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国務大臣(
野沢太三君)
国際捜査共助法及び組織的な犯罪の処罰及び犯
罪収益の
規制等に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その
趣旨を御
説明いたします。
近年、外国人による凶悪事件が多発するとともに、国境を越えて敢行される犯罪が増加しておりますが、このような事態に有効に対処するためには、諸外国との捜査協力を一層推進し、捜査共助の迅速化を図ることが重要であります。そこで、昨年八月、我が国は、米国との間における捜査共助の実効性をより一層高めるため、刑事に関する共助に関する日本国とアメリカ合衆国との間の条約に署名しました。
同条約は、外交当局を経由せずに捜査共助の要請の発受を行う中央当局
制度等を設け、捜査共助を迅速化するとともに、その範囲、
内容を拡張し、日米間の捜査協力の推進を図ることを主たる
内容とするものであります。
本条約につきましては、承認をいただくために、今国会に提出されているところですが、この
法律案は、本条約を締結し、国際捜査共助等の円滑な実施を図るため、
国際捜査共助法など
関係する
法律を
改正し、所要の整備を行うものです。
次に、この
法律案の要点を申し上げます。
第一は、国際捜査共助の
手続及び要件について条約に基づく特例を設けるものです。現在の
国際捜査共助法では、外務
大臣が共助の要請の受理を行うものとされておりますが、これを
改正して、条約に基づき
法務大臣が共助の要請の受理を行うこととされるときは、
法務大臣がこれを行うものとするほか、いわゆる双罰性等がない場合であっても、条約に別段の定めがある場合には、共助をすることができるものとしております。また、組織的な犯罪の処罰及び犯
罪収益の
規制等に関する
法律を
改正し、没収等の共助の要請についても、条約に基づき
法務大臣が要請を受理できるようにしております。
第二は、受刑者証人移送
制度を創設するものです。すなわち、条約に基づき、刑の執行として拘禁されている者を証人尋問のために国際的に移送する
制度を新設し、外国の要請により我が国の受刑者を移送するための要件及び
手続を定めるとともに、我が国の要請により移送された外国の受刑者を拘禁するための規定を整備しております。
第三は、業務書類等に関する証明書についての規定を整備するものです。すなわち、外国からの業務書類等の提供の要請に付随して業務書類等の作成又は保管の状況の証明を求められた場合に、裁判所における証人尋問に代えて、簡易な証明書の提出を求めることができるものとするとともに、虚偽の証明書を提出した場合には刑罰を科すものとしております。
その他、国際捜査共助等の円滑な実施を図るための所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、本
法案の成立により、今後我が国が米国以外の国との間でも同様の条約を締結することが可能となり、外国人による犯罪や国際的な犯罪に
効果的に対処する上で、その意義は極めて大きいものがあると考えます。
以上がこの
法律案の
趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。