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馬淵澄夫君 細野議員からは、計五問、質問をいただきましたが、三問については私から、残余の質問については担当
法案提出者から答弁させていただきます。
まず最初に、
民主党案の再
就職を
制限する期間や再
就職先の
規制対象の拡充について質問をいただきました。
現行
規制下においても、防衛施設庁や道路公団の談合事件など、天下りに起因する悪質な事件は後を絶たず、天下りが政官業の癒着、談合等の温床となり、税金の無駄遣いにつながっている
状況は一向に改善が見られません。
このような
状況のもと、
政府提出のいわゆる天下りバンク
法案のように事前
規制を撤廃して行為
規制のみに頼れば、天下りバンクによっておてんとうさまの下で堂々と天下りの
あっせんが行われ、そして
官民の癒着が現在よりも深刻になることは火を見るよりも明らかであります。事前
規制を撤廃して、天下りバンク内にて世間の
批判をかわすため他省庁の所管法人に天下る、いわゆるたすきがけ天下りを可能とする
政府案は論外であり、事前
規制を
強化する
民主党案こそが今求められている天下り根絶の処方せんでもあります。
現行の二年の事前
規制も抜け道が多く、その実効性には疑問が残ります。さらに、先日、現行のこの
規制に違反する事実が判明いたしました。金融庁の元局長が、
国家公務員法上必要な人事院の承認を受けることなく、株式会社証券保管振替機構の取締役に就任していたのであります。言語道断であり、現行
規制のざる法ぶりを示すものでもあります。
そのような観点から、
民主党案では、行為
規制の
導入にあわせ、事前
規制についても
離職後二年の
規制を五年間へと
延長することにより、
官民癒着の阻止により実効性を持たせることとしました。まず五年間再
就職できないとすることで、相当の影響力を排除することができるものと思われます。
また、現行
規制では、特殊法人や公益法人等への天下りについては事前
規制さえ行われていないために、中央省庁から特殊法人、公益法人等に一度天下って、その後に営利企業に天下りをする、いわゆる迂回天下りが横行しています。これについては、ほかならぬ渡辺行革担当大臣御自身が、内閣府での四月三日の記者会見において次のように述べられております。「天下りの実態として、いきなり民間企業、営利企業に行く割合というのは一割そこそこなんですね。一三、四%ぐらいでしょうか。したがって、非営利法人、公益法人、認可法人、最近ほとんどありませんが特殊法人、
政府系金融機関、非
公務員型
独立行政法人、こういったものを除いてしまったら、九割近くが
規制対象でなくなってしまうということであります」と語っておられるんです。
大臣御自身が九割が
規制対象でなくなってしまうざる法と認められた
政府案に対し、
民主党案では、
規制の対象となる天下り先を営利企業以外に拡大することにより、天下りの根絶を目指します。すなわち、事前
規制を撤廃して、天下りバンクでたすきがけ天下りの
あっせんまで行う
政府案と、事前
規制を
強化し、加えて行為
規制もしっかりと行っていく
民主党案では、どちらがより天下りを根絶し、税金の無駄遣いを絶つことができるか、その実効性を持つ案であるかは、だれの目から見ても明らかであります。
次に、
民主党案では早期勧奨退職
制度はどのように扱われているのかとの質問をいただきました。
早期勧奨退職
制度、いわゆる肩たたきは、
国家公務員法で定められたものではなく、あくまで慣行として行われているものであります。各省の課長、
審議官、局長、これらのポストが限られているために、同期の中でポストにつけなかった者は、各省から公益法人や民間企業といった再
就職先を用意してもらい、肩たたきされて退職、転職していきます。そして、
最後には同期入省組から事務次官一人だけが本省に残るというピラミッド形の人事
制度は、
世界的にも独特の慣例と人事院が評する特異な
制度でもあります。
この肩たたきがあるがために、役所は組織的に再
就職先を
あっせん、準備することが求められ、また、民間企業は各省庁の
権限のもとに天下り官僚を受け入れざるを得ない
状況が生まれます。営利を追求する企業は、受け入れ天下り官僚のコストに見合う公共事業の受注や権益を求めます。また、天下りを受け入れる法人においても、運営費交付金の名のもとに、見合いのコスト負担を
政府が受け持つことが公然と行われています。
さらに、そのような官業癒着にメスを入れるべく毅然たる指導力を発揮しなければならない
政治が、これも、
関係省庁の省益あるいは
政治家みずからの利益のために行動しているという実態と疑惑が再三再四報道されております。まさに、政官業の癒着の温床を生み出す根本原因がこの肩たたきにあると断言できるのです。
したがって、天下りに起因する数々の諸問題の抜本的解決を図るには、この肩たたきの禁止が不可欠であります。
民主党では、我々の案では、特定の事由が生じた場合を除き、
職員に対し、定年退職日前に退職することを勧奨してはならない旨、
法案中に明記いたしました。これにより、
公務員は、希望すれば定年まで
公務員として勤めることができます。
民間では、社長と現場の社員が同期入社で、長年の結果として
立場は違えども、何十年も会社のためにともに汗を流してきた、組織のために生きてきたとの誇りを持って仕事をしてきた事例は枚挙にいとまがありません。官の
世界だけがこれを認めず、希望すれば定年まで勤めることができるという当たり前の仕組みを実現しようとしない。これは全く与党の的外れな
制度と言っても過言ではありません。
肩たたきの禁止に伴って
職員の在職期間が長期化することが想定されますが、これに対応するためには、ライン職をベースにした従来の
人事管理に加えて、長年培ってきた知識、経験、スキル、こうしたものを専門職として
活用できるようにする複線型の
人事管理制度を
導入することが必要です。そのため、
法案の附則第二条において、
職員の多様な知識及び経験を長期にわたり
活用する人事
制度を
導入するために必要な
措置を講ずる旨、明記をしたところであります。
肩たたきがなくなると組織の活性化が維持できないなどとするのは、組織みずからが自己変革のマネジメントを放棄しているのに等しいものではありませんか。
国民の理解を到底得るものではありません。
一方、
政府案は、こうした問題の本質には触れずに、根本原因である肩たたきを前提とした極めていびつな
制度の上に、屋上屋を重ねて天下りバンクを創設するものであります。
政府案は、肩たたきによって新陳代謝を高めて組織の活性化を図るなどという何の合理性も持たない
理由で、法的に定められなかった慣行である肩たたきを温存させるものであり、かつ、肩たたきをしてやめさせるにもかかわらず、まだ働き盛りの退職
職員を路頭に迷わせてはならないなどと、本末転倒、民間からすれば見当違いも甚だしい
理由を持ち出して、天下りバンクを公につくるものであります。
みずからの人生はみずからが開く、自己決定をしていく、この当たり前の人生観すら持ち合わすことができなくなってしまうようなひ弱な官僚を生み出す
制度、
政府は、このような
制度を改革の柱と掲げることに何のためらいもないんでしょうか。
結局は、天下りバンク構想は、安倍政権が勢いよく掲げた天下り禁止を、官僚や族議員に抵抗され、骨抜きにされたと
国民から見限られてもいたし方ないものであります。
最後に、
独立行政法人や特殊法人からの天下りに対する
規制について質問をいただきました。
現行法では、非
公務員型の
独立行政法人や特殊法人の
役職員が営利企業や公益法人等に天下ることを
規制する
法律は存在しません。
政府案でも、この点については手当てしていません。例えば、現在、
国会で民営化に向けた
法案が
審議されている日本政策投資銀行においても、関連する営利企業や公益法人等への再
就職が多数見られます。
独立行政法人や特殊法人から営利企業や公益法人等への天下りを背景として、随意契約などの税金の無駄遣いが行われていることから、非
公務員型の
独立行政法人や特殊法人の
役職員に対しても、現行の
国家公務員と同様の天下り
規制を課すことが必要であります。
さもなければ、
独立行政法人や特殊法人のもとに連なるファミリー企業や
独立行政法人化によって離れの地下室となって監視の目の届かないところで行われている税金の無駄遣いを食いとめることはできません。
また、中央官庁から特殊法人や公益法人等に一度天下り、一定期間過ぎた後に営利企業に天下りをするいわゆる迂回天下りについても、
独立行政法人や特殊法人の
役職員の天下りを
規制することで防ぐことが可能となります。非
公務員型の
独立行政法人や特殊法人の
役職員が営利企業や公益法人等に天下ることを
規制していない
政府案は、ざる法の
批判を免れないと言わざるを得ません。
いずれの疑問にも、
民主党案は、明確にその目的と理念によって問題の本質を明らかにし、解決を図るものであります。
生活を支えていくのが
政治、そのために
国民の税金を一円たりとも無駄遣いはさせないとの気概を持って
法案、
制度の策定を行っていかねばなりません。
国会の不断の監視が必要であります。ごまかしなき天下りの根絶こそ、
国民の
生活を最優先させる対策であるということを申し述べ、賢明なる議員諸氏の御賛同を心からお願いする次第であります。
以上であります。(
拍手)
〔武正公一君
登壇〕