○長島(昭)
委員 官邸に帰られたら、今の
防衛庁長官の見解をぜひ伝えていただきたいと思うんです。
というのは、前回、まさにこの
委員会で
防衛庁長官と
質疑をして、
日本海ではなくて西太平洋にイージス艦を展開したら、あるいは九年後、技術革新によって迎撃が可能かもしれないという話は出たんですよ。
ですから、単に集団的自衛権の
法律の解釈とかそういう話ではなくて、日米同盟
関係というものを今後どういう戦略のもとで発展させていって、その中には、
日本が、単に
日本海にイージス艦を浮かべるだけではなくて、西太平洋でも
アメリカ軍と一緒に活動していくような、そういうことも展望に入れた上で
アメリカ向けのミサイルに対する
日本の迎撃体制を整備していく、そのときに集団的自衛権の問題がどうなるか、こういう議論を展開していただかないと、言葉だけが先走って、非常にその形が見えてこない無責任な議論に聞こえるんです。ぜひそこは注意していただきたいというふうに思います。
さて、きょうは
最後の機会なので、本題といいますか、
防衛庁の省昇格の問題に移りたいと思います、もう時間も限られているんですけれども。
私が、前回の
質疑の中で石破元
長官が指摘をされた、石破
委員の言葉をかりると、内幕一体、つまり、内局、背広の人たちと、幕、
制服の
自衛官と一体となって仕事ができるようなそういう環境をつくっていくべきではないか、現在の形がベストではない、これからの課題はそういうところにある、私も全く同感であります。
何回か前の
質疑の中でも少し触れさせていただきましたが、ことしの夏に、
安全保障委員会として、前
委員長の浜田
委員と一緒にドイツに視察に行きました。そこでドイツの国防体制についてブリーフを受ける機会がありました。大変参考になりました。一つは、この内幕一体、そういう意味でも参考になりましたし、もう一つは、私たち民主党が一番気にしている、
軍隊の海外任務について議会がどういうふうにコントロールしていくか、こういう問題でありまして、ここはひとつ紹介というか、私たちが学んできた知見を
委員の皆さんに、せっかくの機会なので披瀝させていただきたいんです。
ドイツ連邦軍というのは、みずから連邦議会のための
軍隊というふうに銘打っているんですね。これは本当に私も、この一言は感動いたしました。冷戦後の海外派遣については、NATO域外への派遣については九四年の憲法裁判所の判決で合憲ということになりました。その後、コソボの爆撃まで
アメリカと一緒にドイツ軍はやったりしてきたんですけれども、そういう実績の積み重ねと同時に、
制度的にもきちんとこれを議会でコントロールしていこうじゃないかということで、
制度を、二〇〇五年、去年の二月に、議会関与法、そういう
法律をつくって、武装した兵力が海外に派遣される場合には連邦議会に事前の承認を求める必要がある、事前の承認が必要になった、こういう法
制度が確立したんですね。
それで、
法律ができて、ああよかったという話ではなくて、しかも、この
法律に基づいてメカニズムができていますね。そういう議会承認、政治の意思決定あるいは軍を動かしていくメカニズムが非常に詳細に決まっていて、例えば一例を申し上げると、ドイツが関与するべき国際紛争が勃発した場合に、まず
安全保障会議が招集されます。これは
日本と同じような閣僚の
安全保障会議。そして、官邸を中心に、
国防省、
外務省など政治レベルの意思決定のメカニズムがそこからスタートするわけですけれども、同時に、連邦軍総監のもとにある統合作戦司令部を中心に、その作戦に係る
予算、人員の確保、派遣の期限、規模、そういうものの作戦計画が同時に練り上げられ始めるわけですね。そして、直ちに連邦議会の国防
委員会及び
外交委員会にこの議案が諮られるんです。そして、少なくとも三回の
委員会審議を行うようになっておりまして、そして、その
委員会の結果、連邦議会が承認をして初めて派遣命令が下される。非常に、意思決定のメカニズム、計画策定のメカニズムが同時に動きながら、
最後に議会の承認という形で結実をする。例えばこの前のレバノンの国際部隊への連邦軍の派遣については、計画策定から議会承認まで四週間かかって、その四週間の中にちゃんと連邦議会での
委員会質疑というのが行われて、
情報公開もきちんとなされている。
これは本当に、これから本来任務化されていく国際平和協力活動ですけれども、こういうメカニズムを行
政府、立法府共同で、与野党なく私たちはこれからつくっていかなきゃいけないという、これが一点です。
それから、もう一つ私がドイツで感動したのは、内幕一体なんです。
このドイツの組織は、皆さんも御存じだと思いますけれども、
日本と同じように、内局と連邦軍の総監部というのがあるんです。連邦軍総監部、ここがいわゆる軍令、内局が軍政、そういう形のすみ分けがなっているわけですけれども、内局には、
人事・厚生・総務局、それから管理・インフラ・環境保護局、法務局、
予算局、装備総局、これが内局なんです。ところが、連邦軍総監部に七つの局があって、第一局が
人事・教育、第二局が軍事
情報、第三局が
防衛政策・軍備管理、第四局が兵たん、第五局が作戦、第六局が計画、第七局が組織・
指揮支援、ここに
制服とシビリアンの背広の人たちがまさにベストミックスで、この連邦総監部の今言ったような実質的な軍令にかかわる分野を共有して一緒に仕事をしているんですね。
日本の場合はそういうふうにはまだなっていない。
こういう
状況をこれからどうやってつくっていくかという意味で、御質問申し上げたいのは、
平成十六年に石破
委員が
防衛庁長官をなさっていたときに、いわゆる石破改革というのをやった。一昨日の石破
委員の質問を聞いていると、なかなかその改革にはまだ納得しておられないようなところがあるので、私もちょっとそこをフォローアップしていきたいと思うんです。
防衛白書を見ると、
防衛庁長官を補佐する機関に内局と統幕、統幕はことしから統合運用が強化されましたので、内局と統幕が車の両輪だというような記述で書かれているんですね。この前の参考人のときの富井参考人の話でも、文官と武官が協同して共存していくためにこういうことが必要なんだ、こういうことなんですけれども、それに加えて、もう一つの補佐機関がありますね。これが
防衛参事官という
制度です。この三つの機関の分掌がちょっとあいまいなんです。
法律を見るとよくわかるんですけれども、設置法の第九条に「
防衛庁に、
防衛参事官を置く。」これは内局の上に置くということですね。内局に超然とする形で
防衛参事官というのを想定していますね。そして、その二条後の十一条の三項に、今度は内局の「官房長及び局長は、
防衛参事官をもつて充てる。」というふうになっているんですね。
この前の
質疑で、たしか
西川官房長が
お答えをいただいたように、
防衛参事官というのは専属的な所掌事務を持たずにフリーに
長官を大所高所から補佐していく、だから必要なんだと。でも、所掌を持っているじゃないですか。官房長及び局長、四局あって四局長でしょう。この論理矛盾は甚だしいと思うんですよね。ここをどういうふうに
説明されるんでしょうか。