○笠井
委員 日本共産党の笠井亮です。
私も午前中の小
委員会に参加をいたしましたので、三点、補足的に
発言をしたいと思います。
まず第一は、やりとりの中で、今回の
手続法案をめぐって
参考人の方々が見えて、そしてそれに
意見を言わなければならない動機ということで、特に
日弁連や
自治労連の
田中参考人から、
共通して、
現実の改憲の動き、とりわけ自民党の新
憲法草案に対して立憲主義、恒久平和主義を覆すものではないかという強い危惧や
反対が表明されたことが印象的でありました。
そういう
日弁連の
参考人の方々からの
発言の中で、先ほど
船田委員から受けとめの御紹介がありましたが、私は逆に、静かなうちに
ルールというのではなく、むしろ
改正のためにつくろうとしていて、一挙に
改正が進むのではないかという
議論があるということで、紹介されたのはむしろ当然の受けとめではないかというふうに感じた次第です。
自治労連の
田中参考人は、現在の法案については、昨年の自民党の新
憲法草案を見て、立憲主義の
原則を踏み越えて改憲を進めるため問題であって
反対だということも明確に言われたというふうに受けとめました。また、
議論の中で、
福井参考人がやはり
国民の中で盛り上がってから改憲をするのが筋だというふうに言われた言葉がすごく頭に残っております。
二つ目に感じたことでありますけれども、前回の
委員会審議の中でも、私は、
憲法制定権を持つのは
国民であって、
憲法問題ではその
国民の
意思が一番
基本で、それが最大限反映されなければならないということを申し上げまして、両案の
提出者もそのとおりだということでおっしゃいました。私、そのときに、ところが
提案されている法案というのはその一番肝心な
国民の
意思を冷静かつ客観的に反映する仕組みにはなっていなくて、率直に言って通しやすい仕組みだ、これははっきりしているということで指摘をしました。きょうのやりとりを通じて、きょうの
テーマは
国民投票運動の
規制、
罰則規定の問題でしたが、
共通して、やはりそういう
規定、あるいはそういう
規制や
罰則については否定的で、やるべきではないということが出されたと思います。
今井参考人から言われた中で、私も非常に印象に残りましたが、
公務員、
教育者の
地位利用というのが実際あったとすれば、それをどうやって制御するかというのは
国民の
良識の力と
日本社会の
民主主義の力をもってやるんだというのは、なるほどそのとおりだというふうに思ったところであります。
また、
日弁連の
参考人の
意見表明の中でも、
憲法改正手続においては
国民の
意見表明の自由が確保されなければならないということで、この問題についてもるる述べられて、そして
憲法改正についての
国民の
意見表明の自由や
国民の間で自由闊達な
議論が交わされることについて
萎縮的効果を生じさせる危険の存する
規定には
反対せざるを得ないと、明確に言われたのが印象に残っております。
福井参考人は、
投票者は特に後戻りできない決定については慎重に
判断する
傾向にあって、特に九条についてはそうだと。自衛権の問題でも、それを広げて海外に派兵ということについては、そういうことがあるのではないかと言われながら、いずれにしても
情報の流通と
議論の拡散を保障する
方向の運動の
あり方が望ましいんだと。硬性
憲法だ、慎重に法の問題、運用の仕方を考えるべきだというふうに言われました。
さらに、
自治労連の
田中参考人からは、
現場の
公務員としての思いということで、特に御
自身が
公務員になったときに宣誓書に署名捺印したと。そこには、「私はここに、
主権が
国民に存することを認める
日本国憲法を尊重し、且つ、擁護することを固く誓います。私は地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的且つ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として、誠実且つ公正に職務を執行することを固く誓います。」というふうに署名捺印して
公務員になったんだ、宣誓書に署名捺印したんだ、これを原点にしてきたということで、言われたことの重みというのを改めて感じました。そして、
憲法を生かした国と自治体づくりに取り組む、そういうつもりで本当に一生懸命努力しているということから見て、特に、こういう服務の宣誓をした
公務員五百万人の自由な活動を制限して、
罰則を設けることは問題だということで
反対の
立場を述べられた。
地位利用でない
国民投票運動までも
規制の
対象にしている
国家公務員法は
適用除外を明記すべきだということで、現在の
憲法を守って生かすべきだ、世界の世論も九条を守った国際貢献を求めているということを強調されたというのが私は大変重要だというように思いました。
三つ目に、具体的に私
自身も質問して、
参考人からも
意見を伺ったことについて紹介したいと思います。
一つは、
日弁連の御
意見の中で、
憲法改正を行うか否かは、国の最高法規たる
憲法に関して
主権者たる
国民の
意思を直接に問うものであって、最も根源的に
国民、市民の自由な活動が保障されなければならないということを言われました。
そして、
国民投票運動なる問題について関連して私は伺ったんですが、今出されている案では百二条でその
概念を定義している、その中で「勧誘する」ということが言われているわけですけれども、これは
運動規制の
規定を置くことを
前提にしていると考えられるけれども、そういう立法思想について
国民主権原理との関係でどう考えるかということを伺いました。それに対して
日弁連の
参考人からは、当選に結びつく
選挙のための運動と
憲法改正にマルをつけるということで問われるわけだけれども、それは
憲法改正ということではマルをつけるかどうかというだけではなくて、
国民の中に
憲法の
あり方でいろいろな
議論、いろいろな
意見表明の自由があるが、それに向かった活動、運動の
概念が違うということはあるのではないか、そういう中で運動という言葉に抵抗があったというふうに受けとめを言われました。そして、運動ということについては
規制を目的としている
意味があるのではないか、勧誘ということは投票
行為に結びつくということで
限定できるのかどうかということについては抵抗があるというお答えがありました。
具体的な問題の二つ目に、これも
日弁連に伺いましたが、
公務員、
教育者の自由な活動、運動を不当に
規制して萎縮させる
現実的危険性を持つものであるという御
意見がありましたので、この
現実的危険性についてはどういうことを想定しているかということを伺いました。これは具体的な事例があったということではないがということで、お答えでは、学校
現場で問われてなかなか微妙なことになる、それが結局、最高裁でいずれ
判断が下るわけだけれども、そういうこと自体が
萎縮効果を生むことになるということを感じていると言われたというのが印象に残っております。
その他ありますが、
田中参考人に伺った中で、
公務員の
現場の思いとして、実際に
地位利用と無縁な勤務時間外で行われた
政治的行為でさえも、最近の事例で見ると警察権力の介入など濫用の事例が起きているということで、そのことも含めて削除すべきであるという御
意見がありましたので、具体的な事例ということで紹介をしてもらいました。日曜日に時間外で職場から遠く離れた地域でビラをまいたということで国公法にかかった堀越事件があったということも含めて、やはりこの問題というのが非常に
萎縮効果を実際に
現場で生んでいるという紹介があったというのが印象的であります。
最後になりますが、こういうやりとりの中で、
提出者は、やはり過半数ということでいうと
投票率を上げる必要があるんだ、そこでは実際には運動を活発にすることと周知
広報を徹底するというふうに言われてきましたが、運動を活発にすると言いながら実際には
規制や
萎縮効果を生むようなことをやる、これで本当に
投票率が上がるのかという問題も出てくると思います。結局は、賛成票はふえるけれども最低限の賛成で改憲が通るということにならざるを得ない、これで本当に
国民主権の具体化ということになっているのかということは、やはり大きな問題があるということを感じました。
以上です。