○泉(房)
委員 民主党の泉
房穂です。
きょうは一時間の時間をいただきました。私自身、今回の
裁判員制度につきましては、本当に、七年前弁護士になったときに、こういった
市民参加の
裁判員制度ができるとは夢にも思っていませんでした。今回、こういった
制度を導入という審議に当たりまして、
市民参加というものが本当に
意味のある、
制度趣旨にかなったものになるために、きょうの審議の時間を使わせていただきたいという
思いであります。
私が
思いますに、今回の
裁判員制度ですが、多様な方、多様な民意を
裁判制度に反映させていくということだと思うんですが、どうしてそれが必要かと私なりに
理解しますと、大きく二つ
思います。
一つは、これまでのような職業
裁判官だけにいわゆる事実認定とか量刑を任すのではなくて、やはり普通に暮らしている
市民の方々の声とかを反映した方が望ましいという
趣旨だろうと
思います。
実際、弁護士をしておりまして感じますのは、例えば刑事弁護の、性犯罪
事件などの場合、男性の年配の
裁判官の場合、例えば、夜中にミニスカートで女性が歩いていたから強姦に遭ったとしても女性の側に落ち度があるというようなニュアンスの
発言をなさる
裁判官もおられます。そのあたりにつきましては、恐らく、女性の視点とか、今どきといいますか、今の時代をちゃんと
理解していれば、そういった
発言はないのかなと思うこともよくあります。
また、殺人
事件などで、私自身は、障害者をお持ちの方が身内の方を殺した
事件を幾つもやりました。そういったときに感じますのは、本当に、障害を持った親御さんとか、例えば
介護に大変に苦労されている方が殺人
事件に至る苦悩というものにつきまして、果たしてどの
程度、
裁判官が想像力が及ぶのかという問題であります。
また、障害をお持ちの方自身が犯罪を起こす事例も間々あります。そういったときに、障害をお持ちの方の意見、また障害を抱えた御家族の意見、
介護に大変な方の御意見がちゃんと
裁判に反映されれば、量刑上も、執行猶予にするのかどうかとか、懲役何年にするかというときにも、やはりそういった視点があれば現状よりもなお
国民の民意に沿ったようなものになるのではないかと感じる次第です。
この点については、要するに、
裁判制度につきましては法的知識と
判断能力が極めて重要でありまして、これまでの職業
裁判官は確かにその二つの面は持っていると
思います。たくさん勉強をし、
法律知識もある、またいわゆる
判断能力もたけている。しかしながら、それだけでは不十分である。むしろ普通に暮らしている方の素朴な感覚とかまたいろいろな苦労というものをやはり
裁判制度に反映してこそ、妥当な事実認定、妥当な量刑ができるという価値
判断にこの
裁判員制度はあると思うわけです。
とすれば、まさに、この
裁判員制度の導入に当たって、ぜひとも
参加していただきたいのは、女性の方であったり、障害をお持ちの方であったり、また
介護で御苦労されている方自身がこの
裁判員制度の中の一人として入っていくことによって、この本来の
趣旨がかなうのではないかと私は思っています。
また、今回の
裁判員制度につきましては、やりたい人がするというような選択制ではなくて、新たな
義務として
裁判員という
義務を課すわけであります。新たな
義務を課すということは、その
義務を履行しようとした場合に、その
義務の履行ができるようなやはり公の支援が不可欠だと
思います。例えば、勤労の
義務を課すのであれば、働きたいと思っても働くところがない、そうであれば国はやはり働く場所を提供していく責任があると
思います。子供に教育を受けされる
義務を負わすのであれば、なかなか経済的に厳しくても、経済的な支援を伴って、子供を学校に行かせられるように国の責任があると
思います。
とすれば、この
裁判員制度も、
裁判員という
義務を課す以上、障害をお持ちの方であったとしても、また育児や
介護で御苦労をなさっている方であったとしても、何とか
辞退せずに
裁判員として来てくださいというようなやはり新たな支援策が必要であろうと私は
思います。そういった支援策もないままに単に新たな
義務だけを課すというのは、バランスを欠いているのではなかろうかと
思います。
私は、今申し上げた二点。一点は、妥当な結論を得るためにも、ぜひとも女性や障害をお持ちの方や
介護にかかわっている方の
参加が必要である、また新たな
義務を課す以上、新たな支援策が必要である、この視点でもってきょうの
質問に入らせていただきます。
具体的にイメージしますと、例えば小さな子供を抱えた方が
裁判員になったときに、果たして行けるのかと考えます。私自身、今四十で、遅まきながら初めての子供を授かり、今一歳に満たない娘がおりますが、一時保育を預けるのも大変です。子供は本当にいつけがをするかもわからない中、なかなか目も離せないという中で、果たして
裁判員制度になったときにすぐ行けるかというと、やはりちゅうちょすると
思います。そういったときに安心して預けられるような一時保育の場所であるとか、そういったものを確保して初めて
裁判員として行けるんだろうと思うわけです。
また、お年寄りの
介護をしている方の場合であっても、ではおじいちゃん、おばあちゃんの面倒を見ずに
裁判所に行けるかというと、なかなかそう容易ではありません。ただ、今の
制度の中では、デイサービスの
制度などもあります。そういった活用が考えられてしかるべきだと
思います。
また、お年寄りの方で足が悪い、しかししっかり
判断能力もある方の場合、
裁判所に行くことさえできれば
裁判員になれると
思います。そういったときの移動手段をどのように確保していくのかという視点も重要であろうと
思います。
また、障害をお持ちの方について、先ほど
山内議員の方からもありましたが、障害を持っていたとしてもサポートがあれば
裁判員としての
職務が可能であれば、そのサポート体制をやはりとっていくべきだろうと私は思っています。
障害を抱えた御家族についても、
介護の場合と同様、そういった障害児や障害者を一日、数日間、きっちりと安心したところでそういったお世話をいただけるようなデイサービスもありますので、そういった活用によってそういった御家族が
裁判員になれていくと
思います。
また、仕事を持っている方については、これまでも
議論がなされたところであります。
こういったことを考えますに、この
裁判員制度の導入に当たっては、繰り返しになりますが、そういったいろいろな困難といいますか
支障のある方を、いかにしてそういった
支障を減らしていくのか、公的支援をしていくかという視点が極めて重要であろうと
思います。
この点につきまして、まず
法務大臣に、こういった
参加しやすい
制度づくりの必要性、またその重要性の御認識をお伺いしたいと
思います。