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2006-06-12 第164回国会 参議院 行政監視委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月十二日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      大江 康弘君     渡辺 秀央君      主濱  了君     大塚 耕平君      若林 秀樹君     小川 勝也君  六月九日     辞任         補欠選任      足立 信也君     広田  一君      芝  博一君     蓮   舫君      吉川 春子君     仁比 聡平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 中原  爽君                 福島啓史郎君                 岩本  司君                 浮島とも子君                 風間  昶君     委 員                 加治屋義人君                 狩野  安君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 小川 勝也君                 大塚 耕平君                 岡崎トミ子君                 田名部匡省君                 広田  一君                 松岡  徹君                 蓮   舫君                 渡辺 秀央君                 福本 潤一君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        国務大臣        (内閣府特命担        当大臣金融)        )        与謝野 馨君    副大臣        外務大臣    金田 勝年君        厚生労働副大臣  赤松 正雄君        環境大臣    江田 康幸君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        西澤 利夫君    政府参考人        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        総務省自治行政        局選挙部長    久保 信保君        法務省刑事局長  大林  宏君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        財務大臣官房審        議官       青山 幸恭君        文部科学省高等        教育局長     石川  明君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  桑島 靖夫君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        厚生労働省政策        統括官      太田 俊明君        林野庁長官    川村秀三郎君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     押田  努君        環境省総合環境        政策局長     田村 義雄君        環境省水大気        環境局長     竹本 和彦君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君        預金保険機構理        事長       永田 俊一君        日本郵政株式会        社代表取締役社        長        西川 善文君        日本郵政株式会        社執行役員    白川  均君        日本郵政株式会        社執行役員    高橋  亨君        日本郵政株式会        社執行役員    白金 郁夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政活動状況に関する件)     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日までに、主濱了君、若林秀樹君、大江康弘君、吉川春子君、芝博一君及び足立信也君が委員辞任され、その補欠として大塚耕平君、小川勝也君、渡辺秀央君、仁比聡平君、蓮舫君及び広田一君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、金融庁監督局長佐藤隆文君外十七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、日本郵政公社総裁生田正治君外五名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、行政活動状況に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 中原爽

    中原爽君 自由民主党の中原でございます。  まず、環境省関係質疑をお願いしようかと思います。  去る五月二十九日開催いたしました本委員会で、総務省からいろいろ各行政部門に対しまして御指摘がございました。こういうふうに書いてございます。特に大気汚染につきましての指摘でございますが、本評価は、自動車から排出される窒素酸化物及び浮遊粒子物質汚染状況が著しい地域に対し、各種施策を総合的に推進することにより、大気環境保全、確保を図ることを目的とする云々と、こうなっておりまして、幾つか項目を挙げておられます。それについて関係の四省庁に御指摘をされたと、こういうことでございます。  最初のものは、長期間にわたり大気汚染基準達成されていない地域での有効な汚染対策検討されていない、これを検討をし直せと、こういうことが一つ。二番目に、排気ガス基準に適合しない自動車対策地域外から流入するということの対策について検討をしろと。大まかに申し上げるとこの二つを四省庁指摘をしたと、こういうことになっておりまして、これを受けて二十九日には環境省からコメントがございまして、したがって総務省からの御指摘の内容と環境省のお答えというのは必ずしも一致していない部分があるように見受けられます。  環境省からの回答は、この窒素酸化物とそれから微粒子の、粒子規制につきます特別措置法自動車NOxPM法、これの対策地域沿道大気基準達成率というのが、二酸化窒素については平成十四年が六九%だったけれども平成十六年は八一%に改善されたと。それから、粒子物質についても平成十四年は二五%であって十六年には九六%に改善されたと、こういうふうに報告書に書かれておるわけですが、この点について、この数値の出どころをお尋ねしようと思っておったわけですが、数値は出ているというような御指摘もありましたけれども、実は粒子状物質平成十四年が二五%になっているんですが、これは実際は二五%ではない、三四・三%ではないのかと思いまして、したがって、この八一だとか九六だとか、こういう数字はどこから出てきたのかということをもう一度確認をさせていただこうということが一つでございます。  それからもう一つの質問は、これは総務省の資料に書かれておるんですが、自動車を三十台以上使用する運送業者に対しまして自動車使用管理計画を作成してこれを提出するという、義務化しているわけでありますけれども、この自動車使用者運送業者も含めて、特に貨物自動車運送業者の三割がこの計画を出していない、提出をしていないということが書かれてありまして、これは罰則を伴う規定というか、義務化でございますので、この辺り改善をしろという総務省の御指摘でありますけれども、実態は今どうなっているのかということと、この自動車運送事業者以外にいろいろな、三十台以上持っていればこの規則に該当するということがありますので、こういったところの状況について、まず簡略に御説明いただきたいと思います。今、二点でございます。
  9. 竹本和彦

    政府参考人竹本和彦君) ただいまお尋ねのまず第一の点でございますが、大気汚染状況全国監視、常時監視というのを地方公共団体都道府県中心にやってきておりまして、その総合的取りまとめを毎年環境省の方で取りまとめをしているところでございます。この常時監視は大きく二つ種類測定局分類をしておりまして、道路沿道自動車影響を受ける道路沿道については自動車排出ガス測定局というのを設けておりまして、それ以外の住居等一般大気観測をする一般環境大気観測局、この大きく二種類に分かれております。  また、先生指摘のとおり、首都圏など三大都市を対象としまして特別の自動車排出ガス対策を行っております。自動車NOxPM法というのがございまして、これの対象となる対策地域、これらに焦点を当てまして集計に当たりまして整理をさせていただいたところでございます。先般環境大臣の方からこの委員会の方に御説明を申し上げたのは、この全国調査に基づくものでございまして、平成十六年度の常時監視測定結果に基づくものでありまして、自動車NOxPM法対策地域で、かつ自動車沿道自動車排ガス測定局に限って二酸化窒素浮遊粒子状物質達成状況につきまして御報告をいたしました。  具体的には、NO2につきましてはこの分類の中で二百十七局ございまして、そのうち百七十六局が環境基準達成をしておるということで、平成十六年度につきましては八一%の達成、また浮遊粒子状物質につきましては対象が二百六局のうち百九十八局が環境基準達成でございまして、そういうことから達成率九六と御報告申し上げたところでございます。  続きまして、自動車使用管理計画対応状況でございます。  自動車NOxPM法に基づきまして、御指摘のとおり、対策地域内におきまして三十台以上の自動車を使用する事業者に対しまして、事業活動に伴う窒素酸化物などの排出抑制のための計画策定提出を義務付けておるところでございます。  平成十五年度末の状況でございますが、この法律の対象となる八都府県におきまして約七千五百事業所提出を見ているところでございます。この提出を受けます都府県等におきましては、制度目的に従いまして事業者による自主的な取組を促すとともに、技術的な指導など実施をしておるところでございます。  以上でございます。
  10. 中原爽

    中原爽君 御説明いただきました点で、先ほど申し上げましたけれども、浮遊粒子状物質平成十四年度、二五%というふうに記載されておりましたけれども、実際は三四・三%じゃないかということをお尋ねいたしました。後ほどで結構ですから、一応、環境省として提出された文書で数値的なことでもし誤りがあるといけませんので、御確認をお願いしたいと思います。  あと二つほど簡単にお尋ねしようと思いますけれども、総務省の指示の中で、大気中の化学反応による二酸化窒素生成過程など大気汚染発生メカニズム解明に努めるということが必要だと、こう書いてございまして、恐らく、各自動車に設置するような窒素化合物の除去の問題ではなくて、大気汚染発生にかかわる二酸化窒素メカニズム、これを解明しろと、こういうふうに書いてありますので、恐らく大学等研究施設研究しろというようなことかと思いますけれども、これ実際にどういう形に今なっているのか、概略説明いただきたいと思います。いかがでしょう。
  11. 竹本和彦

    政府参考人竹本和彦君) ただいま御指摘をいただきました大気汚染発生メカニズム、とりわけ二酸化窒素生成プロセスメカニズムにつきまして、大変重要な課題ということで、私どもかねがね各種の知見の集約に努めてきたところでございます。  道路沿道におきます二酸化窒素生成プロセスというのは大変複雑でございまして、その幾つかのエレメント、自動車から直接排出されるもの、また大気中におきまして一酸化窒素とオゾンの反応により生成をされるもの、さらには光化学反応により生成され一酸化窒素酸化をされて二酸化窒素になると、こういうような動態がございまして、これらについては既に一般的な見解ということで解明されておるところでございます。  しかしながら、一方で、自動車等から直接排出される窒素酸化物のうち、走行状態に応じました二酸化窒素排出量の変動、また大気汚染物質反応速度、これらの点につきましてまだまだ研究を進める部分があるというように考えておりまして、実は、大学研究者も含めまして、この大気汚染メカニズムにつきましては、独立行政法人国立環境研究所というのがつくばにございまして、こういった研究機関中心にこのようなメカニズム解明に努めておるところでございまして、環境省としましても、こういった研究がなお一層進むように、生成メカニズムの更なる解明に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  12. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  あと一点、現在、幹線道路あるいは高速道路バイパス等でETCであるとかいろいろな道路交通通信システムが取り入れられているわけでありますし、先般は民間によります駐車違反取締りと、こういったことも系統的に整備されるようになりました。  しかし、この大気環境保全をするということについては、こういう道路状況整備と併せて、もちろん自動車そのもの整備を、整備というか排気ガス等規制を行うという両方の対策を併せて総合的に考えるということが必要だと思います。  これは環境省だけの問題ではございませんけれども、概略、総合的に今後どういうふうに考えたらいいか、概略だけで結構ですから、御説明をお願いいたします。
  13. 竹本和彦

    政府参考人竹本和彦君) ただいま委員指摘のとおり、大気環境保全のためには、個々の自動車からの汚染を低減させます自動車単体対策と、そして道路におきます交通流でありますとか交通量対策、これらを総合的に組み合わせて実施することは大変重要であると私ども認識をしております。  自動車単体対策について申し上げますと、我が国は世界最高水準規制を導入し、また、更にこの強化に努めてまいりたいと考えております。自動車NOxPM法によります車種規制というのを特別にまた導入しておりますし、低公害車普及推進も図っておるところでございます。  一方、交通量交通流対策としましては、先生指摘のとおり、国土交通省を始めとする関係府省と密接な連携を持ちまして、モーダルシフトや共同配送推進公共交通機関の利用といった交通量対策、さらには交差点及び踏切の改良、違法駐車取締り等交通流対策に取り組んできたところでございます。  いずれにしましても、自動車単体対策と、そして交通量交通流対策が相まって環境改善効果をもたらすということが極めて重要でございまして、私ども環境省としても、関係する府省と更なる密接な連絡を取りながら対策に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  それでは、環境省関係につきましては、以上、質疑を終わらせていただきたいと思いますが、私以外に御質疑先生方環境省をお呼びになっておられる方はおられないようでございますので、できれば、委員長大気環境局長竹本局長に御退席していただいて結構だと思いますので……。
  15. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) では、環境省、御退席ください。
  16. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  それでは、引き続いて厚生労働省関係質疑をお願いしたいと思います。  先日、例の合計特殊出生率一・二五の騒ぎがありまして、六月の一日から三日ぐらいの間、いろいろ日刊紙にも取り上げられた経緯がございます。それで、六月三日の日刊紙にはこういうふうに書いてありまして、平成十七年度の合計特殊出生率が前年度を大きく割り込み、五年続けて過去最低を更新し、出生率一・二五ショックを来したと。すなわち、少子高齢化の中で、少子化は、社会の活力を失うばかりか、年金、介護、医療といった社会保障制度に大きな影響を与えると。特に年金は、将来の人口推計をもって制度設計をされているから、より深刻だと。現在の年金制度は、平成十九年に一・三〇の出生率合計特殊出生率で下げ止まる、四十四年後には一・三九まで回復するという前提に立ってこの年金制度を設計したんだと、これは狂っているんじゃないかと、こういうような報道が行われております。  この意味で、もう一回、この合計特殊出生率の統計的な計算方法確認をしたいと思います。二種類あるようでございますけれども、期間合計というやり方、それから世代別コーホートというやり方、二種類あるそうでございますけれども、この辺り概略で結構ですから簡単に御説明いただきたいと思います。
  17. 桑島靖夫

    政府参考人桑島靖夫君) このたび公表いたしました平成十七年の合計特殊出生率一・二五という数字でございますが、これは十七年におきます十五歳から四十九歳の女性年齢別出生率合計したものでございまして、どの年齢女性の人数も同じとした場合の平成十七年の出生率でございます。こういう合計特殊出生率でございますけれども、これ現在、晩産化が進行している最中でございますので、出産を終えた世代の高年齢時における低い出生率と、それから晩婚化、晩産化により出産を先送りしている世代の若いときの低い出生率合計となっておりまして、実際に一人の女性が一生の間に産む子供の数というものよりも低く表れているというふうに考えております。  それでは、実際に一人の女性が一生の間に産む子供の数というのはどういうふうに計算するかといいますと、ある年に生まれた女性の各年齢における出生率を過去から積み上げたものというふうな計算の仕方をします。  例えば、平成十七年におきます三十五歳から三十九歳の世代方々につきまして、これまでの出生率は約一・四八というふうな数字となっておりまして、最終的にこの世代方々が一生の間に産む子供の数は一・五を上回る見込みというふうに考えております。
  18. 中原爽

    中原爽君 御説明いただきました。  結局、十五歳から四十九歳までの日本女性、一言で言ってしまえば出産可能という世代ということになります。三十五年間掛かるわけですね、十五歳から四十九歳まで。ですから、その各年代ごとに、今年の、いつでもいいんですけれども、十五歳の年代で何人今子供がいるかという、これはまあ簡単な意味での期間合計のようなものだと思うんですけれども。しかし、十五歳の女性が今人口的に何人いるかということは抜きにして、十五歳の年代が何人子供を今持っているかと、こういう考え方が期間統計だと思いますけれども、それではなくて、やはり世代別というコーホート方式だと、要するに三十五年間の積み上げの数字を出すと。  こういうことで、結局、今の時代ですと、お子さんを二人持つ、三人持つということはだんだん減っておりますから、そういう意味と、それと四十九歳の人口が何人いるかということもかみ合わせていろいろ考えていかなきゃいけないので、結果的には、期間合計世代別統計処理数値一致しないという場面が出てくると、こういうふうに理解してよろしいわけですね。  それでは次、この関係で、今まで厚生労働省平成七年からエンゼルプランを積み上げてこられたわけなんですけれども、いろいろ対策をやってこられましたけれども、これを効果はないと言い切ってしまうとまた語弊がありますけれども、今までいろんなことをやってきたんですが、大体この少子化対策はどの程度積み上げてきたかという、簡単で結構ですから御説明いただきたいと思います。
  19. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 政府がこれまで取り組んでまいりました主な少子化対策ということでございますが、今御指摘がございましたように、これまで政府におきましては、平成六年末に策定いたしましたエンゼルプラン平成十一年末に策定いたしました新エンゼルプランに基づいて、まず保育関係事業中心に具体的な目標を掲げ、保育所における低年齢児受入れ枠の拡大や、延長保育の促進、ファミリー・サポート・センターの整備など、子供を産み育てやすい環境づくりに向けて計画的に取り組んだところでございます。  その後、新しい新人口推計の発表を受けまして、もう一段、少子化の流れを変えるための取組推進をすることになりまして、平成十五年には次世代育成支援対策推進法少子化社会対策基本法が国会で成立をいたしました。現在は、この次世代育成支援対策推進法に基づきまして、各地方公共団体や企業にも次世代育成支援のための行動計画策定を義務付けまして、取組を進めていただいているところでございます。  また、少子化基本法に基づく大綱の具体的実施計画でございます子ども・子育て応援プラン、これを平成十六年末に策定をいたしまして、これまでの保育中心であったエンゼルプランとは異なりまして、若者の経済的な自立、それから働き方の見直しや両立支援、それから地域子育て支援など、各般にわたる施策を具体的な目標を掲げまして総合的に進めているところでございます。
  20. 中原爽

    中原爽君 御説明ありがとうございました。  それで、このたびの政府では新たな少子化対策骨太方針をこの六月に策定するということの予定のようでしたけれども、もう会期末でございますので、七月にずれ込むというようなことも聞いております。  ただいま御説明いただきました各種少子化対策積み上げてきたということですが、しかし一・二五は二五になっているという状況でありますので、社会保障制度子育て支援、あるいは将来の人口推計の在り方、合計特殊出生率も含めて、厚労省としては概略今後どういうふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  21. 赤松正雄

    ○副大臣赤松正雄君) 今、中原委員指摘ありましたように、この出生率一・二五という問題については、極めて日本のこれからに大きな影響を与えるということで、深刻な認識を持っているわけでございます。特に少子化対策につきましては、できるだけというか、あとう限りの努力をいたしまして、今月中に新たな少子化対策を作成すべく、今少子化対策に関する政府・与党協議会で政府・与党一体となってそういうまとめる議論の最終段階に入っていると、こういうことでございまして、厚生労働省としましては、そうした結果を受けて、先ほど局長の方からこれまでの少子化対策についての取組を申し上げてまいりましたけれども、更にしっかりとしたものを構築していきたいと、そう思っております。  それから、新人口の推計でございますが、年金財政の再検証とかあるいは社会保障の長期推計の基礎数値になるものとして極めて大事なものでございますが、この新人口推計につきましては、さきに行われました国勢調査の結果を踏まえまして、この六月辺り平成十七年国勢調査の速報値が出ると、そして国勢調査の確定値が大体十月ごろという形になっておりますので、そうした統計調査を基にした分析をしていかなくちゃいけないということで、その方向性の中で社会保障審議会の人口部会をこの平成十八年六月三十日、今月の末、六月三十日に立ち上げまして、当面月一回、専門家による会議、調査審議というものをやっていって、先ほど申し上げましたようなそういう新人口推計の作成については、できれば年内、通常でいくと来年の頭とか一、二月ということですが、できるだけ早くお願いをして年内中にこの人口推計の結論も出していっていただきたい、そんなふうに考えておる次第でございます。
  22. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  常識的に人口動態とか人口数の数値を推定するというのは、素人考えですと随分正確に出るものじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、実際には上位、中位、低位にしろ、大幅に予想が狂うという面があるようでございますので、特にこのことを含めて、年内には厚生労働省として御検討いただくということでございますので、是非お願いをしたいと思います。  それと、先ほど新聞論調、日刊紙論調にも出ておりましたように、年金問題とこの少子化について、今副大臣概略お答えをいただいておりますけれども、私どもが以前マクロ経済スライドということで年金制度を立ち上げる格好をしたわけでありますけれども、そのときはこういう状況でした。  当初の給付増加率から現役加入者の減少率と平均余命の延び率を勘案して、年平均〇・九%を差し引いて伸びを抑制すると、こういう概略な考え方であったわけでありますし、このマクロ経済スライドのモデル年金制度で、将来の高齢者に対する年金の給付水準は現役の年収の五〇%以上は確保しようと、こういうことでございました。それで、当時の厚生労働省のお考えでは、モデル年金の水準は緩やかに下がって二〇二三年以降は五〇・二%ぐらいで下げ止まると、それ以上は下がらないと、こういう予定でありました。しかし、これは二〇〇二年、もう過ぎましたけれども、二〇〇二年に合計特殊出生率一・三二という計算でありまして、これが一・三九へと回復して、経済も順調な基準係数で推移をするということであれば、出生率が一・一〇へと下がって、それから経済の悪化するケースという場合という、いろいろ想定をしてきたわけなんですけれども、現在一・二五ですから、これが一・一〇へと下がるということと、あるいはもっと経済が悪化するということであれば、高齢者に対する年金の支給水準というのは五〇%を割ると、こういうことになるわけであります。そういうことにならないように、この一・二五の数字を踏まえて対応をしていきたいと思いますので、是非、これ厚労省だけの問題ではございません、関係政府全体としての少子化対策ということにつながるわけでございます。ひとつよろしく対応をお願いしたいと思います。  もう一点でありますけれども、これも六月三日の日刊紙辺りで、この合計特殊出生率全国状況を見ると、一番数字的に高いレベルを示しておられるのは沖縄でありまして、合計特殊出生率一・七一であります。しかし、これも前年度の十六年に比べますと〇・〇一下がっている。十六年度は一・七二であったわけなんです。最高レベルを維持しておる沖縄県についてもやはりじわじわと合計特殊出生率が下がりつつあると、こういうことであります。  その中で福井県、福井県だけが平成十七年が一・四七、前年度の平成十六年は一・四五でありますので、〇・〇二ほど合計特殊出生率が上がっているということであります。このことは、全国が全部下がっているのに福井県だけ何で、わずかにしても〇・〇二上昇しているということは、何かその要因があるのではないかというふうに新聞論調は言っているわけでありますけれども、これは前年度対比の話でありますから、長年の集計の中で見ていけば、全国至るところ、都道府県全部すべて下がっていく、合計特殊出生率が下がっていくという傾向に歯止めが、止まらない状況なんですけれども、ただ福井県だけ前年度対比でこういうふうになったということについて、何かしかるべき要因があるのかないのか。その辺のところは厚労省でお調べでございましたら御説明いただきたいと思います。
  23. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘のように、平成十六年と平成十七年の都道府県別の出生率を比較してまいりますと、全国で唯一福井県が上昇しているわけでございますが、ただ近年のトレンドを見ますと、福井県も傾向としてはまだ低下傾向にあるということ。それから、他の都道府県でも、これまである年に上昇が見られても翌年にはまた低下するというようなケースも見られるということで、こうしたものはある程度の期間の推移を見なければ評価や要因を分析し切ることはなかなか難しいのではないかとは考えております。  ただ、福井県について特徴的なことでよく指摘されることを少し申し上げますと、福井県は女性の就業率や夫婦の共働き率が非常に高くなっております。行政も保育サービスの充実など、働きながら子育てできる環境づくりに取り組んでおられまして、福井県の保育所入所待機児童はゼロということでございます。また、三世代同居の割合が高く、ボランティア活動も比較的盛んでございますので、家族や地域の人々が協力して子育てを応援する地域環境となっているというようなことも言われます。また、雇用面でも失業率が低く、求人倍率が比較的高いというようなこと、それから住宅、家も面積、比較的大きいというようなことも指摘されているところでございまして、要は親族、近所の人々あるいは公的サービスのサポートを受けながら共働きで子育てしやすい環境にある地域ということが言えるのではないかというふうに思っております。
  24. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。全国的に今御説明がありました福井県の状況が広がっていけばよろしいわけでありますけれども。  先日、六月五日のこの委員会質疑の際に橋本聖子議員が質問に立たれまして、そのときにも説明されたと思うんですが、橋本議員は今自民党の女性局の関係のお仕事をやっておられますが、アンケート調査をおやりになったそうでありまして、関係のアンケート調査の結果が九千七百名近い回答があったということで、この種のアンケートの調査では非常に多い回答を得られたということだそうでありまして、その中で、九千七百名近い回答の中で要望的に多かった事項というのはただいま局長説明のあったような中身でありまして、まず第一に、奨学金事業の一層の拡充をしてくれと。それから第二番目に、三子以降の保育料あるいは幼稚園の経費、これを、一人目二人目はともかくも、三人目以降はこういった保育関係、幼稚園関係の経費を無料化してもらいたいと、こういう要望だそうであります。それから三番目は、やはり安心して妊娠、出産ができるシステム、産婦人科医等の確保も含めて医療制度の中でのこういった妊娠、出産に対する要望が非常に多いということだそうであります。それから、四番目が税制上の問題でありまして、所得の高い低いにかかわらず子供が多いほど優遇される制度、括弧書きになっていまして、税制控除やN分のN乗方式等を導入することによって子供が多い家族の税負担の軽減を図ってほしいと、こういうことだそうであります。  考えてみますと、今御説明のありましたいろいろな保育関係、こういったことは私どもも一生懸命積み上げてきたわけですけれども、実際、子育てにかかわる税制をどうするかということは根本的には検討してなかった。したがって、N分のN乗であるとか二分の二乗であるとか、こういう税方式を取り入れて、できるだけ子育ての家族について何とか優遇をしていくという方向性はこれから必要じゃないかと思います。これからいろいろ次年度の税制の問題を検討するわけでありますから、こういったところで検討が行われればなというふうに思っております。  それでは、あと、もう一つ問題につきましてお願いしたいと思います。  どうも各論の各論ばかり申し上げて申し訳ないんですけれども、歯科関係でありますが、今年度四月から歯科臨床研修の必修化が体制整備が整いまして出発をいたしました。その検討会、十六年の三月の二十五日に報告書を出しておられまして、臨床歯科研修医の労働者性を認めると、これが一つと。それと、複合型の臨床研修施設、大学病院とその関連の診療所と、こういった関係の複合型の臨床研修施設で研修を行う場合に、雇用関係の、要するに労働者性を認めているわけですから大学病院に研修医が雇用されるということになるわけでありますので、その雇用の契約に係る一つの形態として在籍型の出向方式を取り入れたらどうかということを報告書で示唆をしているわけであります。  そうしますと、これがいろいろ考えが出てくるわけでありまして、労働基準法上の措置ということが出てまいります。出向契約をする、労働保険はどうなっているのか、社会保険というか健康保険はどうなっているのか、雇用保険はどうなっている、こういったことが全部連動して出てくるわけでありますので、その関係について一つ御質問したいと思うんですが、臨床研修歯科医を在籍型、要するに大学病院で雇用している研修医をどこかほかの診療所に出向させるという、言うなれば在籍型の出向でありますけれども、これも一つの確かにやり方なんですけれども、従来からあります労働者の派遣ですね、派遣労働者として、大学病院で雇用している研修医をほかの施設、診療所に派遣労働者として派遣すると、こういうやり方もあるかと思うんですが、この辺りのお考えをお聞かせいただきたいと。
  25. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 研修歯科医が複数の臨床研修施設で臨床研修を行う場合に研修歯科医と各臨床研修施設との間でどのような雇用関係を形成するかにつきましては、当事者間の契約にゆだねられているところでございます。  実際には、例えば大学病院といった主たる研修施設との労働契約を維持したまま出向先の研修施設とも労働契約を締結する在籍型の出向、あるいは、移籍型と言われます出向先の研修施設とのみ雇用関係、労働契約を締結する雇用形態というものによりまして雇用関係を形成しているということを承知しているところでございますが、医療分野におきます労働者派遣は原則として禁止されているために、労働者派遣法に基づく派遣という労働形態によって各臨床研修施設と雇用関係を形成することはないと考えております。
  26. 中原爽

    中原爽君 ただいま御説明がございましたけれども、在籍型で出向させるということは、元の大学病院で雇用されている、それから出向先の診療所でも雇用されている、両方に雇用されているという形がこの出向の契約になるわけでございますので、そうすると、やはり診療所の方も新しく人を雇っていると、こういう体制が整備されていないとおかしいと、こういうことだと思うんですね。それがきちっと行われているかどうかということであります。  例えば、従業員含めて十名以上の事業所は必ず就業規則を関係の基準局へ届けると、こういうことから始まっているわけでありますけれども、そういう形がきちっと行われていなければ、結局、出向先といっても出向先で雇われていないという格好になってしまえば、これは派遣と同じような状況になるということになります。その辺のところはこれから御担当の関係のお役所としては確認をしていくということは必要じゃないかというふうに申し上げたいところであります。  それから、そうしますと、仮に研修歯科医師が派遣労働者として派遣されたという場合、在籍型の出向の場合と比べて、研修先、すなわち派遣先に出向いているということについて、研修先というか、派遣先の事業所の法令上の責任というのはどういう形のものが考えられますか。
  27. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 臨床研修の場合には派遣ということは考えられない旨答弁ありましたので、一般論としてお答え申し上げたいと思いますが。  在籍出向の場合、今も御指摘がありましたように、出向元、出向先、それぞれと雇用関係が成立をしております。その労働者と出向元との関係、これはいろんな形態様々ありますので一概には言えない面ありますが、一般的に言いますと、法令上の責任、これは出向元と出向先との契約によってその分担がなされるというのが通常であるというふうに理解をしております。  それから、一方、派遣労働者として派遣された場合、この場合には、派遣元とは雇用関係、それから派遣先とは業務上の指揮命令関係がございます。この場合の法令上の責任につきましては、労働者派遣法によりまして派遣元、派遣先、それぞれの責任が明示されております。主なものだけ申し上げますと、派遣元には労働基準法上の賃金の支払や年次有給休暇取得の責任、それから派遣先には、労働基準法上の労働時間や休憩、休日等の労働者の具体的な就業に関する事項に関する責任、それから安全衛生法上の安全管理者の責任等が課せられているものでございます。
  28. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  それで、この歯科医師の臨床研修が修了した後に、出向元の大学にそのまま在籍しているというか、雇用関係を結んでいるということでありましょうけれども、そういった研修医が新たにどこか就職先を求めて就職したいというような場合には、これがどういう形にしろ、歯科医師、医師等につきましては従来、派遣ということについていろいろ制約がありましたけれども、平成十五年の法律改正によりまして、紹介予定派遣という形が取れるということにもなっております。  したがって、今後こういった研修医、研修を修了した医員につきまして紹介予定派遣に該当するという場合も起こり得るかと思いますけれども、この辺りの法令上の問題。  それからもう一つは、出向型にしろ、在籍出向型にしろ、出向先に行っているわけでありますので、その出向元と出向先の関係で、今回の個人情報保護法というものが当然掛かってくる場面があると思います。出向元の大学病院というのはまあとにかく大きい組織でしょうし、六か月間のある時点でもって帳簿に載っている個人関係の情報五千人以上ということであればこの関係の法令上の事業所に該当するということになります。  したがって、お聞きしたいのは、紹介予定派遣という考え方について法令上の整理はどういうふうにするのか、お考えがあるのか。それと、いずれにしても、出向先、出向元の間の個人情報の保護法の取扱い、この辺についての御見解を伺いたい。
  29. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 前段の紹介予定派遣の問題についてお答えをしたいと思います。  紹介予定派遣、これは前回の改正で導入されたものでありまして、具体的に申し上げますと、労働者派遣事業と職業紹介事業の双方の許可あるいは届出をした者が派遣労働者、派遣先の間の雇用関係の成立のあっせんを行い、またそれを行うことを予定すること、これを紹介予定派遣といっております。医師あるいは医療関係者につきましては派遣法の適用が制約されている面がございますが、この紹介予定派遣につきましては医師であっても可能でございます。  先ほどから申し上げておりますように、臨床研修というシステムの中ではこの紹介予定派遣というものが適合する場面とは恐らく想定し得ないだろうと思っておりますが、臨床研修が修了した後につきましては、この紹介予定派遣、これは医師であっても使えるものでございますので、こういったものが利用されて派遣されるということはあり得るというふうに考えております。
  30. 中原爽

    中原爽君 御説明のとおりでありますけれども、臨床研修が修了した後、大学病院なりあるいは学校法人と言ってもいいかと思いますが、そういった事業所がその研修医、研修を終わった人を常用型の派遣労働者というか、特定労働者派遣事業という形で雇用をするということはあり得ると思うんですね。  そうなると、やはりこれは厚生労働大臣への、許可ではなくて、届出で済むわけでございますので、そういう形でこの紹介予定派遣、要するにどこかの医療機関から麻酔医をよこしてくれ、そういうようなことで照会が来るということに対して、その現在雇用されている麻酔医の経歴等、そういったことをお知らせするという形の紹介予定派遣というのが起こり得るだろうということを申し上げているわけであります。  もう一つ、どうでしょう、個人情報の関係は。
  31. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 病院や診療所につきましては、個人情報保護法の規定に基づく個人情報の厳格な管理が義務付けられているところでございます。  委員の御指摘が臨床研修歯科医の個人情報の問題ということと理解する場合には、厚生労働省におきまして、雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針というものを定めまして、これは取り扱う情報の量にかかわらずすべての関係事業者に適用になります。また、患者さんの立場の方の個人情報の保護ということになりますと、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインというものを定めておりまして、これも取り扱う個人情報の数にかかわらず適用になります。  こういったものを定めておるところでございまして、事業者たる病院や診療所に対しまして、利用目的を具体的、個別的に特定した上で個人情報を取り扱うことや、第三者に個人情報を提供する場合の留意点などを具体的に示しているところでございます。臨床研修施設に雇用される研修歯科医等の個人情報の取扱いにつきまして、以上のように配慮しているところでございますので、引き続き機会をとらえてその周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  32. 中原爽

    中原爽君 御説明のとおりでありますので、先ほど申し上げた五千人云々という個人情報の取扱い事業者に該当するしないにかかわらず、医療関係については厚生労働省から、この個人情報の取扱いについては十分周知を図るという御指摘が出ているはずでございますので、それを更に進めていただきたいというふうに思います。  それからあと一つ、この歯科医師臨床研修は、マッチングシステムというシステム、これは某財団ではありませんよね、協議会ということですから、任意団体でこのマッチングシステムを取り扱っておられるわけでありますけれども、最初にどこかの研修施設で研修を受けたいという、マッチングについてインターネット等を含めて申し出るわけでありますけれども、しかし、その申し出る時点はまだ国家試験に合格しておりませんので、実際には申し出ても仮の雇用関係、仮契約になると、こういう格好になっているわけであります。この協議会からは、仮契約はきちっと結んでくれと。何か所も、一人の研修希望者が何か所の研修施設に対して研修を申し込むということではおかしいということであります。どこか一か所に雇われるという格好になるわけですから、国家試験合格前は仮契約だと、こういうことで処理をしろということであります。  しかし、国家試験に受かるということでありますと、今度はその申し出た研修施設で雇用関係が生じて本契約になると、こういう格好になるわけでありますので、その辺りのシステムを、このマッチング協議会というのは言うなれば任意団体が指示しているわけでありまして、仮契約のモデルの見本などを各施設に出しておられるんですけれども、その見本は見本でいいんですけれども、本契約を結ぶということの方が最終的な重要なことでございます。その点について厚労省としてはどういうお考えなのか、概略お話しいただきたい。
  33. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) まず、各臨床研修施設に対しましては、歯科医師臨床研修マッチング協会が研修希望者に対する支援及び臨床研修を円滑に実施する観点から、臨床研修施設と臨床実施希望者との間におきます仮契約につきまして仮契約書様式例を示しているところでございます。  その様式例には、研修実施希望者が歯科医師国家試験に合格した場合には、仮契約に基づき歯科医師臨床研修に関する本契約を締結するよう示しております。また、歯科医師臨床研修マッチング協議会のホームページあるいは指導歯科医講習会などを通じてこの点を周知しているところでございます。  今後とも、引き続き各臨床研修施設に対しまして、研修実施希望者と適切な雇用契約を締結するよう歯科医師臨床研修マッチング協議会と連携を図り、周知徹底を努めてまいりたいと考えております。
  34. 中原爽

    中原爽君 ただいまの御説明もありましたように、研修希望者とそれから研修受入れの施設と、それとただいまのマッチング協議会、この三者の関係でこの義務化が成り立っていくわけでございますので、この辺の御指導も引き続いてよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  今日は厚生労働大臣と法務大臣においでいただきまして質疑をさせていただきます。お忙しいところ、おいでいただいたことを御礼申し上げたいと思います。とりわけ今日は大きく二つの問題を議論させていただきたいんですが、法務大臣におかれては、後半の問題でございますのでしばらくお待ちいただくことになると思いますが、恐縮でございます。  今お手元に資料を配らせていただきますが、私はずっと財政金融委員会で所属をして質疑をさせていただいておりますが、ちょうど当選した年に診療報酬改定の初のマイナス改定ということがございまして、以来、厚生労働委員会にはなかなか出席はできないんですが、その問題に関心を持って取り組まさせていただいている次第でございます。  そうした中で、坂口前厚生労働大臣に、やはり診療報酬改定の納得度を高めるために幾つかの改善要望をさせていただいた次第でございます。  その改善要望と申しますのは、やはりこれは現場のお医者さんたちが、診療報酬の点数が、上がったものはいいですけれども、下がったものについていかなる基準で、そしてそれが合理的な理由で下がったのかどうかということをやはりできる限り納得していただけるような仕組みをつくってはどうかということで、まずは診療報酬改定の数値的なデータを事前にしっかりと公表すべきではないかということを御提案申し上げたわけでございます。  今お手元にお配りさせていただいている資料でございますが、この計表の方であります。  ちょっと計表の方を、もし委員の皆様方も御関心があればごらんいただきたいんですが、平成十四年の診療報酬改定のときに、私は当然、元々銀行という業界にいたものですから、数字とかデータはきっちり整理するというのが習性が付いておりますので、一万五千にもわたる項目の点数を変えるわけですから、例えば何%ぐらい上げたものが幾つあるかとか、あるいは下げたものが幾つあるかという、そういう一覧データは当然あるはずだというふうに思っていたわけでありますが、実は平成十四年のときにそのことを議論させていただいたら、その一覧表がなくて、お出しいただいたのがこの平成十四年のものでございます。  上がったものはいいんですが、しかし、例えば二五%以上下がるというものの中には五〇%以上下がったものもあって、これは三月三十日まで例えば千円だったものが、四月一日からいきなり五百円になると。これは医療の現場にいらっしゃる方としては、言ってみれば売上げが半分になるわけですから大変なことだと。二年に一回見直しするならば、それほど劇的な変更はしなくてもいいんではないかという激変緩和の要望もさせていただいたわけであります。  いずれにいたしましても、こういう分布状況を、点数を検討され、原案ができた段階で公表をして、やはり現場のお医者さんたちないしは医師会、歯科医師会の皆さんも含めてそれなりの御意見をいただいて納得性を高める必要があるという、こういう御提案をさせていただいたわけであります。  ところが、平成十六年の改定のときも、平成十四年のこの議論のときに、分かりましたと、次回以降ちゃんとこの分布表を作りますとおっしゃりながら、私が改めてお願いをするまでこの分布表は出てこなかったと。そして今回、なかなか、今回の診療報酬改定ないしは医療制度改革の議論には私は参画はできていないんですが、当然またおやりになっているんだろうなと思いまして、二月ほど前にこの分布表を下さいとお願いをしたところ、ちょっと待ってくださいといって、この委員会に合わせてようやく先週の金曜日にこの平成十八年度の分布表をいただいたわけでございます。  そこで、まずお伺いしたいのは、こういう点数変更の分布がどのようになっているのかということは、まあ今参議院でも厚生労働委員会で法案審議がされておりますが、その医療制度改革の内容及び四月一日から行われた診療報酬改定の案を国会や関係者にお示しになった段階で、分布については特に整理、そしてその状況について分析はしていなかったという理解でよろしいでしょうか。  これは大臣じゃなくて結構ですので、参考人の方、どなたかお答えください。
  36. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) どなたですか。
  37. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 参考人呼ばれていないようですので、担当の部局につきましては。  私も細かい話を聞かされているわけではありませんけれども、この分布表、私が事前に見たということはございません。
  38. 大塚耕平

    大塚耕平君 参考人がお一人もいらっしゃっていないということであれば、是非今日は大臣と建設的な議論をさせていただければ有り難いと思うんですが。  しからば、私はなぜこの平成十四年のときにこういう数字について関心を持ったかといいますと、あのときは、ほうっておけば二十九兆八千億になる医療費がこの改定をやると二十九兆一千億になると、七千億の財政負担削減になるからこの改定をやるんだという、こういうお話だったわけでありますが、今回はたしかマイナス三・一六%ぐらいの改定幅だと思いますが、このマイナス三・一六の改定をやると一体どのぐらいの財源の削減になるんでしょうか。
  39. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 予算ベースで一%、七百五十億と記憶しておりますので、二千三百億くらいになりますでしょうか。
  40. 大塚耕平

    大塚耕平君 細かい数字がお手元にもしないとすれば誠に恐縮なんですが、今日はこういう議論をさせていただくつもりでしたので、当然バックベンチの方がお手元にあるというつもりでちょっと質問をさせていただいておりますが、たしか私の記憶では、今回、衆議院でも参議院でも厚生労働委員会で、このマイナス三・一六の改定をやるとどのぐらいの財源節減になるかということは数字は今まで出てきていなかったような気がするんですが、そんなことはないですか、大臣
  41. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的に昨年の予算折衝の前折衝で議論して一つの結論を出したものでございますので、逆に言えば予算への影響度というものも一番大きな課題として議論されてでき上がったことは事実でございますので、数字は広く出ておると思います。
  42. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうであれば後で役所の方に御指示をいただきたいんですが、今大臣がおっしゃったように、マイナス三・一六%が医療費ベースで二千三百億ということであれば、そこから逆算……
  43. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 予算ベースです。
  44. 大塚耕平

    大塚耕平君 予算ベース、失礼しました、二千三百億であれば、逆算していくと、予算に掛かってくる医療コスト全体の割合も分かっているわけですので、当然、医療費がこのままほうっておくと幾らになって、それを幾らにするための今回の改定であるかというマクロの数字もあってしかるべきであると。これは、平成十四年のときの二十九兆八千億と二十九兆一千億のこの数字に見合う数字ですね。この数字が、しかし私が新聞やニュース、テレビのニュースで見ている限りでは、今まで余り明示的に示されたことがないというふうに理解しておりますので、今大臣が予算ベースでの数字は言ってくださいましたので、ということは、マクロベースの医療費がほうっておくと幾らになるから、今回はそれをマイナス三・一六で幾らにするんだというその数字を後ほど公開していただけるという理解でよろしいでしょうか。
  45. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 一番基礎的な数字でございますので、この委員会終わりましたらお届けさせていただきます。
  46. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、ところが、もう一枚、二年前にこの医療関係の雑誌に書かせていただいた記事でございますが、後で詳細もしお読みいただければ幸いでありますが、この中に書いておりますことは、結局平成十四年のときも七千億という数字を削減するという、数字が現に出てきているわけですから、ということは、その一万五千に及ぶ項目に新しい点数と、それからどのぐらいのそれが物量が出るかという、ボリュームですね。それから古い点数とボリューム、これを掛け合わせて積み上げ計算して差し引きしたものが結果として七千億という、そういうものがなければできないはずであるということで随分やり取りをさせていただいたんですが、それは数か月たってから段ボール箱を何箱か見せていただいたんですが、さすがに全部見るわけにもいかなかったんですが、今の大臣の御答弁ですと、当然今回もそういうきちっとした計算をしておられるというように拝聴いたしましたので、やはり積み上げ計算の結果というのを今回開示をしていただけるということでよろしいでしょうか。
  47. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的には三・一六%、すなわち薬価で一・八、診療報酬で一・三六でしょうか、それが決まりました後、中医協の中で、その枠組みの中で議論していただいて個々の点数を決めていただいたと、こういう体制でございますので、先ほどから議論させていただいていますとおり全体的な数字というものがあって、それは、まず診療報酬に直接考えるというより国民医療費として幾ら掛かるか、その中で保険が負担すべきところが幾らあるかと。多分三十一兆と二十八兆ぐらいの数字をまずベースに出して、その中でこういう形で診療報酬改定をするとこういう数字になるというものを出してから、先に数字があってからいろんな肉付けをしてきたと、こういう経過であります。
  48. 大塚耕平

    大塚耕平君 私は、もちろん医療の専門家ではありませんので、その個々の点数がそれでいいとか悪いとかということは判断する能力はないんですが、平成十四年のとき以来ずっと不思議なのは、今の大臣の御説明なら私は理解できるんですが、本当は一個一個の点数を積み上げていった結果がマイナス三・一六になるという、当初はそんなような説明を受けていたんですが、今の御説明であれば、最初に予算ベースで医療費に掛けられる総枠が決まりますので、それを計算するとマイナス三・一六になると。そのマイナス三・一六というゴールが決まったので、それに合うように個々の点数を決めていくと。アプローチとしては逆の御説明ですので、そのアプローチ自体は理解はできます。  しかし、そうすると今度は、じゃマイナス三・一六にゴールを設定して、例えば、お手元に配らせていただいたこの数字でも据置きは五千五百三十五項目ですけれども、それ以外に一万項目ぐらいは点数を実際に変えているわけでありますので、ということは、変えた点数を今度積み上げていくと逆にマイナス三・一六になるという、やはり整合性が付いていないといけないわけでありますが、その整合性を付けた資料というのは御提示いただけるということでよろしいでしょうか。
  49. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 誤解があるといけませんので、最初のスタンスを申し上げますと、私どもは、まず物価の伸び、人件費の伸び、逆に言えば下がってきているわけですね、この二年間の中で。そういうものを計算した上で今回の診療報酬改定はこのぐらいの数値になりますと、こういう、三%になるとか、もっと言うと、薬価の方は、これは効率性の問題ですから、薬価は薬価ではじき出します。  一方で、この一・三六の方については、物件費とか人件費の伸びというものを見ながら、私どもとしてはこういう主張をすると。一方で財政当局は、今委員が言われたように予算ベースの話で、このぐらいはという話で議論して一・三六というのは決まったと、こういうふうにまず御理解ください。  私どもが始めから財政ベースの話をしたわけではない。我々は、基本的には人件費、物件費の、それから財政当局の話、これがすり合わせになって最終的には一・三六、薬価と合わせて三・一六ですねというまず構図が決まります。それで、その中で今度中医協に下ろして、中医協の中で議論をして一つ一つのものを決める。決める中で、当然最終的には、薬価を除いて一・三六ですから、一・三六のものと診療報酬というものが整合性合うように合わせていく。  そこの積み上げの数字があるかという御質問ですね。どのぐらい出せるか今すぐ答えられませんけれども、ある程度のものは当然そういう計算式成り立った上でやらないとおかしくなりますから、出せるものは出させていただきます。
  50. 大塚耕平

    大塚耕平君 大臣がそのように御答弁いただけるのは大変前向きな御答弁で有り難いと思うんですが、多分今中継見ていらっしゃる現場の方は、これはえらいことだなというふうに思っていらっしゃると思いますね。  そのマイナス三・一六まではいいんですけれども、例えば処置がマイナス一・三六、薬価がマイナス一・六、材料がマイナス〇・二というこの寄与度までもちゃんと出ているんですけれども、それぞれも本当に積み上げ計算をしているかというと、これは多分それぞれの分野における総予算枠みたいなもので、それを今回の改定をしなければどのぐらいのボリュームになるかというものと比較したトータルの数字が出ているだけで、つまりマクロのゴールの数字と全体のゴールの数字と個々の点数との整合性は付いていない可能性が高い。少なくとも私がこの五年間、三回の改定を拝見している限りでは、どうも付いていないんだろうなという実感でありますが、それが付いているということを大臣は今回御就任されてから、今日の医療制度改革法案の審議、あるいは四月一日の改定を前に事務方から御説明を受けられたことはございますか。
  51. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 一・三六下げるという方針が官房長官と財務大臣と私の下で決まりました後、一方で、産科、小児科、また急性期の医療等は何%ぐらいは増やしてほしいと、逆に上げる部分も私どもの方から指示した上で計算を、積み上げをいたしたはずでございますので、ある程度のものは出ていると思います。  しかし、私が、委員がお尋ねのように、すべての整合性を持った式を見たわけではございません。
  52. 大塚耕平

    大塚耕平君 私、この中でも自分で書いていますので、もし本当にお暇があったらお読みいただきたいんですが、私は逆に、そんな積み上げ計算をきちっとできるはずもないし、それはやっているとおっしゃればかなり非現実的な話になるなということを、私自身もそう思ってここに書いているんですよ。  いわんや、そのボリュームのところは、点数は新点数と旧点数が出てきますけれども、一体どのぐらいのボリュームが出るかというボリュームのところは、たしか六月か七月の定点観測数字だけ使っているわけですから、じゃ現実の医療費が最終的にそうなるかどうかというのは、これはもう全く分からない中で計算をしているわけなんですね。  だから、一体何と何を比較をされて、まあマイナス三・一六まではいいです、これは予算ベースの話ですからね。しかし、例えば中身の一・三六と一・六と〇・二は、これ何と何を比較をされてマイナス一・三六という数字を出したのか、一・六という数字を出したのか、〇・二という数字を出したのかということをこれは正直に国会で報告をしていただかないと、何かいかにも緻密な計算をして積み上げた結果出てきているように聞こえてしまうんですが、そこのところについて大臣は、実際に今陣頭指揮を取っておられる中で、率直な印象として私の言っていることについてどのようにお感じになられますでしょうか。
  53. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 診療報酬ですから、ある一定の医療行為が例えば何万人、何十万人対象に行われるか。それが〇・何%、何ポイント下がったか。片っ方で何十万のやつが例えば〇・二下がったと。片っ方で一万のやつが例えば二〇%上がっても、これは両方相殺されることになりますよね。基本的には、そういうある程度の計算をした上で私は積み上げているものと理解をいたしております。
  54. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、恐らくある程度の計算しかできないですから、そのある程度の計算というのを一々根拠を示してくださいということをお願いしたのが平成十四年のときで、私は保険局まで何度も足を運ばしていただいて、実際に当時の医療課長とも話をさしていただいたり保険局長ともお話をさしていただいて、基本的に分かりましたと、じゃそういうデータをきっちり公開をして、例えば点数についても、厚生労働省がお作りになった原案、中医協で認められたという表現が適切かどうか分かりませんが、中医協で大体こういう線だろうといって決まった原案を、点数をまずお医者さんたちに公開をして、それについて、やはり先ほど冒頭申し上げましたように、物すごい変動を生じた点数などについては、本当にそれでいいのかということについてその個々の点数のありようについてパブリックコメントに付すなり、何か一定の意見を聴取する期間を設けてはどうかと、こういうお願いをし、そういう方向で考えてみますというやり取りになったと私自身は記憶をしておるんですが、これ実際、今回などはどのように行われたんでしょうか。
  55. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) この間そういう角度からの質問が出まして、要は十二月に私ども大臣が決める、その後中医協の議論に入る。個々の点数の問題ですから、もちろん中立側、支払側、診療側、それぞれの意見が交わされていく中で物事が決定されていく。そのものが、例えば二月の末、三月の初めに一つの原案ができ上がる。しかし、四月一日から実施をしないと、先ほど言いました予算との関連が出てきてしまいますので、ずれます。したがって、パブリックコメントまでかけてすべてのことについてチェックをして、そして四月一日から実施ですよというのがどこまでできるかということになると、この制度上なかなかの議論になるんだろうと。じゃ、前年の九月ごろに大臣と私で議論して一つの、決めて、十月ごろからそれを議論していくということになると、かなり現実味を帯びた御提案になろうと思うんですけれども、日程的に、パブリックコメントをかけていろいろ意見をいただいて修正をしてという形は、なかなか私の感じとして申し上げたら難しいんだろうと思います。
  56. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の事務の流れからしたら、まさしく難しいと思います。だから、そこを改善するべきではないかということを当時の、今防衛庁に行っておられると思いますが、西山課長などにも御提案をして随分議論をさしていただいた覚えがあるんですが、なぜならば、例えば、お手元にお配りした表は概括の表でありますが、金曜日に役所の方からいただいた資料によりますと、例えば二五%以上大きく引き下げられた分野というのは特定保険医療材料、歯科を含む分野なんかに集中しているとか、こういう実態がようやく見えてくるんですけれども。  例えば、歯科の分野の皆さん、今日、先ほど中原先生も御質問になっておられましたけれども、限られた期間しか折衝、調整する期間がない中で、ふたを開けてみたら歯科の分野に例えば大きく引き下げられる分野、もちろん上がる分野もありますけれども、集中していたというときに、これは調整する時間もないまま四月一日を迎えて、四月一日から現場のお医者さんたちは、これじゃ歯科医院は成り立たないといって今相当困っていらっしゃる方々もいらっしゃるわけでありますが、そういうことが繰り返し起きると、じゃこの際裏技で歯科医院の経営を成り立たせようというようなことが起きる、ないしはそういうインセンティブを与えるということで、結果として不幸な事件が起きてしまったということをここに書いてあるわけですね。ここに書いてあるわけです。  だから、そういうことにならないように、例えば点数についてのやはり周知期間をもっと長くする、ないしは二年に一回どうせやるわけですから、それほど大きな激変はしないでシーリングを設ける、上限と下限、プラスマイナス二五%以内に二年に一回の改定はとどめるとか、そういう工夫をしてはどうかということを申し上げたわけなんですけれども、大臣、御在任中にそういう方向でこれは現場に指示をするべきではないかというふうにお感じにはなられませんでしょうか。
  57. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) もちろんその二年という一つの期間の中で動きを見ながら中医協の中で基本的な議論がされることは間違いないだろうと。一万五千、一万六千というものの点数が初めに決まっていますからね。その中で、二年間の動きを見ながら、どのぐらいの頻度になっているかと、見ながら様々な議論がされるんだろうと。  今回は、中医協に入っていくメンバーも推薦制ではなくて、私の方で選ぶという制度を今御議論いただいていますけれども、法律には盛り込ませていただいたと。しかしながら、いずれにせよ診療側の代表者も入る、支払側の代表者も入る、その中での議論を積み重ねながらやっていくということでございますから、そういう意味では、例えば歯科側の意見がその中に反映されていない、医科の皆さん方の意見が反映されていないということは、基本的には、ルール的にはないんだろうと。正にその中で選ばれた人たちがしっかりとした議論をしていかなきゃならぬだろうと、私はそう思います。  ただ、一方で、委員の御提案は、例えば診療報酬が上がるというときは、一日でも早く、四月一日からやってほしいと。要するに、三月五日に告知されても、上がるんですから早くやってくれという、こういうルールで今日まで来たんだろうと。しかし、二回にわたる下がるという一つの場面を迎えて、今お話しいただきましたように、二五%以上下がるというものも当然出てくる、しかし、そういうものは医科の経営にも大きな影響を与える可能性があるから、少し配慮をしたらどうだろうと、こういう切り口だろうと思う。  上がるものはいいんだろうけど、下がるものについては、もう少し丁寧な説明なり、場合によっては、言われるとおり、少し議論の場を設定をしていったらどうだろうかという一つの御提言、毎回こんなことが繰り返されるとは思いませんけれどもね、三・一六という大きなマイナス改定が毎回行われるとは思いませんけれども、御提言の内容、意味するところは私自身も分かります。私も電機メーカーで企画をやっていた人間ですから、意味するところは大体分かりますので、少し、自分なりにまず勉強させていただきたいと思います。
  58. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、上がる方も余り過度に上がると、これユーザー側が困りますので、上限も必要だと思うんですけれども。  ただ、やはり今の御回答並びに坂口大臣以来私なりにメッセージなり情報を発出させていただいていた結果としての今日の川崎大臣の今の御答弁ですので、構造的な問題が二つあると思うんですが、一つは、今までの話の中で出ていなかったことを改めて御指摘を申し上げたいと思いますが。  私がこれを書いたときに、厚生労働省の歯科系の技官の方、あるいはOBの方とも随分お話をして、いや、大塚さん、厚生労働省の中には、まあ言葉は適切ではないかもしれないけど、身分制度みたいなものがあって、歯科系の技官の意見というのは通らないんですよと。だって課長までしか昇進できないからと言って、訥々と訴えられたことがあるんですね。そもそも、その検討プロセスにおいて十分な周知期間と、本当に真摯に意見を聞いていい点数分布を作るという意味で、まじめなパブリックコメントに付したり、現場との調整をするプロセスが確保されていない中で、じゃ例えば十分に意見を通すことができないようなポジションにしか例えば歯科系の技官の方がいらっしゃらないとなると、結果として裏技を使うということになってしまったということをその方々は言っておられたわけです。  そういうふうに考えますと、大臣は技官の皆さんの、医科系、薬科系、歯科系の技官の皆さんの人事をどのように今認識をされ把握しておられますでしょうか。ちょっと抽象的な質問で恐縮ですが、率直な御印象をお伺いしたいんですが。
  59. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) まず、歯科の診療報酬で特に今度患者の方々へ治療行為の説明書というものを、事前説明というものを義務付けて、その点数を増やしたわけですけれども、このことについて国会でも随分御質問いただきました。  やはりその議論を詰めるときに、当然、歯科系の技官を呼びまして私自身が一つ一つ聞いておりますので、間に局長さんとか医師系のお医者さんがいるから私どもに話が伝わらない、いや、国会の方に意見が伝わらないということはないと御理解を賜りたいと。私ももうこれで四、五回技官といろんな議論をさせてもらっておりますので、そこは局長だから、課長だからということはないという御理解を賜りたいと思います。  私は、実はかつて郵政の政務次官をやり、運輸省の大臣をやりましたので、その役所の中で見ますと、厚生労働省という役所は随分技官のトップクラスが多い役所だなと。そういう意味では、他省に比べまして、運輸省と比較するとしかられるかもしれませんけど、他省に比べたら技官というもののポストが恵まれている役所ではなかろうかなと、こういう感じを受けております。  それから、政策的なものを割合、政策になると文系がやって、技術的なことは技官がやるというのは割合多うございますけれども、この分野につきましてはそういう意味では随分技官が多い。  それから、技官で入られる人たちが、医師のもちろん資格を取って現場で六年、十年仕事、医療行為をされた後、ある意味では途中入社ということになるんでしょうが、後、厚生労働省に入っておられる人たちが多いなと。そういう意味では、現場経験を持つ技官というものが局長クラスに多いということも事実だろうと思います。  歯科の話をしたから少し申し上げれば、歯科の場合は少し現場経験が薄いのかなと、こんな感じを今持たせていただいております。
  60. 大塚耕平

    大塚耕平君 大臣、歯科系技官が何人ぐらいで、医科系と薬科系は何人ぐらいだという大体の数字を把握しておられますか。ちょっと後ろの方、もしあれでしたら大臣に耳打ちしてください。僕が言いましょうか。
  61. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) 医系技官の全体の総数についてはちょっと今手元にございませんけれども、各年代、多いときですと十人ぐらい、少ないときですと数人というような規模でございますので、百数十人から二百人ぐらいの数ではないかということで、ちょっとはっきりした数字でなくて恐縮でございますが、オーダーとしてはそのぐらいだったと思います。
  62. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、別にそんな細かい数字まではいいんですけど、ざっと、医科系二百人、薬科系二百人、歯科系は十人ぐらいだと思いましたよ。  歯科系は別の世界かというと、大臣、例えば今、歯周病なんかはですね、歯周病なんかはこれは医科系の話にも直接いろいろ影響を与えていく話ですから、もうこれ医科と歯科を分けている場合じゃないんですよね。これは全体、国民の健康のことを考えると、医科、歯科、薬科、縦割りで考えていくことではないはずなんですが、そうであるとすれば、少しこの歯科系が軽過ぎる。ないしは、本当に歯科系は原則課長まで、薬科系は審議官、医科系は医政局長までという、こういうルールが決まっているとすれば、これはそのこと自体を本当に適材適所に変えていかないと、今まで厚生労働省が抱えてきた医療政策の構造問題の一つを解決できないと。  それから、技官が比較的優遇されているとおっしゃいましたが、それはそうだと思います。でも、それは逆に悪い部分もあって、事務次官とお話をしたときでも、専門的な話はそれは医政局長のマターなので私どもは口を挟めないなんというふうに言われたことも私もあります。  だから、そういう事務系、それから技官の中の三つの系統、この厚生労働省、とりわけ旧厚生部門のこの縦割りの構造をなくしていかないと、本当に国民の医療のことを考えた弾力的な対応ができないんではないか。ないしは、財務省と財政面で議論をするときにも、取りあえず数字は事務次官が握ってきて、じゃ、その中のどんぶり勘定については今度はそれぞれの医科系、薬科系、歯科系の中で数字のつじつまだけ合わせてマイナス三・一六に合うように作ってこいみたいな、こういうことがなくならないんじゃないかなというふうに、外から見ているとですね、外から見ているとそういうふうに見えちゃうんですね。  銀行業界も随分粉飾決算やっていましたけれども、それでも銀行のバランスシートなんかについては積み上げをきちっとやりますので分かるんですけれども、医療の世界のこの診療報酬改定のときのこの数字の外から見たいい加減さというのは、大臣はお立場ですからそういうふうにお感じにならないかもしれませんけど、いや、本当にここすごいいい加減さだなというふうに私は見ております、少なくともこの五年間。  したがって、先ほど構造問題が二つあると申し上げましたが、一点は今申し上げました。もう一点はやはり、きちっとした計算をしていないものをしているかのように国会で説明をするという、こういう体質が私は厚生労働省の中にあるなと。これは、年金問題のときに年金数理計算でも随分やらしていただいたんですけれども、年金も一緒です。年金にしろ医療にしろ、計算が難しいのは分かります。分かるんですが、そんなにきちっとした計算ができるわけではないと、ある一定の前提を置いてこうやって出しているんだということであれば、そういうふうにちゃんと説明してもらった方がよっぽどすっきりするんですね。  だから、構造問題の二点目として大臣に申し上げたいのは、数字、細かい数字が出てくるともっともらしく聞こえますが、聞こえ、そして見えますけれども、その数字についてしっかり検証し説明するというそういう組織の体質が脆弱であるということが、私は構造問題の二点目として指摘をさしていただきたいと思います。  したがって、今日、今回のマイナス三・一六及び措置と薬と材料についても、それぞれの算定根拠を可能な範囲で出すというふうに今おっしゃってくださいましたので、大臣が今、これまで信じていらっしゃったように、いや、そういう積み上げ計算はしているはずであるということであれば速やかに、厚生労働省の皆さんはテレビで今見ていると思いますが、速やかに、今日じゅうに持ってきてください、その数字を。
  63. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今日じゅうに出せるかはともかくとして、ある程度の積み上げの実態というものは分かるようにしなければならないだろうと思います。  それから、先ほどの話、ちょっと正確に申し上げておいた方がいいと思います。  私どもに、医系の技官は二百三十名、歯科は二十名で、二百五十名。ただし、省内に残りますのは百四十名。すなわち百十名は、例えば防衛庁とか文科省とかそれぞれの分野に、医系は、どうしても医官は私のところに集まりますので、各省それなりの仕事がございますので出ていっていると。そういう意味では、百四十名の医官と、歯科医師が二十名でございますから、そうバランスの取れていない話ではない。ただ、ポストが初めから決まってしまっているというのはそろそろ直してもいいことであろうと、これは思います。  それは民間会社でもそうでして、最近は正に技術系から上がった人たちが営業担当の取締役になる時代でありますし、もっと言えば、民間会社でいえば課長、部長まではある程度専門職で行くけども、その上の階段に行きますと、経理担当重役が社長になるところもあれば、正にそれぞれの分野の中から今度はトップとして仕事をするとなると、もう出身母体は言わないと、こういう社会でありますので、それは将来、事務次官が技官から出てもいいでしょうし、また歯科の出身者ですばらしい人材が将来局長、また厚労審になってもいい時代であろうと思いますが、それは人次第。その人というものをやっぱりしっかり見詰める目を我々が持っていかなきゃならぬということは、一つの御指摘として受け止めておきたいと思います。
  64. 大塚耕平

    大塚耕平君 私も認識は全く一緒でありますので、事務次官は事務系、医政局長は医科系云々と、そんなふうに決めている時代ではないというふうに思いますので、まさしく適材適所をやっていただきたいなと。そして、点数の分野についても、それは医政局長以下のピラミッドの中の聖域だから事務系は口を挟めないみたいな、そういうことのないようにしていただきたいと思いますので、これは引き続き私も関心を持って取り組まさしていただきたいと思います。  そして、この雑誌の方に書かせていただいた左上に、坂口厚生労働大臣、当時、にお渡しをさしていただいた改善要望事項ですね。真摯に対応しますといってここで御答弁いただいた記憶があるので、まあ野党の言うことですから全部聞いていただけるとは思いませんけれども、決して非生産的な提案をしているとは思いませんので、引き続き御尽力をいただきたいと思います。  以上が大きな、今日のいただいた時間の中での第一点目の質問なんですが、もう一点は、やはり平成十四年以降ずっと医療制度改革の話を拝聴していると、財政の帳じり合わせばっかりで、本当に国民に安心できるいい医療を提供するという視点がどうも欠けているなという気がいたします。  その一つは、例えば医薬品医療機器総合機構の例の治験の問題で、あれも随分議論をさしていただきましたし、今後も私も議論をさしていただきたいと思いますが、随分治験の期間が長くて、本当に国民の皆さんが必要としている薬やら材料が適時適切に使えないという、こういう問題もあります。それから、財政の帳じり合わせに終始している間に、今の総合機構の問題でいうと、どんどん日本の薬や材料のレベルが先進国や場合によってはアジアの国より劣ってきている。もう一つは技術の問題なんですね。お医者さんの技術の問題です。  そこで、今日はサージカルトレーニングセンターについて後半お伺いしたいんですが、要は、外科的手術をされる医師の皆さんが新しい技術や新しい材料や新しい手術法が出てきたときに、それをトレーニングしてからでないと実際生身の患者さんに対して措置をするのは大変リスキーなことなんですね。そこで、アメリカなんかでは早くから献体による、カダバーによるトレーニングセンターができていて、私はこれ当然日本にもあるんだろうなと思って三年前に厚生労働省を始め関係省庁にお伺いしたところ、日本にはないと、しかも、もしそれをつくろうとすると法律的な制約があるというふうに説明を受けました。  そこで、改めて今日は関係省庁にお伺いしますので、端的にお答えいただければ幸いでございます。  カダバー、つまり献体を使って新しい技術や材料のトレーニングをするサージカルトレーニングセンターをつくることについて、厚生労働省、文部科学省、法務省のそれぞれの所管の法律において、何か障害になる法律はございますでしょうか。それぞれお答えいただきたいと思います。
  65. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 私、四十五分に出なきゃなりませんので、先にお答えさしていただきます。  死体解剖保存法においては、医学部の解剖学の教授や事前に保健所長の許可を受けた場合などには御遺体の解剖を行うことができるとされているが、この場合の解剖とは、身体の正常な構造を明らかにすることを目的として行われる解剖、正常解剖、病死の原因などを把握するために行われる解剖、病理解剖というものでございます。  御遺体を用いた内視鏡外科手術等の訓練は、正常解剖、病理解剖のいずれにも該当しないため、死体解剖保存法に規定する解剖と解することは困難であると、こういう法律的な規制があると思っております。
  66. 大塚耕平

    大塚耕平君 ということは、死体解剖保存法に照らすと今はつくれないということですか。
  67. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) カダバー、死体によってそういう訓練を行うことはできないという理解をいたしております。
  68. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、そういうふうに私も聞いていましたが、死体解剖保存法に照らせばそういう解釈ということかもしれませんが、このカダバーを使ってトレーニングをすることは、それでは今だれかがやっていたとしたらそれは違法だということになりますか、厚生労働省の所管の法律で言うと。
  69. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 死体解剖保存法からいきますと、他のルールの適用があるかどうかは別として、この法律で解剖というものはこれに二つに限られておりますので、多分違法になるんだろうなと思いますけれども、これ法律的解釈ちょっと私まだ正確ではございませんので、また改めて正式に御報告させていただきます。
  70. 大塚耕平

    大塚耕平君 文科省と法務大臣にはこの後ちょっとお答えいただきますけれども、その今の大臣の御答弁は、三年前、あるいはたしか去年もお伺いしたと思うんですが、事務方の方から伺った答弁と、回答と変わりがないんですが。  ところが、実際は、平成十六年十二月八日に例えば昭和医科工業株式会社という先がクライアントであるお医者さんたちに通知を出して、翌年の一月にカダバーセミナーを行っているんですね。献体を使ってトレーニングをするという、そういうセミナーを行っているんですよ。それから、昨日から今日にかけて沖縄で実際に神戸整形外科セミナーというところのカダバートレーニングが行われている。それから、今年の八月には京都大学の側頭骨解剖実習室でこれから行われると、これは案内が出ています。  私は、これがまずいと言っているわけじゃなくて、誤解しないでくださいよ、私はサージカルトレーニングセンターが必要だと思っているんです。必要だから早くつくればいいと思っているんですが、にもかかわらず、法律的な制約があるといって説明を受けていたんですね。ところが、そうこうしているうちに、もう現場は行政のその対応を待っていられないからこうやって先に実態が進んじゃうわけですよ。  そこで、法務大臣にちょっと先にお伺いしたいんですが、事務方の方からは、私これ聞いたときには刑法の死体損壊罪になると言われたんですよ。これは本当ですか。
  71. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 刑法に百九十条というのがございまして、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。」と定められているところでございまして、そのような場合にはこの死体損壊等の罪の成否が問題になると思います。  なお、法令に基づいて死体の解剖等が許される場合もあると思います。また、正当行為とか違法性阻却事由に該当して、そういう場合もあると思いますが、いずれにしても犯罪の成否というのは個別具体の事案において収集された証拠に基づいて決せられると、判断されるということでございますので、一概に先生のおっしゃったようなことがどうこうということは申し上げられないと思いますが。
  72. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、私はなるべく国会の場というのは、今日はもう両大臣にわざわざおいでいただいたんですから、ここで決まることはここで決めていくのが国会だと思っているんですよ。  だから、サージカルトレーニングセンターについては、例えば厚生労働省の死体解剖保存法、法務省所管の刑法に関して、このお医者さんたちの技術トレーニングに関する部分については、もしこの法律が解釈上障害があるとしたら、それは障害がないような要件等を決めてこれから速やかに対応するというふうにこの場でもし即答していただければこれで一歩前進になるんですけれども、これやるのにまた三年も四年も掛かっていると、もう中国や韓国にもそういうセンターができて、日本のお医者さんたちはお金払ってわざわざ海外まで行ってトレーニングして帰ってきているんです。これで本当に国民に安心のできる医療を提供できているのかというと、私はできていないと思います。例えば、御自分が手術台に乗ったときに、私のこの手術は先生何例目ですかって聞いたら、にこっと笑われて、いや、あなたが初めてですって言われたら、これ怖くて手術受けられないですよね。  だから、もう一度両大臣にお伺いします。川崎大臣はもう四十五分お時間だと聞いていますので、もう一回だけお答えいただきたいんですが、これ、できる方向で速やかに検討をするべき問題だと思うかどうかということについて御回答いただきたいと思います。
  73. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 要は、解剖ということになれば正常解剖と病理解剖、この二つだけであると、この法律からすれば基本的に内視鏡手術等を当てはめるわけにはいかないというのが私の先ほどの答弁ですね。  じゃ、新しい法を作ったら、それによって死体損壊罪ですか、それをクリアすることができるのかと、こういう御下問ですね。これ、ちょっと法制局的に詰めてみないと分かりません。勉強はします。
  74. 大塚耕平

    大塚耕平君 法務大臣、もしよろしければ。
  75. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 法務省の所管の法律で解剖が行われる場合というのは司法解剖というのがあります。刑事訴訟法に基づいて行われる司法解剖ですが、これは裁判所の令状をもらってやるということでございまして、ですから先生のおっしゃるようなことが法令に基づいてできるように仕組むということは決して不可能ではないと思いますが、これは国会でお決めになることでございます。  他省庁でもいろいろ、私ども知っている限りでは、文科省の方お見えになっているかどうか分かりませんが、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律というのがございまして、これは文科省の所管なんですが、これはどの程度のことができるのか私どもとしてはよく存じ上げませんが、大学なんかでは遺体解剖を学生に立ち会わせてやって、私は司法修習生で死体の解剖立ち会ったことあるんですけれども、これは司法解剖をやる際に修習生を立ち会わせて、自分がやったわけじゃありません、お医者さんがなさっているのを見たということありますが、大学なんかでは学生のためにやっているんじゃないでしょうかね。先生の、どういう根拠に基づくものかよく存じませんが、と思いますけれども。ただ、お医者さんができるかできないかは私、詳しいことはよく分かりません。
  76. 大塚耕平

    大塚耕平君 先に文科省に代わって私が今の法務大臣の御質問的な御発言に回答して、間違っていたら文科省答えてください。  文科省にお伺いしたら、医学、歯学教育のための献体に関する法律というのは、これは医学の進歩のためであれば献体を解剖に利用していいって書いてあるもんですから、当然技術を身に付けるためであれば医学の進歩なんでいいんだろうなと聞きましたら、事務方の方は何ておっしゃっていたかというと、これは医学部、歯学部の教育のためであって、学部生であって、現役のお医者さんじゃないというふうに言われたんですが、文科省、そういう理解でよろしいでしょうか。それとも、そうじゃなくて、この法律上は現役のお医者さんもカダバーを使ってトレーニングをするということは問題ないという理解でよろしいでしょうか。
  77. 石川明

    政府参考人(石川明君) 献体法関係のお尋ねでございますけれども、献体法につきましては基本的には遺族の承諾、その解剖をするような場合に遺族の承諾を改めて得る必要がないというところにその主眼があるわけでございまして、解剖をこういう場合にしていいとかしてよくないとか、あるいはこういう要件が必要であるということを定めた法律ではございません。そしてまた、この目的は第一条にございますように、基本的には医学、歯学の教育の向上に資することを目的とするという趣旨のものでございます。
  78. 大塚耕平

    大塚耕平君 今日は理事に風間先生もおられますし、中原先生も歯科医師でいらっしゃるんですが、こういうことなんですよね。  サージカルトレーニングセンターなんて別に国民にとって何のマイナスもないことなんですが、もう三年も前から文科省と法務省と厚労省にお話を聞いていても前に進まない結果、海外でトレーニングセンターが先にできて、アメリカに至ってはもう随分前からやっていますけれども、日本のお医者さんはわざわざ海外に出ていってトレーニングすると。これは、総合機構で薬や材料が遅れるだけじゃなくて、日本のお医者さんは手先も器用で手術もうまいとか言われていたのが、技術までひょっとすると劣化していってしまうかもしれないということですから、これは今後、関係省庁は私たちの法律は関係ないなんて思わないで、なるべく横の連絡を取って少し検討し始めていただきたいというか、速やかにやってほしいんですが、さもなければ、そうすると、昭和医科工業株式会社が平成十六年の年末に告知を出して十七年に実際に行われたカダバーセミナーや、昨日から今日にかけて沖縄で行われている神戸整形外科セミナーとか、八月に京大がやろうとしているセミナーは、これ死体損壊罪ですかということになっちゃいますよ。行政が手をこまねいているから、現場のお医者さんたちは待てないからもうどんどんやっているわけですよ。  今日は経産省にも来ていただいていますが、カダバーは部位をアメリカから輸入していると思いますが、これは経産省と財務省にお伺いしますが、どういう品目として輸入しているんですか。通関上は何か問題がありますか。
  79. 押田努

    政府参考人(押田努君) 現在、カダバーの輸出入に関する外国為替及び外国貿易法上、制約はございません。
  80. 青山幸恭

    政府参考人(青山幸恭君) 同じことでございますが、カダバー、解剖死体の輸出入に関しましては関税法上の制約はございません。
  81. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、その結果、日本人の治療をやるんだったらやはり日本人の献体を使ってトレーニングするのがいいと思うんです。例えば、私だって許されれば、別に自分が死んだらどうぞという気持ちはありますが、日本ではそれができないからアメリカの方の部位を輸入してやったりするわけですね。こんな不自然なことはないですよね。でも経産省と財務省は問題ないと言ったわけですから、あとは法務省と厚労省と文科省の問題ですよ。これを何年も放置するようではとても国民の医療のことを考えてやっているとは到底思えない。  今日ここですぐ結論が出ればいいですけど、これは私も引き続きずっとフォローをさせていただこうと思っておりますが、実はなぜこんなことを申し上げているかと言うと、今日は与党の先生方も熱心に聞いてくださっているので提案したいのは、アメリカなんかでは、カダバーとして提供して私の体を医療技術に使ってくださいということになりますと、例えばそれを引き受けた医療機関が最後お葬式まで全部やって、あなたは医療技術の発展のために貢献したといって記念のプレートに墓碑として出て、つまり家族は全然お葬式代とかなんか要らないんですよ。かつ永遠にプレートに名前が残るということで、州によってはダイイングプランというのを作っていて、ちゃんと生前に選択してくださいと。普通の葬式をやって普通に埋葬するのを選ぶか、それか献体として使っていただいてちゃんと遺族に返すか、あるいは、もう最後の処理まで含めて全部お任せするから、遺族には迷惑掛からないようにプレートに名前を刻んで私を永遠にメモリーしてくださいという、それ選択することを求めている州まであってですね。  これは少子高齢化が進む中で、一人っ子同士結婚すると親四人いるんですよね。これ大変なことなんですけれども、別に葬式代を節約しろと言っているわけではないんですが、やはりこういうところの対応の遅さ、遅れというのも様々な付随的な問題を派生させていくというふうに私は思って、今日こうやって質問をさせていただいているわけでありますが。  もちろんこの問題は、最大の所管官庁は厚生労働省でございますので、今日は参考人何人か残っていただいていると思いますが、厚生労働省として、このサージカルトレーニングセンターについて、日本でも前向きにこれが建設できるように速やかに省内で検討するということで、所管外の方かもしれませんけれども、それで問題なさそうだということについて、少しコメントをいただけると有り難いと思います。
  82. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 委員指摘のように、お亡くなりになりました方の御遺体によりまして医師が内視鏡外科手術等の技術を訓練するということは、医療技術や医療安全の向上に資する可能性があるものだというふうに考えております。  ただ、一方で、あえて御遺体を訓練に用いることが本当に必要なのか、現在シミュレーターやあるいは動物を用いた教育というものもありますので、そうしたことも踏まえて考えていく必要があるというふうに考えております。
  83. 大塚耕平

    大塚耕平君 僕は霞が関の皆さんはそれぞれの分野の専門家だと思って、ある意味尊敬もしている部分もあるんですけれども、今の問題なんかは素人の私たちが考えたって必要だということは分かりますよ。必要だけれども、それが何か問題に発展しないようにいろんなケーススタディーをして予防策を講じるのはいいですけれども、今の御答弁では、必要かどうかフィフティー・フィフティーだという御答弁ですけれども、必要だというのはもう一〇〇%必要ですよ。問題は、何か他の問題が起きないようにいろいろと配慮をするということぐらいであって、だから、そういう御答弁しているようでは厚生労働省に医療を任せることはできないと思いますが、もう一回答弁してください。やることについては問題ないですね。
  84. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 先ほど大臣からも法制局的に詰めてみる必要があるという御答弁をいたしました。私どもも大臣の御答弁も踏まえまして必要な検討をしたいというふうに思います。
  85. 大塚耕平

    大塚耕平君 もうこれでやめますけれども、そういうことだとすると、新しい技術や材料が開発されたときには、最初の症例として手術をしてもらうのは全部厚生労働省の人にしてもらわないと、国民は困っちゃいますよね。  今厚生労働委員会で医療制度改革法案が審議されておりますが、私が今日申し上げたかったのは、どうもこの数年、平成十四年のマイナス改定、診療報酬のマイナス改定以来、財政の問題イコール医療問題というふうに国民の皆さんに伝わっているような気がいたしますが、医療問題というのは財政の問題じゃないんですよ。国民の皆さんに安全な医療を提供できるかどうかということですので、総合機構の問題もサージカルトレーニングセンターの問題も、今後もしっかりとこちらも検討させていただきますので、関係省庁におかれては是非、御自分もいずれその身になるかもしれないということをお考えになって御対応していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  86. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  本日は国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律とその運用についてお伺いをさせていただきます。  選挙は言うまでもなく民主主義を支える屋台骨であります。この制度を維持し、適正かつ適切に執行されるべきであるということは言うまでもありません。しかし、その費用が幾ら掛かったということが選挙のたびに報道されます。その論調は、昨今の納税者の厳しい視線から、そんなに掛かるのかというものが多く見られます。そのような世論、また有権者、納税者の率直な実感に対し、どのような根拠でどれだけの費用が掛かっているのかを明確にしておくことが説明責任の観点から重要であると考えております。  そこで、まずお伺いをさせていただきます。  国政選挙の執行経費については、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に基づき、国から地方公共団体に委託費として交付されておりますが、その予算規模はどの程度のものなのでしょうか、予算額をお答えください。
  87. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 昨年の九月に執行されました衆議院議員総選挙におけます地方公共団体に対する選挙執行委託費、これは約六百九十八億三千八百万円が予算計上されております。また、一昨年、平成十六年の七月に執行されております参議院議員通常選挙におけます地方公共団体への選挙執行委託費、これは約五百六十九億八千万円が予算計上されておりました。
  88. 浮島とも子

    浮島とも子君 この選挙執行として委託する事務は公職選挙法に定められた事柄となります。それには投票、開票、ポスター掲示等の様々な事務がございます。今、御答弁いただきました予算額はどのような事務を考慮して計上しているのでしょうか。この委託する事務として計上されているものについてお答えいただきたいと思います。
  89. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 先ほど御答弁申し上げました執行経費基準法で算定しております経費、これは二十種類、二十項目にわたっております。その主なものを申し上げますと、まず、投開票所の事務に従事する職員の超過勤務手当などの投開票所に関する、要する経費、それから選挙公報の発行に要する経費、あるいは候補者のポスターを掲示するための掲示場の設置、撤去などに関する、要する経費といったような各選挙管理委員会が選挙を執行する上で必要とする経費、まずこれがございます。そのほかにも選挙公営、例えば政見放送公営費及び経歴放送公営費、あるいは選挙運動用自動車使用公営費、通常葉書作成公営費、ビラ作成公営費といった選挙公営費などがこの内訳になってございます。
  90. 浮島とも子

    浮島とも子君 国民の皆さんにとって選挙といえば真っ先に投票を思い浮かべると思いますけれども、今御答弁いただいたこの投票所経費の予算規模はどの程度なのでしょうか。また内容はどのような経費を見込んでいるのか、お伺いをいたします。
  91. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 昨年の九月に執行されました衆議院議員総選挙における地方公共団体委託費のうち、お尋ねの投票所経費につきましては、選挙執行の基準経費として約二百三十九億八千四百万円を計上しておりました。また、平成十六年七月に執行されました参議院議員通常選挙におきましては約二百六億八千万円を計上いたしております。  そこで、この投票所経費の基準として計上しております経費の内容でございますけれども、例えば投票管理者や投票立会人に対する費用弁償、あるいは投票事務に従事する職員の超過勤務手当、投票所施設の管理を行う者などに対する手当、投票事務、投票状況報告に要する通信費、それから市区町村役場から投票所に投票箱や投票記載台、表札等を搬送するための運搬費などを見込んでおります。とりわけ、この投票事務に従事する職員の超過勤務手当がかなりの部分、八割といいますか、そういった割合を占めております。
  92. 浮島とも子

    浮島とも子君 投票所経費には人件費や物件費など様々な経費が積まれるという今の御答弁だと思いますけれども、この人件費、この人件費についてですが、投票事務に従事する職員は朝の七時から夜の八時までの投票時間だけではなく、準備、そして後片付けなどその前後も含めて長時間の勤務になり、その分出費も多くなると思います。  今日、お手元の方に資料を配付させていただきましたけれども、この人件費については投票管理者費用弁償、投票立会人費用弁償、超過勤務手当、そして嘱託手当、労務賃などについて記載がされております。この表で一人当たりの単価、そして団体の人口ごとの投票所の人数の基準が決められておりますけれども、これらのうち地方公共団体の職員の超過勤務手当について申しますと、平日、休日、投票日、投票日前日の三つに分けられ、またその中でも区、市、町村と分かれておりますが、単価は同じであります。  参議院の表で申し上げさせていただきますけれども、平日が一万七千百十円、休日が三万九千四百二十一円、これは日額でありますけれども、投票日前日と投票日が二千四百六十四円、これは時給でございます。これに各地方公共団体人口ごとに区分して設定された投票所の人数を掛けて積算することとなっております。  そこでお伺いをさせていただきたいんですけれども、この超過勤務手当の単価は具体的にどのような積算をして予算額を算出しているのでしょうか。
  93. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 投票所経費に係ります超過勤務手当の一人当たりの積算方法でございますけれども、投票所事務従事者の超過勤務時間を、投票日の前日につきましては一時間、そして投票日につきましては、これは休日と平日と分かれておりますけれども、休日の場合、これは事前準備及び後始末などを含めまして午前六時から午後十時までの十六時間としておりまして、この超過勤務時間に一時間当たりの単価を乗じて得た額となっております。  そこで、この現行の当該一時間当たりの単価でございますけれども、執行経費基準法が直近で改正されたのが平成十三年でございますが、平成十三年の改正の直近の平成十二年度の地方財政計画、これにおけます一般職員の一人当たり給料年額、これを基礎といたしまして、年間の勤務時間を五十二週掛け四十時間の二千八十時間と計算をいたしまして、その時間数で除した一時間当たりの給料単価を用いております。ちなみに、市区町村の場合は千八百二十五・〇三円というふうになってございます。
  94. 浮島とも子

    浮島とも子君 ここで一点確認をさせていただきたいんですけれども、超過勤務手当の積算は、地方財政計画をベースとした平均給与年額を時給に換算し、それに割増し率の百分の百二十五や百分の百三十五を掛けて超過勤務単価を算出しているという今趣旨の御答弁だったかと思うんですけれども、その前提と申しますか、想定していることは、総務省では国全体の地方公務員の平均から超過勤務単価を算出する、言わばマクロから算出をしている。それに対して、実際の地方の公共団体では個々人の俸給単価に割増し率の百分の百二十五や百分の百三十五を掛けて超過勤務単価を算出しているであろうから、それを積み上げていけば国全体のマクロで算出した金額と同じくらいになるという、このような見込みの下で計算をされているということでよろしいのでしょうか。  つまり、地方では通常の超過勤務の算出方法と同じ方法で手当額が計算されていることを想定して積算をされているということでよろしいのか、確認をさせていただきたいと思います。
  95. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 執行経費の基準法というのは、地方公共団体選挙管理委員会が国の選挙、これを委託事業として行うということですから、それに要する経費は国が一〇〇%当然責任を持って負担する。これは地方財政法、そして公職選挙法にもそうした趣旨の規定がございますけれども。  今、委員御質問のように、実際の私どものこの法律で積算をいたします積算のやり方というのと現実に地方公共団体が超過勤務手当を算出する場合とは完全に一致してこれはいないケースもあろうかと思いますけれども、私どもとしては、何といいますか、具体の、個々の計算の仕方が違っていても、事前に地方公共団体が、ああ、この選挙であれば自分たちはこれだけの経費が保障といいますか、国から委託費として来るねというのを前もって明らかにさせるという意味はございますので、多少の入り繰りというのはこれはあろうかと思いますが、完全に同じ計算の方法ではないと思います。
  96. 浮島とも子

    浮島とも子君 このことについてはもう一度後で違う角度からちょっと質問をさせていただきたいと思います。  次に、この基準法で算定されている委託費についてですけれども、その性格が通常の補助金や交付金とは若干異なっていると伺っております。この地方公共団体に支出される委託費とはどのような性格の委託費なのか、お伺いをいたします。
  97. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、基準法、これは昭和二十五年にできた法律でございますけれども、公職選挙法では第二百六十三条という規定がございまして、「衆議院議員又は参議院議員の選挙に関する次に掲げる費用」、これは投票経費とかいろいろ書いてありますけれども、「は、国庫の負担とする。」という規定がまずございます。  それからまた、地方財政法、これは経費の負担区分を書いた法律でございますけれども、この第十条の四という条文では、専ら国の利害に関係ある事務を行うために要する次の経費は地方公共団体はその経費を負担する義務を負わないとなっておりまして、その中に国会議員の選挙ということが書いてありまして、国のこれは選挙であるから、その執行を都道府県や市区町村の選挙管理委員会に委託して行っていただいているという性格の経費であるということで、要した経費は一〇〇%国が見るんだという思想の下でできた法律でございまして、国がそういうことで負担すべき経費の額につきまして、一定の基準額でございますね、これは基準法に基づいた、先ほど委員がお配りになった資料にも出ておりますけれども、こういう形で一定の基準額を決定をいたしまして、地方公共団体自らが国が交付する額、これを法の定めるところによって算定し得るということがございます。そして、これに応じた事務の執行計画を選挙管理委員会で樹立をして、そして選挙事務の円滑な執行を図るとともに地方公共団体の財政不安をも除こうという、そういった趣旨に基づく委託費でございます。  地方公共団体の支出が選挙事務の種類ごとにこの基準法に定める基準額によってなされなければならないというようなものではないと。計上してあるんでそのとおりやりなさいという、そういう性格の法律ではございませんで、選挙事務を適法にかつ適正に処理するためには当該地方公共団体に交付された総額の範囲内で融通して補っていくと、それぞれの経費間でですね、これは認められているというふうに解されております。
  98. 浮島とも子

    浮島とも子君 この委託費についてですけれども、これまで三年ごとの見直しがされているとお伺いをしております。この見直しの際に関してはどのような事柄を考慮して見直しをされているのでしょうか。今までの改正経緯についてお伺いをさせてください。
  99. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 御指摘のように、この法律、性格上、賃金等の上昇でございますとか、旅客運賃あるいは電信電話料の改定等物価の変動でございますけれども、こうした経済的な諸事情の変化に応じて基準額の改定が行われておりまして、原則として三年ごとの参議院議員の通常選挙が行われます際に、こうした物価変動等の要素に基づく改正というのを行っております。  ただ、前回、平成十六年参議院議員通常選挙がございましたけれども、このときには物価の変動というのがほとんど変わらなかったということで実は法改正というのは見送っておるということでございまして、直近のこうした要素につきましては平成十三年の時点での要素が盛り込まれているわけでございます。  それから、今のが金額の関係、物価変動の関係でございますけれども、そのほかにも、公職選挙法などの制度改正というのがございましたときに新たに措置することが必要となる経費というのが出てくることがございます。  例えば、期日前投票制度が導入されたと。これは平成十五年でございますけれども、このときに期日前投票所経費というのを創設をしております。それからまた、参議院議員の非拘束名簿式比例代表、これが導入されたときにもそれに伴う開票所経費の増額ということを行っておりますし、あるいは投票時間の延長というのが平成九年にございましたけれども、このときもそれに伴う投票所経費の増といったようなことを盛り込むという形での、何といいますか、制度改正に伴う改正というのも必要が生じたときには行っているというのがこれまでの改正経緯でございます。
  100. 浮島とも子

    浮島とも子君 次に、選挙執行経費の執行の在り方についてお伺いをさせていただきたいと思います。  選挙事務に従事するために支払われる手当を含め、給与、手当については給与条例主義に基づき条例でその支給方法等が明確に規定されるのが通例かと思います。その上で地方議会に諮られ、説明責任が担保されるべきであると考えております。しかし、一部の団体では、この選挙事務の手当が条例上明確ではなく、職員組合との協議で計算方法や額が決定されているという事例もあると伺っております。  選挙執行経費に係る市町村の執行の在り方について総務省はどのような見解をお持ちか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  101. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) まず、執行経費の基準法の性格といいますか、これは先ほども御質問があって答弁いたしましたが、選挙事務の種類ごとに基準を設けているということでございまして、地方公共団体の支出が厳密にその種類ごとの基準額によってなされなければならない、この基準どおりに執行されなければならないという、そういうものではございません。そして、選挙事務を適法にかつ適正に処理するために、当該地方公共団体に交付された総額の範囲内で融通して補うことができるということも可能であるというふうに解されております。  そこで、ただいま委員御質問にありましたような不明朗なといいますか、不明確な、そういった形での人件費の支出というのがあるのではないかと、こういった観点からのお尋ねだと思いますけれども、私どもといたしましては、これまでも選挙執行経費の支出につきまして、従来の慣行にとらわれずに合理化をしていくところは合理化していく、そういった形での経費の適切かつ効率的な使用に努めるということを強く求めておりますし、また御質問にあったような条例上措置しなければならない、そういった給与、人件費等の条例主義というのがございますけれども、そういったことを守っていただくというのはある意味では当然の前提であろうというふうにも考えておりまして、選挙執行経費に係る人件費の支出手続等につきまして、条例で支給方法を明確に定めるなどによる対住民に対しての一層の透明性、説明責任、これを果たしていただくように私ども指導といいますか、助言をしてまいったつもりでございますし、今からもそういうことは徹底してまいりたいと考えております。
  102. 浮島とも子

    浮島とも子君 条例上明確な規定がなされるように、またしっかりと各団体に御協力をいただけるよう周知徹底をお願いしたいと思います。  それでは、もう一点ここで確認をさせていただきたいんですけれども、先ほどの超過勤務手当についての積算の方法についてちょっともう一点確認をさせていただきたいんですけれども、全く一致するわけではないと先ほど御答弁をいただいたと思うんですけれども、積算は通常の超過勤務の計算に準じて行っているという理解で、認識でよろしいのでしょうか。
  103. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) そのとおりでございます。
  104. 浮島とも子

    浮島とも子君 それでは、職員の超過勤務手当について、通常の超過勤務手当の支給方法に準じて積算をしていると言っていただいたんですけれども、地方公共団体の現場での支給額の決定は、地方公共団体の判断において多様なやり方で行われているということを伺っております。  私が聞いた範囲で申しますと、四つの方法がございます。まず一つは、通常の超過勤務として個々人の俸給単価をベースにして算出する方法、そして二つ目として、団体全職員の平均単価を算出し、そこから平均超過勤務単価を算出して、それを一律支給する方法、そして三つ目としては、選挙事務に従事する職員の平均単価を出し、そこから平均超過勤務単価を出して、それを一律支給をするという方法、そして最後に、選挙事務手当として定額を定め一律に支給する方法と、四つあると聞いてもおります。  この支給方法ですが、地方公共団体の自主性の中で見直しをすることができるのではないかと考えております。例えば、今まで全職員の平均単価で行っていましたけれども、別の計算方法計算をしてみたら経費が削減されたりするという場合もあるのではないかと思います。  昨今の厳しい財政状況の中から、地方公共団体では、経費削減のため自主的に様々な取組がなされていると聞いてもおります。例えば、選挙手当の削減のために、従事する職員が手当かあるいは代休かを選択するようにしたり、投開票事務に守秘義務を周知徹底した上でアルバイトを活用したり、また開票事務の徹底的な効率化により、開票時間を早めて超過勤務時間を圧縮するなどという取組があると伺っております。  この超過勤務手当の計算方法やその他の選挙事務について、地方公共団体が自主的に効率化の努力をし、費用の削減をしていくことについて、総務省としてはどのような御見解をお持ちか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  105. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) まず、私どもといたしましては、国政選挙、総選挙、通常選挙でございますけれども、その選挙が行われますその際、説明会を開催をいたしましたり各種の通知、これを発出をいたしまして、執行経費の支出について、合理化の見地から経費の適切かつ効率的な使用というのを強く求めております。  平成十七年九月、昨年の衆議院議員総選挙におきましても、各選挙管理委員会において御指摘にありますようなそれぞれの工夫をする中で、計数器等を導入して開票時間を短縮をするとか、あるいは投開票事務のマニュアル化によって作業効率を向上させるといったような様々な取組努力というのがなされているものと私ども理解をしております。  各選挙管理委員会におきましては、投票の秘密の確保、あるいは投票用紙の交付誤りの防止、それから速やかな開票速報を行うといった選挙の適正かつ迅速な執行に支障が生じないように留意する、これはもう言うまでもないと申しますか、これは最も重要なことでございますけれども、そういうことが、言うまでもなくでございますけれども、併せて御指摘のありますような選挙執行経費の適切かつ効率的な取組、これにも努めていただきたいというふうに考えておりまして、今後ともそうした見地からの助言、これを行っていきたいと考えております。
  106. 浮島とも子

    浮島とも子君 初めにも述べさせていただきましたけれども、選挙は民主主義の屋台骨を支える大事な制度であります。その執行に際しては、透明性を高め、そして有権者、納税者の皆様に対する説明責任を果たしていくことが必要かつ大事であると考えます。  当然、国の事務を地方公共団体に執行委託、お願いしてやっていただいている事務でありますので、その地方公共団体の事務に支障がないよう配慮をしていくのは当然でございます。  最後になりますけれども、今後の基準法の見直しに向けた総務省の決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  107. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) ただいま御質疑、御質問をいただいております選挙執行経費、これは定期的に見直していくということがやはり必要であると考えております。  地方公共団体の委託費の基準となるこの基準法、これまでも原則として、先ほども御答弁申し上げましたが、参議院議員の通常選挙のある年に、給与改定や物価の変動等を勘案して基本的な基準額の見直しを行ってまいりました。  前回、平成十六年のときには、これは物価変動はほぼなかったということで行っておりませんけれども、来年は参議院議員通常選挙の年でございます。私どもといたしましては、この地方公共団体における執行状況、今日御指摘もあったところも踏まえて、必要があれば実態調査、これを行ってまいりたいと思いますし、そういうことを積み重ねて、来年の参議院議員通常選挙、これに向けて適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
  108. 浮島とも子

    浮島とも子君 今、御答弁いただきましたけれども、執行状況を踏まえながら、また実態をしっかり把握していくというふうに受け取らしていただきまして、実情をしっかり調査していただけるものと受け取らしていただきたいと思います。  また、今回は本当は大臣の方に御答弁をいただきたかったんですけれども、時間上の都合が付かないということで、次回、またこの件については質問、大臣の方にもさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。    〔委員長退席、理事風間昶君着席〕
  109. 風間昶

    ○理事(風間昶君) 速記、止めておいてください。    〔速記中止〕
  110. 風間昶

    ○理事(風間昶君) 速記を起こしてください。
  111. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私は、国際的な熱帯林など、違法伐採の問題について質問をさせていただきたいと思います。  国連が公表いたしました世界の森林白書、これによりますと、データは少し古いんですが、八〇年から九〇年、この十年間で日本の国土面積の約四倍に相当する熱帯林、一億五千四百万ヘクタール、これが消滅をしたと、こういうふうに言われております。日本は、OECDの中で、つまり先進国の中でも有数の森林国であるにもかかわらず、木材の輸入率が、八割は外国から輸入をしているということでございますが、国連のデータ等を見ましても、日本の輸入木材の二割強は違法伐採によるものではないか、一説によりますと半分ぐらいは違法伐採によるものではないかと、こういうふうに言われております。  昨年の七月のイギリスのグレンイーグルズ・サミットで、伐採合法な木材を優先して使用する木材公共調達政策の奨励、これが採択をされました。やっとこれで事態は世界的に動き出したと、こういうふうに思っておりますが、私が国会に出させていただいてこれでもうじき二年になるんですが、この二年間だけでも、私が知る限り、南の方の国から四名ほど違法伐採を何とかしてもらいたいということで日本政府等に要請に来た人たちがおりましたし、さきの太平洋・島サミットでは、パプアニューギニアから、環境のノーベル賞と言われるゴールドマン環境賞を受賞したアン・カジールという女性の弁護士、この方が来日されまして、熱帯林の違法伐採を何とかしてもらいたいと、これを是非島サミットの場で議論をしてもらいたい、こういう訴えに来られました。この問題は、この間何度もこの国会でも議論されるわけでございますけれども、やっと、さっきも言いましたように、林野庁が国の機関でせめて違法な伐採材を使用しない、この取組をスタートさせる、こういう動きをし出しました。  そこで、冒頭、改めての質問でございますが、なぜ国際的な違法伐採問題にこの国が取り組むのか、そして、違法伐採問題に関してこれまでどのような国際的な合意、言わば国際法上の根拠とでもいうんでしょうか、これが積み上げられてきたのか、お答えをいただきたいというふうに思います。これは林野庁と外務省。
  112. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答え申し上げます。  違法伐採の問題は正に地球的な規模での問題になっているわけでございます。累次のサミットにおきましてもこの問題は取り上げられておりまして、例えば二〇〇〇年の九州・沖縄サミットでも、輸出、調達に関する慣行を含め、違法伐採に対処する最善の方法についても検討するという旨が公表されております。  そういう意味で、国際的なそういう会議での合意として、持続可能な森林経営を確保していくという意味で地球的規模で取り組む必要があるということだというふうに認識しております。
  113. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 実際にどのような国際的な取組があるのかという御指摘については私どもからお答えを申し上げます。  違法伐採問題につきましては、一九九八年にイギリスにおいて開催されましたG8サミットにおきましてG8森林行動プログラムが策定されております。これ以降、G8サミットにおきましてこの問題は継続的に取り上げられてきておるわけであります。昨年のグレンイーグルズ・サミットでも、政府調達措置あるいは木材生産国支援等での取組を進めることで一致をしているところであります。  また、ITTA、インターナショナル・トロピカル・ティンバー・アグリーメントという国際熱帯木材協定の改定交渉におきましても、我が国は違法伐採対策の必要性を強く主張してきたところであります。その結果、合法的に伐採されました木材の貿易促進、違法伐採と関連貿易への対処といった考え方がこの国際熱帯木材協定に盛り込まれたところであります。  そのほかに、私どもの国としても、インドネシアと共同で、アジア森林パートナーシップ、AFP、エイジア・フォレスト・パートナーシップというものを二〇〇二年に立ち上げを行っております。アジアを中心としますパートナーの各国と、十七か国あるんですけれども、この各国と違法伐採対策に関する意見交換等の協力を推進してきているところであります。  以上です。
  114. 近藤正道

    ○近藤正道君 そういう枠組みの中で、やっと重い腰を上げて、政府調達の材木については合法材を使うという方向が打ち出され、グリーン購入法の枠組みの中で政府の調達措置が決められたということになるわけでございます。  そこで、その政策目的と見通し、効果をお伺いしたいというふうに思っております。聞くところによりますと、業界はこの措置の導入にかなり抵抗をしたという、こういう話も聞いておりますが、果たしてスムーズに政策効果がしっかりと上がるのかどうか、見通しをお伺いしたいと思います。
  115. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 環境省でございます。  この違法伐採対策につきましては、先ほど来ございますように、地球規模での環境保全、持続可能な森林経営の推進にとっては極めて重大な課題でございます。我が国としましても、この違法に伐採された木材は使用しないという基本的な考え方に立っているわけでございます。  このような考え方に基づきまして、平成十七年の七月に、先ほど来述べられておりますように、英国で開催されましたG8のグレンイーグルズ・サミットに向けて発表しました日本政府の気候変動イニシアチブにおきまして、我が国ではグリーン購入法を用いて、政府調達の対象を合法性、持続可能性が証明された木材とする措置を導入することを表明いたしました。これを受けて、国等におきまして、調達を推進する環境物品等の品目、判断の基準等を定めますグリーン購入法の基本方針を本年二月に改定、また閣議決定をさせていただきまして、紙類、文具類、オフィス家具等の機器類、公共工事に使う材料、例えば製材、集成材、合板等に関しまして、その原料となる木材が原産国の森林に関する法令に照らして合法に伐採されたものであることを判断の基準に盛り込んだところでございます。  政府といたしましては、この改定されました基本方針に基づきまして、今年度から合法性の確認された木材製品を調達していくこととしておりますが、国等の機関等におきましては、毎年度、これまでも多くの品目につきまして判断の基準を満たす物品等が九五%以上の高い割合で調達をされておりますことから、この今回の合法性の確認された木材製品におきましても同様に調達が進んでいくものと考えております。    〔理事風間昶君退席、委員長着席〕  また、政府が率先してこのように調達をするということに伴いまして、合法性が確認されたこの製品が順次市場に普及していくものと考えておるところでございます。
  116. 近藤正道

    ○近藤正道君 そういうふうになればと私も願わずにはいられないんですが。  地方自治体については、この合法木材の採用は努力義務という形になっているんですが、是非、政府に匹敵するような取組ができるようにするにはどうしたらいいのか、これをお答えいただきたいということが一つと。もう一つは、いずれにいたしましても、この合法木材を優先的に使うと、そのガイドラインを皆さん作ったわけでございますが、林野庁は作ったわけでございますが、このガイドラインによりますと、基本的に合法の証明は各事業者の自主性に任せると、こういうことになっているんです。  こういうことになりますと、果たしてちゃんとやってくれるかどうか、とりわけ木材の、丸太等はともかくとして、木材の製品等についてはちゃんとこれが守れるのかどうか、第三者がチェックしなくて大丈夫なのか、こういう疑問がいろんなところから出ているわけでございますが、この辺の疑問に対してどう答えて、きちっと着実にそのガイドラインの成果を達成されようとしているのか、見通しも含めてお聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。
  117. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) グリーン購入法におきましては、国並びに独立行政法人等に対しまして、これは物品等の調達に当たっては環境物品等を選択するように努めなければならないとしまして、さらに毎年度、環境物品等の調達の推進を図るための方針を作成して物品等の調達を行うことをこれを義務付けているところでございます。  先生指摘なされましたように、一方、地方公共団体につきましては、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるように努めるということで、また調達方針の作成も努力義務規定となっております。  しかしながら、本年二月にこのグリーン購入の基本方針を一部変更したことに伴いまして、全国でブロック説明会を開催して、地方公共団体に対しまして合法性の確認された木材製品を調達することについても説明を行っているところでございます。そのようなことから努力規定ではございますけれども、おおむね国等に準じて調達の推進が図られるものと考えております。  また、地方公共団体における取組に関しまして、循環型社会形成推進基本計画においては、計画目標年次であります平成二十二年度までにすべての、これはすべてのでございますが、すべての地方公共団体が組織的にグリーン購入を実施するようになることを目標に掲げているところでございます。  環境省としましては、この目標達成のために、従来から実施しているグリーン購入の説明会及び普及セミナーの開催に加えまして、地方公共団体が容易に取り組むことができるように今年度からはガイドラインを作成することとしております。  これらの取組を通じまして、地方公共団体が積極的にグリーン購入に取り組むように推進してまいりたいと考えております。  その国並びに地方公共団体がその方向に向かっていく中におきまして、その市場においても、先ほど来申しておりますように、この合法性が確認された製品が順次市場で評価されて使われるようになる、そのような方向を期待しているところでございます。
  118. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 林野庁といたしましても、このグリーン購入法に基づく購入が円滑に進みますように、この木材、木材製品の合法性、そしてまた持続可能性の証明のためのガイドラインということで同じく二月に策定をしておるところでございます。今後、このガイドラインに基づきまして調達がスムーズに行くように我が方としても努めるわけでございます。  ただ、今後も、これはまだまだこういったやり方が緒に就いたばかりでございますので、今後もこのフォローアップといいますか、それをすることが断然として必要だというふうに思っております。そのためにも、木材関連団体あるいは環境保護団体、学識経験者等で構成されます協議会、こういうものを開催いたしまして、木材、木材製品分野におきます関係者の取組状況、これを十分検討する、検証する、それからさらに実効性が高いものとなるように必要な見直しを今後は行っていくということでしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  119. 近藤正道

    ○近藤正道君 一般論としては分かるんですけれども、結局業者の自主性に任せるということなんですよね。それではやっぱり信頼性が担保されないではないか。ある程度第三者における検証、そういうものを盛り込まないとまずいんではないか、そういう声がやっぱり圧倒的に多いわけですよ。ですから、制度のスタート時点ですから余りそれ以上強くは言いませんが、今後場合によっては第三者による検証、こういうこともやっぱり盛り込む、そういう見直しもあり得るということはお認めになられますでしょうか。
  120. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正にスタートを切ったばかりでございますので、今後具体的にどういうやり方をして検証を進め更に実効性が高いものとなるように努力するかということはまだ現在白紙でございますが、少なくともこのガイドラインの中にも、今申し上げましたように、木材関連団体、それから環境団体、それからまた学識経験者等第三者的な意見も十分反映されるような協議会というものをビルトインしておりますので、ここでの審議をまず十分行ってまいりたいというふうに思っております。
  121. 近藤正道

    ○近藤正道君 冒頭、外務大臣も申されておりましたけれども、政府はインドネシアとの間で二国間の違法伐採をチェックする、そういうシステム、こういうものをつくり上げているわけでございます。これを、インドネシアのみならず、今のパプアニューギニアだとか、あるいはいろいろ、二割も違法伐採があるんではないかというふうに言われておりますロシアとか、その他の国々へも拡大する意向があるかどうか。  そしてまた、このことについてはNGOが非常に積極的に追跡調査等をやっているわけでございますが、NGOとの連携強化でこの違法伐採の追跡、摘発、この言わば精度を上げることが私は非常に大事ではないか、こんなふうに思っておりますが、この辺についてはどういう見解をお持ちでしょうか。
  122. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この違法伐採問題を取り組むには、正に木材の追及システム、これが極めて肝要でございます。そして、まずスタートといたしまして日本とインドネシアの間でこの木材の履歴追跡をいかに信頼性を持って進めるかということでの技術開発を進めようということで今開始をしたところでございます。  この成果をもってさらに他の国にも当然今後は考えていかなくちゃならないと思っておりますけれども、取りあえずはこのインドネシアでの実態調査、あるいは適切な情報ツールの検討、そういったものを含めて実証調査が今年度から開始されますので、その成果を踏まえて今後とも対応していきたいというふうに思っております。
  123. 近藤正道

    ○近藤正道君 それと、NGOの人たちと話をいたしますと、今アジア地域、ここから言わば熱帯林の違法伐採が猛烈にやられているわけでございますが、このアジア地域には、アジア森林パートナーシップ、AFPという、こういう多国間協議の場と、もう一つ、森林法施行に関する東アジア会議というのと二つあるそうでございます。前者についてはこれは日本がお金も出してつくり上げた会議であると、後者の方はこれは国連が主導でつくり上げた制度と。日本の場合は前者の方には非常に足しげく参加をするんだけれども、後者の方には余り参加がないと。実は、違法伐採を正に正面から見据えて論議する場所というのはこの後者、つまり森林法施行に関する東アジア会議なのに、そしてここには様々な地域の人たち、そして先住民族も出てきて正に違法伐採を中心的に議論する場所であるにもかかわらず、ここに日本が出てこないというのは非常にやっぱりおかしいと、こういう声をたくさん聞くわけでございます。  自分たちで金を出してつくり上げたところに出たい、そうでないところには余り行かないというのは分からぬわけでもありませんけれども、是非違法伐採についてサミットの場でも、そしてあらゆる場で今正に中心議題としてなっている、こういう時代状況を見据えれば、この森林法施行に関する東アジア会議、違法伐採を正面から問題にする先住民をも中心に据えた会議の場に是非私は出るべきではないか。  外務省と林野庁、双方にお聞きをしたいと、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  124. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) ただいま委員指摘の森林法施行に関する東アジア会議、これEFLEGと略して言わせていただきます。フォレスト・ロー・エンフォースメント・アンド・ガバメント・イン・イースト・エイジア、この会議は二〇〇一年九月にインドネシアにおいて閣僚会合が開催されております。我が国からは朝海地球環境問題等担当大使を団長といたします政府代表団が参加しておるところであります。  ところで、この会議は二〇〇一年以降、閣僚レベルの会合は開催されておりません。他方、専門家レベルのタスクフォースの会合、ワークショップは合計七回開催されているところでありまして、うち五回につきまして関係省庁から専門家が出席しているというふうに承知をしております。  ただいまのこの会議、EFLEG閣僚会合は、アジアのみならず主要な木材生産国や消費国の政府あるいはNGO、そしてまた国際機関等が一堂に会する有意義な政策対話の場であると、このように認識しているところであります。したがいまして、今後とも我が国としてはEFLEG閣僚会合には積極的に参加していきたいと、このように考えておるところでありますし、専門家レベルの会合につきましても関係省庁が引き続き参加していく方針であると、このように承知しておるところであります。
  125. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この森林法の施行に関する東アジア会議でございますが、私ども林野庁もこれは非常に有意義な集まりだというふうに思っております。これまでも参加をしてまいりましたし、今後とも積極的に参加をしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  126. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間です。終わります。
  127. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  私は、生活保護の急迫性と申請権侵害について御質問をいたします。  資料を配っていただきたいと思いますが、お手元に後ほど届きますけれども、その資料の冒頭に三枚、新聞記事をお配りをいたします。  五月の二十三日に北九州市門司区の市営住宅で五十六歳の男性がミイラ化した遺体で発見されました。二枚目の西日本新聞の記事にございますが、警察によりますと、栄養失調による併発も考えられる心不全が死因でございまして、餓死であります。発見時、死後四か月ほど経過しており、一月下旬には亡くなっていたとされております。この方は小児麻痺によって下半身が不自由で身体障害者四級の手帳を受けていますが、八月に失業し、既に昨年九月の十四日には水道も止められ、ガスも電気も止められておりました。その下で九月の三十日、十二月六日の二度にわたって生活保護をお願いしたいと福祉事務所を訪ねましたが、申請書すら渡されませんでした。  もし申請がなされ、保護が開始をされていたなら、男性は少なくともこんな亡くなり方をすることはなかった。正に重大事態であります。その重みを大臣としてどう受け止めていらっしゃるのか、まず川崎大臣にお尋ねします。
  128. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) このような死亡事故が生じたことは誠に残念であり、お亡くなりになられた方の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。  御指摘の事例については、北九州市からの報告によりますと、市水道局が市の緊急対応マニュアルに沿って水道が差し止められている者の情報を区役所に通報し、区役所がそれを受けて直ちに保健師とケースワーカーを訪問させ、健康状態や近所に親族がいて定期的に援助を行っていることを確認した上で民生委員への情報提供等緊急時の連絡を依頼したほか、その後も保健師による定期的な訪問を行っていたと聞いております。  また、生活保護の適用については、区の福祉事務所において御本人と次男の方に親族による援助の可否をよく話し合うよう助言し、その結果、親族の援助の継続が難しい場合にはいつでも来所するように説明し、御本人等は納得された事例であったと聞いております。
  129. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、私は、大臣として、つまり国としてどうこの事態を受け止めているのかとお尋ねをしているんです。北九州市の報告をここで聞こうと思っていないんですよ。  市が、おっしゃるような認識に立って、この記事にもありますけれども、手続として適正だった、こういうふうに議会でも答弁をしている、そのことは私、重々承知をしています。ですけれども、今大臣がお読みになられた市からの報告、これと現実に起こっているということが本当にかみ合っているんでしょうか。市からの報告は私は電話で聞き取ったものにすぎないと聞いていますけれども、それをうのみにして国が適正だったとすることは断じて許されないと思います。  北九州では餓死、孤独死が続発しています。四月には母子の遺体と飢餓状態の女性が発見されました。先週は夫婦が遺体で発見されました。いずれも死後相当期間が経過をしている。それぞれ事実が究明されなければなりませんけれども、その根本には最後の命綱であるはずの生活保護が窓口で断たれているという問題があるわけです。正に政治の責任でございます。  三枚目の読売新聞に、門司区役所によるとという取材源によって、この男性が床をはって出てくるほど衰弱していたという記載がございます。毎日新聞の方には、九月、衰弱し脱水症状を起こしていたところを保健師らに保護されという記載がございます。  国として、この男性がどんな状態で確認をされたのか、このことは国として責任を持って調査をされたんですか。
  130. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  私ども、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、北九州市から報告を受けております。今委員からお話がございましたけれども、水道が止められたため、そのマニュアルに従って、そういった場合にはお困りになっている状態があるということから、九月三十日に保健師とケースワーカーが出向いて確認をしております。  その際、一つは、保健師の方が健康状態を確認し、親族との交流があり、かつ身体的問題がある状態ではない。しかし、民生委員さんにも電話連絡するとともに、お金でお困りがあったら福祉事務所に相談するようにということで、九月三十日の午後、次男の方に伴われて門司区保護課にお見えになったと。その際、次男の方が定期的に食事など差し入れをするのでということがお話があり、保護のところまではいかないだろうということで、ただし心配でありますので、保健師さんが定期的に訪問することになり、週に一回訪問をし、具体的には十月六日、七日とか確認をしているわけですが、定期的に次男の方が来られていると、こういうことがあり、食事も取られているということがあり、健康状態は確認していたということでございます。  ただ、十二月六日になりまして、次男の方もこういうサポートが年内しかできないということがあり、十二月の六日、さらに午後、次男の方とともに福祉事務所に、ではおいでになったらということで、民生委員さんを通じてそういうお話があったので、福祉事務所に来られ、福祉事務所の方では次男の方が物質的援助は今年一杯が限界で援助できないというお話があり、長男の方も同じ市内におられ、滞納している家賃や国民健康保険料などは長男の方がお出しになるというようなお話もあったので、それではまず長男、次男の方と御相談の上、もし長男、次男からの援助が難しい場合には再相談に来られるようお話をして、十二月六日の相談が終わっていると、そういう経緯でございます。  結果として御本人がお亡くなりになり、また発見まで数か月たってしまったという結果のことは委員から御指摘のとおりでございますが、経過としてはただいま申し上げましたような経過をたどっており、五十六歳の男性でございますので働くことについてどうかというようなやり取りもあったようでございますので、そういった意味で、生活保護を担当する福祉事務所、それから保健師さんの対応というようなことについてはきちんとした対応がなされていたのではないかと。結果としては残念な結果に終わっておりますが、そういう経過であるというふうに承知いたしております。
  131. 仁比聡平

    仁比聡平君 局長も、市から報告を受けたことをそのままここで、そういう経過でございますと答弁をしておられるんですが、私がお尋ねをしたのは、立てない、はって出てくるほど衰弱をしていた、脱水症状だった、そこを国が確認したんですかと、その上でそうおっしゃっているんですかと聞いているんですよ。  次男の援助がということを局長も、それから大臣も定期的援助という形でおっしゃっていましたが、これ四日に一度ほどペットボトル入りの水とパンを差し入れていたということにすぎないんですよ。  市が答弁しているところによれば、その保健師さんは、救急車を呼ぶほどではないと思ったという報告もあるようなんですが、それは救急で運ぶまでの必要はないけれども、医師の診断と治療の必要はあるんだと、そういうふうに受け止めるのが普通の理解じゃありませんか。  急迫性という言葉について、生活保護の解釈と運用によれば、生存が危うくされるとか、その他社会通念上放置し難いと認められる程度に状況が切迫している場合。具体的な事実認定の問題ではあるけれども、例えば成年者でも病気の場合にはこの状態に比較的早期に陥る可能性が多いであろう、こういうふうに書いてあります。  ライフラインが途絶している。障害をお持ちで失業して収入の当てがない。そして、市の関係者が、水道局も、それから市営住宅の滞納家賃の徴収担当者も保健師さんもケースワーカーも、衰弱しているということを確認しているわけですから、正に社会通念上放置できないと、そういう状態にあるんじゃないんですか。  大臣、こういう方を保護してはならない、そういうお考えですか。
  132. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御答弁いたしたように、民生委員や保健師さんの対応に誤りがあったという形での報告はありませんし、まだ今日の時点で私どもそのような解釈はいたしておりません。  しかしながら、一方で、今後の行政に資するため、本ケースについては検証させていただきたいと考えております。
  133. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣からは検証したいというお言葉をいただいたと、大変大事なことだと思います。  ただ、私は、大臣が今の答弁の中でおっしゃったように、民生委員さんとかあるいは保健師さんとか、その方々の対応をここで問題にしているわけではないんです。そういう急迫性があると私は思います。そういう事態にある市民が市の関係者によってそういう状態が確認をされて、その上で保護課に足を運んでいると。そこで生活保護をお願いしたいと言っている。だけれども、申請書を渡さないで追い返しているんですね。  九月の三十日の最初の相談の件については、先ほど御答弁がありましたから、時間もございませんので十二月のことをお伺いをしたいと思うんですけれども、局長の答弁にあったように、次男がその四日に一度ほどのパンやペットボトル入りの水の提供という、そういう援助ももうできないと言っているから、だから生活保護をお願いしたいと来ているわけですよ。この時点で生活保護をお願いしたいと言っていたということは市も認めております。にもかかわらず、長男の援助を相談してくださいと言って帰している。だけれども、保護課はその長男を面接もしていませんし連絡すらしていません。先ほどの保健師さんたちの見守りというのも十一月までのことであって、十二月の二度目の相談以降はやっていないでしょう。今、さっき局長がおっしゃるような経過だということなんだったら、どうして一月にこの方は亡くなったんですか。  北九州の冬というのは大変厳しいです。厳しい冬、寒さに向かう中で、電気もガスも止まっている。そういう事態に置いたのは、私は保護の申請を認めなかったという、そういう市の態度にほかならないと思うんですが、局長、いかがですか。
  134. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) まず、十二月六日の御相談の件でございますが、御本人と次男さんがお見えになり相談を受けたということで、次男さんの方は、今年一杯が限度で援助ができないということで保護の御相談があったと。生活保護の方では、まず扶養できる方には扶養していただく、資産があれば資産を活用する、ほかにいろいろ施策があればそちらの方を検討する、また、働いていただけるような状況であれば働いていただく、そういうことがあり、そういう御相談をしている中で、長男の方も市内にお住みになり、滞納している家賃や国民健康保険料は支払ってくれると。そういうお話があったので、次男さんに対して、そういうことであれば止まっているライフラインの回復も含め、御長男さんからの援助について話し合われることを助言いたしましたところ、それではそういうことにしようということで、まず身内で相談をするというお話になったと。で、福祉事務所の方は、身内で相談した結果、本人に対して、長男、次男からの援助が難しい場合にはいつでも再相談に来られるようにと、こういうお話であったわけでございまして、そういうお話合いの中でケースが進んだものと、こういうふうに考えております。
  135. 仁比聡平

    仁比聡平君 その点、今おっしゃった御答弁が本当にそういう事態だったのか、しっかり大臣がおっしゃった検証というものの中で本当に国として検証すべきだと思います。  生活保護は法定受託事務ですから、皆さん監査してしっかり指導する責任があります、それも憲法と生活保護法に基づいてですね。その、再度相談に来ればいいじゃないかというふうに言って帰して、だけれどもこの方は餓死されているんですよ。そういう事態になっても相談に、もう連絡もできないような思いを窓口でさせたんじゃないんですか。命綱をそこで断ったんじゃないんですか。  これまでも北九州市での申請権侵害というのは重大な問題になってまいりました。時間がありませんけれども、二つほど例を申し上げますが。  三十一歳のお母さんと子供二人の母子家庭。お母さんが脳梗塞で倒れて半身不随になって、急遽七十二歳のおばあちゃんが月五万円のパート代から仕送りをすることになった。だけれども、それでは到底生活ができないから保護課を訪ねたら、こう言ったというんですよ。別れた夫に連絡を取って面倒を見てもらいなさい。申請書を渡さない。  四十二歳の女性で、高校生の子供と二人暮らしの母子家庭。お母さんは膠原病と結核という診断で、休職中の会社を退職されて保護課を訪ねました。そうしたら、こう言っています。とにかく働きなさい、不利なことを言うと就職できないので、結核は言わない方がいいのでは、こう言って申請書を渡してないんですから。  こういう実態を国がしっかり調査をして是正をしなければ、再び、三たび、犠牲が繰り返されるということになるじゃありませんか。  今日、資料の最後から二枚目と一枚目に、皆さんにもお配りをしていますが、これは北九州市の保護率の推移を他の政令市と比較をしたものです。全国でも百万人を超えたと言われるように、昨今の深刻な経済状況を反映して、保護世帯、増えているわけですね。当然、政令市でも激増と言っていい、そういう状況が広がっています。だけれども、北九州市は逆に減ってきていて、ここ数年でも微増という極めて異常な事態ですよ。  もう一枚の方は生活保護の予算にかかわるものですが、当然そういう実態にありますから、予算そのものも政令市各市で激増しているわけです。だけれども、北九州だけはマイナス〇・一二%ですよ、平成十年と十五年比べて。この予算の枠にとどめるんだという数値目標を定めた管理がされているとしか思えない。ここをしっかりメスを入れるということが私は必要だと思います。  そのためには、面接の相談記録、あるいは今回の件については初期対応の時点での記録などを一切しっかり調査をするとともに、先ほど来お話に出ている保健師さんやあるいは関係の住民の方々、遺族の方々、自治会長さんなんかも大変心配しておられます。きちんとヒアリングをして国として実態をつかむべきだ、そのことを強く要求をして、私の質問を終わります。
  136. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今日は両大臣、また総裁、また社長、御関係の皆さん、ありがとうございます。  前回、金融あるいは金融業界、あるいは市場原理といいましょうか、こうした金融の問題と、郵便局あるいは郵政民営化、この関連でお話をさせていただいております。今回は第二回目でございます。生田総裁、西川社長、前回御都合で御欠席でございましたので、今日はその意味で改めてという部分もあるわけでございますが、更に掘り進めさせていただきたいと思います。  前回、山崎政府参考人からは、団体信用生命保険のことでございます、いわゆる団信、この団信についてこういう御答弁をいただきました。住宅ローン申込みに当たって団体信用生命保険の加入を条件とすること自体は直ちに問題にすべきことではない、こういうことです。これ一つです。  いわゆる、我々が住宅ローンを借りますと、必ず普通の場合は、最後になります、お聞かせいただきますと、生命保険にも入っていただく、あれ、住宅ローンで生命保険、これどんなことなんだろうと、こういったことなんですが、最後には入るようになるわけなんです。こうして入るような団体信用生命保険、これは、じゃ加入が条件ということでございましょうか。これを改めて、山崎さんですか、あるいは政府からどなたかお見えですか。
  137. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 団体信用生命保険でございますけれども、御案内のとおり、住宅ローンの利用者に万が一のことが起きました場合に、残された家族の方の住宅ローン債務あるいは担保処分といったことからの解放によって生活基盤を確保できるといったメリットもございまして、住宅ローン利用者の潜在的な需要も高いというものであると承知をいたしております。  こうしたことで、多数の個人顧客に受け入れられるよう定型的に設計されている言わば普及型の住宅ローンにおきましては、団体信用生命保険もセットとされた商品となっているというふうに承知をいたしております。  ただし、各銀行におきましては、何らかの事情により団体信用生命保険の加入を希望しない顧客などに対しましては、その事情に応じて、万一の場合に遺族に債務が残ること等を十分に説明の上、個別の対応を行っているというふうに聞いております。
  138. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまり、条件であるということでございますし、これについての説明責任は果たされてませんね。大方の方はその辺分かりませんよ。そして同時に、団体信用生命保険に入れない人はローンを組めなかったという、そういう苦情の例もあるわけです。こういったことが一つ、私は指摘をしておきます。加入条件なら条件であるということをきちんと明示して、住宅ローンというものの相談をしているのか。  それから、二つ目です。保険料をだれが払っているかということでございますが、一般に団体信用生命保険の保険料は銀行が払っているものというふうに承知してございますと、これが先日の説明です。今の御説明も、この間の正に議事録とそっくりのメリットだけを強調しているんです。もう一字一句変えないその姿勢、これが血も涙もない。逆に言えば、血も涙もあるならば、それを血も涙もある言葉で同じように繰り返せばいいんですが。だれが考えたって、今のように条件になっていて、条件になっているものを、ローンを組む人が生命保険の保険料を払っていないなどと考えている人がどこにおりますか。契約上は団信と銀行が契約をしているから銀行が払っているということに、形なるのは当たり前でしょう、そんなことは。それなら別なところでもうけてきたものの利ざやで保険料を支払っているということ言えますか。団体信用生命保険を取り扱うその保険料、住宅ローンの金利に上乗せ、転嫁している、こう断じざるを得ませんけれども、よろしいですか、これで。
  139. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) まず、一つ目の説明責任の問題でございますが、団体信用生命保険の加入につきましては、一般に銀行が顧客に対してその仕組み等について説明をした上で、顧客自らが保険申込書兼告知書に記入をし、申し込むことになります。こうしたローン契約に伴う一連の手続につきましては、私ども当局といたしましても銀行監督のための監督指針といったもの等におきまして明記をしておりまして、適切な情報提供又は説明体制の整備ということを金融機関に求めているところでございます。  それから、団信保険の保険料の負担の問題でございますけれども、貸出し金利は各銀行の経営判断により決定されるものでございますので、内部管理上の計数について私ども当局から言及することは差し控えるべきであると存じます。  ただ、一般論で申し上げますと、団体信用生命保険料の負担というのも銀行の全体の経費、コストの一つの要素でございます。その住宅ローンの貸出し金利というのは、各金融機関が信用コスト、資金調達コストあるいは業務コスト、こういった様々な要素を勘案し、また住宅ローンマーケットの趨勢等を見極めた上で経営判断として決定しているものというふうに承知をいたしております。
  140. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまり、どのような形であれ、証明できるものはないんです。銀行が払っておりますといったって、それは払っているに決まっていますよ、ローンを組んだ中から、あるいは別なところのお金から。だけれども、住宅ローンに上乗せしていないということは言明できますか。加入条件だといいながら、その生命保険に入っているということの、例えば今ですと、まあ同じ機関で貸し付けるわけでしょうけど、それなりに掛かるわけですね。それらのものが上乗せされていますからこういう住宅ローンの金利になるんですよということを、説明責任が果たされているんですか。  再度お尋ねしますよ。どのように説明されますか、お客様に対して。住宅ローンの金利に上乗せされて生命保険に入っているということを説明、聞かれたらするんですか、しないんですか。
  141. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 先ほども申しましたように、住宅ローン金利の全体の中にはこの信用コスト、資金調達コスト、業務コスト、それに恐らくこの団体信用生命保険料のコスト、これも全体のコストの中の一つの要素として入っているということにはなろうかと思います。
  142. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまり、上乗せしていますということで訂正してください、前回の。そういうふうに正直に言わなければみんなが議論できないし、加入する人に対して失礼ではありませんか。そういう人がいないというのは、逆に言えば、西川さんもお見えですけれども、銀行って信用されていたということなんです。今信用されていませんから、そして消費者もきちんと聞きたいということを聞かなくちゃいけませんから、そういうことをこうした委員会を通じてお尋ねください、啓発というような意味もあるんです。  では、そこでお尋ねしますけど、団体信用生命保険を扱う生命保険は何社あって、そうしたローンを組む銀行と系列化しているのではありませんか。系列化していれば、自分のところの生命保険に入れということで、抱き合わせではございませんか。選択権はないんですか、選択権があるのかないのかまで言ってください。選択肢を増やすようにするのが竹中さんが常に言う市場原理のエンドユーザーに対する最大の長所ですよ。選択権全然ないんですよ。何がビッグバンですか。びっくり仰天ですよ、そんなことは。どうなっておりますか。  今、質問項目、時間がありませんから三つぐらい併せてお尋ねをいたしました。生命保険会社で団信を受け付けているのは何社あるか。そして、銀行と系列化しているのもかなりある、それがワンセットでこれに入ってくださいと言ったら抱き合わせじゃないですか。ローンを組みたいならこの自分のところの系列のところに入りなさい、抱き合わせじゃないですか。そして、いや自分は何とか三千万の生命保険に入っているんだと、別に。で、家族のこともあるけれども、ローン組んだの二千万だから、一千万で家族には万が一があったら生活してくれと言っているから、二千万については一番抵当であなたのローンに入れるから、そんなもう二重、三重でローンを組んでやっているそんな余力はないのですよというのが庶民感覚ですよ、両大臣。  三点についてお尋ねします。
  143. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) まず第一点目でございますが、平成十七年三月末時点で団体信用生命保険を取り扱っている生命保険会社の数は全体で三十九社ある中で三十一社となってございます。  それから、抱き合わせではないかの御指摘についてでございますけれども、抱き合わせ販売と申しますのは、相手方に対し不当に商品又は役務の提供に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させ、その他自己又は自己の指定する事業者と取引するように強制することというふうに定義をされておるところでございます。御指摘の団体信用生命保険につきましては、先ほど申しました住宅ローン債務者にとっての生活の保障といったための商品でもございますし、その加入はさっき申し上げました不当に他の商品を強制するということには当たりませんので、抱き合わせとの御指摘は当たらないものと思います。  それから第三点目、顧客の選択肢ということでございますけれども、これは冒頭もお答えを申し上げましたように、何らかの事情によりまして団体信用生命保険の加入を希望しない顧客がおられた場合には、その事情に応じて、万一の場合に遺族に債務が残ること等を十分に説明の上、個別に対応を行っているというふうに承知をいたしております。  いずれにいたしましても、議員から御示唆いただきました点も含めまして、銀行においては今後とも更に利用者利便の向上に資するように新しい商品の開発であるとか販売方法の改善といったことに努めていく必要があるというふうに認識をいたしております。例えば引受条件を緩和した団体信用生命保険、これの付いた住宅ローンといったものを提供を始めている銀行もあると承知をいたしております。
  144. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 後ほどそうした全銀協を含めて、そういうところはどういう役割を担うべきなんだというようなことに参りますが、大臣の御感想もあろうと思いますが、いつも少数政党でございまして時間がありませんので。  今のところかなり問題があるんですよ、説明してないんですから。ですから、選択してもいいとか、それから条件ですから抱き合わせはしてないと言っても、ローンを借りる人に対して優越的地位からそれをやっているんですから、よっぽどじゃないと断れないですよ。ですから、そういうものも含めてやはり問題がまだまだある。説明責任を含めてしっかりやってもらいたい。ちなみに住宅金融公庫は九五%、これは別物ですよと説明した上で九五%、これは団信に入っているんです。ですから、いいところもよく取り入れて民間ももっと謙虚にやってください。私も入っておりますけど、非常に痛感している。  それから、こうしたことを、西川社長、今日来ていただいて恐縮ですけれども、住宅ローンへの参入ということを、あるいは今日は専ら銀行のことをお尋ねしていますので郵便のことは後でお尋ねいたしますけれども、盛んに言われていらっしゃるんですね。こうしたことで今のような、しかも全銀協の会長をやっていらっしゃったわけです。住宅ローンへの参入を考えていらっしゃるわけですね。同時に、直営店舗を設置したいと、こういうお考えです。竹中大臣のこの間のお話では、七月中にいろいろなところの骨子をまとめてもらって、それに応じて早いうちに政府が民営化委員会を、監視委員会と調整しながら認可していきたいと、こういうことでしたけれども、今のような住宅ローンのことも含めてお聞きになりながら、改めてお尋ねしますけれども、住宅ローンの参入や直営店舗を設置すると、こういう考えをお持ちなんですか。
  145. 西川善文

    参考人(西川善文君) 住宅ローン等につきましては、これは多くのお客様のニーズにこたえて、そしてまた貯金銀行の経営健全化に資するために新しい業務として考えておる、検討しておる一つの商品でございます。最後どういうふうにするかということについてはまだ今のところは何とも申せません。このことにつきましては、新しい業務でございますので、郵政民営化委員会の御検討を経て、そして主管大臣の認可をちょうだいしなければできないということでございます。  また、郵便貯金銀行の直営店につきましては、現在の郵便局の一部を活用いたしまして、銀行の直営カウンターを設けまして、お客様との直接の接点を持っております。この第一線からいろいろな顧客ニーズなど顧客動向を把握いたしまして、それに対して商品企画あるいはサービス面でビビッドに対応できるようにしてまいりたいということで検討をしておるものでございます。  以上でございます。
  146. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 西川社長、私、悪者でありませんから、どうぞ御心配ないようにしてください。  つまり、今回の小泉総理の行政改革推進法案と同じです、両大臣。白紙委任なんです。当時、与謝野先生政調会長、それで竹中さんが担当大臣でした。ほとんどのところは民営化に単にこだわる小泉さん。しかも四つにこれ分けるなんてばかなことを言っていらっしゃった。とにかく、それやらなけりゃ解散かポストをもらえないか除名なんですから、みんなが黙ってしまった。その黙ってしまったということに賛意を表す時代の空気というものに私たちは一つの、考えてくれと、こういうことを言っているわけですけれども。  少なくとも住宅ローンに参入するということになりますと、今いかがでしょう、三十兆から四十兆、ざくっと言いまして、これで食べているんですよ、地銀の方も含めて。そこに、競争になるのは当たり前ですから、一時的には、いや安くなったな、金利が安くなって説明も良くなったなというのは一時的でしょう。最終的には、今出ているこの不正、こういったものに行き過ぎてしまうわけです。いや、それは程度の問題だとおっしゃいますが、程度の問題で見過ごしていい問題ではない。  そういうことを考えますと、白紙委任状を出した小泉民営化なんです、次期社長が決めるとも言っているんですから。正確には西川さんが取りまとめるんじゃないです、郵便貯金銀行が、社長が決めるんです。決まってない、いまだに。  で、来年秋からスタート。全くこれは破綻するの見えてます。アメリカは破綻してもらった方がいい、第三分野、西川さんのところでやってもらうより。つまり、がん保険、入院保険、こういったところを、特約、いろんなものがありますが、いわゆる掛け捨てのがん保険と思っていただければいい、そこをやりたいと言ったけど、やられたら困りますもの、アメリカの外資系は。そこがドル箱だから。郵便局つぶしたいという意思が非常に強い。こういうものもぶつかり合って、理念とビジネスモデルで、もうけていかなくちゃいけないというものでぶつかって、いずれ破綻を来すということで、国民が泣き、アメリカ外資が高笑いをするという構図なんです。  そこで、もう一つのところ、これは生田総裁にお尋ねしたいんです。実際上、今たくさん信書便、いわゆる信書ですと配達しているもの、これを違反しているところ一杯あるではないですか。その違反しているところに対して裁判を起こさないということは不作為であり憲法違反だと思いますが、生田総裁、いかがですか。同じ業者が何遍も違反している。
  147. 生田正治

    参考人生田正治君) お答え申し上げます。  公社といたしましては、信書便事業者ではない宅配事業者が信書を取り扱っている疑いがあると認められる場合、結構あるわけです。皆さん方も自宅でそういう御認識あると思います。そういった場合には、事業者や利用者に対しまして制度説明を行っているところでございます。さらに、その都度総務省報告いたしまして、実は公社化以降平成十七年度末までで三百九十件なんですけども、総務省報告いたしておりまして、総務省からも、事業者や利用者に対しまして制度説明及び指導、これを行っていただいていると承知いたしております。  民間宅配業者に対しましては、コンプライアンスを徹底していただき、そういうことは差し控えていただきたいと、こう考えておりますけども、法令違反が繰り返し行われる場合には、その悪質性なども考慮いたしまして、告発するかどうかも含めまして総務省とも相談しながら今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
  148. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣、摘発しなきゃ駄目ですよ、法令違反ですから。竹中大臣、もう同じ業者が何遍も違法をやっているんですよ。摘発されるお考えは、告発されるお考えありませんか。
  149. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、生田総裁がお答えになったとおりでございます。  これはもう制度そのものは荒井委員は大変お詳しいわけですけれども、信書に該当しない文書はこれはいわゆるメール便等々で利用できるけれども、信書に該当するものは日本郵政公社又は信書便事業者でなければ送達することはできません。で、残念ながら、それに違反しているものが幾つか散見されて、それに対して公社もいろいろ御苦労なさっているというのも事実であろうかと思います。  我々としても、再演事案として何度もこういうことがあると報告受けた場合には、総務省から改めて説明の上、いろんな指導をしているところでございます。その上で、告発を行うかどうか、これは、これも今、生田総裁がおっしゃいましたけれども、個別の事案の悪質性、重大性、そういうことを総合的に勘案して判断するものであるというふうに思っております。これは当然、そういうことをしっかりと判断していくというのが公社の立場であり、またそれをしっかりと見ていくのが我々の立場であるというふうに思っております。  しかし、その前に、まずはやはり、今のその問題の説明とか指導というのを我々としてはきっちりとやらなければいけないというふうに考えております。
  150. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 それは大臣、やる気がないということです。  そこで、大臣の下で私的勉強会か懇談会をやっておりますが、結局そういうこともあるものですから、これは委員の皆さん、委員長さん、皆さん、聞いてていただきたいんです。世界でこの郵便のところの信書っていう概念については、やっぱり信書はきちんと配達しましょうっていうのはこれは当たり前なんです、ほとんどの国が国営ですから。その中でリザーブドエリア、つまり独占というものをつくって、その部分の利益で、国の金を入れずに全国一律に同じサービスを提供しなさいというのが、これが世界的な考え方です。  リザーブドエリアをつくらない、あるいはつくっても基金をこれを設ける、それから税金を投入する、いろんなやり方支援策はあります。しかし、リザーブドエリアをほとんどの場合持っている。それを開放しようというわけでしょう、竹中さん。  開放したときにどういうことが起きるかといったら、今度の毎日新聞等もいろいろ連載をすると思いますよ、実際にニュージーランドやドイツに行っていますから。結局、国費投入して支えるようにならざるを得ないし、国費が要らないなら民業を新たに圧迫するような事業をどんどんどんどん展開して、今までやってないようなことも、それで新たな民業圧迫をつくっていくということなんです。  これで、生田総裁にだけお尋ねします。  生田総裁は外形基準の導入、つまり重さで、信書の概念に重さを加えて、ここまでは絶対入ってくるなよと、こういうことをやるという考えで、私も全く一致なんです、その考えは。そういうことで、竹中さんのところでやっている勉強会で、どんどん規制緩和を含めて民間参入をさせるという野方図なやり方で、本当に郵政事業もっていけますか、郵便事業。総裁としての、経営者としての責任をお尋ねしたいと思います。
  151. 生田正治

    参考人生田正治君) まだその委員会の最終案というものを正式に受け取っておりませんので、それについて正確にコメントすることはないわけでありますけども、私の考えを多少述べさしていただきます。  私もその委員会に二月に呼ばれまして、ヒアリング受けております。そこで二つの大前提の下に意見を申し述べました。
  152. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 済みません、手短に、時間がありませんので。
  153. 生田正治

    参考人生田正治君) はい。  それは、民営化法や附帯決議、国会答弁を尊重してユニバーサルサービスをきちっと維持していくと。それから、値上げや公的資金の投入、新たな国民負担は発生させないと。この二つの大前提で言いますよということで、一つは今先生おっしゃったように、今、信書という日本だけの概念で区切りを付けているものですから境目がぐしゃぐしゃになっている、不明確になっていると、これを何とか数値で基準をつくってほしいということを申しました。  それから、欧州は段階的に開放していっているわけで、その最終段階だけまねするようなことをすると大変になるから、今からでも遅くはないから、数値的なきちんとした基準で段階的に自由化をするならしていただきたいということを言いました。  仮にも、新聞でちょっと読みますように、大都市でのクリームスキミングが行われるような案が出てまいりますと、これは民営化法案を審議したときの前提を大きく崩すと思います。経営は破綻に向かっていくと思います。そうすると、ユニバーサルサービスの維持とか郵便局ネットワークの維持、あるいは雇用の維持というのが難しくなると思いますので、私は、政治の方でしっかりと、そのようなことが起こらないように民営化法あるいは附帯決議等が守れるような政治的な御判断をいただきたいと、こう思っております。
  154. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまり、竹中さん、そういう方向は、これは経営者の責任として、良識としてできないということです。  そして二つ目です。厚生労働省も来ていただいていますが、特定郵便局長の皆さん、局長さん方も労働組合できるんです、今も、そして公社後も。これは言明していただきました。今日も来ていただいて済みません。どうぞ、生田さん、そして西川さん、組合ができるという認識をしっかり持ってください。局長会ではそういう選択肢はないと言っていますが、これは局長会の誤解か意図的な誤解なんです。  そして、いよいよ本筋に入らせていただきますが、時間がありませんので少し飛ばさせていただきながらお話しさせていただきます。  こうして、郵政と銀行、もうどんどんどんどん矛盾そして哲学のぶつかり、全然訳の分からない民営化、その中でもう大混乱に陥りますよ、せっかく安定してきたのに。流動性の危機は脱したといったって新しい人造的流動性が出てきますよ。経営破綻、システムの破綻、こういったことが起きてくる可能性がある。  そういう意味で、いかがなんでしょうか、与謝野大臣。この間もお尋ねしました。小口預金者からは、預金金利はもう上げない、住宅ローンは上げる、さっきの話のように。ところが、今度は貸すときになると、もう住宅ローンはがあんと上げちゃった。そして、自分が預かっている銀行の預金は手数料は下げない、ATMの手数料も下げない。  これ、独禁法には引っ掛からないですから、そういうふうにしたらどうだろうと。全銀協やら各銀行の財団を呼んで、社団を呼んで、そのように要望されたらいかがですか、庶民のために。与謝野大臣、いかがですか。
  155. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 預金というのは、そういうふうに人為的に決まるものではないと私は思っております。やはり市場実勢という中ですべての金利は決まりますし、長短の金利は理論的には連動したものでありますので、私が要望したから上がるというものでもありませんし、やはり市場実勢の中で長短の金利は決まっていくというのが自然な姿であると私は思っております。
  156. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 びっくりしました、この間と全然違う。もうよっぽど官僚に言われたか。大臣、残念ですよ、そんなことは。  どんな程度に下げろとか横並びにしろなんて言っているわけじゃないんです。三百四兆、これが九〇年ちょっと過ぎから、九一年ぐらいですかね、この十五、六年で三百四兆とか五兆の、日銀の数字です、家計の金利、もらえる分が吹っ飛んだ。量的緩和、そしてゼロ金利。結果、ゼロ金利です、今も続けている、間もなくゼロ金利も解除するでしょう。  なおさら、どんどんどんどん配当に回したり、株主だけにはサービスを回し、本来のお客様である人たちには還元しない。こんな郵便銀行ができたり、当たり前の、今の銀行というのはおかしいんじゃないですか。どう考えたっておかしい、こんなこと。まず利用者に還元するべきでしょう。  そして、預金保険機構については四兆弱の七つの勘定で赤字持っているわけですよ。郵便貯金が、これが入れば大体五百億ぐらい年間入れるんです、預保に。それで、四兆弱のこうしたものについての穴埋めをしていきたい。銀行界は大体五千億です、保険料率で換算しますと。郵貯は普通のところだけ持ちますから、当面は五百億ぐらいですかね、それで穴埋めしたいという意図もう見え見えじゃないですか。  どうして、そういうことにもお金を向けるわけじゃないし、そうしてローンは上げるし、貸出金利は上がるでしょう、今度、間もなく。預金者からは暴利をむさぼって、だれのおかげでこれ現在になっていると思うんですか。数字を合わせろと言っているんじゃないんですよ。そういう感覚を伝えられない大臣なんですか、与謝野大臣
  157. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は金利の仕組みを申し上げただけで、今の銀行の経営方針とかそういうことを申し上げたわけでもありませんし、私は、先生指摘のように、一般的な会社の配当は上がっておりますと、また、若干でございますけれども賃金等も上がっている。そういう中で、やはり預金者も日本の経済の正当な配分を受けるべきだと私は思っております。そうしますと、私は個人消費の面から見ても好ましい経済の状況が出てくると思っております。  今年、大手行に限って申し上げれば、相当な利益を上げておりますけれども、やはりまだ公的資金も入っておりますし、税金も払っておりませんし、またろくな預金金利を払っていないと。そういう意味で、私はまだまだ大手行といえども一人前とはとても言えない状況だというふうに思っております。
  158. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 不本意ですが、時間ですから、終わります。
  159. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会