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2008-04-17 第169回国会 参議院 総務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十七日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月十日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     武内 則男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務省自治財政        局長       久保 信保君        総務省自治税務        局長       河野  栄君        財務大臣官房審        議官       川北  力君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   岡  誠一君        国土交通大臣官        房審議官     菊川  滋君        国土交通省航空        局飛行場部長   室谷 正裕君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○地方法人特別税等に関する暫定措置法案内閣  提出衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (派遣委員の報告)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、植松恵美子君が委員を辞任され、その補欠として武内則男君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方税法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治財政局長久保信保君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 地方税法等の一部を改正する法律案地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 加賀谷健

    加賀谷健君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本加賀谷健でございます。与えられた時間、三十五分という大変短いというか長いというか、余り時間がございませんので単刀直入にお聞かせをいただきたいと思います。  まず最初に、大臣が今委員会での所信表明をいただきました平成二十年度地方財政計画概要説明、この中で、引き続き生じる財源不足については、適切な補てん措置を講ずることとし、地方財政運営支障が生じないようにしておりますと述べられております。  まずお聞きしたいのは、この引き続き生じる財源不足の引き続きの意味をお聞きをしたいと思っております。何を指して引き続きという表現をされたのか、お伺いしたいと思います。
  7. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げます。  二十年度も十九年度と同様に地方財政計画の中で歳入歳出を見積もりますと、必要な歳出に対しまして十分な歳入、これは通常その差額というのは交付税で埋めることになるわけでございますけれども交付税、国、地方を通じて、今財政健全化に努力してございますが、十分な国、地方を通じて歳入がないということでございますので、交付税率もそのまま抑えられているところでございます。  したがいまして、この歳入歳出の差を埋めるための交付税に対しましては、入口の段階でいろいろな各種特例交付金等措置を講じたり、あるいは臨時財政対策債等を発行して実質的な交付税を賄っていると、こういうこともございます。  したがいまして、この状況は、前年の十九年度とも状況は変わってございませんので、この地方財政計画説明の中でそうした旨を述べているものでございます。
  8. 加賀谷健

    加賀谷健君 私は、この引き続きという言葉はまさにそういうことだろうと思いますけれども、今この暫定税率が失効をして、歳入欠陥現実には生じている。しかし、地方財政計画等々の数字を含めていけば、地方はまさに、後からでも質問いたしますけれども予算をほぼ終了をして執行に入っているわけでありますけれども暫定税率部分が当面収入減になるということで、地方はその予算執行を留保しているという状況が出ているわけでありますけれども、私は、この引き続きの部分言葉は、その使い方は別にしまして、まさに地方の中にそういう意味での歳入欠陥が生じる部分については、総務省として何らかの対応をする、地方財政運営支障が生じないようにしていくということはまさに総務省として考えていくべき問題だろうと思うんですけれども、この辺を含めてこういう表現をされたというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  9. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 二十年度のこの地方財政計画、これを立てました前提としては、暫定税率を含む政府予算案ですね、暫定税率を含む政府予算案と、その裏付けとなる歳入関連法案、これを私ども国会の方に提出をしております。したがって、そうしたもの、暫定税率が継続され、なおかつ歳入も必要なものが入ってくるということを前提として、その上でさらに地方財政計画を立てまして、そしてそこで引き続き生ずるものについて国としても責任を持つと、こういうことでございますので、今お話し道路関係について申し上げますと、こうした暫定税率を含む歳入関連法案などの継続あるいは成立が前提となっていると、こういうことでございます。
  10. 加賀谷健

    加賀谷健君 まさにこれは法案審議地方予算審議が実はもう終わっているわけでありまして、今の日本制度ですと、国会で何が決まっていくのか、何が決まっていかないのかという、こういう状況というのは生ずるわけですから、地方はそれによって予算をつくって、確認をして執行していく。  先日の大臣答弁にもありましたけれども、実は三十六団体事業予算執行を留保していると、またその十一団体道路関係事業以外まで影響が及んでいるということでありますけれども、私は、この状態は地方財政運営支障を来しているということ、これを生じさせないようにするということの、言葉からいえばですね、まさに地方に対してこういう部分については面倒を見るんですよ、十九年度補正予算の中でも、現実には財政補てん債等々を発行し、後に国がそれは元利償還をするというようなことで、地方に赤字の公債を発行させてきた経過があるわけでありますから、まさにこの部分については責任を持つと、だからそういうことではないんだということを私は大臣としては言うべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  11. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方団体もいろいろ政府予算案などについて私ども説明していますが、そういうものを見ながらいろいろ予算編成をされるわけでございますが、私どもは、当然そうした政府案を作っていく上での前提となっていることはいろいろと地方団体にも御説明申し上げております。その上で、今現在、現実的に暫定税率が失効したということで地方の方で減収になっているわけでございますが、そういった現在生じている減収については、これは国の責任において適切な財源措置を講ずる必要があるというふうに考えております。  いずれにしても、地方団体に対しまして、私どももどういう前提条件の下に今政府案が成り立っているのか、そしてまたそれがどういう状況にあるのか、常に連絡を密にして、そして理解を求めていくということは大事なことでございますし、適切な情報提供というのは今も行っているところでございます。そういう中で、地方団体の方からもいろいろな悲鳴に近いような声が起きてきていると、こういう状況だというふうに理解しております。
  12. 加賀谷健

    加賀谷健君 先ほど申し上げましたけれども、その三十六団体が留保しているということに対して、国として、それは勝手に地方が留保しているんだということでいいのか。私はそうではないと思うんですね、これはおかしいと。これは国が地方財政計画で支出について、国から行くお金について、地方歳入については保障しているわけですから、この部分については明確にちゃんと補てんをしますよと。それは何らかの方法を取るというのはこれは政府の仕事ではないかと思うんですけれども、留保されているからということを何か売り物にしているように受け取れてしようがないんですけれども、この辺に対してやっぱり私は、地方を預かる総務大臣としては明確に発言をしていくべきではないのかなと、こんなふうに思うんですよ。  この今のような状況という、参議院が逆転をしているという状況というのはまさに国民が昨年の夏に選択をしたわけでございまして、衆議院選挙が行われて政権交代が起きればこれはこういうことにはならないわけでありますけれども、少なくともこの状況というのはあと年間ぐらい、会計年度でいえば五回程度の会計があるわけですよ。まあまあ百歩譲って二年後の選挙民主党が参議院逆転してまた負けてしまうということであっても、二回はこのような状況というのは起こるのではないかと思うんですね。  ですから、やっぱり私は政府としてこういう問題に対して明確な態度を出すべきだと思うんですけれども、もう一度お伺いします。
  13. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の状況で私ども地方財政計画を作ったり、それから様々な政府予算案地方関係予算案を作るときに、今回のいわゆる歳入関連法案でございます、暫定税率を継続するということを前提にいろいろ積み上げてきているわけでございまして、それが一番適切だと考えて作ったわけであります。  地方団体の方は、お話しのとおり、そういった政府案ども見て、あと今の国会状況の中で、仮にですけれども、今の状況の中で修正があるということは多分立法府の方のいろいろな判断があるということは分かっているはずですから、公共団体も当然独自にいろいろそこは考えながら予算を編成しております。  その上で、今地方団体の方からいろいろ意見が出てきておりますが、私どもはいずれにしても、三月の三十一日の段階地方団体に、地方財政運営支障が生じないように国の責任において適切な措置は講ずると、このことはきちんと申し上げております。そのことも地方団体に申し上げておりますが、地方団体の方のその後出てきております意見、あるいは三月三十一日の緊急声明などを御覧いただいてもお分かりのとおり、やはり分かっているわけですよね。これだけ、例えば一年間巨額の歳入欠陥が生ずれば、それを別の方法で回復できる措置は非常に難しいというか、もう困難であるということは地方団体も分かっているわけで、何度も何度も、そういうことがないように暫定税率を元に戻すようにということを地方団体も言っているわけです。  ですから、これはもう地方団体の独自の意見としてそういうことを言っているわけで、今、そういった国の措置をきちんと地方団体の方に、国の責任で講ずるということをいろいろときちんと表明すべきということですが、それは表明してございますが、要は、地方団体をこれ以上混乱させずに安心させる方法は、地方団体の方から出てきている意見書にも表れていますとおり、暫定税率を私は戻すことしか地方団体は恐らく納得をしないということだというふうに思います。
  14. 加賀谷健

    加賀谷健君 それは結局、地方というのはそういう制度になっていないわけでしょう。十九年度だって、国の見積りどおり予算を作ったら結果として歳入欠陥が国にも起きているし地方にも起きているわけですよ。だからそれを法を作って埋めてきたわけでありまして、このことはやっぱり、それは私は総務省だけでそれをやれというのは無理かもしれません。やっぱりこういう問題は国としての考え、方針を出さなければならないと思いますので、やはり総務省財務省との関係で、総務省が管轄している中でやれといってもそれは確かに無理なことは事実でありますので、財務省としてやっぱりこういう事態というのはどういうふうに思っているのか、併せてお聞かせください。財務省の方はどういうふうに考えますか。
  15. 川北力

    政府参考人川北力君) 私、主税局の方から参っておりまして、ちょっと今、質問の通告を承っておりませんでしたので、担当の者が来ておりません。申し訳ございません。
  16. 加賀谷健

    加賀谷健君 通告してあると思うんですけれども。  要するに、こういう予算のことになってくると総務省だけではどうにもならない。まあ、赤字補てん債を発行させるということぐらいしか妙案は浮かばないんだと思うんですね。やはり財務省として、国の立場で、地方のこういう状況というのは起こり得るわけですから、何らかの対策総務省相談をしながらやっていくべきではないかということなんですけれども、それに対してどうですか。──答えられない。  じゃ、総務大臣、どうですか。そういうものは財務省と交渉する気はないんですか。
  17. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 要は、今現実に、お話しになっているように、四月から地方団体がいろいろな予算執行留保をしているということがございまして、地方団体も今財政運営大変苦労をしているという状況があるのはこれは今の現実状況でございます。  そして、私どもは、こうしたことに対して、歳入欠陥が生じているということに対して、これは国として責任を持ってそのことに対しての適切な財源措置を講ずると、こういうふうに申し上げていると。それは、財務大臣とも相談をしながら具体的な内容を今後詰めていきます、地方意見も聴きますと、こう申し上げているわけでございまして、そうした生じたこの歳入欠陥に対しては、総務省として財務省とよく相談をするということでございます。  ただ、そのときの大前提は、一刻も早くこれに対して暫定税率が元に戻るように最大限の努力をするということを前提としながら、しかし現実に毎日毎日積み重なっている歳入欠陥に対しては、これはもう四月の一日から今十七日まで積み上がってきていますから、その分については国の責任対応しますが、前提としては、そのとき申し上げているとおり、暫定税率を元に戻すということを前提に申し上げているわけです。  地方団体も、じゃ、どういうことかといいますと、この声明でも書いてますとおり、地方団体も早く暫定税率を戻してほしいと。これは、国の状況等地方団体もよく、今財政状況はどうなっているかというのは、私も地方におりましたけど十分分かっておりますので、それだけの歳入欠陥が例えば年間で出てまいりますれば、これを補てんするような措置は国としても非常に難しいということで、だから何度も何度も、地方団体の方もそれを元に戻してほしいということをイの一番に言っていると。明日も何か大会が六団体で開かれるということを言っておりますが、そんな内容になるんではないかなというふうに思っていますが。まあ、まだ明日のことでございます。  ですから、そのことは与党、野党ということではなくて、地方現実状況がどうなっているか、そして地方団体が一体どういうことを今考えているのか。今、ちゃんとそれは四月から生じた分は元に戻しますよと、こういうことはきちんと申し上げておりますが、そんなことでは地方団体は決して納得はしないだろうというふうに思っております。
  18. 加賀谷健

    加賀谷健君 現実暫定税率はもう失効しちゃっているんですよ、暫定なんですから。このことが戻るということよりも、今なくなっていくということに対する対策をつくらなければ地方はやはり生きていけないといいますか、成り立っていかないと思うんですよ。  特に、地方予算をつくる前提というのは地方財政計画ですよね。地方財政計画上からいったって、その部分が、地方にとってはそれを頼りに予算をつくっているわけでありまして、それに歳入欠陥が国が生じたから面倒見ません、あなた方はそういうことで勝手にやりなさいということで、それでは地方というのは何を信頼して予算を作ってやっていくのですか。この辺については、今回はこの暫定税率という問題ですけれども、まだまだ、先ほども申し上げましたけれども、こういう状況というのはまだ五年も続くわけですよ。もしかすると、逆転すればこれはなくなるかもしれませんけれど。  そういう状況の中で、私は、地方財政計画役割というのは、国家の財政あるいは国民経済との整合性の確保、地方団体が標準的な行政運営を確保できるように地方財源を保障しているんですよ。そして、三つ目には地方団体財政運営の指針、これが地方財政計画役割ですよね。これがすべて吹っ飛んでしまっているというふうに思うんですけれども、これで、大臣地方はどうやって何を基準にじゃ予算を作っていくんですか。こういう国会状況というのは続くわけですよ。お伺いします。
  19. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方財政計画地方予算を作るときに参考とする材料になると、私どももそういう意味合いでこの地方財政計画をお示ししております。最終的には独自のそれぞれの団体判断でありますが、それを、それといいますのは地方財政計画参考にしてそれぞれ判断をされるだろうと。その地方財政計画は、私ども国会に一番最善のものをお出しをすると、こういう責務がございますので、今回も地方のその中で標準的な団体として歳入を見込むものには暫定税率がそのまま継続されるということが最善だと考えて、それを前提地方財政計画を作っているということでございます。  それから、あと、先ほどお話しございましたんですが、地方団体に対しての国としてのきちんとした対応を取れということでございますが、私は、申し上げたいのは、地方団体と本当に真摯にこれは立法府の方でもお話合いをしていただく機会などがあればいいなというふうに思っておりますが、地方団体も随分いろいろな国会の各党などを回ったりしているようでございますが、なぜ今回、地方団体声明などで必ず暫定税率をそのまま維持してくれと言っているのかということ、是非この点もお考えいただいて、とにかく二十年度現実歳入欠陥が出ている、それに対しては日一日と積み重なってきますので、私どもも、何とか国の責任対応したいというふうに思っておりますけれども、しかし地方団体はそのことだけでは恐らく理解をされない。地方財政計画がこうなっているからということでありますが、やはり大変大きな額に年間になれば上るわけでございますので、地方団体が、暫定税率を失効させたままで他の方策といっても、地方団体はそのことに対して納得することは恐らくないであろうというふうに思います。
  20. 加賀谷健

    加賀谷健君 地方財政計画というのは、じゃ大臣、そこの金額を保障するのは私義務だと思うんだけど、それは地方参考にするだけなんですか、今の答弁だと。そうじゃないでしょう。地方財政計画を基に地方予算組んでいるんですよ。だから、参考ではないんです、これは。ですから、私は義務があると思うんですよね。これは是非、そこのところをはっきりしていただきたい。  さっき地方首長が言ってきていると言いますけれども、ある新聞アンケート調査で辞めた首長さんに聞いたら、しようがないから言っているんだと、そういう方がたくさん出ているじゃないですか。これは何らかのそういう画策があったと疑われても仕方がないと思うんですけれども、やはり地方には、このことはどんなことがあっても財務省等含めて補てんをするということを約束をしていただきたいんですけれども
  21. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方財政計画自身は、毎年度地方団体予算編成をしていく上で大変重要な役割を果たしておりますが、そして多くの団体もそういったものを十分に参考にしながらやっておりますが、これの制度的な意味合いといいますのは、地方財政計画自治体予算編成権を縛るものでは決してありませんで、予算編成権地方自治体が自主的に持っておりますので、あくまでもこれは地方団体参考にする計画だという性格のものでございます。これは、従来の自治省時代からずっと、総務省になりましても、私どもが繰り返し申し上げているものでございます。地方財政計画には三つ性格がございますが、それにしても、それは自治体予算編成するときに参考にするもので、それを参考にしつつ自主的に予算編成権を行使して自治体予算編成をすると、こういうものでございます。
  22. 加賀谷健

    加賀谷健君 何からちが明かないんですけれども、やはりそれでは地方というのは本当に予算を組めない、こんなふうに思いますんで、是非とも検討していただきたいと思います。ちょっと時間がないんで。  あと、次に、地方法人特別税等に関する暫定措置法案について前置きは抜きにしてお話を聞きたいと思うんですけれども、昨年の十二月に、石原都知事と言わば手打ちをしたと、こういう新聞記事があります。この中に、東京都の言っている中で、羽田空港環状道路などの整備をする場を設けるという妥協案がなされたというふうに聞いておりますけれども、まさに手打ちという、こういうことが行われたわけでございます。  石原知事はその中で、選挙で負けたツケを都に回して三千億円ふんだくるのは強盗と同じだと、しかし泣く子と地頭と政府には勝てないと彼は言って、結果的に三千億なくなるその見返り措置に、言葉では、逆手を取って条件を付けるのが政治だと、こんなふうに評価をしているというふうに記事に出ております。  その中で、東京都が言っている見返りインフラ整備の中に、実は羽田空港国際空港化の一層の推進ということが書かれているわけでありますね。この国際線発着枠の拡大と就航距離、今就航距離には制限があって国際線といっても近距離しか飛んでないわけですけれども、このものについて変更をさも認めていくような形になっていくのではないかというふうに思うんです。  このことが行われるということは、私の出身であります千葉県にとっては大変大きな影響があるわけですよ。何度も何度も私ども県議会の中で議論をしてきた。このことは、成田空港を造り、成田空港がどういう運営をされるかという条件の中ですみ分けをしたはずなんですね。そのことを無視して、東京都と国土交通省等協議が行われるということに大変千葉県としては不安を持っているんです。まさに騒音は全部千葉県サイドに来る。今回の羽田の拡張に当たって千葉県はかなり協力をしているはずですよ。一番大事な山砂もほとんどすべて千葉県から出ている。さらには、大事な漁業補償の問題も、千葉県が関与して、千葉県の漁協との間に入って解決をしているわけでありますんで、こういう問題について国土交通省の少し考えをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 室谷正裕

    政府参考人(室谷正裕君) お答えをいたします。  羽田空港の国際化の一層の推進につきましては、委員御指摘のとおり、国と東京都の実務者協議会における検討事項とされているところであります。具体的には、同協議会の下に国、東京都、それからただいまも御指摘のありましたお地元千葉県、そして神奈川県を構成メンバーといたします羽田空港の国際化に関する国と都それから関係県の実務者分科会を設置して検討をするとされているところであります。  お尋ねの羽田空港の国際化に関する基本的な見解いかんということでありますが、端的に申し上げますと、羽田空港につきましては国内線の基幹空港と、成田空港につきましては国際線の基幹空港と、こういう基本的な考え方を持っておりまして、こういった考え方、また昨年五月にはアジア・ゲートウェイ構想が取りまとめられておりますけれども、そのときに示された考え方を踏まえまして、再拡張事業によって拡大をいたします羽田空港の発着能力につきまして将来の国内航空需要に対応した発着枠を確保しつつ、成田空港の国際空港機能を補完するものとして、羽田空港につきましては、供用開始時に年三万回の近距離国際旅客定期便を就航させるということを考えているものでございます。
  24. 加賀谷健

    加賀谷健君 そのとおりですけれども、ただ、だから、東京都との関係で、総理大臣がどういうふうに約束しているのか分かりませんけれど、そんな軽々に分かったと、羽田の国際空港あるいは就航距離の延長について認めていくというようなことについては、国土交通省としても何度も千葉県とも話し合っていると思いますけれども、より以上に緊密な連携を取って、そういうことのないように配慮を是非お願いをしておきたいと思います。  この税について、じゃ、総務大臣財務省とにお伺いをしたいと思うんですけれども、どうも今回の地方税の中だけでこういうものをつくっていくというのは、やはり無理があるのではないかと思うんですよ。それは、総務省の管轄でいえば、その法人二税をいじることによって財務省の財源に手を付けないということで、簡単にできるといいますか、そういう形で行われたのだろうと思うんですけれども、どうも私は、その税の在り方そのものがこういうことではいけないのではないか、こういう小手先だけではまずいんじゃないかと思うんですよ。  どうかその辺を、財務省とどのような協議をしたのか、双方からお話をお聞かせ願えればと思うんですけれども
  25. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) お答えをいたします。  今回の偏在是正措置を講ずるに当たりまして、総務省といたしましては、基本的には、偏在性が小さく、また税収が安定した地方消費税と偏在性が大きくて景気の変動に左右されやすい法人二税を交換する、こういった税体系全体の中で是正を図っていくという考え方を基本に検討を行ったところでございます。そういう形で諮問会議等でも大臣から提案をいただいているところでございます。  また、財務省からは、同様に諮問会議等におきまして、これらの偏在是正については地方団体間の水平的な調整で対応すべきであると、こういう提案がされ、地方法人二税の配分の見直しが効果的ではないか、あるいは地方消費税を含めた消費税の在り方は抜本的な税制改革の中で総合的に検討すべきではないかと、こういう提案もいただいていたところでございます。  十二月に至りまして具体的に平成二十年度の税制改正の議論が進められていったわけでございますけれども、その中で税体系の抜本改革、抜本的改革はこれは今後の課題ということになっていったわけでございまして、そうした中ではこの税源交換、税体系全体の中で偏在を是正するという措置を講ずることはなかなか困難でございましたので、そういう状況も踏まえながら財務省とも議論をし、検討を行ったところでございまして、そして最終的には、地方消費税の充実を基本にして税収が安定的で偏在性の小さい地方税体系を構築するという地方税改革の基本方針、これを明確にした上で消費税と法人事業税との間で税源交換を行った場合とほぼ同等の偏在是正効果が生じます今回の暫定措置を講ずるということにしたわけでございます。  今回の暫定措置を講ずるに当たりましては、先ほど申し上げましたような地方税改革に関する基本的な考え方、これは一月十一日に閣議決定もしておりまして、そうした方向を政府として明らかにしているところでございます。
  26. 川北力

    政府参考人川北力君) お答え申し上げます。  諮問会議等の場で財務大臣から意見表明がございまして、その内容につきましては今総務省からも御答弁がございましたけれども、若干補足させていただきますと、偏在の最大要因である地方法人二税の配分の見直しが最も効果的であること、地方消費税を含めた消費税の在り方については国、地方財政状況や消費税の使途等を踏まえ抜本的な税制改革の中で総合的に検討すべきこと、国の法人税と地方法人二税との間では課税標準等に相当な違いがありますので、地方法人二税から法人税へ税源移譲を行った場合、個々の納税者の税負担を相当変動することが不可避であること等の意見表明がなされております。  そうした議論の末、検討を行いました結果、先ほど来御答弁ありましたような税制改正案を取りまとめたところでございます。
  27. 加賀谷健

    加賀谷健君 ですけれど、私はやっぱりこれは当初言われていた総務省の案というふうに聞いておりますけれども、やっぱり税源交換、消費税を含めたそういうことにして地方が安定するような形に検討していく、まあ暫定ですから、是非ともそういうことにしていただきたい。国税への手の入れ方、是非お願いをしたいと思います。  特に、ふるさと納税という話を、結局、地方税の中でやりくりしているだけなんですね。私は、やっぱり所得税を減税をすべきだと思うんですよ。でないと、あるふるさとにお金が行ってしまう。取られた方は大変なんですよ。何か新聞によると、寄附してくれたら牛肉を渡すなんという、送りますよなんという、そういうことが行われているというのは、ふるさと納税という言葉意味からしてもやはりおかしいのではないか。やはり私は、所得税からの控除ということも含めて、もっともっと所得税、国税の方へ入っていくような、総務省だけでやれることだけを小手先だけでやっていると、幾らやってもこれは駄目なんだ。実際にはその五兆一千億の交付税が削減されていたものが地方に大きな影響を与えているわけでありますんで、是非ともそういうことを含めて検討していただくことをお願いをして、私の、時間ですので終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  28. 末松信介

    ○末松信介君 おはようございます。自民党の末松信介です。二十分間でございます。大きな質問をいたしたいと思います。  今日の財政を語るときに、三位一体という言葉が常に使われます。そのときに、小泉元総理の名前が必ず上がってくるわけであります。  総理が、小泉元総理がさっそうと登場されたのが二〇〇一年であると。一九九五年に総裁選に出たときには八十七票と。九八年に出たときには、三票減らして八十四票と。二〇〇一年には、何と二百九十八票で、橋本元総理に百五十五票、大差を付けて勝利をしたということであります。  一度、二之湯政務官なんかと一緒に総理と話をする機会が一昨年の年末あったんですね。そのときに、なぜ総理はそんなに強いんですかと言ったら、おれは強いと思ったことはないと、やらなければならないことをやってきたという、非常に立派な話をされたんです。  私、七年前に、神戸に、まあ疑似首相公選的な選挙だったんですけれども、行われたときに、演説された話の中で二つのことが大変印象的なんですけれども、一つは、改革なくして成長なしということを一つ言われたんです。もう一つ大事なことを言っておられました。必要な負担は国民にお願いするということを言っていたんですよ。確かにそういう点では、総理、今日までの改革の中ではいろいろと国民に痛みを感じるものもあったのかなということを思うわけなんですけれども、一番私は、小泉内閣、この五年半の政権の中で、東京一極集中が加速されたということが大変残念であるということを思っているわけであります。総理にその話をしましたら、歴史のとらえ方が違いますよね、総理は戦後と今日までという感覚でとらえると。我々はやはりここ二十年、三十年という単位でとらえるということで、政治家も時代の幅の取り方で政策や考え方というのは違ってくるんだなということを痛感をいたしたわけなんです。  ただ、小泉元総理は、絶対やらなきゃならないことは、格差是正の装置というものは必要であるということは強く言われました。今回、地方法人特別税というのは、私は、そういう面で格差の是正をするものであろうかというように認識をいたしております。  ここで検証したいことなんですけれども、地域間格差のことにつきまして、簡単に分野別でちょっとお話を聞いていただきたいと思うんです。人口であります。  人口は、せんだっての新聞に出ておりましたけれども東京都民が全国の十人に一人になったということであります。東京、神奈川、埼玉、千葉は、この東京圏、一都三県でつくる東京圏で三千四百八十二万人、全国の人口の二七・三%を占めているということであります。東京都も、最近の五年間で四・二%人口が増えたと。神奈川県でも三・六%ずっと増えているわけなんです。秋田県は逆に三・九%減った、和歌山県は三・二%減ったということで、地方の減少が目立っていると。  二つ目の給与所得、これは国税庁の国税庁統計年報書によりますと、平成八年と平成十三年とを比較すれば全国の都道府県では給与所得は減少いたしました。しかし、平成十三年と平成十八年とを比較すれば全国的に給与が増加している。東京都は、何とこれは突出して二〇%増加をしているわけなんです。栃木、埼玉、神奈川、静岡、愛知も増加しています。一方で、北海道、青森、大臣のおられた岩手県は減っておるんですよ。秋田も減っている、山形も減っているという、こういう状況です。  利子・配当所得についてお話を申し上げますと、平成八年と平成十八年の利子所得と配当所得の変化を見ますと、利子所得と配当所得の合計では二・六兆円から二・八兆円、七・五%確かに増えているんです、この十年間で。そのうち、利子所得と配当所得の内訳では、その比率が平成八年では二対一だったんです。利子所得が二、配当所得で一だったんです。それが、平成十八年には利子所得が一、配当所得が五、一対五になっておると。平成十八年には配当所得が圧倒しているわけなんです。  これはどういうことかといいましたら、結局、金融あるいは証券改革というものがもう東京一極に集中をして恩恵を与えたと。都道府県別に見ますと、東京都の全国シェアが三七・三%から六八・五%に上がっているということが、こういう数字が出ております。  それと、事業者数と従業者数を見ますと、平成十三年と平成十八年の比較では、事業者数は、全国の都道府県は事業者数が全体的に減っておると、とりわけ大阪、京都、四国四県は大幅に減少しているんです。しかし、従業者数では全国の減少が続く中で埼玉県と東京都と愛知県と沖縄県だけは増加をしているという傾向がございます。  そして、最後に法人所得でありますけれども、これは法人二税の地域間の偏在が問題になっているわけなんですけれども、最近の十年間を見ますと、東京都の全国シェアは平成八年四二%から平成十三年四四・五%、平成十八年には四七・一%に達しております。大阪は平成八年が一二、平成十八年が一一・八%と横ばいなんです。そして、愛知県は平成八年六・九%だったのが平成十八年六・九から九・三になって大阪に迫っているというのが今の日本の実態なんです。  私はそういう点で、今地域再生法であるとか地域力再生機構であるとか、地域、地方という言葉がもうあふれ返っているんですけれども、この実態というものを総務大臣はどのようにとらえておられるのかということ、問題点をどう考えておられるのかということにつきましてお尋ねをいたします。
  29. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、今いろいろ委員の方から分析結果に基づく数字がございましたんですけれども、私も法人二税の税収が、全体としては近年急速に回復しましたけれども、その内容を分析いたしますと、まさに今お話ございましたとおり、大都市にというよりも東京に集中をしている、極めて集中をしていると、それがまた近年更に加速化されつつあるような状況になっていると。企業を始めとした経済活動総体を我が国全体として見ますと、その経済活動全体が東京に集中をしてきている、そのことがまた翻って各種の地域間の格差を生ずる原因になってきていると、こういうふうに分析をしております。  そして、このために今政府として取るべき喫緊の課題というのが、産業の振興により地方の経済活動を活性化させるということがしたがって政策の急務の目標になりますし、そのために今回、地方税の偏在是正などもその一助としての意味合いも持っていったわけでございますが、いずれにしても、数字は私の方でもうあえて繰り返して申し上げませんけれども、経済活動、我が国全体の総体の経済活動が大都市というよりも東京に一極集中していると、これが今日、我々として早急に対応していかなければならない格差の問題の主要なターゲットになっている、相手方になっていると、こういうふうに考えております。
  30. 末松信介

    ○末松信介君 大臣のおっしゃるとおりでありまして、富が更に富を吸い込んでいくという状況が続いていまして、平成の一けた台に兵庫県でも本社が東京へ大幅に移ったんですね。  今日、委員の先生方の資料にお渡しをいたしておりますんですけれども、企業が東京に本社を移転した際に得られるメリット、デメリットを書いているんですけれども、なぜ東京に移転していったかといったら、業界・他社情報が得やすいということが、百社のうち四十七社がそう答えていると。次は、市場・顧客情報が得やすいということで四三%、四十三社が百社に対して答えていると。全国各地への交通アクセスが良いが三十九社。関係官庁との接触、情報入手に便利ということが三八%なんです。  私の知り合いのエスケー食品という、ロイヤルホストさんなんかにエビフライを売る会社があるんですけれども、その社長さんは、ロイヤルホストは福岡だから福岡へ出張に行かれるんですかと言ったら、福岡は行かないと。おれの行っているのは、養殖して輸入するインドネシアと東京だけの三角形だけだと。神戸市内も回らないと。なぜかといったら、材料調達部というのは、本社は福岡にあっても材料調達部の決裁権は東京に置いてあるんだということで、だから東京に行くんだということなんですよね。そういうことでありますから、神戸で接待をしてお金を使うということもなくなってしまうという実態がいっぱいあるわけなんですよ。  例えば、雪印乳業を例に取りましたら、雪印乳業はこう書いてあるんですね。雪印乳業は戦前に札幌で創業しましたが、高度成長とともに全国展開を進め、本社機能を一九五八年から一九六六年までに段階的に東京に移転しましたと。全国展開に伴う外部資金調達に際して、金融機関、証券会社との対面接触による高度な専門情報の交換が欠かせなかったことが財務部門の東京への移動につながったと指摘していますということが文献として残っているんですね。  こういうことでありますから、やっぱり抜本的に考えていかなきゃならないということ。首都機能移転という法律がありましたけれども、あの法律が一体どうなってしまったんだろうかということが自民党の部会で時々出るんですよ。急に、忘れたときにきゅっとだれかが言い出すんですよね、どないなったんだと。やはり、これはもう税を少し中でいじってどうこうするという問題じゃなくて、根本的に地方を知っておられる総務大臣がその先頭に立っていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  それで、次の質問なんですけれども地方法人特別税というのを二兆六千億創設をされたわけでありまして、私申し上げたいのは、その中で、譲与税として地方に再配分することによって四千億を都市部から地方部に移すということであります。この四千億については、地方再生枠ということでいろいろと、第一次産業に手厚くするとかいうことを書いているんですけれども、本委員会で盛んに主張されているということは、これ与野党共通していることは、五兆一千億の地方交付税の復元をしてほしいということは大体共通した意見だと私は思っているんですよ。そうして考えたら、この四千億というのは大きな額なのか小さな額なのか、私は分からないんですよ。  ふるさと創生一億円というのがありました。私の淡路島の淡路市、旧津名町で、あの一億円をどう使うかということで、金塊に変えてそれを展示して、観光客を呼び込むことにしたんですよ。その意味がどういう意味でやったかということは私は分かりません。しかしながら、いろんな工夫をしたということで、あのふるさと創生一億円というのは功罪あったのかなという気はするんですけれども、四千億円というようなお金というのは大きな意味があるのかないのかということを、ただ、メッセージを発信する上では私は大きな意味があると思うんですけれども、ダイナミズムに多少欠けるんじゃないかという不安を持っています。  そこで、総合的な戦略的プランに基づいてこれを実行していかなきゃいけないと思うんですけれども大臣の見解を伺います。
  31. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、この四千億の認識でありますが、今委員からもお話がございましたとおり、三位一体改革によって行われました交付税の抑制規模、その規模と比べると、今回のこの措置が十分でないという意見があると、このことは私も十分に認識をしておりますし、またそういった御意見に対して今後謙虚に耳を傾けて今後の対応につなげていかなければならないというふうに思っております。  そういうことを前提にしつつ申し上げておりますのは、今までもう四年、五年にわたって交付税あるいは交付税を含む一般財源総額はずっと削減傾向にあった。そして、そのことに伴って、地方も大変厳しい様々な行革を始めとする削減措置を行ってこなければならなかった。そうしたことに対して、今回、百八十度方向を変えて、地方の実態にきちんと真っ正面から目を向けて、そうしたものに自主的な、あるいは創造的な、主体的な活性化施策に必要な財源を今回措置をしますということを申し上げて、予算でそれを規模の問題はございますが実現をさせたという、その方向を百八十度変えたということが政府の今後に向けての意思表示であって、ある種、地方の不安や閉塞感を除去することにもつながるんではないかと、こう思ったわけでございます。  したがいまして、今申し上げましたようないろいろな声というもの、御意見、それには謙虚に耳を傾けて、その上で今後の地方財政あるいは財源の充実確保というものに当たっていきたいというふうに考えております。
  32. 末松信介

    ○末松信介君 大臣、大いに期待をいたしております。与党ですからくさす気は全くありませんので、是非検証しながら進めていっていただきたいということ、それと、この交付税の復元ということについては、ひとつ原点に立って考えていただきたいと私は思います。  もう五十六分までなので、法人事業税のことについてちょっとお伺いしたいんですけれども、法人事業税は法人が行う事業そのものに課せられる税でありまして、法人がその事業を行うに当たっての各種の行政サービスの提供を受けることを考慮して必要な経費を分担するという趣旨のものであります。今、細かなことはちょっと省略しますけれども、法人の事業所数が二つ以上の地方団体にある場合には分割基準を、二分の一を事業所数で、残りの二分の一を従業員数で案分することになっているわけであります。  私、常々思っていることは、法人の事業活動がすべてその所在地の地方法人で完結しているならば、この分割基準というのは当たらずとも遠からずだと思うんです。実際には、法人所得というものを生み出している商品の原材料という、この仕入先というのはいろんなところから仕入れているわけですよね。同時に、商品を売りさばいていくのも、これはもういろんな県境を越えて全国的に売っているということになってきますから、ある意味では、こういった事業活動というのは全国各地の行政サービスの恩恵を受けて成り立っているわけでありますから、ここに税の偏在感の根源があるんじゃないかなということを思うわけなんです。  資料がここに、二枚目、お作りしているわけなんですけれども、お渡ししているんですけれども、これを見ていただいて分かりますように、私は、地方税収の偏在度を比較したものでありますけれども地方消費税や人口に比べて法人二税の偏在が際立っているわけなんですね。私も、ある面では地方消費税、商品を売る、東京一三・六、商品を作る、県内総生産、一七・六東京ということと数字が、この法人二税というのはある程度並んでこなきゃおかしいと思うんです。さっきの本社が東京に移っているとかいろんな問題はあるんですけれども。  そういう点で、大臣がこれをどう考えておられるかということをお尋ねしたいと。偏在がどの程度解決をされれば抜本的な税制改革となったと、偏在がなくなったということになるのかということを、このことをお尋ね申し上げて、残念ながら最後の質問にしたいと思います。
  33. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、法人事業税の分割基準の話がございましたんですが、要は、委員からお話ございましたとおり、最近の企業活動の形態が以前とは大分変わってきている、IT化とかアウトソーシングが大分行われたりと。この法人事業税の分割基準の在り方は、私は、そういった企業の活動実態が大分変化をしてきているということを十分に踏まえた、実態に合った基準というものを設けていくということに尽きるんだろうというふうに思います。  そして、偏在の関係でありますが、これなかなか、数字でどの程度になればいいのかということも申し上げづらいところがありますが、ある程度の税の偏在自身が、税でございますし、経済力に違いがあるので、これは生ずるのはやむを得ないと思っていますけれども、しかし法人二税についてはかなり偏在度が高いということはもうおっしゃるとおりでございまして、これは六倍ということでございました。  今、ここにございますとおり、地方税の計でたまたま、地方税収の全体で見ますと、最大最小の差というのが今三・一倍という平均、そういうことになっていますね。それで、県内総生産の最大最小の比率でございますと、こちらの方は二・九倍ということで、大体地方税収全体でとらえますと、県内の総生産のこの比率と大体同程度だと。  ただ、それを今見ますと、その中で偏在度が非常に大きな地方法人二税というものの、あるいはとりわけ法人事業税というものがやはり問題になるんだろうと思うので、今回、残念ながらきちんとした実現はできませんでしたけれども、それを地方消費税、これは偏在が大変少なくて一・九倍程度でございます、こちらに置き換えるということによって地方税としての本質をきちんと実現できるんではないか、こう思ったわけでございます。  したがいまして、個々の税目ごとに何倍程度だったらいいかというのはなかなかお示しはしづらいんでございますが、税収全体として、今地方税収全体は県内総生産のこの比率には大体合っているんで、その中で見て、やはり今後、地方消費税のウエートを高めていくということが、全体としての偏在性を是正するのに極めて有効でございますので、これが今回、税制改正の方向にきちんと入りましたけれども、その方向に沿って今後実現していくということがそういう意味からも大変重要だと、その実現に全力を挙げて取り組んでいきたいと、こういうふうに考えます。
  34. 末松信介

    ○末松信介君 時間がなくなりました。  地方税収の安定を図る観点から、消費税とこの地方法人課税との交換の話なんかをちょっとしたかったんですけれども、以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  35. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  この地方税の三法でございますが、四月八日の日にこの場で質問をさせていただきました。あれから約十日ぐらいたつわけでございますが、四月一日にいわゆる暫定税率失効して、その際にも、一週間以上前でございますが、影響についてお聞きをいたしました。大臣、いつも、昨日の参議院本会議での御答弁でも、四月一日現在の各県の状況とか、すべて四月一日現在に実はなっているわけでございます。  ただ、マスコミ等もいろいろなことを言ってきておりますし、例えば一部御紹介しますと、給油所の支援遅れる、これは総務省のお話ではございませんけれども、三月三十一日にこの新しい制度を創設して、翌日からということはまた難しいと思いますけれども、一生懸命取り組んでもらいたいと思っておりますが。  各県あるいは自治体に対して、道路以外の事業予算についても執行の留保をする自治体が増えてきているというようなことでございまして、新聞記事によれば、例えば三重県ならば、教育や福祉、商工業対策などすべての予算で一律一〇から二〇%の執行を保留したと。あるいは福岡県では、県内に住む独り暮らしの高齢者ら十四万五千人を対象とした戸別訪問事業や多重債務者に対する相談窓口の開設を予定していたけれども、これを実施していないと。宮城県は、道路整備のほか、教育、福祉を含む行政経費について一部の執行を保留した。面白いというか変わっているというのは、高知県の、国の直轄事業の停止があるものですから、高知県埋蔵文化センター、これ暫定税率失効によって急遽中止になったと。この埋蔵文化センターが雇用した作業員二十一人を解雇したところ、事前告知のない解雇として労働基準法に抵触する問題に発展したといった、いろんなところに影響があるようでございます。  また、先般、京都府、また綾部市に視察に行かせていただいたところでございますが、京都府の方からも、この暫定税率失効によって一日一千七百万、歳入が減っているんだと。国の分まで含めると三千八百万、一日、それだけ。じゃ三日で一億を超えるのかというような大変な金額になってきているんだろうと思います。  総務省は各自治体のこの状況について把握はしておられると思いますけれども、今まで考えられなかったような事態でございますので、しっかり把握をしていただきたいと思うとともに、これは国の責任において支障のないようにということがございました。  この間も聞いたんですが、あのときは久保局長は種々考えておりますがというようなお話であったわけでございますが、じゃ具体的にどういうふうに、影響額を確定の上でどういう手段、方途によって国の責任においてという責務を果たされるのか。それは地方債なのか、あるいは交付税の特例加算なのか、あるいは特例交付金なのか、いろんな手段が考え得るであろうと思っておりますが、今現時点、失効して約半月が超えました。どのようにお考えになっているのか、影響とその対処策、お考えをお示しいただきたいと思います。
  36. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、影響関係でございますが、前回御答弁申し上げたのは、確かに委員お話しのとおり、四月一日現在。四月一日現在で四十七都道府県のうち三十六道府県が何らかの事業執行を保留しているという状況でございました。  その後、私どもの方でその調査のフォローアップを行いました。今週の火曜日現在、四月十五日現在の状況について、いま一度各都道府県の方に調査のフォローアップを行ったわけでございますが、結果としてその状況に変化は特にございませんでした。三十六の道府県が同じように執行を留保していると、こういうことでございまして、内容等についてはその後特に変化がございません。  ただ、今委員の方からお話ございましたとおり、例えば宮城県の例がございましたんですが、宮城県も前回よりは具体的に、今週月曜日に私ども宮城県の発表を入手してございますが、今週の月曜日に宮城県としても発表されたようでございますけれども、その執行を当面留保する事業の内訳といいましょうか、道路あるいは普通建設事業以外のものでございますけれども、こういったものについても四月分は執行を留保しますということで、県立高校の小規模修繕事業ですとか木造住宅の震災対策事業ですとか、あるいはみやぎ出前講座といったようなもの、これも当面執行を留保しますといったものを発表しているようでございますが、各県の方で、そのほかの、宮城以外の県においても具体的に当面執行を留保するものの対象をいろいろお考えになって、そして発表しているようでございます。  そこで、これに対しての対応ということでお尋ねがございましたんですが、この関係については今の段階で、国の責任において四月一日から生じた税収の不足分に対して適切な財源措置を講ずる、こういうふうに申し上げているわけでございますが、これは御案内のとおり、失効による影響額、それから国交省の方の補助・直轄事業の取扱い等、これも国交省の方も今のところ検討中ということで、まだ対応が明らかになっていない。  どの程度の期間になるかということによっても、やっぱりこれは私どももその影響を計り知れないところがございます。やはり申し上げるときはきちんとした責任ある形で申し上げなければいけないわけですが、そういった意味では影響額等が今分からない段階でございますので、どうしてもそれ以上のことまで具体的に申し上げる材料がないと。財務省ともよく今後も相談をしましょうということになっておりますし、それから地方団体の方からも我々の意見を十分にその際には聞いてくれと、こういう強い申入れがありますので、その覚悟でございますけれども、具体的な対策については、いずれにしても国として何らかの形で責任ある対応をしますということを、まだ今の段階でもそれ以上のことを申し上げられないのは大変心苦しいんでございますが、そういう段階でございまして、今後更にまた中でもよく検討していきたいと考えております。
  37. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 一日三千八百万とか、あるいはOA機器の更新をちょっと待っているとか、いろんな対応もあるみたいで、何か悲鳴が聞こえてきそうな感じがするものですから、是非しっかりした対応策をお願いをしたいと思います。  先ほどもお話し申し上げました、今週月曜日に高嶋委員長の御配慮で京都府、また綾部の方に行かせていただいたところでございますが、綾部、いわゆる限界集落、講学上ですね、水源の里と言っておりますし、また私たちの我が党では過疎集落という表現をしているところでございます。  私も参議院選挙で、比例区でございますのでいろいろなところを飛び回っておりますと、本当に耕作放棄地とかあるいは廃屋になったところいっぱいあったりして、当然人が住んでいないからそこは通過するだけでございますけれども、やはり荒れてきているな、あるいは本当に今までの緑豊かな日本という景観が変わってきているなと、そういうような思いをするわけです。  今回、地方対策費でありますとか、あるいはこれ内閣府でございますけれども、元気再生事業とかいろんな形で取り組んでいるわけでございますが、我が党、昨年の十一月、十二月に、実は地方議会の人たちにもお願いをして、全国のいわゆる集落にアンケート調査、面接調査いたしましてかなりの数の回答を得て、その上で分析をして内閣あるいは官房長官のところにお持ちしたことがございます。今年の二月でございますが、いわゆる過疎集落対策に関する申入れというのをさせていただいたところでございます。  もちろん、これは総務省プロパーの問題ではないのかもしれませんけれども、ちょっと一部紹介をさせてもらいますと、自然と人が共生してきた過疎地域の集落が大量に消滅することは、自然環境、国土の保全、防災、防犯、伝統文化の保護、ふるさと、コミュニティーの存続などの観点から、国として全力を挙げて阻止すべきであり、国土形成広域地方計画において過疎集落指定の在り方や消滅防止対策を明記するとともに、これに基づく事業予算化を図ること。飛んで、高齢化率の高い過疎集落を対象に共同体の存続、維持の目的に特化した地域独自の施策の実施が可能となる、例えば集落維持交付金制度などの創設を検討すべきではないか。もう一点だけ、農林水産業、特に小規模農業は森林の荒廃や若者の流出、空き家の増加、耕作地の放棄などの過疎対策として多面的機能を活用することが持続的かつ効果的であることから、産業施策としてではなく、集落維持及び地域自立のための公的施策として採用すべきであり、中山間地域直接支払制度などの所得補償を拡充すること、こういうことを提言をさせていただきました。  先般、今まで見てきたところ、あるいは先般綾部の集落等を見て、やっぱり同じことを言っているなというふうに思ったところでございますが、今ちょっと御紹介した点含めて、総務大臣の御所見を承りたいと思います。
  38. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、先ほど委員の方からお話ございました公明党さんの提言でございますけれども、あそこに書かれている現状認識、問題意識というのは私も大変共通だなというふうに思っております。  ああいった、限界という言葉が決していい言葉ではございませんけれども、俗に言う限界集落とよく言われておりますああいった集落、過疎集落というのは、やはり防災保全機能とか、単にその地域のコミュニティーだけではなくて、非常に国土全体にとっても大きな機能を果たしているわけでありますので、やはりこれはきちんと維持、保全をできるような政策を国としても取っていかなければならないと。そのための対応策として、いろいろ御提言のような交付金などを手当てをするというような大胆な発想の政策もあろうかと思います。  私どもは、昨年、大変限られた時間との中で地方再生戦略というのをまとめましたけれども、あの中に今御紹介いただきました地方の元気再生事業入っておりますが、例えばああいった事業、あれが呼び水、先導的な事業ですが、それにつながっていく各省の様々な事業がございます。ですから、例えば農林水産省さん、あるいは国土交通省さんの事業などで様々な制度を調べますとあって、その中には、そういった地域に交付金的にいろいろと使えるような事業等もあるようでございますので、今後、今年度に替わりまして地方の元気再生事業予算執行、あるいはそれに続く、つながる各省の様々な施策が何があって、どういうものが綾部のようなああいう地域に妥当するのかといったことをよく当該の市町村の皆さん方とお話合いをして、そして各省の方にもよく紹介をし、そこの事業の実施も含めて政府全体としては対応していきたいと。  やはり、その地域は必ず守っていかなければならない地域、岩手もそういう地域が大変多うございましたけれども、必ず何らかの意味で国土全体として意味のある地域で守っていかなければならないところ多いと思っておりますので、そこの地域を個々具体にどういう形でやっていくのかは地域地域にいろいろ対応違うと思いますが、何とかその意味で知恵を出していきたいと、こういうふうに考えております。
  39. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その綾部の四方市長、言っておられましたけれども、今まで消滅していく集落、見て見ぬふりをしていたと、自分の県会議員とか、そんなことをおっしゃっておりましたし、私たちも実感として人口どんどん減っていく、なくなっていく、立ちすくむような思いであるわけでございますが、お話しされていた中で、水源の里という表現でございますが、集落維持というか、それは共同体があること、あるいはリーダーがいる、あるいは特産品がある、別に特産品といってもすごいわけでもなくて、フキがあるとかサンショウが取れるとかそんなことを言っておりましたけれどもあと交流、都市との交流、この四つがあれば何とか維持できていけるんじゃないかなと、そういう言い方されていました。私はすばらしい視点だなと思ったんですが、やはりこの過疎集落対策あるいは地方の再生とか考えた場合、人だなと思うんですね。この場で今紹介したのは市長ということでございますけれども、やはり行政マン含めて、あるいは人材、人的パワーといいますか、それをどう充実させていくか、それが一番大事だというふうに思っております。  これから地方分権論議が種々展開されていくと思いますけれども、やはり各地域に地域再生、この地域の、この担当している地域を本当に元気を戻したいという、そういう公務員というか人がどんどん活躍できるような体制をつくっていくのが一番大事かと思いますが、大臣の御所見いかがでございましょうか。
  40. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地域の問題を解決していく上で、その地域地域に人を得るというのがやはり最後、私も決め手であるような気がいたします。能力があって、そして地域の様々な人が暮らしている中で、人望を得て事業を確実に大胆に実行していくような、そういう求心力のあるような人がいるということが大変有効でございますし、また、そのためにも、そういった人材をにわかになかなかつくり出すというのも大変でございますが、常日ごろからそういった人材を少しでも多く育てていこうという、そういう長期的視点に立って人材育成などを幅広くやっていくことも大変大事だと。首長さん、これは選挙首長さん、それから議員の人たちの中でもそういう資質向上のための様々な、最近はセミナーですとかそれからシンポジウムですとか、総務省の方でも実施しております、こういった総務省関係しております市町村アカデミーなどの研修などもございますが、そうしたものも常日ごろから実施をしていくということも役に立つんだろうというふうに思いますが、その辺りは選挙で選ばれるということもございますが。  あと自治体の職員の資質向上も大変大事、それから場合によっては民間の地域のまとめ役のような人に対して様々な事例等を御紹介するような場も大事だと思いますし、どうしても外部の専門家の知識を得たいというときは、一時的にあるいは時々来てもらって、そういう本当のプロの人たちを、そういう地域で声を聞くというのも大事なことと思います。  この人材という観点では、それを、資質を向上させていくやり方というのは多岐にわたると思いますが、これから特に分権の時代にあって、一層従来にも増してこの人材を育てていくということの意味合いは大事になると思いますので、そのための役割、国としての役割あるいは総務省としての役割は今後ますます重要でございますし、私どももそのための役割をきちんと果たしていきたいというふうに考えます。
  41. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 時間がなくなってきましたけれども。  いろいろアイデアがどんどん行政あるいは政治に生かしていくというのは非常に大事だなと思っておりますが、余りアイデア過ぎて、いろんな施策をやって、後は破綻したよというんじゃ、ちょっとそれは厳しいな。あの夕張もいろいろ過疎対策とか一生懸命やっておいでになって、だけど厳しい状況になった。やっぱりあのとき出てきたのは、例えば議会は何やっていたんだという話が多分出てくるし、監査役とかってどうなっているんだ。  地方分権になればなるほど当然自己責任という形になるわけでございますが、地方自治体における行政監視、また監査機能の充実強化について御所見をいただきたいと思います。
  42. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この監査機能を一層強化するということは、地方自治を進めていく上で今後ますます重要になると。  今、第二十九次ですが、地方制度調査会の中でこの監査制度の在り方をいろいろと議論をしていただいて、その結論をいただいて、私どもこの監査制度の改正を行っていきたいと。今あの中で議論されておりますのは、実効性のあるチェック機能をいかに高めていくかということで、例えば自治体の監査委員の組織ですとか選任方法、それから、例えば自治体のOBが就職している傾向が多いとすれば、それをいかに制限していくかといったような、監査能力の向上を図るためのことを様々幅広く議論していただいております。この意味で、そこでの議論の成果を私どももいただきましたら、きちんとそれを実行していきたいというふうに思います。
  43. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  44. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  四月十一日の政府・与党決定に増田総務大臣がどのようなかかわり方をされたのか、まず聞きたいと思います。
  45. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 政府・与党決定でありまして、その中で政府の一員として、関係閣僚の一人としてあの決定に参加をしたところでございます。
  46. 山下芳生

    ○山下芳生君 では、内容に直接責任を負う大臣に伺いたいと思います。  政府・与党決定は、与野党協議前提として、道路特定財源と暫定税率を十年間延長する法案を一日も早く成立させるとしておりますけれども、これは、政府・与党決定自身が掲げた二十一年度から一般財源化するとの方針と根本から矛盾するのではないでしょうか。
  47. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 政府・与党決定の文書の柱書きのところに、二十年度歳入法案、一日も早い成立を前提としていると、そういうことで決定が取りまとめられているというその関係から来ているものでございます。その上で、今お話ございましたとおり、二十一年度から一般財源化をすると、こういうことになっておりますので、今後、これが与野党の協議政府・与党の案になっていくわけでございますが、今後様々な協議が行われていくというふうに思っておりますけれども、一般財源化に向けて新たな法律の手当てが私は必要になる部分が当然出てくるわけでございますので、そこについては適切な時期に法律改正をするなり手当てをしていかなければならないというふうに考えております。
  48. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、新たな手当てをしなくても、今現実に立って考えれば、現在、ガソリン税の暫定税率はなくなっておりますし、道路整備財源特例法の期限も切れて一般財源化しております。言わば二十一年度から一般財源化するという政府・与党の方針を現実が先取りしているわけですね。何でわざわざこれを復活、後戻りさせるようなことをするんでしょうか。
  49. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 政府として今提出をしている法案に基づいて最善のものとして今、国会の方にお出しをしているわけでございますが、今、国会状況から考えますと、これに対して与野党協議ということが必要になると。その案として決定をお出しをしたわけでございますが、その大前提は、二十年度歳入法案等を一日も早く成立をして、そして例えば地方財政に混乱を来さないようにすると、こういうことが大前提になっているわけであります。  そういうことが大前提になっているものでありますので、今、国会の方にお出しをして、衆議院の方ではもう御議決をいただいておりますが、その法案についてはそのとおり成立をさせていただくことをお願いをしたいと。ただし、そのことは一般財源化ということを決めていることと相反することになりますので、適切な時期に手当てをすると、こういうことであります。
  50. 山下芳生

    ○山下芳生君 どうもその適切な時期に手当てをするということで逃げようとされるんですが、私たちは〇八年度から一般財源化すべきだというふうに思っております。百歩譲って政府・与党の言うとおり〇九年度から一般財源化するにしても、道路特定財源を十年間維持するということを定めた道路整備財源特例法改定案は明らかに矛盾すると。これは、今大臣もお認めになりました。  だったら、適切な時期にというんじゃなくて、もう分かっているわけですから、〇八年限りに限定する法案にして出し直すというのが、政府・与党の立場に立ったとしてもこれは当然の帰結になると思うんですが、何で、道路特定財源制度を廃止し一般財源化するという首相の提案、これは国民は歓迎していると思いますよ。その一番確かな保証は法律で担保するということのはずなんですが、今すぐできることをなぜ適切な時期まであえてやらないのか。いかがでしょうか。
  51. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この内容で、この内容というのは決定の内容で、是非与野党で早め早めにいろいろ御議論していただきたいと、こういうことでありまして、議論していただいてお認めいただけますれば、そうした内容に私どもは従うということでございます。また、政府として、当然政府としては、内容について今、国会の方でお出しをしている法案に修正はできないわけでございますので、これはやはり与野党協議をあの私どもが決定をした文書の筋に従ってやっていただいて、もちろん内容はあの文書のとおりに全部なるというわけには必ずしもいかないかもしれませんけれども、与野党協議をしていただくということが今一番重要なことではないかというふうに思います。
  52. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、半世紀にわたる道路特定財源制度、それから三十年を超える暫定税率、これは例えば全く採算の取れない東京湾横断道路、アクアラインなど、無駄な道路を造り続ける自動装置だったと思っております。  国民の世論それから国会の論戦に押されて、三月二十七日、福田首相がようやく一般財源化ということを提案された。四月一日に法律の期限が切れて、ガソリン税は一般財源化された。進んでいっているわけですね。なのに、わざわざまた自動装置を復活させようとしている。結局、これまでどおり無駄な道路を造り続けるつもりではないのかという国民からの疑問が起こっても私は仕方がないと思います。  そこで聞きたいんですが、この政府・与党決定にある、必要と判断される道路は着実に整備するとありますけれども、これはどういう意味でしょうか。
  53. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これはまさに道路財源の一般財源化の方針とともに同じ文書の中に入れられているものでございまして、これについては国の場合とそれから地方の場合といろいろあると思います。  私は、こうした問題について特に地方の立場から参画をしているものでございますので、地方道路ということについて申し上げれば、今御案内のとおり、これ多くの議員の先生方も十分御理解いただいていると思いますけれども、今はまだ地方において道路整備のニーズというのが大変高い状況にあると。地方道路財源も特定財源の形になってございますが、さらにそれに一般財源等まで充当して、そういった地方道路整備を賄っているということがございます。  したがいまして、特に地方の場合には、なお更に自動車交通に頼っている部分も大変多いということでございますので、今後とも地方道路整備の促進を図っていく、こういうことは大変重要であると、これは今回の一般財源化ということになっておりますが、国の場合は多少状況が違うかもしれません。  違うというのは、今地方の場合と、一般財源を継ぎ足しているというところと、逆に国の場合には、そういった道路財源が二千億弱でございますがオーバーフローしているんで一般財源化をそこでしているということと、ちょっとそこが違うということがございますが、地方について言いますと、地方道路整備の必要性が大変高くて、一般財源まで入れて地方道路整備を行っているということも十分踏まえて、必要と判断される道路は着実に整備すると、こういうこともこの文書の中に入ってきている。当然、これについては事業評価による客観的な判断等を念頭に置きながら、必要と判断される道路かどうかということを判断していくことになるんだろうと思いますけれども、そういう地方の今の道路整備状況を念頭にこういう決定の文書を行ったということでございます。
  54. 山下芳生

    ○山下芳生君 政府・与党決定は、地方の必要と判断される道路はとは書いてないんですね。全部の道路を含めてです。それで、その決定に増田大臣もかかわっておられますから聞いているんですが。  昨日の参議院本会議で民主党の辻議員が大変いい質問をされまして、首相が答えられて、昨年十二月の政府・与党合意にあった真に必要な道路と、今般の必要と判断される道路とは基本的に意味を異にするものではございませんという答弁がありました。昨年十二月の合意というのは、今日持ってまいりましたけれども、冒頭に真に必要な道路整備計画的な推進という項目を挙げて、今後十年間道路の中期計画を策定すること、それからその計画事業量を五十九兆円とすることなどをうたっております。つまり、ここでいう真に必要な道路計画の推進というのは初めに総額ありきで、一万四千キロの高速道路や六千九百五十キロの地域高規格道路、先日紹介したあぶくま高原道路もその中に入っておりますけれども、こういう大型道路建設を際限なく行うということと同じ意味だったわけですね。今回の政府・与党決定がこれと基本的に変わりないというんだったら、たとえ道路特定財源の一般財源化を実現しても、税収の大部分が大型道路建設につぎ込まれて、特定財源と実質的に変わらないということになりかねないと思います。  大臣に伺いますけれども、一般財源化というのなら、当然これまでの道路中期計画事業量を十年間で五十九兆円などという初めに総額ありき方式、これはやっぱりやめる必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  55. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 前回、前回というか、今までは真に必要な道路というふうに言っておりました。今回のこの文書は、必要と判断される道路と、こういうふうに表現を変えている。基本的には、昨日総理答弁していますとおり、その意味合いというのは変わらないと思うんですが、ただ、今回こういうふうに必要と判断される道路と、こういうふうに書いている意味合いは、この間国会審議等がずっとございました、今年になりまして国会審議等がございましたので、そういった国会審議等を踏まえて、事業評価による客観的な判断等をより念頭に置いた表現にする必要があるということでこういう表現にしているということでございます。  その内容について、したがいまして、今私が申し上げましたように、その事業評価による客観的な判断というものを加味してその道路整備するかどうかということをきちんと決めていくということになるわけでございます。
  56. 山下芳生

    ○山下芳生君 道路特定財源の一番の問題は、これまでその四割が高速道路ネットワークに使われてきたと、高規格幹線道路ですとか地域高規格道路であります。これが際限なく高速道路を造り続ける仕組みになってきた。その中には採算の取れない道路が一杯あるじゃないかということを国会で提起し、冬柴大臣も今後はそういうことはもうやめましょうということまでおっしゃってきた。その大型道路偏重になっていたことが、さっき増田大臣が言われた、地域に本当に必要な生活道路を造る予算、財源を圧迫して、それが遅れているということにもなっている。  ですから、基本的に同じだがちょっと違うとおっしゃるんだったら、この高速道路ネットワーク中心の初めに総額ありき方式は見直さなければ変わらないと思うんですが、いかがでしょうか。
  57. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) きちんと当然事業評価を行うと、そして様々な客観的な判断基準に基づいてこれをやっていくということで、これは昨日も総理がきちんと本会議で申し上げたとおりでございまして、それを具体的にどうしていくか、これはまさに与野党協議の中で道路整備計画をいろいろと御議論していくわけでございますので、政府としては、今申し上げましたようなそういう考え方に基づいてこの計画を策定していく、その具体的な考え方を詰めていきたいというふうに思っておりますが、今後行われます与野党協議などで決められていく事業計画が、道路計画がどういうふうになっていくか、そういったことにも懸かってくるというふうに思っております。
  58. 山下芳生

    ○山下芳生君 これだけ国会の中で初めに総額ありき方式の問題が浮き彫りになっているのに、与野党協議だと、今それを見直すと言えないというのは、非常に私から言わせれば情けないと思うんですね。  実は、増田大臣自身、道路にしがみつく立場にあられるということを私感じたんです。この間の質疑でこうおっしゃっています。道路は最後は幹線道路につながってネットワークを構築していかないといけないと。道路というのはつながらぬとあかんのやということを言うんですが、しかし、つながっていかなければならないのは道路だけと違いますよ、それは。例えば年金の記録、つながらなければなりません。後期高齢者の医療、七十五歳で切るようなことをしたらあきません。京都の公聴会でも、そういうものと比べて、経常的な経費と比べて道路というのはかなり伸縮性がある、止められないということじゃないんだという御意見も出されました。何で伸縮性のある道路はつながなければならないというふうにこだわるんでしょうか。いかがですか。
  59. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり、道路というのはネットワークを構築して機能が発揮できるので、道路はつながなくていいということを言うというのは私はやっぱり間違いだと。だから、そのつなぎ方ですとか、それから道路の密度などをどうするか、これはいろいろ政策論として考え方が多様にあると思いますが、そういった道路の密度ですとか、それから道路の一つ、一本一本の機能をどういうふうにしていくか、これを踏まえた上でやはり造るべしと言われた道路段階的に、国が責任を持つもの、都道府県が責任を持つもの、市町村が責任を持つもの、それからごく例外に民間が行っているものもごくたまにはございますが、そういったもの全体のネットワークを考えて、最終的にそれをいかにきちんとつないでいくか。まさに人間の血管と同じようなものでありまして、そこに血が通わないと、車がネットワークとしてそこに通らないということになるとその地域が、血管が、通わなければ人間の組織は劣化していくわけでありますが、そのところを私は、やはりネットワークとしてはつながっていなければ機能が出ない。  年金記録も同じようで、要は、問題はそれをどういう形で、どのスピードで、どれだけのコストを掛けてやはりつないでいくのか。年金記録などはもう今一番の最重要課題でございますので、やはり国、国家としてきちんとその記録を全部つないでいかなければならない、統合していかなければならないということでありましょうし、道路については十年という計画を国土交通省さんの方でお示しをされたわけですが、今回総理の方の御決断で、そうではなくてもっと短い五年間のもので、しかもなおかつその計画は与野党協議の場の中できちんとした議論をすると、こういう御提案でございますので、内容についてどうするかは今後の議論でございますが、そこででき上がる計画もやはりきちんとつながっている計画でなければいけないんではないかというふうに思っております。
  60. 山下芳生

    ○山下芳生君 血の通ったという言葉だったら、高齢者にこそ血の通った政治をやってくれというふうに思いますね。  それからもう一つ、つなぐという点では、子供の命を私はつなぐのは最優先だと思っています。  文部科学省に伺いますが、平成十四年度平成十九年度の公立小中学校施設における耐震化率の全国平均、最高、最低の数字を述べてください。
  61. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) お答えいたします。  平成十四年度、十九年度ですか。
  62. 山下芳生

    ○山下芳生君 十四と十九。
  63. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) ありがとうございます。  平成十四年度、これは平成十四年四月一日現在のものですが、公立小中学校施設における耐震化率の全国平均は四四・五%でございます。都道府県別に見た最高の耐震化率は七〇・一%、最低は二三・三%でございます。また、平成十九年度、これは十九年の四月一日現在のものでございますが、耐震化率の全国平均は五八・六%、都道府県別に見た場合の最高の耐震化率は八九・〇%、最低は三七・三%でございます。  以上でございます。
  64. 山下芳生

    ○山下芳生君 耐震化率に格差が広がっていっているんですね。私は、地方予算のこれは多い少ないが一番の原因だということは文部科学省も認めております。大臣もそう答弁している。こういうところにこそ真っ先にお金を注ぐ、掛ける必要があると思うんですね。  大臣に伺いますけれども、一般財源化して、道路特定財源を、子供の命をつなぐということは道路をつなぐのと同等以上に私は緊急性があると思いますが、いかがでしょうか。
  65. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 一般財源化をするということは、今お話ございましたところに、道路から上がりました揮発油税などですけれども、そういったものの使途を拡大してそういったところに回す可能性が十分出てくるということだと思いますから、そのことは今回、国民的な合意も得られることだろうというふうに思います。  ですから、まさにその使途をどうするかなども含めて、今後お互いに、お互いといいますのは、政府・与党のあの決定がございますが、そういったことをやはり与野党で建設的に御議論をされていくということだろうと思います。
  66. 山下芳生

    ○山下芳生君 初めに総額ありきの方式をやめなければそこには回らないということを指摘して、終わります。
  67. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は、少し法案の中身についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、軽油引取税について伺いますが、この税は道府県税で三十二・一円、うち暫定分が十七・一円、税収総額見込みが九千九百十四億円ですね。  私は、この軽油引取税については地方道路税と同様、暫定分の一部は減税をする、一部は近い将来に環境税に変える、そして多くは地方一般財源に移すべきだというふうに考えていますけれども、そのことはさておいて。  この税が賦課徴収において脱税、いわゆる不正軽油問題があって、府県の税務当局は特別の体制を取って摘発や追徴、そして告発や裁判に汗を流しているというのが実態のようですね。  その一端を言いますと、軽油より安い需要のだぶついているA重油を隣国などから仕入れて軽油と称して運送業者などに転売をする。税額分はそっくり不正利得となるし、ディーゼルエンジンに合わないから車を傷めるし、大気汚染まで引き起こすと、こういう実態があるようですけれども、この摘発の実態と輸入の自由化の影響、そして府県税の損失、ここらのところは実態どういうふうになっているか、お尋ねしたいと思います。
  68. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) お話ございましたように軽油引取税、いろんな不正が行われる場合がございます。脱税でございますとか不正軽油の製造等の事案がありました場合には課税庁からの告発が行われておるところでございまして、この告発の件数で見ますと、平成年度から十八年度までの間に九十九件告発が行われておるところでございます。  輸入の自由化との関連、お尋ねございましたけれども、軽油の輸入が原則として自由化されましたのは、特定石油製品輸入暫定措置法という法律が廃止されましたのは平成年度以降でございますけれども、その際には、悪質業者の参入によります脱税が懸念されましたので、その対策といたしまして、平成十一年度に関税に関する書類の閲覧ができる制度を導入をいたしましたり、輸入に係る故意の不申告の罪を創設をいたしまして、都道府県が告発を行える体制としたところでございます。  この具体的な告発件数の推移でございますけれども平成年度から平成年度までの間は大体年二件以下程度でございまして、平成年度には七件、十年度には四件、十一年度も四件と増加をいたしております。ただ、その中で輸入軽油に係る告発事案といたしましては、これは九年度、十年度はゼロでございまして、十一年度は二件という形になっておりまして、告発に現れないものもあろうかと思いますけれども、告発件数で見る限り、必ずしも輸入自由化によってこうした事案が増加したという形にはなっておらないところでございます。  それから、税収の損失というお尋ねございましたけれども平成年度から十八年度までの間に脱税に関する罪で告発されたものが五十九件ございますけれども、このうち判決が確定いたしました五十九件の事案に係る脱税額、これは脱税額でございますので、一部追徴されているものもあろうかと思いますので、すべてが税収の損失ということでは必ずしもございませんけれども、この脱税額で申し上げますと百五十八億円というふうになっておるところでございます。
  69. 又市征治

    ○又市征治君 摘発は全く氷山の一角なわけであって、やくざの資金源ともなったり、やみ専門の業者だけではなくて正規の業者も脱税に手を染めると言われるわけでありまして、総務省都道府県税課の職員の論文でも、この税は元々脱税されやすい税だと、こう書いているんだよね。  政府は、ガソリン税という取り扱いやすい、おいしい税目は国の方で課税して、大変難しい軽油は、何のことはない、府県に押し付けていると、こんな状況が出てくるんだけれども、いずれにしましても、暫定税率の廃止なりあるいは減額と一般財源化に際しては、ガソリン税等の地方税への移管分を増やして地方財源とするとともに、この軽油引取税に見られるような国税と地方税の間の徴税の難易度の格差、こんなこともやっぱり是正すべきだと、こう思うんですが、大臣、そこら辺はどう思いますか。
  70. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに軽油というのは、灯油、それからその他の炭化水素油というんですか、あれを混和して作るんで、なかなか製造方法が、ある意味で灯油と重油を混和することによって製造するということで、製造するのは大変容易だというようなこともあって、どうしても消費地に近い段階で課税をしなければいけないということもあるようでございます。ですから、確かに委員おっしゃるとおり、税目によって難易度に差があって、これはなかなか率直に言って難しい、徴税に対して難しい税ではあるんですが、ただ一方で、消費地に近いところで課税するということなんで、庫出税、揮発油税の、庫出税と違って偏在性は非常に少ないと。ですから、地方税にはかなり性格としてはなじむところも一方ではございます。  まあなかなかメリット、デメリットがあって、沿革もこういう税というのはあるので一概に言えませんが、本来であれば徴税がかなり楽であって偏在性も少ないということが一番いいんですけれども、都道府県間でよく脱税等について連絡し合ってやるような摘発方法をもっと磨くといったことは必要であろうかと思いますが、やはりこれからいろいろ、徴税コストということもございますし、国税、地方税、いろいろ税制体系を考えていく上で、今委員から御指摘いただきましたようなことも念頭に置きながら税体系を構築を考えていかなければいけないなと、こういうふうに考えております。
  71. 又市征治

    ○又市征治君 次に、今回の地方税法改正案の中では、介護保険に加えて、今年度から国民健康保険料の年金からの天引きが、また来年度からは住民税について天引きが提案をされている。後期高齢者の医療保険だけではないと、こういうことですね。  そこで、大臣、こういうやり方、税や保険料を次々年金から天引きしていく、差っ引いていく、高齢者の年金権をやっぱり実質的に侵す、かなりいろんな悲鳴が今上がっていますよ。  こんなやり方いいのかどうか。どっちみち払ってもらうんだからいいじゃないかなんという、こんな安易な私はやり方というのはどこかで歯止めが必要じゃないかと思うんだが、大臣の認識をお伺いしたいと思う。
  72. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この問題、今回の後期高齢者の関係でもいろいろ議論がございますんですが、一点だけ御理解を賜りたいところは、負担については、この制度は新たな税負担を求めるものではなくて、そこは全く変わらないと。  それで、現在の制度で申し上げますと、高齢者である公的年金の受給者の方につきましては、御案内のとおり普通徴収の方法によっておりますので、個々人の方が個人住民税をお払いいただくのに毎回、年四回窓口に行っていただいて、直接納付をしていただいていると。窓口までお運びいただいて、そして直接納付をしていただいていると。三か月に一遍ずつそういったお手間を取らせていただいているところでございます。  したがいまして、確かに市町村における徴収の効率化を図るという観点もございますんですが、年金の受給者の方の納税の便宜を図るということから今回のような特別徴収の方に制度を導入したらどうかということで、今回の制度導入に至ったものでございますので、まだこの制度に切り替えるということについて、当然時間も十分ございますし、それから十分な広報、丁寧な広報ということをしていかなければならない、大変私どもも重い責任がございますので、趣旨を十分に一人一人の皆さん方に伝わるように丁寧な広報に努めていきたい。  それから、あと、今そういう形で四回ほど窓口にお運びいただいておりますが、その点では、納税をしていただく皆さん方にもそういったことが必要なくなりますのでメリットはあるのではないかと、そして全く新たな税負担を何か生じさせようとしているものではございませんので、その点について御理解を賜りたいというふうに思います。
  73. 又市征治

    ○又市征治君 現実に私はそのことで賛成の人たちもいると思う。問題は、丁寧な手法が大事だと、こう言っているんですよね。何だろうと年金から全部取りやすいから取ってしまう。いや、あなたは便利でしょうなんという、それを押し付けるべきじゃないと思うんですよ。そこのところをやっぱりしっかりやっておかないと、私は、随分とこの間からの高齢者の問題について言うならばやっぱり増になっている人たちは出てきているわけですよね。厚生労働省の言うことと全く違う、現場で起こっている問題は。だって、これまで自治体が一定程度税負担なんかしてくれたところが、それがなくなって、増えたというところが随分出てきているわけですから。  そういうことに、どうも取りやすいからと厚生労働省のやることに総務省が悪乗りしたらまずいと思う、私は。そのことだけ今日はちょっと申し上げておきます、またこれは随分言いたいことたくさんあるんですが。  次に、地方財政計画と需要額の関係の問題について移りたいと思うんです。  十五日の日に京都での地方公聴会で澤井公述人が述べているわけですけれども地方交付税五兆円削減の主たる手法は、元来自治体予算の積み上げであるべき地方財政計画政府の負担軽減を目的に頭から総額を押さえ込む鉄の枠に変質をさせる、こういう手法だった。地方財政計画五兆円の削減というのは、くしくも地方交付税の削減額五兆円と平仄が合っているわけです。  そこで、今日そこに表とグラフをお出しをさせていただきましたが、見ていただきたいんですけれども、国税をベースとする入口ベースの交付税は一貫してグラフの上の方を動いているにもかかわらず、地財計画及び出口ベースの交付税はどんどん下げられてきた、こういうことですね。特に、市町村の基準財政需要額を下げてきているわけですが、九年で年額、これは二枚目の、細かい数字書いてあって見にくいかもしれませんが、大きな表の二つ目の一番下の市町村分のところを見ていただきたいと思うんですが、九年で年額一兆七千六百億円も減額しているわけですね。グラフでも地財計画と市町村基準財政需要額は、ぴったり連動してこれは動いている。  総務省はこのように操作をしてきた、この事実は認められますか。
  74. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 基準財政需要額でございますけれども、これ委員御案内のように、各地方公共団体が合理的かつ妥当な水準の行政を行うために必要な一般財源の額を算定するものでございまして、毎年度の基準財政需要額は、地方財政計画に計上された歳出のうち、国庫補助負担金等の特定財源や地方税収のうちの留保財源、これで充てる経費に対応すべき経費を除いた一般財源で対応すべき部分を算入するということで積算をしております。  また、地方財政計画には都道府県と市町村を合わせた歳出を計上しておりますけれども地方歳出の内訳の変化や地方財政制度の改正による影響は都道府県と市町村で異なるといったことなどによりまして、地方財政計画の増減の傾向と都道府県分、そして市町村分の基準財政需要額の増減の傾向、これが必ずしも一致をしているということにはなっておりません。  そして、近年の市町村分の基準財政需要額は、地方歳出の抑制を反映して減少し、結果として地方財政計画と市町村分の基準財政需要額の増減の傾向がおおむね一致をしていると、結果として、というふうに考えております。都道府県の場合には、これは委員御案内のように、三位一体改革でその影響を受ける国庫補助負担金の額、これは基準財政需要額に算入をしているということになっておりまして、義務教育費の教員の人件費とか都道府県の影響額というのは大きいということが市町村とは違う結果を表しているんではないかと考えております。
  75. 又市征治

    ○又市征治君 いろいろと御説明いただきましたけど、皆さん方が積み上げではなしに現実には押さえ込む枠に使ってきている、ここのところが一番問題だと、こういうふうに各自治体が言っているわけでしょう。そこで、今年を契機に反転、復元を始めてほしいと、自治体関係者はみんなそう思っているわけですよね。  その際、人口をベースにした算定では、人口が減っている地方では、これは測定単位の数値が減るわけですから需要額が減って当たり前だと、こうされている。増田大臣就任後、条件不利地域だとか町村の補正の割増しなど幾つか是正されているわけですが、しかし、これは私に言わせると微修正ですよね。総務省はどうか知りませんけれども政府トータルでは、福田内閣になっても相変わらず地方財政の縮減を求めて、人件費を始め交付税需要算定上の単位費用を毎年どんどん落としている、こんな格好でしょう。  大臣、そしてこうした過去の歳出抑制操作というのはもうやめるべきだと、地方の、まさに全国の首長さん方があなたに期待をしている、またそのことを求めてきている、この点についてどうお考えですか。
  76. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 特に交付税に見られるわけでありますが、この地方の全体的な歳出を抑えるということで随分数字削減されてきましたけれども、非常に急激でありました、非常に急激であったと。かなり自治体も、それに合わせるために人件費ですとか投資的経費を抑えるということを、やっぱり正直言いまして無理矢理そうせざるを得なかったのが実情だろうと思います。  私も知事しておりましたが、一方で、確かに地元ではいろいろな自治体の不祥事があったり、それから相対的に、地域で懸命にこういうリストラしている企業や中小企業に比べて、自治体の方がまだ十分な議会のチェックもございませんでしたのでいろいろなところに無駄があるのではないかと、こういう厳しい御指摘もありましたので、やはり正すべきところは県民の前できちんと正さなければいけないと、これは今後もやっていかなければならないと思いますが、やはりかなりもう限界に来ているなという認識がございましたので、今年度に向けて昨年暮れいろいろと、今お話ございましたとおりの修正を加えたわけでございます。  先ほど御答弁申し上げましたとおり、なおそういったものが十分でないという御指摘はいろいろいただいておりますし、一方で財政健全化のための措置というのは、これは国、地方通じてやはり一方で待ったなしに必要なものでございますが、特に今の地方の現状とか地方の声というのには、今後も謙虚に耳傾けてそれで対応していきたいというふうに思います。
  77. 又市征治

    ○又市征治君 是非そこのところは力を入れていただきたいと、こう思いますが、その発想の転換で、この地方の復権と、やっぱり自立可能な自治体建設の視点に立ったナショナルミニマムとしての需要額の組み立て直しというのが私は必要なんだろうと思うんですね。  京都の地方公聴会でも澤井教授が言いましたけれども、福祉、医療、環境、教育の四本柱を中心に基準財政需要額を抜本から再構築をして、例えば介護で一兆円など、新しい需要額を算定していくべきだという、こういう意見述べられました。  私もこれ全く同感でありますし、多くの自治体がこのことを求めているということなんだと思うんですが、こういうものを取り入れていくお考えはどうですか。
  78. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この各地方団体の、今お話ございました、介護のお話ございましたけれども、そうした地域福祉の確保を始めとするような施策、こういったものを、必要となる歳出、いろいろ多うございましょうから、そうしたものを地方財政計画に適切に計上していくと、そして、そのことによっていわゆる一般財源総額をきちんと確保していくと、これは大変重要なことだと思います。  我々は、大きな政府歳入歳出改革という、そういう中で今努力をしているわけですが、総務大臣として、そうした地方の様々な必要な需要経費というものを、必要なものをこの計画に計上していくと、そして、繰り返しになりますが、一般財源総額を確保すると、このことに努力をしていきたいというふうに思います。
  79. 又市征治

    ○又市征治君 今御答弁いただいた中身と同じことになっていくんですが、この高齢社会、過疎化、地方格差の現在、基礎自治体を担うべき需要もたくさんあるわけですね。  一つだけ例を挙げて申し上げたいと思うんですが、小規模多機能居宅介護というのが二〇〇六年度制度が始まりました。NPOなどが人口の少ない地域に合っているということで歓迎をしたんですけれども、発足してみると、厚生労働省の認める人件費が低過ぎる、常時お客さんがなくても配置基準だけは厳しい、そして市町村外からの利用者は認めない、こういうことなので、赤字になるばかりだ。例えば、私の富山県の売上月額百七十万円といった規模のNPOを三つ聞いたんですが、一つは既に撤退をしました。一つは厚生労働省と直談判中です。もう一つは撤退を今検討している、こういう状況なんですね。  このような地域の小規模な事業は、硬直化しがちな国の一律の制度自治体単独のパイオニア的な一般福祉行政との境目に今ある。身近な市町村による柔軟な取組を、国はやっぱり行政需要として私は認めるべきだと思うんですね。国の制度に沿った地方財政需要の算定も今より厚くすべきですが、この自治体単独の事業についても、高齢者施策を始め、今よりも広く市町村の基礎的行政需要と認めて地方財政計画に盛り込んでいく、それによって自治体の再生もできるんじゃないか。  是非総務大臣、こうした考え方を取り入れていただく、そういう段階にもう来ているんじゃないかと、こう思うんで、改めて御返答いただきたい。
  80. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、具体的な例示でお話ございましたとおりのそういった事業というのは、御承知のとおり、地方財政計画歳出の中で、一般行政経費、あれは補助と単独、分かれています、単独で今計上しています。あれは地方の自主性をできるだけ尊重するということで、結局、枠としていろいろ計上しているんですが、今委員からお話ございましたとおりの観点で、やはりどういうふうに歳出を適切に計上することができるのか、私どもの方も、そういった自治体の様々な創意工夫のような事業でございますけれども、これに対して地方財政計画歳出にどういうふうに計上するのか、どういうふうな知恵が出せるのか、我々も引き続きこの点については検討していきたいというふうに思います。
  81. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  総務大臣は退席をしていただいて結構です。     ─────────────
  82. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査及び地方税法等の一部を改正する法律案外二案を議題といたします。  先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。河合常則君。
  83. 河合常則

    ○河合常則君 当委員会が行いました委員派遣について、その概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、高嶋良充委員長、加藤敏幸理事、那谷屋正義理事、内藤正光理事、末松信介理事、梅村聡委員加賀谷健委員、行田邦子委員、榛葉賀津也委員武内則男委員、外山斎委員長谷川憲正委員、吉川沙織委員、礒崎陽輔委員二之湯委員魚住裕一郎委員弘友和夫委員、山下芳生委員、又市征治委員及び私、河合常則の二十名でございました。四月十四日及び十五日の両日、京都府において、地方行財政に関する諸問題について現地における実情調査を行うとともに、地方税法等の一部を改正する法律案外二案について地方公聴会を開催いたしました。  まず、視察先の京都府及び綾部市について御報告いたします。  京都府におきましては、京都府及び府内市町村の財政状況、府の道路事情及び暫定税率廃止に係る対応等について説明を聴取いたしました。  財政状況については、経営改革プランの実施等により歳出抑制に努めてはいるものの、義務的経費の増加や地方交付税の削減により厳しい財政運営を強いられており、府内市町村では財政力格差も拡大しているとのことでございました。道路については、自然災害に脆弱である、歩道がないといった道路が数多く存在するなど、道路整備が喫緊の課題である中、道路事業費の約三割を占める道路特定財源が暫定税率の期限切れとなり、年間で約百三十八億円の影響が生じるため、当面は道路建設の執行留保対応しているとのことでありました。  次に、綾部市についてであります。  同市はいわゆる限界集落の再生を目指し、全国に先駆けて「水源の里条例」を制定し、地域振興に行政、住民が一体となって取り組んでいるところであります。  まず、高齢化率一〇〇%の市志地区を訪問し、地域再生に向けた懸命な施策の説明を受けるとともに、活性化のため取り組んでいるフキ栽培等の様子をつぶさに視察した後、四方市長から市を挙げた地域振興の概要を聴取いたしました。「上流は下流を思い、下流は上流に感謝する」という理念の下、住民全体で「水源の里」を再生し、都市との連携・共生を目指しているとのことであり、林業振興、情報通信基盤の整備及び鳥獣被害対策など諸課題を解決するための支援が要望されました。十年間で一兆円あれば全国八千に上る集落を今なら再生できるとの市長の熱い言葉には、地域にとって真に必要な支援とは何かを考えさせられるとともに、平成二十二年三月末に期限切れを迎える過疎対策法について、与野党の垣根を越えた対応が迫られていると痛感した次第であります。  次に、地方公聴会について御報告いたします。  地方公聴会は、十五日、京都市において開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。  まず、公述の要旨について御報告申し上げます。  最初に、奈良女子大学名誉教授、澤井勝君からは、職員定数削減や三位一体改革に伴う交付税削減など厳しい地方財政を考慮すれば、地方団体が求める交付税復元論は当然なことであること、地方再生対策費の財源を全額臨時財政対策債で賄うことは、地方財源の将来負担の増加につながり、避けるべきである等の意見が述べられました。  次に、関西学院大学大学院経済学研究科・人間福祉学部教授、小西砂千夫君からは、地方財政計画の策定は、交付税をめぐる地方の声や歳出抑制方針を守る必要性等、様々な条件の下に行われたことを考慮すべきであること、地方税の充実を図るためには、地方共有財源としての地方譲与税を含めて地方税とみなすことが重要であること等の意見が述べられました。  次に、日本労働組合総連合会京都府連合会会長、木村幹雄君からは、府内における雇用対策として「ジョブパーク」を立ち上げ雇用確保に成果を上げたが、引き続き政府等の支援が必要であること、暫定という名の下に三十数年間も税率が継続されてきたことが異常であること等の意見が述べられました。  最後に、京都府町村会長・京都府井手町長、汐見明男君からは、人口規模の小さい町村の財政状況を踏まえた財源確保策が重要であること、道路特定財源を確保し、道路整備を待ち望む声にこたえるべきであること等の意見が述べられました。  公述人の意見に対し、各委員より、地方法人特別税に対する評価、地方交付税総額の復元の在り方と今後の展望、道路整備財源の必要性と暫定税率の在り方、道路特定財源が一般財源化された場合の地方に与える影響、四月一日の暫定税率切れに伴う自治体予算執行停止と必要な道路財源の確保、道路等の維持管理を地元企業に積極的にゆだねる必要性、自治体行政の民間委託等をめぐる諸問題など、多岐にわたる質疑が行われました。  なお、会議の内容は速記により記録いたしておりますので、詳細はこれによって御承知を願います。  以上で派遣報告を終わります。
  84. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会      ─────・─────    〔参照〕    京都地方公聴会速記録  期日 平成二十年四月十五日(火曜日)  場所 京都市 京都東急ホテル    派遣委員     団長 委員長      高嶋 良充君        理 事      加藤 敏幸君        理 事      那谷屋正義君        理 事      内藤 正光君        理 事      河合 常則君        理 事      末松 信介君                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 二之湯 智君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    公述人        奈良女子大学名        誉教授      澤井  勝君        関西学院大学大        学院経済学研究        科・人間福祉学        部教授      小西砂千夫君        日本労働組合総        連合会京都府連        合会会長     木村 幹雄君        京都府町村会長        京都府井手町長  汐見 明男君     ─────────────    〔午前九時三十分開会〕
  85. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) ただいまから参議院総務委員会京都地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします総務委員長高嶋良充でございます。よろしくお願いをいたします。  まず、私ども委員を御紹介をいたします。  私の右隣から、民主党・新緑風会・国民新日本の内藤正光理事でございます。  同じく那谷屋正義理事でございます。  同じく加藤敏幸理事でございます。  同じく長谷川憲正委員でございます。  同じく加賀谷健委員でございます。  同じく武内則男委員でございます。  同じく行田邦子委員でございます。  同じく梅村聡委員でございます。  同じく外山斎委員でございます。  同じく吉川沙織委員でございます。  次に、私の左隣から、自由民主党・無所属の会の河合常則理事でございます。  同じく末松信介理事でございます。  同じく礒崎陽輔委員でございます。  公明党の弘友和夫委員でございます。  日本共産党の山下芳生委員でございます。  社会民主党・護憲連合の又市征治委員でございます。  以上十七名でございます。よろしくお願いいたします。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  まず、奈良女子大学名誉教授澤井勝公述人、関西学院大学大学院経済学研究科・人間福祉学部教授小西砂千夫公述人、日本労働組合総連合会京都府連合会会長木村幹雄公述人、京都府町村会長・京都府井手町長汐見明男公述人、以上の四名の方々でございます。  この際、公述人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様方には、本日、大変御多忙の中を御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  当委員会におきましては、目下、地方税法等の一部を改正する法律案外二法案を審査をしているところでございまして、本日は、法案の重要性にかんがみ、関係各界の皆様方の貴重な御意見を承りたく、当地において本公聴会を開会することとさせていただいた次第でございます。  公述人の皆様方から忌憚のない御意見を拝聴して、私どもは今後の委員会の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、本日はどうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、公述人の方々からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。  まず、澤井公述人にお願いいたします。澤井公述人。
  86. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 改めて、おはようございます。  予定ですと、五十分までよろしいですかね。十五分ですと、今、三十五分ですので。
  87. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) 五十分までお願いします。
  88. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) はい。  お手元にA4の縦の横書きの三枚物が配付されていると思いますが、それに従って発言したいと思います。  最初の三つについては、これは財政状況について今回の法案について評価する基本的な視点みたいなことの土台として、現状について簡単に触れておきたいと思います。  まず一番目に触れていますのは、三位一体改革で交付税と補助金と税制を三位一体で改革するということでやってきましたけれども、その結果は、具体的には自治体のレベルでは地方交付税が五兆円以上減少するという中で、それと同時に補助金の一般財源化が進みまして、ただし全額一般財源化されませんでしたので、そのすき間は相当あります。その点もありまして、例えば保育所の運営についても、従来の補助金がなくなって一般財源でやれということになっておりますが、それで十分にできているかというといろいろ問題はあると思います。そういうような形で一般財源不足感というのは非常に強く自治体にあるということですね。  それから二番目なんですが、それもありまして総務省の方からも集中改革プランが出されまして、それに従う、あるいはそれ以前から自治体独自に行財政改革してまいりまして、特に職員数の削減が非常に厳しくなる。こういう職員数の削減というのはある意味で競争関係になってまいりましたからね。  例えば、私がそこに書いた寝屋川市、大阪の寝屋川市ですが、ここでは行財政改革市民懇談会というのを設けまして二年半ほど議論してまいりましたが、平成十三年レベルで二千二百あった職員定数が平成十八年で千六百、さらに平成二十二年度には千四百にすると、大体三分の二に職員数を削減するというのが進行しておりまして、具体的に前倒しで実現しておりますね。  そのことについては、市民懇談会では、市民の中には大体、そうですね、大企業の総務畑をやってきた方も含めましてそういう企業のOBの方もいらっしゃるわけですが、その方々から、これでもつのかと、行政サービス水準はもつのかと。特に、現場を言わばアウトソーシングする中で行政の質が保てるかという厳しい、何というか、危惧が出ております。これはもちろん、ですから、職員数の削減は結構だけれども、一体どこまで行くのというような危惧も出ている。そういう点では、既に相当数削減してきておりまして、臨職、嘱託の数も増えていますので、そういう点での行政の劣化というものが心配される段階まで来ているというふうに私は思います。  それから三番目ですけれども、そのひずみというのは、例えば、一週間ぐらい前ですかね、「クローズアップ現代」でやっておりましたけれども、官製ワーキングプアという問題が出ております。これがアウトソーシングの先で丸投げ状態になっていまして、それがその委託先の労働者の労働条件を非常に悪化させている。そのことに自治体が無自覚と言ってはなんですけれども、そういう点で、その点での自治体としての僕は責任というかな、地域の労働条件を守る責任についてもう少しきちんと議論しないといけない。  それをただし推進しているのは、一般財源不足という状況の中での財政の、あるいは自治体行政の縮小のための圧力が掛かり続けているということだと思います。その点は、既に六年、七年にわたって改革が進んでおりますので、その点を、改めて一体どういう行政水準、行政サービスが今行われているのかというのをきちんと評価しながら行財政改革について議論する必要があると思っています。  それから、つまり自治体の存立そのものが問われるような状況になっている。自治体というのは住民の福祉を確立するのが自治体の存立目的ですが、それ自身が、自治体自身がそういった地域の労働条件、働く人の生活条件を切り下げるようなことをするのでは困ると思いますね。その辺については自治体の側にも僕は自覚を持ってもらいたいというふうに思っています。  それからもう一つは、三の二番目になりますが、一方でこれまでの地方債依存の財政運営のツケが回っていまして、公債比率が非常に高くなっているということで、財政の硬直化という点では、特に借金というのはやっぱり大きいですから、これの負担が非常に大きく、なかなか縮小してまいりません。単独事業を削減してまいりまして大体半分ぐらいになっておりますけれども、しかし、それでも従来発行した地方債の公債費の削減分が重くのしかかっておりまして、それが人件費削減の圧力にもなっているというふうに思います。  それから、新財政再建法が四月から施行されておりますけれども、これもまた四つの指標で財政、これから健全化、再建を進めることになっておりますけれども、これについてもその指標によって財政運営についての先の見通しの心配から、やはりなお行財政に関する改革圧力というのは掛かり続けると思います。これが一つの財政の今の現状だと思いますね。  一方で、四番目に書いてありますが、府県や市町村に対する仕事は増えております。  私は大学の方で福祉の方を教えておりますが、その領域で言いましても、二〇〇〇年以降に、児童虐待防止法それからDV法さらに高齢者虐待防止法、いわゆる虐待関係ですけれども、これらはすべて市町村の責任になっております。  ところが、市町村の責任になっても、職員を配置しなきゃならないわけですが、そのための財政措置がされておりませんので、現場では兼務ですね、取りあえず兼務でやっている。児童虐待防止までまだ専門職がいるわけですよ、県の方に。ところが、高齢者虐待の方にはだれも専門家はいないんです。児童よりもっと難しい、高齢者の場合は。それについての言わばスタッフの保障というのは何もないので、非常に厳しいというか、難しい状況だと思います。  そういう状況が、例えば地域就労支援事業、また就労事業にちょっと地域の就労、東京なんかを除けば厳しさが進んでいますが、地域就労支援事業なんかも求められますし、さらに地球環境対策ということも、今度新しい法律ができるようですけれども、これも府県や市町村に計画作って地球環境対策を進めるということになっていますが、そのための専門職がいるでしょうかね、そのための財政措置がされているでしょうか。それはもちろん基本的には一般財源保障ですので、地方交付税の中で見なきゃいけないわけですが、僕は、それはちょっとどうでしょうか、ちゃんと検討していただきたいというふうに思います。全く僕はその点は不十分だというふうに思います。  それからもう一つは、五番目ですが、一時鎮静していた東京一極集中の傾向が加速しています。これは、東京の世界の金融市場の中心、センターとしてビルドアップしていくという面では多分今後も投資が進むでしょうし、その点でこの東京一極集中というのは、それに賛成反対は別にして、なお進むと思いますね。その結果、やっぱり地域格差は開いていくでしょう。それに対する適切な格差を是正するための政策が取られているかどうかと。今回はそのためにイシューされたわけですが、それで十分かという問題があるわけですね。本格的に考えなきゃいけないということです。  その点で、六に書きましたけれども、基本は地方交付税の増額あるいは復元というのはやはり自治体の側からすれば基本的なニーズだというふうに思っています。  そういった今までのお話ししたことを前提にちょっと今回の三法案について意見を述べたいと思います。  ちょっとはぐっていただきまして、二ページになりますが、まず交付税の総額と地方財政計画の総額が若干上向いたという点について言うと、これは七、八年ぶりのことですので、自治体の現場からいえば明るい材料だというのは言えますね。その点で、総務省とか財務省の方の議論も相当いろいろあったと思うんですが、一応下げ止まったというのかな、という状況については一応歓迎はしたいと思います。  ただし、九番に書きましたように、この交付税の増額というのは二千億程度ですけれども、これは地方再生対策費の四千億円でもって二千億円増えているんですね。この対策費なかったら二千億円減なんですね。だから、そういう点では、交付税増という地方団体側の要求というのは部分的というのかな、少し変形されているんじゃないかなというふうに思います。  それから、この地方再生対策費について言いますと、交付税として配られますので、特に人口基準ですので、これは小規模町村にとっては、今まで小規模町村というのはある意味でかなりいじめられてきた面があるわけですが、段階補正の見直しとかいう形で小規模町村、特に一万人未満規模の町村にとってはかなり厳しい状況でしたが、これがちょっと、具体的にはやっぱり数千万円の交付税増になるわけですけれども、それなりの評価はできるかもしれません、小規模町村にとってはですね。  ただ、この地方再生対策費の原資というのは地方法人事業税を国税とした地方法人特別税の一部なので、そういう点では地方税でもって地方交付税を増やすという地方間の移転になっているんですね。その点は十分な議論ができたのかなというのはちょっと心配であります。  十一番になりますけれども、都道府県の法人事業税の一部、二兆六千億円を国税とする地方法人特別税の創設によって、それを原資に都道府県に、翌年度ですかね、地方法人特別譲与税を配分するわけですが、これは水平的財政調整と言っていいわけですね、地方間の財政調整という。ところが、交付税というのは垂直的財政調整を原則としているわけです。その点で、その原則にちょっと違反するんじゃないかなというふうに思っています。  十二番で、国税とする地方法人特別税については、税収面からの財政力の格差を是正するという一つの工夫であるという評価はできます。特に、東京に集中した財源を他の団体に水平的に再配分するという意味では評価はできるんですけど、ただし問題点があるということです。二つあります。  一つは、一番大きい点は、この決定過程に自治体が参加できなかったということです、あるいは、させなかったということです。地方税を国税にするということについて地方団体意見をほとんど聞かれなかったと。その仕組みがなかったということですね。それが僕は最大の問題だと思います。その点は、地方意見をこういった協議の場に、あるいはそういう協議の場をつくってきちんと反映させる必要があるというふうに思います。  特に、二〇〇九年度に抜本的税制改革が予定されておりますので、それに合わせて、今回の税制改革も多分変わるでしょうから、改めてこの地方税の在り方について協議する場を、地方団体、総務、財務両省を中心にした委員会で議論していただきたいと。それをどういう形にするかについてはいろいろ御議論があると思いますけれども。これについては、そういった地方財政委員会みたいな形は、地方財政平衡交付金制度というのが前ありまして、昭和二十四年から二十八年まであったわけですが、こういった仕組みを参考にされたらいいんじゃないかというふうに思っています。  それからもう一つの問題点は、地方法人特別税が今年度はほとんど収入されませんので、都道府県の方は臨時財政対策債でその分を賄うことになっている。そうしますと、これは本来、税で来るべきところが地方債に振り替わっていますので、それはまた地方財源の先取りになっているんですね。そういう問題点もあると思います。  それで、あと、三ページになりますけれども、特に一番強調しておきたいのは、水平的財政調整というのは、これはいろいろな議論あるんですけれども、現在の経済構造とかあるいは税制の在り方ですと、そういったかなり極端な税の偏りが出ますので、そういう意味での、それを是正するための水平的財政調整はあってもいいと思うんですが、前提上は、先ほども申しましたように、自治体責任を持って議論に参加して決定する、そういう仕組み、それを国と一緒に決定する、そういう仕組みがないと、結局、特に今回の場合は地方税を言わば召し上げる形になっている、それに参加できていませんので、分権改革に背馳する決定だったと思います。  具体的には、自治体が決定過程に参加できなかったことを含めまして、言わばあきらめというのかな、あるいは、やはり国に従っていればいいというような、分権改革の趣旨からするとそれに背馳する意識が自治体現場に生まれているという点が一番の問題点だと思います。  それで、そういう点では、十七番に書きましたけれども地方財政・税制協議会ですか、仮称で、そこでは地方税の在り方全体を議論していただきたい。特に、法人関係税をどうするかですね。これについては、地方における地方法人関係税を地方消費税と入れ替えるという議論もありますので、より安定した財源として、あるいは格差の少ない税としてございますので、その点も含めて議論するような場がほしいなというふうに思っております。  時間が参りましたので、この辺にします。  どうもありがとうございました。
  89. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) ありがとうございました。  次に、小西公述人にお願いいたします。小西公述人。
  90. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) 小西でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日は、このような場にお招きをいただきまして、意見を述べる機会をいただきましたことを深く感謝を申し上げたいと思います。  それでは、私は、この三つ法案に関しまして、基本的に賛成の立場から意見を申し述べさせていただきます。資料は三枚物の資料を用意いたしました。二ページ目のところに、ごく項目だけの簡単なものでございますが、それについてまず、二ページ目の資料についてから御説明を申し上げたいと思います。  平成二十年度地方財政計画の策定をするに当たって、いろいろな制約条件といいますか、クリアしなければいけない課題というものがありまして、この一から五がその課題になるわけですが、これは私が論文といいますか、そういう専門の雑誌に書く機会がありましたので、この五項目は、二十年度地方財政計画の策定をめぐって求められた要件を私なりに整理したものでございます。  まず一として、地方交付税をこれまで過去、平成十三年度がピークでしたので、十四年度から地方財政計画の削減、圧縮が始まっているわけですけれども、それによって地方交付税が大きく減額されております。その地方交付税の復元を求める地方自治体地方からの声というのが非常に大きくて、それに対してやはり何らかの形でこたえていかなければならないというのがまずあったと思います。  思いますが、二番目に、これと全く反するといいますか、正反対のものとして、歳出歳入一体改革という政府方針がございますので、それを遵守して、その枠組みの中で地方歳出の抑制を行うということとなっていたことでございます。  この歳出歳入一体改革は、小泉内閣としての最後の基本方針であります基本方針二〇〇六の中に収められたといいますか、その中に入ることによって閣議決定されたものでありまして、平成二十三年度に国、地方を通じた基礎的財政収支の黒字化を達成するための大方針であります。  基本方針は、基本的には次年度予算編成方針を含む政策全体の、内閣としての政策全体の方針を決めるものであると理解しておりますけれども、この基本方針二〇〇六に限りますと、平成二十三年度までの五年間財政運営の指針になるものでございますので、そのような性格を持ったものだと思いますので、当然、平成二十年度はその枠組みでの二回目の予算編成ということになりますので、この枠組みの下で地方財政計画を決めて地方財源の総額を手当てしていかなければならないということでございますので、地方歳出の抑制を行いつつ、地方交付税の復元を求める地方の声にこたえるという非常に相矛盾した局面の中での地方財政計画の策定であったというふうに理解しております。  その中でも特に三番目として、地域再生・活性化に対して政府として特に配慮する姿勢を地方財政措置の中で盛り込む必要があったと思われます。  格差問題というふうに言われておりますけれども、経済力の格差の問題と地方財政財政力の格差、自治体における財政力の格差ですね、非常に相関関係は非常に深いものがありますけれども地方財政の方はこれは制度の枠組みでございますので、基本的には税制度とか交付税制度とか、そういうものをどういうふうに変えるかによって地方自治体間の財政力の格差というのは非常に大きな影響が出てくるものでございます。  近年の地方財政計画の圧縮が進む中で、最近でこそ少し陰りが見えてまいりましたが、大都市圏、特に東京都あるいは愛知県、首都圏、愛知県を中心として、残念ながら私の地元の大阪はいま一つなんですが、首都圏や中部圏では税収が非常に伸長しておりますので、地方全体としての財源総額が圧縮する中で大都市圏を中心に税が伸びるという形になりますと、これは必然的に地方交付税をもらっている団体ともらっていない団体、交付団体と不交付団体の格差がどうしても基調として広がるということになります。また、地方財政計画を圧縮していますので、交付税をもらっている団体の中でも税収に比例した格差というのは厳然としてありますので、結局のところ交付団体の間でも格差が広がっている。  この交付団体と不交付団体の間の格差、交付団体間での格差というのが近年ではこれほど広がった時期というのは、振り返ってみても少なくともしばらくはなかったのではないかと思われるわけです。そういう今までなかったような局面の中で地方再生・活性化に配慮する地方財政への特別な措置が必要であったという状況ではなかったかと思います。  四番目にありますように、その際には、地方財政にふさわしい偏在性の少ない地方税体系を構築するということを通じて格差の是正を図っていくことが最も望ましいわけですが、少なくともそれにつながるような制度的な仕組みをつくる必要があったということであろうと思います。  最後に、これは余り注目されていない部分ではありますけれども、我が国は先進国の中でも、あるいは我が国の歴史の中を見ましても最も財政状況が悪い状況でありますので、その財政危機の克服という大きな課題の中で財政運営をしていく必要がありますので、その中ではこの折半対象の経費を、いわゆる折半対象経費を復活させることなく、また平成十八年度における地方交付税総額の予算割れの後処理といいますか、それが平成二十年度に当然来ますので、それにも配慮して財源総額を手当てしなければいけないという状況であったと思います。  資料でいきますと三枚目ですが、そういう状況の中で地方法人特別税と地方法人特別譲与税という異例の措置が講じられて、全体の調整を、いろんな制約を縫うような形で財源手当てが行われたというふうに私は理解しております。あらゆることを満足させるような解決ではないというふうには思いますけれども、その様々な制約をかいくぐるといいますか、並べ立てようと思いますとこういう措置が必要ではなかったかと思います。  創設の趣旨としては、これは法律の条文そのものの引用でございますけれども暫定的な措置として設けられたものであるというところがポイントであろうと思います。  本来は、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるべきであるけれども、それまでの暫定的な措置として法人事業税の税率の引下げを行うとともに、地方法人特別税を創設し、それを譲与税として都道府県に対して譲与するという形で設けられたものでございますが、その背景には、先ほど申しましたように、地方財政計画の圧縮が進む中で大都市圏を中心に税収が伸長し、不交付団体水準超経費の拡大という形で交付団体と不交付団体の格差が拡大をしたと、それを是正すべきではないかという国民の声といいますか、関心が高まったと、こういう状況の中で設けられたものでございます。  その評価についてでございますが、税源移譲ということが地方団体を始めとする地方の声でございますので、地方法人特別税は頭に地方と付いておりますが、国税でございますので、国税へのシフトですので、これは分権に逆行するという言われ方、これはもう一方ではあるところではございますが、偏在性の小さい地方税制を構築するための暫定措置であると、その暫定というところが法律に書かれているというところが一点ございます。  それと、地方法人特別譲与税の譲与基準が、かつて地方消費税が創設する前にありました消費税、国税の消費税を譲与税とするという消費譲与税というのがかつてはございましたが、その消費譲与税と同じ譲与基準でありますので、その財源配分、財源の配分の効果としては地方消費税とよく似たシェア割りといいますか、になるものであるということがまずございます。  それから、この地方法人特別税はいわゆる一般会計、国の一般会計の税収ではなくて、交付税及び譲与税配付金特別会計への直入財源でございますので、地方の財源という性格が非常に近いと。あるいはその徴収は地方が行う、あるいは国税通則法等の適用外であるというような非常に異例な措置であるということもありますので、これはいわゆる地方共有財源というふうに言い得るものではないかというふうに理解をしております。もっとも、暫定措置暫定としての措置でございますので、地方消費税に振り替わることが望ましいわけでありますが、一定の評価はできるのではないかと。  ただ、もっとも、今後、地方はあるいは地方税のウエートを増やしてほしいという意見を持っておりまして、少なくとも五対五にはしたいという意見が強い中で、税源の偏在性に大きく抵触することなく地方税のウエートを高めるという非常に難しい問題があると。それをクリアする一つの方法として、地方譲与税を地方税に準ずる地方共有財源であるというふうに考える考え方というのは今後非常に重要なものとなるのではないかという考えを私自身持っておりますので、併せて地方法人特別譲与税の評価として述べさせていただきます。  時間が参りましたので、以上にさせていただきます。  ありがとうございました。
  91. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) ありがとうございました。  次に、木村公述人にお願いいたします。木村公述人。
  92. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) おはようございます。  京都におきます労働組合のローカルセンターであります連合京都で会長をしております木村でございます。こうした場で発言の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げたいと思います。  私からは、まず最初に、京都などのような一地域、地方でどのような状況にあるのかという、そういうことにつきまして、雇用という一つのキーワードをもって少し述べさせていただきたいというふうに思います。  連合京都といたしましては、今年も〇八春季生活闘争を取り組んでまいりました。二月二十日からは春闘キャラバンとして、各地の経営者団体、ハローワーク、そして労働基準監督署や自治体首長に今年の要請を行いまして、併せて各地域の雇用環境などをお聞きしてまいったわけでございます。その中で、特に今年の特徴的なことにつきましては、年明けに起こりました株安、円高によりまして、またしても経営不安がささやかれるなど、外需に依存する日本の経済が弱点を露呈してきたんではないかというふうに思いますし、同時に、原油を始め原材料の高騰で賃金、労働条件切下げなどの不安がまたしても広がっておるというふうに感じたところでございます。  こうした問題に関しまして、安定した社会の持続にとりましては、安定した雇用確保、そして日常の生活を営む上で安心できる賃金、労働条件の確保というものが不可欠なものだというふうに考えておるところでございます。ところが、本年一月の京都府における雇用情勢を見ましても有効求人倍率は〇・八五という、昨年同月比で〇・一八ポイントも下がっておりまして、大変心配する数字となっておるわけでございます。  また、京都府内におきましても雇用問題での地域間格差そのものが拡大しておるというふうにこのキャラバンを通じて感じ取ってまいりました。特に、京都府北部地域におきましては、一部の地域を除きまして非常に厳しい雇用状況にあるわけでございまして、繊維産業を始めとした企業の縮小、撤退、そして人口の減少にもなかなか歯止めが掛からない、ますます地域の活力をなくしていくという、そのようなスパイラルに陥っている感もあるわけでございます。限界集落といった嫌な言葉も生まれまして、早急に地方の活性化に向けました支援策の実現を望むものでございます。  続きまして、連合京都としての雇用の取組について述べたいと思います。  連合京都といたしましては、昨年四月に京都府、経営者協会、労働局と協力いたしまして、就労支援を目的にジョブパークを立ち上げ、連合京都からも人を派遣してまいりました。そして、ジョブパークでは、若者だけではなく中高年者の転就職、女性、母子、ハンディキャップを持った方の就職相談、支援などの取組を行ってまいりまして、昨年実績で来訪者は四万二千三百十九人、そして正規雇用は二千三百五十九人、非正規が六百五十三人の合計三千十二人が就職決定するというような成果も出してきたわけでございます。  就労支援につきましては、大量退職を迎えた社会、女性の社会参画、母子の就労支援など、労働人口の減少に対する取組としても不断に行っていかなければならない施策であろうというふうに思います。連合京都といたしましては、更なる事業の充実を京都府に求めまして、府は今年度予算でジョブパーク関連で二億六千五百万円を計上していただいておるところでございます。  こうした連合京都の取組を背景にいたしまして、本日のテーマであります地方税につきまして少し述べさせていただきたいと思います。  とりわけ今話題となっています道路特定財源、また暫定税率の問題をとらえてみますと、今回の問題につきましては、国政レベルにおける与野党の対立構造から派生した政局絡みとしての問題としてのみとらまえるというのではなく、やはり戦後長年にわたって積み上げられてきました地方の政治、経済における様々な構造的問題に対して、行政も国民も真正面から地方が抱えるそうした問題の解決を探る起爆剤としてとらえるべきではないかというふうに思うわけでございます。  確かに、各自治体におきましては、この新年度を迎える中で予算執行の延期、停止等、事業の見直しを迫られているような部分もあるわけでございますが、国家の根幹を成す税制度の中で、暫定という名の下で三十数年間も税率が持続してきたこと自身が大変異常なことでありまして、来年度にはこのようなことが起こらないように、与野党間での合意づくりに専念していただくことを切にお願いをしておきたいというふうに思います。  そして、ガソリンを中心といたしました消費者課税、そうしたものをもって道路財源を確保していく、これを主として地方道路整備に充てるという構造自身は地方への所得再配分機能を持ったものでありまして、政策的には一定意義のあるものだというふうに思うわけでございますが、今後の地方経済の活性というそういう問題につきまして、あるいは高齢化社会、また医療や介護などの住民生活の維持向上という課題を考える上におきまして、地方における道路や交通網の整備ども含めまして、積極的に地方自治体の主体性を尊重するような税制に改められるべきではないかというふうに考えるところでございます。  ちなみに、今回の暫定税率徴収がストップしております。これがガソリン価格の引下げとなっていることは、交通運輸関係に従事する労働者にとりましても明るい話題と歓迎されておるところでございまして、京都では、とりわけ通勤や日常生活で車が不可欠な北部地域など家計にとって非常にプラスに作用しているものだと、また、それが地域経済にとっても喜ばしいことだというふうに考えておるところでございます。  それよりも私は、税であれ、保険料であれ、低い方がいいとか安い方がいいということではなしに、今必要なものあるいは将来の安心のために必要なものについては積極的に負担していく。その代わり、何のために必要かということを国民説明する必要があるんではないかというふうに思うわけでございます。今の国のやり方、後期高齢者医療制度など全く説明ができていない。簡単に制度をいじくり過ぎることにつきましては、医療制度全般への信頼を損なうことにもなりかねない。  様々な問題を持ちながら、今日の国会において数の論理でなく、話合いの重要性が認識されてきていることにつきましては、国民説明を十分に尽くすという、そういう意味からも非常に有意義なものであろうというふうに思うところでございます。  そして、私たちの取組に大きな影響を持つ地方財政について述べさせていただきたいと思います。  今日、地方財政を悪化させてきた大きな原因の一つが、小泉政権下で進められてきた地方交付税の削減にありまして、いわゆる三位一体改革は地方の活性化には結び付かず、地方から財源を奪っただけではないかというふうに感じておるところでございます。  私たち地方連合と一番近いところにあります地方自治体におきましても財政は非常に悪化しておりまして、さきに述べました京都の行労使で行いますジョブパークの事業につきましても、拡大まではなかなか進まないのが現実でございます。  そして、先ほど澤井先生の方からもありましたように、自治体におけるアウトソーシングだけが続いておるわけでございます。官から民への掛け声の下、指定管理者制度やあるいはPFI方式の導入、市場化テストなど次々と実施され、自治体職員も現業職場を中心に非正規雇用が増えておりまして、自治体によりましては非正規の職員数の方が正規職員を上回るようなところまで出てきておるのが現実でございます。京都府内においても、指定管理者でありました株式会社やくのふる里公社が破産することによりまして、福知山市にあります道の駅農匠の郷やくのの宿泊施設などが閉鎖されました。こうした手法が万能でないことが明らかになっておるわけでございます。特に、不安定雇用の労働者を行政自らが生み出している現状につきましては、私たち労働組合の立場からいたしましても見過ごすわけにはいかないというふうに考えておるところでございます。  あわせて、昨年六月に地方財政健全化法が成立したわけでございますが、その結果、病院や福祉、下水道事業などにおいて、不採算を理由に切り捨てられていくおそれが出てきておるわけでございます。更なる公共サービスの低下が心配されてきているところでございます。あくまでも自治体において無駄を省くことが前提ではありますが、この格差社会を解消していくためにも、すべて国が管理していくという、そのような社会ではなしに、地方自治体がより主体的に事業に取り組んでいける、そのような社会の方が地域のニーズに対してきめ細かく的確に対応できるのは明らかであります。  最後ではございますが、地方自治体の自主性、主体性を支え、地方分権をより一層進めていただく、そういうことを希望申し上げまして、私の発言を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  93. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) ありがとうございました。  次に、汐見公述人にお願いいたします。汐見公述人。
  94. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) 皆さん、おはようございます。先ほども御紹介をいただきましたように、京都府町村会で会長を仰せつかっております井手町長の汐見でございます。  今日は、地方公聴会に意見を述べる機会を与えていただきましたことに厚くお礼を申し上げます。  時間も限られておりますので、本題に入らせていただきます。  資料をお渡しをいたしておりますが、まず一ページ目、平成の大合併と言われました今回の合併によって府内の状況はどのようになったのかということであります。青が合併市町村、そしてグレーが人口一万人未満の合併できてない町村ということであります。  府内で合併が始まりましたのが平成十六年の四月からであります。それまでは、市が十二、町村が三十二、四十四市町村でありました。その後四年間で合併が進みまして、現在は、市が十五、町村が十一の二十六市町村となっております。全国的な流れと同様でありまして、町村が三十二から十一ということで、大幅に減少をしているということであります。その残った十一の町村でありますけれども三つに分けることができると思っております。一つは今回の合併によって新しい町になったところと、二つ目は合併をしないという選択をしたところ、そして三つ目には合併はしたいけれども実現をしていないというところであります。  資料一の一番下を見てもらいますと、⑦木津川市というのがあります。これは学研区域に入っているわけでありますけれども。その隣に和束町、笠置町、南山城村というのがあります。これは人口一万人未満であります。これが同じ郡でありまして、三町村も合併を望んでおられたわけでありますけれども、結果的には木津川市となった三町から拒まれたと、こういうことであります。そのやはり大きな要因は、地方財政が非常に厳しい、こういうことであります。  したがって、合併がしたくてもできてない、実現していない町村でありますが、小規模な団体で地理的条件が悪い、そして財政基盤が脆弱である、地方分権の受皿にはなれないと、こういうことであります。したがって、この町村をこれからどのようにしていくのかということが大きな課題ではなかろうかなと、このように思っております。  そして、資料の二ページ、三ページ、四ページ、これは地方交付税の推移ということで十年度と比較をしております。二ページが京都市を除く十四市の計、そして三ページが十一町村の計、そして四ページが人口一万人未満の五町村の計ということであります。  次の五ページ、六ページ、七ページにつきましては、地方税も含めた実質的な一般財源の推移ということで、これも同じように十四市の計と十一町村の計、そして人口一万人未満五町村の計と、こういうことであります。  その次の八ページは、実質的な一般財源の増減率ということで、これは十一町村の状況を表しております。これを見てもらってもお分かりのように、人口規模が小さくなればなるほどこの間の減少率が大きいと、したがってそれだけ影響が大きいと、こういうことがお分かりいただけると思います。  そして、その次の九ページ、十ページ、これは町村の経常収支比率なり比率の推移ということであります。これも見てもらえば分かりますように、人口規模が小さくなるほど財政構造が悪くなっているということであります。  そして、十一ページでありますが、これも高齢化比率の推移でありまして、人口規模が小さくなればなるほど高齢化比率も高くなっていると、こういうことであります。  京都府内の十一町村でありますけれども、その半数がこの間で基金がほとんどなくなったと。人件費を大幅に削減をして、そして事業費をもう最小限に切り詰めて何とか予算を組んでいるところと、それでも組めないところについては、公共料金の引上げ、あるいは地方税についても標準税率から超過税率を適用していると、こういうことでやっと予算を組んでいると、こういう大変厳しいといいますか、もう危機的な状況にあるということであります。  そういう状況の中で、十二ページでありますけれども暫定税率廃止による影響額であります。十一町村でずっと示しておりますけれども、一番左の譲与税等、これは一般財源になるものでありまして、これらは地方債の償還等に充てているということであります。その右が今回の暫定税率廃止による影響額ということで、十一町村合計しまして五億二千二百万、一町村四、五千万ということであります。  皆さん方から見れば、何十兆円という予算審議をされている関係で、これぐらい微々たる金だと思われるかも分かりませんけれども、私ども町村からすれば非常に大きな財源であります。当然これは、借金は返済をしなければならないわけでありますので、この影響した財源をどこからか工面をしなければならない。ところが、これがなかなかその当てがないということでありまして、我々からすれば、歳入欠陥に陥らないように何とか手だてをきちっとしてほしいと、このように思っております。  また、道路整備でありますけれども、昭和四十年代に全国で道路整備が進んでいったというふうに思います。ただ、京都の場合は、四十年代あるいは五十年の前半まで道路整備がほとんど進まなかったといいますか、されなかったわけであります。ですから、五十年の後半から整備が始まったということでありますので、十年から十五年全国ほかよりも遅れていると。そして、五十年の後半から整備が始まったわけでありますけれども、当然中心から整備が進むわけであります。やっと我々田舎の方に道路が進んできたなと、こう思ったときにこの暫定税率の問題であります。  我々も先行投資といいますか、田舎の者も税金を納めてきたわけであります。これはやはりこれから返してもらえると、若い者も整備がして便利になったら転出は少しでも止まるだろうと、こういう期待をしていたわけでありますけれども、それがもし止まるようなことになりますと、我々はだまされたと言わざるを得ないわけであります。  私は京都の六区に位置しておりますけれども、衆議院の方も自民と民主の方おられます。話をしますと、我々が計画している道路、皆必要だと、こう言っていただいております。恐らく京都全体もそういう状況だと思います。我々からいえば、この議員の中でそれぞれの選挙区で必要でない道路がもしあるとしたら、それはやっぱり出すべきだと。必要でない道路は棚上げしておいて、そして必要な道路整備をしてくれたらよいわけです。それがなぜできないのかなと疑問に思っております。  我々は、将来は道路整備をしてもらえると思って税金を納めてきたわけでありますので、望んでいる道路整備をきちっとやはりやってほしいということをお願いをしておきたいと思います。  それと、余り時間もありませんので、私の町の状況を少し、現状を申し上げます。  私の町は昔から土建屋の町と言われてきました。現に世帯数が三千余りでありますけれども、ピーク時には二百五、六十の業者がありました。もちろん零細業者であります。したがって、下請、孫請ということでやっていると。よく周辺の住民の方から言われたのは、近畿のどこ行ってもどこにか井手町の業者が仕事をしていると、こういうことであります。それだけ業者数が多いと、多かったということで。  しかし、この間の公共事業費の大幅な削減によって、倒産なり廃業なり、あるいはほかへの転出ということで、この二十年度で八十四業者になりました。三分の一に減ったということであります。当然、この土木建設業だけではなしに、それに関連する業種にも影響しておりますし、小売業についてもシャッターが下り続けているという状況であります。  そして、生活保護の世帯数も年々増えておりまして、十八年度でありますけれども、三千二百ほどの世帯で二百二十一世帯であります。ですから六・七の高率と、こういうことであります。  今までは、業者の中ではまあ将来井手町は三十業者ぐらいは残るだろうという話をされておりましたけれども、この暫定税率が廃止ということになりますと、恐らくすべて消えるだろうということが言われています。それだけ大変な状況であります。そうなりますと、町全体がもう取り返しの付かない町になるということであります。  私はこの間、直接関連をする建設組合、あるいは井手町の職員組合、解放同盟、京建労、こういった団体の人とこういう話をしてきました。事実を申し上げてきたわけでありまして、先ほど連合の木村会長、意見を述べられましたけれども、そちらの方にもまた行ったときにはひとつ対応をよろしくお願いをしておきたいと思います。  それにしても、参議院に予算関連法案が送られて一か月半、審議も話合いもされない。我々から見れば考えられないことなんです。異常なことであります。私は昔から、参議院は良識の府というふうなことを聞いてきました。今の参議院、余りに政党ばかりにとらわれ、考えられているのではないか。やはり良識ある判断をお願いをしたいと思います。  先ほども言いましたように、国民が先行投資をして税金を納めてきたと。それは道路整備してもらえるんだということであります。このやはり期待を裏切ってもらいたくないということと、我々自治体運営支障のないように、十分、といっても時間を掛けずに、できるだけ早く良い結論を出していただきますようにお願いを申し上げまして、意見とさせていただきます。  ありがとうございました。
  95. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) ありがとうございました。  以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑を行います。  なお、委員質疑時間が限られておりますので、公述人の方々には御答弁は簡潔にお願いをいたします。  また、御発言は、挙手の上、私の指名を待ってからお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  96. 梅村聡

    ○梅村聡君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本の梅村聡でございます。  まずは、本日、公述人の四名の方々、率直な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。私の方から、今の四名の方からの御意見をお伺いした上で質問をさせていただきたいと思います。  まず、地方税制、今回改正に関する全体的なことに関して、澤井公述人それから木村公述人の方にお伺いをしたいと思います。  今回、平成二十年度地方税の改正の一番大きな特徴は、やはり都市と地方の共生という考えの下、法人事業税の一部、これは二兆六千億円になりますけれども、これを地方法人特別税として国税化し、そしてそれを譲与税として地方に再配分するという制度と、そしてもう一つは、地方交付税の中に四千億円の地方再生対策費というのを設けて、そしてこれを人口であるとか面積あるいは高齢化率に合わせてそれぞれの地方に配分をしていく、これが一つ大きな目玉ではないかと思っております。  特に、地方再生対策費におきましては、もちろんある一定の小規模の町であるとか村であるとかというところに対しては一定の効果があるとは思うんですけれども、一方で、これは地方税の国税化でありまして、今現在、現時点で財政に苦しい自治体をダイレクトに助けるものではないと。やはり今の各地方自治体、特に地方財政の悪化というその根本は、この六年間、七年間で進められてきた地方交付税の総額の絞り込み、総額の削減というところにあると思います。  そういうことから考えますと、まず求めなければならないことは、この地方交付税の総額をまず復元していく、さらにその中で地方への配分を考えていくということではないかなと思うわけでありますが、この地方交付税全体の総額の復元、先ほど澤井公述人の方から五兆円の復元という内容がありましたけれども、この全体の復元、さらには、これから先の地方交付税の在り方、地方への税源移譲のやり方、そういったことに関する展望も併せてお答えいただければなと思います。
  97. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 簡潔にということなので簡潔にやりたいと思います。  まず、地方法人特別税の評価なんですが、これは先ほど申しましたように、水平的財政調整で、これは都道府県間の話なんですけれども、富裕団体から貧困団体への税源の移転の仕組みとしては一定の評価ができるだろうと思うんです。ただ、僕が言っているのは、その仕組みをつくるやり方が自治分権に背馳していると。つまり、自治体の合意と、それから責任を持って議論できる、決定できる、そういう場を抜きにして、特に地方税ですから、その辺はだから、今後ですよ、今後、そういう仕組みをつくっていかないと自治体の自治分権の意欲をそぐというふうに思います。  やっぱり自治分権というのは、自分で責任持って、その結果について責任持って決定していくことが自治分権ですから、それが阻害されて自治分権しろったって無理ですよ。そういう点をこの政策をつくった方々は深く反省していただきたいというふうに思います。  その点は自治体の側にも、六団体の方でちゃんと意見まとまるかといったらなかなか難しいと思うんですけれども、でも、そういった六団体意見の中にある違う意見を闘わせながら地方全体としての意見をまとめていく、そういった力量が問われているわけで、そういう場をつくっていく必要があると思います。それが一つ。  それから、地方再生対策費の件ですが、地方再生対策費も四千億円で、確かに小規模団体にはもう出ていますので、何千万円来るとかいうのでちょっとほころんでいる、顔がね、という面があるんですが、そういう点ではまあ悪くはない政策だと思うんです。ただ、この地方再生対策費の原資がやはり地方法人特別税という元々は地方税ですから、そういうのはちょっとおかしいんやないのかと。やるとしたら僕は国税を割くべきだったと。  具体的に言いますと、今ちょっと話題に出ておりますが、道路目的財源、一般財源の議論出ておりますけれども、その一部を割いて交付税の方に回してくるとか、それを交付税で地域活性化のために僕はやるとしたら、暫定税率を維持しても賛同を得られるんじゃないかと思います、例えば。あるいは社会保障に回してもいいんですけれどもね。そういうのが一つ。それからあと、例えば証券関係税制の優遇税制ありますね。それで、配当分だけでも四千億円あるわけですから、その分を回すとか、そういう国税の方から回すそういう工夫があってよかったと思うんですね。  だから、今後もしも、僕は地方再生対策費は四千億じゃ足りないので多分二兆円ぐらい必要だと思うんですよ、ただ、一千八百の市町村に対して例えば前の、これは評判余り良くありませんでしたけれども、ふるさと一億円事業あったでしょう、ああいう形のものを例えば二億円を配ったら大分違うんですよね。そうすると、その財源は三千六百億円ぐらいですよね。そのぐらい出まっせ。それを国税として配分するというんだったら僕はなるほどなと思いますけれども、それを地方税の中だけで融通し合うというのはちょっと、狭い財布の中をかき回しているだけじゃないかなというふうな感じがしますので。  ですから、交付税はあくまで国税でやるべきです。そういう筋はちゃんと立てていただきたいと思います。もちろん、だから今回の場合は臨時の措置なので、暫定措置なので、暫定措置の後をどうするか、その議論をしっかりしていただきたいというふうに思います。  それから、交付税の総額の話ですけれども交付税の総額については、知事会の方は五兆円と言っておりますので、一応腰だめで五兆円と言っていますが、中身を具体的に、何ぼで何兆円という積み上げた議論が必要です。僕なんかは、例えば現在、自治体レベルでいきますと介護保険が崩壊と言われていますね、介護崩壊と言っている。要するに、給与水準が低いものですから、人材が介護の現場から他の産業に出ていってしまう、特に都市部でひどいわけです。それが僕はコムスンのいろんな問題の一つの淵源になっている、要するに人手不足がね、なっていると思うんですね。  ですから、そういう点での、介護報酬の見直し、来年の一月に決まるはずですが、介護報酬の引上げの中で、その分を例えば地方財源としてどうするか。地方財源として介護報酬分を例えば一兆円積み立てるとかいうような議論が必要なんです。それが、すぐそういう問題が出てきますね。  それから、先ほどの専門職の話がありました、高齢者虐待防止とかね。これがたとえ専門家一人一千万円、人件費として、社会保障の事業主負担を含めて一千万円として、事務費も含めて。そうすると、例えば一団体当たり、千八百団体のうち五人配置して九千人ですよね。そうすると、これは九百億円です、たしか。このぐらいの金は出るでしょう。そういう工夫が、そういうような交付税の中身を詰める議論をしていただきたいなというふうに思っています。
  98. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 専門的なところまではとても踏み込めないわけでございますが、基本的な部分で、やはり今回のこの地方法人税の問題につきましては、地方税の一部を国が取り上げていくという、まさに、そしてそれを再配分するというような考えにつきましては、従来から言われている地方分権あるいは地方への財源移譲の、そういう流れに対して逆行するものだというふうに思っています。やはりこれからは地方分権なり地方自治が尊重されていく、そのような社会でないときめ細かな住民生活に密着した社会はつくっていけないというふうに思うわけでございます。  地方財源につきましても、やはり交付税の問題等については、地方交付税を見直していく、交付税繰越率の引上げ、そうしたことによる交付税そのものの拡大、こういったことは求めていくべきだろうというふうに思います。あるいは、少し踏み込みますと、総務省が従来から主張しているような景気変動の少ない地方消費税の拡大、そうしたものも断行するべきだというふうなことで考えておるところでございます。  以上でございます。
  99. 梅村聡

    ○梅村聡君 ありがとうございました。  それでは少し、今回は二十分という時間の枠内ですので、道路特定財源について質問させていただきたいと思います。  もう議論で公述人の方からもいろんなお話がありましたけれども、この道路特定財源、道路にだけ使うという制限の掛かった予算枠でありますけれども、我々会派の立場としては、一つこの特定財源の問題点というのは、道路というもののまずカテゴリーができて、そしてその中での優先順位ということが議論されてしまうのがこの特定財源という性質であると思っています。  一方で、やはり一般財源にして、道路のカテゴリーの中だけではなくて例えば道路と子育てあるいは教育、医療、こういったものとの外のカテゴリーとの議論も同時にしていかなければならないのではないかと、これが私は一般財源化の一番大きな目的であるわけであります。やはり本来、国民にとって本当に優先順位の高い事業というのは何かということを議論していく、そういった意味での特定財源化というのがまず一つ必要ではないかなと考えます。  そしてさらには、暫定税率部分についてでありますが、これはもちろん、最初の導入時は緊急に道路整備していくということが目的であったわけであります。今回、ガソリンが安くなったというふうな報道もあるんですけれども、このガソリンの値段に関しても、都市と地方を比べた場合、例えば東京の二十三区とそれから町村を比べた場合、一世帯当たりの車の整備費、維持費、これはガソリンも含みますけれども東京二十三区では年間九万八千円、一世帯です。そして、町村部では一年間一世帯当たり二十七万八千円と。地方の方でやはり車に頼った生活、そして実際の支出がやはり三倍近くあるという中で、素朴に地方の方が暫定税率がなくなってそして生活が楽になったという現実もあるわけであります。  私たち民主党は、何も道路を造らないようにしようというわけではなくて、本当に必要な地方道路は、例えば国の直轄事業地方負担分を廃止ですとか、あるいは法律改正の下で補助金あるいは交付金をしっかり維持した上で、本当に必要でその地域で議論された上で造らなければならない道路というのは造れる、そういった仕組みはしっかり残していこうという制度を提案させていただいておるわけでありますが、そういった面で、やはり時代的な背景も考えますと一般財源化、暫定税率廃止、これは一つの自然な流れではないかなという思いがいたしますが、この点に関しまして木村公述人それから汐見公述人からお話をいただきたいと思います。
  100. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 先ほども述べさせていただきましたように、今、梅村先生の方からありました地方ほど負担が大きいという部分については、確かに今回の暫定税率が止まっていることについて多く歓迎する意見があるわけでございますが、我々の取組の中でもやはりこの道路特定財源に絡む雇用というものも一部あるわけでございます。だから道路特定財源が必要だということじゃなしに、やはりそれそのものも地方事業としてきっちり財源を確保するということが前提であって、その後の使い道については各地方に任せる。それなら、任せれば道路はできないかといったら決してそんなことはないわけでございます。二十六の自治体それぞれの首長さん、立派な首長さん、汐見町長もおられますが、立派な首長さんがおられるわけですから、必要なものをその中で優先順位を付けてなさっていかれる。今おっしゃられたように、道路がそういう福祉、介護まで、あるいは教育にまで跳ね返る、そういうものとして首長の裁量あるいは議会の裁量で使えるような形というのが一番のベターじゃないかというふうに考えておるところでございます。  以上です。
  101. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) 今、梅村先生からいろいろお話を聞かしていただきましたけれども、どうもちょっとかみ合わない部分があります。それは、先生は大都市の方から見られているのではないかなと。我々地方から見れば、先ほど言ったような大変厳しい状況にあるということであります。それと、この特定財源、暫定税率道路整備するということで当然徴収をされてきたわけでありますね。まだ終わってないところ、先ほど言いましたように数多くあるわけです。まずこれを終わらして、それでどうするかという私は議論が普通ではないかなというふうに思います。  それと、地方は交通網の整備が充実していないということで車に頼る、確かにガソリンを多く使うということでありますけれども、それだけこれまで税金を多く払ってきたわけです。税金を多く払ってきて、なぜ、我々から見れば、そういう都市中心で道路整備がされてきたのか、不満でならないわけであります。したがって、何としても、約束でありますのでまず約束は守ってもらうと。  先ほども言いましたように、自民党の方も、あるいは、もちろん政権与党、それから民主党の方も、私が聞く範囲では必要だと言われるんです、我々が望んでいる道路は。なぜ、それなのに、どこに必要でない道路があるのかなと。私はそれを知りたいんです。衆議院であればそれぞれの選挙区ありますし、参議院でも選挙区、比例もあります。比例の方も、そこの自分の出身のところで必要でない道路があれば、やはりそれはきちっと出すと。それは棚上げをして議論をしてどうするかということを決めてもらう。必要な道路はまずやるということだろうと思います。
  102. 梅村聡

    ○梅村聡君 今、井手町長、必要な道路あるいはこれまでの約束ということをおっしゃられましたけれども、具体的にこの井手町で、今の例えば暫定税率、今の特定財源で本当に必要だと思われるものを造る、まず造り上げるということを言われましたけれども、じゃ、どれぐらいの期間これから掛かるというか、その状況を少し教えていただきたいなと思います。
  103. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) 井手町は残念ながら財源が非常に厳しい町でありますので、国や京都府の事業にお願いをしています。  今一つ計画をしているのが、宇治木津線というのがあります。それは、京奈の方から京滋につなぐ道路であります。どれぐらいの財源でどれぐらいの期間、これは私は分かりません。それと、今、二十四号線で府道の整備をしてもらっているところへ入る右折レーンを、これは国交省直轄でありますのでお願いをしております。樋門改修も併せてありますので、これは暫定税率が維持された場合は四、五年で整備がしてもらえるものと思っております。ですから、今心配なのは、これが切れればこれがしてもらえないわけですね。町全体の計画が大きく変わってくる、これを大変心配をしているということであります。
  104. 梅村聡

    ○梅村聡君 終わります。
  105. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 おはようございます。自由民主党の礒崎陽輔でございます。今日は大変公述人の皆さん御苦労さまでございます。  まず、今ちょうどあった道路問題から入りたいと思いますが、まず木村公述人にお伺いをいたします。  木村公述人のおっしゃったように、今国会では話合いの重要性が認識されてきた、私もそのとおりだと思っております。今も福田総理は頭を下げて野党に対して話合いを呼びかけておるわけであります。ところが、いろいろと前提条件を付けていまだにこの問題の話合いのテーブルに着かない、今それが国会の現状であります。  御指摘のように、一般財源化の問題と暫定税率の引下げの問題がございます。一般財源化につきましては、これはいろいろ手続的なことを言っている人はいますけれども、福田総理は明確に来年度から一般財源化するということを打ち出したわけであります。もう一つの問題が暫定税率の引下げであります。もちろん私も、この問題も与野党でしっかりと議論をすべきだとまた思います。ただ、この暫定税率の財源というのは二兆六千億でありまして、消費税の一%にも相当する額、大きな額であります。もしこれをやめたときにどうなるのかという問題、我々は国の財政地方財政を考えると、簡単にやめるわけにはいかないと思います。それに対して、今、野党側はその二兆六千億の財源をどうやって埋め合わせをするのかということの提案が私は全くなされていないと思います。それは赤字国債で埋めるのか、そうでないというんであれば新しい道路は全部造らないというのか、これ二分の一になりますけど、二分の一になれば新しい道路はほとんどできないんですね、だからそれを全部やめるというのか。  やはり財源問題が野党がしっかり示していないところに話合いがかみ合っていない問題があると思うんですが、その点について木村公述人はいかがお考えでしょうか。
  106. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 基本的な部分で、暫定という名で国家の根幹を成す税の率が三十数年間持続されてきていることについて非常に、今回こういう形で明らかになったので我々も知ったところですが、驚きを持っておるところでございます。それを、二兆今六千億円というふうにおっしゃられましたが、この部分、なぜ今まで逆に、逆にと言うのもおかしいですけど、国会で論議がされてこなかったのかなと。それが赤字国債なり、あるいは場合によれば消費税の引上げ、そういうことで国民にまた返していく、あるいはそれを今後の国家運営について必要な部分だということで国会で与党の方を中心に指導力を発揮されて日本の国家の在り方そのものを提示していただけたら問題がないのかなというふうに、何が混乱しているのかがよく分からぬというとこら辺が率直な思いで見ておるところでございます。  以上です。
  107. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 私が今お聞きしたのは、野党が二兆六千億をやめたときの穴埋めはどうするのかという提案がないことについては問題と思いませんかという質問なんですが、もう一度いかがでしょうか。
  108. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) どうでしょうね。当然、政府、まず与党としてなぜそれが野党と話ができないのかがよく分からぬところが率直な思いでありまして、すべて野党の責任、我々も地方自治にかかわっている部分もたくさんあるわけでございますから、各地域における道路整備、交通網の整備というのは重要だというふうにはとらまえておるところですが、政党の政争の具にされているというとこら辺は非常に危惧しているところでございます。
  109. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 汐見公述人にお伺いいたします。  先ほどおっしゃるように、不要な道路というのがあるのであれば、私もそのリストをそう言う人は出していただきたいと思いますね。全国で出してみて本当にどうかということを議論をすればいいんですが、不要な道路あると言うんですけど、どれが不要な道路かさっぱり分からないというのが私の率直な感覚でございます。  先ほど言いましたように、建設事業者というと野党の人が目の敵のように言うんですけれど、これは私、地方では本当に建設事業者の今経営状況大変だと思います。私は大分県の選出でございますが、私の県でも今建設事業者が大変なことになっております。毎年毎年公共事業費が三%ずつ引き下げられておる、その中で一生懸命まだ残ったところは頑張っておるわけであります。また、建設事業者というのは、末端ではやはり農業をなさっている方が農閑期には建設事業をやることによって農業収入とその建設業の給与によって一年間の生計を賄っておる、そんな体系にも私どもの田舎でもなっておるわけでございます。  したがって、今後、この道路財源が確保されないと、地方のやっぱり建設事業者の人、本当に大変になってくると思うんですが、その辺のお考えをもう一度汐見公述人の方からお伺いしたいと思います。
  110. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) 私のところの現状、状況、先ほど話ししたとおりです。  はっきり言ってこの暫定税率、特定財源はもちろんですけれども暫定税率がなくなれば私のところの業者はもうなくなると思っております。先ほど、この間の公共事業費三%、今度も三%削られるわけですけれども、もう国、京都府も合わせてそれぞれもう五〇%をピークから切っているわけですね。もう四十数%ということであります。  私のところの業者は、先ほど言いましたように零細業者でありますので、孫請、下請であります。ですから、もう競争に付いていけないということでやむを得ず廃業するとか、こういうことであります。ですから、この暫定税率がなくなればそういうことになるだろうと思っております。  ただ、先ほどから一般財源化、福田総理来年からという話がありました。私は、大変、間違いなしに必要な道路に使われるかなという心配もしておりますし、地方にも一般財源化して間違いなしにこの暫定税率あるいは特定財源の財源が確保されるのかな。当然、どこの地方税なのか国税なのか分かりませんけれども、国税になれば財務省が握るわけであります。そういう意味では大変心配をしておりますし、間違いなしに地方が我々の思いが通じるようにお願いをしたいと思います。
  111. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  じゃ次に、ちょっと地方財政問題について質問をしたいと思います。  私も、三兆円の国庫補助負担金を整理して、それを一般財源化し、税源を移譲、三兆円をしたと、これはいろいろと御批判もありますけれども、大きな方向としては良かったんじゃないかと。ただ、一方で、三位一体の改革と称して地方交付税を五兆一千億も減らしたのは私もやり過ぎであったと、これはもう何度もこの総務委員会でも私も言っておるところでございます。  先ほどその点に関しまして、小西公述人にお伺いをいたしますが、一つはやはりその復元の声にはこたえていかなければならない、その一方で地方歳出も抑制をしていかなければならないと、そのようなお考えであるというふうにお伺いいたしました。私も本当に妥当なお考えだと思います。  そこで、ちょっと難しい質問ですけれども、さてその五兆一千億円、今年は二千億円戻ったわけでございます。あと四兆九千億というのか、実質的に考えて四兆七千億というのかちょっとよく分かりませんが、そんなのがありました。また、その五兆一千億下げる段階では少し地方の税の増収というのがありました。一体これをどのくらい復元するのが妥当であるとお考えなのか、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  112. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) 大変難しい御質問でお答えに窮するところではございますけれども政府としての、平成二十三年度、国、地方を通じた基礎的財政収支の黒字化を、小泉内閣のときには可能な限り増税をしないと、全くしないという言い方はしてなかったと思いますが、増税を可能な限りしないようにしたいという枠組みの中で作られたのが基本方針二〇〇六であるというふうに承知しておりますので、その枠組みを今後それで良いのかと。その方向でいくと、先ほどもこの場で出ておりますように、いわゆるその小さな政府路線でどんどんいきますと、やっぱりかなり大きな部分日本の社会経済として大きな問題が出てくるのではないかという国民の声が高まっているように思われますので、あの基本方針二〇〇六の枠組みをどういうふうに修正していくのかという議論を是非政府・与党としてしていただきたいと。  その中で、一方では国、地方を通じた基礎的財政収支の黒字化という目標は、これは余り先送りすべき課題ではないと思いますので、そうなりますと負担増を、地方税になるか国税になるかは別として、国民に負担増をお願いするという形になると思いますので、そこのところは言わば政治的な御決断であるというふうに思いますので、私はそれを非常に強く期待しておりますので、五千億でも一兆円でも結構ですが、その方向でお願いしたい、私がむしろお願いしたいというふうに思います。
  113. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 先生のお考え、よく分かりました。  次に、澤井公述人にお伺いいたします。  民間委託の在り方について先ほど御指摘があったと思います。私も市役所に勤務していたことがありまして、保育園の公設民営化なんか進めた方なんですね。そのときは正しいと思ってやったんですが、最近の実態を見ていると、その保育所の中で正規雇用と非正規雇用の人の賃金の格差、そんなものも出ておりまして、本当にこれで良かったかなという私自身も正直言って反省もございます。  そこで、今後、ただ民間委託というのも一つこれは地方の行政改革の中では重要な手法なんですけれども、今後その民間委託、どうあるべきだとお考えでしょうか。お考えをお伺いしたいと思います。
  114. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 今、関西というかこの辺の自治体でも議論しているところですけれども、民間委託の、あるいは指定管理者なんかもそうですけれども、その政策の効果をどういうふうに測るかという仕組みが大事だと思いますね、評価システムが。今までの民間委託とか指定管理者もそうですし、市場化テストなどもそうですけれども日本での、財政的効率性の評価軸が圧倒的に強くて、そういう点では市民あるいは利用者から見た評価軸というのは非常に希薄なんですね。だから、一方的に財政的な面からコスト削減で民間委託して、具体的には人件費を削減する、不安定雇用をつくってしまう。それについて、財政効率化の面からいいますと、それについては目が行かないんですね。  そういう点では、利用者あるいはそこで働いている人含めまして、それについて、民間委託なり指定管理者事業についての評価の仕方を組み立てていく必要があると思います。例えば、利用者についてきちんとヒアリングして、例えば保育園で本当にこの方でいいのかどうか、それについての具体的な評価システムをつくっていかないと、つまり、財政効率化の評価軸と併せてサービスの水準についてを評価する、その仕組みを併せてやらないと、ちょっとひどい状態になっているんじゃないかと思っています。その点は全く同感です。
  115. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 小西公述人にもう一回お伺いいたします。  先ほどの財政の今後の議論に期待するということを言われたわけでございますけど、この前同じ質問を増田総務大臣にしたんですけど、与党の中には、もう税源移譲をやれと言うと結局地域格差が広がるんだ、だから余りもう全国知事会も、税源移譲、税源移譲しろと言わないで、むしろ地方交付税の増額の方を主眼に据えた方がいいんではないかという意見が与党の幹部の中にもあるんですが、総務大臣いかがでしょうかとこの前聞いたんですね。総務大臣は、それを両方組み合わせて、地方交付税と自主的財源の税とうまく組み合わせてというふうなお答えではあったと思うんですが、この辺ちょっと、小西公述人どのようなお考えでしょうか。
  116. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) そうですね、地方分権の推進ということが地方団体を始めとする地方関係者の言わば旗印になっていますので、地方分権を推進していくというその旗の下で地方の力が結集されている、その枠組みといいますか、それは非常に大切にしたいところがあります。  そうしますと、もう税源移譲はもうこれぐらいでいいから交付税ちょうだいねという言い方は、ちょっと地方分権を力強く推進していくという姿勢に欠けるというふうに評価される懸念がありまして、そこのところは少し避けたい、どうしてもやっぱり避けたい部分だと。  そこで、私、先ほど意見の一番最後のところで申しましたが、地方交付税地方税の間に地方譲与税というものがあります。これは、今までは地方交付税がしっかりしていましたので地方譲与税はわき役でしたですけど、地方交付税がこういう状況になってきますと地方譲与税をわき役にするには少しもったいない。地方共有財源であるけれども、偏在問題がクリアできるような仕組みとしてあると。これに少し光を当てて、地方譲与税も地方税に準ずるものだというふうに考えて、それも地方財源というよりも税源の一部だというふうに考え方をシフトさせていくことが今後の方向性としてはあり得るんじゃないかというふうに考えております。
  117. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 木村公述人にお伺いいたします。  今度は専門分野の方でお伺いしたいと思うんですけれども、やはり雇用というのは本当に私も大切だと思います。特に、地方における雇用、かなりまだ厳しいところが多いと思います。また、賃金も本当に上がらない状況がずっと続いておりまして、御承知のとおり、今年は福田総理の方からも経済団体の方に是非賃上げのできるところはしてほしいというお願いをしたわけであります。  今言った雇用と賃金、私も木村公述人おっしゃるように非常に大事だと思うんですが、具体的に政府にどういうことを御期待なさっておられるのか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  118. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 基本的には、特効薬というようなものではなしに、やはりそういう税の再配分機能なんかを使って地方でどういう就労支援ができるか、そういう地方自治体の施策を支援していく、そういうふうなとこら辺をお願いしたいというのと、あるいは、制度的にはセーフティーネットのきっちりした確立というとこら辺がやはり将来的に希望の持てる社会をつくっていくについては必要なものだというふうなことを思っておりますし、そういうとこら辺については、政府、与野党問わず、きっちり日本の安全としてつくっていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  119. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 最後に、汐見公述人にお伺いいたします。  先ほど国会の在り方についても厳しい御意見をいただいたと思います。今後、与野党どういうふうに話合いを続け、日本の方向に向かってこの今のねじれ現象の中で国会審議を続けていくべきであるとお考えか、御見識をお伺いしたいと思います。
  120. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) なかなか難しいですね、これて言うて答えるということは。  ただ、日本は、これは民主主義の国であります。何事もやっぱり話合いをして十分議論を重ねながらひとつ良い方向を求めていく、それがまあ完全でなくても、それは当然またその次に求めていくと、こういう姿勢で臨んでもらえれば、ねじれであっても国民の願っている方向に行くのではないかなというふうに今思っておりますし、今の状態を見れば全くそうなってないというふうに思います。やはり国民の期待をしている方向に持っていっていただきたいなという感じで思っております。
  121. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 どうも公述人の皆さん、ありがとうございました。
  122. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  四人の公述人の皆様には、大変今日はありがとうございます。  まず、先ほど来、地方分権そしてまた地方財政の在り方、地方が大変ある意味財政的にも困っているという共通したお話もございましたけれども、先ほど汐見公述人のお話のように、当面の話として、私もこの四月の四日に参議院で本会議でやらしていただいた、二月の二十九日に衆議院から回ってきたこの法案ですね、一か月間全く論議がなく、そして四月四日も、この暫定税率、もう切れたその中で審議入りをしたという状況でございます。  非常に、私は地方財政の在り方、地方分権どうしていくんだという論議は、これはやっていかなければいけないわけですけれども、もう目の前というよりも、既に二兆六千億のうち一兆六千億、地方、先ほど汐見公述人お話しのように、この歳入を当て込んで予算を組んでいるわけですよ。昨日も、参議院の財政金融委員会、北九州、私の北九州ですけれども、行きました。今日の新聞報道でも、北橋さんという市長は、民主党さんの出身なんですけれども、北九州百六億円、これで欠陥が生じるが、どうしてくれるんだという、そういう話でありました。  現実地方議会、今の国会の与野党を問わず、地方議会ではもう予算が既に通っているところがほとんど、ほとんどというか全部じゃないかと思うんですけど。そうしたら、この一兆六千億なくなるということで、今四十七都道府県の三十六都道府県、公共事業等の執行停止。で、現実、福祉だとかそれから教育等にも影響が出ているというこの目の前の問題をどうすればいいのかということなんです。  先ほど木村公述人、余り混乱は、どこが混乱しているんだというようなお話でございましたけれども、私は、本当にガソリンスタンドだって混乱していますよ、四万五千のガソリンスタンド、もう大変な今赤字で売っておるわけですから。建設業、先ほど汐見公述人のお話の建設業でも、雇用の問題にしても、これは産みの苦しみというだけで済ませる問題じゃないと。  目の前に歳入欠陥があるということをどうするんだということでございますけれども、小西公述人、それから木村公述人、汐見公述人から御意見をいただきたい。
  123. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) 今御指摘のように、国の予算年度内に成立しなかったということを受けまして、地方、特に道路財源ですので都道府県の受ける影響が大きいと。都道府県の中でいわゆる事業予算執行を留保している団体がかなりの割合、三十から四十の間ぐらいの団体執行留保になっているというふうに各種報道等にもございますので、その限りでは、どうしようか逡巡をしている、執行をこのまましていいかどうかよく分からないので、ともかく今事業を国の予算がそのまま政府案のとおりに成立するということを前提にしてはいけませんねというふうに受け止めているという事実がありますので、その御指摘はそのとおりであると思います。  地方としては、予算は当然年度内に成立していただいた方が有り難いというふうには思っていると思いますが、それは国会国会としての御事情があるということは国民としては理解できるところでありますので、ただ、地方としてはそういう状況にあるという事実はあろうかと思います。
  124. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 生活者の立場からいいまして、今回の問題で決して混乱はしてない、逆に喜ばしいというような声の方が大きいというのは労働組合の中であるわけでございます。  ただ、言うてますように、道路関係での雇用の問題とかいうとこら辺については我々のレベルで少し危惧するところあるわけですが、基本的に、先ほど礒崎先生の方からありましたように、国会運営の中でこの暫定税率というのがこんなにもろいものであったのかというとこら辺を非常に驚きの目で見ておりまして、我々も労働組合の機関運営、まあ小さいものではあるわけですが、十分論議尽くして、労働組合的にも数の問題で一定程度主義が通ったり通らなかったりするわけですから、私自身はそういうことはないかも分かりませんが、リーダーシップを発揮して反対意見についても十分聞いていくというような手法は取っておるつもりでございまして、そういうとこら辺が、天下国家の国会で何でこういうふうな状況に陥っているのか、非常に不思議に思っているところです。  以上です。
  125. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) まず、年度内に成立しなかったことについてどう思っているかとあって、大変迷惑被っています。  あと、具体的には二つあります。  先ほども言いましたように、暫定税率、一般財源と事業に対する国庫支出金があります。暫定税率のいわゆる譲与税等の一般財源、これはどこからか工面をしなければならない。先ほど言いましたようにこの府内の町村で影響額が大体四、五千万であります。一つで四、五千万。これはもう大変な我々から言うたら額であります。これを工面をせよといっても、今までも切るところは切る、増やすところは増やしてきた状態でありますので、もうどうしたらよいのか全く分からない状態です。ですから、先ほど言いましたように、これはきちっと保障をしてもらわなければならないということです。  もう一つはこの事業関係です。  私のところも小さい町でありますけれども、旧の町が合併してちょうど今年で五十年、この秋に五十周年をやろうとしていました。今、京都府では、府道をバイパスということで整備を進めてもらっております。この秋までには開通をしていく。私のJRの駅前についてはこれは町道ということで駅前整備も含めてやっていると。これもこの秋に合併を祝おうということで記念式典を予定しておりましたけれども、このままの状態でいけば式典もやれない。大変迷惑を被っていると。事業は途中まで来ているわけです。これはどうなるのかなと。早いこと、みんな利用したがっているわけですね。それもめどが立たないと。大変迷惑をしているというのが率直な考えであります。
  126. 弘友和夫

    弘友和夫君 道路の問題で、昨日もこの委員会で綾部市に伺ったんですけれども、片道一時間半ですね。往復三時間。途中高速もつながっていない。日本海の丹後の方に行ったら片道三時間は掛かるという。先ほどお話しのようにこれをつなげるのに反対する人は私はいないんじゃないかなと思うんですけれども。  実は、日曜日にNHKのテレビを見ておりましたら、ある党の代表の方が、高速道路はつながないといけない、だけれども地方道路はもうほとんどできているんだ、ヨーロッパよりも二・何倍、アメリカよりも三・何倍もできてもう要らないんだと、こういったことを言って私もびっくりしまして、今までは必要な、まあ財源はどうするかは分かりませんけれども、必要な道路は造るんだとこう言っておられたのが、地方道路は要らないんだと、こういうことでびっくりしまして、そういうことで果たして党全体のこれは御意見かなというように、一回これは国会の方で聞いてみたいなというふうに思っておりますけれども。  やっぱり先ほど木村公述人の、京都でも北部の方は地域間格差、雇用の問題というのは大きな問題だと。それで、昨日、綾部市は、その途中はなかったけれども、市長さんが言うには、おかげで大阪だとかそういう高速道路が二つクロスしている、大阪から一時間半でしたかね、それで企業がたくさんいろいろ来ましたよという話をされていましたよ。  だから、やはり必要なところは必要じゃないのかなと、地方道路は全く必要ないみたいな話は私はとんでもない話じゃないかと思いますけれども、短く四人の方に御意見を賜りたいと。
  127. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) じゃ、澤井公述人、よろしゅうございますか。
  128. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 地方道路は必要ですよ。九州東海岸なんか大変だと思うんですよね、僕も北九州におりましたから。大変ですよ。大分から先、臼杵から先はほとんど通ってない。京都もそうです、京都の北部も必要です。  ただ、それと道路特定財源の議論は別なんです。それは一般財源にしても、道路を造ることに地域的な合意があればそれは優先的に造ればいいんです。それは自治の問題なんです。それと、だから道路特定財源とは結び付けないで議論した方がよろしい。じゃないと、財源があるから道路を造ったんじゃ駄目なんですよ。本当に道路が必要かどうかは財源の問題じゃなくて、その道路がどう地域的な住民の生活を支えるかというので住民の合意をつくっていく、それが先だと思うんですよね。財源があるから道路を造るというのは駄目だというのが私の意見です。
  129. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) 今地方、知事さんの中でもほとんど道路特定財源のことについては前向きの、前向きというか、それを守ってほしいという意見が多いと思いますけれども地方の声としては財源総額が欲しいというところがありまして、道路特財の形で残した方が財源総額につながりやすいというふうにやっぱり考えておられるんじゃないかと思うんですね。国民に税負担をお願いすることが非常に難しい時代の中で目的税の方が、これが、道路を一番活用する方に御負担をお願いするというお願いの仕方が理解をしやすいというところが目的税の場合に一つありますので、国民負担に応じてもらうためにはそれがベターな方法であるというふうに考えている部分があると思います。  ですから、私も再三申し上げていますように、国民負担率が、私はもう少し引き上げるべきだというふうに思う中で、その中で、何といいますか、特定財源の問題は改めて議論されるべきではないかというふうに考えます。
  130. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 道路が必要か不要かというようなことでなしに、やはり今、澤井先生がおっしゃられたように、財政的な裏付け、また地方自治、地方分権の推進の立場で今の特定財源がいかがかというようなとこら辺の問題意識は持っておるわけでございます。  私たち自身も仕事柄、京都府内、今先生おっしゃられたように、北部にもしょっちゅう行くわけでございます。何でこんなところまで三時間掛かんねん、東京までやったら二時間ちょっとで行けるのにと思いながら車走らせておるわけでありまして、ただ、経費、収支なり経済効率からいうていかがなものかというとこら辺については確かに、昨日は行かれたかどうか分かりませんが、綾部から宮津までの道路についても、我々夜走っていても、二之湯先生は御存じだと思いますが、タヌキかキツネしかおらぬような、ほんまにこれ開通している道路かいなと思うような道路、立派な道路もできておるわけです。我々は十分活用はしておるんですが、そこら辺についてもやはり地方自治体の裁量にゆだねられる、そういうようなとこら辺が一番のベターな解決策ではないかというふうに考えています。  以上です。
  131. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) 私の町の周辺、市ばかりです。西側は学研区域になっています。ところが、そこの学研区域などは人口が伸び税収も増えているわけです。同じ昔は郡内です。ですから、住民の方は行政サービスに物すごく目が行きます。ところが、私の町は人口が減り税収も減っている。もちろん、先ほど話がありました交付税も減っている。ですから、もう四苦八苦しています。  しかし、これは住民の期待にこたえなければならないわけであります。そこで、企業を持ってきたい。以前から民間企業が買収していた土地があるわけです。それを開発しようとしたときに、ネックとなっているのが道路と排水です。今、京都府に道路、排水は国交省にということで、これもスタートしてもらったところなんです。これが行かなければこの開発ができない。  やはり、道路があってこそ、そういう企業を持ってこられる、そして税収の確保につながる、そのことが行政サービスの充実になると。したがって、道路は絶対に必要であると私は思っています。
  132. 弘友和夫

    弘友和夫君 私どもも、一般財源化、これは福田総理自ら来年度から一般財源化という方向性も出しているわけですし、そういう中で特定財源、税率の問題もやっていこうという方向性、それはもう大体方向性になっているわけですけれども。  私、今現実に各地方歳入欠陥で困っているということをどうするんだということがやっぱり大事であって、それは今からの方向性はきっちり話合いをすればいいことと思いますけれども、特定財源じゃなければいいという御意見も、澤井公述人のそういう拝聴すべき御意見もある。  だから、そういう論議をやはり進めていけばいいんであって、三月三十一日ですべてなくなります、駄目ですよということは、大変今日もたくさんの地方の議会の方も来られておりますけれども、それが目の前、困っているんだということで、ちょっと時間になりましたのでお答えもあれですけれども、という意見を述べさせていただいて終わりたいと思います。
  133. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  初めに、澤井公述人、小西公述人に伺います。  首相が提案した道路特定財源の一般財源化について、地方はどう考えればいいのかということについて伺いたいと思います。  私は、地方にとっても、道路以外の例えば医療や教育など切実な課題にも、もちろん道路にも必要であれば回すことができる。それから、道路の中でも、今の特定財源制度の下では、国直轄事業ですとか補助事業、割と幹線的な道路造りにこの特定財源が優先して使われるような仕組みがある。そうではなくて、地方によってはもっと身近な生活道路を優先させるべきだ、そういう判断ができるようになるんではないか。  増田総務大臣も、先日、私の質問に対して、歳出構造の見直しのきっかけになるだろうということを答えられましたけれども地方にとって、限られた税源をどう使うかという自由度が拡大するという点でこの特定財源の一般財源化というのは歓迎すべきではないかと私は思うんですが、お二人の公述人、いかがでしょうか。
  134. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 先ほど申しましたように、道路特定財源の一般財源化というのは、そういう意味で本当に必要な道路は何かという議論をするいい仕組みですので、それを考えていただく。  ですから、やっぱり道路造り過ぎのところもあるんです、さっきちょっと出ましたけど。農道の横に県道が新しくできたり、両方でレースしてたりしてて、何かレースするだけの車もなくてというのもあるんですね。そういう点では、そういう自治体であれば、それは今まで道路に使っていた特定財源で来ていたもので一般財源化されたら、それは福祉に使ってもいいし教育に使ってもいいし、その自治体の裁量で決めていけばいいんですね、そういうふうに。それは市長と議会と住民で決めていくと。  そういうふうに一般財源化というのは自治を促進する貴重な、そういう意味じゃ追加財源でありますから、歓迎しているところです。
  135. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) 私も、一般財源化がまずいというふうに言う財政学の研究者は多分いないというふうに思います。基本的には一般財源化をして、山下先生がおっしゃるように自由に選択することが望ましいというのが基本であると思います。  ただ、再三申し述べていますように、地方としては、財源枠が守られるということをどうしても担保してほしい、財源が必要ですというところがありまして、この道路財源という枠組みを維持していくことの方が財源枠を守る上では戦術として、あるいは戦略として望ましいのではないかという意見があって、今地方からの声がそういう形で出ているというところであると私は見ておりますので、その財源枠が確保されるということが地方関係者に安心されれば、基本的には一般財源の方が望ましい、将来的にはその方が望ましいというふうに考えます。
  136. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて、澤井、小西両公述人に伺います。  四月一日に道路特定財源、それから暫定税率の根拠法が失効いたしまして、それに伴って、今地方自治体では事業執行留保、中には道路事業だけではなくて他の普通建設事業あるいは経常的な事業、医療、福祉にまで留保せざるを得ないという影響も出ているというふうに聞いております。  なぜ道路特定財源の失効が他の分野の事業の留保にまでなるのか、これも増田総務大臣に質問いたしましたら、道路事業の中での公債費、借金返済の割合が非常に大きくなっている部分があるであろうと。昨日、京都府に伺いまして、今朝追加資料をいただいたんですが、実は京都府の道路関係費のうち公債返還費の占める割合を見ますと、平成年度道路関係費が一千百十九億円のうち公債返還費が百六十四億円、比率は一四・七%だったのが、平成十八年度事業費が八百六十六億円に縮小する中で公債返還費が三百六十億円に膨れ上がりまして、その比率は四一・六%。こういうふうに道路事業費の中で過去の借金の返済部分が非常に膨らんできている。  なぜこんなに膨らんだのかと、これも増田総務大臣に聞きますと、増田総務大臣は岩手県知事の自らの体験も想起されながら、九〇年代、国の景気対策にお付き合いしたことが大きな原因だというふうにお述べになりました。  ですから、私はこの今の道路予算の非常に圧迫されている状況の要因は、大きく言って九〇年代の国の地方に対する景気対策の押し付けというものがある。ですから、今一般財源化そして暫定税率の失効ということで予算がなかなか進められないという苦境に立っているわけですが、だからといってこれを全部元の暫定税率それから特定財源制度復活というふうにしてしまうのでは同じような問題を繰り返すことになるのではないか。  したがって、私は、今地方がやるべきは、道路も含めた事業の見直しと、それでも必要な道路もあるでしょう、そういう場合は、今の地方財政を非常に圧迫させてきた九〇年代の国から地方への公共事業の押し付けというのもありますから、不足する分は国が、特に交付税の減額ということを一方的にやったわけですから、これを復元するなどであてがうべきだと。そうしないと、今の状況をまた元どおりやるべきだというふうにするのも今の時代の流れに沿わないことになるでしょうし、いや、それはもうなくなったものはなくなったなりにやってくださいというのも国としては無責任だと思うんですが、いかがでしょうか。
  137. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 今、自治体の方では確かに困っていますよね。京都府の八幡市というところでやっぱり行財政改革委員会というのを始めまして、第四期目かな、始めて。この間その報告を受けましたけれども、そこでも、八幡市でも譲与税も含めまして四千万円道路関係税がありますので、それについてはどうするかなと言っていましたね。それぐらいの額ですと、一応財政調整基金というのがありますから、これで賄うかなというのは担当の方の議論でした。そういう意味では吸収はできないことはない。でも、府県は難しいと思いますけれども。  それともう一つ、あと事業の、今止めておる場合多いわけですが、それも一つの手で、道路って面白いのは、事業を止めてもいいんですよね。今年度十キロやるところを五キロにすればいいんです。そうすると、予算規模が少なくなりますので、井手町のようなところの業者は困るわけで、そのための手だてはしなきゃいけない。ですけれども自治体財政負担は繰延べみたいな形でできますよね。ただ、その間、穴が空きますから、それをどうするかという問題がありますが。  比較的、何というかな、経常的な支出で支出を止められないということじゃなくて、道路建設というのはそういう意味でいうとかなり伸縮性がありますから、だから国の直轄事業も同じですよ。例えば、今年度十五キロであそこまで行くところを結局十二キロになったというようなことがありますね。そういうのは予算執行がなくて財源が浮くということになりますし。そういう点では、困っていますけれども、どうにかならないことはないということです。  ただ、先ほどの暫定税率の話ですけれども、私は、暫定税率を下げてガソリンの消費が増えていると思うんですね、みんな満タンにして。これはおかしいですよ。世界的にガソリンの消費を増やすような税制をやっているところはないですから。  私は、だから、暫定税率に戻すとしたら税の性格を環境税に変えるべきです。要するに、ガソリンの消費を抑えるという意味の環境税、それでもって地球環境対策に資すると。これは、それこそ我が国の基本的な国際的な地位を確立するためにも絶対必要なことです。逆に言えば、それができないとおかしなことになる。  そういう点では、環境税というのは、そういうふうに環境に負荷がかかるものについては課税してその消費を抑えるというのが環境税の一つの性格ですね。それを明確にすべきだと思うんです。それだったら僕は今ガソリンの価格が下がってほくほくしている方も納得していただけるんじゃないかなと思うんです。その辺の環境税の議論をもうちょっとしていただきたいんですね。環境税としての、例えば従来の道路関係税を一般財源化したときに、一般財源としていいんですが、ですから、環境税で上がった税収は一般財源として使う。それは例えばフランスのように社会保障税にしてもいいんですけれども。  ですから、そういった使途についてちゃんと議論した上で、だから環境に使わなくていいんですよ、環境を良くするための税じゃなくて、あくまでも環境税というのはそのときの消費を抑えるという意味の環境税ですから、使い方は自由に御議論されればよろしい。その辺はEU諸国の環境税はみんなそういう性格を持っていますので、その辺を含めて新しい税制の議論として考えていただきたいと思います。
  138. 小西砂千夫

    ○公述人(小西砂千夫君) この委員会では常に自治体間の財政力格差というところがテーマに、そこがいつも問題になっているんだろうと思いますが、格差、特に税収に乏しい団体、あるいは交付税をたくさんもらっている団体財政状況が厳しいのは、地方交付税が減ったということは、もちろんそれが前提なんですが、過去に発行した地方債の元利償還金は容易にこれは基本的に減らせないわけですから、元利償還金が減らせない中で財源が減ってきたことが格差感の原因ですね。そのそもそも論を山下先生御指摘されたわけですが、実態としては、今どんなに行革をしても地方債の元利償還金は簡単には減らせないという中で格差感が出てきているというところがあると思います。ですから、基本的に、地方財源を圧縮しますと、非常に言い方は不適切かも分かりませんけれども、借り過ぎてしまった団体には非常に過酷な状況が生まれていると、そういう状況であると思います。  ただし、地方財政計画における投資的経費というのは平成でいいますと十二年辺りから相当なペースで、最初はゆっくりですがもう最近はどんどん減らしてきていますし、基本方針二〇〇六では、基本的には三%程度を二〇一一年度まで、平成二十三年度まで圧縮するということになっていますので投資的経費は相当下がってくる。ですので、長期的に見ますと、地方債の元利償還金、特に交付税の基準財政需要額に算入されない部分は少し先に行きますとかなり下がってくる楽しみがある。そうなったときに財政状態が少し良くなる楽しみがある。  ただ、この一年、二年、平成二十年度地方財政計画地方債の元利償還金はむしろ増えていますので、まだもう少しなんですね。そこまではやっぱり急激な財源の圧縮は避けていただきませんと、どうも悲鳴が上がるという状況だろうと思います。  そこで、国の道路財源と地方道路財源については、少し国会の先生方も表現がどうも違う。地方の方は形はともあれ財源が必要ではないかというふうにおっしゃっていただいていると思いますけれども、それは今、山下先生御指摘されましたように、財源で道路を造っている部分もありますけれども元利償還金に回っている部分もあるというところを御配慮いただいたことではないかと思いますので、地方道路財源は元利償還金に回っている点は大変重要な点であるというふうに思います。
  139. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて、汐見公述人に伺いたいと思います。  私も国会がしっかりと審議をする場であるべきだという意見には同感です。その上で、必要でない道路はどこか、あるなら棚上げして必要な道路から進めればよい、大変見識のある御意見だと拝聴いたしました。同時に、それがほかの課題、高齢者の医療、どう安心していただくのかなどとも一緒にして、どの程度のこの道路については優先度が、道路だけではなくて他の課題も含めてあるのかということを住民ぐるみでしっかり議論することが地方財政の現状の下では非常に重要になっている面があるのではないかと私は思うんですが、その辺り、自治体の長として大変苦悩されている面多いと思いますが、いかがでしょうか。
  140. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) この教育、保健、福祉、これは長としては住民の期待にこたえるという意味では充実したいわけですね。ところが、何も空気だけではいけない、やはり金が要ると。先ほども言いましたように、そのために私は企業をということで今度の四期目の公約で出して、そのためには道路なり排水、これはきちっとやっぱりやってもらわなければならない。そのことによって雇用や税収が増えてくる。こういうことで、何もないところで先にそれはなかなかできないんではないかなという考えを持っております。  それから、確かにこの住民合意、言葉は一番結構な言葉なんですけれども、我々は必要な道路計画立てて、もちろんいろんな審議会あるいは議会にかけながら進めるわけですね。これはやはり住民合意だと思っています。そういうことをしないでしているところはないと思うんです。やはりみんなこれは合意の上で推進をしているというふうに思っておりますし、今言われているように、住民のこういう要望に基づいてそれぞれが整備をしていくということは重要なことであると、私もそう思います。
  141. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて汐見公述人に伺いますが、建設業の役割なんですが、雇用の担い手という点でも大事でしょうし、よく聞きますのは、大規模工事、大規模開発に地元の中小の建設業が下請で入る場合、かなり単価をたたかれて砂をかむような仕事にしかならないんだということをよく私伺います。そういう意味では、道路特定財源の国直轄事業などは割と大規模工事になりがちですのでそういうこともあるのかなと。少し実態を御承知でしたら伺いたい。  それから、これから道路関係でも、生活道路を含めて維持管理が大変掛かってくる時期になると思います。実は、地元の建設業者さんこそ地域のメンテナンスということについては一番能力や、常に地元にいるわけですから一番適していると。災害のときにも、どこに行けば、どうやったら復旧の手伝いができるか、常に待機されているのも地元の建設業者さんだと思います。ですから、そういう道路の維持補修については地元の建設業者さんはこれから出番だと。それから、同時に、道路だけではなくて古く傷んだ学校の改修ですとか耐震化ですとか、こういう生活密着型の公共事業にとってもやはり地元の建設業者さんの出番だと思っております。  ですから、道路だけで考えるんではなくて、そういう維持補修ですとか身近な公共事業をうんと拡大することが地元の建設業者さんの仕事を増やすということにもなるんじゃないかと思うんですが、その辺りの今実態と方向性はいかがでしょうか。
  142. 汐見明男

    ○公述人(汐見明男君) 先ほど言いましたように、私の町の業者は零細であります。大部分が下請、孫請で今までやってきたと。ただ、この間、非常に受注が少なくなった、公共事業なり民間もそうですけれども、仕事が減ってきたということで物すごい低入札で落としていくと。先ほども言いましたように、井手町の業者は近畿一円に今まで下請、孫請で入っていたわけですね。ところが、今入れないんです。腕は、私は、地元のことを褒めるということもなんですけれども、どこにも負けない腕は業者は持たれておると思っています。しかし、その下請、孫請の価格が合わないんです。で、今はもう外へはなかなか進出できない、仕事ができないという実態であると。あと、中身の話は私していませんので、それはちょっと分かりませんけれども。  それと、地元のいろんな、道路だけではなしに建築関係、建物関係、今でいえば、地震の方も安定期から活動期へ入ったと言われております、確かにもうそういう時期に来たと。したがって、耐震補強、診断し補強していくと、こういう仕事もあるわけですね。ただ、これも維持管理をする場合、財源が要るわけです。これが、言葉は悪いですけれども、ひも付き、いわゆる国や府の補助金がなかなかないんですね。私のところだけでやらなければならない。小さな町村はそれがないんです。  先ほども言いましたように、もしこういうことで財源確保をしてもらえなければ、緊急、安心、安全でやらなければならない事業もあるわけですね、金は、そう財源は掛からなくてもやらない、その財源も生まれない、したがって住民生活に大きな影響が出てくる、このように思ってございます。
  143. 山下芳生

    ○山下芳生君 ありがとうございました。
  144. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市でございます。  四人の方に心から感謝申し上げたいと思います。  ただ、時間の関係で、四人の方にすべてお伺いをするというわけにまいりませんので、おわびをまず冒頭申し上げながら、私はまず澤井公述人にお伺いをしたいと思います。  地方交付税が、そしてまた地方財政計画がなぜこんなに縮小されてきたかについては、私もこれまでさんざんただしてきたところでありますけれども、もちろんこの動機は、小泉流の安上がりの中央政府にすること、つまりは地方財政への国の責任を縮小することにあったと思いますね。で、地方交付税が、五兆円削減の前提として、地方財政計画の帳じりである地方財源不足額がピーク時の十・六兆円から今年度は五・二兆円にまで抑制をされております。問題は、その手法というか、からくりが問題なんですけれども、使った手法というのは、これは澤井先生がかねがね御指摘されておりますけれども、総人件費の抑制であると同時に投資的な経費の削減ということが大きかったと思います。さらに、もう少し絞って地方交付税の範囲でいうならば、基準財政需要額の恣意的な切下げがあったと思いますけれども、ここは具体的にはなかなか見えにくい中身ですね。  そこで澤井先生にお伺いしたいんですが、この見かけの財源不足の圧縮というのはどういう要素、手法による部分が大きかったというふうにお考えになっているかということでありまして、そして地方がそれによってどういう具体的施策において困難に陥ったか。それは逆に言えば、今後これを回復するために地方がどういう形で要求を出していけばいいかということにもつながるんだろうと思うんですが、その点では、先ほども澤井さんは介護保険で基準財政需要額一兆円を追加しろという、ほかのペーパーにもお書きになっておりますけれども、そんなことを含めて御説明いただければと思います。
  145. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 今言われた、交付税を削減してきたその手法というのは、基本的には基準財政需要額を圧縮してきたわけで、その中心は地方単独事業の圧縮なんですね。これは、要するに従来人件費分を投資的経費である程度食べてきたということがあります。その辺の歳入歳出の調整をして実勢に近付けるという形で総務省も合意をして、経済財政諮問会議の場で当時の片山総務大臣は最初は怒っていたわけですが、経済財政諮問会議という土俵の上で地方交付税総額の圧縮というのに合意して作業してきたということです。ですから、現在、地方単独事業というのは、決算上も二〇〇一年ぐらいから比べれば半減しているわけですね。それだけ激烈なやっぱり変化で、それが井手町を例えば直撃しているわけです。  ですから、それについては、ちょっと今、小西さんもおっしゃいましたけれども地方財政計画上の投資的経費というのはそこまで下がっていまして、その後増える要素はないわけですね。特に公共事業の圧縮というのは二〇〇六年の基本方針にも書いてありますし、大体合意ができていますのでね、これは。それが一つ。  それからもう一つは、人件費の方は実勢に近付けながら定員削減をずっと進めてまいりまして、これが多分地方財政計画上の圧縮の幅よりも早く自治体の現場では進んでいると。現在では、自治体の現場での定員削減が先行して地財計画上の人件費、定員数が縮小するというふうな形にまで来ていると思うんですね。それが、先ほど最初のときにも述べましたけれども自治体現場では非常に大きな負担になってきている、あるいは公共サービスの水準の切下げになっているんじゃないかなと。その辺を、だから、データ的にはなかなか分かりませんけれども、その辺をもっと議論していくべきじゃないか。ですから、僕はもう、人員削減についても限界を超えているんじゃないか、もちろん、だから、自治体というのは千八百ありますからいろいろですけれどもね。それが結局、臨時職員、非正規公務員を増やしている。  それについて言うと、やっぱり正規公務員だけ生き残る形になっているんですね。正規公務員の方は、二〇〇七年問題があって、団塊の世代が退職する中でうまい具合に定員削減できているわけですよ。退職不補充ということですね。大体数人しか雇わないとか。それで一体仕事ができるんですかね。そういうような見方が必要だと思うんです。  その点では、交付税総額について、つまり新しい需要を繰り込んでこなかったというのが問題、削るばっかりで。ですから、そういう意味では、新しい需要で、新しい需要額はきちんと積み上げていくというのを地方団体の方もやってもらいたい。ですから、二兆円減ったから二兆円増やすんじゃなくて、中身を、新しいもの、新しい分野、行政は変わってきていますから、法律も新しくできていますからね、新しい法律によってどんな需要ができていて、どんな例えば職員数が必要になっているかと、そういう議論をもっと詰めていただいて、そうすると交付税総額が増えていくことについても国民的な合意が得られるんじゃないでしょうか。  二〇〇〇年以降、物すごく変わったと思うんですよ、自治体行政は。一方で投資的経費が減っていますから、その辺のすき間が出ている可能性もあるんです。その辺の需要額の新しい需要構造を、特に経常経費系統、これをきちんと入れていかないと自治体の負担、大体みんな兼務でやっていますからね、兼務というのは、要するに、特に町村なんかもう大変です、三つも四つも五つも六つもやっていますから。目が回ると言っていますが、仕事はできないですよ、そんなのは。こなしているだけ。これじゃ住民にとって不幸です、それは。住民の方も職員減ったらいいなと思っていますが、限界を超えたら住民の方の反乱が起きますよ、今度は。  その辺で、きちんと需要額の構造を変える、特に経常経費系統で、投資的経費はそういうふうに半減していていいわけですから、経常経費を重点にした需要額の方の議論をお願いしたいというふうに思います。
  146. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  引き続きですが、今おっしゃったのは、本来は自治体予算を積み上げて中立的にまとめるべき地財計画が逆に締め付けのフレームに使われてきたというふうに、そんなふうに今私は受け止めるわけですが。  私も、地方の疲弊に歯止めを掛けるには、行政水準の回復、引上げ、それを反映する需要額算定の引上げが何としても必要だと。そういう意味でいうならば、地財計画をまさに五か年計画ぐらいで計画的に増額、回復すべきではないかと、こう思っているわけですが。  そこで、今の問いとも重複するかもしれませんが、澤井さんは、基準財政需要額の構造を四分野中心に組み直すという、こういうことを提唱されていますけれども、その点についてもう少し詳しくお聞かせをいただければと思います。
  147. 澤井勝

    ○公述人(澤井勝君) 福祉と教育と環境と、あと町づくりという四分野に集中して組み立て直したらどうかと。  福祉というのは、先ほど申しました介護保険崩壊状況。やっぱり基本的に言えば人件費の問題。人件費と言えば報酬の問題ですね。介護報酬の地方負担分、これをきちんと入れるべきだと。  例えば、介護報酬と言えば、今ケアスタッフの給与、大体五年とか十年勤めても十八万とか二十万ですからね。これを例えば五万引き上げるという場合に、市町村負担分はどのぐらいになるのか、そういう計算をして、例えば三十万人のケアラーの給料を五万円上げる場合にどのぐらい金掛かるか。その場合、介護保険の場合でしたら、公費の負担の方が二分の一で、それぞれを更に二分の一と、一二・五、一二・五というふうに国と市町村、県が分けていますから、その市町村分の、それから県の分の負担分をどういうふうに需要額に組み込むかという議論が必要だと思うんですね。  それから、教育もそうですよね。今度の大阪府の改革で橋下さんは、これPT案ですけれども、三十五人学級を進めてきたんですけれども、それを中止して元に戻すように言っていますが、そうじゃないんですよね。もちろん大阪府の財政状況は分かりますけれども、でも、それでいいんでしょうか。地域の教育を、やっぱり三十五人学級、実際には三十人学級もあると思うんですが、それを進めていくための財源はきちんと保障しなきゃいけない、例えば。ということで、これからの国の将来というのはやっぱり教育だと思うんですね。その辺に、そういう点の議論がしていただきたいなと思っています。  それからあと、環境対策もありますね。地球環境対策で新しいことが増えてきます。それについての政策も必要でしょうということですね。  それからもう一つ、ちょっと付け加えますと、今、それが今アウトソーシングで民間委託で自治体の本来業務を含めて出していますけれども、それで本当にいいのかという議論、先ほど御質問あったんですけれども、行政責任の明確化というのをもっとはっきり出したい。  例えば、一昨年、ふじみ野市ですか、埼玉県のふじみ野市で市立の公営プールで二年生の女の子が吸い込み口に吸い込まれて亡くなった事件がありました。これは、この市公営プールは指定管理者なんですね。ところが、その指定管理者は市との契約に違反して下請使っていたんですね、丸投げしていた。そこで刑事責任が問われまして、一体その下請なのか、責任があるのは、実際に管理しているね、それか指定管理者なのかと。じゃ、行政はどうなのかと、これは教育委員会ですけれども。まだ裁判が始まったところですけれども、最終的、埼玉地検は結局、教育委員会の課長と係長を起訴しました。  ですから、指定管理者において丸投げしたような状況になっていますが、行政責任は免れない。というかむしろそこが中心になる。指定管理者にして業者に任せたままで、それを見にも行っていなかったということで、起訴されています。もちろん、裁判はまだ分かりませんよ。分かりませんけれども、そういう意味での民間委託や指定管理にした場合でも行政責任をもっと明確にすべきで、その場合の仕事の在り方というのは、今のような窓口に嘱託の職員がいる状況ではできませんよ、それは。そういう意味での行政責任の明確化というのを改めて、特に、まだ多分市場化なんかも進むでしょうから、逆に言うとそれを管理する、あるいはそれを評価する行政責任はもっと明確にするべきだというふうに思います。
  148. 又市征治

    ○又市征治君 どうもありがとうございました。  それでは、木村公述人にお伺いをしたいと思います。  今日、低賃金で身分も不安定な非正規労働者と言われる人々が全勤労者の三分の一、一千七百四十万人を超える、こういう事態になって、先ほども木村さんもおっしゃいましたけれども自治体職場でさえも職場によっては半数を超えるところも出てきている。異常な労働情勢だと思うんですね。これ、国際的に見ますと、OECD加盟国の中で日本と韓国だけですね、こんなような事態は。もうひどい状態なんです。  私たち社民党としては、市場経済万能論に基づく労働分野の規制緩和というのは、行く行くは憲法二十五条に保障された健康で文化的な最低限度の生活というこの基準さえも壊してしまうし、健全な社会の持続的発展を阻害をする、こんなことをずっと申し上げて反対をしてきたんですが、残念ながらここまで来てしまった。つまりは、構造改革、規制緩和と、大合唱の中でここまで来てしまったということだと思うんです。  そこで、今私たちは、野党は可能な限り協力を求めて、派遣労働法の改正であるとか、あるいは最低賃金は時給千円以上に何としても早くしよう、こういうことなどを求めておりますけれども、先ほどもお話が若干ございましたが、京都あるいはこの関西地区における労働現場の状況なり、また連合として今申し上げたようなことについてどのようなお取り組みなさっているか。あるいは、もう少し、もっと政治はこういう点をしっかりやってくれよと、さっきから道路ばかり出ていますけれども、もちろん道路も大事で後でやりますけれども、ちょっとそこらのところを木村さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  149. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) 確かに今の労働現場、非常に厳しいといいますか、もう我々が勤めたころからは考えられないような形での下請、派遣、有期雇用というのが、もう多様な労働者が入ってきておるというのが現実でありまして、公務職場も決して例外ではないというのが現実でございます。  今、澤井先生の方からもありましたように、様々な新しい課題も生まれてきておりまして、我々自身、同一価値労働同一賃金というとこら辺を基本ベースにしながら、こうした非正規の問題についてもきっちり解決、取組を進めていきたいというふうに考えております。  連合としては、昨年の十一月に非正規労働センター、これ中央で立ち上げましたし、今後は地方連合においてもそうしたセンターを立ち上げていくということが課題でありまして、連合京都でも今検討中でございます。今春闘におきましても、連合京都傘下の組合におきましても、非正規の賃金引上げなど労働条件の改善を勝ち取ったところもございました。そういうような中で、これからの非正規の取組、労働組合の重要な課題として取り組んでいきたい。我々としては、今はまだ月に一度、連合の日というのを設定いたしまして、市民への街頭での訴えも行ってきておるところでございます。まずは、そういう非正規の組織化ということ、大きな課題としてこれからも取り組んでいきたいというふうに思っております。  あと、又市先生の方からそうした最低賃金制の問題等々もあったわけでございますが、我々からいたしましても、政治に対して要望といいますか、何を求められるかということでございますが、やはり今の社会の中で将来に対する希望ももうなくしているようなところが多く見られるわけでございます。  先ほども言いました雇用確保など、セーフティーネット社会のセーフティーネットというものをきっちり確立していただきたい。安心、安全で希望の持てる社会をつくっていこうというとこら辺での取組を共に進めていただきたいというふうに思っておりますし、そのためにはやはり最賃も含めて、自治体等におけます公契約条例、そういう制定促進について積極的な御支援をお願いいたしたいというふうに思っています。その公契約条例の中には賃金面も入れて、不当な派遣なりそういうことが起こらないような監視もお願いしたいというふうに思いますし、最低賃金制度についてはきっちり堅持していただきまして、今先生がおっしゃっていただいたような千円というとこら辺はやはり一つの大きなポイントではないかというふうに思っています。  あと、中央で合意いただきました、政労使で合意いただきましたワーク・ライフ・バランスについても、これからの社会の建設に非常に資するものであり、避けて通れない問題だということも含めて御協力、今後ともよろしくお願いしたいと思っています。  以上でございます。
  150. 又市征治

    ○又市征治君 先ほど公述人の中からも、あるいはこちら側、委員の中からも今の道路特定財源問題で話合いがなされていないというような話がございました。これ、せっかくここだけ傍聴の方もおいででありますから、ちょっとやっぱり事実申し上げておきたいと思うんですが。  私たちは、どうだろうと国会というところは議論をする場でありますから、当然のこと話合い第一ということで私たちも求めてまいりましたが、事実経過で言うならば、皆さん御案内のとおり、三月の二十七日に福田さんが初めて道路の来年度からの一般財源化という問題をおっしゃった。それまでは今までどおりの政府の案、十年五十九兆円の計画、そして今の特定財源全部そのまま維持、こうおっしゃっておったわけで、これは話合いにならない。こういうことになって、昨日ようやく六党幹事長同士によって初めて話合いやりましょうと。ここに今日の混乱、汐見町長もおっしゃるように、そういう意味では大変迷惑だとおっしゃっておる、こういう事実経過、これはやっぱり政権の側に大変大きな責任がありますよ。その点は、話合いはしないとか審議がしていないとかではなくて、そうした土俵、この三月三十一日で切れるという状況があったわけですから、そのことをやはり是非理解をいただいておきたいと思うんですが。  さて、そんなこと言ったら聞くことがなくなってしまいますから、木村さんに。  先ほども、木村さんの方からは、連合の中やあるいはその周りでは、いや有り難いなという声の方が多いと、こういうことで迷惑というそんな声は余りありませんよというお話でありましたが、問題はこの道路関係の諸税、ガソリンだけじゃございません。六税に暫定税率などというのがあるわけでありますが、こうした道路関係諸税をこれまでどおり道路造りに使っていくのかどうか。やはり、もう結論出たような話なんですが、社会保障や福祉や、あるいは教育や環境やという様々な分野にもっと自主的に自治体が使えるようにすべきだということが基本なんだと思うんですが、その点について、木村さんの周りの連合なんかの中ではどんな御議論があるか、あるいはお考えはどうかということを最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  151. 木村幹雄

    ○公述人(木村幹雄君) それぞれの自治体、今京都府内で二十幾つということになっておりますが、で首長がおられ、議会も持っておるわけでございます。それぞれが執行権があるというその中で、やはり大事な税については優先順位を付けてそれぞれが判断してやっていかれたらいいという、それは地方分権の基本だというふうに思っています。  そういう意味から、道路が駄目だということじゃなしに、道路が優先されるべきであればその地域では道路が優先される、そういうような施策が首長の下、議会の合意の中で積極的に取り組まれる、そういうようなとこら辺での税の使い方ということがベストだというふうなことで考えております。  以上でございます。
  152. 高嶋良充

    ○団長(高嶋良充君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げたいと思います。  皆様には、長時間にわたりまして有益な御意見をお述べいただきましたこと、誠にありがとうございました。拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいというふうに存じております。本委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  以上をもちまして参議院総務委員会京都地方公聴会を閉会いたします。    〔午後零時十二分閉会〕