○
国務大臣(
松岡利勝君) まず具体的に、今、
先生御指摘の三千億円から二十一年には六千億円、二十五年には一兆円を目指すと、これを具体的にどう進めるかということでございます。
今まで我が国の
農業といいますか
農産物の貿易というのは、入ってくるものからどう守っていくかと、守りが主体であったことはもう否めない事実でございます。そこで、
WTO交渉等におきましても、今日までは守りを主体のやっぱり
交渉をしておった。関税をどう高く張るか、一言で言いますと。そしてまた、関税割当ての量をいかに減らすか。こんなようなことでやってきたと思います。その結果、
輸出ということでの
条件をどう獲得していくかということについては、どちらかといいますとちょっとおろそかになっていたことは否めない事実であります。
ですから、例えばある国から米は入ってくるけど
日本からはその国に米は出せない、ある国から肉は入ってくるけどその国に
日本から肉は出せない、片側通行になってしまっておった。こういったことをどうやって相互通行というか相互交通といいますか、相互通行にしていくか。こういう
意味で、一番基本的な問題は検疫
交渉等という問題がございますが、これも
WTOのSPS協定、こういったことを軸にしながら、やっぱりしっかりと相互にお互いがこの貿易が双方向でできるようにまずやっていくと。ちょっと今いろんなことをやっております。したがいまして、まだ
交渉そのものですから、相手もありますから、つまびらかにできない点はございますが、そういった
輸出条件の獲得をしっかりまずやっていくというのがまず大きな点だろうと思います。
それから、どう宣伝をしていくか、普及をしていくか。これには、在外公館等を使ったりいろんな場を利用して、見本市等も含めましてしっかりやっていく。今、常設店を海外に五か所持っておりますが、そういったことも含めて
日本の食というものを広げていく。
それから、今、頭に置いてずっとこの二、三年来
考えていますことは、これだけ
世界に
日本食がはんらんをしておる、もうどこへ行っても
日本の料理屋さんがある。ところが、形は
日本ですけれ
ども中身はよその国の人が経営しておったり、またよその国のものが使われて
日本食と言われておったり、そんなことがあるわけでありまして、これも、ミシュランじゃありませんが、何か我々サイドで、これは国がやるということにはちょっとなじまないのかもしれませんが、まあ民間なりなんなりの団体で
日本料理店の格付なんかがあって、ああ、あれのあるところがやっぱり本当の
日本料理だと、そんなわけで
日本の食材等が受け入れられていく、こういった大きな枠組みができないかなと、そういったこともしっかりちょっと取り組んでいこうと思っております。
そういった形で
輸出というもの、じゃ
輸出の効果、これはどうかということでございますが、ちょっと端的に言いますと、
品目を米に絞りますと、今五億トン市場です、
世界は、米は。穀物全体が約二十億トン生産され消費されている。そのうち五億トン。そのうち大体中国人が二億トン以上食っていると思いますね。我が
日本は八百万から八百四十万。
そして、この八百四十万、八百万というのは、もう本当に五億トンから見るとほんのちょっとのもの、ほんのちょっとのもので、質から見ると、これはやっぱり宝石の
世界でいえばダイヤモンドかプラチナみたいなものだと。ところが、それだけのものでありながら、今まではこの八百万なり八百四十万トンの
世界だけで需要と供給が成り立っておったものですから、供給が余って需要が減って、過剰になって、これだけいいもの持ちながら値段が下がって
農家は苦しんでいる。だから、これを五億トン市場に出したらどうなるのか。それこそ引く手あまた、おれも欲しい私も欲しいというような、こういうものとしての位置付け、これもやっぱりしっかり目指すべきじゃないか、こう思っておりまして、その結果、出ていけば、それは出ていったものは消費ということでカウントされますから、大きく
自給率の向上ということにも貢献していく。もう
日本人の胃袋、これはもう限られていまして、もう増えることはない、減ることはあっても増えることはない、少子化等もありまして。そういう中で、その胃袋だけで
自給率を目指すというのはなかなか至難の業である。とするならば、そういった方向も目指しながら
自給率を高めていくということにもつながっていくと。
ただ、おっしゃいましたように、そうなると消費市場において取り合いになってという点もあるかもしれませんが、それはそれで選択ですから、いろんな選択肢が出てくるということで私はプラスの方が大きいんじゃないかと思っております。