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2004-12-01 第161回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十二月一日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      秋元  司君     山東 昭子君  十二月一日     辞任         補欠選任      山東 昭子君     秋元  司君      松井 孝治君     大塚 耕平君      浜田 昌良君     白浜 一良君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 市川 一朗君                 小野 清子君                 岡崎トミ子君                 森 ゆうこ君     委 員                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 竹山  裕君                 中曽根弘文君                 西銘順志郎君                 大塚 耕平君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 円 より子君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 黒岩 宇洋君                 近藤 正道君    衆議院議員        内閣委員長    松下 忠洋君        内閣委員長代理  宇佐美 登君        内閣委員長代理  菅  義偉君        内閣委員長代理  馳   浩君        内閣委員長代理  藤田 一枝君        内閣委員長代理  山井 和則君        内閣委員長代理  福島  豊君        内閣委員長代理  山口 富男君    国務大臣        厚生労働大臣   尾辻 秀久君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    村田 吉隆君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西銘順志郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣国民生活        局長       田口 義明君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁刑事局長  岡田  薫君        金融庁総務企画        局審議官     中江 公人君        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     江嵜 正邦君        文部科学大臣官        房審議官     山中 伸一君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        金子 順一君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○金融機関等による顧客等本人確認等に関する  法律の一部を改正する法律案衆議院提出) ○発達障害者支援法案衆議院提出)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから内閣委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、浜田昌良君及び松井孝治君が委員辞任され、その補欠として白浜一良君及び大塚耕平君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機関等による顧客等本人確認等に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、内閣国民生活局長田口義明君外四名を、また、発達障害者支援法案審査のため、警察庁長官官房長安藤隆春君外四名を、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 金融機関等による顧客等本人確認等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 円より子

    円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。  本日は、いわゆるおれおれ詐欺の現状と政府対応策につき、これを防止するために、金融機関等による顧客等本人確認等に関する法律の一部を改正する法案衆議院内閣委員会委員長提案として提出され、本院に送られてきておりますので、本日お越しいただきました菅議員藤田議員及び政府参考人方々にお伺いしたいと思っております。  このいわゆるおれおれ詐欺でございますが、この被害は、警察庁のまとめによりますと、昨年一月にはたった十五件だったと聞いております。それが二月には三十件、三月には三十二件と増加していきまして、年末、去年の年末、十二月には千百九十一件にまで急増しまして、何と昨年一年間で計六千五百四件が認知されて、被害総額は四十三億一千八百円余りであったと伺っております。  今年に入っても、最近では九月の一か月間に千七百一件にまで増加しまして、今年はこの九月までの九か月間の被害総額が百二十九億三千四百七十六万円と、既に昨年一年間の被害総額の九月までで何と三倍にも達しております。  また、事件一件当たりの被害額は、昨年、平成十五年中では九十九万九千八百三十一円でありましたが、今年、平成十六年上半期には百五十六万七千五百十六円、九月ではもう百七十万六千円余りということになっておりまして大変増加している、そういう状況なんですが。  実は先週末、私、新潟中越地震被災地に、民主党で全国の皆様方募金活動をいたしましたところ千五百万円余集まりまして、それを被災地に分けますと少額になりますので、協議した結果、新潟県にそのカンパを災害本部事務局長としてお届けしたところなんですが、一か月余たちまして、大分被害の後、復興支援もできてきてはおりましたけれども、まだまだ体育館等でお過ごしになっている高齢者方々は体調を崩していらっしゃいますし、これから、豪雪地帯ですから、雪が降ってまいりますと、ようやく難を逃れた家がどうなるのか、また、仮設住宅に入られた方はいいですが、これから家の補修や再建大変だと、大変皆様方不安になっていらっしゃる。  その新潟中越地震被災地でも、自衛隊員をかたって、家族が交通事故を起こしたので、ヘリコプターで緊急輸送する必要があると言って現金をだまし取るような、そうしたおれおれ詐欺も発生しておりました。  そもそもこのおれおれ詐欺というのは、人の弱みというか温かい気持ちに付け込むというのか、どういう犯罪で、その手口はどうなっているのか、また、なぜそれがこんなに増えてきているのか。警察の方でその背景理由手口についてお聞かせいただければと思います。
  7. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 被害状況その他について詳しくお話ししていただきましたけれども、このおれおれ詐欺と言われるものの手口につきましては、息子さんですとか、あるいは娘さんの場合もございます、子供さんとか、場合によっては知人を名のるようなこともございますが、そういったふりをして被害者の方に電話を掛けて、多くのものは交通事故関連のものが多いんですけれども示談金の名目で現金を要求する。そうしたことから被害者の方が大変不安を抱いて、その不安に付け込んで預貯金口座に振り込ましてだまし取ると、そういう手口といいますか類型でございます。  この種の類型につきましては、従来は比較的単純といいますか、その登場人物一人であったものが、御指摘にもありましたように、警察官ですとか弁護士、あるいは自衛隊の人、さらには背景にパトカーの音を鳴らしたりとか、ざわざわした雰囲気を作ったりというように、かなり形態も高度化してきているという実態にあるのではないかというふうに思います。  こうした詐欺が増加した背景についてでございますけれども、その背景についてはいろいろなことが考えられるのだろうと思いますが、やはり一つには、電話とか預貯金口座というものが、比較的簡単に入手できるものが手近にあって、模倣性も強い、そういう犯罪類型のせいだと思います。  それからまた、犯行が非面接、まあかつての詐欺というのは相手と顔を合わして犯したんですが、顔を合わせないということで若干抵抗感が薄れるようなこともあろうかと思います。  利用されるまた預貯金口座、あるいは口座というのは、転売された他人名義のもの、架空名義のものが大多数であります。電話もまた使用者の把握が極めて困難なプリペイド式携帯電話等が使われて匿名性が高いわけであります。そうしたことから、私どもとしてはいささか残念ですが、検挙状況が必ずしも十分ではない。それから、こうしたツールインターネットを通じて容易に入手されて犯行を助長しているというようなこともあるのではないかと思います。  そうした要因が重なってこの種の詐欺が増加しているのではないかと、このように考えております。
  8. 円より子

    円より子君 おれおれ詐欺は本当にこんなに激増しておりまして、それも、今お答えいただいたように、劇場型なんて言われるような、看護婦さんや医者や、もういろんな人たちが次々と電話に出てなんていうようなことも聞いておりますけれども、おれおれ詐欺ではなくて、詐欺事件全体は増加しているんですか、近年。
  9. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 詐欺事件全体についてお尋ねでございますが、今年一月から九月までの詐欺全体の認知件数は約六万件でありまして、前年同期に比べますと一万八千件余り増加をいたしております。それから、本年一月から九月までの検挙状況は一万八千件余りで、これはまあ若干減少していると、そういう状況でございます。
  10. 円より子

    円より子君 おれおれ詐欺検挙率が低いと先ほどもおっしゃっていましたけれども、昨年が二・八%、今年一—九月が、やや上昇したものの六・三%にとどまっていまして、今六万件ということで、前年から一・八万件増えた詐欺事件全体の検挙率は約半分の五〇・四%ですから、全体の詐欺事件に比べますと検挙率大変低いですね。  これはやはり、今おっしゃったような非面接型で匿名性が高いということや、電話預貯金口座、こうしたツール、二大ツールを利用しているからということなんでしょうか。それとも、ほかに何か検挙率が低い理由がございますか。
  11. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 今御指摘の点が大変大きいんだろうと思いますが、そのほか私どもの反省としては、この種の犯罪が大変広域的に行われるものですから、体制面に若干後れがあると。今いろいろと充実した様々な対策を取っておりますが、そういった側面もあったのではないかと思います。
  12. 円より子

    円より子君 そもそも、そのおれおれ詐欺犯行主体といいますか、口座屋というのが存在するとかいろいろ言われておりますけれども、他の詐欺犯との違いがあるのか、個人がやっているケースが多いのか、それともこれは組織犯罪的な何か大きなグループなのか、その辺はつかんでいらっしゃいますか。
  13. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 実は詐欺にもいろいろな手口がございまして、比較的単独で行われるもの、無銭飲食とか、非常に簡単なものは、そういうものは比較的個人で行われますが、いわゆる地面師とか不動産絡み詐欺とかいったものはかなり組織的に行われることがあります。このおれおれ詐欺につきましては、当初の段階では比較的個人的な犯罪が多かったのだろうと思いますけれども、最近の形態ではかなりやはり集団化しているといいますか、仲間、グループを作っての犯行というのが多くなっているように思います。
  14. 円より子

    円より子君 このおれおれ詐欺は、多くの場合に振り込み先として他人名義架空名義預貯金口座が用いられていると聞いております。そのため、口座売買譲渡規制する法案が今回委員長提案という形で提出されたわけでございますが、既に金融機関預金者との間の預金契約規定の中に預金口座譲渡を禁止する旨の規定があり、おれおれ詐欺のような不正利用のために口座譲渡された場合には、預金契約に基づいて銀行の側で預金取引停止するなどの措置を講じているということなんですが、こんなにおれおれ詐欺が増えているといいますのは、こうした金融機関預金契約規定が今まで機能しなかったのでしょうか。この辺、金融庁にお聞きしたいと思うのですが。
  15. 中江公人

    政府参考人中江公人君) お答えいたします。  先生指摘のように、今銀行とそれから口座開設者との契約におきまして、一般的に預金口座他人譲渡してはならないといったような趣旨規定が設けられておりまして、これに違反した場合には、預金取引停止とかあるいは口座強制解約ということを行っているところでございます。ただ、なかなか、この預金口座売買というものが金融機関の関与しないところで行われるということでございますので、なかなかその実態が把握しにくいというのが実情でございます。  ただ、この預金口座不正利用というのが、先生指摘ございましたように、こういったおれおれ詐欺といった犯罪の温床となっているということは事実でございますので、これはまた私どもにとりましても、利用者保護ですとか金融システムに対する信頼の維持の観点から極めて重要な問題であるというふうに認識をしているところでございます。  そこで、金融庁といたしましては、昨年の九月に金融団体に対しまして、金融機関におきまして本人確認を更に徹底をしますとともに、必要に応じて預金取引停止又は強制解約を行うなどの適切な口座管理に一層努めるよう文書で要請をしたところでございまして、これを受けまして、各金融機関におきましても適切な対応を図っているものと承知をしております。  また、私ども金融庁ですとかあるいは財務局にいろんな預金口座不正利用に関する情報が寄せられております。これにつきましては速やかに金融機関情報提供をしておりまして、この一年間で約六千五百件ぐらい情報が提供されておりまして、これを金融機関に提供しておりますけれども、その中で三千三百件程度この預金取引停止しております。それから、二千二百件程度口座強制解約を行っているところでございます。  今後ともこの金融機関口座管理徹底については努力していきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
  16. 円より子

    円より子君 一体おれおれ詐欺なんというのはどういう人が掛かるんだろうねと言う方もいらっしゃるんですけれども被害者の、女性が七六%にも上っている、それも五十代の女性が多いなんという統計が出ているんですけれども内閣府の国民生活センターでは消費者の人権を守るというような形で随分相談啓発、PRなどもしていらっしゃいますが、このおれおれ詐欺に関しては警察啓発活動をしていらっしゃるのか、それともやっぱり国民生活センターなどでも支援体制をやっていらっしゃるのか、その辺お分かりになりましたら教えていただきたいと思うのですが。
  17. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えを申し上げます。  国民生活センターでは、各地の消費生活センターをオンラインで結びましたいわゆるPIO—NETシステムによりまして、消費生活に関する各種の苦情相談情報を収集しているところでございます。このPIO—NETによりますと、身に覚えのないいわゆる架空請求、こういったものに関する苦情相談が多く寄せられているところでございます。最近特に急増しておりまして、昨年度は全体で約四十七万六千件、また今年度も十一月半ば現在で既に三十万件を超えているという状況でございます。  こういった状況を踏まえまして、国民生活センターあるいは内閣府含めまして、こういう架空請求に関する消費者トラブルに対しまして広報啓発を図っているところでございます。ポスターやリーフレットの配布、あるいはテレビ、ラジオ等を通じまして消費者への注意を呼び掛けているという状況でございます。
  18. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 今警察以外のことございましたけれども警察といたしましても、国や県の関係機関あるいは消費者センターと連携した上で防止活動もやっていますし、単独でのホームページを開設したり、広報活動を行ったり、あるいは広く現場の警察官がそういった被害状況を広報したりして抑止活動に努めているところでございます。
  19. 円より子

    円より子君 実は私の隣にいらっしゃる森さんのお母さんのところにもおれおれ詐欺電話があったというのを先ほど聞きまして、ちょっと申し上げますと、おいのふりをして電話が掛かってきて、やっぱりよく似た形で、そしてどうしても今緊急に必要で、自分の親には言わないでくれという形で何百万振り込んでくれという電話があったそうなんです。ところが、森さんのお母さんはしっかりしていらっしゃいまして、ということは被害者が別にしっかりしていないというふうな、そういう言い方をするわけではないんです。もうそれは物すごく巧妙に、詐欺というのは、うちの親なんかでも昔、私、両親が夫婦げんかをしているのを小さいころ嫌だなと思っていたのは、母親が大島つむぎをだまされて買ってしまって、父親がこんなすぐ分かるようなのを何十万も使ってと怒っていましたけれども。そういうことだから、だれでもあり得るんだとは思いますけれども、その森さんのお母さんのところでは、懇々と、そんな親に黙ってそういうことをしちゃいけないと、きちんと親に話して、そしてお金をどうするかを決めてもらいなさいとすごい説教をしたらしいんですね。それで、おれおれ詐欺をやろうとした犯人といいますか相手方は、途中でもう説教されて嫌になって電話をがちゃんと切ってしまったということらしいんですが。  多分、ここに出ている被害が急増しております、そして被害額も急増しておりますが、多分警察に届いていないそういう未遂の件数というのは物すごく多いんだと思うんですね。その氷山の一角がここに出ておりますので、できる限り、しばらく会ってなかった息子や、今一体、勝手にどこかへ行っちゃって、ちゃんと無事で旅行から帰ってきたのかしらとか、やっぱり親は心配しますから、そういう心配する子への愛情、思う情のところに付け込んでくるというような、上手なやり方なんでしょうけれども、できるだけ啓発やそういうものをなさっていただきたいと思っているんですが、今国民生活センターの方のPIO—NETのお話いただきました。  この架空請求とか不当請求というのもまたおれおれ詐欺とは違って大変急増していて、これは私の一緒に仕事をしている知人の方なんですが、中学生のお嬢さんのところに携帯電話の二万九千円の請求が来て、何でそんな二万九千円も来たのかと思いましたら、アダルトサイト入会通知と会費の督促があったんですね。これは彼女は見ていたわけじゃなくて、変なのが送られてきたから抗議をしようと思っていろいろ番号を押しているうちに、多分ミスで、ミス操作で入会させられてしまっていて、そしてその督促がもう次から次に来るから恐ろしくなって、何かそういうものだったので親にも相談できず、支払おうかどうしようか、でも二万九千円というのは子供にとっては大金ですから、思い余って父親相談して、父親が全部その業者とそれから電話会社等々に、携帯会社等々にやった記録を私送っていただいたというのがあるんですが、多分無差別に送っていますから、相手未成年だろうと何だろうとお構いなしなんだと思うんですね。  こういう架空請求不当請求が、口座売買とはまたちょっと違うかもしれません、これ調べれば、振り込んでくれという口座がもしかしたら架空のものということもあり得るかもしれませんが、プリペイド携帯ではない、ごく普通の携帯でもこうしたことがもう山のようにどうも起きている。それがまた未成年子供たちのいろいろなトラブルを起こす原因にもなっているということを考えますと、今回のこの預貯金の通帳の授受等罰則を設けるという法改正、大変、衆参両院議員皆様方の御努力によって提案されたことに改めて敬意を表するものではございますが、こうした電話の方の、先ほど警察庁の方からも、今回、検挙しにくいのは、面接式詐欺ではない、電話での、見えない、そういう詐欺だから検挙しにくいというお話もありましたが、こちらの側の規制もしなければいけないのではないか。  その点について今回この法案には盛り込まれなかったのはどういう理由なのかを併せて、できれば、お二人議員の方がいらしていますが、藤田議員からでもお答えいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
  20. 菅義偉

    衆議院議員菅義偉君) 私の方からこの盛り込まれなかった理由について答弁をさせていただきたいと思います。  確かに、このおれおれ詐欺は、匿名性の高いプリペイド形式携帯電話、さらにもっと、ポストペイド携帯電話も、これレンタルに使われておりまして、匿名性であります。これと、今法案として提出させていただいています銀行、この二つがやはりしっかりと本人確認ができて初めてこの詐欺というのは私は完全になくなるというふうに思っております。  ただ、携帯電話の場合は様々な難しい問題が実はあるわけでありますが、先ほども申し上げましたけれどもプリペイドだけでなくてポストペイドにもレンタルをされている、そういうことも考えまして、とにかくできるものから早くやるべきじゃないかと、これだけ数多くの国民被害に遭っているので、そういう理由から、まず早くという形でこの銀行口座提案をさせていただいて、同時進行状況の中でプリペイド又はレンタルも含めて、この携帯電話規制も是非やり遂げていきたいと、こう思っております。
  21. 円より子

    円より子君 このプリペイド式携帯電話というのが利用者の身元を特定しにくいわけですが、この事業者契約約款というんですか、ここには、販売窓口では身分証の提示が求められていると聞いておりますが、これがどこまで徹底されているか疑問ですし、携帯インターネット上では、口座三万で売りますというところに、口座、飛ばし、販売いたしますと書いてあって、私最初、飛ばしって何ですかなんて言って笑われたんですが、これが携帯のことらしくて、このように口座携帯販売対象になっていて、お金に困った主婦が売るというような、逆に売る側の犯罪者になっていくというようなこともあったりで、できるだけ両方の規制をなるべくしながらということが考えられるのかと思いますが、プリペイドだけでなく、さっき言ったような未成年の、青少年に対する携帯の問題もありますし、インターネットの問題もありますので、是非慎重に考えてやっていっていただきたいなと思っております。  ところで、こうした、今回は預貯金口座売買等に対するきちんと規制とそれから罰則ができたわけですけれども、この法案によっておれおれ詐欺自体がかなり減るとお思いでしょうか。この辺について、議員とそれから警察の方にちょっとお伺いしたいと思うのですが。
  22. 藤田一枝

    衆議院議員藤田一枝君) お答え申し上げます。  今いろいろ御指摘がございましたように、今回、この法案口座規制ということで、もう一つツールである携帯電話等についての規制が行われておりません。そういった意味では、この法案をもってすべてが解決するということではないというふうに考えますけれども、しかし、従来処罰の対象ではなかったこの預貯金通帳等の譲渡しあるいは譲受けあるいは勧誘、誘引、こういったものが今回罰せられることになりまして、それを突破口としてこのおれおれ詐欺事件等の検挙にも大きく結び付くのではないか、このように期待をしておりますし、また、こうした問題が処罰の対象になるということで、相当の犯罪抑止効果と申しましょうか一般予防効果と申しましょうか、そういうものが見込まれる、このように考えているところでございます。
  23. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 今御答弁にありましたことと私どもも基本的には同じでございますけれども、いずれにしても、取締りあるいは犯罪防止について責任を有します私どもといたしましては、新しい武器をいただくわけでございますので、それらを十分活用しますとともに、それだけではなくて、内部体制、内部のお互いの連携とか仕事のやり方についても更に充実をさせていって、この種の犯罪の減少に努めてまいりたいと思います。
  24. 円より子

    円より子君 おれおれ詐欺だけのことではなくて、ちょっと本日は昨今の我が国の治安情勢に関してもお伺いしたいと思っているんですが、犯罪が急増しており、それも凶悪犯罪が増えているといったような報道が随分このごろなされているように思いますし、確かに、小さな子供さんが誘拐され遺体で発見されるというような事件ですとか、また一家全員が惨殺されるような事件ですとか、そういう犯罪が新聞報道やテレビのニュース等で繰り返されておりますと、本当に日本の治安が悪くなっているんではないかというふうにも思いますし、また、警察が出されている白書などでも、検挙率が下がっているので交番を増やしたり、空き交番をなくしたり、いろいろ手当てをしなければいけないと、警察の方でも随分対策を練っていらしてというふうには聞いておりますが、本当に凶悪犯罪が増えているのかどうか。ただ人々の不安をあおっていてもいけないと思いまして、治安対策のために当然警察が信頼され、また検挙率を高めていくということは大変大事なんですが、ちょっと最近の刑法犯の数の推移、それからその件数に占める凶悪犯と窃盗犯の割合の推移等、この数年間でお分かりのところがあれば教えていただきたいんですが。
  25. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) まず、最近の刑法犯全体の推移でございますけれども平成八年以降、年々刑法犯の認知件数が戦後最多を記録してきておりまして、平成十四年まで七年連続して戦後最多を更新し続けているという状況がございます。  ただ、昨年、平成十五年は前年に比べまして二・二%減少しまして、本年も十月末現在では昨年同期と比べまして減少しておりまして、犯罪の増加傾向には一応の歯止めが掛かりつつあるという状況かなと思いますけれども、全体の数を申しますと、昨年の犯罪認知件数が二百七十九万件ということで、これは治安が良いと言われておりました昭和期の約二倍でございまして、大変厳しい状況であろうかと思います。  次に、凶悪犯罪でございますけれども、殺人、強盗、放火、強姦、いわゆるこの四罪でもって凶悪犯罪というわけでございますが、この推移につきましては、平成十年に四罪の合計で八千二百五十三件であったものが平成十五年には一万三千六百五十八件と、五年間で約一・七倍になっているという状況でございます。  また、窃盗犯の占める割合でございますけれども平成十五年は二百七十九万件が全刑法犯の認知件数でございますが、そのうちの約八割を占めます二百二十三万五千件が窃盗犯でございます。この割合についてでございますけれども、例えば五年前の平成十年で見ますと、窃盗犯の全刑法犯に占める割合は八八%でございましたので、窃盗犯の占める割合は減ってきていると。その代わり他の犯罪が増えているという状況があろうかと思います。  また、全刑法犯に占めます凶悪犯の割合についてでございますけれども平成十五年と平成十年を比べてみますと、全刑法犯に占める凶悪犯の割合、平成十年が〇・四一%でございましたけれども平成十五年は〇・四九%ということで、絶対数は少ないんですけれども、〇・四一から〇・四九という形で凶悪犯の割合が増えてきているという状況がうかがわれるところでございます。
  26. 円より子

    円より子君 凶悪犯の中にはどういう犯罪が入りますか。
  27. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 凶悪犯と申しますのは、先ほど申しましたが、殺人、強盗、放火、強姦の四罪をもって先ほどの〇・四九%の数としております。
  28. 円より子

    円より子君 実は私はかなり長い間法務委員会に所属させていただいておりまして、少年犯罪や、またこうした凶悪犯のことを随分やってきたんでございますが、今凶悪犯罪とはと聞きまして、殺人、強盗、強姦、放火、この四つだというふうにお聞きしましたが、この強盗が増えましたのは、私も強盗というのは大体イメージからいうと、法律的なとか学問的なことではなくて、もう全く、ぱっと聞いたときに、家に押し入って家人を縛って、そして脅してお金、金品を取っていくというようなイメージがあったんですが、強盗が増え始めたところのを見ますと、ほとんどが街頭で万引きとか人からゆすって取って、そのときにたまたまナイフ等の持っている子供たちの、ちょうど木村拓哉が、ジャックナイフみたいなのは何というんでしょうね、飛び出しナイフを持ってとても格好良くて、それを子供たちがみんな持っていて、そしてそのときに全部それが強盗として数えられるようになったとか。  それから、強姦は、一人の女性に対して、こんなことはもちろんあってはならないことですが、一対一であっても一対五であっても、強姦なんて本当に女性の人間としての尊厳を失わせるひどい犯罪だと思いますが、それを五人、六人という男性が強姦をしたことでそれを一件ではなく五件に数えるとか、そんな話を聞いたんですね。それで突然強盗や強姦が増えたとか。  また、それが本当かどうか、それは法務委員会でお聞きしてそういう御答弁もあったんですが、それからもう一つは、桶川でのストーカー事件で殺された女性の問題があってから、かなりいろいろそうした問題に対して、検挙ではないですが、認知の件数が増えたというようなことで、本当は検挙率、それほど警察の力が私は落ちていないというふうに聞いているんです。ただ、様々なそういう認知件数が増えたがために検挙率が数字上、見掛け上落ちたようになっているというふうにも聞いているんですが、その辺りの真偽のほどを教えていただけますでしょうか。
  29. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 最近、その辺についていろいろ御議論はあるようでございます。恐らく、警察の力はそれほど落ちていないとおっしゃっていただけているのは私どもとしてはある意味では有り難いと思っていますし、それにおごってはいけないとは思いますけれども、ただ、要因をいろいろ、犯罪の増加要因といいますか、あるいは認知の増加要因というのは、私ども考えておりますのは、実は手口によって相当違いまして、今強盗の例がございましたが、例えば十年前の侵入する強盗とそれから侵入しない強盗がどう増えているかといいますと、侵入しない強盗は四倍ぐらいに増えているわけです。侵入する方の強盗は二・四倍ぐらいに増えているわけですね。だから、いずれも増えているんですけれども、その増え方の意味にはいささかやはり違いはあると思います。ですけれども、増えたのは、何といいますか、泥棒に毛の生えたような強盗だけが増えて、本物の強盗は増えていないと考えるとちょっと間違いが生じるんじゃないかと思います。  それから、強制わいせつとか性犯罪のような犯罪ですと、結構かつてから暗数の目立つ犯罪でございますので、被害者対策が進んだり、あるいは周りの方たちが新たな犯罪を防ぐために、やはり自分たちは名のり出るべきときは名のり出なければいけないんじゃないかというようなお気持ちが高くなれば、それはそれで数字上の認知は増えるけれども実際は増えていないと、そういう部分がその種の罪種には一部あるかもしれません。  ですから、そういった個々具体的には様々な要因があるんだと思いますけれども、強盗などを見ると、実質的にもといいますか、大変増えているしという状況があるのではないかと、このように思っております。
  30. 円より子

    円より子君 今日御出席方々に表などもお渡しすれば分かりやすかったかなと、今ちょっと反省しているところでございますが。  戦後からずっとこの刑法犯の認知件数、検挙件数、凶悪犯総数等々見ておりますと、本当に日本はそれほど、今少し増えているというようなお話もありますが、凶悪犯の総数はそれほど増えてないというところがありまして、少し、そういう事件が毎日毎日やはり報道されると多いように思ってしまうところもあるというそういうのがあって、余り私は、凶悪犯が増えて日本が本当に治安がひどくなったといって人々の不安や懸念を募らせるのもどうかなという気もしまして、少し、数字というのは大変便利なものですが、どうにでも結構使えるところもありますので、まあ、もちろん私たちも数字を使うときには心して使わなければいけないと思いますけれども、是非、何というんでしょうか、統計の取り方を変えたときは、またこういうふうに変えたとか、いろいろそれをやっぱり提示して透明性のある形でデータをいただくような形にしないと、どうも学者によって全然、いや増えていないんだという方といや増えているよという方が同じ数字を見ながらありますので、その辺はちょっとしっかりと私たちは慎重に対応していかなきゃいけないかなと思っているんですね。  それで、特に諸外国との比較におきますと我が国の治安は、これももし間違っていれば訂正していただきたいと思いますが、この数字も皆様に表をお渡しすれば本当よく分かったかと思いますが、国連統計によりますと、二〇〇〇年の十万人当たりの犯罪件数ですが、例えばアメリカは十万人当たり殺人が四・五五、物すごく高いですね。韓国が二・〇二、ドイツが一・一七とまあまあ低いんですが、そういう中で日本は〇・五なんですね。本当にアメリカの十分の一とか九分の一というような、九分の一ぐらいですね、というような状況ですし、強姦に関しましてもアメリカが三十二・〇五、イギリスが十六・二三、韓国が十二・九八に比べて日本は、まあ増えてきているといっても一・七八。もちろん諸外国と比較して少ないからいいということではないことも重々分かっておりますが、強盗に関してもアメリカは百四十七・三六で日本は四・〇七という状況でございまして、まだまだ日本は警察が頑張ってくださっていることもありますし、地域のコミュニティーやそういうものがしっかりしていることや教育が良いとか、いろんなことがあると思うんですね。ただ、やはりおっしゃるとおり不安が募ってきているというのは、犯罪の質が少し変わってきていたり、やはり地域のコミュニティーが崩壊しつつあって、今までは盛り場等であったような犯罪がもう本当拡大して住宅街で起きるようになって、どこが安心というところがなくなってきたりとか、様々な社会環境の変化があると思うんです。  その中で、私やっぱり大きいのは、児童虐待も増えている。その要因がただ、鬼のようなとよく表現されたり、簡単に報道はそういった言葉を使うんですが、母親が増えてきたとかそういう言い方をするんですが、私はかなり児童虐待の加害者の側にも会ったことが、かなりの大勢の方に会ったことがありますが、皆さんごく普通の方々というところもあって、それがこのバブルの崩壊後一貫して一九八〇年代後半まで、そのバブルが崩壊した一九八〇年代後半までは、一貫して窃盗犯を除く凶悪犯や粗暴犯の件数は減少してきているんです。それは、戦後の社会が、私どもの先人たちが本当に、廃墟と化した日本でもう本当に一生懸命働いてくださって、そしてようやく戦後の社会が安定し、経済が成長し、社会が豊かになる中で犯罪件数も減少してきたんだと私は思うんですが、また、このバブルの崩壊で経済的に困難な状況に陥る人が増えて、自殺者はここ数年三万人を超えておりますし、倒産、失業、本当に増えました。  今ようやく、そういう自殺をして生命保険で借金を返すというようなけなげな日本のお父さんたちの犠牲の上でようやく回復してきた経済の中ですが、それでも経済格差が広がり、同じように戦後みんな貧乏だった、そういう時代はみんな結構我慢ができるのが、同じように働いているのになぜ自分だけがこんなにとなると、やっぱり人というのはなかなか精神まできちんとりりしく保っていくということは難しくなるわけですね。  そういう中で、勝者と敗者の差が広がる中で、若者の失業率もまだまだ高い、そういう中で、社会復帰に困難を抱えた方々犯罪に走っている部分もあるんじゃないかというふうな気が私はしておりまして、警察がどんなに頑張っていらしても、小手先の対症療法ではこの犯罪を減らしていくということはできないのかなということは思うんです。まあ今日は村田国家公安委員長もいらっしゃいませんので、たまたま委員長提案のあれですから、また来年の通常国会でも国家公安委員長とこういったお話もさせていただきたいとは思いますけれども。  昨年十二月に警察庁政府と、これは警察庁は昨年八月に緊急治安対策プログラムをまとめられ、また政府の方で犯罪対策閣僚会議が昨年十二月に犯罪に強い社会の実現のための行動計画というのをお作りになりました。  私がちょっと心配しますのは、今言いましたような、社会全体の経済活動が低下し、そして格差が広がり、嫌な言葉ですが、負け組とか勝ち組なんという言葉がはやってしまうような世の中の中で犯罪がもし起きているとしたら、ただただ強い、犯罪に強い社会というようなうたい方でくくっていいものかなという気がいたしまして、警察権限の強化ですとか、そういうことだけにつながらないような、人々のコミュニティーを大切にしながら防犯なども努めていけるような、そんなことを是非考えていただきたいな、また、その警察権限の強化ですとか共謀罪の新設ですとか、新たな捜査手法の導入などの措置はできる限り慎重であってほしい。  そういう意味からお伺いしたいのですが、災害のお話、先ほどいたしました。災害地は地震の災害地だけではなく、台風二十三号、二十一号、ずっと私回ってきたんですが、ハザードマップみたいなものができていない。それも、上から押し付けて作るのではなくて、子供たちも含めて地域でそういうものを作っていれば、もっと、同じ日本は地震国、台風国でありましても被害を最少にできるのではないかと思っておりまして、同じように、防犯マップも、地域で、子供たちを含めた町内で、親と子が、近所の方々が作っていけるようなそういう取組をしていけば、警察との連携と相まって、監視カメラをただ付けるというような方向ではなくて、いい本当に日本の治安を守っていけたらなと私は思っているんですが、その辺りの警察の方の御意見を伺わせていただければと思います。
  31. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) ただいま委員指摘のとおり、犯罪の発生を抑止し、地域住民が安全で安心して暮らせる社会を取り戻していくためには、警察活動を充実強化するだけでなく、警察が地域住民や民間団体などとの活動と連携していくことが必要不可欠であるというふうに考えております。  最近、全国的に地域で防犯のための組織が新たに結成されたり、町内会や自治会で防犯パトロールを行う取組が広がっており、地域のことは地域で守るといった連帯意識、自主的な防犯意識が高まってきているというふうに我々も認識しているところでございます。  警察では、こうした地域住民による自主防犯活動を支援するために、各都道府県警察におきましても、犯罪の発生状況や防犯上の留意事項等のいわゆる地域安全情報を住民の皆さん方に御提供したり、あるいは地域住民が行っておられますパトロールに警察官と一緒になって合同パトロールを行う、あるいは都道府県警察費によりまして、こうしたパトロールの際の腕章であるとか活動用ジャンパーなどを支給するなどの支援も進めているところでございます。  また、来年度のことでございますけれども平成十七年度の予算の概算要求でも、犯罪に強い地域社会再生プランということで、これを全国でモデル事業を展開して、そうした地域の自主防犯活動がより充実していくようにということで計画をしているところでございまして、地域安全安心ステーションといった構想でそうしたモデル事業が推進されるようにというふうに考えているわけでございます。  警察といたしましては、この地域安全安心ステーションを核といたしまして支援を一層強化しながら、このモデル事業が模範となって全国に広がり各地の自主防犯活動が活発に展開されるように、今後とも地域住民との連携を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 円より子

    円より子君 警察方々が日本の社会の治安について本当に御苦労なさっていることはよく分かりますし、最近特に一一〇番への通報が急増していることを見ても、国民方々警察に対する期待は大変大きいんだなということは思うんですね。  そういうことがありますゆえに、一層、警察の方が襟を正して信頼をかち取れるような状況にしていただきたいなと思うことも事実でございまして、この八月に兵庫県加古川市で起きた二家族七人の刺殺事件では、地域住民の度重なる相談警察が積極的な対応策を取らなかったなんということも指摘されておりますし、七月には、埼玉県草加市の交番に救いを求めて駆け込んだ男性が警察官の目の前で拉致されて重傷を負うという信じられない事件も起きました。こういったことや、また不正経理の、北海道県警の方で不正に使ったお金を返却するという中間報告も出ました。  いろいろございますが、こうした警察の不祥事が残念ながら起きると警察に対する市民の信頼というのは揺らぐことになりますので、しっかりとこれからも地域の安全、そして日本全体の治安のためにまた頑張っていただき、今日はおれおれ詐欺法案委員長提案で出していただき、議員各位も来ていただきましたが、本当におれおれ詐欺も、お金がなくて、まあこれだったら人の身体を傷付けるとかそういうことではないから、こんな簡単にできるんだったら自分もというそういうのもあるのかもしれませんが、これもどこかにこの不況、経済的な要因もあるのではないかと私は思っておりまして、おれおれ詐欺のこの取締りの法案を作ってくださった皆様方には本当に感謝し、警察は一層、この詐欺事件だけではなく、治安に努めていただければと思っております。  これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
  33. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  まずもって、今回の法案の提出に御尽力された菅先生藤田先生、皆様に敬意を表させていただきます。  私も、この急増するおれおれ詐欺、何としても発生を抑制してほしいという思いで、この法規制、大変賛同しておるものでございます。賛同をしながらも、どのくらいきちんとした効果が上げられるのかという観点で、短い時間ですが、二、三質問させていただきます。  まず、今回の法案ですけれども、いわゆる他人又は架空口座のこの使用を何とかやめさせようという、こういう観点だと思うんですけれども、今現在、この架空口座の開設等、転売等に今現在でも法の規制というのは掛かっていますよね。一つには、例えば転売する目的で口座を開設すると、この時点で、詐欺罪、刑法の二百四十六条がかかわってきます。次に、だまし取った通帳又は転売目的で取得した通帳を、そのことを知りながら譲り受けますと、これは刑法二百五十六条、盗品等有償譲受け罪が規定されているわけです。ですから、私は本当にこの現行の網で今まで防げなかったのかという、これがちょっと私、一つの疑問なんです。  そこで、警察庁にお聞きしたいんですけれども、まずは、この架空口座等を利用している割合、おれおれ詐欺のですね、検挙件数に占める割合というのは一体、これ、元々架空口座使わないと今回の法案の目的はなくなりますんで、どのくらいの割合なのか。加えて、先ほど申し上げた二つの法規制は、いわゆる休眠口座、元々あった口座については、これ法の網が掛からないわけですね。ですから、休眠口座売買等でおれおれ詐欺、要するに架空口座を使用した割合と、そうではなく、法の網の掛かる新規の口座を開設して架空口座を作っておれおれ詐欺を行った割合、この二つの割合を、どのくらいのものなのかお知らせください。
  34. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) おれおれ詐欺に占める他人又は架空口座を用いた事件の割合についてのお尋ねがまずございましたけれども、これについては実は数字は取ってございません。と申しますのは、現実にはほとんどが他人又は架空口座で来ているわけですね。つまり、相当比率が分かれていれば恐らくそういう統計を取ろうとしたんだろうと思いますけれども、この手の犯罪が問題になりました昨年からの状況を見てみますと、まずほとんどが他人又は架空口座を使っていると、こういうこともあろうかと思いますが、区分けした統計を取ってございません。恐縮でございます。  それから、他人又は架空口座に占めるいわゆる休眠口座みたいなものと、それから転売を目的とし新規にしたもの、これについてもデータを取っていないわけでありますが、検挙事例の報告を受けている者たちの話によりますと、ほとんどが転売を目的として新たに開設した口座を利用して犯罪を行っていると、そういう報告がほとんどだということでございます。
  35. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですね。私も、もう今となっては休眠口座を使っている詐欺、おれおれ詐欺、そんなにないと思っておりました、今の局長のお話で。  そうしますと、現行の二百四十六条ないしは二百五十六条の網が掛かっているわけですね。私、お聞きしますと、平成十五年に比べて、いわゆる通帳等の詐欺事件のこの検挙件数、実は平成十六年、わずか九か月ですけれども、四十倍に増えているんですね、四十倍に。何か、警察庁、これだけ力入れればさすが検挙できるんだなと思っているんですが、これ四十倍に検挙して、これがおれおれ詐欺の検挙までやっぱり追い付かないんですかね。
  36. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) おれおれ詐欺に発展するといいますか、そちらの事件で検挙できているものもございます。ございますけれども、必ずしも十分ではないと、このように思っております。
  37. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 今のやり取りを踏まえて提案者の方にお聞きしたいんですけれども、ほとんどが新規開設の口座で、しかもおれおれ詐欺を目的としたもので、それを転売して行われていると。さっき申し上げました、開設した途端にこれは詐欺罪です。これ、十年以下の懲役ですからね。その後に譲り受ける場合は、譲り受けた人間も、これ二百五十六条、十年以下の懲役なんですよ。これだけ重い罪が現行の制度で科せられているにもかかわらず、なかなかこういったものの抑止につながらないということに私はいささか以上に疑問があるわけです。  加えて、これだけ抑止力があってもおれおれ詐欺はこれだけ起こるんだったら、ともすると、今回の法改正が効果がどれほど及ぶのかなという疑問もあるんですが、いかがでしょうか。この二百四十六条、二百五十六条だけではやはり対応し切れないということなんでしょうか。提案者、お答えください。
  38. 菅義偉

    衆議院議員菅義偉君) お答えをいたします。  先ほど警察庁の報告がありましたけれども、通常の詐欺検挙率が五〇%、おれおれは六・三%ということで極端に低いわけでありまして、それがこの架空名義携帯電話とこの他人名義銀行口座が作られている。委員も是非インターネットなんかをごらんになっていただきたいと思いますけれどもインターネット掲示板に、先ほど先生言われましたけれども、通帳を売りますというのがずっと出ているんですよね。ですから、そういう中で手に入れた口座が使われている。それと、検挙事例、私、警察から聞いたところですと、そのすべて、ほとんどがその銀行口座から行っている。しかし、それも五重、六重にもなっているというんですね。五人か六人ぐらいでようやくたどり着いて検挙されてきたと。  そういうことを考えたときに、やはり今の委員指摘の二百四十六条、二百五十六条ではなかなか難しいだろうと。そういうある意味でこれは新しい犯罪じゃないかなという中でこのような法案を提出させていただいた、こう御理解いただきたいと思います。
  39. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 まあとにかくいろんな手だてを講じるという意味でも、私は評価いたしております。  そこで、警察庁にお聞きしたいんですが、私ちょっと警察の皆様に苦言を呈しますけれども先ほど申し上げた、やはり架空口座で行われるおれおれ詐欺の割合とか、そのほか、先ほど申し上げた休眠口座が使われたのか、それとも新規口座なのかといったデータは、やっぱりバックデータとしてこれから取っておいてくださると今回の立法趣旨にも非常に反映されると思うんです。  そこで、これはもう何割とは聞きませんけれども、今回の法改正で本当にどれほどこの認知件数といいますか犯罪の抑止の効果が表れるのか、これ端的にどのくらいと見込んでいるのか、局長、お答えください。
  40. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 大変難しい御質問いただいて恐縮でございます。  ただ、私どもとしては、こういう法律、新しい分野ができる、それから先ほど来おっしゃっておりますように、元々の詐欺をさっさと捕まえればいいじゃないか、あるいは通帳詐欺で捕まえるという方法もあるじゃないかと、当然そういうことを視野に入れながら、叱咤激励を受けながら、そういうことについての対策も取っておりますし、都道府県の連携のためのシステムも新たに充実させていきたいと思っていますし、そういうことで、一件でも少なく、一件でも多く捕まえて、一件でも起こすのを少なくしてやってまいりたいと、このように考えております。
  41. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ最後、質問でなくお願いでもありますけれども、本当に海外でも例のないものだそうですね、おれおれ詐欺というのは。ですから、果たしてこれがこれだけ日本で起こる本質的な理由というのはなかなか難しいと思います。というのは、例えば架空口座にしてみれば、本人確認法の以前の方がよっぽど作りやすかったわけですね。今回は踏み込まなかったプリペイド式携帯電話も、九八年にはもうサービスが始まっていると。だから、決してこの二つだけが原因ではないとは思います。  これ難しいんですが、ただ、この一年、二年でこれだけ急増した一つの原因には、これはやはりおれおれ詐欺という言葉が変にマッチしちゃいまして、やっぱりばっと広まったからなんでしょうね。警察庁もこの名称を考えると言っていますが、私、名称を変えたからといって減るとは思いませんが。ここでお願いなんですが、やはりこの法改正できて、やっぱり初動でこれだけ発生が減ったんだという、私こういうやっぱりインパクトのあることをやっぱり日本国民に広めることが、私一つの大きな影響力があると思うんですよ。その点で、警察のこれからの取締りの、本当に期待いたしますし、もうこれからおれおれ詐欺できないんだなという、そういうことを国民に知らしめるよう、よろしくお願いいたします。  これで終わります。
  42. 近藤正道

    ○近藤正道君 無所属の近藤正道でございます。  私もこの改正案の目的、大いに賛同しておりますし、これを使って警察の方でも頑張っていただきたいと、こういう立場にあるということを前提に質問させていただきたいというふうに思います。  最初は、今ほどの黒岩議員の質問と同じような中身になるかもしれませんが、今現在、転売目的の口座設定とか預金通帳等の譲受けについては詐欺あるいは盗品の譲受け罪、これで処罰をされると、これでは検挙率を高めることができないということで、今回、本法の改正に至ったということでございます。  その意味は分かった上で、私もこれでどの程度おれおれ詐欺を防止できるのか、そういう問題意識がございます。多くの人たちがやっぱりプリペイド式の携帯電話規制がないとどうなんだろうかと、こういうふうな疑問を呈しております。  この本法の改正も、これも結局目的犯、ある目的を持って口座を設定する、ある目的を持って預金通帳等の譲受けを行うと、こういう犯罪類型であります。そういう意味では、人の心をある程度立証しないと検挙に至らない、こういう犯罪でありまして、私は結構難しいんではないかと。つまり、詐欺とかあるいは贓物故買のときに比べて格段に検挙件数がこれで増えるとは、ちょっと私はにわかに思えないところがございます。  まあ、しかし、頑張ってもらいたいという意味で申し上げていることは間違いないわけでありますが、やっぱりプリペイド式携帯電話、これとセットでないと規制の実効は上がらないんではないか、こういうふうに考えますが、重ねての質問で大変恐縮でございますが、提案者とそして警察庁の方の両方に、これでどの程度実効が上がるのか、プリペイド式の携帯電話なしで、これだけでどの程度上がるというふうに皆さんは思っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  43. 菅義偉

    衆議院議員菅義偉君) 私どもも当初、これを作ろうとしたときに当然二つということを考えてスタートしました。先ほども円議員の質問に答弁をさせていただいたんですけれども、しかし、これだけ増えている中でやはりできるものはやっていこうという形で、まず銀行がこのような形になったんですけれども、同時に今、同時進行で携帯電話も今私ども対策として行っています。  特に、昨日、こういう法案を提出する動きの中で、事業者が自主規制をしましたですね。今までその本人確認を確実にやっていなかったものを二重チェックにするということを昨日事業者が発表します。こうしたことも、やはりこうした私どもの動きの一つであるというふうに思っていますので、少なくとも新規のものについては完全に本人確認ができている、そういう方向になっていくというふうに思います。  そういう中で、やはりこの銀行口座法律が成立した暁には私は相当部分の効果が得られるというふうに思って、一緒になってこの提案をさせていただいておりますので、是非その辺のことを御理解いただきたいと思います。
  44. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 今の御答弁と基本的には同じなんだろうと思いますし、それから、この種の犯罪を防ぐために一つの手段だけですべてが片付くということはないのだろうと思います。プリペイド規制について考えることも大事ですし、それから被害者になりそうな方々、なかなか現場にいますと、だまされる人にだまされるなと言ってもなかなか難しいんですね。  それで、私はちょっと一つ標語を掲げたりしたのは、「振り込みは その日にするな 一人でするな」という、つまり、犯罪実態を知らせるだけじゃなくて、どういうところを気を付けたらその犯罪被害に遭わなくなるんだろうかとか、そういういろんな人がいろんな工夫をしていただいてやっていくという、そういうことが総合してより一件でも少なくなっていくと、そういうことを願っているところでございます。
  45. 近藤正道

    ○近藤正道君 是非頑張っていただきたいと、この改正案を武器に頑張っていただきたいと、こういうことを申し上げておきたいというふうに思います。  私のところにも、おれおれ詐欺はそうでありますけれども、とりわけ架空請求相談はたくさん来ます。それで、いずれもそのプリペイド式携帯電話が手段に使われているわけでありますが、このプリペイド式携帯電話規制は同時並行にこれから行うと。いろいろ仄聞するところによれば、通常国会には議員立法も含めて今検討されているということでありますので、是非頑張っていただきたいんですが、先ほど来言いましたように、口座の不正使用とそのプリペイド式の携帯電話、この二つの道具が言わばセットになってこの詐欺が行われておりますので、そのプリペイド式の規制を待つまでもなく、今現在、そのプリペイド式の携帯電話が堂々と不正に使われているわけでありますので、これについても私は精一杯今の制度を活用して頑張っていただきたいと。  今ほど、昨日、業者の自主規制という話がありましたけれども、是非、警察の方からも、あるいは総務庁の方からも、業者指導という立場があるわけでありますので、この権限、権能を最大限フル活用していただいて、この口座の不正使用と相まって、一日も早く一件でも少なくなるように努力をしていただきたいというふうに思いますが、このプリペイド式携帯電話規制、指導の現状、どうなっているのか。まあ、今年の夏ぐらいから皆さん頑張っておられるようでありますけれども、なかなか効果が上がっていないと。どういうふうにやっておられるのか、その効果はどうなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 江嵜正邦

    政府参考人江嵜正邦君) お答えいたします。  プリペイド式携帯電話につきましては、平成十年十月からサービスが開始されたわけでございますけれども、その後犯罪に悪用される事件が発生したということを受けまして、私ども総務省から電気通信事業者団体に対策の検討を要請したということがございます。  これを受けまして、まず平成十二年七月に、各携帯電話事業者が新規契約時に運転免許証等による本人確認の導入ということをまずやっております。それから次に、今年でございますけれども、今年の五月でございますが、販売店の店頭で本人確認ということになるわけですけれども、それを更にチェックするために、携帯電話事業者システムに登録されてから初めて携帯電話が使えるという方式を発表したところでございまして、今のこの後の方式につきましては、今年中、つまり今月には、最後、あと二社残っておりますけれども、全社で実施されるという予定になっております。  さらに、これではどうもまだ足らないという、特に架空請求詐欺とかおれおれ詐欺という犯罪プリペイド式携帯電話が悪用されるという事態がどんどん増えましたので、私どもといたしましては、この六月から携帯電話事業者とともに更に対策を打とうということで検討してまいりました。具体的に、現在、プリペイド式携帯電話につきましては自由に譲渡、転売ということが可能とございますので、それが結果として匿名性が高くなるケースが生じているということでございまして、これを従来の新規販売時の本人確認強化に加えまして、譲渡、転売等された場合の利用者も把握できないかといった点について検討をこれまで進めてきたところでございます。  その結果といたしまして、先ほど先生の方からお話がございましたけれども、すべてのプリペイド式携帯電話につきまして、システムはちょっと時間が掛かりますので、来年の春ごろまでシステム完成が掛かりますので、来年の春ごろを目途ということにいたしまして契約情報の届出義務を課すと。携帯電話事業者がすべての契約者を確認、登録する仕組みに約款を変更すると。それからさらに、その約款変更した後に、契約情報の届出がないという場合には利用停止を行うと。さらに、システムが完成するのが来年の春ということで、じゃそれまで待つのかということになりますので、それまでの措置として、今月から携帯電話事業者が必要に応じまして契約情報の届出を求めると、事業者の方から求めると。一定期間内に届出がない場合には利用停止を開始するということにいたしまして、昨日報道発表したところでございます。
  47. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 警察といたしましても、総務省にもいろいろとお願いをしたりしておりますけれども、従来からこのプリペイド式携帯電話、おれおれ詐欺だけではなくて、かつては誘拐などにも使われましたし、そうしたことが、使用者が不明であるということから非常に重大な犯罪を生んでいるということで、関心を持ち続けてまいりました。細かいことは省略をいたしますけれども、そうした立場から、その匿名性を除去するために必要な各種の措置につきまして、事業者ですとか総務省ですとか、いろいろ申入れやお願いをしてきたところであります。  現在においてもその法的規制について各方面で検討をされておりますので、そうしたところでも私どもの御意見も申し上げながら、その検討を踏まえて必要な対策を講じてまいりたいと思っております。
  48. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  提案者の方、御苦労さまでございました。御退席ください。     ─────────────
  49. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 次に、発達障害者支援法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  50. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。発達障害者支援法案につきまして御質問させていただきます。  この発達障害者支援法案というものが立法された。これは議員立法という形で、超党派で議員皆様方が、これまでの障害者関係の法律や施策の中で谷間に置かれてきていたいわゆる発達障害児・者に対する支援が必要だということで、御努力をなされて作られた法律案であるということは承知しております。  実は、この内閣委員会で、さきの通常国会では障害者基本法の改正につきまして審議をいたしました。それからまた、これまでの障害者施策全体の中でこの発達障害者支援法案というものがどのように位置付くのか。私もこの改正障害者基本法を議論する際に、やはり障害者に対する厳然としてある今の差別をなくしていくこと、あるいは障害の有無にかかわらず一人一人の人権が尊重されて、この社会の中で自己実現をし、社会参画をし、幸せな人生を地域の中で生きることができる、そのために障害者施策の基本として、基本法には何を盛り込むべきか、何がどういう方向を目指すべきかというようなことを議論してまいりました。  国際的な流れも、社会の中で障害の有無にかかわらず構成員として自己実現をしていくという、いわゆるインクルージョンという方向が示されておりますので、そういった観点から、この発達障害者支援法案というものを読ませていただいたときに幾つかの懸念事項を感じておりますので、この法案の成立を待ち望んでいらっしゃる方々が多くいらっしゃることも十分承知しながら、それを受けて立法をされたという議員の皆様の御努力にも敬意を表しながら、あえて懸念事項を幾つか申し上げ、御質問をさせていただきたいと思います。  実は、私も議員になる前、小学校の教員をしておりまして、その中でいわゆる障害、様々な身体的な障害や知的障害、自閉症と言われるような子供さんたちも一緒に学んできた経験があります。その中に、よく考えてみますと、ここで定義されている発達障害と言われるような子供さんも、ああ、あの子がそうだったのかなと思うような子供さんもいらっしゃるんですけれども。  例えば、普通の通常学級の中でその子が奇声を上げるとか、机にじっと座っていないで授業中に動き回るとか、そういったときに、私も担任の一人として最初は、この子に個別に付き添ってくれる先生がいたらどんなにいいだろうと、学級全体を考えながら思ったことがあります。あるいは、授業参観のときにその子が大きな声を出すと、保護者の中には、あんな子、何でこの学校に来ているの、あんな子は障害児学校、特殊学校があるんだからそっちに行けばいいのにというような声も幾つも聞こえてきました。  しかし、一緒に子供たちと、ほかの子供たちと一緒に生活する中で、だんだん奇声の声が小さく、大きな声で叫声を上げるというような、そういう声が小さくなったり、それからほかの子たちがその子のことを理解して、一緒に遊んだり学んだりできるようになってくるというようなことも経験しましたので、この発達障害者支援法案というものが、これまで光が当てられなかった、谷間に置かれていたという人たちへ光を当てる趣旨で作られたにせよ、そのことが、もしかしたらこれまで障害、これまでの障害児と言われてきた人たちに当てられている差別と同じようなことにならないかということを懸念しながらの御質問でございます。  ちょっと前置きが長くなりましたけれども、それで、この改正された障害者基本法では、その一条に、障害者の自立及び社会参加の支援ということが明記されております。また、第三条では基本理念として、何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならないということが明記されてございます。この発達障害者支援法案でも、目的の中に、自立及び社会参加に資するようというふうに明記をされております。  先ほど言いましたように、国際的な議論の方向性としても、障害をあるがままに受け入れて、あるがままに受け入れて、その本人の自立とそれから社会参加を阻む環境的な要因をこそ取り除いていくべきだというような方向に、環境的な阻害要因を取り除くための支援サービスというような方向に行っていると思うんですけれども、本法案における自立と社会参加、あるいは差別禁止、権利擁護といったこのことについて基本的にどのようにお考えかということをお尋ねしたいと思います。
  51. 山井和則

    衆議院議員(山井和則君) 今の神本議員の質問にお答えをさせていただきます。  今御指摘のように、本法案が障害者基本法の枠内に位置付けられているかどうかというのは非常にやっぱり重要なことだと思います、今までの障害者施策の積み上げというのが非常に重要でありますから。その点で、この法律は障害者基本法の枠内に位置付けられ、改正障害者基本法の趣旨はこの法律にも及ぶもので当然あります。  改正障害者基本法を踏まえて、この法案の第一条で、発達障害者の自立及び社会参加に資するよう支援を図ることとし、また第十二条で、発達障害のために差別されること等権利利害を害されることがないようにするため、権利擁護のために必要な支援を行うものと明確にしてあります。  この法律案の成立により、発達障害者の自立及び社会参加や、発達障害者が発達障害を理由により差別を受けることの禁止、その権利擁護がより一層促進されることを期待しております。  以上です。
  52. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。  是非とも改正障害者基本法、これもまだまだ十分なものとは思えませんけれども、その目指している方向性の中でこの支援法もあるんだということを確認いただいたと思います。  次に、具体的に条文に沿っていきたいんですけれども、この発達障害の定義について、第二条で、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害というふうに定められております。  これは厚労省にお伺いしたいんですけれども、発達障害というのが脳機能の障害との関連で確かに医学的にそういう説明がなされる場合が多いことは承知しておりますけれども、これはあくまでまだ予測の段階であって、確定されたものではないというふうに聞いております。そういった段階のものを、法律の中で発達障害とは脳機能障害であるというふうに断定されているその、断定というか、ここで定義付けようとしているその根拠は何なのかということを一点と、それから、政令で定めるものをいうというふうになっております。この政令で定めるといった場合の基準は何なのか。それから、その定める場合、どのような手順でこの発達障害であるというような対象が決定されるのかという点についてお伺いをします。
  53. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 発達障害とは、必ずしも知的障害を伴わないわけですけれども、例えば他人との人間関係を築くのが困難であるなどの特徴を有する障害とされておりまして、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害などがこれに当たると言われております。WHOの国際疾病分類、ICD10と申しますけれども、におきましても心理的発達の障害等に分類され、定義がされているところでございます。  自閉症に関しまして、過去には母親の愛情不足が原因と主張されたこともありましたけれども、現在ではこれらはいずれも脳機能の何らかの障害に基づく発達の障害と理解されております。現時点では原因を特定するには至っていませんけれども、脳の画像解析あるいは脳内ホルモンとの関係などについて研究が進められていると理解しております。引き続き、厚生労働科学研究などにおきまして発達障害の原因解明と治療法の開発について研究を進めてまいりたいと考えております。  今後、政令におきまして具体的な対象範囲の検討を行うに当たりましては、既存の障害者福祉施策との関係あるいはこの法案趣旨を踏まえまして、専門家を始め関係者あるいは広く国民の声を伺いながら、パブリックコメントの聴取なども行いながら丁寧に対応してまいりたいと考えております。
  54. 神本美恵子

    神本美恵子君 ちょっと私、理解がよく、最初の方、その定義のところ、WHOの定義、WHOがこの発達障害について定義をしているんでしょうか。もう一度お願いします。
  55. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) WHOの国際疾病分類で詳細に疾病ごとに考え方とか分類がされているということでございますが、これ自体が政令の根拠になるものではございません。それも参考にしながら、この法案にありますように、先ほど申し上げましたように、専門の先生とかいろんな方の御意見を聞きながら政令は検討してまいりたいということでございます。
  56. 神本美恵子

    神本美恵子君 ですから、要するに脳機能障害であるというような定義はされていないんですよね。ですから、ですからというか、そういうまだ根拠が明らかに、原因が明らかになっていない、何を、どの範囲を発達障害というかというふうなことが判断基準が明確になっていないものを法律で定義付けていいものかということに対する疑問を呈しているわけです。  これは、もう私のところにもこれ是非通してほしいというファクス、メールと、これは本当に今慌てて通すべきではないと、もっと慎重に考えてするべきだというようなファクスをたくさんいただいているんですけれども。そのいただいた中で、科学的にきちんと定義付けられないものを発達障害というふうに、小さい段階にあなたは発達障害ですというふうにレッテルを張られて、発達障害があるからというふうに薬をたくさん投与されて、そのために自分を自殺に追い込んだりうつ状態になったりというような事例がありますというようなこととか、それから、以前アメリカで銃の乱射事件があって大きな社会問題になったその背後に、この発達障害の早期発見、早期支援という名の下に薬漬けにされた子供たちだったというようなことも、これ事実かどうか知りませんが、そのいただいたファクスの中にあるんですね。  ですから、そういったことを考えますと、この二条で定義されているものが、まだ予測の段階のものをこういうふうに定義して、そういった方向に行くんではないかという懸念を私はまだ抱いております。  それから、それで、厚労省の資料の中に小中学生の六%がこの発達障害の疑いといいますか、の子がいるというふうに調査室からいただいた資料の中にあったんですけれども、その六%というのはどういうふうな調査で出てきたものなのか教えていただきたいと思います。
  57. 福島豊

    衆議院議員(福島豊君) 先生の御指摘について、立法者の立場からこれ是非コメントをさしていただいた方がいいと思いますので、発言をお許しいただきたいと思います。  一つは、脳の障害であるということについて確立されていないのではないかと、こういう御指摘であろうかというふうに思います。  自閉症にしましても注意欠陥多動性障害にしましても、現在の様々な精神医学的な、また神経科学的な研究ではその機能の異常というものが指摘をされている、それが私は共通の認識だろうというふうに思います。ただ、しかしながら、確定をしていないというのは、その原因が一体どこにあるのかということについてはそれを確定するまでには至っていないけれども、ただ、画像で見れば、例えば脳の様々な代謝の状態でありますとかそういうものに変化が見られる、これも一つの所見でありますし、脳波の異常も往々にして合併することもあると、そしてまた様々な病理学的な診断におきましても、これもまた知見が様々なんでありますけれども、いろいろなことが報告されております。ですから、研究者の共通する認識は、何らかの機能的な障害がベースになってこういうことが起こってきているということではないかと思います。  ただ、問題は、その何らかの機能的障害というのが一体どこなのかということについてはまだ諸説があって確定するに至っていないと。ですから、まあ推定されるという言い方になるわけでありますけれども、しかしこのことは、研究者の間で大方のコンセンサスとして何らかの障害があると、機能的な障害があるということを否定するものではないと私は理解しておりますし、そうした考え方に基づいて本法案における提案をさしていただいたと、これがまず第一点でございます。  そしてまた、こうしたことがレッテル張りになるのではないかという御指摘だと思います。  これは大変大切なことでありまして、何のためにこの法案を提出したかというのは、こうした障害というものを早期に発見をして、そしてそれを支援をすると、むしろその支援をするというところが大切なんであります。この子はかくかくしかじかの、例えばICD10の分類でいえばこういう疾病であると、こういう障害であると、こういうことを決め付けるということが大切なのではなくて、むしろそれに対しての早期の支援をいかに図るのかと、ここのところに力点があるわけであります。  ですから、先ほど薬漬けという話がありましたけれども、多分これはADHDに対してのアメリカでは非常に薬物療法というものが広く行われておりまして、これに対しては賛否両論があるということも事実であります。日本では同じような状況にはなっていませんけれども、こうした診断でありますとか治療でありますとか、こういうことについては当然、レッテル張りをしてはいけないのと同様に、本人そしてまた保護者の方の意向というものを十分配慮しながらやっていかなければいけないということもこの法案の中には書き込ませていただいておりまして、要は、どのように早期から対応するのかということが大切だと、そういう考え方に基づいて立法作業を行ったということであります。
  58. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 先生から、子供たち、学校に学ぶ子供たちの六%程度というその数字をどういう形で出てきたのかというお尋ねでございましたが、平成十四年に文部科学省が調査を実施いたしまして、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症等、通常の学校に在籍します特別な教育的な支援を必要とする可能性のある子供たち、この全国的な状況を把握しようと、それで今後の支援のための基礎資料としようということで実施したものでございます。  調査方法といたしましては、約四万人でございますけれども、小学校一年から六年、中学校一年から三年、この児童生徒を対象にいたしまして、質問事項を提示いたしまして、これに基づいて担任の教師と複数の教員の判断によって回答をしていただいたというものでございます。  では、その質問項目でございますけれども、これにつきましては、学習障害あるいは注意欠陥多動性障害等、研究者の間で信頼性の高いアメリカのチェックリスト等、こういうものを基にいたしまして教育心理学あるいは児童精神医学等の専門家の調査研究会で検討を加えまして、あるいは学習障害等の関係団体の代表の方からも意見を伺った上でそういう質問項目を作成したというものでございます。  また、調査基準につきましては、質問の試行によって信頼度を確認すると、あるいは外国の調査で利用された基準というふうなものも参考にして設定したところでございます。そのような形で約四万人の子供たち、で、これはあくまでも担任の教員の回答に基づくのでございまして、医師の判断、診断とか、そういうものを経たものでございませんので、直ちに障害と判断することはできないと思いますけれども、それによって六%程度の割合で通常学校に在籍しているということが明らかになったということでございます。
  59. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、最後におっしゃったそのことなんですよね。あくまで担任がその質問項目で判断した数字ですので、この六%が独り歩きをすることを私は非常に懸念をしておりますし、私は担任をしていたとさっき言いましたが、その立場からすれば、そういうふうに思いたくはありませんけれども、この子は発達障害なんだと、だから私が何かできる問題ではないというふうに、そういうことにこの数字が使われていくのではないかという、そういったおそれが皆無ではないということを申し上げておきたいと思います。  時間がもう本当にありませんので大急ぎでいきたいと思いますが、次に、やっぱり文部科学省に、この早期発見ということで、第五条二項に学校保健法における健康診断という、多分就学時健診のことだと思いますが、この法律が成立することによってどのように変わるのか、もう簡潔にお願いします。
  60. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 健康診断の件でございますけれども、現在、学校保健法施行令等でその項目とか方法について書いてございますけれども、具体的な、より具体的な留意点については健康診断マニュアルというふうなものも作りまして、そこで示してきたところでございます。  発達障害につきましては、現時点で判断基準が必ずしも確定しない、あるいは診断のためにある程度の期間の観察が必要であるということもございますので、現在の就学時の健康診断だけで十分に発見することについては困難な面があろうかというふうに思っております。  こういうことも踏まえまして、今後、発達障害の早期発見のために、保護者の了解を得まして、就学前の子供の状態についての情報の提供を受けること、あるいは専門家の判断を必要に応じて求めるといったこと、そういうことをしますとともに、専門家の御判断、御意見等も伺いながら、就学時の健康診断のマニュアル等についても必要に応じた見直しというものもしていきたいと思っております。
  61. 神本美恵子

    神本美恵子君 今行われている就学時健康診断の場が、障害があるかないかというようなことで進路を決められてしまうというような強制力が非常に働いているということも含めて懸念しますので、次に立法者の方にお伺いしたいんですが、この第五条四項で、児童及び保護者の意思を尊重するとともに、必要な配慮をしなければならないというふうにありますけれども、これは最大限尊重されるべき、もうある意味で決定権は児童、保護者にあるというふうに受け止めていいのか。また、五条三項の発達障害の疑いがある場合、継続的な相談や早期に医学的、心理学的判定を受けるかどうかの判断も含めて、児童、保護者に決定権があるというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  62. 山井和則

    衆議院議員(山井和則君) 基本的にはそのとおりであります。  この発達障害児への発達支援を行うに当たっては、発達障害児の選別やレッテル張りにならないよう、児童及び保護者の意思が十分に尊重されねばならないのは言うまでもないことであります。このような趣旨を踏まえ本法案三条三項が規定されており、また就学時の健康診断等においても、委員指摘の第五条第四項の規定により、児童及びその保護者の意思が最大限尊重されるものと考えております。さらに、継続的な相談や早期に医学的又は心理学的判断を受けるかどうかの判断についても、これも第五条四項の規定により、児童及び保護者の意思が最大限尊重されるものと考えております。
  63. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。  次に、第七条と八条に関連してですけれども、七条では保育の実施ということで、これについては他の児童と共に生活することを通じて図られるようというふうに、ともに生活することによって保育を実施するというふうに書かれております。ところが、八条の教育のところでは、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるようにするためということで、ちょっと保育と表現が違っておりますけれども、これはなぜなのか。これは文科省、文科省はいいです。じゃ、立法者の方。
  64. 山井和則

    衆議院議員(山井和則君) 正に、ここは議員立法の過程で修正をしたところでありまして、委員指摘のように、第八条に教育を受ける者が発達障害を有するかどうかにかかわらず共に学ぶことに配慮しつつという文言を当初は入れていたわけでありまして、これは当然、発達障害の有無にかかわらず、一緒に学ぶことが望ましいという判断によったわけであります。  しかし、その後、各党の協議の中で、この文言がかえって発達障害を有する者とそれ以外の者を分けて教育されているという現状があるということを逆に想起させるんではないかということでありまして、ほとんどの教育の場においてはともに学んでいるという、通常の学級で、発達障害の児童もほとんどが通常の学級で学んでいるという現状を踏まえて、この文言を削除すべきという合意がなされました。誤解を避けるためであり、発達障害児が一緒に教育を受けることは当たり前のことであるというふうに当然考えております。
  65. 神本美恵子

    神本美恵子君 削除された経緯は分かったんですけれども、七条、八条と続けて読んでいくと、学校に上がったら、上がるというか、保育から教育になったらこれはともに学ぶことは前提じゃないのだなと普通なら考えてしまうんです。なぜそう考えるかというと、今の障害児教育、日本の施策が分離、別学ということがもう大前提になっていますので、どうしてもそういうふうに考えてしまうところの懸念を持ちます。  障害者基本法の教育の部分でも、それから附帯決議でも繰り返し、分け隔てられることなく、これからはともに学ぶ教育の方向を目指すんだということが書かれておりますし、サラマンカ宣言のインクルーシブ教育もそうですし、それから今議論されております障害者権利条約もそういった方向で、選択権は親にあると、ニーズは親が判断して選択するんだというようなことも書かれております、議論されておりますし、それから、OECDの学力到達度調査、PISA調査でも、この障害児教育は統合教育をやっているところの方が学力到達度も上位にあるというような結果が出ております。  そういったことから考えても、是非、私はその発達障害者の、この法案は対象はそうですけれども、これまでの障害児と言われる子供たちもそういった方向に教育が向けられていくべきだというふうに思って、この後、たくさんそのことを言おうと思ったんですけれども、文科省に最後に、今文科省は特別支援教育ということでガイドライン、この小中学校におけるLD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドラインというものを作られておりますが、これはいわゆるLD、ADHDの子供たちのみが対象にされております。ですから、統合教育的な特別支援教育というものの中身が、従来の障害を持っている子供たちは対象外にされるのではないかというふうな懸念も障害児の親御さんたちからたくさん届いているんですけれども、そこはどういうふうな関係になるんでしょうか。
  66. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 先生指摘のガイドラインでございますけれども、これは発達障害につきましては、先生も御指摘のように、従来、学校教育においても障害としてとらえられていなかった学習障害等の、学習障害につきまして、これを障害として認めていって、学校教育の中でも把握していって、学校の教育あるいは教育関係者もそういう学習障害ということを持つ子供たちにしっかりとした支援体制を整備していこうということを考えたところでございます。  こういう課題、文部省で学習障害についての検討を始めましたのは平成四年でもございましたし、緊急にかつ重要に取り組むべき課題ということから、学習障害につきましてのガイドラインを今年の一月に作成いたしまして、そして各学校あるいは教育委員会あるいは関係機関とも連携しながらしっかりとした体制を組んで、連携して取り組んでいこうということを示したものでございます。  一方、文部科学省におきましては、学習障害の児童を含めまして、障害のある児童生徒一人一人の教育ニーズに対して適切な教育を行っていこうと、そういう考え方で特別支援教育というものを推進しようということを考えておりまして、障害のある子供たちに対する支援体制のモデル事業というようなものも実施しているというところでございます。  この中では、各学校の校内委員会の設置、あるいは学校の中での特別支援教育のコーディネーターの指名、あるいは一人一人の子供たちの障害に応じた指導を行うための個別の教育支援計画といったもの、そういうものを策定いたしまして、小中学校全体、学校教育全体の中で障害のある子供たちに対しての支援をしていこうということは進めているところでございます。
  67. 神本美恵子

    神本美恵子君 冒頭、立法者の方も、これは改正障害者基本法の枠内にあるものだ、その趣旨の下で作られるものだということをおっしゃいました。そのときの附帯決議で、この教育の部分については、分け隔てられることなくということと、それから、共に育ち学ぶ教育を受けることのできる環境整備を行うことというのを付けております。  文部科学省は、是非とも、この発達障害者の、障害児の子供たちやあるいは従来の障害児の子供たちがともに学ぶことができる環境整備、それは冒頭私も経験から申し上げましたけれども、やはり学校の中で個別のニーズにこたえられるような人的配置がどうしても必要です、そのことの御努力を是非お願いしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  68. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 続いて、民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  これまで制度の谷間にあった子供たちあるいは保護者、こうした人たちに対して行き届いた配慮がなされるようになる、そのことを強く望みます。そして、わがままだと決め付けられてしまったために適切な対応を受けることができなかったというような状況が続いてまいりました。育児が間違っているからだと言われて、決め付けられた保護者の皆さんたちに対しても理解と支援の輪が広がっていくということを私は強く希望しております。  しかし、今も指摘されましたように、様々な心配される点が指摘されておりまして、特に運用には最大限の注意を払っていかなければならないと思います。殊に、今教師としての経験から神本先生がおっしゃっておりましたけれども、障害があるという理由でその子供たちだけに特別支援を行うという、そういうことになりますと、かえって学級の中で、あるいは学校全体の支援のバランスをなくしてしまう、崩してしまうというようなことを本の中でも示しているものがございました。  同じように教師にかかわりを持ちたいという子供たちが一杯いるわけですから、教師がその子供たちだけにかかわるということに、対応の違いに不公平感を持つという子供も出てくると。そのときに、子供たち自身と、それから支援を必要としている子供たち、それから学校全体の在り方というのは、これはもう車の両輪だと、そうすると、子供たちが見違えるように生き生きとなったのだというような、今文科省がおっしゃったモデルケースでやっているところなんでしょうか、先生たちが一杯悩んで頑張っておられる結果としてそのようなことに書かれてあるものがございました。  そこで、提案者に確認をしておきたいと思いますけれども、児童の権利条約の精神に立って、児童の権利の最善の利益を図らなければならないというこの精神ですね、それは子供たち自身にとっての最善であるんだということについて、まずこの必要性についてお伺いしておきたいと思います。
  69. 宇佐美登

    衆議院議員(宇佐美登君) 岡崎委員からの御質問にお答えをさしていただきたいと思います。  児童の権利条約、いわゆる子どもの権利条約に関してですけれども、私も、九三年、議員になったときに最初にこの議論、児童にするのか子どもにするのかで大分もめた大切な条約でありますのでよく内容も把握さしていただいておりますが、いわゆる子どもの権利条約の第三条第一項で、子どもの最善の利益の第一義的な考慮というものがうたわれているわけでございますから、今回のこの法律においても、運用に当たって、発達障害児、発達障害者本人の意見を十分に尊重して、本人の利益に最もかなう支援が行われるべきものであると考えておりますし、本法案の発達障害者は、発達障害児を含むものであると、第二条第二項に書いてあるとおりでございますので、発達障害児の支援に当たっては本人の意思表示が当然尊重されるべきだと考えております。
  70. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 続いて定義でありますけれども、この発達支援は、発達障害者に対して、その心理機能の適正な発達を支援して、円滑な社会生活を促進するために行う発達障害の特性に対応した医療的、福祉的、教育的援助を行うと、このようになっているんですけれども、どのような支援が適切な支援であるのか、個々のケースで柔軟に判断される必要があると思いますが、いかがでしょうか。どのような援助をどのような仕方で行うのかということの判断については、今おっしゃってくださいましたけれども、本人そして保護者、そうした意思を最優先すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  71. 宇佐美登

    衆議院議員(宇佐美登君) 岡崎議員の御指摘のとおりでありまして、まず、最後の、後の方の質問からお答えさしていただければ、本法の第三条第三項に、正に発達支援の内容及び方法についての判断に際しては、発達障害者本人及びその保護者の意思ができる限り尊重されなければならないと明示をされているところであります。  同時に、発達支援が行われるに当たって、発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージ、それぞれの時期において生活全般にわたる支援が不可欠であり、その支援については、発達障害を持つ方々のそれぞれの障害の特性に応じて、その一人一人の本当に特徴、特性、そういったものに合わせて行われることが重要であると考えています。
  72. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本人が訓練して変わるというようなことが強制されない、周りが、社会全体が、自分たちが変わっていってきちんと支援していく、適切な情報を提供して、適切なアドバイスを受けて、そして周り自身が、やはりその本人自身の希望が達成されるような、そういうような環境を作っていかなきゃいけないというふうに思います。  早期発見と早期支援ということについて、神本さんも触れておりましたけれども、診断を契機とする治療の強制、あるいは不合理な差別の温床となる可能性が心配だということ、私のところにもたくさんのメールが届いておりました。  そこでやはり、改めてなんですけれども、投薬の強制あるいは副作用の心配というようなことがありますので、こういった面で強制されないということに関してお聞きしておきたいと思います。一方では、早期に診断されて早期に治療に当たることができて、家族が結束して本当に助かったと、そういうようなメールも届いておりますけれども、まず心配な面に関してお聞きしておきたいと思います、厚生労働省。
  73. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 早期発見、早期支援が治療の強制とか不合理な差別につながってはならないというのは御指摘のとおりだと思います。そうした観点から、法案の中ででも、児童や保護者の意思を尊重するという趣旨が何度も規定されていると理解しております。  したがいまして、発達障害の早期の医学判定などに当たりましては、障害のレッテルを張ることではなくてその後の適切な支援につなげるためのものであることでありますとか、強制されるものではないことなど、この法案ができますと、法案の内容について各都道府県などに通知を出すことになりますけれども、その趣旨をきちんと通知の中で明らかにし、法案趣旨が現場で生かされるような運営がなされるよう、今後努力してまいりたいと思います。
  74. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そこでなんですけれども、今その発達障害をきちんと診断してくれるというお医者さんの数は全国で二百人というふうに聞いているんですけれども子供十万人当たりの児童精神科医、その数は、九六年の調査ですけれども、スウェーデンでは十二・五人、スイスでは十二人に対して日本は〇・三五人しかいないという、こういう状況なんですね。  現在の制度では、子供にかかわる医療というのはすべて高収入につながっていかないということのために、小児科自体が大変少ない状況にあるし、減りつつあるというふうにも聞いていて、大変厳しい状況の中で働かれているわけなんですけれども、けがとか病気とかレントゲンとか、そういう場合の検査とか薬の処方は割と短時間で病院の利益に結び付けることができるんですが、この発達障害の子供たちの診察に当たっては、お医者さんのほかに臨床心理士が必要だったり、多くのスタッフが必要になってくる。  そういう中で、お医者さんだけではない判断というのがすごく大事なんですが、そこの充実がまちまちだし、障害でも、その人、子供、それぞれによって千差万別なために、今度は家族に対するカウンセリングもきちんとしていかなきゃいけないし、慎重な診療が必要だし、民間の病院の中では現在の保険制度では大変厳しい状況だなというふうに思っているんですけれども、こういう状況で、児童精神科として自分はやっていきたいという、そういう学生が、専門医ですか、そういう人たちが増えるということがあり得るのかなというふうに思いますし、発達障害者、特に子供の発達障害に対する具体的な施策の検討ということについてはどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
  75. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 御指摘ありましたように、我が国では、発達障害など、子供あるいはその親の心の問題に対応できる専門的な知識あるいは技能を持つ児童精神科医、あるいは小児科医が極めて少ない現状にあるのはおっしゃるとおりでございまして、そういった専門の人材の確保を図るということが重要であると考えております。この法案がその一つの契機になればと期待し、またその法案趣旨を生かせるよう、厚生労働省としても努力してまいりたいと思っております。  そうした観点から、本年度内に検討会を設けまして、小児科及び児童精神科の領域における専門医の確保対策について具体的な検討を行いたいと思っております。また、平成十七年度の厚生労働科学研究におきまして、子供の心の問題に専門的に対応できる医師などの確保や育成に関する研究の実施、養成プログラムの開発などを行うことを予定しているところでございます。また、国立精神・神経センターなどにおきまして必要な専門家スタッフの研修にも努めてまいりたいと思っております。  それから、診療報酬などでの配慮も今後必要だろうと思いますが、現行の保険点数におきましては、自閉症等の精神疾患を有する児童に対する計画的な治療の提供、外来診療におけるカウンセリングの評価が行われているところでありますけれども、この法案の成立の趣旨も受けまして、今後、発達障害等に対する診療報酬につきましても、中医協におきます議論を踏まえつつ、適切な評価に努めてまいりたいと考えております。  今後、各般の対策を充実してまいりたいと考えております。
  76. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その際に、仕組みの透明化というのは大事だと思います。専門家医だけの判断ではなくて、親も納得できるということがすごく大事だと思いますし、その専門家の判断が早期に行われた場合には、やはり説明責任が後からきっちりできるということをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  77. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 発達障害の診断は医療の観点のみだけでなくて、いろんな専門家の御意見を聞きながら判定すべきものだと考えておりますので、御趣旨のとおり運用してまいりたいと思います。
  78. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、提案者に発達障害者支援センターについて伺いたいと思いますが、これを新たな天下り先にしないということは十分押さえていただきたいと思います。  この機能を果たすものとして私は期待をしていきたいとは思うんですけれども、これ年間二千五百万円の低予算ですよね。そして、設置箇所も不十分だと言われている中です。ですから、今後専門性の高い機関として役割を果たせるようにしていく必要があると思いますけれども、多様な発達障害児、発達障害者、そして保護者、本人の気持ち、ニーズに適応した運営がこの中では必要だというふうに思います。つまり、センターの独走にならないということは大事だと思っておりますが、いかがでしょうか。
  79. 宇佐美登

    衆議院議員(宇佐美登君) 平成十四年度からこの自閉症・発達障害支援センターの整備が進んでいるわけでございますけれども、現在十八都道府県十九か所、福岡県だけ今二か所あるんですけれども、この現状を考えると、できる限り早期に四十七都道府県すべて、残り、ですから二十九の県があるわけでございますけれども、まずそういったところに配置していくことが重要であると思いますし、二千五百万円の予算については、参議院、衆議院、党派をすべて超えて、政府に対してこれを働き掛けていくしかないわけですので、是非一緒にやっていきたいですし、提案者としては望むところでございます。  また、自閉症・発達障害支援センターについては、相談支援、療育支援、就労支援を担当している職員が配置されていますが、今後は、委員指摘のように、職員の専門性が確保されるような研修などにより、その質の向上を図っていくべきだと考えています。  最後に、独走にならないようにというのは正にそのとおりであります。今後も発達障害者支援センターが発達障害児や保護者等のニーズにきっちりと対応していく、即した形で支援を行っていくよう、政府に対して、これもまた提案者ばかりではなく、皆様方と一緒になって働き掛けていきたいと思っております。  最後に、天下りの問題を御指摘されていましたけれども、ここは本当に大変重要なところでございまして、専門性は有するけれども、といって簡単に天下りを認めていくべきものではございませんので、こういった行革の観点も必要でありますけれども、同時にしっかりとした、委員指摘の親御さんたち、そして御本人たちのニーズに即したセンターの運営というものを働き掛けていきたいと思っています。
  80. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 多様な生き方を助けるもの、そして権利擁護のために先頭に立って闘ってくれるところ、それが私は発達障害者支援センターでなければならないと思っておりますので、その点よろしくお願いしたいと思います。  ここでの従来の自閉症・発達支援センターと同様に、知的に遅れのある自閉症児、自閉症者も対象となるということでよろしいでしょうか。この法案での支援の対象には知的に遅れのある自閉症児、自閉症者を含む、そういう考えでよろしいか、確認しておきたいと思います。厚生労働省です、はい。
  81. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 知的障害の有無にかかわらず対象になると理解しております。
  82. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 続いて、このむき出しの強制でなくても、十分な情報を提供しないで本人や保護者を不安に陥れるというようなことがあってはなりませんし、他の選択肢を選ぶことを応援するその努力がなかったために、実質的には有無を言わされなかったと、進路を決められてしまったと本人や保護者が感じることがないようにすべきだと思いますけれども、厚生労働省、いかがでしょうか。
  83. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 発達障害者にかかわらず、障害者福祉におきましては自己決定とか自己選択というのがキーワードであります。発達障害者に対する支援についても十分な情報提供をし、当事者の方が選択できるように、発達障害支援センターあるいは様々な福祉施策を通じまして支援を強化していきたいと思っております。
  84. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この発達障害者の自立及び社会参加に資するために支援を図っていくんだと、発達障害者の福祉の増進に寄与することがこの法案の目的だというふうにされているわけなんですが、この発達障害者の教育と訓練、そして仕事の面ですね、就労に向けた情報提供を行うだけではなくて、発達障害者を社会の一員として受け入れることができるように、社会そのものを変えていかなければならないと思います。  そこで、社会全体がその理解を深めていく、差別をなくすために、まず学校、職場、地域社会の中で、その中でのその変化を促していって、そしてこういう子供たちが参加できるような条件整備が必要だというふうに思いますけれども、これは発達障害者にかかわらず、一般の人たちに対する、障害者一般に対する施策としても大変重要な点の一つだというふうに思っております。  我が子のことが理解できないということで大変苦労されて苦しんで、周囲の人から発達障害を理解してもらえないという二つの苦しみがある中で、本人も家族も苦しんできたということがありますけれども、そのために、行き着くところ、大変残念なことには虐待に遭ってしまう、あるいは無理心中にもつながっているというような現状もありますので、保護者を孤立させないという意味でも、社会全体に対する啓発というのが大変重要になってくると思います。  この点について、どうでしょうか、本人の訓練ではない、周りを変えていく、社会全体を変えていく、そのための啓発が重要だという点についてお伺いしておきたいと思います。
  85. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 発達障害の方々は地域の理解があれば普通に地域で暮らせる方々でございます。そういう意味で、地域のいろいろな方々が発達障害についての御理解をしていただくことが重要だと思います。例えば、商店の方々、駅員の方々警察方々、いろんな町のいろんな方々に正しい理解をしてもらうことが重要であると思っております。  これまでも厚生労働科学研究におきまして、こうした発達障害理解のためのパンフレットを全国の警察などに配付するとともに、全国数か所で警察官への研修など、いろんな研修をやってきたところでございますが、今回新しい発達障害者支援の法律ができることでありますので、こうしたパンフレットも最も新しい考え方で見直したいと思いますし、警察官などへの研修などについても拡大して、いろんな形で理解が深まるように努力してまいりたいと考えております。
  86. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その理解という面で、子育ての面での理解を深めていくために、一般的な子育て支援の中で支援が可能になるように、その担当者に対して発達障害の理解と支援プログラムについての研修が必要だと思いますが、いかがですか。
  87. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 発達障害児の方々には専門的な支援が必要という面もありますけれども、いわゆる育てにくい子供という側面も有しておられますので、普通の子育ての中でも対応していくことが非常に重要だと思います。そういう意味で、一般の子育ての支援をされる担当の方々に正しい理解をしていただくことが非常に重要でございます。  これまでも保健師等に対する手引書の配付などを行ってまいりましたが、平成十七年度の概算要求で、こうした法案の議論がされていることも踏まえまして、都道府県、政令市の担当者、保健師、保育士などに対する指導者の研修、あるいは実務の研修といった内容の概算要求を盛り込んでおりまして、その予算の確保を図りましてそうした研修活動の充実に努めてまいりたいと考えております。
  88. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、就労の面での理解でありますけれども、大変発達障害者の皆さんたちはその困難に直面しているわけなんですが、殊にハローワークにまず行きましたときに、職員の方がアスペルガー症候群ですとか自閉症の方ですとか知識がないわけなんですね。そこで努力が足りないというふうに職員にしかられてしまう、傷付いて働く意欲がなくなってしまうというのが度々あったということですから、そうした理解を深めていくためには職員の研修が早急に必要だというふうに思いますし、一人一人就労のそのあっせんの仕方もあるように思いますけれども、これはどんなことを考えていらっしゃいますか。
  89. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) お答え申し上げます。  ハローワークにおきまして発達障害者の就労支援をこれから進めていく上におきましては、御指摘いただきましたように、発達障害者に関する正しい理解といいますか、それから就労支援のための具体的なノウハウ、こういったものをやはりハローワークの担当の人を含め職員に十分周知をして、正しい理解を持って対応してもらうことがわけても重要であろうと思っております。  このため、本法案の成立後におきましては、法の趣旨あるいは発達障害に対する正しい理解といったようなことにつきまして全国のハローワークに周知するため必要な通達を発出いたしますとか、近々に全国会議の場もございます、こうしたところを活用したり、あるいは職業紹介を担当いたします専門官の研修もございますので、この場でよく研修をいたしまして職員の理解を深めてまいりたいと、このように考えております。
  90. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  そして、この雇用支援を実体法に反映させるためには障害者雇用促進法の改正が必要になっていくだろうと思いますけれども、現在の法定雇用率、これまだまだ下回った状況でありますから、このことを改めていかなければなりませんし、現在確保されているその仕事というのが、例えば身体障害者あるいは知的障害者、こういう人たちが保護されるところで、法定雇用率というところで当てはまる人たちなわけなんですが、余り小さなパイの中で発達障害者が入って分け合う、奪い合うというようなことになってはなりません。  仕事の確保ということを今お願いをしているわけなんですけれども、その確保というのが今までのレベルよりもやはりアップしていくという、確保されればいいということで割と低めの水準で確保されたのではいけませんので、そこが十分に配慮されているということで是非お願いをしたいと思います。  雇用については十分配慮されるという点で伺いたいと思います。
  91. 宇佐美登

    衆議院議員(宇佐美登君) 今日もここに各党の提案者が並んでいるわけでございますけれども、ここは一致しているところでもちろんございまして、今ある、障害者で雇用されている方で、この雇用率も含めて、発達障害者の方が入ってきて、その少ないパイ、現状は今少ないパイを、それを分け合うということではなくて、発達障害者の方がプラスしてより働く環境、働く場が与えられるようにあるべきだということは、皆さん、本当にこの提案者の皆さんが一致しているところであり、その思いを込めて作られた法案でございますので、政府に対して我々も一緒になって働き掛けていきたいと思っています。
  92. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  警察に伺っておきたいと思いますが、犯罪等による発達障害者の被害を防止するためとあります。発達障害児、発達障害者は様々な事件あるいは事故に巻き込まれやすく、また巻き込まれた場合にちゃんと対応してもらえなかった。それは、なかなか自分のことを説明することができない、あるいはコミュニケーションを取りにくいという、そういう状況にあるわけですから、適切に対応するために支援が必要だというふうに思います。  今もちょっと話はありましたけれども警察とか消防、公共交通機関、消費生活相談機関、地域の商店、コンビニ、福祉専門家ではないいろんな機関の人たちに対してこれを理解してもらうことが必要だと思いますけれども警察がまず一番、その点、駆け込んでいくところかな、対応するところかなというふうに思いますので、どのようなことを考えていらっしゃるか、お教えいただきたいと思います。
  93. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えいたします。  警察では、現在、障害者の方々に対しまして保護の立場からの適切な警察活動を徹底するために、警察学校における教育や警察署などにおきます職場研修を通じまして、部外の専門家の招聘とか、あるいは知的障害者施設における介助実習、さらには、先ほどもお話がありました警察官向けハンドブックの活用などによる教育を推進しているところであります。  警察といたしましては、発達障害者支援の重要性を認識し、また今回の法制定の趣旨も踏まえまして、今後とも、発達障害者の被害防止に努めますとともに、事件、事故に巻き込まれた場合に適切に対応できますように、発達障害者の特性を個々具体的に理解させる教育の一層の推進に努めてまいる所存でございます。
  94. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 済みません、具体的に交番、警察、いろいろ様々にありますけれども、その理解を深めるために、先日はちょっとパンフを見せていただきましたけれども、大体どのぐらいの箇所に徹底してそういうものについて配られ、また言葉としても研修されるのかということだけを確認しておきたいと思いますが。
  95. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 平成十三年の十一月でございますが、全国の都道府県警察本部の各課、警察署各課ですね、あるいは各交番、駐在所に対しまして合わせまして二万一千二百部を配付しております。これを配付するだけでなくて、先ほども申しましたように職場の研修を通じまして具体的にこういう御指摘のようなパンフで、障害者の方々が来られた場合にやはりコミュニケーション不足とかいろいろありますので、そういう場合に的確に対応するように、細かくですね、指導するように努力しておりますが、こういう法制定がございますので更に努力をしてまいりたいと思っております。
  96. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 続いて、その発達障害者のライフコースを通じての支援なんですが、もう一時期ではなくて、保育園、小学校、養護学校、就労と、こういうふうに今までは環境が変わるたびにゼロから支援体制作りというのは全部親が頑張ってやってきたわけなんですが、一生涯を通じた支援ということを考えていくわけですから、これは医療、福祉、教育、そして労働、垣根を越えた支援体制が必要となってくるんですけれども、一体この連携をしていくのは、一体だれがコーディネートをするのか、それから関係機関をどういうふうにつないでいく役割を関係者が作っていくのか、この点、厚生労働省に伺います。
  97. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 発達障害者の支援に当たりましては、御指摘ありましたように、医療、福祉、教育、労働などの垣根を越えた支援体制が必要だろうと思いますし、かつライフサイクルを通じた一貫した支援が必要だろうと思います。  こうしたことについては優れた実践例がありまして、例えば滋賀県の甲西町におきましては、教員の経験のある方が福祉課の職員も兼ねてコーディネーターの仕事をやられておりますし、また横浜市の自閉症・発達障害支援センターの例では、就労支援の経験のある職員が各機関を調整する役割を果たしておられます。  地域によっていろんな方がコーディネーターの役割を果たされると思いますけれども、来年度の概算要求で文科省と厚労省が一緒になって地域でモデル事業を行うことになっておりまして、こうした事業を通じましていろんなタイプのコーディネーターの活動というのが広がっていくことが期待できると考えております。
  98. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 一言だけ。  これから運用されるに当たっては、絶えず見直していく、謙虚な形で見直していくということが大変大事だと思いますけれども、そのチェック機能というのを是非よろしくお願いをしたいと思います。  ありがとうございました。
  99. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  今回のこの発達障害者支援法、大変悩ましい法案だと思っております。  今日も議論かなりされましたけれども、定義についてもこれだけ議論が活発だということは、なかなかあいまいな点もあると。やっぱりレッテル張りの中で差別の助長とか、こういった不安もございます。現に発達障害児と診断されて九歳で自殺された方という、こういう例もございます。しかし、片や、この発達障害者として、児として認められないばかりに今まで本当に苦しんでこられた御本人、そして親御さんの存在もございます。なかなか懐かない我が子を、どうして懐かないんだろうと悩みながらも虐待してしまうといった二次被害といったような例もございますので、やはりそういう意味では私は真の発達障害者の皆様、そしてそれを取り囲む皆様への支援になってほしいというその思いで幾つかの質問をしたいと思っております。  まず、質問は、この六月にこの委員会でも障害者基本法の改正ということを大変活発に議論しました。一つの大きな争点は、この権利というものを明記しなければいけないという、この基本理念に盛り込んだわけですけれども、私、今回のこの発達障害者支援法を見る限り、若干その権利の明記の仕方が甘いのではないかと。十二条に権利擁護とございますが、これは差別等からの権利を擁護するという若干消極的なものでございまして、私は、発達障害者の皆さんが発達していく権利を支援するんだという、私、このくらい積極的な姿勢が求められると思っているんですが、提案者、この点についていかがでしょうか。
  100. 馳浩

    衆議院議員(馳浩君) この法律は、障害者基本法の枠内に含まれるものでありまして、障害者基本法では第三条第一項におきまして、すべて障害者は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有するものとするとされており、この規定趣旨は発達障害者についても当然及ぶものであります。  また、本法律案の中で、発達障害者に対する支援に関する様々な施策が規定されておりますが、これらの施策は発達障害者の権利の擁護に資するために行われることは当然のことでございます。特に、第十二条における「国及び地方公共団体は、発達障害者が、その発達障害のために差別されること等権利利益を害されることがないようにするため、権利擁護のために必要な支援を行うものとする。」と明確に規定しており、発達障害者の権利の保護を図っているところでございます。
  101. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 じゃ、厚労省にちょっとお聞きします。  この障害者基本法の定義には、やはり発達障害者という言葉は含まれておりません。現実に身体障害者、知的障害者、そして精神障害者のこの三本の柱の谷間に位置付けられたといいますか、漏れてきたわけですね。これ現実的にそうだったわけですよ。このことに対して厚労省は、責任とは申しませんけれども対応が遅れてきたことについてはどうお考えなのか、その点お聞かせください。
  102. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 障害者基本法の障害者の中には、原因のいかんを問わず、身体障害、知的障害、精神障害の状態にある人はすべての障害者が含まれるということでありますので、今回の法案の対象の方々も当然障害者基本法の対象になるということであると思います。  ということでありますけれども、これまでの我が国の障害者法制は、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、身体障害者福祉法という個別の法制の発展の中で対策が立てられたということで、ややもすると谷間の、今回の法案方々の多くはその制度の谷間になったということでありまして、一部、知的障害者福祉法の運用の中で対応してきたものもございますが、確かに制度の谷間にあったということについての対応が不十分であったと思いますし、この法案を契機に、谷間の方々に対しても支援の手が伸びるよう努力してまいりたいと思います。
  103. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございます。そういう真摯なお気持ちをお聞きしました。  やはり現実には、その縦割りの中で、法体系も含めてはざまで漏れてきて本当に苦しまれてきた方がいらっしゃるわけですから、まあ強い言い方をすると反省の下に今後施策を講じていただきたいと思います。  関連して、私、就労支援についてだけ今お聞きしたいと思っております。  障害者の雇用促進法とございますけれども、やはり手帳を今発達障害者の皆さんは持てないわけです。即座に知的障害者の療育手帳は取得できないわけですから、この手帳なくして就労について特別な支援というのは受けられるんでしょうか。厚労省、お答えください。
  104. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) お答え申し上げます。  障害者の雇用の促進等に関する法律につきましては、これはすべての障害者が基本的に対象となっております。ただ、雇用率制度ということで一定以上の割合の障害者の方を企業に雇っていただくと。この雇用率制度につきましては、現在は身体障害者とそれから知的障害者の方、この方が対象になっているということでございます。  そういうことではございまして、この雇用率制度の対象からは外れておりますけれども、それ以外の、例えば職場適応を容易にするためのジョブコーチ制度でございますとか、こういった職業リハビリテーションに関する措置につきましては、この障害者雇用促進法に基づく支援の対象とされてきているところでございます。
  105. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ですけれども、障害者雇用促進法、これ定義は二条一項でなされていますけれども、文言としてはやはり発達障害者、これ当然抜けているわけですね、今まで抜けてきたわけですから。  そう考えますと、この法律も当然改正、そして先ほどから議論になっております法定雇用率も、これ自体をアップさせるという、私こういう改正が必要だと思っているんですけれども、いかが対応されますでしょうか、お答えください。
  106. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) 今後の取組ということでございますけれども、確かに御指摘のように、発達障害者という用語につきましてはこの雇用促進法の中でも位置付けられておりませんで、やや言葉は悪いですけれども、その他の障害という位置付けでいろいろ措置を取っているということでございます。  そういったことで、今回の法制定を機に、発達障害者の雇用促進、就労支援にも取り組んでまいりたいと思っております。その中で、今後、御指摘いただきました雇用率制度への適用といったものも我々として今後検討していかなければならない課題だと認識しております。
  107. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 前向きな答弁、ありがとうございます。  本当に、実際に健常者とともに仕事をしていきたい、ただなかなかそれができ得ないという状況がございます。今回の法案では、この就労支援、第十条では、都道府県はとなっておるんですが、当然私、国としても最大の支援をすると思っておるんですが、国としての発達障害者の皆さんの雇用確保について、具体的な対応を最後にお聞かせください。
  108. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) 障害者雇用促進法の第六条に基づきまして、国としても当然障害者の雇用促進について基本的な責務を負っているわけでございますので、発達障害者の雇用促進にもこれから積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  具体的には、公共職業安定所におきますいろいろな職業相談あるいは求人開拓といったこと、それから障害者職業センターにおきましていろいろな職業評価をいたしますとか、あるいは先ほど申し上げましたようなジョブコーチ制度といったようなものの施策としての効果が高いのではないかと思っております。こういったものを活用する。あるいは地域におきます障害者就業・生活支援センターにおきます就業と生活面での一体的な支援、こういった施策を十分に活用しながら関係機関と連携して取り組んでまいりたいと思っております。
  109. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後に問題提起して終わります。  今日、神本委員のやり取りでもあったんですけれども、発達障害者児の皆さんが六%いるという、これ本当に数字の独り歩きなんですよね。  文科省が平成十四年に行った四万人の調査、この質問項目というのを見て、私ちょっと驚いたんですね。これ、小学校一年生から中三までなんですけれども、例えば、大人びているという項目があるんですよ。最近の中学三年生、私たちから見れば相当大人びていますよ。これに丸が付きますと発達障害者、児だとなるわけですよ。そのほか、常識が乏しい。小学校一年生で私、常識にありふれている子はそんなにいないと思うんですよね。  そのほか、例えばこれ驚いたんですけれども、他の子供は興味を持たないようなことに興味があり、自分だけの知識世界を持っている。これ私すばらしいことだと思うんですよ、個性があって。これが丸付けられると発達障害者の方に行くわけですよ。そのほか、私はもうこれ聞いて痛かったのは、例えば聞き漏らしがある。私もしょっちゅうありますし、そのほか、限られた量の作文や決まったパターンの文章しか書かないと。私今、質問文を書きながら、こう本当に胸が痛いですね、耳が痛い。  だから、こういったものが背景となって六・三%が出て、それが六%として独り歩きする。私、このようなことは絶対に防いでいただきたい。  今後、定義は政令で定めますんで、きっちりと客観的な医学的見地に基づいてこの定義をするということをこれ最後にお願いして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  110. 近藤正道

    ○近藤正道君 無所属の近藤正道でございます。  この法案の意義、目的、今日の審議を通しまして私も相当理解をさせていただいたところでございます。提案に至りました関係者の皆さんの御努力に本当に敬意を表したいというふうに思っています。  幾つか質問を準備しておりましたけれども、ほぼ皆さんにもう質問をされましたし、とりわけ支援という中身につきましてはもう既に出ておりますので、私はこの法案の方向について評価をさせてもらうと、そのことを前提に、最後でありますので、私のやっぱりいまいち引っ掛かるところにつきまして、確認的な意味で質問をさしていただきたいと思っています。  冒頭の神本委員の質問に対する福島先生の御答弁で、支援が大切なんだと、決め付けることが目的ではないんだということをおっしゃられました。本当に私もそうあってほしい。しかし一方で、定義がまだまだ、何となく分かったようで分からないところもあるし、今ほどの黒岩委員の最後の問題提起などを聞いていますと、私も若干ぐらつくところがあるわけでありますが。  例えば東京都の教育委員会のホームページの中に、ここに持ってきておるんですが、これ私も昨日見ましたけれども、こういうふうに書いてあります。ADHD、注意欠陥多動性障害のところなんですが、こう書いてあります。「原因や生理学的な基礎については、脳の機能障害が推定されるという段階であって、現在のところ分かっていません。」と、こういうふうに書いてあります。また、いろんな私のところに送られてくるパンフレット、書物等を見ますと、アメリカの国立衛生研究所というところは、今ほどのADHDの原因に関する私たちの知識は依然としてその大部分が推定的なものにとどまっている、こういうふうに書いてあります。  先ほど福島先生の方で、分かっていることと分かっていないこと、ここの識別、区別がありまして、私もなるほどなと、こういうふうに思いましたけれども、今現在、東京都がそういうホームページを現に掲出をしているということなどを見ますと、もう一度ここでやっぱり、きちっと駄目押し的に、医学的、科学的に大方のやっぱり整理、決着は付いているんだということを是非はっきりさせる必要が私はあるんではないかと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  111. 福島豊

    衆議院議員(福島豊君) 先ほど神本先生の御質問にもお答えさしていただきましたが、この東京都教育委員会の文書のその読み方の問題というのが私はあると思います。機能障害だと、こういうふうに明確に言うためには、どこそこの機能がこう障害されていますねというところまで解明されないと、なかなかストレートには言えないということだと思います。  ただ、様々な、どこが障害されているのかということについては諸説があります。その諸説はいまだ仮説であると、この指摘は多分正しいと思います。ただ、裏返して考えると、こうした様々な行動上の特性でありますとか、例えばコミュニケーション上の障害とか、こういうのが表れてくるのは、その人が例えば親の育て方がこうだったからこうなったんですよということではないと。この本法案で脳機能の障害であるということを条文上書いたのは、裏返して言うと、そういう後天的な育て方であるとかなんとかというようなことでそうなっているのではなくて、むしろその本来の脳の機能の障害、まあこれは特定をされるに至ってはおりませんけれども、傍証は様々に出てきておりますけれども、そういうものに由来するものであるからこそ、そうしたことに早く気付き、支援をすることが大切であると、そういう観点からこの定義のところではこのような表現をしたわけであります。
  112. 近藤正道

    ○近藤正道君 はい、分かりました。  次に、現在、この発達障害児六%という、これもその六%の由来について今ほど来議論がありましたけれども、通常学級におられるということでございます。どういう体制で一緒に学んでいるのかということが一つと、もう一つ、この本法の成立を受けて今後どういうふうになっていくのか。非常に機械的に分けますと、分ける方向に行くのか、あるいは補助教員等の配置で充実させていくのか。一般的な話はこの間出てきておりましたけれども、端的にどういう方向にこれから進んでいくべきなのか、法の方向について提案者から御説明をいただきたいと思います。
  113. 馳浩

    衆議院議員(馳浩君) 現在でも通常の学級においてほかのお子さんたちと一緒に勉強しているわけでありますが、実は私も文京区において特例として取り組んでおる実例を拝見させていただきまして、担当者にもお伺いいたしました。やはりある部分は加配も必要でしょうし、またその文京区の取組というのは、通所という形で、通級という形で週に一回ある小学校のいわゆる学級に少人数で通って、そして先生方からプログラムに基づいて支援を受けると。それで十分対応できて、と同時に、その学級には加配の若い先生方も入って、支援のプログラムの在り方についてもともに研修を行いながら、そして、そのそれぞれの先生方が自分の学校に戻っていったときに、その方向を理解して子供たち対応をするというふうになっておりますので、やはり通常の学級において、そういったできる限り加配も受けた中で、その先生方からの支援が受けられるような形が私は望ましいというふうに思っております。
  114. 近藤正道

    ○近藤正道君 本法の成立によってどういう方向になるのか、今ほどある程度のお答えがあったというふうに思いますが、もう少し、この法律の制定によって更にどういうふうになっていくのか、文科省の方から御説明いただければ有り難いと思います。
  115. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 現在、学習障害児の子供がほとんどが通常学級におりますので、その指導支援ということでモデル事業をやっております。そのモデル事業の中では、一つは各学校に特別支援教育コーディネーターというものを置きまして、その人が担任の教員、これと連携していろんな相談に当たる、あるいは保護者あるいは外部の方との調整に当たるということをやっております。  また、学校全体として取り組むという意味で校内委員会というものを設置し、またその学校の外でございますけれども、これには専門家チームを作りまして、この方が、専門家に学校のコーディネーター等が相談に行く、あるいは巡回相談員という形で専門家の方が学校に来て指導をする、あるいは助言をするといった体制を整えております。  また、それにプラスしまして、学校だけでなくて医療、福祉、労働関係、関係の機関が共同しました、連携するそういう協議会というふうなものも作りまして、そこにも協力していただくという体制を取っているところでございます。  今は四十七の都道府県でモデル事業という形でこれを実施しておりますけれども、こういう体制を、学習障害児を抱える、が在学する学校につきましてはそういう体制を教育委員会あるいは関係機関といったところで整備してまいりたいというふうに考えております。
  116. 近藤正道

    ○近藤正道君 教育現場におきまして発達障害児の教育選択権はどのように保障されるのか。神本議員の質問のところでもありましたけれども、例えば、発達障害児と保護者には発達障害への個別的なプログラムを受ける権利とそれを拒否する権利、すなわち障害のない子供たちと一緒に学ぶ権利が保障されなければならないというふうに思っておりますが、その選択を可能にする教育現場の体制は保障されるのか、どのように整備されるのか、最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  117. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 現在、先生も御指摘のとおり、学習障害を持つ子供たちはそのほとんどが小中学校の通常学級に在籍しているところでございます。そういう子供たちに対して障害に応じた形で指導あるいは支援を行いたいということでございまして、そのためには、一人一人の子供たちの障害に応じたニーズ、こういうものを把握して、関係者あるいは関係機関、そういうところが連携した形での個別の教育支援計画というものを策定していきたいと考えております。  この個別の教育支援計画というものを策定するというためには、保護者が非常に重要な役割を担っております。ですから、その支援計画を作るに当たりましては、保護者の理解あるいは協力が必要不可欠でございますし、またそういう計画を立てていくという中では、保護者の意見を十分に聞きながら、相談しながら作成していく、そういうことが必要であるというふうに考えております。
  118. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  御苦労さまでした。答弁者の方は御退席ください。  これより、金融機関等による顧客等本人確認等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、討論に入ります。──別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  金融機関等による顧客等本人確認等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、発達障害者支援法案を議題とし、討論に入ります。──別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  発達障害者支援法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、岡崎トミ子さんから発言を求められておりますので、これを許します。岡崎トミ子さん。
  122. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、ただいま可決されました発達障害者支援法案に対し、自由民主党民主党・新緑風会、公明党の各派並びに各派に属しない議員黒岩宇洋君及び近藤正道君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     発達障害者支援法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、障害者の個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利等を確認した障害者基本法第三条の基本的理念を踏まえ、次の事項の実現を期すべきである。  一、発達障害の早期発見は、発達障害者に対する早期の発達支援に資するためのものであることに留意し、障害者福祉、医療・保健、保育・教育にかかわる関係者の間における発達障害に関する理解の促進と認識の共有を図ること。  二、発達障害児に対する保育及び教育的支援と支援体制の整備に当たっては、発達障害児が障害のない児童・生徒とともに育ち学ぶことを基本としつつ、発達障害児及びその保護者の意思とニーズを最大限尊重すること。  三、発達障害者の就労を支援するための体制の整備を進めるに当たっては、障害者の就労の機会の確保に配意し、障害者の雇用の促進等に関する法律について、必要な見直しの検討に速やかに着手すること。  四、発達障害者及びその家族に対する相談・助言体制を可及的速やかに拡充し、及び医療・保健、福祉、教育、就労その他の支援を行う専門的人材を早急に育成する必要性にかんがみ、予算措置を含む適切な措置を講じること。  五、発達障害者に対する支援の実効性を確保するため、障害者基本計画についての必要な見直しを行うとともに、都道府県及び市町村が策定する障害者計画についても本法の趣旨が活かされるように、必要な助言等を行うこと。  六、発達障害者に対する施策の在り方について、医学的知見や介助方法の向上等、国際的な動向等に十分留意し、常に見直しに努めること。  七、包括的な障害者福祉法制及び施策の検討に当たっては、障害者の自己決定権及び発達の権利を含む権利・利益の尊重と侵害に対する迅速かつ効果的な救済、経済、社会、文化その他の分野における分け隔てのない参画の促進と自立に向けたきめ細かい支援、障害を理由とするあらゆる差別の排除と差別のない社会の実現を基本的視点として行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  123. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいま岡崎トミ子さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、岡崎さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。尾辻厚生労働大臣
  125. 尾辻秀久

    国務大臣(尾辻秀久君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し努力してまいる所存であります。
  126. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会