だと、あるいは五年後だとか十年後だとおっしゃる方が多いんですけれども、むしろ厳しい状況に追い込まれていって、より高い消費税、あるいはどういう名目にするか知りませんけれども、そういう消費税になってしまう危険性の方が高いんじゃないかと思います。そういう意味ではマニフェストの修正ということもあっていい、これは国民のための修正ですから。  そこら辺は私、勇気が要ると思うんですね。評判は悪くなるでしょう。何だ、鳩山、またうそをつくのかとか、マニフェストを守っていないじゃないかとか、いろんな批判は出るでしょう。でも、それを受けてもやるんだというのは一つのやっぱり見識であり胆力じゃないかと思うんですけれども、ここら辺については、鳩山総理、短く、それから菅財務大臣、お願いいたします。
  124. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 最初に私から申し上げますが、私どもマニフェストの、まあこれは三党連立ですから余りマニフェストと言い過ぎてはいけないと思いますが、子ども手当、あるいは高速道路、高校無償化、あるいは戸別所得補償、こういった私どもがうたった事業を実施するためには確かに大変な予算が必要であります。非常に厳しいということは認識をしています。しかし、私どもはそこの部分に関しては歳出を削減をするという努力の中で、すなわち国債をこのために発行する、増発するということには頼らないで、この部分はきちんと財源を見出そうじゃないかという努力の下でスタートして、平成二十二年度の予算もそのように組んだわけでございます。したがって、これからもマニフェストに関しては、基本的には国民皆さんにお誓いをした話でありますから、できる限り忠実にしていきたい。  ただ、今、丸山委員お話のように、怒られるかどうかは別として、国民皆さんが、いや、民主党あるいは連立政権こう言っているけれども、もっとこちらの方がいい話じゃないかみたいな議論というのはあるいは出てくるかもしれませんから、マニフェストにかかわる話でも国民皆さんのお声というものは大切にしたい、そのことは当然のことだと思っておりますが、しかし、やはりマニフェストにうたったものに関しては歳出の削減で間に合わせていく、赤字の国債というものをそこのところに増発をしないでやるという覚悟でございますので、したがってこの部分に関して、だから消費税を導入しなければならないという議論にはならないと、そのように私は考えています。
  125. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 丸山議員の方から、ある意味では戦略的な見方も含めていろいろと御示唆をいただいているように受け止めました。  私も、この議論、大分長く見ております。竹下内閣で導入される、一九九三年、四年になりましたか、細川総理のときに国民福祉税構想が出されて、腰だめという言葉もあって翌日には撤回される。その後もいろいろありました。つまりは、付加価値税あるいは消費税といったものが欧米で幅広く入れられてそれが一つの基礎になっているということは、もうほとんどの人がよく知っているわけです。  それでは、なぜこの間そういったものが、例えば消費税の増税といったことが与党の中、当時の自民党あるいは公明党の中でいろいろ言われながら、なぜそれができなかったかということを私たちはまず徹底的に検証しておかなければならないと思うんです。  一言で言えば、国民政権党を信用しなかったからです。つまりは、母屋で何もない何もない、米びつが空っぽだからおかゆしか作れないと言いながら、一方で離れでしゃぶしゃぶを食べているじゃないかと。まさにこれは自民党の塩川さんが言われたわけでありまして、そういうふうに国民から見えている限りは、私は信用を持って、本当に金がないんだから、本当に福祉を維持するためには皆さんにこの程度の負担をしていただかなきゃ無理なんだということを言っても、本当は隠し金があるんだろう、まだまだ埋蔵金があるんだろう、まだまだ天下り先にたくさんの無駄があるんだろう、そう言われている間に私はそういったことに踏み込むことは決して、言ったとしてもやれないことになると。  昨年の九月に政権交代をして四か月、五か月しかまだたっておりません。私は今年が正念場だと思っています。今年やれるところまで徹底的にやった上で、その中で将来に安定した財政が見通せるならばそれはその道でやっていくし、そして、どうしてもそのときにこれではやっていけないということになった場合、私は選挙で与えられた期間は増税はしない、消費税の増税はしないというのが鳩山内閣のお約束だと思いますから、そのときは徹底的に議論をして、しっかりとした案を掲げて戦うことになるかもしれません。  しかし、私はこの一年はそういうことを口に本当はしたくなかったんですが、しないで、まさに徹底的な無駄の削減に全力を挙げたいと、こう思っています。
  126. 丸山和也

    ○丸山和也君 菅財務大臣はこのようにおっしゃっていますが、仙谷大臣、おられますかね。  大臣の手腕にも相当懸かってくると思うんですけれども、行政刷新会議で華々しくやっぱり国民の耳目を集めて、非常に評判がある意味では良かった、しかし結果は余り出なかったじゃないかと、いろんな評価はございますけれども、従来の予算編成の仕組みから非常にオープンになったという、総じて好評だったと私は思っているんですよ。  でも、今後も、ですから、これからも続けられると聞いておりますが、これから同じような手法でやられることはいいとして、今総理並びに菅大臣がおっしゃったように、期待にこたえるだけの作業が結果としてできるんでしょうか。どういう見通しをお持ちになっていますか、簡単でいいですけれども。
  127. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 簡単にと言われましても、この話はなかなか簡単ではないんじゃないかと思いますが。  といいますのは、消費税問題から丸山先生が問題提起なさっています。これは思い返すと、やっぱり菅大臣、大分前の方から来ましたけれども、二〇〇三年、二〇〇四年の総選挙、参議院選挙で私どもは実は年金目的税を掲げて選挙をしたんですね。そのときに何%ぐらいだったらいいんだという話があったから、三%ぐらいはやれば、それはすべて基礎的年金を税金で負担するという方式ができるだろうという主張をしましたところ、当時の与党の自民党から徹底的に消費税増税派だというふうにたたかれましたね。  私は、まさか野党が間接税を、つまり消費税ほか税でその財政をきちっと基盤をつくって、社会保障目的税といいましょうか、社会保障のところを確立させようと提案しているのに、それをおまえたちは増税派だ、けしからぬというキャンペーンを張るという、この与党というのは何とひどい与党だろうかと、そのときにそういうふうに思ったわけであります。我々の方からそういう負担とかをあえて主張する必要は、この日本の政治では、この段階ではないなというのがそのときの私どもの総括でございました。  現に、その次の選挙の二〇〇五年では一瞬のうちに、まともなことを何を言っても通用しない選挙が二〇〇五年の郵政民営化選挙だったと、私どもはそう総括をしました。つまり、政策的にまともなことをちゃんと提起するということではなかなかこの日本の選挙は勝てないと、小泉さんのような天才が出てきたときにはもう一瞬のうちに吹き飛ばされるという、こういう総括もして、もう少し我々は大人にならないと政権にも近づけないし、自分たちがこうしたいという政策を実行することもできないんだなという、そういう反省をしたわけでございます。  現時点では、財政は確かに悪い。確かに悪いけれども、これは実は、菅大臣がおっしゃったように、私はこの二十年間の自民党の消費税トラウマがもたらした財政赤字だというふうに見ております。つまり、消費税選挙で竹下内閣からあの宇野、海部内閣に替わって、結局はあそこの負け方があって、こんなことをしていたら政権を逃すと、絶対に消費税増税ということはゆめゆめ言ってはならないと、こういうお話だったんだと思いますね。
  128. 丸山和也

    ○丸山和也君 そこは、それはいいですから。
  129. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 丸山さんおっしゃるように、事業仕分的手法で何十億円出してくるなんということは……(発言する者あり)あっ、何十兆円出してくるなんということは、それは基礎的、義務的な経費というのが掛かるんですから、それを全部賄うなんてことはそれは無理ですよ。それはもう、そんなことは財政のフレーム全体を立てた瞬間にすぐ分かる話だと思います。だから、どこかで国民皆さん方に、消費税なのか所得税なのか、あるいは資産税なのか、あるいは法人税なのか、抜本的に税の在り方を考えていかない限りまともな財政構造にならないことは、こんなことはもうだれが見たって当たり前です。
  130. 丸山和也

    ○丸山和也君 政権を取るためには、尋常な正論を吐いているだけでは政権は取れない、とにかく政権を取るということで、政権交代と掲げていましたけど、そのためには少々、まあだまくらかすとは言いませんけれども、耳当たりのいいことでも言ってやるのがやっぱり大人なんだ、それを学んだとじっくりおっしゃっていただいて、まさにそのとおりにやられて成果を上げられたと。そういう意味では見事だったと私は思うんですけど、政権取った以上は現実にもう政権党ですから、やっぱりこの国をどうやるかということを腹を決めて、まじめにといいますか、やっていただきたいと思います。  それから、だんだん時間が、答弁皆さん思った以上に熱心にやってくださるので、私の時間がなくなってきて、戦略的にちょっと焦っているんでありますけれども。  今日、恐らく午後に小沢幹事長関連で石川容疑者並びに大久保さんですか、大久保容疑者、それから池田さん、分かりませんけれども、何名かが起訴されるであろうと報道されています。それで、新聞報道によりますと小沢幹事長は不起訴の方向だと、これは昨日の段階ですが、報道されております。  この問題について、今国会では最大の脚光を浴びている問題でありますので触れないわけにはまいりませんけれども、総理の昨年度からこの件に関する、御自身の問題はさておいて、小沢幹事長の資金問題、陸山会をめぐる資金の出入り、不動産購入に関する疑惑と言われる問題に関して、総理は一貫して、幹事長を信じる、闘ってください、あるいは見守りますと、検察の動きを見守りますということで、非常に優しいというか友愛に満ちたというか、総理の言葉を借りれば同志愛に満ちた言葉で語ってこられているんですけれども。  私は、それは決して間違いだと思いませんよ。それはそれとして、しかし、ここまで半年近く来た時期において、検察もそれなりの処分を今日やるでしょう。そろそろ総理としても、国家の最高指導者ですよ。もう国家の最高権力者が実際だれかなんて、そういうくだらない話じゃなくて、最高指導者として最も信頼する、また同志愛を感じ、また共に戦ってきた相手にこそ一番直言できるのは総理しかいないと思うんですよ。  昔、中国の故事に泣いて馬謖を切るという言葉がございました。蜀漢の時代の諸葛亮の部下でして、軍規に違反して戦争を仕掛けて大敗するわけですけれども、非常に有能な人物であって信頼もしていた、しかし、泣いてやっぱりいのちを落とさせたと、こういう故事があります。  私、その故事に倣うわけじゃありませんけれども、やはり総理としては、これまで本当に政権交代に尽力し、また衆議院選挙あるいはこれからの参議院選挙をにらんだ場合、小沢幹事長の存在というのは、恐らく民主党議員だけじゃなくて国民も見るところ、やはり非常に大きな力を持っているし、影響力を持っておられる方だと見ていることは間違いないと思うんですよ。だけど、既に政権を交代し、これから本格的に四年間、鳩山政権が飛び立っていくこの時期ですよ、この時期にやはり一つの総理としての決断をされるという、けじめを付けられるということは、僕は、これ最高指導者の最高の見識であり、最高の胆力であり、あるいは最高のやっぱり宗教心、道徳心も絡んでくるんじゃないかと思うんですよ。  総理は、ガンジー師の七つの大罪という中で最後の七番目に出しているんですね。何ですか、ワーシップ・ウィズアウト・サクリファイスですかね、そういう犠牲なき信仰というものをガンジーはあえて罪と言っている。これは、小沢幹事長にそれなりの処分を求められることは小沢幹事長自身にとって犠牲でありまして、総理自身にとっても大変な犠牲だと思いますよ。だけど、これは最も信頼してきて、また頼ってきた同志に対して、最高のといいますか、本当に魂からもってそういう言葉を吐けるのは、批判はだれでもできますよ、できるのは総理しかないと思うんですよ。それをされて初めて、まあ私が言うのも変ですけれども、鳩山政権というのは自立したと、やっぱり鳩山政権政権交代させただけあったなと、一般国民もそう思うんじゃないでしょうか。  今、総理が所信表明演説、施政方針演説で熱い魂を語っておられましたけれども、なかなかそれが国民に響かなかった一つの最大の原因はここにあると思うんですよ。そう思われませんか、総理総理のこれは利害を超えた内なる魂の声としてどう思われますか、今の時点で。是非、真剣にお答えいただきたい。
  131. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 小沢幹事長にとどまらず、私は党の代表という立場でありますから、当然、直言するべきときがあればどなたにも直言をいたします。  ただ、問題、今、小沢幹事長の具体的なお話でのお尋ねでありますから申し上げれば、報道の域を出ていないじゃありませんか。まだ、現実に何が起きているのか、一番分かっているのはやはり検察だと思います。検察でしっかりと小沢幹事長も話をされている、そしてそれを基に記者会見も何度もされている。それを私も伺う限り、そして同志として小沢幹事長の言葉も信じておりますから、そのことで申し上げれば、今直言をするなどというときではないと、そのように思っておりまして、まずは冷静にこの推移を見守るべきではないでしょうか。それが、同志としてというか、人間としての当然の私は生き様だと、そのように考えております。
  132. 丸山和也

    ○丸山和也君 私も弁護士を長くやっておりましたから、見ますところ、やっぱり報道によりますと小沢幹事長は不起訴だと。これは恐らく、石川容疑者その他の方の、一部小沢幹事長には報告したというような供述はあるようですけれども、積極的な小沢幹事長が指示をしたとか、そういう小沢幹事長自身の供述もないし、そこまで元秘書の方も述べていないということで、司法の場に持ち込めば、東京地方裁判所に持ち込めば、恐らく証拠不十分と。疑わしさは残るけれども、司法の場で、司法の基準というのは非常に厳しいですから、そこまではなかなか勝てないなと、検察が今の時点で判断したんだと思います。だから、総理のおっしゃることはまさに司法的判断としては正しいと思います。  でも、ここで問われているのは、一政治家の、非常に大きな政治家の出処進退の問題であります、道義的な問題。しかも、最後に決断をされるのは小沢幹事長であっていいと思いますよ。そういうことを言っているんじゃない。ただ、それに対して総理が本当に鳩山内閣の命運を懸けて友愛精神を持って接しられたことがあるのかどうかという、小沢幹事長に対峙してそれを話しされた、そういう覚悟を持ってされたことがあったのかどうかということをお聞きしたい。  それともう一つ、小沢幹事長自身も、二、三日前でしたか、監督責任はあるように思うということをおっしゃっている。処分が出た段階でそれなりに自分は考えるとおっしゃっている、こういうこともあったと聞いております。  であれば、上から目線とかそういうことではなくて、やっぱり国家の最高指導者というのは総理ですよ。しかも、総理の一挙手一動、総理の例えば小沢幹事長に対する態度、その語りかけ一つ一つを国民は注視しているんで、そこに、どこに本当があって誠があって情熱があって真実があるかということをみんな見ているんです。そういう熱いものがやや感じられないから、国民はせっかく政権交代された鳩山内閣に対してもやや失望感が出ているんじゃありませんか。  それは総理自身の責任でありますよ。それは、総理は逃げられないと思うんですよ。そこについて、現時点でとおっしゃっていますけれども、将来性も含めて、やはり相当覚悟をして取り組まれないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  133. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私は、この職を預かる身になってから、日々、覚悟の中で仕事をしているつもりであります。そして、小沢幹事長と私との間で何かあたかも様々、報道などによれば、イメージを盛んにつくろうとされているかもしれません。しかし、私も小沢幹事長に言うべきときはしっかりと申し上げて今日までもおります。別に、何も物が言えないような民主党ではありません。そこは明らかにつくられている虚像の部分でございます。  問題は、今、じゃこの政治資金の話に関していえば、何が事実かということに関して、やはり検察が今捜査中でありますだけに、そこに私は正義がある、公正さがあると、そのように思っているものですから、先ほど丸山委員も、司法的にいえば鳩山の言っていることは正しいんではないかと。であれば、やはり司法の正しさ、公正さというものに信頼を置くのが我々ではないでしょうか。  そういう思いの下で私も当然日々、覚悟の中で暮らしている、行動しているつもりでありますが、是非この問題に関しては、まずは当然冷静に物事を見極める心というものが必要だということを申し上げておるのであります。
  134. 丸山和也

    ○丸山和也君 時間がなくなってきましたので、もう最後に締めくくりたいと思うんですけれども、なぜ私がこのように言うかというと、歴代総理と違って、鳩山総理というのはやっぱり非常に精神性を重んじる方だと、道徳性といいますか、宗教心。だからこそ、あのマハトマ・ガンジーの七つの罪ということをわざわざ、労働なき富という言葉まで、自身に跳ね返ってきているような言葉まで引用して、どうしても入れるんだと言われたことは、やはり非常にそういう宗教的、道徳的、道義的思いの深い方だと私は思っているんですよ。  だからこそ、そういうことについて、是非とも、大変なことでしょう、同志に対してどういう直言するかということは。しかし、そこは決して見誤らないで、しかも国民がどのような目で見ているかということも踏まえて大局的観点から決断をしていただきたいと。じゃないと、せっかくの鳩山内閣が、私、せっかくのと、怒っていますけれども、やはり国民としては鳩山内閣の下で生きているわけですから、我々もその影響ありますから、立派な内閣であってほしいと思いますよ。ただ、もったいないです、それは、鳩山総理の姿勢として。  亀井大臣、どう思われますか。
  135. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、鳩山総理が一国の最高指導者としてきちっとした言動をしておられると思います。私は鳩山総理をおべんちゃらを言う立場じゃありません、私は民主党じゃございませんから。ありませんけれども、鳩山総理は、まあ宇宙人だと言う人もおりますけれども、私はもう日本に対する熱烈な愛を持ちながら、狭い島国根性ではなくて、もうほっておけば破滅するかもしれないこの地球をどう救うかと、そうした大きな立場で政治をおやりになっている、この今の金と政治の問題についてもそういう立場から対処をしておられると、このように私は見ております。
  136. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 丸山和也さん、時間を超過しております。
  137. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、時間が来ましたので、どうか、見識、胆力、それから宗教心といいますか、そういうのを堅持されて、ますます強くされて、日本丸のかじ取りを誤らないように頑張っていただきたいと思います。  それから、先般オホーツクに寒中水泳どうかとお誘いしたんですが、返事もらっていませんけれども、そのくらいの気合を持ってやっていただかないと鳩山内閣の将来が極めて心配でありますので、どうかひとつ頑張ってください。よろしく。  終わります。
  138. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 関連質疑を許します。山本順三さん。
  139. 山本順三

    山本順三君 自由民主党の山本順三でございます。自由民主党・改革クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきます。  平成二十年度の決算総括ということでございますが、この当時の事業の執行は自公政権でありました。そして、政権交代がありまして、この決算総括質疑を参考にしながら次年度、平成二十二年度の予算に参考にしていく、これが参議院決算重視の一つの表れであります。そうなってまいりますと、今、政権交代して私どもが新しい連立政権に向かって二十年度の決算をいろいろ質問する、何かしら違和感があるわけでございますけれども、それはそれとして、まず第一弾、政権替わりましたので、やはり新しい政権の政策の理念たるもの、やはりそこから話をひもといていくことが一番いいのだろうと、このように思っておりまして、まずそこから始めたいと思います。  そこで、まず総理の政治と金の話と思ったんでありますが、一つその前に、非常に気になる発言がございました。そのことだけ確認をさせていただきたいと思うんです。  これは、岡田外務大臣日本記者クラブで、二月の一日でありましたか、おっしゃった言葉であります。望ましいことではないが、ほかになければ普天間飛行場が今のままということもあり得る。これは我々野党の言葉なんです。迷走する鳩山外交の中で一体全体今回のこの普天間の基地の移転どうなるんだ、最後示しが付かなくなってしまう、そうしたら普天間飛行場が今のままになってしまうんじゃないか、これ我々が今の内閣に向かって語りかける言葉だと思う。その言葉が時の政権の主要な位置を占める岡田外務大臣から出てきた。これ、実は私は、全く信じられない、びっくりした、そういう発言でありました。  そこで、お伺いします。まずは、この発言の事実確認をしたい、そしてこの発言の意図はどういうところにあるのか、岡田大臣の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  140. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) この発言の前後の脈絡を読んでいただければよく分かるわけでありますが、そもそもこの問題は普天間の現在の極めて危険な状況、民家の中に、住宅の中に基地があると、それを何とかしなければいけないと、ここから始まった話であります。そして、何とかするために今、官房長官の下で検討委員会を設けてゼロベースであらゆる可能性について検討しているところであります。これ、ここでしっかりと結論を出さなければならないと、ここで結論が出ないようではこのまま残ってしまうと、そういうことがあってはいけないという、そういう思いの中で述べたことであります。  この検討委員会はゼロベースということでありますから、どれができないあれができないと、そういうことではなくて、やはりこれを必ずやるという決意の下でやらなければいけないと。いろんな発言もあります。しかし、基本的にはゼロベースということですから、私は、日米合意案も含めてすべてを俎上にのせて、そして何が一番可能かということで、決意を持ってやらなければいけないと、そういうふうに思っているわけでございます。
  141. 山本順三

    山本順三君 いつもは歯切れのいい岡田大臣でありますが、若干私は今は歯切れが悪いなというふうに感じました。やはりこの言葉は外務大臣が語ってはならない言葉だと私は思っています。  そこで、官房長官にお伺いします。官房長官は、沖縄基地問題検討委員会、今お話がありましたけれども、それで大変汗をかいていらっしゃる、実は岡田大臣も本当に汗かいているというのは我々は十分理解をしておるところでありますけれども。そういった流れの中で、官房長官御自身も名護の市長選の後にその結果というものをしんしゃくしなければならないということでもないというような発言があって、沖縄の皆さん方の心を乱された、あるいはまた、一体全体これからどうなっていくんだろうかというような不安を惹起したような、そういう感触を私は受けました。  そこで、恐らくや辺野古も含めたゼロベースという今の外務大臣の話でありますけれども、平野官房長官から見られて、御自身の発言も勘案しながらでありますけれども、岡田大臣のこの発言、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  142. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 委員にお答えいたします。  私の使命は、昨年の十二月の十五日に総理の方から、普天間に代わる、そういう施設、基地を、場所を探せと、こういうことが第一の使命でございました。その探すプロセスとして、政府と連立三党の中できちっと検討委員会を立ち上げなさい、これが二つ目であります。その大きな使命は、先ほど外務大臣がお答えをいたしましたが、やっぱり普天間の抱えている問題、特に沖縄県民の皆さんの負担軽減、危険の除去と、こういう概念の下にこの問題が端を発しているわけですから、そういうことを含めてこの検討委員会をスタートをさせろと、こういうことでございました。  しんしゃくという言葉がよく飛び交うようになりましたが、これも前後のところをマスコミの報道の皆さんもきちっと報道していただければ誤解は解けると思うんですが、私は必ずその前に検討委員会ではということを必ず付けてございます。  それは、今申し上げましたように、ゼロベースでそういう危険性の除去、県民の皆さんの負担を軽減させるための場所、施設がどこにあれば一番いいのかということでございますから、そういう視点で考えておるわけでありまして、したがって市長選挙の結果の民意というものは当然あるということも私はそのときに申し上げてあります。  しかし、検討委員会でゼロベースで検討しているわけでありますから、どこが最適なのかという場所、施設については、私はゼロベースで、あらゆる予見を与えないで検討をしていくと、こういうことを申し上げたところでありまして、外務大臣の御発言は、そういうことの起こらぬようにしっかり頑張れと、こういう発言だと、私は励ましの言葉だと思っております。
  143. 山本順三

    山本順三君 官房長官がこの言葉を励ましの言葉と言うようでは、私は非常に不安を感じてしまうわけでありますけれども。  じゃ、福島大臣、福島大臣は社民党の代表という立場でもあります。まさに頑固に平和ということでやってこられましたけれども、今回のこの普天間の移転につきましても、国外だ、あるいは県外だということをずっと主張されています。  先般、国外ということでグアムへ視察にということもありましたけれども、アメリカ側が受け入れてもらえなかったということもありましたけれども、それはそれとして、福島大臣から見て、今ほどの岡田外務大臣の発言をどのように受け止められているのか、率直にお答えいただきたいと思います。
  144. 福島みずほ

    国務大臣福島みずほ君) 現在、基本政策閣僚委員会の下の沖縄基地問題検討委員会で、三党の下で精力的に議論をしております。社民党の中もプロジェクトチームをつくって、アメリカに行く、あるいは様々な勉強、研究、人を呼んで話をするなど、精力的にやっているところです。そして、大事なことは、私は普天間基地には何度も訪れておりますが、危険な普天間基地を返還してもらう、これが出発点だと思っております。  辺野古の沿岸部に海上基地を造らないためにも社民党は全力を挙げて頑張ってまいりますし、また内閣の下できちっと議論をし、沖縄の県民負担、起きないように頑張ってまいります。
  145. 山本順三

    山本順三君 答弁しづらいんだと思うんです。ですから、私の質問に対しての正確な答弁返ってきませんでしたけれども、それはそれでいいです。  北澤防衛大臣にもお伺いしようと思っていたけれども、まあ同じようなお話になるので、誠に恐縮でございますけれども、あと総理にだけ総括的にお伺いいたします。  外務大臣の発言なり、あるいは平野官房長官の発言なり、私はいろんな発言が出ていることを非常に心配しているんです。だって、これは沖縄があっての普天間の移設であります。そのときには、普天間の周辺に住む人、あるいはまた辺野古の周辺に住む人、そして基地というものに反対する人もいれば、声高には叫ばないけれども賛成する方もいらっしゃる。そういった沖縄の心、総理が一番大切にされようとしたところが今大混乱になっているということを私は大変心配していますし、それと同時に、アメリカ、日米同盟の中でその根幹が揺らぐ、そういう迷走鳩山外交になっているんではないだろうかと、それが各閣僚のいろんな発言に出てきているんではないかと、このように心配していますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  146. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) この問題につきましては、御案内のように、普天間の移設先を見出さなきゃならないというところでスタートしたわけでございますから、普天間がどこに移設されるかということを考えたときに、それがまた見付からないから元に戻ってくるというのは私は解決ではないと、そのように思っておりまして、そうなってはならないという意思を岡田外務大臣も示したと、そのようにも理解しておりますし、そうならないために、新しい移設先を今、平野官房長官指導の下で連立三党が知恵を絞って、そして体力を使いながら五月末までに必ず見出すという決意でやっておるのでございまして、私は、その意味でも日米同盟に決して揺らぎがないというような結論を十分に出していくことができる、そのように思っております。
  147. 山本順三

    山本順三君 その言葉が実現することを私も日本国民の一人として祈るわけでありますけれども、是非、言葉の重みというものを各閣僚の皆さん方総理も含めてでありますけれども、しっかりと考えながら、そして発言をしていただくように私の方からは要望をしておきたいと思います。  次に、政治と金という関係でありますけれども、このことにつきましては、地元からでも、自民党は政治と金だけの話ばかりするなよと、もっと本質的な議論しろよという声も現にある。あるんですけれども、私はそういった方に言っているんです。いやいや、そうじゃないんだと、我々も、なぜ自民党が下野したのかということをしっかり反省をして、新しい時代に向けた政策を提案していくよと。その場所というのはどこだと、野党の場合には国会の論戦なんだと、だから国会の論戦を大切にしていかなければならない。その国会の論戦をする相手、鳩山総理であったりあるいは各閣僚であったり、そういった方々が我々が論戦するに値するかしないかの議論は、これはどうしてもしなければならないんだと。  なぜならば、鳩山総理にしてもあるいは民主党の小沢幹事長にしても、今このような形で秘書が起訴をされる、秘書が逮捕をされる、そして大混乱する中で、本当に説明責任を果たしているかどうかというものを国民の前に明確に明示をしてもらわなければならない。我々はそれを確認した上で、しっかりとした論争の相手として判断して本質的な議論をしていく。その前段の議論はどうしても必要なんだよということをお話を申し上げたら、ああそうなんだというふうに御理解をしていただきました。したがって、その声に励まされながら何点か質問をさせていただきたいと思います。  これも言葉の重みの話なんです、総理。実は、総理は二月二日、おとといでありますけれども、首相公邸前で記者団の質問に対して、小沢民主党幹事長に今後も引き続き参議院選挙の指揮をゆだねたいということを発言をされました。これは、今現在検察の捜査が行われている状況の下で、今ほども総理がおっしゃいました、冷静に見守っていくしかないんだと、こういうふうな発言をされましたけれども、現に参議院の選挙の指揮をゆだねたいと。これは何を意味するかと。見方によったら、これは検察への圧力です。それは何かというと、実質的な指揮権の発動になるんではないかと、こういうことを心配する声もたくさんあるんです。  それで、私は去年のことを思い出しました。実は、小沢一郎氏の西松建設に関する政治資金規正法違反に関して民主党さんが第三者委員会、正式に言いますと、政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会、飯尾教授が座長でありましたけれども、この委員会を設置をされた。去年の六月十日にその報告書が提出をされています。  この中に、私が見逃せない論点がありました。それはどういうことかというと、その報告書の中にこんなことが書かれてありました。法務大臣が政治的配慮から指揮権を発動する選択肢もあり得た、これは民主党が依頼したその第三者委員会の指摘であります。そして、その報告書をもらって、鳩山代表、当時まだ代表でありますけれども、今後に生かしていきたいというような、そういう返事をされています。ここを見ましても、非常に危険なにおいがする。そうそう簡単に指揮権発動という言葉が出てくるんだろうか。私は、今の鳩山政権のその不安定さというものがその辺りから出てきているんではないかと、このようにすら思ってしまうんです。  だから、今申し上げました小沢民主党幹事長に今後も引き続き参議院選挙の指揮をゆだねたい、これは、実は前に総理が発言を撤回しましたけれども、石川議員が起訴されないことを望むと、これと相通ずるような発言だと思いますけれども、これが実質的な指揮権発動に当たるというふうには思われませんか。総理の見解をお伺いします。
  148. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 山本委員にお答えいたしますが、そのようには全く考えてはおりません。あの例の報告書に関しては、指揮権発動の話ではなくて、全体の報告書に対して、これはいろいろといいことを書いてもくださっているから将来に生かしたいという一般論を述べた話でありまして、指揮権のことを聞かれたときには、そのような発想はないと、私もそこでも申し上げているところでもございます。  そして、今、行政の長としての立場のお話もありましたけれども、私はそれなりにわきまえた中で発言をしているつもりではございます。最低限の節度は保っているのではないかと思っておりますが、代表として、小沢幹事長を含めて党役員体制を今変更する意思を何ら表明しておるわけではありません。したがいまして、現在小沢幹事長でありますから、小沢幹事長としては当然今のこの状況の中で参議院の選挙も戦っていただくことを考えていると申し上げただけでありまして、そのことが何も検察に対する何か指揮権の発動のような、圧力だというふうなことにおとらえいただくことは全く必要のない話だと私は考えておりまして、圧力でも何でもありません。なぜ私が役員の職責を語ったことが指揮権の発動になるのか、むしろ見解の相違だと、そのように申し上げたいと思っております。行政の長として、私はそれなりの思いの下で慎重に発言をしているつもりでございます。  なお、この石川議員のことで起訴されないことを望むと言ったのは、実は、一記者から、党の代表としてどんな思いかということで心のうちの願いを述べてしまっただけでありますが、誤解されてしまってはこれは遺憾だということで、委員会の中で真摯に発言は取り消したところでございまして、是非、指揮権のこととは全くかかわりのない話だと、そのように御理解を願いたいと存じます。
  149. 山本順三

    山本順三君 指揮権の発動、関係ないよと。それはそれで私も望む答弁でありますから、是非そういった形で粛々と進めてもらいたいと思いますけれども、その発言の重みというものがこういった質問に展開してくるんだということは是非総理もよく御理解をいただいておきたい、このようにお願い申し上げます。  それから、もう一点。  これはもう総理から答弁は耳にたこができるほどお伺いしました。月々千五百万円、お母様から資金提供、総額で十二億六千万、これ全く知らなかった。そして、検察が調べた。その結果、これは生前贈与だと。したがって、早々に約六億円、これを贈与税支払う。この流れは、まさにまだ鳩山総理御自身から自己の責任に関しての説明が果たされていない。検察の調べによると云々、あるいは私は何も知らない、これではなかなか我々が納得しようとしてもできないわけであります。  総理自らが国会答弁でこう語られています。母からの毎月千五百万に上る資金提供を全く知らなかったということが国民皆さんからいろいろと失笑を買っていると。これ、総理自らのお話であります。国民から失笑を買っている、こういう発言がリーダーの口から出る、我々国民からいいましたら、これはまさにリーダーとして大丈夫かなというふうに、大変失礼な話でありますけれども、つくづくと思ってしまいます。国民の七割近くが総理お話信じてないよというような、そういうアンケート調査も出てきております。私は、これはリーダーとしての大きな罪だというふうに考えざるを得ないと思っているんです。  そこで、何点かお伺いいたします。  一九九三年ですか、御尊父がお亡くなりになったときに遺産相続の話がございました。遺産申告額というのが百五十億余りというから、本当に大変な金額だったと思う。そうなってくると、相続税も五十億、我々は想像できないような金額であります。  それはそれとして、その当時、鳩山総理のコメントが載っておりました。どういうコメントかというと、相続した土地は売るならば価値はあるが、代々持っている土地は売るわけにはいかない、売買目的でない場合、相続税の認識を変えてほしい。  この相続税の認識を変えてほしいと言ったこと、その意図は那辺にあるのか、お聞かせいただければ有り難いと思います。
  150. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 突然のお尋ねでありますから、九三年当時のことを今思い出しておりますが、年末におやじが亡くなった、そしてその後、相続の話があったと。その相続は基本的に、軽井沢だったと思いますが、その土地の相続の話だったと思います。土地の相続に対して、それをどうやって払えばよいのかということの中で、多分そのときの思いを率直に述べたものだと思っておりますが、私は、今思えばどのような思いでそのようなことを申したのか必ずしも見当が付く話ではありませんが、なかなか簡単に、相続というのも難しいものだなという思いの中で述べたのではないかと推察をいたします。
  151. 山本順三

    山本順三君 恐らく、大変高い、五十億からの相続税ですから、大変御苦労なさったということは私も理解するわけでありますけれども、もう一つお伺いします。  昨年でありますけれども、十一月十四日、総理がシンガポールへ行かれて、そしてブルネイのボルギア国王と会談した際にこうおっしゃっているんですね。ブルネイでは税金が課せられておらず、日本国民も移住したいと考えるだろう。この発言は事実ですか。
  152. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) はい。それは、ブルネイのボルキア国王と首脳会談というか話をしたときに、多少うらやましいなという思いの下で、すなわち税というものがない国家というものに対する率直な思いを申し上げたわけでありますが、私自身として、国民の三大義務である納税義務を軽んずる趣旨で申し上げたつもりではございません。国家経済が健全で必要な行政サービスが供給されていると、国民にとって負担は少ない方がいいなという一般論を引いて、ブルネイの特徴で税がないということに対する思いを申し上げたところでございました。
  153. 山本順三

    山本順三君 憲法三十条を御存じですかという質問をしようと思いましたが、納税の義務が総理の口から出てまいりました。  総理は、課税権者である行政府の長なんですね。憲法三十条に国民の義務として納税の義務が語られている。そうしたら、本当に大勢の勤労者が一生懸命に税金を納めて、そしてそれを義務として差し出し、差し出すというのは表現悪いですね、納付して、その税金を活用させていただいて様々な施策を展開していく、その責任者が内閣総理大臣なのです。そうなったときに、よしんばこれが半分リラックスした中でのジョーク的な発言だったかどうか、それは私は分かりませんけれども、少なくとも、今ほど申し上げた税ということを一番真剣に考えなければいけない、そういう立場の総理がこのような発言をするというのはとても信じられない。余りにもその発言の軽さに驚いてしまうというのが現状です。皆さんも驚きませんか。私はびっくりしましたよ。  そこで、私は、これは先ほどの相続税の話もそう、それから今のブルネイ国王に対しての話もそう、鳩山総理税金に対してのこれ基本的な考え方というのがあるんではないだろうか。要は、富裕層にとっては税金高過ぎるよと、税金を節税する、脱税とまでは言いませんけれども、そういう思想があるからこそ、この十二億六千万円の生前贈与、本人は全く知らない、脱税ではないというふうに断じることができるのかなというふうに私は思わざるを得ない。  そこで、もう一つ申し上げます。  いわゆる総理の今までの国会答弁における発言がどういうことを誘発していくか。少なくとも国民の納税意識の低下に結び付くことは間違いないんです。そして、総理があのような形で後付けで贈与税を払う、そうしたら一般の人も、我々も早くに生前贈与しておこうと、ばれたら贈与税払えばいいじゃないか、そうじゃなかったらまあ何とかなるよというような、そういうムードが国民の納税意識の中に蔓延するということは、これは本当に我々は憂慮せざるを得ない事実なんです。そのことをしっかりと理解しておいてもらいたい。  恐らく一般の人、一億辺りの脱税したら、谷川幹事長もおっしゃっていましたけれども、一億辺り一年ぐらい量刑あるぞというぐらい重い、そういう脱税の結果だろうというふうに思いますけれども、是非そのことを理解してもらいたい。総理責任は大変重いということをあえてここで申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、森まさこ議員がいらっしゃいますけれども、この間の予算委員会で、総理は、売却株の一覧表、この一覧表を見せる見せないということでいろいろ議論がありました。見せるとお約束をしたそうですが、その後、提出されましたか。
  154. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 御案内のとおり、森まさこ委員にそのような御質問をいただいて、私もその委員会で直取引みたいな形でどうぞと、御覧になってくださいみたいなことを申し上げてしまいましたが、これは、参議院予算委員会としては、本来、理事がおり委員長がおると、そのようなところで直取引などをするべきではないということでおしかりをいただいて、したがいまして、一月二十八日の参議院予算委員会におきまして山本一太委員に御答弁を申し上げましたけれども、御指摘の資料の取扱いについては参議院予算委員長と並びに理事皆様にお任せをしているところでございまして、そこで取り扱っていただければと思っております。
  155. 山本順三

    山本順三君 直取引という今表現がありましたけれども、総理大臣国会議員に対して予算委員会の場でお約束なさったんですから、早くに森まさこ議員にお見せになった方がいいということを私からは申し上げたいと思う。  そこで、もう一つお伺いします。  この一覧表でありますけれども、総理はしっかりと目を通されていますか。
  156. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) はい、通しております。
  157. 山本順三

    山本順三君 先般の予算委員会で、総理は政治資金収支報告書は見てないというふうに答弁されましたが、それももう一回確認させてください。
  158. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) その答弁のとおりでございます。
  159. 山本順三

    山本順三君 私は、総理、政治家にとって政治資金収支報告書というのはまさに魂の分野だと思う。自分たちの政治活動の原点がその中に入っているんです。それを報告する義務がある。閣僚の中にも見たことないという方もいらっしゃいましたけれども、本質的にしっかりとこの政治資金収支報告書は見ることが我々政治家の最低限の責務だと思う。  その一方で、株の売却した一覧表というのは総理はしっかり見ている。私はこうつい質問したくなるんです。総理総理は政治家なんですか、それとも投資家なんですか、お答えください。
  160. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 投資家としては全く存在感はないと思います。投資家という認識は一切ありません。政治家をさせていただいていると、そのように理解しております。
  161. 山本順三

    山本順三君 最後にもう一つだけ、もうしつこいようですが、お伺いして、次の質問に移りたいと思います。  実は、先月でありますけれども、私がある大手新聞の読者の投書欄を見ておりましたら、東京の調布の中学生の投書が出ていました。私はそれを読んで本当に悲しい暗い気持ちになってしまった。首相は疑問に答えてくださいという、そういう投書なんです。ちょっと読ませてもらいます。  偽装献金が発覚し、鳩山首相の秘書が起訴されました。新聞やテレビで報道されるたびに疑問に思うことがあります。一つは、母親から毎月一千五百万円ももらっていたのに知らなかったこと。数年前まで、偽装献金問題で秘書に責任転嫁した議員に対して秘書のせいにするなと辞任を求めていたのに、自分の立場になると辞めないこと。もし今回の偽装献金が発覚しなければ、母親からの贈与に対して引き続き税金を払わないつもりでいたのかという三点です。日本を代表する首相が、ばれたら秘書に責任転嫁し、ばれなかったら知らんぷりするでは悲し過ぎます。国民の疑問に答えるべきだと思います。  十四歳の中学生です。私は、総理総理や我々の間で十二億六千万を知っていたか知っていないか、それも大きな重要なことではあろうし、あるいは検察との間でそれを知っていたか知っていなかったか、それも重要なことであると思う。でも、一番の大罪は何か。国民の、特に子供たち総理に対しての信頼感あるいは政治家に対しての信頼感をその言葉によってずたずたにしてしまう。だから、こんな投書が出てくる。私は、大きな罪だと思います。  私ではなくて、この中学生に今の三つの点、答えてあげてください。
  162. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) そのお子さんにお伝えを願いたいと思います。  ばれたら払うという発想は、私にはありませんでした。知らなかったものは、ばれるとかばれないとかいう以前の話でございます。それは、真実は一つしかありませんので、そこはなかなか額が大きいものですから、だから国民皆さんの失笑という言葉を使ってしまったわけでありますが、なかなか御理解をいただけないこと、この鳩山の家の問題に関して、大変そのことに対して、この小さなお子さんにそのような疑念を抱かせてしまうことも申し訳ないことだと思っておりますが、ばれたら払えばいいという発想じゃないんです。知らなかったことなんですから、どうしようもなかった話でございまして、そこのところはそのお子様にも分かっていただかなければいけないと、私は分かっていただきたいなと思っております。  是非、そこの部分が基本にあるんだと思っておりますが、私としては、ですから知った以上、すなわち検察が調べて事実が事実として判明した以上、法にのっとってしっかりと申告をして納税をすると、納税をする義務が当然人間としてはあるということも理解をしておりますので、私はその思いで、しかしながら、こういうことを少なくとも事務所として起こしてしまったことに対する責めというものは感じておりますので、身を粉にして、政権交代をさせていただいた以上、国民皆様方のためにしっかりと働かせていただきながら、国民皆様方にとって本当に政治は変わったなという状況を何としてもつくり上げていきたい、一生懸命頑張っていきたいと思っています。
  163. 山本順三

    山本順三君 さて、先ほどの総理答弁がその中学生にどう届いたのか、これは私の判断できるところではありません。ただ、残念ながら、例えば最初の質問は一千五百万もらっていたのを知らなかった、そんなことあり得ないというところから中学生の質問は始まっているということを重く受け止めてもらいたいと、このように思います。  最後に、総理に一言言葉を贈りたい。イギリスのノーベル賞作家のジョン・ゴールズワージーという人がその小説の中で登場人物に語らせた言葉だそうでありますけれども、こんな言葉です。世界中の政治家にはたった一つのルールがある。野党のときの発言を与党のときに口にしてはならないということだ。なかなか含蓄のある言葉でありますけれども、これ裏を返しましたら、与党になったら野党のような無責任な話したら駄目だよということにも受け止められると思いますけれども、そのことを総理に贈って、次の問題に移りたいと思います。  もう時間大分たっちゃいましたので、ちょっと教育問題飛ばしまして、地方から見た新政権の問題点ということについて何点かお話を申し上げたいと思います。  私、地方議員を、県会議員六期やりまして、二十一年間やりました。したがって、地方の声にしっかりと耳を傾けてというところから政治活動を始めておるつもりであります。しかしながら、その国民の声がしっかり我々に届いてなかったんでしょう、さきの選挙で我々は野党に転落をしてしまった。もう一回原点に立ち返って、地方の声をしっかり自分のものとして、そして与党の皆さんに対して正々堂々たる議論を、あるいは論陣を張っていかなければならないと思っております。  そんなことで、野党になってからいろいろと、私は愛媛県の出身でありますけれども、試行錯誤をして、そして地元の愛媛県の首長さん、市長さん、町長さん、個別にいろいろと聞き取り調査をいたしました。また、政策検証会議というのを立ち上げました。これは、地元の自民党の四人の国会議員全員と、それから自由民主党の県会議員の執行部の皆さん一体になって、今まで長い間付き合ってきた、そういうそれぞれの団体の皆さん方の率直な意見を聞こうではないか。ちょうど刷新会議の中で仕分作業が行われた後にこういうものを立ち上げて、七グループに分けて六十団体からいろんな御意見を聞かせてもらいました。これ、まだこれからも聞いていくわけでありますけれども、そういった声をベースにして、これから何点か質問をさせてもらいたいと思います。  まず第一点、コンクリートから人へ。このことについてのいろんなお話がありました。今ほども、少しメッセージ性が強過ぎるんではないかというようなことをおっしゃる民主党の議員さんもいらっしゃいました。我々もそのように思っています。  そこで、ちょっと明るい話をしたいと思うんでありますけれども、今、私の隣の席に冬季オリンピック金メダリストの荻原健司さんが座っていらっしゃいまして、私に激励の言葉を掛けてくれました。これ、質問に絡んで激励の言葉を掛けてくれたのかと思ったら、そうじゃないんですね。実は、愛媛県出身で愛媛県を拠点にしてスノーボード、これのハーフパイプというんでありますけれども、これの金メダル候補がいるんです、青野令君というんですけれども。この彼が今度バンクーバーのオリンピックへ行くから頑張れよという、その激励の言葉を彼は掛けてくれたわけでありますけれども。  なぜ北国じゃない愛媛県で世界で金メダルをねらえるような選手ができたのか。これは実は、松山の周辺に、東温市というところでありますけれども、アクロスという屋内のスノーボード専用の場所ができた。そして、そこで彼は一生懸命連日練習をして、そこまでレベルアップした。これは何を意味するかというと、コンクリートから人というんじゃなくて、コンクリートが人を育てるということがあり得るんだということの検証事例として今申し上げたのです。  是非、この青野令君、恐らくや金メダル取ると思いますから、皆さん方も大いに応援をしていただきたいと思いますが、その施設があったからこそ、愛媛県からそういうメダリスト候補が出たということを御理解いただきたいと思います。  そこでもう一つ、さはさりながら、コンクリートから人へという、その人が田舎で目から涙流しているんです。  昨日の岡田議員の質問でもありました。本当に地方の建設業者の皆さん方、幅広い皆さん方でありますけれども、次から次へ倒産が出る、そして雇用の場が失われてしまう。また、田舎で生活する人、農林水産業を一生懸命やるけれども、それだけでは生活できない、だから日々雇用という形で日雇で労務者として建設業界、業者に行こうとしても、そこでも受け入れられない、だから限界集落も守れないという、そういう現場が、総理、もう至る所全国あると思う。是非一度愛媛県にもお運びいただきたい。私が御案内申し上げたい。そして、その場で苦労している人の声を直接聞いてもらいたいと思う。  恐らく、一口に公共事業一八・三%カットと言いますけれども、これだけ不況になって大変な状況地域経済の中で一八・三%、これは一律ですからめり張りは利かすんでありましょうけれども、これの影響が雇用でどれだけ出るか。これは私は想像もできないような状況になってしまうんじゃないか。このことに対して、我々はしっかりとした政治責任を持って雇用対策なり景気対策なり、そういったものを打っていかなければならないと思うんですけれども、何かしら公共事業は悪であるというようなムードが蔓延して、そしてコンクリートから人へ、すなわち一八・三%の予算のカット。  地方は本当に涙していますけれども、このことについてどういうふうに思われますか。
  164. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) じゃ、先に私の方から申し上げます。  コンクリートを悪者にするつもりはありません。是非、コンクリートで育てられた青野令君が金メダル取られることを祈念をいたします。  私ども、ただ、公共事業というものに依存して今日まで地域が発展してきましたけれども、果たしてこの生き様でよいのかどうかということを立ち止まって考えなければならないときになっているのではないかという思いでございます。したがって、今回、大変大幅に公共事業予算カットをさせていただいた。  しかし、公共事業、本物のというか本当に重要な事業というものはこれからも進めていかなければならないと思いますし、そして進め方においても、民間の知恵とか資金というものをうまくリードできるような、そういうやり方というものも考えていく必要があるんではないかと、そのように思っておりまして、私も、愛媛県以上にある意味で、北海道日高地域、極めて過疎の町がたくさんございます。そういうところを日々見ておるところでございますので、地域の大変厳しい状況というものは認識している中で、ただ、やはり新しい発想が今こそ求められているということで今回のような予算を作ったところでございます。
  165. 山本順三

    山本順三君 恐らくこれ、年度末からかなりの倒産も出るでしょうし、そういったことに対しての対策というものはしっかり打ってもらいたい。本当に地方が今疲弊してしまっているという現実を目の当たりにしながら我々は政治家としてのやるべきことをしっかりやらなければならないと思いますので、そういう観点でこれからも議論していきたいと思います。  前原大臣にはこれからお伺いします。  その流れの中でもう一点。ダムは無駄かというような、そういうムードが今蔓延してきました。ダムは無駄なのかな。実は、私の愛媛県も山鳥坂ダムがありますけれども、これも取りあえず止まってしまいました。その山鳥坂ダムというのは、肱川という川がありまして、このひじなんですね、だから、ひじのように曲がっている、そういう特別な川でありますし、なおかつ、河口口は普通広がっているんだけれども、それが狭まっているという、そういう特殊な状況。そして、河口口に行く手前の盆地、大洲盆地といいますけれども、これが標高ゼロメーターのところなんです。だから、少し雨が降ったら必ずはんらんしてしまう、そして大変な被害が起こる。私は平成十六年に参議院に来させていただきましたけれども、十六年、十七年とそういう被害を見に行きました。  今、検証委員会が立ち上がって、その検証委員会でどうするかという議論をされておりますけれども、委員長さんは今回当選された代議士でありますけれども、民主党の代議士でありますけれども、本当に彼も非常に重い責任を負わされているんだなと私は思っています。そして、地方皆さん方も反対運動の方が中心になってこの検証委員会、議論してもなかなかいい答え出ないんだろうな、反対の声もあるが賛成の声もある、長い間一生懸命に温めてきて今日があるという現実だけは是非、大臣も頭に入れておいてもらいたい。この地元の話をしても、それは改めて地元の代議士と一緒になって大臣のところへ私はこれ陳情に行こうと思っていますから、それはそれとして。  今日は、そのダムは無駄かということで、胆沢ダムとそれから八ツ場ダム、これちょっと資料、(資料提示)こういう比較表を作りまして皆さんのお手元にも出していると思いますけれども、胆沢ダムと八ツ場ダムを比較してみますと、事業量は、胆沢が二千四百四十億、八ツ場が四千六百億、八ツ場の方がはるかに大きいです。今の事業の執行額というのでは、胆沢は千六百十七億、八ツ場ももう三千二百十億も来ている。だから、事業の執行率からいったら胆沢の六六・三%に対して八ツ場は七〇パー。もっと大事なところはBバイC、BバイCの話を道路で今日はしたかったんですが、これはまた改めてやらせてもらいますけれども、このBバイCも、胆沢一・七に対して八ツ場は三・四もある。でも、胆沢は続けるけれども、八ツ場はやめる、これはどうなんだろうな。  大臣答弁聞いていますから、胆沢の方は本体工事をもうやっているんだと、八ツ場はまだやっていないんだということですけれども、ダムというのは御案内のとおりで、やると決めたら、住民に対しての補償、住居も移転しなければならない、そして道路は付け替えなければならない、鉄道があったら鉄道も付け替えなければならない、そしてダム本体を造って、湛水してという一連の流れの中でダムのこの事業費というのは出てくるわけですね。それが、片や六六・三%、片や七〇パーで、八ツ場はそれでもやめます、胆沢はやります。何なんだろうか、まだ分からないんです。  で、私は想像しました。この胆沢ダムというのは小沢幹事長との関係が非常に深いからやめられなかったんだというようなことを考えましたが、どうですか。
  166. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 山本委員、前国土交通大臣政務官をされておりまして、国土交通行政にはお詳しい方だと思っております。  先ほど総理がお答えになったことに若干ちょっと付け加えてお話をいたしますと、いつも申し上げているように、人口が減っていく、少子高齢化が進んでいって社会保障にお金が掛かる、そして日本GDPの倍以上の借金を抱えるようになったという中で、新規の公共事業はできるだけ抑制しないと、これ維持管理もかなり掛かってまいりますので、そういう意味での公共投資を抑制をするということで減らしておりますけれども、コンクリートから人へというのは、別にコンクリートが悪いのではなくて、人への予算配分を変えたということであって、その結果、子育て支援手当とかあるいは社会保障、教育、そういうものに変えていっていると。  今おっしゃったことでいいますと、これ愛媛の私、事例出しますよ。つまりは、公共投資は減っているけれども、日本全体の地方財政計画は増えているんですよ。つまりは、地域において落ちているお金は増えているんですよ。ですから、公共投資だけで地方が疲弊するという言い方はおかしいんであって、それは事業が来ない建設会社にとってはそれは厳しいですよ。しかし、この地域というところに目をやった場合にはお金はより落ちているんですよ、民主党政権において。それは是非、愛媛のお金をしっかり出しますから、そこはしっかりと大局的に物事を見て御判断をいただきたいというふうに思います。  それともう一つは、胆沢ダムと八ツ場ダムということでございますが、これも政務官をされていたので御存じだと思いますけれども、ダムというのはそのそれぞれによって個性があります。八ツ場ダムというのは、本体工事以前にその附帯工事あるいは生活関連事業にかなりお金の掛かるものでございまして、しかも初めは二千百億円でした、総事業計画が、それがどんどんどんどん膨れ上がっていっているということです。胆沢ダムというのはロックフィルダムということでございまして、しかもそういう関連事業というのは少ないものであります。そういう意味では、胆沢ダムは本体工事がもう九九・九%完成をしておりますし、残っているのはあとは洪水吐き口であります。八ツ場については本体工事は全く行っていないと。  そういう意味で、我々としては、八ツ場は再検証の対象にさしていただき、胆沢ダムは九九%本体工事についてはできているということでございます。
  167. 山本順三

    山本順三君 もう時間が来てしまいました。したがって、次に譲らなくちゃいけないけれども、これ、せっかくこの資料を作ったので、これだけ皆さんに見ておいてもらってからと思うのでありますけれども。  これは公立学校の耐震化、今日、那谷屋議員からもいろいろ話がありました。私も大賛成であります。是非総理にお願いしたいのは、これだけ我が党は補正でどんどんどんどん足し込んでいきました。がたっと今落ちていますけれども、恐らくまた補正で入れてくれるんだろうと思うんです。是非いろんな、これは予備費もあるでしょうし、あるいは年次計画も立ててもらいたい。今の年次計画はもう終わっていますから次の年次計画を立てなければならないということでありますので、是非この点は、いのちを守るんですから、子供いのちを守ってもらいたい、そのことをあえて申し上げて、ちょっと消化不良でありますけれども、これで私の質問は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  168. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 関連質疑を許します。岸信夫さん。
  169. 岸信夫

    岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。今日は初めて総理に御質問させていただくわけですけれども、総理は先日の施政方針演説の中で、いのちを守る、いのちを守りたいということを何度もおっしゃいました。まさに国民いのちと財産を守るということが国の責任でありますし、その国のトップリーダーである総理責任である、こういうふうにも思っておるわけでございます。  もう一つ、総理いのちを守りたいと言ったその背景には、もしかしたらないかもしれないんですけれども、国の防衛とか安全保障、これもやはり国民いのち、財産を守る、これを目的とした大変大きな国の仕事であるわけです。いろいろと総理の御発言、米軍再編、あるいは特に沖縄の普天間の関係、日米安保の問題、こうした御発言を聞いておりますと、その辺りが非常に心配になってくる部分があるわけでございます。  そこで、まず、国を守る、防衛という観点で国を守る、あるいは国民を守る、いのちを守り財産を守る、そのことに対する総理の御意思をまず確認しておきたいと思います。
  170. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 国を守るということは、ある意味で国民いのちを守ることでありますから、最も大事なことだと思っております。その国を守る、いわゆる万一のときに備えて防衛省・自衛隊というものが存在をして国を守っていると。そして、しかも彼らは例えば災害が起きたときにその災害救助にまず真っ先に駆け付けて努力をしてくれていると。その意味における防衛というもの、まさに私たちの、国民皆さんいのちを守る仕事をしてくださっていることは大変感謝をするべきことであり、おろそかにしてはならないことは言うまでもありません。  いのちを守るという思いの中に当然のことながら国民のすべてのいのちを守る、いわゆる防衛ということも中に含まれていると、そう御理解を願いたいと存じます。
  171. 岸信夫

    岸信夫君 総理のお言葉の中からは、内政面におけるいのちを守る、すなわち社会保障とかそういう形でしっかりといのちを守っていくんだ、そういうことはよく分かったわけですけれども、なかなか今我が国を取り巻くこの安全保障環境というものを考えますと、こちらも大変複雑になっておる。冷戦が終わってからもその残渣を引きずっているのがこの我が国の周辺だ、こういうふうにも思っておるわけです。  北朝鮮、あるいは中国、そして東南アジアの方もいろいろと問題が多いと、こういうふうにも思っているわけでございますけれども、まずちょっと北朝鮮の問題から入っていきたいなとは思ったんですが、午前中の審議の中で、民主党白眞勲委員からも拉致問題についての質疑がありました。総理からも御答弁がありましたけれども、これも我が国の何の罪もない国民が連れ去られてしまう。北朝鮮によって日本人が、日本人の人権がじゅうりんされ、そして国家の主権が侵された大変大きな問題であると、こういうふうに思いますし、先ほどもその辺りについて総理からも御決意があったんだと、こういうふうには思いますけれども。  それだけ、いのちを守ると、そして北朝鮮問題にも真剣に取り組んでこられる、こういう内閣でございますけれども、菅副総理、あなたは北朝鮮の拉致実行犯である辛光洙の釈放嘆願書に署名をしていますね。ちょっと御確認をお願いします。
  172. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 岸委員から初めての御質問にこういうテーマが出てきたのは、あなたのお兄さんからも同じ質問をテレビの席で総理になられる前にいただきまして、その場でも、NHKでお答えしました。ですから、よくお聞きをいただきたいと思います。  多分八五、六年だったと思います。一九八五、六年に当時の社会党が、日本で生まれた在日韓国人の方、大学なんかに行っていた方が、全斗煥政権のときでしたか、韓国に戻って民主化運動をして、逮捕されて何人かが拷問に遭ったと言われることがありました。そのころに、当時の社会党が中心にそういう皆さんの釈放要求をしようということで署名を集められました。  私は当時社民連という小さな政党におりまして、時の代表は昨年亡くなられました田英夫さんでした。田さんから、こういう趣旨だから、つまり、日本で生まれた在日韓国人の方が韓国で民主化運動をやった、そして捕まった人を釈放するための署名だから署名してほしいと言われました。私は、その趣旨ならいいでしょうということで署名しました。当時、社会党からはかなりの多くの人、公明党からも数名の人、まあ社民連というのは元々全員でも数名しかいませんから、その数名が署名をいたしました。  その後、かなりたってから、週刊誌等でその署名要求の中に辛光洙工作員が入っていたということが報道されて、私も率直なところびっくりいたしました。そして、私なりに調べましたが、現物はどうしても手に入りませんでした。週刊誌のコピーは入りましたが、現物は手に入りませんでした。  そういう中で、私としては、そういう人物が入っていたということを当時は知らなかったにしても、そういう点では大変、そこまでちゃんと現物を見ないでそういう形でサインしたことについては私の不明のところだということで謝罪をいたしました。  しかし、申し上げておきますけれども、工作員である辛光洙のその存在を知ってその助命嘆願にサインしたのではない。当時、今は野党ですが、公明党の皆さんも多分署名された大部分の人はそういうことの事実を知らない中で署名された。  それが加わった経緯を私その後大分調べました。韓国大使館にもいろいろと間接的、直接的に問い合わせて調べましたが、残念ながら今日に至るまでその過程は韓国大使館においてもきちんとは把握をされていないというのが現状であります。
  173. 岸信夫

    岸信夫君 今いろいろと言い訳的なことがございましたけれども、全部で百三十名以上の方が署名をされている。百三十人以上の国会議員の方が署名をされているようでございます。これは副総理のホームページから私は拝見したんですけれども、超党派の国会議員の方が合計でそれぐらいの数はおられたと、こういうことでございます。  ただその中で、今政権に入っておられる、特に副総理という立場で入っておられる菅副総理なんです。そのことを私は申し上げている。ですから、このことに対してのしっかりとした謝罪、それはホームページはされていますよ。公の場でされていますか。
  174. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 先ほども申し上げましたように、岸委員の実の兄に当たられます安倍晋三元総理が、総理になられる前に、NHKの日曜討論でこのことを国民の前で私に質問されましたので、今、岸議員にお答えしたのと同じようにお答えをして、今も申し上げたつもりですが、当時、工作員である辛光洙の名前がその中にあることは知らなかったけれども、そういうことが事実だとすれば私のまさに至らなさであったと、そういうことはその席でも申し上げました、全国民が見れるテレビの席でも。また、おっしゃったように、私の自らのホームページのブログ、どなたからでも引けるところでも申し上げました。記者に聞かれたときにも申し上げました。そういう意味で、私のことはきちんとやっていると思います。  あえてもう一つだけ申し上げますと、一九九〇たしか五年になりますけれども、渡辺美智雄団長の下で自社さ三党で北朝鮮に訪問したこともあります。当時はまだこの問題が余りしっかりと表に出る前でありましたけれども、そういう中でも北朝鮮に対して、当時さきがけでありましたけれども、私は、いわゆる自民党と社会党がかつて金丸訪朝団で訪朝されたときの償いという文書についていろいろな議論がありましたが、私は、絶対にそういうものを入れるべきでない、さきがけはそういうことは一切かかわっていないからと、そういう主張をしたこともありまして、あの国がどれだけ相手として難しい国かということは私もそのときを含めて身をもって知っているつもりであります。
  175. 岸信夫

    岸信夫君 すなわち、そのときは知らなかったけれども、ちょっとひどい国だなと今は思っておられると、こういうことでございますね。  逆に言いますと、副総理、今は副総理ですけれども、当時、助命嘆願をされる、そういうある意味では非常に重要な書類に対して、どういう人たちが、一人一人がどういう人たちかということを確かめなかった、そういうことですね。  この署名、嘆願書については一九八九年に署名がされておるようでございます。その前年、一九八八年、昭和六十三年の三月二十六日、参議院予算委員会で辛光洙のことを、話題になっているんですね、議論になっています。  そのときに、橋本委員のこの質問に対しまして、いわゆる辛光洙事件、こういうことが答弁で入っております。辛光洙が、これは一九八五年に摘発した事件です、独身の中国料理店のコックさんが船に乗せられて拉致されたと、このことを辛光洙がやったと、こういうふうに言っているんです。表に出ているんですよ、この辛光洙という名前は。  しかしながら、副総理はそのときにそこを気が付かないで署名をしてしまったと、こういうことですね。
  176. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 私は自分の知っている事実を申し上げたところです。  当時、百十何名、岸さん、御覧になりました。
  177. 岸信夫

    岸信夫君 一部は。
  178. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 当時、社民連というのは五名の国会議員ですから、公明党の方が何名だったか分かりませんが、一けただったと思います。つまり、大多数は社会党の、当時委員長がどなただったかは覚えていませんが、まさに、方が中心になって集められた署名です。  それから、もう一つ岸議員にお聞きしたいですが、現物なり現物のコピーをお持ちですか。私は大分探しました、率直に言って。大部分の、ですから、今も申し上げたように、嘆願署名の中は、私が理解しているのはですよ、さっき言ったように、東大とかいろんな大学に行っていた在日の韓国人の人が戻って、全斗煥政権の中で民主化運動をやって逮捕されて、当時はかなり拷問も激しくて、そういう人を救済するための嘆願書だということで、たしか全斗煥大統領がやってくると、たしか選挙のもう直前じゃなかったでしょうか、一九九〇年の選挙の。そういう中で、私が調べた中では、これは確証がありませんが、ちゃんとプリントされたものではなくて、手書きのものが韓国大使館に持って行かれたというふうにも聞いております。週刊誌にもそういうものがちらりと写真が出ておりました。  現物を見られました。あるいは現物のコピーを。  私は、そういう中で、率直に申し上げて、その嘆願署名の趣旨は、当時の私の所属していた民主党の代表であった田英夫代表から、こういう趣旨だから署名をしてくれと言われたので署名をいたしましたが、その具体的な名前は確認をいたしておりません。それは、後で付け加えたかもしれません、サインとは別個に。  そういう意味で、確かに私もうかつなところがありましたので、そういった意味では、もちろん知っていれば署名などいたしませんでしたが、そういうところでは政治家としてのうかつさがあったということで、この場も含めて、それは謝りたいと。しかし、決して私が、その後その前含めて、こういった問題に対してそれを認めるとか許容するとかということは、確かにこの一点においては私も一つのミスだということは認めますけれども、その前を含めて後を含めて、それを許容するようなことを行動も発言もいたしたことはありません。
  179. 岸信夫

    岸信夫君 私は現物を見ておりません。だから聞いているんです。署名をしたかどうかを聞いたと、こういうことです。  それで、もう一人、今の鳩山政権の中でこの書類に署名をされたと、こういうふうに言われておる方がおられます。法務大臣、これも先日の衆議院の委員会で謝罪をされていますね。これを署名をされたと。こういうこと等含めて、確かに菅副総理と同じような立場で、中身を知らなかった、でも、サインをしたことはうかつだったけれども、謝罪をされたと。このことをちょっと確認をさせてください。
  180. 千葉景子

    国務大臣(千葉景子君) 私も大分、二十年以上前のことでございますので、記憶がはっきりしておりませんし、やはりその署名についてどのようなものかというものは、今もう手元にありませんし、探しても今探し出せないというのが実情でございます。  ただ、御指摘のような形で、もしそこに辛光洙が含まれているということであったとすれば、一政治家としても大変うかつであったと改めて反省し、謝罪をさせていただいた次第でございます。
  181. 岸信夫

    岸信夫君 千葉大臣は十一月十七日の衆議院の法務委員会でお話をされているんですけれども、このときに、嘆願書がどこにあるか分からないと、ただ、調査中ですと。その後、調査結果はどうなったんでしょう。
  182. 千葉景子

    国務大臣(千葉景子君) 私も可能な限り、あるのか、あるいはどういうところに写しなどが存在しているのか、私なりに調査をさせていただきましたが、かなわぬことでございました。
  183. 岸信夫

    岸信夫君 これは、北朝鮮の拉致問題というのはまさに我が国にとっても大変大きな問題である、このことは皆さんも共通した認識であると、こういうふうに思うんですけれども、やはりしっかりとした国家の意思を示さなければいけない、内閣の意思としてもしっかり示さなきゃいけない。そういう中にあって、過去においてもいろいろなことがあった、そういうことで間違ってかもしれませんけれどもサインをしてしまったかもしれない、そういうようなことがあるから、例えば拉致事件に対してその追及がおろそかになるというようなことはあってはいけないんだと、こういうふうに思うわけです。  それで、昨年、鳩山総理はこの拉致問題に対しての解決について、生存者の即時帰国、そして安否不明の拉致被害者に対する真相究明、それからもう一つ、我々のときは拉致被疑者の引渡しと、こういうものが拉致対策本部の中にあったわけです。これをもって解決の条件とすると、こういうことになっていたんですけれども、鳩山総理は十月十三日に新しい拉致対策本部を立ち上げました。従来の本部を解散をして新しい組織にしたと。そのときに、この拉致被疑者の引渡しということを外しているんですね。中井担当大臣、なぜこれを外したんでしょう。
  184. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 小泉さん、安倍さんが北朝鮮へ行かれて、三組の方々が一時帰国という形で帰られてから七年、御家族がお帰りになって五年でございます。この間、何人かの総理が替わられましたけれども、それじゃ、その中で何か具体的に進展があったのか、具体的に何かなされたのかと。私は、超党派の拉致議連の副会長、会長代理もずっと続けてきましたが、このことについて随分悔しい思いをしてまいりました。  今回、鳩山総理思いの中で、何としても拉致問題の解決の突破口を開くと、こういうことで私は大臣に任命されました。その中で思いを込めて真相究明、安否確認、そして全員の帰国、これを第一に集中すると。そして、先ほど白さんのお話にお答えいたしましたけれども、国内において幸い私が警察を担当しておりますので、過去の事件の徹底的な追及、これをやる、こういう形で現在、方針を固めて努力をいたしているところであります。
  185. 岸信夫

    岸信夫君 中井大臣がその拉致議連の中で大変この問題に真剣に取り組んでおられる、御尽力をされているということは、私もよく存じておりますし、敬意を表するところであります。  しかし、だからといって、今北朝鮮に対して、これまで三つの条件を挙げていたことを、一つ今の時点で取り下げるということの意味が何かあるんでしょうか。私は、これは勝手に一枚のカードを引き揚げた、そういうことと同じではないかなということを思いますと同時に、やはり菅副総理と千葉大臣がいらっしゃることが、辛光洙を引き渡せと、こういうことに対する何かあれがあるんですか、問題があるんですか。
  186. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 私も三十年に及ぶ国会議員生活をいたしております。この拉致問題ほど本当に悔しい情けない思いをして国会議員としていることはありません。  そういう活動の中で、旧の社会党の方含めまして、そんな活動をするなとか、拉致はないよとかいう話を一度も聞いたことはありません。菅副総理とも随分長いお付き合いになりますが、真剣に日本人のいのち、拉致という問題についての解決、常に憂慮していただいておると思っております。また、千葉法務大臣とは、この死因究明含めていろんな形で協議をいたしてまいります。今日まで一度もそういう残念な話、聞いたことはありません。委員の邪推という以外はありません。
  187. 岸信夫

    岸信夫君 今、辛光洙は北朝鮮でのうのうと暮らしているわけです。国会議員としてやっていると私は了解しておりますけれども、彼は実行犯なんですね。そして、中心人物だった。たくさんの情報を持っているはずですよ。そういう彼に対して、彼があちらの国にいることに対して、この拉致実行犯、被疑者、これの引渡しを要求しないと、これはおかしいじゃないですか。
  188. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 日朝のいろんな交渉が表裏あったんだと思います。その中で、私は日本政府が辛光洙の日本への引渡しを要求したという事実について承知をいたしておりません。  あえて申し上げるなら、大変厳しい苦しい交渉、そういう中で、よど号犯人、よど号の実行犯を日本へ返す、そのことによって実行犯の引渡しということがなった、それによって万景峰号が日本へ来るという条件緩和をすると、こういう交渉があったと私は聞いて、そちらの方を心配しています。
  189. 岸信夫

    岸信夫君 これは外交の交渉ですからいろんなことはあると思いますよ。  だけども、しっかりとした国の意思なんですよ、これは。犯人をしっかりこっちに引き渡してもらわなきゃいけない。そのことをやらないで、たくさんの人が連れ去られている。これはもう事実なんです。そして今、家族や親族、関係者たくさんおられます、そしてサポートをされている方、こういう方が非常に残念に思っているんじゃないですか。  この辺りについて、まず総理総理の御意見を伺いたい。いのちを守るっておっしゃっているんですから。
  190. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 岸議員もお兄さんもこの点について御非難をいただいているということは前々から承知をいたしております。  しかし、今のお話を聞いたら、犯人引渡しの方が優先に聞こえるじゃありませんか。私どもは、日本人の被害者を取り戻す、これが第一だと、そのために徹底した情報収集をする、その後幾らでもやり方はあるじゃないかと、このように考えておりまして、全力を挙げて頑張りますので、御支援のほどをお願いいたします。
  191. 岸信夫

    岸信夫君 当然ながら、それは日本人を取り戻す、これが一番ですよ。当たり前の話ですよ。それを含めて三つの条件というものを出していたはずです。そのことを、なぜ一つ今引き揚げなきゃいけなかったのかということを言ってた話です。これは相手に対しておかしなメッセージを与えることになりかねない、そういうことを私は申し上げているんです。  そのことに対して、それはいのちを守る、当たり前ですよ。でも、結果的に辛光洙のいのちまで守っているような形になっちゃっているじゃないですか。そのことについて、総理、お答えください。
  192. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私どもは、何も拉致の実行犯の引渡しを求めないなどということを決めているわけでもありません。当然のことながら、このことも行いたいと思います。  しかし、これから北朝鮮としっかりと交渉をしながら、一番大事なことは、早く拉致の被害者の方々に安全に日本に戻っていただくことじゃありませんか。それを最優先をしたいという思いの下で、我々として拉致対策本部、先ほども中井大臣お話をされましたけれども、中心となって今最善を尽くそうとしているわけでありますから、どうぞ岸委員にも、そのようなお話をされずに、むしろ協力をしていただいて、こういう問題には別に与党も野党もありませんから、お互いに情報を集めて、もう岸委員が新しい情報をお持ちならそういった情報をお教えいただく中で、拉致問題の全面解決していこうじゃありませんか。お願いします。
  193. 岸信夫

    岸信夫君 もちろん、総理のおっしゃるとおり、これは党派にかかわらず国としてやっていかなきゃいけないことです。我々も一生懸命協力をできるところはしっかり協力をしてやっていかなければいけない話です。でも、そのことと、拉致被疑者を取り戻す、拉致被疑者を引き渡させる、このことを条件から外すということは全く違うレベルの話ではないかと私は申し上げておるわけでございます。  そういうことで、とにかく北朝鮮に対しては、確かに厳しい交渉であることは間違いないわけです。我々が政権担当していたときも、おっしゃるとおり、なかなか物事が前に進まない、実際前に進みませんでした。一部はちゃんと生存者を引き渡してもらった、しかしその後は大きな目に見える変化がないじゃないかと言われればそのとおりかもしれない。ですから、この問題は大変難しい問題だということは皆さんもお分かりのことだと思います。  自民党の政権の下で何も進まなかったじゃないかという非難がありましたけれども、それぐらい難しい交渉を今度は皆さんが中心となってやってもらわなきゃいけないわけですよ。その中でしっかりとした、じゃ今までこうだったものを引き揚げる、このこと自体がおかしなメッセージになるんじゃないかと私は申し上げているんです。もう一度。
  194. 中井洽

    国務大臣(中井洽君) 午前中にもお答えを申し上げましたが、かなり古い前の事件、今なら犯人あるいは日本国内の協力者、逮捕できた、捜査できたことがいっぱいあったろうと思います。これをすべて見逃してしまったと、ここに私どもは反省があると考えております。  同時に、小泉さん、またお兄さんの安倍さんが官房長官一緒にお行きになって平壌宣言をなされたわけでありますが、この平壌宣言をもって北朝鮮は終わっているんだと、次は日本がいろんなことをやるべきじゃないかという終始一貫した対応で政府、当時の与党は苦労されてきたことを私どもも承知をいたしているわけでございます。  しかし、私どもは、現実的に生存者がおられるという情報をきちっと追いかけて、そして確認をして、いろんな国の人々の助けを得て、これらを突き付けて北朝鮮に交渉の場へ出てもらう、このことを実行して生存者を取り戻していきたいと考えております。  まず生存者を取り戻すと、このことは一番大事なことだと、おしかりはおしかりとして十分心に畳んで、私も警察担当でありますから、やってはまいりますけれども、とにかく御家族の方は高齢であります。一日も早く家族に会いたい、こういう思いでいらっしゃると、この気持ちを大切にして頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。
  195. 岸信夫

    岸信夫君 とにかく多くの御家族がまた拉致の被害者の皆さんにお会いできると、一日も早くお会いできる、そのことに向けて全員総力を挙げてやっていかなきゃいけない大変な時期だと思っております。  その意味で、今いろいろな御答弁をお聞きしました。その中で、決して拉致の被疑者の引渡しを要求しないということではない、ただしいのちを、まず生存者を取り戻すことが第一だ、こういうことです。そのこと自体は私ももちろん賛同する部分であります。ですから、たとえここの文章が落ちたとしても、彼らの情報が、被疑者の情報が生存者の引渡しにつながることだってあるわけですから、しっかりその部分は頭に置いてこれから交渉をしていただきたい、こういうふうに思っております。  もう時間がちょっと過ぎてしまいましたので、次の質問に移りたいと思います。  米軍再編の問題でございます。総理は、今普天間飛行場の解決について五月を、五月末を期限と、こういうふうにおっしゃっておられます。そこに向けてゼロベースで進めていくんだ、こういうふうにおっしゃっております。昨年の九月、政権が替わって今で約四か月が過ぎました。この五月の時点を考えますと、あと、ですから合計で八か月ぐらいが政権が移ってからたつわけですけれども、なぜこの五月末という期限を切られたんでしょうか。
  196. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 岸委員にお答えをいたします。  先ほどの丸山委員からもお尋ねがありましたが、私は普天間の基地の状況を考えたときに、まずこれを一日も早く返してもらいたいと、取り戻せと、基地のなくなる状況を一日も早く実現をさせなければならないと、そのように基地の周辺の皆様方が熱望しておられる、その思い、よく分かります。安全性の問題、騒音の問題を考えたときに、その思いはよく分かります。しかし、だからといって、昨年の末に必ずしも結論を出すということを私は行いませんでした。そして、今年の五月という時期を設定をいたしました。あと三年ぐらい掛けたらどうかという丸山委員からのお勧めもありましたが、そこまで待てないと、そのようにも思います。また同時に、アメリカ側としてもそこまでは待てない、その思いもあろうかと思います。  八月、七月に参議院の選挙があります。その前にやはり結論を出すべきだと、そのようにも考えておりますし、ちょうどある意味で、予算から様々な大きな、また予算以外の議論というものにも熱の入ってくる時期でもないかと、そのようにも考えておりまして、国会の時期なども検討していく中で、やはりぎりぎり五月末だなと、そのような思いをいたしたところでございまして、五月末までには必ず最終的な結論を出させてもらいます。
  197. 岸信夫

    岸信夫君 なぜ五月末なのかというのは、私が申し上げましたのは、なぜ、じゃ四月じゃいけないのかと、そういう部分も含めてなんですが、アメリカ側の予算措置について、五月末に結論を出したのでは間に合わなくなる、向こう側が間に合わなくなるということはないんですか。
  198. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 少なくともアメリカ側から、私どもが五月末までに必ず結論を出しますということを申したときに、彼らとしても分かりましたと、そのことは、日本状況というものを理解をいたしますと。当然、彼らとすれば辺野古に移設されることを期待をしているという思いは当然伝わってきておりますが、五月までは待つということで理解をしております。
  199. 岸信夫

    岸信夫君 その五月末の解決中身なんですけれども、先日の総理の御答弁の中で、三つ、地元の了解、それから米国との合意、そして与党内三党の合意と、この三つをすべて五月末までに解決した上でどこに移すかということがファイナルで決まると、こういうことでよろしいですか。
  200. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) はい、そのとおりでございまして、まずは沖縄の県民の皆さん方、さらにはアメリカにも理解を求めなければなりません。その前に、連立与党でありますので、連立三党の合意というものも取っておく必要があると。その三つを満たす中で、五月末までに結論を出しますと申し上げております。
  201. 岸信夫

    岸信夫君 これは、同僚の山本委員からの質問の中で、一月二十八日予算委員会、このことを覚悟を持って決めると、こういうふうに総理はおっしゃっておられました。「必ず五月の末までに結論を出しますから。その覚悟を持って臨むということに尽きる。」と、こういうふうに御答弁をされました。  この直前の山本議員の質問というのは、「総理が覚悟を持ってやるというならば、できなかったらもう自分の首を懸けてやると、そういうことを言うことがなぜ難しいんでしょうか。」と、こういうことでございましたから、そうしますと、総理の言うその覚悟というのは、当然、できなかったらもう自分の首を懸けるんだ、こういうことですね。
  202. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) できなかったらということを考える必要がないと、そのように思っておるものですから、私としてその仮定の話にはお答えをしておりません。
  203. 岸信夫

    岸信夫君 その覚悟とおっしゃる限り、じゃ何の覚悟なんだと皆さん思っておられると思いますよ。  その移すこと、結論を出すこと、それは最終的にもちろん決めなきゃいけないわけですけど、そのことを、例えばいのちを懸けてやるんだと、そのことが覚悟というんじゃないんですか。
  204. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 決意を持って臨みますから、どうぞ五月末、皆様方には政府としての対応を御理解いただくときが来ると、そのように思います。
  205. 岸信夫

    岸信夫君 みんなこれ心配をしていることなんです、現実問題として。これはアメリカとの関係、それから現実問題として、じゃこの地域の安全保障、平和と安定が守っていけるのかどうか、こういうことも含めて申し上げていることでございます。  そして、もし、万が一ということはないと、こうおっしゃっているわけですけれども、ただでさえ去年の九月から今度のこの五月末まで、もし普天間を辺野古に移すということが前提でしたら、動いていたものが止まっていると、こういうことですから、そうしますと、一番おそれているのは、もちろん普天間が固定化してしまう、普天間はだれが考えても危険なところですから、それを一刻も早く動かさなきゃいけない、危険を除去しなきゃいけないというのが一番の目的であったわけですから、そこが崩れてしまってはいけないわけです。そのことを皆、全員の心配事として考えているわけです。そういう意味で、総理が本当に五月末と、こうおっしゃっているのに本当にできるのかな、こういうことを皆さんが、みんな私も含めて心配をしている、こういうことであるわけです。  その中で、いろいろな方がいろいろな発言をされておられるわけでございます。先ほども山本委員からもございましたけれども、平野官房長官が、しんしゃくしなければならない理由はないと、こうおっしゃった。これは先ほどの、前後の文脈があるんだと、こういうようなお話ではございましたけれども、ただ、そういう部分部分をとらえて外に出てしまうのがこの世界であるわけです。そういうことも含めて、岡田大臣の発言もそうでございますけれども、そういうことがいろいろ出てくる。  そして、元々は十二月末までに決まるものだと我々も思っておったわけですけれども、それが名護の市長選挙を越えてしまったわけですね。そのことによって、名護市長選挙は確かに反対派の市長さんが勝ったわけです。民意といえば、もちろんそのことは民意であるかもしれない。ですから、市長選の民意に耳を傾ける、こうおっしゃったのは恐らくそういうことだと思うんですけれども、そう言いながら、今はゼロベースだと、こういうふうにおっしゃっているわけですね。一番迷惑をしているのは地元の沖縄の皆さんだと思っておりますけれども、このことは不誠実だと思いませんか、総理
  206. 平野博文

    国務大臣(平野博文君) 委員にお答えいたします。  総理へのあれでございますが、不誠実とか云々ということではなくて、一生懸命この問題について沖縄県民の負担を軽減する、危険を除去する、こういうことでやっているわけであります。たまたまマスコミの報道が切り分けられて伝えられましたが、これは、当然そういうふうに切り分けられますと誤解を生んでいるところはあると思います。  私は、市長選挙の民意は民意として当然これは考えなきゃならない、こういうことも申し上げております。検討する土俵をつくっていく検討委員会においてはゼロベースと、こういうことで申し上げているところでありますから、これは不誠実とか誠実であるという問題の議論ではないと、このように思います。
  207. 岸信夫

    岸信夫君 じゃ、私の地元であります岩国でも同じようなケースがあったわけですけれども、平成十八年三月に岩国で住民投票がございました。このことは御存じかもしれません。争点は空母艦載機の移転でございます。結果は反対が多数と、かなりの多数だったと思います。これは当時の岩国市長が住民投票を発議したわけでございますけれども、ただ国防の問題として、それは確かに民意かもしれません。しかし、その民意を聞くわけにはいかなかったということで、その後ロードマップが日米間で作成をされ、そのまま今の予定では艦載機が移転と、こういうことでロードマップには書き込まれたわけであります。  結局、その住民の皆さんの民意を聞くというのはいいんですけれども、聞いた結果、その皆さんの気持ちを裏切ることになりかねない。私はこの住民投票に対しても、これは市長選じゃないです、住民投票ですからもちろん違いますけれども、これはやるべきではないと、こういうふうに申し上げたんですけれども、これは聞かなかった。そして、鳩山総理がよくおっしゃっています、最後は自分が決めるんだと。確かにそのとおりで、国のレベルで決めなきゃいけないことです。であったら、私は名護の市長選挙に対していろいろなことをコメントをするべきではなかったんじゃないかなと、こういうふうに思うんですけれども、総理、いかがですか。
  208. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 名護の市長選挙も民意でありますし、仲井眞知事を誕生させたのも沖縄県民の民意でありますし、その後、昨年の夏、衆議院の選挙において、ある意味で、恐縮ですけれども、自民党系の議員の方々が皆さん敗れて、民主党あるいは国民新党、社民党、そういった議員が、候補が勝利を収めたのも民意であります。その民意というものは、やはりそれなりに耳を傾ける必要があると、当然のことだと私は思います。  ただ、最終的な責任は国が、そして総理が取るべきだということは十分認識しておりまして、民意を民意として耳を傾けながら、しっかりとアメリカとも交渉し、理解を求め、最終的に五月末までに結論を出すということを決めたのでございまして、その民意をやはり聞くことが、私はなぜいけないのかよく分かりませんが、しっかりと聞かせていただいて最終的に国が責任を取らせていただくということに尽きるのではないかと思います。
  209. 岸信夫

    岸信夫君 私は、民意を聞くのがいけないと、いつも聞くのがいけないと申し上げているわけではないんです。ただ、こういう国防の問題について余りそういうことを事前に御発言をされると、地元が誤解を招いてしまう、そういうことを申し上げているわけです。  岩国基地について申し上げますと、今……
  210. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 時間を超過しておりますので、おまとめください。
  211. 岸信夫

    岸信夫君 分かりました、まとめます。  岩国基地についてはそのままロードマップどおりに行われると、こういうことでありますから、沖縄の問題とは切り離されてしまう。岩国の皆さんもこれは大変戸惑っておることです。岩国の皆さんは、これはパッケージである、だからもし沖縄が動かなければ岩国も来ないんだと、こういうふうに思っておられる方がたくさんおられる、大変混乱しておるということを最後に申し上げまして、質問を終わります。     ─────────────
  212. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大久保勉さんが委員辞任され、その補欠として川崎稔さんが選任されました。     ─────────────
  213. 荒木清寛

    荒木清寛君 公明党の荒木でございます。  まず、総理にお尋ねをいたします。  小沢幹事長の資金管理団体陸山会の土地購入をめぐるいわゆる政治資金規正法違反で民主党の現職国会議員と秘書が逮捕されまして、本日勾留期限を迎えます。ということは、本日中に東京地検によって、捜査によって何らかの判断が示されるという節目を迎えたわけでありますが、こういう節目を迎えたことについて、総理はどう受け止めておられますか。
  214. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 民主党の国会議員が逮捕され勾留をされたということは大変遺憾に思っております。今申し上げるべきことは、検察は当然公正に捜査を行っているということを信じておりますので、その捜査の進展を冷静に見守ることが肝要ではないか、そのように思っております。  したがいまして、行政の長として、検察処分を予測したり、あるいは発言をしたりすることは慎まなければならないと思っておるところでございます。
  215. 荒木清寛

    荒木清寛君 そこで、逮捕された石川衆議院議員がもし起訴されたら、私は、もう議員辞職するのは当然だ、このように思います。これが万が一公明党であれば、もう逮捕の時点で辞めなければならない。  国会におきましても、少なくとも過去の例では、起訴がされた時点で国会議員辞職勧告決議が成立するのが、可決するのが通例であったかと思います。したがって、石川衆議院議員が今日もし起訴されたら、私は、民主党として厳しく処分をするのが当然である。  総理は民主党の代表でもありますけれども、もし石川議員が起訴された場合にはどう厳しいけじめを付けられますか。
  216. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) もしという仮定の中で大きな話をされました。  私は今、このような話に関して、もしという仮定の中で行政のトップとして話をすることはむしろ軽率のそしりを免れないと思っておりますので、今は冷静に推移を見守らせていただくということしかありません。
  217. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、会計検査院に。この平成二十年度の決算検査報告で、また国家公務員又は地方公務員による不適正な会計処理、いわゆる裏金が指摘をされたわけでありまして、非常に残念でありますし、また私は義憤を感じます。  そこで検査院に、今回の検査報告で不正経理を指摘した国の機関また地方自治体、さらには独立行政法人はどのぐらいあるのか、また、そうした不適正な会計処理によって支払われた国費は幾らになるのか、これを簡潔に報告してください。
  218. 河戸光彦

    説明員(河戸光彦君) お答えいたします。  平成二十年度決算検査報告におきまして、預け金等の不適正経理を行っていた事態を指摘したものについてお答えをいたします。  省庁につきましては、警察庁、厚生労働省、経済産業省及び環境省の四省庁を指摘しております。  都道府県及び政令指定都市につきましては、警察庁、農林水産省及び国土交通省の補助金の交付先、あるいは総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の事務等の委託先として三十一都府県、二政令指定都市を指摘しております。  なお、独立行政法人につきましては指摘したものはございませんが、国立大学法人では岡山大学を指摘しております。  また、不適正経理事案に係る指摘金額の合計は十八億四千八百十八万余円でございます。
  219. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう一つ、この不適正な経理の手口といいますか態様ですね、プール金ですとかいろいろ過去にはありましたが、今回はどういう態様を主なものとして指摘しているんですか。これも簡潔にお願いします。
  220. 河戸光彦

    説明員(河戸光彦君) 会計検査院では、平成二十年度決算検査報告の中で、需用費等の支払に係る事態の態様としまして、不適正な経理処理によるものを預け金、一括払い、差し替え、翌年度納入、先払い、前年度納入、契約前納入の七態様に分類しております。
  221. 荒木清寛

    荒木清寛君 預け金というのは、架空取引を業者に指示をして、納入されていないのに納入したというような虚偽の書類を作成すること等で裏金をつくるというようなことでありますけれども、そのほかいろいろな七つの態様があったということです。  そこで菅財務大臣に、会計を預かる立場といたしまして、そういう不適正な経理を行った公務員の行為というのはどう評価されるのか、特に、不適正な経理をしたけれども私腹を肥やしていないというような場合、これはどう、法的にといいますか、違法性を評価するのか、大臣にお尋ねします。
  222. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 予算の執行は、法令又は予算の定めるところに従って適切かつ効率的に行われなければならないことはもう言うまでもありません。  この私腹を肥やしていないという意味がちょっと趣旨が必ずしも分かりませんが、個人の利益のためではないといえども、そうした会計法等に抵触した不適正な経理は、公金の使用をするわけですから、これに対して国民の信頼を損なうものでありまして、公務員としてあってはならない行為であります。これによって何らかの、国とか地方団体に損害が生じたような場合は、例えば賠償請求を行うとか、それぞれのことについては手続が決められているものと承知しております。
  223. 荒木清寛

    荒木清寛君 原口総務大臣にお尋ねいたします。  昨年の決算報告も、また今年の決算報告も、いわゆる地方公共団体の裏金づくりの指摘があったわけであります。今回の決算では三十一都府県について指摘があった。これは後を絶たないわけでありまして、毎回毎回これは政府として再発防止に取り組んでいるわけでありますけれども、こういう毎回繰り返されるこの裏金づくりを受けて、総務省としては地方団体に対してどうこの再発防止措置をとりますか。
  224. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 荒木委員にお答えいたします。  まさにこれは、裏金、地方公共団体に対する国民の信頼を裏切るものでございます。  そこで、不適正経理の再発防止を期するために、昨年十一月、会計検査院報告後直ちに事務方に指示をいたしまして、三つやりました。一点目は、預け金等の有無の、さっき七つの手口という話がありましたが、これを全部点検するように。それから、内部牽制の機能が働く職務分担とすることや監査等の監視機能の強化。そして、違法行為等があった場合の厳正な措置。この三つを要請する通知を発出したところでございます。  しかし、いずれにせよ、荒木委員、電子政府化しないと駄目ですよ。これはみんなが見れなくなっている。あるいは、先ほど繰越しの話が白委員からありましたけれども、不合理な会計システム、あるいは旅費の精算なんというのもこんな法律で、旧態依然たることをやっている。大きな企業だったらたった一人でやっていることをどれだけやっているのかと。皆さんの目の前にも、これ紙ですよ、全部。こういうものを抜本から変えることが私たちの使命であるというふうに思いますので、御支援をよろしくお願いいたします。
  225. 荒木清寛

    荒木清寛君 そういうシステムを大きく変えるということももちろん必要かと思いますが、今回の決算検査報告では、こうした裏金の横行している原因としまして、一つには公務員の会計法令等の遵法意識の欠如、また内部統制がほとんど機能していない、こういうことを大きく挙げております。  私は、これに即して、是非これは鳩山総理に対して、取り組んでもらいたい、また我々も議員立法をしますので協力をしていただきたいのでありますけれども、こういう国、地方で裏金が横行してきた背景には、確かに菅大臣がおっしゃるように、これは公務員による違法行為であります。ところが、不正経理を行ってもこれまでほとんど、そうした公務員に対する懲戒処分なり、処分あるいは処罰がされたという例は少ないわけですね。ほとんどのケースはもう不問といいますか厳重注意で終わっているという、要するに抑止力が働かないわけなんです。だから、私はもうここをやっぱりしっかりとくさびを打たなければいけないと思います。  そこで、旧与党といいますか、昨年、仮称不正経理防止法案というのを国会に提案をいたしました。これは、不正経理を行った公務員、国、地方の公務員を処罰をする、裏金を得て保管をする目的で支出の相手方に虚偽の請求書を要求する行為等、こういう構成要件、これを処罰するというものを出しました。残念ながら成立に至らなかったわけでありますけれども、今年の国会でも是非出したいと思っております。  これ、政府としても、本来はこれはもう予算を執行する政府の責任として抑止力を働かさなければいけないわけでありますから、こういう仮称不正経理防止法案を是非成立させる必要がある。政府の方でお出しになるのであれば是非出していただきたいし、我々が出したものに協力する用意があるのであれば是非総理としてリーダーシップを発揮していただきたいわけですが、どうでしょうか。
  226. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 荒木委員から大変抑止力の利く法案の提出のお話がございました。  まさに、国家公務員、地方公務員あるいは独立行政法人の職員、こういった方々に不正経理などというものがあってはならないと、今まで甘過ぎたという話であります。そのとおりだと思っておりまして、公明党さんが中心となっていわゆる不正経理防止法案というものをお作りになっているということは私も伺っているところでございます。予算執行の適正化に向けてこういったものをお考えになっていただいて、不正を一切排除するという状況をつくり上げていただくことは大変結構なことだと思っています。  民主党も実は会計検査院法の一部改正法案というものを国会に提出をして、お互いに両方とも審議未了、廃案になってしまったという経緯があったと思います。ここは是非、この趣旨というものがそれほど大きく違わないとすれば、うまく共通項でも作り上げていきながら、あるいはもっと厳しいものにしていただいても結構ですけれども、この同趣旨の法案がそのままお互いににらみ合いをするような話というのはいけませんから、是非立法を検討していくべきだと思っておりまして、これは政府で行っても構わないとは思いますが、まず各党でよく議論して一つの法案にまとめる作業をなさったらよろしいかなと思っておりまして、そのような意味で民主党としても協力を申し上げてまいりたいと、そして、このような不正経理というものが野放しにされない状況を早くつくり上げていくべきだと、私はそのように思います。
  227. 荒木清寛

    荒木清寛君 昨年、旧与党で二回法案を出したんです。それはもう率直に言って、当時の与野党で話合いをしましたけれども、この不正経理を行った公務員を処罰をするという点については意見が一致しなかったんでこれは廃案になってしまったわけなんですね。だから私はあえてこれは総理に申し上げたわけで、むしろこれは、予算を執行するのは政府の責任ですからね、もう政府の方で本来は私は出すべき筋合いだと思いますけど。  こういう不正経理を行った者に対する抑止力として刑罰を設けるということについては、基本的に総理としては賛成をしていただけるんですか。
  228. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 昨年ですか、私が政調会長のころに、今、荒木委員からおっしゃったように、この件について与野党ですり合わせをさせていただきました。  しかし、実は我々の方は、処罰を重くするということだけではなくて、会計検査院を含めた制度全体の見直しをしたいということで、そういう中で全体的に意見の一致点が見出せなかったということでございまして、我々はこの不正経理に対して甘い姿勢で臨んでいるということでは決してございません。  したがって、先ほど総理からもお答えがございましたように、各党でこれからも、これまでも話合いした実績はあるわけでありますから、大いに議論していくことは結構だというふうに思っております。
  229. 荒木清寛

    荒木清寛君 念押しをしますけど、総理としては、こうした不正経理に対して刑罰をもって臨むということについては賛同いただけますね。
  230. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 当然、不正経理に対して厳しく臨むべきだと、そのように思います。
  231. 荒木清寛

    荒木清寛君 なお、付け加えておきますと、先ほどもありましたように、今回の決算では国立大学法人についても指摘されている、また十九年度の決算報告では日本貿易振興機構についても裏金が指摘されているわけで、そういうものも対象としてやはり考えていく必要がある、このように考えておることを最後に申し上げておきます。  それで、次に長妻大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、長妻大臣は野党時代は、官民人材交流センター、これは政府として公務員の再就職を一元的にあっせんしていく組織でありますけど、これはもう天下の悪法だと言って舌鋒鋭く反対されたわけですね。民主党は、この国家公務員法改正については対案まで出されて、もうさんざん反対をされたわけです。  この官民人材交流センターが天下の悪法だ、こういう考えは今でもお変わりないんですか。
  232. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今御指摘いただいたように、今もこの官民人材交流センターという美名の下、天下りのあっせんを行うということはあってはならないということで、この政権はそれをしないということであります。  ただ、この分限処分、つまり辞めていただくときには大臣等には分限回避努力義務というのがありますので、そういう点については、就職のそういう情報を提供するというようなことで分限回避に努めるというようなことが義務付けられておりますので、その点に限定して利用するというふうに我々は考えております。
  233. 荒木清寛

    荒木清寛君 懲戒処分を受けた社保庁の職員について、政府として分限回避義務があることは当然でありますけれども、しかし、もうそれだけさんざっぱら、これは、公務員の再就職は官民人材交流センターじゃなくてハローワークに行けばいいんだと、さんざんおっしゃっていたわけですよね。だから、それだけ言ったんだったら、もうそのほかの方法で政府として再就職についての支援を考えるべきであって、いかにもあれだけ野党時代に言っておいて、こういうときだけ官民人材交流センターを使うというのは、ちょっとこれは筋が通らないんではないでしょうか。
  234. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) これは荒木委員も御存じで言われているんだと思いますけれども、分限というのは簡単に言うと解雇処分なんですね。公務員の方々を、今回、社会保険庁が日本年金機構というものに衣替えするときに、厳しく、懲戒処分を受けた方は移ることはまかりならぬというようなことで、我々としてはそういう方々に就職のお世話をしつつも、ある意味ではかなり多くの方々に離職をしていただく、分限処分ということになったわけでありますけれども、その前段として、これ御存じのように、法律でその担当大臣、任命権者に、そういう解雇をするときにはできる限り就職の情報を提供する、これをできる限り努力すると、こういう義務が課せられているわけでありまして、その義務の中でそれを活用して義務を果たした、ただ、結果としてはかなり大量の方が分限処分になったということを御理解いただきたいと思います。
  235. 荒木清寛

    荒木清寛君 それは限定的な場合であるにせよ、官民人材交流センターを活用せざるを得ないんですからね。ですから、そうであれば、あそこまで悪法だと言って反対をしたことについて、私は、不明を恥じるべきであると、このように思います。  もう時間もあれです。最後に総理、この問題につきましても、やはり民主党、野党時代にさんざん言われたことと今やっていることが余りにも違うんではないでしょうか。日本郵政の新社長に元大蔵事務次官の斎藤次郎氏を就任させたことが、これは究極の天下りだ、あそこまで天下りをいかぬと言っておったのにどうなっているんだということですね。これも同じように、今のこの分限回避という限定した局面であるにせよ、官民人材交流センターを都合のいいときだけ使っているというのは、やはりちょっとこれは民主党、これまで主張してきたこととおやりになっていることが余りにも違うんじゃないでしょうか。どうですか。
  236. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) どなたに。
  237. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう時間がありませんので。
  238. 神本美恵子

  239. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 仙谷大臣だと時間が掛かると思いますので私の方からお答えをさせていただきます。  私どもは、官民人材交流センターの云々よりも大事なことは天下りあっせんというものを全面禁止するということでありまして、天下りあっせんというものは全面的に禁止をしたんです。そのときに私の方から閣議において申し上げたことは、府省庁によるあっせんを直ちに禁止するとともに、官民人材交流センターによるあっせんも組織の改廃等により離職をせざるを得ない場合を除き今後は一切行わないと、そのように指示をして天下りの根絶を図ったところでありまして、そのような下で、旧社会保険庁の廃止に伴って離職をせざるを得なかった者だけにこの官民人材交流センターによる処理をさせていただいたということでありまして、我々とすれば、天下りあっせんは今後一切行わない、これはもう国民皆さんにお誓いをさせていただいたことであります。
  240. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 関連質疑を許します。浜田昌良さん。
  241. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は平成二十年度の決算質疑でございますが、二十年度の決算で国の公共事業に対する支払が円滑に行われていないと、こういう問題が指摘されていました。これは特に中小企業にとって非常に切実な問題でございます。この点に関連しまして、中小企業のいわゆる代金の支払の状況、手形の問題について今日は質問したいと思っております。  手形取引がこの二十年間で急減しています。一九九〇年は四千八百兆円だったものが二〇〇八年では四百三十兆円と。こういう中で問題点が二点出ているんですね。  第一点は、この減り方がアンバランスなんですよ。例えば、原材料購入というその支払のためには手形が減って、つまり現金で払わにゃいけないという一方、売上回収の方ではまだ手形が残っている、減らないと。これは、下請企業は一番困っちゃうんですね。例えば、神奈川の下請企業の例なんですが、親企業の組織変更で発注が子会社になったと。そうすると、今までは百万円以上が手形だったのに、十万円以上が手形になったと。そうすると、これは実質逆行しているわけ、手形が増えちゃっていると。  もう一点の問題点は、リーマン・ショック以降、仕事がもう減っていると。仕事が続いていると順次手形が現金化されていいんですが、ぽつんぽつんと仕事があると、これは早く現金化しないと困っちゃうわけですよ。  特に、こちらに下請中小企業における受取手形のサイトというデータをお手元にも配らせていただきましたが、(資料提示)下請代金遅延防止法上は代金の決済というのは六十日以内で現金で行うと、これ原則になっているんですよ。しかし、この六十日以内というのはたった四・七%しかないんですね。九十日以内が二〇・七%。逆に言うと、九十日を超えるものが四分の三、七五%という状況なんですよ。しかも、最近では、これ手形割引できりゃいいじゃないかという話があるんですが、なかなかこういう信用不安があって割引も苦しくなっていると、こういう状況なんですよ。  この中で、実は中小企業庁の方で検討を昨年度やってもらいました。ここにあります下請取引適正化推進会議というのをつくっていただいて、中小企業事業者、また金融機関、弁護士に入っていただいて、この手形取引何としても早くやってもらいたいということで実は答申を出してもらったんです、ちょうど一年前に、三月十七日に。特に公明党はこれを推進しました。その中で、ただし手形取引というのは一概にすぐに、急変するのは商取引ですから大変ですけれども、下請事業者のいわゆる不利益は即座に解決する必要があるというので、ここにあります、三点があります。  一つは、百二十日、繊維については九十日以上の手形サイトは、これは違法にすると。それ以下についてもなるべく短縮すると。これは一点目。二点目には、割引困難手形、これについては、それが判明した段階で親事業者が直ちに現金化してもらうと。そして、三点目には、割引手数料は親事業者の負担にしてもらうと。こういう内容の提言を、昨年三月に出ました。  そして、これが、例えばこの法律、下請代金遅延防止法を持っている公正取引委員会でその後対応は取れるだろうと、この運用基準が変えられるだろうと待っていたわけですよ。ところが、鳩山内閣、発足してもう五か月がたちます。いつまでたってもこの運用基準の改定はなされていないんですよ。  これ、公正取引委員会は担当仙谷大臣と聞いています。答弁は短めで結構ですから、なぜ遅れているんだと。特に今重要なのは年度末なんですよ。いよいよ年度末に当たって、これを早くやってほしいと。これを是非御答弁願います。
  242. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) この度公正取引委員会も担当することになりましたので答弁をいたしますが、ただ、公正取引委員会は独立性の高い三条委員会でございますので、執行について政治の方がどこまであれこれ言った方がいいのかどうなのか、そこはちょっと一考を要すると、そういう前提でお聞きいただきたいと思います。  感性的に、情緒的に、あるいは一般論として、親会社が下請会社を、優越的地位を濫用とまでは言わないけれども、優越的地位を行使して、代金の支払についても、何というんですか、無理なことを押し付けているという傾向は相当世の中にもあるようでございますし、私もそういうふうには感じている部分は多々あります。つまり、不公正取引の典型的な債権者の優越的地位の濫用というのに近いなと、ぎりぎりだなと思います。  ただ、先ほどおっしゃられた手形支払ワーキンググループ、下請取引適正化推進会議というのは、これ中小企業庁の長官か何かの諮問機関か何かですよね。で、この提言の相手先は中小企業庁長官ですよね。つまり、公正取引委員会そのものから諮問を受けたわけではないし、公正取引委員会に提言をしたわけではない。  だから、これはやっぱりこの種のことがあれば中小企業庁長官が、この下請法ですか、この法律をちゃんとお使いになって、六条にございますよね、中小企業庁長官が、公正取引委員会に対し、この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができるというのがありますから、公正取引委員会はこうすべきだということをちゃんと中小企業庁の長官の方からやられたらどうでしょうか。
  243. 浜田昌良

    浜田昌良君 言っておきますけれども、中小企業庁長官の検討会にはちゃんと公正取引委員会の方も出ていました、オブザーバーで。その中でやっている話です。  じゃ、直嶋大臣に逆にお聞きしますけれども、今のような公正取引委員会の対応で御満足ですか、中小企業担当大臣として。また、直嶋大臣自身も下請振興法という法律を持っておられますから、その法律の枠組みでどうされるのか、お聞きしたいと思います。年度末が迫っていますので、端的にお聞きします。
  244. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 今、浜田議員からお話のあった下請取引適正化推進会議でございますが、二つの点の提言いただいていまして、一つは、中小企業にとって過度な負担になるような取引慣行については正すと。これは、例えば一定の値引き率を強要するとか、そういうケースです。それで、こちらについては公取の方とも協議をさせていただいて、今かなり実効上がる取組が進んでいるというふうに思っています。  それで、今御指摘の手形の部分なんですが、もちろん百二十日とか九十日超える違法手形は別にしまして、六十日の支払期限に例えば百二十日の手形もらうと、こういうケースは結構見られるわけであります。  それで、実はその推進会議の御提言を受けてその親委員会で議論をしまして、こういうふうに正していくのはいいんだけれども、やはり現在のこの取引慣行とか様々な影響が出ることもあるので、パブリックコメントに付して皆さんから意見をもらおうということになりました。  それは実は余りなかったんですね。十件しかなくて、それも……(発言する者あり)いや、知らないんじゃなくて、賛否両論あるんです。なかなかこれは正直言って我々も非常に頭の痛いところでして、あらゆる業界でいろんな意味でこの取引慣行として一つの仕組みができ上がっているものですから、一律にここで駄目というのを、切るのはなかなか難しいと、こういう声も結構多いわけですね。  それで、率直に言うと、今そういう状況も含めて、制度的にどうするか、あるいはルールとしてどうするかについては、今率直に言って研究段階です、まだ。なかなかこれは、今の特にこういう時期にその制度を変えるというのはなかなか難しい面があるということは是非御理解いただきたい。  それで、今やっていますことは、できるだけ、さっきおっしゃった中小企業庁が所管する中小企業振興法に基づいて、一つの、お互いの取引先にとっていい解決方法をしようじゃないかということでセミナーとか説明会等を開きまして、そこでいろんな説明をさせていただいて、できるだけ公正なそういう仕組みになっていくように努力をさせていただいている。  それからもう一点は、個別に……(発言する者あり)済みません、なかなかこれややこしい問題なんです、本当に。個別にやはり御相談をしようということで、様々な、例えばワンストップ相談センターとかいろんな場で個別の御相談に応じているというのが今の実態でございます。
  245. 浜田昌良

    浜田昌良君 まだまだ研究段階と言っている間に中小企業つぶれちゃうんですよ。そんな悠長なことではありません、今。状況は本当に大変です。パブコメが十件しかない、パブコメなんて見ている暇ありませんよ、はっきり言って、中小企業者は。そういう中で、ないからおしまいというふうにしないでほしい。  特に、今、仙谷大臣おっしゃいました、下請代金遅延防止法は中小企業庁長官から意見が申し述べられると、そういうふうになっていると。是非これ言ってくださいよ。是非言っていただいて、これ結構です。ここでこれは切りますけど、最後に鳩山大臣にお聞きしたいと思います。鳩山総理いのちを守るとおっしゃった、また人間のための経済とおっしゃった。でも、本当にこの下請また零細中小企業のお気持ちがお分かりなのかどうなのかですよ。  神奈川でこういう例がありました。リーマン・ショック以降、仕事が減っちゃった。よって、パートの方々は解雇せざるを得なかった。で、夫婦二人で土日も連日仕事されている。仕事が本当になくて、やっとあるものは納期が本当に厳しい。その中で、もう町工場に泊まり込んでやっておられるんですよ。やった上で、受け取った二百万円が手形で、現金になるのが半年先、これでは原料も払えないと。これが現実なんですよ。その現実に対して、一千五百万円もらいながら、七年間もらって、知らなかったで一言で済まされる。  総理、この状況分かりますか。是非、中小企業の気持ちが分かるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  246. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今、浜田委員からそのような状況があったということは伺いました。私も中小企業の方々のところに何度もお邪魔をしてその状況を拝見したこともございますから、大変厳しい状況は理解しているところでございますし、また、三月末が近づいているという状況もありますので、今話を伺いました、大変切実な問題で急がなきゃならぬという状況も分かりましたから、この下請代金法の厳格な執行も含めてですが、しっかりとやりたいと、そのように関係大臣をリードしてまいりたいと思います。
  247. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。是非リーダーシップを、総理、発揮していただきたいと思います。  もう一点、決算委員会は無駄の削減が大きなテーマでありますけれども、人類にとっての大きな無駄、核開発、核廃絶の問題を取り上げたいと思っています。  というのは、非常に今重要な時期に差しかかっています。世界の核廃絶の今後の、当面のスケジュール、(資料提示)ここにありますけれども、五月に核不拡散条約、NPTの再検討会議がありますが、実は最大の核保有国アメリカがオバマ政権初の核態勢見直しを三月一日に行います。  この中で、昨年十二月に出ました核不拡散・核軍縮国際会議の報告書、この中に大きな提案が入っているんですね。何かというと、唯一目的宣言というんですが、核の保有は核の使用を抑止するためだけに限定すると、それを核保有国に宣言してもらおうという、こういう内容が入っています。これについては岡田大臣も注目していると外交演説で言っていただきました。これを是非アメリカにこの核態勢見直しで採用してもらいたいと思っているんですね。  ところが、この採用を日本が反対しているんじゃないかと、こういう報道もあるんですよ。日本は核の傘をアメリカに頼っているがゆえに、アメリカはこの核態勢見直しで今言った唯一目的宣言を採用するのは嫌だと言っているんじゃないかと。これは問題ですよね。世界の核廃絶、日本は止めていると言われているんですよ。  是非、鳩山総理、これはアメリカは是非この核態勢見直しにおいて唯一目的宣言を、日本の安全保障が確保されればと、条件付で結構ですから、これを採用されても異存がないと、是非この場で明言していただきたい。お願いします、総理総理です、総理総理
  248. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) これは岡田外務大臣も御自分の考えとしてこれを行っていきたいという思いも述べられました。私もその思いでございます。この唯一目的宣言とさらに消極的安全保障、この二つ、川口・エバンスの報告書の中にも入っていることで、私は大変重要な概念だと思っております。  したがいまして、私どもとして今精力的に努力をしているところでありまして、まだ、今お話あったように、外務省の中でいろんな考え方があることも御案内のとおりでございます。できる限りこれは、四月、五月が核セキュリティーサミット、さらにNPTの運用検討会議がある大変重要な時期でございます。私どもはそういう意味で、我が国の安全保障というものを当然これは守っていかなきゃならないという前提の下で、今お話ありました唯一目的宣言などを十分に、我々が消極的だなんて言われたらたまらない話でありますから、そうでないように最大限の努力をしてまいりたい、そのように思っております。
  249. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。今の思いを是非オバマ大統領に伝えていただきたいと、そう思います。  次の、アメリカだけじゃなくて世界に発信する大きなチャンスが四月に来るんです。何かというと、国連の安保理の議長に日本が四月なります。これ、大きなチャンスなんですよ、五月にNPTがありますから。ここでいかに、日本が唯一の被爆国の道義的責任総理はおっしゃった、この責任をいかに果たすかなんですよ。  その中で、私はこの前、質問主意書を一月十八日に出させていただきました。その中で、二十六日にこういう回答をいただきました。この唯一目的宣言を含む提案を行っている本件報告書を参考としつつ新たな核軍縮・不拡散に関する政策提言を構築したいと考えている。少し、非常に前向きな提言をこれからしようとされる。この提言を、このキックオフをこの四月の議長国のときにやっていただきたい。  なぜかならば、国連の安保理がこの核廃絶に対して今まで十分な機能を果たしてこなかったんですよ。どうしても国連安保理というと、何か紛争があったらそれの事後処理、それを検討すると、予防的な検討が余りなされなかった。しかし、本来国連の安保理というのは崇高な機能があるんですね。  ここに、お手元に国連憲章の第二十六条というのを書きました。ここにありますように、これ、軍備規制という規定なんですが、世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少なくし、国際の平和と安全の確立及び維持を促進する目的で、安全保障理事会は、軍備規制の方法を確立するため計画を作成する責任を負うと、こういうすばらしい規定があるんですが、これがほとんど使われてこなかった。これをうまく使ったのは、二〇〇八年十一月、コスタリカが議長のときだけなんですよ。  これを是非、今年の四月、議長国ですから、鳩山総理がニューヨークへ行かれましたら議長席にも座れるんです。ここで、是非この安保理の場で、日本が唯一の被爆国としての道義的責任とおっしゃるのであれば、この安保理の場で、五月のNPT再検討会議の前という最大のチャンスに、このキックオフ、日本の提言のキックオフをしていただきたいと思いますが、総理の御決意、いかがでしょうか。短く、短く。
  250. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) この唯一目的説、先ほど総理も御答弁ありましたが、私は非常に重要なものだと注目をしております。ただ、日本だけがこれを宣言するということよりは、やはり核保有国がそれぞれきちんとこのことを合意の上でやっていけるように持っていくということが大事だと私は考えております。外務省としては、もう既にこの唯一目的説についていろんな各国と意見交換をしているところであります。  四月の日本が議長国として何をやるかということは、今ほかにも幾つか魅力的なテーマがありますので検討しているところでございます。大前提として、平日にニューヨークに行かなければなりませんので、そこは是非皆様の、与党の皆様の御理解をお願いしたいと思います。
  251. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私が、九月におきまして、唯一の核被爆国、被爆国であると、それがゆえに、ある意味での道義的責任という意味で核廃絶の先頭に立たなきゃならぬ、その意思を表明をいたしたところであります。その思いは今でも当然変わっておりません。  四月に安保理の議長国になるということは大変重い、あるいは大変なチャンスだと思っておりまして、是非、岡田外務大臣が今申しましたけれども、核の問題をどこまで表に出して議論できるかという部分はあろうかと思っておりますが、浜田議員から、そのときならば是非四月であっても、国会はあるけれどもどうぞ行ってこいというように御指導いただければ、その思いで頑張ってまいりたいと、そのように思います。
  252. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非行っていただきたいと思っておりますが、岡田大臣、核保有国がすべて合意がなければ日本だけ言っても仕方がないという論理をずっと持っていると、これは前進しないと思います。それは、鳩山総理が国連演説でおっしゃった唯一の被爆国としての道義的責任というのはユニラテラルなものですよ。双務的でない、責任なんだから。  それはほかの核保有国がどうあろうとも日本はこうしていくと明確に宣言していただく、このことを是非総理に今後もお願いしまして、私の関連質問を終わります。
  253. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。  決算に付されています〇八年度の予算は、自民、公明の福田内閣の手によるもので、後期高齢者医療制度を始め、あくまで構造改革路線を強行するものでした。今日は、総理にまず介護の現状について基本認識をお尋ねしたいと思います。  このパネルを御覧いただきたいと思うんですが、(資料提示)東京新聞によりますと、介護保険が始まりました二〇〇〇年から二〇〇九年の十月までに、介護疲れ、介護苦をめぐる心中を始めとして介護される高齢者が亡くなられた事件で、少なくとも四百件に上るわけですね。御覧のように増加傾向にありまして、〇六年以降は五十件を超えるという、こういう状況ですが、これは氷山の一角です。  〇六年七月二十一日の京都地裁判決、総理も御記憶があるかと思いますが、衝撃を広げました。八十六歳の認知症のお母さんの介護のために退職せざるを得なかった五十代の男性が介護と両立する仕事も見付からないまま、デイケアの利用料やアパート代も払えなくなり、生活保護も受けられませんでした。献身的な介護の末に母親に、もうお金もない、もう生きられへんのやでと話しかけ、お母さんは、そうか、あかんか、おまえと一緒やでと語って心中を図られて、御自身も包丁で首を切ったけれども果たせなかったという本当に深刻な事件でした。裁判所は執行猶予の言渡しの中で、被告人の絶望感は言葉では言い尽くせなかったと推察される、裁かれているのは日本の介護制度や行政だという異例の指摘を行いました。  もう一枚パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)総務省の調査でも、家族介護のために仕事を辞めざるを得ないという、そういう方が〇六年十月からの一年間で十四万四千八百人、こういう本当に大変な数に上っているわけですね。介護保険が介護を社会で支えるとそういって導入をされながら、現実には保険があって介護なしという実態は一層深刻です。  私はまさに待ったなしだと思うんですが、来年度予算案を拝見しますと、この介護保険の分野については自公政権の時代と全く変わりがありません。なぜでしょうか。総理は介護がこのままでいいと考えておられるわけはないと思うんですけれども、基本認識をお尋ねしたいと思います。
  254. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 基本認識ですから、私の方からお答えをいたします。  今、仁比委員からグラフまで拝見させていただきましたけれども、大変に介護の現実が厳しいという状況は認識をいたしております。いのち予算を組んだという割にまだまだ介護が不十分ではないかという御指摘だと思います。  介護を必要とする、私どもが今ちょうど団塊の世代でありまして、団塊の世代、両親がまだ存命の者も多くいると思います。そういう方がこれからある意味での老老介護的な状況になってくるとも思っておりますし、私ども団塊の世代がやはり数が多いものですから、介護これから大変必要な方々が急激に増えてくるという状況も理解をしています。  それだけに、私どもも選挙を戦わせていただくときに、介護というものの重要性を認識していながら、大変厳しいお仕事、介護のヘルパーされる方々の厳しさというものを考えたときに、やはり厳しさの中で報酬が低過ぎるというところで四万円給料をアップさせないといけないんじゃないかと、まずはそこをやろうではないかというような思いを訴えながら選挙を戦ってきたことも事実です。現実の財政の問題で必ずしもそこが一〇〇%できていないというところは認めなければならないところだと思っておりますが、介護の施設などが三年ごとに比べると二倍増やしているというような状況など、できる限り介護に力を入れてこれからやってまいりたいという思いは持っているところでございます。  地域の包括ケアシステムというようなものなどもつくらせていただくなどいたしまして、これから介護というものをもっと我々新しい政権の中で力を入れていかなければならない分野だと、そのような認識をしております。
  255. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理は、これから急激に高齢者が増えていくと、このお話をされましたけれども、私もそれはそうだと思います。けれども、現に、今現在、現場で待ったなしなんだということを今日お訴えをしたいわけです。  介護保障が、だれもが人間として大切にされて老後が生きがいある安心、そして人権、生活が守られるものになることをみんなが願っています。自民・公明政権が残した数々の傷跡を速やかに是正して、社会保障を削減から拡充へ抜本的に転換せよと、それが国民の声であり、この皆さんの声にこたえて、来年度予算案で具体的に一歩でも半歩でも踏み出してこそ将来へ国民が希望を持てる、そういう政治をつくることができると思うんですね。  具体的にお伺いをしたいんですが、私は幾人ものケアマネジャーの方から、自己負担は月一万円以内でお願いしますと頼まれるたびにつらいという話を聞いて胸が詰まる思いをしてまいりました。  八十三歳で要介護三の奥さんがいらっしゃいます。背骨を圧迫骨折して、一人では寝返りもできません。胃を全摘してほとんど食べられない奥さんの食事を八十二歳の御主人が毎日何回も作って、排せつや入浴も御主人が介助しているわけです。年金が月五万円そこそこしかなくて、病院代の窓口負担も心配で、一割の利用料が払えずに、週二回の訪問介護しか利用できないからなんですね。デイケアやデイサービスが利用できればいいんですよ。だけれども、お金が払えないから、できるところまでは自分でと頑張っている御主人が倒れてしまわないかとケアマネジャーさんは大変心配をしています。  高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子さんは、昨年三月三日の読売新聞で、低所得者にもサービスを行き渡らせるために原則一割の費用負担を見直すことを求めたいと、そう語っていらっしゃるわけです。  総理にお尋ねしたいんです。この一割の利用料という介護保障に持ち込まれた応益負担が、最も介護保障を必要としている高齢者、とりわけ低所得者を必要な介護から排除しているというこの実態を直視すべきじゃありませんか。総理、いかがです、総理総理。時間ないんですから。
  256. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) いや、まず、前の政権と同じというような御指摘がありましたけれども、介護につきましては、先ほど総理も申し上げましたように、過去三年、在宅サービスとか施設サービスのベッド数を八万床増強しましたけれども、今後三年間はそれの倍の十六万床。そして、今まで、お給料を引き上げると、介護の職員の方々の、その基金についての利用率が半分だったものを、我々、通知あるいはアピール等々をして、今は八割の事業所が申請をして、一か月のお給料が一万五千円上乗せと。ただ、それが給料に回らないで一時金のような形で使われているんで、これも是正してくださいと。そして、もう一つ言われていましたのが、同居家族がいることのみをもってその介護の援助を拒絶される場合があるというようなこともあるんで、それについても是正をする通知を出したと。  今の質問でありますけれども、これ今も低所得者の方々に対してはサービス料を抑えると、こういうような措置もしております。そして、先ほど申し上げました介護の職員の方々のお給料のアップについても、介護報酬でやると御本人の自己負担に跳ねるんで、これは基金という形で税金で投入するというような工夫も含めて、何とかその自己負担の範囲の中で望まれるサービスができるように我々も工夫をしているところであります。
  257. 仁比聡平

    仁比聡平君 介護報酬の問題については後ほど聞きますが、質問してないことに答えないでくださいよ。  今大臣がおっしゃった一般世帯で三万七千二百円、住民税非課税世帯で一万五千円というのが利用者負担の上限ですよね。この上限があっても実際には一万円しか払えない、五千円しか払えない、だから必要な介護が受けられないというのが現実じゃないかと私は言っているんですよ。  私が訪ねた七十八歳の寝たきりの女性は、市営住宅の全部の部屋の電気を消して、真っ暗な中で朝から晩までじっと寝ているしかない、もう死んだ方がましだとおっしゃっていました。ヘルパーさんの利用をケアマネさんが勧めても、ガスを使うから入れられないという高齢者がいらっしゃいます。火の元が心配なのかと思ったら、そうじゃなくて、ガス代を節約して、スーパーで総菜や弁当の見切り品を買ってきて数食分に分けて食べているというのが実際だからですよ。ヘルパーさんに来てもらっても買物に行ってもらうお金がない、年金が入る月だけ訪問介護を受けていると、そういう方もたくさんいらっしゃいます。  国民年金の平均は四万八千円しかありません。非課税でも、わずかな年金から介護保険料や後期高齢者の保険料差し引かれて、手元は残りが本当にわずか。だから、とことん切り詰めて、一万円、五千円しか月に払えませんからその範囲内でという、そういう切ない話になるんじゃありませんか。  総理にお尋ねしたいんですが、総理は、野党時代の二〇〇六年の十月二日、衆議院の本会議の代表質問で大阪の七十歳の男性からのお手紙を紹介されました。ようやく特別養護老人ホームに入れたけれども、介護保険の自己負担が一気に十六万円に引き上げられて、十二万円しかない年金からは賄えなくなったという、そういう声です。当時の安倍総理大臣に、一連の負担増が高齢者、年金生活者を直撃しているこの現実について、どのように弁解され、その是正に取り組まれるのか、明快な見解を求める、そう迫っていらっしゃるわけですね。この代表質問での質問に対しての当時の安倍総理答弁は、利用限度額の上限があるからこれで十分に配慮していると、そういう答弁だったんですよ。  こうした苦しみをなくすために、応益負担を改めて国として減免制度をつくる、せめて住民税非課税世帯の低所得者は利用料を無料にする、こうした方向に足を踏み出す、そういう政治姿勢で臨むべきじゃありませんか、総理
  258. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 仁比委員のその幾つかの具体的なお話を伺うと、まさに切実な思い、私にも伝わってまいります。  ただ、例えば障害者のサービスとこういった介護、これは保険という、今保険で賄っている話になりますと、やはりサービスを受けておられる方とサービスを全く受けておられない方との間の公平感ということも考えていかなければならないということで、そういう意味で応益負担を一割と定めて、しかし低所得者の方々に最低のところでは一万五千円という水準を決めたと、そのように理解をしております。その一万五千円も払えないから介護を受けられないということも伺いまして、大変に深刻な状況が進んでいるという認識はいたしております。  一万五千円をじゃ一万にすればいいかとかいうような議論もあるいはあるかもしれませんが、私どもとすれば、まずはこの一万五千円というところで御理解をいただくということで今進めているところでございますが、なお介護の問題全般にわたって様々な問題が生じておると思っておりますので、検討をいたしたいと思います。
  259. 仁比聡平

    仁比聡平君 一万五千円では絶対に理解ができないんですよ。  今、保険だからとかあるいは公平感というふうにおっしゃいましたけれども、そうした論理というのは、前の政権が財界の要求にそのままこたえた形で、介護という福祉の分野に応益負担とそして保険原理を持ち込んできた、そういうときの論理ですよ。今の総理大臣答弁は、前の小泉内閣や安倍内閣のころと言っていることは変わらないじゃありませんか。そんな姿勢で本当に構造改革路線から抜け出せますか。  介護に続いて応益負担が持ち込まれた障害者自立支援法の応益負担の問題で、これが障害者の自立と尊厳を根底から壊したということはもはや明白になりました。作業所で働いてもその三倍の負担、食事や排せつなど生きる上で不可欠な支援を益だといって、障害が重いほど負担が重くなるというこの応益負担が憲法十三条、十四条、二十五条に反すると提訴された違憲訴訟に対して、総理政権は、一月の七日、基本合意を結んで訴訟の解決を図られたわけです。そこにはこうあります。応益負担の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、心から反省の意を表明すると。私はそのとおりだと思うんです。  高齢者の介護も、生きる上で不可欠な支援です。介護保険の応益負担はそのままでいいという理屈は私はどこにもないのではないかと思うんですけれども、総理、いかがですか。総理
  260. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 障害者の皆様方に対しては、応益負担ではなくて私どもはやはり応能負担だと、そのように考えておるところでございます。  すなわち、介護と今障害をお持ちの方々、障害がおありの方々との違いというものは保険か保険でないかという部分がやはりあって、介護は保険で今やっているわけですから、そうなると、どうしても応益の部分もどこかはつくらないといけないのではないかという発想で、その違いというものがまだ存在をしているというように私は理解をしております。
  261. 仁比聡平

    仁比聡平君 十分な介護の保障がなされれば、だれもが人間らしく老後を生きていくことができるんですよ。そのことを現場の実践は私は証明していると思います。  ところが、制度の矛盾と負担増が福祉の心を壊しているわけですね。そこを直視しないと、応益負担という構造改革論のそのかなめの部分、試金石の部分を直視して改めないと、本当にみんなが安心できる介護も社会保障もつくれないんじゃないですか。  時間がなくなりましたから、介護報酬の問題についてお尋ねをします。  先ほど長妻大臣からもありましたが、マニフェストで、介護労働者の賃金を月額四万円引き上げるという、そういう項目を掲げていらっしゃるわけです。私は、すぐやろうじゃないかということをお訴えをしたい。  始まった介護職員処遇改善交付金というのがありますが、これは前政権で時限措置としてつくられました。今のところ、二年半たったらこれは賃下げになってしまうのかとか、あるいは期限後の保障がないと賃金体系の見直しには踏み切れないと、こうした声がたくさん聞こえてくるわけですね。  この声にこたえて恒久化する。そして、なぜ介護職だけなのかという声にもこたえつつ、介護労働者の賃金が四万円引上げということになるように、一歩でも半歩でも来年度予算あるいは速やかに足を踏み出すという、その決意を是非総理にお尋ねしたいと思いますが、いかがです。
  262. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  今のお話でございますけれども、今言われたような基金でお給料を上げているという措置が平成二十四年の三月に切れるということになっているんですが、私としては、そこで切れることなくそのまま継続をしていくということを目指していくと同時に、鳩山政権一期四年の中で月額四万円賃金をアップする、介護職員の方々の賃金をアップするということを目指して取り組んでいくということでございます。  そして、前段に触れられた介護のいろいろな問題、私も土曜日ごとに自ら介護の体験をしてきておりましてよく理解しているつもりでございまして、介護だけではなくて年金も含めた高齢者の制度の一体的な改革の中でいろいろな問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  263. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党は、国の責任で安心できる公的な介護を保障すること、介護保険への国庫負担を今の二五%から直ちに五%引き上げ、さらに、かつての五〇%に計画的に戻して、三十八万人が待機する特別養護老人ホームの増設を含めて、保険料を抑えながらだれもが安心して利用できる介護制度にしていくことを強く求めて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  264. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  いのちを守る政治、国民生活の再建に鳩山総理始め全大臣皆さんが日夜御奮闘されていることに心から敬意を表しますとともに、社民党も、我が福島党首、前に並んでおりますが、連立の一員として全力を挙げて奮闘していく、そんな決意を改めて申し上げておきたいと思います。  そこで、まず初めに総理にお伺いしますが、あちこち聞いておりましてちょっと気になるのは、各大臣皆さん方、民主党のマニフェスト実現が最優先、こういう格好でよく言われる。その気持ちは分かるんですが、鳩山連立政権はまさに三党の政策合意を基礎にして成立をしたわけでありまして、その意味でいうならば、この三党合意というのはまさにスーパーマニフェスト、この実現こそが連立政権の最優先の課題だろうと私は思います。あわせて、また、このスーパーマニフェストに盛り込まれなかった課題、あるいはまたいろんな施策を進めるに当たって違いが出てくる問題は、これは三党間で真摯な論議と調整が必要ではないか、このように考えるわけですが、当然だろうと思いますが、総理の見解を伺っておきたいと思います。
  265. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 又市委員にお答えいたします。  又市委員とは幹事長時代いろいろと議論させていただいたことを大変有り難く思っております。  今、スーパーマニフェストと呼ばれました。いい言葉だなと、そう思っておりますが、マニフェストの上位に来ると、そう思っていただいても結構です。民主党はマニフェストを作りました。それぞれの政党はそれぞれの政党、国民新党さん、社民党さんで政策を作られて戦ってこられたわけです。そして、その三党で連立を組むに当たって連立の合意というものを政策的に作らせていただいた、それがまさにその上位に来るスーパーマニフェストだと思っておりまして、その実現がある意味で最優先されるべきものだと、そのように思っておりまして、その真髄がいのち予算につながっていると、私はそのように思います。  また、今、又市委員がお尋ねありました、必ずしも中に入っていないもの、スーパーマニフェストではない、考え方が必ずしも一致していないものに関しては、当然お互いに議論をし合いながら一つの方向にまとめ上げていく努力が大事であって、それはこちらの政府の中では基本政策閣僚委員会というものをつくっておりまして、そこで議論をしてまとめていくということにいたしているところでございます。
  266. 又市征治

    ○又市征治君 よろしくお願いをしたいと思います。  さて、御案内のとおり、参議院は与野党を超えてこの巨大な行政府の予算執行、このことを厳しくチェックをする、その意味で決算審査を充実をするということで、その結果を後年度の予算編成に生かしていく、政策遂行に反映させていく、そのために努力をしてまいりました。今日見ていて、残念ながらそのことと全く離れた意見が、質問が幾つかありましたが、極めて残念です、その点は。  平成二十年度の政府予算は自公政権でお作りになって執行されたわけですが、政権交代によって今度は鳩山内閣でこれを審査を受けると、こういう矛盾が起こっておりますけれども、いずれにしましても、この審査の結果、そしてまた検査院の指摘事項というものを従来以上にしっかり尊重いただきたい、あるいはこの決算審査に鳩山内閣として全面的な協力をいただきたいと思いますが、その点の御見解を承りたいと思います。
  267. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 又市委員参議院におきまして、決算の審査に大変いつも頑張っておられることを敬意を表したいと思っております。  今、又市委員お話しされたとおりでございまして、決算というものが今までやや軽んじられてきた、それはおかしいと、これからはむしろ参議院決算重視だという思い、その決算がその次の年、実際には二年先ということになるわけですけれども、の予算に十分に反映されるように我々とすればベストを尽くさせていただきたい、それは当然のことだと思います。
  268. 又市征治

    ○又市征治君 さて、今総理からも言っていただきましたが、私はこの八年、この決算委員会で、特に特別会計無駄遣いであるとか、あるいは剰余金、積立金の一般会計への繰入れ、それをむしろ国民生活の改善に回すべきだということを一貫して主張してまいりました。  財政状況の悪化の下で特別会計への関心も高まって、この間、自公政権の下でも二十八兆三千億円が国債償還、つまり借金返しというちょっと問題があるわけですが、いずれにしてもそれは活用されたという点はこれは評価をしていいだろうと思います。  そして今、鳩山政権初の来年度予算編成に当たって、財投特会、外為特会その他七特会から合わせて七兆九千億円が出され、さらに加えて公益法人等から一兆円が一般会計に繰り入れられた。それが国民生活再建の財源に回されているということでありますから、この点からも、この新政権国民生活重視の姿勢というのは国民皆さんに御理解がいただけるんだろう、このように思います。  ところで、この予算編成に当たりまして、我が党は、これら税外収入で十五兆円ぐらい出せるはずだということで実は申し上げさせていただきました。結果、過去最高の十・六兆にとどまったわけですが、四兆円余りの差がございます。この差の主な原因というのは外為特会の積立金問題ですね。  社民党は、この剰余金の活用で二兆円、積立金の取崩しで四兆円、合計六兆円の一般会計への繰入れを主張させていただいたわけですけれども、この外為特会の積立金というのは、これはもう長期の運用でありますし、積立金が直ちに取り崩される事態なんていうのはまず考えられない。こういう状況の中にあるわけですから、そう見ますと、二十兆円にも膨れ上がってきた積立金を更に一般会計に繰り入れるということは私は可能だろうと見ています。  そういう点で、このことを改めて提案を申し上げるわけですが、菅財務大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  269. 菅直人

    国務大臣菅直人君) まず一般的に、この特別会計の見直しは今、又市議員の方からありましたように、来年度予算についてはかなりやれるところまでやりました。しかし、更にやらなければということで、一月十二日の閣僚懇談会においても各大臣に、それぞれ所管される特別会計等についてしっかり見直すようにということで申し合わせたところです。  今御指摘の外為特会については、この積立金というものの性格でありますけれども、保有外貨資産の為替変動リスク等に備えるものという位置付けになっております。確かに、二十兆円余りありますので、場合によっては一時的な活用も可能かと思っておりますが、そういう趣旨からしますと、現在、円高傾向が続いている関係で、結果として純資産の計算上は五・二兆の言わば為替差損を生んでいるという形になっております。  そういった意味で、こういった資金をどこまで活用できるのかということは私もできるだけ前向きにとらえていきたいとは思っておりますけれども、そうした性格を含めてよく議論は必要かと思っております。  なお、外為特会については、御承知のように、いわゆるドルで運用しているものによる利益も生まれておりますので、いわゆるフローとしての埋蔵金も生み出していて、それはぎりぎり活用してきておりますし、これからも活用していきたいと、こう考えております。
  270. 又市征治

    ○又市征治君 今の御答弁に若干付言させていただくなら、外為積立金の理由はそれなりに私も理解をしておるつもりです。来年度の剰余金見込額、これを三千五百億円計上するくらいなら、むしろ既存の積立金活用すべきだということもうちは申し上げたわけで、これはやっぱり真剣に是非これから議論一緒にさせていただきたいと思います。  次に、独立行政法人に対する国の出資金についてお尋ねをしておきたいと思います。  会計検査院は、自らの経費を賄うために経費の百倍にも上る国が出資した資産の運用を、しかも経費の支払先に預託している独立行政法人の事例について報告をいたしております。これはあっちこっちにあるんです、これはね。そして、検査院はこれについて、資産保有の必要性について合理的な理由を求めるなどとしている整理合理化計画等の趣旨に沿わないと、こう指摘をしている。もっともだろうと、こう思います。  もとより独立行政法人は利益を目的としないし、あるいは独立採算制を前提としていないということの一方で、公共上の観点から、これは確実に実施されなければならない事務事業を効率的かつ効果的にやらなきゃならぬという、こういう公共的な性格を持った組織であります。  先ほど原口大臣、同僚議員の質問にこういう問題を御指摘になったんだろうと思うけれども、原則廃止とおっしゃいましたが、私は、今この性格からいって、これを全部廃止するということにはちょっとくみするわけにはいかない。やはりそういう意味で、天下り問題などの廃絶は全くそのとおり、こういう矛盾があります。そのために金も行っているという問題もあります。こんなのはばさばさ切るべきだ、こういう思いはありますけれども、やはりこの事務事業の公共的性格というものから、たらいの水と一緒に赤子を流すような話になっちゃならぬ、こういう思いがございます。行政サービスを切り捨てちゃならぬという意味であります。  しかし、こうした観点に立つとしても、経費を賄うのにその百倍の資産運用をしているなんというのは、これはもう大変な問題、だれが見たってそうだと思う。毎年の運営経費はきちっとやっぱり政府が一般会計で措置をする、交付をする、そのことを保障して、こういう基金などというものは返させて生き金として使っていく、これはもう当然のことだろうと思うんです。  今、原口大臣のところで法案を出していただいて、独立行政法人の通則法改正問題出されておりまして、保有資産の見直しやろうということになっていますけれども、是非、繰り返し申し上げますけれども、政府や独法自身がこの資金繰り、原資の振替を口実にして業務を縮小させるなんということのないように、そういう方向でこれをきちっと見直しをしていただく、このことを是非求めたいと思いますが、代表して菅大臣の方からお願いします。
  271. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 独立行政法人及び公益法人等の基金については、今議員からもお話がありましたが、行政刷新会議の事業仕分の結果等を踏まえて、その運用益で事業を行っているものについて、基金をあらかじめ保有する必要性等がどの程度あるのかないのか厳しく見直しをした結果、約一兆円が国庫に返納されたわけであります。  他方、基金自体の事業については、必要な事業もありますので、こうした国庫返納されたものについて、必要と認められるものについては所要額を予算として措置をいたしたところです。  そういった意味で、今御指摘のように、基金として過大に積んでいるというものはきちんと戻させながら、必要な事業については一般会計の予算で措置していくと。在り方そのものは、先ほど申し上げたように、根本からそれぞれが見直していくと、こういう形で進めていきたいと思っています。
  272. 又市征治

    ○又市征治君 是非よろしくお願いしたいと思います。我々も一緒協力をしてまいりたいと思います。  そこで、総理にあと二問ほどお願いをいたしたいと思いますが、一つは、実は今月、JRの不採用問題が起きましてから二十四年目を迎えるということになりました。言うまでもなく、国鉄の民営化は国策として国が行った、政治が行ったわけであります。当時、中曽根首相が、一人もこのことによって路頭に迷わせないと、こうたんかを切られたわけですけれども、現実には改革法が作られて、その結果として一千四十七名の方々が、これはここを追い出される、こういう首になるということになってしまったわけです。  鳩山総理は、昨年二月十六日に、私も一緒に参加をさせていただきましたが、一千四十七名問題の政治解決を求める集会に、他の四党、民主党を含めて五党の代表者と一緒に参加をされまして、そのとき、この問題は人道的な立場から政治的に解決をさせていこう、二十三年が二十四年にならないうちに解決できるように私どもとしても全力を尽くしてまいりたい、当時幹事長でございましたが、そういうふうに表明をされました。この後も各党が同じような趣旨で是非協力していこうということを表明をいたしました。  被解雇者のうち、既に五十九名の方がお亡くなりになっている、こういう格好です。家族の思いはいかばかりか。もうそのとき首切られた、子供さんが二十四歳、こういう状況になってきている。そういう点では、この政権交代が実現した今こそ、過去の政権が犯した過ち、改革法というのはとんでもない実は法律でありました。そういうことの誤りを正す絶好のチャンスなわけですから、そういう意味で今、与党三党と公明党を中心に、このJR不採用問題の年度内解決に向けて、この政治解決に向けて努力を進めているところでありますけれども、是非、このことの積極的な受け止めと総理の見解を承っておきたいと思います。
  273. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 又市委員がこの問題に大変熱心に取り組んでおられること、敬意も表したいと思います。  この問題は、もう既に二十四年になってしまったということ残念でありますが、私も何度も会合に出させていただいて、やはり人道的立場から解決を急がなければならない、そのように申しましたし、政権を取った中でもその思いを変えているつもりはありません。  今、努力が与党の中で始まった、また公明党さんにも御協力をいただく、また一部の自民党さんにも御協力をいただきたいと、そのようにも思っておりますが、今年の一月十三日にその与党三党が解決策を取りまとめるということになりました。是非、しっかりと取りまとめていただいて、それを与党三党でありますから政権思いとして実現して解決をしてまいりたいと、そのように思っておるところであります。
  274. 又市征治

    ○又市征治君 度重なるILOから何回も勧告を受けているという、こういうことでもありますし、政治が犯した過ちはやっぱり政治が正すということが非常に大事だと思いますから、是非、私どもも頑張ってまいりますが、もちろん共産党さんや自民党さんにも御協力いただきながら早く解決を図っていく、そのことに御協力を賜りたいと思います。  次に、地域主権の実現というのが鳩山内閣の一丁目一番地、余り一丁目一番地、あちこちでよく出てくるんですが、亀井さんも何かそんなことをおっしゃったわけですが、地方交付税の問題ですね。  幾度となく指摘されているように、地方は二〇〇四年から二〇〇六年の三位一体改革の中で五兆円余り地方交付税がカットされた。これに対して、来年度予算では、地方交付税に臨財債を加えた実質的な地方交付税は二十四兆六千億円と過去最高となりました。本当に原口大臣、大変な御奮闘をいただいた、感謝を申し上げたいと思います。  そういう意味では、また、これは鳩山内閣地方重視の表れの予算でもある、こういうふうに私は見ますし、評価も申し上げたいと思います。しかし、これ単年度の話なんですね、やっぱり。  そうしますと、これは恒常的にどうするかという問題としては、交付税法定率の問題出てこざるを得ない。原口総務大臣が来年度予算の概算要求の段階で、これは交付税の法定率の引上げというものを実は要求をされた。これはもう画期的なことで、総務大臣からそんな提案があったことないんです、これは今までね。あわせて、三位一体改革で削減された地方自主財源の復元をこれは要求をなさったわけですが、現下の財政状況を主張する財務省によってこれは実らなかった。これは一面では理解ができるわけですけれども、残念ながらと言わなきゃなりません。  そこで、先ほど申し上げたように、地方主権の実現が鳩山内閣の一丁目一番地とおっしゃるならば、これは権限や何かを移しますと言ったって、財源なかったらこれは実際はできないわけでありますから、この点で、その裏付けとなる財源である地方交付税の法定率、これの引上げについて、これはもう大変リーダーシップも必要でありますから、鳩山総理の御見解を賜っておきたいと思います。
  275. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 一丁目一番地を言い過ぎてはいかぬと思っておりますが、地域主権、まさにそのとおりでございまして、私どもの地域主権に対して、原口総務大臣の大変強い指導力の下で今がんがん歩みを続けていて、工程表というものも作らせていただいております。それを最終的な姿に導いていくにはやはり時間が掛かることは御案内のとおりでありますが、国の在り方地域在り方というものを抜本的に変えていく、むしろ地域の方が上位にあるというような発想にしていく必要があろうかとは思っておりますが、そのための財源、取りあえずの財源という手当てはいたしましたけれども、それなりに、当然のことながら、これからは地域で自主的に仕事をしていただくためには財源というものが必要になっております。法定率の問題も含めて、これは財務大臣ともよく相談をしなければなりませんが、原口大臣の強い指導力というものの下で、私どもの一丁目一番地であれば当然地域主権に向けての財政在り方というものを考えていかなきゃなりませんので、よく検討してまいりたいと思います。
  276. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございます。  是非、これはやはり本当に政権が替わったなということが見えるように御奮闘をお願いしたいと思います。  実はあと二問予定しておったんですが、今回質問が四分削られたものですから、あと二問残念ながらできないことは残念でありますが、もうわずかしかありませんので、ここで私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  277. 神本美恵子

    委員長神本美恵子君) 他に御発言もないようですから、本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会