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2006-04-25 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     藤末 健三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 小泉 昭男君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 藤末 健三君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        農林水産大臣  三浦 一水君        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  遠山 清彦君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        経済産業大臣政        務官       小林  温君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務省経済局長  石川  薫君        財務大臣官房審        議官       青山 幸恭君        農林水産大臣官        房審議官     増田 敏明君        農林水産省総合        食料局食糧部長  皆川 芳嗣君     ─────────────   本日の会議に付した案件外交防衛等に関する調査  (防衛庁長官米国出張に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済上の連携に関する日本国政府マレーシア  政府との間の協定締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○マルチチップ集積回路に対する無税待遇付与  に関する協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、白眞勲君が委員を辞任され、その補欠として藤末健三君が選任されました。     ─────────────
  3. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  防衛庁長官から、今般の米国出張に関する件について報告を聴取いたします。額賀防衛庁長官。  座ったままで御発言願います。
  4. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、四月二十一日から二十五日まで米国のワシントンを訪問し、二十四日、ラムズフェルド国防長官協議を行いました。  この協議においては、在沖米海兵隊グアムへの移転をなるべく早期に実現するための資金面を含めた措置の在り方等について重要な意見交換を行いました。  本件については、在沖米海兵隊グアムへの移転に伴いどのような施設が必要となるのか、そのうち我が国としてどの部分負担することが適切なのかを積み上げ方式で検討し、ラムズフェルド国防長官と三時間以上にも及ぶ意見交換を行った結果、我が国として、総経費約百二・七億ドルのうち五九%に当たる六十・九億ドルを支援することで合意しました。このうち、我が国財政支出は、元本の戻ってこないいわゆる真水の約二十八億ドルになります。  また、我が国の具体的な支援対象は、在沖米海兵隊員グアムへの移転に伴い直ちに必要となる庁舎、住宅、電力等のインフラなどであります。  本件については、今後、最終的な取りまとめに向けまして、事務レベルでも詰めの作業を行っていくことといたしております。  以上です。
  5. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御苦労さまでございました。     ─────────────
  6. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  現在、本委員会に付託されている条約の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官長嶺安政君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 経済上の連携に関する日本国政府マレーシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件及びマルチチップ集積回路に対する無税待遇付与に関する協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 川口順子

    川口順子君 川口順子でございます。  今、額賀長官から御報告をいただきました米国出張の件、これも日米安保文脈、そして日米同盟文脈の中において非常に大きな意味を持つ御出張であったかと思います。時間が十五分しかないので、この点については今回は御質問をさせていただきませんけれども、大変に評価をさせていただいております。  それから、同じように今回もう一つ竹島周辺の海域で海上保安庁による海洋調査をめぐって日韓交渉というのがございまして、これも麻生外務大臣の御指揮の下、外務省が非常によく頑張った交渉であるかと思います。時間の観点から非常に簡単で結構でございますけれども、この交渉自体の経緯、もしおっしゃれることがありましたら、それから今後の見通しについて簡単にお話しをいただければと思います。
  10. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのような状態を背景にして、四月の二十一日から二十二日にかけて、いわゆる両省の次官レベル交渉をいたしました。断続的に約十二時間以上にわたり協議を行っております。それぞれ政治的な立場背景もありますけれども、とにかく問題の外交的解決を図るという観点からお互いに話をしておりますが、基本的には三点で合意をいたしております。  海底地名登録につきましては、しかるべき準備を経て適切な時期に推進する立場である、韓国側が。日本側においては、この六月の海底地名名称に関する小委員会においては韓国側名称の提案は行わないと理解。日韓双方はこのEEZの境界線画定交渉と、これはずっと止まっておりますので、これを五月中にも局長レベルで再開。そして日本側は、今回予定しておりました海底地形調査を中止することといたしております。  基本的には、背景内容は、双方とも国際法にのっとって冷静に処理するということを私どもとしては目標としてきました。したがいまして、この事態進展の中でかなりエキサイトした部分もありましたので、現場では、不測の事態が起きる可能性というのを否定し得ませんでした。したがって、それを回避することができたことに意義があったと思っております。  今回の海上保安庁測量船が出港するという目前に迫っておりましたので、危機管理の上から考えてぎりぎりの外交的大局を踏まえて判断したというように考えております。
  11. 川口順子

    川口順子君 ありがとうございました。  外交当局というのは、やはりその交渉を大事に至らないように、交渉でそれを食い止めるという大変に困難な役割を負っていると思います。そういった困難な役割を今回外務省はよく果たされたというふうに私としては評価をいたしております。  それから、マルチチップ協定につきましては、これも私は、日本の国益という観点からも、それからそのWTOに先駆けて、WTO協定を後押しをしたという点でも評価をしておりますけれども、時間がありませんので、今回この点についての御質問はいたしませんで、FTA、マレーシアとのEPAにつきましての質問をさせていただきたいと思います。  通告をしていたのとちょっと順番を変えたいと思いますけれども、まず、そのマレーシアとの協定というのは我が国締結をした協定として三番目ということになっておりますし、アジアでは、シンガポールは先進国と同様ということですから、発展をしている過程にある国との初めてという協定で、いろいろなその評価意義付けができると思いますけれども、その点についてまずお聞かせいただきたいと思います。
  12. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  この協定は、物品の貿易において往復貿易額の約九七%の関税撤廃を実現するほか、サービス貿易投資知的財産、反競争的行為の規制、ビジネス環境整備、様々な分野における協力等、幅広い範囲を対象としております。このため、二国間の経済関係を包括的に強化する内容となっており、両国間の経済上の連携が一層強化されることが期待されております。  また、この協定東アジア地域における他の諸国とのEPA交渉進展のための推進力としても大きな意義を持つものと考えております。  具体的には、例えばこの協定におきまして、マレーシア側輸入額の九九%について関税撤廃を約束するとともに、投資知的財産において前向きな対応を行い、日本側人材育成中心とした幅広い分野における協力を約束しております。  このように、今後、他国とのEPA交渉においても、相手国自由化等の面で前向きな対応を求める一方で、経済規模において相手国を大きく上回る我が国としては、相手国に対する協力も含めて取り組んでいく必要があると考えております。これにより、我が国相手国双方にとり利益となる質の高い協定を実現できるものと考えております。
  13. 川口順子

    川口順子君 ありがとうございました。  今、日本アジアで進んだ国としてのその兄貴分といいますか、と言うとちょっと言葉に問題があるかもしれませんが、経済的なその大国として協力すべきところはしていくというお話で、そういったその立場あるいはスタンスで今後の交渉をやっていくということも重要であるかというふうに私は思っております。  今回の日本マレーシアEPAにおきましては自動車分野の関税問題が非常に大きな項目で、重要な項目であったというふうに承知をいたしております。企業立場に立って考えてみますと、これ、経済産業省から小林政務官が御出席をいただいていますのでお伺いをしたいと思いますけれども、企業立場から考えますと、そのアジア全体に日本と二国間の様々な協定があり、それから日本以外の国同士の間でも様々な協定があるわけでございまして、特に日本にとって重要な、あるいはそのアジアのほかの国にとっても重要な自動車産業という観点から見ますと、どのような国際分業の形がアジアの中で今後展開をしていくのか、それをEPAがどのように影響を与えていくのかというのは、それ自体非常に興味が深いテーマであるというふうに私は思っておりますが、今回、その自動車が大きな問題であった、あるいはタイにおいてもそのようなことがあるということを前提に考えましたときに、政府として、自動車産業においてどのようなアジアの中で国際分業ネットワークがつくられるということが望ましいというふうにお考えなのか、あるいはそれに基づいてどのようなEPA戦略考えていらっしゃるのか、その辺りについて御所見を伺わせていただければ幸いです。
  14. 小林温

    大臣政務官小林温君) お答え申し上げます。  川口委員も白いワンボックスカーにお乗りでございますが、今の車というのは高度電子部品の塊で、あるいはハイブリッドなども含めて、日本環境技術世界にアピールする、これからも日本競争力の核になっていただきたいということで期待をされているわけでございます。そういう中で、我が国自動車メーカーアジア自動車産業の実情に応じた国際分業体制というものを構築をしております。  ポイントは二点ございまして、まず第一に、日本から完成車輸出するのではなくてアジアの中で完成車現地生産している点にございます。そして二つ目は、現地生産に当たって必要な部品日本ASEANなどそれぞれ最も競争力のある国から調達しているという点にございます。例えば、タイからディーゼルエンジン、フィリピンからトランスミッション変速機ですね、それからマレーシアから電子部品日本からは更に高度な部品を調達し、タイアジア戦略車種、例えばピックアップトラックでございますが、こうしたものを組み立てて世界市場に供給するというネットワークを形成しているわけでございます。  経済産業省といたしましては、このようなアジア大での最適な分業体制が今後の日本自動車産業競争力基礎となっているというふうに認識をしておりまして、このため、今回御審議いただいているマレーシアの件も含めまして、アジア各国とのEPAを通じてこの国際分業ネットワークの形成を促し、更に産業国際協力を強化をしていきたいというふうに思っております。
  15. 川口順子

    川口順子君 ありがとうございました。  EPA成果というのは様々にあるかと思います。そして、その成果一つとして私たちがきちんと認識をしておかなければいけないのは、第一号の我が国とのEPAメキシコとのEPA成果であるかと思います。今後日本がいろいろな国とEPAを結んでいく、今交渉タイフィリピンとおおむね合意に、大筋合意に達したということであり、ほかともやっているわけですけれども、その中で過去のEPAが、既に結んだEPA成果認識することが重要であると思いまして、特にメキシコとの協定では非常に大きな成果が上がったというふうに思いますけれども、その成果について、どのような成果があったと認識をしていらっしゃるか、お話をいただければと思います。
  16. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいま御指摘の点につきましては、日本メキシコEPA発効後の貿易動向についてまず御説明を申し上げますと、昨年の四月から本年三月までの対前年比で貿易総額は三八%増加しているわけであります。特に、我が国メキシコに対します輸出は、自動車及び自動車部品を始めとしまして全体で四五%増加いたしております。そして一方、メキシコ日本に対する輸出も全体で二二%の増加ということになっております。また、投資につきましても、自動車メーカー自動車部品メーカー中心に、日本メキシコEPA発効前後に相当額の対メキシコ投資が発表されております。また、政府調達におきましても日本企業メキシコ電力事業に関する大規模案件を落札をいたしております。  このような貿易投資関係の拡大に加えまして、ビジネス環境整備に関する委員会民間関係者出席も得て開催をいたしますなど、この協定締結によりまして、日本メキシコ両国政府民間双方関係者がこれまでにない協力関係を築きまして、多面的な経済関係発展が促進されているというふうに認識をしているところであります。
  17. 川口順子

    川口順子君 ありがとうございました。  私は、EPA成果日本国関係者全体によって共有されるということが大事であるというふうに思っております。  過日、メキシコ大使が、あるパーティーで会いましたら、あちこちで非常に成果があったということの宣伝をしていらっしゃいました。在日のメキシコ大使宣伝をしていらっしゃいましたけれども、EPAというのは利益を得るものもありますし、同時に、それによって若干なりとも困難な立場に立たされるセクターもあるわけでございまして、したがって、日本国全体として、それが日本利益をもたらすものであるということをやはり日本政府としてもそれから我々関係者としても、十分に日本の国内で知らせていくということが大事であるかというふうに私は思っております。  これは質問ではありませんけれども、皆様も同じように思って行動していただいていると思いますので、一言だけそれについて触れておきたいと思います。  あと一分ほど時間がありますので、もう一度そのマレーシア協定に戻りまして、マレーシア協定が今後締結が行われるであろうアジアのほかの国に対してどのような意味合いを持つか。先ほど意義について触れていただいた中で一般的な形でおっしゃっていただきましたけれども、その大筋合意に達したタイフィリピン、あるいは特にタイについては、自動車についてはマレーシアと大分違った形での協定の今の状況になっているというふうに仄聞もいたしておりますので、ASEAN全体、いろいろな展開が今後ある中でどのようなインプリケーションがあるかということについて、一言おっしゃっていただければ幸いです。
  18. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、ただいまタイとは条文が実質上まとまっております。フィリピンは大詰めの段階に来ておりまして、このほか、インドネシアと交渉中、またベトナム、ブルネイと共同研究会ないし準備会合をやっておる、またASEAN全体とも包括協定について交渉を進めさせていただいているという、こういう状況でございます。  こうした中で、例えばマレーシアにつきましては、ルールづくりという観点から申しますと、知的財産透明性の向上といったことについてかなり詳細な約束事がなされました。また、日本ASEAN全体との、ASEAN各国との経済関係が、先ほども御答弁ございましたけれども、非常に緊密化している、いわゆる工程間分業等も進んでいるという現実がございますので、そうした観点から、この日本と今後交渉していく諸国との経済関係への法的枠組み基礎を成す、そういったことにマレーシアとの協定の妥結ということは大きな意義を持っていると、かように考えている次第でございます。
  19. 川口順子

    川口順子君 ありがとうございました。時間が来ましたので質問を終わらせていただきますが、このEPA交渉はまだまだ道が長くて、各省皆さん大変でいらっしゃると思いますけれども、是非御健闘をいただきたいと思います。  以上です。
  20. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 額賀防衛庁長官にまずお伺いいたしますが、米国出張から戻られてすぐのところで恐縮でございますけれども、グアムへの移転経費総額が百二億ドルということでありまして、そのうちの五九%を負担されるということを合意したということを先ほど読まれたということでありますけれども、まず私、この百二億ドル、八千人の海兵隊が移るのに百二億ドルという金額自体がかなり高いような気がいたします。単純計算いたしますと、海兵隊八千人ですから、割りますと百二十七万ドルぐらいですね、一人当たり。だから、一人当たりで一億五千万ぐらい掛かると。  その金額についてそもそも高いんではないかと思いますが、防衛庁長官はそういう考えは持たないかどうか、伺いたいと思います。
  21. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今御指摘の総枠百二億七千万ドルということでありますけれども、元々グアムの場合は離れておりまして、何を造るにしても高コスト構造であるということを聞いておりますから、我々の感覚からすると、それはいずれにいたしても物資は高いという認識は持っておりました。
  22. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 高コスト構造というふうにおっしゃいますが、グアムあるいはハワイも、例えば旅行社で行くとそんなに高くないんですね、日本と比べても。ですから、それはもう少し精査が必要なんじゃないかなというふうに思います。  もう一点、これ質問通告していませんが、国会で御答弁いただいていることでありますので伺わせていただきますが、当初百億ドル内外という話が出て、その総額を引き下げるんだと、引き下げる中で五〇%日本負担するのだというような話があったんですが、総額を、百億ドルを八十億ドルぐらいまで下げられるんじゃないかという交渉をするんだという発言があったと思いますが、そういう話じゃなくて、今回、百億ドルから、まあ二億ドルだけですけれども、増えているわけでして、行かれて、向こうの方からまだ総額が増やされたような話があったのか、あるいは日本側から総額についてそんなに掛からないんじゃないかという話をされたのかどうか、その点についても伺いたいと思います。
  23. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 総額については当初から百億という数字が固定的にあっているわけではありません。九十億ドル台のこともありましたし、百億ドル台のこともあったわけでございますけれども、これは米側がやっぱり総枠として分母にどの程度を入れるかという話でありまして、我々との関係で、米国側自分自身財政支出なり負担でやる事業について、この日米交渉の中に入れるものと入れないものがあるわけでございまして、その中で若干増えたり少なくなったりしているというふうに思っておりまして、例えば一つ、この中には高速道路の、アプラ港からアンダーセン空港までの高速道路についての費用がありますけれども、日本がこれを有料道路方式で建設をするとかそういうことになった場合は日本とのかかわり合いがありますけれども、そうでない場合は、アメリカの独自の予算でやるということになれば、除外されるとか、あるいはまた入れたとしても自らの海兵隊移転に伴って造る道路であるからこの枠組みに入れるとか、アメリカの事情で入れたり出したりしたことがあったというふうに思います。
  24. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いずれにしても、これは今後国会の中で、予算を伴いますし、また法的枠組みも変えていかなければいけない課題ですから、しっかりと審議をしていくべきものだというふうに思っています。  億ドルというと物すごい大きなお金なんですが、これは百億ドル、まあ一兆円ですね。日本側負担だけでも六千七百六十億円、あるいは真水で、先ほどおっしゃいました二十八億ドルというのは三千百八億円。まあこれ為替レートによって変わりますけれども、かなり大きな金額でありまして、これは慎重にやっていかないといけない。もっと言えば、米国においても政府が他の国といろんな協議をしても議会が駄目だといってできなくなることもあると。日本においてもそういうしたたかなやり方を考えていく必要性があるんではないかなというふうなことは申し上げておきたいと思います。  その上で、今回のグアム移転というのは、いろんな報道によると、日本海兵隊沖縄負担が重過ぎるからという、頼んで出ていってもらったんだというようなことも言われていますが、私は、むしろ先ほど防衛庁長官がおっしゃったように、米軍全体の米軍再編流れの中で米国がそういうふうに決めたと、新たな脅威に対応するためにグアムに戦力を持っていったということだというふうに思います。  だとすると、そういう説明をするのが筋なのかなと。もっと言えば、米軍の国際的な軍事戦略の中に日本がある程度の同盟国として負担をするのだという言い方の方が、沖縄負担があるからその分お金負担するんだというよりも筋が通るんではないかなと思いますけれども、その点について防衛庁長官はどういうふうに考えますか。
  25. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例のテロ事件以降、あるいはまた大量破壊兵器の拡散とか、そういう流れの中で米国軍事戦略というのも変化していると思います。我々も、この北東アジア状況、そういう新しい脅威の事態に備えて自衛隊自体を改革しようとしているわけでございます。期せずして、安全保障環境の変化に応じて我々は改革をしようとしているわけでございます。  そういう中で、米軍再編と自衛隊の改革をどういうふうに効率的に合理的にやっていくかということが問われているわけでございまして、私たちの基本的な考え方は、抑止力の維持と同時にやっぱり負担をどういうふうに軽減をしていくか。負担を軽減していく際には日米両軍の運用とか、その能力を向上させていかなければならない、そういう流れの中でこの米軍再編考えていると。そのときにやっぱり沖縄県民の負担をどういうふうに軽減をしていくかという際に、米海兵隊の削減というのはこれは非常に重要なポイントでありますから、我々は沖縄県民の負担を減らすために、あるいは日本全体の負担を減らしていくために一日も早く海兵隊グアム移転がなされることが望ましいと、それが日本の安全保障上にマイナスにならないということであれば推進していこう。一定の財政措置をしてでもやっていくことが県民の負担減につながっていく、しかも、なおかつ日米同盟関係の信頼にも響かない、いや、むしろ日米同盟関係の信頼の重要性というものを認識しながらやっていくことが大事であると、そういう認識で行っているというふうに私は考えております。
  26. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 何でこういう質問するかというと、アメリカアメリカ戦略に基づいて部隊を移すというのはよく分かることだと思いますね。たまたまそれが沖縄の部隊をグアムに持っていくと。それであれば、そこから先の判断は、日本負担をするかしないかは日本側の判断ですということになるわけですけれども、日本が頼んだということであれば負担をしろというのは一つの理屈ですが、そうではないだろうと私は思っています。  アメリカアメリカの判断に基づいて沖縄のものをグアムに持っていった。そのときに日本負担をするということであれば、冒頭申し上げましたように、日米がその同盟関係において一体的な関係を持っているからアメリカの軍事的な支出についても日本負担をするんだという説明を、それがいいかどうかというのは今後の国会の議論の中でしますけれども、説明をする方が筋が通っているんではないかなということでそういうことを申し上げたわけでありまして、どうもそこのところがかなりあいまいになっているんではないかなと。  日本負担をすると、何というんですか、沖縄からグアム移転するのが早まるという説明もありましたけれども、そもそも米軍再編をやるんであれば、早まる早まらないは私は関係ないんではないかなというふうに思うわけであります。つまり、アメリカが自分の戦略に基づいてスピードは決めていくということでありますでしょうから、日本負担をしようがしまいがそこのスピードは変わらないんではないかというふうに思いますけれども、その点について、そういうふうに考えておられるかどうか、端的に伺いたいと思います。
  27. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、この問題とも関連しますが、沖縄県の地元の皆さん方については、普天間飛行場の移設の問題についても、これは沖縄県外に全部持っていってくれということからスタートしております。  そういう意味では、少しでも沖縄県民の負担を縮小してほしいというのは彼らの悲願であることは間違いはないわけでございまして、普天間飛行場もそういう形で我々は推進をさせていただいているわけでありますけれども、海兵隊移転についても、これは稲嶺知事がこの問題については高く評価をしていると聞いておりますし、じかに聞いてもおりますので、我々はそういうことについて、日本立場としては県民の負担を解消していく、縮小していくことが抑止力の維持に差し障りのない範囲で行われるということは決して悪いことではない。一定の財政支援をしてもおかしくはない形で、この協議を最初から行っておりまして、去年の秋の2プラス2の中間報告においても、アメリカ側から八千人の海兵隊移転ということを我々は協議の中で取り出したわけでございます。
  28. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 どうも議論かみ合ってないんで、お答えいただいてないんだと思いますが、私が申し上げたいのは、アメリカは間違いなく自国の戦略に基づいて今度のことをやっていると。たまたまそれは沖縄負担の軽減にもなると。そこから先はもう少し外交交渉としてはいろんなやり方があったんじゃないかなと。つまり、じゃ日本が出さないんだったら移んなくてもいいというような、私はこれはブラフだと思いますけれども、そういう発言があったら、じゃどうぞ移んなくてもいいですよと言ったら向こうも困るんじゃないかなと。まず答えを求めても答えていただけないと思いますからそれは求めませんけれども、それぐらいのことをやられた方が大変厳しい財政の中ではもう少しいい結果になったんではないかというふうに思います。  この財政の話で少し伺っていきたいと思いますが、まず支出の法的な枠組みをどういうふうにされて考えているのか。これは法律を新たに作るということが報道されていますが、そういう理解でよろしいですか。
  29. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 真水財政支出をする場合、それから出資、融資をする場合、まだスキームがきちっと固まっていないわけでございまして、事務的にこれを固めた段階で、その途中で、これは法的な措置が要るのか、どういう形がいいのかということはこれから具体的に検討をさせていただきたいと思っていますし、国会の皆さん方にも逐一報告をさせていただきたいというふうに思います。
  30. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 真水と融資という話がありましたので、真水と融資と分けて質問いたしますが。  まず、真水については、これは外務省、これはかつての大平外務大臣のときの国会答弁ということなんですけれども、いわゆる財政条項を含む国際約束には国会承認条約が該当すると。しかし、先に予算、この場合は補正ということになるんだと思いますが、予算が通ってしまうと条約は国会に出さなくてもいいというような理解で外務省はやってきたんだと思いますけれども、私は、これだけ大きな話はしっかりと国会に、協定も含めて承認国会でもらった上で予算措置をとるべきだという、まず真水の議論で言えばそういうふうに思いますが、その点について、そういうふうにした方が政府としての説明責任も果たせるんではないかと思いますが、御意見を伺いたいと思います。これは真水部分ですね。
  31. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いずれにしても、これから具体的な細かいスキームを作っていくことでありますから、そういう中で本当に法的な措置が要るのかどうか等々について考え方を決めていきたいというふうに思っておりますので、もうしばらく時間をかしていただきたいというふうに思います。
  32. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 予算は当然国会審議が必要ですから、いずれにしても国会審議にはなるんですけれども、より説明責任を果たすという形で言えば、協定は、これは国会承認を事前に求めて、その上で予算措置をとるというのが正しいやり方だということを申し添えさせていただきたいと思います。  あわせて、融資の方は国際協力銀行の枠組みを使ってやるんだと思いますが、国際協力銀行法が、私は、そもそも基本的には円借款ということがこれは途上国向けですからなじまないということで、唯一なじむとすれば旧輸銀が持っている国際金融業務というところになるんだと思いますが、この国際金融業務で行うとすると、これは法律を改正しないで現行法でやる場合は外務大臣が定めればいいということなんですが、外務大臣にこの質問を通告していませんが、麻生外務大臣としては、国際協力銀行法の今の枠組みの中でやるのか、別途、法改正をしてしっかりと取り組むのか。私としては、別途、法改正をしてしっかりと取り組んだ方が説明責任が果たせるというふうに思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  33. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 浅尾先生、ちょっと急な御質問だったんできちんと詰めているわけではありませんけれども、今言われたように、防衛庁長官の方から言われたように、スキームがまだはっきりしていないという段階ですので、ちょっと詳細な事務的な検討が要るということになるんだとは思いますけれども、ちょっと今現時点でそれ以上お答えできる段階ではございません。
  34. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 スキームがはっきりしていないというのはそれはそうかもしれないんですが、合意する前に多少はスキームは考えておくべきなんじゃないかなというふうに思います。  いずれにしても、繰り返しになりますけれども、これだけ大きな話ですからしっかりと法律を作って対応していくのが正しいやり方ではないかなというふうに思います。  時間の関係で、竹島について少し伺いたいと思いますが、一言だけ外務大臣に伺いますが、これ、抜本的な解決というのは、竹島の領有権をいずれかのタイミングでしっかりと日本のものだということを韓国側も理解してもらわないと抜本解決にならないんだろうなというふうに思いますが、そのための、何というんですかね、手だては何か考えておられますでしょうか。
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) もう浅尾先生御指摘のとおり、今回の解決というものは、今回のこの一連の騒ぎの解決というものは、両国間で御存じのようにえらい緊張感が高まっていましたので、不測の事態が起こり得る可能性もあるということを前提にしてそれをいかに回避するかというのが主眼の、最大の目的ですから、したがって、今回、先ほど申し上げましたように五月中に協議を再開することになりましたので、これもずっと中断したままでしたから、そういったものができるようになりましたのがよかったということだと思っております。  したがって、今後、この境界線の問題というのが御指摘のとおり残っているわけで、本当に今後、これを五月中に開会と、ずっと向こうが止めて止まっていたものですから、それを開会すると言ってきておりますので、この問題はこれから取り組んでいかないかぬところだと思いますが、これは急に今すぐこういう解決方法があるというわけではございません。
  36. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 竹島については残念ながら韓国が実効的に支配していると、外務省がそれをそういう言葉を使うかどうかは別として、事実上そうなっているというのは事実だと思います。それを日本の、もっと言えば、その実効支配を許した段階でかなり日本としては不利になっている、まあ不利と言うと語弊がありますけれども、韓国としてもなかなか譲れない状況になっているんだろうなというのは事実だと思いますが、この問題について是非しっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げて、もう一点だけ、この竹島の問題と日韓間にあります靖国の問題がどういうふうにリンクしていると考えておられるかどうか、意見を伺いたいと思います。
  37. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 委員長の方から、答弁に入ります前に申し上げます。  我が国の公式な立場は、竹島は韓国が不法占拠をしているということでございますし、外務省も実効支配という言葉を使わないということでございますので、今後の質疑においては不法占拠という言葉を使っていただくようにお願いいたしまして、外務大臣の答弁を求めます。
  38. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 韓国側で今回の調査を竹島問題と結び付けて、いわゆる竹島問題を歴史問題とあるかのごとき話があるのは知っておりますが、日本としては、竹島問題はこれは歴史問題というような話ではないと、これは基本的に領有権の話ですから。したがって、今回の調査も、これはあくまで六月の、海底地形名称に関する小委員会というものに向けた韓国側のあの名称提案の動きに対応するためにやったものであって、これは海洋の科学的調査が基本。したがって、歴史問題とは全く関係がありませんので。  したがって、日本と韓国の間というのは一部でいろいろ問題があろう、対立があるということは間違いなく存在していると思いますけれども、しかし、この問題に関しましては、いろいろな状況というのはもう両国の長い心情の面やら何やらいろいろありますので、そういったことも考えて、韓国の言い分も決して分からぬわけじゃありませんので、そういった意味ではいろいろなこれまでの経緯も考えて真摯に対応していくという対応で、冷静に対応していかねばならぬ問題だと思っております。
  39. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、委員長の方から不法占拠、まあそれは確かに不法占拠というのは、私も立場は一緒です。ただ、まあ言葉の上で先ほどのようなことを申し上げたんですが、そもそも不法占拠を許した段階でかなり立場的には厳しい状況になっているんではないかなというふうに思いますが。  もう一点だけ、その海洋調査について、韓国側名称を付けて、日本側がもう既に名称を付けているところに新たに付ける可能性もあるんですが、これについては必ず、もう新たに、既存の名称が唯一のものであるということを日本側委員が主張すべきだと思いますけれども、一言、そうしますとお答えいただければと思います、当然と。
  40. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 当然だと思います。
  41. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、マルチチップ協定について伺っていきたいと思いますが、今日、時間が大分残り少なくなってきましたので、かなり幾つか通告しているものを飛ばしていきたいと思いますけれども、まず、このマルチチップ協定について、日本企業が外国で支払わなくて済むようになる関税というのは幾らぐらいでしょうか。──日本企業が外国で支払わなくて済むようになる関税は幾らぐらいでしょう。
  42. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 民間の調べによりますと、二〇〇三年に我が国半導体産業界が他のこの協定の構成者に対して輸出をいたしましたマルチチップの集積回路の総額は約五百七十二億円に上るということであります。その際に、我が国半導体産業界が他の本協定のその構成者から課せられた関税額につきまして、政府の統計はありませんけれども、民間の調べによりますと約十三億円、このように推計されているところであります。
  43. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 本協定WTOにおけるマルチチップ関税の撤廃が実現されたら終了するということですけれども、WTO交渉状況はどういうふうになっていますでしょうか。
  44. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) WTO交渉につきましては、極めて難しい状況になってきておりますのはもう御存じのとおりです。したがいまして、今月末までに農業品と非農業産品との間の例のモダリティーというんですか、関税削減方式によりますルールという、例のモダリティーというのを確立しようということで、今、中川農林大臣、二階経産大臣、それぞれやっておられますけれども、私どもの見ている範囲で、これ農業論の主要論点が収れんするのがこの四月までにいけるかといえば、ここはちょっと、かなり四月末にできるのは難しいということのように感じがいたしております。  ただ、これは向こうとの話ですんで、向こうがぽっと降りたらそれだけになる。ちょっと四月まではなかなか難しいと、目標にはしておりましたけど四月末は難しいというように理解しております。
  45. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 WTOでそのマルチチップの関税が撤廃されれば、この協定に入っていないところに対しても対象になりますから、一番望ましいわけで、そういう意味でもWTO交渉を是非進めていただきたいと思いますが。  同時に、このマルチチップについては日本側の関税はゼロなんですね。輸入、日本が輸入する場合はゼロ%。外国に輸出すると、今回協定に入っているところで二%か何%か取られているケースがあるわけでありますが、ほかにも、マルチチップ以外にも日本で輸入関税がゼロで、輸出した場合に関税が他国で掛かるものが、いろんなものがあると思いますが、例えばどんなものがあるか。そして、そうしたものについても、できる限り、WTO枠組みの中全体では無理としても、その中で先行して取り組めるんであれば、そういうものについても同じような協定を結ぶべきだと思いますけれども、まず、日本側の輸入関税がゼロで、輸出した場合に関税が掛かるようなもの、どういうものがあるか、お答えいただけますでしょうか。
  46. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 我が国無税待遇付与しているものであって他の国が、その国が関税を課している品目といたしましては、例えば電気・電子製品に対するブラジルのテレビ、ビデオに対する課税、これはまあ三五%であります。それから、インドの無線電話用受信機器に対します課税、これが四〇%となっております。こういったものが挙げられるというふうに例えとして申し上げたいと思います。  こうした品目につきましては、WTOのドーハ・ラウンドで交渉を進めていきたいと、このように思っております。
  47. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、こうした品目についてマルチチップと同じような形で先行してやるということは特に考えていないというふうに理解してよろしいですか。
  48. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 今申し上げましたように、こうした品目につきましてはWTOのドーハ・ラウンドで交渉を進めていきたいと、こういうふうに考えております。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほど外務大臣が、なかなかWTO妥結難しいということですから、そうであれば同じような形を取るのがいいんではないかなというふうに思います。  もう一点。  本協定には実は台湾も締約者として入ってきております。このマルチの中では台湾が入れると。しかし、日台との関係でこのマルチの協定は拘束力を持つというふうに考えていいと思いますが、この法的拘束力はまず二国間に存在すると考えてよろしいでしょうか。
  50. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 台湾の場合は基本的には、セパレート・カスタム・テリトリーと呼んでおりますけれども、独立した関税地域という特殊な用語で、SCTということで、世界貿易機構、いわゆるWTOのメンバーに加入をしております、まず台湾というのが独立した地域として。その上で、この協定に、そういうことになっておりますので、日本としてはその独立した関税地域と本協定締結しているという形になっております。  それで、バイラテラル、二国間の間にも存在するというふうに考えてもよいかという御質問だと存じますが、この協定WTO枠組みの中でそれぞれ集積回路の関税を無税化する協定でありまして、何と言うのかしら、締約者間、二国間で締結しているもの同士においてもこの場合においては効力を発揮するというように御理解いただいて十分と存じます。
  51. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 台湾との関係というのはいろんな東アジアのコンテクストの中で様々考えていかなければいけないところがあると思いますが、今、関税地域としては認めているというお話でございました。そのほかの多国間の枠組みの中でも台湾を認める枠組みもあるでしょうし、そういうものの中で日本にとってもメリットがあって、そしていろんな観点から日本戦略的な、外交的な観点からもメリットがあるものについては、台湾という地域にほかの国も加えて多国間の条約にすればそういうものが締結できるというふうに一般論で言えば考えていいかどうか、伺いたいと思います。
  52. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 台湾との関係に関します我が国政府の基本的立場というのは、日中共同声明に基づきまして非政府間の実務関係として維持するというものであります。台湾を国として扱ったり、その当局を政府として扱うことはないわけであります。  我が国、台湾及び第三国の三者間の国際約束につきましては、台湾との関係に関します我が国政府の基本的立場に従いまして、具体的な状況を踏まえながら個別に適切に対応していくと、こういうふうな考え方でおります。
  53. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の御答弁はそのとおりだと思いますんで、個別にいろいろと考えながら対応していけるような枠組みもしっかりと考えていくのが必要なんではないかということを申し上げておきたいと思います。  次に、マレーシアとのEPAに移らさしていただきたいと思いますが、まず、シンガポール、メキシコとのEPAが既にありますけれども、我が国が減収となった関税は幾らでしょうか。
  54. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 一般的に、経済連携協定締結に伴う関税、種々に及ぼす影響につきましては、輸入動向ですとか為替等についての予測が困難でありますため、これを正確に見積もることは困難でございますが、その上であえて一定の仮定の下で機械的な試算を行いましたところ、シンガポールとの経済連携協定締結による関税減収額につきましては約六億円、メキシコとの経済連携協定締結による関税減収額につきましては約十四億円と、締結時においてそれぞれ見積もっていたところでございます。(発言する者あり)
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあ、すばらしいという指摘があったものですから、もう少し厳しい質問をさせていただきたいと思いますが、約六億円、約十四億円というのは推計なんですね。これは、実は、例えばシンガポールから幾ら物が入ってきているかという貿易統計はあるんです。しかし、その中で、EPAによって減った関税額というのは分からないようになっていると。  貿易統計はあるけれども関税額は分からないという今の仕組みが私はおかしいと思いますんで、その貿易統計、そもそもその貿易統計の中に、要するに関税申告、通関処理をするときに税金額がゼロか幾らか入るというのは分かるわけですから、それを、特にこの電算化の時代、電子化の時代ですから、貿易統計の中に申告する個々の関税額も入れれば実額も分かるんじゃないかなというふうに思いますので、財務大臣政務官としてもそういうふうに統計を改めるかどうか、伺いたいと思います。
  56. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 御指摘賜りましたとおり、関税収入額につきましては、我が国輸入全体に係る関税収入総額については把握をしているところでございますが、これを今、国別、地域別に分けた実額としては把握をしていないところでございます。  国、地域別の関税収入の実績額につきましては、統計の整理上、過誤納付ですとか還付額に係る取扱い等といった問題もありまして、現時点においてはこれを持ち合わせていないところでございますが、御指摘の点を踏まえまして、今後どのような工夫が可能なのか十分勉強してまいりたいというふうに思っております。
  57. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 貿易統計はちゃんとあるわけでありまして、それは実際に入ってきたものを足し上げていっていると、その中にその関税額を入れていくと。多分、その現場の事務レベルも電子化されていればそんなに難しいことじゃないんじゃないかなというふうに思いますので、是非そこは御検討いただければというふうに思います。  それから、この協定について、六億円程度の関税の減収、この日本マレーシアとの関係でも六億円程度の関税の減収というふうに伺っておりますけれども、予算上はどのようにしていますでしょうか。
  58. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 日・マレーシア経済連携協定締結に伴う関税収入減収見込額、今御指摘の約六億円でございますが、これは今、平成十八年度関税収入見積りの積算の一つとして織り込んでおるところでございます。
  59. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 外務省のこの説明の資料ですね、経済上の連携に関する日本国政府マレーシア政府との間の協定説明書の十七ページになるんだと思います。「この協定を実施するための特別な予算措置は、必要としない。」と書いてありまして、この予算措置といったときに、恐らくここで想定しているのは、協定を実施するために何らかの周知徹底をするための支出の方の予算措置なんだと思いますが、EPAに伴って関税の税収額が減るというのは歳入の方の予算が減収になるということなんで、書き方は、本当はそこのところについては歳入の方についても配慮をした書き方をするべきだと思いますが、その点について、どうして書かれないのか、御説明いただけますか。
  60. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 御指摘のとおり、日本マレーシア経済連携協定を実施するために特別な予算措置は必要ないわけでありますが、このことを同協定説明書においても記載しております。  この場合に、予算措置が必要であるか否かというのは、例えば、条約を締結することによりまして分担金支払義務や資金拠出義務が生じるか否かのことを指して言っております。  この協定の発効によりまして、本協定の発効により、関税収入が減少し歳入は減少いたしますが、分担金支払義務等が生じるわけではないわけでありまして、そういった意味では、この協定を実施するための特別な予算措置は必要としないということであります。
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、歳出のところについては今おっしゃったとおりで、それは事前の質問のときにも申し上げたところなんですが、歳入についても、今後は説明書の中でそういった減収があるんであれば書いておいた方が説明書としては親切なんではないかということでありますので、今後変える要素があるかどうか伺いたいと思います。
  62. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) その点につきましては御意見として承っておきたいと、このように思います。
  63. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間の関係で恐らく最後の質問になってくると思いますけれども、この協定締結によりマレーシアからの輸入品がどういうふうに安くなるか、これは消費者にとってもある程度メリットがないといけないというふうに思いますので。  例えば、マレーシアからどんなものが輸入されていて、それに対してどういう関税が今まで掛かってきたのか。事前に伺ったら、パーム油とかパーム油関係製品で、これは関税掛かってないものが多くて、三番目に多いのがエビで、これが関税一%と。一%下がっても余りそんなに消費者にはメリットはないのかなと思いますが。一番大きいものとしては、多分木材、合板も含めた、合板継続協議中であると思いますが、木材関係だと思いますが、どういうものが、どのぐらいの金額のものがマレーシアから入っていて、現在幾らぐらいの関税が掛かっているのか。この関税が掛からなくなることによってどの程度消費者にメリットが還元される要素があるのか、まとめてお答えいただけますでしょうか。
  64. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 委員、今例示いただきましたものが農林水産物でございますので、農林水産省からお答えをさしていただきたいと思います。  マレーシアから有税で輸入しております農林水産物のうちで、今回の協定関税撤廃を行い、輸入額が多い順に申し上げますと、今委員から御指摘がありました製材加工材、繊維板、エビ、合板用の単板となっております。  ただ、関税撤廃によりまして輸入価格は安くなるかどうかという点につきましては、今ほど挙げましたものが、製材加工材で元々の関税がゼロから三・六%、繊維板で一・五六%、エビが一%、合板用単板が三%とそもそも低かったわけでございまして、為替レート等の動向やほかの国からの輸入動向等でも左右されるものでありまして、個別の品目につきまして価格動向を見通すことは困難であると考えております。
  65. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 御指摘のとおり、製材加工材でゼロから三・六%、パーセンテージでいうとそういうことなんですけれども、金額ベースでいうと百十五億七千六百万ということで、その業界としてはかなりメリットがあるのかなと、輸入の業者さんとしてはメリットがあるのかなというふうに思います。  それから、いただいた資料でいうと、クラゲが七年間で撤廃ということですけれども、七%ということで少し安くなる要素があるかなと思いますが、いずれにしても消費者に多少なりともEPAのメリットが目に見えるような形になっていくとまたEPAも進むと思いますので、その辺の、宣伝も含めた外務大臣の決意を伺って質問を終えたいと思います。
  66. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的にEPA、FTAいろいろございます。こういうのを結んだ結果、そこの国にいる国民に何らかの形で寄与する、若しくは企業利益を得てその利益が還元される、方法はいろいろあろうと存じますけれども、目に見える形でこういう結果が出せるものにつなげていきたい、御指摘のとおりだと存じます。
  67. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 終わります。
  68. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 松経済産業大臣、何か一言ございますか。
  69. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 多分、時間の関係で私どもの質問はカットされたのだと思います。
  70. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二つの協定には賛成であります。  マレーシアとのEPAについては、グローバル化という世界流れの中で、その流れに沿って双方利益にかなう内容となっており、特にセンシティブな農産物が除外されている点で評価しております。  この協定に関連して何点かお伺いしておきたいと思います。  最初に、本協定は、原産地規則の例外規定として、一部の品目について、ASEANからの第三国で生産された原材料がマレーシアで加工され日本輸出されることを認めております。この種の原産地規則の例外規定は、今後、日本のバイのEPA交渉において盛り込まれる方向なのか、例えば日本ASEAN交渉では農産物に関してはどういう見通しになっているのか、お伺いいたします。
  71. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  交渉経緯とそれから見通しとに分けて御報告申し上げたいと存じますが、農水産加工品につきましては、我が国は原料である農水産品に日本又はマレーシアの材料を使用しなければならないとの規則を提案し、大部分についてはこれで合意が成立いたしました。他方、魚の缶詰等の一部の産品につきましては、マレーシア側から、他国から輸入した材料を使用したものにも原産性を付与すべきだという主張がございまして、交渉の結果、限られた品目について、ASEAN諸国の材料であれば使用を認めることで合意いたしました。委員指摘のとおりでございます。  そこで、EPAの原産地規則でございますけれども、相手国、地域の状況我が国との経済関係といった要素を勘案の上、作成されます。マレーシアの場合は、日本マレーシア及びASEANとの経済関係等を考慮しており、今後の交渉においてもこのような要素を考慮しながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  72. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 マレーシア側には輸出する農産物に対する常置の検査機関というのは存在しないと、そういうふうに聞いております。日本マレーシアから輸入する品目の品質保証というのは、つまりその製品が協定に沿って真正に加工されたものかどうかという、その点については日本側の水際規制で行うということになっていくという状況かなと思います。つまり、マレーシアの側の業者の良心と、それから日本のそういう水際規制ということになるのかなと思います。  その点で、品目別原産地規則の適用品目が少ないわけですが、輸入品が増加する下で日本側のそういう水際規制、これがどういうことになっていくのか、非常に重要になってくると思うんですね。そうすると、訓練された税関職員の増員を含めたしっかりとした体制が必要ということになると思いますが、その点についてお伺いいたします。
  73. 青山幸恭

    政府参考人(青山幸恭君) お答え申し上げます。  税関業務の話でございますが、増大しまして、かつ複雑困難化するという中で、私どもとしては、関税等の適正な徴収と併せまして薬物、銃砲あるいは知的財産侵害物品等々の水際取締りの一層の強化に努めているというところでございますが、今回のような日・マレーシア協定締結されますと、原産地に応じましてそれぞれの経済連携協定に基づきます特恵税率の適用を行うということでございまして、税関におきましては、原産地証明書の提出ということによりましてその原産地を確認する事務が発生するわけでございます。  ちょっと定員の話だけ申し上げますと、平成十八年度でございますが、国家公務員全体で五年間で五%以上の純減ということでございますが、治安等重点的な部分には重点的に定員を配分するということで、私どもといたしましては二百二十人の新規増員ということになってございます。このうち、経済連携協定の実施に伴います原産地確認事務の強化のための要員といたしましては三名ということでございます。なお、昨年では、昨十七年度でございますと、全体で二百十一名の中で十六名の増員ということになってございます。  御指摘のとおり、原産地確認への対応等、より専門性が高い業務への対応が必要だということで、私ども、組織の見直しも行っておりますし、あとは人材育成のために専門研修の充実ということをやっておりますし、私ども自身もこの経済連携協定の重要性にかんがみまして、元々関税、税関当局でございますから交渉自体にも参画させていただいておりますし、さらにこの実施につきましても円滑にやってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  74. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国民の安全ということなので、しっかりやっていただきたいと思います。  WTOのモダリティー交渉が山場を迎えておりますけれども、各国の農産物輸入の関税率の高低の程度を知る一つの目安としてOECDが計算した平均関税率があると思います。  具体的な数字をお伺いしたいんですけれども、日本、ノルウェー、韓国、EUの農産物の平均関税率はどうなっているでしょうか。
  75. 増田敏明

    政府参考人(増田敏明君) 先生の、委員のお尋ねのOECDによります平均関税率の分析及び公表されているものについてお答えいたします。  御質問のあった国又は地域の農産物の平均関税率について、日本は一二・〇%、インドは一二四・〇%、ノルウェーは一二四・〇%、韓国は六二・〇%、アルゼンチンは三三・〇%、タイが三五・〇%、EUが二〇%と記載があるところでございます。
  76. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本の平均関税率で見ますと、ノルウェーの十分の一とか韓国の五分の一とか、そういうふうになると思います。ですから、日本は農業保護大国とよく言われるわけですけれども、決してそうじゃなくて、この数字一つ取ってみてもそうではないということになると思います。  そこで、アメリカの場合なんですけれども、アメリカは厳しい関税削減、例えば特別扱いされる品目を限定して上限関税を七五%として、さらにミニマムアクセス米など関税割当てを大幅に拡大することを要求しております。  もし日本に上限関税率が七五%に設定された場合、米作りへの影響、例えば米の価格が一俵何円程度になり、米の生産量は現在と比較してどうなるかという、その点についての予測はどうなるでしょうか。
  77. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) WTO農業交渉において、本年末の最終合意に向けまして交渉が続けられておりますけれども、御指摘のようにアメリカからは、七五%の上限関税設定ですとか一般品目について最大の九〇%の関税削減、さらには重要品目の割合といいますか、それを農産物の一%に抑えるべきといったようなこと、さらには関税割当て拡大についても消費をベースにして相当大幅ないわゆる増大を図るべきだといったような提案が行われているところでございまして、輸入国にとりましては大変厳しい提案になっているかというふうに思います。  ただ、これらは、各国各グループが議論を進展させる目的で数字を含めた考え方として提示しているものでございまして、そのような特定の数値を前提にしまして我が国が受け入れた影響について申し上げることは、仮定の話でございますし、また我が国交渉ポジションにもかかわることなので差し控えさしていただきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、米国の提案は輸入国に対して厳しいものでございますから、G10諸国連携いたしまして、我が国の主張ができる限り反映された交渉結果が得られるように最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
  78. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 農業経営のある専門家は、一俵五千円程度、米生産は五百万トン程度に落ち込むと試算しております。これでは専業農業は大変なことになってしまう。JAの会長もこういう状況は大変困るということを述べているところです。  その一方でアメリカは、他国に対して農産物の関税譲歩を強要する、同時に、自国に対しては自給率を上げろと言っているわけですね。自給率を上げろというのは当然なわけですけれども、しかし他国に対してこういう要求をしながら自国の食料の自給率を上げろと言うことは、やはり身勝手だという批判があります。  その点で、直接交渉されている農水省、こういうアメリカ交渉姿勢についてこれが是認できるかどうか、お伺いいたします。
  79. 増田敏明

    政府参考人(増田敏明君) 委員の御質問にお答えいたします。  WTO農業交渉につきましては、本年末の最終合意に向けて交渉が続けられているところでございますが、この議論の中でアメリカは、七五%の上限関税設定や一般品目についての最大九〇%の関税削減、重要品目を農産物品目の一%に抑えるべきといった、各国の生産条件の違いを無視し、輸入国に過大な負担を求める主張を行っているところでございます。  我が国としては、このような米国の主張を受け入れる余地は全くないと考えており、交渉進展を図るためには、むしろ輸出国側が輸入国の受け入れられないような固いポジションに終始せず、歩み寄りを見せるべきであると考えております。我が国といたしましては、引き続きこのような反論を的確に行いつつも積極的に交渉に貢献し、我が国の主張がドーハ・ラウンドの成果に最大限反映されるよう努めてまいりたいと考えております。
  80. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 毅然とした対応をしていただきたいということを要望して、時間ですので質問を終わります。
  81. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 二つの協定については賛成ですが、何点か確認しておきたいと思います。  まず、外務省にお伺いします。  日本マレーシア経済連携協定締結に当たっては、マレーシアが国民車優遇政策を取ってその態度が固く交渉が難航したようですが、それが急転直下まとまったと伺っています。マレーシアの態度が軟化した背景をどのように見ておられるのか、簡潔に御説明ください。
  82. 石川薫

    政府参考人石川薫君) 委員指摘のとおり、このマレーシアとの交渉におきましては、自動車について交渉一つの焦点でございました。この自動車につきましては、国民車政策を取るマレーシア側交渉の最終段階まで大幅な関税譲許に難色を示しておりましたけれども、マレーシア側は国民車保護政策を交渉の最後の段階で大きく転換し、自動車市場を日本車に対して開放することに同意いたしました。  その背景には、ASEAN域内でのASEAN諸国間の自由化ということが予定されている中で、従来の国民車保護政策を取り続けるということではなくて、この協定によって日本企業との協力を通じてマレーシア自国の自動車産業競争力強化に努めるとの決断をしたのではないかと、このように考えております。
  83. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほどの外務省の御答弁の中に、本協定締結が他のアジア諸国との協定締結推進力になるという趣旨の御発言がございました。  そこで、伺いますが、今後のタイやインドネシアなどとの経済連携協定交渉に向けて、本協定内容交渉の在り方がどのように活用されるとお考えでしょうか。
  84. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  この協定は、まず幅広い範囲を対象としてございます。二国間の経済関係を包括的に強化するという内容になっておる次第でございますが、具体的には、例えばマレーシア側輸入額の九九%について関税撤廃を約束するとともに、投資知的財産に前向きな対応を行い、日本側も人材養成を中心とした幅広い分野における協力を約束しております。こうした面が他国とのEPA交渉におきましても参考になるのではないかと考えております。
  85. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 関連して、いま一度外務省にお伺いします。  本協定では、ASEAN加盟国で生産された原材料の使用を特別に認める原産地規則が採用されています。この問題についてマレーシアとの交渉では最後まで難航したようですが、原産地規則をめぐって鉄鋼製品の部品調達率と農産物及び海産物の現地調達率はどのように折り合いが付いたのか、簡潔に御説明ください。
  86. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  委員指摘のあったもののうち、農水産品につきましては、未加工の産品及び加工度の低い産品は日本及びマレーシアで完全に生産されたもののみを譲許の対象、すなわち原産品として認めております。加工度の高い農水産品につきましては、我が国は原料である農水産品に日本又はマレーシアの材料を使用しなければならないとの規則を提案し、大部分についてはこれで合意が成立いたしました。  他方、魚の缶詰などの一部の産品につきましては、マレーシア側より他国から輸入した材料を使用したものにも原産性を付与すべき旨の主張がありまして、交渉の結果、限られた品目についてASEAN諸国の材料であれば使用を認めることで合意いたしました。  御指摘の鉄鋼製品について付言させていただきます。  御指摘の鉄鋼製品につきましては、マレーシア側より特定の要望はございませんでしたけれども、ほかの鉱工業製品と同様の規則、すなわち関税分類が六けたベースで変わること、又は四〇%の付加価値を満たした場合に原産性を付与することで合意いたしました。
  87. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 本協定締結によって、日本の消費者にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
  88. 石川薫

    政府参考人石川薫君) この協定は、日本マレーシアとの間の貿易投資を促進し、双方経済活動の連携を強化することにより、GDPの押し上げ効果を含めまして両国経済を一段と活性化することが期待されております。  この協定により消費者が享受するメリットとしては、特に関税の撤廃や削減によりまして、相手国からの輸入品を従来より安価に入手でき、商品選択の幅が広がるということが予想されます。
  89. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 時間がございませんので、通告しましたほかの質問は省かしていただきます。  防衛庁長官、訪米、大変御苦労さまでございました。  在日米軍再編の最終報告の概要につきまして、特に印象に残られたことで結構ですので、簡潔に教えていただけますか。
  90. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まあ一番最大の課題は普天間飛行場の全面返還をどうやって実現するかということであったと思いますけれども、その飛行場の代替施設の建設について、キャンプ・シュワブで地元の合意が得られておりますので、これが推進できるようになりつつあるということが一番ではないかと思っております。  その上で、またこれも沖縄の問題でありますけれども、海兵隊八千人、家族入れて一万七千人がグアム移転するということは、これは稲嶺知事も評価しておりますように、県民にとっては負担の軽減につながっていくことであり、我々も是非推進していく必要があると思って今全力投球をしているということであります。  そのほか、厚木の空母艦載機が岩国に行くとか、嘉手納の訓練騒音を軽減するために本土でそれをどういうふうに共同訓練をしていくかとか、まあ全体的に抑止力を維持し、負担を軽減するという原則を、相反しているけれどもきっちりと成し遂げつつあると。日本の国としては負担が軽減されているということが国民にとっても受け入れてもらえることになるのではないかというふうに思っております。
  91. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 新聞報道によりますと、最終報告の中に、浦添市にあります牧港補給基地の二百七十四ヘクタールが返還されるとなっていますが、これは米軍の軍事物資を貯蔵している極めて重要な兵たん基地とみなされています。  この施設が新たに予定されておりますキャンプ・シュワブ施設に新たに造られるという、そういう可能性はないんですか。
  92. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それはないです。
  93. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ないですか。  以前にも何度かお伺いして恐縮でございますが、もう一度だけ長官に確認させていただきたいと思います。普天間の三千人足らずの海兵隊グアムに移設する予定の八千人の中に含めるとなぜいけないのか。例えば、アメリカ側からそういうことをすれば抑止力が低下するとか、何らかの説明があったのですか。それとも、日本側の方からそういう要求をなさらなかったのか、その点を確認させてください。
  94. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは稲嶺知事も、最初のとおり、普天間の基地の機能は全部県外に移転してもらいたいということで我々も努力をしたわけでありますけれども、ヘリ部隊につきましては、海兵隊の部隊が沖縄で訓練をしておりますし、ヘリ部隊としてはその訓練とかと同じ地域の中で行っていくことが機動的であり、有機的に訓練ができるという意味で沖縄にとどまりたい、それが沖縄の抑止力を維持することに、機動展開ができるような形を残していくことができるという考え方であると。我々もそれは抑止力の維持という意味から、沖縄で引き続いて県民の皆さん方にお願いをしたい、地域の皆さん方にお願いをしたいということで今御説明をしているわけでございます。
  95. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  96. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、経済上の連携に関する日本国政府マレーシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、マルチチップ集積回路に対する無税待遇付与に関する協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十一分散会