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2004-05-18 第159回国会 参議院 経済産業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      浜四津敏子君     山口那津男君      西山登紀子君     池田 幹幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 魚住 汎英君                 加納 時男君                 松田 岩夫君                 広野ただし君                 藤原 正司君     委 員                 小林  温君                 関谷 勝嗣君                 保坂 三蔵君                 勝木 健司君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 本田 良一君                 藁科 滿治君                 松 あきら君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 緒方 靖夫君    国務大臣        経済産業大臣   中川 昭一君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        内閣国民生活        局長       永谷 安賢君        法務大臣官房審        議官       河村  博君        外務大臣官房審        議官       兒玉 和夫君        外務大臣官房参        事官       高原 寿一君        経済産業大臣官        房審議官     桑田  始君        経済産業省経済        産業政策局長   杉山 秀二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○不正競争防止法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、西山登紀子君及び浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として池田幹幸君及び山口那津男君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) この際、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣
  4. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  委員長並びに委員各位の御了解をいただきまして、発言をさせていただきます。  四月二十七日の当委員会におきまして、ハンナングループからのパーティー券購入につきましては、政治団体中川会が、平成十一年、平成十二年にそれぞれ百万円のパーティー券購入対価を受けている旨、答弁いたしました。  本件につきまして再度精査いたしましたところ、中川会と同様に私を支援していただいている政治団体昭成会が、他の政治団体が主催するパーティーの共催となったものについて、平成十一年四月六日にハンナン開発からパーティー券対価として百万円の支払を受けておりましたので、その旨、新たに御報告させていただきます。  なお、本件につきましても、関係者が幅広くお願いする中で購入していただいたものと理解しております。また、本件政治資金規正法にのっとり、適正に処理されているところでございます。  いろいろ御迷惑をお掛けをいたしました。     ─────────────
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  不正競争防止法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会内閣国民生活局長永谷安賢君、法務大臣官房審議官河村博君、外務大臣官房審議官兒玉和夫君、外務大臣官房参事官高原寿一君、経済産業大臣官房審議官桑田始君及び経済産業省経済産業政策局長杉山秀二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 不正競争防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 藤原正司

    藤原正司君 不正競争防止法質問をさせていただきます前に、通告はいたしておりませんが、年金問題について、今日は副大臣がおられないのと政務官も来ておられないので予定外だったんですが、お考えをお聞きしたいんですが、昨日の、私どもの党の代表就任が内定されておりました小沢さんが就任を辞退されるというように、今、次々と議員保険料未納あるいは未加入問題が出ておりまして、国民から見ると一体どこまでこの問題が続いていくのかという、正に国民皆さんから見ますとこの年金に対する不信はピークになっているというふうに思います。  一方、この保険料未納問題というのは極めて重要な問題ではありますけれども、今、我が国年金問題として当面している問題のすべてではない、ほかの重要な問題もたくさんある。では、こういう中で一体どういう仕切りを付けていきながら、国民皆さんの信頼を回復しつつ、あるべき年金の姿を論議をしていくかということを考えていく必要があると思うのであります。  その前には、まずすべての国会議員年金加入状況を明らかにする。今は、政党別では自民党を除きますとすべて、少なくとも八六年の強制加入以降の議員の内容についてはオープンにされておる。自民党だけが個人にゆだねられていると、こういう状況にあるわけでありますけれども、少なくとも国会議員のすべてがオープンにするということ、そして、その未納期間の、少なくとも強制加入未納期間保険料については、国会議員は寄附行為の問題がいろいろありますけれども、例えば特別保険料としてさかのぼって納入するとか、そういうことできちっと整理を付けた上で改めて論議をしていくと。でなければ、いろいろ国会議員言うているけれども、国会に本当に論議する資格があるのかということ自体が今問われているのではないかというふうに思うわけであります。  そういう点から考えますと、大臣の場合は既に年金加入歴について明らかにされておりますし、江田政務官についても党としてオープンにされている。しかし、あとの副大臣政務官については公式的には発表がされていないと。これは、少なくとも政府関係者として、内閣にかかわられる人として最低限まずその加入状況についてオープンにすべきではないかというふうに思うわけですが、そういう点について大臣として、副大臣以下に働き掛けられるお考えがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  9. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 改めまして、私自身のことにつきましては、自分が将来受給できるかどうかではなくて、この制度というものは、現在働いて納めている人たちによって現在の受給者皆様方を支えているという制度でございますから、そういう意味で、私が本当に無知なるがゆえにずっと未加入未納という状態が続いていたことを改めてこの場をおかりいたしまして国民皆様方におわびを申し上げなければならないと思っております。  そもそも、したがいまして、人様のことを言う資格は私にはないと実は思っているわけでございますが、事一緒に仕事をしております我が省の副大臣政務官につきましては、内閣一員でございまして、内閣として一つの方針が出ておりまして、いずれも副大臣政務官はその判断に基づいて行動あるいは言動をされているものというふうに理解をしているところでございます。
  10. 藤原正司

    藤原正司君 結局、任すということでありますから、きちっと、少なくとも内閣一員としては過去の年金加入状況について公式化をしていただくということでないと、もちろんこれ自民党議員すべてにお願いしたいと思いますけれども、しないとスタートに立てないんではないかというふうに思います。  もう一つ大臣お尋ねしたいわけでありますけれども、私は、これまで大臣が御就任以来の質疑状況、あるいは大臣のこれまでの国会議員の活動を拝察をいたします限りにおいては、地位に恋々とされるようなお方ではない。正に男中川、これ女性に怒られるかも分かりませんが、そういうイメージを持って私は受け止めてまいりました。役人のペーパーを読むだけの大臣ではない、きちっとした自分のお考えをお持ちで国会対応をされてきたというふうに考えております。それだけに、今回の大臣の長期にわたる未加入期間、そしてその後の対応ということについては大臣らしくないなと正直思うわけでございます。  改めまして、身の処し方についてお考えがございましたらお聞きしたいと思います。
  11. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私が自分国民年金について未納である、未加入であるということを知ったのが四月の十三日だったと思います。したがいまして、すぐ地元帯広社会保険事務所に行って、許される二年間という期間についてさかのぼって納付したと同時に、内閣総理大臣に対してかくかくしかじかでございますということで御報告を申し上げ、今後についてお伺いをしたところでございますけれども、引き続き職務に専念をするようにと、それによって挽回をするようにという指示でございましたので、いろいろと御批判もあろうかとは思いますけれども、私としては、この与えられた責務を一層責任感を持って全うすることによって自分の政治的な信念というものを貫いていきたいというふうに決意をしているところでございます。
  12. 藤原正司

    藤原正司君 もちろん内閣一員として総理の御意向を踏まえてどう対処されるかということもございますし、政治家中川としてどう対応すべきかという問題もあろうかというふうに思います。言葉が適切かどうか分かりませんが、総理にすべて免罪符的な権限があるというふうに思っているわけではございませんし、是非、私は政治家中川としての身の処し方ということを考えていただきたいというふうに思います。  では次に、この不正競争防止法案について質問に入らせていただきます。  まず、この不正競争防止法改正の基になりました外国公務員贈賄防止条約というものが平成九年に採択をされ、十年にこの条約が発効いたしました。我が国も二番目という早さでこの条約を批准したわけであります。  ところが、この条約の批准に伴って国内法の中でどのように落とし込んでいくかということになりますと、これまた誠に逆に遅い方から数える方が早いという状況になっているわけでございまして、平成十一年のOECD贈賄作業部会から大まかに分けて六項目の指摘を受けているわけであります、いわゆるフェーズ1と言われる。十一年にこういうところがちゃんとできていませんよという指摘を受けて、なお今日に至るまで国民国外犯処罰規定がこの不正競争防止法の中に織り込まれてこなかったという原因は一体どこにあるんでしょうか。
  13. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 経過は今、委員指摘のとおりでございますけれども、OECD三十か国プラス数か国の間で結ばれましたこのOECD外国公務員贈賄防止条約というものに基づきまして御審議をいただき、また過去のいろんな経緯があったわけでございますが、なぜ今日まで遅れたかということにつきましては、率直に言いまして、各国刑事法制がそれぞれ違う。日本の場合には、御承知のとおり属地主義ということもございますし、そういう中で、日本として刑法上の問題とそれから不正競争防止法の問題という二つ法律があるわけでございまして、私は趣旨においてはそんな違いはないというふうに思っておりますが、厳密な意味ではこの刑法不正競争防止法という二つ法律から成り立っているわけでございます。  そういう中で、率直に申し上げますと、早かったかと言われれば決して早くはない。御指摘のように、この国外犯日本人国外犯に対する処罰という、今回の御審議をいただいていることについては遅かったという御指摘に対しては反論ができないというふうに私自身は思っております。  ただ、その間において、それぞれの国の事情の中でそういう制度を適用してきたということでございまして、いわゆるほかの国々、多くの国々がこういう処罰といいましょうか、規定に基づき、また処罰も制定をしたという状況の中で、今般、こういうことをしたいということで御審議をお願いするに至ったということでございます。
  14. 藤原正司

    藤原正司君 といいますことは、大臣のおっしゃることは、刑法との均衡を考慮する必要があるということで、刑法改正がされていないという中で不正競争防止法だけを先行して対応するというのは難しいという観点から、刑法改正を待ちながらやってきたと、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  15. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) たまたま刑法の方も御審議を願っているわけでございますけれども、むしろそうではなくて、三十五か国、OECD三十か国プラス五か国のうち三十一か国が既にこのような規定、そして処罰規定しているということになりましたので、遅きに失したかもしれませんけれども、今般御審議をお願いしているということでございます。
  16. 藤原正司

    藤原正司君 ちょっとしつこいようですけれども、結局このOECD条約の前文の中には、各国間の制度の、何といいますか、同等性、措置の同等性ということがうたわれておって、これを条約締結した国は国内法の中で大体よその国と違わないように落とし込んでいかなければならないと、こうなっているわけであります。しかも、平成十一年のフェーズ1で、日本はまだこういうことがきちっとされていませんよという指摘を受けているわけであります。これは法的拘束力はないにしても、条約締結国としては当然前向きにとらえなければならないにもかかわらず、それが十一年に指摘をされて、今十六年に及んでいるということに関して、それはその後の国際状況変化によってやろうとしているのか、いや実は刑法の方がまだちょっと足並みがそろっていないということによるものかというふうにお尋ねしているわけでして、それは刑法と無関係にやれるというふうにお答えなのか、どっちなのでしょうか。
  17. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま申し上げましたように、日本法制度の中で、この問題は刑法と私は決して無関係ではないと思っております。いわゆる属地主義と先ほど申し上げましたが、日本人海外へ行って海外公務員に対して贈賄行為を行うということでございますから、本来の刑法属地主義には適合しにくいという議論が当初あったそうでございまして、そういう中での刑法上の今回の改正と同時に、私が先ほど申し上げたように、目的はやっぱり同じでしょうと。日本人国内であろうが海外であろうが公務員に対して何かの目的を持って贈賄行為を行うということは、これは許されるべき行為ではない。  他方OECDにおいてもそういう決定がなされ、条約が結ばれているわけでございますから、そういう意味で、刑法との関係においても、目的は同じという意味刑法不正競争防止法本件セットで今御審議をいただいているわけでございますし、他方、先ほど申し上げたように、どちらかといえばOECD、そのセットがなぜ今になったかといえば、先ほど申し上げましたように、三十五か国のうちもう既に三十一か国がこういう法整備をされておるということで、遅きに失したという御指摘に関しては私としては反論をするつもりはないということでございます。
  18. 藤原正司

    藤原正司君 では、そこで法務省お尋ねをしたいと。副大臣がお見えでございますが、これは外務省です、ごめんなさい、お尋ねをしたいわけでありますが、今、中川大臣が言われましたように、我が国刑法は第一条で属地主義というものを取っていると。しかし、重罪犯罪に関しては三条の中で属人主義というものを取っているわけであります。  今回、これは法務委員会の方で刑法改正論議をされているわけですけれども、今回なぜ刑法改正をされようとするのか、今回されるなら何でこれまでできなかったのか、経過も含めて法務省お尋ねしたい。
  19. 河村博

    政府参考人河村博君) 御説明申し上げます。  現在、交通が発達いたしまして、国際的な人の移動が日常化いたしております。そういった中で、国外におけます国民による我が国公務員に対する贈賄行為機会といったものも増え、その処罰必要性は高まっていると考えられますこと、また、かねてより我が国公務員収賄罪につきましては国外犯処罰が可能とされておりますこととの均衡、さらに、この贈賄罪につきまして国民国外犯処罰規定を設けることは、国連国際組織犯罪防止条約におけまして自国公務員に対します贈収賄腐敗犯罪化を求めておりますところの趣旨にも沿うものでございますことから、贈賄国民国外犯処罰規定につきましては、刑法改正草案以来設けるべきという御議論もあったところでございますけれども、こういった今日におけます人の流れ国際化でありますとか国連条約といったようなものの環境変化を踏まえまして、この国連条約締結に伴う法整備機会法整備を行う機会をとらえまして、贈賄罪につきまして国民国外犯処罰することといたしておるところでございます。
  20. 藤原正司

    藤原正司君 国際化に伴って人の流れ国境を越えて頻繁になってくると、それは分かるんです。だから、OECDはこの条約を結ぼうではないかというふうになったわけで、ここ二、三年で急に人の往来が激しくなったから法整備が必要になったわけじゃない。元々、条約そのものが、条約そのものを結ぼうという発想そのものが、人が国境を越えて往来するようになって、自分の国だけで物事を、刑罰を処すという考え方、その属地主義では駄目なんだということに端を発しているにもかかわらず、いや、往来が増えましたから今回刑法を変えますじゃ、これ、余り理屈が合わないんじゃないですか。
  21. 河村博

    政府参考人河村博君) 人の往来が正に増えたと申しますか、日常化しておりまして、どなたも外国旅行等をなさる、そういう機会が増えておるということに加えまして、私の申しております条約は、国連国際組織犯罪防止条約におきまして、自国公務員に対しまして一般的に贈収賄と申しますか、腐敗行為犯罪化を求めておると、その趣旨にも沿うということで、国連組織犯罪防止条約締結機会をとらえて刑法改正することにいたしたということでございます。
  22. 藤原正司

    藤原正司君 今も御答弁がありましたように、我が国刑法というのは属地主義であると。どこでやったかと。結局、我が国保護ということが頭にあるために、我が国の地域でやったということが刑法対象になっていると。しかし、三条で、特に重い罪、重い刑罰を処さなければならないようなものについては、それはどこでやったかではなくて、だれがやったかという、人を中心にやっていこうという考え方流れとしてあった。  今回、贈賄罪を、国外公務員に対する贈賄罪刑法対象にするという背景には、この刑法の原則というものについて変えていこう、国際化の中で積極的に対応していこうと、こういうものとして受け止めてよろしいんですか。
  23. 河村博

    政府参考人河村博君) 失礼いたします。  刑法三条には、確かに重大な犯罪ということではございますけれども、この重大性を例えば法定刑ということで見てまいりますと、名誉毀損でございますとか印章の偽造あるいは重婚といった上限が懲役三年とか二年の刑も含まれておりまして、その意味贈賄行為国民国外犯として取り込まれることには法定刑上の均衡を失することはないわけでございますが、いずれにいたしましても、我が国公務員の公務の廉潔性というものをこの国際化した今日におきまして保護していくという必要性が認められますことから刑法改正させていただきたいということで、法案を出させていただいているところでございます。
  24. 藤原正司

    藤原正司君 ちょっと大臣答弁との関連でお尋ねしますけれども、今回の不正競争防止法改正、この前提に、刑法改正前提となるのか関係ないのか、どちらです。たまたま一緒になったということなのか、いや、これは刑法改正不正競争防止法というものがセットの問題としてとらえられているのか、どっちですか。
  25. 河村博

    政府参考人河村博君) 今回の不正競争防止法改正と申しますのが、平成十一年に行われましたOECD条約実施状況におけます審査におきまして、国民国外犯処罰規定を導入すべきとの指定を受けてこれが検討課題とされたところ、そのOECD条約締結国のほとんどが国民国外犯処罰を可能としておりますことや、また、今回の刑法改正により、刑法贈賄について国民国外犯処罰することなどの国内外の環境変化を踏まえたものであると承知いたしておりまして、その意味で自国民自国公務員に対する国外犯処罰在り方との均衡という問題が、そういう意味での障害はなくなったということであろうというふうに理解しております。
  26. 藤原正司

    藤原正司君 当事者が理解しておりますなんて言われたら困るんですが、私が聞きたいのは、今回、不正競争防止法改正しようとした場合、今しようとされているわけですけれども、それには、刑法におけるその外国人に対する贈賄行為刑法においても罰するという改正がこれは不可欠の要因なのか、いやいや経産省さんお好きにおやりください、刑法刑法なんですという存在なのか、どっちですかと聞いているわけです。
  27. 河村博

    政府参考人河村博君) 保護法益は、それぞれ自国公務員外国公務員におけます不正競争防止法上の贈賄罪とは違うわけでございますけれども、自国公務員に対する贈賄行為については全く国外犯処罰規定考えないで、外国公務員についてだけ考えるというのはやや法制上問題は生じようかと思っております。
  28. 藤原正司

    藤原正司君 私、何か耳が悪いのか、よく分からぬのですが。  私は、もう一度聞きますよ、不正競争防止法改正して、外国人に対する贈賄行為というものについて罰しますよ、駄目なんですよというものを決めるに当たっては、我が国刑法というものを改正することが、と同じように均衡を持つように、保つように刑法改正するということが不可欠の要因なのか、いや、もう御随意に不正競争はやってください、刑法刑法なんですよと、こういうことなのか、どっちですかと聞いているわけです。
  29. 河村博

    政府参考人河村博君) 不可欠かどうかということで申されますと、これは国内公務員我が国公務員贈収賄についての規制の在り方との整合性というものをどの程度評価するかということでございまして、その意味で、そういったものを考え要因一つになることは間違いございません。
  30. 藤原正司

    藤原正司君 ようやく答弁の半分ぐらいいただいた。要は、無関係の問題ではなくて、刑法不正競争防止法というのはやっぱり均衡を保ちながら進まなければならないと、こういう意味に私は理解をしているわけですけれども。  そういう中で、大臣なんかはOECD閣僚会議にも出られて、国際協調ということ、あるいは国際競争の中における国際協調というものの矢面に立たされて、日本はちゃんとやれよ、日本はちゃんと公正なことをやっているのか、国内でちゃんと担保されているのかと、様々な恐らく厳しい立場に置かれているというふうに思うんですけれども。  法務省として、今回のこのOECDフェーズ1とか、非常に強い勧告を受けているわけですけれども、我が国がこういう強い勧告を受けている中で、ちゃんと国際的に理解が得られるような国内法の整備をしなければならないんだということに対してどういう認識を、重要性でありますとか緊急性ということについてどういう認識をお持ちなんでしょう。まず答弁いただきたい。
  31. 河村博

    政府参考人河村博君) 私どもの所管いたしておりますのは、我が国公務員一般につきましての公務の廉潔性と申しますか、そういった観点からの基本法である刑法でございまして、国際商取引におけます公正な競争の確保などといった観点からの不正競争防止法自体は私ども所管するものではございませんけれども、この不正競争防止法上の外国公務員に対します不正取引の供与などの罪に関しましては、OECD条約上、国民国外犯処罰規定を設けることは必ずしも義務付けられていないと。義務付けられておりませんで、我が国刑法国内処罰を原則としておりまして、刑法贈賄罪につきましても国民国外犯処罰規定が存在しなかったこと、外国公務員に対する不正の利益の供与等の罪の実行行為や共謀の一部が国内で行われたような場合にはこの不正競争防止法上の罪が適用され得ることなどから、これまで国民国外犯処罰規定は設けられてこなかったものと理解しております。  しかしながら、そのOECD条約実施状況におけます審査におきまして国民国外犯処罰規定の導入という指摘を受けて検討され、このOECD条約締約国のほとんどが国民国外犯処罰規定を可能としていることなどを踏まえて、今回、必要な法整備をされるものと理解しているところでございます。
  32. 藤原正司

    藤原正司君 それは、国民国外公務員贈賄行為を行っても、今までは罪じゃないんですから立件がないのは当たり前のことで、捕まえる法的根拠が何もないわけですから、それは当たり前のことなんです。  私は、言いたいのは、もちろん法律は、その国々の風土といいますか、成り立ちとか様々な問題を反映した法律があっていいと思いますし、すべての国が同じ法律でなければならないとは思いません。しかし、これだけ国際化が進み、今答弁にもありましたように人的交流がどんどん進んできたときに、我が国の独自性だけで法を考えることができるのかどうかということではないか。  今回のOECD条約に関連しても、国内法への落とし込みですね、この不正競争防止法改正についても本当に法務省側として積極的に対応してきたのか。結局、先ほども言われたように、刑法と、直接刑法改正されなければ不正競争防止法改正できないものではないけれども、しかし、均衡を取ってやる必要がある中で、法務省側としてそういう国際化というものを踏まえた対応をしてきたのかどうかということを大変懸念するわけであります。  我が国は、そういうこれから国際競争の中で、あるいは国際協調の中でイニシアチブを取ってやっていかなければならない国なんです。だから、条約でも二番目に批准したと。にもかかわらず、その後の国内法への落とし込みは一個もされていない。片っ方は、法務省法務省、いや経済産業省は経済産業省ということで来た結果が、平成十一年に強い指摘を受けたものが今になって来ているんじゃないかというふうに思うわけで、このまま行くと我が国の国際信用という問題にも大変大きな影響を与えてくるというふうに思うわけでありますが、この点について反論があったらお聞きしたい。
  33. 河村博

    政府参考人河村博君) その刑事罰則を含めました国際化ということにつきまして、既に、刑法上で見てまいりますと、四条の二ということで条約の裁判権設定義務に対応いたします国外犯処罰規定、昭和六十二年に制定さしていただき、その後も、条約対応できるように関係省庁とも協力しながら必要な法整備などに御協力させてきていただいたところでございます。  その意味で、今後とも、私どもといたしましても緊密な連携を図りながら適切に対応してまいりたいというふうには考えております。
  34. 藤原正司

    藤原正司君 是非お願いをしたいと。  昨年の国会にもこの刑法改正が出されて、解散ということで成立を見なかったと。しかしながら、あの刑法改正には贈賄によって不当収益を没収するという、あれないんですよね。何かありましたか。ありましたか、昨年の分ですよ。
  35. 河村博

    政府参考人河村博君) 刑法贈賄につきましては、犯罪収益の前提犯罪対象にする法改正を含んだ法案でございました。
  36. 藤原正司

    藤原正司君 それでしたら私の勘違い。では、今回と全く同じだと、法務委員会に出されているのは今回と全く同じということでよろしいですね。
  37. 河村博

    政府参考人河村博君) 同種のものも含めまして、贈賄など前提犯罪にした法案を提出させていただいております。
  38. 藤原正司

    藤原正司君 次に、経済産業省にお尋ねしたいわけですけれども、この暮れにも今度はフェーズ2の審査が予定されているわけであります。要は、フェーズ1で審査してやってみたけれどもなかなか日本の動きが悪い、もう一度チェック入れましょうということで、どういうことが指摘されるか分からないんですけれども、少なくともこのフェーズ1で大きく分けて六つのことが指摘をされているわけであります。  一つは、我が国刑法の、属地主義ということだけではなくて、国民国外犯に対しては属人主義というものを入れるべきだと。今回は改正入っています。それから、贈賄を通じて得た収益の没収規定。これも入っている。三つ目、法人三億円以下の罰金額というのは余りにも低いではないかという指摘。それから四つ目は、外国公務員の指示によって第三者に贈賄行為を行った場合、外国公務員に直接渡すんじゃなくて、あいつに渡してくれと言われてそいつに渡す、こういう場合の明確な規定がないということ。それから、時効は三年というのは余りにも短過ぎるんではないかと。それから、贈賄資金が損金算入されないということに対しての明確な規定がない。  こういうようなことが指摘をされているわけですが、これらに対して、今回の改正によって、少なくともこれをきちっとやればフェーズ2はクリアできるというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
  39. 桑田始

    政府参考人桑田始君) お答え申し上げます。  先生から今御指摘いただきましたけれども、平成十一年にOECDフェーズ審査、これは条約を実施するための国内法の整備につきましての、法につきましての審査でございますけれども、さらに今年の末にはフェーズ審査という、いわゆる条約実施状況についての審査ということが予定をされております。  御指摘のように、平成十一年の条約実施、フェーズ審査におきまして八項目が最初指摘がございました。それにつきまして二項目、いわゆる平成十三年に外国公務員の定義等につきましては必要な措置を講じ、さらに残りの六項目のうち、先ほど先生からも御指摘ございましたように、国民国外犯処罰並びに犯罪収益の没収につきましては法的な対応が必要ということで、今回改正をお願いをしているところでございます。  また、私ども、今回の法改正に当たりまして、産業構造審議会におきまして約一年ぐらい審議をいただきました。特にフェーズ審査で六項目の指摘をいただいておりますけれども、その六項目につきましていずれも審議をしていただいたところでございます。その結果、国民国外犯処罰並びに犯罪収益の没収につきましては法的な対応が必要であろうけれども、その他の項目、例えば先ほど申し上げられましたけれども、法人の罰金額の引上げでございますが、これは日本法制度では押収及び没収規定がないことを考慮してということで、今回没収規定を入れるということで問題がないのではなかろうかというふうに判断をしております。  また、時効期間につきましては、確かにフェーズ1で指摘があったわけでございますけれども、これはOECDにおいて全体で一般的な検討課題として今後検討していこうということになってございます。したがいまして、私どもとしましては、各国刑事法制それぞれ違いまして、そういう中におきましてOECDの中での議論ということに加わっていきたいというふうに思っております。  最後の贈賄資金の税控除の可能性でございますけれども、我が国の場合におきましては、この贈賄に関しましては、いわゆる遊興とか交際費にあらゆる種類の贈賄が含まれるということで、日本当局として税務当局の方から御説明をしております。特に、贈賄につきましては交際費等に該当いたしますけれども、これは損金算入ができないという形で明確にしているところでございますので、フェーズ2におきまして引き続きそれにつきましての実態を御説明をさせていただくという形になろうかと思っております。
  40. 藤原正司

    藤原正司君 次に、要はこういう外国公務員に対する贈賄行為、これを罰することに関して、これは外国公務員贈賄防止条約締結したうち、我が国だけがこの不正競争防止法で対処しているわけでございます。ほかの国はほとんどが刑法又は刑法の特別法で対応しているわけでございます。  いや、要は、贈賄行為というのは不正競争なんだという不正競争の側面から罰するというのは、それはそれなりの理屈はあると思うんです。ところが、元々この不正競争防止法保護法益というのは一体どういうことかというと、国際商取引における公正な競争確保ということが保護法益になっている。一方、刑法贈収賄罪ということについては、公務員の職務の公正とこれに対する国民の信頼、これが保護法益になっているわけです。  だから、ある行為を別の法律でやったとしても、その目的が達せられるからどこでやってもいいではないかという論理というのは、元々この不正競争防止法というのが我が国の知的財産を守り知的立国として発展させていくための法律なんで、そこへ外国の公務員に対する贈収賄罪をひっ付けるというのは、まるで木に竹を接ぐようなことが本当にいいのだろうかと。しかも、この不正競争防止法はアメリカでいえば経済スパイ罪のようなものでして、我が国の国益を守っていく、知的財産という国益を守っていく、そのために、これから国際化がますます進み国際協調が進んでいく中で、どういうふうにやっていくかということでむしろ発展させていくべき法律にもかかわらず、何かこの、木に竹を接いだために、この法律趣旨というものがあいまいになってしまうと、そういうおそれはないのかどうか。この点について経済産業省にお尋ねしたい。
  41. 桑田始

    政府参考人桑田始君) お答え申し上げます。  先生から御指摘いただきましたけれども、先ほど来、大臣が申されておりましたけれども、大きな腐敗の防止という、贈賄というような大きな腐敗の防止という観点では、先ほどの刑法贈賄罪、それから私どもの不正競争防止法におけます外国公務員贈賄罪というのは大きな目的では一緒、同じでございますけれども、不正競争防止法におきましては、第一条におきまして国際商取引における公正な競争を確保するための国際的な約束、取決めを実施をするということが定められております。  そういう観点から、私どもといたしましては、今回の外国公務員贈賄罪は、国際商取引における公正な競争を確保するというOECD条約目的考えまして、今回の不正競争防止法改正におきまして対応させていただいたところでございますけれども、これは平成十年に外国公務員贈賄罪を導入するに当たりまして、条約国内でいかにして実施をしていくかという観点から、この不正競争防止法改正により対応することが適切ではないかということで国会で御了承をいただいたものでございますけれども、今回、改正に当たりまして更に検討してまいりましても、国際商取引の拡大というのがどんどん進んでまいります中で公正な競争を確保するという必要はますます高まっているというふうに考えてございまして、引き続き不正競争防止法対応させていただくということで考えております。
  42. 藤原正司

    藤原正司君 ですから、私は、外国公務員に対する贈賄行為が今回の法律改正によって対処できないと言っているわけでは決してありません。ただし、前回の改正も含めて、本来、不正競争防止法というのは、何か名前がちょっと本来の保護法益とちょっと違うんで、名前の付け方が悪い、正直言うと。この名前の付け方が悪いために、不正競争防止、ぴったりやなと。ぴったりになってしまうんだけれども、元々この法律保護しようとしているメーンの課題とは違うんです。だから、名を体は表すと言うけれども、これは名は全然体を表していないために、表していない不適当な名前の方に、はい、これに乗りましょうということでこの贈賄罪がひっ付いていった。  このことは、将来、我が国が知的立国としてますます発展させていかなければならない、そのためにこの法律というのは知的財産の保護とか知的財産関連条約の担保と、こういうものをメーンとして作られたにもかかわらず、木に接いだ竹が大きくなって、この法律は一体何じゃということになりかねない、その懸念はありませんかということをもう一度お答えいただきたい。
  43. 桑田始

    政府参考人桑田始君) お答え申し上げます。  不正競争防止法は、第一条におきまして、商取引におきます事業者間の公正な競争を確保することを目的として、例えば先ほど先生が御指摘ございましたように、パリ条約に基づきますいわゆる知的財産の保護でございますとか、OECD贈賄防止条約に基づきます外国公務員贈賄罪等々につきましての国際的な約束の実施ということを目的として公正な競争を確保するということでございますので、私どもといたしましては、国際商取引の中におきます公正な競争を確保するという不正競争防止法の中で対応していくことが引き続き適切なんではないかというふうに考えている次第でございます。
  44. 藤原正司

    藤原正司君 この不正競争防止法目的あるいは守備範囲というものと今回の外国公務員に対する贈賄という問題について、本当に適合しているのかということはフェーズ1でも懸念が示されているところでございまして、一番大事なのは、私は、不正競争防止法の元々保護法益というものをきちんと据えて、このことが途中でゆがんでしまわないようにきちっと是非やっていただきたいというふうに思うわけであります。  次に、今回この条約に基づいて法律改正するわけでありますけれども、OECDの非加盟国あるいは加盟国の中でも未締結国、中国、ロシア、インド、そういう国はまだ少なくともこの条約を批准していないわけでありますけれども、これはやっぱり国際的な競争ということの中ではできるだけ例外をなくしていくということ、同じルールの下で、同じ公正なルールの下で競争をするという面から見ると、これはやっぱり未締結国が存在するというのは、これは問題であろうというふうに思うわけですけれども、大臣として今後どういう働き掛けをされるのか、お聞きしたいと思います。
  45. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御審議いただいております不正競争防止法にいたしましても、あるいは刑法にいたしましても、大変大ざっぱな私の言い方で言えば、要するに公務員に対して何らかの贈賄なりなんなりをしてはいけないという点で共通するものだろうと思います。そういうことは、ある意味では世界共通の求められることだろうというふうに思います。  ただ、OECDがこれを言い出したということに一つ意味意味といいましょうか、一つの着目すべき点があるわけでありまして、言うまでもなくOECDというのは先進国クラブと言われているところでございますから、この先進国クラブ、アメリカがかなり熱心にこれを言い出したというふうに聞いておりますけれども、いわゆる先進国の間でこういうことをしましょう、それにその他の五か国等が入ってきているわけでございますけれども。  さて、これを、中国、ロシア、ブラジル、インドといった大国と言ってもいいような国も含めて、最終的には世界じゅう、二百か国近い国々全部にこういうことがあってはならないというふうにするのは大変究極の目標であり、しなければならないとは思いますけれども、現実問題としては、これは私も、先ほど先生から御指摘のように、先週末パリへ行ってまいりましたけれども、いろいろな国々の方とお話をしていると、やっぱり先進国と途上国の間には大きなハンディキャップがあるんだから、ひとつハンディを少し下さいよ、時間的なハンディあるいはまた内容的なハンディを下さいと。あなた方は三十年先、五十年先を行って、我々は今一生懸命、まず国民を食べさせること、あるいはまた平和を回復すること、そこから始めておりますし、またそういうことをやりたいんだけれども技術やノウハウや資金がないんだ、だから手伝ってくださいとか、そういうことを非常に強く我々聞くわけでございまして、そういうこと等を考えますと、究極の目的は、もう先生も私も全く同じでございますけれども、そこにはいろんな段階の国々があって、一つ一つこういう条約、そして国内法の整備、日本もまだ不十分だという御指摘でございます。それぞれの国々がやっていくことによって、最終的には世界じゅうできちっとした統一の、公務員に対しての贈賄また公務員の収賄があってはならないということにすべきだろうと思います。  ただ、中国とかあるいはまたロシアの場合にはWTO加盟に際しまして今交渉をやっておりますけれども、先進国という扱いでおれは入るんだと言って、大変な今ロシア自身苦労、苦労といいましょうか、彼らなりに苦労をしながら加入交渉をやっているようでありますけれども、中国とか、力がありながら、また生産力もありながら、何となく本来の不正競争防止法目的と、御指摘のございました知的財産権のような問題につきましても、不正競争があってはなりませんし、まして、そういういわゆる世界を代表するような国々公務員に対しての贈賄に対してルーズなものがあってはならないと思いますので、おのずからその国々の発展段階といいましょうか、いろんなレベルによって差はあるとは思いますけれども、究極の目的は、やはり世界の国々公務員に対して不正行為を働いてはならない、また公務員も不正行為をしてはならないということに進む一つの大きなインセンティブにしていかなければならないというふうに思っております。
  46. 藤原正司

    藤原正司君 今、大臣が言われたとおりだと思います。先進国と発展途上国ではいろいろ事情が違うわけでして、画一的に先進国の事情に合わせるということは大変難しい問題があろうかと思います。  こんな中で、実は昨年の十月に国連腐敗防止条約というのが採択をされまして、我が国はまだこれ批准はいたしておりません。おりませんが、この中には発展途上国に対する配慮といいますか、まずこれは贈賄だけではなしに贈収賄対象になっているということと、もう一つは、その贈収賄によって不当に得た利益というものを今度、不正競争防止法の中では国が没収できるんですけれども、この国連腐敗防止条約は、例えばA国で我が国の人間が公務員に対して贈賄行為を行って不正利得があったと、その不正利得を今回、我が国が没収する、これは不正競争防止法ですが、その没収した利得を今度はおれのところの国に返してくれというのが今度変わっているわけですね。  だから、そういうふうな今までではないようなこともありますし、もし批准していくならば、国内的にどういうふうに落とし込んでいくかというようなことなども大変多面的な検討が必要だというふうに思うわけですけれども、外務省としてこの国連腐敗防止条約についてどのように対処されようとしているのか、お聞きしたいと思います。
  47. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、簡潔にいたしますが、国連で初めて腐敗防止条約という多国間の条約ができました。昨年十月に国連総会において採択されまして、十二月にメキシコのメリダで署名式がございまして、実は私自身が行って署名してまいりました。  御指摘のとおり、先生が挙げられたような点が一番法律国内法との関係ではテーマ、問題になってくるんではないかということですし、その点の国内法の整備、特におっしゃられたように、没収したといいましょうか、犯罪によって得た財産についての返還要請があったときへの刑事上の対応ということが大きなテーマかなというふうに認識しておりますが、批准した以上は、先ほど先生お話がございましたように、余り間を置かずにできるように、法務省を中心として関係省庁と連携を取りながら、できるだけ条件を整えて国会御承認の手続を踏めるように準備したいと、全力を挙げたいと、こんなふうに思っております。  以上でございます。
  48. 藤原正司

    藤原正司君 時間もなくなってきましたので予定した質問はちょっと割愛さしていただきますが、今回の質疑を通じまして、国際化という中で国際協調というものを考えながら我が国の権益をどのように守っていくかという意味で、様々な条約について我が国としてどのように対応していくかと。もちろん本音と建前があって、まあ一応賛意だけはせなしゃあないだろうと、よそもやっているんだから。しかし、それを本当にやるかどうかというのは、条約もあるかもしれない、しかし全体としては、国際化が進み、国際協調という中で我が国が、経済産業省だけではなくて、外務省だけではなくて、法務省も含めて一体的に取り組んでいくと。だから、法務省からいえば、法の国際化といいますか、そういう視点を持ちながら、それぞれ関係する省庁がきちっと協力しながら緊密な連携を取りながら進めていくということもしないと、結局残るのは我が国の信用失墜しかないんではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、最後に一つ質問したいわけですけれども、ファシリテーションペイメンツといいますか、行政サービス円滑化のための少額支払、かえって訳した方がややこしいんですけれども、我が国で余りこういう慣習はないんですけれども、要は、何かビザを発給してもらうときにちょっとつかますと。これは贈賄かどうかというのは非常に分かりにくい、難しいものなんですけれども。要は、今回そういう外国公務員に対する贈賄罪というものが成立をした段階において、我が国国民がそれぞれの海外で様々な活動をしていくということの中で、きちっと、法がこういうふうになりましたよ、法の趣旨はどうですよということとか、外国ではこのファシリテーションペイメンツというのはある部分許されている部分がある、ただし許されていても奨励されるものでもない、そういうようなものについて、その国の国情というものも十分考える必要もあるし、今回の法改正という問題もある。それらを全部含めて、できるだけやっぱり海外で働く人あるいは海外で取引をする人に十分理解をしてもらうということが極めて大事なことではないかというふうに思うわけでありますけれども、これらについてどのような周知徹底を図っていこうとされるのか、最後に質問させていただきます。
  49. 桑田始

    政府参考人桑田始君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、法改正を行いました場合に、適切な法の運用を図っていくという観点からは、特に関連する企業とか従業員に法改正趣旨を徹底をしていくというのが私ども大変重要だと思っております。  特に、今回の法改正につきまして、先生から御指摘ございましたけれども、いわゆる途上国におきましては、ビザの取得とか公共サービスを受ける際に支払います、これは手続の円滑化のためのものであって不正の利益ではないというふうに言われておりますけれども、こういった少額の支払が法律上どのように取り扱われるかにつきましては、特に今回、国外犯処罰を導入しましたことから、海外に駐在をされている方々にとって大変重要な関心事項だというふうに認識をしております。  そういう観点から、このような少額の支払は条約犯罪ということにはなってございません。私どもの法律処罰不正競争防止法上も法律処罰対象とはしておりませんけれども、ただ、この法律の解釈については各地の実態等々もございますので、本法案成立後直ちに策定、公表予定の外国公務員贈賄防止指針の中で、各国における現状等につきましてきめ細かく情報提供をできたらしていきたいというふうに思っております。  具体的な周知方法でございますけれども、この指針につきまして、日本経団連、日本商工会議所、日本貿易会といった団体に説明会を開催することは予定してございますけれども、あわせまして、海外の事業者とかそれから従業員に対しても十分周知を図りたいということで、海外におきます、在外の日本商工会議所におきます説明会でございますとか在外の日本大使館、ジェトロというものを活用しながら、できるだけ多くの方々に、現地で働いていらっしゃる日本人の方々に情報が伝わるように我々努めていきたいというふうに思っております。
  50. 藤原正司

    藤原正司君 終わります。
  51. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  近年、グローバル化、ボーダーレス化の進展に伴いまして、各国の企業活動に対する規制やあるいは運用制度のハーモナイゼーションが急速に進められております。このような中で、不正競争防止法改正といいますのは、国際商取引における公正な競争を確保するため、外国公務員贈賄防止条約を踏まえまして、日本国民が国の内外において外国公務員に対する贈賄を行った場合に処罰対象にできるようにするものでありまして、これは非常に重要な内容であるというふうに思っております。しかも、この条約に加盟しているほとんどの国が国内法で自国民国外犯罪を処罰する規定を設けていることを考えますと、我が国は遅きに失したかなというふうに思っているところでございます。  しかし、この条約を批准している国は、先ほども藤原先生もおっしゃいましたけれども、OECD加盟国など三十数か国にすぎないんですね。まだまだその数は少ないと言わざるを得ない。外国公務員贈賄防止に積極的に取り組んでいる企業の国際的競争力が逆に弱められまして、正直者が損をすることがないようにするためにも、この問題については国際的に協調を進めまして、OECD加盟国以外にもこの条約に参加できるわけですから、私もこれはできるだけ多くの国が参加することが望ましいというふうに思っているわけでございます。  この条約に加盟している国の中には、我が国が最大の援助供与国となっているインドネシア、タイあるいは中国など、東アジアの諸国が入っていないわけでございまして、先ほども大臣の御答弁にもありましたけれども、やはり本来は、私も実はこれ質問しようと思っていたんですね。もっと中国や東アジアを始めとするODA相手国に対して条約の参加を求める、この努力をしてくれと外務省にお伺いしようと思ったんですけれども、先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、究極の目標は世界じゅうの国々が参加をすることが望ましいけれども、いろいろな段階の国があるので、その辺も考えていかなければならないというような御答弁もあったと思うんですけれども、やはりこれは私、もう質問はやめます、今出ましたので。  しかし、やはりこの条約に参加する国々を増やしていくということは非常に大事なことであるという、特に日本はいろいろな国にODAをしておりますし、ODA疑惑というものが残念ながら以前よりしばしば報道されておりますわけで、是非これはお願いを申し上げたい。これ、質問ではなくお願いということでございます。  今申し上げましたODAにつきましては、年間一兆円規模の予算、世界で第二位ですね。これが投入されながら、例えば我が国の援助、これは円借款によりますインドネシアのコトパンジャン・ダム、この建設事業で移転させられた住民から日本政府が提訴されるという、ええっという、我が耳を疑うような事件、あるいはODAをめぐっては残念ながら不正や疑惑、しばしば報道されるなど、事業の実効性や透明性などに批判が多かったと言えると思います。いいことも一杯してくださっているんですけれども批判も多いと。  昨年八月二十九日、政府は政府開発援助大綱を十一年ぶりに見直しまして閣議決定をいたしました。戦略的ODAの推進、事業の実効性や透明性を高めることなども盛り込まれたということで、ODA改革の第一歩を踏み出すものとしてこれは高く評価をしているところでございます。大綱を踏まえて、事業の実効性や透明性を高めるためにどのような取組が始まっているのか、まずこれは外務省にお伺いをいたします。
  52. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) お答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、昨年の八月、ODA改革の一つの集大成としてODA、政府開発援助大綱を改定し、閣議決定をいたしました。具体的な取組でございますので、幾つか御説明申し上げます。  まず、実効性の担保という観点からでございますが、大綱の下で政府全体として一体性と一貫性を持ってODAを効率的、効果的に実施するために国別の援助計画を作成する、そしてそれにのっとってODAの政策の立案、実施を図るということにしております。既にこの新大綱の下でベトナム、それからスリランカに対する国別援助計画を策定しております。  また、途上国の援助需要に真に合致した援助を行うという観点から、開発途上国から要請を受けるいわゆる要請前の政策協議も行うようにしておりまして、そのためにも、在外公館を中心に、JICA、JBIC、現地事務所の関係者から構成されるいわゆる現地のODAタスクフォースを設置し、これも五十四か国で設置し実施しているところでございます。  それから、透明性の確保という点でございますけれども、これはODAのタウンミーティングを全国各地で開催、平成十五年度は十回開催し、またODAのメールマガジンを原則月二回の発信、あるいはプロジェクトサイトの一覧を国民の方にすぐにアクセスして見ていただけるようなODAワンストップショップも拡大しております。  それから、評価でございますけれども、第三者による評価を充実させるとともに、評価の結果をその後の政策立案や実施過程に的確に反映させるため、ODAの評価内部検討会議を設置し、評価結果の対応策について検討し、そこで決定された対応策はそれぞれの部局でフォローアップをすると。  最後に、国民参加の促進ということでNGOとの連携を重視、従来以上に強化してきております。NGO・外務省定期協議会の機能強化のためにも、全体会議、それから小委員会の形態という両方で開催しておりますほか、我が方の大使館とNGOとの現地での定期協議会、これODA大使館と呼んでおりますけれども、それもアジアで既に十二か国で開催する等やっておりまして、いずれにしましても、今、先生からも御指摘いただきましたけれども、私どもも一層自戒して、効率的、効果的な真に意味のあるODAの実施に努めてまいりたいと思っております。
  53. 松あきら

    ○松あきら君 私は、今、行政監視委員長をしているからODAを取り上げているわけじゃないんですけれども、これは以前からいろいろ問題があります。やはりその国民、特に途上国の方たちの心をつかむODAということが大事じゃないかな、日本がせっかく今大変な中でこうした年間一兆円規模の予算で差し上げているわけですから、こんなもの造ってくれて迷惑だというようなものを造る必要はないと。  以前に、これは平山郁夫先生が中国の敦煌の話をしてくださいまして、敦煌の遺跡を発掘して、それを入れる博物館をODA予算で造ってくれると。ところが、やっぱりODA予算というと日本の商社やあるいはゼネコンを通してほしいと、こう言われてしまう。でも、何とか日本のゼネコンや商社を通さないで、現地の調達をして現地のもので、そして現地の人が建てるというふうにさせていただきたいと、もう本当にこれ頑張ったそうです、先生携わっていらして。現地のものじゃセメントも悪いですよとか、れんがだってまともな同じ形のれんががありませんよとか、いろんなことを言われたんですけれども、日本のゼネコンにやってもらうと、どこか壊れたらまたそれを直してもらうのも大変だということで、とにかくお願いして、現地調達で現地の方たちが全部造ったと。そうしたらどういう結果になったかというと、何と当初の予算の十分の一でできた。つまり、ODA予算は決まっているので、十倍のものができたというふうなこともあるんですね。  ですから、ODA予算というものは、その執行も含めて本当にきちんと、まだまだ一杯あるんですけれども、話していたらそれは切りがないんでやめますけれども、心も伝わる、やはりせっかく日本は出すわけですから、感謝される、感謝していただけるようなやっぱりやり方も考えていかなきゃいけない。よろしくお願い申し上げます。  また、今回の改正では、海外で賄賂を贈った海外の駐在員事務所あるいは現地法人の日本人社員が処罰対象となるわけであります。彼らが海外でビジネスを進めていく上で、特に途上国ではその正規の支払とは別に何%かの利益を供与する方がうまくいく、こういう話を伺ったこともあるんですね。今回の改正を知らないで、例えば外国の公務員や国営企業の職員にお金を渡す、罪になる、こういう意識がないままに犯罪に足を踏み入れる、こういう場合もないとは言えないと。やはりこういうことがないようにするために予防的な対策を講ずることがこれは極めて重要なんですね。  先ほどもファシリテーションペイメンツ、これは少額の円滑化のための支払というふうに、直訳するとそうなるんでしょうか、けれども、例えば国によって法制度、習慣、運用、これも異なるわけですけれども、少額の円滑化のための支払と、その少額がどの程度の少額かというのは、国によっても、日本では少額でも途上国によっては少額じゃないということもあるわけでございますので、やっぱりこういうことも含めて処罰対象となる範囲を明確化する、これは一企業ではもう十分対処できない問題であります。やはり政府において情報提供が必要になるというふうに思うわけでございます。  やはり現地の職員に、社員に至るまで、いろんな企業の、外国公務員贈賄罪についての周知徹底、情報提供、これは私も答弁求めませんけれども、経済産業省にしっかりと対処していただきたいというふうに思います。  次に、平成十四年八月に東京地検は、ある有名商社の社員からモンゴルの村落発電施設改修計画事業の受注に絡んでモンゴル政府高官に計百三十万円の現金が供与されたということで、不正競争防止法外国公務員贈賄禁止規定、初めて適用しようとして、摘発をしようとしたんですけれども、警察内部で検討の結果、不正の利益を得るために金銭などを供与した場合との要件を満たさないと判断して立件が見送られたと報道されているんですね。  当時、このような国際的な事件については捜査人員や能力を超えているのではないか、こんなこともささやかれました。今回の改正国外犯規定されることになるわけでございますけれども、国際的な事件の増加に対しまして、外国との捜査協力体制はどうやって構築するのか、これは非常に大事だというふうに思っておりますけれども、これはまず法務省にお伺いをしたいと思います。
  54. 河村博

    政府参考人河村博君) 国外犯処罰規定を導入いたしますことによりまして、このような場合、犯罪地が外国であること、しかも今回、不正競争防止法におけますその行為の相手方は外国の公務員であるといったことから、捜査に必要な証拠が当該外国にあることが予想されるわけでございまして、この種事犯の摘発のためには外国の捜査機関との連絡を密にすることが不可欠になってまいるわけでございまして、私どもといたしましても捜査共助を積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。  その一環といたしまして、法務当局といたしましては、この種捜査共助を迅速に行うことができるようにするため、このたびアメリカとの間で刑事共助条約締結することになったわけでございまして、そのための国際捜査共助法の改正も御審議いただいているところでございますけれども、今後、必要に応じまして、アメリカ以外の国とも刑事共助に関します条約締結関係省庁と協議しながら積極的に取り組みまして、捜査共助体制の充実を期してまいりたいと考えております。
  55. 松あきら

    ○松あきら君 日本からそこの国へ行って捜査直接するわけにはいかないわけでございますから、やはりその外国との捜査協力というのは非常に大事であるというふうに思っております。  先ほどのモンゴル政府高官に百三十万円というのも、日本ですれば、正直言いまして百三十万円というお金は物すごく多額だとは思いませんけれども、例えばモンゴルにおいては百三十万円という、日本金にしてですね、それが少額であるとはやっぱり思えないと。これはもう一応終わったことですからあれですけれども、やはりいろんな点においてそうした外国との捜査協力体制をしっかり築いていただいて、しっかりとした体制を取っていただいて、やはり処罰するはするというふうにしていただきたいというふうにお願い申し上げます。  それでは、そのモンゴルでのODA疑惑事件を教訓として、我が国の企業はコンプライアンス経営をより確実なものにしていく必要があるのではないかというふうに思います。産業構造審議会の国際商取引関連企業行動委員会は、企業における自主的予防的アプローチを支援するために外国公務員贈賄防止指針をまとめておりまして、内部通報を前提に、相談窓口や内部告発のためのサイトの活用策等が示されております。しかし、公益を確保するための通報者を解雇やあるいは不利益取扱い等から保護するなど環境を整備しなければ、その実効性は確保できないのではないかというふうに思うわけでございます。  今国会に公益通報者保護法案、提出されまして、現在衆議院において審議が行われておりますけれども、この法案が成立した場合に不正競争防止法外国公務員贈賄罪は適用になるのかならないのか、内閣府にお伺いをいたします。
  56. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 外国公務員に対する贈賄罪が公益通報者保護法の通報の対象になるかどうかというお尋ねであります。  今御審議をお願いしております公益通報者保護法でありますけれども、通報の対象国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令というふうにしております。そういう下で、分野を例示するとかあるいは法律の例示をしておりまして、代表的な刑法以下七つの法律以外の対象法令については政令に委任しております。法律成立した暁にはその政令を定めるわけですけれども、今申し上げましたような分野でありますとか、法律の例示を踏まえながら、対象法令の範囲を定めていきたいというふうに考えております。  不正競争防止法がこの対象法令の中に含まれるかどうかという話でありますけれども、現時点ではまだ未定でございます。もしその対象法令の中に含まれるということであれば、その外国公務員贈賄罪も通報の対象になるということで、労働者がその通報先に応じた、それぞれの要件に合致した通報を行えば、公益通報者保護法の対象になるというふうに考えております。
  57. 松あきら

    ○松あきら君 まあ、未定だから答えられないんでしょうけれども、是非、これは私は含めていただきたいというふうにお願いをしたいというふうに思います。  最後に、これまで述べてきましたように、企業は競争を勝ち抜くために活動拠点をより事業環境の整った国に移すようになっておりまして、それに伴って、物、人、資本、情報などの資源も大きく国境を越えて移動する、こういう大きな潮流の中で、自由貿易を推進する立場から、不正と腐敗の防止にとどまらず、自由で公正な国際的競争秩序を形成することがやはり世界における各国の経済的繁栄を築くものであるというふうに思っております。こうした観点から、我が国として積極的にその役割を果たしていく必要があると考えますが、最後に経済産業大臣の御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきます。(「大臣大臣」と呼ぶ者あり)まあ、江田さんでいいです。
  58. 江田康幸

    大臣政務官江田康幸君) まずは私の方から。江田さんでよろしいということが出ましたので。  今のグローバリゼーションの中で、今後貿易投資、様々な形での国際商取引がますます活発化してくると思われます。こういう状況の中で、この不正、腐敗のない、そういう環境を整備していくことが国際的にもますます重要になってくるものと認識しております。  このような視点から、これまでも二国間協議又は多国間協議の中で相手国に対して不正、腐敗の防止をその交渉の重要な要求項目の一つとしてこれを申し入れてまいったところでございます。例えば、タイとのEPAの中におきましても、具体的に不正、腐敗を防止して処罰するための対策を講じるよう働き掛けてきているところでございます。  このような取組を含めまして、今後とも様々な機会を利用して公正な競争が確保できるように、先生の御指摘も十分に踏まえまして、経済産業省の課題としてしっかりと取り組むようにしたいと考えております。
  59. 松あきら

    ○松あきら君 終わります。
  60. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 法案質疑に入る前に、先ほど、冒頭で中川大臣から四月二十七日の私の質問に対する異例とも言うべき答弁の訂正の発言がございました。この問題についてお伺いしたいと思います。  大臣は、私が前回の質問で牛肉偽装事件で逮捕された浅田容疑者が率いるハンナングループから、資金提供問題を質問した際に、一九九九年に阪南食肉購買事業協同組合から百万円、二〇〇〇年にはハンナンマトラスから百万円、合わせて二百万円のパーティー券政治団体中川会を通じて購入してもらった、認められました。同時に大臣は、私がハンナングループから資金提供を受けていた事実はこれだけかと確認し、大臣自身が調査して公表すべきではないかと要求したのに対して大臣は、私自身もう十分自分で調査いたしました、私とハンナングループですか、浅田さんですか、との関係というのはこれだけでございますと断言して調査すら拒否された、そういう経過がありました。にもかかわらず、今回新たに昭成会という政治団体を通じてハンナングループの一つであるハンナン開発という企業から一九九九年四月六日に百万円のパーティー券購入してもらったという事実を認められました。  なぜ断言しながら訂正といういい加減な対応をされたのか、お伺いいたします。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) なぜ断言しながらいい加減な答弁をしたのかと言われれば、結果的にはそれを否定するつもりはございません。結果的にはそうでございます。  私が自ら調べたと言ったかどうかについては記憶は定かではございませんが、いずれにしても、私の事務所のスタッフ、秘書がやったことで、調べたことでございますから、私がやったと言われた、言った、言わないということについてもあえて私は反論をするつもりもございません。  いずれにいたしましても、その後もう一度精査をいたしました。なぜ精査をしたかと。あるマスコミから問い合わせがございまして、こうこうこういうことがあるけれどもどうなっているんだという問い合わせがございまして、それをきっかけにもう一度精査をしたところ、実は先ほども申し上げたように、自民党のある団体が政治資金パーティーをやると、ついてはメンバーである個々の議員たちも一緒にそれを共催して、そしてそれぞれ収入として上げていこうという、そういうパーティーがございましたので、私もその主要メンバーの一人でございましたので、そのパーティーの企画、企画といいましょうか、そのパーティーのために参加をし、そしてまたその中で資金集めをその会のために、そしてまた私自身のためにやったということが分かったわけでございます。  マスコミから、今日一部新聞に出ておりますけれども、そのマスコミからの答弁でございまして、そこでは分かったという記事が出ております。しかし、本人から回答はないというふうに記事になっているわけでございますけれども、それはマスコミの質問が仮に事実だとしても、私はマスコミにお答えする義務はございませんけれども、国会質問をされたことに対してはお答えする義務がございますし、まして前回、緒方委員から御質問があったわけでございますから、冒頭この場で私から自らの意思で答弁をしたわけでございまして、いずれにしても、私の前回のこの答弁をしたことは間違いでございましたので、訂正をさせていただきます。
  62. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣の御答弁でありますけれども、私は、やはりその時点で指摘されなかったからあえて述べなかったのではないかと。つまり、あの時点で分かっていたと、そういう感じがしております。  昭成会の九九年の政治資金報告書によると、この年の収入一千九百九十八万円の全額が、同年四月十五日にホテルニューオータニで開かれた自民党の政策集団、日本再生会議シンポジウムのパーティー券の収入であり、そのうちの百万円をハンナン開発購入してもらったとあります。同時に、昭成会はこのパーティー券収入のうち二百八万円を政治活動費として大臣のもう一つ政治団体中川昭一札幌後援会へ交付金という名目で納めている、そうありますが、間違いありませんか。
  63. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 間違いございません。  ただ、一言だけ言わせていただきますと、隠していた、私が何と言おうと隠していたんだろうというふうに決め付けることに関しては、私はそうではないということをはっきりとこの場で申し上げなければいけない、私の名誉に懸けてそれははっきりとさせていただきたいと思います。
  64. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それは私の感触として述べさせていただきました。  九九年四月といえば、大臣が農水大臣を務めた時期に当たります。日本再生会議事務所によると、このときのシンポジウムは実際は国会議員約二十名の政治団体が共催する形で行われ、それぞれの政治団体が一枚二万円のパーティー券を独自に売って各議員の政治資金として報告するようになっていたといいます。そうであれば、大臣が農水大臣就任中のパーティーということになりますね。
  65. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そうです。
  66. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣就任中のパーティーについては、宮澤内閣以降、歴代内閣で自粛することが申合せ事項になっていたはずであります。この申合せに、破ってまでハンナン開発からパーティー券購入してもらった理由は何ですか。
  67. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 破ってまでではございませんで、そういう申合せがあったことは事実でございますけれども、私は、自らのパーティーというよりも、あるパーティーをやるから共催をすると、今委員からも御指摘があったようにメンバーの一人として共催をするということだったので、確認をいたした上でこのパーティーに参加をしたというか、私自身パーティーもそれと同時に共催をしたということでございます。
  68. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 申合せに反したことは明らかなんですね。  ハンナン開発の登記簿を調べました。ここにありますけれども、この会社は二〇〇一年九月に浅田容疑者の邸宅があります株式会社聊娯亭と合併しております。パーティー券購入した九九年当時、やはり浅田容疑者が社長を務めており、その後逮捕された実弟の浅田暁容疑者も役員に就任していたことが分かりました。このように、私が前回質問して指摘した企業も含め、大臣パーティー券購入していたハンナングループのすべての企業で浅田容疑者が代表を務めております。しかも、資金提供を受けた金額は計三百万円に上り、どの政治家よりも中川大臣が多い。浅田容疑者と大臣との関係は極めて深いと考えるのが自然ではないかと思うわけです。  浅田容疑者と特別の関係がなければ、これほどまでにパーティー券を買ってもらうことあり得ないと思いますが、いかがですか。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 緒方委員がそう思おうが、あるいは間違いないと判断しようが御勝手でございますけれども、とにかく言葉には気を付けて質問をしていただきたいと思います、私の名誉にかかわる問題ですから。  結果的に三百万円、パーティー券を買っていただいたことは事実でございます。私は、そのハンナンの浅田会長さんでございますか、とは正直言って面識がほとんどないと言った方が正確でございます。また、緒方委員のことですから、ほとんどないということはあるんだなというふうに言うのかもしれませんけれども、私が記憶している限りは、私の父親の記念館というものを有志の方々が造っていただいたわけでございます。私は当然、息子でございますから、その開所式には出席をさせていただきまして、実はいろいろな事情がございまして、その私の父親の記念館を造るまでの過程においては私はほとんど実はタッチをしておりませんでした。しかし、開所式ということで息子として参加をし、来ていただいた方々、あるいはまた御協力をいただいた方々に対してお礼を申し上げた記憶がございます。その中にたしか浅田会長さんもいらっしゃったと思います。浅田会長さんにはこの記念館を造るに当たって貢献をしていただいたというふうに聞いておりました。
  70. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、大臣の事務所と浅田容疑者の関係はどうなのか。その点についてですが、パーティー券購入してもらっていた昭成会と前回の質問に際して指摘しました中川会関係も調べてみました。  二つ政治団体の収支報告書の原本、ここにありますけれども、これを見ますと、両方とも所在地は千代田区永田町の十全ビル内の中川事務所に置かれ、事務担当者も福島拓という人物が兼務しております。この二つの団体を通じてハンナングループにパーティー券購入してもらっていた一九九九年及び二〇〇〇年当時、福島氏は昭成会や中川会の事務担当者を務めていたはずでありますけれども、間違いありませんね。
  71. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そこにあるのは原本じゃなくて原本のコピーだと思いますけれども、福島拓というのはそのときの代表者でございます。
  72. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この福島氏という人物は、現在、大臣の秘書官でございますか。
  73. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そうです。
  74. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 福島氏と浅田容疑者との関係でありますけれども、全く面識はないのかどうか。その点はお調べになっておりますか。
  75. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 調べてはおりませんが、福島、秘書の福島含めて、私の秘書たちは面識は多分ない。擦れ違ったとかそういうことは別にいたしまして、ないんだなと。私がないんですから、ほとんどないんですから、私が採用した秘書でございますから、ないものというふうに思っております。
  76. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 中川会の会計責任者の山口文生氏は、九九年の農水大臣就任中、大臣秘書官を務めておりますけれども、山口氏は浅田容疑者と全く面識ないんでしょうか。
  77. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これもないと思います。
  78. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 昭成会の役員についてもお伺いしたいと思います。  旧自治省の官報によりますと、昭成会が設立されました一九八九年の五月、当時代表を務めていた高橋正孝という人物は、富士銀行の不正融資事件で逮捕された人物であります。事件発覚後、その後任として、代表兼会計責任者として就任したのが新宿区にある東陽印刷所の社長、数佐昭氏ではありませんか。
  79. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そのとおりです。
  80. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 数佐氏が社長を務める東陽印刷所は、二〇〇〇年の総選挙の際に全国的に配布された日本共産党を誹謗中傷する「共産主義の真実」というパンフレットを印刷した会社であります。二〇〇一年の参議院選挙でも我が党を誹謗中傷する違法謀略ビラを印刷した会社であります。このような会社から大臣は、資金管理団体、昭友会や政党支部を通じて過去七年間、計二百七十二万円の献金を受け取っております。そればかりか、中川会や政経研究会を通じて政治資金パーティーの案内状や機関紙の印刷まで発注しているということも伺いました。  大臣と数佐社長とはどんな関係にあるのか、お伺いいたします。
  81. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 東陽印刷の数佐社長並びにそのお父様は、私の父親の代から大変親しくしている友人でございます。  なお、共産党を誹謗中傷したかどうかは私は知りませんが、それは単なる、東陽印刷というのは印刷でございまして、何も数佐さん、東陽印刷が共産党を誹謗中傷したわけでもございませんし、またその内容が誹謗中傷ではなくて正しい批判だったら、私は大いに結構なことだろうと思っております。
  82. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 牛肉の偽装事件をめぐりましては、先日、浅田容疑者が再逮捕されたほか、新たな逮捕者が出ております。この浅田容疑者率いるハンナングループからの資金提供が、今回の問題を含め、合計三百万にも上る事実、これは極めて重いものだと思うんですね。この時期も農水大臣就任中であった、このことが新たに分かった以上、政治資金規正法に基づいて適正に処理されているという発言もございましたけれども、閣僚の申合せに反する、反している、適正とは言えない、私はそう思います。  これらの資金、それに該当する資金というのはやはり返却されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  83. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 緒方委員に御指導いただくまでもなく、自分で判断したいと思います。
  84. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、返却するということがあるということですね。
  85. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 自分で判断します。
  86. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、最後に確認しておきたいんですけれども、ハンナングループから資金提供は、本当に今回、訂正発言をまた当委員会でするような必要はないと断言できるような、本当にすべてこれだけなのか、そのことを一点確認したい。そしてまた、大臣答弁された内容に事実と違う問題が後日明らかになった場合には、大臣はどのように責任を取られるのか、お伺いしておきたいと思います。
  87. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 前回のときも私は、秘書が徹底的に調べて、そしてその結果、御報告したわけでございますけれども、今回、あるきっかけによりましてもう一度調べ直したところ、当時、昭成会という名前の同じ団体の何か政治資金団体があったそうであります。あるいはまた、そういうふうに勘違いしたのかもしれませんが、ということも含めまして、見落としたということだそうでございます。というのは、そういう報告を秘書から受けていたわけでございます。今回、改めて、再度精査をしたら、冒頭、今日、委員会で御報告を申し上げたようなことが分かりましたので、委員長、そして委員の皆様、理事の皆様の御了解をいただいて発言をさせていただいたわけでございます。  現時点においてはこれ以上ないというふうに確信をしておりますが、今から、万が一間違えたら、おまえ、どうするんだというふうに言われたら、同じ言葉を緒方さんにも私は是非お伺いをしたいなというふうに思うわけでありまして、あなたは最初から、私がうそをついていたとか知っていたのに隠していたとか、そういう前提質問をされていることに関しては、そういう前提での質問であれば私はお答えする必要はないと思っております。
  88. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほどから大臣は言葉に気を付けろとか、いろいろ御注意をいただいておりますけれども、私は非常に言葉に気を付けて事実に基づいてお尋ねしております。また、失礼なことがあってはいけないということを非常に注意して述べております。  しかし、大臣は公職にある、しかも閣僚という非常に重要な要職にある、そういう立場にある方が、やはり私がそれぞれ指摘したこと、それに該当することが、一つ一つ小出しにしていくようなことがあってはならない、そういう立場から私はあえて、今日、訂正の発言がありましたので、そうしたことをお伺いしている、このことを述べておきたいと思います。  いずれにしても、私は、再度訂正発言などをされるようなことが当委員会で繰り返されることがあってはならない、このことをはっきり述べておきたいと思いますし、またそのことが、そんなことが繰り返すことがあったときには、やはり重大なんだということを述べざるを得ません。  さて、今日、大臣からです……
  89. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のとおり、訂正をするということは、委員各位に大変御迷惑をお掛けしたということを改めておわびを申し上げたいと思います。  決して小出しにしたつもりはございません。精査をした結果でございますので、あえてお時間をいただいて訂正をさせていただいたということで、委員長始め委員の皆様に御理解をいただきたいと思います。
  90. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今日、大臣から冒頭に訂正発言がありましたので予定した質問がちょっとできなくなりましたが、一問だけお伺いしたいと思います。  私はこの法案には賛成でございます。  ただ、一点、問題を感じるところがございます。それは、海外の現地法人、子会社を実質支配している大企業の国内法人、親会社について、やはり関与の立証がない限り責任が免罪される、その点がどうなのかなと。この親会社の責任をもっと明確にしていくということによって法律の実効性が高められるのではないかということを感じております。  例えば、海外の売上げの比率を計算してみますと、連結海外売上げ一社当たり大きなところでは五三%に上る、大企業では。例えば、トヨタでは六五%が海外でのそうした比率になっている。もうそれが現実であります。  ですから、私は、その点で、親会社の責任についてやはり何らかの形でそこがきちっとされるということが非常に大事だと思いますけれども、その点について大臣にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 江田康幸

    大臣政務官江田康幸君) 私の方からお答えさせていただきます。  先生の御質問でございますが、海外現地子会社の日本人従業員が独自の判断で犯罪を犯した場合でありましても、この日本の本社が処罰対象となるか否かにつきましては、例えば贈賄者が通常行っている業務への本社の関与の度合いというのと、贈賄を行った日本人に対する本社の選び方というか、その監督の状況、こういうことを照らし合わせまして判断されるものと理解しております。  一般論として言いましても、贈賄行為を行った当該日本人が形式的に海外現地子会社に所属することのみをもって日本の本社について処罰の余地がなくなるというものではございません。ですから、この贈賄者が例えば実態として日本の本社の従業員等であると認められる場合におきましては、海外現地子会社ではなく、この日本の本社に対して両罰規定が適用される可能性があると承知しているところでございます。
  92. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  93. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  不正競争防止法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  94. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会