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2003-06-03 第156回国会 参議院 環境委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     信田 邦雄君      加藤 修一君     山口那津男君  五月三十日     辞任         補欠選任      山下 英利君     岩井 國臣君      信田 邦雄君 ツルネン マルテイ君      福本 潤一君     浜四津敏子君      山口那津男君     加藤 修一君  六月二日     辞任         補欠選任      岩井 國臣君     山下 英利君      藁科 滿治君     高嶋 良充君      浜四津敏子君     福本 潤一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         海野  徹君     理 事                 大島 慶久君                 清水嘉与子君                 段本 幸男君                 小川 勝也君                 高橋紀世子君     委 員                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 真鍋 賢二君                 山下 英利君                 小林  元君                 高嶋 良充君             ツルネン マルテイ君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 弘友 和夫君                 福本 潤一君                 岩佐 恵美君    国務大臣        環境大臣     鈴木 俊一君    副大臣        環境大臣    弘友 和夫君    大臣政務官        環境大臣政務官  望月 義夫君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      堀内 文隆君        経済産業省産業        技術環境局長   中村  薫君        環境大臣官房長  松本 省藏君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    飯島  孝君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       南川 秀樹君        環境省地球環境        局長       岡澤 和好君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○特定産業廃棄物に起因する支障除去等に関す  る特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 海野徹

    委員長海野徹君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、藁科滿治君が委員辞任され、その補欠として高嶋良充君が選任されました。     ─────────────
  3. 海野徹

    委員長海野徹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定産業廃棄物に起因する支障除去等に関する特別措置法案及び廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案の審査のため、本日の委員会警察庁長官官房審議官堀内文隆君、経済産業省産業技術環境局長中村薫君、環境大臣官房長松本省藏君、環境大臣官房廃棄物リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君及び環境省地球環境局長岡澤和好君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 海野徹

    委員長海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 海野徹

    委員長海野徹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定産業廃棄物に起因する支障除去等に関する特別措置法案及び廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案の審査のため、明四日午後一時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 海野徹

    委員長海野徹君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 海野徹

    委員長海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 海野徹

    委員長海野徹君) 特定産業廃棄物に起因する支障除去等に関する特別措置法案及び廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 山下英利

    山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下でございます。今回、議題となっております廃棄物に関する二法案につきまして質問に立たせていただきます。  まず、冒頭でございますが、先般発生いたしました東北地方における地震において被害をお受けになった皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第であります。  と申しますのも、あの地震の日に、当環境委員会におきまして、今回のこの法案背景になっております岩手県の不法投棄現場視察をさせていただくと、そのような予定でございましたけれども、残念ながらそれは先延べになったということで、本日は、現地視察、そういう意味ではまだいたしておりませんけれども、実を申しますと、私も地元選出の、滋賀県の志賀町というところに大規模不法投棄案件を抱えております。そして、さらに同じ町内における産業廃棄物処理場に対する地元住民の大変厳しい議論というのも聞いておるわけです。今回、この二法案につきまして質問する中で、私自身もそういった地元の問題というものも併せて考えながら質問をさせていただきたいと、そのように思っている次第でございます。  まず、質問に先立ちまして、今回のこの二法案につきまして、その提出背景そして経緯につきまして、改めて、いま少し具体的に御説明をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
  10. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) おはようございます。  廃棄物処理法改正案、それからいわゆる産業廃棄物特別措置法案、御審議お願いをしているわけでありますが、この二法案提出いたしました背景及び経過についてのお尋ねでございます。  背景として私どもの持っております認識でございますが、これは、後を絶たない不法投棄などの不適正処理、それから最終処分場の逼迫など、廃棄物をめぐります問題といいますのは依然としてこれは深刻な状況にあると、そういう認識を持っておりますことが法案提出背景であるわけであります。  経緯といたしましては、平成十三年八月から十四年十一月にかけまして中央環境審議会意見具申お願いを申し上げ、御議論をしたところでございますが、その後、意見具申を受けまして、今回、不適正処理未然防止のための措置、それからリサイクル等促進のための措置、これを盛り込みました廃棄物処理法の一部改正案提出させていただいているところであります。  あわせまして、過去に不適正な処分が行われた産業廃棄物、これは平成九年の廃棄物処理法の施行以前、平成十年六月以前の産業廃棄物の不適正処理分でございますが、これにつきましてはその原状回復といいますものが大変遅れている状況でありまして、産業廃棄物に対します国民の不信感というものの象徴となっているということを踏まえまして、この原状回復等を速やかに行うために産業廃棄物特別措置法案提出させていただいているところであります。  この二つの法案は言わば車の両輪でありまして、特措法におきまして過去の負の遺産を一掃すると。そうした一方で、また新たな産業廃棄物不法投棄が増えていては、これは話になりませんので、一方においてまた未然防止を図っていくという、車の両輪に当たるものでございまして、こうしたことを通して廃棄物対策を強化してまいりたいと、そのように思っているところであります。
  11. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。  今、大臣から御説明をいただいた中でこの二法案がこの委員会にかけられてきたわけでありますけれども、いま一つ質問をさせていただきます。  現在、日本における廃棄物処理に対する政策というもので、国と地方責任あるいは役割というものを御説明いただきたいと思います。
  12. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 基本的な考え方は、大気汚染防止法だとか水質汚濁防止法と同じように、基準を作るのは国だと、それから執行するのは地方自治体だと、大ざっぱに言えばそうなると思います。  国は、廃棄物に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本方針の策定、それから処理基準等を設定すること。それから、都道府県廃棄物処理計画を策定するとともに、一般廃棄物処理施設許可指導監督産業廃棄物処理業及び施設許可指導監督を実施する。それから、市町村は区域内の一般廃棄物処理、それから一般廃棄物処理業許可指導監督を実施することという役割分担になっております。
  13. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  今の基本的な考え方に基づいてこれからの廃棄物処理あるいはその不法投棄に対する対応といったものについても質問を続けさせていただきたいと、そういうように思うわけであります。  私自身もなかなか分かりにくい部分があると常々思っているわけなんですが、いま一つ質問させていただきたいのは、廃棄物定義、これについて自分自身も明確にしておきたいと思いますが、一般廃棄物産業廃棄物という大きな区分けになっているわけですけれども、この定義についていま少し御説明をいただけますでしょうか。
  14. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 一般廃棄物産業廃棄物定義でございますが、廃棄物処理法におきましては特定の物質につきまして産業廃棄物政令で指定いたしまして、それ以外のものを一般廃棄物定義しております。その産業廃棄物に指定しているものというのは、基本的に廃棄物処理法が制定されました昭和四十五年当時の考え方で申し上げますと、排出事業者責任を負わせるべきそういった廃棄物、すなわち産業活動に伴って大量に発生したり、あるいは有害な廃棄物といったものをとらえまして、それを個別に政令で指定いたしております。したがいまして、産業廃棄物として政令で指定されていないものは、一般的にこれも産業廃棄物ではないか、事業活動に伴って出る廃棄物ではないかという、そういう感覚を持つようなものもございますが、それは政令で指定しておりませんので一般廃棄物定義されるわけでございます。
  15. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。  今の御説明なんですけれども、例えば家庭に置いてあるパソコンであるとか白物家電なんかが一般廃棄物であると。それで、事業所から出る同じものが産業廃棄物であるというようなことも聞いているわけでありまして、この辺の区分けといいますか、それに対する対策の違いが出てくると、実際の廃棄物処理というものにおける効率性、これも損なわれるんではないかなというふうに思いますので、その辺のところも併せて、ちょっと御説明をいただきたいんですが。  ただ、今説明があった排出者責任という部分について、これは一般廃棄物、それから産業廃棄物、そこのところの違いを、いわゆる実際に責任負担という部分からとらえてみるとどうなるか、ちょっと御説明をいただけますでしょうか。
  16. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 先ほど申しましたように、事業活動から生じる廃棄物であっても、政令産業廃棄物に指定されていないと一般廃棄物、まあ我々俗に事業系一般廃棄物と呼んでいますが、こういう範疇があるものですから、いろんな混乱が生じていることだと思います。  それで、処理責任の話なんですが、廃棄物処理法では、まず廃棄物を排出した事業者にその処理責任があるということを言っております。その上で、産業廃棄物として政令指定されたものの排出事業者に対しては非常に細かな排出者責任規制を掛けております。それに比べまして、産業廃棄物に指定されていない、政令指定されていない廃棄物事業活動に伴う廃棄物、これについては、例えば八百屋さんや魚屋さんから出る廃棄物というのは、これ事業活動に伴って出る廃棄物ですが、これは産業廃棄物として指定されておりませんので、一般廃棄物扱いになっております。  この事業者責任はどこにあるかというと、第一義的には八百屋さんや魚屋さんにあるわけでございますが、最終的にはこれは市町村監督の下で処理されると。市町村一般廃棄物処理計画を策定した上で、最後市町村がこの面倒を見ると、こういう仕組みでありまして、というのは、八百屋さん、魚屋さんに最後まで排出者責任としての処理責任をかぶせるという考え方もあるかもしれませんが、そうではなくて、これまで市町村がそういったものも一般廃棄物と、家庭から出る廃棄物八百屋さんや魚屋さんは店舗と住宅が一緒のようなところから出ますから区別が付かないような場合もございますので、それは市町村が最終的には処理責任を持つ、ただし、それに対する費用負担はしていただくという動きが最近起こっているわけでございまして、山下先生の御質問で、一番分かりにくいところは、事業活動から生ずる廃棄物事業者処理責任があるんですが、産業廃棄物として指定されていない事業系一般廃棄物については、今申し上げましたように最終的には市町村管理責任を持つと、こういう仕組みになっているわけでございます。
  17. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。  したがって、今の、非常に分かりにくい部分等が、折り重なった部分があるがために、先ほどちょっと申し上げたパソコンのような話についても、今よく言われている廃棄物処理の在り方、そういうところでやはり地元とのいろんな議論があるというところにおいて、やはり我々は、これから二十一世紀、このままでいったらごみの上で寝泊まりをしなきゃいかぬというところも考えたところで、やはり地域とそれから行政一体となったこのごみ処理に対する対策対応、これをしていかなきゃいけないんじゃないかなと。そのための基本的な法律の枠組みの見直しであるというふうに私は考えておりまして、これは今回の産業廃棄物だけじゃなくて、廃棄物に係る法律案、正に何度も中身を変えてきている経緯というのも、やはりそのときそのときの事情というものをきちっと把握した適切な対応であると、私はそのように思っているわけでございます。  今回、この法案の大きな背景になっているのが、岩手県の県境にあります不法投棄というのが一つの大きな原因でもありますけれども、実際、不法投棄自体がどうして起こるのかという問題をとらえてみますと、不法投棄自体が大規模にされていたのが、最近はそれがますます巧妙になってきて、それで小口化もしていると。それも法律の網をかいくぐるような形で、やはりいろいろ変わってきているということが背景にあるんではないかと思っております。  したがって、法律でする規制だけでなく、これは後で私も改めて質問させていただきますけれども、そもそもそういった悪質な業者廃棄物処理、こういった事業にかかわることができない対策というのも考えていかなきゃいけないんじゃないかなと、そういうふうに思っているわけであります。これはちょっと後ほど質問をさせていただきたいと思います。  一般ごみ、それから産業廃棄物もともにあるわけでありますけれども、排出者責任ということを今お聞きをいたしましたけれども、今回の中央環境審議会意見書等を拝見いたしますと、拡大生産者責任というようなこともうたわれているわけでありまして、実際、責任をどこに持っていくかということも一つ大きな議論ではないかなと、そういうふうに思っておるわけでありますけれども、この拡大生産者責任ということにつきましての政府、御当局の見解をお聞かせください。
  18. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 拡大生産者責任考え方というのは、廃棄物処理におきまして生産者製品生産者にも一定の責任を負ってもらうという考え方でございまして、環境省としても大変重要な課題であると認識しております。  この拡大生産者責任考え方につきましては、既に循環型社会形成推進基本法、あるいはこれはその萌芽でございますけれども、廃棄物処理法におきましても適正処理困難物制度市町村適正処理が困難な廃棄物について製品製造者の協力を求めることができるという規定がございます。さらに、最近のリサイクル法容器包装リサイクル法家電リサイクル法、こういったリサイクル関連法におきましてこの考え方が導入されてきたわけでございます。  今回の廃棄物処理法改正法案の中では、今の適正処理困難物に係ります拡大生産者責任制度を拡充すべく検討を進めてきたところでございますが、今回、関係者と十分な合意を得るまでの時間がなくて、この法案には盛り込んでいないところでございます。
  19. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。そこの議論は更にさせていただかなければいけないかなと私も思っているわけであります。  廃棄物流れを考えてみますと、やはりまず排出事業者というものがあって、これが入口のところであると。それから、いわゆる最終処分場、これを確保するというところが出口というふうなことを考えられるわけですけれども、その間が目詰まりを起こさないというか漏れないですんなり流れていけば、こういった不法投棄なんかの問題は起きない、本来、はずであると思うわけです。ところが、そこでどうしても水漏れといいますか、不法投棄が起きてしまう。この不法投棄を抑えるため、どういった対策が必要なのかということなんでありますけれども、何で廃棄物処理トラブルが発生するのかという基本的な私は疑問を持つわけであります。  よく言う、悪貨が良貨を駆逐するという言葉を聞くわけでありますけれども、一般廃棄物処理におきまして、このようないわゆる産業廃棄物に見られるようなトラブルというのは実際起こっているんでしょうか。
  20. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 再度の御質問ですが、一般廃棄物については、先ほどの御質問にお答えしましたように、最後市町村一般廃棄物処理計画に基づいて最終的な管理責任を持つと、こういう仕組みになっていることもその理由だと思いますが、産業廃棄物で起きているような悪質な不法投棄事件不法投棄がゼロとは申しませんが、悪質かつ組織的な不法投棄事件というのは、今申し上げました市町村が最終的な管理をするということもありまして、全国的にそういった状況は、ニュースになったり問題になったりしているという状況ではないと思っているところでございます。
  21. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  そうしますと、産業廃棄物処理で同様のトラブルといいますか、が発生するという、一般廃棄物ではほとんどそういうのは見られない、これは市町村がやっているからという御説明なんですけれども、そうすると、産業廃棄物においてそういうトラブルを解消するためには、これはだれが最後を請け負うことによってそのトラブルを少なくすることができると、そういうことなのかという議論になってしまいがちなんですけれども、私はそのようには思っていないわけであります。産業廃棄物の場合には広域性というものもあり、これを乗り越えていくためにはもっと廃棄物処理システム自体見直しというのを、再構築というのも考えていかなければいけないんではないかなと、そういうふうに思っているわけであります。  ここで、産業廃棄物発生に関するトラブルの中で、やはり今回の不法投棄の問題、あるいは廃棄物処理場を造るということにおける地域周辺住民との激しい議論、いわゆる産廃処理場建設反対というような声が至るところで聞かれるわけですけれども、この辺について考えてみたいと、そのように思っているわけであります。  まず、不法投棄のところについてですけれども、今日は警察庁にちょっとお越しをいただいておりますので、この不法投棄のいわゆる犯罪的な側面から現状をちょっと教えていただけますでしょうか。
  22. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) お答えをいたします。  産業廃棄物不法投棄事犯につきましては、人の健康と地球環境に害悪をもたらす重大な犯罪であることから、警察といたしましても、その取締りについては重要な課題であるというふうに認識をしております。  警察では、不法投棄を始めとする産業廃棄物事犯に対しまして、広域的な事犯や暴力団が介在する事犯など悪質なものを中心にその取締りを強化しているところでありまして、平成十四年中の産業廃棄物事犯検挙事件数は六百八十三事件検挙人員は千八百五十八人で、前年に比べますと、事件数で百六十七事件、三二・四%増加、人員で二百三十二人、一四・三%増加しているところであります。  また、この種事犯につきましては、事件の摘発と並んで投棄現場原状回復を図ることが極めて重要でありまして、警察におきましても、排出事業者に係る情報の環境行政部局への提供等を通じましてその促進に努めているところでございます。  今後とも、環境行政部局等と緊密な連携を図りながら、この種事犯に対しまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  23. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございました。  まず、そういった、先ほどちょっと申し上げたように、水漏れする、不法投棄がなされるというところで監視を強化するというのは今回の法案におきましても一つのポイントになっている、そのように思うわけでありますが、この監視、これを強化するというのは、これは自治体にゆだねられているわけでございましょうか。監視の方法についてちょっと御説明をいただくとともに、そういったところの責任をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  24. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 不法投棄などの不適正処理未然に防止するためのいろいろな行政監視というのが行われているところでございまして、これは廃棄物処理法に基づきまして都道府県等が、例えば投棄者不明等の場合の支障除去措置行政代執行等を行う権限を有しております。そういうことから、地方公共団体で事前の未然防止対策についても現在、拡大防止未然防止の観点からいろんな事業を行っているところでございます。  国といたしましては、こうした未然防止監視事業に対しまして補助金による支援を行っているところでございまして、また別途、IT技術を活用した監視技術等についても国で予算措置を取って技術開発をしているという、こういった状況でございます。
  25. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  今の監視のところのあらあらの説明の中に、やはりこれ、廃棄物がきちんと流れていって、きちっと適正に処理されるというものを監視するという流れの中で、やっぱりITの、具体的に言えば伝票ですね、マニフェスト、これの管理と、それから廃棄業者運搬業者、これの認定、免許ですね、こういったもののフォロー、きちっとしたフォローというものが非常に大事になってくるわけで、この管理システム、これをきちんと構築することが大切でありますし、廃棄物処理産業廃棄物の場合には広域にわたるということで、これを全国的にフォローできる体制、これにしておかなければ、各自治体管理するというのはなかなか難しい部分があると思います。  先ほどの警察の御説明もいただきましたけれども、行政と警察一体になって、そして正に産業廃棄物の場合には全国的なフォローアップの体制、これをきちっとしていかないとなかなか監視の効果は上がってこないんじゃないかなと思います。それからまた、人の問題、これにつきましても、自治体との連携という面で大きな部分を占めるのではないかなと、そのように思っておりますので、各自治体で連携を密にしながら事の善処に当たっていただきたいと、そのように思っているわけでございます。  続きまして、今の不法投棄の問題、これを続けさせていただいておりますけれども、まず産業廃棄物処理流れというところから私ちょっと質問させていただきたいと思うんですけれども、廃棄物処理システムにおいていわゆる中間の対策というのをどういうふうに行っているのか、これちょっとお聞かせいただきたいと思います。  というのも、申しますと、最近、最終処分場が足りないとかいう話もよく聞くわけでありますけれども、ここのところでは市場原理というのがかなり働いているのではないかなと、そういうふうに思っているわけです。実際には、コストアップしてきて受入れが厳しくなってくると、最終処分場に回らないで、あるいは中間の施設から不法投棄流れてしまう、そういうようなこともあるやに聞いておるんですけれども、中間、いわゆる中間処理、これの対策というのはどのように考えておられるでしょうか。
  26. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 山下先生がこれまでるる御説明になりましたように、確かに廃棄物の発生から中間の処理、最終処分までの一連の廃棄物流れがきちんと管理されるということが目標であろうと思っています。  ただ、そのために、それぞれ、今、水漏れとおっしゃいましたが、それぞれのところでトラブルがあるとすれば、普通に考えればそのトラブルを起こした人が実は責任があるという考え方が普通だと思うんですね。排出事業者不法投棄すれば、それは排出事業者責任ですし、排出事業者処理を委託した処理業者が不法投棄すれば処理業者に責任があるし、最終処分業者がそこで不適切な処分をすればその最終処分業者責任があるというのが、これが普通の考え方なんですが、実はこれによっては全体の流れがとらえられない、全体の管理ができないということから、先生御指摘になりましたように、排出事業者に初めの排出から中間処理を経て最後の最終処分まで確認をする義務を掛けたのが平成十二年改正でございまして、そのときに先生おっしゃった管理制度、これも非常に強化いたしまして、最終処分まで管理票をチェックしなければいけないという制度にしたわけでございます。  その中で中間水漏れ対策をどうしたらいいかということでございますが、ある意味では、中間水漏れがあるとすれば、中間で水を漏らした、まあ中間処理業者でしょうが、そういった人に責任がある、これは第一に責任があるんですが、同時に、それをきちんと監督できなかった、最終的に管理できなかった排出事業者にも責任を追及する余地があるという制度になっているわけでございまして、そこを実際に水漏れをしないように監視をするのが、先ほど申し上げました都道府県がその監視をする行政責任を持っているということでございまして、国はその都道府県の取組を支援すると。全体的に国と都道府県との連携体制及び排出事業者最後まで責任を持って廃棄物流れを確認する義務を掛けることによって、中間処理業者も水漏れを行わないようなきちんとした中間処理業者を選んでいただくと、こういった流れに持っていこうと思っているわけでございまして、山下先生おっしゃったように、これまではどうしてもコストが低い、安いところにどうしても流れてしまう、製品として残りませんのでコストが安いところに流れてしまうので、安かろう悪かろう、悪貨が良貨を駆逐するといったようなそういった構造がこの産業廃棄物の世界であったわけでございますが、今申し上げたような形で、全体の流れ管理していく方向で今回もいろいろな改正案を提案させていただいているところでございます。
  27. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  今、御説明の中でも、都道府県役割というのが実際現場のところで大変大きいというふうなことでありますが、都道府県自体は、この廃棄物に対する対策というものは、全国見ますとそれぞれの地域でやはり若干の違いは感じているわけであります。この点につきましては後ほどちょっと産廃税の関係で御質問させていただきたいと、そういうふうに思っておるわけであります。  今の中間処理施設という話を続けさせていただきますと、やはり今回のこの法案の中でも大きな骨子となっておりますリサイクルの推進という部分が大変大きいんではなかろうかなと思います。リサイクルを進めて、そして中間処理施設、これをきちっと整備していくということは、言ってみれば最終処分のところの量も減らしていけるというふうに思います。  もちろん、総排出量、最初の入口のところで減らしていく努力、これも排出者にとって必要だという反面、今度、限られた最終処分のところへ持っていく量を減らすためにもリサイクルを進めていくという、こういう大きな流れを作っていかなければいけないと。そういう流れの中で日本の廃棄物政策、進められていると思うんですが、リサイクルを推進するということは、そのリサイクルに掛かるコストを、じゃだれが負担していくのかと。ここからは私ちょっと経済的な側面に入らせていただきますけれども、やはり経済的なところが事業としての大きなポイントになってくるだろうと思います。  先ほどの不法投棄のところでも、実際そういった悪質業者がこの事業に入ってくるということはそれだけ経済性があるということでありまして、ある意味じゃ、そこに経済性がないということになれば、おのずとこの事業からは出ていかざるを得ないという側面もあろうかなと私は思っているわけであります。  したがいまして、リサイクルを推進したときにそのコストアップをどう考えるかというところがこのリサイクル市場の形成促進の点からいうと大きなポイントになると思うんですが、その辺のお考え方、お聞かせいただけますでしょうか。
  28. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 山下先生御指摘のとおりでございまして、リデュース、リユース、リサイクル、三Rということをきちっとやっていけば不法投棄も少なくなるだろうし、最終処分量も少なくなっていくということでございまして、リサイクルの経済性についての御質問ございましたが、要は、よく言われますのは、どんなごみでもお金と技術を掛ければ再資源化といいますか、リサイクルができるわけでありまして、そのリサイクルされたものがほかの商品と市場で競争力があるかどうかというのが非常に大きな問題になります。  例えば、生ごみから堆肥ができます。この堆肥は、質的にはきちんと管理をすればちゃんとした堆肥ができるわけでございますが、その堆肥がほかの化学肥料と比べて競争力があるかと。それも量の問題ございまして、たくさん作ってしまえば幾らいい堆肥であってもそんなに使う場所がないという、これが大きな問題でございます。  経済性という意味からいうならば、よく言われるのは、化学肥料でもいいんですけれども、バージン原料から作った製品とリサイクルで作った製品の競争力はよく言われます。リサイクル製品の方が高いということになるんですが、高いのは当たり前でありまして、きちんと適正処理すれば相当のお金が掛かる、そのお金の範囲内でリサイクルを、事業が行われればこれは十分に競争が成り立つもの、そういった分野で現在リサイクルの需要が伸びてきているというふうに認識をしているところでございます。  なお、委員から御質問ございましたリサイクル社会を作っていく、リデュース、リユース、リサイクル社会を作っていくための計画といたしまして、三月に循環型社会形成推進基本計画を策定して、マクロな数値目標、最終処分量を半減するとかリサイクル率を四割上げるとか循環利用率を四割上げるとか、あるいは資源生産性という経済的な入口指標を作りまして、これも四割アップさせようと、こういった計画の下に具体的な取組を進めていきたいと考えているところでございます。
  29. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。  したがって、リサイクルのコストアップ要因をどう考え、どこで吸収するのか、これも大きなポイントになってくると、私はそのように思っております。  言ってみれば、健全な市場原理をこのリサイクルの市場形成の促進のためには導入するべきではないかと。健全な市場原理というのは何かというと、それは、リサイクルは元々コストが高い、それで一般化学品の方はコストが安い、だからそっちへ流れるんだということは市場原理という意味とは必ずしも言い切れない、私はそのように思います。そこで、やっぱり国なり行政の支援というのが必要ではないかなと。これは決して市場原理を損なうものではないと、そういうふうに私は思っております。  例えば、先ほどちょっとお話のあったバージン材料、バージン材料に対して一種課徴金のようなものを掛けると、これが不公平をもたらすのかと。これは突き詰めてみないと言い切れないんではないかなと思いますし、また、製品を作る場合に一定の使用割合を義務化するというのもこれはリサイクルを促進するための一つの手段ではないかな、そういうふうに思っているわけであります。  この辺のところの考え方について何か御意見ありましたら聞かせてください。
  30. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) リサイクルを推進させるための経済的な社会的システムとして、経済的、社会的なシステムとして先生が御提案のようなことをするのは十分検討に値することだと思っております。おりますが、一つは、バージン原料に比べてリサイクル原料の製品が高くなるという先ほどのお話なんですが、先ほど申し上げましたように、廃棄物をきちんと適正処理するためのコストについての認識が今まで必ずしも市場で十分ではなかった、関係者の間に。  例えば、一トン当たり三万円も四万円も適正処理に費用が掛かることが分かっていれば、一トン当たり三万円、四万円以下の値段でリサイクル事業が行えればこれは十分に市場で対抗できるということで、製品そのものを比べるわけじゃなくて、製品そのものの価格を比べるわけじゃなくて、その処理コストと比べてリサイクルした商品に掛ける費用がその範囲内であれば十分ペイできるということで、そういった分野で現在いろいろなリサイクル需要が増えてきているということも事実でございまして、そういう意味では正に経済性、健全な市場原理に基づいたリサイクルビジネスというのがだんだん出てきているところでございまして、一番それに対する弊害は、バージン原料というよりも、それに対する一番の弊害は、適正処理をしないで捨てるのが一番得をするという、こういう風潮でございまして、これはもう厳正に、未然防止も含めまして厳正に処罰をするということで、水漏れはなくさないと健全な市場は育たないということが一番大事だと思っております。
  31. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  そういう意味じゃ、入口と出口とそれから水漏れを防ぐということで、これこそ三位一体ではないかなと私は思っているわけなんでありますけれども。  したがって、経済性といった場合に、先ほどの廃棄物処理の在り方としての意味合いで地域的に廃棄物処理する。一般ごみなんかはそういった形であり、それから産業廃棄物については広域的な廃棄物処理というふうな一つのシステムであろうかと思うんですけれども、この経済性、リサイクルを推進するという意味から、例えば産業の企業内あるいは企業間あるいは業界内といった、そういったところでの処理システムを推進するというようなところは何かお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  32. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 産業廃棄物リサイクル等に向けまして、企業の間あるいは業界全体でのシステムを構築するということは大変重要なことではないかと思っております。  具体的に申しますと、現在、今年の予算からなんですが、産業廃棄物処理分野の構造改革を進めていく中でそのモデルを示したいと。これは、国が示すべきなのか、本当は業界がそういうビジョンを作るべきなのかという議論があるんですが、一緒になって国も支援して、これからの産業廃棄物処理、これは単に適正処理するだけじゃなくて、リサイクルをすることも含めた大きな意味での産業廃棄物業界がどうあるべきかと。これは、これまでの狭い産業廃棄物処理業者の世界だけじゃなく、大手製造メーカー等がこのリサイクルについての事業を始めておりますので、そういった企業間の連携も含めまして、そういった望ましい産業廃棄物処理事業のモデルビジネス像というものを策定していきたいと考えておりまして、その中で、具体的な事例としてそういった大企業あるいは専門業界との連携のような、そういう仕組みを作っていきたいというふうに考えているところでございます。
  33. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  今のリサイクルに関するお考えについて、今日は経済産業省の方からも御出席をいただいておりますので。  やはり我々の生活を考えた場合に、これからごみをどんどん減らしていかなきゃいけないと、しかしごみというものと付き合っていくことがやはり我々の新しいいわゆる事業の分野でもあろうかと、そのように私は考える部分がございます。  端的に申しますと、廃棄物処理に対する処理技術、いわゆる処理場に対する技術、これは最近大変大きな議論になっていますが、やっぱりその周辺の住民の安心と安全を考える上でも、廃棄物処理に対する技術の向上、これは私は目覚ましいものがあるんではないかなと思っておりますし、またそれが一つのビジネスとしても大きく発展することも可能であります。  また、もう一つはリサイクル、リサイクルをする、先ほどお話になったように、いかに低コストに抑えるかというところも大きな技術開発でありますし、そういったところのいわゆる新産業と申しますか、これからの成長性等を考えたところでの経済産業省としてのこの事業に対する取組方につきましてちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  34. 中村薫

    政府参考人中村薫君) 委員御指摘のとおり、廃棄物・リサイクル関連産業や環境調和型の製品の開発など、環境関連産業の育成を図ることは、ごみの量を減らすという意味で、不法投棄問題、さらに環境保全と持続的な成長の両立を実現する循環社会を形成する上で基本、非常に重要なことであるというふうに考えております。  このため、政府としては、まず第一に、廃棄物のリサイクル関連産業の育成に向けた技術開発の支援、これはシュレッダーダストの問題であるとか建設廃材の問題であるとか、また地域の、地域産業技術関連補助金制度などを、通常ですと二分の一であったものを三分の二に引き上げて、例えば東北地方のホタテの貝殻の廃棄物をリサイクルに回すというようなことの技術開発への支援であるとか、またさらに本国会で御審議いただきました省エネ・リサイクル法によるリサイクル設備の投資に対する税制面、金融面での措置、これは今まではリサイクルだけであったものを、リデュースであるとかリユースといったものに対象を拡大していく取組。さらに三番目としては、グリーン購入法の対象拡大によって環境調和型製品の需要を拡大していく。それから、四番目としては、いわゆる環境JIS、既に古紙であるとか高炉セメントについてはJISが定められており、これによって需要を拡大しておるところでございますけれども、さらに、今般、中期計画を定めて二百七品目について環境のJISを作って、市場、マーケットを拡大していくというようなこと。さらに地域の取組なり産業界の取組を支援していくということで、エコタウン事業などのリサイクル設備に対する予算によって事業化支援をしていくといったような諸般の施策を講じておるところでございます。  政府といたしましては、今後とも、廃棄物・リサイクル産業の育成とリサイクル市場の拡大に向けた取組への支援を引き続き行ってまいる所存でございます。
  35. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。  正に、国それから地方一体となって、このごみ処理に対する技術開発であるとかリサイクルの技術であるとか、そういったものを支援していく、これはそれぞれの地域での産業を支える意味でも大変大きな役割を持っているんではないかなと、私はそのように思っておる次第です。  したがって、都道府県地方行政においても、やはりそういったところの地場産業の開発といいますか支援、これも私は必要ではないかなと思っていますし、それに対してやはり国の方からそういった後ろ支えがあればなお前へ進むことも十分可能ではないかなと、そのように思うわけであります。どうしても、やはり個別企業の問題になりますと、それぞれの地域地域というよりも、むしろ産官学と最近言われておりますけれども、そういった中での技術開発をより有効に実業に生かしていくというところが必要なことだと、私はそのように思っておるわけであります。  そこで、いま一度御質問させていただきたいのは、廃棄物処理センターという機能がございますね、産業廃棄物なんかで。これを見ますと各自治体等にありますけれども、これは自治体がやっているというか第三セクターというところもあるんでしょうけれども、民間の関与というのはどの程度でありましたでしょうか。分かったら、ちょっと教えていただけますでしょうか。
  36. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 先生が御指摘の廃棄物処理センター制度は、平成三年度の廃棄物処理法改正から導入されまして、実はその後余り進まないこともございまして、平成十二年改正では廃棄物処理センターの要件を緩和して、これは基本的には産業廃棄物を中心といたしまして適正なその社会インフラ、すなわち最終処分場とか、きちんとした焼却炉等の整備が非常に難しくなっているところで、公共関与できちんとした住民に安心、信頼を与えられるような施設を造っていこうと、こういう試みだったわけでございまして、そういう意味で民間の関与ということは、当初は、民間に任せ切りではなかなか進まない、あるいは悪いイメージを植え付けてきたものを何とか払拭しようということで、公共が関与して造っていこうということだったわけでございます。  ただ、実際には、そうはいっても公共だけできちんとした施設ができるわけでございません。民間のノウハウあるいは資金力、そういったものも活用していかなければいけないということでございまして、今現在の廃棄物処理センター制度は、例えば株式会社であってもそのセンターの指定の権利があると。ただし、その株式の三分の一以上を公共が投資をしていると、こういった条件が必要でございますが、PFI方式でも、PFIの選定事業者でも廃棄物処理センターの指定の権利がございますし、そういう意味では民間のノウハウを使いながら公共関与で住民に安心、信頼できる施設を整備していくための制度として動かしていっているところでございますが、現実的にはほとんどが財団法人という、公共関与の県の出資する財団法人という形で運営されているところでございます。
  37. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  今の御説明でもありましたとおり、その廃棄物処理センターというのはもう、もちろん公共が関与するというところがありますけれども、ここに先ほど話のあったような民間の進んだ技術を取り入れて、より効率の高い安全な処理施設を造っていくということは、これはある面におきましてはその地域住民の皆さんに安心していただける処理施設を提示できるということだと私は思っております。  日本におきましての環境を考えた場合に、やはりヨーロッパ等を見ますと、産業廃棄物処理につきましても、その処理場が一般住民のすぐそばにあっても、それが違和感を持たない、あってもそれによってその地域の価格、これが大きく変わってくるとか、要するにごみ産業廃棄物、これは汚い、それができたことによってその地域環境が悪くなる、そして土地の値段も下がってしまうと、そういったところを克服しないと、なかなか処理場を造るといったことに対して理解を求めるのが大変厳しい時代ではないかなと。そして、実際にそれだけの技術があるということをもっと広く一般の方に知らせて、そしてそのごみ処理場を造るということによって自分たちの生活がどのように賄われていくのか、その辺の全体像というものが住民の皆さんにも御理解をいただける努力をしていかないと、なかなか産業廃棄物処理場だけにとどまらず、やはりごみ処理場というものに対する一般の理解も進まないのではないかなと、そのように思ったりするわけであります。  そこで、お聞きをしたいわけですけれども、地域周辺住民のそういったごみ処理場に対する非常な嫌悪感、不信感、これを払拭するために環境省として自治体に何か要請をされておりますでしょうか。
  38. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 山下先生のおっしゃったとおりでございまして、地域住民の理解を得ながらきちんとした産廃処理施設を建設していくことが非常に重要だと考えているところでございます。しかしながら、これまでのいろいろな経緯がございまして、あるいは産業廃棄物の世界の安かろう悪かろうという、そういったこともございまして、どうしても施設を立地する際に住民の反対を受けることが少なくないというのが現状でございます。  どうやって地域住民の理解を得ていくための努力をすべきかということでございますが、もちろん一番肝心なのは、施設を設置しようとする方がきちんと説得をする、説明をしていくという説明責任があるわけでございますが、国あるいは管轄する都道府県が一体となりまして、先ほど来申し上げている産業廃棄物分野の構造改革を進めて、いわゆる排出事業者がきちんと責任を取っている、あるいは監視をしっかりして不法投棄対策が進んで不法投棄が少なくなっている、こういったことを地域住民の方々に見ていただきながら、根本的な問題を解決していく姿を、国や地方公共団体が協力して地域住民の方々の信頼を取り戻す中で、実際の施設建設に対しての住民の不信感を解消する効果があるのではないかというふうに考えておりまして、個々の施設の技術的な説明をしっかり行う、情報を公開するということはもちろん大事でございますが、あわせまして、世の中変わっているんだということをしっかり住民の方々に見ていただけるような、そういった取組を行っていきたいと思っております。
  39. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございます。  正に国とそれから都道府県、そしてそれぞれの市町村、これの連携がきちっといく、うまく回っていくということがこの廃棄物行政を円滑に進めていく上でのかぎになると、私はそのように思うわけでございます。  その中で、やはり都道府県責任というのも、役割、これは大変大きいと私は思うわけでありますけれども、最近、いろいろな都道府県自治体におきまして産業廃棄物税というようなものを取り入れている自治体も増えてまいりました。産業廃棄物税というのは、これは本来税収が減ればむしろそれだけごみが減っているということで、従来の税制、税金の考え方とはちょっと違う税制なんでありますけれども、環境省として、この産業廃棄物税に対する考え方、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 今、先生のお話のように、産廃税、もう既に地方公共団体によって導入されているところがございますし、また現在、検討中のところもございます。これは税収を産業廃棄物行政施策に充てることで、適正処理を確保するための監視、指導の強化だとか、またリサイクルなどによる減量化の促進処理業者の優良化の促進などが期待できるとともに、また、今お話しのように、副次的に廃棄物の発生抑制、有意義な、最終処分場の減量化にもつながるということで、環境省といたしましてもこれは有意義な政策手段として位置付けているところでございます。  しかしながら、様々今議論がございまして、一方で、地方公共団体の取組がいろいろ違うことによりまして、ある地域への産業廃棄物の流入を抑制したり、またある地域から産業廃棄物を追い出したりする影響が出てくるといったことから、そういうばらばらなところじゃなくて、全国的に進めていく方がよいという考えもありますし、また一方では、処分場の逼迫など、地域の実情において地方公共団体、それぞれ進めていく方がいいというような考え方もあります。  そしてまた、課税によってリサイクル等の減量化が進むという考えもありますけれども、また一方で不法投棄が進むというような考えもございますので、その効果や影響をどう考慮して評価するかという重要な論点があるというふうに認識をいたしておりまして、そういうことで、今、本年一月から、産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会を、学識経験者、経済団体、また業界の方、地方公共団体の方に集まっていただいて今幅広く議論しているところでございまして、この夏ごろまでに一つの中間的な論点を見直し、また年末を目途に一定の結論を出すということで今検討をさせていただいているところでございます。
  41. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。  正にここは、それぞれの地方自治体の事情というものもあるでしょうけれども、やはり国として一つの方向性を、いわゆるガイドラインというわけではないですけれども、出してあげるのは自治体にとっても非常に見通しが良くなるんではないかなと思います。ただいま副大臣説明のとおり、いろんな一長一短ある部分あると思います。そこのところをもう本当に議論をして、そしてやはり地方の財源として、これをそれぞれの地域廃棄物行政に役立てるという意味合いからすれば、この産業廃棄物税制というのは十分議論に値しますし、それを進めていただきたいというふうに思うわけでございます。  そして、その中で、産業廃棄物税というふうに考えますと、これは排出事業者課税とそれから処分場課税というふうな形で一種二重課税のような形が取られているところもあるんですが、その辺についてのお考えというのは何かお持ちでしょうか、お聞かせください。
  42. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 先生御指摘になりましたように、幾つかの県で条例が制定されまして施行が順次なされている中で、いろんなやり方に相違があるというのが一つの問題になるのではないかということで、それを全国的な見地からどういうふうに調整をしたらいいのかということも含めて、先ほど申し上げました検討会で検討しているわけでございますが、基本的に、今、処分場に掛けるもの、あるいは事業者に掛けるものとございましたが、大多数が排出事業者に税を掛ける仕組みなわけでございますが、排出事業者全員というと大変な数になりまして徴税のコストが非常に掛かるということで、それで徴税をする相手を例えば最終処分業者とか中間処理業者、これは限定できますので、そこで排出事業者分の税を取るということなんですね。  これはきちんと、流れがきちんと行っていれば何の問題もないんですが、実は排出事業者から適正な委託で、適正料金で、中間処理業者、最終処分業者との契約ができている市場であるかどうかというのが大きな問題になりまして、処分業者や中間処理業者が税金を払って、その税金は実は排出事業者の代わりに払っているわけですが、排出事業者にきちんとコストの請求ができない場合とか、そういったものが実は実際の議論になっているところでございまして、そういった課税の在り方あるいは徴収の在り方、それから税金の使途をどうすべきかということも含めて環境省としての検討を進めているところでございますが、そもそもこの産廃税は地方公共団体での廃棄物問題という前に、課税自主権、地方自治、そちらの方から発達して出てきたものでございますので、その辺の地方の自主性に対しても十分私どもは配慮をした上で全国的な見地からの検討を進めているところでございます。
  43. 山下英利

    山下英利君 どうもありがとうございます。是非十分な御議論を進めていっていただきたいと、そういうふうに思います。  本当に廃棄物処理に対する対策というのは、国、地方だけでなくて、そしてそれぞれの地域の住民が参加して進めていかなければいけないものですから、今の問題、税制の問題だけじゃなくて、言ってみれば透明性を高めるということがやはりそういった一体感を作る上では大変重要ではないかなと、そういうふうに思います。  そして、私の最後質問ですが、これは大臣にお伺いをしたいと思いますが、この廃棄物処理に対する国としてのこれからの大臣の決意と、それから今ちょっとお話をさせていただきましたそれぞれの地方に対する御要請、こういったものをお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 山下先生から廃棄物行政につきましていろいろな問題点と申しますか、切り口で御質問をいただいたわけでありますが、先生からの御指摘のとおり、廃棄物行政、大変重要なものであると認識をいたしております。殊にも、廃棄物の大量排出あるいは最終処分場の逼迫、さらには不法投棄の多発、こういう問題が今なおあるわけでありまして、この問題は環境省の行政としても極めて重要な課題一つであると、そういう重い認識を持って、決意を持って、今後臨んでまいりたいと思っているところであります。  私どもといたしましては、循環型社会を形成をしていくということがこれは極めて大切なことであるわけでありますけれども、今御審議をいただいておりますこの二法案を始めとする各般の取組も進めてまいりたいと思いますし、この三月に閣議決定をいたしました循環型社会形成推進基本計画、こういうものに基づきまして種々の施策の積極的な取組をしてまいりたいと思っております。  その中において、先生から地方自治体役割というものが重要であるという御指摘もいただきました。廃棄物行政に言わば近いところに存在する行政として、私もこの地方自治体役割というものは大変大切なものであると、そのように認識しているわけでありまして、更に一層の積極的な取組を地方自治体に期待しながら、国、地方自治体、そして住民の皆様方それぞれの立場立場でこの廃棄物行政を着実に推進してまいりたいと考えているところであります。
  45. 山下英利

    山下英利君 ありがとうございました。
  46. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイです。  私は、今日はこの審議されている二つの法案のうちには、主に廃棄物処理及び清掃に関する法律改正案について質問させていただきます。もちろん、もう一つの特別措置法も非常に重要なものでありますけれども、それはまた別な私たちの仲間に任せて、今言った法の方に質問を集中させていただきます。  これを準備しているうちにはいろんなことに気が付きますけれども、この廃棄物法、ずっと昔からありますけれども、例えば、私は日本で生活しているこの三十年間の間に恐らく五回改正されているんですね。今は新しくまた改正されるんですね。その意味は、もちろん状況が変わりますし廃棄物の量も増えますし、いろんな問題が出てくる、それによってもっと合うように用意しているんですけれども、やはり改正も余りにも多いというのは、なかなか一回ではうまく成功しなかった。私は、今の改正案の内容を読んでみると、もちろんいい方向に行っている、しかしまだここでも足りない点もたくさんある。その足りない点を私もここで幾つか指摘したいと思います。  さらに、今は山下議員の質問を聞いているうちに気が付いたことは、やはり似ているような質問ももちろん出てきます。これはいいことでもあります。やはり、与党と野党の方では、この足りないところとかこれからもっと直してほしいところはやっぱり同じような問題を指摘するということは、やはり私たちはこういう環境委員会の中では繰り返しこういうことが起こっているのは、ある意味でうれしいことです。  一番最初には、恐らくこれも山下議員の方でも最初に指摘されたのは、この廃棄物定義についての問題です。それをちょっとまた違った角度から御質問したいと思います。  確かに、一般廃棄物産業廃棄物とのこの定義というか区分というのも大きな問題、それはもうちょっと後でそれに触れたいと思います。  なぜこの定義は、私は、この定義は余りはっきりしていない、あいまいになっているんだから、いろんな大きな問題が起きている一つの理由になっていると思っています。  例えば、私たちはよく知っていることは、この豊島、香川県の豊島のあの事件不法投棄事件、大量のシュレッダーダストがリサイクル原料であると言いながらそれをずっと放置してしまった、いろんな例がたくさんあるんですね。その不法投棄の事例の中では、ほとんどの理由はリサイクルの名目でここに置いているということですね。そういう問題が起きています。  これに関連して、一番最初には弘友環境大臣質問をさせていただきますが、例えば二つに分けると不要物とリサイクル可能物という定義があるんですね、不要物とリサイクル可能物。これ、さっき言ったように、これで問題が起きるということですね。もしこういう分け方をやめて、例えばEUの方では、今は両方合わせて廃棄処理すべきものという定義というのもあります。これは、環境保全の観点から、つまり環境保全の観点から必要な管理をすべきもの、すべての廃棄物はリサイクルとか不要物とか区別しないでという動きもあるようですけれども、こういうことを頭に置いて、副大臣の方では不適正処理防止のための不要物とリサイクル可能物に分けることの見直しが私は必要と思いますけれども、副大臣の方ではそれをどう考えているでしょうか。
  47. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 今、先生御指摘のように、リサイクルを進めていく上において、廃棄物に適用される厳格な規制がリサイクルを阻害するという考え方もございます。  そういうことで、リサイクル可能物を廃棄物から除外すべきだという御意見もあるわけでございますけれども、しかしながら、今、先生例に挙げたように、例えばシュレッダーダスト、これはミミズのえさだとかいうようなことで不法に投棄されているという不適正処理事例というのは多発しております。そしてまた、リサイクルでありましても、環境保全という観点からはやはり適正に実施される必要があると。それから、先ほどの御議論にもございましたけれども、ほとんどの廃棄物というのは技術的にはリサイクルは可能なわけです。  ですから、それはいろいろそういうことを考えますと、私どもといたしましてはリサイクル可能物を廃棄物から除外するということは適当ではないと。昨年の十一月に取りまとめられました中央環境審議会意見具申でも同様の検討結果が出ております。  むしろ、このような御指摘というのはリサイクルにかかわる廃棄物処理法規制の在り方の問題だというふうに考えておりまして、今回の改正案では、業の許可、それから施設設置の許可、全国的な一々都道府県に届けるというんじゃなくて、全国的なものは全国的にしようとかいう、そういう規制の合理化を盛り込んでおりまして、これにより適正なリサイクル活動が今まで以上に推進されるというふうに考えております。
  48. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 確かに、今言われたように、廃棄物は分けることが非常に難しい。そして、かなり多くの場合はその一部はリサイクルできる、あるいは一部は全く要らないということ、埋立てとかそういう処分になるということ、この定義を今言われたような方向にやはり私たちは考えなければならないと思っています。  後で、私は、またそのもっと大きな問題は、この一般廃棄物産業廃棄物の区分というかそれについて、ちょっと後でまたもっといろんな例を出しながら指摘したいと思っています。  二番目の質問環境大臣の方にさせていただきますが、御存じのように、総理大臣が、今構造改革の一つのスローガンとしては民間にできることは民間に任すという言葉を言っています。確かにそのとおりです。しかし、場合によってはそれも適切ではないということもあり得ると思います。つまり、民間に任せたらいろんな問題が起こり過ぎる、完全に民間に任せたら。そして、この廃棄物事業は特に、私の考えですけれども、競争経済にはなじまない分野でもある。私だけではなくて、例えば自治労の中でもそういう意見がかなり強いんです。  反面、やはりその中でもリサイクルは今は環境ビジネスにもなっていますし、環境ビジネスをやっぱり私たちは促進すること、民間に任すこともできる。しかし、これをどうやって本当に管理しながら、行政が管理しながら民間に任すことは民間に任す、そして管理することは行政の方で。で、一つのアイデアは、もちろん市町村廃棄物処理を委託した場合でも、やはりリサイクルや最終処分までの適正処理責任が何といっても市町村にあるべきと私は思います。今、さっきからも問題になっているような、余りにも任し過ぎるとその不適正処分あるいは悪質な不法投棄が後を絶たないということになります。  そこで、さっきちょっと最初に触れましたように、この廃棄物処理法が何回も改正されて、その中でもやはりどの部分を民間に任すか、どの程度は行政がこれからもやるべきか、かなりその改正ごとに問題になったということ。ちょっとそれを調べてみました。  一番最初はもう三十年前に、一九七〇年では、改正されたときは、一番大きな改正というのは一般廃棄物産業廃棄物に二分されたというのがそのときの改正ですね。民間中心に行うことになったと書いてあります。しかし、そのときは排出責任が徹底していなかった、あいまいだったんだからそれは不十分であったんだから、その廃棄物業者の過当競争が起こって、そして悪質な問題が起こったということ、その結果、さっきもありましたように国民の不信が非常に高くなったということですね。  その後の次の改正はずっと後ですね、一九九一年にあった。そのときは官民による第三セクターという、特にこの廃棄物処理センターができるようになったと、そういうことを私も読んでいます。しかし、そのときもやはり規制が厳しくてその設置はなかなかうまくいかなかったということがあったかと思います。そして、そのときには、やはりそのことでもこの不法投棄が増えて、私もちょうどそのころ湯河原の町議になったころですけれども、このダイオキシンの問題が非常にそういう処理施設では騒ぐようになったということです。  そういうこともあって、今度は六年先、一九九七年にはまた改正が行われた。そのときに特に最終処分の工場のグレードアップとか環境アセスメントの義務付けとかが起こったわけですね。情報公開とかもっと以前よりはっきりしてきて、あるいは首長とか住民の意見をもっと聞くようになったとか、透明性が高まったということ。でも、これにもいろんなそういう評価の中では逆効果があって、今度は余りにも、最初から透明さが余りにも強くなったんだからなおさら新しい処理施設を、処分場とかを見付けないということ。で、また行き詰まったということ。それで、さっきもあったように、二〇〇〇年には今度は廃棄物処理センターができるようになって、その中の大きな変化というのは一般廃棄物産業廃棄物は共同処理できるようになった。で、ここでは公共の関与が更にまた評価されたということ。こういういろんな歴史をたどってみると、今度の法案でもやはり今度この行政の権限というのは増えたということですね。  こういうことを全部背景に、ここで大臣に聞きたいのは、民間にできることは民間に任すという総理の方針をこの廃棄物事業に当てることについて、大臣はどういうふうに考えているんでしょうか。お願いします。
  49. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) ツルネン先生からいろいろ今までの経緯も含めて御指摘があったわけでありますが、まず現状をお話をさせていただきたいと思いますけれども、廃棄物処理法におきまして、市町村は自らその一般廃棄物処理計画というものを立てて、そして区域内の一般廃棄物処理する、そういうような責任を課せられているわけであります。そこで一般廃棄物のこの処理に関する民間業者への活用でございますけれども、これにつきましては、従来から廃棄物処理法におきまして市町村処理責任の下、市町村から民間業者への委託及び一定の要件を満たした民間企業への許可を行うことが可能であったわけであります。現状、どうなっているかということを申し上げますと、例えばごみの収集量で見てみますと、ここ十年間で民間業者によって収集される量の割合、これは五〇ないし六〇%に増加をしているというような状況であります。  そういう中で、先生御指摘でございましたが、小泉内閣では地方でできるものは地方で、民間でできるものは民間でという考えがございますが、昨年の十二月に総合規制改革会議というものがございまして、その答申におきまして、一般廃棄物処理における民間委託、PFI手法の導入等を進めるための環境整備を図って、さらに業務委託を拡大していくべきだという、そういう総合規制改革会議の答申があったわけであります。  このことと、きちっと一般廃棄物処理することの兼ね合いであるわけでありますけれども、環境省としては、そういう答申を受けまして一般廃棄物処理における民間参入が進むよう環境整備に取り組むこととしておりますが、併せてやはり市町村に課せられている処理責任というものがあるわけでありますから、それが十分に果たされないような安易な民間委託がなされてはならないわけでありまして、そういう点にも留意をしてまいりたいと思っております。
  50. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今、大臣の話にもありましたように、やはりこれは恐らくうまくいくときと、うまくいかないときもありますから、民間に任す、委託するときのどの程度その責任地方自治体が果たすことができるか。  ちなみに、私の母国フィンランドではほとんどの廃棄物処理が第三セクターのような、ある意味で企業というか会社があるんです。その大半の株を持っているのは地方自治体です。七割ぐらいだと思うんですけれども。それが本当に独立して全部をやっているんですね。だから、この第三セクターというのにもいろんな試みありますけれども、フィンランドの方ではこれはかなりうまくいっていると、私はこの前に、去年は視察に行って聞いたことです。  ここで、さらに三番目の質問では、今度飯島部長の方にお聞きしたいんですけれども、やはり今のに関連して市町村責任をどういうふうに私たちは定義するか、それに関連して質問をします。  今の改正案の中では、事業者が一般の廃棄物処理を委託する場合の基準等の創設に関連することですけれども、その中で、概要の中ではこういう言葉が書いてあります。  事業者一般廃棄物処理を委託する場合の基準を決めるとともに、措置命令の対象者として基準に違反した委託業者を加えることとする、これは今の改正の一つです。この委託業者責任が明確になったことは、これは非常にいいことで高く評価できると思うんです。  そこで、ちょっと私はこの基準という言葉の意味を、ちょっと質問には用意しませんでしたけれども、政令で定める基準の内容について、恐らくまだその整理ができていない、法律はまだ通っていないんですけれども、恐らくもうそれも準備していますから、どのような基準にそれはなるんでしょうか。ちょっと簡単に細かなことをお願いしたいと思います。
  51. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 具体的な、一般廃棄物の委託基準を具体的にどうするかということでございますが、この政令で決めるということで検討をしておりまして、また関係者ともいろいろと御相談をしてやっていかなければいけないと思っておりますが。  例えばそういう、当たり前といえば当たり前なんですが、委託する相手が業の許可を持っているわけですね、処理業許可を。その許可の中身として、要するに、事業の範囲に実際に委託をしようとする処理の物が含まれていること、例えばもっと簡単に言いますと、生ごみ許可を持っている人に、要するに汚泥とか紙くずを委託はできないわけで、当たり前なんですけれども、その事業の範囲と自分が委託をしなければいけないものとをきちんと合うようにすることとか、こういったことが委託の基準として必要になると思いますし、例えば、これも検討中ですが、契約ですね、契約をきちんと取っておくこととか、そういったことについて、現在これ、一般廃棄物排出事業者に対する委託基準ですから、非常に中小の方も、先ほどの質疑のときにありましたように非常に中小の事業者の方もいらっしゃるわけでございますので、そうした負担も考えながら検討をしているところでございます。
  52. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 もちろんまだ検討中ですからその具体的な内容は後で出てくると思いますけれども、分かりやすいはっきりした基準になることを期待していますし、そして、もちろん今度はそれに従わない場合は、違反になった場合はどうするかということも出てきます。  このことについてこの法制案の中では、これは第六条に関係あることにこういうふうに書いてありますね。この要綱の二ページのところに書いてありますけれども、「事業者は、その一般廃棄物処理を他人に委託しようとする場合には、一般廃棄物処理業者等に委託しなければならないこととするとともに、」、ここ、今度ここでこの基準のこと出ますね、「政令で定める基準に従わなければならないこととする」。で、どういうものになるかまだはっきり分かりませんけれども、これは事業者に対する基準であります。  私は聞きたいのは、もしこの政令で定める基準市町村が違反したときは責任はだれにあるか、だれの責任になるか、これについて是非答弁をお願いします。
  53. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 市町村が委託した場合でございますが、当然のことながら処理責任市町村にございます。
  54. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 いや、でも今度は違反した場合はどういう措置というんですか、これは事業者だったら勧告とかいろんなことはあり得るんですけれども、市町村に対して、例えば環境省の方から何か違反した場合はそういうことは考えていますか、関連して。
  55. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 廃棄物処理法では、市町村一般廃棄物処理計画を策定して、それに基づいて一般廃棄物処理する責任を負わせておりますので、普通の民間事業者と同じ扱いにはしていないわけでございます。法文的にもそういうことで、ですから、市町村が委託基準に違反した場合に罰則がないじゃないかとか、そういう話になるわけでございますが、当然ながら市町村処理責任があるわけでございますので、市町村が委託基準に違反してそのままである場合には、当然国としても委託基準の違反の是正がなされるような地方自治法などに基づく措置を講じて指導をしていくこととしております。
  56. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 例えば、そのときは市町村を裁判に訴えるということもあり得るんですか。
  57. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 今、地方自治法に基づく措置を講じていくこととしておりますとお答えしましたが、これは地方自治法に基づきましてまずいろいろなレベルがございまして、国は、法令に違反した、地方公共団体が法令に違反したと思われるときに、まず助言あるいは勧告、こういったものができます。さらに、資料の提出の要求ができます。そして、それでも直らない場合に是正の要求ができると、こういう仕組みでございまして、裁判所に訴えるということは予定はされておりません。地方自治法に基づくこれらの措置で是正を図っていきたいと思っています。
  58. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私はなぜこういうことをしつこく聞くかというと、これもやはり西洋では、西洋といっても私はフィンランド以外のことは余り知らないんですけれども、この市町村法律に従う従わないという関係と、それに中央がどういうふうな対応するかというと、恐らく考え方としては、中央はその法律を、中央で作られた、国会で作られた法律地方自治体が守るか守らないか、これを監視しないのが基本です。監視しているのは市民ですね。市民が、いやこれは十分にそういう法律はあるんですけれども守らないんだから市民が訴えるんですね。フィンランドでは地方自治体に対するそういう告訴というのは頻繁に行っているんですね。これはちょっとどっちの方がいいか私も分からないんですけれども、かなり国はもう、地方自治には法律はありますけれども、それをもう完全に任せているんです。それは後は市民とその地方自治体の関係になっている。かなり、これは多分西洋でほかの国でも考え方としては同じになると思います。  そこで、私の四番目の質問は、今の法律案改正案では、この調査権限の拡充が非常にいい大きなことですね。これを地方自治体も、あるいは公共団体が、何ていうか、立入検査権限も入るわけですね。そのときは当然この担当職員が足りるかどうかの問題が出てきますね。廃棄物の疑いのあるものに対して今度調査権限があって、そして、これはいいことで一歩前進でありますけれども、その業務を担当する職員を始め産業廃棄物担当の職員を大幅に増員しないとこれは意味がない。これもどっちかというと、私はこの前に、自治労の方ではこういうことは非常に心配されているということであります。  そして、これは衆議院では附帯決議にもこういう項目が加えられていますね。附帯決議に、衆議院の附帯決議にはこのことについてこういうふうに書いてあります。「廃棄物不法投棄等を防止するため、地方公共団体の担当職員や地方に配置する環境省職員の増員等、体制整備に努めること。」と書いてありますね。当然、不法投棄が発見したときは、その行為者がだれであるかなかなか特定できないんだから、それを調べるのにはやはり職員がどうしても必要です。このような立入検査の拡充による担当職員の増員が必要と言われていますが、これに対する答弁をお願いします。これも飯島部長の方からお願いします。
  59. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 今、ツルネン委員の御質問の報告徴収や立入検査権限の拡充につきまして、衆議院の附帯決議でも増員、体制整備に努めることという決議をいただいているところでございますが、これまで、まず地方産業廃棄物の担当の職員でございますけれども、平成九年と平成十三年度の人数がございます。総人数だと大体三千百二十五人ということで、これは四年前に比べて三百人弱しか増えていないようなんですが、実は中身は相当変わっておりまして、専任職員、これは専任職員と兼任職員の合計なんですが、専任職員の数が一・五倍に増えております。産業廃棄物行政を専任にする職員が現在千百四十人余りいるわけでございます。  また、特に警察との連携というのも非常に大事な話で、何度かこの委員会でもそういう御議論があったところでございますが、十四年度現在、全都道府県警察からの出向者を受け入れておりまして、全国で百四十九人、全都道府県を含めて百四十九人、警察からの出向者がいるところでございます。  環境省の組織でございます、今度新たに国としての報告徴収、立入検査権ができたわけでございますが、地方組織といたしまして平成十三年から全国九ブロックに地方環境対策調査官事務所というのを置いております。これを始め、逐次人員が増えてきているわけでございますが、今年度中には八十九人が定員の数になる予定でございます。  いずれにいたしましても、ツルネン委員御指摘のとおり、これまで以上に国と地方が一体となってこういった報告徴収や立入検査を行っていく必要があると思いますので、必要な職員数が確保されるよう、今後とも地方公共団体のみならず総務省、これは職員の数の算定根拠を作りますので、総務省に十分この重要性について、附帯決議もございますので、説明をした上で、また地方環境対策調査官、国の職員につきましても確保できるよう、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  60. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 もちろんこういう職員を増やす、これももちろんケース・バイ・ケースですけれども、全体の構造改革、あるいは公務員の数を減らすというのも一つの方向で、だから、恐らくこれもトータルで増えるというよりも、もっとウエートが必要なところに入れるということだと思うんですけれども。  さっきも不法投棄のところ、不法投棄の防止のためには恐らくパトロールもこれから増えると思います、警察の連携ももちろん非常に必要ですけれども。そうするとこれは、パトロールというのは夜間の勤務、業務にもなったりしますね、あるいは短期間の勤務になったり。なかなかフルタイムの人を雇う予算もないかもしれませんから、こういうところにいわゆるシルバー事業という、定年者の、シルバーというんですか、シルバー事業ですね、こういう人たちはいろんな、地方自治体ではいろんな仕事を定年者がやっている、バイトのような感じで。こういうパトロールとかには、そういうことは、これもまだ質問には提出しませんでしたけれども、シルバー事業の協力は、これも考えているんでしょうか。あるいは、それに対してどういうふうな考えを持っているんでしょうか。
  61. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) いわゆる不法投棄等不適正処理監視、非常に重要でございまして、職員自らが行う場合もございますし、いろいろなボランティアの方々の協力をいただいて現実にやっているところでございます。これもここ数年の間に倍増しているところでございます。  それがシルバーの方かお若い方かというその判別はしておりませんが、例えば警察も、現職の出向だけじゃなくてOBの方を嘱託として各地方公共団体が雇い上げまして、そしてこういった監視業務をしていただいたり、またボランティアの形で、これはシルバーの方も含めてだと思いますけれども、その監視の協力をいただいているところでございまして、これに対しては環境省からも補助金の形で支援を行っているところでございます。
  62. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 やはり、いろんな工夫をしながら、もっともっとその任務ができるように、もちろん今ボランティアという言葉もありましたから、環境NGOも恐らく大きくここでそういう活躍も、協力も可能だと思います。  それは今はそのくらいにしておいて、ここで再び副大臣の方に、一般廃棄物産業廃棄物の、私は区別と書きましたけれども、本当はこれは区分という言葉の方が適切じゃないかなと後で気が付いたんですけれども、この区分について、ちょっと少し最初に私の、背景説明した後、それに対する意見お願いしたいと思います。  私たち環境委員会が五月の十五日には視察に行きました。非常にすばらしいことを私たちは学ぶことができました。その中で一つ、私はすばらしいなと思って、新しい発見というか、国立環境研究所の中の循環型社会形成推進廃棄物研究センターで、スライドというかパワーポイントでスライドを見ました。その中で廃棄物一般廃棄物産業廃棄物の区分というか、についての面白いデータがありました。  このデータというのは、直接、その区分ではなくて最終需要から見た産業廃棄物の排出構造分析の例ですね。その中で、家庭に関する、家庭で消費する物資、サービスの生産のために排出される産業廃棄物は全体の廃棄物の中でどのくらいあるかというデータがありました。で、三二%、全体の産業廃棄物の中で、もちろん家庭から出るんじゃなくて、家庭のために作っている、結果としては家庭が生む産業廃棄物ですね。これは、その家庭から排出する一般廃棄物の中のそれの量に比べると何とその三倍があるんですね。これは一つの例で、やはりこのボーダーラインというのは、何が一般廃棄物か何が産業廃棄物かを、一つの例です。  それよりもっと今日は私は大きな問題であると思うのは、私は今、手に持っているのは、全国産業廃棄物連合会のこの廃棄物産業廃棄物一般廃棄物をどんなにこれを本当に区分するのは難しいか、その関係者たちでも、担当者にとっても分かりにくい面が、いろんなことがここの中で提起されているので、これをちょっと説明してから、それに対する答弁をお願いします。  さっきも、これは少し山下議員の質問の中にもありましたけれども、このような分析は余りなかったんですね。全体としては、今法律であるいは法令で十九品目は産業廃棄物になっているんですね。すべてのその十九品目以外のものは全部一般廃棄物になっているんですね。  でも、その中でも、さっきはこれはありました、例えば、恐らく家庭パソコンとかそういうものでは、似ているものでありますけれども、その特性によっては産業廃棄物になったり一般の廃棄物になったりすることもあるんですね。  この中で更に彼らが、この連合会が提起しているのは、例えば一般廃棄物の区分をされている中で、家庭からの菜園の廃棄物になった農薬とか殺虫剤とか、あるいは在宅の医療の注射器とか紙のおむつとか、こういうのは本当にもう一般廃棄物で扱いにくいという面がありますから、こういうのも困りますと連合会が言っています。  こういうことを背景にして、この今の区分について、まず副大臣の答弁をお願いします。
  63. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 廃棄物の区分の仕方というのはいろいろな考え方があると思いますけれども、御承知のように、現在は今御指摘のように産業廃棄物一般廃棄物。それで、産業廃棄物につきましては、汚染者負担原則の観点から排出事業者処理責任を負わせるべきものということで今十九品目指定して、それ以外は一般廃棄物になっているというのが現状でございます。  ただ、今お話しのように、じゃ、いろいろな同じようなものが家庭から出れば一般で、事業系から出れば産業廃棄物だとかいうことはございますけれども、その処理責任に着目をして、今、ややこしいのは、事業系一般廃棄物と言われているものが非常に難しいわけですけれども、だから、処理責任ということに着目した廃棄物の区分ということで、昨年の十一月に中央環境審議会から、排出事業者処理責任の徹底という観点からは、現在の事業系一般廃棄物産業廃棄物と合わせて事業廃棄物として区分することも方向性としては考えられるという御指摘もありました。  しかし、その中で、先ほど来論議がありますけれども、現在、産業廃棄物につきましては、処理施設が不足している、また不法投棄が多発していると、こういう産業廃棄物の世界が非常に不法投棄等、今問題になっていますし、そういうことがあります。先ほど、一般廃棄物につきましてはそういう事例が余り見られないという現状から考えましたら、市町村処理責任の下で排出事業者責任を強化することも考えられるという意見具申をいただいたところでございまして、これを踏まえまして、今回の改正案におきましては、廃棄物の区分そのものにつきましては見直しは行わないものの、やはり事業系一般廃棄物排出事業者責任を強化する観点から、委託基準は、先ほどありました委託基準を新たに設けることにしております。  また、事業系一般廃棄物のうち市町村責任の下で適正な処理が円滑に行われているとは言い難いものというのはあると思いますけれども、それは、その実態等を踏まえまして、今後必要に応じましてそれを産業廃棄物に移行させるということも検討したいというふうに考えているところでございます。
  64. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今は答弁がありましたように、今回はその区分の見直しを行わないということになっているんですね。  参考までには、私さっき言ったような廃棄物連合会が、自分たちの方では解決策までも、提案までもしているんですね。これはかなり分かりやすい区分見直しではあると私は思います。こういうふうに書いてありますね。現行の産業廃棄物一般廃棄物の区分を撤廃した上で、家庭から排出される廃棄物とそれ以外の廃棄物に区分する、つまり、家庭から出るのは全部一般廃棄物、それ以外は全部産業廃棄物というふうに書いてあります。その処分責任をそれぞれ自治体とその排出者が負うことは原則になるんですけれども、さっきは、ボーダーラインがありますけれども、こういうふうに全く、家庭から出るのは一般廃棄物、そして、そうじゃないものは全部、事務のものも全部産業廃棄物、こういう提案に対してちょっと意見お願いします。
  65. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 先ほどお答えさせていただきましたように、そういう考えもあると思うんですけれども、じゃ現状、それを、家庭から出る以外のものは産業廃棄物という処理責任を全部負わせるということになりますと、非常に今はきちっとある意味では処理されているところが不法投棄等が非常に増大するというおそれも、これは考えられるというふうに考える。  ですから、市町村責任の下に、今でも一般廃棄物全部を、じゃ、市町村が受け入れているというわけではございません。計画をきちっと立てて、これについてはこういうふうに処理してくださいという、事業者ごとに要請をしているわけですから、ですから、そういう、そこら辺を強化していく方が現実には合っているんじゃないかなと。家庭から出るもの以外は全部産業廃棄物だということになりますと非常に難しい、現状よりもっとやはりひどい状態になるんじゃないかというおそれがやはり現在ではあるというふうに考えております。
  66. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私もこういう質問をするのは、もちろん私も、そのメリットとデメリットを考えるとどっちの方がいいかということを、私が分かるというかよりも、そういう現場の声が、こういう声もありますから、それに対して環境省は今の段階ではどういうお考えを持っているかという、そういう意味での質問でした。  今度、次は飯島部長の方にお願いしたいと思いますけれども、この改正案の中では、同様の性状を有する廃棄物処理施設の設置許可の合理化が行われていますね。これも非常にある意味ではいいことだと私も思っています。  その中で、まずちょっと言葉の定義について説明をしていただきたいんですけれども、同様の性状を有する一般廃棄物産業廃棄物と同様の方法で処理する産業廃棄物施設については、届けにより一般廃棄物処理施設許可を不要とするということですね。この同様の性状と同様の方法というのは、これは例えばどのような廃棄物を想定しているんですか。
  67. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) この施設許可の合理化の考え方でございますが、これは、これまで製造事業者等からの要望が多かった話がきっかけになっておりまして、例えば、これから廃パソコンあるいはスプリングマットレス、こういったものについてリサイクルの事業が始まろうとしているわけでございますけれども、こういったものにつきましては、製造事業者責任を持って、自ら販売したマットレスが、これが家庭から出ますと一般廃棄物ですが、病院から出ますと産業廃棄物になってしまう。パソコンも、家庭で使っているパソコン廃棄物になれば一般廃棄物ですが、オフィスで使っているパソコン産業廃棄物になるということで、全く同じものが使われる場所で変わってくる、こういったものを想定しておりまして、こういったものについて製造事業者責任を持ってリサイクルをしていく段階でこういう要望があったわけでございますので、こういったものに規制の合理化の措置を取りたいというふうに考えているところでございます。
  68. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 その点は分かりました。  ここでもやはり私は、現場の声としては、自治労の考え方では、同じ施設では許可一つでいいということになりますね。彼らの一つの懸念というのは、こういう言葉で表れています。この問題は、一般廃棄物産業廃棄物の垣根を取るものである。現行の廃棄物処理施設一般廃棄物処理施設の方が産業廃棄物処理施設より整備されており、産業廃棄物処理施設について整備を早急に行うべきであると言っていますね。だから、余りにも混ぜるということは、私の解釈ではどうかなと。自治労の方ではそういう懸念もあるということですね。  ここからこれに関連する質問になります。  だから、こういう考え方を、同様の性状を有する廃棄物について、一般廃棄物産業廃棄物の区分を、彼らの考えですね、重視し、省令などでの指定を厳格にするべきであるという声もありますから、このような声に対しては環境省の方では、飯島部長お願いします。
  69. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 今、委員がおっしゃった御懸念ということは私どもも承知をしているところでございます。  ただ、実際に施設整備が、レベルがどちらが進んでいるかというお話なんですが、基本的に一般廃棄物処理施設というのは、家庭から出る雑多なごみを一緒にまとめて処理する。だから焼却炉でも、どんなごみでも全部一緒にできるような、そういう仕組みになっています。  それに対しまして、産業廃棄物処理施設、全体の整備が遅れているかもしれませんが、先ほど申し上げました製造事業者責任を持ってこれからリサイクルをしていこうというような施設につきましては、その事業者ごとに廃棄物の種類に応じて処理する、こういったものになるわけです。パソコンならパソコンの専門の処理施設ということになるわけでございますので、そういう意味では産業廃棄物施設許可を持っている者は一般廃棄物についてはそのまま受け入れてもいいようにしようということで、省令などで、実際に同様の性状のもの、同様の性状の施設等につきましては、今、委員がおっしゃったように、ある意味ではきちんと厳格に実態を踏まえた上で、厳格に規定をしていきたいというふうに考えております。
  70. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 こういうのも、実際にはこれからやってみるうちには、互いに現場の声とか環境省の計画がうまく合うようにこれからなる必要が当然あると思います。  そこで、もうちょっと考え方としては環境大臣の方に質問させていただきます。  さっきも少し質問がありましたけれども、産業廃棄物の課税についてのことですけれども、ここも環境新聞の五月十四日の記事では、環境省の方ではこれの検討会もやっている、行われている、そして年末をめどに議論を取りまとめる方針というふうにこの新聞の記事には書いてありました。あるいはその記事の中には、三重県が既に行われている、県外から持ち込まれる産業廃棄物に対して排出者に課税している、それのメリットとデメリットとか、その検討会の中では、これを今度各地方自治体にあるいは県レベルにゆだねるか、もっと全国一斉で導入することとか、こういう問題はまだまだなかなかまとまっていないようですけれども、その税収入のこれは、目的はごみの減少化であるか、あるいは別ですね。  さらに、その検討会の問題の中では、懸念されているということは、余りにも課税すると、今度海外に流出するおそれも出てくるとか、あるいは税金というのは本来は、強制的でとか無償でとか、収入を目的にしないと駄目ですとか、そういう三条件があるとか。しかし、これは外国の例を見ると、いろんな、それじゃない、そういう条件を満たさない産業廃棄物環境税もあります。あるいは、税金は罰金では絶対よくない。  こういういろんな議論があると思いますけれども、今の段階では、大臣はこのような産業廃棄物の税の導入についてどういうふうな考えを持っているでしょうか。
  71. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 産業廃棄物税についてでありますけれども、先ほど山下先生の御質問弘友大臣からも答弁いたしましたし、また今ツルネン先生から御質問の中でいろいろな、正に我々が持っておりますと同じ認識質問の中でも述べられたわけでありますけれども、この産廃税につきましてはいろいろな議論が今あるわけでありまして、いまだにこの政策的な評価というものは定まっていない状況にあると、そういうふうに思っております。  先生の質問の中でも御指摘がございましたが、これを全国的に導入を進めていったらいいのか、それとも地方自治体、公共団体ごとに進めたらいいのかという議論もございます。これはそれぞればらばらにやりますと、ある地域から産業廃棄物を締め出したり、あるいは流入を阻害するというようなことがあるという、そういう観点に立ちますと、全国的に進めたらいいということになりますが、あるいはその地方自治体地方ごとに最終処分場の逼迫度というものも違うわけでありますから、そういうことを考えますと、各地方自治体ごとで進めた方というような議論もございます。それから、課税をすることによってこれがリサイクルなどの減量化につながるのではないかという意見もありますが、また一方において、課税逃れのために不法投棄に走るのではないかという、そういう考えもありまして、正にいろいろな議論があると、こういうことだと思います。  しかし、これは仕組みようによっては有意義な政策手段に位置付けることができるのではないかという思いもあります。税収を産業廃棄物行政施策に充てて、例えば監視、指導の強化でありますとか、リサイクルによる減量化の促進処理業者の有料化の促進というようなことが期待できますし、また副次的に廃棄物の発生抑制、それから最終処分量の減量化にもつながり得るということでございますので、その位置付けをどうするか、仕組みようによっては新たな有力な政策手段になるという認識であります。  したがいまして、先生からも御指摘がございましたけれども、本年一月から廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する懇談会、各般の方にお集まりをいただいて開催しているわけでありますけれども、ここで議論をいただいて、この産廃税、新しい政策手段としてどのように位置付けて、どのように対応していったらいいのか。ここでの議論の結果を踏まえた上で、環境省として対応をどうしていくべきか、判断をしてまいりたいと思っております。
  72. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 確認ですけれども、やはり今言われているように、どういう形でこれを実施することができるか、もちろんまだはっきり分からない面が多いですけれども、方向性としては環境省の方でやはり産廃税を導入するという方向で動いているんですか。
  73. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) その辺を今正に議論をさせていただいていると。両面の評価があるものでございますので、その辺は懇談会の検討をよく見た上で判断をさせていただきたいと思っております。
  74. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 分かりました。  次にもやはり環境大臣意見を聞きたい。  その前に、ちょっとこの背景説明させていただきます。  このごみ収集が、一般廃棄物の場合ですね、日本ではほとんど地方自治体が行われているときは、各道にはごみステーション、名前はいろんなのありますけれども、そこに家庭から運ばれて、袋とかバケツとかいろんなやり方で持っていくんですね。そこからは今度、収集車、車で集めるんですね。そこから、ごみステーションから車に乗せる作業は、日本では恐らくほとんど手作業ですね。これは本当にやっている人たちにもとても大変なことですね。  私も湯河原の町議のときは、体験としては三日間、そういうごみ収集車の作業のみんなと一緒に朝から夜までそれをやってみたんですよ。湯河原はちょうど八月の一番暑いときで、旅館がたくさんあります。その旅館から集めた、小さい旅館が全部町に任せているんですけれども、ごみ袋の三分の一くらいはもう水であって、二日に一遍集める、だからもう臭くて、ハエも一杯だし、だからもう本当にマスクを付けないと絶対できないような、それを毎日やっている人たちは本当に大変だなと思っていましたね。  彼らの話を聞くと、その中にいろんなものを混ぜて入れるんですね。例えばスプレーなんかの空っぽあるというと、それを機械でつぶして入れるんだから、ぱっとそれは爆発したりとか、けがするときもあるんですね。  これは私は、もう湯河原の町議のときも一般質問ではこれを問題にしましたけれども、なぜそういうふうにやっているか、私も分からないことはないんですけれども。これもちょっと、母国フィンランド、あるいは私はアメリカでも生活したことがあるんですけれども、こういう手作業は私が行ったところではほとんどないんですね。全部機械化されているんですね。各ごみステーションというか、ごみステーションの大きいのは、フィンランドの場合は一般公園の一角に置いてあるんですね。そこにみんな車で持っていくんですよ、自分の家庭から。そしてコンテナみたいなのがあるんです。コンテナには非常に簡単に入れるふたがあるんですね。そこに入れていて、今度収集車が来ると、そのコンテナをそのまま車に載せるんですね、リフトで。代わりに空っぽのを入れ替える、交換するわけですね。そうすると、もう一人の運転手さんが全部この作業はやるんですね。非常に楽にできるということ。  私は、この東京では、今はごみステーションはカラスの問題が非常に大きいんですね。つまり、袋のままでは食べ物があるんだからカラスが来るんですね。これはフィンランドでもアメリカでも全くないんですよ。つまり、中に入れないし食べられないということですね。もしこれが機械化されたら、これはもちろんすばらしいことだと思うんですけれども、なぜ手作業になっているか。  私は、答えは分かっていると思うんですけれども、なぜこれは日本で手作業に、そしてヨーロッパの方ではこういうふうに機械化されているか、ちょっとこれについて環境大臣のコメントをお願いします。
  75. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先生から、フィンランドでのごみの収集の仕方、ごみステーションにコンテナを置いて、それを機械で収集するということのお話がございましたが、確かにそういうことをすれば、まず衛生面、ごみステーションもより清潔に保たれると思いますし、衛生面の確保はできると思いますし、それからガスボンベの例を言われましたけれども、安全性、こういう面についてもこれは一つのメリットではないか、優れた点ではないかと思います。  私も、聞いてみましたら、日本でも世田谷の希望ケ丘団地、八潮団地という、これはもう団地内の極めて限定したところでは何か機械化でやっているということを聞きましたけれども、しかしこれを全国一律に、一斉に、各市町村で一般的に採用しようといたしますと、例えば人口密集地などでコンテナを設置するのに必要なスペースを確保できるかどうか、それが困難な地区もあると思います。それから、コンテナを積載するごみの収集車、これが道路交通の支障になることはあるのかないのか、これも多分日本の場合を考えますと相当支障になるんではないかということを懸念するわけであります。  それから、今、日本で多くの市町村が利用しております車ですけれども、これはパッカー車というんだそうでありますけれども、積載時にごみをぐっと圧縮する機能があるということでございますので、この圧縮機能のないコンテナを用いた場合と比べますと、例えばごみの積載率が低下して収集、運搬の効率が悪くなるのではないかという、そういう問題点の指摘もあるわけであります。  廃棄物処理法では、各市町村は、この一般廃棄物処理事業を実施するに当たりまして、施設の整備、それから作業方法の改善を図るなどして効率的な運用に努めなければならないとされているわけでありまして、御指摘のようなコンテナのあれができるかどうか、それぞれ市町村の実情に即した判断によるところになると思いますが、地域の実情に即した適切な方法が選択されるということが重要であると考えているところであります。
  76. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 もちろん、もう既にその答えも出てきたと思いますけれども、湯河原でもやはり町長の答弁は、そういうごみステーションをそういうところに置くところ、コンテナを置くところが狭いところで、特に温泉街ではもう道路にごみステーションを置くしかないということ。これはもちろん、フィンランドは日本と面積は同じで、人口は五百万人ですから、こういうところで土地は幾らでもありますし、あるいは町の、市町村の面積の三割は市が持っていないと駄目ということ、つまり三割は全部市の土地ですね、公園とか。そうすると、そういうところに幾らでも置くことができるんですね。  湯河原の場合は、あるいは東京の場合はほとんど個人の土地ですから、ごみステーションを置こうとするだけでも文句が出てくるということですね。でも、将来的にはやっぱり東京でもカラスの問題を、コンテナまでならなくても、カラスが生ごみを食べられない状況に何か工夫したら解決できるんじゃないかなと思っています。  こういうふうに、時間が少しまだ残っていますけれども、もう食事の時間になりますから、私はここで終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  77. 海野徹

    委員長海野徹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  78. 海野徹

    委員長海野徹君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定産業廃棄物に起因する支障除去等に関する特別措置法案及び廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 高嶋良充

    高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。  いただいた質問時間の割にはツルネンさん以上の質問通告を欲張っていたしておりますので、恐れ入りますけれども、答弁については是非簡潔にお願いを申し上げたいというふうに思います。  まず最初に、基本的な問題を大臣にお伺いしておきたいというふうに思うんですが、私は、産業廃棄物に対する国民の信用がかなりなくなっているんですけれども、これを回復をするには、まず第一に産業廃棄物の実態をできるだけ正確に把握することではないかと。そして、それに基づいて不法投棄と不適正処理の防止、さらには計画的な施設整備を行うことが必要だというふうに思っておるんですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。
  80. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) ただいま高嶋先生から御指摘と同じ認識を持っているところであります。やはり廃棄物の実態というものを正確に把握するということがこれら不法投棄や不適正処理を防止することにもつながりますし、また必要な施設を計画的に確保する上でもこのことが大切であると思っております。  この産業廃棄物の実態の把握でありますけれども、全国の産業廃棄物の全体的、経年的な傾向をつかむ調査、また各都道府県ごとの地域における状況を明らかにする調査、個々の施設における詳細な実態解明など、目的に応じた適切な方法によりましてデータの収集、集計、推計を行うことが適切であると、そのように思っております。  環境省では全国の産業廃棄物処理の全体的、経年的傾向を把握する調査を実施しておりますけれども、より精度の高い実態を反映したものとなるように、都道府県の協力も得ながら、調査、推計等の方法も見直していく方針であります。さらに、都道府県に対しましても、多量排出事業者処理の実績の活用あるいは処理業者に対する報告徴収を行って処理実績をできるだけ把握するなど、より一層の実態把握に努めてまいりますように、努めていくように促してまいりたいと考えております。
  81. 高嶋良充

    高嶋良充君 実態調査がより重要だという認識はお伺いをいたしました。  そこで、産廃の実態を正確に把握をするという上では、やっぱり一番前回から導入されていますマニフェストが大切だというふうに思うんですが、ただ、また後で御質問しますけれども、そのマニフェストの電子化がとりわけうまく機能していないという部分もあるんです。ただ、マニフェストだけに頼るというのは私はやっぱり問題があるというふうに思っていまして、この実態調査の問題は、一九八一年だったと思うんですけれども、フェニックス法案審議をされているときに、当時の厚生省は産業廃棄物の実態把握には積極的に取り組むんだと、これはマニフェストが導入される以前からそういうことは言明をされてきたわけですよね。  そういう観点からいうと、約もう八一年からですから二十二年たっているわけですが、それでも産廃の実態把握がまだ明確になっていないという状況なんです。この間、どのような努力をされてきたのか、その点について伺いたいと思います。
  82. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 高嶋先生が御指摘になりましたように、国として、当時厚生省でございますが、全国の産業廃棄物の調査を開始したのは一九七五年からでございます。一九八一年のフェニックス法成立前、あるいはその直後におきましては五年に一回の頻度で調査を行っていたものでございます。その後、平成に入りましてから、よりきめ細かいデータ把握を行おうということで、毎年度予算を取りまして、毎年度の実態調査、結果の公表を行うことになりました。  その間、都道府県、保健所設置市の協力を得まして環境省が取りまとめを行ってきているところでございますが、適宜過去のデータとの整合性というのが問題になりますが、その調査、集計の方法をより確かなものに見直して、データの精度向上を図っているところでございます。  今後とも、都道府県、保健所設置市の協力を得まして、調査、推計の方法を見直しつつ、分かりやすいデータの取りまとめ、公表に努めてまいりたいと思います。
  83. 高嶋良充

    高嶋良充君 先ほど、私、マニフェストの問題について申し上げました。マニフェストに関しては採用されているわけですけれども、電子化は一%程度しかできていないということなんですね。なぜ、このIT社会を標榜されている、政府自ら標榜されているんですけれども、それなのになかなか電子化が進まないという問題があるんですけれども、そのことはかなり衆議院の方で答弁をされていますから、私の方はそこは今日は追及はいたしませんけれども、しかしIT社会である以上、迅速な実態把握というのは電子化を図ることによって私は可能になってくるんではないかなというふうに思っているんです。  だから、我が党はマニフェストの電子化によって実態把握を実現していくべきだと、こういうことを要望しているわけですけれども、衆議院の答弁で電子化には当面は限界があると、こういう答弁をされています。  そのことはさておいて、であるならば、産廃の許可業者の実績報告書ぐらいは電子化をさせるということにすると、効率的かつ迅速な産廃の実態把握ができるんではないかなというふうに私は考えているんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
  84. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) ただいま先生から御提言のございました許可業者の実績報告、これを電子化するということにつきましては、これは廃棄物産業廃棄物行政の分野におきましても今後取組を進めるべき課題一つであると、そのように認識をしております。  電子化への対応状況、それから方針、これは都道府県によって異なりますので、そのことを踏まえる必要はありますけれども、許可業者や多量排出事業者からの実績報告について電子化を進めることは行政の効率化、それから業者等の負担の軽減にもつながるというメリットが考えられますので、都道府県の取組を促してまいりたいと思っております。
  85. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非、電子化の問題も含めて実績報告書の電子化、是非実現の努力をいただきたいというふうに思っています。  そこでもう一点、産廃の過去五年間ぐらいのデータ、私は別途こういう資料を見させていただいているんですけれども、それによると、その年度に新設をされた増量分を加えた残余容量と最終処分量の関係で、年間かなりの量が合わない分があるんですね。これは環境省の調査と違うんですけれども、その合わない分がたくさんあると。この産廃の残余容量と最終処分量の関係について環境省としてきちっと精査をすべきではないかなというふうに思っているんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
  86. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 御指摘の点でございますが、環境省で毎年最終処分量、それから最終処分場の残余容量の推計を行っております。最終処分量につきましては、都道府県が行います排出事業者を対象とした産業廃棄物の排出量や最終処分等の状況処理状況に関する抽出調査、これは都道府県が行うものでありますが、それの結果を基にいたしまして、全国推計をいたしております。それと、これとは別に残余容量につきましては、最終処分場の設置者を対象として、これも都道府県が行う残余容量の調査結果を全国推計をいたしております。  このように、両者は算出方法、それから算出基礎を異にしておりますので、例えばある年の残余容量から最終処分量を引き算して翌年の残余容量と釣り合うかを調べることは必ずしも適当ではないということであります。  いずれにいたしましても、冒頭の答弁でもお答えをいたしましたけれども、最終処分の実態をより正確に把握すること、これはもう必要なことでありまして、そのためには排出事業者や中間処理業者からの報告徴収と併せて最終処分場への報告徴収、必要に応じた立入検査による現場確認が適切であると思っております。  また、全国的な排出量等の統計調査におきましても、精度を向上して実態をできるだけ正確に把握したものとなることが必要でありまして、推計や算出の方法等、多面的な調査の方法についても今後とも適宜見直しをして、正確な把握に努めてまいりたいと思っております。
  87. 高嶋良充

    高嶋良充君 算出方法の環境は、是非、今御答弁をいただいたように、見直しも含めて、やっぱり透明性がきちっと国民に分かるような形での算出をお願いをしたいと。そうでないと、残余年数の計算そのものが変わってくるというふうに思いますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。  次に、産廃の実態を不透明にしている要素として、廃棄物の自社処理、それから収運、収集運搬業者ですね、収運業者の積替えの保管場所の実態等がほとんど把握されていないんではないかというふうに思っているんです。  これは環境保全の立場からも廃棄物の自社処理や積替えの保管場所等の実態調査を強化すべきであるというふうに思っているんですが、その点はいかがなんでしょう。そして、その実態調査を是非強化をしてもらうためにも、午前中も出ていましたけれども、職員を大幅に増員をすべきではないかというふうに思っているんですが、その辺のことも含めて大臣の決意を伺いたいと思います。
  88. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 産業廃棄物処理の信頼を回復するということ、これはもう喫緊の課題であると、そのように認識をいたしております。そして、産業廃棄物処理実態を把握をして適切な対応を図るためにも、報告徴収や立入検査の的確な実施が必要であると、そのように考えております。  今、高嶋先生から特に御指摘がございましたけれども、積替え保管場所、中間処理施設最終処分場などにおきます産業廃棄物処理の実態の追求、不適正処理の早期発見のために都道府県における立入検査など充実強化をしていかなければならないと、そのように考えております。そのためには、御指摘のとおり、人的な確保もしていかなければならないと思います。必要な地方行政の担当職員、これが確保されますように、地方自治体や総務省にも十分説明をしたいと思いますし、また国の、今後緊急の場合には国も立入調査ができることになっておりますという法案でございます。地方環境対策調査官等、国の職員の確保につきましても、併せて努力をしてまいりたいと思っております。
  89. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ次に、若干視点を変えて質問をいたしますが、今回の改正案の検討、約一年ほどずっとやってこられたんですけれども、この審議会でEPR、拡大生産者責任、この制度を導入しようと。その導入そのものにはほとんど反対意見はなかったというふうに私は聞いているんですけれども、なのに、改正案にはなぜか盛り込まれていない。この理由は一体何なのかということと、衆議院の答弁では、EPRの導入に向けて引き続き検討すると、こういう答弁をされていますけれども、それはいつごろ具体化がされて、その導入はいつごろになるのか、この点について大臣の考えをお尋ねしたいと思います。
  90. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 適正処理困難物にかかわります拡大生産者責任制度的拡充につきましては、先生御指摘のとおり、この法案に盛り込むべく鋭意検討をしてきたところでございますけれども、産業界との間、産業界等の関係者との間におきまして、一つは対象とする品目でありますとか、また製造事業者市町村との責任分担の在り方などにつきまして十分な合意を得ることができなかったということでございます。  一方におきまして、廃棄物処理法におきましては、この拡大生産者責任以外にも不法投棄対策など緊急に法律改正を必要とする課題も多くあるわけでありまして、今回、この拡大生産者責任制度のためだけに法案提出を遅らせることは適当ではないという判断の下で、法律改正に盛り込むことは見送ったところであります。  しかし、この拡大生産者責任制度的拡充、これにつきましては重要な課題であるということも私も十分認識をしているところでありますし、引き続きこれは協議をしていこうということを、産業界の方もそういう認識を持っているわけでございますので、今後ともこの排出状況処理実態の把握、それから関係者との議論を行いまして、できるだけ早く具体化できるように検討を進めてまいりたいと思っております。
  91. 高嶋良充

    高嶋良充君 EPRの改正がこれできなかったということで、現実に、今日も市長村から拒否されて行き場のない廃棄物不法投棄や不適正処理されようという、そういう現実にあることはもう御承知のとおりなんです。  市町村において処理できない、あるいは市町村が収集しない廃棄物というのは環境省の調べでも七十七品目あると、こういうことですね。もう象徴的に語られるのがボウリングのボールをどこへ持っていったらいいんだと、捨てるところがないわけですから、市町村も取ってくれない、いろんなところへ尋ねても、もう家に置いておくしかないと。こういうことのようになるわけですけれども、この現実、行き場のない廃棄物を一体どう処理するんだということが求められているわけですけれども、EPRが改正されなかったわけですから、その間、こういうボウリングのボールも含めてですけれども、処理先やリサイクル先を市民の皆さん方に明らかにできる方策というのをやっぱり環境省は示すべきではないかというふうに思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。
  92. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) ただいま先生御指摘のとおり、また午前中からも御論議がございましたけれども、実際、市町村において処理が困難であったり、また市町村が収集していないという一般廃棄物、今七十七品目というお話がございましたけれども、環境省の調査は二百二十市区町村で二十九品目について調査しましたけれども、九〇%受け入れていないというのが六品目ぐらいございまして、そういう実態があることは十分承知しているわけでございます。  それで、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、このEPR制度の導入だとか、それからまた処理業者を育成する市町村対応をどうするか、また家庭ではどうするかということも含めまして、今後、排出状況、また処理実態の把握を行った上で、適正な処理体制が構築できますように、順次必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  93. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非検討は早急にやっていただいて、その方策を市町村なり市民の方に示していただきたいというふうに、これは御要望しておきたいと思います。  次に、循環型社会においては最終処分よりもやっぱりリサイクルや中間処理施設を拡充することが重要だというふうに思っているわけですけれども、循環型社会という観点からとらえた廃棄物処理の基本的な考え方について、副大臣の見解をお伺いしたい。
  94. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 御指摘のように、本年三月に閣議決定されました循環基本計画におきましても、循環型社会の形成を図る上で、廃棄物等の循環的な利用や処分のための施設は不可欠であるとされておりまして、この計画の中で、廃棄物の最終処分量の減量、平成十二年度から二十二年度でこれを半減しようという目標としております。  そういう中で、リサイクル等の中間処理によりましてできるだけ減量化を図った上で最終処分にすることが基本とされております。このために、施設整備の点におきましては、もちろん最終処分場の確保も必要でございますけれども、最終処分量を減量化するということでリサイクル等の中間処理施設の整備を推進していくことが必要であるというふうに考えております。
  95. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ次に、これも若干視点を変えて廃棄物処理広域化という観点で何点かお尋ねをしたいというふうに思いますが、最近の廃棄物処理施設というのは、ダイオキシンの削減の問題とかあるいは施設をより効率化運営をしなければならない等々の観点で、従来の市町村都道府県単位から非常に広域化の方向に向かっているというふうに思うんですね。その場合に、都道府県域を越えたブロック単位の施設整備もこれからは必要になってくるんではないかと。  今回の法改正で、都道府県域を越える産廃の処理施設の設置には国もかかわりを持っていくようにするんだということでの改正も若干されているわけですけれども、その辺も含めて、今後、広域化について国の方針はどのような考え方を持っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  96. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 全国的に円滑な処理ができますように、特に産業廃棄物が大量に発生する大都市圏におきましては、そのブロック内において処理の受皿をできる限り確保するため、関係都道府県市が連携して広域処理を行うという体制を確保するというのが重要であると考えております。  今御指摘のように、広域的な見地からの調整という国の責務の一環として、国も関係都道府県の検討を支援したり連携が円滑にいくように調整する必要があるというふうに考えておりますけれども、施設整備にかかわります国庫補助制度の内容を拡充しまして、平成十三年度より、既に大都市圏におきましては、二つ以上の都道府県が共同で設立する広域廃棄物処理センターも補助事業の対象事業として追加しております。  さらに、近畿圏におきましても、昨年度、広域廃棄物処理センターの整備も視野に入れて、近畿の自治体間による検討も環境省として支援したところでございまして、今後とも広域的な廃棄物処理センターの整備等により大都市圏における広域的な処理体制の整備というものを推進してまいりたいというふうに考えております。
  97. 高嶋良充

    高嶋良充君 広域化の問題で、既に近畿圏においてはフェニックス計画が実施をされているのはもう御承知のとおりです。当初、フェニックス計画というのは全国的に実施をするという、こういう予定だったんですけれども、しかし、二十二年たった現在、近畿圏しか実施をされていないんですね。  他の地域のフェニックス計画というのは一体どうなったんだろうかということなんですけれども、その点の現状も含めてお伺いをいたしたいと思います。
  98. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 高嶋先生御指摘になりましたように、いわゆるフェニックス事業につきましては、厚生省の時代から、近畿圏以外に首都圏、中部圏、北部九州圏、こういったところで協議会を設けて検討がされてきたところでございますが、現在までのところ、近畿圏以外でこの検討がまとまったところはございません。  特に、首都圏におきましては、昭和五十年代から、フェニックス法が成立したときから事業の実施を国としても強く働き掛けてきたところでございますけれども、その間、平成十年、五年前になりますが、平成十年十一月の首都圏の自治体の首長さんから構成される首都圏サミットにおきまして、その必要性を確認した時点において検討を協議すると、こういう判断がなされまして、事実上凍結されているところでございます。  中部圏、北部九州圏含めまして、今後とも地域の実情に応じて事業実施の可能性を検討する必要があると私ども考えておりますので、引き続き努力を払っていきたいと思っております。
  99. 高嶋良充

    高嶋良充君 なぜこのフェニックス計画が進展をしないのかというのを、私は一つの理由があるというふうに思っているんですが、それは、後でできた、廃棄物処理センター構想が出されたんですけれども、この処理センターには一定の条件が整えればモデル的に補助金、国の公的資金が導入できると、こういうことになっているわけですね。しかし、フェニックス計画にはそのような恩典が全くないんだと、これが原因ではないかなというふうに思っているんですけれども。  ただ、近畿圏だけが実施をしているわけですが、これは広域的な廃棄物処理施設を整備するという意味からはかなりやっぱり意義が大きかったというふうに思うんですね。それで、阪神大震災のときでは、ここのフェニックス計画に震災の瓦れきなんかを全部運び込んだということも含めて、大変重要な役割を果たしたんですね。  そういう観点からいうと、今、この近畿におけるフェニックスが財政的に危機的な状況になっているという現状にもあるんですよ。そういう観点からいうと、処理センターと同じように国の支援を強化すべきではないかというふうに考えるんですけれども、その点についてはいかがですか。
  100. 弘友和夫

    ○副大臣弘友和夫君) 大阪湾のフェニックス計画、センターにつきまして実情等もお聞きしているところでございますけれども、非常にその意味というか、先駆的にやっていただいているというのはよく存じ上げております。  こういう中で、循環型基本計画の中で最終処分量の削減を目標に掲げてその実現に努めているところでございますけれども、大阪湾フェニックスセンターにつきましても、適切な施設の延命化、例えば、技術的に許せば安定型を管理型にしていくだとか、それから料金体系、受入れ基準、受入れ基準が現状非常に厳しい、そしてまた、料金も周辺に比べて安いみたいな話がございますので、そういう基準の在り方などについてもいろいろ技術的にも国として助言を行ってまいりたいというふうに考えておりまして、今、一般廃棄物施設整備につきましては従来から国庫補助を行っておりますけれども、産業廃棄物については排出事業者責任という観点から現在は財政措置は行っていないという状況でございます。
  101. 高嶋良充

    高嶋良充君 大臣、今、副大臣からも御答弁がありました。ただ、近畿圏も含めて、広域的な見地からの廃棄物処理施設整備というのはこれからどんどん進んでくるという状況になっておりますから、広域的な見地から近畿圏のフェニックス、あるいはこの廃棄物処理センターという、補助している部分等々、うまく総合的に政策が、施策が実施できるような、そういう方向も検討していく必要があるんではないかというふうに思っているんですが、その点について大臣考え方を伺っておきたいと思います。
  102. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) フェニックスセンターにかかわる様々な問題でございますけれども、本年三月、都市再生本部を事務局といたします京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会、ここが近畿圏における廃棄物処理施設の整備構想を取りまとめられたところでございます。  この取りまとめにおきましては、最終処分先であります大阪湾フェニックスセンターを中心といたしまして、廃プラスチック、建設廃棄物等について、臨海部の拠点を活用した広域処理を行うための施設整備を推進するということになっておるわけであります。  環境省といたしましても、この取りまとめ、これを踏まえまして、各種の施設整備等につきましてこれは支援をしてまいりたいと、そのように考えております。
  103. 高嶋良充

    高嶋良充君 簡潔な御答弁をいただいて、ツルネンさんが七分ほど時間を残していただいた時間があったんですけれども、それを使わなくて済みそうでございます。  最後に、大臣に御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  今回の法改正に至るまでの経過は先ほどから申し上げていますけれども、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会で十分な議論をされてきて、廃棄物定義や区分や排出者責任、先ほど申し上げましたEPRなど、基本的な分野で一定の結論が出された意見具申に基づいてこの法改正が行われてきたというふうに私は理解をしているわけですけれども、であるならば、今後もこの方向に沿って一層の改善の努力をしていただきたいということがまず一点。  もう一点は、先ほども申し上げました最終処分量と残余容量の関係については、国民の産廃に対する疑念というか疑惑というか、これをやっぱり解きほぐしていくことが重要だと。そのためには、先ほど申し上げましたけれども、算出方法等もきちっと精査をして、産廃の残余容量をきちっと調査をすると。  そういう努力を要請をさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 高嶋先生御指摘のとおり、今回の法改正、これは中央環境審議会意見具申、これを踏まえて行ったものでございます。今後とも、こうした意見具申を踏まえまして、制度改善の努力というものは最善を尽くして継続して努力したいと思っております。  それから、先生から御指摘がございました最終処分量と残余容量の関係につきましても、この実態把握といいますものが産業廃棄物適正処理の確保、あるいは国民の信頼回復の観点からも重要であると、そのとおりの認識を持っておるわけでございますので、必要な取組を一層努めまして、この最終処分量と残余容量の関係についての実態把握に努めてまいりたいと思います。
  105. 高嶋良充

    高嶋良充君 ありがとうございました。
  106. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  私は、まず、法案審議に入る前に、旧軍の毒ガス問題等の関係、要するにこれもある意味で廃棄物問題だと考えられなくはないわけでありまして、例の神奈川県の寒川町のさがみ縦貫道路建設現場、あるいは平塚市の第二合同庁舎建設工事現場及び茨城県の神栖町飲用井戸汚染など、そういった意味では、最近、こういった面でのいわゆる旧日本軍が製造した毒ガスが原因と見られる健康被害が相次いでいる。  特に、茨城県の神栖町では、幼児を含めて極めて重症な被害状況が明らかになっているということで、地域全体としてもこういった面については懸念をして、不安がますます高じているというふうに伺っておりますし、そういった中で、公明党の茨城県本部は四月の二十一日、現地視察を行いまして、こういったことを踏まえまして、五月の二十三日に神栖町の砒素汚染による健康被害者の会代表の方々とともに環境省に対して申入れを行ってきた経緯がございます。弘友大臣にも大変お世話になったところでございますが、五月三十日には官房長官にも我々申入れをいたしまして、この問題についてきちっとした対応をしていただきたいと。  一九七三年の調査によれば、過去、全国十八か所において保管されていた旧日本軍の毒ガス約三千八百七十トン、一部焼却処分を除いて海中投棄されたと、そういうふうに報告はされているわけなんですけれども、広島県の大久野島や北海道の屈斜路湖など、かなりの箇所において大量に発見されていると。地域住民が深刻な不安をかき立てられているというふうに伺っているところでありますし。  ただ、政府対応は、個別案件ごとにやっているという印象が強いわけでありまして、やはり徹底した調査や原因究明、さらには法的措置、そういったことを含めて被害者救済に対する統一的な対策が強く求められていると、要望を強く受けているところでありますし、こういった面に対して、どういうふうに今後政府が具体的な対応策を打ち出すかということが極めて大事でなかろうかと、そう思ってございます。  今日の新聞、読売新聞によりますと、井戸周辺の土砂、これは別の場所から搬入したということで、九六年以降集合住宅に住んでいる、井戸を使用していたのは十二世帯三十三人で、うち、子供を含む十三人に手足の震えや言語障害などの症状が確認されているということで、この委員会でもこういった面についての質問が今まであったわけでありますけれども、有機砒素の化合物による、それに対する治療方法がまだ確立されていない等々を含めて、また過去に受けた様々な被害、それにかかわる出費の関係を含めて、これは十分対応していく必要があるんではなかろうかと私は思っております。  それで、第一点の質問でありますけれども、被害者の救済の制度についてどういうふうに政府は今現在考えているのか、今後どういうふうに対応をしていこうとしているのか、この点についてよろしくお願いいたします。
  107. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 被害者の救済の問題でございます。  まず、現在取り組んでおります茨城県神栖町でございますけれども、この問題につきましては、加藤先生から御指摘ございましたように、五月二十一日に官房長官から、この神栖町の飲用井戸汚染についてどうも病人が出ているということで、治療に要する費用の支給を含めて患者の方々に対する支援策を環境省が検討しろという御指示があったわけでございます。その指示を受けて、現在、取り急ぎ作業をいたしております。  これは、考え方といたしましては、神栖町における幼児を含む健康被害の深刻さにかんがみまして、原因究明と並行して患者の方々への支援策を検討することが必要であるという御判断だというふうに考えております。現在、それについてどのような形で支援策が打ち出せるか、取り急いで検討をしております。  なお、一般論でございますが、一般論といいますのは、なかなかこの問題自身が、有機砒素によるこういった健康影響というのは恐らく初めてだと思います。また、こういう旧軍絡みと言われておりますけれども、それについても様々でございまして、全体的にどうするかということについては、私ども、必ずしも環境省自身が担当もしておるかどうかは不明確でございます。  私どもとしては、取り急ぎ官房長官から御指示のあった神栖町の被害者救済対策について支援策の取りまとめを大至急行いたいということで作業をいたしておるところでございます。
  108. 加藤修一

    加藤修一君 後ほど大臣からも、ちょっと質問通告しておりませんので、質問終わった後で総括的にどういうふうにお考えかということについてお尋ねしたいと思っておりますけれども。  二点目は、化学兵器禁止条約、この中ではいろいろな定義がありますけれども、老朽化の化学兵器、これは一九二二年以前の関係と、一九二二年以降から一九九六年、この間に作られた化学兵器ということになるんですけれども、正に今回の面について原因究明ということがまだ確定されてはおりませんが、全国のあちこちにある毒ガスの関係については、正に老朽化の化学兵器に当たるわけですけれども、これのいわゆる条約に基づいての国内での適正処理ということは当然やらなければいけないと。それと同時に、国内において窓口もやはりどこかに決めなければいけないと。この窓口が決まっていないというのが現段階の私は状況でないかなと思っているんですね。  ですから、この適正処理、禁止条約に基づく適正処理の関係と国内の窓口の一本化ということをやはり国内対策としてきっちりやるべきでないかと考えているわけですけれども、この辺についての見解をお伺いしたいと思います。
  109. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 条約でございますので、当然ながら公式の窓口は外務省でございます。その外務省を通じてハーグにございます化学兵器禁止機関に通知をすることが条約上義務付けられておりまして、当然見付かればそのような措置を取ることはしなくてはいけないと考えています。  ただし、国内でございますけれども、現在の取組は様々でございまして、私どもとしては、今、内閣から指示されております寒川の道路周辺、それから平塚の役所の建物の予定地周辺、それから茨城県神栖町の案件ということでございまして、これについて全体的な、この中で見付かったものについては、当然ながら私どもの方において外務省に、外務省を通して連絡をするということが必要になると思います。  ただ、それ以外につきましては、必ずしも担当は明確ではございませんし、また、私ども自身はこれから四十八年の調査の再調査をやるわけでございますが、そういったことで得られた知見をどうやって生かしていくかについては、今後、内閣官房などとよく相談をしていきたいと考えております。
  110. 加藤修一

    加藤修一君 環境汚染問題の関係では、汚染者負担の原則ということが極めて重要な原則として考えられているわけですけれども、この汚染者負担の原則に基づいて、いわゆる原状の回復をどういうふうに考えるかと。これもまた極めて重要な点でありまして、神栖町について限定して聞くわけでありますけれども、この辺についてどのようにお考えでしょうか。
  111. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 神栖町は、とにかく今は原因究明を急ぎたいと思っております。  具体的には、五月の末から現地での調査を始めております。地主の方の同意を得るのが結構時間が掛かりまして、スタート一か月掛かりましたけれども、ようやく調査始めまして、今月は今問題となっております地域の辺りで二十五本から三十本程度のボーリングをして、その周辺の土壌あるいは地下水を調べたいと思っています。また、その後はさらに、他の汚染が、ある程度汚染があると言われている地域にも更に手を広げてまいりたいと思っておりますし、様々な調査を行ってまいりたいと。その中で、いち早く、できるだけ早く原因究明をしたいと思っております。  ただ、問題は、その場合に、じゃ物が見付かってどうするかということでございますが、仮に旧軍のものが見付かった場合にどうするかについては、必ずしもルールございません。旧軍のものに、出来事に関します扱いについては、非常に政府自身がデリケートな問題ということで対応をしておりまして、私どもとしても、そういったことについては原因が究明できた段階で内閣官房と相談の上で対応していきたいと考えております。
  112. 加藤修一

    加藤修一君 そこで、大臣質問なんですけれども、デリケートな問題であることは確かだと思うんですね。先ほど、午前中の大臣の答弁の中に、これ、産廃のいわゆる原状回復、過去の負の遺産を払拭すると、未然防止を行うことであるというふうに、この法案に関連してそういう答弁をいただいたわけなんですけれども、私は広げて考えて質問するわけじゃないんですけれども、一般的にも大臣のおっしゃったことは言える話でないかなと思うんですね。  旧軍の問題は確かに旧軍の問題でありますけれども、これは別の角度から見ると、軍事的な面、あるいはあえて言うと、一廃か産廃かというと、どっちかというと産廃に属するものであるというふうに考えられなくもないというふうに考えてまいりますと、この辺の今まで質問した答弁に対しての関係と、午前中答弁された過去の負の遺産を払拭しなければいけないと、そういった面について許せる範囲でお答えをいただければと思います。
  113. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 産廃特措法に関しまして、過去の負の遺産を一掃するという表現をしたわけでありますが、その表現を今回の話に当てはめるとするならば、これはむしろ、昭和四十八年に行いました全国調査、それのフォローアップをこの際きちっとやって、そしてなかなか、もう関係者の方も御高齢になったり亡くなられた方もあると思いますけれども、しかし、そういう方からの聞き取り、あるいは残された様々な資料、これにつきましては今月、環境省の職員をアメリカに派遣をいたしまして、そして、旧軍の資料をアメリカ軍が持っていった、その資料をも調査しようということも含めて、しっかりしたフォローアップをもう一度やろうということでございます。  むしろ、そういうことを通じて全体としてのこの負の遺産がきちっと整理できるようなフォローアップを充実したものにする必要がある、それによって対応すべきものではないかと、そういうふうに思うわけであります。  また、様々な対応につきましては、やはりこれはいろいろ個別の事情が微妙に違うと思っております。寒川町の問題、それから平塚におきましては現物が出てきておる、一方におきましてはこれが、現物が出ていないと、こういうようなこともございますし、また被害を受けた方も、道路工事で被害を受けた方はその工事で受けたということで労災できちっと対応されるわけでありますけれども、神栖町の方はそういうようなことがない中でどういう支援策を考えていこうかということを検討しているわけでありまして、そこの扱いは個々やはり変わるんだろうかと思います。しかし、全体としてのものについては四十八年の全国調査のフォローアップをする中できちっと対応する必要があると、そのように考えております。
  114. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いいたします。  それでは次に、見えない廃棄物といいますか、地球温暖化の関係で、CO2等の温暖化効果ガスの関係で、いわゆるロシアの京都議定書の批准の状況についてなんですけれども、ロシアの経済発展貿易省が三月下旬に、批准でロシアに経済的メリットは生じないと、そういう表現を用いて批准は不要と示唆するような報告書原案をまとめていたことが四月の下旬で明らかになっております。批准に消極的になったことで今後国内調整に手間取り、批准作業が遅れるのは確実というふうに言われている向きもあるように思いますけれども、これを受けて、大臣は四月二十五日にパリでロシアの天然資源省のオソキナ次官と会談し、京都議定書の発効にはロシアの速やかな批准が欠かせないと、速やかに批准を求めたと聞いておりますけれども。  このオソキナ次官との会合の中での件について見解を、改めて報告をお願いしたいということと同時に、このロシア国内の状況、一体どういう状況にそれ以降変わりつつあるのか、それから京都議定書の年内発効の見通しについては大臣としてはどのようにとらえていらっしゃるのか、その辺についてお願いしたいと思います。
  115. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 京都議定書に対します我が国の態度というものは、これは一貫をしておりまして、一つは京都議定書の早期発効、それから将来におけるグローバルな取組の枠組み作りと、こういうことであろうかと思います。  御指摘のとおり、京都議定書の発効につきましては、ロシアがこれを批准すればいよいよ発効要件を満たすということでありまして、日本といたしましてはこのロシアの批准というものを従来から強く働き掛けてきたところであります。本年の一月の十日にも日ロの首脳会議がロシアでございまして、その際に採択されました日ロ行動計画におきましても、ロシアは京都議定書批准の準備プロセスを前進させることと、そういうふうにそこに書かれているわけであります。  しかし、先生のお話の、御指摘のとおり、その後ロシア政府部内から様々な意見も報道をされ、それを私も承知しているわけであります。  先般、G8の環境大臣会議の際にロシアの天然資源省の次官と会談をいたしましたが、そのときも次官から、ロシア国内におきまして、例えば排出権取引のその価格について産業界あるいは経済学者から非常に異論があるんだという率直なお話もございました。しかし、天然資源省としては批准に向けて努力を継続しているんだと、そういうような話もあったわけでありまして、そうしたロシア政府部内の様々な意見があるということを私も改めて感じたような次第であります。  今後のその発効の見通しということでございますが、率直に申し上げまして、現時点でロシアの批准の時期、これについて私も明確な見通しを持つことはできないわけでありますが、しかし、いずれにしても日本は京都議定書の早期発効を目指しておるわけでありますし、そのためにはロシアの批准が不可欠でございますので、今後ともあらゆる機会をとらえましてロシアに対する働き掛けを継続してまいりたいと考えております。
  116. 加藤修一

    加藤修一君 是非よろしくお願いをいたします。  それでは、不法投棄問題の関係で、青森、岩手の県境の不法投棄について、これが発端になって今回の特措法につながっていると私は理解しているものですから、この問題について少し取り上げたいと思います。  二〇〇二年の五月十一日に、井上義久衆議院議員と風間昶参議院議員が現地視察を行いまして、その結果を基にいたしまして、問題全容の徹底解明、原状回復排出者責任の徹底等々、七項目を当時の大木環境大臣山下栄一副大臣に申入れを行っているということなんですけれども、私も先日五月十二日に現地に行ってまいりまして、非常に大きなショックを受けて帰ってきたわけですけれども、産業界でもこの産業廃棄物適正処理については極めて重要な問題であるというふうに、積極的に対応していると聞いております。  一生懸命やっている企業ほど、実はこの問題というのは青森・岩手ショックというふうに業界の中で言われているぐらいに、いわゆる適正処理をしていたと思っていたことが、実は排出者責任を問われるというふうになるケースも間々あるようでありまして、私は今回、国費を使うということも含めて、やはりモラルハザードが生じてはいけないという観点は、これは環境省も十分考えていることだと思いますけれども、排出事業者責任の追及というのはやはりきちっとやっておかなければいけないということで、この責任の追及の在り方ということなんですけれども、これについてどういう手順といいますか、内容といいますか、この辺について明確に御答弁をお願いしたいと思います。
  117. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) ただいま加藤先生からお話ありました排出事業者責任の追及、具体的には措置命令が掛けられるかどうかということだと思いますが、大きく分けて三つの観点がございます。  一つは、その処理の委託が適正に行われたかどうかという観点でございます。例えば、無許可業者に収集、運搬や処理を委託していた場合、あるいは委託基準が守られていなかった場合、これがそれに相当します。  二つ目に、マニフェスト、産業廃棄物管理票関係の規制がございます。これにつきましては、管理票を交付しなかった場合、あるいは管理票に虚偽の記載を行った場合、こういったことがこれに該当します。  三番目に、いわゆる注意義務違反というジャンルがございまして、排出事業者がその廃棄物の発生から最終処分まできちんと情報を管理できていたかどうか、確認できていたかどうかということが挙げられます。これにつきましては、例えば処理基準に適合しない処分が行われた場合とか、あるいは不当に安い価格で契約を結んだ場合とか、そういう条件が付きますが、これも措置命令の対象になるわけでございます。  具体的に違反状況があるかどうかのチェックの方法でございますが、まず、これ青森、岩手で現在行っているところでございますけれども、処理業者の実績報告書をチェックいたします。また、処理業者、排出事業者に対して、契約書の写しあるいは管理票の写しなどの報告を求め、その内容をチェックいたします。  こうしたことを行っているわけでございますが、青森、岩手の事案につきましては、現段階で約一万六百社の排出事業者が判明したところでございまして、これらの排出事業者に対して、先ほど申し上げました報告徴収等の手続を行っておりまして、現在までに八割以上の事業者から回答が得られている、まだ回答が得られていない事業者が残っております。  いずれにいたしましても、現在、両県がその排出事業者が存在する当県市の協力を得て、責任を課すことができるかどうかについての作業を行っているところでございます。
  118. 加藤修一

    加藤修一君 今、一万六百社のお話がありましたけれども、これ、このうちの中には中央省庁など国の機関が約五十社、それから県など地方自治体が二百五十社ということなんですけれども、これ、措置命令で先ほどの三点ございましたけれども、それに該当する場合は当然こういった県についても明確にやっていかなければいけないと、そういうふうに私は理解しておりますけれども、ということですね。  それで、現段階で約十社の排出事業者の違法性が指摘されていると。それを構成する要因の認定のための基準は何かというと、先ほどの件になるんでしょうか。もう少し具体的な説明をいただきたいと思いますけれども。
  119. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 先ほどその責任追及の幾つかの類型について御説明いたしましたが、御指摘になりました十社の話につきましては、処理委託関係で契約書をチェックした段階で無許可業者に委託していたことが判明したものでございまして、そういう意味では早く分かったということでございまして、近々、この無許可業者に委託していたケースにつきましては手続を経まして措置命令を掛ける予定ということで、責任いろいろございますけれども、順番にこれ、順次分かったものから措置命令を掛けていく必要があると考えているところでございます。
  120. 加藤修一

    加藤修一君 これは行政責任ということについてもやはり明確にしていかなければいけないというふうに考えているわけですけれども、やや言いにくい話なんですけれども、これ、昨年の七月に出された不法投棄防止及び原状回復に関する懇談会報告においては、不法投棄増加と国民の産廃に対する不信感の悪循環を断ち切るため廃掃法の改正により様々な対策を講じており、引き続き不法投棄根絶に向けて行政、事業者、国民が一体となった取組を進める必要がある旨指摘されているわけなんですけれども、結果としては、大規模不法投棄を許してしまった国の行政責任ということについても指摘をされなければいけないわけですけれども、何一つ触れられてはいないわけなんですね。  それで、岩手県の県境産業廃棄物不法投棄事案検証結果報告書、その中では、本件事案の本質は法システムに由来する複合的、構造的な欠陥にあると、本件事案がその特殊性、異様性からして不可抗力とも言える事案であったこと、当時の法システムがそのような事態をおよそ想定して作られたものではなかったこと、しかし今後も同様な大規模不法投棄が発生するおそれは否定できない。そういうふうに、要するに国の行政責任にかかわっている問題ですよという言い方をしているように私はとらえてしまうんですけれども、要は国の行政責任ということについてはどんなふうな考え方をすればいいか、その辺についてお尋ねしたいと思うんですけれども。
  121. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 確かに、青森、岩手両県におきましては外部評価の委員会を設置して、その中でそのような御指摘があったことは重々承知しているわけでございます。  ただ、不法投棄それ自体は、これは犯罪でございまして、その責任を負うべき者は、一義的にはその投棄者、実行者であるということは、これは言をまたないわけでございまして、そういうものが後を絶たないから行政もしっかりやらなきゃいけないという意味での行政責任のお話であれば、私どもは甘んじてそれはお受けしなければいけないと思っておりますけれども。  これまで青森、岩手両県におきましては、これは県のお話でございますけれども、その対応状況を検証して、外部評価の委員会でそういった検討結果が出ているわけでございますけれども、その前後のことも含めまして、今後、青森、岩手両県から県の責任をどう考えるかということについてのお話は環境省として報告していただくようお願いしているところでございまして、当然のことながら、それを受けた環境省としても、これまでの足りないところにつきましては反省した上で、今回、今のお話と関連しては、廃棄物の疑いがあるものについても立入検査、報告徴収の権限を、この提案している法律でそういう条文を入れているところでございまして、この点につきまして、恐らく先ほどの検証委員会のレポートは、疑いのあるものについて入れなかったためにこういったことが起きたのではないかという、こういう御指摘だというふうに理解しておりまして、反省すべきことは反省して対応していきたいというふうに思っております。
  122. 加藤修一

    加藤修一君 県の方の報告書を見ますと、例えば青森県の報告書ですね。これは、行政責任は行政責任でも県レベルの話なんですけれども。県の落ち度、県の落ち度、県の落ち度であるというふうに、落ち度という表現で責任を考えなければいけないという、ちょっともう少し整理した方がいいのかなという思いで読んでいますけれども、岩手県側は、調査が十分でないので法的な意味では厳密さを欠くが、組織責任をもって行政責任とすると。場合によっては行政処分を行うことも考えられるというような言い方をされているわけなんですけれども、やはり私はちょっと、青森県は少し柔いなという感じがしております。岩手県は何とかきちっとやっていこうという意欲が見られるというふうに考えておりまして、県の行政責任について環境省としてはどういうふうに、何らかの指導とか、そういった面についてのアプローチというのはあり得ますか。
  123. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 今回御提案しております産業廃棄物の特別措置法の中で実は措置をしていることがございまして、それは、一つには実施計画を策定する段階で、これはもちろん実行者とか排出事業者責任追及、これを行っていただくことになりますが、あわせまして、担当の行政のこれまでの監視あるいは措置の内容についての検証をしていただく、そのために第三者の評価委員会の結果が使えるだろうと思っているわけでございます。そのことにつきましては、この御提案している特別措置法の基本方針、国が定める基本方針の中で明らかにしようと思っているところでございます。  ただ、その責任の軽重をもってそれをどう反映させるかというのは、やはり再発防止というのが大前提でございまして、その責任が非常に重いので、例えば補助をしないとか、そういうところまではこの法律では言及をしておりません。ただ、一般的に、もう完全に行政責任が最大、九九%の原因であったというようなことであればそういうことも考えられると思いますし、世論がそういったものに税金を支出することは許さないというふうに思いますけれども。  先ほど申し上げましたように、何しろ一番悪いのは、忘れられてはいないと思いますけれども、実行者でございまして、この実行者が悪いことをするということを何とか防止するためにこういったいろんな規制、行政の責任の明確化等を図っていこうということでありまして、悪いことをする人間がいなければ、この廃棄物処理制度がきちんと回っていればこんなことにはならなかったということをいつも思うわけでございますけれども、そうした中で、県の責任、国の責任というものも真摯に反省していかなければいけないと思っております。
  124. 加藤修一

    加藤修一君 不法投棄については全国で一千三百三十四万トン、これ一立米は一トンと換算してですけれども、六百六十九件ありますけれども、今回の特措法の対象になるものは、何件あって、どのぐらいの量になるんですか。あるいは、その補助率というのはどういうふうに考えたらいいですか。
  125. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 今、加藤先生が御指摘になったのは、平成十三年六月に環境省が実施した都道府県アンケート調査の結果でございますが、そのうち平成十年六月以前に行われた不法投棄事案につきましては、全国四百三十か所、量にいたしまして約千百万立方メートルございます。これらがすべてこの特別措置法の対象事案になるかどうかにつきましては、実際にその都道府県の判断で、生活環境保全上の問題があるのかどうか等について精査をしていただいた上で要請、実施計画が作られるということになるわけでございますが、私どもといたしましてはできるだけ積極的に取り組んでいただくように基本方針に記載することとしております。  なお、補助率でございますが、有害物質相当につきましては補助率を二分の一にする、かさ上げすることにしておりますし、例えば青森、岩手事案につきましては、その半分以上が有害物質相当というカウントになると考えております。
  126. 加藤修一

    加藤修一君 この法案についてはモラルハザードの懸念を指摘する人もいるわけですけれども、改めてモラルハザードの視点から、この法案に基づいてやった場合には回避策になり得るんだと、その辺についてちょっと整理して御答弁いただけますか。
  127. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) モラルハザードを回避するための措置については十分きちんと取っていかなければいけない、講じていかなければいけないと思っておりまして、先ほどから申し上げております不法投棄の実行者あるいは排出事業者の捨て得を許してはいけない、責任追及を徹底して行う必要があると思います。  どういう措置を取っているかということでございますが、まずこの御提案しております特別措置法案におきましては、実施計画において、不適正処分の行為者や最終処分までの注意義務を怠った排出事業者責任の明確化を図るよう配慮するという規定を設けておりまして、基本方針におきまして国あるいは都道府県との連携について規定をいたしまして、原因者責任の追及をきっちり行っていくこととしております。  また、都道府県の行政責任、繰り返しになりますが、財政的な支援、税金をつぎ込むという、こういった支援を行う前提といたしまして、都道府県基本方針に即して定める実施計画におきまして、都道府県自らの対応の検証について実施計画で明らかにするよう、これも基本方針でその旨を定める予定としております。  また、行為者あるいは都道府県に対する責任の明確化をきちんと行われるよう、この法案では実施計画の策定に際しまして、地方環境審議会及び関係市町村意見を聴くとともに、環境大臣に協議していただくと、こういう制度としているところでございます。
  128. 加藤修一

    加藤修一君 十分な担保になることを期待したいと思っておりますが。  それで、この両県の県境の不法投棄の問題というのは極めて重大である認識はどなたも持っていると思うんですけれども、地元の方々と話していると、やはりこういったケースを一つのモデルとしてきちっとやっていけるような体制を作っていただきたいと。  ちょっと、同じような内容の答弁になるのかもしれませんが、要するにモデルとして考えたときに、じゃ箇条的にどういうふうに整理できるのかと。これから全国の様々な不法投棄現場についてこういった面の当てはめをやっていくわけですから、モデルとしてこういう具体的な意味のあるものになっておりますよという、その辺について箇条的に御説明いただければと思います。
  129. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 両県の検証委員会の報告及び答申におきますいろいろな論点がございます。それを八つほど整理して申し上げたいと思います。  まず、一番目に業者に対する毅然とした態度、二番目に適切な情報収集、三番目に担当職員の意識や感覚の重要性、監視活動の継続性、一貫性の確保、四番目に廃棄物担当部局と他部局、都道府県間相互、国と県、警察との連携強化、五点目に危機管理の徹底と職員研修の改善、六点目に早朝、深夜における監視活動による不法投棄の早期発見、早期対応、七点目に廃棄物処理法に基づく行政処分の積極的な公表、八番目に廃棄物処理法の不備を補完する条例の制定、この八番目はいろいろと議論があるかもしれませんが、こういったことがこの報告や答申で挙げられております。
  130. 加藤修一

    加藤修一君 非常に分かりやすく拝聴いたしました。  それで、次の質問で、これは午前中からも、また先ほども出ていた話でありますけれども、拡大生産者責任の関係でございます。導入に向けた見通しということなんですけれども、先ほどの答弁を聞いておりまして、EPRは重要なものである、今後とも協議をしよう、いわゆる議論をしようと。ただ、今議論をしている産業界とも折衝、議論をしている最中なんでしょうけれども、時間的に間に合わなかったというところもあるというふうに聞いております。  何が一番、これちょっと質問変えちゃうんですけれども、何が一番大きな課題になっていると理解しておりますか。この辺について、何らかのお考えというか、こういうふうに思っているとかという、そういった点がありましたならばお願いしたいと思います。
  131. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) また繰り返しの御答弁になるかもしれませんので申し訳ございませんが、これまでEPRの考え方については、全体的な、基本的な認識については循環型社会形成推進基本法とかいうところにあるわけですね。具体的には、廃棄物処理法適正処理困難物制度というのもその萌芽だと思いますし、それからさらに具体的には容器包装リサイクル法家電リサイクル法、自動車リサイクル法でいろいろなEPRの細かい仕組みを規定してきているわけです。  今回の改正案で私どもが中央環境審議会からの意見具申をいただいて検討しましたのは、ある意味で汎用性のあるEPRの仕組み廃棄物処理法で規定できないかと。と申しますのは、容器包装であるとか家電とか自動車という、そういう個々の具体の話であれば、それは物の大きさは別として、個々のそういったリサイクル法対応できるわけですけれども、一般論としての汎用性のある仕組み廃棄物処理法で規定できないかというのが意見具申の考えであり、我々もそれに基づいて検討を行ったわけでございます。  そうした中で汎用性のある仕組みを作るとなりますと、産業界としても汎用性ということで具体性が見えないものですから、どのぐらい自分たちの負担が掛かるのかとか、どのぐらいの義務が掛かるのかということが見えないわけですね。元々のこの制度を考えたときには、制度上そういう汎用性のある仕組みにして、具体的に品目は政令で指定して、具体的な、例えば製品設計の配慮であるとか引取りとか、そういった具体的な義務につきましては省令レベル、これで決めようという、これが普通の法律考え方なんですが、そういう仕掛けだったものですから、逆に個々の産業界については、お話が進んでいるところはイメージが明確になりますけれども、まだ全然指定の対象にもなっていないところは自分たちが対象になったらどうなってしまうのか、こういう不安感があったというのが事実だと思います。  ちょっと率直に御答弁し過ぎかもしれませんが、そういうことがあって、この時間内に完全な合意を得るまでに至っていないという事実がございまして、そういう意味では引き続き努力を積み重ねていく必要がありますし、経済界、産業界も、それに対してはきちっと、どこまで義務が掛かるのか、何が対象になるかと、分かった上ならきちんとお話はしていただけるということで、そこが汎用性のある仕組みと考えたものですから、そこがあいまいなことがかえって不安感を醸成してしまったのではないかというふうに、少し私の個人的な考えが入っているかもしれませんが、そんなふうに考えております。
  132. 加藤修一

    加藤修一君 個人的な意見かもしれませんが、環境省のスタッフの発言だと思いますので。  OECDの提唱、リードに基づくEPRという理解で私おりますけれども、そういった意味での汎用性があるという理解で聞いておりましたけれども、そういうことでよろしいですか。共有責任者論とかそんなことじゃなくて、元々OECDが提唱しているそれに準じるというか、そういった考え方ということで。
  133. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) OECDが提唱しているガイダンスマニュアルというのは、実は多分、見る方によって理解が違っているんだと思います、非常に幅広い考え方だと思っておりますので。  私が汎用性と申し上げましたのは、もちろんそういう意味では幅の広い話があるわけでございますが、要するに個々の物質を決めて個々に法律を作っていく、容器包装、家電リサイクル、自動車リサイクル法という形ではなくて、一般的に仕組みを整備して、そして議論が進んでいった段階で品目を政令で指定し、実際の回収義務であるとか製品設計義務であるとかを徐々に決めていくという、こういう意味での汎用性のある仕組みと申し上げたところでございます。
  134. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に行きたいと思いますけれども、これは聞いた話であり、読んだ話なんですけれども、組織的な不法投棄が行われているというふうに聞いておりますけれども、環境省の報告書で、いわゆる産業廃棄物行政に関する懇談会報告書、平成十四年六月ですけれども、それともう一つ不法投棄防止及び原状回復に関する懇談会報告書においては、排出事業者責任が厳しく糾弾されているわけですけれども、産廃業界内の問題については余り言及がないように取られても仕方がないのかなと私は思っておりまして。  というのは、第一点としては、排出事業者責任強化、第二点として最終処分場の確保、第三点として不法投棄現場監視強化、水漏れ対策等、こういった三点に終始しているわけで、いわゆる産廃処理システムそれ自体に対する対策、いわゆる中間対策が抜けているんでないかな、そういう指摘がされているわけなんですけれども、これはある本だったか何かに書いてあったんですけれども、環境省は産廃業界の外にいる排出事業者には一石を投じても、収集運搬業者、中間処理業者、最終処分場などの産廃業界そのものに石を投げる気はないのではと、そういう疑問が出ているというふうに書いてありました。  これはそういうことでないことを祈るわけでありますけれども、この辺についてはどういうふうな認識をされているでしょうか。いわゆる組織的な犯罪グループ云々とか、そういった面も含めてお願いしたいと思います。
  135. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 加藤先生御指摘の二つの懇談会報告書、確かにそのようにまとめておりまして、排出事業者責任の強化というところを足掛かりにして産業廃棄物処理の実態を構造改革していこう、こういう考え方で進んでいるわけでございます。  ただ、真ん中にいる産業廃棄物処理業者に対する提言がないといいますか、それに対する改善策がないというそういう御指摘があるということですが、現実に不法投棄の実行者がだれであるかということを見ますと、投棄件数も投棄量も最も多いのは排出事業者、それから処理業者といいながら、これ無許可業者です。非常に残念なのは、青森、岩手事件は二つの大きな許可業者がこういう大規模不法投棄事件を起こしてしまったものですから、許可業者に悪いやつがいるのではないかという印象を強くしているんですが、統計的には、もう許可業者、なしではございません、もちろんいますけれども、圧倒的に多いのは排出事業者や無許可業者ということであります。  なお、じゃ許可業者に対する指導をどうしているかということなんですが、これは前にも御答弁したと思いますが、行政処分の指針という、それまで出さなかったじゃないかと言われるとそれまでなんですが、平成十三年に行政処分の指針という通知を出しまして、これこれこういうような法律違反をした者については許可の取消しをしなさいとか、事細かに通知をしております。  その結果、今、無許可業者と言いましたが、既に許可を持っている許可業者の取消し件数というのは最近になりましてもう十倍、二十倍に増えてきている、こういった状況でございまして、私ども、その中間の処理業者に対してもきちんと措置を行うように都道府県を通じてそういう指導をしているところでございまして、決して真ん中の許可業界に対して環境省は石を投げられないというようなことは全くございません。現実に石を投げて、取消し件数がこれだけ増えているという実態があるわけでございます。
  136. 加藤修一

    加藤修一君 分かりました。  次は、警察との連携強化、これ以前にもちょっと聞いた経緯があるかもしれませんが、警察との連携強化を図るということについても懇談会の報告書には明確に指摘されておりまして、これが一つ不法投棄対策の大きないわゆる柱であるというふうに言われておりますけれども、具体的には今後どれだけの人材交流といいますか、そういったことをやるということを考えているのか、その辺についてお願いいたします。
  137. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 警察との連携につきましては、国のレベルそれから地方のレベル、いろいろございますけれども、まず国のレベルでは、これはもう平成三年の廃棄物処理法改正の時点からこの警察との連携は非常に重要であるという認識の下に連絡協議会を持っているわけですが、現在、特に暴力団対策、暴力団が黒幕になったり、あるいは裏支配をするような、いわゆるシノギと呼んでいるようでございますけれども、産業廃棄物の仕事を、これまでは金融とか土建とかそういった事業であったものを、同様に産業廃棄物処理の仕事に入ってきているものが目立ってきているということで、これは警察とも、全く警察の方でもそういった認識が強いということで、暴力団対策連絡協議会というものを国レベルで持っております。その前から、先ほど申し上げました環境犯罪対策連絡会議ということで、いわゆる従来からの廃棄物不法投棄事案の取締りのために行っているわけでございます。  また、地方レベルでは、先ほど来、答弁の繰り返しになるかもしれませんけれども、都道府県が行っておりますいろいろな未然防止のための監視活動に対して国は補助金ということで費用の補助を行っているほか、IT技術を利用した効果的な監視技術の開発も国の責任で進めているところでございます。  また、警察のお話がございましたが、海の世界に行きますと、海上保安庁との間でも、これは海上輸送あるいは海洋に不法投棄ということもございますので情報交換を行っておりまして、先ほどの御答弁でも申し上げましたように、県警から各都道府県環境部局への派遣者、出向者の数は年々増えて、今、全都道府県警察からの出向者がいるという状況にまで来ておりまして、これを一層強化をしていく必要があると。  都道府県環境産業廃棄物担当の職員の数にいたしましても、あるいは国の地方環境対策地方の事務所の職員の数にいたしましても、これは総務省あるいは地方公共団体お願いをして増やしていきたいというふうに思っております。
  138. 加藤修一

    加藤修一君 次に、住民との連携強化ということで、昨年七月に提出されました不法投棄防止及び原状回復に関する懇談会報告には、「不法投棄拡大防止のためには、早期発見と早期対応が基本であり、行政、警察地元住民が一体となり、不法投棄は小さいものでも許さないという毅然とした姿勢で臨むことが重要である。」と、こういうふうに指摘されておりまして、住民と行政、警察との連携を強化すると。  どういう施策を考えているかという話になるわけですけれども、例えば、財団法人で産業廃棄物処理事業振興財団が運営する産廃情報ネット、これは業者の情報や行政の許可情報、業者番号とか業の種類とか取扱廃棄物の種類、そういったものを提供しているわけですけれども、平成十二年度以降は業者の自主的な更新に任されているというふうに聞いております。産廃の中間処理最終処分場など、いわゆる行政が業や施設許可した業者についてその情報をインターネットなどで公開する必要もあると考えられるわけなんですけれども、この辺についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  139. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 産廃ネットの話と、それから情報の提供の話でございますが、二つあると思うんですね。  一つは、今、加藤先生から御紹介がありました産業廃棄物処理事業振興財団というところで行っております産廃ネット、産業廃棄物処理業者の情報を公開しているわけでございますが、これについては情報を充実していく必要があると思います。これは、性格上、業者の自主的な情報登録に任せているところがございますが、逆に言いますと、優良な事業者を育てていくためには積極的にそこに、例えばISOの取得の情報であるとか、もちろん業者から見ればプラスの情報、そういったものをどんどん出した方が排出事業者に選択されやすいということになると思いますので、そういう方向でプラスの情報を加えていくという方向で充実拡大をしていく必要があるだろうと思っています。  もう一つは、マイナスの情報ですね。これは、環境省として地方公共団体が行った行政処分情報を集めまして、それを例えば許可の取消しを行った業者はどこの県でもすぐに分かるようにインターネット、環境省のインターネットを使って情報公開をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  140. 加藤修一

    加藤修一君 分かりました。  廃棄物処理システムが破綻する、破綻しているというのは、要するに不法投棄があるというのは、端的に言うとそういう言い方が可能かもしれないと思うんですけれども、最終処分場の整備それ自体もこれはこれで十分整備しなければいけないわけですけれども、ある人によれば中間処理施設の充実が重要であると。そこで体積を減らすとか、様々な処分しやすいような形でやっていくことも極めて重要な視点でなかろうかという、そういう意見もあるわけで、私もそういうふうに思うところもあるわけなんですけれども、この中間処理施設が十分に拡充できるように、機能できるようにしていくことも一つの大きな対策でないかなと考えておりますけれども、この辺についてはどういう見解をお持ちですか。
  141. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 加藤先生おっしゃったように、最終処分場の整備とそれから中間処理施設の整備と、どちらを優先させるかという議論があることは承知しておりますし、ともすれば、平成十二年の廃棄物処理法改正のときに、首都圏では産業廃棄物の最終処分の残余容量があと半年しかないというふうな状況にまで落ち込んだわけでございまして、政府として最終処分場の方に重点を置いているのではないかという、こういう御指摘があるのは承知しているわけでございますが、いずれにいたしましても両方必要であると。  これは、両方とも最終処分量を減らすためには中間処理施設をしっかりと整備しなければいけませんし、それから減らしたといっても、例えば半分にするという目標があるわけですが、半分の分の、半分の量については確保しなければいけないわけですから、両方相まってやらなければいけないと認識しておりまして、特に今中間処理施設について申し上げるならば、最終処分量を半分にする目標を立てているわけでございますので、半分にするためにはリサイクル施設を含めて中間処理施設を整備充実していかなければこの目標は達成できないということで、私ども、最終処分場と同様に、あるいはそれ以上に中間処理施設の整備充実については力を入れてまいりたいと思っております。
  142. 加藤修一

    加藤修一君 それで、先ほどの話に若干戻りますけれども、注意義務違反、そういった事例とか、様々なこういう不法投棄処理にかかわる事例等々があると思いますけれども、そういった経験を積み重ねて、いわゆる統合的なマニュアルの作成、いわゆる不法投棄現場自治体職員が分かりやすい形で使っていける指導監督業務の手引、そういったものも作って配付するということも極めて重要な考え方だと思いますけれども、この点については環境省はどのぐらいの取組の中にいるんでしょうか。
  143. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 加藤先生御指摘になりました現場の、地方公共団体現場の職員が現場等の対応ができるような手引書をまとめるということは、私ども、そのこと、同じようなことを考えておりまして、現在、立入検査などの現場対応から行政処分あるいは行政指導、さらには原状回復のための行政代執行までの一連の措置につきまして、進んでいる都道府県のいろいろな事例を参考にいたしまして、不法投棄問題対応の手引というものを取りまとめている最中でございます。  先ほど御質問ございました青森、岩手の例の注意義務違反のいろんなことにつきましてもこれに充実させていきたいと思っていますが、早めにその手引をまとめた上で、この青森、岩手の注意義務違反の事例につきましても、取りまとめ次第、こういった手引に加えて充実させていきたいと思います。
  144. 加藤修一

    加藤修一君 今の総合的なマニュアルについては、スケジュール的にはどうでしょうか。  その点と、もう一つ全然別の質問になりますけれども、時間がありませんので簡単に言いますと、いわゆる事後的な、不法投棄が見付かってからどう対処するかというそういった対応は当然必要なんですけれども、それだけじゃなくて、やはり事前にどういうふうに抑制していくかということが極めて重要で、そういった意味では、拡大生産者責任一つに入るかもしれませんが、預託金制度、こういった面についても当然のことながら検討していくことではなかろうかと、そういうふうに考えておりますけれども、この点も含めて御答弁いただければと思います。
  145. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 手引のまとめの時期でございますが、先ほど言いましたように、今、取りまとめ最中で、最終段階に来ていますので、六月ですね、だから、今月、来月にもまず取りまとめて、その上で、青森、岩手の事例についてはその後になりますが、取りまとめが、それを加えて逐次充実させていきたいと思っております。  それから、事後対応から事前対応へ転換するため、例といたしまして預託金制度のお話がございましたが、預託金制度につきましては、この平成九年の廃棄物処理法改正で、平成十年六月以降の適正処理推進センター制度を作ったときに実はいろんな議論をしております。これは、産業界から社会的貢献として基金にお金を入れてもらって、それで対応しているわけでございますが、いろんな議論があった中で、この預託金制度というものも一つの選択肢として検討がなされました。  非常に合理的な制度ではあるわけでございますが、問題は、預託金制度がまずどういうことかといいますと、排出事業者全体にあらかじめ預託金を拠出させて基金を作っておく、そして適正処分が確認された場合には拠出した人に返還をする、ですからお金が掛からない、不適正処分が行われた場合はその費用を基金から充当する、考え方はこういう仕組みです。  金額的にそれでは見合わないじゃないかとか、いろいろ議論出てくると思いますが、こういう考え方なんですが、この一番の問題は、適正に処理したかしないかを公正かつ厳格に確認するシステムがなければできません。これは、いろんなところで廃棄物処理が行われておりますから、これをきちんとしたシステムを作るためには、そのシステムを作る費用とシステムを維持管理する費用が物すごく膨大になります。人も予算も物すごく掛かると。これがそのときの、試算をしたわけではございませんが、税金を取るのと同じような話になりますので、そのときの議論では、これが膨大になって何のための基金か分からなくなって基金の管理の方が大変になってくるということで、これは見送りまして、現状の産業界からの任意の拠出金で行う基金を造成するという方式にしたわけでございます。  いずれにいたしましても、でも、それで足りなかったらどうするかという問題がございますので、そのときには、そのときも含めまして、現在、預託金制度ももっと改善できるのかもしれません。そういった事前的な措置についての検討を進めていきたいと思っております。
  146. 海野徹

    委員長海野徹君) 加藤君、もう時間が来ております。
  147. 加藤修一

    加藤修一君 はい。残りの質問は次回の委員会で行います。以上です。  ありがとうございました。
  148. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の廃棄物処理法改正と特定産業廃棄物特別措置法は、産業廃棄物不法投棄対策が大きな柱となっていると思います。  環境省の調べでは、不法投棄は全体として六百六十九件、うち投棄量が判明しているのが五百三十六件、千三百三十四万二千六百九十四トンとなっているとのことですけれども、これは氷山の一角にしかすぎないと思います。  例えば、環境省の調査では、一番多い千葉県は百六十六件、三百二十万トンとされていますが、千葉県の職員の方で不法投棄問題に最前線で取り組んでおられる石渡さんは、千葉県がこれまで確認している不法投棄現場は約一千か所、投棄量は全部で一千万立米になるというふうに指摘をしています。  つまり、環境省の調査とその千葉県の不法投棄の実態と比べますと、件数で六分の一、それから投棄量で三分の一しか環境省は把握していないということになります。全国的にも、不法投棄の実態というのは環境省調査より、先ほどから出ていますけれども、ずっと多いと思われます。  全国的な不法投棄の詳細な調査を行うということが答弁でありました。例えば、調査、統計の手法、方法を見直して、より精度の高い実態把握に努めるということですけれども、そこで伺いたいんですけれども、じゃ、今、現実に千葉県ではそういう実態があるわけですから、調査集計の方法を一体どういう、いつごろまでに見直して、そして、そういう調査のやり直しということでいつごろを目指してやられるのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  149. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 不法投棄の統計、調査結果等でございますが、大きく分けて二つございまして、今の先生の御質問の中にもあったわけですけれども、毎年毎年のダイナミックな状況と、それから蓄積されていくスタティックな状況、言い換えればフローとストックと言ってもいいと思います。フローについては毎年毎年調査をしておりまして、これについては、年々このデータの精密度は増してきていると思いますが、先生の御質問にありましたように、ストックの方が違うのではないかということだと思います。  ただ、これも十三年度に初めて調査をしたわけでございまして、今の千葉県のお話も、なぜ、私どもが千葉県を通じてデータを取っているわけでございますから、今言ったような数字じゃなくて小さな数字が出てきたのかというのは、これから何回かやり取りすればその辺は詰まってくると思いますので、いずれにいたしましても、スタティックなストックのデータについては、そういった実際の県のお話もございますので、よくお聞きした上で、より精密な方法を取って、これは、正に今度の産廃特措法の施行状況把握のために非常に重要なデータになると思いますので、充実した調査を行っていきたいと思っております。
  150. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 とにかく早くやるということが大事ですね。  不法投棄対策にとって欠かせないのは、排出事業者にきちんと最終的な処理までの責任を持たせることと末端の不法投棄を厳しく取り締まることです。  九七年の廃掃法の改正で、先ほどからお話がありましたけれども、排出事業者責任を厳しくすると同時に、不法投棄原状回復費用の負担について産業界からも基金を拠出してもらう、そういう仕組みを作りました。基金の額は累計で今幾らぐらいなのでしょうか。そのうち産業界からの拠出は幾らなんでしょうか。
  151. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) お尋ねの産業廃棄物適正処理推進基金の造成額は、平成十四年度までに累計二十二億五千万円、そのうち産業界からの拠出は十三億九千万円でございます。
  152. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 基金の支援の対象となる九八年六月以降の不法投棄の量はどのくらいでしょうか。
  153. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 先ほどの十三年六月の調査結果しかございませんが、その結果から見ますと、約三百四十か所、量にして千百六十万立方メートルでございます。
  154. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 九八年六月以降ですけれども。
  155. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 失礼いたしました。  十年六月以降の時期が確認されているものの件数は二百四十一件、埋立量が判明している、そのうち二百四件埋立量が判明しておりますが、その量が百六十四万四千立米です。
  156. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 その百六十四万トンの原状回復に要する費用はどのくらいと見ていますか。
  157. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) これは、仮定を置かないと計算できませんが、撤去費用を仮に一立方メートル当たり二万円前後、二万円プラスマイナス五千円ということで考えますと、二百四十億円から四百億円の間に想定されます。
  158. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の法改正で、九八年六月以前の不法投棄一千百万トンについて、環境省はかなり、その三割が都道府県原状回復事業となるというふうに見て、総事業費九百億から一千億円程度と見込んでいるということです。  今お話しにあった九八年六月以降のものについては、比較的新しいですから、原因者の負担を追及しやすいとしても、今の二百四十億から四百億ですよね、こういう金額でいった場合に、例えばこの一割でいうと二十四億から四十億、二割でいうと五十億から八十億ぐらい掛かるということになるわけですね。ですから、先ほどの説明で、基金は残額十二億六千万円ですので、そういう残額からすると、この基金については大幅な積み増しが必要ということになると思います。  ですから、全国的な不法投棄の実態を正確にするということですので、そうした上でやっぱり基金というのもきちっとにらんでいかなきゃいけないというふうに思います。排出者責任を明確にした基金対策を、大臣、きちんと取っていく必要があると思いますけれども、その点いかがですか。
  159. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今、岩佐先生からお話がございましたとおりに、産業廃棄物適正処理推進基金の平成十四年度末の残高、これは約十二億六千万円でございます。本年度も国の補助金二億円が計上をされまして経済界にも協力を求めているところでございます。  その基金によります毎年の支援実績でありますけれども、過去五年度の平均を見てみますと約二億円でございまして、現在のところ支援に必要な額は用意できておるということでございまして、支援に支障が生じるようなことにはなっていないということであります。  不法投棄原状回復につきましては、行為者、排出事業者等の責任を追及していくことがまず基本でございますので、基金の支援に関しましても、こうした責任追及を徹底をするということによりまして支援額を抑えていくことが可能になると考えております。  今後ですけれども、基金残高が少なくなって都道府県等の代執行が円滑に行うことができないようなそういう事態にはならないように、産業界に対して必要な拠出を求めてまいりたいと思います。
  160. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこのところは原因者負担ということで、排出者負担というのは貫いていくということなんですけれども、今、大臣が言われたみたいに、今のところ基金で間に合っていますと言うんですけれども、要するに今までは摘発量というか、そういうものが少ないわけですよね。だから間に合っているんで、これからは詳細な調査をやっていけば、それはもう対象物というのはどんどんどんどん増えていくわけですね。  ですから、その際、この基金の在り方というのがまた問題にならざるを得ないと、そのときにきちんと原因者負担を貫いて対応していく必要があるということを申し上げているんで、その点は、大臣の今の答弁はそういうことなんだということでよろしいのですね。
  161. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 原因者の責任を追及していくということは基本でございます。
  162. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 基金についても、そういうことで考えるということですね。
  163. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) そう考えていただいて結構です。
  164. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、実際に不法投棄を行っている者に対する対応について伺いたいと思います。  今回の改正で、特に悪質な産廃処理業者については、許可の取消しを都道府県に義務付け、欠格要件を強化しました。しかし、二〇〇一年度の不法投棄で見ると、許可処理業者によるものは、件数で六%、投棄量で八%。一方、排出事業者自身による不法投棄が、先ほど部長からも話がありました、件数で四三%、投棄量で五一%。次いで無許可業者によるものが、件数で一五%、投棄量で一九%。つまり、許可処分処理業者以外が七〇%を占めるという実態なんですね。また、内容で見ると、建設廃棄物が件数で六九%、量で七一%と一番多くなっています。許可処理業者だけではなくて、悪質な建設業者、解体業者に対する厳しい対応が必要だと思います。  特に問題になるのが、先ほどからこれも触れられています、自社処分の名目による不法投棄です。千葉県銚子市では、小規模自社処分場と称する無許可の埋立てが無数に行われました。それが不法投棄の温床となりました。市原市では、自社物又はリサイクル原料の保管場と称する堆積場が作られ、事実上の不法投棄現場になりました。私は、この両者について、両市の具体的事例を環境委員会で取り上げてまいりました。  千葉県では、こうした自社処分対策のために産廃条例で百平米以上の保管施設などの小規模処理施設について許可制度を導入しました。中央環境審議会意見具申でも、自社処分と称する無許可処理業行為及び積替え保管行為に対する取締り強化を求めていますが、今回の法改正ではこれは取り入れられませんでした。  自社処分についてもきちんと対応すべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  165. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 先生御指摘になりましたように、問題になっている事例というのは、自社処分と称して、要するに無許可で他人の廃棄物を動かして不法投棄をしていると、こういうことでございまして、こうした悪質な業者に対しましては立入検査、警察との連携で厳正に取締りを行っていく必要があると思いますし、廃棄物処理法では、そうした業者に対しても産業廃棄物処理基準が掛かりますし、それに対する命令、罰則、報告徴収、立入検査、この対象になります。そういったことを徹底する必要があると考えております。  なお、先生から御指摘がありました千葉県の条例で対応しているようなことを、今回の法改正に盛り込まれていないという御指摘ですが、これは法律でなく政令レベルで、具体的には、自社処分の場合も含めまして、廃棄物の運搬車両であることを示すステッカーを表示しなければいけないとか、それから書面を備え付けなければいけないということを義務化する、これは政令、省令レベルで規制強化を図ってまいりたいと考えております。
  166. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 青森、岩手の件について、国の指導の問題としてちょっと伺いたいと思います。  青森県が九六年六月に三栄化学に立入調査を拒否されてから十分な調査を行わなかったということにつきまして、青森県の検証委員会報告書は、法の適正な執行である立入検査を極めて形式的な理屈を盾にして、つまり土地の賃貸契約を解除したという、そういう業者が理由を言っていたわけですが、こういう形式的な理屈を盾にして拒否するという業者の態度を何らとがめることなく終わったということは、法の執行にかかわる立場にあるものとしては、その不見識を非難されてもやむを得ない、調査が不十分であったということは県の落ち度であると言わざるを得ないと指摘をしています。  二〇〇一年五月の環境省通知では、不法投棄が相当程度疑われる土地への立入検査を認めることが示されたわけですけれども、やや遅かったんですね。この問題について岩手県の検証委員会報告では、平成十年当時には国からこのような解釈は明らかにされていないということで、国の指導の不十分さを指摘をしているわけです。  青森県が三栄化学から立入りを拒否されて以降、不法投棄を疑いながら十分調査を行わなかった、このことについては、私は、岩手県の検証委員会の指摘にあるように、九八年当時では国はそういうふうに解釈できないようなことだったと、初めて二〇〇一年五月の通知で明らかにしたんだということを言っているわけで、私は国の指導にも問題があったと言わざるを得ないというふうに思っています。  それはそれとして、九八年の状態から二〇〇一年五月の環境省の通知で是正をされたわけですから、その問題は現状ではクリアできていると思いますが、ただ、岩手県の検証委員会は、措置命令の権限行使についても国の不明確な指導を批判をしています。  九〇年四月の厚生省通知について、行政庁の権限行使を積極的に行うべきことを指導しているが、権限行使の不作為について、違法又は不当となる場合があることまで踏み込んだ解釈をしていないと指摘をして、二〇〇一年の環境省の通知についても、行政庁の権限行使の懈怠は違法又は不当との解釈を示しているが、どの程度の懈怠、怠慢ですね、これを違法又は不当とするかについては国の明確な基準を示していないと指摘をしています。  この点について改善する必要があると思いますが、どう改善をしますか。
  167. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 都道府県がどの程度措置命令を懈怠すれば違法状態にあるか、そのことが不明確であるという御指摘であるかと思います。  このことにつきまして、平成十三年五月でありますけれども、行政処分の指針というものを各都道府県にお示しをいたしました。  その中におきまして、生活環境の保全を図るため、客観的事情から都道府県知事による措置命令の実施が必要とされている場合に、合理的根拠なくその権限の行使を怠る場合には違法とされる余地があるということを明らかにしたところでございます。これは、言わば行政機関が法律によって与えられている権限を適切に行使しない場合は違法とされることがあるという当然のことを念のために示したものでございます。  いろいろなことが考えられると思いますが、例えば国として指針を示したらいいんではないかという考えもあろうかと思いますが、しかし、具体的なこうした都道府県の権限行使の要否につきましては、これはもう一義的には都道府県が個別に判断すべきものでありますから、国において一律にその指針のようなものを示すことはむしろ不適当と、そういうふうに考えます。  しかし、一般的には、法の定める要件を満たす以上、都道府県においては可能な限り積極的に措置命令の権限を行使すべきものと、そのように考えております。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 積極的に、措置命令を合理的な根拠なくちゅうちょすることがあってはならないということで、積極的にやれということですので、その点は都道府県にきちっと徹底していく必要があると思います。  不法投棄は、端緒を発見したときから厳しい対応をすることが重要です。  青森県では、一九八九年に住民から苦情が寄せられてから九六年十一月に事業停止処分をするまで数回立入調査をし、無許可の中間処理施設の設置や、汚泥、燃え殻などの不法投棄を確認しました。ところが、すべての改善指示票を交付するだけで、法に基づく処分は行いませんでした。  このことについて、青森県は、検証委員会の聞き取りに対して、三栄化学は行政指導を受け入れ、その都度改善策を講じていたので、とりわけ悪質な業者であるとの認識はなかったと説明しているわけですが、検証委員会は、そのことについて、住民から多くの情報が寄せられていたこと、平成七年には燃え殻の不法投棄が発覚していることを考え合わせれば、このような認識は甘かったと言わざるを得ないと批判をしています。つまり、行政指導で指摘するだけで法に基づく処分はしないという甘い対応では駄目だということを指摘をしているわけですね。  さらに、その両県は、九五年九月の立入検査で不法投棄現場を発見したということから、翌九六年の十一月に初めて業務停止の行政処分をしました。住民から問題が指摘されてから処分まで七年掛かりました。県が不法投棄を確認してからでも一年以上掛かっています。  その間、岩手県の照会に対して厚生省は、一度は、産廃の処分に係る違反で収集運搬業の許可に関する行政処分はできないと回答しているんですね。その後、半年近くたってから処分できないという回答は撤回したわけですけれども、これが一年以上も処分が遅れた一因と指摘をされています。私は、この報告書を読んで、解決の遅れに関して言うと、都道府県だけではなくて国の姿勢に問題があったというふうに思いました。  そこで、そういう点について、私は国も反省すべきだと思うんですね。先ほど部長は、悪いことをする人間がいなければ廃掃法でよく回っていくはずなんだと、こういう問題については第一義的には悪いことをした人が一番悪いんだと、その上で行政の対応についていろいろ反省すべきことは反省するみたいな感じでしたけれども、私は、もっとちゃんと、行政としてやるべきことをやらなかったというのを真っ正面から見て、この報告書に書かれているわけですから、そういう点はちゃんと反省してもらわないといけないと思います。これは大臣からしっかりと答弁していただきたいと思います。
  169. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 岩佐先生から今御指摘がございましたとおりに、岩手県の検証結果報告書の中におきまして、岩手県が行政処分の実施の可否を厚生省、当時の厚生省に照会をして、それに関して厚生省側の若干の混乱があって、そして時間経過の一因となったと、そのことは否定できない趣旨の指摘を受けているということは承知をしているわけであります。  このような事実があったかどうかについてでありますけれども、当時の回答が口頭で行われたもので、現時点では明確に確認ができないということでありますが、しかし、御指摘のようなことがあって、それによって時間が費やされて岩手県の行政処分を遅らせたとすれば、これはもう大変遺憾なことであると、そういうふうに思います。  そういうような思いにも立ちまして、今後こういうことがないように、都道府県不法投棄事案に対応するに当たりまして廃棄物処理法の解釈等に関する国の見解を明らかにする必要がある場合には、可能な限り迅速かつ的確に都道府県に示すように努力をしたいと思います。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私が非常に怒っているのは、私も同じような経験をしたからなんですよね。厚生省がそういう点でもう本当に優柔不断な判断をしている、そういう間に被害がどんどん広がっていっているという、そういう思いをしているから、この岩手県の報告を読んだときに本当に共感したんですよね。思いを同じにしたんです。  大臣、言われますけれども、口頭でやったと言うけれども、この報告書の中では平成八年四月十九日に、最初はこれは違反にならないという回答を受けたと書いてあるんですよね。日にちまで書いてあるんですよ。それを撤回したのはその年の十月八日だと書いているんですね。真偽のほどは明らかなんです。これはちゃんと、行政というのはそういう意味では記録はちゃんと取っているわけですから、都合の悪い方の記録はなくなるかもしれないけれども、それは私はそういう行政というのはおかしいというふうに思います。  今回の経緯をよく調べていくと、驚いたことがあるんですね。一連の違反を繰り返している悪質業者に、県が収集運搬業の許可更新あるいは変更許可を認めたことなんですね。  青森県は、一方で行政指導を何回も行いながら、他方で九六年一月に許可更新を認めて、業務停止処分後の九七年三月と十二月に許可変更を認めました。岩手県も業務停止処分後の二〇〇〇年二月、収集運搬業の更新を許可しました。両県が許可を取り消したのは二〇〇〇年の十二月になってからです。  このことについて岩手県の検証委員会は、「業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」は許可してはならないという廃掃法の規定に反する違法性があると指摘をしているわけです。環境省の判断はこの点についていかがですか。大臣、いかがですか。
  171. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先生からも今御指摘ございましたけれども、廃棄物処理法では、「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」については、欠格要件に該当し、許可をしてはならない、もうそういうふうにされているところであります。  廃棄物処理法等に係る違反を繰り返しており、行政庁の指導等が、累積する者等については、厳正な審査の上、不許可とすべきであると考えております。  このような方針につきましては、平成十三年五月に都道府県に対して示しました行政処分の指針で明確にしたところでありまして、今後とも、不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由のある者について許可をすることがないよう、各都道府県等と連絡を密にし、厳正な対応を徹底してまいりたいと考えております。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の廃掃法の改正で、許可の欠格要件に該当するに至ったとき及び廃掃法の規定や命令に違反し、情状が特に重いときなど、特に悪質な業者については許可処分の取消しを義務付けました。しかし、どういう場合か具体的ではないと。その点について青森県の検討委員会は、更新を許可しない要件が不明確だったという県の説明について、当時の状況では許可更新や許可変更の拒否に踏み切れなかったことについて県に落ち度があるとは言えないと判断をしています。このままでは許可取消しについても抽象的な規定だけではなかなか執行できないのではないか、そういうできないことを繰り返す、そういうおそれがあると思います。  具体的にどういう場合に許可取消しをするのか、その点について明確にすべきじゃないでしょうか。部長
  173. 飯島孝

    政府参考人飯島孝君) 欠格要件に該当する者のうち、不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由のある者ということでございますが、これは、先ほど来引用しております平成十三年五月、これは昨年の六月に改正しておりますけれども、行政処分の指針というところで明らかにしております。  羅列させていただきますけれども、過去において繰り返し許可の取消処分を受けている者、二番目に、廃棄物処理法違反や刑法の傷害・暴行罪等で公訴を提起又は逮捕されている者、三番目に、廃棄物処理法違反を繰り返して行政庁の指導が累積している者、四番目に、業務に関連して道路交通法などに違反し、繰り返し罰金刑に処せられた者、五番目として、これらの者と同程度以上に業務の遂行を期待し得ないと認められている者、こういった行政処分の指針を出しているところでございます。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そこで、ちょっと伺いますが、昨年五月、福岡県筑紫野市にある株式会社産興の産廃処分場の問題を取り上げました。  一九八八年に設置許可された安定型処分場で、その後拡張されて現在九ヘクタール、処理能力は百三十七万五千四百三十立米で、既に八十万立米埋め立てられています。そして、九九年十月に、汚水ピット内の硫化水素中毒で三人が死亡するという事件が発生して業務を自主的に停止させられています。  この件について、福岡県は、許可を受けていない産廃の埋立て、焼却予定産廃の野積み、許可容量を超えた違法埋立て、焼却炉排ガスのダイオキシン基準違反と、合わせて四回厳重注意という行政処分を繰り返しています。今年一月には、許可量を超えた埋立て産廃と、九九年六月以降に埋め立てた安定五品目以外の産廃を撤去するように改善命令を出しました。そのうち、その安定五品目以外の産廃については撤去を確認したということですけれども、許可容量を超えた産廃の撤去は終了していません。今年十月には、この産廃業者の業の許可期限が来ます。  違法行為を繰り返しても、見付かったことだけ改善すればよいということでは済まない、そのことを示したのが青森、岩手県の例だと思います。違反を繰り返している業者許可を取り消す、あるいは許可更新を拒否すべき、これはもう当然ではないでしょうか。大臣、いかがですか。
  175. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先生の御質問、その筑紫野市の例を挙げて、そのことについてのお話であると、そういうふうに思ってお答えをさせていただきますけれども、廃棄物処理法では、都道府県知事は、産業廃棄物処理許可に当たって、人的要件や施設要件を審査して、許可基準に適合している場合でなければ許可をしてはならないこととされております。  福岡県におきましては、処分場の硫化水素の事故調査委員会における改善措置やその効果に関する評価を踏まえ、一月三十一日に事業者に対して廃棄物処理法に基づく改善命令及び施設の停止命令を行ったところであります。  今後、事業者による改善命令の履行状況を踏まえて、事業者から更新許可申請があった場合には、福岡県において廃棄物処理法に基づき適正な審査が行われ、許可、不許可が行われるものと考えておりますが、一般論といたしまして、改善命令を履行しない場合には、厳正な審査の上、不許可とすべきものであると考えております。  本件においても、福岡県において適切に対処されるよう、必要に応じて助言、指導を行ってまいりたいと思います。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この処分場については、大量のマンガンが浸出していると住民は指摘をしていますし、それからこの処分場は山神水道企業団が住民の皆さんに水を供給している、そういう水がめの上にあるんですね。この事業団がウランの流出を検出している。ところが、県は花崗岩に含まれている自然由来のものと説明して、埋め立てた別に産廃を調べたわけではなくて単なる推定にすぎないのにそう言っていると。私は、やっぱりちゃんと調べていないということで現地が納得していないのは当たり前だと思うんですね。  こういうところなんですけれども、前に当委員会鈴木大臣の前の大臣のときにお話をしたんですが、実は昨年、私が調査に行ったときに、この業者は、私の施設の中を見せてほしい、現地を調査させてほしいということを環境省を通じたりあるいは県を通じてお願いしたんですけれども、拒否をされました。仕方なく、現地に行って周りの実情を見ようということで、排水の状況だとか、どういう規模なのかというんで、ぐるっと見て歩くというようなことをやったわけですけれども、その間じゅう数台の車で尾行されたんですね。そして、住民の皆さんと懇談しようということで懇談会の場所で話をして会場から出てきたら、もうずっと見張っていたんですね、その人たちが。あああの人たちだと。施設には犬がいて近寄れない、怖くて近寄れないとか、そういうようなことで、私は本当に異常だと思ったんですね。  通常、産廃のかなりひどい例もあるんですけれども、やはり国会議員が行けば、中へ入れてちゃんと見せるというのが当たり前なんですよね。それから、つけられたというのは私はそのとき初めてでした。  それで、私はそう思ったんですね。この委員会で一回言ったんですけれども、その後なかなかどうも進展がないような気がするんですけれども、こういう事態というのは放置しちゃいけないと思うんですね。だから、放置するから栃木県のあの鹿沼市のような、まああれは極端な例でしょうけれども、そういう事件が起こるんだと思うんですね。  私は、大臣、こういう点については厳正にちゃんと対応していただきたいと。もう住民の飲み水の問題である。住民の生命の安全の問題なんですね。そういうことで、きちっと私、環境省にやってもらいたいと思うんですが、その点、大臣、一言いかがでしょう。
  177. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 岩佐先生が現地に調査を行かれたときに、行かれたときの体験から、この事業者と住民とのことについての御心配の御質問だと思うわけでありますけれども、廃棄物処理法におきまして、最終処分場の設置者につきましては、利害関係者からの求めに応じて、その維持管理記録の閲覧に応じなければならないなどを定めておりまして、周辺住民と協調して処分場を運営していくことが何よりも重要と考えております。  先生御指摘のように、何らの理由もなく事業者が周辺住民に対して威嚇的な態度を取っている事実があるとするならば、それは問題であると、そういうふうに思います。そのような問題があれば、県において適切に指導するなどの対応がなされるべきであると、そういうふうに思います。  現在、福岡県におきまして、地元自治体との環境保全協定を締結するように事業者に対し指導を行っているということを聞いていることを付言させていただきたいと思います。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 住民だけではなくて国会議員、国民に信託されたそういう国会議員に対してまでそういう態度を取ったというのは本当、驚くべきことで、きちっとしていっていただきたい。  時間がなくなりましたので、ちょっといろいろまだ聞きたいことが落ちていますが、次に譲りたいと思います。  青森、岩手県境、私は調査に行きたいということで一生懸命報告書を読ませていただいて、今日は行く前、行ってはいないんですけれども、せっかく報告書を読んだものですから、その点で質問をさせていただきましたけれども、青森、岩手県境のその膨大な不法投棄事件というのは行政の対応について非常に重要な教訓を提起をしていると思うんですね。特に、その両県の検証、検討委員会による不法投棄についての行政の対応の問題点について、これだけ総合的に検証が行われたのは初めてだと思うんですね。その教訓を本当に真摯に酌み取って、同じ過ちを犯すことがないように環境省として自ら正すべきものは正す、自治体の問題については全国にちゃんと徹底するということをやっていただきたいと思うんですが、最後大臣、いかがでしょう。
  179. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 両県に作られました検討委員会の報告を、改めて環境省としてもこれは報告を受けたいと思っております。また、県から出されます基本計画の中でも、そうした検討委員会で検討されたことが盛り込まれるように基本方針に定めたいと思っております。  いずれにしましても、検討委員会で検討されたことが今後の未然防止につながるように、各都道府県にも伝えるべきところはしっかり伝えて、これを今後に生かしていきたいと、そういうふうに考えます。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  181. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  私は、拡大生産者責任の視点がこの法案にはどうしても欠けているように思うんです。何でも行政が責任を持つような制度ではなく、生産者ごみになった後の処理責任を負えるような仕組みにすべきだと考えるんですけれども、環境大臣、いかがお考えでしょうか。
  182. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 今回、廃棄物処理法改正案それから産廃特措法、二法案を御審議いただいているところでありますが、高橋先生から御指摘いただいたのは産廃特措法について拡大生産者責任の視点が欠けているという御指摘であると、そのように考えるわけであります。  御指摘のこの拡大生産者責任でありますけれども、これによりまして、製品の廃棄段階でリサイクルや素材ごとの分別を行いやすいように配慮された製品設計をするとか、あるいは製造等を生産者が行うことを通じて、産業廃棄物の排出抑制、適正処理に大きな効果を上げるものであると、そのように我々も考えているところであります。  一方におきまして、その産廃特措法の対象となる産業廃棄物不法投棄について言えば、これは実態として、どちらかといえば事業者製品等を製造する過程で排出された廃棄物不法投棄されていることから、その原状回復につきましては、汚染者負担原則に基づいてその原因者である投棄の行為者や最終処分までの注意義務を怠った排出事業者等がその処理を行うべきであると、そのように考えております。  このため、産廃特措法におきましても、安易に公費による原状回復とならないよう財政的な支援を行う前提といたしまして、行為者等に対する責任追及を徹底して行うことをこの法律基本方針に定めることとしているところであります。
  183. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 私は、産業廃棄物を始めすべてのごみを減らしていくための対策をすべきだと考えます。そのためにも、生産者が生産したものをどう処理するかで、つまり資源の循環を意識することがとても大切だと思うんです。  環境省には、拡大生産者責任の考えにのっとった環境行政にますます取り組んでいただきたいと考えます。もし、現在、何か拡大生産者責任を強く意識した法案作りに着手しておられれば、それはどんなものか、少しお話ししていただけるでしょうか。
  184. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先ほど答弁をさせていただきましたとおりに、拡大生産者責任につきましては、これは産業廃棄物の排出抑制、適正処理に大きな効果を上げるものであると、そういうふうに認識をしているわけであります。  それで、廃棄物処理について生産者にも一定の責任を負っていただく拡大生産者責任考え方、これを具体化するということについても重要な課題であると、そういうふうに思っているわけでありまして、既にこの考えは循環型社会形成推進基本法にこの理念が明記をされておりますし、それから廃棄物処理法におけます適正処理困難物制度、それから容器包装リサイクル法、昨年成立いたしました自動車リサイクル法など各種リサイクル法においてその実現化が既に図られているところでございます。  今般、廃棄物処理法改正案におきまして、適正処理が困難な一般廃棄物に係る拡大生産者責任制度的拡充を盛り込むべく鋭意検討をいたしたところでございますが、産業界との関係、産業界等の関係者との間で対象とする品目、製造事業者市町村との責任分担の在り方などにつきまして十分な合意を得るまでの時間がなかったために制度化を見送ったわけであります。  しかし、この適正処理困難物に係る拡大生産者責任制度的拡充につきましては、私も重要な課題であると、そのように強く認識しているところでありまして、今後排出状況処理実態の把握、あるいは関係者との議論を行いまして、できるだけ早期に具体化できるように検討を進めてまいりたいと考えております。
  185. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 生産者とのいろいろあれはあると思うんですけれども、どうしてもこの拡大者責任というのは必要だと思うので、是非力を出していただきたいと思います。  これはまだ通告はしていなかったんですけれども、地方債の発行に関して、地方にその発行をするかどうか権限がなく、国がその権限を持っているというのは、地域主権の考え方するとどう思うのでしょう、どうでしょうか。そのことについて大臣はどう考えられるか。私は、やはり地方に権限をもう少し持っていただかないと地方主権の社会ができないと思うので、そんなことを考えるんですけれども、大臣、この点はいかがお考えでしょうか。
  186. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) これは、この産廃特措法の問題にかかわらず、地方財政措置そのものについての考えであると、そういうふうに思います。  しかし、今回、例えば産廃特措法におきまして、有害廃棄物があるところは二分の一、それ以外は三分の一という補助率でありますけれども、これはもう特例的に地方財政措置が取られて地方債が発行される、大体七〇%から七五%ぐらいが発行されると。そして、そのうちの半分が交付税措置を取られるということで、都道府県の、何というんでしょうか負担というものは極端に軽減をされる、それによって十年間で過去の負の遺産を一掃しようと、こういう考えであります。  したがいまして、私も岩手県等の関係者とお話しする機会はあるんでありますけれども、むしろ地方においても、今のこの地方財政措置、今回の、特に在り方についてはもう大変歓迎をしていただいておりまして、何か地方の立場から、これが地方分権のことに対してよろしくないとか、今回の地方財政措置が良くないとか、そういうことは全くございません。むしろ、実態としてこの産廃特措税に関して言うなれば、地方財政措置、今回取られる措置ということは大変歓迎をされていると思います。  また、先生の御指摘という観点は、これはむしろ地方財政措置の在り方全体の中で議論をされるべきことではないかと、そういうふうに思います。
  187. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 はい、分かりました。  廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について一つ質問させていただきます。  罰則の強化では不法廃棄物を減らすことはできないと私思うんです。むしろ、環境に良いことをすれば税金面で優遇されるような制度的改革が求められているのではないでしょうか。やはり、罰則の強化では、どうしてもそれを逃げてやってしまうようなところがあると思うので、何か環境にいいことをすると優遇されるということでした方がずっと前向きのように思うんですけれども、環境大臣はどうお思いでしょうか。
  188. 鈴木俊一

    国務大臣鈴木俊一君) 先生の御指摘のとおり、不法投棄をなくしていくということを考えれば、これはもう罰則の強化一本やりでいけばいいとは決して思っておりません。ただ、原則は踏み外してはいけないと思うんでありますが、先ほど来飯島部長が答えておりますように、不法投棄というのは、これはもう一つの明確な犯罪であるわけでございまして、そのためには取締りの徹底、原因者及び排出事業者責任の追及、こうした厳正な対処というものがこれは必要不可欠であると。そこのところは原則として押さえなければいけないと思います。しかし、その一方におきまして、環境に良いこと、つまり環境負荷のより少ない処理等につきましては、そういう動機付けが働くように、これまでも融資制度あるいは税制優遇措置を通じた支援を行ってきているところでございます。  冒頭申し上げましたところでありますけれども、不法投棄を減らすには、罰則の強化だけではなしに、産業廃棄物処理が円滑に進むよう処理システムを拡充していくことが必要でありまして、御指摘のような視点は重要であると考えております。  新たに幅を広げて、いろいろ優良な企業を育てていかなければいけない、悪質な業者は撤退してもらわなければいけないと、こういうことの一助となるために、新たに処理業者情報をインターネットで提供している産廃ネット、これにISO14001の認証取得の有無など、環境保全上好ましい取組に関する情報も拡充をすること、あるいはまた産業廃棄物処理業のビジョンやこれからのビジネスモデルを示すこと等によりまして、業界の優良化を一層進めていく方策についても取り組んでまいりたいと思っております。
  189. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 今、大臣がおっしゃったように、もちろん悪いことですから罰則も必要だと思うんですけれども、何か環境にプラスになることをしたときに常に恩恵が得られるから、競争で何かそういう恩恵を、恩恵を得るためというのはおかしいですけれども、環境にいいことをして、それが恩恵を得られると、私はその方がずっと罰則よりも明るいと思いますので、また是非お考えをお聞きください。  また、今日はありがとうございました。
  190. 海野徹

    委員長海野徹君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は明四日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会