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2006-01-17 第163回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年一月十七日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      狩野  安君     中曽根弘文君      岸  信夫君     山崎 正昭君      藤末 健三君     喜納 昌吉君  十二月一日     辞任         補欠選任      市川 一朗君     山内 俊夫君      小野 清子君     山谷えり子君      山崎 正昭君     鈴木 政二君  十二月八日     辞任         補欠選任         近藤 正道君     渕上 貞雄君  十二月九日     辞任         補欠選任         渕上 貞雄君     近藤 正道君  一月十六日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     藤末 健三君      松井 孝治君     神本美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         工藤堅太郎君     理 事                 西銘順志郎君                 山内 俊夫君                 木俣 佳丈君                 芝  博一君     委 員                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 山谷えり子君                 神本美恵子君                 黒岩 宇洋君                 藤末 健三君                 藤原 正司君                 柳澤 光美君                 風間  昶君                 近藤 正道君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    沓掛 哲男君    副大臣        法務副大臣    河野 太郎君        文部科学大臣  馳   浩君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       千代 幹也君        内閣官房内閣参        事官       荻野  徹君        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        宮内庁次長    風岡 典之君        警察庁生活安全        局長       竹花  豊君        警察庁刑事局長  縄田  修君        警察庁警備局長  小林 武仁君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省保護局長  麻生 光洋君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        文部科学省生涯        学習政策局生涯        学習総括官    久保 公人君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        厚生労働大臣官        房審議官     白石 順一君        厚生労働大臣官        房審議官     宮島 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○内閣重要政策及び警察等に関する調査  (子ども安全対策に関する件)     ─────────────
  2. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、狩野安君、岸信夫君、市川一朗君、小野清子君及び松井孝治君が委員辞任され、その補欠として中曽根弘文君、鈴木政二君、山内俊夫君、山谷えり子君、神本美恵子君が選任をされました。     ─────────────
  3. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  去る平成十七年十月二十五日の本委員会におきまして、一名の理事を後日指名することといたしておりましたので、理事山内俊夫君を指名いたします。  また、委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事西銘順志郎君を指名いたします。     ─────────────
  5. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官千代幹也君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 内閣重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、子ども安全対策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 秋元司

    秋元司君 改めまして、新年明けましておめでとうございます。二〇〇六年スタートの内閣委員会に立ちまして、この初めに質問の機会をいただきますことを、まずもって感謝を申し上げるところであります。自由民主党の秋元司です。本年もよろしくお願いします。  では、早速本題に移らさせていただきたいと思います。  本日は、大変お忙しい中、国家公安委員長又安倍官房長官にもお越しいただいております。大変感謝を申し上げます。  今日は、子ども安全対策についてということの集中審議であります。  昨年の十二月にも大変悲しい二つの事件が起きました。本当に、最近、子ども、いわゆる弱者に付け込む犯罪が後を絶たない、大変嘆かわしいことであると思っております。この原因はいろいろと議論されるわけでありますけれども、バブル崩壊後の経済の低迷、ひいては都市化の進行における地域社会崩壊、又はゲームとかメディアがもう錯乱する中、いろいろとこの問題点は指摘されるわけでありますけれども、もはや個人の倫理観だけを頼っていては手後れになる。そういった危機感の中で、やはり今後とも行政、いわゆる警察の役割というのが必要不可欠となっていくと思っております。  その中におきまして、今日はまず大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、現在、子どもに対する犯罪が頻繁に起きているというこういう現状についての所見と、又は子どもについての安全対策ということについての警察取組についてお伺いしたいと思います。
  9. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) 初めてでございますので、これから、委員長理事始め各委員の御指導をいただきながら職務をしっかり果たしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  ただいまの秋元理事質問でございますが、お答えさせていただきたいと思います。  昨年の十一月以降、女子児童が殺害されるという誠に痛ましい事件が続発し、国民に大きな不安を与えております。特に、栃木県の女子児童が殺害されました事件につきましては、現在まで被疑者を検挙するには至っておらず、事件の解決に向け徹底した捜査を行っているものと承知いたしております。  これは、十二月一日に栃木県の事件は起きたものでございますが、その前の十一月の二十二日、広島市で女子児童が殺害された事件がございましたが、これは十一月三十日、犯人を検挙することができました。私、十二月の十四日に、水曜日でございますが、この遺体が放置された場所に参りまして御冥福を祈ってまいりました。本当にどうしてこういうことになったのかという思いで一杯でございました。正に悲しみと、それから憤りと、そしてこういうかわいい子どもをどうして救えなかったという無念さ、そういう思いで一杯でございまして、こういうことがもうこれ以上起きないように力一杯頑張ろうという、そういう決意で帰ってまいりました。  さて、警察庁におきましては、昨年の十二月、通学路等における子ども犯罪被害防止するための対策を強化するよう改めて都道府県警察にいろいろと指示したところでございます。指示の内容の一部を申し上げますと、一つには不審者情報学校地域と共有すること、また学校等と連携して通学路における危険箇所を点検し地域安全マップを作成すること、さらには子どもに対する被害防止教育を確実に実施すること。これを受けまして都道府県警察では、子ども犯罪被害防止を図るために、ウエブサイトや電子メールなどを活用するなどして不審者情報を提供する、具体的な対策を講じる、その他のいろいろな施策を講じているものと承知いたしております。  また、防犯ボランティア団体でございますが、現在これも急速に増えまして、全国で一万四千団体ほどできておりますが、そういうものの活動を支援する地域安全安心ステーション事業も始めております。平成十七年は百、それから今お願いしている予算では、平成十八年では二百の箇所にこのようなステーション事業を進めていきたいというふうに計画しております。また、学校における児童安全確保等を担いますスクールサポーターも更に拡充していきたいというふうに思っております。  昨年十二月に行われました犯罪対策閣僚会議におきましても犯罪から子どもを守るための対策の強化を取り上げており、今後とも関係省庁との連携の下、保護者学校防犯ボランティア団体等と協力して、子ども犯罪被害防止対策地域全体で推進するよう警察を督励してまいりたいと存じております。これからも全力を挙げてこの問題に対応していきたいと考えております。  以上でございます。
  10. 秋元司

    秋元司君 大変決意を固めた大臣の所信をお伺いした気がいたしました。是非、積極的に警察もこの問題について取り組んでいただきたい、そういう思いがいたしております。  その中で、今大臣お話の中に安全マップという話がございました。特に犯罪が起きやすい場所、これは私は平成十六年のデータでしか見ておりませんけれども、そのデータで見ますと、どうしても駐車場駐輪場での事件が一番多いというデータが、何か全体の四五%もあるという話を聞きました。それと同時に、当然犯罪が起きやすい場所としては、暗い、また死角ですね、そういったところが一番犯罪が起きやすい場所ということで、これはデータ上の話でございますけれども挙がっております。やっぱりそういったものがより分かる、また把握しやすい、それはまさしくその地域皆さん、住んでいる皆さんしか分からない点でありますから、是非そういった安全マップの作成という、今お話があったこのことを地域団体と、皆さんと一緒になって、また当然そこに学校も入りながらなるべく早急にそういうマップを作り、それを作っただけじゃなくて、当然児童、又はPTAを通じてでも結構でございましょう、是非皆さんに知らせながら、なるべくそういったところには行かないようにするということを子どもにも教育を徹底させる、こういったことを行っていただきたい、そう思うわけであります。  同時に、その安全マップを作るだけじゃなくて、結局、駐車場駐輪場というのは恐らく民間が運営している、運営管理しているところが大半だと思います。そういった民間に対して何か注文を付けるのは難しいということもありますけれども、しかしそこはある意味地域警察一体の中の町づくり、そして防災防犯に対する取組という位置付けの中で是非無理ない程度に、街灯を付けるだとか、又は明るく見やすい、そういったガラス張りのある施設にするだとか、そういった努力是非していただきたい、そのようにお願いを申し上げます。  今大臣お話にもございましたスクールサポーター、私は、実はこれ余りこの制度を知らなかったんですけれども、このスクールサポーターというのは今どれくらい全国に配置されているものなのか、お伺いしたいと思います。
  11. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) スクールサポーターにつきましては、学校等における生徒指導等を支援するための要員として主に少年非行防止活動に主眼を置いて学校とも協力し、あるいは学校をサポートしながら、主に退職警察官がこれに当たっているわけでございますけれども、現在、十七都府県で約三百三十名が配置をされているところでございます。
  12. 秋元司

    秋元司君 今のお話ですと、十七府県ですか、四十六、七都道府県ということと比べますとまだまだ全国に対する普及率が低いというのが現状であると思います。  当然、警察のOBの方、ただボランティアでやっていただくというわけにはいかないでしょうから、当然予算の問題もあると思うんですが、予算につきましてはこれから私もしっかりと応援をさせていただきたいと思いますので、このスクールサポーター制度、早期に全国に網目を広げていただいて、すき間のないような形でやっていただきたいと同時に、当然このスクールサポーター学校との協力ということも是非やっていただきたいと思うんです。  当然、犯罪防止するためには犯罪を受けやすい子どもに対する教育、その一環として防災訓練であるだとか防災教室、いわゆる知らない人には付いていってはいけないだとか、むやみやたらに声を掛けても反応してはいけないだとか、そういったことも子どもにしっかり教えをし、そしてまたよく私も、何といいますか、違反切符を切られた後に免許の更新に行きますと、交通安全教室ですごい交通事故の起きる悲惨な状況ビデオを目にすることがあります。  確かに、あの事故ビデオを見ますと、これはもう本当に運転気を付けなくちゃいけないなという思いにさせられるわけでありますが、そういった余り子どもには、小さい子に刺激を、著しく刺激を与えることは反対でありますけれども、多少子どもに対して知らない人に付いていった後の、また犯罪が起きた後の恐怖感というものをやっぱり多かれ少なかれ少し印象付けなくちゃいけないと思う中に、そういったビデオ等是非作っていただいて、また現在でもあるという話も聞いておりますけれども、そういったものを使っての防犯に対する教室というものを是非このスクールサポーター、こういった人たちが積極的に学校を回りながら研修を行う、そういったふうに心掛けていただきたい、そのように思います。  次に、最近本当に増えてきました子どもに対する性犯罪状況であります。  もう本当にこれも情けない事件があちこちで起きているわけでありますけれども、この性犯罪者を起こす方というのは、言ってみればちょっと病的な要素があって、もう一つ再犯可能性が非常に多いと聞いておりますけれども、この性犯罪者の検挙を実際した数と、それは昨年、一昨年でも結構でございますけれども、それに併せて、その中に再犯者がどれぐらいいたのか、ちょっと数を教えていただけますか。
  13. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 平成十六年中に子ども対象としました暴力的性犯罪を行ったということで検挙された者のうち過去にも同種犯罪を行っていた者は約一六%でございました。また、平成十六年には奈良県で発生した幼女殺傷事件がございますけれども、この被疑者につきましても同種犯罪を過去に犯したということで、再犯者による犯罪典型事例でございます。
  14. 秋元司

    秋元司君 再犯者ということは、当然一度検挙して、それを拘留して、最終的には刑の懲役が過ぎたならば社会復帰をした人がまたなってしまう。ですから、今後、これ難しい話でありますけれども、そういった再犯が起きないように、拘留中にしっかりとした社会復帰を含めた教育、又はそういったことを起こしてしまう人というのはどこかでやっぱり心のバランスが崩れていると言わざるを得ないところがありますから、そういう人に対するカウンセラーというのも同時に進めていくことが大事でありますが、具体的にそういったことだけじゃフォローできない部分があると思うので、それ以外に対する、そういった出てきた後に対する、再犯に対する対策というのを今警察の方でどのように考えていらっしゃるか、お願いしたいと思います。
  15. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 十三歳未満の子ども対象暴力的性犯罪を行って刑務所に入所後、出所した者につきまして、法務省との間で情報を共有いたしまして出所後の居住状況等の把握に努め、出所者の動向を見守るとともに、子どもに対する声掛け、付きまといなどが発生した場合にはこの情報警察活動参考として生かすという新たな取組を昨年の六月から始めているところでございます。  半年たちまして、出所者情報の提供を受けた者のうち、八十三名が出所いたしたわけでございますが、そのうちの七十四名については所在確認をいたして見守っているところでございます。  その間に、中には子どもに対する声掛け事案の発生時に出所者情報を活用していち早く行為者を特定し、これに対する警告を行ってより深刻な事案に発展することを未然に防いだ事例も現れておりまして、このような取組で一定の再犯防止効果が見込めるものと考えておるところでございます。
  16. 秋元司

    秋元司君 出所した方は当然社会復帰をするためにその方々努力をしていく。そういうさなかに、また警察の影がちらつき、また地域の中で、あの人はそういったことを行った、そういう犯罪を犯した人だよということがまた町に知れてしまうと、その犯罪を犯した人、また社会復帰をしようとする人の今後の人生にもかかわってくる問題でありますから、非常にその人たちを再監視するということは本当に難しい問題であると思いますけれども、しかし、やはりこの尊い命が失われていくということについては非常に重いという観点から、是非そういったことの連係プレーをしっかりしていただいて、同時に、地域の中では保護司と言われている民間の方もいらっしゃいますから、そういう人たちとの更なる連係プレーというものを結んでいただいて、なるべくそういった再犯というものが起きないような環境づくりというものを引き続き頑張っていただきたい、そのように思うところであります。  次に、一番大事なのは被害に遭ってしまった子どもケアの問題であります。子どもというのは、起きたそういった事件を、事件に巻き込まれてもなかなか人に又は親に言わないという傾向もあるわけでありまして、当然そういった被害に遭ってしまった後、一番心配なのは、心に傷が残り、その傷というのはなかなか、一生後遺症が残るということを言われています。  そういったものに対するケアですね、これはもう当然、学校、家族、地域、これが一体となってやっていかなくちゃならないわけでありますけれども、警察としての取組というのはどんなふうにやっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  17. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 警察では、捜査過程におきまして、被害者精神的負担など二次的被害防止、軽減あるいは被害者安全確保等被害者の視点に立ったいわゆる被害者のための諸対策を総合的に推進しているところでございますけれども、中でも子どもに対する問題につきましては、議員御指摘のとおり、その少年の健全な育成を図る上でも極めて重要なことと認識をいたしまして取り組んでいるところでございます。  殊に、子どもに対する対応に慣れたボランティア方々、これはボランティアの方は少年補導員という方々おられますし、また警察には少年補導職員ということで専門的に少年問題に対処している職員がございます。こういう者たちがこの問題に専門的に対処をいたしておりますし、また部外の精神科医臨床心理士等方々被害少年支援についてのいろいろアドバイスをいただくということで委嘱をいたしております。これは全国で約百二十名ほどでございますけれども、そのような民間方々のお力もかりながら、専門家の力もかりながら、子どもたち被害被害に係るダメージをできるだけ少なくする、立ち直りを支援する、そういう政策に取り組んでいるところでございます。
  18. 秋元司

    秋元司君 普通の大人でありましても警察に行くというのはなかなかプレッシャーがある、掛かる点でありまして、それも子どもとなれば、その行った警察署に入るということ自体も非常に精神的にプレッシャーを与えるものだと思いますので、そういったところに対して、もし子ども警察に行くようなことがあったときに是非そういった温かい目で見守る、ケアするということを是非お願いしたい、そのように思うところであります。  いずれにしましても、この子ども安全対策につきましては、もう警察だけでお任せするということじゃなく、引き続き地域と、そして学校又はPTA、そういった機関との、機関といいますか、そういう四者の一体となった連係プレーが必要不可欠であると思っております。  しかし、残念ながら、都市化されたところにつきましては、地域社会地域社会と我々は常に口にしますけれども、残念ながら、私は東京に今住んでおりますけれども、この地域社会崩壊していく。その崩壊の理由というのは何かというと、地域社会を担ってもらっているいわゆる自治会と言われている町会また商店街、そういった人たちがだんだん高齢化をしてきてしまって、なかなかそこに若い手が入らずにそのまま、形はあるんだけれども実際にはなかなか機能しづらいという点もあると思います。そういった中においては、もうこれは現実問題としてやはり警察に頑張ってもらわなくちゃいけないという点は多々あると思いますので、そんな意味で積極的にこの問題に取り組んでいただいて、安全、安心な町づくり、これに心掛けていただきたい、心からお願い申し上げるところであります。  以上で子ども安全対策について質問を終わらせていただきたいと思います。  次に、今日はちょっと関連としまして、安倍官房長官にもお越しいただいておりますので、今話題となっております皇室典範改正についてちょっとお話をお伺いさしていただきたいと思います。もっとも、今改正という話がありますけれども、実際にはまだ法案が具体的に提出をされているものじゃありませんから、何か個別具体的にどうのこうのという話ではありませんので。  まず、昨年の暮れに皇室典範改正に関する有識者会議という、そういった会議の方で報告書が出されております。私もこの報告書を目にさしていただきました。そういった中に、この報告書出た後いろいろなところで、マスコミでも、又はそれぞれのいろんな機関でも、この出された報告書内容についていろいろと議論が飛んでいるのも今の現状であります。そういったことにつきまして、ちょっと今日は何点か御質問をさせていただきたいと思います。  まずこの有識者会議メンバーの選定の過程でありますけれども、当然、このメンバー方々のお顔ぶれを見ますと、それぞれの各分野で本当に御活躍をいただいている方々、立派な方々でありますけれども、果たしてこのメンバーの方がこの今回の皇室典範改正に関することで議論に参加する、議論をする上で果たしてどうなのかなという声も一部のちまたでは議論になっていることも事実であります。吉川座長を始め多くのこのメンバーの方に十七回という、大変忙しい方ばかりが十七回も会議を開いたということに対しては大変敬意を表するものでございますけれども、まずこのメンバー選定に当たる経緯と、そしてそのメンバー方々がどういう思いでこの会議に臨まれたのかと。まあ、それは一人一人に聞かなくちゃ分からないわけでありますけれども、簡単に、分かる範囲で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
  19. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) 皇室典範に関する有識者会議メンバーの選定についてのお尋ねでございますが、現在の象徴天皇の制度は広範な国民の理解と支持を基礎とするものでありますために、このメンバーの選定に当たりましては、皇位継承の問題につきましていわゆる幅広い観点から大所高所の御議論をいただけますように、これにふさわしい高い見識を有する方々メンバーとなっていただくようお願いしたわけでございます。いわゆる国民の多様な意見を反映させて検討を行っていただくことがふさわしいということで多様な分野の方々にお願いしたと、これが選定の過程でございます。
  20. 秋元司

    秋元司君 次に、昨年の暮れでありましたでしょうか、十二月ですかね、うん、十一月でしたか、失礼しました。この有識者会議皆さん議論されたことを報告書として総理大臣が報告を受けたということを新聞記事にしました。この報告書を受けまして、安倍官房長官はどのようなまず御感想を持たれたか、お伺いしたいと思います。
  21. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 象徴天皇の制度を取る我が国にとって、安定的な皇位の継承は国家の基本にかかわる事項であるというふうに認識をしております。  昨年十一月の二十四日に提出されました皇室典範に関する有識者会議報告書は、世襲による皇位の継承の安定的な維持のためのものであるというふうに認識をしております。政府としては、この報告書を受けまして、通常国会に法案を提出をする予定でございます。
  22. 秋元司

    秋元司君 といいますと、今回報告がなされたこの報告書に基づいて、当然この報告の影響を受ける形で改めて今回この皇室典範改正を行うという認識でよろしいでしょうか。
  23. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 政府といたしましては、この報告書を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、通常国会に法案を提出をするべく、現在作業に当たっているところでございます。
  24. 秋元司

    秋元司君 私もこの報告書を拝見させていただきました。本当にいろんな、大所高所から皇室についての議論を深め、当然、この百二十五代も続いたという皇室における伝統、そして今国民の象徴としての皇室の存在、いろんな様々な観点から議論がなされたというふうに私も思っております。  ただ、一点、この伝統という言葉につきましていささか今議論が飛んで、様々な専門家の方からも意見が寄せられているのも事実であります。  いわゆる天皇制という、またこの皇位継承という中においては、今の現在では男系男子ということが基本であった。それを、これから今後ともこの皇室制度を維持し存続していく、そのために、当然安定というこういったキーワードが今言われているわけでありますけれども、この安定ということを維持するために、ひいては女系制度に変えていかなくちゃいけない、このことについて非常に多くの専門家の方から議論が飛んでいることだと思います。  私も、ここの報告書にあります「基本的な視点」の中に、国民の理解と支持を得られること、そして伝統を踏まえたものであること、そして制度として安定したものであること、この三つの基本的な視点というのは大変すばらしいことであると思うのですが、やはり伝統ということをまず重んじるとすれば、男系での皇位継承というのを、男系での皇位継承の可能性というものをもう少し私は議論する必要性があるのじゃないかなと思うわけでありますけれども、その点について、この会議での内容と、そしてまたその可能性についてのいかにをちょっとお伺いしたいと思います。
  25. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) 有識者会議におきましては、当然、現在の制度であります男系男子の制度を維持できないかということにつきまして十分検討は行われた次第でございます。  ただ、男系の継承と申しますと、要は代々男、父親でつながっていかなければいけない関係上、要は男子、女子の出生比率を半分半分といたしますと、なかなか一組の家族から二人以上の子どもができない限り、これを維持していくということは、現在は皇位継承資格者として非嫡出子、いわゆる側室から生まれた子どもの継承が否定されておりますし、また皇室におきましても昨今は晩婚化、少子化の傾向というものが出てきていることも事実でございまして、そういった状況をかんがみまして、有識者会議におきましては、現在のこの男系男子の制度を維持していくということはもうもはやなかなか難しいんじゃないかという結論を出した次第でございます。  以上でございます。
  26. 秋元司

    秋元司君 過去には、この男系男子を伝統的に維持するために天皇家に存在したのは、御承知のように旧宮家の存在でございました。  議論の中で、旧宮家は大変、戦後皇室から離れるということもあって、国民から見て、この旧宮家の存在というものをもう一度皇族として復活させるということについてはなかなか国民の理解が得られないんじゃないかという議論もあるわけでありますけれども、いま一度この旧宮家の存在について、これちょっとここは事前に通告してませんでしたけれども、この有識者会議ではどのような議論をなされました。
  27. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) 失礼しました。  有識者会議議論におきましては、まず旧宮家の復活も含めまして男系男子の維持ができないかということを検討いたしております。  まず最初に申し上げるべきことは、先ほどの繰り返しになるかも分かりませんですけれども、仮に宮家を復活した場合であっても、男系男子を維持する以上、先ほど申し上げました理由により男系男子の維持というのはなかなか難しい面があるのじゃないかというのがまず有識者会議の考え方でございます。  さらに、旧皇族の復活という問題につきましても検討は行われておりまして、旧皇族につきましては戦後すぐに皇籍を離脱したわけでございますから、六十年近くいわゆる一般の国民として過ごされてきた方々でございますし、また今の旧宮家の系統と申しますのは古く六百年前に今の天皇の系統から分かれられたということがございまして、こういった方々がいわゆるまた皇族に戻ると、いろいろなケースがあるのかも分かりませんですけれども、ということはなかなか国民からの理解と支持というものが得られないんじゃないかというのが一点でございます。  それからもう一つは、旧宮家を仮に復活させるというような考え方を取った場合、これはどこにだれがというような話になりますと、当然それぞれの人々の任意といいますか、当事者の意思というものが介在してくるわけでございますから、制度の安定的維持という面から考えますと非常に安定性が欠けるのではないかというふうに思います。更に言いますと、運用次第では当事者に、皇族になること、あるいは皇族に戻られる方にしましても、事実上の強制になるというようなことも心配されるのじゃないかというふうに思います。  一方、歴史的に見ましても皇籍復帰は極めて異例な制度でございまして、これ、例えば養子につきましては現在の典範でも、明治、大正の旧典範におきましても明確に禁止されておるところでございます。  以上のような考え方から、有識者会議におきましては、旧宮家の復活というようなことは難しいという結論が出されたところでございます。
  28. 秋元司

    秋元司君 私も今お話があったことは大変理解をしているつもりであります。ただ、旧宮家の皆さん民間人として少なくとも戦後六十年の間は扱われてきた、それは当然の行為でありますけれども、同時に女系天皇というものを容認した場合においては配偶者の問題等というのも、私、避けられない話であると思いますし、配偶者が実際問題女系天皇となった場合に本当に得られるかどうか。もう一つは、配偶者の役割というのをどういう形で位置付けるか。例えば男性であれば多かれ少なかれ職に就いているわけであるでしょうけれども、そういった民間の仕事との兼ね合いというものをどうするか。そういった議論というのはどのような議論が、そういったことについての議論というのはありましたか。
  29. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) 有識者会議におきましてはその点につきましても議論がございました。報告書にも書いてございますけれども、もちろん、やはり配偶者の問題につきましては困難であるという認識の上に、やはり女性、女系の天皇を認めるに当たっては、その配偶者をいかにしていくかということについて今まで以上にいろいろな環境整備を図っていく必要があるというふうな結論が出された次第でございます。  いずれにしましても、配偶者の困難性については男女ともにあるわけでございまして、この点につきましては、仮にこういう新しい制度が成った場合には、関係者におきましていろいろ環境整備を図っていく必要があるというふうに思っております。  以上でございます。
  30. 秋元司

    秋元司君 多分、国民から見ますと、非常にこの旧宮家の存在というのを、もう我々の世代というのは旧宮家というのを余り知らない存在になりましたから、旧宮家が急に皇族に復帰という話になると、えっという話もあるかと思いますけれども、ただ、当然、天皇制度の伝統ということを考えると、そこに民間人のいわゆる配偶者がどんどんと入ってくるということになりますと、またこれは民間と皇室の区別というのが今後どういった形で見分けていくのかということにも私は発展するんじゃないかなと、気がいたしております。  これはこれからもっともっと議論し、また国民的な、国民の世論というものを見定めていかなくちゃならない点であろうかと思いますが、いずれにしましても、新聞紙上で見ている話ですと、先ほど長官の話もございましたけれども、今国会で提出をされるという話を承りました。その中で、どうしても今国会にこだわられる理由というのは何かあるんですか。ちょっとお伺いしたいと思います。
  31. 千代幹也

    政府参考人千代幹也君) 現行制度におきましては、先ほど来話が出ておりますように、皇位継承資格者は男系男子の皇族に限られてございます。したがいまして、現在、皇太子殿下よりも若い男系男子の皇族は秋篠宮殿下お一方でございまして、このままでは将来的に皇位継承資格者が不在となるおそれが出てきておるわけでございます。  一方、皇位継承というものは国家の基本にかかわる事項でございまして、憲法上、天皇が国家の象徴として、内閣総理大臣の任命でありますとか、国会の召集、法律の公布など重要な機能を担っているわけでございまして、そういったことを考えますと、やはりどのような事態が生じても安定的に皇位が継承されていくということが必要ではないかというふうに思ってございます。したがいまして、皇太子殿下のいわゆる次の世代の皇位継承資格者が現在不在であるという不安定さをやはり早期に払拭すべきではないかというふうに考えてございます。  また、女性皇族は現在婚姻によりまして皇籍を離れる制度でございますので、今後いわゆる皇室の規模が急速に縮小することが予想されます。そういったこともございまして、将来を見越しまして、皇位継承制度の見直しというものは我が国にとりまして喫緊の課題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  32. 秋元司

    秋元司君 急を急ぐという話はある程度理解できると思いますけれども、しかし、先ほどからキーワードになっている安定という問題、確かに皇族の皇位継承における安定というのを急ぐというのは当然のことでありますが、ただ、ただ安定だけを求めても、じゃ、何のためにこの皇室制度というのがあったのか、過去の伝統ということも重んじていかなくちゃならない。私はこれ、どっちが重いか、どっちが軽いかという問題ではなくて、やっぱり両方考えていかなくちゃならない私は問題であろうかと思います。もう二千年も続いてきた伝統というものを我々の今、世代で崩していいのかということももう一度問うてみなくちゃならない点でありまして、この辺を、これからまた法案提出まで時間があると思いますので、しっかりと議論をさせていただきたい、そのように思っております。  それと一点、私も余り、我々の世代は当然、皇室等とか天皇制とか無縁な形で育ってまいりましたので、よく、勉強不足でありますけれども、宮中において常に政としてされている神事というんですかね、いわゆる宮中祭祀のことでありますが、これについてちょっと何点かお伺いしたいんですけれども、この神事を行うのは当然陛下だけであると、が行うということを聞いておりますが、どういうふうにしてやられるのか、私も見たことがありませんから全然分かりませんけれども、何か専門家の、一部の専門家の話を聞きますと、この神事を行うために、天皇陛下が行う条件として、昔からの習わしでどうしても神がかり的なことのような、血を嫌う傾向があると。例えば、血を嫌う傾向の中で、女性であれば必ず月に一回そういった生理的なことがある、これはもう当然、これは生物的なことでありましょうから当然のことでありましょうけれども、そういう状態においては神事を執り行うことができないというような何か伝統があるやに聞くんですけれども、これ、事実なんですか。
  33. 風岡典之

    政府参考人(風岡典之君) まず、宮中祭祀でございますけれども、これは天皇陛下が皇居の中の宮中三殿におきまして国家の安寧と国民の幸福を願うということで、いろんな祭祀を実施をしているところであります。  宮中祭祀は、皇后陛下とか、あるいは皇太子同妃両殿下が御出席に、お出ましになることもございます。  今お尋ねの、女性の場合について何か制約があるのかということでございますけれども、宮中祭祀自身はこれは皇室の行事でございまして、皇室方の個別の事情につきまして私どもの方で申し上げることは差し控えたいと思うんですけれども、ただ、男性、女性を問わず宮中祭祀のお出ましが御都合によりお取りやめになる、その結果として拝礼とか参列がなされない場合も現実にはございます。
  34. 秋元司

    秋元司君 この宮中祭祀というのは年間どれくらいあるかということは私は正式な数は知らないんですけれども、結構あるというふうに聞いておりますけれども、その中でも最も大事と言われているのが四方拝と、四方拝というんですか、正式名称、読み方はちょっと難しくて分からないんですが、あとは新嘗祭という、この二つが祭祀の中でも一番かなめだと言われているというふうに聞いておりますが、過去において、今、御都合によって取りやめになったと、御都合によって行われなかったということが聞きますけれども、この新嘗祭というのは何か収穫を祝うということの中で行われるお祭りらしいですが、これについては時折中断したということがあったやに聞いております。特に江戸時代においては女性天皇が誕生したということもあって中断というのがあったと。違いましたかね、失礼しました。  それで、しかし、四方拝については、これは恐らく、伊勢神宮を始めいろんな四つの方向に対して拝むという儀式でしょうから、一度も、これは恐らく新年の儀式なんでしょうかね、一度もこれは中断したことがないというふうに言われているんですけれども、そういうふうに私も聞いているんですが、そういうものに対しても、例えば今お話があったような、また、私がお話をさせていただいたような伝統の流れが残った場合においてはどうなんですかね、中断するなんということはあり得るんですか。
  35. 風岡典之

    政府参考人(風岡典之君) まず最初に、年間の宮中祭祀の実施状況でございますけれども、平成十七年におきましては年間三十五回の天皇陛下のお出ましがなされております。  それから、御指摘の新嘗祭それから四方拝につきまして、女性天皇の場合にどういう影響が出てくるのかということでございますけれども、まず、これまでのいろんな史料を基に若干御説明をさせていただきますと、最も重要な行事だと言われております大嘗祭それから新嘗祭、これについてお話をいたしますと、まず、この行事自身が明確に行われるようになりましたのは七世紀以降でございますので、その時点以降の女性天皇、具体的には七代六方お見えであったわけでございますけれども、その女性天皇のかかわりの状況について申し上げますと、大嘗祭につきましては、十七世紀の明正天皇を除き挙行されていることが確認をされております。  それからまた、新嘗祭でございますけれども、これは八世紀の孝謙天皇による挙行が史料から推定をされ、それ以降も明正天皇を除き挙行の例が確認をされております。  なお、明正天皇の時代は、これは大嘗祭それから新嘗祭自身が中断をされていた時期でありまして、必ずしも女性天皇ということで中断ではないというふうに理解をしております。  それから、四方拝の方でございますけれども、四方拝の方は、これは歴史的には大嘗祭や新嘗祭と比べると比較的新しい行事でございまして、これは江戸時代に入ってからということでありますので、結果的には、明正天皇、それから後桜町天皇が女性天皇としてお見えでありましたけれども、ここでは確かにお出ましはありませんでした。ただ、そういう天皇がそれじゃ天皇としての役割を果たしていなかったかというと、私どもは必ずしもそうではないというように思っております。  済みません、四方拝は江戸時代と申し上げましたけれども、平安時代の九世紀以降でございました。ただ、女性天皇として関係をいたしますのは先ほどの二天皇の場合でございます。  それから、宮中祭祀は国の行事ではなくて皇室の行事でありまして、基本的には皇室がお決めになるということでありますけれども、先ほど御説明しましたような実例からして、女性天皇が大嘗祭、新嘗祭を執り行われたという事実もありますので、私どもとしては、女性だから宮中祭祀は執行できないということでは必ずしもないと、このように考えております。
  36. 秋元司

    秋元司君 いずれにしましても、この皇室の問題につきましては、歴史と伝統、そしてまた安定ということをどうバランスを取って考えていくか、これに私は尽きるということだと思っております。  先日、旧皇族の方とお会いする機会がございましていろいろと議論をさせてもらいました。その方が言われた言葉で印象的だったのが、法隆寺になぞらえられて、法隆寺というのは最古の木造建築であるから法隆寺なのであって、それが老朽化に伴って鉄筋コンクリートになったとすれば、それはもはや法隆寺でないんだと。  イコールこの皇統の危機ということに関すれば、女系になった場合においては、女性天皇はまあ容認ということもよく聞くんですけれども、女系天皇になった場合においては皇統は断絶されたと同じだという過激なことを言う方もいらっしゃいますし、この件はこれからまだ数か月あるわけでありますからじっくりと、国民の支持と又は世論、こういったことも見極めながら、しかし同時に、伝統ということもこの議会制民主主義ということの中で代弁者たる我々がしっかりと議論をしていかなきゃならないと思っております。  私自身の主観で言わせていただければ、私は、日本人の心というのはこの皇室とそして最後は靖国神社にあるのかなと、そういう思いがいたしておりますので、是非安倍官房長官のこれからの御判断又は御賢察に懸かっているかと思いますので、またしっかりと、またすばらしい改正案になるように頑張っていただきたいと心からお願いを申し上げます。  時間になりましたので、以上をもちまして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  37. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) よろしいですか。
  38. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。改めまして、明けましておめでとうございます。  本日は、新年明けて初めての内閣委員会ということでございまして、さらには休会中特別の子ども安全対策ということに焦点を当てたこの委員会でございます。  その子どもの安全の前に、今日一月十七日、十一年前でございますが、朝五時四十六分、阪神・淡路大震災があったわけでございまして、その際に、分かっているだけでも六千五百人以上の方が亡くなられ、避難者においても分かっているだけでも三十一万人以上という大変な災害があったわけでございます。  私も、神戸の方に参りまして人と防災未来センター等拝見してまいりまして、そのすさまじさと、そしてまたこの亡くなられた、そしてまた負傷された又は被害に遭われた方々のことを思いますと、これを何としても、今予定されるような東海、東南海、南海地震始めとして関東そしてまた宮城沖、こういったところで二度と同じようなことがないようにさせていただくというのが、我々国会議員の、そしてまた国としての役割だと痛感したわけでございます。  そこで、冒頭、二問だけお答えを防災関係でいただきたいと思っておりますけれども、今日の新聞にも、東京新聞ですか、載っておりますように、八五%の方々が、被災者二百人を対象にアンケートを取ったときに、八五%の方が風化しつつあるんだという答えをされております。  この風化、つまりは、あのときはそうだったねということを忘れてしまう、そしてまたその重要性をなくしてしまうというのは、これは今申し上げたように、犠牲になられた方々のことを忘れてしまう以上に本当の意味で追悼にならないと思っておりますけれども、この風化防止についてどういった具体的な手だてをされておりますか、大臣から伺いたいと思っています。
  39. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) お答え申し上げます。  阪神・淡路大震災を契機に創設いたしました制度の例といたしましては、緊急参集チームをつくるとか官邸危機管理センターをつくりますとか、被災者生活再建支援法の制定、地震防災対策特別措置法の制定、建築物の耐震改修の促進に関する法律を制定するといったような制度をつくってまいりました。  阪神・淡路大震災の教訓を社会全体で共有いたしまして災害への備えを充実させていくということが必要でございまして、そのためには、行政による公助だけではなくて、自助、共助といったような三位一体取組が必要かというふうに思っております。  そのために、私どもの政府では、減災社会の実現に向けまして備えを実践する国民運動を展開しようということで、住宅の耐震化なり防災まちづくり、企業防災といったような、各個人や地域コミュニティーにおいて日ごろから自らの生命、財産を、地域の暮らしを守るといったような取組を促進することといたしております。内閣府では、従前より「みんなで防災」といったようなホームページを作っておりまして、こうした先進事例を紹介するなどの取組を進めておりまして、さらに、中央防災会議で新たに専門調査会を設置いたしまして、国民運動を新たに推進しようというようなことで国民運動を推進するための専門調査会をつくりまして、本年度中にその基本方針を策定したいというふうに思っております。  政府としては、こういう取組を通じまして、関係省庁、地方公共団体と連携しながら、災害への備えを実践する国民運動の推進に向けた具体的な取組をやっていきたいというふうに思っております。  例えば今週は、先生御指摘のように、阪神・淡路大震災を契機につくられました防災ボランティア週間という週間でございまして、私ども内閣府では、この防災ボランティア活動に対する国民の理解を深めていただこうということで、二十二日に「防災ボランティアのつどい」というのを開催する予定でございまして、こういった取組を地道にやっていきたいというふうに思っております。  それから、来年度からにはなりますが、地震保険という制度が創設されまして、こういう税制を活用してその加入促進ができることによりまして、地震災害に対する国民の自助努力といったようなことも促進してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  そのほか、例えば本日でございますけれども、現在、政府と関係地方公共団体で東海地震につきましての図上訓練を静岡で行っております。災害時の初動体制の強化を始めまして総合的な災害対策をこのような形で積極的に推進してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  40. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 是非大臣からも一言決意と、具体的にどういうことをしたら風化されないかということを一言言っていただければと思っております。
  41. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) 私自身、自民党で六年間、災害対策委員長代行をやって、災害があれば現地へ飛んでいっていろいろやらせていただいた、そういうものでございます。  今の御質問でございますが、阪神大震災が起きてから十一年たち、その間にどういうことがなされ、そしてそれがさらに忘れられ、風化しないようにどういうふうな対策をしているかを簡単に申し上げたいと思います。  私は、あのとき、じゃ、どういう災害対策をするかということでいろいろ議論されたんでございますが、なかなかそれまでの災害対策というのは非常にいろいろな面で、公共的なものに対してはかなりの対応ができるんですけれども、いわゆる個人の支援というものについては非常に難しかったというふうに思っております。しかし、あの災害以後、その個人支援ということについても非常に大きな転換期の一つだったというふうに思っております。  そこで、大きくその後なされた、現在なされているのは三つあると思います。  一つは、やっぱり初動体制についてですね。あのとき、自衛隊の出動についてもいろいろな問題がございましたが、今自衛隊の出動については当時とは比べ物にならないほど迅速にやれる対応がいろいろできております。また、官邸におきましても危機管理体制が整っております。現在、実は、今も説明がありましたように、東海地震に対する図上訓練を現地と官邸でやることになっておりまして、私、これ終わり次第すぐ官邸に入ってやることになっているという情勢でもございます。  また、災害において、阪神のときでも一番大きかったのはやはり建物の倒壊でございました。建物が倒壊すると、いわゆる通路が遮断されてしまい、いろいろな機動的なものがなくなってしまう。そういうことがいろんな面で非常に大きかったわけでございますので、いわゆる幹線道路等における沿道における住宅の耐震性を増すなどの制度も一昨年つくられてきておりまして、そういうものによって耐震性を増す。さらには町づくり、町全体をその防災の町に、都市づくりにしていくという、そういういろんなことも実際に行われております。  それから、何といっても、今申し上げましたように個人個人への支援ということで、被害者に対する生活再建支援法ができまして、最初は一人当たり一戸百万円でございましたが、一昨年、これが三百万円、もちろんアッパーでございますが、いろいろな条件が必要ですけれども、三百万円まで上げるということができて、このことがやはり、山古志村等でいろいろな地震災害に遭った方々へも温かい手が差し伸べられているというふうで、このことが非常に私はこの十一年間に進んだものだというふうに思っております。  また、そういうことを風化しないというような意味においては、昨年六月、ユドヨノ・インドネシア大統領が来られたとき、小泉総理といろいろのお話合いの中で、いわゆるインドネシアにおけるところの防災対策に関する共同委員会というものをつくって、先週向こうから大臣二人、次官四人等が来られて、と私らといろいろ共同委員会を開催いたしました。そういうことで、日本としてもそういう技術やノウハウ、そういうものを外国への、特に東南アジアの国々へも移転しながらそういうことをしていく、そういう意味において、この阪神大震災というのは非常に忘れられない非常に大きな起点となったというふうに思っております。これを更にいろいろな面で、決して十分ではございませんので、それは更にいろいろな面でこの支援策を進めていくということも大切だというふうに思っております。  以上です。
  42. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございました。  災害のプロの方に申すのは何かと思いますけれども、被災者の八五%がやはり風化しておるというふうに答えている現状があります。今正に英知を集めたいろんな、海外まで行かれてされているというのは日本としても、我が国としてもすばらしいことだと思いますけれども、しかし実際、この日本の中で十分な避難訓練等々本格的にされているかというと、なかなかこれが避難路を実際自分で歩いてということは、ある自治体又はある学校区ではありますけれども、全国的なそういったものがあるかというと、ちょっと欠けているのかなという気がしておりまして、私が居住しております愛知県豊橋市でございますが、この中でも何校かは寝泊まりまでしながら、実際に避難路を歩いて寝泊まりまでしながら体験をし、一度体験しますとチェックできるそうですね。どこが危ない、このブロックが倒れそうだ、ここに穴がある、ここはガラスがかなりあるから歩いちゃいけない。一度歩くことが非常に大事だということで寝泊まりまでしておりまして、私も昨年十二月の八、九と、実際に自分の避難路を何人かの議員、そしてまた地方の方と一緒に歩いて、寒い日でしたが、一泊公園でいたしまして、そのおかげで風邪引いたわけではございませんけれども、大変いいことを体験させていただきました。  ですから、そういうことを、自治体ごとでもいいんですけれども、国がしっかりやってくれということを要求していただきたいということが私の要望ということが一点と、もう一点は、今お話が出ましたので、誤っているかもしれませんが、生活再建支援法、三百万上限というすばらしい、上限が増えたことはいいと思いますけれども、しかしこれ、住宅本体にはこれは拠出できないということだと思います。この辺りも、幾つかの県では住宅本体に県として出せるようにしておるわけでございますけれども、国家としては、我が国日本としては出すことはできないということがありますので、是非この辺りも再度お考えをいただきたいというふうに思っておる次第でございます。  さらに、もう一点だけ申しますと、これもまた今日、年末年始は本当に災害と治安で大いに揺れたわけでございますけれども、大雪で死者がいよいよ百人を超してきたという問題でございまして、新潟、特に地震があって大雪という大変な中にございますので、是非大臣、リーダーシップを取っていただいて、特に孤立した御老人の方々が、御高齢の方々が大変な思いをされていると思いますので、国として精一杯の努力をお願い、要求したいと思っております。  本題に入りまして、子どもの安全にかかわる集中審議ということでございます。特に昨年、一昨年辺りから子どもをねらった、やみくもなと言っていいような大変おぞましい犯罪が続いております。私も、十三歳を上に、下が六歳でございます、四人子どもを授かっておりますので、人ごとではなくて、本当に自分の子どもがあやめられるような、そういう思いでいつもテレビを拝見をしている次第でございます。  そういう中で、特に、今市市ですか、栃木、茨城にまたがる女子児童殺害、死体遺棄のこの事件でございます。  一点伺いたいと思いますのは、私は、学校の先生がとか、教育委員会がとか、又は警察がとか、又は地域方々がとか、そういう非難をする以上に、やはりどうやったら正に子どもたちを守れるかということがまだまだマニュアル化してない、マニュアル化さえしてないということを本当に感じるわけでございます。  この事件は、発覚しましたのが十二月の二日の金曜日、二時ごろ遺体で発見をされたわけでございますけれども、元々は不審人物発見というところが十一月の二十八日でございます。それから、保護者が連絡帳に書き、学校に報告したのが十一月の三十日、そして翌日、亡くなった方の別の小学校長が市の教育委員会に連絡、そしてその後ファクスで各市内の小学校に連絡したということでございますけれども、数日実はたってしまっておりまして、もしこれがあと一時間や二時間早ければまず確実にこれは起こらなかったんではないのかなと。そんなイフは御法度だと思いますし、被害者方々からすればそんなことは今更言われてもと、本当に痛恨の極みというか、どんなに心を悩まされているかと思いますと、そんなことは通じないかもしれませんが、是非このことをそのことだけで終わることなくするためには、我々がしっかり考えて対応しなければいけないというふうに思います。  そこで、なぜ、今日は副大臣いらっしゃいますが、学校から教育委員会教育委員会から各学校、こういったもの遅れたのか、そしてこれを是非もっとマニュアル化して、そういう場合にはもうすぐにとにかく連絡を、一刻も早く、夜中でもするようにというマニュアル化をしようというお考えはございませんでしょうか。
  43. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 木俣委員の御指摘はおっしゃるとおりであると思っております。今般の事案に関して、いわゆる十月二十八日午後三時ごろに女子児童が見掛けたいわゆる下半身を露出したと思われる、児童についての問題については、その不審者が今回の容疑者と言えるのかどうかということももちろんございますが、ただ今回の事実関係をしっかりととらえた上で、我々としてはそのマニュアル化ということについても十分に検討していきたいと思っております。  十月二十八日午後三時ごろに見掛けたと、お母さんに伝えたのは翌日の夜と、そしてお母さんは心配して翌三十日の朝の連絡帳に書いたと、たまたま共働きだったので、夕方五時過ぎに学校の担任の先生がそのお母さんに確認をしたと、それをもって担任は確認をした上で学校長に連絡をし、翌日の午後一時に学校長から教育委員会に連絡をしたら、教育委員会の方は四十五分後の一時四十五分には今市市内の各小学校にこういう不審者情報があるという連絡をしたと、そして午後二時にはこの被害児童が下校し、二時五十分に友達と別れたという、こういう経緯になっているんでありまして、それぞれの段階において、不審者情報児童と担任、担任と保護者、そして担任と学校長、学校長と教育委員会教育委員会から各小学校へと、これはより迅速に、より正確に伝えられることが当然でありまして、こういったことのマニュアル化も含めてより一層検討して大きな課題としてとらえていきたいと思っております。
  44. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 大変前向きな御答弁ありがとうございます。  更に言いますと、実際、各地で誘拐又は誘拐まがいの狂言というか、狂言というのか、おれおれ詐欺のような、そういった問題も発生しておりまして、実際、これもやはり私が居住する豊橋市、実際に去年も五月辺りから何件か実は起きております。  その中で非常に速やかにいった例としては、無事で何事もなきを得たわけでございますが、児童の御両親が警察に連絡をしたと、そして警察から学校に行き、そしてまたその学校から各児童のお宅に、すべてのお宅に約二時間後までにはすべて連絡が行ったというような感じで、うちにも実際連絡が来たわけでございますが、ああすばらしい、速やかに御対応していただいたなという事例もございます。  ですから、やはり一番大事なことというのは、それじゃ不審者を見付けたときにどこへ連絡するのかというのが、一般の方では、じゃ交番なのか警察なのか、それとも学校なのか、それともその地域の総代さんなのかみたいなことも含めて、是非、まあここまで言うというのはなかなか難しいかもしれませんが、例えば文科省の方で学校安全ということで、要するにまず一義的には例えば警察に連絡してくださいということになるのか、それとも学校にまず連絡してくださいということになるのか、この辺もやはりどこへ連絡するかとか、そしてまたその通達、ずっと連絡をするのも、例えばあるPTAは、これも豊橋でございますけれども、一斉メールを持っておりまして、親に一斉にメールをさあっと流していくという、もちろん携帯を持っていらっしゃらない方もあるようでございますが、持っている人はそういうことをするというところもあります。  言いたいことは、やはり各地各地がばらばらに安全を各地で守っているというのが今回いろいろ伺って分かったんですね。あるところでは集団下校、防犯ブザーは必ず持たせるとか、あるところではそれでは足りないから防犯の旗を独自に作って立てるとか、あるところでは青パトですね、青色のあれをつけてずっと回る。それぞれがばらばら、ばらばらでいいんでしょうけれども、しかし、ある、ここまではやってくださいよというのは、今もうここまで増えますと、やはり例えば文科省又は警察庁からきちんとマニュアル化してそれぞれやっていかないといつまでもこれは後を絶たないと思います。  ですから、そういった、さっきもホームページがあるというお話もございましたけれども、だれでも見れるような、そしてまただれでも分かるようなそういうマニュアルを是非作っていただきたいと思いますので、再度、副大臣局長ですか、お答えいただければと思います。
  45. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 木俣委員からこういう御質問いただけるということで、私の方から二点ちょっと答弁させていただきたいと思います。  まず、全国的な先駆け的な取組というのはやっておりますので、これは今月中にもそういった取組文部科学省のホームページの方にも紹介をさせていただくべく準備中で事例を集めております。  私も、先週金曜日、朝八時過ぎに金沢市の大浦小学校のスクールサポート隊を視察してまいりました。この小学校は、五年前に池田小学校事件があった後に心ある方が呼び掛けて始められたものでありまして、最初はお一人ですが、今ではもう七十数名の方が取り組んでおられます。何でこんなにたくさんの人が集まったんですかとお伺いすると、一人一人説得して、地域子ども地域の我々が守ろう、学校の先生には授業に専念して、学校活動に専念してもらおうと、支えようじゃないかという志を承りました。  もう一つは、二年前から更に校内に常駐をされるようになったということを伺いました。そして、最近、防犯のためさすまたなどを準備しているようですが、当然、スクールサポート隊には高齢の方もいるので、飛び道具と申しますか、透明の安全盾、ボタンが四つあって、それを押すとシュッと、何ですか、催涙ガスがぱっと二メートル噴射されて、そうするともう私のような大男でも七転八倒するような、そういったものを自らが備えて守っている。校長先生にお伺いしましたら、本当に有り難いと。子どもたちに、知らない人を見て声を掛けられたら大声出して逃げなさいと、知らない人に声を掛けられたら疑いなさいという指導をしてまいりましたが、子どもたちに、見習ってくださいと、こんなに皆さんを守ってくださる立派な大人がいますという、こういう指導をできるようになったということが非常に意味があったということを伺いました。  木俣委員おっしゃるように、ここまでは学校防犯体制として警察地域の方と協力してくださいという、ここまでというのはどこまでなのかということは早急にやはり検討して出すべきであろうと思っておりますが、まずは小学校、小学校で先駆的に取り組んでいる、そういった事例を紹介しながら、自分たちが自分たちの地域子どもを守り育てるんだというこのことを、やはり是非とも住民自治という観点からも取り組んでいただきたいというふうに思っております。  実は、この大浦小学校取組は、地元の北国新聞というんですけれども、一面に取り上げられて、これはこの隊長がこの春にアメリカのコロンバインのあの高校に実は講演に行くことになりました。いわゆる銃乱射事件のあったあの高校でありまして、是非地域の方がそこまでする日本人の防犯に対する取組というのをアメリカの銃社会にも教えてほしいと、この金沢方式といったものをアメリカ人にも伝えてほしいという、こういったこともありまして、是非これはまた後で木俣委員にもごらんいただければよいと思うんですけれども、関係する警察庁とも十分に連携を取りながら、まさしくマニュアル化であったり、どの程度までであったり、地域の方にどの程度取り組んでいただいたらよいのかということについてまた一生懸命やっていきたいと思っております。
  46. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 警察が把握いたしました不審者情報につきましては、関係者のプライバシーに十分配慮をいたしました上で、先生も既に御指摘のように、教育委員会を介して関係の学校に迅速に連絡をする、あるいは直接学校に連絡をするといった方法を通じまして保護者方々に知っていただくという努力をいたしておりますし、警察本部のホームページに不審者情報を地図に落としまして迅速に提供するといった方法、あるいは携帯電話を事前に教えていただいてここにメール発信をするというやり方等、様々な工夫を現場においては行っているものと承知をいたしております。  また、不審者情報保護者方々地域方々、あるいは学校からも得る努力もしなければならないということで、ホームページにおきまして、不審者情報があればここに連絡をしてくださいという情報を提供するなどの努力をしている都道府県警察もございます。  いずれこれらのシステムが地域の実情に応じましてできる限り多くの地域で、いずれの地域でもできる限り標準化されていくということが大切だというふうに考えておりまして、その旨各都道府県警察を今後とも指導してまいりたいと考えております。
  47. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 大変前向きなお答えをありがとうございました。  ホームページも開設されるということでございますので、やはり情報の今標準化、マニュアル化ということと、それから情報交換ができて、そして更にはスピードがあると、この三点がやはりポイントだと思いますので、是非お願いを申し上げたいと思っております。  今回、これからかかる予算案でございますが、これ拝見していて一点確認したいんですが、先ほど地域安全安心ステーションモデル事業ということで、これから増えるということがございましたが、私が見た中では一億円縮減、二億二千九百万が一億円縮減されるように見えておりまして、この辺りはちょっと事実関係も含めて、そうであればやはり先ほど言われたこととちょっと反するんじゃないかなという感じがするので、ちょっとお答えいただければと思います。
  48. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 地域安全ステーション事業につきましては、地域ボランティア活動方々活動される際に資機材を国からお貸付けしようということで、本年度二億数千万の予算を取りまして進めてきたところでございますが、本年度の予算執行上これを比較的予想いたしましたよりも安く実施することができまして、そうした実績ベースに、今年度以上のことが来年度の予算を多少縮減いたしましても実施できるという事情がはっきりいたしましたところからそのようにいたしたものでございまして、今年度も百の予定のところを二百実施をすることといたしておりますけれども、そのような形で更にこれを、事業を拡充してまいる。いずれ、これモデル事業でございますので、全国にこれを広げる、すべての地域でこれをやることはなかなか難しいという、そういう問題でもございますので、いずれも潤滑油といいますか、あるいはこれを促進する一つの呼び水として、来年度予算におきましても予算要求をいたしておるところでございます。
  49. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 どんどん効率化しながらコストダウンをしていくのはいいんですけれども、ただ、百が二百に、倍に増えて、要はコストが三分の二になったということは六分の一になったという、一件当たりということになるかと思うんですけれども、ですから、もう少しよく精査してやはり執行すべきじゃないかなと、元々、いう感じがしますね。  これ、今後の課題として、二百が四百になり四百、もっと千でもいいと思います。いいことはどんどん増えればいいと思いますので、その辺、コストダウンも含めて検討をいただきたいと思います。  続きまして、今度は犯罪把握の拡充の必要性ということを申し上げたいと思います。  先ほど秋元同僚議員からもお話がありました、そしてまたお答えがありましたように、平成十六年に検挙した子ども対象とした暴力的性犯罪、この子どもというのは十三歳以下の、小学校六年生以下の子どもを指すわけでございますが、この再犯率というのが結局一五・九%、先ほど約一六%とお話があったかと思います。こういうようなことになっている。  ただ、ここで、じゃ年次年次でこの再犯率があるかというと、実は年次年次にはございません。その後で伺ったのは、昭和五十九年から平成九年の間に検挙した子ども対象とする強姦事件被疑者で追跡可能な者については再犯率が九%と、こういうような数字しかないということでございました。この事案については衆議院の青少年問題に対する特別委員会、ここでも局長が、データが存在せず、その内容再犯率が不明である、このようになっておるわけでございますが、やはりこの種の問題は、先ほど同僚議員ありましたように、ある種の精神病というか、もう治らないと言うと過言かもしれませんが、かなりそれに近いようなものがあるように思えてならないんです。アメリカ、イギリスについても相当厳しい処置と、そしてまた追跡調査をやっております。それを考えますと、我が国は少しそういった基礎的なデータもないということはかなり問題であると私は思いますし、これから整備を是非していただきたいと思いますけれども、その辺り、いかがでございますか。
  50. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 議員御指摘の子ども対象暴力的性犯罪の十六年中の特別調査についてでございますけれども、これ十三歳以下ではございませんで、十三歳未満の者に対するものでございます。犯罪統計といいますのは、議員御指摘の私の国会での答弁にかかわる問題でございますけれども、十三歳未満ということで被害者の年齢を切り取りまして犯罪統計を取り始めましたのが平成元年以降だということでございますので、御理解お願い申したいと存じます。  このように犯罪統計は様々な要請があるわけでございますけれども、基本的には毎年二百数十万件にも及ぶ大量の犯罪あるいは六十万件を超える検挙事件につきまして、そういう大量の多数の事件について、犯罪警察活動の実態の分析、あるいは犯罪及びこれに対する捜査活動を数量的に把握することを基本的な目的として行われているところでございまして、すべての犯罪につきまして犯罪者の特性を網羅的に分析するなど、言わば集中的に特化した統計を取ることは事実上非常に難しいということを是非とも御理解をいただきたいと存じます。  ただ、様々な犯罪情勢に応じまして、必要の都度、犯罪者の数多くの特性のうちの幾つかに着目してこの種の調査分析を特別に行うといったことを通じましてこのような犯罪の分析等を行っておるということを御理解をいただきたいと存じます。
  51. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 犯罪全体ではなくて、例えば暴力的性犯罪ということでいうと、四百六十六人中七十四人で一五・九%なんですよね。ですから、物すごく多い中ということでは、じゃ、そこだけやればいいのかと、恐らくそういうお答えかと思いますけれども、要するに、ほかの事案と比べると再犯率が非常に高いということからかんがみて、これは国家公安委員長に是非お答えいただきたいと思うんですが、要は、やはり子どもという、先ほどは済みません、十三歳未満ということでございますが、ここに絞ってというのは、これはアメリカでもございますので、是非今後、そういった四百何人とか五百数十人と、こういう数えられる数でございますから、これは各国やっているわけでございますので、しっかりしたデータの追跡又は継続性を要求したいと思いますが、いかがでございますか。
  52. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) 統計ですからいろんな統計があるわけでございまして、私もいろいろ手元に持っているんですけれども、今おっしゃったようなデータというのがちょっとないわけでございますが、しかし、子ども対象としたこの暴力的性犯罪については非常に大きな世の中の不安を醸し出す情勢にもございますので、こういう同種犯罪の前歴に着目して分析も行っていくことがこれから必要であるというふうに思い、現下の情勢を踏まえながら、この再発防止に役立つよう、引き続き犯罪の実態を明らかにするような統計の効果的な活用や分析というものをこれから進めていくように指示していきたいと思います。
  53. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今のお答えはあれですか、今までどおりのお答えになるんですか、それともそれより踏み込んだお答えになるんですか。ちょっと私分からないものですから、伺いたいと思います。
  54. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 先ほど申し上げましたように、特別な調査を講じて、子ども性犯罪の問題については十六年中の犯罪については細かな分析をいたしたところでございますが、同様の分析を今後も引き続き科学警察研究所等の機関にも協力も得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  55. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 次に、子どもへの犯罪に対する厳罰化というものが必要ではないかと。つまり、言いたいことは、子どもへの犯罪が減らないのは刑罰が軽い、軽過ぎるからであると、こういう指摘でございます。  犯罪者の方の区分でいえば少年法適用、それから刑法適用、こういうふうに分かれるわけでございますけれども、被害者の年齢では日本の法律では基本的にはないということでございます。これは、例えばアメリカのフロリダ州では、子どもへの性犯罪で有罪になった場合には最低でも二十五年、この禁錮刑が義務付けられているということでございます。我が国は無期懲役、その上は死刑でございますが、終身刑というのはなかったりするわけでございまして、やはり子どもを本当に守る、子どもというのはやはり大人が守るから子どもになるわけでございまして、やはり特別なもう位置付けをしなければならない時期になっているんではないかなということを考えますと、刑法や、又はたとえ犯罪人が少年法の適用範囲になったとしてももっと重い厳罰を施すということが大事ではないかと思いますが、委員長、いかがでございますか。
  56. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 法務省の河野太郎でございます。  子ども対象にした犯罪のみ厳罰化するということは、今の時点では考えておりません。今の日本の法律でいきますと、例えば十二歳未満の強姦罪ですとか、あるいは未成年の略取、あるいは人身売買に関する未成年の買受け、そういった年齢で区切っているものは確かにございます。しかし、それ以外のものについて年齢で区切って、被害者の年齢で区切ってそこだけを特定的に厳罰化するということは、今、考えてはおりません。  しかし、これだけ犯罪が増えておりますので、昨年、一昨年、法定刑の上限を上げさせていただきました。その上げさせていただいた法定刑の範囲の中で適正な刑が下される、そういう形で対応したいというふうに思っております。
  57. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 確かに法定刑の上限を上げたというような報道も見ておりますけれども、今挙げましたように、例えばフロリダにあるように、子どもへの性犯罪があれば自動的に二十五年以上と、こういう重さではないと思うんですね。ですから、別に二十五年以上にせよということではございませんけれども、まだまだやはり日本の性犯罪、いや、被害者からすれば、これはもう一生のもう暗いことになってしまうわけでございまして、それからすると数年で刑務所から出てくるということは、これはだから納得できないというのが普通だと思いますけれども、政治的にどういうふうにお考えになりますか。
  58. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 私も三歳の子どもがおりますので、最近の子どもに対する犯罪は本当に人ごとではありません。そういう意味で、子ども対象にする犯罪について少し罪を重くするべきではないかという議論は確かにあるというふうに思っております。  ただ、今までは、一度犯罪を犯して逮捕され刑に服した者が、刑が終わって出た後の実は追跡調査というものがないんですね。これは、罪をあがなったということでその人間が更生をして社会に復帰した後、引き続きどうだどうだといって調べるのはその更生を妨げるのではないかということから、先ほどの答弁にもありましたように、どういう条件なら再犯率が高いかとか、どういう人間に関しては再犯率が高いかという実は基礎的なデータもまだない状況でございます。  もうそんなことを言ってられない状況になりましたので、法務省といたしましても少し今までと方針を変えまして、どういう状況なら再犯率が高いのか、あるいはどういう罪、要するにどういうケースならば再犯率がどれぐらい高くなるのかというまず基礎的な調査をしっかりやって、こういうところは少し今後も厳しくしなければならないということをきちっと調べていこうというふうにしております。  こういう場合に関しては、実は一過性の、一過性のものと言うのがちょっといいのか、いい言い方かどうか分かりませんが、再犯率は極めて低い、こういう場合は再犯率が極めて高くなる、それならばこの高くなるところを刑罰を重くするのか、あるいはその後のフォローを少しやるようにするのか、そういう形で何とか防いでいきたいという一歩目を踏み出したところでございますので、まずその基礎調査をやって、どういうケースがどういう場合で高くなるか、そこをまず見たいというふうに考えております。
  59. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今のお答えを聞いておりますと、副大臣の任期が長いと何となく、河野副大臣が長ければ何となくそれがそういうふうになるかなと思うんですが、このままどのぐらいたったらそれができるかなと思うんですね。これはこの会期中ぐらいに、それはもう確実に仕上げますか。
  60. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) すぐに副大臣を辞めるつもりもございませんし、上に行くかもしれませんので、何とか副大臣在任中に目鼻を付けてから次へ行くようにしたいというふうに思っております。
  61. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 力強いお答えありがとうございました。  それで、今お話がありましたような追跡調査、そしてまた情報の交換ということに移りたいと思います。  今まで、平成十七年六月から、警察庁法務省子ども対象とした暴力的性犯罪者の出所情報の共有を始められたと聞いております。ただ、ここで問題なのは、アメリカの例えばメーガン法、ミーガン法と言うんでしょうかね、ミーガン法においては、これは自ら、例えば出所後転居した場合にはその転居場所について自らその登録をすると、それは義務があるということのようでございます。  ただ、我が国では性犯罪者が届出を行うことはほとんどなくて、法務省警察出所情報を通知するというようなことになっているわけで、その後性犯罪者が転居した場合、警察がその人員、予算を使ってその所在を把握すると、こういうふうになっているわけなんですね。  さらに仮出獄者については、保護観察期間中に所在地を明らかにする必要はあるものの保護観察期間中に所在不明となる者もいると、こういうのが調べた結果でございますが、やはりこれは性犯罪者、特にリピートすることが多いということから考えても、これは自ら登録を義務付けるということに変えたらどうかと思うんですが、いかがでございますか。
  62. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 例えば、仮出所をした人間の場合には、住所、ここを指定してここに住みなさいということを条件に仮出所をしている、あるいは移動する際には許可を求めるようにしてございます。ただ、刑がすべて終わったということはその犯した犯罪を償ったということでございますので、今までの考え方は、速やかに更生した人間を社会に復帰させるということでございます。ですから、刑が終わった者について何か義務を掛けるということはやってきておりません。  刑を終えた者について更に住所を登録させる、あるいはもっと厳密に言うと、何かバンドでもしてGPSで情報が出るようにしろとかそういうことがございますが、手順からいいますと、まず先ほど申し上げましたように、どういうケースが再犯をする可能性が高いかということをまず明確にする、これが第一歩目だろうというふうに思っております。その次に、仮釈放、保護観察の者に対して、ではどうするかということをやってみる。そして、刑が終わった者についてというのは、可能性としては恐らくその次になるんだろうというふうに思っております。
  63. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは二省庁にまたがる問題にもなりますものですから、安倍長官に通告しておりませんけれども是非伺いたいと思うんですが、今申し上げたような、アメリカのようにやはり性犯罪者が自らその登録をするという形に変えていかなければ私はならないんではないかと思うんですが、御所見、その二つにまたがっておるものですから、統括する立場からいただけますでしょうか。
  64. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今まで出所者について、またあるいは仮釈放、保護観察者については警察法務省においてしっかりと連携を取るようになってきたわけでございます。また、先般、仮出所中で行方不明になった人たちがいたわけでありますが、警察努力もあってすべてこの行方を把握したと、こういうこともあるわけでありますが、ただいま河野副大臣から答弁いたしましたように、まず再犯の率等についてそれぞれの事案また犯罪についてしっかりと把握をした上において、手順を踏んで、いかにそうした再犯から国民また子どもたちの安全を守るかということを考えていかなければならないと、このように考えております。
  65. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 次に、少しちょっと飛びますけれども、鑑定、DNAの取扱いに対する法制化という点について伺いたいと思います。  やはり犯罪を特定し、だれだれが犯人だといったことをするのに、やはり一番正確なうちの一つがDNA鑑定だと思っております。日本でももちろんDNA鑑定ということはよく言われるわけでございますけれども、今回、私も調べさせていただいて、被疑者の、今あるデータベースの運用状況ということでいうと、まずはこのデータベースは、特にその法律要件というよりも規則で、DNA型記録取扱規則というものが施行されて、これにのっとってデータベースが運用されているということで、別になくてはならないものではないということのようでございまして、現在登録数が二千三十一件というような形になっておるようでございます。少ないんではないかということと、それから特に異なる府県間の事件被疑者が特定されたのは二十一人、三十二事件ということだったということからすると、その効果等もまだまだ日本ではいかがなものかなというような感じを受けた次第でございます。  これについても、やはり犯罪先進国という言い方をすると語弊があるかもしれませんが、アメリカ、イギリスにおいては、このデータベース化については個別のその法制で法制化されておりまして、こういったものがやはり日本にも速やかに、例えば刑事訴訟法の改正とかそういう小手先のことではなくて、データベース化の目的とか対象範囲、それから対象犯罪の範囲、データベースに載せる期間等を非常に明確にしたその法案が必要だと考えますが、これは副大臣でしょうか、じゃ、お答えください。
  66. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 御指摘の件につきましては、DNA型記録検索システムの運用につきましては今委員から御指摘のとおりでありまして、これは安全確保措置あるいは運用手続につきましては、これは行政機関の保有の個人情報の保護に関する法律、あるいは先ほど御指摘がありましたDNA型記録の取扱規則に基づきまして運用をなされておるところであります。  今イギリスあるいはアメリカ等では、これは我が国と異なりまして、これ一定の者から一律にDNA型の情報を収集をいたしております。このデータベースの拡充を行っておりますが、これらは御案内のとおり、別個立法に基づいてなされておるところであります。我が国におきましても、そのような法制に基づいてやるべきではないかとのお考えがあることにつきましては十分承知をいたしております。  この点につきましては、今後の検索システムの運用状況、ここら辺も見ながら、あるいは国民の皆さん方にどの程度理解されるのかというようなこと、あるいは昨年六月に設置をいたしました有識者会議におきまして今いろいろ議論をしていただいております。  こういったことも十分踏まえまして、必要となる法的措置も含めまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  67. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今度、予算関係を改めて見たわけでございますが、これもよくある話なんですけれども、犯罪から子どもを守るための対策という関係予算予算案でございますが、かなり類似したものが七つの省庁にまたがってあるということなんですね。例えば、メールマガジンの発行、啓発誌の発行等も内閣府、文科省。それから、先ほどの地域安全安心ステーションモデル等、こういった地域モデル事業の拡大についても総務省、警察庁、文科省、国土交通省、経済産業省、厚生労働省。  このようにかなり類似した施策が、それぞれ予算が付いておるわけでございますが、ばらばらとこう配置されておりまして、せっかく大綱を、暮れに出されたかと思いますけれども、これが機能的に本当にうまく動くのかなというのが非常に心配でございまして、安倍長官もこの辺りリーダーシップを取っていただきながら、もう少し予算の出方も含めてスリムに、非常に分かりやすく、どこが何をやっているか、そしてどこがそれをまとめるか、そしてまただれがどこへ連絡する、見ればいいかと、こういったところも含めて調整をしていただければと思うんですが、長官から一言いただけますか。
  68. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま木俣委員から御指摘のあった点は極めて重要なポイントだというふうに思っております。  犯罪から子どもを守るための対策については、従前から関係省庁のそれぞれの施策が相まって大きな、より大きな効果を上げていくというふうに認識をし、そして連携をしてきたところでありますが、さらに、政府といたしましては、内閣官房のリーダーシップの下に、昨年の十二月の二十日に犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめたわけでございまして、同対策には、学校警察、自治体等の連携による通学路の緊急安全点検など、複数省庁にまたがる緊急対策六項目を盛り込んだところでございます。  今後とも、関係省庁連絡会議を随時開催をいたしまして、緊急対策六項目や関連施策の予算措置等をフォローアップをするなど、内閣官房のリーダーシップの下、犯罪から子どもを守るための対策に掲げられた施策を総合的に推進をしていきたいと、こう考えております。  ただいま委員が御指摘されました地域安全安心ステーションモデル事業の拡充につきましては、公民館等を活動拠点とするボランティア活動の支援ということで取りまとめ的な形にいたしまして、なるべく同じ場所で、警察庁の施策も消防庁の施策も、あるいはまた文科省の施策も同じ場所でやって、ちゃんと連携を取りながら、ばらばらにならないようにそういうことに努めていきたいと、こう考えておりますし、また予算についても、関係予算を一覧化して重複を避けていく努力をしていきたいと、こう考えております。
  69. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございました。  最後に、ちょっと拉致関係で安倍長官に質問して終わりたいと思いますけれども、暮れに、年始ですか、辛光洙と朴某がICPOに国際手配をされて、私も、昨年の十一月でございましたか、内閣委員会で前官房長官にも、朴某が拉致したであろう小住健蔵さんですね、ということをお話をしたわけでございます。  ちょっと短く三つ、どういうふうに考えるかお答えいただければと思うんですが、この辛光洙を含め拉致容疑者全員の引渡しを強く求める必要があると思うんですが、これをどう思われるか。  そしてまた、朴某が拉致を、小住健蔵さんを拉致したということが明確になったわけでございます。ただ、小住さんはまだ拉致被害者として認定されておりませんので、認定するつもりはあるかということが二点目。  もう一点は、これ予算関係でございますが、これは国家公安委員長かもしれませんけれども、拉致問題対策官というのが実は平成十八年の概算要求で要求されたんですが、年末の政府折衝の中でこれ削除されてしまいまして、これ是非復活いただきたいというふうに思いますので、その要望と三つでございますが、お願いします。
  70. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員御指摘のございました拉致容疑者の引渡し要求でございますが、二〇〇二年の十月の第十二回日朝国交正常化交渉を始めとする累次の機会に、拉致問題に関しましては、生存しているすべての拉致被害者の早期帰国、そして真相の究明、そして三点目が拉致容疑者の引渡し、引渡しでございまして、これを北朝鮮に強く求めてきたところでございます。この引渡し要求の中には、辛光洙容疑者も当然入っているところでございます。  昨年の十二月の日朝政府間協議では、北朝鮮との間で拉致問題等の懸案事項に関する協議を含む三つの協議を立ち上げることに合意し、所要の準備を進めることに合意をしたわけでございまして、政府といたしましては、今後立ち上がる拉致問題に関する協議を通じ、北朝鮮に対して、生存者の帰国、そして真相究明、更には容疑者の引渡しという我が国の基本的立場を改めて伝えるとともに、拉致問題の解決に向けた具体的前進を得られるよう引き続き最大限の努力を払う考えでございます。  これまで政府は、北朝鮮側に対しまして、辛光洙そして金世鎬そしてさらには魚本公博、この三名を警察庁は拉致容疑者であると、拉致実行犯であるというふうに断定をし、国際手配をしているわけであります。この捜査当局において逮捕状の発付を受けたことを、得たことを受けて先方に要求をしたわけでございます。  今後、そして三点目につきましては、朴と名のる工作員につきましては、今後そうした新しい事案につきましては、今後捜査の進展によって新たな事実が発生した場合には、当然北朝鮮側に求めて、引渡しを求めていきたいと、つまり、新たな発展があった際には、当然北朝鮮側に引渡しを求めていくということになると思います。
  71. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 認定、小住さんの認定。
  72. 小林武仁

    政府参考人(小林武仁君) お答えいたします。  二番目の小住さんの拉致認定の問題でございますが、これはもう何回も答弁させていただいているんじゃないかと思いますが、御指摘の小住さんは昭和三十年代から所在不明になっている方でございます。昭和五十年代に我が国に浸透した北朝鮮工作員の、御指摘の朴某ですね、これによりその工作活動を容易にするため成り代わられたものと見られる人物であります。こうした事実が明らかになったのは、御案内の西新井、いわゆる西新井事件でございまして、その補助工作員が警視庁により検挙されたことによるものであります。  ただ、この認定につきましては、これまでの捜査によりまして、いわゆる三要件と申しますか、北朝鮮の国家的意思は推認されているものであります。国家的意思ですね、北朝鮮の国家的な意思はこの事件で推認されていたと我々も考えます。ところが、諸般の事実を総合的に勘案するに、御指摘の小住さんですが、方が、本人の意思に反して北朝鮮に連れていかれた者と判断するまでに至っていないところが問題でございまして、この問題については拉致と認定しておらないわけでございます。  それから、最後の三番目の御質問の拉致問題対策官でございます。前に木俣委員にもこの場で御説明させていただきましたが、設置にかかわる強い要望というものは寄せられております。これを、必要性も高いと我々も思います。  警察庁としては、既存組織の振替により、官としてではなく、拉致問題対策室、仮称でございますが、対策室として設置することとしたものであります。  警察庁としては、全体的な組織要求の枠組みの中で万が一にもこれを落とすことのないように、この職務を確実に設置するという考え方から振替によりこれを設置することといたしたものであります。
  73. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 終わります。
  74. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども。  お二方の同僚議員のやり取りを、質問等を含めて答弁のやり取り聞いていまして、非常に個々の対応は結構頑張っていらっしゃるけれども、要は、要するに、親がしなきゃならないこと、子ども自身が教育の場面でやっていかなきゃならないこと、子ども犯罪防止のために、それから学校がやらなきゃならないこと、行政がやらなきゃならないこと、地域がやらなきゃならないことということの総合的なネットがきちっとなっていればいいんだがなという思いをしています。これがなかなかできないから、現実には具体的な犯罪捜査に時間が掛かったり防止に非常に厄介な状態になっているなということを印象として持ちました。  ちょっと文部科学省のホームページ見ますと、子どもの安全の問題について、少なくとも大阪の池田小事件があった後、危機管理マニュアルが作られたわけでありますけれども、そのことは当然通達として出されたんですけれども、ホームページ、文科省のホームページでは準備中と、こうなっているわけですね。平成十三年の話ですから、十四年の十二月ですか、非常にそういう意味ではあれっと思いました。  これはだから、直近の問題の児童の登下校における幼児児童生徒の安全確保についてというのは、昨年の十二月六日、通達が出されて、子ども通学路の確保の問題、それから登下校の方法の問題、それから実践的な安全教育と、この三点にわたって通達が出されていることはもうホームページでも出ているわけでありまして、その前の十一月の二十五日も、広島の小学校の十一月二十二日の事件後すぐに、幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についてということで全都道府県教育委員会を含めて通達が出されているんですけれども、その前の段階の不審者侵入時の危機管理マニュアル、作られているんでしょうけれども、ホームページ上は準備中と書いてあるんですね。何なんだこれはと、作られているにもかかわらず、ホームページで準備中というのは一体何なのかなということはちょっと感じましたので、これはどうかなというふうに思いましたので。  それで、その危機管理マニュアルについての研修とか学習機会、結構つくられているんだと思うんです。系統的に確保されているのかどうかという問題が実はあるんだと思います。なぜそういうことを言うかというと、ある地域防犯講習会において、参加者が約百七十名ちょっとぐらいの方々がおいでになったその研修会で、参加した教師、学校の先生が、このマニュアルを読んでおいでになってきましたかといったらわずか数名ということもあって、現場に来てというか、研修会に来て読むのがそうかもしれないけれども、普通は、事件が起こってその対応のための研修会だったら、事前に自分の学校のことについて、もしこういうことが起こったら困るということも含めて、学校の教師の方がもうちょっとしっかり事前に学習してくる必要があるのではないかと私個人的に思うものですから、系統的にその学習の機会をきちっと確保しているのかどうかということを文部科学省にお伺いしたいと思いますけれども。
  75. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。    〔委員長退席、理事木俣佳丈君着席〕  今御指摘のありました学校の不審者侵入時の危機管理マニュアル、これは平成十四年の十二月に作成いたしまして、各教育委員会や各学校に配付しているものでございます。このマニュアルにつきましては、文部科学省主催の研修会でございますとか全国的な学校安全に関する研究、研修大会におきましてこのマニュアルを活用して指導するということで学習の機会に努めてまいっているわけでございますけれども、先生今御指摘のありましたように、事前にこのマニュアルを学習するような機会が必要ではないかということにつきましては、やはりこの研修に参加する方に各学校に配付されている資料につきまして学習していただきたいということを事前にお願いする必要があるのかなというふうに思っているところではございます。私ども、これから、今後も引き続きまして全国的な研修会でこのマニュアルを活用しながら研修をしていきたいと考えておりますので、そのような際に配慮してまいりたいと思います。  また、文部科学省が作成いたしましたマニュアルは、これは各学校で作っていただくマニュアルの基準といいますか、基本となるべきものと考えておりまして、学校の置かれている状況が異なっているということで、できる限りそれぞれの学校学校独自のマニュアルを作っていただきたいということをお願いしておりまして、例えば平成十六年の三月現在では、小学校ですと八七・五%の学校において学校独自のマニュアルが作られているわけでございます。このような学校独自のマニュアルにつきましても、各学校におきまして教職員間の間で周知され、共通理解が図られるということが大事だと考えております。そういう意味におきまして、学校独自のマニュアルにつきましても今後ともそのような活用が図られていくように指導してまいりたいと存じております。
  76. 風間昶

    ○風間昶君 学校の中の問題では、例えば侵入者に対する、不審な侵入者に対するセンサーといいましょうか、そういう感知センサーを設置進めているところが結構増えているんですが、ところが子どもの方が今度ふざけて出たり入ったりというか、どうやってそのセンサーをくぐっていけれるようにするかとかというぐらいのところが、子どもの方がまた非常に知恵を出しているような部分もありますが、どっちにしても文部科学省として、センサーを電源切っているという報告も実はあるところではあるわけであります、学校でですね。そういうこともあるので、実態把握をやっぱりきちっと一回やるべきではないかと思うんですよね。なかなか難しい部分はあるのかもしれませんけれども、是非これはもう一回通達すべきだと思いますが、いかがですか。
  77. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  今御指摘のありました学校で設置されているセンサー等の防犯監視システム、これにつきましては日々のその運営状況につきましてのデータは今のところ持っておらないわけでございますけれども、設置されたものはやはりきちんと作動し運用されていくということが重要であると考えております。    〔理事木俣佳丈君退席、委員長着席〕  私どもが調査し、通知しております学校の安全管理についての点検項目につきましての通知などにおきましては、防犯監視システムなどを整備している場合におきましてはその作動状況の点検を行うことということについても個別に指導を行っているところでありますので、このような実際の運営につきましても、どのような状況にあるかということにつきましては注視してまいりたいと存じております。
  78. 風間昶

    ○風間昶君 あと、教育現場の中で安全対策の授業の中でどういうふうにカリキュラム上、道徳の時間になるのか何の時間なのか分かりませんけれども、何といいましょうか、大声を出すとか、緊急通報装置を持っていらっしゃる学校においてはその装置を使う訓練とかということも含めて、これはカリキュラムの中に入れていくことも私は必要ではないかというふうに思いますが、全国一律に何月何日からこうすべきということではないにしても、そういうことを単位としても、要するにそれが先生側の方のあれになりましょうけれども、負担になるかもしれませんけれども、考えるべきでないかと思いますが、どうでしょうか。
  79. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  例えば、学校保健法では、各学校に対しまして年間の学校安全計画を立てて実施するということも求めているわけでございまして、各学校では各教科を連携を踏まえながら計画的に児童生徒の安全対策に取り組むことになっているわけでございます。  その中で、安全教育につきましては、例えば教科でございますと、体育科の保健の領域ですとか、関連する教科として理科とか家庭科などにおける学習でございますとか、道徳の時間における命の大切さを教える学習ですとか、というような学習に加えまして、学校行事、総合学習の時間等々で安全指導を行っているわけでございます。  このように、学校教育活動全体の中で安全教育というのはするということになっているわけでございまして、先生今御指摘のありました緊急の対応ということは、多分この中では学級活動学校行事、総合学習の時間で行うということが適切といいますか、合うのであると思っておりますけれども、いずれにいたしましても、学校の全体的な指導計画の中にきちんと位置付けて、このような具体的な危機に対する対処方法等を指導をしていくということが重要であろうと存じております。
  80. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、総合学習の中でも組み入れていくようにというような、まあ何というんですか、国からの通達という形じゃなくて、むしろやっていっていただけるならこの検証をしていくとか、まあある意味では学校の独自のやり方に、何といいましょうか、やっていただけるようなあおり方と言うとおかしいですけれども、そういう私は通達の仕方が必要だと思います。上からいっつも文部科学省、ぱさっと落とすから、それは現場の教師を含めて反発したりいろいろなことが起こってくるわけでありますから、ですから、要は子どもの安全をどう守るかという観点に、その現場の学校の教師やいろいろな方々と同じ目線でいかないと、いつまでたってもこれはうまく進んでいかないんじゃないかと思うんですけれども。まあ、そんなこと私が言うことではないですけれども、在り方としては考えるべきじゃないかというふうに思うので、よろしくお願いしたいと。  もう一つは、地域とのかかわりの中で地域社会の協力、欠かすこと絶対できないわけでありますけれども、この学校安全ボランティア、先ほど、何でしたっけ、警察方々のOBのスクール、何と言ったっけ、サポーター、いろいろ名前ありますけれども、呼び方がありますけれども、その方々を含めた地域との学校における安全あるいは学校外における安全ということについては文部科学省もある意味ではお願いする立場だから、そこのところをどういうふうに実際に活動していってもらえるかということの観点に立った取組状況を教えてください。
  81. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、今学校、安全な学校づくりのためには、地域社会方々に御協力をいただきながら地域ぐるみで安全対策を、学校安全の取組を推進するということが非常に重要であると思っております。  具体的に申し上げますと、平成十七年度より、その学校安全ボランティア方々の養成、研修や、各学校を巡回して学校安全ボランティア指導や警備のポイントについて指導を行うスクールガードリーダーの巡回、評価等を推進する地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施しているところでございます。こういう形で各学校における学校安全ボランティア、またそれを指導する体制というものを支援を行ってまいりたいと考えているところでございますけれども、この事業を中核といたしまして、地域におけるその学校安全ボランティアへの参加というものを今後とも一層お願いして養成してまいりたいと考えているところでございます。
  82. 風間昶

    ○風間昶君 今出てきましたね、スクールガードリーダー、先ほどの質疑の中で、警察庁スクールサポーター、まあ要するに、どれがどうなっているかちょっと分からないんだけれども、きっと文部科学省の方でのスクールガードリーダーにはスクールカウンセラーの方もいらっしゃるのかどうか分かりません。ちょっとその辺がだから、もう既にその連携がうまくいっているのかどうかと、これ外から見ていて思うわけであります。  だから、そういうことを連携してやっていけるようにしてもらわないと、さっき木俣同僚委員質問で、個々には一生懸命やっているんだけれどうまく連携してないということなんだそうですけれども、もう一回文部科学省さんに、スクールサポーターについてはどういう認識でいるのか、分かっていないわけだから、警察庁スクールサポーターについては。で、警察庁もスクールガードリーダーについては分かっていないわけだから、初対面の人も当然出てくるでしょう、実際に地域の中でやれば。その辺のところ、どういうふうに取り組んでいくか。
  83. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) スクールガードリーダー、これは防犯専門家警察官のOBの方の協力を得て都道府県が委嘱したものでございますけれども、スクールサポーターにつきましては、これは警察庁の事業でございますけれども、私どもが、今説明しろという話でございますので、説明できるかどうかあれですけれども、やはりその警察官の方を、OBの方を中心に委嘱している、より常勤的な形での活動であろうというふうに承知しているところでございます。
  84. 風間昶

    ○風間昶君 あのね、文部科学省のやっぱり役所の方が警察庁の方とうまく、うまくというか、お願いして、子どもの安全のために一緒になってお願いしますというふうに言わないと、いつまでたっても分からないし、駄目だと思いますよ。学校の先生方に全部おっかぶせて、学校の先生方も、いや今度来たスクールサポーターの風間ですと、いや今度こちらであれしたスクールサポーターのだれだれですと、ガードリーダーのだれですと、こんなになっちゃっている可能性がありますから、もうちょっときちっとやっぱり子どもの安全を確保のための、だれがイニシアチブ取るとか取らないとかという問題でなくて、お願いしていかなきゃならない。ですから、文部科学省のありようというか、その基本的な姿勢が問われている問題だと認識しないと駄目だと思いますのでね、あなたに言っても駄目かもしれないけれども、あなたが代表して来ているから是非お願いします、よろしくお願いします。  それから、具体的に、子どもたちに道路気を付けるんだよ、車気を付けるんだよというふうに僕も子どもには言ってきたけれども、今そういうレベルじゃもう駄目なんで、あそこの交差点のあれはよくバイクが走っているから気を付けるんだよとか、ここはこうこうだから具体的に歩行、歩いているとき見えないからあっちの左側を気を付けるんだよというような、具体的なそういう注意喚起を親はやっていく必要があると思うんですけれども、学校もやっぱりやっていかないと駄目だと思うんです。  そういう意味で、公明党も前々から言っていますけれども、通学路安全マップ是非作るべきだということで、いろんな形でそれが具体的に文部科学省もサポートしてくれるようになってまいりましたが、まだ対応が不十分というふうに思いますけれども、その辺の認識、どうですか。
  85. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  その前に一言、私ども十七年度に始めました地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業の開始に当たりまして、警察庁との連携を図らなければいけないということで事前に御相談等をさせていただいております。また、その実施に当たりましてはやはり現場での警察との連携が重要であるということで、そのようなところにつきましても今後ともよく意を用いてまいりたいと思っておるところでございます。  それで、今、通学安全マップの件でございますけれども、これにつきましては、やはり非常に重要な手段であるというふうに考えておりまして、通学安全マップを作成するに当たりましても、やはり子どもたちが自分で道を歩いて、できれば保護者と一緒に歩いて、実体験を踏まえて作成するということが今より効果的ではないかというようなことを考えておりまして、通学安全マップのそういった作成の仕方ということについてもお願いしているところでございます。  このようなことで、子どもたちが自ら実感を持って危険箇所を認識することによりまして、子どもたちの危機管理能力といいますか、そういうものの向上にも資するように努めてまいりたいと考えております。
  86. 風間昶

    ○風間昶君 もうとにかくインターネットを見たら、グルメマップから何から全部今あるわけですから、それが一番遅れているのが子どもの安全に関する様々な、その地域情報を含めたそういう部分が物すごく私は大事だと思うんで、もうちょっとやっぱり取組を果敢にやってもらいたいというふうに思いますんで、よろしくお願い申し上げます。  警察庁ですけれども、スクールサポーターはこれ大体分かります、分かってますんであれですけれども。昔、緑のおばさんという制度がありましたけれども、交通安全を目的にですね。  結構、地域防犯力を高めることが物すごく大事で、まあその防犯力が全体で低下している原因は一体何なのかと考えると、これ警察が悪いわけじゃ全然ないんですけれども、非常に犯罪を含めて巧妙化といいましょうか、非常に何か陰湿になってきている部分もあるのであれなんですけれども。そういう意味で、警察が、お巡りさん増えてきたことも大事だし、空き交番の解消も大変進んでいるし大事だし、地域社会とともにこんなふうに進めていきたいという、あるいは進んできつつある、芽が出ているというようなのはありますか。
  87. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) これは警察運営にかかわる反省として私どもも考えておりますのは、犯罪抑止というものをやはり警察が自分でやるんだという強い気持ちを持ち過ぎたという過去の経緯がございまして、私ども、やはり犯罪というものは社会全体でみんなで連携して減らしていくんだという、まずそこの発想に私どもが立って、ここ三、四年の間様々な新たな地域への働き掛けを始めたということは、私どもにとりましても大きな今取組、新しい取組を進めているところだというふうに言ってよかろうと思います。  その際に、非常に私ども大事にいたしておりますのは、犯罪にかかわる情報発信でございます。これは様々なやり方がございますけれども、そのことを通じて国民の皆さん方の犯罪に対する関心あるいは警戒心を高めてもらうということもすごく大事な取組だということで、これをかなり広範に進めておりますほか、学校と連携して、学校を中心とした防犯対策を強化をしていくということに大きな努力をいたしております。  と申しますのも、地域方々子どもの安全を守るということについては非常に一致して取り組みやすいし、多くの方々を動員できる、そういうものでございまして、そのために学校との垣根をできるだけ小さくしたいという思いもございまして、このサポーター制度を拡充すること、あるいは先ほどスクールガードリーダー、これ文科省の方から予算を取っていただいておりますけれども、実はこれにも警察官のOBが多数入っておりまして、そういうことを通じて学校警察、彼らが学校警察のつなぎ役として役割を果たしていただくといった取組学校を中心とした取組も強化をして、その他様々な地域住民と一緒になった取組を進めているというのが現状でございます。
  88. 風間昶

    ○風間昶君 委員長にも御理解いただきまして、お手元に配らせていただいておりますけれども、地域防犯力を取り戻す運動の一環として、NPO法人で犬のおまわりさん運動ということをやっていらっしゃる団体があって、これ飼い主が首に巻くんじゃなくて、(資料提示)犬に、犬の首にこのネッカチーフ、バンダナを巻いて、そして子どもの、特に朝は、むしろ犯罪は下校時に起こるものですから、朝はもちろん飼い犬と一緒に散歩をするんですけれども、下校時のその地域の、低学年は大体お昼ちょっと過ぎぐらいで、高学年、中学年はまあ三時、四時ぐらいに、塾に行ったりいろんなところに行かれたりする子もいるけれども、とにかく下校時にできるだけその地域で犬を散歩して、犬を怖がる子どもたちもいるから、これはじっと一緒になって歩くとかそういうことじゃなくて、そういう形で、とにかく声掛けをしたりあるいはあいさつの励行などを行っている犬の自称おまわりさん、それは飼い犬がですよ、やるわけですけれども、そして協力していただいた方々子ども一一〇番の家のステッカーと同じように、こういう犬のおまわりさんということのステッカーを商店街皆さんやあるいは御理解いただける方々のところに、で、万が一、わんちゃんがうんこしちゃったときには、これでこれを片付けるように、使えるようにもしようというアイデアなわけでありますけれども、現在五万頭ぐらい登録されて活動されているんですけれども。  こういう会に限らず、犬のおまわりさんだけじゃなくて、わんわんパトロールとかといったような、社会的に地域的に防犯意識高まっていて、様々な熱意を持っていらっしゃる方がいるんで、それを有機的に結合していただいて、今局長がおっしゃったように、犯罪を社会全体で防止していっていくその情報発信の場にむしろなっていって、後ろに警察が控えているというのも必要な一面かと思います、前面にいつも出て行っているんではなくてですね。  そういう意味で、警察署やあるいは都道府県警察の担当セクションは、たしか前、小野清子国家公安委員長のときでしたけれども、生活安全課がそれをやるというふうに承ったわけですけれども、それでいいですか。
  89. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 各警察署に生活安全課が置かれておりますのでそこに御相談いただければよろしいかと存じますし、また警察本部にも生活安全担当課がございますので何なりと御相談いただければ、そうしたわんわんパトロール等の自主的な取組を私どもは大変高く評価をいたしておりますので、できる限り御相談に乗るとともに、様々な活動を後押しをするということで対処していくことといたしております。
  90. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  今日十七日は、例の宮崎事件の最高裁判決で、さっき一時半過ぎでしたか、宮崎被告の上告が棄却されて死刑が確定になったわけでありますけれども、事件当時、あそこの被告の住宅から物すごいビデオが押収されて、その後の性関連のビデオとかDVDについては、表現の自由との兼ね合いがあってなかなか規制が遅れているように私は思うんですけれども、最近は特に女の子を誘拐してじゅうりんすることを目的としたゲームが出ていまして、ソフトが、これは非常に問題で、そういう意味で規制を強めてほしいという市民の声も高まっているわけであります。これはなかなか、実写の、コンピューターで見るともう必ず、だあっと出てきますから、もうクリックすれば入っていけるようになっている、そういうものもありますし、それからアニメのやつもあるんです。  対応は違うと思いますけれども、これ今後警察庁として、やっぱり性風俗の、一方では一定程度認めていかなければならない部分はあるにしても、大きくこれは、この今後の犯罪抑止のためにも考えていかなければならない課題だと思いますが、どのようにされていくお考えなのか、あるいは検討もされていないのか、していってどのようにしていくのかということも含めて、大臣、大変な問題だと思いますけれども、御認識と方向性について御答弁いただければ有り難いと思います。
  91. 沓掛哲男

    国務大臣沓掛哲男君) 風間委員はお医者様ですから、こういう関係については非常にいろいろな面で私らよりより以上に知識もお持ちというような気もいたしますが、警察といたしましては、御指摘のように、子どもを性の対象とする情報ビデオやインターネット等を通じてはんらんしていることは、子どもに対する性犯罪等につながるおそれがあると憂慮しているところであり、犯罪防止の観点からも十分な関心を払う必要があると承知いたしております。  現状では、児童買春、児童ポルノの禁止法により、児童ポルノの製造あるいは販売や公然陳列等について警察が取締りを推進しているところであります。十分な効果を必ずしも上げていないという面もございますが、今後、警察による取締りの強化と併せまして、社会全体が危機感を持って対応し、関係業界の自主的な取組も含め、様々な方法によって現状を改善することが必要と認識いたしております。私自身は、やはり自助、それから共助、みんなでそういうものに対応していく共助、さらには公助、そういうものが一元的に働いていく、そういうことがいろいろな面で非常に重要ではないかなというふうに思っています。  先ほど、木俣委員、検挙率の話という、いろいろございましたけれども、検挙率を見てみますと、一般犯罪については、いずれも平成十四年から検挙率は上がっているとはいえ、二〇%のものが三〇%台に上がっているところです。しかし、重要犯罪になると、これは検挙率はかなり高うございまして、十四年の五〇%から五六%に現在上がってきております。とはいえ、昭和の時代から比べれば、昭和の時代は八〇%台の検挙率もあったわけでございますので、さらに捜査本部を設けているようなものについては現在も非常に高率の検挙率を上げております。  そういう点で、それぞれのやはり役割というか、三位一体となりながら、それぞれの犯罪に対応しながら適切な対応をして検挙率を高めていくことが何よりも大切であるし、また同時に、それから再犯が起こらないようにしていく、そういうことがこれから警察にとって非常に重要なことだというふうに認識いたしております。
  92. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  93. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 風間昶君の質問が終わりました。
  94. 近藤正道

    近藤正道君 社民党の近藤正道でございます。  最後あと十五分でございますので、お付き合いをいただきたいというふうに思っています。  皆さんからそれぞれ質問がございました。一昨年、昨年と、子ども、幼児を対象とする大変衝撃的な事件が連続をいたしまして、とりわけ先般の栃木今市の事件につきましてはいまだ検挙に至らずということでございまして、警察の格段の御奮闘をよろしくお願いをしたいというふうに思っております。いずれにいたしましても、こういう衝撃的な事件の中で、子ども安全対策求める声は非常に強い。そういう声を受けまして、政府も連絡会議等、対応に立ち上がっているわけでございます。  そういう中で私は、感覚的に、子どもをターゲットにする事件、身体犯でございますけれども、これは増えていると、こういう認識を体感治安というふうに言うそうでございますが、私の体感治安は、幼児を対象とした犯罪は増えていると、こういうふうに思って、いろいろ警察庁皆さんから資料を見せていただきますと、もう資料の上からは必ずしもそうなっていない、横ばいあるいは減少と。逆に、資料を見ても、最近の子ども、幼児を対象とする事件の特徴とか傾向はなかなか見えてきにくい。  この体感治安とこの統計のギャップというのは何なんだろうというふうな思いが非常にありまして、やっぱりこういう情報、統計というのは、最近の犯罪の特徴、傾向をやっぱりくっきりと浮かび上がらせる、そういうものでなければならない。しかし、逆にそれが分からないのが今の犯罪の特徴なのかもしれないと、こういう思いもあるわけでございますが、警察庁にお尋ねをいたしますが、子ども被害者とする犯罪の最近の特徴とか傾向を皆さんはどういうふうに見ておられるのか、そして皆さんのこの対策は最近の特徴とか傾向にきちっとやっぱりマッチしたものになっているのかどうか、是非このことについてお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  95. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) 議員御指摘の十三歳未満の子どもたち被害になった状況について見てみますと、確かに昨年は一昨年に比べ、数字の上では減少しているという状況にございますけれども、十年のタームで見てまいりますと、例えば強制わいせつ、十三歳未満の子ども対象とする強制わいせつ事件は一千六十三件、平成八年には発生したものが、平成十五年、これ一番多い時期でございますけれども、二千八十七件に上りまして、そしてそれから下がったというものの、平成十七年も一千三百八十五件発生している状況にございます。これは強制わいせつでありますが、他についてもおおむねそのような傾向にございます。  で、十五年前後に非常に多くなった、高く一番ピークを迎えたわけで、今若干減っているのは社会の全体としての取組もあろうかと私ども考えておるところでございますが、やはり子どもに対する犯罪というのは、数字の上でもやはりここ十年間のタームで見ますと、やはり国民が不安を持つのは事実に沿っているのではないかというふうに思います。  それに加えまして、やはり最近、不特定の児童が、何の理由もなく学校の中やあるいは学習塾の教室の中あるいは学校からの帰宅途中といった子どもの日常生活の中で突然殺害されるという、そういう事件が引きを切らせずといいますか、相次いで発生しているというのは、恐らく長い歴史の中でこのような事態というのは初めてではないかと私は考えているところでございます。そのような凶悪な子どもに対する事件が相次いで発生するという状況も、国民の、子どもに対する事件、何といいますか、子ども事件についての不安を大きくしているのではないかというふうに思われます。  もう一点申し上げますと、また小さな子ども被疑者となる凶悪事件も目立って発生している。その上、児童虐待といったような問題も大きな問題として語られておる、そのように子どもをめぐる情勢が、非常に何といいますか、残酷な事件に、何といいますか覆われているという状況が国民の目には映っているのではないか。そのような中で、子どもを大切に育てるという社会の風潮、そうした社会の大切な考え方がやや少し薄らいできているという状況がこうしたものに反映しているのではないかとも考えられるというふうに考えております。
  96. 近藤正道

    近藤正道君 時間の関係で二つ目の文科省に対する質問は省略をさせていただきまして、最後まで安倍官房長官いていただきまして、ありがとうございました。時間の関係で長官の方にお尋ねをしたいというふうに思っています。  文科省が所管する事業で就学援助費という項目がございます。これは経済的理由で就学に支障がある子ども保護者に対する市町村の事業、それに対して国が援助すると、こういう制度でございまして、すべての子どもに平等な教育の機会を与える、こういう制度でございますが、この就学援助費がこの四年間で四割近く増えていると、こういうことが今月初め新聞等に報じられておりました。東京や大阪では四人に一人が就学援助を受けている、東京都では多い区では四〇%を超える子どもたちが就学援助の対象になっていると、こういうことでございます。生活保護法における要保護者あるいはそれに準ずる困窮家庭、まあこれが割合としては非常に多いわけでございますが、こういう困窮家庭が増えていることに私自身驚きを禁じ得ない、こういう感想を持っておりまして、調べてみますとこのところ非常に増えている。二〇〇〇年ぐらいから毎年一%ぐらいの割合で増えておりまして、今全国平均で一二%ぐらいになっております。片や、学習塾に月に何万円もの金を掛ける家庭があり、これが非常に増えていると。その一方で、学用品や給食費の援助、これが就学援助費の対象でありますが、これを受けなければならない、こういう家庭が増加する。正に二極化の傾向を見せているわけでございます。  小泉内閣の四年間で、構造改革で所得格差が確実に、私、広がっていると。社会の中に格差が拡大して、それが固定化をして、これが抑圧された感情となって自分より弱い者に向かう、こういうことというのはやっぱりあるというふうに思っておりまして、最近、先ほどの局長お話にもありましたけれども、動機不明の事件が非常に多発をしている、あるいは子どもならだれでもいいと、よく分からぬけれども子どもならだれでもいいと、こういう事件が非常に増えているという感じがしておりますが、社会だけではなくて、学校、義務教育の中にもこういう格差が広がってきた。  こういう状況は私は子どもたちにとって安心して過ごせる社会では絶対ないだろうと、こういうふうに思っておりまして、その子どもの安全というものを正に統括する立場の安倍長官に、この格差の拡大と、それが子どもたちの安全あるいは健全な育成、これにもたらす影響についてどういうふうな御認識をお持ちなのか、これ是非長官にお聞きをしたいと。このことをやっぱり一つの土台、まあしかし、それだけでもないし、いろんな要因もあると思いますけれども、子どもたちをどうやって社会がやっぱり守って、そして健やかに伸ばしていくのか、こういう施策が私は出てくるんではないかというふうに思っておりまして、その一つの大きな要因である格差と子どもへの影響というものについてどんな御認識をお持ちなのかお聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。
  97. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小泉内閣としてこの四年数か月、構造改革を進めてまいりました。効率的な小さな政府をつくると同時に、しっかりと世界の競争の中で日本が勝ち抜くことのできる、そういう力強い経済の力を我々蓄え、またつくり上げていかなければいけないと、この考えの下に構造改革を進めてまいりました。そして、頑張った人が、そして血を出した人が報われる、フェアな競争の行われる、そういう社会をつくっていく、それも私どもの目的でございました。  そういう中にありまして、かつてのような財政出動を行わずに、税制の改革あるいは制度改革といった手法を用いまして国民の皆様のやる気を引き出す形で、何とか今、経済は回復の軌道に乗ったと、こう考えております。しかし、やっと乗ったこの経済の回復をしっかりと国民全体、各地域にも各産業にも広げていくように、我々のこの改革の成果、果実が均てんするように努力をしていくということは当然政治の大きな使命だと、こう考えておりますが、その意味においてはまだまだこれから更なる努力が必要であると、このように思っております。  我々は何も格差のある社会をつくっていこうとは考えておりません。当然、しかし、競争していけば勝つ人と負ける人が出てくるわけでありますが、しかし、例えばたまたま体の調子が悪かった、あるいは本当にそのときにいろんな状況等が悪くてなかなか思いどおりにいかなかった人もいるわけでありますが、しかし、しっかりとそういう方々のためにはセーフティーネットを張っていくことが大切でありますし、また再チャレンジできるような社会をつくっていくこともとっても大切なんだろうと、こう思います。  今委員が御指摘のこの就学援助費でございますが、義務教育については国が憲法の要請によりましてすべての国民に対して無償で一定水準の教育の機会が損なわれることなく提供する責任を負っているわけでございまして、義務教育におきまして教育基本法や学校教育法に基づいて授業料の無償や教科書の無償供与を提供しているわけでありますが、この就学援助につきましては、市町村において経済的理由により就学が困難な児童生徒に対し、生活保護法による基準及び市町村がそれに準ずる程度と定める基準に基づき就学援助を行っているわけでありますが、どのような経済状況になっても国がしっかりとこの義務教育については責任を持ってこれは保障をしていくということは、今も行われているわけでありますし、今後ともそれはしっかりと我々が保障していかなければいけないということでございまして、義務教育の場においてはそういう機会において格差が決してないように、それははっきりと、しっかりと保障していかなければいけないと、こう考えております。
  98. 近藤正道

    近藤正道君 いずれにしましても、小泉内閣がスタートをしてこの就学援助費の支給額がどんどん増えてきている。その以前に比べてやっぱり急速な伸び率を示しておりますし、今現在、全国的に百三十三万人の対象者になっている。先ほど言いましたように、東京、大阪では四人に一人。これは、確かにそういう制度をもって教育の機会均等というふうにおっしゃるんだろうというふうに思いますが、しかしこういうものが出ているという今のありよう、これはやっぱりいろんな形で弊害を子どもたちにもたらしているんではないかという思いがしてなりません。  この就学援助のほかに、例えば国民健康保険の長期滞納、これが続きますと保険証が使えない事態になるわけでございますが、今使えない、全額、とにかく金を払わないと医者に掛かれないという人が全国で三十万世帯を超えたと。この中に子どもたち、就学中の子どもたちがどの程度いるのかということについて、いろいろ聞くけれども、どなたもそれらの実態を把握、私はしていない。この実態にもう驚いたわけでございます。  正に、競争の時代に深刻化した弱者の問題が子どもという形で現れているわけでございまして、是非これは文科省にお聞きをしたいというふうに思いますが、このところ親の所得格差が社会的に広がっておりますけれども、今の就学援助費の問題もありますし、あるいは国民健康保険の長期滞納で保険証が使えない、これは三十万世帯を超えたという中で子どもたち一体どういう実態になっているのか、格差の拡大が子どもたち一人一人にどんな実態を及ぼしているのか、一度実態調査をやるべきではないか、私はそんなふうに思いますが、文科省の所見、その気があるかどうかですね、調べているのかどうかも含めてお尋ねをしたいと思います。
  99. 久保公人

    政府参考人(久保公人君) 文部科学省におきましては、保護者子ども学校教育学校活動のためにどれだけ経費を支出したかという実態をとらえるために子どもの学習費調査を実施してきているところでございます。しかし、この調査では、調査に御協力いただきました保護者の方のプライバシー等の問題など難しい問題もございまして、世帯の収入につきましては調査対象としてきていないところでございます。  この保護者の経済状態を調査項目に追加しました場合に回収率が低下するといった懸念などハードルがございますが、子ども教育費等につきまして実態を的確に把握することは重要でございますので、どういった調査研究が可能かということも含めまして検討してまいりたいと考えているところでございます。
  100. 近藤正道

    近藤正道君 格差の拡大が学力にどういう影響を及ぼすかとか、あるいは親の経済、所得の格差が子どもの生活にどういう影響を及ぼすのかということが今いろんな形で議論になりつつあります。是非全国一律ということが無理ならば、対象を絞った形でも結構でございますので、一度その格差の拡大と子どもたちの生活実態について文科省が是非しっかりと実態を調査される、そのことをやっぱり土台にこれからの施策を立てる、そういうことを是非やっていただきたい。強く要望申し上げまして、質問を終わります。
  101. 工藤堅太郎

    委員長工藤堅太郎君) 近藤正道君の質疑の時間が終わりました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十九分散会