○
江利川
参考人 労働基本権の問題、私個人の
見解は何かということでございます。
正直申し上げまして、私は、役所に入りまして、入ったその日から夜中まで、徹夜をする作業をずっとやりまして、
公務員というのはこういう
仕事をするのかと思ったわけでございます。そういう中で、私のときは、
住宅事情も悪くて、銭湯に入っていましたので、土曜日も夜中ですから、日曜日しかふろに入れないような
生活で、
生活としては、大変文化的な
生活あるいは健康な
生活ではないなという中で
仕事をしていたわけでございます。
やはり
仕事そのものに働きがいがあるというのは大変大事なことでありますが、一方で、その後、
家庭を持って子供ができてきますと、正直、
母子家庭みたいな
生活をずっと強いてきたわけでありますので、本当にこれでいいのかなという気はいたしております。
そういう
意味で、働く
環境を整備して働きやすいように、ある
意味で
労働者のそういう
権利というのか、
条件というのか、それが十全に守られるということが大事なことだというふうに思っております。
ただ、
制度としてどうあるべきかということにつきましては、これは
憲法にも、
国家公務員を選任し、これを罷免するのは
国民固有の
権利だということになっています。いわゆる
国民が雇用するような
立場にあるわけでございますので、これについては、今の私がここで
参考人と呼ばれている
立場からいいますと、やはり
国民全体の
意見、これを尊重して
考えていくことになるのではないかというふうに
思います。
それから、
政治主導で、政と官の
関係について言われました。
政と官の
関係は、私も
公務員時代に大変
思い悩んだテーマでございます。この政と官について、私は、二つの場面を切り分けて
考える必要があると。
一つは、政府部内であります。
政府部内は、
国民に選ばれた国
会議員が大臣、副大臣、政務官として入ってまいります。これは、
公務員を選任し罷免するのは
国民固有の
権利だという
意味では、
国民の代表が上に入ってくるわけでございまして、ある
意味でここは緊張感を持って、緊張
関係の
もとに
職務が行われる、そういうことが必要なのではないかと
思います。
もう一方で、国
会議員の先生方も、日本国をよくしよう、国政をよくしようと思ってなられているわけでありますし、私ども
公務員で
仕事をしている者も同じように、国の
課題を片づけて国政をよくしようとやっているわけでございまして、日本国をよくしたいという
思いはともに共通でございます。そういう
意味では、両方が力を合わせてやっていく。
官の方では、さまざまな
行政を通じて、あるいは調査を通じて、
知見も情報もありますし、それに基づく政策選択肢も出すことができます。一方、ある政策選択肢については
国民の信を問うべきだというものも多々あるわけでございます。
国民の信を問うべき選択肢は、
政治家の責任において判断をしてもらうということが大事かなと。これが政府部内における政と官についての私の
考えでございます。
もう
一つ、政と官につきましては、国
会議員と
公務員という
関係が
一つございます。
これにつきましては、
公務員が
仕事をするとき、給料は
税金で払われているわけでございますので、
公務員の組織として持っている各種情報とか、あるいは
仕事を通じていろいろ持っている問題意識や
考え方というのは、これは見ようによっては一種の公共財のようなものでございますので、それは与党の議員、野党の議員を問わず提供すべきものだというふうに思っております。そういう
意味で、それは節度ある形で情報の提供と
意見交換が行われてしかるべきだと
思います。
ただ、私が現職で
厚生労働省におった
時代でありますが、時に、その節度を超えて、追及型で
公務員を何とか糾弾するというか、そこまでいくと、私は政と官の
あり方は行き過ぎていると
思います。節度あって、お互いに情報を交換し、お互いに、与党であれ野党であろうとも、国政を
考えているわけでございますので、そういう中で力を合わせていくことが大事なことだと思っております。
三番目でございますが、
公務員の
モチベーションを高める、それの
ポイントは何かということでございます。
これは、一番大きなことは、やはり何をやるか、何をやらせてもらうか、何かをやるということにどれだけ主体的にかかわれるか、それが一番大事なことだと
思います。
そういう
意味では、いろいろな政策を
考えるときに、
自分が培ってきた問題意識や
自分が
考えてきたいろいろな
考えとか、そういうものを出し合って、いろいろな
議論を経て、それは時には否定されることもありますが、政策として生かされていく、そういう中で、
意見が一〇〇%とられるかとられないかは別にして、積極的、主体的に参加できる、これが一番私は大事なことだと
思います。そういうことであれば、
公務員の
職務に対して魅力があって、若いこれからの有為な
人材も
公務員を目指すのではないかというふうに思っております。
最後に、
公務員制度の改革についてのことでございます。
公務員制度改革は、私は、この
公務員制度改革が国政の
重要課題になっているということについて、
公務員サイドは大いに反省せないかぬというふうに
思います。
一つは、
仕事を通じてその
職務が適切に
執行されているかどうかということが
一つ問題になっている。それから、
公務員の個々人の倫理にかかわる問題が
一つ問題になっている。あるいは、組織的な
公務員の、特に批判を受けておりますのが
天下り問題などでありますが、そういう組織的な
人事管理の中にいかがかと思うものがある。
そういう、
仕事を通じて、あるいは個々人のレベルの問題、それから組織の問題として、それぞれの目で厳しく見られている点がある、こういう点についてきちんと改めていく必要があるというのが
公務員改革が
議論されている背景である、そう認識しております。