○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁です。
私は、民主党・新緑風会、
日本共産党、
国会改革連絡会及び社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま
議題となりました
外交防衛委員長松村龍二君
解任決議案について、提案の趣旨を御
説明いたします。
まず、
決議案を朗読いたします。
本院は、
外交防衛委員長松村龍二君を
委員長の職より解任する。
右
決議する。
以上であります。
提案
理由の
説明をいたします。
松村外交防衛
委員長は、
委員長就任に当たり、本
委員会の公正かつ円満な運営に努める旨を宣誓されました。また、その
前提として、委員の
協力も期待し、要請されておられます。これは単なる儀礼的なあいさつだったのでしょうか。
松村
委員長の就任あいさつにかかわらず、そもそも
委員会の長たる者は中立公正な
委員会運営を職責として
要求されるのであります。
国民の代表たる国
会議員による審議がなされる
委員会の議事運営には、少数たる
野党の審議に対し、できるだけの
発言の機会を与えるなどの配慮が求められているはずであります。
野党の
説明要求に対して、
政府は
説明責任を有し、
委員長はそれが公正に行われているか自ら担保しなければならない重責を担っていることの自覚なくして務まるものではありません。
しかるに、つい先ほど、理不尽にも、松村
委員長は、
委員会審議を突然に打ち切り、
野党各党が強く抗議をする中、
イラク特別措置法案の
採決を強行しました。憲政史上まれに見る暴挙と言わざるを得ません。
また、松村
委員長は、二十二日の理事懇談会で、
イラク特別措置法案の締めくくり総括
質疑と
採決を、
野党の
反対にもかかわらず、
委員長職権でもって二十四日に行うことを強行をされました。一体、就任に当たっての御決意を述べられた
委員会の公正かつ円満な運営に努めるとの決意はどこに行ったんでございましょうか。
私もかつて
委員会の
委員長をさせていただきました。もちろん
野党のときです。
野党の
質問の方、あるいは
与党の
質問の方、いろんな事例を私も経験させていただきましたけれども、度々ある委員の、先輩の方ですけれども、理事会で決められた
委員会の
質疑時間をどうもオーバーしがちだということで、
委員長として私は
委員会で指摘をさせていただきました。その後、おれは初めて、
委員会で
委員長から
質問の時間について注意をされたのは初めてだということを言われました。なかなか難しいものだなという思いやら、率直に、この
質問の時間の確保を含めまして、
委員長というのは、いかに
野党であれ
与党であれ公正に行っていくというのは、ごくごく自然であり、当たり前のことであります。
そもそも、
イラク特別措置法案は、以下に述べるように重大な欠陥を有することが、
小泉総理、
福田官房長官、川口外務大臣、石破防衛庁長官といった閣僚は言うに及ばず、それぞれの省庁のお役人も含めた
答弁で明らかになっております。このだれの目から見ても明らかな欠陥
法案、
憲法違反の悪法を、単に
与党から選出されている
委員長ということで、いい加減な中身に目をつぶって成立に手をかすのは、良識の府の参議院にある
委員会委員長にあるまじき暴挙であり、本院の権威を失墜させるものであります。
松村
委員長のホームページを拝見させていただきました。御
自身のホームページ、松村
委員長の御自分のホームページでは、瀋陽総領事館への北朝鮮人五人の駆け込み
事件とその処理の不手際、スキャンダルにまみれた鈴木宗男
衆議院議員が議員を辞職するのかどうかなどと、重大
事件に対して不手際だとかスキャンダルにまみれたと形容し、国
会議員不祥事や国政上の不手際に
国民はあきれていると、見事に事の善悪をわきまえたコメントを
掲載しておられます。ここまではいいんですよ。この部分はいいんですよ。
翻って、今回の
委員長としての職権
行使のありようはどう表現されるんですか。まさか、この混乱の中の
採決強行を公正かつ円満な運営と形容するわけではないんでしょうね。
ホームページでは、
日本の政治も論理性が必要であると記述されている部分もありますが、この
法案では、もはや戦場となった
イラクで、
戦闘地域と非
戦闘地域の線引きが論理的に破綻していることが明らかじゃないですか。論理的な欠陥が明白な
法案ならば、
与党選出といえども、
委員長としては、
政府に
修正を求めたり、あいまいな
答弁があればその問題点を明らかにするような議会運営や議事整理が職責として求められていたんじゃないですか。
松村
委員長、何でおれのホームページに、何だかんだ引用するんだと、こういうお
気持ちかも分かりません。しかし、一たびホームページに表示をされるということは、これは公のことであります。とりわけ、政治家、国
会議員としては厳格にこのことをやはり忠実に実行していかなければならないことじゃないでしょうか。
日本人の倫理性に関しても、小学校の子供にも笑われることについては恥ずかしいという
気持ちを持つようにしなければならないということである、
日本では建前では形を整えるという
世界が最近まであった、本音と建前の乖離に対しての批判もあるが、恥の心をなくして建前すら取り繕わないという世相は具合が悪いと言わざるを得ませんとホームページで述べておられます。
何とコメントをしたらいいんですか。建前すら取り繕えない欠陥
法案の
採決を強行することは小学校の子供に笑われないですか。自民党の総裁選をめぐっての政局的な思惑やアメリカの顔色をうかがう本音と、
イラクの
復興人道支援という建前がこれほど乖離しているにもかかわらず、恬として恥じないというのは私は驚くばかりです。実行が伴わない建前の
言葉は、本音がないだけに空虚に響きます。恥を知らない世相を自らつくり出していくことに気が付くべきではないでしょうか。
イラク特別措置法案に関する
政府答弁は実に最悪です。現地の治安情勢は日々日々悪化するどころか、戦場と言ってもこれは全く過言ではない。アメリカ軍の司令官が戦場と言っているんだ。昨日のクエスチョンタイム、私も、先ほど
総理の総括
質疑、非
戦闘地域どこにあるんだと聞かれて、知りません、あるのなら教えてくださいと。こんな無
責任な一国のリーダーがありますか。
松村
委員長はこの
現実に目を背けていると言わざるを得ないんじゃないですか。これまで自らが運営した外交防衛
委員会において、
憲法上の疑義がある上に、現地ニーズにも乏しく、
自衛隊の
派遣は認められるものではないことが明らかになりましたが、松村
委員長は、結果として、見ざる、言わざる、聞かざるを見事に実践され、
現実から目を背けました。
松村
委員長は警察官僚の御経験がございます。御自分のこのキャリアの中では
法律の解釈や運用に携わった経験があるはずですが、その経験を顧みて
現状を見るとき、恥の心が芽生えないんでしょうか。
政府が、現地の復興ニーズに基づく政策的な判断や
派遣される
自衛官の生命、身体の安全よりも、アメリカの顔色をうかがうことを優先させたものであることが明らかであるのに、問題点を放置をされました。
松村
委員長は、一国
会議員として、
国民世論の多くが
自衛隊派遣に
反対している事実を重く受け止めるべきであります。
イラク攻撃の正当性、
大量破壊兵器に係る
米英の
情報操作の
可能性、
戦闘地域と非
戦闘地域の峻別、適切な
武器使用基準、
占領行政との
関係、
自衛隊の海外
派遣の在り方、対
中東政策上の視点など、重要な問題の検討を放置したまま
採決を許した愚挙は、御自分のキャリアを汚すだけでなく、
日本の国益を損なうものであります。
松村
委員長は、
政府が
攻撃支持のよりどころにした
大量破壊兵器が発見されないばかりか、
米英両国で
情報操作の疑惑が浮上し、自殺者まで出ている事実をどうとらえておられるのか、全く
理解に苦しみます。自らが成立に手をかした
法律案の
前提となっている開戦支持の論拠が根底から覆る
可能性があるのです。このような深刻な問題があるのに、欠陥
法案の成立に手をかす愚行は、外交防衛
委員長としての職務放棄と言わざるを得ません。
これから国政上の
重要課題として北朝鮮情勢がございます。
法案の行方にかかわらず、
イラク問題へのかかわりには
日本として難しいかじ取りが必至です。このような
事態を乗り切るために、時に新たな
法律の制定や
国会としての重大な意思
決定が求められることが想定をされます。そのとき、松村外交防衛
委員長が
委員長席におられたのでは、良識の府としての参議院の慎重かつ徹底的な審議、議会運営が期待できないのであります。外交防衛
委員長という重責を、これ以上、松村龍二君に任せるわけにはまいりません。
以上申し上げたことが本院が
外交防衛委員長松村龍二君を解任するとの
理由であり、松村龍二君
解任決議案を提出するものであります。
議員諸氏がそれぞれの
立場を乗り越え本
解任決議案に御賛同賜らんことを最後に再度訴えさしていただきまして、私からの趣旨
説明を終わりたいと思います。(
拍手)
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