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2004-03-19 第159回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
平成十六年三月十九日(金曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
小此木八郎
君
理事
岩屋 毅君
理事
小島
敏男
君
理事
高木 毅君
理事
仲村 正治君
理事
大石 尚子君
理事
長島 昭久君
理事
細野
豪志君
理事
赤松 正雄君 赤城 徳彦君 大前 繁雄君
嘉数
知賢
君 瓦 力君 北村
誠吾
君
佐藤
錬君 中谷 元君 林田 彪君 古川
禎久
君 山口 泰明君 青木 愛君 大出 彰君
寺田
学君 西村 真悟君
前田
雄吉君 松本
剛明君
渡辺 周君 遠藤 乙彦君
御法川信英
君 ………………………………… 国務大臣 (
防衛庁長官
) 石破 茂君
防衛庁長官政務官
嘉数
知賢
君
参考人
(
国連東ティモール支援団事務総長特別代表
)
カマレシュ・シャルマ
君
通訳
長井
鞠子
君
通訳
村崎
恵子
君
安全保障委員会専門員
前田
光政君
—————————————
委員
の異動 三月十九日
辞任
補欠選任
佐藤
公治
君
寺田
学君 同日
辞任
補欠選任
寺田
学君
佐藤
公治
君
—————————————
三月十八日
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一七号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一七号) 国の
安全保障
に関する件(
東ティモール
における
国連
の
PKO活動
の
現状
と
課題
) ————◇—————
小此木八郎
1
○
小此木委員長
これより
会議
を開きます。 国の
安全保障
に関する件、特に
東ティモール
における
国連
の
PKO活動
の
現状
と
課題
について調査を進めます。 本日は、
参考人
として、
国連東ティモール支援団事務総長特別代表カマレシュ・シャルマ
君に御
出席
をいただき、御
意見
を承ることにいたしております。 なお、本日は、
通訳
を
長井鞠子
君及び
村崎恵子
君に
お願い
しております。よろしく
お願い
いたします。 この際、
シャルマ参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 改めて、おはようございます。
シャルマ参考人
におかれましては、これまでの
国連
の
東ティモール事務総長特別代表
といたしましての御活躍に心から
敬意
を表する次第でございます。 それとともに、この来日中に、
お忙しいところ
を当
委員会
のために時間をお割きいただきましたことを心から
感謝
して、そして、本日は、御忌憚のない御
意見
をぜひお述べいただきたいと思います。 それでは、よろしく
お願い
いたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、
シャルマ参考人
から二十分程度御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答え願いたいと存じます。 御
発言
は着席のままで結構でございます。 念のため申し上げますが、御
発言
の際は
委員長
の許可を得ることとなっております。また、
参考人
は
委員
に対し
質疑
をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知いただきたいと存じます。 それでは、
シャルマ参考人
、
お願い
いたします。
カマレシュ・シャルマ
2
○
シャルマ参考人
(
通訳
)
委員長
、このような
委員会
の場に私が呼ばれましたことを大変名誉に思っております。
国連
が
東ティモール
にどうかかわるのかということに関しましては、今まさに大切な時期に来ております。
国連
の
安保理事会
は、将来の
国連
の
東ティモール
における努力をどのようにしていくのかということを今まさに考慮している時期であります。そのような時期にありまして、非常に貴重な、かつ大切な
東ティモール
の
パートナー
であります
日本
にこうして来ることができまして、心よりうれしく存じます。 それからまた、この
委員会
の
委員各位
の
皆様方
に対しましては、このように
皆様方
に
お話
をする
機会
を与えていただきましたことに
御礼
を申し上げます。 現在、
東ティモール
の
治安
の
状況
がどうなっているかということにつきまして
お話
をさせていただきたいと思いますし、それから、私個人としても、また
国連
といたしましても、
日本
が
東ティモール
のために大変重要な
貢献
をしてくださったということに関して、
日本政府
、また
日本国民
に
御礼
を申し上げたいと思います。 まず、
東ティモール
の
治安
の
状況
でございますが、これは、おおむね沈静化し、そして平和であります。
安全保障理事会
がスケジュールを変えたということに従いまして、今では
国連
の
軍事行動
をする規模も
ダウンサイズ
されておりまして、今は七百五十人まで下がっております。これだけの人数が達成されましたのは二〇〇四年の一月のことでありまして、特に
東ティモール
の西の方におきまして、ディミリタリゼーション、軍事的なことから脱するということ、またリクイデーションの
活動
が進んでおります。
国連東ティモール支援団
の持っております軍事的な
活動
をする
部分
でありますけれども、先ほどの
ダウンサイズ
がされた
部分
のことですけれども、現在やっておりますのは、
信頼醸成活動
、またいろいろな抑止的な
活動
を積極的にやっております。 まずやっておりますのは包括的なパトロールということで、
平和維持軍
が
偵察活動
及び
査察活動
といったようなことを集中的にやっておりまして、これは、現地の
東ティモール
の
人たち
が持っております
治安部隊
あるいは
治安組織
、そういったところと
協力
をしながら包括的にやっております。
東ティモール
の長期的な安全と安定のためには、やはり
国境部分
の
治安
、そして
国境部分
をコントロールするということが何よりも大切なことになってまいります。今は、ボーダー、
国境
というのは戦術的な
調整ライン
というふうに呼ばれておりますけれども、これは、言ってみれば
穴だらけ
のような
状態
でありまして、そこにおきましては、不法な
活動
とか
越境行為
、それからまた
各種
の
犯罪行為
などがよく行われております。 また、
インドネシア
と緊密な
協力
ができるかどうかということが、
東ティモール
に関しましては決定的に重要なポイントであります。これが長期的な
チャレンジ
でありまして、そしてまた、その
チャレンジ
の中には、元
難民
であった
人たち
がまだ
東ティモール
の
部分
には相当残っているということに絡む問題も含まれております。 さて、この
難民
の問題でありますけれども、相当な
状況
の改善が見られまして、二年前には二十五万人おりました
難民
が、今では二万六千人となっております。これは、
東ティモール
と
インドネシア
とが、この
分野
も含めましてあらゆる
分野
で
協力
されているということであり、このことは特筆すべきことであろうと思います。そして、このような
協力
があるということは、
東ティモール
の将来を
建設
的に持っていくための
一つ
の希望のあかしとなります。
国連東ティモール支援団
は、
東ティモール
と
インドネシア
の両者に対しまして、
国境
を合同で調査するというようなことも含めまして、両方に
支援
を与えております。
日本
の
自衛隊
の
施設部隊
がなされました
貢献
というのは、これは大変立派なものがありまして、私は
敬意
を表したいと思います。ちょうど私が
安保理事会
で
発言
をしたときに
敬意
を表したと同じように、ここでもその
敬意
をあらわします。 また、
人的資源
の
開発
ということに関しましても、
自衛隊
の
施設部隊
は大変な
貢献
をしてくださいまして、百人の
東ティモール
の
人たち
に対する
職業訓練
を提供してくださいました。それ以外にも、
道路建設
のための
機材
も提供してくださいましたし、また
道路補修
ということに関する
機材
も提供してくださいました。 これは、
東ティモール
の
経済
にとりましては全く不可欠なものでありまして、
東ティモール人
というのは、
道路補修
ということに関しましては何ら経験を有しておりません。また、
航空路
、それから
鉄道網
、また
沿岸海運
のようなものもほとんど
存在
していないという
東ティモール
の
現状
におきましては、
東ティモール
の
経済
のためにも、また
東ティモール
内のコミュニケーション、
通信
のためにも、
補給ルート
として
地上ルート
に頼るしかないという
状況
でありますので、その
意味
での
貢献
は非常に大きなものがありました。 私、今回、
訪日
中に伺いまして大変心強く思ったのですけれども、アソシエーション・オブ・ベテランズと呼ばれているようなところの御
協力
によりまして、このような
能力向上
に関する
日本
の
貢献
が今後とも続けられるということを伺って、心強く思いました。 また、
人的資源開発
の
分野
に関しましては、
自衛隊施設部隊
は、
教育研究
、学校、それから
職業訓練センター
を
建設
するというような
分野
におきましても
貢献
をしてくださっておられます。
施設部隊
は、九十七の
補給ルート
に関するそれぞれの
作業
をすべて完了されました。人が移動できるということは極めて大切なことでありますので、このような
貢献
というのは特に意義のあるものであったと思っております。そして、この人が移動できるということは、
東ティモール
の
市場形成
のために、
経済活動
のために、また
持続可能性
のためには必要不可欠なことであります。そして、まさにこのようなことを打ち立てようということが、
国連東ティモール支援団
、
UNMISET
の目標であります。 それから、
農業
の
分野
におきましては、
協力活動
は、かんがいの
分野
に、
漁業管理
に関する
訓練
の
分野
に、それからまた種子に関するいろいろな
活動
などについての
協力
がありました。それからまた、
農業センター
が壊れておりました。それを復興するための
活動
もありましたし、それのための
機材
の提供もありました。 それ以外の
インフラプロジェクト
といたしましては、非常に大切な、
工科大学
をつくる、
工科大学
に関連する
活動
もなされました。それから、ディリにおける
水供給
のネットワークを
建設
するというところにも向けられました。また、
国連
の
建物
を強化するという
活動
もありましたし、それから空港、港湾の
補修作業
もありました。 それから、
民事
的な
活動
それから軍事的な
活動
という
分野
におきましては、
施設部隊
が
参加
されましたのは、浜辺をきれいにするという
意味
での
ビーチクリーンアップ
、
植林活動
、公園をつくるということ、あるいは
サッカー場
の
建設
などがありました。それ以外に、
孤児院
に
支援
を与えるとか幼稚園に
支援
を与えるということもありましたし、場合によっては、音楽のレッスンを提供してくださるということも行われました。
安保理事会
におきましては、
東ティモール
を今後どうするかということに関しまして、
国連東ティモール支援団
、
UNMISET
の期限が来るのが五月二十日でありますので、それ以降どうするかということを考えているわけでありますけれども、現在、私が知っておりますところの
各種
の示唆によりますと、これから十二カ月の
コンソリデーション
の
期間
、すなわち、いろいろな
活動
を統合したりする
期間
というので、一年間、十二カ月を置くようであります。 この十二カ月の
コンソリデーション
の
期間
におきましては、私どもが希望しておりますのは、
日本国政府
におきましては、これまでやってこられましたこのような
活動
を継続することの
可能性
をぜひ積極的に考えていただきたいと思います。 どういう
支援
の継続の
可能性
の
分野
を考慮していただきたいかといいますと、まず第一の
可能性
といたしましては、
軍事連絡要員
という方を、これは非武装の方ですけれども、その
連絡要員
をぜひ残していただきたいということであります。 それから二番目に、
本部
に小規模なPKFを残していただきたいということであります。
UNMISET
におきましては
自衛隊
から人を十七人出していただいておりますけれども、その十七人を全部なくすのではなく、小規模でいいから
本部
に少し残していただきたいと思います。 それから三番目に、これは、
民事
それから
警察
の
分野
においてでありますけれども、
民間
の
警察アドバイザー
のような方を置いていただくことが可能かどうかということをぜひ考えていただきたいと思います。例えば、法の支配とか、そういった
警察
の
組織
あるいは
団体
の中でどのような
かかわり
方をしていったらいいのかということなどを強化するための
民間
の
警察
の
アドバイザー
をいただくという
可能性
です。——失礼いたしました。
文民警察
を考えていただきたいということです。 それから四番目に、これは
最後
の
お願い
になりますけれども、スペシャリストの
アドバイザー
をいろいろな
民事機構
の中にいただきたいということです。
公共行政
にはいろいろな
分野
がありますけれども、その
公共行政
のいろいろな
分野
における
専門家
の
アドバイザー
をいただきたいということです。例えば、税関でありますとかいろいろな
通信分野
、あるいは金融に関係するような
行政
、そういったところの
アドバイザー
をいただきたく思います。 御
委員会
におきましては二十分ルールがあるということですので、それはぜひ守りたいと思います。 まとめを申し上げますと、
東ティモール
というのは世界の中で最も若い国家であります。
国連
に加盟をいたしましたのも一番
最後
であります。また、
東ティモール
はアジアの中に位置する国であります。また、東アジアという
サブリージョン
に位置している国でもあります。そういったことを種々勘案いたしますと、まさに
日本
から御
支援
をいただく、
日本
に注目をしていただくということが必要な国であると思いますし、まさにそのような御
支援
を
日本
からも
東ティモール
は受けているわけであります。
日本
というのは、
東ティモール
に関しまして、
開発パートナー
として最大の国であります。それからまた、例えば、恵まれない
人たち
のためにいろいろと
貢献
をしてくださるアソシエーション・オブ・ベテランズという
団体
もおられまして、そこが大変よい
貢献
をしておられるということも伺っております。ですから、
日本
が今しておられるいろいろな
支援活動
を継続されるということは、
日本
が今標榜しておられる
人間
の
安全保障
ということの観点からも、まさに
意味
のあることではないかと思っております。
けさ
、実は私は、
人間
の
安全保障
に関する
信託基金
が出しました
パンフレット
を読んでおりましたところ、この
パンフレット
の表紙には、まさに人の
安全保障
が中心になる二十一
世紀
とうたわれておりました。 私は、
国連
というのは、特に
日本
がなしました
貢献
に対しまして、また
日本
が
東ティモール
にかかわってこられたことに関して
感謝
をしなければならない
理由
を持っていると思います。この
国連
が
感謝
をするべき
理由
というのは、
事務総長
御
自身
が国会で演説をされましたときにも、彼
自身
が述べているところであります。 私の考えでは、
国連
ができたというのは、二十
世紀
につくられました最も大切な政治的な思想ではなかったかと思います。私は、
国連
というのは、
国際社会
がつくりました
一つ
の
手段
、それは
人類
をより幸福にする、
人類
をよりよい方向に導いていくためにつくった
手段
であると思っております。そして、より創造的な、
建設
的な、そして
相互
に裨益するような
相互依存関係
をさらに進めるためにつくったものであるというふうに思っております。
日本
は、この
国連
という
組織
に対しましていろいろな
貢献
をなさいました。しばしば金銭的な、財務的な
貢献
をなさいました。それからまた、
人間
のセキュリティー、
人間
の
安全保障
という、先ほど私が言及いたしました
コンセプト
を大いに進めておられるという
意味
での
貢献
もあります。あるいは、人道主義的な
救済活動
という面もあります。 それから、
ミレニアム開発ゴール
というのがありました。これは、社会的な問題に対しまして
活動
していくわけですけれども、この
ミレニアム開発ゴール
に関しましても大変大きな
貢献
をされました。 そしてまた、
先進国
の
開発パートナー
としては、非常に大きな
存在
が
日本
であります。教育問題でも
活動
をしてこられました。そして、軍縮それから
開発
問題に関しましても、
日本
は非常に大きな
役割
を果たしてこられました。 そういうことを考えますと、言ってみれば、
国連
が抱えている理想をより引っ張っていくための車といいますか
機関車
の
役割
は、まさに
日本そのもの
であったというふうに考えるわけであります。 したがいまして、今後とも、
PKO
の
活動
に関しましては、
日本
がより直接的に取り組まれることがさらにふえていかれますように、ぜひ考えていただきたいというふうに思っております。そうなりますと、
平和維持活動
というのは、まさに我々が有望だと思っている
分野
の延長線上に
皆様方
も位置づけることができるのではないかと思っております。
平和維持
という
コンセプト
に関しましては、二〇〇一年の十二月に
国際平和協力法
が改正されることによりまして、さらに概念的にも拡大が可能になったということを伺っております。今では、この新しい概念によりまして、
選挙
、それから人道的な問題に関するモニタリング、それからまた再建、
開発
、そういったことにも
参加
をすることができるようになり、それから
文民
が、いろいろな
組織
をつくる、あるいは制度をつくるというようなことに関して
参加
をすることも可能になってきていると伺っております。 したがいまして、本
安全保障委員会
の
委員
の
皆様
におかれましては、ぜひ、
国連
の
平和維持活動
というものにこれからも
日本
が直接
参加
をなさるということに重きを置いて御審議をいただきたいと思います。 本日は、
東ティモール
の
現状
と
課題
につきまして
皆様方
に
お話
をするチャンスを与えていただきまして、ありがとうございました。心より
感謝
をいたします。(拍手)
小此木八郎
3
○
小此木委員長
シャルマ参考人
、ありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
小此木八郎
4
○
小此木委員長
これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
参考人
に対する
質疑
は、
理事会
の協議に基づき、まず、各会派を代表する
委員
が順次
質疑
を行い、その後、各
委員
が自由に
質疑
を行うことといたします。 なお、
質疑応答
は逐次
通訳
で行いますので、御
発言
は、
通訳
が入りやすいように区切りながら簡潔に
お願い
いたします。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
小島敏男
君。
小島敏男
5
○
小島委員
おはようございます。自由民主党の
小島敏男
でございます。 本日は、厳しい日程の中、ようこそ
安全保障委員会
に
お越し
をいただき、心から
感謝
をしております。 今
お話
を伺いますと、
東ティモール
の
現況
というのは大変にうまくいっているということと同時に、
日本
の
東ティモール
に対する対応を非常に高く評価されていることに、心から
感謝
をしています。 私は、
シャルマ代表
とお会いするのは今回で三度目になります。第一回目は、昨年三月、
防衛庁長官政務官
として
機材贈与式
に
出席
するため
東ティモール
を訪問し、その折、
シャルマ代表
の
事務所
に出向き、大変に
参考
になる御
意見
をいただきました。第二回目は、
シャルマ代表
が
訪日
をされたとき、時間を割いて
政務官室
に
お越し
をいただき、
東ティモール
の
現況
について
お話
を伺いました。
独立
間もない
東ティモール
の発展に誠心誠意取り組んでおられる積極的な
行動
に、心から
敬意
を払います。 青い空、美しい
海岸線
、自然は残っているものの、数多くの壊された
建物
に
独立
時の傷跡を見ることができました。車窓からは、とれたばかりの魚をさおに刺して売り歩く姿に、八人から十人の大家族ですから、まだ冷蔵庫も入っていない、そういうところを見ますと、
文化生活
というのにはまだまだ時間がかかるのではないかと感じたところであります。 そこで、きょうは時間が限られておりますので
質問
をしたいと思うんですが、おおむね、
シャルマ代表
の
お話
を聞いて、私が
質問
することに触れられておりますので、違った視点から御
質問
をさせていただきます。 昨年
事務所
を訪問したときに、
日本
の
自衛隊
の
活動
に対して
シャルマ代表
が絶賛をしていたことが耳から離れないんであります。そこで、ことしの二月に
アナン事務総長
が報告をされたということでありますけれども、今
シャルマ代表
の
お話
を聞きますと、
自衛隊そのもの
の延長でなくて、実は
民間
の方々に
東ティモール
に来ていただく、働いていただくのは
民間
の方に期待をしているようなんですけれども、その点について、そういう理解でよろしいのかどうか、お伺いしたいと思います。
カマレシュ・シャルマ
6
○
シャルマ参考人
(
通訳
) そうです、
先生
。その
解釈
で、私の
発言
の
解釈
は正しいわけです。
小島先生
には
御礼
を申し上げたいと思います。御訪問もありがたく思いましたし、また、
東ティモール
に関心を有していただいているということに関しましても、
御礼
を申し上げたいと思います。
先生
とのおつき合いというのは、まことにうれしい
気持ち
で、温かい
気持ち
で今思い出しております。 私は、いろいろな
分野
があるというふうに確信を持っておりまして、
日本
というのは
開発パートナー
として非常に大事な
存在
であるということ、また、非常に大きな
先進国
であるということも考えますと、例えば
自衛隊
が
貢献
をしてくださったのと同じような
共感
を持って、あるいは同じような
連帯
の
気持ち
を持って
日本
が多くの
分野
でかかわるということは、私は可能だと思います。すなわち、
文民
が、
民間人
がそのような
活動
に出ていったとしても、全く
自衛隊
に対するのと同じような
連帯
の
気持ち
、そして
共感
を継続するということは可能であろうと思っております。 私は、そこで思い出すんですけれども、何も新しい話ではございませんけれども、
選挙
がありましたときにも、
東ティモール
に
文民
が多くかかわられました。また、
けさ
、この
パンフレット
、別の
パンフレット
なんですけれども、
選挙
のモニターをなさった
団体
の
パンフレット
をちょっと読んでおりましたけれども、この中にも
東ティモール
の
選挙
にかかわられたということも出ております。 ですから、私は、こういういろいろな
可能性
が
日本
にもあるということを考えますと、そういった
可能性
のある
分野
における
活動
、それを継続するということも、
皆様方
、
委員会
におかれましては、ぜひ御検討いただきたく思います。
小島敏男
7
○
小島委員
よくわかりました。 そこで、私が
資機材
の
贈与式
に
参加
したときに、あのとき
贈与
したトラックとかブルドーザーとか、またはジープ、
救急車
を含めて、
日本
円で六億六千万円の
贈与
をしたわけでありますけれども、今
シャルマ代表
から
お話
があったように、百名ぐらいの
職業訓練
もしてきたということで、運転だとか操縦だとか、みんな教えてきたわけですね。 そうなりますと、品物は置いてきた、それから
訓練
は受けた人がいる、仕事はあるのかということで、
最後
に頼まれたのは、ODAで何とか
資金援助
をしていただきながら、その
資機材
が有効的に
活動
できるような、そんな方法をとっていただけないかという
お願い
をされたんですけれども、その後、
現況
はどうなっているでしょうか。
カマレシュ・シャルマ
8
○
シャルマ参考人
(
通訳
)
雇用
についての御
質問
でありますけれども、
道路
の修復それから
補修
ということに関しましては、それは
雇用
の
機会
が不足するなどということは全くない
状況
であります。 というのは、
東ティモール
というところは、
道路
は毎年悪くなる
状況
があります。雨が降りますと、すなわち、雨季の後では必ず地すべりがあり、
道路
の陥没があったりいたしますので、コンスタントに
道路
の
補修
はしなければならないという
状態
になっております。 ただ、私が
能力向上
ということを言っておりますのは、向こう二、三年ということを考えますと、そういったことが自立的に、トータルにやれる
能力
でなければならないと思うのであります。ですから、もちろん継続的な
かかわり
ということを私は
お願い
しておりますけれども、
日本
からの
かかわり
として、これまでとは違った形ということも大いにあり得ると思っております。 例えば、
機材
のメンテの
訓練
を受けたという人はいると思います。研修生は機械を直すということは
訓練
を受けていると思いますけれども、ところが、実際に、例えば測量をするとか調査をする、計画をする、そういったことに関する
能力
にまだ欠如しているのであります。 というのは、何かをするときには、どこかの時点でエンジニアリング上の決断を下さなければならないということがあるわけですけれども、決断を下すためには、どこがどうなっているのか、では、どうやってやればいいのかということが判断できなければなりません。その判断があってこそ、機械の登場ということになるわけです。ところが、その判断に関する
能力
というのがないのです。 ですから、
機材
という
意味
でのハードウエア、それから機械を使いこなすスキルということは重要でありますが、それだけではなくてソフトウエアも必要だということを申し上げたいのです。
小島敏男
9
○
小島委員
どうもありがとうございました。
小此木八郎
10
○
小此木委員長
次に、大石尚子君。
大石尚子
11
○大石
委員
民主党・無所属クラブの大石尚子と申します。 シャルマ大使におかれましては、本当にようこそ私どものこの
委員会
にお出ましいただいて、そして御
発言
いただき、これはある
意味
では画期的なことかと思い、本当に
感謝
いたしております。
お話
の中で、私ども
日本
の自衛官、
自衛隊
の、これは陸上
自衛隊施設部隊
を中心とする
PKO活動
に対して大変高い評価をいただき、そして特にシャルマさんは、昨年の十月でございますか、
国連
の安保理に御報告の折に、
日本
の
自衛隊
の
活動
に対して大変高い評価を報告してくださったと伺っておりまして、
感謝
いたしております。女性の自衛官を含む三千人になんなんとする延べ人員でございますが、
自衛隊
の
人たち
が
東ティモール
の国づくりに
参加
して、そしてアジアの
平和維持活動
に
貢献
できたということは、私どもも本当に誇りに思っております。 そして、
お話
の中でございましたように、ことしの五月に一応
UNMISET
の撤退の期限が来るのだけれども、今一年ほどの延長を考えておられるという中で、その中でも
日本
に対する
参加
の大きな期待をお述べになられましたが、私どもの
自衛隊
と申しますのは、定年が五十五歳でございます。彼らは、私どもにとりましては、今回
参加
した自衛官と同じような人材でございます。 それで、彼らが現職の自衛官と同じようにお役に立つだけの資質を持っていると思いますけれども、そういう
人たち
がお手伝いに行くのと、それから、現職の自衛官がブルーベレーをかぶって、そして武器を携帯し、これはもちろん自分を守るための武器でございますが、制服を着てお手伝いするのと差があるのかどうか。 そして、
日本
の国には飛ぶ鳥跡を濁さずという格言があるんですけれども、私、
PKO活動
は、飛ぶ鳥跡を壊さずというのがすごく大事なことのように思っておりまして、私どものここ十年間かかわってきた
PKO活動
の反省の面からも、去った後、せっかく技術も、それから施設設備等も残してきたのにそれが壊されてしまって、そしてなかなか後へ生かせなかった、そういう事態も体験いたしておりますので、今回
自衛隊
が残してまいります予定の、ベースキャンプの施設でございますとか、おっしゃいましたように、いろいろな
開発
機器とか、それから
機材
その他すべて、それらを十分に今後生かしていただくためにも、やはりそれを、もっともっと
東ティモール
の国民に
能力
を身につけていただくためのお手伝い、そういうことが必要なのではないかと思っております。 その面でも、
自衛隊
OBの活用というものは考えておられるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
カマレシュ・シャルマ
12
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 私、先ほど
日本
の
自衛隊施設部隊
について言及をいたしましたが、これは、ただ単に、その専門的な技能ゆえにすばらしいということばかりではなく、
東ティモール
の人々に対し、
共感
を持って、また
連帯
感を持って
活動
してくださっているということで申し上げたわけでありまして、十分高い評価に値するものでございます。 今、二つの御
質問
をいただきました。まず第一は、派遣される
自衛隊
員の年齢の問題、そして第二番目は、施設の
状態
に関する御
質問
であったかと思います。
雇用
に関することですが、
PKO
の場合、小隊であろうと中隊、大隊であろうと、またオブザーバーであろうと、いずれも
PKO
デパートメント、
PKO
部によって決定されるものであります。配備される人は、二年前には五千人ほどでありましたけれども、ほとんどが若い年齢の
人たち
でした。と申しますのも、
PKO
のミッションというのは、余り友好的ではない
状況
の中で
活動
を行うこともありますし、また社会的な、生活ですとか文化とか、あるいは健康面での
課題
も非常に大変なものがございます。ですから、このような
状況
に対応できるような若い方ということでやってきたわけです。 しかしながら、
国連
が退役自衛官を受け入れるかどうかということに関して、私は現在コメントをする立場にはございません。これに関しては、
PKO
デパートメント、
PKO
部と話し合いをしていただきたいと思います。 退役された方も果たす
役割
というのはあると思いますし、例えばインフラ整備の
分野
において引き続きかかわっていただくというようなことは歓迎できることであると思います。 第二番目に、施設の点でございますが、おっしゃることは全く正しいことであると思います。私ども、
PKO
に関して、この施設の問題は、一番
最後
の数カ月になって考えるということではなく、一番最初から考えていかなくてはならないということを申し上げております。そして、
東ティモール
政府と一緒になって計画段階から考えていこうということなんです。ですから、
東ティモール
政府に対し、ある施設あるいは設備を提供して、しかしながら、それが後できちんと
補修
されない、あるいは使用されないということがあってはならないわけでして、いかにして使用し
補修
をしていくかということについて計画をして行ってまいります。 また、環境の保全ということも非常に重要でありますので、決して環境上の被害を及ぼさないような形で行っていくということが重要であるというふうに考えております。そして、責任のある形で行っていくということです。 また、撤退をする場合にも、
東ティモール
の政府及び国民に対して責任のある形で撤退をしていかなくてはなりません。そうすることによって初めて
国連
の名声が保たれるのです。
大石尚子
13
○大石
委員
時間になってしまいました。
最後
に、私ども、大変
貢献
を認めていただいております割には、
国連
の中での
日本
の地位が認められていない、
国連
憲章の敵国条項がまだ削除されていないというような実態もございますので、ぜひ、私どももこれから国際
貢献
に努力いたしてまいりますので、そういう面でも御努力いただければ幸いでございます。 ありがとうございました。
小此木八郎
14
○
小此木委員長
次に、赤松正雄君。
赤松正雄
15
○赤松(正)
委員
公明党の赤松正雄でございます。 本日は、
お忙しいところ
、大変にありがとうございました。また、
日本
の
東ティモール
における
PKO活動
に対する大変高い評価をいただき、感銘を受けた次第でございます。 時間が制約されていますので、ショートクエスチョン、ショートアンサーでいきたいと思います。 まず第一点ですが、今、
日本
の果たした
役割
について大変大きな評価をいただいたんですが、その前提というか前段階の問題として、この
東ティモール
における現在というのは、オーストラリアを中心とする多国籍軍による
治安
回復が非常にうまくいった、このことがやはり大きくその前の問題としてあると思うんですが、そのオーストラリアを中心とする多国籍軍の展開、
治安
回復がうまくいった
理由
は、多国籍軍がしっかりしていたのか、それとも、もともと
東ティモール
における破壊
活動
というのはそんなに大きな背景は持っていなかったのかどうか、その二つのうちどちらかということを聞きたいと思います。
カマレシュ・シャルマ
16
○
シャルマ参考人
(
通訳
) まず、オーストラリア中心の軍になったことの
理由
ですけれども、あれは一九九九年当時、これは時間との闘いであったということが一番大きな要素だったと思います。
国連
自身
が
国連
軍というのを持っていないわけで、
国連
軍をいろいろと集めていくためには二、三カ月はかかるのですけれども、あの
状況
におきましては、すぐにとにかく派遣をしなければならなかったという
状況
でありましたので、オーストラリアからのオファーを受けたという格好だったと思います。そして、オーストラリア中心で、ほかの国ももちろん
貢献
をしながら
活動
が行われましたけれども、今の
状況
は全くそれとは違います。
赤松正雄
17
○赤松(正)
委員
完全に答えてもらっていないんですが、まあいいや。 今、
日本
の今日までやってきたことについて、これからも
日本
の
可能性
を発揮する
分野
は多いという
お話
がありましたが、今、
東ティモール
にたくさんの国が、四十数カ国ですか、今日まで
参加
をしているんですけれども、先ほど来おっしゃったような、
日本
のような、いわゆるインフラを回復させるための仕事をしている国というのは、ほかにどういう国があるんでしょうか。
カマレシュ・シャルマ
18
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 直接
国連
が
インフラプロジェクト
に責任を持つということではありませんけれども、
国連
はプログラムをいろいろと考えまして策定して、それを提案するということはやったりはしておりますが、
参加
型の
役割
を果たしているということであります。プログラムを実際に策定することに責任を持っていないんですけれども、
参加
型の
役割
を果たしております。 それから、いろいろなプログラムを導入するということに関しても、責任を持ってやった
部分
というのはありました。例えば、サイエンスパークという学術都市のようなものをつくるとか、あるいは学校における科学技術に関するカリキュラムの制作に関しまして、ユネスコを通してやるということもやりました。それからまた、UNIDOを通しまして、子供たちが職を求めるということだけを考えるようになっていくのではなくて、ジョブギバー、ジョブクリエーター、仕事をつくる、仕事を与える側になっていくようになるということも非常に大事だというふうに思って、いろいろプログラムを導入したりしております。 だから、パイロットプロジェクトとしていろいろなものをやったりしておりますが、これは我々、
国連
の
UNMISET
の任務ということでやっているということではなくて、やはりこういう形で
貢献
をすることも可能だろうなというふうに感じたから、いろいろな
参加
的な
役割
を果たしているということはあったと思います。 さて、インフラのプロジェクトでありますけれども、これは主に世銀をコーディネーターといたしまして取り組まれておりますし、それ以外には、二国間の関係の中で、政府対政府ということでインフラのプロジェクトが行われております。ですから、インフラのプロジェクトに
参加
をするドナー国というのは、それはたくさんあります。例えば、ノルウェーは電力プロジェクトに
参加
をしておりまして、その会合にはたくさんのほかの国も
参加
をしたり、ほかのプロジェクトにもたくさんの国が
参加
をしています。
先進国
、ドナー国、それぞれが
インフラプロジェクト
には
参加
をしておられます。 それから、
委員
には大変申しわけなく、先ほどの
質問
に十分に答えていなかったかもしれないんですが、私としては答えたつもりだったのですけれども、
質問
を誤解したのかもしれません。申しわけありませんでした。
赤松正雄
19
○赤松(正)
委員
ありがとうございました。 三点目の
質問
ですが、
日本
の
自衛隊
が
PKO
に
参加
する場合にしばしば問題になる話でございますが、武器の使用のあり方というものがほかの国に比べてかなり違う。こういった問題について、シャルマさんの立場から、不都合があったかどうか、それは改善された方がいいと思われるかどうか、この辺のことについて。
カマレシュ・シャルマ
20
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 私は、ただ、二〇〇一年の十二月に改正されました法律におきましては、武器の使用ということに関しましては若干緩和されたということは気がついておりますので、私が出しましたレコメンデーションの中では、武器の使用ということは
日本国政府
にとりまして極めて機微に触れる難しい問題であるということを考慮した上で、次のような提案をしているわけです。 私どもの提案の中には、
軍事連絡要員
をぜひ数人残すという
可能性
を
日本
に検討してほしいということが提案の中に入っておりますが、それはまさに非武装の人として残るわけでありまして、武器使用に関する機微に触れる点を考慮した上での提案となっております。 もちろん、私のレコメンデーションというのは、
安保理事会
に対しまして
国連
事務総長
が提案されておりますけれども、ただし、これが本当に承認されるためには
安保理事会
の決議を経なければならないので、それはまだ出ておりませんので、正式承認とはなっておりませんけれども、私どもの提案しておりますのは、
連絡要員
を残していただきますけれども、その
連絡要員
をどういうふうに保護するかということに関しましては、三百十名程度の規模の一大隊を残していきまして、PKFの中でも一大隊が残るということで、この三百十名の兵力をもって
連絡要員
の保護、保安を守るという提案になっております。 ですから、私どもが
自衛隊
に
お願い
しております
軍事連絡要員
というのは、非武装で残るというのが当方からの提案になっております。
赤松正雄
21
○赤松(正)
委員
ありがとうございました。終わります。
小此木八郎
22
○
小此木委員長
次に、
御法川信英
君。
御法川信英
23
○御法川
委員
まずは、きょうは十五分という
質問
時間をいただきまして、
委員長
初め
理事
の
皆様
の特段の御配慮に
感謝
したいと思います。本当にありがとうございました。 シャルマさんの方に御
質問
いたします。
一つ
は、
インドネシア
で四月に総
選挙
があるわけですけれども、これの結果が
東ティモール
における影響、こういうものが、肯定的あるいは否定的なものがあれば、どういうものがあるのか、あるいは、それに対して
国連
のミッションが憂慮している、あるいは心配していることがあればお聞かせいただきたいと思います。
カマレシュ・シャルマ
24
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 私ども、
インドネシア
政府によって非常に温かく迎えられております。と申しますのも、私ども
UNMISET
に与えられている任務というのは、両国間の移行の問題に関しての前進を円滑に行っていくというところにあるからです。 私、
インドネシア
の大統領、外相等と会談を持ちまして、そこでも、
インドネシア
政府は
東ティモール
との間に
建設
的な
協力
関係を築いていくという政策をとっていくということを伺っております。そして、友好的、かつ、お互いに便益のあるような関係を築いていくものであるということでございます。そして、この政策が今実施されているところであると考えております。そして、どのような政権になろうとも、この政策は維持されていくものと私は確信しております。 なぜならば、これは、特定の政権がということではなく、
インドネシア
の国益に最もかなったものという評価から出された政策でありますので、たとえ政権の交代があったとしてもこの政策は変わらないものであると確信しております。
御法川信英
25
○御法川
委員
次に、国内外の
安全保障
というか、安全という
意味
で、PNTLの
組織
とあとF—FDTLという
組織
があると思うんですけれども、これはどう訳しているのかちょっとわかりませんが、軍あるいは
警察
というふうな訳し方をしておるのだと思います。こういうものがあるけれども、
組織
としてはまだ弱体であり、これは
国連
の
事務総長
のレポートにありますけれども、
UNMISET
の
存在
というのがまだ民生の安定の上で非常に重要だというふうにありますが、
UNMISET
のミッションが一年延びた場合でも、結局、このトランジション、移行ということが非常に大きな問題になってくるのではないかなと思います。
UNMISET
がいなくなった後、いかに国内の安定を図るかということについて、具体的なプランを
UNMISET
の方で持っているのであればお教えいただきたい、もしないのであれば、これからどうするのかお教えいただきたいなと思います。
カマレシュ・シャルマ
26
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 非常に重要な点について御
質問
をいただきました。 PNTL及びFDTLですが、いずれに関してもまだ非常に弱いものでございまして、これがプロフェッショナルなものになっていくためにはまだ時間がかかるものであります。十二カ月の
期間
の後にはさらに信頼の度合いが高くなってくると思いますけれども、十二カ月間の統合、
コンソリデーション
の
期間
の後にさらなるトレーニングプログラムを行うということ、
警察
、軍、双方にトレーニングプログラムをさらに行うことによって、よりプロフェッショナルなものにしていくことが必要でありましょう。 PNTLに関しましては、もう既に十三の地区において
警察
、こちらの
東ティモール
警察
に移行が行われております。あと
一つ
の地区が残っております。三千二百人ほどが参画をしているものであります。さらに、専門的な部隊が、
国境
地域においてボーダー・プロテクション・ユニットという形で形成されております。 それから、
警察
機動部隊というのもございまして、これは都市部における緊急の事態に対応するものです。それから、緊急配備部隊、ラピッド・ディプロイメント・サービスというのもございまして、これは地方において何か問題が起こった場合に、問題に関しての追跡を行うものです。こういったことに関してさらなるトレーニングが必要であると思います。どのぐらいの陣容が必要であるかということは、
事務総長
の報告書の中に含まれております。 FDTLに関しては、これは
UNMISET
あるいは
国連
の責任下にあるものではございません。私どもはPKFは持っておりますけれども、そして、それを通じて十一の
協力
のトレーニングが行われておりますが、しかし、外国のプロフェッショナルな軍ということに関しては、私どものマンデートの中に入っておりません。
開発
のプログラムを活用するということで、六カ国ほどの国が二国間
協力
を行っておりますので、国防の
分野
において
東ティモール
が自立するためにはそういったものの活用も必要であると思いますが、いずれにいたしましても、これはもう少し時間のかかることであると思います。
御法川信英
27
○御法川
委員
最後
に、先ほど大石
委員
も触れられた件なんですけれども、今後
日本
が国際
貢献
ということで
PKO
あるいは人道
支援
、いろいろな形で活躍していく中で、
国連
の中で
日本
がもうひとつ精いっぱいできない
理由
の
一つ
に、憲章の百七条の旧敵国条項なんかのことがあると思いますが、この点について、もしコメントがあればいただきたいなと思います。
カマレシュ・シャルマ
28
○
シャルマ参考人
(
通訳
) この点に関しては、私は
発言
をする権限を持っておりませんので、
発言
を控えさせていただきたいと思います。
御法川信英
29
○御法川
委員
ありがとうございました。
小此木八郎
30
○
小此木委員長
以上で各会派を代表する
委員
の
質疑
は終了いたしました。 これより自由
質疑
を行います。 この際、
委員各位
に申し上げます。
質疑
のある
委員
は、挙手の上、
委員長
の許可を得て
発言
されるよう
お願い
いたします。また、
発言
の際は、所属会派及び氏名をお述べいただくよう
お願い
いたします。 なお、
理事会
の協議によりまして、一回の
発言
時間は三分以内となっておりますので、
委員各位
の御
協力
を
お願い
申し上げます。 それでは、
質疑
のある方は挙手を
お願い
いたします。
遠藤乙彦
31
○遠藤(乙)
委員
公明党の遠藤乙彦でございます。
シャルマ代表
には、
東ティモール
の経験と教訓について非常に示唆に富む
お話
をいただき、大変ありがとうございました。時間も限られておりますので、三点にわたって短く御
質問
をしたいと思います。 第一点。シャルマさんの御
発言
を伺った印象は、紛争地域において
人間
の
安全保障
を実現していくためには大変幅広い
協力
が必要であるということでありまして、特に、
PKO
とODAを統合していくことは大変重要だという印象を得ました。多分、この方向性は
日本
として比較優位を持った
分野
であり、これからも積極的な
貢献
ができると思いますけれども、
国連
の場において、
PKO
とODAの統合ということについてどういった議論が行われているか、まずこの一点を
お話
しいただきたいというのが第一点です。 それから、第二点。
日本
は
PKO
に
参加
して十年たちました。
日本
では運転免許初心者は若葉マークと言いますが、この十年間、
日本
は若葉マークの
PKO
で、非常に慎重で限定的な条件で
参加
をしましたが、これからは、中級者、上級者を目指してグレードアップする段階に来ております。そのためにはどういうことをしたらいいのか、具体的な点につきましてシャルマさんのアドバイスをいただきたい。第二点です。 それから、第三点。こういった平和
協力
をするについては非常に高い資質あるいは幅広い
能力
が要ることは、今の
お話
を聞いてよくわかりました。そういった
意味
で、そういった目標のために人材育成ということは大変重要なことだと思います。
日本
においてもこれからそういった点に取り組む必要があると思っておりますが、具体的な平和
協力
に向けての人材育成のカリキュラムやプログラムについて、あるいはシステムについてどういったアドバイスがあるか、この点につきお聞きしたいと思います。 以上、三点です。
カマレシュ・シャルマ
32
○
シャルマ参考人
(
通訳
) まず、
PKO
とODAの統合ということでありますけれども、きちっと統合されたという
意味
でのプログラムが今あるということではないと思います。私が知っている限り、そのようなプログラムはありません。 しかしながら、今安保理が認識をしておりますのは、
PKO
というのは概念として少し進化をしてきた、そして
PKO
というのは、
PKO
そのものというよりも、国家
建設
、ネーションビルディングというような
分野
にも入ってきているというふうに認識されていると思います。何とならば、どんなに平和を維持したとしても、そこに
持続可能性
あるいは耐久性というものがなければ、せっかくつくったものもそれは持続しないわけであります。 そういったことのために、例えば人道
支援
とか
開発
支援
、あるいはいろいろな
団体
、
組織
がやっているような
活動
、そういったものを統合して、そしてもっと有機的な計画にして、ある地域に、あるいはある国家に対してそれを適用していくというような考えが今生まれつつあります。 こういったことが今認識として行われておりますけれども、これは何も
PKO
、ODAを統合しようということを目的としてやっているのではなくて、あくまでも首尾一貫したことをやりたいと思えばこうなるという
意味
で、今そういう認識があります。 二番目の
質問
でありますけれども、
日本
が、これまでやってきた
平和維持活動
を卒業して、もっと高いレベルの任務を与えられるようになるかどうかということについてなんですけれども、私の提案をいたしました中にいろいろなことを言いましたけれども、まさにそのことも勘案した上で私が提案を出しているわけであります。 というのは、世界の各地で
PKO
がいろいろと行われておりますけれども、そういったいろいろ行われている
PKO活動
の中で、
東ティモール
で行われている
平和維持活動
というのは、実際に紛争に巻き込まれる
可能性
が最も少なく、交戦に至らなければいけないという
可能性
も少なく、摩擦の
可能性
も一番少ないような
状況
だと思うからであります。 でありますからこそ、ぜひ
日本
には、その
かかわり
方を拡大していただくことを検討することが可能であるような環境がまさにあそこにあるということを考えまして、ぜひ御検討いただきたく、あのような提案をさせていただきました。 次に、
最後
の
質問
ですけれども、平和
協力
、
平和維持
のための
能力
をどうやって育てるかという問題ですが、
国連
の中にUNITARという
組織
がありまして、そこで
訓練
コースが提供されております。それから、いろいろな国々にも
平和維持
センターというのがありまして、それぞれのセンターが
訓練
コースを提供していると思いますが、
国連
の
平和維持
局に御連絡をいただければ、どういうコースがあるかということに関しましては情報を提供できるはずです。
遠藤乙彦
33
○遠藤(乙)
委員
大変ありがとうございました。
大出彰
34
○大出
委員
民主党の大出彰でございます。 きょうは、シャルマさん、大変ありがとうございます。そして、
UNMISET
にも
感謝
を申し上げます。 私たちも、
東ティモール
の復興
支援
に積極的に努力をすべきだと考えております。 そこで、できたばかりの国ですので、不安定な要因は取り除いておいた方がよいわけですが、
一つ
は不安定な要因と、それからもう
一つ
は近い過去の真実の追求といいますか、この二点が問題だと思っていますので、二つ
質問
をいたします。
一つ
はオーストラリアとの関係ですが、ティモール海条約とサンライズユニット化協定が締結されているようなんですが、どうも石油をめぐってオーストラリアと紛争になるのではないかということでちょっと不安があるのですが、その
部分
については大丈夫なのだろうかというのが一点でございます。 もう一点は、近い過去というのは、いわゆる虐殺の問題でございます。サンタクルスの虐殺という有名なのがありますが、この問題はどのように追求されていくのか。そして、この問題に
UNMISET
はどのようにかかわっているのかという点についてお伺いをいたします。
カマレシュ・シャルマ
35
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 真実の追求ということに関しましては、この問題はあらゆるレベルで対応がなされております。 まず第一は、いわゆる重大犯罪ではないと思われるような犯罪に関する取り組みでありますけれども、真実和解
委員会
というのができまして、それが今まで一年半にかけて
活動
をやってきております。 彼らがやっております
活動
というのは、例えば、そのような
犯罪行為
を行った犯人それから被害者とを同じ場に会わせまして、そしてその場で許しが可能であるかということについての対応がなされます。まず、犯人の側が、今自分たちがどういう
気持ち
であるか、後悔をしている、そして自分があのような行為を行ったことは非難さるべきことであるということを表現し、そして、それに対してはある一定程度の罰というのが規定されておりますので、例えば肉体労働でもってその罪を償うというようなことができれば、犯人、被害者双方にとって新たな出発になるということで、このような取り組みが成功裏に
東ティモール
の各地で行われております。これが
東ティモール
の社会に対して新たないわば調子といいますか、新たな雰囲気をつくり出しているということが言えると思います。 二番目のレベル、これはいわゆる重犯と呼ばれるような殺人、強姦、拷問、それに類するような犯罪についてでありますが、
UNMISET
がやっておりますのはインフラを提供するということです。検事、特別法廷、国際判事、弁護団、それからまた裁判所に対するサポート、そういったようなものを我々が提供しております。そして、九九年当時、いわゆる重犯と呼ばれるようなことで何があったのかということについての
活動
、探求がなされております。 現在、いわゆる甚だしい凶悪犯というふうに特定される案件が十件特定されておりまして、
事務総長
報告の中にも
一つ
レコメンデーションとして入っておりますけれども、現在、この重犯、十件の特定された案件に関しましては、
コンソリデーション
フェーズというのが一年あると言いましたけれども、その地固めの段階においてもこの対応というのは継続されるべきであるという提案が記載されております。それが継続されるということによりまして法律的な手続にもっと時間的な余裕が生まれるためにも、この地固めの段階においてもこの取り組みは継続されるべきと提案されています。 次に、石油資源についてですけれども、
東ティモール
が望んでおりますのは、オーストラリアとの二国間関係で、この問題について何らかのぜひ動きがあるように望んでいるということであります。すなわち、海上の
国境
線の画定をぜひしてほしいというふうに
東ティモール
側は望んでおります。 なぜならば、海上における
国境
線を画定すれば、石油資源、ガス田などの資源は
東ティモール
の
経済
水域の方に落ちるであろうというふうに考えているがために、この動きはぜひ動かしてほしいと
東ティモール
は思っておりますけれども、当然ながらこういうプロセスでありますので、そう短
期間
に片づくというものではありません。若干の時間はかかると思います。 しかし、もちろん、この石油資源というのは
東ティモール
の国家収入にとりましても大事な問題ですから大切な問題ではありますけれども、この件がこの地域にとって、あるいは二国間関係にとって不安定要因になるというふうには私は考えておりません。
大出彰
36
○大出
委員
ありがとうございました。
高木毅
37
○高木(毅)
委員
自民党の高木毅でございます。 きょうは、本当に貴重な御
意見
、ありがとうございました。 先ほど、遠藤
委員
も少し
お話
しさせていただいたわけでございますけれども、先ほど来、
自衛隊
に対して非常に高い評価をいただいております。その中で、技術的にもそうだし、あるいはまた、いわゆる
東ティモール
の方と協調しながらしっかりと
活動
しているというようなことを非常に高い評価をいただいてございますけれども、さはさりとて、
人間
あるいはまた
組織
というものは、足らないところ、至らないところ、欠陥というのが当然あるわけでございます。 これから、
日本
もますます盛んに、ぜひ積極的に世界各国でこの
PKO活動
というのをやっていかなきゃならない、あるいはそうしたことをしなきゃならないと思っているわけでございます。その中にあって、今の
東ティモール
で
活動
しておりますこの
自衛隊
、高い評価をいただきましたけれども、非常にお答えしにくいことかと思いますけれども、忌憚のないところを、
日本
の
自衛隊
はまだここが足らない、至らない、ここをこうすればいいんだというようなことを、ぜひ具体的に御示唆いただければ大変ありがたいと思います。よろしく
お願い
いたします。
カマレシュ・シャルマ
38
○
シャルマ参考人
(
通訳
)
日本
の
自衛隊
の
役割
ということでありますが、
平和維持活動
において二つあります。 まず
一つ
は、
施設部隊
に関しては、何回かに分けてやってきておりまして、一番新しいものから中くらいのもの、そして乾季にやってきた最も経験を積んだ部隊とございます。それぞれ異なった環境の中で対応してやっているわけですけれども、非常にすばらしいプロフェッショナリズムを持って、また強いコミットメントを持って
活動
してくださっています。ですから、非常にすばらしい
活動
をしていらっしゃっていると思います。 それから、第二番目に、十七名の
自衛隊
員の方々が
本部
で仕事をしてくださっておりますが、これに関しても、司令官の方から、非常に満足のいく仕事をしていただいているというふうに伺っております。 ですから、今の
質問
に答えるのは難しいのではないかという
お話
でございましたが、率直なところ、非常によい仕事をしていらっしゃっているというふうに感じております。
松本剛明
39
○松本(剛)
委員
民主党の松本剛明と申します。 きょうのシャルマさんの御来訪を心から歓迎申し上げると同時に、シャルマさんを初めとする
UNMISET
の
活動
には
敬意
を表し、また、我々ができる
支援
をぜひ申し上げていきたいということをまず冒頭に申し上げます。 二つ御
質問
申し上げたいと思います。 今の遠藤議員、高木議員の
質問
の延長線で、私たちの国の
自衛隊
もこれから国際
貢献
を大いに行っていくという形になっていく、
PKO
においてもさまざまな
活動
を行うことになるであろうというふうに思いますが、やはり国を守るという
自衛隊
の任務と国際
協力
を行うという
自衛隊
の任務は、性質が違うところもあると思います。それに対応したさまざまな
訓練
も必要ではないかというふうに思っております。 シャルマさんから見られて、国を守るという仕事と
国連
において国際平和に
協力
をするという仕事で、どこが一番違う点で、留意をすべき点だと思うかということをまずお
一つ
伺いたいと思います。 二つ目の
質問
を申し上げます。 今、
国連
が
人類
にとって大変重要なものだという
お話
がありました。私も同感でありますが、同時に、今、
国連
はいろいろな
意味
での改革も必要になってきていると思っております。 その
一つ
は、今の
安全保障理事会
のあり方を含めて、多数の国の意思をどのように反映するかということが
課題
ではないかと思います。 もう
一つ
は、今、
国連
は幅広い機能を担うようになってきたと思います。いわば、
国連
憲章や国際法に違反をしないように、遵守をするようにということ、同時に、違反をした場合の制裁をどうするかといったいわば司法的な機能から、今まさにシャルマさん初め皆さんが行っておられるように、
支援
をしていくというような
行政
的な仕事、これだけ機能が多岐にわたってくると、機能の面からも
国連
の
組織
の改革というのが必要になってくるというふうに思いますが、立場がおありだろうと思いますが、率直な
意見
を伺いたいと思います。
カマレシュ・シャルマ
40
○
シャルマ参考人
(
通訳
) 厳しい
質問
は、きっと後になったら出るぞと覚悟しておりました。 まず、最初の
質問
で、国を守るということと
国連
のために仕事をするということの間の違いは何かということですけれども、まず第一点、自国を守るというときには、これまでの年月を経て、国民との交流というのもちゃんとありますし、国益とは何か、そして国益という物差しで見て、何はどうだ、これはどうだということが割と明確に定まってまいります。ところが、
国連
の場でPKFとして出ていくときには、国を守る場合なら明確な国益というものの定義が、日々変わっているというか、まだその定義が発展途上にあるようなところで出ていくということがあるわけです。 ですから、自分のために
活動
するということ以外にも、当該政府のために、あるいは、ほかにもプレーヤーはいるかもしれないし、登場人物というのもほかにもいるかもしれない。そしてまた、自分の国益ということとはまた別の目的、そのときそのときの目的に合わせて自分が
行動
をしなければいけないわけですので、当初から、自分がやっていることというのは大目的のサポートになっているのかどうかということを常に問いながら
行動
しなければいけないということがあるわけで、しかも、その大目的というのもまだ明確に定義がされていないかもしれないような中での仕事であるということで、極めてセンシティブな
状況
があるということ、これが第一点です。 それから、第二点というのは、国の防衛ということに関しましては、大体国民はもう一致しておりますから、
一つ
の統一した中で
行動
することができます。しかも、つき合うのは、相手は自国民だけですから、国の中では。しかしながら、
PKO
になりますと、国籍というのは、もういろんな人がかかわってきます。 ですから、兵士として自分の持っている職業的な
能力
、あるいは人とのつき合い方の
能力
、チームプレーヤーとして仕事ができるかどうかという
能力
、そういったものが問われるという場面が多いと思いますし、また、自国に戻ったときには、兵士としてこのような経験を経たことによって、よりよい兵士になって帰ることができるのではないかというのが我々が希望したいところであります。 それから、三番目。これは非常に困難な点で、いつも困難な点として出てくる問題なんですが、
PKO
ということ、PKFということになりますと、必ず武器使用という局面が出てまいります。それぞれの国は、自国内で武器使用をするということに関しましては明確な規定があると思うのですけれども、
国連
というのは、やはり世界の模範となる軍隊でなければいけないという思いがありますので、基準は最も高いスタンダードでなければならないと思ってやっております。 しかし、そうではあっても、
状況
によっては、ここで武器を使用することができるのかどうかということを逡巡するような、そういった非常に微妙な
状況
というのはあったりすると思う。ここが最も難しい局面ではないかと思います。 次に、
国連
の改革ということについてでありますけれども、私はインドの
国連
大使を五年間やっておりましたので、
国連
改革ということはいつもいつもテーマになっておりましたので、私もそれをよく知っております。 それについての私の考えですけれども、まず、
国連
というのは改革を必要としている
組織
であるというのは、これはもう疑いのないことでありまして、それは、改革が必要ないなどとは私は一度も思ったことはありません。ですから、そういう見方をすれば改革は必要ですけれども、しかし、別の見方をいたしますと、あれくらいの予算のレベルでこれだけのことをなし遂げたという見方からすれば、
国連
は本当にすばらしい達成事をつくってきた
組織
だと思います。言ってみれば、今、
国連
は世界の中枢神経系のようなものになっておりまして、今、
国連
のない世界というのは想像することだにできない。あの程度の予算でここまでやってきたというのはすごいことだと思っております。 さて、
国連
の改革をしなければいけないということは長く提案されておりますけれども、よく人は、どんな
組織
よりも
国連
は改革を必要としているんだ、よそはもっとましにやっているという言い方をしますけれども、私は、それは全く正しくないと思っております。 人体と同じで、例えば動脈硬化症、あるいは何でも、硬化症ということでかたくなるというのは、これは人体と同じで、どの
組織
でもどの制度でもあることです。これは、大学でも、あるいは政府の省庁でも、あるいはNGOでさえもそうだし、政党だって決してそこから免れることではない。制度、
組織
がかたくなる、硬化していくということは、これは普遍的な現象であります。 ですから、それは、そういった
意味
での改革をしなければいけないということはそうですけれども、どこよりも
国連
が改革が必要だとかいうのには私はくみしませんし、どこの
組織
と比べましても、点数をつければ、やはり
国連
の点数は、成功してきたという点数は一番高いと思います。 さて、機能的な側面からの改革ということをおっしゃいましたけれども、もちろんそのこともありますし、それから、
国連
事務総長
が
国連
の総会でよくこういう言い方をしているんですが、
国連
改革というのは一回限りのイベントではない、こういう言い方をよくしております。例えば、一回改革をして、ああよかったね、改革ができたねとみんなで安心して、もうそのままにするというものではない。改革というのは継続的なプロセスであり、たとえこれまで改革したことがあったとしても、それは継続されなければいけないということであります。 それから、一番中心的な改革としては、
安保理事会
の組成、メンバーの改革ということがあります。 確かに、
安保理事会
というのは五十年前に創設されたものであり、今、安保理が議論しなければいけないような
課題
を反映していないようなメンバー構成になっているというのは、これはもう疑いもないことであります。また、
安保理事会
としてやっていかなければいけないということを信念として持っていくという観念からも、今のメンバーシップというのはもう合っていないということは、これは火を見るよりも明らかでありまして、これは常任、非常任を問わず、メンバーシップというのは手直しをしていかなければならないというものだと思います。 私は
国連
事務総長
の特別代表でありますので、
事務総長
がどう思っているかなどということを憶測することはできませんけれども、たしか
事務総長
が
日本
に来られたときだったと思いますが、彼の
発言
の中にこういうくだりがありました。来年は
国連
の創設六十周年を迎える年であり、まさにそのような節目の年に
安保理事会
の構成の改善ということを考えなければならないということをたしかおっしゃっていたと思います。
松本剛明
41
○松本(剛)
委員
ありがとうございました。
小此木八郎
42
○
小此木委員長
以上をもちまして
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
シャルマ代表
には、本日はまことにありがとうございました。貴重な御
意見
を賜りました。当
委員会
の
委員
とともに、今後の
シャルマ代表
の御健康と御活躍を心からお祈りいたしております。本当にありがとうございました。(拍手)
シャルマ参考人
は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手) ————◇—————
小此木八郎
43
○
小此木委員長
次に、
内閣提出
、
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。石破
防衛庁長官
。
—————————————
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————
石破茂
44
○石破国務大臣 ただいま議題となりました
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
について、その提案
理由
及び内容の概要を御説明いたします。 この
法律案
は、
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部改正を内容としておりまして、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実等を図るとの観点から、陸上
自衛隊
の第八師団の改編等並びに海上及び航空各
自衛隊
並びに統合幕僚
会議
の情報機能の強化等に伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。 以上が、この
法律案
の提案
理由
であります。 次に、この
法律案
の内容について、その概要を御説明いたします。 まず、
防衛庁設置法
の一部改正の内容について御説明いたします。 これは、陸上
自衛隊
の第八師団の改編等に伴い、陸上
自衛隊
の自衛官の定数を二千九十三人削減し、海上及び航空各
自衛隊
並びに統合幕僚
会議
の情報機能の強化等に伴い、海上
自衛隊
の自衛官の定数を三人、航空
自衛隊
の自衛官の定数を七十五人、統合幕僚
会議
の自衛官の定数を百五十五人それぞれ増加させることを内容とするものであります。これにより自衛官の定数は計千八百六十人削減され、二十五万三千百八十人となります。 次に、
自衛隊法
の一部改正の内容について御説明いたします。 これは、陸上
自衛隊
の第八師団の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を千三百三十六人増加させるものであります。これにより即応予備自衛官の員数は九千四人となります。 以上が、
防衛庁設置法
及び
自衛隊法
の一部を改正する
法律案
の提案
理由
及びその内容の概要でございます。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことを
お願い
いたします。
小此木八郎
45
○
小此木委員長
これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十五分散会