運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-05-20 第169回国会 参議院 経済産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 加納 時男君                 松村 祥史君     委 員                 下田 敦子君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤原 正司君                 前田 武志君                 渡辺 秀央君                 荻原 健司君                 塚田 一郎君                 古川 俊治君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 松 あきら君                 山本 香苗君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    副大臣        経済産業大臣  新藤 義孝君        経済産業大臣  中野 正志君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     青山  伸君        経済産業省産業        技術環境局長   石田  徹君        資源エネルギー        庁長官      望月 晴文君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       上田 隆之君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        北川 慎介君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君        環境大臣官房審        議官       谷津龍太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○エネルギー使用合理化に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○揮発油等品質確保等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー使用合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等品質確保等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会文部科学大臣官房審議官青山伸君、経済産業省産業技術環境局長石田徹君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁資源燃料部長北川慎介君、国土交通省住宅局長和泉洋人君及び環境大臣官房審議官谷津龍太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山根隆治

    委員長山根隆治君) エネルギー使用合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等品質確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣
  5. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まず、エネルギー使用合理化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国は、京都議定書目標を確実に達成するとともに、中長期的にも温室効果ガス排出量削減することが求められております。温室効果ガスの約九割はエネルギー起源二酸化炭素であり、一層の地球温暖化対策推進のため、省エネルギー対策強化が求められております。  また、エネルギー資源の大部分を海外に依存している我が国において、最近のエネルギー価格の国際的な高騰に対応するため、国民経済全体として更なる燃料資源有効利用を図り、国民経済負担増を緩和することが求められております。  特に近年のエネルギー消費傾向を見ますと、業務・家庭といった民生部門においてエネルギー使用量が大幅に増加しております。こうした状況を踏まえ、これまで重点的に省エネルギーを進めてきた産業部門工場だけでなく、民生部門においてもエネルギー使用合理化を一層進める必要があることから、本法律案を提案した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、工場事業場に係る省エネルギー対策強化であります。これまで一定規模以上の大規模工場に対しエネルギー管理義務を課していましたが、改正により事業者単位エネルギー管理義務付けることとしております。これにより、業務部門に多く見られる中小規模事業場を数多く設置する事業者を新たに義務対象に加えるとともに、産業部門を含め、事業者経営判断に基づく効果的な省エネルギー取組推進してまいります。  第二に、住宅建築物に係る省エネルギー対策強化であります。これまで大規模住宅建築物建築主等に対し省エネルギー措置届出義務を課していましたが、改正により措置が著しく不十分である場合の所管行政庁による指示、公表に加え命令を導入するとともに、一定中小規模住宅建築物についても届出義務対象とすることとしております。また、一定戸数以上の住宅を建築する事業者住宅省エネルギー性能の向上を相当程度行う必要がある場合に国土交通大臣が勧告、公表命令を行う等の措置を新たに定めるとともに、販売事業者等に対して建築物省エネルギー性能表示等を促す規定を整備することとしております。  続きまして、揮発油等品質確保等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  揮発油軽油、灯油といった国民生活との関連が深い燃料については、消費者保護等の観点から、揮発油等品質確保法に基づき、適正な品質規格を定め、生産業者等に対し、販売又は消費しようとする揮発油等規格に適合していることの確認を義務付けるなどにより、国民の安全、安心確保を図ってきたところであります。  近年、地球温暖化の防止に向けて、二酸化炭素排出抑制に寄与すると考えられるバイオ燃料導入促進が重要な課題となっており、各地において石油製品バイオ燃料を混和する取組が進められようとしております。しかしながら、それらが不適切に行われた場合、かえって大気環境を悪化させるおそれがあるほか、自動車の部材に悪影響を及ぼし、ひいては火災事故を引き起こすおそれもあります。  このため、引き続き、燃料に係る国民の安全、安心確保し、バイオ燃料利用拡大の基盤を確立すべく、揮発油等石油製品バイオ燃料を混和する場合についても、揮発油等品質確保法による規制の対象とするための措置を講ずる必要があることから、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、揮発油軽油バイオ燃料を混和する事業者に対し、適切な混和を行い得る設備の有無違反歴有無等を要件とした登録を義務付けることとしております。  第二に、こうした事業者に対し、生産した揮発油軽油販売又は消費しようとするときに、その品質規格に適合していることを確認する義務を課すこととしております。  以上が両法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  6. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 藤原正司

    藤原正司君 藤原でございます。久しぶりです。どうぞよろしくお願いします。  今日審議する法案は省エネ法そして揮発油品確法でありますが、これは結局は地球温暖化対策を進めていく個別法とも見ることができるわけでして、今日はできますれば、委員長そして委員の皆さんの御理解を得て、私は温暖化対策に絞って質問させていただきたいというふうに思うわけでございます。そして、私は、その質問するに当たって、私の立場というものを先に申し上げた上で質問させていただきたいというふうに思います。  地球温暖化問題が叫ばれるようになったのは一九九〇年代に入ってからだと思いますが、近年特に地球温暖化問題が言われるようになりまして、今年になりましてからは、サミットということを控えていることもありまして、一段と温暖化問題についての論議がされるようになったというふうに思っておりますが、私はこの地球温暖化問題の論議我が国で行われれば行われるほどどうも違和感を感じざるを得ないわけであります。  その違和感のもとは何なのかといいますと、この温暖化中心となる炭酸ガスというのは、これは結局エネルギー起源をもって発生しているのが圧倒的に多いわけです。多いわけでありますが、このエネルギーというのは環境側面経済側面と二つの面からエネルギーというものを見ていく必要があると思うんですが、ともすれば我が国の場合、近年、環境側面が強調され過ぎて経済国民生活側面というものが軽視されがちになっている、このことが私の今温暖化問題の論議にどうしても違和感を感じざるを得ないもとであるというふうに思っております。  私は、この温暖化対策を考える視点は、一つはグローバルな視点というのが一つ、それから技術的な裏付けがあるという視点、それから持続性がある、持続性可能であるという視点、もう一つ経済合理性視点、この大きく分けて四つの視点環境問題も論議されるべきであろうというふうに思っておりますが。  例えばグローバルな視点という面で申しますと、我が国の場合、御承知のとおり、排出量世界の四%であります。にもかかわらず、京都議定書の約束を守ったらすべてが終わるかのような論議がされる、あるいは将来我が国がすべての温暖化問題をかぶるかのごとし論議がされる、これは現実とは少し違うのではないかということがございます。  また、技術的裏付けについても、裏付けなしに例えば炭酸ガス値段を付けて、値段を付ければ炭酸ガスがシグナルを送るから自動的に技術が開発されて炭酸ガスが減るかのごとき論議もある。  さらに、持続性の面でいいますと、この温暖化問題というのは十年、二十年というよりむしろ今世紀いっぱい掛けてすべての国が取り組まなければならない大変大きな重い課題である、にもかかわりませず、京都議定書がどうだとか、もうサミットが近いから何かせにゃいかぬではないかみたいな論議がされるということも、これもいかがなものかなという思いがするわけでございます。  もう一つは、経済合理性の面でありますが、経済性という問題、あるいは経済を支えている国民生活というものを無視するのであれば温暖化対策ほど簡単なものはない。問題はそこに経済があり、国民生活があるからどういうふうに影響を与えないように温暖化対策を講じるかというところに我々人類の知恵というものがあるわけで、そこに対策の根本がなければならないというふうに思っておりますが、どうもこの辺りもちょっとずれているのではないか。  こういうことが全部中心になって論議をされていることに私は違和感を感じざるを得ないという立場から質問させていただきたいというふうに思うわけでございます。  まず、今温暖化問題、温暖化問題ということが言われておりますけれども、地球温暖化問題というのは一体何でしょう。
  8. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  地球温暖化問題とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスによりまして、地球気候温暖化をいたしまして、その結果、人の健康、食料、水資源生態系など多くの分野に深刻な影響を与える問題というふうに考えております。
  9. 藤原正司

    藤原正司君 今おっしゃったことは、これは少なくとも全地球といいますか、国際社会の一致した認識というふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
  10. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 昨年公表されました気候変動に関する政府間パネルIPCCの第四次評価報告書では、温暖化が既に顕在化しているだけではなくて、人為的起源温室効果ガス増加によりまして、温暖化のスピードが加速化しているなど大変厳しい状況という事態が明らかにされていると考えております。  特に、この評価報告書の中に政策決定者向けの要約という部分がございますけれども、その中では、気候システム温暖化については疑う余地がない、二十世紀半ば以降に観測された気温上昇のほとんどは人為起源温室効果ガス増加によってもたらされた可能性が非常に高いというふうにされておるわけであります。これは、IPCCにおいて詳細に議論されまして全会一致で承認されたものということでございますので、その範囲内で国際的なコンセンサスができているというふうに理解しております。
  11. 藤原正司

    藤原正司君 恐らく産業革命以降、人類エネルギー経済産業に使うことを知り、そのことによって経済が発達し、国民生活は向上してきたと。しかし、片側温暖化ガス排出し続け、これが生態系に大きな影響を与える。これは何とかやらにゃいかぬ、地球レベルで取り組まにゃいかぬというところまでは一致した見解だというふうに思います。  そこで、では一体温暖化というのは何度上がったら大変なのか、何度まで許容できるのかということ。そして、その許容限度に、温暖化を抑えるために、一体、いつまでにどれだけの温暖化ガス削減すればいいのか、こういうことについての考えはどうなんでしょう。例えば、EUはどうなんでしょう。
  12. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) EUについてでございますが、二〇〇五年三月に欧州理事会、これはEU首脳会議でございますけれども、この欧州理事会におきまして、危険な気候変動を回避するべく、地球平均気温上昇幅産業革命以前に比べて摂氏二度以内に抑制すべきであるという旨、合意をされてございます。
  13. 藤原正司

    藤原正司君 IPCC評価報告書で、二度以内に収まるような手だてはあると書いていましたか。
  14. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) IPCCは複数のカテゴリーで将来の削減幅とその温度について示しているわけでございますけれども、その削減幅の最も厳しいレベル世界各国対策をすれば、かろうじて達成できるレベルというような認識が示されていると理解しております。
  15. 藤原正司

    藤原正司君 そういうレベルであるということですね。  次に、アメリカはどうでしょう。
  16. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 米国についてでございます。米国許容温度上昇幅EUが示しておりますような意味での温度上昇幅については、特段言及はしてございません。
  17. 藤原正司

    藤原正司君 私は温度上昇幅だけ言っているわけじゃなくて、幾らまでは許容できる、許容範囲に収めるためにはいつまで幾ら減らさにゃいかぬみたいな認識はありますかということをお聞きしております。
  18. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) アメリカが述べております排出削減についての考え方でございます。今年の四月十七日にブッシュ大統領が演説を行いまして、その中で、二〇二五年までに米国温室効果ガス排出量増加に歯止めを掛けて、その後減少させるというような中期的な国家目標公表したところでございます。
  19. 藤原正司

    藤原正司君 アメリカは御承知のとおりCOP3で議定書にサインをしましたが、アメリカでは批准されなかったと。要は、議定書一の国でありながら責任を離脱したわけでありますが、何でアメリカはこういうことになったんでしょう。
  20. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) アメリカ京都議定書から離脱した理由でございますけれども、一つは、温暖化問題に関する科学的知見がその時点では十分ではなかったという点が一点。それと、京都議定書に基づく削減対策アメリカ経済に著しい影響を及ぼすというような説明があったと記憶しております。
  21. 藤原正司

    藤原正司君 これはまた後から聞きます。  次に、中国インドなどを始めとする途上国はどうでしょう。
  22. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 途上国の中には中国インドといった経済が著しく発達している新興国のみならず、地球温暖化による影響が特に現れやすい島国あるいは最貧国があるわけでございまして、こうした国を中心に、気温上昇幅産業革命以前から摂氏二度よりも更に小さくすべきというような主張が一部で見られるわけでございます。一方、御指摘中国インドなどの成長が著しい新興国においては、許容温度上昇については特段言及しているわけではございません。  また、排出削減についてでございますけれども、中国インド等は、気候変動枠組条約に定められております共通だが差異のある責任原則に基づいて先進国が率先して削減するべきという主張をかねてより続けているわけでございます。一方、中国におきましては、温室効果ガスを直接対象としているわけではございませんけれども、第十一次五か年計画で二〇一〇までの五年間GDP当たりエネルギー消費量を二〇%削減するというような目標も掲げて取組を行っているというふうに承知しております。
  23. 藤原正司

    藤原正司君 今答弁されました途上国は、途上国だけで全地球温暖化ガス排出の半分を占める。それから、中国一国が今年もう入って抜いたと言われておりますが、アメリカ排出、全世界の二一%ですが、これを追い抜いたというふうに聞いております。  地球温暖化対策をきちっとやろう、温暖化を防止して、そして子々孫々に憂いなき地球を残していこうと思えば、相当の対応が必要である。特に、半分を占める途上国、今後はどんどん増えていくだろうと。恐らく二〇五〇年には六〇%を超えるだろうというふうに言われているその途上国がどういうふうに対応するかというのは極めて極めて重要な問題でありますが、私が仄聞する範囲では、この中国インドなどの途上国でありながら排出量が非常に大きな国、この国は排出量上限を設けるような話そのものに乗る気はないし、そういうことを話をする会議だったら最初から出ないというふうな相当厳しい態度を取っているというふうに聞いておりますが、いかがでしょう。
  24. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 御指摘のように、中国インドなどの新興国におきましては、現在、交渉が開始されました二〇一三年以降の温暖化対策に関する国際的枠組みの中で義務的な削減目標というものを掲げることに引き続き反対をしているというふうに理解しております。
  25. 藤原正司

    藤原正司君 ということは、国際会議の中に中国インドなどを巻き込んで、そして具体的な削減目標を設定して取り組んでいこうという、そういう進め方というのは極めて難しいんだというふうに理解しておいていいでしょうか。
  26. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 我が国のみならず米国など先進諸国は、二〇一三年以降の枠組みにおいては、すべての主要排出国が参加をして責任ある立場温室効果ガス削減に取り組むというものを是非実現しようという方針交渉に臨んでいるわけでございます。中国インドなどにも様々な形で働きかけながら、今申し上げましたような枠組みの実現に取り組んでいく必要があると思っております。
  27. 藤原正司

    藤原正司君 それでは、次に行きます。  では、日本はどうなんでしょう。
  28. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 我が国におきましては、EUのような形の気温上昇幅に関する目標は設定しているわけではございません。一方、温室効果ガス排出削減につきましては、我が国は昨年五月の美しい星50、今年一月の福田総理がダボスで提唱されましたクールアース推進構想、こういったものにおきまして、まず第一には二〇五〇年までに世界全体の排出量を半減させる、第二に世界全体の排出量を今後十年から二十年の間にピークアウト上昇をやめて削減に転じるということを提唱しており、今各国理解と協力を呼びかけているところでございます。
  29. 藤原正司

    藤原正司君 美しい星50で二〇五〇年までに地球全体で排出量を半減するというのが我が国方針のようでありますが、この方針は何か具体的な裏付けはあるんですか。
  30. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) IPCCによりますと、現在の世界全体の排出量年間炭素に換算しまして約七十二億トンでございます。一方、同様にIPCCによりますと、年間吸収量、海とか森林による吸収でございますけれども、この吸収量は、同様に炭素に換算しまして年間三十一億トンというふうに見込まれているわけでございます。  我々が目指すべき目標気候変動枠組条約の究極の目標ということであると思いますが、これは大気中の温室効果ガスの濃度の安定化ということがうたわれておるわけでございます。そのためには、排出量吸収量をバランスさせることが必要でございます。そのためには、世界全体の排出量を長期的に見ましてまず半分ということが必要と考えております。
  31. 藤原正司

    藤原正司君 次にお尋ねしますが、先ほども触れられた議定書の中に、共通だが差異ある責任というのが使われておりますし、最近特にこの言葉を耳にするようになったわけですが、この共通だが差異ある責任というのは具体的にどういうことなんでしょう。
  32. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 共通だが差異のある責任及び各国能力原則ということでございます。この原則は、地球規模で生じている温暖化問題に対しましては、各国共通先進国途上国問わず各国共通責任があるが、各国地球温暖化への寄与度あるいは対応し得る能力は異なっているので、こういうことを踏まえて国際的な取組を進めるべしという考え方承知しております。  具体的には、この原則気候変動枠組条約の第三条、ここで原則が述べられておるんでございますけれども、その第一項におきまして以下のように明記をされております。締約国は、衡平の原則に基づき、かつ、それぞれ共通に有しているが差異のある責任及び各国能力に従い、人類の現在及び将来の世代のために気候系を保護すべきである。したがって、先進締約国は、率先して気候変動及びその悪影響に対処するべきである。こういう規定枠組条約の第三条に設けられております。
  33. 藤原正司

    藤原正司君 ということは、この原則というのは主として先進国途上国との間にあるものというふうに理解してよろしいか。
  34. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 主として先進国途上国の間にあるというふうに理解しております。
  35. 藤原正司

    藤原正司君 そこで、二〇五〇年までに温暖化ガスを半減しなければならないと、こういうふうに言われる。片側共通だが差異ある責任という原則がある。そうすると、二〇五〇年までに全体は半分にしなければならないんだけれども、途上国はそんな上限を定めたり制約をすること自体もう駄目と、こう言っているし、そして片側には共通だが差異ある原則というものがあると。  そうした場合に、では、目標達成のためには、少なくとも途上国は半分減らす気なんか全然ないと。そうすると、先進国一体どういうことを通じて半減すべきだというふうに思いますか。
  36. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 気候変動枠組条約規定されております先ほどの原則でございますが、より大きな責任を有しているという先進国が率先して排出量削減する必要があるということでございます。このため、先進国は、世界全体の排出量を半減という長期目標の下では五〇%以上の削減が求められることになると考えております。  しかしながら、今後、経済発展に伴って途上国排出量増加するわけでございます。したがいまして、世界全体の排出量の半減のためには、先進国削減のみではこれは到底不十分でございます。  したがいまして、先進国技術開発あるいは各種の支援、こういったものを提供しつつ、途上国もこういった支援を踏まえながら削減対策を実施する必要があると思っております。特に、排出量の伸びが著しい新興国については、当然ながら他の途上国よりも大きな役割を担うべきと考えております。
  37. 藤原正司

    藤原正司君 ある団体の試算といいますか、RITEの試算によりますと、二〇五〇年に排出ガスを半減しようとすれば、先進国はこれは二〇〇〇年比で排出量を一〇〇%カット。一〇〇%をカットしたとしても、途上国は、放置すれば伸びるであろう排出ガス、二〇五〇年にこのぐらいの量になるであろうというガスの六〇%をカットしないと、とても地球全体で半減ということにはならないというふうな報告書もあるわけでありますが、この報告書についてどういうふうに思われますか。
  38. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 私どもの所管の財団法人RITEにおいてそのような試算を出していることは事実であると考えます。それだけ、長期の目標とはいえ、二〇五〇年の大幅削減地球規模で達成するということは現状の技術の延長では対応できないということを一方で言っていることかと思います。
  39. 藤原正司

    藤原正司君 地球温暖化がどういう仕組みで具体的にどのように上昇するのか、それを抑えるためにどういうふうに温暖化ガス削減すればいいのかというような絶対的な科学的根拠を持った数字はないというふうに聞いております。ただ、いろんなケースを試算してみて、そして地球は一個しかないから、一遍実験台やってみて、ああ、しもうたというわけにいかぬから、とにかく安全サイド、安全サイドにやらざるを得ないと、これはよく分かる。その答えとして二〇五〇年に半減というのは分かるんですが、その二〇五〇年に半減というものを目標として妥当としたならば、では我が国はどれだけの削減をしなければならないのか。先進国である我が国はどの程度の削減を必要とするのか。実は、最近新聞読んでおりますと、二〇五〇年で現状比六〇から八〇%カットというふうなのも出たりしているわけでありますが、この点についていかがですか。
  40. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お尋ねの我が国自身の長期目標でございますけれども、現時点で政府としてその内容を決定したという事実はございません。世界全体の長期目標につきましては、先ほど来お話に出ていますように、我が国は二〇五〇年世界全体で温室効果ガス半減という目標を提唱いたしておるわけでございますけれども、この目標については、昨年のハイリゲンダム・サミットでも世界長期目標について真剣に検討するという合意がなされておりまして、我が国としては今後こうした提案を前に進めていく観点からも、我が国長期目標についても検討を進めていく必要があろうと思っていますけれども、その内容あるいは発表のタイミング等については適切に判断する必要があると考えております。
  41. 藤原正司

    藤原正司君 いずれにしても、今は言えないけれども、それなりの責任を果たすために数字を発表すると、それは、恐らく二〇五〇年半減ではなくて先進国としての責任を果たすという数字になっていくんではないか、こういうことでよろしいですか。
  42. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 先進国としての日本の責任ある立場を表明するという前提で検討せざるを得ないものと考えています。
  43. 藤原正司

    藤原正司君 これは今ある技術を積み上げていけばこうなるというものでしょうか。それとも、いや、そうじゃなくて、もう半減しなければ駄目なんだという、そこからスタートしたものなんでしょうか。  ということは、もっと裏返していけば、二〇五〇年に半減プラスアルファを減少しなければならないということについてきちっとした技術的裏付けというものがあるのか、予見可能な技術というものがあるのか、そこのところをお聞きしたいと思います。
  44. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 長期の温室効果ガスの大幅削減を実現するためには、これも先生御指摘のように、既存の技術によるだけの対応ではできないというのは恐らく明らかでございます。そういう意味で、既存の技術の延長線上にない革新的技術の開発普及が不可欠であると考えております。  こうした点を踏まえまして、経済産業省といたしましても、クールアース・エネルギー革新技術計画というものを策定をいたしまして、例えばCCS、二酸化炭素の回収・貯留の技術でありますとか、あるいは革新的な製鉄プロセス、あるいは先進的な原子力、電気自動車等々の二十一の技術を選定をして、これらの技術の開発を重点的に推進をすることにいたしております。  こうしたような技術につきまして、更に技術開発の国際的なロードマップの共有等、国際連携を模索をしながら、世界規模でこうした大幅な削減の実現に向けて取り組んでいくことが求められているというふうに考えております。
  45. 藤原正司

    藤原正司君 もちろんそうでしょう。今から四十年先のこういう技術でこういうふうにして炭酸ガス減らしますというのは、それは断定的に言えない部分もあるかもしれません。しかし、これは極めて重要な問題であって、断定的に言えないのであれば断定的に言えないような定めにしておく必要があるというふうに思います。そこのところをはっきりしておかないと。ちょっとまた言いそうになるんでやめておきます。  そこで、COP3の評価がこの地球温暖化問題のときによく出てくるわけであります。このCOP3の評価について、議定書も含めて環境省としてどういう評価をされているか。ちょっと嫌みを一言言わせていただくと、最近京都の二の舞という言葉もちらちら出るわけでありますが、この言葉の受け止めも含めて答弁いただければ有り難いと思います。
  46. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  京都議定書をCOP3でまとめ上げたわけでございますけれども、この京都議定書は、地球温暖化対策における国際的な取組の極めて重要な第一歩というふうに考えておるところでございます。こうした考え方は、我が省のみならず、去る三月に閣議決定をいたしました全面改定した京都議定書目標達成計画の中でも、気候変動枠組条約の究極的な目的の達成のための一里塚というふうに位置付けられているところでございます。  一方、環境省といたしましても、京都議定書目標の基準年、あるいは京都メカニズムの中のCDM、こういった点をめぐりまして各界から問題が指摘されているということも承知しておるわけでございます。
  47. 藤原正司

    藤原正司君 私、京都の二の舞はあらかじめ予告していなかったので、答弁はなくても結構でございます。  COP3のいろんな評価があるわけでありますが、私は、なぜアメリカが批准をしなかったのか、なぜカナダが途中でやんぴと言ったのか、なぜオーストラリアが批准をしなかったのか、そして日本とEUがどういう取組を今やっているのかということについては、これからの温暖化対策と無縁ではないというふうに思っております。  さすがEUというのは交渉慣れした人ばっかりいてるなと。結果としてEUは、一九九〇年比という九〇年を起点に置いたことによって、個別の国でいえばドイツやイギリスなどは逆に五%の排出増の権利を得たわけであります。結局、削減しなければならない国は日本とアメリカとカナダ。そのうち、アメリカは批准しない、カナダはやんぴという状況にあるということを我々は考えておく必要があるというふうに思います。  もう一つは、現状をきちっと把握することだと思います。私は、二〇五〇年といいますか、もっと言えば、地球温度がいいところで安定化するまでの取組というのは非常に大きな取組だし、長い取組になってくるというふうに思いますけれども、ただ、さはさりながら、今我々がスタートしたところをきちっと反省して踏まえておかなければ決して温暖化問題というのは、温暖化地球温暖化は大切ですよ、みんなで取り組みましょうというところまではみんな拍手するんです。では、あなた方はどうしますかと言うたときには、これは経済問題であるだけに全然別の行動になる。そこのところをうまく進めるのは何かというのは私は技術しかないというふうに思うわけでして、ここのところを横に置いた温暖化対策というのは絵にかいたもちだというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うわけでございます。  そこで、洞爺湖サミットがこの七月の頭にあるわけでして、その中の大きなテーマが温暖化対策だというふうに聞いております。特に最近マスコミでも温暖化問題、温暖化問題ということでもうかなり、何といいますか、巻き立てているという状況にあるわけですけれども、元々温暖化対策を決めるのはサミットではありません。COPであります。それを考えておかないと。もちろん、首脳同士が共通認識を持ったり、対策についていろいろディスカッションすること、これは大変大事なことでありますが、決めるのはCOPだということはこれはもう間違いのないことであります。  特に、主要先進国、あるいは今度は排出国も含めたG16ですか、の会議も持たれるようでありますけれども、この会議は、先ほど言いましたように、途上国義務が伴うような排出枠はもう決める気は全くないし、そういうことの論議すること自体嫌だという国であります。またアメリカは、いろんな排出権取引、キャップ・アンド・トレードの議員立法を出しているようでありますけれども、例えば決議の中では途上国が入らないルールなんというのはアメリカは絶対入らないということを全会一致で決めているわけであります。  こういうことも含めて見たときに、洞爺湖サミットに大きな期待を持って、さあ、これもやれ、これもやれ、国別の目標も決めろと、終わってみて何も決まらなかったということ、そういう評価ではおかしいと思うんですね。現実に世界温暖化問題にどういうふうに取り組もうとしているのか、その中でちょっとでも前向く、前向いて歩く道はないのかという論議をしていくことこそ大事なことであって、過大な期待を勝手に抱かせておいて駄目だったら駄目だみたいなことをやると、これは日本の温暖化対策にとっても決してプラスにならないというふうに私は思うわけです。私、ちょっと変わっているのかどうかもしれませんが、この点についての環境省の見解をお聞きしたいと思います。
  48. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 私どもは基本的には今先生が御指摘になられました考え方に沿って対応すべきというふうに考えております。と申しますのも、昨年十二月にバリで開催されましたCOP13におきまして、御案内の二〇一三年以降の枠組みの国際交渉がスタートしたわけでございます。これは二〇〇九年末までに結論を得るというスケジュールが設定されておりますので、余り時間がないという状況にございます。  このような中で北海道洞爺湖サミットが開催をされ、そこで主要議題として温暖化問題が議論されるということでございますので、我が国はG8サミットの議長国といたしまして、国連で実際に行われております国際交渉を加速化させるという役割を担っていく必要があると考えているわけでございます。  具体的には、世界長期目標、先ほど来御議論になっております長期目標、あるいは今年一月の福田総理のダボスでのクールアース推進構想、こういったものへの各国理解と賛同が得られるように、今最大限の努力をしているわけでございます。  また、四月には日・EU首脳会議が開かれまして、EU側から日本が提唱しておりますセクター別アプローチに関する肯定的な評価も得られておりますし、また五月の日中首脳会談でも、やはりセクター別アプローチについての胡錦濤主席からの肯定的な評価も引き出したということでございます。  こういった成果を踏まえながら、是非サミットでは先進国新興国の橋渡し役というような役回りを積極的に担って、国連の下での交渉の促進役を果たせればというふうに考えているところでございます。
  49. 藤原正司

    藤原正司君 私は、セクター別アプローチというのは非常にいいといいますか、良くできた考え方だというふうに思っておりますし、これの質問は後からさせていただきたいというふうに思いますが、このサミットにおける努力すべきものと限界というものについてもきちっと言っておかないと、何かサミットやったら全部が前へ行きそうな、そんな幻想を振りまくようなことであっては決してならないというふうに思うわけでございます。  そこで、一つ考え方について是非マルかペケか言っていただきたいんですが、実は、私は自分が電力会社の出身だというのをちょっと横に置いて話をさせていただきますが、今後四十年、五十年、あるいは今世紀いっぱいを掛けたCO2削減ということを考える場合に、一つは最終エネルギー消費をできるだけ電力に持っていくということ。最終エネルギー消費を電力という形で行ういわゆる電力化を進めていく。その場合、発電する部門においてはCO2を出さない。消費する側では徹底的に省エネをやる。  例えば、電力化でいえば、自動車なんかはもうプラグインの自動車、ガソリンスタンドの人が怒りますが、やる。あるいは、天然ガスにしても、一定の分を減らすなら天然ガスは有効ですけれども、ゼロだ、八割だ、カットだというときにもう天然ガスは邪魔をするわけですから、そうすると東京ガスもなくなるかもしれない。でも、いや、それはまあちょっと冗談ですが、そういうできるだけ最終消費を電力に追いやる、そして省エネを徹底的にやる。  それからもう一つは、どうしても電力化ができないもの、例えば電気飛行機というのはないやろうと。そして、その部分でどれだけのCO2をカットするのか、エネルギーをカットできるのか、あるいは鉄鋼などでは今コークス還元を、水素還元という道もある、そういうふうに徹底的に追いやるという方式は一体いかがなものかなというふうに私は思うわけでありますけれども、これはどうでしょう。
  50. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 委員指摘の、エネルギーの最終消費段階においては用途や需要家のニーズに合わせた様々なエネルギー種の利用が行われておりまして、その形態も様々です。  こうした中で、エネルギーの利用に伴うCO2排出量削減していくためには、エネルギー種ごとの利用の高度化、あるいはエネルギー効率の高い利用形態への転換、すなわち省エネルギーの徹底、それからCO2排出の少ないエネルギー種の供給の拡大、供給面ではですね、ということを図っていくことが必要だと思います。  電力を使いながらCO2削減を進めていくためには、需要面において、今御説明ありましたように高効率な、例えばヒートポンプの導入とかあるいはプラグインハイブリッド車や電気自動車といった次世代自動車の導入を促進することが効果的だと思います。それからまた、供給面では、原子力発電の推進や新エネルギー導入促進などを図るとともに、発電効率を向上させることなどによって発電分野からのCO2排出量を低減させるということが重要だと思います。  このように、最終需要段階における電力を中心として利用拡大を図っていくということは、需給両面でCO2削減がより容易な形になるということは事実だろうと思います。御指摘のように、すべてのものを電力で使うわけにはもちろんまいりませんけれども、おのずとこれからCO2削減を懸命に技術の上でやっていくとすれば、よりそのウエートを高めていくということになるのは事実ではないかと思っております。
  51. 藤原正司

    藤原正司君 いえいえ、今私が申し上げた電力化というのは何も電力会社が売る電力と言っているわけじゃなくて、例えば太陽光発電も全部含んであるわけですから、そういう意味で電力化というものについてどうなんでしょうという申し方をしたわけであります。  そこで、その場合に、発電側においてCO2を出さない、原子力、新エネ、そして化石燃料を使った場合でも全部炭酸ガスは取っ捕まえて地中に埋めてしまう、とにかく出さないということが大変大事なわけでありますけれども、その中心になるのが私は原子力だと思っております。  原子力の場合は、単にCO2を出さないということではなくて、今後、自前の資源がわずか四%しかない日本が安定的にエネルギー確保する上で極めて重要、特に今の軽水炉ではなくて、今使用済み燃料としてごみか燃料かよく分からぬ状態で置かれているものが全部燃料に切り替わるFBRサイクルに持っていけば我が国エネルギーの安定確保とCO2カットというのは大変大きな意味を持ってくるというふうに思うわけでして、ちょっとすぐまたぼやきが出るわけですが、最近新幹線とセットやと言う人もあるんでややこしいんですが、私はその意味でこのFBRを進めていくというのは本当に大事なことではないかなというふうに思うわけですが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  52. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 十分御専門家でいらっしゃいます藤原委員にお答えするのもなんでございますけれども、原子力発電というのは供給の安定性に優れまして、ただいまお話がありましたとおり、発電する過程で二酸化炭素排出しないクリーンなエネルギー源でありまして、エネルギー自給率の低い我が国にとりましてエネルギー安全保障の確立と地球温暖化問題、つまり先ほど経済環境ということをおっしゃいましたけれども、二つの面から一体的な解決を図る切り札となるものでありまして、着実な推進というものを図っていかなければならないと思っております。  そこで、政府といたしましては、原子力委員会が原子力政策大綱で定めました基本方針、この基本方針には幾つかポイントがございますが、例えば二〇三〇年以降も総発電電力量の三〇%から四〇%程度以上の供給割合を原子力発電が担うことを目指すと、また供給安定性に優れる原子力発電の特性をより一層向上させる核燃料サイクルを推進すると、そして高速増殖炉の二〇五〇年ごろからの商業ベースでの導入を目指すといったことでありまして、この基本方針を尊重して二〇〇六年の八月に基本方針の実現に向けました政策の枠組みと具体的なプランといたしまして原子力立国計画を策定して、その実現に取り組んでいるところでございます。  特に、今御指摘をいただきました高速増殖炉FBRサイクルというものは、発電しながら消費した燃料以上の燃料を生産することが可能であり、長期的に我が国エネルギーの安定供給に大きく貢献するものであります。また、高レベル放射性廃棄物の発生量を削減することも可能となります。ですので、こうした認識の下で、高速増殖炉の実証炉及び商業炉の実現に向けまして研究開発の推進、そのための予算の確保及び戦略的なグローバルな国際協力の推進などによりまして関係省庁、研究開発機関及び産業界と一体となって取り組んでいるところでございます。今後とも、安全の確保、これは大前提でございますが、これを大前提に核燃料サイクルを含む原子力発電を着実に推進してまいりたいと思っております。
  53. 藤原正司

    藤原正司君 ありがとうございます。  私は本当に大事なことだというふうに思いますが、ただ、残念なことに、この温暖化問題を解決していく上においても、あるいは我が国が安定的にエネルギー確保していく上においても、エネルギー行政というのは極めて大事だし、これからは相当大きく変えていかにゃいかぬというふうに思います。にもかかわらず、我が国の場合は、エネルギー行政、所管している行政が一つではないと。誠に私は残念であります。フランスの場合でもエネルギー省がありますし、アメリカもDOEだったかな、ありますし、一貫して、研究開発から実用まで、原子力でいえばフロントサイドからバックエンドまで一貫した体制の下にエネルギーが進められていると。今の場合、何かちょん切られているような格好で、責任の所在もあいまいな状態というのは誠に私は残念だというふうに思っております。  本当にこれから国民の生活を落とさないできちっと温暖化対策を進めていこうとすれば、エネルギー行政というのは物すごい大事になると思うわけです。にもかかわらず、今このちょん切られている体制というのは誠に私は残念だというふうに思うわけですが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  54. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほどから委員のお話を伺っておりまして、物の見事に、クリアカットに問題点の整理と課題の分析を行っておられました。ちょっと感動を覚えた次第であります。  エネルギー行政の遂行、エネルギー政策の遂行の一義的な責任というのはもちろん資源エネルギー庁、経済産業省が負っているわけであります。我が国におきましては、御指摘のとおり、科学技術に関する研究というのは科技庁が行い、原子力政策のですね、エネルギー政策の、今「もんじゅ」の話で話が進んでおりますが、この原子力の研究に関して言うと文科省が行い、実用化、商業化についての部分経済産業省が担当しているわけであります。  私は、かねてから、民生の現場、市場の現場の緊張感を研究分野でも持ってほしいということはずっと言っておりました。民生部門ですと、何かトラブルがあると場合によって原発が停止に追い込まれると、そういう緊張感の下に日々いろいろ運営をしていると。研究分野においてはそういう緊張感が少しないんではないかという注文はかねてから付けておきました。  日本の政策はそういうすみ分けと連携を持っているものでありますから、研究開発の成果というのを円滑に実証段階に移行させていくということで文科省と経済産業省が連携をしっかり取ると、あるいは産業界との関係とも連携をしっかり取るということで、両省や産業界等の関係者による協議会を設置をしまして密接に連携を行っているところであります。  研究開発と実用化がスムーズにつながっていくように、そして研究段階から民生の現場の緊張感をしっかり持って、特に安全性に対する疑義が出たら商業の推進はなかなかできないわけでありますから、研究の現場からそういう緊張感を持って、連携して一体的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  55. 藤原正司

    藤原正司君 私は、例えば「もんじゅ」を見れば、文科省が所管していようと経済産業省が所管していようと、地域の人から見れば原子力発電所にすぎないというふうに私は思っておりますし、特に「もんじゅ」の高裁判決のときにどこが責任を持ってこれまで裁判に対応してきたのか、これからどうするのかということについて、若干がくっときたことも事実でございまして、やっぱり責任を持って進めていくということが、例えば今高レベル廃棄物の処分の問題にしてもいろんな問題にしても、行き詰まっていることについてやっぱり国が一生懸命取り組んでいるんだということが大事だと思います。そして、国民の皆さんには、原子力といったときにそれ安全を前提に、安全を前提に、それは安全を前提なんですが、安全を前提に、絶対原子力必要なんだから安全を徹底的にやるんだという叱咤激励の態度が是非欲しいと私は思っているわけでございます。  そこで、今まで我が国中心になってやってきたセクター別アプローチ、この点について簡単にどういうものだ、そして国際的な評価はどうなんだと、えらい悪いですけれどもマスコミはけちょんぱに書きよるから余計腹立つんですが、その点も含めて言っていただきたいと思います。
  56. 新藤義孝

    ○副大臣(新藤義孝君) このセクター別アプローチ、産業分野別ともいいますけれども、このアプローチはエネルギー効率などを分野ごとに割り出しまして、そして今後活用される技術を基礎として削減がどこまでできるかと、こういう可能量を積み上げることで公平な削減目標を設定しようというものでございます。また、途上国にとりましても導入すべき技術が明らかになる、それからどの分野でどれぐらい削減できるんだという道筋がはっきりするという意味におきまして非常に効率的な技術移転を促進できるんではないかと期待をしております。そして、このセクター別アプローチにつきましては我が省甘利大臣も積極的に国際社会において発言をされております。  そして、過日行われましたグレンイーグルズ対話、幕張でやりましたG20、こういったものや国連の作業部会それから主要国の経済会合等で議論をして、順次今認識されつつあると。それから、非常に有効なものであるじゃないか、公平なものではないのかというふうな評価をいただいているというふうに思っております。特にEU中国につきましては先般の首脳会談の場におきましてもこのセクター別アプローチが有用だと、また重要だと、こういう評価もいただいておりまして、引き続き国際社会に向けてこのセクター別アプローチの導入について働きかけを行ってまいりたいと、このように思っております。
  57. 藤原正司

    藤原正司君 今おっしゃたように私はセクター別アプローチというのが、一つ経済は生き物なんだから動くということに対応できるという、順応できるという極めていい性格を持っているということと、排出枠ということになると途上国が一切横を向いてしまう中でそうじゃないんですよと、具体的に削減する方法あるいはツールを教えてあげるとか、そういう意味で私は大変意味があることだと思います。  私は、温暖化対策の最終の目標排出枠を決めることではないので、実際に減るかどうかが問題で、その減るためには地球規模での取組が必要で、特に途上国が一緒になって取り組んでくれるかどうかに懸かっている。そのことが排出枠をセットすることで前へ進むならば私はやったらいいけど、排出枠ではなくて具体的に減らす方法、そういう技術的な問題を含めて提供することで進んでいくというのであれば、もっと言い換えれば、排出枠にキャップをかぶせることが国民生活レベルにキャップをかぶせるんではないんだということが分かってもらえるような方法がこれだとするならば、是非これはこれからも世界中に広めていただきたいし、そして我が国民に対しても是非広めていただきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、今技術的な方法とは別に経済措置という問題がこの温暖化対策の中でいろいろ言われているわけですけれども、経済措置とは一体何を指すのか、環境省にお聞きしたいと思います。
  58. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  温室効果ガス排出削減に当たりましては様々な手法、例えば自主的な手法また規制的な手法、御指摘経済的な手法また情報を提供して取組を促進するような意味での情報的手法など、あらゆる政策手法を総動員してそれらの特徴を生かしながら有機的に組み合わせていくと、いわゆるポリシーミックスという考え方が重要であると思っております。その中で、御指摘経済的手法でございますけれども、市場メカニズムを前提として経済的なインセンティブを与えながら様々な取組主体の経済合理性に沿った排出抑制対策を誘導するものだというふうに考えておるところでございます。  我が国京都議定書目標達成計画でございますけれども、この中で特に経済的手法のうち国内排出量取引制度また環境税につきまして、速やかに検討すべき課題という位置付けがなされているところでございます。  国内排出量取引制度についてでございますけれども、削減の過不足、これを取引できるようにすることによりまして社会全体として小さな費用で確実に排出削減が促すことができるという制度というふうに考えております。  また、環境税でございますけれども、二酸化炭素排出又は化石燃料の消費量に応じて課税するというのが基本でございます。市場メカニズムを通じて低炭素社会を実現する重要な政策手段というふうに認識しておるところでございます。  いずれにいたしましても、目標達成計画の中で総合的に検討するということになっておりますので、我が省といたしましてその検討をなお一層積極的に進めたいと考えております。
  59. 藤原正司

    藤原正司君 経済措置そのもので炭酸ガスが減るわけじゃない。すなわち、省エネだとか燃料転換だとかを促すものとして、政策誘導を図っていくものとして経済措置があるというふうに理解をしております。ですから、そのもの自体には削減能力は一切ないというものであるというふうに私は思っております。  もう一つは、経済措置を課した場合にうまく削減に機能するのかどうかという問題もあるんではないかなというふうに思っております。例えば二〇五〇年半減だとか、いや八割減だとかいうような、経済や国の制度の革命的な変化をもたらさなければならないときに、あるいは国がリーダーシップを取ってそういう方向に持っていかにゃいかぬときに、炭酸ガス値段が付いて、あるいはその値段がシグナルとなっていくかどうかというのは、十分に考えていく必要のあることではないかなというふうに今思っているところでございまして、この炭酸ガスを減らすということに本当に機能するのかどうかということに一点に絞って考える必要があるというふうに思っているわけであります。  その中で、今経済措置の中で国内排出権取引という方法がいろいろ政府の中でも研究をされているというふうに聞いております。国内排出権取引というと何か今でもあるんやないかみたいな感じになって、本当はいろいろ皆さん方が関心を持っているのは、キャップ・アンド・トレードのキャップの方に関心があるのに、この国内排出権取引となると何かトレードの話ばっかりになってしまっているんですけれども、このキャップ・アンド・トレードのメリットとデメリットについて簡単にお願いしたいと思います。
  60. 新藤義孝

    ○副大臣(新藤義孝君) もう先生よく御案内のことだと存じておりますが、要するに排出枠の交付総量を決定する、交付総量を設定した中でその排出枠を個々の事業主体に配分するんだと、場合によっては他の事業主体との排出枠の取引又は京都メカニズムのクレジットの活用、こういったものを認めるという制度、これが国内排出量取引制度でございます。  この制度のメリットは、まず自分の国の排出量を直接的に規制できると、また、市場が十分に成熟しているというのを前提になりますが、取引を通じて全体として排出削減のコストを最小化できると、こういう問題があります。  一方で、デメリットといたしましては、個々の排出主体に枠を割り当てる強度の規制措置であるということです。したがって、過去においてもう熱心に省エネに取り組んできたところ、もうあとの削減枠が少なくなっちゃっているところ、要するに過去に省エネをたくさん行った人は排出枠が少ししかもらえないと。一方で、今まで余り努力を怠ってきた、というかまだそこまで進んでいないと、こういう主体におきましてはたくさん枠が与えられると。そうすると、枠が余ったところでそれが取引の材料になったとするならば、それは頑張った人に対して報われた制度なのかと、こういうデメリットがございます。  また、京都議定書の参加国が排出量ベースで三割しかないわけです、世界の。ですから、残りの七割の方が非参加国でございますから、そういう中で、ある国が排出量の枠を設定すれば、これが排出枠の設定されてない国に対して企業が流出すると、こういうおそれもあるという心配があるわけでございます。
  61. 藤原正司

    藤原正司君 最近、ある新聞で、日本がいつまでもキャップ・アンド・トレードにノーと言っていたら世界を敵に回して孤立するん違うかというふうな話が載っておりました。  世界の評価は、キャップ・アンド・トレードを入れているか入れてないかということで評価されるんでしょうか。あるいはこれを入れなければ国際会議に恥ずかしくて行けないんでしょうか。
  62. 石田徹

    政府参考人石田徹君) ただいま進めております二〇一三年以降のいわゆるポスト京都の枠組み交渉におきましては、これは先ほど来先生が御指摘になっておられますように、すべての主要排出国が参加する実効ある枠組み確保というのが最優先課題であるというふうに考えています。このために、まずもって各国が納得するような物差しを作る、このために我が国はセクター別アプローチというものを提唱して、公平な国別目標の策定を目指して交渉に取り組んでいるところでございます。  国内排出量取引制度と国際交渉との関係についてのお尋ねでございますけれども、こうした公平な削減負担が実現されないような国際枠組みが仮にできますと、これは国内排出量取引制度を導入するあるいはしないにかかわらず、資金が、クレジットを海外から買ってこなきゃいかぬというような形で、一方的に海外に流出するといったような懸念が生ずるわけでございます。私どもがポスト京都において公平な全員参加型の枠組みの構築が最優先課題であると申し上げているのも、そういったことも含めて考えてのことでございます。  国内排出量取引制度というものは、元々温室効果ガス排出削減のための国内措置一つであるというふうに認識をしておりまして、こうした今申し上げたような点も踏まえまして、他の手法との比較、あるいはその効果、産業活動、国民経済に与える影響等のいろいろな観点について総合的に検討していくべき課題であるというふうに考えております。
  63. 藤原正司

    藤原正司君 次の質問につきましては、もう時間も余りありませんので答弁はいいと思いますが、温暖化問題について経済産業省とか経済界が悪者になっている、あいつらはほんまにまじめに温暖化問題に取り組む気がないんじゃないかと、後ろ向きじゃないかというふうな声がちらちらする。私は、決してそうではないんだと思っております。元に戻って、エネルギー問題というのは環境経済の両面から見なきゃいかぬ、片っ方ばっかりから見ればおかしくなってしまうと。  ですから、炭酸ガス温暖化ガスを減らしながらも、なお国民の生活を落とさない、経済の競争力を落とさない、そのためにはどうあるべきかというところにこそ私は経済産業省の一番いいところがあるというふうに思っておりますし、そのことについて決して卑屈になることなく堂々と言ってほしいと思うのであります。でないと、何か今、これ言うとまた怒られますが、郵政民営化のときみたいに、郵政民営化に反対する者皆ばかだみたいに言われて、今度は地球温暖化対策に反対するやつは皆駄目だみたいに、そういうふうな何か雰囲気になっていることを私は大変危惧します。もっと冷静に現実を踏まえて、生活と経済環境というものをきちっと冷静に考えられるような、何というか、風潮をつくっていく必要があると思いますし、私も及ばずながら頑張っていきたいというふうに思っております。ですから、ここは答弁結構です。  最後に、一個だけ省エネ法について触れておきます。  私は、昭和五十四年、この省エネ法が立法化されて以降の省エネ法の役割を高く評価しております。作ったときは二次にわたる石油ショックの後であって、我が国がいかにエネルギー体質を強化するか。当時は、アラブの王様がくしゃみをすれば日本は風邪どころか肺炎になると言われた体質をいかに強化するかという一環として、一つは油の備蓄であり、一つは省エネであり、一つはベストミックスである。強いて言えば、もう一つは日の丸印の油を持つということであったかもしれません。これはちょっと横に置いておいて。  そういう面で見ますと、非常にこの間、これまでの間の取組は大変大きなことがありましたし、特に省エネは、単にエネルギー体質を強化するというだけではなくて、この温暖化問題に対しても大変大きく機能している。我が国世界に胸を張って、GDP当たりエネルギー消費はこのぐらいなんですよと胸張って言える僕は基礎をつくってきたというふうに思っているわけでございまして、その評価の上に立って、ちょっとこまい話を聞きますが、今回の法案の改正の中で、実は小さいチェーン店なんかも全部対象にしましょう、まとめて対象にしましょう、あるいは中小の住宅対象にしましょうと。できるだけ法の網の中に入れて、そしてそれぞれが省エネというものをきちっと頭に入れて経営ができるようにやっていきましょうということであって、その意味では網羅率が、網羅率というかカバー率が高まってきたというふうに思っておりますが、ただ残っていたところはちょっと経営力も非常に弱いチェーン店が多いんで、ここらは何らかの激変緩和措置がとれないか。  もう一つは、これは国土交通省かもしれませんが、国土交通省の場合は、昨年の建築基準法改正、その施行と片側大臣プログラム、あれがなかなか間に合わないで、大変現場では中小の建築業者の倒産などを招いたわけでありますが、ここでまた今度省エネに対する報告義務なんか入ってくると、せっかく持ち直したのがまたえらいことになりはせぬかなという心配が大変あるわけでして、ここら辺り、施行上の留意というものがあるのかどうか、ちょっと順番にお願いします。
  64. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 工場事業場に関して申し上げたいと思います。  今回の改正におきましては、工場事業場におけるエネルギー管理工場単位から事業者単位の規制体系に切り替えていくということでございまして、これによりまして、お話しのとおり、業務部門中心に規制対象範囲相当程度拡大するということを予定しているわけでございます。  御指摘のその弱い、脆弱な事業者との関係でありますが、一つは、この法律の施行は平成二十一年度当初からを予定しておりまして、私どもは、この法律の施行に向けて混乱が生ずることのないよう、周知徹底あるいは積極的なPRあるいは情報提供ということを行ってまいりたいと考えております。  また、こういった規制に合わせてきちっと経営の弱い事業者を支援していくということも重要であると考えておりまして、従来から先進的な省エネルギー技術を利用した設備の導入について支援をしておりますけれども、今回の省エネルギー対策強化に合わせまして、今年度から例えば省エネ診断事業、中小企業者に対する省エネ診断事業を拡充をしていくといったこと、あるいは中小事業者等がESCOを活用する場合にそれに対する新たな補助制度を創設をするといったような形で、支援措置というのをしっかり強化をしてまいりたいと思っております。  また、フランチャイズチェーン等も規制対象になるわけでございますけれども、本部事業者が優越的な地位を濫用するようにして一方的に設備の購入を求めるといった過度な負担をさせることがないよう、法律の施行に当たって留意をしてまいりたいと考えております。
  65. 和泉洋人

    政府参考人和泉洋人君) 委員指摘改正基準法時の施行の混乱、大変申し訳なく思っております。ああいったことが今回の省エネ法改正で起こらないように、まず一点目は、届出なりの簡素化をしっかりやっていきたいと思います。加えて、適切な施行期間の確保、更に加えて、改正基準法の反省を踏まえて、関係者への徹底した周知徹底と研修等を通じ、決して混乱が起こらないように頑張ってまいりたいと思っております。
  66. 藤原正司

    藤原正司君 ありがとうございました。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  67. 前田武志

    ○前田武志君 民主党の前田武志でございます。  引き続き、揮発油等の品確法と省エネ法ですか、これについて質問をさせていただきます。  この二つの法案が今上がってきたというのは、先ほど来非常に本質論、また格調高い議論を聞かせていただいていたわけなんですが、温暖化等、そういうものを背景にして、もう目の先に迫った洞爺湖サミット我が国が、福田総理がリーダーシップを発揮されてイニシアチブを取るということになっているだけに、この時点において我が国としてできるところからどんどんやっていく、当然のことだろうと思うんですね。  ちょっと話の前提みたいなことで一枚参考資料を配付させていただいております。  これはいわゆる温暖化というものを図式にしたもので、蛇口の方から毎年地球上の人間の社会活動、経済活動、生活等、そういったところで出されてくる人為的な炭酸ガスに換算して二百六十億トン、こう言われております。そして、出口の方、これは自然の吸収量百十三億トン、海洋八十、森林土壌が三十三、こういうことのようですね。したがって、残りの約百五十億トンぐらいでしょうか、このぐらいが蓄積していく。そして、工業化以前の濃度二八〇ppmと書いておりますが、工業化以前というのは大体このレベルだったのが、現在、薄い点線で三八〇ppmと書いてありますが、ここまで上がってきたと。今や毎年二ppm上がっていっていると、こういうことのようですが、危険なレベルというのが上の方に上がっております。四〇〇から四四〇ppm、これが産業革命以前から比べると二・四から二・八度ぐらいの上昇というところで、その辺りがぎりぎりの線じゃないかというような、そういう図でございます。  図二の方は、これがまさしくハイリゲンダム・サミットですか、そこでも議論されたシナリオで、この表の右から二番目に二〇五〇年のCO2排出量、二〇〇〇年比、%というのが書いてあります。一番左のカテゴリー、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと下に行くほど現状追認型になるわけなんですけれども、その二番目のマイナス三〇%からマイナス六〇%というのがさきのハイリゲンダム・サミットで真剣に取り組んでいこうという合意を得た世界共通目標なんだというふうに承知をしております。  そのことを示したのが上の図ということで、これは出典は、環境研究所におられた西岡先生、IPCCにもおられた西岡先生の書物から取った図でございます。  そこで、環境問題というのは、先ほどの非常に濃度の濃い議論の中にもありましたように、人間の活動、諸活動、特に経済活動、産業活動、消費活動、こういったものが活発に行われて、その結果としてたまっていく負の側面なんだろうと思うんですね。外部不経済だとか、こういうふうな言い方もされますが、そういったものがもう受忍の限度を超え始めたというところにあると思います。  たしか十二月の四日の、前の臨時国会の経済産業委員会においても私は自然エネルギー利用を中心にこの辺りの質疑をさせていただいたわけなので余り重複しないようにしたいと、このように思いますが、基本的な前提はそんなところにあるのかなということで、いろいろあります。現実の経済のこと、確かに先ほどの議論のとおりでございます。非常に日本の国の場合には厳しい制約の下で大変な省エネもやってきたわけでありまして、もうぞうきんもからからだと、これ以上絞っても水も出ないぞというぐらいのところに更に負荷を、この削減目標を掛けている、そういうことではないかというふうな言い方もされるわけですね。しかし、地球全体、トータルで考えれば、環境に対する負荷の総和というのが環境許容限度を超えてしまうと、もうそろそろ超えつつあるという認識のようですが、これが急激に超えていくと、もう人類は、人類文明というのが崩壊するということもこれもかなり明らかになってきたと、こう思います。  IPCCの去年のあのちょうど今ごろやった結論というのは、これは科学者、いろんな異論もそれまでありましたし、今もその考え方あります。しかし、ずっと英知を集めて、日本も相当の貢献しておりますが、しかもそれは一方的な判断ではなしに、異論を唱える専門家、学者も中に入れて、そしてきちっと評価をしていった結果でございますから、今のこの前提というのはやはり政治としてはきちっと受け止めていかなければならないことなんだろうと、こう思うんですね。  したがって、社会全体がエネルギーの消費量をいかに削減し得るかということに懸かってきておるわけでございまして、もうぞうきん絞ってもこれ以上出ないよという日本の状況ではありますが、さらに、言わばこの四十数年ある中で、二〇五〇年まで、画期的な技術革新、ブレークスルーもあるでしょう、トップランナー方式もあるでしょう。そして、必ずしも先端の技術のみではなしに、生活の在り方、そして社会のシステムみたいなものを改革していく。それも一つの改革なんだろうと思うんですが、そういったことにおいても随分と対応ができるのではないかと、このように思うんですね。  もうちょっと言えば、二〇五〇年で人口は三千万減るんですよ。今の人口から約七五%ぐらいになるんですね。それに対して各人口ごとのエネルギーの消費量というのは、今申し上げたような住み方だとか技術革新とかいうようなことで、七〇%とか八〇%ぐらいまではまあまあ簡単に日本の実力ならやれるんだろうと私は想定するんですけれども、それを掛けるだけでもほぼ五、六〇%になるんですね、六〇%前後に。私は達観すれば、日本は人口も減るし、そしてかなりの期間、四十年近く掛けて技術革新やっていけば、それはクリアはできると思うんです。世界に対する責任は果たせると、こう思っております。  しかし、それじゃつまらない。それはもうその当時の、二〇五〇年ぐらいの世界経済規模だとか人口だとか炭酸ガス排出量からいうと、先ほどの同僚議員の御指摘のとおり、日本なんて大したことないですよ。そんなにキャーキャー言わなくたって、まあ数%のものでしょうが、それもしっかりと日本は守っておれると思うんですね、多少達観的なことを言うとですよ。今はしんどいですが。  しかし、それだけで終わってしまうなら、日本の値打ちはない。この環境先進国としてここまで努力してきたその努力の先に、この今加わってきていない発展途上国、そして四十年、五十年先には世界の大国というものが、人口規模においても産業規模においても、もちろん中国インド等を始め随分多く出てくるでしょう、そういったところ、あるいはアフリカ、そんな国々において今と同じようなエネルギー利用の生活スタイルというようなものがそのまま踏襲されたら、これはもうとんでもないことだから、そういうことにならないようなモデルを提示する。そのために日本があるんだというふうに考えるべきだというふうに思います。  さて、そんな前提から、まずは品確法ですね。これはバイオ燃料のバイオエタノールあるいはETBEといいましたか、そういったものの導入に関して品質確保しようということのようですが、まずはバイオ燃料についてのその導入の目標、なぜこういうバイオ燃料を導入しなければならないかといったこと、あるいは日本のバイオ燃料の、特に国内におけるバイオ燃料の生産量の見通しであるだとか、そんなことについてお聞かせをください。
  68. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) バイオ燃料につきましての導入目標などについてのお尋ねでございますけれども、まず導入目標につきましては、京都議定書目標達成計画におきまして、二〇一〇年度に廃棄物発電を含むバイオマス発電あるいはバイオマス熱利用を合計したバイオマスエネルギー全体につきまして、原油換算で七百三十一万キロリットルから八百九十四万キロリットルと定められているところでございます。うち、輸送用のバイオ燃料につきましては、原油換算で五十万キロリットルを目標としております。  このバイオ燃料でございますけれども、京都議定書上、カーボンニュートラルという位置付けになりまして、政府として全体としてそれを推進していこうということかと思います。  また、国内の生産量でございますけれども、現状では非常に少ない数十キロ程度にとどまっていると思いますが、今後、二〇一〇年、一一年程度に数万キロリットルの程度に拡大していく予定であると承知しております。
  69. 前田武志

    ○前田武志君 今のお答えの中でセルロース系というお話がありました。ついこの間、間伐促進法案が通りましたですね。これは、御承知のように、日本の山が腐っているんですよ。間伐ができないものですから密集して、密植して植えた二十年生、三十年生というようなところが全く間伐できなくて日が届かない、もう山も荒れ始めているんですね。その間伐を進める。その間伐材というのは昔と違ってなかなか利用方法がない。これはバイオマスそのものなんですね。セルロース系ですね。そんな頭がありまして、日本の山村・過疎地、そういったところの振興というのは、この間伐がいかにスムーズに進むかというようなことに懸かっているんですけれど、このセルロース系、木質系のバイオマスについての現状、見通しをお聞かせください。
  70. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  セルロース系のバイオ燃料取組につきましては、関係府省によって構成されるバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議というところで、昨年の二月に食料とか飼料生産への影響の少ない建設廃材などのセルロース系原料などから製造することが重要という方針を決めました。  また、今年の三月には私どもと農林水産省とで連携して、セルロース系の資源作物から大量かつ低コストでバイオ燃料を生産する技術開発や目標などを内容とするバイオ燃料技術革新計画というものを取りまとめたところでございます。  この中で、御指摘の間伐材などについてもバイオ燃料の製造原料の一つ対象として位置付けられてございますけれども、具体的には、これからまだまだ研究開発しながら各地でいろんな方々のお取組が始まるというふうに考えておるところでございます。
  71. 前田武志

    ○前田武志君 セルロース系、木質系、それから全体のバイオマスもそうなんですが、これは生産物としてはエネ庁あるいは経産省管轄じゃないものですから、一生懸命お取組はしていただいているんでしょうが、我が責任というような感じにはなかなかなりにくい。是非このバイオマスについて、特に木質系について特段の取組をお願いしたいんですね。  あわせて、後で聞きますが、住宅局長も来ておられますけれど、この利用の方ですよ。これまた、住宅局は木材なんていうのは別にオブリゲーションがあるわけでないし、住宅政策ということでやっておられる。本来はこれは林野庁等の所管ですよね。ここも木の文化を入れるという意味で、住宅系にいかに木材を使うかということが炭酸ガス削減につながるし、日本の新しいモデル提示になるということを御指摘をさせていただきたいわけでございます。  そこで、もう一方の農産物系から作るバイオエタノール、アルコール系ですね、これについてちょっと大臣にお聞きしたいんですけれど、一つは、私、どうしてもトウモロコシを、サトウキビであったりトウモロコシであったり、大農場で作って日本まで持ってくる、特にブラジルなんかは熱帯雨林を伐採して畑にしてと、間違っているなというふうに思うんですね。  多少量は少なくても、もっともっと、日本も休耕地なんかがたくさんあるわけですし、中山間地等あるいは河川敷等、菜の花プロジェクトだとかあるいはてんぷら油の利用だとかいろいろあるようでございますが、こういったものは、量は少ないでしょうが、関連するのが地方の小さな町の熱心な人たち、あるいはその町の既存のローテク、こういったものが関与してやっているわけでございまして、私も幾つか現場を見ておりますが、是非経産省においてもこういったものを積極的に後押しをしていただきたいんですね。  ひとつ大臣のお考えを聞かせてください。
  72. 甘利明

    国務大臣甘利明君) バイオ燃料の導入というのはエネルギー源の多様化、それから地球温暖化対策の観点から有効でありますが、それ以外に、御指摘になりましたように、地域経済、地産地消を通じて活性化をしていくということも大いに期待をされているわけであります。  お手軽にできるということであれば幾つかありますが、例えば間伐材を低コストで収集、加工して地域内において発電用燃料として利用すると。これはチップ化でありますけれども、この地産地消の事業を支援をしております。これによりまして、原油価格が高騰する中で、地元企業がより安価な、そして食料と競合しない木質バイオマス燃料を利用できるようになるとともに、間伐材の処理を通じた林業の活性化も期待できるわけであります。それから、御指摘がありました菜の花プロジェクトでありますが、地方自治体であるとかあるいはNPOを中心に、廃食用油を回収して加工し、バイオディーゼル燃料として利用するという取組が各地で進められているわけであります。  経済産業省では、こうした取組を促進するために補助を行っております。これは二分の一補助でありますが、地方自治体、NPOに対する財政支援でありますが、これは地域新エネルギー導入促進対策事業として行っているわけであります。  幾つか例を挙げさせていただきましたけれども、こうした地産地消の取組がこれからも普及するように、引き続き支援に努めてまいりたいと考えております。
  73. 前田武志

    ○前田武志君 そこで、このバイオエタノールにしろ、あるいはセルロース系にしろ、これは自然エネルギーの中ですね。ひとつ、先ほどの議論にもありましたけれども、日本の自然エネルギーの導入の今状況目標、どうなっているか、教えてください。
  74. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 本年三月に公表いたしました長期エネルギー需給見通しにおいて、再生可能エネルギーの最大導入ケースとして、二〇二〇年までに一次エネルギー供給の八・二%、また二〇三〇年までに一一・一%という見通しを示しておるところであります。  この二〇二〇年度の数字は、例えば住宅用の太陽光発電については新築の持家住宅の約七割に導入をすると。累積で三百二十万戸ということでありますから、累積でいいますと現在の約十倍程度の導入量となります。風力発電につきましては二〇二〇年においては現状の約五倍の導入量を想定しているものでありまして、この水準だけでありましても官民総力を挙げてこれをやり上げなければとてもとても達成できないものだと、そう私たちは考えております。ちなみに、二〇三〇年の数字を申し上げますと、戸建て住宅の太陽光、約一千万戸、そして風力発電につきましては、二〇三〇年、約六千基の想定をさせていただいたところであります。  他方、EUでは、二〇二〇年に最終エネルギー消費量の二〇%の再生可能エネルギーを導入する目標を設定をいたしております。しかし、私たちの日本の国と地形あるいは自然環境いろいろ異なる国々についての比較を一律にするというのは、必ずしも適切ではないかなとは思います。  この間ドイツに参りましたけれども、ドイツに参りますとそこかしこに風力発電の施設があります。私たちの日本でもこういう形にならぬのかなと考えて事務当局ともいろいろ話したのでありますけれども、地形的に急峻な地形が多いとか、あるいは風というと海岸地帯でありますとか、あるいは私たちの日本は一定の風量が確保できない地域があるとか、あるいは、残念ですが、台風で、よく報じられますように、風力発電の施設が結果的に崩壊をさせられたとか、いろいろそういうケースを見ると、なかなか一気呵成にという形にはいかないと、そういうことは承知はいたしております。  いずれにしましても、長期エネルギー需給見通しで示したこの二〇二〇年の姿を目指して経産省としても最大限の努力を行ってまいりたい、こう意を決しております。
  75. 前田武志

    ○前田武志君 もちろん自然エネルギーというのは本質的に地域に独特のものであります。しかも、広く薄くという性格を持っておりますから、それをいかにうまく集めて使えるエネルギーにするか。  しかし、需要側、使う側というのは、地域の、特にセクター別の、この経産省が法案説明に持ってきていただいたのでも民生部門が一・四倍、随分増えているんですね。民生部門なんかで使うエネルギーというのは質の悪いエネルギーでいいわけですから、そこに自然エネルギー利用の、実は技術的にちょっと技術を高めれば可能になるんだろうと思います。やれない理由というのは今やっていなければ大体幾らでも出てくるんですけれども、その気になって取り組めば自然エネルギーの利用というのは可能になると思う。  しかし、それもまた日本のこれだけ大きな経済社会の全体の大きな割合をこれでというようなものではない。それは分かっているんです。しかし、少なくとも、民生部門も含めて自然エネルギーを徹底的に使う。そして、やがてそういうことになってくると社会の在り方まで変わってくるんだろうと思うものですからね。  そこで、今副大臣が御指摘のように、かなり意欲的な目標は持っていただいているようなんですが、それを可能ならしめるには、RPSです。RPSが余り機能していない。  もう時間がありませんので先取りして言いますが、それはそうです、電力会社に全部をかぶせるようなやり方取ってりゃ、そんなものは限界がありますよ。だからこそ固定価格制度というものをもっと考えろということを言っているわけでして、固定価格制度を導入したドイツだとかスペインだとか、みんなすごい自然エネルギー利用が進んでいるんですね。しかも、それが最終利用者である市民、消費者にそれほど大きな負担になっていない。進めば進むほど全体のコストも落ちる。  しかし、日本の場合には一挙にそこまで行くのもなかなか難しかろうということで、前回も申し上げたんですが、燃料費調整制度というのがある。それをうまく組み合わせれば今でも直ちにもっと自然エネルギーを導入することができると思いますが、いかがお考えですか。
  76. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 御指摘燃料費調整制度は特定の電源についての振興のためには今できておりませんので、そういった面で現在そういう体制ができていないと思いますけれども、御指摘の、例えば今風力だとか太陽光について固定価格制度で、ドイツのように、今、キロワット七十九円とか、そういうことで二十年間買うということでございますが、通常の電源の十倍ぐらいの値段で買い続けるということを約束をするということについては、むしろIEAなどからもエネルギー政策上非常に問題があるという御指摘もされているようでございます。  私どもは、むしろ幅広くこういった、例えば太陽光発電などについて普及させるためには、現実的に経済的に成り立つようなコストにいかに早く下げられるかということが大切ではないかと思っておりまして、そういった面でいうと、技術開発を促すという観点からも余り高い固定価格制度で買い取り続けるという案が全体を引っ張っていくということについては必ずしも適切ではないんではないかというふうに考えております。
  77. 前田武志

    ○前田武志君 長官としてはそういう答えにならざるを得ないんでしょうが、私は、今のRPSの制度の中で固定を導入しろとか言っているわけじゃないんですね。これはまさしく政治の責任でどういうふうに改革していくかということになります。  建築関係の省エネのところについては余り質疑の時間がなくなってしまいましたけれど、一つ言えるのは確かに北欧系ですね、北欧であったりあるいはドイツであったり、無暖房住宅というようなものが既にもう常識になってきている時代なんですね。そういう意味では日本の住宅というのは、特に住み方というのは非常に保守的なものですから、建材等は新しくなっても、日本の住宅というのはやっぱり昔からの伝統的な夏の暑さをどうしのぐかというような、そういう木造住宅から来ているわけで、外断熱なんという発想は元々ないわけですね。そういったものを導入して非常に省エネの極致のようなものが世界ではどんどん進み始めて、日本でもモデル的に長野県で、もう既にこの国会でも、委員会でも紹介されたと思いますけれど、老人施設にそういうのを導入して数年の成果がどうなっているかを聞きました。非常に省エネであると同時に快適なんですね。いわゆるにおいがこもったりというようなことも全くない。非常に太陽なんかもどんどん取り入れて、中に入っておられる御老人たちも健康だというようなことでした。  一つの例なんですが、こういった新しい建築の在り方、省エネ住宅といいながらも、個々のことではなしにトータルで考えていくべきだと思いますね。中の機器についても、電気ストーブだ、やれ灯油が上がったから冬北海道では大変だ、そんな灯油をたいてストーブで暖を取ったり、非常に高度の集約したエネルギーである電気を使ってニクロム線で暖めてヒーターにして、そういうような在り方というものはこれは早急に改めなければならないと思います。そういうふうにつながっていってほしいと思うんですね。  そんな意味で、申し上げたようなことも含めて、日本のモデルというのは生活の在り方からエネルギーの節約の仕方から、言ってみれば自然エネルギーを利用していかに省エネをやって、そして大都市なんかは世界に冠たるマストランジットというんですかね、大量輸送形式、こんなすばらしい都市交通なんというのは世界にありませんよ。そういうふうにモデルを示し得るわけですから、是非この省エネ、自然エネルギー、そして未来のあるべき人間の社会の在り方、そういったものを日本が提示するんだというぐらいのつもりでこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  最後に大臣の御所見を聞いて、終わります。
  78. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今の話は国交省の話じゃなくてですか。
  79. 前田武志

    ○前田武志君 というよりも、大臣として、内閣の責任あるお立場として自然エネルギー中心にですね。よろしくお願いします。
  80. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 地球温暖化の防止に関しては何か一つだけ取り組めばそれですべてが解決するということではありません。先ほど来指摘されていますように、省エネの技術あるいは従来にない革新的な技術を投入をする、安全を前提とした原子力の推進あるいは建築物に対する省エネ、断熱性の一層の向上、あるいは国民運動としてどう取り組んでいくか等々、あらゆる政策の合わせ技でこれはなし得ていくものであるというふうに考えております。  経済産業省のみならず、政府挙げて各省連携で毅然たる姿勢で環境先進国日本の姿を示していきたいというふうに思っております。
  81. 前田武志

    ○前田武志君 終わります。
  82. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。  御配慮により、先に質問をさせていただきますことをお許しいただきたいと思います。ありがとうございます。  大臣の記事をちょっとインターネットで見させていただきました。「省エネ技術の開発が国際競争力に」、そしてもう一つは「太陽光発電技術、いずれはプラント輸出を」と、こういうのを見まして、ああ、すばらしいなという思いでこの記事を読ませていただきました。  もちろん、先ほど来、種々いろいろな御質問、御意見が出ておりますけれども、やはり環境経済の両立という視点が大事であると、藤原先生もおっしゃいました、まさにそのとおりであると思います。そして、この両立を図るという観点がないと、まさに途上国はこれから伸びていかれない。ですから、途上国も成長する権利はちゃんと担保をしながら、最終の二〇五〇年を目指して具体的な数字にするということであります。そして、そのためには、その省エネ技術をどう移転していくかがかぎであるというふうにおっしゃっておられて、もちろんファーストステップでセクター別アプローチのこともお話をなさっていらっしゃいます。  並行して、革新的な燃料電池開発、自動車用電池や燃料開発ということもおっしゃっておられましたが、昨日テレビを見て、ニュースを見ておりましたら、日産自動車とNECは十九日、次世代環境対応車に使うリチウムイオン電池の量産を始めると正式発表したと、こういうことでございました。もちろん、これは日産とNECだけではなくて、トヨタと松下、あるいは三洋電機とドイツのフォルクスワーゲン、それぞれが共同開発をもう進めているところでありますが、いよいよ開発から量産へという時代になったと。これはまさに、私は大臣のリーダーシップでこのすばらしい燃料電池が進められているのだというふうに昨日もニュースを見ていて確信した次第でございます。  私は、そこで、その太陽光発電のことでありますけれども、この文章によりますと、世界最大級の太陽光発電所を国内に造ろうと考えていると、これは思っているということで、実際できるかどうかまだ分からないということみたいであり、(発言する者あり)できますか、そうですか、すばらしいです。私の号令でということでございました。これは、高性能蓄電池と合わせて開発をします、最終的には発電技術とワンセットでプラント輸出をすることを視野に入れている、この輸出の先の一つは中東です、中東では極めて太陽光への関心が高くなっている、彼らに言わせると、私たちには石油以外に資源がある、さんさんと輝く太陽は我々の資源であると。  私は、ドバイの、これもニュースで見ました。前からドバイは関心を持っております。私の娘はイギリスのシティーにある法律事務所で弁護士しているんですけれども、ドゥバーイへ行ってくるという、こういうふうに言うんですね。今ドバイというのは石油は枯渇しちゃったそうですけれども、もう高層ビルとかホテルとか、どんどん砂漠の地に建っていまして、これからは金融と観光でここが発展するそうですけれども、ああ、こういうことも大臣は視野に入れている、つまり、石油はもう枯渇しちゃって、自分のところで使う石油もないし売る石油もないけれども、観光や金融でどんどん人を集めたいと。それには、さんさんと輝く太陽は幾らでもあるわけですから、こういう中東を主にしたプラント輸出をするというお考えはすばらしいということで、まずこれについての所見をお伺いいたしたいと思います。
  83. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私の多分ホームページで、国会リポートでそういうことを報告したと思っておりますが、御覧になっていただいてありがとうございます。  日本は、太陽光パネルの技術相当進んでおります。ただ、このところ国内設置容量も、それから世界に向けての輸出も含めた生産容量も他国に抜かれる、あるいは抜かれつつあるということを危惧されているわけであります。  私は、日本に太陽光発電技術ありということを国内外にきちっと知らしめる必要があると思いまして、国内の電力会社と今調整をしているところであります。国内的にも最大規模のものを造りたいと思っております。もちろん民間がやることですから私が命令するわけにはいきませんから、要請をし最大限協力をするということになるわけであります。  あわせて、海外へのプラントとしてその輸出をすべきではないかということを提唱しているわけでありまして、日本の場合は蓄電池の技術が優れています。太陽光の一番のネックというのは出力が不安定になると、雨、曇りでフラクチュエートするわけですね、夜は全く出ないと。これは定格出力で出し続けることができるようにするためには高性能な大容量の蓄電池技術が必要であります。この高性能大容量の蓄電池と太陽光発電とを組合せをして安定した質の良い電力を持続的に供給するという技術を開発し輸出したらどうかということで、何か所かで直接提案をしました。  UAEでも提案をしましたし、サウジでも提案をいたしました。彼らはもう極めて乗り気であります。つまり、石油や天然ガスが枯渇したときに自分たちの国はどうなっているんだろうかという不安と闘っているわけでありまして、そのときにもきちんと電力供給ができる、あるいは彼らは電力輸出をしたいということまで言っているわけでありまして、資源としての石油とそれから資源としての太陽とあるんだというふうに胸を張っていたわけでありますが、そこのニーズにしっかりと合致をさせるということだと思いますし、また途上国では電線網がないところで例えば農業のかんがいをどうするか、かんがい用水をどうするかとかいうことの課題に、太陽光発電があればそこの現場でそういう電力供給ができるわけでありますから、農業の途上国の振興、アフリカ等の振興にも役立つのではないかというふうに考えております。
  84. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  大臣のお考えの一端をお伺いいたしましたけれども、日本がそうした太陽光発電、蓄電池ということもそのすばらしい技術があるということで、しっかりとこれをここにありと国内外に知らせる必要があるという大きな御構想を伺わせていただきました。  それでは、本法案に入りたいと思います。しかし、あともう五分になってしまいまして、申し訳ありません。私もつい自分がしゃべってしまいますので。  戦後、私も団塊世代でございますけれども、幼稚園時代には白黒テレビができまして、洗濯機、冷蔵庫、家庭電化製品、三種の神器と言われました。ふんふんとうなずいてくださっている方もいらっしゃいますけれども、その三種の神器もいろいろと変わってまいりまして、五年前の小泉総理の施政方針演説では、これが食器洗い乾燥機、薄型テレビ、カメラ付携帯電話、これが新三種の神器というふうにおっしゃって、欲しいものがないと言われる現在でも新しい時代をとらえた商品の売行きが伸びているというふうにおっしゃっておられましたけれども、これ以外にも電子レンジや空気清浄機、ラジカセなど次々ともう出てきます。  やっぱり欲しいものはあります。そして家庭に必要なものもやはり主婦としては特にございまして、私は麹町の宿舎に入っておりますけれども、非常に古いんです。いろいろ宿舎のことでも言われておりますけれども、コンセントがないんです。こういう状況を一般の国民の皆様に分かっていただきたい。ですから、もうそのコンセントを作ってもらうだけでも大変な工事を、私がお金を出してしかもやってもらわなきゃいけない、辞めるときには元に戻していかなきゃいけないと。ついでの話ですけれども、こういうふうにしなきゃいけないと。  こういうことで非常に古いところを使っておりまして、今は例えば電話でもディスプレー方式じゃないとだれから掛かってくるか分からないとかいろいろ危険なこともあるとかという、特に女性の独り暮らしなどはそういうことがあって、すべてに電源が要る、電気が要るという、ちょっと横道にそれましたけれども、そんな状況になっております。  一九七三年には例の中東戦争の影響によるオイルショックがありまして、我が国にも大きな打撃を与えた。これは、経済成長率はこの翌年に戦後初のマイナスとなって、例の高度経済成長時代に終止符を打ったわけであります。ここから日本全体が化石エネルギー資源は限りがあるんだ、欲しいときには手に入らないんだと。特に今はこういう状況であります。ですから、一九七九年には一斉に省エネが叫ばれて今回改正に臨む省エネ法が作られました。いろいろありますが、先ほども胸を張って言える省エネだというお話もございました。  今回よくよくこれを見ますと、二〇〇五年度の部門別エネルギー消費は、部門別では、産業部門では一九九〇年度と比べて一・〇倍とオイルショック以来横ばい、業務用、家庭用を含んだ民生部門では一・四倍、運輸部門では一・二倍となっているわけであります。民生部門もあるいは運輸部門も、省エネ対策強化策が取られてきたのにもかかわらず残念ながら省エネが進んでいないという状況にあります。  各部門でのエネルギー消費の動向、その要因をどのように認識をされていらっしゃるのでしょうか。また、こうして一生懸命に特に民生部門、運輸部門、省エネ対策しているにもかかわらず進んでいないという結果はどういう理由があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  85. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、産業部門では生産が増強されているにもかかわらず横ばい、それから運輸やそれから民生でかなり増加をしてしまっているということであります。  産業部門につきましてはいろいろな省エネ努力が図られてきましたし、各種政策も厳しく省エネを管理していくような法改正もなされてきたわけでありますが、それを極力今度は幅広く、産業部門から民生業務部門にまで入っていくようにカバレッジを広げるという改正を今お願いをしているわけであります。  あわせて、家庭部門におきましても、トップランナー制度による家電製品の購入が確認しやすいように、販売事業者と連携をして言わば国民運動として省エネ製品を極力使っていくように、買い換えるときには省エネのラベリングに注目をしていただくということ等、取り組んでいるところであります。また、省エネを国民運動として定着させていくためのいろいろなキャンペーン等も行っているところであります。  そういう点を通じて、今まで産業部門では省エネ法等での縛りもありましたし、あるいは省エネ自身がエネルギーコストを下げて競争力を付けていくという自分自身の事情からも推進をしてきたんですけれども、そういうインセンティブが働かないところにインセンティブを付けていくような取組として今回の改正をお願いをしている次第でありますし、この改正は規制部分もありますから、誘導策と規制と、いろいろ合わせ技でこの運動が広がっていくようにしているというところでございます。
  86. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。たくさん通告申し上げましたのに二問で終わってしまいました。続きは次の機会にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  87. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  88. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、エネルギー使用合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等品質確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 加納時男

    ○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。  初めに、バイオ燃料について伺いたいと思います。  バイオ燃料地球温暖化に有効であると言われておりまして、政府は二〇一〇年に五十万キロリットル、石油換算の導入を目指しておられます。  ところで、どんなものにも便利なものには必ずリスクがあります。このバイオエネルギーにもリスクがあると思います。例えば、不適正な混和が行われるということによって混入濃度の限界を超えた混和品が生ずることであるとか、流通段階で水分が混入してしまうといったような様々なリスクが懸念される、こういう指摘がありますけれども、具体的にはどんなリスクがあるんでしょうか、伺いたいと思います。
  90. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答え申し上げます。  現行の品確法におきましては、ガソリンに対するエタノールの混合上限は三%、ETBEの混合上限は約八・三%と規定いたしております。また、軽油に対する脂肪酸メチルエステルの混合上限については五%と規定しております。  流通段階で混入を想定しておりますのはエタノールとそれから脂肪酸メチルエステルの場合だと思いますけれども、濃度管理や攪拌が不十分など不適切な混和を行う場合には、規格に適合したガソリンや軽油を製造できずに、結果的に、自動車部材を腐食させ自動車火災を引き起こすおそれや、排ガス性状の悪化により大気汚染を発生させるおそれがございます。また、場合によっては、E3などの場合には水分混入によってガソリンの品質が変化する、すなわちオクタン価が変わる、あるいは蒸気圧が下がるなどのことが想定をされているわけでございます。
  91. 加納時男

    ○加納時男君 今のお話で、不適切な混和によって大気汚染であるとかあるいは光化学スモッグ、自動車部品の劣化、火災事故等の懸念もあるというわけですね。こういうリスクがあるとすると、当然このリスクに対処して今回の法改正がなされていると思います。  それでは、具体的にこの法改正ではどのような対策を講じているか、伺いたいと思います。
  92. 荻原健司

    大臣政務官荻原健司君) お答え申し上げます。  今回の法改正におきましては、まず、バイオ燃料を混和する事業者に対しまして事前の登録を義務付けます。適切な混和を行い得る設備があるかどうか、違反歴があるかどうか、こういったものをチェックをしたいと思っています。  また、生産したバイオ燃料混合ガソリンや軽油品質規格にきちんと合っているかどうか、いわゆる品質確認の義務義務付けるということでございます。  バイオ燃料の混和を行う事業者がこれらの義務を着実に履行しているか確認するために、立入検査も実施したいと思っております。また、予算措置を講じまして、毎年すべての混和事業者からサンプルを取りまして、分析を行い、規格に合っているかどうか、こういった確認をしたいと思っております。  さらに、執行に当たりましては、税務当局、アルコール管理当局、消防当局等と情報交換を行いつつ、執行面での連携強化を図ってまいりたいと思いまして、こうした取組を通じまして石油製品の適正な品質確保するようにしてまいりたいと考えてございます。
  93. 加納時男

    ○加納時男君 とても、よく分かったという今声がありましたけれども、分かりやすい説明をしていただいてありがとうございます。結構だと思います。その方向で是非進めていただきたいと思っています。  不良ガソリンが出回るおそれというのはいろんなことで危惧されるわけであります。例えば、元売の管理を離れた特約店とか油槽所などの流通段階でエタノールが混合される、こういうおそれもあります。それからまた、こういう場合、油槽所にはこれまでの法律では品確義務品質確認義務はないんですけど、これについてはどのように対処しておられるのか、伺いたいと思います。
  94. 新藤義孝

    ○副大臣(新藤義孝君) 今回の品質確保するための義務は、業者に規制するのではなくて、それを行う者に対する規制でございます。ですから、卸売業であって、また特約店や、それから元売、それぞれ各事業所がそういう行為を行ったときに規制を掛けると、こういうことでございます。  したがいまして、バイオ燃料の混和によって新たな品質のガソリンや軽油を生産する事業者に対して経産大臣の登録、それから品質確認義務が掛かります。それによって、単に、バイオ燃料の混和を行わずに燃料の売買のみを行う卸売業者まで至らずとも十分に品質確保が図られるんではないかなと、このように思っておりますし、また、この義務を履行しているかどうかは、立入検査を実施するなど厳格に執行できるように心掛けていきたいと、このように思います。
  95. 加納時男

    ○加納時男君 お話は抽象的によく分かるんですが、実際の話としまして、今回の措置では生産業者、輸入業者には出荷という行為ですね、出荷という行為のときに品質確認義務が課せられています。それから、販売業者にも同様の義務があるんですね。それで、ただし、卸売業者にはその品確義務がないというのは、どうもちょっと今の説明ではいまいちよく分からないんですけれども、なぜでしょうか。それでどのように対応するんでしょうか。
  96. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 想定される違反というのは混和に伴うものでございます。したがいまして、混和を行う人であればすべての人が対象になるわけでございまして、規定の仕方として行為を行う人に着目して行われているわけでございます。いわゆる全体としては卸売業者であったとしても、それが特定の場で混和をするということになればこの法律対象になる人になるわけでございまして、それは法技術的な規定の仕方であろうかというふうに思っているところでございます。
  97. 加納時男

    ○加納時男君 どうもありがとうございました。  ちょっと、次はやや専門的なというか、細かい話なんですが、ちょっと気になっていることがあります。  この法案を見ますと省令規定が多いんですね。私も省令というのに委任してはならないということは思っておりませんし、日進月歩の技術開発の時代であります。法律改正をそのたびにしなければならないということになると、急速な日進月歩の技術に追い付いていかれない。それから、世の中では予想もしないことがいろいろ起こっているのが現実でありますから、あらゆる変化に機動的に対応するのが大事だというのはよく分かります。  そういう意味では、法律ということになりますとかなり準備期間が要ります。そして、いろんな手続を取り、ようやく国会に出てくると。出てからも慎重な審議が行われてやっとでき上がると。しかも、衆議院、参議院、両方通るからまず倍の時間が普通掛かっておりますよね。これは民主主義ですから当然のことなんですが。これは私、法律でやるべきことは法律でやるべき、だけれども、何でもかんでも全部法律でやるのは大変だと、こういう考え方も私は理解しています。そういう意味では、機動的な対応のために省令で対応していくというのは、私は認める立場であります。  でありながら、しかしながら、私がちょっとこだわっているのは、国民の権利義務にかかわるようなもの、権利義務対象となる、言わば手続じゃなく、ロジじゃなくてサブスタンスにかかわるようなものについては法律事項ではないかなということをいろんな機会に私は言っておりまして、国が作って閣法で出てくる法律で省令が多いと必ず一言言っておりますので、今日も一言だけ言わせてもらいたいと思っています。  というのは、例えば、例を挙げた方がいいと思うんです。今日の朝配っていただいたのをぱっと見ますと、第二条があります。これは品確法の第二条ですが、特定加工についての定義がしてあります。石油製品石油製品以外のものであって省令に定めるものを混和すること、これを特定加工というと、こういう定義をして、特定加工についてはだあっと後の規制が掛かってくるわけであります。  これ、読んで分かりますかね。石油製品石油製品以外のものを混ぜる。何だろうと、私は読んでこれ一瞬分からなかったですね。石油製品、これは分かりますね。それに石油製品以外のものであって省令に定めるもの、これ分かったら私天才だと思うんですけれども、恐ろしく分からないと思います。これ、いろいろ実は私もこの法律作るときからタッチしていたので、中身は正直言うと知っているわけでありまして、これは揮発油にエタノール、揮発油プラスエタノール、つまり、石油製品というのが揮発油で、石油製品以外で省令で定めるものはエタノールであると、こんなことに恐らくなると思います。  それから、エチルターシャリーブチルエーテルですね、ETBE。石油製品揮発油であって、石油製品以外で省令で定めるものがETBEであると、こういうふうに読むと非常によく分かるわけです。  それから、軽油石油製品とすると、石油製品以外で省令で指定するものは恐らくBDF、バイオディーゼルフューエルだろうと私は思います。  これは私、別にこの道のプロじゃないんですけど、こういうことに少しかかわっていると頭にぴんときて、ああこれはこの話ってすぐ分かるんですけど、これ正直言って、普通の国民が見て、石油に石油製品以外のものを混ぜる、石油製品以外のもので省令で定めるものを混ぜるのは特定加工というんだよと言われて、ぴんとくるでしょうかね。ちょっと私は恐ろしく難しいんじゃないかと思うんです。  私、ただ悪口言っているんじゃなくて、建設的な提案をしますと、今回はこの法律これでいいと思いますけれども、何となく分かりましたんでいいんですけど、今後似たようなことをやるときは、ある程度例示をして、それ及びその他政令で定めるものというふうな書き方もあるんじゃないかななんて思っています。この辺はかなり行政府と立法府との間のせめぎ合いのところかなと思って、余り責めるのも気の毒な気も内心しますけど、私が行政官だったらちょっとつらいなとは思いますけど。逆に、これは立法府にいる人間としては、どうしても私は、何でもいいから省令に委任するというのは少し安易ではないかと、あるいは今までの我々が、政治の場が少し甘かったんじゃないかななんていうところで思っています。  大変失礼なことで、もうちょっとだけ言わせてもらうと、品確法や何か、品確法の中で経済産業省令で定めるというのは何か所あるのかなと。ごく、今回は品確法の、これ一部改正ですから割と短い法律なんですけど、それでも八か所ありますね。もう一つ今日、議論のネタになっている省エネ法エネルギー使用合理化に関する法律の一部を改正する法律案、名前は非常に長いんですけど、法律自体は短いんです。この短い中に、じゃ省令委任が何か所あるか、今朝もらったんでちょっとお昼休みに調べたら、失礼なことを言いますけど、調べたら二十三か所あります。省令で定める。うち、おたくだけじゃないです、国交省令で定めるが十一か所、経済産業省令で定めるのが十二か所。実体をやっているのか手続なのかってまた私なりに分類してみたんですけど、これはほとんどが、九〇%以上は手続の細目であるから、これはいいのかなと思います。だから、やっぱり実体というところになるとちょっと気になるなと。  今申し上げたのと似たような例が、さっきの話、品確法に戻りますと、品確法で登録拒否の要件というのがあって、これは通告していなくて悪いんですけど、十二条の五です。お作りになっている方が全部御存じだと思いますが。これは第十二条の三という条項の第一項の第四号に掲げる事項、何か分かりにくいんですけど、というのは何かというと、特定加工のための設備の構造のことですが、これが、特定加工を適切かつ確実に実施するに足るものとして経済産業省令というのが出てくるんです、で定める基準に適合していないと認めるときは登録を拒否しなければならない。これはかなり大事な規定で、登録拒否というのはまさに権利にかかわるものですから、これを拒否する規定の中にやっぱり省令で定める基準というのが入っています。  ただ、救いがあるのは、これ以外にも幾つも例示がしてあって、そして、それ以外、それで漏れちゃうものについてこれで救っているという規定の仕方だから、私はこれは納得できるんですけど、例えばこんなような規定の仕方も、さっき、今日例に挙げた品確法第二条のことで検討の余地があるんじゃないか。今日はこれで修正案を別に出しているつもりじゃないんで、意見を聞きたいと。今後こういうことを留意すると言ってくれれば私は終わりますけれども、感想を聞きたいと思います。
  98. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 法律が下位法令にその細部を委任するということは、いろんなケースが考えられると思います。今先生が御指摘になりましたケースでも、混入するものを何ができるかという部分と、それから登録要件のところとは恐らく趣旨が、私どもが考えるときには趣旨が違うんではないかと思っております。  それで、最初の方はむしろ、私はこういうガソリンの揮発油のような危険物については、基本的には混ぜ物しないでいただきたいというのがこの法律の趣旨だと思います。したがって、何かどうしても新しいことが出てきて、これはむしろ混ぜた方が国民経済的にはプラスであるというようなものが現れた場合に、それをできるだけそういう意味では機動的に許すというために書こうということで、まずもって、この法律国民にまず周知させていただきたいというものは、基本的には混ぜないでほしいということなものですから、多分、恐らくそれが安全のために必要だということでああいうふうになっているんではないかというふうに思っております。  現実問題として、エタノールであるとか、今我々が許可をしようと思っているものについては、そういう行為がむしろ適正に行われつつある分野であるものでございますので幾つか省令で決めているということでございますが、これから一体どんな混ぜ物が違法にも行われるかもしれないし、それが直ちに危険を及ぼすというような事態も想定されますので、ああいう規定になっているということだと思います。  それから、登録要件についての、先ほどの省令の部分は、済みません、一々言い訳ばっかりして申し訳ないんですが、先ほどの省令の部分は恐らく設備についての詳細な規定になると思いますので、その点については、設備の変化等々ございますので、むしろ技術的な事項としての部分ではないかと思います。  その他、今全部レビューしておりませんが、私どもとしてはできる限り、安易に下位法令にゆだねるということはむしろ国民からの支持を失うということも十分考慮しながら、省令についての最低限の委任ということを考えるというのが基本であるということは心してやってまいりたいと思っております。
  99. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  今、今後の覚悟も述べられましたので、その方向でやっていただけるということで、私は今日はこの質問はここまでにしておきます。  次の質問でございますけれども、バイオエネルギーのもう一つのリスク、食料とのバッティングのリスクについて、今日午前中にも同僚議員から質問がありましたけれども、もう少し追加して伺いたいと思います。  私の問題意識の基本は、バイオエネルギーを高く評価する、ただし、これのエネルギー利用は、食用利用、食べ物ですね、食べ物の利用と競合し、食料供給の安全保障といいますか、食料供給に支障を及ぼさないでやってもらいたいというのが基本の考えで、それに基づく質問でございます。  現実、世の中は今バイオブームでありまして、今日も午前中に指摘がありましたように、アメリカで、ヨーロッパで様々な問題が起きております。  アメリカでは、食用の大豆からバイオ燃料用にトウモロコシに転作するということで、大豆が不足して値段が高騰しております。そのために、対策としてセルロース系の植物にしたらいいんじゃないかなんて言っております。それから、ヨーロッパでも、小麦や大麦からバイオエタノールを取っているわけでありますので、小麦、大麦、これ食料用になります。  そこで、食料とのバッティングが危惧され、新聞によりますと、EUバイオ燃料比率を引き上げるというのがこれまでの方針でありました。二%から一〇%までバイオ燃料の比率を引き上げようということを指示しておりましたけれども、どうもこれは食料とバッティングしそうだからこれを見直そうと、つまり一〇%に引き上げるのを見直そうということが言われているそうであります。  こういったことについてどのようにとらえておられるか、どのように考えていかれるか、伺いたいと思います。
  100. 甘利明

    国務大臣甘利明君) バイオエタノールを含むバイオ燃料の導入は、エネルギー源の多様化であるとか地球温暖化対策の観点から有効であります。しかし、御指摘のように、トウモロコシ由来のバイオエタノールの大規模導入等が一因となって食料価格が高騰しているという指摘もあるわけであります。  我が国におきましては、食料由来のバイオエタノールを大規模に導入するということは更なる食料価格の高騰を招くおそれがあるということを懸念をいたしておりまして、このために、バイオ燃料の導入に当たりましては食料生産への影響に留意をしつつ慎重に進める必要があるというふうに考えているわけであります。加えて、食料と競合しないセルロース系のバイオ燃料の開発を進めていくことが必要だと考えております。  経済産業省では、本年三月に、農水省と連携をしましてバイオ燃料技術革新計画を取りまとめたところであります。この計画に基づきまして、セルロース系の資源作物など食料生産への影響の少ない原料からのバイオ燃料の製造技術開発を進めております。今後とも、関係各省と連携を取りまして、食料と競合しないバイオ燃料の利用促進に取り組んでまいります。
  101. 加納時男

    ○加納時男君 大臣から基本的な考え方が示されまして、全面的に賛同いたします。  今のお話の中で資源作物という表現がございました。私もこの問題非常に関心があって、外国へ行ったときに、アメリカとかブラジルでもいろいろ話を聞いているわけですけれども、アメリカでは、セルロース系の作物を作って、それで、まさに今おっしゃった資源作物ですね、それを作っていきたい。例えば何ですかと聞いたらスイッチグラスだと言うんですね。私もスイッチグラスというのは聞いたことなかったんで、日本に帰ってきてすぐいろんな事典で調べて分かったんですけど、何かイネ科の植物で割と早くできるらしいんですけど、これはセルロース系のものとしては食料とバッティングしない、燃料用にはいいんじゃないかなんて言っているんですが、アメリカでよくても、土壌も違うし土地の広さも違いますから、日本ですぐにできるというものじゃないんでしょうが。  このスイッチグラスのようなものを日本で見出して、またそれを育てていくという、資源作物ですね、まさに。そういうことはかなり具体的にイメージがあるんでしょうか。このスイッチグラスについてはどのような感想を持っておられ、日本ではどのようなアイデアがあるのか、伺えたらと思います。
  102. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 委員指摘のとおり、アメリカでは、食料と競合せずに、多量かつ安く、低廉に生産できる資源作物としてスイッチグラスなどの遺伝子組換え技術を活用した研究開発が進められているというふうに承知いたしております。こうした資源作物は、食料との競合問題あるいは安定供給、経済性といった課題を解決するものとして期待をされているところでございます。  我が国においても、バイオ燃料技術革新計画において、高収量栽培技術によるセルロース系の資源作物を利用したバイオエタノールの生産について提言を行ったところでございます。よく日本で言われておりますが、まずは農水省の関係研究所がエリアンサスという植物を、やはりこれもスイッチグラスと似たような形の植物でございますけれども、こういうものを改良をしてより高収益なものを研究しているということを私どもも承知しておりますけれども、こういった、できる限り食料生産等に負荷を掛けない、影響しない資源作物というものについては、アメリカがやはり遺伝子組換え技術が非常に進んでいるということもあって先行をしているところではございますけれども、日本としても是非研究をしていく価値はあるというふうに思っておるわけでございます。
  103. 加納時男

    ○加納時男君 今長官の言われたエリアンサスの話は非常に興味があります。これは、それがあるから、この世界ではよく、ればたらと言うんですけれども、何々をたくさん植えたならばと言うんですけれども、これはもちろん、耕地の面積の制約だとかいろんな条件がありますから簡単にはいかないとは思いますけど、大切な芽だと思いますんで、是非研究をよろしくお願いしたいと思います。  今長官が言われたバイオ燃料技術革新計画、これは今年の三月ですか、経済産業省と農水省が共同でまとめられたというふうに理解していますが、その中では、食べ物用、人間の食料用と家畜等の飼料用と、それからエネルギー用と、いろんなものに使われるバイオ燃料というかバイオ作物についてどのような優先順位がいくのか。食べられるものではどうか、それからセルロース系ですね、セルロース系は何でも燃せばいいんじゃないかと思います。そういうものは、例えばリユース用だとかマテリアルリサイクル用だとかエネルギー用とか、いろいろ用途があると思うんですが、こういったものの優先順位について議論されたと思うんですが、分かる範囲で教えてください。
  104. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) バイオ燃料の原料として現時点で広く使われておりますのは、先ほど来ございましたけれども、世界的にはトウモロコシなどの穀物、サトウキビなどの作物が中心となっておりますけれども、やはり食料生産への影響というのを留意しながら慎重に進める必要があると思います。したがって、食料や飼料となり得る作物を原料とする場合にあっても、農業残渣、残り物ですね、の利用や耕作放棄地を活用するなど、食料、飼料生産と競合しない形での利用が望ましいという議論をいたしました。それから、中長期的には、先ほど来御議論になっております食料と競合しないセルロース系のバイオ燃料という仕分になろうかと思います。  今先生御指摘バイオ燃料技術革新計画では、そういう観点から、稲わらとか間伐材とかいった未利用バイオマスやセルロース系の資源作物などを原料として、低コスト、多量に導入可能な技術革新の実現ということを目指しているわけでございます。
  105. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  以上をもちましてバイオマス関係については私の質問は終わりまして、残った時間で、再生可能エネルギーの中でバイオ以外のものとして、そうですね、ヒートポンプと太陽光を取り上げてみたいと思います。  まず、ヒートポンプでございます。先週のこの会議甘利大臣は次のように言われたと記憶しています。地球温暖化防止に欠かせないものがある、それはヒートポンプと原子力だということを明確に言われたように記憶しております。そういうことが非常に印象に残って、毎日、新聞見ていましたら、まあ載っているわ載っているわ、すごいんですね、確かにヒートポンプ、物すごく載っています。  昨年ノーベル賞を受けましたIPCC、国連の気候変動に関する政府間パネルでございますけれど、これの議長をやっておられますラジェンドラ・パチャウリさんが先月、日本に来られました。その記者会見のときに言われたものは、私はヒートポンプを見て大変うれしく思った、ヒートポンプは非常に技術が進み、もし日本でこれが大規模に普及した場合は日本全体のCO2排出量の一〇%削減が可能になるだけの力を持っている、速やかにこれが普及することが望ましいんだけれど、その前提としてインセンティブとかディスインセンティブだとか規制的手法も必要だと語っておられます。この模様は、実は昨日付けのウォール・ストリート・ジャーナル、これ日本じゃないんですが、ロンドンで昨日発行されたやつに載っているという連絡が入りましたので、このことも申し上げておきたいと思います。  日本では、昨日の日経新聞朝刊を見ていましたらば、こんなことがありました。記事体広告で、「環境技術が実現する低炭素社会のあり方」というタイトルで環境学者を始め三人の方の鼎談が載っていまして、そこにまたこのパチャウリ博士が登場しておられます。ちょっとごくポイントだけ引用しますと、石油危機以降、日本が多大な努力を払い、省エネルギー推進してきたことに尊敬の念を抱いている。地球温暖化防止には一刻の猶予も許されない。だが、私は間に合うと考えている。実は、地球温暖化防止の技術は既に利用可能な形で存在する。例えばヒートポンプもその一つだと、はっきりヒートポンプと言っております。そして結びとして、既存技術の適切な普及が地球温暖化克服のかぎとなるというので、私は非常にもう感銘してこれを読んだんでございますが、実はこのお話と先週大臣がおっしゃったことと私は何か通じているものが大きいんじゃないかと思うんですけれども、このパチャウリさんの大変ヒートポンプに懸ける熱い思いが伝わってきたんですけど、このパチャウリさんの発言については甘利大臣はどのような印象をお持ちになるか、伺いたいと思います。
  106. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 全く我が意を得たりという思いであります。  総合科学技術会議におきましても、このヒートポンプのCO2削減ポテンシャルが高く評価されておりまして、日本全土で排出されるCO2排出量十三億トンの一〇%、一億三千万トンを削減するポテンシャルがあるということでありました。これは従来の燃焼型からみんな置き換わった場合を想定しているわけでありますが。  加えて、クールアース・エネルギー革新技術計画、これは革新的な技術ということで、ヒートポンプはもう実用化技術であります。原理特許は海外、外国のものでありますけれども、これを実用化したという技術は日本の技術でありますし、世界一の技術を持っているわけであります。でありますから、もう実用化に入っている、完全にあちこちで使われている技術でありますけれども、これを更に超効率にしていくという技術のロードマップがクールアース・エネルギー革新技術計画において位置付けられているわけであります。今ですと、一のエネルギーを投入して四ぐらいですかね、出てくるエネルギーが、これを更に飛躍的に向上させるということで、このCO2を出さない、燃焼工程がありませんから。加えて、投入エネルギーよりも出るエネルギーの方が大きいということで、更に効率を上げると更に省エネが進むということのそのダブルの面で温暖化防止に貢献していくんではないかというふうに考えております。
  107. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  技術の革新は非常にこの分野では急激なものがあり、日本がそのトップを行っていると認識しております。  今日午前中に、同僚議員、藤原委員から燃焼系を変えていこうという御提案がありましたけれども、まさに鋭い点だと思っています。燃焼系を変えるのは、今の大臣のお言葉を借りると、燃焼ではなくして熱の移動、ヒートポンプによってこれが実現できるというふうに私は午前の質問と今の大臣の答弁がつながったなと今思って、伺っているところでございます。  それでは、最後の質問に入りたいと思います。それは、長期的に見た太陽光の有効な利用ということであります。  私も、太陽光を日本に導入する、太陽光導入といいますか、太陽光のアイデアを日本に導入する先兵として一九七〇年代からこの分野では少しは仕事をしてきたつもりでございます。今日、かなり日本で太陽光が利用されているのをうれしく思っている人間でありますし、甘利大臣が太陽光に大変な力を入れていらっしゃるのも十分理解しているつもりであります。  経産省はこの度、いろんなスケジュール出しておりますが、二〇二〇年の見通しを作って、最大に導入したケースとして、例えば、工場、公共施設等へは太陽光を約三百万キロワット、ストックベースで普及させようと、それから太陽光パネルを戸建て住宅約三百二十万戸に普及させるということを挙げております。壮大な計画だと思いますけど、私は、この方向性、この意欲というものを高く買っておりまして、是非ともこの実現を期していきたいなという、太陽光のファンとしてこれを強く支持したいと思うのをまず前提に申し上げます。  その上で申し上げたいと思います。今の太陽光が本当に効率がいいんだろうか。非常に効率が悪いです。雨が降れば駄目、曇っても駄目、夜になったらお日さまは全然見えない。効率が非常に悪い。しかも、地球に届くまでにかなりエネルギー使っていますから、ごく希薄なエネルギーになっちゃっている。だから、太陽光で何かやろうというと膨大な土地が必要ですし、よく原発何基分といういいかげんなことを言う、非科学的なことを言う方が反原発の方におられます。非科学的というのは、確かに、一番効率のいいとき、瞬間を取れば、風力でも太陽光でも定格出力が千キロワットなら千キロワット出るんですけど、ずうっと千キロワット出るわけじゃありませんから、それは千になったり、百になったり、下手するとゼロになったりして、こんなになって、物すごくフラクチュエートする。だから、今日も午前中に質疑があったように、リチウムイオン電池等を開発していこうという話につながるわけであります。  さて、そこで、私のここからの質問でございますけど、それはもっと太陽光を効率よく使えないだろうか。それは、希釈されない、薄くなっていない濃密なエネルギーを取り出して、それを昼も夜も分かたずに受けられないだろうか。受けられるわけですね。これがSSPS、スペース・ソーラー・パワー・システムズと言っていますけど、宇宙太陽エネルギー利用システムであります。  これは、御案内のとおり、三万六千キロぐらいのところに、静止軌道上でステーションを造りまして、そこで日本のお得意の太陽光をこれを受けまして電気に変換しまして、そしてこれをマイクロウエーブで地上に下ろすとか、あるいはレーザーの形で地上に下ろして、電気だとか水素をつくろうという夢のような話でございます。これは現在はまだ夢でございます。何とか、構想としては、百万キロワットぐらいはこれすぐできますので、上さえ上げられればですね、それをつくって地上に下ろしてこようと。これは非常に効率がいいわけですから、これは実は私の夢であります。  これは、既存の技術の延長上とか、今までよくあるセクショナリズムでは絶対できないだろうと思います。どこの役所かといっても、なかなか役所が決まらないというのがあると思います。研究開発とすれば文科省かなとも思いますけど、文科省で宇宙といったら、これはもう、すごく宇宙の予算今削られている最中で、しかも宇宙開発やんなきゃなんない、ロケット飛ばさなきゃなんない。大変にお金が厳しい。そこにこんな余計な、だからよく分からないものにお金は使えない。それから、今度は経済産業省に行くと、これは商業用エネルギーなら自分の省だけれども、これは商業用にすぐならないわけですから、先の話だから、ちょっと今は予算から出ないねなんという話で、どちらも大事だとは思いながらも、その谷間にすぽっとおっこっている。  これであきらめるのがアマチュアでありまして、これであきらめないのがプロの政治家だと思います。私はもうプロの政治家のつもりですから、これ絶対あきらめずにしつこくやっておりまして、自民党の中にも議連ができておりますが、これは超党派でも何とか進めたいなと思っています。  こんなことで、今二〇五〇年に地球規模温室効果ガスを大幅に減らそうって、これ大変な夢なんですね。この夢を実現するのに何が大事かといったら、私は構想力だと思います。こんなものをやってみたいと。  それを、今のままじゃできない理由を考える。よく二流のインテリって言うんですけど、これこれでできませんとできない理由を整然と並べる。そういうので、入学試験だけ得意だったとか、採用試験得意な人を採っている役所だとか大学があるものですから、できない理由はばあっと並べるけど、じゃ困ったときにどうやってブレークスルーするのかという、知恵とか勇気とか未来への思いやりとか、これが欠けている人も世の中にはいます。政治家でそういう人は大体落選していますので。ここにおられる方は全部その夢を持っていると思うので、私はとってもこの委員会が好きなんですけれども、ほかの委員会が駄目という意味じゃないんですが。  大分脱線しましたけれども、そういう夢を実現するために一体どうしたらいいのか、今日は是非大臣に夢を語っていただきたい。大臣はこの面でも非常に情熱を持っていらっしゃると承っています。夢の実現にはどんなハードルがあるのか、ここまではだれでも答えられると思うんですけれども、何が難しい。その上で更に聞きたいのは、そのハードルを乗り越えるためには何をしたらいいのか、何が考えられるのか、是非これは伺いたいと思います。大臣、できたらお願いします。
  108. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 宇宙空間に大規模な太陽光パネルを設置をして、それをマイクロ波ですか、地上に送って地上で受けて発電、電力供給をすると。これは極めて地上で受けるよりも濃密度で、極めて安定している。夜も昼もないわけでありますから、間違いなく定格出力になるわけであります。  この話、構想をしましたときに、ある議員、先生から、ベテランの先生から、送ってくる途中に入ったら焼き鳥になっちゃわないかとかいろいろ心配事がありましたけれども、確かにある程度の密度はありますけれども、レーザービーム光線で何か焼き鳥を作るわけじゃありませんから、間に飛行機が入っても何してもそれは問題ないわけでありますけれども。元々太陽光というのはもう物すごく希釈なエネルギーでありますから、それはある程度密度を上げて、しかし相当な面積で受けるということになります。  問題はやはりコストでございまして、特に打ち上げるコスト。ロケットで相当な重量のものを宇宙空間に持っていくというところのコストが一番掛かるんだと思います。ですから、ロケット搬送技術が進んで、相当な重量物を打ち上げるのにコストが下がってくると相当実現可能性が近づいてくるのではないかというふうに思っております。  夢のエネルギーでありますけれども、実現可能性は極めて高いというふうに考えております。
  109. 加納時男

    ○加納時男君 いや、大臣から大変力強いお言葉をいただいて、ありがとうございました。  本当に夢なんでございますけれども、夢で、ただ夢を見たので終わりだというんじゃ、これはもう空想家で終わっちゃうわけで、政治家あるいは行政の責任者という方は、やっぱり夢が値打ちのある夢ならばどうやったら夢が実現できるのか、それを阻んでいるのは何か。今大臣非常に重要なことをおっしゃった、打ち上げコストだとおっしゃった。打ち上げコストを下げる方法はありますよ。これ、シャトルにしまして、もう何度も何度も往復できるようにするということによって、何度もやることによって一回当たりのコストがどんどん下がっていきます。  アメリカの科学者の方と議論をしているとき、この件でですね、面白いことを言われましたね。これ夢中でやるとコストが下がるってどのくらい下がるのと言ったら、十年たったら十分の一になるだろうと。ということは二十年たったら百分の一と言ったら、まあそうなるわねというようなことを言っていまして。  ともかくそういうことで、アメリカのアポロ計画なんてだれもがもう無理だと思った。月に人間が行くなんというのはそんなばかななんて、夢のまた夢といったら、やると決めたらやったのがアメリカで、私はそういうアメリカはすばらしい国だと思うんですけれども、日本だって、とんでもない、こういう大きな夢を描いて何とか実現に向かっていきたいななんて思っています。今のところこんなことを言っているとドン・キホーテだとか、そんなのあなたの生きているうちにできると思いますかとか、私はもう生きているうちにつくりたいと思っていますし、それまでは死なないつもりでやっているんですけれども、そんなことで、こういう夢を是非とも実現していきたいと。  政治の場ではどういうふうに今取り組んでいるのかということでございますけれども、私ども自民党としましてもこの問題を正面から取り上げて、エネルギー政策の合同部会でもって、この宇宙太陽光利用は長期的に、すぐにはできないけれども、長期的な研究課題として重要であるという指摘をさせてもらいました。そして、政府の閣議決定したエネルギー基本計画にもこれがしっかりと載っております。  昨日、総合科学技術会議が開かれました、昨日五月十九日、開かれました。そこで、環境エネルギー技術革新計画が正式に決定されたというふうに承っております。その中で、中長期対策、二〇三〇年以降に必要な技術として、究極的に温室効果ガスを減らすというための長期的な研究開発戦略を推進すべきであり、その代表例として挙がったのが核融合と宇宙太陽光発電と書いてある、SSPSですね、宇宙太陽光発電というふうに明記されております。  昨日は二か所でこの総合科学技術会議技術革新計画に登場しておりまして、一か所は中長期的対策として載っています。もう一つは国際連携の項目として載っております。これは国際連携による研究開発ということで、我が国単独では対応できないリスクが高く、期間が長期間に及び、しかも規模が大規模な投資が必要となるような研究開発で、その研究開発の例示として核融合炉とCCS、二酸化炭素を吸着して貯留するシステムですね、カーボンダイオキサイド・キャプチャー・アンド・ストレージ・システムズですね、CCSと言っていますが、CCSというふうに書いてありました。それから宇宙太陽光発電、これSSPSのことですが、ということで明確にしてありまして、こういったことについては積極的に国際協力をしていこう、日本単独のリスクじゃなくて国際的にもリスクを取ってもらってやろう、ただし日本の主導権はしっかり守っていこうと、大変調子がいいことが書いてあったような気がしますけど。  この辺りは、文部科学省の方も今日来ていただいていますが、何か補足があれば補足してもらいたいと思いますし、またこのSSPSについて、先ほど大臣からお話があったんですけど、文科省としてはどんなような今までの動きを見て感じているか、できない理由でもまたおっしゃるんだったらそれも結構ですけど、どうぞおっしゃってください。
  110. 青山伸

    政府参考人青山伸君) お尋ねの宇宙太陽光を利用するシステムでございますけれども、御指摘がありましたように、マイクロ波あるいはレーザーを使って太陽光を地上に伝送してこれを電力などとして使おうということでございますけれども、先ほど御指摘ありましたように、非常に大きな基地を宇宙で展開しなくてはいけない、数キロに及ぶような基地を宇宙に展開していく、しかもそれは非常に軽いものでなくてはいけないとか、いろいろな技術的な課題があるかと存じます。  さらには、普通の太陽光の利用ですと、エネルギー利用という場合には電線を使ってということでございますけれども、宇宙空間からは地上には先ほどありましたような形でマイクロ波あるいはレーザーとして伝送しなくてはいけない、そういう伝送の効率の高い技術、しかも確実な技術というものをつくっていかなくてはいけないということで、まだ私どもでも宇宙航空研究開発機構、JAXAにおきまして基礎的な研究を民間あるいは外の研究機関とも連携をしながら進めているところでございます。  御指摘のように、エネルギー基本計画のみならず総合科学技術会議環境エネルギー技術革新計画においても超長期的に実現が期待されるということで取り上げられているものでございますので、私どもとしましてもこのシステムに関する研究を引き続き進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  111. 加納時男

    ○加納時男君 私も短期間、一年間でございますけど、御社と言っては変ですが、文部科学省の方に大臣政務官として勤務しましたので、若いころというか、大分前ですけれども、そういうので文科省の仕組みもよく自分なりには勉強したつもりでありますし、予算の執行面で特に大型技術、宇宙とか海洋とか原子力とか大型技術がちょっとつらい時代がずっと続きまして、何となくちゃらちゃらした技術なんて言っちゃ悪いですね、そういう方に目が行っちゃって、こういう地道で大型の息の長いものについてはどうも文科省の予算が削られるというのを、私は政務官時代、非常に憤慨した一人でございます。  そういうような意味で、やっと予算もまた付き始めてはいるんですけど、そして苦しい予算の中でJAXAの予算を大幅に削ってこのSSPSやれなんて、そういうことを私は言っているつもりは全然ないんで、国全体としてこういう問題が長期的に大きな夢であるし、何とかやっていこう、そのためにはすぐ打ち上げるんじゃなくて、今基礎研究の段階だと思いますが、そういう火を消さずにしっかりと続けていってほしい、これを申し上げて、今日は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  112. 古川俊治

    ○古川俊治君 じゃ、残りの時間、最後に自由民主党の古川俊治の方から質問させていただきます。  今、加納先生からお話ございました、すばらしいコンセプトをお話ししていただきましたけれども、やはりクールアース50、二〇五〇年までに温暖化ガス半減ということになってきますと、そこにおきましては相当取組各国のもう本当に真剣な取組とそして急速な技術革新というものがどうしても必要になってくるわけであります。  そこで、午前中にも藤原先生の方からこれ明確に御指摘がございました。私も全く同感なんですけれども、やはり温暖化対策の実効性を上げていくためにはすべての主要排出国国際的枠組みに参加していかなければならない、これも最低条件でありまして、そのときに、やはり発展途上国は、まずは自分たちの生活レベル産業レベルといったものを先進国と同様に引き上げるのが前提である、それでなければこれはもう差別であると、そういうことを恐らく言ってくるであろうということが容易に予想できるわけであります。途上国の側からしてみれば、やはり化石燃料が安く入ってくるのならば何も高い代替的な革新的なエネルギーを使っていくというインセンティブは全くないわけですね。  ということになりますと、本当に我々が掲げている目標を実現するためには、やはり革新的エネルギーというものが化石燃料と同等に市場で戦えるだけ生産コストを下げていかなきゃならないと、こういう結論にならざるを得ないような気がするんですね。  その意味で、現在、先ほども藤原委員から御指摘ありましたけれども、革新的エネルギーの中でもクリーン化が一番今まで進んできたのはやっぱり電力でございまして、今、加納先生のお話もございましたように、いろんな革新的な技術可能性を持っている、要素を含んでいるといったものはやっぱり電力だと思うんですね。  そういう意味では、エネルギーの消費というものを電力に移行させていくというのが基本的には合理的な立場ではないかと私もそう思うんですけれども、その上で、細かい点ですけれどもちょっと伺っておきたいと思います。  現在の省エネ法の定期報告において、電気の量を熱量に換算した後、原油換算をすることになっておりますけれども、この場合にすべて火力発電所で発電されたものとして計算しているということになっております。火力平均ですか、ということでやっております。  一方、地球温暖化対策、これの推進法の換算、これも同時に今回は改正しているわけでございますが、その場合には電力や水力を含めた、すなわち全電源平均という基準を用いているわけでございます。この間にそごがあるということは指摘されていると思うんですが、このそごの理由というのをお話しいただきたいと思います。
  113. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  お尋ねの省エネ法の定期報告におきましては、事業者使用した燃料や電気などを合算し、年間エネルギー使用量を記入することを求めているわけでございます。その際、電気の使用量については、今御指摘のとおり電気を熱量に換算する値として火力発電所の平均効率、いわゆる火力平均というものを用いております。  これに対して温対法の報告では、事業者使用した燃料や電気の量を基に、年間排出した温室効果ガスの合計量を記入することを求めておりますが、電気使用量を二酸化炭素に換算する値として全発電所の平均効率、いわゆる全電源平均というものを用いているわけでございます。  したがって、御指摘にありますように、省エネ法の定期報告では、省エネが行われていた場合でも全電源平均の構成が変化した場合、例えば原子力発電所が停止したような場合に二酸化炭素の換算値が増加してしまう場合が考えられます。省エネ法の趣旨から申し上げますと、事業者すなわちこの場合はエネルギーの需要家に対して、供給側の状況にかかわらず事業活動において必要となる燃料や電力を適切にエネルギー管理することによって省エネを図るということを求めるべきであると考えているわけでございます。そのためには、供給側の状況いかんにかかわらず評価できる火力平均を用いることが適切だということで今火力平均を使っているわけでございます。  他方、温対法は温室効果ガス排出抑制を促進するため、全電源平均係数を用いることによって供給側、需要側双方の状況を反映させた二酸化炭素排出量を把握、公表することとしております。ただ、温対法に基づき公表される二酸化炭素排出量につきましては、実は省エネ法の定期報告によって報告された燃料や電力の使用量から算定することになっており、電力の使用量については省エネ法で報告を受けた電気の使用量に対して全電源平均係数を乗じて算定をしております。この点につきましては、環境省と私どもが一致協力をしてその換算をしているということでございます。  各法律の目的は異なりますけれども、省エネ法で報告されたデータを基に環境省とも協力して、それぞれの法律の趣旨に基づいた係数を活用しているということでございます。  ちょっと分かりにくいところはあろうかと思いますけれども、一言で申し上げると、需要家の省エネ努力を評価するのには、供給側の変化と無縁に需要家の省エネ努力のエネルギー使用量を一定に評価したいということが省エネ法であります。
  114. 古川俊治

    ○古川俊治君 大変分かりにくい説明で申し訳ございません。  これ簡単に申し上げます。すなわち、電力を消費した場合、化石燃料の消費量が実際よりも大きく計算されているんですね、省エネ法においては。だから、実際よりも大きく見せかけになってしまっている。ところが、温対法におきましては、温暖化ガスを適正に評価しているわけですね。  ですから、私はこれは温暖化ガスで表示した方が事実を適正にとらえていると考えるわけでございます。ところが、この場合には、電源が、例えば原子力の発電がうまくいかなかった等で、せっかく削減努力をしているのにそういった附帯的な状況で、その事業者側の活動というのが正当に評価されないということを今おっしゃっているんですけれども、ただ、例えばガスと電気というものがあったとしまして、前年は全部電気でやっていたと、コジェネを入れようということで、一部ガスにしたという取組がありますよね。この場合に、例えばこの係数によっては、コジェネを入れた方が省エネが進んでいるという結果になるんですね。ところが、本当は温暖化ガスを出しているという結果にならざるを得ない場合がございまして、すなわち、電気というものを削減した方が結局のところうまくこの省エネ法の表示ができて、実際はそういうメッセージが、省エネができているというメッセージは与えるんですけれども、実は、温暖化ガスはより排出してしまっているという結果にならざるを得ないという場合が考えられるわけであります。  この点について、今電気を、これから電気にエネルギー消費を置換していこうと、先ほどの合理性から申し上げますと、かなり矛盾しているんじゃないかと私は考えているんですが、この点についてお答えしていただける範囲でお願い申し上げます。
  115. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生御指摘の面もおっしゃるとおりでございますけれども、一体法律は何を目的としてしているかということが一番大切なことではないかと我々は思っております。  したがって、省エネを、エネルギー使用量を減らすということをかつて、このエネルギーも、正確に読みますと、実は石油などの化石燃料使用量を減らすということが目的であるわけですけれども、そういうものを減らすということで、一九七九年に発足した省エネ法はある意味では歴史の中で比較可能な社会の進歩というものを表していると思います。  したがって、私どもは、できる限りそういう意味で省エネ努力がどれぐらい浸透したのかというのは常に一定のあれで測っていきたいという気持ちがございますので、そこのところの評価については、評価というか係数については引き続き私は維持すべきだろうと思っております。  ただし、いろんな御議論が、エネルギーのその利用形態について、コジェネの意義とかそういった面についていろんな御議論がある中で、正しい事実に基づいた議論がきちっとできるように、そういうものの、何といいますか、違う係数に基づいた数字というものも同時に公開されていくということは非常に大事なことだと思っております。  そういった面で、私どもは、これ需要家からの報告制度の重複を避けるために、省エネ法で報告があった燃料使用量をベースに、温対法についても使用量そのものは援用しているわけでございますのでそこはそれをそのまま使っているんですけれども、具体的な温対法の法目的に合ったような評価をするときの係数はそれを使っているということで異なっているわけですけれども、そういう事実をできる限り明確に一般の分析をする人、政策を立てる人等々に分かるようにきちんと説明をしていくということが必要だろうというふうに思っております。
  116. 古川俊治

    ○古川俊治君 今この場でも私発言させていただきまして、多くの議員の先生方はなかなか理解できないというポイントだと思います。  ただ、これは矛盾があることは事実でございますので、この点は何分、法の目的からこれが合理的かどうかということで再考していただきたいと。特に二〇〇六年の実績値で見ても、東京電力のデータでございますが、原子力あるいは水力、その他の自然エネルギーということで、もう四五%がそちらになっているわけですね。そうすると、それを火力で平均としていくことが果たして合理的なのかという面から考えましても、私は、時代に合わせた改正、すなわち、これから電気に移行することによってやはりそういう意味では化石燃料の消費というものは減っていく可能性があるわけでございますよね。そういったエネルギーごとの特性も踏まえた定期報告の在り方ということで考えていただきたいというように考えております。  一つ追加して質問をさせていただきますけれども、私はここに来たばかりですので、もう既にこのことは御議論いただいているかと存じますけれども、定期報告書につきましては、これは公開することは法文上予定されておりませんが、訴訟が起こされておりまして、昨年の十月及び十一月に高等裁判所の方で判決が出ているようでございます。さらに今上告中というふうに伺っておりますけれども、この裁判における、両方、高裁では違った判決が出た、この理由及び今の上告の裁判の行方というものについて御報告いただきたいと思います。
  117. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 平成十六年の八月に、NPO法人の気候ネットワークから各経済産業局に対しまして、エネルギー使用合理化に関する法律に基づき企業から提出があった平成十五年度の定期報告書に関する情報公開請求が行われました。各経済産業局長等は、企業の競争上不利益となるおそれがあると判断をして、一部の事業所について一部不開示とする決定を行いました。これに対して気候ネットワークは、この行政処分を不服として、平成十七年七月から八月にかけて、東京、名古屋、大阪の各地裁に全面開示を求め、提訴いたしました。  お話しのとおり、十八年の十月から十九年の九月にかけてそれぞれ地裁判決が出され、いずれも国が敗訴しましたので、それぞれ控訴をいたしました。それで、その控訴審では、十九年の十月の大阪高裁判決では国が勝訴、十九年十一月の名古屋高裁判決については国が敗訴の結果となりました。なお、東京高裁については審理中であります。現在、それぞれ上訴を行っているところであります。  名古屋高裁と大阪高裁判決とでは、定期報告書に記載された燃料使用量等の数値情報が情報公開法五条二号イに規定する当該法人などの競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものに該当するか否かの解釈についての判断が分かれているものであります。  名古屋高裁の判決では、本件数値情報を開示すればエネルギーコストなどの推計が可能となるが、その精度は粗いものであるから、その情報が競合他社などに知られても競争上の不利益が生ずる可能性は少なく、当該法人の正当な利益が害される蓋然性があるとは認められないとした一審の名古屋地裁の判決を維持し、国が敗訴をしております。  他方、大阪高裁の判決では、本件数値情報が法人等の事業活動等に関するものであるなど、その一般的、類型的な性質に照らして、当該情報の開示が法人などの権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある場合には不開示決定をすることができるとし、本件数値情報はこの場合に当たるとして国が勝訴をいたしております。  いずれにしても、上告審の結果を見守っているところでございます。
  118. 古川俊治

    ○古川俊治君 ありがとうございます。  産業側はいろんな理由があると思います。ただ、基本的なことを申しますと、技術的に問題なところであれば、これは特許というもので守られているわけでございますし、さらにそういったいろいろな熱源の構成等についてどこまで本当に産業上の理由があるのか。ある意味では、公開しないということが逆に国民に非常に不理解、この問題に対する産業側の取組というものに理解を与えていないのではないか、私はちょっとそういう気がしておりまして、これからも、今は日本の省エネ技術はトップであると、そして産業側も自主努力で大変今熱心に取り組まれているという点を大きくアピールしていくためにも、公開するものは公開するというような取組も是非お考えいただきたいというふうに考えております。  また後日質問の機会をいただきますので、本日はここで終了させていただきたいと思います。
  119. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  120. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー使用合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等品質確保等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十二日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は来る二十二日木曜日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十分散会