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2008-06-03 第169回国会 参議院 文教科学委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      友近 聡朗君     石井  一君      白  眞勲君     木俣 佳丈君      水岡 俊一君     田名部匡省君  五月三十日     辞任         補欠選任      石井  一君     友近 聡朗君      田名部匡省君     水岡 俊一君  六月二日     辞任         補欠選任      水岡 俊一君     足立 信也君  六月三日     辞任         補欠選任      足立 信也君     水岡 俊一君      西岡 武夫君     大久保潔重君      浜四津敏子君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関口 昌一君     理 事                 佐藤 泰介君                 林 久美子君                 坂本由紀子君                 水落 敏栄君     委 員                 植松恵美子君                 大久保潔重君                 大島九州男君                 亀井 郁夫君                 木俣 佳丈君                 谷岡 郁子君                 友近 聡朗君                 西岡 武夫君                 藤谷 光信君                 水岡 俊一君                 中曽根弘文君                 西田 昌司君                 山谷えり子君                 義家 弘介君                 浮島とも子君                 木庭健太郎君                 浜四津敏子君    国務大臣        文部科学大臣   渡海紀三朗君    副大臣        文部科学大臣  池坊 保子君    事務局側        常任委員会専門        員        渡井 敏雄君    政府参考人        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       舌津 一良君        文部科学省生涯        学習政策局長   加茂川幸夫君        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        樋口 修資君        文化庁次長    高塩  至君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十九日に白眞勲君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────
  3. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会教育法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房文教施設企画部長舌津一良君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 社会教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 植松恵美子

    植松恵美子君 おはようございます。民主党植松恵美子でございます。  今日は社会教育法についてのお伺いをいたしますけれども、それより前に、まず渡海大臣学校耐震化について改めてお伺いしたいと思います。  これまで、大臣には何度かにわたってこの学校耐震化推進についてお願いしてまいりました。そのたびに大臣からは大変前向きな御答弁をいただいていたとは思いますけれども、しかしながら、具体的な推進計画予算措置についての明確な御答弁はまだいただけていないような気がいたしております。  しかしながら、この度、中国の四川省において大地震、六千五百人以上の子供たち学校倒壊によって幼い命をなくしました。こういった方々の本当に悲劇を繰り返さないためにも、我が国においてはやはりきちっとした具体的な計画を立てて、そして予算措置をとっていかなければならないと考えておりますけれども、この実現に向けての大臣の御決意とかお考えをお聞かせください。
  7. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 植松委員からは何度かこの御質問をいただいたわけでございます。私といたしましても現在の状況をほっておくわけにいかないという意識を常に持ってきたわけでございますが、現実には既に、例えば補助率等も通常のものに比べますと引き上げているとか様々な予算措置もしておりました。予算の額としても、事業量といいますか、それに関して言えばそこそこ補正予算も含めて予算は確保してきたという状況でございました。  しかし、そういう中ではありますけれども、それでもなかなか状況が進まないということで、私どものスタッフ、施設部中心全国四十七都道府県のヒアリングを、これは自分の足で歩いて行いました。その結果、一つのネックは、これはやっぱり財政的なことだと。これはそういう御主張もあったわけでございますが、そういうことを強く感じまして、このままでは進まない。  政府では、既に昨年の末にIs値〇・三以下、これは簡単に言うと大規模な地震が起これば倒壊のおそれがあるというもの、これについて、約一万棟ございますが、五年間でこれを実施するということでございましたが、地震はいつ来るか分からないわけでありますし、学校子供たちが一日の大半の時間を過ごす場所であり、また、いったん災害が起こりますとこれは住民避難場所になると、こういったことも考えますと、このままほってはおけないということで我々政府内部で検討いたしまして、補助率の引上げということを、ごく最近といいますか、ほぼ二週間前ぐらいでございますが、何とかそれをやろうということでいろいろ意見を取りまとめておりました。  ちょうどそのときに、これは、既に民主党さんは案をお出しでございましたし、また与党の方においてもこういうことを進めていこうという動きがございまして、いろんな話合いが行われて今回、議員立法で近々御提出をいただくというふうな動きになっているというふうに承知をいたしております。  この補助率を上げますことによって、従来、約三二%ぐらいが最終的には地元の負担ということであったわけでございますが、我々が、大体、各党に提示をいたしました案では一三%ぐらいまで地財措置も含めて縮小できるだろうと。これならば何とかやっていただけるんじゃないかということで、そういった動きといいますか、このことを歓迎をしたいといいますか、議員立法動きを歓迎したいというふうに思っております。各党、今、党内の手続というふうに聞いておりますけれども、こういった問題でございますから、各党とも御理解をいただいて、近々新たな枠組みの法案が実施できる。  ただ、これは補助率を上げるわけでございますから、そういった意味事業量は変わりませんので、今後また進捗状況を見ながらしっかりと予算を確保して、できるだけ早い時期にまず一万棟について耐震化を促進をしたい。同時並行に、まだ一割ぐらいが耐震診断が終わっておりませんから、こういったものも進めていただく。これも状況を見ながらでございますけれども、全体の工事の状況等も、夏休みとか春休みとかに集中をするわけでございますから、なお加速できるものがあれば加速をしていきたいというふうに考えているところでございます。  また御協力をよろしくお願い申し上げます。
  8. 植松恵美子

    植松恵美子君 まだ、耐震性でない建物と未改修なもの、診断をしてないものを含めますと五万三千棟以上もまだあると思っております。一万棟だけでなくてまだ四万棟以上の建物が残るというような状況でございますので、是非とも大臣、進めていただきますようよろしくお願いいたします。  それでは、学校支援地域本部事業についてお伺いいたします。  この事業趣旨は、地域全体で学校教育支援する体制づくり推進することにより、教員子供と向き合う時間の増加、住民等学習成果活用機会拡充及び地域教育力活性化を図ることにあるとされるとありますけれども、このように地域住民学校教育教育課程支援を行う活動社会教育として位置付けるのですか、それとも学校教育として位置付けられるのか教えてください。
  9. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 学校支援地域本部事業についてでございますが、これは第一義的には学校教育活動支援することを目的としておるわけでございまして、学校教育の分野に属するという整理ができようかと思います。  委員指摘にございましたように、教員が一人一人の子供に向き合う時間の拡充を図るということをまずねらいとしながら、そうしますと、子供たちにとって地域の大人がかかわることで多様な教育機会が確保できる、あるいはきめ細やかな教育の展開が期待できるといった意味教育充実が図られるものと考えておるわけでございます。  ただ、見方を変えまして、参加するその住民地域住民の側から見ますときには、自らの知識や経験を子供教育に生かすという場にもなるわけでございます。生涯学習成果を評価してもらえる機会ともなりますし、人によっては生きがいづくりにもつながるものと考えておるところでございます。  そうしますと、この意味では、学校教育充実と同時に社会教育成果を生かす場の拡充にもなると考えておりまして、学校教育社会教育の両面からの意義を持つと考えておる次第でございます。
  10. 植松恵美子

    植松恵美子君 今の御答弁でしたら、結局学校教育でもあり社会教育でもあるといったとらえ方になるかと思いますけれども、例えば学校教育ならばその責任者教育委員会であり学校長であると思いますけれども、じゃ社会教育であるならばその責任主体となるべきところは、一体どういったところが責任主体になるとお考えでしょうか。
  11. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 二つの見方を申し上げましたが、本事業性格上は学校教育に対する支援でございますから、どちらかと申し上げますならば学校教育に属すると申し上げなければなりません。したがって、本事業実施主体も、予算執行も含めてでございますが、市町村市町村教育委員会実施主体となるわけでございます。  ただ、市町村教育委員会実施主体になりますけれども、具体の事業執行には地域コーディネーターボランティア調整等について重要な役割かなめ役割を果たすわけでございますから、本部自らが主体的に運営することの余地が大変広いと思っております。
  12. 植松恵美子

    植松恵美子君 そうすれば、この学校支援地域本部地域教育協議会には必ずその地域学校学校長が含まれているということでよろしいんでしょうか。
  13. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) その協議会にどういった方々に入っていただくかということも含めまして、また、かなめとなるコーディネーターにどういった方にお願いをするかといったことも含めまして、地域の実情、学校の実態に応じた様々な取組が可能だと思っておりますが、学校との連携を密接に図るという意味では、委員がおっしゃいましたように、学校責任者、校長が協議会のメンバーに入ってくるというのは普通考えるところだろうと思っております。
  14. 植松恵美子

    植松恵美子君 それでは、この事業活動の大変重要なかなめといたしましては、地域ボランティア方々が挙げられるかと思います。ある意味、この事業地域ボランティアなくしては成り立たない事業だと言っても過言ではないと思いますけれども、そもそもボランティアというのは、いわゆる個人の自発的な意思に基づき他人や社会に貢献しようとする方々であります。地域によってはボランティアが存在しますけれども地域によってはボランティアが存在しない地域もあると思うんです。また、活動内容によっては、その活動ボランティアができるけれども、それ以外の活動ボランティアがまだ存在していないといった、いわゆる地域間の格差が非常にあるようなものをボランティアを基にしてつくっていく事業だと思います。  そういったところでは、例えばボランティアがいなければボランティアの養成、いわゆる講座を開いてボランティアをつくってその輪を広げていくといった時間とか費用も掛かるかと思いますが、今回のこの事業は、そういったことも考慮して予算を組んだり期間を考えていたりはするのでしょうか。
  15. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 委員がおっしゃいますように、すべての地域においてボランティアがいるかと言われれば、いない地域もないとは言えないというふうには思います。しかし、やはり今おっしゃいましたように、このボランティアというのは個人の自発的な意思でございますから、これは強制的に何かをお願いをするという種類のものではないと思います。  しかしながら、例えば、これは例が悪いですけれども、私は阪神・淡路大震災のときの状況を見ていますと、災害でございますから状況は少し違いますけれどもボランティアというのは日本全国ある意味どこにもいらっしゃる。そういう方々が、実はあのときには全国から駆け付けていただいたような状況もあります。基本的にそういった気持ちといいますか、熱意といいますか、そういったものは皆さんお持ちなんだろうという気がいたします。  そういったものを具体的に束ねていくといいますか、また仕事の種類等を明確に示してコーディネーターとしてやっていただく役割をこのコーディネーターというところに我々は求めているわけでございますし、その予算措置をしているということでございますが、実際そのコーディネーターは単に学校地域を結ぶということだけではなくて、そのコーディネーター自身ボランティアを育成するといいますか、また掘り起こすといいますか、そういったこともやっていただけると思いますし、様々な例とかそういったものがしっかりとやっぱりモデル事業を展開することによって得られた、そういったものを全国的に広めてまいりまして啓発を図っていくと。そのようなことを通じて、私は、各地域においてボランティアというものはまた出てきていただけるものだと思いますし、また育っていくと、そういったものであるというふうに考えております。
  16. 植松恵美子

    植松恵美子君 私も本当に、国民の皆様方お一人お一人がそういった善意を持って地域の、学校子供たちのために貢献をしたい、ボランティアをしたいという方がたくさんいることは望んでおりますし、そうであってほしいと思っておりますし、またそうであろうと思っております。  しかしながら、今本当に財政難の折、予算がないから実は最終的にボランティアの存在を期待をして事業を立ち上げているような状況ではないかといったちょっとした懸念もあるところが本心でございます。そして、この事業においては一本部につき二百五十万程度予算措置をとっておりますけれども、この積算根拠に目を移しますと、地域本部運営に係る経費や各種の会議とか講座開設に係る費用、また啓蒙活動等に使われるリーフレットやポスターの印刷代コーディネーター人件費などが主体となっております。ところが、実際に活動をする、ボランティアにかかわる費用としては、ボランティア保険費用は認められておりますし、またちょっとした文具品とかお茶代といった消耗品に限られております。  ボランティア活動内容としては、学習支援活動環境整備登下校安全確保学校行事の開催などが挙げられているんですね。  もちろんボランティア活動ですから、人件費とか交通費などはもちろん自主的に来ていただきたいし人件費なしで頑張っていただきたいと思っておりますけれども、例えばそれぞれの活動に係る費用環境整備だったら校庭に、花壇にお花を植えようと思っても、花の種とか苗といった費用は認められておりません。確かに人件費は無料でボランティア活動するとしても、それにかかわる費用が必ず少なからず発生してくるはずであると考えておりますが、こういった費用予算措置に見込んでいなくて一体どこが負担することを前提としてなされている事業だとおっしゃっているのか、教えてください。
  17. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 学校支援本部事業実施に係る費用について御説明申し上げます。  委員お話にもございましたように、本事業では、地域コーディネーター人件費というものは国の補助費の中に計上しておるわけでございますが、一方で数多く想定しております学校支援ボランティアについては人件費といいますか謝金等については計上していないわけでございます。また、本部が置かれます場所としましては学校余裕教室等を想定しておりまして、その場所を使いながら活動に必要な消耗品あるいはボランティア募集するための広告資料作成経費等、これもお話にございましたが、これも予算措置なされているところでございます。さらには、ボランティア保険費用についても予算措置されておりまして、こういった予算措置を通じてボランティア方々が安心して協力していただけるものと私ども考えておるわけでございます。  しかし、それ以外の経費につきまして、委員指摘のように、事業実施に伴って様々な経費が必要になるわけでございますが、第一義的には、実施主体である先ほど申しました市町村市町村教育委員会がその責任を負う、手当てをすることになると思います。  この事業学校教育活動支援するわけでございますから、そもそも想定されている学校での様々な活動、おっしゃいましたように、校庭花壇整備といったこともありましょうし、様々な教育活動支援といったことがあろうかと思いますが、想定されている教育活動に対する支援ボランティア等が入るわけでございますから、そもそもの学校教育活動に必要な経費はその学校予算等で措置されている、当然前提として措置されているものだと考えておるわけでございますし、もし活動に伴って追加が必要だということになりましたら、先ほど申し上げましたように、実施主体である市町村教育委員会が判断をしていくことになるわけでございます。
  18. 植松恵美子

    植松恵美子君 私は、そういった考え方が、この事業の根本的になかなか活性化しないんじゃないか、広がっていかないんでないかといった根拠一つではあるわけです。  たった二百五十万円程度予算を一本部に送り込みます。これは教員の年収の恐らく、ちょっと私も分からないんですけれども、四分の一とか五分の一の二百五十万の予算教員の四分の一ぐらいの予算を落とす、給与の。そのお金によって五十人、百人あるいは何百人かのボランティアの人が活性化していろんな動きをしてくれたらいい。ところが、そこに発生する費用に関しては学校のこれまでの予算の中で頑張ってやってくださいというと、最後の現場お金が下りてこないところで、コーディネーターだとかあるいは印刷代会議だといったところばかりに文教お金が回って、本当に現場で一生懸命働こうとか慈善活動をしようとしている方々が、ひょっとしたら持ち出してまでやらなきゃならない状況の中で本当に長期的にやっていけるのかどうかということは、私はこの事業が今後続くかどうか、せっかくボランティアの輪が広がろうとしても、持ち出してまで本当にやってくれるかどうかというところが大変重要なところじゃないかと思います。  これは二十年度から二十二年度までの三年間の予算措置前提でスタートさせようとしている事業ですけれども、その後どのように発展させていくつもりでしょうか、先ほどのボランティアのことと含めてお答えいただけますでしょうか。
  19. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 費用についてボランティア協力していただける方又は学校側にいわゆる持ち出しがあってはならないではないか、そういう場合には本事業が円滑に実施することの支障になるのではないかという御心配は私も委員と同じく思いを持つものでございます。  ただ、本事業は、ボランティアサイドが一方的に学校に押しかけて、こういったボランティアをしたい、ついては学校は受け取ってほしいということでスタートするのではなくて、学校が実際取り組んでいる、又は取り組もうとしている学校教育活動支援してほしい、学校からの要請に応じてボランティアが入る、それについて地域コーディネーター調整をするというものでありますから、学校がまず必要な活動を特定し、必要な経費についてもある程度想定をしながら、もし追加持ち出し等があって実施できない場合については、それについてはどう手当てをしたらいいのか、協力を求めたらいいのか、教育委員会お願いしたらいいのかといったことも考えながらスタートするわけでございますから、最初からその事業実施について支障があるといった場合は余りないのではないかと考えております。  また、今後の本事業の見直し、見通しについてでございますけれども、この事業は本年度平成二十年度から始まった事業でございます。全市町村を対象として千八百か所で実施することを私どもとしては目標としておるわけでございます。三月末までに、第一次募集を行いましたが、千か所余りの申請がございました。ですから、現在、まだ予定数に達しておりませんので二次募集を開始したところでございます。この事業性格上、私どもとしては、単年度ではなくて、継続して実施することによって一定の成果を期待できるものと考えておりますので、その考えの下に次年度以降については、予算確保といった難しい課題もありますけれども、何より本年度取組成果を踏まえながら今後の在り方について検討をしていきたいと思っております。
  20. 植松恵美子

    植松恵美子君 ある意味、ちょっと実験的な一年目ということのように伺えるんですけれども、この実験的な事業に実は五十億といった予算が付いているわけですね。文教予算の中で五十億というと大変なお金だと思いますし、同じペースで三年間予算を付けますと百五十億になるわけです。  それで、実験してやってみましたけれども成果がなかなか上がらないんです、だから途中でやめますとか、もう予算は付けないけれどもボランティア皆さん引き続き頑張ってくださいと言ったんでは本当に断ち切れてしまって、この百五十億が実りのある予算の使われ方とは言えないような状況になるかと思っておりますので、どうかこのことについて、大臣、お考えを述べていただければと思いますが。
  21. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) たまたまでございますが、私は、今年の一月にある懇談会がありまして、地域ボランティア皆さんが結構集まっておられる、そういった懇談会出席をいたしました、横浜市の青葉台でございますけれども。  そこで聞いた話だと、大体二百万ぐらいで四つの小学校ぐらいのボランティアグループを運営していると。これはたまたまなんですね。ああ、それぐらいですかと、今度こういうことを考えていますけれどもという話をしたら、二百五十万程度出れば、それはもう非常に有り難いと、随分地域活動は広まると。  これは自主的にお金を集めながらやっておられるようなグループが数グループあったわけでございますから、たまたまそういうグループが来られていたということを考えれば、今の植松委員お話も、そういう懸念も分からないでもないわけでありますけれども、やっぱりこれまでのそういったいろんな例、試みみたいなものをある程度は参考にしながら今回のこういうプロジェクトも、予算措置もこれぐらいかなと、こういうものはやっぱり見る必要があるかなということで今スタートをさせていただいていると、まず御理解をいただきたいというふうに思います。  今の御質問でございますが、そういった経緯の中で、私はやっぱり地域が総掛かりで教育をやっていくというこの教育基本法の理念、こういったものを実現していくために何かやっぱりきっかけをつくらなきゃいけないということもあって今、このプロジェクトは今年度からスタートをしているというふうに御理解をいただきたいと思います。当然、状況がずっと進行してまいりまして、その中で様々な必要な見直しというのは当然行われなきゃいけないというふうにも思っておりますけれども、まずは、やっぱりこの進行状況を見て、そして、ただやってみましたと、じゃ駄目ですね、やめますねというのは、そういうことにはしないように我々もしっかりとこの状況を見守っていかなきゃいけないというふうに考えております。
  22. 植松恵美子

    植松恵美子君 これは約一年間で五十億の予算を使ってやっている事業です。その事業であるにもかかわらず、ボランティア方々が募金活動から始めなきゃいけないような事業になってしまっては、本当に、文科省がトップダウンで落としてやっている事業の割には何て細々とやっているんだろうというような本当に広がりのない事業にならないように、大臣と私も一緒に見守って、またいろいろ目を向けていきたいと思っております。  引き続き、家庭教育支援について伺います。  平成十六年から十九年度実施された家庭教育支援総合推進事業は、都道府県レベル、市町村レベルにそれぞれ地域家庭教育推進協議会を設けて、子育てサポーターリーダーの養成とかおやじの会の情報交換会などを実施しておりましたけれども、二十年度からは地域における家庭教育支援基盤形成事業に変更されました。これはどういった理由からでしょうか。
  23. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 家庭教育に対する支援につきましては、様々な社会状況変化、具体には都市化でありますとか核家族化、少子化、あるいは地縁的なつながりの希薄化等といった背景を踏まえまして家庭教育の低下が指摘されておるわけでございまして、社会全体での家庭教育支援の必要性が現在一層高まっているんだという認識をまず持っておるわけでございます。  こういった状況を踏まえまして、委員お話にございました平成十九年度までは家庭教育支援総合推進事業というものを私ども推進してまいりました。この中では、主に家庭教育に関する理解を深める場や機会を保護者等に提供することを中心とした支援策を実施してきたわけでございます。しかしながら、対象となります保護者、具体的には親等でございますが、置かれておる状況は様々でございます。子育てに無関心な親もございますし、不安や悩みを持ち孤立しがちな親、あるいは一方で、子育てには大変強い関心は持ちながらも仕事等の都合で既存の情報提供の機会学習機会に参加できない、利用できない親といった様々な保護者等が支援を求めているということが私ども認識をせざるを得ない状況になったわけでございます。  そこで、平成二十年度は、十九年度までの事業を踏まえながら、新たにその地域の人材等で構成する家庭教育支援チームを身近な地域に設置することを考えたわけでございます。先ほど申しました様々な状況に置かれております保護者に対しまして、これまでの情報や学習機会の提供、相談対応に加えまして、訪問あるいは職場等への出前講座など、身近な地域において年間を通じてよりきめ細やかな家庭教育支援を行う体制の整備を図ろうとしたものでございます。
  24. 植松恵美子

    植松恵美子君 家庭教育支援チームは、いわゆる孤立化している御家庭とかあるいは非常に困っている御家庭を探して訪問していくということなんですけれども、そもそも孤立化しているような家庭というのをどのように見付けて訪問していこうと、アプローチを掛けていこうというお考えでしょうか。
  25. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 家庭教育支援チームの編成につきましても、具体的にどういう活動を展開していくかということにつきましても、私ども一般的な形態は想定しておりますけれども地域学校又は協力していただける方々の実情に応じて様々な工夫ができる弾力的な運営形態を考えておるところでございます。  その際に、家庭教育支援チームが支援対象をどう把握していくかということにつきましても、例えば地域においては民生委員地域の家庭状況について詳しい情報を持っておられる民生委員という方がおられますし、他の機関としては児童相談所等、社会福祉の関係の機関もございます。あるいは、地域においては専門家として保健師でありますとか臨床心理士でございますとか、専門的な知識、経験をアドバイスしていただく、協力していただく方もございますので、そういった方々の情報を総合しながらチームが地域の実情に応じて支援対象を特定していく、又は情報を発信していくことになろうかと思います。
  26. 植松恵美子

    植松恵美子君 これまでいろいろな講座を開設して、そこに自主的に来てくださる親御さんというのは子育てに関心もあるだろうし、恐らく孤立化していないだろうと考える。しかしながら、そういった講座を開設しても来ない、孤立化したり子育てに無関心である親御さんを探すために出かけていく、いわゆる極端なことを申しますと、全戸訪問を掛けたりあるいは聞き取りをずっと歩いて聞いていったらそういった家庭を見付ける可能性は高いですけれども、アプローチの方法を例えば専門家だから大体把握していると考えていらっしゃることを私はおかしいと思うんです。孤立化しているんだから見付けにくいんですよ。アクセスもしてこない、児童相談所なんかもちろん連絡していない御家庭をどうやって探すのかということを私は伺っているわけです。
  27. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 繰り返しになりますが、いろんな状況に置かれている保護者の方々地域学校の実情に応じて探すといいますか、情報提供の場を確保していくことになりますので、先ほど申しました地域の専門家や経験を踏まえた方についてアドバイスをいただくことはもちろんでございますけれども、保護者について無関心である又は子育てについて困っておられる方の情報はほかにも、例えばPTAでありますとか学校の学級担任でありますとか生徒指導担当でありますとか様々な情報を持っておられる方がこの支援チームの周辺にはおられますので、そういった情報を支援チーム自身で求めていくということになろうかと思います。  と申しますのは、家庭教育はあくまでも自主性を尊重するというのが教育基本法にもございます原則でございますから、悉皆で各戸訪問、押しかけていって押売をする、語弊があるかもしれません、そういったことはなかなか手段として取りにくいものですから、間接的に情報を丁寧に集めながら、チームとしての活動範囲や活動対象を特定していくことが通常のアプローチかと思います。
  28. 植松恵美子

    植松恵美子君 おっしゃっていることは、大変論理的であるようですけれども現実的でないような気がいたします。何か秘密探偵団のように間接的に探し当てる、これ本当にそのアプローチの方法を、具体的にやはりいろんなアイデアを出していかないと、本当に孤立化している御家庭に行き当たるということは難しいんじゃないかなというのが私の感想でございます。  そして、家庭教育支援チームは将来的には全国の小学校区単位で設置することを目標としているようですけれども全国に設置することが可能でしたら、大体何年計画で、予算としては幾らぐらい必要になってくる事業だとお考えでしょうか。
  29. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この事業、私ども実施しております事業モデル事業でございまして、本年度予算積算上は二百八十二か所を想定をしております。  モデル事業の通常の例でございますが、その成果をまとめまして、又は具体的な取組事例の紹介すべき事例等を収集いたしまして、各地方公共団体、具体には教育委員会に情報提供をさせていただく。各地方が、その情報を受け取った上でどう各地域の実情に応じた成果の実現に向けて取り組んでいくか具体的に御判断をしていただくことになろうかと思います。モデル事業を全小学校区に展開をすることを今私ども事業として考えているわけではなくて、モデル事業成果を各地域で生かしていただく中で、全小学校区で同様な取組が取り組まれることを期待をしておるわけでございます。  ただ、私ども事業としましても、先ほどの学校支援地域本部事業ではありませんが、単年でなかなか成果が出ないだろうと思っておりますから、私ども事業も、複数年度取り組むことによって地域にとって有効な情報の収集、事例の集積になると思っておりますので、私ども取組もきちんと取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。  したがいまして、全国展開をすることに向けての見通しの期間ですとか費用といったものは、今のモデル事業としてはなかなか積算できないことを御理解いただきたいと思っております。
  30. 植松恵美子

    植松恵美子君 何かちょっと将来の見通しに対してはっきりとした御答弁がいただけなかったような気がするんですけれども。  そして、先ほどの家庭教育支援チームの相談員の方々につきまして、せっかく孤立化した御家庭だとか子育てに悩みを持っている御家庭に行き当たったとしますけれども、例えば小学校という単位という大変狭い地域で、自分の家庭の悩みだとか子育ての悩みなんということを本当に積極的に話できるのだろうか、いわゆる人間関係が余りにも近くて恥ずかしいとか、あるいはこういうことがばれると世間体が悪いとか、そういったことを勘案されていわゆる人材の確保を取られているかどうかも教えてください。
  31. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) その点も、各チームごとにたくさんの方々協力を得ながら、教育の専門家、心理の専門家、社会福祉の専門家の方々が集まってきて、相当な方々の、何というんでしょうか、マンパワーのプールができました際には、支援を求めている家庭、保護者に応じたアプローチの仕方はあり得るだろうと思います。委員おっしゃいましたように、かえって地域の事情を知らない、又は学校、校区のことを知らない部外の方々が入ってきて客観的に聞く方が、悩みを打ち明けていただける、相談に乗っていただきやすいといったこともあろうかとは思いますが、そういった手法も取り入れることについて各チームで又は地域の実情に応じた取組の工夫の中で対応していただけるものと考えておるわけでございます。
  32. 植松恵美子

    植松恵美子君 本当に地域の人の専門性とか善意に任せたような取組のような気がしますので、是非とも、私としてももちろん反対しているわけではなくて、本当に軌道に乗っていただきたいので、こういった懸念がありますよという御注意を申し上げていると受け止めていただきたいと思っております。私も、家庭で一人で孤立化しているお母さんとかがこういったことによって解決できるのであれば本当に喜ばしいことであるとは思っております。  例えば、家庭教育の情報提供の一つとして、持ってまいりましたが、家庭教育手帳が今各家庭に、子供の成長段階に合わせて配付されているようでございますけれども、内容を読ませていただきました。確かに、子供の成長段階に応じて親が子育てについて悩んだり疑問に思うようなことを本当に簡単にイラストとかグラフなどを交えて説明されておりますが、一つには、この程度の簡単な手帳で家庭教育支援ができるのであれば家庭教育というものはわけないものであって、今問題になっていないはずなんですね。  今、家庭教育が本当に崩壊していって、本格的な社会問題となっています。このような内容が、非常にほんわかした当たり障りのない内容でございますけれども、全くこの手帳が私悪いとは申しておりませんが、もう少し問題意識の高い情報も提供していかなければ、各家庭が欲しいと思っている情報と文科省が提供している情報との間に非常に現実的には乖離があるんじゃないかなということが、私は一読して思いました。  そして、先ほどから、今家庭というのは非常に多様化、複雑化している、それぞれいろんな問題、悩みを抱えていると今おっしゃっているにもかかわらず、ここにかかれている漫画でありますとかイラストあるいは文言の多くは、お父さんとお母さんとそして子供二人といった四人家族をモデルとしてかかれているわけなんですよ。ところが、今おっしゃったように、一人親の家庭がいたり、お仕事も、子供を置いて深夜に仕事をしている家庭があったり、様々な多様化、複雑化をして、それが大きな、今複雑化していることが、今いろいろな家庭問題、家庭教育について問題が挙がっているわけでございますので、こういった御家庭があるということ、あるいはこういった御家庭の方が、あるいは四人家族でほのぼのとやっている家庭の方がモデルとしては非常に望ましいかもしれないけれども、こういった家庭ばかりじゃないというのが文科省に私は意識が薄いんじゃないか、意識が低いんじゃないかと思っているんです。  現実の家庭を本当に踏まえて考えていくためにも、是非とも、こういった現実からちょっと離れた家庭教育支援になってしまっている今の現状じゃないかと思うんですけれども、私は文科大臣に、今の家庭についてどのように文科省としてとらえていらっしゃるか、お考えをお聞かせください。
  33. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) ちょっとだけ時間いただいてよろしいですか。  先ほどの議論を聞いていまして、私は、地域が持っているそれぞれの家庭の把握力というのは結構あると思っています。これは、地域によって差があるというふうに思います。都会の、隣にだれが住んでいるか分からないといったような地域で、例えば隣のことが分からないというようなことはあるとは思いますが、私の地元というのはそんなにめちゃくちゃ田舎じゃないですが、でも、そこそこ民生委員さんが役割を果たしておられて、大体の家の状況は把握はしておられますし、完璧とは言えないですよ、家の中までなかなか入っていけないわけですから。だから、そういった活動を通じてある程度の機能は私は果たせるんじゃないかなと。  その場合に、ただ、民生委員さんが必ずしもプロじゃないですから、いろんな問題に対してどういうことをやったらいいかというためにいろんなプロが協力をしていくという体制を我々は支援チームの中で考えたと、こういう御理解をいただきたい。不断の見直しはしていきたいと思います。  それから、今、家庭教育手帳については、私も簡単に見させていただきました。すべての項目についてエッセンスが書いてあるというのが率直な印象でございまして、それぞれ個々にすべて対応できているかといえば、それはちょっと無理な部分もあるかもしれません。ただ、一般的にいろんなヒントにはなるだろうというふうに御理解をいただきたい。そして、その理解の上に立って、先ほどの個々のケース等も含めて、日ごろから悩んでおられるお母さん方がこれを見ることによって何かのヒントを得ていただいたらという意味で、すべての項目といいますか考えられる項目についてエッセンスが書いてあるのがこの手帳だと。  そういった意味では多様なニーズには対応しているんですが、個々の、ある意味での特殊なニーズに対してそれが対応できているかといえば、一〇〇%対応できているとは言えないということは言えると思います。そういった点について、当然、これも機会があるごとに改善をしていくというのは当然でございますから、また様々な貴重な意見がいただければ、我々は別にこれに固執するものではありませんから、大いに改善も図っていきたいというふうに思っております。
  34. 植松恵美子

    植松恵美子君 私は、この家庭教育手帳を否定しているわけではありません。ただ、この家庭教育手帳を見ておりますと、文科省の家庭のいわゆるとらえ方が本当に一元的なんじゃないかということを心配しているわけであります。様々な家庭がある中で、本当に四人家族がモデルとしていつまでも頭の、いわゆる根本にあるならば、なかなか今の現状に沿った、多分様々なこれからの家庭教育支援、いろんなことを今から起こそうとしていることがなかなか現実的に手だてにならないんじゃないかということを今申し上げているわけでございますので、御理解いただきたいと思います。  引き続き、図書館法についてお伺いいたします。  図書館法九条によれば、「政府は、都道府県の設置する図書館に対し、官報その他一般公衆に対する広報の用に供せられる独立行政法人国立印刷局の刊行物を二部提供するものとする。」とありますが、これは当然無料だと解釈してよろしいでしょうか。
  35. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 図書館法第九条の規定でございますが、委員指摘の条文には第二項でこういう規定がございます。国及び地方公共団体の機関が、公立図書館の求めに応じて、その刊行物等の資料を無償で提供することができると書いてございまして、無償提供が想定されておるわけでございます。
  36. 植松恵美子

    植松恵美子君 そうなんですよね。政府刊行物は無料で二部ずつ提供されることになっているにもかかわらず、実際のところは図書館側が購入しているようなんです。この費用が、一つの大体図書館当たり、年間でも五百万とか六百万あるいは数百万に及ぶと言われております。  この政府刊行物の納本について遵守すべきであると思いますが、文科省から各省庁への要請を徹底していただけるでしょうか。
  37. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この図書館法九条の趣旨でございますが、公の出版物を優先的に公立図書館に提供することによりまして、一般の国民に対する広報の用に供しようとする趣旨であると理解をいたしております。  ここでは都道府県立の図書館が対象になってございますが、都道府県立図書館は、都道府県内の図書館サービス、図書館奉仕の中心となることが期待されておりますために、第一項のような規定、委員指摘のような規定になっておるわけでございます。  この規定の趣旨からしますと、私どもとしましては、委員指摘のような実態も今心配されておりますので、まず実態把握に努めたいと思っておるわけでございますが、今の九条の条文の趣旨の普及を関係方面にまず働きかけたいと思っておりますし、刊行物を発行する省庁の理解、協力を求めながら規定の趣旨の実現に努力してまいりたいと思っております。
  38. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、この現状を今お知りになっていただいたと思うんですけれども、今後、積極的にこのことを取り組んでいただけるでしょうか。図書館の現場では、今非常にこの図書購入費という財政が非常に限られてきておりますので、これを無料でいただけるかどうかというのは大きなことなんですね。大臣、もう一度お願いいたします。
  39. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 法の趣旨にのっとって、各省庁にもきっちりと徹底するように我が方が努力をさせていただきます。
  40. 植松恵美子

    植松恵美子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  それでは、司書の配置についてお伺いいたします。  今回の法改正案では、専門職員である司書の研修制度による専門性の向上の必要性について触れられておりますが、司書の配置に義務付けはされておりません。現在のところ、司書が一人もいない図書館が三五・六%、司書が一人でいるところが二四・四%で、六割の図書館では司書がいないか、いても一人なんですね。ところが、現場の声、図書館の方に伺いましたら、職員の半数、約五、六人は司書の資格を有していることが望ましいんだ、その方が本当の図書の仕事ができるんだとおっしゃっております。  そもそも、司書の研修などが今回盛り込まれているにもかかわらず、そもそも司書の配置がされていない施設があるということはおかしなことだと思いますけれども、司書の配置について、法的に明文を定めるなり、あるいは数値を盛り込んだガイドラインを示すなど今よりもう一歩踏み込んだ対策が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  41. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 司書の配置等についてでございますが、図書館法の第十三条では、公立図書館に館長並びに当該図書館を設置する地方公共団体が必要と認める専門的職員等を置くことが規定されておるところでございます。また、私どもが定めております公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準では、専門的なサービスを実施するに足る必要な数の専門的職員を確保することを促しておるところでございます。  こういった規定又は基準がございますのに、実際のところ、委員の御指摘にもございましたが、公立図書館は全国に今二千九百五十五館ございますが、司書が配置されていない図書館がこのうち九百七十二館、約三三%見られるわけでございます。  司書の具体的な配置につきましては、今申し上げました図書館法等の規定等を踏まえて、第一義的には設置者である地方公共団体が判断すべき事柄になると私ども考えてございます。それぞれの地域の実情あるいは財政状況等を勘案して、必要な数の職員を配置して運営の適正化、特に利用者のサービス向上に努めることが求められているものだと考えておるわけでございます。  ただ、今申しましたその規定ぶりから見ますときに、これを更に踏み込んで数について規定をする、あるいは必ず司書を置かなければならない旨の規定を設けることにつきましては、地方の判断を尊重する、あるいは地方の財政負担といった観点から現時点においては慎重に検討する必要がある課題ではないかと思っております。
  42. 植松恵美子

    植松恵美子君 司書の研修制度を定めて質を向上させようという前の基本としてまず司書を置かなければ質の向上ということをうたう必要が私はないと思いますので、館長及び専門職を配置するというふうに変えれば、本当にもっと強い一歩踏み込んだような文になるんじゃないかなと思うんですね。  ですから、地方に任せる、都合が悪いところは地方に任せるといいましても、やはり司書の設置については、研修制度を設けようとしているんですから、そのスタンダードなところできちっとやはり数値を盛り込んだガイドラインは示すのが必要じゃないかと思いますが、もう一度お願いいたします。
  43. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 社会教育の在り方、図書館の設置運営もその代表的な例でございますが、これにつきましては国と地方公共団体がやはり役割分担をしながら振興策を講じていく必要があるんだと思っております。  委員指摘のように、国がより積極的に社会教育のある振興分野について関与するというのも一つのお考えかと私どもは理解いたしますけれども、現在の図書館法の仕組みは、専門的職員の配置について言えば、教育委員会、地方公共団体が必要と認める専門的職員を配置するということが建前になってございまして、地域主体的判断を尊重する制度になっておるわけでございます。  私どもとしては、国と地方の役割分担を前提考えますときに、今の地方の裁量、判断を損なうような制度設計、見直しをするといったことについては現時点では慎重でなければならない。国としては、地方の判断を尊重しながら必要な経費について地財措置等を講じるという役割を今担っておりますし、それに当たっておるわけでございます。
  44. 植松恵美子

    植松恵美子君 館長を置くことは定めております。それで、司書を置くことに、地方の自主性を損なわれるようなことかなと思います。図書館において図書の専門である司書があった方がスムーズだし、普通に考えて司書がいた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、このことについて大臣のお考えも教えていただけますでしょうか。
  45. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 国と地方の役割というのは、やっぱり全体で考えていくべきなんだろうというふうに思います。  図書館と一言で言いましても、かなりの規模から、それから小さなものまでいろいろあるわけですね。そういったことも含めて、必要な専門職員等を置くことができるというふうに現在なっていると私は理解をいたしております。ですから、そのことについては、地域が判断されたことに対して我々は尊重したいということでありまして、研修をするから、そういう資格をつくるから、置くか置かないかというそこの判断まで国が縛るということには一義的にはならないと私は思いますね。  その上で地方と国の役割というものを再度見直して、例えばこの法律を変えていく必要があるのかないのかということについて言うならば、今局長が答弁をいたしましたように、現時点で、どういいますか、すぐに、じゃそうしましょうとか言えるということではないと。やはり検討する必要があるということをお答えを申し上げておるというふうに理解いたします。  これは私の意見でもあると考えていただいて結構ですから。
  46. 植松恵美子

    植松恵美子君 そうしますと、大臣、検討することによって司書を今のまま地方に任せる場合もあるけれども、あるいはガイドラインを示して指導していくことも考え得ると受け取ってよろしいでしょうか。
  47. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 常に私は思うんですが、ガイドラインというのは単に基準として示して、拘束力のあるものとないものみたいなものの使い分けがされていますね、国と地方では。ですから、今、望ましい基準というのは示しているわけですよね。望ましい基準というのは、呼び方によってはガイドラインなんです。ですから、委員がおっしゃっている意味でのガイドライン、そういった意味ではもう既に私はこれはあるんだと思うんですよね。だけれども現実には配置をされていない、それは必置義務がないからだと、今の議論はこういう議論ですよね。要するに、ガイドラインというのは、後は判断はそちらでやっていただきたいと。しかし、望ましい基準ですから、望ましい基準ですから、これもガイドラインなんですよ。ですから、そこの部分は非常に、今の御質問に誠実にお答えしようとしているんですが、非常にあいまいなんですね。  ですから、その辺も含めて、必置義務ということでありますから、であれば、これは例えば法律改正なりそういったことにもなるわけでありますから、今はまだ検討する必要があるということを申し上げているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  48. 植松恵美子

    植松恵美子君 是非とも、図書館の中の、やはりこれからのサービスの向上とか質の向上を考えましても、検討する方向性としてはこういった専門の方を増やしていく方に検討していただきたいと思います。  最後になりますけれども、図書館というのは、先ほどから申しておりますように、知識だけでなくて、知識も必要ですけれども経験の蓄積も必要になってくると思いますが、二〇〇三年の地方自治法改正によって指定管理者制度が導入された図書館があります。先ほどから申しておりますように、この目的としては、住民サービスの向上を図るとかあるいは経費削減を図るということでありますけれども、図書館にとってのサービスというのは、単に利用者数が増えたからサービスが良くなっているんだとか、あるいは開館時間数が延長した、開館日数を増やしたといった量的なものだけでは測れない性質のものがあると思うんです。やはり職員の質の向上が大切ですけれども、先ほど申しました経費削減が人件費の削減につながっているようなところもあります。  現在は、指定管理者制度は数年ごとの契約更新ですので、契約する会社が安定した長期雇用が保障されないため短期的に職員の入れ替わりによる弊害が生じているようですけれども、文科省としてはこの実態をきちっと把握されておりますでしょうか。そして、把握されているとすれば、どういった御認識を持っていらっしゃるか。また、今後どうあるべきであると考えているか、お答えください。できるなら、大臣からお願いいたします。
  49. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 指定管理者制度の導入の経緯というのは委員よく多分御存じなんだろうと思います。その上に立って、今、十七年度、少し古くなりますが、この社会教育調査によりますと、公立図書館への指定管理者制度の導入率というのはまだ一・八%なんですね。その最大の理由は、やっぱり今御指摘がございました、大体指定期間が短期であるために、五年ぐらいと聞いておりますが、長期的視野に立った運営というものが図書館ということになじまないというか難しいということ、また職員の研修機会の確保や後継者の育成等の機会が難しくなる、こういう問題が指摘されておるわけでございます。やっぱりなじまないということで一・八%なのかなというふうに私は受け止めております。  そういった点からすれば、今懸念されているような問題、こういうものがやっぱりちゃんと払拭をされて指定管理者制度が導入されるなら導入されるべきであろうと。指定管理者制度を導入するかしないかというのは、これもさっきの意味とは違った意味で、一義的にはやっぱり地方自治体が判断をすることでありますから、しろとかするなとかこれは国が言うことは本来の指定管理者制度の趣旨にそぐわないわけでありますから、やっていただくということであろうとは思いますけれども、先ほど言ったような図書館に指定管理者制度を導入されるということであれば、先ほど言いましたような点について、しっかりとそういった懸念が起こらないようにしていただいた上で導入をしていただくということが大事なのではないかなというふうに考えております。
  50. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣の御答弁で、ある程度文科省としても指定管理者制度を導入した図書館に今起こっている弊害というものをきちっと把握されているというか、きちっと目は向けていて御存じであるということはよく分かりました。  しかし、本当にさっきからもずっと行ったり来たりしておりますけれども、実態としては地方が決めることであるから国はなかなか口を出せないんだという御事情もよく分かっておりますけれども、やはりこれ公のものでありますし、国民がもう自由に使える施設でございますので、やはりある程度、国が口を出すというんではないですけれども、指導したりあるいはきちっと何か方向性を定めていくところに大臣のリーダーシップを取っていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  もう一度お願いいたします。
  51. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 植松委員に反論しているわけじゃないんですが、これは衆議院でもあったんですよ。要するに、国が国がとおっしゃるんです。でも、逆に言うと、そういうことをすべて国が決めて、その場合はしっかりと予算も付けなきゃいけないですから、国と地方の財源の割り振りということも含めて、例えば世の中、日本の社会というものを本当にもう一度見直すということをやることも、それは一つ考え方ですよ。だけれども、やっぱり現実には、今は地方分権という形の中でできるだけ地方自治体が主体的に住民サービスというのはやっていくというのがこれはやっぱり大事な原則だと思うんですね。その中で、それでもやっぱりこういうことだけは国がしっかりと基準を決めなきゃいけないねと。  財政の問題についても、冒頭にございました耐震化の問題だって、じゃどうするかというときに、やっぱり今のような状況考えれば、これは三分の二はやろうということで我々は決断をしたわけですよね。そういうことをやっぱり考えていかなきゃいけないのが今の一つの時代の流れであろうと。  地方ももっと自信を持って、もちろんお金の問題をどうするかという全体の地方財政の問題がございます。これは全体の地方財政として話をしなきゃいけないと思いますが、そういう観点に立って、最低限こちらが決める基準はしっかりと我々の方で責任を持って今後ともやっていきたい、そのように考えております。
  52. 植松恵美子

    植松恵美子君 私も香川県という地方出身の議員でございます。母親の一人でございますけれども、今本当に子供学校の教材費だとかあるいは学校の図書費が、地方の采配によって本来使ってほしいところに、財政難が主な理由だと思いますけれども、ほかのものに使われていたというような結果も明らかになってきている状況の中で、教育においては、地域格差だとかそういったいわゆる財政難によっての格差が出ないような配慮がやはり必要ではないかと思いますので、どうぞ今後とも、大臣、よろしくお願いいたします。  時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
  53. 水岡俊一

    水岡俊一君 民主党水岡俊一でございます。  午前の時間いただいて、植松委員に続いて社会教育法関連の質問をさせていただきたいと思います。  先ほどからのお話でありますが、国はガイドラインをつくる、必置義務がないから置かないところも出てきた、しかしそれは自治体の判断である、自治体が住民サービスを行う義務があるから、そこは自治体の大きな責任であると、こういうようなお話がございました。極めて法律に基づいた誠実なお答えかもしれませんが、それは大臣、官僚的な答弁ではないかと私は思うんですね。  先ほど、大臣自ら、耐震政策の問題、学校耐震化の問題について政治判断を行ったと、こういうふうにおっしゃったわけですから、私は、渡海紀三朗文部科学大臣としてこういう問題をどのように考えていくのか、政治的な大臣としてのお考えを是非述べていただきたい、そういう場であるというふうに思います。  そういうことを踏まえた上で、今回の社会教育法等の改正案、どういう意義があるのか、大臣としてはどんな思いがあるのか、その辺りを是非端的にお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  54. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は、はっきりこれは私の意見でもありますと申し上げましたから、別に官僚的でも何でもないわけでありまして、水岡議員は同県出身の参議院議員でございますから、これは名誉のために取り消していただきたいと思いますよ。  ただ、私が申し上げているのは、国と地方の役割の中で確かに今地方で格差が生じています。ですから、そういうことに対して、どういうふうに我々としてそれを是正していくかということは、全体の大きなスキームとしての問題としては非常に私は問題意識を持っております。そのことが、例えば学校教育に問題があってはいけない、また子供たちの命に問題があってはいけないという意識から、今回はかなり危機感を持って臨んで、民主党さんは前から出しておられたわけでございますから、それは私は感謝していますよ。ですから、そういう意味でこういう決断をさせていただいた。  じゃ、図書館がそうじゃないと言っているわけではありませんが、図書館の運営について、どこまでがやっぱり地方にお願いをするべき問題なのかどうかということに対する今その意見というものがここで議論されているんだというふうに私は理解をいたしております。  ですから、法律がどうのこうのということももちろんございます。局長はそう答えました。だけど、もしそうするのなら法律の改正が要るということになるんじゃないでしょうかと。我々は今望ましい基準というものは出しているわけですから、それに対してできてないということならば法律改正が必要なんじゃないですかということをお答えしたんであって、これは正確に受け止めていただきたい。そこで、それはやっぱりすべきだ、すべきじゃないという意見は、これは議論があっていいと思います。そういうふうに御理解をいただきたい。  私は常に自分の、データはもらったやつで答えていますが、自分の意見で答えるようにしておるということを申し上げたいというふうに思います。そのつもりで水岡議員との議論にも臨みたいというふうに思っております。
  55. 水岡俊一

    水岡俊一君 私は誹謗中傷をしたつもりはありません。私は、この度の学校耐震化問題については、やはり文科大臣として大変大きなお仕事をされたんではないかな。大きな判断をされて政府・与党内で御意見を主張していただいた、そのことに学校関係者のみならず全国民が喜んでいるし、その政治判断を評価していると私は思うんですね。  そういった部分も一つ見方として、この社会教育法に懸ける思いというのを、また大臣らしいリーダーシップで頑張ってほしいと、こういうふうに私も思いますし、先ほどの植松さんもそういうふうにおっしゃったと、こういうふうに思っております。  それでは、具体的に細かい内容についてお伺いをしていきたいと思いますが、まず社会教育法関係の九条の四に、社会教育主事資格要件について、今後学校社会の連携を深めるというそういう意味からして、司書教諭ですね、学校の司書教諭の職にあった者の位置付けというものが必要であるというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。  つまり、社会教育主事になるためには、大学で必要単位数を修得をし実務経験を積んだりとか、あるいは教員免許を持っていて現場の経験を踏むとかというそういう体系がございますね。そういった中に、司書教諭の職にあった人をどういうふうに位置付けるか、これから考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょう。
  56. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 御説明を申し上げます。  司書教諭につきましては、従来から、すなわち現行の規定におきましても、一定の実務要件と、委員お話にございました社会教育主事講習の修了等によりまして社会教育主事への登用が可能となっております。  具体に申し上げますと、やや条文、細かな御説明になって恐縮でございますが、現行第九条の四第二号の規定でございますが、教育職員の普通免許状を有し、かつ五年以上文部科学大臣の指定する教育に関する職、具体には教諭等でございますが、にあった者で、次条の規定による社会教育主事の講習を修了した者は社会教育主事の資格要件を満たすという規定があるわけでございます。  一方で、学校図書館法におきましては司書教諭は教諭等をもって充てることとなっておるわけでございますから、司書教諭が、通常はそうだと思いますが、教育職員の普通免許状を有しておりますれば、司書教諭としての実務経験と先ほど申しました講習の修了によって要件を満たすことになるわけでございます。ですから、現行の規定でも司書教諭は社会教育主事になる資格を有しておりますし、登用されることは可能だということでございます。  また、仮にでございますが、教育職員の普通免許状を有していない司書教諭があったとしました場合にも、現行の同条の規定、すなわち社会教育法第九条の四第四号の規定に基づきまして、講習の修了後、社会教育に関する専門的事項についての教養と経験を有すると都道府県の教育委員会が認定することによっても社会教育主事の資格要件を満たすことになるわけでございまして、普通免許状を有している場合ももちろんでございますが、有していない場合についても教育委員会の認定行為で可能になっておるというのが現行の規定でございます。
  57. 水岡俊一

    水岡俊一君 いや、九条の四の二にそう書いてあるのはよく知っています。だから、今お答えになっていたのは、包含されていますから司書教諭はなれますよという話。  僕が言っているのは違うんですよ。司書教諭という仕事、その職というものにもっと注目をするという流れの中でいえば、今この法体系の中で、二つの出発のカテゴリーの中にもう少し司書教諭の意味をきちっととらえて、司書教諭が社会教育主事になり得る要件としてきちっととらえていくと、積極的にそれをとらえていくという方向にはなりませんかというお尋ねをしているんですが、いかがですか。
  58. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この規定は、社会教育主事になるための基礎資格について整理した規定でございます。  委員指摘の、司書教諭について社会教育主事として登用する可能性について、それぞれの必要な実務経験や必要な講習の修了について規定をしているものでございますから、現に司書教諭として勤務している者がこの資格があるんだ、認められるんだということが現行法上保障されておりますれば、御指摘の要請にはまず第一にこたえられているんだろうと私どもは理解をしておるわけでございます。  その上で、実務経験の中で特に司書教諭という形態だけを切り分けて、切り分けて法律上規定する必要があるかどうかについても、委員指摘の点で課題かとは思いますけれども、現時点で司書教諭に勤務をしている者が十分救われ、語弊があるかもしれません、手当てされておるわけでございますから、切り出してその職について改めて規定する必要はないのではないかと今は考えておるわけでございます。
  59. 水岡俊一

    水岡俊一君 この問題で長くやる余裕はないんですが、今回の社会教育法改正で何をうたっているかといったら、要するに、学校社会との連携の中で社会教育、そして学校教育共に進めていくことを図っていくという、こういうことでしょう。  だから、図書館があって、図書館の中の司書と言われる仕事をしている人たちが学校を回ったり、学校に直接赴いて図書教育に貢献をしたり、あるいは公立の図書館が少ないところでは学校学校図書館が地域のために貢献するというようなこともある。そういう連携を深めていくということがまずそこにあるのだから、司書あるいは司書教諭の仕事って随分大切になりますよということをこの法律は言っているんじゃないですか。  だったら、今の状態の中で認められているからそれでいいんですというんじゃなくて、もう少し何か積極性を持って司書あるいは司書教諭というものをとらえるべきじゃないかと思うんですが、もう一回だけ、そういう方向性としてとらえていく気があるのかないのか、ちょっとお聞かせください。
  60. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 繰り返しの説明で恐縮でございますが、この条文は社会教育主事の資格を取るために必要な要件を規定しておるわけでございまして、司書教諭の重要性については、私、委員考えを同じく思っておりますけれども、司書教諭についてそのことだけを規定する条文ではないということで、条文の性格上違った点があることを是非御理解をいただきたいと思っております。
  61. 水岡俊一

    水岡俊一君 いや、だから、条文がどうなっているかという理解を私は聞いているわけじゃないんだと言っているでしょう。そういう考え方があるのかどうなのか、今後のことを聞いているというんですから。これ以上聞いても答えてくれないから、もう言いませんわ。  それでは次に、第五条に市町村教育委員会の事務、第五条の十三ですね、市町村教育委員会の事務、「主として学齢児童及び学齢生徒に対し、学校の授業の終了後又は休業日において学校社会教育施設その他適切な施設を利用して行う学習その他の活動機会を提供する事業実施並びにその奨励に関すること。」と書いてありますが、つまり放課後子どもプランのことですか。
  62. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員指摘くださいました社会教育法第五条第十三号でございますが、改正教育基本法十三条にございます、学校、家庭、地域住民、三者の相互の連携協力について規定したことを踏まえたものでございまして、具体には様々な形態の活動を想定しておりますが、放課後子どもプラン、放課後子ども教室もその形態の一つだということができようと思います。  ただ、放課後子どもプランのような形で地域社会子供教育にかかわっていくだけではなくて、地域の歴史や文化を学ぶための機会の提供を、それ以外の場を提供することもあるわけでございますし、様々な形での、地域子供たちに体験活動場所の提供あるいは異年齢交流の機会を提供するという工夫が現在も行われておりますけれども、そういったもろもろの活動を一層推進するために規定の整備を図るものでございまして、放課後子どもプランが想定されておりますけれども、それに限らない規定だということを御理解いただきたいと思います。
  63. 水岡俊一

    水岡俊一君 分かりました。  それでは、放課後子どもプラン、その中心になるんだろうと思いますが、そういった意味でいえば、学校図書館をこれまで行われている学校開放の中の一つ場所として加えていく、そういうような方向性があってもいいんじゃないかというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
  64. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 学校図書館につきましては、元々児童生徒のための図書館ということでございますけれども、地方公共団体によりましては、日にちを決めたり、あるいはお昼休みの時間というふうに時間を決めまして、地域の方や保護者の方に御利用いただくというような取組を進めているところもございます。  学校地域との連携を進めていくという意味におきましては、学校図書館につきましても地域方々に御利用いただく、またいろいろな御支援をいただくということは大変重要なことであると考えているところでございます。
  65. 水岡俊一

    水岡俊一君 放課後子どもプランについては、また後ほど詳しくやりたいと思うんですが、学校における図書館教育について少し質問したいと思います。  現在、司書教諭、これ充て職ですけれども、司書教諭を中心として行われているわけですが、充て職ということは、一般の授業や校務の合間に仕事をするということにどうしてもなってしまいますね。そういうことで行える仕事だと、司書教諭というのは。そういうふうにお考えであるのか、その点ちょっと、大臣若しくは文科省でお答えをいただきたいと思います。
  66. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 司書教諭でございますけれども、十二学級以上の学校に配置が義務付けられておりますが、教諭をもって充てることとされております。  私ども、司書教諭というのは、学校図書館資料の選択や収集、提供、また子供の読書活動に対する指導などを行う上で中心的な役割学校図書館の運営や活用についての中心的な役割を担っていると考えております。  そこで、文部科学省におきましては、司書教諭の発令されていない学校における有資格者の発令が促進されるよう、司書教諭の講習を引き続き進めていきますとともに、この司書教諭が学校図書館の運営に十分な役割を果たすことができるよう、教職員の協力体制の確立や校務分掌上の配慮などの工夫を促し、司書教諭の活動支援することが大切であるというふうに考えているところでございます。
  67. 水岡俊一

    水岡俊一君 せっかく局長がお答えをいただいたんで、ちょっと局長、その教職員の協力あるいは校務分掌上の配慮、これ具体的にはどういうことですか。まさか授業数をその人だけ削減するという意味じゃないでしょうね。お願いします。
  68. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 司書教諭の授業時数の関係でございますが、司書教諭につきましては学校の教職員の一員でございますので、どれだけの授業時数を担当させるかは基本的には各学校長の判断によるわけでございますが、例えば学校全体として多くの業務を抱えているという状況の下で、単に司書教諭を学校図書館業務に専念させるために司書教諭の授業負担を軽減させるということは、一方ではほかの教員の方にその負担を負わせるという面もあるのは確かでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、学校全体の中で教員の負担を軽減する、また教職員が子供と向き合う時間の拡充を図るために、二十年度予算におきましては、教職員定数の改善や外部人材の活用、また学校支援地域本部を通じた学校ボランティアの活用の促進などを進めているところでございまして、こうした取組推進する中で、司書教諭を始め、教職員の子供と向き合う時間の確保、またより働きやすい環境の整備、こういったものに努めているところでございます。
  69. 水岡俊一

    水岡俊一君 残念ながら何をおっしゃっているのかよく分からなかったですね。  大臣、国語教育が大切だ、読書活動をもっとちゃんととらえよう、そして学校図書館の利用をもっと増やす、そういったことが文科省の考え方の中心にあって、司書教諭も十二学級以上には置きなさいよと、こういうふうになっている。やはり学校図書館での司書教諭の仕事というのは、これ重要だと思うんですよ。だけれども、充て職で、つまり別に人が充てられない中で、みんなが教員としての仕事を持っている中で、だれかが、あなたは学校図書館司書としての仕事をしなさいよと言われたら、そこの部分が非常に大きい。重要になればなるほど取られる時間が多いわけですよね。そうすると、教員協力体制でいえば、やはり、だれだれさん、あなたは今年図書館司書教諭だから、時間数をやはり六時間ぐらい減らしてみんなでそれを分担しようかということになりますよ、当然。そうなればほかの人にしわ寄せが来るわけです。  今文科省が考えておられるのは、子供に触れ合う時間を増やそうと。教員子供と触れ合う時間を増やそう、それが大事だと、こう言っているのにもかかわらず、現実的にはどんどんと教員を忙しくさせて子供と触れ合う時間が少なくなる。図書館司書教諭を置きなさいと言っているけれども人を置かないということは、言っていることとやっていることが矛盾していませんか、大臣。いかがでしょう。
  70. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 全体の業務量というのは、我々は今大変、これは実態調査もいたしまして、分析をし、なおかつこれを減らす努力というのをどうやってやれるかということを本当に真剣に考えています。教員皆さんが大変忙しい思いをされているという実態も我々なりに把握をして、どうやったら減らせられるかという努力をとにかくまずやることが大事であると。子供と向き合う時間を取るというのは余分な仕事をしないことだという、こういう認識は私は十分持っているつもりでございます。  その上に立って、現実に、例えばこの司書という仕事をどう考えていただくかと、今、水岡議員はそういう議論をされていると認識をいたしております。やっぱり全体の定数の問題、そういった問題にもこれはかかわってくるわけでありますから、そういうことを総合的に考えた上で、我々は学校現場、先生方ができるだけ子供と向き合っていただけるような環境をつくるためにどうすればいいかと、こういう視点を持って考えていきたい。漠としておりますが、そういう意識で我々はこの学校現場の問題に取り組んでいると御理解をいただきたい。  定数改善の問題もございます。そして、いろんな意味での、さっきの支援地域本部もそうですね、これだって、例えば部活の一部を担っていただくようなことも想定をされるわけでありますから、そういった総合的な中でこれからこの問題は考えていかないと、このこと一つだけを取り上げて、今先生が言われたように、これだって重要な仕事だからと言われると、それはそうなんですよ。そうなんですが、だから、例えば専任で一人置くべきだと言われてすぐ簡単に、それはそうですね、じゃ増やしましょうという状況にはなかなかないということは御理解をいただけるんじゃないかと。  我々は我々の問題意識を持って、何もこれは重要じゃないと言っているわけじゃないですから、そういった全体で、先生方の負担も減らし、子供たちにできるだけ向き合っていただいて、そして日本の公教育の全体の質を高めていきたいと努力をしているところでございます。
  71. 水岡俊一

    水岡俊一君 いや、大臣がそういうお考えを持っていらっしゃらないというふうに私は思っていません。持っていらっしゃるんでしょう。だから今の大臣としての仕事に全力でかかわっておられるんだろうと思いますが、今私が申し上げたのは、やはり重要だ、そこに多くの時間を掛けたりあるいは多くの手間を掛けたりして子供たちのために働く人員を置かなきゃいけないというふうに決めたら、それにやはり専任の人間を置いていくという考えを持たない限りは、その重要性ははっきり目の前に出てきませんよ。  しかしながら、シーリングが掛かっていてこれ以上人員を増やすというのは大変難しい、そういったことも、それは現実としてあるわけです。私は、社会教育法の改正案というこういう機会をとらまえて、社会教育あるいは学校教育、その中での図書館教育をどうとらえていくかということをうまく法律案として提示をするいいチャンスじゃないですか。こういうときに、だからこそ一人置かなきゃいけない、一人以上置かなきゃいけないという法案を提出するのが、これが文科省としての仕事じゃないかと私は思うわけですよ。  大臣、実は、平成十七年にこういう法律ができています、文字・活字文化振興法。これの第八条二にこういうことが書いてあります。ちょっと読みます。「国及び地方公共団体は、学校教育における言語力の涵養に資する環境の整備充実を図るため、司書教諭及び学校図書館に関する業務を担当するその他の職員の充実等の人的体制の整備学校図書館の図書館資料の充実及び情報化の推進等の物的条件の整備等に関し必要な施策を講ずるものとする。」と。  これは附帯決議でも何でもない、法文ですよ。これは平成十七年に可決成立したこの法律、この法律に基づいて今関連のことは進んでいるんでしょうか。大臣、いかがでしょう。
  72. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 水岡議員に御理解をいただきたいのは、私は、ちょっとそこは申し訳ないんですが、専任で一人付かなきゃ、先生がですよ、ちゃんと知識を持っておられる、例えば国語の先生が一人ずうっと付いていなきゃできない仕事なのかどうなのか、そこのところについて、私ははっきりと今そうだということがまだ理解できていないんです。これはちょっと勉強させてください。  ですから、そういった上において全体の、いわゆる学校全体の仕事量としていろんなことを考えなきゃいけないということを実は今申し上げたわけでございまして、今おっしゃっているような充実をするという意味では、当然法律でそういったことが定められておるわけでありますし、今回の学習指導要領で言語力をこれから強化をするということは、これは各教科における大事なことでございますから、そういった意味で、例えば、あえて言うなら、国語というものの重要性というものは今ますます重要になってきているという意味では理解しております。  ただ、じゃそれで学校図書館に司書教諭を一人専任で置かなきゃいけないのかどうか、この議論をされているんだと思うんですが、そのことについては私は、ちょっとまだそれはそうですねと答えるだけの自信がありません、はっきり言いまして。全体で見なきゃいけないだろうというふうに思っているということを申し上げておるんです。
  73. 水岡俊一

    水岡俊一君 いや、極めて率直に、正直にお答えいただいたんではないかというふうに思います。問題はやっぱりそこだと思いますね。やはり大臣を始め文科省の方々が、専任の教員を一人置く、そのことが必要だと思っていただけない限りは、それは法律は変わらないでしょう、教員定数配置は行われない、だからそこを御理解をいただきたいし、そのために私たちが議論をして、この議論がそのために資することができれば、これは有り難いことだなというふうに思っております。  大臣、出身の兵庫県のことでございますが、兵庫県では二〇〇三年から子供の自主的な読書活動推進するためにいろんな施策をやっているんですが、情報メディアを活用した読書活動推進事業というのをやっています。二〇〇三年度から二年計画で今四クール目をやっています。それは何をやっているかというと、小学校八、中学校六、合計十四校に推進教員として専任司書教諭を置いているんですよ。そして、様々な取組をやって実験をして、そしてその重要性、そしてその波及効果、教育効果、そういったものを図っているという実践もあるわけです。ほかの都道府県にもあるかもしれません。そういった実態を是非、大臣としては調査をいただいて、その中身について是非認識をいただきたいし検討をいただきたいと、こういうふうに思っております。  この推進事業にかかわった一人の教員がリポートを書いておりまして、そのリポートを少し読ませていただきたいと思います。どうして必要なのか、何が忙しいのかということを述べると長くなりますから、彼が書いた感想文の一文ですね。この人は一年間専任司書教諭やって、その翌年に担任に戻った、そのシチュエーションです。  今年は担任を持ったので学校図書館に専念できない。しかし、子供たちにとって図書の先生のイメージが残っているので、朝七時五十分には、先生、図書室開けてとやってくる。始業前も二十人から四十人の利用。二校時は素早く終わらせ、読書センターに急いで行く。既に読書センター前に子供たちが並んで待っている。晴れの日はいいが、雨の日の二十分休みは八十人からの利用となる。担任を持ちながら、始業前、業間、昼休み、放課後など、学校図書館に詰めることは大変なことである。行かなかったら、先生来てとだれかが呼びに来る。全面的に委員会児童に任せることが難しいだけにやむを得ないが、非常に危うい状態である。こういうふうに書いております。  この人は結びに、是非とも専任司書教諭は必要なんだと、是非とも置いてほしいと、こういうふうにこの教員は述べていますが、大臣、いかがでしょう。
  74. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今、水岡委員もおっしゃいましたけど、よく一回、そういうことをやっておられるなら、県教委にも状況を聞きまして、どういう目的で今どういう効果が上がっているかということをきっちりと検証をさせていただきます。  兵庫県教委の方に水岡先生から言っていただいてもいいですから、報告によこすように。なかなかあそこは、聞いたって報告してこないことがありますので、よろしくお願いします。
  75. 水岡俊一

    水岡俊一君 それでは、次の問題に参ります。  図書館法の方ですが、図書館法に、第十五条、図書館協議会委員の条項に関して、委員を任命できる範囲を言っております。その中で、家庭教育の向上に資する活動を行う者という文言がございますが、これは一体どういう意味なんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  76. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) まず、図書館協議会でございますが、この組織は、図書館の運営に関しまして館長の諮問に応ずるとともに、図書館の行う図書館奉仕につきまして意見を述べる機関として置かれているものでございます。現行制度上は、この協議会委員としましては、学校教育及び社会教育の関係者並びに学識経験者の中から委嘱することとされておるものでございます。  しかし、最近でございますが、図書館が家庭教育支援に果たす役割の重要性が高まってきておるわけでございますし、今後、図書館が家庭教育の向上に資する事業をより一層充実させていく必要があると私ども考えてございまして、家庭教育の関係者を通じて、親を始めとしますニーズを図書館サービスに、図書館奉仕に反映させていくことは大変意義があるものと考えておるわけでございます。  こういった考えに従いまして、御指摘の、家庭教育の向上に資する活動を行う者を図書館協議会委員として委嘱できる範囲に追加をしようとするものでございます。
  77. 水岡俊一

    水岡俊一君 だから、具体的にどういう人がそれに当たるのかなというふうに思うわけでありますが、例えば校長会とかPTA協議会とか、あるいは地域の保護者代表であるとか、そういう人々のことを指すんでしょうか。
  78. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 具体にはいろいろ地域での御判断があろうと思いますが、私どもが想定しておりますのは、一つには、子育て中の親の交流、情報交換のためのネットワークについて経験、推進に携わっておられる方々、例えばPTA、子育てサークル、子育て関係NPO等でこういった家庭支援に取り組んでいる方々一つ想定されるのではないかと思っております。  また、子育てに関しまして、親等、保護者等からの相談に対応している者も、例えば教育委員会には家庭教育相談事業に従事しておる相談員等がおりますけれども、こういった方々も委嘱すべき者として想定されておるわけでございます。また、子育てに関する情報提供、様々な形態で現在行われておるわけでございますが、こういった情報提供事業に携わっている例えば子育て情報誌の編集者、こういった方々を今回追加すべき者として想定をしておるところでございます。
  79. 水岡俊一

    水岡俊一君 次に、公立図書館の現状についてちょっとお伺いをしたいと思います。  公立図書館の現状を見ると、二〇〇七年四月一日現在で情報を調べてみますと、全国市町村数千八百三十七、公立図書館が設置をされている率は七一・七%と報告がございます。これを見ますと、二十万人以上あるいはもっと下でも、五万人以上の市町村ではほぼ一〇〇%の設置率でありますが、残念ながら一万人から二万人、あるいは一万人未満となると大変厳しい数字になっています。一万人から二万人の市では六三%に急落しています。そして、一万人未満は何と三一・九%しか設置されていない。それから、五万人以上十万人未満まで拡大したとしても、実際には、大きな市に複数の図書館があるかどうかということを調べてみると、なかなかお寒い状況である。  こういった実態がございますが、先ほど私御紹介をしました文字・活字文化振興法の第七条にこう書いてあります。「市町村は、図書館奉仕に対する住民の需要に適切に対応できるようにするため、必要な数の公立図書館を設置し、及び適切に配慮するよう努めるものとする。」と、こう書いてある。この必要な数というのを文科省としてはどういうふうにとらえているんでしょう、あるいはこの実態をどんなふうに考えておられるんでしょう。
  80. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 図書館の設置につきましては、委員指摘のように市町村ごとによって設置状況が違うわけでございますが、どういったところに図書館を設置し、必要な数についてどう判断するかというのは、もうまさに設置主体である地方公共団体がそれぞれの地域事情に応じて、財政事情等もあろうかと思いますが、主体的に判断すべき事柄であると考えておりますので、私どもの方から一律に必要な数等についての基準を示すことはなかなか難しいと思っております。
  81. 水岡俊一

    水岡俊一君 そうしたら、この法律は一体どういう意味を持つんですか。必要な数をというのは、要するに自治体がすべて判断すればそれでいいと。何だか悲しい話ですね。やはり、何かガイドラインを示すことが文科省としての一つの仕事ではあると、ただ、お金を裏打ちするかどうかは別としてというお話が先ほどもあったところですから、何か適切な数というのは示してもいいんじゃないかと私は思いますが、今後また努力をしていただきたいし、またお聞きをしてまいりたいと思います。  それでは、次、放課後子どもプランの方にちょっと話を移してまいりたいと思います。  放課後子どもプラン、いろんな言葉があってよく分からなくなっていますが、放課後子どもプランというのは、文科省の放課後子ども教室、それから厚労省の放課後児童クラブ、この二つを主に示していることだろうというふうに思っていいんでしょうね。  そこで、放課後子ども教室というのは二〇〇七年度ですべての子供を対象として六千二百六十七か所で行われている。放課後児童クラブは、これは共働き家庭や留守家庭の十歳未満の児童を対象にしたクラブで、二〇〇七年度では一万六千六百八十五か所、七十五万人が参加をしていると、こういうふうなデータがございます。  大臣一つお尋ねをしたいんですが、文科省と厚労省が共に放課後子どもプラン推進事業の中でいかに協力をし、いかに連携をうまくやりながら進めていくのか、ここがポイントだろうというふうに思いますが、大臣としてのお考えはどうでしょう。
  82. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 放課後子ども教室に関しましては、ずっと推移を見守ってまいりましたので、私からお答えさせていただきたいと思います。  今委員がおっしゃいますように、平成十九年度より、文部科学省の放課後子ども教室推進事業と厚生労働省の放課後児童健全育成事業の両事業を連携して実施する放課後子どもプランというのを推進いたしました。  放課後子どもプランの私は意義は二つあると思っております。  一つは、子供の安心、安全で健やかな育成を促すための居場所をつくること。子供というのは、大体居場所がない子供も多いわけです。土曜日にあるいは放課後に居場所がなくて、コンビニの前でたむろしている、あるいは家に帰ってもテレビゲームをする。これは小学校六年生まで、大体小学校の高学年に、そうではなくて、楽しい勉強の補助だとか、あるいは文化、芸術、スポーツ、こうしたことに関して共に過ごせる場を提供するということが必要ではないかと思います。  もう二つ目の意義は、教育社会総掛かりと言われております。今、地域が崩壊しております中にあって、地域再生の核が学校学校がその核を担うことが大変必要なのではないかというふうに思っております。地域住民や保護者を中心としながら子供たちを守っていくことによって地域の連携というのが生まれてくるのではないかというふうに思っております。  これは、今おっしゃいましたように、放課後子ども教室については、平成二十年度、千十九市町村において約七千八百か所で実施をしたいというふうに思っております。厚労省の放課後児童クラブについては、平成十九年五月一日現在、千六百十一市町村において約一万七千か所において実施されていると伺っております。  この連携はどうなるのかということの御質問かと思いますけれども、今のところ、別個にというよりは、よくきめ細やかに連携を取るようにというふうに努めております。ちょっと趣旨も違うのではないかと思います。働いている両親のお子様をお預かりする。放課後子ども教室というのは、働いている働いていないにかかわらずお子様方をお預かりして、そしてみんなで、自分の持っている、手芸だとか編み物だとか、あるいは男性だったら竹とんぼをするとか、様々なことを通して子供と接触をする。これによって、いじめも早期発見、早期解決できるということもございますし、またモンスターペアレントと言われている親たちもこれが静まっていくとか、あるいは子育てに悩んでいる親たちの手助けにもなると思います。  私は、子供というのは、保護者か親という関係だけでなくて、斜めの関係、いろんな方々の関係を持つことが子供にとってプラスであるだけでなくて、地域再生にとっても大変重要であるというふうに考えております。ただ、地域によってまだまだ格差がございますので、委員が御存じのように、私どもは指示はできません、命令はできません、ですけれども、情報公開するとか、この必要性を説くことによって、指導、助言をして増やしてまいりたいと思っております。
  83. 水岡俊一

    水岡俊一君 池坊副大臣からお答えをいただきました。子供の安心、安全な居場所をつくると。非常に有り難いし、まさに重要な課題だろうというふうに思っています。  それで、やはり放課後、子供たちの居場所がなくて、コンビニの前にいるくらいだったら学校にいらっしゃい、学校に来たら放課後子ども教室でいろんなことを一緒にやろう、こういう考え方だろうというふうに思っております。  そこでお尋ねをしますが、放課後子ども教室でその活動をしている間に事故が起こった、けがをした、これは保険で対応していただけるんですよね。いかがでしょうか。
  84. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 放課後子ども教室におけます事故等の対応につきましては、様々な実施主体取組が工夫されております。保険の種類も違うかもしれませんが、スポーツ安全保険の対象としてケアをしているところもございますし、市町村が独自に保険会社等との連携で設定している保険商品の適用を進めているところもございます。  いずれにしましても、子供の万一の事故等に対応する手当てにつきましては、民間の保険を中心にそれぞれの実施主体で工夫をし、手当てをしているのが実情でございます。
  85. 水岡俊一

    水岡俊一君 恐らく、ここに座っていらっしゃる委員方々も今の答弁を聞かれると、あれ、保険は別に掛けなきゃいけないのかというふうに思われたんじゃないかと思うんですよ。恐らく、このことを国民の皆さんに伝えると随分がっかりされると思いますよ。  私が学校に勤務をしていた時代、当時は学校安全会というのがありましたね。今は何でしたっけ、日本スポーツ振興センター、非常に独立行政法人としていろいろ取りざたをされるんですが。ここの振興センターの災害共済制度というものがあって、学校内の事故、けが、そういったものを保険で補てんができる、カバーができるというふうに理解をしておる人がほとんどじゃないかと思うんですが、池坊副大臣、どうでしょう、御存じでしょうか。
  86. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 今おっしゃいますように、学校内の授業内において事故がございましたときにはしっかりと補てんされるようになっております。ただ、委員指摘のように、放課後子ども教室においては各地方自治体に任せているというのが現状でございます。これはすべて掛けなければいけないという委員の今お考えではないかというふうに思いますので、これから検討してまいりたいと思います。
  87. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 補足をさせていただきますが、放課後子どもプランは、学校教育社会教育かという、そのどちらに属するかという話になりますと、これは社会教育に属する。社会教育、すなわち地域全体で、先ほど副大臣からのお話もございましたが、安全、安心の場所を確保して、地域がこぞって、大人がこぞって子供教育に当たろうというものでございまして、学校教育とは切り離した、学校のすぐそばにございます、もちろん学校の施設、余裕教室やグラウンドを使うこともございますが、性格としては学校教育とは切り離された社会教育という位置付けになります。  委員指摘の日本スポーツ振興センターの災害給付は、学校管理下における事故等をカバーするものでございますから、社会教育の授業等に伴って生じる事故等についてはその保障範囲には入っていないというのが現在の整理でございます。そこで、万一の事故については、私ども先ほど御説明申し上げましたように、民間の保険商品で様々に工夫をして実施主体が対応しているということになっておるわけでございます。
  88. 水岡俊一

    水岡俊一君 これ重要な問題だと思うんですね。今副大臣の方からは検討していきたいという旨のお言葉もありました。大変うれしいなと思っております。  やはり地域の実態というのは様々でありまして、例えば、愛知県東海市は市民活動保険で対応しているため無料である。茨城県守谷市は登録をするときに保険料を添えて提出をしなさい。愛知県知立市は必ず保険に加入をして、御自分でですよ、参加申込み時にその保険に加入をしているということが条件ですよ、そうでなかったら放課後子ども教室には入れませんというお話。そういったことを全国の様々な実態の中で文科省が知らないふりをするのは、これはないでしょう。  今局長が、振興センターの方は学校教育の範囲をカバーします、放課後子ども教室は社会教育だからカバーしません。そうしたら、この独立行政法人を、そんな何か堅苦しいことを言って子供を守れないような独立行政法人なんてやめたらいいじゃないですか、民間に出したらいい。民間に出したら、そういったものをカバーできるのかできないのか、それはリーズナブルに考えてくれるんじゃないですか、いかがでしょう。
  89. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) ちょっと問題が混乱していると思うんですね。  要は学校管理下ということを伸ばすのかどうかという問題だと思いますが、学校管理下というのは、これは、じゃ管理者はだれで、先生はだれがどこまで責任を持つかという問題に起因するんですよ。ですから、こういう線の引き方をしているということは是非御理解をいただきたい。これは、先生方はそこまで一緒に付いていって子供たちの面倒を見るわけじゃないんですよ、これは社会でやっているわけですから。ただし、その保険をどこまで伸ばすかといったときに、ちゃんと区別してやらないと、現実には学校の管理の範囲という問題に私は問題が及ぶと思うんですね。  ですから、ここは水岡先生御理解をいただけると思いますけれども、例えば登下校とかいうことも本当に学校の管理下かというのは私は疑問を持っているんです、正直。これは、グローバルスタンダードは管理下じゃないですよ。そこまで広げていったら、これは先生も校長先生もたまったもんじゃないですよ。だから、ここのところは慎重にやっぱり検討しなきゃいけないということで、我々は問題意識を持っていないわけじゃないから、例えば今副大臣が申し上げたように、検討はいたしますと。いろんなところがばらばらになっている状況はよくないでしょうから、それは例えば市の方に、こういうときにはちゃんとこういうことを考えてくださいよということをきっちりとお願いする等々の、そのことを心配しているのであって、独立行政法人がやっていようとやっていまいと、これはどうでもいいです、どうでもいいです。たまたまそこにあるやつを使っているだけの話ですから。  ですから、この管理下という問題について言うならば、私はやっぱりこれ慎重に考えていかないと、どこまで学校、しかも先生方に責任を持っていただくかという問題を、私は今先生方に責任を負っている立場でありますから、社会教育とここの部分の境目というところは、あるようでないようでみたいないいかげんなことは、実は責任という面において、例えば事故が起こったときに、じゃ学校の先生方はその事故に対してどういうふうにそれを見守るのかということだってあるわけですから、少し検討をさせていただきたいということを副大臣が申し上げたというふうに理解をいただきたいと思います。
  90. 水岡俊一

    水岡俊一君 大臣の御説明は一定の理解をいたしますが、ただ、私が申し上げたいのは、じゃ学校の先生がいないと責任の持てない教室になってしまうのかということに裏返しにはなりますよね。  だから、放課後子ども教室が責任の持てない教室ではないとするならば、それを担当した人間が教員であろうとなかろうと、ボランティアの人たちがたくさん協力をいただいて子ども教室をやっていくとすれば、その方々が管理的な責任は一定のものを持っていただかないと子供を安心して預けられないわけですよね。そうすると、その方々状況を把握して、いざというときにはこういうことでしたということをちゃんと証明できる、そういう能力はあるわけですから、これは保険の対象として考えることは可能じゃないですか。  ですから、それはこれから検討するというお話がありましたから、それでは、検討という意味からすると、池坊副大臣にも是非お願いをしたいのは、放課後子ども教室だけじゃなくて、放課後児童クラブはじゃどうするのかという問題があります。いやいや、そうでしょう、放課後子どもプランの中のことなんだから。だから、私も最初に申し上げたじゃないですか。  だから、厚生省のことは知らないというんだったら今までの政治と全く一緒だ、縦割り行政。子供という視点から見ると関係ないの、厚労省がやろうと文科省がやろうと、でしょう。一人の子供から見ると、厚労省がやっていることで学校に放課後から来たか、文科省のやっている事業で子ども教室に来たか、関係ないですよ、そんなことは。その視点で見ると、子供たちをいかに救っていくのか、いかに守っていくのか、そういったことを考えていただきたいと、二重行政では駄目だということですので、是非お願いをしたい。
  91. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 保険というのはやはりどこかで線引きをしなければならないと思います。  これから登下校の安心、安全はどうするのかとか、あるいは今の場合は、学校という場所を提供して社会教育が行っている事業です。それをどうするのか。あるいは、厚生労働省が所管している放課後児童クラブはどうするのか。これは厚生労働省とも連携を取ることが必要かと思いますので、これからちょっと検討をさせていただきたいというふうに考えます。
  92. 水岡俊一

    水岡俊一君 それでは、話題を変えまして、今非常に問題となっている教員免許更新制のことについて、もう来年の四月一日導入が決まっておりますので、その件についてお尋ねをしたいと思っています。  各大学等で更新講習の試行というのが始まっています。早いところで六月、多くは七月、八月に実施されようとしているようでございます。全国で百一の大学法人等で実施すると、こういうことでございますね。  そこでお聞きをしたいのは、私の知る限りにおいては、全国百一の大学等で試行が行われる。東京都は二十六の大学等で試行が行われる。しかし、多くの県では一か所で、宮崎県は何とゼロ。大阪府は一校ですよね。こんな状況で試行をやり、そしてその試行の結果、評価をして、来年の四月一日には更新講習が始まるということ、これどうですかね。いやいや、もう大変これは危うい状況だと思いますが、いかがでしょう。
  93. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 本年度実施をいたしております免許状更新講習プログラム開発委託事業、試行でございますけれども、これは免許状更新講習を開設する上での課題の把握とその解決、また講習の効果の検証等を行いまして、その結果を他の講習開設予定又は検討中の大学などへ普及しようというものでございます。  この事業の採択を受けた大学などでは、免許状更新講習の講習内容・方法や、教材の開発、また講習の実施、修了認定基準の適切な運用、事前の課題意識調査や事後評価等の一連の諸手続につきまして、基本的には今年の九月前半までに試行を終えることといたしております。  私どもでは、これらの取組状況やまたその結果を他の講習開設予定又は検討中の大学等へ広く情報提供いたすことによって、講習の開設の促進を図りたいと考えているところでございます。平成二十一年度から実施をされますので、全国地域で多様で質の高い講習が開設されるように取り組んでまいりたいと存じます。
  94. 水岡俊一

    水岡俊一君 局長、局長もよく覚えておられると思うんですが、教員免許法の法案成立のときに附帯決議が付いて、多様な講習内容や講習方法、あるいは受講者のニーズを反映するんだと、こういうことが決議の中に盛り込まれたというわけですが、今そういった方向に向かっていますというお答えであったろうかと思いますが、私が聞いたのは、実際に今の百一校の試行の状態で、宮崎県はゼロ、あるいは多くの県で一校、大阪でも一校なんていう状態の中で、そういった附帯決議が有効に実施をされていく見込みでありますかということをお尋ねしたいんですが、いかがでしょう。
  95. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) この試行につきましては、それぞれの大学などで試行して、その問題点や課題、解決策、こういったものを他の大学に普及する目的で実施をいたしております。現在、こうした試行をいたしている大学などからは定期的にその進捗状況などの報告も受けているところでございまして、他の大学にその情報提供などを行うことによって免許更新制の円滑な導入に結び付くものというふうに考えているところでございます。
  96. 水岡俊一

    水岡俊一君 私は、実は免許状は小学校の免許状、中学校の理科、中学校の技術、高校の理科、四つ免許状を持っています。この四つの免許状を更新するにはどうしたらいいのかというような話をこれまでのこの当委員会での論議の中でやりながら、やはり多くの免許状を持っている人、あるいは一つしか持っていなくても、様々な種類の免許状があって、そういったものにどう対応していくか、大変ですねというお話がこの委員会で随分ありました。各県でたとえ一校やったとしても、その一校がすべてのことをカバーできる、すべての免許状の種類をカバーできるとは全く思えない。そういったことがあるから、十分に時間を置いてしっかりと考え直さなきゃいけないし、また、その更新制そのものをもう一回ちゃんと問い直さなきゃいけないんじゃないかという論議を私はさせていただいた覚えがあります。  そういった観点から、今の現状ははっきりしているわけです。百一校。今明確な答弁はなかったですが、このまま試行をやって評価をしても、なかなか厳しい状態ではないのかなというふうに思っております。だからこそ、もしこのまま進むんであれば、これまでの論議の中であったように、十年研修であるとか、今既に行われている研修の中できちっとその部分をカバーするという方法もあるじゃないですかと、こういうお話がありましたですから、そういった部分もきちっと検討をして、来年の四月に備える、そういう準備をしていただきたいというふうに思っておりますし、これから次の国会でもまたその進捗状況については是非お伺いをしたいというふうに思っております。  最後に、国立大学法人についてお伺いをしたいと思います。  二〇〇四年度から国立大学は法人となりました。二〇〇八年度、今年は五年目ですね。来年、再来年、二〇一〇年度からは次期の中期目標、中期計画に入ってくると、こういうふうになっております。  恐らくもうその準備等が進んでいると思いますが、次の準備に入るということは、現在の法人化のその状況、いろんな点についての評価、そういったものがなされた上で、これからどう進むべきかという方針が決定をされるべきだというふうに思っておりますが、大臣に是非、大学の法人化そのもの、あるいは法人化をしてどういう状況であるのか、これを是と見るか非と見るか、あるいはどんな課題が今目の前に見えてきたのか、そういった辺りについて是非大臣のお考えをお聞きしたいと思います。いかがでしょう。
  97. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今委員から御説明がありましたようなスケジュールでこの評価並びに次期中期目標に向けての作業、これが進んでおります。私は、法人化について言うならば、簡単に言うならば、自主性なりまた対外的な部分で非常に自由度が高まったんじゃないかなという意味においては、その成果が出てきているのではないかなと思います。  一方、やっぱりこれからの問題として、これまでの、言葉は悪いですが、単なる護送船団方式という形で国立大学が残っていけるという、そういう時代ではなくなったということも事実でありまして、各大学は、自分たちの創意工夫に応じた選択といいますか、ものをこれからしていただかなきゃいけないというふうに思っております。このことは、昨日、国大協が別の件で来られましたから、はっきり申し上げておきました。要は、これからは同じことをやっていただいては駄目だと、それぞれが自分の目標を持って、しっかりとどういう大学を目指すのかということをはっきりと打ち出していただきたいということを申し上げておきました。  これからはいろんな、すみ分けという言葉は良くないですね、いろんな意味でのいろんなそれぞれの大学の特徴といいますか、そういったものがより生かされるような、そういった取組が求められる時代になってくる。それが次の中期目標で各国立大学に出していただかなきゃいけない私は目標だというふうに思っております。  全体をとらえますとそういうことでございますが、外部人材がより活用されるようになったとか、そういった意味での問題もございますし、学長の裁量権が多少は強くなったとか、まあ多少だと思いますが、そういったこともあろうかと思います。それから、例えば年俸制を導入するといったような、そういった試みも行われておりますし、そういった意味では非常に大学自身が自主的にやれる部分も随分多くなってきたという評価はいたしておるところでございます。
  98. 水岡俊一

    水岡俊一君 是非要望しておきたいのは、やはり大学が法人化をされて、法人化そのものの全体としての大きな課題、これも重要ですし、また、それぞれの大学がどういう評価を自分たちでするのか、あるいは自分たち以外に客観的にどう評価をされるのか、そういった中で課題とかこれからの方向とか、そういうものが見出されるわけであって、これが手前みそな、そういった形で行われるとすれば何ら進歩はないというふうに思うわけです。  この法人化の法案を審議したときにも附帯決議が付いていますね。そこで、「国立大学法人への移行について、文部科学省は、進捗状況、課題などを明らかにし、当委員会に報告を行うこと。」と、こういうふうに附帯決議が付いておりますので、今日は時間がありませんけれども、次回のときにでも是非当委員会にそういった状況をつぶさに報告をいただきたい、このことをお願いをしたいと思いますし、委員長にもお取り計らいをまた後ほどお願いしたいと思います。  続きまして、国立大学法人の問題についてもう一つお願いをしたいと思いますが、国立大学法人の基盤的教育研究経費の、つまり運営費交付金に関して附帯決議を付けた資料が残っております。これは法律の名前が非常に長いので省略をしますが、平成十五年の七月八日、当参議院文教科学委員会でこの法案の附帯決議が全会一致で付いておりますが、その十二にこう書いてあります。「また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。」と、こういうふうに書いてございます。  しかし、法人化がスタートした二〇〇四年、そして二〇〇五年、二〇〇六年、二〇〇七年、進んでくるにつれ大変大きな削減枠が掛かってきてどんどんと減ってきておりますね。このことについて、大臣としてはどういうふうにお考えになっているんでしょう。
  99. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 二〇〇六年にこれ、政府では歳出を削減するということで大変厳しいそれぞれの分野における目標を定めました。国立大学でいうなら基盤的経費、この運営費交付金を毎年一%、これは私学も同様でございますが、削減をしていくという削減のルールが決められたわけでございます。  現在、その中にあって毎年このカットを行っておるわけでございますが、これは別の形で、特別教育研究費という形の増額、要は、一定額決まった部分については削減はいたしますが、何といいますか、アイデアのある、そういった特別研究といったような形のものに対しては、これは予算を付けますという形の中で現状を維持している。附帯決議の趣旨からすれば、その中身まで書いていないわけでございますから、ぎりぎり確保しているというところでないかというふうに思っております。  テクニックはともかくといたしまして、国立大学法人もこれからはある意味やっぱり効率化も図りながら伸ばすべきところは伸ばしていくという、例えば競争的資金というのもあるわけでございますから、二期目に入ればよりそういったところも強く出てくるかなというのが正直私の考えているところでございまして、ただ単に決められたものがそのまま実は保障されているんだという考え方は私はこれからは捨てていただきたいと、はっきりそういうふうに申し上げて、昨日も申し上げました、そういう時代ではないと。  同時に、ちょっと長くなって恐縮でございますが、やっぱりそれだけではなくて、民間からの資金を導入する仕組みというものはもっと、例えば寄附税制とかはアメリカ並みにするとか、これは財務省を無視して言っていますが、そういったことは検討していかなきゃいけないんだろうと思っております。
  100. 水岡俊一

    水岡俊一君 この問題、もっともっと論議したいんですけれども、時間がありませんので、最後にお願いをしておきたいと思うんです。  大臣、今、総枠の額の中で絞っていかなきゃいけないけど、伸ばすところは伸ばしていく。それは分かるんです。けれども、基盤的研究経費教員一人当たりにしてみるともう六割まで落ち込んだ大学とか、あるいは一人の教員に対して年間十万円ぐらいしかもう研究経費がないとか、そんなようなのが実態なんですよ。そんな中で、国立大学が知見のある研究、そういったものを進めていくということは現実的にもう難しくなっているんですよね。もう不可能に近いんだと思うんですよ。  だから、伸ばすところを伸ばす、それは言葉ではそうかもしれないけど、現実はそうじゃないというところを是非大臣には御理解をいただいて、これからの国立大学のそういった基盤的経費、そういったものについても是非御検討いただきたい、このことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  101. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時四十分開会
  102. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。     ─────────────
  103. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 休憩前に引き続き、社会教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党義家弘介です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  一昨年、約六十年ぶりに改正された教育基本法の中で、生涯学習、そして家庭教育学校、家庭、地域の連携に関する規定が盛り込まれ、これに基づいて、私が所属してきました教育再生会議でも崩壊が叫ばれる教育を再生するための具体的にはどうしたらいいのかという議論を進めてまいりました。まさに社会総掛かりで、学校と家庭と地域責任を押し付け合うのではなくて、社会総掛かりで教育の再生を実現していかなければならない。その意味では、今回の社会教育法の改正、これは非常に意義深い第一歩になると思っております。しかしながら、一方で、現実と理念のギャップあるいは矛盾等も幾つか現れているような気がします。午前中の質問と重複することが一部ありますけれども、その辺についても確認させて、質問させていただきます。  まず第一に家庭教育についてですけれども、今回の法律案においては、家庭教育に関する改正条文が社会教育法五条七、図書館法三条、博物館法二十一条と新たに規定されていますけれども、具体的にこの家庭教育支援する国の取組、これ具体例を是非お答え願いたいと思います。
  105. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 家庭教育はすべての教育の出発点として、基本的倫理観あるいは社会的なマナー、自制心や自立心などを育成する上で重要な役割を果たしておるとまず認識をいたしておるわけでございます。  そして、家庭を取り巻く状況としましては、都市化、核家族化、少子化あるいは地縁的なつながりの希薄化等が生じておるわけでございまして、家庭の教育力の低下も指摘されておるわけでございます。社会全体で、委員社会総掛かりでとおっしゃいましたが、家庭教育支援していく必要性が一層高まっているものと考えておるわけでございます。  こういった状況下にあって、これもお話にございました改正教育基本法でございますが、第十条に家庭教育に関する規定が設けられたわけでございます。第一項では、保護者が子の教育について第一義的な責任を有すること、そして第二項で、家庭教育の自主性を尊重しつつ、国や地方公共団体による家庭教育支援を講ずるよう努めなければならないことについて明示的に規定されたわけでございます。  文部科学省といたしましては、これまでも家庭教育支援策として、例えば子育て講座実施あるいは家庭教育手帳の作成、「早寝早起き朝ごはん」運動の推進などに取り組んできたわけでございますが、これらに加えまして、平成二十年度予算におきましては、新たに地域の人材等で構成する家庭教育支援チームを身近な地域に設置いたしまして、保護者に対してきめ細やかな支援を行う体制の整備を図る経費を計上いたしておるところでございます。  御指摘のございました、今回御審議をお願いをしてございます社会教育法等の一部を改正する法律案におきましても、家庭教育に関する情報の提供など家庭教育支援を一層促進するための関係規定の整備を図ろうとしておるわけでございまして、これらの施策全体を通じまして、今後とも家庭教育の向上に向けて一層取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  106. 義家弘介

    義家弘介君 それでは、渡海大臣に率直にお聞きします。親学についてどのようにお感じ、お考えになっていらっしゃるでしょうか。
  107. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は、親学と言われて、正直余り自信がないんですね。というのは、これは、頭では考えますが、実践できたかといいますと、サラリーマン時代が大変多忙でございまして、余り子供の顔は見たことがない。ただ、私は、家庭は分業だと思っておりまして、家内が非常にしっかりと子供を育ててくれましたので、幸いにも、父親にもちゃんと物を言うことを聞く子供に育っております。もう孫が四人おりますから、彼女たちも親になりまして今子育てに苦労をいたしておりますが、ただ、言えることは、やっぱり子供に恥ずかしくない親でいること、これは親としてまず大事なことだというふうに言えると思います。  続いて、私が心掛けてきたことは、少なくとも親は子供に対してやっぱり真剣に向き合えと。例えば、ある程度育ったときには子供と真剣にけんかをしろと。私もしてまいりました、いい意味で。要は、子供を単なる子供として、言葉としては子供扱いしないで、子供を一人の人格として見た場合に親として何が言えるか、また人生の先輩として子供に何が教えられるか、そういう態度を親が持つことは非常に重要であると、そんなふうに考えておるところでございます。  とっさの御質問でございましたから、考えていること、感じたことを申し上げました。
  108. 義家弘介

    義家弘介君 振り返ると、昨年の五月、再生会議の中で親学というものを議論した中で、かなり多くの批判も含めながら、いろんな御意見があったわけですけれども、一方で、私も親となってまだ若干五年のみのキャリア、そしてその中で核家族化が進み、そして、私なんかは田舎からこちらに出てきていますから、地域にもなかなか相談できる人がいない、聞く人もいないという中で、現代の親だからこそあらゆるものを学んでいかなければならない。  例えば携帯電話の有害サイトの問題、これは私自身も日々保護者と向き合っていますけれども、フィルタリングという言葉さえ知らないという人たくさん実はいます。それから、プロフなんという、今いじめの温床になっているそういうものに対しての認識も全く知らない親がいる。昔からの親として当たり前のことを踏襲する、そのことと、さらに現代の親として新たなるものを学んでいく、それは今まさに子供を守るために問われていることだと私自身は思います。  その意味では、実は、親学は家庭に国家が介入することだなんという意見もありますけれども、そうじゃなくて、家庭を支援していくことだと思うんですけれども、この子育て手帳ですか、まさにこれ親学ですよね。  中身を見ますと、インターネットについての危険性が書かれていたり、統計とかが書かれていたり、こうあるべきだということが書かれている、まさにこれある意味では親学の教科書とも言えるわけですね。さらに、この巻末には、非常にこれが私みたいに地方からこちらに来て住んでいる人間にとっては有り難いわけですけれども、困ったときにどこに相談すればいいのか、これタウンページで漠然と探そうとしてもよく分からないわけですね。しかし、これを見ると、こういうときはこんなところに相談した方がいいよというところも事細かに載っているわけです。そういう意味では、こういうものがハンドブックとして母親あるいは父親の手元にあるということは確かに役に立つことだなと思います。  しかし一方で、実はこの存在を知らない人がほとんどなんですね。私も、今回の質問をするに当たって多くの知人の親たちに、うちの子供の幼稚園の親も含めて尋ねてみました、これ知っていますって。すると、だれも知らないんですね。  これ、まず質問したいんですけれども、この教育手帳ですけれども、いつからどのように作られてだれに配付されているのか、そして予算としてどのぐらい計上されているのか、是非質問にお答えください。
  109. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 家庭教育手帳についてでございますが、委員から高い評価をいただきましたこと、まずお礼を申し上げたいと思います。  一人一人の親が家庭を見詰め直して、それぞれ自信を持って子育てに取り組んでいくチャンスとなるように、契機となるように、私どもとしましては家庭教育に関するヒント集として作成をして配付をいたしておるものでございます。  中には、子育ての基本、基本的な生活習慣のしつけが大事であること、子供は親の背中を見ていること、そして最新の情報としては有害環境の問題としてのインターネット、携帯電話の問題等も取り上げておるわけでございまして、様々な有用なヒントがここに収まっていると思っておるわけでございます。  この手帳についてでございますが、三段階にわたって配付をさせていただいております。一つは、乳幼児の、妊娠期の親に対してでございます。それから、公立小学校の一年生、一学年、それから五学年の子供を持つ保護者全員に配付をしておりまして、そういった三段階にわたって配付をしておるわけでございます。  保護者全員でございますから、少なくともこの手帳の配付を受けた保護者については、手帳について、中身の詳細まではともかくとして、配付されておることや目次程度は当然知っていただいておるんだと思います。  この事業は、平成十五年からスタートをいたしまして、多くの保護者は承知しておると思っておりますが、小学校一年、五年につきましては公立の学校を通じて配付されておりますから、教員にとっても、保護者にこういったものが手渡っておることは少なくとも情報としては理解されておるんではないかと思います。  学校教員にとって、この手帳の内容まで承知することには至ってないかもしれませんが、配付場所学校でございますので、実際に配付された親だけではなくて、教師、学校にとっても、こういったものが家庭、保護者に配付されているということは情報として伝わっておるのではないかと思っております。  それから、予算額についてでございますが、十九年度予算で申し上げますと約一億七千万円でございます。今年度につきましては、実は配付方法を大きく見直しましたために、約六千五百万円の予算額に変わってございます。これは、文部科学省が、先ほど申しました三段階の家庭教育手帳をすべての保護者に直接配付をする、文部科学省が作成して配付をするという配付方法から、作成をしますのは文部科学省でございますが、配付につきましては、全国教育委員会に原版、原稿をお渡しをいたしまして地域で配付をしていただく、それぞれの求めに応じて配付をしていただくという、配付方法を見直したために予算額は大きく変わっておるわけでございます。
  110. 義家弘介

    義家弘介君 私自身が聞いた保護者あるいは先生方の認識と今のお答えはかなり懸け離れているわけですけれども。  これ、いずれにしても、せっかく予算を付けて配付しているんですから、しっかり行き届かなければいけないわけですけれども、実はうちにあるかどうかも捜したんですね。子供の健診のときにもらっているはずだということで、あらゆる荷物をひっくり返して、ようやく北海道小樽でもらったやつが出てきたわけですけれども。  ただ、乳幼児健診とか、どさっといろんな資料が配られるわけですね。かなりの量の資料をいただくわけですよ。その中に、何の説明もないまま交じっていても、これなかなか、ああこういうものなんだというのは、見ないような気がするんですね。やはり貴重な税金を投入しながら配っているものですから、もう少し人々の認識というものをしっかりとしてもらわないと、ただ配っているだけで文部科学省責任が果たせたかというと、そうでは全くないと思います。  もう一方、特に首都圏は地域間の引っ越しとかが非常に多いと思うんですけれども、例えばこの四月、東京から神奈川に引っ越したと、そういう児童に、親に対してはどういうふうに配付されるんでしょうか。
  111. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 配付時点はあくまでも、先ほど申しましたように、乳幼児期については、妊娠期の親が市町村の保健センターなどを通じて母子健康手帳の交付時に受け取るわけでございますから、その母子健康手帳を受け取る時点での住所地の健康センターなどに行って受け取ることになります。それから一学年、五学年、公立の小学校の在学時に受け取りますから、それぞれ住所が変わったときにも、変わった時点での学年に応じて受け取ることになると思います。
  112. 義家弘介

    義家弘介君 転校とかで、特に先ほども言った後ろの巻末ですね、その地域の情報、これが分かるような形でしっかりと手渡されなければならないだろうなというふうに感じるわけですけれども。  一方で、ちょっとにわかに信じ難いことを聞いたので、ちょっとこれをお尋ねしたいんですけれども学校現場で一部教員たちが、これ国、文部科学省が作っているわけですけれども、家庭教育に国が関与するのはけしからぬという形で、これを配付されても配っていないという実態、意図的に配っていないという実態をちょっと小耳に挟んだわけですけれども、その辺の認識ございましたら、お答えください。
  113. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 私どもの方にはそういった、私どもそういうことがあってはならないと思いますけれども、そういった事例についての報告は上がってきておりません。
  114. 義家弘介

    義家弘介君 事例について上がってきていないと。実態調査は行っているのでしょうか。
  115. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 実態調査に関しましては、配付して終わるのではなくて、実際に保護者がこれを見ているか、どう活用しているかといった活用についてのアンケート調査は行っておりますが、具体にすべての保護者にどういう率で、一〇〇%伝わったかどうかといった調査までは行っておらないところでございます。
  116. 義家弘介

    義家弘介君 心のノートへのスタンスと非常に似ているような気がしてなりませんけれども。やはり税金を掛けて、意義のあるものとして認識して発行しているわけですから、それがどのように配付され、どのように活用されているのか、そこについてのチェックというものをすることはやはり大事なことではないかなと思いますので、今後具体的な検討をお願いしたいと思います。  続いて、家庭の教育力向上に対する国の支援についてですけれども地域における家庭教育支援基盤形成事業、長い事業ですけれども、この一環として子どもの生活リズム向上プロジェクトというものに二億三千六百万の予算が付いていますが、これは一体どういうプロジェクトなんでしょうか。
  117. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 子どもの生活リズム向上プロジェクトでございますが、これは子供の望ましい基本的生活習慣を育成して、生活リズムを向上させる「早寝早起き朝ごはん」国民運動の全国各地における取組が一層図られるよう、私ども平成十八年度から取り組んでおる事業、プロジェクトでございます。具体的には、全国フォーラムを開催いたしましたり、基本的な生活習慣育成の重要性に関する全国的な普及啓発活動を行っておりますことと、先進的な実践活動についての調査研究も併せて行っておるわけでございます。  この事業の背景としましては、よく言われることでございますが、今日の子供の食事あるいは睡眠といった基本的な生活習慣に乱れが生じていること、あるいはこの基本的な生活習慣の乱れが学習意欲あるいは体力、気力の低下といった事実に少し相関関係があるのではないかと指摘されていること、さらには、家庭における食事や睡眠の乱れを個々の家庭や子供の問題として見過ごすのではなくて、社会全体の問題としてとらえ直して子供の健やかな成長を期していく、学習意欲や体力の向上を図る取組推進することが重要と考えられたと、こういったことが背景になっておるものでございます。  PTA等の様々な関係団体の協力を得まして、この「早寝早起き朝ごはん」運動につきましては全国協議会が発足をしております。この取組が国民運動として積極的に展開されておりまして、私どもとしても関係団体、関係府省とも更に連携を強めながらこの運動の推進に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  118. 義家弘介

    義家弘介君 いまいち具体的な運動の中身がちょっと見えてこないわけですけれども、例えばこの早寝についてですけれども、塾に通っている子供は基本的に早寝できないですよね。つまり、塾には行かないで、学校から帰ってきたら、部活から帰ってきたら御飯を食べて早く寝なさいということなんでしょうか。
  119. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 基本的な生活習慣のしつけでございますから、その早寝早起きについても、具体的に何時が望ましい早寝の時間である、早起きの時間であるということを示すことは難しいかと思います。これはその家庭、家庭ごとに教育方針がございましょうし、それに従った御判断をいただくべき事柄ではないかと思います。
  120. 義家弘介

    義家弘介君 抽象的な中で運動をしていくというのは非常に難しいんですけれども、大体、私も塾で教えていたことがありますけれども、九時半ぐらいまで教えるわけですね。その後居残りの授業で大体十時過ぎた辺りで保護者が遅いので迎えに来る、あるいは自分で帰るという形ですね。それから学校の宿題をして、塾の宿題をしてとなると大体十二時ぐらいになってしまうと。  そういう現実をとらまえた上で、しかしやっぱり早寝早起き朝御飯というのは非常に重要ですから、そういう現実だから仕方がないというふうに流れない運動というのは必要でしょうけど、いずれにしてもなかなか早寝が難しい、忙しい子供たち。よく忙しいのは先生だと言われますけれども、実は子供たち自体がこのゆとり教育という中での矛盾の中でかなり今忙しくなってしまっているという実態を踏まえた上で、これをどう教育的にも援助、支援していくのかということは重要だと思います。  ある学校によると、塾なんかの宿題がいっぱい出るから学校からは宿題を出さないなんていうちょっと困った配慮、これ両方ともやるとかなりの量になりますから、なるべく学校の宿題を出さないなんという風潮もありますけれども、単なる運動ではなくてその背景の部分についてしっかりと整理していく必要もあろうかと思います。  そして、もう一つこの家庭の教育力向上の事業についてお聞きしたいんですけれども、指導者養成標準カリキュラム開発、これは一体どういう事業なんでしょうか。
  121. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 各地域におけます家庭教育支援人材の育成につきましては、これまでも各教育委員会あるいは地域の子育て支援に関係する団体などが中心となりまして様々な取組がなされてまいりました。ただ、その取組はそれぞれのその独自のカリキュラムの下で実施されてきましたために、地域によってその指導者に相当する人材の育成の指導内容あるいは習得すべき内容が様々でございまして、その養成事業の結果、養成された指導者の質に差異が生じているという認識をいたしておるわけでございます。  そこで、私どもとしましては、これまでの各地における指導者養成の実績を踏まえながら、一定水準の指導内容等を確保することによって人材の養成を図ることができるように、今年度から標準的な養成カリキュラム等を開発いたしまして各委員会等に提供することといたしておるわけでございます。この提供したカリキュラム等を適宜活用していただいて、指導者の養成の充実に資することを期待を申し上げておるわけでございます。  ただ、社会教育、家庭教育支援ということにつきましては、何より学習者、参加者といった方々の自主性、主体性も尊重しながら必要な環境醸成を図ることが求められておりますので、この標準カリキュラムにつきましても、地方公共団体あるいは関係支援団体の言わばガイドラインとして提供をするという性格のものと理解をいたしておるところでございます。  こういった取組を通じまして、家庭教育支援人材の資質の向上を図るとともに、そういった方々社会的通用性を高めて、地域における家庭教育支援に関する活動の一層の活性化に努めてまいりたいと考えております。
  122. 義家弘介

    義家弘介君 もう一点だけちょっと追加でお尋ねさせていただきますが、一定水準以上の指導者ってどういう指導者なんでしょうか。
  123. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) ここでは、子育て講座を受けただけではなくて、子育て講座を受ける受講者を対象にしてその指導的役割を担うことができる人材育成を考えてございまして、ある程度知識又は経験について専門的なレベルをクリアできる方を想定をしております。  家庭教育支援、子育て支援のための指導者の養成というのは地域に応じて様々な取組がなされているわけでございますけれども、その主体的な取組支援する形で私どもはこの標準カリキュラムの作成、提供を活用していただければと考えておる次第でございます。
  124. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。  続いて、家庭教育支援チームの創設、これについてですけれども、この現状と展望について是非お聞かせください。
  125. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 文部科学省としまして、平成二十年度、今年度から予算措置をいたしましたのがお話にございました新規事業、家庭教育支援チームでございます。  家庭教育支援チームといいますのは、地域の人材等、地域方々協力を得ながら構成するチームでございまして、これを身近な地域に設置をいたしまして、家庭教育に関する情報あるいは学習機会の提供、相談体制の充実を始めとする支援体制の整備を図ろうとするものでございます。  今年度事業名といたしましては、地域における家庭教育支援基盤形成事業というものでございます。具体的には、先ほどの話と繰り返しになりますけれども支援チームに様々な地域の人材の協力を得ながらきめ細やかな支援方策を行おうとするものでございまして、支援の対象となる保護者は様々な状況に置かれておりますことを想定しながら、きめ細やかな、ある場合には訪問してお助けをする、支援をする、あるときは職場に出かけていって出前講座実施する、又は個々に必要な相談に応じるといったきめ細やかな支援体制を行おう、実施しようとするものでございます。  この事業は各地域においてモデル事業として実施されるものでございまして、私どもとしましては、この事業実施によって得られた成果あるいは具体的な取組事例を収集いたしまして各教育委員会に提供してまいりたいと思っております。各教育委員会がこの成果を生かしながら、各地域での普及あるいは定着に取り組んでいただくことを期待をしておるわけでございます。
  126. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。  どうしてこの質問をしたのかというと、実は各地域でもいろんな差異がありますけれども、家庭教育学級というものがあります。地域によっては小学校単位で、生徒が授業をしている間に体育館に集まって様々なことを学ぶあるいは公民館の講座として学ぶという機会、これは実は地域によって物すごい差があるんですね。  この辺について、家庭教育学級がどのように行われているか、現状認識を是非お尋ねしたいと思います。
  127. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員指摘のように、様々な機会をとらえて家庭教育に関する学習機会、家庭教育学級等の名称で呼ばれておりますが、そういう機会が提供されることは大変重要だと私ども考えております。  法律のことを申し上げますと、社会教育法の第五条には、社会教育に関し教育委員会が行う事務といたしまして、家庭教育に関する学習機会を提供するための講座の開設及びその奨励といったことが規定をされておるわけでございます。  これまでの私ども取組でございますが、各市町村におきまして、幼児期あるいは学童期などの子育て講座が開設されるようこれを促すモデル事業実施してまいりました。これを通して家庭教育に関する学習機会の提供に資してきたと思っておるわけでございます。  委員は、学校の場での学級開設のお話がございましたが、例えば公民館において家庭教育学級の名称でこういった機会が開設されている講座数は、平成十七年度の数字で恐縮でございますが、約二万八千講座ございます。また受講者でございますが、合計で約百六万人近くに上っております。こういった多くの講座数、多くの参加者を得て家庭教育学級が進んできておりますことを御理解いただきたいと思っております。  一般に公民館でこういった家庭教育学級が実施されておるものでございますから、私どもは公民館の基準においてもこのことを触れてございます。公立公民館の設置及び運営に関する基準でございますが、ここにおきましては、公民館が地域の家庭教育支援拠点としての機能を発揮することを示してございまして、公民館が中心となって親等が家庭教育に関する講座等に参加することのできる機会を提供することを推進しようとしておるわけでございます。  また、先ほども申し上げましたが、今年度事業としての家庭教育支援チームに関する予算でございますが、この中では、例えば身近な地域における公民館の講座等に関する情報提供、こういった家庭教育学級が行われていますよという情報提供でございます、それでありますとか、小学校での就学時健診や保護者会、参観日等多くの親が集まる様々な機会を活用した家庭教育に関する講座、これは委員が申されました学校の場を通じての学級の開設かと思いますが、こういったことの実施を行う取組についても予算として盛り込んでおるところでございます。
  128. 義家弘介

    義家弘介君 公民館の現状、私もいただいた資料を見ると、かなり都道府県によってその差は意識の差も含めて大きいと思うんですね。その上で、この家庭教育支援チームと家庭教育学級の連携、これは大きくこの家庭の学びが進む一つのきっかけになると思うんですね。  私もいろんな学校の家庭教育学級に講師としてお邪魔しましたが、そのときに必ずささやかれる言葉は、近年、予算がそこに減らされてきていて、講師も呼べない状況なんですと。だから、結果的に、集まってみんなで話し合って終わりという形。教育委員会はやりなさい、やりなさいと言うけれども、現実に、じゃだれを講師に呼んでどのような学びをしてというのは、それは各それぞれにゆだねられてしまっているわけですね。そういう意味では、先ほど、どんどん推進されてきたというけれども、以前より停滞してきているところもあったわけですね。  その中では、この家庭教育支援チームができて、例えばこういう学びだったらこういう講師がいますよとか、あるいはこういう発信を協力して行っていきましょうと、そういうことでは非常に意義深いものだと思うので、是非これは連携を強化しながら進めていっていただきたいなと。これは多くの保護者、ほっとする問題だと思いますので、是非アピールしながら進めていっていただきたいと思います。  続いて、社会教育法の五条十三号の中の規定、これはまさに放課後子どもプランについて一部書かれているところだと思いますけれども、この放課後子どもプランの意義、そしてこの放課後子どもプランがどのように今現在進んでいるのかということについて是非質問させてください。
  129. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 放課後子どもプランについてのお尋ねでございます。  先ほどの御質疑にもございましたが、放課後等において子供の居場所を総合的に整備するために、平成十九年度より、文部科学省の放課後子ども教室推進事業と厚生労働省の放課後児童健全育成事業の両事業を連携して実施する放課後子どもプラン、委員指摘の放課後子どもプランを推進してきておるわけでございます。  現在の連携状況推進状況について少しお話をさせていただきますと、放課後子どもプランのうち、私ども実施しておりますのは放課後子ども教室推進事業でございますが、実施箇所数について申し上げますと、平成二十年度は七千八百か所以上で実施をしてございます。実施市町村も、二十年度で申しますと、一千を超える市町村実施予定でございます。また、実施場所、これは学校には限らないわけでございます、公民館等でも他の教育施設等でもよろしいわけでございますが、子供たちにとって一番身近、安全、安心と言える小学校実施する割合を見てみますと、十九年度の六七%から二十年度は七二%と増えてきておりまして、こういった数字を見ましても十九年度から着実に伸びてきていると、本事業が着実に地方にいわゆる定着をしてきていると評価できるのではないかと考えておるわけでございます。  この事業は、先ほど申しましたように、私どもと厚生労働省の連携によりまして進めておる事業でございますが、各地方公共団体からは、より一層連携を密にして、できれば一本化して取り組んでほしいという陳情の声があることを承知いたしております。これまでの連携といたしましては、具体には地方公共団体に対します説明会を両省合同で行ってきておりますこと、それと両省の連携を密にするためにそれぞれ連携窓口を、具体には放課後子どもプラン連携推進室という組織でございますが、これを設置いたしまして、補助金の申請窓口及び手続の一本化を図ってございます。またさらには、補助金の交付要綱のレベルでございますが、これの国レベルの一本化も図ってございます。広報活動につきましても、ポスター、リーフレットのたぐいから始まりまして、ホームページの創設につきましても両省合同で行うなど、緊密に連携を進めてきておるところでございます。  なお、まだこの事業を円滑に進めるためには課題も少なくないと承知をいたしておりまして、両省が合同で各地方公共団体におきます取組状況実施に当たっての課題を把握するという目的で調査を現在行っておるわけでございまして、この調査結果を踏まえて、更に地方にとって取り組みやすい、参加する子供たちに喜びが生じる、親も安心して預けられる事業実施となるように努力してまいりたいと思っております。
  130. 義家弘介

    義家弘介君 この居場所づくり、放課後子どもプランについては、池坊副大臣がかなり中心的な役割を果たしながら推し進めてきたプロジェクトだと思いますけれども平成十九年度全国平均が二八%の中でちょっとこれが気になる。この原因を是非、池坊副大臣に答えていただきたいんですけれども、一番高い県が富山県の八八・五%、一方、一番低い県が鹿児島県の五%と、これ五%と八八%はかなりの差なんですよね。この辺の原因って一体どんなところにあるとお考えになっているでしょうか、よろしくお願いします。
  131. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 確かに、今委員がおっしゃいますように、放課後子ども教室は地方によってばらつきがございます。それを解消することが私は二十年度の課題ではないかというふうに思っております。  委員も御存じのように、これは一〇〇%国が面倒を見ていた時代は、それぞれ、みんなたくさんの応募がございました。今、三分の一ずつということになりましたので、三分の一だとやはり地方によっては手を挙げてくれないところがあるのは大変残念だというふうに考えております。  文部科学省といたしましては、指導、助言はできますけれども、この放課後子ども教室をつくりなさいという命令をすることはできませんので、情報公開等を通して、あるいはきめ細やかな説明会を開くことによって意識の向上を促してまいりたいと思っております。  午前中も私申し上げましたように、これは二つの重要な意義があると思います。  まず、子供たちの安心、安全な、そして健全な育成を促すための居場所をつくるということ、これはもう第一次的な、私は教育的な見地から必要なことではないかと思います。御存じのように、テレビゲームを見る時間が学校の授業数と同じであるということを考えますときに、なるべくみんなが一緒になって子供たちを育てていくことが必要かと思います。  とともに、今、地域再生ということが言われておりますから、まだまだ力のある中高年者も一緒に参加していただきながら、あるいは保護者の方々共々、学校が核となって地域再生を図ることも大変重要な要素であるというふうに思っております。  私が向かい合っておりますいじめ対策においても、いじめの早期発見、早期解決にもなるんじゃないか、それから子育てで悩んでいらっしゃるお母様を救うこともできる、またモンスターペアレントの解消にもなると、様々なことの解消にも役立っていくというふうに思っておりますので、是非、この五%ですね、低いところはこれからも一〇〇%に近くなるように促進してまいりたいと思っております。
  132. 義家弘介

    義家弘介君 これは是非、力を入れてよろしくお願いいたします。  まず、この放課後子どもプランの中での教室なんですけど、保護者のニーズの中にはこういうニーズが結構多いんですね。補習的な役割、要するに勉強を、ただ遊んで、居場所ではなくて、塾とはいかないまでも勉強をしっかりと見てほしいというニーズをすごくたくさん聞きます。  しかし、一方で、私も多くの子ども教室見に行きましたけれども、もちろん勉強、例えば品川区なんかはすまいるスクールなんていって勉強会を開催して、まあ五百円から八百円の費用を取って行っているわけですけれども、現実にはグラウンドで遊んだり、それもまた大事なわけですけれども、一方で、保護者のニーズとしてそういう学習機会というものを与えてほしいという要望が非常に強いわけですけど、この辺について是非お考えを聞かせていただきたいなと思います。
  133. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) これは、おっしゃいますように、登下校の安心、安全の手助けとかいうことだけでございませんで、これは学校支援地域本部にも言えることでございますけれども、理科の教室の実験を補助したり、あるいはまた先生を手助けしたりということもできるようにというふうに考えております。  放課後子ども教室に関しましては、どちらかといえば部活のお手伝いとか登下校の安心、安全、あるいはまた、私は願っておりますのは、手芸だとか編み物だとか竹とんぼとか、いろんな様々な、大人たちが子供たちに教えることによって、また学校では別の心の通い合いというものが結ばれていったら子供たちの成長には大きな影響を与えることができるのではないかというふうに思います。  これとはまた別に学校支援地域本部というのもございますし、またその御質問のときにはどのようなことをするかということも御答弁させていただきたいと思います。
  134. 義家弘介

    義家弘介君 少し唐突な質問を大臣にさせていただきたいんですけれども地域教育地域の人々が学校のみならず子供たち教育に携わる、これは非常に意義深いことなわけですけれども、この地域教育子供たちに教えること、いろんなものがあると思うんですけれども、大ざっぱにどんなことを子供たちに与えていくこと、はぐくんでいくことを期待、地域教育力地域人材が子供たちにどんなことを教えはぐくんでいくことが理想的だとお考えになっているでしょうか。
  135. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 地域方々が、自分たちの持っている様々な知識とか経験、こういったものを子供たちに教えていくということは大変重要なことだと思っております。  これは、一つは、やっぱり今言いましたような経験とか知識、こういったものは、これは共通に言えることだと思います。同時に、やっぱり地域でやるわけでありますから、その地域が持っている特有の様々な文化なり地域の伝統なり、そういったものを教えていただくということはとても大事なことじゃないかと、そんなふうに考えているところでございます。  あと一つは、やはり部活なんかで随分この地域支援本部は私は活躍できるんじゃないか。ちょうど我々の世代でございますが、団塊の世代は結構エネルギーあり余っておりますから、もう退職をする世代になりますね。そういったときに、やっぱり例えばサッカーの非常に得意な人がいらっしゃるというふうな地域もあります。私は地元で実は、私自身が直接手を取ってじゃないんですが、少女のソフトボールの各地域のチームの会長といいますか、これはある意味名誉職でございますが、しかし、そこにはいろんな地域方々が集まってきて具体的にボランティアとして指導をされていると。こういった例もあるわけでして、様々なメニューが私は考えられるんじゃないかなと、そのように考えておるところでございます。
  136. 義家弘介

    義家弘介君 地域、郷土のこと、あるいはいろんな経験を教える、まさに実はそれは総合学習であると私は思うんですね。  つまり、本来、今必修として導入された総合的学習の時間というのは、学校の授業時間内に先生が教えるというよりは、まさに地域子供たちに教えていく、それこそ総合的学習の時間というものの意義だと思うんですね。一人の教師が新たに、いや、今度何やろうなんて考えながらつくっていく、それよりも、地域人材が子供たちに総合的に様々なアプローチをしながら考え地域のことを学びというふうに行っていくべきもののような私は気がします。  現在、情報の必修化、総合学習の導入、教えることが増えた一方で、教える時間が完全週休二日制の導入に伴って減り、さらに新しい指導要領では主要教科の一〇%増と授業時間数が増えると。私は実は、土曜半ドン復活論者なんですね。だから、総合学習は土曜日に学校ができるようにして、そして土曜日に地域の先生たちが行っていく。そして平日は、もちろんほかの特別活動は残すとしても、そういう形でやるのが一番望ましいんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、現在土曜日は完全週休二日ですから、子供たちを全部来てもらうと、代休という形で別の日を休みにしなければならないわけですね。これ、地域の要請によって、土曜半ドン、土曜日の授業をできるという柔軟な対策、柔軟な方向性というのは、これは出すことはできないものなのか、是非教えてください。
  137. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 今委員がおっしゃいましたように、土曜日を復活するということは様々な先生方との交渉もございますので、今すぐここで早計に申し上げることができないということは委員もきっとお分かりになりながらおっしゃったのではないかというふうに考えております。  ただ、今学校は様々な問題を抱えております。そしてまた、教員子供と向き合う時間が少ないと言われておりますので、先生方を補佐する意味でも、また子供たちを健やかに育てるためにも放課後子どもプランというのを創設いたしましたし、また学校支援地域本部というのも設けました。  さっきもお話、触れていらっしゃいましたように、この学校支援地域本部は、学校がそのように支援をしてほしいという要請がございましたら、じゃどういうふうにするのか、具体的にどういうふうにするのかとお思いかもしれませんけれども学校地域の事情をよく分かっていらっしゃるコーディネーターというのをまず調整いたしまして、そういう方々が中心となって、地域住民学校支援ボランティアとして学校の様々な教育活動支援していっていただけたらというふうに考えております。  さっきも申し上げましたように、理科の実験などには補助員がいると大変に子供たちも理科の、今理科離れというふうに言われておりますので、きめ細やかに指導すると興味もわいてくるかと思います。それから、運動部とか文化部の部活の指導の補助だとか、あるいはもちろん登下校の安全、安心などもございますし、私が一生懸命やっております読み聞かせも、先ほどから図書館で専任の司書が足りないんじゃないかというお話がございましたけれども、専任の司書に上回るほどの力を持っていらっしゃるボランティアの方もいらっしゃると思うんですね。そういう方々社会参画してくださっているところを私も実際に視察で見てまいりました。一体となって、子供との交流の中で、お母様や地域住民方々も生き生きと学校図書室でいろんな子供との触れ合いの中でいい本の推薦なんかもしていらっしゃっていただいております。  ですから、そういうことの中で、私は、すぐに土曜日復活しようということは、せっかくのこれ、土日はもう別の形での子供の健全育成をというふうに思っておりますので、こういう学校支援地域本部や放課後プランで補っていきたいというふうに考えております。
  138. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。  それでは、今御説明があった学校支援地域本部について具体的にお尋ねしたいと思いますけれども、実はこれは、今度は教育委員会に身を置いた人間としての感想とそして質問なんですけれども学校評議員制度、これを進めなさいということで一生懸命進めてきた、続いて学校運営協議会、これをどんどん進めなさいと言われて進めてきた、そして今度は学校支援地域本部を進めなさいと。次から次へとこれこれこれという団体、進めなければならない団体が出てきて、進めたはいいけど、そのすみ分けについて一体どうなってしまうのかなと。  今学校評議員制度はほぼ、ほぼでき上がっていますよね。一方で、コミュニティ・スクール、学校運営協議会をどんどんつくって進めていく方針でいこうと。今度は地域支援本部をと。この三つのすみ分けというのはどのようにお考えになっているか、是非お答え願いたいと思います。
  139. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員指摘の三つの制度はそれぞれ制度の目的に違いがあるかと思います。  学校評議員は、地域住民等が校長の求めに応じて学校運営に関し意見を述べることができるという制度でございます。これは設置者が定めるところにより評議員を置くことになってございますが、既に多くの学校で普及している、設置が進んでおるところでございます。  また、学校運営協議会お話がございました。これも地域がかかわってまいりますが、地域住民や保護者等によって構成される合議制の機関でございまして、校長の学校運営の基本方針を承認すること、あるいは教職員の任用、人事でございますが、任用に関して一定の意見を述べることができることが法律上の権限として定められておるものでございまして、これも教育委員会の判断により導入できる仕組みでございます。  この二つは言わば、いずれも学校運営に関して地域住民が参加、参画していく仕組みということができようかと思います。二つの制度、若干その程度の差はございますけれども学校運営に関してかかわっていくという仕組みでございます。  これに対しまして、今お話にございました学校支援地域本部でございますが、学校運営に直接かかわるのではなくて、学校教育活動支援を目的として学校からの要請に応じて支援活動を行うものでございまして、ですから学校運営に直接参画するものではないという点に違いがあろうかと思います。この事業はあくまでも学校支援要請に応じて協力を申し出るものでございまして、支援要請を超えて学校運営に関与するものではないということを是非御理解いただきたいと思っております。  具体的な仕組みについてはもう御案内かもしれませんけれども、各自治体、地方公共団体や学校の判断によりまして、地域学校の実情に応じて工夫をしていただくことが第一と考えておるわけでございますが、いろんな実施形態がございますけれども、例えば御指摘にございました学校運営協議会が置かれている学校でこの学校支援地域本部実施する形態はどうなるのかと。いろんなことが考えられますけれども、その学校運営協議会がこの本部運営に積極的にかかわっていく、又は密接な連携を図りながら本部事業の運営にかかわっていくということもケースとしては考えられることだと思っております。
  140. 義家弘介

    義家弘介君 そういう意味では、かなり協力してくれるコアな人たちが地域にたくさんいないとなかなかこれ実現できないわけですけれども、いる地域とそうではない地域、難しい地域、そうは言うけどなかなかできないよという地域も実はたくさんあるような気がするんですね。つまり、評議員制度よりちょっと重いのが学校運営協議会で、そして包括的に支援するのが地域本部と。  ただ、これは、我々は実はこの制度についてしっかりと理解はしていますけれども、それぞれの学校学校長が、この制度三つの違いをじゃあなた説明してくださいと言われたときに端的にできるか、かなり受け身になりながら、もうどうしたらいいのか分からないというようなことに陥っていくような気がするんですね。  やはり、この辺のすみ分けをもうちょっと分かりやすく理解させた上で、文部科学省としての方針ですね、次から次へと出てくると、一体じゃどれを真剣に推し進めていったらいいのか分からないよというのが、これが地方の教育委員会の実は本音だと思うんですね。だから、どういう方向で持っていくのかをもうちょっと、制度としてじゃなくて方向性を明確に出していただきたいなというふうに思います。  地域ぐるみで学校支援していくことというのは非常に重要なことだと私自身も認識しておりますが、一方で、このことに関して一つの問題が今後発生するのではないかと思っていることがあります。それは学校の統廃合についてです。特に首都圏の統廃合について。  歩いて十分のところに二つの小学校があったりという、町ができるたびにどんどんどんどん学校が増えていった時代、その学校がそのまま今現在残っているわけですね。これは将来的にはしっかりと統合して適正規模の学校としてつくり上げていかなければならない、その今時期に差しかかっているわけですけれども。例えば、学校支援地域本部ができました、おたくの学校は統廃合の対象になりました、こういうことが別の段階で起こったときに、これは統廃合を難しくするばかりでなく、地域本部地域の人たちの思いというものも裏切られたという思いになりかねない事態だと思うんですけれども。  この辺、だから私自身は、しっかりと適正規模化がありながら、その中で、はい、じゃここに地域本部を立ち上げて、この地域、この学校をみんなで守っていこうという方向の順番の方が当然だろうなとは思うんですけれども、一方で今こういうものが進められていて、全国支援本部ができた、しかし、その支援本部ができたところが今度は統廃合になってという形になったときにどうするのか、そのお考えを是非お聞かせください。
  141. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今の委員の問題意識というのは我々も持っております。  それで、私は最近、この統廃合問題というのを少しもうちょっと深く掘り下げてみようというふうに思っております。それは、ただ単に地域学校の単位が、何ていうんですかね、距離がどうのこうのとかいうことだけではなくて、教育的意義として、例えば一定規模というのが要るのじゃないかという問題意識を持っているからなんですね。それはもちろん地域の理解が第一でございますから、そういった意味で強制はできないわけでありますが、例えば最低でもこれぐらいの規模は学校は要るんじゃないかといったような意識の議論というのは余りなされていないんですね。そのことを考えたときに、もう少し深掘りで、我が省としてもこの議論を起こしていかなきゃいけないというふうに思っております。  ただ、そのことと今回のこの支援本部、このことを、今これができないとじゃ立ち上がれないかといえば、そこは、今の段階でどういう規模があって、どういう単位であれば立ち上げやすいか、また立ち上げられるか。今年は千八百か所でございますから、全市町村ですね、それに一つ持って、やっぱり教育委員会としてもこういった問題に取り組んでいただきたいという意識で予算措置をしておるわけでございますけれども、これは大きいところも小さいところも一か所ということになりますと、単位ということになりますと随分複雑なわけですね。しかし、立ち上がりの段階においてこういうことはあっても仕方ないんじゃないかと。そういうこととこの統合の問題というのは、もちろん関係はするんですけれども、少し分けて考えてこういったものをやっていったらどうかなというふうに思います。  立ったついでじゃないですが、先ほどのいろいろつくってというのは、私も同じような感じを正直持っております。特に評議会と運営協議会というのは、違いは分かりますが、なぜまたこんなのをつくるのという意識を当時実は私は持ちました。五年前か六年前だと思います、副大臣だったと思いますが。しかし、やっぱりこの運営にかかわっていくという形が、どういいますか、要するに勧告ができるということとそうでないというのは、実は評議会はあるけれども、物は言うけれども何も聞かれないという、こういう状態があったわけでございますから、ここは私は改善されたんだろうと思います。残念ながら、このコミュニティ・スクールはまだ全国的には広がりを見せておりません。水岡先生いらして恐縮でございますが、兵庫県はまだゼロでございます。  こういうことも考えれば、きっちりとこれはやっぱりやっていくことが必要なんだろうというのが正直な意識でございまして、この地域支援本部とはやっぱりそこが少し違うんだということは御理解をいただきたいと思います。  なお、趣旨の徹底というのは我々も今後とも図っていきたいと考えておるところでございます。
  142. 義家弘介

    義家弘介君 この学校支援地域本部、多くは原則としては中学校区単位ででき上がっていくというお話をお聞きしていますけれども、実は私の暮らす横浜なんか、これにわかに信じられない話かもしれませんが、プレハブ教室があるんですよ。つまり、生徒が少なくなっていてがらがらだという学校もある一方で、何と生徒が入り切れずにプレハブの教室で授業を受けているという、これ特に都筑とか青葉の辺りにあるわけですけれども、そういう信じられないことが起こっている。そうすると、じゃそれを解消するためにはどうしたらいいかというと、学区の再編ですね、そういうこともしていかなきゃいけない。そうすると、学区が今度分かれちゃうと地域本部も分裂するなんていうことが起こり得るわけですね。  だから、やっぱりできるところからまず試験的にどんどんと導入していくという方向、そうだとすごく地域教育行政も気持ちが楽に、しっかりとできるところから着実に進めていきましょうというものであれば少し気持ちが楽になると思いますが、しかし一方で、この地域本部の場合は学校との連携というものが物すごく大切になってくる。勝手に応援することもできないし。そういう中で、例えば和田中なんかだと、副校長を二人置きながら、一人の副校長先生がこの地域本部とかいろんな外のものについて対応をしているということ、これを行うわけですけれども。  主に文部科学省のイメージとして、この地域支援本部学校をつなぐ学校側の人材というのはどういう方たちということを想定なさっているでしょうか。
  143. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 学校支援地域本部かなめとしては、先ほどもお話しさせていただきましたが、地域コーディネーターボランティア調整を行います。その前提としては、学校支援要請を受けてボランティアとの調整を行うということがポイントになってまいります。その地域コーディネーターかなめになりますのは、この学校支援本部事業実施する上において、新たに学校に負担が増加することのないように、実施本部自身でできるだけ調整を行い、学校支援をするんだという目的が達成されることをきちんと実施していこうということを念頭に置いておるからでございます。  ただ、学校との密接な連携を図る上では、言わば地域コーディネーターのカウンターパートといいますか、学校の窓口も当然必要になるわけでございまして、最小限度、学校の負担にならない範囲で担当の、例えば多くは教頭先生でありますとか教務主任でありますとか、そういった学校である程度調整能力、連絡することに最適な方々がその地域コーディネーターのカウンターパートとして学校の言わば窓口になる。そして、両者が緊密な連携の下に、適切な学校支援要請に対してこたえていく。そういうことを想定しておるわけでございます。
  144. 義家弘介

    義家弘介君 そうはいいながらも、この連携というのは、本当に学校長及び学校管理職のマネジメント能力、これによって全く違う方向に行くものだと思います。その意味では、副校長及び主幹、こういうものをどんどん導入していきながら、そういうことが専門的に余裕のある中でできるような体制づくりというのも並行して応援していかないと、意義のあることは十分に分かった上でも、しかし、学校がますます忙しくなり、先生方が疲弊していくという状況にならないような制度設計、これは並行して行うべきだと思います。  それからもう一つが、これは少し心配もあるんですけれども、例えば、学校にはPTAという組織があって、学校応援団ですよね、学校取組支援していくわけですけれども、このPTAと支援本部、例えば、聞くところによると、杉並の和田中なんかはPTAの連絡会からは距離を置いて活動しているという状況。ここに矛盾が起きてしまうと、同じ目的で一生懸命やっているというところで非常に厄介なことが起こるような気がするんですけど、この支援本部とPTAの関係、これについてお聞かせ願いたいと思います。  そして最後に、学校が過度に期待されて、教員がすごく多忙感を持っている中で、家庭や地域子供教育についてより一層の責任を果たすべきだと考えていますが、大臣から是非、社会教育についての思い、そして家庭、地域への期待、これを是非語っていただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。まず、PTAとの関係、そして大臣のこの社会教育、家庭、地域への思い、是非語ってください。
  145. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) まず、PTAについて御説明を申し上げたいと思います。  学校教育におきまして、家庭教育との密接な連携を図りながら一人一人の子供に行き届いた教育実施するために保護者の積極的な参加、協力を得ることは不可欠の要件であると考えておるところでございます。地域協力を得ながら学校や教職員を支援する学校支援地域本部におきましても保護者の理解は不可欠でございまして、その協力を得ることで学校、家庭、地域社会の密接な連携の下での学校教育の十分な成果を期待できるものだと思っておるわけでございます。  PTAは、申すまでもなく、児童生徒の健全な育成を図ることを目的とした任意団体でございまして、これまでも学校を支える存在として重要な役割を果たしてきたと思っておりますし、その重要性は今後も変わらないと思っておるわけでございます。  委員からは、PTAの在り方、上部組織との関係について事例のお話がございましたけれども、そういった在り方についても、PTAが本来の設置目的を踏まえながら自主的にどう活動していくか、又はどう上部団体、全国組織とかかわっていくかといったことも主体的に判断すべき事柄ではないかと思っておるわけでございます。  そこで、PTAがこれまでの経験、実績を踏まえてこの学校支援地域本部の中核的な、中心的な担い手の一つとして積極的に参加していただけますこと、さらには、地域との連携の言わば橋渡し役といいますか、ある意味コーディネートの機能を果たしながら協力していただけることを私どもとしては大きく期待をしておるわけでございます。
  146. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 冒頭、教育基本法のお話委員からございました。この教育基本法において、それぞれの役割というもの、例えば学校教育におけるそれぞれの学校役割、また地域役割、家庭の役割、こういったものが新たに議論をされ、定義をされたと理解をいたしております。  今回のこの社会教育法の改正も、そういったことに関連をして、地域が持つ力、また家庭教育、そういったことをより、これは強化という意味を誤解しないでいただきたいんですけれども、強力にするといいますか、そういった目的を持って改正をされておるというふうに私は理解をいたしております。その法の趣旨を踏まえ、そして、より社会教育、家庭教育、こういったものが社会総ぐるみで行われるようにこれからも私としては努力をしていきたいと考えているところでございます。     ─────────────
  147. 関口昌一

    委員長関口昌一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、西岡武夫君が委員辞任され、その補欠として大久保潔重君が選任されました。     ─────────────
  148. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 質疑を続けます。
  149. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  本日は、社会教育法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  本法律案は、改正教育基本法を踏まえ、社会教育の行政の体制整備を図るため関係法律の規定を整備するものでございます。改正教育基本法の第三条には、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならないという生涯学習の理念が新たに定められたところでございます。  この生涯学習の規定を教育基本法に盛り込むよう我々公明党は強く主張してまいりました。その意味で、その理念の一部を具体化する本法律案の審議に際して、まず生涯学習社会の実現に向け本法律案が果たす役割について、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  150. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先ほども少し最後の答弁でお答えを申し上げました教育基本法第三条、今委員が御指摘をいただきましたような記述がございます。その記述を踏まえ、この法律では、国及び地方公共団体の配慮事項として、社会教育に関する任務を行うに当たって生涯学習の振興に寄与するように努めることという、このことをまず明記してございます。これは二項でございます。また、教育委員会の事務や図書館、博物館の事業として、住民等が自らの学習成果を活用して学校支援や様々なボランティア活動を行う機会の提供に関する事業実施等を規定しております。これは五条の第十五号でございますけれども。  先ほどお答えを申し上げましたように、このような規定を通じて、国や地方自治体がより社会教育という面から総合的な力を発揮するように、責任を持って行うように規定しているというのが本法案の改正の大きな趣旨でございまして、生涯学習を今後実施していく上で大きな役割を果たすものというふうに考えておるところでございます。
  151. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。  次に、新しい時代の博物館像というのについてお伺いをさせていただきたいと思います。  これからの博物館の在り方に関する検討協力会議が昨年の六月に「新しい時代の博物館制度の在り方について」という報告書をまとめられたところでございます。本法律案により、図書館法、博物館法は制定以来、本格的な改正が初めて行われることとなります。そこで、今後の博物館の在り方について、この検討協力会議の報告書で指摘されている事項についてお伺いをさせていただきたいと思います。  現在の博物館をめぐる状況は、博物館法が制定された当時とは大きく異なってきております。制定当時は全国で二百館程度だったものが、平成十七年の十月現在で五千六百十四館と大きく増えてきております。そして、人々が博物館に求める機能も、貴重な資料を集めて伝えていくという伝統的な機能だけではなくて、多様な機能が求められるようになってきているのが事実でございます。報告書においては、新しい博物館像として、集めて伝えるという基本的な活動に加えて、市民とともに資料を探求し、知の楽しみを分かち合う博物館を提言されているところでございます。  このような博物館の在り方について、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  152. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 博物館法、昭和二十六年というふうに聞いております。半世紀以上もたっておるわけでございまして、委員が御指摘をいただきましたように、社会状況も大きく変化をいたしておりますし、それに応じて博物館が持たなければいけない機能等も非常に変わってきているんだろうと、多様な価値観に対応できるといった、そういうことを望まれていると。  その前提で、数年間にわたって博物館協会に調査研究を委託いたしまして、先ほどお話しになりました、これからの博物館の在り方に関する検討協力会議におきまして報告を出していただいたところでございます。今回の博物館法の改正では、この検討結果を踏まえて、新たに学芸員等の研修の問題とか運営状況の評価等の規定を盛り込んでおるところでございます。  いずれにいたしましても、新しい時代の博物館の制度として博物館の定義の見直しとか、また登録制度の在り方とか学芸員の養成制度の見直し、今回盛り込んでおる部分もあるわけでございますが、今回の博物館法の改正を契機といたしまして、様々な意見も踏まえながら引き続き検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  153. 浮島とも子

    浮島とも子君 それでは次に、博物館登録制度というのについてお伺いをさせていただきたいと思います。  今大臣の御答弁にもありましたけれども、博物館に対する人々のニーズが多様化、高度化してきている中で、その中で新たな博物館像が提言をされているところでございますけれども、博物館法が制定された当初からこの博物館登録制度というのは変わっておりません。多様化、高度化するニーズに対応して様々な博物館という考え方が出てきております。例えば、古い町並みや産業遺産、そして歴史的建造物群を博物資料として、それらを含む一定の区域をミュージアムとしてとらえるという考え方などもございます。これも現在の定義では博物館法上の博物館とは認定をされておりません。この多様な博物館という考え方に伴い、博物館登録制度が制度として機能をしていないのではないかという声も聞かれているところでございます。  そこで、この制度の趣旨そして目的とするところについて御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  154. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 博物館の登録制度の趣旨でございますが、学芸員の配置でありますとか開館日数、一定の開館日数の確保又は資料の保管など、博物館として必要な条件を備えた博物館を振興するという制度の趣旨でございます。  博物館法では、このような一定の水準以上の公私立博物館の保護、助成を促進する観点から、登録制度によって対象となる博物館を限っているということになってございます。  この趣旨を踏まえまして、法制定当初は幾つかの優遇措置、支援措置が講じられておりました。例えば、もう古い組織になりますが、国鉄の輸送費割引措置でありますとか、公立図書館でございますと施設整備に関する国庫補助、これは公立社会教育施設整備費補助金、社会教育施設全体の中での扱いでございましたが、国庫補助制度の対象になってございました。また、私立博物館でございますと、固定資産税の税制優遇措置を受けられるといった支援措置がその内容でございます。  しかし、現在では、今申しましたうち私立博物館に対する税制優遇措置が残ってはおりますけれども、それ以外の支援措置については見直されたり廃止されておるわけでございまして、委員指摘のように、博物館、特に博物館の登録制度を取り巻く状況は大きく変わってきておりまして、この中で、新たにその登録制度の在り方について検討することが課題になってきておるわけでございます。
  155. 浮島とも子

    浮島とも子君 今御答弁にもございましたこの趣旨を実現していくというためにも、私は現在のこの制度について再考していく、また新たに考えていかなければならない時期に来ていると思います。  現在、博物館法においては、要件を満たした登録博物館、そして博物館相当施設であり、博物館法上での博物館ではないが社会教育調査上での対象調査となっている博物館類似施設というのがございます。この数でございますけれども、登録博物館は八百六十五館、そして博物館相当施設が三百三十一館、そして博物館類似施設が四千四百十八館、これは平成十七年現在でございますけれども、という数になっております。  このように、圧倒的に登録博物館の数が少なくなってきている現状は、今御答弁にもありましたけれども、この博物館登録制度の趣旨の実現をしていくためにも、登録制度の在り方について更なる検討をしなければならないのではないかと思っております。  そこで、今後、この制度の在り方についてどのようにお考えなのか、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  156. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員の御指摘にございましたように、平成十七年度社会教育調査では、登録博物館の数は博物館全体の一五%にとどまっておるわけでございます。博物館としては、登録博物館が今申しました一五%、相当施設が六%、類似施設が七九%を占めている、先ほど四千四百十八館というお話もございました。そういった状況にあるわけでございまして、この数字だけを見ますと、博物館登録制度が我が国の博物館の活動の基盤を形成しているとは言い切れない、言い難い状況にあるのではないかと考えておるわけでございます。  そして、こうした状況を踏まえまして、これも先ほど委員の御指摘にございましたが、昨年六月に協力会議の報告が取りまとめられてございます。「新しい時代の博物館制度の在り方について」でございますが、ここにおきましては、新しい登録制度の在り方として幾つかの御提言をいただいております。  その一つは、登録申請資格の設置主体の限定の撤廃ということでございまして、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、現在の登録博物館制度の下で設置主体として要件が限定されてございます。具体には教育委員会、民法三十四条法人、宗教法人等でございまして、こういった限定をなくしてはどうかというのが提言の一点目でございます。また、博物館の種類として、先ほど相当施設の指定という話がございましたけれども、相当施設の指定制度を登録制度に一本化してはどうかというのが提言の二つ目でございます。または、一定期間ごとの報告書の提出についても検討してはどうかといった等々の御提言をいただいておるところでございます。  これらの課題について私どもも真摯に受け止めておるわけでございますけれども、これらにつきましては、やはり慎重な検討、何より関係者との合意形成が必要だと考えておりまして検討を進めてまいりましたけれども、今回の法改正には盛り込んでいないといった事情にございます。  ただ、これは委員の御指摘にもございましたけれども、望ましい博物館像につきまして社会全体が共通理解をして、これに向けて博物館が継続的に改善、向上を目指していくためにはこういった見直しに向けた検討はやはり必要ではないかと考えておりますので、今後とも登録制度の新しい在り方について幅広い検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  157. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非とも、今後ともしっかりとした検討をしていっていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。  また、この登録博物館について、文科省では公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準というのを策定しておられまして、各教育委員会において指導の基準とされておられます。この運用について、博物館の活動の多様化、高度化に伴って、都道府県によってばらつきが出ているのではないかという声も多く聞かれているのが現状でございます。  今回の改正を受けて、また最近の動向も踏まえて改定していく予定はあるのか、またその際、どのような部分について改定が考えられているのか、方向性についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  158. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準についてでございますが、この基準は他の教育施設と同様に、文部科学省、国として地方公共団体等が取り組むガイドラインを示すものでございますから、この望ましい基準に従ってどのように具体的に取り組んでいただけるかは設置者の判断によることになりまして、ある程度差異が生ずることもやむを得ない性格のものであることをまず御理解をいただきたいと思っております。  現行のこの望ましい基準でございますが、博物館法八条に基づきまして昭和四十八年に告示をした後、平成十五年に一部改正を行ってございます。ただ、現行の基準につきましては幾つか課題があるものと認識をいたしてございます。  一点目としましては、私立博物館が特定公益増進法人として税制優遇措置の対象となるための基準が別に定められておりますので、この両者の整合を図る必要があるのではないかといった点が一点目。また、二点目としましては、館の種類あるいは設置目的等の違いに配慮した基準、細やかな基準設定の必要があるのではないかというのが課題でございますし、三点目としましては、利用者の立場から、障害者あるいは高齢者、さらには外国人等の対応に関してもよりきめ細やかな規定をする必要があるのではないかと、そういったもろもろの課題があるのではないかと考えておるわけでございます。  こういったことも前提にしながら、今回の法改正を踏まえた改正の有無も含めまして、望ましい基準の見直しを行うべく、法改正が成立しました後に速やかに私どもとしましては有識者から成る協力会議を立ち上げまして、ここで御検討いただきたいと思っておるわけでございます。
  159. 浮島とも子

    浮島とも子君 次に、評価と情報の提供についてお伺いをさせていただきたいと思います。  この本法律案により、公民館、図書館及び博物館に、その運営状況に関する評価、改善、地域住民に対する情報の提供についての努力義務が課されることになっております。この評価についてですが、検討協力会議の報告書によりますと、今後、各館における自己評価や客観性を保つための第三者による評価制度、博物館登録制度との関係等、適切な評価の在り方について検討が必要であるとされております。今後の検討課題でもございますけれども、重要なことは、博物館の目的に沿った質的な評価システムであるべきだと考えております。  十年ほど前から事務事業評価制度が多くの自治体で導入をされまして、公立文化施設や博物館などでも他の施設と同様の事務事業評価が行われたところでございます。その際、自己評価である第一次評価ではそれぞれの施設の設置目的に沿った評価が行われたということにもあるんですけれども、それにもかかわらず、外部評価である二次評価、三次評価では全く正反対の評価結果となったという実例がございます。  今回の評価制度が財政削減のための評価制度にならず、本来の図書館、博物館、美術館、そして公民館などについて、その設置目的に沿った形での質的な評価システムになるべきであると考えますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  160. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 博物館の評価につきましては、現行の望ましい基準、先ほど申しました公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準でございますが、ここにおきましても自己点検評価についての規定がございます。ただ、実施状況を見てみますと、これは古いデータでございますが、平成十六年度に自己評価を行った博物館は、調査対象二千三十館中三一・五%にとどまっておりまして、望ましい基準にございます自己点検評価が十分に実施されているとは言えない状況にあるわけでございます。  状況としましては、近年よく話題になります行政の透明化でありますとか、またPDCAサイクルによる評価、そしてこれらを運営改善に結び付ける考え方が普及してまいりましたので、公的な機関の自己評価もかなり進んできております。例としてふさわしいかどうか分かりませんが、公立学校における自己評価は、ほぼ一〇〇%に近い実施状況にあるわけでございます。社会の中での位置付けあるいは職員数の違いはございますけれども学校と同様に、言わば公の存在となっております社会教育施設、博物館につきましても、評価とそれによる運営改善を進めることが必要であるということは論をまたないと思っておるわけでございます。  そこで、今回審議をお願いしてございます改正案におきましても、博物館における評価システムの更なる充実とともに、これに基づく運営改善のための取組を一層促すため、博物館法に、博物館における評価とともに、その結果に基づく運営改善に関する努力義務規定を新たにお願いをしておるわけでございます。  この具体的な博物館の評価についてでございますが、私どもとしては、単に入館数、利用者数でありますとか資料の数だけではなくて、きめ細やかな点検項目を設定することが望ましいと考えております。  やや細かなお話になって恐縮ですが、設置理念や目的に基づく運営方針が取られているかどうか、あるいは施設設備の整備状況はどうか、所蔵資料の管理状況はどうか、さらには調査研究の内容、展示内容、教育普及・学習支援活動の在り方、市民参加・連携状況、さらには広報活動、こういった広範な点検項目につきまして、できれば定量的に又は定性的に評価を継続することが必要だと考えておるわけでございます。  さらに、利用者といいますか住民の満足度について調査を行うことについても配慮が求められるのではないかと考えておる次第でございます。その際には、博物館協議会との連携協力でありますとか、外部の方々協力を得る外部評価の方式を導入することもやはり考えていかなければならないと思っております。  なお、委員からは、本来、設置目的に応じた評価であるべきだという御指摘がございまして、私どももこの評価は、情報公開、情報の積極的な提供と相まって、利用者、地域住民のサービス向上、博物館の本来の使命の充実に資することが何より大切だと考えておるわけでございます。ただ、評価でございますので、評価に基づくその運営改善が、例としてはそれほど多くはないとは思いますけれども、冗費の削減でありますとか効率的な運営に結び付くことも場合によってはあるわけでございます。  設置者の主体的な判断にゆだねられていることではございますけれども、繰り返しになります、利用者のサービス向上を第一とした評価の取組が求められておるものと考えております。
  161. 浮島とも子

    浮島とも子君 今の御答弁にありました外部評価でございますけれども、この外部評価に当たっては、博物館の業務とか内容とか、例えば対象分野をしっかりと理解されている方にお入りいただかなければ、それが重要だと思いますので、是非ともその内容を知っている方に入っていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。  また、評価に当たっては、質的な評価もさることながらですけれども、評価それ自体の質についても担保をしっかりしていかなければならないと思います。その意味で、共通の項目、各館種ごとの項目についても一定のガイドラインなどを策定することが財政削減のための評価のための評価を防止することになると考えますので、どうか御検討のほどをよろしくお願いしたいと思います。  次に、博物館に対する助成制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。  博物館法では、助成措置が登録制度とセットとなって行われてまいりました。平成九年にこの助成制度が廃止されて以降、この登録制度のメリットが減少し、それが背景となってこの登録博物館の数が増えないという面もあると思います。  そこで、現在、博物館に対する国の助成としてモデル事業という形で助成が行われていると思いますけれども、その実施状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  162. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 博物館関係の予算についてでございますが、文部省におきましては、国と地方の適切な役割分担を踏まえた上で、これまでも委員お話にございました各種のモデル事業あるいは調査研究事業を行ってまいってきております。  幾つか例を申し上げたいと思いますが、例えば芸術拠点形成事業、ミュージアムタウン構想とも申しますが、こういった事業の下で、美術館、歴史博物館が地域に開かれ、常に人々が集い、人々に親しまれる魅力あふれる場となるように、子供を対象とした博物館活動でありますとか博物館を核とした地域文化資源の整備、活用に資する事業等に対して支援を行うという事業でございます。  平成二十年度予算額としましては一億八千万円を計上しておりまして、昨年度では、全国の博物館、美術館、五十一館がモデル事業として事業に参加をしていただいておりました。  また、調査研究事業としましては、地域と共に歩む博物館育成事業という事業がございます。この事業では、博物館が地域の市民の理解を得ながら、安定的、継続的に活動を行っていくために、博物館にとって課題となっている評価あるいは危機管理等に関しまして調査研究を行うものでございます。二十年度予算は二千六百万円ほどでございますが、博物館の評価基準やリスクマネジメントなど七つのテーマについて調査を委託しておるものでございます。  また、他の事業でございますが、美術館・博物館支援方策等策定事業、まちに活きるミュージアム構想事業というのがございます。ここでは、美術館、博物館の管理運営形態あるいは事業規模などにつきまして調査分析を行っております。今年度予算額は一千四百万円でございます。  このほか、学芸員の研修事業あるいは展示、サービスの充実等のために必要な博物館に関する予算を計上いたしておるところでございまして、この種のモデル事業、調査研究事業を通じまして博物館の振興に努めておるところでございます。
  163. 浮島とも子

    浮島とも子君 今御答弁にありました、たしか五十一館とおっしゃっていたと思うんですけれども、約五千余りある数の中で五十一館というのはまだまだ少ないと思いますので、どうか全力的に取り組んでいっていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。  次に、この助成制度とは若干異なりますけれども、美術館において強い要望を受けているものが美術館、工芸品の国家補償制度の創設でございます。これは、美術品の輸送などについて民間の保険が高額であり、美術館などが事業を行う上で大きな負担になっているということで、関係団体の方からも早期の実現が要望されているものでございます。このような制度はアメリカを始め幾つかの国で導入されていると伺っています。  文化庁におかれましても、平成九年の五月に美術品等の流動性を高める方策に関する調査研究協力会議というのを設置をされたとお伺いをしております。その中で検討も行われたということを伺っておりますが、この制度の創設についての御見解、またこの制度がなかなか進まない理由について、池坊副大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  164. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 今委員がおっしゃいましたように、美術品等の国家補償制度は、展覧会において万一美術品が破損した、あるいは盗難に遭った、失われたときなどに国が補償を行うという制度でございまして、これは確かにアメリカやイギリスにおいてはこのような制度が整備されております。ただ、私もちょっと勉強いたしましたら、各国によって補償対象も違うし、また補償額も違うというふうになっておりました。  我が国においても、美術館の関係者から国家補償制度の創設を求める声がこの十年ほど上がっているのも事実でございます。特に、九・一一の事件以来、海外から作品を借りる場合の保険料が高騰して主催者の大きな負担になっていると、それでいい物を持ってくることができないという声も事実でございます。  一方では、これをいたしますときには、日本の場合には美術館が主導して行うというよりもマスコミなどの民間企業が主体になっているんですね。欧米の場合には、大規模展覧会というのは美術館が主導して行っているということがやっぱり違うのではないか。  それともう一点は、何といいましても国家補償制度の導入には新たな財政負担が掛かります。大体五百億ぐらいは最低要るんではないかというふうに思います。これはもっとしっかりと計算しなければならないと思いますけれども、そういうことに対して世間の賛同が得られるのか。それぐらいのお金があったらもっとほかのものに、文化芸術活動に生きて使うことができるのではないかとか、また、関係機関の財務省とか民間保険会社と今契約していることが多いと思います、そういうところとの折衝も必要だと思いますし、私立の美術館などとの調整も、やっぱりそれじゃ私たちは補償対象になるのかならないのかという、そういう線引きとか、きめ細やかなやはり解決しなければならない課題があると思います。  でも一方で、この制度がございますと、我が国の展覧会の国際的な信用を高めることができます。国際的な信用を高めることができたら、主催者の保険料負担の軽減をすることができ、それが入場券の低下につながる、あるいは、優れた海外作品の鑑賞機会を国内において行うことができ、国民の見る機会、鑑賞する機会を増やすことができるというようなこともございます。  このような文化芸術振興の観点からも、これからちょっと検討してまいりたい、今申し上げましたように、様々な課題は抱えてはおりますけれども、よく検討していきたいというふうに考えております。
  165. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。様々な課題はありますけれども、検討していってくださるという前向きな御答弁で、うれしく思いました。  本当に真の心の豊かさということで、これからますます機械化がされていく中、機械のものが多くなっていく中で、美しいものは本当に美しいと心で感じることがとても大切だと思います。より良いものを多くの皆様に御覧いただきたいと願うとともに、この制度は特に私立の今お話があった美術館などにとっても海外からの質の高い企画展を行うのに大きな後押しになると思いますので、是非創設に向けて粘り強く頑張っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。  次に、国立博物館・美術館についてお伺いをさせていただきます。  検討協力会議の報告書によりますと、これまで登録博物館の対象外であった博物館についての考察という項目で、かつての国立博物館のうち独立行政法人立の博物館について、我が国を代表する博物館が多く、そのような博物館が本制度に参加することは、中小博物館も含めた我が国博物館全体の制度参加を促す意味が大きいとされております。その意味で、今後、独立行政法人立の博物館、特に文科省所管の国立美術館・博物館について博物館登録制度の対象にしていくべきと考えますけれども大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  166. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先ほど来、登録制度のお話がございました。登録制度の意味というのは、意味といいますかねらいというのは、やはり品質の保証ということであろうと思います。  今御指摘がございました独立行政法人の博物館の運営等につきましては、それぞれの法人の個別法、これによりましてきっちりと定められておりますから、本来のこの登録制度のねらいである品質保証というものはそのことによって担保されているというふうに考えられるわけでございますけれども、機能面においてはそういうことでありますが、様々なニーズなり、こういったことが多様化しているというようなことを考えましたときに、今御指摘がありましたような観点からの指摘というものも我々は重く受け止めなきゃいけないというふうに思っております。  同時に、この国立の例えば科学博物館とか国立博物館等、こういうものは我が国を代表している博物館ですね。これが多いわけでございますから、これらの博物館が、これは独立行政法人でございますが、登録制度に加わるということは真の意味でのナショナルセンター、いわゆる博物館の代表といいますか、そういった役割を果たすという意味において他の博物館の登録制度への加入というものを促進をすると、こういった効果が今言われているわけでございまして、そういった点を併せて考えなきゃいけないだろう。  加えて、ただ、この博物館法の二十三条というのは、入館料は原則無料ということになっております。まあ、これは法律を変えればそれで済むじゃないかという話なんですが、原則でございますから運用上カバーできるとも考えられるわけでございますけれども、独立行政法人、御案内のように運営費交付金という税によって賄われております。そういった側面を考えますと、こういった点についても、どうしていくのかといった点を総合的に考えて最終的な結論を出さなきゃいけないと考えております。  いずれにいたしましても、御提言をいただいているわけでございますから、我々としては真摯に前向きに検討していかなきゃいけないと考えておるところでございます。
  167. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非とも、しっかりとした検討をよろしくお願いいたします。  今大臣の方からもございましたこの博物館法二十三条、原則無料という規定があるということでございますけれども、今回、この本法律案では、学校教育と連携がうたわれております。私は、十六年の十一月に行政監視委員会において、国立博物館、そして美術館の常設展の高校生に対しての無料化という観点から質問をさせていただきました。そして、うれしいことに、この四月から国立の美術館におきましては高校生も常設展無料ということに実現をさせていただきましたけれども、博物館はまだ東京だけしか無料になっていないというのが現状でございます。教育という観点からも、国立博物館の常設展高校生無料化について改めての御見解、そして今の状況等をお伺いさせていただきたいと思います。
  168. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 委員がおっしゃいますように、今、国立博物館というのは東京、京都、奈良、九州と四つございます。これは、独立行政法人国立文化財機構が設置いたしておりますから、本来的には国立文化財機構が自らの判断によって決定するものではございますけれども、東京の博物館はもう無料になっております。特に、高校生の時代から、多感でいろいろな問題を抱えている子供が常設展に行って感動をするということは、様々な人間形成の上にも多大な良き影響を与えるというふうに私、思っております。  今、京都と奈良は二百五十円です。そして、九州は百三十円なんですね。高校生をもし無料にしたら一体どれぐらい掛かるのかと試算いたしましたら、そんなに掛からないんじゃないか。三百万とか四百万とか、もちろんたくさんの方が行ってくださればそれだけ多くなるわけですけれども、私はそれぐらいのことはやっぱり次世代の健全育成のためには必要ではないかというふうに思っております。来年の春からこれは是非無料にしてほしいという私の強い希望がございまして、そうなる方向に今検討を進めておりますので、いいお答えができるのではないかと思っております。
  169. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  今、副大臣が御答弁くださったように、私も、高校生、特に小学校、中学校のお子様は無料ということになっておりますけれども、小学校、中学校のお子様は御両親と見に行かれることも多いと思うんです。でも、高校生になりますと、お友達同士で見に行こうということも多くございます。でも、お小遣いが余り多くない中で、お金まで、ちょっとでも払っても、何か払うんであれば見に行くのをやめようかなという高校生も出てきてしまうと思いますので、どうか、先ほどもございました、テレビゲームを見る時間が授業数と同じとありましたけれども、私は、テレビゲームを見る時間というよりも、やっぱりすばらしいものを見る時間が授業数と同じぐらいに言われてほしいなと思っているところでございますけれども子供たちに少しでも文化芸術に触れる機会を増やしていただけるよう、是非ともよろしくお願いいたしたいと思います。  また、博物館についての国際機関として国際博物館会議というのがございます。しかし、この総会が昨年韓国で開かれ、また二年後には上海で開かれるということを伺っておりますけれども、残念ながら、日本ではこの国際博物館会議の総会は開催されたことが今までございません。ほかの社会教育機関である図書館あるいは水族館などの国際機関の世界大会は日本で開催されたことがあるにもかかわらず、この国際博物館会議の世界大会だけがなぜか日本で開催されたことがないんです。  文化芸術創造立国を掲げる日本で、この総会が開催されないのはとても残念に思います。私は、ここで、是非ともこの国際博物館の総会を誘致し日本で開催すべきではないかと考えておりますが、関係諸団体の御意見なども踏まえながら、国としてこの国際博物館会議の総会の日本開催を支援していくべきと考えますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  170. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 文化芸術には造詣が深いと思っておりました私なのに、何も知らないんだなというのを実感いたしましたのは、このICOM、国際博物館会議、これはユネスコと協力関係にあるNGOであり、国内委員会と国際委員会、加盟機構及び地域機構によって構成されているということをしっかりと、今御質問で調べまして、分かりました。  ICOM日本委員会は、日本博物館協会に事務局を置き活動を行っており、総会の開催については同委員会が判断するものではあると思いますけれども、これは、ICOM総会というのは三年おきに開催されておりまして、何と昭和二十七年のICOM加盟以来、我が国が開催した実績がないというのはちょっと寂しいかなと私も思いました。国際会議としては、昭和三十五年にユネスコのアジア太平洋地域博物館セミナーを東京で開催した例がございます。また、本年十一月には国立新美術館においてアジア美術館の館長会議を開催することとしております。私、これが東京で開かれるというのはやはり心強いことというふうに思っております。こうしたアジア美術館長会議がせっかく開かれるわけでございますから、こういう国際会議の開催は、我が国も、博物館、美術館、関係者が博物館の発展と振興のためにお互いに手を取り合いながら切磋琢磨し、そして質の向上が図られるために大変重要なことだというふうに考えております。  ICOM総会の日本開催については、ICOM日本委員会や関係団体などの意向を十分に踏まえなければならないとは思いますけれども、ほかのいろんな国際会議が日本で開かれております中でこの博物館会議が開かれないというのは悲しいという思いを持っておりますので、これからちょっと検討してまいりたいというふうに考えております。
  171. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非とも日本で開催されるよう全力を尽くしていただきたいと思います。  それでは、最後になりますけれども、検討協力会議の報告書の「新しい時代の博物館制度の在り方について」で、評価制度の努力義務、また今回法改正で検討されておりますけれども教育活動機会の提供、学芸員の研修、資格制度の若干の見直しが措置されることになりました。しかし、この報告書で検討されている博物館登録制度、そして博物館の対象範囲、学芸員の資質の向上のための大学院の創設など、積み残された課題も幾つかあるのが現状でございます。  今後、新たな時代における博物館制度を構築していくため更に検討を進めていくべきと考えておりますけれども大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  172. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今委員が御指摘になりました、残された問題といいますか、登録制度の問題とか、それから大学院における学芸員の養成教育の在り方、こういった問題は中長期的な課題として認識をいたしております。  まず、我々としては引き続きそれも検討していく所存でございますが、法改正後速やかに大学における学芸員養成課程の見直し、こういったことを始め、必要な省令とか告示等の改正を行っていくということを考えておりますが、一方、今回の法改正を機に、博物館の関係者が一丸となって我が国の博物館の振興をしていく機運が高まるということも期待をいたしておりまして、よりこの振興策、またいろんな情報提供というものを我々も進めていきたいというふうに考えておるところでございます。  加えて、この中長期的な課題につきましても、私どもとしてはできるだけそんなに時間を掛けないで結論が出るように検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  173. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。なるべく時間を掛けないでしっかりと検討をして進めていっていただきたいということをお願いし、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  174. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  社会教育法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、林君から発言を求められておりますので、これを許します。林久美子君。
  176. 林久美子

    ○林久美子君 私は、ただいま可決されました社会教育法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     社会教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、生涯学習の振興、社会教育推進に当たっては、国民のニーズに応じた学習機会の提供と学習活動支援に努めるとともに、各地域における学習ニーズの継続的な把握、多様な取組に係る情報の収集と提供など、国民の自発的、主体的な学習が担保されるよう配意すること。  二、国民の生涯にわたる学習活動支援し、学習需要の増加に応えていくため、公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性向上を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと。    また、各地方公共団体での取組における地域間格差を解消し、円滑な運営を行うことができるよう様々な支援に努めること。  三、生涯学習社会教育に係る個人学習成果が、学校社会教育施設その他地域において行う教育活動として生かされるよう、各個人学習活動地域社会教育活動との循環につながるような具体的な取組について支援に努めること。  四、公民館、図書館及び博物館が自らの運営状況に対する評価を行い、その結果に基づいて運営の改善を図るに当たっては、評価の透明性、客観性を確保する観点から、可能な限り外部の視点を入れた評価となるよう、国が関係団体による評価指標作成等に対して支援する等、適切な措置を講じるとともに、その評価結果について公表するよう努めること。    その際、公民館運営審議会、図書館協議会及び博物館協議会等を通じて、地域住民等の意見が反映されるよう十分配慮すること。  五、博物館については、多様な博物館がそれぞれの特色を発揮しつつ、利用者の視点に立ったより一層のサービスの向上が図られるよう、関係者の理解と協力を得ながら登録制度の見直しに向けた検討を進めるとともに、広域かつ多岐にわたる連携協力を図り、国際的に遜色のない博物館活動を展開できるような環境の醸成に努めること。  六、地域における教育力の向上のため、学校、家庭、地域等の関係者・関係機関の連携を推進し、各施設資料の相互利用や人材の相互活用などを図るとともに、多様な地域の課題等に応じた機能を持つネットワークの構築を推進すること。    その際、学校、家庭、地域の連携を推進する上で重要な役割を果たすPTAについて、その活動や運営などの実態把握に努め、「学校支援地域本部事業」における連携が円滑に進むよう十分配慮すること。  七、社会教育主事、司書及び学芸員については、多様化、高度化する国民の学習ニーズ等に十分対応できるよう、今後とも、それぞれの分野における専門的能力・知識等の習得について十分配慮すること。    また、各資格取得者の能力が生涯学習社会教育の分野において、最大限有効に活用されるよう、資格取得のための教育システムの改善、有資格者の雇用確保、労働環境の整備、研修機会の提供など、有資格者の活用方策について検討を進めること。  八、社会教育推進に当たっては、社会教育委員の制度等を積極的に活用・活性化するとともに、社会教育委員がその重要な職責と役割を十分に認識するような環境整備を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  177. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいま林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  178. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、渡海文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡海文部科学大臣
  179. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
  180. 関口昌一

    委員長関口昌一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十分散会