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2005-04-14 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年四月十四日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 谷川 秀善君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君        外務大臣政務官  福島啓史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        外務大臣官房長  塩尻孝二郎君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省国際情報        統括官      中村  滋君        水産庁資源管理        部長       竹谷 廣之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (中国における反日デモ等抗議活動に関する件  )  (日中、日韓関係歴史認識問題に関する件)  (我が国対外情報収集機能に関する件)  (我が国防衛政策に関する件)  (イラク情勢に関する件)  (EUの対中国武器輸出問題に関する件)  (沖縄米軍基地問題に関する件) ○社会保障に関する日本国ベルギー王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出) ○社会保障に関する日本国政府フランス共和国  政府との間の協定締結について承認を求める  の件(内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会防衛庁長官官房長北原巖男君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、外務大臣官房長塩尻孝二郎君、外務大臣官房審議官遠藤善久君、外務大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省国際情報統括官中村滋君及び水産庁資源管理部長竹谷廣之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 岡田直樹

    岡田直樹君 おはようございます。自由民主党の岡田直樹でございます。  今ほど日本近隣諸国との間が、何といいますか、同時多発的に緊迫化したこういう事態というのは近年になかったように思います。町村大臣始め外務省皆さん大変御苦労さまでありますが、どうか毅然とした態度で、かえって町村外交というようなそういう歴史に名を残すような、そういう外交を展開していただきたいと期待をいたして質問をさせていただきます。どんどん情勢が動いていると思いますので、一部御通告していないこともお伺いすることをお許しいただきたいと思います。  報道によりますと、中国外務省報道局副局長定例会見で、反日デモ投石事件について、一部の群衆が歴史問題などに対する日本の誤った見方への不満から自発的に行ったものであると、あるいは、このような局面に至ったことは日本側に原因があることは明らかで日本側は真剣に反省する必要があると、こういうふうに述べたということであります。全く言語道断の責任転嫁であり、本当に盗人たけだけしいと言わざるを得ないと思います。  既に外務省高島報道官も反論をされたと出ておりましたけれども、この中国外務省のスポークスマンの発言に対する町村大臣の率直な御所感というのをお伺いしたいと思います。
  6. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 岡田委員指摘のように、次々の報道官談話というのが出るものですから、ごく最近の時点では、十日、十二日、先方中国外交部報道官発言というのがあるようであります。あるわけでありますが、一般のデモを行う、国柄の違う国々によってそのデモ意味というのは確かに違うんだろうと思いますが、普通の国であれば、デモを行う権利というのはそれは一般的にだれでもあると、日本においてもどの国においてもあるんだろうと思います。それまでは私はとやかく言うべき筋合いのものではないんだろうと、こう思っております。ただ、やっぱりはっきりそこは分けなきゃならないのは、通常のデモ国民意思表示としてのデモ破壊行動ですね、これはやっぱり截然と分けなければいけないと、こう思っております。  したがいまして、そこは彼らはあえて一緒にして、デモ活動には理由があると、そういうことを言っているんでしょうけれども、しかし、いかなる理由があろうともそうした破壊活動は許されないということを私どもは言っているので、それに対する謝罪要求でありますとか損害賠償要求をしているということは、先般の日曜日、王毅大使外務省に呼んで私はそのことを申し上げたわけであります。そのポジションは何ら変わっておりません。  ただ、先方中国外交部報道官ですか報道官の話は、それを全部一緒にしてすべて日本責任があるかのごとき発言をしているので、それは私どもとしては断じて認めるわけにはいかないということでございます。  背景にいろいろなことがあるんだからいかなる行動も許されるということは全くおかしな話であって、したがって、これ断片的な記憶ですが、ニュースで愛国無罪と叫んでデモをしておりましたですね。国を愛する心があってその発露であるデモであれば、デモであれ、あるいは破壊活動であれ、それはすべて許されると。要するに、無罪と言うことは、明らかに自分たちはそういう破壊活動をするというのが罪であるということを意識した上で愛国無罪と、こう言っているのであるならば、それは正にそれを許すということをそれは当然だというような外交部発言というのは、正にそうした破壊活動政府が認めたということになるので、この辺は私、今週末中国に行こうかと思って準備をしているわけでありますが、その点ははっきりと申し上げるつもりであります。
  7. 岡田直樹

    岡田直樹君 中国外務次官阿南大使に対して、政府を代表して心からのお見舞いと遺憾の意を表明すると言ったそうでありますけれども、この報道官発言と全く百八十度食い違うと、この辺りも断固として御指摘をいただきたいと思います。  次に、十三日、昨日、夜まで北京で日中の局長会議が、協議が行われて、当方の佐々江アジア大洋局長中国外務省アジア局長協議をされたようでありますけれども、当然十七日の日中外相会談に向けての調整もなさったことと思います。日本側から改めて謝罪損害賠償を求めたのかどうか、それに対する中国側反応はどうであったか、これも通告にありませんけれども大臣からお伺いしたいと思います。
  8. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 元々十三、十四で日中韓局長級会議というのが元々予定されていたのであります。それはなぜかというと、この五月の六、七に京都でASEMアジアとヨーロッパの対話の場でございますけれども、そのASEM会議が開かれます。その際に、日中韓外相会談をやろうということも前から実は決めておりました。その打合せという意味で、この日中韓国協力の取り進め方等について、これは第三回目になりますけれども日中韓局長協議が予定されており、予定どおりそれはやったわけであります。あわせて、それに加えまして日中協議を、私の日中外相会談があるもんですから元々それもやろうということにしていたわけで、それもやっているわけであります。そういう状況の中に今回の一連の破壊活動等が起きたもんですから、そのことも追加的に議論をしているという状況であります。  昨日と今日とまだやっておりまして、今日の夜遅くに帰ってくると聞いておりますから、まだちょっと詳細な報告を受けておりません。今の時間、あるいはまた今日の午前、午後とまた会議があるようでございますから、どういう議論が行われているのかという詳細については私もまだ報告を受けておらないわけでございますが、ポイントとしては、今委員お触れになったようなデモの話でありますとか東シナ海ガス田開発でありますとか、いろいろなことを当然のこととしていろいろ議論をしたと聞いておりますが、詳細についてはちょっとまだ報告がないので触れることができませんので、お許しをいただきたいと思います。
  9. 岡田直樹

    岡田直樹君 詳細な報告を待たずにざっとした感触で結構なんですけれども中国側から謝罪意思とかあるいは損害賠償意思、こういうものを示したということは現時点ではお聞きになっておらないということでよろしいでしょうか。
  10. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっとそこまでの話は聞いておりません。
  11. 岡田直樹

    岡田直樹君 現時点ではお聞きになっていない……
  12. 林芳正

    委員長林芳正君) 岡田君。
  13. 岡田直樹

    岡田直樹君 はい、失礼しました。  現時点ではお聞きになっておらないということだと思います。  もう一つ、今大臣お触れになりましたガス田のお話はどうでしたでしょうか。昨日、経済産業省東シナ海ガス田開発で試掘権与える手続を開始したということを発表しましたけれども、これについても中国側反応、リアクション、特に経済産業省の発表に対して中国側が相当怒っているというような話もありますけれども、これについて何か御報告はありましたでしょうか。
  14. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 昨日の会議で項目としてはそれも話し合ったということでございますが、具体主張がこの場で、局長レベルの会合でどういう具体やり取りがあったかはちょっと私は聞いておりません。
  15. 岡田直樹

    岡田直樹君 次に、中国韓国は盛んに歴史問題とか歴史認識とか言っておるわけですけれども、この辺、具体的に何を指すとお考えでしょうか。もし小泉総理靖国参拝とか教科書検定のことであるならば、私は中国韓国から一方的な非難を受けるような筋合いはないと思います。この点について外務大臣のお考えを伺いたいことと、日中の歴史共同研究を御提案になるようですけれども日本歴史研究者の中にも過去において例えば中国の文革を賛美したり、あるいは日本、我々の母国に対して非常に自虐的と言っていいような主張をしてきた学者も少なくないわけで、こういう歴史共同研究は、悪くないと思うんですけれども、決して中国ペースに陥らないというか、日本学者が自ら歴史を曲げるようなことがないように、こういう点、御留意をいただきたい。この辺り外務大臣からお考えを伺いたいと思います。
  16. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 具体歴史問題、歴史認識、何を指すのか、よく外相会談でもう一度はっきりさせたいと思っておりますが、これまでの累次の主張記憶をたどって申し上げれば、それは間違いなく靖国参拝であるし、また教科書の問題ということであろうと、こう思います。  この点については、もう言うまでもないことでありますけれども日本側歴史認識というものは、戦後五十年のときに出されました内閣総理大臣談話というものがございますし、日中間においては九八年の日中共同宣言、あるいは日韓の間においては日韓共同宣言というものがそれぞれ明確に出されているとおりでありまして、私もその考え方にのっとって今いろいろな発言行動をしているつもりであります。  そういう意味で、この歴史認識が何かおかしいんではないか云々という発言については、私はそれは、政府一員としてそれは全く認めるわけにはいかないと、こう考えております。したがいまして、外相会談等の場でも今後、日本考え方というのは非常に明確なわけですから、そのことははっきりと説明をして話し合っていきたいと、こう思っております。  共同歴史研究につきましては、日韓の間では過去三年にわたってこれを進めてまいりました。三月末に一定の作業が完了し、今その報告書を最終的に取りまとめている最中だと、こう聞いております。数多い学者皆さん方が相当長時間にわたってエネルギーを割いた。もちろん、同じ認識に至った部分もあるでしょうし、なかなかそこは意見が一致しないなという部分もあった、まあある意味では当然なんだろうと思います。しかし、そういった作業を私は何度も繰り返していくことによってより共通の認識に到達する部分が多くなるとすれば、それは私は大変いいことだと、こう思っております。  そういう意味から、日韓の間ではまたメンバーを一新して、少し若い世代の学者皆さん方にその作業を引き続き日韓でやってもらおうということで、先般イスラマバードの日韓外相会談話合いを行いまして、基本的にはこれを続けましょうと。じゃ、どういうタイミングで、どういうテーマで、どういうメンバーでというのはまたおいおい相談しようじゃありませんかということになったわけでございます。  日中間でまだこのことについて話し合ったことがございませんけれども、既に日中間知的交流を支援すると、こういう事業で約八千万円の予算が計上されております。これを使って日中間の、日本側研究者中国側研究者共同でいろいろな知的交流を図るということをやっておりまして、そのうちのテーマの中で歴史問題というものも含まれております。したがって、そういう作業をこれまでも既にやってはいるわけでございますが、改めて共同歴史研究という形で委員会といったようなものを立ち上げるのも一案かなと、こう思っておりまして、まだそう具体に詰めているわけじゃございませんけれども、こうしたことを含めて今度の外相会談で話し合ってみたいと、こう思っております。  したがって、委員、ある意味じゃ御心配をされたようなことというのはまだそれから先の問題ではないだろうかなと、こう思っております。
  17. 岡田直樹

    岡田直樹君 先ほど大臣から、日本歴史認識がおかしいという指摘は当たらないと、政府一員として主張をすると、こういう御答弁をいただき、大変心強く思いました。大臣、こういう御著書を出されて、「「凜として美しい日本」をつくる」と。凜として美しい日本をつくると、大変共感をいたしました。今度、日中外相会談に臨まれるわけでありますけれども小泉総理に先立って国民の注視を浴びて期待を担って行かれるわけで、どうか毅然とした姿勢でお願いをしたいと存じます。  それから、今回の事件のテレビ見ていましても、中国の警官は暴徒を全く制止しようとしておりません。石を投げるのを全く止めない、なれ合いというのが画面からよく見えるわけでありますけれども、我が在外公館の安全というものを現地の官憲に任せ切るということは限界があるんじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。瀋陽の総領事館の事件の後も、またイラク外交官お二人が殺害された後にも、自衛隊やまたそれに準じた組織によって我が在外公館警備すべきであると、こういう声が出ました。前の川口大臣検討すべきであると発言しておられます。私も、すぐ中国韓国にどうこうというんではなくて、時間を掛けてでも検討すべき課題として自衛隊による在外公館警備、フリーに、そして真剣に検討すべき時期ではないかと思います。  憲法上の問題、自衛隊法その他の問題があると思いますけれども、このことについて、町村大臣、そして大野大臣のお考えを伺いたいと存じます。
  18. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この問題、前からいろいろな形で出てきております。多少時間はたちましたが、ペルーの大使館人質事件でしたか、この折にもそういう議論が出されましたし、また、一昨年のイラクにおける我が国外交官殺害事件のときにもその話が出ました。また、今回の北京大使館破壊活動の折、正に今そういう議論がまた出ているわけであります。  基本は、それは在外公館警備というのはその接受国警備にゆだねるというのが基本だろうと思います、少なくとも在外公館の敷地の外ですね。中はまたそれぞれいろいろな警備のやり方というのがそれはそれであるんだろうと、こう思っております。いかに何でも、この間の北京大使館のケースで、それでも先方は約千名を超える警察官を動員をして警備したんだと、こう言っております。同じ数の日本警備を仮に日本から連れていってやろうったって、それはとてもとてもそんなできるものでもございません。したがって、外回りはそれは現地にゆだねると。その警備の仕方が私は、明らかに中国のこの間の事件の折は十分な警備をやったとは私も思っておりませんが、しかし、そこまで全部日本でやれるかというと、それはなかなか無理、難しいんだろうと思います。  ただ、その内部での警備在り方というのは一つの大きな課題であるということで、私も前川口大臣あるいは前石破防衛庁長官との国会でのやり取りも私も拝見をいたしました。その後検討は続けておりますが、なかなかまだ明確な答えに率直に言って到達はしていないのが事実であります。その間できるだけ在外公館の、しかし警備はおざなりにはできませんので、随分警備対策関係予算は、例えば警備員を増やすとか防弾車を配置するとか施設整備をするということで、ずっと横ばい予算でありましたが、十六年度に七四・五%増ということで六十三・七億円を計上し、そこでかなり警備充実は図ったつもりでございます。十七年度五十三・七億円、一五・七%減ではございますが、それ以前の三十五億円と比べると、かなりそういった面での予算的な充実は図っているところであります。  ただ、委員指摘のようなその自衛隊等による警備あるいは外務省自身要員による警備、いろいろな形をどういうふうに組み合わせていくのか、率直に言ってまだ、要員身分でありますとか接受国との関係でありますとか、あるいは法整備在り方、更に綿密な検討をしなきゃいけないと、こう思っておりまして、現状まだ答え出ておりませんけれども、少し検討ペースを速めて、安心して皆さん方仕事がしてもらえるように、そして独立国在外公館として権威と品位を保てるような、そういうしっかりとした警備がどういう形で可能であるか、関係省庁ともよく相談をしながらこの対応をしっかりやっていかなければいけないと、かように考えております。
  19. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、町村外務大臣の御発言にありましたとおり、この在外公館警備というのは、一義的には当然のことながら接受国責任問題だと私は理解しております。  それから、この問題を検討するに当たって、やはり外務省が十分考えて、そしていろいろ我々に御相談いただきたいと、こういう性格のものではないかと。したがいまして、現段階で防衛庁長官としてこの問題について発言するのはいかがかなという気はいたしますけれども、やはり岡田委員おっしゃったとおり、一昨年のイラク公館におきましてああいう事件があった、これを契機に大変この問題が真剣に議論されている中でございますので、自衛隊在外公館に派遣するという角度からちょっと意見なりを申し上げたいと思います。  一つは、やはりいかなる形で在外公館警備が行われるべきなのか。つまり、在外公館警備自衛官を送った場合、その自衛官身分はどうなのかという問題があるんですね。その場合、外交官になるんだろうか、そうすると、外交官武器を使用するというのはどういうことになるんだろうか、もし自衛官として滞在するのであれば地位協定等の問題はどうなっていくんだろうか、こういう問題、やはり詰めて明らかにしていかなきゃいけない問題であります。  それから、やはり在外公館警備は警察権的な作用ですが、警察機関でなくてなぜ自衛官というものがそういうお仕事に従事しなきゃいけないんだろうか、こういうことをきちっとやっぱり詰めていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。そしてまた、自衛官自衛隊の役割は在外公館警備の全体像の中でどうあるべきなんだろうか、こういう問題があろうかと思います。  これすべて言わば憲法にもかかわる問題かもしれませんし、武器使用在り方にも関係するかもしれません。そしてまた、国際法上どういうふうに考えていけばいいのか、こういう問題もあろうかと思います。  しかし、いずれにしましても、防衛庁として、外務省で十分御検討いただき、御検討状況に応じて、今申し上げたような問題点を十分考慮しながら、自衛隊として求められる任務を遂行する能力を一体有しているのか有していないのか、任務遂行のためにどのような法的措置が必要なのか、こういうことを十分これから前向きに検討させていただきたい、このように思っております。
  20. 岡田直樹

    岡田直樹君 今、大野長官からかなり具体的な論点の御指摘があったと思いますので、外務省防衛庁でそれぞれまた連絡を取って御研究をいただきたいと思います。  それから次に、町村大臣のこの御著書でも、日本情報収集能力、いささか弱いのではないかという御指摘があって、「国家情報の危機」という章では「「長い耳」を持つ国家へ」ということも指摘されております。問題の中国は、紀元前の孫子の兵法の時代から非常にインテリジェンスを重視しておると、日本日露戦争を勝ったのは明石大佐情報収集あるいは謀略によるところが大きいと。現代においていろんな問題あると思いますけれども、やはり外務省防衛庁、それぞれの情報機能を強化して、また新たな情報機関、独立した情報機関の設立というものも検討すべき時期に来ているのではないかと思います。  この点について、町村大臣と、そして大野大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  21. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変、私の著書にまで触れていただいて恐縮をいたしておりますが、この情報問題、私、国会議員に二十一年ぐらい前になった折からずっと実は考えていたテーマでございまして、折に触れていろいろな方とも話合いをし、また自分なりに意見委員会等の場で申し上げてきたテーマであります。  たまさか九・一一が起きた後、テロ対策本部というのが自民党本部にできまして、そこで幾つか、三つほどの小委員会ができまして、そのうちの一つがこのインテリジェンスに関する小委員会ということでありまして、私はその小委員長というのを買って出まして、そして諸外国との比較をしつつ、日本の国内の今のインテリジェンス在り方というものをもう一度再検討してみたわけであります。そして、イギリスが多分一番日本の参考になるかなと思いまして、イギリスのインテリジェンスコミュニティーの人々に会いに同僚議員と一緒に行ったりして取り組んでまいりました。  今、私、外務大臣という立場でございますからやや自由に物が言えない部分が現実生じておりますけれども、よく一般的に、私はそのときの議論で思い出すのは、何人もの有識者の方々から言われたことは、日本情報というのは上がらず、回らず、漏れると。もうこれが日本インテリジェンスの最も問題だと。上がらずというのは現場で集めてもそれがしかるべき上位の人に上がらないと、それが関係省庁にも回らないと、そしてその過程で必ずリークが起きるというようなことでありまして、現実そういうことが、私も新聞を見るたびに、これはどういうことなんだろうかなと思うこともしばしば大臣に就任後から感じているところでもあります。  いずれにしても、ただぼやいていてもこれはしようがないのでありまして、きちんとした取組をしなければいけないということで、それでもここ何年かの間に随分改善はされてきていると思っております。今、内閣の方には内閣情報官という組織ができたのはここ数年のことでございまして、従前はそれすらなかったわけであります。一応その内閣情報官を中心として、外務省、警察庁、防衛庁、公安調査庁、さらには最近は衛星情報センターというものもありまして、いわゆる偵察衛星の運用と、そこから上がってくる情報の分析というものもできるようになってきているということで、大分体制なり物の考え方なりが随分改善はされてきていると思います。特にイラクの問題等々あるものですから、大分かつてよりは良くなってきたかなと、こういう面もあります。  ただ、本当に十分かと言われれば、私は不十分であろうと、こう思わざるを得ないわけでありまして、そんなこともあって、これ外務省だけでやることには限界があるかもしれませんが、取りあえず外務省在り方、そしてその必要に応じて政府全体のことも一定程度議論にならざるを得ないかもしれませんが、対外情報機能強化に関する懇談会というものを立ち上げることにいたしまして、四月二十六日に第一回の会合を開き、しかるべき専門家の方々にお集まりをいただいて、いま一度、もう言い古されたこともたくさんあるかもしれませんが、いま一度頭の整理をやってみよう、貴重な御提言もいただいて、それを政策に反映していきたいと、こう思っているところでございまして、しっかりとした取組を、これは本当に国家基本であると。まして、日本のように専守防衛という国家であるならば、長い耳を持って最大限の情報収集をし、それをしっかりと分析して、そして総理大臣以下政策判断をできる方々に上げていって、そこできちんとした判断が行われるということでなければ、それこそ日本国家としてやっていけるかという危機感を覚えているところでございます。  そういう意味で、しっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
  22. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、情報につきましては、自前の情報を収集する、この重要性を我々はもっともっと自覚すべきではないか、このように思っております。もちろん情報の国際的な協力、これも大事でございます。自前の情報、そして国際的な協調、大変重要な問題でございますが、自前の情報といいますと、やはり一九九八年、たしか八月三十一日だったと思いますが、北朝鮮からテポドンが日本に対しては無通告、無警告で発射されました。そのとき私、中山太郎先生とお供してワシントン、ニューヨークに参りました。それをきっかけに情報衛星を打ち上げよう、この機運が高まって自前の情報を取っていこうと、こういう動きになった。さらに、この自前の情報につきましては、ヒューミントの問題も含めまして頑張っていかなきゃいけないと思っています。  それから、防衛庁の内部の問題でありますけれども防衛庁内部でも、今戦略的にかんがみましても非常に情報の役割は高まってきております。やはり情報力、それから科学技術力、そういうもので支えられる。もっとも、もちろん国を守ろうという気概も大切、これは一番大切なことでありますけれども情報力というのは大変大切である。こういうことから、今度組織を改めまして防衛庁情報本部をつくる、それを長官直轄にさせていただく、このことはもう御存じのとおりであります。  さらに、情報といった場合に、どうも各省間の縦割り問題が出てきて、例えば海上警備行動を取る場合でも、どうも防衛庁の持っている情報、それから海上保安庁の持っている情報はお互いに共有すべきじゃないか、こういう問題もございます。この縦割りというのは絶対やめていかなきゃいけない、これはもう町村大臣から御説明がありましたのでもう省きますけれども、そういう意味で、私といたしましては、自前の情報、そして防衛庁情報本部等の機能強化、内閣の下での連携、この点に重点を置いてまいりたいと思います。
  23. 岡田直樹

    岡田直樹君 委員長、まとめます。
  24. 林芳正

    委員長林芳正君) もう時間でございますので。
  25. 岡田直樹

    岡田直樹君 はい。大臣官房、外務大臣官房長とそれから国際情報統括官に申し上げたい。  昨日、今の御質問を外務大臣に申し上げたら、その直後に、一時間ほど後に、えらくスピーディーに記者発表がされました。これは偶然なのかどうなのか、ちょっとこの辺り委員長、理事会で一度御検討をいただけると有り難いと存じます。  質問を終わります。
  26. 林芳正

    委員長林芳正君) 後刻理事会で協議いたします。
  27. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 昭和十七年というのは戦争中でしたけれども我が国は南方特別留学生制度というのをつくりまして、東南アジアの若い青年を東京と座間の陸軍士官学校と、それから宮崎の農学校に研修をさせた制度がありました。その卒業生の一人にマレーシアのラジャー・ダト・ノンチェックという上院議員がおります。このラジャーというのはマレー語で王、王様の王という意味で非常に出身の立派な方なんですが、その人が日本とそれからアジアの発展のために大変尽くされて、ASEANの結成にも大変な努力をされて、昭和四十五年に天皇陛下から勲二等の瑞宝章を授与されております。  その人が、今中国で、中国の話はいろいろ同僚議員からされると思うんですが、中国は反日の何かデモを一生懸命やっているそうですが、私は、共産党独裁国家デモをやるということは政府の意図に反したデモはできない、だから政府が後押しをしていることは明らかであって、そういうのは本当はデモって言わないわけですから、まあ一つのキャンペーンと考えていいんじゃないかと。それで、その上院議員のラジャー・ノンチェックさんがこういうことを述べております。  かつて日本人は清らかで美しかった。かつて日本人は親切で心豊かだった。アジアの国のだれにでも自分のことのように一生懸命尽くしてくれた。戦後の日本人は自分たち日本人のことを悪者だと思い込まされた。学校でもジャーナリズムもそうだとしか教えなかったから、まじめに自分たちのお父さんや先輩は悪いことばかりした残虐非道なひどい人たちだと思っているようだと。だから、アジアの国に行ったらひたすらぺこぺこ謝って、私たちはそんなことはいたしませんと言えばよいと思っていると。そのくせ、経済力が付いてきて技術が向上してくると、自分の国や自分までが偉いと思うようになってきて、上辺や口先では、済まなかった悪かったと言いながら、独り善がりの自分本位の偉そうな態度をする、そんな今の日本人が心配であると。  自分のことや自分の会社の利益ばかり考えて、こせこせと身勝手な行動ばかりしていると。ひょろひょろの日本人は、これが本当の日本人なんだろうかと。自分たちだけで集まっては、自分たちだけの楽しみやぜいたくにふけりながら、自分がお世話になって住んでいる、自分の会社や仕事をしているその国と国民のことをさげすんだ目で見たり、ばかにしたりする。こんな人たちと本当に仲良くしていけるんだろうかと。どうして、どうして日本人はこんなになってしまったんだろうかと、こういうことを述べております。  さらに、この南方特別留学生制度で卒業した人が東南アジア外務大臣やいろいろな要職に就いておりますが、その当時の日本というのは、今の日本のように豊かでなかったと、貧しかったと。全身傷だらけになって、アジアを西欧の植民地から解放するための大東亜戦争を戦ってきたと。私たちは、その貧しい戦時下の日本日本のすばらしさを教えられましたと。  あの当時の日本人は、心と心が触れ合う交わりを持って、アジア諸国に偉大な遺産を残してくれましたと。すなわち、四百年の長きにわたるイギリス、オランダ、その他の植民地体制を打破して、アジアの青年たちに民族自決を闘い取る決意と覚悟を与えてくれたと。私たちは、日本の青年が命を捨て、血を流して残してくれた貴い偉大な遺産を基にして、祖国の独立とASEANの結成を成し遂げたのですと。心と心の触れ合いを根底にして、日本アジアの次の世代の青年たちにより良い遺産を残すよう、お互いに心掛けようではありませんかということを述べております。  何か、日本は悪いことをしたと言っている国だけではないということを私は強く申し上げたくて、私が言ったんじゃ意味がないんで、マレーシアの上院議員がそうおっしゃっているということをまず今日冒頭に申し上げて、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  28. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、田村議員がお話しになられたそのマレーシアの議員のお考え、表現の仕方、言葉の使い方は別として、私には十分理解ができるところがございます。  大変、私のことを言って恐縮でございますが、先ほど岡田議員が私の本に触れていただきましたが、貧しい時代の日本人ほどむしろ凜とした生き方をしていたのではないかというような思いがあってあの本を書いたわけでございますが、今のマレーシアの議員の方のお考えというのは一脈通ずるものがあるのかなと、こう思っております。  これ、日本の方から、いや、あなた方を植民地の支配から解放してあげたんだよとか、貧しいあなた方を支援してあげたんだよと、これは本当に日本の方から言っていいことでは多分ないんだろうとか、彼らがそういう思いで日本人というものの在り方について貴重な示唆をされる、それを日本人がやっぱり真っ当に受け止めるということが大切なんだろうと思います。  それは、その過程において、私はすべて日本のやったことを正しかったとか美化をするつもりもございません。それは、やはり何といっても植民地支配であれ侵略戦争であれ、それはやったという事実は事実として率直に認め、そして、それに対して反省すべきは反省しなければならないと。よく言われますように、足を踏んだ方は忘れるけれども、踏まれた方はいつまでも覚えているという面もかなりあるわけでありますから、今、マレーシアの議員の言われたような、すべて美しい面ばかりではないんだろうなと、こう思います。  しかし、それにしても今、最後、委員が引用されました心と心のつながり、福田赳夫元総理が、たしかマニラだったと思いますけれども、総理在職中に正にその心と心のつながり、ハート・ツー・ハート、アジアの人々とはそういう形でつながりを持っていきたいと言われたのは、どちらが先か私も分かりません。もしかしたら、福田総理はそのマレーシアの方のお考えをどこかで学んで言われたのかもしれません。ちょっとどっちが早いか私も時期的には分かりませんが、やはり福田ドクトリンと称されるものというのは、その後ずっと、今でもしばしばASEANの方々と話すと、あの福田ドクトリンということでしばしば引用されるというのは、やはり私はそこにASEANの、アジア皆さん方の心を打つものがやっぱりあるからなんだろうと、こう思っております。  そういう意味で、私は日本人の在り方日本人のこれからの生きていく姿、いろいろな角度からの見方があろうと思いますけれども、戦後、貧しい時代から身を起こして、一生懸命復興のために努力をし、豊かになることを求めてきた、そのこと自体が悪いとは思いませんが、お金がすべてであると、お金を持っている人だけが一番立派なんだという、いつの日か拝金思想的、もう経済至上主義になってしまったやっぱり日本在り方というのは、私は本当に反省をしないと、諸外国から見ると正に悪い意味でのエコノミックアニマルに堕しているという思いがしてならないわけであります。  ちょっと個人的な感想ばかり申し上げて恐縮でございましたが、大臣のお考えをという、あえてのお尋ねでございましたので、個人的な感想を述べさせてもらいました。
  29. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ありがとうございました。  私は、この件はもうこれに終わりといたしまして、国会議員になる前から、防衛庁を国防省に、自衛隊を国防軍に、命を懸けて国を守る人々に名誉と誇りを与えると、そういう国にすべきだということを一貫して主張しております。ほかのことは何にも主張していませんけれども、これだけ主張している。  それで、今日はちょっと防衛庁長官に非常に基本的な、基本的なというよりも、基本的なことについてちょっと、政治の場でいろいろな防衛問題の中で言葉をもてあそぶような議論がなされているので、ちょっとその辺について質問をしたいと思います。  まず、自衛隊という名称ですけれども、これは英語ではセルフディフェンスフォースと言うんですが、正確に訳すと自分を守る部隊ということになっちゃうわけですね、これ。自分を守ったんじゃいけないんで、国民を守んなきゃいけないわけです。それで、こういう言葉が半世紀以上も続くと正に自分を守る部隊になってしまう可能性もある。で、私は、防衛軍ではなくて国防軍にしないといけないと。自衛隊の位置付けを、百年も五十年も位置付けを不明確にしたまま推移する国家というのはないんであって、国の基本ですからきちっと、自民党の皆さんもきちっとすべきじゃないかなと僕思うんですけれども防衛庁長官いかがですか。自衛隊というのは自分を守る部隊じゃないんですよ、国家国民を守る部隊なんです。だから、きちっとしたディフェンスフォースにすべきで、英語で言うとですね、国防軍にすべきだと思いますが、長官は国防省ということに非常に熱意を込めてやっておられますので、非常にそういうふうに思っておられるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  30. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 二つの問題、第一にはセルフディフェンスフォースの問題ですけれども、私はそのセルフというのは我が国というふうに思っております。自分が、自衛隊員が自衛隊を、自衛隊員を守ると、これはとんでもございません、国を守る。そういう意味で、専守防衛という気持ちからセルフディフェンスフォースと。  これはもう半世紀、先生御指摘のように、もう半世紀使われておりますと人口にも膾炙いたしておりまして、世界的にも言わばSDFということでよく会話の中で出てくる言葉でございます。また、自衛隊という言葉は日本の中でも使われ、十分人口に膾炙していると、このように思っております。ただ、セルフディフェンスフォースというのが世界的な言葉としてあるかというと、これはまあ私、寡聞にして知りません。  それから、二番目の国防省あるいは防衛省の問題であります。  私は、国を守るというのは基本的な、本当に政治が、政治がというよりも人間社会として本当に自分を、国を守る、これは一番大切な基本的な問題でありますから、どうぞ御議論の上、ひとつ早く結論を出していただきたいなと、このように思っております。
  31. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 はい、分かりました。  次に、今度の防衛大綱にもきちっと正規の文書に載ってるんですが、専守防衛という言葉を何回も使っておるんですね。専守防衛というのは軍事用語じゃないんですよ、これ。これはどういう意味なんですか。専門に守って防衛するって、これ、そのとおり読むと守るばっかしみたいなことを、これ何でこんなのを防衛計画の大綱だとかそういう言葉に防衛庁は専守防衛なんというのを、世界の常識と離れた言葉のごまかしをはぐらかして防衛庁というのはやろうとするんですかね。もっときちっと国際基準、国際的な基準に照らした言葉を使ったらどうかと。この専守防衛なんて使っている国どこかにあるんですか。ちょっと防衛庁長官でも、防衛庁の何か頭のいい防衛局長さんでもいいが。
  32. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 専守防衛という言葉自体、よく私どもが事務的に外国と関係者と話をいたしますときに、ストレートに外国にない表現ですので、通常エクスクルーシブリー・ディフェンスオリエンテッド・ポリシーとか、そういうような、それからディフェンシブ・ディフェンス・ポリシーとか、そういう表現で言って、なおかつ内容を補完するということを必要としていますので、恐らく日本独自の用語ということになろうかと思います。
  33. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 日本独自の言葉かどうか知らないけど、何でこんな言葉使うの。どういう心理から使うの。何かこれやっていると先制攻撃をしないということを言っているの、これ。どういうことを言っているの。専守、専門的に、この字を読むと専門的に守って防衛するという。何でこんな言葉を使うの。
  34. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 経緯の御説明ですが、これはまあ昭和の時代から防衛政策の表現として、内閣全体として日本政府として使っている表現でございますが、御承知のとおり、最近の例で申しますと、昭和六十年の質問主意書に対する内閣の答弁、お答えといたしまして、ちょっと短いですから読み上げますが、専守防衛という用語は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限られるなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の態勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針であるというのが累次の内閣基本方針でございます。
  35. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 これはそうすると、軍事用語じゃなくて、世界の常識と離れた言葉をわざわざ防衛庁は使っていると、こういうことですか。
  36. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この問題、専守防衛という言葉でございますけれども、軍事用語というよりも、むしろ我が国の安全保障、防衛政策に対する基本的な理念を表した言葉であると、私はそのように解釈いたしております。  すなわち、今飯原局長から申し上げました、こちらからは仕掛けない、しかしながら急迫、切迫した不正行為があればこれは守らなきゃいけない、そしてその場合には必要最小限度の力をもってやるんだと、こういうように我が国としての平和のメッセージを世界的に出していくための言葉だと、このように私は理解しております。
  37. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 平和のメッセージを伝えるんなら平和のメッセージを伝えればいいんで、こういう言葉に、普通使う軍事用語というか、防衛庁が、自衛隊が、軍隊が使うような言葉じゃないんですよね、こういう言葉というのは。で、そういう言葉を使って世の中の常識と離れたような、世の中というのは日本のことを言ってるんじゃないですよ、世界の常識と離れたような言葉を使ってはぐらかしていこうとすることがよくないと僕は言っている。ちゃんとして、敵が攻めてきたらうちは確実に撃ち落とすと、必ずやっつけるという決意を持った防衛をおつくりになったらどうですか。そうじゃなかったら、国民だって税金払ってるんだから大変だよ、それ。
  38. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この我が国を守る、これは、言わば裏返しにして言いますと、平和をつくるということであります。国民の生命と財産を守るということは、やはり平和をつくる、平和を守るんじゃなくてつくる、こういう問題であります。したがって、相手方が不正、急迫に攻めてきた場合は、必ずこれは反撃をしてそういう不正が起こらないように、しかしその場合には必要最小限の力でやっていこうと、こういう我が国の理念、哲学を、防衛に対する理念、哲学を表した言葉でありますので、私は専守防衛、防衛という言葉、軍事用語ではないかもしれませんけれども、私は適切に使われてきていると、このように思っております。
  39. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は納得しかねますけれども、まあ大野長官がおっしゃるんですから、まあそれはそれとして受け止めておきます。  自衛隊が、防衛庁長官官房広報課が平成十五年になされた世論調査自衛隊・防衛問題に関する世論調査をなさいました。そのいろいろな結果を読ましていただきまして、二、三、質問をさしていただきます。  まず、その前に、長官は今度の国会の所信の中で、本格的な侵略の可能性は低下していると、本格的な侵略の可能性は低下していると言われておりました。それで、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織の活動等、新たな脅威云々というふうに言われてるんですが、弾道ミサイルによる攻撃は本格的な侵略じゃないんですか。私は本格的な侵略だと思いますけど、これは本格的じゃなくて、たまに撃ってくるというそういう感じなんですか、どういうことなのか。本格的な侵略の可能性は低下していると言ってるんだけど、本格的な侵略、ミサイルの攻撃というのは侵略的な、本格的な侵略じゃないんですか、いかが。国民としてどういうふうに受け止めていいか分かんないので、私はミサイルが飛んで攻撃されれば本格的な侵略だと思いますけれども、いかがですか。
  40. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この問題は、安全保障環境が変化していくという問題が一つ、それから、科学技術力がもう格段と発展していく、その中で破壊力が大きくなってくる、ミサイルのような新たな問題が出てくる、こういう中での言葉の使い方の問題にも関係するのかなと。先生おっしゃったことはやはり一応検討してみる必要があるかなとは思います。  しかしながら、なぜこういうふうに分けて考えているか。これもう先生十分御存じのとおり、例えば十五年度防衛白書でございますけれども我が国に対する大掛かりな準備を伴う着上陸侵攻というものを本格的な侵略事態というふうに考えているわけでございます。したがいまして、いわゆる冷戦型の対機甲戦、対潜水艦戦、対航空侵攻、こういうものを念頭に置いて考えているわけでございます。  弾道ミサイル攻撃、新たな問題でございますけれども、新しい防衛大綱の下では、弾道ミサイルの拡散が進む新たな安全保障環境の下で、弾道ミサイルによる攻撃は従来の抑止の理論では対応できない。こういう考えの下に、新たな脅威であるとの考え方から、新たな脅威や多様な事態、こういう区分の中に入れて考えている、こういうことでございますので、この点は御理解をいただきたい。ただ、冒頭申し上げたような問題点はあるということは十分認識いたしております。
  41. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 この世論調査で非常に顕著な点は、政府防衛庁自衛隊考えているより国民の防衛に対する意識や考え方の方が進んでいるということを私は強く申し上げたいんです。  それで、今、ノドンミサイル、これ北朝鮮の、我が国全土が射程に入っているんですね。それで、これに対する防衛というのはBMDが配置されるまでは無防備でいいんですか。その間はどうするのかということはきちっと国民に示していただきたい。だけれども、バリスティック・ミサイル・ディフェンスで今アメリカに調査研究を依頼していると。それまでの間はどうするんですか。無防備でいいんですか。
  42. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 正にそこの点は、従来、基盤的防衛力整備構想の下で弾道ミサイルに対する直接的な対応手段がなかったということで、率直に申して欠落機能であったということは事実でございます。  その中で、おととしアメリカが、おととしになると思いますが、実際のミサイル防衛システムの実戦配備をしたと、こういう事実がございましたので、それを踏まえまして、政府部内での議論を踏まえ、平成十六年度予算からミサイル防衛を導入をするということを決定いたしまして、また今次の大綱にも盛り込んだということでございますが、ただ、それまでの、実戦配備までまだ若干時間が掛かりますので、その間は従来どおり、同盟国との関係の中で緊密な情報交換、それから外交努力等々でそういう事態が起きないように十分な目配りをしていくということが中心になろうかというふうに思っております。
  43. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 あのね、防衛局長さんね、頭は非常におよろしいみたいですけれども、軍事というのは、そういうときはこういうふうに考えるだけじゃ駄目なんだよ。きちっとアメリカと調整しておかなきゃいけないんですよ。こういうときには必ず撃ってくださいと。やってくれなかったらこっちはアウトになっちゃうんだ。だから、そういうところが非常に僕は欠落している。  だから、きちっと今こういう状況のときに、これはできなかったらアメリカにきちっとやってもらうということを文書できちっと調整しておくと、手続をきちっとしておかないと、もう三分とか五分とかという話なんですから、その辺をきちっとやっていただきたいということをもう時間もないので強く申し上げ、最後に、これは外務大臣防衛庁長官に、国を守るということは教育の場で、国民がこんなに防衛意識持っているときに教育の場で取り上げる必要が私はあると思うんですね。教育をしないといけない、若い中学生や高校生に。そういうのは政府を挙げて考える必要があると思うので、両大臣に決意をお聞きして、質問を終わります。
  44. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、国を守るというのは、誠に田村先生おっしゃったような基本的な問題であると思っております。  国を守るということは命を懸けなきゃいけない。じゃ、命を懸けるだけの価値のあるものは何だ、こういう問題は基本的な問題であります。したがいまして、教育というものもこういう基本的なことを当然教えていかなきゃいけない。しかし、教育というのは何だろうな、学校教育だけではありません。曽野綾子先生が、もし教育という川の流れがあるとすれば、その最初の清冽な一滴を成すものは家庭である、こんなことをおっしゃっています。やはり家庭の中で親子が触れ合って、そしてその中で家族愛、人間愛、ふるさと愛、国を愛する気持ち、こういうものが生まれてくる、こういうことが非常に今大事なのかな。  それから、先ほども議論されましたけれども、やはり、アフルエントソサエティー、豊かな社会になってくると、だんだんと挑戦心もそういう気持ちもなくなってくる、こういうことをどうやってカバーしていったらいいのか、政治家として真剣に考えるべきだと思います。この問題は、しかしながらいろんな意見があります。みんなで議論して決めていかなきゃいけない。  防衛庁といたしましては、やはり防衛について多くの若い人々、子供たちに考えてもらいたい、見学もしてもらいたい、こういうことで広報活動に努めているところでございます。広報活動等一例としましては、例えば総合的な学習の時間への協力といたしまして、学生、児童に部隊を見学してもらう、こういうこともやっておりますし、青少年に的を絞った広報活動にも力を入れているところでございます。  教育全体の問題はみんなで考えて結論を出してもらいたいことでありますけれども防衛庁としての努力は、我々としてはやはり広報活動を通じてやっている、このことを申し上げたいと思います。
  45. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 手短にいたします。  学校、家庭、社会全体、子供に対する教育、そして大人に対する教育も含めて、この防衛問題しっかりと教えていく必要があるだろうと、私は文部大臣をやっておりましたときにそのことは随分いろいろな場面で申し上げてきたつもりであります。  ただ、昨今つくづく感じますことは、今、国を守るということなんですが、国という意識がある意味ではグローバル化する社会の中にあって、いや、国境がある意味ではどんどん低くなっている面もありますが、国という正しい意識がどれだけ国民に持てるのかと、そこのところをしっかりとまず根っこからやらなければいけないんだろうと思います。
  46. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私からは、もう既に日本人の頭からはすっぽりと抜け落ちたのではないかとも思いたくなるようなイラク戦争の問題を取り上げたいと思います。  あれだけの軍勢がイラクという国に侵攻して、イラク人の犠牲者が公式には二万人と言われておりますけれども、私、そんなものじゃないと。十万人、二十万人のイラクの人たちの命が失われたのではないかとも思いたくなる。アメリカの兵士ですら、千六百名ですか、何かイラクではかない命を落としたと、こういうことにもなっております。  そうして、一体イラクに何のため侵攻したのかと今改めて考えてみますると、何のことはない、大量破壊兵器をイラクが隠し持っている、それを摘発するんだとアメリカが呼び掛けて、世界の主要国がほとんどそれに、なるほどそうだとイラクに行って大量破壊兵器を摘発して、そして世界平和を保とうということで侵攻をした。我が大日本帝国も、一番最後にとぼとぼと行って、我々は戦争には参加しないと、自分の安全すら守れない国ですから仕方がありませんというようなことであっても、やはり戦地であるイラクには侵攻しているわけです。  一体その大量破壊兵器はどうなったのかと、幾ら捜しても見付からないと。そのうちにアメリカの情報機関が書類を捏造して、そしてこのとおりイラクは大量破壊兵器を保持していると、そういうことをアメリカの為政者に突き付けて、それに乗っかってアメリカがそうだそうだといって軍を進めたと。しかし、幾ら探しても見付からないと。これ、昔の日本の武士ならばもう腹を切ると、当然なことです。新渡戸稲造などにお聞きしたら、もう議論の余地はないと、すぐ腹を切れと言うに違いないんですけれどもね。  ところが、その軍勢は今でもあの土地に踏みとどまっている、一体何なんだろうかと。幾ら探しても見付からない、我々の判断の間違いでありました、申し訳ございませんでしたと、命を亡くされた方についても心からその冥福を祈りますといって、あれに、イラク戦争自体に終止符を打って、そしてその後、イラク人民がどうしても我々はこれだけの国土を荒らされた以上はということで、国連にあるいはまたアメリカその他主要国に対して我々の国土を復活、復興してくれという強い強い要望があって、それで国連の指導の下に新しい、やっぱり軍人さんじゃないと駄目ならしいですからね、軍隊が入り込んでいって平和を保ちつつイラクの復興に協力すると。それなら分からぬわけでもないんですけれども、何の何の、間違った人たちがその場に踏みとどまってしまって、そして今も何かやっているんですね、あれね。特に、日本自衛隊が何やっているのか幾ら聞いてもさっぱり分からないと。ぼんやりしているだけなのかという、そういうふうにしか思えないんですけれどもね。  いずれにしましても、そのイラク戦争の締めくくりをもうとっくに付けているべきではないのかと。そうしたら、ブッシュ大統領はこの前、なあになあに、フセインを捕まえただけでもイラク戦争の目的は達したんだというふうなことまで言っていると。我が日本もそういうふうに考えておるのかどうか分かりませんけれども。  ここでひとつ、防衛庁長官とそれから外務大臣日本イラク戦争に協力をして、あそこに入り込んでいってまだ今でも現地で頑張っている。もう欧米、アメリカは別としまして、イラク戦争に参加した国々からは撤退しろと。現に撤退した国もあるわけですけれども、たくさんあるわけですけれども、なお頑張っている国々では、国民たちが、その国の国民デモ行進をして、そしてイラクから速やかに撤退しろというふうなことも言っていると。こういうことを踏まえて、防衛庁長官外務大臣、いかがお考えでしょうか。率直な感想をお聞かせ願えれば有り難いと思います。
  47. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、イラクには大量破壊兵器がなかったじゃないかと、そのとおりでございます。米独立調査委員会報告におきまして、大量破壊兵器については誤っていたとの記述があることは、先生御指摘のとおりでございます。  しからば、この問題どう考えたらいいのかと。イラクにつきましては、かつて大量に、実際に大量破壊兵器を使用していた事実があって、そしてさらにそのことにつきましては国連の査察報告等でも明らかになっているところでございます。それを踏まえて言わば国連決議がある。その国連決議では、ひとつ査察をしたい、それを受け入れてくれればこれは簡単に疑惑は解けたわけでありますけれども、なぜ査察を受け入れなかったのか、了承しなかったのか、私は疑問に思っています。査察を受け入れないよ、国連の決議は受け入れないよと、こうなりますと、やはり大きな大きな、平和を愛する国際社会としては大きな疑惑が出てくるわけであります。  情報が誤っていたということはそのとおりだと思いますけれども、やはり世界全体のテロに対する戦い、こういう観点から見ましたら、私はやはり国際社会の真摯な努力というものがあって、その努力に対してイラクがこたえようとしなかった、このことは私どもは十分考えていかなきゃいけないと思います。  このような認識の下で、我々は国連決議、累次の国連決議に、あるいは国連調査団の累次の報告に基づいて日本として主体的に判断したものであります。で、したがって、情報については間違っている、しかしながら、間違っていたということは認識しなきゃいけませんけれども、対イラク武力行使を支持したということについては、私は正しい判断であったと思っております。  さらに、そういうことがあった後、なぜ早くイラクから撤退しないのか、こういう問題であります。  日本が行っている活動というのは人道復興支援活動であります。これは、紛争の起こった後の国の情勢を早く回復していきたい、こういうことでありまして、そういう意味で私は、いろいろな要素、もう申し上げませんけれども、いろんな要素ありますけれども、人道復興支援活動に携わる自衛隊の活動によって、活動が十分このイラクの復興に役立っているものと考えております。  以上でございます。
  48. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、大野長官が言われたことに尽きていると、こう思います。そして、事実上の戦闘行為が終結した後、国連でまた新しい決議が出て、今世界の国々がいろいろな形でこのイラクの復興に支援をすべきであると。その際に、引き続き多くの国々の駐留といいましょうか、軍事的な活動はそこにおいて軍隊がいてやっていくということについても支持を与えているわけでございまして、日本自衛隊はもとより戦闘行為をやっているわけじゃございませんけれども、広い意味の多国籍軍の一員としてそこに存在をし復興活動をするということについては、国連の決議という、そういう国際社会の支持があっての活動であると、こういうふうに理解をしているということだけを付け加えさせていただきます。
  49. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 かつて大量破壊兵器を持っていたから今でもまた持っているはずだというのは、お粗末な警察官の犯人を捕まえるときの、前に悪いことやったから今度もやっているに違いないといって捕まえてくるような、本当に一体これ何なんだと思いたくなるくらいですよ。  やっぱりあれだけの地域に大量の、多数の軍隊を派遣して、それで政治をやっていくのか何か知らないけれども、うろうろしていると、とても許されることではない。やっぱり慎重にも慎重を期して、やってみたけれどもなかったと、申し訳なかったと、しかし、またやるおそれがあるからもう少し軍隊を投入させてくださいとかいうようなことならば、まあしかし、それだって分からない、具体的な証拠もなしに犯人扱いしていると、そうとしか言いようがないわけですよ。  もう少しこういうことについては、各国ともに歩調をそろえて、慎重を期そうということは当たり前のことなんです。そして、やってみて、発見できなかったらすぐ引き揚げてきて、その後をどうするかということはまたみんなで頭をひねって考えていく、それだけのことではないかということで、私は本当に法律家の立場からして、今回のイラク戦争、戦争の大義がなくなってしまったんじゃないかと、だれでも考えることだろうと思います。  それから、これもまた大変日本の、世界の人類にとって大切なことですけれども、捕まえてきたフセインは一体どうなっているのかと。何かたまに新聞報道があって、近々裁判が行われるらしいと。アメリカのしかるべき人は、なに、あんなものはすぐ、裁判やって死刑にするんだというようなことまではっきり言っていると。こんなことは許されることじゃないんですよ。司法の、法的な支配、法の支配という言葉が出たのは、イギリスとアメリカから出て、そうして、どんなに悪いというふうに世間の人が思っている、でもやっぱり時間を掛けて裁判をして、証拠をきちっとそろえて、弁護士も付けて弁論をさせると、有罪判決が確定するまではどんな極悪犯人でも皆無罪の推定を受けていると、当たり前のことです。こんなことはもう世界の常識ですから。  ですから、あのオウム裁判での麻原彰晃などは、まだ何を一体いつまでぐずぐず裁判なんかやって、早くさっさと死刑にしろと、そう言う人も多いようですけれども、それはもう野蛮国のやり方なんでね。やっぱり日本も、アメリカ、イギリスを先頭にする法治国家一員ですからね。そのフセインを一体どう扱うのか。これは国会国会じゃなくて、国連などでもそういう話が出ないんでしょうか。あるいはまた外務省の人たち、特に外務大臣、それから防衛庁長官ども、捕まえてきたフセイン、あれ、どうするんですかと。  何かアメリカの主要な人は、すぐ死刑にするから安心してくれと、こう言っているけれども、そんな簡単に人を死刑になんかできる、野蛮国でならあることですけれどもね、世界の先進国を自負しているアメリカ、それがそんなことをやらせるというのか。イラクの裁判所をつくらせて、そこでやらせるんだとも言っていますけれども。  一体、フセインがどんな罪名で、どこにどんな状態で入れられているか、だれも知らないんですよ、これ。時に何かひそひそ話のようなことがあって、どうも独居房に入れられて、そして自分で部屋掃除までやらされているんだなんというようなことが、そんなこと信じられますか。  いずれにしろ、弁護士を通じてはっきりそこは世界全体に知らせるべきだと思う。みんなが関心持って眺めているわけですから。  そして、どんな極悪犯人でも、やっぱりそういう裁判をきちっとやって、そして判決を下しているんだなと。当たり前のことなんです、これ。それが当たり前でないと考えておるとすれば、申し訳ないけれども、そういう考える人たちは大学を出てないんじゃないかというふうにも言いたくなるわけでありましてね。そこは大いに議論をして、アメリカの人たちが、あんな悪いやつはすぐ死刑にするからちょっとだけ待ってくれと。それは、あなた、おかしいですよということをきちっと申し、意見交換をするのがこういう場合の法治国家としてのあるべき姿だと思うんですよ。  いかがでしょうか、その辺は。防衛庁長官もついでに、ついでと言っちゃ失礼ですな、御意見をお聞かせ願えれば。
  50. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今委員の御発言というのは、それは幾ら何でもイラクの、仮に暫定的な、本格政権ではないにしても、イラクにも法律があり、暫定憲法があってやっている。その手続に基づいてやっていることを余りにも無視した、実情を無視した御発言ではないかということで、若干御説明をさせていただきます。  フセイン元大統領に対する訴追手続につきましては、イラク国家施政法、いわゆる基本法、まあ憲法に類するようなものでございますが、これが二〇〇四年三月に制定をされ、それに基づき、またこの刑法、刑事訴訟法、これはフセイン時代からのものであろうと、こう思います、若干の改正があるのかもしれません。これに基づいて、二〇〇四年の七月一日にイラク暫定政府がこの訴追手続を開始をいたしまして、現在、イラク特別法廷において公判の開始に向けた準備が行われていると、こう私どもは承知をいたしております。  もう少し詳しく申し上げるならば、二〇〇三年十二月十日、当時の連合暫定施政当局、CPAというものがございました。これが当時の統治評議会、言わば国会のようなものでございますが、が制定したイラク特別法廷の設置に関する命令を発表し、この命令では、裁判所の手続について次のように定めるということになっているわけでございます。すなわち、裁判長はイラク刑事訴訟法に従い、裁判手続及び証拠に関する規則を起案する。告発、裁判においてはイラク刑法の一般規定が適用されるという具合になっております。  また、二〇〇四年三月に署名されたイラク国家施政法、さっき申し上げました基本法でございますが、これによれば、現時点におけるイラク国内法令上の最高法規でありますけれどもイラク全土に例外なく効力が及ぶということになっております。この法律、基本法四十八条においては、二〇〇三年十二月十日に発布されたイラク特別法廷を設置する規定は追認する旨定めるとともに、当該規定がイラク特別法廷の管轄権及び手続を排他的に定めると、こういうことになっております。  ここに言うイラク特別法廷を設置する規定はCPA命令四十八号でありますが、イラク特別法廷における被告人の権利として、裁判における平等、推定無罪、裁判の公開、訴追内容の開示、弁護人の接見、迅速な裁判、証人の召喚、不利益供述の不強要、黙秘権等について規定をするとともに、勾留、被告人及び証人等の保護、起訴状の読み上げ、裁判官の多数決による判決等の裁判手続を明記をしているということでありまして、こうしたことを考えたときに、フセイン元大統領を始めとする旧イラク政権指導者がこれらの適正な司法手続による公正な裁判の下で正当な法の裁きを受けることになる。  そのアメリカ人が、今何か言われたように死刑にするだのなんだという、それは好き勝手なことを言う人はいるかもしれませんが、彼らは彼らなりのやっぱりきちんとした法手続にのっとって現在も進めているし、これからも進めていこうということであろうと思います。  ただ、なかなかこれは難しいのは、こうしたある一時期の国家のトップリーダー、これは何もイラクのみならず、ユーゴでもルワンダでもいろいろなケースがあるわけであります。こういう者がいかに公正な裁判の下で正当な法の裁きを受けるかということは、正直言って、これはなかなか難しい面があるのはもう委員御承知のとおりであります。  しかし、イラクイラクの法律に基づいてきちんとやろうとし、また、これをきちんとやらなければ、新しい民主的な国づくりの出発点にもなるわけでありますから、そういう意識で、今般新たに発足した、選挙に基づいて選ばれた人たちによって構成をされる現在の内閣あるいは議会というものがきちんとした対応をするであろうということを私ども期待をしておりますし、さらに憲法が起草をされ、年末にはその憲法に基づいて新しい国会ができ上がる。  そうした民主的なプロセスを経た上で、また、でき上がるであろう議会等々でこうした、何のために今はそういうプロセスを、政治プロセスを踏んでいるかといえば、正にイラクのフセインという独裁政権を打破した、そして民主的な国をつくっていこうと、そういう思いで彼らは今選挙をやり、そして新しい執行体制をつくっているわけでありますから、当然、このフセイン裁判もそういう基本的な考え方に基づいて行われるということを期待をするわけでありますし、また、そうなるであろうということを我々は考えているわけであります。
  51. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ついでにお答えさせていただきます。町村外務大臣から詳しい説明がありましたので、感想めいた話だけにさせていただきます。  近代国家におきましては、佐藤先生おっしゃったとおり、透明性というのは本当に大事な要素になってくると思っております。したがいまして、フセイン元大統領を始めとする旧イラク政権指導者たちが公正な裁判を受ける、そして法の下に正しい裁きを受ける、このことが明らかになる、これは大変大きな問題として新しい新生イラクにとって大事な問題になってくると思います。  民主主義国家としてこれからイラクが育っていく中で、この問題は大変注目していくべき問題ではないか、このように思っておるところでございます。
  52. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 フセインの罪名は一体何なんですか。これを知っている人は本当にだれもいないんじゃないでしょうか。それから、拘束場所が一体、拘束状態がどうなっているのか。なぜこういうことを、世界の人たち皆関心を持って見ているわけですから、きちっと説明する責任がアメリカ政府に本来あるわけです。  それから、捕まえたのはアメリカですから、今も多分アメリカの拘置所に入っているんじゃないかなとも思われますけれどもね。裁判はイラクがやるんだと。なぜアメリカは自分責任を持って裁判やろうとしないのか。そういう疑問について、国連の場でもいいですから、やっぱりきちっとした議論をする必要があるんじゃないかと。  フセイン、そのうち死刑にしてやろうという、アメリカの偉い人が言っている、そのとおりのことが着々と実現しつつあると。イラクの人たちが裁判やるんですよと言っても、公正な本当に裁判が行われるのかねと。一体、罪名は何なんだと。だれに聞いたって分からないでしょう。  私も随分調べましたけれども、分からない。何か国内で統治しているころ、イラクを統治しているころに、いろんな意味で殺人まがいのことをやったと、やらせたと、こういうことも言われているんですけれどもね。その当時法律がなくて、後で事後立法といって法律をつくってその法律に従って死刑にしちゃうのは、それ許されるわけはないんです、そんなことは。  いや、本当にこれ、大事なことです。いつ日本だって、先ほど外敵の論争がありましたけれども、そういうことに襲われて、当時の大臣たちが裁判にかけられるおそれもないとは言えない。そういうことがあってはおかしいということを考えたのが人類の英知と言ってもいい法の支配と、こういうことなんですけれどもね。  ところが、肝心かなめのイギリスやあるいはアメリカもこういう問題について議論をする気がなさそうですね。せっかく捕まえてきたんだからしばらく入れておいて、そのうち形だけつくったようなイラク人の裁判所で死刑にすりゃいいやと、そういう発想ぐらいしかないんじゃないかと。  弁護士の活動、弁護士だっていろいろ活動していると思いますけれども、どんなことをやっているのか、我々の耳にやっぱりそれも伝えてほしいと思う。そして、独裁者が最後はこういうことで、やっぱり公正な裁判を受けて死刑になったんだということを人類の歴史にきちっと残すこと、これも我々の責任じゃないのかなと、こういう思いがするわけで、なに、そのうち死刑になりゃいいよ、おしまいだよという感じがその公式的な答弁の中に伺えるような気がしてしようがないんですけど、どうでしょうかね。  せっかくの機会ですから、やっぱりこういう問題について、何度も言いますけれども、いろんな場で議論をして、そしてアメリカ、イギリスの人たちにも、そうだそうだと、そのとおりだということで賛同を得て一つのルールを作り上げることが大切だと、私はそう思っているんですけど、外務大臣、いかがでしょうか。
  53. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私も、それは率直に言ってすべての状況を知っているわけではございません。しかし、今委員がまず前提としてお話しになった、まあイラクの人は適当に裁判やって適当に死刑にするだろうと、そういう物言いは私はイラク国民に対する大変な侮辱ではないだろうかとあえて申し上げます。  その上に立って私は、イラク皆さん方がこれから、先ほど申し上げましたまだ、まだというか国家として十分なていを成していない面はあるにしても、基本法もあり、これは、基本法はこれからまた憲法を改正するわけですが、刑法等々の、あるいは刑事訴訟法等もあって、それに基づいて手順を踏んでやっていくということを言っているわけですから、まずその公正さに期待をするというのは当然のことであろうと、こう思います。  どういう罪状か、これはまだ裁判が始まっておりませんし、裁判が始まった暁にこれこれの罪状でということがはっきりするんだろうと思います。したがって、まだ私がこういう罪であろうということを断定的に申し上げるべき時期には来ていないと、こう思いますが、これはあくまでも報道ベースで、どういうことなのかなというような罪状は幾つもそれは挙げられております。ただ、これが本当に罪を構成するものなのかどうなのかということを私が判断をする材料もございませんから、あえてどういう罪状が、報道ベースはありますが、個別に申し上げるのは適切ではないだろうと、こう思います。
  54. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 付け加えさせていただきますけれどもイラクの暫定政府、一体どれだけの根っこがあるのかと、どれだけしっかりした機関なのか。それは世界の人たちから見ると、なに、アメリカ人に言わばこき使われているだけのことだと、自分の判断で動き回っているわけじゃないよというのが大体世界の人たちの判断じゃないんでしょうか。  やっぱり彼らのやることは、まずもってアメリカ軍に対して、大量破壊兵器を発見できなかった、大変残念なことだ、でも取りあえずあなた方はもう撤退してください、その後は国連と我々が相談をして、そして新しいイラクの国づくりをやっていきます、その一過程としてフセインの裁判ということも考えて、考えさせてくださいということが物事の順序というんじゃなかろうかと思います。アメリカが目の前でうろうろしておって、そしてイラクを、実質的に我々から見たらイラクを支配しているのはアメリカだと。そこの中にアメリカから、おまえちょっと裁判のまね事をやれとか政治のまね事をやれとか言われて、まあそういう立場で政治をやったり裁判をやったりしているのが現状ではないのか。  やっぱり民族の自立、独立ということは、その国の人たちが自分の手で考えていかねばならぬことなんですよ。アメリカをあのままにしておいて、それから大勢の諸国、たくさんの諸国が軍勢を、軍隊をとどめておいて、そうしてちゃんとやっていますよといってもだれも信用しないですよ。そうはいったって秩序をどうやって保つのか大変だということでしょうけど、それはやっぱり国連と関係国が相談をして、イラク人の意見も十二分に聞いて、そして新しいルートをつくり上げていくということだろうと思います。本当に残念なことなんでね。  フセインの裁判、罪名すら、しかし今まで世界じゅうに告げられていない。事後立法と言って、捕まえてから法律を作り上げてそして裁判にかける、これはもうとても文明国のやることじゃないんですよ。もう少しその辺のところを国連の場で、国連もどこまでまじめな議論をするか分かりませんけれども、疑問を関係諸国にぶつけて、そしてみんなで考えていくと。これが長くこれからの歴史にも残らぬとも、残ることだろうと思いますよ。ああ、これからまたああいうことが起きましたら、イラク裁判のあの例を先例として考えようやというような議論になることは間違いないんです。一体それでこの人類のこれから開かれていく未来ということは安心して眺めていっていいんだろうかと、こういうふうにも思うわけです。  時間がなくなりましたので、最後に両大臣からちょっと感想をお聞きしまして、終わりにしたいと思います。
  55. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変失礼ながら、今の政府は、一月三十日の選挙によって選ばれた政府なんですね。したがって、アメリカが勝手につくった政権でもなければ、アメリカの言いなりになっている政権でもない。現状、それはアメリカの治安維持能力に依拠する部分があることは、それは当然だろうと思います。それとてもしかし、今治安能力を向上させるというのが今の新政府の大方針であるというようなことであるわけです。  しかも、暫定政府は国連の決議に基づいてでき上がり、そして多国籍軍も今や国連決議に基づいてイラクの国づくりをお手伝いをしているという状況であって、アメリカが好き勝手に今やっているというような御発言は現状とは全く合っていないし、また、私は先ほども申し上げましたように、イラク国民があれだけある意味では不安定な状況の中であれだけ大勢の人たちが選挙に行って選ばれた政府に対する佐藤委員のコメントというものは、私は率直に言って、イラク国民に対して先ほど侮辱だと申し上げたけれども、本当にそういう思いを強くいたします。何のためにあの思いで彼らは一生懸命選挙をやったんでしょうか、そして政府を選んだんでしょうか。  そういったこともやはりしっかりと踏まえた上で、彼らが必死の思いで今新しい国づくりをやっているんだということに対して、日本政府もまた国際社会も一致してそれを支えていくと。いたずらに批判するばかりではなくて、積極に彼らの国づくりに貢献をする努力をしていく、支えていくんだ、そういう姿勢で私どもは臨んでいくことが大切だと、かように考えます。
  56. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、フセイン元大統領の身柄でございますけれども、これは昨年の六月にイラク暫定政府に引き渡されております。したがいまして、今後はイラクの司法システムの中で裁かれていく、こういう問題であります。したがって、外国からいろいろ言うことがどのようなことになるのか。それは今外務大臣から発言があったとおりだと思います。  そして、もちろん国づくりの過程においては、アメリカが支援する、あるいは日本もお手伝いをしております。例えば世界銀行からアドバイザーが出ていくかもしれない。いろんな協力によって出ていくことだと思います。しかしながらその一方において選挙も行われました。その選挙の結果を見ますと平均投票率が五八%だったと覚えておりますけれども、非常に高い投票率であります。そういうように民主主義国家として第一歩を踏み出している、そういう方々が判断すべき問題ではなかろうか。  一義的には私は、このフセイン問題、いろんな角度からのコメントはあろうかと思いますけれども、やはり国内、民主主義体制をつくりつつある、その中で判断をしていく問題であって、その独立の尊厳を正に傷付けるような発言は差し控えさせていただきたい、差し控えていただきたい、このように思っております。
  57. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  58. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  両大臣中国問題を中心にお伺いしたいと思いますが、その前に、いつもは外務省に厳しく追及をするんですが、冒頭、町村大臣にお礼をいたしたいというふうに思っておりまして。  実は、私の友人に村木理恵さんという学生がいらっしゃいます、今日傍聴に来てくださっているんですが。実は、一歳のときから難病、慢性活動性肝炎というのを患っていらっしゃって、お母様から移植をされたり、臓器をですね、一部を移植されたりと、様々な医療活動をしてきたんですが、なかなか思わしくなかったと。昨年から体調が大変悪化をいたしまして、生存する方法は臓器移植しかないということでアメリカに渡る決心をいたしました。大変な活動だったわけでございますが、一刻を争うというときに、旅行だとアメリカはビザは当然要らないわけでございますが、手術等では当然ビザが要るということで、外務省が大変素早く対応をしてくださいまして一人の少女の命が助かりました。心からの外務省関係者の方々にお礼を申し上げたいというふうに思います。また、マスコミも是非こういうことも、外務省の大変すばらしい御尽力についても記事にしていただきたいというふうに思っておりますが。  質問に入りたいと思います。  先ほど、岡田委員がお話をされましたように、この中国問題、私も大変遺憾であるというふうに思っております。  昨夜、深夜に掛かりまして、局長レベル佐々江アジア大洋局長と崔天凱アジア局長ですか、中国の、議論をされたということでございますが、私も町村大臣がおっしゃったように、デモをやるということと、投石をしたり日系の食料品店であるとか大使館であるとかレストランを破壊すると、それとこれ、全くの別問題でありまして、ましてや日本人学生に暴行を振るう、その理由日本人だからと、こんなことがあっていいわけがないわけでございまして、非常にこの今の中国の若者のこういった間違ったナショナリズムというものに私は大きな憂いを感じるわけでございます。  他方、誤解を恐れずに言いますと、私は日本の若者にも大変憂いを感じております。決してナショナリズムをあおるつもりは毛頭ございませんが、これだけ大変な局面にありながら非常に日本の若者が白けていると、私はやはりきちっと国を憂う気持ちが今の若者たちにどれだけ養っているんだろうかと。先ほど田村先生から教育の話がございましたけれども、私は二つの、この両国の若者の現在のある形につきまして大変憂いを感じているわけでございます。  話は具体的になりますが、町村大臣日本の、日系企業の看板が破壊をされ、また日本人学生が暴行され日本大使館が襲撃に遭うと、この被害額、そういったものは積算されているんでしょうか。
  59. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まだ混乱した状態にありますし、範囲も相当広範囲に及んでいるようでございますから、現状まだ、どれだけの被害額というお尋ねでございますが、そこまではまだ計算といいましょうか積算ができているわけではございませんが、早急に取りまとめをしなければいけないと、こう思っております。
  60. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、暴行をした、日本人に暴行を与えた中国人、彼らは今指名手配されているんですか、それとも逮捕をもうされているんでしょうか。
  61. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 逮捕されたという報道はあったわけでございますが、ちょっと現実に本当にそうなっているのかどうか、まだ確認できておりません。
  62. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これ、どうして確認されていないんですか。局長で結構です。
  63. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 今大臣が御答弁申し上げましたように、私どもまだ報告に接しておりませんけれども中国側に対してはきちっとその暴行を加えた人間の身柄の拘束も含めて厳しく要求をしておる状況でございます。
  64. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、この邦人保護という観点が極めて日本外務省、希薄になっていると思います。  インドネシアのアチェに地震の直後入らせていただいて、様々な邦人の方からいろんな話をお伺いしました。確かに混乱した状況の中で大使館の方々が最善を尽くされたと思いますが、その中には邦人保護に関する意識が希薄であったという声もあった。そして、さきの韋駄天の事件もそうでございました。  そして、今回中国。まあ中国だから別だというわけではなくて、本当に邦人を保護するんだという気持ちがもう少し私はあっていいんではないか。そして、この中国デモに関する政治的な問題と、被害を受けた邦人に対してきちっと筋を通す、そして彼らをきちっと逮捕する、そのことを要求していくこと、そして損害賠償をしていくこと、これは政治の外交マターとはまた別に、きちっと毅然とした態度でやる必要があると思うんですが、これ、どうでしょうか。
  65. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 口頭では私、王毅大使に申し入れたわけでございますが、さらにそれを確認する意味を込めて口上書という形で文書で先方に出しました。その中には、例えば外交関係に関するウィーン条約の関連規定等を踏まえ大使館等に生じた相当の被害について損害賠償を求める、日本国民あるいは日系企業に生じた損害の救済についても中華人民共和国が国内法に基づき損害の賠償を含む措置を適切にとることを求める、また一連の破壊活動の中で不法行為を行った加害者が国内法に従って厳重に処罰されるように求める等々、こういう形で具体に申し入れております。  また、被害に遭われた学生さんですか、これらの方々についても、早速に領事館員が訪れまして、お見舞いかたがた、どういう様子だったんですかというような接触も敏速に取っておりまして、そういう意味で私ども、在留邦人あるいは日系企業の保護という面において、まあそれはいつも言われることでありまして、十分であったかどうかと言われると、まあそれはいつも一〇〇%完璧にと言いかねるところもあるのかもしれませんが、例えばこういう、今回の件についてはそういう意味では迅速に今対応しつつある、また現在進行中であるということも御理解をいただきたいと思います。
  66. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 分かりました。  現在の対中関係をもう少し広い視点から議論をしてみたいと思うんですが、中国、EUは、戦略的パートナーシップという名の下に、EUが対中国への武器禁輸を解除したということが昨今言われておりまして、これについては日本政府はずっと反対を表明しているわけでございますが、中国政府からこの問題について日本側に何らかの説明があったんでしょうか。
  67. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ちょっと私の記憶が定かではございませんが、中国政府からこのことについて日本政府への話はなかったと思います。これは、もちろん中国とEUの間のいろいろなやり取りがあることは分かるわけでありますし、これはEUがどうするのかということであって、日本政府中国政府との間でこのEUの対中武器禁輸問題について特段の話合いをしたという記憶はございません。
  68. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは外務大臣は、このEUの対中国武器禁輸解除については基本的には反対だという表明は外務省ずっとされているわけでございますが、具体的にどういう影響が我が国にあるんでしょうか、反対する理由ですね。
  69. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは日本に対してもそうでありますし、この東アジア地域全体についてもこの安全保障の環境というものを大きく変えてしまうおそれがあると、こういうことであろうかと思います。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  中国は自らのこととして、御承知のように、ここ十数年間、毎年二けたの防衛費の伸び、国防予算の伸びを示しておりますし、多くの方々が言っておられるように、国防予算外であっても相当国防にかかわる経費が他の予算項目にも相当入っているというようなことも言われております。そういう意味の透明性がないということも、私どもはこれはかねてより先方に、中国政府にも言っております。  いずれにいたしましても、EUの持っております特に高いレベルの技術、武器というものが中国に流れ込むということは、東アジアの安全保障環境にとって大変大きな負の影響を及ぼすということから、私どもは一貫してこの武器禁輸措置の解除に反対をするということで、あらゆる機会をとらえてEU及びEU各国に働き掛けをしているところであります。私も今までバイの、二国間の、EU委員会あるいはNATO軍、あるいは各国の外務大臣等に対して機会あるごとに日本は反対であるということを申し上げてきているところであります。
  70. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私もやはりこの問題は大変重要な問題だと認識をしておるんですが、他方、この軍事問題も含めまして、我が国がどれだけ今まで中国と真剣に向き合ってきたか、国民レベルでもどれだけ議論をしてきたかと申しますと、私自身を顧みましても、意外と中国という国と、また中国人と私自身も会話が足りなかったなということを極めて感じるわけでございます。  今、日中間では日中共同作業計画というものを策定されて、あらゆる段階で、いろんなレベルで交流、そして対話を促進していこうということなんですが、やはりこういうチャネルをたくさん持っていくということがやはり求められているというふうに思うわけでございます。  この武器禁輸の解禁ですね、解除の問題は、確かに大臣おっしゃるように、台湾の問題であるとか東南アジアのミリタリーバランス、そして様々な問題があると思います。ヨーロッパからいたしますと、やはり中国のマーケットという問題、そしてアメリカの一国主義に対するやはりカウンターとしての多様性を求めていくという姿勢、またフランス等は原発等の様々なセールスの問題もあるかもしれません。  ただ、私が一点気になるのは、この中国というのは、中東地域、とりわけイランであるとかサウジアラビアに非常に多くの武器を輸出している国でございます。そして、EUからの武器輸入は全体の一%にすぎないんですが、その多くが基本的にはソフトなんですね。武器そのものというよりもそのソフトの部分を買ってきている。私はこれがイラン等から武器が拡散していく可能性を考えると、非常に中国とヨーロッパのこの禁輸の解禁という問題は我が国にも大きな影響を与えてくると実は思っておりまして、ただ他方、先ほど言ったように、EUから考えますと、アメリカの一国主義に対して多様性を求めていくんだということだと思うんですね。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  よくマスコミで最近日本外交が八方ふさがりであるという記事が目に入るんですが、確かに、中国はインドとも今回国境を、きちっと国境問題を解決していこうと対話を始めました。ロシアともパイプライン等を通じて関係を密にしてきている。その中でどうも日本、台湾、アメリカだけが少しアイソレートされているような感じがするわけでございますが、このヨーロッパの多様性、多様的な外交という観点からこの武器禁輸問題を考えますと、外務大臣はどのように御認識をされているでしょうか。
  71. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日本とEUの関係、確かに今政治的には大変ホットな問題として議論になります。先般の例えばシラク大統領訪日の折にも両国首脳間で、幅広い議論はありましたが、そのうちの一つテーマがこれであったことは事実でございます。  しかし、例えば日本とEUの関係、ある意味では遠い国々、地理的に遠い国々ではございますけれども、しかし、随分いろいろなかかわりも増えてきております。経済的にも対ヨーロッパ投資、随分増えたなと、こう思います。また、今年は日・EU年ということで、文化的な行事を中心にして様々な行事がヨーロッパの各国において行われ、また日本においても国内的にも数多くのいろいろな行事が行われているというようなことを通じて、日本とEUのきずなは私は随分深まっているのではないだろうか。  確かに、軍事、防衛とかそういう面でEUとどれだけ深いつながりがあるかというと、それは現実、まあ若干の国との防衛対話はある以外に、諸取引ということの関係はないと、私もそう思います。そういう意味中国とはまた違ったお付き合いの仕方をしなきゃならないと、こう思いますが、私は日・EU関係がこの一点があるから非常に関係が悪化しているとか、そういうことではないと、こう思っております。  この五月に、六日、七日、京都で、アジアとそれからヨーロッパとの間の対話、あるいはいろいろなテーマ議論するASEM外相会談というのが京都で開かれますが、私がその議長をやることになっております。そういった場を通じて、日本とまたヨーロッパ諸国あるいはASEAN諸国等々とをしっかりと結び付けながら、様々な課題に対応して議論を深めてまいりたいと考えております。
  72. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 中国の軍事外交に対する認識についてお伺いしたいと思うんですが、既に中国は各国と軍事演習やっているんですね。EUを含めまして、どういった国々と中国は軍事演習やっているんでしょうか。
  73. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答え申し上げます。  中国側が発表しております日本の国防白書に当たる文書、去年の十二月に出ました二〇〇四年中国の国防という文書によりますと、中国は二〇〇三年以降、上海協力機構という機構の加盟各国、これは中国以外にロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、それからウズベキスタンという六か国で構成しておりますけれども、こういった国々、それからパキスタン、パキスタンは上海協力機構じゃございませんけれども、パキスタンとの個別の反テロ共同演習というものを行っているというふうに承知しております。  また、同じ白書でございますけれども、二〇〇三年以降は、中国は、パキスタン、インド、フランス、イギリスとそれぞれ海上捜索あるいは救助訓練等を行っているというふうに承知しております。
  74. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そのとおりですね。加えて言うと、オーストラリアとも海軍は演習をされているというふうに私は承知をしておるんですが、齋木審議官のおっしゃるとおりだと思います。  私は、非常に戦略的に中国が、この軍事外交も含めて布石をきちっと打ってきている。誤解を恐れずに言うと、極めて多様性を持ちながら戦略的に攻めてきているという感じをせざるを得ないわけでございます。  他方、この日本外交はというと、私は若干柔軟性が失われつつあるのかなという思いがしてなりません。例えば、ライス長官が日米戦略開発同盟構想を口にしたときに、町村大臣はこれに賛成をされた。当然、日本、アメリカの関係は大事でしょうが、日本のODAというものをアメリカの意思を入れながらインプリメントするというものは、私は非常に危機感を持っております。  それと同時に、大野長官も、つい先日ですが、記者会見の中で、日米両国が災害時に国際調査団を編成すると。世界で災害があった際に、日本とアメリカが合同でチームをつくって災害復興に当たる。災害復興に当たることは当然重要なわけでございますが、これを日本とアメリカがセットでやる理由が一体何なんだろうかと。  私は、こういった本来日本の持っていた外交の柔軟性を損なうような外交在り方というものはいかがかなという感じがするわけでございますが、町村大臣はこの問題をどう御認識でしょうか。
  75. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) いろいろな意味で日米関係の深まりあるいは幅の広がりというものは、私は確かにあると思います。しかし、そのことは逆に言いまして、何でもかんでも全部日米で一緒にやりますよというわけには、これはまいらないわけでございます。  例を挙げればいろいろございます。まあ一番分かりやすい例でいきますと、イランのアザデガン油田開発の問題などは、委員も大変お詳しくていらっしゃるテーマでございますが、これなどは相当日米間で議論をし、彼らは依然として実は反対だというポジションは変えていないわけでございますが、それは日本の独自のこれまでのイランとの関係の重視、さらに、日本がまたイランと良い関係を保っておくことが中東と日本、アメリカ、EUとの関係をより良くする一つの大きなパイプになる、例えばそういう独自の判断をして進めてきたということであります。  ODAについて、先般、ライス長官の方から御提案があり、まだちょっと提案の中身は正直言うとまだ必ずしもはっきりしていないもんですから、事務的に議論をし始めているという状態でございます。ODAの中でも、日米で一緒にやったらばかえって効率の上がる部分があるかもしれない。それはそれでいいんだろうと思いますが、日本日本独自のODA大綱というものを持ち、それに基づいて国別に様々な活動をやっている。ただ、その際に日米でもし一緒にやれる部分があるならば、それはいい場合もあるんだろう。例えば、一番いい例が津波への対策、まだ各国がどうしていいか分からないときに早急な立ち上がりをしかししなければいけないということで、日本とアメリカとインドとオーストラリアで、取りあえずキーカントリーズがまず早急な立ち上げをしたと。しかし、それは一月六日の津波サミット以降は国連がそれを主導するということにスイッチしたわけでありますけれども、例えばその間相当緊密な情報交換なり、各国との連携をその四か国がやったというのは分かりやすい例でありまして、そういう際に日米が密接な関係を持ちながら相談をしていくということは良かったのではないだろうかと、ケース・バイ・ケースだろうと思います。
  76. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 一点、ロシアの問題についてお伺いしたいんですが、先日の報道で、ロシア国営パイプラインの建設会社が、この太平洋パイプラインですね、これに建設資金に日本の融資は求めないという記事が載ったわけでございますが、この真意は一体どういうところにあるんでしょうか。
  77. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) このシベリアの原油を太平洋岸までに油送する太平洋パイプラインという計画があるわけでございまして、このロシアの極東シベリア地域の開発の促進につながりますとともに、我が国を含むアジア太平洋諸国のエネルギー供給源も多様化するという意味で、日ロ双方にとって戦略的意義を有するプロジェクトであると考えております。  このプロジェクトの進捗状況でございますが、昨年の十二月三十一日……
  78. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 進捗状況聞いていませんから。
  79. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) はい。  このルート決定というものはまだ行われていないわけでございますけれども、このファイナンスの状況も含めまして、実務担当者で協議を重ねてきたところでございますけれども、ロシア側の内閣総辞職に始まります行政改革、省庁再編等々がございまして、この専門家の会合が中断を、二〇〇三年十二月以降開催されていないという状況がございました。  そこで、一月の中旬に町村大臣が訪ロをいたしまして、フリステンコ産業エネルギー大臣と会談いたしました際に、このパイプラインの実現及び我が国のこれに対するあらゆる協力に関する実務的な協議をまた継続をするということで一致をしたわけでございまして、その協議が続いて、再開したわけでございます。  また、二十二日に、今月の二十二日でございますが、東京でこのフリステンコ大臣とそれから大臣との、町村大臣との間で貿易経済政府委員会等ございますので、このプロジェクトのファイナンスについて、今御質問にございました報道におけるそのトランスネフチ社の社長の発言というのは報道によっては承知をしておりますけれども、この真意等についてロシア側の具体的な考え方を確認していきたいと思っております。
  80. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そこだけでいいですよ。まだ確認していないんですね。
  81. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 現時点では確認しておりません。
  82. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これは対中国の問題、先ほどおっしゃったようにこのルートそのものもまだ不確定な要素がある。そして、中国の現在のエネルギー状況考え、また今後の日本の戦略を考えた場合極めて重要である情報ですから、早く対応して、早く対応していただきたいと思います。それと同時に、是非答弁は簡潔にお願いしたいというふうに思います。  そして、時間があと一分になってしまいましたが、私は、町村大臣外交に御尽力されているということはもう百も承知でございますが、極めて我々が感じるのは、日本外交に閉塞感を感じる。八方ふさがりの感があるという中で、私がやはり非常に希望を持っているのは日本の中東外交に対する関与、オルマート首相代理が先日も外務大臣と会談をされたと聞いておりますが、やはり中東地域は日本に非常に期待をされている。そして、イスラエル、パレスチナ両方も町村大臣期待をされております。  是非、私は、今度の六月初旬ですか、シャロン首相が日本に来ていただくように、そしてできればアッバスも来ることができるように、これが一つ日本外交の私はブレークスルーになる可能性があると思っております。  この点に対する外務大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  83. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 最近あちこちで八方ふさがり、日本外交というお話をいただきます。まあそれぞれの国とそれぞれの問題があるという状況がいろいろな国において生じているということは事実でありますから、率直に言うとそれは頭の痛いこともたくさんあるなと思いながら、しかし山より大きなイノシシはないんだと、こう思いながら取り組んでいるところであります。  中東外交についてのお尋ねございました。中東和平については、確かに何で日本がその中東和平にそんなに関与しなきゃいけないんだという、それをいぶかる声も逆にまたあったりするわけでありますが、私は違うと思っております。今まで余りいろんな歴史的なしがらみもない日本だからこそ、あるいは特にパレスチナのように大変に長い間貧しい生活、あるいは宗教的、いろいろな面で虐げられたそういう国、そういう人たちに対して、ある意味では、これはあるパレスチナの方が言っておりましたが、日本が敗戦を経過し、占領時代を経過した、そうした経験を持つ日本からいろいろな話をむしろ聞きたいと、教えてもらいたいという話を聞いて、なるほどそういう考えもあるんだなといって目を見開かされた思いもいたしました。  今委員指摘のシャロン首相あるいはアッバース長官、五月、六月、それぞれ今、日程を調整をしながら、是非日本に来ていただいて、我々の思いを伝えると同時に、彼らに対しても国際社会の期待というものをはっきり伝えなければいけない。私もイスラエル副首相に、予定どおりガザ地区からの撤退を進めるように、あるいはあの壁ですね、の建設はもうやめるようにとか、いろいろなことを申し上げましたし、向こうは向こうなりの理屈があるようでございますが、今後最大限の努力をしていきたいと考えております。
  84. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 終わります。
  85. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 中国韓国との間で今日生まれている困難をいかに打開するかという問題について質問したいと思います。  最初に、この間、中国で起きたいわゆる反日行動について一言述べておきたいと思います。  私たちの党は、どんな主義主張であろうと、自らの立場を暴力で訴え、通そうというやり方は断じて許されないと考えております。デモの一部の参加者が日本大使館日本関連企業に投石したり、邦人留学生が日本人であるということだけを理由にして暴力を加えられ、負傷するなどの事態は絶対にあってはならないし、今後決して繰り返されてはならないと考えます。安全確保の問題では、現に日本大使館などに被害が出たわけで、中国側は国際ルールに従って責任ある対応を取るべきだ、そう考えます。  また、中国側は、日本が過去に行った戦争と現在の問題を混同すべきではないと注文付けたいと思うんです。戦前の中国での日本の経済活動は、当時の占領支配下で行われ、日本排斥、日本商品排斥運動には仮に道理があったとしても、現在の日本製品というのは両国間の合意の下にルールに基づいて取引されているもので、当時とは明らかに情勢が異なるわけです。  意見の違いは外交的、政治的に解決すべきであって、国民レベルで互いに言論によって冷静に対応することが必要だ、このことを私たちの見解として述べておきたいと思います。  その点でまた、大臣にこれを踏まえてお伺いしたいと思うんですけれども中国韓国との間で生じている今日の事態について、その根底には何があると大臣認識されていますか。
  86. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日中間あるいは日韓の間、それは何といっても戦前の植民地支配あるいは侵略の歴史というものがそれはいまだに尾を引いているという部分があることは、それは率直に認めなければならないだろうと思います。六十年たったとはいうものの、まだまだ生々しい記憶を持っておられる方、御自身を含め、御家族を含め、たくさんおられるんだろうと思います。そういったことが一つの大きな背景になっていることを、それは私どもも率直に認めなければならないし、そういう韓国あるいは中国の方々の気持ちというものは重く受け止める必要があるというふうに思っております。  ただ、それで昨今のこの事態をすべて説明できるかというと、これは必ずしもそうでもない、正直言って私どももまだよく分からないで戸惑っていると言ってもいいような部分が、率直に言ってそれはございます。日韓、日中とも、例えば経済関係、あるいは文化面、人の往来等々を見た場合には、それは物すごい勢いで伸びておりますし、極めて円滑な、また順調な発展を遂げているということは、これは客観的な事実として言えるわけでございます。何でそんなに韓国の男性がもてるのかといささか不思議に思うほど、韓流ブーム等々で韓国との関係が、まあ一部のタレントさんの魅力かもしれませんがね、とにかく大変な勢いだと。もうこれはかつてであれば考えられないような事態でございます。  それにもかかわらず、例えば韓国との関係でいえば、島根県の竹島の日の条例制定をきっかけにして一気に関係が不正常なものに変わっていってしまうと。その変化の急激さに、正直言って私もさっき言ったようにちょっと戸惑いを覚えたりしているわけでありまして、また中国との関係は、さっき申し上げたように、中国との関係だっていろいろな面で交流が深まってきている、経済交流始めとして深まってきている中で、先方が言うような例えば首相の靖国参拝問題あるいは教科書の問題、そういったことがやはり底流にある戦前の記憶と結び付いて噴出してくるということは、それはあるんだろうと思います。  しかし、それにもかかわらず、それでもしかし、あそこまで過激な行動になぜなるんだろうかということは、率直に言ってよく分かりません。彼らの、中国なら中国なりの中国の国内事情というものも、それはそれでいろいろな問題があるんだろうと思います。しかし、それをまた私があれこれ言うとまた大きな新しい問題になってもいけませんからこれ以上は申し上げませんが、やっぱりそれぞれの国内事情というのもやっぱりあるということは否定し得ないんだろうと、こう思っております。
  87. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣の戸惑っているというその心情も率直なところだと私も感じております。  大臣は、ちょうど先週、韓国の潘基文外交通商部長官と会談されました。韓国でも何が出てきたかというと、近隣諸国の未来志向と協力を発展させる、協力を発展させるためには、歴史の美化や、過去の歴史の美化や正当化をやめるべきだと、そういうことが率直に韓国側から出されている。また、大臣はこの週末には中国を訪問されます。そこでもやはり非常に大事な問題が議論されると思います。  そこで、私思うのは、やはり日本は多大な損害と苦痛を与えた側にあるわけですね。ですから、その日本がやはり過去に行った戦争、アジア国民に何をもたらしたのか、そういうことについてやはり正面から向き合ってどんな教訓を引き出すのか。それを踏まえていくことが何よりも、これまでもそうであったし、これからもそのことは求められていると思いますけれども大臣の率直な御見解を伺いたいと思います。
  88. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私は、日本人が、また日本国政府歴史と正面から向き合っていないという批判は誠に心外でございます。これほど率直に日本国として、例えば両国との間で、これは法的ないろいろな賠償でありますとかあるいは、失礼しました、賠償ではなくて、それぞれの国との国交正常化に当たっての様々な協定を結んだという意味での法的な対応はこれは完全に行われております。また、その上に立って、歴史認識ということについて言えば、戦後五十年たった一九九五年に内閣総理大臣談話というものを発表し、日中間あるいは日韓間でも、それぞれ九八年に両国首脳の出した共同宣言の中でそうした歴史問題についての認識を明確に述べているわけでございまして、これ以上歴史に正面から向き合ったことはないぐらいやってきていると、こう思っております。  したがいまして、歴史を軽視している、歴史を美化し過ぎている、歴史に向き合っていないという批判は極めて私にとりましては心外でありますし、私どもとしては、きちんと向き合って今日までやってきた。また、特に戦前のそういった様々な活動というものを反省をしながら、私どもは、戦後、平和国家として、例えば一生懸命経済協力をやるという形で発展途上国の発展をお手伝いをしたり、正に平和国家としての活動を極めて熱心にやってきたんだということにもっと我々は自信を持っていいし、そういうことは声を大にしてしっかりと先方にも伝えていく、これまでもそういう努力をやってきたと思いますが、これからもまたそういうことはしっかりやっていかなければいけない、かように考えております。
  89. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣が正面から向き合っていると言われるのと、そう見えないという、そこにずれがあるので、そこは非常に大事な話合いテーマだと思います。また、大臣が戸惑っているとおっしゃられたことも私は率直な気持ちだと申し上げましたのは、ちゃんとやっているはずなのにどうして分かってくれないんだという気持ちがあると思うんですね。そこが非常に大事な議論だと思うんですよね。  大臣は、韓国の声明に対する談話の中で、歴史問題について、過去を直視し、反省すべきは反省し、未来志向的な関係を発展させていく強い決意を持っていると言われた。これは評価の対象になっていると私は思います。韓国でもそうだと思います。この問題というのは中国にも共通していますよね。  今、村山談話のことを出されましたけれども大臣の談話というのはまたそれをベースにしていると思います。しかし、大事なことは、この村山談話に照らして韓国中国も後退していると、日本は後退しているのではないかという疑いを持っているんですよ、批判を持っているんですよ。あれだけうまくいっていた韓国との関係ですよ、だれもがみんなもったいないと言うんですよ。何でこんなことになっちゃったんだと。本当に私もそう思います。あの韓流ブームが冷たい流れの寒流にもなってしまうと、そんなことさえも感じるようななかなか大変な情勢にあると思います。  そこで、やっぱり考えるべきというのは、やはり被害を与えた国として相手のことを思いやる気持ち、これを抜きにしてやはり私は問題解決しないと思います。侵略と植民地支配、戦争を二度と繰り返さない、それを日本の戦後の原点にした、出発点にしたはずだと。それが狂っているんじゃないか、そういう思いがあるわけです。ですから、やはり大臣の述べられた談話、いい内容ですよ、最初の部分は特に。ですから、その方向に沿って、自分たちはこうやっているんだということをきちっと見せていく、やはりそういう言葉と行動が伴っていく、このことが大事じゃありませんか。
  90. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 言葉と行動、正にそうだと私も思います。そして、私は、その言葉と行動がそんなにギャップがあったかというと、そういうことはないと、こう確信をしております。  例えば、日韓の間でもいろいろな本当に大きな問題があったけれども一つ一つ着実に解決をしてきた。そして、日韓で手を携えて、まあ分かりやすい例で言うならば、今までどこの国もやってこなかった日韓共同でサッカーの世界大会をやるなどなどのこともやってきております。  私は、よく報道の中で中国あるいは韓国が、認識発言行動が違うではないかということを盛んに言われるんですが、一体何を指してそう言っているんだろうかと率直に理解に苦しむところがあります。その辺は先般も韓国外務大臣と、どの点を指しているんですかと言うと、特に彼らは教科書のことを言っておりました。しかし、教科書のことも、詳しく説明をすると、まあもちろん立場上よく分かりましたとはもちろん言われないわけでございますが、しかし、私がかなり丁寧に説明をした結果、それ以上の反論はまあなかったのかなと思ったりもしております。
  91. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、認識がずれていると、そのずれをやはりきちっと、まあ戸惑っているということじゃなくて、やはり理性的に、やはり冷静にそのずれを分析し、検討していただきたい、そう思うんですね。  教科書のことを言われましたけれども、例えば今回合格した歴史教科書の中では、韓国の併合について、日本政府日本の安全と満州の権益を防衛するため韓国の併合は必要であると考えた、これは当時考え歴史的事実かもしれませんけれども、しかし、このことが何も注釈なしにぽんと教科書に出る。これについては、韓国の人たちは、また歴史学者は、政府も含めてかもしれませんけれども、村山談話から後退している、そういうふうに見てしまう、そういう現状があるということもしっかり踏まえていただきたいと思うんですね。  そして、今年は戦後六十周年になるわけですけれども、やはり同じ過去を通じて教訓を得る。例えばドイツですね。ナチス・ドイツの行ったあの戦争を徹底的に批判して次の世代に引き継ぐ、そういうことをずうっと繰り返してやってまいりました。その結果何が起きているかというと、例えば、昨年、ノルマンディー上陸作戦六十周年が行われましたけれども、連合国の首脳とともにドイツのシュレーダー首相がそこに参加する。そこでなかなか立派な演説をしているんですよ。どういうことかというと、我々ドイツ人は戦争を始めたのはだれか知っている、我々が歴史を前にした責任を自覚しており、それを誠実に担っていく、そういうことを言うわけですね。そして、結論的に言えば、全欧州とドイツをナチスから解放する重要な出来事がこのノルマンディー作戦だったし、契機をつくったという意味ですね、そういう評価をしているわけで、その点ではドイツと欧州諸国の、まあ世界と含めてもいいかもしれませんけれども歴史認識は共通のものになっているわけですね。  私はやはり、大きな作業が必要だと思いますけれども日本もそういうふうにして間違っていることは間違っているということをはっきり述べる、そして信頼関係をつくっていく、このことが必要だと思うんです。そのことを抜きにアジア諸国との信頼、善隣関係ということはつくっていけないと思いますし、そうすることが日本の大局、そして国益に沿った道だと、そう考えているところです。  もし大臣の方から何かありましたらお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  92. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 時間が迫っているようですから手短にいたしますが。  日本のそうした歴史認識を表明をしたその内容について僕は韓国中国との間でずれはないんだろうと、こう思います。ただ、むしろそれが言葉だけであると、行動が伴ってないと、そこにどうもずれがあるのかなと思ったりもしております。  ドイツのことについてちょっとしゃべり出すとまた何分も掛かってしまいますから今日はあえて触れませんけれども日本とドイツが同じ、類する、似たようなことはやったじゃないかと言うけれども、しかし、あのドイツの、ユダヤ人という、ユダヤという民族を抹殺するという、それはもう物すごい正に大犯罪行為とでもいいましょうか、の余りにもその衝撃の大きさと、日本の戦前やったこと、もちろんそれは人数に差があるとか性格に差があるということを議論してもこれしようがない部分もありますが、しかし彼らはある意味ではナチスというものにすべてを押し付けることができた。ナチスが悪いんだ、何かあたかもナチスという全く別の人たちがいて、これがあれはやったんだと。もっと言えば、これはドイツ人とはもう別の種類の人たちであったと言わんばかりのことで全部ナチスのせいにすることができた。  しかし、どうもそういう分類といいましょうか、は日本ではなかなかできないんですね。まあどうできないかというと、ちょっとこれ以上、済みません、もう理事からおっかない顔をしてにらまれましたからこの程度にいたしますけれども。いろんな意味で、日本とドイツがあたかも同じようにやって、で、ドイツはよくやっている、よくやっているということを盛んにこの間も盧武鉉大統領言われたそうですが、それは国情も違うし、戦前あったことも違うし、戦後の対応も違うし、そういう意味で私は、単純にドイツとの比較というものはいかがなものかと、こう思っております。
  93. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 重大な問題含まれていると思いますけれども、時間ですので終わります。
  94. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いします。  先ほど外務大臣日韓の間で歴史共同研究が過去三年間続いてきたという趣旨のお話がありましたけれども中国との間ではどのようになっているのか、教えてください。
  95. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 中国との間ではそういった共同研究会といったようなものは設けられておりませんけれども日中間の知的な交流事業を支援しましょうということで、日本中国の学識経験者あるいは学者研究者一緒になって何かやる事業について助成を行うと。その幾つかの助成事業の対象の中には、当然、歴史の問題というものも含まれているということで今日までやってまいりました。  今後もそれは進めていきたいと思いますが、改めて日中歴史共同研究委員会といったようなものを設けるかどうか、今後少しく議論をしていきたいと考えているところです。
  96. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 引き続き外務省にお伺いします。  竹島問題が今回問題になった主なきっかけは、去る三月十六日の島根県議会が竹島の日の条例を可決成立させたことにあると思われます。  島根県議会の条例制定の動きについては早くから韓国側が憂慮の念を表明しておりましたので、外務省としては同条例が制定されれば外交問題になるということは認識されていたのではないでしょうか。どう対応なさったんですか。
  97. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 外務省としては、地方の権限の範囲内で法令に従って条例の制定、改変が行われるという場合には、基本的には、それが大きく何か国の政策と違うとかいうような場合はどうか分かりませんが、基本的にはこれに異議を唱えるという立場にはないわけであります。地方分権という、地方も固有の権限というのがあるということであります。  という前提の上で、この条例の制定の動きに関して私ども関心は持っておりました。三月二日の日に島根県に対しまして、竹島の日が上程された二月二十三日以降の韓国、主として韓国のサイドでこういうことが起きていますよという事実関係を記載した資料だけは参考までに、島根県議会における審議の参考までに資料送付をいたしたところでございます。それ以上のことは、地方の権限の範囲ということであって、それ以上のことを私どもはしたわけではございません。
  98. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜこういう質問をしたかといいますと、御案内のとおり、一九九八年に高知県が高知の港に入港する外国艦船に対して核兵器を積載していないという証明書の提出を義務付けるための同県の港湾施設管理条例の一部を改正しようとしたときに、外務省として、政府としては、安保・外交問題は政府の専決事項として、まあどちらかといいますと、反発されたと理解しております。  しかし、今回、島根県のケースについて、今大臣がお答えになりましたようなケースですと、比較的島根県のケースは高知県に比べて問題が軽いというふうにお考えになったわけですか。
  99. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 高知県の状況のことは、私もつぶさに今手元にちょっと資料もないので正確には覚えておりませんが、当時、自民党内にありましてそれなりの議論があったことも覚えております。  さっき申し上げましたように、地方の権限の範囲内で条例等の改廃は基本的にはこれに異議を唱えないと、こう申し上げました。基本的にはという意味は、その条例等が大きな国の政策、例えば外交・安保といったような分野で大きな国の政策と違わない場合に一々これについて言うことはなかろうと。竹島について日韓で立場が違うということは、それはある意味では分かっているわけでございますから、もしも、もしも島根県議会が、こういうばかげた想定をしてもしようがありませんが、竹島は韓国の領土であるということを何か条例で、何か条例で決める話じゃありませんが、もしそういう国の考え方と全く違うことでもやろうとしたのなら、それはちょっとおかしいんじゃないですかということはもっとはっきり言ったかもしれません。  僕はやっぱり、その高知県の当時の動きというものをちょっと詳細には覚えておりませんが、やはり国の大きな外交・安保の政策とはやっぱり明らかに違う方向を向いておられるので、それについて一定の意見を言ったのか、ちょっと何をやったかすら記憶にないので余りこれ以上は申し上げませんけれども、それは少し違うんじゃないですかということはかなりはっきり言ったのではないんでしょうか。すべてどうぞ御自由にというわけにはまいらない部分もございます。
  100. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 三月八日付けの朝日新聞によりますと、島根県議会が竹島の日の条例制定に踏み切った背景には、竹島周辺海域の漁業権益をめぐる韓国との対立があって、地元漁民は事実上操業ができない状態なのに政府側の対応が生ぬるいので不満が募っていたとのことです。  そこで、水産庁にお伺いしますが、一九九八年末に竹島周辺での漁業をめぐって日韓漁業協定締結されていますが、水産庁としては安全操業のためにこれまでどのような対策を取ってこられたのか、また協定の実効性を含めて現状はどうなっているのか、簡潔に御説明ください。
  101. 竹谷廣之

    政府参考人竹谷廣之君) お答えいたします。  竹島周辺水域につきましては、現在の日韓漁業協定に基づきまして北部暫定水域というものが設定されております。この水域におきましては、今御指摘のように、韓国漁船の操業隻数が多い、あるいは漁具の設置が多いということで、日本漁船といたしましてなかなか十分な操業が行えないといった面がございます。  しかしながら、日本漁船もこの水域におきましては、イカ釣り漁業でありますとかベニズワイガニの漁船が出ておりまして、年間三百隻ほど出ておりますし、また直近の数字でいいますと六千八百トンほどの漁獲量を上げております。そういった操業状況でございます。  この水域におきましては、それぞれの国がそれぞれの自国の漁船の管理をするといういわゆる旗国主義を取って運営されることになっております。したがいまして、水産庁といたしましては、海上保安庁と連携をいたしましてこの操業秩序の維持と、それから安全操業の確保に努めているところでございます。
  102. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは通告してございませんが、率直な御意見として伺いたいんですが、外務大臣にお願いいたします。  今朝の沖縄の新聞によりますと、国内の安全保障や国際政治、米外交、米軍戦略などを専門とする学者たちが、米軍再編と沖縄変革のグランドデザインと題する報告書をまとめたようでございます。その中で、在沖縄米海兵隊のすべてを国外を含む沖縄県外に移転できるとの構想を提示しているとのことですが、御承知でしょうか。
  103. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 承知しておりません。
  104. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もし内容を検討されて、それが理にかなうものとしたら、外務省の政策として取り上げられるおつもりはございますか。
  105. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 余り内容を知らないであれこれコメントをすべきではないんだろうと思いますが、沖縄の海兵隊の抑止力というものは大変大きなものがあると、私どもはそう理解をいたしておりますので、沖縄海兵隊がすべて海外ですかに行くという事態は、私の知見の範囲内でそういう状態というのは、近い将来想定できません。
  106. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお願いします。  今月初め、イラクに派遣されていた沖縄駐留の米海兵隊の第三一海兵遠征部隊が相次いで普天間基地に帰還しました。普天間に帰還した兵員数及び大型ヘリ等の軍用機数と、今後更なる帰還があるのかどうか、その見通しについて把握している範囲で結構ですので、御説明ください。
  107. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答え申し上げます。  イラクに派遣されていました第三一海兵機動展開部隊の約二千名が、今御指摘がございましたように四月二日に沖縄に戻ってきております。それに伴いまして、在日米軍施設・区域にCH53D型六機を含めまして総数約二十機のヘリが戻ってきているというふうに承知しております。  今後の帰還の見通し等につきましては、米軍の運用の詳細に当たりますので、政府としてこの場で申し上げることは困難な点がございますけれども、一般的に米側からは、イラクに派遣された部隊については、今後、本来沖縄に駐留する規模の部隊が沖縄に展開することになるであろうという説明は受けておる次第でございます。
  108. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 米海兵隊は、帰還したと思ったらすぐに普天間基地での訓練を開始して、去る四月七日には、沖縄県の騒音測定結果では、騒音発生回数が去る二月から三月にかけて一日平均四十回ほどだったのに、たった一日でその三倍強の百二十六回に上ったと報じられています。訓練機は昨年八月に墜落事故を起こしたCH53大型ヘリの同型機も加わっています。  これまで政府に対して、宜野湾市を始め沖縄県から、もうイラクに派遣された兵隊は帰すなとかヘリは帰ってほしくないということがたびたび言われたわけなんですが、このような状態が続いておりますけれども、再び事故でも起きたら一体どう対応なさるおつもりですか。
  109. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) イラクに派遣された海兵隊が帰還後、訓練等運用を行われているということでございますが、基本的に沖縄に駐留しています海兵隊というものが高い機動力、即応性というものを有しておりまして、在日米軍の重要な一役を担っておると、それを通じまして我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与しているというのが基本考え方でございます。  ただ、同時に、地元でいろいろな御負担をお掛けしているというところは政府としても十分承知しておる次第でございまして、ヘリの安全な運用等については、米側にこれまでも働き掛けてきておりますけれども、引き続き最善、細心の注意を払うべしということで米側に働き掛けを行っていく次第でございます。  それからまた、騒音の問題等もございまして、米側にはしかるべく申入れをしておりますが、米側からは、ヘリの運用につきましては運用上不可欠なものにとどめるということで回答を得ている次第でございます。
  110. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお願いいたします。  長崎県の佐世保を母港としている米海兵隊揚陸艦部隊は普天間基地所属の米海兵遠征部隊とともにイラクの自由作戦に派遣され、インド洋やアラビア海などで活動していましたが、今月六日に佐世保に帰港したと報じられています。この米揚陸艦部隊の第十一水陸両用戦隊司令のマーク・ダナヒュー大佐が帰港時の記者会見で、ドック型輸送揚陸艦ジュノーはオマーン湾の海上で海上自衛隊の補給艦から燃料の提供を受けたことを明らかにし、謝意を述べたと言われています。  イラクの自由作戦に派遣されている米艦船に海上自衛隊の補給艦が給油したのは事実ですか。
  111. 大野功統

    国務大臣大野功統君) テロ対策特措法に基づきましてインド洋に派遣しております海上自衛隊補給艦「ましゅう」でございますけれども、この「ましゅう」が米揚陸艦ジュノーに対して燃料を提供したことは事実でございます。二回いたしております。ただし、燃料提供の際、米揚陸艦ジュノーに対しまして、いわゆる不朽の自由作戦に従事中であったということを確認いたしております。  したがいまして、我が国といたしましては、米軍等に対して行う協力支援活動が九・一一テロによってもたらされております脅威の除去のための諸外国の活動に対して支援を行っている、このことを目的としたテロ対策特措法に基づくものであることは言うまでもありませんし、そのことにつきましてはきちっとアメリカ等との間で交換公文で明記しているわけであります。したがいまして、先方との協議の場でテロ対策特措法の趣旨についてきちっと説明しておりますし、先方は十分了解しているわけであります。  このような関係で、我が国が提供した物品についてもテロ対策特措法の目的に合致して適切に使用されているものと考えております。
  112. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  113. 林芳正

    委員長林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  114. 林芳正

    委員長林芳正君) 社会保障に関する日本国ベルギー王国との間の協定締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国政府フランス共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。町村外務大臣
  115. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ただいま議題となりました社会保障に関する日本国ベルギー王国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、従来からベルギーとの間で人的交流に伴って生ずる年金制度及び医療保険制度等への二重加入等の問題に関する協議を行ってきましたが、この問題の解決を図ることを目的とする協定締結することでベルギー側と一致し、平成十五年十月以来、両政府間で協定締結交渉を行ってまいりました。その結果、本年二月二十三日にブリュッセルにおいて、我が方内藤特命全権大使と先方デ・フフト外務大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日・ベルギー間で年金制度及び医療保険制度等の適用の調整を行い、具体的にはこれら制度等への加入に関し、就労が行われている国の法令のみを適用とすることを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者等の場合には、原則として五年までは自国の法令のみを適用とする等の調整を行うこと並びに保険期間の通算による年金の受給権を確立すること等を定めるものであります。  この協定締結により、年金制度及び医療保険制度等への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結についての御承認を求める次第であります。  次に、社会保障に関する日本国政府フランス共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、従来からフランスとの間で人的交流に伴って生ずる年金制度及び医療保険制度等への二重加入等の問題に関する協議を行ってきましたが、この問題の解決を図ることを目的とする協定締結することでフランス側と一致し、平成十四年九月以来、両政府間で協定締結交渉を行ってまいりました。その結果、本年二月二十五日にパリにおいて、我が方平林特命全権大使と先方ラフォン外務次官との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日仏間で年金制度及び医療保険制度等の適用の調整を行い、具体的にはこれら制度への加入に関し、就労が行われている国の法令のみを適用とすることを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者の場合には、原則として五年までは自国の法令のみを適用とする等の調整を行うこと並びに保険期間の通算による年金の受給権を確立すること等を定めるものであります。  この協定締結により、年金制度及び医療保険制度等への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料の負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかな御承認をいただきますようお願いをいたします。
  116. 林芳正

    委員長林芳正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ります。     ─────────────
  117. 林芳正

    委員長林芳正君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のうち、我が国アジア外交について参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会