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平野達男君 今までの
状況でも、例えば利用権設定する、
作業受委託でもいいです、まあ利用権設定でいきましょう、して規模を拡大すれば、転作をやって大豆
交付金もらいました、麦作安定資金もらいましたと。それは規模を拡大するメリットはあったんですよ。
今回は確かに、多少、品目加算が入りましたとか、いいものを作れば収量が上がりますと、
交付金がちょっと増えますと。それが、これだけこれから人口減少社会に入ってきて農地の出し手が出てくるかも、多分一杯出てくるかもしれないという
状況の中での
担い手確保の決定打になりますかということだと思うんですよ、これ政策的に見れば。
他方、もう一回
担い手に関して言いますと、私は、品目、いいものを作ったから少しはいい収益入ります、要するに掛金はちょっと安くなります。それはそうですよ。だから、じゃ今まで五ヘクタールやっている人が十ヘクタールやるというのは、今までの政策と比較してどこがインパクトあるかといったら、とても私、今の
説明の中では
説明できないと思う。
本当に、繰り返しになりますけれ
ども、麦を作ろうが大豆を作ろうが、そこに掛かる
交付金の単価というのは、今の一応標準的な単価は変わらないんだから、変わらなかった以上は、今までの政策だって
担い手の規模を拡大しようと思ったらできたはずなんですよ。何でしなかったのかということについてはきっちり分析しなかったら、それこそこの政策は、ただ単にゲタだナラシだといって今までの組替えをしただけで、しかも
交付の対象を四ヘクタール、二十ヘクタールと限定しただけで、何も変わらないということになっちゃうんですよ。
その結果、何が起こってくるか。農地の出し手は片方で出てきますよ。受け手はインセンティブは変わらない。耕作放棄地が出てくるというのは、これは最悪のシナリオなんですよ、実は。かまやつひろしの歌に「下駄を鳴らして奴が来る」という歌がありますけど、これは本当に下駄を鳴らして変な政策が来るということになりかねませんよ、本当に。
というふうな私は、本当に今そういう、これを考えていけば考えていくほどこういうことになるのかなと。だって、実は私はこの問題については、何回も地元に行って、農協の方を相手にしたり、
意見交換会してきたり、集落へ行って座談会やったりいろいろ、私、実は農林省で二十四年間、飯食いましたから、少しはこれはいいメリットがあるんだということをいろいろ
説明しようとしましたけれ
ども、なかなか
説明できない、これは。
しかも、また今度は別の観点に変えますけれ
ども、一方で、じゃ今回の政策で出し手が、じゃ逆に、ちょっと今度は先に逆の話をしますが、こういう政策を入れたからといって、今まで一ヘクタール、二ヘクタールで六十五歳ぐらいの方が農地を放すかというと、なかなか私、そのインセンティブも実はないと思います。それは何でかといいましたら、兼業農家は何で、兼業農家です、そういう方は何で
農業をやっているかといいましたら、所得もさることながら、それが欲しくてやっているんじゃないですね。もう完全に生きがいですよ。その人たちは集落営農なんか言われたって、集落営農、今日午前中に岩永さんが非常にいい議論をやられました。あのとおりですよ、私は。岩手県だって、もうあのとおりの現状なんです。集落営農は自分が
農業やりたい人にとっては何がメリットがあるか分からないんです。これで今、大混乱になっていますよ。
それで、午前中、
井出局長から選択、選択とありました。選択と言うのなら、同じ条件で選択さしてください。片っ方で、これやれば補助金付けますとやって、片っ方は、なければ一切その
交付金は対象外になりますといったら、冷静な
判断できないですよ。そして、本当に集落営農が
農業者にとってメリットがあるなら、今までだって集落営農出てきたんですよ。当たり前の話ですよ、これ。何でこれが出てこなかったのか、この分析もしていない。その結果が、
交付金もらって、片っ方は
交付金を付けなけりゃ集落営農が進みますなんというのは、これは政策じゃないですよ、私に言わしたら。何も考えてないとさえ言いたくなる。お金を付けたら、集落営農が進みますよ、流動化が進みますよ。どこが政策だと言いたいですよ、私はこれは。
これは、今の中で、現場の中で
説明していたときに、農家は、最初のうちは農林省の考えることだからいいことだろうと思って聞いていた節がある。しかし、だんだんだんだん考えてみたら、これは一体何なんだという疑念が私、出ていると思います。
それから、独りしゃべりして申し訳ないんですけれ
ども、集落営農に関してはまた時間がありましたらいろいろお聞きしますが、これ今の段階でかろうじてうまくまとめたとしても、いずれ私は、お金というインセンティブで集落営農をつくっている限りは必ず崩壊すると思う。崩壊したところの集落のところというのは悲惨ですよ。そういうこともやっぱり考えてもらいたいですよ。(発言する者あり)そういうことを、郡司さんは親切で、考えてあるというふうにおっしゃいますけれ
ども、そういうことであります。もっと、今ちょっと勢いを盛り上げたところ、郡司さんから、後ろからちょっとちょっとと水を入れられましたから、ここでちょっとトーンダウンしますが。
まあいずれ、今の
状況を踏まえますと、黙っていてもこれからは農地の出し手は出てきます。これは残念ながら出てくるんです。
それから、
あともう
一つ、
一つ言い忘れましたけれ
ども、岩手県みたいな中山間地域は何で農地を放さないか。もう
一つあります。今、景気悪いですから、他産業だけで生計立てる人は少ないです。かといって、経営規模が小さいですから、
農業だけで生計立てる人も少ない。ほんのわずかの収入でも、とにかくそれが自分の農家収入を支えるすごい助けになっているんです。それを集落営農を言い出して、この資料だと何か一杯配当金がもらえるような仕組みになっていますけど、あれは私は全然信用しません。一ヘクタールでも二ヘクタールでも自分でやって、実はこれ自分でやってということにもからくりがありまして、全部自分でやらないですよ。農家は営農集落はやらないけれ
ども、機械のない人は、じゃ耕起をお願いしますといって、耕起だけお願いするんですよ。で、水管理をやって、
あと稲刈りは比較的簡単だから稲刈りは自分でやるという、半
作業受委託が集落の中で進んでいて、それでもたせているんですよ。それが地域の要するに
農業を支えているし、実は地域の生活を支えているという実態も農水省は分かっているはずですよ。
そして、ましてや、繰り返しますけれ
ども、これから高齢化社会でしょう。私は死ぬまでとにかく何でもいい、一ヘクタール、いや二ヘクタールでもいいから米を作りたいという農家はたくさんいますよ。何で私たちが米作っちゃ駄目なんだと、いやいや、米作って駄目だと言っていないというのは承知していますよ。しかし、今回の政策はそういうメッセージを出してしまうんですよ。
ということで、演説になってしまいましてね、
質問をちょっとしなくちゃならないんですが、私は、これからの、原点に戻りますけれ
ども、今回の政策の中で、農地流動化のそのマクロ
需給という観点から見た場合には、やっぱりこれは下手しますと今の政策では供給過剰になってしまう。
だから、むしろ今大事なのは、今回の政策は今回の政策として、よく考えた政策ですし、政策自体として私、悪い政策だと思っていません。ただ、一点だけ重要な問題は、四ヘクタール、二十ヘクタール、まあいろんな条件ありますけど、それに外れた人に
交付金を全く出さないということです。
私は、自分の
考え方を先に結論を言いますと、今必要なのは、とにかくみんなでできるだけ
農業をやってくださいと。その代わり、
担い手になる人は規模拡大したらリスクを抱えるんですよ、先ほど言ったように農産物の
価格の変動リスクがすごい大きいから。だから、そういう人たちには厚くやりましょうと。これは一般の農家は理解しますよ。それで他方で、兼業農家に対しては、あなた方もちゃんと立派な
担い手です、やってくださいというメッセージを出して、そしてその一方で、その中で、私は残念ながら、残念ながらという言葉を使いますけれ
ども、農地は出てきます。それをしっかり受け手につなぐという政策が多分今この
日本の中で一番ふさわしい政策じゃないかと私は思っています。
大臣、感想を一言でいいですから。それに分かったと言ったらこの
法律駄目になっちゃうから、なかなか言えないでしょうけど。