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2008-03-27 第169回国会 参議院 総務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十七日(木曜日)    午前十時六分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      梅村  聡君     一川 保夫君      長谷川憲正君     自見庄三郎君  三月二十六日     辞任         補欠選任      一川 保夫君     梅村  聡君      自見庄三郎君     長谷川憲正君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君        国土交通大臣  平井たくや君    大臣政務官        総務大臣政務官  二之湯 智君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官郵政民営        化推進室長    木下 信行君        人事院事務総局        給与局長     出合  均君        総務大臣官房総        括審議官     岡崎 浩巳君        総務省行政管理        局長       村木 裕隆君        総務省自治行政        局長       岡本  保君        総務省自治行政        局公務員部長   松永 邦男君        総務省自治行政        局選挙部長    久元 喜造君        総務省自治財政        局長       久保 信保君        総務省情報通信        政策局長     小笠原倫明君        総務省総合通信        基盤局長     寺崎  明君        総務省郵政行政        局長       橋口 典央君        総務省政策統括        官        中田  睦君        消防庁長官    荒木 慶司君        消防庁次長    大石 利雄君        国税庁長官官房        審議官      西村 善嗣君        文部科学大臣官        房総括審議官   合田 隆史君        文部科学大臣官        房審議官     久保 公人君        厚生労働大臣官        房審議官     中尾 昭弘君        水産庁増殖推進        部長       重  義行君        国土交通省道路        局次長      原田 保夫君        国土交通省自動        車交通局次長   神谷 俊広君    説明員        会計検査院事務        総局事務長官        房総括審議官   河戸 光彦君    参考人        日本郵政株式会        社取締役代表        執行役社長   高木 祥吉君        日本郵政株式会        社常務執行役   伊東 敏朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成二十年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成二十年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣所管人事院)、総務省所管公害等調  整委員会を除く)及び公営企業金融公庫) ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (行政制度地方行財政消防行政情報通信  行政等基本施策に関する件)  (平成二十年度人事院業務概況に関する件)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査及び行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官郵政民営化推進室長木下信行君外二十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査及び行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本郵政株式会社取締役代表執行役社長高木祥吉君外一名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 昨日、予算委員会から、本日一日間、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣所管のうち人事院公害等調整委員会を除く総務省所管及び公営企業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本那谷屋正義でございます。  昨日、本当に咲きかけていたというか、まだ二分咲きぐらいの桜が今日はかなり広がってきているという、この桜がいつ咲くのか散るのかというそのころは人事も非常に気になるところでありまして、私の出身母体であります日教組の委員長も、これは前の委員長大臣と同じ岩手県の出身でございましたけれども、今度交代をすると。その前に、総務大臣について知事時代どうだったのかということをお聞きするそんな機会がございまして、そのお話によると、大臣は、県民と行政の在り方、そしてその執行部隊である公務員並びに関係労組に対する調和の取れた行政手腕を発揮されてきたという、そういう評価をされておりました。そうした評価に期待を寄せながら、今日は、地方公共団体役割に造詣の深い増田大臣ということで、とりわけ公務分野現業職学校現業職をめぐる諸問題について真摯な論議を交わしていきたいと、このように考えております。  まず、昨年の七月に総務省は、技能労務職等給与等の総合的な点検実施と題しまして、各自治体に対して今年度中に成案を得るよう指示をされました。総人件費抑制、民でできることは民での掛け声の下で行われたことは承知しておりますけれども、この指示に関して大臣はどのような認識をお持ちでいらっしゃいますか。
  8. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 那谷屋委員の御質問にお答え申し上げますが、昨年七月に総務省の方で特に技能労務職員給与等の総合的な点検実施というものを行いました。そして、その総務省の方で取組指示をしたわけでありますが、その背景がどうも民間事業従業者に比べて公共団体技能労務職員給与については高額となっているのではないか、こういう種々の指摘があって、それを受けてのものと、こういうふうに考えております。そして、その現状、それから見直しに向けた基本的な考え方といったようなものを明示をするような、そういう取組方針、そして、それを十九年度中を目途に策定して公表するよう要請をしているということでございますが、その前提として、まずよく点検をしてほしい、点検をして、今申し上げましたようなその取組方針を住民の皆さん方に公表して明示をしてほしいと、こういうことを要請をしております。これは当然のことながら公務員の問題が背景にあるわけでございますけれども公共団体に対しての助言という形で指示をしたと、こういうふうに理解しております。
  9. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 まずよく点検をする、そして、助言というふうな今答弁をいただいたところでありますけれども、しかし、この取組全体を見てみますとやっぱり様々な問題があるということを幾つかの視点から明らかにさせていただきたいというふうに思います。  まず、これに関しまして、内簡といういわゆるお手紙に類する私文書にすぎないもの、あるいは総務省自治体影響力を行使するための源泉、便法になってきている、こうしたものが出されているということ。その一方で、地方公務員法職員給与勤務時間その他の勤務条件は条例で定められると明定をされているわけでございます。  地方分権一括法の成立によって国と地方関係対等協力関係とされたはずでありますが、どうもこのやり取りの中でちょっとこれとは違う流れを感じるところでありまして、この内簡の手法を見ても、これでは総務省自らが地方分権阻害要因になっているのではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  10. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) うちの課長名で今お話ございましたとおり内簡を出しているわけであります。その内容については大きく二つ分かれておりまして、情報提供を行っているもの、そういう部分もその内簡には記されております。それから、あわせて、そうした情報提供機会を活用して公共団体行財政の運営上注意すべき点について助言を行っている部分と、こう二つ大きく内簡の内容は分かれるんですが、恐らく今委員の御指摘いただきました点については助言の方の内容がどうであるかということだろうと思います。  技術的な助言ということで、自治法上からも自治体の方にそういったことを行うことは認められておりますが、それは当然のことながら行財政運営を縛るとか、それから何かを押し付けるということがあってはいけないわけでございます。私どもの方でもそういう点については注意をして内簡をお出しをしていると。  ただ、この点については、私も自治体自主性とか自立性に更に配慮する必要があるだろうということで、省内に指示をして、総務省の方でいろいろ発出をしている通知がございます、通知全体について、改めてそういった自主性とか自立性を阻害することのないようにするということと、それから情報提供として出しているのか、それから助言として出しているのか、そこをはっきり明示をして、全体の本数ももっと整理をしなさいということを指示をして、それを受けた官房長文書というものも各職場の方に出してございます。  そういうことで、この点については、この点といいますのは自治体自主性自立性に配慮するということについては、改めて十分私どもは留意して運用していきたいというふうに思っております。
  11. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非、その地方自主性自立性というものを大事にするというかそれを尊重するということを、これをもう最優先にしていただくということを今御答弁いただきましたので、是非お願いしたいと思います。  次の視点なんですが、資料としてお配りをさせていただいております折れ線グラフがございますのでこれを見ていただけたらというふうに思いますが、実はこの折れ線グラフは、各自治体が今年度中に取りまとめることになった公務現業職賃金等にかかわる改善案の元データとして、総務省的仕切りでは改善指標というふうに読替えも可能ではあるかと思いますけれども、いずれにしても、この民間従業員賃金との比較指標とされた厚労省賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスなるものをここに、これは十七年版でございますけれども、ここにお配りをさせていただきました。  この賃金センサスが本来目的とするもの、その調査趣旨等に疑義を挟むものではありませんけれども。ただしそれは、企業規模だとかあるいは男女別賃金格差という日本賃金構造問題点を明らかにする意味においてはいいんだろうというふうに思いますが、これをもっていわゆる官と民の比較をするというふうなことには相当な無理があるのではないかというふうに私自身は思っているところであります。  例えば、これは御覧おきいただけたらと思いますが、縦軸には所定内給与、単位が千円でございますけれども、月額であります。右側の方は年齢区分ということでありまして、色が分かれているのは、企業別が千人以上、それから百人から九百九十九人、それから十人から九十九人というふうに三種類に分かれてございます。  これを見ていただくと、例えば三十九歳から四十歳、四十歳から四十四歳の辺りでかなりがくっと落ちています。これは、普通の賃金のいろんな曲線を考えるととても考えられるものではない。なぜこういうことが起こるかというと、これは調査対象母体数が少ないこと、あるいは派遣、有期雇用ども含まれているということであります。  こうしたことは、そして十八年の方も、まだグラフにしておりませんけれども、十八年の方を見ますとこれが更にまた数値がずれているということを考えますと、非常に調査数値のぶれが大きいと。このことを考えると、賃金センサスの限界ではないかというふうに言わざるを得ません。この資料を見て大臣の率直な感想をお聞かせいただければと思います。
  12. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、今配付されました資料を見ますとぶれが大変大きいということがあって、これは更に委員の方から御指摘がございましたとおり、恐らくサンプル数等も聞きますと大変少ないようでございますので、特定の要因に引っ張られてばらつきが出てきているのではないかと、こんなふうに私も思います。  総務省の方でこの賃金センサスデータ比較に用いた際には、やはり一定のサンプル数どうしても確保しないと今御指摘いただきましたようなことになりますので、そのサンプル数を確保する、それからばらつきを平準化するということで、三か年分のデータを使用してその平均値を公表させていただきましたけれども、やはり賃金センサスを用いるときにはそうしたような何らかの工夫がこれを見ましても必要になってくるのではないかと、こういうふうに思うところでございます。
  13. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 本当に工夫をしていただかないと、大変間違った結果というか結論を導くことにもなるのではないかというふうに思います。  ところで、人事院は、国家公務員給与が適正に定められるよう民間給与実態調査を毎年行っておりますけれども、その際の基本となる考え方についてお伺いをしたいと思います。
  14. 出合均

    政府参考人出合均君) お答えいたします。  国家公務員給与は、民間従業員給与と均衡させるという民間準拠基本としており、公務民間給与比較に当たりましては、同種同等の者同士を対比させることを原則としております。このため、公務に類似いたします職種民間従業員給与実態を毎年、職種別民間給与実態調査ということで把握をしているところでございます。  具体的には、民間企業において賃金改定が行われます四月の給与につきまして、毎年五月から六月にかけて調査員が実地に企業担当者と面接をいたしまして、公務に類似する職種従業員年齢学歴等を含めて実態を正確に調査をしております。この調査結果を基に、主な給与決定要素であります役職段階年齢学歴勤務地域、このような点を同じくする国家公務員給与と対比させ、ラスパイレス方式により精密な比較を行っております。これにより適正な公務員給与が確保されているものと考えております。
  15. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、人事院からお伺いしましたように、大変様々な観点から比較をされているということだろうというふうに思いますが、それでは総務省として、地方公務員給与適正確保のためにどのような基本的考えで臨む必要があるというふうにお考えでしょうか。
  16. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 大事な点でございます。今御指摘いただきましたように、いろいろな要素をやっぱり加味する必要があるということでございまして、この賃金センサス、先ほどから問題になっておりますけれども、このデータは、年齢とか業務内容雇用形態等の点において技能労務職員データと完全に一致しているものではないわけですから、やはり一つ参考ということでお示しをしていると、こういうふうに私ども位置付けているわけでございます。そして、そのデータの質の違いということを無視した議論はやはり十分ではないと。そこをよく加味した上で考えていかなければならない。  ですから、今議論になっております技能労務職員給与については、こうした公表した賃金センサスデータも踏まえながら、やはりその当該団体の中で十分に議論していただく必要があるというふうに思っているところでございます。
  17. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今大臣からお答えいただいたように、様々な部分で不確かというか、それだけがすべてであるというふうな形にはならないというふうなことを言われてはおりましたけれども、これが基データというふうな形にされてしまったということが非常にこの取組の中の大きな問題点一つだろうというふうに言わざるを得ないと思います。  一例をちょっと申し上げたいと思いますけれども賃金センサスで言うところの用務員と、地方公共団体用務員、これは事前に総務省に確認したところ、実態としては学校用務員を指すというふうに確認をしてございます。この学校用務員に限定して、この両者が人事院が言うところの同種同等と言えるのか、少し比較検討してみたいと思います。  学校用務に携わる方というのは、学校運営の安定、そして安全性確保等に資するため、それこそありとあらゆる仕事をしている、系統立った役割を与えられているわけであります。このことはもう既に多くの人が理解をしているところだと思いますけれども、この学校用務員が一体どんな仕事をしているかということについては、多分、総務省で一番理解されているのが増田大臣だろうと御推察を申し上げるところでございます。  岩手県などの雪国の学校用務員は、人から言われなくてもだれよりも早出して、通学路除雪を行い、危険箇所には通行止めなどを行うわけであります。ボイラーの運転を行って学校を暖める、終わったら避難経路除雪に掛かる、いずれも職員や生徒のことを優先して考え学校環境を熟知しているからということでございます。よくある話でありますけれども家庭科調理実習中に電源が落ちれば配線を確認しながら速やかに復旧に努める、これが学校用務員仕事でございます。学校用務員がいなければ学校は回らないというのが多くの校長の意見でもございます。  大臣学校用務員仕事役割に関してどんな認識を持っていらっしゃるのか、改めてお伺いをいたします。
  18. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 教育現場は大変重要なところでございますが、そうした中で、この学校用務員皆さん方は、学校子供たちが学ぶ、勉学にいそしむための様々な面での環境整備に携わっている。  私も岩手学校現場を随分歩きましたけれども、しかも時間帯も随分様々な時間帯参りましたが、確かに、子供たちが朝出てくる前からこうした今の時期は除雪などいろいろやって、それから教室を暖めたりということで、勤務時間も相当早くから遅くまでの勤務となっている。そうした中で、言わば縁の下の力持ちといいましょうか、予期、想定し得ない場合も出ていっていろいろな場面で活動しなければならないということで、大変そういう皆さん方の活動というのは貴重なものだと思いますし、そうした力があって初めて学校の先生や、それから、まして子供たちが学ぶ環境を得ることができるということで、やはりこうした方々も含めた総合的な力で教育現場が回っているんだなということを現場へ行って改めて再認識したところでございます。大変重要な役割を果たしているということを申し上げておきたいというふうに思います。
  19. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 大変立派なお答え、ありがとうございました。  大臣知事をされていた岩手県では、学校現業職をいきなり全廃し民営化を目指すなどという、子供たち地域に対する学校役割すら否定しかねない横暴極まる手法をさすがに取っていらっしゃらない。  この〇七年度から一つの高校で試行が、民間業者委託した場合にその功罪を明らかにするために、試行を行われました。これは大臣知事時代に企画された試行案ということでよろしいんでしょうかね。これから二年目に入っていくところなんですが、こうしたやり方を取られたということは、さすがは学校現場状況をよく御存じの増田知事の選択だというふうに私も思うところであります。  こうした試行をどのような認識経緯等から考えられたのか、お答えいただけたらと思います。
  20. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、教育現場が大変大事だというふうに私申し上げたわけでございますが、そうした中でそうした現場を守っていく上で、一方で、ちょうど知事として厳しい財政状況、その中で財政を運営していかなければならないということでありますので、多様な選択肢の中でやはりそうした民間にできるものは民間委託をするということも考えていかなければならないと、必要な場合にはそういったことも行っていかなければならないと、こういうふうに思っていたわけでありますが。  ただ、そういうことをすぐに実施をしていく、受け入れていくということにやはりいささか不安がございまして、一つ学校でそういう民間委託をするということがどういう影響を与えていくのかということをやはりきちんと見ていかないといけないんではないか。特に、ましてあの岩手のような地域ですと成熟した民間市場というのが県内でそれほどあるわけでもございませんので、工夫をいろいろしていく上でやはり試行、試みの行いということをやって、その効果を検証してから次につないでいきたいと、こういうふうに思いまして、一つ学校でまず実験的にその結果を見てみようと、こういうことでそういう方法を取らせていただいたところでございます。
  21. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 その実験の試行結果が、もう既に年度末でございますので私の方にも報告が届いておりまして、幾つか御紹介をさせていただきたいと思いますが、従事者仕様書の写しを持っており、それに基づいて毎日の業務を遂行しているようであるが、計画的な業務執行まではできないような状況である。毎日変化のない機械的な業務執行をしているように見える。労使関係がないので従事者には学校に対する忠誠心が生まれないため、仕事に対する積極性が出てこない。仕様書に記載されているものだけをやればそれでいいという意識であり、この学校環境整備のためにどうすればいいかという意識が欠如している。教職員との会話がほとんどない。用務員とのコミュニケーションが十分取れないため、業務の調整ができていない。生徒とのあいさつができないようである等々になってございます。  これはまだ部分的なものかもしれませんけれども学校環境整備のためにはどうすればいいかという意識が欠如しているですとか、生徒とのあいさつができないようであるなどという分析がなされること自体、教育環境を保全し向上させる目的や学校の安心、安全の確保にとって重大な障害になる可能性を明示するものではないかというふうに思うわけでありますが、今私が例示をいたしました分析結果について、大臣がどうのこうのということはできませんけれども、個人的な感想で結構ですから、どのように思われるか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  22. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今恐らく県の方でいろいろな検証を分析しておられると思いますので、なかなか私もその状況を聞いておりませんのでお答え申し上げづらいところが実はございますけれども、ただ、やはり毎年毎年そういったことで結果が出てくる、それをよく聞いて、そして修正できるところはきちんと修正をしていいものにつなげていくという、そういうことが大事ではないか。  それから、あと確かに岩手県でも、いろいろな人件費の問題で県民の皆様方から厳しい御指摘をいただく、そして民間委託できるものはもっと委託をして、そして人件費の節減に努めろと、こういう厳しい御指摘も随分ちょうだいをして、そこでそうした試行を行いましたので、そうした背景も十分理解をしながら、修正すべきところが何か、どういうふうにしていったらいいのかということを真剣に考える必要があるのではないか。  いずれにしても、ある時期から一遍にそういったものに切り替えるというよりは、そういった割り当てられた学校にとりましてはいろいろな状況の中での御苦労もいろいろおありだと思いますけれども、そういう試行ということをやってこの問題を段階的にいろいろと考えていくという、そういう自治体としての言わば創意工夫の発揮のような、そういう場面というのは大変重要なものでございますから、今後、県の方で、特に教育委員会の方でそうしたことについて真剣に検討していただきたいなと、こんなふうに思っているところでございます。
  23. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ここで重要なことは、学校の最高責任者といいますか、学校においてすべてにおいて責任を取るのはいわゆる校長というふうに言われておりますけれども、その校長の実は指揮下に入らない状況になるのが今の民間の方たちでありまして、私たちは会社に言われていないからそのことはできないというふうに仮に断るような状況が生まれたとすればこれは大変なことになるという、そういう問題がまず一つあるというふうに思います。  それから、今るる報告がありましたように、こうした貴重な教訓、あるいは世間の常識に背を向けるかのように、総務省賃金センサスが定義する事業所の系統的な仕事とは直接関係のない種々の雑役的な仕事に従事する者に学校用務員が当てはまるというふうに考えたのか、非常に私にとっては疑問である、あるいはまた問題であるというふうに言わざるを得ません。同種同等の職務内容に基づくべき官民給与比較対象としては適合性を欠いているというふうに思います。  こうした調査については、総務省が本当に自ら好んでやられたというふうには、私は好意的に見ている、そうは思っておりません、実は。  実は、昨年の衆議院での予算委員会等の丹羽総務会長の質疑等々からありますように、先ほどのセンサスを利用しながら、公務員給与が一・五倍だとか二倍だとか、すごい形で高いんだということを非常に吹聴された質問であったわけですけれども、それは本当にそうなのかということについては大いに疑問があるという部分でございます。この賃金センサスというのは本当に細心の注意が必要であるにもかかわらず、そういうふうに利用をし、そして、公務員はやはり高い賃金だからこれをもうどんどん変えていかなきゃいけないというような方向性が、言っているわけでありますね。  しかし、今、もう一度確認させていただきたいんですが、あの賃金センサスはそういう意味では完璧なものではないということの中で、単なる資料にすぎないということ、これをもう一度確認させていただきたいということと、かつまた、その後に取りまとめられる方針の実施については労使間の合意を得ることが望まれるという、この二点について間違いないかどうか、大臣の答弁をいただきたいと思います。
  24. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、データ関係でございますが、これはやはり先ほどから申し上げています一つ参考としてお示しをしているということでございまして、それをどのようにまたデータを質の高いものにしていくのか。それから、それを入れたとして、実際にどのように現場でいろいろと考えていくのか。先ほどの岩手県の例の引用もございましたけど、そういったことは公共団体の方において十分知恵を出していただきたいと、こんなふうに思うところでございます。  それから、あと、この取組方針実施に当たってですけど、これは、私は労使間で十分な話合いをきちんと行っていただくと、これが大前提になるわけでございますので、これはよくお互いに話合いをしていただいて、そして、そこで全体の背景とか方向性ということがいろいろ議論されるでしょうから、そうしたことを十分に行って、そして実施をしていただくということがこれは当然のことながら望ましいわけでございます。そうしたことがいろいろなプロセス、過程の中で十分に行われるということを私ども現場に対して期待をしているところでございますし、また、実施に当たっては、各公共団体も当然そのようなことで実施をしていくのだろうと、こういうふうに思っております。
  25. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私の質問に対して一点の曇りもない今答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。  最後の質問に移らさせていただきますけれども、政府はこの国会に学校保健安全法案を提出しています。これは総務委員会の範疇ではございませんけれども、直接の範疇ではございませんけれども、この法律改正案の基となった中教審答申には、学校安全を確保するための職として学校事務職員学校現業職員の重要性に着目した文言がございます。学校用務員についていえば、元々、学校施設設備、教育環境の保全と向上に努めてきた職であることから、その役割を一層重視したものとなっています。  さきの本委員会における補正交付税法案質疑に際しまして、私は、学校施設にかかわる耐震補強早期完了の必要性及び急速な超高齢化社会に対応できる避難施設として大きな役割を果たす学校の設備水準等は社会の最善のものが用意されるべきだと大臣にお尋ねをしました。いずれも納得できる十分な答弁をいただいたと思っております。  しかし、これはまだ器の論議でございまして、これを宝の持ち腐れにしないためにも、ここは有用なソフト機能が求められるところであります。増田大臣にはもう多くのことを申し上げるまでもないと思いますけれども、阪神・淡路大震災や新潟中越大震災の教訓をひもとくまでもなく、この有用なソフト機能に当たるのが学校用務員と言えるのではないかというふうに思うところであります。  最後に、改めまして学校用務員の果たす職務の重要性等について、大臣の率直なお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  26. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私も実は知事時代に随分学校現場へ参りましたけれども、これから更なる少子化の時代にこうした学校が大変重要になる、いろんな意味で重要になることはもう国民だれしもが思うところでありますが、特に今その中で教育の重要性が言われる中で、学校の先生が大変忙しいということは盛んに指摘を受けるわけですね。子供と向き合うという意味では、こういう学校用務員皆さん方がまたいろんな役割を果たして、そしてそういうことによって先生方の負担も軽くなって本当に子供に向き合えると、こういうことになるわけですから、学校という一つのこれは物理的な区域があって、建物の中にいる皆さん方それぞれ全員が重要な役割で、すべてが子供に対しての教育という中で一定の役割を果たしているんだろうと私は思うわけです。  ですから、直接子供さんたちを教えるという、そういう立場に立っているわけでは学校用務員皆さん方はないわけですけれども、やはりそういう学校用務員皆さん方役割ということを、これは子供、それから先生方、あるいは父兄、もちろんのこと地域皆さん方もきちんと理解をした上で、そして、本当に働きやすい職場をつくり出すということが私は大変大事だろうというふうに思いますし、また場合によっては、災害のときには地域皆さん方がみんなお世話になる、そういう学校の中の貴重な用務員皆さん方でございます。  私は、いろいろこれ、議論あるわけでございますけれども、ですから、そういった国民の皆さん方の声にきちんと耳を傾けるということは大事でございますし、その中でこういった学校用務員皆さん方の果たしている役割ということを是非各公共団体でも大いに議論していただいて、そして本当に働きやすい職場づくりに向けて努力をしていただければと。総務省としても当然その役割はあるわけでございますけれども、是非そういう議論が各公共団体で大いに沸き上がってくればと、こういうふうに思っているところでございます。
  27. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 終わります。
  28. 梅村聡

    梅村聡君 皆様おはようございます。  民主党・新緑風会・国民新日本梅村聡でございます。前に質問をされた那谷屋委員に負けないように、一生懸命質問を行ってまいります。  今日は、まず最初に、昨年の十月一日に日本郵政公社が民営分社化をされまして、そしてそこの現場で様々な課題が指摘されておるわけでありますが、その日本郵政グループの運営について質問をさせていただきたいと思います。  この新しく民営分社化された中で、郵便局ネットワークを維持して、そして利用者の方々により良いサービスを提供するということが大きな目標となっているわけでありますが、そのためには、民営化後の各会社が健全経営をしていくということが不可欠ではないかと考えております。  そんな中で、この民営化後の各会社の昨年、平成十九年度後半の十月、十一月、十二月の営業の状況を見てみますと、非常に厳しい数字が並んでいると認識をいたしております。  例えば、平成十九年度第三・四半期の郵便事業会社の郵便取扱数を見てみましても、総計で前年度比がマイナス一・六%、そして、成長分野と位置付けられているゆうパックにつきましてもマイナス三・四%となっております。あるいは、ゆうちょ銀行に関して見ていきますと、民営化直前の九月末の定額貯金、定期貯金、そして積立貯金の合計が百二十六兆五千億円。これが、今年の二月の定期性貯金の残高見ますと百十九兆二千億円と、五か月で七兆円以上の残高を減らしている状況でございます。さらに、かんぽ生命保険に至りましては、個人保険の新契約件数で見ますと、昨年の十月では前年同月比二五・八%、十一月が五〇・七%、十二月が五一・八%と、いずれも非常に厳しい数字が並んでいるわけであります。  この郵便局ネットワークを維持する責務というのはこれは郵便局会社にあるわけでありますが、この郵便局会社というのは、郵便事業会社、そしてゆうちょ銀行、かんぽ生命保険からの手数料で維持されているわけでございます。にもかかわらず、この各会社の営業成績がこれほど落ち込んでいますと、郵便局会社の経営が成り立たなくなり、ひいては郵便局ネットワークの崩壊につながるのではないかと、そういった危惧をしているわけでありますが、この点に関しまして日本郵政株式会社の見解をお聞きしたいと思います。
  29. 伊東敏朗

    参考人(伊東敏朗君) お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、郵便、郵貯、簡保、三事業につきまして営業実績は対前年を下回っている状況でございます。また、これも先生御指摘いただきましたとおり、郵便局会社は三事業会社からの手数料収入を主な収益としているわけでございます。  したがいまして、その経営の安定のためには、これら三社と連携を深め、例えば先ほど御指摘ありました郵便に関しまして、ゆうパックもマイナス三・四という御指摘がございましたけれども、ややもすると、郵便局会社と郵便会社の連携が不十分だったという点も御指摘されておりますし、私どももそういう点を反省いたしましてその辺の改善をしていくとか、それから、やはり郵政全体の収益源というのが窓口を持っている郵便局でございますので、ネットワークの意義というものを三事業会社も十分踏まえて対応していくことが必要なのかなと。  ただ、いずれにいたしましても、経営環境は決して甘いものではございませんので、今後、それぞれの事業会社が新しいサービスを開発していくことになると思いますけれども、それらが郵便局で十分にお客様に満足いただける形で提供できるように、これはもうグループ全体として、グループ経営全体の大きな課題でございますので、そういう点に力を入れて、先生御指摘いただきましたような御心配のないようにしていきたいと思っているところでございます。
  30. 梅村聡

    梅村聡君 是非、御努力のほどお願いしたいと思います。  今お答えの中で、連携という言葉が出てまいりましたけれども、実は、この郵便局ネットワークの維持ということに加えて、やはり利用者へのサービスという点から考えますと、それぞれの民営化後の会社の連携というのが非常に大切ではないかなと考えております。しかし、現状を見てみますと、連携というよりもむしろ個別会社がそれぞれの利益を優先しているという現状があるのではないかなと、そういう危惧をいたしております。  これは具体例なんですけれども、今年の三月上旬の新聞報道で少しあったんですけれども、ゆうちょ銀行が預金保険機構の制度を知らせる冊子を全国二万四千の郵便局の方に送付すると、そのときに、グループ内の郵便事業会社ではなくて、ライバル会社であるヤマト運輸のクロネコメール便を使ってそういうものを送ったということがこの新聞報道でなされています。  こういった事案を見ていますと、とてもグループ一体経営といいますか、連携ということが少し意識が薄くなっているのかなと、意識が感じられないのかなという印象を持つわけでありますが、この点に関しまして改めてお考えをお聞きしたいと思います。
  31. 伊東敏朗

    参考人(伊東敏朗君) これも先生御指摘のとおり、ゆうちょ銀行がヤマトを利用するという事実はございました。  単純に、郵便を出すというよりは、格納場所といいますか、預金保険機構さんから出されました資料を格納場所から搬出したり、あて名ラベルを作成するとか、単純な手紙、はがきを運ぶ作業とは異なる部分も含まれておりましたので、郵便会社、まだスタートしたばかりで、こういった新しいいわゆるロジスティックのようなサービスにまだ十分習熟もしていないという点もありまして、これはこれで今後、そういう点も十分郵便会社として対応していく必要はあるかとは思いますが、元々グループ全体といたしましては、グループ各社が当然のことながら一枚岩となって全体最適の観点から、日本郵政グループ全体の企業価値の最大化を目指していくと、これは大きな理念でございますので、そういう意味では、それぞれのマーケットでそれぞれの会社が自立していくということはもうもちろんそれが大前提ではあるんですけれども、やはりそのグループ各社が自社の利益だけを考えるのではなく、これも先生御指摘でありましたように、グループ全体の発展を視野に入れて活動するよう今後取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  32. 梅村聡

    梅村聡君 やはりグループ全体の利益を考えていただく、個別会社の利益優先ではなくてグループ経営という基本をもう一度認識をしていただいて、これから取り組んでいただきたいなと思っております。いずれにいたしましても、これからも随時、民営化後の郵政事業に関しましては折につけ質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  続きまして、昨年の十二月二十四日付けで発表されました公立病院改革ガイドライン、これについて質問をさせていただきたいと思います。  実は私も、昨年七月に参議院選挙で初当選をさせていただきましたけど、それ以前は公立病院で勤務医をしていた経験もございました。大阪の北部に箕面市という人口十二万七千人の市がありますが、そこで市立病院で勤務医として働いてまいりました。そして、今回のこの公立病院改革ガイドラインにつきましては、私も、あるいは以前の仲間の病院関係者も非常に興味を持って見詰めているところであるんですけれども、これを中身を読ませていただいたんですけれども、まずは公立病院のそもそもの基本的な役割について改めてお尋ねしたいと思っています。  このガイドラインの改革の目指すものという中に、このような記述がございます。公立病院を始めとする公的医療機関の果たすべき役割は、端的に言えば、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにあると、こういった記述がガイドラインの中にございます。つまり、本来的役割を果たす公立病院というものは、一般会計からの繰入金なしでは成立することが難しい。そして、今の診療報酬水準からの収入だけでは黒字化を目指していくことが難しい。逆に、それがもし可能であるならば公立である必要はないと、まずそういった前提からこの公立病院の議論がスタートするのかなというふうに私は読み取れたのですが、その辺りの認識を教えていただきたいと思います。
  33. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 昨年、私どもで出しましたガイドラインでございますけれども、今公立病院が置かれている状況の中で、やはり大変地域において重要な役割を果たしている公立病院でございますので、少しでもそれを健全化の方向に持っていきたいと、こういう趣旨で出させていただいたものでございます。  公立病院の性格については今まさに先生がお話ございましたとおり、採算性の面から民間医療機関によって提供が困難な医療を担うと、こういう役割が大変重要だと思っております。特に、過疎地などの医療、それから救急医療ですね、こうしたものは不採算ということが多いわけでございますので、これを一般会計から繰り出しをして、そして収支均衡に持っていくと、こういうことでございますが、こうした一般会計からの負担というものは、基本的には独立採算原則に立って、最大限効率的な運営を行ってもなお客観的に不足する真にやむを得ない部分を対象として行うと、これが大原則でございます。ですから、真にやむを得ない部分を対象ということは、そもそも、更に進んで赤字ありきといった考え方で病院経営、特にこの公立病院経営を行うということを容認しているものではなくて、やはり状況によっては黒字の経営に持っていけるところもあるであろう。そこを、真にやむを得ない部分というのをきちんと見定めた上で一般会計からそれを負担を認めていただくと、こういうことで私ども考えているところでございます。  公立病院が置かれているところ、都市部とそれから中山間へき地などによって状況が大変異なるという認識を持っているところでございまして、したがって、都市部などについてはその後民間医療機関への譲渡ですとか、それから指定管理者等の話もガイドラインに出てくるわけでございますが、基本的な考え方、今申し上げましたような考え方に立ってこの公立病院改革を今後行っていきたいと、このように考えております。
  34. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。今のお答えの中でいいますと、やはり本来の役割をまずしっかり果たしていくということが第一義と。その中で必要な効率化を目指していき、そしてどうしようもない部分はそれなりの補てんをしていくという考えであると認識をいたしました。  その中で、今、都市部の公立病院の話が少し大臣からお話がありましたけれども、一方ではガイドラインの中にこういう記述もございます。「民間医療機関が多く存在する都市部における公立病院については、果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性が乏しくなっているものについては廃止・統合を検討していくべきである。」と、こういった記述もあるわけでありますが、都市部における必要性が乏しくなっていると、この判断というのはだれがどういった基準で必要性というものを精査していくのかという点につきましてお答え願いたいと思います。
  35. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、都市部のお話ございましたんですが、都市部は複数の公立病院ですとか、それから日赤などの公的病院ですね、それからさらには大規模な民間病院が多数立地をしていると。その中に病院間の機能の重複とか、それから競合が起きている場合もあるということでございます。  今、全国的に、これは過疎地域のみならず都市部も含めていろいろな意味でお医者さん、これ診療科目ごとにいろいろ差はございますけれども、そういった医療資源の不足が指摘をされているものですから、こういった今申し上げましたような都市部で様々重複や競合が指摘されるような場合には、病院の果たすべき役割、特に公立病院の方の果たすべき役割を十分に見直しをして、場合によっては大胆な改革にも取り組んでいくべきと、こういったことをガイドラインで申し上げたものでございます。  これはだれがどういうふうな形で判断をするかといいますと、これは御案内のとおり各都道府県に医療計画というものがございまして、今ちょうど改定作業が進められているんですが、従来は都道府県が余りこうした中で十分な役割を果たしてこなかった、あるいはこれなかったという実態があると私も思っているんですが、今後はこうした場面でやはり都道府県もしっかりと役割を果たしていって、地域の医療資源ということを十分によく考えていく必要があるだろう。そして、医療計画の内容に沿った形で、踏まえた形で、最終的には、各公立病院というのは開設者、各地方公共団体でございますので、そこの開設者が議会ですとか住民の皆様方とよく議論した上で、どういうふうに改革をしていくのかということをきちんと判断をしていくべきではないかと、こういうふうに思っております。
  36. 梅村聡

    梅村聡君 それでは、ガイドラインの具体的な中身について少し質問をさせていただきたいと思います。  この中で、公立病院改革の三つの視点として、経営効率化、これは経常収支の比率であるとかあるいは職員給与費対医業収益比率であるとかあるいは病床利用率と、こういったものを数値を挙げて効率化を図っていけという点と、それからさらには再編・ネットワーク化、三番目には経営形態の見直しと、この三つが視点として挙げられているわけであります。  まず、この経営効率化という点について少し質問をさせていただきたいと思いますけれども、例えば、この経営効率化の中には、職員給与費という項目を挙げるようにという記述がございます。  一般的に今言われていますのは、公立病院の人件費の比率が若干民間に比べて高いんじゃないかということが言われているんですけれども、一方で、このガイドラインの中では、公立病院に期待される主な機能ということに関しまして、先ほど大臣がおっしゃられた、過疎地の一般医療であるとか、あるいは救急・小児・周産期・精神医療などの不採算・特殊部門、さらには県立がんセンターあるいは県立循環器病センターなどの高度先進医療と、こういった記述があるわけでありますが、当然、こういった不採算部門、特殊部門、そして先端医療というものを担うとなれば、人員の配置も厚くしなければならない、あるいは若干患者さんに対して手厚く人員を配置しなければいけないということがあり得るわけで、そういった点から考えると、民間病院の人件費率というものと全く同列に扱うということは難しいのではないかなと考えております。  そこで、これは数字を挙げて目標を定めろということでありますから、この目標ということに関しまして、本当に民間医療機関並みの数値目標というものを目指していくべきなのか、あるいは、こういった公立病院独自の機能、役割を担うわけですから、ある程度の人件費率高いレベルを許容されることができるのかと。  この辺りのお考えについてもお聞きしていきたいと思います。
  37. 久保信保

    政府参考人久保信保君) ただいま御指摘にございましたように、へき地医療でございますとか救急・高度医療などの特殊医療におきましては、診療に要する人員体制に比べまして診療報酬などの収入額が低水準にとどまるといったことがございますので、職員給与費率が割高になっていくという傾向が見られると思います。  このため、公立病院改革ガイドラインにおきましても、同一地域民間病院が立地している場合には、これは民間病院並みの効率性を求めるといったことを基本としながらも、これらの経営指標の水準は病院の立地条件、医療機能などにより大きく左右される場合も多いと、こう記述しておりまして、またさらに、目標の設定でございますとか病院間の相互比較において留意すべきであるといったことを述べております。  したがいまして、ガイドラインにおきましては、経営指標に関します目標数値例、これにつきましても、病床規模別でございますとか立地地域別に多様な数値をお示しをしております。各公立病院におきまして、経営環境が自らと類似する病院の状況ども踏まえながら、それぞれの実情に応じて適切な目標数値、これが設定されるといったことを私ども期待をしております。
  38. 梅村聡

    梅村聡君 同じ地域であるから同じ全く水準を達成しなければならないというわけではなくて、それぞれの医療機関の実情に合わせてこの目標を設定していくのだというふうに今のお答えで認識をさせていただきました。  さらには、こういった数値目標も書かれてあります。病床利用率、これは入院のベッドですけれども、これの利用率に関しまして、三年連続で七〇%未満の利用率になっている病院については、病床数の削減あるいは診療所化等の抜本的見直しをするんだという記述がガイドラインの中にございます。先ほどのお答えの中で考えますと、全国一律にこの三年連続七〇%未満という数字を当てはめていくというのは少し難しいのかなという思いもいたします。  そういった中でこの三年という数字あるいは七〇%未満という数字がどういった根拠で入れられたのかと、その根拠について教えていただきたいと思います。
  39. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 御案内のように、今回のガイドライン、この策定をいたしました際に、まず公立病院の改革に関しまして経験とか知識を有しておられる有識者の参加を得まして、公立病院改革懇談会というものをまずつくりました、夏にですね。そして、その場で御議論をいろいろといただいて、そして、その懇談会において取りまとめられました原案、原案ですからこれを基にして、そしてさらに地方公共団体の御意見もお伺いをして、御指摘がございましたように十二月の二十四日、昨年の、ガイドラインを策定をいたしました。  御指摘がございました、病院数削減などの見直しを行う目安として、病床利用率が過去三年連続して七〇%未満という水準でございますけれども、これが出てきましたのはこの懇談会における議論の過程でございまして、病院の経常収支の均衡のためには、病床利用率は通常八〇%強の水準を達成するということが期待されているという御意見でございますとか、恒常的に相当程度の空きベッド、それから、現に継続している場合には医療資源の有効活用の観点からも見直しを促したらどうかといったような御意見がございまして、これを踏まえて策定をしたものでございます。  そして、例えば医師不足などで病床利用率が一時的に低下しているといった場合は、これは別だと考えておりますけれども、恒常的に低水準が継続するといったことが見込まれるという場合には、私どもといたしましては、医療提供体制の在り方について何らかの見直し、これが行われることを期待をしているということでございます。
  40. 梅村聡

    梅村聡君 実情としては、数字をただ単に全国一律に当てはめる、あるいは医師不足というお話もありましたけど、そういういろんな状況を勘案して、一つの数字だけで本当に輪切りにしていくということがないように運用を是非考えていただきたいなと思っております。  今お答えの中でもございました医師不足という問題が、当然この自治体病院の経営悪化には大きな原因として横たわっているわけであります。これまでのいろんな委員会での増田大臣のお答えの中にもそういった認識が表れているのではないかなと思っているんですけれども、やはりこれを、医師不足をしっかり改善しない限りは、病院の経営収支を好転させていく、なかなか難しいのではないかなと考えております。  ですから、これは総務省だけではなくて、例えば大学医学部の定員の問題であったりとか、様々な総合的な対策が必要なんでありますけれども、当然、こういう手を打っていっても、例えば医師の養成に関しては効果が出るまでに八年から十年掛かってくるということで、もちろん一番ベストな解決方法は、それぞれの自治体病院が医師をしっかり自前で確保できると、これが最善の策ではありますけれども、一方では、今の現状を見てみますと、これは次善の策ではありますけれども、やはりネットワーク化する、再編化する。これはガイドラインの中でもうたわれていることではあるんですけれども、ただ単に二つ三つの病院を一つにして、そしてその病院で医師が足りているというだけでは根本的な解決にはなっていないと思います。  というのは、その地域で既に医師不足が一回起こった、あるいは病床がそれによって稼働できないという状況が起こったわけですから、その原因を取り除かないと、合併すれば最初の三年、五年は当然人員がだぶつきますから医師の定数、スタッフの定数を満たすことができますけど、集約化するということは、二次医療圏の中で病院の数が一個とか二個になっていきますから、次にその病院が医師不足に陥ってしまいますと、本当にその地域が総崩れとなってしまう。そういった意味で、このガイドラインというのは、経営効率化、あるいはネットワーク化、経営形態ということをうたっておられますけれども、再編・ネットワーク化した後のその中身の検討というのが残念ながら全く見られないと。  これは、例えば若いドクターなんかのお話を聞くと、良い指導者の下で、その良い指導者の医師の下で働ける病院を選びたいんだと、逆に給与じゃないと。ある地域では、五千万円以上の給与を用意しても産婦人科のドクターが集まらないという状況もあるわけなんです。そういった声を生かせば、当然集約化してネットワーク化した病院には指導的立場の役割の医師を呼んでくるとか、その中身をかなり議論して、そして細かい施策をしていかないといけない。そういった議論がこのガイドラインの中には見受けることができない。数字が前提、ネットワーク化ありきという中でそういった中身の議論というのがどういった場でこれから議論されていくのか、あるいはそういったことも考慮されていく仕組みがあるのかどうか、その辺りの考えをお聞きしたいと思います。
  41. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の出しましたガイドラインでございますけれども、これは中で再編・ネットワーク化などもうたっておりますけれども、いずれにしても、今の医師不足の中で緊急的に、やはり今のままでは共倒れになってしまうということを受けて緊急的に講じなければいけないことについてお示しをしたということでございます。  そして、当然この問題については根深いものがございまして、今先生から御指摘いただきましたとおり、様々な角度で今後そういったネットワーク化などをした後に本当に根本的な問題の解決に向けて努力をしていかないと、これはやっぱり一時的なびほう策に終わってしまうというふうに思います。  そのためには、中長期的にやはり息の長い取組として、今診療科、それから地域ごとのそういうきちんとした数値厚労省に出していただいて、そして医師の長期的な養成、場合によっては地域枠なども活用して、本当に地域に根差すような、そういうお医者さんの数を増やしていただくですとか、それから後、その中でもかかりつけ医とそれから大きな総合病院との役割分担をもっと明確にして、地域皆さん方にもそうしたことは十分に御理解をしていただいて、本当にかかりつけ医で済むようなものを病院の方には行かずに地域で済ましていただくとか、いろんな意味での取組が必要であるというふうに思います。  この医療問題、医師の問題のみならず医療問題についてはもう大変大きな問題になってきているものですから、常に総務省厚労省と、それから今御指摘いただきました大学の関係もございますので、文科省と連携を取ってこの問題を進めていくと。昨年五月の医師確保対策もまさに、政府・与党ですが、特に三省が十分に連携して取り組んだものでございます。ですから、今後もこうした、三省が常にいろんな場面で会議を開いたり連携を取っておりますので、その中で、今御指摘いただきましたように、私どもも、このガイドラインを出してそれで当面もうこれでやれということじゃなくて、当面やるべきことはこれでお示しをしたけれども、そのほかにまだまだ総務省としてもやるべきことが多々実はございます。私ども、自治医大も抱えているところでございますし、それ以外の点も大変多くございますので、そのほかの問題について今後両省とも十分に連携をして、そして取り組んでいきたいと。必要なことを、きちんと外にお出しすべきものがあるとすれば、そういったものをちゃんとまとめて対策としてお出しをして、そしてとにかく良質な医療の確保に向けて努力をしていきたいと、このように思います。
  42. 梅村聡

    梅村聡君 いずれにしましても、このガイドラインを見た現場の方のお声を聞くと、やはり若干荒っぽい面があると。それから、さらには、その中身に関してやはり議論をもう少ししていただきたいという声が圧倒的な声であります。  したがいまして、やはり運用の面において中身をしゃくし定規に当てはめるのではなくて、総務省の中では更に、このガイドラインだけで終わるのじゃなくて中身の議論についてもこれから行っていっていただきたいなと、これが第一歩であるということを指摘していきたいと思っております。  最後に、時間がなくなってまいりましたけれども、少し新型インフルエンザ対策ということで質問をしていきたいと思います。  今世界で鳥インフルエンザが流行していまして、これは今まで経験したことがない強毒性の、致死率も五〇%から六〇%だと言われているような鳥インフルエンザでありますけれども、これがいつ人から人への新型インフルエンザに変わるか、いつでも起こるんではないかと言われておるわけであります。  この中で、今、総務省消防庁の方でいろんな対策として練られているわけでありますが、その前提として新型インフルエンザ、人口の二五%がこれに感染するんじゃないかと。そして、そこで医療機関を受診する患者さんが二千五百万人、そして入院患者さんが二百万人、死亡者が六十四万人という、まあこれは一番最悪な数字ですけれども、想定があるわけであります。  ところが、この数字の想定の前提は、これは一九一八年に流行したいわゆるスペイン風邪、致死率が二%のですね。ところが、これは弱毒型のインフルエンザであります。つまり呼吸器に限定した感染症でありますけれども、今回のこの新型インフルエンザは、当然人から人へうつるようになれば弱毒化する可能性もあるんですけれども、一方で、この計画が、消防庁の予算の立て方として強毒型というものを想定しなくてもいいのかなということも考えられるんですけれども、その辺りの認識消防庁の方から聞かせていただきたいと思います。
  43. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) 消防庁におきましては、新型インフルエンザ発生時の救急隊員の安全を確保し、かつ救急隊員を媒介にした感染拡大、これを防止する必要がございますんで、救急隊員が着用いたします感染防御資器材の購入に要する経費を平成十九年度から交付税措置をいたしているところでございます。  平成二十年度におきましては、新型インフルエンザ発生の可能性というのが急速に高まってきていると、こういう事態に対応いたしまして、この措置を大幅に拡充することとしているところでございます。  御指摘の、このインフルエンザはどのようなインフルエンザが想定されるのかという点については大変難しいところでございますが、御指摘は強毒型を想定する必要があるんではないかということでございますけれども消防庁が参画しております関係省庁によります新型インフルエンザ対策会議におきまして、御案内のとおり、新型インフルエンザ行動計画というものが策定されておりまして、この中で想定されている流行規模というものに基づいてこのたびの交付税措置は講ずることとしているわけでございます。御指摘のとおり、医療機関受診患者数が人口の二五%、二千五百万人。入院を要するとされる方が二百万人。このうちの七割が救急車を使って搬送される、百四十万の方が救急車によって搬送されるんではないかと、そういう想定の下に、このたび交付税措置、防御資器材の措置を講じているわけでありますけれども、私どもは、やはり前提はこのインフルエンザ行動計画でございますんで、これに基づいた措置ということで、全国の消防機関に対しまして、この旨を周知しながら着実に準備が行われるように働きかけをしているところでございます。
  44. 梅村聡

    梅村聡君 時間も来ましたので最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、今、救急搬送が百四十万人という数をお聞きいたしました。この救急搬送の現在の能力なんですけれども平成十八年で五百二十四万件、年間の搬送数です。これは、平成九年の三百四十八万件と比較しますと一・五倍以上に伸びていると。一方で、消防隊の数は、平成九年と十八年比べてみますと、四千四百八十三から四千八百四十六と、増加率は一割にも満たないと。つまり、現状においてもかなり救急搬送の能力がもういっぱいいっぱいになってきているのかなと。  そういった中で、今の百四十万件という搬送が、それも一か月二か月の間に集中してくると。これが本当に既存の救急隊で賄い切れるのかと。あるいは、先ほどおっしゃったような二次感染、感染源に救急隊がなる可能性もありますから、そういった面から本当に既存の救急隊でこういった任務を新型インフルエンザ発生時に果たすことができるのかなということに関しまして見解を聞かせていただいて、最後の質問にしたいと思います。
  45. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) 御指摘の救急搬送の能力の問題でございますけれども、感染拡大時にそれぞれの消防機関が着実に救急業務実施しなければならないわけでございます。そのための救急隊員の勤務体系の維持、場合によったら通勤方法も別途考えるとか、あるいは救急隊員のワクチンの接種計画をどうするかとか、こういったいわゆる救急業務継続計画、いわゆるBCPでございますね、これのガイドラインを速やかに消防庁で策定をしようと思っております。  そういうガイドラインを策定した上で、相互の消防機関の応援も必要だと思っておりますが、緊急時の対応が万全に行われるように努力してまいりたいと思っています。
  46. 末松信介

    ○末松信介君 おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。  質問に移らせていただきます。三月の十八日に予算委員会がございまして質問をいたしまして、少し質問が残ってしまいました。したがいまして、道路の問題等につきまして、また若干すそ野が広がりますけれども、お許しをいただきたく存じます。  二月の五日にここで補正交付税法、地方交付税の改正案の質疑をいたしましたときに、前鳥取県知事の片山善博先生のお話を持ち出しまして、三位一体から今日に至る地方財政についての厳しい御意見等のお話を、例を取ったわけなんですけれども、私の兵庫県議会にもこの前講師でお見えになりまして、なかなか、だました国も悪いけれども、だまされた地方も悪いという同じお話をなさったそうなんですけれども。  実は、この先生がせんだって、道路特定財源に上乗せされている暫定税率について、与党は十年間維持、民主党は撤廃、一般財源化を主張し、対立が続いています。どうすべきでしょうかという、道路を問うということで、ある新聞の会見に応じられておられます。先生の御意見は、こういうお話をなさっておられます。  暫定税率のうち三分の一は下げ、三分の一は一般財源化してはどうか。残り三分の一は特定財源でもいいが、二、三年で見直しを検討するのが妥当ではないか。政治は妥協だから、三方一両損ですよ。  でも、これは最後の落としどころで、理念は全額一般財源化だ。特定財源は、自治体が横流しして他に使うおそれがあるときには有効だが、国も自治体も道路が重要だと言っているのだから、使い道を縛る意味がないと。だれを縛るのか。実は、国民を縛っていると。国民は、教育に使ってくれと言えない仕組みをつくっている。それは民主主義ではないと。  少し省きますけれども、道路は要るか要らないかという議論はほとんど無意味。要る道路は要るし、要らない道路は要らない。当たり前のことなんですけれどもね。一本ごとに審査し、教育など他の施策とどちらが優先度が高いか議論すればいいと。小泉元首相は、既存の仕組みを変えよう、一般財源化しようと言って国民に受けた。福田首相が人気がないのは元に戻っているからだ。一般財源化を言えば人気が出ますよ。  こういう話をされまして、政府・与党は、暫定税率を維持した方がガソリン消費が抑えられ、環境に優しいと主張されているが、環境のためにならば、環境目的税や一般財源にすればいい。道路を造り続ければ環境に良くはない。渋滞が減って二酸化炭素の排出量が減るなんて主張は噴飯ものだと。  一般財源化という点では民主党の方が正しい。だが、税率を下げるが地方の道路が造れるようになるというのはまやかしだ。税率を下げるなら、道路整備もペースダウンしなければならないと、そういうことが書かれています。  私、気になりますのは、今日は、総務大臣総務省の見解をお聞きしたいのは、まあ自民党も修正案でいろいろ出しているんですけれども、お聞きをしたいのは、こういうことを片山先生書いておられます。  地方六団体は総務省の外郭団体。情けない。このままでは、三位一体改革で一般財源化しろ、自由をよこせと言っていた人たちが道路にしか使えないように縛って縛って、緊縛趣味のマゾヒストですよと。ちょっと悪い表現ですね、これは。政府の後ろ盾があって皆と一緒のことをやっている方が楽でいいんだということなんですよ。  少しえげつない表現がありますけれども、私は、片山知事は義務教育国庫負担堅持派でありました。あのときに自民党の部会でも随分もめました。知事会でも取りまとめで若干もめたことを覚えております。  是非、先生は先生の主張といたしましても、総務省としてこの一般財源化、道路特定財源のこの一般財源化ということについてどういう考えを持っておられるのか。私は、この時期、きちっとした主張をなさるべきだと思っております。考え方をお持ちだと思うんですけれども総務大臣総務省の見解を伺います。
  47. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今引用された前鳥取県知事の片山教授の意見を私も拝読をしているところでございますが、幾つか異なる見解がございまして、特に、六団体、もう今はなかなか総務省の言うことを聞かずにいろんなことをやっぱりきちんとおっしゃるわけでありますが、先日、二十四日だったかと思いますけれども、六団体の皆さん方が私のところに来まして、もう来年度の予算もとにかく大混乱するからもう何とかしてほしいという切実な声を上げていかれました。  来年度の予算もさることながら、やはり道路全体についてやっぱりここできちんとした考え方を持つ必要があると思っているんですが、総務省として言いますと、この道路特定財源、小泉内閣のときに全体として一般財源化を考えようという話がございました。ですから、これは内閣として私どももそれを受け継いでおりますので、全体としてそういう見解を踏まえて私ども考えているというのが一つでございます。  その上で、今の法律の構成からいいますと、地方税の中で暫定税率も含めて道路に充てると、こういうふうにはっきり書いている。これはもう国民とのお約束になっております。ですから、納税者の理解、再三にわたりまして私ども受益者負担の制度ということで申し上げましたけれども、納税者の理解を得ていただいているお金を納税者の御納得のいただくようにお使いいただくというのはこれは大原則でございますし、それから、なおもう一つ言いますと、地方に限って言いますと、お金が足りなくて、この特定財源だけではなくて一般財源までそこに充当して今道路整備に充てているということがございますので、やはり大きな方向としては、先ほど申し上げましたように全体として小泉内閣のときに一般財源化に踏み出そうと、こういうお話があったわけでございますが、道路特定財源、地方の道路特定財源を維持していくというのは十分に理屈があることでございますし、なお今の実態にも沿っているのではないかと。  そして、それを先般、福田総理が、これは私どもというよりは党の方にでございますが、一般財源化も含めてのいろいろな御指示を出されたわけでございますが、そうした総理の思いというのは十分私どもも受け止めて考えなければいけないと思いますが、なおさら国民の皆さん方の御理解が得られるのかどうかについて十分に議論を重ねる必要があると。  これはもう今の法律で決まっていることをもし変えるとすれば、当然のことながらいろいろなプロセスを経て変えていかなければいけないわけでございますので、今の道路特定財源の考え方をやはり変更する場合には納税者の理解をどのように得られるか十分検討して整理をしていくことが必要だと、こういうふうに考えているものでございます。
  48. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。大臣がおっしゃいました、納税者の理解を得てということ、受益者負担の原則という、この二つということは大変重要な要素でありますので、これはやっぱり守っていかなきゃいけないということを思っております。  民主党の案も拝見をしましたし、昨日民主党が出された議員立法、つるしが下りまして財政金融委員会議論がされるということでこの推移を見たいわけなんですけれども、ただ、私は、民主党の案は民主党の案できちっと我々も謙虚に受け止めなきゃならぬのですけれども、やはり一つは、減税ということがうたわれていると、これは今可処分所得が減ってくる中では大変有り難い話かなと思われる方が多いと思います。二つ目は、事業量は絶対減るということは、これは質問をされている民主党の委員の方もおっしゃっておられるとおり、二兆六千億減りますから事業量減ると。だから、それをどこかで捻出をするというんですけれども、なかなかこれは具体的には難しい問題があるから、今のところは事業量がもう本当に減ってしまうと、国直轄事業が減ってしまうということになるだろうと思うんです。  三つ目は、菅代表代行の話聞いていても、私は大変分かりにくかったんですけれども、ずっとこう考えてみたら、結果的には国と地方役割分担、地方分権の話に返ってくる問題提起だと私は思っています。そういう点で、これから民主党の案ともよく整合性を図りながら、できれば三月末にいい回答が出ればなということを願っているところでございます。  余りこの問題を話しましたら、この前、予算委員会でいきなり質問したら止められてしまいまして、おしかりを受けましたので、これくらいにしたいと思います。  二つ目の質問でございますけれども、実は明石海峡大橋のことについてお尋ねを申し上げたいと思います。  私の神戸市垂水区というのは、実は本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋の本州側の接続部分なんでございます。長い間そこで私県会議員をやっておりました。  この本四の歴史というのは、明治二十二年、今から百二十年前ですけれども、香川県の大久保じん之丞さんという県会議員が讃岐鉄道の開通式でこういうあいさつをされたんですね。塩飽諸島を橋台として架橋連絡せしめれば、常に風波の憂うなく、南来北向東奔西走瞬時を費やさず、それ国利民福これより大なるはなしという、こんな発言をしたことが最初だと言われているんですよ、これが。当時はこういった橋梁技術がなかったんですけれども、そういう夢を語られたということには、私大変敬意を表したいと思うんです。  私の神戸市の垂水区というところは、私そこで長い間県会議員をやっていたんですよ。二十年を超えてやっていたんですけれども、唯一この国家プロジェクトに反対の声が出たところなんです。なぜかといったら、これは橋が開通したら一日三万台の車が出入りすると。排気ガスの問題、そして騒音の問題、全体的な大気汚染の問題、工事中の問題、こういった問題が起きてくるということで反対運動が起きました。  私、よく住民運動の中に入っていきまして三つのことを必ず言ったんですよ。確かに環境は悪くなっても良くなることはない、だから、沿道施設を整備したりしながら環境対策と地域整備はしなきゃならないと。公園を造ったりしながら、いろいろと住民の皆さん方にも、単なる公害施設にならないように心掛けていかなきゃならない、配慮しなければならないということを言いました。  二つ目は、橋ができてからのことは絶対分からないということは言ったんですよ。このことは言いました。  そして三つ目、私申し上げたのは、立ち退きの反対は許し難いですよ、まあ許し難いというのはあれですけれども、許されにくいものですよと。皆さん方が使っておられる道路、車に乗って使っておられる道路というのはかつてだれかの土地であったと、そういった方々の土地の提供の下にこの道路というのは成り立っているから、あなたの順番が回ってきたからといって反対することは難しいという、私はそのことを言いました。私自身も国道百七十五号線で立ち退いた経験がありますから、そういうことを言ったんです。  この三つの心配の話を申し上げましたけれども、確かに、神戸市も兵庫県も旧本四公団も国も立派に環境対策、地域整備を実施していただいてよかったと思っているんです。  ただ、私は唯一、一つうそをついてしまったと。どういううそをついたかといいましたら、一日三万台の車が入ってくるから、需要があるから是非協力してほしいと言ったんですよ。ないでしょうと言ったんですよ、住民の方は。地権者の方は七十四人ほど立ち退いておられますからね、あれは。結果を見たら、やっぱり三万台行かなかったと。このことについて私は、国も神戸市も兵庫県も旧本四公団もだれも謝らない、だれも説明しないという、この国はちょっと行政おかしい面が私はあると思っているんですよ。  このことについて、そのことを抜きにしていきなり一兆四千億の、有利子負債三兆二千億抱えていましたから、一兆四千億の道路特定財源を入れて四十五年で返済できるスキームをつくったわけなんですけれども、私は、まあ非常にきつい言い方ですけれども、謝らない行政説明を十分加えない行政ということについてどのように考えておられるか、道路局次長、御答弁をまたいただきたいと思います。
  49. 原田保夫

    政府参考人(原田保夫君) お答えを申し上げます。  本四道路につきましては、社会経済状況が変化する中で、事業の見直し等が必ずしも適切に行われなかったということについては厳しく反省しなければならないというふうに我々考えております。公団の民営化に当たりましては、こういったことを教訓にしまして債務の返済期限を四十五年以内とするということを法律できちっと決める、そういったことなどを通じまして、安易に新たな道路が有料道路として行われないようにという仕組みの導入を図ったところでございます。  今後、有料道路につきましては、採算性の厳格なチェックを行うことは当然でございますけれども、併せて社会経済状況の変化に合わせた見直しもきちっとやっていくということが必要かというふうに思っております。  それから、先生御指摘ありました地元への説明の件でございますが、確かに聞くと、直接地域住民の方に公団等が、あるいは国が説明したことはないようでございますけれども平成十五年の債務処理のときに出資をいただいておりますので、関係地方公共団体の方々にはいろいろ、比較的早い段階から我々の考え方を御説明申し上げ、御意見もいただいて、こういった債務処理の枠組みをつくったということでございますし、民営化後も事業計画の策定あるいは決算等々につきまして関係地方公共団体の方々からの御意見を伺う場をつくっております。今後とも引き続き、地域への説明責任については十分果たせるように本四の高速道路会社とも連携をしながらやっていきたいというふうに考えております。
  50. 末松信介

    ○末松信介君 今までの思い、うっぷんをためてひとつ御質問を申し上げましたんですよ。唯一私の苦い思い出でございまして、大変御丁寧な答弁をいただきました。情報開示と説明責任ということは大事にしていただきたいと思うんですけれども。  それで、私、この明石海峡大橋をよく造っていただいたなということを思っております。ただ、考えさせられてしまうのは、なぜ淡路島の人口が、橋ができる前は十五万五千人、今は十四万九千人ぐらいになってしまったと。どうして人口が減ったのか、どうして観光客がうまくいかないのか、どうして企業の誘致ができないのかという、いろんな反省があるわけなんですけれども。  しかし、一番大事なことというのは、私はそこに住む人々にとって、この香川県の大久保じん之丞さんという県会議員の話じゃないんですけれども、そこで不便な生活をされていた方のことを思えば、これはかつてせきれい丸という船が沈んで三百四人の方が亡くなられた悲しい事故もありました、昭和二十年に。こういったことも本四架橋の建設の引き金になっているんですけれども。そうしたことを考えておれば、当然不便な地域に住んでいる方には利便性を与えていくということは当たり前ですから、私は四国の出身者や淡路島の出身者だったら橋を造っていこうというのは当たり前のことだと思うんです。  私思うのは、採算というのは事業を成り立たせるための重要な要素であっても最大のテーマでは決してないということでございます。道路事業の目的というのは、ややもすれば採算性ばかりに議論が集中している中、採算性を問うべき部分と住民の皆様方の生活の向上と地域の発展など、公共事業の本来の目的に沿うべきものが存在すると私は思っています。  このことについて、是非次長の考え方をお述べいただきたいと思います。
  51. 原田保夫

    政府参考人(原田保夫君) お答え申し上げます。  本四道路につきましては、全国的な見地で必要だというだけではなくて、地域にとって必要不可欠な道路だという要素もあろうかと思います。そういった意味におきましては、こういった道路につきまして税金を投入してやるべきだという議論も当然、先生御指摘のようにあり得るかというふうに考えております。ただ、あの当時、道路全体の整備水準が多少遅れている中で一般道の整備もしなきゃいけない、財政事情も厳しいという中で早期整備を図るという観点から有料道路制の仕組みを採用したという、せざるを得なかったということでございまして、ここら辺につきましては御理解をいただければというふうに思っております。  今後のことでございますけれども地域にとって必要な道路につきましては早期整備を図る必要があると考えておりますが、これまでいろんな経緯がございますけれども、採算性と必要性の違いということをきっちりとしっかりと認識をしながら、併せて厳格な事業評価も行った上で、それぞれの道路にふさわしい適切な整備手法を選択をして道路整備を進めていく必要があるというふうに考えております。
  52. 末松信介

    ○末松信介君 採算性と必要性という話もありました。必要なものはやっぱり必要でありますし、必要なものは税金で造っていくということはやっぱり私は正しい考え方であろうと思います。BバイCの議論なんか出まして、これも大事な話なんですけれども、いろいろとまた皆さん方に、地方税法案が下りてきたときにまた質問をさせていただきたいと思っております。  時間もなくなってまいりましたので、実はこの明石海峡大橋は海上国道になっておりまして、三月五日午後二時五十五分、この明石海峡の航路の東口付近において、タンカーのオーシャンフェニックスと貨物船ゴールドリーダー号及び貨物船第五栄政丸の三隻が相次いで衝突をしまして、ゴールドリーダー号が沈没をいたしました。地図をちょっと今日資料としてお渡しをしていただいておりますので、また御覧をいただきたいと思っております。  この三隻の追突事故でございますのですが、ここは、ノリの養殖とかイカナゴを捕ったりとかして、非常に豊かな漁場でございます。ここで結局、油が流出をしまして、大きな二次被害が発生をしているわけでございます。沈没した船が鋼材を運ぶ貨物船だったということで船主限定責任の事故という様相を示しているわけでありますが、これは、沈没した貨物船ゴールドリーダー号の船主保険が七億円であったことをかんがみますと、現在の漁業者の被っている被害額と余りにも懸け離れてしまっているという事実がございます。  このことで今現在苦しんでおられる方々が、裁判の完了をするまで待たせるのではなくて、現在何とか救済する方法はないのかということで、県は県で今、豊かな海づくり資金ということで無利子の貸付け等々を行っているわけなんですけれども、水産の部会等々で、特別交付税でいろいろと将来考えてやれないのかということを言っておられます。これは、イカナゴとかノリというのは地場の特産品でございまして、第一次産業に従事している方が大変多いわけなんですけれども、こういった方々がこの機会にやめてしまうということがないように、総務省としてこういった場合に何ができるんだろうかということ、このことの所見をお伺いしたいと思います。
  53. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 大変今地元で深刻な被害が出ているということをお聞きをしているわけでございますけれども、まず公共団体で、今先生からもお話ございましたとおりの、利子補給ですとかそれから廃棄処分費の支援などの取組を予定したり実施をしているというふうに聞いております。総務省として、こうした公共団体取組に対する財政措置ということも考えられるわけでございますが、具体的な取組内容とそれから要した経費等についてよくお聞きをする必要があると。それからあと、この問題について、他省の方でも様々な支援ということについて今検討中というふうにお聞きをしてございます。  従来から、こうした深刻な地域での被害が生じた場合には、そうした他省からの支援の在り方というものもよく見た上で私ども対応を取るということになっておりまして、いずれ、新年度にもう間もなく入るわけでございますが、どういう対応を取るか、新年度の措置ということになるわけでございますし、もう先生よく御存じのとおり、一番私どもとして有力な武器は交付税、特に特交の措置ということになるわけでございますが、そうした今申し上げましたような地元での取組それから関係省庁からの支援の在り方というものも十分に踏まえて、その内容を検討していく予定にしているところでございます。
  54. 末松信介

    ○末松信介君 よろしく御対応いただきたくお願い申し上げます。  最後の質問でございまして、水産庁にお聞きをします。  現在、十九年補正燃油緊急対策というのが行われております。水産業燃油高騰緊急対策事業でございまして、ここでちょっと考えたいのは、その中で、一つは藻場整備、二つ目は漂流・漂着ごみの除去、三つ目は輪番制休漁のこの三点の拡大解釈適用が可能ではないかという御提言でございます。これを水産庁に申請をしまして、各漁協が被害額等を検討しまして、それぞれが最大の補償が受けられるようにして、本当に被害者救済を図るということを目指してはどうかと思うんです。  この水産業燃油高騰緊急対策事業の真の目的であります第一次産業、この水産業の保護育成を法解釈で目指してはどうかということなんですけれども一つは、藻場整備に関しては、ノリ養殖場の清掃、油濁除去をした者に実費被害額の二分の一プラス人件費プラス用船料を、そして漂流・漂着ごみの除去に関しては、油の付着した網、ノリの撤去をした者に実費被害額の二分の一プラス人件費プラス用船料を、そして三つ目は、輪番制休漁に関して、イカナゴ漁、ノリ漁の休漁日数分を充てて被害者の軽減を図ってはどうかということなんです。  現行法ではこういう形態の救済の仕方しかないと私は思うんですよね、いろいろ読んだんですけれども。新規に基金をつくっても、これは遡及ができるかどうかという問題もありますし、その拠出者をどう特定するのかという難しい問題もございます。こういう点を踏まえて水産庁の見解を伺いたいと思います。最後の質問です。
  55. 重義行

    政府参考人(重義行君) お答え申し上げます。  まず、今回の貨物船衝突事故によりまして、重油流出で漁業被害に遭われている漁業者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  なお、水産庁といたしましても、これまで漁業共済金の早期支払や低利融資資金の対応について関係機関等に要請しているところでございますが、ただいま委員から御指摘のありました平成十九年度の補正予算におきまして、燃油高騰対策として、漁業者の方々が省エネの対策の一環として行います藻場、干潟の清掃や、先ほど委員からも事例紹介がございました海岸のごみの清掃とか、そういうようなものに対しての活動に対する支援措置として百二億円の基金が今設置されているところでございます。  今般被害を受けられた方々におかれましても、この事業の趣旨に沿った形で、省エネ型漁業への転換などを通じました経営改善を図る観点から、ただいまいろいろと御指摘いただきましたような様々な取組も併せてこの事業の趣旨を図るという観点で取り込んで積極的に図っていくことができないかと、それが重要ではないかというふうに考えているところでございまして、この事業の内容につきまして、私どもといたしましても、現地の漁業関係者の方々にこれから積極的に周知を図りまして、また、具体的にこの事業を使って何ができるかといったような観点でまたいろいろと進めてまいりたいというふうに考えております。
  56. 末松信介

    ○末松信介君 今後、同じようなケースが起こり得ると思います。そういうことも念頭に置いて善処のほど、よろしくお願いを申し上げます。  以上です。ありがとうございました。
  57. 河合常則

    ○河合常則君 地方の活性化について幾つか準備をしてきましたが、時間、非常に少なくなりましたので簡単に申し上げますので、ひとつよろしくお願いいたします。  一つは、私は道路を造ることは非常に大事なこと、均衡ある国土の発展のために非常に大事だと思っています。BバイCの話がございますが、やっぱり道路はネットにならないと本当の効果は出てこないと、均衡ある国土の発展はないというふうに思うのでございます。今までの予算委員会を聞いていましても、BバイCが一・二とか一・一以上とかいろんなことが言われています。それは本当なのかなという思いでございます。もう一つは、情報と通信のこれもネットワークをしっかりやると。そうでないと、本当に山村、過疎のところを本当に住めるかどうかということになるのではないかという気さえします。  さて、そういうハードのことだけでなしに、地域の、地方の活性化のために何が大事かなといろいろ考えてみました。私はやっぱり、今ある、それぞれの地域にある伝統的な文化、文化財、それを使った活性化もあるのではないかと。それを使ってイベントをすると、たくさんの人も来てもらうと。そして、自分たちも先祖からいただいた、受け継いだ文化財を大事にすると。そういうことが本当に地域を盛り上げることになるのではないかというふうに思うのでございます。  ところで、文化財たくさん持っておられて、そういう機会にあふれておられるだろうと思います二之湯政務官に、まずはこのお考えをお聞きしたいと思います。
  58. 二之湯智

    大臣政務官二之湯智君) 地域の活性化につきましては、道路ができればすべて活性化するという、私はそういう意見を持っておらないわけでございまして、やはり地域の持つそういう文化財とかソフトをどのようにして地域活性化のために生かしていくかということが非常に重要だと思います。  京都の例を取って大変申し訳ございませんけれども、京都にはあり余る伝統行事と文化財があるわけでございまして、これが他の地域参考になるかどうかは分かりませんけれども、もう先生御存じのように、伝統文化といえば、京都には三大祭りがございます。春の葵祭り、そして祇園祭り、そして時代祭りと、こういう祭りに大変多くの観光客が京都にお越しになるわけでございます。さらにまた、年末年始のスポーツの祭典、高校駅伝、そして年明けの都道府県対抗駅伝、これがもう非常に多くの都道府県の応援団が京都にお越しになるわけでございます。四月一日から都をどりも始まりまして、これも一か月間続きますけれども、ほぼ一日四回、五回の興行がすべて満員になると、こういうことでございまして、大変今京都ブームでございまして、そしてまた、冬と夏の観光客がかれるときには寺院の協力を得て非公開寺院の文化財の公開と、こういうこともございまして、今や通年の観光都市となった京都でございます。そんなことで、先人の遺産を十二分に生かしながら一生懸命地域づくりに、地域の活性化に取り組んでいるのが現況でございます。  以上でございます。
  59. 河合常則

    ○河合常則君 ありがとうございました。たくさんあって、楽しみなことで。  それを、大なり小なりそれぞれの地域でそういうものがあるんだと思うのでございます。たまたま京都の駅伝の話を出されました。非常に大事なことでございます。スポーツの振興も、本当に地域の振興のために大事だと思っています。  ところで、その文化財をどう維持するか、イベントをどうして作っていくか、それからスポーツの振興をどうするか、選手をどう養成するかと、これはやっぱり費用の要ることでございます。公的な資金だけではとても駄目でございますから、やっぱりそれぞれ地元の方々、それに関心をお寄せいただく法人とか個人の方々から寄附金も集めねばならぬと。それで、その金を充てて地域振興にすべきだと思います。  全国に社団法人二万五千ほどございますが、特増法人、特定公益増進法人、これは寄附控除とかそういうふうになるわけでございますが、そういうものを、全国レベルではございますけれども、今度は県レベルまで下ろしてやれるほどにすることが大事なのではないかと。私は、県のどこに言ってどうすればできるのかということも含めて、是非総務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  60. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これまで、個人住民税というのは、地域社会の会費という性格で地域とのつながりというのを非常に重視してきましたから、この寄附金税制ですね、個人住民税の中での、これは非常に限定的に解釈をされ、それから対象も狭められてきたというふうに思っております。  ただ、今これからの時代のことを考えますと、先生のお話にございましたとおり、寄附文化の醸成と、あるいは公益性の強い活動の促進をしていかなければならないと、こういう時代に入ってまいりますので、今般、個人住民税の寄附金税制を大幅に見直しをして、そういった今申し上げましたような方向に沿うように思い切って内容も拡大をしていこうと、そういうことで改正案を提案をしているわけでございます。  一つは、公益法人や学校法人などに対する寄附金のうち公共団体が条例で指定したもの、これについては寄附金控除の対象とするような、そういう制度を新たに創設をするということ。それから、あと、その効果を大きくするために控除方式を、従来所得控除でございましたが、これを税額控除にすると、この方がはるかに効果は大きいわけでございます。それから適用下限額、従来十万という足切りがございましたが、これを五千円まで下げて、そしてより効果が大きいように、皆さん方からもそうした効果が実感できるように、今回は改正案を提案をしているわけでございます。  こうしたことによって、これをまた大いに御活用いただきたいと思います。私どももこうした制度の周知徹底を努めて、そしてまさしく寄附文化の醸成ですとか地域に密着した公益活動がより促進されるように努めていきたいと、このように考えます。
  61. 河合常則

    ○河合常則君 ありがとうございました。  このことをやっぱりしっかりPRすることも是非お願いいたしたいというふうにも思います。  さて、もう一つ、これは文科省にもお聞きして、大臣にもお聞きしたいのでございますが、私は地方の国立大学、それぞれ国立大学法人になりましたが、そこがやっぱり地域と密着して頑張っていただくことがそれぞれの地域の活性化につながるのではないかと思いました。大学運営交付金は一兆一千百十五億円ございます。それは十九年の予算でございますが、これは毎年一%ずつ減るというふうに聞いています。  そこで、いやこれは全国区の大学、東京大学とか、それは全国区の大学にはどれぐらい行っておって、それから地方の大学にはどうなのかと調べてみようと思ったんですが、どうもなかなか全国区の大学というのはそうそう決めるのは難しくて、じゃ旧帝大でどうかと調べてみたのでございます。旧帝大は運営交付金は一校当たり五百三十七億円出ております。そこで、残り八十の大学は九十一億九千万円でございます。ざっと六対一でございます。  それから、寄附金集めていますので、大学への寄附はしやすくなりましたから、寄附集めていますので、これがどうなっているかというのを見たのでございます。全部で十八年度決算で六百九十七億円集まっていますが、旧帝大は一校当たり四十五億九千万円でございます。約四十六億円でございます。ほかの大学は一校当たり四億七千万円でございます。十対一でございます。この差がますます出てくると、まさに都市と地方の差はずっと出てくるのではないかと。  これは、大学運営交付金はまず文科省にしっかりと地方へも配分するようにということをお願いしなきゃなりませんし、大学は、大学自身が地域と密着して、そして、何といいましょうか、総務大臣自治体との連携もしっかり持って、研究したその成果を地方地域へ出すと、それでまた地域から支援をいただくと、こういう循環をして、地域も活性化になる、学校もやっていける、大学もやっていけると、こういうふうにならねばならぬのではないかなと思うのでございますが、まず文科省からお聞きして、その次、大臣にお聞きしたいと思います。
  62. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 地方国立大学は、地域の発展の中核となる人材育成の拠点としての役割のみならず、特色ある研究の展開、地域のイノベーション創出の基盤として重要な役割を果たしてきております。さらに、近年は、地域医療への協力や、共同研究による地元企業との産学連携など、様々な地域貢献活動を強化しつつございまして、地域の振興や我が国の発展に不可欠な存在となっております。  このため、文部科学省といたしましては、今後とも運営交付金の確実な措置や、地域貢献に関する優れた取組の支援などに努めてまいりたいと考えております。また、外部資金の獲得に当たりましては、それを受けて各大学が優れた教育研究活動を行いまして、それが好循環につながるように努めることは当然でございますけれども、さらに、各大学がその活動やシーズ、実態関係者、社会に広く情報発信いたしまして、理解、連携協力を求めていく努力が極めて重要だと思っておりまして、文部科学省といたしましても、各大学に対し引き続きそのような取組ができるよう強く促してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  63. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり、大学の地域における役割というのは大変重要、しかも、岩手もそうでしたけれども、そういった過疎を抱えている地域であれだけいろんな先生方が集まって、設備もお持ちになって、まさに知の拠点として地場のいろいろな活動なりそれから企業をリードしていく、そういう役割を果たすところでございますので、今文科省からもいろいろ話ありましたんですが、私どもも、こうした大学を産学連携の拠点にしたり、それから地域の振興、発展の核とするようにいろいろこれまでも取組を行ってまいりました。今般も地方財政再建の法律に基づく政令も変えて、地域と大学がより連携しやすいようにいろいろ寄附制度も変えさせていただきました。  したがって、これからも地元でそうした大学としっかりと連携を取っていい成果を出すように、いろいろな先進事例も紹介しながら促していきたいと。殊更そうした面で文科省ともよく連携を取って行動をしていきたいというふうに思います。
  64. 河合常則

    ○河合常則君 あと四十秒ほどありますから、ちょっと最後一つだけ。  さっき梅村委員もおっしゃいましたが、私は、地方自治の一つの安全、安心を確保するということで、一番の心配はやっぱり病院なんでございます。自治体立の病院が千ほど、九百七十三ございます。そして、その四分の三が赤字なんですね、七百二十一。千九百九十七億円の赤字でして、昨年よりも五百七十六億円増えています。これは本当にやっぱり大変なんだろうと思うんですよ。  それで、医療法人の病院もございますので、医療法人の病院は、これはやっぱり、二年前の調査ですが、五千四百四十ございますよ。それから、個人の病院は千八十五ございます。そのほかに、社会保険の病院とか済生会とか農協共済とか赤十字とか、たくさんございますよ。ところが、本当の地方の田舎の健康、安全、安心を確保するのは、市とか県とかの自治体の病院だと思うんでございます。これをどうするかと。大変な赤字だと。  それで、先ほども話ございましたが、経営体の統合であるとか地方独立行政法人化とか指定管理者制度とか民間への譲渡とかというふうに考えられておるようでございますが、これは市町村合併によって病院のオーナーの姿も変わったのですから、ここは是非、まあ、あめとむちと言えばなんでございますが、特別な対策を取らねばならぬ。全国一律の方法による支援とか、全国平均が必ずしも真の公平ではないという考え方の下で、やっぱりこれは都市と地方の安全、安心のために、中途半端でなしに思い切って財政的な支援を、シビルミニマムをきちんと担保するという、傾斜配分をきちんとやって支援をすべきではないかと、こういうふうに思うのでございます。  お聞きをします。
  65. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 自治体の開設している病院でございますけれども、これはやはり非常に経営基盤が今脆弱であり、そして医師不足によって更にまた経営が悪化している。ただし、地元にとってはなくてはならない病院であります。ほかに代替するような病院がない地域が大変多いわけでございますから、これについてきちんと守っていかなければならない。従来から、こういったへき地、不採算地区の運営について地方交付税措置ということで、具体的には特交ですが、これで措置をしてまいりました。今、よりそうした医師不足、それから経営悪化が著しい傾向にあるということでございます。  私どもも、全国的なそういう中での公立病院の役割ということを十分踏まえた上で、地方交付税措置の更なる充実ですね、こうした今お話がございましたような地域の病院に対して地方交付税措置の更なる充実を図る方向で今、中で検討してございます。間もなく新年度になるわけですが、新年度においてその成果を明らかにしたいと、こういうふうに考えております。
  66. 河合常則

    ○河合常則君 ありがとうございます。  終わります。
  67. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  今日は三月二十七日でございますので、まあ本来であればいわゆる日切れ法案を審議してしかるべき時期かなというふうに思っているわけでございますが、歳入法案あるいは税法、これ最近のテレビあるいは報道を見ると、あと五日間年度末までございますけれども、四月一日からどういうふうになっていくんだろうかというようなことがかなりにぎわわしているところでございます。  先ほど大臣からは、知事会の麻生会長がお見えになって云々と、道路財源の成立を求める緊急声明に基づいていろいろ来たというふうに思っておりますけれども、道路財源が大きな話題になっていて、ガソリンスタンドがどうするのとか、あるいは車に給油するにも値段指定とかリッター指定とかをやっているとか、そういうことがニュースになっている。あるいは、新潟県ですか、建設予算などの二十億円の土木事業費を凍結したというふうな言い方が出ていたりするわけでございますけれども、このいわゆる日切れ法案が年度末まで、もちろん五日間ありますから、国会の責務として、与党、野党、あるいは第一会派も第二会派も含めて責務として真剣に議論をするということは論をまたなく、国の経済又は国民生活に多大な影響を与えるというふうに思うわけでございますが、この年度末にまだ成立していないという万々が一のケースの場合、どのような影響地方に与えるのか、簡潔に御説明いただけますか。
  68. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 道路の関係で、仮に成立をしないといった場合には、いずれにしてもまず九千億の地方の暫定税率分の収入が失われると。それから、臨時交付金で来ているものにも影響が出るのではないか。それから、臨時交付金が七千億ございます。それから、補助金、これにどういう影響が出るのかがまだ明らかでありませんが、補助金で今五千六百億、地方がですね、国からお金をもらっているわけでございますので、こうしたものに相当の影響が出るということを大変懸念をしております。  これについて公共団体も大変今苦悩しておられる。今お話がございましたとおり、新潟では執行留保を今考えているといったような報道ございましたけれども、どういうことになるのか、対応についても非常に不確かなところがあるわけでございますが、いずれにしても二兆六千億の税収が失われると。今私が申し上げましたのは地方分だけの取りあえず考えられるものでございますが、国直轄分も実際に工事としては地方でそれぞれ行われると、その直轄は間違いなく事業としては止まるであろうと。こういうことでございますので、地方財政に大きな影響を与えるのはこれはもう間違いないわけですが、この地方経済、今雇用も大変逼迫しているという地域が多いわけでございますが、地方経済にまた深刻な影響が出てまいりまして、雇用の場が場合によっては失われる等のことになりはしないか、大変懸念しているところでございます。  今のこの段階でございますので、とにかく政府案の成立ということをお願いする立場でございますので、そのことしか申し上げようがないわけでございますが、いずれにしても、地方財政のみならず地方経済に深刻な影響が出てくることを大変私どもは懸念しているところでございます。
  69. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、行政を預かる立場として、ただお願いするばかりですというふうなことはもちろんでございますが、万々が一のことも私考えて、取りあえずの、いわゆる六十日ルールがあるのかもしれませんが、そういうふうにどういう展開するか分からないけれども地方行政の大変な状況の中でやはり総務省として対応策を考えていかなきゃいけないだろうと思っておりますが、取りあえずの対応策は今のところどんなようなことが考えられているのか、示せる範囲でお答えいただけますか。
  70. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 従来から公共団体では歳入欠陥になるといったような事例、今までも確かにございます。それから、年度の税収の見積りが狂うということもです。これはやっぱり実際には起こり得るわけでございまして、ただいずれにしても、そういったもの、ほとんどけたが大分違ってまいりました。そういうもの、従来もそれほど大きな規模で起こることはございませんでした。  今回は、これが地方でも、例えば九千億プラス七千億、更に五千六百億ということでございましたら二兆円近くが影響が出てきますし、国全体でいずれにしても二・六兆ということでございます。それを、今のこの段階で当面別の財源で手当てするということはちょっともう今のところ案がないわけでございます、正直なところ。  それで、歳出を削減するか、あるいは他の財源に補てんかというようなことが一般論として申し上げればあるわけでございますが、したがって、ペースを少し公共団体の方に落としていただくようなことをお願いするかということもございますんですが、これも公共団体にとって、もう歳出予算の方も全部組み上がっていると思いますので、なかなか容易ではないということでございます。  先生の方からまた強いおしかりをいただくかもしれませんけれども、今の段階ですと、なかなかもう、別の代替案があればむしろそういったことをこれまでも行っているところでも逆に言うとあるわけでございまして、今の段階では、とにかく状況を見ながらいろいろな公共団体に情報は十分提供してございます。  我々としてもやれる情報は提供しているのと、それから、仮にお認めをいただけない場合に、どういう理由でやっぱりそれがお認めいただけないのか。むしろ、道路を整備すると事業量が多過ぎるからもっと削減したりペースを落とせということでのことなのか、あるいは、それはきちんと整備をすべきだけれども財源手当てを別途しろということなのか。実は、そういうなかなか手品のようなことが実際には考え難くて、やっぱりある程度の量を整備をお願いするためには、きちんと受益者負担の考え方に立って納税者の御負担もいただかないとできないということではございますが、いろいろその理由等も十分に私どもとしても考えながら、今後の対応を考えていきたいと。  ただし、今の段階、今日まだ残り五日間というお話でございまして、ここの段階に至っても、正直なところ、それに代わり得るようなものをいまだ見出しかねていると、正直なところ、そういう状況でございます。
  71. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと、なかなか想像し難いような事態といいますか、であるがゆえに、国会の責務として、与野党を挙げてしっかり議論していきたいと思います。  ところで、ちょうど一年前、三月、昨年の三月二十五日でございますが、能登半島沖地震というのがございました。輪島を襲い、春先のまだ肌寒い時期であったわけでございますが、いまだ輪島とか七尾、穴水、志賀で二百五十一世帯五百七十九人が仮設住宅十か所で暮らすという状況ではあります。もちろん、一年間掛けて、国からも支援もらいながら、復興へ一生懸命取り組んでいるというところでございますが。  先般、ある新聞記事によれば、消防庁に設けられた地方公共団体における総合的な危機管理体制の整備に関する検討会という調査が載っておりましたけれども、例えば県であれば、守衛以外の職員等が加わって二十四時間でこの危機管理体制といいますか、取っている県が四十七都道府県のうち三十六にすぎず、十一の県では守衛のみが二十四時間体制を取っているというようなことが報道されました。例えば青森県では、業務委託の夜間・休日常駐員がいて職員に情報を伝達する。あるいは香川県では、県土が狭く、職員も近くに居住しているので守衛からの連絡で対応というようなことのようでございますが。  しかしやはり、こういう危機というとき、自然災害、あるいは先ほども出た新型インフルエンザの場合であるとか、あるいはテロリズムの脅威とか、そういう住民の安心、安全を脅かす事件、事故というのが発生が絶えないし、それは役所の開庁・閉庁時間に関係なく起きるわけでございます。ですから、そういう場合に対応するのに守衛のみでは、やはり情報収集あるいは応援要請などの初動の遅れにつながりかねないのではないか、そういうふうに思うところでございます。そういうような状況の中で、やはり、きちっとした職員の宿直体制といいますか、それも整備をしていくべきであると、この四月からでも推進すべきではないかというふうに思っているところでございます。  また、政令指定都市、あるいは県と市の調査でも、職員も加わっての二十四時間体制というのは十五でありまして、三十四の市では守衛のみが二十四時間体制を取っている、そういうような状況だそうでございますけれども総務大臣の、県あるいはまた市町村の状況についての御認識と、やはり県も市町村も宿直体制を整備を図っていかなきゃいけないと思っておりますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  72. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 宿直体制がやはり公共団体ではまだ十分に行われていないと。今ございましたとおり、やはりいざというときのために直接職員の人たちが大変でしょうけれども交代で宿直していただいて、そしていざというときに備えていただくと、やはりこれが必要だと思います。こういった即座対応ということが今大変求められているわけでございますので、なおさらそうしたことを是非御理解をしてそういう体制をしいていただきたいというふうに思っております。  そこで、都道府県に対しても、そういうことをこの調査でも明らかになっておりますので、認識を更に深めていただきたいというふうに思っておりますし、また私どもの方でもよく調査を行って、こういった都道府県のみならず市町村の実態もよく把握をしていきたいと。そして、市町村においてはなおさら、消防のみならず市町村全体としての即応体制を充実させていただくことが重要だというふうに思っておりますので、私ども総務省としては、今回の都道府県における検討に加えて、市町村の総合的な危機管理体制の充実について更に検討していきたいと、このように考えているところでございます。
  73. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その危機管理体制、災害情報ということになるわけでございますが、やはり災害時の正確な情報を把握するということが重要だと思っておりまして、ICTの活用が期待されるところでございます。  総務省においては、災害時に国民に情報が迅速的確に伝わるための基盤整備を検討すべく、今年の二月二十二日に地域の安心・安全情報基盤に関する研究会を立ち上げたというふうに承知をしてございますけれども、この研究会の目的と成果、御説明をしていただきたいと思います。また、平成二十年度予算においてICTの防災面での活用について、災害情報通信システムの研究開発、新規十一億円とか、いろいろあるようでございますが、総務省取組についてお伺いをしたいと思います。
  74. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 災害発生時にとにかく情報を迅速、そして的確に伝えることが大事なんですが、今その手段が、例えば地上デジタル放送、それからワンセグ放送、それから携帯電話、伝達するサイドの手段というのも非常に多様化をしてきているということがございます。したがって、この手段が多様だということは、その伝える主体の方もいろいろ、テレビ事業者であったり、携帯の電話の方の事業者であったりということで多様化してございますし、それから、今度いろいろとまず基の情報を持っているところも公共団体が持っていたり、それからライフラインの事業者が持っていたり、それから地域情報ですと、これは地域にいる人たちがやっぱり持っているということで、非常な多様な組合せになってきてしまうということがございます。  そこで、今お話ございました研究会を設けまして、できれば高齢者を始めすべての皆さん方が分かりやすい形式でこうした安心・安全情報を迅速に入手できるように、このデータの入力とか出力方式を共通化するようなことができないかということをこの研究会を立ち上げて今検討をしているわけでございます。  もちろん、この大きな目的は、住民視点に立った災害情報等の迅速な提供が可能になるようにと、こういうことでございまして、二月の二十二日にそういうことを報道発表させていただきましたが、基本方針を六月までに取りまとめをして、そして、できればこのことを踏まえて全国的にこのシステムを定着させるために実証実験とか検証を積み上げていきたいと。やはり一度実地でやっていかないと有効かどうかということも分からないんで、少しお時間をいただいて、そういうこともきちんと行って、有為なシステムをつくり上げていきたいと、このように考えております。
  75. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 災害時は住民へ向けての情報提供というのもあると思いますけれども、その被災に遭っている方含めて、やはりそういう住民からの情報というのが大事になるのではないか。ブログやソーシャル・ネットワーク・サービスの活用、あるいは電子掲示板を使って住民からの情報提供だとかあると思いますが、そうやって取り組んでいる例があると、自治体があると思いますが、総務省で把握されている例があれば簡潔に御紹介いただきたい。消防庁でいいです、消防庁で。
  76. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 消防庁では実は把握していなくて、郵政部局の方で把握しているようなんですが、ちょっと私も今手元に資料がなくて、ちょっと承知してございません。恐縮でございますが。
  77. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 県でいえば埼玉県でありますとか長野県、また長岡でそういうような掲示板みたいなことをやっているというふうに伺っているところでございますが。  ところで、携帯電話のフィルタリングでございますが、総務省、去年、携帯電話会社にフィルタリングサービスの導入促進を要請をしたと思っておりますが、これを受けて、事業者は十八歳未満の利用者に対してフィルタリングサービスの利用を原則とする契約に移行したというふうに承知をしております。ただ、要するにフィルタリングを掛けますと、今度、先ほど申し上げましたブログとかSNSあるいは掲示板への接続が遮断されるわけですから、そこに防災情報で、見ようかなと思っても遮断されるという、そういう事態になっているのではないのかなというふうに思います。  ホワイトリストあるいはブラックリスト方式というフィルタリングサービスがあるようでございますが、結局サイトの指定はジャンルごとにリストアップされるようでございまして、掲示板とかそういうのはコミュニケーションというジャンルで指定されてしまえば、すべてのブログ等のアクセスが拒否される。我々の政党のあれも拒否されるというふうに思っておりますけれども。ただ、防災情報も遮断されるというのはいかがなものかなというふうに思うところでございます。  青少年の健全な育成のためには広い範囲で遮断することもある程度は理解できるわけでございますが、一律に遮断されたサイトも親等が許可すれば当該サイトにアクセスできる、解除できる仕組みを導入すべきではないか、特にそういう災害とか見れるような状況にしておくことが一番大事ではないかなと思っておりますが、御見解をいただきたいと思います。
  78. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 青少年をインターネット上の有害情報から守るというのは大変重要だというふうに思いまして、昨年の十二月十日でございますが、私の方から直接、携帯電話事業者のトップの方をおいでをいただいて、そして今お話ございましたフィルタリングサービスの更なる導入促進に向けた取組の強化を要請をいたしました。これは社会的に必要なことだと思ってやったわけでございますが、いろんな技術的な問題等もこれありまして、今先生から御指摘いただきましたように、結局、非常に健全なものでございますとか、あるいは大変大事な災害時のそういうものが一方で提供できなくなる、閲覧できなくなるといったような場合があるということも判明をしておりまして、これはこれでまた別の問題が生じますので、その対策を講じなければいけないというふうに思っております。  それで、今どういう形でこの必要な防災情報提供の掲示板などが利用できるようにするのか、この点について御関係皆さん方に集まっていただいて、検討会を開催をしてございます。有害情報というものをきちんと遮断をする、しかし必要な情報を得るということのために何かいい知恵はないのかということでいろいろ検討していただいておりまして、考え方として、利用者からの個別の判断によって閲覧できる範囲を選択できないかということ、これもいろいろ前提条件があるんですが、大きく言うとそういうやり方ですとか、それから青少年にとって有害でないコンテンツというものを民間の第三者機関が認定をして、それで閲覧可能とするやり方はどうかとか、検討会の中で議論が出ております。  もう少しお時間をいただいて、四月中を目途に中間報告を取りまとめたいということで、今一番議論が佳境に入っているところなんですが、いずれにしても、防災情報提供の掲示板などはやっぱりきちんと見られないといけないというふうに思っておりますので、少しお時間を来月までいただきますけれども、その中で、良いフィルタリングの実現のための方法というものの方向性をきちんと打ち出したいと、このように考えております。
  79. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いつ災害あるか分かりませんので、よろしくお願いをしたいと思っております。  次に、地方分権改革につきまして若干お聞きをしたいと思います。  平成の大合併も随分進んできまして、本年十一月には市町村数が一千七百八十五ということになるようでございますが、市町村合併はやはり引き続き私も推進していくべきであるというふうに考えておりますが、それとともに、やはり合併特例債による、例えば箱物建設で財政状況が悪化したよとか弊害も指摘されているところでございまして、静かに振り返って評価をしていくべき時期に入ったんではないのかなと。  昨年九月に決定したこの地方制度調査会の審議項目に、基礎自治体のあり方というのが掲げられておりました。そんな中で、合併した市町村あるいは合併をしていない市町村の評価、検証、分析というのが含まれているわけでございますが、地方制度調査会でのその後の検討状況も含めまして、今後の合併推進についての大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  80. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、市町村合併が大分進みましたので、今年の十一月に市町村数が千七百八十五までになると、こういうことでございます。そのことによって行財政基盤も充実強化が図られたというふうに思っているわけでございますし、それから住民サービスの維持向上ということにも、その合併した市町村において、皆さん方がいろいろ今懸命に取り組んでおられるというふうに思うわけでございます。ただ、これは、御案内のとおり、都道府県ごとに相当進捗状況に差異があるということ、そして人口一万人未満の市町村というものも、これは一万人未満のもちろん市もございますし、それから町村もまだ四百八十三存在をしているということでございます。  そこで、まだこの合併新法の期限というのが、これは平成二十二年三月まで有効の法律になってございますので、その合併新法の期限までを見据えてこの合併の議論というのを引き続きやっていただきたいというふうに思いますし、それから、でき得ればそうした中で、いい町づくりに向けていくためにも、将来に向けて御決断をいただきたいと。私どもやはり法律を持っておりますし、自主的な市町村合併というものを積極的に推進をする立場でございまして、また住民の理解をいただくように進めていきたいというふうに思っています。  それから、今お話がございました第二十九次の地方制度調査会ですけれども、ここの調査審議の中で、合併した市町村それから合併していない市町村の評価、検証、分析も行っていただくということにしてございます。まだ地方制度調査会の方の議論でそこのところまで至ってないところでございますが、今ちょうど監査制度の方のところを、おととい開かれておりましたが、そちらの方をやってございましたんですが、この市町村合併についても、そちらの方で委員の皆様方からもこの際にそうした評価、検証、分析も行うという話出てございますので、その調査審議の様子も十分に注視をしていきたいと、このように考えております。
  81. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろんなところを回っていますと、全く新しい名前の市ができていたり、そんな中ちっちゃい市町村がぽつんと残っていたり、いろんな経緯があると思っておりますけれども、この取り残されたといいますか、あるいは自立を選んだといいますか、そういう自治体の対処といいますか、まだもちろん、今お話あったように二十二年三月三十一日までの合併特例法ございますけれども、この小規模市町村の在り方というものがやはり大事になってくるのではないのか。  地方分権改革推進委員会の中間取りまとめでは、いわゆる広域連携が大きな課題になってくるというようなことがありますし、また都道府県が担う垂直的補完というんですか、水平的補完だけじゃなくて垂直的補完ということも考えられるというふうなことでございますが、広域連携を含めた小規模自治体の今後の在り方について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  82. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話しございました垂直、それから水平というお話がございました。非常に小規模で、なかなか市町村が本来担うべき事務を担えないという場合には都道府県が補完をすると、これは垂直的な感じになりますけれども、事務配分特例方式ということが言われておりますが、こういう事務配分特例方式を検討して、そして都道府県によってそこのところをカバーしていくと、これは一つのやり方だと思います。  それからもう一つは、市町村相互で連携してお互いに補うということですが、これは単に別々の市町村というよりは、広域連合制度などを活用していただいて、そしてお互いに横で補完をしていただくということが適切ではないかというふうに思っております。  なお、この点について、先ほど申し上げました今開かれております第二十九次の地方制度調査会でも、小規模自治体の在り方という中でまた様々な観点から検討が行われるというふうに聞いております。  今言ったようなことを基本に、更にいいやり方を検討されるのか、あるいはまた別のことを検討されるのか、まだ定かではございませんけれども委員皆さん方は皆さん問題意識を持ってございますので、私どもも十分な材料を提供して充実した審議になるように御協力していきたいというふうに思っております。
  83. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  84. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  安心して住み続けられる地域社会にとって路線バスは重要な役割を果たしていると思います。とりわけ過疎地の高齢者にとっては買物や病院通いに不可欠な生活の足、命の足だと思います。  そこで、まず総務大臣に、地方における路線バスの役割、それを維持することの重要性、どう認識されているか、伺いたいと思います。
  85. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり地方の場合には、特に高齢者がそこに居住をして生活を営んでいる、病院などにそうした路線バスを活用して通院されているという方、大変多くおられるわけでございます。国の方でもそうした路線バスを維持するために補助事業等などを実施をしているようでございますけれども、こうした路線バス、今交通弱者と言われているような皆さん方、高齢者のみならず、雪などの場合には一般の方もなかなかいろいろ他の交通手段を得るというのも厳しいわけでございますので、やはりこうした路線バスというのは大変重要でございますし、今後もそうしたことを維持していって、そしてその地域を守るということが大変重要だと、このように認識しているところでございます。
  86. 山下芳生

    ○山下芳生君 高齢者のみならず一般の方にとってもという御認識でありました。  ところが、政府のモータリゼーション政策の下で自家用車の普及が進む中、バスの利用者が減少しております。民営バス事業者の七割は赤字経営となっております。その結果、全国各地でバス路線の廃止が進んでおります。  国土交通省に伺いますけれども、一九九五年度から二〇〇五年度までのバス路線の廃止キロの累計は幾らでしょうか。
  87. 神谷俊広

    政府参考人(神谷俊広君) お答え申し上げます。  平成七年度から十七年度までの路線バスの廃止キロの累計でございますが、九万一千三百八十七キロメートルとなっております。
  88. 山下芳生

    ○山下芳生君 十一年間で九万キロ、地球二回り分のバス路線が廃止されたということであります。  資料に各年度ごとの廃止キロの累計をグラフにしておりますけれども、年を追うごとに廃止路線が増えているということであります。  国土交通省に伺います。ちょっと質問の順番変えますけれども、二〇〇六年度の路線バスの赤字額は幾らか。全国、それからそのうち三大都市圏、その他地域、それぞれ答えていただけますか。
  89. 神谷俊広

    政府参考人(神谷俊広君) お答え申し上げます。  毎年私ども保有車両三十両以上の事業者について集計をしておりますけれども平成十八年度の乗り合いバス事業者の赤字額は、三大都市圏につきましては百七十四億円、その他地域につきましては四百億円、全国の合計は五百七十四億円となっております。
  90. 山下芳生

    ○山下芳生君 今お答えあったとおり、やはり地方の赤字額が大きいわけですね。したがって、バス路線の廃止も都市部よりは地方で進行していると推察されます。  国土交通省に引き続き伺いますが、国のバス運行対策費補助金のピーク聞きますと、一九九四年がピークで百十億円だったと承知しておりますけれども、それがこの間かなり減少してきていると。〇八年度は幾らになりますか。
  91. 神谷俊広

    政府参考人(神谷俊広君) 平成二十年度の予算額でございますが、現在七十三億五千万円を予算案の方に計上させていただいております。
  92. 山下芳生

    ○山下芳生君 ですから、ピークの一九九四年から二〇〇八年を比較しますと、国のバス補助金は六六・八%、七割弱に大幅に減少しているということであります。  続いて国土交通省、国の補助の対象となっているバスの系統は全体の何%になりますか。
  93. 神谷俊広

    政府参考人(神谷俊広君) お答え申し上げます。  平成十七年度の実績でございますが、乗り合いバスの全系統数四万七百九十六系統に対しまして地方バス路線維持費補助の対象系統は千七百九十九系統でございまして、全系統の四・四%ということでございます。
  94. 山下芳生

    ○山下芳生君 全体の四・四%。それから、補助は赤字路線に対してのみ出されますから、赤字路線の割合は全国で大体七割というふうに言われておりますから、単純計算しますと二万八千五百系統が赤字と考えられます。そのうち国の補助が千七百九十九系統ですから、赤字路線の中だけ見ても一割にも満たない補助率、補助割合になっているんですね。  赤字系統路線の国の補助がない分は、これは多くでは県や市町村が単独で補助をしてバス路線の維持をしております。その下でどんな事態が進行しているか。  先日、NHKのニュースが秋田県仙北市の路線バスが廃止の危機に直面していると報じました。早速私現地に赴きまして、秋田県や仙北市、そして住民の皆さんの意見を聴いてまいりました。仙北市というのは日本一深い湖の田沢湖ですとか武家屋敷と桜で有名な角館がある町でありまして、昨年、旧三町が合併してできた人口三万六千人の市であります。この仙北市を走るバス路線は、乗車密度が低くて、国の補助の対象になっている路線はありません。十二の路線があるんですが、全部県の、そして市の補助で運行をしておりました。ところが、その県の補助制度が今度見直される予定になっておりまして、ちょっとハードルが高くなって、そうすると広域の二路線は県の補助が残るんだけれども、残る十路線については市が単独でバス会社に補助をして運営しなければならなくなると、それはとてもなかなか厳しいということで、存続の危機になっているということが分かりました。  それから、角館から車で三十分以上、バスですと四十分のところに桧木内という約六百世帯の地域があります。そこを訪ねました。高齢者のみの方、世帯も多いんですが、バスを利用されている住民の皆さんに少し意見を聞かせてくださいと、前の日にNHKで報道されたバス問題で国会から話を聞きますよというビラを配っていただいただけで、別に一人一人お誘いしたわけではないんですが、公民館に二十人弱の方が集まってくれました。やっぱりこれは大変な心配事になっているんだと思います。  そこで、皆さんバスに、どんなふうに利用されていますかと聞きますと、毎週病院に通っているという高齢者の方たくさんいらっしゃいました。それから、地域の中にあったスーパーが去年撤退し、なくなりまして、日々の生鮮食品や日用品の買物にも、角館方面に少なくとも週二回は出かけなければならない。どれもバスというのは日常生活にやっぱり欠かせないということが分かりました。この桧木内の地域から角館までは片道五百二十円、病院までですと六百七十円、往復で千円から千三百円以上掛かるんですけれども、それでもバスがなくなったら私は死ななきゃならないという声も出されました。  それから、この桧木内には小学校、中学校もあるんですが、高校はありません。角館や大曲に通っているわけですが、もしバスがなくなったら孫たちは下宿をしなければならなくなるという声も出されました。  総務大臣伺いますが、こういう地域にとってバス路線の維持というのは市場原理で考えるわけにはいかない。もうかるから走らせる、もうからないから撤退するというわけにはいかないと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、お話ございましたような地域、私も、かなり岩手と県境を接しているところもございますので、そういった地域でのバス路線の維持、地元の自治体の支えがあってそれで維持されている場合が実際のところ多いと思います。自治体の方でもやはり、地域の足としてやはりそうしたものを欠くことができないので、いろいろバス会社と協力して車両を小型化したりとか、その集落のルートなどもいろいろ考えたり、それから時間帯等もいろいろ工夫をしておられるんでしょうけれども、しかし完全に採算ベースに乗せるというのは実質上不可能でございますので、そうしたことについて自治体の方でもいろいろ単独事業として財政措置等を講じていっているのではないかと。  総務省の方でもそうした地方単独事業についても地方財政計画の中で位置付けをして、そして交付税措置等を行っているわけでございますが、やはりそうした公的な支援ということもつなぎ合わせて、そして現在維持が行われているものと、このように考えております。
  96. 山下芳生

    ○山下芳生君 確かに、市単独の支援については交付税措置がされるんですけれども、これは自治体はそれでも二割以上は持ち出しになるわけですので、なかなかそれが進まないということも今起こっているわけですね。ですから、国の補助が非常に少ないというのが今大変なネックになっているんじゃないかと、私は現地に行って感じました。  実は、この間、規制緩和によってバスの需給調整規制が廃止されまして、事業者への補助から路線ごとへの補助へと地方バス路線維持の補助の在り方が変わりまして、これまでの収益の上がる路線から赤字路線に事業者内部で補てんするというインセンティブが働かなくなりまして、これが路線廃止を加速させております。それから、路線の休止又は廃止が許可制から届出制になったということも路線廃止に拍車を掛けております。さらに、バスの補助制度が二〇〇一年度から補助対象を複数市町村にまたがる広域的幹線的路線に重点化されたことも拍車を掛けております。  そこで、国土交通大臣来ていただいておりますから、地方のバス路線が撤退、廃止が相次いでいるときに、地方自治体が路線の維持に大変な苦労をしているんですが、国の支援が私は非常に不十分だと思います。責任を果たしていないと思います。道路は整備されても、それを活用するバスが走れない。これでは地方の再生、活性化どころか、ふるさとで生きていけなくなる方がますます増えるんじゃないかと心配されますが、国の補助を抜本的に拡充すべきではないでしょうか。
  97. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 委員指摘のとおり、地方バス路線維持対策というのは変わってきております。複数の市町村にまたがり、キロ数が十キロ以上、一日の輸送量が十五から百五十人、運行回数が三回以上等の要件はなかなか厳しいというふうに思います。  先ほど総務大臣からお話がありましたとおり、国と地方の適切な役割分担の中でそういう路線バスの維持ということを図っていかなきゃいかぬということで、先ほどお話ありましたとおり、欠損補助や車両購入に対する補助は行っていますし、交付税措置も一部していただいております。  加えて、これ、委員御存じのとおり、平成二十年度予算においては、昨年十月に施行された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく取組を支援する地域公共交通活性化・再生総合事業を新たに設けて、三十億円を計上しております。これは、地域の多様なニーズにこたえるために、バス、乗り合いタクシー等の事業に取り組む地域が設置した協議会に対して、その協議会で策定した計画に基づいた事業についてもうパッケージで支援すると。つまり、もうバスだけではなくて、あらゆる公共交通機関の在り方を考えながらパッケージで支援していこうということですので、こういう御提案を各いろいろな地域からいただきたいと我々は考えております。
  98. 山下芳生

    ○山下芳生君 国の補助が減っているというのは、やっぱり直視しなければならないと思うんですね。  それから、地域ごとの協議会でいろいろな在り方を考えるということですが、実は仙北市もデマンド型乗り合いタクシーというものを試行運転しておりまして、これはなかなか私は注目いたしました。去年、民間バス路線が廃止された地域で市が住民と話し合って試行運転を今しているんですけれども、あらかじめ登録した利用者が予約制で停留所から乗るタクシー、ワゴン車でしたけれども、市が地域のタクシー会社と協定を結んで運行をしておりますけれども、大型バスを購入するより経費はうんと少なくて済んで、予約のやり方が分かれば利用もしやすくて、住民にも好評と、登録されている方も随分増えているようです。画一的なやり方ではなくて、地域の実情に合った移動の足の確保を行政と住民が一体になって知恵を出して考えることの大切さを私は感じました。  ただ、このデマンド型乗り合いタクシーに対する補助は三年間しか出ないんですね。ですから、これも、やっていると言うけれども、ずっと出るわけじゃない。地域で頑張れということになっていますから、これは極めて、もっとこれやるべきだと私は思うんですね、非常に努力されていますから。  それから、そう言いますと、じゃ、私はやっぱり国の補助をもっと増やすべきだと思いますが、そこで聞きますけど、国土交通省さんに伺います。地方バス路線維持に道路特定財源は使えますでしょうか。
  99. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 地方バス路線維持補助に特定財源は入っておりません。特定財源は、バスレーンの整備等々には使われておりますが、そういう路線維持ということでは交付されておりません。
  100. 山下芳生

    ○山下芳生君 道路特定財源で道路は地方までどんどん延びる一方で、その道路を走るバスがどんどんなくなっていると、これでいいんだろうかと私は感じました。  国土交通省さんに伺いますけれども、高速道路の建設費は一キロメートル当たり幾らになりますか。
  101. 原田保夫

    政府参考人(原田保夫君) 建設コストにつきましては、地形の状況でありますとか都市化の状況によりまして大きくそれぞれが違っておりますが、例えば平成十五年度から十七年度までに供用しました高速自動車国道十八事業につきまして平均建設コストを算出いたしますと、一キロメートル当たり六十一億円でございます。
  102. 山下芳生

    ○山下芳生君 今お答えにあったとおり、一キロ当たり六十一億円ということであります。先ほど答弁があったように、国のバス補助金は年間七十三億円なんですね。要するに、高速道路一キロメートルちょっと分しか全国のバス路線維持に対して国はお金を出していないということになるわけです。  道路中期計画では、今後十年間で高速道路に二十三兆円掛ける計画でありますけれども、私は道路特定財源を一般財源化してバスの路線維持にも使えるようにするべきだと思います。それが道路を本当に生かす道にもなると思いますが、これは総務大臣、いかがでしょう。
  103. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 道路特定財源の使途の問題については国土交通省で責任を持って考えるべき話だと思うんですが、たしか私の、予算委員会でいろいろもらった資料を見ておりましたら、道路特定財源の使途拡大の中で、デマンドバスについての使途拡大が入っていたかというふうに思います。いろいろ国交省の方でも御検討をされて、その使途について、純粋の道路というよりも、そういった道路と関連するところにもいろいろ広げておられるのだろうと。  いずれにしても、その問題は国交省でいろいろお考えになるわけでございますが、私どもも、総務省として、こういった地方財政措置等を通じて、こうした過疎地域の路線を維持するということについては地方財政上の措置として手当てをしていきたいと、このように考えております。
  104. 山下芳生

    ○山下芳生君 先ほど、小泉内閣の道路特定財源一般化という路線を是非踏まえてという総務大臣自身のお答えがありましたけれども地方が今どうなっているかしっかりと見ていただいて、道路特定財源の一般財源化が地方活性化にとっても非常に大きな貢献になり得るということをしっかり御認識いただきたい、そのことを申し上げて質問を終わります。
  105. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は大きく分けて二問、お伺いをしておきたいと思います。  まず、総務省予算の中で国民投票制度の施行に向けた準備に必要な経費として七千二百万円が計上されている点について、これに関連して伺ってまいりたいと思います。  そもそも国民投票の前に普及させるべき自治体における住民投票の制度化というものについて、総務省は、私から言わせるならば、住民の権利拡大からは随分立ち遅れた態度を取ってきた、これは前から申し上げてまいりました。特に極めて不公平な点は、前回の改正のときに、市町村合併賛成の場合にだけ住民投票を利用して、住民投票を議会の議決とみなして手続を進めることができる、こんな一方的な、そして政略的な条項を作ったということは大変多くの批判を受けたところでありました。他方で、全国でたくさん起きている現実の住民投票の運動については法制上の位置付けを全くやってこなかった。  この点について、もう少し住民の自治を求める、あるいは権利拡充を求める、こうしたことにこたえていく考え方はあるのかないのか、そこらのところをお伺いをします。
  106. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) お答えいたします。  住民投票制度につきましては、現行の地方自治制度の根幹が代表民主主義であるということは御案内のとおりでございます。そういう代表民主制を基本とした地方自治制度の下で議会や長の本来の機能と責任をどういうふうに考えるかといった点には十分留意をし、またいろいろな御議論があるところでございまして、累次の地方制度調査会でも御議論いただいておりますけれども、それにつきましては、引き続き検討すべき課題が多いということで、検討課題というふうにされているところでございます。  なお、今御指摘ございました合併の協議会設置に係ります住民投票の制度につきましては、合併が当該地方団体の存立そのものに直接かかわる制度だと、また地域に限定された課題だということで、住民発議の手続の一環として、合併協議会の設置に関して議会と住民の意思が著しく乖離した場合に限定して設けられているものというふうに考えております。  なお、合併そのものに関します議会の決定権といったものを住民投票によって覆すという制度ではございません。
  107. 又市征治

    ○又市征治君 あんまり変わらぬわけですね。  こうした中で、昨年、憲法問題に関してのみ国民投票の手続が法制化されたわけですけれども、こういうアンバラという点では問題があると言わざるを得ぬと思います。また、憲法改正手続法の中の国民投票の中身を見ましても、投票年齢の問題とか、公務員の運動の規制の問題をどうするのかとか、マスコミの利用方法、未決定の問題もたくさんあるわけです。そして、この法律は、少なくとも三年間は憲法改正発議を凍結しているということは御承知のとおりです。  そこで大臣、こうした微妙な政治的なバランスの上に立って憲法改正案の審議が凍結されているわけですけれども、それを総務省があえて投票制度の施行準備だという一見事務的なように見えるけれども、その経費を今の段階で計上することはそういう意味では先走り、こういう批判があるわけでありますけれども、この点についてどうお考えですか。
  108. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話がございましたんですが、国民投票法は、議論の過程の中では大変大きないろいろな論点、議論がございましたんですけれども、法律自体、平成二十二年の五月十八日から施行と、こういうことになっております、ちょうど公布の日から起算三年ということでございますが。ですから、やはりそうしたことを考えると、この日以降は憲法改正の発議がなされる可能性はあるという、この法律の条文からはこういうふうになるわけでございます。  私どもは、総務省設置法で、こうした憲法改正の国民の承認に関する投票の施行の準備ということを設置法の中で所掌事務として決められているものですから、所要の準備はやはり準備として進めていかなければならないということでございます。  今回のこの国民投票制度、選挙制度とは全く異なる新しい仕組みということがございますので、やはり時間的な余裕の下にその周知を図っていく、そして万全の体制を整えていくということが求められますので、今回そうした形で予算を計上させていただいたところでございます。
  109. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、準備の中身について少しお伺いをしてまいりますが、投票人名簿の調製のための情報システムの構築及び開票速報体制の整備のためのシステムを構築するため、仕様書の策定を外部に依頼をする経費として二千万円、都合二千万円が計上されているわけですが、そこで三点ほどお伺いしますけれども、これは財務省からも通達出されているとおり、IT調達については、システム構築は外部に委託をするにしても仕様書の策定というのは役所が責任を持ってやりなさいよということですよね。これがそのとおりやられているのかどうか。  二つ目には、現在千八百市町村の選挙人名簿システムは何通りぐらいあって、優れているのはどこか、どのように把握をされているのか。これは日常的な業務としてやっておくべき仕事だと思いますが、この現状把握の状況をお聞きしたい。  三つ目は、事業者と地方団体の実務者との打合せ経費まで総務省が計上をこの中にしているのではないのかと、こう思うんですが、これらについてお答えいただきたいと思います。
  110. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) まず、このシステムの仕様書につきましてお答えを申し上げたいと思います。  いわゆる国民投票法におきましては、現行の選挙人名簿とは別に投票人名簿を作成する必要がございます。この事務は国民投票法によりまして市町村に義務付けられた新しい事務でありますので、私どもといたしましては、この標準的なシステムの仕様というものを総務省が作って各自治体に示す必要があるというふうに考えております。  このシステムでありますけれども、これは既存の選挙人名簿のシステムを改修して作成する必要があるわけでありますが、まあ市町村のシステムは多様でありますことから、そういう多様なシステムの状況を十分踏まえる必要がございます。  で、この仕様書の作成は総務省が行って提示をするものでありますけれども、作成に当たりましては、各市町村のシステムの状況調査するとともに情報システムの専門的な知見を得るという必要があるものですから、作成に関する調査とそれから支援に関する業務を専門的な知見を有する民間事業者に委託をさせていただきたいというふうに考えております。  それから、市町村が作っております選挙人名簿システムがどれぐらいあって、どれが優れているかということでございますが、率直に申し上げまして、この選挙人名簿は、市町村が名簿の調製及び保管の任に当たるということにされておりまして、総務省として現時点で把握をしておりません。そういうことで、現状でありますけれども、先ほど申し上げましたような国民投票のシステムのこの仕様を作る上で状況を把握する必要があるということが出てきたものですから、専門的、技術的要請の把握ということで委託をし実施させていただきたいというふうに考えております。  それから、これらの仕様の作成に当たりましては、総務省として市町村の意見またシステム事業者の知見を求める必要がございます。そこで、この検討会を総務省として直営で開催をさせていただく、その検討会の開催に要する費用といたしまして、これは投票人名簿の関係それから開票速報の関係、それぞれ謝金、委員旅費、資料作成費等といたしましてそれぞれ二百万円を計上させていただいているということでございます。
  111. 又市征治

    ○又市征治君 じゃ、もう一つ経費の問題でお伺いしますが、インターネットホームページの構築あるいは維持管理に二千四百万円が計上されているわけですね。日々更新する必要のあるならともかく、中長期的な広報のホームページに二千四百万円は多過ぎると聞いたら、いやパンフレットも百五十万部作りますと、こう言っているわけですが、百五十万部作って何するんです、これ。  私の地元であります富山県、河合さんも同じですけど、富山県に当てはめたら一万五千部もらってこれどうするんだろうか、使い勝手もないと、こういうことなんですが。しかも、現段階ではさっき申し上げたように対象年齢も決まってない、投票人の対象年齢決まってない、投票の方法も期間も、あるいは運動の規制も、その他決まっていない問題いろいろとある。だとすると、広報をやるというけれども一般的な広報すらやりようがないんで、あるいはやっても意味がないんじゃないのか。  国民投票制度ができましたよというだけで何でこんな二千四百万円も今こんなことで要るのかということになるわけで、これらが固まってから取り組んで別段問題じゃないんじゃないのかということなわけですが、この点どうお考えですか。
  112. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) いわゆる国民投票法は国の最高法規であります憲法の改正手続法でありまして、国家の根幹にかかわるものでありますので、既にその成立している内容につきまして十分に制度を国民に理解していく必要がある、またその任務は総務省役割であるということは先ほどの大臣の答弁のとおりであります。  で、この国民投票は全く新しい制度でありまして、例えば投票権の範囲、それから名簿の範囲、それから投票の方法、また選挙についての選挙運動とこの国民投票運動につきましては似ている点もありますけれども、種々異なっている点もあります。これらの内容についてできるだけ詳しく広報をする必要があるということで、私どもといたしましては、パンフレットの作成またホームページの構築等につきましての予算を今回お願いをしているところでございます。
  113. 又市征治

    ○又市征治君 そこで大臣、この問題の最後にお伺いしますが、一般的な国民投票について、国民投票法は附則において、この規定の施行後速やかに検討し措置を講ずる、こうしているわけですね。冒頭述べましたように、自治体レベルの住民投票であるとか一般的な国民投票の制度整備を先延ばしをしているというのは、これは本当は問題なんですけれども、これは速やかに検討しなきゃならぬと思うんですね。  国民向けの広報予算を組むというんならば、やはり憲法改正だけではなくて一般的な国民投票についても論議をされて法制化される中でむしろ行うべきではないかという意見もあります。この点、どうお考えですか。
  114. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、附則の方を読みますと、任意でこの一般的な国民投票についても制度化すべきと、こういうことを書いてございますので、まずこの論議をいろいろとなさっていただくということが必要だろうと思います。  それはそれとして、今後も必要な論議が行われていくんだろうというふうに思うわけでございますが、この憲法改正に関する国民投票でございますけれども、これも二十二年五月の施行後に具体的に実施されるという可能性を秘めておりますので、有しておりますので、そういった施行準備は私ども総務省としてきちんと行っていかなければならない、設置法でそのことも我々の責務ということで設置法にいろいろ記載されているわけでございますので、今、部長の方からもいろいろと予算のシステム構築等についてもお話がございましたけれども、この国民投票制度の内容ですとか、それから投票方法ですね、これについて広報を行うということがやはり来年度、二十年度から必要だということで予算を計上させていただいたものでございます。
  115. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ次に、今大問題になっている道路問題についてお伺い一つしておきたいと思います。  公明党さんから暫定税率の一部の引下げも含めて妥協案を探る意向が示されているようですし、私自身も、暫定税率はその一部を本則化することなどの整理も含めて、今年度末までに廃止しても国民やあるいは自治体にも混乱を与えないでいける、そんな格好で私案も発表させていただいたんですが、残念ながら、二十一日、与党の側から何であろうと今の案をどうあっても今年度中に通してほしいということで、全く修正協議が進まない。そのことで大変混乱が懸念をされます。  そこで、その問題は別のところでやるにして、総務委員会でお伺いしておかなきゃならぬ、あるいは総務省として問われる問題としては、地方の財源をどうやって確保するかということの問題だと思うんですね。そこで、国と自治体との間で、自動車関係税及び譲与税以外にも道路財源の複雑なやり取りがあるわけですね。これをまとめて、ちょっと時間の関係で申し訳ないが、初めは都道府県と政令指定都市、市町村と分けてと、こう思ったんですが、率直に、国と地方との関係大変ややこしいやり方があるんで、総額のところで是非紹介をしていただきたい。
  116. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 平成十八年度決算統計によりますと、道路関係経費のうち、国から地方へ支出される国庫支出金と地方道路整備臨時交付金、これについてまず申し上げます。都道府県、市町村合わせまして、この国庫支出金は一兆百六十三億円、そして臨時交付金、六千九百二十六億円でございます。また、今度は逆に、地方から国へ支出をされます道路橋梁費の国直轄事業負担金でございますけれども、これも都道府県、市町村合計いたしますと、全体で六千五百五十七億円でございます。  で、その差を申し上げます。国庫支出金と臨時交付金合わせたものから、直轄事業負担金、これを引きますと、全体で一兆五百三十二億円という状況でございます。
  117. 又市征治

    ○又市征治君 つまり、この地方から国に召し上げられておる、これはまあ前から言ってきて、年貢米だと私はずっと言ってきたんですが、六千五百五十七億円を差引きをすると、地方は国から、額面は一兆七千億円だけれども、実際は一兆五百三十二億円しかもらっていないと、国からは、簡単に言うと。そういう実態だということを今報告をいただきました。  道路財源の改革では減税も大事、道路事業のスリム化も大事ということでありますけれども、同時に、この改革を通じて、少なくとも道路問題を通じても地方の分権化というのが進むということが私は大事だと思うんです。  そこで、私たちは、一兆一千億円の国直轄事業の地方負担金、そのうちの道路分、この今話があった六千五百億円余について廃止するように主張をしてまいりました。  そこで伺うんですが、直轄負担金という年貢を廃止をすべきことは、前から主張をずっと私は一貫してしてまいりましたし、地方からもずっと要望されてきている問題ですね。この財源捻出はかなりの部分地方債で行っていると思いますけれども、一般財源も使っている。この重圧から解放された場合、都道府県及び自治体というのは、これをどのように財源の自立へ活用できるというふうにお考えか、是非お答えいただきたい、大臣
  118. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この直轄負担金の問題は、これは確かにお話がございましたとおり、分権の過程の中で地方団体からも廃止をしていただきたいということを申し上げておりますし、従来から地方分権推進計画の中でもこの見直しということが指摘をされております。二十年度で約一兆一千億あるわけですけれども、これ地方債と一般財源、大体地方債が六千億ほどこれに当たっているということでございますので、仮にこれが今先生お話しのとおり廃止をされるということになれば、その分の地方債の発行がなくなるということと、それからあと一般財源の支出が抑制されるということになりますので、地方財政状況の改善につながっていくんだと、このように認識をしているところでございます。
  119. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  120. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上をもちまして、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣所管のうち人事院公害等調整委員会を除く総務省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時四十分まで休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ─────・─────    午後一時四十一分開会
  122. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等基本施策に関する件及び平成二十年度人事院業務概況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  123. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党の内藤です。  本日は諸氏のトップバッターということで、多岐にわたりまして、いろいろ大臣の所信演説に対して質問をさせていただきたいと思います。  まずは、電子政府の推進について大臣に何点か確認をさせていただきたいと思います。  二代前の総務大臣、竹中総務大臣のときに、電子政府の推進については二〇一〇年度までに官公庁に対する申請ですとか届出などのオンライン手続を、その利用率を五〇%まで高めていく、そういった目標を高らかに掲げていらっしゃいました。そして、それに続く菅総務大臣となると、ちょっとトーンダウンするんですね。どういう言い方になるかというと、申請、届出手続等のオンライン利用を促進をすると、具体的なパーセンテージ等は挙げることはなくなったわけなんです。  二〇〇六年現在のオンライン利用率を見ますと約一五%なんですが、そこで大臣に確認をさせていただきたいと思いますが、二〇一〇年度までに利用率を五〇%以上にするという目標がありますが、それに対する大臣のスタンスをお伺いしたいと思います。
  124. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、先生からもお話がございましたとおり、実は現在のこのオンライン利用の実績は一五・三%ということで、掲げました目標とかなり乖離があると、こういう状況でございます。そこで、この二十年度、四月から、もうすぐでございますが、二十年度は定めました行動計画の最終年に当たるということでございますので、現行の計画を見直しをして二十二年度までを目標期間とする新たな行動計画を本年中に、本年内に策定をすることとしております。  この新たな行動計画では、これは当然IT本部など内閣官房や関係府省と連携をしつつ、利用者視点に立ったより効果的な利用促進策を検討して、オンライン利用率を五〇%以上とするこの目標の達成に向けて取組を加速化していきたいと、こういうふうに考えております。
  125. 内藤正光

    ○内藤正光君 さすがに、二〇〇六年時点が一五%なので、二〇一〇年には五〇%は難しいということで計画を見直すということなんですが、そこでちょっと参考にしていただきたいことがあるんです。  実は私、今年の確定申告、e—Tax挑戦してみました、電子納税。その感想はと聞かれたら、一言で言えば、私の三日間を返せと言いたくなるんです。本当に、もっと更に言うならば、本当に普及をさせる気があるのかと言いたくなるぐらい複雑怪奇なものという感想を皆様方に申し上げたいと思います。  三つあります。一つはまず、ソフトウエアのインストールなんですが、もうこれが、正直申し上げまして、私はコンピューターそれなりに知っているからいろいろやったんです、できたんです。ただ、普通の人がやるとなると難しいと思います。元々用意されていない、例えばJavaというソフトをどこかから見付け出してインストールしなきゃいけない。つまり、提供されたものだけをインストールすればいいんじゃないんです。いろいろなところから引っ張り出してインストールしなきゃいけない。もうこれがすごく手間暇掛かるんです。  そして、次に、実際にインストールは終わったと。そして、実際の手続を進める段になりますが、これが今どきのシステムに珍しいぐらい説明書を一々読まなきゃいけないんですね。普通、今のシステムはそのとおり進んでいけば大体自動的にできるんです。ところが、一つの操作を終えると、いったんそこで操作を終了して、説明書に戻って、次は自分は何をやらなきゃいけないのか、詳細にあの小さな字を読まなきゃいけないんです。もうこれは結構手間暇掛かるんですね。嫌になっちゃうぐらいなんです。つまり、手続がスムーズに流れないんです。  そして三つ目、インセンティブは何なのと。五千円の税額控除があるんですが、実は私、今回、住基台帳カード申請したんです。住基台帳カードの申請、それには写真撮影も必要です。そして、その後、電子登録等々があって、そしてICカードリーダーというものも買わなきゃいけないんです。これ、全部お金払うと実は五千円超えるんです。正直言って金銭的にもあんまりインセンティブはないんです。唯一あるのは、還付が三週間で済む。これは確かに三週間ぐらいで返ってきました。これは認めます。  いずれにしても、この複雑さ、難しさから考えるとちょっとインセンティブが少ないのかなというのが正直なところなんですが、そこでちょっと国税局に、いらっしゃっていると思いますが、確認したいんですが、もう一言で言えば、なぜもっとユーザーフレンドリーなシステムをつくれなかったんでしょう。確認をします。
  126. 西村善嗣

    政府参考人(西村善嗣君) お答え申し上げます。  e—Taxにつきましては、これまでも利用者の方からの寄せられました意見や要望等を踏まえまして、例えば税理士関与の場合の納税者本人の電子署名の省略とか、医療費の領収書ないしは源泉徴収票と申しました第三者の作成書類の添付の省略とか、利用者識別番号のオンライン発行など、制度改正ないしはシステムの機能改善等に努めてきたところでございます。  また、先ほど先生が御指摘のありましたところでございますが、国税庁のホームページにあります確定申告書等作成コーナーで作成をいたしました申告書等のデータを当コーナーから直接e—Taxを利用いたしまして電子申告をできるようにしておりまして、その際の操作手順につきまして、e—Taxのホームページに案内サイトというものを設けまして、チェックリストないしは手順書といったものを用意いたしまして改善を図っておるところでございます。  さらに、加えまして、現在、e—Taxの利用に関するアンケートを実施しております。ここに寄せられました意見や要望等も参考にしながら、更なる機能や運用の改善などに取り組みまして、今後ともより一層の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。
  127. 内藤正光

    ○内藤正光君 その答弁によりますと、ホームページのシステムを使えばスムーズにいくというふうにおっしゃりたいんですが、私はそれを使ったんです。それを使って、ちょっと余りにもこれじゃ普及はしないなというのが率直な実感として抱いたわけなんです。ですから、もうちょっと改善をしてもらいたい。本当にこれはもう皆さん方もやって、まあ皆さん方公務員ですからやる機会がないのかもしれませんが、是非一度やってみたら分かると思います、このシステムの貧弱さというか使いにくさ。  実はこれ、確定申告をやる方々というのは自営業者の方々が多いんですよね。仕事が日々忙しい中で、おじちゃん、おばちゃん、コンピューターそれほど知っているわけでもない、そういう人たちがこれ個人でできるかって、できやしません。本当にできないと思います。まあ税理士にお願いすれば、税理士は専門家ですからやるのかもしれませんが、やはりだれでも皆本当に簡単に使えるようなシステムに変えていってもらいたい、そのことを切に要望をいたします。  そのことを、その経験を踏まえてちょっと増田大臣にお尋ねしたいと思いますが、この電子納税のシステムを複雑にしている理由は一体何なのかと考えたら、やはり一つは、何といっても住基台帳カードを使うということを前提にしたシステムになっているんですね。そこがやっぱり複雑にしているんです。よく似たシステムにオンライン銀行のシステムありますね。私、よくこれ使っています。振り込み手数料が無料だったりとか、本当に使い勝手がいいです。これはこんな複雑じゃありません。事前に銀行の口座を開くわけですから、住民票だとかなんとか、そういう書類を書く、申込用紙を書く、それを送る、そして何日かしたら暗証番号だとか、そういったものが届けられる。あとはホームページ開いてそういったものを入れれば、本当に簡単に使えるんです。あれだったら使いやすいなというふうにだれもが思うんだと思います。  そこで私は増田大臣に提案をしたいのは、そういった申請だとか、そういった手続、オンライン手続、私は、ハードとしてのこの住基台帳カードを使うということを前提にしていたら決して改善されない。やはり民間のオンライン銀行がやっているように、例えばソフトとしての住基番号を使う、こういう発想に転換をしたならば私はかなり使い勝手変わってくるんだろうと思います。結果として普及率も向上していくんじゃないかと思います。  増田大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  128. 岡崎浩巳

    政府参考人(岡崎浩巳君) ただいまの行政機関へのオンライン手続に係る個人の特定の方法の問題というふうに思います。  一般に行政機関でオンライン手続を行う場合に使用いたします本人の確認方法、これは御指摘ございましたように、いわゆる電子証明書のほかにIDとパスワードでやるというようなやり方もあるわけでございまして、レベルがいろいろ異なるものが存在いたしております。ただ、どのような方法によって本人を確認するかというのは、それぞれのシステムについてどの程度のセキュリティーのレベルが必要かというのを勘案しまして、所管の省庁等において最適な方法を選択すべきものではないかと考えております。  幾つかある電子証明のうちで最も厳格な本人の確認方法として提供いたしておりますのが、いわゆる公的個人認証サービスでありまして、この公的個人認証サービスについては住民基本台帳に格納する電子証明書の発行という方法を取っているわけでございます。  そこで、先ほど来のお話のe—Taxでございますけれども、これやはり税金に係るものでありますので、最も厳格な確認方法であります公的個人認証サービスの電子証明書を利用しているということでございまして、先ほど来いろいろ御指摘ございましたが、確かに税額控除措置等もありますので、大変利用が増えております。  それに伴いまして、私どもにも利用者からいろいろな御意見が、先生の御指摘のような御意見も含めましてたくさん来ておりますので、総務省としては、いろいろある中で一番厳格な個人認証としての公的個人認証サービスの価値は今後とも十分あると思いますので、より使いやすい個人認証サービスになるような検討を県や市町村とも連携して行ってまいりたいと考えております。
  129. 内藤正光

    ○内藤正光君 個人の認証を確認する、これは大事なことなんですが、じゃ実際に紙ベースで確定申告を行うときに実印求めますか。求めないですよね。認め印ですよね。ところが、オンラインになると突然、実印と同等の住基台帳での個人認証を求めるというのは、私はちょっとこれ整合性取れないんだと思います。  そして、確かに確定申告、本人性の確認は重要ですが、じゃ、銀行はそういうことを軽視しているのか。しっかりやっているわけですよ。最初、本人性の確認を住民票だとかそういったものでして、住所もちゃんと確認をした上で届けてくれるわけですよ、番号やなんか。  私は、実際レベルでやっていることが例えば認め印で済むんだったらば、やはりオンラインレベルでもその程度のものを求めればいいんじゃないでしょうかね。そういうふうに思うんですが、いかがでしょう。
  130. 岡崎浩巳

    政府参考人(岡崎浩巳君) 先ほど申し上げましたように、どの程度のセキュリティーのレベルを要求するかというのは、それぞれのシステムを構築する側でお考えになるべきことだと思います。私どもとしては、一番厳格な本人確認方法としての公的個人認証サービスをできるだけ使いやすくするという検討はいたしますが、例えばe—Taxでどういう方法で本人確認するかというのは、それぞれのシステムの構築者の方でメリット、デメリットを考えて御検討いただくものかなと考えております。
  131. 内藤正光

    ○内藤正光君 ちょっと大臣にお尋ねしたいんですが、正直申し上げまして、総務省としては、住基カードを普及させなきゃいけないということで、まあどちらかといえば住基カードを使ってもらいたいという思いがあるからシステムの中にそれを組み込んでしまう、これも致し方ないと思うんですが、ただ大事なのは、住基カードを普及させるということよりもむしろオンライン手続を普及させるということにあるんだろうと思います。そして、行政の効率化、そういったものを推進していく、これが大事だと思うんです。ですから、私は、ハードとしての住基カードにこだわっていたら絶対に現状の一五%を大きく超えることはないんじゃないかと思っておりますが、大臣としての御英断をお尋ねしたいと思います。
  132. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先ほど来、先生の方からお話しいただいておりますような、自らの御体験、大変使いづらいという貴重なお話がございました。  やはり、このe—Taxの問題もそうでございますが、利用者の皆さん方の意見、寄せられた意見ということを十分に踏まえるということが大事でございますので、私も、今、内藤先生からお話がございましたそれも一つの意見だろうというふうに思いますし、我々の方でこの住基カードの利用をより使いやすいようにするのも、これも我々の大事な責務でございますが、いずれにしても、そういった様々な寄せられた声に対してきちんとこたえて、そして、より利用しやすいやり方は何なのかということを考えていきたいと。  それぞれの省庁でいろんなシステムがこれから数多くでき上がってくるわけでございますので、そのときにできるだけ使いやすいように、利用しやすいようにということが一番最大の眼目でございますので、そういう考えで利用しやすさということをきちんと追求していきたいと、このように考えております。
  133. 内藤正光

    ○内藤正光君 是非とも、くどいようではありますが、住基台帳カード、その利用を前提としないでいただきたい。普及率の向上のためにどうあるべきか、そういった発想でもって取り組んでいただきたいと思います。  一番目はこれで終わりですので、財務省関係皆さん方、これで結構です。委員長の取り計らいにお願いをします。
  134. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 国税庁の関係者の方は退席していただいて結構です。
  135. 内藤正光

    ○内藤正光君 続きまして、地方分権改革についてお尋ねしたいと思います。  去る二十一日でしたか、閣僚懇談会が行われたかと思います。その中でも大臣は発言をされておりますが、その後の記者会見においても、地方分権改革の推進においては政治的リーダーシップを発揮していく、そういった旨の発言をされたかと思います。そのことを踏まえて、以下に何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず、地方分権改革の今後の見通しについてお尋ねをしたいと思います。  改めて言うまでもないことではありますが、地方分権改革推進委員会では、昨年の十一月に中間的な取りまとめを決定をいたしました。その中で一番大事なことは、国による義務付け、枠付け、関与の徹底した廃止、縮小を行っていく、そういった分権改革の方向性だとか具体的な検討課題がその中に盛り込まれたわけなんですね。今後、この取りまとめを基に勧告を行い、そして、講ずべき法制上、財政上の措置を定めた地方分権改革推進計画を策定していく、そしてさらには、新地方分権一括法案を作成し提出をしていく、こういう流れになるかと思います。  そんな流れの中、総務大臣は一括法の提出を前倒しをするとおっしゃっております。具体的には来年の臨時国会に提出をしたい、そういった旨の発言をされております。  そこでお尋ねをしたいのは、地方分権改革の今後のスケジュール並びに議論の方向性について改めて大臣にお答えをいただきたいと思います。
  136. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 分権改革、今まさに委員会の方で様々な検討がなされておりますし、第一期の分権改革を受けて大変今重要な時期に差しかかっているというふうに思っております。  今年の春以降、具体的には恐らく六月ごろになると思いますけれども、分権委員会の方で今行っている議論を踏まえて政府の方に第一次の勧告が出るというふうに委員長からもお聞きをしております。国、地方役割分担を今徹底して見直しをしていただいておりますので、そうしたことや、義務付け、枠付けの大幅な見直しといったようなことを内容とするものであろうというふうに思いますが、そうしたものがまず出てくると。そして、暮れには第二次的な勧告が出てくると。これは、委員長あるいは委員会の審議の中で、出先機関を中心としたものになるというようなことが言われているわけでございますが、そうしたものが出てくると。そしてさらには、来年になってからだと思いますけれども、残りの部分についての勧告も政府の方になされると、こういうふうに聞いております。  いずれも、地方の自由度を拡大して地方が責任を持って行政実施できるような、そういう内容につながる重要な勧告だというふうにお聞きをしておりますので、こうした勧告が順次出てまいりましたら政府として地方分権改革推進計画というものを作る。これは来年になるわけでございますが、計画を作って、その上で法律をお出しをすると。  こういうスケジュールになると思いますが、その分権改革推進委員会でいただきました勧告というものを踏まえて計画を作りますので、ある程度作業時間が掛かると思いますけれども、全体のこの分権推進委員会あるいは法律の期限というものが平成二十二年の三月までと、こういう形で区切られているわけでございますので、私としては、できるだけそれを前倒しをして、その三年間の期限の最後になってから法律を提出するということではなくて、まあこれは委員会の方の審議のスケジュールにもよってまいりますけれども、もっと早く前倒しをして法律を出すと、そういう政府としての、あるいは分権担当大臣としての意気込みを申し上げたところでございます。  委員会の方でもそういったスケジュールを厳格に守って今作業を進めていただいているようでございますので、今後、分権委員会のそうした議論を十分に私どもも見守り、そして御協力を申し上げながら今後の分権の推進に努めていきたいと、このように考えております。
  137. 内藤正光

    ○内藤正光君 本当にそのペースで、またその方向性で着実に分権改革を推進していっていただきたい、このことを改めてお願いを申し上げます。  さて、大臣の答弁にも出ましたが、今回の分権改革で一体何が一番重要なポイントなのかといったら、国による義務付け、枠付け、そして関与の徹底した廃止、縮小にあるかと思います。これが一番大きな焦点なんですね。  ところが、このことは分権改革の課題として長年検討されていながら具体的な成果が得られないまま今日に至っている。このことは大臣も御認識をされているかと思います。また、逆に、今まで分権を求める立場からすると、じくじたる思いを何度も何度もされてきたんだろうというふうに思います。  例えば、振り返ってみますと、平成十七年発足をいたしました地方分権推進委の平成十三年の最終勧告ではこうなっているんです。国の関与の縮減は余り進展がなかった、しかし今後の課題だと、そういった内容が書き込まれております。そして、続く地方分権改革推進会議では、国の関与について議論をしながら、具体的な成果を得られないまま平成十六年に解散をしております。そしてまた、第二十八次地方分権調査会では、義務付け、枠付けの見直しは重要課題だと言っておきながら具体的な法制化には至らなかったわけです。  ですから、私はここで大臣にお尋ねしたいのは、この問題が分権改革において重要な課題であるとだれもが認識しながら具体的な成果を得られずに今日まで来た。なぜなのか、具体的な進展が見られなかったその原因はどこにあるのか、お尋ねをしたい。  と同時に、もしかしたら、今回もまた、総論は賛成だけれども各論は反対ということで結局決まらなくなってしまうかもしれない。しかし、大臣は、いやいや、今回は絶対実現してみせますよとおっしゃるのであるならば、今回は今までと何が違うのか、説得力のある答弁をいただきたいと思います。
  138. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、今までなかなかこの分権ということが進まなかったということでございますけれども、その原因は何かということでございますが、やはり戦後を取りましても、戦後ずうっと国づくりの上で中央集権の考え方の下に物事が進められてきたと、ここが大変大きいのではないかというふうに思います。そして、ある時期までそれが荒廃した国土を急速に発展をさせる、そしてさらに、様々な面で能力を向上させていく上で大変効果を上げてきたこと、これもまた一方で事実でございますので、そういうある種成功体験のようなものがなかなか抜け切れなくて、一方で地方公共団体も中央にかなり依存をするということに慣れてきていた部分もございましたので、考え方も急速に変えるというわけにはなかなかいかないと。  しかし、地方公共団体行財政能力というものも、戦後の時期から比べれば大変力は付けてきたわけでありますので、もうここらでそういった中央集権の考え方からきちんと切り替えて、そして分権を進めていくということがもうできるというふうに思っているわけであります。  そのことのために第一次分権改革、先ほど御案内ございました、そういうことが平成七年から執り行われたと。その前には国会の両院の全会一致の御決議もあるわけでございますが、そういうことで進められてきたというふうに思うんですけれども、しかし、それに引き継いでの、先ほどもお話ございました分権推進会議の方は途中段階で挫折をしてしまった。  今回やはり重要なことは、法律に基づく委員会が設置をされて三年以内に一括法を出しなさいと、こういうことが決められているということが推進会議の段階とは大きく異なっているんではないかと。推進会議というのは事実上、法律に基づかずに行われてきたものでございますが、今回は改めて法律に基づいて委員会も設置されて政府への勧告も行われるということになります。ですから、形としては十分なものが備わっているというふうに思います。  もちろん、その中で、中央省庁の皆さん方もなかなか分権ということになりますと権限を手放すということになりますので、いろんな抵抗が予想される。現に、委員長などはそのことについていろいろと発言をされているということがございますけれども、私もその中で是非分権を進めていきたいという強い決意を持っておりますので、今回はそうした法律に基づく委員会の勧告を受けて政府部内の意見をとにかくきちんとまとめて具体化をしていきたいと、このように考えております。
  139. 内藤正光

    ○内藤正光君 しっかりと、骨抜きにされることなく進めていっていただきたいと思います。  そこで、この分権改革では最後の質問になりますが、今月の十八日の改革推進委員会で西尾委員が統一基準というものを私案を出されたかと思います。国の出先機関の役割分担に関する統一基準だったかと思います。聞くところによれば、その委員会では統一基準を設けるということに一応の了解は出したということだと思います。そして、タイミングとしては相前後するんでしょうが、増田大臣自らは先月の記者会見でしたでしょうか、このようにおっしゃったかと思います。出先機関の改革で具体的な理由のないものについては横並びで全部整理していきたい、そういうことをおっしゃいました。まさに統一基準と符合するものではないのかなというふうに思いますが、そこで大臣にお尋ねします。  この西尾案に対する評価並びに今後の出先機関見直しの方向性と進め方について確認をさせていただきたいと思います。
  140. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 西尾先生が出されましたペーパー、基準は大変よくお考え抜いて、その上でお作りになっておられるなと。今後も委員会の中でいろいろ御議論されると思いますけれども、私はそういう統一基準が一つの案として出たことということは大変意味のあるものと、こういうふうに思っております。  そして、今後更にそれを基にして委員会の方で各省と協議を進めていくと。三月いっぱいに一つの期限を区切っていろんな各省の意見をお聞きをしているというふうに思いますが、今後は論点を煮詰めて、更にレベルを上げて各省と委員会の方でいろいろとやり取りをなさるというふうにお聞きをしておりますけれども、私も、そういった経過をよく踏まえると同時に、やはりこれは出先機関の仕事というのは国の方と大分ダブっているところが実はあるということと、それから今委員会の方で行っております国の役割分担の見直し、これが行われますといろいろと整理をしていく必要があるというふうに思っておりますので、統一的なメルクマール、これは十分参考に値するものと思っておりますが、それに何か付け加えることがあればまたそういったものも付け加えて、出先機関のやはり見直しに政府として取り組むべしというふうに考えております。  これは何も出先機関の力を弱めるとかということではなくて、本当にもし存続させるなら、それでやるべきことに特化をしていただくということなので、これは国、地方にとってもそれぞれ理由のあることではないかというふうに思っておりますので、まだ議論途中でございますが、そこでの議論というのを十分に、そこでというのは分権委員会、それから各省と分権委員会のやり取りというものを十分に踏まえながら、国民の皆様方に御納得というか御理解がいただけるような、そういうものをまとめて進めていきたいと、このように考えております。
  141. 内藤正光

    ○内藤正光君 先ほどの国による義務付け、枠付けの廃止、縮小、これと併せて出先機関の廃止というのはまさに目に見えて分権が分かるものですから、これも全力で政治的なリーダーシップを発揮しながら進めていっていただきたいと思います。  続きまして、地方財政について大臣に確認をさせていただきたいと思います。  今回の地方財政計画の目玉は何なのかといえば、地方再生対策にあるのだと思います。しかし、その前に、事がここに至った原因や背景について考えてみなきゃいかぬと思います。私なりに考えますと、このように言えるんじゃないんでしょうか。  まず、国の景気対策に付き合う形で地方地方債をどんどんどんどん発行していった。このことがきっかけとなって小規模自治体を中心に財政状況は悪化をたどっていった。そして、当然地方債を発行したわけですから償還しなきゃいけない。償還という重圧が高まる中、政府は何をやったのかといったら、まず一つは小泉改革ですよ。小泉改革による急激な交付税の圧縮が行われてしまった。そして、もう一つ、市町村合併が進んでいきましたが、市町村合併はいいんです。ただ、そのえさとして何を使ったのか、合併特例債を使った。合併特例債を認める代わりにとにかく市町村合併を進めろ進めろと半強制的にやった。これで安易な合併特例債の発行が助長されることになった。財政悪化に拍車が掛かった。つまり、原因をまとめて言うならば、こういうことではないのかなと思います。  一つ目は、地方財政実態を十分考慮せずに行った小泉構造改革が一つ。そしてもう一つは、市町村合併の目的なんです。これがいつしか変わっちゃったんです。当初の合併の目的は、分権の受皿として地方に十分な体力を持ってもらう、このことが目的だったんですが、いつしか財政効率化一辺倒になってしまった。私は、これが今の地方財政力低下、悪化の大きな原因ではないかなというふうに思いますが、そこで大臣にお尋ねしますが、そういった考え方も踏まえて、今の地方財政力悪化の原因だとか背景は何なのか、お尋ねしたいと思います。
  142. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私も大分長い間地方財政を預かる立場におりましたので申し上げますと、一つはやはり景気対策、これは公共団体の方もかなり景気対策を重んじて公共事業をやった時期がございましたので、それが一つ。それからあと、景気がその後非常に低迷いたしましたので税収が思うように上がってこない。それから、一方で、今は地方歳出の中でも膨れ上がっているのは社会保障関係経費でございまして、これは当然必要な部分があるわけですが、そこというのはやはり増大をしてきておりますので、こういったことが原因の大きな部分ではないかと。  そして、その中で今お話ございました三位一体改革に伴います交付税の削減ということがございました。これは、私中身を見てみますと、かなり投資的経費も地方財政計画の中にいっぱい計上されておりましたし、それから様々なその他の経費の問題もございまして、人件費が非常に膨れ上がっているといったような厳しい国民の皆様方の御指摘もございましたので、やはりやらなければいけないところはいけなかったんだというふうに思っておりますが、ただ交付税の削減五・一兆ございましたけれども、かなり急激な削減だったと、これも一方で事実ですね。ですから、公共団体としては非常にそれを受け止めるのに苦労したと、特に小規模自治体ほどそれが大変だったと、こういうこともございます。したがって、そういうことが地方の今の財政の厳しさにつながっているんではないかと。  なお、今もなお大幅な財源不足ということを抱えているということでございますので、そういった実態を見ますと、これからも極めて厳しい財政運営を強いられるわけでございますが、その中で、先ほど冒頭でお話ございました今回の御提案を申し上げております地方再生対策費のようなものをきちんと計上してやはり、交付税を今回は久方ぶりに増額をさせていただきましたけれども、そういった交付税の額を確保するですとか、それから、先ほど来の議論に通ずるところがありますが、やはりいろんな意味で分権を徹底して地方が主体的に自主、自立性を高めるようなことにつなげていくと、そういったことでこうした今の財政状況を克服していかなければいけないのではないか、このように考えております。
  143. 内藤正光

    ○内藤正光君 しっかり、今の現状を招いたその背景、原因は何なのか、それを分析した上で、今の地方の本当に大変な状況、効果的な対策を打っていただきたいと思います。  そこでなんですが、もう一つだけこの点に関して質問がございます。  先ほど私が申し上げましたように、効率至上主義の財政運営、このあおりを最も受けたのはどこかといったら、やはり国土の五四%を占める過疎地域なんだと思います。岩手県にも数多くの過疎地域があろうかと思います。しかし、じゃ、その対策はどういうものを考えているのかなと見てみますと、地方再生戦略関連、平成二十年度の予算案を見てみますと本当に何も書いてないんですね。どうやって書いてあるのか、具体的なことは何も書いてないんです。ただ単に、過疎地域自立促進特措法の期限切れを控え、時代に対応した新たな過疎対策を検討するとのみしか書かれてないんです。  そこで、大臣基本認識をお尋ねしたいんですが、過疎地域に対して取るべき対策は何だとお考えでしょう。
  144. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 過疎地域、産業としますとやはり第一次産業が中心、それから、今現状を見ますとそういう一次産業というのは厳しい状況に置かれておりますので、雇用の場の確保が非常に難しい、容易でないということ、それから、医療などの生活の最低限必要なものについての維持が大変今難しくなっているというようなこと、非常に多くの問題を含んでいますけれども、そうしたもの、単に過疎化ということだけで片付けられないような様々な面でのしわ寄せがまさにそういった地域で起きているというふうに思っています。  ただ、そこの地域というのは、一方で国民全体で考えてみますと、水源地であったり、それから電力を供給するような地域であったり、それから一次産業として非常に疲弊しているとはいえ重要な食料の供給基地であったり、それからあと、そこが荒廃してしまうと多くの自然災害を下流の都市地域に及ぼすような非常に、逆に言うと国土の維持発展の上でも重要な役割を果たしている地域だというところが多いわけでありますので、過疎地域だからといってそこを見捨てるなどということはもちろんできませんし、過疎地域だからなお難しい問題が多々ありますけれども、そこに知恵を絞ってやっぱりきちんと守っていかなければならない、そういう地域だと思います。  従来、過疎法でそうしたことの対応を取ってきた部分もありますけれども、なかなかそれだけで今後済むわけでもありませんので、もちろん二年後の期限切れを迎えて過疎法についてはまた別途懇談会を開いてどのような対応をしていったらいいのか今真剣に中で議論をしているところでございます、まだ方向性も、今、中で議論をしている段階でございますが。それと同時に、こうした過疎の地域を含む地域をコミュニティーとしてどう守っていくのか。これは、周辺の町村あるいは市町村を中心にしてやはり相互の補完、協力の中でそういった地域を守るという考え方もあると思いますし、それからやはり国としてのきちんとした措置を打ち出すということも必要になってくると思います。  まだ、最近になってからいろいろ限界集落という言葉も出てまいりましたし、その方向性についてきちんと打ち出すためにもう少しお時間をいただいて、総務省の中でも、定住自立圏構想ということで研究会を立ち上げまして、その地域を含む圏域ごとにどういうやり方でその地域を守っていくのか、維持していくのかという方策を今真剣に外部の方を入れて議論しているところでございますので、大変強い危機感を持って問題意識を持っているところでございますが、それについての方向性を総務省としてもまたきちんと打ち出したいと。定住自立圏の方については、五月いっぱいぐらいで中間的な取りまとめをいたしたいというふうに思っているところでございますが、この問題、また多くの関係省庁の御協力もいただいて、国民的な議論を経た上できちんと方向性を出したいと、このように考えております。
  145. 内藤正光

    ○内藤正光君 これは本当に大変重要な問題ですので、しっかりとこの国会でも議論をしていきたいというふうに考えております。  さて、次に税制改革について一問させていただきたいと思います。  増田大臣は、かねてより、国税である消費税と地方税である法人税、その等価交換、税源交換を主張されてきました。そして、今回、片肺ながらも実現をしたと、暫定的に実現をした。あとは地方消費税の充実を待つのみということなんですが、それはそれでいいのかもしれませんが、ただ、冷静に考えてみなきゃいけないことがあるんです。  その大臣の主張を推し進めたところで国と地方の税収比は変わらない。ただ、問題はこれだけじゃないんです。地方税にとって大事なものは何なのか。大臣の主張では二つの点が解決されると思います。まず一つは、偏在性が解消されるでしょう。そしてもう一つは、地方の税収の安定性が確保されるのかもしれない。その意味ではいいのかもしれない。しかし、もう一つ忘れちゃいけないものがあるんです。地方税にとって大切なもの、それは伸長性、伸びるということです。  これ、大臣の主張をそのまま推進すると、地方税にとって大事な伸長性というものがかなり毀損されちゃうんです。例えば、老人に対しての社会保障を提供するのならば、それは消費税を中心とした地方税収、地方税体系でいいのかもしれない。しかし、例えば東京だとか大阪、早い段階でインフラ整備を行った。そろそろインフラ整備の更改時期に来ているわけなんです。余りにも安定し過ぎている消費税じゃ、そういった財源は捻出できないんですよね。やはり、景気のいいときにぐっと税収を得て、それでインフラ更改に充てていく、こういった点も絶対大事なんです。  そこで、どういうことがあるのか。例えば、増田大臣地方六団体の立場にいらっしゃったときよくおっしゃっていたかと思いますが、補助金じゃなくて、もっと使い勝手のいい交付税に変えてくれということをおっしゃっていました。当然、分権と併せての話です。私は、そういったことも含めて、単なる税源交換というものに固執することなくもっと幅広い税改革を検討していかないことには、私は将来に禍根を残すんじゃないかなというふうに思いますが、大臣のお考えを、自身の税源交換論に対する考え方評価も含めてお答えをいただきたいと思います。
  146. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず税の方の考え方でございますが、今ちょうど先生の方から分析をされましたとおり、偏在性と安定性を重視をして、今回、税源交換ということを申し上げました。それから、地方税の中で伸長性、例えば企業誘致をして、そういった自助努力によってその県の税収が増えると、これも大変大事な要素でございますので、そういうことで各県も努力をいたしますし競争もするわけですから、そういった要素もやはり地方税の中には入れておかなければならない。ただ、この地方税の中でその割合を、どういうふうにお互いの割合を考えていくか、これはなかなか、いろんな議論があっていいと思います。  私は、今回の私の提案がもうすべてだと思っていませんで、いろいろまた御意見をいただきたいというふうに思っていますが、私の脳裏から一番離れないのは、東京都、今石原知事の下で大変税収が好景気で伸びているんですけれども平成十一年、十二年、十三年ごろはもう本当に赤字団体に転落すれすれぐらいまで法人事業税が落ち込んだ時期もございました。やはり、法人事業税は伸びるときはぐっと伸びるんですが、いったん下降局面に入って景気が悪くなるとまた急激にこれが落ち込むと、こういう性格なものですから、やはりそこを考えながらそれぞれの特性を生かしていく必要があるんではないかと、ここは更によく私どもも検討を深めていきたいというふうに思います。  それから、あと後段の関係でございますけれども、分権をやっぱり進めて、補助金よりもやはり税源移譲など一般財源総額を確保していく、そしてやはり自前で財政的な自立を図っていく、そのことは大変重要なことでありますので、今回、税の側面では地方消費税を拡充する方向でいろいろと御提言、御提案を申し上げたわけでございますけれども、あわせて、分権改革推進委員会で今進めている議論をきちんと踏まえて、私どももこの分権、それに伴った補助金から本当の地方税税源移譲に切り替えていくと、このことは併せて進めていかないといけないというふうに思っておりますので、その点については、これはこれでまた大変な抵抗もあると思いますけれども、一体として今後も進めていきたいと、このように考えております。
  147. 内藤正光

    ○内藤正光君 続きまして、ちょっとテーマは変わるんですが、NHKの要請放送についてお聞かせいただきたい、お尋ねしたいと思います。  今回、またも拉致問題が要請放送の一項目として加わることになったと。で、誤解をしていただきたくないのは、私は拉致問題、大事だと思っているんですよ、すごく重要な問題。全国民が関心を持たなきゃいけない、一日も早くあの北朝鮮に拉致された我が国邦人を救い出さなきゃいけない、その思いはだれに負けるものでもない。しかしながら、この要請放送の中に具体的項目、拉致という問題を入れることに大変違和感を覚えているんです。  もしこの拉致の問題を入れるんだったら、なぜ北方四島の問題も入れないんだと、竹島の問題も入れないんだと、尖閣列島の問題も入れないんだ。私の思いからすれば全部入れてほしいですよ。でも、そこは、さきの臨時国会で放送法を改正しました。要請放送に変えました、命令放送から。そして、個別具体の課題は入れ込むべきじゃないという思いを込めて、修正案提出者はちゃんと修正したわけなんです。  私は、今回、拉致問題を特別に入れたということはNHKを政府の報道機関と間違えているんじゃないのか、そんなふうに思うんです。私は放送法の趣旨に反するんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  148. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり拉致は、私も昨年以降、一向にこの解決に向けての進展が見られない、状況に変化がないので、やはり、前回も指定してございますけれども、今年度といいますか来年度もNHKの方に要請をしなければいけないと、やはり引き続き指定する必要があると、このように思っているわけでございますが、これやはり放送事項を制度的には具体的に指定して要請することもあり得ると。これは前国会でも御答弁申し上げましたとおり、そのことまでは放送法上も許されるというふうに考えておりますが、NHKの当然番組編集の自由ということがあって、それでやはり言論、特に放送というものは成り立っているわけでありますので、この放送の内容ですとか回数まで個別具体的に指定することがあってはいけないというふうにも思います。私ども要請して、そしてNHKの判断に後はゆだねると。  前回もここで本当にいろんな真摯な議論をいただいて、それまで命令と言っていたことをいろんな議論を踏まえて要請ということに議院修正が加えられたというその意味も私ども十分理解をしてございます。改正放送法の趣旨ということに矛盾のない形でこの問題に当たっていきたいと、そして今回もそういう今の拉致の状況ということを考えまして引き続き指定する必要があると、このように考えたものでございます。
  149. 内藤正光

    ○内藤正光君 時間の関係でこれを最後にしたいと思いますが、私は、政府がこの拉致問題の解決に向けて何かやったら、それを報道するのはNHKの当然の仕事だと思うんです。ただ、そういった政府の不作為を棚に上げて、そうやってNHKに対して報道しろ、報道しろと言うのは、私はこれはちょっとおかしいんだと思います。政府がちゃんとそれなりの対応をしたら、報道機関としてNHKがその事実を報道する、これが本来のあるべき姿ですよね。  そして、さきの放送法改正のときに修正案提出者に私はこのことを聞きました、どういったときに個別的なことを要請できるのかと。そうしたら、覚えていらっしゃるかと思いますが、災害のとき、災害のケース、これを具体的に、たしか公明党の提案者がおっしゃっていたかと思います。  そういったことを考えると、私はどうしてもこの要請放送の中に具体的項目として拉致を入れるということには違和感を覚える。拉致問題の重要性は、私は十二分に認識しています。私は三年前拉致問題特別委員長もやっていました。一日も早い解決を望んでいる。しかし、それであってもなお、これについてはすごく強い違和感を覚える、このことを申し上げて私の質問を終えたいと思います。
  150. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 民主党・新緑風会・国民新日本の加賀谷健でございます。  質問の機会を与えていただいた同僚議員に感謝申し上げたいと思います。  私は、本日は地上デジタルテレビ放送の移行問題についてお伺いをしていきたいと、このように思っております。  二〇一一年七月二十四日、これが地上デジタルテレビ放送の全面開始、逆に言えば今放送が行われているアナログが停波をするわけでございまして、このまま停波されると、もしかするとテレビが見られない、こういう人が出てきてはいけないと、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。  私の疑問は、本当にすべての国民がひとしくデジタル放送を見れることになればいいんですけれども、これは到底デジタルのいい電波を受ける、すべてが受けられるということにはならないのだろうと思います。ただしかし、テレビが見れない、アナログが止まってしまって今の状況で見れなくなってしまうと、こういうことはやっぱり避けなければならないわけでありまして、私は本当に心配をしているところでございます。  地上テレビ放送のデジタル放送への移行は、言うまでもなく国策であります。今まで多くの国民がまさにひとしくテレビ放送を見られたのに、先ほども申し上げましたけれども、二〇一一年の七月二十四日、今見ている電波が止まってしまうわけでありますから、突然見れなくなってくる、こういう家庭が出てくる可能性があるのではないかと、こう思っているわけでありまして、これは許されない事態になるわけでありますから、これを防ぐために、今、現在総務省を中心として、テレビ局やそういう多くの関係者の皆さんが全力で取り組んでいることは私も十分理解をしているところでございます。そのことを認識をしておりますけれども、少しの間議論をさせていただきたいと思います。  先ほど、地上デジタルテレビの放送開始について、二〇〇七年八月の情報通信審議会四次中間答申というのが出ておりますけれども、この中に三つの課題があるというふうにされているわけであります。  一つは地上デジタル放送の世帯カバー率の拡大、二つ目は受信機の世帯普及、そして三つ目はアナログ放送が止まりますよ、停波しますよということの国民の告知あるいは周知ということになるんだろうと思います。私もこの問題は少し気になりまして、いろいろこの受信者の今の置かれている状況等についていろんなところを視察をさせていただいたり、あるいはいろんな人とも会話をしてまいりましたので、それらを踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、二〇一一年の七月二十四日、あと三年四か月なんです。この日にちが長いかどうかというと、私は大変短いと思うんですね。この開始に当たっての進捗状況、特に最新の進捗状況について、まずお伺いをしたいと思います。  あわせて、地上のデジタルテレビ放送全面開始への進み具合、放送開始への進捗状況をお伺いをしたいと思います。
  151. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 進捗状況についてお答え申し上げます。  まず、送信側、電波を届ける側の進捗状況でございます。  地上デジタル放送につきましては、二〇〇三年十二月に三大広域圏で開始され、そして二〇〇六年十二月までに全都道府県で既に放送が開始されたところでございます。その電波の届くカバー率でございますけれども、現在、デジタル中継局の視聴可能エリア、昨年十二月末段階で申しますと、NHKで約九二%の世帯をカバーしている状況にございます。  また、受信側でございますが、これはちょっと時間がたっておりますが、昨年三月時点での私どもが行った浸透度調査によりますと、約二七・八%の世帯にデジタル受信機が普及しております。そして、そのデジタル受信機の出荷台数というもので見ますと、これは今年の二月末の時点の統計がございますが、累計約三千二百四十三万台となっております。この世帯普及率あるいは出荷台数、いずれにおきましても、現在までのところおおむね順調に普及が進んでいるものと私ども認識しているところでございます。
  152. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 そういう状況ということでございますけれども、今、その総務省の通信政策局が作った浸透度調査というのだろうと、同じ資料を見ているのだろうと思いますけれども、これらについて少しお聞きをしたいと思います。  これを調べた会社はビデオリサーチという会社でございますけれどもサンプル数が七千ちょっとということで必ずしも多いとは言いませんけれども、その中で、アナログ放送の停波の認知度についてはやはり九割以上の方が認知していると、そういうことになるよということを知っている。また、時期についても六割以上の方が理解をしているというふうにありますけれども、果たして自分の家庭のデジタル転換と具体的に結び付いているのか、ちょっと私にはこの辺が分からないわけでございます。  デジタル放送対応受信機の世帯普及率というのが二七・八%、これは先ほどの数字の三千二百四十三万台ということになるのだろうと、この目標の台数が世帯当たりで二台ぐらいで一億台というところからこういう数値が出ていると思いますが、いろいろ聞きますと、かなり急速に受信機の設置が伸びていくと言われているわけであります。一六%の普及が超えるとこれは急激なカーブを描いて普及をしていくんだという、ロジャース原理とかというマーケティングの手法評価されているようですけれども、本当にそんな状況になるのかどうなのか、私はちょっと疑問な部分もありますので、この辺についての考え方をちょっと教えていただきたいと思います。
  153. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私ども説明で先生今御指摘のようなくだりといいますか、御説明をさせていただいているところがございます。これは、今先生のお話にもございましたように、一般に社会学の分野で言われておりますことを参考にそういうことを申し上げておるわけでございます。  先ほども申し上げたことでございますけれども、これまで基本的には当初の普及目標に沿っておおむね順調に進んでいること、そして今回のデジタル放送のサービスの性格と申しますか、これまでの放送に比べますと大画面、高音質でありますとかデータ放送でありますとかその他様々な魅力的なサービスがあるということを踏まえ、過去、例えば白黒テレビからカラーテレビといったときの普及事例ということも参考にいたしまして、今お話しのありましたような御説明をさせていただいたものでございます。  ただ、いずれにしましても、先生先ほども指摘がありましたように、二〇一一年七月まで三年四か月でございます。したがいまして、こうした普及を更に加速させるためには、関係者一丸となりまして、受信機の低廉化あるいは視聴者への周知広報、そういったのを一生懸命全力で取り組んでいく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  154. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 かなりそういうことを期待をしているわけですけれども、同じような調査の中で、これはもう知っていると思いますけれども、今後の受信機購入時の対応はどう考えているかということでは、認知度九割以上で急速に普及は見込まれるとしておりますけれども、買う動機の約七割は受信機が安くなったら買いますよと言っているわけですね。さらには、故障したら買うと、こういう人たちが七割ということになれば、まだまだ待っているという状況が出てくるわけでありますけれども、こういう状況で果たして、確かにそういうことであれば、安くなって故障をするということになれば急激に伸びるんだと思いますけれども、本当にそういう伸び方をするというふうに考えているのかどうか、もう一度お伺いします。
  155. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先ほども申し上げましたように、私ども、今後一層そうしたような関係者の努力が必要と考えておりますが、先生が今引用されましたような調査の結果によりますと、価格というものが相当程度重要な要因になると思われますけれども、先生御承知のように、デジタルテレビの価格の低廉化というのは非常に急速に現在でも進行中でございます。  それと、先ほど申し上げませんでしたけれども、現在、メーカーといいますか製造業界には、アナログテレビをそのまま使っていただくためのデジタル簡易なチューナー、簡易かつ低廉なチューナーの開発をお願いしているところでございまして、そうした低廉なチューナーが今後供給されますということも考え併せれば、二〇一一年七月二十四日に向けて今後普及が進むのではないかというふうに期待している次第でございます。
  156. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 まさにそういうことだと思いますけれども、私は、どうもチューナーの関係は、これはテレビ作っているメーカーからすると、チューナーで受けられますけれども、デジタル放送のすばらしさを感じられないわけでしょう。特にメーカーとすると、チューナーを売るよりも何とかデジタル受像機を売っていきたいというのが本心ではないかと思うんですね。だから、そのチューナーの安いのを、総務省も五千円ぐらいでできるだろうということを言われていますけれども、そういうことよりも、メーカーサイドはやっぱり機械を売りたいということに動いていくのではないかなという気がしているわけでありまして、この辺の問題はやはり大きなテーマではないかなと思います。  また、受信する側が切り替えていく、見れなくなるんですよということと、受像機を取り替えてちゃんとしていった方がいいものが見えるんですよとか、そういう部分のどうも周知の関係が、私は先ほども申し上げましたけれども、なかなかうまくいっていない、難しい状況にあるのではないかなと、こんなふうに思っています。  私は、もっともっとある意味では一般の人たちがテレビに、これから総務省はいろんな形でPRをしていくんでしょうと思いますけれども、それを自分が今度確かめに行く、そういう受信相談、こういうものがどうしても必要になってくるのではないか。今の体制では到底国民の皆さんがさっと相談に行ける状況にないと思いますので、この辺の受信相談についてのこれからの考え方、今の体制を含めて、今の体制からこれからどうやっていくのかということをお伺いをしたいと思います。
  157. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 国民・視聴者の皆様への周知広報といいますか、相談体制も含めまして大変重要な課題でありまして、私ども、今後ますます一生懸命取り組んでいかなきゃならない課題だと考えております。  現状でございますけれども、そうした周知広報につきましては、総務省で、私どもでポスターあるいはリーフレットによる周知・広報活動を行っていますとともに、国民の皆様からの電話への問い合わせというものに対応するために、平成十五年三月から受信相談センター、いわゆるコールセンターでございますけれども、これを開設、運営しているところでございます。平成十八年度でいくと十万件程度の御相談をいただいております。  さらに、この平成二十年度からはよりきめ細かい対応を行うと。つまり、視聴者からの御相談を受けるだけではなくて、場合によっては出かけていって御説明もし、御相談もするというような意味で、全国で十か所程度の地域ごとの相談体制といいますのを整備することとしておりまして、政府予算案に必要な経費を盛り込んでいるところでございます。  こうした取組を通じまして、あるいはまた様々な御意見もいただきまして、しっかり受信者側の準備を行っていただけるよう万全を期してまいりたいと考えております。
  158. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 全国十か所程度の相談センターということですけれども、これではとても足りないという認識はもちろんあるでしょうけれども、聞くところによると、全都道府県ぐらいには拡大をしていくという話も伺っていますけれども実態として、いつごろを目標にそれをやっていって、費用として予算的にはどのぐらいのものを考えているのか教えていただけますか。
  159. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 二十年度の予算ということでまいりますと、先ほどのいわゆるポスター、リーフレットあるいは受信相談センターでの相談につきましては、二十年度でいいますと、本省を入れますと五億円程度という予算を見込んでおるところでございます。  ただ、先ほど先生がおっしゃいました全都道府県へといったようなことにつきましては、今受信側の対策全般につきまして情報通信審議会で御議論をいただいているところでございます。で、そうしたところの相談センターの充実も拡充も含めて、トータルとしての対策を今年の夏までにおまとめいただきまして、それを踏まえて、必要な予算につきましては今後もその確保に向けて努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  160. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 分かりました。  是非やっぱり全国レベルで、全都道府県ぐらいに拡大をしていかないと、なかなかその相談に対応できないのではないか。  昨日の産経新聞でも、悪徳商法といいますか、これはデジタル化に伴っていろんなことが出てくると思うんですね。そういうことの、まあ消費者センター等々もありますけれども、やはりこの告知を含めてそういうことに対応できるようにしていかないと、特に高齢者を対象とした、産経の記事を見れば、まさに高齢者がそういう悪徳商法に遭っていると。二十万とか十万とか、テレビが見れなくなるという形でお金を取られているわけでございますので、是非そういう面での対応をしていただきたいと思っているところでございます。  次に、やはり同じところのNHKの研究所が出している「放送研究と調査」一月号、今年の一月号ですけれども、各国の地上デジタル放送の状況について出ています。いや、実は私の方でもこの資料を、ちょっとお配りをした一番上の資料でございますけれども、これが各国の状況ですね。地上デジタルの放送開始日からアナログが停波するまでの期間というのが出ていると思いますけれども、各国の状況の中で順調に行われているというふうにうかがえると思います。  スウェーデンやフィンランド、オランダ等々、比較的この国は人口が少ない国でしょうけれども、ケーブルテレビがこの地域は、この国はやはり各世帯の半分以上、半数以上に普及をしていて、アナログ放送と同等のサービスがデジタル移行後もケーブルテレビで確保されている、そういう状況なんだそうでございます。そういうところでも、フィンランド、オランダ等は少し短いんですけれども、スウェーデンは八年二か月、こういう長い期間を取っております。日本は七年八か月でございます。イギリス、ここにありますけど、イギリスは十三年三か月掛けてデジタル化にしていくという、日本に比べると五年以上長い。  また、日本のケーブルテレビの普及率というのは、これはいろんなデータがありますけれども、二〇〇六年末ですと四〇%程度でございまして、大変に日本のケーブルテレビの普及率というのは低いんですけれども、アナログ放送と同等のサービスがデジタル移行後もケーブルテレビではやはり確保されない、そういう状況でございますけれども、この移行期間で本当に十分だと、周知を含めて、送り側、受信側の問題を含めて、この辺についてトータルでお考えあったら教えていただきたいと思います。
  161. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 御指摘のとおり、普及に必要な期間といいますのは、その国情でありますとか、あるいはタイミングでいいますとか、そういうところによっていろいろ違うと思いますが、少なくとも、これまでの私どもの国、日本における二〇〇三年十二月の放送開始以来の普及状況を見ます限りは、先ほども申し上げましたような、いわゆるデジタルテレビの価格が急速に低廉化しているというようなことも含めて、当初、二〇〇三年当時、予測した普及目標どおりにこれまでのところは普及が進んでいると認識しておりますので、私どもとしては二〇一一年七月二十四日というアナログ終了時期の設定というのは現在でも適切性があると考えておりますし、そうしたことを変更するということは考えていないという状況にあります。
  162. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 実は、今朝のこれ朝日新聞だと思いますけれども、氏家さんという偉い方が、日本テレビ放送網取締役会議長という方が、ちょっとこれ出ていると思いますけれども、今朝ちょっと目に付いたんですけれども、要するに、遅れることはできないんだと、遅れれば、ここに言っている一千億を超えるという民放側の負担がある、民放側ではもう設備の更新というものを我慢しながら使っていくという、そういう状況もあって、設備の問題もありますよと、こういうことが出ているんですね。しかし、この中で、彼は、何というんですか、できない場合もあるような発言がされているんです。もし、何というんですか、延期するには急いで法を改正する必要があるよということは、何か予期しているような話に聞こえるんですが、こんな偉い人がこういうこと言っていますと、何だ遅れてもいいのかなと、遅れることを考えの中にあるのかなという気がするんですけど、多分読まれたと思いますけど、これどう思います。
  163. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 新聞の報道でございますので、どの程度氏家議長の御真意を反映しているのかどうか分かりませんけれども、私どもは、少なくとも、放送事業者、特に民放の放送事業者からも、経営からいいましても、二〇一一年七月二十四日という、デジタル放送への全面移行ということはもう絶対に変えられないというような強い放送事業者等の希望も聞いておるところでございまして、私どもとしてはそのように認識しておる次第でございます。
  164. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 分かりました。  是非とも遅れないようにいろんな面での周知徹底をお願いをしたいと思います。  それでは次に、受信者側の特に弱者あるいは高齢者に対する対応についてお伺いをいたします。  先ほどもいろいろ申し上げましたけれども、コンバーターやチューナーを使う方法、あるいはテレビを買い換える方法、いろいろあるわけでありますけれども、今、中には、アナログをケーブルで共同受信を、共聴をしていて、地上波がデジタルに変わることによって、その共聴そのものがなくなってしまう。現実には、屋根の上にアンテナを立てなければならない。そして、Uのアンテナを立てて、更にチューナーを買ってという、こういうことをしていかなければならないわけでございまして、大変な費用負担になってくる。  特に、弱者と言われる人たちの対策というのは大事なんだろうと思うんですけれども、たまたま外国の例でございますけれども、アメリカはコンバーター、チューナーの購入補助金としてクーポン券、四十ドルを二枚まで出すと、あるいはイタリアでは放送受信機購入に三万円程度の助成、イギリスでは年金受給者や障害者がいる世帯に無料でデジタル受信機を支給をする等々のことがなされているわけでありますけれども、どうですか、何か考えているところはありますか。
  165. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生御指摘のいわゆる経済弱者への支援につきましては、昨年、先生も引用になられました情報通信審議会の第四次中間答申で、明らかな経済的理由により、これまでアナログテレビを視聴していたにもかかわらずデジタル放送が視聴できなくなる世帯に対しては何らかの支援が検討されるべきとされているところでございまして、今まさに情報通信審議会でそうした点につきまして様々、多方面から御検討をいただいているところでございます。  私どもとしましては、そうした審議会の御検討あるいは関係府省とも御相談もいたしまして、今年の夏までにいただけるであろう御提言を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  166. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 それでは次に、受信者側の難視聴の対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。実は私も、先ほど申し上げましたけれども、各企業取組あるいはマンションでの取組等を少し聞いてまいりましたので、それらを含めて聞いていきたいと思います。  俗に言う今のアナログの電波障害というのは、JRの新幹線あるいは高架鉄道等の影響、さらには高速道路での影響あるいは電力会社による送電線等による影響、こういうのが多く、さらにはビルあるいは高層の建物の陰になる影響等々、いろんな形で今その対策がというか、テレビが見れるような対策が講じられているわけでありますけれども、この問題というのはなかなか簡単に私はいかないのではないかなと。  特に、例えばJRあるいは高速道路会社あるいは電力会社というようなしかるべきところはそれなりの対応というのはされているし、また周知もされていて、個々の家庭と、あるいは共聴を受けている組合等との話はされているというふうに思いますし、また十分されているんですけれども、個人が持っているビル等のビル陰で、実は今簡易な形で陰をつくったビルからケーブルを下ろしてその地域の何軒かをビル陰から守っているというようなところについては、デジタル化されると、これはもう電波は到着をしているんだから、加害者というか、被害を出している側は何もしなくてもいいというのが原則になっているわけですね。しかし、そのビル陰の人から見ると、何かしなければ実際にはデジタルは見れないわけですよ。もっと言うと、アナログ波が停波しちゃうわけですからテレビが見れなくなってしまう。このことは、私はやっぱり何としてもほうっておいてはいけない状況が出てくると思うんです。  ですから、この辺の対策を、ただ単に当事者同士の間で任せておいて、本当にデジタル放送が見れない、あるいはテレビが見れなくなると、そういうことが出るのではないかなというふうに懸念をしているんですけれども、どうですか、その辺考えていると思いますけれども、この辺の細かいところの対策が一番大事だと思うんですけれども、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  167. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生今御指摘になった点は、私ども、二〇一一年七月二十四日の全面移行におきまして大変重要な課題の一つだと考えております。  先生もお話しになっておりましたけれども基本はビル所有者と視聴者との間の話合いという、対応していただくのが基本ではございますが、私どもとしては、特にそうしたどういうようなお考え方で望んでいただくべきかと、そういったことにつきまして、特に大規模な施設所有者の働きかけ、あるいは地域説明会を開く、あるいは相談体制の整備をする、様々な活動をこれまでやってきております。ただ、先生今御指摘になったような課題もこれからまた多々あるというふうに認識しておりまして、先ほど受信側の対策について包括的に今審議会で御議論いただいているというふうに申し上げましたが、その中の重要論点の一つが今先生御指摘の点でございまして、その検討を踏まえまして必要な対策を是非講じてまいりたいと考えております。
  168. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 これは今、小さな個々の家の問題でございまして、これは本当にほうっておくとなかなか救われない。  この問題は、理解ができていない家庭が多いわけですよ。ですから、結果としてそういうことになる。慌てて、地上波が停波されますよ、アナログ電波が来なくなりますよといって、じゃ、ばたばたとやって間に合うかというと間に合わないですよね、これは、アンテナを立てなきゃいけないわけですから。まあ、チューナーは売っているかもしれない。だけど、UHFのアンテナを立てていくということになれば大変な工事力が要るわけでありますので、この辺の問題をもっともっときめ細かくやっていく。もっと言うと、周知、告知の中で細かな部分の周知、告知をしていかないと大変だろうと、こんなふうに思っているところでございます。  次に、集合住宅の関係でお伺いをいたします。  私どもが聞いたところでは、都市再生機構は、もう九七%対応は終わっていますよ、二〇一一年には一〇〇%終わりますと。これはまさに十分な対応がされている。  私、公営住宅なんかはそれなりにやはり管理をしていますのでいくのではないかと思いますけれども、普通の分譲マンションと言われているこういう建物ですけれども、これは、ここに日本CATV技術協会の藤咲さんという人の作った資料、これは多分皆さんもお持ちだろうと思いますけれども、この中には、全国に四階建て以上の集合住宅が五十一万八千棟あるんだと。このうちの二万三千棟をこの協会は調査を行ったんだそうですけれども、実は、改修不要というのは三割しかないんですね。七割は改修しなければならないという状況になっているんです。そして、これは実は四階建て以上で、三階建てでいきますと三十七万棟残っていて、これも五千棟ぐらいしか調査していませんけれども、やはり改修しなければ、改修不要というのは三三%しかないというふうに出ています。そして、その改修する費用も一棟当たり二十万円から七十三万円掛かりますよと。一戸当たりの費用は二千円から三万七千円ぐらい。  こういう状況だと言われているわけでございまして、私は実は川崎の改修を、今ちょうどやっているマンションを見ることができましたけれども、これは百戸のマンションです。行きましたら、その理事長さんが大変に一級建築士でこういうことに詳しいということもありまして、たまたまそのマンションが十年の改修期だったということでうまくいっているんですよ。これでも、ちょっと資料に付けましたけれども、二ページ目にありますように、大変な設備改修をしていかなければ改修ができないんです。  こういう状況にあるということでございますので、こういう大きな分譲マンションへの対応についてどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
  169. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 分譲マンションにつきましては、先生今引用されました調査は、私どもが、総務省委託して行っていただきました調査でございますが、それによりますと、昨年三月時点でいいますと、改修済みというものが五四%、逆に言いますと、四六%はこれから対応を必要とするというような状況になっておると承知しております。  したがいまして、私どもとしては、今後ともそのフォローアップ調査、実を言いますと現在もやっておるところなんでございますが、そうしたことで、そうしたマンション等の共聴施設のデジタル化というものを、進捗状況をしっかり把握して、その辺を踏まえて周知広報をしてまいりたいと思います。  ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、例えば個別の住宅でもアンテナの交換が必要だとか、あるいはマンションではこうだとか、都市の共聴施設ではこうだとか、様々対応方法が違います。そうしたことにつきまして、是非きめ細かい周知広報を行っていくつもりですし、それから二十年度からは放送事業者の方もそうしたような個別の対応方策について、放送番組の中で周知広報していただけるというふうに伺っておりますので、関係者一丸となってそうしたきめ細かい周知広報に取り組んでまいりたいと思います。
  170. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 じゃ、最後に。  時間がなくなりましたんですけれども大臣、やはりまだまだ大きな、多くの問題を抱えていると思います。これはまさに国策ですから、国として決めて、ここまでにやらなければならない、アナログの電波が止まった、停波したから、ではデジタル化したからいいんだということがあってはならない。私は、日本の場合は何としても一〇〇%うまく切り替えられるようにしなければならないと思っていますんで、是非とも大臣先頭になってこの問題への取組をお願いをして、終わらせていただきます。
  171. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 長谷川憲正でございます。  今日は、先般、総務大臣から御発言のありました大臣所信表明に関しましてお尋ねをさせていただきたいと思います。  この大臣の所信でございますけれども、聞かせていただいて私非常にうれしく思ったんですが、冒頭、「はじめに」というところで大臣は、地方の元気が日本の力を、「地方の元気が日本の力」、これを基本理念として地方の様々な課題に取り組んでまいりますと、こう表明をされました。もう全く同感でございまして、何か胸が熱くなるような感じの言葉でございます。私、今国民新党という党におりまして、野党でございますので、野党の役割というのは政府・与党に対して健全な批判を行うというのが基本だと思いますけれども、この基本理念に関しましては一五〇%全く一致をしているわけでございまして、大臣、頑張っていただきたいと思う次第でございます。  そこで、ちょっと見ていただきたいものがございまして、(資料提示)ちょっと手前みそなんで恐縮でございますが、下の方に我が党の名前が書いてありますんで、ここはちょっと省略をさせていただいて、上だけ御覧をいただいたらと思いますが、国の元気は地方からと、これは我が党のスローガンなんですね。全く同じでございますので、これはもう党を挙げてまさに頑張っていただきたいと思っております。  私は、それだけじゃなくて、大臣の場合には知事を御経験になって総務大臣になられたということで、地方の皆さんの期待は物すごいものがあるというふうに考えております。政府の中でのいろいろなお立場はそれはあろうと思いますけれども、それを是非乗り越えて、本当に地方の活性化、元気のために頑張っていただきたいということを最初にお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今日は郵政行政を中心にお尋ねをしたいとは思うんですけれども、冒頭、大臣のお考え地方の元気というのはどういうお考えなのか、そして地方の元気を取り戻していくためにどんなことをおやりになりたいとお考えになっていらっしゃるのか。あんまり長い時間は困るんですが、ひとつ簡潔にお述べをいただきたいと思います。
  172. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、大変先生から御理解あるお言葉をちょうだいして、大変有り難く、こちらも感激をしているところでございますが、やはり地方とそれから都会、都市とがどうも対立してはこの国はいけない、お互いに支え合っている。そして、特に地方部において大変重要な機能、それは農山漁村、そして都市部に対しての水を供給したり電力を供給したり、それから国土保全をしたりという様々な大事な機能はそういった地方部が担っていると。そしてさらには、人材も多くのものを供給していると。まさにそういう地方が元気を出さないと都市部も行き詰まってしまいますし、それは国そのものが立ち行かなくなってしまう、そうした思いで地方の元気は日本の元気と、こういうことを申し上げたわけでございます。  そして、今しかし現実に、冷静に見てみますと、そうした地方がいささか元気をなくしていると、疲弊をしているという実態があるわけでございますが、これはもちろん人口減少の中で少子高齢化、そういった地方において限界集落の存在が見られるがごとく様々な社会現象が起きているということでございますが、それに対して私は一つはしっかりとした財源を確保して、それは都市の皆さん方にも十分御理解をいただいて、そういう地域が成り立つような財源をきちんと措置をすると、これが一つの大きな私の役割ではないかと。  そして、この地方部を元気にさせるのはもちろん財源だけではありません。その財源は一つのツールではありますけれども、結果としてはそこに雇用の場が生まれ、そして適切な医療が提供され、さらには産業の力がそこに出てこなければいけないわけでありますので、これは内閣府の大臣としての立場でも、この地方の元気再生事業等の自主的な取組についての予算ども措置をしましたけれども、そうした特に産業振興などにつながるような、そういう自主的な取組を霞が関の縦割りを超えて応援していくような体制を構築していきたい。  そして、何よりも大事なことは、そうした地方の現状をしっかりと国民の皆さん方に御理解をしていただけるように訴えて、そして国民全体の共通意識ですかね、共通意識を醸成をしていくと。お互いに、お互いの地域を支え合っているという共通意識を国民全体が持てば、そこにおのずから知恵は出てくると思いますので、ともすれば忘れられがちな地方実態というのを正確にお知らせをして、国民全体が、地方も含めて地域から何を出していけばいいのか、その創意工夫が最大限発揮されるような、そういう知恵が出てくるような、そういう国づくりを目指していきたいと、このように考えております。
  173. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうもありがとうございます。  これに関しましてはまだまだ今後いろいろ議論機会があろうと思いますので、今日はこれ以上のことはいたしませんけれども、どうぞもう猪突猛進していただいて頑張っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、大臣の所信の中の項目の六番目だと思いますが、郵政行政につきまして御質問をさせていただきます。  大臣はここでは、昨年十月一日の郵政民営化のスタートを踏まえられまして、そしてこう述べておられます。国民の皆様に喜んでいただける民営化となるよう努めてまいりますと。私は、民営化そのものにずっと反対をしてきた立場でございますけれども、しかし形にこだわっているわけでも何でもないわけでして、なかなかうまく国民の皆さんに喜んでいただけるような形にならないのではないかという心配から反対をさせていただいたわけでございますが、実際に昨年の十月一日から民営化がスタートをしているわけでございまして、大臣おっしゃるように、本当に国民の皆さんに喜んでいただけるような民営化になれば、それはもうそれにこしたことはないわけでございます。  それを大いに期待をしているところでもございますので、このことで大臣にお伺いをいたしますが、大臣のおっしゃる国民の皆様に喜んでいただける民営化というのは具体的にどのようなものでありましょうか。大臣のお考え伺いたいと思います。
  174. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この郵政事業、そして郵便局というのは、全国津々浦々、大変良質なネットワークというものを持っております、郵便局ネットワークというものを持っておりますので、過疎地も含む郵便局のネットワーク水準というものが維持をされる。それから、そこの拠点を中心にいろいろなサービスが展開をされております。郵便事業だけではなくて、私も自治体のトップをしておりましたときに郵便局をお訪ねすると、ひまわりサービスのような、社会福祉のような分野についても局員の皆さん方がいろいろと携わっておられました。  そういうサービス水準が維持をされると、こうしたことが国民の皆さん方に喜んでいただける民営化ということにつながっていくのではないか、多様で良質なサービスの提供ということが今申し上げましたようなネットワーク水準といったようなものが維持されることによって提供されること、そのことをそこで申し上げたところでございます。
  175. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 それでは、そういう国民の皆さんに喜んでいただける民営化となるよう努めてまいりますとおっしゃっておられますので、この努めてまいりますというのは、総論としては分かるわけでございますが、具体的に総務大臣としてどのような行動を想定してこうおっしゃったのか、その御説明をお聞きしたいと思います。
  176. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 民営化法の中で、各会社に対しまして報告徴収をしたり、あるいは検査に立ち入ったり、強い権限でございますけれども監督命令を発したりといったようなこと、それから、もちろん事業計画の認可といったような権限もございますが、様々な権限が私の方に与えられております。  これまでも、直接私が行った場合もございますし、私の配下におります担当職員がそういった法律に基づきまして郵政グループ各社に対して指導監督をしてきているところでございますが、そういったこと総体と同時に、私自身も、国会で様々な附帯決議等もございますので、西川社長の方に直接いろいろなことを要請をしてもおります。今後も機会があるごとに会社に、特に将来にわたって郵便局ネットワーク、それから郵便局におけるサービス水準を維持するように申し上げて、そして今、先生からお話がございました努めてまいりますというふうにそこで述べておりますけれども、具体的な行動として今申し上げたようなことを行っていきたいというふうに思っております。
  177. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 これからちょっと御紹介を申し上げたい、これはもうポスターじゃございませんが、ものがございまして、それは全国特定郵便局長会という組織がございますけれども、そこが今年の二月から三月に行った民営化後の郵便局の実態調査という全国の郵便局長さんへのアンケートの結果でございます。全体の八五%に上る一万六千八百三十三件という調査票が集まっているということでございますから、信憑性の高いものだというふうに思いますが、まだ残念ながら最終集計になっていないそうで、まだ大臣のお手元にも恐らく届けられてはいないだろうと思いますが、私、速報をちょっと入手をしまして見たら、びっくりしたわけでございまして、ちょっと御紹介を申し上げたいと思います。  今日は日本郵政株式会社を代表して高木さんに、副社長高木さんにおいでをいただいております。今日は西川さん御不在ということで高木さんにおいでをいただいておりますので、一緒に聞いていただきたいんでございますが、このアンケート調査によりますと、民営化後、お客さんから寄せられた苦情や不満というものは、たくさんあるようでございますが、どういう内容かという質問に対する答えでございまして、まず、求められる証明書とか書類等が煩雑になったといってお客さんから苦情のあるものが九二・二%。だから、ほとんどの局でこういう苦情はたくさんもらっているということでございます。それから、待ち時間が長くなったというのが八三・三%あると。それから、各種手数料の値上げというのが六二・八%と、こう続くようでございますが、この窓口の業務が煩雑になったとか待ち時間が長くなった、これはもう明らかに先ほど大臣がおっしゃったサービスを良くしていくんだというお客さんの喜ぶような民営化とは全く逆のものであろうというふうに思うわけであります。  待ち時間に関しましては、以前に比べて十五分程度待ち時間が長くなったというのが四六%、いや、もっとだと、十五分から三十分程度増えたというものが四〇・九%、合わせますと十五分から三十分待つという局が八七%も増えているということなんですね。  これは私の家内でございますけれども、ついこの間、郵便局に単純な料金の支払に行きましたら、四十分掛かったと言ってくたびれた顔をしておりましたけれども。そういう状況でございますし、定額貯金の預け替えなんということをやりますと、一時間ぐらい郵便局でどこでも掛かっているということで、お客さんが怒って、こんなことならもう郵便局は使わないと。田舎へ行くと郵便局しか使いようのないところがいっぱいあるわけですが、都会の場合には、預けていたお金をもう全額下ろして、もう二度と来ないと言って帰ったというような話をいろいろ聞いておるわけでございます。  そういう意味で、大臣のおっしゃった国民の皆さんに喜んでいただく、そういう民営化にするためにはかなりの改善の必要があるというふうに考えるわけでございますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  178. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) また、先ほどございましたアンケート調査がまとまりましたら、私も直接向こうの方にお願いをして、是非早急に手に入れまして、中身をよく担当の方に分析させたい、私も直接いろいろ中身を見てみたいというふうに思っております。  昨年の当委員会におきましてもいろいろと、御議決いただきますときに附帯決議を私どもの方ちょうだいしております。その中に、今先生の方から御指摘いただきましたようなことがないように、いろいろと附帯決議も付いておりますし、それにつきましては西川社長の方でも、日本郵政グループとしてこうした附帯決議を尊重して遵守をしていくと、こういった趣旨のお話が私はあったというふうに記憶しておりますので、また、そのアンケート調査をちょうだいをして、中身を私どもなりによく分析をした上で、また西川社長ともお目に掛かりまして、直接、附帯決議などについて十分守っていただくように、そして国民、利用者の利便に支障が生じないように取り組んでいただくように要請をしたいと、こういうふうに考えております。
  179. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 是非、そのようにお願いを申し上げたいと思います。  このアンケートを御紹介したついでに、もうちょっと中身で私がびっくりしましたことを御紹介申し上げたいんです。これはもう是非、高木社長、聞いていただきたいんですけれども民営化の効果を上げるためには、私は、もちろんお客さんが喜んでいただく、国民の皆さんが喜んでいただく、これはもう第一だと思いますが、同時に、働く人たちも前より良くなったと言っていただかなきゃ意味がないと思いますし、会社にとっても前より良くなったと、組織体として経営体として業績が上がったということでなければいけないと思うわけです。  公社になりまして最初の総裁は生田さんでございましたけれども、生田さんは、これはもう、まだ私自民党におるときでございましたけれども、自民党の政調の朝の部会で民営化についてどう思うかと質問をされたときに、生田さんが、自分はまないたの上のコイだからどういう経営形態にしてくれということは言わないけれども、もし仮に経営形態を変えるのであれば、今まで以上にお客さんに喜んでいただけること、今まで以上に職員が夢と希望が持てること、今まで以上に会社としていい形になること、この三つが実現できなければ変える意味がないと、こうおっしゃって、私はすばらしい言葉だというふうに伺って、今でもよく覚えているわけでございますが。  ところが、このまず二つ目の職員に夢と希望というところですが、これは郵便局長勤務状況でございますが、こういう状況なんです。  昼食休憩はどうなっているかと。今日は私たちも昼食休憩は余りございませんでしたけれども大臣も同様でございますが。定時に食べているという方が一二・二%しかいないんですよ。一割ちょっとしかいないんです。それで、二時から三時の間に取れるという人が三二・七%。ごめんなさい、その前に、一時から二時の間に取れるという人が二一・五%、約二割。二時から三時の間に取れるという人が三二・七%、約三割。三時以降という人が一九・五%、約二割。取れない日が週一日以上あるという人が一三・五%もいるんですよ。これは私はまともな職場ではないと思います。  それから、局長さんの休日出勤はどうなっているかというんですが、ほとんど毎週出ているという人が二六・七%、二週間に一回は出なきゃいかぬという人が二五・五%。これも、これ現場局長さんですからね。全国でこういう状況だというのは、私はもう情けないことだというふうに思います。  それから、それでは有給休暇は取れていますかという質問があるんです。有給休暇というのは、職員局長さんであろうがなかろうが年二十日でございますね。二十日の年休が出ていると思いますが、取れていないという局長さんが四三・八%、これは全く取れていないという意味です、四三・八%。月に一回程度というんですから、年間にして五日から六日は取れているという方が三〇・六%。  これは、やっぱり私は相当改善をしなければならないのではないかというふうに思うんですが、これは大臣よりも、今日、高木さんおいでなんで、日本郵政グループの代表という立場におられる高木さんからちょっと御意見をお聞きしたいと思いますが。
  180. 高木祥吉

    参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  まず、今先生がおっしゃった御調査につきましては、私もそれができたところでよく熟読玩味してみたいと思っております。  郵便局のお話なんですが、郵便局は、先生も今おっしゃっておられたように郵政グループの基盤なんですね、二万四千のネットワークですから。そういう基盤であって、かつ、ほとんどのいわゆるお客様との接点でもあるわけでございます。ですから、そういう意味で郵政グループの中で大変重要な役割が期待されているというふうに考えております。そういうことから、当然ですが、職員が働きやすい、またお客様からは御満足いただけるような、そういう良質なネットワークにしていく必要があるというふうに考えております。  民営化の後、作業等があっていろいろ御負担をお掛けした面もあると思います。ようやく次第に一段落してまいりましたので、今の先生のお話も踏まえながら、過大な負担が郵便局に掛からないように、またお客様に御満足いただけるようなネットワークの構築に向けて、グループ全体としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  181. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 是非そうお願いを申し上げたいと思います。  実際には、余り事は簡単でないんです。私もいろいろ話を聞いておりますけれども、窓口業務の煩瑣というのが、何か一時的な混乱だというのであれば乗り越えるのは簡単だと思いますが、実はそうではなくて、先ほど、郵便局に来られる住民の方、要するにお客さんからの苦情の第一番目が求められる証明や書類等が煩雑になったと、それから先ほど窓口で長時間待たされるという例を申し上げましたけれども、そういう構造的な変化がありまして、要するに郵便局の窓口で細かなことをいっぱいやらなければいけない。  先ほども内藤委員の御質問の中で、これはもう場面が違いますけれども、手続やその他いろいろ大変だという話がありましたが、郵便局でも同じことが今求められているわけでありまして、それが民営化の結果だと。民営化になってもっと機動的になり効率的になるというのなら分かりますけれども、はるかに昔よりも複雑なことをいっぱいやらなければいけなくなった。そのためにお客さんからもしかられ、そして働いている人たちも青息吐息で休みも取れない。そういうことでは大臣のおっしゃるような国民の皆さんに喜んでいただける民営化にはとてもならないと思いますので、これは、まずは事業体として、経営の責任者としての皆さん方のリーダーシップに大きく期待をしたいというように思っているんです。是非、増田大臣基本理念に学んで、地方の元気が日本の力というんですから、社員の元気が会社の力ぐらいのことは是非言っていただいて、頑張っていただきたいというふうに思っております。  そこで、高木さんにもう一つお尋ねを申し上げたいんですが、先ほども梅村委員の御指摘があったんですけれども、どうも最近、業績が伸びていないと。これは、先ほど言った民営化の三つ目の目指すべき目標といいましょうか、会社としても業績が上がらなきゃおかしいと思うんですけれども、現在の状況を簡単で結構でございますので、昨年辺りあるいは三年前ぐらいと比べてどんな状況か、簡単に御説明いただきたいと思います。
  182. 高木祥吉

    参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。簡単でよろしゅうございますか。  例えば郵便事業を取りますと、最近の民営化後の四半期なんですが、引受け部数は半年前、前年あるいは三年前と比べて減少をしております。それから、郵貯の貯金残高につきましても、この二月末時点で百七十七兆ございますが、前年あるいは三年前と比べて相当な減少となっております。また、かんぽ生命につきましても、新契約件数で申し上げますと、やはり前年あるいは三年前と比べてかなりの減少となっております。  ただ、貯金も保険も、ごく最近に至っては我々も全力で取り組んでいますから少し減少幅が減ってきて、あと一息というつもりで一生懸命取り組んでおります。
  183. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 事前に私も細かいデータを会社の方からちょうだいをいたしまして見ておりますが、いずれもどんどん落ち込んできているという状況にあります。  とりわけ、郵便貯金は毎月一兆円ずつ減っていると。かつて二百四十兆円あったものが今や百八十兆円を割るという状況でございますし、簡易保険も、三、四年前に比べるともう三分の一以下という数字しか募集成績が上がらないということでございますので、これもう大変私ども心配をしております。  特に、郵便局株式会社というのができまして、これは委託された仕事の量に応じて、あるいは資金の残高に応じて手数料をもらって生きていくという会社なものですから、本当にこの会社生きていけるのかなという心配をしているわけでございますけれども、これグループの代表として今後の見込みをどんなふうに見ていらっしゃるのか、一言お伺いをしたいと思います。
  184. 高木祥吉

    参考人高木祥吉君) 今後の見込みということにつきましては、以前、実施計画では記載させていただきましたが、その後の状況につきましては、先生御承知のように今事務年度ですね、今事務年度の決算作業を今やっております。それで、これが五月末までには出したい、公表したいと思っておりますが、そういう状況ですので、二年後、三年後の数字を今ここで御説明できるような数字は持ち合わせていないというのが現状でございます。  いずれにいたしましても、グループ全体として、それぞれ新規事業の展開なり、あるいは三事業会社が郵便局会社と連携を強化して営業をもっと強化していくとか等々、いろんな努力をして安定した経営に持っていきたいというふうに考えております。
  185. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今経営を預かっておられる立場としては、そのようにおっしゃるのは当然だと思います。  ただ、私たちは、これ数字をずっと見ておりますと、本当に従来の傾向が更に、減少していく傾向が更に加速をされていくのではないか、二度と再びこれ浮かび上がれないのではないかとか、非常な心配をするわけでありまして、引き続き私たちも関心を持ってこれ見させていただきますけれども、早い時期にきちんとした見通しを立てていただかないと、民営化のときに非常に楽観的なバラ色の予測があるわけです。その上に全体の設計がなされているというふうに思うものですから、前回総務省の方から、民営化法にあります民営化委員会の三年後の見直しというのは来年の三月末ですというお話がございましたけれども、そういった政府のスケジュールもにらみながら、私は早め早めに分析をしないと、本当に国民に喜んでいただける民営化にならないのではないかということを大変心配をしておるわけです。  特に、各会社の中で、受託収入だけで生きていかなければならないと、もちろん新たな収入源も考えてはおられるんでしょうけれども、郵便局株式会社という窓口だけの会社の将来を心配するわけでございまして、このまま受託料がどんどんどんどん減っていったら、結局何のことはない、税金を入れることできないわけですから、郵便局を減らすとか職員を大幅に減らすとかいう方向にしかならないのではないかと。  そこを私は心配をするわけでございまして、今の時点ですから、これは大臣にお尋ねしてもなかなか明確な御答弁はいただけないかもしれませんが、そういった私の予測に関して、大臣、どんな感想をお持ちでございましょうか。
  186. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり、特に郵便局会社でございますけれども、ここには全社員もう一致協力して営業力をやっぱり強化していただかないと、そこが全体の販売チャネルになっております。そこをまた逆に他のグループ他社も利用していただいて、そして全体として郵政の各会社の経営力というものが増す方向になっていただかなければいけない。  間もなく営業実績等も出てきて、それによって、実施計画のときに立てている目標というのがございますので、そことどのように乖離が出てくるのかいろいろと分析をされると思いますので、まずは会社の方でよくそういったことを分析をしていただいて、とにかくまず営業力を社員一丸となって強化をしていただいて、いい会社の構築に向けて努力していただきたい、頑張っていただきたいと、このように思います。
  187. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 営業成績を上げるというお話がございましたけれども、これ、しりたたいただけでは上がらないわけですよね。先ほど御紹介申し上げたように、もう青息吐息で精いっぱいやっておりまして、昨年も三月そうでございましたけれども、くたびれ切って定年にもならないのにたくさんの職員が辞めていきました。今年も何か同じことが起きつつあるんだというふうにもお聞きをしておりまして非常に心を痛めておりますが、是非これは、仕組みとして営業成績が上がるようなことを是非会社としても御工夫をいただきたいと思うんです。  私が承知している限りでは、何か会社は少し肩に力が入り過ぎて、従来の国営の時代にやっていたことあるいは公社の時代にやっていたことを全部変えてやろうと、せっかく株式会社になったんだからこれはもう全部変えていくんだと。そのお気持ちは結構なんですけれども、私は、それがなかなか思うように機能していない、徹底していない、無理が先に立っているということだと思うんです。その辺を十分点検をしていただいて、本当にその成績の上がるのは一体何だということをお考えいただきたいと思うんですね。  例えば、お聞きするところでは全国統一の何か取扱手続でやらなければいけないというようなことでやっておられるんで、たまにしかお客さんの来ないようなところでも、都会のように非常に忙しいところでも同じ取扱手続をしなければいけない、ローカルルールは認めないと、こういう言い方になっているんだそうですが、そんなことはないんで、本当に地方それぞれで工夫を凝らして、本当に簡単で効果的なサービスを展開するということでなければ私は業績は上がらないんだろうというふうに思いまして、会社にそのことを強く求めておきたいと思う次第でございます。  時間がなくなってまいりましたが、大臣、来年三月の見直しと言われているものでございますけど、私たち、今のこの業績ですとか何か郵便局現場の悲鳴ですとか国民の皆さんの苦情だとかというのを見ていると、もうそこまで待ってられないと、あと一年も待ってられないという気がするわけでございまして、是非早め早めに御検討を賜るようにお願いを申し上げておきたいと思います。  今日は、実はこのほかに、中田政策統括官においでいただいていまして、テレワークのお話とか、この大臣所信を読ませていただいても大変関心のある項目がありましたものですからお話をいただきたいと思いましたが、私の持ち時間が尽きましたので、申し訳ありませんが、改めて別の機会にお尋ねをさせていただきたいと思います。  これで終わります。
  188. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。自由民主党・無所属の会を代表いたしまして、大臣の所信に対する質問を行いたいと思います。  まず、地方財政問題からであります。  平成二十年度の地方財政対策におきましては、実質的な地方交付税というところで四千億円の増額となったところでございます。私の地元の県知事とか市町村長、大喜びではありませんけれども、小喜びぐらいな感じではあります。  その理由というのは、一つは、この三年間の五兆一千億円の削減に対して復元額が、交付税で二千億円、起債と合わせて四千億円ということで比較的少額であったことということもありますけれども地方法人税の偏在の是正であるとか、あるいはこの前の地方交付税の償還金の繰延べであるとか、そういうような地方間の財政調整で財源の捻出をしていると、そういうところも問題であったのではないかと私は考えております。  そういうことで、もう一回おさらいといたしまして、今のような問題も含めまして、もう一度平成二十年度の財政対策に対する大臣の自己評価というのをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  189. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先生が大変こうした地方財政にもいろいろ詳しく、また御心配も常日ごろからしておられるわけでございまして、地元のいろいろな声も先生の方に恐らくいっぱい届いているんではないかというふうに思うわけでございますが、私も就任をいたしまして、かつての経験からして、やはり地方財政にもっといろんな意味でダイナミックな力を持ってもらいたい、元気を与えたいなというふうに思いましていろいろ努力をさせていただきました。  まだまだ不十分なところございますけれども、例えば、今お話ございましたとおりの、地方交付税総額は何としても、この間の削減傾向ですね、方向を変えて増額の方向に持っていかなければならないと、そしてさらには、地方税制につきましても、偏在是正ということ、それから安定性を確保するということに是非取り組みたいと、そういうことで取り組んだところでございます。  また、そうした税制改革で偏在是正をいたしまして交付団体の偏在が是正されますと、今度は交付税が逆に減らされても困りますので、地方再生対策費ということで地方財政計画の中で新たな歳出項目を何としてもお認めをいただいて、そして、それをまた力の弱い、財政力の小さな団体に配分をすると、そういった工夫も中に入れたいということでいろいろ関係のところの御理解とか御協力も賜りました。  結果として、交付税総額が二千億の増、臨財債も含めた起債分も含めまして四千億の増。それから、税の偏在是正等につきましても、これはまだまだ不十分でございますが、今後の税制の改革の要綱の中でも、地方消費税を充実強化するという方向性も書き込ませていただきましたので、ある程度、地方団体の皆様方にも改革の意気込みとそれから方向性は伝わって実感をしていただけたのではないか。もちろん、私のところにも、まだまだ額も十分ではないし、これは一年限りじゃないだろうなということもいろいろと直接寄せられているところでございます。  自己評価ということでございましたんですが、こういったことに甘い評価をしては決していけないと。今後もいろいろ公共団体のお声を十分にお聞きをしていきたいというふうに思いますし、それから、関係者の御理解を得るべく今後も努力していきたい。そして、何とかして、特に小規模な財政力の弱いところほど今大変な苦境に陥っていると、そういったような地方財政の現状を変えていきたいと、このように考えているところでございます。
  190. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 知事、いろんな知事がいまして、たくさんいるわけですけれども、その中で、三位一体改革はだまされたとか、五兆一千億は削減し過ぎだという意見がまだまだ強いんですね。私もその五兆一千億の方は、まあこれは二千億返していただきますから、あと四兆九千億ということになるわけでありますけど、確かに削り過ぎであったという気持ちは私も持っておるわけでありますけど、ただ、その間には税の増収分は大体二兆円ぐらいはあったわけでありますし、また国、地方を通ずる行政改革というのも地方も応分の負担はしていかなきゃならないと。そういう分もあるわけですから、全部元に戻せというのも私は言い過ぎであろうとは思うんですが、それにしてもやはり削り過ぎた分はあるんではないかと思います。  ただ、この地方財政論議は非常に難しくて、何かちょっとかみ合っていないところがあるんじゃないかと思うんですね。知事さんもいろんなことを言っているけど、地方財政なかなか難しゅうございます。分かっていない方も多分いらっしゃるでしょうし、私も最近若い担当者から聞きまして、今そんな複雑なことになっているのというような話がいっぱいあるわけであります。また、例えば、税源移譲がいいのか地方交付税の増額がいいのかという問題もありまして、これも与党と総務省知事会と、何か意見が違うというのではなくて、かみ合ってないような感じがいたします。  だから、先ほど大臣おっしゃったように、もう知事会が外郭団体になるというような時代では全然ないから、意見のすり合わせはする必要はないとは思うんですけれども、かみ合わなきゃやっぱりちょっとおかしいと思うんですね。  それで、私は、レベルを上げてというのかレベルを下げてというのか、どっちの日本語が正しいかはよく分かりませんけど、もうちょっとそのテクニカルな議論をきちんとやっぱり知事とやってほしいと思うんです。もう少し技術的な議論で、今の日本地方財政がどういう状況にあって今後どういう方向に向かっていくのがいいのかという議論を、すり合わせのためではなくて、議論がかみ合うための努力をもう少ししないと、何となくみんなが地方財政は分かったようなことを言うけど、実際は全然違うことを議論したりしている。そういう傾向が昨年の地財対策の流れの中でも私は見られたと思うんですが、どうかそういう知事会等と率直な忌憚のない財政議論を行っていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  191. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、今お話ございましたとおり、なかなか地方財政というのは理解し難い難しい仕組みになっておるものですから、実際に私も知事会におりまして私自身も全体像は非常につかみづらかったわけでございますし、それから、ましてや全員が同じようなレベルで理解しているとはいかないわけでございます。  ですから、今まさに先生からお話がございましたとおり、意見をすり合わせるという時代ではもうこれからございませんし、違いははっきりとむしろ違いとしてお互いに主張した方がいいと思うんですが、その前提として、議論がかみ合うような、そういうことを、理解のためのいろいろな詰めということは今後必要になってくるだろうと。  今、総務大臣と六団体との定期懇談会ですとか、あるいは知事会にも私、出掛けていったり、あるいは個別の知事さんともいろいろお目にかかっているわけでございますが、そうした議論をする前提となるべくのその相互理解を高めるための努力というのを今後、今こういう大変いろいろな状況が積み重なっている時期でございますので、そういう理解を得るための努力というのはより必要になってくると。  私も、今、国会でちょうど年度末でいろんな問題が出てきておりますのでそちらに少し取られておりますが、年度変わってまた少し落ち着きましたら、いろいろ、六団体ですとか、それから個々の知事さんとよくそういう意味での意見交換を積み重ねて相互理解を深めていきたいと。そして、お互いにやはり主張すべきはきちんと主張していく、そういうような状況に持っていきたいと、そのように考えております。
  192. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 その地方財政対策の一環といたしまして今年の十月から地方法人税の偏在是正ということが始まりまして、都市部の都県に一定の負担をお願いしたわけであります。特に東京都とか愛知県がその辺心配はしておるわけでありますけれども、こういう団体の理解を得てこの地方法人税の偏在是正を進めていかなければならないと思います。東京都は、まあ昨日見ていたら、まだ大変だなという感じもいたしますけれども、愛知県の方は、聞いてみますと、大分税の増収傾向も見られているというようなことでございまして、だからいいというわけではないわけでございますけれども、そういう状況もあるようでございます。  ただ、こういう地方の、特にそういう負担を負っていただく団体の理解を得て進めるためには、先ほども出ましたけれども、やっぱり地方消費税の拡大を何としてもこれは早く実現をしなければならないと私も考えておるわけであります。  昨年の、これは党内の話ではありますけれども、税調なんかで我々は一生懸命頑張ったわけであります。どうも途中で、やはりもうどこかで我々がまだ頑張っているうちに話が決まってしまったなという感じが正直言ってしないわけではなかったわけでございますけれども、来年は是非ともこれをきちっとやっていかなければならないと思うわけでありますけれども、そういった地方消費税の拡大を含む税制改正に懸ける大臣の御決意を伺いたいと思います。
  193. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方消費税、やはり六団体としても私は悲願だろうと思いますし、それから総務大臣としても、その充実拡大のために今後勢力を集中して実現に持っていかなければならないと、そういう思いでございます。  消費税については、社会保障財源とかいろいろな財源としてこういう表現適切かどうかは分かりませんけれども、いろいろなところからねらわれているような、そういうものでございまして、大変大事な基幹の税でございますので税制改革の抜本改革時に大変な議論になると思いますが、消費税を地方消費税として充実強化させるというのは今年の一月初めの税制改革の要綱の中できちんと閣議決定もして、その文言もはっきりとそこに明記をされておりますので、地方消費税の充実強化というのはもう各省も共通の理解になっていると、こういうふうに考えております。  その実現に向けて総務大臣として、そして総務省、総力を挙げて努力をしていきたいと、このように思っております。
  194. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 先ほど大臣からありました地方再生対策費というのが今回の目玉だと思っております。大体、地方交付税の増額に相当する額がこの地方再生対策費になっておるわけで、地方は本当に期待を寄せておるわけであります。  既に大体の額の内示のようなものは行われておると、こういうふうには聞いておりますけれども一つ私が問題点感じておりますのは、面積と人口によって、いろいろ細かい話はありますけれども、案分したものですから、今基地問題等で特に負担を強いております沖縄県が少し不利な扱いになっているのではないかと思うわけであります。  また、したがって、いろいろとこの問題もあるわけでございますが、沖縄はちょっと面積、人口だけではかわいそうな気もするわけでありますけれども、何かいい方策はないものかと考えておりますけれども、これはちょっと財政局長の方にお伺いしたいと思います。
  195. 久保信保

    政府参考人久保信保君) 地方再生対策費でございますけれども、その算定方法、これは今委員が御指摘がございましたように、地方再生がいずれの地方公共団体にも共通する課題であるということを踏まえまして、各地方公共団体の、都道府県の場合には人口、市町村の場合には人口と耕地・林野面積ですね、これで算定するということを基本としながらも、算定しようとする経費の内容を適切に反映できますように人口規模のコスト差を反映する段階補正、これを採用いたしますし、そのほかにも経費の必要性を示す指標として、第一次産業就業者比率でありますとか高齢者人口比率、こういったものを用いた補正を行うということにいたしております。  ただいま御指摘がございました沖縄県でございます。沖縄県におきましては、基地が所在するといったことによって生ずる財政需要でありますとか、あるいは離島であるということによって割高となる経費、こういったものが沖縄県の場合にはございます。これは地方再生対策費とは別に、現在も地域振興費において算定しておりますし、こうした特別な財政需要につきましては今後とも適切に算定してまいりたいというふうに考えております。
  196. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 適切に御算定いただけるということでございまして、どうか御配慮していただきたいと思います。  では、ここで話を変えまして、救急の問題と消防の問題に話を移させていただきたいと思います。  これも、救急病院に搬送が遅れて患者の方が死亡なさるという事件が昨年来から幾つか起きているわけでございます。自民党の中でもこのことに関心が多くて、私も三つぐらい違う部会であるとか委員会であるようなものに出席をしておるわけでありますけれども、そこで厚生労働省医政局ですか、そこと消防庁来て御説明なさるんですけれども、特に厚生労働省の方なんですけれども、とにかくたくさんの原因がありますと、ずらっともう十も二十も原因を並べていただくわけなんですね。  確かにこの問題はいろんな原因があるんですけれども、非常に違和感を感じました。というのは、これはもう言うまでもなく、そこで患者の方が亡くなっているという、人の命が亡くなっているという実態があるわけなんですね。そして、国民の身体、財産を守るというのは、これは国家の本源的な存立理由でありまして、福田内閣でも安全、安心の確保ということは最大の目標としておるわけであります。そうやって人が亡くなっている話で、たくさん理由がありますから、確かに特定できないということも分かるんですけれども、何かその説明の仕方に私は非常に違和感を感じたわけであります。  今のような多様な原因や課題というのがあるのは承知しておりますが、その中で、別に消防と私は言うわけではありませんけれども消防の側の責任というのは一体どの辺にあるというふうに長官考えでしょうか。
  197. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 救急搬送におきまして、医療機関の選定に長時間を要する事案が発生していることには様々な原因があると認識しておりますが、消防庁が設置いたしました消防機関と医療機関の連携に関する作業部会から先般中間報告が提出されたところでございますが、その中で、早急に講ずるべき対策としまして、一つには、救急医療情報システムにおけるリアルタイムな情報更新を確保するための改善が必要であるというのがまず一つですね。それから二つ目には、救急患者受入れのコーディネーターの配置が必要であるという指摘。さらには、救急搬送受入れ体制を確保するための検証、協議の場としての都道府県メディカルコントロール協議会の活用などについて提言をいただいているところであります。  これを受けまして、過日、この月曜日でございますが、開催いたしました都道府県等メディカルコントロール協議会の担当課長会議の席におきましても、この提言を踏まえまして各都道府県の積極的な取組をお願いしたところでございます。また、この問題の解決のためには医療機関側の受入れ体制の構築が何よりも重要であると認識しておりまして、消防庁といたしましては、厚生労働省に対しまして救急医療体制の整備について働きかけをしてきているところでございます。  救急搬送受入れ医療体制の充実強化は国民の命を守る上で極めて大事なことでありますので、今後とも厚生労働省と連携をよく取りまして、円滑な救急搬送受入れ体制が構築できますように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  198. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  大事なことは、やはり長期、中期、短期ときちんと議論の長さを分けて、緊急に講ずるものからやっていく必要があると思います。まさに、事故あるいは病気いつ起きるか分からないわけでありまして、いろいろ対策は講じなきゃなりませんけれども、私が言いたいのは、今ある病院、今ある医師、今ある救急車、今ある救急隊でもすべての国民が救急医療を受けられるというのがもう今すぐこの時点から必要なわけでありますから、そういうことを考えてまず緊急対策を講ずる必要があるんではないかと考えておるわけであります。  そういう意味では、私が今から申し上げるのは必ずしも短期的な話ではなくて、むしろ長期的な検討課題になりますけれども、まずは病院の受入れでありますね。日本の場合はいわゆる満床であるというのが、必ずしもそうでないという意見もあるんですけれども、結構断る理由になるんですね、ベッドがないという理由がですね。  だけれども、私がアメリカなどで実際に消防機関、見学いたしましたら、大体向こうの消防機関にはMD、メディカルドクター、メディカルドクターってお医者さんという意味でありますけれども、お医者さんが消防の指令の中にいて、各病院に指示するわけですね。病院の側はそのメディカルドクターにもう逆らってはいけないことになっています。そこのメディカルドクターがそこで受け入れろと言ったら、その病院は必ず受け入れなければならないと、そういう仕組みになっているわけなんです。  今、日本消防状況を見ますと、大体病院が強いんですね。東京消防庁ぐらいの組織で大体対等ぐらいな関係でありまして、ほかの小さな消防機関は病院側にもう全然頭上がらないんですね。ぺこぺこという感じなんですね。だから、もう少し私は消防が力持てる、これは今言ったようにお医者さんの配置が必要なのかもしれませんけれども、やはり消防側から病院に対して受入れが、指示という言葉は適当かどうか分かりませんけれども、そういうシステムを今後やはり考える必要があるんではないかと思うのが一点でございます。  もう一点は、やはり救急指令の広域化ということを是非御検討いただきたいと思います。  これも今消防の広域化の中で方向性としてはもう既にやっていただいておるわけでありますけれども、今はもう技術的に地図システムというようなものもかなりできておりまして、GPSというのもありますし、必ずしも細かい道を知らなくても指令は今出せるようになっておるわけであります。ただ、逆に言うと、救急病院も持っていないような消防機関に救急の指令を置いていても逆に意味がないんじゃないかと私は考えるわけであります。  そういったことで、いろいろな問題はありますけれども、長期的課題としては、今言ったように消防の力を付ける、病院に対しても指示ができるということの検討、あるいは、もっと消防の広域化を通じて救急の方の指令の広域化をもっと急ぐべきではないかと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
  199. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 円滑な救急搬送体制を確保いたしますためには消防機関と医療機関の連携が重要でありまして、先ほど申し上げました消防機関と医療機関の連携に関する作業部会の中間報告におきましても、搬送先医療機関の調整を行います救急患者受入れコーディネーターの配置につきまして提言が行われたところでありまして、消防庁としましてもその導入について都道府県に要請を行ったところでございます。  また、消防指令業務の広域化についてでございますが、委員から御指摘ございましたが、その住民サービスの向上や行財政上の効果等については、その有用性については論をまたないところでありますので、消防庁としても消防指令業務の共同運用の推進に努めてまいりたいと考えております。現に努めているところでございます。
  200. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 指令の、指示出すところがちょっとお答えがいただけなかったですけれども、長期的には是非いろんな方法を御検討いただきたいと思います。  その救命の中で一つ私の御提案があるんですが、JPTECという全国的なボランティア団体があるんです。ジャパン・プレホスピタル・トラウマ・エバリエーション・アンド・ケアというんですけれども、直訳しますと日本病院前外傷評価及び処置というようなボランティア団体で、これはお医者さんとか救急救命士、それから看護師を対象にした外傷性、病気じゃなくて外傷性ですね、それの救急処置に関する研修団体であるわけなんです。  これは別に政治性も何もなくて、きちんとした活動をしておるところでございまして、私も行きましたら、普通、ほかのところじゃまずないんですけれども、若いお医者さんに消防吏員である救急救命士が指導しているというような、ある意味じゃほほ笑ましい状況なんかもありまして、人の命を救おうという医師、救急救命士、看護師が集まって本当に一生懸命活動して、研修をしておるんです。そして、それぞれの現場に戻ってそれを生かしていこうというような活動をしておるんですが、全国的に見ますと、このJPTECの活動に非常に評価を持っている消防機関とそうでないところがありまして、例えば関東のある県ですと、ここのJPTECの資格、これは民間資格なんですけれども、資格を持っていないと救急車に乗せないというところもあるんです。  これもちょっと行き過ぎかなという感じもするんですが、そういうところがある反面、私の住んでいる九州なんかは今余りそうじゃなくて、そうでないというのは理由は分かるわけでありますけれども消防機関でちゃんとした研修はしておる、外から余り言われたくないと。その理屈は分からないわけではないわけでありますけれども、かなり全国的に地域によってこのJPTECという活動に対して評価が異なるわけであります。  ただ、私もさっき言いましたように、このボランティア団体、非常に有用な活動をいたしておりますし、救急医師でも一流の先生方が入って指導をなさっておりますので、団体の活動を是非消防庁でも奨励していただけないかと思っておりまして、是非消防庁の方でもこの奨励のための何らかのアクションをしていただきたいと思っておるんですが、いかがなものでしょうか、長官にお願いいたします。
  201. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) お話がございますJPTECは、救急現場での外傷を受けた傷病者に対する観察、処置、症状に対応した適切な医療機関選定について標準化した教育プログラムであるというふうに承知をいたしております。  現在、同プログラムの教育内容につきましては、救急救命士養成課程や救急科の課程で使用するテキストに取り入れられておりまして、同プログラムの内容に沿った講習が行われているところであります。また、JPTECが開催する講習会に自主的に参加する救急隊員等も多いというふうに伺っております。  消防庁といたしましては、JPTECを含む傷病者に適切に対処するためのプログラムの受講については、救急隊員等の知識、技術の向上に大変有益であると考えておりまして、これらのプログラムが普及いたしますように、各都道府県、メディカルコントロール協議会等の場を通じていろんな機会お話を申し上げて、これが普及することを期待しているところでございます。
  202. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。  消防、もう一件だけお伺いしたいんですが、今三十万人体制の消防の広域化ということで各都道府県で計画を作っているというふうに承知いたしております。大分県では、何とか県の方は一県一消防本部の方向で今消防の広域化を検討したいというふうな考え方を持っておるわけでございます。私も個人的には都道府県消防論者でございますので、これは有り難いなと思っておるんですが、よく聞いてみますと、大分県の中でも県庁所在地の大分市の消防局が統合に難色を示しておりまして、大分市が入らないとなかなかこれはほかのところもまとまりにくくて、今ちょっと苦労をしておるところなんでございます。  大分市の言い分としましては、既に十分な機能が備わっているから統合の必要がないと言っておるわけでございますけれども、だからこそほかのところの面倒も見てやってほしいという我々は気持ちを持っておるんですけれども、またそう言うと、今度は大分市の消防局の方も逆に負担に感じるというようなやや悪循環が生じていまして、今後どうしようかなということで今地元でも議論をしておりますが、なかなか展望がつかめない。また、大分市が参加しなければ二番目の都市である別府市も参加しないと、そんな話になっておるところなんです。  これは自治の原則ですからなかなか強制というわけにはいきませんけれども、何かメリット措置のようなものも考えて、そういう統合に関してもっとしやすい環境の整備というようなものも必要かと思うんですが、こうした中核的な市がなかなか一緒になれないというような場合に、消防庁としてどのような助言というものをなさる考えか、また何かいい策はないかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  203. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 一般的に申し上げまして、県庁所在地などの規模の大きい消防本部は人員、装備などが充実しておりますので、消防の広域化に当たりましては積極的な役割を果たしていただくことが期待されているところであります。  また、広域化を円滑に進めますためには、関係市町村の合意形成、これが大前提でございまして、必要でございますので、消防組織法第三十三条におきましては、都道府県が必要な場合には調整に入っていただく、あるいは情報提供などを行っていただくということが定められておりまして、今回の大分のケースでは、大分県の更なる取組を私どもとしては期待しているところでございます。  消防庁としましても、県や関係市町村の求めに応じましてできる支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  204. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 一つは御提案があるんですけれども消防吏員の階級ですけれども消防司監というナンバーツーの階級があるんですけれども、これは今、東京消防庁の部長とあとは政令指定都市の消防長で独占をしておる階級なんですけれども、今後例えば広域化をしてかなりの人口を抱えたような場合には、今その政令指定都市の消防長でないとできないその消防司監の階級を、統合した広域化後の消防長にも与える。そのことによって、まあこれはこんなことを言わない方がいいんですけれども、後の叙勲やら何やら全部その下の方までかかわってきますのでね、非常に効果があることだと思います。  今日は提案だけをいたしておきますので、また次の機会にお聞きしたいと思いますので、御検討いただきたいと思います。ありがとうございました。  次は、全然変わってどぶろくの話なんですけれども、どぶろくというのは非常に、何というか私も大好きであるわけでございまして、今どぶろく特区というのがございます。大分県も二つどぶろく特区があるんです。これは大変いい特区の施策だなと私も考えておるんですけれども、この前聞きましたら、どぶろく特区はうまく動いたんですけれども、どぶろく特区の申請を国税庁に出すときにペーパーが八十枚も出さなければ許可が得られなかったと、そういう話を聞いたところであります。  いろんな、我々も与党の中で新しい施策を考えて、国民の皆さんにいいなと思うような施策を党としても考え政府に実行していただいておるんですけれども、どうもこの最後の段階で物すごい補助金申請のときの書類を要求されるという話をいろんな部会でお伺いするわけであります。党の方も、平成の一けた時代は規制緩和の中でこういうことを一生懸命やってきたんですが、最近ちょっとそういう話をやめておる間にパソコンが役所で一人一台の時代になったものですから、非常にまた職員が一生懸命やり過ぎるという面もあるんじゃないかと私も考えておるところでございます。  特に、農業分野なんかもそういう指摘を受けまして、農業の方は我々も随分言ったものですから、今年から、前年度の申請で記載した事項は次年度は国の方でもうプリントアウトしてお配りをする、変わるところだけ直してもらうと、そんなこともしていただくことにしたものもあります。あと、福祉施設の分野なんかでも結構そういう提出書類が多いという批判を受けておるわけであります。  ただ、こういうことは、今もせっかくいろんなところで行政改革やっているのに、最後のところで、いろんないい施策をやっても、申請が大変だ、手続が大変だという批判を受けるというのは本当に行政改革にも逆行する話であると考えます。  ただ、こうした事務の簡素合理化は横ぐしを刺してやっぱり全霞が関、全政府的に行わないとなかなかできるものではないと考えるんですが、総務省として、大臣、もう少しこうした行政改革、行政事務の簡素合理化、督励をすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  205. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 申請ですとか届出のときの書類の多さ、そして手続の煩雑さ、これはやっぱり解消しないと私いかぬというふうに思います。今どぶろく特区のお話がございましたんですが、一番初めにどぶろく特区を認めていただいたのは私が知事をしておりましたときの岩手県の遠野市でございましたんですが、その民宿のおやじさんも、本当に作る書類の多さに辟易しておりまして、県で相当サポートしたんですが、県庁の人間がもう本当に参っておりましたんで。  やっぱりそういうことが、あれは大変成功例だったですが、そういうことで断念をした方も随分当時多かったわけでございまして、今お話がございましたとおり、そういうところを最後丁寧に見ていかないといけないなと私も思います。  総務省として今までそういうことに取り組んだのかなと思って調べてみましたら、総務庁時代に平成九年に申請負担軽減対策というのを取りまとめたようでございますが、最近行われていないということが分かりました。これは規制改革に属する事務ということでございますので直接的な担当は内閣府ということでもあるようですが、そういうことがまさに縦割りみたいな話につながるでしょうから、私も、今のことについては内閣府の方にきちんと伝える、岸田大臣の方にもお話をしておきたいと思いますし、総務省としてどういったことができるのかを考えていきたいというふうに思います。  そして、やはり内閣府の方でこうした申請書類などの手続の簡素化ということを、また政府全体として考えていただくきっかけづくりをしていただければ一番いいなと思いますので、このことはここでの先生の問題意識や議論も含めてきちんと向こうの方にお伝えしておきたい、政府としてもやはり何か考えるべきだと、このように考えております。
  206. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今日は会計検査院にもおいでいただいておるんですけれども、これは恐縮だったんですけれども、各省に言いますと、書類を簡素化すると会計検査院に怒られるというような、これ多分へ理屈だと思うんですけれども、そういうことを言う役所がおるんで、そんなことはないですよという御答弁だと思うんですが、それちょっとお願いをいたしたいと思います。
  207. 河戸光彦

    説明員(河戸光彦君) お答えいたします。  会計検査院といたしましては、補助金の原資が国民の税金でありますことから、補助事業者において補助事業を適正に執行したことを説明できることが必要であると考えております。  補助金の申請書類につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第五条によりまして、政令及び各省各庁の長が定めることになってございます。補助金等の申請事務の簡素化に当たりましては、各省各庁において補助金の適正な執行を図る上で必要な範囲において実施されるものと考えております。
  208. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  申請書類が多いというのは、要は要らない書類が多いという紙の無駄遣いをやっておるわけでありますし、それを作るために無駄な残業もやる、チェックするための無駄な残業もやっておるということでありますから、是非そういった意味でも会計検査院も御興味を持っていただければ有り難いと思います。  それで、先ほど総務大臣の方が総務省としても考えたいとおっしゃったんですけれども一つは、もちろん内閣府の規制緩和やら行政改革の方でもやっていただくのもいいんですけれども、これはどっかの段階できちんと政府全体で議論をして、総務省に是非行政評価をやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  209. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この行政評価の方はやはり一つのそれも方法だろうと思います。先ほど、申請手続そのものについては大分古く、総務庁時代にさかのぼると申し上げたんですが、こうした補助金交付手続の迅速化で補助事業者の負担軽減ということについては、うちの行政管理、それから行政評価という対象にしたようでございまして、平成十七年十月、それから十八年の八月に勧告も厚労省、農水省、経産省にしたようでございます。  どうもまだまだほかにも各省いろいろこうしたことを持っているのではないかというふうに思いますので、今委員の方からも御指摘がございました行政評価・監視で取り上げることにつきまして今後も少しお時間いただきたいと、必要に応じて私ども検討していきたいと、このように考えております。
  210. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 では、ちょっと道州制の話をしたいと思う。  どうも副大臣、長い間お待たせいたしましたけれども、与党の中でも今、道州制の議論を進めているところでございます。地方分権をやはりきちんと進めていくためには、道州制という新しいというか、もう明治維新以来の大改革をやるというのが私は必要であると思いますし、この議論は、与野党いろいろ議論はあるとは思いますけれども、しっかり議論して、新しい日本の体制をつくっていくことは必要であろうと思います。  ところが、まだまだ議論が普及していないものですから、都道府県の合併ではないかというぐらいな感覚で見ている人も多いんですけれども、決してそんなものではなくて、我々与党の検討の中も、連邦制は取りませんけれども、限りなくやっぱり連邦制に近い、言い換えれば地方分権の徹底した新しい日本の形をつくっていきたいと、そのような考え方を持っているわけであります。  そこで、つい先日、道州制ビジョン懇談会から中間報告というのが出されました。力作であると思うんですが、特にどういうところが重要な御指摘であったかということにつきまして、ちょっと副大臣の方から御説明いただければと思います。
  211. 木村勉

    ○副大臣(木村勉君) 今般、中間報告が取りまとめられたことは非常に意義深いものであると、こう考えております。その内容は、道州制の理念、目的、導入目標時期、導入までのプロセスについて初めて具体的に提示された画期的なものだと考えております。  簡単に申し上げますと、理念としては、中央集権型国家から分権型国家へ、地域主権型道州制という概念、理念でございます。目的は、繁栄の拠点の多極化と日本全体の活性化、住民本位の地域づくり、効率的な行政と責任ある財政運営。導入の目標時期は、十年後を導入のめどとする、目指すということです。導入までのプロセスとしては、道州制基本法を制定して、できるところからじゃなくて一括して道州制に踏み切るということでございます。  今後も、道州制ビジョンの策定に向け、平成二十一年度中に最終報告を取りまとめていただくよう更に検討を深めるなど、国民的な議論をますます喚起していただくことを期待しているところでございます。
  212. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今そういう中間報告を出されたところでありますけれども、この地方自治を所管するちょっと総務大臣の方にお伺いしたいわけでありますけれども、今の中間報告の中では基本的に憲法改正ということは視野に入れていない内容であったわけですけれども、いろいろこれは党内の議論の中でも、道州議会というものを活性化させるためには議院内閣制を採用してはどうかという議論が今大きくなっております。  非常に強い州知事ができますから、余り独裁的な人が知事になっては困るんでという問題もありますし、あるいは、国会のようにねじれ現象が生じたらこれまた大変なことになるということもございますし、昔と違いまして今は野党も選挙強いですから、議院内閣制を取ったからといって一方に偏るということもないだろうと。そういうこともありまして、州議会が州知事を選ぶ議院内閣制を取ったらどうかという意見がありますけれども、ただこれ、憲法の中に、首長は公選制ということが憲法に決められておりまして、これは憲法改正が必要だから本当に大議論をしなければならないようになるわけであります。  もちろん、憲法改正を今すると言っておるわけではありませんけれども、道州制といったものを考えるときに、もっとやっぱり大きな視野で、これは百年、二百年、三百年ぐらいの視野で考えるためには、余り縮こまって考えず、もっと自由な議論をしたらどうかという考えもあるものですから、これはちょっと総務大臣の方にお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  213. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この道州制の考え方というのは、実に多岐にわたってこれまで経済団体からもいろいろな提言がございました。党の方からも提言が出ているわけでございますけれども、政府として今回始めてこういう懇談会を設けてやるに際しましても、いろいろこれまでの提言等も参考にあの懇談会したわけでございますので、中で、この憲法改正の要否、それから現行憲法内でつくっていくのか、もう思い切って憲法改正までするのかという、委員の中での考え方も実に多様でございまして、私、すべて出ておりませんけれども、議事録などにもそういったいろんな意見が出ております。  これについては、発足してちょうど一年二か月で今回の中間報告にこぎ着けたところでございますけれども、あとまだ残された期間が二年近くございますので、今御指摘いただいた点も大きな枠組みを考えるときに大変重要な論点でありますので、今後、その点について議論を深めていただきたいと私の方からもまた座長にお願いをしておきたいと思いますし、それから、委員の中からも当然この問題はまた出てくると思います。  ですから、残された二年の中で最終的な報告を取りまとめるということでございますし、私もこの場で、大変大きな問題であるがゆえに、自分の考え方もまだまとまっていないところでございますが、せっかくこれだけの有識者の皆さん方入っての懇談会でございますので、その中で今の論点についてもよく議論をしていただきたいなと、こういうふうに思っております。
  214. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 総務大臣、もう一点お伺いいたしますが、その中間報告の中に「道州制実現には、政治によるリーダーシップが、強力に発揮されなければならない。」と、こういうふうに書かれておるわけであります。この政治は、私たち国会議員というのももちろんあるわけでございますけれども増田総務大臣も政治家であります。  難しい質問ですけれど、これは一体どういうふうに受け止めて私たち政治家が行動する、考えればいいかという、考えのようなものをちょっとお聞かせください。
  215. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これは国民的な理解がなければ決して進まない問題でございます。体制をつくるには当然、立法府の御理解といいましょうか、立法府での真摯な議論ということが大前提だと思いますけれども、やはりその背景にあるのは国民的な理解ということだと思います。  ところが、いろいろアンケートを新聞社なりそれから団体が取ったりするところによりますと、まだ道州制についての十分な国民的な理解が深まっているとは言えない状況にありますので、しかしちょうどこの時期にこの懇談会の中間報告が出たと。それから、党の方でも、自民党の方で様々な取りまとめが今行われて報告書も出ているところでございますし、経済団体からも先週、中間的な報告書も出ていたようでございますので、私どもは新年度四月以降、この懇談会での報告書などを持ってまた各地を更に議論を深めるために回っていきたいというふうに思います。  そういう行動を一方で私ども取ってまいりますが、この中で書いてございますように、政治によるリーダーシップが強力に発揮されなければいけないということでございますが、その趣旨は、やはり立法府の方のいろんな御議論とか御理解をいただくということが大変重要だということは委員皆さん方からも出ておりましたので、また機会あるごとに私どもも立法府の皆さん方に、こうだということを決め付けるとかそういうことではなくて、いろんな議論の材料として、こういう論点があの中で議論されましたということを丁寧にまた御説明させていただくような機会を設けていただくなりして、そういった政治の場での議論ということもお願いをしていきたいと。  それから、この道州制につきましては、やはり大前提として分権をきちんと進めていくと。この分権については、御案内のとおり、三年間の分権委員会でもう既に一年ぐらい経過してございますけれども、分権をきちんと進めていくということが大前提になっている今回の中間報告でもございます。  そして、道州制については、やはりそういう時間的な関係からいえば今の行われている分権改革よりももっと後の段階に本当に現実になってくるものでございますので、一方で私、分権担当の大臣もしておりますので、地方分権改革ということを確実に実施をしていくということになれば、国民の皆様方の理解ということを得るにもいい環境になってくると思いますので、そうした分権改革を私どもも進めていって、より政治のリーダーシップが発揮されやすいような環境づくりに努力していきたいというふうに考えております。
  216. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 最後に、大臣、ちょっとICTの分野で一問だけ指摘をしたいと思うんですけれど、携帯電話のまた問題でありますけれど、海外における日本の携帯電話、これだけ立派な携帯電話ですけど、海外では非常にシェアが小さいということ。最近また一部の電機会社が携帯電話から撤退するというようなことも起きて、ちょっと今心配をいたしております。理由を聞きますと、第二世代の電話機のときにやはり国際的な競争に日本負けたものですから、それが今の第三世代の中でも引っ張っておるんではないかということがあります。  最近またニュースを見ますと、NTTドコモの方で基本OSの軽量化を図るというようなことも聞いておりますので、それはまた新しい展開が出てきたのではないかと思うわけでありますけれども、やはりこれだけ日本の技術を集積した携帯電話が海外でさっぱり売れないというのは、私はもう残念でならないわけでありますけれど、是非ともこれは総務省としてもしっかり後押しをして、日本の携帯電話が世界で売れるようにすることを考えなきゃいかぬと思うんですけれども、どういうような施策を今後御展開なさるつもりか、お伺いいたします。
  217. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この分野の国際的な競争力を強化するためのプログラムを作りました。  要点は三つでございまして、携帯電話の事業者、それから端末メーカーですね、そうした産業界と政府が密接に連携をした体制を構築するというのが第一点。それから第二点目は、やはり官民ミッションをこれから第三世代の携帯電話への移行が期待される地域、これは開発途上国が多いんですけれども、そうしたところに官民ミッションを派遣して、積極的に我が国の方式を採用するように働きかけをしていく。それから三点目ですが、今までともすればやはり十分に取り組まれていなかった携帯電話システムの中心となる技術、キーテクノロジーですが、の開発とそして標準化、さらには開発環境の整備、こうしたものに取り組む。この三点をこのプログラムの中心に据えているところでございます。  何しろ今まで国内ではいろんな使い方をしていたんですが、もう内弁慶で、海外に行くとさっぱり日本方式が使われてないと。大変残念なことでありますので、今申し上げましたような三つの取組を中心として是非、一方で自動車産業は大変強いわけですから、そこと双璧を成すぐらいの力強い産業に育てていきたい、このように考えております。
  218. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 是非とも携帯電話問題、あともう少し聞きたいことがあったわけでございますが、国内でのいろいろな、逆に国内での経費を削減して是非とも海外での展開を一生懸命やっていただきたいと思います。今後ともそれを期待をいたしております。  皆さん、どうもありがとうございました。
  219. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  私は、先ほど来論議がありました地方財政、国、地方を通じた財政健全化と、それとまた、それに関連して生活排水の処理の手法といいますか、ということについてお伺いしたいと思います。  まず、我が国におきましては、今日まで国、地方を通ずる財政健全化、これは取り組んでまいりまして、いわゆる骨太の方針に基づいて国及び地方の双方が構造改革及び歳出改革に取り組んできたところでありますけれども、しかしながら、国及び地方の長期債務残高というのは、平成二十年度末で七百七十六兆円程度と見込まれ、また対GDP比で見ますと一四七%に及んでおると。我が国全体の財政状況というのは先進国の中でも最も厳しい状況にあると言っても過言ではないという現状でございます。  そこで、国、地方が一体的に財政健全化を進めていくということが喫緊の課題であると。そういう中で、昨年の常会で成立いたしました地方財政健全化法、これは今まで自治体財政の健全度を測る物差しといいますか、それぞれいろいろ分かれてなかなか実態が分からなかったと、それをきっちり目に見えるようにしていこうということで、地方団体の財政状況を包括的に把握するために普通会計のみならず企業会計も含めた赤字比率も算定すると。また、地方団体の財政への影響が危惧される第三セクターなどの将来負担の比率も示したと。普通会計のみが対象の実質赤字比率だけではなくて、公営企業も含まれる連結実質赤字比率、また三セクも入る将来負担比率もにらんで健全度をチェックしなければならない。また、問題がある場合には行政、議会に健全化に取り組むことを求めなければならないと。また、そうした首長選挙の際にも判断材料にもそれはなり得るという、住民の監視もこれでやりやすくなるというふうに思うわけですね。  いわゆる、今までレッドカードだけだったのが、イエローカードも取り入れてという考えも取り入れて、自主的にこの改善に努める部分と、それから最終的な財政再生というレッドカードになるのかという、そういうものを取り入れたわけでございますけれども、それについて大臣の、全体と、これらのこの指標の持つ役割、在り方についてお伺いしたいと思います。
  220. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、今先生の方からもイエローカード、そしてレッドカードというお話がございましたんですが、何しろ今は、地方財政全体、国、地方合わせて七百七十六兆の債務残高、そして対GDP比一四七%、大変厳しい状況でございますので、一刻も早く公共団体財政を健全化の方向に持っていかなければいけない、そのために例の財政健全化法ということをお認めいただいたわけでございます。そして、財政指標の数値というものを四指標で表そうということになっているわけでございますが、そうした数値を公表して、そして仮にその数値が決められた基準以上となった場合には、この健全化計画というものの策定を義務付けて、とにかく財政の健全化を図っていただきたい、そちらの方に持っていきたい、こういうことでございます。  これは、今先生のお話にももう既にございましたんですが、そういう指標があれば他団体との比較が容易になるわけでございまして、当該団体財政状況を客観的に表すということに資する。そして、それは議会そして住民の皆様方にとっても非常に有意義なことでございます。  各指標が持っている意味というのは、先生のお話にございましたとおり、実質的に本当の真の意味での財政状況を表す指標を作成をいたしましたので、そういう指標の状況を分析し、そして当該団体財政運営上の課題というものをその上で明らかにして、当該団体財政上の自己規律による財政の健全化を促していくと。そういう指標を明らかにすることによって、やはり住民なり議会なりを通じて当該団体の執行者は当然いろいろな財政運営を考えていくでしょうから、そういう自己規律による財政の健全化を促していきたいと、こういうことでこのような仕組みを構築したものでございます。
  221. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、当初考えられていた案よりも、地方団体のいろいろな御意見、これはちょっと厳し過ぎるんじゃないかとか、いろいろございます。  そういう中で、連結実質赤字比率の財政再生基準というのを、三年間の経過的な基準を設けられましたよね、二〇〇八年は四〇%、その次は四〇%、次は二〇一〇年三五%というふうな。そういう部分だとか、それからまた、解消可能資金不足額という考え方で、それは赤字であっても将来これは取り戻せる部分については計算に入れないでいいんだとか、そういういろいろ、まあ緩和策といったら語弊がありますけれども、ある報道によってはこれは先延ばしじゃないかというような報道もありますけれども。  そういうことが入って、当初はこれで五十から百ぐらいの早期健全化基準の中に引っかかるものがあるというふうに出ておりましたけれども、大体今、今後、今回の新たな指標によって財政再建団体や早期健全化団体に陥る地方団体がどれぐらいあると、このように見込まれているか、お伺いしたいと思います。
  222. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これはいろいろな条件といいましょうか、そうしたものもございますので正確にお答えすることはなかなか困難ですけれども、お許しをいただいて、十八年度の決算数値を用いて私どもが算出した数値について申し上げますと、実質赤字比率の早期健全化基準以上となる団体は一でございます。それから財政再生基準以上となる団体は一、これは実は夕張市でございますけれども、これも一で、夕張市でございます。それから、実質公債費比率、こちらの方の早期健全化基準以上となる団体、こちらは四十三団体でございまして、それから財政再生基準以上となる団体は三団体、このうち一つは夕張市と、こういうことになっているところでございます。  今申し上げましたとおり、これはあくまでも平成十八年度の決算数値を用いておりますので、その後、各団体もいろいろと改善努力はしているのではないかというふうに思いますので、実質、法律が四月から施行されて、現実にその後出てくるものは少し数値違っていると思いますが、おおよそそういうものではないか。  そして、今後どういう数になるかということもなかなか難しいわけでございますが、相当団体数が、いろいろ財政の健全化の努力によって変わってくると思いますが、やはり早期健全化基準以上となる団体は、全体として見れば五十ないし百ぐらいが一つの目安になるのではないかなと、このように考えているところでございます。
  223. 弘友和夫

    弘友和夫君 今いろいろ地方自治体も努力して、固有名詞をあれしたら、予想された北海道の赤平市ですか、いろいろ削って一千万だけそれを下回ったというような、ちょっと何かあったらまたそれ元に戻るというような、そういう、しかしそれは努力はされていると思うんですけれども。  そういう中で、ただこれが、指標が公表されたり、先ほど言いました他団体の比較だとか、そういうことができると。ただ、住民の理解を深めるような取組をしなければ実効性がないと。ああ、そういう数字ですかというのでは自主的な再建の場合、何ら余り変わらないという意味で、具体的にやはり何かそういう場合はやらなければならない、そういうものがないといけないんじゃないかというふうに考えますけれども大臣、どういうふうにお考えかということをお伺いします。
  224. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お話のとおりでございまして、せっかくつくった制度の趣旨などを住民に十分理解していただくということが大事でございます。  制度としては、情報開示ということで、議会に報告をして、その財政指標の数値を公表すること、それから書類を地方団体の事務所にきちんと置いておくこと、それから全国の状況がすぐに分かるように、インターネットの利用等により公表すること、こうした情報開示の徹底を図ることとしておりますが、やはりその数値の意味合いですとか、それからなぜこういうものを導入したのか、特に連結など、公営企業も含めて連結などのそういう仕組みにしたのかといったことを、その前にさかのぼってやはり情報提供する、そして周知をすると、こういうことが大事でございます。  そこで、我々としても、そういった周知を今後一層いろいろなやり方でやっていきたいと。パンフレットなどに書いたり、それからホームページに書いたり、あるいはいろいろな場面で御説明をしたりということで努力していきたいというふうに思いますし、それからやはり一番大事なことは、今年の秋、決算数値が出ましてから各地方団体が一斉にそうした説明をするわけですが、そうした場合にどういう説明をすれば一番住民の皆さん方にとって理解が進むのかということ、これを更に私ども工夫をして、そして公共団体がその数値を公表するときに必要な助言をしていきたいというふうに考えております。
  225. 弘友和夫

    弘友和夫君 そうした大変な地方財政の中で、私は、地方の汚水処理行政、これは御承知のように、大きく言うと国交省の下水道それから農水省の農村集落排水事業、環境省の浄化槽と、この三つでずっとやってきているわけですね。まあ今は八〇%、全国八〇・九%。人口五万人以上では八四・八%、五万人未満が六二・九%、残りは二千四百二十四万人分が未処理だと、八百四十万世帯が未処理だと。  こういう中で、本来であれば地方が計画を立てて、下水道にするのか浄化槽にするのか農村集落にするのかという計画を立ててやればいいんでしょうけれども、今まででも三省で、経済性、効率性というか、コストとかそういうものをきちっと比較した上で計画をしなさいよと、こういうふうになっているにはなっているんですよ。ただ、それはなかなかそうしたことにならない。  というのは、下水道が今でも、今年の予算では総事業費二兆一千億ですよ。で、国費が六千九百六十三億円、地方の負担が一兆四千百三十七億円。二兆円使っているんですね、国と地方で。これ、今までずっと、まあ今までは国が一兆、地方が二兆で三兆に、それから維持管理費が八千億ですから、まあ四兆円近くずっと使い続けてきて今に至っているわけです。  私は、この下水道を浄化槽に替えるべきじゃないかと言っている。それは、昔は浄化槽の内容が余り良くなかったかもしれません。今はしかし遜色のない、遜色のないという以上に、一から三ppmぐらいの浄化槽はいっぱいあるわけですよ。それで替えれば、残り八百四十万世帯、下水道の予算の二年分ぐらいあれば私の試算でも全部、日本全国の残りが付いてしまうと。安くて早くて、地形に関係なく、で、また水が戻ってくるといったそういうものに替えるべきじゃないかと主張するんですけれども、いまだに続いているということですね。今まで公共事業の一一、二%、この下水道ずっと使い続けてきたわけですよ。  で、例えば先ほど出ました破綻した夕張を見てみました、象徴的なということで。そうしたら、夕張市の下水道の普及率は二八・三%、三割弱なんです。で、汚水処理費が三億三千三百六十六万円掛かっているんですね。じゃ、使用料としていただいているのは五千八百二十万円ですよ。不足額は二億七千五百四十六万、回収率は一七・四%。本来だったら三億三千万いただかないといけないのに五千八百万しかもらっておりませんよと。二億七千万、一般会計からこれ補てんしているわけですから、三割の人ために。本来だったら、あと七割の人は自分たちのところで使える税金を補てんしているわけです。  これ、全国見てみましても、人口五万人未満、これの下水道管理費の使用量の不足額、下水道管理費が二千百七十八億です。一世帯当たり下水道管理費が十四万二千九百四十八円掛かる。で、使用料金、いただいている使用料金は四万三千七百八十九円。一世帯当たりの不足額が九万九千百五十九円。十万円、全国の平均で一世帯当たり十万円一般会計から使っているわけですよ。これは、私はもう、こういうことをずっと今から続けられたらもう地方財政地方団体はこれで私は破産すると、破綻すると思うんです。ところが、なかなかそれが切り替わらない。  固有名詞出して悪いんですけれども、東京都に檜原村というのがあるんですね。人口が二千七百人かそこらですけれども、これ、下水道計画取り入れた、下水道取り入れたんです。戸数は千ちょっと世帯ですよ、戸数は。そうしたら、総事業費が五十二億三千万、国の補助金が十六億八千万、都は八千万、単独、村で出す建設費ですよ、これは、村で出すのが三十四億七千万掛かるんです、一千戸ぐらい世帯の。  これ計算しましたら、計算って出ているんですけれども、本来だったら、これ、全部完成していても、一軒が払うべき、本来の支払うべき経費、本来だったら三十四万二千四百九十七円いただかないといけないのに、一万七千八百二十九円しかもらってないと。一軒当たり三十二万四千六百六十七円、一軒当たり三十二万不足している。それは一般会計から補てんする。  ここは水道も簡易水道なんですよ、簡易水道。しかも、その簡易水道が来てない御家庭で村の簡易水道のみを使用してくださいと。やむを得ず地域水道、沢水を併用する場合は、お客様の負担でメーターを付けて、その使ったのを計算してくださいと、こう書いてあると。まだ、私、現地見ていませんからあれですけれども、こういうことは果たして続けていっていいんだろうかと。  全国で毎年八千億の、建設費じゃありませんよ、建設費は地方は一兆二千億使っているわけだから、国と地方で二兆円使っているわけだから。下水道使用量として取れない部分と、これ八千億毎年掛かるんですよ。一回これを付けてしまえば、八千億ずっとそれぞれ払っていかないといけない。  大臣の、私は今日は岩手県のやつは持ってきておりませんけれども、多分全市町村、私は一般会計から繰り入れていると思うんですよ。宮崎県の、私たまたま持っていますけれども、ある村は一軒当たりの不足額七十万。別の町は二十万だと。全部で八十六億、この県で、宮崎県で一般会計から補てんしている。  だから、こんな計画が、何も考えずに、先ほど、病院、公営病院のお話がありました。病院は赤字であろうと何であろうと地域にとってなくてはならない、代わり得るものがなければやらないといけないんですよ。道路だって、無駄だ無駄だ、無駄なところもあるかもしれないけれども、だけど、代わり得るものがなければやらないといけない。これは、代わり得るものは現実にある、現実に。  今日はあえて各省呼んでないんですよ。私は、地方財政考え総務大臣にこれは聞いていただきたい。じゃ、公営企業、今日は水道の方も来ていただいている。これだけ建設費も膨大、そしてまた、維持費も一般会計。本来だったら一般会計から補てんしてはいけないんです、これは、財政法からいったら。  じゃ、よく上下水道と、こう言っていますね、上下水道。じゃ、上水道、同じ公営企業ですよ。上水道、どうですか。これだけ一般会計から補てんがありますか。その収支についてお答えいただきたい。
  226. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 厚生労働省が全国の上水道事業について行った調査結果によりますと、平成十七年度における収益的収支について、収入総額は約二兆七千五百億円、支出総額が約二兆五千四百億円となっておりまして、収支差が約二千百億円の黒字となっておりますが、収入の中には他会計からの繰入れといたしまして、二%程度の繰入れがあるということになっております。
  227. 弘友和夫

    弘友和夫君 命の元であるこの水、水道、同じ地下を通って、一般会計からもうほとんどない、全部自分のところでやっている。  もう一つ、ついでにと言ったら語弊がありますけれども、下水道は下水道法第十条というのがある。下水道が来たらつながないといけませんよと、ほかできちんと処理しているものにもつながないといけないというものがあるんですよ。おかしいじゃないかと。ほかの公営企業はそんなものはないんですよ。じゃ、その一番大切な上水道、接続義務がありますか。
  228. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 水道につきましては、水道から給水を受けるか否かということは住民それぞれの意思によるものでございまして、水道の使用が義務付けられているところではございません。
  229. 弘友和夫

    弘友和夫君 今のように、水道ですらと言ったら語弊がありますけれども、接続義務がない。井戸の水飲もうと何しようと本人の自由です。下水道はどんどんどんどん延ばしていって、今あるのは、例えばできてしまったものは現状としては百歩譲ってもあれですけれども、今からどんどん行く、当然つなぐんだということで計画してやっているわけですから。  こんな無駄な、私は、地方財政を健全化していかないといけない、地方に力を付けないといけない。もっと自主財源も、もっと財源も地方にやるべきだ、付けるべきだと。先ほど大臣が言われたように、特に小さなそういう弱小の市町村についてもそういう財源にするべきだと思うんです。だけど、こうした計画が、村の財政、市町村、自分のところの財政考えなくて明らかにもう永久に赤字になっていくような計画をやるということ自体が、これは全国の企業債の半分は下水道からの借金ですからね、公営企業の。だから、こういうことが続けられること自体が、私は本当に、地方財政厳しいのかと思うぐらいあるんですよ。  だから、私、むしろ、本来だと地方で、自分のところで考えれば、計画をきちっと立てればいい話かもしれませんけれども、だけれども予算が付くからどんどんどんどん進めていく、そのこと自体が私はおかしいんじゃないかと。じゃ、さっきのあの村にでも国交省の補助金が付いているんですよ。基準がなければ、こんな膨大な、大変ですよと、これやったら。何か基準がなければ、私は、これまだ続きますよ、残り八百四十万世帯、二千二百万人分、どんな田舎であろうと下水道はどんどんどんどん行くんですよ。だから、少なくとも、私、一〇〇%使用料として取れなくても、八〇%ぐらいは取れる計画じゃないと駄目ですよとか、何かそういう基準を設けるべきだと思うんですね、基準を。  それは総務省地方財政計画を立てるわけですから、何かそういうことをするべきだと。幾ら国交省のこれは事務ですからとか、これは厚労省のあれですからということじゃなくて、やっぱりそういう指導が必要なんじゃないんですか。  もう時間がありませんので、最後にそうした、しかもこれは硬直化するんで、財政が、もう毎年要るわけですから、付けた以上は。だから、そういう観点からも、何らかの指標、総務省考えていただきたい、何か。  それとまた、私は、その住民の皆さんが何十万掛かろうといいですよと言うんであれば付ければいいんですよ。だから、そういう情報が明らかでない、一般会計からそれだけ補てんされているとも知らない、付いてない人は本来だったら自分のところで使える税金がよそに行っているわけですから、その同じ住民の中でもね。こういう情報をきちっと明らかにした上でいいですよと言うんであれば付ければいいんだ、下水道を。  それについて、最後、何らかの基準を設けるべきじゃないかということで、大臣の御答弁をいただきたい。
  230. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の下水道の関係でございますが、やはりこれは先生おっしゃるとおり、大変大きな影響を、財政運営に対しても大きな影響を与えております。今まで随分事業をやってきたものですから、多くの団体でこの繰り出し金が財政運営を圧迫しているという事実もございますし、とにかく整備に多額のお金が掛かりますのと、維持管理に、ここが案外忘れられがちなんですけれども、維持管理に大きな問題を抱えていると。  ですから、これはいろいろネットワークとして整備されたものについてはきちんと適切に維持をしていかなければいけないというふうに思うんですけれども、新たにまたそうしたことをやるといったようなことについては、やはり本当に、どれだけの負担が掛かるか、今お話がございましたとおり、積極的な情報開示が必要になると。そして、いずれにしても、今おっしゃったように、下水道もあって、農業、漁業の集落排水があって、そして浄化槽と、こういう三つあるわけですけれども、適切に合理的な選択をしていただく、その合理的な選択ができるだけの情報開示がきちんと行われる、そして使用料水準とか、それから繰り出し金がどれだけ長期的に影響を与えるかということを皆さんが本当によく判断した上で考えていかなければいけない問題だと思います。  どういう形でそういった公共団体がそういう適切な判断ができるのか、今その歯止めのための何らかの基準なりのものが要るんではないかという先生お話がございました。今、御趣旨いろいろ、るる先生から御説明がございましたんで、私も、それから私どもも十分勉強させていただきたいと。そして、こういったことが、住民が余りよく分からないうちに単に財政負担だけが後に残ってしまうということは絶対避けなければいけない話でございますので、よく勉強をさせていただきまして、どういうことが対応可能なのか考えたいと思いますし、それから、やはりあらゆる機会を通じてこういったことについて市町村の方に助言をしていきたい、特に経営健全化について助言をしていきたいと、このように考えております。
  231. 山下芳生

    ○山下芳生君 地域医療の問題について質問をします。  まず、国土交通省に聞きます。  衆参の予算委員会で冬柴大臣が配付された国土交通省の作成資料、「地域の自立・活性化や国民生活に欠かすことの出来ない主な取り組み」という資料がございます。この一番最初に、「救急病院へ行く生活道路の整備」、「救急搬送に時間がかかり、都会では守れる生命も救えません。奈良県十津川村の例」という資料が載っておりますけれども、この資料の趣旨は何でしょうか。
  232. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 委員お尋ねの冬柴大臣がお使いになったパネルについては、救急病院へ行く生活道路の整備が必要だということを示したものでございます。  奈良県の十津川村から、中心的な拠点病院がある五條市まで約九十分、新宮市まで約七十分の時間を要し、しかも、救急車と擦れ違いが十分できない状況であるということを表しております。  また、搬送時間が救命救急に直結するということで、心停止であれば三分、呼吸停止であれば十分、出血多量であれば三十分で死亡率が五〇%以上になるということを示しております。  搬送中に心停止や呼吸停止になる場合があることを考えれば、救急病院までの道路が整備されていないということは、守れる命も救えない場合があるということであり、このような道の整備が重要であるということを冬柴大臣は御説明されました。
  233. 山下芳生

    ○山下芳生君 十津川村から五條市まで行って、五條市の中心的な拠点病院があるから運ぶんだという冬柴さんの説明だったんですが、それでは、五條市の中心的な拠点病院がどういう状況になっているか把握しておられますか。
  234. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 私の方は今把握しておりません。申し訳ありません。──ちょっとお待ちください、失礼しました。  緊急医療機関への搬送時間の短縮のためには、医療政策も重要であると同時にやはり道路政策も重要だということであります。緊急医療体制は、各県において初期救急、第二次救急、第三次救急の三段階で体系化されており、最も高度な医療を提供する第三次救急医療機関は県単位で整備を行うなど、高度になるほど広域的なエリアを対象とした整備がなされると聞いております。  委員お尋ねの、具体的にその地域の医療機関の状況がどうだということに関しましては事前に通告いただいておりましたでしょうか。申し訳ありません。私の手元に詳細な資料はいただいておりませんので、委員の御指摘があれば後ほどまた御報告させていただきたいと思います。
  235. 山下芳生

    ○山下芳生君 いや、国土交通省の資料に十津川村から五條市に運ぶんだというふうに書いてあるから聞いているのに、じゃ五條市の中心的な拠点病院がどうなっているかと聞いたら、把握してない、知りませんて、それはひどいですよ。  五條市の中心的な中核病院というのはどの病院かといいますと、奈良県立五條病院なんです。奈良県立五條病院は、二年前に医師不足のために分娩の取扱いを休止いたしました。そのために、出産予定者が別の、近くというか近隣の大和高田市立病院に集中するようになったんです、二年前のことですけれども。  この大和高田市立病院というのは産科医が三人体制でありまして、医師の増員もままならないわけですから、その前の年は年間九百人出産していたんですけれども、五條の病院からどんどん出産予定者が流れてきますから、もうこのままだったら千二百人ぐらいになっちゃうと。もうとてもじゃないけど、三人の体制では分娩できない、危ないということで、やむを得ずお産の地域限定というものを二年前にやりました。  お産の地域限定というのは、大和高田市と葛城広域圏管区、御所市、香芝市、葛城市、広陵町、この住民、それから大和高田市の親元への里帰り出産、この人だけお産を受け付けるという地域限定に踏み切ったんです。これ、全国ニュースになりましたよ、お産の地域限定ということで。今でもそうなっているのかと、つい先ほど電話で確認しましたけれども、まだやっぱり地域限定していますということになっておりました。  ですから、拠点病院に行く道路が幾ら整備されても、拠点病院に医師がいなければ命は救えないんじゃないですか。副大臣
  236. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) それは委員のおっしゃるとおりだと思います。医療体制と道路と、その両方がなければそういう命を救うことは非常に難しい、私もそのように認識しております。
  237. 山下芳生

    ○山下芳生君 では、どうしてこんな資料を作って、テレビで放映される衆参の予算委員会でわざわざ国民の前でやり取りをするのか。おかしいんじゃないですか。
  238. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) ですから、医療機関も必要ですが道路も必要だということで大臣説明されたと考えております。  医療機関も必要ですが、当然道路の整備もしなければならないと、両方がそろってこそ国民の命を救えるという意味で大臣資料を示されたと思っております。
  239. 山下芳生

    ○山下芳生君 でも、五條の病院がどうなっているか知らないんでしょう。つかんでもいないんでしょう。(発言する者あり)いや、私はって、これ国土交通省の資料ですから、あなた副大臣だから聞いているんですよ。  それで、これ、冬柴さんだって知っていたかどうか分かりませんよ。胸張って堂々とやっていたんですから、何回もやっているんですから、知っていたらこんな資料使って説明できないですよ。それは、病院がちゃんとしている地域を選んで、こういうふうに結んだら救われますという説明だったら分かりますよ。結んだって医者がいないんだから、大変な状況地域全体がなっているんだから、そこに道路を造ったら命救えますって恥ずかしくて言えないですよ、実態知っていたら。  奈良県議会で、去年の十二月十二日に厚生委員会で請願が出されました。その中にはこうあります。  奈良県中南部では、ここ一年余りの間に四つの病院が医師不足のために産科を閉鎖するという事態になりました。そのため、四百人ほどの方が出産施設を求めて遠くの医療機関に通うことを余儀なくされています。  そこで、閉鎖された出産施設を一つでも再開できるようにしてくれなどという請願が提出されて、これ、全会一致で採択されていますよ。これも把握していなかったんですか。
  240. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) そういう医療体制というのは、緊急医療体制は、各県において、先ほどお話ししましたが、初期救急、第二次救急、第三次救急の三段階で体系化されており、最も高度な医療を提供する第三次緊急医療機関は県単位で整備を行うということであります。また、高度になればなるほど広域的なエリアを対象とした取組が必要であるというふうに私は聞いております。
  241. 山下芳生

    ○山下芳生君 一般論を言っているんじゃないんですよ。十津川から五條に運ぶ問題を言っているんですね。  この採択された十津川それから五條、県中南部、もうここではお産の施設が一つもないんですね、県立医科大学よりも南は。大変なことになっているんですよ。だから、こういう請願が全会一致で採択されているんです。紹介議員には、私たちの共産党の議員だけじゃなくて、大臣の所属している自民党の議員もなっているし、冬柴大臣の公明党の奈良県議会議員だって紹介議員になっているんですよ。  こういう資料を作るんだったら、せめて県議会に、これ大丈夫かと、道路を造ったらちゃんと命救えるかと確認してから作りなさいよ。そんなこともしないで、現地の医療機関が今どうなっているかということをまともに把握もしないで、ただ道路さえできたら命が救えるかのような宣伝をするのは、私は不謹慎だと言わなければならないと思います。  それで、深刻化する救急医療の問題は五條だとか十津川の問題だけじゃありません。道路を造ればいいということではないというのはここだけの問題じゃありませんね。  消防庁に質問しますけれども消防庁が先般行われた救急搬送における医療機関の受入状況実態調査結果について、救命救急センター等搬送事案に関する補足説明の三と四、概略説明してください。
  242. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) ただいま委員から御指摘がございました補足説明でございますが、これは、先般消防庁が行いました救急搬送における医療機関の受入状況実態調査のうち、最終的に救命救急センター等に搬送された事案について医療機関が受入れに至らなかった理由を二次以下の救急医療機関と三次の救急医療機関に区分して調べたものでございます。  これによりますと、数値が得られました七都県における医療機関が受入れに至らなかった理由を合計してみますと、全体で三万五百三十七件ありまして、その内訳は、二次以下の救急医療機関におけるものが一万八千二百十五件、三次の救急医療機関が一万二千三百二十二件でございます。  さらに、これを受入れに至らなかった理由ごとに分類してみますと、二次以下の救急医療機関においては、処置困難が三九・〇%、手術中・患者対応中が一六・二%、ベッド満床が一五・六%、専門外が一〇・三%となっております。  これに対して、三次の救急医療機関においては、ベッド満床が三七・八%、手術中・患者対応中が三四・五%、処置困難が一二・七%となっております。  以上の結果から、二次以下の救急医療機関において受入れができなかった多数の事案について三次医療機関に受入れ要請がなされ、三次救急医療機関においては、ベッド満床、手術中・患者対応中を主な理由として受入れができないと回答している実態があると思われるところでございます。  今後、受入れ医療機関の選定が困難な事案の背景を把握いたしますために、二次以下の救急医療機関におきまして最大の理由となっております処置困難の具体の内容などにつきまして、地域において更に分析を進める必要があるというふうに考えておるところでございます。
  243. 山下芳生

    ○山下芳生君 今丁寧に説明をいただきましたけれども、要するに、全国で救急患者を救急車が運ぼうと思っても、受入先がなかなか見付からずに手遅れになって亡くなる方も続出していると。これ、全国でその実態調査した結果分かったことは、二次救急病院が処置困難、受入れ困難になっていると。したがって、そこに本来入るべき患者が三次救急、救命救急センターに回されて、本当は最後の命のとりでがいつも満床状態になっているということが起こっているわけですね。  なぜ、じゃ二次救急が処置困難になっているか。これから調査されるということですが、これ、調査しなくても大体分かっています。これは医師不足と、それから経営困難ですよ。道路が整備されていないからじゃないんですよ、これは。ですから、道路にしか使えない特定財源をやっぱり一般財源化して医師不足解決にちゃんと使う方がはるかに着実に命を救えることになると私は指摘しておきたいと思います。どうですか、副大臣
  244. 平井たくや

    ○副大臣平井たくや君) 先ほどの緊急医療の問題でありますけれども、やっぱり道路ネットワークの形成というものが緊急搬送時の短縮に有効であるということは委員もお認めになると思います。  その上ででございますが、先ほど四時からの総理の記者会見で総理は、二十一年度からその道路特定財源制度は税制抜本改正時に廃止し、一般財源化するというふうに記者会見でお話しになったようでございますが、我々は真に必要な道路を整備するという本来の任務をどのようにしてこれからちゃんとやっていくかということをこれから検討させていただきたいと考えております。
  245. 山下芳生

    ○山下芳生君 総理の会見の話が出ましたけど、私もそのペーパーをもらいました。一般財源化の前に、第一に書いてあるのは平成二十年度歳入法案の年度内成立ですよ、この期に及んで。まじめに道路特定財源を一般財源化することを白紙からみんなで考えようじゃないかという立場に総理は立っておりません。そういうことにならないから今国民の支持が得られていない。私は、その一般財源化を真剣に検討することによって救える命がたくさん救えるようになるよということをここでは問題提起しておきたいと思います。  続きまして、公立病院に対する財政支援について総務大臣伺います。  総務省は昨年十二月二十四日に、公立病院改革ガイドラインを各自治体通知いたしました。私は、このガイドラインが地域実態を無視して公立病院を縮小、再編、効率化に追い込んでいくようになっては地域医療を一層後退させるという心配をしております。  そこで、総務大臣伺いますけれども、この公立病院改革ガイドラインは、通知であって法的な拘束力を持たないものと理解していいですか。
  246. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) このガイドラインでございますけど、中身は今日もいろいろ先ほど来御議論いただきましたけれども、法律上の位置付けで言いますと、自治法に定める技術的な助言ということでございまして、法的に強制するといった意味での拘束力を持っているものではございません。ただ、当然ガイドラインとしてお示しをしているものでございますので、各公共団体でこの内容を十分に熟読をしていただいて、ガイドラインを踏まえて改革プランを作っていただくことを私どもは期待をすると、こういう立場でございます。
  247. 山下芳生

    ○山下芳生君 技術的助言ということですが、しかし、そのガイドラインの中を見ますと、第四、財政支援措置等というのがございまして、そこには、改革プランの策定、再編・ネットワーク化に伴う新たな医療機能の整備、再編・ネットワーク化や経営形態の見直し等に伴う清算等に要する経費についての財政支援措置をすることになっております。  これは結局、総務省がガイドラインで示した改革に沿って自治体を政策的に誘導する中身になっているんじゃないかと私は思いました。ガイドラインは通知であって助言にすぎないと言うんですが、自治体へのこれは財政措置を通じた事実上の強制になっているんじゃないでしょうか。
  248. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先ほども申し上げましたとおり、このガイドラインをよく読んでいただいて、是非中身のある改革プランを作っていただくことを期待をしております。  あくまでも公共団体の方のいろいろな自主的な判断でございますが、実のある改革プランを策定していただくことを期待をしておりますし、そういう立場からいいますと、今先生の方からお話しございましたような内容について、やはりいろいろな経費が必要になってまいりますので、そうしたものについては財政上の所要の措置をとっていると。そうしたものをお使いいただくかどうかも、これは当該団体の判断でございますが、要は、何か不利益処分を、このガイドラインに沿わないということで与えてしまっては決していけないんで、そんなことをするつもりは毛頭ございませんけれども、やはりガイドラインに沿ってプランを作っていただくためには必要な経費等が生じますので、それについては私ども財政措置をする用意があるということをお示しをして、いろいろ公共団体地域の実情に沿った御判断をしていただこうと、こういうふうに考えたものでございます。
  249. 山下芳生

    ○山下芳生君 ガイドラインに沿ったプランができれば財政支援措置するということですが、ではガイドラインの内容と異なる自治体独自の公立病院改革案を作ったところに総務省からの財政支援措置はあるのかと。私も、第二の夕張と言われて今おります赤平の市立病院を訪ねましたけれども、いろいろ努力されておりますね。透析の患者さんをしっかり受け入れて赤字を克服していこうというような独自の努力されておりますけれども、ガイドラインにはないそういういろいろな自治体独自の改革プランを作ったところにも、やっぱり大事だと、これは意味のあることだということで、政府から、総務省から財政支援措置が当然あってしかるべきだと思います。それはあるんですか。
  250. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり、この財政支援措置全体としては限りがあるわけでございますので、そういった赤平のようなもの、まだどういったことをおやりになっているのか、私も十分聞いているわけでございませんけれども、赤平の市長さんも私のところにおいでになって、いろいろ改革を進めるということでお話は私自身もお聞きをしてございますが、事細かにという部分については担当の方でもよく話を聞いているんだろうと思います。  ただ、当然、限りある財政でございますので、その中で財政措置が講ぜられるもの、それから、どうしてもその対象から外れるもの、これは出てくるんだろうと思いますが、あのガイドラインなり、それから改革のための、私ども今回も、特に赤平のことも大変心配をして、赤平向けの、赤平でお使いいただけるような手段というものも用意をさせていただきましたので、大変最初は市長さんも例の健全化法の関係で心配をしていたところでございますけれども、今は一生懸命とにかく努力をして、何とかここを立て直らせたいと。あそこは、先生もよく御存じのとおり、他に代わり得るようなものがない地域でございます。あの病院はとにかくそこの医療の中核として維持していかなければいけないというふうに私も思いますので、よく赤平からの御相談には私どもは乗っていきたいと、こういうふうに考えております。
  251. 山下芳生

    ○山下芳生君 赤平からの相談には乗るということでしたけれども、ほかの市町村ですね、公立病院持っているところ、仮にガイドラインに中身が合っていなくても、その市町村なりに一生懸命考えて公立病院の経営を改革していこう、地域の医療を守りながら経営も改善していこうと、そういうプランだったら、そして総務省や政府にそのためにはこういう財政支援が欲しいという要望があったら、それしっかりと聞いてそれにこたえていくべきでは私ないかと思うんですが、総務大臣いかがですか。
  252. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これはやはり私どもの方で持っております財政支援措置というのも限度があるので、どうしても取捨選択、線引きはさせていただかなければいけないというふうに思うんですが、再三申し上げていますとおり、このガイドラインの内容についてもいろいろと私どもいろいろな知恵を入れさせていただいたのと、それから、どういう地域かということによりますけれども、特に医療の関係については過疎地域の医療を守るということで、公立病院に対しての地方財政措置の充実、来年度にそういった過疎地域の医療機関を守るための財政措置の充実ということは、今中で検討してございます。そのことは申し上げておきたいというふうに思います。
  253. 山下芳生

    ○山下芳生君 ということは、ガイドラインに仮に則していなくても、場合によっては総務省自治体が相談もして財政支援措置をすることもこれからあり得るということでいいんでしょうか。
  254. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) ガイドラインの考え方に反するようなものとか、それからガイドラインの方にやっぱり書いている方向に沿っていただきたいと思っていますので、ガイドラインの方向に反するようなことであればそれはもちろん無理でございますし、それから限りある内容でございますので、私どもはとにかく、あそこのガイドラインに書いてあるようなことをしっかりとやっていただければ財政支援措置は行うと。  それから、来年度の充実、交付税措置の内容については、まだ今中で検討している段階でございますので、具体的にどうするかということを申し上げる段階には来ていないということでございます。
  255. 山下芳生

    ○山下芳生君 今の答弁では、やっぱりガイドラインに向けて、各自治体の経営をガイドラインの内容に持っていこうと。それ以外はなかなかしんどいよということだったと思うんですが、それで本当にいいんだろうかと。  地域の実情に応じて考えないと、ガイドラインの経営効率化とか再編・ネットワーク化、そういうことだけでいきますと、本来果たしているその地域の医療機関、唯一の機能が集約化という名の下によって失われている。これはもう私随分兵庫の問題とか北海道の調査しましたけれども、だから沿わなければ支援ないというんでは、大変なことになっていきかねないと。このガイドラインが地域医療の破壊をしかねない。そうじゃなくて、その方向では合うところもあるでしょうけれども、合わない方向でいかないと守れないというところに対して財政支援がなかなかできないというのでは、私は地域の実情によった医療供給体制を総務省が支援していくということはできないと思っています。  交付税が病床ごとだとか診療所ごとによってどんどんどんどん削減されているということが地域の公立病院の経営を非常に悪化させておりますので、こういうガイドラインに沿って事実上公立病院改革を強制していく前に、交付税を元に戻せという声も非常に強いということも指摘をして、今日は終わりたいと思います。  以上です。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 最後の質問者であります。大臣、大変お疲れでしょうけど、もうしばらくお付き合いいただきたいと思います。  私も、冒頭、地域医療と指定管理者制度の弊害の問題について触れたいと思います。  富山県の氷見市民病院が指定管理者制度を使ってこの四月から私立の金沢医科大学に運営委託をされることになりました。しかし、この医大は病院の労働組合の役員数名を不採用、つまり解雇するという労働組合法第七条に違反をする不当労働行為を行おうとしている。このことについては先般の予算委員会でも厚生労働大臣、文科大臣に是正指導を求めたところであります。当然、これはそんなことが起これば不当労働行為だとお認めになっているわけですが、そこで総務大臣にも地域医療という立場からお尋ねをしたいと思うんです。  医師や看護師など医療スタッフの不足による地域医療の崩壊というのは何とか防がにゃいかぬという立場で、総務省も大変頭を悩ます大きな政策課題、こういうことだと思います。だから、大臣も所信の中で、地域医療の提供体制を確保できるように支援していく、こんなふうに明言をされておるわけですが、しかし今、この氷見市で起こっている問題について言うならば、こうした今横暴な管理者への交代に嫌気が差して医者の半分以上、十六名が辞める、看護師の一割以上、二十五人以上が退職をする。もう目の前である、五日間しかない。四月から二百五十床のベッド数の維持が困難になって、入院患者の転院であるとか更なる経営の悪化が危惧をされている、こういう事態になっているわけです。  私も前から聞いておったんですが、そんなに常識のない話はないだろうと、良識を発揮されるだろう、市からも言って当然直るだろうと、こう思って今日まで質問しなかったんですが、これは二月来から何度もマスコミに載っていますから、総務省実態は把握されていると思うんですが、そこで設置者であるこの氷見市に対して医療の提供体制を落とさないことであるとか、あるいはちゃんと法律は守りなさいとか、そんなことが担保できないならむしろ運営は直営でやりなさいとか、当然そんなことは助言をされてきたんではないかと思うんですが、そうした結果やあるいは今後の見通しなどについてお尋ねをしたいと思います。大臣
  257. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これは先生の地元の氷見市のものでございますので、あるいは先生の方がお詳しいかもしれませんけれども、この当該病院の場合には、氷見市の方で開設者ということでいろいろ取り組んでこられたと思うわけでございますが、そうした今回の指定管理者の選定も氷見市としての権限と責任で行われたんだろうというふうに考えております。  そして、総務省としては、この指定管理者制度導入に際して必要となる職員の、例えば退職手当の支給に要する経費の財源手当てなどについて、氷見市の方からこれまで御相談を受けて、そして必要な地方債措置を講じるなどの措置を行ってきたところでございます。  労働関係とか医療関係につきましては、先般も当該大臣からお話はあったようでございますが、そちらの関係についてはそれぞれの省庁の方で御担当されていると思いますけれども総務省として、今後氷見市から御要請があれば、適切な地方行財政運営の確保の観点から必要な助言を行っていきたいと、このように考えております。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 要請があればというお話ですが、問題は設置者であるこの市が、残念ながら総務省がそこそこ示した指定管理者制度を使って何だろうと丸投げする、そんなところで起こっているこの医療の提供体制の低下、地域医療の崩壊、こういう問題を起こしかねないと、こう言っているわけですから。  ここのところは逆に、いろんなところに随分と自治体に指導とか助言とかなさっている総務省としては、それは他の省庁でひとつ是非という話はこれはないと思う。ここのところはちゃんと把握をいただいて、大臣は直接そうじゃないでしょうけれども、ちゃんとやっぱり実態を把握をして、これだけマスコミに載って、それぞれの市町村の状況を随分と把握をなさっているところとしては随分とずさんな対応だと思う。まして、大臣がここまで地域医療の提供体制確保していく、地域医療崩壊招いちゃならぬと、こう言っているのに、そういう事態が起こっておる、ニュースに載っておるのに何も指導してないというのは大変な問題ですよ。そこのところを申し上げているんです。  そこで、これ以上は突っ込みませんが、こうした指定管理者による違法行為といった事態を見ますと、この指定管理者制度というもの、随分とはやりものになったんですけど、一周巡って見直しが必要な段階に来ているんだろうと私は思うんですね。  行政が見せかけの効率、あるいは直営よりも民間委託すれば安くなりそうだ、こういう幻想を抱いて自治体にこんなことを求めていく。その結果、利用する住民の利益も考えずに民営化を進めていけばサービスの低下は起こる、今、病院の問題でいうならば、まさに地域医療が崩壊をする。患者が逃げていきます。ますます病院経営が危なくなって、今度は指定管理者ギブアップするということさえも起こりかねない。とすれば、また自治体がもっと金を出せということになっていかざるを得ないということさえも起こってくる。  こういうことがあるわけで、そうしますと、総務省はそろそろ、こうした民営化あるいは指定管理者制度のマイナス面についても事例をよく調査をして、次の対策についても検討する時期に来ているんではないか、こう思うんですが、この点についてはどのように今の段階お考えですか。
  259. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 指定管理者については、やはりこれは、御承知のとおり、各自治体で条例で定めて、手続を定めて、それから議会の議決も経ると、こういうことでございますので、本当に最適なものは、そこで指定されるような手続を条例にまず規定をしていただきたいということが一つございます。  それからあと、今委員の方からもお話がございましたんですが、仮に複数の候補者がいるとしても、委託金額だけというわけにはいかないわけでありまして、病院施設の管理を安定して行うような能力を持っているのかどうかとか、それから病院施設の効用を最大限に発揮することができるかどうか、いろんな要素はあると思いますけど、そういったものを総合的に勘案しなければその効果も出てこないと思いますので、そうしたことも勘案されるような、そういう方策を各自治体として講じていただきたいと。  そして、今委員からお話がございましたとおり、全国でこうした例がこれからだんだん増えてくると思いますので、これについては、私どもの方でも、その結果、どういうところがメリットあるいはデメリットとして市民の皆さん方あるいは地元の皆さん方から聞こえてくるのか、そうした事例ですね、事例をよく収集して、それで分析をしていかなければならない。やはり、時期がもうそろそろそういった事例が重なってこようかという時期でございますので、今の先生のお話についてはやっぱり十分受け止めさせていただきたいと、こういうふうに思います。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 指定管理者制度を確かに病院は禁じていませんけど、本来、やはり文化・スポーツ施設だとか、定型的なサービスを行うような箱物的な施設を主眼に置いてむしろ提起したんだと思うんですよ。  ところが、そういう意味では、これは、御案内のとおり、病院のように多種多様な症状の患者さんを、医師や看護師始め多様なスタッフが複雑なサービスを提供する、それゆえに人事管理も複雑なそういう状況にあるわけで、むしろ向かないんだろうと思うんですね。  私は、そのことは初めにこの制度ができようとしたときにも指摘をしてまいりました。今、大臣、いろんな事例も含めて検討なさるというふうにおっしゃいましたから、これ以上いたしませんけれども、やはりそうした、何であろうと公的施設何でもやれるんだみたいな話ではなくて、やっぱりやっていかにゃいかぬと。  例えば、今のこの、私はこれは一面では特異な体質だと思うんですけれども、例えば富山県の氷見市で病院から医者が半分以上辞めていきますなんというのは、これ大変な話なんですね。そうすると、どうするかと、その後の方は。石川県から持ってくると言っているわけですよ。石川県から持ってきたら、その地域の医者が足りなくなるという問題が起こって、そのために、何と富山県の労働組合連合、石川県の連合、それから福井県、新潟県までがみんな一緒に、こういう地域医療を崩壊させては困る、こういう不当労働行為やってもらっちゃ困ると言っているのに、会いに行っても会おうとしない。こういう者に、私は正直言うならば、こういう公的病院の受託をする資格がない。  むしろ、こういうことを含めて、高度な倫理性だとか法令遵守、こういうことを含めて、むしろ求めていくようなことをやらなかったら、何だろうと民間委託だ、指定管理者だから何でもいいんだなんということをやっておると、とんでもないことになってしまうということを含めて、是非ともしっかりとこうした、先ほども出ましたが、公立病院のガイドラインなるものも、経営一辺倒あるいは角をためて牛を殺すような結果にならないように、住民及び貴重な病院スタッフを大切にする立場、こういうことを含めながらしっかりと見直しを図っていただきたい、このことは重ねて要望申し上げておきたいと思います。  そこで次に、今朝ほども出ましたが、少し限界集落、当該の人たちにしてみると、おれのところは限界があるなんと言われるとさっぱり面白くない、いいかげんにしてくれよということが出てくるんですが、ただ各省からそういう調査報告が出されております。  これに対しては二つの考え方があると思うんですね。何とか集落を維持していけるように支援をすべし、こういう考え方と、もう一方では、極端なのは、非効率だから中心部へ移住してもらって限界集落を取りつぶしてしまえ、こういう大きく分けたら二つなんだろうと思う。後段の方は、いわゆる行政のコスト論からいって、取りつぶして中心部にサービス機能を集中すればいい、こういうことを言っているんだと思うんです。  大臣はどちらの考えですかといえば、もう前者だということは大体これまでのお話から分かっているわけですけれども、もし前者だということであるならば、そういう意味での、限界集落というものが消滅をしていく場合の国民経済であるとかあるいは社会、自治体経営の上でのデメリット、こういうことなどをどのように大臣は御認識をなさっておいでになるか、この点もう一度改めてお伺いをしたいと思います。
  261. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり限界集落、これは、もう可能な限り知恵を出してそこを守り続けていくと、やっぱりそういう考え方に私も立ちたいというふうに思っておりますし、そのために何とかしていい方策を出していきたいと。やはりこれは、何度も申し上げていますとおり、そうした地域も国土の保全ですとかそれから水源の涵養、いろんな意味で重要な機能を果たしていると、そしてさらには貴重な文化の伝承といったようなこと、まさに、よく多面的な機能と言われていますけれども、そういう機能を果たしているわけでございます。  ただ、いろんな産業構造等の問題があって、高齢者がどうしても中心になっている、もう半分以上が高齢者と、こういう地域でございますので、どうしても一定の政策的な配慮ということが必要だと思いますし、それから、周辺の自治体との相互協力のようなことを仕組みとしてもきちんとつくっていく必要があるんではないかと、こういうふうに思うわけでございます。  もちろん、中には、今委員お話ございましたとおり、例えば防災上の理由から移転というようなことを、これも自主的ですけれども、判断するような場合もあると思いますけれども、今やはり、まあ名前も限界集落って、その言葉がいいかどうかの問題ももちろんあるんですが、そういうことも含めて、私ども過疎対策ということを、例の法律期限切れの中で考えるというよりも、もっと積極的にこの問題をとらえて、そして、何かそれを守っていく上での知恵がないかどうか。まだ中身について十分詰まっておりませんけれども、今、中で研究会を設けてやっております定住自立圏の圏域構想などというものもその問題の解決に役立つ部分もあると思いますけれども、とにかく総務省ということのみならず政府全体に問題を提起して、そしてこの問題の知恵を出していきたいというふうに考えております。
  262. 又市征治

    ○又市征治君 今も、大臣、出ましたけれども、法律でこうした地域に適用できるもの、集落を単位にして指定しているような例はどのような法律的なものがあるか、御紹介いただきたいと思います。
  263. 岡崎浩巳

    政府参考人(岡崎浩巳君) 集落の単位というふうなものだけではないんでございますけれども、通常、市町村の区域でいろいろな施策を打っておりますけれども、市町村の区域よりも狭い区域を対象にしている施策としてどんなものがあるかという御趣旨と理解いたしますと、例えば市町村合併の特例法によります地域自治区あるいは合併特例区、地域審議会というのは、一部の地域でそういうものを構成しております。  それから、いわゆる過疎法、過疎地域自立促進特別措置法の中で、合併市町村、合併後の市町村のうち合併前の市町村の区域だけを過疎地域とみなして対策を打つというようなこともございます。さらに、山村振興法による振興山村ですとか、辺地法によります辺地といったように、市町村の特定の区域を対象にして振興策が行われているような立法もございます。  以上でございます。
  264. 又市征治

    ○又市征治君 今あったように、そういう意味では、こうした集落などの存続を図っていくための法的な根拠もあるし、それから大臣がおっしゃったような、更に定住圏広げていく、そういう問題などもあるわけでありまして、これはもう積極的に他の省庁とも、とりわけ農水省や国土交通省と連携を取って、これは、こうした消滅に至らないような努力というものをお願いしておきたいと思うんです。  特に今、私が申し上げたいのは、平成の大合併は、過疎化を憂慮する声に逆行してやられてきたわけですが、旧町村という単位すら消滅をし、ましてやそれより小さな集落単位ではますます多くの限界集落、いやむしろ消滅集落を生んできた、こういうことがあります。国土交通省も調べると、あれ、七千八百、こういう数字が出てきているわけでありますから、もう大変なことですね。  それをよく考えてみますと、何百年にもわたって培われてきた、あるいははぐくまれてきたその地域のお祭りであるとか風習であるとか、文化や伝統、そして歴史、あるいは農林業も当然これは破綻をしている、経済効率を優先する余りですね。そして、その結果、先ほども大臣がおっしゃいましたけれども、上が荒れてしまうわけですから、むしろ土砂災害などもう大規模なものが下流部に起こってくる。こういう例あちこちに起こってきているわけですね、もう既に。  こういうことは憂うべきことなわけでありまして、そういう意味では、大臣は所信表明の中でも、新たな過疎対策あるいは個性的で魅力ある地域づくりも述べておられるわけでありますが、先ほども申し上げたように、是非とも他省庁にも連携を取っていただいて、むしろ積極的に総務大臣が、これ、総務省としてはこんなことを調べてないわけですよね、データが何もない。むしろ国土交通省の方が数が多い、農水省が調べているということはあるんですが、是非この音頭を大臣の側が取っていただいてこうした対策を強めていただくようお願いしたいと思いますが、その決意のほどを。
  265. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の委員の御指摘の御趣旨は十分承りました。  限界集落も、国土交通省の昨年の二月の調査ですか、七千八百という調査がありました。農水省の方は少し違う呼び名をしているようですけれども、やはりそういった中山間地域の山村集落の問題を調査しているようでございます。  私どもも過疎法を所管しておりますし、やっぱりコミュニティーの維持ということ、特に合併で今区域が広くなっていますから、その中でいかに地域内の分権を進めてコミュニティーを維持していくかというのは我々も大変大きな問題でございます。  政府部内でも今考えようという機運が随分高まってきていると思っておりますが、その中で総務省としてきちんと責任を果たす。むしろ、今お話がございましたとおり、積極的に呼び掛けてでもこういった問題について考えていかなければならないというふうに思っておりますので、今お話がございましたような御指摘、十分踏まえて今後対応していきたいというふうに思っております。
  266. 又市征治

    ○又市征治君 それでは、次の問題に移りますが、今朝ほども那谷屋委員だったでしょうか、話がありました。  昨年の十月、財務省が財政審議会に新たな人件費指数なるものを持ち出して、いかにも総務省がこれまで取ってきたラスパイレス指数は誤りだと言わんばかりの、地方公務員給与国家公務員よりも高い、ひどいのは国家公務員一〇〇に対して地方公務員一六〇だなんという、こんなむちゃくちゃな説明がありました。  これには早速いろんな反論がありまして、全国知事会あるいは地方財政審議会などからもこれ反論が出されているわけですが、少しそれぞれ、今、全国知事会の麻生さんあるいは地方財政審議会、どういう中身を出してこのことに反論をなさっているのか紹介いただくと同時に、総務省としては一体全体、このことに対して、財務省が言っているこの問題についてどう認識をなさっているのか、その点をまずお聞きしたいと思う。
  267. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) お答え申し上げます。  今御指摘ございました、いわゆる人件費指数でございますが、これにつきましては、いろいろなところで地方団体等からもいろいろと批判等がなされているところでございまして、昨年の十一月十五日には全国知事会の麻生会長の名前でこのことにつきましていろいろと問題点指摘されているところでございます。  さらに、昨年の十二月七日に地方財政審議会におきまして、平成二十年度の地方財政についての意見、これが出されておりますが、その中にはこういう、次のように言及されておりますので、ちょっとその部分、該当部分につきまして御紹介させていただきたいと思いますが、該当部分を読み上げさせていただきますと、昨今、人件費指数という手法を用いて国と地方公共団体給与比較し、地方公務員給与国家公務員給与を大幅に上回っているという議論があると。この人件費指数は給与水準指数と職員構成指数を掛け合わせたものとしているが、定義式を分解していけば、結局、単に国家公務員の平均給与に対する地方公務員職員の平均給与の比率である。つまり、人件費指数と言いつつも、給与水準を示す指数にすぎないと。国家公務員給与地方公務員給与比較する場合には、単なる平均給与比較よりも、学歴及び経験年数に基づくラスパイレス指数による比較の方が給与実態をより的確に示しているものと考える。仮に、地方公共団体が新規採用を抑制すれば平均給与が上がり、人件費指数が高くなる。一方、新規採用を増加させれば平均給与が下がり、人件費指数が低くなる。このような人件費指数は、新規採用を抑制するという行革のための取組を阻害することになりかねないと。したがって、人件費指数を用いて地方公務員給与を引き下げるべきであるとの主張は容認できないと。  以上のように述べられているところでございまして、私どもといたしましても、この地方財政審議会で出されております御意見と同様の認識をしているところでございます。
  268. 又市征治

    ○又市征治君 公務員の人件費問題、いつもしょっちゅう出るわけですよね。これまた新たなものを、それも私は問題だと思うのは、大蔵省が次々とこういうものを出してくるところに私は問題だと思うんですよ。前回のときも、ごめんなさい、大蔵省じゃなくて財務省ね。前回のときは全労働者のデータだとこう言って、公務員とは職種も男女の賃金格差のありようも違う非正規労働者までみんな含めたものを持ってきて、それで威嚇して高い高いと、こういう宣伝をやったわけでしょう。それがおととし以来、いろいろと反論されたものだから、今度は新たに、新しい今度は人件費指数だと訳の分からぬことを言ってやっている。  これ、私は問題だと思うのは、今あなた方がおっしゃっておる認識、これはずっと定着した問題だし、人事院もそんなことを言ってきた。あるいは、前にも、麻生総務大臣なんかも、全くそういう単純比較するようなことはもうばかげておると、こう今まで言ったわけ、この委員会でね。そういうことが財務省というところから出されてきて、いかにも何か地方公務員賃金が高いとか、公務員賃金民間より高いようなごときそういう宣伝をされておることについて、よく分からない国民にとんでもないことを一生懸命宣伝して不信感を持たせていくと、こういう問題こそが私は問題だと思うんです。正しい批判なら正しい批判で出せばいい。  そのことに対して、大臣、これは逆にもうちょっときちっと、全公務員を掌握なさっている総務大臣としてはこういう財務省のやり方、物言いということに対してしっかりと注文を付けるべきだと思いますが、その点についていかがですか。
  269. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この、何というんでしょうか、人件費指数と言うんでしょうか、こういうものが出ましたとき、私も何だというふうに思いましたよ、あの当時。総務大臣ではございませんでしたけれども自治体関係者としてこれはいかぬというふうに率直に思いました。  やはり、ラスパイレスというのがもう既にきちんと定着をして客観的なデータとしてあるわけですから、私どもはそれを見ながら、この問題をいつも、高くならないようにということで、国民の理解あるいは県民の理解を得られるように取り組んできたわけでございます。  したがって、これは、何といいましても、地方の人件費はまだまだ削減する余地があるんだぞというようなことをいろんなところで宣伝をしていこうということなのかもしれません。余りうがった見方を大臣の立場で言ってもいけないんですけれども、しかし、やっぱり私はこういうこと、きちんとした情報は常に国民に正しく伝えていかなければいけませんし、こういう競争に負けてはいけないわけですから、ラスパイレス指数の持っている正確性、そして厳正な数値というものを常に総務省として国民の皆さんにお伝えをしていくと。そして、この人件費の問題、これは国民の皆さん方が誤った考え方でこれを断じないように、地方公務員の人件費の問題についても正しい判断ができるようにしていきたい、努力をしていきたいと、このように考えております。
  270. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  271. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 両件に関する調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十六分散会