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参考人(森
貞述君) 愛知県の
高浜市長の森でございます。
今日、このような機会を与えていただきまして誠にありがとうございました。
私の方から、
三位一体改革の問題と、そして
高齢者介護あるいは障害者自立
支援ということ、そして併せて、今皆様方の問題になっております
少子化対策、次世代育成
支援のことにつきまして、現場を預かります首長の立場から皆様方にお話をさせていただきたいというふうに
思います。
まずもって、愛知県高浜市という町がどういう町であるか、
委員の皆様方には御想像が付かないと
思いますが、皆様方のおうちの屋根がわらの全国のシェアの六〇%を持っている、いわゆるかわらの町でございます。あわせて、私
どもの周辺、輸送用機器関連を含めたそういうような産業の盛んな町でございまして、たまたま全国的な今、何と申しますか、有効求人倍率、ようやく一・〇を超したと言っておりますときに、私
ども刈谷ハローワークの管内では二・四五という大変高いいわゆる有効求人倍率を持っております。
そういう中で、私
ども、おかげさまで
平成十二年、二〇〇〇年の国調と昨年、二〇〇五年の国調、この間で人口が八・五%の増ということで、しかも輸送用機器関連の若い世代の方
たちがいわゆる工場間の、いろんな
意味で通勤等を含めたそういうことで居を構えていただく。そんなようなことで若年の方
たちが増え、合計特殊出生率と申しますか、これは私
ども愛知県の中で三番目から四番目、一・六見当を推移をいたしております。大変そういう
意味では恵まれた地域でございます。
今回のこの
三位一体改革につきまして、私
ども、お預かりする現場からでございますけれ
ども、いろんな
意味で私
どもがこの十八年度、つい先日議会が終了いたしまして、百十四億円のうちで、一般会計予算規模百十四億円のうちで八千万、これが減収になりました。百分率で申し上げますと〇・七%の影響額。
確かにいろんな
意味できついことはきついんですけれ
ども、ではこれをどのように吸収をしていくか。これはある面では、先ほどどなたかの御発言にもございましたように、それぞれお預かりする自治体にとっていかにして自治体経営をやっていくか、この手腕が私
どもに試されておると。ある面では、
地方分権という大きな流れの中で、私
どもは自立した基礎自治体としてどのようにやはり市政を経営していくかと。そういう視点の中で、私
どもはいかにして知恵を出して汗を流していくか、これに、私
どもはある面では力量を問われておるというふうに感じております。
そこで、私
どもは、どのように今まで町づくりを進めてきたか。それは私
どもは、皆様方も御案内だと
思いますけれ
ども、二〇〇〇年の四月に
介護保険法が施行されました。その前段階を含めまして、いかにして地域の中で人材をつくっていくかということでございます。これはもちろんホームヘルパーの問題もそうでございますし、あるいはそれぞれの
子育て支援のサポーターをつくるとか、いろんなような地域に人材をつくっていくこと、これによって将来を見据えた町づくりをしていこうという
考え方でやってまいりました。
そういう中で、大きな私
どもにとってのいわゆるターニングポイントというものは地域
福祉計画でございます。
地域
福祉計画というものは、いわゆる地域の高齢、障害、
子供を含めたいろんなものを総合的にどのようにして町づくりという
観点の中でこれを進めていくかというようなことで、この
平成十三年度、十四年度、二か年にわたりましてこの地域
福祉計画を策定に、
小学校一年生から八十五歳までの百四十六人の市民の皆様方が御参加をいただきました。ある面では、これからの
子供たちがこの地域を担っていくという視点の中でそこまで拡大をして、いろいろと
議論をしていただきました。
そういう中で
一つ分かってきたことは、いわゆる
制度的なサービス、これはフォーマルサービスと言ってもいいと
思います。それ以外にやはりインフォーマルなサービス、これは、例えばNPOもそうでしょうし、あるいはまた地域住民もそうでしょう、いわゆる互助型の。こういうものを含めて、地域の中でインフォーマルなサービスをどのように生み出していくか。これによって私は、フォーマルサービスだけでは見えない、あるいは担えない、こういう地域
社会の新たな
役割がそこで見えてきたんではないかというふうに
思います。
ある面では、これは、この地域
福祉計画は私
どもにとりまして、地域が見えたというふうに私は表現をしておりますけれ
ども、このようなことを通じまして、地域におけるある面では昔からあった互助的な助け合い文化の再生、地域共生、助け合いを含めた、こういうことが、ある面では厳しい時代の中での基礎自治体がこれから担わなければいけない、そういう
考え方だというふうに思っております。
昨年ですか、第二十七次
地方制度調査会の答申にもございましたように、
分権型
社会において、自己決定と自己
責任の原則が実現されるという
観点から、団体自治ばかりではなく、住民自治が重視されなければなりませんという文言がございます。私
どもは、地域共生と住民自治という、それを同様のものととらえまして町づくりの
基本とし、これを各種施策に展開をしてまいりました。とりわけ、今から申し上げます
高齢者介護、障害者自立
支援、
少子化、次世代育成
支援と、こういう
分野について申し上げたいと
思います。
まず、私
どもの
高齢者介護でございますが、二〇〇〇年四月のスタートのときに、恐らく全国でも珍しい、いわゆる条例を作りました。普通でいきますと、何々市何々町
介護保険条例というのが通説だと
思います。私
どもは、高浜市
介護保険・
介護予防の総合的な推進に関する条例ということで、そのときから
介護予防という視点を入れました。今回、昨年の
介護保険法の改正の中に、いわゆる
介護予防に積極的に取り組む、重視のそういう施策が打ち出されました。あるいは、私
ども市町村にとって、
保険者を重視した地域密着型、こういうようなサービスを地域でということは、地域で担っていく、そういうサービスが求められているというふうな
考え方でございます。
そういう
意味で、私
どもが当初から取り組んでまいりました
介護予防、それには
介護予防の拠点施設でございます宅老所、こういうところではヘルパーの養成研修をされた方
たちを含めた、今三十グループ、約四百三十人のボランティアの方
たちが直接的に、
行政が決めたんではなく、自分
たちで決めたルールに基づいて宅老所の運営をしておっていただきます。
とかく私
ども自治体は、養成をしました、それで終わってしまいます。しかし、養成をした人
たちがどのように地域の中で、それが活動する場を設けるか、あるいは活動していただくか、こういうことがあって初めて私は成果が得られるんではないかというふうに思っております。
ちなみに、このように、例えば宅老所を含めた、積極的にかかわっていただく、そういう方
たちで
介護予防等の事業の利用者、これは
平成十五年度の
国民健康保険のデータベースで申し上げますと、利用者六百十一人の
医療費の分析をいたしますと、利用者の平均が七十一・六歳、その
医療費三十五万四千五百六円。これに対して、同年齢の市全体の平均の
医療費は四十八万二千六百二円という
状況でございます。約七割ということで、いかに
介護予防が大事であるかということが、私
どもはある面ではこれは実際の検証の中で分かりました。
そういう点で、これからもこの
介護保険法は予防重視型の
システムとして、そしていろんな
意味で地域の
高齢者、これを支えていくそういう
システムとして大きな
役割を果たすんではないかというふうに
思います。
そういう中で、私
どもは国に期待をさせていただくこと、特にお願いをしたいことは、
高齢者介護において
介護保険制度の
国庫補助金である
調整交付金の五%、このことにつきましては、確かに後期
高齢者の人数的な問題、いろいろそれによって全国的な
調整をされておりますけれ
ども、全国
市長会を始め各団体におきまして、このことについて是非とも御理解をいただきたいということでかねてからお願いをしております。
次に、障害者自立
支援のことにつきまして申し上げさしていただきます。
とりわけ、この問題につきましては、今回の私は
法律の制定の中で、
支援費から
制度から新たに変わるということの中で、私
ども現場として一番大事にしておりますことは、いわゆる就労とそして住まいだというふうに考えております。
そこで、私
どもこの三月議会に商工会、市の商工会の方から、障害者雇用について積極的に取り組もうと、あるいは自分
たちと一緒になって取り組んでいきたいというそういう陳情が出されまして、採択をされました。いろんな
意味で、やはり地域の商工業団体がそういう意識を持っていただくこと、これが私は障害者の雇用を一歩進めていく上で、残念ながら私
どもは市内の事業者のいわゆる障害者の雇用の率は一・二六ということでまだまだ少のうございます。しかし、やはりこのような
法律の制定のきっかけによって、地域のいろいろな団体の方
たちがそのように意欲を持って、同時にまたこれは、私
どももこの新年度の中で企業体験実習
手当金
制度という市の単独事業を創設をしました。ある面ではこのようにして就労をいかにして促していくか。それは、ある面では地域の中で障害者の方が自立して生活していく大きな一歩であると。それなくして、やはり施設から地域へということはなかなか難しいと。
そしてあわせて、やはりもう
一つは
住宅のことでございます。そういう中で、
一つには、今私
どもは愛知県の県の
住宅の空いているところに対して、これに対して是非いわゆる空き家をこのようなグループホームに、障害者のグループホームに活用できないか。あるいは、私
どもかつて産炭地から、いわゆる炭鉱離職者の方
たちが私
どもにいわゆる雇用促進
住宅として
制度を設けまして、そういう中でも空いておる
住宅がございます。こういう、ある面では地域にある
社会的資源、こういうものを活用することによって障害者の方
たちが自立をしていく一歩、いわゆる住まいというものがいろんな
意味で大きな
役割を果たすんだと。それと同時に就労があれば、私はかつてのいわゆる収容型から地域の中でともに、あるいは時には
高齢者と、あるいは
子供と一緒に共生できる、そういう地域
社会ができるんではないかというふうに考えております。
そういう中で、是非とも雇用促進
住宅等を含めたいろんな
意味で国の
制度のお持ちのそういう
住宅に対しても、いろんな
意味で御理解をいただく、そういうことが地域へということにつながるんではないかというふうに
思います。
そしてあわせて、その就労に関しましては、やはり私
ども身近にございますハローワークというものがやはり大きな
意味合いを持っております。そういう中でのネットワーク、こういうものがあって初めて安心していわゆる相談、そしてあるときにはいわゆる見習的なことを含めた、いわゆるジョブトレーニングを含めた、そういうことができるんだというふうに考えております。
最後に、
少子化対策次世代育成
支援のことにつきましてお話を申し上げていきます。
先ほ
ども地域
福祉計画のお話をさせていただきました。その中で、
子供たちのグループが自分
たちで
子供の権利について考え、実際に行動しますというテーマの下に、私
ども、たかはま子
ども市民憲章を策定をし、
子供たち自分自身の言葉でそれを作りました。その中に、
一つの言葉の事例を申し上げます。むかつくという言葉をこの憲章の中で使っております。普通でいきますと、このような憲章というのはもっときれいな言葉でと。しかし、やはり
子供たちが自分
たちで考えた。それを私は
子供たちが地域
社会の中で自立をしていく大きな一歩であるというふうに
思います。
そういう点で、そしてまた彼らは、やはり今、中学、高校生の居場所づくりというのは大変大きな問題でございます。そういう中で、国の地域再生の計画の認定を受けまして、勤労青少年ホーム、ここの活用をどうにかできないかと。彼らが将来の有意な
社会人、就労人になるという、職業人になるという
観点の中で、この認定をいただきまして、勤労青少年ホームの一部を改装して、バンドができる防音室とインターネットの環境を整備したハウス、バコハという自分
たちでネーミングをしました。そういうようなものをつくって、今、自分
たち、当事者の自己
責任において運営をしております。昨今、そこに、いわゆる退職を迎える大人の方
たちが、かつてのグループサウンズじゃございませんが、そんなようなことで御利用される。ともに、そこにもやはり共生という、そういう
考え方が出ておるというふうに
思います。
最後になりましたが、私
ども、人口が急増しております。そういう中で、特にやはり就労をするそういう女性の方
たち、この
支援の問題というのは大変大きな問題でございます。そういう中で、やはり保育所の整備というものが、特にハード的な事業として求められております。
そういう中で、私
どもは、保育所の民間委託あるいは民間保育所の誘致など実施をしてまいっておりますが、保育所の
施設整備補助に係るハード交付金というものが現行では二か年の継続補助となっております。そうしますと、二年目の交付金というものが大丈夫だろうかというような心配というのは当然現場サイドでは起こっております。そういう点で、いろいろとまた工夫をしていただくような手だてがあればと。
そして、もう
一つこれは、実は、特に
児童クラブの問題でございますが、これは、まだいわゆる特別会計の事業でございますので、県費補助事業ということに
児童クラブはなっております。そうしますと、県の予算が付かなければ国からの補助
対象にはならないということでございます。
私
ども、先ほど申しましたように、働く女性の方
たち、そうすると
子供の安全、安心のために
児童クラブというのは大変大きな
意味合いを持っております。そういう中で、これは、せっかく交付金ということの
制度ができました。確かに、私
どもこれは、
地方にとりましては使い勝手のいい、そういうものでございます。しかし、別の補助事業というものがそこにかみ合わされますと、段階を踏んでいきますと、それは県を通らなければここまで、国まで上がってきません。こういう問題というのは、ある面ではもっと使いやすい、そういうことにしていただくようなことができれば、ある面では、たまたま私
どもは人口急増地域というようなこともあるかもしれません。しかし、それによって就労をしていく、そして
子供たちが安心して地域の中で生活する、そういうことが大事ではないかと。
いよいよ二〇〇七年問題が到来いたします。そういう中で、私
どもは、この
皆さん方の大きな知恵と能力を地域の中でということで、今現在、私
どもは、地域内
分権と申しまして、各
小学校区にまちづくり協議会の設置に向けて努力をさせていただいております。二〇〇三年、試行的に進めました。今
一つ立ち上がりました。
そして、私
どもは、そこに
権限と
財源を下ろして、そして地域の問題は自分
たちの地域で解決をしていく。そういう中で、例えば公園管理あるいは
子育てあるいは
介護予防、こういういろんな事業を今地域で取り組んでいただいています。こういうことによって、これから地域はともに共生をする、そういう町づくりができればというようなことを
思いました。
今日、このような機会を与えていただきましたことで、日ごろ私
どもが取り組んでいる一端と併せて、是非とも
議員の皆様方に、今
地方は、それぞれ苦しい中でも一生懸命知恵と汗を流しながら地域の住民の皆様方の
福祉向上に取り組んでおるということの一端を述べさせていただきまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。