○
鈴木(馨)
委員 自由民主党の
鈴木馨祐でございます。
本日は、こちらで意見表明の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。また同時に、
イラクで日々命がけの任務についていらっしゃる
空自の皆様には心より敬意を表したいと思っております。
本日、自由民主党を代表いたしまして意見表明をさせていただくところでございますけれども、やはり今この国会の場で
考えなくてはいけないことは、
イラクにいつまで航
空自衛隊の
派遣を継続するべきであるのか、そういった点であるというところは論をまたないところであると思っております。
航
空自衛隊を海外に
派遣する、しかも危険と言われる土地に
派遣するということは、決して通常の
状況であるとは言えません。
我が国国民の、しかも代表である人間が、いつ命を落とすとも知れない、そういった
状況にあるのは事実でございまして、これをよしとするにはよほどの事情がなくてはいけないというのは、また自明の理であるというふうに思っております。
そこで、
日本として
イラクに自衛隊を
派遣しているのはなぜであるのか、そのことにつきまして若干の意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。
これまでの
議論を聞きますと、幾つかある意見のうちの
一つが
イラクのため、そういう
考え方があろうかと思います。また、国際協調のため、そういった意見もあろうかと思います。これは間接的、直接的にもなりますが、やはり一番大きいのは
日本のため、
日本の国益、
安全保障のためである、そういったことになるのかというふうに思っております。
このそれぞれについてやはり
考えていかなくてはいけないのだと思うんですが、まず
イラク自身のためということでございますと、これは、先ほどより話が出ていますISG、
イラク・
スタディーグループの
議論もありますし、国際世論の
状況を
考えましても、航
空自衛隊が絶対にいなくてはいけない、そういう
状況であるかについては、極めて検討を要するような事態であるというふうなことが言えるのかと思います。
また同時に、国際協調のためということであれば、最近の国際的な
議論を
考えれば、またこれも検討を要することであろうと
考えております。
最後の、
日本の国益に関するところでございますけれども、恐らく、この
日本の国益というのは何通りかの
考え方があるんだと思います。
まず最初に、
テロを抑止して
日本の
安全保障に直接寄与するということ。このために一番有効なのは、
テロの真の
理由というのは、
貧困であったり経済的な問題であることもまた事実であるわけでございますから、次の、円借款であるとか、そういったステージへの移行というものが恐らく有効なのであろうということは言えるのではないかと思います。
二点目、
日本はエネルギーが、原油その他、天然資源に非常に乏しい国であります。そういう国において、原油の
確保という観点からも、この地域の安定と同時に、やはり
イラクの
政府に対してしっかりとコミットをする、このことの重要性というのは非常にあるのであると思います。
また、三点目にありますのが、
日本がこれまで、自由であるとか民主主義、そういった価値観の国として歩んできた歩みに基づき、その上で、
国際社会に対してしっかりとしたその
立場でのコミットをすることで
日本のプレゼンスを上げる、そういうことも
考えられるのかと思います。しかしながら、この点につきましては、今
アメリカでの
議論もありますように、
国際社会での
議論もありますように、またこれも慎重に、果たしてそうなのか、その検討が要るのであると思います。
私が、
基本的な
立場といたしまして、
イラクに自衛隊を危険を冒してまで
派遣せざるを得ないと思っている
理由といたしましては、やはり
アメリカとの関係というものが最終的にはあるのではないかと
考えております。
日本の
安全保障状況、地政学的な
状況を
考えれば、この東アジア地域において、中東ではない東アジア地域において
アメリカのコミットメントがなくてはいけない
状況、また、日米同盟に対する
アメリカのコミットメントがなくてはいけない
状況であるということは、そのことについての
認識というのは、恐らくここに御
出席の皆様方、余り意見の相違というのはないと思いますけれども、そういう中で、やはりこれは、
イラクにコミットしているあらゆるほかの国と比べて
日本の
状況というのは極めてこの点について異なっている、そういう
認識を私は持っております。
アメリカという一番大きい、今の世界においては強い国家、しかもそこと価値観を共有している
日本においては、その国の明確なコミットメントがなければ自分の身の安全、
安全保障を維持できない、そういう一番シビアな地域に存立している国で
日本はある、そのことは決して忘れるべきではありません。
これらの
状況を勘案して、
日本にとって、この地域に、この地域というのは中東ですけれども、中東地域に航
空自衛隊を
派遣し続けることが必要なのかどうなのか。その結論というのは、恐らく、今の東アジアの
状況、まさに
北朝鮮問題を抱え、また中国の軍事費等の問題も抱え、そういう
状況にある
日本としては決して譲れない一線なのであろうというふうに思っております。
そういう観点から、これは法律上のことを言えば、来年七月三十一日以降どうするのか、また、
基本計画についてもそれをどうするのかということがありますけれども、その大前提として、
日本の国として、
派遣を来年の七月三十一日以降もする余地を残すのかどうなのか、そして、余地を残した上で実際にするかどうか。そのことの
判断が極めて厳密に求められるのであろうというふうに私は思っております。
そういう観点からいきますと、当面、
日本としての方向としては、
アメリカがいかなる方向に
議論をこれから展開しようとも、そのことが非常に不透明であることはまた事実でありますし、まさに
ブッシュ大統領が、次、
イラクについての情勢
認識をいつ出すのか。クリスマス前という話もありましたが、来年以降に延びるという話もありますし、それをしっかりと見きわめながらも、やはり
日本としては、例えば
アメリカがこのまま継続する、そういう姿勢であったとしても、臨機応変に
対応できるような器づくりだけはしておくべきであろう。
そうした上で、先ほどどなたかの質疑にもありましたように、同盟国として、次善の策、三善の策、ほかのオプションとしてこういうオプションがあるんだ、そういったところを示していくことは同盟国としてしながらも、ただし、やはり我々は、
アメリカの姿勢というものをもちろんただすことは可能な限りするべきではありますけれども、みずからの
安全保障状況も
考えれば、
アメリカを捨てて、
アメリカの意向に反してこの地域から撤退するということが現実的に本当にできるのかどうか。そのことが疑問である以上、やはり検討の方向性としては、当面はこの地域でのコミットメントを続ける、
派遣をやめるというオプションはないのではないか、そのように私は
考えております。
以上をもちまして私の意見表明とさせていただきます。どうもありがとうございました。