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2008-04-23 第169回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十三日(水曜日)    午後一時四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 今野  東君                 広中和歌子君                 川口 順子君                 野村 哲郎君                 浜田 昌良君     委 員                 浅尾慶一郎君                 加賀谷 健君                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 荒井 広幸君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    参考人        社団法人日本外        国特派員協会会        長        マーティン・                 ウィリアムス                 君        東京国際メデ        ィアフォーラム        会長       マルク・ベリ                 ボー君        学習院大学特別        客員教授     高島 肇久君            (通訳 吉國 ゆり君)            (通訳 渡辺奈緒子君)     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、日本発信力強化(海  外の″日本発″情報への批判意見等)につい  て)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」のうち、日本発信力強化に関し、海外″日本発″情報への批判意見等について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、社団法人日本外国特派員協会会長マーティン・ウィリアムス参考人東京国際メディアフォーラム会長マルク・ベリボー参考人及び学習院大学特別客員教授高島肇久参考人に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人におかれましては、御多忙の中、本調査会に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。  本調査会では、先ほど申し上げました「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」について、外国からの観点から忌憚のない御意見をいただき、調査を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まずウィリアムス参考人、次にベリボー参考人、そして高島参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、ウィリアムス参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞ。
  3. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) ありがとうございます。  日本外国特派員協会ウィリアムスです。今日、英語で話します。  まず、今日、お時間をいただきましたことに関して御礼を申し上げ、お招きいただきましたことに関しても御礼申し上げたいと思います。  私の観点から申しますと、日本がその海外イメージを改善する方法コミュニケーションを改善する方法二つあると思います。一つ広報、そしてもう一つは、テレビとか雑誌とか新聞における編集記事などを通じてであります。  私は、外国人特派員を代表いたしておりますので、ジャーナリストといかにコミュニケーションを改善できるか、ジャーナリスト日本のポジション、日本のことについてより良く報道できるために日本が何ができるかというお話をしたいと思います。  日本がどうやってこれを行えるかということを考える前に、ターゲットとなる聴衆はだれであるかということを考える必要があります。つまり、外国特派員組織は非常に少ない。AP、ロイターはたくさんの特派員がいるわけですが、ほとんどの新聞そして外国メディアは、人数としては日本担当は一人だったりするわけです。ということは、一人の人が、時間が限られていて、国全体を見なければならない。しばしば隣国も、カバーしている一人の人間が注目を引き付けなければならないわけです。  それから、インターネットがあって、ウエブサイトを通じて、Eメールなどを通じて数時間でニュースは流れていきます。ですから、タイムリーに情報を提供するということが重要です。それから、今日、ローカルなストーリー、地元のストーリーだということはあり得ないわけで、日本報道されるものは外国メディアがすぐこれを拾って報道いたします。ですから、しばしば政府外国ジャーナリストたちを早くに取り込むことが重要でしょう。彼らを取り込まなかったとしても、いずれ彼らは報道してしまうわけですから、早くから取り込むことが重要でしょう。そして、ジャーナリスト取材協力は次の点が重要だと思います。  たくさんのジャーナリストプレスクラブの人と私は話しました。日本特派員日本にいる特派員外国にいる特派員と話したんですが、いろんな意見がありましたが、共通な意見が幾つかあって、それについて申し上げたいと思います。  まず、いい点としては、日本海外でかなりポジティブなイメージであるということでありました。しかしながら、日本の外にいる人たちに、じゃ日本について何を知っているかということを聞きますと、特にアジアの外の人たちに聞けば、余り深い知識日本について持っていないのです。  何を知っているかというのは年齢によって違ってくるわけですが、お決まりのイメージというのがまだあって、例えば西洋の人たち日本について聞くならば、日本人は勤勉だとか、あるいは都市が込んでいるとか、富士山が有名だとか、桜と芸者、すし、忍者、ソニー、トヨタと出てきますが、それ以上は知らないということが多いのです。若い人たちは違います。若い人たちは、日本カルチャーアニメとか漫画を通じてよく知っています。アニメ漫画海外で非常に有名になっています。ポピュラーになっています。  日本について更に連想する人たちは、また、例えば捕鯨を連想する人もいるでしょう。よくニュースになっています。それから、日本の戦争の遺産もあります。例えば、教科書問題あるいは靖国神社の問題、こういうことを連想する人もいるでしょう。  それほど知られていない点としては、例えば有名な日本のミュージシャンを知っていますかとか、あるいはノーベル賞受賞者映画俳優、知っていますかと言いますと、余り答えられない人が多いのです。知っていたとしても同じような名前が出てくるでしょう。非常に有名な坂本龍一さんとか三島由紀夫さんとか渡辺謙さんとか、その辺くらいの名前しか出てこないと思います。  なぜ海外日本知識はこれだけ限られているのでしょう。つまり、日本から出てきているニュースが非常に限られているからです。  外国ニュース組織そして読者は、日本のハイテクの機械を見るのも好きですし、そして新しい発明も見たいし、型破りな人たちがビジネスの慣行を変えていくというのも非常に楽しみにしておりますし、古い伝統工芸品に新しい工夫が加わるということ、それから若い人たちカルチャーも非常に関心を持っていますが、日本政治は残念ながら余り関心が持たれていません。  私が話した特派員のほとんどは合意する点であったんですが、外国に行って、日本首相はだれかと聞けば、それを知ってる人は非常に少ないわけで、前の首相はだれかと言えばもっと知らないわけです。最も最近で有名だった首相小泉首相です。というのは、まずストーリーとして、非常に政界を変えようとした人であって、それからエルビスが好きだとか、非常に話題性のある人間だったから非常に知られているわけです。  それから、理解しなければならないのは、日本は非常にいろいろな競争に直面をしているということであります。日本ニュースを書くスペースが非常に少なくなってきています。新聞にしてもテレビにしても中東ニュースでいっぱいです。そして、中東でないとすれば、今年は特にオリンピックがあるので、たくさんアジア報道があります。中国なども特に報道されています。ニュース組織によっては、特派員東京から北京に転勤させています。  ですから、日本メッセージを伝達するのは難しくなってきましたが、不可能ではありません。日本はまだ非常にストーリーとして興味深い。世界第二位の経済大国でありますし、日本についていろいろ読みたいという人はたくさんいるわけです。  それで、私としてのアドバイスなんですが、重要な点として、外国ジャーナリストとより良くコミュニケーションをしてください。それによってより良い取材が可能になります。私の話したすべての特派員、私もそうなんですが、政府機関政府省庁が非常に付き合うのが難しいわけです。特に記者クラブなどの批判があります。主要なメディアとか日本メディアだけが優遇されています。こういう批判については私ども同意しますが、一夜にして変わるものでもないということも分かっています。  ただ、容易に変えられることもあるのです。通常、日本省庁報告書を出しますと、記者クラブは朝、そしてその前の日にブリーフィングが与えられるわけですが、私どもは遅れてしまうわけです。これは、朝、ブリーフィングがあるときにすぐウエブサイトに載せればいいわけです。記者クラブにいない外国特派員も、そうすればすぐニュースを知ることができるわけです。私どもが、記者クラブと同様に、ブリーフィングが得られなくてもどうせ記事を書くわけですから、そういうことをしていただくことは重要だと思います。  一つ例を差し上げましょう。去年起きたことなんですが、サイバー犯罪に関する警察の白書が出たんですが、私はストーリーを書こうと思いました。朝十時にこれが出たんですが、白書を調べようと思ったんですが、ウエブサイトにもなかったので警察庁に電話をしなければなりませんでした。ファクスしてくださいと言いました。もう少し待ってください、ウエブサイトにしばらくしたら載りますからと言われました。ここ数日で載るでしょうと言われて、数時間で私はストーリーを書かなければならなかったので、それでは到底間に合わない。数日後というのでは間に合わないわけです。報告ができたならば入手できないわけもないはずだと思うのですが、これは警察庁ばかりではありません。たくさんの省庁が同じような問題を抱えています。  日本政府の中でも、省庁の中で特にうまくやっていらっしゃるところもあります。これ、外務省がそうです。外国ジャーナリストに対して非常にコンタクトしやすくしてくださっております。日本見解とか日本のステートメントを容易に提供してくださいます。ですから、外務省を通じてですと、日本見解などが非常に分かりやすく、入手しやすくなっています。  さらに、いろいろな報告の、講演とか発表などのサマリーとかいうことになりますと、これもやはり数日間、数週間の遅れが出ています。私ども日本語ができるべきだとおっしゃる方もあるかもしれませんが、事実として多くのジャーナリストたち日本語ができない。日本語が読めないわけですから、ジャーナリストたちに対してもう少しアクセスを改善していただければ、そしてさらに、英語で提供していただければニュースを早く伝達できるわけです。そして、私どももより広く政府がどう考えているかということを理解することができるのです。  それからもう一つの問題は、スポークスパーソンなどにアクセスをするというのは難しい。特定の問題に関するスポークスマンアクセスを持つのは難しいわけです。ただ、省庁スポークスマンアクセスをすれば非常に有益な情報は得られるんですが、その方に接触すること自体難しい。そこに到達するまでがなかなか難しいのです。  なぜジャーナリストたちにこれだけ便宜を図らなければならないかということなんですが、答えはシンプルな答えです。ニュース機関が例えば一人しか代表を持っていない場合に、二、三日ニュースを書くのに時間が掛かるとすると、時間が掛かり過ぎで、そうすると、これはストーリーとして、記事とならないわけです。これは日本にとっても非常に残念なことだと思うのです、特派員が一人しかいない中でそういうことは急いでしなければならないわけですから。  プレスクラブのリクエストとしては、政治家そして高官などへのアクセスを改善してほしい、外国人メディアブリーフィングをより頻繁に行ってほしいということ。そして、お話をして、ストーリーを書いて、日本見解をより広く世界に知らしめたいというのが彼らの意見でした。  マイナス意見ばかりを申し上げたくないわけで、いい点もあるわけで、外務省は非常に協力的です。毎年、防衛省、そういうところはブリーフィングなどをジャーナリストたちにしてくださっております。そして、そういう側面に関しては取材も非常に広くなされているわけです。努力をしてくだされば、英語などで説明してくださればそれなりに私ども報道ができるわけです。  その他の提案としては、これはロジに関係する提案もあったわけですが、例えば日本メッセージをどうやってより良く伝えるかということに関して言うならば、多くの特派員は一人で日本全国をいろいろと駆け巡るということをしているわけです。北海道から、九州から、四国まで行かなければならない。多くは手が回らない部分もあるわけで、例えば地球温暖化の問題で、九州にすばらしい農業の新しい研究が行われているかもしれない。これは世界に是非伝達したいわけですが、そこまで行くには非常にコストも掛かるわけで、ニュース機関が規模が小さければなかなかこれができない、大きな機関ならいいんですが。  考え方として、大きなメディアだけが重要だというのは間違いだと思うのです。小さなメディア機関は非常にメッセージを有効に伝達するということができるのです。ですから、小さなメディア機関をばかにしないでいただきたいということなのです。  私の同僚提案なんですが、日本への観光客は、例えば日本で一週間滞在する場合には、鉄道の割引の切符が手に入るわけです。レールパスなどがあるわけですが、ジャーナリストに関しても割引交通機関のチケットがいただけないでしょうか。日本ベースでない人たちを招いてくださるのもいいと思います。その交通費を半分持ってくださるとか、あるいは一か月、六か月、三か月滞在の費用を一部持ってくださるということをしてくだされば、ここもやはり報道取材が促進されるでしょう。そして、日本メッセージを特に専門のメディアなどに伝えることが可能になるでしょう。グローバルなネットワークを持っていないような機関はそういうことができます。  それから、日本の包括的ないろいろなイベントカレンダーメディアに提供してください。しばしばいろいろな通知を私どもいただきます。例えば、こういう偉い人が外国から来るということに関しても、最後の段階になって、遅くなって情報が出てくるわけで、これは私どもにとっては遅過ぎます。ですから、十分に前もっていろんなイベントを知らせていただきたいということです。  台湾とか韓国で私は働いたことがないのでよく分からないのですが、そういうところでは、中央の政府機関ニュースの言わば情報交換所として機能する部署がつくられていて、単一の場所に全部そのニュースを集めてジャーナリストに出しているというようなことが行われているようであります。そうすれば、私ども情報アクセスも非常に改善されると思います。  イギリスもやはり政府ニュースサービスがあって、報告プレスリリース、スピーチなどを集めて、いろいろな記者説明ブリーフィングに関する情報も持っていて、ジャーナリストはそこに行けばすべて分かるようになっています。その日、何があるかということも分かるようになっています。  時間が二十分で、そろそろ時間がなくなってきておりますので、包括的なその計画を申し上げるのは難しいわけですが、私が何を試みたかといいますと、ジャーナリストがどんな問題に直面しているかということに関する洞察を得ていただこうと思ったわけです。政府がもっとジャーナリスト協力してくださるならば、より良いストーリーが出てくると思います。もちろんマイナスの、ネガティブなストーリーも出てきますが、マイナスストーリーを恐れてはなりません。そういうものは何とか対応していただかなければならないわけですが、全体的に言えば、日本はかなりポジティブなストーリーになっています。  以上、私の話を終えまして、御質問をいただきたいと思います。
  4. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  次に、ベリボー参考人、どうぞ。
  5. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) まず、石井会長及びこの調査会のメンバーの方々に、今日お話しさせていただきます機会をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。  まず、プレゼンテーションを始めるに当たりまして、セリーヌ・ディオンの発した言葉について申し上げたいと思います。  ケベック国際的なアーティストでありますけれども東京ドームで数週間前、コンサートがありました。コンサートで、フランス語の歌を歌う前に彼女はこういうふうに言いました。ケベック出身者なんですけれども、私と日本人たち共通点がありますよ、私たちは両方とも英語母国語ではありませんというふうに彼女は言ったんです。つまり、多くの私たちにとって英語でしゃべるということは大変なことであります。この問題については後で申し上げます。といいますのも、言語を選択をするということは、これは広報外交を成功させるために非常に重要なかぎを握るからです。  今日、私は東京国際メディアフォーラムを代表して話をさせていただきます。二〇〇二年につくられた団体なんですけれどもメディア関係者ジャーナリスト日本及びそのほかの国々の人たちからつくられた団体であります。現在は、私はケベック政府在日事務所広報担当なんですけれども、今日この場でお話しする内容というのは、ケベック政府を代表してという立場ではございませんし、私のコメントの内容というのはケベック政府立場を反映するものではございません。  ケベック在日事務所に入る前に私は、ほとんどの仕事、生活はテレビプロデューサーとして、及びテレビレポーターとして仕事をしておりました。カナダ放送協会フランス語サービス仕事をしておりました。  今日、二つの点についてお話をしたいと思います。  まず、日本外国でどのようなイメージでとらえられているか、そして、日本認知度を高めるためにはどんなことをすればいいのかということです。それも、広報外交イニシアチブを通してどうやったら日本認知度を高めることができるかというお話をしたいと思います。  私のプレゼンテーション内容ですけれども、七つのトピックに分けてみました。これは、私自身の感想をまとめたものでありますし、また私の同僚アイデアをくれたものもあります。  まず、このパブリックディプロマシー広報外交というのを戦略的な意味でとらえるのであれば、こういうふうに申し上げたいと思います。つまり、文化それから言語価値観を通しての国のアイデンティティー、そして国際問題、こういった分野介入分野の対象になると思います。いわゆる外交と違いまして、まあ外交となりますと、しばしば国と国の間の力関係が反映されるものでありますけれどもパブリックディプロマシー広報外交というのは、これは人を引き付ける、魅了するということであります。つまり、心の言葉を使うということが非常に重要になります。  まず第一点目なんですけれども、国を超えた情報の流れ、アイデアの流れについてです。  まず、この広報外交を始める前に理解しなければいけないことがあります。それは、その国が海外でどのようなイメージでとらえられているかを理解する必要があるわけです。コミュニケーションにおきましては、まずメッセージを、何を伝えるか、そしてだれに伝えるかをはっきりさせなければいけません。しかし、今、非常に複雑で変化を遂げている世界に住んでおります。ですから、コミュニケーション方法によってはそのメッセージ自身も大きく変わってくる可能性があるわけなんです。  それでは、次の二つの例で御説明させてください。  まず一つ目の例なんですけれども、前回のメディアフォーラム会議のときに、主要なドイツの新聞社編集長がこんなことを言いました。彼はアジアのツアーを終えたばかりなんですけれども、驚いたというふうに言ったんです。アジアマスコミが出していますヨーロッパに関する記事のほとんどはロンドン発のものだというふうに彼は言ったんです。つまり、懸念を催す状況だと。なぜならば、主要なイギリス新聞のオーナーは、例えばルパート・マードックとか、こういう人間でありまして、欧州派ではない人が多いというんです。ですから、心配をしていたわけですね。つまり、欧州に関しての情報の質とそれから多様性が狭められてしまうんじゃないかということを心配したわけです。  二つ目の事例です。  カナダにおきまして、日本に関するニュースカナダ新聞に掲載されるときは、それはほとんどがアメリカの通信社発情報なんです。その理由は簡単です。これが一番経済的だからです。コンテンツをマスメディアに提供する一番経済的な方法だということです。つまり、カナダ特派員東京にはもう十五年も存在していないからなんです。同じことが日本メディアにも言えます。日本メディアカナダのオフィスをもうずっと前に閉鎖してしまっています。当時は読売もありました。時事通信も日経もあったんですけれども、それ以来、日本及びカナダ相互の理解若しくは相互イメージというのは、これはもう英米マスコミに大きく影響されてしまっているというふうに言えるのではないでしょうか。つまり、お互いを知るときはいつも仲介者を通してしか知ることができないという状況であるわけです。  もちろん、これは英米メディア取材の質がどうであるということを私が申し上げるつもりは全くございません。ただ、その英米メディアというのは世界中に普遍的に存在しているわけであるわけですから、理解しなければいけないのは、英米メディアの有能なジャーナリストたちは、その取材をして記事を書くときには、国内の聴衆読者向けに書いているということを忘れてはならないということです。  日本メディアというのは非常に重要な役割を演じられると思います。つまり、日本認知度影響力を高める役割があると思います。これは政府発イニシアチブもあるでしょう。例えばNHKを通して、若しくはそのほかの主要な日本全国ニュースメディアを通してのイニシアチブ、これはやはり広報外交、広い意味での広報外交に非常に重要な役割だと考えることができるでしょう。  二番目の話です。  日本価値観を理解するという点なんですけれども海外から見たときに日本の社会というのは非常に興味深いものがあります。私たちは余りよくは知らないんですけれども、いつも感銘を受けております。つまり、製品は質が高い、それから日本食はとても洗練されている、それから美的感覚に優れている、日本のデザインはすばらしい、こういうふうなイメージを持つわけですけれども、そこで日本人たち価値観というのはどういうものなのかなというふうに思うわけです。どうやったらこれだけの洗練度を達することができるのか、どうやってこれだけ高いレベルのイノベーションを維持することができるのか、そしてまた、労働者の専門性のレベルも、どうしてこれほど完璧に近いほど高いところにあるのかというふうに不思議に思うわけです。  日本はしばしば、近代的な国でもあるけれども伝統を大切にする国というような形で理解されています。また同時に、ある意味内向きだというふうにも見られています。英国と同じですね。日本というのは、いろんな意味で日本自身がユニークだというふうに感じています。  日本人たちというのは、しばしば外国でどのように見られているのか非常に関心を持っています。例えば、時に、外国人と話をしている日本人はこんなことを言うわけです。ちょっと恥じながら、ちょっと心配そうにこういうふうに聞きます。東京というのはニューヨークほどコスモポリタンな都市じゃないんじゃないですかというふうなことを言います。それを言った後、外人がどういう反応をするか聞きたがるわけです。  日本外国に紹介する際に、そして東京をプロモートする際には、やはり自信を持って何を伝えたいかということをはっきりさせなければいけません。外国では、日本というのはなかなか積極的にプロモーションをしないととらえられがちです。若しくは、積極的にプロモーションをやるすべを知らないんではないかととらえられがちです。といいますのも、しばしばためらいがちだからです。そして、間違いを犯したくないと思っているようです。  日本人というのは、やはり自分たちの伝統的な文化の中に閉じこもっていた方が安心と感じるようであります。一方、外国人たちというのは、日本についてもっと知りたい、日本のポップカルチャーについて知りたいし、革新的な技術についても知りたいと思っているわけです。こういうことによって、やはり日本人というのはとても保守的な人たちだというふうに外国では見られがちであります。  ちょっと驚くかもしれませんけれども日本人たちというのは、実は自分たちが思っているよりも外国に対して開かれている人たちだと思います。何百万人が毎年外国旅行をしていますし、何十万人が外国で勉強をしたことがある若しくは仕事をしたことがある、そして一つ二つ外国語が話せる人もたくさんいるわけです。この現実にもかかわらず、多くの日本人たちは、一回もう日本に帰ったら、外国で積み重ねてきた経験はもう関係ないかごとくに振る舞うわけです。これは日本だけではなく、外国でもそうであるのです。  東京イメージについてですけれども、多くの外国人はこういうふうに言うでしょう、東京というのはニューヨークよりももっとコスモポリタンだと。大量の西洋人が東京の町を歩いていないとしても、もっとコスモポリタンだというふうに言うでしょう。  確かに、日本におきましては、個人が外国で得た経験とか知識とか、こういったものの価値が十分に認識されていないと思うんです。外国だったら認識できるのに、認識されていないと思います。ということは、外国から持ち帰ったもの、これによりまして日本人の考え方が変わってしまう、暮らし方が変わってしまうという可能性があるからなんでしょうか。そういう意味では、日本人が東京がコスモポリタンの都市なのかどうか心配しているということは、もしかしたら、東京がもうコスモポリタンになってしまって日本的でなくなってしまうことを心配しているのでしょうか。  日本外国でプロモーションする方法一つというのは、もっと日本の国民が外国で暮らす経験を積むチャンスを与えればいいんではないでしょうか。また、その得た知識を大切にする文化というのがあっていいんではないでしょうか、特に若い人たちにとって。ESL、つまり外国語語学留学若しくは交換留学、こういったプログラムを通していろんな経験を積ませるというのがいいんではないでしょうか。  この交換留学に加えまして、日本はもっと日本人を国際機関の高い地位に就けるということを進めてもよろしいんではないでしょうか。日本人というのは、そうすればきっと、あこがれる、模範となる日本人というのを見付けることができるようになると思うんです。そしてまた、日本に対しての認知度外国で高めることにもつながることになるでしょう。つまり、これだけたくさんの日本人がいるのだと、日本政治家も含めて。こういった人たち国際的な舞台で活躍をしている、そして外国語も話すことができる、こんな人たちがいるという、その存在感を高めることができると思うんです。  それでは、三つ目ですけれども、環境とODA、これは広報外交を高めるためのチャンスであるということです。今日の国際的な環境というのは、日本認知度を高める非常に有利なチャンスが訪れていると思います。環境問題というのは国際的にも非常に重要性を増してまいりました。すべての国々は、今どうやったら温室効果ガスの排出を削減することができるか考えているわけです。そして、温暖化を緩和させる方策を模索しているわけです。  今度のG8のサミットのミーティングですけれども日本は環境問題でリーダーシップ発揮をする予定であります。重要なイニシアチブを発表して、そして二酸化炭素の排出を減らし、エネルギーの効率性を高めようとしているわけですけれども、技術という意味では日本国際的な行動をリードすることができると思います。ほかの国々からの重要なイニシアチブをサポートしてベストプラクティスを共有し、今まで学習したことを共有し、そして環境の劣化を防ぐことができるんではないかと思います。これは日本にとって広報外交のチャンスであると思います。日本認知度を高める非常にいいチャンスだと思います。  しかしながら、もっと能動的なコミュニケーションのアプローチを取っていかなければいけません。それもODAとは違ったアプローチを取る必要があるでしょう。今まで日本のODAのプログラムというのは外国ではほとんど知られてこなかったのです。ですから、日本は幾つかの会議を幾つかの国々で開いてはどうでしょうか。そうすることによって、日本がこの分野でどんなことをやってきたかという認知度を高めることができるんではないかと思います。  世界の中では、学生も含めて多くの人たちが、日本が開発援助の分野でどんなことをやってきたのか知りたいと思っている人がたくさんいるはずです。この点におきましては、日本は当然受けるべき認知、存在感を受けるべきであります。ですから、キャンペーンを幾つかの言語で行うべきでしょう。そのときには、視聴覚の素材を使って、新しいメディアを使って、世界日本がこの開発援助の分野でどんなことをやってきたかということを伝えるべきです。中国も含めてどんなことをやってきたかです。  まとめますけれども、環境問題とODAのプログラム、この分野というのはパブリックディプロマシー広報外交が介入できる分野であります。こうすることによって、日本外国におきますイメージ、そして評判を高めることができるでしょう。  四番目です。  日本の文化を外国でプロモートするという点ですけれども日本の文化というのは国際的にとっても人気があります。例えば、日本ケベック人たちも非常によく理解をしています。つまり、日本の製品を理解しているんですね、例えばビデオゲームであるとか電子機器であるとか自動車であるとか。また、日本の伝統的な文化にもケベック人たち関心を持っています、非常に洗練された文化があると。例えば禅とかデザイン、日本食、漫画アニメ、これは外国でもとても人気があります。  この日本認知度、これはやはり何によってもたらされたかと考えた場合には、日本の大手企業がすばらしいマーケティング戦略を取ったということです。つまり、具体的な特定のオーディエンスに向かってメッセージを送ってきた成果であるわけです。  そしてまた、国際交流基金というのも我々、認識しておりますけれども外国で二十ほどオフィスを持っておりますけれども、そのうちの一つカナダのトロントにあります。フランス語を話す人たちにとりましては、このパリ日本文化センターを訪れることは非常にすばらしい意味深い経験であります。モントリオールというのは、パリの次にフランス語をしゃべる人の多い都市であるわけなんですけれども日本の文化の展示というのを本当に好んでおります。それぞれの文化で何が固有で何がユニークであるか、それをプロモートするのは日本であろうとケベックであろうと非常に重要なことです。  つまり、文化の外交を行うためにはこれが非常にかぎとなります。ケベックにおいては、七百万人が人口ですけれども、八〇%の人たちフランス語を話します。ということは、三億人も英語をしゃべる人たちの海の中で我々だけがフランス語をしゃべっているということなんですけれども、北米におきまして。  これによりまして我々は文化的なクリエーティビティーも高めることができました。言葉を使わない文化です。例えば、モダンダンスとか音楽とかパフォーミングアーツ、ここではマルチメディアを使っています。もちろん、ケベックのすばらしい文化大使の一つというのがシルク・ドゥ・ソレイユです。これは本当にサーカスの文化を革命的に変えたと言えるでしょう。  文化に関して申し上げますと、ケベックというのは、やはり外国におきます文化の影響の重要性をよく理解しています。ケベックのアーティストが国際的に成功してきた。これによりましてケベックは非常に重要な影響力というのを享受することができたわけです、人口は少ないにもかかわらず。  パブリックディプロマシー広報外交に関して申し上げますと、ケベックは、カナダとフランスの協力を得まして、ユネスコの文化的表現の多様性の保護と促進に関する条約の採択にこぎ着けることができました。これが二〇〇七年三月十八日に発効しています。  文化の多様性というのは、やはりいろいろな人たちが自分たち国際的な環境の中で様々な文化を発展させようと、そして本当の文化間の対話を進めようという意思なんです。ですから、文化の多様性の原則というのは今日の近代的な世界観から発しています。お互いの違いを認め合おうという考え方です。つまり、文化が果たす非常に重要な役割というのを認知しているわけです。社会の結束及びアイデンティティーに非常に重要だということです。  これは、社会の考え方や価値観を表現するということに結び付いています。だからこそ、それぞれの文化がその自分たちの領土、テリトリーの中で、そしてまた国際的な舞台の上できちっとした立場を確立するということが大事なんです。そのためには、多くの政府というのは、自分たちの文化を守るために、そして文化の作品を守るためにそれぞれのプログラムを持っています。今日、七十五か国がこの条約を批准しておりますけれども日本はその中に含まれていないのです。  五番目のトピックですが、バーチャル世界における日本のプレゼンスであります。  インターネットの完全なポテンシャルはどんなものであるか、どんな働きかけの能力があるかということはまだだれも知りません。そのほかの新しいメディアについてもそうです。こういうコミュニケーションツールはもはや無視できないわけでありまして、インターネットは非常に広報外交で有効なツールであり得るのです。  三つ例を差し上げましょう。  十二年前、私はテレビリポーターであったんですが、日本漫画についてのドキュメンタリーを制作しました。そのときに、インターネットを使ってDenjiroとつぐみというのをアクセスして調べました。漫画ストーリーカナダフランス語圏でも読まれるようになったために、ウエブサイトフランス語が加わりました。この週末、私はこのDenjiroとつぐみのウエブサイトをチェックしたんですが、英語フランス語ばかりでなく、ドイツ語、スペイン語、スウェーデン語、オランダ語、ロシア語、中国語まで加わっていました。日本のポップカルチャーを促進していく上でインターネットはどんな潜在的な可能性があるかといういい例です。  そして、もう一つの例ですが、二〇〇一年、GLOCOMのコミュニケーションプラットフォームが作られたわけですが、これは国際大学・情報発信機構が作ったものでありますが、学者、ジャーナリスト日本ニュース意見、議論などについて知る非常にいいフォーラムなのです。日本の国内外のいろいろな問題に関するフォーラムのアクセスを提供するものでありまして、日本の現在の議論、いろんな問題が何であるかということを日本のビジネスあるいはオピニオンリーダーの貢献を得ながら理解することが可能なのであります。英語が使われているということが主要な要素でありまして、この広報外交はそのために成功しています。  それから、観光も日本のフィージビリティーを高める非常に効果的な方法です。問題はどうやって外国人の観光客を引き付けるかということなんですが、日本政府は今、観光省をつくりつつあります。これは日本イメージ海外で促進する上で大いに役立つでしょう。  一方、広報外交の一環としてバーチャル観光客日本に集めるというのはどうでしょうか。インターネットプロバイダーの協力を得ながら、数百万のバーチャルな観光客日本に一度に誘致するというものです。漫画クリエーターの場合と同様、このプロジェクトは人口を動員して日本に関するウエブサイトの作成をするということがかかわってきます。いろんな外国語がこのウエブサイトを作成する上で使われるべきです。このクリエーティブなポテンシャルは非常にすばらしいものになり得るというふうに思うのです。  さて、日本コミュニケーション能力という問題でありますが、国際コミュニケーションの上で英語は非常に重要であります。日本一つ言語しか話されておりませんから、第二言語の重要性を促進すると理解していただくのは難しいかもしれませんが、日本の方々が英語を学ぶならば、国際問題により一層日本が参加することが可能になるのであります。若い人たちをバイリンガルにするというためのステップを取ることによって、日本を大いに利するでありましょう。  第二言語を学ぶという上では、非常に成功を見たプログラムが世界にはあります。本調査会様も是非、カナダ言語の教育法、イマージョンプログラムについて研究なさってはいかがでありましょうか。一九七〇年代、カナダをバイリンガルにしようということでカナダの学校に導入された教育法であります。多くの親御さんたちは、導入された当時は非常に懐疑的でありました。ただ、その後の調査などでも判明したこととしては、第二言語を話すと認知力も高まるということであります。問題解決能力が高まるということであります。重要な情報、重要でない情報を見分けることができるようになるということが示されております。そういう意味で、日本広報外交プログラムの中に、長期の目標としてバイリンガリズム、バイリンガル促進ということを導入したらどうでしょう。  七番目のトピックなんですが、パートナーシップと広報外交という問題でありますが、強調したいのは、成功する広報外交というのは、たくさんのパートナーがゴールを、目標を共有することによってそれが実現するのです。  日本のフォーリンプレスセンターは非常に重要な役割を果たしてきてくださっております。日本外国ジャーナリストに対して日本のより良い理解を促進してくださっております。毎年プログラムがあって、ジャーナリスト日本に十日間滞在をしてフォーリンプレスセンターがいろいろなインタビューなどを設定してくださるというものであります。  また、ケベックのプロのジャーナリストの連盟の一千二百名の中でよく知られているのはその奨励金プログラムでありまして、毎年十二人以上の申請者が、日本に関してこういうストーリーをしようという、そういう申請をするわけです。去年選ばれたのはモントリオールのテレビホストでありまして、名古屋に関する報告報道をしました。名古屋は日本のエコロジー首都になろうとしている都市であります。彼女は三十分のラジオプログラムをつくり、そして非常に評判の高いラクチュアリテという雑誌にその報告を掲載しております。このラクチュアリテという雑誌は購読者数が百万を超えております。偶然かもしれませんが、この六月、モントリオールの首都圏コミュニティーの市長たち日本に参りましてごみ処理プラントなどを訪れるんですが、そのときに名古屋も二日間滞在するというものであります。  これは小さな例ではありますが、成功した広報外交プログラムがどんなことができるかということの例でありましょう。  結論として申し上げたいのですが、広報外交というのは、国の目的意識、その文化、価値観を促進するものでありまして、単に外向き、外をターゲットとするだけでは不十分なのであります。日本の国民の中での意識を高めなければならない。市民を取り込んで日本という国をより世界に知らしめるということをしなければならないのであります。日本は、ポピュラーな漫画カルチャーを促進するという意味で国際的な漫画のコンペを行われました。多くの国から百五十人の参加者があったわけであります。これは大変成功いたしました。  もう一つ日本にとって重要なステップとしては、文化的表現の多様性保護に関する条約を批准なさることでありましょう。全体的に申しまして、日本のポピュラリティーを世界で促進していくとするならば、広報外交としては、よりポップカルチャー、そしてその技術の創造力、クリエーティビティーを促進なさるものが適切であろうかと思います。  ありがとうございました。
  6. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  それでは、最後に高島参考人、お願いします。
  7. 高島肇久

    参考人高島肇久君) すばらしい機会を与えてくださいまして、誠にありがとうございます。  私がまず対外発信で経験したことからお話を申し上げたいと思います。  実は私は、NHKで長くジャーナリストをいたしました後、国連の広報センターの所長を二年間いたし、その後、そこにいらっしゃいます川口順子先生が外務大臣をなさっておられたときに外務報道官を三年間いたしました。最後の一年ちょっとは町村外務大臣の下でございました。今は、大学でパブリックディプロマシーですとか、それからメディア外交といった問題を講義したりゼミで研究をしたりしておりますので、私の経験とそれからその後のいろいろな考察を基にお話を申し上げたいと思いますけれども、まず、私が実際に対外情報発信を自ら経験いたしましたのはその外務報道官のときでございました。  日本外交スポークスマンであります外務報道官は、定例の日本の記者団に対する会見と併せて週に二回、東京に駐在する外国人特派員のために英語で記者会見をするということが長年続けられております。実際にやってみますと、私が一番驚きましたのは出席者が少ないということでございます。実は、東京には私が就任いたしました当時で三百人を超える外国特派員がいるはずでございましたけれども、週に二回行う外国人向けの英語による記者会見に参加してくださる方は、多くて数人、何か大きなことがあると、そのときだけ十人を超えることはありましたが、ふだんですと二、三人ということが珍しくありませんでした。日本の官庁から出てくるオフィシャルな公式見解、これを聞いても記事にならないという、そんな思いが外国のプレスの方の中には随分多かったような感じがいたします。  それからもう一つ、私が対外発信でいたしました仕事の多くは、外務大臣に同行して外国を訪問する際に、それぞれの国のプレスの方々とお目にかかって記者会見をしたり懇談をしたりするということでございました。むしろそちらの方が日本に対する関心また外務大臣の訪問についての関心が極めて高く、日本に関する幅広い質問が多く寄せられて、私自身、大変に充実した時を過ごすことができたことを懐かしく思い出しております。  これを総合して考えますと、実は、外国のプレスの日本に対する関心は決して低いわけではないけれども、残念ながら、今東京にいる記者団の関心というのがさほど盛り上がっていないということにつながろうかと思います。  今、日本におります外国の通信、新聞テレビなどの中で唯一日本での存在を拡大し、人数を増やし、また取材量を増やしているのはアメリカのブルームバーグという通信社でございます。これは経済中心のニュース配信会社で、主な顧客は日本及び日本に駐在する外国の証券、金融、さらに企業のところに端末を置いてそこに情報を流し込むというのが主な仕事でありますけれども、扱うニュースは決して経済に限らず、日本政治、社会、時にはスポーツまで扱っております。  現実問題として、外務省国際報道官室に登録しているブルームバーグの記者の数は百人を超えております。そのうち、実際にアメリカ及び日本以外の国から来ている記者の数も二十人から三十人ということでございまして、大変に多うございます。  なぜブルームバーグだけがそんなに人数を増やすことができるんだろうかということを支局長に聞いてみたところ、彼の答えは大変にユニークでございました。  東京にいる外国特派員仲間の中で常に話題になる話は、どこかの社の記事に、東京では毎朝、満員電車に乗り切れない人を車内に押し込むために白い手袋を着けた駅員が列を成している、また通勤客は二時間も掛けて東京の都心まで通勤してくる、そうした記事が出ると東京特派員仲間での話題は、あの社にまた新しい記者が入ったねと。その記者が東京に慣れたころ、大体二年から三年たつと実は交代してしまって、また通勤電車が記事になるという繰り返しが続いている。  つまり、実際に深く日本のことを取材し、そして報道しよう、そのために長期間、日本にいて仕事をしようという方ももちろんいらっしゃいますけれども、むしろ大きなメディアの場合には、変わったことを時々記事にして、そしてまた別な場所に移っていくという記者の数の方が多い。日本における記事というのはよほど深く取材しないと中身が分かってこないんだけれども、そこまで腰を据えて取材をする記者の数が少ないということが挙げられるんだということをこのブルームバーグの支局長は話しておりました。  事実、私が何人かお目にかかった日本駐在の外国特派員の方々に話を聞いてみますと、やはり経済が活況を呈していた時代ならともかく、それから、先ほどお話があった小泉純一郎総理大臣の下での改革が進もうというときはともかく、それ以外のときの日本政治ニュースというのはおよそ興味を引くものではない、なかなか記事にならない。また、その記事を送っても本社で没にされるケースが多い。本社から求めてくる記事は、日本の特異性、日本は何が変わっているかといったようなことを求めてくるものが多いものだから、ついつい日本に対する関心は次第次第に薄れていくというような話をよく聞くことがございました。  実は、そうした状況が進んでいるために、資料として提出させていただきましたけれども日本駐在の外国メディアの存在は減る一方でございます。一九九七年、日本駐在の報道機関は、外務省に登録してある社が二百九十五社、外国人の報道関係者は四百五十人おりましたけれども、十年たった去年の末の数字で、二百七社、二百九十一人に減っております。実は、この二〇〇七年の数字は、四月に調べたときには百九十八社、二百八十六人でございましたから、大体二〇〇七年中に九社、五人増えたということにはなっておりますが、それにしても、横に書いてあります中国の急増ぶりに比べると随分、様子が違います。今、北京駐在の外国メディアは二百七十八社、五百十人ということで、日本をはるかに上回る数字になっております。  この結果、何が起きているかというと、その下に記載いたしました。アメリカ、イギリスの主要メディアが伝えたニュースの項目について去年の二月から三月にかけての数字をまとめたものでございますけれども、ニューヨーク・タイムズで、日本関係の記事が三十二本に対して中国関係が四十八本、一番外国ニュースをコンパクトに伝えるということで定評がありますイギリスのフィナンシャル・タイムズの場合で、日本関係が二百三十八本に比べて中国関係は三百五十本、エコノミストという経済専門の雑誌でも、十七対三十で中国関係を扱った記事の方が多くなっております。  つまり、外国特派員というのは、それぞれの駐在している国の情報を本国及び世界に伝えるという意味で大変大きな役割を果たす言わば重要なメッセンジャーであるわけでございますけれども、その人たちの数が減ってきている、関心が薄れてきている、また本社からの期待もだんだん薄れてきているという状況の中で、日本における外国のプレスの存在感は次第次第に減ってきて、その結果として日本関係の記事が載る割合が中国に比べて減ってきているという状況でございます。  これを何とかしてひっくり返して、日本というものをもっともっと世界に伝えていきたいということが求められているわけでございまして、本調査会もそうした点で御検討いただいているということを大変うれしく思いますけれども、実は、この仕事、そう簡単なものではないということを私、痛感しております。  実は、日本イメージそのものは、例えば有名なBBCとそれからアメリカのメリーランド大学の共同調査で、世界のどの国が世界に対してポジティブな影響を及ぼしているかという調査がございます。常に日本は上位、一、二位を争うところにおります。残念ながら、ネガティブなイメージでとらえるのは近隣の中国と韓国での調査でございますけれども、それ以外は大体おおむね日本に対してポジティブなイメージを持ってくださる国が多いという結果が出ております。事実、外務省が毎年行っているアメリカ及びヨーロッパの有識者の方々を対象とした日本が信頼できる国かという調査についてもやはり同じようなデータで、日本に対して極めて友好的というか、信頼できるというデータが出てまいります。  しかし、そうした全体的な良い環境があるのですが、それでは日本が今、一体、世界で起きている出来事の中で、どんな考えを持ち、何を主張し、そしてどのような行動をしているかという具体的な情報になってまいりますと、数といい量といい、情報の量は大変に少ないということを認めざるを得ない状況でございます。その状況をどうやってひっくり返すということで、もちろんスポークスマンの果たす役割というのは大きいものがございますけれども、やはり先ほど来、例えばマーティン・ウィリアムスさん、それからベリボーさんなどが御指摘のように、まず一つはインターネットというものをもっともっと使った、タイミングの良い、スピーディーな情報提供ということを日本はもっと努力する必要があるんではないか、これが私がまず実際に仕事をしてみて感じた実感でございます。  実は、私が外務報道官をいたしました二〇〇二年から五年にかけての三年間の一番最後の仕事は、外務省にIT広報室というものをつくって、それまで日本語ウエブサイト英語ウエブサイトがばらばらに発行され、そして中身のチェックも不十分なまま運用されていたものを一つにまとめて、日本IBMからシステムエンジニアの専門の方に来ていただいて、これを統合し、そして質を高めるということをいたしました。現在、日本外務省が出しているホームページはかなり質が良い。専門家の方々も、英語国でない国の外務省のホームページとしてはかなり質が高いというお褒めの言葉をいただいたこともございますけれども、このインターネットのホームページにいかに即座に情報を載せていくかということは、しかし、まだまだ改善の余地が多々ございます。  先ほどマーティン・ウィリアムスさんから、白書を公表した段階でそれではインターネットですぐ見られるかというと、いや、二、三日したらといった答えが来たという実例が報告されておりましたけれども、これは決して珍しいことではなくて、特に外国のプレス、特派員の方たちが一人で日本政治から経済、更に社会状況までを取材しよう、カバーしようということになると、その人たちに対する情報提供の手段としても、即座に必要な情報を見ることができるインターネットというのはもっともっと日本国内で活用されていいんではないかなという気がいたします。  事実、私どもが調べたところでは、アメリカの国務省ではインターネットのページを作成するスタッフとして二百人ぐらいの人が働いているという数字を聞いたことがありますが、残念ながら、日本外務省のIT広報室、そこで一生懸命ページを作っておりますけれども、人数は十人そこそこでございます。そうした点にもっとお金を掛けるということも必要でしょうし、例えばアメリカ国務省のインターネットのホームページと日本外務省を比べますと、決定的に違うのは、アメリカの国務省のホームページには動画がたくさん載っております。ライス国務長官がここでこういうスピーチをやった、ここでこういう発言をしたというような内容が直ちに動画でも載りますし、トランスクリプトでもちゃんと掲載される。こうした素材がそこにあるということだけで、インターネットの利用価値がどんどん増えてきて、これが日本からの情報発信に大いに役立つということになろうかと思います。  それともう一つは、日本のシンクタンクが出しているホームページ。ウエブサイトの中に最近ようやく英語によるいろいろなコメンタリーが載って日本の考え方を世界に伝えるという役割を次第次第に果たしていただけるようにはなっておりますが、世界の有識者、特にジャーナリスト、研究者、また政治家、経済界のリーダーたちが特に見るウエブサイトとしては、よく言われるのが、例えばアメリカのブルッキングスの、若しくはアメリカの議会調査局の、あるいはイギリス国際戦略研究所のといった、いわゆるしにせというか、極めてポピュラーなシンクタンクのウエブサイトというのが実は世界の潮流を肌で感ずる場所としては多く使われております。そこの中にまだ残念ながら日本のシンクタンクの名前は載っておりません。  最近、日本国際問題研究所を始めとする四つの戦略関係の日本のシンクタンクが合同で、AJISSと言ったと思いますけれども英語によるコメンタリーを載せて世界に発信するようになっておりますけれども、この努力をもっともっと広めること、また、コメンタリーをできるだけタイミングよく、例えば日本と中国の間で、日本とアメリカの間で、若しくは世界で何か事が起きたときに、直ちにそこに日本の有識者の見解が素早く載せられるといった状況がつくり出されることが日本情報発信にとって大変重要な役割を果たすものと思っております。  もう一つは、テレビ国際放送でございます。  先ほど来お話が出ているように、世界情報を伝えるというのは、実はカナダでアメリカの通信社の情報が、またアジアではイギリス系の通信社の情報が流れているというお話がございましたけれどもテレビ世界でも、CNNとBBCという、いわゆるアングロサクソン系のテレビ世界情報発信の中心的な役割を果たしています。これに対抗するために、中国、韓国、フランス、カタールなどなど、世界のいろいろな国々が英語によるテレビ放送に力を入れております。なかなか激戦区で難しいところがありますけれども日本もようやく放送法が改正されて、こうした新しい形でのテレビ国際放送をいよいよ来年から立ち上げようかという動きになっております。このテレビ国際放送を本当に世界の人々が進んで見るようになる、そのような魅力的な番組が多数詰まったテレビ国際放送に育て上げるというのが今、日本に求められている極めて大きなテーマ、問題であろうかというふうに思います。  こうした点をずっと俯瞰して考えてみますと、いかにして積極的に日本について世界に自ら発信しようかという人材を育てていくかということが問われているのではないかと思います。  日本のあるシンクタンクの方が、英語世界に対して日本について発信したそうした論文なりコメンタリーなりを一年間ずっと精査して、優秀なものには賞金を出したらどうかという提言をなさったこともございます。  また、先ほど来申し上げたように、日本の四つの今、シンクタンクが合同で英語によるコメンタリーを出すようになっておりますけれども、こうしたところにもっともっと人材を送り込んで、若しくは、外国で今、研究したりまた積極的に仕事をしたりしている英語に堪能な、若しくはほかの言葉に堪能な日本人を迎え入れることによって英語発信力を強める。そういった努力を積み重ねることによって、日本情報がもっと魅力的になり、外国のプレスが日本に対して関心を持つようになり、そして究極的には日本世界政治の中でリーダーシップを握り、世界のルールをつくるプロセスの中で本当の意味で活躍できる、そんな場になってほしい、そのための人材が必要だということを痛感しております。  私の発言は以上でございます。ありがとうございました。
  8. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  それでは、これより質疑に入ります。  従来どおり、挙手を願いまして、御指名をいたしますので、御発言を願いたいと存じます。また、参考人の答弁者に関しましても御指名をいただければ大変有り難いと存じます。  それでは、どうぞ。  それじゃ、今野東君。
  9. 今野東

    ○今野東君 ありがとうございます。今野東でございます。  今日は大変貴重なお話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。私たちは、回を重ねてこの日本発信力ということについて調査をし、勉強させていただいているわけですが、そこを考えるときに、日本を取り巻く言語環境というのを一つ置いておかなければならないと思います。  我が国の言語環境というのは大変特殊であると思っておりまして、日本という国の領土、それから言語、そして様々に共有する日本人同士の文化というものが全く同じ枠の中にはまっております。そこにいる人たちがみんな日本語を使う、こういう言語環境というのは世界の中でも大変珍しいのではないかと思います。だから、憲法の中には公用語という定めがありません。公用語という定めがなくとも、私たちは公用語は日本語を使っているわけであります。  そして、その日本語について言えば、実に細やかな表現方法を持っております。しかし、だからといって同じような細やかな表現方法を他国の言語を獲得してできるかというと、大変難しいところがあります。例えば、宮沢賢治のような作品を、他国の言語でそこに流れている風の音やあるいはそこに漂っているその地域の人たちのハート等を伝えていくということはなかなか難しいことだと思います。しかし、そういう中でもそのような能力を備えた多くの日本人が出てきたことは確かでありまして、言語環境の上での発信力というのは、私はある程度そういうベーシックなところでは整っているのではないかと思います。  しかし、日本発信力というのはまだまだ問題があって、高島さんのお話を伺えば、外国プレスにもなかなか、実際の外国の記者の方が一人か二人しか来ないときもあるというようなお話でした。  これは、一つには情報の管理とそれから発信をしていくときのタイミングという問題があるのではないかと思います。情報を発していく、発表していくというときに、私は野党の議員としてさんざん感じてまいりましたが、日本の官僚の方々は持っている情報をなかなか明かしません。出してくれというものも、既にマスコミ報道されているものについても、いや、それはお出しできませんという答えが返ってきます。そして、出てくるときには既に賞味期限が切れているのです。  こういう情報の発信の仕方ゆえに記者の方々が集まらないのではないか、どうせそういうところに行っても、色の薄い、記事になりにくい情報しか発信されないという、そこにはあきらめがあるのではないかと思いますが、外務省においでになっていて広報仕事に携わっていらした高島さんにお話を伺いたいと思います。  そして、ベリボーさん、ウィリアムスさんには、その辺りの、特に日本の役所から出てくる情報というものの新鮮度ということについてどのような感想をお持ちか、お話を伺いたいと思います。
  10. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 御指摘のとおり、実は日本から出ていく情報は余り魅力的なものがないというのが正直な印象のようでございます。  先ほどちょっと触れましたブルームバーグの支局長と話していたときに彼が言っておりましたのは、日本のお役所だけではなくて企業についても同じことが言えると言っておりました。  何かと申しますと、例えば何か問題があった企業若しくは人事の話が話題になっている企業、そういうところのいわゆる会社のスポークスマン広報担当の方に連絡を取って話を聞いてみても、最後になると、いや、私の名前は出さないでくださいというふうに言われる。だれがこの発言を会社を代表してしたのかというその氏名が記載できない情報になると、これは情報としての質がかなり低下してしまうので実際に記事にすることが難しくなる。なぜ日本の企業は、お役所と同じように、ああまで自分たちの出す情報を胸を張って堂々と出してこないんだろうかということを私に質問してまいりました。  実は、彼がもう一つ言っていたことは、日本新聞に出た情報を確かめようと、お役所のやはり広報だとか、それからしかるべき方々のところに連絡を取ってみると、必ず返ってくる答えは、まだ何も決まっていませんというものだという話になってしまいます。  つまり、おっしゃるように、情報というものはやはり精度とともに鮮度が大変必要でございまして、いかに新鮮で魅力的なおいしそうな情報に仕上げて出していくかという努力があって初めて、受け手であるというか、その情報を自ら手にして料理をしてメディアに乗せていく記者たちに魅力を感じさせることができるということになろうかと思います。  そうした努力、つまり、いかに魅力的な情報発信をするかというのは、これは本当に難しい話ではありますけれども、この努力は官民挙げて日本はもっともっとする必要があるという気がいたしております。  実は、先ほども申し上げましたように、インターネットを使ってコメンタリーなり、それから日本の物の見方をきちんと外国に向けて情報を発信していく、その情報の発信の担い手として、英語でそういう仕事をなさった、若しくはそういう経験を積んだ外国にいる日本の研究者なり、そういった人々をもっともっと日本に戻して、その人たちを通じて出していくということが役に立つんではないかということを申し上げましたけれども、実は、その人たちはいかに情報を魅力的に出すかということを肌で外国で感じたことがあるであろうという想像があるからでございまして、これは日本のジャーナリズムの教育、さらに広報担当者の教育とともに、そうした有識者というか発信者の質の確保といういろいろな側面を持った問題であろうと思いますんで、よほどの努力が必要なのかなと、そんなふうに感じております。
  11. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) どうでしょうか、私はほっとしていいのか。我々もなかなかアップデートなフレッシュな情報を得ることができないという状況があるので、同じ状況だなと思ったんですけれども、なかなか情報が難しいというのは、例えば何かをもう既に公表したとしてもすぐに我々外人記者が手に入れることができないということで、これは高島さんも先ほどのコメントの中で触れられた点であります。  私、一つの例として申し上げますと、欧州連合というのはすばらしいプレスサービスがありますし、AVのサービスも提供されています。例えば、このテレビカメラはどこが持っているのか知りませんけれども政府が保有のものであれば、これ、インターネットで無料で配信したらいいんじゃないでしょうか。納税者が払っているわけですから、提供してもいいんじゃないでしょうか。EUはやっているんですよ。全部ライブでオンラインで見ることができます。テレビ報道においてもサービスがありまして、コメントを付けて載せています。一時間ぐらい後にはもう配信されているんです。そういう状況が提供されています。  ですから、インターネットを効率的に使うということ、それから新鮮な情報を提供すること、これをすることによって日本から外を見ることができるわけですね。国境がなくなるわけです。もう国境がどんどん低くなっていきます。今、外国特派員は減っているわけですけれども、新鮮な情報をインターネットを通して取ることができるようになるわけですね、物理的に、いなくても。そうすれば、ジャーナリスト日本におりながらもっと取材を広げることもできるようになるわけです。ですから、まず新鮮さというのは、できるだけもうある情報はインターネット上ですぐに発信してほしいということです。  それから、ほかの情報に関してですけれども日本は非常に面白い記者クラブ制度というのがありまして、たくさんの情報というのがいわゆるメーンのメディアを通して、つまり記者クラブを通してオフレコのブリーフィングで提供されて、その後報道されるわけですけれども、外人のジャーナリストというのは、なかなか省に電話をしても、これ、日経で読んだんだけれども、読売、NHKで見たんですけれどもというふうに聞きますと、省の方は、まだ何も決まっていないからコメントできませんというようなことを言われてしまうわけです。これは本当に我々にとって非常に困難な問題です。外国メディアの多くは、こういうような電話をしたり確認をしなければいけないわけですね。そうじゃないと、地元のメディアが言ったことをそのまま引用するしかないわけなんです。  それからもう一つ情報の新鮮さに関してなんですけれども、これから何が起きるかということを伝えることによって記者の方も取材をする準備ができます。レポート若しくは公聴会の情報について事前に教えていただければ、人々に話を事前にすることができますね。実際に我々も出席をして、そうすれば新鮮な情報取材することができると思うんです。  今の段階はいつも情報を追っかけている段階にありまして、いつも何か、ああ、あれは逃してしまったということを後で気が付くということがあるわけなんです。ですから、大変です。それを変えていただきまして、できるだけ早く情報を提供してください。これからこんなことがあるということが分かれば、我々としても新鮮な情報が提供できます。つまり、獲得することに努力をしなくて、きちっとした報告取材をすることに力を注ぐことができるようになると思います。
  12. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 私は、毎日の報道ということはもはやしていないので最新の情報は持ち合わせていないんですが、幾つかコメントはあります。  外務省からのニュースリリースなどを受け取っております。非常に参考にはなるんですが、やはり数日後なんですね。遅れてくるわけで、参考資料としてはいいんですが、ニュース価値は余りない。  私が非常に楽しむのは、ストーリーのいろんなレビューをいろんなニュースソースから得るというのが好きです。ニュース・オン・ジャパンというウエブサイトがあるんですが、英語なんですけれども、幾つかのストーリーがそこには掲載されていて、いろんなトピックがカバーされています。日本でつくられているのかと思ったんですが、これをやっている人はオーストラリアのブリスベーンを本拠としている人なんです。ニュースをいろいろ集めてプレゼンテーションしているんですが、ウエブサイトで提供しているんですが、これ、日本だってできると思うんですね。日本の方がずっとニュースソースのアクセスはいいですから、日本の国内でこういうのをやる人がいてもいいんではないかと思うのです。  それから、ニュースがあった場合に、私どもはそれについていろいろ知りたいわけです。世界ジャーナリスト、例えばラジオで申しますと、政治家などにアクセスを持ってフランス語とか英語で話すことができれば、これは非常に有益なんです。その人に連絡してインタビューができれば非常にいいわけです。世界ジャーナリストたちは、だれかに、コメントできる人にアクセスをしたいわけです。それで、これは非常にいいツールになると思うんですね。ラジオなどでは、アクセスを持っていろいろな問題を議論できるということが非常にいいツールになって、こういうことを通じてフィージビリティーを上げることができると思います。  最後のコメントなんですが、十三のテレビプログラム、ドキュメンタリーを東京において私は作成に当たったわけですが、いろんな方が大変いろいろ協力的なんですが、時間が掛かるんですね、承認などを取り付けるのに。例えば、東京都などにその許可を求めると時間が掛かる。ドキュメンタリー、ニュースなどにおいては何をしたいということを説明するわけなんですが、日本にとってはチャンスだと思うんですね、世界日本を知らせるという意味で。  ただ、どういう理由か分かりませんが、非常に私どもの意図に関して懐疑的な見られ方がされるということで、メディアカルチャーが各レベルでもう少し発展しなければならないと思うのです、公的機関においても。ですので、是非理解していただきたいんですね、ジャーナリスト報道もしたいし、そのニュースの脈絡、コンテクストも説明したいんだということを。そういうことから、もっと緊密な協力が必要だということを是非理解していただきたいと思います。
  13. 石井一

    会長石井一君) それでは、浜田理事。
  14. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  三人の参考人の皆様、本当に貴重なお話をありがとうございました。  まず最初にウィリアムス参考人にお伺いしたいと思いますが、配られている資料によりますと、日本についてのイメージ、いいイメージ、悪いイメージの例が書いてございます。否定的に見られている例として、捕鯨、教科書、靖国神社、戦争が残したものということですが、これは、そもそも内容としてどういう伝え方をしても否定的なのか、それとも、伝え方をちゃんとすればもっと違った、場合によっては肯定的な内容に変えることができたのか、そのためにはどういう手法を取ればよかったのかについてお聞きしたいと思います。  次に、ベリボー参考人にお伺いしたい点がございます。やはり日本発信力を高めていくためには、英語をもう少し自由にかつ多くの人が使い切るということが重要だと思っておりますが、先ほどお話の中で、一九七〇年代にカナダでバイリンガルの方法を取られたという話がございます。日本にとって、英語認知度をどんどん高めていく、発信力を高めていく上で、もし日本に役に立ちそうな手法がございましたら、御示唆をいただきたいと思います。  最後に、高島参考人にお聞きしたいと思いますが、先ほどのお話では、日本外務省のホームページも良くなったけれどもまだ動画は入っていない、国務省のホームページは動画が多いという話がございました。静止画と動画によって伝えるものが、どういう違いがあるのか、日本もその動画をどんどん導入しないとどういう面で後れていくのか。  この三点について、お伺いしたいと思います。
  15. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 浜田さん、非常に難しい質問をありがとうございます。  どうなんでしょうか。どういうふうにしたら、方法があるのかどうか、日本がこういうような問題をプラスにすることができるのかどうか分かりません。どの国も、いつも、難しい、困難な問題があるわけです。どうしてもプラスにできない内容というのは存在すると思うんですけれども一つ方法として、こういった問題に関して日本がもう少し理解を深めてもらうためにできることというのは、やはりコミュニケーションをベターにする、より良くするということです。これは政府だけじゃなくて、事例を申し上げましょう。  捕鯨問題に関して事例を申し上げたいんですけれども、最近ですが、オーストラリアのNGOが日本の捕鯨船を追っかけて、そしてちょっとやり取りがありましたね。私はちょっと電話を掛けてみました。シーシェパード・ソサエティーというオーストラリアのNGOに電話を掛けました。このソサエティーのトップの人が、電話、二十分後に私、話すことができました。二十分間話ができたんですね。そして、非常にいい引用を得ることができました。これが話の半分の部分なんですけれども、その後、日本側に電話をしました。日本の船の方に電話をしたんですね。その内容というのは、すぐに終わってしまいました。私が幾つか質問をしたら、その電話を受けた人は、あなたはグリーンピースの人なんじゃないですか、ジャーナリストのふりして電話してるんじゃないですかと言って話をしてくれなかったんです。  ですから、これを見ても分かるように、もちろんすべてのジャーナリストというのはできるだけいい取材をしようとしているわけです。私もそうなんです。ただ、こういうことになってしまうわけです。片っ方側の方で引用を得たけれども、もう一人の方は電話で話をしてくれなかった。あなたはグリーンピースの人でしょうと言って話してくれなかったというような状況があるわけです。ですから、こういうような状況があるときに、グッドないいストーリーにできるかどうか。  もしかしたら、方法としては、できるだけとにかく説明をするということが大事でしょう。あなたたちは気に入らないかもしれないけれども、これが私たちのやり方だということを説明しなければいけません。理解してもらえないかもしれないけれども、こういうことを考えてこういうことをやっているんだということを説明するというコミュニケーション、最終的にはコミュニケーションだと思います。    〔会長退席、理事川口順子君着席〕
  16. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 第二言語を取得するということは幾つかの方法があると思います。カナダは独自の方法でやりました。つまり、一九七〇年代、カナダを団結させるという意味で重要だったのです。そういう意味でたくさんの研究をしました。世界中を見て回って一番いい方法は何であるかということを研究しました。特に英語をしゃべる人たちフランス語を学ぶ必要があったわけで、フランスのイマージョンプログラムというプログラム、そのときは非常にポピュラーなプログラムでありました。大体三十万の学生がこのトータルイマージョンの教育法で言語を学んでいるようです。日本で適用できるかどうかは分からないんですが、二十五年間何をしてきたかということを研究していただければ非常に参考になることもあると思います。  フランスのイマージョンプログラムというのはカナダでは非常に成功しました。かなりコミットしなければなりません、親御さんたちは。例えば、バンクーバーに住んでいる場合には、子供たちは別の言語で学校の教育が行われるわけです。ですから、幾つかの方法によって言語能力を強化するという方法があって、カナダの親御さん、そういう子供を持った親御さんのグループもできたくらいです。ですから、その教育方法ばかりでなくて、いかにみんなが関与していくかということが重要なんです。たくさんの人を動員していかなければならないわけです。いいニュースとしては、うまくいくということなんです。  早期のイマージョンプログラム、それから後期のイマージョンプログラムというのもあります。五年生に始める子供たちも第二言語をイマージョンプログラムで学ぶことができるのです。そのフランス語圏の人たち英語を学びたいという人たちには六週間の集中コースが夏に行われておりまして、カナダの大学などで行っています。日本カナダといろいろな協力をして、日本の子供たちカナダの文化にイマージョンさせて学ばせるということも可能でしょう。カナダにおきましてはいろいろな言語が話されておりましたから独自の方法があるわけですが、決して容易な答えはないと思います。コミットメントとそれからビジョンですね、どんな能力を育成したいのかと。世界コミュニケーションを促進するためにどんな能力を育成したいのかということを考えるということが重要です。  それから、ついでに申しますと、英語ばかりでなくてほかの言語も重要だということを申し上げたいと思います。  先週私、オーストラリアにいたんですけれども、一千人ほどの人が集まったそういうイベントに参りました。新しい政権が一千人をキャンベラに招待して、二〇二〇年にオーストラリアはどうあるべきかということが議論されました。一週間議論したんですが、その中で出てきた非常に重要な点として、オーストラリアがよりアジアに近しい関係を築くことが重要であると。したがって、アジア言語を学ばなければならないということになりまして、中国語、インドネシア語、日本語などが学ぶべき言語として挙げられました。  彼らでさえ第二言語としてアジア言語を学ぼうとしているわけです。ケベックの例でいうならば、ほとんどのケベック人たちはバイリンガルなんですが、ケベックでは三十万人の人たちが今スペイン語を学んでいるわけです。これは非常に興味深いことです。世の中は変わっています。アメリカを見るならば、これから二十年後、三千万のアメリカ人がスペイン語を母国語とする人になってしまうということです。そのためにスペイン語を学んでいるわけではないわけですけれども、世の中は変わっていって、スペイン語はポピュラーな言語です。  モントリオール大学におきましては、ビジネスの、あるいは行政学を学ぶにしても、そのディプロマをいろいろな言語で与えているということです。ですから、全部のコースを終わるまでに三か国語ができなければならないという仕組みになっています。日本では非常にイノベーティブなアイデアを推進をしていくべきでしょう。小さく始めてだんだん構築していくべきでしょう。
  17. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 御指摘のように、動画があるから、じゃ、取材する側から見るともっともっと原稿を書くようになるかというと、それほど直接の結び付きはないようでございますけれども、少なくとも、私どもがアメリカの国務省の担当者から聞いたところでは、動画をたくさん入れるようになって、まず国務省のホームページ、ウエブサイトに対するアクセスが飛躍的に増えた。動画がないサイトに比べると、動画があるだけでそのサイトの魅力が増すということがあるようでございます。それからもう一つは、動画を入れるということは、ますますもって、例えば国務長官の、若しくは次官の、そうした人々の発言そのものをもっと前面に押し出した編集が行えるわけでございます。  日本の場合は、残念ながら、外務省の場合は、大臣会見、それから次官会見、さらに外務報道官の会見の一応トランスクリプト、要旨と称しておりますけれども、そのままの縦にしたものが載るようになっておりますが、例えば官邸の官房長官会見は、残念ながらどこを調べても文字で見ることができません。また、そのままの形では映像として見ることもできないわけでございまして、あれは、記者クラブの加盟社がテレビで、撮影し、それを放映することは許されていても、ホームページから引っ張り出すことができないということになっておりまして、ということになると何が起こるか、つまり、何かまとまった形の原稿を書こうと思ったときに、官房長官の発言が何だったのかというのをさかのぼって調べるということが、しかもオリジナルなソースにさかのぼって調べるということが今、日本の場合はできない仕組みになっています。新聞の縮刷版で新聞社が書いた原稿をそのまま引用する以外に方法がない。  ところが、先ほど来、欧米のマスコミ一つのプラクティスとしてというお話で出てまいりますけれども、ダイレクトクオート、直接引用ができるかできないかというのは記事を書く場合にとても重要な要素の一つでございまして、そういう意味でも、まずトランスクリプトがある、もっと進んだ形では、動画があってその人の発言が表情から何から分かる形でもって使えるようにするというのは、実は記事を書く記者の側から見ると大変に魅力的、使い勝手のいい素材ということになりますので、是非そういう形に持っていきたいなというふうに思っているところでございます。
  18. 川口順子

    ○理事(川口順子君) それでは、次に丸山委員、お願いします。
  19. 丸山和也

    ○丸山和也君 マーティン・ウィリアムスさんとマルク・ベリボー参考人、両参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、御意見の中で、日本では、いろいろ取材をしても、これこれだと説明があっても、いや、自分の名前は出さないでくれとか、いわゆるニュースソース、これはもう伏せておいてくれと、こういう話が多くて、実際、裏が取れなくて記事の価値がもう半減してしまうというか、記事にもならないと、こういうことが非常に多いと、それは民間でも公の機関でもそういうのが多いということを一点おっしゃいました。  それともう一つ、やっぱりニュースになって出てくるのは数日後とかであって、鮮度が落ちると。やっぱり、ニュースの確実さというか、価値がなくなるという面と、それから鮮度が落ちると、これが非常に魅力のあるニュースがなかなか出てこない一つの理由だというふうにもおっしゃったように私は聞いたんですけど。  これは、私が思うと、お二方を別に外国のあれだということで差別しているわけじゃないんですよね。恐らく、日本の記者に対しても、そういう態度、同じ状況があると思うんですよね。そういうことを見ておられて、例えば、日本マスコミというのは、お二方から見られて、よくそういう中で平気で、平気でというか、それを甘受して、報道人としてそういう取材に甘んじているなということで、日本マスコミマスコミとして機能していないんじゃないかというような、同じマスコミ人として、日本マスコミ取材というか、そういう在り方について御批判的といいますか、意見をお持ちであると思うんで、忌憚のないところを御両人から、日本マスコミはちょっとやっぱりおかしいんじゃないかと、あるいはここが足りないんじゃないかと、こうしたらいいんじゃないかというようなことをお聞きできたらなと思うんですけれども
  20. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 丸山先生、ありがとうございました。  私はいつも慎重になります、こういう御質問を受けた場合には。日本は私の国ではない。ゲストですし、私がとやかくメディアにいいとか悪いとか言う立場にないと思っているから非常に慎重になってしまうんですが、西欧のメディアと比べるならば、日本のやり方は非常に違います。  最も大きな違いは、少なくとも私が取材している分野は、これは政府とそれから企業のビジネスニュースなんですが、ITとかテクノロジーとか、そこには記者クラブの制度がないんですけれども、そういうところを主にやっていて、ただ、省庁に関しては記者クラブが非常にその制度が強力でありまして、外国特派員協会が最も不満に思っているのはその記者クラブ制度です。  主要なテレビ新聞がこういうクラブをつくって、力をもって排除をしているわけです。外国ジャーナリストばかりでなく日本ジャーナリストも排除しているという状況があるわけです。こういう力を持っているということから、ほかの人をなかなか入れようとしないわけです。例えば、ブリーフィングなどにも行けないとか、あるいは外国特派員は、オブザーバーとして、質問はしてはいけないけれども聞くだけというようなことを言われてしまう。非常にやり方としては違いますね、ほかの国と。  先ほども話しておりましたが、日本メディアは国内で大きな力を持っているばかりでなく、外国ジャーナリストたちは、日本報道を聞きまして、今話したように直接に名前が引用されていないと。ですから、私ども地元のメディアに頼るしかないわけですね。そういう意味では、私どもは依存関係にあるわけです、国内の強いメディアに。  こういうふうな形でお答えしたいと思いますが、今、ニュース機関日本で立ち上がったとして、例えば新しいテレビのチャンネルがスタートして五年、六年たって、ほかと同様に、同格で競争できますか。お金が問題でないとすれば、今立ち上がった例えばテレビチャンネルが同じふうに競争できるかという質問になりますと、競争できないと思います。かなり長くたたないと、コンペティターと同格で競争はできないと思います。  ただ、批判をしているように取られては困るわけです。私の国ではないですから、私が見解を求められたので、あえて申しました。
  21. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) いろんな方法でこの質問に答えることができると思いますし、回避する方法もいろいろあると思うんですけれども、ただ、ニュースの話をするときに、多分、非常に変わってきている部分があると思います。  といいますのは、数年前であれば二十四時間のニュースなんてなかったんです。ですから、情報があってそれを広報すると、数時間後、七時間、八時間、今もうオンラインですぐに情報が出るわけですね。これは、見る人にとっては非常にいいわけですけれどもジャーナリストにとりますと全く違ったダイナミクス、力関係になるわけです。  例えば、国際ニュースを見た場合に、最初にニュースを手に入れたところが一番いいジャーナリストかというと、必ずしもそうじゃないんですね。といいますのも、記者コンファレンスがあって、そして、百人ジャーナリストがいたら何を報道するか。きっと同じことを報道しますよね、記者会見があった場合には。  ですから、私は特に、どうやって我々、カナダの市民に情報を提供するかということを考えた場合に、ちょっと事例を申し上げたいと思います。スウェーデンの例なんですけれども、ちょっと知っているので。  スウェーデンにおきましては、小さな国でありまして、そんなに、CNNなどと、そういったニュースネットワークと競争して第一の報道をしなくてもいいと考えているわけです。スウェーデンにとって大事なのは何かといいますと、一番になるんじゃなくて、深く突っ込んだ記事を書くということです。エコロジーとか環境問題について深く突っ込んだ記事を書きたいと考えているわけです。  といいますのも、意識が高いんですね、スウェーデンは。ですから、そこの分野で何が起きているか知りたいわけです。ですから、こういう議論になるわけです。すぐにニュースを伝えて、その後にもっと内容を突っ込んで、特化した情報を提供すべきだというふうに考えているわけです。スウェーデンは小さな国であるから、少し時間を掛けて突っ込んだ記事を書こうというふうに考えているわけです。  先ほどの日本に関しての質問に戻りますけれども、ジャーナリズムの日本の質なんですけれども、これは、その価値が十分には認められていないと思うんです。その説明をちょっとしましょう。  基本的に、日本のような国というのは少ないと思うんですね。つまり、国際ニュース報道する際に、多分、九〇%日本情報源を使っているんですね。例えば、大きな新聞社、読売とか朝日とか毎日、それから通信社、共同と時事通信がありますね。これらは大体、多分、世界で二十若しくは三十ぐらい支局を持っています。そして、そこの特派員はその国の言葉をしゃべりますね。多くの言語をしゃべるでしょう。  驚いたんですけれども日本新聞というのは大体二十四ページぐらいしか、カナダはもっとずっと分厚いんですね。でも、日本国際記事が書いてある紙面というのは一枚ぐらいしかないと。  日本が持っている知識、つまり国際的な情報知識のレベル、これはほかの情報源を使っているんです。例えば、日本の多国籍企業というのは、やはりほかの国々の経済について理解をしています。アクセスは持っていますね、日本の方が。ほかの国のジャーナリストよりも持っています。ですから、日本が得られている情報の量というのは大量なんです。ただ、日本が持っている情報世界と共有できないのが残念なんです。だから、そういう意味では日本は貢献できる部分がたくさんあると思います。いろんな視点、多様な視点を持っているんです、これだけ国際的な情報を入手しているわけですから。  それから、日本取材の仕方もちょっと違うと思います。例えば、私はある調査を見ました、日経の調査なんですけれども。企業や戦略計画について理解をしたいということなんですけれども、アメリカの場合は、CEOの個人についての関心の方が高いんですね、会社自体よりも。ですから、アプローチが違います。こういうような多様性というのも必要だと思います。  それから、最後に申し上げたいことがあります。  私は、日本で長年の友人を持っております。日本の方々、多くは編集の人たちなんですけれども新聞において時には二十五人の論説委員がいるでしょう。この人たちは、例えばブルッキングスインスティテューションとかニクソンセンター、カーネギーホール、最も情報をたくさん持っている人たちです。プラットホームがなくて知っていることを発表する場がないんですけれども、もし何らかのプログラムがあって、例えばケベックジャーナリストのアソシエーションがあったときに日本からの人を呼んで、例えば日本ジャーナリストがもっと世界中を回っていただいたら、もっと貢献ができると思います。日本ジャーナリストが持っている情報世界と共有していただければと思います。
  22. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 御指摘の点、大変に耳の痛いところがございます。  先ほど来、ウィリアムスさんから日本記者クラブの話が出ておりますけれども、実は、私が外務報道官をやっておりましたときに、EU、ヨーロッパ連合が規制緩和の日本との対話の中で、日本記者クラブ制度を、あれは規制だということで非難をするといった事態になりました。  EUは国ではございませんけれども、ある意味では国家対国家の交渉の中で日本記者クラブ制度が取り上げられたということで、日本側は、これは報道の自由に対する政府の介入を求める、そういう要求としか取れないので、現実問題として政府が動くわけにはいかないという公式回答はしたんですけれども、しかし、そこまで問題が深刻な状態になったということで、日本新聞協会とそれからNHK、それから民放連、雑誌協会、更に日本の官庁のそういう報道担当をやっている方々、内閣広報室など、いろいろなところとお話合いをして、基本的には日本に来ておられる外国のプレスの方に対しては、外務省に登録をされますと、フォーリンプレスセンターという外務省の外郭団体を通じてプレスカードというのを発行することになっております。  日本取材ができる記者証でありますけれども、そのプレスカードを持っている人は、日本国内にある、八百とも言われますけれども、様々な場所の記者クラブで公式の会見、開かれた会見がある場合には全員その外国人記者証を持っている方は参加を認めるということで合意をいただきまして、記者クラブ側また官庁側、両方が納得してこれを、今ウィリアムスさんが会長をやっておりますけれども日本外国特派員協会とそれからもう一つ外国特派員団体、そちらに通報して、今のところ公式の行事に関する限り問題はなくなっております。また、そうしたことがあった結果、EU側がこの記者クラブの閉鎖性をもとに、これは規制だというような指摘を日本との交渉でするということは今はなくなっております。  しかし、問題は、じゃ、どこまで外国のプレスの方々がその新しい制度を利用して日本取材活動をするかということになると、先ほど来お話が出ておりますように、公式見解を尋ねるとまだ何も決まっていないというような返事が来るだけという不満であるとか、ダイレクトのクオートができないという不満であるとか、また、オフレコを旨とするいわゆるレクという、レクチャーというのがございます。何か新しい政策が決まったりすると記者クラブの会員、メンバーに対して担当の局長なり課長なりが事前にいわゆるレクチャー、内容の説明をする。ただし、これは直接引用はなしという約束事が付いております。これは、記者クラブとそれから当該の官庁との間の約束事において開かれる非公式の行事なので、これについては外国のプレスの方の参加は認められないというようなことが今でもずっと続いておりまして、ここにも外国のプレスの人たちを入れるようにしたい、入れるようにしてほしいということを外国側は求めておりますし、それについてできるだけそういうふうにしたいという動きは出ているところであります。  外務省記者クラブは、どちらかというと、そうした点についてかなり前向きのというか、前広の取組をやってくださっておりますけれども、一部の記者クラブはまだかなりそういう意味では非公式の会見、非公式のレクについての閉鎖性という問題はまだまだ残っているようでございまして、これが実は外国のプレスの方々からすると、日本に対する不満の一番大きなところというようなことはあるということでございます。  努力はしているけれども、なかなか遅々として進まないというところが正直なところと申し上げておいてよいと思います。
  23. 川口順子

    ○理事(川口順子君) それでは、次に島尻安伊子先生。
  24. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 先ほどから実は記者クラブの件が話題になっておりまして、私事であれなんですけれども、二十年前に大学の卒論のテーマは、実はこの外人記者クラブでありまして、逆に考えると、今お話を伺って、この状況が二十年変わっていないんだなというところに大変に驚きといいますか、もう本当にそろそろ変えなければいけないんだろうなという思いがしております。  当時も同じでして、いろいろな方にお話を伺って、たしかロバート・ホワイティングさんという記者がいらして、この方にいろんなお話を伺ったのを覚えているんですけれども、その中でも、日本人記者たちは国外にどうやって日本ニュースを流すのかということは余り考えていない、意識をしていないという御指摘もありまして、今から思えば、今だからこそこのパブリックディプロマシーということが頻繁に聞こえてきますけれども、もうそれどころではないといいますか、しかしながら、やっとこういう場所でまた、いろいろな記者クラブに関することだとか、こういうことが話題にのって、一方では、先ほど高島参考人からもありましたけれども外国人記者たちが今は何と中国に移りつつあるという現状を考えますと、やはり日本国として情報をどのようにコントロール、コントロールと言ったら語弊がありますけれども、この流し方をどう考えていったらいいのかというのを真剣にやっていかなければいけないんだなというふうに思っております。    〔理事川口順子君退席、会長着席〕  この記者クラブの件に関しましては、今までもるるいろいろなほかの委員からの質問、それからもうお答えがありましたので、私からは、これからアジアの国々に対して日本がどのように情報を伝達したらいいのかということを特に考えていきたいというふうに思うんですけれども、今、中国にいろいろな記者たちが集まっているという流れの中で、うまくコミュニケーションが現地では取れているのかという単純な思いが込み上げてきております。  というのも、やはり語学ということもありますし、コミュニケーションの取り方、中国、大陸ではありますけれども、欧米諸国とはちょっと違うお考えを持っているということもありますし、そういう中で記者たちは中国でうまくコミュニケーションが取れているのかということが一つと、それから、ほかのアジアの国々ではどのようなコミュニケーションの取り方をしているのか、加えて、日本がこれからアジアとのコミュニケーションをスムーズにしていくために何か御意見がありましたら、教えていただければと思います。
  25. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) まず、記者クラブの制度についてのお話をされました。大学の論文の話をされましたけれども高島先生が外務省でされたことについて申し上げたいんですけど、二十年前と比べて変わっていないというわけじゃないんです。高島先生がおっしゃられたように、かなり改善があったということをここで申し上げたいと思います。  この記者クラブというのは、やはりジャーナリストをたくさん抱えているところが有利になるわけですね。国全体で一遍に十のブリーフィングがあったときには、全員参加できるとしても、小さい人数しか抱えていない通信社は大変なんです。ですから、インターネットなんかで情報を流していただいた方が我々は有り難いということです。  最初にお話をしたときに申し上げた、英語での情報提供が必要だと言いました。英語やほかの言語情報を提供してほしいと申し上げたんですけれども日本アジアコミュニケーションをする際には幾つか大きな違いがあると思います。  アジアジャーナリストの多く、日本にいるジャーナリストたち日本語が上手な人たちが多いんです。アジアジャーナリスト、実際、英語ができなくても日本語ができる人がいるんですね。東京にいて、中国人だったらどうして英語をしゃべる必要があるかということになるわけです。ですから、アジアジャーナリスト日本にいる人たち、この人たち、特に中国出身の人たちになりますと言語が問題ではないんですね。中国以外だと、やはり第二言語としましては、英語がしゃべられますので英語ということになりますけれども。  それから、アジア諸国を見たときに、御存じかと思いますけれども日本というのはアジアではとてもよく知られています。西欧よりもアジア日本の存在が知られています。日本の文化も、テレビのドラマが流れていますし、歌手とか映画とかよく知られています。日本の文化というのはアジア全域でよく知られています。  日本に対してプラスのイメージがかなりあると思います。私が読んだ記事がありますけれども、幾つかの角度から幾つかのメディアで掲載されたんですけれども、一、二年前の話です。中国が反日デモをしていたときですね。日本の大使館に向かっていろんなものを投げていたと、日本を攻撃していたという、ああいった記事があったときなんですけれども、皮肉なことに、そこでデモをやっていた人たちがテキストのメッセージを流して、ソニーの携帯電話で、大使館に物を投げようと、反日行動でそれをやろうとインターネットで呼びかけていたんです、デモ隊の人たちが。でも、全体的に日本には外国ではいいイメージを持っています。  外人記者ですけれども、外人記者が中国で活動するときにどんな問題があるか。日本よりも大変です、実際。中国というのは、単に自由に動き回れないという問題があります。自由に取材活動ができないんです。日本は何でも好きなところに行って好きなことができるということがありますから、少なくともここ数年間、政府の方から外人ジャーナリストを追い出したような経験というのはないと思いますよね。もうそれはずっと前のことだと思います。今はそんなことはありません。  だから、アジアではちょっと違った見方をする必要があるかもしれませんね、西欧とはちょっと違った見方で。つまり、文化的には既に日本に対していいオピニオンが形成されています。アジアと西欧の違いというのは戦争問題です。そういう意味では、これはもう何度も何度もまた出てきてしまう問題ということで存在しています。これで今までやってきた日本のいい作業というのが打ち消されてしまっている部分はあるんですけれども。  ですから、どうやってコミュニケーションすればいいかといういい答えはなかなか見付からないんです。私がそんな答えを持ち合わせていたら、私は今ごろとてもお金持ちになっていたと思うんですけれども、そんなことはできないんです、非常に環境も違いますし。これを更に調査されたいということでありましたら、私の同僚を御紹介することはできます。今、中国で取材をしている人なんですけれども、彼がこの二国の違いについて伝えることができるでしょう。ですから、もしも御関心がありましたら、御紹介させていただきます。
  26. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) もちろん、私ども世界を見る場合に二つの国を中心に考えがちです。しかしながら、外交と同じようで、世界は二か国間関係で成り立っているのではなくて多国間関係で成り立っているわけですから、どこにいようとも、その国だけ見ていればいいわけではないわけです、いろいろな相互作用があるので。  中国のジャーナリストのプレゼンスですが、それも広い視点からちゃんと関係を見なければなりません。カナダは、ニュース通信社として中国に出向いていった最初の機関としての一つです。一九六八年ぐらいでしたけれども、中国は国連に加盟をしたわけで、そういう意味でカナダが応援したので、カナダに対して開放してくれたわけです。CBC、カナダ放送協会と、そしてグローバル・アンド・メールに対して門戸が開放されたわけです。アメリカが中国に関して情報を得る場合には、中国語の中国の新聞を読まなければならなかったわけですが、私どもはそういう立場にあったわけです。香港がそれから返還されまして、チャイナウオッチャーたちジャーナリストたちがいっぱい中国に来たわけです。何が中国で起きているんだろうということになったんですが、一九九七年のことです。それほど昔のことではありません。ジャーナリストは増えました。もう中国が開放していくと、そこに行けば金持ちになるというような話がどんどん出てきたわけです。そのメッセージだけだったんですね、そのときは。  ただ、理解しなければならないのは、ジャーナリストたちは、最初に来た人たちはフリーランスのジャーナリストであったわけです。外国特派員が知りたかったのは、これは本当なのかと。中国の報道は主にこういう報道であって、中国政府もこれを非常に利用したわけです。  ただ、今、中国は別の種類のジャーナリストたちが入っていっています。中国語はできるし、アジアの研究も非常にしてきているような特派員もいるので、非常に批判的な記事も出てきてはいます。ですから、数だけではなくて、全体の状況をよく見なければならないということです。  以上です。ありがとうございました。
  27. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 日本から外国特派員の数が減って中国に特派員の数が増えている、また中国関係の記事がどんどん増えているというのは、別に中国が取材に対してオープンであるとか、それから記者がアクセスがしやすいだとかといったようなことでは全くございませんで、御承知のように、中国の場合には記者の取材活動というのは大変に制限されております。  実は、私が外務報道官をやっていたときに中国の外交部の報道官と話して笑い合ったことがあるんですけれども、中国の外務報道官というのは世界的に顔が知られ、名前も知られておりますけれども日本の外務報道官というのは本当に、先ほど申し上げましたように、週に一度の記者会見しか顔が出る機会はございませんでしたので、なかなか顔が知られない。おまえさんはすごいねといったような話をしたことがございますけれども、逆に言うと、それしか外国のプレスが中国の政府見解をただす場がないのが実情でございます。  そのほか、取材活動は大変に厳しいものがございますけれども、今やはり伸びている中国からは、何の話を書いても本社のデスクは喜んでこれを紙面に載せる、大きく載せる。一方、沈滞している日本からの記事については余り本社のデスクが喜んで扱ってくれないという、その問題があることも事実でございます。あとは、したがって、記者の皆さんにいかにして魅力的な話を一つでも多く伝えていくか、また、そういう接点をどうつくっていくかということであろうというふうに思います。  先ほど来御指摘がありました中国それからアジアでどんなコミュニケーションということでございましたけれども、多分、日本の例えば中国にいるプレス、それからアジアの各地にいるプレスは、欧米のプレスの方々に比べると、はるかに言葉といい、それから身のこなしといい、それから腰の軽さといい、あらゆる意味で活動的であり、また十分な、まあ比較の問題ではありますけれども、それぞれにニュースソースを得て大変な努力をして随分いい仕事をしているという気がいたします。  例えば、テレビ世界で申し上げますと、日本テレビは民放も含めてほとんどのアジアの重立ったところに支局か、少なくとも現地で取材ができる体制を取っていて、そういう日本が持っているアジア情報、それから日本が持っている中国に関する情報というのは、是非これは世界にもっともっと伝えていってしかるべき、また、それだけの価値があるものだろうというふうに思います。  例えば、CNNなりBBCなりがアジアからの映像を時々使ってニュースに入れてくれてはいますけれども、しかし、アジア人の目で見たアジア、それからもっと、例えばバンコクならバンコクで、NHKのバンコク支局はタイの現地のスタッフも取材活動の中に加わってもらっていて取材をしております。そういう人たちが実際に画面に登場する、そういうニュースリポーティングも行われていることもございます。そういう形でもってはるかに密度の高いコミュニケーションが取られている日本アジア及び中国での取材というのをもっと世界に伝えることによって、アジアの物の考え方、見方というのが正確に伝わっていくんじゃないかなと、そんなことも考えております。
  28. 石井一

    会長石井一君) ツルネンマルテイ君。
  29. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私の方から、三人の参考人には同じ質問をしたいと思います。  実は、私が考えている質問に対して、もう既に今までいろんな方面から答えが、幾つかの答えはもう既に出ていると思いますけれども、ちょっと角度を変えて、また新しい角度からこの問題を提起したいと思います。  高島参考人の一番最初の発言の中では、今既に何回も問題になっているのは、日本が発信したい情報外国マスコミではニュースにならない、興味がない。そして、なぜそうかということは、今いろんな理由がここでも出てきますけれども、今まだ出ていないもう一つの理由がひょっとしたらあるのではないかなと思います。  私は、例にしたいのは、私が自分で取り組んでいる分野、例えば教育とか社会福祉とか、こういう環境問題に限って言えば、それは日本がやろうとしている、やっている例えば改革とかも新しいユニークなことでは実はないという面もあるんじゃないかなと思います。  よく教育でも、例えば北欧モデルとかアメリカモデルとか、どっちを日本がモデルにしているかとか、いわゆる日本型社会福祉、日本型教育というのはそんなにないんですね。どこかを参考にしてやっている改革であるということ。だから、例えばこれは、フィンランドで話をすると、いや、既にもうこれはフィンランドと同じことじゃないかなということ。  だから、そういうユニークさがない分野も、すべてがそうじゃないと思いますね。伝統的な日本の文化には非常にユニークなこと、それを伝えるのには私たちはいろんな方法を考えなければなりませんけれども、この中身、どうやって発信するかというよりも、日本には本当に世界に参考になるような日本モデルがないんじゃないか、分野によってですね。こういうことが理由で面白くないということもあり得るか、このことについて三人の参考人にはちょっとお聞きしたいと思います。
  30. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 確かに、日本が今行っている様々な改革の、じゃ、何を実際にモデルにしているかというと、各国で行われたものが参考にされているということはあろうかと思いますけれども、逆に、日本の経済が急速に伸びていて、日本の存在感が世界の中で増していたバブルというか高度成長期、あのころ、何が日本の魅力なんだろうか、何が日本の秘密なんだろうかということを外国のプレスの方々は随分取材して回ったという記憶がございます。  例えば、それが自動車の生産の方式であったり品質管理のやり方であったりというようなことで、少なくとも経済と産業に関する限り、日本はいろいろな形で新しいモデルを世界に対して提供していった。そして、その物づくりという点からいうと、日本は間違いなく世界の中でも冠たるニュースの発信源であったという気がいたします。  そうした部分というのは、決して消えていったわけではなくて、まだまだこれからも伸びていくんだろうと思いますけれども、ただ残念なことに、政治分野それから社会的ないろいろな問題と分野になってくると、日本から送り出す記事というのは、どちらかというと暗い、ネガティブな、若しくは変わらない、グルーミーなものが多くなってきて、それが記事全体の魅力をもっともっと失わせるという相乗効果を生んでいるような気もいたします。  ですから、日本が今、一体本当のところ何が起きているのか、例えば新しい芽はどこにあるのかといったようなことを実は日本メディアももっともっと真剣に取材してそれを探り出して、それを日本メディアが提示することによって日本におられる外国特派員の方たちもまた新しい発見を日本メディアを通じてする、そしてそれが記事になりリポートになるといったような、そんな新しい動きが早く始まってほしいなというふうに思っているところでございます。  ありがとうございました。
  31. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 非常に興味深い記事日本から出されているのを見ておりますけれども、今のところそれが報道を十分されていないと思います。  申し上げたい点なんですけれども、今、日本では十八ほどクラスターがあります。地域化ということでは、地域の大学でリサーチセンターがあり、それから民間の企業もあるということですから、日本では十八ぐらいもうクラスターができ上がっています。  非常に興味深いんですけれども、例えばナノテクノロジー、非常にリサーチをこの分野でするのはお金が掛かるわけですから、ですからCOEというのではなくてネットワーク・オブ・エクセレンスが必要なんです。ですから、そういう意味では、日本では十八の団体、これはもう国際的にネットワークをつくっていく必要があるでしょう。あるITの分野で共有して開発をしていくという必要があります。  これ、非常に興味深いです。先進国、世界においては、みんなどこでも、どういう形でリンクをつくっていくかということを考えているんです。つまり、産官学の間でどうやってネットワークをつくって開発をするかということがあります。経済を開発しようとしているわけですから、ですから日本がつくったモデルというのは、この産業クラスターモデルというのは非常に興味深いと思います。これに対してはたくさん報道できることがあると思います。  それから、もう一つストーリーで十分報道されていないことなんですけれども、二国間関係というよりは地域の経済統合が今進んでいます。例えば、世界を見回してみますと、欧州共同体があります。こういった共同体がつくられまして、政治も一緒にして、憲法もつくろうとしています。カナダでは、カナダとメキシコとアメリカでNAFTAをつくりました。これは貿易協定なんですけれども、トレードブロック、貿易のブロックとは呼びたくないです。できるだけ開放したいと思っています。  アジアにおきましても、ここ十五年間、日本の企業の多くが会社、アジアに移転をしてきました。そして今、中国のストーリー、つまり生産のラインの一部に中国が入ってきました。そして、数字を見てみますと、日本からアメリカ向けの輸出は下がってきているんです。そしてまた、アジアの諸国も同じなんです。でも、中国は輸出が増えています。といいますのも、多くの製品が中国で組み立てられているからです。ですから、このダイナミクスを理解するというのが大事でしょう。  日本役割というのは、この一連の生産のプロセスで非常に重要な役割を果たしているんですけれども、驚くべきことで余り知られていないこと、それは何かといいますと、中国に対して多くの国々は貿易赤字を持っているんですけれどもアジアの国々を見ますと、フィリピンは貿易黒字になっています。どんな輸出をしているかといいますと、エレクトロニクスの部品なんですね。日本若しくは台湾の企業がやっているんでしょう。ですから、地域の国々は中国に対して貿易黒字を持っています。これは理解しなければいけないでしょう。  どうやってこのような地域統合が進んできたのか。政府はそういう意味では余り今、関与していないんです。もちろん、条約とか協定とか結ぶわけですけれども、これはダイナミックに進んでいると。こういうような地域統合の動きが十分報道されていないと思います。  私が言いたいのは、日本ではツールがあるんです。これは、NHKという公的報道機関があるわけです。あなたの方がよく知っているから私が言うことではないんですけれども、こういうふうなストーリーは、NHKがもうちょっと取材をして、もっと突っ込んで、日本の社会、経済、文化、ダイナミクスがどうなっているかということを発信していただければと思います。それが発信されれば関心を持つジャーナリストが増えるでしょう。そして、追随の取材をするようになるでしょう、十分知らないから。日本にはこういったNHKというツールがあると思います。  こういったことを日本はもっと進めていくことができると思います。
  32. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 内容の問題ですが、コンテンツの問題というのはおもしろいと思います、内容があるかどうかという話ですが。  ここに来るときに、今日のヘラルド・トリビューンの一面のニュースを読んでいたんですが、アフガニスタン政府の話で、テレビ局に圧力を掛けて、インドのメロドラマをやめろと、アフガニスタンでいろいろ問題になっていると、女性に主人が二人いたりと、そういうようなことはどうもけしからぬというようなことになったようですが、このストーリーが、例えば南アだとかブラジルとか、そういうんであったら、国はどうでもいいんですが、ストーリー自体は面白いと思いました、国がどこであれ。これは、たまたまアフガニスタンのストーリーだったんですが。  ジャーナリスト日本を離れて中国に行ってしまうとか、あるいは中国がもっと報道されるというようなことが心配されますが、覚えておかなければならないのは、アジアの外の人たちにとってみれば度合いは低いけれどもアジアの中だってそうなんですが、読みたいニュースというのは、ハードニュースが一般的に人々は読みたいわけですね。政治とかビジネスとか、そういうニュースを求めている人がいるけれども、それから、非常にソフトな話もあり、フィーチャーストーリーで、より人間的なストーリーも読みたいという、そういう関心もあります。  ストーリーがどこから来ようといいわけです。日本はたくさんのこういうストーリーがあります。まだ語られていないストーリーがたくさんあるわけです。外国人の読者にしてみれば、視聴者にしてみれば、日本はたくさんいろんなことが起きているわけです。例を言いましょう。  先週というか、今週初め、テレビでフジテレビ報道しました。車を駐車するときに、エレベーターパーキング、駐車場で車がぐるぐる回って駐車するのがありますね。これの自転車版があってユーチューブで紹介されました。ユーチューブで最もこれが見られているようです。日本テレビ報道から始まったんですが、こういう、自動車を駐車するようなぐるぐる回る駐車方式を自転車にも導入したということが非常にニュースになりました。  こんなのはたくさんあります。例えば、テクノロジー関連、日本の環境、宇宙関連の、例えばNASAとかそういうのはよく聞きますが、日本のJAXAという宇宙開発の機関については余り語られていません。ポップカルチャーだってそうです。たくさん語る話はあるわけです。  問題は、すべてのジャーナリストが直面している問題は、そのコンテンツを見付けるところが難しいわけです。ただ、これはジャーナリスト仕事ですから、こういうのを見付けることをしなければなりません。  日本が本当にそのコミュニケーションを改善をしたいならば、そしてイメージを改善したいならば、政府がこういうような話題の取材を奨励することでしょう。先ほど言ったように、割安で日本で旅行できるように割引チケットを出してくださるとか、あるいは日本へ記者を招待してくださるとか、あるいは各省庁が、興味深いプロジェクトがあるときには、これをもう少しジャーナリストが見付けやすいようにうまく報道していただくということです。コンテンツが不足しているということではないと思います。むしろ見付けることが大変なんだと思います。
  33. 石井一

    会長石井一君) 峰崎直樹君。
  34. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 峰崎でございます。今日はありがとうございました。  ちょっと私も三時半過ぎに出なきゃいけないので、簡単な質問といいますか、もしかしたら難しい質問なのかもしれません、コーポレートガバナンスの観点から、ちょっとマスコミの問題について触れてみたいんですが。  日本新聞社、巨大メディアは日刊新聞法という法律で守られておりまして、株式をその内部だけで外に出さなくてもいい仕組みになっております。その巨大株式会社である新聞社テレビを、実は系列局をしっかり持ってコントロールしています。世界的にもこういう仕組みを持っているのは非常にまれではないかと思うんですが、その上、再販売価格制度とか、いわゆる事実上のカルテルを結んで、この新聞社が、どの新聞を読んでも同じような記事しか出てこないと。これは、実は先ほどから問題になっている記者クラブ制度の弊害でもあると思うんですが、要するに、新聞テレビ、それぞれ個性はあるんですけれども、本当の意味で内容上の競争が生まれる仕組みを持っていないんじゃないかというふうに私は見ているんです。  それが日本情報発信力のコンテンツの乏しさになっていやしないかということについて、ウィリアムス参考人及びベリボー参考人にお聞きしてみたいのと。  高島参考人はNHKにおられました。NHKは、そのコーポレートガバナンスという観点、まあコーポレートという概念が当たるかどうかは別にして、これまで予算というところで国会に非常に縛られてきました。今度はいよいよ衆参の力関係が、参議院では与党野党逆転をいたしました。その意味で、このいわゆるくびきといいますか、政治のくびきをある意味では絶って、独立した、気概のある、内容を伴った番組制作ができるんじゃないかなというふうに思っていますが、その辺り、どのように考えているか、お聞きしたいと思います。
  35. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 御質問ありがとうございます。  ほかの国々において確かに法律があります。外国メディアを持つ、保有することに対して規制する法律があると思うんですけれども、ただ、その違いとしましては、西欧と日本との違いに関して申し上げますと、日本では、先ほどおっしゃいましたように、大きな系列があるわけです。四社か五社か大手があって、それとあとNHKなども含めて、これがもうほとんどすべてのニュースをコントロールしているという状況です。これはもう、特派員としましても、どのテレビを見ても、新聞記事を指しながら、今日、新聞ではこんな報道がありましたみたいな番組があったりすると面白いなと思います。  私の国、イギリス新聞だと、しばしば多くの新聞は第一面の紙面が違うんですね。同じ記事は書きたくない、違う記事を書きたいとそれぞれ思っているわけです、もちろん物すごく大きなニュースがあれば別なんですけれども。そういう意味では、やはりニュース多様性という意味では影響が出てきていると思います。  それから、コントロールがあるということで、やはりインターネットの台頭も阻まれてきたんじゃないでしょうか。ほかの国々は非常にメーンストリームの主流メディアにチャレンジするほどになってきています。  例えばアメリカ、インターネットがすごく台頭しています。例えばブロガーという人がいるんですけれども政治に関してブログをしていると。そのブログがすごく影響力を持って、もうメーンストリーム、主流メディアになってきてしまったと。CNNとかテレビにもしょっちゅう、つまり、リークなんという、そういうような最初の情報を得るのもブログだったりすることがあるわけですけれども日本におきまして、もちろん報道局、新聞社など、ウエブサイトを持っていますけれども、競争は十分ないと思います。  それから、ニュースの項目も、まだまだ、どこが決めているかというと、新聞社が決めている場合が多いわけですね。今日のニュースの一番大きなものというのが朝刊に載るということで、オンラインに先に出ることがありますね。テレビに先に報道されるということもない。時にはありますけれども、一般的には新聞社の朝刊でもうその日のニュースが決まるみたいな感じになっています。  そういう意味では、ダイナミクスがすごく違います。これがやはりニュースの流れに影響を及ぼしていると思います。
  36. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 今おっしゃった質問ですが、私どもはこういう懸念はいろんなところで見られていると思っています。カナダもそうです。情報の質ということに関して非常に心配しています。どの方向に行くのかまだ分からない。従来のような質がなくなってきていると、良くなっているところもありますが。それは状況によって違いますが、もうセンセーショナルなニュースが非常に求められています。情報のエンターテインメントとでもいいましょうか、非常に表面的なものが増えています。  それから、ここ十五年、転換したこととしては、過去においては、情報源というのは人々にとっては新聞でした。今はもっとテレビの方に移ってきています。ラジオはなくなってきて、それからインターネットが現在出てきていますから、常にこの領域というのは変わっています。それから、オール・ニュース・ネットワークというようなネットワークもあって、ニュースばかりのネットワークもあります。ですから、原則的にはいろいろ代替肢が増えているわけですね。  ただ、マスメディアという観点から、私がCBCにおりましたときにドキュメンタリーなども作ったんですが、私どもが社会をそのままに反映していないということで人々の関心が少し低下していると。  例えば、ニュースキャスティングなどにうかがえましょう。数字は大体、二五%の人たちテレビで見る人たちは、自分の意見を言っているのではなくて、幾つかの組織に代わってその意見を言っているわけです。カナダではたくさんの白人が出てきます。マイノリティーがテレビに出てくるということは、そのマイノリティー自体が話題にならない限り少ないのです。例えば、主婦が出てくるということも少ない。主婦は消費、教育などの決定をしている。子供に対していろいろ決定しているにもかかわらず、彼女たちテレビなんかに出てくることは少ないわけで、社会がゆがんで映ってしまっているわけです。  代替肢が提供されると、例えば人々はこう言います。例えば、マスメディアにないこういうことについて知りたいとなれば、代替肢を選択するようになります。  それから、メディアの進化ということについて言うならば、最初は、書いたいろいろな新聞があって、それからラジオがあって、それからテレビになったわけですが、これは三つのタイプのメディア。ただ、新聞のいいライターであったとしても、テレビのいいニュースが書けるわけでは必ずしもない。  私どもの分析では、いろいろなストーリーが出ているわけですけれども、人々は非常に理解に苦しんでいる。例えば、統計が出ていてもフォーカスがされていない。統計がこれとこれとこれといっても、なかなかその焦点を合わせて語っていない。  個人を使ってストーリーを語らせればいいと私は思うのです。いろいろ、物が読めないと、物が読める人が少なくなってきているということがよく言われていますが、子供が十二年学校へ行ってまだ読み書きができないということになれば、そういうストーリーを語ればいいわけです。そうすれば、まさに関心事ですから人々はそれを聞くようになるわけです。  ニュースは今、表面的にはなっていますが、代替肢は増えている。ジャーナリストもその改善をしなければならない。もっと一般国民、それから政治家からプレッシャーが掛かれば改善が見られると思います。
  37. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 公共放送、特にNHKのように強制力を持たない形での受信料に頼ってラジオとテレビの放送をする機関を持っているというのは、日本のすばらしい私は文化の一つであろうというふうに思っております。  その予算をそれではだれが、だれに対してアカウンタブルであるか。もちろん受信者であり、それから国民であるわけですけれども、その代表である国会に予算を提出し、また人事のうちの経営委員の部分について国会の審査をいただくということは、この文化を守っていく上での一つの大きな担保として制度として設けられているんだろうと思いまして、私は、この部分についても十分納得した上でNHKで三十七年間仕事をしてまいりました。ただ、NHKを離れてからもう既に八年たちまして、その間に様々なことが起きておりますので、今の状況について、じゃどこまで知っているかというと、本当に限られたことしか知っておりませんけれども。  ただ、先ほど申し上げましたように、国民が受信契約を結んで受信料を払って、その上でラジオとテレビの放送を出すという機関をつくっているというこの文化というのは、やはり国民の信託の上に成り立っているものでありますから、もちろん政治状況がどういうふうになっているのかということを伝えることもその大きな仕事一つだろうというふうに思いますが、ただ、政治にこびること、若しくは政治にあえて逆らうこと、そんなことよりも、今、一体何が起きているのか、どういう方々がどういう考えを持っているのかということをきちんと伝えることが一番大きな仕事であろうというふうに私は思っております。  それよりも何よりも最も重要なのは、自分たちがそうやって負託された役割を果たしていく上で、必要以上に視聴率を気にしたり、必要以上にセンセーショナリズムに走ったり、若しくは必要以上に何かにこびたりといったようなことを自らきちんと戒めながら、いかに質の高い番組とそれからニュースを出していくかということが一番問われているんだろうというふうに思います。  今、ようやく様々な問題の整理が少しずつ付き始めて、新しく民間から福地会長をお迎えし、そして、私と大変にジャーナリズムの考え方では、一緒の仕事もしたし、また彼の考えをよく知っているつもりであります今井という国際問題にも通じたジャーナリストが副会長になって、この福地・今井体制でNHKが再出発をしようとしております。  私は、彼らが質の高い番組、そして質の高いニュースを出すということを本当に最重要な使命としてNHKを運営してくれる、そうすれば必ずや国民の負託、視聴者の負託にこたえられるんではないか、国会の状況で参議院と衆議院の多数の党派が違うということがプラスになるかマイナスになるかということ以前に、むしろNHK自身が自分たちの振る舞い、自分たちのやっている仕事をきちんと見詰め直して、より高い質のものをつくるべく真剣に努力する必要があるんではないかなというふうに思っておるところでございます。  ありがとうございます。
  38. 石井一

    会長石井一君) 本日の議論は大変活発で興味深いようですが、あと三十分残しまして四名の質疑者の通告がございますので、ひとつ質問も答弁も簡潔に、また、答弁者はできるだけ限定してお願い申し上げたいと存じます。  それでは、最初から手を挙げておる野村哲郎理事。
  39. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございます。会長のお計らいで先にさせていただきます。  私は、日本発信力強化というテーマでこの調査会あるわけでありますが、今日お話をいただきました外国ジャーナリストの皆さん方が日本をどう見ておられるのかと。特に情報発信という視点でお話をお伺いしまして、ウィリアムスさんから私は非常に貴重な意見をいただいたなと思っておりますのは、一番最後にありますように、やはり日本政治関連行事等の日程カレンダーを早めにくれという、これは私はできるんじゃないのかというふうに思いますし、それからもう一つは、ニュース情報提供をすべて集めて一か所で出してほしいという、そういうお話がございました。  そういう意味において、前、外務報道官されておりました高島参考人が、報道官としておられたわけでありましたので、今ウィリアムスさんから提供がありましたそういったことはすぐにできるのではないかと、こういうふうに思うんですけれど、役所の仕事の中で私どもは余り分かりませんので、感触として、今ウィリアムスさんからそういった提案がありました二つ、すぐできることじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。  それから、ウィリアムスさんにもう一点だけ簡単に質問しますけれど、ウィリアムスさんのお話の中で、より上位の政治家なり官僚、こういう多くのアクセスを求めているんだというお話がありました。確かに、二百何社あります特派員の協会の皆さん方、関心を持っておられることがそれぞれ違うのではないのかと。そうしたときに、お一人お一人の関心にすべて対応できるというふうにいかない。だから、特派員協会の方で何かやっぱり、この政治家を呼んで話を聞こうとか、こういう官僚を呼んで話を聞こうとか、そういうことでもやっていただければ、それぞれの関心事を持っていくよりは私はまだより良い情報提供ができるのではないかなと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。  このお二人だけで結構です。
  40. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 私ども特派員協会を代表して申し上げますが、政治家をお願いすることがあります。イエスと言って来てくださる方もあるし、本当に話したくないという方はいらっしゃらなかったりするわけですね。来てくださったり来てくださらなかったりしています。  私がコメントしたのは、特に、例えば外国特派員で、何かある場合には一週間、二週間という期限があるわけで、例えば今日何か事件が起きたとしましょう。私は今日そういう方とアクセスを持ちたいわけです。そういう話です。  私の方で先生をお招きすることもあるかもしれないと思います、近い将来。
  41. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 政府関係の日程を一か所で集めて、そして、それを例えば英語にして情報として提供していくという仕事を多少は今、外務省の外郭団体でありますフォーリンプレスセンターなどでも試みていると承知しておりますけれども、これをいわゆるシステマチックにやるということについてはなかなかうまくいっていない状況だろうと思います。  御指摘をいただきましたので、私、まだ多少外務省でパートタイムでお仕事をさせていただいておりますので、そんなことも問題提起をしてみたいというふうに思います。  もう一つ情報をどのような格好でもってこれから流していくのかということについても、できるだけ外国のプレスの仕事がしやすくなるようなということを常に考えてみたいというふうに思います。
  42. 石井一

    会長石井一君) 加賀谷健君。
  43. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 どうも今日はありがとうございます。加賀谷と申します。  先ほど来から日本発信力というテーマでございましたけれども、どうも日本人の国民性といいますか、私なんかもそうなんですけれども、まず一つは、言葉一つしかできないという人がたくさんいて、英語での表現力というか、そういうことが余りうまくない。また、目立つことを嫌うというか、余り出しゃばるんじゃないと。謙虚さが美徳みたいなところもあるんではないかなと。そしてまた、先ほど出ていた記者クラブという変な仲間意識があって、お互いに余りすっぱ抜かないみたいなところがあるような気がするんですね。  それで、先ほど来からいろんなそういう発信を強めるということで、先ほどNHK、これは私どもも放送法の改正の中でいろいろ議論をさせていただきましたけれども、そういう法が改正されて、これから発信力、まさにNHKに求められるのはそういうことだろうと思います。  そして、先ほど来から御示唆をいただいている各省庁ウエブサイトの充実、そしてまた、いろんなシンクタンクが発信していると思いますけれども、こういうところの発信等々があると思うんですけれども、どうもどれを取ってもまだまだ日本は十分ではない。しかし、ウィリアムスさん、あるいはベリボーさんから見て、このことだけは今からでもできるんではないか、早急に取り組むべきだというような御示唆をいただければ有り難いなと思うんですけれども
  44. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 日本で今年、大きなイベントとすればG8サミットです。多くのメディアは北海道やその周辺でやります閣僚会議に行きたいと考えるわけですけれども、そこでジャーナリストはやはり情報にタイムリーにアクセスしたいと考えるわけです。つまり、そこに行くことができないのであれば、すぐにそこで発表された声明についてはアクセスが欲しいわけです。それから、ライブで画像が見たいわけですね。もしも記者会見があればライブで見たい。これは提供は可能だと思います。ビデオと写真を日本政府の方からマスコミ用に使ってくださいと出していただければと思います。そうすれば外国メディアもそれを使っていくと思います。  当然ながら、たくさん取材されることになると思います。関心も高いと思います。必ずしも全員が現地で取材できるわけではないので、すぐにできることとしてはこれが考えられます。これが、いわゆるうまくいくかどうかのテストケースにすることができると思います。
  45. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 即座にできるということになれば、一つ考えられるのは、私どもが知りたいのは、その政治家がどういうふうに考えているか、どういう影響力を持っているのかということを知りたいわけで、ネットワーキングの問題だと思います。  ネットワーキングはいろいろな方法があると思うんですが、例えばメッセージ海外に伝えたいというのであれば、幾つかの協会があります。日本カナダ協会あるいは議員連盟のようなものがあるでしょう。そういう組織を通じれば、こういう人がこういうことを思っているとか、そういうことが分かるわけです。私どもはもっと知ることができるわけです、ある個人がどう思っているかというようなことについて、そういう協会などとネットワーキングをすれば。  ネットワーキングをすればいろいろな話題は伝わるわけで、非常に興味深い話をしそうな人がいるとすれば、ジャーナリストは電話を使ってよくコミュニケーションをするわけですが、だれもほかに見付けないようなストーリーを私どもは常に探そうとしています。それぞれが独自にそのストーリーの確保の仕方を持っていますが、私だったならば、日本にいるカナダ人で影響力のある人とコネを持っている人はだれだろうと探すわけです。直接こういう人たちと接触をして、この人を知っていますかというようなことを聞く。これは一つ、即座にできることだと思います、こういうネットワーキングなどを通じて情報を求めるということですね。
  46. 石井一

    会長石井一君) それでは、牧野たかお君。
  47. 牧野たかお

    牧野たかお君 先ほど来から出ていますけれども、あの悪評高い記者クラブに私は十三年いたんですけれども、まず、ウィリアムスさんとベリボーさんに伺いたいと思うんですが、外国ジャーナリストから見た日本記者クラブの姿をお二人、先ほどおっしゃいましたけれども、中にいた人間からするとちょっと違うかなと思うところもありますが、それと、要するに、先ほどから出ている官公庁を含めて日本側の情報サービスがまだ低いということと、やっぱり日本が魅力がなくなっているのとはまた別の話だと思うんですが。  そういう中で私が思ったのは、日本でも、例えばEUの国の中で、ニュースで余り扱えないという国でいえば、スペインとかイタリアとかはほとんど私はニュースに出てきていないと思うんですよね。それはなぜかというと、自分たちの、自国に対しての関係の深さとか影響が余りないというふうに取って、多分、日本テレビ局、新聞社というのは余り扱わないんじゃないかと思いますけれども。  それと同じように、今、日本から中国に特派員の皆さんが移っているというのは、これは一つは、やっぱり自国への影響力日本よりも中国の方がだんだん最近増えてきたから行っているだけの話じゃないかなという気がしますけれども、まず今の質問に対してお二人にお願いしたいというのと。  高島参考人には、大変、外務省初の報道官として御苦労されたというのは本当に敬意を表したいと思いますけれども、多分、高島参考人も、先ほど来からいろんな御意見出ていて、記者クラブ制度というのは確かに弊害もあるんですが、決して競争がないわけじゃなくて、競争は各社の中であるし、また、情報を取る取らないというのも、一方的に役所側から来ているのだけで原稿を書いているわけじゃなくて、それぞれの記者が努力をしてニュースソースと信頼関係をつくって、そういうことができる記者は敏腕な記者であるし、できない記者はいるだけの記者ですけれども。  だから、私は、必ずしも記者クラブ制度というのが一〇〇%いけないかといえばそうでもないと思うんですが、ただ、外国人の皆さんとの関係でいうと、日本人だけの記者クラブが存在していいのかというのが、先ほど話を伺っていてそう思ったんですけれども、これからの在り方とすると、外国人の皆さんも一緒にしちゃった記者クラブをつくった方がいいのか、それか、もう記者クラブみたいなのは、場所だけ提供してあげるから、居場所として、一切便宜はやめちゃうか、どっちかだと思うんですけれども、それについてどう思われるか、最後に伺いたいと思います。
  48. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 御質問ありがとうございます。  多分、国がほかの国に対してどんな影響を与えるか、その影響力、それによってどれぐらいのニュースが伝えられるかというのは、それは大きいでしょう。ですから、例えばスペインの政治とかイタリアの政治については余り報道日本ではないんですね。同時にイタリア側もそうなんですよ。日本政治に関しては余り報道されていないわけです。  ただ、そういうようなハードニュースから離れて、文化的な記事とか科学とかビジネスとかそういった分野になりますと、こういうような分野日本はまだ世界に伝達できるものがたくさんあると思うんです。日本ではいいストーリーがたくさんあると思うんです、そういうような分野では。  一つ、この調査会で焦点を当てていますのが地球温暖化と環境なんですけれども日本で行われていること、世界を主導するようなことがたくさん行われています。世界中の人たち関心を持つと思うんです。というのも、日本がこの分野で作業をしていて、この作業、この環境の分野というのは世界中に影響があるからです。日本はやはり革新の中心だと思います、世界の中で。  中国はもちろん非常に興味深い。その理由は、世界で一番に大きな国であって、今これだけ大きな変革を起こして市場経済に移行しているということで、いろんな問題も付随して発生しているということで興味の対象になっているわけですけれども、中国は何も今、革新的に発明していないんですよね。内容という意味ではそんなにないんです。日本が発信しているもの、日本からつくられるものはすごいんです。ですから、企業も政府日本からつくっているものというのはたくさんあるわけです。まあ答えになっているかどうか分かりませんけれども。  日本で起きていることはたくさんあると思いますけれども、それはハードニュースとは違ったニュース、そういった分野テレビ局、世界中のテレビの支局などが関心を持つことができると思います。  記者クラブの質問についてもちょっと私、触れたいんですけれども、最後におっしゃったことについて。  私は、例えば記者クラブをなくしたら日本海外イメージは良くなるということを決して言っているつもりもありません。私たち仕事が楽になるとも言っているわけでもないんです。記者クラブというのは、ハードニュース取材するときは難しいんですけれども、これはフィーチャーストーリーをやる場合とは違うんですけれども、ただ、私たちが直面している困難ないら立ちの一つであるということだけ申し上げさせていただきます。
  49. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 記者クラブというのは別に日本だけのものではございませんで、ワシントンに行けば国務省の記者室があって、そこには常駐の記者たちがクラブをつくっていて、レギュラーと称して、例えば私がカバーしたときにはキッシンジャーでございましたけれども、キッシンジャーの周りにはユダヤ系を中心としたアメリカ人の記者たちが本当に親密な関係をつくって、外の人間はほとんど立ち入ることができない世界があったことは事実でございます。  ただ、一番大きく違っておりますのは、やはり日本記者クラブは、先ほど来指摘があるように、例えばフリーランスの方は入らない、新聞協会加盟社の、しかもその社が指定した人間しか入れないといったようなところが多少違っているのかなという感じで、何もその記者クラブがすべて問題の根源であって、それをなくしてしまえば解決するかというと、決してそんなことはないんだろうと思います。  むしろ、先ほど来話が出ているのは、日本メディアの中にももっともっと面白い、深みのある、中身の濃い記事がどんどん出てくるようになれば、それに刺激を受けた、若しくはそれにヒントをもらった外国のプレスがもっといい記事を書くんじゃないかということが一つあろうかと思います。  記者クラブの問題について更に付言すれば、昔は確かに癒着といったような、報道とそれからそのお役所との癒着の、ある意味では一番の根っこが記者クラブ問題だといったような話もございましたけれども、今はそんなような状況では全くない。むしろ、記者クラブは確かに仕事をする場所として大変便利であると。あそこをもう少しオープン、開かれた場にすれば、もっともっと外国のプレスの人たちが入ってくるようにすればいいだけの話であって、今、仕事のスペースを用意したらどうかという話がございました。そういうこともやり得ることだろうという感じはいたしますけれども、もっと何か問題の本質は深いところにあるような気がいたしているところでございます。
  50. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 透明性、もうこれは世界中のトレンドだと思います。いつの日か日本もこういうような政策の犠牲者と感じるようになるんではないかと思います、記者クラブを持つことによって。多分、これから日本は先進的な民主主義国としてやっていった方がプラスが多いと思います。例えば、台湾と中国。台湾では、前はプロパガンダオフィスがありました。中国に対してあったんですけれども、長年掛けて民主主義のカードを切ろうと考えたわけです。透明性を高めました。つまり、中国とは違うということを打ち出そうとしたんです。ここでは、日本もそういった障壁を取り除いた方が、そして透明性を高めた方が自分に得だと感じるようになると思います。
  51. 石井一

    会長石井一君) 皆さんの御協力で相当時間を稼ぎましたから、川口順子理事、最後の御質問でございますが、時間が十分あります。どうぞひとつお続けください。
  52. 川口順子

    ○川口順子君 ありがとうございます。  質問の前に私の問題意識を先に申し上げておきたいと思うんですけれども、問題意識は、日本発信力強化のために使えるリソースが限られている場合に何からスタートしたらいいかということです。  それで、先ほどウィリアムス参考人が、日本にコンテンツはあるけれども、それを見付けることが難しいんだということをおっしゃいました。それで、これはウィリアムス参考人とそれからベリボー参考人とお二人に二つの質問をしたいんですが、まず、取材をなさるときに何が一番今の活動を見ていらして取材ソースでしょうか。インターネットでしょうか、それとも記者会見でしょうか、個別のインタビューでしょうか、それともほかの何かでしょうかというのが質問の第一です。  それから第二は、これもお二人になんですけれども、もう少し全体を見ようとしたときに、いろいろな組織あるいは個人がインターネットで発信をしている。日本から中国にジャーナリストが移動してしまうというのは残念なことですけれども、これは仕方がないことだというふうに私は思うんですけれども、そのときにインターネットを──ですから、そのときにジャーナリストの今後の役割外国ジャーナリスト日本にいる、は何だろうかと。特に、インターネットの発信がこれだけ自由で、より直接に働きかけるというときに、あるインタープリテーションをやるというのがそのジャーナリスト役割だというふうに思いますけれども、そういうことが今後もっと重要になるのか、それともそうでないのかということなんですが、ジャーナリスト役割は一体どういうふうに将来なっていくんだろうか、これが二つの質問です。  それから、高島参考人一つ御質問したいのは、その発信力強化のために、まず一番やることが必要なことは何でしょうかと、一つに絞るのが難しければ二つでも結構ですけれども。それだけです。
  53. マーティン・ウィリアムス

    参考人マーティン・ウィリアムス君)(通訳) 川口先生、ありがとうございました、御質問。  どういうソースを使っているかということは、私、種々のニュース取材しているんですが、ビジネスニュースならば、企業のニュースならば主要な情報源は直接の企業からの情報です。それから、国内の報道が何を言っているかということです。  御存じかどうか分かりませんが、幾つかの日本メディアが、特に共同通信、そして日経が英語のほとんどリアルタイムのニュースサービスをやっています。それから、外国特派員が、メディアが見るのはロイターとかブルームバーグというような大きな通信機関を見ています。毎日、新聞を読んでビジネスストーリーを選んで、その短い英語記事を出しています。この新聞はこういうふうに出していますから、それも参考にします。  こういうニュース配信サービスを見るのも英語アクセスできるからということですね。私のまずい日本語新聞を読むよりはそういう方がやりやすい。それから、非常に早いし効率も高い。もう既に新聞を見て、サマリーを出してくれていると。ベストストーリーのサマリーを出してくれているということで非常に手早いわけです。  それから、ハードなニュースではなくてフィーチャーストーリーのようなものにつきましていうならば、日本メディアにもっと依存します。テレビで何が報道されているかとか、いろんな新聞に何が報道されているかということを見ます。それから、インターネットを通じて、二、三のブログを、日本ベースの外人の書いたブログなどを読みます。そうすれば、私が見付けられなかったようなことも彼らは見付けてくれます。  数日前、一つの例を申し上げますが、日経は、バーがあって、夜、コンピューターを使ってゴルフができると。バーでお酒を飲みながら、コンピュータースクリーン見ながらゴルフができる、そういうバーがあるというものを見付けました。これは、私、現地の新聞メディアから掘り出したものです。これ、今追求しています。国内のメディア日本報道されるニュース外国人が外国報道する際に非常に影響力を持ちます。外国メディアが直接そういうものを読むというばかりでなく、そういうところから一つの刺激を受けて外国特派員がそのニュースを追求するということです。  さて、ジャーナリスト役割ということですが、終わりの方でこの質問が出たので良かったと思います。冒頭で出たならば、まだこの点について議論が続いていたと思います。これは非常に大きな課題で、海外で議論されています。インターネットの登場、インターネットが非常に強力になってきたこと、それから、日本はまだそれほどでもないんですが、新聞を読む人が、購読者が少なくなっている。外国は、インターネットばかり利用して新聞の方は非常に読む人が少なくなっている。インターネットの方も特にもうかっていないということで、外国特派員が非常に苦心をしています。  メディア外国支局が非常に削減されているのもその理由です。アジアに一人派遣をするということになりますと、それは中国となりましょう。中国で何が起きているかということに関して非常に関心が高いからです。外国特派員役割というのは、私ども自身よく分かっていないわけです、将来のことに関しては。最近、通信サービス、AP、ロイター、ブルームバーグ、基本的なストーリーはそういうニュース配信会社から出てくるわけで、外国人特派員については、あれより深みを増す、背景的な説明をする、なぜこういうことが起きた、何かが起きたという事実だけではなく、なぜ起きたかという説明をするという、そういう役割になってきています。ますますそういう役割が強くなってきています。ですから、より深い、より大きな視点を提供しなければならなくなってきているわけです。ただ、外国首相がこう言ったというだけでは不十分なわけです。
  54. マルク・ベリボー

    参考人マルク・ベリボー君)(通訳) 今の情報ソースの質問ですけれども報道者としてでなくてテレビのドキュメンタリーメーカーとして答えさせていただきます。  情報のソースはどこかといいますと、テレビセットを開きますと、日本の社会が分かります。基本的に、私は、前、テレビプログラムを作りました。日本テレビプログラムについてドキュメンタリーやったことあるんです。何で日本の番組についてかと言われたんですけれども日本の現実を反映しています。トークショーもあるし、音楽もありますし、メロドラマもありますし、日本テレビ番組というのはいろんな要素が分かるわけで、日本テレビを見れば情報が分かるということです。  将来のジャーナリズムですけれども日本取材に関しては、これからはもっと質の高い日本に関しての情報発信が必要でしょう。つまり、単にデータの情報を得るというのはもう簡単になってしまっています。ですから、質の高い情報を得るということはどういうことかといいますと、外人のジャーナリストはもっと知識日本に関して深めなければいけない。そのためにはお手伝いもいただかなければいけないんです。  ですから、課題は何かといいますと、もっと良いブリーフィングを与えてください、深い。どんなトレンドが日本で起きているのか、我々が理解できるようにブリーフィングをいただきたい。そうすれば、何を報道すればいいか分かるようになります。  面白いストーリーなんですけれども、これから二十年で五億人、アジア人たちが都市に住むようになってきます、五億人も。こんな現象は今まで世界ではありませんでした。  いろんな旅をしていて気が付いたんですけれども、近代化の問題、アジア人たちというのはだれとアイデンティティーを持つんでしょうか。アメリカ人でもない、ヨーロッパ人でもない、多くのアジア人というのは日本人とアイデンティティーを共有するんです。  例えば、香港の地下鉄に乗りますと、格好いい写真というのは渋谷に座っている若い子供たちですよね。後ろに大きなスクリーンがあって、みんな4Gの携帯電話を持っている、これが格好いいと、これが近代化だと、こういったものをやりたいと香港の子供たちは思うわけです。  ですから、日本が提供している情報というのはみんながあこがれるものなんですね。文化的な貢献というのは日本から多いと思います、この近代化の中で。アジアではみんながあこがれの対象なんです。それを報道したいんです、私たちとしても。そのためにはその知識を深めたいと思います。
  55. 高島肇久

    参考人高島肇久君) 現在、外務省とそれから在外公館を合わせますと、三十二の言語でインターネットで情報を発信しております。この三十二の言語を見ている人がどのくらいあるかというと、二〇〇六年から二〇〇七年にかけて一一%増えて、今、二千六百五十万ページビューが記録されております。これは大変な情報発信でございますが、ただ問題は、この三十二言語ウエブサイト、レベルがまちまちで、まだまだ中身をもっと改善しなければいけない問題がいっぱいございます。  今、外交強化というので在外公館の人数を増やしたり、数を増やしたりしておりますけれども、私は、限られたリソースの中で一番やるべきことは、パブリックディプロマシー観点からいっても、重立った在外公館、特に三十二の言葉でそれぞれのページを作っている在外公館には、間違いなくウエブマスターという、常に自分たちはどんな情報を出していて、それが本当にタイミング良くスピーディーに流れているかといったようなことを確認できるような、そんな人を置くことによってこの部分を強化する、これが一番即効性のある発信力強化だと思います。  もっと長期的な、漢方薬的な発信力強化といえば、先ほど申し上げた人材の育成でございますけれども、特に日本ジャーナリスト教育というのが問題でございまして、よく昔から五W一Hといいますけれども日本の今出ている報道というのは主に、手続報道と私、言っておりますけれども、どこでだれがいつ何をするかまでは書かれますが、なぜと、それからどんなふうにという、そのインデプスの部分が極めて不足している。ここにもっと力を入れることによって、先ほど来外国のプレスの方がおっしゃっているように、日本新聞記事から受けるヒントはもっともっと増える。それによって日本に対する理解が深まって、日本についての情報発信がもっと増えるのではないかと、そんなふうに思っております。
  56. 石井一

    会長石井一君) それでは、ちょうど予定の時間が参りましたので、本日の調査会はこの程度といたします。  一言ごあいさつ申し上げます。  ウィリアムス参考人ベリボー参考人及び高島参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、厚く御礼申し上げます。
  57. 石井一

    会長石井一君)(通訳) 今日の議論は非常に興味深く、また率直な、エキサイティングな、そしてジャーナリスティックなものでもありました。委員会に代わりまして深く御礼を申し上げたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  58. 石井一

    会長石井一君) これにて散会いたします。    午後四時二分散会