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2004-06-03 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     峰崎 直樹君      平野 達男君     田名部匡省君      山口那津男君     草川 昭三君  六月二日     辞任         補欠選任      福島啓史郎君     田村耕太郎君      田名部匡省君     平野 達男君      草川 昭三君     山口那津男君      池田 幹幸君     小池  晃君      大門実紀史君     大沢 辰美君  六月三日     辞任         補欠選任      大沢 辰美君     大門実紀史君      小池  晃君     池田 幹幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         円 より子君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 野上浩太郎君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 平野 貞夫君                 平野 達男君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣官房構造改        革特区推進室長        兼内閣官房地域        再生推進室長        兼内閣構造改        革特区地域再        生担当室長    滑川 雅士君        内閣産業再生        機構担当室長   江崎 芳雄君        金融庁総務企画        局長       増井喜一郎君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        外務大臣官房審        議官       門司健次郎君        財務省理財局長  牧野 治郎君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (租税条約改正に関する件)  (格付機関役割に関する件)  (景気回復の見通しに関する件)  (足利銀行に関する件) ○参考人出席要求に関する件 ○金融機能の強化のための特別措置に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、福島啓史郎さん、岡崎トミ子さん、池田幹幸さん及び大門実紀史さんが委員辞任され、その補欠として田村耕太郎さん、峰崎直樹さん、大沢辰美さん及び小池晃さんが選任されました。     ─────────────
  3. 円より子

    委員長円より子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房構造改革特区推進室長内閣官房地域再生推進室長内閣構造改革特区地域再生担当室長滑川雅士さん外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 円より子

    委員長円より子君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山根隆治

    山根隆治君 おはようございます。  まず、竹中大臣が少し遅れて来られるということでございます。  スポット的に質問をさせていただきたいことがございます。  谷垣大臣、先月の十五日に日中韓東南アジア諸国連合財務大臣会合に臨まれて、日本アジアが結んでいる租税条約の抜本的な改定というものを提案されたという新聞報道がございました。日本が想定していますのは、三月末に発効した新しい日米租税条約ひな形にした改定というふうに伝えられているわけでございますけれども、この提案についての背景、ねらいはどんなところにあったんでしょうか。
  7. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今委員がおっしゃいましたように、先日のASEANプラス3の財務大臣会合で、物、金、人の流れをやはり促進していく上で租税というものは非常に大事ではないか、その意味で長い間たっている租税条約というものを見直していく必要があるのではないかということを私は申し上げたわけであります。  それで、その背景にありますのは、今委員指摘されましたように、三十年ぶり改定しました日米租税条約というものが念頭にございまして、それは源泉地国課税というものを大幅に軽減することによって要するにお互い投資をやりやすくしようという思想がこの日米租税条約の中にあるわけでございますので、それをアジア各国との、必ずしもアジアだけにとどまるわけではありませんけれども、アジア各国の間に押し及ぼしていくということはお互い意義があるのではないかというふうに考えて申し上げたわけでございます。  さらに背景を申し上げますと、やはりアジア各国日本がいろいろ投資をして、その投資がある意味物作りや何かの形になりまして日本に輸出されてくるということもございます。そちらの方は、いわゆる自由貿易協定と申しますか、経済連携協定というようなものでそういうものを促進していこうという流れがあるわけでございますけれども、そういう物の流れ背景投資というものがあるわけでございますから、そういうお互い投資をやりやすくしようということが日本立場からしてもございますし、あるいはアジアの国の、お聞きになったそのアジア閣僚たち反応も、むしろ投資を呼び込むということがそれぞれこれから大事ではないかというようなお考えから、かなり、私の言わば提案と申しますか、そういったものに対しては前向きの反応があったのではないかというふうに思っております。
  8. 山根隆治

    山根隆治君 前向きな反応があったということで喜ばしいことでございます。これは各国共通にそのような前向きの反応があったというふうな理解でよろしいんですね。
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは具体的には個別にそれぞれ議論をしてみなければ分からないわけでございますので、財務大臣会合の一般的な議論の中だけで必ずしも全部判断するわけにはまいらないと思います。  ただ、私は事前に思っておりましたのは、例えば、日本投資をしている企業等から上がる税収というものにかなり重きを、その国の租税収入重きを置いている国がございますので、ひょっとするとそういう国は時期尚早というような、長期的に見れば租税条約両国にとって利益があるとしても、時期尚早というような考え方も、反応もあるのではないかというふうに実は胸の中では思っていたわけでありますが、むしろ投資を呼び込むことというのに非常にやはり熱心な国々というものがございますので、個別にはもっと議論をしていかなければ分かりませんけれども、私のその会議における印象はかなり前向きな受け止め方があったというふうに思っております。
  10. 山根隆治

    山根隆治君 そうしますと、会議が終わった後で、実務者の中では事務レベルで更にもう具体的に話が詰まってきている状況だというふうな理解でいいんですか。
  11. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まだそこまでは行っておりませんで、いわゆる経済連携協定交渉の中で、既にそういうことを交渉の中で提起している場合もございますし、まだそこまで行ってないところもございます。まだそのレベルで、具体的にまだ詰まってきているというわけではございません。
  12. 山根隆治

    山根隆治君 そうしますと、東南アジア諸国との租税条約改定ということも今お話伺いましたけれども、ヨーロッパとの関係ですね、EU各国オランダとの改定が一番早めに着手されているというふうに承知しているんですけれども、これらの手順について、あるいはヨーロッパとの関係についての状況はどのようなことになっておりましょうか。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはアジアだけにとどまりませんで、ヨーロッパにもこういう考えの下で租税条約改定していけたらと思っているわけでありますが、今御指摘オランダとの問題でございますが、現行の日蘭租税条約というのは一九七〇年の締結でございまして、九二年に一部改正をして現在に至っているわけでありますが、もう既に三十年以上たっておりますので、相当この両国間の経済情勢の変化がこれはございます。  そこで、両国間の担当者間でこれは非公式の折衝をやりまして、条約改正必要性というようなものを非公式の折衝の中で必要だなというようなことになりまして、今年の六月七日から東京で改正のための正式交渉を行うことを両国政府間で合意したところでございます。
  14. 山根隆治

    山根隆治君 そうしますと、手順的にはまずオランダから話を詰めていって、そしてEUにも広げていって、更に東南アジア国々との話になっていくと、こういうふうな順番ですか。
  15. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) お答えいたします。  租税条約新規締結あるいは改正につきましては欧州あるいはアジアだけに限るものではございません。これにつきましては、経済関係中心とする我が国との二国間の関係、あるいは相手国の税制、それから相手国租税条約締結状況、そういったものを勘案いたします。さらに、我が国租税条約締結している場合には、実際の課税上の問題が生じているか否かといったそういった実務的な観点も踏まえまして、総合的に勘案の上、交渉相手国を決めていきたいと考えております。  これまで、三十年ぶり改正、しかも新しい内容を含みます日米租税条約改正ということで力を注いでまいりましたけれども、今後、関係省庁とこの点について詰めていきたいと思っております。
  16. 山根隆治

    山根隆治君 それらの諸国との交渉をされていく上で、今のお話ですと、私が触れたところだけじゃなくて、世界各国との条約にも視野を広げているというのは外務省からの御答弁で分かりましたけれども、しかし、それぞれの各国でいろいろな商習慣も違いますし、経済環境も違う。そういう中で一様な条約というようなわけではないだろうというふうに思っています。  我が国がやはり急ぐべきは、相手から求められている、強く求められている場合、あるいはこちらの方から少しは、今まで片務的過ぎたんではないかと、やはり双務的な、平等なというか、フィフティー・フィフティーという、そうしたものに改めなくてはいけないと、こういうものを私はまず優先していく必要があるんだろうと思います。この辺についての考え方を聞かせてください。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 日米租税条約、新しい新租税条約の基礎にある考え方は、一つは、先ほど申し上げましたように、投資所得に対する源泉地課税を低くして、お互い投資をやりやすくしようということでありますけれども、もう一つは、そういうやり取りの中で、そういう特典を潜脱するようなことがあってはならないということでございますので、その特典条項というものをある程度きちっと整備していきませんと、何というんでしょうか、そこから変な特典を得るようなことが出てきて、ゆがんでいくということがあるかと思いますので、そちらの方にも目配りしながら、優先順位はどこかということを考えながらやる必要があると思っております。
  18. 山根隆治

    山根隆治君 そうすると、少なくともやっぱりオランダが六月七日からスタートということですから、オランダを手始めにするということは、これはもう間違いないということでよろしいですね。
  19. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) アジアとも既に始めており、ASEANとも始めているところがありますが、ヨーロッパではオランダがこの六月七日からということでございます。
  20. 山根隆治

    山根隆治君 分かりました。  それでは、次に質問を移らせていただきたいと思います。  今日お伺いをいたしたいというふうに思っておりますのは、一つはいわゆる格付機関ムーディーズ世界で一番評価されている、あるいは大きい規模のところだと思いますが、そういった格付機関のまず評価役割についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。  第一点といたしましては、格付機関の定義、これはどういったものであるのかというふうな認識でございましょうか。事務方でも結構です。
  21. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  格付機関でございますけれども、私どもの、企業内容等の開示に関する内閣府令という府令がございます。そこで、言わばここには、格付機関という中に、格付実績、それから人的構成組織格付方法及び資本構成その他発行者からの中立性に関する事項等を勘案して格付機関指定をするというようなことが書いてございます。そういったことを勘案して金融庁長官指定をしているものでございます。
  22. 山根隆治

    山根隆治君 格付機関は、それぞれ株式会社で、自分のところで格付していくんだといえば、それはもうそれで自由に発足できるものであろうというふうに思うんですが、これは認可されるという種類のものと分けて考える必要があると思うんですけれども、今のお話のものについては、これは指定格付機関というふうに承知をいたしているわけでございますけれども、これは一本化されたものというふうな、今のお話ですとその辺が少しあいまいもことしておりますが、これはいかがでしょうか。
  23. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今私が申し上げたのはいわゆる指定格付機関の規定でございます。
  24. 山根隆治

    山根隆治君 それでは、指定格付機関、今御答弁ございましたけれども、政府指定格付機関にしたところの機関というのは、日本では二社、そして外国を入れると全部で五社になるというふうに承知をいたしているわけでございますけれども、この格付機関意義評価、どのようにされておられましょうか。
  25. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、指定格付機関につきましては、内閣府令におきまして金融庁長官指定による指定格付機関制度というのが設けられておりまして、この格付有価証券届出書を提出することなく、機動的な有価証券発行を可能とする発行登録制度というのがございます。これを利用するための要件とするなどの一定目的のために金融行政上利用をしているところでございます。  いずれにいたしましても、この指定に当たりましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、格付実績人的構成組織格付方法資本構成その他発行者からの中立性に関する事項等を勘案して有効期間を定めて指定をするというふうにされておりまして、そういう観点から、特定の営利企業が大株主になっていないこと等を勘案して、利用できる格付機関指定しているところでございます。
  26. 山根隆治

    山根隆治君 評価はどうなのかということをちょっとお尋ねしたんですが。
  27. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほど申し上げましたように、この指定格付機関、今申し上げましたのは発行登録制度といった制度などに利用しておりまして、そういう意味では、幅広く市場から受け入れられている格付を利用するような、いろんな行政目的に利用されているということで、そういう意味一定意味がある、意義があるというふうに思っております。
  28. 山根隆治

    山根隆治君 はい、分かりました。  大臣竹中大臣来られましたので、大臣の方に少し向けてお尋ねをしておきたいと思います。  今お尋ねしているのは格付機関評価役割ということで、大きなタイトルではお伺いしているわけでございます。  二〇〇二年の四月に、黒田財務官が、ムーディーズとそれからS&P、フィッチへの意見書というものを送っております。日本国債への評価というものが非常に低い、低くしたということについて公平を欠くんじゃないかということでの意見書を送ったということでございますが、大ざっぱにどんなふうな内容のものであったか、簡単に御説明願います。
  29. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは私からお答えをした方がいいと思うんですが、一部民間格付会社日本国債に対して低い格付を行っているということで、当時、黒田財務官でいらしたわけですが、内容を簡単に申しますと、我が国は、これは大幅な貯蓄超過である、それから世界最高水準対外純資産も持っているし外貨準備も保有していると。それから、千四百兆を超える個人金融資産を保有するといったファンダメンタルズは非常に強いものがあるというのが一点ですね。それからもう一つは、歳出改革といった構造改革への強力な取組を行っているという点がもう一点でございます。こういうことを中心といたしまして説明をしてきたと。  それからさらには、こういったファンダメンタルズ等を適切に反映していないその一部の格付につきましては、その判断根拠について、各社の判断根拠について説明を求めるというような行動を取ってきたわけでございます。
  30. 山根隆治

    山根隆治君 ホームページの中で、これは財務省ホームページでしょうか、大臣政務官、砂田さんと吉田さんのホームページ、登場しているホームページがございますが、ここで質問に答える形で、「国債格付けに関する意見書について」ということで、かなり実は詳細なものがホームページ上は載せられております。  興味深く読ませていただきましたけれども、一国の政府民間のそうした外国機関に対して意見を述べるということは非常に常識的には尋常じゃないようにも思えるわけでございますけれども、これらの批判というか、そういうものも受けながらの、あえて質問書を提出したと、意見書を提出したということで、回答書も来ましたけれども、それにも満足できるものではないということで更に質問書を送られたと、意見書を送られたというふうに承知いたしているわけでございますけれども、私自身も自国を愛するというふうな立場からするとその気持ちは十分によく理解はできますけれども、外国から見て、一民間団体企業に対してそうした政府として意見書を出したということについてはいろいろなリアクション等はあったんでしょうか。
  31. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、今、山根委員がおっしゃったような民間企業を一国が相手にするのはどういうものかという御議論があったこと、当時は私は財務省におりませんでしたけれども、そういう御議論はあったことは承知しております。こういう格付会社国債市場における国債評価というものにどういう影響を与えているかという判断もなかなか難しいところがあるんではないかと思います。  それは、景気、物価の動向であるとか、国債の需給、あるいは財政金融政策等の総合的なことで国債の価格は決まると思いますが、やはり有力なこういう格付会社評価というものが一定影響を与えるということは、これは否定できない面もございますので、我々としては、当時は私はおりませんでしたけれども、当時の当局の、何というんでしょうか、内心をそんたくいたしますと、自分たちが見ているものと余りにも懸け離れている評価に対してはやはりきちっと意見を表明しておこうということではなかったのかと思います。  それで、我々はやはり、もちろんそういうこともして、納得のいかない評価に対してはそれなりの行動を取っていかなきゃならないと思いますが、あくまでやはり我々が本来やるべきことは国債管理政策をきちっとやっていくということではないかと思っておりますので、そちらの方ももちろん懸命にやらせていただきたいと思っております。
  32. 山根隆治

    山根隆治君 意見書を出したことが誤りだということは申し上げるつもりは特にございませんけれども、慎重を要しただろうということを私は言いたかったわけで、気分としては私自身もなぜなんだということを言いたい気分でございますから、大臣の感覚と近いものが私自身にもあるだろうというふうに思っております。  当時の報道したものを読んでみますと、福田官房長官は、ムーディーズ評価に対して、木を見て森を見ずという感じがするというふうな発言をされています。それから、当時の武藤財務省の事務次官も、今回の決定は誠に遺憾であって、日本経済ファンダメンタルズは課題はあるけれども基本的には強固なんだと、こういうふうなことを発言をされているわけでございます。  もう一つ、私、注目をいたしましたのは、このムーディーズが格下げを発表した直後に、我が国に二つある格付機関指定機関の中の一つですけれども、日本格付研究所が逆に非常に高い評価を発表しまして、日本国債トリプルAというふうに評価をしたということでございます。今となって考えてみると、過去この時点でのこうした措置措置というか、評価というのは非常に、二つの評価がかなり懸け離れたものであったわけでございますが、今となれば、どちらが正しかったというふうに御認識されていますか。
  33. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も先ほど、当時の黒田財務官が出した意見書と申しますか、申入れの基本的な方向は、私、現在見ましてもまあそうではないかというふうに考えておりますので、余り本当は、山根委員がおっしゃいましたように、個々の企業がやる評価を一々、おれはそんな成績、もっといい成績取れるはずだと言うのもいいのかどうか分かりませんが、私は基本的に一部の格付機関が余りにもやや低い評価をしたということはあったのではないかと思っております。
  34. 山根隆治

    山根隆治君 結果的にこの格付機関影響力の大きさというものを日本政府自身も認めたということになる一つの騒動だったろうなというふうに思っているところでございます。  今年の実は三月に、モルガン・スタンレー証券が二〇〇三年の円債市場に最も貢献した格付機関を選定する格付機関オブ・ザ・イヤーを実施をして、そこで金賞に日本格付研究所が選ばれたということが実はございまして、世界には今どのぐらい格付会社が、各国指定されたものがあるのか。数字はつまびらかでありませんけれども、二十あるいはそれを超えるものがあろうかと思いますけれども、その中で、一つ円債市場ということではございますけれども、このように評価されたということについての感想をちょっと聞かせてください。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、私、こちらに来るのが遅れまして大変申し訳ございませんでした。  格付の話でございますが、格付というのは、私たちは基本的にはこれは市場の声であるというふうに認識をしております。しかし、市場の声で、大恐慌以来、例えばムーディーズの話が出ておりますけれども、そうした中で、ただし、その時々で振り返ると正しい声を上げてきたではないかという市場評価があるから、その声が一般にマーケットの中で重視されているということだと思います。  しかし、この市場の声、同時に、例えばアジア通貨危機のとき等々、本当に正しい格付をしていただろうかということに対して疑問を上げる、声を上げる専門家もいらっしゃって、その意味では格付機関自身が競争しているという状況であろうかと思います。  我々政府は、市場の声に対して、それに対して市場の声が間違っているとか、そういうことを言う立場には当然のことながらない。ただし、今回、先ほどから財務大臣が御答弁しておられるケースというのは、これは日本国債格付でありますので、実は我々が当事者になります。我々もマーケットの中で声を上げなければいけない立場にある。  これは、A株式会社の格下げがなされたときは、A株式会社の社長さんは、いや、そういうことではないんだということを一生懸命PRする。これがいわゆるIR活動でありますから、黒田財務官の活動もその意味では日本政府という当事者としてのIR活動であるというふうに当時私たち認識をしておりました。  結果的には、委員に対するお答えとしては、これは市場の中で引き続き競争する中で、格付機関自身がどのように評価を得ていくかという競争が今この瞬間も行われているんだということになろうかと思っております。  我々としては、その意味では市場の声が多様に、その多様な声が競われることによって正しい認識市場に広がっていくと。これは今後とも是非続けていただきたいことであると思っております。
  36. 山根隆治

    山根隆治君 我が国国債評価ということでございますから、先ほどのJCRが金賞に輝いたということも理解しやすいわけでございますけれども、海外でのいろいろな活動に対する評価ということについては、なかなかまだ日本格付会社も後塵を拝しているというふうな感じを私自身は受けるわけでございますけれども、日本のこの二つの格付会社に対する評価、期待というものについてどのようにお考えになるか、お聞かせください。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本格付会社日本にも格付会社を作ろうではないかという議論がなされたのは、やや不正確でありますけれども、二十五年強ぐらい前のことだったのではないかと思っております。そのとき、私自身、そうした議論に若干参加をさせていただいた経緯がございますが、当時、ムーディーズとかS&Pとかが確立されている中で、日本格付会社なんか作っても駄目ではないか、相手にされないんじゃないかという議論が結構ございました。  しかし、日本に関する格付アジア地域に関する格付等々でやはりそれなりの比較優位を発揮することも可能なのではないかということで、これはもう業界の方々もいろいろ知恵を出してそのような、その制度ができたというふうに思っております。  これは、ある意味で後発であった日本格付機関が今マーケットの中でその意味では健闘していただいていて、さっきのモルガンのような評価もいただいたということであろうかと思います。市場が非常にダイナミックに進化をしていまして、正しいマーケットの声をみんな聞きたがっているという状況にあろうかと思いますので、これはそれぞれの立場で是非競って、その上で強くなっていっていただきたいと思っております。
  38. 山根隆治

    山根隆治君 先ほど局長答弁で、企業内容等の開示に関する内閣府令に触れた答弁だったかと思います。その中で、指定格付機関というのは、金融庁長官がその格付実績人的構成組織格付方法及び資本構成、そのほか発行者からの中立性に関する事項等を勘案していくんだと、こういうことでお話がございましたけれども、現在日本には二社ということでございますけれども、指定格付機関について、これをもっと増やしていきたいというふうなお考えがあるのか、それとも、今の二つのものに大いに期待していくということなのか、あるいはまた、逆にそういうふうな申請、指定格付機関としての申請というものが出されているのかどうかということについてお伺いをしてみたいと思います。
  39. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今先生の御指摘指定格付機関でございますけれども、もちろん、これは申請に基づいて指定をするということになっております。したがいまして、申請が新たに出てくれば、基準に基づいて指定するかどうかを私どもが検討するということだと思いますが、今のところ余りそういった動きがないと聞いております。  いずれにいたしましても、幅広く市場に受け入れられている機関格付機関というものがいろいろ出てきて、それがお互いに切磋琢磨をするということは非常にいいことではないかというふうに思っておりまして、もし、そういった動きがあり、かつその基準が満たされていれば私どもも指定をするという方向で考えたいと思っております。
  40. 山根隆治

    山根隆治君 世界的なレベルでの話ですが、これは私はまだ二十社ぐらいではないかということを触れましたけれども、実際に掌握されておられますか、格付会社各国指定したり公認したりしているところの格付機関はどれぐらいだと承知されていますか。
  41. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 恐縮でございます。今手元にそういった資料を持ち合わせておりません。
  42. 山根隆治

    山根隆治君 是非これは掌握をしていただきまして、格付機関日本も権威あるものに是非高めていただきたいというふうにも思います。  アメリカからスタートしたこの格付機関、もう百年をたっておりますけれども、私どもも我が国ではまだ二十数年の歴史だというふうに承知いたしております。また、スタッフの数等も、例えば、これは少し統計がちょっと古いです、一九九八年のものを私も持っておりますけれども、例えばムーディーズの場合には社員数が千五百名ということでございまして、対象会社数が五千社というような非常に大きなものでございますけれども、日本の二つの格付機関は、これは百六十名あるいは八十名というふうなスタッフ数でございますし、会社数、対象会社数もそれの十分の一ぐらいと、ムーディーズのですね、いうふうな状況でございますから、なかなかまだまだ追い付いていないというふうな気がいたします。  様々なノウハウを持っている古いところに伍していくのには相当の努力を重ねなくてはならないというふうに考えておりますけれども、こうしたアメリカのムーディーズとかS&P等との比較の中で今一番欠けているものはどのようなものがポイントとしてあるのか、教えてください。
  43. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほど先生からも御指摘ございましたように、ムーディーズあるいはスタンダード・アンド・プアーズとかいう大きな格付会社は相当の従業員もおりまして、幅広く各国格付の事業を展開をしているということだと思います。それに比べますと、若干我が国格付機関、数はそこまでではないということで、その幅の広さ、あるいは各国市場も含めて市場から幅広く受け入れられるということについては、やはり先ほども申し上げたような欧米の格付機関よりは少し規模も小さくて、若干後れを取っているかなという感じはいたしております。  いずれにいたしましても、詳細な状況というのは、私、今手元に持っておりませんが、全体の、何ていいますか、感じとしてはそういうことではないかというふうに思っております。
  44. 山根隆治

    山根隆治君 今、全体の感じというよりは形式的な規模だとか形としてのお話でございましたけれども、その内容において一番指摘されているのは、経営の独立性ということが指摘されているんだと思うんです。その違いというものが非常に大きいんだと。  だから、例えば日本格付機関の場合ですと、ある一つのところは生命保険会社の大手の人たち中心となってやっている。したがって、そういうところでやっているので、国債も、たくさん日本国債買って持っているわけだから、それへの評価というのはどうしても甘くなるんだというふうな批判、嫌みが外国から言われたりしているわけです。  実際、そんなことはないだろうという部分もあろうかと思いますけれども、そうした脆弱性というか、ポイントとしてはあるんだろうと私は思っているんですけれども、その内容の違いというものについてどのように認識されているかというのを改めてお尋ねをいたします。今、私の意見ですけれども。
  45. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本で、私、二十五年ほど前と言いましたが、二十年ぐらい前だったかもしれません。そういう格付機関日本でも持とうではないかというときに、いろんな御意見があったというふうに記憶をしております。  まず、これ、格付の会社というのは金融庁のいわゆる監督権限下にあるものではございませんので、極めて一般的な見方ということになりますけれども、そのときに、やはり今おっしゃった独立性というのは大変重要な課題になったと思っております。結果的には幾つかの金融関係の会社、何とか証券会社と何とか銀行系、また別の系統、いろんな議論の中で、それぞれ今二つの会社が設立されてきているわけでありますけれども、独立性をやはり確保して、市場の声として客観性を持っているということはやっぱり重要なことであろうと思います。  私の認識でありますけれども、二十年を経て、その意味でのやはり独立性というのは、二十年前にいろいろ議論されたときに比べて相当違ってきているのではないかと思います。であるからこそ、先ほど指摘いただいたようなやはり評価も得ることになってきた。  現実問題としてこれは何の許認可も要るわけではありませんから、格付を行っている独立の会社は実際にはたくさんございます。この特定の分野で非常に高い評価を得ている独立系の会社もあるというふうに承知をしております、固有名詞は挙げませんですけれども。  しかし、独立系でなかなか規模が大きくならない。規模が大きくならないと市場の声としてはなかなか届きにくいという点もあります。ここは正に自然発生的にこの格付機関というものが生まれてきて世界の中に定着してきたという歴史を考えますと、まず、やはり今の日本の二社にはしっかりと更に独立性を高めるように頑張っていただきたい。それに、既にある独立系の、しかし規模が余り大きくないところには更に実績を積んで、やはり市場の中での信認を確立していっていただきたい。これはやはり自然の発生で、自然に競争力を付けていただくということを期待するのが当面の方策かなと思っております。
  46. 山根隆治

    山根隆治君 もう少しで参議院選挙も始まるんですけれども、マスコミが告示前に世論調査をして、そして告示後も調査をして、投票日の数日前に、最終の一週間前に発表したりする。それで、非常に我々も一喜一憂するわけですけれども、実はその世論の調査機関ももうたくさんあって、有名な電通とか博報堂だとかいうようなところもあれば、本当に数十人でやっているところもある。ところが、大きければ大きいほど、では当たるのかということになると、確率はまた全然、私の経験でも実は違っているわけでございまして、大新聞が、大きな新聞社等の総動員して非常に費用を掛けたものが必ずしも当たるということになっていないというところが非常に面白いところでございまして、私自身承知している調査機関というのは非常によく実は当たるんですね。勝ったときも負けたときもクールに、一般の新聞等の報道と全く違った結果が出ていても、今まででもう三度ほどぴったり当たっているんで、非常にもう怖いものだなと思いました。  私も、この調査機関、アメリカでもムーディーズ、S&P、これはもう最高の機関だというふうに言われていますけれども、新興のそうした格付機関が非常に実績を今出して注目されているというところがあるというふうに聞いております。債務不履行の確率というものをどう出していくかということでも非常に実績があって、今注目されている格付会社があるというふうに聞いております。  私は、独立性ということでは非常に問題が指摘されている日本のこの格付機関ではありますけれども、逆にそれを、その特徴というものを生かしてやっていくということで、是非、世界にも評価されるものになってもらいたいというふうに思っているところでございますけれども、これから、もしかしたら、格付会社指定を国から受けたいという申請が出てくるかも分かりませんけれども、様々なところでいろいろな情報を収集して、こちらからも、国としても発信する中で、様々な可能性を民間に求めていってもらったらいいだろうという気が非常にしてなりません。  主要国の指定、公認、特にアメリカ、日本、イギリス、フランスの指定、公認を受けて、取っているところというのは、それはもうアメリカしかないということが実態でございます。日本格付会社二社につきましても、日本とイギリスあるいはフランスの指定、公認は受けておりますけれども、アメリカからはまだ受けていないということ等も実はございます。これはもう非常な、いろいろな見方がございますから、そう単純に、だからどうということにはなりませんけれども、やはり世界的に権威あるものに高めていくのには、日本なりの新しい分野の開拓というか、視点というものをやはり持っていけば私は市場に受け入れられるだろうというふうにも思いますが、これらの点についての考え方、見解、そして育成の必要性、手法ということについてお考えをお聞かせください。
  47. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 繰り返し申し上げますが、この分野というのは我々の監督権限にはないものではございますけれども、市場のインフラという意味でやはり大変重要な問題であるというふうに考えまして、私たちも大変高い関心を持って見ております。  先ほどから御議論いただいておりますように、発行登録制度を利用するための要件とする、そういう観点からの指定格付機関制度を我々はその意味で持っている、市場の声を活用させていただくという趣旨で持っているわけでございます。その市場の声として、引き続きしっかりとした競争を通していい機関に出てきていただきたいと思いますし、その実態を見ながら、申請等々あれば、当然のことながら我々としては、その指定格付機関にふさわしいものがあれば、当然そのような形でその市場の声を活用させていただくというのが我々の基本的なスタンスであろうというふうに思っております。  その上で、それぞれの機関がどのように今後発展していくかということについては、これは政府として何か特別の施策で育成ということでは必ずしもないと思いますが、我々としてはその競争条件はしっかりと整備させていただいて、それで良いところに関しては、良いボイスを上げるところに関しては、申請があれば指定格付機関として指定もしてエンカレッジする等々、そういった精神でマーケットを見ていきたいと思っております。
  48. 山根隆治

    山根隆治君 これは谷垣大臣にお伺い是非しておきたいと思うんですけれども。  日本格付機関が地方自治体の格付を実はしたことがある。これは、地方自治体というのは都道府県ですけれども、都道府県は一定の規模がございますので、格付されたからといってそれほど大きな、決定的な影響は持つに至っていないということが一つ言えると思います。しかし、自治体、今、三千どれぐらいあるんでしょうか、今合併していますからあれですけれども、三千ほどの自治体がこれから、今までは地方債を発行するのにもこれはもう国の事実上保証があったということでございますけれども、これからは協議制になってくる。二〇〇六年からだったと思いますけれども協議制になる。どういうことかというと、地方議会がこの起債を認めた場合に発行をするというふうなことになりますね。  そうすると、その起債されたものを受け入れるところが、今までどこでも、銀行でもどこでも受け入れてもらったものが、非常な、その自治体をじっくり見ていくというところが出てくるだろうというふうに思うんですね。そうしたことが地方自治体に与える影響というのは非常に大きなものがある。もしかしたらデフォするんじゃないかとかといろんな不安もあるでしょうし、政府の保証を、今まで担保としてあったものが、これが外されてくるということになった場合に、元気なところがそうした対象になっていくんだと思うんですけれども、地方自治体に与える影響、起債の起こしようについて、大臣としてどのようにお考えになりますか。
  49. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはむしろ総務大臣に御答弁をいただくべきことかと思いますが、今も竹中大臣お話にもありましたように、何かそういう、今までと制度を改めていくと、じゃ、どう評価するのかという問題が必ず起こってまいりますので、市場にとっては格付機関というのはインフラ的な役割を果たしておりますので、そういう中で切磋琢磨していい評価をしていただくということを我々も期待したいと思っておりますし、それから、恐らくそういう制度の移行に伴いまして、どう見ていくかということは、政府の側としてもよく注意をして、眼をかっと開いておかなければいけないのではないかと思っております。
  50. 山根隆治

    山根隆治君 はい、分かりました。是非、非常に大きな影響のあることでございますので、財務省立場から地方自治体を見ていっていただきたいというふうに、これ御要望しておきたいと思います。  それから、これから景気回復の見通しの問題について主に竹中大臣にお伺いするんですが、その前に、これも竹中大臣しかお答えできないことなんですが、新聞報道によりますと、竹中大臣が非常にラブコールを受けていて、参議院選挙、自民党から比例選挙へ出るんじゃないかということで、本人は非常にお断りの意思がある、強いというふうには聞いているんですが、しかし、これはもう本当に、選挙に出る出ない、あるいはやめる出るというのは、もう直前までこれ分からないんですね、私の経験からすると。これで、今はやらないと言っても急にやるとかというと非常に私たちも脅威ですし、行政執行上のいろんな前提を持ちながら質問しなくちゃいけないということもあって、その御決意というと変ですけれども、今のお気持ちをちょっとお聞かせください。
  51. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ラブコールがあったというあれでございますけれども、辞めろコールはたくさんございましたが、そういう少なくとも要請というのはございませんし、私自身そういうことは考えておりません。
  52. 山根隆治

    山根隆治君 強い要請が、例えば、人様のところでございますが、青木幹事長等から強い強い要請があったり、あるいは今、谷垣大臣も今目くばせされていたように思いますけれども、あった場合にまだ考慮するということはあり得るんですか。絶対出ないんですか。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 銀行に関する御質問に対する答えと同じになりますが、仮定の質問に対する答えというのは差し控えさせていただくべきだと存じます。
  54. 山根隆治

    山根隆治君 これはかなり出る意思があるなというふうに、私はそういうふうに受け取らせていただきました。今の御答弁からすると、非常に脅威を感じながら、景気回復の問題について質問をさせていただきたいと思います。  今、景気がいろいろな経済指標を見ると非常に好転してきているというふうに見ることも私はできようかと思います。この景気の回復が本当に確かなものなのかどうか。  一九九〇年代、失われた十年ということを九〇年から言われてきておりまして、しかし、回復の局面というのも過去に二度ぐらいありました。平成五年から九年のとき、それから十一年から十二年のとき、二回ございましたけれども、皆とんざしてしまった。一回目のときには医療保険料の引上げということがありましたし、それから社会保険料も引き上げて、これで消費税も上がったというか、上げたということで失敗したということが一つの歴史の教訓としてあろうかと思います。それから、二回目の回復局面のときもアメリカの景気の減速で駄目になったということが指摘されているわけでございますけれども、今回の景気の回復というものは本物だというふうな御認識でしょうか。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっとその前に、しつこくて申し訳ありませんが、誤解を招くと本当にいけませんので、要請はありませんし、私にそのつもりはないということは申し上げておきたいと思います。  景気の回復は本物かという御質問でございますけれども、御指摘のように、バブル崩壊後、今回の景気回復局面以前に二回の局面がございました。その二回と比較するということは重要な意味を持っていると思うんですが、幾つもの点でもちろん違いますけれども、大きくやはり二つの点で違っていると考えております。  一つは、金融が、経済を支える金融が過去二回に比べてはっきりと良くなっているということであろうかと思います。不良債権問題、ずっと日本経済悩まされてきたわけでありますけれども、それに対して、しっかりと情報を把握して自己資本を充実してガバナンスを強めると。これは一つ一つの努力の積み重ねだと思いますが、そのような状況になってきて、今、日本の不良債権問題が、もちろん問題はまだ残っておりますけれども、しっかりと解決の方向に向かっているという方向が見えてきたと。これは、やはり経済の基盤を支える金融が強くなったという点は大きなところだと思っております。  具体的な例で申し上げますと、だからこそ銀行の株の相対株価が上がっている。平均株価に対する銀行の株価の相対株価が、かつては上昇が見られなかったわけですけれども、今回は明らかに上昇している、その点が挙げられると存じます。  二番目が、需要項目を見ますと、経済を引っ張っているのは公需、公的な需要ではなく、明らかに民需になっている。公需はむしろマイナスであります。民需の中で、もちろん外需もありますけれども、外需が今三割ぐらいで、内需が七割ぐらい、そのような割合だと思っておりますけれども、やはり民需の中でも内需が主導してきた。そういう意味で、経済の発展のパターンがやはりじわじわと変わってきているという点が一番大きな点だと思います。  もちろん不確定要因は多々ございます。今で言いますと原油の問題もありましょうし、世界的な資産市場、これは為替レートを含む問題もございましょう、地政学的なリスクもございます。そうした点は、まだリスク要因はありますけれども、従来とは違う点は明らかにある、それをしっかりと伸ばしていけるかどうかが今問われているということだと思っております。
  56. 山根隆治

    山根隆治君 五月二十八日に、いわゆる骨太方針でしょうか、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四年、これ原案ということでございますが、まとめられました。  この前に、五月の十九日に素案が作られているんですけれども、素案から原案に至る過程で幾つかのところで、幾つかというか、かなり記載されていなかったものが新たに書き加えられたというところがございます。私も、その象徴的なところが一番最初の「はじめに」というところですが、ここにいろいろな思いというか、竹中大臣の思い等が凝縮されてこれ書かれるところだと思うんですね。  それで、そこの中で一番中核を成しているというのが現状認識の中で景気の現状、状況について述べられたところで、素案の中になかったものがあえて書き加えられたところがございました。事前にこれお話ししていないのでお手元にないかと思いますけれども、民需、民間需要主導の「成長が実現している。」という表現だったものですが、これが二週間、九日ですね、しかたっていないのに「成長が実現しつつある。」ということで、これは変わっているんですね。そして、その後に二行ほど新しく書き加えられて、全く新しく書き加えられているんですが、しかしながら、地域の回復動向にばらつきがあり、大企業に比べ中小企業状況は厳しいことを認識することが重要であるということを改めて書かれているわけですね。ということは、当初の非常な勢いと違って、やはりちょっと不安だなというものが、ここに自信のなさが出ているのかなというふうに思えてなりません。  OECDであるとか国際機関日本の経済に対する評価というのは、ニューヨーク・タイムズもそうですけれども、必ずしも一様ではなくって、これは一時的なものでまた後戻りするんだとか、いや、結構これは今までのものと違ってこの景気回復の兆候というのは本物なんだという評価が国際的にもされている。そういう中で、このわずか九日間の間に一番の大きなポイントのところについて少し変化があるというのはどのように考えたらいいんでしょう。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のところ、私自身よく覚えておりますけれども、「実現している。」ではなくて「実現しつつある。」の方が良いのではないかというふうに言って書き直しを命じたのは私自身でございます。  これ、骨太の方針では、いろんな先生方の御意見も伺いながら直していく、修正して良いものにしていくわけでありますけれども、私自身、これをまとめるときの立場というのは、これは先生方と御意見は少し違うかもしれませんが、改革はやはり間違いなく成果を上げていると思っております。しかし同時に、これを取りまとめる立場として是非強調したいのは、決して今では満足していないんだと、今こそが大事なんだと。もうすべてうまくいっているというふうなトーンで受け取られますとむしろ改革は進まなくなるわけで、改革は進みつつあるけれども、まだまだやらなければいけないことがあると。  だから、これ、各省庁はこれは傾向として今の政策を余り変えたがらない、それを何とかもっと良い方向に持っていこうというふうにするのが経済財政諮問会議内閣府の常に立場でございますけれども、そういう立場を我々としては是非明確にしながら、その意味では、現状を評価しながら、同時に健全な危機意識と前向きの改革姿勢を示す、そういう骨太方針に仕上げていこうではないかと、そのような意識で書いているわけでございます。  地域につきましても、だからこそ地域再生をしっかりやらなければいけないんだと。そのための方策につきまして、これは後半で我々なりに各方面と調整をさせていただいて、資金の問題、必要な地域再生の資金についてもいろいろこれから工夫をしていくんだということを書かせていただいたつもりでございますし、評価しながら更に前向きのと。  そのような骨太、まだこれは途上でございます。まだ決定されたものではございません。この瞬間もいろいろ調整をしておりますが、その方向で是非取りまとめたいと考えております。
  58. 山根隆治

    山根隆治君 ちょっと質問、今の御答弁から幾つかちょっと伺いたいことが出てきたんですが、ちょっと時間も迫ってきていますので、是非聞いておかなくちゃいけないことだけちょっと、スポットだけまた伺います。  この骨太の方針の中で年金の一元化という言葉が削除されたということが、今日も新聞、大きく報道もされているところでございますけれども、実はこの年金の一元化ということについては、これはもう三党合意の中に具体的に明記されているんです。  これは谷垣大臣に伺った方がいいかと思うんですけれども、一自民党の有力者という、実力者というお立場の中でも、政府の一員ということでそういうことも聞いてみたいと思うんですけれども、この骨太の方針から外されたということは、同じ与党の中でのことでございますから、これは事実上、三党合意というものを政府・与党、自民党の方、自民党、公明党、与党の方がこれはないがしろにした、ほごにしたというふうに思えてならないんですけれども、この点についての御認識、聞かせていただけますか。
  59. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これ、骨太方針は竹中大臣の責任で、責任というと、経済財政諮問会議、みんなで議論するわけですが、お取りまとめいただいておりますので、今時点のその部分の調整がどうなっているのか分かりませんが、まだ調整の過程だと思います。  ただ、三党合意というものがあるのはこれは事実でございまして、これは、三党合意というものを結んだからには、与野党ともにそれは遵守していかなければならないものと思っております。
  60. 山根隆治

    山根隆治君 ところが、三党合意ができて、私も党の幹部でもありませんから、一議員というふうな立場でいつもこの間の経緯等を見てきましたけれども、三党合意がなされた後で、厚生労働大臣が年金の一元化なんていうのは現実には無理なんだよというふうな発言をテレビ等でされているのを見ました。そしてまた、今日の新聞報道で、年金の一元化というものを骨太から外すということについては、これは与党の方がこの三党合意については積極的ではない、あるいはほごにしているというふうに私自身には見えるということを強くこの際一言申し上げておきたいというふうに思っております。  反論があれば、じゃ、お聞かせ下さい。なければいいですけれども。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 年金の一元化で私がここで御答弁申し上げるのがいいかどうか分かりませんが、これはいろいろな、三党合意ができましてからもいろいろこの年金の一元化については御発言があることは委員のおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、この一元化に向けて長い歴史の背景があるわけでございますから、制度には歴史があるわけでございますから、その制度の、何というんでしょうか、今までの過去をどうしていくかという議論を抜きに白紙で絵を描けばこれは極めて簡単だと思いますが、過去の歴史の重みをどうこなしていくかということについては、それぞれ立場の違い、認識の違いがあるのではないかと思います。
  62. 山根隆治

    山根隆治君 それでは結構ですが、私の見解を述べさせていただいたということでとどめたいと思います。  さて、竹中大臣にこれはお話を戻した方がいいでしょうか。  「マクロ経済からみた構造改革の進展」というのを五月に内閣府の方でこれは出されました。これも大ざっぱに読ませていただきましたけれども、非常に楽観的あるいは自画自賛というふうに私には読めます。特に、冒頭のところで、「景気回復構造改革役割」という中では、財政出動に安易に頼ることなく、日本経済は民需を中心に着実に回復、企業部門の改善に広がり、金融システムの強化、不良債権の終結が見込まれる、二〇〇四年度末には、雇用情勢は厳しさが残るものの持ち直し、持ち直しているけれどもまだ不安定要因がある、こういうことじゃなくて、先に出てくるのは、厳しさが残るものの持ち直しているということで、かなりのこれは自信に満ちたものだというふうに読ませていただきました。  しかし、民間の様々な調査機関が見た景気の回復ということについては、今年度は確かに、経済成長率ということで見ると、二〇〇四年度では実質には平均的に、十九社、民間調査機関調査して発表したものをまとめると大体三・二%の成長だということで見ていることは間違いありませんけれども、しかし、来年度についてはその半分ほどの数値になるだろうと、こういう非常にある意味では厳しい見方も民間調査機関はしているというふうに私は思っておりますけれども、このギャップについて竹中大臣はどのようにお考えになりますか。
  63. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 経済に対する見方は常にギャップがございます。これは先ほど市場の声と同じでありまして、各予測機関、ある意味でどのように予測ができるかということを競っているということにもなります。  十六年度から十七年度にかけましては、その意味では多くの機関が循環的には十六年度の方がいいだろう、十七年度は循環的には少し調整の影響も出てくるかもしれないという見方をしているというのは事実であろうかと思います。そこのところはそこのところとして、我々も循環的なものは見ていくつもりでございます。  同時に、経済全体というのは常に一〇〇%だれもが満足するようには、これは残念だけれども、なかなかならないもので、先ほど申し上げましたような常にリスクファクターというのを抱えながらやっていっている。私は、しかし、循環的なものはある意味でこれはなかなか消せないものでございます。ジュグラーという有名な方が、不況の最大の要因は好況である、好況の最大の要因は不況である、だからこれはもう循環は避けられないんだという趣旨のことを言っているわけでありますが。  我々は、やはりその点でもう少し、もう一つ注目しなければいけないのが私たちの潜在的な成長力がどのぐらい今あるのかと。潜在的な成長力を阻害するような要因、これがいわゆる負の遺産の部分、不良債権に象徴される負の遺産であります。それがどの程度取り除かれているのか、そこをやはりしっかりと判断しなければいけないと思っております。不良債権に象徴されるような潜在力の発揮を妨げるものについては、これはやはり一〇〇%片付いてはいないけれども、かなり良い方向に向かっているという点に関しては我々はそういう認識を持っております。  一方で、世界がすさまじい競争に向かい、IT革命が進み、その中でより前向きの潜在成長力を更に高めていくための改革というのは、これはまだまだ進めていかなければいけない。  日本の経済が置かれている状況は正にそういう状況であろうというふうに認識をしております。
  64. 山根隆治

    山根隆治君 突然ですけれども、宮澤元総理大臣とは御親交もあったかと思うんですけれども、人物評価、どのようにされていますか。
  65. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは谷垣大臣にお伺いされる方がより詳しいかと存じますが、やはり戦後日本を代表される政治家でいらっしゃって、特に経済面で非常に深い知識と経験をお持ちで、日本の経済政策の具体策について、それぞれその時々で非常に大きな貢献をなさってきた方でいらっしゃると思っております。
  66. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、竹中大臣財政や経済政策の面でおっしゃいましたけれども、要するに、戦後の占領期からどう日本が独立をしていくかというような過程につきましても、今生き証人の数少ないお一人ではないかと思っておりまして、そういう意味では戦後日本の政治、経済全体の設計に大きなかかわりを持ってこられた先達だというふうに私は思っております。
  67. 山根隆治

    山根隆治君 私も同様な認識です。その宮澤元首相が、今の政府は頼りたくても頼れないんだということをおっしゃっておりまして、「実際、政府は何もしていません。政策は当てになりません。十年やってこの結果なんだから、異存はないでしょう。」という非常に手厳しい発言もなさっていらっしゃいます。「何もしない方が、余計なことをするよりもまし」だというところまで言われていて、本当にこれ、だれのおっしゃったことなのかともう一回読み返しましたけれども、これは宮澤元総理が言われておられることなんですけれども、感想を聞かせてください。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 機会がありましたら是非直接お目に掛かって御指導を賜りたいと思いますが、御紹介の記事、もちろん全部読んでおりませんけれども、察するに、政府財政を通して積極的に需要管理というような形での介入はしていないと。財政赤字がこれだけ大きく、国債が累増している中で、そういう意味政府に何かしてくれというのを、もうこれ以上頼れる状況ではない、そういう中で、正に自助自立の精神の下で経済は運営されていかなければいけない、そのようなお話であろうかというふうに思っております。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も一度宮澤先生とよくその辺のお話をさせていただきたいと思っておりますが、ここに椎名先生がいらっしゃいますけれども、宮澤先生は、同時に、椎名先生のお父上がよく言っておられたということでおっしゃることがございます。それは、一利を興すは一害を除くにしかずということを椎名先生のお父上がよくおっしゃっていたそうでございまして、宮澤先生からよく聞いておりました。そんなことも併せて考えたいと思っております。
  70. 山根隆治

    山根隆治君 ちょっと話がとんだ方向へ行っちゃったんでございますけれども、私が申し上げたいのは、そうした皆さんが尊敬してやまない宮澤先生も、非常に日本の経済を憂慮されると同時に、政府の経済政策、このままでいいんだろうかという疑問を呈しておられるということだけは是非重く受け止めていただくべきではないかということを一つ申し上げておきたいというふうに思っております。  先ほど竹中大臣が、景気の回復についてはということで、遠慮がちながら、しかし心の奥からこの景気回復の局面は構造改革によるものだというふうなことを言わんばかりの御答弁がございましたけれども、具体的には構造改革によってどの分野でどのように景気回復に寄与されたということを御説明いただけるでしょうか。
  71. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 構造改革は幅広いものでございますし、いろんなものがその中に含まれていますから、また多くのことの積み重ねでございますから、この結果これが良くなったというふうな説明をするのはなかなか難しい面がございます。その上で、幾つか考えていることを申し述べさせていただきたいと思いますが。  日本の経済が非常に厳しい状況にあった一九九七年、九八年のころ使われていた一つの言葉がコンフィデンスクライシスという言葉だと思います。コンフィデンス、信認の危機。通貨というのはその信用を基にして成り立っている。価値があると思うから価値があるわけであります。その信認が揺らいでいるんだと。そうした問題が、その背景には当然銀行の不良債権の問題というのが非常に大きく存在していた。まだ全貌が分からなくて、一体この国はどれだけの不良債権を持っているんだという不安の中に、これは一般市民まで含めて置かれていた。そういう問題に関して、不良債権が、まあこれは検査等々を通じて正しく把握されるようになってきているだろうと。それをルールに基づいて今オフバランス化して、その意味でのコンフィデンスというのが非常にやはり回復してきたということは、これは私はやはり大きなポイントであろうかと思います。  消費を行うにしても投資を行うにしても、これは金利がどうだ、税率がどうかということの以前にコンフィデンスの問題があります。構造改革、とりわけ金融の再生を通してそのような基盤ができたというのは、先ほどの御説明ともかぶりますが、やはり大きなポイントであろうかと思います。  二番目は、やはり企業の部門が強くなってきているということだと思います。企業が歴史的に見ても高い収益を持てるようになった。もちろん、その過程でいろんなリストラ等々が行われたわけでありますけれども、これは単にコストを削ったというだけではなくて、損益分岐点をきちっと下げて、財務リストラを伴って、それによって競争力そのものを高めてきたと。選択と集中の中で、この間もまた税制も手伝ってRアンドDがしっかりと行われてきて、競争力が強まってきているということであろうかと思います。  日本の今の研究開発の税制に関しては、これは先行減税の中で行ったものでありますが、これは実はかなりしっかりと評価されている税制であろうかと思います。そして、何より企業の選択と集中を助ける制度としての様々な企業制度の改革がこの間に行われて、それが民間の努力と相まって企業部門を強くしたということだと思います。  気が付いてみると、小さなことの積み重ねではありますけれども、連結納税という制度ができたではないか。そうすると、持ち株会社制度の下で正に選択と集中を行えるような体制がその間できたではないか。再生のメカニズムについても幾つかの新しい法律が強化されたではないか。産業再生機構もできたではないか。  結果的に、象徴的に申し上げますと、やはり今、MアンドAが非常に増えている。MアンドAは日本の風土になじまないと言った方もおられましたが、この五年間で日本のMアンドAは二・五倍になっております。実は、このMアンドAを助けるための税制、商法関連の制度の整備というのが行われた。事後的に見ますと、MアンドAを行った企業の利益率は、そうではない企業よりもはるかに高い。そういう個々の積み重ね、企業の法制の整備、それを利用した企業の努力、そういうところが今のキャッシュフローの増加、それが財務のリストラも伴いながら設備投資の増加になってGDPを押し上げている。私はそのように認識をしております。  多々ございますが、象徴的なものとして金融の問題と企業の体制の強化の問題が挙げられると思っております。
  72. 山根隆治

    山根隆治君 経済環境の整備をされてきたと、税制の面、金融の面、そういうことでのお話だったかと思います。  しかし、構造改革そのものによって直接的な、この産業が元気になったとかということの因果関係というのはどうしても、今の説明にもございませんけれども、見ることができない。本当に、経済環境を整えることに努力されてきたことは間違った方向では決してなかったというふうに私思いますけれども、それが即、今の景気の回復につながっているとはとても私自身には思えません。  例えば、今、日本景気を引き上げている、牽引車の役割を果たしているのはデジタル家電だというふうに言われているわけでございますけれども、この業界、産業界についてもそうした、今お話のあったようなところ、直接的な因果関係というのは見ることもできません。やっていることは間違いだとは思わないけれども、それが今の回復につながっているとはとても思えません。設備投資が今盛んであること、それからアメリカ、中国への市場とのかかわりの中で景気の回復の局面というのは今も維持し続けているわけでございますが、非常に不安定な要素がたくさんあるということを是非御認識をいただきたいというふうに思っております。  時間でございますので、何か一言あれば御答弁いただいて、あと一分でございますので。
  73. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本の経済は、五百兆に及ぶGDPを持つ経済でございます。例えば、デジタル家電は大変好調でありますが、それだけでこの五百兆経済を三%成長させることは、これはできない話だと思っております。現実には、鉄、造船、そういう、一般には語られないけれども、今非常に高い収益を上げているところがある。その背景に、私が申し上げたような問題があるというふうに認識をしております。  ついでに申し上げれば、デジタル家電そのものも、実は技術開発も一つございますし、同時に、これまでのITに係る取組、日本は今IP電話で、ないしは携帯を通じたインターネットで、世界である意味で最大、世界で最もブロードバンドが多いアメリカに今迫ろうとしております。そういうこともやはりIT戦略本部等々の積み重ねであると思っておりますし、なかなか因果関係、これをやったからこれだということではないというふうに私も思いますが、やはり広範な改革の努力が芽を開きつつあるという点は、これは何とぞ御認識を賜りたいと思うところでございます。     ─────────────
  74. 円より子

    委員長円より子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大沢辰美さんが委員辞任され、その補欠として大門実紀史さんが選任されました。     ─────────────
  75. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、山根議員との質疑で、構造改革の結果、経済が良くなってきたという議論ありましたけれども、そういう話になると私も一言、二言、言いたくなるんですけれども、今日はちょっと具体的な問題で、世の中そんなに良くなってないよという点で、二点、無認可の保育所に対する消費税課税問題と足利銀行問題、具体的な問題をお聞きしたいというふうに思います。  最初に無認可保育所への消費税非課税問題ですけれども、これは三月二十五日の本委員会で取り上げさせていただきました。要するに、四月一日から免税点が一千万に引き下げられたことによって小規模の無認可保育所にも課税されるという問題です。ちなみに、認可保育所は社会福祉事業として非課税と、この問題を取り上げさせていただきました。これは、そのときも申し上げましたが、全国で無認可保育所というのは約七千か所あって、十八万人の子供たちが通っているということで、大変大きな問題です。  前回は、かなり議論した末、大変前向きな答弁をいただきまして、厚生労働省から、要するに、課税、非課税の基準の見直しについて財務省とも相談しながら厚生労働省として検討したいというふうに考えますという大変前向きな答弁をいただきました。  厚生労働省にお伺いしますが、その後の検討状況はどういうふうになっているでしょうか。
  76. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) お答えを申し上げます。  厚生労働省といたしましては、去る三月に検討を御答弁をいたしましたわけでございますので、認可外保育施設の保育料に対する消費税の取扱いにつきまして早速に様々な角度から検討を開始したところでございます。  今後、各方面から更に御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  77. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、すぐ検討を開始されたということに本当に敬意を表したいと思います。  ただ、これは税制の問題が絡みますので大変難しい問題が含まれていると思いますけれども、このとき、財務省とも相談しながらとおっしゃっていましたけれども、正式にはこれからだと思うんですが、事務方ではそういう財務省、税制の方とどんな形があり得るかというふうな相談とかはされておりますか。
  78. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘のように、税制の問題、なかなか難しい問題がございますので、担当課レベルではございますが、財務省といろいろ御相談をしている段階でございます。
  79. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、双方からお聞きしたら、事務方レベルですけれども、課長レベルで一回、課長補佐、実務者レベルでも二回、事務方レベルでの協議をされているということで、財務省の方もそういう協議に協力されているということで、大変、こういう、何といいますか、結構、木で鼻をくくった対応とか、そういう答弁が多い中で、そういう対応が多い中で、よく、この現場の方々が大変お困りになっている問題を、財務省、厚生労働省、双方がすぐ検討に入っていただいているというのは本当に評価をしたいというふうに思います。  厚生労働省としては、全体のスケジュールで結構ですけれども、どういうスケジュールの下に今そういう作業を進めておられますか。
  80. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) まだ検討に着手した段階でございますので、確たるスケジュールは申し上げにくいところでございますが、しかしながら、厚生労働省といたしましては、認可外保育施設の保育料に対する消費税の取扱いを変更するということになれば、いわゆる税制改正をお願いするということになるわけでございますから、その税制改正ということになれば、そういう要望の時期とか段取りとか手順というものがございます。そうしたスケジュール感を頭に置きながら検討を行っているというところでございます。
  81. 大門実紀史

    大門実紀史君 八月末に毎年各省からの税制改正要望が財務省に集められて、財務省でそれを検討していくと、そういう流れのことをおっしゃっているんだというふうに思います。  私、今財務大臣谷垣財務大臣にお聞きしたいんですけれども、結構官僚批判もすごいですね、国会議員批判もありますけれども。つまり、現場で困っている人の話を幾ら持ち掛けてもなかなかこう、さっき言いましたけれども、役人としてすぐ対応しようとしないとか、そういうことをよく批判されますけれども、私はこのケースではもう若手の官僚がすぐ相談を始めて、何とか現場で、子供を預けられている父母の方とかあるいは厚生労働省がもう頼っている無認可保育所の待機児童ゼロ作戦に組み込んで、いろんなことをお願いして、頼っている無認可保育所の方々、みんな見守っているわけですけれども、そういうことに対して積極的に対応されているこういう若手の官僚の方々について私は大変評価するんですけれども、その点だけ、一言、谷垣大臣、どういうふうに思われますか。
  82. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、御評価いただいて、どう御答弁しようかなと思っていたんですが、実は私は、今、北井審議官の御答弁を聞きまして、ああ、今そこまで行っているのかと。まだ報告は聞いておりませんので、まだちょっと何とも申し上げにくい段階でございますが、問題点は前回の三月のとき委員議論をさせていただいたところにあると思っておりますので、秋にそのような形で出てまいりましたら、これはきちっと検討しなきゃいかぬと思っております。
  83. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  この問題の基準というのは難しいのは私どもも承知しております。例えば、無認可といってもいろんなものがあるんですよね。一時預かり、ベビーホテル、あるいは本当に営利目的でやっているようなところもありますから、何もかも非課税というわけにはいかないというのはもうもちろんです、子供の安全が大事ですから。  そういう基準作りが大変難しいところだと思いますけれども、今、谷垣大臣、御答弁いただいたように、厚生労働省も財務省事務方も一生懸命作業しておりますので、現場の方々の要望も踏まえて、さらに、前回御指摘した私の意見なども踏まえてもらって、今後のスケジュール的になれば八月の税制改正、十七年度税制改正の出てくるところ以降の議論になると思いますが、是非積極的な対応をお願いしておきたいというふうに思います。  厚生労働省、ありがとうございました。これで結構です。
  84. 円より子

    委員長円より子君) 御退席くださって結構です。
  85. 大門実紀史

    大門実紀史君 足利銀行問題、残りの時間、お伺いをしたいというふうに思います。  竹中大臣にお聞きをいたします。  五月の二十八日に足利銀行の出資者十四社一個人が国と監査法人を相手に提訴いたしたわけですね。これは、優先株の価値が足利銀行の破綻によって失われたと。損害賠償十億六千五百万というのを求めて十四社一個人が提訴されたということです。  提訴の目的は、第一の目的は、自分たちが損害を被った優先株の損害そのものよりも真相究明だということをおっしゃっております。これは、この委員会でも度々、なぜ足利銀行が破綻に至ったのかと、この真相究明を、私だけではなくて、自民党の矢野先生も含めてかなり厳しく追及をさせてもらったわけですけれども、一向に最後のところが分からないことが一杯あると。地元では、やはりなぜ足銀が破綻にまで行ったのかということがいまだ県民の皆さん、あるいは北関東の周辺県の皆さんも疑問なわけですね。ですから、この真相究明を求めて提訴させる、単純に損害賠償じゃなくて、分からないと、なぜ破綻したのか分からないという提訴であるわけですね。  これはちょっと、ただの損害賠償とは違って、非常に重い意味があると思うんですね。今までやっぱり真相解明、いろんなことが明らかにされてこなかったんではないかというのが強く残っているためにこういう提訴になったと思いますけれども、竹中大臣のこの提訴に対する御感想をお聞きしたいと思います。
  86. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 提訴のことは、訴状が実は届いておりませんので、報道のみで知っている範囲のことでございます。  我々としては、これは預金保険法百二条、その背後にある銀行法もございますけれども、法令にのっとり適正に金融システムの強化、また維持強化のために政策的な対応を行ってきたつもりでございます。  どのような経緯でこういうことに至ったのかということに関しては、これは三号措置を講じているわけでございますから、銀行の中にも内部調査委員会が設けられておりまして、それによっての調査も今後進んでいくというふうに思っております。  まだもちろん結論は出ておりませんですけれども、我々としては、銀行の行政としては法令にのっとって適正に対応をしている。その上で、内部調査もこれはこれでしっかりと進めてもらいたいと思っているところでございます。
  87. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは、その裁判が真相究明を主たる目的とした裁判ということであれば、もちろん裁判の中で国会ではなかなか踏み込めなかった部分も含めて明らかになってくると思いますが、やはりこれだけの疑問が残っているということを重くとらえて、こんなこと初めてだと思うんですね。  りそなのときもそういうのがありましたけれども、この金融行政の中で、地元の人たちがなぜつぶれたのか分からないと、まだ分からない、疑問があるという事態は大変深刻な問題で、これは金融庁不信そのものになっておりますので、是非重く受け止めて、自ら分かることはどんどんはっきりと言っていただくことを今日は取りあえず求めておきたいと思います。  再三この委員会でもお願いしているのは、そういう中でも中小企業あるいは中小の旅館が、ホテルが今大変な状況にあるわけですので、その救済、再生を一貫してお願いしてきたわけですが、産業再生機構にお聞きをいたします。  マスコミ、新聞は時々先走った報道とか思い込みの報道をするのは私も知っておりまして、産業再生機構が温泉特化ファンドを作るというようなことがわっと報道されておりますが、私の理解は少し違いまして、産業再生機構の場合、今考えておられるのは個々の、あくまで産業再生機構の基本的なやり方というのは、個々の旅館なりホテルなり、例えば鬼怒川の温泉ファンドという話がずっと先行していますので、温泉でいいますと、個々の旅館、ホテルについてどう再生するかがまず一つの、第一の仕事。  ところが、温泉街という特別の形がありますから、その中の幾つかを、この前の参考人ではグルーピング化してという言い方をされておりますけれども、そういう形のことを考えておられるわけで、いわゆるファンドというのは、まあ言ってしまえば基金ですよね、出資を募って基金で再生をやっていくと。そういうことではないんじゃないかというふうに、私、産業再生機構の場合は思っているんですが、そういう誤解も含めて、ちょっと若干正確に産業再生機構が考えておられるそのグルーピング化のことを少しきちっと説明してもらえますか。
  88. 江崎芳雄

    政府参考人(江崎芳雄君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のような報道が出ておるということは承知をしてございますが、どの旅館なりホテル、一般的に申しますと支援対象先でございます。これがどうなるのか、個々の具体的なものが分からない、そういう段階で機構が出資等を行いまして例えば再生ファンドを作るといったことは産業再生機構法上不可能でございます。  それで、機構はどういうメカニズムで動くのかということでございますが、機構が支援対象先を決める、これが仮に旅館とかホテルでございますと、あくまでも一軒一軒でございます。個々の一軒一軒の旅館なりホテル、これの再生可能性があるのかどうかということを厳密に判断をすると。その上で、正に一軒一軒の支援の可否を決定をする、こういうメカニズムでございます。  その上で、ある程度時間がたちまして、複数の旅館なりホテル、こういったものが機構の支援対象先になったということに仮になったといたしますと、こういう個々の旅館なりホテルをばらばらに経営管理を行っていくということは大変非効率でございます。そこで、顧客から見ますと、それぞれの旅館なりホテルに今非常に独自性があるというのが大変、何といいますか、重要な魅力的なポイントでございますが、片や経営面といたしましては、もう少し全体をグルーピングをして、可能な部分はスケールメリットを働かせて一体化をしていく、こういうスキームも機構において検討していると、このように考えてございます。  ただ、いずれにいたしましても、機構は、冒頭申し上げましたように、一軒一軒の再生可能性を詰めてまいります。そうした中で、それぞれの個々の一軒一軒が大変厳しい競争に置かれておるわけでございますので、その中でどうすれば一番事業再生の実が上がるのかというスキームを、そもそも対象となります事業者、それから銀行等々と協議、相談をしながら一番最適なものを決めていくと、こういうことでございます。
  89. 大門実紀史

    大門実紀史君 そこははっきりしていただければと思います。  その場合、産業再生機構が、鬼怒川で申し上げますと、中小の旅館、ホテルもあるわけですね。ところが、中小の旅館、ホテルでもかなり、何といいますか、頑張っているところもあるわけですけれども、頑張っていても債務の方で大変だというところもあるわけですが、そういう中小の旅館、ホテルは産業再生機構の対象にならないということはないと思いますが、ちょっとそこもきちっと答えてもらえますか。
  90. 江崎芳雄

    政府参考人(江崎芳雄君) 先ほど申し上げましたように、支援要請がございますと、その当該事業者が再生可能性が高いのかどうか、細かく申し上げませんが、イグジットできるのかとか生産性とか財務構造の改善とか、そういう基準がございます、そういうものに照らして判断をいたします。  片や、事業者の規模でございますけれども、これは機構法でございますとか、それから産業再生機構は支援基準というものを政府が決めてございますが、その中で、中小規模の事業者である場合において再生支援をするかどうかを決定するに当たっては、当該事業者の企業規模を理由として不利益な取扱いをしてはならないということになってございまして、機構自身も、大規模であろうが中小規模でございましょうが、再生可能性がありまして、かつ基準を満たすということでございましたら全力で取り組むということでございます。
  91. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、経済産業省といいますか、中小企業庁の方のスキームで、栃木県の中小企業再生支援協議会と中小企業庁の間で中小企業再生ファンドということの検討準備が進んでおります。私は、再三そういうファンドを作って中小旅館等を支援すべきだと言ってきたのは、こちらの方のことをずっと提案してきたわけですけれども、このスキームが、そういうスキームができたとき産業再生機構とどうかかわるというふうになるか、もし分かることがあれば教えてください。
  92. 江崎芳雄

    政府参考人(江崎芳雄君) 各地で中小企業支援協議会、中小企業支援協議会はお金というものをたしか持っておらないと思いますので、その後ろに県等々がいろんなファンドをお作りになるという動きは出ておるという具合に聞いてございます。  そこの連携ということでございますが、多分、事業者の方から見ますと一番使いやすいものをお使いになればいい、そこは銀行とよく御相談になってお使いになればいいということであろうかと思います。  ただ、中小企業支援協議会、それから機構、その辺りの情報の連絡とか、そういうものはよくするようにということをいろんな場面で要請をされてございますので、その辺りは十分連絡はしていきたいと、このように思っております。
  93. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非これから具体化する中で双方協力してお願いしたいというふうに思います。  内閣府の地域再生本部の方にお伺いをします。  こういう温泉街の再生というのは、個々の旅館を何とか再生していくだけではなくて、地域全体の町づくり的なことも非常に重要になってきます。私、鬼怒川温泉に何回か行きましたけれども、決して町づくりとしては、町としては上手な町づくりしてきてないなというのを実感してきたところです。  具体的に、今地域再生本部がそういうことにかかわっていこうということが、動きがありますけれども、この点で、まず全体、簡潔で結構なんですけれども、この地域再生本部がそういうことにどういう目的でかかわって、どんなことがやっていけるのかというのを是非簡潔にちょっと説明してくれますか。
  94. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 地域再生本部の機能につきまして簡単に御報告申し上げます。  地域再生本部は、地域経済の活性化あるいは地域雇用の創造ということを特に地域の視点から積極的かつ総合的に推進するというために、内閣総理大臣を本部長といたしまして、昨年の十月に内閣に設置されたものでございます。本部としての活動は、地域からの声あるいは要望というものを踏まえまして、地域の再生に向けての取組を支援するということになっております。  昨年の十二月から一月にかけまして、地域再生構想の提案を募集いたしました。これに基づきまして、二月に地域再生推進のためのプログラムというものを決定いたしましたけれども、このプログラムの中では、例えば補助金を受けて建設した施設の転用など、百四十一に上る地域再生に向けた地域の活動の支援措置というものを定めております。これに基づきまして、五月十四日まで各地域でこうした支援策に基づきました地域再生計画をお作りいただいて、その認定申請を受け付けたところでございます。六月中、今月中の認定に向けまして、現在その審査を進めておるということでございます。  なお、五月二十七日、先週にも地域再生本部を開催いたしまして、地域再生の支援措置の拡充に向けまして、補助金改革等の制度改革の方向性というものも改めて示させていただいたところでございますし、また、今月、六月現在、こうした地域を支援するための様々な施策の改革につきましての地域からの御提案というものを受付を開始したというところでございます。  以上でございます。
  95. 大門実紀史

    大門実紀史君 足利銀行破綻問題というのは大変大きな問題でして、これについては、二百十幾つ出てきている再生計画ですか、地域再生計画ですか、いろいろあると思います。みんなそれぞれ要望があって重要な問題だと思いますが、とりわけ、この足銀問題でのいろんなところで起きている問題から考えると、これは特にそういう要望というのは重視してこたえていってほしいと思いますが、特に足銀での温泉街の問題、これについてどういうふうにお考えですか。
  96. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 先ほどお答え申し上げましたように、地域再生計画につきまして、認定の申請を先月、五月六日から十四日まで受け付けさせていただいたところでございます。この際に、栃木県藤原町から、鬼怒川・川治温泉「自分らしくなれる町」構想実現に向けての再生計画という名称で、地域再生計画としての認定申請が出されております。現在、この認定に向けた作業を行っておりまして、先ほど申し上げましたように、六月中の認定を目指して行っておるところでございます。  そうした状況ですので、詳細についての御説明は差し控えさせていただきたいと思いますが、この藤原町の再生計画は、ホテル経営者とか旅館経営者という方々のみならず、町全体が一体となって取り組んでいくという方向を打ち出されておられるということで、地域再生の趣旨も踏まえられて作られているものというふうに私ども考えております。  また、鬼怒川温泉の再生、御指摘の件につきましては、私どもの地域再生のみならず、産業再生あるいは都市再生といった取組と連携して行っていくことが効果的であるというふうに考えておりますので、こうした関係機関とも連携して取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  97. 大門実紀史

    大門実紀史君 手元に藤原町が出した申請計画があります。そちらでは教えられないとおっしゃいましたので、地元からいただきました。  かなり切実な中身ですし、やっぱり足銀破綻、その中で温泉街問題というのが大変な問題になっておりまして、個々には申し上げませんけれども、本当に頑張って、何とか鬼怒川温泉を個々の旅館の再生とともに温泉街そのものを活性化しようと、再建しようという大変中身もよく練られた計画だというふうに思いますので、是非地域再生本部、特段の、今までも実はいろんな相談に乗ってあげていただいているわけですよね。そういう点も含めて、この藤原町の申請が実現するように御努力をお願いしたいというふうに思います。  ちゃんとした答弁いただきましたので、もう竹中大臣に最後一言聞いて終わります。  こういう地域で、竹中大臣一つの信念があって足銀問題対処されたかも分かりませんけれども、結果として相当の人たちがこういう急激にいろいろなことに直面して苦しんでおられると。これは委員会でも分かるとおり、共産党だけではございません、もう超党派で各党がそういう地元の方の声を聞いていろんな対処を求めているというふうなことだと思います。私は、金融自身ももっとイニシア取って、竹中大臣ももっとイニシア取って、こういう地域の中小企業、温泉街、そういうことに対処していってほしいというふうに思うわけです。  この前の質問では切り分けの問題で、足利銀行の切り分けの問題で中小企業を簡単にRCCに送るといいますか、レッテル張るようなことをやらないでいただきたいということを申し上げましたけれども、更に進んで、そういう中小企業の再生、地域再生で竹中大臣のイニシアをお願いしたいと思いますが、そのことにコメントいただいて、質問を終わりたいと思います。
  98. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 足利銀行が債務超過に陥ったと、資本を復元できなくて破綻の申入れを行った。大変残念であり、遺憾なことであるというふうに思っています。私たちは、そうした事実を受けて、地域に対する影響を最小化するために実は三号措置を取ったんだと。これを、この点はまず基本として是非御理解をいただきたいと思います。そこで三号措置を取っていなかったならば、地域の経済というのはやはり私はもっと混乱をしていたんだろうと思っております。その上で、しかし我々は更に地域の問題に前向きに取り組まなければいけないという状況であると思っております。そういうことも踏まえて我々がイニシアチブを取って各省庁の連絡協議会を作っていただきました。  そもそもさかのぼれば、地域再生本部を作ろうということを言い出したのも、これは金融庁じゃなくて経済財政諮問会議の方でございますけれども、その意味では我々が地域再生が今重要であるということを最初にそのメニューとしてのせた、そのつもりでございます。こういう努力は引き続き続けたいと思いますが、個別のその足利の問題に、足利銀行の問題に関しても、これは本年二月六日に経営に関する計画が策定しております。そうした中で、足利銀行とも協議をしながら、債務者企業の再生等に積極的に取り組むということをこの中に明記をさせております。  同行の企業価値向上にもって努める。その再生に当たってはしっかりと査定を、自己査定を踏まえた上で再生可能かどうかということをしっかりと判断する。そのためには形式的な基準ではなくて、経営動態や定性的な面も重視してしっかりと再生可能性を判断する。再生可能性が認められるときには、高いと認められるときにはあらゆる企業再生手法を想定してその再生を図っていく。これは引き続き我々としては足利銀行の経営陣にしっかりと要請していきたいと思っておりますし、その意味で我々の方としても地域再生本部及び再生機構等々としっかりと連携をしていくつもりでおります。
  99. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 さっき宮澤先生の話が出まして、それで思い出したことがありますので一言申し上げますが、これ、竹中大臣も一、二度参加していただいたかと思いますが、イギリスの連中との対話というのがあって、あれをこっちで、東京でやると、そのときの総理大臣に必ず会いに行くことになっていた。宮澤総理のときに二十人ぐらい連れて官邸に行きました。  当時、日本の農産物の自由化の問題、米の問題がちょうどありまして、そうしたら、一体、米どうするんだって聞くんですね、イギリス人が。そうしたら、御承知のとおり、もうイギリス人より立派な英語で二十分ぐらいおしゃべりになった。何か質問ないかと言って、私連れていったので聞いたんだけれども、何か憮然とした顔して、ないなんと言って帰っちゃったんですね。で、終わりになりまして、外へ出てから、あなた方しゃべるの好きなのにどうして今日は何も言わなかったんだと言ったら、あれは難しいという話しかやらなかったと。総理大臣なのにどうするつもりか何も言わぬと、こう言って何か怒っているんですね。  それで私が思い出したのは、何かよその国の人の話ばっかりして申し訳ないけれども、ハーマン・カーンというのがおりましたね。あれ生きているときに割に親しかったんですが、あの男が言った非常に面白い言葉がありまして、これから先の人間社会の一番の困難、混乱はどこから来るか。そうしたら、エデュケーテッド・イン・キャパシティーだと言ったんです。つまり、教育を受け過ぎたために能力が無能力になると、人間が、ということを言ったんですね。これ、物すごく面白いんで、あなた面白いこと考えたねと言ったんだけれども。  結局、どう考えても宮澤先生の方はちゃんと言って、そして私が聞いていると、いや、まあいろいろ難しいけれども、もうこれは止まりませんよと、こう言ったと思ったんですよ。ところが、どうしてあんな怒って帰ったのかと。結局、両方の言葉が違うんですね、あれ。だから分からなかった。イギリス人というのは英語がうまいことになっているけれども、彼らのあのインテリと称する連中、エコノミストの編集長であるとかフィナンシャル・タイムズ何とかとか、何とかかんとか、偉いと言われる人がいたけれども、彼らの言語では理解できなかったんだろうと思うんです。  それを、またそれで今考え付いたんですが、これから日本の経済、景気どうなっていくだろうかという話はだれしもが関心を持つところですね。しかし、みんな何となしに不安だと、こう言うわけ。その時々に経済財政諮問会議か何かでいろいろおまとめになって出てきたり、あるいは財務大臣が何かおっしゃったりする。いや、もう今度は確実に良くなってきていると、こう言っても、本当にそう思っているのかねって、これ信用余りしていないですね、これ。  私、自民党辞めてから付き合いの範囲が広まって、前よりもいろんな人の意見が聞けるように実はなっているんですが、もちろん自民党の人と付き合いがなくなっちゃったわけでもない、これはそのままいて、選挙区なんかでも。あそこはまたいろんな人がいて、民主党もいるけれども、自由党という物すごいのもいて、あらゆる人たちがいるので、共産党も強かったし。  で、何かといったら、皆さんのおっしゃることはちょっと上等過ぎてみんな分からないんですよ、結局。一体どうするんだろうと思って、おっしゃること、こうなるだろうといっておっしゃることも分からないけれども、その方々が指導している政府の政策とかなんとか、あるいはお役所のやった結果、何か起きた、これも分からない。これは今おっしゃった足利銀行はなぜつぶれたのかいまだに分からぬと、こういう話はね。その話だろうと思うんですね。  だから、そこを何となしに霧を晴らすように、晴れさせるという努力をもう一段なさらないと、大変上手なところで、言葉を操って、こうなっていますと。これね、本当分かんないんです。それこそエデュケーションのレベルによって分かる言葉と分かんない言葉がある。ここらじゃ通用する言葉ってあるんですね。よそで聞くと、みんな何が何だか分かんないという言葉がある。それはお分かりになりますでしょう。  それから、ごく少数のエリート、本当のエリートがおしゃべりになっていることも、今度はそこらのお役所に行って、局長辺りはまあ分かるんでしょうから局長になっているんだろうけれども、そのちょっと下へ行ったら何だか分かんないという人もいる。大体二、六、二という割合だっていうんですね、すごく良くできる人と普通の人とできない人との割合というのは。どこへ行ってもそうなんですって。二だけで分かる話していると八が分かんないんですよ。だから不安なんです。  そこで、おとといでしたっけ、一度全部洗い直してみたらどうだというお話をいたしましたね。やっぱり一度やっておいた方がいいんじゃないかと思うんです。どれだけ本当に悪いのか、本当にいいのか。相当良くなっているけれどもまだ厳しいというようなお話というのはニュアンスに満ち満ちちゃっていて、このごろの当たらない天気予報みたいに、雲が多い、時々雨降りますけれども晴れ間も見えるでしょうと言われているようなもので、傘持っていくのか持っていかないのか、どうしたらいいんだねという感じがあるうちはみんな不安がなくならない。そうすると、何もかも手控えるということになって、ただ元気なのは、よその世界と接して、実際にやってみて完全に成功している産業ありますよね。これはもう自信があるからちゃんとやる。だけれども、そうでない人たちはみんな不安なんです。  ですから、そう言っちゃ悪いけれども、御自身の教育レベルというのは非常に異常に高いということを皆さんは自覚しなきゃいかぬ。そして、もっと少し下の人でも分かるようなことをおっしゃる、そのためには事実を示すのが一番いいんです。それをやらないで、いや、もう任せてくださいと、こう言っても、確かにテレビに出てきて、何か天気図がどうで、高気圧がこう来てこう来て、道具立てはいいけれども当たんないじゃないかという感じが付きまとっている間は日本の経済、本当に良くならない、構造改革もできないと私は思うんで、どうでしょうか。もうこれでやめます。お二人の感想聞かせていただきたいと思うんですが。
  100. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今日この委員会に出てくるに当たりまして、一昨日の椎名先生の御議論も読ませていただきまして、私、あれを読みましてすぐ思い出しましたのは、あの中でも引用されておられますが、平成十二年の四月に宮澤大臣にペコラ委員会みたいのを作って、全体、金の流れを見直したらどうだという議論をされておりますね。私、あれ非常に印象に残っていたものですから、てっきり私も、あのときは金融再生委員長をやっておったんですが、非常に印象に残りまして、てっきり私も委員会にいたんだと思って議事録を見てみましたらいませんでしたので、多分テレビで拝見していたんだろうと思います。  そのとき、一つは、ペコラ委員会というのはそういうところだったのかという、実は少し椎名先生が言っておられるのと違うとらえ方をしていたということもございます。それからもう一つは、やっぱり金の流れ全体がどうなっているのかというのをよくつかんでいかないと、物事が、頭が整理もできないし、いろんな施策もできないなんというのは全くあのとき共感したわけでございます。  その後、考えてみますと、やっぱり委員のおっしゃっておりますように、やっぱり金の流れがどうなっているのかということをめぐって我々いろいろやってきたんだなと。やはり間接金融から直接金融へというのでいろんなことをやってきましたけれども、まだこれは道半ばで、間接金融金融機関にリスクが集まるような構造が完全に直っているわけでもまだ多分、竹中大臣にしかられるかもしれませんが、そういうところはまだ道半ばなんだろうと思います。  それから、やはり財投改革とか郵政改革とか、いろいろやってまいりましたけれども、これも要するにあれだけの金が公的な部門に集まって、本当に効率ある使い方をされているんだろうかという問題意識で随分やってきたわけでございますし、また、今私どもが取り組んでおります特別会計みたいのがどうなのかというのも、政府に集まってくる資金をどういうふうに使っているのかと。これ、結局、今もう少し目線を下げて言えとおっしゃいましたんですけれども、やっている我々自身も群盲象をなでるようなところがありまして、あちこちの分野では必死に取り組んでいるわけでありますけれども、自分自身もなかなか全体像がすっきり頭に入っていないというようなことが、こういうことを申し上げるのは甚だ恥ずかしいことでありますけれども、しばしばそういう、ああ、そうだったのかと思いながら前へ進んでいるのが私の今の現実の姿でございます。  ですから、長い御経験からああいう全体の金の流れをつかめとおっしゃいましたけれども、私、そのとおりだと思います。さらに、そういう群盲象をなでると言われないように、全体像を視野に入れて、もっと、何というんでしょうか、かみ砕いてこなしていく努力を我々も更に求められているんだと思っております。
  101. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 貴重な御意見を賜ったと思っています。  ペコラ委員会につきましては前回少しお話をもう申し上げているので、後半特に言われた我々の対話の姿勢に関連する部分について申し上げさせていただきたいんですが、正直言って二つの思いがございます。  こういうところで議論する場合には我々なりに通じる一つのレトリックに基づいて議論がなされているんであって、それはそれで一つのやり方かもしれないけれども、それは一般の人々の魂に届く声ではないのだという御指摘は、これは大変やはり我々常に意識しなければいけないことだと思います。私自身民間人から三年前にこういう仕事をさせていただいて、そういう仕事を是非したいという思いで仕事をやってまいりましたので、本当に努力がまだまだ足りないのだろうと思います。改めてそういう姿勢で、何ができるかということは改めてしっかり考えさせていただきたいと思います。  実は、それに関連してもう一つのかねてからの思いがありますので、是非申し上げさせていただきたいんですが、それは、政策の専門的な議論は専門的な議論として、やはり引き続きしっかりとしていかなければいけないのだと思います。たまたま今骨太の方針をまとめようとしておりますが、この骨太の方針の例えば原案、これ普通の人が読んでも絶対分からないわけですね。これはこれでしかし非常に微妙な言い回しの中でお互いの合意を得るような形で作っていると。  問題は、こういうものをインタープリト、通訳、翻訳してくれる一つの層がこの社会にほとんどいないということなんだと思います。これ、こういうのを出すと必ず、骨太じゃなくて骨なしだとか先送りとか、これ発表した後のもうヘッドラインが目に見えるわけですね。ちゃんとやっぱり、ちゃんと恐らく理解してくれていないんですね、書いていることを。  それは恐らく、考えてみると、かつて上院議員だった、かつて政府の中にいた、しかし今どこかの新聞のエディターをしている、ないしはブルッキングス研究所の何か解説者をしている、そういう層がこの国にない。ここはやっぱり作っていかなければいけない、社会のインフラとして欠如しているということなのだと思っております。  先生がそういう役割を果たしてくださることを期待申し上げている次第でございます。
  102. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 お二人から大変に物が分かっているということが分かるようなことを言っていただいて、心強く思っております。とにかく若い方がちゃんとやっていただかないとどうにもなりませんので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  103. 円より子

    委員長円より子君) 椎名さんの含蓄のあるお話、もう少し伺いたいのですが、本日の調査はこの程度にとどめます。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  104. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小池晃さんが委員辞任され、その補欠として池田幹幸さんが選任されました。     ─────────────
  105. 円より子

    委員長円より子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長増井喜一郎君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  107. 円より子

    委員長円より子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦さんの出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  109. 円より子

    委員長円より子君) 金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。自民党の林芳正でございます。  この法案に質疑に入れることになったことを喜びつつ質問をいたしたいと、こういうふうに思います。  私、実は予算委員会の方でも何度か竹中大臣にいろいろと御質疑を差し上げてきた経緯がございますので、この公的資金制度、振り返ってみますといろんなことがあったわけでございます。昨年の予算委員会、平成十五年十一月二十六日だったと思いますが、またその一年前の、大臣金融担当大臣になられて直後の平成十四年の十月二十五日にも御質問をしているわけでございます。  平成十四年のときを振り返って、ちょっと議事録を持ってまいりましたが、この三月までは、というのはその年でございますけれども、御存じのように健全化法というのがございましたから、個別銀行の健全化ということでお金を入れることができたということでございますが云々と、こういうことでございますが、その後、システミックリスクというのを認定しないと入れられない仕組みになっておると、個別の銀行で起こったことが全体のシステミックリスクだということに法解釈上、大きく解釈され過ぎて、逆に市場にインパクトを与えてしまうというおそれがあるということが出てくるんではないかと、こういうようなことを申し上げて、そのときはいろいろ考えてみなければいけないというような御答弁でございました。  その一年後の昨年の十一月二十六日でございますが、いろいろもうこのときは検討が進んでまいりまして、私の方の質問は同じようなことでございましたけれども、大臣の方から御答弁をいただきましたのは、「銀行が危篤状態に、言わば危篤状態になったような場合は預金保険法百二条というものがあると。しかし、危篤ではないけれども、さりとて健康体ではないと、そういった場合、予防的に何か枠組みを考える必要があるのではないかということで、金融再生プログラムでもそういったことを検討しようということを掲げました。」と。その後金融審議会でいろいろ御検討いただいたということを御答弁いただいておるわけでございますが、そういうふうに、去年、おととしと御指摘を申し上げて、そのたびに検討が進んでまいった結果がこの法案だというふうに認識をしておるわけでございます。  振り返ってみますと、平成九年の金融システム不安というものがあって、十年に早期健全化法と八兆六千億の資本注入、そしてその後、恒久的な制度として、このとき私は答弁側でございましたが、預金保険法改正、そして百二条に恒久措置として継承ということだったわけでございます。  こういう検討の中で出てきたというふうに私は理解しておりますが、この法案の、今のいろんなことを踏まえながらここにたどり着いたということを踏まえてどういう役割を果たしていくのか、特に百二条措置とどういうふうに違うのかというところをまず御説明をいただきたいと思います。
  111. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 林委員におかれましては、まさしく九七年以降顕在化した様々な金融のシステム問題の中で、常にその中心におられていろんな知恵を出してこられた立場でいらっしゃるというふうに存じ上げます。それを踏まえて、御指摘のとおり、予算委員会等々でも公的資金の在り方について大変本質的な御質問をいただいたことを記憶しております。  その意味では、釈迦に説法という面もあるかもしれませんが、あえての御質問でございますので、これまでもいろんな枠組みがあったその中で今回の法案の位置付けということでございますけれども、例の早期健全化法は、経済の状況が現在とは大きく異なっていました平成九年秋以降の金融システムに対する急激な信認の低下、コンフィデンスの低下でありますとか貸し渋り問題の深刻化といった状況に対応するために、これは時限的に立法されたものでございました。その意味では、ジャパン・プレミアムの鎮静化でありますとか金融機関の貸出し態度の軟化等を通じて、その意味では当時の経済情勢下でそれなりの役割を果たしたものというふうに認識をしております。  この早期健全化法の資本増強の枠組みは、金融危機に対応する恒久的な制度として、その部分に関して平成十二年の預金保険法改正によって今の預金保険法百二条措置に継承されているところでございます。  そうした流れの中で、今回の金融機能強化法案でございますけれども、これは金融機能の強化を目的にする、経営改革を行って地域における金融の円滑化等、健全な金融機能を発揮し得る金融機関に対しまして我が国資本参加をするというものでございます。金融危機対応措置であるところの預金保険法百二条とはその意味では根本的に異なる目的を持っているものでございます。  特に地域金融機関においては金融システムの不安があるというような状況ではないんですけれども、地域等における金融が十分な安心感を持って円滑に行われているかというと、それはやはりまだ問題があると、その指摘はここでもいろいろ多々いただいていると思います。  そのために、もっと十分な安心感を持って円滑な金融が行われるためには、企業再生でありますとか不良債権問題への対応など、リスク対応のための体力を高めることが重要であると、そういう今の正に時代の要請があるというふうに思っております。  金融機関資本の自力調達が必ずしも容易ではない中で、こうした新たな公的資金制度を創設することによりまして地域における金融機能の強化に向けた金融機関の取組に対して公的な支援を行うということは、地域経済の活性化、金融システムの安定強化につながるものでありまして、結果的に国民経済的な意義があるというふうに考えているところでございます。  概要、今申し上げたような位置付けをしているところでございます。
  112. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  我が党の公約でございますが、改革宣言、政権公約二〇〇三にも、「不良債権問題が金融機関経営の健全性を損ね、自己資本の空洞化等が指摘される現状を踏まえ、不良債権処理を円滑化するための税制や、金融危機を起こさせないための新たな公的資金注入の枠組みを検討する。」と、こういうことを言っているわけでございます。  これを作ったときよりも数字的には大分上向きの数字が出てきたと。大臣の御苦労も大変だったと思いますけれども、ここまで来た中で、いわゆる「金融危機を起こさせないための」というのは、先ほど大臣答弁でいきますと、危篤状況にある人はもちろん処置をしなければいけませんが、さりとて健康体ではないと。ここもやはり中長期的には入れていかないと、どうしてもいろんな病気があるわけでございまして、交通事故でけがをして即入院、これは健康体の人にもあり得る。こういう危篤状態等あるんですが、もう少し、こういうことを自分で言うのも恥ずかしいんですが、成人病的な傾向のあるようなことというのはあるわけでございまして、やはりそういうところをそういうフェータルな病になる前にきちっとやっておく、そういうことのためにいろんなガイドをしたりするということもこれ必要なことではないかと、こういうふうに思うわけでございまして、そういった使い方を逆に言うとしてもらわないと、成人病になりそうな人に、あなたは体力が落ちてきたからもっと栄養を付けなさいと、こう言ってすき焼き屋に連れていくということでは困るわけでございまして、そういった意味では、効果がしっかりと担保をされる、なけなしの公的資金を、まあ上げてしまうというわけではないですけれども注入をするわけですから、こういう枠組みが非常に重要であるというふうに思うわけでございます。  そこでまず、この資本参加が地域における金融の円滑化に具体的に結び付くような枠組みというものが一つ重要ではないかと思いますが、そういうことに対しましてどういう仕組みになっておりますか、お答えいただきたいと思います。
  113. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、林委員が危篤ではないけれども健康体ではない状況という私の以前の答弁を御引用くださいましたけれども、本来でしたら、これ人間の体にかんがみても、そういうグレーゾーンにあるときは、ある程度の自然治癒力というのは持っているのだと思います。銀行でいうならば、その場合には自分資本調達をお願いしてそれでやっていく、ないしは少し時間を掛けてやっていく。  ところが、今、日本が置かれた状況というのは、引き続きデフレが続いている状況であり、またこれまでの経緯もあって市場における自己調達が非常に難しい状況、そういうかなり特殊な状況下にあるということで、時限的に今回のような措置が必要ではないのかというふうに考えているわけでございます。  今、林委員お尋ねの、今回の資本参加が地域金融の円滑化にどのように結び付くんだという御指摘、これは極めて本質的な問い掛けであると思います。  あえて二つに分けてみますと、そもそも資本増強するということ自体が実は銀行のリスク対応力を高めますので、リスクに対応していろんなことができるようになります。その中には貸出しを増やすというのもありますし、企業再生をもっと積極化させるというものもありますけれども、そういう資本増強そのものがリスク対応力の増大を通じて金融の円滑化に資するというそもそものやはり効果があると思います。  同時に、今回の制度におきましては、これは国の資本参加に当たりましてある種の条件といいますか、を付けているわけでございます。信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策というのを具体的に記載した計画の提出を求める、地域における金融の円滑化等が見込まれるどうかを厳正に審査をする、ここがもう一つの、二番目の重要なポイントになろうかと思います。その際、重要なのは、地域経済の活性化のためにはやはり多面的な取組が必要だということだと思います。  したがって、一律に何かを求めるというのではなくて、活性化の方策、それが進捗しているんだということが外部から評価できるような指標も計画に盛り込むところを求めているところでございます。  例えばですけれども、中小企業あるいは地元の企業に対する信用供与の総資産に対する割合がどうかというのも一つの可能性だと思いますし、その他の指標も組み合わせて、そうした実績を公表して、パブリックプレッシャーの下で正に金融の円滑化を目指してもらう。その上で経営強化計画の履行状況を明らかにしてもらって、さらに必要があるときは、これは履行の確保に向けた監督上の措置も発動をする。そういうことを組み合わせることによりまして、地域における金融の円滑化や中小企業の再生が図られていくものというふうに考えております。
  114. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  資本参加をしないところにも、今度はリレーションシップバンキング・アクションプログラムということで情報公開等はお願いしていくことになるわけですが、正にここはもう資本参加するわけですから、株主としてもそういうことを徹底をしていっていただきたいと、こういうふうに思います。  もう一つは、これよく言われていることですが、結局はお金を、資本参加するということで経営陣のモラルハザードというものが惹起をされるんではないかと。結局、これはアメリカのSアンドLのときにもあったことでありますけれども、結局、経営をきちっとしなくても、最後はセーフティーネットで預金者保護は行われるんだということがやっぱり経営者のモラルハザードにつながったということが指摘をされておるわけでございまして、これは非常にある意味では重要なポイントだと思いますが、この面ではどういう対策になっているか、お伺いしたいと思います。
  115. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今回の措置は、デフレが続き自己資本調達がなかなか難しい、しかし、一方でマクロ経済が良い方向に向かう中で地域経済を活性化させたいという非常に強いニーズがある、したがって国の資本参加に期待するところが大きい、そういう状況下で我々法案の提出をさせていただいているわけでございますが、同時に、やっぱりその際に一つ大きな問題になるのは、委員指摘のようなモラルハザードの問題でございます。本来、自ら経営努力を行うべき金融機関がこうしたモラルハザードに陥らないようなシステムをしっかりと組み込んでおかなければいけないと我々も考えております。  そこで、我々の措置としましては、国の資本参加に当たりまして、まず第一に、収益性、効率性等の向上が見込まれること、これが条件であります。地域における金融の円滑化が見込まれること、これも第二の要件でございます。こうした要件を厳正に審査するほか、さらに合併を始めとする事業再構築を求めるといったような形で金融機関に対して厳しい自助努力を求めるという枠組みにしております。その上で、モラルハザード防止の観点から、申請を行う金融機関の自己資本状況でありますとか、合併等の抜本的な組織再編を行うか否かといったこの経営改革の内容に応じて適切に経営責任を明確化するという仕組みにしております。  もう少し具体的に申し上げますと、自己資本比率が、これは基準値未満の金融機関の場合には、国の資本参加時にこれは経営陣の責任を厳格に追及いたします。合併等を行わない場合には、経営改革の確実な実行を期すために、経営陣は収益性等の目標数値を掲げてもらって、その達成に厳格な言わば結果責任を負っていただく、そうして経営に当たっていただくという仕組みにしているところでございます。  ただ、もう一点、この点に関して重要なのは、この新たな公的資金制度といいますのは金融機能の強化を目指すというものでありますので、その申請自体について懲罰的な経営責任を問うべき性格にはない、この点もやはり重要なポイントであるというふうに思っております。
  116. 林芳正

    ○林芳正君 そういうことで、いろいろこの枠組みを決め、また事後チェックも掛ける、場合によっては経営責任も問うていく、こういう仕組みになっているということでございました。  そこで、実際にこれ、法案が成立して施行されますと、申請を受け付けていくということになるわけでございます。どうしても、事前にいろんな今おっしゃったような基準を作って、こういうものを出しなさい、これはこういうふうに要件を決めますということになっても、全部、例えば数字一けたまで、ここからは良くて、ここからはいいと、こういうわけになかなかいかないところがあると思いますし、最終的には行政当局の判断というものも残ってくるところが出てくると、これは当然のことだと思っておりますが、その際に、これ当然の、このことだけではなくて、あらゆることはそうでございますけれども、公正かつアカウンタビリティー、事後きちんと説明できるだけの、濃い、内容の濃い審査をしていかなければならないし、その審査の信頼性というものが問われてくるというふうに思います。  そういう、ちょっとロジといいますか、手続的な観点からどういうふうに工夫をされておられるのか、お伺いいたします。
  117. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今御指摘がありましたように、今回の制度というのは金融機能の強化を図りたい、そのために必要があれば国が資本参加をする、その資本参加をするには要件を決めて審査をするということになります。その審査との関連で、とりわけ我々行政当局の公正性と透明性というのが大変問われるというふうに我々も考えております。  大きく分けて、その公正性、透明性を確保するために二つのことがある、二段階あるというふうに御理解を賜りたいと思います。  まずは、経営改革を行い、地域において金融機関の強化をすることのできる金融機関に対して資本参加する、その金融機関の選別に必要な審査基準等については法令等に可能な限り明確に規定するという努力を行っているというところでございます。具体的には、申請金融機関には、収益力改善等に向けた経営改革の内容でありますとか金融の円滑化に向けた取組等を盛り込んだ計画の提出を求め、その上で、収益性、効率性等の向上が見込まれること、さらに地域における金融の円滑化等が見込まれること等、この法令に定めた要件を厳正に審査するということにしております。また、合併を始めとする事業再構築を求めるといったこと、これも規定をしまして、金融機関に厳しい自助努力を求めているところでございます。  第二の点としては、さらに、収益性等の数値目標やその裏付けとなるビジネスプランの妥当性でございますとか実現可能性については、これは原則として民間有識者から成る審査会の意見を聴くということにしております。このように、外部の客観的かつ専門的な知見を活用するということも重要なポイントになると考えております。
  118. 林芳正

    ○林芳正君 冒頭申し上げました、最初の資本注入やりました横並びのときの、いわゆる佐々波委員会というお名前が出て有名になってしまいましたが、あれは最初だということもあって、なかなか世間からの佐々波委員会を見る目は冷たいものがあったと我々も思っておるわけでございまして、今度は、いろいろ時代の認識も変わってまいりましたし、いろんなことがもう既に起こっておりますから、まあああいうことはないと思いますけれども、このロジの仕組みもきちっとやっていただくということを重ねてお願いをいたしておきたいと思います。  そういうことで、これ是非やっていっていただきたいと、こういうふうに思いますが、この後の話を少ししていかなければいけないと思いますのは、先ほどお話がありましたように、危篤状態の人が、先ほどの百二条というものがありますが、あえて健康体ではないというような人についてもこういうことをやっていくと。  じゃ、健康体に戻ったらそれでいいんだろうかという問題があるわけでございます。まず健康体に戻ってもらわなければいけないという意味では、この法案や、それから主要行については例の金融再生プログラムでこれ目的がもう達成されつつあると、主要行ですね。それからリレバン、先ほど触れましたように、機能強化をしていただくと。元気にまずなってもらう、健康になってもらうということでは、これを合わせて相当なところまで来ているんではないか、特に主要行はですね。こういうことで、一応健康体に戻ってもらうということ、これを最後まできちっとやっていただきたいと。その取組について御決意を伺いたいというのがまず第一点でございます。  そして第二点は、じゃ健康になったらもういいのかと。昔の健康体に戻ったら、今のようなもっとハードルが上がった激しいメガコンペティションの時代にやっぱり金融機関は生きていけるのかというと、やはりそうではないんではないかというふうに思うわけでございます。  大臣の前の柳澤大臣の時代だったか、記憶がちょっと明確ではないですが、金融システムの将来ビジョンということをまとめられた記憶がございます。そこには中期ビジョンとして産業金融モデルというのと市場金融モデルということを少し理念型として出して、将来はやっぱりいろんな、今ある主体がそのまま同じ仕事をやるということではなくて、同じプレーヤーかもしれないけれども、担う機能がそれぞれ変わってきて、複層的にいろんなことをやってもらうと。その中で、やはりこの産業金融モデル、いわゆる間接金融的に銀行がローンで貸すというだけではいけないんだというような趣旨であったかと、こういうふうに思いますが、正に今から、健康に戻った後、新しい筋肉を付けるといいますか、新しい運動能力を付けていくというためには、その次にどうしていくかというモデルが必要になってまいりますし、今やることもなるべくそこへつながるようにやっていくということが非常に大事だというふうに思います。  産業構造がやはりキャッチアップ型でなくなってきたということは、欧米のような新しいことを何年か遅れでやればいいという時代ではなくなってきたということであろうと、こういうふうに思います。そうすると、いわゆる試行錯誤で次はこうだということをいろんな人がいろんなことを試してみる、そういうものにファイナンスを付けるということになると、やはり市場金融モデルというものが非常に大事になってくるんではないかと、こういうふうに思っておるわけでございます。  ですから、ちょっと長くなりましたけれども、今、健康体に戻すということをどうやっていくのかということと、それに併せて、次のビジョンをどういうふうに考えていくのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  119. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 林委員から正に大変良い時期に良い御指摘を賜ったというふうに思っております。  まず、今の不良債権処理に関しましては、御指摘のとおり、来年の三月期にはその決定したときの八・四%の半分程度にということを目指して今やっておりますので、これは、決意を述べよということでございましたですけれども、これはもう強い決意でしっかりと是非実現をさせていきたいと思っております。  その上で、じゃ、その先を一体どうするのかという非常に重要な御指摘でございます。バランスシートが一応良くなったとしても、更に収益性、成長性、そういうものを求めていかないと、そういった革新力を持たないと、世界金融環境、日々刻々と進化しているわけでありますので、これはこれでまた次の時代に対応できない。我々もそういう非常に強い意識を持っております。  今日、たまたま夕刻の経済財政諮問会議で骨太方針を答申することになっておりますが、その中で今御指摘いただいたようなことに対する一つのお答えを提示させていただいております。  一つは、金融再生プログラムは来年の三月を目標としておりますので、それ以降のポスト再生プログラムについて今年じゅうにしっかりと議論をして取りまとめるということ、これはもうやはりどうしても必要なことだと思っております。そしてその際は、今御指摘いただきましたいわゆるビジョン懇、これは蝋山先生が中心になってまとめられまして、実はこれが答申された日というのは、これはたまたま私が金融担当大臣に就任した日でございます。平成十四年の九月三十日でございますけれども、そこに示されている御紹介のありました市場金融モデルというのはやはり非常に重要な基本的な理念、考え方であろうと思っております。  是非、幅広くこれは御議論を賜りまして、特に収益力をどう高めていくのか、どのような革新力、変革の力を持っていくのかということに焦点を当てて、しっかりとしたプログラムをお知恵を拝借しながら作っていきたいと思っているところであります。
  120. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  実は、私は十年以上前に留学をしたときに、ボストンの銀行にお金を振り込むんですね、学費を。そうしたら、ちょっと行く二週間ぐらい前に銀行つぶれましたといって、そんなことがあるのかと、あのときはびっくりいたしましたけれども、その後すぐ預金保険かなんかで大丈夫ですよと言われた覚えがあって、はあっと思ったのがもう今昔の感があるぐらい、ある意味ではいいことも悪いことも随分キャッチアップをしたわけでございますので、椎名先生のお話ではありませんが、そういうことをいろいろやっぱり考えて今からやっていくということが、金融は手段でありますから、手段がしっかりしないと目的も達成できないと、こういうふうに思いますので、是非大臣におかれても頑張っていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  121. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  この金融二法案、たしか私の記憶が正しければ、四月の二十三日に衆議院通過しまして、その間一か月ほど、どうもどこで遊んでいたか知りませんがぶらぶらしておったということであります。  私は、実は国対の方もやっていまして、実はこの法案はもうなくなったんじゃないかと、ほぼ確信に近いものを持っておりましたけれども、いろんな意味で法案が山積みになっているばたばたの最中のところにゾンビのごとく復活してきまして、私はふざけていると言ったんですが、実はそのふざけていると言うべき先が、与党に言うべきか、我が方の国対に言うべきかを非常にちょっと迷ったところもありまして、いろいろ言いたいことはございますけれども、事情が、その背景にあるものが一〇〇%理解できてないつもりでありますから、ちょっと複雑な気持ちで今日質問に立ったということをまず一番最初にコメントをさせていただきたいと思います。  その次に、法案の質問に入ります前に、この間、UFJの不良債権比率についてということで、私の質問に関して理事会扱いになりまして、資料が、その理事会の扱いになった問題についての資料が出てまいりました。これは我が方の大塚理事がかなり頑張ってこれだけの資料にしてもらったということで、私もこれは受け取ったわけであります。  ただ、依然としてこの問題に関しましては、UFJというのは主要行の一行である、それから特別検査も入っている、通常検査もしっかり入っている、それから銀行の資産査定もしっかりしていたはずだ。にもかかわらず、これはこの間の繰り返しになりますけれども、本来であればほかの銀行と、主要行と同じく不良債権比率というのは下がっていなくちゃならない、それから不良債権額も本当は減少していなくちゃならないという中で、十五年九月期に比べてどんと上がっているという、ちょっとやや異常な事態だと思います。  先般の答弁の中で竹中大臣は、不連続というのはあるんだというふうにおっしゃっていました。私もそうだ思います。ただ、不連続はあるんですけれども、これは合理的な範囲でなくちゃならない。その合理的な範囲を超えますと何か理由があるはずなんですね。私は、今回のいろんな数値を見ますと、これはやっぱり不連続でありますけれども、その合理的な範囲を超えるんじゃないだろうかと思っているわけです。  そうすると、合理的な範囲を超えるときの理由とすれば、やっぱり金融庁の査定の仕方に今までどこか問題があったというのが一つ考えられるし、それからもう一つはUFJの今までの検査の対応の仕方にどこか問題があった。いずれもこれは大変な問題であって、銀行の信用の問題とか検査の問題にかかわる問題なんですね。これは前回も言ったとおりです。いずれそこの問題については、これ以上今日話しても、また個別の金融にかかわる云々という話で、話は一歩も進みませんので、いずれこのUFJの問題につきましては寺西前頭取を是非この委員会に呼んでいただきまして、我々いろいろ聞きたいと思いますので、是非理事会の方で後で協議をお願いします。
  122. 円より子

    委員長円より子君) 後日、理事会で協議いたします。
  123. 平野達男

    平野達男君 ということで、いよいよもってこの金融二法案のちょっと審議に入らせていただきますが、まず、今回のスキームなんですけれども、資本参加という誠にいい言葉使っていますね、今回は。資本参加というのは別な言い方にすると資本注入ということになるわけですが、従来、資本注入、資本注入という言葉を使ってきて、今回は資本参加という言葉に今まず言い換えているわけです。  そこで、まずはその資本注入なんですけれども、法律的には金融安定化法がその枠組みを作った最初だったというふうに理解していますが、それを受けた後に、それを受けて早期健全化法というのができて、それで金融安定化法、早期健全化法に基づく資本注入を受けた金融機関というのが結構な数に上っているわけです。それで十二兆、この資料によりますと、これは財政金融委員会調査室が作った資料ですけれども、増強額は、この二法に基づく増強額というのは、失礼しました。これにはあれも入っていますね、百二条の一号、りそなの、預金保険法の百二条の一号のりそなに対する資本注入も入っていますが、これも含めて十二兆三千八百億というような数字になっています。  その一方、あと付け加えますと、組織再編法というのがたしか去年できまして、これに対する実績が一件あるということなんですが、これは全体の例からしますと、これはちょっと捨象しますと、今までのいわゆる公的資本注入のイメージというのは、どこか問題がある金融機関を救うという、そういうイメージが非常にもう定着しているわけです。今回それを資本参加というふうな位置付けになっていますが、イメージがもうどうも、金融機関救済だよというイメージがもう社会通念として広く行き渡っている中で、例えば今回の法律の中では申請によって資本注入をお願いしますというようなスキームになっていますが、そういうイメージがある中で本当に銀行が申請してくるんだろうかという素朴な疑問が一つあります。  そこで、まず、国民の間にそういう一つのイメージができ上がっているんじゃないかということについての竹中大臣のコメントをちょっと冒頭にいただきたいと思うんですが。
  124. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 冒頭で、本法案が、平野委員のお言葉によりますとゾンビのようによみがえったということでございますが、我々としては、これ本当に今の日本の、特に地域状況考えますと大変重要な法案であると考えて提出をさせていただいておりますので、是非御審議を賜りたいというふうに存じます。  冒頭の御質問はイメージの問題であります。これはイメージですから、いろんなイメージがあろうかと思いますが、基本的に、これまでの資本注入、これは預金保険法百二条のシステミックリスク対応を前提としたイメージというのは、正に必要があって、資本が圧倒的に不足して、資本の注入を余儀なくされたというようなイメージがこれはもう間違いなく定着しているのかと思います。  しかし、今回我々は、であるからこそ、いろんな場で申し上げているのは、これは金融機能を健全に発揮し得る金融機関に対して国が資本参加するんだと、そういう意味での危機対応のものとは根本的に違って、今の現状に前向きに対応するために、したがって時限のものであり、そういう趣旨とは違うのだということをいろいろと説明をさせていただいているつもりでございます。  この点はイメージでございますから、いろんなイメージお持ちの方もいらっしゃると思いますけれども、一時資本を、国の資本を受けて、それを返して、今グローバルなトップテンに出ようというような前向きの金融機関も現実には存在をしております。そこは我々としてはこの法案の持っている前向きな趣旨をいろんな場で御説明をさせていただきながら、その趣旨を、本来の趣旨を御理解賜れるように努めていきたいというふうに思っているところでございます。
  125. 平野達男

    平野達男君 私が懸念するのは、法案の趣旨は多分銀行も理解すると思います。銀行も理解するんですけれども、いわゆる銀行に対するいろんな風評、評価、そういうものをやっぱり金融機関が非常に気にするんじゃないかと。そういう中で、今、先ほど言ったような公的資本注入ということに対する負のイメージがあるという中での、金融機関が果たして本当に申請という形で手を挙げてくるんだろうかという、まず冒頭、そういう大きな疑問があるということをちょっと申し上げておきたいと思います。  それで、法律の条文の定義についてちょっと冒頭確認しておきます。  通告申し上げたものとちょっと順番を変えますけれども、「金融機能の強化を図るため」というふうにこれは第一条の目的にありますけれども、この金融機能の強化というのは、具体的にはここで、この法律の中で入れてあるのは、資本増強しましょう、国が資本参加しましょうということと、あと合併というのが入っていますね。ところが、合併は組織再編法の中でもうその手続が決まってしまっていまして、実はこちらの法律の中では、資本増強、つまり組織再編法の中では、下がった部分をちょっと補てんするというのが組織再編法なんですけれども、それよりも、上げる部分を多分この新しい金融機能強化法の中でカバーしているんじゃないかなと理解したんですが、この金融機能の強化というのは具体的にどういうイメージというふうにとらえればよろしいんでしょうか。
  126. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答えいたします。  金融機能の強化ということでございますが、これは基本的には地域金融の円滑化というか、それから資金の仲介機能、そういったものが高まると、そういったことではないかというふうに考えております。
  127. 平野達男

    平野達男君 そうすると、合併はこの言葉には入らないんですね。
  128. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 合併というのは、金融機能の強化ということの御説明を今申し上げましたが、合併というのは、そういう、何といいますか、行為といいますか、そういったものでございますので、合併が金融機能の強化ということではないというふうに考えております。
  129. 平野達男

    平野達男君 そうすると、この中での手段として、具体的な手段としてあるのは資本注入だと。これは当たり前の確認なんですが、そういう理解でよろしいですね。
  130. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 具体的な手段としての資本注入というのはそのとおりだと思います。
  131. 平野達男

    平野達男君 それじゃ次の、それを確認した上で次の質問に移りますけれども、先ほど竹中大臣の御答弁の中で、本来であれば、資本注入、要するに資本調達は市場でやるんだと、ところが、今デフレその他の、経済状況が必ずしも芳しい状況にないと、だからそれができないんだということでした。  そうしますと、今回の対象とする金融機関は、本来であれば、市場が健全であれば、市場資本調達ができるような金融機関を対象にしているんだという理解でよろしいんでしょうか。
  132. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは基準値未満の銀行の申請も今回は認めているわけでございますので、これはケースとしては多々あろうかと思います。ただ、いずれにしても我々としては、それによって金融機能が強化される、そして銀行経営そのものがサステーナブルであるということを確認しないと我々としては資本参加はできないということになります。  マーケットにおいてどれだけの、レート・オブ・リターンを求める場合に、民間からの資本出資が可能かということは、これは別途また厳密な議論が必要かというふうに思いますので、厳密に必ず市場で調達できると言い切れるかどうかは分かりませんが、いずれにしても我々としてはサステーナブルなものでないと、これは政府としても資本参加はできないというふうに考えます。
  133. 平野達男

    平野達男君 言葉の問題にちょっとこだわりたいと思いますけれども、本来であれば、銀行が資本増強をするというのは、市場から調達するというのがこれは原則でありますね。ところが、先ほど竹中大臣お話の中では、そういう状況に必ずしもないんだと、できる状況にないんだと。金融機関は、本来であれば、景気が普通の局面にあれば資本増強する場合に市場調達ができるんだと。それができないために、今回のようなスキームを三年限りの時限措置で用意したんだという、そういう御説明だったと思うんです。  だから、それを素直に解釈してしまいますと、もうちょっと景気が良ければその資本増強は市場調達でできるような金融機関、逆に言えば、今状態が悪いために資本増強を市場でできないような金融機関、それをこの法律の中で対象するんだという、まあ半分言葉遊びみたいな形で恐縮なんですが、そういう整理でよろしいんでしょうか。
  134. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 余り細かいことを言って議論をややこしくしてもよくないと思いますので、原則としてはそのような考え方だという御理解を賜って結構だと存じます。  ただし、今委員景気が良くなればというふうにおっしゃいましたが、これは循環的に良くなるということではないと思います。  今資本調達がなかなかできないような状況はなぜ続いているかといいますと、一つは、このデフレ等々、出資というものに対して非常に人々がちゅうちょするような状況があるというのが第一点。もう一つは、これまで日本金融機関が様々な問題を抱えてきて、計算上は将来この金融機関は良くなるかもしれないんだけれども、数年前のことを考えるとやっぱりちょっとちゅうちょするよねというような、そういうセンチメントがまだあるということ、そういうことを踏まえて総合的に御判断をいただく必要があると思います。
  135. 平野達男

    平野達男君 それじゃ、引き続き、この問題は要するに申請主義ということに密接に関連していると思いますんで、質問を続けたいと思いますけれども、私はこの間の本会議の中で金融機関というのは大きく二つあるんじゃないかなというふうに申し上げました。  一つは、財務指標なんかを見たときにも結構健全だと、極めて健全とは言わないけれども余り問題はないと、それから企業マインドに非常に富んでいて、何とかうちの銀行が地域の経済の活性化に役立てたいと思っているような経営スタッフがそろっていると、そういう銀行ですね。片や、財務指標上は一応基準値はクリアしているけれども、何かどうも怪しいような銀行、怪しいようなと言ったらあれですが、不良債権処理というのもどうも余り進まないというような金融グループ。二つあるんじゃないかなと。  私は、その前者のグループというのはそもそも、これ後でいろいろお聞きしますけれども、経営強化計画といったものを作って、場合によったらもう経営者責任までの規定までを入れて、しかも金融庁さんの厳しい検査を受けて、そんなことまでやって資本注入の申請するんだろうかと。もう元々そういうふうに財務指標も非常に健全で経営のマインドに富んだ金融機関というのは、そもそもこんな法律相手にしないんではないだろうかという感じをまず持っているわけです。  そうすると、残っているのはやっぱり後者のような金融機関がやっぱり来るんじゃないかということで、ちょっと本会議において質問したんですが、どうも答弁が、弱小金融機関に対する救済じゃないかという問いにすり替えられて答弁されたものですから、まずその二つに分けてとらえる見方と、やっぱり一般的にこの金融機関、この金融二法案を利用するような金融機関というのはどんな金融機関なんだろうかという、漠然としたイメージでいいですから、竹中大臣にちょっとコメントをいただければ幸いですが。
  136. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 答弁が不十分で大変申し訳ございませんでした。  金融機関、大きく二つに分けられるかという問題はございますが、議論を分かりやすくするための一つの例ということでお尋ねだと思いますので、委員がおっしゃる健全なというのは、例えば非常にリスクを先取り既にしていて、最低限必要な評価ではなくて、もっと踏み込んだ資産の評価、引き当てなんかも行っていて、財務の健全性が非常に強いところ、そういうところが申請してくるのかどうかと、端的に言えばそういうお尋ねであろうかと思います。  これはケース・バイ・ケースであろうと思います。更にリスクを先取りしたいと思う場合もございますでしょう。それは将来に対するリスク、その変動要因をどのように経営者が見ておられるかということだと思います。さらには、その地域がどのようなリスク要因をはらんでいるかということとも関連するかと思います。したがって、そういう場合はあり得ると思います。  また、同時に、この地域が、自分財務基盤は、銀行としての財政基盤は強いけれども、地域そのものに潜在的な資金需要があって、それを更に体して、自分としては貸出しを増やしていきたいと思っている、しかし自己資本比率等々の規制を考えると量的にこれ以上増やせない、その場合には量的な拡大を行って地域金融を円滑化させるために申請するということも、これは理念上はやはり考えられるということだと思います。  したがって、一の分類、委員のおっしゃる一の分類は要求してこないということではないと思っております。
  137. 平野達男

    平野達男君 私は、先ほど言いましたように、まずこの法律案全体を見ますと、経営強化計画を作るわけです。その中にいろんな指標を入れて、例えば収益、効率性等の数値目標を決めなさい、それからあと、責任ある経営、数値目標を達成するための方策とかということで事細かにまず記述、書かせる内容になっています。しかも、先ほど言いましたように、抜本的な組織再編成を伴わない場合においては、もしその数値目標が達成できない場合についてはこれは経営責任を取りますよというような規定まで入っている。しかも、株式等の引受け等の決定の参加要件は九項目ありまして、後でこの項目についてちょこちょこっと聞いていきますが、なかなか、これ見ますと、厳しい要件が掛かっているんですね。  それから、あともう一つ、その上でもう一つ言えば、冒頭で言いましたように、資本注入を受ける銀行というのはどういう銀行だろうかという社会イメージがもう一つある。これだけのハードルがあって、どの銀行が要するにこんなものに参加してくるんだろうか、よっぽどの事情がないと国の資本参加なんか求めてこないんじゃないかという気がしてしようがないんです。  それで、銀行は、これ金融庁さんにいろんな審査を受けるのは、好んで審査を受けるでしょうか。これ、金融庁さんと銀行というのは非常に仲がいいのでしょうかね、特に都市銀行。しかも、これ地方銀行ですよね。ふだん余り金融庁さんとは直接のお話も余りしたことないんじゃないでしょうか。そういう銀行が、こういう要するに計画書を持っていって、お金を下さい、資本注入してくださいということを言うには、よっぽどの事情とよっぽどの覚悟がないと、これはできないんだろうというふうにしかちょっと思えないんですね。  ということでありまして、何かコメントがございますれば。
  138. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まあ委員の御懸念も分からなくはないんでありますが、これは私は本当のところケース・バイ・ケースであろうと思っております。  まず、地元の信金、信組、日ごろ我々と接触がないのではないかというお話がございましたけれども、これは財務局等々でいつも接触をしておりますし、財務局が常に窓口になっているわけでありますので、これは情報の交換というのは常に行われていると思っております。  委員指摘されました点は二点、要件が厳しい、それとイメージが資本参加によって悪くなる、この二点に要約されると思いますが、これは厳しい要件をクリアしてでも前に行こうとするという経営的な意思を持っているかどうかに私は尽きるというふうに思っております。  これ、そういう金融機関というのはもちろんあるわけで、とにかくもう最低限ぎりぎりのところで、何とか落後しなければいいと思っている経営者もいらっしゃるかもしれませんけれども、更に前に行こうという経営者もこれはいらっしゃるわけで、私はむしろ時代はそのような方向に動いているというふうに思っておりますので、そういうチャレンジングな経営者はいらっしゃると思います。  同時に、イメージが悪くなるというのは、これは冒頭から委員は何度も御指摘でありますけれども、例えば、これは銀行ではありませんが、あえて例で申し上げますと、日産自動車というのは海外の企業からの資本参加を受けて、これでイメージが良くなったわけです。新しい経営者を迎えてこれで変わったというふうな、そういう形でイメージを良くするということは、これは戦略上はあり得るわけでございますので、これは同時に非常に思い切った組織の再編等、経営革新を伴った形での資本参加を実現すれば、これは地域金融機関にとっても非常に大きなチャンスであるというふうに私は思います。
  139. 平野達男

    平野達男君 私も地元に帰って信金、信組の理事長さんなんかといろいろ話する機会がありましてね、あるんですよ。やっぱり金融庁さんというのは物すごいやっぱりハードル、敷居が高いですよね。だから、ここのところにこういう申請書を持っていくというのはいかに大変なことかというのは、これはやっぱりよく考える必要がありますし、だから私は考える必要があると思いますし、逆の考え方からいきますと、やっぱりこれは法律が意図するような、金融機能の強化とは言っていますけれども、実質はやっぱりそれなりの理由のある、問題を抱えたと言ったら言葉は言い過ぎですけれども、そういう金融機関が追い込まれてこういう申請をしてくるということの確率の方が高いんじゃないかという懸念をまず申し上げておきたいと思います。  また、この点につきましては、この法案の性質、恐らくこの法律の一番の問題点は多分今のところにまず一つは凝縮される、あとはほかにもちょっとあると思いますけれども、じゃないかと思いますので、引き続きこの点に関しましていろんな形でちょっとお話を伺っておきたいと思います。  ちなみに、本当にこれを、そういった高いハードルを越えてでも進みたいという金融機関は、もう一回繰り返しますけれども、私は金融庁さん相手にしないと思います。こんな法律相手にしないと思います。自分でちゃんとやりますよという、私はほぼその確信を持ちたいという気持ちを込めつつちょっと言っておきます。  それからあと、個々の項目についてお伺いしていきます。  まず、株式等の引受け等の決定の要件として、先ほど言いましたように、これは要約版ですけれども、大きく九項目出ています。その中で、「収益性・効率性等の向上が見込まれること。」という中に「不良債権の処理の進展が見込まれるかを確認。」としてありますが、これは、「不良債権の処理の進展が見込まれるかを確認。」というのは、これは具体的にどういうことを指しておるんでしょうか。
  140. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  新たな公的資金制度でございますけれども、この資金制度につきましてはまず自己査定をしっかりやっていただくと、それをやっているかどうかをよく確認をすると。そのためにいろんな、もちろん財務諸表は当然でございますけれども、経営陣が宣誓した書類、あるいは会計監査人等による適正なチェックが行われている旨の書面等を提出していただいたり、あるいは検査で私どもが確認をすると、そういった形で自己査定をしっかりまずやっていただくと。そういった上で、不良債権の処理においてもその数値目標を課すという形にしてございます。それが、不良債権の処理の確認、御趣旨はそういうことでございますね、不良債権の処理をしたかどうかということを確認の意味ということでございますね。
  141. 平野達男

    平野達男君 今のお話を聞いていると、適切な資産査定がなされているということとオーバーラップしそうですね。また言葉にこだわりますけれども、不良債権処理の進展が見込まれると書いてあるんですね、見込まれるかを確認と書いてあるんですね。これは、だから、資本注入をした後に不良債権処理の進展が見込まれるとしか読めないんですよね。
  142. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今、私申し上げましたのはそういう意味で、資産査定をしっかりやるということでありまして、それを前提に、不良債権の処理につきましても数値目標を課すことにいたしております。これは、たとえ収益性の向上などが仮に図られたとしても、不良債権処理の遅れが金融機関の経営基盤に悪影響を及ぼすおそれがあるといったこと、あるいは数値目標を、今コア業務純益、ROAといった数値で考えておりますが、そういった収益性の向上等の目標だけにいたしますと、例えば貸出しの高収益化を目指す余りに不良債権残高が増加する可能性がある、そういったこともあるものでございますから、不良債権の処理について数値目標を課すということにしております。  ただ、いずれにいたしましても、これは不良債権処理の一層の促進というのがその主たる目的というわけではございませんので、あくまでも補完的なものとしてのそういった数値目標の設定を考えておりまして、こういったことを踏まえまして、当該数値目標の最低基準として、この地域金融機関については少なくとも資本参加時の不良債権比率よりも低下させることのみを求めると、そういう予定にしてございます。
  143. 平野達男

    平野達男君 そうすると、今の最終のことが、あれが結論なんですか、つまりは不良債権処理の進展を見込まれるかを確認というのは、具体的なアウトプットとすれば不良債権比率を低減させるような目標数字を設定するというのが、それが答えなのですか。
  144. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 結論部分はそういうことでございます。
  145. 平野達男

    平野達男君 じゃ、そうすると、これは不良債権処理の進展が見込まれるかを確認じゃなくて、数値目標を設定させますということですね。だから、この表現と今の局長が言っていることはちょっと違いますよ、これ。
  146. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと詳細な答弁はまた局長からあるかもしれません。  基本的な考え方は、まず資産査定とするということと、その後の不良債権の処理ということについて委員お尋ねだと思いますが、我々考えていることは極めて単純明快でございます。つまり、まず一番最初のスタート時点でのバランスシートがちゃんとしているかどうかを見る、これは資産査定をちゃんとするということです。しかし、その後、この銀行はどのようになっていくのか。当然、損益計算書とバランスシートはどうなっていくかということを見なければいけません。損益計算書がどうなっていくか、これは正に収益力を見るということです。バランスシートがどうなっていくかということを見る。そのうちの重要な問題として不良債権の問題というのは当然に出てまいります。  先ほど局長答弁で少し申し上げたのは、収益力を高めようと思ったら、これは収益力は高まるかもしれませんが、バランスシート上でのリスクが高まる可能性がある。そういうことが整合的かどうかをしっかりと見ていくと。そのような趣旨のことをこの今の概要の中では書かせていただいておるわけでございます。
  147. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 恐縮でございます。  今、先生の御指摘の部分でございますけれども、この制度の仕組みは、経営強化計画を出していただくと、その際に不良債権に関する目標についてもそこを言及していただくと。その経営強化計画を審査をいたしまして、その審査基準として今申し上げました不良債権比率が参加時の不良債権比率よりも低下しているかどうかということを審査として見ると、審査基準として見ると、そういうことでございます。
  148. 平野達男

    平野達男君 何か分かったような分からないような感じなんですが、要は、私が言いたいのは、これは後でまたよく今の御答弁を議事録見ながらちょっと精査させていただきますが、不良債権処理の進展という話と自己資本比率というのはそもそもはやっぱり別だという考え方があるはずですよね。やっぱり資産査定は、資産査定をしっかりするわけですから。あと、それをどのように処理するかというのは、やっぱりそれは金融機関の各々の判断があるんでしょうけれども、これを株式等の引受け等の決定の要件の中に入れているということは、どうも自己資本比率が低いから不良債権の処理というのは遅らせているんだというふうにも取れちゃうんですね。だから、自己資本をも上げることによって不良債権処理を加速させますとも取れちゃうんですよ。でも、それじゃおかしいですよね、そういった取り方では。今までの説明とはちょっと違うと思いますよね。  資産査定はちゃんとやっています、そういう金融機関でないと、これは要するに金融機能の強化にならないはずですから。資産査定もちゃんとやっています、不良債権処理もちゃんとやっていますという説明でないとおかしいはずなんですよ。だけど、今、竹中大臣の言葉によりますと、一歩、二歩前に出ようと思うんだけれども、資本がちょっと少ない、自己資本が少ないと、だから、やりたくないけど金融庁さんにお願いしようやという、こういうストーリーになっているはずなんです。  ところが、今のお話だと、数値目標は設定せないかぬ、要するに、不良債権処理について進めるような、不良債権を進めるための目標数値を設定して、それをさせないかぬ。これは要するに今までの竹中大臣説明されてきた金融機関のイメージとはちょっと違ってくると思いますよ。
  149. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほどちょっと御説明を申し上げたかとも思いますけれども、例えば収益性、収益性の向上を図っていただくと、こういう数値目標を私ども設定をしていただくということでお願いをしているわけですね。そういった場合に、ただそれだけで、もし収益性の向上という数値目標だけを目標値とした場合に、ちょっと先ほど申し上げましたが、どんどん貸出しをして、その貸出しの高収益化を目指す余りに不良債権残高が増加する可能性という場合もあるわけでございます。  したがいまして、いろんな、何といいますか、目標を考える際に、私は、単に収益性の目標だけではなくて、不良債権の処理も、少なくとも不良債権比率を低下をさせるというところの、何といいますか、目標、そこの部分は一応目標として入れていただくと、そういうことでございます。
  150. 平野達男

    平野達男君 今の局長説明とここの文言の書き方というのはやっぱり違っているなという感じがちょっとしますね。まあ、いずれ。  次の質問にちょっと行きますけれども、「適切な資産査定がなされていること。」というのが五番目にあります。これは当然のことだろうと思うんですが、例えばりそなの件をちょっと思い出していただきたいんですけれども、りそなに資本注入をして、経営陣が替わった途端に、まあ保守的になったのかどうか知りませんが、引き当てをどんどん増やして、自己資本比率が注入時よりも若干落ちました。  今回のこの要件、「適切な資産査定がなされていること。」という規定がありますけれども、この適切な資産査定がなされているというのは、まずどういうことなのか。そういうことであれば、少なくとも、資本注入、あるいは国の資本参加した後に、直近のときにまたすぐ急に保守的になって引き当てをどんと増やして、自己資本が低下するなんということはないのかどうか、これをちょっと確認しておきたいんですけれども。
  151. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほどちょっと御説明申し上げましたが、まず適切な資産査定ということでございますが、これはその中身は、まず、経営強化計画の提出に合わせまして、直近の財務諸表、それからその適正性について経営陣が宣誓した書類及び会計監査人による適正なチェックが行われている旨の書面の提出を求めると。さらに、当該直近の財務諸表が当局による検査でその適正性が確認されたものであるか又は当局による検査の内容が適切に反映されたものであることを求めると、そういうことにしております。  それで、今りそなのお話を御指摘がございましたけれども、いずれにいたしましても、この資本参加を行いますと、金融機関がそのリスクに対応する十分な資本の量を確保することになりますので、その金融機関は幅広い経営戦略が選択が可能になってまいります。  したがいまして、経営戦略上、その他の金融機関と比べて、保守的な会計基準によって引き当て等がなされるということだけについてその適、不適を論ずることというのはできませんけれども、ただこの制度目的に照らしますと、国が資本参加するに当たって、その経営戦略全体として安定的に収益を生み出すかどうかが重要な問題だというふうに思っていまして、その点を厳正に審査をするということが大事なことだと思っております。  特に、地域金融機関につきましては、中小企業の再生と地域経済の活性化を図るための各種の取組を進めることによってその不良債権問題も同時に解決していくということが適当ということで私どもやってきておりますので、基本的にはこうした考え方を前提にビジネスプラン等を盛り込んだ計画が作成されるものというふうに考えております。  さらに、資本参加後に何らかの経営戦略から大幅な引き当ての積み増しを行おうということになりますと、この経営計画自体の変更を要する可能性もございます。そうなってまいりますと、新たな公的資金制度において、経営強化計画の変更については、その策定段階で想定できないようなやむを得ないような事由が求められるなどの厳格な手続が用意されておりますので、その後、単に経営戦略の変更という理由だけで抜本的な経営計画の変更が行われるケースは基本的には想定しづらいんではないかというふうに思っております。
  152. 平野達男

    平野達男君 長々なといいますか、懇切丁寧にお教えいただきましたけれども、結論は、りそなのような例がないとは断言しませんでしたね。だから、それはやっぱり場合によったら、場合によったらというか、はっきりと断言できないかもしれないんですけれども、よく言われるところの適切な資産査定、これは一体何だろうかということなんだろうと思うんです。  だから、りそなの例は、なぜ資本注入やる前に特別検査掛けなかったんだと、金融庁検査行かなかったんだというような指摘もありまして、あれは時間的にそれは余裕がなかったからできなかったということなんですが、この適切な資産査定という意味がやっぱりここでも問われていまして、やはり保守的とか通常の資産査定とかと、その違いも私はよく分かりませんが、やはり適切な資産査定ということであれば、資本注入をして、自然な形で自己資本が注入した分だけ増えていると、その状態がしばらく続くという状況にならないとやっぱりこれはおかしいなという感じがちょっとします。  次の質問に入りますけれども、これはちょっといじめのような質問で申し訳ないんですが、「地域経済にとって存続が不可欠であること。」という要件が入っていまして、これは早期健全化法にも入っているんですね。  逆に聞きますと、地域経済にとって存続が不可欠でない金融機関というのはどういう金融機関でしょうか。
  153. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) いろいろなケースが考えられるかと思いますが、例えば、自己資本比率が基準値未満であるにもかかわらず、十分な自助努力を行うことをしないで、あるいは存続について例えば地域企業等市場からのサポートを受けられない金融機関といったもの、さらに、その地域に密着した事業展開を行っていないために新たな公的資金制度の趣旨、目的になじまない例えば協同組織金融機関、あるいは協同組織金融機関であるにもかかわらず、その会員や組合員による自助努力が行われずに、その存続について中央機関や地元企業等からのサポートが受けられない金融機関、幾つかそのいろんなケースがあるかと思いますが、そういった金融機関につきましてはやはり地域経済に不可欠であるとは言えないというふうに考えております。
  154. 平野達男

    平野達男君 余り意味のある規制じゃないですよね、これ。ということだけちょっと言っておきます。  それからあと、九番目に「株式等の引受け等が申請金融機関等の自己資本の充実の状況に照らし計画の実施のために必要な範囲であること。」というふうに書いていまして、要は、これは自己資本をどこまで上げるかと、自己資本率をどこまで上げるかということの規定だろうと思うんですが、これは基本的な考え方というのはどういう考え方資本注入額というのを決めるんでしょうか。基本的な考え方だけでいいです。
  155. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 資本参加の額の考え方でございます。これも、金融機関とか地域経済の状況によって様々だというふうに考えられますけれども、いずれにしても、金融機関地域経済において現在よりよりリスクを取って金融機能を発揮するために十分な資本量を確保するという考え方の下で、金融機関からの申請に基づいて審査をするということになっております。  具体的な水準といたしましては、十分な安心感を持って地域における金融を実施しているという意味で、業界の中堅クラス以上の金融機関の自己資本比率が一つの目安になるのではないかというふうに考えております。  また、金融機関によっては、それ以上に、リスクを取るために更に追加的に資本を必要とする場合といったことも考えられるのではないかというふうに思っております。
  156. 平野達男

    平野達男君 また、この件についてはまたいろいろ聞かせてもらうかもしれません。  ちょっと次の質問に移りますけれども、今回、経営強化計画というのを、策定を義務付けています。その一方で、早期健全化法等に基づいて経営健全化計画というのを作らせてきた。ところが、この経営健全化計画につきましては、全体的な評価はちょっと分かれる、評価といいますか、経営健全化計画の達成状況についてですけれども、評価というのはなかなか難しいと思うんですが、少なくとも、りそなあるいはUFJ、足銀、こういった銀行につきましては、この経営健全化計画どおりの経営をやってこなかったということは、これはっきりしているわけです。  今回、経営強化計画を作りまして、今度は金融機関だけじゃなくて地域経済にいろいろ貢献しますよというようなことでの計画を作らせるわけですけれども、今までの経営健全化計画のフォローアップ等々を踏まえまして、あるいはその達成状況等を踏まえまして、今回、経営強化計画についての達成をどうやって担保していくか、新たな枠組みとか何か考え方みたいなものがあるのかどうかということについて、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  157. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今の御指摘の早期健全化法と今回の金融機能強化法でございますが、それぞれやはり制度の趣旨、目的が違っております。したがいまして、今回は、その早期健全化法とは異なった仕組みを採用しているつもりでございます。  具体的には、資本参加の対象となります金融機関一定レベル以上の収益の向上の数値目標の設定を求めて、その妥当性あるいは実現可能性についてあらかじめ厳正に審査をして、その対象となる金融機関の収益性について選別を行う、まずその選別を行っているということでございます。それから、そのために有識者の意見を聴く仕組みも整備をいたしました。そういった点で、まずそこの部分が違っているのではないかと思います。  さらに、もう一つは、やはり対象となる金融機関のガバナンスを全般的に強化しているという点でございます。例えば、基準値未満の金融機関に対しては、資本参加時におきまして、代表権のある役員の退任による経営責任の明確化を図るといったことにもしてございますし、あるいは、一般的に責任ある経営体制の確立を内容として、例えば社外取締役を登用する等の経営の監督・監査機能の強化を求めるというようなことも考えてございます。  それから、もう一つは、これも新しい制度でございますけれども、経営改革の実行を確実にするために、合併等の抜本的な組織再編成を行わない場合には経営陣が数値目標の達成に厳格な結果責任を負うと。そういう、この制度も早期健全化法にはない仕組みでございますが、そういったことも考えております。  いずれにいたしましても、そういったことで、計画期間中における経営者による経営手腕の自由な発揮に配慮しながら、金融機関による経営改革の実現を確実なものとする観点から、これは早期健全化法と同じでございますけれども、計画の履行状況をフォローアップして、必要があると認められるときにはその履行確保に向けた監督上の措置を発動すると、そういったことも考えておるところでございます。
  158. 平野達男

    平野達男君 今の説明の中でちょっと一言気になったのは、選別をするというふうにありましたけれども、この申請を上げてくる金融機関がそんなに選別するほどあるのかな、どうかなという素朴な疑問がまずあります。  それからあとは、やっぱりこの経営強化計画、まあ経営健全化計画でもいいんですけれども、やっぱり経営健全化計画というのは、その達成実績がそもそも何で低かったのか。いや、これ、達成実績が非常にいいよと評価しているんなら別ですよ。ただ、先ほど言いましたように、UFJ、足銀あるいはりそな、そういった例もありまして、そもそもこの経営健全化計画の達成状況というのは何で、その三つの銀行を始め、私は全体的にもそうだったと思うんですけれども、達成状況が良くなかったのかということについてはやっぱりしっかり総括をちょっとしておきたいと思いますし、この点についてはまた機会をとらまえてちょっと聞きたいと思います。  今日はもう基本的なことをずっとちょっと聞いていきたいと思うんですが、次に合併の話に入りますが、金融機関の数というのは多いのかどうかという質問をしようと思いましたけれども、答えは、一概には言えないという答えだそうですからやめておきます。  それから次の、事務的な話ですが、組織再編法と金融機能強化法との関係をちょっと説明しておいていただけますか。
  159. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) この新たな公的資金制度金融機能強化法は、組織再編成促進特措法の資本参加の水準それから範囲を拡大するといったものであることから、その組織再編成促進特措法の資本参加の部分は金融機能強化法に吸収をして一体化することにしてございます。  ただし、組織再編成特措法で手当てされております手続の簡素化等に関する特例措置というのがございますが、これはそのまま存置をしてございます。  このために、資本参加を伴わない組織再編成の場合には、現在と同様に、組織再編成特措法に基づいて、同法に基づく経営基盤強化計画の認定を受けることによって認められる根抵当権の譲渡の特例等、さらに、経営強化計画の認定を受けない場合でも認められる預金保険限度額に係る経過措置等々について、そういった個々の措置を受けることが可能というふうになっております。
  160. 平野達男

    平野達男君 実は、金融機能早期健全化法の中にもこれは合併を想定した規定がありましたですね。組織再編強化法、特措法でしたか、これは昨年制定された法律で実績は一件だということです。ちなみに、金融機能早期健全化法に基づいて、この法律の枠組みを使って合併した金融機関の実績はないということです。  それで、その一方で、合併した金融機関は結構あるということで、どうも金融庁さんが出した法律というのは余り使われていないなと、この合併に関して言えばですね。合併に際しての資本増強ということに関しては、資本注入という仕組みについては使われていないということなんですが、これはそもそも何でなんでしょうか。制度に魅力がないからなんでしょうか。どのように評価されているんでしょうか。
  161. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  組織再編促進特措法は、これはもう言うまでもございませんが、自主的な経営判断によりまして、組織の再編成の円滑化を図るために手続の簡素化や資本増強という二つの大きな支援措置を講じたものでございます。そして、その活用は金融機関自らが経営判断によって行うものでございまして、この制度を利用しなさいと当局が強いるような性格のものではないということは言うまでもないというふうに思います。  その上で、あえてこの制度の活用状況について考えてみますと、資本増強につきましては、組織再編成によって低下する自己資本比率を回復させるまでの範囲に限り資本参加が可能となっておりますから、例えば自己資本比率にそれほど差がない金融機関同士が合併する場合には資本参加額が限定的となりますので、こうした意味から、この制度を利用するインセンティブが相対的に小さくなる、そういう面はあろうかというふうに思っております。  なお、手続の簡素化、この措置もされているわけでありまして、この活用状況につきましては、預金保険限度額にかかわる経過措置については二十四件、そして債権者異議の催告の特例については十五件ございまして、相応に活用されているものと承知をいたしているところでございます。
  162. 平野達男

    平野達男君 では最後に、一問一答みたいな形で簡単な答弁で結構です。  合併に伴う資本増強につきましては、これは組織再編を伴うものということで経営責任を問わないという条件を、条件緩和をしています。この理由を簡単で結構ですから説明していただきまして、引き続き、答弁いただいたら大塚議員の方に譲りたいと思います。
  163. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 結果責任の枠組みにつきましては、資本参加を受けた金融機関の経営陣に対しまして、その収益等の数値目標についてコミットを求めることにより経営規律の向上を図り、経営改革の推進を期するためのものでございます。  しかしながら、合併等の抜本的な組織再編の場合には、合併のその効果が発現するまでには相当の時間を要すること、また、組織再編成それ自体が前向きな経営改革としてとらえられるものでございますので、結果責任により経営改革の実施を担保しなくとも、当事者間の相互のチェックが働くとともに経営資源の融合等が期待できること、こうしたことから、法律的には結果責任まで求める必要はないと私どもとして考えたところでございます。  また、合併等の抜本的な組織再編の場合にも、資本参加を受ける金融機関に対しまして、これはガバナンスをしっかり確立するということが極めて重要でありますから、そうした観点から、責任ある経営体制の確立を求めるとともに、資本参加後につきましては経営強化計画の履行状況を適切にフォローアップする、こうした監督が行える仕組みとなっておりまして、こうした枠組みを通じまして十分に経営規律の確保が図られるものと考えているところでございます。
  164. 平野達男

    平野達男君 取りあえずは、今日はお聞きしておきます。
  165. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  今日は日銀総裁にもおいでいただきまして、どうもありがとうございます。  先ほど平野委員もおっしゃいましたが、いよいよ金融機能強化法の審議に入ることができました。私も大変複雑な気持ちでございますが、今日はほかの委員会の動きにも今後大きく影響されると思いますので、まずは淡々と審議を始めさせていただきたいと思います。  林委員が過去の金融行政及びその金融行政をめぐる様々な法律について流れを総括してくださいましたが、私も、冒頭、印象を申し上げますと、私は二〇〇一年からこの委員会に所属させていただいて、平野さんと同じタイミングから議論をさせていただいているわけですが、率直に申し上げまして、柳澤前大臣の時代に比べると、金融担当大臣と私どもが主張を申し上げている内容は随分接近してきたなと、こうは思っております。  なぜかと申し上げますと、柳澤大臣は、私どもがやはり金融システムは脆弱であるから公的資金はしっかり投入された方がいいです、ただしその際の経営責任等はしっかりと明らかにしていただきたいという主張を申し上げていたのに対して、柳澤大臣は、いやいや、もう金融システムはかなり安定したんですと、こういう御主張を基本的にされて、金融再生法が二〇〇一年の三月、金融早期健全化法が二〇〇二年の三月にまあ言わばなくなった後、基本的に平時に戻ったと、こういうお立場を取っておられたと思っております。そうした中で、竹中大臣にお替わりになられて、やはり公的資金を有効活用するべきだという点に関しては随分私どもの主張と接近していただいたなというふうに思っております。  ただし、私どもは、預金保険法等によりまして、危機に陥った金融機関に対しては公的資金を果断に入れていくと、さらにはグレーゾーンの銀行に対しても入れていくことが必要だと申しておりましたが、竹中大臣も、最初は基本的考え方はほとんど私どもと一緒だったと思うんですが、この金融機能強化法が出てくる過程で、健全行に対しても予防的に資本を注入することも含めてこの法案をお出しになられたというふうに理解をしておりますので、微妙に私どもの主張と変わったといいますか、主張を含んだより広範な問題意識でこの法案をお出しになられたのではないかと思っております。  基本的にそういう認識の下で審議に入らせていただきますが、審議の冒頭に、昨日の本会議で成立しました証券関係二法、おとといのこの委員会でも質問をさせていただきましたが、若干積み残しの質問をさせていただきたいと思います。今後の金融機関経営と関係があるという意味ではこの金融機能強化法とも間接的には接点があると思っておりますので、そういう問題意識で聞かせていただきますが。  前回、銀行の窓口に行って証券仲介をしてもらう顧客の立場に立って質問をさせていただいたわけなんですが、改めてお伺いをしたいんですけれども、仲介業を始めると言った銀行の店頭に顧客がお伺いをして、そこで銀行が推奨銘柄をアドバイスしてくれまして、じゃ、この銘柄を買いますということで、その店頭で顧客が銀行との間で言わば合意に達すると、その銀行は売買注文を実際に証券会社につなぐわけなんですが、改めて前回の質問をお伺いしますが、推奨銘柄をアドバイスして顧客の注文を売買部門につなぐ行為というのは、これは証券業ですか、証券仲介業ですか。簡単で結構ですから。
  166. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 証券仲介業というのは、証券会社等の委託を受けて、その証券会社等のために証券、有価証券の売買等の媒介などの業務を行うということでございますので、つなぐということであれば、その媒介を行うということで証券仲介業だと思います。
  167. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そういたしますと、顧客の立場に立つと、今申し上げたシーンがこれが証券仲介業だとすると、証券会社の窓口で行われることと銀行の窓口で行われることは、これはほとんど同じで、多分顧客は区別が付かないんじゃないかと思うんですが、区別が付かない状況が発生するというふうに理解しておいてよろしいですか、今後の政省令の制定の過程で。
  168. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 今の御指摘の個別の銘柄の勧誘や推奨を行うということは、今証券仲介業でもあるいは証券業でも可能だというふうに思います。したがいまして、銘柄の推奨などのいわゆる勧誘行為に着目すると両者が行う行為は異なるところはないというふうに思いますが、いずれにいたしましても、法的には証券仲介業というのは顧客の行う証券取引の相手方とならないということでございますし、顧客の注文をつなぐ証券会社からの委託を受けるということでございますが、その点で異なっているというふうに思います。
  169. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、顧客は例えば東京三菱銀行で仲介をしてもらって何かの株を買ったとしますね。今度、売却指示はどこに出すんですか。その仲介してくれた銀行ですか、それとも証券会社ですか。
  170. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) これはどちらでもいいということになると思います。
  171. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのどちらでもというのは、もうちょっと具体的に教えていただきたいんですが、それは必ずどちらでもいいわけですか。
  172. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) その仲介業を行った銀行でも、あるいはその、まあある程度の、委託をした証券会社でもいいということでございます。
  173. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、買うときは東京三菱銀行で買ったんですが、引っ越して、どこか違う町に行っちゃって、近所にみずほ銀行しかないというときに、じゃ、この今持っている株、売却したいんだけれども、みずほ銀行に行ってこれは売却できるかどうかというのは、これはその証券会社と提携しているかどうかということですか。
  174. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) いずれにいたしましても、今の証券仲介業で買った株式というのはその証券会社の口座の方に入っているはずでございますので、そこと提携している銀行であればそういったことは可能ではないかというふうに思います。
  175. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は別に答えがあって今お伺いしているわけではなくて、この間からの延長線上なんですけれども、やはり考えれば考えるほど、これ実際に銀行がこの業務を始めると、店頭で顧客が感じる実感は、証券会社にいるのか銀行にいるのかほとんど区別が付かない、事実上のユニバーサルバンク状態が、顧客側にとってはですよ、生じるのではないかというふうに今思っているんですが、そこで、この間も申し上げましたが、今後政省令を作られる過程で、是非想像力をたくましくして細部まで詰めていっていただきたいなと思うんですね。かなりいろんなトラブルが起きる可能性があると思っております。  そこで、今の増井局長の御回答とも関連して二問目に行きたいんですが、仲介業をやる銀行は、これは提携する証券会社が必ずないと登録を申請できないということでよろしいですか。
  176. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 銀行は、先ほど申し上げましたように、委託を受ける証券会社と顧客との間での取引の媒介を行うということになりますので、やはり証券会社との間の委託契約がない場合には証券仲介業はできないということだと思います。
  177. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、その委託を受けて提携する証券会社は、一社であっても仲介業として登録可能ですか。それとも、顧客の立場に立つと、証券会社を選べるという選択肢を確保しておくために複数以上の提携がないと登録申請を認めないというふうにするか、そこは今現在はどのようにお考えになっていますか。
  178. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 証券仲介業を営む場合には一社であっても可能だというふうに思っております。
  179. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 一社であるとすると、これはもうますます、顧客側にとってみるともうほとんどユニバーサルバンクなんですね。銀行のカウンターに行って株を勧められて、分かりました、じゃ、これ注文します、あとは売買は顧客にとっては見えない世界ですから。ところが、その段階で、じゃ、証券会社はどこにされますか、うちの子会社の証券会社にしますか、それとも野村証券にしますかと聞かれると、あっ、これは普通の証券会社とちょっと違うなということで意識ができるんですが、もし単数でいいとなると、もうほとんどこれは事実上のユニバーサルバンク、顧客側にとってはですね。それが別に悪いと申し上げているわけではないですよ。  そういう事態が生じるということも含めて、実はこの証券仲介業を金融界に、銀行界に解禁するというのは、今金融庁がお考えになっている以上に、実は金融改革というのを顧客側から見ると非常に大きく進める結果になるんではないかという気がするものですから、繰り返しになりますが、是非政省令を決める段階で、できれば少し前広に情報を開示していただいて、いろんな議論をさせていただきたいなということをお願いだけしておきます。  そこで、証券二法の質問はこれで終わりにさせていただきますが、例えば金融機能強化法で公的資金を入れてほしいという申請をしてきた銀行、こういうところにも証券仲介業は別に、それまでやっていれば引き続き認めるし、あるいは経営強化計画の中で、今まではやっていなかったけれども、収益機会を増やすために新たにやりたいということが公的資金注入を申請してきた段階で言われた場合に、どのように対応されますか。
  180. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほど来御議論をいただいておりますけれども、いずれにしても新たなビジネスプランというものがいろいろな形で出てくると思います。その中に証券仲介業ということも、それはあってもおかしくないと思いますし、全体として審査の基準に合うような形であれば、それはそれで結構だというふうに思っております。
  181. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 金融庁の幹部の皆さんとも竹中大臣とも大分お付き合いが長くなりましたので、答弁の入り方でどういう状況か分かるんですけれども、増井局長なんかはいずれにしましてもから入ると大体決まっていないケースが多いですね。竹中大臣の場合は、ちゃんと回答が用意されていて余裕のあられるときは、まず私どものどんなにくだらない質問でも褒めてくださいますが、若干少しまずいなと思われるときは、まあ何といいますかと言っていきなり回答に入られるんですね。  これは大体お付き合いが長いので分かってきたんですが、今、拝聴した限りでは、いずれにいたしましてもという回答ですので、やはり今回の証券二法は物すごく大ざっぱなフレームだけ審議したというのが私の実感でして、本当に金融システムに対する顧客あるいは利用者の信頼感を高めることができるかどうかは、実はこの問題に関しては政省令レベルの話に負っているというふうにつくづく感じますので、くどいようですが、そのことを申し上げまして、次の質問に移らさせていただきます。  今日、冒頭も申し上げましたが、日銀総裁にもおいでいただいておりますが、この金融機能強化法が審議され、そして成立すると、金融行政も少し新しいフェーズに入るのかなという気がしておるんですが、果たしてその大前提として、今のマクロ経済の環境や金融機関を取り巻く環境がどのようなものであって、こういう法律を本当に必要としているのかどうかという点についてまずは確認をさせていただきたいと思います。  そこで、今日は皆さんのお手元に資料を一枚配らせていただいたんですが、これは日銀の政策委員会で各審議委員の皆さんがGDPや物価について見通しを半年に一回発表され、それに対応して実績がどうであったかということを表にしたものでありますが、これをざっとごらんいただくと、特に国内企業物価のところをごらんいただきたいんですが、例えば二〇〇〇年度ですと、これは初めてのそういう見通しの発表だったと思いますが、二〇〇〇年の十月三十一日に〇%から〇・一%ぐらいではないかというふうに皆さんが予想されたのに対して、実績がマイナス〇・一であったと。それから、二〇〇一年度については、二〇〇一年の十月二十九日に予想したときにはマイナス一・二からマイナス一・〇が、最終的に実績はマイナス一・一になった。これは当たったわけですね、大変すばらしいことですが。それから、二〇〇二年については、同様に、最後の見通しはマイナス〇・八からマイナス〇・七だったんですが、それよりも若干マイナス幅が大きかったと。  こういうふうに拝見すると、足下、二〇〇四年については、半年前、去年の十月三十一日に見通されたときにはマイナス〇・八から〇・四であったものが、半年後にはプラス〇・一からプラス〇・三と、これまでの変化に比べると、やや変化の仕方が大きい、ないしは少し違うのかなというふうに思うんですね。  これは審議委員の皆さんの見通しですから、最終的にどうなるかは分かりませんが、過去二〇〇〇年度から始まったこの見通しと実績のこうしたごらんのような関係を踏まえた上で、今この二〇〇四年度の企業物価指数について、半年間でマイナス予想がプラス予想に変わったということに関して総裁の御解釈をまずお伺いしたいと思います。
  182. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、日本銀行では、物価だけを見通すというのではなくて、経済と物価併せて全般の状況判断しながら、そして具体的には、物価について申し上げれば、国内企業物価指数、消費者物価指数という形で見通しを出しているということでございます。  特に、物価につきましては、デフレ脱却という大きな目的に照らしまして、刻々たる変化をかなり注意深く見てきているというのが率直なところでございますが、御指摘のとおり、国内企業物価指数につきましては、昨年十月の時点の見通しに比べましてかなり大幅に修正しております。昨年十月時点ではマイナス〇・八からマイナス〇・四%、ところが、最近四月の時点ではこれをプラスに持っていきまして、プラスの〇・一から〇・三ということで、かなり大幅な上方修正をいたしております。  その背景は、申すまでもないのでございますが、世界経済全体が予想以上に高い成長を示すようになって、その中で、日本経済につきましても昨年十月時点に比べますと相当上振れてきているということが背景でございます。そうした経済が好調な動きを示す中で需給の緩和がかなり修正されてきていると、これが一つでございます。  もう一つは、同じく世界経済の回復の中で、とりわけ中国の高成長の中で全般に需要が拡大をされまして、これが内外の商品市況にかなり色濃く反映するという状況になってまいりました。内外商品市況が高くなってまいりました下で、国内の企業物価指数につきましても、その波及ということで上方への圧力が増してきているということでございます。これらを合わせましてプラスの方向での変化修正を行ったということでございます。  ただ、国内企業物価につきましてはこのようにかなり上振れの傾向が出てまいりましたけれども、現在、ただいまのところでは、国内の企業におきます生産性の上昇等も結構目立っておりまして、川上段階における物価上昇はかなり吸収されております。川下段階、特に消費者物価指数への影響は今のところ限定的にとどまっている。  したがいまして、ちょうだいしました表でごらんいただきましても、消費者物価指数の見通しにつきましては引き続き若干の小幅のマイナスを予想している、こういう状況でございます。
  183. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、日本銀行は非常に、従来、前例のない政策を取り続けているわけでありますが、これをいつ正常な状態に戻すかというのが市場や国民の大きな関心事項でありますが、量的緩和政策をいつまで続けるかということに関しては、去年の十月の九日、十日の金融政策決定会合で継続するかしないかについての条件を三つお示しになっておられるわけであります。  第一点は、消費者物価指数が基調的にゼロ以上となることと。第二は、消費者物価指数の動きが先行きマイナスとなると見込まれないような状況となること、しかもその見込まれないという見通しについては、例えば今ごらんいただいたこうした審議委員の見通し等によって明らかにしていくと。さらには三番目には、以上二つの条件を満たしたとしても、その他の情勢によっては場合によって量的緩和政策を解除しないこともあり得ると。  こういうふうに明確にスタンスをお示しになっておられるわけですが、昨今の情勢を見ますと、どうもCPIも少しずつ水面上に出始めているということから大変関心が高まっているわけでありますが、例えばこの見通しにおいて、このCPIの列、消費者物価、この一番右側の列で、ここの予想がプラスになるとこれはいよいよ解除が近くなるというふうにマーケットの皆さんは恐らく理解すると思うんですが、次回の発表は十月になるわけですが、そうすると、十月まではこれが出ないわけですから、言わば今申し上げた二番目の条件を満たさないということなのか、それとも、政策委員、審議委員の見通し以外でも、展望レポートにおける記述等によりと書いてありますので、ほかの場で見通しをお示しになられて二番目の条件を満たすこともあり得ると、そのように考えていていいのかという、その点について少しお伺いをしたいんですが。
  184. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。  まず最初に申し上げたいことは、ただいま委員は、消費者物価指数の前年比変化率が非常に至近距離で〇%に達する、あるいはそれ以上に達すると、可能性があるというふうな前提でお話しになられたかというふうな印象を受けましたけれども、私どもは、確かに〇・一、〇・二のマイナス幅というのは、数字の上では非常に小さいんでございますけれども、そんなに至近距離においてこの目標が達成されるというふうにはまだ必ずしも判断しておりません。もう少し時間的距離があるという前提に実は立っております。その上で、現在、私どもが取っております姿勢は、委員指摘のとおりでございまして、この指数の前年比が安定的にゼロ%以上となるまで、その安定的という意味を三つにブレークダウンして昨年十月にお示しした。  現在の状況を見ておりますと、確かにこの消費者物価指数がゼロ%以上というところに行くまでもうちょっと時間的距離はあるかなと思いますけれども、その時間的距離の中で現状を判断いたしますと、こうした枠組みでの量的緩和を続けているということ自身が、かなりマーケットにおきまして安定的な、市場金利の形成の上で非常に安定的な効果を出しているということが一つございますし、もう一つは、先ほども申し上げましたとおり、日本景気も回復の方向に向かって少しずついいリズムを身に付けてきている、企業の段階では収益期待を高めてきている、こういう状況でございますので、こういう緩和の枠組みを続けているということ自身が時の経過とともにより大きな景気刺激効果を持つようになってきているというふうに考えております。  したがいまして、これら両者併せて考えますと、まだ少し時間的距離はあるけれども、今の枠組みをしっかりお示ししている約束のとおり続けることによって日本経済の持続的な成長、デフレ克服への道に確実につなげていけるんではないか、つまり、現在の姿勢を堅持したいというふうに考えております。
  185. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そういたしますと、昨今の報道を拝見しておりますと、例えば総裁が記者会見等で、非常にデフォルメして申し上げて恐縮なんですけれども、そう簡単に解除することはない、あるいは消費者物価が若干プラスになっても金融政策というのは連続線上で変わっていくんだという御趣旨の発言をされたり、あるいは昨今はインフレ参照値を導入するという議論も随分なされておりまして、マーケットの関係者やあるいは日銀の政策を注視している皆さんからすると、この解除条件を少し、より厳格にしているんではないか。つまり、CPIが基調的にプラスになるような状況になったとしても、あるいは先行きの見通しがプラスになるような状況になったとしても、引き続き量的緩和政策を堅持するかのように少し解除基準を厳格化しているというような受け止め方をしている人たちもいますし、私自身も報道等を拝見しているとそのように感じられるんですが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  186. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) 改めてその点について申し上げますと、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるということは、今後、日本経済が望ましい姿を実現していく上に非常に大きな通過点だと思います。それを通過しないで望ましい経済の姿に到達するということは考えられないということでございます。  そういう意味で、通過点でございますが、消費者物価指数の前年比変化率がそれではゼロ%に達すれば日本経済の姿がだれの目から見ても望ましい姿になるかというと、それは必ずしもそうは言えない。そこから以降、真に望ましい姿に持っていくために我々は全体として更に力を注いでいく必要があると、こういうことだろうと思います。  そういう意味で、いつも通過点と申し上げておりますが、経済は、悪い状況から望ましい状況、さらにより望ましい状況、さらに理想的な姿に近づいていくと、この過程がどこかで大きな屈折を伴ってということではなくて、やはり連続線上と申しますか、なだらかに望ましい姿に近づいていくということはだれしも期待するところでございますし、マーケットも、これは時にして荒れる性格は持っておりますが、マーケットも本当に望んでいることは静かに変化を吸収していくことだろうというふうに思います。  そういう意味で、消費者物価指数前年比変化率がゼロ%以上ということになった時点で我々の政策自身が急屈折を遂げて、マーケットの期待との間にそごを来すというふうなことはしないで、でき得れば延長線上でなだらかに、より望ましい政策展開へとつないでいきたいと、こういうことを申し上げています。  そういう意味では、私どものフレームワークは、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になるまでの枠組みは明確に示して、それ以降の方式についてはまだお示ししていない。そのことについては、いずれ透明性を強化する観点から我々としても明確にしなきゃいけないということを繰り返し申し上げておりますけれども、その中身について今言及することは余りに早過ぎると、こういうふうなことを申し上げているわけでございます。
  187. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  今までの御説明を私なりにそしゃくをいたしますと、大分良くはなってきているけれども、しかし完全にデフレを脱却したというわけでもないし、先行きもまだ安心はできないと、こんな状況かと思います。  しかし、柳澤大臣議論をさしていただいていた時代と比べると随分環境は良くなってきたわけでありまして、そういう今のマクロ経済の環境下で今回のこの法案を提案をし、成立させ、運用されようとする金融庁としてのお考えをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  188. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々の御趣旨を説明するに当たって、今、大塚委員と福井総裁とのやり取りというのは大変いい、何といいますか、路線を敷いてくださったというふうに思っております。  経済は良い方向に向かっているわけでありますけれども、まだその先にクリアしなければいけない問題があるという、そういう状況にあるというふうに我々も認識をしております。  実は、今回の法案を提出するに当たって、私、一冊の本を思い出したんでありますけれども、一九九〇年ころに書かれた本であったかと思いますが、「レガシー・オブ・レーガノミックス」という本がございました。これ、ブルッキングスだったか、どこだったか分からないんです。レガシーという言葉、ちょっと何と日本語で訳すのか、残像とか何か残っているもの、引き継いでいるもの、そういう意味合いだったと思います。レーガノミックスの時代は終わったけれども、それから引き継いでいるものがある。そこの趣旨は、今新しい東西冷戦構造の崩壊というチャンスに変わると、チャンスが来て変わらなきゃいけないんだけれども、前の時代のものを非常に引きずっている状況。私は、正にこの今の日本の経済の状況というのはそういう状況にあるんだと思います。  特に金融に関して言うならば、地域金融の強化が大変今求められている、このマクロの状況地域に浸透させたいという非常に強い我々の期待があるわけでありますが、一方で銀行部門に、先ほどから申し上げていますように、市場でなかなかこれ資本調達できる状況かというとそうではないと。そういう状況下で、実は経済というのは、一度何らかの均衡値から離れますと、それを正常な状況に戻すのに非常に大きな力を必要とするという場合があります。これは、だからこそインフレになると困る、デフレになると困るという議論にもなってくるわけでございます。  我々は、そういう状況の中で、先ほど申し上げましたように、危篤状態ではないけれども、やはり健康体でもなくて、そのグレーゾーンの中で、実は自力ではなかなか戻れないような、回復できないような状況地域中心金融機関にはあるのではないだろうか。正に金融機能を強化するということを行うに当たって、市場の力だけでは難しい分、政府資本参加して、それを後押ししようではないか、そのような一つ認識の下に今回の法案の提出をさせていただいているところでございます。  詳細についてはまた申し述べますが、一つの経済全体の中での位置付けということになりますと、今申し述べましたような認識を持っております。
  189. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 日銀総裁にもほぼ同様の趣旨でお伺いをしたいんですが、日本銀行として、中央銀行として、今のマクロ経済環境を前提に、金融機関の信用力を公的資金で強化するということの必要性はあるというふうにお考えでしょうか。
  190. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) 先ほどマクロ経済の状況の好転ぶりについて御説明申し上げましたけれども、日本経済全体の状況の好転ということは金融システムの健全性回復という動きと表裏一体となって進んでいるというふうに思っております。  現在までのところ、日本金融システムはなお今後克服すべき課題も少なくないわけでございますけれども、やはりこれまでの傾向を見ておりますと、不良債権処理の進捗ということを背景といたしまして、健全性、そして安定性を次第に取り戻しつつある状況だというふうに思っております。  しかし、この先とも各金融機関が本当に日本経済のより良き姿を実現していくためにこれに貢献していくという視点で考えますと、一層経営の健全化を進める必要がある。それに伴って預金者や市場からの信認をより高めていく必要があると。それに加えまして、新しい時代の環境の中でより適切に金融サービスを提供していくためには、新たに多様な信用供与チャネルの創造といったことを含め、それぞれの金融機関が新しいビジネスモデルの構築に積極的に取り組んでいく必要があると。  これを通じて言いますと、金融機関が健全性回復に努め、より競争力の強いビジネスモデルを体現していくという過程で、従来、政府によって強く支えられていたものが、次第に自らの力でそれを成し遂げていくというふうにウエートが変わってきていると思いますけれども、まだこれらすべてを自力で成し遂げ得るかということになりますと、特にマーケットの中で完全に信認を得て十分な資本の補てんを補いながらやっていけるかどうか、この点についてはなお時間的距離を残しているというふうに思います。  そういう意味では、今後のことを考えますと、金融機関の自らの努力ということを大前提にしながら資本増強の面で政府が更に背後からサポートしていく、支援していく、こういう措置が存在することが必要だというふうに日本銀行の方から見ても考えております。
  191. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の大臣と総裁の御発言を基本的な認識として今後私もよく頭に入れて審議を進めさしていただきたいと思うんですが。  なぜ今日こんなことをお伺いしているかといいますと、少し持論を述べさせていただきますけれども、私も必要だと思うんです、今のマクロ環境下で。なぜならば、やはりこの異常な低金利政策ですから、金融機関の収益力というのはやはり金融政策というか、金利政策によって相当下支えされていると、こういう認識でおります。  ということは、これが、先ほど量的緩和を解除する条件の話をしましたけれども、いずれ金利水準が正常化する過程ないしは正常化した後には、今少し良くなってきたと言われている金融機関の経営は再び悪化するんではないかなというふうに個人的には予想しております。だからこそ、この解除条件も実は非常に問題の根が深いと思うんですけれども。  といいますのは、この状態をいつまでも長く続ければ続けるほど、金融機関というのは本当の意味での収益力、つまり金利水準やもろもろの経済環境がごくごくノーマルな環境の中で収益を上げる力があるかどうか、だれも検証できないんですね。だから一刻も早く、金融のみならず経済環境はノーマルな状態に戻す必要がある、これも前から主張申し上げているところであります。  異常な政策の背景には必ず異常なことが起きている蓋然性が高いということは、これも以前から申し上げておりますけれども、それが何かというのは分からないんですね、今。だれも分からない。しかし、だれも分からないけれども何か起きていたということは、例えば私が日本銀行で仕事をさしていただいた中でも二度経験したわけであります。昭和六十二年に金融緩和を続け過ぎていた結果バブルが発生したと。そして、その後は、やはり今度は引上げの局面で急激にやり過ぎたこととか、何かやはり異常な政策をやっていると、その背景で何か異常なことが起きているという経験の結果の今日があるわけですから、そういう意味では今の状態をどうやって脱していくかというのは私は非常に大きな問題だと。当然大臣も総裁もそう思っておられると思うんですが。  そういう観点考えると、先ほど総裁御自身がまさしくおっしゃいましたように、今日そこをお伺いしたかったんですけれども、去年の十月にお示しになられた解除条件、コミットメントについては、いつまで続けるかというプロセスであって、その状態になったからその後どうするかということではないという御説明をされたんですが、そういうスタンスを長く取られると、これは解除するタイミングをまた昭和六十二年のときのように逸してしまうんではないかなと思うんですね。マーケットの皆さんには、どういう状態になったら解除する、しかもどのぐらいのインパクトで解除するということを、今からまさしくそこをコミットメントしておくと、皆さん予想しますんで。  私、以前雑誌の中で持論は述べましたが、例えばそのときに述べたのは、GDPがクオータリーベースで三期続けてプラスになったら必ず金利水準はクオーターずつ上げていくんだというふうにはっきりそれをコミットメントして、まさしくコミットメントしてそれを守るということになると、二期続いた段階で、マーケットの皆さんというのは次の四半期にクオーター上がるかもしれないということを前提に動き始めますから、中央銀行やマクロ経済政策当局が経済を正常化していくためのハードルというのは低くなると思うんです。  ところが、今総裁がおっしゃったように、この三つの条件はそこに至るまでのプロセスであって、その後どうするかはまたよく考えますということになると、これは、去年は時間軸政策という言葉が我々の業界でははやったわけでありますが、以前この委員会でも申し上げましたが、今はそう言っているけれども後々どうするかは分からないという逃げ水のような政策をやると、今度は時間不整合ということが起きまして、何をやっても信用されなくなるというマイナス面もあるかもしれないということをちょっと懸念をしております。そういう意味では、是非、いつまで続けるかということに対するコミットメントと、どういう条件になったら必ず解除するというコミットメントは、これは似て非なるものであるということを持論として申し述べさせていただきたいなというふうに思います。  その点についての感想を総裁に、一言で結構ですので簡単にお伺いできればと思いますが。
  192. 福井俊彦

    参考人(福井俊彦君) 大変貴重な御意見をいただいたというふうに思っております。私自身も同様の問題は強く認識しながら今後の金融政策を考えていきたいというふうに思っています。  先ほどからも申し上げておりますとおり、現在の消費者物価指数の状況について、いい方向に動いてきていると思いますけれども、まだ手放しで楽観していないと。したがいまして、これは目的を達成するまでは今の姿勢、これを断固守っていくと。ただし、その先について、どういうやり方がいいかと、何と申しますか、より透明性の高い何らかのフレームワークを示しながら、市場の期待の安定化を図りながらやっていく必要があると、この点は委員指摘のとおりだというふうに思いますが、消費者物価指数がプラスの世界に入った以降も余りリジッドに機械的な縛りを金融政策に与えるということ自身は、また逆に大きなデメリットを生んでまいります。その点も十分考慮しながら透明性の高いフレームワークを考えていかなきゃいけない。  そういう意味では、消費者物価指数がマイナスの世界からプラスに達するまでの過程よりは、より複雑な思考方式が要るというふうに思っております。むしろ、今のコミットメント方式の方がより単純な姿であろうというふうに思っています。
  193. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いずれにいたしましても、日本銀行が適切に金融政策をハンドリングしていただくことをお願いをさせていただきたいと思います。  あと十分ぐらいですので、ここからは法律本体を駆け足でちょっと聞かせていただきたいんですが、まず、先ほど平野委員からも経営強化計画について御質問がありましたが、私もほぼ同様のところをちょっと確認をさせていただきたいんですが。  第五条に出てくる、金融機関により適切に資産査定が行われていることという、この適切に行われているということの定義は何でしょうか。これは御回答はどなたでも結構です。増井さんの場合は是非短めによろしくお願いします。
  194. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、具体的には申請金融機関に対して、経営強化計画の提出に合わせて、直近の財務諸表、それから適正性についての経営陣が宣誓した書類、それから会計監査人による適正なチェックが行われている旨の提出を求めて、さらに当局による検査によって適正性が確認されたこと等を求めると、そういうことでございます。
  195. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 実は、この第五条の中には経営強化計画が確実に達成されると見込まれること、そういうことがないと言わば公的資金入れませんよという、そういうことが書いてあるわけですね。この確実に達成されるということを見込んで受理するわけですから、そして公的資金を入れるわけですから、そうすると、もしこれが達成されなかった場合、これはだれとだれの責任になるんですか。
  196. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 経営強化計画が未達成になった場合の御質問でございます。  今の我々が考えている新たな公的資金制度は、対象となります金融機関等が合併等の抜本的な再編成を行わない場合には、経営改革の確実な実行を期するために、経営陣が収益性等の数値目標の達成に厳格な結果責任を負って当たるんだと、そういう仕組みになっている、これはもう御承知のとおりだと思います。  具体的に言いますと、資本参加の申請に当たって金融機関が提出する計画に、その終期において最終目標が達成されない場合における経営責任の明確化に関する事項の記載を求める。仮に数値目標が達成できなかった場合には、当該金融機関はこの記載の内容に従って経営責任を明確化を図ることになります。通常はパブリックプレッシャー等を背景として経営陣の自主的な退任が行われるということになると考えられます。  一方で、万一、経営陣の自主的な退任が行われなかった場合はどうなるかという問題もございましょうが、これは経営強化計画に記載された内容に従った経営責任の明確化の実施を命ずる命令、すなわち代表権のある役員の退任の命令をこれは発動することになります。これは、金融機能強化法案第十一条第一項又は二十一条第一項に基づく命令ということになろうかと思います。  もう一点、合併等の抜本的な再編成が行われる場合には、これは法的な経営責任の枠組みは求めないことになっております。しかし、その場合も、経営計画の終期において収益性の向上の実績値が目標を三割以上下回るケース等々については、これはその理由及び抜本的な改善策の報告を求める、必要に応じて当該措置を実行する業務改善命令の発動をすること、そういうことを当然行うことになるというふうに考えております。
  197. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、少し質問した内容よりも広い御回答をいただいたんですが、先に問題意識を申し上げますと、これは、公的資金を入れるというふうに金融庁が決定したということは、申請した銀行の経営強化計画がフィージブルだというふうに認めたということですから、皆さんが。ということは、それがちゃんと達成されるかどうかということについては、例えば十条、十一条に監督上必要な措置をしてでも達成させると言っているわけですから、それがいよいよ達成できなくなったときには、幾つかのケースが考えられるんですが、そもそも最初にその計画を認定した段階で認定が甘かった、認定した段階では金融庁も申請した銀行も了解しているわけですから、これはどちらかの責任ということではないですね。もし銀行側にうそがあれば問題ですけれども。  それで、スタートした後、スタートしたけれども計画どおりにいかなかったときには二通りが考えられて、一つは、今申し上げました十条、十一条に基づいて金融庁側が監督上適切な措置をしなかった、あるいは、したんだけれども、したんだけれども銀行が言うことを聞かなかった、あるいは正直にちゃんと対応しなかったというケースが考えられるんだと。  さらには、これは法律の中に盛り込まれていますが、三番目のケースとしては、マクロの環境がそれこそ大きく変化して事情が大きく変わったんだと。三番目のケースはこれは致し方ないと思うんですけれども。  そこで、実は、先週来、平野委員が取り上げておられますUFJの話も、この法案のこの今の枠組みの部分と非常に僕は大きく関係していると思うんですね。  というのは、先ほど質疑でもありましたように、今日はなかったかもしれませんが、金融庁が検査したその結果を次の決算期には反映するんだという枠組みの中で、枠組みの中で──大変これから一番興味のある質問をさせていただきたかったんですが、今、厚生労働委員会で強行採決が行われたということでございますので、私どもとしてはこの委員会の審議はいったんここで打ち切らせていただきたいというふうに委員長にお願いを申し上げます。
  198. 円より子

    委員長円より子君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  199. 円より子

    委員長円より子君) 速記を起こしてください。  理事会協議の結果、暫時休憩いたします。    午後三時十一分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕