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国務大臣(
麻生太郎君) 犬塚議員から十問いただいております。
まず、
在日米軍駐留経費の
負担割合についての
お尋ねがありました。
日米の
負担割合は、
米軍の
駐留に伴い必要となる
経費の範囲のとらえ方や為替レート等々の変動により、一概に算定、比較し得るものではありません。また、御指摘の
米側資料は、
米国防省が
米国議会に対して提出しているものでありまして、
日本政府としてその
内容につき評価を行う
立場にはありません。
いずれにしても、我が方の試算によれば、二〇〇四年度におきます
日米の
負担割合は、
日本側五一%、
米側約四九%となっております。
次に、
日米安保体制についての
お尋ねがあっておりました。
アジア太平洋地域には、
冷戦終了後も
地域紛争、
大量破壊兵器、
ミサイルの
拡散等、依然として不安定で不確実な
状況が
存在をいたしております。このような
状況の中で、
日本が自らの自衛力のみでは自国の安全が脅かされるようなあらゆる
事態に対処できない以上、
日米安保条約を引き続き堅持し、
米軍に
施設・
区域を提供して
米軍の
抑止力の下で
日本の安全の確保をすることが必要と存じます。
続いて、
テロは
戦争かについての
お尋ねがありました。
テロリズムにつきましては、一般
国際法上、確立した定義があるわけではありません。一般的に、
テロリズムとは、特定の主義主張に基づき国家などにその受入れを強要又は社会に恐怖を与える
目的で行われる人の殺傷行為とされておると
承知をいたしております。これに対し、
戦争とは、
国際法上その定義がこれまた確立しているわけではありませんが、一般的に、国際紛争を解決する
最後の
手段として二つの国が対等の
立場で国権の発動としての武力を
行使し合うというように
承知をいたしております。
御指摘のQDRを始め、
米国は九月十一日
同時多発テロを受けまして、国際
テロとの
戦いを
戦争と形容しているものと
承知しておりますが、これは、国際
テロとの
戦いにおいて外交、軍事、財政、
経済などのあらゆる分野で長期的な対策を行う必要があるとの
政治的な意味でなされているものと
理解をいたしております。
いずれにしても、
テロはいかなる
理由をもってしても正当化はできません。これは断固として非難されるべきものであります。
我が国としては、
テロリズムとの
戦いを
我が国自らの安全確保の問題と
認識しつつ、国際社会と一致結束して具体的かつ効果的な
措置を迅速かつ総合的に展開していく
考えであります。
次に、
テロとの
戦いを
国際法の下に置き、
テロの定義を急ぐべきではないかとの
お尋ねがあります。
一般
国際法上、
テロの定義が確立しているわけではありませんと今申し上げましたが、これまで国際社会として、
テロ防止関連条約の作成に当たり、ハイジャック、人質を取る行為、爆発物の設置、
テロ資金の供与、いわゆる典型的な
テロ行為に該当する
一定の行為類型につきましては、これを
犯罪とし、処罰のための法的
枠組みを
整備するとの対応を着実に積み重ねてきたところであります。これまでに十二本の
テロ防止関連条約が発効するとともに、昨年四月には、新たに核
テロリズム防止条約も採択され、
我が国も既に署名をいたしたところであります。
また、国際社会におきましては、現在、包括的な
テロ防止条約の策定に向けた議論も行われており、
政府といたしましても、その早期妥結を支持し、今後とも、このような国際的な法的
枠組みの
整備に粘り強く取り組んでまいりたいと存じます。
続きまして、
日米同盟及び
海外平和協力等についての
お尋ねですが、
日米両国は、
世界の中の
日米同盟との
考えの下、
アジアを含む
世界の国々や国連諸機関と協調しつつ、
世界の直面する
課題に
協力して対処してきております。
米軍による
施設・
区域の使用は
日米安保条約及び関連取決めに基づき認められ、また、
我が国による後方
地域支援は
関係国内法令に基づき実施されることになります。
我が国は、国際社会の
責任ある一員として、
世界の平和と繁栄のため、
日米同盟と国際協調を外交の基本として、平和の定着や国づくり、人間の
安全保障といった理念を掲げつつ、様々な分野において
我が国にふさわしい国際
協力を積極的に行っていきたいと
考えております。
次に、
米国の先制行動についての
お尋ねでありますが、昨日発表されました
米国の国家
安全保障戦略は、先制行動について、二〇〇二年九月に公表された同戦略を基本的に踏襲、
米国は生起しつつある脅威を先制するため、すべての場合に武力に訴えるわけではなく、非軍事的行動が成功することを選好しており、また国家は先制を侵略のための口実としてはならない旨を記述しております。いずれにせよ、
米国が
国際法上の権利及び義務に合致して行動することは当然であると
理解をいたしております。
米国による将来のあり得べき
武力行使に対する
我が国の対応につきましては、その時々の
状況を踏まえて
我が国として適切に対応していくのは当然であります。
なお、米英等による対イラク
武力行使は、累次の関連安保理決議に基づき取られた行動と
認識をいたしております。
次に、
国際貢献についての
お尋ねがあっておりましたが、グローバル化が一層進む中、
我が国の安全と繁栄にとって国際社会の安定と持続的な発展はますます重要であります。例えば貧困、飢餓といった問題は
テロ、紛争に結び付きかねません。国際社会の安定を脅かし、ひいては
日本国民の生活にも多大な
影響を及ぼしかねません。したがって、
我が国にふさわしい
国際貢献を積極的に行っていく必要があります。
特にODAにつきましては、国際
協力を通じて
国益を実現していく
我が国にとって最も重要な外交
手段の
一つであります。ODAは単なる施しではありません。
我が国にとって好ましい国際環境をつくり、最終的にはより良い国際社会を形成することを通じて、回り回って
我が国の安全と繁栄につながるものと
考えております。また、
日本国民の生活に多大の
影響を与えかねない国際社会の諸問題に対して、ODAを戦略的に活用して、より良い国際社会の形成を図っていく必要があろうと存じます。
就任以来、こうした
考えに基づき、様々な機会に
説明してきておりますが、引き続き、ODAや国際平和
協力活動などを通じた
国際貢献の必要性とその効果に対し
国民の
理解が得られるよう、率先して
説明を行ってまいりたいと存じます。
続きまして、ICC規程の
締結に関する
我が国の取組についての
お尋ねがあっております。
我が国は、国際社会における最も深刻な
犯罪の発生を防止し、もって国際社会の平和と安全を
維持する
観点から、ICC、いわゆる国際刑事裁判所の設立を一貫して支持してきました。
政府は、現在、
我が国がICC規程を
締結する場合の国内法の
整備の形式及び
内容につき、
関係省庁で緊密に
協議検討しつつ具体的な作業を進めております。今後もICC規程を可能な限り早く
締結できるようこの作業を着実に進めていきたいと
考えております。
また、
我が国がICC規程を
締結すれば加盟国として相応の
予算の
負担を、義務を負うということになり、
予算手当てが容易ではないという問題もあります。この問題につきましては、
我が国の
財政事情が極めて厳しい中、
国民、国会、
政府部内において可能な限り広範な
理解を得つつ、
政府全体で取り組んでいく必要があろうと
考えております。
これまでもICC関連の会合にオブザーバーとして参加をしてきておりますが、今後ともICC関連の会合には可能な限り積極的に出席し、国際刑事裁判に関する
国際法の発展に
努力していく
考えであります。
次に、
日米同盟のビジョンについての
お尋ねであります。
昨年二月の2
プラス2では、
アジア太平洋地域及び
世界において
日米が追求する共通の戦略目標を確認しました。これを踏まえて、
日米の
役割、任務、能力や
在日米軍の兵力構成見直しに関する更なる
協議を行い、その成果を昨年十月の2
プラス2において
取りまとめております。これは、
抑止力維持と
地元の
負担の軽減を通じて
日米安保体制を一層強化していく上で極めて重要なものと
考えております。
また、
日米両国では、これまでも、
テロ、イラク、北朝鮮、災害
復興支援といった諸
課題に
協力して対処してきております。今後とも、このような
世界の中の
日米同盟を強化してまいりたく存じます。
最後に、憲法と
我が国にふさわしい国際
協力の在り方についての
お尋ねがありました。
新しい
時代における憲法の在り方につきましては、大いに
国民的議論が行われることが重要であります。平和主義という基本理念につきましては、多くの
国民からも広く支持をされてきたものであり、将来においても堅持されるものであろうと存じます。
我が国は、憲法の平和主義の理念の下、引き続き文民統制を確保するとともに、専守
防衛、他国の脅威に、与えるような軍事大国とならないとの理念を堅持してまいります。
我が国は、これまで国際社会の
責任ある一員として、
世界の平和と繁栄のため、
日米同盟と国際協調を外交の基本としてまいりました。
お尋ねの平和の構築に当たっては、平和の定着や国づくり、人間の
安全保障といった理念を掲げつつ、様々な分野におきまして
我が国にふさわしい国際
協力を積極的に行ってきたところです。
今後とも、平和国家としての基本理念の下、ODAや国際
協力活動などを通じて、財政的、物的、人的、知的な面から、様々な分野において
日本らしい、適宜、時節に合った国際
協力の在り方を追求してまいりたいと
考えております。(
拍手)
〔
国務大臣額賀福志郎君
登壇、
拍手〕