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亀井亜紀子君
調査会の開始から二時間を経過して大分長くなってまいりましたけれども、もうしばらく御辛抱ください。
私は、
仮説一に関して、六人の
参考人の中でだれか一人ぐらいは、肯定しないまでも、
少子化はそう言われているほど怖いことじゃありませんと言ってくださるかなと、それを期待して聞いておりましたが、見事に否定されてしまって残念です。
一人目の
参考人、堺屋太一
参考人のときに、
人口が
減少しても自由な移動と転職があれば
経済、文化は発展するとおっしゃって、そして中世のイタリアの例を挙げました。あのときは疫病で
人口が減ったりしたけれども、
人口が都市部に移動したのでルネッサンスが開花したと、一方で、ドイツでは農地に封建諸侯が農民を縛り付けたのでかえって都市の方が衰退してしまったという、そういう発表がありましたので、もしかして、
人口移動がいい悪いは別として、何か解決する方策があるのだろうかと思って直接質問をいたしましたが、基本的に
人口減少は良しとは思いませんと、問題視しておりますと言われてしまったので、やはり私の期待はくじかれたわけです。
そして、堺屋
参考人は、
人口減少を乗り切るためには道州制を実行し、地方に中核都市を育て、ユニバーサルサービスを縮小し、七十歳まで
働き、早婚早産を推奨し、移民も検討するとおっしゃいました。これを聞いて、私はやはり
少子化は大変だなと率直に感じたんです。
地方の中核都市を育てることに異論はありませんし、道州制の検討も必要だと思うんですけれども、やはり、一度ユニバーサルサービスを知った人にあきらめてくださいと言うのは、地方選出の議員としても非常に難しいと実感をしております。例えば郵便にしても、戸別配達に慣れた人たちが、ここはもう限界集落になったから役場の私書箱まで取りに行ってねと言って納得するかといえば、それはどうしても考えられないわけで、やはり現実的ではないなというふうに思いました。
また、
外国人労働者のことも、例えばヨーロッパなどを見たときに、その数が増えてしまうと極右政党が出現したり移民排斥運動が起きたり、やはりそう簡単ではないなというふうに見ております。フランスで
出生率が上がっているということはよく知られておりますけれども、これはやはり婚外子が増えているということと、それからアフリカ系を始めとする移民の子供が実際には増えているので、そういった
人口構成も見る必要があると思います。ですので、今の
日本で
労働力が足りないからといって
外国人労働者を受け入れて、その人たちの子供が増えていくということを果たして
日本人が望むのだろうかというのはやはり真剣に
議論をしなければいけないですし、軽々にはできないだろうというふうに感じております。
また、早婚早産という堺屋
参考人の発想ですが、これも、現実には若いカップルは収入が少なく
育児の余裕もないので、当面、結婚しても子供はあきらめて、まずは
お金をためるということが現実ですので、やはり難しいだろうと感じました。
結局のところ、
少子化の問題というのは、総
人口そのものが
減少することが問題なのではなくて、先ほどからも何度も指摘がありますように、
労働人口が
減少して高齢化をするということが一番の問題です。そして、
所得さえ高ければ必ず幸福になるわけではないけれども、
所得が低いままでより幸福になることは難しいと、これは
小峰参考人がおっしゃいましたし、そのとおりだと思います。ですので、
人口が
減少していく
社会の中でいかにして
国民一人
当たりの
所得を維持するかというのが、やはりどうしても取り組まなければいけない課題になります。
そうなりますと、お決まりの
結論ではありますけれども、いかにしてやはり
高齢者と
女性を
労働市場に戻すかという話になるのですが、私はここで、
女性の行動パターンというのをやはり読み誤らないようにしないといけないと思いました。
池本美香
参考人が、ここでの
発言ではなくて資料の中にあったんですが、面白いことを言われております。それは、保育サービスの充実は、
男性並みに
働き出世や
仕事でのやりがいを目指す
女性や、
経済的な理由で長い時間働かなければならないという
女性にとっては歓迎されている面もある一方、残業などを断りにくくなり、長時間
労働が促進されることが懸念されるというくだりがあるんです。
やはり今、
女性を
労働市場に戻しましょうという取組が行われていますから、保育所の拡充、待機児童をゼロにしましょうという
方向で
政策を考えているわけですけれども、それだけ、保育サービスだけが充実していくと、今度は、預けて働けるでしょうといってやはり
女性がなかなか残業を断りにくくなったり、また、予算が少ない中で保育所の数だけを増やしていくと、
一つ一つの保育所の質が悪くなって、そこに子供の数は多くて、余り遊ぶスペースはなくてという
状況も生まれてくるわけです。その指摘は、池本
参考人はさすがだなというふうに私は感じました。
ですので、ただ
女性を
労働市場に戻しましょうということで保育サービスだけ拡充をしていったときに、また、政府が期待するようにもしかしたらならないのかもしれないという疑問を私は持っております。
今まで
合計特殊出生率が下がってきた原因、それはやはり政府が見通しを誤ったということがあるんですが、以前、新聞記事を読んで驚いたことがあります。それは、いわゆる
合計特殊出生率を計算する役所の
方々が、
少子化の原因は晩婚化であると。けれども、例えば一世帯子供二人が
平均であるのならば、結婚は遅くなっているけれども、晩婚化してその後子供は二人生まれるというふうに思っておられたんですね。つまり、結婚はするけれども子供は持ちませんというカップルがこれだけ増えるというふうにはどうも予測をしていなかったと。それで数を誤ってしまったという記述が以前あったんですけれども、それを読んだときに、えっ、今ごろそんなことに気が付いたのというふうに私は
女性として思ったんですね。当時、やはり周りで結婚はしても子供はいないというカップルは幾らでもありましたから、その状態を予想できなかったのであれば、やはりそれは
少子化対策は遅れて
当たり前だろうというふうに感じました。ですので、今
女性を
労働市場に戻すときに保育所のサービスばかり見てしまうと、やはり同じように間違うのではないかなという気がしております。
それで、池本
参考人の
意見としては、他国の例で、例えば一日二時間の
労働時間短縮やフレックス勤務、在宅勤務など、
正規雇用でありながら
労働時間を短縮するというシステムをもう少し入れないと、結局、
女性でもそんなに長時間子供を預けて
働きたくないわという人は多いわけで、うまくいかないのではないかということでして、私はこれは同感です。
ですので、今
経済危機でワークシェアリングが脚光を集めていますけれども、
女性に限らず、
男女とも長時間
労働からの解放、そして安定した雇用を図るということが結果的に
労働参加率の引上げですとか
出生率の増加につながっていくのではないかなというふうに思いました。
もう
一つ、昨年この
委員会に来られた山田昌弘
参考人、
社会学者ですけれども、彼が昨年、「「婚活」時代」という本を出して、最近、婚活という言葉が随分定着してきているように思います。この婚活というのは、就職活動は就活と略しますけれども、それをもじって結婚活動を婚活と略しているんです。
それで、
日本は
少子化というとどうしても
育児支援を行うけれども、そうじゃなくて、
日本は婚外子が少ないので、やはり結婚のもうその入口のところでマッチングがうまくいっていないので、なかなか行政、政治で婚活を奨励することは難しいけれども、でもそこを見ないと子供は増えないのではないかという指摘なんですね。
そして、昔はお見合いのお世話をする近所のおばさんなり会社の上司なり、いろいろな
人間関係があったわけですけれども、それがなくなってきているので、昔のように普通にしていれば結婚できるわけではなくて、活動しなければできないんですという本をお書きになりました。かなり画期的な本でして、その中で面白いと思ったのは、従来とは考え方が逆で、
女性よ、狩りに出よ、
男性よ、
自分を磨けと書いてあるんですね。それは、
女性が
自己実現ですとか
自分磨きはよくしているわけですけれど、もうそれは十分ですから、外に出て狩りをして
男性を見付けなさいと。
男性は黙っていても
女性が見付かる時代ではないので、
女性に選んでいただけるように
男性は
自分を磨きなさいと。逆のことを本で書いておられて随分面白いなというふうに思ったんですけれども、一理あると感じています。
ですので、この婚活の方はなかなか行政でできることではありませんが、今、
日本社会で起きている現実としてそういうことがあると。また、
男性も雇用が厳しい中で、先日も就活と婚活が同時に来たという四十代の
男性がテレビに出ていましたけれども、そういうことも起きているというのを十分認識した上で
政策をつくっていく必要があるのではないかなと感じております。
以上です。