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2006-06-01 第164回国会 参議院 文教科学委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     神本美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 啓雄君     理 事                 大仁田 厚君                 北岡 秀二君                 佐藤 泰介君                 鈴木  寛君     委 員                 荻原 健司君                 河合 常則君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 中川 義雄君                 神本美恵子君                 西岡 武夫君                 林 久美子君                 広中和歌子君                 水岡 俊一君                 浮島とも子君                 山下 栄一君                 井上 哲士君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    参考人        足立区立おおや        た幼保園長    赤坂  榮君        国士舘大学文学        部教授      小宮山潔子君        有限会社遊育代        表取締役     吉田 正幸君        社会福祉法人か        やの芽福祉会か        やの木保育園長  下條 忠幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○就学前の子どもに関する教育保育等総合的  な提供推進に関する法律案内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月三十日、蓮舫君委員を辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 就学前の子どもに関する教育保育等総合的提供推進に関する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として足立区立おおやた幼保園長赤坂榮君、国士舘大学文学部教授小宮山潔子君、有限会社遊育代表取締役吉田正幸君及び社会福祉法人かや芽福祉会かやの木保育園長下條忠幸君の四名の方に御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日の会議の進め方でございますが、まず赤坂参考人小宮山参考人吉田参考人下條参考人の順でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は、意見陳述質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。  それでは、まず赤坂参考人から御意見をお述べいただきます。赤坂参考人
  4. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 皆様おはようございます。  東京都足立区から参りました足立区立おおやた幼保園園長赤坂榮でございます。本日はよろしくお願いいたします。  今日はお手元に区立おおやた幼保園要覧を御提出させていただきました。御参考にしていただければと思います。  足立区立おおやた幼保園は、平成十五年七月に策定されたあだち幼児教育振興プログラムにおける保育教育研究実践園として位置付けられ、平成十六年度、二年前に発足いたしました。足立区では今、人間力向上につながる、本当にその揺るぎない基礎は幼児教育にある、乳幼児教育にあるというように、最重要課題として取り上げております。  実は、足立区には現在、公立・私立、幼稚園保育園認証保育所等、百八十園に及ぶ幼児教育施設がございます。これらは正に足立区の財産であるというようなとらえ方の中で、それら一つ一つ乳幼児教育施設充実し、地域のために様々な力を発揮することによって足立区内乳幼児教育充実するだろうというような考えの下に、今、本園はそのモデルとなるといったらよいでしょうか、研究実践園として事業展開をしているところでございます。  本日の意見陳述では、幼児最善利益中心に据えた総合施設事業展開に論点を当てまして、足立区立おおやた幼保園運営状況を紹介しながら、就学前の教育保育を一体としてとらえた総合施設在り方について、これまでの二年間の実践の中から得た成果土台に、今後の望ましい在り方についてもお伝えできたらと思います。  私は、総合施設の誕生の意義について次のように考えています。  現在、少子化が進み、子供を取り巻く家庭地域状況にも大きな変化をもたらしています。そして、就学前の保育教育につきましても、子供育ちの問題、家庭教育の問題、あるいは保護者ニーズの問題、子育て支援などなど、多様な問題が山積しているところだと思います。私は、このような中、総合施設の開設をきっかけに、幼稚園保育所の垣根を低くした幼保連携がますます必要になってくるのではないかなと思っています。  さらに、一人一人の子供育ちを支える保育教育充実を目指すとき、乳幼児教育保育、あるべき姿を改めてとらえ直し、地域保護者を巻き込んだ保育教育推進が最重要課題であろう、そんな考えをしております。  総合施設につきましては、この教育保育充実子育て支援、多様なニーズにこたえるの機能を果たす視点から、しっかりとした理念を持って今後運営されていくことが重要であると考えます。  その中の一つ教育機能でございますが、学校教育の始まりである幼稚園教育蓄積土台に、その充実発展が原動力になるのではないかと思います。同時に、長時間、長期間の保育における保育教育在り方については、保育所のこれまでの蓄積が大きな力となっています。教育課程の編成、指導計画作成環境の構成など、教育保育視点でそれぞれの専門性を生かし、多様なニーズに応じた方向性を見付け、幼児教育を高めていく必要があります。  幼稚園においても長時間の保育が求められ、保育所における幼児教育視点が当てられているこの状況の中で、なおかつ幼児最善利益中心に据えた総合施設在り方は、一人一人の幼児育ちを支える幼児教育実践を目指すこと、このことこそまず重要な問題でございます。  それでは、足立区の幼保一体化施設運営を通して少しお話ししたいと思います。  お渡ししました幼保園要覧の裏側のところを見ていただきたいと思います。こちらでございます。  本園は、平成十五年七月に策定されたあだち幼児教育振興プログラム研究実践園として二年前に開設いたしましたが、その大きな目標地域子供地域で育てるでございます。幼稚園保育園の枠を超えた教育実践を、足立区の全幼児教育施設へ本園の実践を発信し、足立区全体の乳幼児教育充実発展を目指したものであると考えています。  幼保一体化目的ですが、一つには幼稚園保育所一元化することにより、双方の良さを取り入れた質の高い育成内容提供すること、二つには保護者ニーズに沿った保育時間を保障すること、三つには幼稚園保育所が共同して保育実践研究課題解決に当たり、区内乳幼児保育教育施設へ発信する、このような目的を持って足立区のおおやた幼保園はつくられました。  開いていただきたいと思います。  おおやた幼保園には、現在、一歳児十三名、二歳児十四名、三歳児十五名、四歳児三十三名、五歳児三十三名、合わせて百八名の子供たちが在園しています。失礼いたしました。またお戻しいただければと思います。子供の人数が書いてございます。職員は、幼稚園教諭五名、保育士十一名の正規職員のほか、非常勤職員臨時職員が十六名おり運営しております。  右下にありますが、父母会活動も活発で、おおやた幼稚園時代からの活動の積み上げの歴史が、現在もその運営方法、人のつながりなど大きな機能を果たし、子供たちの豊かな環境づくりに向けて力が注がれています。  表紙に移していただきたいと思います。こちらでございます。「かんじるこころ かかわるよろこび やりぬくつよさ」、正に今子供たちに育ってほしい、この内容園目標にしております。見えにくいんですが、こいのぼりが大きく泳いでいるのは五歳児が四、五名で共同して作った作品、それを一歳児から五歳児の子供らが、できたって眺めている写真がございます。右下の方は、これは四歳児でございます。砂と水を使って考えたり工夫したり、自分イメージを表現したりと、保育内容充実を最重要課題として挙げている、そんなメッセージをこの表紙からお伝えしたいと思います。  では、中をお開きください。具体的に幼稚園教育保育所保育との融合の実践がございます。  幼稚園教育は、御承知のとおり、学校教育法七十七条に規定する目的を達成するために、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行う、正に遊びや生活を通して教育をするということをしっかりと位置付けております。また、保育に欠ける乳幼児保育するという児童福祉法三十九条に基づき、その保育に欠ける欠けないという枠組みではなく地域子供を育てている、それが運営の実態でございます。  幼保園の特色としては、この緑の枠の中にありますが、幼稚園保育園を融合した乳幼児保育教育就学前の一貫した保育教育実施給食による食育実施等々、ここに書かれてあるとおりです。特に幼稚園におかれましては、今まで三、四、五歳児の子供がかかわっていた毎日の生活が一歳児から園の中にいる。双方の交流の中で子供育ち合うという本当にメリットがあると思っております。また、給食を施しているところでの食育についても、一体化施設の中でたくさんの恩恵を受けて、子供たち育ちにつながっているなということを感じています。また、親子触れ合い活動であるとか父母保育参加、これは、なかなか保育園状況では実施しにくかった活動も、一体化施設ということで、早めに保護者に連絡をしながら、子供教育保護者も参加するというようなところでは果敢に挑戦し、今成果を上げているところでございます。  一歳児から五歳児までの一体したカリキュラムの概要については、右上のちょっと半形のところに書いてあります。三、四、五歳児の保育という取り出したものではなく、子供は生まれたときから、ある意味ではゼロ歳からトータルして発達、学びの連続性考え保育をしっかりしていこう、その上で、保育所保育指針幼稚園教育要領にのっとった保育推進というところでは今までの保育を見直し、今社会がこれだけ変化している中で、子供にとっての保育教育は何だろうというようなところでは先生たちの熱意と愛情、そして新たな知識の吸収の中で進められていることを今自負しております。  おおやた幼保園の一日ですが、その下に書かれております。一日をトータルで考え、コアの時間という考え方ではなく、朝みんなが集まるまでの時間をそらの時間、そして集団で学び合う、そこが一番、百八人の子供がいるときですけど、これはにじの時間、個々の個性、そしてつながり合うコラボレーション、その双方をしっかりと考え、将来を担う子供を育てたいということで、にじということで、にじの時間をとらえております。かぜの時間は、午後、本来でしたらば家庭で、地域で遊ぶ子供たち、これが施設にいるということでは、むしろ幼保園の中に地域の人材あるいは地域の人を積極的に取り入れ、地域環境の中で子供を育てたいというような思いを厚くしております。もりの時間は、実は一歳児と五歳児が兄弟で通っておりますと、そこでは一緒の部屋での保育になります。ぬくもりのある家庭的な時間をというような保育時間の中にイメージをしっかり持ちながら、それぞれの時間が充実したものになるようというふうに考え保育考えております。  行事を見ていただきますと分かるように、父母との連携あるいは小学校との連携なども視野に入れ、今新たな保育実践に向けて努力しております。  終わりになりますが、幼稚園保育園連携は今少しずつ促進されているときではないかなと思います。何より同じ就学前の幼児が、保育教育をつかさどる施設としての保育充実に向けての保育園幼稚園連携は必須なことだと思っています。この総合施設制度一つを契機として、現場の乳幼児教育が更に充実し、今後の保育教育の更なる発展につながる施策となることを心から私は願っています。  終わりになりますが、この総合施設の成功は、その大きな柱となっている保護者の多様なニーズに対応する保育教育内容充実、そして子育て支援機能充実ですが、この様々な機能充実するためのキーワードはそこに働くスタッフの資質の向上であると考えます。これなくしては考えられません。本園でも、園内研修外部への研修に努めておりますが、是非、その時間や場の確保のための人員、財政的な措置をしっかりと位置付けていただきたいなと思っております。  また、子供の側に立つという視点考えますと、保護者の働き方への支援も欠かせないことだと思います。  子育てサロンについて最後に一言申し上げます。  今、朝十時から四時まで幼保園の中で子育てサロン実施しております。地域のゼロ歳から三歳のお子さんを持つ保護者が、多い月は千人、少ない月でも五、六百人の利用者があります。家庭子供を育てている保護者への支援も是非この総合施設の中で重要な視点として達成できるよう、そんな法案成り立ちを心から期待しているものでございます。  以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。失礼いたしました。
  5. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  次に、小宮山参考人にお願いいたします。小宮山参考人
  6. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 小宮山でございます。よろしくお願いいたします。  私は、大学幼児教育関係の講座を担当しておりまして、その間ずっと、なぜ日本保育施設幼稚園保育所に分かれているのかという問題と常に向き合ってまいりました。最近、ようやく総合施設の構想が起きたこの時期に私の保育施設に関する考えを本にまとめましたので、誠に厚かましいことでございますが、本日、資料としてお配りしております。本日はその内容に沿って意見を述べさせていただきます。  私の大学時代にある教官が、幼保一元化がなされなければ日本保育の未来はないと申されました。それはもうはるか昔、もう昭和四十年代のことでございます。  私は、幼保一元化といいますか、子供が通う保育施設一つであることを願ってまいりましたが、もうその理由はただ一点です。すべての子供に同じ教育保育の場が提供されるべきであるということです。小学校に入れば、親が働いているかいないかで子供の受ける教育違いクラスが違うということがあるでしょうか。ですから、このたびついにこども園法案の審議に至ったことを私は喜んでおりますし、そして期待もしております。この動きが始まりました経緯とか理念、今後の見通しなど、いろいろと問題点も感じておりますが、こども園が出発するのであれば、将来的に保育施設が収れんしていくものにしたいというのが私の願いでございます。  そもそも、保育施設幼稚園保育所に分かれているのは、そもそもの成り立ちが異なっており、それが管轄官庁法案を異にしてきたからだと言われますが、その後、時代は随分変わってまいりました。その変わっていく状況に合わせていく、合わせなければならないということで、幼稚園保育所も対応を小出しにし続けて、継ぎはぎだらけとなってきたというのが現在の制度ではないでしょうか。  その変わってきた現代の状況、これを保育という観点から三点申し述べたいと思います。それは、少子化女性就業増加、そして家庭育児をする主婦の追い詰められた状況でございます。  少子化は、幼稚園園児の減少、これに端的に現れております。しかし、一方で、特に大都市中心保育所には相変わらず待機児童がおります。これは、幼稚園施設資源を無駄にし、それなのに働く親の子供幼児教育を受けられないという状況が続いております。また、地方に参りますと、集団生活体験に支障を来すほど園児の減少した保育施設がありまして、幼稚園保育所の両方を維持することは地方財政の無駄と指摘される例も出てきております。  それから、女性就業増加したということは、子供が生まれても仕事を続けたいと望む女性も増えたということです。しかし、保育所に入れる保証がなければ出産をちゅうちょすることもあるでしょう。  また、家庭育児をしている親の状況が悪化しているということはもう皆様御存じのことですが、これは今回のこども園子育て支援が義務付けられた背景でもあると思います。核家族増加及び地域社会のかかわりの低下とつながることでもありますが、虐待という極端な、これは極端な事例ですが、これは仕事を持つ母親よりも専業主婦の場合に多く発生していることとか、育児満足度専業主婦の方が低いことなども調査で分かっております。しかし、保育に欠けると認定されない場合は、子供が三歳になるまでは保育施設には入れないわけであります。  これらの状況こども園の登場が望まれていることを示しておりますが、しかしながら、今回のこども園内容を見ますと、大変複雑で分かりにくいと思います。四つもの形がありまして、財政的にも入り組んでおります。検討にかかわった方の中からさえ、こんな面倒なものよくやると思う、自分じゃやりたくないという声が漏れ伝わってきたほどでございます。これはひとえに、出発点において一元化には触れないということがあったからではないでしょうか。現行制度を温存するという前提複雑で分かりにくいこども園をつくることになったのではないでしょうか。それぞれの文化が長年あるとか、今までいろいろできてきていて手を入れにくいとか、それは、変えまいと思えば理由はだれでも幾らでも言えます。変えなければならないという前提があれば、その難しい点は話し合って一つ一つ解決していける問題です。  私は諸外国保育制度を調べたことがございます。先進国と言われ保育制度が整っている国においてはほとんど一元化しております。例えば、スウェーデン、イギリス、ニュージーランド、カナダ、ドイツなどの国々において、保育施設幼児教育保育を区別することなく、一つ部局管轄下にあります。我が国の幼保二元化体制は世界的にもまれな例だと改めて思わずにはいられません。  しかしながら、私は諸外国をまねしようと申しているわけではありません。日本国際社会の中においても先頭に立つ地位を占めるまでになっております。社会の様々な局面において先進的な問題に直面しており、解決策を自ら考え出すべき立場になっております。日本のように急激な少子化社会が到来している国に対してどのような政策で対処すべきかを示してくれる国が存在しているでしょうか。  保育施設に関しましても、こども園日本初の独自の形を示すこととなって、それが他国の模範となることができればとても愉快だと私は思っております。それでこそ課題解決先進国面目躍如でございます。  さて、私は、今回の総合施設モデル園のほとんどを北海道から九州まで直接訪ねました。報告書というものはたくさん出ておりますが、直接施設を見て経営者担当者にお会いいたしますと、文書では分からない本当のところが伝わってきて、貴重な体験であったと思います。  その中で、訪ねることができなかったモデル園が幾つかあります。大都市のある有名な園は、外部参観は月に一日だけの予約制であると言われまして、申し込みますともう満員ですということで、結局何か月も先になって、私も少々気分を害しましてあきらめました。国会議員先生方参観も多くて、議員来園の場合はすぐにホームページで宣伝してあります。先生方もあるいは行かれたかもしれませんが、まさか何か月も予約待ちをなさったとは思いません。ほかには、報告書評価委員会に出す前にその内容を述べることはできないと申されるところもありまして、理由に納得したわけではございませんが、伺いませんでした。あと、参観は断っていますというところ、それから、うまくいっていないので見ていただくものがないと、そういうところがありました。  それで、結局約三十のモデル園を全国に訪ねましたが、その結果として、三種類に分けて言えるかと思います。以前から独自に総合化に取り組んで、法案がどうなろうとも今後も続けたいというところがきちんとあります。反対に、余り意欲的でないところがあります。そして、大多数の多くのところは、続けたい、けれども、一体制度としてどうなるのだろうと不安な気持ちで今後の展開を注視しています。  実際に実施した園の多くはこども園利点を実感しています。多くの園が述べる利点としては、乳児期から子供育ちを一貫して見ることができて保育の質が深まるということ、そして地域子供たちが同じ場所で交流できて地域社会関係が改善されていくということ、それから母親育児不安を解消するのに役に立つということなどが挙げられると思います。  モデル園の方では継続を望み、一方で需要もあるわけです。こども園というのはやるべき政策なのですが、それにしては従来からの問題点が改善されていません。これではこども園に転換することのメリットがいま一歩よく分かりません。今までのように、一部の意欲的な施設子供のためにこれがいいのだという理念に支えられて複雑に苦労して実現してきた段階、そこから進んだという印象が余り見えません。  モデル園側からの要望をあえて集約しますと、私は次の三点だと思います。手続が簡素になること、財政面で分かりやすくなること、そして四種類などでなくすっきりした一つの形であることです。経営者利用者もこれまでの複雑なシステムが改善されることを期待していました。そして、やりやすくならないことに失望しているのです。彼らを無力感に陥れていく罪は重いと言わざるを得ません。その原因が何なのかも皆分かっていることです。  それでも、今回、こども園推進室が設置されることに関係者期待を掛けております。推進室には一歩を踏み出していただきたいのです。  それは、具体的に申しますと、例えば手続書類が、文部科学省厚生労働省、県、市町村などにそれぞれ必要であったものが、同じなのか、増えるのか、半分に減るのか、一枚でよくなるのかといったことです。自治体の窓口一つになったといいましても、従来どおりの多くの書類が要求され、窓口が従来の部局に配っているだけという例もあるわけです。新たな法律を作るのでしたら、それがどういう効果を生むのかということが明確になるべきだと思います。  一方で、保育所に入れない数万人の子供たちがいます。他方で、定員割れ、空き教室の目立つ幼稚園があります。地域子供集団の再結集も必要です。母親子供だけの孤独な密室育児を解放する場も必要です。こども園によって救われる多くの親子がいるのです。  こども園法案は、国というものが利用者となる国民要望を代弁するのだという、そういう見本の法律になるべきです。こども園を広めるも広めないも利用者が決めるのだという言い方が伝わってきたこともありますが、それであるならば、こども園国民に周知させるための徹底した広報活動を特に要望したいと思います。  お時間で済みません。保育施設に関しましては、これまで関係各省庁が入り乱れて、それぞれがそれぞれの主張を譲らないというところがありました。今回の機会に国としてまたしてもそこのところを突破できないとすれば、国民として誠に残念の極みであります。今回の推進室設置を足掛かりにして、それが長年の懸案を解決する方向に向かう役目を果たしてほしいということが最後に私の特に要望したいことでございます。  以上でございます。失礼いたしました。  ありがとうございました。
  7. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  次に、吉田参考人にお願いいたします。吉田参考人
  8. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) おはようございます。  「遊育」、遊び育つという保育専門誌を出しております。幼稚園保育園先生方が主たる読者でございまして、今日は、私は大学先生方ほど学識も理論もなく、幼稚園保育園先生方ほど現場も知らずということでございますが、大学の先生よりは少し現場を知っていて、現場の幼稚園保育園先生方よりは少し理屈が分かるという、こういう立場だろうと思います。それから、この中で、今日、たまたまでございますが、いわゆる認定こども園に至る総合施設の合同検討会議委員総合施設モデル事業評価委員会委員をやっておりましたので、直接そこの議論にかかわったということでお話を申し上げたいと思います。  今日レジュメを用意してございますのでまず簡単に申し上げたいと思いますが、まず、こども園であるかないかという以前に、子供家庭を取り巻く状況というのを、やっぱりこれを押さえておく必要があるだろうと、こう思います。  特に今大きな特徴というのは、いわゆる小学校就学前のお子さんのいる家庭核家族化が物すごく進んでいる。四、五年前のデータでもう八割が実は核家族化と。しかも、核家族というのは親と子だけの家庭でございますが、その親と子の親の方も離婚その他で、最近は母子家庭、父子家庭という一人親家庭が増える。より単位の小さな、非常に小さな家庭になってきている、これが特徴の一つでございます。  それからもう一つは、やはり男女共同参画ということもあって、あるいはこれから人口減少社会で少子高齢社会でという中で、どうしても女性就労は確実に高まっていく。つまり、働く母親も当然増える。これも数年前のデータで、三十歳代前半の女性の六割ちょっとがもう働いている。これは間違いなく増えると思います。そうすると、核家族で、親と子しかいない家庭で父親のみならず母親も働くということになれば、当然昼間そこには子供しか残らない。じゃ、この子供はだれが面倒見るんですかと。要するに、保育に欠ける子供が今構造的に増えているということだと思います。  そういう意味で、この十年近く、少子化子供の数は減っているのに保育所に入る子供は増え、場合によっては入れない待機児童まで出、一方で幼稚園の方は少子化の影響で園児減という顕著な特徴が出ています。それは幼稚園保育園の個々の努力の問題ではなくて、今申し上げた構造的な理由から、どうしても保育に欠ける子供が結果的に増えて、保育所志向、ある種の幼稚園離れにつながっているんじゃないか、こう思います。  それから、もう一つの特徴というのは、やはりよく言われるように、家庭地域社会子供に対して本来持っていた様々な力を失ってきている。特にしつけとか基本的生活習慣を含めて、子育て力、教育力が低下をしているということだろうと思います。そういう中で、やっぱり子供同士の交流も減る、あるいは同年齢、異年齢のかかわりも減る、親以外の大人とかかわって社会性を培うチャンスもなくなってくると、こういう状況で今進んでいるんであろうと思います。  そういったことをトータルに考えると、ある種の保育時間の長時間化はこれはもう避けられないだろうと思います。そして、家庭が本来行っていた家庭養育もある部分肩代わりをしなきゃいけない。極端な場合は、今、昔と違って幼稚園でも三、四歳でトイレットトレーニングが必要な子供が出てきていると、こういう状況でございまして、昔では考えられなかったそういう部分も必要になる。と同時に、じゃ、そういういわゆる養護的な、ケアの面だけでいいかというと、子供集団そのものが兄弟が減ったり地域の異年齢集団がなくなる中で保障されない。それに対しては、もう幼稚園保育園を問わずに、やはり同年齢、異年齢の子供集団とか、あるいはその集団の良さを生かしたある種の幼児教育充実というのは多分避けられないんだろうと。  そういう状況をトータルに考えると、今後日本に生まれ育つ子供にとっては、保育所幼稚園かということではなく、ある一定の長時間保育も必要だし、家庭養育のケアも必要だけれども、同時に集団の良さを生かした質の高い教育も必要になると。当然そういう中から、ある意味で必然的に総合施設みたいなものが出てきたんだろうと、こう思います。  ただ、そうは言いながら、直接やはりこの総合施設の提言がなされたのは、経済財政諮問会議を始めとした国の構造改革でございますので、こう申し上げていいのかどうか分かりませんが、その構造改革の方は余り明確な理念があったと私は実は考えておりません。しかし、これから誕生するわけですから、是非ともこの国会の審議を通して認定こども園理念のある、血の通った仕組みにしていただきたいと、こう思うわけでございます。  その理念について、私は一番今、これまでの検討会議でも、評価委員会でも申し上げてきたことでございますが、ソーシャルインクルージョン、片仮名で申し訳ないんですが、要するに、子供に何ら責任がない、親の所得が多いとか少ないとか、人種が違うとか宗教が違うとか、障害があるとかないとか、そういったことに、社会的な要因で子供が排除されることなく、すべての子供が質の高い教育保育を受ける機会が均等に与えられるべきだろう、そういうある種のソーシャルインクルージョンという発想をやっぱり大事にして認定こども園というものを組み立てていただきたいと、こう思うわけでございます。  それから、もう一つ理念としては、これ後の方にデータを付けておりますが、やっぱり親が安定して、親自身が子供と豊かにかかわることで当然子供は育つわけです。つまり、親の不安を取り除くということが、単に親の育児の肩代わりという意味ではなくて、ある種の親育てをすることが結果的に子供育ちを促すことになると、そういう意味での広い意味の家庭援助の発想はやっぱり認定こども園には必要ではないかなと、こう思っています。  それからもう一つは、やっぱり家庭地域の中に置かれておりますので、地域そのものがやっぱり子供、子育てに優しい町にならなければいけない。つまり、認定こども園がいろんな機能を持っていて、総合機能を持ってそこで完結してしまうのではなくて、むしろ地域と、地域に開かれた形でかかわりながら地域のいろんな力も高めていくような、そういう役割を果たすということが非常に大事なんじゃないか。そういったことを基本的な理念に据えてこれからの仕組みをつくっていただきたいと、こういうことでございます。  それから、あと、認定こども園の幾つかの特徴でございますが、最大の特徴は、当初総合施設と言ったので理解しづらいんですけれども、私は施設ではなく機能だと思っております。つまり、幼稚園だろうと保育園だろうと、施設施設としてそれぞれの施設が今申し上げた理念に基づいた必要な様々な機能を発揮できるようにすること、つまり施設中心でない機能中心の発想に立つということが一番実は基本ではないかなと、こう思っております。  例えば、いろんな議論で、給食調理室の問題ですとか運動場の問題ですとか、これは規制緩和の発想もあっていろいろ御議論あるようでございますが、実は、例えば調理室について、私は基本的には調理室はあった方がいいと思います。あった方がいいとは思いますが、じゃ調理室を自前で持っていたらそれですべてオーケーかというと、そうではない。じゃ、自前の調理室があってもアレルギー対応ができないと。外部搬入で外部の業者がきめ細かいアレルギー配慮ができていろんな安全衛生面の配慮もできるという、もしそういう業者が仮にあれば、アレルギー対応ができない自前調理室よりも私は外部搬入でもいいんじゃないか。それは外部搬入を認めているという意味じゃないですよ。機能考えれば、子供の食、給食というものに対して本当に必要な十分な機能を発揮できるかどうかが問題で、その施設設備が自前のものであるのか外部の力をかりるかというのは実は本質ではないんじゃないか。やっぱり子供に必要な機能をどれだけ持っているかという観点が大事なんだろうと、こう思うわけでございます。  それから、もう一つの特徴は、やはり子供にとって、親が働いていようと働いていまいとひとしく質の高い教育保育が受けられる、そしてどういう家庭であっても必要な子育て支援を受けられるというのがやっぱりもう一つの当然特徴だろうと思います。  それからもう一つは、実は幼稚園というのは、幼稚園設置基準ですとか幼稚園教育要領を見ても、どちらかというと学級を単位とした集団教育に特質を置いて、例えば一クラス十六坪、五十三平米とか、そういう発想に立っております。一方で、保育所の方は、保育室は子供一人三・三平米とか、保育指針を見ても児童福祉施設最低基準を見ても、どちらかというと個に着目をしている。もちろん両方しっかりやってはおりますが、強いて言えば、幼稚園はより子供集団という側面を非常に重視し、その面の強みがある。一方で、保育園子供一人一人の、やはり生活保障という意味で、ケアという観点で一人一人の個に着目した要素がある。これはこれで大変重要なことだと思います。  しかし、これからは、例えば先ほど申し上げたように、幼稚園に入ってくる子供でもトイレットトレーニングが必要になる。つまり、一人一人の個に対応したケアも考えなきゃいけない。しかし、もちろん集団の良さも生かさなきゃいけない。同時に、保育園も、個は大事にしているけれども、しかし四、五歳児の年長に近くなってきた段階で一定の集団の中の社会性を培う環境という部分でもう少し努力する余地もあるかもしれない。つまり、幼稚園保育園それぞれの良さ、強みを相乗効果発揮できるようにすること、それが非常に私は大事だし、それが認定こども園では多分可能になるんではないかと、こう思っております。  それからもう一つは、よく幼保一元化という議論が出るわけでございますが、例えば今日資料で付けておりますが、私、毎年ヨーロッパに行っておりますけれども、確かにイギリスでもドイツでもスウェーデンでも行政所管は一元化をしております。しかし、その中で、例えばイギリス、ドイツがやはりある種の総合施設を今つくり始めております。イギリスはもう数年前から、ドイツは去年、おととしから新しいタイプの総合施設をつくって、かなり発想近い部分がございます。日本の認定こども園よりはもう少し大掛かりだろうと思いますが。  しかし、その中でやはり、所管は一元でも、施設幼稚園もあれば保育園もあれば総合施設もあればということで、私は施設というのは多様であっていいのではないか。しかし、大事なのは、何度も申し上げますが、そこで発揮される子供のための機能が、どれだけ豊かな質の高い機能があるかという点になるのではないか。これは地域性がございまして、都市部であれば幼稚園保育園、その他たくさんございますので、通える範囲でも施設選択が多分可能でございます。しかし、地方に行くと、多分一つ二つしかないというところもある。そうすると施設の選択ができない。しかし、その施設機能として多様な機能を持っていればその施設内での機能選択ができる、そういう発想もあっていいのではないか。つまり、都市部、地方部を全部一律にひっくるめて何でもかんでも一緒にして一元化すればいいのかと、そう単純な話では実はないのではないか。いずれにしても、子供や親にとって必要な質の高い機能が保障され、それを選択できるということがやっぱり大事なんじゃないかなと、こう思っております。  それから、幾つかそうはいいながら課題がございまして、実は認定こども園ってやっぱり幼稚園機能保育園機能子育て支援機能、いろんな多様な機能を持たなきゃいけない。しかし、余り欲張ると、残念ながら職員配置に十分な財政措置が行われておりませんので機能倒れになりかねない。特に子育て支援については、在宅子育て家庭も含めた様々な支援期待をされる。しかし、その専任スタッフは残念ながら置けないということでございますので、認定こども園が全部そういうものを背負い込むという発想はしない方がいいと私は会議でも何度か申し上げました。  それはむしろ、地域の様々な子供子育て関係社会資源と、例えばNPOや保健師さんや民生・児童委員やいろんな関係者がいる、そういう方々と有機的なネットワークをつくって、そして相互に連携をして地域全体として支援体制をつくる、その一つの拠点としてコーディネーター的に機能できるかどうかという発想が多分大事なんだろうと、こう思っております。  それから、これまでも幾つか御議論あったようでございますが、保育所部分についてはやはり直接契約にするということでいろいろな懸念もあろうかと思います。問題は、どんな制度をつくっても必ずそれで一〇〇%すべての人にいいということにはならない。大事なことは、そこで予想されるいろんな懸念に対してどれだけセーフティーネットを講じられるかと、こういう話だろうと思います。直接契約に関してもいろいろ懸念されることが多分あるだろう。保育料設定をどうするだとか、じゃ保育料を納めなくて退園しなきゃいけないだとか、それは心配はあろうかと思います。しかし、それを法律で全部でカバーするというよりは、国、都道府県、市町村を含めた関係機関の中でのセーフティーネットを運用上どうつくっていくかということで考えるべき課題がかなり実はあるんじゃないかなと、正直思っております。  それから、今後のことを考えれば、本当はできればやっぱり子育て支援は非常に大事だと思います。しかし、認定こども園幼稚園保育園、既存施設をベースとしていますので、残念ながら子育て支援充実させようと思ってもなかなか人的体制が取りづらい面がある。そこはこの法律云々の問題じゃなく、今後の課題として、できるだけそういう豊かな支援ができるような、財政面も含めたバックアップ体制を是非考えていただきたい。  それから、認定こども園は、これから受けるところもある意味で手探り状態ですから、それがいい意味で進化し発展していけるように、当然ある種の自己評価、あるいは必要に応じては外部評価をしながら常に改善されていくような、そういうインセンティブをやっぱり考えるべきだろうと、こういうふうに思っております。  そして、多分これはすべての方が、当事者、モデル園なんかもそうですが、思っているのは、やっぱり職員を伸ばす、人を伸ばすことが一番大事だ。そうすると、多様な機能があって職員の勤務体制が非常に複雑になりますので、まとまった時間を確保して一斉に研修ということはかなり実は難しくなります。そういう意味で、やっぱり研修体制をバックアップする必要がある。  そして、変な話ですが、認定こども園はある意味でもう幼稚園でもないといえば幼稚園でもない、保育園でもない。そうすると、今、幼稚園保育園はそれぞれ関係団体があって、いろんな研修充実してやっておりますが、下手をすると認定こども園はどちらの幼稚園保育園団体からも排除されかねない。そうではなくて、どちらにも少なくとも職員は行けて、必要な研修を受けられるような配慮も多分どこかできっとしなきゃいけないんじゃないかなと、こう思っております。  それから、最後に一点、これもう認定こども園に限った話ではございませんが、障害を持ったお子さん、とりわけADHDとかLDとかアスペルガーとか、いわゆる軽度発達障害のお子さんが現場でやっぱりかなり増えてきているという実感を持っております。こういうお子さんというのは年齢が小さいと判定も難しいし、いわゆる本当の意味の、大きな障害と違って親もなかなか認めたくない。あと一年すれば普通の子に追い付くんだと。しかし、実はその段階でちゃんと手を打たなきゃいけない。しかし、手を打って手厚い体制を取ろうと思えば、専門家が判定をして親がそれを承認をしなければいけない。親はなかなかそれを認めない。結局しわ寄せは子供に行ってしまう。そうではなく、少なくとも専門家が判定をすれば親がそれを認めようと認めまいと現場で手厚い対応が取れるような、何かそういう体制をつくっていただきたい。  とりわけ認定こども園という多様な機能を持った施設の中では、そういう子供の受入れもスムーズにいくような、それも運用上のバックアップの問題だとは思いますが、是非そういう軽度発達障害の子供も含めた、正にソーシャルインクルージョンで、障害があろうとなかろうと、親の所得が多くても少なくても、働いていてもいなくても、すべての子供がより質の高い教育保育を受けられ、親も必要なサポートが受けられる、そのための仕組みと、それからそのための運用のバックアップ体制を是非考えていただきたい、このように思います。  以上でございます。
  9. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  次に、下條参考人にお願いいたします。下條参考人
  10. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 失礼いたします。  私は、岐阜県中津川市という本当に山里の、島崎藤村の生誕地の長野県山口村との合併でちょっと全国的にも有名になりました、山里の、合併によって八万人ぐらいになったところの、ゼロから二歳児までの、三歳未満児専門の保育園園長をしております下條と申します。  前の三人の方がそれぞれ、研究者の方であったり幼保園を実際にやってみえる方、あるいは吉田先生はそういった「遊育」という雑誌の編集長をなされていますけれども、私は本当に現場の一園長ですので、今の保育園をしていて、今度のこの認定こども園について率直に思うことの何点かを述べさせていただきたいと思います。若干前の三人の方と論点が違うかもしれませんけど、お許しください。  昨日、全国の私立保育園連盟というところの総会がありまして、私もそこに参加しました。私立の保育園園長の集まりです。その中でもこの認定こども園の話題は出ておりました。全国私立保育園連盟の立場は、基本的に第一類型のみは認めるというような立場で、これから自治体に対して要望を出していくというようなお話でございました。私自身は、その立場を取るかどうかということは、少しこの後いろんな細かいことをお話ししながら、意見の中で述べていきたいと思います。  さて、私の住む中津川でこの四月に高校生の男の子が仲の良かった中学生の女の子を廃屋の中で殺してしまうという事件が起きました。これは皆様も多分まだ記憶の中に新しいことと思います。私たち地元の乳児保育とかあるいは幼児教育、それから学校教育関係者は、この事件を通して、子供たちの物理的、精神的居場所の問題、一人一人の命が大切にされ健やかに育っていくということはどういうことなのかということを常に課題として、日々、子供たち父母、それから地域の人たちと向かい合っています。  今、国の中では少子化対策基本法とか次世代育成支援対策法というような様々な法律が作られ、少子化対策と次の世代を担う子供たちの健やかな成長を保障するということは、行政を始めとして私たち大人たちの大きな課題となってきています。でも、私はその基本に、産みやすい環境をつくることと併せて、生まれてきた一人一人の命が大切にされ、行政からも地域からも温かく見守られ、安心した環境の中で丁寧に健やかに育てられていく、こういった視点がすごく大事だというふうに思います。  そんな視点で今回の認定こども園に関する法案を見たときに、本当に子供たち乳幼児期を大切に丁寧に過ごしていけるような内容になっているかという点で私は幾つかの疑問を感じています。  まず第一に、認定こども園の認定基準の設定というんですか、これが都道府県が条例で定めるというふうになっております。これによって地域間格差が生まれてくるのではないかと私は思います。  私どもの現在の保育所制度は、御存じのように最低基準がありまして、日本じゅうどこの地域保育所であっても最低限の保育環境というのは守られるという制度になっております。私は地方の小さな町の園長ですので、常々、例えば東京とか名古屋とかあるいは京都とかの自治体の単費の助成の補助金をうらやましく思っていました。しかし、最低基準があることで、田舎の保育園でも何とか園の運営子供たちを真ん中に据えながらやってくることができているわけです。  こういったナショナルミニマム、いわゆる国が責任を持つ最低の基準みたいなものがなくなるということが私たち地方の都市の園長にとっては非常に大きな不安になります。これがもしかして保育所制度もそうなるんではないかというふうな感じがします。国としての、やはり認定基準のみではなく、いわゆる最低基準みたいなものを認定こども園の中にも設けていただきたいと私は思います。それが国が子育てに責任を持つことなのではないかと思います。  第二点に、認定こども園の中の今後の認定基準の中身が、最終のまとめですね、今吉田先生が言われた評価委員会の最終のまとめで作られてくるとなると、その中で幾つかの問題点を感じます。  その一つは、調理室の必置規定の問題です。  今、食育ということが言われて、子供の食の問題は乳幼児のみならず保育教育の中の大切な柱とされています。特に乳幼児期はこの子供たちの食の基礎をつくる時期です。  お手元に、当園が平成十六年度にまとめました「家庭へのアレルギー除去食の浸透」という、これ県の補助をいただいて作った冊子なんですが、ごらんください。これをちょっと丁寧に説明する時間はありませんが、保育園では、ここの中に書いてありますように、離乳食の中期、後期、それから普通食は当然ですけど、さらにアレルギー除去食、アレルギー児本当に増えてきていますので、アレルギー除去食も行っています。特に、これはアレルギーを中心にまとめた冊子なんですけれども、十六年度には、全園児四十名中七名の除去・代替食がありました。  一人の子を例に取りますと、アレルギー性のぜんそくがあり、そのときの天候や体調にもより、少しでもアレルギーの原因となる食品を摂取すると、見る見るうちに口の周りを中心に顔が赤くなり、せき込み、ぜんそくの発作のような状態になります。こんなことが園でも何度かありました。徹底した除去・代替食を実施するとともに、食べるときにも他の子の食べているものを間違って食べないようにすることを含めて、調理と保育との連携父母との連携等の様々な配慮が必要となります。そのために、当園では調理員一名を園独自の財源で増員して雇用しております。  また、家庭との連携では、アレルギー児にはその日の園で摂取した食品を毎日父母に知らせることはもちろんのこと、年二回程度の父母に対する調理実習、アレルギー除去食の調理実習なども実施しております。さらに、地域に向けてアレルギーの学習会を開催したところ、地域から百二十名ほどの参加がありました。アレルギー児を抱える父母の方からは切実な悩みが出されました。  このように、子供の食を考えていくという上で、今保育園は非常に重要な役割を担っているし、今後もその役割はますます大きくなっていくと私は思います。  この最終のまとめでは、調理室はその設置が望ましいというふうになっております。そして、調理室の設置が困難な場合、外部搬入方式を認めながら、子供の年齢、発達や健康状態に応じた対応等につき一定の条件を付けることが必要と思われるとしております。私はこれでは子供たち最善利益は守れないというふうに思います。やはり調理室というのは必ず必置、これが子供のためには一番いいんだと私は思っております。  第二に、最低基準にかかわる問題です。  現在、私どもの保育園では、ゼロ歳児が六名、一歳児が十一名、二歳児が十六名おります。これに対する保育所最低基準上の保育士は八名です。現実には保育士九名と半日パート二名を入れております。つまり、国の基準よりも、最低基準よりも二名多い常勤と二名の半日パートを入れております。これでも現場は大変です。お手元に中津川市の地域子育てセンター事業の資料と、その裏に当園での時差出勤表を入れております。このように、七時から夕方七時までの十二時間の保育園長、事務員、それから調理員も含めまして何とか回している、これでもぎりぎりだというのが現状です。  さらに、ここ数年、気になる子というのがやっぱり増えてきております。当園でも、障害児という認定を受ける程度ではありませんが、発達相談に掛かっている、あるいは今後掛かる予定だという子が四名おります。この子たちも含めて、家庭への指導、援助の必要性も強まってきています。つまり、現状の最低基準でも不十分なのが保育現場の実態です。  最終のまとめの中では、ゼロ歳から二歳については保育所職員と同様の配置基準にすることが望ましいとなっています。これでは最低基準すら守られない可能性があります。さらに、このまとめの中では、様々な利用形態を想定しての個別の対応の必要性というのも述べられております。現在の最低基準以上の人員を確保しないと到底子供最善利益は守られないように思われます。  第三に、子育て支援事業を必須としながら、そのための専門職員の配置や専用室の設置等の条件面には触れられていない点です。  資料として今お示ししました当市での子育て支援事業利用者数を書いたものをお手元にお配りしております。これを見ていただければ分かるように、かなりの家庭にいるゼロ、一、二歳を抱えている親の方が親子でこういった子育て支援事業をやっているところに行っております。あるいは登録しております。人口八万という小さな市ですので、それでもこれだけの利用者があるということです。  これだけ子育て支援事業というのは強く求められていますし、その拡充は必要になってきています。そうであれば、それに対応する人的、設備的な対応を明確にすべきであると私は思います。  また、認定こども園でなくても、ここに示すように、現在、保育園幼稚園では様々な形での子育て支援活動をしております。私は、現在地域に根差している保育園幼稚園の子育て機能を強化することにおいて、家庭に対する子育て支援をしていくことの方が地域に根付いており、より有効なのではないかというふうに思います。  次に、認定こども園の、今度は利用契約制度になるという点についてです。  現在の保育所制度は、市町村が保育に欠ける子を保育所において保育しなければならないとされており、それによって市町村から保育単価に基づく保育所運営費が保育単価掛ける園児数で毎月支給されております。保育園運営はそれプラス国、県の若干の補助金で賄っております。  先ほど述べましたように、最低基準の職員配置では現場が回っていかないので、園独自で臨時職員も雇用しております。財政面から見ると、毎年赤字すれすれの経営をしております。運営費収入は入園児数に左右されますし、少し修繕にお金を掛けたりすると、その年度は赤字になります。保育園の支出のほとんどは人件費で、それが八〇%を超えると赤字運営だと言われております。当園の人件費は八五%になります。職員の給与等は何とか公務員に準じと思い支給してきましたが、ここ五年間昇給なしの勤勉手当カットで、職員の理解も得ながら何とか園運営をやり繰りしています。  このように、現行の保育制度の中でも園運営は大変です。それが利用料制度になると、今の保育料は市が徴収していますので、例えば滞納者がいたとしても保育園には運営費が入ってきます。ところが、利用契約制度になると滞納分はすべて園がかぶることになるとすると、園運営の基盤はますます弱くなり、子供たち最善利益を保障するような保育所運営はできなくなります。さらに、先ほどから言っておりますようなアレルギー疾患児とか、あるいは発達に問題を持った子、あるいは生活困窮者というのはこの利用契約制度の中で排除されていくという可能性が強くあります。  さらに、この私的契約制度、利用制度が認定こども園を契機に認可保育所に導入されることに私は大きな危機感を抱いております。  以上、何点かにわたり、この法律案に対する私なりの見解を述べてきました。十分に言い尽くせない点もありますが、最後に、確かに同じ就学前の子供たち幼稚園保育園に分かれて就園しているという二元化の矛盾があると思いますが、その矛盾がこの認定こども園の中で解消されていくとは思えません。むしろ、この認定こども園が、幼稚園空き教室を利用したり無認可施設まで認めてくる中で、安易な待機児解消施策となり、乳幼児保育教育現場に混乱を持ち込むように思われます。また、これを契機に保育所制度の中に利用契約制度が導入され、子育ての中に市場原理が導入されてくることに大きな危惧を持っております。子育てに市場原理はなじまない、そう思います。  幼保一元化の議論はもっと時間を掛けて慎重にすべきであり、現在必要なことは、現行幼稚園保育所制度充実の中で待機児解消を始めとする地域子育て支援事業充実させていくことであると思います。保育所について言えば、先ほど来述べておりますように、現行の最低基準を抜本から見直し改善する必要があると思います。そうした意味で、国の保育所幼稚園等の子育て予算の増額を強く望みたいと思います。それが行政として子供たちにできることですし、しなければならないことではないでしょうか。  御清聴ありがとうございました。
  11. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) ありがとうございました。  以上で参考人皆様からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  各参考人にお願いを申し上げますが、御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。  また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 荻原健司

    ○荻原健司君 おはようございます。  今日は、四名の皆さん、大変朝早くから、また遠方からおいでをいただきまして、大変有意義なお話をちょうだいいたしました。心から感謝申し上げたいと思います。  時間限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思っております。  今度の認定こども園のこの法案が通って、いろいろお話を伺う中で、これ成功させるためにはやはり人に懸かっているんだなということをつくづく感じました。  その中で、私もいろんな方から御意見を伺ってきたわけなんですが、近年、男女共同参画の下、女性社会進出というのがどんどん進んでいるということは大変喜ばしいことかなというふうに思っています。男性、女性問わず、やはり生きがいを持って働く、生きがいを持って社会参加していくということは、男性、女性、性差はないというふうに思っております。ただ、日本的な考え方としては、やっぱり男性は外で働き女性家庭というか、うちといいますか、そういった日本的な考え方というのはまだ根強く残っている部分もあるかなというふうに思っています。  ただ、その中で、やはり以前よりも男性の理解、また社会の理解も進んでいるというふうに思っています。特に、日本は今少子化ですから、やはりこれから女性が働きやすい、また子育てしやすい社会づくりというのが、これは少子化対策としても必要不可欠ですし、そういった一連の取組の中で、先ほど申し上げましたけれども、やはり男性は外で女性家庭という、そういった固定観念をどんどん取り払っていく一因になっているのかなというふうに思っております。  そういう中で、男性、女性問わず、親がこうやって仕事をする、社会に出ていく際にはやはり子供をそういった施設に預けるということに対してはさほど、何というか、抵抗感というわけではありませんけれども、一般的に普通のことになりつつあるんだなというふうに思っています。  ただ、私もいろいろお話を伺っていく中で、保育園というのは零歳から預けられるということですが、幼稚園は三歳からと、原則は三歳からということなんですが、やはり幼稚園関係者の中には、やはり小さいうちから子供を預けるなんてけしからぬとか、小さいうちからそんな親が仕事ばっかりとか何か、いかがなものかなんていうようなこともある、そういった意見はどちらかというと幼稚園関係者の方に多いかなというふうに思います。  そこで、ちょっと、多分時間の関係で四名の方にはすべてに聞けないと思いますので、この質問に対しては赤坂参考人、そして小宮山参考人、お二人にお伺いしたいと思うんですけれども、今後、やはり今幼稚園利用者というのが少なくなっていると。そういう中で、この幼保一元化の中で幼稚園型のこども園というのも増えていくんだろうなというふうに思っています。ただ、私の実感として、幼稚園関係者の方には、先ほど申し上げましたような、そういった小さいうちから子供を預けるなんてというような意識が依然強く残っているとやはりこの一元化もうまくいかないのではないかなというふうに思っておりますが、お二人の参考人の方には、現場で日ごろいろんな保護者の方々や関係者の方々、また小宮山参考人には、全国を飛んで歩いて見てきた中で、実感として、やはりそういった、何というんでしょう、園の経営者の方々だとか、また園長先生であるとか、また職員の方々の意識というのが今どういうような感じになっているのか、ちょっと漠然とした質問なんですが、是非お答えいただければというふうに思います。お願いいたします。
  13. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 今御質問のとおり、ある意味では幼稚園に通わせている保護者が長時間を希望するということは大変多くなっております。それは、一つには、やはり地域で安全に子供を育てるというような状況がつくられてないのではないか。そういう意味では、子育て広場とか、事業事業の中で、親子でそこを利用しながら子育てを楽しむ。これは足立区、子供がおります八〇%のゼロ歳から二歳は家庭保育をしている保護者でございます。  そういう意味では、小さいときから保育園に入れるのは良くないとかという論議の下ではなく、本当に子供が育つためにどういう環境が良いのか、そして、今回のこども園に関しましては、多様なニーズにこたえるという意味で、地域子供地域で育てるというところを視点に置いていきますと、幼稚園園長なり教員が、そんな小さいうちから預けるのはという考え方ではなく、それぞれのニーズに合った保育をし、そして親同士のネットワークをつくりながら、それぞれの子供が幸せに暮らすためにはどうしたらよいのか、そのような考え方にシフトしてきていると思います。  そういう意味では、子育て支援も、預かるとか、親に代わって保育をするという視点ではなく、長時間の保育の子も含めて、子供って面白い、子育てって楽しい、大変だけれどもというのを相互に力を合わせながらやっていく環境づくりに力を入れる中で、そのことはもう社会の流れの中で変わっていく、変えていかなければならないことかなと思っています。  ただ、幼い子供にとっては、一対一の親子のつながりというものも大事にしながらメッセージを続けていくということは変わりございません。
  14. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 小さいころに、本当にゼロ歳、一歳のころは親が家庭で育てるのが私もいいと思います。最初から育児専業、辞めて、仕事をしない、子供を育てることに専念するとすれば可能ですね。でも、仕事を続けながらというと、育児休暇が完全に保障されないといけません。それがない。そして、三歳児神話ということがございまして、小さいうちは親が家庭で育てなければいけないというあれが根強くて、それの妥当性は否定されているわけですけれども、母親への罪悪感を植え付ける役目はまだ果たしているような気がします。  それで、結局、そういうこともこれは一つとして、少子化の原因の一つだと思いますね。そういう、産んでも育てられない、休暇がもらえない、辞めなくちゃいけない、こういう循環ですね。だから、本当にこれは政治の出番なんです。完全な育児休暇とそして復職保障、子供が小さいころの時短勤務等柔軟な勤務の保障。これが少しできても、処罰規定を含まないとか義務ではないとかで実効性がありませんので、本当にそこのところは政治に期待したいと思いまして、これは少子化の問題、対策の話ではないんですが、経済的な面というよりは両立支援、これが子供を増やすことにも役に立つと思いますし、それが徹底します。それは私も本当にいいと思います。本当に乳児を預けなくても済むようになる仕組み、それを本当に皆様方にも期待したいと思います。  現実に幼稚園園児が減ってきているところが多くて、そうやって家庭で三歳までは育てて、それからは少しこちらに来て、またお母さんとその後の時間を過ごすということを述べていましても、どんどんどんどん子供が減ってきていて、その理念を押し通すのが難しくなっている現実が一方であると思っております。  以上です。
  15. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  もう早速なんですけれども、次の質問に入らせていただきます。  次は吉田参考人下條参考人のお二人にお伺いしたいと思っておりますが、先日テレビを見ておりましたら、子育て雑誌というんでしょうか、そういうカテゴリーでよろしいかどうかは分かりませんけれども、そういう雑誌が非常に今売上げを伸ばしているというようなニュースが流れておりました。その要因をその雑誌の編集者の方が、やはり核家族化であるとか地域コミュニティーの崩壊などで子育て不安だとか孤立感があると。それを雑誌から情報を得ることによって不安感などの解消につながっていることが売上げの好調の要因ではないかというようなお話をされておりました。  確かに、これはもう子育てだけではなくて、社会全体というのが人と人とのかかわりというのが希薄になっているなというのは、これはもう私もいろんな経験の中で実感をしているところでございます。  何というんでしょう、子育てというのは、いろんな情報というのがやはりたくさんあった方が、特に核家族化の中で、若いお父さんお母さんというのは安心をするんだというふうに思いますけれども、今までというのはやっぱり子供がいるところには何か親も集まっていろんな交流の場があって情報交換をするような場所があったというふうに思っていますし、結果的にそれがその地域の活性化であるとか、又は防犯であるとか、子供の安全というようなところにもつながっていくものだというふうに思っています。その中で、親がやはりいろんな情報交換をしたり交流を深めるということがこれから必要になっていくんだなと。  その中で、やはりその地域における子育て支援機能、これは認定こども園には地域における子育て支援機能というのが付けられるわけなんですけれども、これは認定こども園だけではなくて、やはり幼稚園保育園も、これから子育て支援機能下條参考人園長先生やっていらっしゃる、これ資料拝見させていただきますと、やはり育児相談とか子育てに関する情報の提供なんというようなことがありますけれども、こういったいわゆる子育て支援機能を今後しっかり持たせていくことがやはり求められるんだろうな、必要なんだろうなと。  その中で、機能として、やはりこういったところは力を入れなきゃいけないとか、又はその際にはこういった人材が必要なんだというようなところで御意見をいただければというふうに思います。
  16. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) 大変大事な課題だと思います。  簡潔に申し上げると、例えば認定こども園が必須の機能である子育て支援を行う場合に、例えば育児相談をしますとか臨床心理士を招いて専門的な相談をしますという場合に、直接的な支援を取ることももちろん大事ですけれども、同時に、その地域の方々がお互いに支え合うような、人間関係をそこで結べるような機会をつくる。つまり、母親の井戸端会議が活発になるとか、あるいは地域子育て支援のNPO等、母親のグループサークルがかなり今は増えてきております。ただ、あの方々は、どうしてもしっかりした場所がないとか、何か印刷物でやろうとしてもお金がないとかいうことなので、そういう方々を側面支援することでその方々が地域の中できめ細かく子育て支援のネットワークを築くと、こういうこともかなりあるので、いわゆるこども園だろうと幼稚園であろうと保育園だろうと、直接専門家としてやらなければいけない支援と、地域全体が支援の輪が広がるようなサポートなりそういう方々のボランティアの育成とか、そういうことが必要だろうと思います。  それからもう一つは、実は支援で意外に見落とされがちなのは、相談に来る方はまだいいんです。本当に大変な状況で必要なのに、そういう方ほど実は、じゃこの日相談しますので来たい人は来てくださいといっても実は来ない。そういう、引きこもりではないんですけれども、本当に必要なところに手が届くように、アウトリーチというんでしょうか、こちらの方からやはりそういう家庭には出向いていくような、そのために民生委員の方ですとか保健師さんとかやっぱりその関連の方々と連携を取って、来てくださいだけじゃなくて、こちらからも出向きますよという、そういういろんな組合わせでトータルに考えなきゃいかぬ課題だろうと、こう思います。
  17. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 失礼いたします。  今の保育園に、本当に親を育てるというのが一つの大きな課題になってきています。やっぱり子供を通して親を親として育てていく、これは、うちの園なんかでもそうなんですが、やはりなかなか親として自立できない親というのは増えてきているので、そこにどう視点を当てながら、先ほど言われましたように、親子の触れ合い、つながりを通して輪をつくってそれを地域に広げていく、そういった機能保育園は果たしていかないといけないと思っております。  それと、いわゆる地域支援事業に関して言うのであれば、やはり一つは、専門のスタッフは要る。今の保育園の、ここで私が資料に挙げました三園は国の地域子育て支援センター事業というものの補助を受けておりまして、大規模型だと年間七百万で小規模型で年間二百五十万ぐらいの補助を受けまして、そこでそれなりの人を雇いながらこういった活動をしているということがありますので、基本的にやっぱりそれなりの人とそういった子供たちが集まれるスペースが当然要りますし、それと電話相談なんかの場合でいうと、やはり今個人保護法もありまして、いわゆる個人のプライベートみたいな問題もありますので、本当に雑多にほかの人が出入りするような部屋で電話相談を受けるというようなことはどうなのかということも思います。でも、保育園の現実の中では、うちも電話相談等をしておりますけれども、実際、人の出入りする中で私がその電話相談を受けるというような形になりますので、それで本当にいいのかなというのは思います。要するに、立案する人とやっぱりそういった専用室みたいなものは必ず必要なのではないかと。  それと、今吉田参考人も言われましたように、いわゆる生涯学習とか地域社会教育とか、そういった部門でのネットワークづくりも大きな課題だというふうに私は思います。
  18. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 時間も迫っていますから、簡潔に。
  19. 荻原健司

    ○荻原健司君 最後に、もう時間がないので、全員にお伺いしたかったんですが、お一人に、小宮山参考人にお伺いしたいと思います。  先日、都内の、東京の認証を受けている保育園ですか、視察に行ってまいりました。その中でその方が、やはり子供の選考に際してはこれはもう恣意的に選んでいるという話をしておりました。今後、認定こども園になると利用者というのは直接契約になっていく中で、これは保育園だったら市町村と契約になったわけなんですが、今度は認定こども園になると直接契約になると。その東京の視察に行ったところの方は、そこに来る園児というのは恣意的に選んでいるというようなお話もされていました。積極的に障害児を受け入れたり外国の方も受け入れているというようなことだったわけなんですが、今後、認定こども園が直接契約になっていくと、やはりそういった恣意的に選ばれる、またその中で公平感とか平等感というのはちょっと失われてしまうのかなというふうに思いますけれども、ちょっと簡単に一言、時間もありますので、お願いいたしたいと思います。
  20. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 直接契約というのはいい面もあると思うんです、お互いに選べるので。福祉の観点で、どうしても外せない方のことは市町村が見てどうこうというのがございましたね。それも必要ですが、なぜ直接契約で、園の方が困る場合というのは十分供給されている場合です。競争原理を働かせるのに役に立つわけです。  ですけれども、今のように、例えば保育所が少ない、入りたくても入れないと、そういうふうに選ぶ一方になってしまうと入れない人が困りますね。だから、理想はもっと増やす、そして入る方が選べる、それでもって園が努力する、変化する。例えば、イギリスのバウチャーが成功しなかったのは足りなかった、スウェーデンのある町で成功したのは淘汰されたからだと、こういう説がありますが、それに近い要素を入れることができる制度ではあるんですね。  ただ、吉田先生なんかもおっしゃっていましたね、セーフティーネットというんですか、全員勝手に選ぶ、それは無理だろうと。だから、またこれが今回の複雑手続一つなんですけれども、園に申し込んだ、それを市町村が判定するというのがありましたけれども、その部分は必要なんですが、直接入ることでもって施設に競争意識が芽生えるのは悪いことばかりではないと私は思っております。
  21. 林久美子

    ○林久美子君 民主党の林久美子でございます。  四人の参考人皆様、本日は本当に貴重なお話を聞かせていただきまして、どうもありがとうございました。  この認定こども園という法案につきまして質疑をしていく中で、本当にいろいろなメリット、デメリット、見えてきたのではないかなということを感じております。  私たちは、かねてから幼保一元化、一本化というのを党としても政策の柱に掲げてまいりました。といいますのも、先ほど小宮山参考人の方からもお話がございましたように、就学前の子供は、親が働いていようといまいと、経済力が高かろうと低かろうと、住んでいる地域がどこであろうと、ひとしく良質な保育教育提供されるべきであると、このように考えているからでございます。  そうした中で、今回のこども園について質疑をしていく中で、幾つか見えてきたわけでございますけれども、お時間もございませんので質問に入らせていただきたいと思うんですけれども、まず、この四類型、更に申し上げますと、私立と公立に分けると六類型とも言えるのかなという気がするんですが、地方裁量型こども園というのはほかの類型に比べると随分と位置付けが違ってくるのではないかなということを感じております。  実は、先日の質疑の中で分かったことではあるんですけれども、今、子供たちの安全を取り巻く問題というのは非常に深刻さを増しております。参考人皆様既によく御存じであるかと思いますけれども、登下校中に犯罪に巻き込まれたり、あるいは学校において不審者が乱入をしてきたりする事件も相次いでいると。こうした中で子供たちの命をいかにして守っていくのか、これは正に私たち大人の一人一人にとっての至上命題であるとも思っています。  しかしながら、事故、事件、ないにこしたことはないんですが、万が一にもそうしたことが発生した場合に、国の制度の中で、皆様御存じかと思いますが、日本スポーツ振興センターというところがやっている災害共済給付業務というのがあるんですけれども、これの加入対象となるのは、この認定こども園の類型でいいますと幼保連携型、幼稚園型、保育所型になるわけでございまして、地方裁量型となっている認可外というのは外れてしまう。それは裏を返せば地方裁量型こども園は外れてしまうというようなことも明らかになっているわけなんですね。  言ってみれば、恐らく、先ほど吉田参考人の方からは、このこども園というのは施設に着目するのではなくて機能だというお話がございました。確かにそういう発想、非常に大事であると思います。しかしながら、そのベースとなる法律が何であるかによって随分とやっぱり現実問題変わってきてしまう部分があるのではないかなというふうに思っているんですね。  まず小宮山参考人にお伺いをしたいんですけれども、やはり就学前の子供たちが、せっかく新しい認定こども園という制度ができるという中にあって、先ほども四つの類型じゃなくて一つにすべきなんだという御主張がございましたけれども、改めて小宮山参考人考えられる四類型となっていることのデメリットメリットを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  22. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 同じこども園という名前で出るわけですね、看板を掲げることができるとか。その中で、これはどういう形でこども園になりましたというのは分かりませんね。同じだと思う、そうすると中がいろいろである。これは、ですから、先ほどの保険の話に関しましても、こども園として統一すればいいではないですかと思うわけです。  結局、なぜこども園と、こういうことになる方々、簡素で分かりやすくなってないからなんですね。それも、先ほども申し上げたように、なぜなのか、まあもう申しませんが、分かりやすくなるということが広まる本当にきっかけだと思いますし、同じこども園で実はそういうふうにお金の面とか安全の面で違いがあるというのは、これはよくない。できるだけそれは同じにしていけばいいのではないか。地域裁量型の園が独自に何かを積み上げられるのはそれは御自由でしょうけれども、その最低のところをそろえる、これは必要であろうと私は思っております。
  23. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございます。  今、最低の基準というお話がございました。これは参考人皆様方からも先ほど来お話がある点でございますけれども、やはり子供の命を守る、子供教育保育をしっかりといいものに築き上げていくというのはやはり国の責任、大切なベースであると思います。その中で、最低の基準、あくまでも最低なわけで、これから伸ばしていただくのは幾らでも構わないわけですが、最低の基準で一定の良質な保育教育提供される仕組みというのを常に私たちは念頭に置いていかなくてはいけないのではないかなというふうに思っています。  先ほど、赤坂参考人のなさっていらっしゃる幼保園幼稚園保育所も認可を取っていらっしゃる施設なんだろうと思います。そして、下條参考人のしていらっしゃるところは保育所ということでございまして、これからこども園になるんだとすれば幼稚園機能を付けるという形になるんでしょうけれども。  実際の今回の法案を見てみますと、四人の皆様ともに良質な保育教育提供していかなくてはいけないという概念では何ら違いがないわけでございますが、良質な教育保育を担保するためには何が必要かというと、やはりお金であり人であるというのはもう現実問題としてあると思います。  しかしながら、今回の法案では、両方とも認可を取らない限り、新たに機能を拡充した部分、つまり幼稚園こども園においては保育所機能、あるいは保育所こども園においては幼稚園機能、これらについては国の財政的な支援が受けられないわけですね。しかしながら、一方で、昨年度政府が実施したモデル事業においては、丸っぽ財政的な支援はしているわけでございますけれども。  では、いざ、例えば赤坂参考人であれば、やっていらっしゃる幼保園保育所部分が認可を取っていなかった場合にどうなのか、あるいは小宮山参考人は、認可を取っていない部分の施設の持ち出しになる部分をどうとらえるのか。そうしたことも含めて、四人の方それぞれにお伺いをしたいと思います。  ちなみに、先日の委員会で大臣は、新たに機能を拡充した部分については補助金がありませんと、だからその部分は利用者の利用料として跳ね返ってもやむを得ないのではないかという御見解も披瀝をなさっていらっしゃったわけですけれども、こうしたことも踏まえていただきまして、この制度設計についてちょっと御意見を賜れればと思います。四人の参考人の皆さんにお願いをいたします。
  24. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) じゃ、まず赤坂参考人から。
  25. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 今回、四類型ということで私も見せていただきました。多分、日本全国いろいろな幼稚園保育園、これまでの積み上げてきたそれぞれの施設の特徴なりがある。そういう中で、きっと一気に新たな機能を付けていく中で一つの類型では収まらないというのが現状じゃないかなととらえました。  今、議員がおっしゃったように、私の私見で申せば、現状をしっかりつかみながら、この四類型の中でこども園運営される中、認可が取れる方向というのは努力すべきところではないかなというふうにとらえております。
  26. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 結局、例えばモデル実施した園の多くがやる気がある、しかし不安である。どうしてかというと、それは結局、簡素に分かりやすくなっていないからなんですね。いろいろやった挙げ句に、おたくはここの部分は補助は出ません、こちらだけとか、物すごくそう、何というか、私も一生懸命読んで、分かったんでしょうか。分かったつもりですけれども、分かっていないかもしれません。  結局、こども園という名前は同じなんでしょう。中はこういろいろあるんでしょう。システムを簡素にしないと入っていけないじゃありませんか。手続も分かりやすくないと、補助も合理的でないと。この型でなったらこっちはこのお金出ません、こっちだとこう出ます、これは一体、やってほしいと思っているのかどうかと思います。  ですから、私が一貫して申し上げたいのは、簡素なシステム、分かりやすい手続、合理的な補助です。そして、こども園としてそこが違わないことです。  以上です。
  27. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) この四類型というのは、それこそ総合施設モデル事業評価委員会の報告ということになっておりまして、私も多少責任があるんだろうと思いますが。  現実に認定こども園総合施設考えていったときに、既に現在、公私、幼保の既存の施設がある。それぞれ公私、幼保の今の既存施設が、じゃ認定こども園総合施設にどういうふうに転換、移行していくかということを考えていったときに、両方認可施設で持っているところもあるけれども、一般的には幼稚園から移行するケース、それから保育所から移行するケース。そして、認可外というのは私も実は余り念頭に置いて議論はしていなかったのですが、認可施設ということで考えて、少なくとも、でも認可外加えれば四つのパターンになるんですけれども、既存施設からの移行と。全く新しくお金を掛けてデラックスな新設のこども園をつくるという発想ではございませんでしたから、現在の認可制度、認可施設をベースとしながら移行するということになればこういうパターンに当然なるんだろうと思います。ただ、その際に、基本的には認可施設であればいわゆる最低基準は少なくとも担保されていると。  ただ、問題は、認定こども園に必要な機能を満たせるかということで、認可という仕組みの上に私は機能の認定ということが本来あるんだろうと、こう思っています。  いわゆる認可というのは施設基準ベースでございます、子供一人何平米とか、こういう設備がなければいけないとか。それは言わば正に最低基準で、これ以上質を落とさないという発想。しかし、もう一つの発想は、より質を高めていこうという発想が必要で、それはもう施設、ハード的な発想ではなくて、やっぱり機能に着目をしていかなきゃいけない。それについては、やっぱり最終的には評価という仕組みを入れなければ私はいかぬのではないかなと、こう思っております。  そう考えたときに、ただ、現在の認可施設をベースに考えておりますから、いわゆる国の助成措置というのは今の認可制度前提につくっておりますので、こども園というのを当然想定をしていない。もしこども園に何か新たに考えようとすれば、もう既存の認可制度を全部一回捨ててしまわなきゃいけない。しかし、それは多分それほど現実的な話ではないんじゃないか。  そういう中で、例えば幼稚園保育所機能を持つ、しかし認可施設幼稚園だけ、だから財政措置は幼稚園部分しかないということですが、きちっと機能基準を満たし施設環境等も人的体制も取っていけば、それは認可要件を満たしていくことになる。それは最終的には、基本的には私は認可を取った方がいいんだろうと思います。それは親も安心でしょうし、認可を取れば公費助成が行われるということでございますので。そういう意味で、認可外、認可という発想は、基本的には認定基準を満たすということはほぼ認可基準を満たすことに私は現実としては近いと思っております。  あと、取らないとすれば、中にはお金は要らない、でも、より自由が欲しいという方が確かにいらっしゃいます。東京の認証保育所でもいらっしゃいます。それはその方の信念ですので、認可基準を満たしていてもあえて認可を取らないという方も出てくる。それはそれで認めてもいいのだろうと思いますが、そうでない場合は、それだけの基準を持っていれば、認定だけじゃなく認可を取って、公費助成を受け、その恩恵を親、子供の方に還元すればいいんじゃないかなと、こう思っております。
  28. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 私も、保育園の昨日の全私保連の会議の中でこんな話が出ました。いわゆる認定こども園に四類型あると。例えば、現実にうちの仲間でも、幼稚園保育園もやっていて、今度の認定事業モデルになったところもある。そこが、じゃ認定こども園といういわゆるこれ名称独占ですか、を受けるかといったときに、彼は、いや、そんな無認可と一緒のところで認定こども園という名称独占をもらっても何にもならないと彼は言いました。  つまり、複雑だと先ほど言われましたし、あれですが、私たちは基本的に、おっしゃるように、子供のことですので子供最善利益考えてお金も人も付けたやはりきちんとした制度、先ほど言いましたように現行の保育制度幼稚園制度というのは私はそれなりに完成されてきている制度だと思うので、そこを充実させる中でやっていくべきだと私個人は思います。要は、認定こども園というのは現場に混乱を招くと現場からは思います。  以上です。
  29. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございます。  では、もう一つお伺いをしたいんですけれども、これは赤坂参考人下條参考人にお伺いをしたいと思います。  私にも実は子供がおりまして、非常に子供が小さいときにしょっちゅう熱を出すと。元気なときは保育所に入っておりますので保育所へ行ってくれるからいいんですが、熱を出したり水ぼうそうとかになったらもう一週間行けないわけで、非常に、ああ、子供というのは元気なときはまだいいけれども、熱を出したり風邪を引いたりしたときこそ本当に大変なんだなと。  こういうときに働いていると、家族の中で、じゃだれが次休むのというような話にもなるわけで、本当であればそばにいてやりたい、熱のある我が子の面倒は自分が見たいと多分だれでも親だったら思うんだと思うんですね。しかしながら、そういう状況仕事を休んでばっかりいたら、この厳しい状況の中で仕事がなくなってしまう。だからこそ、安心して、もし仮に子供が熱を出したりしたときに、しっかりとした医療を受けられて、専門家が見てくれて、少しでも時間的に子供の世話をしてくれる場所があったらどんなにいいだろうと、私自身も非常に強く実は感じました。  今回の法案は、多様なニーズにこたえるというのを柱の一つとして挙げているわけですが、今回の子育て支援事業の中には当然この病児・病後児保育というのは入っておりません。全国的に見ても非常にまだまだ少ないと。一方で、現場の先生方に聞くと、かなりニーズは高いということも耳にしておるんですね。  私は、この認定こども園という新しい制度をせっかくつくるのであれば、こういう子供たちのためでもあり、母親を助けるためでもある病児・病後児保育などについても一定応援をしていくべきではないかなと思っているんですけれども、この点についてはどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
  30. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) じゃ、赤坂参考人から簡潔にお願いします。
  31. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 大変難しい問題なんだと思います、私も母として。私見で申せば、病気のときくらい家族のだれか休んであげてよと、病気でつらい思いをしているのに施設にいなければならないというところでは、本当に考えるところがあります。  ただ、もう一方で、本当にある意味では病院ですよね、子供を預ける。それが身近にあるということも必要なのかもしれませんが、今、保育者の立場だけ考えますと、働き方、企業が考えていただきたいというのが私の考えです。
  32. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 確かに病児・病後児保育というのは本当に要望が多いです。当市でも一か所がお医者さんと提携して病後児保育を行っております。登録して、いざ何かのときにお願いするという形ですが、そういう形になっていても、現実的には、当市の場合は利用者が余りいないというのが現実のようです。それは、先ほど来出ている、親御さんの思いとか、その働き方の問題とか、それから当市まだ田舎ですので近くに祖父母がいるとかいう中の地域の助け合いの中で、だけど働く上では絶対必要だと思いますし、私は認定こども園じゃなくて、それは保育所機能充実する中で、やっぱりゼロ歳からのハウツーがありますので、保育所機能拡充の中でやっていくべきだと私は思います。
  33. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございました。  では、もう時間もございませんので、最後に一つだけお願いいたします。  今の病児・病後児もそうなんですが、結局は働き方の在り方と子育ての支援子供にとって最善教育をやっぱりリンクしてやっていかなくちゃいけないんだと思うんですね。しかしながら、今子供を取り巻く環境を見ていると、これこれは文部科学省、これこれは厚生労働省、通学路の安全は国交省、塾の安全問題は経産省と、非常に縦割りでなっていると。モザイクのようなというお話ございましたけれども、だからこそ、今我々は、担当省庁を、やっぱり横断的にきちっと対応して現場のニーズにこたえ子供たちを支えていくために、やはり省庁を一つに、子供家庭の問題について担当する省庁をつくるべきだと考えているんですけれども、小宮山参考人、この点について一言だけ御見解をお願いをいたします。
  34. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 民主党のマニフェスト拝見して、それが書いてあると思いまして、そのことは何十年来、この幼保一元化を主張する人は言ってきたわけですが、もう最近は、これは言っても駄目だというんで、年中行事のように一応言っておくというふうになってしまっていまして、今回でも、えっ、総合施設、そのことだ、始まるのって一部は思ったわけですね。ちょっとこれは、政治のシステムとか行政のシステムとしてこれはどういうふうになるのか、そういうことは私は疎くてよく分かりませんが、保育という一つのことを二か所でやったことが物すごくいろいろな、この幼保間に問題があるというんじゃなくて、分かれているから問題が生まれてきたわけです。  それで、それを普通、私も本当に分かりませんから想像で、そうじゃないということでしたら教えてください。官僚の方もお気の毒だと思いますね、その仕事をするときに。今までのその既得のものを自分のときに手放したくない、手放すとよく言われないということなのかもしれませんが、この場合は手放したら褒められるという事柄だと私は思いますね。  どこへ手放してまとめるのか、それは政治の方たちに、どこでもいいですよ。それを一つにしますと、今度は、これはどうするんだ、学童保育はどうするんだ、ちょっとこっちのことはどうするんだ、それはあらゆることに人間の生きていく上にはつながり全部ありますので、またそういうことが起きるかもしれませんが、保育施設に関しては統一できるでしょうねと私は思っております。
  35. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございました。
  36. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  本日は、大変お忙しい中お越しくださり、また貴重なお話をくださり感謝申し上げます。大変にありがとうございます。  時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。  私の方から、まず初めに赤坂参考人、そして吉田参考人の方に四点ほどお伺いさせていただきたいんですけれども、先ほども荻原委員の方からもありました地域という観点から、地域における子育て支援ということでお伺いをさせていただきたいと思います。  この地域ですけれども、本当にこれから子育て支援がますます重要となってくると考えておりまして、この子育て支援が、先ほども吉田参考人の方から八割が核家族になっているということでございましたけれども、この核家族化に伴って、育児経験が乏しいお母様が育児ノイローゼになってしまうというお話も数多く伺っております。  そこでお伺いしたいんですけれども、この地域子育て支援を行うに当たっての課題、特に幼稚園保育園、あるいは認定こども園側の課題、そして、逆に保護者地域の課題について両参考人のまずお考えをお聞きしたいということと、二番目に、地域育児力を高めていくために、我が党公明党は、幼稚園保育園、そして認定こども園機能を活用しまして、各小学校区に一つ地域子育て支援センターを設けることを今提案しております。  このセンターでは、ファミリー・サポート・センターや、先ほどからもお話出ています地域のNPOなどとの連携を図って、地域における多様な保育ニーズに対応していくという考え方でございますけれども、この子育て支援をしていく、考えていく上で、地域における各種団体をつなぐ役割を果たしていくためにどのようなことが必要か、まずこの二点、先にお伺いさせていただきたいと思います。
  37. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) どなたとどなたに。
  38. 浮島とも子

  39. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 子育て支援における園側の課題、あるいは地域家庭側の課題という二点でございますね。それと、育児能力を高めるための各種団体とのかかわりということで、最初の方でございますが、実は本園は、福祉部の子育て支援課と共催いたしまして、子育てサロンに子育てサポーターを置かせていただいています。そういう意味では、ただ広場を提供するだけではなくて、そこに人がいるということでの機能充実ということは多いかなと思います。今後、この事業をほかに広げていくときに、そこにだれか相談に乗ってくれる、何かあったときに必ずいてくれる人の存在というのは、多分これからの園で事業展開していく上に大きな課題かなと思っています。  家庭地域は、先ほど吉田参考人の方がおっしゃったように、本当に来てくれる親子はいいんですね。でも、来れない親たち、そういう人をどういうふうに参加できるようにするか。例えば本園では、公園でこの日はこんな集いをやりますよということで、いつも来ているお母様と子育てサポーターが公園に出て行き、そこに遊びに来ていたお母さんたちを誘うとか、細かい口コミということ辺りで大事にしているところでございます。  もう一点、地域家庭教育力の向上、これは、委員の先生おっしゃったとおり、本当に地域には潜在している教育力がたくさんございます。そういう意味では、園のリーダー、園長なりがコーディネーター役としていかに地域とのネットワークをつくるためにきめ細かに地域の会に出て行くとか、顔をつなぐとかというような具体的なつながりがとても大事かなと思っています。  そして、地域の方たち、団塊の世代を含めてたくさん力をお持ちでございます。例えば本園ですと、大工さんが、困っていますと言うと元一級建築士で今は退官されている方が来てくださったり、あるいは、ここの写真にもあるんですけれども、昔遊びの会というと敬老の方が来てくださったり、あるいは隣の高等学校の手話グループが毎月一遍来るとか、地域にある本当に教育力をいかにリーダーが掘り起こしながら地域幼保園をつなげる、あるいは地域の子育ての親子をつなげていくかというところでは大変大きな力を出さなければいけない。そういう意味では、そのことを発信していく必要があると思います。  以上でございます。
  40. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) 適切なお答えになるかどうか、ちょっと発想を変えて申し上げたいんでございますが、五年ほど前に私ニュージーランドに行って日本人の若い夫婦にお会いをしました。なぜかというと、そのとき日本の新聞に、日本子供を産む気にはならなかったけれども、ニュージーランドに永住してから子供を産み育てる気になったという記事があったので、お会いしに行きました。  そのときもう一歳超えていましたが、もう一度聞くと、いや、改めて強くそう思いますと。つまり、日本だと、子育てをしていると、まずベビーカーで電車へ乗ったり地下深くへエスカレーター乗ったり、それが大変だし、何よりも周りの人の目が冷たい。ニュージーランドの場合は、たまたまなのかどうか知りませんが、必ずいろんな人が声を掛けたり手伝ってくれたり、またバリアフリーだしということでございました。  今日の私のレジュメにも書いていますけれども、実は今、だんだん世代間の交流がなくなって、自分が大人になる前に乳幼児とかかわった経験を持っている人がかなり減っているというデータです。そういう経験を持っていれば、アンケート取ると出るんですが、子供は好き、自分子供が欲しいと思う、こう答えるんですが、そういう経験がないまま大人になってしまうと、子供は身近に感じない、かわいいと思わない、自分も欲しいとは思わないと、こういう結果につながるケースが高い。そういう経験、乳幼児とかかわる経験を持った人がどんどんどんどん減っているということは、極端に言えば、私は子供嫌いの大人が増えていっているんじゃないか。要するに、子供嫌いの大人社会子供嫌いの地域社会になってきているんじゃないか、こう思います。  事実、幼稚園にしても保育園にしても、例えば運動会で園庭で大きなスピーカーで音を流す、そうすると近所の人からうるさいとクレームが付く。今度、保護者子育て支援の集まりをやる、そうすると自転車、自動車の止め方が悪いといって警察署に通報される。だから、子供をはぐくむ幼稚園保育園地域の迷惑施設かのように今だんだんなってきている。それ自体を変えていかないと、もちろん財政支援も非常に大事だと思いますが、だんだん日本社会子供嫌いの社会になってきている。そこを変えるためのやっぱりある種の意識改革をしていかなきゃいけないんだろうと思います。  それはどうすればいいかという課題につながるんですが、赤坂参考人もおっしゃったように、一つはやっぱり拠点が当然必要で、その拠点で専門家もかかわる。そして、専門家ではないけれども、園長なら園長がコーディネーターの役割を果たすという、人と人をつなぐ役割というのは非常にやっぱり大事だろう。できればその中で、子供がいてもいなくても、その地域に住んでいる人がやっぱり子供とともにこの地域はあるわけだということで、世代を超えた何か触れ合いができればいいんじゃないか。中高生がじゃ乳幼児にかかわりに来るとか、お年寄りが昔の知恵を子供に教えてくれるとか、これから多分世代を超えて、地域という単位でみんながやっぱりともに生きていくということを、そういう子育て支援のセンター的な機能を活用しながらある種のやっぱり地域づくりという視点でやっていただきたい、このように思います。
  41. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。  また、保育園幼稚園の文化の違いが大きいという指摘もございます。文部科学省厚生労働省幼稚園教育要領保育所保育指針の整合性を図ってきてはおりますけれども、現場では依然として考え方の違いが大きいという指摘もあると思います。  この意味から、子供の目線に立って、何が本当に良いのかという観点から、総合施設において幼稚園教諭そして保育士が一緒に働くという中で出てくる具体的な問題、そして課題、そしてメリットについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それと同時に、最後、四点目に、今回の法案ができて認定こども園という制度ができ上がりますけれども、制度としては幼稚園保育園、認定こども園という制度が並立することとなります。認定こども園については地域の実情に合わせた多様な取組がされるとは思いますけれども、地域によっては幼稚園保育園が残るところもあるかと考えられます。その意味では、幼稚園保育園が、それぞれの役割は依然として重要かと思いますけれども、本法案により認定こども園制度ができることにより、既存の幼稚園そして保育園在り方についてどのような影響を与えるのか、また今後の幼稚園保育園がどのような方向に向いていくのか、また行くべきなのか、赤坂参考人吉田参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
  42. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) ただいまの保育士幼稚園教諭がともに働く中での課題ということでございますが、まずプラスの面を私は最初に申し上げたいなと思います。  実は、私は幼保園に着任して丸一年、二年目になります。初めて朝の七時半から六時半までの保育、これもローテーションの勤務で幼稚園教諭保育士も一緒に入っていますが、本当に過酷だなと思いました。本当に、当然のことなんですけれども、月曜から土曜日来ているお子さんは朝の七時半から六時半。そのお子さんは、夏休みも春休みも冬休みも続けて来る。ある意味では長期間、長時間のお子さんがいるということは、誤解があったらいけないんですけれども、幼稚園以上にその環境保育者の資質能力も高まらなければならないのではないかというような思いをいたしました。そして、今現実に、幼稚園教諭保育士、様々な課題を乗り越えながら進めているんですけれども、真ん中に置くこういう子供に育てたいっていうものは、保育士幼稚園の教諭、同じでございます。こんな保護者になってほしい、こんな地域になってほしい、うちの園はこういう教育をしたいということに関しては全く違わないと私はとらえています。  しかし、議員の先生おっしゃいましたように、これまでの文化の違いから、とらえ方、例えば幼稚園の教員は九時から二時の間にいかに環境による教育を丁寧に、それも意図的、計画的にっていうところ、ここのところは相当勉強し研究し尽くされています。しかし、長時間、長期間のお子さんをいかにその子の発達あるいはその日の体の調子を見ながら保育をするかっていう視点においては、多分保育士さんの力は大きいなと思っています。  今、本園では、子供の実態、子供の姿を真ん中に考えていくときに、これで当たり前と思っていた幼稚園の先生、これでいいのよねと思っていた保育士さん、双方が、いや、違うかもしれない、もう一回考えようっていうところで、社会も本当に変化して、昔、私が担任していたころは異年齢の交流も近所のおじちゃんやおばちゃんの交流もあった。でも、今はなくなった幼児教育施設の中で何を大切にしなければいけないっていうことを考えますと、幼稚園教育保育園保育ももう一回見直さなければならない時代が来ていて、こども園っていうことをきっかけに、子供を真ん中に置き、保護者も巻き込み、地域を巻き込み、あるいは社会全体を巻き込んで乳幼児教育をしっかりと考えていかなければいけないっていうことを痛感しております。  そして、じゃ現存の保育園幼稚園はこれからどうなるのだっていうところ、私はそれぞれ持つ意味があると思います。というのは、今私が経営していて、本当にキーワードはつながりだと思っているんです。これは横のつながりでもあるし縦のつながりでもある、歴史でもあります。これまで経営してきた保育園幼稚園は、地域に根差しながら、多分文化、歴史を積み上げて今日があると思います。それは決して切ってはならないもので、大事にされなければならないと考えています。そういう意味では、ただこども園っていうことができたこと、そして本当に毎日悲しくなるような事件が起きて、これは乳幼児期の教育、あるいは家庭地域在り方がどうなんだということがこれだけ問題になっている中で、幼稚園保育園、これまでの在り方ではいけないんじゃないかとそれぞれが自己努力をしながら変えていく、その大きな役割は持たなければいけないなと思っています。  そして、幼稚園保育園であっても、その地域保育園幼稚園がいかに連携をしていくか、また大きなキーワードである小学校との連携をどうするか。これは、足立区でも今年度から幼、保、小と各ブロックごとに連携協議会というのを立ち上げました。十三ブロックあります。ここで本当に初めて保育士さんが小学校の先生と話をしたというような現実もあるんですけれども、それぞれの幼稚園保育園がその機能をしっかり果たしながら、地域家庭小学校、本当に社会を巻き込んでこのこども園、認定こども園ができるということと同時にしっかりとやっていく、そんな機会になればと思っています。  以上でございます。
  43. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) この幼保の文化の違いというのは合同検討会議でも評価委員会でも、幼稚園委員保育園委員でかなり意識の違いがございまして、しかも不思議なことに、隣の芝生が青いという意識ならいいんですけれども、自分のところは青いけれども隣の芝生は枯れ掛かっているんじゃないかみたいな、何かそれ自体が教育的じゃないと私は思っていたんですけれども。でも、そうではない、やっぱりそれぞれの良さがあるんだから、それを認めて、しかしそれぞれで不足している部分を相手のいいものに学んでいくという、できれば幼稚園だろうと保育園だろうとそういう意識を本当に持っていただきたいと思います。  大事なのは、だれのための、何のための保育かという、まずただこの一点においてそこから発想していくべきで、幼稚園保育園にしても、幼稚園があるから、保育園があるからそこに子供が入るんではなくて、子供がいて、その子供たちに必要な施設機能って何なんだというところから変わっていくべきだろうと実は私は思っております。  その意味で、今回認定こども園ができることによって、既存の幼稚園保育園が私は必ずしもこども園に全部ならなくてもいいと思っておりますが、しかし機能に関していうと、従来の幼稚園だけ、保育園だけでは必ずしも十分じゃないものがやっぱりあります。それぞれ持ち味の良さもありますが、逆に不足しているものもある。  さっき申し上げたように、幼稚園でいえば、やっぱり子供一人一人のケアという視点は確かに今まで十分ではなかったと思います。それは健全な家庭と健全な地域社会前提として発展をしてきた。しかし、その家庭地域がかなり崩れてきたというところでは、保育所の持っている良さ、養護、ケアの機能をもっと幼稚園は持たなきゃいけないんだろうと思います。そのことは逆も言えるわけで、保育所においてもそこは非常に大事にしてきたけれども、今度は家庭で兄弟関係も減って切磋琢磨なくなった。地域子供集団もなくなってきた。じゃ、それを子供一人一人だけじゃない、子供集団、同年齢、異年齢の集団をどのように組み立てていくのか。そこはやっぱり幼稚園幼児教育の中で集団教育の一日の長があるわけですから、そこに学ぶ。  いずれにしても、今後はそういう形で、幼稚園のままであっても保育園のままであっても、機能的にはある意味でだんだんいい意味で近寄っていくというか、認定こども園に近いものに私は将来的にはなるのではないかと、こういう気がしています。
  44. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  また、きめ細やかなニーズという観点からなんですけれども、母子家庭と親、あと支援や、あと障害児の受入れ、これを促す仕組みもこれからますます重要になってくると思うんですけれども、これは吉田参考人にお伺いしたいんですけれども、これは認定こども園に限らず、今既存の幼稚園保育園にも求められることとは思うんですけれども、この認定こども園制度に関する検討の中でこの点がどのように議論されてきたのかということを吉田参考人にお伺いしたいのとともに、先ほど下條参考人の方が、お話にありましたけれども、発達に問題のあるお子様も受け入れられているということで、障害児保育の意義と実施に当たっての御苦労をお聞かせ願えればと思います。
  45. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) 障害児、とりわけ先ほど申し上げた軽度発達障害等については、やはりそれなりの議論はいたしましたが、いかんせん認定こども園全体の議論そのものがかなり急がれていたということで、必ずしも十分に議論ができたとは、正直私、個人的には思っておりません。しかし、そういう大事な観点があるということはきちっと押さえたことだけは間違いがない。それはもう障害児あるいは軽度発達障害に限らずに、先ほどお話の出ていた病児、病後児もそうだと思います。  その場合にやっぱりもう一つ大事なのは、やはり認定こども園が全部やっぱりしょい込むのではなくて、病児、病後児でいえば、働き方の見直しという一方大事なことも当然考えなきゃいけない、あるいは障害児、軽度発達障害の子供についても、もちろん施設できちっと対応をしなきゃいけないけれども、そこに常に専門家がいるわけではないので、臨床心理士や保育カウンセラーや、あるいは当然小学校就学していくお子さんですから小学校や、いろんなところとどうリンクしていくかと。そのリンクをうまく進めていくのが正にセンター的な意味でこども園というのが、その周辺の幼稚園に対しても保育園に対してもそういう機能を波及していけるのがやっぱりいいのではないか。自分施設だけで抱え込まないで、あるいはいいものは自分施設だけで完結しないで、地域関係機関、団体、人に広げていく、その一つの拠点になれるかどうかという視点の議論でございます。  個々の項目については、十分時間がなかったというのは、正直そう思います。
  46. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 特に最近、軽度発達障害の子供は本当に増えておりまして、どこの保育園でも、多分幼稚園でも、入園した後に分かってくるというケースの方が多分多いんだというふうに思っております。  その場合、やはり保健センターですね、保健所とかあるいはそういった発達支援センターみたいなところとの連携を取りながらやっていく。苦労というのは、やっぱり私は基本的には人、その子に対して丁寧に接する人を付けていくというのが基本だと思いますので、そういった意味での障害児保育に対するいわゆる補助金、人的補助ですね。それと、設備的にも補助が要りますので、やはり特別な補助金体制の中でやっていかないと非常にしんどい。その子一人に下手したら、その子だけじゃなくて集団、その子に担任がかかわっていることによってほかの子から目が離れるということは当然出てきますので、やはり私は本当に人の問題とネットワークの問題。あとは、親御さん、なかなか認められませんので、親御さんに対してどういうケアを、その子を一生育てていくわけですので、どうケアをしていくかというのは非常に重要だと、そういった意味での苦労も多いですが、重要だと思います。
  47. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。
  48. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日は参考人の皆さん、ありがとうございます。  まず最初に吉田参考人下條参考人にお伺いをいたします。  吉田参考人意見陳述の中で、この流れが一つは構造改革から出てきたもので、明確な理念があったとは思わないがと、こういうふうに言われました。ただ、理念と言えるかどうかは別として、いろんな発言や提言はされておりまして、例えば、現状の保育を、保育に欠ける子を対象として政府から与えられる福祉であって、市場とはほど遠いという認定した上で、福祉的なサービスではなく、ニーズに応じて自由に選択できる環境づくりが必要だというようなことも言われました。  具体的にこの面について言えば、この総合施設における規制の水準は、それぞれ現行の幼稚園保育所に関する規制のどちらか緩い方の水準以下にすべきだということを総合規制改革会議も言ったわけですが、こういう考え方についてそれぞれどのようにお考えか、まずお願いしたいと思います。
  49. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) これについては合同検討会議でも議論いたしました。それも、幼稚園保育園関係委員、有識者を含めて、基本的にはやはり子供最善利益がまず先に考えるべきことであって、いわゆる民間の株式会社を含めた民間参入のために安上がりでいいかというと決してそうではないと。やっぱり大事なのは子供のための保育環境あるいは親の支援ということで、規制改革の発想については、基本的には私は全委員がそれについては賛成をしていない、やっぱり子供中心の発想で議論していくべきだというふうに思っております。
  50. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 幼稚園保育園のより緩やかな方に合わせるべきだと、基準をという議論については、私は、子供最善利益と言いつつ、実はこれは、例えば幼稚園が認定こども園に移行しやすいような条件をつくっている。いろんな認定こども園制度を見ましても、今御指摘の、この間の規制改革の流れを見ましても、それが私は本当に子供最善利益中心にしていっているというふうには思えない。むしろ、言い方が悪いかもしれませんが、例えば、今度の認定こども園について言えば、幼稚園空き教室あるいは無認可を利用しての安上がりな待機児解消施策に流れていっているんではないかと、私は思います。
  51. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございます。  簡潔にお答えいただいたので、同じ質問を赤坂参考人小宮山参考人にもお願いをしたいと思います。
  52. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) やはり子供最善利益考えたときに、何が大事なのかということは決して外してはならない。そういう意味では、きちっとした認定基準というものをやっぱり求めたいなと思っています。
  53. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) これが規制改革からの要求で始まって、明確な理念があったわけではないというような意見には、私は、あっ、そうなんですかという思いがいたしますね。多くの人は、ついにその理念の下に総合施設のあれが始まったのではないかと、そういう感じは持っております。  それで、すべての子供に対してちゃんとした保育を保障するというのは当然でありまして、そのことはだれも疑っていないというか、それは当然するべきだと思っている、そういうのはもう確実だと思っております。
  54. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございます。  下條参考人にお聞きしますけれども、先ほど国の最低基準というものが地方でやっていく上で大変大きいということを言われました。  いろんなところで保育関係者にお話を聞きますと、今の保育の水準というのはまだまだ引き上げる必要があるけれども、様々関係者の努力、そして地方自治体に対する運動などの積み重ねがあったかと思うんですが、そういう上で、国の基準、最低基準ということが示されてきたということの意味といいましょうか、重みといいましょうか、それについてどのようにお考えでしょうか。
  55. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 先ほど意見陳述の中でも述べさせていただきましたけれども、私のような本当に地方にいますと、その自治体、いわゆる自治体の考え方によって、例えば東京とか名古屋とかは本当に自治体の単費でかなりの補助金が付いている。僕らみたいな地方は本当に運営費、保育園の最低基準に伴う運営費だけで運営していくわけです。だけれども、基本的にその最低基準があるから、日本のどこの子でも、どの地域にいても、都会でも田舎でも、あるいは本当に海辺でも山の中でも、保育所といえばこの最低の基準は満たさないといけないんだという決まりがあることの重要性、これがあるから、これが国の責任においてなされているということの意義は私は非常に大きいと思います。  ただ、その最低基準が十分かというと、先ほども述べましたように、最低基準を今は引き上げることによって、もっと保育施策、子育て施策を充実していくべきだという観点に立つべきだと私は思います。それだけ最低基準というのは大きいものだというふうに私は認識しています。
  56. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  次に、調理室の問題で赤坂参考人下條参考人にお聞きをするんですが、今後出てくる基準でいいますと、ゼロ—二歳のところは基本的必置、そして三歳以降は一定の条件の下での搬入も可というような方向を国が示すような答弁が出ているわけですが、三歳以上においても、アレルギー対応なんか考えたときに、やはり搬入でなく調理室でやるということの意味というのは私は大変大きいと思うんですけれども、それぞれそれについて、三歳以上における調理室の意味付けということについてお考えをお聞きしたいと思います。
  57. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 調理室の件でございますが、本園でも食育という視点からもこのことを実は大事にしております。アレルギーの除去食等も含めても、園の中に調理室があるということは大変良いことだと思っています。ただ、いろいろな事情でそのことが移行期において難しい状況になったときに、ではどんな形での外からの搬入なのかという辺りはきちっと考えていかなければいけないなと思っています。  以上でございます。
  58. 下條忠幸

    参考人下條忠幸君) 先ほど例を挙げました子供、うちのアレルギーを持っている子供が、うちは二歳児までですので、今年度、三歳児の公立の保育園に移りました。私どもは、その子の場合、本当に、先ほど言いましたようにちょっと間違って食べたらぜんそくを起こす、下手をしたら救急車呼ばないといけないというような状況になる可能性もあるわけでして、そこの調理員あるいは園長、その担任となる保育士と非常に綿密な打合せをいたしました。  食の問題というのは、私が思うに、本当にその子供の命にかかわるやはり問題であるわけです。それと、やっぱり食育というのが今文科省でも大きく言われていると思いますが、子供たちはゼロから五歳までの間、未満児にかかわらず、三歳以上児にかかわらず、保育園の中の、あっ、いいにおいがするな、おなかすいたなという家庭的な雰囲気の中でそういった食育というのはやっぱり育っていくものだというふうに私は思います。そういったいわゆるアレルギーみたいな、アレルギーに対する対応という意味だけではなく、子供たち食育、本当に食を育てるという意味で考えたときに、目の前で作ったものを食べる、やはりその大事さというのは私はすごく思いますので、三歳以上児であっても調理室というのは必ず、もし認定こども園というのが制度としてスタートするとしたら、これは絶対に置いていただきたいと私は思います。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  次に吉田参考人にお聞きしますが、認定こども園の課題の中で、セーフティーネットということを言われました。その中で、レジュメでいいますと、保育料の設定についての市町村の改善命令、それから保育料の滞納についての市町村による費用の肩代わり、もう一つ、入園の逆選択については市町村の一定の関与ということを言われておりますけれども、この点もう少し、この三つ目の問題について詳しくお話しいただけますでしょうか。
  60. 吉田正幸

    参考人吉田正幸君) 法案にも多少書かれておりますけれども、例えば、かなり所得が少ない御家庭だとか、子供が障害があるとか、そういうことを理由に入園を、少なくとも保育所機能部分で入園を拒否するということは基本的にできないというふうになっております。恐らく今後これは国の指針が出て、都道府県がそれを参酌して、条例によって各県が認定基準を作るんだろうと思うんですが、その部分、そこが一番私は実は大事だと思っていまして、法律というのはそんな事細かく一々を書くわけではないので、やっぱり最終的には、今回の仕組みでいくと都道府県の認定基準が非常に大事になる、その認定基準の中にきちっとセーフティーネットが盛り込まれるような何らかのやっぱり働き掛けをする必要があるんじゃないかと。特に入園については、園にとって何か都合の悪い家庭子供が排除されては当然私はいかぬと思います。  ただ、それほど大きく心配していないのは、先ほどの契約制ともかかわりますが、私立幼稚園は実は直接契約でございまして、じゃ、むやみやたらに逆選択を拒否をしたりお金をダンピングしたりしているかというと、必ずしもそうではない。むしろ公立幼稚園以上に障害児を受け入れている私立幼稚園もございますし、やっぱりまじめにやっている。直接契約イコールすべて悪いのかというとそうではない。ただ、やっぱり万が一のリスクがあるので、それはセーフティーネットをきちっと公的につくって担保すべきで、あとはやっぱり教育保育分野の方というのは、私の見る限り相当まじめに、財産までなげうってやっている方が多いわけですから、その思いを生かせるようなバックアップをしていただきたいと、こう思います。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  次に、ちょっと職員体制にかかわって赤坂参考人にお聞きをするんですが、いただいた資料ですと、今、三歳児十五名、四歳児三十三名、五歳児三十三名ということなんですが、このうち、要するに中長時間の保育を受けていらっしゃるのはそれぞれ何人になるんでしょうか。
  62. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 時間を選べるのは四、五歳児でございます。現在、実は二か月前には変更が可能ということで人数の動きがございますが、今、五歳児で約十二、三名が二時に帰っております。残りが、二十名ほどが残るわけですけれども、また四時に十名、そして夕方六時半までの、三々五々というんですか、帰る子供が十名というような状況です。四歳児におきましても同じような割合で、でも、短時間から中時間に、四時というのの選択が増えているかなと思っております。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうすると、今微妙な数なんですが。幼稚園が三十五人で一学級、そしてそれに一人配置をするということを言っていますですよね。今、それぞれ三歳児、四歳児、五歳児に幼稚園保育とそれぞれ一人ずつ担任を付けていらっしゃるというのは、どういう制度上の人の配置でこれができているんでしょうか。
  64. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) これは、多分保育所も長時間という中で複数担任になっていると思います。本園では、その複数担任の一名が三、四、五歳児に関しては幼稚園教諭を入れている。そして、勤務に関しましてはローテーション勤務で、幼稚園教諭も早く来る日、あるいは土曜日に出勤すると金曜日もお休みと。ですから、仕組み的には大変保育園の仕組みが入っているというのが現状でございます。
  65. 井上哲士

    ○井上哲士君 昨日も少しこういう質問でやっておったんですけれども、例えば幼稚園型のこども園の場合は、三歳児例えば三十五人いて、そのうち二十人が長時間という場合には、三十五人の幼稚園には一人の教員配置、そして長い部分も一人ですから、結局一人でトータル全部見なくちゃいけないということになりますと、これまで三十五人を一人、幼稚園部分だけやっていた人でいいますと、昼からの二十人分も見るということで大変勤務としては厳しくなりますし、保育の質の低下にもつながるんじゃないかという気がしているんですけれども、そういうこども園になることによっての人的配置の強化の必要性ということについてはいかがお考えでしょうか。
  66. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) これは大いにあると思います。
  67. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 赤坂参考人、指名を得てから御発言をお願いします。
  68. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) 失礼いたしました。  これは大いにあることだと思います。結局、人が人を育てていくということを考えますと、職員には研修の時間、あるいは一日の保育を振り返る時間があり、そして相互に連携したり情報を共有する時間も必要ですので、このことは本当にこの認定こども園が成り立つ中で最大のキーワードだと考えています。  失礼しました。
  69. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  最後に、小宮山参考人赤坂参考人にそれぞれお聞きするんですが、小宮山参考人は全国三十ぐらいのモデル園を歩かれてつぶさに見てこられたというお話がありました。非常にメリットのお話もされておったわけですけれども、一方、やはり保育幼稚園という今までそれぞれ違う文化が一緒になる中で様々な戸惑いとか課題もあろうかと思うんですね。その点、どういうことがお感じか、それぞれからお願いをしたいと思います。
  70. 小宮山潔子

    参考人小宮山潔子君) 現在より少し前の段階で、最後の報告書を出す前ですので、その段階においてはまだこの詳細も中間まとめなどで漏れ伝わっているという状況でしたから、大変不安なところが多かったですね。それで、やる気、やりますというところはもうどうなろうと独自の方法でやりますと言うわけですね。ですから、本当にこの法案期待しているわけです。やる気があって手を挙げているところがやりやすいシステムにしていただきたい、それが私のずっと願っていることです。その内容は、先ほど申し上げたかと思うんですが、簡素なシステム、複雑でない、財政的な問題、ほぼそういうことだと思います。
  71. 赤坂榮

    参考人赤坂榮君) この一体化施設の中で良いなと思っているのは、保護者子供も、それから保育者もなんですけれども、今までとてもシンプルだった幼児教育施設の中で、自分と違う状況子供、あるいは自分と違う状況家庭の大人同士、あるいは保育者は保育士幼稚園教諭という、そういう今まで同じくくりの中でいた人が暮らしていたのとは比べ物にならないほどお互いを認めたり、あるいは自分意見を言ったり、相手の立場になったりということで、より、ある意味では人間関係の深まりの中に保育が進められていると思います。  そういう意味では、幼稚園というシンプルな幼児教育施設であった園が一体化施設になったときにいろんな問題も起きてきます。でも、その問題が一つ一つ子供の良い環境づくりにどうしたらよいかというきっかけになっているのが今のおおやた幼保園の現状かなと思います。これは、保護者父母の会の活動をどうするか、地域とどうかかわるか、あるいは保育士幼稚園教諭がどう折り合いを付けて子供最善だろうという保育方法を考えていくか、これら一つ一つその向かう気持ちというか、意識をどう持っていくかというその熱気のようなものがもしかしたら幼児教育充実につながっているのではないかなというのが今の私の実感でございます。
  72. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  終わります。
  73. 中島啓雄

    委員長中島啓雄君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人皆様に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  次回は来る六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会