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2006-04-18 第164回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月四日     辞任         補欠選任         主濱  了君     岩本  司君  四月五日     辞任         補欠選任         岩本  司君     主濱  了君  四月十一日     辞任         補欠選任         和田ひろ子君     高橋 千秋君  四月十二日     辞任         補欠選任         高橋 千秋君     和田ひろ子君  四月十三日     辞任         補欠選任         谷合 正明君     遠山 清彦君  四月十四日     辞任         補欠選任         遠山 清彦君     谷合 正明君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩城 光英君     理 事                 加治屋義人君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 和田ひろ子君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  信夫君                 国井 正幸君                 小斉平敏文君                 段本 幸男君                 野村 哲郎君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 主濱  了君             ツルネン マルテイ君                 松下 新平君                 谷合 正明君                 福本 潤一君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    副大臣        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       笠井 俊彦君        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        厚生労働大臣官        房参事官     藤井  充君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 正典君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       西川 孝一君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        林野庁長官    川村秀三郎君        水産庁長官    小林 芳雄君        経済産業大臣官        房審議官     深野 弘行君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   薦田 康久君        環境省地球環境        局長       小林  光君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (品目横断的経営安定対策に関する件)  (米国産牛肉輸入問題に関する件)  (カネミ油症患者救済に関する件)  (林業振興のための国産材需要拡大に関する  件)  (京都議定書目標達成のための森林整備に関す  る件)  (青森県六ヶ所村使用済核燃料処理施設の運  転による水産物への影響に関する件) ○理事の辞任及び補欠選任の件     ─────────────
  2. 岩城光英

  3. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 主濱了

    ○主濱了君 おはようございます。民主党・新緑風会の主濱了でございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず、魚類の食料自給率低下原因と対応についてお伺いをいたします。  日本漁業は、かつて水産国として輸出していたものが、平成十二年には五三%まで自給率は落ちております。今、十五年度におきましては五七%まで若干上昇しておりますけれども魚介類自給率の急激な低下原因とそれから自給率向上対策、これをいかに考えているか、まずお伺いしたいと思います。
  6. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今御指摘ございました食用魚介類自給率動向でございます。長期的な低下傾向推移しておりまして、今の御指摘のあったとおりでございます。平成十四年以降、今の基本計画に基づいて対応しています。その中で下げ止まりの傾向が見えてきたかなと見ておりますけれども、なかなか二十四年の目標六五%に向けてはまだまだ道のりが遠いという状況でございます。  長期的に低下傾向で来た原因で主なものとして申し上げますと、一つ我が国周辺水域での資源状況が悪化しております。それから、遠洋漁場、こちらは例の二百海里等の規制強化によりまして、こういったことで遠洋漁業あるいは沖合漁業中心生産量減少してまいりました。それから一方で、国民の水産物需要という面で見てみますと、この間の所得水準向上などを背景にいたしまして、エビとかマグロといった国内漁業だけでは賄い切れないものの変化があったということでございまして輸入が増加したという経緯がございます。  こういったことを受けまして、私どもとしましては、この自給率目標達成に向けまして、基本計画に沿って、一つ資源増大、それから漁場確保という意味で、漁獲量あるいは漁獲努力量管理とか積極的な種苗放流推進、それから漁場環境の保全、改善等、こういった対策一つでございます。  また、生産された水産物需要に結び付くように、安全性鮮度等の面での水産物品質向上対策、それから流通合理化等々、各般の施策を総合的に展開していかなくちゃいけないと思っておりまして、また現在、来年の三月の水産基本見直しに向けまして、国際競争力のある経営体育成確保、あるいは産地販売力強化等、こういうことについて検討を進めているところでございます。
  7. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは次に、水産関係予算に関連いたしまして、農林水産大臣にお伺いをいたしたいと思います。  平成十八年度の水産関係予算二千六百三十五億円のうち、一般公共事業はそのうちの六五%、約六五%、一千七百億円余りであります。このうち、漁港海岸予算は百億円余り、そして水産基盤整備は一千六百億円ということになっております。  このように、水産関係予算予算総額水産庁予算総額に占めるかなりの部分が一般公共事業として基盤整備事業漁港あるいは海岸事業に投じられておりますけれども地元の要望に基づくものだと、こういうことで理解できなくはないんですが、一方において、財源の効果的な配分、もっと必要なところへ配分するべきだと、こういったような課題もあるというふうに思っております。  そこでお伺いいたしますが、日本水産業は、とにかく安定した漁獲高、安定した漁業経営を目指すことが必要であると思っております。  中川大臣、今の日本農業にとって喫緊に対応しなければならない課題予算を集中的に配分しなければならない課題、これは何であると思っているか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今の主濱委員の御指摘日本世界一の漁業国家でございましたけれども、今御指摘のように、日本はその位置からだんだんだんだん減ってきているわけでございます。  そういう中で、限られた水産予算の中で、御指摘のように、今までは基盤整備の方に七割近い予算が振り向けられていたわけでございますけれども基盤整備も重要なものはやっていかなければなりませんが、それと同時に、今、基本計画見直しを御審議いただいている中で、必要な予算につきましては適時適切に対応していく。昨年ですと、あの大型クラゲの問題でありますとか燃油の高騰の問題でありますとか、文字どおり緊急なものに対して補正予算で対応させていただいたわけでございます。またこれからも、藻場、干潟などの生息環境整備、あるいはまた安全で効率的な水産物供給体制整備、また漁村整備等々、必要な、特に重点的な分野に予算を重点的に配分をしていかなければなりません。  そういう意味で、今までと比べましてより柔軟に、例えば公共予算を一部非公共予算に振り向けるといった形で、特に平成十八年度におきましてはもう水産基盤整備予算比率が六〇%台、六〇・七%ということで、かなり結果的に下がってきているわけでございます。これからも日本の大事な資源であります漁場、そしてそれを守り活用していく漁港等々の整備のために、そしてまた消費者の御理解をいただきながら自給率向上に向けましても努力をしていかなければならないと、こういうふうに考えております。
  9. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。  私は今の質問の中で漁業とお話しすべきところ農業と、こう発言をしてしまいましたので、御訂正をお願いをいたします。  それでは次に、沿岸漁業及び養殖漁業振興についてお伺いいたします。  まず確認としまして、経営体、それから従業者水揚げ推移、この三点についてお示しを願います。それからあわせまして、沿岸漁業及び養殖漁業振興観点から、主な施策、どんな施策が講じられているのか、あるいはその予算について併せてお示しをいただきたいと思います。
  10. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 沿岸漁業養殖漁業日本近海漁業でございますが、その動向でございます。  平成十二年から平成十六年までの推移として見ますと、経営体数約一割減少いたしまして、現在、約十二万経営体でございます。それから従事者数も約一割減少いたしまして約二十万人、水揚げ量はほぼ横ばい推移してきておりまして約二百八十万トンとなっておりまして、全体として厳しい経営環境が続いているというふうに考えております。  こうした中で、政策効果予算の重点的な形でやっておりますのが、まず漁業生産維持増大を図るということでございまして、資源回復計画推進を通じました資源管理対策、これが一つでございます。また、漁港漁場も併せまして整備する先ほどの水産基盤整備事業推進、それから漁業者経営改善あるいは安定に資するという意味でいろんな設備・運転資金等の円滑な供給を行う政策金融措置、それから水産物価格変動、この緩和のための調整保管事業もございます。それからさらには、水揚げ金額減少に着目して損失を補てんする漁業災害補償制度と、これらを進めておりまして、さらに地域特性に即したブランド化を始めといたしました産地販売力強化、こういった加工流通対策にも対応しているところでございます。  いずれにしましても、我が国漁業の健全な発展に向けるという意味でこういった施策を今後とも総合的かつ計画的に展開してまいりたいと考えております。
  11. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それで、この沿岸あるいは養殖漁業問題点といいますか、私は、水揚げ高横ばい推移をしているんですが、その経営体自体、それから従事者減少傾向にあるというところが問題点ではないかなと、こんなふうに思っているところでありますけれども中川大臣にお伺いします。  この沿岸漁業それから養殖漁業問題点大臣自身はどういうふうにお考えになっているか、そして今後これらの漁業がどういったような役割を果たしていけばいいのか、どのようにお考えになっているかについてお伺いをしたいと思います。
  12. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昔は七つの海に日本の漁船が行っていたわけでありますけれども、先ほどの質疑にもありましたように、二百海里の問題あるいは資源管理の問題あるいは資源そのもの減少といったようないろんな観点から、昔は取る漁業だったわけですけれども、これからはつくり育てる漁業ということで、沿岸及び養殖が一層重要な役割を果たしていかなければならないというふうに思っております。  経営体で九五%が該当をするということでございますから、これが経営体が非常に脆弱であると、そしてまた高齢化していると、そして去年のように、先ほどのような突発的な出来事が起きると経営に大変深刻な影響を及ぼすということでございますので、我々といたしましては、そういうところに対して足腰の強い経営体を育成していくことが是非とも必要であろうというふうに考えております。  農業の方で今御議論をいただいておりますけれども主業農家に該当するような経営力の強い漁業をつくっていく、あるいはまた単に漁村漁業生産活動の場だけではなくて、これも農業の言葉でございますけれども漁業の果たす、漁村の果たす多面的な役割というもので、特に都会の子供たちにお魚を楽しんでもらう、親しんでもらうと。私の地元の北海道のシャケを時々差し上げますが、ちっちゃな子供はこれはシャケじゃない、マグロだと言って、東京では本当に一匹まんまのシャケを見る機会がどんどん減ってきているということでありますので、食育あるいは子供たちの成長のためにもやっぱり魚あるいは漁業漁村というものの果たす役割は非常に高いというふうに思っております。  また、消費者のニーズにこたえられるようなものをつくっていく、そして消費から見てブランド力のある製品をつくっていくと。現在、昨年の商標法改正地域団体商標というものの中にも随分水産物関係があるようでございまして、これがどの程度認められていくかということでございますけれども、これも消費者あっての日本水産漁村でございますので、そういう観点からも国際競争力を持ちながら消費者評価してもらえるような貴重な水産物を更に提供できるように、生産サイドが川上、川下と一緒になって発展していけるように、我々としても計画見直しに当たってこれらの点を十分配慮しながら努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
  13. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは次に、水産資源管理について一点だけお伺いをいたしたいと思います。TAC対象魚種であるマイワシ関係であります。  一九八八年、二十年ぐらい前でしょうか、四百五十万トンも取れておったんですが、それが平成十二年には十五万トンまで落ちていると、さらに十六年、これ概数だそうですけれども、五万一千トンまで極端に減少してきております。原因は何でしょうか、そして回復可能なのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  14. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 御指摘ありましたように、マイワシ変動、これが著しい形になっております。  この変動原因であります。必ずしも科学的に明確に解明されているという段階ではありませんけれども、今までの研究成果ということで御説明申し上げますと、太平洋側でありますが、稚魚の重要な生育場として黒潮と親潮の混合するといいますか、行き合う海域、この海洋環境が非常に大きな要因になっておるようであります。八〇年代の末以降、この水域におきまして親潮の南下、南に下る、その力が弱まったということがございまして、これによって水温が上昇いたしました。こういう影響によりまして、えさ環境が必ずしも良くないということになりまして、こういったことにより、稚魚の生き残り、生残率が極めて少なくなってきたということが一つ要因として言われております。  それから一方の日本海側でございます。こちらも八〇年代後半になりますと水温が上昇してまいりまして、やはりこれも産卵期あるいは産卵場所あるいはえさの量が変化するということによりまして加入量減少し、資源減少してきたのではないかというふうに考えられておるところでございます。  まず、私ども、こういった資源調査と併せまして、それから海洋環境、こういったもの、水産資源に対する変動メカニズムの究明と、これがまず基本の前提でございます。そういったことに更に努力をしてまいりまして、その原因が解明されれば、その原因に応じた対策検討ということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  15. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それで、そのほかの海洋資源状況についてもお伺いをしたいと思います。  この中で、マグロ関係ですね、マグロ類実態はいかがなっているでしょうか、その資源の状態として。そしてもう一つ世界マグロ日本流入をしていると、こういうふうに報道されておりますけれども世界におけるまずは保護の状況とそれから日本への流入実態についてお伺いいたします。
  16. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) マグロ類資源状況でございます。  全体として見ますと、その水準はおおむね中位から低位、これは水準という意味での評価ですけれども中位から低位という状況でございまして、それで、その動向という形で見てみますと、一部減少傾向の種類があります。ただ、そういった中でおおむね横ばい推移しているという、これが資源状況でありますが、こういったことを受けまして、マグロ類の国際的な管理が取り組まれております。マグロは広く海を回遊する、そういった特性がございますので、その関係する国が海域ごとに、大西洋、インド洋、中西部太平洋、こういった海域ごと地域漁業管理機関を設けておりまして、そこで資源管理する国際的な枠組みを進めておるわけでございます。  我が国としましても、こういった機関を通じましていろんな関係国と協力しながら、一つはその資源状況に見合った漁獲量の設定、それから加盟国の中で許可船漁獲物のみを国際取引上認めると、こういったいわゆる便宜置籍船対策といった、こういうことが重要でございまして、こういった措置を通じましてマグロ資源の適切な保存管理推進しているという、こういった状況でございます。  全体として、マグロ輸入状況でございますけれども、まず、全世界マグロ類がどのくらい漁獲量があるかということ、これはFAOの二〇〇二年の統計ですと二百三十七万トンでございます。この中には当然いわゆるクロマグロミナミマグロ、メバチといった刺身用のほかに、キハダとかビンナガ、これは缶詰用でございまして、こういったものを含めたトータルとして二百三十七万トンでありますが、その中で我が国マグロ類供給量、これは二〇〇四年の数字ですけれども、五十七万六千トンとなっておりまして、そのうちの輸入量が三十二万六千トンでございます。私どもの国は刺身商材として使うケースが多くございますので、そういったものを中心輸入が行われていると。ここ数年は輸入としては三十万トンの、三十数万トン、下の方ですけれども、そういった横ばい傾向推移しているという、そういう状況でございます。
  17. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、この関係で関連してお伺いいたします。  昨年十一月に、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会から、妊婦への魚介類摂取水銀に関する注意事項が発出されております。内容は、マグロ類などに関する注意事項であります。これ、妊婦等が一日に摂食する目安を示したものであります。  まず、胎児への影響ですが、将来の社会生活支障があるなど重篤なものではありませんと、こういったような表現しているんですが、どの程度影響があるのか、具体的にお示しを願いたいということでございます。やっぱり少子化の中でこれから生まれてくる子供の健康ですので、関心を持たざるを得ないわけであります。  あわせまして、この周知をどのように図っているのか、この注意事項周知をどのように図っているのか、併せてお伺いをいたしたいと思います。
  18. 藤井充

    政府参考人藤井充君) お答えをさしていただきます。  御指摘注意事項につきましては、内閣食品安全委員会食品健康影響評価を踏まえまして、昨年十一月に公表を行ったところでございます。  注意事項公表に当たりましては、妊婦の皆様への正確な理解と、健康影響程度が明記されていないことに伴う不安を生じさせないようにするため、その程度につきましては、食品安全委員会の資料を基にいたしまして、「近年、魚介類を通じた水銀摂取胎児影響を与える可能性を懸念する報告がなされています。この胎児への影響は、例えば音を聞いた場合の反応が千分の一秒以下のレベルで遅れるようになるようなもので、あるとしても将来の社会生活支障があるような重篤なものではありません。」、「わが国における食品を通じた平均の水銀摂取量は、食品安全委員会公表した妊婦対象とした耐容量の六割程度であって、一般胎児への影響が懸念されるような状況ではありません。」と明記したところでございます。  あわせまして、本注意事項についての疑問となりそうな点につきましては、QアンドAとしまして、注意事項公表と同時に厚生労働省のホームページで公表をしたほか、関係機関、特に妊婦さん対象ということでありますので、母子保健対象とする部局等に通知を出しまして、正確な理解周知というものを求めたところでございます。
  19. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは次に、使用済核燃料の再処理に関連をいたしまして、農林漁業への影響などについてお伺いをしたいと思います。  まず最初に、有数の漁場であります三陸沖、この三陸沖に面している青森六ケ所村で、日本原燃が使用済核燃料から燃え残りのウランや新たに生まれたプルトニウムを取り出す再処理を行うことにしております。現在、操業運転を前に、アクティブ試験が実施をされているところでありますが、再処理に当たりましては放射性廃棄物が大気や三陸海洋に放出されます。この放出される放射能性廃棄物総量とその影響についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  20. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  まず、青森六ケ所村の再処理施設から放出されます放射性物質総量につきましては、この施設におけます使用済燃料の年間最大処理量等から算出されるわけでございます。この量は事業指定申請書で明らかにされております。  その代表的なものを挙げますと、この放射性物質のうちの大気へ出ていくものといたしまして例えばクリプトン85というのがございますが、この量は年間約三・三掛ける十の十七乗ベクレルという数値でございます。また、海洋へ出ていくものの中にはトリチウムといったものございますが、この放出量は年間約一・八掛ける十の十六乗ベクレルというふうになっているところでございます。  こういうようなものを基に一般の方々が受ける放射線の量を評価するということが重要でございまして、これをいたしますと、最大で年間〇・〇二二ミリシーベルトというふうになるわけでございます。この評価に当たりましては、大気や地表を経由したり、あるいは海水面、それから漁網、船体及び海中作業から受ける体の表面への被曝といったようなもの、あるいは呼吸や農畜産物、海産物の摂取におけます体内の被曝等の両方の被曝を考慮したものでございます。  この〇・〇二二ミリシーベルトという意味でございますけれども、現在法令で定める放射線の被曝の上限というのは年間一ミリシーベルトということになってございまして、これに比べますと十分小さいということで、原子力安全・保安院といたしましては、この再処理施設は十分安全なものと判断をしておるところでございます。
  21. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、農林水産省の方にお尋ねするんですが、農林業や水産業に及ぼす影響、これをどのように見ているかについてお示しをいただきたいと思います。
  22. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) ただいま経済産業省から答弁がありましたように、青森県の六ケ所村の再処理施設から放出されます放射性物質総量から見た場合、あの放射線の量は法令で定める被曝の上限を十分下回っておりまして、再処理施設は十分安全なものと判断されております。  したがいまして、通常の運転管理の下では、六ケ所村の再処理施設の周辺では農産物であるとか水産物などの汚染、そういう意味での農林水産業への影響は生じないものと我々考えておるところでございます。
  23. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  実は、二十年前にイギリス・セラフィールドの使用済核燃料処理工場、これ、世界最大の放射能汚染だとするイギリスの下院、環境問題委員会の報告書が出されております。このような報道がなされております。この報道がなされたのが一九八六年三月の二十日、ちょうど二十年前の三月二十日ということになっております。で、そのときに、その報道と同時に、英国沿岸の魚の汚染、これは日本の千倍以上になっていると、これも併せて報道をされているところであります。  この事実を把握していますでしょうか。これ、それぞれ経済産業省及び農林水産省にお伺いしたいと思います。
  24. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) まず、保安院の方からお答えさせていただきます。  今、先生御指摘のございましたように、かつて英国のセラフィールドにおきましてそのような報道があった、あるいは報告書が出ているということは、保安院としても十分認識をしているところでございます。  このセラフィールドの再処理施設というのは、六ケ所村とはえらい違っておりまして、当時随分規制がイギリスにおきまして緩やかだったこともございまして、いわゆる高レベル廃液といったものを除きましてそのほかは外に放出をしていたというような管理をしていたようでございます。  この当時の英国燃料公社、BNFLと申しますが、この報告書によりますと、このセラフィールドの施設から放出されました放射能が、この蓄積された魚介類摂取することによりまして、人間が受けます放射線の総量というのは、一九八三年には二・五八ミリシーベルトというふうに評価をされているところでございます。  これは、このたび六ケ所村の評価におきまして、先ほど申し上げましたように、大気から、それから海から、両方から足したものが〇・〇二二ミリシーベルト、それから液体廃棄物だけからしますと〇・〇〇〇三ミリシーベルトが放射線の被曝量でございますので、これに比べますとけたが四けたぐらい高い数値が当時出ていたわけでございます。ただし、これも、当時一般の人々が受けてもよいとなされていた年間五ミリシーベルトに比べると十分小さなもの、比較すれば小さなものとなっていたことは事実でございます。  ただ、この後、BNFLはいろいろな施設の改造等を行いまして、随分この改善を行ってきております。具体的に申し上げますと、この二〇〇四年の評価では、先ほどの二・五八ミリシーベルトというのが〇・二二ミリシーベルト、約十分の一まで低減をしておりまして、そういう点で随分改善がなされたものと理解がされているところでございます。  以上でございます。
  25. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 水産庁といたしまして、今、先生御指摘ございました一九八六年の三月二十日で報道されておりますこの報道については私どもは今目にしたところでございます。  それで、報道の内容、まあ概要でございますけれども、今、保安院の方から話があったことを中心に報告されているというふうに理解しております。
  26. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。お調べいただいてありがとうございます。  それで現在の、改善されてきているということでございます、現在のその英国沿岸の魚の状態、現時点ではいかがでしょう。これは農林水産省にお伺いしたいと思います。
  27. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 現状でございます。  水産庁として、この英国沿岸産の魚介類におきます放射能に係る状況、これ直接もちろん把握しているわけではありませんけれども、御指摘もございまして調べてみたところ、英国環境庁、それから英国食品基準庁の公表データがございまして、そこで、二〇〇二年段階の数字でございますけれども、セラフィールド再処理施設周辺の魚介類の摂食に起因する実効線量という数値でございますが、いわゆる公衆の線量限度以下であると、その辺のところは今、保安院から御説明あったとおりでございますけれども、その公衆の線量限度以下の数字が二〇〇二年段階では報告されているというふうに承知しております。
  28. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  かつては、少なくてもこのセラフィールド、かなりの高濃度の放射能汚染があったと、こういうことで、現在はそういう状況ではない、限度以下であると、こういうふうなお話だったというふうに思います。  一言で申し上げまして、六ケ所村とセラフィールド、これどう違うのか。かつてと現在とどう違って、やっぱり日本で進めようとしている、六ケ所村で進めようとしている、そうすれば、少なくとも六ケ所村は安全だと、こういうことでなければいけないと思っているんですが、その違いを端的にお知らせをいただきたいと思います。
  29. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 端的に申し上げますと、六ケ所村におきましては、このセラフィールド等の経験を踏まえまして、外に出ていく放射性物質、こういうものを中で除去できるように、とらえられるようになっているということでございます。  この結果、先ほど申し上げましたように、六ケ所村施設近傍の海産物を摂取することによりまして人々が受ける放射線の量というのは年間約〇・〇〇三一ミリシーベルトというふうになるわけでございます。  これは、先ほどのセラフィールドの昔の数値に比べますと、先ほど四けたと申し上げました、申し訳ございません、三けたぐらい低いし、それから最近のセラフィールドの実績値〇・二二ミリシーベルトと比べますと約七十分の一というような少ない値になっているわけでございまして、当然、年間一ミリシーベルトという法令制限からははるかに下の値になっているということでございます。
  30. 主濱了

    ○主濱了君 今日はまあ農林水産委員会ですので、この問題についてはまた別に場所を変えていろいろ議論をさせていただきたいなというふうにこう思っております。  それで最後に、この件の最後に中川大臣にお伺いいたしますが、魚介類や海藻類などの調査を通じまして、漁場の放射能監視を徹底するなどして三陸漁場を放射能で汚染させないということの御決意を是非ともお伺いをいたしたいと思います。
  31. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は去年の十月まで原子力安全担当の大臣をやっておりまして、安全・保安院を中心にして総力を挙げて異常が起きないように、万々が一異常が起きたときには迅速かつ的確に対応するようにということを常に緊張関係を持ってやってきたつもりでございます。  もちろん、異常はあってはなりませんけれども、しかし異常があったときにはすぐ適切な処理をする。そして、異常がない場合には、今、保安院あるいは水産庁からも御答弁がありましたように、正常時におきましては、これはもう通常の我々の自然界の世界の発生量よりもはるかに少ないものであるということが前提になっておりますので、是非とも、この三陸海岸という大変漁場として豊かな地域でありますから漁業関係の皆様は気にされるのは当然でございますけれども、正常であればこれは全く問題がないということを是非とも御理解をいただきたいというふうに思います。  我々としても、必要に応じていつでも御説明を申し上げたいと思いますし、逆にいわゆる風評被害的なもので漁業者の皆さんはもとより消費者の皆さんにも悪影響が出るということは、決してこれはプラスにならないわけでございますので、我々も常日ごろから保安院あるいは水産庁その他政府全体としても責任を持ってやっていきたいと思いますけれども、是非とも生産者の皆さんには通常時、少なくとも通常時においては安全であるということを是非とも御理解いただきたいと思います。  もちろん、この安全性というものを今後も更に守っていく、そして関係者にきちっと説明をしていくということは極めて大事でございますので、これについても今後もきっちりとやっていきたいと考えております。
  32. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  私、魚が大好きです。毎日食べております。すばらしい食料であるというふうに思っております。貴重でおいしい魚、私たちの代だけではなくて、孫子の代までずっと食べていけるように、そして魚が生存できるような環境、これは守っていかなくちゃいけないと、このように思っております。ひとつよろしくお願い申し上げます。  さて、続きまして、次はBSEについてお伺いをいたします。  ちょっと時間がなくなってきましたので端的に申し上げますが、昨年の十二月に米国産牛肉の輸入が再開をされました。そして、今は再度の輸入停止の状況であります。それで、再度の再開ですね、再度の再開というのはちょっと変な表現ですけれども、再度の再開はどなたがどのような判断をして実現されるのでしょうか、これを法令に照らしてお示しをいただきたいなと思います。農林水産大臣お願いいたします。
  33. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 食品の安全につきましては、リスク評価を担当する担当、これは食品安全委員会が専門的な立場から御判断をされたわけでございます。リスク管理をする方が厚生労働省農林水産省ということになっておりまして、今回一月二十日に発見された輸出プログラム違反が行われたわけでございますので、今ストップをしているところでございます。  食品安全委員会の方はこのプログラムそのものには問題はないという御見解でございまして、しかし原因の徹底究明と再発防止ということで、今、日本側、米国側で作業を進めているところでございまして、最終的に一つ一つ作業を積み上げていくわけで、決していつごろを目指してとか最終工程はこうだというような予断はせずに、今やっていること、つまり現在ですと全国で説明会を開いて消費者の皆さんに御説明をし、また御意見をいただいているところでございます。四国が抜けているという御指摘がございましたので、四国にも説明を急遽させていただくことにしたところでございます。  そういうことを、必要な作業を日本側、米国側でやっていって、最終的にはリスク管理機関であります厚生労働省農林水産省がそういう前提がすべてクリアされましたならば輸入再開ということになるわけでございますけれども、あと何をやったらいいのかと、いつごろになるのかということはもう、全く先のことは考えずに、目の前のやるべきことを一つ一つやっていくということでございまして、最終的には政府の判断ということとしてリスク管理観点から判断をしていくものだろうというふうに理解をしております。
  34. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  この四月一日にプリオン専門調査委員会委員の任命が行われました。しかし、委員六人、半数の六人の辞任というのは異例だというふうに思います。松田大臣は、抗議の意味で辞めたと私は受け止めていないと話したと、このように報道されているところであります。しかし、委員のお一人、今回お辞めになった委員のお一人であります金子清俊東京医科大学教授は、政府のお墨付きを与えるために利用されたと、このように話しているということでございます。また、品川森一プリオン病研究センター長は、省庁が望む結論ありきの委員会でやっていられないと、こういうふうに話をして、行政への不信感から辞意を表明していたと、このように報道をされているところでございます。  このような中で、どのような手続を踏んで後任の新しい委員を任命したか、公募をしたのか、あるいはどういったような団体に対して推薦の依頼をしたのか、さらには選考基準はどうなっているのかなど、詳細についてお伺いをいたします。
  35. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) お答え申し上げます。  今回のプリオン専門調査会の専門委員の改選につきましては、専門委員にも任期を設けるという内閣府の方針に従いまして二年の任期を付すということで行われたものでございます。平成十八年の三月九日の食品安全委員会会合におきまして四月一日付けでプリオン専門調査会の専門委員を改選する方針が決定されたところでございます。  具体的には、十二名全員の方から辞任願を提出していただきました上で、四月一日付けで再任及び新任の専門委員を含めて任命が行われたところでございます。この過程で、年齢の要件から見てそれを満たさない山内委員、またそれから以前から辞意を表明されておられました品川委員を除く十名の専門委員全員に対しましてあらかじめ事務局から再任の依頼を行って、その本人の回答を受けて手続を進めたわけでございます。  この改選に当たりましては、専門委員としてふさわしい学識経験を有する方々につきまして食品安全委員会委員等からの意見を踏まえて事務局で整理をした上で内閣府の手続を経まして、最終的には松田食品安全担当大臣の了承によりまして内閣総理大臣名で任命を行ったというものと理解をしております。
  36. 主濱了

    ○主濱了君 一つだけ確認をさせていただきたいんですが、このプリオン専門調査会の委員の皆様については食品安全委員会委員の皆様のお話を聞いて手続を進められたと、こういうことでございましょうか。確認させていただきます。
  37. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) ただいまお答えを申し上げましたとおり、改選の方針につきましても食品安全委員会で決めておりますし、委員会委員の皆様方の御意向を踏まえて候補を選定したものでございます。
  38. 主濱了

    ○主濱了君 新しい委員の任命の手続、今伺ったところでございます。この選び方、そして結果としてどうなるかこれから見なければいけないわけですが、少なくとも、例えばアメリカ産牛肉の輸入再開に消極的な委員が今回任命されなかったということでございます。  こういったようなことを踏まえて、今進められた手続が国民を十分に納得させる手続となっているのかどうか、これは全く所管でないことはもう十分承知しておりますが、中川大臣の御所見を是非ともお伺いいたしたいと思います。
  39. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二〇〇一年の九月に日本でBSEが発見されて、食品安全委員会というリスク評価をする全くのリスク管理行政とは別の機関を設置したわけであります。そもそも関連性はないということが大前提でございますので、今回任期が来て、そして引き続きはやらない方、辞めた方、そしてまた引き続きやる先生方、いろいろいらっしゃったわけでございます。その経緯につきましては、私から人様のところのことを、いろいろマスコミでは言っておりますけれども、私からコメントをするのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  40. 主濱了

    ○主濱了君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  41. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。本日は一般調査ということでございますので、普段なかなか議論をすることの機会が少ない森林・林業について議論をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、森林・林業基本計画でございますけれども平成十三年の十月に制定をされまして五年が経過をしようとしております。今年の十月には新たな基本計画が作られる、そのための議論を既にされているんではないかというふうに思いますけれども大臣、どのような基本的な方針で議論をされているのか、教えていただければと思います。
  42. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおりでございまして、基本法に基づく基本計画見直しということでございます。一言で言えば森林・林業の果たす多面的役割、川上から川下まで一体となったこの役割をいかに発揮していくかということがポイントでございますけれども、具体的には、木材の自給率も少しずつ今上がっているわけでございます。そういった中で、やっぱり消費者、川下サイドのニーズにこたえた対応で健全な森林の整備、あるいはまた木材産業あるいは住宅産業等のニーズにマッチした大ロットでの安定供給ということができるようにしていくといったようなところがポイントでございます。  言うまでもなく、地産地消あるいはまた水源涵養、ダム機能、いろんな役割があることは言うまでもございませんが、そういった重要な森林・林業の果たす役割をきちっと施策の中で実現できるようにしていくための基本計画としてやっていただくように今作業を進めていただいているところでございます。
  43. 郡司彰

    ○郡司彰君 川下サイドのニーズにこたえるような形をつくっていかなければいけないということでございますけれども、今いろいろな議論が行政改革ということでも進められておりますけれども、一体、現在の林野庁というものが一体的にこれからも今おっしゃったような森林の整備でありますとか国土の保全でありますとか、もちろん環境に関する問題もございましょうし、大臣から言われました治山治水の関係ですね、こういうものを今の林野庁という中で一元的に行っていこう、そのようなことで理解をしてよろしゅうございましょうか。
  44. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 御案内のとおり、林野庁は国有林も所有をしております。国土の面積の二割、森林面積の三割でございます。それと同時に、民有林の行政もしております。やはり今後はその民有林、国有林が一体となりまして、また連携をいたしまして治山治水の問題にしましても、また川下のニーズにこたえた木材供給にしましても、一体となって連携をしながら進めていく必要があるということで、そういう意味では林野庁がその民有林、国有林を通じて行政を行っていくというところが非常に今後も大事ではないかというふうに私ども思っております。
  45. 郡司彰

    ○郡司彰君 川下サイドのニーズというのは、言い換えれば消費者ということだけではなくて、国民の財産として考えていこうということになるんだろうというふうに思いますけれども、今、木材というようなところの分野から見ると、国産材平成二十二年度までに二千五百万立米目標というようなことを立てていらっしゃるかと思いますけれども、これに関連をしてここ十年、二十年、三十年程度のこの供給量推移、あるいはこれから二十二年のときに目標としている二千五百万立米というものが達成をされるのかどうかについての見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
  46. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 平成二十二年で二千五百万立方メートルという目標を立てております。  昨今の状況を見ますと、かなり林業活動の停滞等があったわけでございますし、また木材需要の全体としての伸びも停滞をしておったということもありまして、近年は千七百万立方メートル程度推移をしてきております。  ただ、先ほど大臣も申し上げましたとおり、ここのところ用材の供給国産材、増加をしつつありまして、そういう状況も踏まえますと、今後、格段の努力は要りますけれども、この目標に向かって更に努力をしていかなければならないというふうに思っております。
  47. 郡司彰

    ○郡司彰君 数字的には千七百万というような数字が前後しているということでございますけれども、私がいただいているような資料でいいますと、近年若干増えてはきているけれども、どちらかというと千六百に近いような数字から今少し上がってきているというような感じじゃないかというふうな思いを持っております。自給率でいきますれば二〇%を切っているということにもなってくるんではないかなというふうに思いますけれども。  重ねてちょっと最後のところだけお聞きをしますが、今のお話ですと、二千五百万立米の目標は変わらないということでよろしいんですね。
  48. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に今、この秋の基本計画の策定に向けまして、現状の分析でありますとか今後の見通しというものを今精査をしておりますので、現時点ではこの二千五百万立米をどういうふうに設定するかということはまだ白紙の状態でございます。
  49. 郡司彰

    ○郡司彰君 それでは次に、そのような目標に向かって、就業者数がどのぐらいの形で推移をしてきているのか。今現在どのぐらいの方が林業労働者としていらっしゃるのか。また、その年齢分布等についてもお知らせをいただけますでしょうか。
  50. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お尋ねの林業就業者数でございます。これは年々減少を続けておりまして、ピークの昭和五十年には十八万人おりましたけれども平成十二年には六万七千人まで減少をしております。  年齢分布でございますが、このピークの昭和五十年のころでございますけれども、四十五歳から四十九歳の年齢階層がピークであったわけでございます。ただ、平成十二年には六十歳から六十四歳の年齢階層をピークとする分布ということで推移をしてきておりまして、六十五歳以上の就業者が占める割合、これは昭和五十年の七%から平成十二年には二五%に達するなど、高齢化が進んでいるというのが現状でございます。
  51. 郡司彰

    ○郡司彰君 平成十六年度の数字を私持っておりますけれども、おおよそ六万人。今言われましたように、四十五歳から四十九歳が約一万人、五十歳から五十四歳が約一万人、五十五歳から五十九歳が約一万人、六十歳から六十四歳が一万人、六十五歳以上が二万人、これでよろしゅうございますか。
  52. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 結構です。
  53. 郡司彰

    ○郡司彰君 それでは次に、計数として出てくるものが幾つかあろうかと思いますけれども、例えば、何というんですか、例えば杉に限って言えば、山で切るときの価格、それからそのときに要した人数、賃金等から一立米当たりの人数というものが年代ごとによって出てくるんではないかと思いますけれども、こちらの方は今どのような推移で出てまいりますでしょうか。
  54. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 杉の立木一立方の価格で雇用できる林業労働者数の試算というものをしております。御案内のとおり、この立木の価格は五十五年をピークに低下をしておりまして、労賃が以降横ばいぎみということでございます。  そういう結果からいたしますと、このピークの、立木価格が高かったピークの昭和五十五年が二・九人だったわけでございますけれども平成十六年では〇・四人にまで減少しているという現状にございます。
  55. 郡司彰

    ○郡司彰君 先ほど、目標の二十二年までに二千五百万立米、これは目標として持って頑張るんだということで、それはそれで私も敬意を表するわけでありますけれども、私がいただいている資料では、杉一立米で雇用できる作業者数というのが、暦年でありますけれども、昭和の三十六年でいうと十一・八名、平成七年がちょうど一・〇ぐらいですね。それで、これ杉でもいろいろありますね、正角でありますとか丸太でありますとか、私の持っているのはこの丸太の方の関係でありますけれども、これだと〇・三人というような数字に今なってきている。全体でも先ほど十八万から六万ぐらいに減っているという数字でございます。  これ私、先ほどの目標達成をする、六万人で二千五百万立米で賃金はどのぐらいでというふうなことになると、実態はこのような数字、目標は二千五百万立米、これちょっと数字的に成り立たないんではないかというふうに思ってしまうんですが、その辺はどういうふうにすると可能になるんでありましょうか。
  56. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今申し上げましたとおり、林業就業者数というのは減少を続けておりますが、例えば、緑の雇用のように新たな雇用対策を打ちましたところ、就業者数が下げ止まるどころか増えているという状況がございます。また、機械化なりその体系が非常に進んでおりますので、こういった生産性の向上ということを考えますと、この現状程度の六万七千人程度が維持できれば、当面のその林業活動には十分対応できるのではないかというような見通しは持っております。
  57. 郡司彰

    ○郡司彰君 ということになりますと、ほとんどのところの見通しは六万台から五万台、四万台まで下がるんではないか、二十二年度までにですね。そのような就業者の見通しというものの方が多いわけでありますけれども、一方でこの木材価格との関連で、実際に雇える人というのも決まってくるわけですね。つまり、私自身は、木材価格そのものによって一定程度この林業というのが本当に言われているように産業として成り立つんだろうかというような危惧を持っております。  ここに至るまでの木材の価格について、若干先ほど五十五年度がピークだというような話もございましたけれども、どのような推移でありますか、改めてお示しをいただきたいと思います。
  58. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 立木の山元の価格で申し上げますと、昭和五十五年が約二万三千円弱でございました。昨今の状況は、これは次第に低下をいたしまして、平成十六年の私どもの手元の数字では約四千四百円程度に下落をしてございます。
  59. 郡司彰

    ○郡司彰君 中川大臣、経産大臣もかねておられましたので、一般的な総合指数ということでいいますと、今、平成十二年ぐらいを物価指数一〇〇としましていろいろこう取っているものが多いようでありますけれども、その総合指数で見ますと、大体平成十二年を一〇〇とすると昭和四十六年ぐらいがちょうど三〇%、三割ぐらいなんですね。  こういうような数字で今木材の方の価格を見ると、いろいろ全体の価格というものがなかなか出づらいのでありましょうけれども、杉の丸太でこれ見てみますと、平成十二年度が一万七千二百円、一立米、それから四十六年が一万七千百円、まるっきり同じでございます。ピークの五十五年で見ますと三万八千七百円、平成の昨年十七年度でいうと一万二千四百円ぐらいということですから、最高最低でいうと三分の一ぐらいに今なっている。それから、四十六年と比較をすると、ほぼ同じぐらいの水準になっている。その他の物価が大体三倍ぐらいになっているということから考えて、これ先ほどの就業者とか、あるいはもろもろ含めて、冒頭申し上げましたように林業が産業として成立をするんだろうか、そのように改めて思ってしまうんでありますけれども、再度長官の方で結構ですけれども、成り立つということの根拠を数字で教えてください。
  60. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 確かに、木材価格は極めて低調といいますか、値下がりをしてございます。ただ、昨今、非常に国産材の利用技術が進んでおりまして、例えば合板でありますとか集成材におきまして国産材の利用が拡大をしてございます。そういう意味で、まず市場のマーケットとして国産材を利用しようということ、また実際その利用量が拡大しているという、そういう状況がございます。  問題は、やはりいかに大量に、また安定的に供給していくか、また低コストで供給していくかということになるわけでございます。その場合、一番今私どもネックと思っておりますのは、川上側で非常に森林所有の形態が小規模であって、かつその所有者の方が林業をなりわいとされておらないという状況がありますので、なかなかそこにインセンティブが働かないということがございます。  そういうことからしますと、できるだけ山元で施業の単位をまとめまして大型化していくと。それからまた、路網といいますか、その作業路網を充実をし、かつ加えてそれを利用した高性能機械と、こういうものの組合せをやりますと、かなり大幅なコストダウンができるんではないかと。こういうことで、現に実例としましても、路網の密度をかなり高めることにより、それからかつ高性能機械を入れることにより、従来よりも五割とか非常に大幅なコストダウンというものが図られたという事例は各地に数多くあるわけでございまして、我が庁としましては、路網のできるだけコストダウンをした展開、そしてまたその技術というものを重点的に普及するということによって経済的にも回っていくような仕組みを、仕組みといいますか、そういう体制を是非つくっていきたいというふうに思っているところであります。
  61. 郡司彰

    ○郡司彰君 今のような複合的な政策でということで当然やっていくんだろうと思いますが、これ質問の項目には別に入れておりませんでしたからあれですけれども、例えば森林整備地域活動支援交付金とか、そういうものも若干見直していいんではないかなどということも私自身は思っているところでありますけれども。  その次に、じゃ、実際に産業として成り立つというような形で行っていく場合でも、実際の林家の方の思いはどうなんだろうかということで、ちょっと二、三でありますけれども、お聞きをしてまいりました。  たまたま、この国会の中にも私ども民主党の議員で工藤先生というのがいらっしゃって、岩手の方で大変な美林を経営なさっているということでありましたんで、お聞きに行ってまいりました。それ以外にもちょっと地元の方でもお聞きをしてきたんでありますけれども、今、長官がおっしゃったように、路網の関係、これが随分出てまいりました。  それから、これまでどうやって生計を立ててくるような形が整ってきたんですかというと、まずキノコなどの林産物、これが収入としてある。それから、以前は例えば二十年木ぐらいになったのを間伐でやる、これパルプ・チップその他でもって幾らか収入になった。ところが、今は二十年木を間伐するのには、収入になるんではなくて、逆にお金を出さないと間伐をしてもらえないんだと。これ逆になってしまって、とてもじゃないが伐期、適齢期のものを木材として出すようなところまで息が続かないのが現状じゃないかと、こんな話をされておりました。  それから、先ほど路網という話で、私もこれまで路網の整備をやっぱりしないと駄目だろうということを何度かこの委員会でも申し上げてきたんですけれども、現場の方々は何か作業道というような言い方をしておりまして、一番細い血管部分の道路だろうと思うんですね。これを造ってもらいたい、造らなければいけない。前はやっぱり自分たちで整備をしてきたんだというような話をしておりました。  それで、私はちょっと認識がなくて分からなかったんでありますけれども、防火線としての道路というのは大変に役に立つんだと。その工藤先生のところですと、今まで七か所森林の火災が起きた。ところが、その作業道があることによって、上から燃えてくる火を下の道路のところから逆に火を付けて燃やしていって、その火と火がぶつかって飛び立ったところを抑えるということでもって延焼を防ぐ、全体としては二割ぐらいのところで食い止めることができてきたと。  この作業道というものがもう少し自助努力ではなくて、今、長官おっしゃっていましたけれども、間伐とか何かと組み合わせると幾らかできるようになっていますね。しかし、そうじゃないと今のところできないということなんでありますけれども、ここのところをもう少し現実に即して何か手当てができるというような制度としてはお考えにいただけませんでしょうか。
  62. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、委員が御指摘ございましたとおり、作業路網の整備というのは非常に私どもも、今後の森林の多面的機能の発揮もそうですが、森林施業の効率的な実施という上でも非常に不可欠なものだというふうに思っておるわけでございます。そして、この路網は幾つかのパーツになると思うんですが、まず骨格的な、また生活基盤としての効能も持っている林道、これは言わば公共事業として実施をしているわけでございます。  それから、それが太い血管だとすれば、今おっしゃったように細い血管なり毛細なりというそういう作業網ですね、こういうものをいろんな観点から助成を現状においてもやっております。一つは、その森林の整備事業ということで造林とか間伐、下刈り等もやるわけですが、その場合の森林施業に必要な作業道、これについても支援をしてございます。  それからまた、交付金化した森づくり交付金というのがございますが、特に間伐等の推進三か年計画等を今実施しておりますけれども、その際に、作業道の整備と高性能林業機械の導入、こういうものを一体的に進める場合にも助成ができるということになっておりますし、また強い林業・木材産業づくり交付金、これもございますけれども、これも林業経営の効率化のための作業道の整備の支援というふうに、公共事業に加えまして、三つの観点から更に支援もしておるということでございます。  こういうことを適切に組合せをいただいて、きめ細かく地域の実情に応じた路網の整備ができるように私どもも支援を今後ともやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  63. 郡司彰

    ○郡司彰君 組合せをして今も補助的に受けているものがあるかと思うんですが、うまく一番よく組み合わされるとどのぐらいの負担の率といいますか、その辺はお分かりになりますか。分からなければ結構ですけれども
  64. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ちょっと負担を試算したものはございませんけれども、この作業網は非常に単価が様々でございまして、それこそ一番効率的にやられる場合はメーター当たり二千円程度でやられるものもありますし、一万円近いところもあります。そこは私どもも、地形とかそこの森の状況によってかなり違いますけれども、やはり作業道向きの、これは一般交通ではないのでできるだけ水が流れて崩れないとか、そういう最低限の工夫は必要ですけれども、林業の施業というものを見た場合に、必要最小限の形でできるような技術的な指導というものも今後は特に力を入れていかないといけないというふうに思っております。
  65. 郡司彰

    ○郡司彰君 農家の場合も、例えば完全に兼業ではなくて専業農家の場合には、農業としての収入だけで成り立っているところももちろんあります。ところが、一般的には、農家の所得というのは七百万だとか何かといいますけれども、そのうち六百何十万かは兼業の方の収入でやっているところが多いわけで、林業の林家の方の場合も、先ほど林業労働者は六万人幾らですけれども、林家の方そのものは結構な数がいらっしゃいますね、三十六万何がしの方がいらっしゃるわけでありますけれども、この方々からすると、なかなか山が収入源にはふだんなっていないんだと。そういう中で、作業道というようなものを造る場合に、今おっしゃっていただいたように、大体うまくやれば二千円程度でできるんだというふうなことになりますね。  それで、そういう道路を頭の中に描いている人たちからすると、これは、先ほどおっしゃったような林道とか、あるいはそれにスーパーが付くなんていうと、これは大変なお金が掛かっているんじゃないか、それを造るんならば、どれだけのものを自分たちにやらしてくれればできるんだろうか。八割九割、メーター二千円ぐらいのものだったらば、ほとんどのところをやっていただいても、逆にやっていただかないと持ち出しだけになってしまうんだというのが現場の方の声としては大きかったわけでありますけれども、よく林家の方が言うのは、スーパー林道と作業道を比べたらば多分百倍ぐらい違うんじゃないか、そういうような話をしているわけでありまして、林道が必要だってことも分かるんです、スーパー林道まではよく分かりませんが。ただし、そこのところをもう少しきめ細かくというふうなことを改めてお願いをしたいと思いますけれども、さらに現在のところを林家が生き残れるというふうな思いで。それから、パルプ・チップというのがありましたけれども、パルプ・チップの場合も、やっぱりその輸送費ですよね、それとその作業道ですよ。  その輸送費の方は、原油の高騰その他でもって、外的な要因でなかなか思うどおりにはいかないけれども、この作業道だけは何とかしてくれないかという声が非常に強いものですから、重ねてのような形で恐縮ですけれども、さらにこの面の保護といいますか、負担を考えていただくようなことにお願いをしたいと思います。
  66. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 御指摘のとおり、正に先ほど来私ども申し上げているように、路網の充実ということがこの不可欠な要素だと思っております。  今、御質問の中でもありましたように、チップ等の対応、これもコストが勝負でございますので、いかにその搬出コストを、あるいはその輸送コストを低減できるかということがございます。この搬出距離が短くなればなるほどコストが飛躍的に低減するという試算もありますので、私ども、限られた予算ではございますけれども、そういった観点、また地球温暖化対応の中でも森林の手入れというものが非常に重要になってまいりますので、そのためにはやはり不可欠な路網ということがあります。  そういうことをもろもろ考えまして、いろいろ検討は引き続きやってまいりたいというように思っております。
  67. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、残念ながら撤退をしてしまう人ももちろん出てくるわけであります。  私、農業の方でいいますと、耕作放棄地が毎年このぐらい増えたとかというような数字としても見さしていただいているわけでありますけれども、この山の関係で、業としてのものをやめてしまった、そういうような形のものというのはやっぱり相当出てきているんではないかと思うんですけれども、呼び方もちょっとよく分からなかったんであります。  それから、そういうものがどの程度の面積になっているかというふうな統計の数字も見たことがなかったんでありますけれども、このようなものというのは統計としてはございますでしょうか。
  68. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農地の場合の耕作放棄地という概念があるわけでございますが、森林の場合、なかなか手入れが行き届かないという、放置されているという観点からしますと、類似の概念といたしまして、伐採した後に造林がされていない森林というものがそういうものとして、一つの概念としてあり得ると思います。これが近年、やはり経営意欲の減退等によりまして増加をしているという状況がございます。  いわゆる造林未済地と言っておりますけれども、人工林の伐採後三年以上経過しても造林されていないという林地でございます。これが、ちょっと古くて恐縮ですが、平成十五年の三月末時点で全国で二万五千ヘクタール存在をしております。その四年前の十一年の調査では二万二千ヘクタールということでございますので、今四年間で四千ヘクタール程度増加をしたというのがこのデータでございます。  こういった事態を受けまして、私ども林野庁といたしましては、都道府県が平成十七年から三年間の伐採跡地の適確な更新を確保するための行動計画というものを作成してもらいまして、この造林未済地の計画的な解消でありますとか、それから伐採なり伐採後の造林の届出制度を適切に運用するといったようなことを通じまして、新規の発生をできるだけ抑制していこうという指導を行っております。
  69. 郡司彰

    ○郡司彰君 今初めて聞きました。未済地と言うんだそうでありますけれども。  それから、一方で日本何とか美林、三大美林とかいろんな言い方がありますけれども、すばらしい方というものはどういうものがすばらしいのかよく分かりません。聞くところによると、百年以上はたっていなければそれは美林とは言わないんだとかという人もおりましてよく分からないんでありますけれども。  ただ、いずれにしましても、先ほど言ったような環境面で山を見るという、生態系の面から見るとか、あるいは林業、森林整備という面からも見ることもできましょうし、あるいは国土保全でありますとか治山治水でありますとか、いろんな面から山を見ることができると思うんですね。  それで、私どもは、山に関するものに関しては、できるだけ国の予算も人も増やしていくべきだろうというふうな思いでいつもいるんです。ところが、予算を増やすと、人を増やすと何がどう変わるんだと。その何が、山にとって良い状態というのはどういうものかというのがよく分からないところがございまして、例えば、この流域はどうだ、この県はほかのところよりも一生懸命やっているぞと。じゃ、そこのところの山が隣の山と比べて何が特別良くなっているんだということがよく分からないんであります。  こういうふうなときに、何か、ここの山はこういう意味ですばらしい山なんだと、あるいはこの山はこういうところで不備な点があるんだ、こういうふうに国民の方々が山に関心を持っていただく。予算を付けよう、人を増やそうというときに、何か分かるような形の尺度、評価というようなものがあればというふうに思うんですが、そのようなことはどういうふうに思えばよろしいですかね。
  70. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 良く整備された森林というものをどういうふうに概念していくかということでございます。  森林は、大きく二つありまして、いわゆる人工林的に人為によりまして育成していく育成林というものが一つございます。それからまた、主として天然の力を活用するということで成長さしていきます天然生林というものがあります。大きくはこの二つに分けられます。  また、その二つに概念しまして、育成林につきましては、やはり伐採後に植栽等の更新作業がしっかり、造林されるということですね、なされるということ。それから、下刈り、除伐、間伐、こういう保育作業と言っておりますけれども、これが適切に実施をされるということ、この過程が必要でございます。一方、天然生林につきましては、必要に応じて更新補助に必要な作業がなされているということが基本になります。  非常に森林は、今申し上げました二つに大別をされますけれども、林木でありますとか土壌等、あるいはまた地形等によりまして非常に個性があるといいますか、ありまして、なかなか画一的な基準的なものは非常に難しいわけでございますけれども、私どもとしましては、そういうものをいい方向に誘導するためのいろんなモデル的な技術でありますとか、また全国にあります代表的な森林を紹介していくといったようなことで、今申されたようなことのアプローチが可能ではないかというふうに思っております。
  71. 郡司彰

    ○郡司彰君 大変難しいんだろうと思うんですけれども、山の機能として持っている、先ほどちょっと言いましたけれども環境、生態系の観点からいうとここはAだとか、それから林業として見た場合にはどういうランクだとか、それから国土保全という関係から見るとどうだとか、そういうふうな何か考えていただければなということで提案をさせていただきたいと思います。  それから、いずれにしても自給率が上がって産業として成り立つというふうなことが望ましい部分があるわけでありますけれども、私も土曜日に地元に帰って新聞を見ますと、毎週のように大量に住宅あるいは不動産の広告チラシというのが入っております。住宅メーカー、大手メーカーと言われるところで、木のぬくもりでありますとか木の家というのがこのごろは非常に多いんでありますけれども、気になるのは国産材は使っているんだろうか、どのぐらいだろうかというふうなことをちょっと思うんでありますけれども、そのようなものはつかんでいらっしゃるんでしょうか、お教えをいただけるんでしょうか。
  72. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 住宅の新規着工の約六五%が木質系の住宅というデータがございますけれども、現実にそのうちどの程度国産材が使われているかというのは詳しいデータはございません。
  73. 郡司彰

    ○郡司彰君 データは多分、私も少し見たことがあるんですけれども、いろんな意味公表をすること自体も好ましくないということもあるのかもしれない。住宅メーカーとやっぱり使っていただこうという話合いはなさっていると思うんですよ。なさっていると思うんです。ですから、そういう信頼関係の上で一定程度そういう配慮をすることはもちろん分かるわけでありますけれども、じゃ、どうすればいいんだというと、やっぱり安定的に均質なものを供給できるかどうかということが相手方にとってみれば問題だろうというふうに思うんですね。そこのところにきちんとこたえるような行政の手だてというものを森林組合かそれぞれのところときちんと連携を取ってやっていただきたい。  時間の関係で申し訳ないです。先の方に進ましていただきたいと思いますが、十三年のころだったでしょうか、森林の評価というものを行ったように聞いております。多面的機能ということでありますけれども、例えば温暖化の関係でいうと、三・九の目標に対して実際は二・五、六ぐらいかなとか、いろいろ言われております。あるいは、台風が来たときに、昔と違って随分水が早く来るとか、流木がこんなに来て今は何だとかっていうふうなことがありますけれども、全体としては相当高い評価を受けているんではないかと思いますけれども、七十兆円というふうに記憶しておりますが、これ、ちょっと時間の関係で簡単で結構ですけれども、そのような評価をなさっている、どのような組み立てで約七十兆円か、簡単に教えてください。
  74. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 森林が持つ機能というのは様々でございます。項目的に言いますと、生物多様性もありますし、地球環境の保全もございますし、土砂災害あるいは水源涵養等々いろんな機能がございます。その機能すべてこの貨幣評価ができればいいんですけれども、なかなか現状でまだそういう皆さんが納得できるような評価というものが難しいものがあるものですから、その一部を評価したということでございまして、八項目ほどやっております。二酸化炭素吸収とか化石燃料代替とか、表面の侵食、そうですね、八項目やっておりまして、その総体が先ほど委員も言及していただきました七十兆円ということでございます。
  75. 郡司彰

    ○郡司彰君 まだ少し、ちょっと議論をしたいところがあったんでありますけど、時間の関係で次に移らさしていただきたいと思います。  前回の委員会でEPA、FTAのことについてお尋ねをいたしまして、大臣の方からも答弁をいただいたわけでありますけれども、もう少しちょっと後で検討した方がいいのかなというようなニュアンスのことがございました。そのことについて、もしここでその後のことがお教えいただければというのが一点。  それからもう一つは、いろんなところとEPAの交渉をなさっている、ASEAN全体としても交渉をなさっているというようなことがあろうかと思います。そして、日経新聞、新聞の名前は余計でしたが、新聞等にも一部その影響は、日本国内の農業者にとってもこのような影響があるんだというような数字まで出されているようなところもございましたけれども、そのような試算を農林水産省でなさっているのかどうか、併せてお答えをいただければと思います。
  76. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前回、郡司委員からの御指摘の中で、メキシコとの交渉経過はどうなったかという御指摘でございまして、若干答弁が不十分だったかと思います。現代用語の基礎知識からスタートをしたというふうに記憶をしておりますけれども、いずれにいたしましても、あの記事、記述そのものは正確でないわけでございますが、郡司委員指摘のとおり、経済連携協定は、関税をゼロにするもの、それから削減するもの、関割りにするものを何年かにわたってという期間と組み合わせてやっていくわけでございます。そして、それ以外に再協議を何年後にするというものもございます。それから、協定から除外するという分類のものもございます。  前回お答えいたしましたように、農林水産物の関税撤廃品目が貿易ベースで、貿易額ベースで、往復ベースでございますけれども、四五・一%、品目ベースで四八・六%でございます。この貿易ベースのうちメキシコから日本に行く農林水産物の貿易ベースが四五・一%でございますが、これは十年以内の関税撤廃の数字でございます。それ以外に関税削減及び、いわゆる関割り、メキシコに対して与える関割りがございまして、この四五・一と関割り、関税削減を足し上げたものが九七・二%でございまして、これが今回のメキシコとの間での優遇措置、FTAの優遇措置ということになるわけでございます。除外再協議はこの残りの二・八%ということでございます。  二つ目の質問については、ASEANにつきましては佐藤審議官の方から答弁させます。
  77. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 日・ASEANの経済連携協定の関係でございますが、これまで本協定とASEANの各国との二国間のEPAとの関係の整理、あるいは関税撤廃の在り方等を中心に議論を行ってきたところでございます。今後、できる限り早い段階での交渉の終結に向けて加速をしていくことと考えております。  日・ASEAN経済連携協定が我が国農林水産業に及ぼす影響でございますけれども、これを具体的に試算することは交渉結果を予断することにもなることから困難であると考えております。しかしながら、ASEANと二国間、EPAとの合意内容を踏まえまして、個別品目の事情に応じ、関税撤廃の例外品目あるいは経過期間を設定するなど、きめ細かな対応を行いまして、国内の農林水産業への悪影響を極力回避するということで交渉をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  78. 郡司彰

    ○郡司彰君 試算はなされていないということでありますけれども、私はしてもしかるべきだと思うんですよ。影響があるとすれば、それを隠しておくというようなことになっては大変でございますし、何が原因でその産業が、あるいはこの地域がということが後から振り返ってみて、十年たってやっぱりあのことが原因だったんではないかということでは、これはやっぱり国の責任としてはまずいかと思います。  それから、別な問題かもしれませんが、移民法の関係でアメリカでも相当デモが起こったりしておりますけれども、やはり貿易の自由化そのものが相互にとって役に立てばいいわけでありますけれども、どちらかにやっぱり不利益を被らせて、失業者が出てそれが流出をしてというふうなことに、日本の場合には島国でございますから直ちにそうなるわけではありませんけれども、やはりその辺はきちんと私どもも、ただもうかるという視点だけではなくて、金の部分に当たるところがあるかどうかはやっていかなければ。  それから、最後の時間、大臣にお聞かせをいただきたいと思いますが、大臣は活字文化議連の顧問もなさっているというふうなことでございまして、実は農水省の用語といいますか、横文字も多いし、それから法案の説明をいつも聞くときに、これを農家の方に説明するときにどうかみ砕いて言ったらいいのか、日本語でも非常に分かりづらい用語が多いんですね。  例えば、大臣が前にいらっしゃった経産省の関係するところで、ジェー・アルコというあの完全民営化になったところにこの前伺いました。そこはトレーサビリティーの関係がやっぱり輸入をしているサトウキビや何かの関係であると。そのトレーサビリティーというのは分かりづらいというんで、生い立ち履歴というふうな言い方をしておりました。私は、よっぽどそっちの方がいいなと。  中川大臣、そっちの言葉も一緒に持ってきていただければその方が分かりやすいんじゃないか、そんなことを思っておりますけれども、何か一言ございましたらば最後にお聞かせをいただきたい。
  79. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 政府の仕事は何といいましても国民の皆さんに説明をし、御理解をいただかなければ駄目なわけであります。法律あるいは白書、白書はできる限り分かりやすくという努力をしておりますけれども、そしてまたいろいろなホームページ、そして農林省の中に数ある大量のポスター、これもなかなかよく見ないと分からない、解説を受けないと分からないということでございます。言うまでもなく、農家の皆さん、漁家の皆さん、林家の皆さん、消費者の皆さんによく分かっていただくために努力をしていかなければなりません。外来語、あるいはまた業界専門用語、あるいは略語、造語、いろいろあるわけで、定着すればそれはそれでいいんでしょうけれども、定着するまではやっぱり説明する努力が必要でありますし、今のトレーサビリティーを生い立ち、何でございましたか。
  80. 郡司彰

    ○郡司彰君 生い立ち履歴。
  81. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 生い立ち履歴、もう一遍で分かりますね。そういう、いいところはまねをし、悪いところはまねをしないという方針で分かりやすくする努力を更に努めていかなければならないというふうに考えております。
  82. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今度の国会の最大の目玉になっています品目横断的経営安定対策の問題で質問いたします。  最大の問題はこれまでの品目別の価格制度を廃止をするということです。政府が限定して政策を集中しようとする対象というのは、個別経営と法人経営を含む認定農業者と一定条件を得た集落営農ということになっています。  では、この育成確保を目指している農業の担い手というのは今の時点でどれぐらい確保される見通しなんでしょうか。
  83. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 本対策対象者の要件でございますが、今、委員指摘のとおり、認定農業者又は特定農業団体その他の一定の要件を満たす農作業受託組織であって、一定の面積以上のものを基本といたしております。  本対策の要件を満たす対象の割合につきましては、本来、対象者となり得る農業者あるいは営農組織の実態、意向等を積み上げる必要があるわけでございますけれども、これは現時点ではできませんので、仮に、個別経営につきまして、農林業センサスに基づきます経営耕地が都府県で四ヘクタール、北海道で十ヘクタール以上の経営体、また集落営農につきましては、集落営農実態調査に基づきまして現在存在するとされている一万組織、この二つのカテゴリーがそれぞれ認定農業者又は特定農業団体等が一定の要件を満たすように構造改革のための努力を行ったという前提を置いた場合には、現時点で、これらの経営体経営耕地総面積に対する割合は五割程度、それから全販売農家に対する農家の割合は三割程度というふうに試算されます。  ただ、これに加えまして、今回の対策では、面積は小さくても、複合経営などによりまして相当の所得を確保している場合等につきましては、面積要件に達していなくても、国が別途の基準を設けて対象とすることができるようにしておるわけですが、これについては試算することは困難でございます。  現時点での見込みは以上でございます。
  84. 紙智子

    ○紙智子君 今、現時点の見込みということでお聞きした中で、販売農家でいうと三割、農地カバー率ということでいうと大体五割ということなわけで、そうすると、今の時点でいうと三割を除く七割というのが対象から外れると。それから、五割、カバー率五割ということは、これ大きく見積もっているんじゃないかと思いますけれども対象から外れるということになるわけですよね。  政府は、現行の麦作経営安定資金、それから大豆の経営安定対策を廃止をすると、これに代わって品目横断の経営安定対策でやろうとしているわけですけれども、この品目横断の対象から外れた場合にはどうなるのか。麦と大豆について、生産費そして収入の関係ですね。生産者の立場からとってみたときにどうなるのか。十アール当たり、また六十キロ当たりということでお聞きしたいと思います。
  85. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) それでは、私の方からまず小麦について御説明させていただきます。続いて生産局長の方から大豆について御説明させていただきます。  今回の品目横断的経営安定対策におきます生産条件に関する不利を補正する交付金の単価水準につきましては、対象農産物の生産に要する標準的な費用の額と販売による標準的な収入の額との差額の補てんを図ることを旨とすることといたしております。  この補てんの単価水準の具体的なイメージを明らかにするため、昨年十月に農林水産省が決定、公表した経営所得安定対策等大綱におきまして、その時点におけるデータに基づく試算結果として、小麦につきましては十アール当たり四万二百円を示したところでございます。  対策対象から外れた農家の十アール当たり収入につきましては、基本的には小麦の販売金額、昨年十月の時点での試算では十アール当たり一万八千三百九十八円だけになり、不利補正交付金の分の収入が減ることになります。
  86. 西川孝一

    政府参考人西川孝一君) 大豆について私の方からお答えしたいと思います。  小麦については今、総合食料局長から説明があったわけでございますけれども、大豆につきましても同様に、昨年十月に経営所得安定対策大綱において支援水準、これを試算しております。  これによりますと、対策対象から外れました農家の十アール当たり収入については、基本的には大豆の販売金額、その時点の試算では十アール当たりで二万三千九百九十二円ということになり、不利補正交付金、これが三万二百円と試算しておりますけれども、その分が減るということになるということでございます。
  87. 紙智子

    ○紙智子君 麦はあれですよね、六十キロ当たりにすると、今までだったら九千二百円だったのが二千三百円になりますよね。今大豆の話もあったわけですけれども、これだと再生産できないですよね。
  88. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 御指摘のとおり、今の私どもの生産費とそれから販売金額との間に大幅なギャップがあることは事実だと思います。
  89. 紙智子

    ○紙智子君 もう一度続けて、再生産することはできないですよね。それは困難になりますよね、それだけでいくと。
  90. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 更に詳しく見ますと、物財費部分と労働費部分がありますので直接今お答えすることはちょっと難しいかと思いますけれども、いずれにいたしましても、生産コストと販売金額の間に差があることは事実でございます。
  91. 紙智子

    ○紙智子君 差があることは事実だということは、やっぱり非常に困難だということを答えているに等しいというふうに思うんですよ。これは重大だというふうに思うんですね。  じゃ、再生産できないと。今の時点で農地のカバー率で五割ということですし、それ以外は外れると。それから、農家の戸数でいうと販売農家で七割は外れると。そういうところが再生産できないということになるということで、本当にそれでいいんですか。そういうことだと思うんです。いいんですか、それで。
  92. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今回の対策は、将来の効率的かつ安定的な農業経営に到達可能な農業者を育成しようということに出ております。  申し上げた先ほどの五割、三割と申しますのは、正に現時点といいますか、での集落営農が一万組織あるとか、四ヘクタール、十ヘクタール以上の経営体が現時点で幾らあるということで申し上げましたし、先ほど付け加えましたように、面積は小さくても、例えば野菜とか果樹とか畜産などの複合経営で、複合経営というか、そちらの方で相当の所得を確保されているという方が規模は小さいけれども水田農業もやっておられるという場合は、これは所得特例ということで対象になりますので、その五割、三割に限定されるものではないと考えていますし、集落営農組織なるものは、今回要件もそれほど高いハードルを課しているわけではございませんので、現在各地域においてその取組を続けていただいていると。また、私どもも、地方公共団体、農業団体等合わせてその組織化に努力をしている、そういう中での政策であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 違うんですよね。  麦にしても大豆にしても作って赤字になると、これは採算が合わないということになったら、これ作らないんじゃないですか。やめて米にシフトしようということになるんじゃないですか。現場ではそういう心配の声が出ているわけです。そうすると、米の需給調整が崩れることになるんじゃないですか。これ、どうするつもりなんですか。
  94. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) まず、麦について御説明させていただきますけれども我が国の小麦の生産量のうち過半が畑作麦でございまして、四十六万四千トンでございます。そのうち四十四万五千トンが北海道のいわゆる大規模畑作経営によって担われておるということでございまして、私ども、麦につきましては、北海道で一戸当たりの経営規模が大きいこと、あるいは輪作体系の中の作物として小麦が重要な位置付けになっていることから、品目横断的経営安定対策の導入以降も引き続き担い手が主体となった生産が続けられていくものと考えられております。  それからもう一方、水田におきましては、いわゆる転作において作られている部分と裏作において作られている部分ございますけれども、それが合わせて四十一万一千トンということでございますけれども、これまでも転作につきましては、いわゆる生産性の高い水田農業の確立、食料自給率向上といった観点から、作付けの団地化でございますとか担い手に対する農地、作業の集積などを積極的に推進してきたところでございます。  こういったことを進めながら、今御指摘の点につきましては、できるだけ担い手になっていただくそういう方々のところに作付面積を集約化していくということで、御懸念の点は当たらないというふうに考えております。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 現場では、そうなったらやっぱり米にシフトする人が出るんじゃないかと、赤字になることが分かっているということでの声が出ているわけですよ。実際にやはり、その懸念は当たらないと言うんですけれども、そういう懸念が非常に大きくあるわけです。今、北海道の例出されたんですけれども、本州、東北とかこういうところを回ってもそういう声は出ていますし、実際に米の需給調整ということで、生産者が過剰米に対しては作況指数超えたらそれはもう出さないようにということもやってきたわけですけれども、そうやってもなおかつ崩れると、これ価格は下がっていくということになりますからね、大変な大きな影響が出るというふうに思うんですよ。  それと、担い手以外から外れたところは集落という話があるわけですけれども、集落営農の現場にしても、これは今ハードルが低いと言いましたけれども、ハードルが高くて混乱しているという実態があるわけです。  例えば、集落営農の取組で先進的というふうに言われていた岩手ですね、ここは実は花巻市にも調査に行ってきたんですけれども、集落水田のビジョン、これは早くから手掛けてやってきているわけです。対策対象をリストアップして個別経営体の認定農業者に誘導するとか、対策の加入に向けて集落組織の見直しをして一元化経営の指導をするとか、いろいろやってはいるわけです。しかし、集落営農への具体的な取組が実際動いているというのは少しなんですね。今挙がっている対象リストの中でいうと四分の一にすぎないわけですよ。  いろいろ聞いてみると、転作の受託組織として機能していたのが、水田をこれに乗せるというふうになるとこれなかなかできないんだと。東北のように水田にやはり思い入れが強い地域で、水田まで入れたものは受け入れられないんだと、こういうふうになっているわけです。先進というふうに言われている岩手全体でもこうした現状になっていて、ほかの県ずっと見てきますと、例えば岡山県なんかは、知事さん自身が、我が県では対象となる集落営農はない、これからもできないと、難しいというふうに言っているわけです。  つまり、今の日本農業の現状にこれ合っていないんじゃないかと。こういう現状、実態に対して一体どういうふうに思われているのか、大臣、御認識をお聞きしたいと思います。
  96. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の現在衆議院で御議論いただいておりますこの法律案というものは、やはり国際化の中で消費者あるいは食品産業等の御理解もいただきながらいい経営をやっていく、経営そのものあるいはいい農産物を供給していくということに対してWTO上の問題も頭に入れながらやっていくということでありますから、全部がカバーできない、全部がカバーできないといって、まるで全部をカバーするような対策を取っていけば、これは改革でもなければ農家に対するインセンティブでもなくなっていくということになりますので、やる気と能力のある農家の皆さんには更にその結果が報われるようにしていこうということでございますので、どうも今、紙委員のお話聞いておりますと、どうも出発点が全然逆の方から御議論をされているということでございまして、我々の法の趣旨は先ほど述べたことが前提にあるということで御理解いただきたいと思います。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 全部をカバーしなきゃならないかのようなという話をするんですけれども、これでもって実際にカバーしていくといいますか、それはむしろごく一部ですよ。多くのところが外れていくという、そういう形になっていかざるを得ないというのが今の現状だというふうに思いますよ。  集落営農で最初のうちは担い手をつくってという話で、そこから入れなかったところどうするんだという話になったときに、じゃ集落営農で受け止めるから大丈夫だという話をずっとされてきたわけですけれども、いろいろなところで聞いてみますと、これはもう農水省の机上のプランだという声が出てくるわけですよ。  例えば茨城県に行きましたときには、集落で、今でさえ赤字経営だと、こういう中で、二十ヘクタール以上が要件だということで、とにかく地域でそろってやらなきゃいけないというんで無理して参加するわけだけれども、もしこれ赤字になったときにだれが一体どう責任取って処理したりしなきゃいけないのかということについては、そういうもしこういう赤字になった場合ということを想定して話というのはだれも考えていないと、責任持っていないと。  それとか、集落に土地を二十ヘクタール以上ということなんで出すと、そういう場合に、出してやっていった場合には、例えば息子さんが今働きに行っているんだけれども戻ってくると、その場合に、後を本人も継ぐ気があるし継ぎたいと言っているけれども、いったんもう出してしまった後をどうするかということを考えると二の足を踏むとか、それから経理一元という話があるんだけれども、それぞれの農家の資産状況がさらされる、これはもうさらさなきゃいけないと、それについてはちょっと待ったということで話がそこでとんざしてしまうとか、あるいはこの認定農業者は単独で、品目横断の対策対象になれるということもあって集落を抜けて単独でやるということになったときには、集落営農では地域の農用地の三分の二以上の利用集積をクリアしなきゃいけないと、これがクリアできなくなってしまう。こういう様々な問題が地域の中では出てきていて、もう混乱をしているわけですよ。  こういう混乱をつくり出していることに対してどのように考えておられるのか、いかがですか。
  98. 井出道雄

    政府参考人井出道雄君) 今、委員の方から各地の実態という話がありましたけれども、今お聞きしていて、非常にこの制度についての誤解がまだあるなと思っております。  例えば、経理の一元化について、個々の農家の家計をさらすなんということは決して必要ではございませんし、そういうことも要求もいたしておりません。私どもお願いしておりますのは、集落営農組織名義の口座をつくって、その対象作物になっています米とか麦とか大豆、その農産物の販売名義を集落営農組織にして、その代金をその集落営農組織の口座に入れていただくということを申し上げているわけでして、例えば安定兼業に就かれておって、サラリーマンの方で所得が幾らあるとか、そういうことについてまで調べなければ集落営農組織に参加できないということは決して言っておりませんし、先ほどの農地の利用集積目標につきましても、私どもは、生産調整をしっかりやっていただくためにブロックローテーションを組んだり麦の生産組合をつくったりされていると、そういった努力をされている人たちには、十九年から当分の間でございますけれども地域の生産調整面積の過半を受託している組織であれば、その地域の農用地の三分の二以上を集積するという目標を二分の一以上でよいというふうに緩和するというようなことで、地域地域からいろいろ御意見いただいたものを踏まえて、地域実態に合った形、かつ、もう一押しすれば対象になれますよということで、地域考えていただけるようなところにハードルを設定しているということで、冒頭、ハードルはそんなに高くないと申し上げましたのは、それぞれの要件について地域の実情を踏まえてかなり工夫をしてきていると。  もし、そういうことがまだ集落段階で誤解を受けているとすれば、我々の周知徹底の作業がまだ不十分であるということでございまして、これはしっかり受け止めて頑張らせていただきます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 そういうふうに幾ら説明しても、現場では理解できないと、聞いているけれどもよく分からないという声が出てきますし、それからこれ、今、品目横断の安定対策のポイント、ナンバー七ですか、もう一から始まって次々とこう変わっていくと、説明聞くたびに中身が変わるというようなことも含めて、そもそも、だから出した時点でこれは非常に矛盾があるし、実態に合っていないということの表れじゃないかというふうに思うんですよ。そんなに何回も何回も繰り返し説明しなきゃならないくらいのものなのであれば、そもそもやっぱりこれやめるべきじゃないかというふうに思うんですよ。もう一回ちゃんと分かりやすく、本当に地元の人たちが望んでいる方向でやるべきだというふうに思うんです。  経営安定対策対象となるところのこれまでの話の中でも、農地のカバー率でも大体五〇%程度だと。対象から外れたところについては、生産、再生産ということでは困難になると。それから集落営農も、今の時点で、今の、さっきの数字というのは予測ですから、本当にそのとおりになるかどうかということも分からないと。麦や大豆などの生産量が、これ半減する心配もあると。これでどうして自給率が上がるというふうに言えるのかというふうに思うんです。  大臣、これ下がるんじゃないですか、自給率は。
  100. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 下がりませんよ。一生懸命やって、そして消費者に好まれるものを作っていこうと。一時期、プロ的農家あるいは経営体を育成しようと言っていた時期がございますけど、正に経営体、集団でやろうが個人でやろうが、もうかる農業をやりやすいようにしていくための今回の法制度でございますから、これはもう将来的に自給率向上のために、努力をすれば報われるという観点からも大きく貢献をしていくというふうに私は思っております。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 いや、下がらないと言うんですけれども、一応その基準年で、二〇〇三年、米でいえば九五%から目標年の二〇一五年には九六%にするとか、あるいは麦類でいうと一二%から一四%にするとか、大豆は四%から六%にするとか、そういうのを決めているわけですけど、これ絶対に下がらないですか。上げられるんですか。  私は、今のこの現状から見たときに、この対策をやってとても上がるとは思えないと。だって、実際には生産量下がっていくわけだし。それで上げられるんでしょうか。
  102. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 民主党からも案が出ておりますけれども、その民主党の設定されている数字に比べれば低いわけでございますが、しかし、これはあくまでも食料・農業・農村基本法に基づいた制度改正であり、法整備であるわけでございまして、食料・農業・農村基本法には自給率向上ということが大きな目標になっているわけであります。国内生産を基本とし、そして備蓄と輸入を組み合わせながらということであります。  ただ、御承知のように、短期的には自然条件の問題であるとか平成五年のあの大冷害のようなこともございますから、でも、あのときだって二百六十万トン米輸入して量的に確保しましたと言いましたけれども、行政の側にもいろいろな問題はございましたけれども、それにいたしましても米が大量に余ってしまうということでございますから、やっぱり食というのは国民にとって極めて関心の深い、ある意味ではデリケートなものでございますから、消費者に好まれるような売れる農業をつくっていこうという、あの基本法に基づく第二段階に来ているというふうに思っておりますので、何も生産サイドだけの仕組みだけで私は黙って自給率が上がるというふうには思っておりません。消費者の皆さんの御努力あるいは食育等を通じたお子さん方の御理解等々も含めてみんなでこれ努力しなければいけないということで、何も農林水産省、農林大臣だけが自給の向上の責任を負っているわけではございませんで、みんなで自給率向上をしていきましょうと、このままでは将来不安ですねというコンセンサスがあるわけでありますから、それに基づいて努力をしていきたいと考えております。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 農水大臣だけの責任ではなく、国民みんなでというお話なんですけれども、やっぱり政府としての責任というのは大きいわけです。  食料・農業基本法に基づいてという話ありましたけど、食料・農業・農村基本法、これを議論した一九九九年当時というのは、この九九年当時もこの法律で果たして自給率が上がるかどうかということが議論になったと思うんですよ。当時の大臣の、中川農水大臣だったわけで、そのとき大臣は、当時の議論で、カロリーベースで四一%まで下がったということで、このことに対しても非常に危機感を持って、やっぱりこれは引き上げなきゃならないという方向で議論をされていたというふうに思うんです。  ところが、その趣旨の発言をしてから七年たって、現実には更に下がって四〇%だと。ですから、このこと自身の責任もどうなのかということが問われるわけですけれども、にもかかわらず、更にこの方向で行けば下がるということをやろうとしているんじゃないですか。
  104. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、カロリーベースで上げていこうということ、これはもうコンセンサスであります。ただ、カロリーベースで米、麦、大豆、その他主要食糧といっても、消費者の皆さんの方の嗜好といいましょうか、ニーズというものもあるわけであります。そういった面で、我々としては、カロリーベースというのも一つの指標でしょうし、潜在自給力という考え方もあるわけでありますし、また金額ベースという考え方もあって、本当に最悪の場合には、農林水産省のシミュレーションといたしましては、米とサツマイモ、ジャガイモを中心に、時々魚と野菜で何とかやっていけるというシミュレーションはございますけれども、これは果たして消費者の皆さんが受け入れていただけるかどうか、これまた別問題なわけでございます。また、健康ブーム、ダイエットブームということで、なかなかカロリーベースだけでは非常に難しいという点もございますけれども、とにかく我々としてはやる気と能力のある経営体が知恵を絞っていけばそれだけもうかるという話でございます。  そういう意味で、何か途中から生産サイドの話と自給率の話とがちょっと話がこんがらかってきちゃっておりますけれども、とにかくもうかる農業をつくる。その中には確かに野菜とかそういうものが入っておりますから、それで直接カロリーベースで数字がぽんと上がるかというと、これは上がっていく方向にはならないでしょう。  ですから、いろんな指標の取り方がありますけれども、とにかく消費者が喜ばれるものを作っていくというのが今回の法案であって、その根っこには、一つの大きな柱として自給率向上というものが法律あるいは基本計画に基づいて決められているわけでありまして、その目標達成するために今回の改正、新しい経営安定対策が必要であるということで今後参議院でも御審議いただければというふうに思っているところでございます。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 あの九九年当時の議事録を読んでみましたけど、そのときから一貫して、やっぱりなぜ自給率が上がっていかないで下がってきたのかということに対する反省ということがないと思うんですよ。そのときからもやっぱり消費者の食べ方が変わったと、それから生産者のニーズに合ってないんだということを繰り返し言われているんだけれども、やっぱり肝心の国として政策がどうだったのかと。輸入自由化ということでもってやってくる中で価格がどんどん下がって、生産をしていくということなんかも含めて非常に困難をもたらした面ですとか、そういう政策に対する見直しということが全然出てこないというのは私は問題だなというふうに思うんです。  そして、目標自給率を上げていくと言うんだけれども、実際に農地カバー率で五割と、生産量も減っていくと。自給率がそれで上がるというのは、これだれが聞いても説得力もないし理解できないですよ。こういう法案では自給率が上がらないというのははっきりしていると。だから、こういうのはごまかしじゃないかというふうに思いますし、やっぱり自給率を高めるためにやるべきことというのは、大規模な農家にとってもそれから小規模な農家にとっても農産物の価格が安定するというのがまず第一に大事だと思いますし、止めどない輸入拡大ということに対しても歯止めを行うことだと思います。そして、やっぱり担い手を限定するんじゃなくて、大規模も小規模も意欲を持って農業をやる。だれもまじめにやってないというか、能力がない、意欲がないというわけじゃないと思うんですよ、みんなやりたいと言ってるわけですから。そういう意欲を持って農業をやろうとする多様な担い手をやはり支援して育てていくということが何よりも今後のやっぱり自給率向上に結び付けていくということでは大事なことだというふうに思います。  この問題は、これからの参議院の議論でも本格的な議論にも入っていくと思いますので、更に突っ込んでやっていきたいと思います。  以上で終わります。
  106. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  107. 岩城光英

    委員長岩城光英君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 岸信夫

    ○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。食後のひとときですけれども、お付き合いいただきたいと思います。  まず、BSEの問題について少しお伺いしたいと思います。  香港向けでまた骨の破片が混入されたというのが見付かって、香港がアメリカの大手業者からの輸入を差し止めたと、こういうことだと思います。この業者、日本向けにも輸出施設として認定を受けていたということであります。そこで処理された牛肉が香港とアメリカの間の輸出プログラムに違反をしたと、こういうことであります。  もちろん、これは日本向けとはルールが違うし状況も違うんだと思います。ただ、仕向け国との間のルール違反を犯したという意味においては、これはもうアメリカサイドにおいてはやはり根は一緒なんじゃないかなというふうにも思うわけであります。アメリカの畜産業が本当に我々が望んでいるほどしっかりとプロセス管理ができているのかどうか、この辺のことにもつながってくるというふうに思うわけでありますけれども、我々はまだその香港向けについては事態の詳細を知らされていない、分かっていないわけでありますけれども、農水省として本件についてどこまで事態を把握しておられるか、また本件に対する大臣の所感についてもお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  109. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 私の方から事実関係申し上げたいと思います。  香港向けに輸出をされましたアメリカ産の牛肉に骨片が混入していたこの事案につきましては、香港からまだなかなか詳細な情報は得られておりませんが、香港当局の見解としましては、骨なし肉という輸入条件に違反をしているという主張をしておるのに対しまして、アメリカ側は、骨なし肉のみの輸入を認める香港のその輸入条件におきましても骨片の混入までは禁止されておらず、したがってこの事案は輸出プログラム違反ではないということで、ここのところは両国の間で認識が異なっておりまして、現在アメリカと香港との間で協議中というふうに承知をいたしております。  ですから、これは解釈の問題でございますので、私ども現時点でまだ詳細な情報、十分には把握ができておりませんけれども、両者のこの話合いの推移につきましては、私どもとしましても十分に関心を持って引き続き注視をしていきたいというふうに思っております。
  110. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、岸委員指摘のとおり、これは二国間で結ばれた約束でございますから、直接日本が当事者ではございませんけれども、この米国の会社が日本向けにも出しているということになりますと、無関係ということで済ますことは我々としてはできないわけでございます。  したがいまして、今、日米の間で原因究明、再発防止の作業を進めておりますけれども、これにつきましても、今、消費安全局長から答弁ございましたように、関心を持ってこれからもウオッチしていきたいというふうに考えております。
  111. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  骨片ということですから、もちろんこれは意図して入れたもの、入ったものではない、何かの作業ミスによって恐らくくっ付いてきたものであろうと、こういうことだと思いますけれども、ただ、我々考えますに、やはりその処理工程においてかなり荒っぽいところがあったんじゃないかということもある意味推察されるわけでございまして、この辺りは今後アメリカ側も再開に向けての話をしてくるんだと思いますけれども、我々としても、日本側としても、しっかり施設の査察を通じてチェックをしていただかなければいけない点じゃないかなというふうにも思うわけです。  輸出証明プログラムに関する調査報告書が出ましたけれども我が国からそれに対して照会をされました。それに対する回答がたしか三月十八日に届いておったと思います。この内容について、大きくその輸出プログラムあるいは輸出のシステム全体の問題であったのか、あるいは特定の施設の問題であったのかという部分においては日本側にとってまだまだ満足のいくものではなかったんじゃないかなというふうにも思うわけです。その回答の中では、FSISはアトランティック社が認定施設になったことさえ知らなかったと、こういうことだったと思います。米国のお役所、農務省の中のいわゆる縦割り行政がこのような連絡の不徹底を招いたということも言えるわけでありまして、そういう意味からすれば、これはいわゆるシステム全体の問題であったということも指摘されるわけです。  確かに、施設自体が子牛を専門に取り扱っていると、こういう業者であったという意味ではユニークであったわけです。ほかとは事情が異なるかもしれませんけれども、やはり我々としてはこの辺疑問に思うところも多いわけであります。果たしてこれは特異な事例、本当に特異な事例と言えるのかどうかということについてもう一度農水省の御見解をいただきたいと思います。
  112. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今の先生のお尋ねの今回が特異な例かどうかという点でありますけれども、アメリカからの説明によりますと、この二つの施設の近辺にはほかに対日輸出施設がなかったというふうなこと、あるいは、先生もおっしゃいましたけれども、子牛の対日輸出施設ということでは初めての例であった、あるいはまた屠畜の部門とそれから食肉処理の部門とが二つの事業体に分かれていたというふうな点など、他と比べまして異なる事情が背景にあったということはそうでありますけれども、また一方で、当初アメリカ側の報告書の中ではAMSの認定そのものには問題がなかったというふうなことでありましたが、先般の三月の二十八、二十九日の専門会合におきましては、その手続自体は問題はなかったけれども、今から振り返ってみれば、品質管理マニュアルがより具体的、現実的なものであったとすれば今回の事案を防ぐことができた可能性が高かったというふうなことで改善の余地もあるというふうなこともアメリカ側が認めたところでございます。  こういったことで、今回の事案について一つの共通の認識が日本とアメリカの間でできたということで、更にこれからその次の、それじゃ三十七の施設においてはどうなのかといったところについてアメリカ側がレビューをするということになっておりまして、その次のステップに進むことができたというふうに私どもは認識をいたしております。
  113. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございました。  そういうことで、先月末、三月の二十八、二十九日に日米の専門家会合がこれ持たれたというふうに伺っております。これは、アメリカ側から来てもらって、来てもらったといいますか、向こうが要望したと、こういうことだと思います。そこで、今、局長おっしゃられたような共通認識が得られたと、こういうふうに伺っています。  ただ、その他のこの会合での様々な、どういう議論がされたのか、詳細等についてちょっと分かりにくい部分もあると思います。もう一度具体的に、この会合でこの共通認識も含めて全体でどういう話がなされたか、御披露いただきたいと思います。
  114. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 三月の二十八、二十九日に開催をされました日米の専門家会合におきましては、二月に提出をされましたアメリカ側の報告書、それからその報告書に対します日本側の照会、それからその照会に対する回答、そういうそれまでのやり取りを踏まえまして、不明な点について日本側からは改めて確認を行いましたし、これらの点につきましてアメリカ側からも詳細な説明がなされたわけでございます。  これまでアメリカの説明としましては、今回の事案は、問題の施設が認定をされた品質管理マニュアルに従わなかったということと、それからFSISの検査官が発見できなかった結果こういうことが起こったんだというふうなこと、それから、先ほども申し上げましたが、この二つの施設の認定手続につきまして、当時の判断としては手続に従って認定が行われたものではありますけれども、今から振り返れば、もう少し品質管理マニュアルがより具体的で現実的なそういう記述がされていれば今回の事案を防ぐことができた可能性が高かったというふうなことで、それまでの報告書なり回答書では手続上問題がなかったというところから一歩踏み込んでアメリカ側からも説明があったということでございました。そういう説明があったということで、日本側としてもそういう点については一定の共通認識を得たということであります。  また、その後の対応としまして、今まで日本側が得ましたアメリカ側の様々な報告書なり説明のその概要につきまして、やはり日本消費者の方々の理解を得るということが第一でありますので、今、十一日から既に全国各地十か所で説明を行い、また消費者の方々の意見をいろいろとお聞きをするそういう意見交換会を開いておりますし、アメリカ側におきましては今、対日輸出施設の再調査を行っているということで、次の過程に進むそういうベースができたというふうに理解をいたしております。
  115. 岸信夫

    ○岸信夫君 今お話ございましたように、リスクコミュニケーション、これが今進行中であると、こういうことであります。来週までですかね、二十四日までこれが持たれると、こういうことだと思いますけれども、この中で今までの経緯の説明等が行われて、更にそこの参加者からの意見あるいは議論というものがあると思うんですけれども、果たして消費者を含めてこういう事態について十分な理解が今得られてきているのかどうかという点であります。  消費者が十分安心して牛肉を今買えると、例えばアメリカ産のが入ってきたらまた食べることができるような状況になっていくかどうかということは、やはり消費者理解を十分得ていくという、このことが大変大事だというふうに思うわけですけれども、このリスクコミュニケーションの場でどういった意見が今出てきているのか、その辺りをちょっと御披露いただきたいと思います。
  116. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 四月十一日から始めまして、これまで、昨日まででありますけれども、五か所で既に意見交換会をやっております。  その五か所で出されました意見、かいつまんでまとめて申し上げますと、一つはやはり、しっかりとした今回の事例についての原因究明をきちっとやるべきだというふうなこと、それからそれを踏まえて米国側の改善措置について精査が必要だというふうな御意見も出ておりますし、また輸入再開に当たっては事前の査察や日本の検疫体制の強化が必要だというふうなこと、それからすべての過程につきまして国民、消費者への丁寧な説明が何よりも大事だというふうなこと、それからこういった問題に対処するに当たっては国民の命を守るという真摯な態度でアメリカ側と協議をしてもらいたいと。いろいろ意見は多岐にわたっておりますけれども消費者の方々の特に関心の高い点、あるいは幾つかの会場で繰り返し言われている点ということで申し上げれば今御紹介をしたような意見でございます。  この意見交換会では、これからアメリカからの報告書なり、あるいは日本側の照会等についても丁寧にその事情については事務局側から御説明をした上での意見でございますので、さらにこれから先もステップごとに丁寧に消費者の方々への情報提供と、それから消費者の方々のまた意見をよくお聞きをして、それをできるだけその次の対策、政策に反映をしていくというこの意見交換会、リスクコミュニケーションの手続というものは非常に大事に踏まえてやっていきたいというふうに思います。
  117. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  今おっしゃられたように、大変重要なところだと思いますので、しっかりと耳をかしていただきたいというふうに思います。また、その意見を更にアメリカ側にも必要なものは伝えていくと、こういうことが大切なんだろうと思います。  その再び再開をする、これが大前提ということではないとは思いますけれども、ただ、将来的に米国産の牛肉を食べられるようになっていくと、こういうことに進むまでに、やはりその場でも出てきていたと思うんですけれども、もちろんアメリカ側がしっかりと制度を見直すと。とともに、そのことを日本側もしっかりと検証していくということが何より日本人にとって、日本の国民にとっての安心を担保していくと、こういうことにつながると思うんですけれども、その一つはやはりしっかりとした査察を、再開前に査察を行うと、こういうことだと思います。  一方で、私は思いますには、やはり実際に動き出してから、これはもう前回も申し上げた話ですけれども、実際に動き出した後も都度、検査に入ってもらうと。これはそのそれぞれの施設、いろんな仕向地向けの処理をしておるわけです。国内向けも当然ですし、あるいは香港もあるかもしれません。その中の一つの輸出先としての日本ということで、それぞれ制度が、細かく言えば制度が違ってくるという中だと思います。それを熟練した検査官、アメリカ側の検査官がやっていると、こういうことであると思いますけれども、やはりこれは日本向けということで考えれば、日本の制度に熟知した人間がこれを見ていくということもこれは本当に一つ大切なことなんじゃないかなというふうに思っています。これはアメリカの国内でこれを検査することの困難さということも一つあると思うんですけれども、何かの形でしっかりお考えいただけないかなと、こういうふうにも思っております。なかなか今の時点ではお答えいただきにくいことかもしれないんで、私のコメントとして再度付け加えさせていただくんですけれども。  今後、その輸入再開に向けてどういうふうに進んでいくかと、こういうことであります。アメリカ側は一日も早く再開をしてほしいと、こういうことだと思います。ただ、慎重に安全性を見極めていく必要があります。ただいたずらに先延ばしするということではありませんけれども、先ほど申しましたようなプログラムの再確認、そして安心をかち得て初めて米国産の牛肉が国内でも流通すると。そうでなければ、なかなか消費者にとってもその選択の幅を広げるというようなことにもつながっていかないでしょうし、このことはアメリカ側にとっても、アメリカの業者にとっても不幸なことだというふうにも思います。  そうした現状を踏まえて、今後の取組等、もしございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  118. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、アメリカは今週一週間、復活祭の休みということで、先週、私はアメリカのジョハンズ農務長官と電話でお話をいたしましたが、来週以降、また議会が再開をしたときにどういうことになっていくのかというアメリカ側の説明はいただきました。  他方、日本一つ一つ、元々ルールそのものの運用の問題でありますし、幾らアメリカが安全と言っても日本ではこういうものは駄目だということで日米で合意されたものが実際に機能しなかった、しかも日本の検疫所で発見されたということであります。  今後は、アメリカ側も三十七施設を再点検をする。日本は現在行っております、新たに四国も追加いたしましたけれども消費者の代表の皆さん方に説明をして、先ほどのようないろいろな御指摘をいただき、また、今、岸委員からもいろいろな御提案をいただいたところでございます。今、我々としては、説明会を二十四日までやって、その御意見等を踏まえて今後どういうふうにしていったらいいか。現時点でははっきりとした工程表というものはむしろ作らずに目の前の一つ一つの仕事をやっていくということで、何回もこれはアメリカ側にも言っておりますけれども、アメリカ側は早期再開と言っておりますけれども日本としては消費者の安全、安心、仮にそれが担保されないまま我々がオープンにしたとしても、売れなければこれはアメリカにとってメリットのないことでございますので、急がば回れということを言い続けながら、当面はこの説明会のいろんな御意見を承って、その上で次の段階に入っていきたいと、こういうふうに考えております。  決して、今御指摘のように、時間の引き延ばしもいたしませんし、また拙速ということも厳に避けていかなければいけないと。一つ一つやるべきことをやっていきたいというふうに考えております。
  119. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。しっかりお取り組みいただきたいと思います。  それでは、次のことに移りたいと思います。  四月四日に二十一世紀新農政二〇〇六というものが食料・農業・農村政策推進本部で決定されたと伺っております。人口減少に直面する我が国の社会構造変化、これに対応していく、またグローバル化の一層の進展に対応した攻めの農政を戦略的にまたスピード感を持って進めていくことが今求められているわけでありますが、この中で特に国際戦略についてお伺いしたいと思います。  今、WTOの交渉、いよいよ大詰めに迎えておるわけです。今月末のモダリティー合意に向けて、まだまだ乗り越えなければいけない課題も多く残されているわけであります。しかし、我が国にとってこの国際的な貿易ルール、秩序の維持というものは、これは必要な、絶対必要なものであります。特に、攻めるということを考えますと、むしろ積極的に会議をリードしていく、こういうことが必要だと思います。もちろん、今、農業交渉の総責任者であります大臣始め関係者の皆さんもそういうお気持ちで進んでいただいていると思います。  WTOのルール作りなんですけれども、貿易の輪をもっと広げていく、そしてそれぞれの国の暮らし向きを豊かにしていく、これがまずWTOの目指す、合意の目指すところだというふうには考えておるわけですけれども我が国、先ほどもお話が出ていましたけれども、六割のカロリー源を海外に頼らざるを得ない我が国です。ただ、経済効果だけで自由化を進めていったら、国内の豊かな食生活あるいは食文化というものも崩れてしまうんではないか、こういうふうにも思うわけです。やはりそれぞれ、日本だけではなく、それぞれの国が各国の風土や文化を尊重される、こういうルール作りを本来目指すべきだというふうにも思うわけです。  そのためにも、いわゆる重要品目あるいは上限関税と、こういったどうしても譲れないところ、こうしたところはしっかりと主張していっていただきたい、こういうふうに思うわけです。政治主導で取りまとめていく必要があると思いますけれども、合意形成に向けての決意と戦略について、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  120. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この世界の国をまたぐ経済活動の七割はいわゆるサービスと言われておりますし、残りの物の部分の九割はいわゆる工業製品ということでありますけれども、じゃその一割が農業でありまして、私が所管をしているところでございますけれども、どの国もやっぱり農業は極めて重要であると。アメリカもEUも日本も、そして本当に後発途上国、取りあえずは農業まず自給をしたい、あるいはまた輸出品は農産物と、あとは原材料みたいなものしかないと、必死になって農業というものにほとんどすべての国が強い関心を持っているわけでございます。  そういう中で、日本といたしましては、世界じゅうの国々と貿易を通じて日本も発展をしてまいりますし、また相手国の発展にも貢献をしていきたいということが今の交渉の最大のポイントでございます。ですから、守るところは守り、攻めるところは攻めていくという交渉を是非最後までしていきたいというふうに思っております。  四月末に農業と非農産品のアクセスにつきましてモダリティー、ルールが確立されるということに約束されております。しかし、状況は極めて大きな進展がないということでございます。残りあともう二週間もない状況になってまいりましたけれども、しかし今日からジュネーブで農業の専門家会合が行われて、ぎりぎりまで待って、この状況を見ていきたいというふうに考えております。  もちろん、我々は、もう一〇〇%譲って、どうぞ好きなように交渉をまとめてくださいと言うつもりは毛頭ございませんから、先ほど申し上げたようなスタンスでいきたいと思いますし、そういうスタンスの中で何とか交渉の前進、あるいはスケジュールどおりの作業が進むべく、今ぎりぎりの努力をしているところでございます。
  121. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。  この二十一世紀新農政二〇〇六という中に東アジア食品産業共同体構想、こういうものが入っております。非常に言葉としては面白そうな、また興味をそそる言葉なんですけれども輸入、かなり頼っている我が国の現実問題として、供給国の側の安定ということは、これは大きな関心事であるわけです。最大の相手国でありますのがアメリカですけれども、その次に中国が続くと、こういう状況ですね。東南アジアあるいはインドまでも含めた東アジアということを考えますと、これは食文化としてもアジアの食文化ということで共通点も多いですし、我が国への食材の提供ということも今行われている地域であります。その中での食品産業の成長の可能性というのもこのそれぞれの地域で大変大きいという中であります。  そうしたところで、この構想、できたてのところだと思います。ですから、具体的なところというのはまだないかもしれませんけれども、この構想について大ぶろしきを広げるつもりで、ちょっとどういったことをお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
  122. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 現状認識としては、我が国は人口減少でありますとか少子高齢化ということで国内市場が成熟化する一方で、東アジアは発展を続ける魅力的な市場となっております。こうしたことから、既に国境の枠を超えて日系の食品産業が東アジア各国へ進出し、現地で製造、販売を行っておりますけれども、こうしたことにより各企業の経営体質、国際競争力強化を図るとともに、日本農林水産物の輸出促進にも寄与するということでございまして、そういった考えも含めまして東アジア食品産業共同体構想を大臣が打ち出したところでございます。  具体的には、各企業なりが、海外進出のときあるいは進出後の具体的な問題点を把握、整理いたしまして、その解決に向けた産官学連携体制の構築でございますとか、これから出ていかれる意欲のある企業への情報提供でございますとか、あるいはEPA交渉等を通じた働き掛けなどを行っていく考えでございます。  現在、構想を打ち出してから食品産業界に直接説明に行っておりますけれども、その際にも詳細に実態をお聞きしているところでありますけれども、本構想の基本的な方向性については各社からいずれも肯定的な評価をいただいているところでございます。  今後、関係者と問題意識を共有しながら、その具体的な要望を踏まえて、農林水産省として講ずべき必要な措置についても幅広く検討してまいりたいと考えております。
  123. 岸信夫

    ○岸信夫君 恐らく民間の企業、食品関連会社については、恐らくもうどんどん先行して、はるか逆に先を進んでいるというような状況じゃないかというふうには思います。ただ、それを国として戦略を立ててそれぞれの地域の食生活のレベルを上げていく、そのことで我々のマーケットをどんどん増やしていくということは、これは是非進めていっていただきたいというふうに思うわけです。  その件に関してなんですけれども、知的財産権の保護についてもこの新農政二〇〇六の中で述べられておりますけれども、品種保護については近年、農水産関係者でも意識が高まってきているということですけれども、黒毛和牛の精子が持ち出されて海外で交配されるということが先週新聞なんかでも報道されているところです。こういったところに対しての問題意識というのも広がっていると思うんですが、今はどういうこの件について議論がされているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  124. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) お答えいたします。  和牛につきましては、我が国の本当に固有のものでございまして、関係者によります育種改良の努力の積み重ねの結果、ほかの品種には見られない優れた肉質を特徴的に有する貴重な財産であります。  しかしながら、この和牛の知的財産権につきましては、これを保護するための種苗のような国際的なルールが現在は存在をしていないという状況でございます。  このような状況の中で、知的財産につきましては、二十一世紀新農政二〇〇六におきましても重要な項目の一つと位置付けをされておるところでございます。農林水産省知的財産戦略本部の下で、和牛の貴重な遺伝資源を保護するための方策を検討するために、家畜の遺伝資源の保護に関する検討会を設置いたしまして、ちょうど本日でございますが、十三時三十分から第一回目を開催させていただくことになっております。この検討会には、和牛の専門家のほかに知的財産権の専門家の方々にもメンバーとして入っていただいておるところでございまして、知的財産制度の活用方策につきまして幅広い観点から検討をしていただけるものと考えております。  いずれにしましても、オーストラリア等を中心といたしまして、現在、素牛も相当数輸入をされ、生育期間が日本側において長ければ国産牛という扱いを受けると、そのようなことが国内生産農家にも非常に不利に働く面もあるんではなかろうかという危機感の中に、きちっと我が国の知的財産に基づく権利を明確化するべく努力を重ねてまいりたいと思います。
  125. 岸信夫

    ○岸信夫君 この件は本当に大切なところだと思うんですよね。将来的に考えて、例えば精子だけじゃなくて卵子も持ち出されてしまうということだってあり得ることだと思いますし、せっかくのおいしい和牛です。やはりこれ、ある意味日本でなければこれが食べられない、あるいは日本でなければ作れないと、こういうことが何より大切なのかなと。  私の地元などでも、畜産はそんなに盛んではありませんけれども地域によってはすごくおいしい牛肉を作っているところがあります。量も少ないというのもあるんですけれども、そこに行かなければそれは食べられないわけですね。そうすると、皆そこに行くわけです。行けば、お肉食べるだけじゃなくて、観光もするあるいは何か買物もするということで、それぞれの地域で全体の町の活性化にもつながっているようなところもあるわけで、それを大きくした意味で、やはり和牛は日本だと、日本でしっかり育てられたものでなければ和牛として認められないような、そういう形に是非持っていっていただきたいというふうにも思うわけであります。  ちょっと時間が余りなくなってきてしまったんですけれども、次に行きたいんですけれども水産の問題であります。これちょっと、前回本当はお聞きしなければいけなかったんですが、今、水産業、非常に厳しい状況にあるわけです。資源の枯渇あるいは魚価の低迷、燃油高と。油については、またWTI、七十ドル乗せと、こういうことでありまして、昨年のアメリカのカトリーナ襲来のときのレベルにまた戻っているような状況で、それに加えてまたクラゲの問題というのもあるわけです。  十七年度の補正予算でも五十一億円の経営体強化緊急総合対策基金というものが創設されました。ただ、そう簡単にはこの厳しい現状をなかなか脱出できないということでありまして、私の地元山口県も三方を海に開かれているわけで、特に山陰、日本海側については厳しい漁業を続けさせられていると、こういう状況であります。  この状況を打開していかなければいけないわけですけれども、こういったことについて御所見をいただきたいと思います。
  126. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 漁業につきましては午前中も、ここ十年、二十年の間に随分と様変わりをしてきた、決していい方向じゃない様変わりが多いと、こういう認識を持っております。  そういう中で、去年は大型クラゲの被害あるいは石油が、燃油が暴騰している。今、岸委員指摘のように、この状況が、短期的に大幅に下がるというふうな予測はだれも立てられない状況にあるわけでございます。そういう中で、十七年度の補正予算におきまして緊急対策を取ったところでございますけれども、現在、水産基本計画の抜本的な見直しをやっている作業でございます。  主なものを申し上げますと、施策の集中や規制緩和等による国際競争力のある経営体の育成、消費者ニーズへの積極的な対応、流通の合理化等によって川上から川下に至るまできちっと情報を把握しながら消費者に喜ばれるものをつくり、あるいは育てていこうということを今考えているところでございます。
  127. 岸信夫

    ○岸信夫君 一方、クラゲの問題なんですけれども、昨年もこれは大きな問題になりました。これは我が国だけで解決できるということではなくて、日中韓の共同研究ということについて取り組んでいただくと、こういうことでございますけれども日本は共同調査のためにたしか三億円を計上していただいたということだと思います。  ただ、中国や韓国側の対応というものが今どうなっているかはっきり分からないわけでありますけれども、これは毎年毎年繰り返される問題ではないかなと、こういうふうに思うわけで、是非一刻も早く向こう側の積極的な対応というものをお聞かせいただきたいと、聞きたいと、こういうことなんですけれども、今の取組の現状についてお聞かせいただきたいと思います。
  128. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 昨年の十二月でございますが、上海で日中韓三国の研究者によるワークショップ開かれまして、それで日本側から三国が共同してこのクラゲの調査しようじゃないかということを提案しまして、韓国、中国からも基本的に賛同をいただきました。今年になりまして、二月に韓国側と、それから三月には中国側とその共同研究の実施方法の協議を進めておるところであります。それで、三国の研究者が中心となって共同研究計画を策定すると。その計画に基づいて各国が調査研究を行うとともに、その調査研究の結果を相互に持ち寄り共同解析するということが合意されております。  現在でありますが、三国の研究者間で共同研究計画に盛り込む具体的な内容などにつきまして各国の事情を踏まえながら調整を行っているところでございまして、日本としましては、今年の五月中旬から私ども調査船「照洋丸」、これを東シナ海に派遣して、大型クラゲの分布調査とか海洋環境調査に着手したいというふうに考えております。
  129. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  時間がないんですけど、最後の御質問になるかもしれません。農薬のポジティブリストの件であります。  これは三年前に決まりまして、法律の施行が間もなく五月とこういう、五月末ということだと思います。農業関係者にこの法の施行に当たっての認知度が十分広がっているのかどうかと、こういうことが一番気になるわけでありますけれども、特に、いろいろ話に出ております、農薬散布した場合、その飛散した場合のリスクがどの程度かと、こういうことだと思います。これは一にも二にもしっかりと状況を当事者に説明をしていただいて理解をしていただくと、こういうことだと思います。現実のリスクとしては非常に低いものではないかなと思うわけですけれども、何より不安が先行しているんじゃないかなと、こういうことだと思います。  これはこれで是非説明しっかりやっていただきたいと思うんですけれども、もう一つ、一方で、やはり消費者にとってのこれは健康をどれだけ配慮するかと、考えるかと、こういうことだと思うんですけれども輸入の農産物ですね、輸入の場合はやはりその生産状況が分からない中であります。それだけに心配なところも多いわけでありますけれども、ただ、このポジティブリスト化、輸入農産物について三百品目以上の農薬について調べるとなれば、またこれは大変な作業になってくるんではないかと思うんですけれども、モニタリングとか、適切にそういうことを実施していかなきゃいけないというふうには思います。  輸入農産物の安全、安心の観点から、この制度の変更によりどのような方策を考えておられるか、お考えお聞かせいただきたいと思います。
  130. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) 本年五月二十九日に施行されます残留農薬等のポジティブリスト制度の導入につきましては、輸入時のモニタリング検査の対象農薬等を増加する必要がございます。そのため、本年度は検疫所の食品衛生監視員を十四名増員いたしました。また機器を、多品目、多くの種類の農薬を測れるということで機器の増設を図ったところであります。また、基準違反の食品輸入を未然に防止するということも大切でございますので、主要な輸出国十八か国、また地域の残留農薬等の規制に関する情報というものをあらかじめ収集いたしまして、輸入業者等に提供をしますとともに、検疫所におきましてもその主要な十八か国の情報に基づいて効果的かつ効率的なモニタリング検査が実施できるようなことで、分析方法の技術的検討を継続して進めておるというところでございます。  今後とも、輸入食品安全性確保いたしまして、ポジティブリスト制度の適切な施行を図るというため、輸出国におけます残留農薬等の規制に関する情報収集に努めてまいりますほか、それを踏まえましてモニタリング検査項目の拡大などを行うなど、引き続き監視指導体制の強化に努めてまいりたいという具合に考えております。
  131. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  終わります。
  132. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。  今日は各省庁おいでいただいておりますけれども、大変恐縮ですが、端的に質問をさせていただきたいと思います。  昨年二月の十六日に発効された京都議定書、これは温室効果ガスの排出量の削減について法的拘束力のある数値約束がなされております。我が国は二〇〇八年から二〇一二年まで、五年間で六%、そのうちの三・九%が千三百万炭素トンまで新たに造成されるとして、森林の二酸化炭素削減によって国際的に認められたとしております。  環境省にお伺いをいたしますが、確認でございますけれども我が国は六%削減する、そのうち三・九%は森林整備管理によって達成することは国際的な約束であるというふうに理解をしていいのか、まずこのことをお伺いしたいと思います。
  133. 小林光

    政府参考人小林光君) 端的にということでございますけれども、まず、京都議定書に定められましたそのマイナス六%の削減目標、これにつきましては法的拘束力のある目標として交渉してきて、そして決められたということで、今御指摘のとおり、六%目標については法的拘束力のある目標だというふうに認識をしております。  そのマイナス六%をどのような手段によって達成するか、その内訳については法的な拘束力はございませんけれども我が国の場合には、今おっしゃっていらっしゃいました上限までの吸収量を見込むことが国際的に許されるということが言われておりまして、これは国際約束というよりは国際的な認識、法的拘束力のある話ではございませんけれども、そこまでは認めてあげようというのが国際的な合意になっていると、こういうふうに認識をしております。
  134. 加治屋義人

    加治屋義人君 我が国は、京都会議以降、地球温暖化対策を始め地球環境問題でイニシアチブを取る立場となりました。二十一世紀は環境の世紀と言われるだけに、これからもしっかりと世界のリーダーとしての存在であってほしいと、そういうふうに願っております。  しかしながら、議長国として取りまとめた京都議定書の数値約束が守れないのではないかと大変懸念をいたします。なぜならば、森林の三・九%、これは現状の森林整備水準推移した場合に二・六%しか見込まれないと、約束を達成できないと。約束を達成するには来年度から年間二千二百億円の事業費を追加することになるよねと、こういうことを考えておりまして、林野庁にお伺いしますけれども、二〇〇一年十一月のCOP7で千三百万炭素トンの適用が決まりました。そして、森林・林業基本計画に基づいて、二〇〇二年一月に中央環境審議会でも現状を上回る森林整備水準が必要だと。それから、五月ですけれども、京都議定書の国会承認、そして地球温暖化推進法の改正。六月には京都議定書の受諾の閣議決定。この時点では議定書が発効するかどうかは不明な部分がありましたわけですけれども、そういう経緯からしても、二〇〇二年、いわゆる平成十四年以降、吸収源対策推進に必要な整備森林予算が手当てされなければならないと思っているんですけれども、その実績はどうであったのか。また、京都議定書の発効された後に編成された本年度予算のそれに対する考え方、あるいは来年以降必要とされる追加的な事業費の獲得の見通しについて林野庁長官にお尋ねいたします。
  135. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、委員お尋ねのとおり、削減目標六%のうち三・九%分を森林吸収量で確保するということになっております。この目標達成に向けまして、平成十四年に地球温暖化防止森林吸収源十か年対策を策定をしました。この下に、健全な森林の整備保全、それから木材、木質バイオマス利用の推進など、総合的な取組を進めております。  予算関係でございますけれども平成十四年のこの策定から十八年度に林野庁全体の予算は九一%ということになっておりますけれども、この三・九%の確保に直接資する間伐等の推進森林整備事業につきましては、平成十四年度と十八年度を比べますと一〇一%の結果となっております。非常に厳しい財政状況の中で重点化を図って、このような対応をしてきているところでございます。  それから、発効後の十八年度予算についてはどうかということでございますが、今申しました十か年対策、これに従いまして引き続き総合的な取組の努力をしておるわけでございます。そしてまた、予算要求に当たりましては、概算要求基準に基づきまして最大限の中で予算要求をしました。また、安定的な財源の確保ということで、税制要望ということで、環境省さんとも連携をいたしまして環境税の創設、またその使途に森林吸収源対策を位置付けるということを要望してきたところでございます。  今後、この京都議定書の約束を履行するためには、今、委員が御指摘されましたとおり、現状ではまだまだ十分でないというふうに思っておりまして、この一般財源はもとよりでございますけれども、安定的な財源の確保ということが必要だというふうに考えておるところでございます。
  136. 加治屋義人

    加治屋義人君 今、長官お話しのとおり、大変厳しい財政だ財政だだけでこの問題解決するわけではないわけでございまして、よく理解はいたします。  そこで、数値約束を守るために、内閣総理大臣、本部長ですね、そして官房長官と環境大臣と経済産業大臣が副本部長、そして私ども中川大臣、これは対策本部の本部員というお役をされているわけですけれども、これに対する対策本部を設置されているわけですね。  そこで、三浦大臣伺いますけれども農林水産省として強力かつ早急にこれを推進するために必要な事業費の獲得に向けて財政当局あるいは対策本部にどのようにアプローチし、強力な予算獲得に、この決意をお聞かせいただければ大変有り難いと思っております。
  137. 三浦一水

    ○副大臣三浦一水君) 温室効果ガスの削減目標の六%、先ほど答弁もいたしましたが、拘束力を持つものでございまして、この国際約束を達成していくためには、森林の吸収に割り当てられました三・九%の二酸化炭素の吸収量、これを確保していくことが不可欠だとまず認識をいたしております。  先ほど長官からも話がありましたが、十四年に策定をいたしました地球温暖化防止森林吸収源十か年対策に基づきまして、健全な森林の保全あるいは木材、木質バイオマスの利用促進など、総合的な取組を今日まで進めているところでございます。  十八年度の予算につきましても、先ほど森林整備は重点化を図りながら農林水産省としても取組をしているという説明をしたところでございますが、十四年度対比で林野公共予算その他のものが比率を大体一〇%落としております。その中で、先ほど長官申し上げましたように、この森林整備につきましては一〇〇%を十四年対比において維持をしてきているという状況にもあるわけでございます。  環境省と連携を図りまして環境税の創設に向けた取組は要求をしてきたところでございますが、森林吸収源対策をより確実に推進をしていくためには、今後とも、この一般財源はもとよりでございますが、より安定的な財源、すなわち環境税の確保が重要な課題だと考えております。国民の理解も十分得ながら必要な対策と財源につきまして検討をしてまいりたい、決意を申し上げたいと思います。
  138. 加治屋義人

    加治屋義人君 確かに、現状維持の整備では、先ほど申し上げました二・六%しかならない、この国際約束はできない、そういう目的を持った是非そういう特別な御努力をしていかなければいけないなと、そういうふうに思っておりますので、どうぞひとつ御努力をいただきたいと思っております。  二〇〇三年で排出量は基準年の一九九〇年よりも八%上回っているんですね。したがって、一四%の削減が必要となります。  経済産業省にお伺いしますけれども、エネルギーの分野の経済産業省が所管する分野で削減がどのように進んでいるのか、目標達成できる状況にあるのかどうか、この地球温暖化防止のための事業費は達成できているのか、そのことについてもお伺いしたいと思います。
  139. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) お答えいたします。  我が国のエネルギー起源の二酸化炭素の排出量でございますが、今お話がございました二〇〇三年度でございますけれども、十一億八千八百万トンでございます。これは、基準年であります一九九〇年度に比べまして一億四千万トン、率にして一三・三%の増加ということになっております。この年につきましては原子力発電所の長期停止がございまして、実はそれによりまして排出量が増加した分が五・七%程度あるというふうに見込んでおります。  こういった状況ではございますけれども、京都議定書の目標達成するために、昨年四月に閣議決定をされました京都議定書目標達成計画では、省エネルギー対策、新エネルギー対策の一層の強化、安全の確保を大前提といたしました原子力の推進と、こういった必要な対策を講ずることとしておりまして、これによりまして、二〇一〇年度におけるエネルギー起源二酸化炭素の排出量を十億五千六百万トンに抑えるということを目標にして努力をしているところでございます。  また、お尋ねのありました事業費、予算関係でございます。  平成十八年度予算におきましては、大変厳しい財政状況の下ではございますけれども、経済産業省分の京都議定書目標達成計画関係予算といたしましては三千五百七十七億円を計上さしていただいております。この予算の大宗が、エネルギー起源二酸化炭素の排出抑制のための省エネルギー対策、新エネルギーあるいは原子力、そういった分野の対策のためのものでございます。  なお、京都議定書の目標達成でございますけれども、こういった予算に基づくものだけではございませんで、昨年、省エネルギー法の改正もさしていただきましたけれども、エネルギー効率の向上のためのそういった措置あるいは基準の整備、それから産業界の自主的取組と、そういったものも総合的に含めまして対策を行っているところでございます。
  140. 加治屋義人

    加治屋義人君 環境省に伺いたいんですが、今、経済産業省、農林水産省、いろいろ現状についてお話をいただきましたし、また、その中でやはり一番問題になるのは財政、事業料の足りない、そういうことでございますけれども、この京都議定書、温暖化対策を取りまとめている環境省として現在の進捗状況についてどういう認識を持っておられるのか、特に、このままの事業水準では森林整備目標達成できないことについてどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  141. 小林光

    政府参考人小林光君) お答え申し上げます。  お尋ね、二点でございます。  一つは、温暖化対策全体の進捗状況、そして達成の見通しということでございます。  私ども大変、結論から申し上げますと、厳しい状況だというふうには認識してございますけれども、それぞれの対策の分野申し上げますと、一つは国内におきますところの排出の削減、そして吸収量の確保、それは先ほど御指摘の点でございますが、そして三点目が、京都メカニズムというふうに言われておりますけれども、外国での削減量を日本としてそこに協力をする、投資をするということで日本の削減量にカウントする、このことが認められております。こうしたことを私ども三本柱というふうに言ってございますけれども、こういった三つの対策、それぞれ一つとして欠けることなくきっちりやっていかないとこの達成ができないというふうに考えてございます。  そうした点で見ますと、今、経済産業省から御答弁ありましたように、国内のCO2を中心とした排出削減、もう一歩の努力が必要だというふうに考えてございます。  それから、京都メカニズムの部分につきましては、今の国会に新しい法律を提案をさせていただいておりまして、なるべく早くこの円滑な取得ができるようにしたいというふうに考えてございます。これは制度が整えば可能ではないかというふうに思っております。  そうしますと、三番目、特に事業に大きく左右されますのがこのお尋ねの吸収源だというふうに考えてございます。  大変長くなって恐縮なんですが、二点目のそしてお尋ねと、こういうことでございます。  我が国の森林は、放置をされているもの、そして一生懸命手入れをされているもの、いろいろあるわけでございますけれども、それらをすべて見渡してみますと、吸収量というのは結構あるというふうに私ども思っております。しかしながら、先ほど冒頭お尋ねがございましたように、国際的に我が国の吸収量として認められる量に上限があるということでございます。これが年間一千三百万トンということでございます。そこまでが最大限私ども京都議定書の適用上見込める量ということでございます。  ところが、問題はここから先でございますが、その千三百万トン黙って認めてくれるわけではないわけでありまして、これを計算するためには、例えば森林経営活動という人為の活動が行われている森林区域、そしてその森林区域で吸収されている吸収量が何ぼになるか、それをきちっと計算をし証明をしていくということが必要になるわけでございます。  そういうことから見ますと、実際にこれから国際的な検討もいろいろ進んできておりますので、条約のチェックに当たります、あるいは議定書のチェックに当たります専門家に、日本としてこれだけの吸収しているんだということをきっちり証明をしていくということが必要であるわけでありますけれども、そうした目で見ますと、先ほど来御指摘のとおり、まだまだその森林維持活動等々の水準というのが足らないなというふうに思っておりまして、これはまあ人手と予算にかかわることではございますけれども、是非その獲得ということに努めてまいりたいというふうに思っております。
  142. 加治屋義人

    加治屋義人君 現場での、大変この財源の厳しい中でこのことについて御努力をいただいていることはよく承知をいたしました。  そこで、財務省に伺いますが、国際公約である京都議定書、その数値約束を守ることは我が国の政策の中でも最優先されるべきことだと私は認識しております。同時に、予算措置が十分されるべきだと思います。それがなされていない理由、しっかり御答弁いただきたいと思います。
  143. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) 森林整備事業についての例で申し上げます。  まず、十八年度予算におきまして、森林整備事業につきましては、公共事業全体の予算が対前年度比で四・四%のマイナスになりました中で、その森林整備事業は対前年度同額、約千八百十一億円ですけれども、を確保しました。また、非公共予算におきましても、その森林整備推進する上での効果の高い施策に重点化しております。  一般論で申し上げますと、地球温暖化対策のために実施する森林整備につきましては、森林整備の現状及び森林・林業を取り巻く環境を踏まえ、対象とすべき森林の範囲や施業コスト等を見極めた上で、ハード、ソフト、この両面から効果的かつ効率的な実施を図る必要があると考えております。  いずれにしましても、森林吸収源対策も含めまして、地球温暖化対策のための必要額につきましては今後とも関係省庁とも十分議論しながら精査してまいりたいと考えております。
  144. 加治屋義人

    加治屋義人君 よく分からないんですけど、通常の森林整備事業、まあこれは森林予算マイナスじゃありませんよと。よく分かっているんです。しかし、この三・九%を実現するためには、もう数字が出ているんです、二千二百億円足りませんよとなっているんですよ。その対策をどうするかというのが今議論しているわけで、先ほど環境税とかいろいろお話がありましたので、是非財務省、このことを理解していただかないと、これは国際約束を守らないということになると、これは今の内閣、本当不安でならないんですね。そういうことも含めてこれから御努力をいただきたいと思っております。  それから、この森林管理による三・九%は、事業費さえあれば確実に削減が可能なんですよ。カウントされていくんです。それができてないんですね。いろいろ森林荒廃とかそういうのは通常議論をしておりますので、ただ、予算サイドだけは完全に世界の約束は守れるということだけは御理解をいただきたい、これがなければできないということもお分かりいただきたいと思っています。そこで、森林整備を後回しにするとすれば、数値約束は五年間の平均ですから、更に追加の事業費が必要になるわけであります。  そこで、内閣官房にお伺いしますけれども、各省庁がそれぞればらばらで行うだけではなかなかうまくいかないと。そこで、内閣において総合的な観点を持って強力なリーダーシップで推進すべきではないかと、そう思っておりますが、そのことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  145. 笠井俊彦

    政府参考人笠井俊彦君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、地球温暖化対策内閣の重要施策でございまして、御指摘ありましたように、地球温暖化の推進に関する法律に基づいて、総理を本部長として内閣官房を事務局とする地球温暖化対策推進本部が設置されております。この推進本部におきましては、先生も御存じのところでございますが、昨年四月に、全府省の地球温暖化対策のための広範多岐にわたる施策、数えようによっては幾つもあるわけなんですが、それを取りまとめた京都議定書目標達成計画の案を作成し、閣議で同計画を決定されたところでございます。  それで、内閣官房におきましては、関係閣僚から成りますこの本部そのもの、それと関係府省等の局長クラスから成ります地球温暖化対策推進本部幹事会、さらに課長クラスから成ります地球温暖化対策関係省庁連絡会などを開催しておりますほか、問題別のワーキンググループというのをつくったり、アドホックな関係課長会議などというのを開催しております。今も関係課長と個別の問題で集まって、京都議定書目標達成計画の確実な推進のために関係府省が連携して取り組めるように努めております。  今後とも、地球温暖化対策推進のために政府一体となって取り組んでいけるようにリーダーシップを発揮していきたいと思っております。
  146. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  もう中川大臣は、すべて今まで議論してきたことはもう大臣御承知のとおりであります。このままでは駄目だよねと、一歩踏み込んでいかなければいけない、このことも御理解いただいていると思いますし、財源については、環境税その他いろいろ検討をしていかなければいけないんですけれども、今の議論で総合的にコメントをいただければ有り難いと思います。
  147. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 森林の果たす多面的な役割、それから環境、エネルギー、あるいはまた財としての木材の有効利用と、いろんな観点からやっぱり山は改めて大事だなと今質疑を聞きながら思ったところでございます。  特に今、CO2削減につきましては、京都で開かれた会議で日本が六%削減をしますということを約束しているわけでありますから、このままいけば、御指摘のとおり、プラス八ですから、今から約束守るということになるとマイナス一四にしなければいけない、至難の業だと思いますが、少なくとも我々のところは、三・九を達成ということは極めて重要な役割であろうというふうに思っております。  経済産業省の方も、前いた役所なものですから、産業分野は大変に削減の効果が上がっておりますけれども、民生、運輸の方は増えているという状況もあって、経済産業省も今大変な努力をしているというふうに聞いております。  そういうことで、これ国民一人一人がやっぱり、この国会の場だけで何とか省と何とか省と何とか省だけでやり合っているんじゃなくて、やっぱり国民一人一人がこの目標達成世界のトップランナーとして日本がお手本を示すんだということでやっていくことが必要だと思います。農林水産省挙げて、森林の三・九だけではなくて、農林水産のあらゆる分野でのCO2削減を改めてまた督励して、少しでも実現できるように頑張っていきたいというふうに思っております。
  148. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  今日議論をしてきたこのことが、ひとつ一歩前進、そういう気持ちになれば大変有り難いと思っております。  国産材の利用促進についてお伺いしますが、先ほど郡司委員から質問ございました。重複しない中での質問をさせていただきたいと思いますが、地球温暖化対策にしても森林の荒廃対策にしても、行き着くところはこの国産材の利用促進にあると、そうかねがね思っております。御承知のとおり、我が国は木材を大変多く使う大国である。そして、我が国の山には既に伐期を迎えた、金を掛けた、育てた立派な木がたくさんある。  しかし、考えてみますと、一方では八割を超える木材がどんどん輸入されてきている。今では世界一の輸入国に成長したと、私はそういうふうにかねがね言わせていただいているんですけれども、どうもこの両方を考えてみたときに七不思議の一つだなと思えてならないわけですけれども、どうも日本というのは自分の首を自分で絞めているような、そういう木材関係に思えてかねてならないんですけれども、この問題をいつも林野庁の方々にお伺いしますと、まあ返ってくるのがいつも、WTO関連があるとか違法伐採であるとか、こういう返答が返ってくるんですけれども、しかし、このことを考えると、今何か手を打たなければいけないんじゃありませんかと、何か知恵を出していかなければ解決しないんじゃありませんかと、そういうことを考えておりましてですね。  実は、今、岸先生が質問の中で知的財産という言葉がありましたけれども、先般、和牛の知的財産の話のときに、中川大臣、なかなか厳しいけれども何か知恵を出してみようよと、そういう話を聞かせていただきましたけれども、そして、今御答弁いただいたとおり、このことに一歩前進をしていただいた。大変有り難いことでして、できないよねということじゃなくて、この輸入材の問題について、本当に突っ込んで前進をしていただかなければいけないと、そのことを考えるわけでありまして、この輸入材を抑制する手法、知恵を考えてもらいたい。  私が申し上げたこのことについて、林野庁長官、どうお考えでしょうか。
  149. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 木材の需給は、今、委員が御指摘のとおり、国産材のシェアが最近に至るまで低下をして、八割が輸入ということになっておりました。  ただ、今日の午前中にもお答えをしたように、国産材のシェアがここに来まして上昇傾向にあるというのがございます。これは、非常に木材の価格が、ある意味ではこれは非常に厳しいわけですけれども、外材よりもむしろ安いという状況がありまして、大型のユーザーの中には国産材をより積極的に使おうという機運、それからまたそれを裏付ける技術、合板にしろ集成材にしろ、出てきております。いろんな外国との競争ということを考えますと、やはりその供給体制、ここの部分がこれまで非常に弱かったのかなということを痛感をするわけでございます。特に、山元での集約化といいますか、合理化あるいはコストダウンといったようなものもまだまだ余地があるんではないかというふうに思っております。  今せっかく国産材を見直そうという機運が出ております今日、その機運を正に本格的な動きにしていくということが今我々行政当局にも求められているというふうに思っております。今年から新生産システムといったようなものも開始をいたしまして、そして川上から川下まで一貫した形で安定供給を図っていくということを考えております。  十七年は二割を回復しましたけれども、十八年も今のところの見込みでは更に上昇するという見込みでもございますので、我々としても、また木材にかかわりのあられるいろんな方にも特段の御努力をいただいて、その流れを確実なものにしていきたいと、こういう決意でございます。
  150. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  国産材の輸出の問題について少しだけ質問をさせていただきます。  小泉総理は、輸入材で我々は困っているんですよということじゃなくて、いや、輸出を積極的に取り組もうよと、そういう大変心強い総理だと思っているんですけれども、この輸出について小泉総理はこう言っているんですね。宮崎県のヒノキや杉が何倍もの価格で中国や香港に売れている、どんどん注文が来ていると言うんですね。本当ですか、それ。林野庁にお伺いします。それから、日本で売れない木材が外国で売れる状況になっていると、このことも言われるんですね。このことも本当ですか。  私はよく分かるんですけど、かつて日本では、材料に使えない木は国内の製紙工場などのチップ材としてどんどん売れていたんですね。ところが、今は価格の問題も供給体制の問題もあるんでしょうけれど、もうほとんど言ってチップは輸入ですよ。国内のものは使っていないですよ。  それで、そういうお話を聞きますと、まあ心配でならないわけですけれども、やはり国内の足下から、基本的なことからしっかりまとめていかないとこのことはなかなか大変だねと思っておりますが、この輸出に対する今後の取組、そして可能性についてひとつ、(「政務官に」と呼ぶ者あり)まあ宮崎のことですから聞こうと思ったんですが、昨日、御出張で随分遅かったみたいでお疲れですので林野庁長官──小斉平政務官お願いいたします。
  151. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) 御指名でもないんですけれども、私の地元の宮崎のお話でありますので、若干お答えをさせていただきたいと思います。  総理の言われることでありますから、全面的に頭から否定するわけにはまいりませんが、しかしながら、私もこの話、予算委員会で取り上げられまして、その後宮崎に帰った折に、お話にありました宮崎の森林組合に参りました。こういう話を総理がされたと、あんたのところはもうかっておるなという話をいたしましたら、現実はとんとんであります。赤字は辛うじて出しておりませんけれども、とんとんというのが現実でありまして、一時期こういうことが瞬間的にあったという話でありまして、現実は、はっきり言って木材を使う文化が違うわけでありますので、そんなに簡単に中国に木材を輸出してもうかるというような話は、私は森林組合の方からも聞いておりません。  しかしながら、言われるとおり、民間の方々も巻き込んで、何とかならないかということで今、県の県森連を中心に、中国の方に一生懸命、年に数十回出掛けて、民間巻き込んで今やっておるというのが事実でございます。  あとは長官の方から、ほかの部分については長官の方から御答弁をいただきたいと思います。
  152. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 宮崎の事情には、今、政務官の方からお答えをしたわけでございますが、木材の需給を考えますと、今後非常に、例えば中国でありますとか韓国、台湾、こういうところは需要が伸びるということが予想されます。そしてまた、木材の、今まで丸太の輸出が多かったわけでございますけれども、例えば中国は、マンション等はスケルトン方式で内装等は個人の趣味でできるというような状況で、個人がその木材の良さを、例えば日本材の良さを認識できるまで普及ができればかなり使ってもらえるんではないかということもまた関係者からも聞いております。  そこまで行くにはなかなか険しい道だとは思いますけれども、やはり付加価値の高いものを、むしろ安いものではなくて付加価値の高いものをより戦略的に売っていくということが、全体としての日本材の評価にもつながりますし、また活力の増強にもつながるんではないかということで、この努力は我々としてもしっかり続けていきたいというふうに思っております。
  153. 加治屋義人

    加治屋義人君 時間来ましたので、終わります。  ありがとうございました。
  154. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  今日は、最初にカネミ油症患者の救済問題についてお伺いさせていただこうと思います。  カネミ油症、昭和四十三年に食中毒患者一万四千三百二十人、今認定されている患者千八百九十二名おられる、そういう病気でございます。元々PCBという、ポリ塩化ビフェニールによって患者発生したと。最近ではPCDFだということで、ポリ塩化ジベンゾフランということでダイオキシンの一種だということが国会でも厚生大臣によって認定されておるということでございます。ダイオキシンいうことになりますと、最近ではウクライナのユシチェンコさんが農薬由来のダイオキシン、これを食することによって大変な被害になったと。これは環境省からも現地へ調査へ行っておられるところでございます。  国際的に見ると、このカネミ油症というのは大変対応策が後れているんだということで注目されていまして、一九九九年に、毎年ある環境ホルモン国際シンポジウムにおきましても、ユショウディジーズ、ミナマタディジーズという言葉も出ますけれど、大変な、セベソで開かれたんですけれど、セベソでダイオキシンが化学工場が爆破されたときに飛び散った被害の対応策よりも後れているということが多くの学者また患者の訴えによって認定されたという経験をしたことがございます。  そういう意味では国際的にも後れているという中で、国内ではどういう対応、対策できておるかということをやはりきちっと位置付けした上での対応を、日本、昭和四十三年代、大変な公害を受けまして、四大公害ということで水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく、こういう病気に対しての対応策、公健法も作って公害国会から以来大変多くの救済策をやってきたわけでございますが、日本国内でカネミ油症に対しては健康被害対策という意味ではどういう取組をしてきたかということを最初に厚生労働省からお伺いしておきたいと思います。
  155. 松本義幸

    政府参考人松本義幸君) カネミ油症の患者さんにつきましては、今なお大変苦しんでいらっしゃるということについて大変お気の毒だと思っております。  カネミ油症事件につきましては、今、議員御指摘のように、昭和四十三年、北九州にあります株式会社カネミ倉庫が製造いたしました米ぬか油でもって、その中に入りましたPCBが原因として西日本一帯で多くの患者さんが出たわけでございますが、この場合、原因企業が明らかということでありまして、また裁判も起こされましたが、過去の裁判におきましては厚生労働省の責任は否定されたところであります。  そのカネミ油症の患者さん方につきましては、原因者でありますカネミ倉庫が患者さんの治療費、入院費等を負担しておりますほか、そのカネクロールというものを製造いたしました鐘淵化学が一時金を裁判で和解して払っております。  一方、国といたしまして、厚生労働省といたしましては、昭和四十三年の事件発生当初より、一般行政上の措置といたしまして、九州大学を中心とする油症研究班に対しまして研究費の補助を行ってきております。これまで二十四億七千万ほど、これは累積でありますけれども、払っております。ちなみに、昨年度、平成十七年度には約一億四千万の研究費補助を出しております。  この油症研究班におきましては、油症診断基準の策定及びその見直し、治療方法の開発等、油症の診断、治療等に関する研究ですとか、カネミ油症と認定された方への無料の検診や追跡調査、また、健康不安に悩む患者さんの健康管理や相談に応ずるための油症相談員の設置等を行っております。  これらの結果につきましては、「油症の検診と治療の手引き」という冊子を作って配布しておりますし、また、厚生労働省のホームページで公開しておりまして、実際、一線でいろんな治療に当たっていらっしゃる先生方にも御活用いただくようにしております。  今後とも、厚生労働省といたしましては、関係都府県との連携を図りますとともに、油症研究班の先生方とも相談しながら、なかなかいい治療法がないということもございまして、漢方薬を活用した臨床試験など、いまだ確立していない治療研究、臨床試験研究などを、いまだ確立していない治療方法の研究等に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。  先ほどの「油症の検診と治療の手引き」でありますけれども、これは厚生労働省のホームページでなくて、油症研究班のホームページで公開して活用いただいておるというところでございます。
  156. 福本潤一

    ○福本潤一君 油症研究班の研究成果、様々上がっているということも承知しております。  ただ、今まで救済のために対応されたのが延べで二十四億七千万円ということでございまして、大変多くの方々をこういう形の救済策をやっておられた現状というのは承知しておりますけれど、私も予算委員会、また国土環境委員会質問したときに、四日市ぜんそく、公健法に基づいて対応、対策した、五百十五人認定患者おられるわけでございますが、この総額、延べ幾らになるのかと言って質問したときに、もう一兆円を超えているという対応、対策をされておるわけでございます。水俣病のときは、認定するときにかなり難しい問題がございましたけれど、救済策、一時金も一千八百万円、また、毎月の月額手当もかなりの金額、十七万円近くの金額で対応できている。二千二百六十五人でございますけれど、こういう四大公害病と言われるものに比べてカネミ油症は、被害者も直接お会いしたりいたしますけれど、なかなか、もう旅費も含めて、病院へ行く手当も含めてほとんど、もうある意味ではないに等しいという現状があるようでございます。  そういう現状の上に、なおかつこのカネミ油症の問題がもう一個深刻なのは、農水省が裁判の和解金と払った仮払金、これが大変な現状を生んでいる。三十二億ですか、数億、仮払金で途中でしていたのが最終的に和解になって、もう和解になったら払わないで済むと思っていたところ、農水省から返還を要求する現状が裁判の進行上生まれてきたという。負担を被害者本人だけではなくて子供さんに、また子孫にまでその借金返還の要望が行っていると。私も、被害者救済本部の責任者の矢野御夫妻とお会いしてても、もうほとんど外見はユシチェンコ並み、内臓等も含めて手術の傷だらけというような現状の中で、東京にも訴えて来たりされておるわけでございます。  そういう中で、やはり農水省、この仮払い問題についての訴えもかなりの方がやって、私も、政務官のときも含めて、いろいろ陳情していたのがなかなか動き出さないということがございました。  ただ、四月十二日、与党の方でこの仮払金を放棄すると、まあある意味では裁判の結果を変更するような動きで、なかなか動き出せなかった官庁が動き出すきっかけになるかなというような動きが与党協議会で自民党と公明党が主張して始まったと。これ中川政調会長、自民党の政調会長でございますが、あっ、同名でございましたが、政調会長の方の中川さんの方からこれはきちっとやりたい、また自民と公明のこの議員の会のメンバーもやりたいという形で動き出しました。  四月十四日に、これは夕刊でございますが、中川農水相も早期に決着をということを言っておられると。今まで長年取り組んだ方々にとってはこれは新しい動きだなと大変、官僚ではないです、政治家としての中川農水相の面目躍如のような発言をされておりますので、この真意と、どういう方針でやっていかれるか、これをお伺いしておきたいと思います。
  157. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) このカネミ油症事件につきましては、私も小さいころ新聞、テレビで何となく知っておりましたけれども、先日の参議院の予算委員会でのやり取りを聞いておりまして、大変気の毒だなというふうにまず一人の人間としてつくづく思ったところでございます。何十年にもわたって、裁判そのものは決着したわけでございますけれども、患者さんあるいはその周辺の皆様にはまだまだやるべきこと、やってもらいたいことが幾つかあるのではないかというふうに思っていたわけでございます。  そういう中で、農林水産省は、今、福本委員指摘のように、仮払金を返還をしてもらおうと、これは債権管理法という法律に基づいてそういう手続に法律上はしなければならないわけでございますが、しかし、この法律の範囲内で、返還が困難な患者の皆様方には履行延期を行いながら法にのっとった事務を進めてきているところでございます。また、こういう返還が困難な皆様方のことを考えますと、あくまでも法律の範囲内ということでございますけれども、債権免除の適用を含めまして何とかこれはやっぱり早期に決着をしたいという素朴な気持ちが私自身にもありますし、この免除も含めて何らかの対策農林水産省としては取っていくべく今知恵を絞っているところでございます。  与党二党の案につきましては、もちろん国会の中での慎重な御議論でございますので、我々も承知をしておりますが、立場上コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  158. 福本潤一

    ○福本潤一君 一つの事態に対しての農水大臣としての最大限の一つのコメントをいただきましたけれど、今言われたのは、債権管理法において三十二条で債務者が履行延長後十年を経過した後においてもなお無資力かつ弁済の見込みがないと認められる場合は債権を免除できるという規定に基づいての救済なのかどうかというのもやはりお伺いしておきたいと思うんです。  というのは、私も現地、五島列島やなんかの患者さんのところへ調査に入ったことございますけど、その入ったときにも、五島列島というのは元々オリーブオイルとか食品用のオイルをたくさん特産品として使っていたところに昭和四十一年辺りにこのカネミ油が入ってきたと。そのオリーブオイルが使えないような方々がより安いのを求めてこのカネミ油を使って、食品の油に使ったということで、貧しい方がやはり多いようでございます。  今、広島も含めて、西日本、中国、四国、九州、広がっておりますけれど、そういう意味では弁済は非常に厳しいと。子供さんもコーラ病というような形で、出産した方の中には黒い赤ちゃんが生まれたり、子孫にまで影響現実に生まれております。  そういう意味では、債権管理法において救済される人というのはもう現行法で対応できる話でございますので、この現行法での対応を考えるというだけの話なのか、ほかの、厚生労働省からもありましたけれど、大変な現状の中でほとんど国からの救済策はないに等しいような、近い状況で仮払問題が上乗せしてきているという状況でございますので、この点については確認とまた御意見もお伺いしておきたいと思います。
  159. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 担当局がいないので正確な答弁になるかどうか分かりませんが、とにかく我々としては、現行法というものの中でということが大前提になりますけれども、他方、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く対応していかなければならない、そして履行延期、債権免除という規定もあるわけでございますから、そういうものをできるだけ私としては前向きに考えて、あくまでも法の適用の範囲内でございますけれども、その中でもやっぱり知恵を絞って、法の中で許される、できる限り早くこの問題を決着したいということでございまして、まして冒頭申し上げましたように、一人の人間としては一刻も早くこの問題から被害者あるいは被害者の御家族の皆さん方を解放していただきたいなというふうに思っておりますので、現段階ではこれはもう法律の範囲内で、しかし、あらゆる知恵を絞ってできるだけ早く決着をさせたいということで今考えているところでございます。
  160. 福本潤一

    ○福本潤一君 やはりこういう公害問題、割と原因究明、責任はどこにあるのかという究明の方も国会で質疑中心になっていったりするんですけれど、やはり被害者救済という形でいうと、大変遅れておる現状がこのカネミ油症に典型的に表れているという現状がございます。一方のアスベストや何かは、クボタが一人一人原因が特定されなくても三千万きちっと私企業ながら対応するということを発表しておりますけれど、やはり被害者救済というところに観点絞って政治家中川農水大臣は対応していただければと、新たな分野に向けて与党が動き出した段階でまた協力もしていただければというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。  引き続いて、次の質問に移りたいと思いますけれど、もう先ほどから様々、BSEの問題、また地球温暖化の問題出ておりますけれど、私の方は、今日はトリになるということで初の経験でございますが、重ならないように質問したいとは思います、早めに終わりたいと思いますんで。  最初、BSEの問題についても私の方から伺っておきたいと思います。  一番目に、米国のリスク管理制度についてお伺いしたいんですけれど、これ、アメリカは検疫や飼料規制とかBSE検査の体制、これが日本やEUに比べて基準が緩やかであるという現状がございます。日本としては、これ、輸入する国にとって安全を期していただく、そういうきちっとした製品を輸入したいわけでございますので、リスクを軽減するという意味では、米国側の基準、これを日本とEU並みに厳しくするように求めるというのも一つの対応策、対応だと思いますので、こういう御意見も多くの方が言っておられますけれど、農水省としてはどういうふうにお考えか、この点についてお伺いします。
  161. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 米国産牛肉の輸入に際しましては、これは日本で現に流通しております牛肉のリスクと同等のものを確保していくというのは、これはもう基本考え方でございまして、この点については終始一貫して私どもはアメリカに要求をしてまいりましたし、また、先生今おっしゃいますように、BSEの検査ですとかあるいは飼料規制、現に今アメリカで行われているのは日本やEUに比べますと確かに緩やかなわけでありますけれども、そのことを前提にして、食品安全委員会でのリスク評価結果におきましては、輸出プログラム、日本向けの輸出プログラムが遵守されれば、米国産の牛肉と日本産の牛肉、現に輸入をされる、そういうものでありますけれども、その点についてはリスクの差は非常に小さいということにされたわけでございます。  ただ一方で、食品安全委員会の報告書の附帯事項としまして、米国のサーベイランスの継続あるいは飼料規制の強化が必要だと、大事だという点は指摘をされておりまして、この点については輸入再開に当たってもアメリカ側に十分な配慮を要請したところでございまして、特に飼料規制につきましては、BSEの蔓延防止あるいは根絶に向けて大変大事な手段でございますので、先日、十三日でございますが、中川農林水産大臣から直接アメリカの農務長官に対しまして改めてその強化を要請したところでございます。
  162. 福本潤一

    ○福本潤一君 同時に、今年五月、OIE総会がございますけれど、そこでOIEコードの検討が行われる予定だということでございます。  日本は現在まで全頭検査をやっておりますけれど、これ国際的な動きございますので、この基準を緩和するように圧力が強まる可能性もあるように考えられます。こういう問題、食の安全とともに人の生命保護という重要な問題でございますので万全を期す必要があると思いますが、このOIE総会で、農水省、どういうふうに取り組んでいかれるか、お答えをお願いします。
  163. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今年の五月に開催をされますOIEの総会におきましては、BSEのコードの改正案というものが議論されることになっております。既に昨年の十一月にこの改正案が各国、各加盟国に示されておりますけれども、その中身といたしましては、骨なし牛肉については、現行は三十か月齢以下という条件が付いている、これが今外れているわけでありまして、このOIEの事務局案に対しましては、我が国としましても、専門家の方々あるいは消費者の方々の意見も踏まえまして、今の改正案は受け入れ難いということで、既に二月の十七日でありますが、OIEに対してこれのコメントを提出をいたしております。  この点は、日本だけではなくてEUも同じような意見でありますので、ここは連携を取って日本の主張が通るように五月の総会に向けて更に努力をしていきたいというふうに思っております。
  164. 福本潤一

    ○福本潤一君 この点、国民の安全を含めてきちっとした対応をお願いしたいと思います。  と同時に、牛肉の原産地表示ということを考えたときに、国内はトレーサビリティー、きちっと対応できるようでございますが、きちっとした原産地表示という意味では、消費者から、輸入品についてもきちっとできれば、どういう原産地なのかということが分かれば目安にはなると思いますし、同時に、厚労省と農水省に、食品の表示に関する共同会議というのが行われているというふうに伺っておりますので、この中での原産地表示についての検討はどうなっているか、お伺いしておきたいと思います。
  165. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 食品の表示、これは消費者食品をお買いになる際の判断基準として一番大事な点でございますから、分かりやすく正確な表示が行われるということはまずもって大事な点だというふうに思います。  既に生鮮につきましてはすべて原産地表示がJASの品質表示基準で義務付けをされておりますけれども、これに加えまして、外国で製造されました加工食品につきましても製造国名を表示するというところまではすべてカバーされているわけでございます。  国内で製造されました加工食品の原料の原産地をどうするかという点につきまして、平成十三年から少しずつその原産地表示の拡大を図ってまいりましたが、十六年の九月に、これまでの個別具体的な判断ということではなくて、横断的に一つのルールの下にやっていこうということで、今、先生もおっしゃいましたが、表示に関する共同会議の下で議論をいただきまして、原料の品質が製品の品質に大きな影響を与えるものということで、生鮮食品に近いそういった二十品目群については加工食品の原料原産地も表示をするようにということでルールを決めていただきまして、今年の十月からこれらの二十品目群につきましては原料の原産地の表示が義務化をされることになっておりまして、この中には、牛肉の中でも味付けの例えばカルビですとか合いびきの牛肉といったような、そういった加工品もその原料原産地表示の対象になることになってございます。  更にこれを拡大すべきだという御意見もございます。ただ、加工食品全般に広げます場合には、いろいろとそれをさかのぼっていく過程で問題もございますので、もう少し消費者の方、それから食品事業者の方々などの御意見も伺って、更にこの共同会議の中で議論をしていきたいというふうに思っております。
  166. 福本潤一

    ○福本潤一君 引き続き三番目に、バイオマス・ニッポンの戦略について質問したいと思います。  先ほどから、加治屋委員の方からも地球温暖化の対策、また森林の保全、いろいろ御意見ございました。地球温暖化対策にとってもバイオマス・ニッポン戦略というのは非常に大きな意味を持ってくるというふうに思っております。  三月三十一日にバイオマス・ニッポン戦略、これを見直しというのを閣議決定したという報告を受けております。バイオマス・ニッポン、我々、全国で五百か所もすると、エコタウン構想とは違ってバイオマスタウン構想は非常に大きなインパクトがあるのではないかというような期待も持っておるところでございますので、農村の家畜ふん尿とか林地残材、こういう資源を活用した地域の活性化、これを、特に今回の見直しによって農水省としてどういう点を強調したいのか、どういう変化があるのかということをお伺いしておきたいと思います。
  167. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回、バイオマス・ニッポンは、今までですと大きな柱としてはなかったエネルギー戦略という観点からバイオマスというものを考えていこうということでございます。日本は元々化石燃料がほとんどない、しかも輸入元が極めて限られているということはいろんな意味で問題があるわけでございます。環境面でも、バイオマスはCO2の固定という観点からも非常にクリーンなエネルギーだということでございます。  そういうエネルギーの観点からは大きく分けて二つということで、一つは、木質系のバイオマスエネルギーから熱や電気を取っていくと、それからもう一つは、バイオマスエネルギーを作るための資源作物というものの今実験、あるいは一部限定的に実用化しておりますけれども、こういうものの研究をやって、数年後にはガソリン換算で三分の一ぐらいまでエタノールを製造していこうと。  ただ、これ、ブラジルのように、サトウキビからエタノールを作って、しかもそれが極端に言えば全部ガソリンから一〇〇%エタノールまで自由に車の方も対応できると、石油価格との関係で、そして世界じゅうに輸出をしていくといったものとは大分違うわけでありまして、ある意味では、今、福本委員ちょっとおっしゃられましたけれども地域分散型のエネルギーの位置付けということも一つの選択肢になっていくのかなと。  例えば沖縄の現在の宮古島、伊江島のサトウキビ、これは島内の公用車に使われているというふうに聞いておりますし、私のところもサトウキビあるいは小麦の規格外で研究をやっておりますが、これもE3、E5、今後どうなるか分かりませんけれども、ガソリンに混ぜて地域型のクリーンエネルギーとしての位置付けということになっていくのかどうか、これも今後の研究次第でございますけれども、いずれにいたしましても、日本の中でエネルギーがこれから少しずつ少しずつ確保されていく、これがクリーンであって、そして農業、林業等のある意味では一つの方向性にもなっていくというふうに考えておりますので、これを大いに進めていきたいと考えております。
  168. 福本潤一

    ○福本潤一君 このバイオマスエネルギーと、主力を注いでいくような方向性というのは私も大変賛成でございまして、是非ともこれ持っていくことによって日本の中でのエネルギー政策にまで大きなインパクトを与える形でバイオマス・ニッポンを対応していただければと思います。  バイオマスという中でも、特にサトウキビとか稲といったものを使ってバイオマスエタノール、バイオエタノールというのが注目しておられます。これは、先ほど言われたように、CO2の排出削減目標ということを具体的にクリアできるためにも有効な方法でございますし、単なるエネルギー政策というだけではなくて、荒廃農地、また遊休農地含めて農業資源の活用という意味でも国内の生産体制を整備する必要があるということでございますし、農水省としても、こういうバイオエタノールに対する支援体制、これを具体的にどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  169. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 国産バイオマスを活用したバイオエタノールの利用促進につきましては、関係四府省が連携いたしまして、現在全国六か所で、今お話ありましたように、サトウキビであるとかあるいは規格外小麦などの各地域の特色ある原料を活用しながら国産バイオマスのエタノールを生産し、ガソリンと混合して利用する実証試験を実施しているところでございます。  今後の具体的な施策という意味におきましては、やはり今回策定されました新たなバイオマス・ニッポン総合戦略に沿いまして、バイオマス由来の輸送用燃料の導入を促進するために、まず利用設備の導入に関する支援を行いたいというふうに考えています。また、さらに、諸外国の導入を参考としながら、多様な支援手法を検討することとしているところでございます。  特に、国産バイオマスを活用した輸送用燃料の利用を促進するためには、関係府省の連携によりまして現在やっております、全国六か所で実施しています実証試験、これを更に推進していきまして、具体的に地域で活用できるような利用実例にきちっとやっていくと、この辺が重要ではないかというふうに考えております。  また、さらに、原料農作物の安価な調達手法の導入に関する取組、さらには、これ試験研究にもかかわることでございますが、例えば木質系バイオマスを活用したエタノールの生産、このような低コストで高能率な生産技術の開発等を進めることによりまして、バイオエタノールの利用のための支援をやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  170. 福本潤一

    ○福本潤一君 今、木質系バイオマスというふうにお話ございました。  森林保全と同時に、この木質系のバイオマスというのは非常に大きなこれからのインパクトを与える状況が生まれるんじゃないかというふうに思います。というのは、中川農水大臣もE20とかE25、E3とかいうお話ししておられましたけれども、最近ブラジルが石油は自給一〇〇%になったんです。昨年、ルーラ大統領来られたときも、近ごろ来られたフルラン商工大臣、現地、私二〇〇三年に行って、バイオエタノールの先進地のブラジル全部見てきましたけれど、見てきたときに一番感じたのは、市販でガソリンって売っているところはもうE25と、二五%木質アルコール、エタノール入りのものがガソリンとして売られていると。これは一〇〇%ガソリンというのはもう既に市販されていないわけですね。日本ではもうどこへ行っても一〇〇%のガソリンですけれど、あちらはガソリンというと二五%入りのガソリン。それで、バイオエタノールが入っているものがあとどれだけ追加できるかというような形で現実にやっておるわけです。  ですから、そういう二五%は、オイルショックが世界的だったとき以来ずうっと積み重ねて七五%のガソリンで賄えたということによって、その二五%、もちろん地元でバイオマスとしてやった結果が今石油としては一〇〇%国内で自給できるような状況を生んでいると。ですから、むしろ日本に輸出して、買ってほしいという言い方をしてきておられるわけです。  そういう現状を見ますと、日本も揮発油税等の法律が改正になったときに三%まで入れていいよという、ちょっと腰が引けた形で進められましたけれど、三%入れていいよということはゼロ%でもいいよ、また三%でもいいよという形で許可なだけで、ブラジルとか、あの石油が一杯出るアメリカですらE10という、一〇%入っているものがもう義務で販売されていると。  そういう意味では、石油行政、エネルギー行政、経産省も含めて本格的に考えていくと。日本の将来としては、そういう資源の乏しい国としては木質バイオマス含めて、せめてE3ぐらいはもう義務化ででもできるぐらいの状況にしていく必要が現実に生まれていると。それを許可でいいですよ、入れてもいいですよというぐらいの形で進んでいると世界的に見てもエネルギー戦略非常に後れているんじゃないかというそしりを免れないんではないかと。  と同時に、ブラジルなんか輸出してくれと言ってきておりますけれど、輸出する方をむしろ、買うんじゃなくて、というのは、三%義務でも百八十万キロリットルなんです。全部で日本は六千万キロリットルですから、ちょうど三%が百八十万キロリットルですよね。ブラジルで生産しているのがやっと百八十万キロリットルぐらいなんです。だから、全部輸入しても日本の三%にやっと来るぐらいで、ブラジルが言っているのは、むしろODA的に開発していただいて、土地が一杯あるから、開発していただいたのを輸出してくれということですので、そういうことよりもむしろ開発することは、むしろ輸入することよりもCDMの、京都議定書のCDMに当たる開発によってCO2削減の一部を担当したというような形にできるような形で使って、地球の裏側からわざわざ輸入するよりも、国内でいろいろな遊休地、荒廃地も含めて、また森林資源も含めてバイオマスエネルギーを本格的に取り組んでいっていただきたいなと。  そういう思いがありますので、農水省、これはエネルギー政策は経産省が中心にやっていくものだと言いながら、このバイオマス・ニッポン戦略の中心地でございますし、さらにこういうサトウキビのみならず菜の花のようなプロジェクトでもアルコールはできます。さらに稲、さらに森林資源、こういうことも含めて、森林は何度も使ったり植えたり、使ったり植えたりできるほどCO2削減効果は出てくるわけでございますので、是非ともこの点も検討していただければと。農水省の新たな荒廃農地の救済のためにも含めて検討していただければというふうに、中川大臣がちょうどおられるときですので、あえて時間をいただいてお話しさせていただきました。対応よろしくお願いいたします。  次に、もう余りなくなりましたんで、一問だけ、じゃ、お話聞かしておいていただきますと、鳥インフルエンザに入るより今の政策に関して、投げていませんでしたけど、一言でも二言でも、一分、二分ありますので、中川農水大臣にせっかくですから、鳥インフルエンザに入らずにこっち側で終わりたいと思います。
  171. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も五、六年前、ブラジルのサトウキビエタノールの話を聞きまして、先ほど申し上げたように、日本のエネルギーのポートフォリオは非常に脆弱であり、しかも有限な化石燃料中心であるということで、ブラジルのみならずアメリカのトウモロコシとかあるいはドイツの菜種でありますとか、またカナダやオーストラリアでもそういうものでエタノール、あるいはメタノールでも何でもいいんでしょうけれども、そういう植物由来のクリーンな再生エネルギーの研究、また実用化に大変積極的だと。日本こそがトップランナーであるべきなのにというふうに思っていたところでございます。  先ほど申し上げましたが、伊江島あるいは宮古島、そしてまた私の地元でもいよいよ新しい装置が四月からスタートをいたしまして、農作物は大変豊富でございますので、そういうものを生かして、今試験研究をし、数年後にはやはり限定的な実用化まで持っていきたいと。自動車の方も、今ブラジルで一〇〇%エタノールというお話がありましたが、日本車もブラジルに、一〇〇%エタノール対応の自動車がもう今年じゅうにはブラジルで発売されるという話も聞いているところでございます。このエタノールというのは、あくまでもガソリンの値段が暴騰したときにという、価格の比較というものが一つ要素としてあるわけでございます。  それから、今、福本委員も御指摘になりましたように、どうしてもコスト的に何らかの支援策、これはアメリカでもやっているようでありますから、当然日本でもそういう、いいメリットが一杯あるとするならば、それを進めていくためにはやはりいろんな支援策を今後考えていかなければいけないのかなと。でも、やっていかなければいけないんだと私は思っておりますので、省内あるいは政府、督励をしながら、また福本委員始め当委員会の皆様方の御指導をお願いを申し上げます。
  172. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  173. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 理事の辞任についてお諮りいたします。  小川敏夫君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 岩城光英

    委員長岩城光英君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に和田ひろ子さんを指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会