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2006-06-15 第164回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月十五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      浜田 昌良君     山口那津男君      小池  晃君     大門実紀史君  三月二十八日     辞任         補欠選任      坂本由紀子君     大仁田 厚君  四月二十一日     辞任         補欠選任      紙  智子君     吉川 春子君  四月二十四日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     紙  智子君  五月十五日     辞任         補欠選任      大門実紀史君     小林美恵子君  五月十六日     辞任         補欠選任      前田 武志君     輿石  東君      小林美恵子君     大門実紀史君  五月十七日     辞任         補欠選任      輿石  東君     前田 武志君  五月二十六日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     大塚 耕平君  五月二十九日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     蓮   舫君  五月三十日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     段本 幸男君  六月二日     辞任         補欠選任      主濱  了君     大塚 耕平君      若林 秀樹君     小川 勝也君  六月五日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     若林 秀樹君      大塚 耕平君     主濱  了君  六月七日     辞任         補欠選任      黒岩 宇洋君     谷  博之君  六月八日     辞任         補欠選任      谷  博之君     黒岩 宇洋君  六月九日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     芝  博一君  六月十二日     辞任         補欠選任      芝  博一君     蓮   舫君  六月十四日     辞任         補欠選任      段本 幸男君     中川 雅治君      若林 秀樹君     池口 修次君      加藤 修一君     木庭健太郎君      山口那津男君     魚住裕一郎君  六月十五日     辞任         補欠選任      池口 修次君     若林 秀樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小野 清子君     理 事                 市川 一朗君                 木村  仁君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                 小林 正夫君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 魚住裕一郎君     委 員                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩井 國臣君                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 関口 昌一君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 常田 享詳君                 中川 雅治君                 南野知惠子君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 池口 修次君                 犬塚 直史君                 小川 敏夫君                 喜納 昌吉君                 黒岩 宇洋君                 櫻井  充君                 下田 敦子君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 前田 武志君                 山根 隆治君                 蓮   舫君                 若林 秀樹君                 木庭健太郎君                 澤  雄二君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        財務大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  馳   浩君        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        財務大臣政務官  野上浩太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        総務省総合通信        基盤局長     須田 和博君        社会保険庁長官  村瀬 清司君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君        日本銀行理事   山口 廣秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (経済及び社会保険庁問題に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 小野清子

    委員長小野清子君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事魚住裕一郎君を指名いたします。     ─────────────
  4. 小野清子

    委員長小野清子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 小野清子

    委員長小野清子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁福井俊彦君及び日本銀行理事山口廣秀君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 小野清子

    委員長小野清子君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、経済及び社会保険庁問題に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は百八十分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党七十分、民主党・新緑風会七十五分、公明党二十分、日本共産党十分、社会民主党護憲連合五分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  9. 小野清子

    委員長小野清子君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、経済及び社会保険庁問題に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。市川一朗君。
  10. 市川一朗

    市川一朗君 自由民主党市川一朗でございます。  今日は、小泉総理、そして閣僚の皆様方参議院予算委員会に御出席いただきました。御苦労さまでございます。会期末ということでございますので十分な時間は取れませんでしたけれども、テーマを絞っての集中審議でございますので、的確な御答弁をお願いしたいと思います。  私は、経済問題に絞りまして御質問したいと思います。  まず、与謝野大臣にお尋ねしたいと思うんですが、ここへ来まして株価が急激に低落しておるわけでございまして、東京市場におきましても日経平均株価が、四月七日には一万七千五百六十三円、それが六月十三日には一万四千二百十八円と、二か月で約三千三百円下落しております。  四月の機械受注を見ますと、前月比一〇・八%増、それから一—三月の実質GDP成長率年率換算で三・一%増と、いわゆる足下の経済指標は悪くないようではありますが、一方で、原油高を始めといたしましてアメリカ金利動向、あるいは世界同時株安傾向など、言わば好材料と悪材料が交錯しているように見えるわけでございます。  政府として、この現状をどういうふうに認識しておられて、そしてそれにどう対応していこうとしておられるのか、政府としての御見解をお伺いしたいと思います。
  11. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 私どもは、景気は回復しているという認識の下で経済運営に携わっております。  先生の御指摘のとおりでございまして、本来、株価というのはその会社の業績、将来性等々で決まってくるものと認識をしておりますけれども、しかしながら、市場というのは生き物でございまして、他の要因株価が決まるということもしばしば起こることでございます。  最近の株価の下落はよく分析をされておりまして、国内要因ということよりは海外要因、今先生が御指摘になられましたような、アメリカ経済先行きの問題、アメリカ金利動向インフレ率失業率等々、世界じゅうの投資家が懸念していることが世界全体の同時株安になっているわけでございます。  しかし、国内経済のあらゆる指標を見ましても、成長率失業率有効求人倍率機械受注等々、あらゆる統計を見ましても、日本国内経済指標はすべていい方向を示していると思っておりまして、私どもとしては、この株安海外要因から起きている一時的な現象だと、落ち着いて物事に対処をしなければならない、そのように思っております。
  12. 市川一朗

    市川一朗君 改めて確認したいと思いますが、小泉総理得意のワンフレーズで言えば、今の大臣の御答弁は、国民皆様、余り御心配なさるなという政府のメッセージと承ってよろしいんでございましょうか。改めてお願いします。
  13. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 英語で、強気の相場のときにブルマーケット、弱気の相場のときベアマーケットという言葉を使います。ベアというのはクマですが、先般私が読みましたある雑誌の論文で、ハイキングの途中にクマに会ったときには大声を出したり騒いだりしてはいけないと、また背中を見せて逃げ出してもいけないと、静かに行動すべきだというエピソードが載っておりましたが、多分、今の株式市場に対する投資家の皆さんもこのハイキングのルールを忘れずにやっていただきたいものと思っております。
  14. 市川一朗

    市川一朗君 与謝野大臣、なかなかいい表現であったと思いますが、それにしても私は、何か本当にこのまま大丈夫なんだろうかということでいろいろ心配要因がございます。  今日は時間ございませんので、ごく一、二点に絞って御質問したいと思いますが、引き続き与謝野大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、現在、政府与党財政経済一体改革に取り組んでおるわけでございまして、国、地方を合わせた合計の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランス、この黒字化を二〇一一年度に達成するために、先般、要対応額というものを政府で計算されて公表されておりますが、その数字の内容を見ますと、私も余り専門家ではありませんので感覚的なとらえ方かもしれませんが、歳出削減そのもの景気に対して中立な扱いになっているように見受けられるんですね。歳出削減デフレ効果により景気が悪化し、その結果、財政再建がまた遠のくというシナリオは杞憂にすぎないのでございましょうか。
  15. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 杞憂ではなく、そこのところを本当に憂慮しなければならないところでございますが、あの十七兆の数字歳出削減による経済落ち込みを一定の成長政策で補っていこうという考え方も入っておりますし、また歳出削減による景気落ち込みも当然盛り込んだ上での数字でございます。
  16. 市川一朗

    市川一朗君 この歳出削減経済成長に与える影響はやはり大きいと思うわけでございまして、財政再建のみに重点を置いた経済財政運営ではあの橋本内閣で不況に陥った失敗を繰り返すおそれがあるのではないかということで皆さん心配しておりまして、私もこの予算委員会で今年も去年もその平成九年の過ちをしっかりと踏まえた上での経済運営というものを小泉総理にも求めてきた経緯があるわけでございますが、改めてお尋ねしたいんですけれども平成九年に橋本内閣で成立いたしました財政構造改革推進に関する特別措置法、いわゆる財政構造改革法は、平成十五年度までの赤字国債発行を毎年度削減するということとしまして、各分野別予算量的縮減目標を定めるという画期的な法律でございました。ところが、これが翌年の平成十年に施行が停止されてしまいました。報道によりますと、与謝野大臣は、あのときは弾力条項を設けなかったのが敗因だと言っておられるという報道がございますけれども、しかしあの法律も、最初は入ってませんでしたが、後で弾力条項は入れたはずでございます。そして、その弾力条項も含めて平成十年、翌年には凍結されたと。  その間にいろんな経済のいろんな動きがあった結果、そういうふうになったわけでございますが、現在、政府与党で取り組んでおります財政経済一体改革とあのときの考え方が、基本的考え方は極めて似ているように私には思われるわけでございまして、そういう、率直に私自身は感じているわけでございますが、あのときのあの教訓はしっかり生かされているのかなと、十分認識した上で政策運営に当たろうとしておられるのかなということについて、もう一度確認しておきたいと思います。
  17. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) あの当時、私は官房長官をしておりまして、財政構造改革会議のお手伝いをしておりました。  その年の前の年は成長率が三・六ということで、すっかり経済のことについては安心をし切っていたわけでございます。そういう意味では、経済のことを考えないで財政再建のことだけを考えていたというのはやっぱり少し思慮が足りなかったなということはその後でいたく反省をいたしました。それと同時に、平成九年の暮れに山一証券、北海道拓殖銀行、三洋証券等が破綻をしまして、これも国民経済に対する非常に萎縮効果と申しますか、国民の心理を冷やしたという面もあります。  したがいまして、今回の財政を再建するときの考え方というのは、やはり財政再建経済成長あるいは経済活性化、これは車の両輪であるという考え方に基づいておりまして、そのときの反省はこれから十分生かさなければならないと私は思っております。
  18. 市川一朗

    市川一朗君 今の御答弁は、独り与謝野大臣だけの問題ではなくて、政府も私ども与党もしっかりわきまえて取り組まなきゃならない問題ではないかなと私は思っているわけでございまして、やはりその辺の政策運営を一つ間違えると大変大きなことになるというのが本当に近い過去にあったわけでございますので、その辺、改めて私も指摘しておきたいと思う次第でございます。  今日は小泉総理に余り私はお尋ねしない方がいいかなと、参議院与党筆頭理事としては今日はゆっくりお聞きしていただいた方がいいかなとは思ったんですが、やはりいろいろ思い出しますと、総理も、平成十三年総理に御就任以来、これで五年の月日が流れたわけでございまして、御自身、さぞかし感慨御無量のものがありと御推察申し上げるわけでございますが、この間、金融不安あるいは景気低迷期を経まして、ようやく景気回復段階に入ってきました。見事な結果だったと私は思います。よくやったなと総理をたたえたいと思う次第でございます。  しかし、総理退陣後のそれからの先が大変心配になってまいりました。今も与謝野大臣といささか議論させていただきましたけれども、私は、国民の多くは小泉内閣の進めてきた構造改革はまだ道半ばであって、構造改革は今後もしっかり進めるべきであると考えていると思いますが、同時に景気先行きについては、地域格差の問題も含めまして大変大きな不安を感じているのも事実であると思います。  そうした中で、総理として立派な業績を残されました小泉総理が、今後の我が国の経済運営はどうあるべきかにつきまして高い立場からの御卓見をお伺いし、そしてこれからの政策運営をしっかりやっていけるようにしたいと思っておりますので、総理の御発言、御答弁をお願いしたいと思います。
  19. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 就任当初は実質経済成長率名目経済成長率マイナスでありましたけれども、ようやくここに来て実質名目ともプラスに転じました。また、失業率も当初は五・五%ぐらいでしたかね、今四・一%に下がってまいりました。様々な経済指標も当初よりは好転してきておりまして、地域の中にはまだばらつきがありますけれども、だんだんこの都市周辺の好業績が各地域にも浸透していくような努力が必要だと思っております。  また、働き方の多様化といいますか、非正規社員正規社員、あるいはフリーターとかニートというそういう言葉が最近はよく見られるように、人々の働き方にもかなり変化が見られております。  また、当初は不景気でしたから、不景気のときに公共事業マイナスにするというのは逆に不景気を加速するんじゃないかと、不良債権処理目標どおりに進めると企業倒産が増えるのではないか、失業者が増えていくのではないかという御批判をいただきましたけれども、結果を見れば、不良債権処理目標は達成したという中にあって、企業倒産件数は減っている、そして失業者も減っているし、なおかつ公共事業を前年度マイナスにしたにもかかわらず景気回復軌道に乗り、なおかつ税収は見積り以上に伸びております。  これからは一般歳出プラスにせよ、増やせという声が与党からも最近強く出ておりますが、全体の財政状況を考えますとそのような安易な状況ではないと。というのは、この際、財政再建も大事だけれども経済全体を見なければいかぬということで、私は当初、五十兆円の税収があれば新規国債発行は三十兆円以下に収めるべきだと申し上げておりました。  しかし、経済生き物だから、民主党内からはこれを法律で縛れという話が出てきたときに、私は拒否しました。なぜなら、税収が五十兆円いかなかった場合、国債発行を三十兆円以内に抑えるとしたならば、これは増税を考えなきゃいけない、歳出削減を更に切り込まなきゃならない。実体経済を見るとそういうことは可能かと思ったからこそ、私は、経済生き物だからこれは法律で縛る必要はないと。現実に五十兆円なかったんです。だから、やむを得ず新規国債発行を三十兆円以上増やした年度もあります。しかし、最近ようやく、五十兆円の税収がなくても十八年度予算新規国債発行を三十兆円以内に抑えることができた。これは、民主党が二年後に三十兆円以下に抑えろという目標を前倒しで実行できたということであります。それだけ、歳出削減景気もかなり着実な足取りを示していると。  経済生き物であると、その時を見て、財政再建を急いで経済全体をおろそかにしてはいけないと。財政再建も大事だけれども経済全体をよく見ながら時々の財政運営経済運営をしていかなきゃならないということを踏まえての対応であります。今後、税収が増えたから更にその分を歳出の拡大に持っていけという声がありますが、これをまともに受けますと、そうすると後の財政状況はどうなるかと。  これからはできるだけ新規国債発行も減らしていく方向に進まなきゃならない。かといって、すぐ増税するとこれまた景気マイナスになると。歳出削減努力というのは今後も続けていかなきゃならない。一般歳出を前年度以下に切り詰めていく、なおかつ、一律削減ではないと。増やすべき予算は増やすということになりますと、省によっては一律以上に歳出削減しなきゃならないと。そうすることによって新規国債発行額も三十兆円以内に収めることもできるし、なおかつ、今後当分ある程度新規国債発行はせざるを得ません。急に増税しますとこれまた景気に悪影響を与えますということになりますと、国債残高は増えていきます。となりますと、金利利払い費が増えてまいります。そういうことも考えながら、国債残高は増えるんですけれども、この増え方はできるだけ抑制していかなきゃならない。  そうすることによって、国民に、必要な予算は確保するけれども財政再建重要性と、そして、増税ができないから国債発行をもっとするということになりますと、将来世代に過重な負担を残すということもありますし、国債発行を増やすといいことばかりじゃありません。必要な予算は確保することができるかもしれませんけれども借金のためにまた借金をしなきゃならない悪循環に陥る。  そういう点を踏まえながら、やはり今のできるだけ歳出削減する努力というのは今後続けていって、そして見積りよりも多い税収が確保された場合には国債残高を減らすとか、その方に持っていくような努力が更に必要だと思っております。
  20. 市川一朗

    市川一朗君 ありがとうございました。郵政特別委員会でも総理とは何回も御質疑させていただきました。感慨無量で私もお聞きした次第でございます。  時間が参りましたので失礼いたします。ありがとうございました。
  21. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で市川一朗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  22. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、中川雅治君の質疑を行います。中川雅治君。
  23. 中川雅治

    中川雅治君 自由民主党中川雅治でございます。小泉総理の最後の国会答弁の日にこうして質問に立たせていただくことができまして、感謝いたしております。  小泉総理が常日ごろからおっしゃっているように、改革なくして成長なし、正に改革の成果が今日の景気回復につながってきたわけであります。今後の課題は、この景気回復が更に力強いものとなり、またすそ野の広いものとなっていくことでありまして、そのためには、私は今後も低金利が安定的に維持されていくことが必要だと思っております。  これまで長期金利が低位安定してきた背景には、デフレ経済の進行や、それへの対処としての日銀の量的緩和政策に加えて、小泉構造改革の一環として強力に推進してきた財政構造改革が言わばアンカー、いかりといいますか、おもりの役割を果たして、この長期金利が非常に低位に安定的に推移してきた、そういうふうに私は考えているわけであります。このような見方は、内外を問わず市場関係者やエコノミストにも共通しています。つまり、マーケットは小泉内閣構造改革に取り組む姿勢、実績、財政規律回復へのスタンスに信頼を置いて、我が国の国債を安心して購入してきたわけであります。  しかしながら、本年三月以降の長期金利の推移を見ますと、市場は時折不安定な動きを見せつつ、相対的に見れば以前に比べて水準が高まっています。この背景としては、依然デフレ経済から脱却したとは言えないものの、経済に明るい兆しが見えてきたことや、三月に日銀が量的緩和政策を解除したことがあると思います。  しかし、金利、特に長期金利実体経済と離れて不用意に上昇していくことは避けなければなりません。そのためには、私は、まず、小泉政権の後も財政構造改革を推し進めていくという姿勢を明確にし、そうしたしっかりとしたメッセージを市場に与えることが必要であると思っております。それが、日本経済のすそ野の広い、息の長い成長を促すことになるものと思います。  先般、日本国債に対するスタンダード・アンド・プアーズ社とムーディーズ社の格付において、格付は据え置くものの、アウトルック、つまり見通しについてステーブル、安定的からポジティブに見直す旨の発表がありましたが、その発表文において、現在の改革路線が後退したり改革が骨抜きになった場合には格上げの可能性はなくなる旨の記述があります。このように、内外を問わず市場からも今後の財政構造改革の行く末には注目が集まっているのであります。  私といたしましては、単に財政に対する影響のみならず、金融市場、そして経済全体の発展を考えましても、財政構造改革への取組を緩めるべきではないし、継続し続ける姿勢を取っていくべきであると考えます。  今、市川一朗議員の質問に対しまして総理から御答弁がございましたが、今のこうした財政構造改革への取組姿勢についての総理の御所見、そして次期政権への注文をお聞かせいただければと存じます。
  24. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、辞めるときに次期政権に注文を付けるというようなことはしたくないんです。  これまで日本財政というのは、各国に比べまして、国債発行残高も大きい、また一般会計に対する国債発行の依存率も高い。そういうことから、財政不安から長期金利を始め国債金利も上昇していきますと、国債を発行しても景気対策にならないと、かえって財政政策の手足を縛って、税金の多くの部分を今までの借金の利払いに回さなきゃならないという悪循環に陥ると。それを厳に慎まなければならないということで、できるだけ増税は避ける、国債発行の増えることに任せていてはならないからできるだけ抑制すると。となりますと、歳出削減にできるだけ努めなきゃならないと。  財政再建論者からいえば早く増税せよということになるんですけれども増税というのは景気の足を引っ張ることにつながります。その辺は、今後どなたが総理になられようとも、歳出削減努力を怠れば、必ず国債の増発か増税路線に歩むわけであります。  ですから私は、私の在任中は消費税を上げないということは、消費税を上げて財源確保すれば歳出削減の手が緩むから、歯を食いしばってでも歳出削減努力しなければいけない。そうなれば、将来仮に消費税を上げなきゃならないという段階に来ても、その率、幅は少なくて済むだろうということから、できるだけ歳出を抑制していこうと、切り詰めていこうということであります。  これからも、私は、この方針はだれが総理になられようとも進めざるを得ない。歳出削減をすることについても抵抗があります。総論は賛成です。しかし、自分に関係する予算は絶対切っちゃいけないというのが世の中の常でありますから、政党においても政治家においても一般国民においても、各政党の支持団体にもそうです。自分以外のところを切れということに賛成でありますけれども、自分のところは切るなと。増税もそうです。じゃ、切らない、増税せよと、これまた増税に賛成する人はほとんどいないでしょう。だから、両方考えてやっていかなきゃならない。  いずれにしても、これから当分、不必要な部分はどこか、歳出削減の余地はどこかということを徹底的に探りながらこの努力をして、将来の税負担をいかに軽減するかという道を探っていくべきだと思っております。
  25. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  それでは、日銀総裁がお見えでございますので、日銀総裁にお伺いをしたいと思います。  一昨日の参議院財政金融委員会で日銀総裁は、村上ファンドに一千万円拠出していたことを明らかにされまして、その後も解約せずに拠出を継続してきたことに道義的責任を問う声が出ております。  私は、大蔵省に勤務しておりましたときから、福井総裁のお人柄、人間性についてはよく承知しております。福井総裁が村上ファンドに一千万円拠出した一九九九年は、村上氏が通産省を退官して村上ファンドを設立した当初でありまして、まだ村上ファンドといっても海のものとも山のものとも付かないときであり、拠出する一千万円はどうなってしまうのか全く分からない状況だったと思います。福井総裁は、新しいチャレンジを応援してやろう、激励してあげようということで一千万円拠出されたのだろうと、私もそう思います。  そして、総裁に就任されたときにも、福井総裁は、当然この一千万円の拠出をどうすべきか考えられたと思います。村上ファンドへの拠出は一任勘定であり、総裁が運用を指示したりアドバイスしたりすることのできないものでありますから、そのときの判断としては、あえて解約する必要はないと考えられたのではないかと推察いたしますが、現時点で振り返って、当時の判断に甘さがあったのではないかという批判が出ていることも確かであります。  福井総裁にお伺いいたします。  村上ファンドへの拠出時の経緯、そしてそのときのお気持ち、また、総裁就任時に継続の判断を下されたよりどころ、そのときのお気持ちを率直に語っていただきたいと思います。  また、本年二月に村上ファンドに解約を申し入れたと聞いておりますが、なぜ解約を申し入れたのか、そのときのお考え、お気持ちを率直にお話しください。  さらに、まだ解約は実現していないと聞いておりますので利益となる金額は確定していないのでしょうけれども、当然利益が出るものと思われます。この利益についてはどのようにされるのか、総裁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  以上四点について質問いたします。
  26. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  まず最初に、今回、このように大変世間をお騒がせいたしまして大変申し訳なく思っております。心からおわびを申し上げます。  お尋ねの件につきまして、順次、なるべく簡潔にお答え申し上げたいと思います。  まず、村上氏との関係でございますけれども、村上氏とは、九八年、私が民間で仕事をしておりましたとき、具体的には富士通総研というシンクタンクで仕事をしておりますときに、富士通総研が主催する様々な研究会のメンバーで村上氏があったというふうなこともありまして、知り合ったわけでございます。当時、村上氏は、通産省の官僚といいますか役人でいらっしゃいました。日本のコーポレートガバナンスの改革、変革の必要性について大変力説しておられました。  九〇年代の終わりというのは、日本全体が大変な閉塞感の中にあって、だれしも新しいことに積極的には取り組む勇気が出ない、むしろしり込みすると、そういう雰囲気の中で、官庁にお勤めの方がそんなに勇気を持って前向きの説を唱えられると、そのことだけでも大変私どもは共感を覚えた、富士通総研の多くのメンバー、私も含め共感を覚えていたわけであります。  一年ほどたちまして、委員指摘のとおり、九九年の夏に突然村上氏が、通産省を退任してでも、つまり独立して今後は日本のコーポレートガバナンスの改革に向けて頑張りたいと、こういうことを突然おっしゃいました。通産省の役人を辞めてでも一人でそれを頑張ると、ますます富士通総研のメンバー、私はその意気込みというものを評価すべきではないかというふうに思いまして、有志数人とともに拠出をした。私は一千万円と、サラリーマンとしての私には大変負担の重い額でございましたけれども、拠出をさせていただきました。  その後、二〇〇三年三月に日銀総裁を拝命いたしました際に、民間でおりましたときに様々な民間会社と社外取締役その他コミットメントをしておりました。これは全部整理をしたつもりでございます。それから、村上氏との関係でも、アドバイスをすると、こういうことも今後はできないということで、これも断ち切ることにいたしました。すべて断ち切ったということでありますけれども、村上氏に対する一千万円の拠出についてそのときに考えました。富士通総研の有志とともに、当時の村上氏の志を激励するという趣旨で出したものでありますし、ファンドの性格と申しますか、拠出金の性格は、投資家、私が自らその具体的な運用を指示することができる性格のものではないと、一任勘定、投資信託とそういう点では同じものであるということを踏まえ、解約する必要はないと判断したわけでございます。  その後、ファンドを保有し続けたわけでありますけれども、最近に至れば至るほど、私は日本銀行総裁の立場としては、村上氏その他個々の投資家の具体的な投資行動について、そこに立ち入って調べたり判断したりコメントをしたりする、そういうことはもうできなくなった立場で、ずっと報道等を頼りに彼の動きは見てまいりましたけれども、最近に至れば至るほど、村上氏の当初の志に本当に沿った行動を取っているかどうかということについて必ずしも確信を持てないという気持ちが次第に募ってきていたということでございます。そして、今年の二月になりまして、もう私は村上氏に対しての激励というのは十分尽くしたというふうに判断するに至り、解約を申し入れた次第でございます。何か具体的な契機があって二月に申し入れたということではなくて、最近に至る村上氏の行動が当初の志、本当に沿っているかどうかということについて確信がだんだん持てなくなったと、そういう気持ちの累積の結果ということでございます。  解約の手続は、このファンドというのは、解約すればすぐ清算されてお金が戻るということではありませんで、解約そのものも決算期よりも大分前のものについて次の決算期に解約の手続が行われるということでございます。私は二月に解約しましたので、次の決算期というのは六月末、つまり、今六月でございますが、今月末になって正式の解約行為が行われる、つまり清算が行われると、こういうことでございます。したがいまして、ファンドそのものは継続運用と申しますか累積運用が行われておりますので、六月末の時点で正式に決算が行われませんと、私自身の最終的な損得勘定、これは全く分からないという状況でございます。  仮に六月に清算が行われ、最終的なリターンと申しますか利益が残るということであれば、当初より私は利殖を目的にしてやったわけではないと、つまり、九九年、これは私どもとしては大変負担の重い額ですけれども、村上さんがまさかそんなにお金をもうけるということは夢にも想像しておりませんで、失敗すれば全部なくなると、でも頑張る男に対する支援ということでやったものですので、利殖目当てということでは全くありません。  したがいまして、もし六月末に清算を受けて利益が残るようであれば、私自身の利益のためにこれを使うつもりは全くありません。初めからその意図はありません。もし結果的にプラスが残れば、国民皆様がどのような角度からごらんになられても納得いただけるような使い道にこれは振り向けたいと、こういうふうに思っております。お金を出しました当初からのこれは一貫した物の考え方でございます。  大要、以上でございます。
  27. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  ところで、この村上問題についての総理の御認識をお伺いしたいと思います。  村上氏の言動には、我が国における物言う株主の先駆けとして、我が国企業の資本政策や企業統治の在り方に関する議論を呼び起こすことになったという面があることは確かだと思います。しかし、今回の逮捕された容疑事実を見れば、これは正に典型的な証券取引法の違反行為、インサイダー取引にすぎません。いかに立派なことを言ってきたとしても、このようなルール違反を行ってしまえばそれまでの言動は一体何だったのかと思わざるを得ず、このような結末に至ったことは残念に思います。  さて、今回の村上ファンドやさきのライブドア事件に関しては、金融分野における規制緩和が原因になっているという議論があるようであります。あるいは改革の影の部分であるとの指摘もあります。私は、この点については違う考え方に立っております。すなわち、村上ファンドやライブドアの事件はあくまでも個別の企業や人物による証券取引法違反という違法行為であって、正にルールに則して厳正に対処されるべきものであるということであります。  規制緩和は、民にゆだねるべきことは民にゆだね、国民が持っている潜在能力を自由に発揮できるようにしていこう、そして自由な競争によって幅広い選択と活力をもたらそうというものであり、金融の分野においても、こうした観点から連年にわたり改革が行われ、成果を上げてこられたと思います。もちろん規制緩和は、単に何もかも自由にするというものではありません。公正で透明なルールに基づく自由な行動を極力確保していく、それと同時に、利用者保護や市場の公正性確保のために必要なルールを明確化し、ルール違反に対しては厳正に対処していくというバランスが重要になります。  総理は、今回の村上容疑者のインサイダー取引事件をどのように認識されておられるのか、お伺いしたいと思います。また、今回の事件を踏まえ、市場に対する信頼性を向上させるためにどう取り組んでいかれるお考えなのか、御見解をお伺いいたします。
  28. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、貯蓄から投資へという考え方が大事だという点については、私が就任前も現在も、大方の皆さんは賛成してくれていると思っております。  日本はどうも貯蓄性向が高いと。これから、成長分野に、意欲のある人に頑張ってもらうためには、国民も投資をしてもらおうと、そしてその投資を企業家に有効に使ってもらおうと。確かに、貯蓄はそれほど利益を上げない代わりに損をすることもないと。しかし、投資は高い利益を得る可能性もあるけれども、損失する可能性もある。そこの辺を一般の国民も、貯蓄もいいけれども、余りにも日本は外国に比べて投資する人が少ないから、投資を奨励して成長分野にその資金が回っていくような環境をつくって、それがひいては日本経済活性化につながるという観点から、貯蓄から投資へという動きが出てきたわけでありまして、今こういう事件が起こったからこの貯蓄から投資への動きを変えようという方は、それほど多くないんじゃないかと思っております。  そういう中で今回の問題が起きて、まあ最近は国会におきましても、マスコミ界においても大きな問題になっておりますが、私は、投資家保護については十分対応はしていくべきだと。さらに、これからも証券市場等におきましては、いかに公正さを確保する対応なり人員の整備とか監視体制、これも必要であろうと。こういう点に十分配慮しながら、今回、証取法の改正もなされたんだと思います。  いずれにしても、どのような法改正をしても、それを運用するのは人ですから、法の趣旨を十分理解して、国民から信頼を得るような投資活動をしていただきたい。法令は遵守していただきたい。これからも、今回の事件を踏まえて、投資ファンドを運用する方も投資に手を差し伸べる方も、その点を踏まえて健全な証券市場の育成を図っていかなきゃならないと思っております。
  29. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  一口にファンドというふうに言いましても、我が国経済の未来を担うベンチャー企業の育成を目的とするものや地域経済に貢献する中小企業の再生を目的とするものもあるわけでありまして、ファンドというものを一つ取りましても、排除されるべきものは不公正取引であって、ファンド自体が排除されるべきではないわけであります。  政府としても、ファンドの活動の公正性、透明性を確保するために必要な規制を整備することは当然求められるわけでありますけれども、一方で健全なファンドを育成していくという観点も必要だと思います。すべてこういった金融取引につきましてはきちんとその必要な規制を適切に整備する、同時に健全な取引については育成をしていくという両面で、これから更にこうした問題を一つ一つ取り上げて、取り組んでいかなければならないというふうに思っているところであります。  時間が参りましたので、以上で私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
  30. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で中川雅治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  31. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、藤井基之君の質疑を行います。藤井基之君。
  32. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。  今、同僚議員お二人から本日のテーマであります経済問題につきまして御質疑をいただいたわけでございますが、私は、もう一つのテーマであります社会保険庁の問題に絞りまして質問をさせていただきたいと存じます。  今回の国民年金保険料の不正免除問題というんでしょうか、また年金問題に対して国民の信頼を揺るがすようなことを起こしてしまったというか起きてしまったというんですか、それが日の当たるところに出てしまったというんでしょうか、五月二十九日に社会保険庁による第一次調査報告が発表されました。そして一昨日、第二次調査報告が明らかにされたところでございます。  第二次調査によりましたら、全国三百十二事務所のうち、その約三分の一に及ぶ百十の事務所で不適正な処理が行われていたということでございます。不適正な処理件数は二十万件に近い数字であったということでございます。  引き続き詳細調査を行われるということでございますが、この問題については是非徹底的な調査を行っていただいて、全貌を早急に国民の方々の前に示すべきであろうと存じますが、厚生労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  33. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 国民年金の不正免除問題で、国民の皆さん方からの国民年金に対する信頼を損なう事態を生じてしまいました。心からおわびを申し上げたいと思います。  この事件、二つの要素が私はあると思っております。一つは、国民年金の不正免除がなされた、どのような理由でなされた、これをしっかり解明して国民に明らかにしなければならない。  もう一つは、事件が起きたのが二月からでございます。二月に京都におきましてこの問題が発覚いたしましたのは、本庁のコンピューターに異常な数字が出た、それから各所の調査に入ったわけでありますけれども、現実に大阪が五月、申請するまで、一部の事務所はそうしたことを自分たちがやってきたという報告がございましたけれども、多くの事務所が黙ったまま。大阪の事務所の問題が出ましたのも黙ったまま。そして、四十七都道府県の局長を集めまして、全体を掌握して報告するように、その前の日に各県で全所長集めて、判こまでついて、そしてしっかり調べましたという報告を出さしたわけでありますけれども、今委員から御指摘いただきましたように、その上に一昨日の、先週発表しましたように、また新たな問題が出てきたというのが今日の課題でございます。  そういった意味では、度重なる本庁からの指示に対して事実を伏していた、隠していた、隠ぺいしていたと、こういうことがやはり問われるんであろうと思います。  したがいまして、私どもやはり事実をしっかり明らかにしなきゃならないということから、六月の八日までに自主申告をさせましたけれども、九日から本庁によりまして二百七十万人の申請書一件一件を実は検査に入らしていただいているところでございます。判こまで代わって押したものもあり、また署名もしたものもございます。  そして一方で、社会保険庁全体に対して国民の疑惑が向けられている中でありますから、やはり社会保険庁を離れた立場の中から解明をしなきゃならぬということで、両政務次官を筆頭にいたしまして民間の皆さん方に入っていただいて検証の委員会をつくらしていただいた。これは、正直に申し上げて、場合によっては抜き打ち検査をさせていただこうと思っております。  いずれにせよ、自分たちの申告、そして本庁からの調査、それから第三者による調査、こういうものを徹底的にやりまして、事実をまず解明をしながらその後の方策を自分たちで考えていくということが一番大事だろうと。当然、厳正な処分も含めてしっかりとした対応をしなければならないと考えております。
  34. 藤井基之

    ○藤井基之君 この社会保険庁は過去からいろいろな問題ございまして、一度ならずもいわゆる組織の解体的な出直しをお約束して仕事をなさっているというふうに理解をしております。是非、大臣を筆頭に徹底的な原因究明等お願いしたいところです。  ところで、社会保険庁の業務の報告というものが出版物あるいはホームページ等に出ておるわけでございますが、その年度の納付率という数字があります。平成十六年度、その数字は六三・六%だそうでございました。一年前の十五年度は六三・四%だと。これで〇・二%上昇したと社会保険庁ホームページは言っております。そして、この社会保険庁の分析では、この平成十六年度の納付率が〇・二%改善された要因について触れておりまして、それを見ますと、平成十五年度の納付対象者のうち、免除等の理由により十六年度は納付対象者でなくなった者による影響が一・二ポイント、一・二%である、これが納付率改善の最大の要因になっていると、このように報告されております。  私は、社会保険庁がこういった数字の内容について解析をなさること自体、それを不適切とは絶対に申し上げません。ただし、この報告だけ読みますと、ある意味でいささか舌足らずな報告になっているんではないでしょうか。このような報告をするから、例えば地方におきまして今回問題になった分母対策というようなものを誘引してしまったのではないでしょうか。  年金財政を安定させるためには、もう言うまでもないことでございます、分母対策ではありません。まず第一に、納付義務がある国民に適正にその義務を果たしていただくことがまず最初でありまして、その上で納付免除制度がある、このことについては論をまちません。納付率の改善、ある意味では〇・二%上昇したと言われていますが、実態は必ずしも長官がお約束したような数字になっていないのが事実だろうと思っております。  一つ理由をお尋ねしたいと思っておりますが、例えば十六年度の現年度分の保険料の納付状況を都道府県別に見ます。島根県七六・六%、新潟県七五・五%、これは高い方の二つでございますが、一方、沖縄は四五・一%、東京、大阪という大都市におきまして、この都市部は五〇%台なんですね。その差は実に、沖縄と島根、新潟では三〇%、東京、大阪と比較しても二〇%にも開いているわけです。  このような納付率の地域間格差が生じている原因は何なのか、どのように分析されているんでしょうか。また、その分析を踏まえてどのような対策を講じているんでしょうか、社会保険庁長官にお尋ねいたします。
  35. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 委員指摘の件につきまして御報告を申し上げたいと思います。  まず、十六年度の納付率という観点でございますけれども、そもそも納付率は過去の積算数字から出てきております。したがいまして、平成十三年度まで市町村におきまして納付をしていただいておりました。そのときに高い低いが、現在まで経緯を引きずっているというのが一点。それから、平成十四年度から、地方から国に収納が変わりました。その収納が変わる中で、うまく平行移動したところと、残念ながらうまく平行移動できなかったところ、これによって大きな差も出てまいっております。  しかしながら、一番大きな差は何かということからお話し申し上げますと、実は年齢別の収納率でございまして、二十歳未満の方々の収納率、これが全体から見まして五割を切っております。一方、五十代になりますと七〇%後半の収納率ということで、年齢格差による収納率格差というのは多うございます。  したがいまして、先ほどお話がありました大都市圏がおおむね収納率が低いというのは、若い人たちが非常に多いということが一つの理由だろうというふうに思っております。一方、収納率が高い地域につきましては、口座振替ということで定期的に収納していただいている数が非常に多うございます。それと同時に、先ほど委員からもありましたように、収納率が高い地域というのは免除、学生納付特例の数も実は具体的に多い地域だと、こういう形になってございます。  したがいまして、大都市圏からいかにこれから収納率を上げていくかというのが社会保険庁にとりまして大きな課題だろうというふうに考えております。
  36. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  今の若年者の納付の問題についてはもう一度御質問をさせていただきたいと存じますが、次に移ります。  報道によりますと、長官が現場に課したノルマとでもいうんでしょうか、その数値目標等々、これが今回の事案発生の背景にあるんじゃないかと、そういった報道も接することがございます。  ただ、これまでの社会保険庁について申し上げますと、サービスの質でありますとか効率性など、ある意味ではあらゆる面で国民が求める水準を満たすことが十分できなかった。そういった反省に立って、その改善を図ろうと、そういうことで長官がある意味でノルマを課したんじゃないかと思っております。  今回の問題によりまして、これまで長官が大変な努力をされて進めてこられた社会保険庁の業務の改善であるとか職員の意識改革の流れ、これが止まるようなことがあっては断じてならない、私はそのように考えております。  引き続いて国民の視点に立った改革推進していただきたいと考えておりますが、厚生労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  37. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 二年前の年金改革議論の中で、年金保険料の無駄遣い、目的外閲覧など様々な不祥事が出てまいりまして、国民の皆さん方から厳しい御批判、与野党を問わず厳しい御批判をいただいたところでございます。  国民年金を国民の皆さん方からお預かりし、そして四十年後に給付を行う、こうした仕事をする役所、これを、手直しをしてやっていくのでは駄目だ、解体的な出直しをしなさいという中で様々な議論をいただき、今回法案を提出させていただきました。  再来年から新しいスタート、解体的な出直しということで御提案をさせていただいておりますけど、一方で、今申し上げた徴収をし給付を行う、国民の年金に対する疑問に対してサービスを行う、こうしたことは日々の仕事でございますから、この社会保険庁、少しでも国民のサービスが向上できるように努めなきゃならぬ。そういった意味では、組織全体を変える前にやらなければならない仕事という意味で、国民的な視点、民間的な視点でこの社会保険庁をもう一度引っ張り上げるという仕事を村瀬長官に担っていただいたところでございます。  国会でもいろいろ、私どもの問題でいろいろ議論されましたように、プラン・ドゥー・チェック・アクション、やはり目標管理というものを公務員の社会にもしっかり導入してやっていきなさいと、こういう中で村瀬長官が民間からの目標管理というものをしっかり掲げながらやってきたと。その方向付けについては私は間違いはないだろうと思っております。しかしながら、いずれにいたしましても、様々な調査をした上で最終結論を出したいと思っておりますけど、今先頭に立って原因解明に努力をしてもらっているところでございます。
  38. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  今回の問題について申し上げますと、一方的に本当にむちゃくちゃなことをやったのかどうかといったら、何か細かいケースを聞くといろいろな事情があったということも確かなようなんですね。ですから、その辺についてはやはりもう少し実態というのを調べなければならないと思っておりますが、いわゆるその社会保険事務所が保険料の免除勧告を一生懸命やったんだけど、実は答えが来なかったんだというようなことで、もう見切り発車しちゃったのもあったというようなこともございました。  この保険料の免除というものにつきましては、これ国民年金制度でございますので非常に対象が幅広くなっておりまして、これの中で、当然のことながら無職の方もいらっしゃれば所得の非常に少ない方も含まれているわけでございます。ですから、こういった対象に対しまして社会保険事務所が、できるだけ多くの方に納付していただけるように納付の督促を行う一方で、免除の対象になる方々に対しては免除の勧奨を行う、これ自体はそれを否定されるものでは絶対にないと思っております。  ただし、今回のもう問題をいろいろ調べてみましたり、あるいはお話を伺っていますと、この根底というのは、実はこの社会保険庁だけの問題じゃないんじゃないかと思えるんですね。  例えばそれは何かといいますと、これ、今までも議論をさせてもらったんですけど、その制度に対します国民の理解というものが、実は我々、あるいは社会保険庁、厚生労働省が思うように進んでいない。つまり、この問題を言って何も不適正な事務処理を行った職員をかばうつもりは毛頭ありませんけれども、制度そのものが理解がなかなか進んでいないと。そういう実態の中で被保険者の一人一人と向かわなきゃいけない、保険料の納付とかあるいは保険料の免除手続をお願いしなければならない現場、これは現場としてもやはりそれは苦労もあろうと思うんですよ。効率的な事務処理を期待しても、保険者の方が、あるいは国民がこの制度を理解していなければ、それはなかなか進みませんよ。  私は、やはり制度の、今までもやられていたと思いますけれども国民へのPRをもっと徹底しなければいけないんじゃないかと思います。社会保険庁長官、どうお考えでしょうか。
  39. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 委員おっしゃるように、広報活動というのは極めて大事だと思っております。  いま一度、国民年金に対する業務というのを整理させていただきますと、社会保険庁の役割は、一つは年金制度そのものをしっかり周知徹底することが第一番だろうと思います。そして保険料をしっかりお納めいただく、そしてそのお納めいただいた記録をしっかり管理させていただいて年金相談に適宜応じ、最後は給付に結び付けていただくと、これが本来の仕事だろうというふうに思っております。  その中で、制度の周知徹底ということで、マスメディアを使った広報につきましては、十一月と二月、新聞を中心に広報をさせていただいております。一方、個々には、市町村の協力をいただきまして市町村広報誌で広報もさせていただいております。  ただ、その中でやはり一番効果的なのは何かといいますと、フェイス・ツー・フェイスなり個々人に書類をしっかりお送りする、そして必要なときにはしっかり御説明申し上げる、これがやっぱり一番大切な仕事になるんじゃなかろうかと、このように考えております。その中で、実は全国の国民年金の被保険者の方々には毎年納付書を発送しておりまして、その納付書の中には、年金制度そのもの、それから免除制度も含めて制度の周知を徹底させていただく書類をお送りさせていただいております。また、平成十七年度から総合パンフレットという形でパンフレットを作らさせていただきまして、これも的確に制度が分かるような仕組みをやらせていただいているのが現状でございます。  その中で、やはり若い人たちに年金制度をいかに分かっていただくか、そのためには戸別訪問をする、しかり、それから学生であれば学生時代に大学で年金の説明をさせていただくなり、こういう様々なやはり努力をしていく必要があるんだろうというふうに考えております。
  40. 藤井基之

    ○藤井基之君 長官おっしゃるとおりだと私も思います。PRを一生懸命やってもらっているんですけど、だけど、まだ残念ながら国民の意識というのは我々の期待するところに届いていないんだろうと思います。一層の努力が要ると思います。  今長官も触れられましたけれど、やはり私も、この納付の問題を見ますと、若年層の納付の低さというのが非常に将来に向かって気になります。そして、この数字を見ますと、これも厚生労働省の社会保険庁数字なんですが、先ほど長官触れられましたように、納付率を見ますと、もう年齢段階に従って非常に大きな差があるわけです。二十から二十四歳までの納付率というのは五〇%を切っている、四九・六%、二十五から二十九歳は五〇・二%、三十から三十四歳、五五・二%、三十五歳から三十九歳は五七・五%、これ全部六割を切っているわけです。  やはり、この公的年金制度というのは、繰り返し庁が説明されているように、ある意味で世代間の扶養の形で社会を支えていく仕組みなわけですね。やはり、これについては、やはり若い世代に理解してもらわなければこの制度というのは崩壊してしまうものだと私も思っております。  二年前ですが、平成十六年度、国会が開催されまして、その国会はある意味での年金国会とでも言われまして、多くの議論が年金制度について費やされました。その年の三月の八日の、これ、決算委員会、参議院の決算委員会で私も質問させていただきました。  趣旨は、若い人たちに年金制度を理解していただくためには、学校教育の中で年金制度に関する教育を充実したらどうかと、こういう趣旨の質問をさせていただきました。これに対しまして、当時の厚生労働大臣、坂口大臣でございますが、ポイントだけ申し上げますと、文部科学省にもお願いして努力していきたいという趣旨の前向き答弁をいただきました。また、当時の文部科学大臣、河村大臣からは、まだ数が少ないということだから、これを進めるようもっときちっとしたものにまとめていきたいと、そういう前向きな答弁をいただきました。  そのとき、私が質問のときに使った直近の資料は、平成十四年度の中学、高校で約二千校、全体の一八%程度で年金教育が実施されるにすぎないという、そういった数字でございました。その後、両省庁は前向きの努力をいただいたと思っておりますが、どのような改善が図られたのでしょうか、副大臣、お願いいたしたいと思います。
  41. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 二年前に藤井委員が御指摘いただいたときに、確かに生徒を対象とした、学校を対象とした年金教育、これ、社会保険庁の方で作っていただいている教師向けの指導資料、それから中学生、高校生向けの指導、副教材として作っていて、こういうものを活用して、年金セミナーや教師への指導ということをしていただいておりましたが、平成十四年度で教員対象で三五・七%、生徒対象で一八・一%、これ低いのではないかと。  確かに低いという答弁をさせていただいておりますが、その後、厚生労働省とまた社会保険庁と連携を取りまして、平成十七年度の実績としては、教員を対象として七三・五%、また生徒を対象としては二八・七%、いわゆる三人に一人はというふうなところまで今持ってきておるところでありまして、これはやはり教員に対しても、また生徒に対しても一〇〇%になるように目指して、社会保険庁と連携しながら、こういう副読本も活用しながら、分かりやすく公的年金制度の在り方を指導していくことが必要であると考えております。
  42. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  文部科学省の御努力いただきまして、十四年のときには二割を切っていた数字が伸びてきていると。ただ、今副大臣お話しになりましたように、まだまだ目標とする数字はもっともっと上にあると私は存じておりますので、引き続く御努力を厚生労働省とともにやっていただきたいと存じます。  今日、時間が限られておりまして、いろいろとお尋ねしたいんでございますが、質問通告をしていませんが、総理に一問だけお尋ねをしたいと思います。  総理がこの年金問題、厚生労働相在職のときからいろいろと御努力をいただいておりまして、年金の制度の一元化の問題であるとか多くの難問を抱えて、先頭に立ってその指導をしていただいておりました。ただし、年金の状態は残念ながらまだ道半ばと言った方が正しいかと思っております。社会保障制度、特に年金問題は国民の安心、安全ということについて非常に大きな意味合いを持っている仕組みでございまして、これがどのような形で国民に納得していただく形のものにできるかということについては、これは国民が本当に期待をしているんだと思っております。  総理のお考えございましたら、一言ちょうだいしたいと思います。
  43. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 年金制度というのは、今や老後のちょっとしたお小遣いではなくて、だれでも退職した後、老後の生活を送る上でなくてはならない給付だと考えるようになってきたと思います。そういうことから、共済、厚生、国民年金、それぞれよって立つ基盤、制度の由来も違いますけれども、できるだけ国民に対して、給付を受けるためには負担も必要であると、そして負担によって給付も違ってくるわけでありますので、その点、できるだけ細やかな配慮が必要だということで、国会の場におきましてもよく審議がされます。  細やかな配慮は必要なんですが、細やかな配慮をすればするほど複雑になってまいります。簡素にしろという要求も出てきております、最近は。どの程度負担すればどの程度給付があるかと。その細やかな配慮と、簡素にして分かりやすくしろと、逆に言うと相反するような要求を満たしていかなきゃならないわけでありますので、年金一元化を含めた議論を更に進めていただいて、年金というのは全国民の助け合い、支え合いによって成り立っているんだという意識を若い人から、教育といいますか、よく知ってもらうような努力がより必要だと。そして、今後もお互い支え合う制度として、この年金制度というものは持続可能な制度にしていかなきゃならないと思っております。
  44. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。終わります。
  45. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で藤井基之君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  46. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
  47. 平野達男

    ○平野達男君 民主党・新緑風会の平野でございます。  総理とは、多分こうした委員会では最後の質疑の場面になるかと思います。本来であれば別の事項についていろいろやり取りしたかったんですが、日銀総裁の資本拠出という問題が出てきましたので、まずはその問題から入りたいと思います。  先ほどの日銀総裁の答弁を聞いておりまして、私は本当に不思議だと思いました。資本拠出ということについては、その動機が支援であろうが利殖であろうが、市場から見たら投資には変わりありません。ほうっておけば、利息は、得をすれば、利息を上げれば、利殖される場合もありますし、これは損をされる場合もあります。それから、これが最終的に六月末にどういうものに使われるか。多分、これは総裁としては本当のことをおっしゃったと思います。私も総裁とは財政金融委員会でいろんなやり取りをさせていただいておりまして、私なりに総裁の人柄、誠実さは理解しているつもりで、誠実さについては理解をしているつもりであります。しかし一方で、どんな説明をしたとしても後付けの説明であるという説明もできるわけであります。ですから、その一千万という投資、その後、最終的にどういうものに使うかということについては、先ほどの話を聞いたとしても、私は単なる言い訳にしか聞こえなかったということも事実であります。  その中で今回の問題は、富士通の理事長、理事長時代にファンドに投資をした、一千万を投資を、資本拠出された、これ自体は私は何ら問題はないと思っておりますし、とがめることではないと思っております。問題は、その資本拠出を日銀総裁になっても保有し続けたことであります。これは、日銀総裁という職業は、御承知のように金利操作の最高責任者であります。その金利操作によって株価の動向にも多大な影響を与える。その株価の動向の、影響を与えることによってファンドに対する利益が出るか損が出るか、そういうことにも影響を与えます。  例えば、量的緩和を日銀総裁は拡大しました。量的緩和を拡大するとどういうことが起こるか。市場には過剰流動性の感じが出てまいります。過剰流動性は株価の増加につながります。そのときにファンドに出資をしておりますと、利息が、利益が増える可能性がこれは出てきます。これはいわゆる利益相反に相当するというふうに思われてもしようがない。現に日銀総裁は、平成十三年に就任して以来、量的緩和をずっと続けてきましたし、ましてや日銀当座預金目標残高をどんどん増やしまして三十五兆まで広げた。これが恐らく日本株価の形成にいろんな影響を与えたということは、いろんな人が指摘しているところであります。  そこで、第一問目の質問なんですけれども、私は、日銀が、日銀総裁は、日銀総裁に就任時点でその資本拠出を解約しなかったことは不適切だった、不適切な措置であったというふうに思いますが、総理及び総裁に、答えだけで結構でありますから御答弁を願いたいと思います。
  48. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほども日銀総裁からその説明を伺いましたけれども、私はその説明でいいのではないかなと思っております。
  49. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 先ほどお答え申し上げたとおりでございます。  日本銀行総裁になります時点で、それ以前の民間で仕事をしておりましたときの様々なコミットメントは調整すべきものはすべて調整したと。で、この拠出については、先ほども申し上げましたとおり、村上氏に対する激励の趣旨ということで、同じ職場の仲間と一緒にやったものであり、そして、一任勘定であって私の指図の及ぶところではないと、こういう判断でこれは引き続き持ち続けることにいたしました。
  50. 平野達男

    ○平野達男君 それでは、総裁にお伺いします。  日銀総裁があるファンドに一億拠出、資本拠出したとします。それは、私はこれは支援でございますから問題ございませんと言って、これは日銀総裁は何も問題がない。それは例えば一億が十億であっても百億であっても、極端な話、それは問題がないという理解でよろしいでしょうか。総理にお伺いします。総理にお伺いします。
  51. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは額によって、人によってどのぐらいの資産提供能力があるかによって違ってくるでしょう。私は、どの額が適切で、一千万円だからいけない、百万円だったらいい、一億だったらいけないとは限らないと思いますね。私は、どの額だったらいいかという点については、その人の提供能力といいますか、私は、国民の感覚もあると思いますが、どの額ならいいかどうかというのは、私はよくは分かりません、率直に申し上げると。
  52. 平野達男

    ○平野達男君 私の質問に答えておりません。日銀総裁が総裁時点にたくさんの資本、金融資産を持っていた。これは全部、あれ、だれだれに対する支援の気持ちでございますと言って不問に付されるのかという問題です。  それから、福井総裁にもう一度お尋ねします。  私は、解約しなかったのは不適切な処置だと思っていますが、それに対する見解を伺いました。あれは適切な処置であった、いや、そうではない、必ずしもそうではない、そこを明確にお答えください。(発言する者あり)そんな話じゃない、話聞いとけよ、それ。解除の話だ、解除の話。
  53. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 解約した理由は先ほど明確に申し上げたつもりでございます。
  54. 平野達男

    ○平野達男君 そういう総裁らしくないね、答弁をはぐらかさないでいただきたい。  私が申し上げたのは、日銀総裁に就任のときに、資本拠出で持っていたものを解約しなかったことが不適切な措置ではないかということに関しての明確な答弁をいただきたいと申し上げたんです。
  55. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 先ほど申し上げましたような基準で、私は、当時は適切な措置ということで判断いたしました。
  56. 平野達男

    ○平野達男君 これだけの議論になっているときに、それでは現在はどうですか。
  57. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) この前、財政金融委員会でもお答えしたんですけれども、村上氏の当初の志と、そして法令違反に問われるような、本人も認めるような事態に至ったこととの間の大きなギャップと、これは大変遺憾なことだというふうに申し上げました。その線に沿って御理解いただきたいと思います。  それがやっぱり、私は、解約いたしました時点では法令違反なんということは想像いたしておりませんでした。それでも、村上氏の行動というものが、当初の意思と志というものに本当に沿っているかどうかということについての、何といいますか、疑念と申しますかね、それが心の中で累積して解約したと。しかし、その後、法令違反にまで至っていたと。私は、解約した時点でも法令違反なんて全く想像のらち外でございました。余りにも大きな落差が起こっているということでございます。
  58. 平野達男

    ○平野達男君 それでは、改めてもう一度お尋ねします。  小泉内閣の方針とすれば、日銀総裁は、金融資産は、合法である限り幾ら持っておいてもこれは構わないと、そういう見解だというふうに理解してよろしいですね。
  59. 小野清子

    委員長小野清子君) だれに。どなたに質問。
  60. 平野達男

    ○平野達男君 いや、総理に、じゃ代表してお伺いします。もし答弁しづらければ、多分、与謝野大臣が一番その点に詳しいので、与謝野大臣答弁でも結構でございます。
  61. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 勤労所得者が勤労で得た所得を税金を払った上でどこに投資しようが、それは個人の判断であると私は思っております。
  62. 平野達男

    ○平野達男君 答弁をはぐらかさないでいただきたいんです。  私が言ったのは単純です。日銀総裁が総裁として就任するときに金融資産を幾ら持っていてもそれは業務に支障がない、そういうふうに理解してよろしいですかという、それが今の小泉内閣の方針かということを確認しているんです。
  63. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 問題は、元々その金融資産がどこから来ているかという、その課税の問題。これはもう自ら働いて得た金融資産でございますから、それはどこに投資してあったとしても私は構わないことだろうと思っております。  また、就任のときに慌ててやめなければならないような投資というのは一体あるんだろうかということを私は伺いたいと思っております。
  64. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっと、質問に答えてませんよ。答えてください。(発言する者あり)いやいや、違いますよ。駄目だ、時間の無駄です。ちょっと時計止めてください。時計止めてください。時計止めてください。
  65. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  66. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。
  67. 平野達男

    ○平野達男君 あのですね、もう一度お伺いします。  私は一般投資家の話をしていません。日銀総裁が就任時にファンドに資本拠出金、あるいは株その他、幾ら保有していても、それは違法でない限りは何にも問題ないと、そういう理解で、それが小泉内閣の正式見解だというふうに理解してよろしいですかという、イエスかノーだけで結構です。
  68. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 幾ら持っててもいいんですかという御質問ですから、その幾ら持ってていいかというのは、実は税を払った後、自分の財産となるべきものであれば、それは御本人のものですから、それをどういう金融資産に投資しようが、それは私は差し支えないことだと思っております。
  69. 平野達男

    ○平野達男君 要するに、日銀総裁は幾ら持っていてもそれが合法であれば構わないと、そういうことですね。分かりました。これは多分、この答弁世界じゅうに配信されると思いますが、これは本当に笑われると思います、私は。  そしたら、例えば日銀総裁が村上ファンドに投資した資本拠出、二月に解約の手続をされたというのは、これはこういう理解でよろしいですね。これは市場から見たらこういう理解もできるんです。三月に量的緩和解除がされました。量的緩和解除がされるということは、一種の金融市場の中においては株価が下落をするというふうに見る向きが出ます。そうしますと、それを早く察知した人は売り抜きあるいは益出しに入る可能性があります。この行為は、日銀総裁が何と言われても、もし二月であれば、それを三月解除ということについての政策決定の権限を持っていますから、それは一種のインサイダー取引、売り抜け、優越的地位の濫用というよりも、知っている人がやっている、そういう行為に走ったととらえられてもしようがないと思います。  それからもう一つ、この中でゼロ金利をずっと続けています。そして、片っ方で量的緩和解除をやって株価が上がってきました。恐らく、この中で村上ファンドは相当もうけた。もうけたということは、資本拠出をやった方に対してのリターンがあったはずです。それは量的緩和の解除の効果でもあるはずです。一方でゼロ金利、庶民は本当に利息も出ない。この庶民感情という問題もあります。しかし、この庶民感情という問題は今日は、質問の時間ですから、あえてこれは削除します。  私が言いたいのは、与謝野大臣はもう十分承知だと思いますけれども、もう承知でああいう答弁しかされていないと思うんですが、金融政策が株価に与える影響というのは本当にすさまじいですね。ゼロ金利を解除するのがいつかというのは何で市場が注目されているか。株価が一瞬、一気、すぐに下落するかもしれないからです。だから、ゼロ金利を解除、いつするか、いつするかということで投資家はもうとにかくアンテナを高くしてやっていると思います。いつの時点で売り抜けるか、益出しをするか。  その権限を握っているのが日銀総裁なんです。その日銀総裁が自分で株を持っている。そして、株で運用するファンドに対して拠出をしている。その決定権限を持っている方が、私は福井総裁がそんなことをやるとは思いません、思いませんが、例えばファンドの会社についていろんな情報発信をして、ああだよ、こうだよということをやろうと思ったらできるんです。やるかやらないかじゃなくて、でき得るんです。でき得るような状況にしておくことが実は市場に対して大変な私はこれは迷惑を掛ける、このことだというふうに思います。そういうことだということについては、実は福井日銀総裁は分かっていなくちゃならない立場です。  例えば、アメリカの連邦銀行の議長がどういう扱いをしているか。連邦銀行の議長は株なんか持っていません。自分の資産運用は何でやるか。長期国債だってグリーンスパンさんは持っていなかったと言います。それは何でかといったら、長期国債の長期金利に金融政策が影響を与えるからですよ、全部普通預金と短期国債です。イギリスでは資産公開を義務付けられていまして、全部株価については、信託します、信託をするということは自分の手に及ばない話で、所有権が向こうに移転しますからこれは問題ないんです。  ところが、先ほど言いましたように、自分で保有しているということは、少なくともアメリカ、イギリスにおいては例がないことです。それは、繰り返しますけれども、先ほど前田先生が後ろから言いましたけれども、李下に冠を正さず、日銀総裁はそういうことが求められるポジションなんです。そういうことに一点の曇りもあればどうなるか。例えば日銀総裁は、日銀総裁の大変重要な仕事は市場との対話であります。皆さんが市場との対話については非常に、日銀総裁の一挙一動、一言一言、大変注目しています。だから、日銀総裁はその一言一言に細心の注意を払ってしゃべっているはずです。  ところが、その日銀総裁が、自分で実はひょっとしたらファンドに対して運用しているかもしれない、株を持って自分の政策でもって得をしているかもしれない、そういう目で日銀総裁を見たらどうなりますか。えっ、これって本当に日銀総裁こんなことやっていいの、おかしいじゃないの、そういう負のインパクトを与えやすいんです。このことも福井総裁は私は理解してなくちゃならなかったと思います。  それからもう一つ、コンプライアンスの遵守、コンプライアンスの遵守と言っています。コンプライアンスの遵守は、総理御承知のように、法令に従っていればいいというものではありません。法令以前の問題もあります。だから、私は、こういう状況の問題ですから、どういう合法の資産であってもこれを保有するというのは日銀総裁の持っている責務、役割、これは私はやってはいけないことだと思います。ですから、これが認められるとすれば、要は合法であれば日銀総裁であろうがファンドで幾らお金持ってもいい、株を持ってもいい、いや、要は法令さえ守っていればいいんでしょうというコンプライアンスの遵守の精神が私は乱れてくるおそれもあると思っています。  以上の問題について総裁の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
  70. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 簡潔にお答え申し上げます。  日本銀行の政策決定は合議制です。政策委員会経済情勢を議論して決めるわけです。決定事項を私が独裁で決めているわけではありません。何を材料に政策決定の議論をしているか議事要旨を公開しております。大変僣越でございますが、議事要旨をよくお読みいただきたいというふうに思います。  それから、私がファンドを解約したと申し上げましても、解約した時点で損益が確定できないんでございます。ずっと先の決算期に行かないと結果は分からないんであって、どんな情報に基づく判断ということとは全く断ち切れた話だということでございます。  それから、百億円というような話は私からは全く縁の遠い話でありまして、これはもう私は全く現実性を持って御質問を受け止めることはできません。
  71. 平野達男

    ○平野達男君 日銀政策決定会合が合議制だなんということは承知しております。要は、その政策決定会合の先の最高責任者は日銀総裁。その日銀総裁がどういう動機で発言をされているか。この動機に一点の曇りがあってはならないということを、ならないんではないですかということを言っているわけです。  私は、福井総裁に、そういう動機でもって今の日銀総裁の政策決定会合に臨んで政策決定をやっているとは思っていません。そういうことを言っているんじゃないんです。制度論として、あるべき論として言っているんです。だから、そういうことに対して一点の曇りもないような状況をつくって日銀総裁に就任する、これが筋ではなかったかということを申し上げているわけです。与謝野大臣、どのように思われますか。
  72. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 私、福井総裁のお人柄を信じておりますから、私は福井総裁がここで言っておられることを全面的に信頼をしております。これは日銀には多分日銀の服務規程等がありまして、それに従って常に行動をされている、そのように考えております。
  73. 平野達男

    ○平野達男君 服務規程に違反してませんかどうかということを質問するつもりでしたけれども、答えは、これはしてないと思います、私は。そんなことを問題にしているんじゃないんです。これはもう私がさっきから言っているとおりです。そういう問題じゃない。先ほどの例え話で言った李下に冠を正さず、財務大臣も言われたとおりですよ。そういうことをやってはいけないんじゃないかと。それがコンプライアンスじゃないか。日本最高の金融責任者である日銀総裁がまず率先してやるべきことではないかということを申し上げておるんです。それをやらなかったことが、私はこれは服務違反とかなんとかそういうことを言っているんじゃないんです。これから私はいろんな意味で、先ほど言ったように日銀総裁の言った一言一言、これは私は残念ながら、私個人は今まで聞いてきた福井総裁の言葉とこれから聞く言葉には残念ながらかなり重さが違うという個人的な印象を持ちます。  それから、先ほど言ったコンプライアンス遵守に対する市場のその与える影響、そういったことはこれは本当に大きな影響だと思うんです。私は、この御自身の今回の資本拠出の問題について私はそういう懸念があるというようなことを今二つの問題言いました。日銀総裁の重要な役割である市場コミュニケーション、それからコンプライアンス遵守、これに対する影響について福井総裁はどのように考えておられるでしょうか。全く影響がないというふうに考えておるんでしょうか。
  74. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 金融政策はあくまで経済情勢の判断に忠実に、かつそれを明確に市場とコミュニケーションしながら今後ともやってまいります。  私自身の行動は、日本銀行もきちっとした内部規律を持っております。その規律に従って、何と申しますか、規律が失われるような行動はいささかもしないと、この原則はしっかり守っているつもりでございます。
  75. 平野達男

    ○平野達男君 それは、総裁の姿勢として分かります。  私は、繰り返しますけれども、そういうインパクトを市場に与えてしまった。それから、私は、コンプライアンス遵守、同じこと何回も言いますけれども、ひょっとして日銀総裁ですら法令に違反しなければ何をやってもいいんじゃないかという、そういうことがもし市場に出るとすれば、これも大変問題だと思います。  ですから、私は、もちろん小泉内閣の見解として日銀総裁は幾ら金融資産を持っていても問題がないというんであれば、それはそれでいいでしょう。しかし、私はそうは思いません、少なくとも私どもはそうは思いません。  もう一回、谷垣大臣にここでお伺いしますけれども、李下に冠を正さずという意味をちょっと教えていただけますか。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 平野委員に李下に冠を正さずの意味を講釈しようという気持ちはございません。今まで日銀総裁のお話を伺っておりましても、また日銀からの報告からも、服務規律に違反したことはないと伺っております。  私ども閣僚も、さっき委員がおっしゃったようなそれぞれルールを持っておりまして、例えば株は持っていても就任したときに全部信託に寄せろと、こういうような規律になっております。ところが、我々の規律にもファンドというのは書いてないんです。つまり、この規律を作ったときにファンドというものまでなかなか視野が及んでいなかったというのが率直なところなんじゃないかと思います。あるいは、炯敏な方は及んでいたかもしれません。  それから、ファンドも、私も実は財務大臣として相当関係のあるポジションにいながら、ファンドというものもいろんなファンドがあるんじゃないかという気持ちがございます。ひょっとしたら今現職の政治家でも、投資、そこにファンド寄せてもいいような立派な社会活動をしているファンドもあるいはあるんじゃないかという気もいたしますので、今御議論を聞きながら、この辺りは我々ももう少しよく議論を、頭を整理しなきゃいけないなと思っております。
  77. 平野達男

    ○平野達男君 その問題は次のステップの問題として私は議論をさしていただきたいと思います。  制度論としてはあるんです。あるんですが、私はそういうことが制度的に組み込まれていなかったとしても、繰り返しになりますけれども、日銀の金融政策というのは本当に市場に様々なインパクトを与えます。その結果が自分の投資しているものに対して、あるいは資本拠出しているものに対してリターンとして跳ね返ってくる、あるいは場合によったらマイナスで跳ね返ってくるかもしれません。そういうつながりをこれを断たなかったということは、これはやはり私は問題ではなかったかというふうに思っています。  私は、先ほど言いましたように、福井総裁の個人のものを言っているのではありません。行動の問題を今ここで殊更言うつもりはありません。ただ、結果として今回のこの措置が、先ほど言ったような市場に、あるいは投資家に、あるいは一般の金融機関に様々な負のインパクトを与えるとすれば、これは大変重要な問題だと思います。  そのことを含めまして、私は日銀総裁はこの問題の重要性を再度しっかり考えていただきたいと思いますし、その上で、私は御自身の出処進退はしっかり判断すべきだと思いますが、総裁の見解をお伺いしたいと思います。
  78. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 冒頭にも申し上げましたけれども、様々御迷惑を掛けていると、そのことについては私も謙虚におわびを申し上げます。  そう申し上げました上で、今回の村上氏の件は、やはり当初の彼の志に比べて最後の至った状態というのは余りにも落差が大きいと、今のこの変化の激しい中でやっぱりこれは避け難い一つの現象であったのかもしれませんけれども、私はやっぱり結果としてこれは不幸なことが起こったというふうに私は思っております。そのことは率直に認めます。  しかし、私自身、そういう意味ではいろいろ反省しなけりゃいけないかもしれませんが、いかなることがあれ、今後とも私は、志ある若い者、これをしっかりサポートしていくと、この精神だけは失わないつもりでございます。
  79. 平野達男

    ○平野達男君 とても私は日銀総裁の言葉とは思えません。富士通の、富士通総研の理事長の言葉なら分かります。  本当にどういう説明を、そういう説明をすれば、日銀総裁は、日銀総裁という重要なポジションにいながら、資本拠出をやったり保有し続けてもいいと、それが福井総裁の見解だったというのは、私は本当に残念で仕方がありません。少なくとも、私は五年間財政金融委員会にいろいろ在籍させていただきまして、福井総裁からもいろいろ教えていただきました、福井総裁就任後は。今いろいろ勉強して、自分ながら勉強して、実はこれ勉強したのは昨日、今日、二日間一生懸命やって勉強しました。勉強すればするほど、これはやっぱり法令遵守、法令遵守の問題じゃないと、その以前の問題だという気持ちが非常に強くなりました。そして、そういう問題こそ実は、繰り返しになりますけれども、日銀総裁こそしっかり守っていかなくちゃならなかった。その範を、私は福井総裁を尊敬していますけれども、尊敬している福井総裁がそういうことにはまったというような、そういうことに該当してしまったということについては、繰り返しますけれども、本当に残念であります。  しかし、私は今の答弁を聞いてますます意を強くしましたけれども福井総裁、大変申し訳ありませんけれども、日銀総裁を、これをこれから続けるには私は適さないのではないかということも言わせていただきます。  それでは、周辺状況を何点か確認させていただきます。  福井総裁ですね、今株は保有しておるでしょうか。
  80. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 民間時代に私は幾つかの会社の社外重役を務めておりました。社外重役を務めるために最小限必要な株式はそのとき持ちまして、それはそのまま凍結した状況で持っております。
  81. 平野達男

    ○平野達男君 凍結というのは投資信託に出したということでしょうか。
  82. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) そのままの形で動かさずに持っているということです。
  83. 平野達男

    ○平野達男君 市場コミュニケーションをやっておられる総裁の説明とはとても思えません。  凍結というのは、信託に出した場合に私は凍結というふうに理解していました。要するに、保有をし続けているということですね。分かりました。  第二点目、それでは村上ファンドへの資本拠出、六月末ではなくて昨年十二月末の残高は幾らだったでしょうか。
  84. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 拠出金は一千万円、その後一切追加はしておりません。そして、評価額については私は分かりません。別途、参議院の財政金融委員会から資料要求をちょうだいしておりまして、必要なお答えを精査の上お出ししたいと、こういうふうに思っております。
  85. 平野達男

    ○平野達男君 この質問はたしか大門先生もやりまして、それは多分通告されていなかったと思います。私は昨日通告いたしました。それでも出せないというのはどういうことなんでしょうか。  少なくとも、計算上の利益に課税されるというのは、これは総裁の答弁の中で毎年納税をされてきたということは、これは承知しております。しかし、計算上の利益というのは残高の差益で出るはずであります。ということは、残高が分かっていないとおかしいんです。こんな当たり前の話がなぜ総裁に通じないのか。これは分かりやすく説明してください。  昨年十二月末には確定されているはずですから、昨年十二月末には確定申告されているはずです。しかも、運用報告が必ず来るはずです。今のお話を聞きますと、村上ファンドは残高を一切教えないで、毎年、要するに計算上の利益に課税する課税分だけ来るような仕組みになっている、そういうファンドだという理解してよろしいんでしょうか。
  86. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 決算期ごとに、期中に行われた株式の売買損益それから各種の経費などを差し引いてそのネットの額を出し、さらに、出てきた利益に対する運用報酬というふうなものもございます。そういうものを控除した差額がまた再投資されて年々累積していくという、そういう複雑な仕組みになっています。
  87. 平野達男

    ○平野達男君 それは分かりますよ。
  88. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 現在、契約の内容を確かめながら残高などについて精査しておりまして、きちっと資料要求におこたえすると、こういう構えでございます。
  89. 平野達男

    ○平野達男君 我が党にも尾立議員を始め税理士出身の議員がおられます。尾立議員も正確にあれこれあちこち調査したわけじゃないですが、税理士の感覚として誠におかしいとはっきり言っています。  そして、じゃ一点だけ確認しますけれども、更に確認さしていただきますが、その精査というのはいつごろ終わりますか。
  90. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) これはもう急いでおこたえすると、可及的速やかにとお答えさしていただきます。
  91. 平野達男

    ○平野達男君 私は、このファンドというものについての知識は本当にないんですが、自分の残高、持分が分からないというのは本当に不思議でしようがないです。それが分からないというのが分かりません。  ちなみに、もう一度だけ、じゃ総裁にこんな質問はもうしたくありませんが、最後の質問だけさせていただきます。  大した額ではないとおっしゃっていました。その大した額でないというのは、どういう基準から大した額でないというふうに判断されているんでしょうか。
  92. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 私は、当初から、一サラリーマンとしては非常に負担感の大きい額だというふうに申し上げております。
  93. 平野達男

    ○平野達男君 財政金融委員会では、私手元に議事録がございますが、大門先生の質問に対して、今、残高幾らでしょうか、毎年課税をしています、利益その他については大した額ではございませんという、はっきり議事録に残っています。これは後でよく見て、今の答弁についてそれ妥当なのかどうかよく聞いてみてください。いや、いずれこれはその調書が出てきたときに、その額が幾らだったかということで、総裁の言われる大変な額でないという値ごろ感と我々の言う大変な額ということの値ごろ感に多分差が出てくるとこれまた私大きな問題だというふうにだけちょっと申し上げておきます。  それでは次の、これに関して次の質問に入ります。  先ほど財務大臣が言われましたけれども、私は、制度として日銀総裁、政策委員全部が資産公開をしない、今しなくてもいいと。今の内規では、持っていても、その中で売り買いをすればそれを報告すればいいというたしか仕組みになっているはずです。そのとおり、そうですね。しかし、総額として幾らどれだけ持っているかというのは報告しなくてもいいんです。公開しなくてもいいんです。これがそもそもいいかどうかという問題があります。  私は、日銀法の担当者として先ほど財務大臣、これについては検討すべきだというふうにおっしゃいましたけれども、私はこれは、しかるべき可及的速やかにやるべきだと思いますが、再度、法改正と併せて、必要ならば法改正、それでなければ、それでやる必要がなければ、ごめんなさい、自主的な公表でもいいです、あるいは強制公表でもいいです、そういうことをやるべきだと思いますが、財務大臣、どのように考えられますか。
  94. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、私もまだファンドというものが何なのかという明確な頭がありませんので、今細かにお答えすることはできません。
  95. 平野達男

    ○平野達男君 資産公開、資産公開。
  96. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ただ、やはり日銀において、その辺り検討するのかしないのかも含めて判断してやっていただきたいと思っております。
  97. 平野達男

    ○平野達男君 総裁、どうでしょうか。
  98. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 日本銀行の役員及び職員は、現在我々が厳格に内部で定めておりますルールに従ってきちんと行動しておりまして、職務の公正性を確保する上で今のルールは十分機能していると思っております。  しかし、先ほどからお話に出ておりますとおり、金融商品というのも日進月歩、どんどん新しいものが出てまいります。したがいまして、そういったことも含めまして、これからさらに、将来に向かって適用していく上により望ましいルールがあるかどうか、より分かりやすいルールというものができるかどうか、当然工夫を加えていきたいと、そういう姿勢でございます。
  99. 平野達男

    ○平野達男君 今のは公表の問題でした。  さらに、もう一度、今のこれに関連してもう一問質問させていただきます。先ほどの質問に戻ります。  そういう金融政策の決定にかかわるポジションにある方々、総裁を含め、副総裁、政策委員全体、全部でございます。株、ファンドに対する資本拠出、こういうことについては、もしその段階で持っていれば、何がしか、何かしらの制限を加えるべきではないかというふうに思いますが、それに対して総裁の見解を伺います。
  100. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 保有そのものは特に規制していないとしても、在任期間中にこれを自由に売買することはできないということになっております。要するに、動かさないと、じっと持っているということになっているわけであります。
  101. 平野達男

    ○平野達男君 どうも話、日銀総裁の、本当に今回は答弁に誠実性が感じられませんですね。  私が聞いたのは株だけじゃないですよ。ファンドその他です。例えば、株については信託に出すという制度だってあるじゃないですか。そういうことについて、例えば検討すべきじゃないかということを申し上げておるんです。
  102. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 先ほど申し上げましたとおり、より分かりやすい、より将来性に即したルールができるかどうかは探求し、必要とあらば改正を加えていきたいということでございます。あくまで中央銀行としての職務の公正性確保と、そして私どもの行動の透明性と、これをきちんと両立するようにということでございます。
  103. 平野達男

    ○平野達男君 総裁、現時点ではその必要性はないということですか。
  104. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) これまでも絶えずルールは見直してきている、これからも見直していくということでありまして、今のままでいいというふうに申し上げたわけではありません。
  105. 平野達男

    ○平野達男君 今の答弁では、今までの一連のこの流れ、私、やり取りをしましたし、あとは、いろんな今、市場でいろんなことが言われています。とても適切な答弁とは言えません。これについては早急な見直しをする、それからあと資産公開可能であればすぐすべきだということを強く申し上げておきます。  それから、これに関連しまして、今、規制改革民間開放推進会議というのがございます。これも考えようによってはいろんなことが想定されるんです、悪くとらえればの話ですが。悪くやっているとは私は思いません。ある部門で規制改革をしようじゃないかという提案をする、これが通るだろうということについては、その規制改革会議にいる人はそのときの状況としていろいろこの情報を早く知ることができます。その分野にある規制緩和がもし行われる、近い将来に行われるかもしれないといったら、株が上がることが予想されます。そういう場合には、自分の知っている人に対して、あの株上がるかもしれないよとはっきり言わなくても言うことできます。  こういう規制改革開放会議については、いろんな方が見えている、入っていると思います。何か、ある会社はタクシーメーターを造っているという会社もあるというふうに、これは櫻井議員から聞いたんですが、そういう話があると聞きました。この方が、例えばタクシー会社の自由化を進めますと言ったらどうなるか。タクシー会社、台数どんどん増えますよ。何が売れるか。タクシーメーター売れます。そういうことも起こり得るわけです。  こういう今、規制改革推進会議については、私は変な人が入ってきているとは思いません。宮内会長も立派な方だと思います。しかし今回の、今回の、今回の日銀総裁の案件と同じように、李下に冠を正さずじゃないですけれども、そういうことに関係する人たちが規制改革民間開放推進会議に入っているとすれば、これは私は問題だと思います。  これは総理にお尋ねしますけれども、これについては今どのような、基準といえば事務的な話になりますが、今内閣としてどういうような観点でこのメンバーを決めているのか、あるいは何らかのメンバー選定をするに当たっての規律を設けているのか、お聞かせください。
  106. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政府としては、ある問題については、有識者といいますか、その問題に詳しい方、そういう方々の意見を聞くのも必要だと思っております。  そういう中で、規制改革にしても一人の意見だけに頼っているわけではありません。様々な実態に詳しい方、あるいはそういう経営に責任のある方、公務員にはない見識を持っている方々、そういう意見を聞いて、最終的に現時点においてどういう法改正が必要か、あるいは法制度が必要かというのを判断するのは政府でありますから、ある特定の会社のために利益を図るような、そういう法改正をするつもりもありませんし、その点はよく議論して社会全体に有用な法改正に努めるというのが政府の立場でございます。
  107. 平野達男

    ○平野達男君 私は、これについてもある一定の規律を設けてやはり委員選定はやるべきだというふうに申し上げておきます。  そろそろ私の時間がなくなってまいりましたけれども、いずれこの日銀総裁の資本拠出の問題については、私は今日の答弁ではとても納得できないと思っています。そして、これからいろんな、今から市場のいろんな反応があると思いますし、いろんな批判の声もあると思います。そのことも非常に重要でありますし、何よりも、日銀総裁としてどういうポジションにあるべきかということを、日銀も考えていただきたいと思いますし、政府もやっぱり真剣に考えるべきだというふうに思っております。  あと、最後に一問だけ。  総理、六月末に訪米をされるというふうに聞いております。米国産の牛肉の輸入については、これはしっかりとした手続を踏んで、外交上の理由ではなくて、日本側の消費者の手続に従ってステップ・バイ・ステップ・バイ・ステップでこれをやっているというふうに理解しておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。大臣、農林大臣でも。
  108. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これは総理の御決意だと思いますけれども、私は、総理からはしっかりと安全性を前提にしてやれというふうに指示を受けております。
  109. 平野達男

    ○平野達男君 BSE問題は、私は何回も言いましたけれども、科学的知見、これも大事なんですが、それ以上に行政、食品安全行政に対するこの信頼性の問題が問われています。  例えば、ここの今回の結果で、まあこれは冗談半分に言われていますけれども、エルビス・プレスリーのお墓でしたっけ、あそこに行くと引換えに牛肉の再々輸入を認めたみたいな、そんな印象はよもやないと思いますが、そういうことがありますと、それについては先ほど言いましたように、あくまでも消費者ということの視点で進められるというふうに理解しておきたいと思います。  それから、本当に今日、実は最後の小泉総理との質疑でありまして、財政問題、経済問題、いろいろ議論したかったところであります。実は私も、委員会では、小泉総理出席委員会では、ずっと数えてみたら今日が十五回目でした、菅代表代行にはちょっと及びませんが。それでも本当に、私も五年間で参議院議員、自分自身、この一議員だけでも本当に大変だったんですけれども総理という重職にずっと五年間就かれたことについては、いろんな意見の食い違いや見解の違いはございましたけれども、心から敬意を表させていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  110. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  111. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、辻泰弘君の質疑を行います。辻泰弘君。
  112. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  平野さんよりも大分少なく、五回目になりますけれども予算委員会総理に御質問をさせていただきたいと思います。  平野さんの方は経済・金融問題中心でございますけれども、私は、もう一つの課題でございます社会保険庁の不正手続問題、また年金制度改革、そしてトータルとしての小泉改革の総括、こういったことにつきまして、限られた時間でございますけれども、御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、冒頭お伺いいたしますけれども、昨日、小泉総理は竹下元総理のしのぶ会に御出席だったとお伺いしております。その節、ごあいさつをされているわけですが、その後で森前総理が、小泉首相が竹下元総理のように気配りされたら政権は五年ももたなかったと、気配りしないから地方の人も政治家も役人も皆傷付いている、九月以降どなたが首相になっても愛情といやしの精神で次の内閣を運営してほしいと、このような言葉をおっしゃったようでございますが、このことについて総理はどのように受け止めておられるでしょうか。
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、昨日、竹下元総理の七回忌に出席してあいさつをした後、森前総理のあいさつは聞いていないんです。あいさつされる前に退席したものですから、承知しておりません。
  114. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 まあそれはそれで構いませんけれども、そういうふうに後でおっしゃっているんです。それで、今申し上げたようにおっしゃっているんです、そのことをどう受け止めておられるでしょうか。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 新聞記事というのは間違いが多いですから、それを本当に受け取って今答弁する立場にはありません。いずれ森前総理にお会いしたら、どういう発言をされたのか聞いてみたいと思っております。  新聞記事が本当かどうか私は確認するすべが今まだ持っていないし、森前総理には今のような発言をしたのかと聞いてもおりません。
  116. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これだけ新聞、私、全部、全紙を追っ掛けましたけれども、ほぼ同じような書き方されているときに、そういうことをおっしゃるというのは私は必ずしもどうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、そのことを……(発言する者あり)ちょっと黙ってください。そうだとしても、この森さんがおっしゃった言葉を使わせていただきますと、愛情といやしという言葉をされているんですけれども、私、違う言葉使うかもしれませんが、これを仮に使わせていただいて、五年間の小泉改革、五年間を振り返られて、この言葉を使わせていただくとすると、愛情といやしという精神で満ちた改革だったと思っていらっしゃるでしょうか、どうでしょう。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、ある問題については非情と思われることも国民全体にとっては温情であると、将来必ず理解されると思って政治を担当してまいりました。
  118. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 温情という表現がどうか分かりませんけれども、私どもといたしますと、前回この場で、私は総理に対して、個人に着目したセーフティーネットというのは極めて不備であったと、また、改革なき負担増に終始したと、このようなことを申し上げてまいりましたけれども、そういった結果としての今日の格差の拡大であると、それをもたらしたのが小泉改革のこの五年間であったと、このように私どもとしては申し上げざるを得ない。  そういった意味で、森さんの言葉で言えば、愛情といやしかもしれませんけれども、私の言葉で言えば、生活と暮らし、そういったものをしっかり見詰めた、そのための改革ではなかったというふうに私としては結論付けざるを得ない、このことをまず申し上げて、各論に入っていきたいと思っております。  それで、まず、お手元には用紙を配らせていただいておりますし、パネルで用意させていただいております。(資料提示)  実は、去年の衆議院の総選挙がございまして、その折に自民党としてマニフェストを掲げられたものがこれでございます。自民党や小泉さんの宣伝をするつもりは全くございませんけれども、それを引用させていただいております。  この中で、郵政民営化の方は今日は議論は結構でございますので、それはいいんですが、郵政民営化なくして小さな政府なしとおっしゃっておられました。そしてまた、年金も景気も小さな政府からと、こういうことが出ていたわけです。細かく言えば、細かく言えば本当は大事なところですけれども、年金も小さな政府からというのはどういうことかというのはまた個別に議論をしたいところではございますけれども、これについてはまた別の機会にして、今日はそこは議論しませんけれども、いずれにいたしましても、自民党の約束として、総理・総裁として小さな政府ということを掲げてやってこられたわけでございます。  政府としてのこれまでの閣議決定は、政府の大きさというのは一般政府の支出規模のGDP比であるということで、改革と展望で、これは平成十四年一月から今年の一月まで毎年その定義を書いておられるわけでございます。それについては、竹中さんが経済財政白書を作られた去年のときに、政府支出の規模ということでは先進国の中でも日本は小さな政府であると、こういう指摘にもなっているわけでございます。そういうことはある中でも、このような主張をされてきたと、こういうことになるわけでございます。  それで、私ども民主党としては、この点についてははっきり申し上げてきているわけでございまして、明確な例として、前原前代表が昨年の十月二十六日の国家基本政策委員会において、民主党としては小さな政府競争には乗らないんだと、大事なところ、教育、福祉にはしっかり予算を使うと。そして、今年の二月二十二日のこれまた国家基本政策委員会において前原前代表、我々は小さな政府というものにはくみしない、効率的で人に温かい政府を求めていくと、こういった主張を展開させていただいてきたところであります。  そこで、まず、これまでの五年間の小泉改革をリードされてきた、後半は総務大臣というお立場でございましたけれども、中心的に支えてこられた、リードされたと思われます竹中大臣大臣自身も、郵政民営化は小さな政府の国になれるかの試金石だとおっしゃり、また小さな政府を信念として持っているということを国会でもずっと言ってきておられているわけですが、この小さな政府ということについて、やはりそのことを中心に理念として掲げて小泉改革を担ってこられたわけですね。確認させてください。
  119. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 政府が大きいか小さいかというのは、もちろん相対的な問題ではございますけれども、長期的に考えまして、国民の税負担は私は軽い方がよいというふうに考えております。そうするためには、支出規模をやはり小さくしないと長期的には成り立たないわけでございますので、国民に対する税の負担、保険料の負担等々を余り大きくしないで、自助自律の精神で経済活性化させていく、それがやはり経済全体を良くすること、そして国民のためになることだというふうに私は考えております。  そうすることによって、郵政民営化、その典型でございますけれども、小さくできるところで小さくしないと本当に必要なところにお金が回らないんだ、そういう趣旨でそういったパンフレットも書かれているというふうに考えております。
  120. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 説明は十分分かっているんで、一言結論的に、竹中さんはその改革を進めるに当たって小さな政府ということを一つの大きな柱にして看板に掲げてやってこられたじゃないですか。そのことを、事実関係として、しかもこういうことを党としても出ているわけですからね。竹中さんもその一員なんだから、そこをはっきりさせてください。
  121. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 私は大きな政府には反対でございます。小さな政府を目指して、そして簡素で効率的な政府を目指してやっていくべきであるというふうに考えております。
  122. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 総理も今の竹中さんのお考えと、当然ではありますけれども総理が先に来るわけですけれども、そういうお考えでやってこられたわけでございます。  そういった意味で、例えば、昨年、前原前代表への答弁では、小さな政府を目指すということでないと増税を考えることになると、そういう御答弁がございました。そしてまた、今年の一月二十五日の参議院本会議における答弁においても、小さな政府を目指して徹底した行財政改革を行うと、このような答弁をされているわけでございます。  そういった意味で、これまで掲げてこられた小さな政府という小泉内閣の大きな方針は今後とも堅持していくと、こういうお考えだというふうに理解してよろしいですね。
  123. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小さな政府、大きな政府、いろいろ比較の問題が多いと思いますが、簡素で効率的な政府、できるだけ国民全体の負担を少なくしていく、これが大事であって、今後、どの総理が後を継がれようとも、この方向を取っていかざるを得ないような現在の状況だと私は認識しております。
  124. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 簡素で効率的な政府というのは、それはもう言っていらして、それはそれでいいんですよ。小さな政府ということを選挙のときも公約として掲げられて、施政方針演説も言ってこられているわけです。そのことを一つの大きな看板としてやってこられたわけです。そのことをどうするのかのことで、今のことは、じゃ外していくよということですね。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは誤解でありまして、小さな政府は何かと言うから簡素で効率的な政府と言っているわけでありまして、この点については、民主党が大きな政府を目指すということは税負担も大きくなるということですから、これは国民が承知するかどうか。私は、そういう大きな政府をするんだという民主党が公約掲げて、政権交代が実現するとは思いませんね。
  126. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大きな政府を目指しているわけじゃございません。小さな政府、単純な小さな政府論にはくみしないということを言っているんで、それはまあ結構ですけどね。  それで、一つ、これは大事なのは、官房長官ですけれども、小さな政府という、こういう答弁があるんですね、四月二十六日。小さな政府という解釈の中には、社会保障の面において給付も減らし、負担も減らしていく、給付と負担を公的な役割から外に出していこうとしているのではないかという誤解を生む可能性がある、総理始め我々が目指している方向が誤解されないように、より意味がよく伝わるように簡素で効率的な政府という言葉を使うことに決定をさせていただいた次第であるというのが安倍官房長官の四月二十六日の答弁。それに、その前の与党側の議員の質問は、小さな政府というその小さなという看板を外した意味は何だと問われて、そういうふうに答えているわけです。ということは、小さなというのを外すわけですか。官房長官、どうですか。
  127. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 私どもは、この小さな政府を目指すと、こういうふうに申し上げましたのは、言わば大きな政府にはしない、小さいか大きいかという、この言わば比較として小さな政府ということを申し上げているわけでありまして、これが、絶対的な定義としての小さな政府が例えばあるとすれば、例えばラサールの言っているような夜警国家を目指すわけでは全く元々ないわけでありますが、小さな政府の中にはいろいろなイメージがあるだろうと。そのイメージ、私たちが描いているイメージを分かりやすく説明するためには簡素で効率的な政府を目指していくと。簡素で効率的な政府は大きな政府ではない、明確に言ってそうだと思います。  ですから、それはやはり小さな政府のカテゴリーに入るんだろうと。その中で私たちは、それを更にやはり詳しく申し上げたと、こういうことでございます。その方が分かりやすいという国民の方が私は多いのではないかと、このように思っております。
  128. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これだけ、あの選挙のときの大きな政党としての小さな政府と言っておいて、しかも国会では五年間ずっと小泉さん、小さな政府を目指すと言ってこられた。にもかかわらず、安倍さん自身も三月の時点では小さな政府をつくる方向を示した意義ある法律と、こういうふうにおっしゃっているんですよ。それなのに、小さなというのを外すというのは、これは非常に理解に及ばないことでございまして、すなわち格差拡大の問題が非常に出てきたから、旗色が悪くなったからこのスローガンをやみに葬ろうとしているんじゃないかと、このように思わざるを得ないわけです。  それだったらば、それだったら小さな政府を今後とも継続しますと、はっきり言ってください。総理
  129. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、はっきり大きな政府の、民主党掲げるんだったら、それには反対していきますね。私は小さな政府、簡素で効率的な政府を目指していく。民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、これが小さな政府目標でありますから、簡素で効率的な政府目標でありますから、これに民主党が反対だって言うんだったらば、大いにこれから論争をしていきたいと思います。
  130. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ちょっとはっきり答えてください。そういう、ストレートに答えてください、小さな政府を今後とも小泉内閣が続ける、続けるんだなと、そこをはっきりさせてください。小さな政府として、言葉ですよ、ほかのことはいいですよ。
  131. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小さな政府というのは、簡素で効率的な政府であります。民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、これが小さな政府と我々は解釈しておりますから、その方向を目指してこれからも改革を進めてまいります。
  132. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは安倍さんの答弁が実はもうすべてを物語っていると思いますけれども、だんだん小さな政府という言葉を、スローガンを下ろしていこうとしているわけですね、次の内閣には。でも、総理の今の答弁もはっきりそのことについてはストレートに答えていませんよ。  だから、その点は、非常にこれだけはっきり打ち出していたものをそういう形で下ろしていくことは、非常に私は極めて不誠実だし、変節だと言わざるを得ない、このように思いますよ。どうぞ。
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう何度でも答えますけれども民主党は大きな政府を掲げるというのは、税負担を大きくするということですよ。私は、税負担を今できるだけ抑えるために小さな政府を目指す、そのために歳出削減に切り込んでいる。これからも民間にできることは民間に、その一つの典型的な問題が郵政民営化であり、郵便局の仕事は公務員じゃなくて民間でできる、これを実現したと。そして、地方にできることは地方にということで、今補助金、交付税、税源移譲、この三者を一体でやる、いわゆる三位一体の改革を地方の意見を聞きながら進めていく。  それに反するかのような、民主党が小さな政府を目指さないというのは私は驚きですよ。おお、民主党が大きな政府、税負担を国民に強いるというようなことを展開するとは思わなかった。消費税を三%にしろという意見は聞いたことあるけれども、私はまず消費税を何%上げるかの議論の前に、小さな政府を目指して歳出削減に徹底的に取り組むというのが私の内閣の使命であるし、これからも変わらないと思っております。
  134. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 総理のお考えを長々とでありましたが聞きましたが、私は安倍官房長官のおっしゃっているところに政府の考えている本質があると思っています。  私はやはり、これだけ自民党としても公約をし、政府答弁としても出してきた、そのことを国民に十分説明もないまま、唯一、この四月二十六日の安倍官房長官答弁だけです。そのことによって小さな政府という言葉を下ろしていく、そのことは私は非常に不誠実なやり方だと思わざるを得ない。そういった意味で、不正な手続であって、社会保険庁も不正な手続で問題になっていますけれども、私はそのことはしっかりと指摘しておきたいと思います。民主党の議論というのはまた別ですから、またそれは改めてさせていただくことにいたします。  それで、この社会保険庁の不正手続の原因のことについて、対応についてでございます、限られた時間でございますけれども。  率直なところ、私どもといたしますと、二年前に年金改革の議論をさせていただきました。その折に、私どもとしては、極めて不十分な改革でしかない、抜本改革になり得ていない、このことを申し上げてきたことでございますけれども、今回のいろいろな不正手続等々、こういった徴収面での不備といいますか、そういった体制の不足というものを現実に見るときに、私はやはりあのときの改革が極めて不十分だったことの端的な証左であると、このように思わざるを得ないんですけれども総理はそのように思われませんか。
  135. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私どもは必要な改革をしてきたと思っております。
  136. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そのことはまたちょっと後で触れるとしまして、それでまず、今、違法免除が十六万件、不正免除が二十一万件ということで、いつまで調べたら全容が分かるか分からないと。それから、今、本庁職員を含む全国三万人の職員の全員調査をしていると、こういう異常な状態に陥っているというふうに言わざるを得ないわけであります。  そこで、まず川崎大臣にお伺いしたいと思うんですが、五月の二十九日に、社保庁の職員は信頼できないと、私が政治生命を懸けたら報告してくれるという人たちを相手にしているんだったらこんなことは申し上げません、みたいなことをおっしゃっている。  そういった状況を踏まえて、実態、実態は先ほどお話がございましたので、職員は信頼するに値すると考えていらっしゃるか、そのことをお話しください。
  137. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 先ほども答弁申し上げましたけれども、今回の問題点は二つだと思っております。  一つは、不正免除がなぜ行われたか。二番目の問題は、三月以降、本庁の様々な問い合わせに対して隠していたのか、うその報告を続けてきたのか。結果として、先ほど申し上げたように、後から後からぼろぼろ出てきてしまったということは事実でございます。残念ながら、私が所長なり各県の局長の報告を信用できないことは事実でございます。
  138. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 村瀬長官に来ていただいていますので一言お伺いしたいと思いますが、長官は二年近い在職を経験されているわけですが、この中で社会保険庁という組織、社保庁職員、こういうものを信頼されていますか。
  139. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 私自身は全国の社会保険事務所、三百十二のうち三百まで訪問させていただきまして、職員と様々な形で対話をしてきております。その中で今回こういう問題が起こった点、私自身が一番恥じているといいますか、なぜこんなことが起こったんだろうということで、全容解明を私自身がしたいというふうに思っております。それをすることによって、この組織として今後も続けられるかどうか、これを明確に御報告申し上げたいというふうに思っております。
  140. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 逆に、長官は職員から信頼されていると思っていらっしゃいますか。
  141. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) それぞれ一万七千名の職員がおりますので、その中で個々人がどういうふうに考えるかですけれども、私自身を信頼してくれる人も多数いると思います。ただ、今回こういう問題を起こしたということについていえば、逆に私に反抗している職員も場合によってはいるのかも分からない。これは今後解明する中で見ていかざるを得ないだろうというふうに思っております。
  142. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 総理はこの問題について随分ずさんというか、いい加減なことをしていると、こういったコメントを示しておられます。  それで、これまで振り返りますと、昨年の一月の施政方針演説のときは、社会保険庁の信頼回復のために抜本的見直しを行うと、そしてまた今年の一月の施政方針演説では、社会保険庁については解体的出直しを行うと、このようにおっしゃってきたわけです。  しかし、現実にこういうことを目の当たりにしますと、こういった総理がおっしゃってきた抜本的見直し、解体的出直しとこのようにおっしゃっているんですけど、これでは済まないんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
  143. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 社会保険庁を解体的に廃止すると、見直しするということで、今新しい組織に移行するその途中であります。ですから、この見直しに反対する職員も中にはいないとは言えません、いるんでしょう。解体されてはたまらぬ、現状がいいという職員もいないとは言えないと私は思っています。そういう中で、全部が全部解体的出直しに賛成じゃないけれども、まあ時代の要請といいますか、多くの国民にこたえて懸命に取り組もうという職員も多いと思います。  そういう中で実際このような不正が行われたということは極めて残念なことではありますが、こういうことがないように、やはり解体的見直しは正しかったと、これで足らざる点はこれからの議論において更に、今のような見直しでは足りないという点が多くの方から寄せられるならば、これを更に良い方向に持っていくということについて政府としてはやぶさかではございません。
  144. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今、解体的出直しの一つの形が今衆議院の、恐らく継続審議にされるであろうねんきん事業機構法案であるというふうなことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、私どもとしては、基本的に役所のペースに乗って作られた法案だと思っておりまして、やはりこのままの中途半端な改革では済まないと、抜本的に改革するためには白紙に戻して、調査結果も踏まえてゼロから作るべきだと、このことを申し上げておきたいと思います。  そこで、時間も限られておりますけれども、保険料納付率のことをお伺いしておきたいと思うんですが、パネルもお示ししておりますけれども、お手元に配っております。  これが実は二年前に政府目標を定めたときのグラフになっているわけでございまして、中学校の一次方程式みたいな気がするわけでございますけれども、私自身二年前に実はこれを見たときに、こんなに理屈どおりうまくいくのかなと、このように思わざるを得なかったわけでございます。例えばCイコールBプラスプラスx、それで達成できるということを、十九年度八〇%言っているんですね。  総理、ごらんになってきたかもしれませんけれども、これ見て、まず一言で印象どうですか。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一目で見てすぐ分かるほど私はあんまり能力ないものですから、年度別目標納付率を向上させていこうという目標はいいと思っております。
  146. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 まず、村瀬長官、十七年度の納付率、これはもう既に出ていると思うんですけど、どうでしょう。
  147. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 十七年度につきましては、先ほど御指摘がありましたように、免除の不正問題がありまして、この件をまだ反映済みではございません。したがって、機械的にそのものがすべて生きているという前提で納付率を計算をいたしますと、現段階でとらえている数値は六七・八%、対前年プラス四・二という数字で今機械的にはとらえてございます。
  148. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 長官としては十九年度の八〇%目標というのは達成可能だというふうに思っていらっしゃるという理解でいいですか。
  149. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 御存じのように、十六年の年金法改正で国民年金の収納につきましては様々な手だてが講じられております。例えば、所得情報をちょうだいできる、課税所得控除証明書を発行する等々、そういう観点からいえば、汗をかいてしっかり現場が取り組めば決して不可能ではない数字だというふうに思っております。
  150. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 昨年の十一月に長官は緊急メッセージ、号令を全国に発出されて、この時期になって言い訳は無用である、ただ実行し結果を出すことのみと、こういったことを通達をされて、現場ではこんなの無理だと、必達納付率と言われたというふうなことを聞いておりますけれども、あるいは、そのことの実現は、東京から名古屋まで一時間で荷物を運べと、だがスピード違反はするなと言われているようなものだったと幹部が語ったということが言われているわけですが、しかしスピード違反はするなと果たして言ったのかどうかというのも分からないところがありますけれども。  私は今回のことで一つ分からないのは、やはり法令遵守ということを長官自身が意識をされて、またそのことを就任の後、組織内に徹底をしてきているのかどうか、この号令を発する際にもその意識を持っておっしゃってきたかどうか、そのことが大事だと思っております。  六月十三日も法令遵守委員会の機能強化を打ち出されていますけれども、実は二年前の十六年の十月にもコンプライアンス委員会、内部的な方ですけど、それを立ち上げられながらこれまで二回しか開催されてきていないわけなんですね。今回、外部の方からも受けると、こういうふうになっているわけですけど、しかし、果たして本当にそれだけの法令遵守ということに向けての努力目標達成と同じほどになされてきたのかと。プログラムの中には入って、同じように位置付けられているわけですけれども、そのことを私は非常に疑問に思うところがあるわけですが、長官としては、この法令遵守に向けてこれまでしっかりと取り組んできたというふうに判断されておりますか。
  151. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 委員指摘の法令遵守、国家公務員であれば私は当然のことだというふうに思っておりまして、その部分については公平公正なサービス、法に基づいてということで、常に言っているつもりでございます。  それから、法令遵守委員会の件でございますけど、当初立ち上げましたときの趣旨をちょっとお話し申し上げますと、職員から個別に、上司が不正を働いているときに通報制度的な形で委員会をつくらせていただいておりまして、今回の新たな委員会は、いろいろな事務ミスそれから法令違反が出てきたときをしっかり、今後起こさないようにしようということで変更をしたということで、当初の趣旨と違っておりますので、それだけをお伝えしておきます。
  152. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の長官のお言葉で、法令遵守は公務員として当然だと、つもりという言葉がございましたけれども、私は実は、そこはちょっと弱いんじゃないかというふうに思っています。やはり、そのことはもっともっと意識をされて、やはり公務員というところでのそのことの重要さというのを、少し私は薄かったんじゃないかというふうに思っております。この点についてはしっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  そして、総理に一つお聞きします。総理は六月にこの問題について、目標というのはどの世界においても必要だと、これはまあそうですね。その中で不可能なノルマなり目標を掲げて、これを達成しろ、達成しろと言ってしりをたたくのがいいのかどうかと、こうおっしゃっているわけです。私は、この八〇%というのはどうなのかということなんですけど、その点については簡単にどう考えていらっしゃいます。
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、ノルマという言葉が適当かどうか分かりませんが、目標を掲げるのは悪いことではないと思っています。その目標というのは、今回の場合何%が適切かというその判断、それは一〇〇%が一番いいに決まっています、納付率はね。しかし、何%が適切かどうか。まあ一〇〇%を目指すというのは、目標としてはいいでしょう。しかし、現実にどうかというのは、よく実情を判断されている長官なり保険庁の皆さんが、どうやったら納付率を向上させることができるか、実情を踏まえてよく判断されるべき問題だと思っております。
  154. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 実は平成十六年、二年前になりますけれども、九月に、尾辻当時厚生労働大臣は既に、八割についてはやや悲観的にならざるを得ないと、八割にもしならなかったら、もう税方式しかないんじゃないかと言われたときにつらくなると思うと率直におっしゃっております。今回のことは、やはり年金の現行の制度が、商品が悪いんじゃないかと、また無年金の救済に必要なことであったんだという指摘もあるわけですが、それはある面真理をついていることだと思うわけです。  そこで、さっき後でと申し上げたことにつながるわけですけれども、私どもは、年金制度改革の中に一元化のことを申し上げた。これは少し進んだところもあります。あと最低保障年金、基礎年金全額税方式にすべきだと、こういうことを申し上げ、あとは国税庁と社保庁の統合と、こういったことを申し上げたわけですが、やはり基礎年金部分ですね、我々からすれば最低保障年金ですけれども、その分を全額税方式にすることによって、この徴収対策の部分また無年金対策の部分、このことが抜本的に改善されると。  だから、私どもが申し上げてきたあの年金制度改革によっているならば今回のようなことは全く起こらなかったわけでございまして、そういった経験から踏まえても、もう一度抜本改革を行うべき。その精神は、基礎年金あるいは最低保障年金に全額税方式で制度設計をすると、このことだと私は思っておりますけど、二年前に責任を持って預かられた総理、その点どうお考えでしょう。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どのような改革をするにしても、賛成もあれば反対もあるでしょう。また、一長一短あると思います。今言われた基礎年金の部分を全額税方式にするという場合に、現状の生活保護の問題と、年金を、保険料を払っている人も払ってない人も同じだということと、どういう調整が必要かと。まだまだ一つのだけで税方式がいいというのは簡単に言えるような状況ではないと。だからこそ、私は与野党年金協議会に参加して、そういう御議論があるんだったらその場で展開していただきたいということを言っているわけでありまして、これだと、これが一番いいという場合にも必ず賛否両論ありますので、そういう点もよくわきまえて今後の改革を進めていかなきゃならないと思っております。
  156. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もっと議論をさせていただきたかったところでございますけれども、時間が来てしまいました。  やはりつくづくと思いますときに、小さな政府という掲げてきたのをこっそり降ろそうとするそのような対応、また年金改革も非常に不十分なままにとどめている。こういった理念においても具体的な政策においても全くでたらめでいい加減な小泉改革でしかなかったと、このように総括をせざるを得ないわけでございます。  私どもは、国民生活をしっかり見据えた改革の実現のためにこれからも取り組んでいく、そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  157. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で辻泰弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  158. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、渡辺孝男君の質疑を行います。渡辺孝男君。
  159. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  まず最初に、沖縄の長雨による被害のお見舞いを申し上げたいと思います。政府としてもこの長雨による被害対策に万全を尽くしていただきたいと、そのように思います。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  まず最初には、経済問題について質問をさせていただきたいと思います。  五年強の小泉政権の構造改革によりまして経済活性化景気の回復の面でどのような成果が得られたのか、国民に分かりやすく御説明いただければと思います。
  160. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 具体的な数字を言えということでありますが、主な数字を挙げますと、就任当初、実質GDP成長率は、二〇〇一年度マイナス〇・八%でした。現在、二〇〇五年度には三・二%に回復しております。また、失業率は、ピーク時、二〇〇三年一月には五・五%でした。当時は不良債権処理を進めれば二けたになるぞというような批判も受けました。しかし、現在、二〇〇六年四月には不良債権処理目標どおり達成しながら五・五%から四・一%まで低下しております。さらに、有効求人倍率は、現在、二〇〇六年四月には一倍以上、一・四倍と、一を超える水準、求職者よりも求人数が多いという、そういう成果も上がっております。  今後、この統計数字に出ている指標を更に各地域に広げていき、景気が回復しているという状況で、数字からは出ておりますが、それを更に拡大してデフレの克服を目指していくことも必要であり、国民にも悲観的な気分から、やればできるという、また意欲を持って様々な投資をしようという企業も個人も出てきております。この意欲を盛り立ててもっと経済活性化させて、お互い助け合い、支え合っていく社会を実現していきたいと思っております。
  161. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 大きな成果が得られたということでありまして、私どもも評価をしているわけでございます。  次に、日本の持続的な経済の発展にとって今何が最重要なのか、この点を総理にお伺いをしたいと思います。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、ようやく景気が回復してきたなというのが内外のいわゆる経済専門家の見方としてほぼ定着してきていると思います。昨日の政府の月例経済会議におきましても景気が回復しているという報告を受けております。実際、企業業績も向上しておりますし、設備投資も拡大している、個人消費も伸びている、なおかつ世界経済も好調であると。内外の環境もこれからの経済活性化にとってプラスに向かっているという報告を受けていますので、今後この傾向を更に伸ばしていく必要があると。  また、一面、このような景気回復機運に乗り遅れている人たちもいます。いわゆる数字の上では失業率は改善している、あるいは有効求人倍率も一以上だという数字は出ておりますけれども地域によっては依然としてまだまだ失業者は多い、また職を探しているんだけれども自分に合っているような職はないと、あるいはまた正規社員になりたいけれども正規社員のままであるというような方もおられますので、そのようなフリーターとかニート対策、さらには正規社員と非正規社員との格差の問題、そういう点についてもきめ細やかに対応をしていく必要があるなと思っております。
  163. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、政府与党の方で新経済成長戦略大綱というものをまとめながら、これからも持続的な経済発展ができるようにということでいろいろ検討をされているので、私どももこれに参加をしながら持続的な日本経済発展につながるような政策を実現していきたいと、そのように考えております。  次に、経済の発展には、それを支える国民の生活基盤の安定も欠かせないということでありまして、また財政構造改革経済発展に大きな影響を及ぼしてくるということであると考えます。そこで、当面する少子高齢化社会におきまして、我が国の社会保障の在り方と、現在検討が進められている歳入歳出一体改革に関連して質問をさせていただきたいと思うんですが。  昨日、医療制度改革の関連法が成立しました。平成十六年度には年金制度改革平成十七年度には介護保険制度改革が行われたわけであります。三年間で急ピッチで社会保障制度改革が行われているわけであります。国民の中には自己負担の増加や給付の抑制に不満とか不安を抱いている方もおりますけれども、どうして今この社会保障制度を一気に進めなければならないのか、これを進めていけば国民にどのようなメリットが将来受けられるのか、その点を、これまで改革を進めてこられた総理に、国民に向かって御説明をいただければと思います。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 年金、医療、介護、これは社会保障制度としてこれからも国が責任を持って国民生活を安定させていくためにも必要な制度だと思っております。そのためには、これをいかに今後持続させていくかということであります。  今までのように、この制度が、年金一つ取ってみても、発足当時は人生五十年、それが今は人生八十年。百歳以上生きるのは夢のごとしと思われていたのが、今や百歳以上生きている方々は二万人を超えていると。で、当時は五十歳から五十五歳平均寿命で、それで年金が六十歳から支給されるという状況から、今は六十歳あるいは六十五歳から支給されて、八十まで生きるのは当たり前の時代になってまいりました。さらに、高齢者がこれからどんどん増えてまいります。逆に、若い世代、少子化、減ってまいります。  今のままの制度でいけば、これは税金投入、保険料負担、そして自己負担、これで成り立っておりますから、制度を同じように、改善しないで、改革しないで高齢者が増えれば、高齢者は年金を受ける世代も増えてまいります。若い人と高齢者、病気にかかる率、また病気の種類、どっちが多いといえば高齢者であります。医療費も増える。となりますと、制度が決まっていますから、増える部分、自然、税負担が多くなっています。これだと増税しなきゃやっていけない、あるいは保険料負担を多くしなきゃやっていけない。医療にしてみれば、お医者さんに診てもらう、自分の自己負担を上げていかざるを得ない。  そういう中で、これを少子高齢化社会の中で、やはり年金も医療も介護も、これをなくすわけにいかぬし、このままで負担を多くするわけにはいかぬということで、余裕のある人にはある程度負担をしていただこうということの改革を進めてきたわけであります。  今後とも、年金、医療、介護というのは日本の社会保障制度としてどうしてもなくすことができない不可欠の制度だと思っております。だからこそ、若い人にも負担できる保険料を考える。国民に対しても、税の面においても、自分たちはある程度税を負担しても結構だというふうな理解を得るような努力をしていく。また、給付を受ける、医療にしても年金にしても、これの陰には、できるだけいい給付、低い負担で、治療なり給付を受ける場合には若い世代の負担があるんだと、税金の負担があるんだということも考えていただいて、お互い支え合っていくような制度をつくっていく必要があると思っております。  大変難しい課題ではありますけれども、これに取り組んでいくのが政治の責任ではないかと思っております。
  165. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 大変難しい課題であるけれども、それに取り組んでいくのが政治の責任といいますか、使命であるということでありますけれども。  それで、今歳入歳出一体改革が進められておるんですけれども、さきに述べましたように、医療、介護、そして年金と改革が進められておりまして、またその成果が十分に検証できてないところも当然ながらあるわけであります。そういう検証を踏まえながら歳入歳出一体改革を進めていただきたい。そういう意味では、負担が今増えておりますので、これを更に抑制をする、給付を抑制するというようなことは慎重に扱っていただきたいなと、これは私の意見でございます。そしてまた、喫緊の課題である少子化対策という面では、やはり十分な対応をしていただきたい、これも私の主張でございます。  時間の関係上、地方の経済活性化についてもお聞きしようと思いましたが、ちょっと時間がないので、地方の経済にとっても重要な農業問題について質問をしていきたいと思いますが。  WTO交渉が大変今重要な時期になってきております。WTO農業交渉の現状と今後の取組について、三浦副大臣、いらっしゃいますか、お答えいただきたいと思います。
  166. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) お答えいたします。  WTOの農業交渉につきましては、本年十二月末のドーハ・ラウンドの最終合意に向けまして、現在ジュネーブにおきまして集中的な議論が行われているところでございます。先週末にはファルコナー議長によります市場アクセスについての参照文書が提示をされまして、今週は市場アクセスに関する議論などが行われております。  このような中、十九日の週には、これまでの議論を踏まえまして、関税削減率や補助金の削減等についてのルールを規定しますモダリティーの原案が議長から提示をされることとなっております。  我が国といたしましては、引き続き積極的に交渉に貢献をしながら、食料純輸入国としての我が国の主張がドーハ・ラウンドの成果に最大限反映されていきますよう努めてまいりたいと考えております。
  167. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 農業の方は今構造改革が進んでおりまして、これから日本の農業のこれもまた持続的な発展といいますか、それを担っていただける方々、これを支援をしていくということでございますので、これの政策にもこのWTO交渉というのは本当に密接に絡んでおりますので、しっかり交渉をしていっていただきたいと、そのように思います。  それから、村上ファンド事件に関して質問をさせていただきます。  先ほども福井日銀総裁から様々なお答えがございました。ダブるところもございますので一部省略をさせていただきますが、私も、やっぱり国民には、日銀総裁の立場であればいささかも金融関係等で疑念を生ずるようなことがあってはならないと、そのように思うわけでございます。そういう観点から、これから日銀幹部の厳格な資産管理の規定とか、そういうものを設けていく、あるいは個人資産の公開等も検討を行っていただきたい、そのように思うわけでございますが、先ほども累次の質問がございました。その点だけ申し上げたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  168. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  現在でも日本銀行では役員、職員の行動規範、内部規律に関しまして厳格なルールを設けております。それに従って行動しておりまして、内部のルールにより職務の公正性を確保する、かなり十分に機能していると思っておりますけれども、今後さらに、現在のルールが将来の時代の要請に沿うように、そしてより分かりやすくすることができれば、そういう工夫の余地がないかということで検討を急いでまいりたい。  具体的な内容につきましては、中央銀行として職務の公正確保が大原則でございます。その上で、個人の財産権、プライバシー保護との関係といった法的な観点についても十分検討を加えてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  169. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 与謝野金融担当大臣にお伺いをしたいんですが、今回のライブドアの事件とか村上ファンドの事件等で日本の証券市場に対する信頼が揺らいでしまったということでありますけれども、今後、日本の証券市場の信頼性の回復のためにこういう違法行為をどのように防止していったらいいのか、監視機能をどのように強化していったらいいのか、また証券市場の透明性の確保のためにどのような改善策を取っていったらいいのか、担当大臣としまして決意をお聞かせいただきたいと思います。
  170. 与謝野馨

    国務大臣与謝野馨君) 先般、金融商品取引法という法律を御承認いただきましたので、この法律を厳密に厳粛に運用してまいりたいと思っております。  ただ、運用主体でございます金融庁また証券監視委員会は、まだまだ歴史も浅く、また人員もこれから充実をしていかなければならないと。やはり、市場の信頼性を確立して消費者、投資家を守っていくというのが金融行政の使命であると思っております。
  171. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 適切な利用者の保護ルールの確立ということもしっかりやっていただきたいと、そのように思います。  次に、社会保険庁の問題に入らせていただきます。  村瀬社会保険庁長官にお伺いをしたいんですけれども長官は大きな改革の使命を持って民間から任命されたわけでございますが、これまで社会保険庁の第一線の職員とどのような対話を重ねてきてこの改革の意識を高めるような努力をされてきたのか、その改革の効果をこれまでどのように認識をされていたのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  172. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) まず、社会保険庁は、御存じのように、保険者であり実施庁でございます。したがいまして、現場の職員が国民の視点に立って仕事ができるかどうか、これは最大の課題だろうというふうに考えておりまして、極力現場へ行きまして職員と対話を進めてきたつもりでございます。対話の中では、当然改革がどういう方向へ進んでいこうとしているのか、またそれに合わせて本当に職員が変わってくれるのかどうか、ここを重視してやってきたつもりでございます。  この職員の意識改革がなければ社会保険庁の改革はできないだろうと、こういう意識で取り組ませていただいていました。残念ながら、今回こういう問題が起こったということで、先ほど大臣からもお話ありましたように、やはり全容解明して本質をしっかりつかみたいと、これをつかまない限り次のステップはないだろうということで、今取組をさせていただいている最中でございます。
  173. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 本当に一次調査から今度の二次調査で、もうまた十社会保険事務所で新しく不正が行われていたことが分かったと。本当に国民はもう本当に怒っておりますね。こういうことでいいのかということであります。この社会保険庁の改革を本当にこれからどのように進めていくのか。最後、時間の関係で最後になると思うんですが、これ総理に、小泉総理に、どのように今後改革を進めていくのか、総理の任期中に何をやっていくのか、その点を含めましてお伺いをしたいと思います。
  174. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず実態を把握することが最初だと思います。なぜこのような不正が行われたのか。そして、この社会保険庁を解体、廃止することになっておりますけれども、この法案が今国会で審議されているわけでありますけれども、この点につきましては、審議中の様々な意見も踏まえて、今後どのような改革が必要かというものを真摯に受け止めて、年金というのは国民全体で支えているものだと、その年金業務に当たっている職員は国民から信頼を得られるような活動を是非ともするようにという意識の改革、制度の改革を含めて進めていかなければならない問題だと思っております。
  175. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 質問を終わります。
  176. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で渡辺孝男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  177. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  178. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  小泉総理とは今日が最後の質問ということで、何はともあれ長い間御苦労さまでございました。余りまともな答弁をいただいたことはございませんけれども、それなりに感無量というところはございます。是非お元気でお過ごしいただきたいと思いますけれども、ただ今日は十分しかございませんので、総理にお聞きする時間があるかどうかということでございます。  村上ファンドと福井総裁の関係ですけれども、今日はもう細かい点、余りお聞きするつもりはございません。幾つか事実確認をしたいと思いますが、ただ一言申し上げておきたいんですけれども、日銀の総務人事局、厳重に抗議をしておきたいと。私は、今日の質問に当たって、簡単に答えられることを幾つか資料要求いたしましたけれども、何と今週一杯掛かると。国会終わってしまうじゃないですか。どういうつもりなのかですね、国会終わるのを待っているのかですね。引き延ばしなのかという点では厳重に抗議をしておきたいし、このままでは済まないということも申し上げておきたいというふうに思います。  その上で、まずお聞きいたしますけれども、事の始まりは富士通総研時代の福井総裁のアドバイザリーボードの問題です。一昨日の委員会のときに、民主党の大久保議員と私が総裁にお聞きをしましたら、そういうアドバイザリーボードには入っていないと、時折アドバイスするようなフレンドリーなアドバイスだけだというふうにおっしゃいましたけれども、そのときは分かりませんでしたが、その後資料を入手いたしました。  これは二〇〇一年七月の、村上ファンドが投資家を募るときに配って、こういうファンドです、お金預けてくださいとやった資料でございます。お手元にその配付した資料の二枚目からがその募集のパンフレットになっております。これは昨日の、昨夜の報道ステーションでも独占入手したということで内容を報道しておりましたけれども、私も独占入手をいたしました。  配付資料の、めくっていけば三枚目ですけれども、ファンド・スキームというのがございます。ここのアドバイザリーボードに正式に福井さんの名前が書いてあります。一言で言えば、このファンドは最初からケイマンにおいて税金逃れをしようと。これはそのものでいろいろ聞きたいことありますけれども福井さんに関して言えば、正式にアドバイザリーボードとして入っております。  次のページ、四枚目ですけれども、ここにははっきりと元日銀副総裁と。これがいわゆる広告塔なんですよ、信用付けなんですよ、それとして使われております。  このアドバイザリーボードの役割も書いてありますけれども福井さん言われたような、たまたま、時々何かアドバイスしてあげるようなことではございません。非常に明確にボードの役割が書かれております。この点ではもう資料ではっきり、私と民主党の議員に対して虚偽の答弁をされたというのは、もう資料で明らかになっております。  また、それだけではございませんで、一昨日もあなたは、議事録に書いてあるんですけれども、いかに村上ファンドへの出資が、今日も言われていましたけれども、志に打たれただけだと、ファンドのことは私よく分からないからと、そんなことをおっしゃっていましたけれども、まるで何かよく分からない人のいい素人みたいな言い方で今日まで来られましたけれども、本当かと。  あなたは、平成十四年から日銀総裁就任までの間に別のファンドにもアドバイザリーボードとして参加されております。日本みらいキャピタルと、ここにも元日銀副総裁として参加しておられます。これは確認をいたしました。報酬も受け取っておられたと思いますが、いかがですか。
  179. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 日本みらいキャピタルというのは、企業再生を民間で試みる……
  180. 大門実紀史

    大門実紀史君 結論だけでいいです、結論だけ。
  181. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) そういうグループです。村上ファンドとは全然違ったものでございます。
  182. 大門実紀史

    大門実紀史君 その辺はいいです。
  183. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 出資なんかしておりません。  これは、村上ファンドのアドバイザリーボードというふうなものよりもう少しきちんとした、毎回会合を持ってきちんと議論する会であります。したがいまして、報酬は受け取っております。
  184. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、何か話がみんなたまたま友人の融資で支援したと、志に意気を感じたと。それで、村上ファンドだけだと思ったら、同時期にはいろんなことやっていらっしゃるわけですよ、ファンドの問題で。それを指摘しておきたいと。報酬も受け取っておられたと。ただ、今は出資をしていないということも確認をしておりますが、そういう話だと。一昨日の委員会では、みんな初めてだったから、あなたの言うことを全部否定しませんでしたけれども、どんどんどんどんあなたの言ったことは虚偽だということが出てきているということをまず指摘しておきたいと思います。  先ほど平野委員からもありました、幾らになっているかと、一千万がですね。九九年からですから相当膨らんでいると思いますが、それについては財政金融委員会で私が要求をいたしまして、出してもらうと。そして、日銀は今それを計算していただいていると。ですから、待っております。それは待っておりますが、ただ、今日までの間に少なくとも、先ほど平野委員からもありましたけれども、去年の確定申告については分かるでしょうと。あの確定申告は分離申告で非常に簡単でございます。村上ファンドから一枚の計算表が送られてきて、あなたはそれに基づいて確定申告するだけ。したがって、家にお帰りになれば、その計算表、そしてあるいはその確定申告書、この控え、これを見れば何も三日も四日も掛からないんです。すぐでも答えられるんです。それをどうして今週一杯掛かるとか国会終わってからになるとか、これはもう国会終わるのを待っていると、引き延ばしとしか考えられないんですが。  簡単です。家にあるでしょう、控え。それとも、あれですか、先に聞いておきますが、計算書も確定申告書も紛失されたということですか。
  185. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 参議院の財政金融委員会から正式の資料要求を受けております。これにきちんとおこたえするために今資料を整理していると、こういう段階でございます。  それから、先ほど私の国会での答弁が虚偽であるというのは是非取り消していただきたいと思います。一言も虚偽はついておりません。  アドバイザリーボードは、村上ファンドのアドバイザリーボードは、ほかの民間会社のアドバイザリーボードのようにかちっとしたものではなくて、したがって報酬もないと、事実をそのとおり申し上げております。  それから、もう一つのみらいキャピタルについての御質問は全くなかったわけで、今それは初めてお答えしたと……
  186. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、そのとおりに答えればいいでしょう。
  187. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) いずれも民間時代のことでございます。(発言する者あり)
  188. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  189. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。
  190. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 関係書類はコピー等が残っている限りは持っております。したがいまして、それを今精査して、財金の御要求にきちんとお答えすると、そういう手順にいたしております。(発言する者あり)
  191. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  192. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。  もう一度質問の方、お願いいたします。
  193. 大門実紀史

    大門実紀史君 財政金融委員会で私が要求して、委員会として要求しているのは、九九年からの全体の資料でございます。それが間に合わないだろうから、去年の分だけすぐ分かるからと、分かるはずだからと。そうしたら、答えますとおっしゃったんです。どうしてすぐ分かるものが今週一杯掛かる、来週になると。  だから、それだけ先にというのは私の要望です。それに対して、答えるとおっしゃっていて待たされているから、今日まで出ないから申し上げているんです。その分だけ答えてほしいという質問でございます。
  194. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お待たせしていることは大変申し訳ないと思っております。  ただ、全体としての整合性をきちんとチェックして数字に誤りがないように……(発言する者あり)
  195. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  196. 小野清子

    委員長小野清子君) 速記を起こしてください。
  197. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしたら、私が財政金融委員会で要求して、委員会としても今要請している資料を国会開会中、あしたまでに出す努力をしていただけますか。
  198. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 最大限努力いたしますけれども、確実にというところまで申し上げ……(発言する者あり)
  199. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう時間食うばかりなので、私が個別に財政金融委員長と一緒に詰めたいと思います。あしたの朝まででないと間に合いませんから、国会が終わってしまいますから、詰めたいと思います。  最後に、もうせっかくですから総理にお伺いしたいんですけども、私は、この問題はそんなに軽い問題ではありません。中央銀行の総裁の言動というのは経済全体に影響いたします。ある意味では総理よりも神聖なポジションなんですよね。有象無象じゃ難しいわけですよ。そういう方が、そういう方がこういうインサイダー取引とかかわって、今度の運用利益には入ってくるんですよ。福井さんの今度の利益の中にこの前のインサイダー取引の中の幾つかの、幾らかの配分で受け取っちゃうわけですよ、いったん。こんなことは世界の中央銀行の総裁があり得ないこと、恥ずかしいこと、もう日本の恥でございます。  総理、もうお辞めになるということでしたら、私、この前取り上げましたけど、三井住友、日本郵政の西川社長ももう結局ああいう話、福井さんもこういう話、何かもうみんなグレーゾーンなんですよ。こういう人たちをあいまいにしたままお辞めになるべきじゃない、一緒に連れてお辞めになるべきだと思いますが、いかがですか。
  200. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあ、大門さんの意見とは違います。
  201. 大門実紀史

    大門実紀史君 何を聞いても唇寂しい五年間でございました。  ありがとうございました。
  202. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  203. 小野清子

    委員長小野清子君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  204. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  福井総裁に質問します。  去年の確定申告はありますね。御記憶では村上ファンドから幾らもうかったか、教えてください。
  205. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 申し訳ありません。先ほどから繰り返し申し上げておりますとおり、財金委へのレポートの中ではきちっと御報告を申し上げます。
  206. 福島みずほ

    福島みずほ君 ここは予算委員会です。御記憶あるでしょう。  じゃ、確定申告は家にある、それでよろしいですね。記憶では幾らか。その二つについて端的に答えてください。
  207. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 確定申告はきちっとしておりますけれども、うろ覚えの数字で申し上げるわけにはいかないと思います。
  208. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、幾らもうかったか、通告で出しております。今日、予算委員会に出るに当たって、幾らもうかったか、確定申告、去年の分ぐらい確認して来るべきではないですか。
  209. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 国会に正式に御報告する数字については、全体の整合性をきちんとし、誤りなき数字を出したいということでございます。
  210. 福島みずほ

    福島みずほ君 納得できません。  去年の確定申告見ればいいじゃないですか。顧問税理士に電話一本すれば分かることじゃないですか。予算委員会で議論になっているのに、なぜそれを明らかにできない。客観的な事実でしょう。(発言する者あり)してますよ。幾ら今までもうかっているか、予算委員会で通告しています。  今日、小泉総理の、私が恐らく国会議員として小泉政権最後に質問する国会議員になるだろうというふうに思います。  私は、小泉内閣の五年間、不信任に値すると思います。野党としては、本来であれば不信任をすべきであると私は考えております。  まず一番許せない問題だと思うのは、イラクの派兵の問題です。大量破壊兵器があるとこれは言ってアメリカの戦争に加担をし、これを認めた。そして自衛隊をイラクに派遣をしました。イラクで亡くなった四万人以上の人たちは一体どうなるのか、どういう説明が付くのか、私はお聞きしたいと思います。  また、イラクへ自衛隊が派兵したまま、派遣したまま泥沼の状態です。一体いつ撤退をするのか、どういう形で派遣した総理大臣として責任を取って撤退をさせるのか、お聞きをしたいというふうに思います。  また、この五年間の間、今国会でも、教育基本法の改悪法案、国民投票法案、そして自衛隊の、防衛庁の昇格問題、共謀罪、様々な問題が議論をされ、審議をされ、多くが継続審議となります。こういうこと、日本の戦後民主主義、憲法を揺るがすようなこんな法案を政権の末期に、こんなどさくさで議論をすること自身、非常に問題だと思います。  今月の八日、インドネシア政府に対して巡視船艇三隻をODAとして供与することを決めました。武器輸出原則にも反していますし、ODA大綱にも明確に反しています。小泉政権五年の間に戦後民主主義が大きくかじを切り、平和憲法が本当に危機にさらされていると思います。  次に、今日出た問題ですが、小泉政権下で格差拡大は明確となりました。個人規模別、地域規模別、企業規模別格差が拡大をしています。非正規雇用の人たちは拡大をしました。雇用が破壊され、この五年間の間に健康保険の改悪、年金の改悪、去年は介護保険の改悪と障害者自立支援法案、そして今国会では医療制度の改悪法案が成立をしました。大増税と福祉切捨て、格差が拡大をしています。  そして、例えば、この委員会でもピーエフアイ株式会社、高知の件を質問しました。単に格差が拡大をしているというのではなく、オリックスの宮内さんがこの高知ピーエフアイ株式会社、二千百三十二億円で入札をしています。民間開放規制会議、自分たちがルールをつくって、官から民へ、民営化できるものは民営化とやって、自分たちが金もうけをする。本来、みんなに行き渡るはずのお金を自分たちで吸い上げていく。これが小泉構造改革の本質であり、勝ち組政治であると考えます。  再チャレンジという名前のビジョン、言っている人がいます。しかし、殴り付けながらばんそうこうを張るようなものじゃないですか。格差拡大を進めながらばんそうこうを張っても何の役割も果たしません。殴り付けることそのものをやめるべきだと。  小泉さんのこの政権不信任、そして、今日明確に答弁をしない福井総裁は辞任をすべきであるということを強く申し上げたいと思います。  総理、五年間、この私が申し上げたことについていかがですか。
  211. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全く意見が違います。  意見が違っている中で、国民から多数の支持を得て政権を担当しております。
  212. 小野清子

    委員長小野清子君) 時間ですけれども
  213. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  アメリカに行ってアメリカ産牛肉を輸入しないように、また在日米軍基地で三兆円、あるいは七千百億円もひどいと思います。プレスリーの記念館に行きエアフォースワンで行くことのために、こういうことが、逆にお土産として持っていくことは断固許せない。そのことを申し上げ、小泉内閣には不信任しかないということを申し上げ、私の質問を終わります。
  214. 小野清子

    委員長小野清子君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて経済及び社会保険庁問題に関する集中審議は終了いたしました。     ─────────────
  215. 小野清子

    委員長小野清子君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  218. 小野清子

    委員長小野清子君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 小野清子

    委員長小野清子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会