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2004-11-24 第161回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十一月二十四日(水曜日)    午前十時四十二分開会     ─────────────    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     浜四津敏子君  十一月十九日     辞任         補欠選任      岩永 浩美君     保坂 三蔵君      小池 正勝君     中川 雅治君      森 ゆうこ君     円 より子君  十一月二十二日     辞任         補欠選任      円 より子君     森 ゆうこ君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      中川 雅治君     小池 正勝君      保坂 三蔵君     岩永 浩美君      浜四津敏子君     加藤 修一君      仁比 聡平君     紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         風間  昶君     理 事                 岩城 光英君                 大仁田 厚君                 小林  元君                 高橋 千秋君     委 員                 岩永 浩美君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 松村 祥史君                 三浦 一水君                 足立 信也君                 芝  博一君                 那谷屋正義君                 水岡 俊一君                 森 ゆうこ君                 加藤 修一君                 紙  智子君                 仁比 聡平君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        村田 吉隆君    副大臣        内閣府副大臣   林田  彪君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       森岡 正宏君        国土交通大臣政        務官       伊達 忠一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣府政策統括        官        柴田 高博君        内閣原子力安        全委員会事務局        長        上原  哲君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        総務省総合通信        基盤局長     有冨寛一郎君        消防庁長官    林  省吾君        文部科学大臣官        房審議官     樋口 修資君        文部科学大臣官        房審議官     泉 紳一郎君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       萩原 久和君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働大臣官        房審議官     中島 正治君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        農林水産大臣官        房政策評価審議        官        佐藤 正典君        農林水産省農村        振興局整備部長  南部 明弘君        林野庁森林整備        部長       梶谷 辰哉君        経済産業大臣官        房地域中小企業        対策統括官    服部 和良君        経済産業省製造        産業局次長    塚本  修君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     松永 和夫君        国土交通省都市        ・地域整備局下        水道部長     谷戸 善彦君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省自動        車交通局長    金澤  悟君        国土交通省航空        局飛行場部長   本田  勝君        気象庁長官    長坂 昂一君    参考人        新潟県知事    泉田 裕彦君        財団法人鉄道総        合技術研究所理        事        垂水 尚志君        東京大学生産技        術研究所助教授  目黒 公郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (新潟中越地震災害対策に関する件)  (派遣委員の報告) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 風間昶

    委員長風間昶君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、山本香苗君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。     ─────────────
  3. 風間昶

    委員長風間昶君) 災害対策樹立に関する調査のうち、新潟中越地震災害対策に関する件を議題といたします。  本日は、参考人として新潟県知事泉田裕彦君、財団法人鉄道総合技術研究所理事垂水尚志君及び東京大学生産技術研究所助教授目黒公郎君に御出席をいただき、御意見を承ることといたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  去る十月二十三日、新潟中越地方で発生いたしました震度七の大規模地震は、死者四十人、負傷者二千八百人以上の人的被害を出し、住家被害は五万一千棟に達し、最大時十万人を超える方々避難生活を余儀なくされました。  本委員会は、十一月一日、新潟県に委員を派遣し、被害状況調査するとともに、現地の要望を伺い、今回の地震による被害の深刻さを痛感した次第であります。  現地では、迫りくる冬を前にして、今なお余震が続く中、懸命の復旧活動が行われておりますが、本地震災害に対する効果的な対応策が早急に実施されるべきことは言うまでもありません。  そこで、本日は参考人方々からそれぞれの専門分野について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日の議事の進め方について御説明いたします。  最初に泉田参考人垂水参考人及び目黒参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  また、御発言は着席のままで結構でございます。御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただければ有り難いと思います。  それでは、まず泉田参考人からお願いいたします。泉田参考人
  4. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) ただいま御紹介いただきました泉田でございます。  初めに、本日ここに参考人といたしまして発言の機会をいただきましたことを心から御礼申し上げます。  また、参議院災害対策特別委員会におかれましては、地震発生後いち早く、風間委員長を団長とする七名の委員皆様から、地震によって甚大な被害を受けた長岡市、小千谷市及び川口町並びに上越新幹線脱線現場、ごらんいただきまして、避難所ではまた、避難生活をされている方々に温かいお見舞いと励ましのお言葉をいただきましたこと、誠にありがとうございました。御礼申し上げます。  お手元写真集を配らしていただきました。テレビ等でかなり報道されているところではございますが、今回の地震特徴一つ地盤災害と言われています。前半部分写真が、地盤が壊れるとどういうことになるのかということがよく分かる写真集になっています。後半は人を中心に出ておりますが、前半部分をちょっとおめくりいただきながらお話を聞いていただければ幸いかと思います。  今回の地震でございますが、阪神淡路大震災以来という震度七を川口町で記録をいたしました。このため、先ほど委員長からもお話がございましたけれども、死者が四十名。この四十名の中には、地震で直接亡くなられた以外に、地震発生後、エコノミークラス症候群だとか、それから疲労による脳卒中心臓病で亡くなられた方八名、これが含まれております。  特に、地震発生後亡くなられた方というのは、やはりこれは行政の手がもっと円滑に差し伸べられていれば防げたかもしれないという方々なんで、こういうことがないように今後の教訓にしていかなければ、今回は阪神淡路教訓も伺ってかなり対策を講じたわけでございますけれども、やはり避難所の中で詰め込むと、それから車の中で避難をされるという想定外事態、まあ予想していなかったという事態もありまして、やっぱり何名の方かがエコノミークラス症候群とか、それから心臓病とか脳卒中で亡くなられていると、誠にざんきに堪えないという状況が発生しております。  それに加えまして、上越新幹線関越自動車道などの道路網、それから生活道路が寸断されたことによりまして孤立集落が多数出現をしたということでございます。国土の七割を占める中山間地地方都市巨大地震が襲った場合にどういうことが起きるのかと。阪神淡路とは違うまた地盤災害という側面が今回の地震特徴ということになっているかと思います。  また、中山間地巨大地震の問題といたしましては、阪神淡路の場合は住宅を確保すれば後は通勤経路が変わっても出社をすればいいと、まあいわゆるサラリーマン型の震災なんで住宅だけの問題ということでございましたけれども、今回の中越における大震災におきましては、中山間地の人は勤めているわけではなくて、自宅でコイを飼っていたり牛を育てていたり農業をやっていたり、そういう方々の集まりなんです。住宅を再建すればそれで生活再建にならないと。  先日も三宅島の民宿を営んでいる方々のインタビュー出ていました。三宅島に帰って集団住宅に入ればそれで生活ができるのかというと決してそういうことではなくて、やはり民宿を造って生活の糧を得るような仕組みで元の生活に戻らないと元へ戻っていかないと。山古志村とか今回孤立した集落も全く一緒でございまして、住宅を建て替えれば終わりということではなくて、やはり牛をどうしていくのか、コイをどうしていくのか、農業をどういうふうに再建するのか、道路はそもそもつながるのかと、そういうことがないと住宅を再建していいのかどうかも判断できないということになっています。  ところが、中山間地での巨大地震ということで、はっきり申しますと財政基盤の弱い自治体での大震災でございます。こういったところで果たして道路がいつ回復できるのか、こういうことのめどを示さないと生活再建ができないという厳しい事態に追い込まれているというところを是非御理解いただければと思っています。  今回、阪神淡路大震災では十兆円の被害と言われています。これは住宅が五兆八千億もあったせいですけれども、住宅はまばらなもんですから五兆八千億ほど行かないんですが、今回の災害、約三兆円という程度被害で見積もられています。これ、財政規模に対しての比率でいうと二・八倍、つまり新潟県の財政規模一・二兆円です。それで三兆円の被害が出ているわけですから、これをどういうふうに修復していくのかというめどが立たないと、実際避難されている方がどう住宅再建していいのかも分からないというような極めて深刻な事態になっております。  今回の大きな地震震災特徴として、とにかく余震が続いたと、怖くて家に帰れないと。私も現場を見ている途中に震度五の地震余震に襲われたんですけれども、やはりこれ心臓が止まるほどびっくりします、突然どんと来ると。いうことで、何で家の中に入らないんだって都会から見ているとなかなか御理解いただけない面もあると思いますけれども、実際体感すると本当に驚きます。そういうことで、なかなか住宅に帰れない、そのため避難者が増えて長い間避難所生活を送らざるを得ないというような状況になったと理解をしております。  こういう地震というのは、日本全国の中山間地どこでも起きる可能性があるということだと思っていますので、阪神淡路で救われたもの、これは田舎であれば救われないということがないように、是非目を閉じないで現実を見ていただきたいなと。  特に、農村で起きた場合、先ほども申しましたけれども、生産基盤生活の場というのが一体になっているわけです。こういったものが一瞬にして崩壊した場合にどう手助けをするかという新たな課題があるというふうに認識をしておりますので、この辺りを是非救っていただけないかなと。県の、それから市町村の、財政力の弱い市町村だけではとてもじゃないですけれども手の施しようがないという状況写真集見ていただければ分かると思いますけれども、道路が壊れたという話ではなくて、山ごと道路がなくなっているという状況をどう救っていくのかという課題だと認識をしております。  それからまた、法制度面でもいろいろございまして、今回、山古志村の全村避難の際には、とにかく命があれば財産は何とかなるから取りあえず避難しようということで、例えばコイであれば一事業者一億円ということを放棄をする中で命からがら、着のみ着のままです、貴重品現場に残したまんま逃げてきたというような現実があるわけです。ところが、この財産がないんであれば死んでもいいという方々もおられるわけです。数名残られました。この財産がなくなるということであれば、もう自殺するのと一緒であるから、おれは避難しないよという数名残られています。  ただ、行政避難指示に従って避難した人、これはもう財産はおまえたちの、自分たちが勝手に放棄したんだから一切助けられないよということになると、やはりその後の生活苦新潟県、自殺率というのは決して低い県ではありません。これは収入が低いことによる生活苦というところが影響していると思っていますが、それに拍車を掛けてしまうんではないか、そういう危惧も持っております。とにかく、命があれば財産は何とかなるというところを是非政治の力で示していただければと思っています。  アメリカでは、個人財産災害であっても補償をするという制度があると聞いています。これは憲法で言っても、要は健康で文化的な最低限の生活ができないという人が多数発生しているというところに是非目を向けていただいて、法律上の問題というか、原則でどうしようもないという話じゃないと思っています。私は政治の問題だと思っています。本当に健康で文化的な生活ができない人をどうしていくのかという観点で御審議をいただければというふうに思っています。  それから、激甚災害法早期に指定していただいたことは大変有り難いと思っているんですが、今回の被災した地域というのはこれから雪が降るんです。そうするとどうなるかといいますと、地震では倒壊を免れた家が雪の重みでつぶれる可能性というのが結構あると。これは学会からも指摘をされています。ところが、今の制度激甚災害法によりますと、地震地震、雪は雪ということになってしまいます。地震道路が閉鎖をして雪下ろしができない住宅がこれからつぶれようとしていると、これは激甚災害法では救えないんです。つぶれてしまった家はじゃどうするんだと、それは個人責任だということになってしまう。ところが、個人責任といっても、道路が通れないで雪下ろしができないという中で、どうやってこの家を助けていくのか、本当に現場は困っています。助けていただきたい。  ダムもそうです。とにかく逃げろということで逃げたわけです。これも行政の命令で逃げたわけです。ところが、その後、山が崩れて、沈んでしまった家、どうしようもありません。これは個人責任ではなくて自然災害だと思っています。特に御高齢の方が多いんです。住宅ローンが残って、収入も、農業収入というのは四百万とか七百万しかないという中の収入で、財産の大部分を失われた人、どうやって生活を再建したらいいのか、本当に途方に暮れている人が多いわけです。  そういった中で、生活再建法なんて一応あることはあるんですけれども、ちゃんとした収入の証明を出せとか、それから、個人財産だから家を壊す方は使っていいけれども建てる方には使ってはいけない、これは公務員の仕事を増やしているだけです、はっきり言って。市役所それから町役場、村役場、こういったところで作業をするために一生懸命やると、そういう書類を作るために一生懸命力を使って現場に温かい手が届かないということになると、生活再建なんてできないわけです。何とかして助けていただきたい。  それから、今回、新潟の人は結構我慢強いということが言われています。私も一週間たって現場に泊まり込んでみました。食べていた食事というのは、冷たいおにぎり、それから菓子パン二つお茶、冷たいお茶、こういうものを一週間食べ続けているわけです。三日もたてば飽きてしまうような、そういう人間の食事とは思えない、野菜も食べていない、たんぱく質もない。で、一週間たって、ありがとうございました、こういう人たちなんです。普通、一週間たって避難所に入れば罵声を浴びると、ところが新潟の人は拍手で皆さんを迎えています。これは、やはり助けてもらっているんだからちゃんと感謝をしなければいけない、そういう気持ちで皆さんを迎えているんであって、決して行政の手が十分に届いているということではないと思っています。御高齢の方がちゃんと生活をできるように、是非温かい手を差し伸べていただきたい。  それから、激甚災害法もそうなんです。都会で起きた場合は下水道、これはちゃんとした補助の対象、つまり激甚災害法対象にならなかったんで阪神淡路特別法対象にしたわけです。それから、私立の小学校とか病院とか社会福祉施設もそうです。激甚災害法で救えないんで特別立法をしたという経緯があるわけです。都会災害が起きれば助けられて、中山間地で起きると助けられない、こういうことがあってはいけないんではないか、私はそういうふうに思っています。特に、住宅を失った方、高齢でローン抱えて、もう再建しろというのは本当不可能だと思っています。  是非地震というのは台風水害じゃなくて、台風水害は水が引けば一応出てくるんですよ、道路もインフラも。ところが、地震は揺れが収まっても道路とか山とか元に戻らない、そういう現実があるわけです。被害も大変大きくて復旧にすごく時間が掛かると、こういった中でどういうふうにして生活を再建していくのか。これは都会に、危ないところに住んでいるのが悪いんだから都会に出てきて引っ越したらいい、そういうことじゃないと思っています。やはり、コイを飼っている方はコイを飼わないと生活できないわけです。牛を飼って闘牛をやっている方は、やはり牛を飼って闘牛をしないと生活ができないわけです。  是非、元の生活に戻れるように政治の力でお助けをいただければと思っています。よろしくお願いします。
  5. 風間昶

    委員長風間昶君) ありがとうございました。  次に、垂水参考人にお願いいたします。垂水参考人
  6. 垂水尚志

    参考人垂水尚志君) 垂水でございます。  まず、新潟中越地震により被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。  本日は、新幹線地震災害対策にかかわる研究開発状況といった観点から意見といいますか説明をさせていただきたいと思います。このたびの新潟中越地震による上越新幹線列車脱線につきましては、現在国や関係機関がその原因究明対策につきまして御検討中でございますので、本日、私からは、今回の地震発生までに進めてまいりました地震災害対策等に関する研究開発につきましてお話しさせていただきたいと思います。  本日は、お手元の文書、裏表の資料一枚と図面六枚を用意させていただいております。  ただいまから三つの事例につきまして御紹介させていただきますが、一つ目構造物耐震設計についてでございます。  構造物耐震設計は、幾つもの地震による被害教訓を基に進歩してきました。しかし、平成七年の兵庫南部地震では、コンクリート製高架橋が崩壊するなど構造物は非常に大きな被害を受け、この地震を契機に構造物耐震設計は大きく変化いたしました。  それまでは地震を静的な力、静かという字でございますが、振動しない一定方向の力に置き換えて耐震設計を行っておりました。構造物が損傷しないように設計するのが基本でございました。地震時の列車走行性に対しては、通常、構造物上では地平よりも揺れやすくなるため、地震時の変形をある限度内に制限することによって列車走行性を確保する設計昭和四十七年ごろから行われてまいりました。  兵庫南部地震以降、鉄道構造物耐震設計の見直しが行われました。その主な内容は、設計で考慮すべき地震を明確にするとともに、地震時に構造物に要求すべき性能を明らかにしてその性能を確保するようになったということです。具体的には、構造物使用期間中、数回程度発生すると考えられる地震に対しては、地震後に補修せずに使用できるとともに過大な変形を生じないようにします。構造物使用期間中に発生する可能性は非常に小さいけれども非常に大きな地震に対しては、地震後に補修が必要となるものの崩壊はさせないようにいたします。その内容は、鉄道総研が原案を作成したものでございまして、平成十一年に新しい耐震設計標準としてまとめられました。  私どもの鉄道総研では、耐震設計法以外にも耐震性能に優れた構造物開発既設構造物耐震補強等について開発を行っております。耐震性能に優れた構造物については、地震によって生ずる変形を小さく抑える工夫をした揺れにくい高架橋開発耐震性に優れた橋の支持台開発などを行っております。また、既設構造物耐震補強につきましては、コンクリート製高架橋の柱や橋脚を炭素繊維などの新しい素材を用いて補強する方法、あるいは土でできた構造物、盛土が代表的でございますが、そういうものの補強方法などの開発を行っております。  次に二つ目としまして、早期地震検知警報システムにつきましてお話しさせていただきます。  鉄道における地震防災では、事前に施設耐震性を向上させることが基本でございます。しかし一方で、地震が発生したときは迅速かつ適切に列車の運行を制御して事故を未然に防ぐことが重要となります。そこで、地震時の警報システム開発してまいりました。  地震時に自動的に沿線電気を遮断するシステムは、昭和四十年、東海道新幹線に導入されました。このシステムは、沿線変電所地震計を設置し、地震がある基準値を超えると電気を遮断し、これによって走行列車に自動的に非常ブレーキを動作させるものでございます。  その後、地震のより早い時点、すなわち初期の小さな揺れを検知して警報を発するための研究を進め、早期地震検知警報システム開発いたしました。このシステムは、地震を検知してから数秒間のデータで震源の位置や地震の大きさを推定してその地震の影響範囲を想定し、警報を発するシステムであり、平成四年に実用化されたものでございます。  それでは、お手元の図面をごらんになっていただきたいと思います。  まず、図の一でございますが、「早期地震警報システム」と書いてございます。ただいま後半に申し上げましたことについての概念図でございますが、最初にP波という初期微動が通常起きます。その後、大きい揺れをもたらすS波という主要動が参ります。大体、このP波というのはS波の二倍ぐらいの速度を持っておりますから、このP波が、S波が来る前になるべく早くこの部分で処理をできれば早い制御ができるというものでございます。このP波を検知することによって地震の規模ですとか地震までの距離を計算いたしまして、その中に当該の重要構造物等があるかどうかをチェックいたしまして警報を出すというものでございます。  次に、図の二を見ていただきたいと思います。その場合の、判断する場合の考え方を示したものでございます。P波が到着いたしましてこれを数秒以内のデータで処理をする、次にどういう大きいものが来るかどうかを処理をするものでございます。現在、主に使われているロジック、考え方が、ここに示しておりますが、卓越周期というのがございます。これは一回の振動にどれぐらいの時間が掛かるかというのが周期でございまして、大体一秒とか二秒とかそういうオーダーでございます。そういう周期がどれぐらい多いか、その一番多いところが卓越周期ということでございますが、この周期、卓越周期から地震の規模、マグニチュードを推定いたしまして、P波の最大振幅とこのマグニチュードから震源までの距離を推定するというものがこれまでのシステムの概要でございます。  続きまして、次の図の三をごらんになっていただきたいと思います。基本的にP波検知は同じでございます。なるべく早く地震を検知して大きい地震かどうかを予測していこうという物の考え方は同じでございますが、現在これはある機関との協力の結果、今までと同等以上に地震の規模、距離が算定できる手法を考えたものでございます。ここでは最初に震源までの距離を推定いたしまして、それからその振幅と併せて地震のマグニチュードを推定するというものでございます。  以上でございますが、続きまして三番目の課題、走行シミュレーションでございます。車両の走行シミュレーション、文章の方に戻っていただきますが、車両の走行シミュレーションは列車の乗り心地などを検討するために一般に用いられておりますが、地震時の車両の揺れを知るための手法としても有効なものでございます。  鉄道総研では、兵庫南部地震以降、地震時の車両の運動を把握することのできる走行シミュレーションの開発を行ってまいりました。このシミュレーションは、編成車両ではなく一両を対象とするなど単純化したものでございますが、地震によって生じる車両の運動の概略を知ることができます。また、地震が速い揺れかゆっくりした揺れかといった地震の特性や車両の特性、振動特性が主でございますが、そういうものが走行性に対してどのような影響を及ぼすのかといったようなことが分かるものでございます。  それでは、先ほどの図の続きをごらんになっていただきたいと思います。図の四でございます。「車両走行シミュレーションに用いるモデル」というふうに書いてございます。上の左の図は、車両、一車両の半分のイメージをかいたものでございます。車体が台車でつながっていまして車輪につながり、それがレールにつながっていくというものでございます。右は車体の断面を見たものでございます。また、真ん中にありますのはレールと車輪の接触の概念図、それからレールをばねで結びまして、そのレールの下の方から地震の動きに相当するものを入力するということになるわけでございます。現実の車両というのは非常に多くの構成要素から形成されておりますけれども、この計算ではかなり簡略化したモデルを用いて車両の走行シミュレーション、概略を把握しようというものでございます。  次に、図の五をごらんになっていただきたいと思います。地震時の車両の動きでございますが、車両の特性、地震の特性によって極めて複雑な動きをする車両でございますが、ここでは御説明のために簡単なイメージをかいてございます。左の方が比較的周波数、周波数というのは軌道の一秒間の揺れの回数でございます、比較的揺れがゆっくりしている揺れの場合は、左にありますような、車輪の足がこう上がるような、そういう動きを主として行います。また、右の方は周波数が、揺れが非常に多いという場合につきましては、上の方の、車体の上の方を中心に車輪がレールにぶつかるような形の動きが出てまいります。その中間はこれらが混在したというものになりますが、ただいまの御説明も非常に割り切った御説明になりますが、極端な例の御説明ということで御容赦いただきたいと思います。  次に、最後の図でございます。図の六、「シミュレーションによる結果のイメージ」でございます。  この横軸には軌道の左右動の周波数ということで、軌道がどれぐらい大きく、周波数ですから一秒間の振動の回数ですけれども、どれぐらい速くたくさん揺れるかというもので、右に行けば行くほど速く揺れるというものでございます。縦軸はそのときに車輪の脱線限界を示す軌道の揺れ幅ということで、上に行くほど軌道の揺れ幅大きくしてございますが、その緑で書きました曲線の左下の方に計算条件でこう入ってくれば、車両は脱線可能性がほとんどない、非常に少ないということになるわけでございます。  なお、この緑の線、太めに書いてございますけれども、これは地震特性、例えば鉛直方向に地震が、大きい力が働くか働かないか、そういったものですとか車体の重さ等、いろいろな条件を加味しますとこのような幅で結果が移動してくるというようなことで、ここでは結果のイメージというものを御説明いたしました。  図の御説明は以上でございます。  昭和三十九年十月の東海道新幹線の開業以来、新幹線としては初めて営業列車脱線を経験したことを、私ども研究所も当然のことながら大変重く受け止めております。今後は、従来から蓄積してまいりました知見やノウハウを結集して、新幹線の安全性の更なる向上のための研究開発に取り組んでいきたいと思います。  なお、先般、十二月二十八日に新幹線の運転再開への目標がJR東日本から発表されました。これまでに私ども相当の努力をしておりますけれども、更に力を入れて復旧へ向けて邁進していきたいと思います。委員会の前に、泉田知事からも、見通しが立ってよかったという安堵のお話をいただきました。これからも復旧に支援に邁進していく所存でございます。よろしくお願いしたいと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。
  7. 風間昶

    委員長風間昶君) ありがとうございました。  次に、目黒参考人にお願いいたします。目黒参考人
  8. 目黒公郎

    参考人目黒公郎君) それでは、お話しさしていただきます。  まず最初に、中越地震でお亡くなりになられました方々、また御不自由な生活をされている方々に対しまして、お悔やみとお見舞いを申し上げます。  じゃ、まず私の方から申し上げたいことを最初に資料を使ってお話しさしていただき、また時間があればパワーポイントの図表などを使ってその背景を説明さしていただきたいというふうに思います。  まず最初に、今後我が国が地震防災対策としてきちんとした対応をする上で欠いてはならない重要な視点ということについてお話しさしていただきます。今日、我が国が置かれている地震学的な環境をまずお話しさしていただきたいというふうに思います。  今日、我が国は地震学的に非常に活動度の高い時期を迎えておりまして、今後三十年、四十年の間にM八クラス、東京に近いところでいいますと関東大震災、あれがM七・九ですから、それを超えるぐらいのクラスの地震が四発あるいは五発、その前後にM七クラス、今回の中越あるいは兵庫南部地震クラスの地震がその数倍起こるというふうに我々は考えております。それらの一連の地震で我々が失う被害額、これが百兆円から三百兆円というような額になります。三十年で三百兆だとすると、年間十兆円ずつの被害を受ける、こういうような状況に今あるということがまず最大の重要な課題ではないかと思います。  さらに、これらの地震が起こるというとどれぐらいの被害が我々を襲うかといいますと、東海、東南海、南海の話をさせていただきますというと、震度五以上のところに住んでいらっしゃる方の人口が四千万人、三万人ほどの方が亡くなられるというような見積りが中央防災会議の方から出ております。  ただ、私自身は、これはかなりな過小評価なんじゃないかなというふうに思っております。神戸の地震で全壊数は十万棟です。半壊数は十四万棟です。一部損壊は二十一万、火事で焼けたのは七千数百です。これら一連の地震でどれぐらいの建物被害を我々が受けるかといいますと、全壊建物数だけでも百万棟を超えるわけなんですね。半壊を入れればその数は二百万棟というような数になるわけです。そういうような災害を今後受ける際に、我々が何をしなきゃいけないか、どういう観点を忘れちゃいけないかというのが私の今日のお話の主題であります。  兵庫南部地震、先ほど十兆円の被害ということの御報告がありましたが、間接被害等を入れますというと、学者によっても見積りが違いますが、二十兆から三十兆円を計上されるわけであります。それで、先ほど言ったような数の建物被害が生じ、地震後二週間までの間に五千五百余名の方が亡くなられました。その中の実は九〇%を超える方々が、監察医のデータによると、地震の十五分後までの間に亡くなってしまっているというデータがあるんですね。自分の住んでいらっしゃるアパートを含めて建物で亡くなっている方が八七%、こういったような状況です。火事で亡くなられた方が一五・四%ほどいらっしゃいますが、その多くの方々は、消防活動の問題というよりは傷んだ家の下敷きになっていて、逃げ出すことができないでいて、それで火事が襲ってきて亡くなられているような状況なんですね。ですから、建物の問題をきちんとしない限り、今後の地震防災対策の抜本的な改善はあり得ないということがまず一番重要な視点であります。  自衛隊、消防士の方、全国でどれぐらいの数いらっしゃるか考えていただければ、それらの方がどれだけ迅速に御対応していただいたとしても、状況が抜本的に変わるということはあり得ないというようなことも忘れてはいけないことではないでしょうか。耐震性が高まれば、地震の後に発生する火災も大幅に減ります。しかも、消火活動の条件も大幅に良くなりますから、仮に火が付いても消せるというような状況も明らかです。  東海、東南海、南海では津波の影響が叫ばれ、その重要性が指摘されています。そのとおりです。ただし、津波避難路をきちんと整備しようが、津波の来る前に地震動が到達するのは自明であります。すなわち、建物をきちんとしておかないというと、津波の前に家がばたばた倒れてそこで多くの方が亡くなって、せっかく造った津波の避難路も使えないというような状況が発生してしまうということであります。  今回の中越地震を私が見るに、中越で被災された地域の建物は、日本のほかの地域、特に関東以西の建物に比べれば大変丈夫な建物が多いという印象を受けております。なぜならば、積雪を考えなきゃいけない構造物というのは柱もはりも太くしなきゃいけない。冬寒い。大きな窓を作って開けっ広げというような構造物は造りません。当然壁の量が多くなるということで、地震に対して強くなります。積雪を考えるからといって、じゃ屋根が重いかといえば、もちろんそうじゃなくって、積雪を屋根の上に乗っけておきたくないですから、スレート、トタン、こういったものを使います。これは屋根の荷重を軽くします。さらに、基礎も十分、非常に大きな丈夫なものを造られます。これら一つ一つ地震に対しての対策ではないんですが、結果的には地震に対して非常に強い構造物を造り、結果として構造物被害が少なくなったということが今回の地震の影響、先ほど泉田知事の方から御報告がありましたが、非常に悲惨な状況だということに変わりもありませんが、あれがもっと地震に対して弱い建物が一杯ある地域だとしたときには、今の比じゃない、非常に厳しい状況に置かれたということをまず我々は忘れちゃいけないということです。  中越で見えている災害というのは、建物が大幅に壊れるということを防いだことによって相対的に重要性が高まった問題が今出ております。私は、それらの問題が重要じゃないと言っているんではないので、それは誤解していただきたくないんですが、ほかの地域、オールジャパンで対策を考えようとしたときに、中越地震で見えてきたことの大切さと同時に、建物が丈夫だったということであれだけ影響が小さくなったという部分も忘れてはいけないということをきちんとお考えいただきたいということであります。  それから、先ほど来申し上げていますように、私どもが今後受けるであろう被害の額というのは大変な量であります。そのときにやらなきゃいけないことは何かというと、被災された方々が気の毒なのでその人たちに手厚くケアをしましょうということはもちろん大切なことなんですが、それだけでは被害を、あるいは潜在的な被害を減らすことはできないということも重要です。耐震改修をきちんと進めていただくような制度設計をきちんとして、それでもって被害を減らす努力をした上でやられた人をケアするという対策を取っていかないというと、全く被害は減らせません。  そこで、私が提言している制度があるんですが、それは幾つかの制度の合わせ技になっております。  一つは、今の生活支援の制度というのは、事前に御自分の力で努力できるにもかかわらずやらないでいて、地震で建物が壊れたときに気の毒だからお金を上げましょうという状況になってしまっております。私は、この制度を作られるときに、是非それには自助の条件を付加していただきたいということを強く主張していたんですが、残念なことにそれはなくなりました。すなわち、どういうことかというと、私自身は、行政によるインセンティブ制度、それから耐震改修をした人たちによる積立て、それから新しい地震保険制度、こういったものを作ると。耐震改修さえしておいていただければ、仮にその建物が被災した場合に、新しく家一軒造って住んでくださいというぐらいのお金をぽんと御提供できる制度が成り立つんですよという、そういう提言であります。  事前に自助努力した人が、その建物が地震の後に被災した場合に、行政がそれに対して手厚くケアをするというようなことを実現しますというと、行政の出費は大幅に減ります。市民の被害も大幅に減ります。今一部の行政が展開されている、事前に行政がお金を用意してこのお金の中でやってくださいという制度はうまくいきません。なぜならば、対象となる構造物の数を考えたときに現実的な予算は用意できないからです。静岡県で五十数万棟、神奈川県で百万棟、東京で百五十万、こういった人たちが百万ずつサポートしてくださいと言った瞬間に何ぼ掛かるか。五千億だ、一兆だ、二兆だというお金が掛かるわけです。それを事前に用意できる自治体がありますか。ないわけです。  やらなきゃいけないことは何かといえば、皆さんに自助努力していただいて、それでケアする制度であります。そうすることによって、そういう制度を作ると。今の制度は、仮に数を限ってやってくださいと、市民がやりました、やりっ放しの制度です。その建物がその後どう維持管理されるかを行政がインセンティブを持って見るというようなことは成り得ないんですね。ところが、私のような制度を作っておけば、その契約されたものが将来やられたらばお金を払わなきゃいけない。継続的に見る、その制度、その建物を管理する、ウオッチングする仕組みができます。それが責任あるビジネスとして地元を潤すことにもなるわけです。悪徳業者も入ってこれません。  それから、耐震改修した家が平均値としていいことはだれも疑わない。だけれども、自分の家が将来どれだけ耐震性が高まって、あるいは何か問題があったときにだれも補償してくれない、これが不安で多くの方々はその一歩を踏み出せないなんということもあるんですね。そういうことに関しても、私が言っているような制度があるとこれは踏み出していただくことができるということなんですね。  以下、積立ての話は、耐震改修した人たちだけがほんの少しの積立てをするだけで建物は大幅に強くなりますから、仮にやられたときにその積立ての中からお金を払うということで大変有利な制度ができます。  それから、新しい地震保険とはどういうものかというと、今の地震保険は、揺れでやられる場合、その後の火事でやられる場合、津波、火山、火山灰、こういったものを全部カバーしなきゃいけないから地震保険屋さんから見たときにリスクが高い、つまり地震保険料を高くしなきゃいけないんですね。  私の言っている新しい制度はそうじゃない。耐震性をきちんと高めておけば、揺れで壊れるということはほとんど考えなくていい。ですから、市民側からすれば、揺れで壊れるものは免責にしてくださって結構ですよということが言えます。そうしたときにどれだけいい状況が生まれるか。兵庫南部地震では十万棟が全壊、十四万棟が半壊ですよ。火事で焼けたのは七千数百。つまり、火事で焼ける量は大幅に少ないということです。さらに、耐震性が高まるというと出火・延焼確率は大幅に減りますから、同じ保険料だったらば補償してあげられる額が大幅に上がる。あるいは同じ額を補償するんだったらば保険料が数十分の一になる。こういったことが実現できるんですね。そういうことをきちんとすることによって、被害を大幅に減らすということをされるべきだと思います。  私が申し上げているのは、今、中越で被災されている人たちをケアする制度は正しくないと言っていることでは全くありません。それは誤解していただきたくないんですが、ただ、そういう制度を作るときも、今後よそで同じような災害があったときに、あるいは潜在的に我々今後大きな被害を受ける状況にある際に、オールジャパンで、アカウンタビリティーが立って、しかもロジックが立つ制度になっていないというと後々問題を生む可能性があるので、それをきちんとお考えいただいておくことがこの時点で重要ではないでしょうかということを申し上げているわけであります。  ちょっと時間が超過しましたのでこれくらいでやめますが、具体的な数字を含めて御説明、あるいは質問があれば私の方で追って解説をさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  9. 風間昶

    委員長風間昶君) ありがとうございました。  以上で参考人皆様方からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。  なお、質疑は着席のまま行っていただいて結構でございます。
  10. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私は鹿児島選挙区の野村哲郎と申します。  本日は三人の参考人皆さんから大変貴重な、そしてまた専門的な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。  時間も限られておりますので、早速質問に入らさしていただきたいと思います。  まず、泉田参考人にお伺いしますが、正に知事就任と同時にこの大地震に遭遇され、知事として本当に、先ほどお話をお伺いいたしておりまして、心労と焦燥感の毎日ではなかったかなというふうに思いますし、またこの一か月余りの本当に御苦労に、心身ともに疲労はピークというよりはもう限界に達しておられるんじゃないかとお察し申し上げる次第でございます。  そこで、十分という限られた時間でございましたので、まだ知事として言い足りない面も多々あったんじゃないかと思います。私の方から二つほど御質問をさしていただきたいと思います。  一つは、今までもこの一か月余り大変な御苦労をいただいているというふうに思いますけれども、今現在国に対して最重点に、しかも最優先に望んでおられること、特段のそういう御要望がございましたら、まずそのことからお伺いいたしたいと思います。
  11. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 今被災された方が一番気になっているのは、どうやって生活を再建をするかということでございます。生活を再建をするためには、中山間地の被災者というのは生活の糧を得る場とそれから住宅、これのめどが立たなければ次の生活再建できないという現実があるわけです。そこに行政の役割があるわけでございまして、道が一体いつ開通するんだ、それからちゃんと用水路は造ってもらえるのか、そういったことが全部明らかになってこないと自宅を再建していいかどうかも判断できないということでございます。  ところが、現在、新潟県の財政、それから被災された市町村の財政、決して良くありません。こういう巨大な地盤災害と言われるような大災害にいつまでにめどを付けて、自宅を建てても大丈夫ですよとめどを立てるということを言えない状況になっていると思う。財政が弱いものですから、是非この財政をせめて阪神淡路並みに、都会で起きた地震で救ってもらったものは、中山間地で起きた巨大地震にも是非救っていただきたいということでございます。  その中で幾つかの手法が取られています。基金を作ったりとか、それから補助率のかさ上げ、これはよく政府からは法律の弾力的運用ということを聞かれるわけですけれども、法律の弾力的な運用でできないから補助率のかさ上げで、法律でやっているわけです。是非都会で適用された優遇措置というのは、こういう巨大地震については中山間地地方都市であっても適用していただけないかと、これが最大の願いでございます。
  12. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、泉田知事のお話では、特別法の制定と、そういうところをおっしゃっておられるんじゃないかというふうに思いますが、それでよろしいですか。
  13. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 結構でございます。はい、委員御指摘のとおりでございます。
  14. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私の鹿児島県も新潟と同じように農業県なもんですから、特に農業の関連して御質問させていただきたいと思います。  新潟は、たしかお米が二千億、総生産額であると思うんですけれども、正に日本一の米どころでございます。本当にそういう意味では、今千三百億とも言われている農業関係の被害でございますけれども、来年の田植に間に合うのか間に合わないのか、非常にこれは農家の心理として、一年間もまた棒に振っていく、そういうお話になってくるわけであります。  ですから、農家の皆さん方の心情を考えますときに、来年の田植に間に合うような復興作業ができているのか、できるのか、その辺についての今のお考えを聞きたいと思います。
  15. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) まず、場所によって違うんですが、道路が崩壊してなくなっているところ、それから棚田自身が山ごとすべってしまったようなところ、これははっきり申し上げてめどが立ちません。それから、孤立集落と同じ話なんですけれども、集落が孤立するというのは道路が寸断しているわけで、その道路の下に埋まっているライフラインが切れているところ、これはめどが立ちません。  もうすぐ雪が降り始めます。雪が降り始めると、工事が止まってしまうという状況になります。雪が降るまでに生産手段をすべてカバーするのは難しいというふうに思っています。応急工事はやっておるんですが、かなりの被災地で来年の作付けができないという現実が発生するものと想定をしております。
  16. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。また、ほかの委員の方からもいろいろ御質問あろうと思います。  それでは、引き続きまして、垂水参考人にお伺いいたしたいと思います。  新幹線につきましては、私の鹿児島でもつい先般、八代まででございますけれども開通いたしまして、大変地元でも喜んでおりますし、活気が非常に出てきておるところであります。ところが、今回のこの地震新幹線の安全性なり耐震システムに不安があるということがはっきりしてきたわけであります。  そこで、今参考人の方から、高架橋なりトンネル等の構造物、それから車両等につきましての専門的なお話も伺いました。ただ、私は、今回いろいろ新聞等々拝見させていただいておりますと、今回の地震耐震補強にも限界があるのではないのかというふうに思います。いわゆる一〇〇%安全ということはもう限界があるのではないか。そうなりますと、脱線、今回初めて脱線をいたしたわけでありますが、被害を最小限に食い止めていく、あるいは重大な結果を引き起こす可能性を最小限に抑える、ゼロに近付ける努力、そういうことが必要になるというふうに思っております。  したがって、先生は専門的なお立場でございますが、今後具体的に、今いろいろ言われております橋脚の問題だとか、あるいはトンネルの問題だとか車両の軽量化の問題、いろいろあると思うんですけれども、具体的にどうすればよいか。なかなか、今からの調査あるいは研究だろうと思いますが、今お考えになっていらっしゃることがあれば教えていただきたいと思います。
  17. 垂水尚志

    参考人垂水尚志君) それでは、お答えいたします。  まず最初に、設計の関係でございます。今までの耐震設計につきましては、一般的には、大きい地震を受けるたびに変わってきたというふうな御説明をしてきておりますが、実際には、地震工学の進歩もあり、大きい地震を想定しながら、より合理的な耐震設計法というものを考えてきたわけでございます。  ですが、残念ながら、兵庫南部のときのあのコンクリート高架橋の惨状に対しましては、急遽、鉄板巻き、鋼板巻きというものを今までの研究成果を踏まえまして採用したわけでございます。それは、あのような大きい地震を受けてもばらばらにならないという方法を計算あるいは実験等から確認し、採用したわけでございまして、これについては現在の上越新幹線でも我々は証明されたのではないかと思っております。  ただ、一部、これからやろうと思っているところ、あるいは周辺の設備等の影響で残念ながら剥落、それから変位が大きくなったところがあるようでございますが、私は、今までの耐震設計法を更にきちっと現地に適用していくということでまずは対応できるというふうに構造物については思っております。  それから、今先生言われたもう一つ被害最小ということでございますが、その前にやはり脱線させないという話が一つございますが、やはり脱線させないための基本は、ただいまの構造物等の補強によりましてなるべく変位を抑えていくと、それから何か被害があっても粘り強くしていくということが兵庫南部教訓でございました。したがって、構造物をきちっと補強を今までどおりしていくこと。それから、脱線させないためにはどうしたらいいかというのは、現実には研究所レベルでいろいろな研究をやってきてございますが、まだ基礎的なレベルでございます。  被害ゼロに、被害を最小限にしようというお話につきましては、これは世界じゅうでもいろいろなところで、日本も含め採用しておりますが、線路、レールから車輪が外れないようにする装置、あるいは外れても大きく軌道を踏み外さないような装置、そういうものについて当研究所としては基本的な検討等をこれまでしてきております。  したがって、これを、今回の調査結果等を含めまして、更に皆様方の知見を導入いたしまして、実際に使っていけるかどうかという検討をしたいと思いますけれども、何分地震の特性というものもきちっと考えませんと、せっかく設備したのに機能しないということがありますので、やはり地震の特性というのをきちっと把握して対策考えていこうというふうに思っておりますが、この対策につきましては、北側大臣お話もありました省の方にあります協議会の方でいろいろ検討をするという方針になっておりまして、私もその一メンバーでございますので、今後とも今までの総研のノウハウ等を提供しつつ検討してまいりたいと思っております。
  18. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 是非、やはり新幹線神話が崩れたわけでございますんで、是非とも今回の教訓を生かしていただきたいと思います。  それでは最後に、目黒参考人にお伺いいたしたいと思います。  今先生からお伺いしましたいわゆる予防というか耐震補強、そういうお話をお伺いしたわけでありますが、なかなか今お話をお伺いいたしておりまして、これ私の専門分野じゃありません、隣の西島先生の分野ですけれども、例えば医療の世界でも予防とそれから治療というのがありますね。今先生がおっしゃいましたのは予防の方であって、治療ではなかなか今後いろいろ問題が起きるよという御指摘だったと思うんですが。  ただ、そうしましたときに二つ問題があるのではないかというふうに思いますのが、一つは、そういったように耐震補強あるいは耐震性住宅建設ができる人とできない人、これはまあ経済的な問題を含めてその格差が出てくるのではないのかというのが一つ。それから、なかなかこの予防というところは、医療の世界でも本人の自覚がなければなかなか自分でやっていかない。制度的にそれを仕組めばという、先生がおっしゃったところだろうと思うんですが、そういったところの、後の、事後の治療の部分ですね、そのところは今の法律に基づいてやれるわけですけれども、予防の問題のところがなかなかその制度設計が必要だというお話も伺ったわけですけれども、もう少し詳しくお話をお伺いしたいと思いますが。
  19. 目黒公郎

    参考人目黒公郎君) 地震防災上できるすべというのは、我々、三つしかないんですよ。一つは抑止力を高める、二つ目被害を、被害軽減というんですけれども、プリペアードネスですとか、あるいは災害対応というものです。三つ目が復旧・復興戦略です。  理想を言えば、この三つをバランスよく講ずることなんですが、世界の地震被害のいろんな現場を見ますというと、どんなにいい対応力を持っていようがシステムを持っていようが、どんなにいい復旧・復興戦略を持っていようが、基本的に構造物の強さがある程度以上ないと直後に発生する被害は全く減らせない。  イラン、トルコ、こういった国は対応はすばらしいものを持っていますが、地震のたびに何万人もの方が亡くなってしまっている。なぜかといえば、単純に建物が弱いからなんですよ。我が国が、先ほども申しましたが、今後三十年で百万棟の建物が全壊するというのは基本的に建物が弱いからなんですよ。ここをきちんとしない限り、事後対応で減らせる命の数というのは限りがありますよというのが私が申し上げた第一点です。  そのときに、じゃ、予防策がうまくいかない、なぜなんだというときに、私は技術的な問題以上に、今や、もはや制度的な問題だと思っております。耐震改修することが得だというふうに皆さんに思っていただける環境を整備すべきで、これをうまく整備しないというと、ある種のモラルハザード的なものが起こってしまいます。  トルコという国は、地震で家が壊れるというと、かわいそうだからその人に新しく家を造ってあげるという制度を持っていました。これがあるためにだれも耐震改修しません。一方で、基準を守らせる仕組みがないですから弱い建物が一杯あるんですけれどもね。結果的にどういうことが起こるかというと、地震のたびに多くの建物が壊れ、そのたびに国は払い切れないような財政的な問題に直面するということです。  特に、トルコの話をしますというと、一九九九年八月十七日、トルコ・コジャエリ地震で一万七千人の方が亡くなり、今後二十五年の間に、あの国に最大の都市イスタンブールを襲う地震が確実に起こるんです。それであの国のGDPの三割の被害を受けます。我々日本人の感覚で百五十兆円の被害です。それだけの被災を受けた上で新しく家を造ってあげなきゃいけないお金に同等の考え方をすると、二十兆から二十五兆のお金が要る。そんな制度があろうがなかろうが、それを具体的にやってあげられないんですよ。でも、その制度があるためにだれも耐震改修しない、みんなで被害を大きくする方向に行ってしまう。  そういう制度を片一方で見たときに、今、我が国の今の制度を考えたときに、そういう方向に間違って行かないようにするために私は心配をしているわけであります。  兵庫南部地震でいうと、全壊した家屋には、世帯には、一千三百万のお金がサポートに使われています。半壊でも一千万のお金が使われます。それは、その人たちのポケットにはもちろん入っていません。ただ、それだけのお金が掛かります。我が国は自力復興の原則と言っているくせに、実際に家が壊れるというと、やたらめったらいろんな形でお金を出してサポートに回さなきゃいけない。だとしたら、事前にきちんと対応をして被害を減らす努力をしてくれる人たち、その人たちが被災されたときに行政がそれなりのサポートをすることは、公のお金が私に入るけれども、それは大幅な公のお金の無駄遣いを少なくすることなのでいいのではないでしょうかという私は論を張っていたわけです。でも、その自助努力という制度がなくなったために、今やそうじゃなくなってしまっています。  私が恐れているのは何かというと、最初に起こる地震がM八クラスで数十万棟が全壊する、こういう状況になれば、今の制度が不備な部分が多くあるということは国民の多くの方々が気付かれるでしょう。なぜならば、それをサポートする大変な予算が必要になって、それが現実的じゃないということ、それから被害を減らすということに貢献できなかったということ。  問題は、数百人、千人、こういった数の方がもらえる状況になったときです。マスコミはどういうパフォーマンスをするでしょうか。その方のところに行かれるでしょう、もらう方のところに。それで、あなたは今回その支援制度でお金をもらえる方だ、もらった方なんですがどうでしょうかとお尋ねになるでしょう。そうしたら、その方は何と答えるか。いや、こういう制度があって大変有り難かったです。涙ながらに答えられるでしょう。それはその人はもらう人です。タックスイーターの視点しかその時点ではないでしょう、タックスペイヤーの視点はないでしょう。そして、やがていろんなやり取りをして、御要望はとマスコミが言えば、その方は、三百万円有り難いんだけれども、もっと増額されたらもっと有り難いのにということをおっしゃるでしょう。そうなったときに、傍らに被災者がいて、そういう動きをマスコミがし、報道した場合に、一般の方々あるいは政治家の方々、どんな行動をされるのか、私はちょっと心配です。そういう趣旨であります。
  20. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。
  21. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  三名の方々から新潟中越地震にかかわる貴重な御意見、御提言等を賜りましたことに対して、会派を代表して厚く御礼を申し上げます。同時に、中越地震の犠牲となられた方々への衷心よりのお悔やみと、被災者の方々に対する心からのお見舞いを申し上げます。  民主党は、去る十九日に自然災害対策緊急集会を開催し、新潟県を始め関係者の切実な要望等を拝聴してまいりました。降雪の時期を控え、いずれも緊要性の高いものと受け止めさせていただいたところでございます。この認識に立ちつつ、就任早々本当に大変な御苦労を負うことになった泉田知事の思いのたけをお尋ねしたいというふうに思っています。  先ほど、被災者支援のための様々な施策ということで県の独自の制度を設けられたということ、そして国に対して様々な運用あるいは特別法をという御要望、そしてその中身については御質問もあり、お答えをいただいたところでございますが、個人的には、こうしたことは政府が決断にちゅうちょする場合には議員立法としての対応も必要ではないかというふうに考えているところであります。  さて、被害額三兆円に及ぶ復旧・復興は、豪雪地帯ゆえの困難性を帯びざるを得ないというふうに思うわけでありますが、降雪前、降雪期、そして雪解け後、それぞれの時期に応じた施策を、文字どおりタイムリーに打っていく必要があるのではというふうに素人ながらも考えるところでございますが、学ぶべき先例等もない中で、知事のお考え、展望等おありでしたらお聞かせいただけたらと思います。
  22. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) まず、雪に対する対応なんですけれども、もう時間がありません。山の上の方では既に雪が降り始めている。これがいつ里に下りてくるかという状況になっております。したがいまして、今時間との闘いでございます。  一番最初にやらないといけない、雪の降る前にやらなければいけないこと、これは基盤となる住宅を確保すること。今回は仮設住宅に加えまして、アパートの借り上げ、それから一時的ではございますがコミュニティーセンターみたいなところとか、それから旅館の利用というのも可能という、いろんな試みをやっておるところでございます。必ずしも地域から離れたくないと、これは学校の都合、仕事の都合、それから苦しみは皆と一緒にやりたいというコミュニティーの連帯感等あって、なかなか一家族だけ離れて他県に行くとかほかの地域に行くということができないような状況になっているので、実効性が難しい部分はあるんですけれども、まず住宅の確保、こういったものに全力を挙げているところです。  それから、雪が降ると工事ができないところがありますので、復旧できるものはとにかく雪が降る前に、これは田畑から始まって道路、それから消雪パイプというんですけれども、道の真ん中に交通を確保するために地下水を流す仕組み、こういったものの修繕に全力を挙げているところです。  雪が降ってから、これはとにかく雪かきをしないと、雪下ろし若しくは雪掘りなんですけれども、しないと住宅がつぶれてしまう危険がある。特に、危険地域皆さんには避難勧告が冬の間継続をする可能性が高いという状況になっていますので、交通網を確保して何とかして雪下ろしをしないと、二次災害で現在残った家自身がもう一度つぶれてしまう危険があるということなんで、交通網の確保。これは市町村と協議をしないと自宅まで行けないと、県道だけでは済みません、国道だけでは済みません、除雪計画を策定をしているところでございます。それから、雪下ろしをしてくれる人手の確保ということも考えなければいけないのではないかというふうに考えています。  雪が解けた後、これまた恐ろしいことに大量の雨が一気に降ったと同じ状況になるわけです。土砂災害の発生の危険というのも大変危惧しているところです。雪解けのときに、どういうふうにして危険地帯、特に芋川とか自然ダムが、天然ダムが、震災ダムができている地域の下流に当たられる方、それから、亀裂が入った山が裏庭から崩れてこないのか、こういったところの情報をしっかり提供をして、改めて土砂災害に遭わないような対策、これをやっていく必要があると。砂防関係の対応というのは今度は雪が解けてからやらなければいけない、そういう課題があると認識をしております。
  23. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございました。  今回、様々な避難所として学校が多く利用されたというふうに思いますけれども、そこに避難所としての機能を求めるならば、やはりそれに十分に見合う財政支援が不可欠だろうというふうに思うわけであります。  しかし、現実を見れば、余りに心もとない事例がたくさん見受けられて、中越地震に際しても、被災住民から学校の体育館など広いスペースを確保できる施設開放をという切実な要望がありながら、老朽化等が甚だしいために、やむなく自己責任を求めた上で、雨露をしのぐ程度のものとして開放に踏み切る苦渋の選択を下した例もあるというふうに聞いております。  ところが、新潟県の現状は、財政難の理由から、高校、障害児学校にかかわる耐震補強等については、今年度は、実際の工事はもとより、調査すら行われていないというふうにも聞いているところでございます。  今回の教訓に学び、新潟県においては老朽校舎の増改築や耐震補強をどのように進めたいというふうにお考えかどうか、その辺をお聞かせいただけたらと思います。
  24. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 今御指摘いただいた校舎のほかに、病院それから社会福祉施設、古い時代に建てられた耐震構造になっていない建物が数多く存在しているというのが現実でございます。  今回の教訓を経て、耐震構造であった建物って残っているんです。耐震構造でないところ、これ応急補修でもう一度使うという可能性というのがあります。御指摘のような財政難と、県だけではどうしようもない部分ございます、市町村だけではどうしようもない部分。これは応急的に使うということになる可能性があると。私は避けたいと思っています。できれば、単なる応急補修ではなくて、耐震構造になっていない病院、これは建て替える必要があるんではないかと思っています。  ただ、どこまでできるのか、これ予算との兼ね合いの中でしか進んでいかないわけです。本当、忍びないのは、耐震構造でない病院を応急修理をして、そこにまた入院患者が戻ってくると。福祉施設にも、耐震構造でない、なっていないのが分かっているところでまたお年寄りが戻ってくる。耐震構造になっていないのが分かっていながら、またそこで生徒さんが勉強しなければならない、そういう状況があるわけです。  できればこれをなるべく早い段階で解消したいと思っています。これは新潟県だけの問題でないと思っていますが、何らかの、特に心の問題もあります。耐震構造になっていないと分かっていながら入院しなければいけない人たちの心というのも考えていただいて、是非御支援いただければというのが正直なところでございます。
  25. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今お答えいただきましたように、本当に新潟だけの問題じゃなくて、本当に全国、とにかく地震の多いこの国としては本当に必要なことだろうというふうに思いますけれども、阪神淡路大震災の復興に際しまして重きが置かれた子供たちの心のケア、今、心のケアというようなお話もありましたけれども、体制の整備について、いわゆる復興担当教諭の採用、新潟県も早速文科省に申し入れたというふうに聞いておりますけれども、ただ、大学入試や就職問題など、高校生の置かれている現状を考えるならば、小中学校の義務教育段階だけでなく、高校段階も含めた相談体制の一刻も早い整備こそが強く要請をされているというふうに思います。私も教育現場で働いてきた一人として協力を惜しむものではございません。知事の決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。  また、同時に、授業の早期再開のみならず、学校の避難所機能を最大限発揮させることに全力で取り組んできた教職員が抱え込む心身のストレスは、これから顕在化するのではとの危惧も禁じ得ません。多くの教職員が我が身、我が家庭を顧みず頑張ってきたことはお分かりいただいているというふうに思います。  もちろん、教職員だけじゃなくて様々な方たちがそのように苦労されているわけでありますけれども、これらの役割も兼務してきた者や独居高齢者などに対し、ハード、ソフト、両面を備えたきめ細やかな相談体制も必要とされているのではないでしょうか。これについても御見解をお示しいただければというふうに思いますけれども。
  26. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 委員御指摘のとおりだと思っています。特に専門家の先生からは、生徒さんたち、一か月をたってから影響が出てくるという警告も受けております。今、一番大事な時期だと思っています。遺漏ないように、万全な対策を取れるように精一杯頑張っていきたいと思います。
  27. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非お願いしたいというふうに思いますし、またこちらの方にも、できることを全力でやらしていただけたらと思います。  次に、目黒参考人にお聞きをしたいというふうに思います。  参考人の御持論は、今いろいろお話しいただく中で、一にも二にも、とにかく事前対策の重要性にあると理解するところでございます。この目的、信念に基づく、住宅を始めとする構造物の耐震化こそが不可欠との御指摘は強い説得力があるのではないかというふうに考えるところでございます。  ところが、避難所の在り方一つを取っても、参考人の問題意識からすれば背筋に寒さを覚えざるを得ない実態にあるんではないかというふうに思うわけでありますけれども、とりわけ、その多くが避難所機能を果たすことになる校舎や体育館の耐震、あるいは今お話しありました病院、耐震補強等の遅れが深刻であります。財政難を理由に、遅々として進まない学校施設等の耐震補強早期かつ効率的な進め方について、お知恵を拝借いただけたらと思うところでございます。  また、参考人は、災害発生時における個々人の冷静、的確な判断力や行動力を養うためにも、災害環境イマジネーション能力の向上は必須の要件だというふうに強調してこられたところですが、防災教育の重要性も含めて御所見をお聞かせください。
  28. 目黒公郎

    参考人目黒公郎君) じゃ、お答えします。  公的な施設耐震性の向上、これがうまく進んでいない、御指摘のとおりです。これも是非是非きちんと進めなきゃいけないわけですが、今進まない理由というのは、財政的な問題があってそれが進まないということを言われているわけですね。  これについては、私自身は、多くの方々に対しての情報開示と、それから、それをやっていないということが後でどれだけの問題を生むかということをきちんとお示しし、それも先ほど御指摘のあった災害イマジネーションに正につながるんですけれども、それをやってこないことがどれだけのことにその後影響を及ぼすかということを出し、そこに例えば通っていらっしゃる生徒さんの親御さんにその情報を出しというようなことをしておくことがまず一番重要なんじゃないかと思うんです。今は、どういうことが起こるかという部分に関しての理解度が低いんですね。低いがために、それの優先順位を高くできないでいるということが現状だと思います。その部分の理解度を高めるということが私自身は最初の一歩だというふうに思っております。  それから、防災教育に関してですが、我が国ほどいろんな災害の多い国に住んでいる人々はいないわけで、そのときに、僕はよく言っているわけですけれども、子供がおぎゃあと、赤ちゃんがおぎゃあと生まれたと。そのおぎゃあと生まれた子供が人生を全うするすべを教えることが教育だとすれば、これだけ災害が多い国にいて、地震を始めとする台風その他の災害のメカニズム並びに防災のことを教えないでいて、義務教育なんて本当に言っていいのかよというふうに思うのが私自身の考えです。  だとしたらば、もう僕は極論を吐くけど、受験科目の主要科目になったっていいじゃないか、それぐらいのつもりでそれをきちんと推し進めることが、子供たちを守り、やがてその子供たちが大人になっていくわけです。そうやって社会の中心的なプレーヤーになって状況を変えていくということをしないと、何とも状況はお寒いという状況がずっと続くのではないかというふうに思っております。  以上です。
  29. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございました。  一つだけ、視点を変えて。山古志村に象徴されるように、山間部では、道路が寸断された上に、携帯電話も全くつながらないなど、いわゆる孤立集落対策の重要性というものが今回ほど強く認識されたことはないのではないかというふうに思うわけでありますけれども、この教訓を生かすための方策について提言等お持ちでしたら、お示しをいただけたらと思います。
  30. 目黒公郎

    参考人目黒公郎君) 孤立されている方々の問題というのは、幾つかのフェーズで考えなきゃいけないと思います。  まず一つは、建物がきちんとし、それが機能をしているという状況であれば、仮に孤立されている状況が数日間継続したとしても、その方々がそこで生活上の問題がないというようなことは実現できると思うんですね。その次に、コミュニケーションをどう取るか、それはまた別の問題です。  私が、この私のレジュメの一番最後にも書いておきましたが、今回の中越地震一つ大きな問題として今の質問に関係して考えることは、低角傾斜地の斜面崩壊というものであります。これは勾配が大したことない斜面なんです。従来の斜面崩壊の現象として危険な地域ですよというような定義から全く外れてしまう。こういった箇所が随分被災されているんですね。こういう問題は今後、新潟だけじゃなくて、破砕帯地域、地すべり地帯で地震が起これば確実に起こってくると思います。  これを、今回の教訓をきちんと学び、その傾斜だけじゃなくて、それに更に幾つかの条件が加わるというと今回のような地すべりが起こりますよというようなことを少なくとも事前にディテクトしておくというようなことがないと、今御指摘のような問題は今後もずっと起こってくるんじゃないかなというふうに思います。  以上です。
  31. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございました。
  32. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今日は三人の参考人に来ていただきまして様々な点から御所見をいただきまして、誠にありがとうございます。  私、七月の十四日、この水害の関係でございますけれども、新潟県に行ってまいりました。避難所が水没するような状況で、避難所から避難をしなければいけないという段階にあったり、また、七月の十八日にも参りまして、災害後の廃棄物、これは市町村すべて、廃棄物の関係については適正処理計画というのを作るようになっているわけでありますけれども、必ずしもそういうふうに十分対応が取れない点も多々あるなと、そういう印象を深くしたわけでございます。  また、十月二十三日、この中越地震が起こったわけでありますけれども、二十四日、二十五、二十六と我が党の代表であります神崎代表共々、視察に参りました。  先ほど知事がおっしゃっておりましたように、水害のときと地震のときでは極めて違うことがあると。それはやはり、水害の場合は水が引いたときにはライフラインは生き返ってくると。しかし、地震の場合は壊滅状態にあるわけでありますから、日常生活を、極めて、進める上ではなかなか大変な状況であると。全くそのとおりだなということで、本当にある意味では、阿鼻叫喚という表現が適切かどうか分かりませんが、そういう状況であるということを本当に認識させられました。そういった意味では、知事が先ほど、人間の叫びといいますか、そういう切迫した気持ちの中でおっしゃっていたことが十分分かる気持ちがいたします。  それと、先ほど来、降雪時の関係についてどう対処するのかという話がございました。  知事にお聞きしたいわけでありますけれども、降雪時期に入って、この地域は豪雪地帯でありますから、やはり、全壊したものはともかくとして、一部損壊のものが依然として残っていると、避難場所からまだ帰ってこれる状況ではないということを考えていきますと、積雪がだんだん深くなってくるに従って、その雪の圧力というのは相当なものでありますから、私も雪国出身で、その辺の大変な状況はよく理解しているつもりでございます。  そういった意味では、その降雪で崩壊する家屋、これについてはどういうふうに補償を含めて考えていくかなという、こういった点もあるように思いますし、また二点目としては、やはりなかなか雪下ろしができないと。そのためには遊雪隊の支援を受けるとか、受けられない高齢者に対しては屋根から雪を下ろす、そういう支援策など、ある意味ではきめ細やかな政策、施策というのが大事じゃないかな。一部では自衛隊がそういった支援をするような話も聞いているわけでありますけれども、この辺についてどういう方向性をお持ちでお考えになっていらっしゃるか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  33. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) まず、行政の行為によって、避難指示避難勧告ということでございますが、そこに立ち入って雪下ろしができない場合、これはやはり、それで一部損壊で免れた家屋が倒壊してしまうという事態になった場合にはやはり何らかの手当てが要るんではないかと。  ただ、まだ今の段階で回答を持ち合わせているわけではないというのが現実でございます。とにかく、今やっているのは、なるべくそういう一部損壊で助かった家を雪でつぶさないように、精一杯除雪をする計画を立てているというところにとどまっています。倒れてしまったものはまた後で考えざるを得ないというのが現状でございます。  つぶさないようにするにはどうしたらいいのか。これは基本的には自力再建が原則ということでございますから、資力のある人は人を雇って雪下ろしをするということなのかもしれません。ただ、避難指示避難勧告、若しくは孤立をした地区に民間の人に入ってもらって雪下ろしをしてくれというのは相当難しいんだろうとも思っています。  今後の協議によるところが大きいんですけれども、先生、委員御指摘になりました自衛隊の力をおかりするということができれば極めて幸いだなと、このように考えています。
  34. 加藤修一

    加藤修一君 次に、仮設住宅の関係についてでありますけれども、阪神淡路大震災の経験を踏まえて、いわゆるデイケアサービスの関係とか訪問介護、それを併せ持つ施設を併設するというふうに聞いているわけなんですけれども、阪神淡路大震災のときには高齢者を中心にして孤独死、それが二百三十数名起きたということを反省して、そういった点からこういう取組をやろうということだというふうに聞いております。  また、五十戸以上の仮設住宅のところにはやはりそういった面を含めて集会所を設けると。そのほか、食事、入浴介護、機能回復訓練などのきめ細かいサービスを提供すると、そういうふうに聞いているわけなんですけれども、この面の進捗状況はどういうふうになっているのかということと、また、こういった面について進めていく場合、現在抱えている課題についてはどのように押さえていらっしゃるか、この辺についてお願いいたします。
  35. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) まず、仮設住宅、より安定して生活をしていただくためにはどうしたらいいのかということで、このままもし何もしなければどうなるかというと、恐らく避難所で、自宅が倒壊をして自力で再建できない方がしばらく長い間残ってしまうということが予想されるわけです。委員御指摘のとおりで、特に高齢者で再建の力のない方が体育館の上で年越し、もしかすると更にもっと長くということになる危険性が高いと思っています。そのため、仮設の老人ホームという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、仮設のケアシステムみたいなものを作って、共同で多く避難されている方をサポートする体制を持ちながら次の段階に行けるような、そういう仕組みが必要だと認識をしています。現在準備段階でございます。  それから、これは短期の課題ではなくて、中長期との課題とどうセットしていくのか。もう少し具体的に言いますと、例えば介護保険制度と組み合わせていく必要があるのかどうか。仮設住宅に入ると基本的には災害救助法の適用が外れてくるわけです。食事も含めて自分でやるというのが原則なんですが、生活の糧を得る手段を失った方、それから貴重品等を全部残したまま財産を全部失ってしまった方々を仮設に入れて、後はほうり出していいのかという問題があるわけです。  これにどう対応していくのか。一義的には生活保護ということなのかもしれませんけれども、少なくても食事のケアというのをやっていかなければ次の生活がままならないという状況があると認識をしています。仮設住宅に入って困る方、今入居申込みのある方については必ずしもそうではないんですが、行き先がなくて仮設にも申し込んでおられない方、これは本当にここ一か月以内に対応策を考えなければいけないという状況です。  進捗状況については、法制度面の問題、実体的な手当ての問題、順次進めているところでございます。
  36. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。  それでは、垂水参考人にお願いしたいわけですけれども、配付していただきました資料には、当然のことでありますけれども、これ昭和三十九年十月以来、開業以来ですけれども、新幹線としては初めて営業列車脱線を経験したと、大変重く受け止めていると。その表側には、平成七年の兵庫県の南部地震でいわゆるコンクリート製高架橋が崩壊するという話が載っておりまして、当時は、想定外のことが起こったと、そんなふうに言われておりました。今回も想定外のことが起こったという部分も当然あると思うんですけれども、山岳トンネル、これは上越は随分と山岳トンネル多くて、長い部分もあるわけでありますけれども、報道によれば、JRの東日本の会見でありますけれども、構造技術センターの石橋所長さんの会見でございます。垂水参考人国土交通省の新幹線脱線対策協議会のメンバーということでございますので、もしこの辺についての議論等があるならば、あるいは参考人自身の知見ということでもお伺いしたいわけでありますけれども、その所長のお話によりますと、トンネル付近を断層が走ったのか、断層で山の岩盤が動いたのだと思うと、こんなふうに述べております。在来線も含めてトンネルの隆起、トンネルの中における隆起は初めての経験であるというようなそういう会見をされておりますし、山岳トンネルはいわゆる今までは地震に極めて強いと、そういうことで耐震の基準さえなかったというわけなんですけれども。  それから、神戸大学の教授の石橋さんは、活断層が認められなくても内陸の地震は起こり得ると述べていると。このことは、どこでも地震が起こり、トンネルや橋梁の破壊は起き得るということになるわけであります。  そういった意味では、従来の考え方を大きく変えていくような今回の地震の起き方ではなかったかと思うんですね。ですから、一般に山を支えている鋼材や設備などはないというふうに考えるわけでありまして、今後どういう対策が、これ極めて難しい話かもしれませんが、考えられるか、その辺について所見がありますれば教えていただきたいと思います。
  37. 垂水尚志

    参考人垂水尚志君) お答えします。  まず、現在、協議会等いろいろな機関で進めています内容につきましては私も関与はしていますけれども、本日は今までの経験を下に簡単に御説明させていただきたいと思います。  今先生言われたように、やはり山岳トンネルというのは元々地震には強いということでございます。現在までに至るまで昔からの長い経験の基にあの形状ができ上がってまいりまして、実際に今回もかなり上に土が高い、深くあるわけでございますけれども、そういうものの荷重等はそのトンネルの周辺の地盤でもつというようなことが基本でございました。  先ほど石橋さんの名前も出ておられますけれども、今回のような地盤の中で、しかも断層の話題が非常に大きくなっているという中で、逆にあれぐらいの変状で止まったというのは、これはやはりそれなりに天も味方したのかなというふうに思っておるところでありますが、トンネルにつきましては、トンネルの出入口ですとか一部地盤が急変するところのようなところには、今まで地震の配慮をしなきゃいけない、すべきであるというようなことで進めてきております。今回のような変状に対しまして、今まで確かに一部コンクリートの表面から覆工が落ちてきたというものはありますけれども、今までに確かに例がないのではないかというふうに思っております。  しかし、その局部的な現象がそこにすべて集中するわけでなくて、全体が変状をしているというふうに私は見ておりますが、その場合のその辺の勾配ですね、列車が走行する場合の問題を含めて、変状の仕方が問題であるというようなことで、結論としては、やはり今回の調査結果を見ませんと詳細に、トンネル、山岳トンネルの覆工の設計問題というには、言及はまだしかねますけれども、やはり断層がある近辺での山岳トンネルの設計について調査結果を冷静に受け止めて対応していくことになるのかなというふうには思っております。
  38. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。  では、時間が少ないですので、最後に目黒参考人にお願いしたいんですけれども、オールジャパンで耐震改修が極めて重要であると、そういった予防的対応が今後優先的にやらなければいけないという、そういう趣旨で私もお伺いいたしました。  先生の論文を読ませていただきまして、例えばユニバーサル地震環境シミュレーター構想とか、あるいは、先ほども話が出ておりましたが、災害状況イマジネーションをどう作り上げていくか、そういうツールの開発が必要である、あるいは次世代型の防災マニュアル、さらに災害時における最適人材運用法、そういった面について詳しく著述されているわけなんですけれども。  もう一つ、今日の中には、最悪の地震が、最悪の状況が日本で起こるということもどこかに書いてあったように、「わが国の地震災害の最悪シナリオ」というふうに書いてございますが、私は、今回の地震も極めて大変な規模の地震だなと思っておりますが、幸いなことに、原子力発電所については遠い部分もあったりして無傷であったというふうに結果が出ているわけですけれども、先生のおっしゃっている最悪のシナリオの中には、いわゆる東海、東南海、南海、そういった面での大規模な地震が発生したときに、やはり私は、その地域の中にある原子力発電所についてもどういうふうに考えるかということが極めて重要で、避難経路の問題とか防災的にどういうふうに対応していかなきゃいけないかという、そういった点についても本当にこれから十分対処しなければいけないなというふうに考えておりますが、この辺についての先生のお考えがもしあればお聞きしたいなと思っています。
  39. 目黒公郎

    参考人目黒公郎君) 私自身は原子力の専門家ではないんですが、原子力の設計について私が知っている範囲内で申し上げますというと、原子力が問題になる以前に、世の中にはごまんとその前にばたばた倒れる構造物施設があるということがまず重要でして、原子力が、問題が起こったときにそれが重大になるということは、これは百も承知です。ただ、それが問題にならない程度地震でも皆さんの周りでは大変な問題が起こるということ、この指摘の方が私自身はより重要だというふうに思っているんですね。  今世紀の前半に東海、東南海・南海地震が起こり、それで関西地域地盤沈下が更に進み、さらに一極集中が東京に進むと。そのときに東京の防災対策が十分進んでいなくて今世紀の後半を迎える。それが関東大震災の次の危険な時期ということになるんですね。それが私がどこかに書いてある我が国における最悪のシナリオというものでして、世界の歴史上、これだけ災害の多い地域にこれだけの人口とこれだけの機能を集約させた都市はないんですね。  ですから私は、昔、極東に日本という国があって、世界最大の都市東京を造ったと。技術と経済におごり、東京を造ったんだけれども、神の怒りに触れ、一夜にしてそれが海に沈んでしまいましたよと。これを第二のバベルの塔と呼ぶというようなことに我がこの東京がならないようにするためにはどうしたらいいかという観点で考えるというと、繰り返しになりますが、耐震補強をちゃんとしておかないと様々な問題の原因がそこから波及するということを御理解いただきたいということなんです。  さらに、それを進める上で長期地震予知情報、こういったものを使うというと、皆さんの各住所ごとに、皆さんの住んでいらっしゃる建物ごとに、今耐震改修すると何ぼの得だよというようなものが一対一で出してあげられるような仕組みももはやできるわけです。地震予知というのは大きさと場所と時間を言わなきゃいけないんだけれども、大きさと場所はもうおおよそ分かるわけです。問題は時間なんですね。それをうまく活用して、きちんとした統計的な話もできますよというようなことも御理解いただきたいと思います。
  40. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございました。
  41. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。三人の参考人皆さん、本当に今日はありがとうございました。  時間も限られておりますので、時間の許す限り、泉田知事に現地の実情と求められている支援を伺わせていただければと思っています。  改めて、一か月たって、私も、現地の再開をされた小学校で先日亡くなられた学校の友達たちの追悼式が行われて、そこで六年生の生徒さんが胸を詰まらせながら、声を詰まらせながら思いを語られる、そういう報道に接して本当に胸が痛みました。改めて、犠牲になられた方々、そして避難をされている皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、あわせて、泉田知事を先頭に不眠不休でこの一か月間、被災者救援のために頑張り抜いてこられた自治体、市町村皆さんに心から敬意を申し上げたいと思います。  先ほど、一週間たって避難所にお泊まりになられたときに、冷たいおにぎりや菓子パンなどでありがとうございましたと感謝をされる方のお話がございましたけれども、私どもも委員会として委員派遣で現地にお邪魔をしたときに、避難所がちょうどお昼どきで、子供たちが集って冷たい、それでも大きなおにぎりでしたけれども、それをおいしそうに食べている姿を見て、この子たちに本当に温かいものを提供してあげれるような、それこそが本当に政治責任ではないかというふうに痛感をしたところです。  日本共産党としても、長岡市やあるいは小千谷、それから南魚沼にも現地の救援センターを設置をさせていただいて、全国からの支援を受けて、豚汁を配らせていただいたり、お風呂に運ばせていただいたり、それから今も被災者にお一人お一人を訪ねて救援物資を届けさせていただくとともに、お一人お一人の要望を伺わせていただく活動に全力を挙げているところなんですね。  ですから、知事から強く御要望のありました生活の基盤である住宅の再建、それから農業を始めとした生産基盤のこの再建、それこそが健康で文化的な生活の保障という私たちの国のそのナショナルミニマムの保障、二十五条を災害時に実現をするという上で極めて重大な問題だと、それこそが政治責任だということを痛感をしています。  そこで、住宅の再建について、特に今度の地盤災害と言われる被害の実情の中で現地がどんな様子になっているのかというお話を伺いたいと思うんですけれども、この点に関して、十一月の十日付けで十二市町村皆さんから地盤災害による被災者支援について泉田知事あてに要望書が出ているのを拝見をいたしました。私も、このうち長岡の高町団地というところに調査に入った方から直接お話を伺ったんですけれども、切り盛りの造成地が、特に盛り土の部分で液状化をして、これが市道や擁壁を壊して宅地が大きく崩壊をしているという深刻な状況を伺いました。  こんな様子が恐らく十二市町村の各地に生まれているのではないかと思うんですけれども、そういった宅地におけるこの地盤災害の今の実情や求められている支援というのが一体どんなものなのかという点をお尋ねしたいと思います。
  42. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 住宅被害、今委員御指摘のとおりでございまして、住宅そのものが一応建っていても裏が崩れそうだとか、それから地盤が割れているというようなケースも間々あります。こういった住宅、弾力的な認定ということで全壊認定ということがなされれば、それ相応の支援がなされるということになります。ただ、現在の生活再建支援法、これは壊すところにはお金を使えるんですけれども、建て替えるというところには一銭も入らないということになりますので、ローンを抱えて新築した家が地盤ごと壊れてしまったというケースは事実上建て替えができないという方々が多数存在するという状況になっています。  とにかく、年収の制限も付いていますし、現場からは、これ家族形態も違うわけです、都会であれば一世帯核家族ということになっているわけですけれども、何人かして大家族で住んでいるというようなことになると、なかなか年収制限がクリアできないと。若干弾力的な運用というお話はいただいているんですけれども、ただ、それにしてもいろんな作業をしなければならないと。こういう緊急時は、やはり幾らという形で早急にやらなければ、特に新潟の場合は雪が降ってくるということもありますので、事務作業をやっているうちに雪が降ってまたつぶれたら今度は激災法の対象になりませんということも言われているわけです。円滑化をするために、何に使うかの用途証明など求めると、それから年収制限、証明書を出せみたいなことをずっと言われると、本当に現場は困ってしまうもんですから、こういう何とかなれば助かるような家というのも含めて御支援していただけるようにしていただけると有り難いなと思っています。
  43. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  私たち住宅本体の再建への公的支援を中心にして、是非力尽くしたいと思っています。  あわせて、農地のその地盤災害の件なんですが、また同じように小千谷の、既に完成をした農地のところで、そこは信濃川から水をポンプアップをしてため池でためて、それを暗渠でいろんな区画に配水をしていくという施設があったそうなんですけれども。ですから、水利組合の方が調査をすると、その暗渠の配水が、これはもう不可能な状態になっていると。もちろん、地割れもたくさん進んでいて、これでは来年の作付けに間に合わないということはもちろん、そういうふうな危惧が強くなっているとともに、様子を伺いますと、今の復旧事業の中での査定に向けての作業なども、恐らく各地にも被災地が多くなっているからだということだと思うんですけれども、手が回っていないんじゃないかというような様子を感じているところなんですが。  そういった農地の復旧それから農業そのものの復興、先ほどコイ闘牛山古志お話少し伺いましたけれども、お米だとか田畑の農業の復興について特にお感じになっておられることありましたら、お尋ねしたいと思います。
  44. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 今、委員御指摘の点でございますが、査定が大変だというのは事実あります。特に新潟県の場合は、地震の前に七・一三の水害を受けています。この水害で土砂崩れが落ちたところがいまだ復旧めどが立っていないと。これは物理的にできないんではなくて、査定が終わらないんで工事に着手できないというところがあるわけです。そういった中で、今回、地震被害を受けていると。  これは、政府に直接お願いをしますと、査定前着工という手続があるからこれでやってくれということになるんですが、査定前着工ができる手続というのはいろんな要件があって、すべての場所が査定前着工ができるわけではないということになっています。さらに、各省の縦割りの仕組みも違っていまして、国土交通省は割かし弾力的にこの査定前着工という手続が取られているんですが、農水省は今回慌ててやったという印象がぬぐえません、済みません、言葉じりが良くないかもしれませんが。そうすると、作付けをどうやって間に合わすかというところで、現在は査定前着工をやってくれという話にはなっているんですけれども、実質間に合わないところがやはり出てくるんだろうということだと思っています。  とにかく、日本には会計検査という制度があるわけですから、なぜ工事をする前にもう一回査定をしなければいけないのかと。災害の場合は先に着工をして、会計検査のところでおかしいところははじけばいいという、もう少し根本的な制度の見直しをやっていただかないと現場はとても対応し切れないというところがあると思います。  被害額が決まらなければ支援措置も決まらないと。激災法もそうですよね。被害額を積み上げなければ適用できるかどうか分からないということになっているわけです。だからこそ阪神淡路でも特別法での見直し、法というのがあったわけで、災害時の体系とそれから通常時の体系というのがどうあるべきかというのは是非議論をしていただきたいというのが今回現場にいた実感として持っております。
  45. 仁比聡平

    仁比聡平君 もう一点、先ほどの冒頭の御意見の中には大きくは触れられていなかったんですけれども、御商売の関係ですね。商店街や中小企業の皆さん状況なんですけれども、その宅地や、あるいは農業、農地以上に公的な支援が、特に融資以外の支援がなかなかないというのがこの皆さんの実情なんではないかと思うんですね。  一方で、その現地の被災の状況を映像などでも拝見をしましても、商店街が軒並み応急度判定で言って危険だとか要注意だというような被災を受けている。そこで、どうやって御商売を再建するかというのは相当な御苦労があっておられるんじゃないかと思いますけれども、その皆さんの中でどんな努力がなされていて、そして公的な支援として今何が求められているのかという点で知事がお考えのことがあれば、お聞かせください。
  46. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 産業面について、農業、農地それから商店街、中小企業ということでございます。  正直言って、まだ余震がずっと続いている中で、住宅とそれから店舗兼の商店街、どう復活していくかということをゆっくり考える暇がないというのが現状だと思っています。今ようやく家の中を片付けて、じゃ、今後どう再建していくのか。ところが、再建しようと思っても、特に御高齢の方、それから元々中小企業、商店街というのは跡取りをどうするかという問題を抱えている中で、後継ぎもいない中で商店を再開すべきかどうかというところを今真剣に考え始めている時期ということだと思っています。  このまま放置をしておけば、恐らく委員御心配のように、商店街が崩壊をしてコミュニティー自身が大きく寂れてしまう。現地では、出ていった人が果たして戻ってきてくれるのかどうか、現支援体制だけでは商売の復興まではとても手が回らない、そもそも生活基本である住宅の手当てができない中で商売を復興しろといっても相当無理なところがあるというのが現実だと思っています。
  47. 仁比聡平

    仁比聡平君 もう一点。  現地の報道で伺う限りで、医療や福祉の、特に施設の崩壊が、被害が、そこに通う患者さんやあるいはいろんなハンディを持った皆さんにとって相当な御苦労になっているんではないかというふうに感じます。  病院の再建の様子だとか、あるいは授産施設、共同作業所などの状況、無認可保育所などの状況、そういったところがどうなっているかという点をお聞かせいただけますか。
  48. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) 病院については、資力のあるところを中心に応急修理をしているところです。これ、先ほどもちょっとお話をさせていただいたんですが、ただ、応急修理をするということと、それから耐震補強するということは多分別なんだろうと思っています。取りあえず診察できて入院できるという体制は整えないと地域医療自身がやっていけないというところがあるので応急対応が進んでいますが、抜本的な対策というのはこれから考えていかなければいけない課題だと思っています。
  49. 仁比聡平

    仁比聡平君 具体的に国の支援としてどんなことが求められているというふうに思われますか。
  50. 泉田裕彦

    参考人泉田裕彦君) まず、私立の病院とかそれから社会福祉関係施設、これは激甚災害法で補助対象になっていないわけです。そうすると自分たちでやれということになるわけで、ただ、そういった施設にも大きくコミュニティーが依存していますので、せめて阪神淡路並みに、阪神淡路のときは特別法を作ってそういう施設を助けていただいているわけですから、財政力の弱い中山間地それから地方都市においても、最低限やはり阪神淡路と同様に、こういう私立の施設であっても、文教施設も含めてですが、お助けいただきたいなと思っています。
  51. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。  今日伺ったこと、本当に正面から受け止めて頑張りたいと思います。ありがとうございました。
  52. 風間昶

    委員長風間昶君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言御礼申し上げます。  お三方には、長時間にわたり御出席いただきまして、貴重な御意見を拝聴させていただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  53. 風間昶

    委員長風間昶君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  今二十四日、仁比聡平君が委員辞任され、その補欠として紙智子君が選任されました。     ─────────────
  54. 風間昶

    委員長風間昶君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、新潟中越地震災害対策に関する件について、本日の委員会内閣府政策統括官柴田高博君、内閣原子力安委員会事務局長上原哲君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、消防庁長官林省吾君、文部科学大臣官房審議官樋口修資君、文部科学大臣官房審議官紳一郎君、文部科学大臣官房文教施設企画部長萩原久和君、厚生労働大臣官房審議官大槻勝啓君、厚生労働大臣官房審議官中島正治君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、厚生労働省健康局長田中慶司君、厚生労働省社会援護局長小島比登志君、農林水産大臣官房政策評価審議官佐藤正典君、農林水産省農村振興局整備部長南部明弘君、林野庁森林整備部長梶谷辰哉君、経済産業大臣官房地域中小企業対策統括官服部和良君、経済産業省製造産業局次長塚本修君、資源エネルギー原子力安全・保安院長松永和夫君、国土交通省都市地域整備局下水道部長谷戸善彦君、国土交通省河川局長清治真人君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省鉄道局長梅田春実君、国土交通省自動車交通局長金澤悟君、国土交通省航空局飛行場部長本田勝君及び気象庁長官長坂昂一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 風間昶

    委員長風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  56. 風間昶

    委員長風間昶君) 災害対策樹立に関する調査のうち、新潟中越地震災害対策に関する件を議題といたします。  まず、去る一日に行いました平成十六年新潟中越地震による被害状況等の実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。岩城光英君。
  57. 岩城光英

    ○岩城光英君 派遣報告を申し上げます。  去る十一月一日、新潟県において、平成十六年新潟中越地震による被害状況等の実情を調査してまいりました。参加者は、風間委員長、大仁田理事、小林理事、高橋理事、山本委員仁比委員、そして私、岩城の七名であります。  なお、衆議院の災害対策特別委員会においても、同日同行程で委員派遣が実施されたことを申し添えます。  現地調査の概要を御報告いたします。  まず、新潟県庁において、泉田知事から、被害の概況及び要望をお伺いするとともに、知事に対し、お見舞金を手交いたしました。  知事の説明等によれば、被害状況は次のとおりであります。  十月二十三日午後五時五十六分ごろ、新潟川口町において震度七を記録するなど、同県中越地方を震源とした激甚な地震が発生しました。震度六の余震等が続発する中で、地すべり、家屋の倒壊、ライフラインや道路、交通機関の不通等の甚大な被害が生じ、十一月一日現在で、死者三十六名、負傷者二千四百十一名、住家の全半壊・一部損壊約七千棟に上り、七万名以上が避難所、車中等に避難されておられるとのことでありました。  知事からは、被災した住家の修理等に対する支援措置、また、阪神淡路大震災に準じた財政支援等に係る特別立法措置を求める旨の緊急要望がありました。  続いて、県庁内の災害対策本部を視察し、関係者の方々を激励した後、現地視察に移り、まず、長岡市内において、道路が大きく陥没し、通行止めになっている被災現場を視察いたしました。  次に、長岡市立柿小学校を訪れ、森長岡市長、長島山古志村長から被害の概況をお伺いするとともに、お見舞金を手交いたしました。長岡市長からは被災建築物の危険度の早期判定等について、また、山古志村長からは村の孤立状態解消に欠かせない道路早期復旧等について要望がありました。  同小学校においては、体育館や校庭に設置された自衛隊の仮設テント等に約七百名の方が避難されており、不自由な生活を余儀なくされている被災者の方々にお見舞いを申し上げてまいりました。  次に、長岡市内の上越新幹線脱線現場を視察いたしました。  今般の地震により傾いた車両や大きく曲がったレールを目の当たりにし、死傷者がなかったことは正に不幸中の幸いであったと痛感した次第であります。  なお、越後湯沢—長岡駅間につきましては、トンネル等の被害も大きく、不通でありますが、現在、年内の全線復旧に向けて作業が進められております。  次に、母子三名が乗った車が巻き込まれた妙見堰付近の土砂崩れ現場を車中から視察した後、小千谷市へ移動しました。  小千谷市内では、関小千谷市長から被害の概況をお伺いし、安心できる住民生活の確保等について要望を承るとともに、市長に対し、お見舞金を手交いたしました。  その後、市街地を徒歩で移動し、倒壊した建物や被災建築物応急危険度判定の「危険」を意味するレッドカードなどが張られた建物が並ぶ商店街、また、山門の仁王像や墓石が倒れる等の被害を受けた慈眼寺を視察するとともに、約一千名が避難されている市立小千谷小学校体育館を訪問し、被災者の方々にお見舞いを申し上げてまいりました。  次に、震度七を記録した川口町に移動し、町役場におきまして、星野川口町長から被害の概況をお伺いし、町長に対し、お見舞金を手交いたしました。町長からは、ライフラインの復旧、仮設住宅早期建設等について要望がありました。  続いて、住家被害が集中し、電柱が倒れ、道路が陥没している町役場周辺を徒歩で視察いたしました。  最後に、関越自動車道の被災箇所を車中から視察いたしました。  関越自動車道では、路面の隆起、陥没、崩壊、トンネル内のコンクリート剥落等の被害が生じており、一般車両の通行に向けた応急復旧工事が行われておりましたが、去る五日、一般車両の通行止めが解除されたとのことであります。  以上が調査の概要であります。  最後に、今回の調査に当たり、御多忙な中を各方面にわたり御配慮、御尽力いただいた関係各位に厚く御礼申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げまして、派遣報告を終わります。
  58. 風間昶

    委員長風間昶君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 西島英利

    ○西島英利君 今の報告にもございましたように、今回の新潟中越地震、大変な状況の中で避難所生活を余儀なくされていらっしゃるわけでございます。この被災地である中越地域というのは全国でも有数の豪雪地帯でございまして、現在もなお余震が続く中で、降雪期を間近に控え、被災者の多くは廃業や失業等の生活の不安を抱えていらっしゃいます。その結果、医療機関への受診が抑制され、それまでの病気の治療の中断や新たな病気の発生に対する対応の遅れなど、病気の重症化、ひいては健康被害が拡大することが懸念されるわけでございます。  そのような状況の中で、午前中、新潟県知事も要望をされていらっしゃいましたけれども、新潟県の医師会、歯科医師会、それから薬剤師会からも要望が出ておりますけれども、阪神淡路大震災の復興支援策と同様に、国民健康保険、社会保険を問わず、すべての被災者の医療費の一部負担金が全額免除されることという要望が出ております。これに関しまして、政府の見解をお願いいたします。
  60. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいまの御質問でございますが、国民健康保険制度におきましては、災害等の特別な事情により、被保険者が一部負担金を支払うことが困難な場合には、条例等によりまして、被災者の個々の状況に応じまして一部負担金の免除ができることとなっているわけでございます。  一方、健康保険制度におきましては、一部負担金の免除を行うためには法的及び予算上の手当てが必要でございまして、阪神淡路大震災の際に講じたような特別の立法及び予算の措置を講じるか否かについて、この地震による被害状況を見極めた上で、政府全体としての方針に従いまして必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  61. 西島英利

    ○西島英利君 どうぞ迅速な対応をよろしくお願いを申し上げます。  さらに、先ほども申し上げましたように、この地域は非常な寒冷地でございます。インフルエンザの流行も実は予想されるわけでございます。今、避難所生活の中で、もしインフルエンザが流行ということになりますと、避難所の中の方々全体に大きな影響を与えるわけでございます。またさらに、今後仮設住宅への移動という形にもなりますが、やはり非常に密集した中での生活ということになります。  そういう意味で、インフルエンザ予防接種の無料化ということ、これも先ほどの泉田知事の要望書にもございましたが、その辺りの御見解をお願い申し上げたいと思います。
  62. 田中慶司

    政府参考人(田中慶司君) 御説明申し上げます。  被災地域市町村におきましては、地元医師会と連携しまして、予防接種法に基づきますインフルエンザの予防接種の対象であります六十五歳以上の高齢者等に対し接種を勧奨するとともに、接種を希望します方々に対しましてインフルエンザワクチンの接種を実施しているところでございます。  これへの財源措置でございますけれども、交付税措置をされているものを除きまして、避難所において救護班により集団で接種を行う際には、まず六十五歳未満の者を接種対象とする場合を含めまして、医師等の報償費それから旅費、さらに、六十五歳以上の高齢者等に接種する場合には更にワクチンの購入費及び運搬費、これを災害救助法の支弁の対象経費としているところでございます。  各市町村におきましては、予防接種法に基づきます定期の予防接種において徴収しております自己負担との均衡等を勘案しまして、今御説明申し上げました災害救助法による支弁を踏まえまして、被接種者の負担の軽減を図っているところでございます。
  63. 西島英利

    ○西島英利君 もう御存じだと思いますが、インフルエンザというのは命にかかわる問題でもございます。しかも、避難されている方々は経済的な非常に苦しい状況の中でございますので、どうぞ前向きの御検討、対応をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、まさしくこういう災害が起きたとき、特に地震の場合は、けがが非常に多い、多発するわけでございまして、まさしくけがをした場合の治療といいますか、生命との関係の中では時間との非常に関係が大きいわけでございます。一刻も早くやっぱり治療体制を整えるということが重要でございますが。  今、厚生労働省としても、平成十七年度の予算の要求額の中で、災害派遣医療チーム、DMATの推進研修事業というのを実は考えられているわけでございますけれども、まさしく、これの少し御説明と同時に、今米国で行われております災害医療支援システムの違い、これがどういう違いがあるのかも含めてお話を、御説明していただければと思います。よろしくお願いいたします。
  64. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) お答えいたします。  まず、来年度私どもがDMATの推進研修事業として約三億六千万の要求をしておりますが、これは全国二百か所に、三年間でございますが、二百か所整備していこうというものでございます。  その内訳といたしましては、四十八時間以内に災害現場で活用でき、医療従事者に加えまして、救命救急士あるいは救助犬など、多職種の人と連携して災害拠点病院ないし救急救命センターから派遣するというような制度を考えているものでございます。  アメリカの場合は、通常、現在活動しておりますDMATが大規模、三十名から五十名ということで自己完結性を有した組織で、数週間現地で活動するというように聞いております。  日本の医療事情、災害派遣の、災害状況によりまして、私どももう少し柔軟な対応をできるような組織を考えておりますが、来年度からの予算要求ということで考えておりましたが、今回このようなケースがありましたものですから、東京都が既に今年度から都立病院及び国立病院機構の災害医療センターを中心に七つの施設で既に研修を始めておりましたので、このような方々を今回の十月二十四日からの新潟県の要請に基づきまして三施設四チームを派遣したという実績もございます。  このような状況を見ながら、来年度要求でしておりますDMATの構成についてもまた考えていきたいというふうには考えております。
  65. 西島英利

    ○西島英利君 地震というのはいつ起きるか分からないわけでございまして、この災害派遣医療チームに関しましては三年を掛けて整備をするというふうに資料には書いてあるわけでございますが、できれば前倒しという形の中で早急な整備が必要だろうというふうに思いますので、その辺りの御検討もよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に、今まさしく心のケアということが盛んに叫ばれているわけでございます。私、今回質問を行うに当たりまして様々なところから実は状況の報告を聞かせていただきました。その中で、幾つか早急に急がなきゃならない問題等々もございました。もう既に実施をされている部分もございますけれども、今後の地震対策ということも含めまして、お考えを聞かせていただきたいと思うんですが。  まずは、子供さんへのケアの問題が盛んに言われておりました。特に、PTSDとの関連からいきますと、子供へのケアというのは非常に重要なわけでございますけれども、その中で、様々な報告を聞いた中で、実は学校の早期の再開、これが子供の心のケアには非常に重要だということでございました。今回もかなりたってからの実は学校の再開でございましたが、避難所が、ほとんど学校に避難しているという状況もございますので、できれば学校の再開といいますか、そういう体制は早急にできるはずだろうというふうに思っております。  それからもう一つは、高校生へのケアというのが、意外とこれが抜けております。特に高校の三年生というのは来年の受験を、大学の受験を控えているわけでもございます。阪神大震災のときもあれは一月でございまして、まさしく大学受験が大きな問題になったわけでございますが、こういう高校生へのケア、特に受験に対してどう考えていらっしゃるのかも含めて、文部科学省の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  66. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  文部科学省といたしましては、大規模災害の際には、住民生活の安定と児童生徒の安全確保を図りながら、できるだけ早期に学校の教育活動を正常に戻すことが重要だと認識をいたしております。  今回の新潟県の中越地震におきましては、被災地域の多くの小中学校におきまして、地震発生直後にはピーク時二百三十四校において休校措置が取られたところでございます。  私どもといたしましては、学校施設の安全点検に対応する専門家を派遣をいたしまして、そしてまた児童生徒の心のケアに対する支援といたしまして、スクールカウンセラー等の専門家による派遣、それとカウンセリングの実施と、こういったことを通じて必要な措置を講じているところでございます。  このような中、すべての小中学校におきまして十一月の八日から授業が再開されたところでございます。  今後とも、大規模災害の際には、住民生活の安定と児童生徒の安全確保を基本に置きながら、学校施設の安全点検、それから早期復旧、それから教科書の確保等、必要な協力支援に万全を期して、学校における教育活動ができるだけ早く復旧できるように万全を尽くしてまいりたいと思っております。  また、お尋ねの受験生の件でございますが、被災されました受験生の進学の機会を確保する観点から、学習支援などについて適切な配慮がなされることは委員御指摘のとおりでございます。私どもといたしましても、各教育委員会に対しまして被災した児童生徒の学習に著しい後れが生ずるような場合には補充授業を実施するなど、可能な限り必要な配慮を行うよう今要請をさしていただいているところでございます。また、学習場所の確保が大きなポイントになってまいりまして、学校が空き教室を学習場所として被災した受験生に開放するように私どもとしては配慮を求めているところでございます。  また、あわせまして、進学機会の確保の観点からは、入学者選抜に関しまして大学側でも適切な配慮が行われることも大事であると考え、私どもといたしましては、出願期間や出願書類の弾力的な取扱いなど、各国公私立大学等に対しまして、大学の実情に応じて取り得る措置を行うよう要請をさしていただいておりまして、現在のところ二百二十七の大学において適切な配慮が行われると聞いておるところでございます。  私どもといたしましても、今後とも大規模災害の際には、被災地の状況を踏まえて、教育委員会や大学に対して必要な配慮が行われるよう強く要請してまいりたいと考えております。
  67. 西島英利

    ○西島英利君 その学校の早期再開の意味というのはもう一つございまして、実は子供たちはすばらしい精神療法ができる能力を持っているんですね。ですから、お互いに不安やその恐怖感等々をお互いに語ることによって実はPTSDの予防にもなるということもございますので、できるだけ早期の再開というマニュアル作りを是非お作りいただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次は、今回の地震の場所でございますけれども、長岡でございますが、長岡には日系のブラジル人を含めた外国人が二千二十二人いらっしゃるということでございます。特にブラジルは地震のない国でもございますし、その点での不安が非常に強いというふうにお聞きしております。  この外国人対策について、何か政府としては御見解ありますでしょうか。
  68. 森岡正宏

    大臣政務官(森岡正宏君) 西島委員には、国会議員として、また精神科医としても被災者の心のケアについて高い見識を持って御質問をいただいておることにまず敬意を表したいと思います。  今おっしゃいましたように、長岡市には五十二か国、二千人余りの外国人がいらっしゃるようでございまして、今回の新潟中越地震においては多くの外国人も被災され、異国の地でストレスの多い避難生活を強いられておるものだと承知しております。  そうした方々への対応として、例えば長岡市の国際交流センターでは、地震発生直後から母国語での情報伝達、また精神面のケア、情報交換でありますとか、就労についての相談でありますとか、教育についての相談でありますとか、そういった取組が行われておると聞いております。  今後、こういった方々に対する心のケアの重要性にかんがみまして、地元自治体と連携しつつ、できるだけの支援を今後も検討してまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  69. 西島英利

    ○西島英利君 どうぞよろしくお願いをいたします。  もう一つの問題は、実は意外にこれも抜けているわけでございますが、遺族の方々に対するケアでございます。  今日の知事のお話の中では、四十名の方がお亡くなりになったと聞いております。しかし、今日の知事の話にもございましたように、新潟県民の方々、非常に我慢強いということでもございました。恐らく、本当は大きな悲しみの中で毎日を暮らしていっておられるんだろうというふうに推察をいたしますけれども、ほかの人たちも同様な状況でございますので、我慢をせざるを得ないわけでございます。  私自身も、実は阪神大震災に支援隊として行きました。その中の一事例をちょっとお話をさしていただきますと、ある御婦人がいらっしゃいまして、その御主人、やはり家の下敷きになったわけですが、何とか助け出されたわけです。そして、助かった以上はやはりほかの人の救援活動をしなければいけないということで、連日救援活動をされまして、心筋梗塞でもう残念ながらお亡くなりになってしまったという実は悲惨な状況がございました。本当は大きな涙声で泣きたいんでしょうけれども、そういう状況ほとんど見せられないまま、実は私が精神的なお話を聞かしていただいたわけでございます。その胸の内を物すごく本当に大きな声で言いたいんだけれどもという気持ちの中で聞かせていただいたわけでございますが、そのときに横におられた方が、あんただけが悲しいんじゃないと、この一言でその御婦人は黙ってしまわれたわけでございます。  つまり、そういうような状況が実はこういう特に地震の被災地では起きてくるわけでございまして、やはりこの遺族に対するケアというのも非常に重要だろうというふうに思いますので、そういう視点での、今後こういう被災地の住民の心のケアという形でマニュアルをお作りになるときには、是非そういう視点でのお考えも入れていただければというふうに思います。  さらには、自治体の職員の方々へのサポートでございます。  先日、厚生労働委員会の中でも尾辻大臣からお話がございましたが、実は自治体職員の方々は支援者でもあると同時に被災者でもあるという、そういう状況の中で実は支援活動をしていらっしゃるところでございます。大変なストレスの中での実は支援活動であろうというふうに思います。  午前中の県知事のお話の中で、突然涙声になられました。つまり、情動が不安定になっているわけです。これは大変なストレスの中で今まで活動をしてこられた、その結果、現れだろうというふうに私は感じたところでございます。  そして、このまま放っておきますと、特に新潟方々は我慢強いということでございますので、病気で倒れても大丈夫だ大丈夫だと言われるんだという報告も実は私は受けているところでございます。燃え尽き症候群、過労という中で心筋梗塞、脳卒中という状況が起き、そして死というものを迎えるということも当然考えられるわけでございます。  そういう形でのこの自治体職員へのサポートというのは非常に重要であろうというふうに思いますので、この辺りのお考えも、今後この地震対策のマニュアルをお作りになるときに、特に心のケアで是非御考慮いただければというふうに思います。  さあそこで、今回、新潟の場合には、実は新潟大学の精神科が非常に大きな働きをしておりました。もちろん、これは新潟県全体の問題でございますので行政が主になってやらなければいけないわけでございますが、その中で新潟県の新潟大学の精神科、染矢教授を中心にした活動が非常に皆さん方への安心を持たせる、そういうような活動をしていらっしゃると報告を受けております。また、すぐにケアチームを、心のケアチームを作られましてホットラインを作られたり、さらにはマニュアルまでしっかりと作ってされているところでございます。  しかし、この厚生省が一九九六年に出しました「二十一世紀の災害医療体制 災害にそなえる医療のあり方」というものを読んでみますと、実はこれは阪神大震災の後に作られた本でございますが、しかしこの中には、まさしくメンタルヘルスといいますか、心のケアに触れられている部分は本当に数行でございます。さらには、福岡県が全国の状況、特に地域総合防災計画書を中心にしてアンケートを取りました結果におきましても、やはり同様にこの心のケアに関しての考え方はほとんど触れられておりません。ましてや、防災計画それから防災訓練等々にもやはり精神科医の関与というのがほとんど見られないわけでございます。  しかし、今まさしくメンタルヘルスというものが非常に重要視されている時期でもございます。是非、今後、こういう観点の中でのお考えをやはりきちんとしたマニュアル化をして、そして全国の自治体に意識付けを持たせていただくためのやはりそういう行動が必要ではないかというふうにも思いますが、この点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  70. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生御指摘の、その災害医療の現場で何が必要かということでございますが、もちろんその重篤な救急患者の救命救急を行うための医療というのはまず必要でございますが、そのほかに、透析患者のような慢性疾患に対する治療、それから特定の医療や災害後の時間の経過に伴って必要とされる精神科医療、先生がおっしゃいますそのPTSD等々によるものも重要だと思っております。  新潟の場合、先生御指摘のように、ちょうど今年の六月か七月に県の方で、医師会、それから地元の精神科病院協会、それから精神科のソーシャルワーカーの方々と集まって県の方で心のケアについての報告書をまとめ、それを正に実行するというときにこのような災害が起きたというふうに承知しております。  したがいまして、新潟の場合は非常に機動的に、大学の先生も含め、十日町ですとか小千谷ですとか、必要なところに人材が派遣されたというふうに聞いておりますし、また、こころのケアチームの中でも、よその県からの応援ということで現在までに既に三十七団体、それからまたほかに待機が十四団体ということで、応援・サポートチームもできているように聞いております。  私ども、今回のこのような新潟状況を踏まえ、確かに九六年に当局でまとめましたときは主として、阪神淡路大震災の後ということで正に災害医療、救急医療をどうするかというような話が主体だったかと思いますが、今回の話も踏まえましてメンタルヘルス活動の実績がこの新潟のケースで分かってくると思いますので、そのようなものも踏まえて、災害医療における心のケアの重要性については今後とも適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  71. 西島英利

    ○西島英利君 特に、この災害後の心理的な反応というのは、急性期、これはおおむね四週間でございます。しかし、この四週間というのは、皆で助け合って頑張ろうと、そういったこの高揚した感情を多くの人が持っておられますので、こういう人たちの努力というのは、生への努力というのは非常に見られるわけでございますが、実は四週間から十二週間ということになってきますと、ある程度落ち着いてこられ、また仕事とか家庭とか、経済的な問題も出てまいります。将来的な不安も出てまいりまして、この辺りから実は本格的な心のケアというのが非常に重要になってくるわけでございます。  また、十二週以降ということになりますと、いわゆる復興疲れというのが出てくる時期でもございます。自分が思い描いたように、思うとおりになかなかならないというふうな状況の中で、さらには、例えば家がなくなった、職を失った、身内を失った等々のこの喪失体験といいますか、こういうのが非常に大きいわけでございまして、まさしくこの慢性期というのが非常に重要な役割をこの精神医療、精神的なケアとしては持ってくるわけでございます。  じゃ、このときに、阪神大震災の場合には実は三か月以降これをどうしようかという検討をされた中で、こころのケアセンターというのを、幸いなことに阪神淡路大震災復興基金というのが整備をされたということで、この基金を使ってこのこころのケアセンターを設置をしようという動きが出まして、そして行政とそれから民間と一緒になってこのセンター作りが行われたというふうに聞いております。その中で、行政が精神保健相談員を出向させて全体のコーディネート役を担い、そして新たに心理士、精神保健相談員、看護師など四十名が雇用されたという状況がございました。こういうようなことが非常にいいその活動として高い評価を受けて、実は外国からも評価をされているわけでございます。  こういう状況がありますので、今回の新潟地震に、そういう復興期になって、じゃどうしようかではなくて、もう今からこういうことの設置ということを是非お考えいただいて予算の措置をしていただきますと、あとは新潟県の方でそういう体制作りが早期にできるだろうというふうに思いますので、その辺りの御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  72. 森岡正宏

    大臣政務官(森岡正宏君) 西島委員御指摘のとおりでございまして、阪神淡路大震災の経験を踏まえながら対応してまいりたいと考えております。  阪神淡路大震災の折には、兵庫県及び神戸市が設立いたしました阪神淡路大震災復興基金からの助成によりまして、平成七年六月から約五年間にわたりまして独自の施策として、こころのケアセンターにおける心のケア体制が取られたものだと承知しております。現在、新潟県におきましても、阪神淡路大震災復興基金と同様の基金の設立について準備を始めると伺っておりまして、こうした枠組みの中で心のケア対策が講じられる場合には国としても支援の在り方について地方自治体とより良く相談しながら検討してまいりたいと、そのように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  73. 西島英利

    ○西島英利君 やはり大事なことは、やっぱり過去に学ぶ、歴史に学ぶということが非常に重要だろうというふうに思いますので、是非前向きな御検討をよろしくお願いを申し上げます。  それでは、関連質問として野村委員にお替わりいたします。ありがとうございました。
  74. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党鹿児島選挙区の野村哲郎でございます。関連して御質問を申し上げたいと思います。  医療施設災害復旧につきましては、医療施設災害復旧補助金がありますが、阪神淡路大震災の折には、既存制度ではもう不十分だ、こういうことで、阪神淡路大震災に対処するための特別の財政及び助成に関する法律が制定されましたが、補助金のこのときにかさ上げがなされております。今回も、被災地の皆さんの医療への不安を解消するためには同等の措置が必要だというふうに思いますし、また、午前中、泉田知事からもそのような御要請があったところでございます。これに対する御見解をまずお伺いします。  また、その際に配慮すべきと思うことは、さきの阪神淡路大震災のときは自治体の設置した病院についてのみ補助率のかさ上げを行っておりますが、住民の方々が安心できる医療体制を一日も早く確立するためには、この公立病院だけでなく、地域医療の中核となっている病院まで範囲を広げるべきではないかというふうに思います。  具体的に申し上げますと、新潟県におきましては、厚生連病院が県立病院と、病院数が十五、そして患者数が二十五万人とも言われておりますが、まさしく同じような規模で地域医療の中核となっているところでございます。厚生連病院の今回の被害額は現在、八施設の五十七億円と聞いておりますが、公立病院と同等の措置ができないのか、現時点での厚生労働省の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  75. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 病院等の災害復旧でございますが、通常、私どもが持っております医療施設等の災害復旧補助金でございますが、まあ幾つかの医療機関に対しまして補助率二分の一ということで出しております。災害復旧に係る医療施設に関する補助ということで、迅速な医療体制の再建を図っていただきたいということでございます。  阪神淡路のときにできました特別の財政援助及び助成に関する法律ということで、この被災した公共団体の開設する病院につきましては三分の二の補助金のかさ上げ、その他の政令で定める病院については二分の一ということで決まりました。  今回のこの新潟県の中越地震におきます災害状況でございますが、十分に把握した上で、医療施設以外の復興支援についての考え方なども踏まえ、私どもとしても防災を担当する内閣府などとよく相談して、どのような対応ができるか考えてまいりたいというふうに考えております。
  76. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 最後に、補助金支出の基準となります査定についてお願いを申し上げたいと思います。  阪神淡路大震災におきます医療機関への復旧事業費については被害額の一七%だったという調査結果が兵庫県の私立病院協会から出されております。このときの補助率は、今お話がありましたように二分の一だったと聞いておりますが、被災者の認識している被害額と査定額に大変大きな差が生じております。今回の実地調査における査定においては、実際の被害額と格差が生じないよう格段の御配慮をお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
  77. 風間昶

    委員長風間昶君) 答弁は。
  78. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 要らないです。
  79. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 それでは、中越地震について伺いますけれども、今回まだまだ大変な状況の中で大変な御苦労をされている方々、心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げたいと思います。  先ほど西島委員からも修学、学生に対する意見もございましたけれども、私、教育は当然言うまでもなく待ったなしの日本の将来を支える根幹であるということで、この点について少し御意見を伺いたいなと思いまして、御質問申し上げます。  教育施設被害状況についてはもう伺いましたし、鋭意努力をいただいている、危険な箇所も大分あるということで、大変なまだ時間が必要だということは理解をいたしました。一日も早く元に戻るように御努力いただきたい、こういうふうに思います。また、いまだ本科の授業再開ができていない学校、あるようでございますが、これについても一日も早く平常の授業に戻していただけるよう御助力をいただきたいと思います。  ここで、私立の大学の授業料の免除についてでありますけれども、現状を考えてみますと、聞くところによりますと、阪神淡路のときよりも大分状況が厳しいという御意見を大分方々から伺っております。この内容についてどのような対策を講じておられるのか、またどの程度のお考えでおられるのか伺いたいと思います。文部科学省。
  80. 泉紳一郎

    政府参考人(泉紳一郎君) お尋ねの授業料の減免等でございますけれども、これにつきましては、関連いたします各大学等の設置者に対しまして、それぞれが設けている制度を学生に対しまして周知徹底するなど適切に対応するように依頼をしているところでございます。この依頼によりまして、現在までに五十七の大学、短大が授業料の減免制度の適用、あるいは七十四の大学、短大で入学料の減免制度の適用等を行っている状況でございます。  引き続きこれらの周知徹底に努めますとともに、なお、学資に対する経済的支援ということで、日本学生支援機構の緊急採用奨学金制度等の活用の周知徹底を図りながら、今回の地震により被災をいたしました学生の修学確保のための支援策をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。
  81. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 今御答弁いただきましたけれども、それだけでは大体分かりにくい話でありまして、現状、基準が大分厳しいようでありまして、この基準をクリアするだけでも援助を受けられない方も出てくるという、こういうお話も伺いまして、この辺をちょっと心配しておるわけでありますけれども、この基準について、詳しく議論できませんので、お考え伺いたいと思いますが。
  82. 泉紳一郎

    政府参考人(泉紳一郎君) 授業料の減免につきましては、それぞれ各大学等の制度によるところになるわけでございますけれども、先ほど申し上げました緊急採用の奨学金でございますけれども、これにつきましては、この災害等によりまして家計が急変した後の所得見込額等が基本的な基準になっているところでございまして、この制度の適用を通知いたしまして、これは十月の下旬に通知をいたしたわけで、毎月月末に適用の集計を行っているところでございますけれども、現在までのところ、基本的に申請が上がってきた貸与希望者につきましては、申請があった者全員を採用するという状況になっております。
  83. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 そのようであれば、まあこれを進めていただくのがいいと思うんですが、大分、漏れ伺うところではかなり厳しいと、申請しても申請が通らないんじゃないかと、こういう思惑で申請をされていない方もいるように聞いております。この辺のところも調査して、そういう方々に不備のないように対応いただきたい、こういうふうに思います。これは要望にしておきます。  続きまして、災害が起こった場合、先ほど県知事それから各参考人からも意見を伺いましたけれども、目黒参考人が午前中お話しになっていた部分で、私はもう最もそれがそうかなとつくづく聞き入ってしまった部分ございます。と申しますのは、もう既に地震予知についてもう数千億投入されているという話聞くんですね。事前に各担当省庁のお話を聞きたかったんですけれども、各省庁に大分複雑にまたがったり絡み合っているということで数字的なもの出てきません。しかし、一部にはもう三千億を超えているという、それで果たして地震予知が本当にできているのかどうか。現実には阪神淡路にしても中越地震にしても、地震がまず起こらないだろうと言われた地域地震が起こっているわけでありますから、地震予知は全く功を奏していないというのが現状であります。  そういうことから考えますと、地震はいつ起こってももうやむを得ないんだと、こういう考え方の下に住宅の補強だとか耐震性のある構造物、これを造るための指導にこのお金費やした方がまだ効果的なんじゃないかな、こんな思いもいたしました。特に行政が入る役所の建物、これは絶対壊れちゃいけませんので、病院の施設もそうであります、学校の施設もそうであります、壊れちゃいけない施設、もう、もちろん住宅も壊れちゃいけないんです。だから、そういうふうな部分をしっかりとこれからやっていくために、この地震予知についてももう一回再考の必要があるんじゃないかな、こういうふうに思います。  これは、地震列島と言われる日本でありますから、先日も三宅島入りましたけれども、もう火山列島、地震列島の日本でありますから、地震はいつどこで起きても不思議じゃないと、これが現実でありますので、そういう気持ちで、地震予知にばっかり余りお金を掛けていくのもどうかなと、こういうふうに思います。  ここで、さきの報道にもございましたけれども、政府中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会が発表いたしました震度分布図、もう新聞にも大分報道されました。十八タイプの地震がシミュレーションされておりますが、その内容は極めてショッキングな内容でありますけれども、私は特に神奈川、東京、この首都圏、先ほど参考人お話にもございましたように、一極集中、人口集中、産業集中、経済集中、何でも集中しているこの地域、この地域に起きたら大変だということはもう皆さん日ごろお考えのことでありますが、特にこの中で五か所、神奈川県で大きな震源が予想される断層があるということでありまして、三浦断層は震度七、神縄・国府津—松田断層地震については、これについてはゆったりとした揺れが長時間にわたって続き、東京湾をまたいで千葉県内にも伝わるって警告されております。  阪神淡路大震災新潟中越地震も予想しなかった辺りで起きている、こういう状況の中で、予想されるこういう地震に対してこれからどういうふうな考え方を持たれるのか、どういうことを想定されているのか、伺っておきたいと思います。  それと、万が一起きた場合、初動体制、自衛隊はもう今回も物すごい活躍でありまして、警察も消防も、地域の消防団も医療機関ももうフル稼働でありまして、こういう初動体制についてお考えを伺っておきたいと思います。お願いします。
  84. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今、ただいま御質問いただきましたけれども、中央防災会議の首都直下の地震対策専門調査会というのがございますが、その中に地震のワーキンググループを作ってございました。この首都直下関係で十八ケースの地震、御指摘のとおり、想定いたしました。十七日の専門調査会でその地震動の強さ等につきまして御報告いたしたところでございます。  幾つかのタイプあるわけでございますんで、幾つか御紹介申し上げますと、東京湾北部のプレート境界を震源とする地震では、都心部を含みます東京湾岸が震度六強の強い揺れとなります。また、一都三県に震度六弱の揺れが広範囲に広がっておりまして、特に広域的な連携を念頭に置いた防災対策を検討するための中心となる地震であると考えてございます。  それから二つ目でございますが、都心の東部、都心の西部の地震では、都心部が震度六強以上の強い揺れとなりまして、首都の中枢機能への影響を考える上で重要な地震であると考えております。  また、神奈川県でございますが、神縄・国府津—松田断層帯の地震では、神奈川県中部で震度六強以上の揺れが広がりまして、東西幹線交通網の被災により首都機能への影響を考える際の地震であるかと考えてございます。さらに、伊勢原断層帯、三浦半島断層群の地震でも断層直上に強い揺れが広がってございます。このほか、横浜市や川崎市等の中核都市、空港などに対する影響、こういうものを検討するため、それぞれの直下に地震を想定いたしてございます。局所的でございますが、地震六強の強い揺れが予想されているところでございます。  今後、地震の強さというのは一応検討されましたので、以上のような特徴を踏まえつつ、引き続き、人的被害あるいは物的等の被害、どのようなものがあるかという予測を行いたいと考えておりまして、今年度末を目途に、施設の耐震化、先ほど御指摘のとおりでございます、等の予防対策や発災時の広域応援体制などの応急対策などについて取りまとめたいと考えてございます。  そこで、広域体制についての御質問でございますが、現在作業中でございますが、ただしこれまでにも対応いたしてございまして、首都を含む南関東地域の直下地震の発生時におきます初動体制につきましては、政府の図上訓練などを通じて明らかになりました災害応急対策活動に係る課題を中心に関係省庁で連絡、連携して検討をいたしております。  これまでに決めましたことでございますが、自衛隊の災害派遣について約七万人、警察の広域緊急援助隊につきまして約二万人、緊急消防援助隊につきましては千二百隊、一個隊約五名でございます、の運用方針が策定されております。また、関係地方公共団体と調整の上、これらの部隊の先遣地先における活動拠点として四百六十五か所の候補地が決定されております。  また、医師や患者や消防、警察の部隊の輸送に関しましては、自衛隊の輸送機の利用計画の考え方を整理いたしてございます。さらに、警察の広域緊急援助隊や緊急消防援助隊、自衛隊の進出ルート等につきましての緊急輸送ルートの事前計画も策定いたしてございます。  それから、医療面でございますが、被災地内では十分に対応できない重傷者を被災地外に搬送することを中心とした広域医療搬送活動についても検討いたしてございます。引き続き、広域医療搬送にかかわる医療チームの派遣体制、被災地外におきます緊急搬送体制の整備等、広域医療搬送の体制作りのために検討を進めているところでございます。  なお、これらにつきましては、先ほど申しましたように、現在、首都直下の地震被害想定等を行うことになってございますんで、それらを踏まえまして首都直下地震対策についてのマスタープランとして大綱を取りまとめていく、あるいは活動要領の見直し等を行い、首都地域地震対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
  85. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 今、ただいま大体のお考えを伺いました。どんな万全な体制を取ってもこれで万全だということはまずあり得ないと思うんですね。  そういう中でやはりこれから大事なのは、どこに逃げたらいいのか、もうこれ皆さん、マップがもうできていたりして地域の方が日ごろそれを目にしていると思うんですけれども、意外とそれを目にしていながら頭の中に記憶として残ってないのが現実でありますから、あえて首都圏、特に神奈川、東京でどういうふうなことが一番皆さんの安全が保たれるのか、避難場所等についてもお考え、ちょっと伺っておきたいと思います。お願いいたします。
  86. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 避難場所についてでありますけれども、御承知のように、地方公共団体におかれましては、それぞれの団体がお作りになっておられます地域防災計画の中で避難地、避難路、避難場所等を指定されております。そしてまた、それを日ごろから地域の住民の方々によく分かるように周知を徹底をしていただきたいというふうに私どもお願いをしておりますし、地方団体の方々もそのように努力されていると思います。  ただ、御指摘のように、確かにマップとか広報で知られましても、いざ発災のときに本当に効果的な避難ができるかどうかということになりますと、加えて私どもは日ごろから訓練を是非お願いをしたいと、こういうふうに思っているところであります。そのためにも、住民の方々に想定されます被害を考慮した上で、必要な面積を踏まえた避難地が十分確保されるよう地方団体を指導してまいらなきゃいかぬと、こう考えております。
  87. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大変今、中越方々が御苦労されておる中でこの首都圏のことについて御質問を続けるのは大変心苦しいわけでありますけれども、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、いつ震災が発生してもおかしくないという列島に私たち現実に住んでいるという、この現実を直視していかない限りは防災関係は盤石なものになっていかない、こういう気持ちから御質問申し上げていることを御理解いただきたい、こういうふうに思います。  ただいま、マップ等だけでは十分でないという、これはもうおっしゃるとおりでありますので、これから機会あるごとに啓蒙活動、PR活動を徹底していただきたい、こういうふうに思います。  それと、次々御質問申し上げて恐縮でございますが、もし万が一の場合に、例えばこの大都市の場合にはもう輸送経路はほとんど断たれると思わなきゃいけません。アクアラインは通れるのかどうか分かりません。それと東名高速道路、第三京浜、首都高速道路、ほとんど厳しいと思います。まあ知人の中には、車で移動する場合には必ず車のトランクにリュックサックとスニーカーとロープを載せているという方います。これは首都高の上でもし立ち往生した場合にロープを伝って下りなきゃどうにもならないだろうと、こういうことまで考えているというのが現実でありまして、ここまで皆さん防災意識を持っていれば事がなるべく冷静に、重大なものに結び付かない最低限の行動は取れるんじゃないかな、こういうふうに思います。  そういう中で、先ほどもやり取りがございましたが、上越新幹線新幹線が走り始めてから四十年目、初めての脱線事故があったというのは、もう国民、物すごくショックだったと思うんです。しかし、あの中越の、上越新幹線脱線は、トンネルの中で地震を受けて、そして直線であったがために、またレールの下がコンクリであったがためにずっと真っすぐ一・六キロ、約六十秒行って止まったという奇跡的な事故でありました。しかし、東海道新幹線の場合にはもう完全に対向車両があの数倍走っているわけでありまして、乗っている方々の人数もはるかに多いわけであります。  そして、羽田空港等を考えてみますと、もう埋立地でありますから液状化現象はもう必ず起こるという、もうこういう想定の下に訓練は、対応はされ、検討されていると思うんですけれども、こういう部分もこれからいろいろな議論をしていかなくちゃいけないかなと、こういうふうに思います。  東海道新幹線は特に砂利で枕木を支えている部分がありますから、これはもう、一回脱線したら物すごい惨事になるということはもう火を見るより明らかであります。その車両に乗っていたかいなかったかだけで助かるか助からないかと、ここまで極めて危険な状態を想定しなきゃいけないと、こういうふうに思います。  このいろんな流れの中で輸送の、緊急輸送の確保なんかは、これはもう国土交通省の立場からも大変な重要な問題だと思いますので、この緊急輸送についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  88. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えします。  委員御指摘のとおり、緊急輸送道路は、災害時において救援なり復旧物資の輸送を行う上で極めて重要な役割を果たしているものと考えております。  この緊急輸送道路の橋梁の耐震補強につきましては、兵庫南部地震教訓を踏まえ、昭和五十五年の設計基準より古い基準で設計した橋梁に大きな被害があったことから、この基準より古い橋梁を対象耐震補強を進めているところであります。  平成十五年度末現在で早期対策が必要な橋梁のうち、高速自動車国道につきましては約九割、首都高速道路につきましてはすべての橋梁で耐震補強が完了しているところであります。一般道路につきましては、特に二次的被害可能性のある跨線橋、歩道橋等を対象耐震補強を進めており、直轄国道につきましては全国で約八割、首都圏の東京、神奈川、埼玉、千葉、一都三県では約九割で対策が完了しているところであります。  今後とも、これらの橋梁の対策早期に完了するよう努めていきたいと思っておりますし、特に河川橋など対策が遅れている橋梁についても耐震補強を推進してまいりたいと考えております。  以上であります。
  89. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 これは想定した問答をしているわけでありますから、現実に起こってもらいたくない、こういう気持ちの中で質問側、答弁側で意見のやり取りしているわけであります。  これで、先ほどから万全の、今の段階で考えられる万全の体制敷いていこうと努力しているんだという、こういうことについては一定の評価をさせていただきます。  先ほどお話しちょっと申し上げましたけれども、羽田空港、ここはもう本当に大変なことの状況も想定されますし、今、外国から引き合いがあるというメガフロート技術が浮上しているということでありますけれども、これから安全確保ということを考えた場合には、やはり海上も一つの滑走路にする必要もあるんじゃないかな、こんなことも一つの考え方として将来検討いただいたらどうかなと思いますが。  羽田空港について、それとあと、そのそばにはコンビナートあります。コンビナートの上空を飛行機が飛ぶか飛ばないかで大分もめたことも聞いておりますが、この羽田空港とコンビナートは切っても切れない近くにありますから、この安全対策について、羽田空港並びにコンビナートの安全対策伺っておきたいと思います。
  90. 本田勝

    政府参考人(本田勝君) お答えを申し上げます。  羽田空港自体は、現在、全国の四十八空港と連絡をさせていただきまして、年間六千万人を超えるお客様に御利用いただいております日本の最大の国内交通、国内航空交通の拠点でございまして、御指摘のとおり、大地震が発生した場合に、利用者の安全の確保のみならず、救援あるいはその震災後の災害復興、そういった形でも多くの機能を期待されておると思います。このため、私どもとしては、空港の各施設耐震性につきまして逐次調査の上、施設の重要度に応じて順次耐震補強を行っております。  また、御指摘のとおり、羽田空港自体は、海上の埋立てで建設をしてまいった空港でございまして、液状化対策が一番懸念される問題であろうかと存じます。したがって、とりわけ最近オープンをさせていただきましたB滑走路や、あるいは今度オープンをいたします東側ターミナルのエプロン等につきましては、液状化対策について万全の対策を講じておるところでございます。  また、その他の施設につきましても、逐次耐震補強を実施しておりますが、今後とも更に必要な施設についての耐震補強を継続してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  91. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今、コンビナートのことについても御質問がございましたけれども、首都圏には全国の大体二、三割の石油タンクとか、あるいは高圧ガスのいろんな施設が集中していると、こういうふうに思います。  法律上、石油コンビナート等災害防止法というのがございまして、その法律に指定されたコンビナートについては自衛防災組織を作ったり、あるいは県が防災計画を作ったり、そういうそのコンビナート全体で自衛的にといいますか、あらゆる防災について備えるようにという、そういう義務が決められているようでございますけれども、個々の石油タンクとか高圧ガスの施設について耐震化の、例えば一つは底部の補強をしなきゃいけないとか、いろんな措置が決められているようでございます。石油とガスと分かれるわけでございますが、常温で液体のものは消防法によって防災対策が決められておるようでございまして、ガスについては高圧ガス保安法に基づいて防災のためのいろんな要求が決められていると、こういうことのようでございます。  まず初めに申しました石油タンクの方は、消防庁が所管でございますが、一つは、耐震基準制定前、昭和五十二年以前だそうですが、昭和五十二年以前に設置された石油タンクについてはその基底部について補強をしろということで、耐震改修期限を前倒しして改修を実施しているということでございまして、神奈川地域で申しますと、約八割はそうしたその改修措置がもう既に実行されていると、こういうようでございます。  それから、もう一つ石油タンクにつきまして、十勝沖地震において苫小牧の石油タンク火災というのが起きました。それは長周期の地震振動によりまして、上に、石油タンクの上にこうふたみたいな板があります。それがこう揺れて、それで発火して火災を起こしたという、そういう経験に基づきまして、これを防止するための基準を作って被害を防止していきたいと、そしてその施設の改修を図っていきたいと、こういうことをやっているようでございます。  これにつきましては、地域の実情に応じて今年中に、今年度中に基準の改定、改正を行うようでございますので、それによりまして、これから地域の実情に応じて改修を行っていくというようでございます。  それから、高圧ガスのタンクの方でございますが、これは経済産業省が所管するわけでございますが、これは関係県が必要な耐震改修を行うように事業者を指導していると、こういうことでございまして、基準自体は昭和五十七年にできていると、このようでございます。  いずれにしましても、十七日に首都直下型の地震につきまして震度分布というものを発表いたしました。できるだけ早いうちにそれに基づいて被害想定というものを作りたいと、こういうふうに思っておりまして、それが出て、我々としては防災のためのいろんな措置というものをきめ細かく今後決めていきたいと思っておりますので、その中で、こうした施設についても必要とあらば新たにそうした防災のための措置を講じていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  92. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大変分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。  大臣おっしゃるように、苫小牧のタンク火災は大変なものでありまして、大臣が先ほどおっしゃったとおり、この地域には、首都には大体二〇か三〇%ぐらい集中しているということであります。これが即大爆発を起こして云々ということにはならないと思うんですが、どういうことが起こるか分からないのが災害でありますので、大変な御苦労だと思いますが、これからそういう御指導、徹底していただければなと、こういうふうに思います。  それと、あと、この流れでいきますと、やはり一番大事なのは自分たちが生き延びるために何が必要かということを考えてみますと、日ごろのこの情報収集ももちろんでありますし、それとまた、自分の健康管理ももちろんであります。しかし、行き着くところは食料であったり水であったり医薬品であったり、またケアであったり、こういうことが必要になってくると思います。そういう中で、取りあえず水と食料、こういうものについて各都道府県ではそれなりに御努力をいただいておりますが、国としてどういうふうな指導をこれからやっていかれるのか、そういうことも含めてお願いしたいなと、こういうふうに思います。  それと、先般の参考人の方の中でボランティアの方がおられましたが、ボランティアの方は、ともかく有償ボランティアがこれから大事なんだという話されました。これはどういうことかといいますと、ボランティアに来るよと言っていて、今日は都合が悪い、いや今日は午前中で、いやあしたなら大丈夫だって、こう言われてしまったんじゃボランティア当てにならないと、そういうことで交通費だけでも出してあげたらいいんじゃないか、こんなことも言われておりましたので。  それはちょっとした御意見伺えば、後に皆さん方の議論の中で方向付けをいただければいいと思いますが、その点と、食料、水についてどういう御指導をいただいているのか、その点だけお答えいただきたいと思います。
  93. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 発災いたしました際の食料、水等の備蓄についてでありますが、私ども基本的には、地震の懸念があるような地域方々はまず御自分の水、食料等について備蓄を考えていただきたいということをまず前提にいたしております。しかしながら、公的な立場でもそれに対応しなければならないのは御指摘のとおりでございまして、避難所を開設した場合に備えまして、想定する災害あるいは地域特性を考慮しながら、それぞれの地方団体におかれましては水、食料等の応急対策物資を備蓄されているところであります。  東京都あるいは神奈川県の様子をちょっと聞いてまいりましたが、例えば東京都の場合、市区町村でありますけれども、一日分の備蓄を都が行うと、それから一日分を市区町村が行うと、三日目以降は国による支援を想定するという前提で必要な水、食料の備蓄がされているようでございます。神奈川県におかれましては、原則として市町村が備蓄を行い、県は広域的な見地から民間との協定に基づく流通備蓄によりまして市町村への支援を想定されておりますが、このような考え方に基づきまして、東京都、神奈川県ではペットボトル、相当量の飲料水が備蓄をされておりますし、また、米、乾パン等につきましては、被害想定に基づきまして避難者等の人数を見込み、それに必要な大体二日分ぐらいの米、乾パン等を備蓄されていると聞いております。  いずれにいたしましても、阪神淡路大震災以降、いろいろと教訓を学ばれておられまして、民間との協定による流通備蓄も含めまして、都道府県におかれましては災害対応に力を入れておられると、こう聞いております。
  94. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 消防庁長官、田園都市線でお通いになっているんだと思うんですけれども、電車の中で見舞われるか、寝ていて震災に遭うか、全く分からないわけでありますけれども、各省庁の御関係の方も含めて、もし万が一発生した場合にはもう自分の家族も顧みずこの任務に就かなきゃいけない、こういう崇高な精神の下に日々研さんをされているわけでありますので、心から敬意を表したいと思います。  それと、大臣に先ほど御答弁いただいたそのほかのことで、私冒頭に申し上げましたけれども、地震予知、これについて各省庁の御関係の方から詳しい数字は全く出てきません。これは出そうにも出せないぐらい複雑にいろんな角度でやっておられるんだと思うんですが、これからこの地震予知についてどういうふうにお考えを進めていかれるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  95. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) ただいまのところは予知が可能な地震は東海地震ということで、その予知を前提としたいろんな対策が進められているわけでございまして、学問上も予知が可能かどうかについていろんな議論があるように私も伺っておりますが、今のところ、学問的に予知が可能であって、それを前提とした対策を行おうとしているのは東海地震と、こういうことでございます。将来、いろんな地震学が発達いたしまして、その予知が可能であるときが来るかもしれませんが、今のところ私どもが予知を前提として対策を練っているのは、重ねて申しますが、東海地震ということでございます。
  96. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 今、大臣おっしゃったように、これはもう本当に先の見えない大変な作業だと思います。しかし、予算かなり掛かるわけでありますから、これをどういう形で進めていくのか。起きる前に橋脚の補強だとか安全対策、家屋の倒壊を防ぐための耐震構造の住宅建築を進めさせるとか、いろんな形を、ほかの流れからも積極的な指導をいただかなくちゃいけないかなと、こういうふうに思います。  最後に申し上げますが、私が今回質問申し上げたのは、危機感をあおることが目的ではなく、常時防災意識を国民が持ち続けること、これが大事だということを痛切に感じておりますので、今後とも、大臣始め各省庁、御関係の皆さん方に一層の御尽力をいただいて、そして中越地震につきましては一刻も早い復旧・復興を御尽力いただきたい、こういうふうに思います。  以上で質問を終わります。
  97. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず初めに、私、新潟県選出の参議院議員でございます。新潟中越地震災害発生時より、政府を始めとして関係機関皆様、また全国の皆様から本当に温かい御支援の手を差し伸べていただきましたことにつきまして、県民を代表いたしまして心から感謝を申し上げたいと思います。  今日の午前中には私どもの泉田裕彦知事がこの場で参考人として出席させていただきまして、被災地の県知事としての思いを皆様に訴えたところでございます。  そこで、今、たった今のネット上のトップニュースですけれども、このように、「新潟中越地震 泉田知事が参院で涙の訴え、特別立法制定を」というような記事になっております。これは毎日新聞が配信しているものですけれども、その他同様に今インターネット上のトップニュースは我が新潟県知事が参院で涙の訴えをしたと、特別立法の制定をお願いしたいというお願いでございますが、ここにも書いてありますように、「新潟中越地震の惨状を訴えた上で「政治の力で助けてほしい。財政力の弱い県では手のほどこしようがない」と涙ながらに訴えた。」という記事になっております。  そこで、大臣にまず最初に伺いたいんですけれども、なぜこのような涙の訴えになったと思われるか。大臣、その場にはいらっしゃらなかったかもしれませんが、この泉田知事が涙で訴えたということについてはもうお聞きだと思いますが、何とか助けてほしいということを涙でこの場で訴えなければいけなかったその理由、どう思われるか、お答えいただきたいと思います。
  98. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 泉田知事は、お昼過ぎに私のところにもおいでになりまして、被災の状況について改めて要請をされまして、かつまた、今委員がおっしゃるように、特別法の制定の要請をされてお帰りになりました。  この場で参考人として知事が涙ながらに被災地の状況をお訴えになったということも私は仄聞をいたしました。現地で、雪を控えまして、本当に毎日毎日御苦労をしておられる被災者の皆さん方を目の前にしておられる知事としては、感極まって、一刻も早くそうした、元の生活に戻りたい、あるいは自分のうちに早く帰りたい、仕事にも早く就きたいという、そういう被災者の希望を直接目の当たりにしているがゆえにそうしたお訴えになったのではないかと、こういうふうに考えております。  私ども、こちらで中越地震対策を講じている我々メンバーも全く同様の気持ちでございまして、特に我々といたしましても、現地に、もう一か月にわたりまして現地の支援室を設けて毎日毎日そうした情報を送ってくる、あるいはここに今控えておる政府の参考人の中にも、入れ替わり立ち替わり現地への支援に出向いている、そういう職員もおりますがゆえに、私たちも県知事と同じような気持ちで、一日も早く被災地の方々を元の生活に戻してさしあげたいという気持ちが一杯でございます。知事の気持ちも私たちもよく分かるわけでございます。
  99. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 昨日で地震発生から一か月たちました。本来であれば、今日私は、泉田知事から、さあ復興に向けて頑張りますと、そのような発言があって、あればよかったなというふうに思ったわけですけれども、なぜそうならないかといいますと、先ほど引用させていただきました記事の中にあるように、財政力の弱い県では手の施しようがない、特別立法、財政支援のための特別立法をしてほしいと、このように再三のお願いをしているにもかかわらず、なかなかその方向性、特別立法して財政的に全面的に支援しますという、そのような大臣からの御発言がない、政府からのそういう御答弁がないということが不安を募らせているということなんだろうと思います。  それで、私は、復旧・復興支援で一番大切なことは何なのかと。いろいろ細かい政策の手だてを講じてくださっていること、本当に心から感謝申し上げますが、私は、復旧・復興支援で一番大切なことは、希望とそれから勇気を与えることだと思うんですね。その希望と勇気を与えるために何が必要なのか。それは、やっぱり全面的な国の財政的な支援をしていただけるという、そのような確証といいますか、そういうものを与えていただけるということが今この時点において一番の復興への希望と勇気を与えてくれるものだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  100. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 委員のおっしゃる点もよく分かりますが、私どもは、政府が手を差し伸べるに当たりましても、あるいはそのときに特別立法をしてまで支援のいろんな措置を講ずる必要があるかどうかにつきまして、やっぱりそのニーズがあるかどうかということが確認できるということが必要なんだろうと、こういうふうに思います。  今度の中越地震につきましては、阪神淡路大震災の経験からいろんな対策のメニューが講じられてきて、できてきたと、こういうふうに思います。その結果、かなりの分野は現行の体系の中でできる分野もありますし、私どもが県に引き続き言ってまいったのは、被害の全体像というものを教えてくださいと、こういうことを言ってまいったわけでございまして、そういう中で、この阪神淡路大震災の後いろんな、政府があのときはできなくて特別立法をやらなきゃいけなかったけれども、その後いろんなメニューができたと、そういうところもあるわけでございますから、まずは県側に被害の全体像というものを早急にお調べになりまして教えてくださいということでございました。  被災者に対するメッセージという観点から申しますと、私どもは、二十六日にも激甚災の指定をしたい、そのための政令を作りたいと、こういうふうに考えておりますし、今隣におられます林田副大臣をトップといたします復旧・復興支援会議というものを本日から立ち上げまして、私がヘッドでこれまでやってまいりました非常災害対策本部のほかにこうした復旧・復興に向けた支援体制を具体的にプラスアルファして、この新潟県側の支援を、被災の支援をしてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、決して我々は県の要請をむげに断っているわけじゃなくして、むしろ、これから長引きます、要するに、雪も降ってまいりますので、いろんな復旧事業も雪のために進まなくなるという、そういう事態も我々十分考えに入れて、長期化する復旧・復興事業というものを我々は確実に応援していきたいという体制を整えたところでございます。
  101. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まずは被害状況を提示してくださいというふうに、そうおっしゃることが、その結果として特別な財政措置というものが取られるかどうか今の段階で確信できないと、そういうふうに思っているということなんですね。だから、それをはっきりと示していただきたいということなんです。  今回の中越地震は、阪神淡路大震災とでは被災特性が異なると、まずはそれが大事な点だと思います。今ほど大臣からも御答弁をいただきました。新潟というのは、ずっと午前中からもお話がありますように、豪雪地帯であることに加えて、過疎化や高齢化の特に進んだ中山間地集落を多く含んでおります。降雪それから雪解けによる二次災害も強く懸念されておりますし、農業は来春の作付けが確実にできるということ、作付けがままならないというところも多くあると。さらには山古志村、山古志一つ復旧を取ってみても、今の段階でももう県の担当者は現行の制度では到底復旧・復興ができないというふうに言っているわけでございまして、例の芋川の河道閉塞の対策など、雪解け後まで災害が現在進行中といった極めて特殊な、しかも大災害であるというふうな災害特性を有しているわけです。  全国知事会でも、新潟県のみの問題と位置付けるのではなくて、全都道府県の問題として新潟中越地震に関して特別立法の措置を講ずべきとする緊急提言を行っております。  そこで伺いたいんですけれども、このような状況の中で、政府が新潟中越地震を特定非常災害に初めて指定したという事実がございます。この事実にかんがみても、阪神淡路大震災に準じた特別立法を行うべきではないかというふうに思うわけですが、重ねて伺いたいと思います。  先ほども申し上げましたように、将来に対して夢と希望を持てるように特別立法という明確な形で国の責務を果たす姿勢を今の時点で、今、この一か月たったこの時点で明確に示していただく、これが私は重要だと考えておりますが、大臣の見解をお願いいたします。
  102. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 山古志村の河道閉塞、ダムにつきましては直轄事業にいたしましたので、その意味では地元の負担はないと、こういうふうに思います。  ただ、一つ一つ私がこういう対策はできているとかいうふうに申しますと、正に今委員のおっしゃるような、今私どもが、これから県から被害の全体像を出されて、それから特別立法を出さなければいけないような状態かどうかということについて検証するものをあらかじめ指定しちゃうことになりますので、いろんな対策はかなり我々としては十全なことはやってまいりましたよということを言いつつ、今日、知事が正式に、その被害の全体像でこういうことがあるから特別法の立法をお願いしますという、そういう御要望書を出してこられましたので、それに向けて特別立法の必要性があるかどうかということについて我々は検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  103. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ということは、先日までの大臣の御答弁から一歩踏み込んだというふうに理解してよろしいでしょうか。今日受け取ったので、検討して特別立法可能性があると。その検討の場合に、検討によっては特別立法という形で対応していただけるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  104. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) そういう要望書が出されましたので、これから特別立法の必要性があるかどうか検討するということで、これまでの考え方と変わっていないのではないかというふうに思います。より具体的に我々の検討作業がこれで進むと、こういうことになろうかというふうに思います。
  105. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 特別立法について前向きな検討をしていただけるということではないんですか。重ねて、ちょっと済みません。
  106. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 私どもの気持ちはいつも、法律があろうとなかろうと、地元が立派に復旧・復興活動ができるように最大限の支援をするという体制でございます。
  107. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そのような御答弁を聞くと、ああなるほどと、政府挙げてやっていただけるんだと、全面的に財政的な支援をしていただけるんだというふうに何か理解してもいいのかなと何となく思うんですね、ここで聞くと。ですけれども、それは財政的な支援の担保にはなかなかならないという話が来るわけです、私のところには。ですから、きちんとした明確な形で特別立法を前向きに大臣が検討するということをここで言明していただく、なぜそういう御答弁がいただけないんでしょうか。特別立法について前向きに検討しますと、今日、知事からそういう具体的な要請書ももらったので、そのようなことについて前向きな検討をしますという御答弁がなぜできないんでしょうか。  被災地が求めているわけですよ。不安なわけです。財政的に非常に逼迫しているわけですから、どこまで復興活動、復旧活動をやっていいんだろうかと判断に困っているわけですね。ですから、しっかりと国がきちんと支援するからどんどんやりなさいという後押しをしていただきたいというお願いなんですね。そのためには、今までのようなそういう抽象的な御答弁ではなくて、もう今日は、泉田知事から具体的な要請が出たので、特別立法について前向きに検討するというふうに一歩踏み込んだ御答弁をいただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  108. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) いや、具体的に御要望の項目を提示されましたものですから、それを検討して、特別立法の必要性がありやなしやということを、より前よりも具体的に検討することができる状態になったと、こういうことではないかと思います。
  109. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 何でそんな官僚みたいな答弁しかできないんですか、大臣。涙ながらのさっきのうちの、泉田知事の訴え、大臣のところには届かなかったんでしょうか。  私は、地元に戻って、すべての被災地に行けたわけではありません。到底行き切れない。もうどこも悲惨な状況です。どの地域に行きましても、何か我々に要望ありませんか、私はいろんな細かいことをお聞きしようと思って行くんですが、特に市町村長さんたち、もう異口同音にとにかく財政的な支援を、特別立法をというふうにおっしゃっております。  どうでしょうか。そういう、前は具体的な問題の提起がないんで特別立法の検討もできないというふうなお話でしたが、今日はその具体的なものがあった、それに向けて具体的に前向きに検討して、立法の可能性ありというふうに御答弁いただけないでしょうか。
  110. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 被災地の公共団体の皆さん方には、要するに復旧・復興活動に支障がないように政府としては全幅の支援を送りたいと、こういうふうに考えておりますので、被災地の皆さん方に私の立場から一生懸命、復旧・復興活動にいそしんでくださいということを申し上げたいと思っております。
  111. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 分かりました。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  災害救助法の住宅の応急修理制度等について伺いたいと思いますが、住民が最低限の生活を送っていく上で衣食住の問題が重要である点は言うまでもありません。まず、安全な住宅というものの確保について、生活を送る上での基盤となるものであります。  避難が長期化し、また今本当に冬が、もう降雪、雪が降るというその中で緊急な対応が望まれておりますが、半壊世帯のうち当該制度利用戸数、それから応急修理完了の時期の見通しについてはどのように考えていらっしゃるのか、政府の認識を伺いたいと思います。
  112. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 住宅の応急修理についてお答えをいたします。  住宅の応急修理につきましては、十一月二日付けで私どもで出しました災害救助法の「住宅の応急修理の円滑な実施について」という通知を受けまして、新潟県において実施要領を定めておられまして、九日の日には厚生労働省の担当者も出席して被災市町村災害関係担当者への説明会を開催し、本通知の内容について周知を図ったところでございます。  この応急修理を実施するためには、やはり工務店その他の工事関係者の方の協力を得なければならないということで、修理を施工する業者をほぼ指定を終わりました。一昨日ですか、二十二日には、県の建築業界団体が主催をいたしまして、私どもと国土交通省も出席いたしまして、団体の各支部や役員等を対象住宅の応急修理に関する説明会を行いまして、業界としての実施体制の整備を図ったところでございます。  これを受けまして、現在、各被災した自治体におきましては住家の被害認定を急いでいるところでありますが、この認定作業が完了次第、順次被災者からの申請手続を経て修理を実施していく予定と聞いております。具体的には、十二月ごろから実際の申請をするところもありますし、もう既に申請を受け付けている市町村もあるやにも聞いております。  いずれにいたしましても、応急修理の相談やその円滑な実施に向けて、国土交通省あるいは新潟県と連携を取りながら努力してまいりたいというふうに考えております。
  113. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その質問に関連して伺いたいんですが、先ほども申し上げましたとおり、今回の中越地震、雪というものが一つの大きな問題なんです。  それで、小国町の法末地区で仮設住宅への入居を決定、ほとんどの方が決定されたわけですけれども、被災した家が雪でつぶされないための応急処理を望んでいます、住民は。現行の制度では、避難勧告が解除されない状況の中でやむなく仮設住宅への入居を決定した場合でも応急修理費が国や県から支給されずに、途方に暮れております。新聞報道によりますと、仮設住宅に入らなければよかったというふうな住民の回答もあるということで、この点につきまして解決策はないのでしょうか、伺います。
  114. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) まず、災害救助法の考え方について御説明いたしますけれども、災害が発生しますと、まず体育館、公民館等への避難ということになります。今回の中越地震の場合も、十万人を超える避難民の方が避難所あるいはその周辺の車その他にあふれておられたという状況でございました。  私どもといたしましては、応急修理制度を使って一刻も早く住宅の応急修理を行い、住み慣れたところで生活をしていただくということでございまして、その目的のために大幅な制度の範囲内の運用の最大の弾力化を行っているということでございます。  しかしながら、あくまでこの制度は応急救助ということに限られておりますので、応急仮設住宅に入られますと、それから後はやっぱり再建、復旧ということの問題になろうかと思っておりまして、災害救助法での対策というのは困難であろうかというふうに考えております。
  115. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうしますと、被災者生活再建支援法の方に回っていただくと、そういう意味ですか、仮設住宅に入られた場合、その後での住宅の修理に関しましては。
  116. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 先ほど申し上げましたように、応急仮設住宅は最終の住居ではないわけでございまして、その後は住宅再建法なりの住宅再建施策、生活再建施策にゆだねられておるんじゃないかと私ども思っております。
  117. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の問題について、内閣府の方で何か解決策はないでしょうか。どなたかお答えいただけませんでしょうか。
  118. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今、小島援護局長が御説明されたとおりでございまして、これまでは応急、家をなくされた方については応急仮設住宅あるいは空き家応急仮設住宅、公営住宅の空き家等を活用してそれで対応しようということでこれまではやってきてまいりましたが、今回は県の方からも、応急仮設住宅だけではなくて、一部、半壊住宅等も多いのでその修理等にやっていただけないかという御意見もございました。  それらを非常災害対策本部の方でも議論いたしまして、厚生労働省の方で先ほど御説明いただきましたように初めて本格的に六十万円の応急修理費を出していただくと。しかも、それを非常に弾力的な形で出していただけるというので、我々も被災者、避難所におられます被災者の皆様、冬、長くて厳しい冬がもう間近に迫っておりますので、それらの皆様に非常に有効な施策であったという具合に考えております。  また、今後、住宅の再建等あるいは本格的な修復ということになりますと、雪解けの後の話でございますので、そのときにはまた、被災者生活再建支援法上の制度もございますし、県でも独自の制度をお作りでございますので、本格的な住宅復旧というのはその後になっていくんではないだろうかと思います。また、個人住宅もあれば公的住宅の整備というようなこともあるんだろうという具合に考えております。
  119. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いえ、ですから、雪解け後のその住宅の再建ということではなくて、仮設住宅に入られた、で、まだ避難勧告は続いているので自宅には戻れないわけです。その中で、これから雪が降るんです。そこ、今回の被災地というのは、二メートル、三メートルの雪が積もる地域なんですね。ですから、前の晩に雪を全部きれいに、例えば車の周りから全部雪を取ったとしても、朝起きてみるともう車がどこにあるか分からない、それぐらいの豪雪地帯なんですよ。  ですから、仮設住宅に入る、しかも家が一部損壊状況、半壊状況、で、仮設住宅には入るけれども、その被災した家がこれからの冬の間に雪でつぶされないように応急修理をしたいと、こういう希望があるわけですね。だから、そこにこれが使えないのかということでその応急処理を望んでいるんですけれども、今ほど説明がありましたように、現行の制度では仮設住宅に入った場合には応急修理費が支給されないということで、どうしようかと。このままだったら、仮設住宅自分たちは入っているからいいんだけれども、その冬の間に家がつぶれてしまうんじゃないか、こういう不安を持っていらっしゃるので、これを解決する方法はありませんかというふうに伺っているんですけれども。
  120. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 災害救助法の関係と申し上げますのは、仮設住宅及び応急的な修理でございますが、これは人の命にかかわることでございますので、まず人の命を救っていこうという考え方の下でやられているものだという具合に考えております。また、住宅再建につきましては住宅再建の制度でいくということを考えてございますが、この地域委員御指摘のように非常に豪雪地帯でございますので、政府の非常災害対策本部の中でも、村田大臣筆頭にこれまで二十一回、いろんな対策を練ってまいりましたけれども、プロジェクトチームを十二プロジェクトチームを置いてございまして、それぞれ冬場の豪雪対策についてどうするのか。特に山古志村ですね、山古志村につきましてはなかなかお帰りになれないんじゃないかということが想定されますので、これらにつきましても、山古志村の支援の連絡会議を国の中でも作ってございまして、例えば明日、メンバーが現地の方で今後の山古志復旧の支援についての検討を行うために現地に入るということもいたしてございますが、それらの中でも、例えば雪下ろしをどうしていくのかとか、雪下ろしをする住宅、しない住宅と分けて、例えば分けていって、雪下ろしについてどういう支援ができるのかというようなこと等につきましてもいろんな対策を、県あるいは市町村、村ですね、の方とも連携をしながら対策を練っていきたいという具合に考えております。
  121. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 特に今のお話の中にもありました雪についての対策急がれるわけですが、それにつきましてはまた後でまとめて質問をしたいと思いますが、住宅の再建ということにつきましてはいろいろ今も、今までも御議論があったところでございますが、被災者には住宅本体や補修費への支援金の支給に関して強いニーズがあります。  私ども民主党は、被災者生活再建支援法の改正案を提出いたしまして、住宅本体へこれに基づく国からの助成金が出るようにということで改正案を提出しております。これに関しましては、お手元に資料を配らせていただきましたが、お手元に資料を配らせていただきました。主な都道府県独自の制度ということでございます。地域の実情に応じて鳥取県、そして宮城県のほか、今回の中越地震を受けまして新潟県も全壊世帯に百万円、大規模半壊世帯に百万円、半壊世帯に五十万円。それから、先ほどお話の出ておりました住宅の応急補修経費として大規模半壊世帯に百万円、ここに国のが合わさると六十万上乗せで百六十万ということになるわけですが、半壊世帯に五十万と、このような独自の制度が作られております。  例えば、国としても支援金の支給を受けて建築する住宅が国の政策等に沿ったものであれば、例えば耐震構造、国産木材利用等であれば一定期間の処分制限期間を設けて本体経費を認めるなど何らかの工夫をすることはできないものでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  122. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 国の対応につきましては、先ほどからお話し申し上げておりますとおりでございまして、当初十万人いらっしゃいました被災者の皆様方、避難所皆様方、今六千人台まで減られていますので、ただ大変な冬、冬季を迎えておるということで、できるだけ被災者の皆さん方の質の向上、避難所皆さん方の質の向上を図っていこうということで、せっかく避難されているそこでお病気になられるということも問題であるという具合に考えておりました。  そのために、高齢者に対する対策、特養等に入っていただく、あるいは旅館あるいはホテルを借り上げて避難所代わりに入っていただくというような制度を取りつつ応急仮設住宅の建設、あるいは応急修理制度を最大限活用しながら一日も早く冬季の雪が降る前までに被災者の皆さんを元の生活、あるいは元の生活に近いような形に生活ができるようにということで最大限の努力をいたしているところでございます。  また、住宅復旧・復興ということになると、これは来年の雪解け以降の話になろうかと思いますけれども、これらにつきまして全壊あるいは半壊という認定が、被災者生活再建法上の認定を受けられますと、国といたしましても三百万あるいは百万円という助成ができるわけでございます。  これらにつきまして、住宅本体という問題につきましてはこれまでも何度も御答弁しているとおりでございまして、また前の国会でもそれらの問題について最大限、今回のような制度拡充がなされたわけでございますので、国といたしましてもこれらの制度を最大限活用して被災者の皆さんの自立支援に努めていきたいという具合に考えているところでございます。
  123. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 連日の報道の中でもこの被災者生活再建支援法、今の現行の制度だと被災者の立場に立っていないというような様々な報道があるということは当局も御存じだと思います。  被災者の実態に応じたきめ細かな支援という観点で伺いたいんですが、過去の災害における支援金の実態調査によれば、申請書の提出から支援金の受給までに二か月以上掛かったケースが六割あるというふうに聞いております。新潟においてはもう本当に雪が間近に近づいております。そのための準備を早急に行う必要があるわけですが、支給が二か月以上先の場合には間に合わなくなるという懸念があります。そして、早期の罹災証明発行、もう既に始まっておりますが、申請手続、支援金の概算先払等の柔軟な運用によって被災者のニーズに応じた早急な支援金支払を図る必要はないのかどうか。  それから、併せて、先ほども、この罹災証明発行と関連してなんですけれども、今現時点で全壊とか半壊とか大規模半壊とか、こういうふうな認定するわけですが、その後、雪の重みで家が壊れてしまった、つぶされてしまったという場合、これはどうなるのでしょうか。それも併せてお答えいただきたいと思います。
  124. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 被災者生活再建法上の手続の問題でございますが、これまで過去の例、確かに申請等の不備等の問題等もあるのかもしれませんが、おおむね一月、一か月程度で、本人が御申請されてお支払まで一か月程度というような状況になってございます。また、支給金の支払につきましては、概算払だけではなくて、必要だという方には前払金の百八十五万円前払ができます。この仕組みを御活用いただければと。これらの仕組みによりまして、被災者の緊急な資金ニーズに国としては対応いたしているところでございますので、御対応をいただければと考えてございます。  今後とも、事務手続は迅速化したいと考えてございます。先ほど小島援護局長の方からお話がございましたが、厚生労働省の担当官とそれから内閣府の担当官を現地に出しまして、県、市町村の担当官を集めまして、罹災証明の出し方あるいは被災者生活再建法上の認定の在り方等について御説明もしたところでございまして、できるだけ早く認定作業が進むようにと、我々、国といたしましても御支援をいたしているところでございます。
  125. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません、雪の重みでっていう……。
  126. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 雪につきましては、例えば避難勧告、避難指示が解除されないがためにお戻りになれないと、その結果全壊してしまうというような場合もあろうかと思います。そういった場合には、当然そのような判断が市町村においてされるんではないかと思っております。
  127. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それは、まあこれから雪の期間始まって春まで三、四か月あるわけですけれども、その後もう一度その被害状況を認定し直すということでよろしいわけですね。確認のため。
  128. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 結果的にお帰りになれないわけですから、その避難指示が解除された時点での姿というものが認定ということになろうかと思います。
  129. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それは避難指示が出ている地域だけですか。避難指示避難勧告が出ている地域以外でも、今の現時点では損害の程度が軽く判定されると、そして雪の影響で思ってもみぬ被害が起きる可能性がありますので、その避難指示及び避難勧告の出ている地域だけではなくって、やっぱり今回の地域特性にかんがみて、雪の重み等で新たな被害が出た場合にはもう一度それらについて対応するというふうに理解してよろしいでしょうか。
  130. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 法律の運用の問題でございますが、避難指示避難勧告が解除されてお帰りになれる状態の場合にお帰りになっていなくて雪害を受けて壊れたということという具合に解しますと、その場合には、また改めてその雪害というものの一つ災害ということで見ていくということになろうかと思います。
  131. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、それだと困るんですよね。また、何というんですか、手続が一つ非常に煩雑になりますし、その地震被害を受けていなければその雪によって壊れたりするということはないという場合もあるわけですから、もう今の被害認定のままそこで決定ということではなくって、今回の地震に関しては、やはり豪雪地帯ということですので、避難指示避難勧告が出ている地域にかかわらず、もう一度雪の状況を見てその辺のところを柔軟に対応していただくというふうにしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか、この件に関して。
  132. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) やっぱりいろんなケースがあろうかと思うんですよね。今、統括官が御説明申し上げたように、法律の運用でございますから、柔軟にいろいろ、今度もいろいろやってきました。生活再建支援法につきましても、水害について弾力的な対応をするようにということで、それもやらしてもらいましたし、今度の場合に、今委員が御質問なさったように、手続面での簡素化も随分図りまして、例えば領収書の提示なんというのも簡略をいたしました。それから、世帯の所得の合算についても、今日、朝日新聞にも出ておりましたけれども、そういうことで周知徹底を図ったと、こういうことでございますが、我々のところでも、法律の運用でございますから、弾力的あるいは柔軟といっても限度がございます。  しかしながら、その実態を十分把握した上で法律上運用できるというものであれば、極力私どもとしては被災者の皆さん方のことも考えて法律の許される範囲内で弾力的な運用はしてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、とにかく地元の公共団体が罹災の認定をするときにきちんとやっぱり認定をするというのがスタートになりますもんですから、そこら辺については今、他の公共団体からも応援を求めてもおりますけれども、そこの認定がスタートであるということでございます。  しかし、自分の財産でございますんで、罹災者もやっぱり直せるものはできるだけ補強をして雪の季節をお迎えになるということもやっぱり自助という精神からしても大切なことではないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
  133. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 午前中の泉田知事の発言の中にも、被災市町村は書類の作成に力をそがれて本当に被災者に温かい手を差し伸べるということがなかなかできないでいるという話もありました。  今ほどの罹災証明書、まず市町村がちゃんとやってくださいよとおっしゃいますけれども、もうその担当者自身も被災者なんですよね。被災した家屋も多いという中で、十分な、取りあえずの、取りあえずの調査はしておりますけれども、中へ、それぞれ一軒一軒中に入って、ここはどうだああだと、そういうふうなことを調べるような状況ではありません。ですから、これは雪の影響がどんなふうに出るかというのは雪降ってみないと分かんないんですよ。ですからお願いしているわけですけれども、大臣。その場合に、その雪の影響をきちっと考慮して、考慮しますと、そう言っていただければ後でそれが生きるんですよ。そういう御答弁をいただきたいんですけれども、大臣
  134. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 先ほど統括官が申しましたのは、要するに避難勧告が、あるいは指示が出ているケースについてはそういうことでございますというふうに申し上げたと、こういうふうに思います。今委員が御質問になさったようなことは、私も内部でもう目一杯議論をした後の私の答弁でございます。  そういう意味で、いろんなことを想定して、我々の法の運用としてどこまでできるかということを考えて、できる限り法律が許せば法律の範囲内で運用を柔軟にいたしますよというのが私の答弁でございます。
  135. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 官僚の答弁を解説するような答弁じゃなくて、雪に、もう雪というのが今回の地域特性、災害特性だから、それに対して十分に対応してくださるというふうに政治家らしい答弁を私はお願いしているんですよ。
  136. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) したがいまして、雪に起因して家がつぶれたという場合には、豪雪による災害というそういう問題が、そういう救援の手が差し伸べられる事態になると、こういうことでございます。
  137. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 雪と地震、併せてということですね。  それで、今ほど随分と迅速に対応してくださるようになったというふうな御説明ありましたけれども、米国における被災者支援策で非常に評価されたものがあるわけです。一九九四年、阪神淡路大震災の一年前の同じ一月十七日に発生した米国のノースリッジ地震では、FEMAが活動して、住宅被害を受けた被災者に対して一時的居住のための家賃助成等々支給しているわけですけれども、査定主義ではなくて要は事後チェックということで、まず支給を行い、支給後に個々の被害状況や使途を調査して、この場合、虚偽や不正な請求に対しては助成金を返還させ、刑事責任を問うというシステムではありますけれども、やはり災害ですから、そしてそこに対する迅速な対応ということについては、一々公共事業もすべて査定主義なんですけれども、そうじゃなくて、このような形で事後チェックということで発想を転換して、こういう手法を参考にすべきと私は思いますけれども、この点についての御見解をいただきたいと思います。
  138. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) アメリカの場合でございますけれども、通常の災害の場合には連邦政府、FEMAは出ていかないわけで、元の、昔のFEMAでございますが、出ていかないわけでございますが、ある程度以上の非常に大きな災害になりますと大統領が宣言いたしまして、FEMAが出ていくと。そうした場合に、住宅でございますと二万五千ドルを頭でございます、二万五千ドルを頭に、例えば家賃であれば、修理であれば五千百ドルが頭とかいろいろ決まってございますが、助成の措置がございます。  日本の場合には、仮設住宅あるいは応急復旧制度、あるいは被災者生活再建法の最大三百万の制度があるわけでございますが、日本の場合も先ほど申し上げましたように、精算払いのみならず、前払制度の百八十五万、三百万のうち百八十五万の前払制度もあるわけでございますんで、今後ともこの概算払、前払の制度の仕組みを御活用していただくことによりまして被災者の資金ニーズに対応していきたいと、早期生活再建に資するように努力していきたいという具合に考えております。
  139. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 すべての物事の考え方が、先ほども、なぜ特別立法をすぐ作るよと言ってくれないのかと。被害状況が具体的に上がったら、つまりいろんなものが積み上がったらその時点で査定して、今の制度ではできない場合には立法を作りましょうと、立法しましょうと。まあ、様々な支援費の支給に関しても基本的に考え方がそういう形だと思うんです。  私は、改めて申し上げますが、発想を転換して、災害ですから、災害について迅速に対応するということを第一に考えるのであれば、査定主義ではなく事後チェックという形に発想を転換すべきだと思います。  次の質問に移りたいと思います。  自衛隊の災害派遣活動等について伺います。  少し質問をまとめさせていただいて質問させていただきますが、今回、応急対策として自衛隊には本当にお世話になりました。先週の金曜日には堀之内の被災家屋の撤去、大変これ市町村、県も困っておりましたけれども、自衛隊に撤去していただきまして、大変感謝をされております。  今後ともこれらの作業への格段の御助力をいただけると考えていいのか、改めて確認をさせていただきたいことと、あわせて、午前中、泉田知事からもありました、先ほど政府参考人からもありましたが、雪下ろしの関係について、避難指示又は避難勧告の出ている地域雪下ろしを自衛隊にお願いできるものかどうか。それから、自衛隊の災害派遣活動に要した経費の負担の増大を地元が心配しているわけですけれども、自衛隊から県への費用請求というのはどうなるんでしょうか、この点について伺いたいと思います。
  140. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 自衛隊の新潟中越地震における災害派遣活動につきましては、給食支援、入浴支援等行っておりますけれども、今先生御指摘のとおり、今月の十九日から魚沼市において家屋撤去作業を開始したところでございます。それから、先週から小千谷市におきまして流木、土砂等の除去作業も開始してございます。  防衛庁・自衛隊としては、今後とも被災者の方々のニーズにきめ細かくこたえることが重要であると認識しておりまして、地方公共団体、消防、警察等と連携し、陸海空自衛隊全力を挙げて災害派遣活動を行ってまいりたいと思っております。  それから、二点目の費用の関係でございますが、災害派遣活動に伴う費用については、基本的には自衛隊が負担しております。ただ、いろいろ県との調整で、給食支援活動に伴う材料費とかそういうものについては県にも御負担いただくということで、県にも、県に御負担いただくということで考えてございます。  それから、雪下ろしの関係でございますけれども、あした政府の調査団が現地へ行きますけれども、いろいろその状況を調べまして、地方自治体ともよく調整した上で、自衛隊の対応できるところについては対応していきたいと、こう考えております。
  141. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。  本当に自衛隊の活動に対する評価、期待が高まっておりますが、そんな中で、自衛隊の定員の削減の議論がなされているわけですけれども、私としては、様々な今後の防災活動それからいろんなテロ等の対応、様々な問題が新たに生まれてくる中で、定員を削減、余りたくさん削減するのはいかがなものかというふうに思っているわけですが、この件についての見解を伺いたいと思います。
  142. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 災害であるとかテロ、ゲリラによる攻撃に対応して機動的に対応することは極めて重要であり、迅速かつ自衛隊の組織力等の特性を生かしました派遣体制を維持することが必要であるというふうに考えております。  そのためには何よりマンパワーが最重要であるというふうに認識いたしておりまして、現在、新たな防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の策定に政府内で取り組んでいるところでございますが、防衛庁といたしましては、マンパワーの重要性を認識しつつ、現在検討に参画をしているということでございます。
  143. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほど申し上げた中で、震災での応急対応に係る経費等について、今後関係省庁から新潟県に対して多大な請求が予想される可能性もあります。こうした点を県は心配しているわけですが、県が負担すべきということになるその応急対応に係る経費等について、政府として何らかの対応を検討すべきと考えておりますが、その点に関してはいかがでしょうか。
  144. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 私ども想定しますのは、今防衛庁に対しての御質問がありましたけれども、防衛庁の、自衛隊の災害救助にかかわる費用、それから国土交通省あるいは農林水産省でも緊急的に食料支援をいたしましたので、例えばそういう費用が新潟県側に請求になるだろうと、こういうふうに思います。  そういう中で、一定のものを除いたものについて、災害救助法によりまして、国がその県の負担すべき費用を支弁すると、こういうことになるだろうと思います。それは、全部でございませんもんですから、その中の、また残りの部分は特別交付税等によりましててん補されると、こういう形になるのではないかと考えております。
  145. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 はい、ありがとうございます。  さっきからお金のことばっかり言って申し訳ないんですけれども、そういうことなんですよ。要するに、災害復旧・復興の事業、どこまでやれるのかという見通しが立たないんですね。それはもうどこも一緒だと思うんですけれども、財政事情の悪いところ、特に今回の中山間地域というのは財政的に非常に弱い地域でございます。新潟県も非常に財政が逼迫しております。その中で、希望を与えてほしいと、希望を与えるのが財政の支援を国から確約してもらうことだと、どうしてもここに、どんな質問しても戻ってしまうんですよ。後で最後にもう一回伺いますので、そのときまでに大臣のもう一歩踏み込んだ答弁を用意しておいていただきたいと思いますが。  それで、次の質問です。被災地の雇用問題につきまして伺いたいと思います。  報道等にもありますように、震災による雇用不安というものが高まっております。そこで、まず厚生労働省に伺いたいんですけれども、先週十九日に、雇用調整助成金の特例措置について発表をしていただきました。災害救助法が適用された地域にいる事業主、それ以外にも特定事業主ということで指定していただきましたが、特定事業主には被災地域外でも、例えば風評被害等により宿泊客が激減している旅館やホテル等も含まれるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。  それと併せて、新卒者、これがもういきなり休業ということになりかねませんが、それに対する支援につきましても併せてお答えいただきたいと思います。
  146. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) お答え申し上げます。  先生御指摘の雇用調整助成金の特例の適用の問題でございます。先週、十一月十九日でございますけれども、地震に伴います失業の発生あるいは新規学卒者の内定取消しを防止するために、雇用調整助成金の特例措置を講じたところでございます。本措置は、被災地域のほかに、上越新幹線の運行停止など、地震に伴います交通の遮断等によりまして利用者が減少して深刻な影響を受けた事業主、これは被災地域以外の事業主におきましてもこれを適用するということにいたしまして、今回、深刻な影響を受けているというふうに言われております被災地域以外の観光業等の方々にもこの制度が活用できるようにというふうにしたところでございます。  また、先生、新卒者の問題、御指摘でございます。今回の雇用調整助成金の特例措置におきましては、通常ですと助成対象労働者といたしましては、被保険者として継続して雇用された期間が六か月以上の者と、これを対象にしておるわけでございますが、今回、この点につきまして緩和をいたしまして、特例として六か月未満の者、雇用期間、継続して雇用された期間が六か月未満の者につきましても対象とするというふうにしたところでございます。これによりまして、新卒者につきまして採用後すぐに本助成金の対象とすることができるということになりますので、そういった意味で内定取消しの防止等につなげることができるというふうに考えておるところでございます。
  147. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 厚生労働省には様々な項目を投げ掛けさせていただきました、中小企業の支援策について。もう既に実施したと、例えば今の十九日から実施したという御回答もいただきましたが、例えば被災自営業者等に対する訓練手当の適用と高率助成の実現等については現地状況等を踏まえ検討中ですとか、そういうふうな回答も返ってきているわけです。  私は、今回の震災による雇用不安の解消について、厚生労働省が取られる支援策をやはり早くパッケージにして、これとこれとこれがありますよと、しっかり支援しますから大丈夫ですよというふうに示されるべきだと思うんです。県の方からあれをやってくれ、これはどうなった、どうなったというふうな要請を受けずとも、具体的にパッケージとして示していただいて、そしてその具体的な支援策が使いやすいようにきちっと周知徹底を図られると、これがやっぱり被災者の立場になった非常に親切なやり方ではないかと思うんですが、その点についていかがでしょうか。
  148. 大槻勝啓

    政府参考人(大槻勝啓君) 今回の新潟中越地震に伴います労働雇用面の取組といたしましては、新潟労働局並びに管内、新潟労働局管内のすべての監督署、安定所におきまして特別労働相談窓口を設置をいたしまして、きめ細かく相談に対応し、また事業主、労働者、求職者のニーズはいかようのものかと、ことにつきまして把握をしておるところでございます。  先ほど申し上げました雇用保険法に基づく雇用調整金の特例措置、あるいはまた雇用保険法の基本手当につきましても災害救助法適用地域に所在する事業所関係では特例措置を講じておるわけでございますけれども、そういった措置につきまして、厚生労働省と現地新潟労働局におきまして広く広報に努めますとともに、先ほど申し上げました特別労働相談窓口におきましては、事業主あるいは労働者の方、求職者の方にこういった制度につきまして周知徹底を図っておるところでございます。また、県当局とも連携を密にいたしまして、雇用労働関係の措置、あるいはまた経営支援等の措置をまとめてパンフレットを作ったり、それを広く配布をするというふうなことにつきましても努力をしておるところでございます。  また、今後におきましては、県とも連携をしつつ、例えば必要に応じまして利用者に対する説明会等々を開催するなど、周知徹底をきめ細かく図ってまいりたいというふうに考えております。
  149. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 何というのかな、言われないとやらないというんでしょうか。どうやったら、この例えば震災を受けた地域のその雇用不安を解消できるのかという積極的なアプローチというのが私は感じられないんですね。いろいろ要請があって、それについて検討して決めますとかね。  大臣、さっきの特別立法もやっぱり同じなんですよ。やいのやいの、これをしてくれと言って、もう本当に懇願されて、それでいろいろもう、まあ私どもも含めていろいろ根回しをして、それでやっと何か動くという、こういうことで私はいいのかなと思うんですけれども。  大臣、いかがですか。今の厚生労働省の対応にしてもね、支援策というものをもう、これだけ、もうでき得る限り新しい取組も含めてしっかり対応しますという、しますよと、ここに言ってくれば全部オーケーですというふうなことを示すということが本当に親切な対応だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  150. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 先ほどから森委員の地元新潟県を思う気持ち、それから被災地を思う気持ちは本当に頭が下がるところでございます。私自身といたしましても、防災担当大臣として政府等の中で被災地の復旧・復興対策に現在一番の責任を負っている者として、その被災地への支援の手を差し伸べたいという気持ちは森委員に何ら変わらないところがあると私も自負しております。  しかし、法律というのはいたずらに作って、ればいいというわけじゃなくて、実際のニーズがあるかどうかと。今の政府の与えられたツールの中で自主的にその支援の手が差し伸べられるということになるならば何も法律を作ることはないわけでございまして、私どもとしては資料をいろいろ出していただいて、具体的に何が実際上問題になるかということを図らなければ、空振りになる法律を作ってもしようがないわけでございますから、そういう意味で県から要望事項を出していただいたというわけでございまして、必要性があると、こういう判断するならば、私どもはその特別法を作って支援の手を差し伸べさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  151. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ふるさとを思う気持ち、当然でございます。先ほど自民党の西島先生の方からも専門家としての新潟県人の分析もしていただきました。我慢強い人たちです。雪国の一番雪深いところにいる我慢強い人たちです。  昨日も、ずっとこの一か月、兵庫県の方又はいろいろ全国各地からボランティアに来てくださっている皆さんとも小千谷でお会いしてお話伺ったんですけれども、新潟の人は我慢強い。兵庫のときはあれしてくれ、これしてくれという話があった。だけれども、新潟では、こちらからこれしてあげますよと言っても、なかなか遠慮して頼んでこない。本当に我慢強い。で、そのもうずっとこの一か月みんな我慢して必死に耐えてきた。でも、それが爆発し掛かっている。非常に心配していらっしゃいました。  で、そういうふるさとの人たちを救いたい。当然の気持ちです。そしてこれは、私がふるさとに対する熱い思い、それだけではありません。都会でのこの震災は救われたけれども、中山間地での震災は救われないのかという心配を被災地新潟県のみならず全国が心配しているということなんです。  阪神淡路大震災のときと同じように激甚な災害だけれども、被災特性が違う。都市は、新しく住宅を造ってそこに移ってもらえばそれで終わるんですよね、ある程度。ですけれども、この中山間地というのは、暮らしている家、生活の基盤とそれから生産の基盤、一緒になっています。そして、コミュニティーが大切なものになっています。そういう人たちが、何もぜいたくを言っているわけじゃない。普通の暮らしに戻りたい。その気持ちをかなえてあげたい。この全国の七割を占めます中山間地域、ここで激甚な大災害が、大地震が起きたときに国はどう対応してくれるのか、これが全国が注視しているということなんです。  時間になりましたので、最後にいま一度、この午前中の訴えですね、阪神大震災で救われたものが田舎では救われないということがないようにしてほしいと。地域災害特性あるわけですから、今までの法律では救えない部分、雪にしても、もう既に分かっている部分がある。だから特別立法をという涙ながらの訴えに対して、大臣政治家としてもう一度お答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 新潟中越地震にかかわらず、今年、多くの災害が各地で起きました。そうした被災者の皆さん方ができるだけ元の生活に復帰できるように、政府といたしましても力一杯の支援を申し上げたいというふうに考えております。
  153. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  午前中は参考人の三人の方々に非常に有益な御意見をいただき、とりわけ新潟県知事泉田知事からは万感迫る、何とかこの苦境を救っていただきたいという必死の訴えがありました。やはりこういう、極めて重要なもので、ただいまもほかの委員から話がありましたように、全国注視の地震に対する対応、効果的な対応が求められていると思います。  私も、洪水の関係からいいますと、七月の十四日に参りまして、また七月の十八日、神崎代表と一緒に参りまして、そのときは災害によって生じる廃棄物の処理、適正処理計画等々含めて、極めて、今後のことを考えてまいりますとふだんからの備えが大事であるなと、そういうことも考えましたし、また今回の地震の関係では、十月の二十四日に行ったわけでありますけれども、なかなか、どういうふうに行けばいいのかと。私は群馬県に住んでおりますので、最終的には福島県含めていわゆる磐越を通って、最終的に新潟に着いたのは六時間掛かったという、そういう状況でございました。  私は、水害地震を比べてみると明らかに違うなとそのときに感じたことは、水害の場合は水が引けばライフラインはまあまあ使えるということでありますけれども、地震の場合はもう全くそういうライフラインが今回の場合は壊滅状態であるということで、言うまでもなくふだんの生活もなかなかうまくはいかないような状態で、本当に被災者が、本当に被災者であるというそういう、また余震もあるわけでありますから、阿鼻叫喚という言葉がありますけれども、本当にそういう中でいかに早く復旧含めてやらなければいけないかということを本当に実感して帰ってきたところでございます。  それで、まず第一点の質問なわけでありますけれども、食料、水の備蓄の関係でありますけれども、阪神淡路大震災教訓を生かしてかなり改善された面があると思います。官邸に危機管理センターが設置されて二十四時間のそういう体制がなされるようになった、あるいは自衛隊の自主派遣、さらに消防関係の広域救済体制が作られるようになったわけでありますけれども。ただ、今回の例を見て分かりますように、初期段階においてはやはり被災者への食料供給、給水、これは非常に追い付かなかったと。深刻な状況が非常に多く見られたわけでありますから。  そういう関係で、報道関係も例えばこういうふうに報道しておりました。ある県の防災担当者の言葉を引用しながら、三日間自活できるように食料や水の備蓄を個人集落単位で行うことが望ましいと。だから、自治体の備蓄とともに民間レベルの備蓄が重要だというふうに指摘しているわけでありますけれども、皆さん御承知のように、テレビでもSOS、水と飯をくれという、そういうふうに路面に書いてあったのが記憶に新しいわけでありますけれども。こういった現実を踏まえまして個人地域単位での食料や水の備蓄対策を行う、これは非常に大きな課題であるというふうに思っております。  厚生労働省には応急給水計画というのがあるわけでありますけれども、新潟県では十七か所ぐらいであると。これで対応が十分かどうかというのがありますけれども、こういう拠点給水、全国的にこれどのぐらい普及しているものなんでしょうか。
  154. 田中慶司

    政府参考人(田中慶司君) お答え申し上げます。  拠点給水と申しますと、震災を受けても引き続き水の貯留が可能であるように耐震性能を高めた貯水槽でございまして、震災時にはここを拠点としまして周辺住民への水の供給あるいは給水車への水の補給が行われるということでございます。  平成十五年九月に、給水人口が五千人を超えます比較的規模の大きな水道事業者を主たる対象としましてこの給水拠点の有無について調査をいたしましたところ、ありと答えた水道事業体の数は千八百七十四事業者中七百七十五事業者、四一%でございました。
  155. 加藤修一

    加藤修一君 こういう地域ごとの給水、拠点給水を発展させて、防災上極めて厳しい、リスクが大きいと、そういったところについては、各戸別に住宅に備えるというのはなかなか厳しいと私は考えておりますけれども、数戸単位で拠点給水を設けると、そういった支援体制、そういう整備が私は考慮すべきではないかと考えておりますけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  156. 田中慶司

    政府参考人(田中慶司君) 御説明申し上げます。  災害時におきます水の確保は、耐震性貯水槽等による拠点給水のほかに、給水車等によります運搬給水あるいは仮設給水栓による仮設給水等により細かく対応しているところでございます。  これ以外の対応としまして、今先生の御指摘のより小規模な貯水槽の整備のほか、家庭用井戸の有効利用、さらには非常用浄水装置によります河川水等の利用などがございまして、これらの方法をどのように採用するかにつきましては、都道府県や市町村の定めます地域防災計画の中で地域の実情を踏まえまして総合的に判断されているものというふうに考えているところでございます。
  157. 加藤修一

    加藤修一君 私の聞いた点でございますけれども、数戸の集団といいますか、そういった範囲で拠点給水ができるような支援体制というのはあってしかるべきだと思いますけれども、それに十分対応した答えというふうに考えていいんですか、今の答えは。
  158. 田中慶司

    政府参考人(田中慶司君) 先生の今御指摘のお話、より小規模な貯水槽の整備ということが問題になっているんだと思いますけれども、それらのことをすべて各自治体の定めます地域防災計画の中で地域の実情を踏まえて総合的にどういうふうに整備するかを判断していただいているというふうに私どもは考えているところでございます。
  159. 加藤修一

    加藤修一君 しっかりやっていただきたいと思います。  次に、水道被害の関係でありますけれども、厚生省は以前から水道施設の耐震化、これを図っているわけでありますけれども、今回、浄水場や配水池、その耐震化率は聞くところによりますと約二〇%ぐらいだと、そういった意味で非常に遅れているんではないかなと思っておりますけれども、これなぜ耐震化工事遅れているんでしょう。また、これ、今後どういうふうに考えているのか、この辺について教えていただきたいと思います。
  160. 田中慶司

    政府参考人(田中慶司君) 御説明申し上げます。  水道施設の耐震化でございますけれども、国庫補助の対象とするなど、国としてもその推進を図っているところでございます。しかし、十五年九月の調査によりますと、浄水場等の基幹施設の耐震化率、これは今先生御指摘のとおり二三%でございまして、必ずしも取組は進んでいないという状況にございます。その理由でございますけれども、例えば、設備投資のための資金確保が困難である、あるいは施設の更新時期との兼ね合いの問題があるというようなことで、直ちに耐震化が進めることが困難というふうに、困難な場合が考えられているところでございます。このため、引き続き国庫補助等の措置によりまして水道施設の耐震化率を高めていくとともに、防災部局等の連携あるいは水道事業体同士の相互応援協定の締結等の取組によりまして、災害時におきます給水を確保する体制の整備に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  161. 加藤修一

    加藤修一君 是非よろしくお願いしたいと思います。  同じように、病院の耐震化の関係でありますけれども、病院は入院患者及び場合によっては被災者が入る場合もあるわけでありますから、そういった病院におけます耐震化の状況というのは極めて重要であります。日本病院会が調査した段階では、強化された部分については四割あると、全国的にも病院の六五%が耐震検査を受けてないと。まあやや古いデータかもしれませんが。  こういう、病院が受けてない、そういう耐震化の検査を受けてない、あるいは耐震化が極端に遅れていると、そういった現状があるように私は考えておりますが、また、職員の災害時の勤務システム、これを決めているところも数%であるというふうに聞いておりますが、こういった病院における耐震化等、そして今後そういった面についてどういうふうに考えていらっしゃるのか。よろしくお願いいたします。
  162. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 病院の耐震化ということでは、地域災害拠点病院の補強に対しての耐震化事業ですとか、それから、地域地震関係の法律に基づいて整備をしなきゃいけないような医療施設に対する事業ですとか、各種の補助制度がございます。ただ、病院の耐震化ということでは、どうも聞いてみますと、老朽化していて資金不足であるとか、それから病院を改修すると騒音、振動などが患者に影響を与えるということ、それから近い将来は新しい病院に移転するなど等の理由で耐震化が進んでいないと聞いております。  私ども、築後二十五年以上経過している病院の建て替えというのは、医療施設の近代化施設整備事業とか持っておりますので、各種の補助制度の活用などで病院が地震に強い構造となるように今後とも努力してまいりたいというふうには考えております。
  163. 加藤修一

    加藤修一君 是非そういった関係について周知徹底をよろしくお願いしたいと思います。  それで、下水道復旧の関係に移りたいと思いますけれども、長岡市の関係でありますけれども、約三万五千あると、マンホールが。でありますけれども、約千五百に隆起など異常が見付かっているということなんですけれども、その復旧の見込み、あるいは現在のいわゆる管渠の耐震基準ですね、これはどうなっているか。それはもう全国一律なのか、地方によってそれぞれ対応して考えているものなのか、その辺についてお願いいたします。
  164. 谷戸善彦

    政府参考人(谷戸善彦君) お答えいたします。  下水道の管渠の耐震対策基本的な考え方につきましては、平成七年の一月の阪神淡路大震災を踏まえまして、平成九年度に下水道施設の耐震対策指針というものを策定いたしまして、基本的な考え方をその中で示しております。  その中で、管渠の一般的な耐用年数、五十年間程度でございますが、その間に一度から二度発生する確率を有しますレベル一地震動と、阪神淡路大震災のような直下型地震など、発生する確率は低いですが大きな強度を持つレベル二の地震動の二つのレベルを考慮いたしまして、施設の重要度に応じまして一定の機能を確保することといたしております。  具体的には、ポンプ場でございますとか処理場に直結をいたします幹線管路等、重要な幹線につきましては、レベル二の地震動に対しましても下水を上流から下流まで流せる状態といいますか、流下機能を確保するため、基礎地盤地盤改良でございますとか、液状化のおそれのない埋め戻し材の採用でございますとか、接続部の可撓性の伸び縮みいたします継ぎ手の採用等の対策を実施をいたすことといたしております。  このように、全国的な耐震対策基本的な考え方につきましては指針等に示しているところでございますが、指針の適用に当たりましては、管路の重要度の区分でございますとか地盤条件、現場に適した製品の選定ということで、全国適用に当たりましては一律ということではなく、各地域の実情に即した対応を行うことといたしております。  それから、先生の方から話がございました復旧状況等でございますが、下水道につきましては、今、中越地域で十一月の二十二日の現在で下水道が支障があるということで使えない世帯が六十世帯となっておりますが、長岡市では三十世帯となっておりますが、これにつきましても、最終的に地区全体が、かなりインフラ全体がダメージを受けているという地区を除きますと、十一月末をめどに応急復旧をいたしまして、先ほど申しましたような下水を流下できるという状況については対応いたしたいと思っているところでございます。
  165. 加藤修一

    加藤修一君 地域状況というか、地盤なんかにも対応して管渠の耐震基準が作られているということなんですけれども、マンホールの浮き上がり、これ、クイックサンド現象で浮き上がってきたということなんでしょうが、そういうことに対して、新潟には例の新潟地震があったわけでありますから、それは十分それに対応できるようなことになっていないとおかしいわけなんですけれども、今回のケースはどういうことでそうなったんでしょうか。あるいは、今後全国的にこういう液状化の問題についてどういう基準並びに対応を考えていらっしゃるのか、この辺についてお願いいたします。
  166. 谷戸善彦

    政府参考人(谷戸善彦君) 先生御案内のとおり、今回、中越地方で千四百か所ほどのマンホールの浮き上がり等がございました。実際にこのケースを今分析をしておるところでございますが、今回の地震動が兵庫県の南部地震を含めた過去の記録を上回ることであったこと、また地震発生の直前の降雨の影響、地下水位が非常に高い状況にあったということ等、また先ほど、指針につきましては平成九年度に私どもの指針を作っておりますが、その策定する前に布設されている地区が多かったこと等が大きな影響であったかと思います。  ただ、いずれにいたしましても、今回の地震によります液状化という被害が非常に多かったということを踏まえまして、私どもでは早速、十一月の九日に国土交通省の方で下水道施設被害の原因や本復旧に対する対策を検討するための下水道の地震対策技術検討委員会を設置をいたしまして、十一月の二十二日、一昨日でございますが、「管路施設の本復旧にあたっての技術的緊急提言」ということを取りまとめていただきまして、それをベースに本復旧に当たりたいと思っております。今下水道の、先ほど申しましたように、疎通能力がある状態ではございますが、かなりゆがみがあったりとかしているわけでございますが、本復旧に当たりましては、早速その知見を生かしていきたいと思っております。  今回取りまとめました技術的緊急提言の中では、マンホールや管渠が受けました被害の再発防止の観点から、私どもも管渠の埋め戻しの方法、それから埋め戻しの材料が液状化対策上極めて重要であるということの認識に立ちまして、埋め戻し部の適切な締め固めでございますとか砕石による埋め戻し、埋め戻し部の固化など、今回、一昨日の取りまとめの中では詳細に具体的な方法を明示をしたところでございます。  この技術的緊急提言を踏まえまして、現地新潟の本復旧に反映をいたしますとともに、引き続き全国的な液状対策につきましても本委員会におきまして検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  167. 加藤修一

    加藤修一君 是非、緊急提言が十全に行われるように強く要望しておきたいと思います。  次に、降雪対策でありますけれども、ほかの委員からもこの辺について質問があったかもしれませんが、消雪パイプはもう壊滅状態であると、約二百キロ近くある、あるいは流雪溝、これも総延長で二百キロぐらいあるということでありますけれども、これから降雪期に入っていくわけですし、そういう消雪パイプがない、あるいは流雪溝がないところも当然ございますが、今取り上げましたその部分については、どういうふうに今後対策を考えていくのか、復旧はどういうふうにやっていくか、この辺について考えを示していただきたいと思います。
  168. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えします。  被災地における復旧・復興及び住民生活の確保に当たり、降雪期における道路交通の確保は重要と認識しております。  直轄国道の消雪パイプにつきましては、被災地域の国道十七号において、全体の施設延長の約三%に相当する一・二キロメートルで被災がございましたが、もうすぐ委員御指摘のように積雪期を迎えますので、十二月中旬を目途に復旧を図る予定でございます。  新潟県が管理する道路の消雪パイプ、流雪溝等の雪寒施設については、施設延長のこれも約三%に相当しますが、十二・九キロメートルで被災があったところでございます。できるだけ早期復旧を目指すとともに、山間地域等の除雪区間につきましては、除雪車による機械除雪を可能とするため路面の段差を解消する等、継続して復旧工事を進める方針と聞いております。  市町村道につきましては、各市町村調査に合わせ、国土交通省職員による調査支援及び復旧支援を行っているところでありますが、被災箇所につきましては、おおむね積雪期前に復旧を目指す方針でありますが、復旧困難な場合も予想されますので、その場合には除雪車による機械除雪を行う方針と聞いております。  今後とも、道路復旧と併せ、降雪期における道路交通の確保に全力を挙げて対応してまいりたいと思います。  以上でございます。
  169. 加藤修一

    加藤修一君 是非、全力を挙げて積極的な対応をよろしくお願いしたいと思います。  それともう一つ中越地域は豪雪地帯でありますけれども、今回、地震によって半壊、全壊あるいは一部損壊という状態にある家が当然あるわけでありますけれども、これは降雪することによって積雪の状態になってくると、だんだん積もってくると、それはもう雪圧というのは相当の大きさでありますから、一部半壊であったとしても、それは地震によっての一部半壊であったとしても、それによってつぶされる可能性が十分あるわけでありますけれども、これは地震という災害によってそこに戻ることができないという状態、つまり連続しているというふうに私なんかは考えているわけなんですけれども、そういう場合についても十分対応ができるようなことを考えていかなければいけないと、が一点と。  それから、この戻られた方もなかなか高齢者で、これはもうふだんの話かもしれませんが、要するに戻っていない状態のときのことを言っていきますと、要するにそれを、雪を何とか下ろすような仕組みとか工夫とか、そういった細かい配慮ということもあってしかるべきかなと思っていますけれども、この辺についての支援体制、どうでしょうか。
  170. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 積雪、積寒時の対策でございます。非常に重要な問題でございますが、非常対策本部にプロジェクトチームを設置して、現在検討いたしてございます。  特に山古志村の例のように、避難が続いて雪下ろしができない地域住宅につきましては大変だという考えを持っておりまして、山古志村の復旧・復興支援関係省庁連絡会議というものを設置いたしてございます。ここで雪下ろし実施のための支援策等を検討いたしているところでございます。明日、このチームのメンバーで現地を視察することにいたしてございます。内容としましては、住宅雪下ろしする、実施する住宅と実施しない住宅に区分する、あるいは、自治体が編成する除雪隊に対する輸送や、余震、気象情報の提供などの各種支援策について検討していきたいというように考えておるところでございます。
  171. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、仮設住宅が今建設の段階でありますけれども、これは午前中、参考人の方にもお聞きしたわけでありますけれども、デイケアや訪問介護を併せ持つ、そういう施設を併設すると、そんなふうに伺っておりますけれども、これは阪神淡路大震災のときに孤独死ということで二百三十三名起きたことを一つの反省材料として取り組んでいると。  五十戸以上の仮設住宅のところには集会所を設けると。そういうことの中で、そのほか、食事とか入浴介護、機能回復訓練など、きめ細かいサービスを提供すると。これは是非進めていただきたいという地元の要望も極めて強いわけでありますけれども、この関係についての助成というのはどういうふうに考えていけばいいのか。あるいは、現段階でこういったことについて進めていく上で様々な課題があると思いますけれども、どういうふうに、どのような掌握をしているか、この辺についてお考えがあれば教えていただきたいと思います。
  172. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) 先生おっしゃいましたように、私ども、阪神淡路大震災の経験と反省を踏まえまして、応急救助の中の仮設、応急仮設住宅の項目の中に地域社会づくりという項を一項設けまして、その中で、応急仮設住宅における生活の長期化が想定される場合には、一定戸数以上の住宅においては自治会活動などの地域社会づくりの拠点として集会施設を設置することといたしておりまして、これに基づきまして、現在、新潟県でも被災地における応急仮設住宅に併せて集会所の建設を進めているところでございます。この集会所の建設につきましては、災害救助法によります整備費の対象になるということでございます。
  173. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、非常に大きな議論になっていると思いますけれども、住宅本体の建築費、それを支給の対象にするかどうかという極めて大きなテーマだと思います。  国では、これについては私有財産の維持形成に公費を投入することは望ましくないと、そういう考え方、論理で、住宅再建には助成しないというふうに言っているわけでありますけれども、皆さん御存じのように、二〇〇〇年の十月に発生しました鳥取県の西部地震被災者に関しましては、県の考え方で、住宅地域社会の基本単位であり、住宅の再建なくして地域の再建はあり得ない、そういう考え方で県独自で被災者住宅再建支援制度を創設し、住民の流出、過疎化の防止を図ったという、そういう極めてユニークな実績が存在するわけでありますけれども、これはやはり私は国もこういった面について率先して進めていかなければいけないんではないかと、そう思います。  イタリアの例を持ち出しますと、特別な立法措置を取られているようでありますけれども、九八年の一月には、緊急政令では不動産には全額、動産には四〇%個人補償すると、それから生産業務には重大な動産の被害があった場合三億リラ、一千六百万ちょっとですか、そういったことを限度にいたしまして損害の三〇%まで補償金を支給すると、こういったシステムも実際に動いているわけでありますので、こういった面についてやはり積極的に国としても対応を考えていくべきではないかと思っておりますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  174. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 住宅本体の建築費用に税金を使うかどうかということについて、この被災者生活再建支援法という法律が改正された前通常国会において大変な議論になったというふうに聞いておりまして、その結果、制度が拡充されまして、居住安定支援制度というのができたと、こういうふうに聞いております。  それによりますと、限度額が三百万円に百万円から上がったと。それから、全壊に加えまして大規模半壊というものを加えたと。それから、今申しましたような、居住安定支援制度ができたということですね。そういう意味で、公助の中でぎりぎりの充実が図られたのかなというふうに思っております。  鳥取西地震につきましては、私は選挙区が隣だものですから、それで岡山県でも大分北の方が被害が出ました。それで、鳥取県知事が、今、加藤委員がおっしゃったような理由でもって住宅再建に支援を出されたということについては、正に過疎化が進む地域のことを考えて、本当に地域の実情に根差した県の支援措置であるなと、こういうふうに私は理解したわけでございます。したがって、地方公共団体がやる制度であるなと、こういうふうに思っておりました。  国においてどうするかということについては、冒頭申し上げたような議論があったということでございますが、私どももその中で、今、居住安定支援制度というのを設けて、住宅の解体撤去費とかローンの利子とか、そういうのを広げましたよと、こういうふうに申し上げましたけれども、私どももできる限りその弾力化を図ってきたということでございまして、水害については床上浸水のような場合に実情を考慮して全壊とか大規模半壊等の扱いになる場合もあるよということで通達を発したということでございます。  それからもう一つは、利用を促進していただくという意味で、支援金の支給についてはあらかじめ前払金を払っておきますよと、こういうことでございまして、領収書については非常に簡易にするということと併せまして、地元の公共団体に十九日に連絡を発したわけでございまして、これを読みますと、「被災者の事務負担を軽減する観点から、精算支給申請及び使途実績報告に当たって、領収書の添付は不要とする。 また、領収書の添付を不要とすることに加えて、予め必要な経費を前払いする概算払いの仕組みを積極的に活用し、被災者の早期生活再建の支援を図られたい。」ということで通達したところでございます。  それから、先ほどの御質問にも答えたとおりでございまして、世帯、この支援法については所得制限がございまして、五百万円とか七百万円とか八百万円というそういうのがありますが、これも誤解のないように、同じ家に住んでも世帯を異にする場合にはその五百万円でいいんですよと、おじいちゃんの分も合算しなくていいんですよという、そういうことも明らかにしたところであります。  それから、山古志村のような例で、例えば避難指示避難勧告が出て、要するに仮設住宅に入りますよね。そういう場合には、三宅島の例と同じように、長期避難世帯として、全壊世帯と同様に扱うと、こういうふうなことにしているわけでございます。  いろいろ本体、住宅本体についてこれはお金出さないからけしからぬということもございますけれども、アメリカの例でも、アメリカはもちろん住宅本体について、住宅の建て替え費用ということで一万ドルということを出すようでございます。しかし、一万ドルというのは邦貨に換算しますと大体百五万円とかそんなことでございまして、私どもが全壊の場合に三百万円を、本体には出しませんけれども、そういう形で支援する仕組みができているというのは、アメリカの例と比べても、支援の内容は異なりますけれども、遜色ないものになっているのではないかというふうに思うわけであります。  いずれにしましても、これについては今回の災害を踏まえていろんな議論が起こりましたから、また附帯決議は四年後の見直しということにもなっておりますので、どうかこの点についてはまた国会でも御議論をしていただきたいと、こういうふうに思う次第でございます。
  175. 加藤修一

    加藤修一君 ちょっと時間の関係でスキップしたいと思います。  上越新幹線脱線の関係についてどうしても確かめておきたいところがございますので。山岳トンネルの安全性の関係でございます。魚沼トンネルとかあるいは妙見トンネル、これ盛り上がりがあったというふうに言われておりまして、それとJRの東日本の会見、この石橋所長の言っている中身は、報道されている中身を紹介するならば、トンネル付近を断層が走ったのか、断層で山の岩盤が動いたのだと思うと、こんなふうに述べているわけでありまして、在来線も含めてこういうトンネルの隆起は初めての経験であるように思うんですね。  このトンネルの岩盤の関係については耐震基準もないということでありまして、そういった意味ではトンネルの耐震設計についての従来の概念が覆されると、そういうふうに考えられなくはないのかと。今後どういうふうにこれ対応を考えるか、どういう耐震設計基準というのをこういったトンネルについても作っていくかどうなのか、この辺についてしっかりとした答弁いただきたいと思います。
  176. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) お答え申し上げます。  今回の地震では、魚沼トンネルあるいは妙見トンネルにおきまして、トンネル内の側壁のコンクリートが剥離するというような被害が発生いたしました。こういう被害が発生いたしましたので、JR東日本では、側壁にロックボルトを打ち込むというような方法によりましてトンネルの復旧を図っているところでございます。  御指摘の魚沼トンネル付近の地質でございますが、泥岩、シルト岩、砂岩などが中心となって構成されている地層だというふうに聞いております。今回、岩盤が動いたかどうかにつきましては、現在、地震とかあるいは地盤の専門家が調査中であるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、地震に対して強いとされております山岳トンネルにつきまして被災をしたということは大変重大なことだというふうに私ども思っております。現在、土木の専門家によって調査が行われているとも聞いております。  今回の被災を教訓といたしまして、必要によりまして鉄道の山岳トンネルの耐震強化についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  177. 加藤修一

    加藤修一君 耐震の強化をしていくというのは当然にしても、そういった山岳トンネルの耐震基準ということについてはやっぱりしっかりと議論して作り上げていくということが必要だと思いますので、強く要望しておきたいと思います。  それで、ちょっとスキップいたしますけれども、今回、新潟中越地震では阪神淡路大震災、その加速度、ガルを超えたと。ガルだけで判断できないわけで、カインで判断していかなければいけない部分も当然あるわけでありますけれども、極めて大きいと、二千五百十五ガルであると。阪神のときが八百九十一ガルでありますから、それの数倍という話でありますけれども、私は、東海地震とか東南海地震、南海地震、あるいは関東直下型地震の関係を含めて巨大地震というのが発生する可能性が大きいというふうに発表されているわけで、それに対して十分対応しなければいけないというのは言うまでもない話なんですけれども、私は原子力発電所についてもやはり非常に心配しているところがあります。  安全を大前提にしてこれは考えなければいけないというふうになっているわけでありますけれども、もちろんこの耐震設計指針の見直しについては既に今まで私も何回か質問しているところでございますが、例えば浜岡原発の関係についてでありますけれども、本当に大丈夫なのかと。専門家も非常に心配している向きもありますし、あるいはこの浜岡原発は断層の上にあるだけではなくて、フィリピン海プレートやユーラシアプレートに潜り込んでその中心に位置していると、世界の中でも最も危険な場所にそのものそれ自体があるんではなかろうかと、そういうふうに言われているわけでありまして、時間がございませんのでこういう質問の仕方になってしまいましたけれども、御答弁をお願いいたします。
  178. 松永和夫

    政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。  私ども、原子力の安全規制をつかさどる部局といたしまして、地震に耐え得る構造にするというのが審査の大前提でございまして、耐震設計につきましては幾重にも安全サイドに立った審査を行っております。  御指摘の浜岡の発電所でございますけれども、基本的には、地震との関係で申し上げますと、中央防災会議で想定されておりますマグニチュード八・〇の想定東海地震、マグニチュード八・四の安政東海地震及びマグニチュード八・五の限界的な規模の地震として南海トラフ沿いに想定される地震を考慮して耐震設計を行っております。  また、御承知のとおり、浜岡の一号機、二号機につきましては耐震設計審査指針が五十三年に制定される前に審査をされておりますけれども、これらのプラントにつきましても、事後的に、平成七年に今の耐震設計に沿って問題がないかどうかということを確認をいたしまして、原子力安委員会にも報告をした上で公表しております。  さらに、御承知のとおり、中央防災会議は平成の十三年に想定東海地震の震源域の見直しを行いましたけれども、この問題につきましても、私どもの指示に基づいて、中部電力で中央防災会議から提供された今回の強震動データを踏まえまして浜岡原子力発電所の地震動を計算をいたしました。その結果につきましても、十分に安全上問題がない、応答スペクトルで分析をしておりますけれども、それで想定をしているものを十分に下回っているということで結論が出ておりまして、その内容につきましても、私どもの方でその評価は妥当なものであるというふうに検証をいたしているところでございます。
  179. 加藤修一

    加藤修一君 しっかりした対応をよろしくお願いいたします。  以上です。
  180. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私も、午前中の参考人質疑を館内のテレビで見ておりました。もう被災から一か月ということで、いまだ七千人の方々が被災、避難生活を送っておられるわけです。間もなく雪が来るということでは本当に不安な気持ちでおられると思いますが、そういう中でも助け合って復興のために本当に頑張っておられるわけで、少しでもやっぱり励みになるようなことをこの国会の中でも決めてやっていかなきゃいけないというふうに思います。特に、暮らし再建の基礎となる住宅再建への対策、支援が、これは本格的に求められているというふうに思います。  初めに防災大臣にお聞きしたいんですけれども、今回の新潟中越地震特徴についてです。  財団法人土木学会の中越地震調査団と、ここで調査結果と提言の中で、山間地の自然斜面崩壊や交通施設や宅地造成地などの土構造物、盛土などですね、これが崩壊が多発したと、震災全般にかかわる調査結果で述べているわけです。  国土交通省は被災宅地復旧技術検討委員会というのを立ち上げて災害への対応しているということですけれども、こうした地盤災害というのが今回の特徴一つと言えるのかというふうに思うわけですけれども、大臣のこの点での御認識を伺いたいと思います。
  181. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 今回の地震につきましてはいろいろ特徴があろうかと、こういうふうに思います。やっぱり、その幾つかある特徴の中で、中山間地域の地震で、かつまた土質の問題も、沖積層があったということの上のその地帯であるということで、地すべりとか山崩れが多く発生して、それで道路を寸断をして、それから住宅も倒壊させたということではないかと、こういうふうに思います。  私どもはそのほかに、今申しました交通途絶、道路が崩れて、それで、しかもいろんなところでいろんな施設被害を受けて通信途絶になったということですね。いろんな部落でもって孤立した部落があったということもございまして、いろんな今回の地震によります特徴的なものをやっぱりもう一度我々、防災の応急対策にかんがみて、どういう体制で臨んだらいいのか点検し直そうというところで私から十一月の初めに事務方に指示をいたしまして、これは、かつての七月の集中豪雨のときに問題になった二点、災害被害者への通報をどうするかということも踏まえまして、改めて、今回の地震についての特徴点を改めて検証し直したいという指示をしたところでございます。
  182. 紙智子

    ○紙智子君 様々な問題があるわけだけれども、地盤災害という点ではその一つとなるということも言われていたと思うんですが。  それで、長岡市の高台にある高町団地、ここは宅地造成をされた分譲地に約四百六十戸住宅が建っているわけです。その多くは宅地そのものが崩壊していると。ちょっと、現地写真を撮ってきたのがちょっと小さくて見えないと思うんですけれども、これ、家が建っているわけですけれども、こちら側が市道なんですよ、私道じゃなくて市の道路道路も、だからもうぐちゃぐちゃなんですね。家が建っているその地盤のところがもうひどくなっているものですから不安定な状況になっていると。こういう場所が至る所にこの団地というのはあるわけです。それで、道路が陥没をしている、それから住宅そのものが崩壊し倒れる寸前の家がある、それから基礎部分にも大きな亀裂が入った家もあるということですから、この地盤復旧自体もこれ非常に大事になっているというふうに思うんです。  そこでなんですけれども、この被災者生活再建支援法の適用の問題なんですね。住宅が全壊や大規模半壊と認定された場合に、その住宅の基礎の下の地盤が崩落するなど修復が必要な場合、その費用として、生活再建支援法施行令の第三条の一項の八、全壊世帯、及び二項の二、大規模半壊世帯、この居住関係経費のうち整地に要する費用を充てることは可能かどうかということについてお答え願います。
  183. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 大臣の方から御説明がございましたが、宅地の被害については大変大きな被害でございます。被災直後に政府といたしましても、住宅の応急危険度判定はやりましたが、宅地につきましても同様に応急危険度判定をやりました。結構、宅地の被害もございました。  そういうことで、現在、政府が宅地防災の専門技術者、これは、元の都市基盤整備公団、今の都市機構、独法の都市機構でございますが、そこの技術者を十五人ほど現地に出してございまして、一月掛けて被災宅地の復旧支援隊という具合で出してございます。どういう被害になっているのか、あるいはどのような復旧ができるのか調査検討いたしているところでございます。宅地の被害の必要な対応につきましては、これらの調査結果を踏まえまして個別具体的に対応していく必要があるという具合に考えてございます。例えば、道路に掛かっているものは道路復旧の、になるということでやっていただくとか、急傾斜の事業のところで対応できるものはそういうもので見ていただくとか、いろんな対応ができようかと思います。  今御指摘でございますが、被災者生活再建支援法の適用でございますが、一般論として、宅地が流失したということで住宅の基礎が被害を受けたり住宅の傾きが生じている場合には住宅の全壊又は大規模半壊として運用されるという場合も、それは当然あろうかと思います。この場合には、全壊した住宅を再建するために宅地を整地する費用及び大規模半壊した住宅を補修するために宅地を整地する費用については支援の対象となるという具合に考えております。
  184. 紙智子

    ○紙智子君 この問題については、県知事に対して市町村長さんからも要望で上がっている問題なんですね。是非大臣、周知徹底をお願いしたいというふうに思いますが、一言お願いします。
  185. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 私どもの非常災害対策本部では、宅地の被害がひどいあるいは宅地に隣接する斜面等の被害が大きいということは早くから認識しておりまして、そういうものに対する対策が必要であろうと、こういうふうに考えてきたわけでございまして、今統括官が申しましたように専門家チームを送りまして、いろんな手当てができるのではないかと。  今お示しのような団地のケースでも、道路事業でその宅地の崩れたところを修復することができないかどうか、あるいはその他のところでもそういうほかの手法を使って、公共的に国の力で、あるいは国や県の力で直すことができないかどうかですね、そういうことを考えて、個々具体的にこういう事業で救えるところがどれだけあるかと、残るのは何かということを将来の問題で私どもは考えておかなきゃいけないということで、具体的に、個々具体的に対応しろというふうに言ったわけでございまして、そういう意味では、結果が出てきてどういうふうになるか私も注意深く見ていきたいというふうに考えております。
  186. 紙智子

    ○紙智子君 もう一つ、この知事への要望の中にあるんですけれども、住宅に、これは自分の家の周辺ですけれども、住宅に近接するがけ地に亀裂が生じていると、土砂崩壊などの危険性が高くて住めない、そういう対策の問題なんですね。住民、個人対策するというのは、これ非常に、もうこれはできないと。特に民有地同士の場合は困難なわけです。  そこで、地すべりとか急傾斜地と、それから土石流の対策について、危険地域として指定されていないところでもこの土砂の除去とか擁壁などの防護施設の整備を新たな事業として採択して行うべきじゃないかと思いますけれども、これについていかがでしょうか。
  187. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 土砂災害対策としまして、砂防事業、地すべり対策事業、それから、がけですね、急傾斜地崩壊対策事業、これを実施する場合には、それぞれの根拠法になっております、根拠法における区域指定というのが前提になるわけでございます。しかし、緊急を要する対策をやらなければならないような場合には、この区域の指定がなされていないところにつきましては、区域指定の手続とそれから事業を実施するための手続を並行して行うことによりまして対処しているところでございます。
  188. 紙智子

    ○紙智子君 土砂の除去、擁壁などの整備ということでは指定するということなんですけれども、自然のがけとか自然地については、これやれるということでよろしいんでしょうか。
  189. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 土砂災害対策として行っておりますものは、自然の地形、斜面ですね、こういうものを対象にしておりますので、宅地造成等によりましてできている擁壁だとか、これは民間が持っていらっしゃるということでございますので、そういう場合には事業の対象には一般的にはならないということになってございます。
  190. 紙智子

    ○紙智子君 自然地以外の場合はというお話だったと思うんですけれども。  ちょっと同じ趣旨の質問なんですけれども、林野庁にお聞きしますが、住宅に近接する民有林の場合ですね、地すべりなどの危険な状態にある場合に、保安林や地すべり防止区域に指定されていないところも、これ治山対策として今年度中に県が指定するならば実施できるというふうに思うんですけれども、それでよろしいですかね。確認したいと思います。
  191. 梶谷辰哉

    政府参考人(梶谷辰哉君) 治山事業に当たるわけですが、治山事業につきましては、基本的には国土保全あるいは水源涵養に必要な保安林でありますとか保安施設地区あるいは地すべり防止区域等において実施されているというのが実情でありますけれども、これらの区域に指定されていない場合にありましても、災害対応など国土保全等の目的を達成するために必要ということであれば、新たに対象区域に指定して治山事業を実施していくということにしているところであります。
  192. 紙智子

    ○紙智子君 それで、再びちょっと国土交通省に戻るんですけれども、先ほど自然地に限ってだと、地すべり対策、急傾斜地の対策ができるというふうにおっしゃったんですけれども、既に民間で造成したところの擁壁などの防護施設の修復は普通はできないんだということなんですけれども、阪神淡路それから芸予地震のときには、二次災害などの公的被害のおそれがある場合には特例措置として災害関係急傾斜地対策事業、これを適用して民間の擁壁などへも事業で対策したことがあるんじゃないかと思うんですけれども、事実を確認したいと思います。
  193. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 今、委員からお話ありましたように、阪神淡路震災のとき、それから芸予の地震のとき特例を設けて実施した事例がございます。  これは、阪神淡路の場合には非常に広範かつ激甚な災害であったということもありまして、一義的にその施設を持っていらっしゃった方々にすべてを任しておきますと、その後の降雨等によりまして多くの第三者あるいは公共施設に大きい被害をもたらすおそれがあるものにつきましては、ある条件、これは一般的にがけの対策事業等で採択要件にしているものと同程度被害が予想されるようなものにつきまして、それを対象にして実施してきた例がございます。  また、芸予の場合には、呉市なんかは非常に稠密に斜面が利用されているところでございますので、被災に遭った後、その民間所有者がそこをもう宅地に復旧できないということで放置するような場合に、そのまま放置した場合には同じように第三者あるいは公共施設に大きい被害をもたらすようなことが予想された場合には、同様にいたしまして特例を設けて実施した事例がございます。
  194. 紙智子

    ○紙智子君 特例でもって実施したことがあったということでもありまして、先日もテレビ討論会で、大臣それから国土交通大臣も含めて討論会の場でこの議論になっていて、民民だからということで何もしないというわけにもいかないんじゃないかということを議論されていたと思うんです。それで、やはり災害関係の緊急事業についていいますと、阪神淡路や芸予地震では採択基準も状況に即して定めて運用されたわけで、今回、中越地震のこの特徴に照らしてそれもやっぱり適用すべきじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  195. 伊達忠一

    大臣政務官(伊達忠一君) 国土交通省の方から御答弁さしていただきたいと思っています。  今回のこの地震、発生した地すべりだとかがけ崩れにおいては、自然斜面で一定の条件を有する場合等にその災害緊急対策事業というもので対応していきたいと、こう思っております。
  196. 紙智子

    ○紙智子君 被災者の方々に少しでも元気が出るようにというか、激励になるように検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それで、ちょっと通告してなかったんですけれども、先ほどのちょっと議論聞いていまして防災大臣に確認をしたいんですけれども、積雪にかかわる問題です。  それで、新潟県としては二十三日にその住宅支援で積雪による損壊も震災災害として支援金の支給対象にするということで出していて、さっきもグループを作って除雪、雪のけをやれるようにということも話をされていたわけですけれども、そこにすら行けないということで、実際にはこの雪下ろしができずに重みが掛かって壊れてしまうという場合もあると思うんですけれども。  で、県がそういう形で決めているのは、そういう追い打ちを掛けて被害が大きくなって半壊とか全壊とか、そういう認定される場合を想定しているんじゃないかと思うんですけれども、これに対して国としてもそれを、やはりその支援がその対象にできるように柔軟に対応していくという答弁をされたのかなというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
  197. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) ケースとしましては、避難勧告・指示が継続しているケース、それからそれがもう解除になったケース、こうまず考えていただきたいと思うんですね。それで、山古志村みたいな典型的に避難勧告が、指示がそのまま継続していて帰れないケース、それでつぶれちゃったという場合には被災者再建支援法によって全壊扱いになる場合もあるでしょうと。まあしかし、まああの場合には、不幸にして仮に六か月以上超えちゃったという場合にはそういう形になろうかと、生活再建支援法に基づいて長期避難の扱いを受けて全壊扱いになるというふうに私は先ほど申しました。  それで、避難勧告が解除に、指示が解除になっているケースで、普通のケースではお戻りになるでしょうと、お戻りになるでしょうね。それで、戻らないケースというのは質問されたわけですけれども、雪下ろしできないと。戻っても戻らなくても雪下ろしができなくてつぶれちゃったという場合があるんだろうと思うんですね。その場合において、要するに十戸以上つぶれたという場合には、要するにその新たな豪雪被害ということで全壊扱いということで支援ができるということになると、こういうふうにお考えになっていただいたらいいのではないかというふうに思います。  よろしゅうございますか。
  198. 紙智子

    ○紙智子君 時間になりましたけれども、最後に一言言いたいのは、午前中、新潟の県知事さんも言われていましたけれども、やっぱりこれまでの枠内ではそれに掛からない部分がたくさんある、だからやっぱり特別立法の制定を求めたというふうに思いますし、その意味では、やはり救済事業の対象の拡大それから財政保障のためにもこの特別立法の制定という問題を検討を強く求めて、質問を終わらせていただきます。
  199. 風間昶

    委員長風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会