運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-10-26 第165回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年十月二十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加治屋義人君     理 事                 常田 享詳君                 小川 敏夫君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 谷  博之君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 福本 潤一君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   松岡 利勝君    副大臣        農林水産大臣  国井 正幸君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       永岡 桂子君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 正典君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    町田 勝弘君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君        農林水産技術会        議事務局長    高橋 賢二君        林野庁長官    川村秀三郎君        水産庁長官    白須 敏朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (品目横断的経営安定対策に関する件)  (EPA交渉に関する件)  (農林水産物食品輸出に関する件)  (京都議定書目標達成のための森林整備に関す  る件)  (植物新品種育成者権の保護に関する件)  (平成十八年十月の低気圧による農林漁業被害  とその対策に関する件)  (松岡農林水産大臣への政治献金に関する件)     ─────────────
  2. 加治屋義人

    委員長加治屋義人君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、農林水産大臣官房総括審議官佐藤正典君、農林水産省総合食料局長岡島正明君、農林水産省消費安全局長町田勝弘君、農林水産省経営局長高橋博君、農林水産省農村振興局長山田修路君、農林水産技術会議事務局長高橋賢二君、林野庁長官川村秀三郎君及び水産庁長官白須敏朗君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加治屋義人

    委員長加治屋義人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 加治屋義人

    委員長加治屋義人君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 野村哲郎

    野村哲郎君 おはようございます。自由民主党の野村哲郎でございます。  安倍新政権がスタートいたしまして一か月過ぎたわけですが、今回の組閣におきまして、松岡大臣、そして国井大臣永岡大臣政務官、大変新しい体制の中での今日の審議になったわけでありますが、まずは皆様方に御就任を心からお祝いを申し上げたいと思います。特に松岡大臣、そして国井大臣におかれましては、もう自由民主党きっての農政通というふうに私どもは思っておりまして、今回の就任を大変心強く、そしてまた日本農林水産業振興に大きな期待をいたしているところでございます。  また、先般、松岡大臣発言の中にもございましたが、今回、各地で大変な豪雨、そして災害がありました。私ども鹿児島におきましても北薩豪雨がございまして、大変な被災を受けたわけでありますが、しかしながら当時の宮腰副大臣にいち早く現地に赴いていただきまして、その後の激甚災害指定に当たりまして格段の御配慮をいただいたことにつきまして心から御礼を申し上げる次第でございます。  それでは質問に入らさせていただきたいと思いますが、今回、新しい食料農業農村基本計画に基づきまして十九年産からの品目横断的経営安定対策、そして品目別経営安定対策が策定されたわけでありますが、食料自給率の向上を目指した新たなスタートが切られたところでございます。私は、この大転換、いわゆる農業政策の大転換の成否を左右する大きな要因の一つは、農業生産にいそしむ人の問題、つまり担い手の問題であると、こういうふうに思っておるところでございます。この法案審議段階でも様々な議論が行われたところでございまして、ただその中でも、大臣発言にありましたように、担い手育成がこれは重要課題であるということは、行政生産現場、そして私どもを含めてこれは共通認識だと、こういうふうに思っておるところでございますが、しかしその反面、担い手を絞り込むことは小規模農家兼業農家を排除することにならないのかという、大変そういった危惧する声も実はあったわけであります。  そこで、松岡大臣に改めてお伺いしたいと思いますけれども担い手を絞り込む意味について、これはもう大変初歩的な御質問でございますけれども、新しく大臣になられました松岡大臣の方から是非ともこのことについてお伺いしたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  6. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) かねてから、日ごろからもう野村先生には自民党の農林の会合におきまして、また先生農協組織の御出身ですから、最も現場にお近いお立場でいろいろと御議論を賜っておりまして、日ごろから御指導いただいておることに感謝申し上げながら、今のお尋ねについてお答えを申し上げたいと存じます。  まず、私ども日本農業の将来をどう目指していくかと、これが基本的な課題でございます。そのときに、じゃ日本農業の将来はどのような夢が持て、また展望が開けるのか、こういったことでございますが、私は、安倍総理所信表明で申されておられますし、先般の所信的な私の方の立場を御説明させていただきましたときにも申し上げたことでございますが、大きな発展可能性、正に二十一世紀における戦略産業としての私は大きな可能性を秘めていると、そのような農業をどのようにしてそのような大きな可能性をこれを発揮させていくか、こういうことでございます。  そこで、やっぱり何といっても大事なのは、そういう可能性を発揮させるための体制整備体力整備、これがやっぱり必要でございます。そのような意味で、担い手をしっかりしたものにしていくという意義がそこにあるわけでございまして、その場合、今、現状がございます。現状のままこれを推移しておったんでは、これ以上の発展はない。やはり大きくそれから脱却をいたしまして、ある程度困難なこともあると思いますが、なおかつ、その困難を乗り越え、厳しさを乗り越えて、一定要件というものをしっかりとクリアしていただくことによってこの担い手としての資格、お力というものを付けていただくと。そういう意味で、担い手というものを、何といいますか、目指していく、つくっていくことに大きな意義があると思っております。  そういう意味で、認定農家、また法人経営、こういった方々はもちろん担い手としてしっかり頑張ってもらうし、なお今後とも体力の強化を図っていただくということはありますが、じゃ、その認定農家法人経営から外れるという方々、例えば私もたしか四反か五反か田を持っていると思いますが、そういう中でそういった人たちが一杯おられる。こういった人たちは、じゃ担い手にはもう絶対なり得ないのかと、そういうことになりますと、これはやっぱりそういった人たちにも一定要件をしっかりと乗り越えていただくことによって担い手になっていただこうと、こういうことでございまして、もうずうっとこの数年来、新農業基本法の下でこれを進めてきたわけであります。そしてまた、世界の流れはWTO農政でございますが、そのWTO農政にも我々が、逆に言えば前倒しをして対処していけるぐらいの強い農業を目指してひとつ頑張ろうということで取り組んできたわけでございまして、この場合、集落営農という姿で、そういう形でどなたでも担い手になる受験資格、これはもうどなたでも受験していただく。ただ、ある一定の点数、それはしっかりと乗り越えていただくと。  こういうようなことで目指したわけでありまして、絞り込みと先生おっしゃいましたが、そのことが小規模とか兼業人たちを切り捨てることにならないかと。これは逆でありまして、今のまま、現状のままこれをそのままにしておったんでは、逆に言えば、高齢化老齢化自分が持っている三反歩、五反歩の農地はこれはもういずれは仕事ができなくなってしまう、もう自分も年取って駄目になったら仕事ができなくなってしまう、結局それは放置されるわけであります。だから、そういった人たちのものも含めて、これを中心的な作業者による、そしてその集落全体として担っていく、担い手ができていく、こういう形でございますから、逆に、小規模農家兼業人たち担い手として取り込んでいく、この人たちもみんなが担い手に入っていけると。これ逆でありまして、発想の転換といいますか、そういった観点から見ていただきますと御理解いただけるんではないか。  野村先生は先刻御承知の上で、なおなお何か御心配な点があってのことだと思いますが、ここはひとつ、米改革のときも十四年の時点で、四ヘクタール、十ヘクタールというのはそういう基準として設けております。そして、今回、新たな担い手としてやったわけで、もう既に十四年の段階でもそれはそういう基準でやってきておりますので、私は、これは必ず皆様方の御理解をいただいてそちらの方向に大きく進んでいただける、御理解と御協力を得たいと、このように思っております。
  7. 野村哲郎

    野村哲郎君 今、松岡大臣の方から大変心強い御答弁をいただいたわけでありますが、ただ、現実的に今の状況を見ていきますと、先ほど来おっしゃっております担い手、これは認定農業者なりあるいは集落営農という数で把握はできるというふうに思っておりますが、ただ、やはり行政あるいは農業団体、地元の皆さんの大変な御協力によりまして認定農業者が増えております。私の鹿児島でもこの半年間、二百四十一人認定農業者が増えました、半年間で。これは大体今までの認定農業者認定状況から見ますと四、五年分がまとめて半年で増えているわけでありまして、そういう意味では関係機関皆さんの大変な御協力というのがあるというふうに思います。  ただ、全体的に見まして、全体的に見まして、その認定農業者がどのぐらい直近で増えてきている、あるいは先ほどおっしゃいました集落営農がどのぐらいの増え方をしているのか。私は、先ほど申し上げましたように、人の問題というのがやっぱり今後、絞り込むという言葉が語弊があるかもしれませんが、やはり特定した方々に対する、この人数の問題というのは今後やっぱり大きな左右していく話だろうと思いますので、直近集落営農等々どうなっているのか、教えていただければ有り難いと思います。
  8. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 直近におけます担い手状況でございますけれども、今御照会がございました認定農業者数につきましては、全国で、これは十八年、今年の六月末時点でございますけれども、二十万五千百八十一となっておりまして、この四月から六月までの新規認定数は六千五百三十ということで、相当程度これはスピードが上がってきていると思っております。  それから、特定農業法人数は三百五十五、また特定農業団体数は三百三十二となっておりますけれども、この特定農業団体数につきましても三か月の間で約一・五倍というような形で増えてきております。  その後につきましては、今集計中でございますけれども各地で立ち上げが始まっているという情報を受けております。
  9. 野村哲郎

    野村哲郎君 現場の話を聞きますと、なかなかこの集落営農に入ること自体のメリット、デメリット、こういうのはやっぱり現場ではいろいろまだふくそうしておるやに聞いております。ですから、そういった意味ではやはりきちっとした期間内で認定農業者なり集落営農を形作っていくためには、相当なやっぱりパワーとそれからスピードが、スピード感を持ってやっぱり取り組んでいただきたいと、そういうふうに思っておるところでございます。  松岡大臣の先般の発言でも担い手育成確保等に万全を期すと、こういったお話もございましたので、その発言を反映させるためにも、今後、生産現場動向を見極めながら、現実的でしかも柔軟な追加的対応、これはもう私ども認定農業者なりあるいはその集落営農、こういう言わば受験に、松岡大臣お話じゃありませんが、受験に通った者についてやっぱり大きなメリットをやっぱり今後も考えていかなきゃいかぬのじゃないかと。入って何のメリットがあるんだというのがよく聞かれますので、その辺については国井大臣も私どもと同じような、こちら側に座っておられましたので、是非とも、共通認識ではないかというふうに思いますので、副大臣是非とも御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
  10. 国井正幸

    ○副大臣国井正幸君) 今の野村先生からの御質問でありますが、実は、先生も御案内のとおり、昨年の三月に農業構造展望というのを農林水産省で出させていただきまして、ここの中では、家族経営体が三十三万から三十七万、それから集落営農経営が二万から四万、それから法人経営が一万と、こういうふうなこと、一応の目指すべき姿として掲げてあって、今、御案内のとおり、大運動を展開中でございます。  しかし、やっぱり精神論だけで運動を展開してもなかなか実効が上がらないということでございまして、これまた与党の先生方は御案内のとおりでありますが、来年度の予算ですね、概算要求に際しましては、融資主体型補助やあるいは無利子融資でありますが、この財源として百七十九億円、これ概算要求として今要求しているところでございまして、何とか大臣先頭に私どももこの予算をしっかり確保をして、そしてやっぱり担い手あるいは集落営農、重点的に支援されるべきものが、ああ、なるほど、名実ともに私どもはやっぱりしっかりした支援があるんだなと、そういう姿を是非どもも作り上げていきたいと、このように思っておりますんで、どうぞ予算編成に向けても先生方の一層の御助力をお願いを申し上げたいと思います。
  11. 野村哲郎

    野村哲郎君 そこで、今回のこの新しい仕組みが今後どうなっていくのかというのは、今先ほど人の問題をお話し申し上げましたけど、やはり最終的にはそういう人の問題とそれから自給率をどう上げていくかと、このことになってくるわけであります。そのために経営安定の対策が打たれているわけですけれども、そういった今後の動向を占うというか見ることで、来年以降の政策がきっちり農家皆さん方が受け止めているかどうか、それを占うような数字といいますか、それをちょっと見まして、私危惧いたしておるのが一点ございます。  それは、十九年産から適用されます品目横断の中の麦でありまして、麦につきましては作付け前の契約、いわゆる播種前契約での取引が主になっておりますので、その契約を見りゃ大体の十九年産収量というのが、あるいは面積が推察できるわけでありますが、私の聞いている範囲内では、どうも来年の麦の作付けは八千五百ヘクタール減ると、こういうようなことを聞いております。これはまあ事実かどうか分かりません。ただ、先般、新聞でも、あるいはまたテレビでも出ましたように、群馬県の麦の作付けが千四百ヘクタール昨年からすると減っていると、こういった報道もあったわけでありまして、こういったようなことが非常に危惧される一つの材料であります。  そこで、農水省として十九年産の麦の収量耕作面積を現時点でどの程度見込んでいるのか、そしてその見込みは十八年産と比べてどうなのかということについて御質問を申し上げたいと思います。
  12. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 十九年産の麦の作付面積及び収量見込みでございますけれども、御案内のとおり、国内産麦につきましてはいわゆる民間流通のスキームがございます。そうした中で、本年八月に生産者団体から実需者団体に対しまして十九年産販売予定数量が提示されております。  その中で、まず作付面積でございますけれども小麦で見ますと十八年産比九八%ということでございまして、さらに内容を見ますと、北海道は作付面積が増える、都府県で若干減ると、そういうような状況になっております。  一方で、数量につきましては、十八年産を上回る数量生産者団体から実需者に提示されておるということでございまして、これにつきましては、やはり各産地におけるこれまでの担い手育成確保運動の成果であると考えられると思います。  今後とも、担い手育成確保運動を推進することなどによって、担い手による麦の作付けの進展を図っていく考えでございます。
  13. 野村哲郎

    野村哲郎君 いずれにしましても、今御答弁いただきましたように、作付面積が前年比で九八ということになってきますと、やはりこの耕作面積は減る、ただ収量は昨年を上回るというお話でしたが、いろいろ天候等々左右される条件がございます。  しかしながら、私はやっぱりこういった担い手確保していく、そして面積も広がっていく、そういうのが図式になっていかなければいけないのではないかなと、こういうふうに思っておりますので、今後、こういった状況を十分分析していただきながら、是非とも今後の対策を講じられるようにお願い申し上げたいと思います。  時間がございませんので、大臣にもう一つ答弁をいただきたいのが、実はこの委員会でも、この法案審議の中で、私ども与野党問わずいろいろ不安がございました。そこで、最終的に中川当時の大臣から特別発言をいただきまして、農政の大転換として導入されるこの新しい経営安定対策は、その実効性に未知の部分も少なくないことから、今後、その政策効果をしっかりと検証し、必要に応じて適切な見直しを検討していきたいと、こういう特別発言をいただいたわけでございまして、私どもはこの制度の検証と必要な見直しが担保されたと、こういうふうに思っておりますが、大臣お替わりになりまして、松岡大臣はこのことについてどのようにお考えなのかひとつお聞かせいただきたいと思います。
  14. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 先ほど野村先生からも、認定農家申請数、またそして認定された方が、通常からすれば四、五年分、この数か月でそれがなされたと、こういったような大変有り難い、うれしい今御指摘もございました。  そこで、中川大臣発言の関連でございますが、これはもう継続性連続性からいいましても、私ども中川大臣発言をしっかり体していきたいと思っております。そして、願わくば、加速化されまして、これはより進んだと、加速化の下での見直しと、検証見直しと、こういったことになりますように願っておるわけでありますが、いずれにいたしましても、どんな場合でもどんな事柄につきましても検証をし、また必要に応じて見直しをしていくということはもう当然のことと思っております。
  15. 野村哲郎

    野村哲郎君 ありがとうございました。  時間がありませんので次に移らさしていただきたいと思いますが、実は松岡大臣発言にも先般ございました国際交渉についてお伺いをいたしたいと思います。  特に、松岡大臣は、我が党におきまして農林水産貿易調査会事務局長、そして会長というお立場WTO交渉なり、あるいはまたFTAEPA交渉におきまして先頭に立たれて国内農業の存続、維持に大変御尽力をいただきました。また、国内農産物輸出についても積極的に取り組んでいただいておるわけでございまして、二十四日の委員会におきましても、農林水産業農村、漁村の潜在能力を最大限に引き出し、世界に冠たる農林水産業として大きく発展させていくために全力を尽くすと、こういう大変力強い御発言をいただいておりまして、改めて心からの御礼を申し上げる次第でございます。  さて、WTO交渉につきましては、各国の主張が相入れませずに、現在膠着状態になっております。これはもう御承知のとおりでありまして。ただ、最近、このFTAなりEPA、このことについて報道等でも話題になっておりますので、このことについて御質問を申し上げたいと思いますが、一つは、もうまとめて時間がありませんので御回答いただきたいと思いますが、今オーストラリアとの研究段階での進捗状況がどうなっているのかということが一点であります。それからもう一点は、これは私の非常に心配している中身でございまして、そのことが当たっている当たってないは別にしまして、大臣にお聞き届けをいただきたいと、こういうふうに思うわけであります。  まず、私は、オーストラリアとのこのFTAなりEPA交渉問題点といいますか、懸念が三つありまして、一つは、先ほども申し上げましたように、WTO交渉膠着状態になっている、その中で二国間における貿易ルールの協議を急ぐ必要があるのかどうか。急ぐ必要があるのかどうか。といいますのも、大臣も二十四日の委員会で、EPA交渉についてはWTOを中心とした多国間貿易体制を補完するものとして取り組むと、こういうふうに御発言をいただいているわけでありまして、新しい国際ルール各国で合意された上で、これを基に二国間で協議すべきではないのかなと、私個人はそういうふうに思っているわけであります。  仮に交渉の場を設けた場合、両国の外交上のやっぱり関係を悪化させない、それが前提でありますので、そうしますと、交渉のテーブルができますと、やはりお互い譲っていくものが出てくるんではないのか。そうしますと、その内容がどうなるか分かりませんが、その譲歩する分野が盛り込まれるのは当然出てくるだろうというふうに思うものですから、もしその内容がこれまで我が日本WTOで主張しておりました、交渉の場で主張しておりましたことと違うものになった場合に、今後の再開されるであろうWTOで大きな影響を与えるのではないのかなと、こういうふうに私は思うわけです。浅はかなこれはもう本当に考えでありますが、そう思うわけであります。それが一つであります。  それから二つ目は、WTO交渉の場以外でも、アメリカだとかあるいはカナダとかEUとか、食料輸出国との個々の交渉にもこれは大きな影響を与えるのではないかと。言わば、牛肉なりあるいは小麦、砂糖、大変日本農産物と、重要品目とバッティングするものが多いだけに、私はある国と特定条件を設定したら、同じ品目輸出している国から同等の条件をやっぱり求められてくるのでないのかなと、こういうふうに思うわけであります。それはもう自明の理でありまして、例えて言えば、交渉結果が強い副作用をもたらす私は劇薬となる可能性が高いのではないのかというふうに危惧をいたしているところであります。それが二点目であります。  それから三点目は、先ほど大臣お答えいただきましたけれども、要は農政の大転換であります。国内農業構造改革をこれは官民一体となって今取り組んでいただいている最中でありまして、そのスタートしたばかりの新制度の取組、そして今後の我が国の農業政策にもこの交渉によって大きな影響を与えるのではないかと思います。  このことはオーストラリアとのEPA交渉を促進する側であります経済団体といいますか、日本経済団体連合会、それから商工会議所、貿易会の提言でもこう書いてあるわけです。豪州の農業は規模、効率性の面で日本とはけた違いであり、我が国農業が急激な自由化により豪州との競争にさらされると、現在進めている農業構造改革もとんざしかねない。よって、日豪EPA交渉に当たっては農林水産分野のセンシティビティーには十分配慮する必要があると。これは経済界の、私どもが目の敵にされておるような、そういう団体からもそういった発言が出ているわけでありまして、やはり日本農業に対する、やはり経済界の皆さん方も御理解をいただいていると、こういうふうに思っているわけであります。  したがって、国家百年の計を考えた場合に、今から農業構造改革に取り組んでいる、その障害となる危険性のあることについては、これは極力排除していくことが私は真の国益につながるものだと、こういうふうに思っているわけでございます。  さらにまた、生産現場日本食料の安心、安全、そのことに使命感を持って取り組んでいるやはり農家皆さんの気持ちも十分酌んでいただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。そのことは農業団体も大変危惧いたしておりまして、先週、松岡大臣の方にも御要請があったと聞いております。  したがいまして、このことにつきましてどのように大臣、今度のオーストラリアとのFTAEPA交渉に取り組まれるのか、基本的なお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  16. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) お答え申し上げます。  野村委員からのお尋ねの前段でございますけれども、日豪政府間共同研究につきまして御説明いたします。  昨年四月に行われました日豪首脳会談におきまして、両首脳が農業の扱いには非常に難しい問題があるとの認識を共有した上で、EPAメリット、デメリットを含め、両国の経済関係強化の在り方を政府間で研究していくことで一致したことを受けまして行われているものでございます。昨年十一月から現在まで五回開催をされているところでございます。  これまでの共同研究におきましては、農業分野については、EPAによる我が国の国内農業への影響についての議論等を行っているところでございますが、我が国で重要な農林水産物をどのように扱うかにつきましての具体的な方向を見いだすには至っていない状況になっております。  以上でございます。
  17. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 状況はただいま事務方から申し上げた、報告をしたとおりでございます。  そこで、どのような姿勢といいますか、考え方で臨むのかということでございます。  これは、大きく全体からいいまして、これは日本の外交全体の幅を広げる、また日本の経済活動全般にわたっての大きな幅なり選択肢を広げていく、そういう意味からも、これは豪州との関係というのは日本の将来にとって大変大事な関係だと、このように思っております。  ちょうど今から、来年が五十周年になるんですが、日豪通商協定が来年で五十周年ということになります。そのときの、それを結ばれた総理は岸先生のおじいさんであります岸信介先生であります。それで、そのときまでは鉄鉱石が入ってこなかったんですよ。鉄鉱石が入ってこなかった。だから、日本の鉄鉱石関係の人というのはもう何十回もオーストラリアに行って、何とかそれが実現できないかと。この日豪通商協定によって初めてそれが実現して、日本の鉄鋼産業というものが大きく発展をすることができた。こういう歴史もございますし、また今日、それによって日本がこれだけ発展しているという事実もございます。  したがって、大きな意味合いにおきましては、これはまた更にそれを、日豪通商協定の五十年を契機として更なる大きな次の発展段階を目指すというのが私は大きな方向であろうと思っております。  そこで、じゃそういう前提の中で農林水産物はどうなんだと、こういうお考えだと思いますが、私は最近、オーストラリアのマクレーン大使も、それからまた近々貿易大臣もお見えになられますが、先般オーストラリアに行きましたときも、今度お見えになるトラス大臣とも私もお会いいたしましたが、そこで申し上げておりますことは、全体としてはそういう方向でこれはもっともっと連携を深め協力を深めて、そしてやっぱり先人が成し遂げたその土台を更なるものにしていくということは重要だし必要だと。その中で、私ども農林水産物における基本姿勢としましては、ギブ・アンド・テーク。じゃ、私ども日本農林水産物にとってどのようなメリットがあるのか、求められるのか。我々としてのメリット、これをしっかり見極めながら、そしてそのメリットに応じて受入れを考えていくと。工業で日本は利益を上げるから農業では譲ってくれという片側通行の、一方通行だけではそれでは我々は応じられない。  したがって、我々にとってもどういうメリットがあるのか、こんなようなことを申し上げているわけでありまして、正にギブ・アンド・テーク、それは農林水産分野におけるギブ・アンド・テーク、そういったようなことも含めて基本的にはしっかりと交渉をしてまいりたい。まだ交渉という段階に至っておりません、今は研究段階でありますから、そういった実態をしっかり我々も腹に置きながら進めていきたいと思っています。
  18. 野村哲郎

    野村哲郎君 今、大臣からお話がありましたが、今後、行く末の問題でありますけれども、ただやっぱりオーストラリアとのこの交渉は我が国農業の私は根幹を揺るがす問題だと思います。したがいまして、慎重な上にも慎重を期していただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  19. 岸信夫

    ○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。  先ほど同僚の野村委員の御質問の中で、大臣は大きな可能性を秘めた農業に大変強い思いを述べられました。我々も大変心強く思っております。是非この点について頑張っていただきたいと思いますし、我々も応援していきたいというふうに思っておるわけでございますけれども。  まず、本年の四月四日に、食料農業農村政策推進本部におきまして二十一世紀農政二〇〇六が決定されました。これによりますと、グローバル化や人口減少社会への移行など、我が国の抱える社会構造の変化に対応して農業も改革の先頭に立って、攻めの農政の視点に立った国際戦略の構築を、また国内農業の体質強化に向けてスピード感を持って推進していかなければならないことがうたわれておるわけでございます。  前国会においても、私、中川農林水産大臣にお伺いしたことではございますけれども、この中で特に国際戦略の構築につきまして、またその中で農林水産物輸出促進に向けた積極的な取組ということにつきまして、松岡大臣にまずお伺いしていきたいというふうに思っております。  一昨日の所信の中でも攻めの姿勢で政策展開を行っていく旨の御発言がございました。この攻めの農政というキャッチフレーズについて、これは今後の農政の方向性を示すものとして最近よく耳にするわけでございます。  それで、この言葉はいつごろから使われ始めたのかと、こういうことをちょっと調べてみたんですけれども、昭和四十九年、当時の安倍晋太郎農林大臣が守りの農政から攻めの農政への転換ということについて言及をしております。当時の社会情勢が高度成長期から低成長期へと移行し、また世界食料需給が逼迫してきている、こういった農業を取り巻く客観的条件の変化の中で、経済界からも食料自給率、自給体制の必要性が言われておりました。この状況をチャンスととらえてこれからの農政転換していけば、当時の我が国の農業、農民の方にとっても一つの希望を与えるものになる、こういった趣旨のことが当時の農林水産委員会での発言として残っておるわけです。  三十年前から同じような言葉が使われていたと、こういうことでございまして、逆に言いますと、この間十分な攻めが行われてこなかったんではないかというような反省もあるわけでございますけれども農業をめぐる環境の変化、大きく今変わってきておるわけでございます。  その中で、松岡大臣、この攻めの農政ということについてどのような思いを込めておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  20. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 今、岸信夫先生から、攻めの農政という言葉はその歴史をたどってみますと安倍晋太郎農林大臣がおっしゃったと。正にそのとおりでございまして、昭和四十九年の十二月九日、三木内閣、そこで安倍晋太郎先生、まあ私にとっては派閥の親でございまして、私はそのおかげで当選させてもらったんですが、安倍晋太郎先生農林大臣に、当時はまだ農林水産じゃなくて農林大臣でございました、に就任をされまして、私は当時、農林大臣官房企画室の係長でございました。だから、安倍晋太郎農林大臣の下で働いておりました。そのときに申された言葉が今のお言葉でございます。  当時は、ちょっとその以前に国際的にちょっと食料問題というのが起きました。アメリカから大豆が入ってこなくなってストップした、こういう状況下にありまして、やっぱりこれは大変だと、食料不足だと。それで、今までずっと、三十年代後半、四十年代以降と言っていいんですかね、まあ四十年代になってからですね、四十二年、四十三年が米が余ってきたという時代ですから。四十年代後半になってくると、ちょっと農林省も元気なくなってきたなと。それが今度は、四十七、八年かそのころだったと思いますが、ちょっと食料不足の時代が来た。やっぱりこれは国内の農業生産をしっかり増やさなきゃならぬ、農林省もまた元気付いた、こんな時代だったんですが、そういう時代にちょうど岸先生のお父様でいらっしゃいます安倍晋太郎先生農林大臣になられた、そういう時代背景もあったと思うんですが、今こそ戦後の高度経済成長の中で取り残されたといいますか、弱い立場に立った農業を今こそ攻めに転ずるときだ、そういう意味で私は当時の安倍晋太郎農林大臣はおっしゃったと、このように理解をいたしております。  そこで、私自身、今また攻めの農政ということを、これはそれこそ安倍晋三総理始め我々もそういうことで取り組んでおるわけでありますが、今また大きな戦略性を持ってきたと思っています。  一つは、先ほど野村先生もえらい御心配で、もうオーストラリアと比べたらもうこんなに違う。それは大きさとか強さに比べたらそうかもしれません。しかし、物の良さという、品質という、そういうもので比べたら、いや、こっちは断トツだと、こっちは断トツだと。だから、柔道の世界、ボクシングの世界で超重量級でいけば勝てないかもしれないけれども、ヤワラちゃんの世界、そこにいけば絶対アジア大会でもオリンピックでもこっちは勝てると。それぐらいのやっぱり自信のあるやっぱり部分があるわけでありまして、そういったものでどう勝負していくかと。  したがって、物の良さということで、しかも現実に、そういう物の良さが評価されて、日本のお米、また肉、それから果樹、牛乳、こういったものが非常に評価されております。世界的には日本食ブーム、こういったような背景を、状況を生かして大きく、輸入でやられてきた日本農業輸出で大きく発展していく。それは、それだけの力を持っていると、物の良さという意味において。だから、今まで気が付かなかった点、自分たちの力というものは大きなものがある、こういったものを生かして大きく一大輸出産業に発展していくことは私は可能であると。だから、夢を持ってみんなでそこはしっかり取り組もうと。若い農家方々も本当にそういう大きな意欲を持っておられる方々が一杯おられますから、ひとつそういった意味の戦略と。  それからバイオマスですが、これは今までにない、今までは食料生産とか農業の分野が決められておりましたが、エネルギーの分野、地球環境温暖化に対してどう対応していくか。そういったところで大きな役割を果たしていく今までにない大きな分野がある。こういったような意味で私は一大戦略性を持っておると。したがって、そういったことを基にして積極的に攻めに転じていくと。その攻めに転じていく土台づくりがこの担い手づくりだと。品目横断のこの政策によって土台をしっかりつくるんだと。こういうことでございますので、是非ともまたよろしくお願いしたいと思います。
  21. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。今、大臣から大変力強い思いを語っていただいたわけでございます。  我が国の農家あるいは農業関係者の方々が本当に手塩に掛けて育ててきた我が国の農業、そういうことで世界にも恥ずかしくないような高品質のものが作られている。残念ながら価格競争という面だけを取られるとなかなか海外から攻められる点も多いわけですから、その点だけをもってどうも自信を失ってきてしまっている面もあるんじゃないかと思います。逆に、我が国の農業は本当は自信を持っていいんだと、こういうところであるというふうに思います。  その中で、特に輸出についてでありますけれども、先日、大臣は、農林水産物食品輸出を優先課題とすると、こういうふうに強調されておられますけれども、二十一世紀農政二〇〇六の中では、平成十六年に輸出二千九百五十四億円だったものを五年後、平成二十一年には六千億円に倍増していこうと、こういう計画が示されております。さらに、先日の九月二十九日の総理の所信表明の中では、平成二十五年までに一兆円規模の輸出を目指すと大変強い取組姿勢が示されたわけであります。  農家にとっても大変夢のあるところではあるわけですけれども、では実際、この輸出促進をどうやって進めていくか、またどのような恩恵がもたらされると期待できるのか、その辺りがまだはっきり描けないところではないかなと、こういうふうに思うわけです。  我が国の良質な農産物が海外で高値で売られる、そのことが実際にその農家の手取りのアップにつながってくるのかどうか。また逆に、国産のものが海外に出ることによって国内の需給バランスが崩れてしまって、国内での値段が消費者が損をしてしまう、高い物を買わされるようなことになってしまう可能性というのがあるんじゃないか。こういう懸念もないわけじゃないわけですけれども輸出によってどういった効果があるとお考えになっておられるか、御所見をいただきたいと思います。
  22. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) まず具体的に、今、先生御指摘の三千億円から二十一年には六千億円、二十五年には一兆円を目指すと、これを具体的にどう進めるかということでございます。  今まで我が国の農業といいますか農産物の貿易というのは、入ってくるものからどう守っていくかと、守りが主体であったことはもう否めない事実でございます。そこで、WTO交渉等におきましても、今日までは守りを主体のやっぱり交渉をしておった。関税をどう高く張るか、一言で言いますと。そしてまた、関税割当ての量をいかに減らすか。こんなようなことでやってきたと思います。その結果、輸出ということでの条件をどう獲得していくかということについては、どちらかといいますとちょっとおろそかになっていたことは否めない事実であります。  ですから、例えばある国から米は入ってくるけど日本からはその国に米は出せない、ある国から肉は入ってくるけどその国に日本から肉は出せない、片側通行になってしまっておった。こういったことをどうやって相互通行というか相互交通といいますか、相互通行にしていくか。こういう意味で、一番基本的な問題は検疫交渉等という問題がございますが、これもWTOのSPS協定、こういったことを軸にしながら、やっぱりしっかりと相互にお互いがこの貿易が双方向でできるようにまずやっていくと。ちょっと今いろんなことをやっております。したがいまして、まだ交渉そのものですから、相手もありますから、つまびらかにできない点はございますが、そういった輸出条件の獲得をしっかりまずやっていくというのがまず大きな点だろうと思います。  それから、どう宣伝をしていくか、普及をしていくか。これには、在外公館等を使ったりいろんな場を利用して、見本市等も含めましてしっかりやっていく。今、常設店を海外に五か所持っておりますが、そういったことも含めて日本の食というものを広げていく。  それから、今、頭に置いてずっとこの二、三年来考えていますことは、これだけ世界日本食がはんらんをしておる、もうどこへ行っても日本の料理屋さんがある。ところが、形は日本ですけれども中身はよその国の人が経営しておったり、またよその国のものが使われて日本食と言われておったり、そんなことがあるわけでありまして、これも、ミシュランじゃありませんが、何か我々サイドで、これは国がやるということにはちょっとなじまないのかもしれませんが、まあ民間なりなんなりの団体で日本料理店の格付なんかがあって、ああ、あれのあるところがやっぱり本当の日本料理だと、そんなわけで日本の食材等が受け入れられていく、こういった大きな枠組みができないかなと、そういったこともしっかりちょっと取り組んでいこうと思っております。  そういった形で輸出というもの、じゃ輸出の効果、これはどうかということでございますが、ちょっと端的に言いますと、品目を米に絞りますと、今五億トン市場です、世界は、米は。穀物全体が約二十億トン生産され消費されている。そのうち五億トン。そのうち大体中国人が二億トン以上食っていると思いますね。我が日本は八百万から八百四十万。  そして、この八百四十万、八百万というのは、もう本当に五億トンから見るとほんのちょっとのもの、ほんのちょっとのもので、質から見ると、これはやっぱり宝石の世界でいえばダイヤモンドかプラチナみたいなものだと。ところが、それだけのものでありながら、今まではこの八百万なり八百四十万トンの世界だけで需要と供給が成り立っておったものですから、供給が余って需要が減って、過剰になって、これだけいいもの持ちながら値段が下がって農家は苦しんでいる。だから、これを五億トン市場に出したらどうなるのか。それこそ引く手あまた、おれも欲しい私も欲しいというような、こういうものとしての位置付け、これもやっぱりしっかり目指すべきじゃないか、こう思っておりまして、その結果、出ていけば、それは出ていったものは消費ということでカウントされますから、大きく自給率の向上ということにも貢献していく。もう日本人の胃袋、これはもう限られていまして、もう増えることはない、減ることはあっても増えることはない、少子化等もありまして。そういう中で、その胃袋だけで自給率を目指すというのはなかなか至難の業である。とするならば、そういった方向も目指しながら自給率を高めていくということにもつながっていくと。  ただ、おっしゃいましたように、そうなると消費市場において取り合いになってという点もあるかもしれませんが、それはそれで選択ですから、いろんな選択肢が出てくるということで私はプラスの方が大きいんじゃないかと思っております。
  23. 岸信夫

    ○岸信夫君 この輸出の問題ですけれども、確かに一兆円、大変大きな金額になると思います。これを進めていくというのは相当な苦労が要ると思いますし、またプロモーションのための費用、お金も相当掛かってくるんじゃないかと思います。この辺りしっかりと予算措置も含めて取り組んでいただきたいと、こういうふうに思っております。  先ほど大臣お話の中に、輸出に関して、その阻害要因といいますか、いわゆる検疫、植物検疫上の問題がいろいろあるというふうに伺っております。我が国、先ほど中国の胃袋の話がございました。確かに大変大きな消費地であると。また、沿岸部は大変お金持ちになっていますから、そういう意味で非常にターゲットとして考えやすいわけですけれども大臣は以前から中国向けのお米について積極的にお取り組みいただいているわけですけれども、残念ながら今、植物防疫上の理由ということで入っていない、認められていない、こういうわけですね。  一方、輸入の状況を今見てみますと、我が国も残留農薬基準がポジティブリスト化されたということで、中国産の農産物などがそこで引っ掛かって止まっているものもあるわけです。  逆に、そういったことが一つのきっかけとなっているんじゃないかと思うんですけれども、中国では最近、日本からの食品、加工食品も含めて、これに対する検査が大変厳しくなっていると。こういうように農産物あるいは製品の貿易自体が非常に難しい状況が出てきてしまっているんじゃないかというふうにも思うわけです。輸出促進ということに余り前のめりになってはいけないんではないかなと。あるいは、それがゆえに輸入の方に影響が出ることはないのか。こういったことも国内の農家の不安、あるいはまた消費者の安心という立場、これに対しても懸念があるわけですけれども、こういった点についてお考えを伺いたいと思います。
  24. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) これは衆議院でも、輸出をするということは相手にもこちらに対する輸入を認めることになって、それはかえって何かそれによっていろいろ問題が起きるんじゃないかと、こういう御指摘もございましたが、今、日本世界最大の食料輸入国でございまして、関税でもって関割り、例えばミニマムアクセスなんか関割りでもって受け入れているわけでありますけれども。もうどの品目日本で全くゼロと、受け入れてないというものはないぐらいもう日本世界最大の食料輸入国であります。  したがって、今まで入れてはいるけれども出すものはなかった、こんなような状況であるけれども、今度は出そうということですから、こちらから、先ほど言いましたように。例えば中国から米は日本は輸入をしております。まあ認めております。肉も認めております。そのほかいろんなものを認めています。ただ、こっちから行っていない、こういうことでございまして、こちらから出すのを認めてもらおうと、こういうことでございますので、逆でありまして、入ってきたばっかりのものを、じゃ、出すものもしっかり出していこうと、こういうことでありますので、そこは我々の説明もしっかりしていかなきゃいかぬと思っております。そのことによってかえって輸入が多くなってもっと困りはせぬかと、いや、それは違いますということをしっかり御説明をしていかなきゃいけないと思っております。
  25. 岸信夫

    ○岸信夫君 我が国のそういう農産物あるいは食品というものが本当に自信を持って安心、信頼できる製品であるということをまずしっかりと位置付けて、更に輸出に取り組んでいただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。  ちょっと質問を先に進めたいと思うんですけれども、森林・林業対策についてお伺いしたいと思います。  先月新たな森林・林業基本計画が策定されました。五年前の基本計画をこの五年間の情勢の変化に応じて見直したものですけれども、この中で森林を緑の社会資本として位置付けて、その恩恵を将来にわたって享受することができるような仕組みにしていくと、こういうことであります。  森林の多面的な機能については、近年の水害などを見ましても、この森林整備あるいは治山事業の重要性というものが認識されておるところでありますけれども、現実には森や山を守り育てていく、そういった林業が大変厳しい状況にあるわけであります。将来にわたってこの森林の恩恵を享受することができるようにするために、基本計画の目標達成に向けて森林整備をどのように進めていくおつもりなのか、また森林所有者に対する支援も含めてどのようにお取り組みいただけるのか、お伺いしたいと思います。
  26. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 森林・林業の関係でお答えを申し上げます。  今、委員が御指摘いただきましたように、森林の持つ多面的機能、特に最近は地球温暖化の防止ということでも森林の機能が着目されておりますけれども、こうした機能を十分に発揮するということでは、正に国産材が利用されまして林業生産活動が活発化するということが極めて重要だと考えております。  厳しい状況は依然続いておりますけれども、近年、国産材の利用が増加をするとか、また輸出の動きもあるわけでございます。こういった新しい動きを踏まえまして、先般、新しい森林・林業基本計画の閣議決定がなされました。  この中の一つの大きなポイントは、国産材の利用拡大を軸としました林業・木材産業の再生ということでございます。やはり森林の機能を発揮させる上でベースとなりますのは、適正な林業活動がなされるということでございます。今、国産材の利用拡大の動きがありますので、この川下の要望に応じまして、川上から川下まで安定的な木材の供給体制をつくり上げていくということが一番大事じゃないかというふうに思っておりまして、例えば川上におきましては森林の施業を集団化していくということ、そして高性能機械等を組み合わせた低コストの作業システム、こういうもので林業の採算性を上げていくということが基本になろうかと思っております。  今、森林の手入れに関心を失うといいますか、森林所有者の意欲がそがれるという状況がございますので、やはりそこの採算性をいかに向上させていくかということが最も基本になるものというふうに考えておりまして、川上から川下まで、今申し上げましたように、安定供給がしっかり図られるような対策をしっかり取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  27. 岸信夫

    ○岸信夫君 林業に関しまして、次に地球温暖化防止対策の観点なんですけれども、京都議定書が発効いたしました。我が国は、一九九〇年に比べて六%の温室効果ガスの排出削減を約束しておるわけです。その三分の二近くの三・九%、これを森林によるCO2吸収で賄っていこう、こういう計画になっているわけでありますけれども、現在の森林整備現状を見ますと、この目標からは大幅に下回るおそれがあるんじゃないか、こういうふうに懸念がなされておるわけです。  林野庁では、平成十九年から議定書の約束期限の二十四年まで、この六年間で現状森林整備事業費に加えて年間二千二百億円の追加事業費が必要であると、こういうふうにしておるわけですけれども、今、政府全体では、歳出を削減していこうと、こういう方針の維持しているわけですけれども、こうした厳しい財政状況の中で、国際約束であるこの三・九%を達成するためにどうしても必要な森林整備にかかわる追加的な財源の確保に向けての大臣の御決意をまずお聞かせいただきたいと思います。
  28. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 京都議定書の問題でございますけれども、その前にちょっと、先ほどどもの川村長官からお答えいたしました森林・林業の将来に向かってですが、これにちょっとだけ付言させていただきます。  確かに市場原理でありまして、もう外材がどんどん入ってきて、それに押されて国内材が圧迫をされまして、材価が下がり森林経営が苦しくなって、その結果山が荒れ果てると、手入れができなくて山が荒れていると、この悪循環で来たわけでありますが、これをどう打開していくかというのは、これはそう簡単な問題じゃないんですが、私はずっとこの五年来、違法伐採対策、これは別に森林経営をどうするかということとはまた全然視点が違った地球環境、温暖化対策をどうするかという観点からでありますが、自由民主党におきまして違法伐採対策検討チームというのをもうこの五年来、足掛け六年になりますが、つくらせていただいて、それに取り組んできました、私その座長をやってきたんですが。  国際的にも、世界全体として今これに取り組むという大きな機運が、最初エビアン・サミットで小泉総理がこれも提起されまして、そして去年のグレンイーグルズで枠組みができまして、これはまたこれから、我が日本もグリーン購入法という法律に基づいてこの四月から、違法なものは使わないと、政府調達においては、合法なもの、その証明のあるものを使う、こういうことで、これを内外に対してそれを徹底していこうと。これはできればいずれは民間の方にもそういうようなシステムが波及していくように、こういうことが一つございます。  それから、今意外とこれ林業関係者の人も、世界の、クイズじゃないんですけれども世界の木材輸入国を一番から三番まで皆さん本当に知っていますかというと、意外と多い、どこなんだと、こうなるんですが、中にはすぐ日本が一番でしょうと皆さん言われますが、日本は四番目でありましてね。今、中国がもう二番目で、えらい勢いで二番目になってきまして、恐らくあっという間に中国が第一番になるんだと、この勢いからいいましてもそう思いますが。こういう、もう正に世界の木材市場の大きな大変化というものが目の当たり来ております。  したがって、そういう意味でも、そういう状況をとらえて、どうやっぱり国産材というものを、国内だけではなく隣にそれだけの需要があって、もうこの五年だけでも五十倍ですね、中国への輸出の伸びは。まあそれは、元が小さいから大したことないって言ってしまえばそれまでなんですが。こういった点にも大きく目を向けながらというのが一つであります。  それから、京都議定書でございますが、先生御指摘のとおりでございまして、六%という約束枠の六五%、三・九%、よく精査したら三・八%だそうですけれども、いずれにしても千三百万炭素トン、これを森林で、これを言ってみれば賄うというか森林が受け持つと、こういうことであります。  それをするにはお金が掛かる。なかなかお金がなくて今整備が遅れております。じゃ、遅れたまんまだとどうなるか。その分経済界や生活の部分でその分の負担をしないと、これは約束果たせないわけであります。したがって、経済界においてはその分の負担を今度新たにしなきゃならないと、こういうことになって、これまた経済制約になってまいります。生活でもそういう問題は起きてまいります。  したがって、どうしてもこの森林の受持ち部分というのは森林において達成するというのが国民生活、国民経済の発展のためにも必要だ。  そういう意味で、だから皆さん皆さん全体のためなんだから、ひとつ財源は何とかお願いします。なかなか難しいわけでありますが、まあ予断を持たずというか、あらゆる可能性を追求して、そしてこの年末の財源の獲得のときには、こればっかしは与野党を超えて、やっぱり温暖化対策、京都議定書という国際約束を日本が発効地、その発効の場所であった日本が開催国として世界に先んじて果たしていく、こういうためにも与野党を超えて財源の確保には御理解をいただきたいし、御支援賜りたいなと、そういう思いでおりますので、またよろしくお願いいたします。
  29. 岸信夫

    ○岸信夫君 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  終わります。よろしくお願いします。
  30. 谷博之

    ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございますが、冒頭、松岡大臣、そして国井大臣、そして永岡大臣政務官におかれましては、このたびの御就任、心からお祝いを申し上げたいと思います。野党という立場でございますが、今後の活躍を御期待をいたしております。  特に農林水産業については非常に課題がたくさんあるわけですけれども、そういう中で経験豊かな方々の御就任ということでございますので、大変意を強くしておりますけれども、こういう委員会議論などを通しまして、様々な角度からこれからも議論をさしていただこうということでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っています。特に、国井大臣につきましては私と同じ地元ということもございます。地元の皆さん方も大変期待が高まっておりますので、是非ひとつこれからの活躍を心からお祈りいたしております。  早速質問に入りますが、先ほど野村委員から御質問がございましたが、品目横断的経営安定対策の、この秋まき麦の作付面積のいわゆる申請の問題が議論になりました。いわゆるナラシの作付けということですけれども質問内容は私も同趣旨でございましたからその質問は省略をいたしますが、ただ、一点ちょっと気になりますのは、来年度の概算要求の中で、特に事業規模の根拠となる品目横断的経営安定対策の対象面積シェアは麦が八六%と見込んでいるという、こういう記述があります。これはシェアが八六%ということですから、それ以上だよという話になればそのとおりなんですけれども、いずれにしても、逆に言えば八六%の作付けということになれば、じゃ一四%は減るというふうに見込んでいるのかと、こういうふうな勘ぐりもしたくなるわけなんですけれども。  そういう意味で、我々としては、先ほどの、作付面積は減るんではないかという、大変そういう心配をしているわけですけれども、そうではないというふうな御答弁、若干二%作付け減るけれども収量は増えるんだよというふうなこと、こういうような御答弁があったので、こういうことについてはその答弁を一応受けますけれども、大変全体としては減るという方向での心配が非常にあるということ、これは我々は実際そういうところを聞いておりますので、あえてそのことを申し上げておきたいというふうに思っております。  最初の質問ですけれども、いよいよそういう意味で、先ほどもおっしゃいましたように、新年度に向けてのこの対策事業がスタートするわけですけれども農家皆さん方のいろんな話を聞いておりますと交付金の申請の手続が非常に難しいということをよく言われます。これナラシにしろゲタにしろ、いろんなそういうふうな交付金を申請するに当たって、この農水省の説明書にもありますが、大きく三つの申請手続ということをしなければいけない。これが時期的にもそれぞればらばらだし、そして申請する内容等のいわゆる書類の作成にしても非常に煩雑で、なかなか農家皆さん方では十分対応しかねるというような、こんなことがありまして、実質的にはJAの職員の皆さん方が随分休日出勤などしてボランティア的に応援をしているという、こんな話も実は聞いているわけですが、そういう中で、この申請の手続を何とか簡素化したり、あるいは例えば交付金の一括仮払い、こういうようなものができないだろうかというふうなことを考えているんですが、この点についてのお答えいただきたいと思います。
  31. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 谷先生、冒頭私どもに対しまして激励のお言葉もいただき、またお祝いのお言葉もいただきありがとうございました。まずそのことに心からお礼を申し上げる次第でございます。  そして、今、先生お尋ね、御指摘の点でございますが、これはもう、私ども自民党の農林の会合をやりますときも、もうどの先生からもいつも出てくるのが今、谷先生御指摘の点でございます。煩雑過ぎるとか手間が多過ぎるとか、何とか簡素化できないかと、もうこれは私ども一番の課題でございまして、いつも役所の方にも、少しでも短く、少しでも簡単に、簡潔にということで、我々自民党におきましてもずっとその議論は重ねてまいりました。したがいまして、谷先生とお気持ちは我々も正に一緒でございます。  そこで、そういう意味で十分簡素化も合理化も図っているところと思いますが、いかんせんやはり国民の税金をお願いしての事業なものですから、やっぱり最低限の会計検査等、そういったことに堪え得る体裁といいますか形は取っていなきゃならないと、こんなようなわけで、ある一定の作業をお願いしているわけでございます。  そこで、なおなおその先生の御趣旨を体しまして、よりそういった一定の形式をしっかりと守りながらも、なお簡素化できたり簡略化できたりするところがないかどうか、これはもうずっと突き詰めてまいりたいと思っております。  そして、それぞれにお年寄りの方もいらっしゃると思いますので、マニュアル等も作成いたしまして、少しでも便宜が図られるような、そういう努力を更に努めてまいりたいと思います。
  32. 谷博之

    ○谷博之君 今の御答弁のとおりだと思いますが、来年度の概算要求の中にも、交付金の申請等の手続については、加入対象者の利便性を図る観点から代理申請等が行えるような仕組みとし、申請等が円滑・効率的に進むよう、必要な措置を講ずるという、こういう文言もありますが、いずれにしても、これそれぞれ分けられて申請手続をするという、その理由はよく分かるんですよ。そうせざるを得ないというところはありますわね。  ですけれども、まあ時間がありませんから答弁は結構ですけど、ただ何とかして、例えば平成十九年度の六月三十日までの過去の生産量の登録、これ過去三年間のこういう緑ゲタの支払のこの部分の申請は、これは移動がなければもうこれで終わりということで一回だけということになりますが、こういうふうなことも含めてやはり一括してできるかできないかという非常に難しい問題があると思います。そしてまた、それぞれこの支払の内容も違うし、またナラシの場合には積立金の拠出などもしなきゃいかぬと、こういう手続もある。  こういうことを考えたら、必ずしもこれを一本にするわけにいかないけれども、だけど何か将来工夫をしていく必要があるんだろうと、こんなような感じがしておりますので、これ素人的な発想で恐縮なんですが、是非御検討をいただければ有り難いなというふうに思っております。  それからもう一つ、これ十月二十三日の朝日新聞の読者欄に「煩雑すぎます農業収支計算」という投書が実は出ているんですね。  これ、実は平成十八年度分から農業収支計算といういわゆる農業所得の申告について税務署との対応が変わってきています。具体的には、今まではいわゆる経費目安割合という方式が取られていたと。これが十八年度からすべて収支計算による申告になってきたということになりますと、この収支計算は収入金額から必要経費を差し引いて所得を計算することになるので、農業にかかわる伝票、通帳、領収書、こういうようなものが必要になってくると。これは農家にとってみれば非常に大変なことでありまして、特に支出関係の資料のない場合には経費として認められないことがあるという、こういうような見解になってきていますね。ということになれば、税制上のそういう手続も非常にこれ難しくなってくる、複雑になる。そこに来て、この話もあります。  ということになってきますと、この投書ではありませんけれども、「今も昔も、為政者は庶民からいかにして税を絞り上げ、財源を確保するかに腐心しているようだ。」と、「こんどの複雑な徴税方式も、結局は増税の隠れ蓑か。」と、こういうふうな実は投書にまで結び付いてくるわけですね。  ですから、先ほど申し上げたように、今度のこういうふうな申請の方式というのは、いろんなそういう絡みの中に農家方々が置かれていると、こういうことをやっぱり十分理解して我々はやっていかなきゃいけないんじゃないかと、こんなように思っております。これは意見でございますので。  それから次に、せっかくですから国井大臣にちょっと一言お伺いしたいと思っております。  副大臣に御就任されていろんなところでいわゆるコメントを求められたりしているということが多いと思うんですけれども、たまたま私、ちょっと二、三の方からも聞かれまして、あえてこういう機会にじゃその真意をちょっとお聞かせいただこうかなと思っておりまして。  それは、まずこれは地元の新聞、栃木県の下野新聞という県の新聞がありますが、この十月六日の記事に「当面集落の」、これ国井大臣発言していることですが、「当面集落の場合は四ヘクタール以上積み上がれば、ある人が代表者となって個人の認定農業者になれば、それ以外の人も恩恵にあずかることができるようにする」、これは私が副大臣になる前から言い続けてきたし、こういう立場になったので徹底するよう農水省の幹部に話した、このようなちょっと記事が出ております。  それから、十月十四日の日本農業新聞のインタビュー、これ栃木版だと思いますが、そこにもこういうふうに書かれておりますが、集落営農は二十ヘクタールが基準だが、仮に集めた面積が十八ヘクタールにとどまったとしても、だれかを代表に個人の認定農業者とすれば参加した人への支援は可能だと、こういう答弁なんです。  このいわゆる恩恵とか支援というのが具体的にどういう内容なのかなということが一つ分からないのと、それから、この発言だと例えば集落営農の規模要件が何か一気に四ヘクタールまで下がるような、そんなような感じにもちょっと受け止められるんですが、その辺の真意をお聞かせいただきたいと思っております。
  33. 国井正幸

    ○副大臣国井正幸君) これまでもいろいろ議論があったところでありますが、現在、新たな農業展望を含めて認定農業者育成をする、あるいは集落営農をつくるということで全国各地で取り組んでおるわけですよね。  そういう中で、実は今、谷先生の御質問でありますが、その前段の部分がありまして、今回の品目横断的経営安定対策は、私が、国際競争力を確保するために意欲と能力のある人に支援を集中させることは重要だが、それ以外の人が切り捨てられるようなことがあっていいと、こういうことではないと。先ほど大臣答弁と同じようなことを私は申し上げて、それに対して具体的にはどうすればいいんですかと、こういうふうな質問があって答えたわけであって、この記事そのものは率直なところ正確でない部分もあるんです。農地を所有していなければならないなんて、そんなことを言ったわけではないんですが、これは経営でよろしいわけでありますけどね。  私が申し上げたのは、今回のこの品目横断対策は、大きく言って私はねらい三つあると思っているんです。  一つは、効率のいい経営体をしっかりつくって、コスト削減に努められるような、そういうものをしっかりやると。もう一つは、やはり我が国の最大の農産物である米の需給調整をしっかりやるということ。もう一つは、余っているものを生産をやめて足らないものに生産をシフトして自給率を上げるという、この三つが大きくあると思っているんです。  そういう中で、二十ヘクタールが一つ基準になっています。地域によって中山間地等は補正係数があるわけでありますが、しかしそれを目指していく。そのときに、我が国の平均の農家の現在の耕作面積が恐らく一・五から一・七ヘクタールぐらいだと思うんです、平均しますとね。そうすると、二十ヘクタール例えばやるためには十数戸の皆さんが寄ってこなけりゃできない。じゃ、努力をして例えば十八まで行く。十八まで行っても集落営農基準には達しないですから、これがやっぱり支援対象にならないと、こういうふうなことになるわけですね。  じゃ、そのときに何の、それでオール・オア・ナッシングで何の知恵もないのかと。そこに対しては、やっぱり地域の創意工夫によって、それでは個人の四ヘクタールを超える経営規模を持つ認定農業者がおればその人は支援対象になるわけですから、じゃ、その人に取りあえず経営を委託をするというか、そうすることによって、認定農業者皆さんと一緒になって営農を何とか続けることによって国からの支援が行き渡るような、そういう形を是非やっぱり地域の中でつくってもらいたい。また、それを農林水産省としてもしっかりやっぱり支援をしていく。そのことによって、切捨てということではなくて、やっぱり何とか集落全体として国の支援を得ながら頑張っていける、そういう環境を是非つくりたいと、こんなふうな話を私は申し上げた次第でございます。
  34. 谷博之

    ○谷博之君 重ねてちょっとお伺いしたいんですが、七月の二十日にこの農林水産委員会国井大臣質問をして、当時の三浦副大臣が答えておりますね。これ、そういったケースの場合には、この辺ちょっと正確を期しますので読んでみますが、二十ヘクタールに満たない集落営農組織においては、その構成メンバーに認定農業者がいる場合は他のメンバーが農地の貸付け等により集積させる方法がある、これが一つですね。それからもう一つは、当該集落営農組織自体が法人化して認定農業者になるという方法もある、こういうふうに三浦副大臣答弁をしております。この内容と同じということでいいんでしょうか、そうすると。
  35. 国井正幸

    ○副大臣国井正幸君) 基本的には、そういう知恵を出して何とか支援を受けられる、そういう努力をしてもらいたいというふうに思っていますから、認識的には、基本的には同じでございます。
  36. 谷博之

    ○谷博之君 そうしますと、これは私がちょっと考え過ぎなのかもしれませんけれども、この新聞の記事だけを見た人は、いわゆる対象とならない農家に何か新しい、何というんでしょうかね、救済措置というのが講じられるような、そんなようなことに取られられかねないかなというふうな感じも実はいたしました。  ですから、そういう意味で確認をさせていただいたわけですが、いずれにしても、これは国が決めてきたそういう一つ政策です。それを、委員会でも質問をして法律として成立をさせ、いよいよ新年度からスタートさせようとしているわけですから。そういう場合の中に、それは確かにいろいろ具体的に進める上での議論はあるでしょう。ですけれども、その骨格的なものは、これを例えば崩していって、集落営農のいわゆる規模を、例えばじゃどんどん、特例じゃなくてどんどん下げていったとすると、これは我々民主党が主張しているように、いわゆる規模は関係なしに支えていくという、そういう話まで行っちゃうわけですよね。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  そういう点は、私は本当はそうしてほしいわけですけれども、やはりきちっとしたこの原則というのか筋というのをしっかりわきまえた形でお取り組みをいただければ有り難いというふうに思っております。これは要望させていただきます。
  37. 常田享詳

    ○理事(常田享詳君) 要望だそうです。要望ですね。
  38. 谷博之

    ○谷博之君 何か、大臣の方で何かコメントありますか。
  39. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) これはもう基準ははっきりいたしておりまして、認定農家の場合、そしてまた集落営農の場合、そしてこれは北海道の場合と他の都府県の場合、そしてまた平場じゃない中山間地の場合、もうこれは基準ははっきりいたしておりまして、もうそれ以外のものはございません。  ただ、国井大臣がおっしゃったのは、政治家として、二つ、大きく分ければ二つですから、認定農家がいろんな人たちから農地を集めてやっていく場合、それからもう個々の小さい方たちがじゃ集落という形でまとまってやっていこうという場合、この二つですから、その二つありますよということの中でどっちを選択するか、どっちでまとまるかということを政治家として分かりやすくおっしゃったんじゃないかなと私はそのように思っております。
  40. 谷博之

    ○谷博之君 今の大臣発言で私も分かりました、よく。  それでは次に、イチゴの問題をちょっと取り上げたいと思うんですが、実は栃木県はイチゴの産地として福岡と競っているわけですけれども、ほかのそれぞれの優秀な県もありますけれども、そういう中で、実は韓国の栽培されているイチゴの品種がその九割が日本のイチゴだと、こう言っているんですね。これはもう有名な話です。  そこに一つの知的財産権の問題がちょっとかかわってくるんですけれども、実はこの育成者権者に対するいわゆるロイヤリティーですね、それが全くありません。つまり、日本のイチゴの苗を持っていって、勝手に持っていって向こうで安価な労働力を使って栽培をし、そして安いイチゴが逆に日本やほかの国々に輸出されると、こういう現象が起きています。私どもの栃木県も、今年の三月に韓国に行ってその事実があるかどうかを確認をしてまいりました。なかなかこれは結果的には分からなかったんですけれども、しかし、こういう現象というのは依然として続いております。UPOV条約というのがございまして、ここに韓国も加入しておりますが、このイチゴについての保護対象にはまだなっておりません。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  したがって、こういうことが韓国側はできるわけなんですけれども、ですけれども、これはもう一日も早くこういう問題を解決しなければ、我が国の農産物の、例えばイチゴについても大変不利益も被るし影響を受けると、こういうふうに考えざるを得ないと思うんです。  そこで、一つお伺いしたいんですけれども、こういう育成者の権利保護の充実、それから侵害者の罰則強化を目指す種苗法の改正をこれ早急に国会でやるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  41. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) もう私も谷先生と思いは全く一緒でございまして、ですから、日本で汗水垂らしてといいますか、苦労に苦労を重ねまして、本当に科学も技術も財政も投資をしてやっと開発したものがぱっと海外に持っていかれて、そこでもう簡単に栽培されて、そしてそれがまた日本にまで売り込まれてくると。そういったようなことが幾つかあったわけでありまして、これはやっぱり国際的にもう何とかしなきゃならぬという思いは、WTO交渉の場におきましてもそう簡単になかなか利害があっていかないんですが、我々ももう常にそういう思いを持って今日に至ってきております。  だから、例えばWTOのGIという地理的表示の問題とか、EUはこれを熱心に言いますがアメリカは反対とかですね。いろんなやっぱり、EUになりますと昔から古いいろいろ積み重ねがありますから、どうしてもその結果できたものは守っていきたい、しかし他のところは、いや逆にそういったものを大きく自分たちが有利な条件を生かしてどんどんやっていきたい。なかなか一方にまとまらないんですが。  しかし、今、先生が御指摘のとおりでありまして、もうそれは肉にしても、例えば上海で和牛といって、神戸牛といって売られておる、どうしてこんなことになっているんだよと、そんなことが一杯ございまして、これはもう大特急で私どもも取り組まなきゃならぬと思っています。  したがいまして、今、先生が御指摘の点は、種苗法の改正、また関税定率法を改正いたしまして、それなりの権利侵害に対する罰則、こういったことも図ってきたわけでありますが、なお経済産業省が中小企業の分野で行っておりますようなことも我々参考にしながら、いわゆるGメン、Gメン制度、こういったことも、今、今年はつくばのGメンの人たちを四名から十名に増やしたりいたしておりますが、まだなかなかこれをどうやっていくかという特効薬がありませんが、しかし、しっかりした認識を持って、これについては、相手があることですからなかなか時間も掛かるかもしれませんが、とにかく総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。  今の時点ではそういった姿勢をお答えするしかございませんが、いずれにしてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  42. 谷博之

    ○谷博之君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。  それで、中小企業庁がいわゆる特許侵害の現地調査なんかに補助金を出しておりますよね。農水省も同じようなこの支援スキームというのをやっぱり早急に整備すべきだというふうに思っております。そういうことがあれば、この栃木県のとちおとめというイチゴの韓国との問題についても、これは国レベルでそういう対応をしていくことができるというふうに思うんですね。  それで、もう一つこの知的財産権問題についていいますと、例えば著作権とか特許権とか、そういういろんなものがありますけれども農業分野のこのいわゆる知的財産権の保護というところはまだまだ非常に遅れているというふうに私は思うんですね。ですから、これは本当にせっかく、大臣おっしゃったように、農家人たちや研究者が一生懸命研究して新しい品種を作って、それを市場に出しているわけですね、農家皆さん協力して。そういうことを考えたときに、やっぱりこの分野の知的財産権の保護、特に植物の新品種の育成者権の保護というのは、やっぱり著作権とか特許権と同じように、あるいはそれ以上にやっぱりしっかり守られるべきだということを改めて強く要望しておきたいと思っております。  最後に、これまた地元の話で大変恐縮なんですが、今地元で一つ大きな問題になっております栃木県の塩那台の土地改良区の問題が実はありまして、これはもう端的に申し上げますとどういう事業かというと、一九七四年から九二年にかけてこの事業が実施をされました。そして、総枠百八十億円の総事業費のうち、大半が国が負担をし、その土地改良区の負担は二十一億八千万だったんですね。これを、もう毎年毎年この負担金を返済をしてきているわけですが、ついに〇五年度分のこの負担金八千九百万円が滞納になってしまったわけですね。結局払えなくなってしまった。本当は今年三月末の年度末で払うところを、結局それが払えないで未納になっている。これは非常に大きな問題だと。で、これからのすべての支払わなきゃならない総額は三億四千万ということですから、そのうちの八千九百万が今回滞納になっちゃったと、こういうことなんです。  これは何でそうなったかということは、まあいろいろ理由が考えられるわけですけれども、ここでちょっと私たちが考えておかなきゃいけないというのは、例えば、そういう土地改良区の事業によって農家やその地域の人たちのいわゆる収益が上がるための土地改良事業であるべきだったはずなんです。ところが、どうもそうはいかなくなってしまっていると。ここに大きく、私は農業農政の問題があるというふうに思っているんですが。  例えば、農家に本当に求められている施設を造ったのかどうか、あるいは事業決定時点で将来農業収入がどの程度伸びると考えていたのか、あるいは農家負担分の返済計画は妥当だったのか、そして採算性について合意形成がしっかりそのときにできていたのかと。こういうことをいろいろ、やっぱり今の時点になって推察をしなきゃならぬという、こういう状態になってまいりました。  そこで、国の責任はそういう意味で果たしてあるのかないのか。特に、県が今、負担金徴収の責任を負ってやっていますけれども、これはやはり私は、国も少なくともこの問題は何らかのやっぱり責任があるというふうに思うんです。  で、こういう問題が恐らく全国的にどの程度起きているかどうか、あるいはあるのかないのか分かりませんけれども、当然こういう、長期にわたるこういう大きな事業というのは必ずこういう問題が起きてくるんじゃないかと思うんですね。  この土地改良区の理事長は、そのやっぱり新聞のコメントにこういうふうに書いてあるんですが、要らない施設まで造ってはお金を払えと言って、嫌がらせにしか思えないと、こう言っているんですよ。で、ないものは払えない。しかも、理事の中にはもう解散した方がいいんじゃないかと、こういうふうな話まで実は出ているわけですね。  これを、だから県だけにその問題のいわゆる対応をするのか、任せるのか、国がどうするのかということのその考えを聞かせてほしいんです。
  43. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) これは私も個別具体的に、その中身の詳細といいますか、なぜそうなったかという具体的な事実関係をよく分かりませんので、これは谷先生、大変恐縮ながら一般論的にお答えさせていただきたいと思いますが。  国営事業といえども、土地改良法に基づく事業というものはすべて地元からの申請制度でございまして、したがって国、県と土地改良組合ですね。まあ受益者ですね。これはみんなでお互い納得し合って、ひとつこういう内容でこういう形で事業をお願いしたいと、その申請を受けてこちらはそれを採択してやると。こういう仕組みなものですから、国が一方的に要らないものまで造ったということのその御指摘については、ちょっと何とも、そんなはずはないですと、まあ事業の仕組みからしてそれはないはずでございますと、これしかちょっと一般論として言えないわけでありますが。  それから、先生が今おっしゃいましたが、じゃほかで全国的にそういう事例があるかと。今のところそういう事例があるとは聞いておりません。一応この場合、県が責任を持って国に納付をすると、こういうシステムになっておりますから、そういたしますと、県から国に納付されていない、じゃ事例はあるかと。これもございません。  したがって、今のところこのようなお答えでございまして、この塩那台でございますか、塩那台土地改良区、これはまた私どもの方としても、努力すべき点があればまた働き掛ける、必要なことがあれば県とも連絡を取りながら適切な対処をしてまいりたいと思っております。
  44. 谷博之

    ○谷博之君 個別具体的な問題ですから、また別の機会に、機会があれば質問をさせていただきたいと思っておりますが。  最後に一点だけ、私、今の農政の問題についてのちょっと考え方を言わしていただきたいと思っているんですが、日本農業のやっぱり一番の基本、基本といいますか、一番の課題というのは、やっぱりこれはもうどなたも言いますが、自給率の向上だと思うんですね。  振り返りますと、昨年の三月の閣議決定で食料農業農村基本計画というのができて、そこで、先進国の本当に最低と言われている四〇%のこの自給率を何とか十年掛かって四五%まで持っていこうと、こういうことを決めて、その後十月にいわゆる所得の経営安定対策等の大綱を作って、そして今年の国会で品目横断的経営安定対策の方向もつくったわけですね。ですから、そういう意味では、これらはすべて自給率を向上させていくための私は施策であると。しかも、それは国民にとって大変大事な問題だと思うんですけれども、しかし実際に農家人たちと話していると、そこのところの意識といいますか、受け止め方というのはちょっと違うというか、少し乖離しているような気がしてなりません。大臣なり皆さん方はそうは思ってないかもしれませんけれども。  例えば農家人たちが、率直に言って自給率を向上させるために我々はやっているという、そういう意識がどこかであったとしても、その受け止め方というのはやっぱり多少認識の違いというのはあると思うんですよね。だから、そういうことを考えると、やっぱりこの自給率の向上というのは非常に難しい。  そのうちの一つには、やっぱり米の値段が上がらないと、むしろ下がっていると。そういう、その下がり方もどんどん下がってきていると。もうその原因をただせば、これは米が余っているんだと、備蓄米がどんどん増えているんだと。  そういうことになってきたら、これをどうするかという、ここら辺からの問題解決をまず図っていかないと、例えば、じゃどうするかということになれば、今、例えばの例ですけれども、学校給食なんかでお金を払わない家庭が随分増えてきています。そういうことであれば、もういっそ、もう学校給食には無料のこういう備蓄米のお米をみんなに出して、そしてそれを使うとか、あるいはODAの事業にどんどんそういうものを使っていくとか、そういうようなものがやっぱりあって、その結果としてその余っているお米をどんどんやっぱり使っていかなきゃいけないんじゃないか。そういうところからさかのぼっていって、最後はこの自給率の向上まで行くんじゃないかなと、こんなふうな私は一つ考え方を持っております。  そういう点をひとつ何かのときに検討していただくようなことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。
  45. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也です。  災害関係して質問をさせていただくということで、同僚の時間を差し繰っていただきました。簡潔に御答弁をいただければというふうに思います。  なぜ質問をさせていただくことにしましたかといいますと、大臣の所信に豪雨や台風による災害だと、冒頭、当委員会には切っても切れないこの自然の事象でございますので記述あるいは言及していただいたわけでありますけれども、今回、北海道を襲った被害の名称は低気圧でございました。低気圧被害というのはなかなか聞いたことがないので、これは北海道だけ、あるいは低気圧という言葉だけではなくて、地球が大きく変化している。地球温暖化による異常気象あるいは海水温の上昇とか偏西風の軌道の位置が変わるとか、これからもいろんな形で私たちは新たな災害、予期せぬ災害に立ち向かっていかなければならないということを一言申し上げたいということで質問の機会をいただきました。また、当委員会は、海そして農業、森林、すべてこの自然災害と密接に関係をしておる、そんなことからも大変重要なことだろうというふうに思います。  私は、北海道、様々な森林被害そして漁業被害があったわけでありますけれども、おおむね十勝を調査してまいりました。  まず海でありますけれども、ちょうどサケ定置網のシーズンでございまして、その定置網が流される、小さな船は大きくあるいは大規模に破壊される、そして漁業関係器具、漁港も被害を受けるということでございます。  そして、森林の方も多数被害を受けたわけでありますけれども、これも私の認識では、例えば集中豪雨被害に遭う森林なんというのは大体施業がおろそかになっている、除間伐がおろそかになっている林が多かったわけでありますけれども、今回の場合は、国有林、町有林、民有林とも適切に施業が行われていた林地ということで、配慮が新しく必要かなということで質問させていただくことにいたしました。  まだ北海道の方も調査の途中ということでございまして、件数、被害の額ともにまだ役所に上がっておらないというふうに思いますけれども、取りあえず国有林についてどのように把握をしておられるのか、あるいは、ありきたりでありますけれども、今後どういった対策考えられるのか、簡潔にお答えをいただければと思います。
  46. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 低気圧によります被害でございますが、国有林の関係、昨日の時点でございます、十勝地方を中心に区域面積で申し上げますと、三千四百ヘクタールの風倒木の被害が発生をいたしております。  この風倒木の被害地の復旧につきましては、二次被害のおそれもありますので、そういうおそれがあるところの被害の防止、それから森林の公益的機能の回復を図る観点から、早急に被害木の伐採、搬出、それから被害跡地への植栽等を必要と考えているところでございます。  こういった考え方に立ちまして、森林整備事業でありますとか、あるいは治山事業によります復旧でありますとか、そういうことで全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  47. 小川勝也

    小川勝也君 町有林、民有林にも被害が出ました。先ほど申し上げましたように、施業しているという大事な木でございまして、特に私が調査に行きました足寄町の町有林はカラマツでございますけれども、五十一年生でございます。安くて売れない中でも、先ほど大臣から話がありましたように、今後、国内産材の価値が高まるのではないかと、その期待を胸を膨らませながら七十年をめどに頑張っていこうといった、そういった五十一年生の大径木がばかばかといってしまったと。あるいは、民有林を所有しておられる方も同じ気持ちだろうというふうに思います。  育ててきた木がこれからというときに倒れてしまう。そして、その後造林もしなければならないわけでございます。精神的な問題も含めまして、国ができることは何なのか、簡潔にお答えをいただければと思います。
  48. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この民有林につきましても、昨日現在で四千四百ヘクタール、被害額約二十二億円の被害の報告を受けておりまして、まだこれは現在調査中でありますので更に増えるものと思います。  風倒木被害につきましては、国有林と同様でございますけれども、やはり二次災害の防止ということが一つは必要でございますし、それから森林の公益的機能の早期回復ということも必要でございますので、できるだけ早期に被害木を伐採し搬出する、そして跡地の復旧造林を図るということを目指しております。  このため、森林整備事業ということで風倒木の処理、被害跡地への造林が可能になりますし、また二次災害の防止など特に必要な場合は、森林所有者との協定に基づきまして、市町村、都道府県による森林の復旧、この場合は所有者の負担はなくて市町村、都道府県で負担を全額負担して、特別交付税の措置が得られると、こういうこともございます。特にまた林地が崩壊して下流に被害があるということで早期に防災機能の回復が必要な場合に、保安林等につきましては全額交付による治山事業での復旧というものもございますので、こういった支援措置を最大限活用いたしまして復旧に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  49. 小川勝也

    小川勝也君 その辺はよろしくお願いをしたいというふうに思います。  大臣が専門家なのであえて申し上げたいというふうに思います。  一つは、先ほど申し上げましたように、気象が大きく変化していくことに政府一体となって対応していただきたいという点でございます。  それともう一点は、北海道の地域で言いますと、今まで考えられなかった低気圧と低気圧がぶつかった状況で予期せぬ北風が来たということでございまして、それで、先ほど申し上げましたように、適宜適切に施業がされていた林地がやられたということであります。  例を挙げますと、上士幌町の受光伐林というんですか、これは施業のやり方によって下の方まで光が当たるようにきちっと整えた施業後の林でございました。それから、足寄町、陸別町などでは今まで経験したことのない強烈な北風が吹いてきたということでございまして、先ほど私が申し上げたことと関係いたしますと、間伐をして風の通りを良くしたところがやられてしまったということでありまして、その風がその後の障害物によってまたそこに集まるのか集まらないのかということで複雑な要因が絡んでくるということでございますので、今後の森林施業についてこの調査を通じて新たな教訓を得られるのではないかと私は思うわけでございまして、その辺、専門家であります大臣の方から一言いただければと思います。
  50. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 小川先生が御指摘のとおりだと思います。  これは、私は、異常気象というか、逆にもう気象異常、そういうようなことで、最近やっぱり今まで予期せぬことが起こってきておると、このように思いますし、一概にまだまだこの時点で断定できないんですが、もう私どもの九州は米の不作四年連続です。逆に、北海道の方が、昔は冷害とか、そんなのでなかなか取れないときが多かったんですが、去年が一〇九で、今のままいけば一〇六ぐらいいきそうだと。どうも適地も変わったんじゃないかなと言われるぐらい、いろんな気象の変化というものが大きなあらゆる影響を及ぼしておると。今回の低気圧もそうだというふうに聞いております。  そこで、この森林の問題でありますが、私どもの地元でも去年の、去年でしたかおととしの台風で、何でここだけこんなにやられるんだという、そこだけ風が集中したような、そういったことがございまして、これはやっぱり今までの経験や今までのとらえ方では対処できない点があるんではないか。  林野庁の方とも、十分そういったことをしっかり認識をしながら、小川先生御指摘のように、今後しっかり対応していくと。今のところ、なぜそういう条件が起きたのかということも含めてよく事例を分析しながら対応していきたいと思いますので、今後また御指導いただきたいと思います。
  51. 小川勝也

    小川勝也君 駆け足で漁業の方に行きたいというふうに思います。  先ほど申し上げましたサケの定置網の被害が大変多数出ております。全部で二百五十統。私が伺いました広尾町では、一統という言い方をするんだそうでありますけれども、まあ一セットですね、定置網を仕掛けてサケを入れる、それが一億円なんだそうであります。多数流出してしまったということと、精神的なショックは、これからサケがそこに来るのにというところで漁師さんが魚を取らないということがどのぐらい悲しいことか、現地で話を聞いて改めて認識をいたしますし、特にその従事者として様々な、いわゆる網元の方と働く方もいるわけでありまして、その方も途方に暮れているんだそうであります。  そこで、取りあえず来年に向けて何とか復興を遂げるしかないと。今、網のメーカーも少ないので、来年の秋まで間に合うかどうか分からないけれども、資金を調達して何とか来年に掛けると。御案内のように、中国経由ヨーロッパあるいは中国、サケの需要が伸びておりまして、価格が大変期待できる状況になってきておりますので、大変今回の苦しみを乗り越えて来年に掛けたいという、そういうお話も伺ってまいりました。  そこで、お金なんですけれども、例えばこういうときに融資を受けるはずの都道府県単位、北海道漁業近代化資金、まあ枠が十億円しかないという話でございました。先ごろ水産庁に問い合わせをして、何とかこれその基金の上積みとか利子補給の面で水産庁、応援してくれないだろうか、こういう電話をしたところ、水産庁長官、どういうお答えをしていただくんでしょうか、そういうときは。
  52. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員からもお話がございましたとおり、今回の低気圧で非常に北海道、特に水産関係、被害がたくさん出ているわけでございます。お話しのとおり、特に定置網、漁港ももちろんでございますが、定置網の被害、多いというふうに私ども承知をいたしているわけでございます。  そこで、今、委員からもお話しございましたが、お話しのとおり、近代化資金制度というのがまずはあるわけでございまして、これは都道府県が利子助成をすることによりまして低利資金を融通するというふうなことでございます。  この都道府県の利子助成につきましては、従来、国がその一部につきましては助成をいたしておったわけでございますが、三位一体改革に即しまして、実は平成十七年度に税源移譲をしたわけでございます。  そこで、実は本年度、北海道庁におきましては、全体としては、ただいまお話しの漁業近代化資金、これの融資枠がちょっと私どもが聞いておりますのは七十億円あるというふうに伺っておるわけでございますが、ただ、この本年度の七十億の北海道の近代化資金の融資枠は、実は既にそれぞれ利用の、何といいましょうか、利用者が決まっておりまして、見込んでおるというふうに聞いているわけでございます。したがいまして、今回のこういった災害に対応した新たな、漁具復旧のために本資金を利用するということであれば、北海道におきまして新たにこの融資枠の設定とそれに伴います予算措置が必要ではないかというふうに考えているわけでございます。  そこで、じゃ一体国は何もしないのかというふうなお話でございます。私どもとしては、現在非常に全体としては金利も下がってきておるわけでございまして、近代化資金とは別に定置網漁業者の災害復旧に対応可能な農林漁業金融公庫資金、この資金枠は十分確保しておるわけでございますので、道なり関係団体とも十分連携を取りましてその活用を図っていただければというふうに考えている次第でございます。
  53. 小川勝也

    小川勝也君 一点わざと申し上げたかったのは、三位一体の改革の結果、北海道で何とかしてくださいという話でございます。付け加えますと、都道府県の財政力にもいろいろ差があるわけでありますけれども、北海道の場合はもう大変な状況でございまして、今、関係者、担当者も頭を悩ましているところであります。三位一体改革が本当に良かったのかどうなのかという点が一点と、長官が後で言っていただきましたように、さはさりながら大変な状況でございまして、だれかが悪いことをしたわけではなくて、自然災害でございますので、できる限りの、法律の範囲でございますけれども、措置をお願いしたいというふうに思います。  それと、農業も様々な災害に遭うわけでありますけれども、聞いて思ったことは、共済とか保険の制度がちょっとまだ進化、発展していないのではないかと。ある分野では一割の方しか入っていない、あるいは、あるメニューではその被害が全体の八割にならないとお金を手にすることができないので非常に使いにくい制度だと、こういう言い方をされておられました。  保険・共済制度一くくりにここでは質問させていただきますけれども、例えばなかなか保険が発動しないような、共済が発動しないようなケースでありますと掛金が安くなるわけでありますので、たくさんの方に入っていただくようなシステムも可能かもしれない。あるいは様々な実態を、農業の例も参考にしながら、漁業分野あるいは漁網、漁具に関して保険あるいは共済のシステムというのはまだまだ発展の余地があるんではないか、この辺も長官にお伺いしておきたいと思います。
  54. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいま委員お話しのとおりで、漁業共済の仕組み、正に保険の仕組みでございます。お話しのとおり、やっぱり保険理論を適用いたしまして長期的に収支が均衡ということが前提になっていて、それで制度設計をしておるというふうな仕組みで、委員お話しのとおりでございます。  ただ、この実は加入状況につきましては大変全体として厳しい経営環境の下であるということで、確かになかなか被害に遭わないというふうな実態が長く続きますと、やはり個々の漁業者がその経営判断によりましてどうしても自主的に加入するということになってまいりますと、やはり掛金との相関関係といいましょうか関係で、ただいまお話しのとおり、全体の加入、漁獲といいますか、漁獲量も含めたそういった全体のあれを平均しますと大体五〇%ぐらいのあれなんでございますが、委員お話しのとおり、実は漁具なりそういった漁網を対象といたしました漁業施設共済といっておりますが、これの実は加入率は非常に低いわけでございます。  そこで、どういう工夫をして、できるだけ私どもも一生懸命加入の推進には努めているところでございますが、実は一つには、この漁具なり漁網を対象といたします漁業施設共済につきましては、本体の漁獲共済とセットで加入をしていただきますと国庫助成が付くという仕組みがあるわけでございます。そこで、本体であります漁獲共済に加入区の対象者の方々が、二分の一以上の対象者の方が加入していただければ四分の一の掛金の国庫助成が付くと。さらに全員が加入をしていただければ二分の一まで掛金の国庫助成が行われるということで、そういった意味では非常に掛金の軽減が図られるわけでございますので、実は私どもとしてもこれをてこといたしまして一生懸命加入促進を図っているところではございます。  さらにまた、今、委員からもお話しのような、いろんな共済の対象範囲の拡大でありますとか、一部を、例えばほとんど共済事故に遭わないような部分は全体の、何といいましょうか、共済金額から除外するとかいろんな工夫も凝らしまして、制度面での改善も実は図ってはきておるわけでございます。  できるだけそういった漁業者の実情に応じた形で加入の促進が図られますように、まだまだお話のとおり低いわけでございますので、今後ともこういった点については、加入の推進、それから適正な補てんの実施ということで努力してまいりたいというふうに考えております。
  55. 小川勝也

    小川勝也君 最後に流木対策についてお伺いしたいんですけれども、集中豪雨等がありますと川上から木が流れてきまして、ひどいときはいろんなところへ突っ掛かって橋を壊したりしますけれども、最後は海に行きます。それで、先ほど申し上げました定置網が仕掛けてあるような海にこの流木が流れてくるというのは、これは命懸けというか命取りになりますので、いろいろ漁業者もあるいは下流の町村も工夫をしてやっているわけでありますけれども、この流木対策がだれの仕事なのか、だれの責任なのか、だれがお金を負担するのかという明確なルールがないわけでありまして、また上げた木材の処理の仕方も大変苦慮しているところであります。  この対策について、ゆっくりでも構いませんけれども、ルールをしっかり作っていただいたらどうかと、こういう提案をさせていただきたいわけでありますけれども、簡潔に御答弁をいただければと思います。
  56. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 実は、委員御指摘のとおり、海上に漂流しておる流木あるいは流れ着きました漂流木、これの処理は大変に実は、お話しのとおり、一体どこが分担関係があるんだということで、大変に多岐に、委員からも御指摘のとおり、海上の正に漁船の航行の安全にもかかわるわけでございます。あるいは、陸上に参りますれば当然環境面の、ごみ処理という面もあるわけでございますし、様々な実は面があるわけでございます。  そこで、実はこれは基本は、これはまた委員からおしかりを受けるかもしれませんが、実は漁場におけます漁場の流木処理ということになりますと、これは、恐縮でございますが、やはり三位一体改革の趣旨ということで、国から実はこれまではそういった処理につきましては交付金があったわけでございますが、これが廃止をされまして、一応これに見合った財源は都道府県に移譲したということが基本でございますので、一つには都道府県の裁量で自主的に取組を進めるということが基本になるわけでございます。  さはさりながら、やはり流木が流れ着きました場所が漁港ということでございますれば、これは漁港の、泊地といいますか、漁港の内部でございますが、やっぱり船だまりで、船の、漁船の非常に航行なり運航に支障を来すわけでございます。そういった意味で、漁港の機能に支障を来すということでありますと、これにつきましては公共事業でもって、何といいましょうか、公共事業の流木処理ということが行えるわけでございます。  それからさらに、海岸の保全区域ということで、堤防がありますようなところに……
  57. 小川勝也

    小川勝也君 もういいです。
  58. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) はい。  そんな公共事業で一定の処理もできるというふうに考えております。
  59. 小川勝也

    小川勝也君 終わります。
  60. 小川敏夫

    小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。  まず、大臣、御就任おめでとうございます。就任早々最初の質問大臣の資質を尋ねなければいけないというのは誠に残念でございますが、しかし、聞かなければならないことがありましたので質問させていただきます。  今年六月に、WBEFという団体が出資法違反ということで強制捜査を受けました。このような違法な金集め組織から大臣が昨年十二月一日にパーティー券の代金として百万円を振り込みを受けていると、しかしこれについて収支報告では記載がなかったというような一連の経過がございました。  そこで質問ですが、大臣がこのWBEFという団体を知るようになったのはいつの時期でございましょうか。
  61. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 知りましたのは、本年九月二十五日に、そういう団体から献金が、献金といいますか、パーティー券の購入をいただいておったということを確認をいたした次第でありまして、そしてそれ以前に、九月の七日だったと思いますが、そういうところを御存じですかと、そういうところから何かパーティー券を買っておられませんかというような話がマスコミの一部の方から、あるマスコミと言った方がいいんでしょうが、ございまして、正直そのとき初めてそのお名前を耳にいたしました。それまでは全く知らなかったというのが実態でございます。
  62. 小川敏夫

    小川敏夫君 すると、大臣、百万円もパーティー券を買っていただいたと。このパーティー券を百万円分買っていただいたという、この事実も知らなかったということですか。
  63. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) ええ、大変その点につきましては、初めてそのときになって、そして百万円買ってもらったといったことがはっきり私自身が認識いたしましたのは九月二十五日の夕刻でございます。
  64. 小川敏夫

    小川敏夫君 政治家が寄附を受ける、あるいはパーティー券買っていただくということが、これは日常的にあることですけれども大臣は、百万円もパーティー券買っていただいて、その買っていただいた方にお礼の電話とかお礼のあいさつもしないんですか、一般的に。
  65. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) このことにつきましては、ある人を介してのことだったものですから、その人にはどう言ったか知りませんが、その先に、こういった組織のところにその券が買っておられたということは全く知りませんでしたので、お礼等も一切いたしておりませんでした。
  66. 小川敏夫

    小川敏夫君 ある人を介してということですけど、そのある人というのは、これはWBEFと関係があるんですか。
  67. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 知り合いの人がそこにおられるというふうに聞いております。
  68. 小川敏夫

    小川敏夫君 ちょっと微妙な言い回しでしたけど、その知り合いというのは要するに、そうするとWBEFの組織に参加している方と、参加している方が知り合いだと、こういうことですか。
  69. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) ある人というのはこの数年来お付き合いがある方でございまして、その方に、大体毎年パーティーをやっておりますから、お願いしますということを私の事務所の方から、私が直接ではないんですが、私の事務所の方からお願いを申し上げ、その方が、じゃ自分関係というか知り合いのところにお願いしてやろうということでお願いをしていただいたと聞いておりまして、その方に後で、後になってからですが、自分の知り合い、知人ということでしょうけれども、知人なのか友人なのか、そういったような関係だと思いますが、その方にお願いをした。で、このWBEFというところにはいろんな企業やいろんな経営者の方がお集まりだから、そこにはある程度のことのお願いができるということでお願いをしていただいた、五十人分ですけれども、そのように聞いております。  それと、これは先ほど小川先生が御指摘ありまして、今年の六月に強制捜査があったと。ですから、私どもその時点でも全く認識がございませんでしたので、その強制捜査があったというのをニュースで見たのか見なかったのかも含めて、私自身は意識というか認識はございませんでした。  そして、もしそういうことがあった後であれば、間違ってもお願いをするというような、その第三者といいますか、私どものお願いをした方もされなかったんではないかと思いますけれども、去年の十二月、残念ながら、その方が今話題になっているといいますか、今御指摘ございました組織の方にお願いをしていただいてしまったと、こういうことであります。
  70. 小川敏夫

    小川敏夫君 いや、ちょっと大臣の最初の答弁が、その事務所がお願いした方がWBEFの組織の中の一人であるようなふうに言われたもので、それで確認したんですけれども
  71. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 私の事務所からお願いをいたした方は、WBEFとは、組織とは関係ない、全く別の違うところにおられる第三者であります。そして、その方は自分の知人がWBEFにおられたと、どういう形でおられたか知りませんが、おられたと、こういうことでありまして、その方がWBEFの組織におられたということではございません。
  72. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣お話のとおりにしても、その知人の方が仲介にしたとしても、買ったのはWBEFの人ですね。すると、普通は百万円も買っていただければ、お礼のあいさつ、お礼の電話はすると思うんですがね。大臣は、例えばほかの方についても、百万円ぐらい買ってもらっても全然あいさつもしないんですか。
  73. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) まあケース・バイ・ケースでありますが、事務所全体として取り組んでおりますから、私が直接電話をしたりお願いをしたりするのはそんなにないんです。
  74. 小川敏夫

    小川敏夫君 いや、お願いするのは直接ないにしても、結果として百万円もの寄附を受ける、百万円ものパーティー券を買っていただければ、お礼の電話ぐらいは普通はしているんじゃないかと思うんですがね、電話とかあいさつぐらいはですね。一般的になさらないんですか、大臣は。
  75. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) これは政治資金パーティーというのは、そういう組織、松岡利勝君と語る会か励ます会か、そういった組織をつくっていただいてやっていただくものですから、私はやっていただく方でありまして、この人からこうですよとか言われたときには、それはありがとうございますというようなことは言うことはあると思いますが、私が一々お礼を言ったり、またそのお礼を言う前提としてお願いをしたりということはほとんどございません。
  76. 小川敏夫

    小川敏夫君 大臣が、WBEFが強制捜査を受けたときに、大臣は気付かなかったということですけども、事務所の人もだれも気が付かなかったんですか。どうもこのタイミングを見ると、六月にそういうことがあったのに返したのが十月だと、ばれるまでとぼけていたんじゃないかというような疑いを持つ人も十分にあると思うんですがね。事務所全体も気が付かなかったんですか。
  77. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 全く御指摘のとおりでございまして、私どもの事務所もWBEFという認識そのものがなかった、それで指摘をされて確認をしてびっくりした、これが実態でございます。
  78. 小川敏夫

    小川敏夫君 時間も来ましたんで終わりますけど、普通の国民感覚からいきますと、百万円も券買ってもらった組織の、WBEFという組織について全く認識がずっとないままというような答弁はとても納得できないんですが、今日はこれで終わりまして、また機会を改めてと思います。  終わります。
  79. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  松岡大臣、そして国井新副大臣永岡大臣政務官の御就任おめでとうございます。御活躍を期待しております。  それでは、早速質問をさせていただきます。  その前に、やはり去る十月の初旬に低気圧により被災されましてお亡くなりになりました方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。  実は私も十月の八日に、漁船が遭難された宮城県の女川町の方に翌日に向かいまして、本当に今回の低気圧による暴風雨あるいは高潮、そういうものの被害が大きかったということを実感として感じているわけでございます。  それで、今回、国井大臣は青森の方にやはり被災が大きかったということで行かれたということでございますが、この農林水産関係の被害の状況、そしてまた今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
  80. 国井正幸

    ○副大臣国井正幸君) 今、渡辺先生おっしゃられたとおり、この十月の初旬の低気圧の被害、大変なものがございまして、被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思っております。  今まで私どもが報告を受けている中身でございますと、農林水産関係の被害の総額が昨日段階で、農地、治山施設、漁港などで四百五十億円に上っているようでございます。特に、水産関係が二百五十二億円というふうな大変な被害を受けたと報告を受けております。  今回の低気圧被害につきましては、災害対策を適切かつ迅速に行うために、直接現場、現地の被害状況あるいは被災者の方々の要望を正確につかめという大臣からの御命令をいただきまして、二十三日に山本副大臣が北海道、私が青森の方に行かさせていただきました。大変な被害でございまして、今、被害の状況を更に精査をしているところでありますが、先ほど申し上げましたように、四百五十億円の被害が全体としてあると、こういう状況でございます。  それで、農林水産省といたしましては、現在、共済金、保険金の早期支払をできるだけ早くもうこれしっかり払っていくということ、それから関係金融機関に対しまして、被災農林漁業者等への資金等の融通、それから既貸付金の償還猶予など貸付条件の緩和依頼を現在一つしているというのがあります。それからもう一つは、災害復旧事業の早期実施を、早急に実査をするようにということで今取り組んでいるところでございます。  今後とも、被災状況の早期把握に努めるとともに、被災された農林漁業者の経営の再建が一刻も早く円滑に図れるように、関係都道府県と連携を取って一生懸命進めていきたいと、このように思っているところでございます。
  81. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 北海道でも大変な被害が出ているということも、いろいろ情報もお聞きしておるわけでありまして、本当に予想外の低気圧の大きな被害でございますんで、対応の方、しっかりやっていただきたいと思います。  それでは、大臣の前回の発言に関連しまして御質問をさせていただきたいと思います。  まず、大臣は、担い手を対象とした新たな経営安定対策や農地・水・環境保全向上対策の導入などの三本の柱から成る政策改革の推進に全力を挙げるというようなお話でございました。  そこで、まず最初に、品目横断政策の対象となる地域農業担い手の話ですけれども、山形県の調査では、本年八月末の現在で、農村集落の約六割が集落営農に向けていろいろ話合いをしておりまして、約三割、その半分ですね、まあ三割が将来の方向付けを固めたということでありますが、まだ三割は固まっていないと、話合いはしているということであります。  それで、農水省の方に、全国的な地域農業担い手づくりがどこまで進んでいるのか、その現状について、先ほども委員の方から御質問ございましたが、改めてお聞きをしたいと思います。
  82. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 品目横断的経営安定対策の対象者の数でございますけれども、まず認定農業者でございますが、これが平成十八年六月末現在で二十万五千百八十一ということで、これについては相当程度最近伸びてきているということでございますし、この後も報告が上がってきております。  それから、集落営農関係でございますけれども、この対策の対象につきましては、従来の特定農業法人あるいは特定農業団体以外にも新たな集落営農法人としての要件を満たしたものについて対象となるわけでございますが、これは現在今設立をしているということで、手元にあります数字は六月末現在と同じく、特定農業団体で三百三十二となっております。これも三か月の間に約一・五倍ということでございまして、現在、各地でこの設立に向けて報告、山形県もございますけれども、受けているところでございます。
  83. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 まだまだ十分に地域によっては担い手確立されてない地域もあるようですので、今後どのように担い手育成確保対策を進めていくのか、松岡農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  84. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) この政策は、戦後、農地解放以来の大改革と、そのようにも言われておりますが、正にそのような大改革というふうに私ども認識をいたしております。  したがいまして、なかなか、皆さんどうやってこれに取り組んでいくのか、臨んでいくのか、そしてまたこれを自ら実施していくのか、相当な戸惑いやいろんな思いもあるのは事実だというふうに承知をいたしております。特に、感情的な点もやっぱりあったりいたしまして、ここは与野党の席でありますけれども、端的に言いますと、お互いに選挙で戦ってあいつとは嫌だとか、そういったことも含めていろいろ聞いております。  したがいまして、そういう感情的な部分も乗り越えて、何としても、今の状況のままではもう展望が開けない、やっぱりこれを大きく打破して、そしてやっぱり将来に向かって展望を開き、夢の持てる、希望と意欲の持てる、そういう方向を目指すということのためには、例え話ですけど、こちら岸から向こう岸に何とか渡っていただく、何とか渡っていただく、一定要件をクリアして。方法はいろいろあると思います。先ほど国井大臣もおっしゃっていましたが、泳いで渡るか、船で渡るか、いろんな方法はあると思いますが、あらゆる方法をひとつ駆使していただいて向こうに渡っていただくと、それが私どもの思いでございまして、何とかそれを実現したい、またしていただきたい。  そこで、具体的には認定農業者、この方々が少しでも多く増えていただく、こういう取組をしっかりと、それこそ現場農業団体やまた指導者の方々とも一体となってこれはとことん取り組んでいこう。そしてまた、今御指摘ございましたように、認定農業者としての形でできないところでは、一定の規模要件というものがございますけど、集落営農という形で皆さんがそこに入っていただくことによって大きく農地が集約化できて、たとえ後継ぎがいなくてもう年取って仕事ができない人の農地でも、その集落という形の中で全体としてそれが担い手に集約をして、担い手といいますか、いわゆる一体のものとして集約がされて、そこもきちんと農業の用地としてしっかりと生かされていくと、こういうような姿を、粘り強くあらゆる努力をして、そして達成をしていきたい、そのように思っております。  これにつきましては、この十八年度予算においても総額百七億円を措置いたしまして、集落リーダーが行う組織化に向けた調整活動への支援、さらには会計研修会、こういったことの開催を通じた会計責任者の育成、こういったことももう既にやってきておりまして、そういったことが相まって進んでいけば、これが進んでいただいて目標が達成できるんではないかと。大変な努力を要しますけれども是非これを皆様方の御協力で実現してまいりたい、このように思っております。
  85. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 足腰の強い農業をつくっていくためにはどうしても避けられない道ではないかなと、そのように思っておりまして、私どもも特にリーダーづくりですね、引っ張っていく、集落を、集落営農の場合はですね、そういうリーダーづくりをしっかりやっていただきたいなと、そのように思います。  次に、やはりいろいろ課題があります農地・水・環境保全向上対策の推進に関して質問をさせていただきます。  農地、農業用水等の資源保全の共同活動への参画が見込まれる地域の現状、どのようになっているのか、この点を農林水産省にお伺いをしたいと思います。
  86. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 農地・水・環境保全向上対策の十九年度からの本格導入に向けまして、現在、様々なルートで普及、浸透を図っております。  まず、地方公共団体との連携は極めて重要でございますので、県市町村の担当者に対して制度周知を図るブロック会議等の実施をしますとともに、特に地方公共団体のトップの方の御理解を得ることが重要でございますので、都道府県知事、市町村長に対して直接説明をし、また要請をするというような活動をしております。また、地方の農業者等に対しましては、地方公共団体のルートに加えて、農業団体を通じてパンフレットの配布、あるいは説明会を実施する、またこの対策では地域住民や都市住民の方の参画も極めて重要でございますので、そういった方々に対して一般的な方々を対象としたシンポジウムであるとか、あるいは十八年度実施地区の、モデル地区サミットと呼んでおりますが、一般の方々を集めて説明をしているということでございます。  現在、その実施見込み状況でございますが、逐次地方公共団体において把握をするということで進めております。全体の感じといたしましては、先ほど言いました活動によりまして本対策理解が深まってきておりまして、地域で機運が高まってきているというふうに承知をしておりますが、地域によりましては地方公共団体の財政状況などの面から取組が鈍いといったところも見られております。また、地目別でいいますと、特に水田につきましては共同活動を行うような素地が非常にありますので比較的盛んに検討されているんですが、畑、草地では取組がやはり鈍いというような状況が見られます。  今後、先ほど言いました様々なルートで普及推進を努めるとともに、さらにNPOあるいは教育関係者といった今までにない新しい方々に対する普及も努めつつ、更に普及啓発に努めていきたいと考えております。
  87. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 共同活動への支援水準が既に示されておりますけれども、国としての事業推進の財源確保等の目標をどのように掲げて財源を確保しようとしているのか、そしてまた、先ほどお話ございましたけれども、都道府県とか市町村もその実施に向けていろいろ財源確保等頑張ろうとしているわけですけれども、そのような見込みがどのように進んでいるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。先ほども触れていただきましたけれども
  88. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ただいま財源の確保の点についてお尋ねがございました。  十九年度の国の概算要求につきましては、この対策全体で国の方として三百三億円を要求をしております。特に、先生からお話がありました共同活動に対する支援が二百五十六億円、さらに営農活動が三十億円、それから事業の円滑な実施のための交付金として十七億円と、こういうふうになっております。これにつきましては今財務省と折衝をしている状況でございます。  それから、地方公共団体の予算確保でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、県なり市町村において地域の普及と併せまして予定実施地区の把握を進めながら、各自治体の財政部局と調整を開始している、今後十九年度予算に向けてその調整が本格化していくというふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、国、県それぞれの財政、予算確保されて本対策が円滑に実施されますので、鋭意また努力をしていきたいというふうに考えております。
  89. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 現場の方でやはり農業者の方も大変意識が高いと、それと地域住民も一緒にこの大事な農業資源を維持していこうということで協力を得られると、そういう意識の高まっているところも多いわけですが、実際上、国の方もそれで進もうということですけれども、都道府県によっては、やはり財政難が大変厳しいということで支援水準を確保できそうもないというような県もあるというふうに聞いておりまして、そうなりますと市町村の方がどう対応できるのかというようなお話にもなります。  そういうところで、総務省との関係といいますか、特別交付税等のそういうものを含めました地方財政措置の充実ということが大事になってくるのかと思うんですが、その点、松岡大臣からもいろいろお働きをしていただきたいなと思うんですが、その点、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  90. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 先生から今御質問いただいておりますこの農地・水・環境保全向上対策、これにつきましては、もう従前から私ども諸外国並みのこういった政策を導入をしたい、こういう思いでやってまいりました。そして、それのいわゆる中山間版としては中山間の所得補償対策というのをずっと実施をいたしておるわけでございます、もう六年ぐらいたったわけでありますが。  それ以外に、やっぱりフランスで行われておりますように、フランスでシラク大統領が導入しましたあらゆる地域のあらゆる農業が、中山間だけではなくて、やっぱりいろんな大きな役割、価値を果たしておると、したがってそれに対してそれ相応の対価を払う、こういうことで、フランスでもそういう制度がもう今実施に移されているわけでありますが、またオーストリア型の環境保全対策条件不利地域等加えまして、幾つか組み重ねた政策が行われておりまして、今回我々も、中山間の所得補償に加えて、これをもう平場にも及ぼして、そして国民総ぐるみ、地域総ぐるみで、ひとつこの農地、水というものは国民全体のやっぱり社会資本、地域全体の社会資本、子供さんも交えてボランティア的にそういう取組をしっかりとやっていこう、こういうような形でのこれは政策でございますので、何といっても、地方自治体がどこもひとしくこれが実行、実施できますように努力をしてまいりたい、そのためには先生御指摘の財源が一番大事であります。そのためには、地方公共団体に負担を掛けない形での地財措置、これを全力を挙げて総務省にお願いをして確保してまいりたいと思っておりますので、是非また御協力方もよろしくお願いいたします。
  91. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 よろしくお願いしたいと思います。大変その点期待が大きいわけでありますので、よろしくお願いいたします。  それから、余り時間もなくなってまいりましたので一問少しはしょりますけれども、次に森林の多面的機能の発揮と山村の活性化ということで質問をさせていただきたいんですが、松岡大臣の方は、先ほどお話ございましたが、森林は多様な役割を担う緑の社会資本と、そのようにおっしゃられました。森林の有する多面的機能の一つにいやし効果があり、以前より森林浴というような形で活用がされてきたわけでありますけれども、近年、積極的にこれを心身の健康づくりに役立てようと、あるいはまた地域振興にもつなげていこうということで森林療法の研究が盛んになってきております。  公明党としましても、私が座長をしております統合医療検討ワーキングチームというのがあるんですね、西洋医療と東洋医療あるいは世界の様々なセラピーを合わせていいサービスをしていこうというような考え方ですが、そこの勉強会でも森林療法の勉強をしたり、現地視察をしておるんですが、森林療法の研究の状況、モデル地域の整備現状並びに国としての支援策について川村林野庁長官にお伺いをして、質問を終わりにしたいと思います。
  92. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 森林セラピーについてのお尋ねでございます。  今、委員が御指摘ございましたとおり、これまで森林浴等で森林の中を歩きますと快適でリラックスするといったような効果が実感はされておりましたけれども、この研究が進みまして、具体的に科学的な測定、そして効果が科学的に解明されたということがございます。そういうことをバックといたしまして、また民間の団体で構成をいたします森林セラピー実行委員会ということが中心になりまして、研究の公表、それからまたセラピー基地でありますとかセラピーロードということで、そういったリラックス効果が実証されたのを認証してございます。現在までに、セラピー基地につきましては全国で六か所、それからセラピーロードにつきましては四か所が既に認定を受けております。  こういった認定を受けられました地域におきましては、森林セラピーを地域の振興策の柱として積極的に活用するということで取り組んでおられまして、例えばモニターのツアーでございますとか、森林セラピーの全国サミットを開催するというようなことで積極的に取り組んでおられます。近々、佐久市でも行われますし、また山形県の小国町でもこういった催しが行われるというふうに聞いております。  私ども、こういった取組は非常に地域の振興にとりましても大変武器になるというふうに思っておりますし、今後積極的に支援をしてまいりたいと思います。今、委員が申されましたとおり、渡辺先生自身も積極的にこれに参加していただきまして、御支援いただいておりますことを感謝申し上げますが、是非よろしく御支援のほどをお願いいたしたいと思います。
  93. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  94. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。十五分という時間、制限がありますので、前置きは省きまして早速質問に入らせていただきます。  まず、災害についてなんですけれども、六月の六日から北海道、東北を襲いました低気圧の影響各地災害が、被害が相次いでいます。先ほどお話がありました。水産被害も非常に深刻だということで、我が党も地元議員とも協力しながら現地の調査をしてまいりました。  北海道は、漁連ですとか信漁連含めて水産団体が、激甚災害法に基づく支援対策、それから漁港や海岸施設の災害復旧事業の早期実施と、それから被災を受けた漁業者に対する特別支援、円滑な金利対策と漁場の資源回復の対策ということで、三本柱で十二項目の緊急要求をまとめて、国にも要求しています。現地の関係者からは、早く対策を取ってもらわなければ来年のやはり漁の計画も立たないということで、声が寄せられております。  今日はちょっと時間短いので、次回詳しくはやりたいと思うんですけれども是非地元の声をよく聞いていただいて、手厚い対策を取っていただきたいということをまずお願いをしておきたいと思います。答弁は要りません。  今日は、大臣の政治姿勢について中心的に質問をしたいと思います。  まず、問題になっています松岡大臣のパーティー券の購入の記載漏れの問題です。先ほども出されていましたけれども、WBEFと密接な関係にあります資産運用コンサルティング会社エフ・エー・シーですね、これが全国の約八千人から百三十億の出資金を集めたということで、福岡県警から出資法違反容疑ということで家宅捜査を受けているわけです。  大臣、この家宅捜査を受けた企業の関連団体にパーティー券を購入してもらったということについて、先ほどのやり取り聞いていますと知らなかったということなんですけれども、パーティー主催の主催者は大臣なわけですから、そのことも含めてどのように責任を感じておられるのか、まず御答弁いただきたいと思います。
  95. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) これは誤解になってはいけませんので、きちんと御理解をいただくために事実関係をまず申し上げたいと思うんでありますが……
  96. 紙智子

    ○紙智子君 短めにしてください。
  97. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) いや、御質問でありますから。  まず、事実関係についてでありますが、私の励ます会といいますか、二十一世紀を語る、ちょっと正式には今持ってきていませんけど、このパーティーは、主催者はその語る会、励ます会でございまして、私が主催者ではございません。たしかそのような形であると思います。もし私の今、そういう質問があるということを具体的な詳細分かっておらなかったものですから、その今形、きちんとした中身は持ってきておりませんが、そうであったと思っております。  それから、事実関係ですが、九月二十五日、午後、夕刻にこのことが私としてははっきりと認識ができた。それまでは全く寝耳に水で分からなかった。先ほど小川先生からもそれはおかしいんじゃないかと指摘をされましたが、しかし事実でございまして、事実以外のことは私も申しようがないものですから、そういうことでございます。  それは何によって分かったかといいますと、あるマスコミの方から、何月何日郵便振り込みでこういうことの事実がありますことを確認していますよということがあって、それで、郵便振り込みというのはほかの銀行預金と違いまして……
  98. 紙智子

    ○紙智子君 短めにお願いします。
  99. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 銀行預金と違いまして、ぱっと通帳見たら分からない形で、一々振り込み通知書を一枚一枚確認しないと分からないものですから、それを言われて探し出して、一々確認をしてみましたらそれがあったと。そのとき初めて、ああ、こういうところからそういうことがあったんだという認識で、直接知らないものですから、まあ今までお付き合いがあったとか何らかの関係があったということであれば、それは当然相手のお名前とかも知っておったわけでありますが、全くないものですから、それは初めてそのとき分かった、これが事実関係でございます。  そこで、五十人分お願いしたんだから……
  100. 紙智子

    ○紙智子君 短めにお願いします。限られた時間です。簡潔にお願いします。
  101. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) ということで、五十人分のお願いということでございましたので、それを記入するときに先方に、お願いした方に、第三者の方ですが、WBEFの組織の方ではありません、第三者の方にお聞きしたら、まあ一人で二十万以上というのはないからいいんじゃないですかというふうな形で言われたことを、こちらとしては、まあ安易だったと言えば正に安易だったわけでありますが、そのまんま、じゃ、要らないものと思って記載をしなかった、これが事実関係でございました。  それが、振り込みを見てみましたらWBEFという名前だったものですから、これはやっぱり一つの組織として一括して振り込んであるような形だなと。であれば、やっぱり本来どおり、これはきちっと届け出るべきだということで、もう二十六日の朝しかございませんので、速やかに、分かった時点で可及的速やかにということで二十六日の朝一番に届け出て訂正をして、法に基づいて訂正をしたと、これが事実関係でございます。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 答えはできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。  それで、結果責任は、やはり励ます会にしても大臣がかかわっているわけですから、やっぱり何らかの結果責任というのはあるわけです。  今回の問題に関連しまして、私、大臣の資金管理団体であります松岡利勝新世紀政経懇話会というのありますね、それから大臣が支部長になっています自由民主党熊本県第三選挙区支部、この政治資金収支報告書を見せていただきました。これ見てびっくりしたんですね。農水大臣が所管する公益法人等々からの献金が非常に多いんですね。  具体的にお聞きしたいんですけれども大臣は東京林業土木協会という社団法人から、二〇〇五年の八月三十日、去年ですね、あなたが支部長になっている政党支部が百万円の寄附を受けています。この団体とはどのような関係を持たれているんでしょうか。
  103. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 御支援をいただく団体のうちの一つだと、そのように認識いたしております。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 この東京林業土木協会というのは、国有林の土木事業を行う一都六県の業者で構成していますよね。例えば、関東の森林管理局内の建設工事やる場合に、その競争入札の参加資格を申請するその書類の頒布先として指定されているところですよ。そうですね。言うなれば、農水省とは密接な関係にある団体なんです。  そもそも公益法人ということでいいますと、一九九六年九月の閣議決定の中で、公益法人の設立許可及び指導監督基準というものをここで決定しています。その中で、「積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならず、」と、特定じゃなくて不特定多数ですよね、というふうになっていると。閣議決定の趣旨から見ても、この公益法人が寄附をするということは問題だと思います。ましてや農水省と密接な関係にある公益法人からの寄附というのは、これは大臣、辞退すべきではないでしょうか。
  105. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 去年の八月、私は農林水産大臣ではございません。前から御縁があるというか、応援をいただくという形でそういう献金をいただいたものと思っておりますし、それと何か私どもは国会で制定をされました政治資金規正法に基づいて法律の範囲の中で、定められた中で適法、適正に行っておるわけでありますので、それ以上のお答えはいたしかねます。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 まあ適正にやっているという御認識だということですね。公正なやはり行政をつかさどる大臣としては今の答弁というのは私問題だというふうに思いますね。  更にお聞きしたいんですけれども大臣の収支報告書を見ますと、公益法人の役員、所在地が同じの政治連盟から多額の寄附を受けています。  お配りした資料を見ていただきたいと思うんですが、まず一つ目に、民有林整備懇話会、この政治連盟から三年間で総額九百八十二万円。この政治団体というのは社団法人全国森林土木建設業協会の専務理事が代表者です。所在地も同じです。それから次に、林業経営者林政会、一年間で総額百六十二万円。この政治団体も社団法人日本林業経営者協会の理事が代表者で所在地も社団法人と同じ場所です。それから、全国木材産業政治連盟、三年間で総額六百十万円。社団法人全国木材組合連合会の会長が代表者で所在地も社団法人と同じです。それから、民有林振興会、三年間で総額五百四十万円。これは社団法人日本治山治水協会の専務理事が代表者で所在地も同じ場所です。それから、林土連懇話会、三年間で総額八百三十万円。この団体も社団法人日本林業土木連合協会の会長が代表者で場所も同じと。この五つの団体から三年間で総額三千百二十四万円の寄附を受けておられるわけです。  これらの政治団体というのは、大臣が所管しますこの公益法人という、メダルでいえば、実態は同じ一つのものだけれども、裏と表の関係にあるというふうに思うんですが、これ問題あると思いませんか。
  107. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 先ほども申し上げましたように、法律に定められた範囲の中で私どもは適法、適正にこれは行っていただいていると。逆に、なぜこの法律で定められた中でやっておるのが問題と言われるのか、その点について私は理解ができません。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 そこの大臣の御認識が私は非常にやっぱりおかしいと思うんですね。今までだって適正だって、法律には従っているというんですけれども、これまでも例えば日歯連の事件ですとかKSDの事件ですとか、結局公益法人が政治連盟をつくって言わばそれを隠れみのにして献金を行うということが大問題になったわけですよ。ですから、大臣が所管するこの公益法人に関連する団体からの献金なわけですよね。  で、大臣は本当にこれ問題がないということで、全く反省がないということなんでしょうか。
  109. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 今、日歯連とかいろいろおっしゃいましたけれども、それとこれとを何でここで混同されるのかよく分かりませんが、あくまでもやっぱり政治献金というのは政治資金規正法がきちんとあるわけでありますから、それに基づいてその範囲の中で行われるということであれば私は適法、適正なものと、このように判断していいと思っておりますし、またそのとおりだと思います。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっとやっぱり驚くべき認識なわけですよね。日歯連の問題にしてもKSDにしても、やっぱり実態は同じ一つのものであったわけですよ。ですから、本当にちょっとした意識がそこに働きますと、すぐにやっぱりそういう不法な関係というか結び付きが出てくるということがあるわけで、そういう意味では私はやはり今度、来年になりますか、森林・林業基本法がいろいろとその関連法案なども含めて、基本計画の改正や関連法案を含めて改正されるという時期にも入ってくるだけに、やはりこの公的な役に就かれておる農水大臣が指導監督する公益法人等々から献金を受けるというのは、これ少なくとも大臣の在任中は献金を辞退すべきだと思いますけれども、どうですか。
  111. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) それは適切に判断して対処したいと思います。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 適切な判断というのは、要するにやめるということも含めてということなんでしょうか。
  113. 松岡利勝

    国務大臣松岡利勝君) 読んで字のごとく適切に対処したいと思います。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 まあ、まだまだ実は、今回触れられなかったんですけれども、疑問が多々ありますので、この次についてまた引き続きこの問題をただしていきたいと思います。今日はこれで、ちょっと時間にもなりましたので、質問を終わります。
  115. 加治屋義人

    委員長加治屋義人君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会