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2003-07-25 第156回国会 参議院 外交防衛委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十五年七月二十五日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月二十二日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     桜井  新君  七月二十三日     辞任         補欠選任      桜井  新君     片山虎之助君  七月二十四日     辞任         補欠選任      片山虎之助君     山下 善彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松村 龍二君     理 事                 阿部 正俊君                 山本 一太君                 広中和歌子君                 山本  保君                 小泉 親司君     委 員                 河本 英典君                 佐藤 昭郎君                 月原 茂皓君                 日出 英輔君                 舛添 要一君                 矢野 哲朗君                 山下 善彦君                 佐藤 道夫君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君                 若林 秀樹君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 広野ただし君                 大田 昌秀君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        防衛庁長官   赤城 徳彦君        外務大臣    矢野 哲朗君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        佐藤 昭郎君        外務大臣政務官  日出 英輔君    政府特補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛局長  守屋 武昌君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       宇田川新一君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省中東アフ        リカ局長     安藤 裕康君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動実施に関する特別措置法案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 松村龍二

    委員長松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、尾辻秀久君が委員辞任され、その補欠として桜井新君が選任されました。  また、去る二十三日、桜井新君が委員辞任され、その補欠として片山虎之助君が選任されました。  また、昨二十四日、片山虎之助君が委員辞任され、その補欠として山下善彦君が選任されました。     ─────────────
  3. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣審議官増田好平君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君及び外務省中東アフリカ局長安藤裕康君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松村龍二

    委員長松村龍二君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それでは私から、主として官房長官防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。いつも最初に言うことでありまするけれども、基本的な問題でございますので、どうぞ高い地位の方からきちっとした御説明をいただければ有り難いと、こういうわけであります。  そこで、つい二、三日前に党首討論がありまして、この委員会を打ち切って、それを私も傍聴をして、テレビを通じましたけれども傍聴しておりました。その中で、あれあれと私思わず叫んでしまったことがございます。  これは、民主党の菅代表小泉首相に対しまして、実はこのことは前にも取り上げられているんですけれども、大量破壊兵器がいまだ発見されていない、もう何か月も掛かっていると、一体どうなっているんだ、本当イラク大量破壊兵器が隠されていたのか、それすら疑問であると。こういう発言に対しまして、小泉総理満面笑みを浮かべまして、来た来たと。もう恐らく想定問答に入っていたんでしょう。何をおっしゃるかと、あのフセイン大統領、所在不明、どこへ行ったか分からないと、じゃ彼はイラク存在していなかったのか、それと同じことではないかと、こういうことを、声を高めまして、しかし顔はにこにこ笑いながら答弁されました。  これ、実は二、三週間前の当委員会でも私これを取り上げまして、たしか予算委員会で同じような質疑があって同じような回答がある、これは明らかにおかしいから、どうか防衛庁長官あるいは川口外務大臣、きちっと総理に対して、あれは間違っているんじゃないでしょうか、適当じゃないんじゃないでしょうかという意見を上申しておいてほしいと、こう申しましたけれども、恐らくそれはそういうことはなかった。聞き流されたんでありましょうね。小泉さんがまたそういう答弁をしまして、どうだ、参ったかと言わんばかりで菅代表をにらみ付けておりました。  この前も私はっきり申し上げましたけれども、全然これ、問題の違うことを取り上げて、どうだと比較して言っているわけで、明らかに間違いです。いいですか。フセイン大統領イラクにいたということを疑う人はこの世界じゅう、ただの一人もいないわけです。何ら、既定の事実と言ってもいい。今更それを疑問にして、どうだこうだ、やっぱりいなかったのかなんという、そんなばかげたことを言う人はだれもいません。  ところが、大量破壊兵器につきましては、今まではっきりした確証は世界の人間の、人民の前に示されたことはないわけで、一方的に、一方的にアメリカがあったということを言っているだけでありまして、国連査察でもそのことは、はっきりしたことは言っていないわけですよ。査察の、かつてって、十年前ぐらいにあったことは別ですよ。それで、国連査察も入って厳格な調査実施中にアメリカ査察団を追い出して、そうして軍隊を投入したと。これはもう間違いなく存在するんだと、こういうことを前提にして入っていったと。しかし、軍隊が入るという以上は流血覚悟ですから、本当確証といいますか確実な証拠があって、そしてイラク大量破壊兵器を保有していたし、今も保有していると、これこれこれこれの証拠があって、それを摘発するために流血覚悟軍隊が入っていくんだということを当然のことのようにして言っていたわけであります。  それがさっぱり発見されないから、一体どうしたんだ、最初からなかったんじゃないかと、こういう疑問を抱くのは世界じゅうのほとんど大部分の人だと、こう言ってもいいわけで、イラクフセイン大統領存在した、それがいない、だから大量破壊兵器も同じことで、大量破壊兵器最初からなかった、そんなことを言うものではないと、これが小泉さんの発言なんです。一国の総理として、私大変おかしいと思う。こんな論旨矛盾なことを言って、声を荒げてどうだと。  私の友人、知人に弁護士あるいは大学教授法律家、結構おりますけれども、何人かがすぐ電話を掛けてきまして、君、法律家としてああいう答弁どう思うんだと聞かれました。やっぱり論旨ということを重要視して考えていけば、これは絶対におかしいと、子供でもこんなことは言わないと思いますよ。だから私、最初はふざけて言っているんだと思ったんですよ。一国の総理とあろう者が、予算委員会その他でふざけてこんなことを言っていいのかなと思って、どうもしかし何回も繰り返すところを見ると、心底からこういう理屈が正しいんだと思っているとしか思えないわけですよ。  そして、防衛庁長官川口外務大臣、やっぱりこれは総理には忠告をしなかった。少なくとも議論をすべきじゃないのかと、私のような考えもあるから総理いかがですかということで、閣議でもいいしどこでもいいですから議論をして、やっぱりおれの考え間違いだったのかなということになるのが結論だろうとは思いますけれども、提案、提議しなかったんですね、お二方はね。  そこで、官房長官にお尋ねいたします。  この小泉総理の今の発言大量破壊兵器存在するのかしないのか、そういうことについて、フセイン大統領の不在を一つの例として、同じ問題じゃないかと、だからフセインがいなくなったからといって大量破壊兵器がなかったことにはならないんだぞと、こういう考え方、どう思われますか。何か大学生に対して質問しているようで大変申し訳ないんですけれども、いかがでしょうか。
  7. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 小泉総理発言はともかくといたしまして、イラクに多くの大量破壊兵器に関する疑惑があると、そしてまたイラク国連安保理決議に重大な違反を犯しているということにつきましては、これはもう国際社会の一致した認識でございます。イラク自身自己申告をしているわけであります。例えばマスタード、サリン、タブンというような化学剤、そういうものについてこういう生産をいたしたという、そういう数字も挙げて自国申告をしているんです。ところが、それがどこに行ったかということについての説明が最後までなかったと、こういうこともございます。また、VXガスもそういうようなこともございます。ほかにいろいろございますけれども、そういう事実存在したというのはイラク自身が認めていたことなんです。それを検証しようと、どのぐらい残っているか検証しようと思ったけれども、そのことについてイラクが協力をしてこなかったということでございまして、これは国連査察によってそういうような疑惑は明らかになっているというように考えておるわけでございます。  そのことから前提にいたしまして、総理フセイン大統領と、一つの例えとして説明に使ったということはございます。これは私は、例えとしては、御意見違うかもしれませんけれども、非常に分かりやすい例えだなというふうには思いました。この例えの、大量破壊兵器があったかないかということと同時に、大量破壊兵器がこれを見付け出すのは大変難しいことなんだと。今、米英軍を始めとしていろいろ捜索をしているわけでございますけれども、いまだに発見されていない。それは、それほど大量破壊兵器を見付け出すことが難しいんだと。それも、意図的に隠すようなことをしているようなことについては、これは非常に難しいこと。それより、それに比べればフセイン大統領の方は、これは見付けやすいんだろうというふうに思います。  そういうふうな意味において、フセイン大統領を例え話として出したと。これは非常に理解しやすいテーマだというふうに思っています。
  8. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私の聞いたことに全然お答えになっていない。  私は、大量破壊兵器があるのかないのか、そんなことを議論しているんじゃなくて、一国の指導者である総理大臣が、こんな茶番としか言いようのないような例え話を持ち出して、どうだと。これを聞いておって小学生たちは、なるほどなとあるいは思ったかもしれませんよ、こういう言い方もあるんだなと。人をごまかす、たぶらかすには、多少知能の進んだ者はそういう思いを持って聞いていたかもしれません。  しかし、少なくとも総理大臣ですよ。それが国会の場でこういう、率直に言うとらちもないような例え話をして、フセインがいなかったとしたら一体どうなるんだ、それと同じ問題じゃないかと。例え話にも何もならないでしょう、フセイン存在を疑っている人はだれも、だれ一人いないわけですからね。  しかし、大量破壊兵器は、幾ら期間を掛けてアメリカが頑張ったって発見されない。だれだって、さて本当にあったのかと、これは少し考えてみるべきではないかと、こう思うでしょう。そのことを私言っているわけで、フセイン所在不明等一つの例えとして説明しているなんということは、一国の総理大臣のやることじゃないと思いますよ。  それについて、官房長官総理大臣補佐官として総理議論なさいましたか。
  9. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 議論ということかどうかは別として、話はしたことはございます。  しかし、結局は、委員がおっしゃるように、大量破壊兵器存在の問題かどうかということじゃないとおっしゃるけれども、それに尽きるんですよ。今、捜索が継続されているわけでございますから、この捜索がどうなるか、その行方を見守りたい、そういうふうに思っております。
  10. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 次に、自衛隊派遣予定地として戦闘の行われていない地域ということが法律でも取り上げておりますので、それをめぐっていろんな議論が闘わされていることであります。  私、これについても、前に防衛庁長官外務大臣に申し上げたんですけれども、法律を作っている段階で、一体戦闘行為の行われている地域とはどういう概念なのか、行われていない地域とはどういうことなのか、これをはっきりさせるべきではないかと。それをはっきりさせるのが、言うならば法律使命でもあるわけですよ。作ってしまってから解釈でごちゃごちゃと、あそこに行けるのか行けないのか、いやそれは議論してみようとか、そんな問題じゃないんであって、法律を作るときにはっきりと、将来解釈の違いが出てこないように、戦闘行為とは何なのか、それからイラクで現に行われている相当多人数テロゲリラ、そしてアメリカ軍の中で若干の、あるいは相当数戦死者が出たりもしている、ああいうことが行われる地域戦闘行為に入るのか入らないのか。それを、国民法律を見て、あ、なるほど、これは入らないんだと、だから自衛隊が行くのも当然だと、逆にまた、あ、これは入るじゃないかと、それを、政府は何で自衛隊を送り込んでいるんだと。こういう疑問を持ってお互いに議論をし、あるいは国会に尋ねて質問をしてくると、これが国民の権利でもあるわけですからね。  それを、戦闘行為が何なのかということを一切はっきりした説明をしようとしないでしょう。起きてみなきゃ分からぬとでも言うんでしょうか。そして、現地に自衛隊員を率いていく指導者指揮官たちに、おまえら、現場に臨んで考えてみろ、そこで判断しろと、こういう考えだろうかとも思いたくなるわけで、もしそうならば、指揮官の一人一人によって判断が違うことだってあるわけで、これは行かない方がいい、いや、おれは断固行くと、こういう指揮官だって出てくるわけで、それを統括するのは一体だれなのか。防衛庁に問い合わせてみても、さあ、そこはやっぱり国会答弁があったように、法律を読み上げ、ということだから、君ら考えたまえと、これに終始してしまうんじゃないかと。  法律を作っているのが今の段階なんですよ。疑問があれば、その疑問、国民の疑問にこたえてこうだと、戦闘行為とはこういう、戦闘行為じゃなくて、行われている区域とはこういうことを言って、今現在、例えば二十人あるいは五十人のテロリストたちが暴れ回っているような地域、あれは国対国の戦争とは思えないから戦闘行為に入らないんだとか、いやそれは入るんだとか、これ法律の上でもし事細かに明らかにすることが困難ならば、そのために政令というものがありまして、政令を作って、その中できちっと区別をして、それを見る自衛隊指揮官あるいは防衛庁指導者が間違うことのないように作り上げるのが法律というもので、それが国会議員の最大の使命だと言ってもいいんですよ。何か難しいから適当に書いておいたと、おまえら現場に行ってよくよく考えてみろと、おまえらに任せると、こんないい加減な法律作り方はないわけですよ。  何かこの辺を今までもうさんざん議論されてきました。だれも、だれ一人納得していない、野党の人たちはですね。そういう立場の人は三割か四割日本人にいるわけですから、その人たちにこれで分かるように、考え直してほしいということを政令の形にしてこの場に持ち出してきて、そしてこれで議論しましょうよというのが本当意味での法律作り方なんですよ。こんなことは私がお説教するまでもなくお三方とも御承知と思いますけれどもね。  そこで、官房長官、いかがでしょうか。官房長官国会での説明もどうもはっきりしない。分かりやすく我々に、国民を代表する我々に説明していただければ有り難いと、こう思います。──だって、こっちの説明は前に聞いているから。
  11. 松村龍二

    委員長松村龍二君) もう防衛庁長官の答えは分かっていますので。福田内閣官房長官
  12. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 要するに、今回の対応措置実施するという、その際に戦闘行為が行われていない、そしてまた、そこで実施される活動期間を通じて戦闘行為が行われることがないと、そういうふうに認められた地域において対応措置実施するということでございまして、これはいわゆる非戦闘地域ということでございます。これは、要するに非戦闘地域ということは、これは憲法の枠内で実施するということで、憲法との関係において設けた考え方でございます。  この非戦闘地域というものは、これは防衛庁長官実施区域を指定するときに決定をするわけでございますけれども、この指定については総理が承諾する、承認するという際に判断を最終的にはするということになっておりますし、またこれをどうやって決めるかということは、我が国が独自に収集した情報、又は諸外国等から得た情報を総合的に分析しまして、活動期間中の状況変化可能性なども含めて合理的に判断をすると、こういう考え方になっているわけであります。
  13. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 実はこの問題も党首討論で取り上げられまして、分かりやすく一か所ぐらい説明してくださいよと菅代表が言ったのに対して、総理は、答弁聞いておられたでしょう、私、悪くいえばにやにやしながら、そんなことおれが分かるわけないだろうと、何か威張って答えていましたよね。分からないのが当然なんだと言わんばかりの言い方でした。  総理大臣というのは一国の本当最高のリーダーですから、その人が分からなければ国民のだれも分からないと、こう考えてもいいんであって、これから国民自衛隊員だって国民ですから、をそういう危険な地域に派遣する、一体どこまで、どこで仕事をしたらいいのかだれもはっきりした結論を持っていない。総理大臣に聞いても、そんなことおれ知るかと言われ、どなり付けられるだけですよ。じゃ、だれに聞けばいいんだと、おまえらで考えろと。何かそれらしいことも言っていましたね、あなたどう思うんですかとかってね。(「いい質問だ」と呼ぶ者あり)いいか悪いかは別としまして、一体どういうふうになっているんですか。  そして、この前も私ちょっと言ったんですけれども、イラクに行ってゲリラテロに遭いまして、自衛隊員が何人か、戦死かどうか分かりません、事故死かなんか分かりませんけれども、死んだとすると遺族が黙っていないですよ、これ。安全だと言うから我々は拍手をして送り出してやったと、子供たちもそう言って、頑張ってくると言って出掛けていった、それが危険な地帯に入り込んで殺されちゃったと。そこにはやらないと言っていたじゃないですかということを理由に損害賠償の、今は高いですからね、何億という金ですよ、若者一人の命を奪いますと。損害賠償請求が出てくると。一体どうなっているんですか。裁判所だって、法律を読んでみるとはっきりしたこと書いていない。一体、入り込んでいって、テロがあって、殺されてしまった、三人か五人か隊員が殺されたと、これが戦闘行為の行われている区域なのかどうなのかと。  裁判官によって違うかもしれませんよ。自衛隊員が亡くなったということを大変重く評価する裁判官は、これは国が悪い、防衛庁が悪い、国が悪い、当然、賠償しろといって何億円という賠償を命ずるかもしれません。しかし一方、防衛庁立場を重く重く考え裁判官は、そんなことはしようがないことだ、まあだれも予想していなかった、いきなりゲリラがやってきてばんばん撃って隊員が死んじゃったと、昔で言えば名誉の戦死だと、まあここで我慢してくださいよといって請求を認めないかもしれません。  裁判、とにかく法律がはっきりしないんですから、裁判官だって自信を持てませんよ。どうすればいいんですかねという気になりますよ。何か防衛庁長官証人に呼び出して、どうだと証人尋問をするかもしれませんよ、そうなってくると。恐らく、私は分からないと、じゃ最高責任者はだれだと、小泉総理だと、小泉総理証人に呼んできて、ちょっと、あなた答えてくださいよと。うるさいと言って、彼は答える、おれがそんなことを知っていると思うかと。そんなことかもしれませんよ。いや、大事なことなんです、これ。  たとえ一人でも自衛隊員戦死が出たら、事故死が出たら、その場合に一体国責任があるのかないのか、どうなのかということを、またここで同じような議論が繰り返されて、まあしようがないかといい、みんなあきらめようというようなことになるのが落ちだろうとは思いますけれどもね。  官房長官、どうなんでしょうか。こういう大問題について、私、閣議本当に徹底して議論してほしいと思うんですよ。いろんな意見があるでしょう。いろんな意見が出るようなのは法律が悪いんですよ。昔から悪法と、悪い法律と言いまして、作っている最中から何しろ議論しているくらいですからね。これからだっていろんな意見が出てくると思う。何でそのことをはっきり書かなかったのかと、国民はそう思いますよ。いかがですか。
  14. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは、先ほど私が申し上げましたことに尽きているんです、実はね。  先ほども、我が国が独自に収集した情報、それから諸外国等から得た情報を総合的に分析し、活動期間中の状況変化可能性なども含めて合理的に判断をするということでございまして、対応措置実施する場合に、活動地域実施区域、これを決めるときにはそのような手続を踏んで決めるわけでございます。ですから、小泉総理が昨日、党首討論で、言えるわけがないじゃないですかというふうに申し上げたのは、菅代表はこの法律を読んでいらっしゃるという前提に立って恐らく言われたんじゃないかと思いますけれども。  そういうことで、今現在決めることはできない。あしたから自衛隊が出るとかそういう話じゃありません。これは、これから十分なる調査をした上で、その上で活動地域それから活動内容を決めるわけでございますから、これはまだちょっと時間が掛かるわけでございます。  そういうことで、総理は、今そんなことを決められる段階じゃないでしょうと、こういうことを申し上げたんだというように私は理解をいたしたわけでございます。
  15. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 佐藤道夫君、時間が参っておりますが、おまとめいただきたいと思います。
  16. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 法律、さっきから何度も言っていますけれども、法律を作っている、法律というのは国民のものなんですよね。国民議論して、ああ、これならいいと、派遣してもよろしいと。それを何かの、まだ何にも決まっていないんだ、三か月か何か月かたたなきゃ何とも答えすらできないんだと、最高責任者がそんなことを言っているわけで、さあどうだと言われたって国民も困るでしょう、賛成していいのか反対していいのか。どんな状況下で自衛隊員事故死をしたら国が補償をするのか、責任を負うのか、全然明らかじゃないんですよ。こんなことを議論して、さあ結論を出してくれ、多分賛成多数で通るんでしょうとか言われたってね、責任のある採決には加わることはできないんですよ。  そういうことを、ちゅうちょなく、疑問なく国民に答えるのが内閣の仕事、総理大臣の仕事。しかも将来、自衛隊を率いて、指揮官最高責任者総理大臣ですからね、あそこにおまえら行ってこい、ああ、絶対安全だからと。ああそうですか、本当ですか、そうだと、それだけの責任があるんです、総理大臣。それが、作ったときだってはっきり議論していないし、よく分からなかった、今だって状況は変わっていないんです。これから三か月たったってね。  そういう状況下において、どの地域まで行けるのか、どういう地域に行けるのか、それを政令で書けないというのは、よほど防衛庁というのは立法能力がないんですな。いや、本当ですよ。これは歴史に残る悪法だと言われますよ、自衛隊員イラクに出向いていって十人、二十人あるいは五十人も死んだりしたら。それは政府の誤りだったろうと、法律はどうか、何にも書いていないじゃないかと、よくまあこんな法律を作ってとみんなあきれますよ。まじめな話です、これ冗談言っているわけじゃないんです。少し真剣に考えていただきたいと。  最後に答弁を求めまして、終わりに、私の質問は終わりにいたします。
  17. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど来官房長官から答弁があるとおりでございますが、非戦闘地域という概念と安全か危険かという概念は、これは重なるものではないということは累次答弁を申し上げているとおりです。  非戦闘地域でなければいけないというのは、憲法上の要請をきちんと確保し担保するために設けておる規定であって、そういうところでなければそもそも自衛隊をやってはいけないということを書いておるわけで、非戦闘地域イコール安全な地域であるということを私は答弁を申し上げたことはございませんし、政府としてもそれを答弁したことはございません。それを混同して議論をされますと、これ本当国民議論が分かりにくくなるのだろうというふうに思っております。  そして、総理がお答えになりましたように、今この時点で、この地域実施区域としてふさわしいと、この地域が非戦闘地域である、この地域が安全な地域である、政府として調査団も出していない段階でそのような無責任なことがお答えできる立場政府はございません。そのことをきちんと、官房長官から御答弁ありましたように、きちんと確認をして出す、その趣旨はこの法律にきちんと書かれておるとおりでございます。  以上です。
  18. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉でございます。  私の時間も限られていますので、是非簡潔な答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。  質問通告をしたのが数日前でございまして、様々な政局の変化もありますので多少通告外の質問をさせていただくこともあろうかと思いますけれども、御容赦願いたいと思います。  先ほど佐藤委員から、先日のQTの話がございました。私は、正に佐藤委員のおっしゃったように、あの総理答弁、そしてQTに対する答弁の姿勢として、大変私は総理の姿勢に遺憾な思いをいたしました。これは冒頭コメントをしておきたいというふうに思います。  一昨日、モスルで、サダム・フセインの二人の息子と言われているウデイ、クセイ、二人が殺されたと、死体となって発見をされたという報道があり、今日、昨日の報道であっても、恐らくこれが本物であろうという報道が流されました。外務省、防衛庁はそれぞれ外交ルートを通じて情報を聞いていると思いますけれども、恐らくこれは本物だろうというのが現在までの情報であります。  ただ、このウデイ、クセイの死体発見によって、私は三つのことを我々が忘れてはいけないと思います。  まず一点は、発見された直後、バグダッド若しくはイラク各地で市民が祝砲によってこれを祝ったという現実であります。祝ったことが注意する点ではなくて、あのように市民の、至る所でいまだに市民が銃を持っているという現実が改めてブラウン管を通じて明らかになっているということだと思います。  二つ目が、一昨日の祝砲のムードから昨日のイラクの雰囲気はがらっと変わっていると、サダム・フセインを守るという一部のゲリラ組織がリベンジの犯行をほのめかしていると、予告をほのめかしているという現実だと思います。  そして三点目。あの二人が見付かったモスルというのは、言うまでもなく、あのイラクの状況を知っている者であれば、今まで日本の言う、フィクションであろうが何であろうが、非戦闘地域とカテゴライズされる典型的な地域であった、報道でしか分かりませんが、アメリカから日本が行ってくれと要請のあったとされているバラドなんかよりもよほど安全な地域なんですね。このモスル、正に灯台下暗し、町もそんなに破壊されていないあのモスルに、日本の政治家も行ったことのあるあのモスルにサダム・フセインの二人の息子が実は隠れていた。ということは、多くのイラク人がそれをかばう組織的なゲリラ若しくはサダム・フセインたちをかくまおうとする組織があちこちに存在するという現実なんだろうと思います。  官房長官、この現実をどう受け止めますか。すなわち、これはあなたたちが非戦闘地域と定義しようとしている地域が、実はいつ非戦闘地域になってもおかしくない、ゲリラがたくさんいるという現実なんですよ。官房長官、どうですか。
  19. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 私、申し上げる前に、事実どういうふうになっているか、それ、外務大臣から説明をしてもらいたいと思います。
  20. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 事実関係、今、榛葉委員がおっしゃられた、基本的に、とおりであります。  その理解をどうするかという、その祝砲については、私はやはり祝砲という意味があったと思いますし、それから、そのリベンジということについていえば、今後これが我々としては事態の、その治安が良くなっていくことにつながっていくということを期待をしていますけれども、一進一退、いろいろな展開はあるであろうということだと思います。  それから、そのモスル、これは確かに今までそういう三角地帯と言われたところよりも更に北にあるところであります。これについては、基本的に非戦闘地域かどうか、派遣する地域かどうかというのは、先ほど来官房長官あるいは石破長官がおっしゃっていらっしゃるように、これから事態の展開はいろいろあるわけでして、きちんと調査をしていくということであるかと思っています。
  21. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 確かに、今、外務大臣から話ございましたように、イラクの情勢というのは、現状もございますが、将来どうなっていくのかというところは、これはよく見極めなければいけないところだと思います。  ですから、そういういろいろな問題はらんでいるというそういう地域であるからこそ、この法律自衛隊活動についてもいろんな制限を加えているという、そういうこともあるわけでございます。  いずれにしましても、今後の情勢よく見極める、それは、そのためにはしかるべき調査もしなければいけない、しかるべきというか、十分な調査をしなければいけない、その調査は、状況の調査とそれから我が国自衛隊又は民間の方がどういう活動ができるのかといったようなこと、そういうことを含めた具体的な調査をしていかなければいけない、そのことが前提でございまして、今の情勢がすべて安全だというふうに言っているわけではもちろんないわけでございますし、むしろ、いろいろな問題があるんだということは認めた上で、今後、慎重にこの問題を取り扱っていきたいと思っております。
  22. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 状態を見極めなければいけない、しかるべき調査もやらなければいけないとおっしゃいますが、もう現実じゃないですか。安全と言われていた、町も破壊されていない、そして安全だから米兵も余りいなかった、このモスルにウダイ、クサイが隠れている。そしてこれをかくまう多くの組織の人間がこの町にいるということですよ。そしてだれも今まで気が付かなかった。これは火を見るよりも明らか、非戦闘地域もしくはあなたたちが非戦闘地域と定義しようとしている地域が簡単に戦闘地域ゲリラ戦の戦場になるということ、明らかなんですよね。もう現実なんですよ。それを、見極めるであるとか、こういう言葉でこの委員会の場を逃れてほしくないと思います。我々は政治家ですから、政局によって様々な発言をしなければならないときもあります。しかし、私は、少なくとも中東を少しでもやってきた人間として、このようなことは許されないと思うんですよ。  それではお伺いします。  今、佐藤委員の、一つの町でもいいから非戦闘地域にカテゴライズされる町を挙げてくださいとおっしゃったら、いや、これから調査するんだというふうにおっしゃった。しかし、仮定の話としても、そして今の現状から認識しても、私は、例えば今の現状ではこういう町は非戦闘地域に定義されるかもしれませんよという具体的な説明、私、必要なんだろうと思います。  どうですか。一つでもいいから町を挙げてくれませんか。
  23. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私、その必要性があるというふうに認識をしていません。  それはなぜなのかといえば、実際に日本政府として、確かに調査団は参りました。しかし、イラク全土にわたって独自の調査をしたわけではありません。やはりここがそういう地域であるということを言うためにはそれなりの調査というものがなければ無責任答弁になるだろうと思っています。
  24. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、そうではないと思います。  例えば、今この町がある、この町の現状はこうこうこうこうこういう状況だから、今の現状においてはこの地域は非戦闘地域と言ってもいいんではないですかという国民に対する分かりやすい説明、提案、例えばこういう町は今後非戦闘地域にカテゴライズされる可能性があります、無論、更に調査をしていってその現実が変わればこの地域が非戦闘地域でなくなるかもしれない。しかし、今このような重大な法案を通そうとしているんですから、具体的な分かりやすい例を挙げて説明するという説明責任はあなたたちにあるはずです。  官房長官、若しくは防衛庁長官、具体的に都市の名前を挙げてください。
  25. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 都市の名前は今無責任に挙げられないのは申し上げたとおりの理由によります。  委員もこの法律をよく御承知の上で御質問いただいていると思いますが、私たちはそういう地域では活動しない、そしてもう一つは、近傍でそういう戦闘行為が行われ、あるいは予測される事態に至った場合には、活動を休止し、危険を回避し、実施区域の変更等の措置を待つというふうに条文で定めておるわけでございます。  それは、佐藤委員がおっしゃいますように、そんなときに指揮官が分かるのかいというふうにございますが、それは行動というのは努めて極めて抑制的になされるということになってまいります。したがいまして、日本国の自衛隊がどうやったらば戦闘行為というものにならないようにするかという歯止め、これは掛けておるわけでございまして、分からないという御指摘に対しましては、行動は抑制的になるということを申し上げることになります。
  26. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務大臣にお伺いします。  今、バグダッドの大使館に何人いらっしゃって、CPAに日本人は何人いるのですか。
  27. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) お答え申し上げます。  在イラクの日本大使館でございますけれども、現在、上村臨時代理大使以下、八名の職員が勤務をしております。  それから、CPAでございますけれども、CPAを通じた日本政府の人的協力ということで、現在、政府職員八名を派遣しているところでございまして、これはそれぞれバグダッドとバスラにおります。
  28. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 計十八名ですね。
  29. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) 十六名です。
  30. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 十六名ですね。合計十六名の方が、日本人が現地にいらっしゃると。  当然、この現地の日本人とは外務省として連携を取っていると思うんですけれども、これらの方々の情報から、少なくとも現在でどの町若しくはどの地域が非戦闘地域として想定をされる可能性があるかということは、これ無論言えるはずだと思うんです。  外務大臣、お答えください。
  31. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど来防衛庁長官がお答えのように、これについてはきちんとした準備をした上で申し上げるべき話であって、私の立場でこれについて今の時点で無責任にここはそうであろうと言うことは差し控えたいと思います。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 全くもって無責任だと思います。  我々政治家は戦場に行くことはありません。戦場に行って汗を流すのは自衛官であります。我々は、あの五十度の灼熱の中で命の危険にもさらされながら人道復興支援に汗を流す、ひょっとして血も流すかもしれない、相手に血を流させるかもしれない可能性のある自衛官に対して、もっと緊張感と誠意を持ってこの議論をするべきだと思うんです。  防衛庁長官、この法律における安全な場所という概念は一体何でしょうか。安全な場所の定義をどうしてこの法案に盛り込まないのですか。
  33. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これも何度か答弁申し上げましたが、一般人、すなわち訓練も何も積んでいない、権限も与えられていない、自己を守るために必要な権限、そしてまた武器も与えられていない、そういう一般人にとっての安全な地域と、訓練を積み、そして自己を守るための権限を与えられ、そのための装備を携行していく自衛官にとっての安全な地、これは当然概念が異なるものでございます。  これも累次答弁申し上げておりますように、どんな地域であるのか、そのためには、権限は定められておりますけれども、何を携行していくべきなのかということをきちんと詰めました上で、どこがそういう地域なのかということを決することになります。したがいまして、自衛官にとって安全な地域ということは申し上げておきます。  しかし、何を持っていくのか、まさか機関銃一丁とか二丁とかそんな議論ではございませんが、どこまで持っていくのか、それはおのずと、何でも持っていいという話ではなくて、自己を守るためにという一つの定めがあります。そして、持っていく武器は、何を持っていくかということは二つの概念があって、それはどれだけの装甲に耐えるものなのかということもあります。そういう地域、そういうものを持っていって、自衛官が権限の下に安全に行動ができる地域、今の法律の中でお答えができますのはそこまでです。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 安全な場所の法的概念をここにきっちり盛り込まないと、この法律を背中にしょって現地に行く自衛官はたまったものではありません。この安全な場所の法的概念は一体何なんですか。
  35. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 法的概念というのは、防衛庁長官に与えられております隊員の安全に配慮しなければならない、こういうものが法的な根拠になります。それは、あえてこの法律に書いておる、新しい、新しいといいますか、当然のことでございますけれども、改めてここの法律に書かせていただきました。  委員は法的な概念というふうにおっしゃいますが、例えて言うと何を持っていくんだということはこの場で決められるものではありません。逆に言えば、これしか持っていけないということになった場合、法律は天下周知の事実となりますので、そうすれば相手から何を思われるかということを考えるのは、これは当然のことでございます。  どうすれば自衛官が安全に任務を遂行できるかということにつきまして、政府としては今までも真剣に考えてまいりましたし、これからも万全を期します。
  36. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 戦闘地域、非戦闘地域の区分けの問題、そしてこの安全な場所という概念の問題、今の答弁を聞いて、私はますますこの法案は絶対に通しちゃいけないという意を強くいたしております。  長官は十五日の防衛庁長官記者会見で、大臣自ら現地視察を考えているというコメントを述べておられますが、大臣いつ、長官いつ行かれるお考えですか。
  37. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これはまだ法律が御審議中の現在、それはいつということは申し上げるわけにはまいりません。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 法律が通過したと仮定して、そのどれくらい後に行かれるお考えですか。
  39. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 具体的にそれは決定をいたしておりません。法律がまだお認めをいただいていない、真剣な議論が行われている段階でそういうことを申し上げるのは不謹慎かと存じます。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、長官が行く場所は、安全な地域に行かれるんですか。
  41. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、どこが安全な地域かは今この時点で申し上げられないということを申し上げたとおりでございます。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私はどこに行くんですかなんて聞いていませんよ。安全な地域に行くんですかと聞いているんです。
  43. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは御案内の上で御質問かと思いますが、自衛官にとって安全な地域とは何かというのは、一般人にとって安全な地域というのとは違います。しかし、私は防衛庁長官ではございますが自衛官ではございません。そうしますと、本当にじゃどこの地域に、仮に私が法律をお認めいただいて行くとして、これは本当本当に安全な地域で、何も飛んでこず、エアコンも利いておって、そういうところで単に行ってきてアリバイを作りましたというようなことを申し上げてはいけないのだろうというふうに私は思いますが、今、委員が安全な地域に行くのかというふうに御質問になって、はいそうですとも、いいえ違いますと、どちらをお答えをいたしましても正確を欠く答弁になると思いますので、これでお許しをいただきたいと存じます。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大変上手な答弁ですけれども、私の答えには、余り答えていないというのが現実だと思いますけれども。  長官、昨日の私の本会議場での討論の中でも述べさせていただいたんですけれども、今イラクには三つの地域があるんです。一つ戦闘地域、もう一つ戦闘地域の中で危険な地域、そして非戦闘地域で安全な地域、この三つがあると思うんですけれども、長官、この様々な三つの地域、このすべて、全部足を運んでいただいて、長官ら現場をしっかり見ていただきたいと思うんです。  加えて、順番が逆だと思うんですよ。調査団や、今月末にも日本の調査団が現地へ行くという報道もありました。調査団がまず行く、若しくは長官自らが防衛庁のトップとして現地に足を運ぶ、そして現地の状況を見極めてからこの法案を審議してこの法案を作っていくというのが当然の我々政治家としての責務であり、正当なプロセスだというふうに私は強く主張したいと思います。  防衛庁長官自衛隊法第三条には国の防衛という役割、自衛官の役割について書いてあります。実際に汗を流し、先ほども言いましたが、血を流すかもしれない自衛官に、この自衛隊法第三条は、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」というふうに書いてあります。  この自衛隊法第三条の趣旨に合致をしない今回のイラク派遣、あなたは自衛隊のトップとして現地に行く自衛官にどう説明をするのですか。
  45. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まず、冒頭の委員の御指摘ですが、これも累次答弁を申し上げておりますように、この法律は枠組み法でございます。基本計画は内閣の、閣議の決定により内閣が決めるものでございますし、そしてまた実施区域というものは総理大臣の承認をいただくものでございます。そして、実施の可否は国会の御承認に、これは事後でございますが、掛けておるわけでございまして、きちんとした調査をしてというのは、その後に、いろいろな閣議でありますとか、総理の承認でありますとか、国会の御承認を経るものでございます。  そしてまた、今のお尋ねでございますが、それは自衛隊法全体の御理解の問題であろうというふうに思っております。  確かに、委員御指摘のように、自衛隊法第三条は、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」。これが三条でございます。  この三条の仕組みの中で本来任務があります。本来任務と付随的任務というふうに分かれまして、本来任務は主たる任務と従たる任務に分かれるということになっております。付随的任務の中には、例えて言えばPKOみたいなものもございます。これは、自衛隊法の中で何をどう読んでいくのだということになりますが、委員御指摘のように、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、」ということから読めば、これはおかしいのではないかという御指摘かもしれません。しかし、我々は、例えばPKOというものに出し、あるいは国賓等の輸送を行い、在外邦人の輸送を行っております。そういうような形でいろいろな任務を行っておることが自衛隊法の体系の中で整合が取れていないとは考えておりません。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の防衛庁長官説明で自衛官が納得をしてイラクに行ってくださるというふうには私は思えません。  外務大臣にお伺いします。  バクダッドの南方約八十キロにヒッラという町があるんですけれども、ここでICRCのマークの入った車が銃撃をされ、赤十字の職員が殺されました。その事実は御承知だと思います。赤十字のマークの入った車でさえ銃撃をされ、ゲリラによって職員が殺された。そしてその前日、IOM、国際移住機関、IOMの職員もこれまた国連のマークの入った車に乗っていながらゲリラに銃撃をされ殺されたというのが報道で明らかになっています。  現在までに、国際機関プラスNGO等で働く方々の死者数を外務省は把握されていますか。
  47. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) まず、国際機関の職員が襲撃により死亡したケースでございますけれども、これまでに三名が死亡したというふうに私ども承知しております。先ほどお話のありましたIOMの職員、それからICRC、国際赤十字の職員の例でございまして、それに加えまして、同じようにICRCの職員が四月に殺害された事件がございます。  それから、NGOでございますけれども、これは独自の判断支援活動に従事しているということでございますので、私どもの方としてその活動の全容を把握するということはなかなか難しいわけでございますけれども、私どもの承知しております限りでは、これまでにNGO職員に死傷者が出たというふうには承知しておりません。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務大臣、三人がこれまでに殺されている。そして、そのうち二人がこの一週間以内に殺されている。これは正にゲリラの攻撃が過激化をし、いら立ち、米英兵だけではなくて国際機関、いわゆる民間の方々や中立公正を保つこういった方々にまで攻撃の手が及んでいる。この現実を外務大臣はどのようにお考えですか。
  49. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど一進一退と申しましたけれども、榛葉委員おっしゃるように、イラク人の中にいろいろな不満があるということは事実そうだろうと思います。  それで、じゃどうすればいいのか。これは、事態は、一刻も早く支援の手を大量に差し伸べて、イラクの社会に平和と安定をもたらす努力を国際社会が全体としてするということしかないわけです。それぞれ派遣されている人の安全というのは非常に大事であります。その安全を図りながら、それでいて同時に、できるだけのことを日本としても国際社会の一員としてやっていかなければいけない、そういう思いを強くしております。  二人のフセイン大統領の息子が殺害をされたということ自体、これはいろいろな意味を持つと思いますけれども、私は、このようなみんなにかくまわれる立場の人間ですらそういう状況でなくなったということであって、フセイン大統領あるいはその他のかつての政権のリーダー、そういう人たちにとって安全な場所は少なくなってきたということであろうかと私は思っております。
  50. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨日、一昨日ですね、国連安保理決議イラク現状における報告書というものが提出をされ、報告がありました。全体的に米英に批判的なトーンでこの報告書は書かれていたということなんですけれども、この報告書の中で、国連イラク支援団、これウンナミと言うんでしょうか、UNAMI、この創立を、ウンナミですね、創設の必要性を説いているんですけれども、外務省としてこれを積極的に支援していくお考えですか。
  51. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国の前から申し上げている立場というのは、イラクにおける復興には国連の十分な関与を得ながら国際社会が一致をして当たるということが重要であるということであります。このUNAMIの設立について、今後安保理でどのような議論があるかということを注視をしてまいりたい。そして、それを見ながら、我が国としてどのような形でこれに関与をしていくということ、あるいは支援をしていくということが可能かということの検討をいたしたいと思います。
  52. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、やっぱり日本はそういった支援をしていくことに全力を傾けた方がいいと思いますよ。  これ、通告してなくて大変申し訳ないんですけれども、今日の新聞、朝日新聞で、「NGO、資金難で撤退へ」ということで、イラク、ヨルダンの国境の難民キャンプの医療支援に当たっているNGOが外務省の追加支援がなくて、資金難によって今月末でその活動を打ち切ると。キャンプでは毎日八十人の患者が出ているんですけれども、この後引継ぎ手がなくて困っているという状況だという報道がありました。川口大臣は、ずっと、人道的支援で様々なルートを使ってイラク復興をしていくということを常々おっしゃっております。これは通告してありませんので大臣でなくても結構ですけれども、この外務省の矛盾した姿勢をどのように説明するんですか。
  53. 安藤裕康

    政府参考人安藤裕康君) 本日の新聞に委員御指摘のような記事があることは承知しております。必ずしも私の直接の所管ではございませんけれども、今朝ちょっと様子を聞きましたら、必ずしも外務省の追加援助がないためにこういう活動ができなくなって撤退したということではないようでございまして、このジャパン・プラットフォーム自身の中の検討によってこういうふうな結果になったというふうに聞いておりますし、必要があれば、また御申請があれば、外務省としてその追加援助の可能性を検討することにやぶさかでないというふうに承知しております。
  54. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 局長、駄目ですよ。ジャパン・プラットフォームは極めて日本政府外務省と関係の強いNGOの受皿であります。そして、このジャパン・プラットフォームが活躍すると、外務省は連携を取ってやっているんだと、そして資金難で撤退すると、直接我々の関与している組織ではありませんと、こういう二枚舌を使ってはいけないと思います。  資金がなくて撤退して、我々の関与するところでなかったら、このような事実があったら、人道支援を我々は正に自衛隊を送ってまでやろうとしているんですから、こういった支援を積極的にフォローしていくのが当然外務省の責務だと思うんですよ。  私は、防衛庁長官官房長官がかねがねおっしゃっております国際性、継続性、組織性、計画性を持った国又は国に準ずるもの、今各地で起こっているゲリラ、これは正にこの国又は国に準ずるものに当てはまると防衛庁長官も私の質問に答えていらっしゃいます。そして、赤十字や国連のマークの入った車でさえも襲われる現状。安全なモスルでさえもゲリラが暗躍し、サダム・フセインの側近中の側近、正に息子たちが潜伏し、それをかくまっている組織があるという現実。そして、安全な地域があっという間に、瞬間にして、戦闘地域が瞬時にして非戦闘地域に変わっていくこの現状。この戦地に今我々は自衛隊を送ろうとしている。  私は、一人の政治家としてこの法律に到底賛成することはできないことを強く主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  二十二日の委員会での質問の続きに当たる質問を行います。  フセイン政権はイラク人民を抑圧し続けてきた独裁政権でありました。そのフセインを打倒せよということを求める国連決議は何かあったのでしょうか。まずお伺いします。
  56. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今までの国連決議の中に、安保理の決議の中にフセイン政権を打倒するようにという決議はございません。
  57. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 米英が対イラク戦争で行ったのは、国連決議にもない、他国政府の軍事力による政権転覆であったということがはっきり言えるということが明らかになりました。たとえ独裁政権、人民抑圧の政権でも、今日の世界で他国が軍事力をもってその政権を転覆するということは許されていないと思います。  今回の米英のイラクに対する戦争については、最近では、大量破壊兵器問題は口実であって、目的はフセイン政権の打倒、これが本音であったという多くの指摘が行われるようになっております。三月二十日のブッシュ大統領の開戦宣言も、大量破壊兵器の問題ではなくフセインからのイラク人民の解放ということを言っておりますし、大量破壊兵器が何一つ見付からないうちに発表された五月一日の勝利宣言でも、フセインの支配から国民を解放したということを述べております。  この本当のねらいがこういうところにあったということと結び付いて、最近いろいろなアメリカの分析が行われております。例えば、当参議院外交防衛調査室の室員の人の書いた、最近発表された論文を見ましても、「イラクの米軍基地を米国は絶対に手放さないであろう。」と、こういうように結論付けております。そうでなく、米軍が早期に撤退する見通しがあると判断しておられるかどうか、お伺いします。
  58. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国政府は、イラク人のイラク人によるイラク人のための政府ができ次第、できるだけ早くCPA当局はその職を離れてその仕事を終わるということを言っているわけであります。それは公の場でそういう発言をしております。
  59. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そのように事態が進行するという見通しを持っている学者というのは、私はほとんどいないと思います。  今のイラクの実態から、米軍が早期に撤退する、そういう現実的な見通しというのはどこからも出てこない、逆の泥沼化という状況、そういうイラクに日本の自衛隊を派遣しようというわけです。  ここで今論議になってきました小泉総理の安全なところがあるかどうか私は分からないという答弁は、これは、国民の間にそうでなくても強く存在していたイラク派遣への不安を非常に大きくしたと私は思います。なぜ分からないのか。石破長官調査しなければ分からないとおっしゃったんですが、調査が十分にやられていないからではなく、イラクの事態が非常に流動的で、いつどこで何が起こるか分からない状況ということが総理答弁が示すものだと私は思います。  そういうところへ自衛隊を送る。しかも、一方では、憲法とのつじつまを合わせるために、万一捕らえられても、国際法上の捕虜としての保護は受けないということも明らかになりました。  私、ちょっとここで付け加えて聞いておきたいんですが、先ほど佐藤議員が述べられました、不幸にして戦死というような場合が出た場合はどうなるのか。犠牲者が出た場合、それは、捕虜は戦闘員でないから捕虜の扱いを受けないということですけれども、私は、自衛隊員が不幸にして犠牲になったというふうな場合に戦死と言えるかどうか、これどなたかお答え願います。
  60. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 戦死という言葉を使われて今おっしゃったわけですけれども、この言葉の意味ですが、例えばジュネーブ条約において戦死あるいは戦死者という用語は使われていないわけでございます。ですから、死者という意味で使われているということです。  それで、いずれにしても、ジュネーブ条約、一から四までありますけれども、それぞれのところで、例えば第一条約、これは陸戦条約でありまして、あるいは第二条約、これは海戦条約ですけれども、この死者という規定、これは紛争当事国の軍隊構成員の死者の扱いに関するものであります。したがって、自衛隊がこの法案に基づいてイラク活動をした場合に、これは武力紛争の当事国とはならないということで、死者に該当する、ジュネーブ条約、第一、第二条約に言う死者には該当しないということであります。  それから、ジュネーブ第三条約というのは、これは捕虜についての条約であります。死者に関する規定は捕虜となった者が死亡した場合に関することでありまして、ジュネーブ諸条約上の捕虜となることはない、自衛隊員はなることはないわけでございますから、これには該当をしないということです。  それから、ジュネーブ第四条約というのは文民条約でありますけれども、これにおける死者の規定というのは、これは被抑留者が死亡した場合あるいは紛争当事国の住民が武力紛争によって死亡した場合に関するものであって、したがって自衛隊員がジュネーブ条約上の被抑留者となったりあるいは当事国の一員となるということは想定をされないので、この規定に言う死者に該当するということはないと、そういうことであります。
  61. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私が確かめたところでは、自衛隊は武力紛争の当事者ではないと、したがって捕虜の扱いも受けないと、佐藤議員が言われた名誉の戦死でもないと、戦死とは言わないと、こういうことでした。  防衛庁長官、あなたは、これから派遣される自衛隊員一人一人に、君らは万一のことがあっても捕虜の保護は受けないぞと、戦死ということにはならないぞということを徹底して送りますか、どうですか。
  62. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、そういうことを申し上げることはいたしません。  それは、捕虜、これはよく御理解をいただきたいのでございますけれども、相手方が自衛官を捕虜にするような権限は持たないということを申し上げておるわけでございます。そのようなことをしていい立場に向こうは立っていないということであって、その中にそういう概念は成り立たない。  しかし、我が政府として、そういうような、仮に万が一そういうことが起こった場合に、当然そういうようなことはあってはならないことであって、国際社会とともにそういうような虐待、そういうようなことがあってはならないということを要求するのは、これは当然のことでございます。それは相手が法的にどのような者に立つかということの理解によるものでございまして、それは自衛隊がどうであるからということに起因するものではございません。  それから、もう一つ御指摘になりました戦死ということにはならないのだぞという御指摘でございますが、それは、今ジュネーブ条約上の解釈というものを外務大臣からお話がございました。そういうことによるわけでございまして、その仮に万が一そういうことになった人たちに対して、我が政府として、そういうことにならないように万全な配慮を行いながらもそういうことが惹起されたとして、国として最大限のことをなすのは当然のことでございます。
  63. 松村龍二

  64. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いいです、時間がないからいいです。  今、防衛庁長官、相手にそういう権利ないとおっしゃいましたけれども、それは日本政府の言い分であって、日本は正当性を持たないと、国際的に多くの指摘があるそういう地位でアメリカ軍に協力するわけで、相手国側にはそれに対して抵抗する権利があるというのが多くの国際法学者の一致した意見になっていることを申し上げておきたいと思います。  いずれにせよ、日本国憲法が認めない海外での自衛隊の行動、これをなぜ無理に無理を重ねてやらなきゃならないのか。私は、これまでの論議でも、国連の要求もない、またイラクからの要求もない、結局アメリカの要求によって行われるということだと思います。日本の自主的判断だとおっしゃるんですが、これはもうアメリカ側の要求というのは全くないのか。  アメリカの日本に対する要求、圧力というのはこれまで常識になってきておりますが、その点、石破長官、あなたでも防衛協議等いろいろあると思いますけれども、ちょっとお伺いします。
  65. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 具体的に、どこどこで何々をしてくれというような要請はございません。
  66. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、この問題が論議になりましてから、アメリカは日本に実際上、意見は述べるけれども要求はしてこないような意見、またすべて日本が自主的に決定しているような議論がありますので、この際、確かめておきたいんです。  アメリカはかつて日本に対して、通商交渉でもまた防衛協議でも、脅迫と等しい圧力を掛け、対日要求を突き付けてきたということが、交渉の当事者が自ら書き、語っております。そういうことがお認めになるかならないかということです。  例えば、お亡くなりになりました伊藤宗一郎衆議院議長ですね、元。この人、防衛庁長官時代にアメリカへ行ったときには、戦後の日本の特殊性を認めないということで大変だったと書いていますね。平和憲法、非核三原則、専守防衛というのは独り善がりの理論であって、そういうのは認められない、それを変えろと突き付けられたと。それで、テーブルをたたきましたと、相手は。そして、あなたらは選挙民が怖くてこういうことが言えないのかと迫ってきたと、私はたじたじだったと、こう雑誌で書いております。それから、田村元、これも衆議院議長をやられた人ですね。三年間の通産大臣時代の通商交渉では、彼らは事ごとに罵倒してくるのだと、こう、これは新聞の投稿文書の中で書いておられます。こういうのが日米関係だったんです。  今の日米関係で、こういうテーブルをたたいたりの交渉があるかないか知りません。もうテーブルをたたかなくたっていい状態に日本側がなっていて、たたかなくなっているかもしれません。いずれにせよ、日本の戦後の特殊性、それは平和憲法、非核三原則、専守防衛、これが独り善がりの理論だから変えろというのが基本要求だったと書かれているわけです。  私は、これは伊藤宗一郎さん、防衛庁長官、元、の意見ですから、石破防衛庁長官にお伺いしますが、過去にはこういうことがあったことは認められるか、過去にもそういうことはなかった、今もないとおっしゃるのか、過去も今もあるとおっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。
  67. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、物故されました伊藤宗一郎先生とは随分いろいろなお話をさせていただきましたが、伊藤先生からそのようなことを承ったことはございません。また、私もそのような現場を見たことは当然ないわけでございます。  それから、今そういうことはないかというお話ですが、これはいろいろな機会でアメリカ国防総省の関係者の方、ラムズフェルド長官を始めとして、お目に掛かることがございますが、そのようなことは一度もございません。それは脅迫的な言辞を弄さなくてもいいようになったのだというふうな委員の御指摘ですが、私は、むしろそれよりも、合衆国というものがどれだけ日本の重要性というものを理解し、日本のいろいろな姿勢というものに対して感謝の意を表しているかということをつくづく感じることが多いわけでございます。  それは、日本の独自性というものとは全く無関係な話であって、合衆国は日本のそういう立場を十分理解した上で、コアリションという形で日本に対して今回の、合衆国だけではございませんけれども、どういうような形で参加ができるのか、それはそれぞれの国の主体性において決せられるべきものという立場は全く変わっていないと理解をいたしております。
  68. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 伊藤防衛庁長官、元長官は、私、直接聞いたのではなく、雑誌や新聞で語っておられることによって今は私は発言したということを付け加えておきます。  私は、日米防衛協議に参加した人から随分たくさんいろいろな話聞きました。もう驚くべき話も聞きました。時間がありませんから今日はここでは行いませんけれども、私は、やはりアメリカが、日本の戦後の特殊性は認めない、平和憲法、非核三原則、専守防衛を変えろと言い続けてきた。そして、今の日本は大体そういう点でアメリカの合格点になっているんではないかということを考えざるを得ないということももう一度申し上げておきたいと思います。  次の問題です。  次の問題は、二十二日も若干触れた問題ですが、今度のアメリカイラクへの戦争、あの大量破壊兵器問題というのは、あるかないかということ自体が、今も論議がありましたように重要な問題です。同時に、私は、あの宣伝というのは謀略的な情報操作で国民と世界を戦争に巻き込んでいった、そこに今アメリカ国内でもイギリスでも国民が怒りをぶつけているところがあると思います。  日本も満州事変は謀略で開始しました。そして、満州事変は、その後の事態、次々謀略の連続であったということ、これは防衛研究所に保存されている資料でも一〇〇%証明されております。これも時間がありませんから、私、一々申し上げません。私、本にも書いております。  ですが、アメリカもこれは大変な謀略を繰り返してきた国。最近、アメリカ国家犯罪全書という本が出ておりまして、私、読んでみました。アメリカというのはもう本当にひどい謀略で戦争をやってきた国なんだなということで、これはもう皆さんが我が同盟国だとたたえるような相手でないということを私は、この本はみんな出典挙げて書いている本ですから、本当驚きました。日本でよく知られることは、トンキン湾事件の謀略があるわけです。  今度のイラク大量破壊兵器をめぐって、アメリカ議会でもイギリスの議会でも問題になっている一連の虚偽あるいはでっち上げ、そういうものの中に謀略的宣伝の様相があることをお認めになるのか、それは一切ないとおっしゃるのか、外務大臣、お伺いします。
  69. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 謀略の意味はちょっと私よく分かりませんけれども、アメリカ側は情報の開示については私は非常に透明な国であるというふうに思っております。  委員がおっしゃっていらっしゃるのは多分ニジェールからのウランの購入にかかわることかと思いますけれども、その情報が不正確であったということについてはアメリカ政府は公的に認めているわけであります。  それで、このことによって今回のイラク大量破壊兵器についての疑惑が何ら変わったかというと、そういうことではない。このニジェールからのウランの購入の話が不正確であったとしても、それによって不存在、WMDが存在イラクにしていないということが証明されたわけでもない。それから、このイラクについて軍事行動を取ったことの正当性がそれによって揺らぐわけでもないというふうに考えております。
  70. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカのあの大量破壊兵器をめぐる一連の宣伝、これは、別の人は、口実であって、目的はフセイン打倒、中東支配だったと、こう書いているわけですけれども、あそこの中に謀略性が感じ取れないような外務大臣では、私は世界の戦争の歴史から教訓を学ぶことができないと思います。  日本の戦前行った戦争からも我々は日本が繰り返してはならない教訓を学ばなくちゃいけない。同時に、アメリカその他世界が行った戦争、その中から教訓を学んで、世界が謀略によって、虚偽宣伝によって戦争に引き込まれるようなことはないようにしなければならないと私は思います。そういう教訓を学ぶ姿勢が全く感じ取れないということを私は申し上げておかなくちゃなりません。僕は、外務大臣にもこの「アメリカの国家犯罪全書」という本を是非読んでもらいたいと思います。  いずれにしろ、時間が迫ってきたので、私は結論に進まなくちゃなりません。  私は、二十二日の委員会で、三月十九日付けの東京新聞で、アメリカイラクへの最後通告を歴史的大敗北の瞬間であったと書いた記事の意味の重さを感じ取りました。しかし、それは三月十九日、今、数か月たちました。今、数か月たった時点で、我々はイラクの事態を見詰めることができるわけです。  四か月たった時点ではいろいろな本も出、例えば私は、寺島実郎さんらの「イラク戦争」という、これもつい最近出たばかりの本も読んでみました。そして、そういう中で、大義のないアメリカの戦争が成功することがないという見通しをはっきり述べられている。この本で寺島さんは、アメリカの戦争の大義は崩壊し、アメリカニズムの終えんということさえ見通せるということを書いています。  私どもは、そういう時期に自衛隊を海外に派遣しようとする、私は、日本の政府にも、また与党にも、日本の国民の、我々のすべてが過去の戦争からの教訓も学びながらこの歴史的な大転機に正確な対応をしなければならないと思います。  昨日の本会議で吉川議員がたしか触れたと思いますけれども、一九三一年九月十八日、満州事変の始まりです。これは、関東軍の謀略によって始まったことは、これはもう公表されている外務省の文書でも明らかです。  この関東軍の謀略だという現地の領事館から外務省へ送られてきた文書は、三月十九日の閣議で幣原外務大臣が読み上げて全閣僚が知るところとなり、そして満州事変の不拡大という方針が決まりました。ところが、軍は従わなかった。そして、三月二十二日の閣議では不拡大という方針を政府も変えました。その変えるときの変え方、これは私は中谷前防衛庁長官にこの委員会で確認を取りました。防衛研究所にある資料によって明らかになることは、これに賛成する者一人もなしと、しかし反対する者も一人もなかったと、だから反対はなかったということで閣議は満州事変へ突き進む決定を行った。沈黙の共犯ということが戦後言われております。  私は、新聞によると、政府部内でも、また外務省でも防衛庁でもこの問題にそろって積極的にこの法案で行こうということではなかったということが書かれているのも読んでいます。私は、沈黙の協力ということを行わない、かつての教訓を生かした判断を今、日本は、政府も与党も議会も野党もすべてが行わなければならない重大な時期だと思います。私は、この謀略的なやり方で始まった戦争、そして今、泥沼化しつつある、総理大臣自身が安全なところがあるということを言えない、こういうところへ自衛隊を送っちゃならないと思います。  それで、私、この前も一言触れました。多数決で決めなきゃならないこともあるんです。しかし、こういう自衛隊を危険なところへ送る問題、こういうことは多数決で決めていい問題ではないんです。  私はそのことを申し上げまして、官房長官の御意見をお伺いし、時間があったら三人に一言ずつで結構ですから答弁求めたいと思います。
  71. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 確かに、委員のおっしゃいますように、米軍による武力行使が三月二十日に決定されたわけでございます、実行されたわけでございますけれども、それまでに至る過程において、どういうようにイラクに対峙していくかということについての国際社会の一致した意見というものはできなかったんですね。その対立の中からそういう判断が生まれたということでございます。そういう対立はございましたけれども、国連決議の一四八三によりまして、これはもう国連が関与してやる、この復興について国連が関与してやるんだということで国際社会は一致を見たわけでございます。  我々がなすべきことは、イラクが、これが立派な独立国家として今後中東地域の安定勢力になるように、そのために復興に対して支援をするということが大事なんだろうというふうに思っておるわけでございまして、そういうことを目標として今回の法案をお出ししたということを御理解いただきたいというように思っております。
  72. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は今申し上げましたことを結論的に繰り返すとともに、だからこの法案は廃案にしなくちゃならない、多数決で決めるなどということをやってはならない法案だということを再度強調して、質問を終わります。
  73. 広野ただし

    広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。  今、同僚吉岡議員から、非常に歴史に学ぶ大事なことを言われたと思います。自由党と共産党さんは原理原則も違うんですが、右回りしてきますと、あるいは左回りしてまいりますと、たまたま結論が一緒になるということが往々にありまして、そういう意味で、でも歴史に学ぶということは誠に大切なことだ、こう私は考えております。  ところで、総理官房長官も、海外に日本の自衛隊を、言わば実力行使部隊を派遣することの、このことについて、今まで積み上げ方式で来ているが、そろそろ基本法がと、こういうことをおっしゃっております。私どもは、元々、安全保障基本法というのをもう国会に提出をいたしておりまして、積み上げ方式ではやはりかえって間違いを犯すおそれがある、きちっとした原理原則、そういうものを定めて、そして個別法が必要であれば個別法、こういうことだと思うんですね。特に、特別措置法というこれはもう正に暫定的なことをやっていくわけですから、これは本当に間違いを犯すおそれがあると思っております。  ところで、基本法の問題なんですが、そこで官房長官に伺います。  そういう基本法の中で国連、やはり国際協調主義というのは日本の大事な考え方、これは国連憲章も正にそういうことだと思うんですね。国連の位置付けあるいは国際協調主義ということから、私は、やはり海外に自衛隊を派遣する、このときは国連の旗の下に、国連の要請に基づいて、ですから私たちは、国連平和協力隊というものを別途作って、それで国連に出す、こういう考え方を持っております。これが正に国連中心主義ということで、国連がやはり警察力を持つ、あるいは治安維持能力を持つ、場合によっては軍事力を行使する。  世界連邦というのはまだないわけですが、何らかのいろんな紛争なりそういうものが残念ながら起こるわけで、そういうときにどうやって平和を維持していくのかということについて、日本は無関心でおられるわけはないんですね。やはり平和を作ることについてきちっとした貢献をなさなければならないと、こう思うわけでありますが、この点の基本はどういうふうにお考えでしょうか。──いや、官房長官です。官房長官、政治家としてお考えを賜りたいと思います。
  74. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 国連中心主義というのは、これは我が国一つの標榜すべきテーマだというふうに思っております。  国連がすべての国際的な問題を、また利害関係を調整できる場面だということであるならば、それは国連中心主義ですべて国連判断に従うと、こういうふうな考え方もできるんだろうと思いますけれども、残念ながら今現在、今回のことでも分かるように、その利害関係の調整ができなかったということもございます。過去においてはソ連がございまして、拒否権を発動するという時代がありました。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  この十年、そういう意味においては、国連の安保理というものがかなりの調整を果たしてきたということはございましたけれども、必ずしもすべてが調整し切れるものでない。そういったときに、ではどういうようにするのかというところは今一番の悩みでもあるんだろうというように思います。  ですから、我が国としては、やはり国連の体制をしっかりさせるということは大事だろう。そのために、我が国としても、国連安保理に参加するとかいったような、安保理の常任メンバーになるとか、そういうことも大事だろうし、また国連の改組、合理化、そういったようなことにも口を挟んでいかなければいけない、そういう立場だろうというふうに思います。国連分担金も我が国は第二位だという、そういうことも考えてしっかりと対応すべきであるということで、政府としても国連に対するそういう注文は今までもさんざんしてまいりました。今後も、より強力にその方向を進めていきたいというように考えております。
  75. 広野ただし

    広野ただし君 正に大事なことをおっしゃっておりまして、現在の国連本当にまだ欠陥が一杯あるんだと思うんです。しかし、それなりのことをやってきた経緯もあります。実績も積み上がってきていると。ですから、国連を改組、またきちっとしたものにしていかないと、平和の維持はだれがやってくれるのかと。結局アメリカに頼らざるを得ないと、アメリカ中心主義になっていくわけですね。ですから、やはりそこのところは、欠陥はあるけれどもきちっと直していく、あるいは積み上げてきちっと強いものにしていくということが正に大切だと思うんですね。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕  そのときに問題になりますのは、国連に平和協力隊なりいろんなものを、協力、それで出していくにしても、結局集団安全保障の問題が出てくるわけですね。これの点について、憲法は、私たちはこれはできるんだと、こう思っておりますが、政府解釈は依然としてそれを変更しないと、こうおっしゃるわけですね。ここのところはどうされますか、官房長官、政治家としてお答えいただきたいと思います。
  76. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 政治家であるけれども官房長官でもございますので、官房長官答弁をいたしますけれども。  これは、もう委員のおっしゃるとおり、政府としては集団的自衛権というもの、これは行使しないということで来ておりまして、この解釈は現行憲法の下で変更する、そういうつもりはございません。
  77. 広野ただし

    広野ただし君 しかし、政府は、自然権として集団安全保障あるいは集団自衛権はあると、ただ行使しないんだと、こうおっしゃっているわけですよね。  私たちは、前文から考えて、国際協調主義ですね、また積極的に平和を作るという考え方のときに、やはりきちっと集団安全保障、これは行使できると。この憲法九条においても、自国の主権発動と言いますが、そこのところは禁止はされておりますよ、ですけれども、集団安全保障まではきちっと禁止しているということだとは思っておりません。国権の発動たる武力の行使、これは禁止はされておりますが、国連の旗の下にやることがなぜ禁止されるのか、ここが私、分からないんですね。これはもう是非、官房長官、政治家としてお答えいただきたいと思うんです。
  78. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは、私がお答えするよりは、委員の両隣にお座りの委員にお聞きいただいた方がいいのかもしれぬですけれども。  国連軍というものに参加すればということでありますけれども、どういう身分で参加するのかということもございますし、今、政府考え方というのは、そこまで踏み込んで自衛隊活動するということは許すという解釈をしていないんでありまして、それは、その考え方は今後も変わらないという、そういう立場でございます。
  79. 広野ただし

    広野ただし君 じゃ、だれが平和を維持し、平和を作るんですか。  官房長官、そこはどう思われますか。
  80. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 我が国も、平和を維持し、そしてまた平和を作るということについてできるんですよ。それは、ただ、戦争はしない、戦争には参加しないということでありまして、その前と後と、その段階においては今の法体系で十分できると、そういう意味において今回の法律もお願いをしているということでございますし、むしろ、日本としては、そういう分野で得意の能力を発揮するということも国際社会の中で求められているものだというように考えております。
  81. 広野ただし

    広野ただし君 ですから、私たちは、安全保障基本法案にも言っておりますのは、やはり海外に実力行使部隊を出すんですから、ここのところは極めて抑制的にやると。何でもどんどん行けと、時々、小泉さんは、私たちの法案を曲解されまして、どこでも行く、がんがん行くんですね、そういうのは国民世論から受けませんねと、こういうことをおっしゃいますが、何もそういうことを言っているんじゃないんですね。極めて抑制的にと、こう考えているわけですから、平和を作るために積極的に私たちは貢献をしなきゃならないと、こういうことだと思うんです。  いずれにしましても、基本というものを、原則というものを作っての、基本法案というものを作って、その中でやっていくということが私は非常に大切だと思うんです。  ところで、イランの核開発疑惑の問題とアサデガン石油開発の問題があります。このことについて、私も人一倍エネルギー問題については、日本は大変脆弱なところでありますから、自主開発原油というものもやっていかなきゃいけないと、こう思っておりますが、ところで、いろんな究極のことについてお聞きをしたいと思うんですね。  それで、イランが核兵器開発に、かなりやっていると、こういう証拠が示されたとき、これはアサデガンの協力はどうするんですか。外務大臣にお答えいただけますか。
  82. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 二つの問題があって、一つは、核の開発、これは疑惑であって、今、IAEAやほかの国が、国際社会が働き掛けているということであります。
  83. 広野ただし

    広野ただし君 いや、究極ですよ。究極の段階に行ったときの選択をお聞きしているんです。
  84. 川口順子

    国務大臣川口順子君) それから、そのアサデガンは、委員がおっしゃられたように、今交渉中の話であります。民間企業が交渉している話であります。  究極の話というふうにおっしゃられますけれども、これはこれ、こちらはこちらという問題なんですね。そして、それぞれが今動いている。ですから、アサデガンの油田の民間企業の交渉が終わった、それを政府判断でどうこうするという段階の話では今まだない。  で、そういう究極の場合を想定をして言う、ここで私がそれこそ無責任発言をするには、これはそれぞれが非常に日本にとって重大な問題である。我が国としては、それぞれをきちんと追及をし、あるいは働き掛けを行い、やるべき交渉は企業に交渉をしてもらうという、そういう段階であります。
  85. 広野ただし

    広野ただし君 核兵器というのは、正に大量破壊兵器の究極のものであります。ですからこそ、アメリカはそれがあるからということで、ある疑惑があるからということで戦争の大義にしたわけですね。  ところで、北朝鮮について伺います。  北朝鮮には核開発、石破長官、ちょっとお聞きいただけますか。核開発、八千本のウラン燃料を再処理をして、この間も同僚議員が言ってあったと思いますが、六個ぐらいの、あるいは再処理、第二の再処理施設ができているかもしれないと、こういう情報であります。そういうときに、太陽政策、協力政策だけではやはり話が進まないんでしょう。ですから、対話と圧力という形でやるわけですね。これは、やはり大量破壊兵器を持っているかもしれない、持つかもしれないという疑惑があるということのときは毅然とした態度でやるんでしょう。特に北朝鮮の場合は日本の正に近いところにあるわけですね。  ですから、大量破壊兵器の中で特に核の問題は、日本は物すごく、これ正に原爆を受けた、被害を受けた国でありますから、そこはきちんとした原理原則というのは持っているんだと思うんですね。その原則がない外交あるいは防衛というのは私はあり得ないと思うんですね。  ですから、その究極のところの話を、例えばイランの問題を言いますときには、これは核兵器が持っている疑惑が極めて濃厚となれば、これはやっぱり石油協力はやらないということだと思うんですよ。私は自主開発原油を人一倍やらなきゃいけないと思っていますよ。だけれども、大量破壊兵器を認めてまでやるのかと言われれば、それはやらないと。  ですから、インド、パキスタンの核開発の問題でも日本は極めて無原則なんですよ。あのときも結局、核開発をやると、これであれば経済協力をストップするということでしょう、やはり。これが、そういう原則がないところでやるからおかしなことになるんですよ。で、結局、一回止めたけれども、また経済協力再開しているでしょう。  あるいは中国に対しての考え方もそうですよ。これは核開発を持ち、軍事力を拡大をしているでしょう。そういう国に対して、なぜ経済協力を拡大していくのか、経済協力を止めないのかと、こういう問題だと思うんですよ。原則がしっかりしていないんですよ。  ですから、外交の原則ですとか防衛の原則というものをきちっとしていただきたいということを申し述べまして、終わらせていただきます。
  86. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田昌秀でございます。  まず最初に、官房長官にお伺いいたします。  政府は、これまでの国会における質疑において、自衛隊戦闘地域に派遣したり武力行使をさせるつもりはない、自衛隊を派遣するのはイラクの復興支援活動に当たらせるためだという趣旨のことを繰り返し述べておられます。だとすれば、イラク特措法の内容を非軍事、文民部門の復興支援だけに限定すべきではないかと思います。  改めて申し上げるまでもなく、イラク特措法案は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動という二つの性格の異なる内容から成り立っています。すなわち、一番目の人道復興支援活動というのは、イラク国民への食糧、医療品、経済復興支援などであります。二番目の安全確保支援活動というのは、端的に申しますと、自衛隊が米英占領軍を支援することだと思います。つまり、後方支援とはいえ、武装した自衛隊による明らかに軍事的支援にほかなりません。  第一の人道的支援につきましては、既に我が国のNGOや民間人などが行ってきているように、日本の過去の長年にわたる経験と実績を生かして、可能な限り貢献すべきだと思います。  ところが、二番目の米英占領軍に対する軍事支援につきましては、少なからず疑問があります。  イラク戦争を始めた米英占領軍を支援することが正当だというためには、まず米英軍の対イラク戦争それ自体が正当だという前提が必要になります。しかるに、米英両国において、対イラク戦争そのものの正当性については、その根拠となった大量破壊兵器が今もって発見されていないこともあって、大義が疑問視されています。しかも、開戦に至る過程で政府による情報操作がなされたとして米英両国の国会で追及され、調査が進められています。その上、世界の国際法学者たちはほぼ一致して米英軍に対する対イラク先制攻撃は国際法や国連憲章に違反すると批判しています。  この法案が成立すれば、これまでも同僚議員から何度も指摘されてきたように、戦後初めて自衛隊に正当防衛の名において武力行使をさせ、自衛隊員が生命の危険にさらされるだけでなく、他国の人々を殺傷する結果にもなりかねません。そのことは交戦権を禁じている憲法にも明らかに違反すると思われます。したがって、正当性を欠く米英占領軍を支援するため政府がなし崩し的にかつてないほど大規模な自衛隊の海外派兵をなすことには国民の過半数が反対しています。  政府イラクの復興支援のために自衛隊を派遣するとおっしゃるのであれば、すべからくイラク特措法案は人道支援だけに限定するか、さもなければ全面的に廃案にすべきだと思います。この点について、官房長官から御認識をお聞かせください。
  87. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今回、この法律でもってイラクを支援していこうということについては、これは委員御指摘のとおり、人道復興支援とそれから安全確保支援活動、こういう二種類、御指摘になられました。そのとおりでございまして、これはそもそも安保理決議一四八三、これはイラク国民に対して医療その他人道上の支援やイラクの復興支援を行うということ、そしてまたもう一つイラクの国内における安全及び安定を回復させるために貢献をする、こういうことを国連が要請をしている、国連加盟国に要請をしている、こういうことによって我が国活動しよう、こういうことでございます。  人道復興支援、これは申し上げませんけれども、この安全確保支援活動、これについては、具体的な内容、これは医療、輸送、保管、通信、建設、修理若しくは整備、補給又は消毒といったような業務、こういうものを想定をいたしております。  それで、米軍が行う掃討作戦を応援するんではないかと、こういうことをおっしゃいましたけれども、この米軍などが行う掃討作戦に対して我が国が支援することができるか否か。このことにつきましては、この作戦に基づく個々の具体的活動イラクの国内における安全及び安定を回復するその活動に該当するか否かということに掛かっているわけでございます。その内容、範囲、対象、目的などにつきましては、この当該活動を行います国から説明を受けた上で、我が国として主体的に判断し、そして関連安保理決議を踏まえてこのような活動を支援するための措置を行うことを決定していく、こういうことになっておりますので、委員の御懸念されることはこの法律どおり行えば問題は生じないと、このように考えております。
  88. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今おっしゃった輸送の中に武器弾薬の輸送が入りますか。
  89. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 武器弾薬の輸送はこれは排除されておりません。ただ、その武器弾薬の輸送が、これが主たる目的になるということはあり得ないと思っております。
  90. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 次に、外務大臣にお伺いいたします。  前回の本委員会で事前協議制についてお伺いしたわけですが、まだ納得できませんので、いま一度確認させてください。  事前協議制が設けられた背景について、外務省の海老原北米局長は、米軍に全く自由に施設・区域を使用させるということではなく、日本側も一定のコントロールを施すという考え方があったと説明されました。  この点と関連して、若干古い話になりますが、一九七二年当時の外務大臣福田外務大臣は、安保条約の運用で我が国が逆に戦争に巻き込まれる、我が国の国益を害するというようなことになってはならないようにするための歯止めであるということをおっしゃっておられるわけですね。  川口外務大臣は、これまでの本委員会で、事前協議制に基づく協議は一度もなされていないと答弁されていますが、この福田大臣の、事前協議制は我が国が戦争に巻き込まれないための歯止めであるという、そういうお考えについてはどのように認識しておられますか。
  91. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 事前協議制をめぐって、いろいろな歴史といいますか、いろいろな方の発言があったと思いますけれども、事前協議が行われなかった、これは事実であるわけでございまして、事前協議が行われる場合というのが、これは六条の実施に関する交換公文できちんと決まっているわけですね。それは三つあって、配置における重要な変更、そして装備における重要な変更、それから日本国から行われる戦闘作戦行動と、三つ決まっているわけです。  そして、こういうことに、今おっしゃっていらっしゃる場合は、日本国から行われる戦闘作戦行動ということをおっしゃっていらっしゃるのだろうと思いますけれども、いずれにしても、そういう場合にこれは事前協議の対象になるわけでございまして、そういう必要があれば、これは米軍が、米側から事前協議をしてくるということだと私は理解をいたしております。
  92. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この規定に事前協議が適用されない事例というのが示されていますか。
  93. 川口順子

    国務大臣川口順子君) どういう場合にされないかという書かれ方ではなくて、どういう場合に事前協議がなされるかということについて決まっている交換公文であります。
  94. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いえ、事前協議制度が適用されなくてもいいというような例外規定みたいなのがございますか。
  95. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ですから、申し上げましたように、そういうことではなくて、どういう場合に事前協議が行われるかということが書かれているということです。
  96. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これはちょっと疑問がございますので、是非お調べいただきたいと思います。たしか国連関連とか、そういうのは協議の対象にならないということが規定されていると思います。  そこで、いま一度若干関連してお伺いしますが、さきの北米局長答弁では、日本から行われる戦闘作戦行動とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動であって、直接戦闘に従事するというような形で飛び立っているということではなく、現地に移動した上で戦闘作戦行動に参加したと推察される、つまり部隊間の移動のようなケースは事前協議の対象とならないということを言っておられるわけです。  しかし、先ほども引用しました一九七二年当時の福田外務大臣は、日本からの戦闘作戦行動であるかどうかは、日本から出動するときに作戦行動命令を受けているかどうかであると答弁なさっています。さらに、作戦行動命令を受けていなくても、完全武装をして戦闘地域に向かった場合、つまり実態として戦闘の態勢を取って戦闘に参加するための出撃であれば事前協議の対象となるとおっしゃっています。  このような考え方は、現在変わってきたんですか。
  97. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほどおっしゃった昭和四十七年、七二年の戦闘作戦行動に関する政府統一の見解というのはございますが、それはおっしゃったような、まず、ことで、  「日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」にいう「戦闘作戦行動」とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであり、したがって、米軍がわが国の施設・区域から発進する際の任務・態様がかかる行動のための施設・区域の使用に該当する場合には、米国はわが国と事前協議を行う義務を有する。   わが国の施設・区域を発進基地として使用するような戦闘作戦行動の典型的なものとして考えられるのは、航空部隊による爆撃、空挺部隊の戦場への降下、地上部隊の上陸作戦等であるが、このような典型的なもの以外の行動については、個々の行動の任務・態様の具体的内容を考慮して判断するよりほかない。 ということを書かれているわけでございます。  考え方については、その後、変更をしているということはございません。
  98. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前回の事前協議についての私の質問に対して、北米局長は、事前協議制は国際公約であって、義務違反を前提にこちらから米国に問い合わせをする考えはないというふうにおっしゃいました。  しかし、福田、一九七二年当時の福田外務大臣は、我が国が戦争に巻き込まれないため、念には念を入れ、事前協議制度の運用には注意していると述べておられます。  つまり、事前協議制が空洞化しないように努めなければならないというわけでございますが、改めてそこでお伺いしたいのは、在沖米嘉手納基地報道部は、つい最近のことですが、同基地の第十八航空団からF15戦闘部隊とともに最大八百人規模の兵員が中東地域に派遣されていることを明らかにしておりますが、地元の新聞は、これによって嘉手納基地のF15戦闘部隊もイラク攻撃に参加する可能性が高まったということを報じていて、また実際に参加したパイロットが、自分たちはイラク戦争に参加したということを認めているわけですね。  それから、ワシントン・ポスト紙の報道によりますと、イラク戦争の直前に日本近海を遊よくしていた、横須賀を母港としている空母キティーホークと、搭載の第五空母航空団、陸軍第百一空挺隊に対し、ラムズフェルド国防長官が三月六日、湾岸地域への出動を命じたと米軍当局者が語ったというふうに報じております。  このようなケースは日米安保条約第六条にかかわる事前協議制の対象になると思いますが、この点については事前協議の申入れがあったんですか。それとも、我が方から主体的にこれは疑問があるということで協議を申し入れたことはございますか。
  99. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 事前協議はございませんでした。  それから、こちらから申し入れるという御質問ですけれども、これは、事前協議というのは、先ほど申し上げました日米安保条約第六条の実施に関する交換公文に基づいて米側から申入れをなされるべきものであるということでございます。我が国に対して事前協議の申入れがない以上、我が国の施設・区域からの戦闘作戦行動が行われたことはあり得ないというふうに考えております。  いずれにしても、「日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」にいう、そこで言われている戦闘作戦行動というのは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであるということで、米軍の運用上の都合によって米軍の部隊等を我が国から他の地域に、都合で米軍の部隊などを我が国から他の地域に持っていくということは、これは戦闘作戦行動には含まれていないということであります。この解釈はずっと一致していると思います。
  100. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もう時間がないのでやめますけれども、最後に一言お願いしておきたいことは、どうも外務大臣のお話を聞いていますと、沖縄のように基地を抱えていて、そこから実際に戦闘機がイラク戦争に参加するような問題について、他人事みたいに考えておられるように思うんですよね。基地の中でどういう苦しい生活をしているかという人たちのことについて、もう少し人間的な配慮ができる、そして政府責任としてきちっと考えていただくようにお願いしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  101. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後五時二十九分開会
  102. 松村龍二

    委員長松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 山本一太

    山本一太君 イラク支援新法は、衆議院、参議院両院におきましてかなり濃密な審議が行われてまいりました。例えば、派遣される、イラクに派遣される自衛隊員の武器使用基準の問題をどうしようかとか、あるいは戦闘地域と非戦闘地域の線引きをどうするかとか、そうした細かい法律の様々なポイントについてはもう既に議論し尽くされたと、そういう感を持っておりますので、今日は取りまとめの議論ということで、総理をお迎えしての、十五分しかありませんので細かいことはお聞きするつもりはございません。少し大きなアングルから、原点に返って二、三問、総理のお言葉をお聞きできればと思っています。  まず第一に、今回の小泉内閣の米英のイラク攻撃に対する支持、この決断を当然ですけれども私は支持をしております。苦渋の決断ではありましたけれども、日本の国益を考えれば私は正しい選択だったということを当然信じております。またさらに、イラクの復興について、日本が国際社会責任ある一員として貢献をするその枠組みを作ると、今回の法律をこの国会に出されたことについても、これも日本の国益を考えたら適切な判断だったというふうに思います。総理は、この衆参両院で、イラクになぜ自衛隊を送るこの枠組みを作らなければいけないのかということについて、もう何回も御答弁をされているわけですが、総理の過去の御答弁をずっと昨日読ませていただきましたけれども、国益という言葉が随所に出てまいります。  何度も同じ質問で恐縮ですが、取りまとめということですから、改めて総理にお聞きしたいと思います。  なぜ今、イラクに日本の自衛隊を送る、そのための枠組みを作るのが日本の国益なのか、そして、なぜ自衛隊でなければいけないのかということについて御質問をさせていただきたいと思います。
  104. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) かねがね言っておりますが、日本の基本的な外交方針は、日米同盟を重視していくことと国際協調を重視していく、これを両立させることだと私は思っております。今回のイラク支援法案におきましても、これは私は両立していかなきゃならないという今までの方針を実施に移すための法案であると思っております。  戦後一貫してきたこの方針を、具体的な形で、それぞれの国際情勢の変化に合わせて、この方針を今までも日本は誠実に守ってきたと思います。これからもこの方針は、日本の平和と繁栄を築いていくべき重要な外交の基本方針だと思っております。そういう観点から、私は今回のイラク戦争に対する米英の方針を支持いたしました。  そして、確かに、安保理におきましてはイラクに対する対応が全会一致ではありませんでした。各国で意見の相違がございました。しかし、主要な戦闘が終わった段階におきましては、これは見事に国際協調体制が築かれております。かねがね、開戦前から、そして開戦後も、日本としては、アメリカに対しても、あるいは各国に対して、イラクに対する対応はアメリカイラク、フランス対イラクの問題じゃない、国際社会がどうやってイラクに立ち向かうかという問題だと。主要な戦闘が終わった段階で、心配されておりました国際社会の対立が解消され、全会一致でイラクの人道復興支援について安保理決議が採択されました。  こういう観点から、日本もイラクに対する戦争、これには参加しない、しかし、戦争が終われば、イラクの復興支援のために、国づくりのために、日本としては、日本の国力にふさわしい役割を果たさなければならないと言明しておりましたし、今もその考えには変わりありません。  そういう観点から私は、今回、自衛隊が派遣される際には、これは非戦闘地域だ、戦闘行為には参加しない、イラク人のイラク人によるイラク人のための政府の早期立ち上げに今国際社会が努力しておりますし、日本としてもそれを支援し、そしてイラクの国づくりに日本としても、文民も、政府職員も、そして自衛隊も、できることがあれば大いにその役割を果たすべきだという観点から今回の法案を提出し、成立のために努力しているわけであります。  これから自衛隊でなくてもできる分野には日本国民も働いていただく、また自衛隊の方がより有効に活躍できる場があれば自衛隊の諸君にも行ってもらう、こういう趣旨でありますので、この方針に沿って、この法案の趣旨に沿って、日本にふさわしいイラクの国づくりの支援は何かという観点から、自衛隊であれ、民間人であれ、政府職員であれ、いろいろ考えていかなきゃならないと思っております。
  105. 山本一太

    山本一太君 大変分かりやすい御説明いただきまして、ありがとうございました。  今回のイラク支援新法の議論を通じて、日本の安全保障政策の抱える問題点とか、あるいは将来の課題というものも改めて浮き彫りになったのではないかと、そういうふうに感じているわけなんですが、将来は日本のこうした国際貢献を担保するための恒久法を検討すべきではないかということについては官房長官などからもかなり前向きな御答弁があったような記憶がございますけれども、恒久法を議論するときに、このイラク支援新法でいろいろと浮き彫りになった問題点についても議論するべきだというのは、この参議院の外交防衛委員会でも何人かの同僚議員の方から指摘をされたことでございます。  総理にもう一点お伺いしたいことなんですが、恒久法をこれから作っていくということになると幾つか課題が出てくるというふうに私は感じております。  一つは、恒久法を作ったときに、どういうきっかけで、どういう契機で、どういう状況判断自衛隊を送るかということだと思います。英語で言うと、よくその安保理決議のときに出てきたトリガー、引き金ということになると思うんですけれども、それは、例えば現行のPKO法でいけばPKOが立っていないところには派遣できないということになりまして、果たしてそういう狭い定義でいいのかなという気もいたしますし、先ほど総理が、イラク攻撃の際には、攻撃の際には安保理決議全会一致というのはなかったというお話がありましたけれども、何でもかんでも国連信仰で、国連安保理決議があればいいのかと、こういったことも問題になってくるのではないかという気がしております。  この何がトリガーになるのかということに加えて、もう一つ問題になることについて総理にお聞きしたいと思います。  二つ目の問題は、自衛隊をそれでは恒久法で外に派遣をした、そのときに自衛隊活動憲法との関係がどうなるかということだと思います。  集団的自衛権の問題、そして武力行使一体化論という、諸外国では一度も聞いたことのないようなこの不思議な理論がまた目の前にぶら下がってくることになると思うんですが、集団的自衛権の問題については総理も何度か御発言をされて、小泉内閣で解釈を変更するつもりはない、しかし将来に向けて議論するということはいいことではないかというふうにおっしゃっていますが、その姿勢に今も変わりがないかどうか、これについてはいかがでしょうか。
  106. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず後の質問でありますが、集団的自衛権、私は集団的自衛権を認めるんだったらば憲法は改正した方がいいと思っております。憲法を改正しないで集団自衛権、これまで積み重ねてきた政府解釈を変えるということは小泉内閣ではするつもりありません、これがまず。  それと、恒久法の問題、いろんな議論が与党からも野党からも出ております。今後、十分時間を掛けて議論しなきゃならない問題だと思いますが、これも国連決議があれば武力行使に参加してもいいじゃないかという議論もありますが、私は、恒久法を考える場合、じっくり時間を掛けていろんな意見を聞きますが、恒久法の場合でも、国連の決議があっても、日本は武力行使に参加すべしという議論がありますが、そこまでは私は難しいのではないかと思っております、この段階でですね。  こうなりますと、当然憲法の改正論議に踏み込んできます。だから、これからの、今後の恒久法をめぐる議論の中で、じゃ、現行憲法のままで恒久法を制定するのか、いろいろ議論の末にやはり憲法を改正すべしという議論も出てくると思います。そういう状況をよく見極めて、恒久法を議論する場合には、理念の問題、現行憲法の問題、それから国連決議の問題、集団的自衛権の問題、いろんな議論が出てきますから、そういう議論を積み重ねて判断すればいい問題ではないかと思います。
  107. 山本一太

    山本一太君 今の総理の御答弁だと、そうすると、小泉総理としては集団的自衛権の解釈変更ということではなくて、この問題を根本的に解決するためにやはり憲法改正という王道から行くべきだと、こういうことでございますか。
  108. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、恒久法の問題は、現行憲法の中で議論していこうという問題だと思っています。その中の議論ではいろいろ憲法改正論議も出てくるということは否定しないということでありますが、集団的自衛権を、集団的自衛権の行使を認めろということだったらば、私は現行憲法を改正すべきだということを言っております。
  109. 山本一太

    山本一太君 分かりました。  時間がなくなってきましたので、あと一問だけお聞きしたいと思います。  最近、私は二つの、二冊の本を読みました。両方ともアメリカのいわゆるネオコンに関しての本なんですが、一つは、総理もお読みになったかもしれませんが、ロバート・ケーガンの「ネオコンの論理」という、このロバート・ケーガンというのはネオコンの旗手と呼ばれていまして、正にこのネオコンの理論の、何か体現しているような有識者なんですけれども。もう一つは、フォーリン・アフェアーズという世界的な外交政策の雑誌の、このフォーリン・アフェアーズ・ジャパンが出した「ネオコンとアメリカ帝国の幻想」という本なんです。  ケーガンの方は、これはもちろんネオコンの主唱者みたいな人なんですけれども、アメリカとヨーロッパの関係について、アメリカは西部開拓時代でいうと保安官みたいなものだと、ヨーロッパは酒場の経営者だということで、ならず者が入ってくると、ならず者をやっつけるのは保安官で、ならず者がねらうのも保安官だと。ただし、酒場の経営者のヨーロッパからすると、余り保安官が厳しいと、かえって何もしないならず者よりも警戒感を持たれる場合もあるなんて書いてあります。  また、こちらの「ネオコンとアメリカ帝国の幻想」の中では、ある有識者が、やはりブッシュ政権の単独行動主義とかあるいは安保理崩壊の危機について警鐘を鳴らしているわけなんですが、総理がこれまでいろいろとイラクの問題等々について御判断されてきた中には、やはり日米同盟というものがあったと思うんです。  これからの国際社会の大きな課題は、このガリバーといいますか、唯一の超大国として改めて出現したアメリカとどう付き合っていくかということだと思うんですけれども、総理の目から見ると、アメリカはガリバーなのかシェリフなのか、それとも如意棒と筋斗雲、世界最大の軍事力と経済力を持った三蔵法師のいない世界の孫悟空なのか、日本はどういう距離感を持ってアメリカと付き合っていけばいいのか、そのことについて御答弁を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までアメリカ一国がこれほど政治的にも軍事的にも経済的にも強い国になったことはないと思います。正に世界最強の国家であります。そのアメリカとどう協調していくか、協力していくか、これは日本の国の平和と繁栄にとって最も重要な課題だと思っております。  私は、世の中、反米論が横行しておりますが、反米主義者の中でもアメリカ国際社会から孤立させちゃいけないと思っている人はかなり多いと思っています。いかにアメリカに世界の安全保障に関与してもらうか、そういう前提で、余りアメリカが強大になってほしくないという考えを持っている人はかなりいると。  中東和平しかりであります。中東和平だってアメリカの関与がなかしむればなかなか実現不可能だと思っております。今回のアフガンにしてもイラクにしても、じゃここでアメリカが手を引いたらどうなるのか。これはまた新たな混乱の種になり得るわけであります。  アメリカ好き嫌いを別にして、アメリカの協力なしに世界のいろいろな課題というものはなかなか解決しにくい状況である。そういう観点から、私は、日米協力、日米同盟は大事でありますが、今後、世界の中の日米同盟という視点が非常に重要ではないかと。今の日本の行き方というのは、アメリカに協力するとアメリカに追随するという批判が出ますが、そうじゃないと。アメリカと協力することは、今までも、過去も現在も将来も、日本の繁栄にとって非常に重要な課題であると。  どう付き合っていくか。それはまずお互いの信頼感を醸成していくこと、信頼感を醸成して初めて対等の立場で率直な対話と協議ができる。そういうふうに思いますので、そのとおり、私は日本の外交方針を実施していきたいと思います。
  111. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  終わります。
  112. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私は、この人類の歴史に残るであろうようなイラク問題につきまして、こういう席で小泉総理の御意見を承ることができると、こんな感激の場面はないと、こういうふうに思っておりますので、どうかお心のこもった御答弁を賜らば、これまた感動感激に尽きるものはないと、こう思っております。本心からですよ。  まずもって、この戦争、目的は何だと。たった一つイラクが保有していると言われていた、言われている大量破壊兵器を発見すること。これがイラクが持っていたのでは、人類の平和に大変危険である、こういう判断が働いて、アメリカ、イギリスがイラクに侵攻したと。その前には、国連が中心になりましてイラク査察団を派遣して、慎重にかつ綿密な調査を行っていたが、なぜかその調査団の退去を要求しまして、そしてアメリカ、イギリスが侵攻したと。これ、だれが考えましても、軍事力に訴えて、血が流れても仕方がない、それよりも大量破壊兵器の摘発が大切なんだと、こういう判断があって侵攻したと、こう思うわけであります。  そして、軍隊を使うということになりますと、そんじょそこらの問題ではないわけで、大量破壊兵器、どんな兵器が、どこに、どれぐらい、どんな方法で隠匿してあるのかと、それぐらいの、大ざっぱではなくてかなり綿密な、我々の言葉で言うと蓋然性の極めて高い判断があって、そして侵攻をしたと、こう思うのは当然なことであります。あそこにあれとあれとがある、あそこにあれがある。まあ何となく行ってみればあるんじゃないか、見付かるんじゃないかと、そんないい加減な気持ちで侵攻したものでないことだけは私、絶対間違いないことだと、こういうふうに考えておったのですが、戦争が始まって終結をして今数か月間、全くそれが発見されていない。一体何、どうしたんだろうかと。  御承知のとおり、アメリカ情報機関というのは大変に能力が優れておる、かつ人数も多い。十二万人、情報局、CIA、FBIその他で十二万人もいると。それから金もふんだんにあると。そして、アメリカ情報機関の情報の集め方の第一は、金を使って相手の組織に潜り込んでスパイを養成してそこから情報を収集してくると、こういうことですから、日本の情報機関などとはもう全然質も違うわけですよ。その情報機関が本当に、何か書類を捏造したとかいろいろ言われておりますけれどもそういうことは別にして、真剣に調査をして、これだけのもの、証拠が集まったと。それによってアメリカ、イギリスが戦争を始めて、そして今まで数か月掛かって一体どうなったのかというと、何もこれ発見されていない。一体どうしたことなんだろうかと。まあそのうち頑張れば何か見付かるんじゃないかと、そんないい加減な問題ではないと私は思っているわけです。  一体これは、アメリカのブッシュ大統領とも小泉総理は会見しております、戦争さなか、あるいは終わってからもですね。その際に、日本国を代表するリーダーとして当然こういう疑問をぶつけたと思います。これは反米だからとか親米だとか、そんなことはないんでありまして、だれだって世界じゅうのみんなが疑問に思っていることですから、当然日本国のリーダーである小泉総理、私だって親米と言われれば親米なんですけれども、やっぱり疑問点はアメリカの友人たちにぶつけて、どう考えるんだと、こういうことを問いただしております。そんなことはブッシュに聞いてくれと、彼らの返事なんですけれどもね。  いずれにいたしましても、小泉総理、当然のこととして、ブッシュ大統領にそういう疑問を投げ付けて、なぜ今まで発見されないんでしょうか、どんな問題があるんでしょうかと当然お尋ねしていると思います。それに対するブッシュ大統領の答えはどういうことでありましょうか。
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、大量破壊兵器があるかどうかという質問に対しては、ブッシュ大統領は自信を持って言えると、あると、いずれ見付かるという返事をしております。  そして、今最初の御質問はそうだったじゃないですか。ほかに……。
  114. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 あと、あれ、当然うなずいておられたんで聞いているんだと思っておりましたけれども、なぜ今まで発見されていないのか、どんな探索方法をやっているのか、要するに世間の人が聞くような質問を向こうの責任者にぶつけると。日本国のリーダーでありまするから、我々の考えていることを代表して、一体どうなんでしょうかとお聞きになったでしょうと、その答えはどうでしたと、こういうことです。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今お答えしたとおり、ブッシュ大統領はいずれ見付かるだろうと、捜索をしているということでありますが、私どもがこのイラクアメリカの対応を支持した根拠は国連安保理決議であります。  そして、かつてイラク大量破壊兵器を保有し、クウェートを侵略し、そして自国民に対しても化学兵器を使用したと。度重なる査察団捜索といいますか、調査に対して誠実に対応してこなかった。そしてなおかつ、最後の機会を与えるということに対してもはっきりとした対応を示さないということから、イラク大量破壊兵器を持っているという疑惑国連安保理でも一致した見方だったわけであります。  そういう中で対応が分かれたというのは、もう少し時間を与えるべきだという議論と、もう最後の機会、相変わらず不誠実な対応に付き合っていても、これは限度があるという意見の対立だったと思います。  私は、日本独自でどこに、イラク大量破壊兵器があるかどうかという、そういう能力は日本にもありませんし、そういう点につきましては、私どもの判断というのは国連安保理の決議に沿ったものであると。
  116. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私は、アメリカとイギリスが軍隊を派遣するとイラク人民の何十人、何百人、何千人が死ぬかもしらぬ、自分の軍隊の中からも血を流して倒れる兵士も出るだろうと。それでも、これだけの確信があるから、世界平和実現のためにイラク軍隊を進めて、それを、大量破壊兵器を摘発せねばならぬ、その自信は大いにある、何しろこれだけの証拠挙がっているからと、そういうことで一国のリーダーというのはああいう軍隊を進めるわけで、何となく、ですから、あそこにあるだろう、行ってみれば分かるだろう、ないときは、ないときは後で考えようとか、そんないい加減なことは軍隊派遣の理由にも何にもならないわけで、それはまさしくもう戦争犯罪だと言われても仕方がないと思うんです。  そういう議論は当然日本国のリーダーである小泉首相とブッシュ大統領の間で闘わされたと思うんですよ。そういうふうな火を吐くような議論、これが親米だとか反米だとかそういうことじゃないんです。アメリカ人というのは案外そういう議論が好きなんですよ。あっ、なるほどと言って、本当にむきになって議論の相手をしてくれる。その中からお互いに理解し、更に理解し合っていくと。何かちょっと聞いたら、うん、ちょっとやったよという程度の話のようにしか聞こえないんですけれども、そんな程度のことで会話は終わったんでしょうか。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは省略して私は言ったんであって、事細かに内容まで話すというのは、相手があることでありますから省略したわけであって、今結論を申し上げたわけであります。  そして同時に、このアメリカの対応につきましても、日本としては国際協調体制を築くべきだと。アメリカは当初一四四一も要らないという態度でしたね。しかし、一四四一決議、これはやっぱり国際協調体制築くべく大変努力されたと思います。そういう点は、日本は国際協調体制を築く重要性も指摘しましたし、日本の、アメリカの対応を支持したのは、根拠は、この累次にわたる国連の決議にあるわけであります。
  118. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 アメリカ立場を支持したにはそれなりの根拠があると。アメリカは詳しい説明をしたんでありましょうか。それをなぜ国民の前に、まあ場合によっちゃ秘密に該当するようなところは伏せまして、そしてアメリカもこれだけ真剣に誠意を持って事に当たっていると、日本の皆さんよといって話をするのが私、この国のリーダーとしての責任だと思うんですけれども、何か相手があるから言えませんよと、そんな程度で終わるんでしょうか、これは。大変問題だなと、こういう感じがしております。  それから、もうイラクに侵攻して何か月もたって、何の成果も収めていないと。侵攻した理由はもう消えているんじゃないでしょうか。ここまで来たら、私、もう撤退すべきだと思うんですよ。こういう目的でこうやって入ってきたけれども、本当に申し訳ないけれども、何も発見されていないと、我々のやり方が間違ったのかどうなのか知らぬけれども、もうここにとどまっている理由はないと言って撤退すべきだと思うんですよ。その後はどうなる。それは国連にまた任せて、イラクの復興とかそういうことをやるべきなんでしょう。  先日の党首討論で、民主党の菅代表との間で、新渡戸稲造の問題の、名前を出しておられたと思うんですけれどもね、新渡戸稲造。彼はアメリカに留学している明治の初年に「武士道」という、そういう指導者責任、日本人、日本の武士というものがどんなに責任を重んじて行動しているかということも書いて、それがアメリカ指導者に大変な感銘を与えたと。武士というのは、本当に目的を達することができないときは腹をかっぽじいて罪を認めて、そして謝罪をしたと。それぐらいの問題であってもいいと思うんですよ。もちろん職を辞するのも当然ですけれどもね。  これだけ世間を、世界を騒がして、まあしようがないな、見付からなかったなと。ただ、イラクの連中が困っているみたいだから我々面倒見てやっているんだよと、こんな感じにしか受け取れないわけなんですよ。それについて自衛隊を派遣して手伝わせると。新渡戸稲造の精神が一体どんなふうになっていこうとするか。日本にもはや武士というのはいませんからね、まあ仕方がないといえば仕方がない。しかし、いずれにしろもっと責任のある行動をアメリカ指導者も取るべきであって、それに対してまたきちっとした申入れをする、それが本当意味での親米だと私は思うんですよ、言うべきことを言ってやると。向こうも分かりましたと、私、責任を感じて辞職しましょうとか、そういうことになることもあるんでしょう。  いずれにしろ、最終的には、もう一度伺いますけれども、あと何か月ぐらい待てば、これ、大量破壊兵器が発見されるんでしょうかと。それぐらいのことは当然お聞きになっているでしょう。それに対して、まあ五年ぐらい、いやいや十年ぐらい待ってくれやと、そういう返事だったんでしょうか。それとも、まああと近々ですよと、二、三か月もあれば大量破壊兵器が発見されますからお待ちくださいと、こういうことだったのか。どうなんでしょうか。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今、アメリカは手を引けということには賛成できません。今、イラク人の、イラク人のための政府づくりに米英始め当局が努力されている。フセインが打倒されて歓迎している国民もたくさんいると。報道等では反米感情強く出されておりますが、実際におきましては、フセイン政権が打倒されて歓迎されているイラク国民もたくさんいるわけであります。そして、自分たちの、イラク人のための政府を早くつくろうと努力している。暫定行政機構もそうであります。そして、イラクに自由な民主主義政府を構築しようという、そこで米英等が今各国協力しながら努力している。ここで、まだわずか数か月しかたっていないのに、こういう混乱が起こっているから引き揚げろと、私はこれは無責任だと思います。  そういう意味において、私は、こういう厳しい状況にもかかわらずイラクイラク人のための政府づくりに励んでいる諸君、そしてイラクの復興支援に尽くそうとしている人々に対しては敬意を表しております。  日本としても、今、いつになったら大量破壊兵器が発見されるか、これは私は分かりません。しかし、いずれ発見されるだろうと私は思っております。このイラク人のためのイラクの復興支援、イラクに民主主義体制をつくろうという努力に対して日本としてもそれなりの貢献をしていきたいと思っております。
  120. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 もう回答は結構ですけれども、一言だけ言わさせてください。  冒頭に申し上げましたけれども、こういう質問に対して、本当に心のこもった、役人答弁でないような政治家の本当答弁を私期待していたんですけれども、残念としか言いようがございません。またの機会に譲りたいと思います。
  121. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほど衆議院で小泉内閣不信任案の提案を我が党の菅直人代表が述べておりました。全文を改めて申し上げるつもりはありませんが、先ほど、山本一太議員の日米関係ということがいろいろやり取りがございましたが、たしか私の記憶では、和して同せずという表現を使ったなと。御記憶であるかどうか、いや、もう忘れたと、そんなに記憶ないということなのか、もし記憶にあればどういうふうに受け止められたのか、一言伺いたいと思います。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 和して同ぜず、論語。私もよく使う言葉です。よく聞いておりましたよ。和して同ぜず、いい言葉だと思いますよ。
  123. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこの議論するつもりじゃありませんので、どう総理が、日米関係ということありましたので、そういう、私自身も時間があればそれなりにやり取りをしたいと思いますが、所感をお伺いいたしました。  端的に幾つかお伺いいたします。  イラクへの米英軍の武力行使、今、占領軍ということですが、この武力行使への支持、小泉内閣総理大臣として支持をしました。今なおもその判断というのは間違っていないというふうに思っていますか。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 正しかったと思っております。
  125. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 我が国のいわゆる国是、考え方として、憲法のすべての、前文の、条文を私は披瀝するつもりはございませんが、武力をもって戦争の解決手段としないと、武力をもって紛争の解決手段としない我が国の態度として、そういうのは私たち自身が世界観として持ってきているし、これからも持ち続けなきゃならないというふうに思われるんですけれども、こういった立場でも誤っていないというふうに思われますか。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法九条、確かに国際紛争を解決する手段として武力による威嚇、武力の行使は放棄するとしておりますが、これは日本国の憲法でありますし、日本は武力の行使はいたしません。と同時に、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思う、国連の中で日本としてどのような役割を果たすべきかと、いわゆる国際協調体制。そういう中で、今回のイラクの対応につきまして、私は、数々の国連の中における議論、決議等を踏まえて米英の対応を支持したわけであって、憲法に抵触するものとは思っておりません。
  127. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、戦後様々な我が国の歩みがあったと思いますが、そういった小泉総理の、一方で言葉として世界観は認めつつも、一方、現実にあるこの武力行使に至るその要因、原因、理由、いろいろ、今、大量破壊兵器の点についても佐藤道夫議員は一貫してそのことを追及をしておりますが、我が国の国是として、我が国は世界に対するスタンスとして、武力を紛争の解決の手段としない国としてのメッセージはずっと一貫してあるべきだと思うんですね、他国がどうあろうが。それが日本の総理大臣のメッセージじゃないんですか。いかがですか。
  128. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だからこそ私は、戦闘行為には参加しない、日本としては。日本憲法をわきまえて、日本ができること、できないこと、これについてはよく憲法に合致するように今までも判断してきたと思います。それはPKO活動についても、自衛隊に海外派遣するということ自体、これは憲法に抵触するという議論もありましたけれども、だんだんそういう議論も私は薄れてきたと思います。  憲法の条文に照らして、国際紛争を解決する手段として武力の行使は認めない、武力行使を放棄すると、日本としてはそうでありますが、外国は日本と同じような憲法ではありません。外国もそれぞれの国の事情があると思います。そういう中で、日本はその時々の国際情勢によって、日本としてどういう態度を表明していくかと。ある場合によっては、外国の立場も、国際紛争を解決する手段としてやむを得ず武力を行使するという場合に、支持しても私は憲法違反にはならないと思っております。
  129. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 重大な今回の法案の、私は小泉総理の今の答弁というのは、提案自体もそうなっているんですけれども、我が国が歩んできた道と大きく逸脱をする私は今回のメッセージであり態度だと思うんですね。  過日、インド政府の例を出させていただきました、インド政府の対応について。私は、インド政府というのは私は学ぶべきだろうと、今回の、というふうに思っていますから、あえて指摘をさせていただきました。  大量破壊兵器の緊急の話がありました。それでは、ブッシュ大統領の言葉をずっと信じているんでしょうけれども、この前、ブレア首相ともそういう話をしたのかも分かりませんが、仮に大量破壊兵器が幾ら幾ら捜索しても出てこなかった、ああ、出てこなかった、その時点に至って、小泉総理としては、ああ、やっぱり支持、考えの後悔をするのか。後悔をするのか、後悔をしないのか、どういうふうに今思われますか。
  130. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、いずれ見付かると思っていますから、見付かると思っていますから、今、ないと断定できないと思いますね。私、日本政府判断は正しかったと思っております。
  131. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 武力を紛争の解決の手段としないということを私どもは、ちょうど私が生まれた年ですから、一九四五年、昭和二十年ですから、ちょうど五十八年たちますけれども、いわゆる第二次世界大戦に終止符を打たれた年ですけれども、我が国も、広島、長崎の二つの原子爆弾だけでなく、全国、地方都市や大都市に様々な空襲を受けたり爆弾を投下されまして、尊い人命を失いました。  私は、今度の大量破壊兵器とかフセイン政権打倒、いろいろ、国連の機能は失ったんだというブッシュさんの演説というのは随分乱暴だなと思いましたけれども、こういった国際紛争を私どもは我が国の体験の中で、今、今日歩みとしてきた中での先ほどの国是というならば、いや、ブッシュ大統領、それはそうじゃないんではないだろうか、もっともっと査察を継続しようというふうに私はもっと最後まで主張するのが我が国のスタンスじゃないんですか、我が国の貴重な体験からしまして。それが先ほど言った武力を紛争の解決としないという国のメッセージじゃないんですか。他国は他国なんだと。  イラク国民、確かにフセイン政権は大変問題だと思いますよ。大量破壊兵器を持っていたと思います。査察を大変拒んでいることも事実だと思います。しかし、グレーゾーンであったんですよ。グレーゾーンであったのを武力行使をすることについて、やはりそれは引き続き査察をしましょうというのが私は我が国のメッセージだったんではないでしょうかということを申し上げたい。  合わないです、この点については。ずっとやっていますけれども。  さて、自衛隊の派遣、衆議院や参議院のずっと議論を聞いていまして、自衛隊の派遣の是非というのは、総理はこの国会の中で質疑をするからそれで自衛隊の派遣の是非はいいんだと、こういうことだったんですけれども、衆参でずっと議論をしてましたけれども、そういうふうに、この法案がすべて決着を付けば自衛隊の派遣の是非というのはそれでいいんだというふうにお認めですか。
  132. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、自衛隊を派遣することができるという法案ですから、しかし実際に派遣する場合には非戦闘地域と、戦闘行為に参加しない、そういうきっちりとした枠がはまっております。  この法案が成立後、よく現地の状況を見極めて、この法案の趣旨に沿った形で派遣されなければ、派遣する場合は派遣されなければならないと考えます。
  133. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の佐藤議員が過日のクエスチョンタイムの菅代表との総理とのやり取りの中で、非戦闘地域はどこにあるんですかと、言ってみてくださいよと言ったら、いや、そんな私が知るわけないでしょうと、あるんなら言ってくださいよというふうに言っていました。ある意味じゃ素直ですよね、今イラクへ行っているわけじゃないんですから、ある意味では。ある意味では素直であっても、そういう言葉で全部済むんだろうかと、一国のリーダーとして。  この法案、私はいつも質問するときにこれをずっと見ていますよ、資料、法案と提案説明対応措置戦闘行為が行われることのない地域等で行うことなどを定めておきますと。あとは、第二、第三、第四、第五に基本計画。基本計画は事後承認、事前承認じゃないんですよ。  総理が行ったことがないからという素直な気持ちと、今現地は占領状態、戦闘状況をアメリカの司令官が、ゲリラ戦で戦闘状況にあるということをあなた自身も知っているから、いや、これはうかつなことを言えないなと。両面からなんでしょう、いかがなんですか。
  134. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私、率直に言ったんですよ。私に聞かれたって分かるわけないじゃないかと。これ、当然でしょう、今の状況で。それは調査しないと分からないんですよ。この発言が私おかしいと思う方がおかしいと思うんですよ。極めて正直に、率直に話しているんです。それは専門家が行ったってすぐ分かるものじゃありません、今行ったって。現に、今でも民間人が安全な分野で活躍しているところもある。各国の軍隊がちゃんとイラク民と友好関係を保ちながら活躍している場もある、現在。それは私が行ったって分かるものじゃない、専門家が行かなきゃ分かりません。  だから、極めて私は率直に当然のことを言ったんですよ、正直に、誠実に。
  135. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、クエスチョンタイムで何もふざけて総理が言っているなんて、私思っていませんよ。だから、私もさっき、ある意味では行ったことがないわけだし、これから調査するという、防衛庁長官もおっしゃっていますよ、そういうことなんだろうなと。ただ、この法案はそういう法案で、今こうやって議論しているんですよ。  我々は毎日毎日新聞見るの嫌ですよ、尊い人命が失われていくのは。湾岸戦争を上回る死者数を出している。アメリカの軍人が厭戦気分だと言っている。上官に、上官にもう嫌だと言うようなことを許す、こんな軍隊なんかないですよ。  我が国自衛隊の状況はどうですか、自衛隊の状況、士気。一国のリーダーが今法案を審議している最中にそういうことを言っていると、家族はどういう気持ちになりますか。  それじゃ、総理、今の状況がずっと続く限り、今の状況が続く限り、この法案通っても自衛隊を派遣しませんと、そういう状況ですか、今のイラクの状況は。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ですから、この法案は自衛隊イラクに派遣することができるという法案ですから、しなければならないという法案じゃないんですよ。それは、現地の状況をよく見極めて、戦闘地域じゃない、戦闘行為には参加しない、そういう枠組みの中で自衛隊を派遣する場合は派遣するんですから、当然その前には、この法案が成立後、十分な調査が必要だと思います。そして、この法案の趣旨にのっとった活動自衛隊にはしていただくと、当然それは非戦闘地域であり戦闘行為ではないと。
  137. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 現地へ行っていなくても様々な情報を入手していると思います。だからこそ、こういうやり取りになると思うんですね、だからこそ。とっくにもう占領状態が、占領状態が継続するとしても、尊い人命が失われていない状況があればまた違った議論になっていると思うんです。  今の総理発言は、しなければならないと、自衛隊を派遣してはならないということではなくて、ということを私は先ほど質問の前に、質問の言葉の中に、今の状況、今のイラクの状況、日一日、今日はどうだったのか何かというのは、新聞見たりニュース見たりするの嫌ですよ、そんなの。だれもみんな喜ばないと思いますよ、何人であろうとも。また国連の関係者も、ということになって今どんどんいるわけですけれども。  今の状態が続く限り、これは現地に行くか行かない、総理自身が行くか行かないかは別にしても、今見る限り、これがならない、派遣するような状況じゃ、ならないというふうにお認めになりますか。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはよく調査しなきゃいけないと思います、じっくりと。今の段階でどうだこうだというよりも、派遣する場合には法律の趣旨にのっとって派遣するわけですから、十分な調査が必要だと思います。
  139. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理ね、それだったら、第二、第三、第四とずっと基本計画ありますけれども、この法案は法案ですけれども、立法府として、私は何回も言っていますよ。政府国会に基本計画を提示すべきですよ、基本計画を、事前に。事後ですね、事後なんですよ、今これは、事後報告なんだ。今の状況を我々は本当に危惧していますよ、国民も。だから、こういうことをずっと一貫して主張しているわけですから。今ここで小泉総理しかいないんですよ、総理以上の人は、今、日本のリーダーの中で。  提案されている内容ですけれども、今日の状況を見るから、今、私は総理はそういう発言をされていると思う、答弁をされていると思うんですけれども、調査をすると。調査をして、そしてそれは国会説明して提案して、そして議論をして、その判断を十分加味して政府としては最終決定をしていくと、こういう立場に立ちませんか。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現地の状況を見極めて国会に報告するわけです。それについては政府責任を負うんです。十分な調査が必要だと思っております。
  141. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この国会で、自衛隊員の方が万一のときにはということで、今の規定の中で賞じゅつ金とかいろんな議論をされているんですよ。大変な配慮だと思うんですね。そんなこと起きちゃいけないんですよ。起きちゃいけないことを仮定して、しかし起きたらということの多分議論だと思うんですが、今までなかったんですよ。海外、PKOとかそういうことに関しては、そこまでの議論というのは、深刻な議論というのは。  これもクエスチョンタイムで取り上げました。私は、もうここで防衛庁長官にお尋ねいたしましたが、私が最初にこの防衛庁の教育訓練局長の新潟県加茂市長の小池さんの要請書を取り上げさせていただきました。大変な私は気持ちを込めてイラク特措法案の廃案にすることを求める要望書、出されていると思いますよ。今の答弁は、私は、国民の気持ちとか、立法府が、国民の気持ちを代弁するこの立法府としての在り方にこたえている私は答弁ではないというふうに残念ながら思います。  大変、あともう一つ、私は気になる点がありまして、危険だ危険だということになると今の武器携行、武器の携帯、従来どおりですと。しかし、これは現地で部隊のルールという、いろいろあって、そこでまた判断をして決めましょうということで、これも防衛庁長官のこの点についてやり取りがありますが、一方で、危険だ危険だというと、無反動砲とか、これは抑止だとか非常に重火器だとか、いろいろ今度どんどんどんどんエスカレートしていくんですね。これそのものがもう、議論そのものが、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであって、全くこの議論なんというのは、私は、そこで議論すること自体がまたこの法案から逸脱するじゃないですか。それは、そんな議論はあり得ないと明言していただけませんか。
  142. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) このお話は随分と委員とも議論させていただきました。  これは、何を持っていってもいいということを申し上げているわけではございません。自分の身を守るために必要なものは何なのか、現地の情勢を見まして、実際にそれに身をゆだねる自衛官の意見というものを尊重して、政治が決定をするということに相なります。  今、無反動砲というお話がありました。無反動砲というのはピンポイントでやるものでございまして、迫撃砲とは違います。何を持っていけば自分の身を守るために十分なものなのか。それが戦車とか戦闘機になりますと、もうそれは、そういうものが飛び交っておったり走っておる地域というのは、それは戦闘が行われていない地域とはもはや言わないのではないかということでございます。  いずれにいたしましても、自衛官がこの法によって自分の身を守るために必要な武器、これはこうなんだというふうな意見を申し述べまして、それを政治の判断において決定をする、そしてまた実施の可否について国会の御承認をいただくということになると私は考えております。
  143. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 もう時間ですので終わりますが、済みません、恐縮です。国際協調、国連重視、そしてこの間の、私は、日本の外交、そして自衛隊の海外派遣を含めまして、今回の法案というのは極めてもう欠陥商品です、欠陥法案ですよ。憲法にも私は重大な疑義どころか違反していると思います。  幾ら憲法の枠内だとか何言ったって、もう明確に私は逸脱しているというふうに思いますし、国民の気持ちを代弁する立法府を、私は、幾ら言ったってそれにこたえようとしない小泉総理大臣のこれまでの答弁に対して本当に不満に思いますし、甚だ残念です。  このことを申し上げさせていただきまして、私の質問時間が来ましたので、終わりたいと思います。
  144. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  今日は、総理と二度目のこの問題についての議論になりますので、先回のまとめ的なことで、また、他の閣僚にもちょっとお聞きしようと思っております。  最初に、私は外交防衛委員会というのは初めて所属しまして、イラクにも突然でしたけれども行かせていただいて、大変いい経験をしました。  今の議論を聞いていまして、私など違う分野でやっていたもので、ふっと簡単に、何というんですか、整理してみますと、憲法の中で九条というものだけ取り上げて日本の国が平和であればいいという考え方、正にこれが今までの日本の考え方だったかなと思うんですけれども、今回こういうことがありましてよく読み直してみましたら、前文はどうも違うんじゃないかと思うんですね。  もうよく皆さん御存じのように、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」とし、最後には、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と、こういう形で、正に世界の平和、安定ということと日本の国益なり、また日本の繁栄というものがパラレルであるというのが日本国憲法考え方であると。  正に、今までその考え憲法はもう以前からあるわけですけれども、今まで一度もそのことは日本の国力や、また社会、世界状況からいってそういうものが問題にはならなかった。今とうとうそういうことを我々としてはしっかり国の目的として位置付けるときが来たのかなという気がしておりまして、今回の法律はその第一歩であるという気がします。これはもっともっと、是非こういう観点から議論を深めたいなと思っております。  最初に、総理に、これはもう何度も言っておられますが、この前もお聞きしました。自衛隊が行って何かをするというのも含みますけれども、今回のこの法律の意図するところはイラク全体の国づくりの支援である、こういうことをこの前も答弁いただきましたので、最初にもう一度そのことを確認させていただきたいと思います。総理、お願いします。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この今、山本議員が言われました憲法の前文、前文と憲法九条の関係、日本がまだ経済的に今のような状況にないときだったらば、日本の役割というのはそんなに世界各国から期待されなかったと思います。しかし、今やGDPにおきましてもアメリカに次いで第二位、日本の経済力に見合った役割を果たすべきだという声は国際会議等出れば必ず出てくる議論であります。  そういう中にあって、日本としてもこの憲法の前文と九条、どうやって調整していくか、整合性を保っていくかというのが、今後も国際社会の中で日本の役割を果たすと、責任ある一員としての役割を果たすという点で大変重要なことだと思っております。  今回、国連決議によって、国連加盟国はイラクの人道復興支援にそれぞれの力に見合う協力をすべしという決議に沿って日本は考えるわけでありますので、イラクの国づくりのために、イラク人が自らの手でイラクの国の復興に立ち上がるようにどういう支援が可能かという観点に日本は立ってできることをやろうと。その中で、自衛隊にもそういう役割があれば自衛隊に行ってもらおうと、もちろん民間人にも行ってもらおうと、政府の職員にも行ってもらおうということでありますので、これは自衛隊が行くから戦争につながるんだとか、自衛隊が行くから戦争行為なんだということでは全くないと。自衛隊も日本国民としてイラクの復興支援のために支援活動をしようということであることはやっぱり多くの国民に理解していただかなきゃならないと思っております。
  146. 山本保

    山本保君 それでは、もう少し細かいことについてお聞きします。  最初に、総理に、最近よくこの法律は枠組み法ですよということをよく防衛庁長官、よくお話しする。まあ役所にいると枠組みは大体分かるんですが、一般の方は余り、何のことかなと。例えば、この法律が成立しまして、慎重に調査をするわけですが、もし仮に内戦状態になったとか、又はもう一度米英と戦闘が再開されたとか、こういうような状況になったときには、自衛隊を派遣するかどうかというこの自衛隊派遣の有無も含めて検討をすべきだというふうに私は思っております。この辺が、どうも枠組み法という意味が自動的に行くのではないかというようなお話があるのかという気もするものですから、この辺について少し確認したいんですが、いかがでしょうか。じゃ、防衛庁長官、はい。
  147. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員の御指摘のとおりだと思っております。  枠組み法というのは、総理がお答えになられましたように、自衛隊を出すことができるという法律であって、自衛隊を出さなければいけないというものではございません。そして、いろんなことができるように書いてございますが、それは、現地に行ってそのメニューの中から何を選ぶのかというのはこれからの作業でございます。そういう意味で枠組み法でありますし、委員御指摘のように、例えば自衛隊は、当然憲法の要請によって戦闘が行われていない地域でなければやってはいけないと、こういうふうに書いてあるわけでございます。  これはもう理屈の上の話でございますが、仮にそんな地域は何もないというようなことになれば、この法律の要件を満たさないということになりますので、これはもう憲法の要請を満たさないことになります。そういう意味で、委員のおっしゃることはございます。私どもは、そういう意味で詳細な調査をして、この法律にかなうような行動、これをやるのだ、やることを可能にする法律である、そういう意味だと考えております。
  148. 山本保

    山本保君 この調査については徹底していただきたいということは、質問ではなく、お願いをしておきまして、次の質問に移りますが、外務大臣にお聞きします。  これは、私ども与党調査団、現地の大使館に行きまして、被害も受けておりまして、一生懸命きれいに使ってはおられましたが、はっきり申し上げてこれが日本国の大使館であるかというような状況でございました。舛添先生も大変その辺、気にされておりまして、帰ったらこれはただ、何というんですか、建て直したり補修をするのではなくて、もっとしっかり、こういう状況もありますし、きちんとした建物にすべき、今、何かこうフラットが、二階建てのフラットで半分使っているんですね。隣は別のもので、同じ建物の中で同居しておるわけでございます。ですから、そちらの方から幾らでも入れて、そして中のコンピューターも全部持っていかれてしまったと、こういうわけでございまして、ちょっとこれは何とかしてあげないと、とてもこれから現地の指揮、指揮官が指揮するところですから、お願いしたいと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  149. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、イラクの大使館について、これは立ち上げて、今、業務を始めておりますけれども、警備体制については強化が必要であると思います。今、大使館に八名ぐらいの人が行っておりますけれども、人数も増強しなければいけない、そうするとより広いところも必要だということでございます。  いろいろ制約がある中ではございますけれども、そういった点については、警備も含めて強化をしていくことが必要だと考えております。
  150. 山本保

    山本保君 じゃ次に、今度は防衛庁長官だと思いますが、先ほどもちょっと同僚の議員からもお話があった、私も実はこういう考え方なんです。これは現地で与党の中でも実は議論が分かれたところでした。  つまり、先回もこの委員会質問があったわけですが、相手が武器を持っている以上、命を守るためには、簡単に言えば、一段階上の武器を持っていかなくてはならないと、そうでなければ安全は確保できないという考え方があります。しかし、私はやはりこれは非常に危ない考え方だと思っておりまして、先回もここにお呼びした専門家の公述人の方に、自分を守るとか専守防衛的なそういう陸上の武器というのはあるのかとお聞きしましたら、それはあるんだということでございまして、正に戦車だ、先ほどもお話が出ましたが、戦車ですとかそんなもので、幾ら、使う、最悪の場合を想定しているといいましても、そういうのはこの法律が意図している非戦闘地域に持っていくものではないだろうと思うんですけれども、この辺については正に必要な装備という点で慎重に検討していただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか、防衛庁長官
  151. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員の御指摘のとおりだと思っております。  ただこれは、戦車とか戦闘機になりますと、戦車が走り回ったり戦闘機が飛び交ったりするようなところは、もはや戦闘が行われない地域ということには普通はならないだろうと。戦車を個人で動かせるというようなこと、ちょっと考えられませんし、戦闘機が飛ぶというのはそれなりに組織的なものでございます。そういうような地域に私どもが展開するということは考えにくい。  先ほど、齋藤委員から無反動砲のお話がございました。無反動砲というのはピンポイントで撃つものでございますし、迫撃砲ということになりますと、これは面で制圧するということになります。何が自分たちの身を守るために必要な武器であるのかということは、これは私ごときが申し上げますよりも、実際にそれに身をゆだねる自衛官がこういうものが必要だということを言う。彼らは本当に物すごいものを持っていく、そういうようなつもりはございません。それを、プロの判断を踏まえまして、私ども政治がシビリアンコントロールで判断をする。やはりプロの判断というのを尊重するということになりますが、おのずからそれはどこまでも無制限というものでは当然ございません。
  152. 山本保

    山本保君 それと今度は関連しまして、服装についても、総理には前、個人的にもその辺もお呼びいただいたときにお話をした覚えがあります。  私、考えますに、この辺は素人ですけれども、軍隊、警察もそうかもしれませんが、軍隊といういわゆる実力部隊の制服というのは二種類、基本的に概念二つあると思うんですね。一つは、国家権力の秩序というものを示し、ですからこれは言うならば派手で、いわゆるミリタリールックというんですか、非常に格好のいいものにするという制服と、それからもう一つは、正に実力を、破壊力、実力、攻撃能力というものをもろに示すような、そしてそのために最も機能的な、今の迷彩服というんですか、こういうものに代表されるような、今、事故など、いろんな今の山の事件などで大変、大変な悲惨な事件が九州でも起こっておりますけれども、そういうときにも、テレビを見ておりますと、正に迷彩服着ております。鉄砲持っているわけではありませんけれども、あれは正に作業服として使っておられるんだろうなと思うわけですけれども。  さて、そういうものが両方やはりどこの国にもあるんじゃないかと思ったとき、今回、私どもといいますか、自衛隊の方に行っていただくのは明らかに戦闘のために行くわけではないわけですから、これはどう見ても戦闘のために行くものではないという制服が要るのではないか。いろいろお聞きしますと、どうもちょっとそぐわない、今、いいのはないのじゃないかなという気もします。  これから、正に日本が世界の中で復興のために自衛隊が行くということを、新しい概念を、この前私は自衛隊法も改正すべきだということを申し上げたわけですけれども、こういう仕事をしているんだというスタイルというか、これも必要じゃないかなという気がするんですけれども、防衛庁長官、いかがでしょう。
  153. 赤城徳彦

    ○副長官(赤城徳彦君) 服装についてのお尋ねでございますけれども、これはやはり機能というのが大変大事でございまして、実際この業務内容が決まりましたら、現地の例えば猛暑でありますとか砂じんが舞うとかそういう気象条件、地理的な条件、そういうもの、それからあわせて、迷彩服がかえって危険だというような御指摘もこれまでありましたけれども、どういう服装が治安の面でいいのかという、そういうことも勘案します。  現に今持っているものについて、例えば陸上自衛隊ですと、防暑服、暑さを防ぐ服と書きますけれども、それの迷彩色、柄と、それからOD色という、ちょっと言葉では言い表しにくいんですけれども、緑に茶がかかった、そういう色の、単色の服ですけれども、そういうのも持っております。  そういうことも勘案して、どういう服が最もふさわしいかということを検討してまいりたいと考えております。
  154. 山本保

    山本保君 やはり攻撃ということになりますと、相手に見えにくく、そして展開しやすくて、そこから自分の身を守りながら攻撃するということだと思うんです。逆に、秩序とか権威というものを示す場合には逆に目立つようにするわけでして、一番いい例がイギリスのお巡りさんだと思います。あれだけ大きな帽子をかぶりまして、どんな群衆があっても遠くからすぐに分かると。正に日本の場合でもパトカーがサイレンを鳴らして来るわけでして、あれは犯人に逃げろと教えているわけではなくして、正に権威というものを示すためにやっているわけですね。ですから、ここは新しい概念といいますか、新しい分野ですので、是非検討していただきたいと思います。  最後に一つだけ。  これはもう新聞等に見まして、出ておりまして、私もこの前質問をさせていただきましたように、日本の自衛隊の役割というのを是非PRしていただくということで、先日も申し上げましたら、具体的なお話を進めているようでありますけれども、イラク国民自衛隊の働き、意義、そして現実にやっている仕事、こういうものを知っていただくというのも大変重要だと思いますが、これについてはどのように検討されておるでしょうか。防衛庁長官にお願いいたします。
  155. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、PRというものの重要性というのは随分とこの委員会でも御議論をいただきました。  どういう形がいいのか。私どもは戦争に来たのではない、武力を行使しに来たのではないと。それはやっぱり人道支援、もちろん安全確保支援もございますが、我々が何をしに来たのか、日本国として何をやるのかということをきちんとPRをするということは極めて重要なことだと思っています。そのメディアが何なのか、そしてどのような方法が良いのかということはこれからよく議論をしなければいけませんが、実際に行ってから考えますという話ではなくて、これは基本計画を作り国会の御承認をいただく、その過程において、こういうような形でPRをしようということを、またこの委員会の御議論も踏まえながら、きちんとした方法を考えてまいりたい、そのように思っております。
  156. 山本保

    山本保君 ありがとうございました。  終わります。
  157. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。小泉純一郎総理大臣質問をいたします。  まず、私、総理質問をさせていただく前に、今回のイラク特措法というのは、私は、大変重大な問題が数々まだ山積している。例えば、憲法上の要請の問題と言われる戦闘地域と非戦闘地域の問題、これはいわゆる、先ほど総理も言われたように、自衛隊戦闘地域に行かないと、だからそういうものが決められたんだと言いながら、実際、じゃ戦闘地域と非戦闘地域本当に区分けできるんか、こういう問題が私は残されている。こればかりじゃなくて、私、たくさんの問題がまだ残されているというふうに思います。ですから、私たちは、野党は結束して、この問題については徹底した審議をすべきだということを要求してまいりました。ところが、今日、委員長の職権でこの締めくくり総括が強行される、私はこういう点については強く抗議をしたいというふうに思います。同時に、これが私、数の力で、数の力を頼って強行されるようなことについては、断じて認められないということをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。  そこで、まず総理にお伺いいたします。  総理は、衆参の審議を通じまして、今度の問題については、人道復興支援だ、国づくりだ、こうおっしゃっている。ところが、この法案の中には、いわゆる占領軍に委任された、国連決議一四八三によって委任されたいわゆる治安維持活動、法案でいきますと安全確保支援活動、それから人道復興の支援活動、こういうものが含まれている。これは現実に今イラクで行われている、行っているのは、御承知のとおりイラクの占領軍であります。ですから、そういうことになると、自衛隊がこれ派兵されることになれば、当然この占領軍を通じてこうしたことをやるんだということになると思いますが、総理、その点はお認めになるんですか。
  158. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、国づくりのための支援活動ですから、恐らく今の質問は、憲法に抵触するんじゃないかという趣旨の御質問だと思うんです。  で、占領軍と一緒に活動するからこれは国づくりと違うという趣旨の質問ですか。
  159. 小泉親司

    小泉親司君 総理、私の質問を曲解しないで、よく素直にお聞きいただいて御答弁をいただきたいと思います。  例えば、この間、川口外務大臣はこの委員会で繰り返し言ってきたんですが、CPA、米英の占領機構のホームページが開設されているんです。そのホームページの中に、CPAについての規則、レギュレーションナンバーワンというものが創設をされております。その中で、CPAの任務、これを三つ挙げております。一つは移行期間における実効的な統治を提供する、それから安全、安定の回復を行う、三つ目は将来イラク人が自由な政治的将来を決定できるような環境を創設するんだ、これがCPAの任務だと、いわゆる占領機構の任務だと言っているわけです。  ということは、当然、この法案で自衛隊イラクに派兵されるようなことになれば、それは占領機構を通じてやらないとできないというふうに私は思いますので、そういうことなのかということを総理にお聞きしているんです。──いや、外務大臣、要らないですよ。総理にお聞きしている。
  160. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく、いわゆるCPAと協力しながら進めていく、協議しながら進めていくということであります。
  161. 小泉親司

    小泉親司君 総理は、私の本会議の質問に対しまして、派兵される自衛隊と米英の占領軍の関係について、国連決議で施政機関としての地位を認められた米英当局と連携を図ることになりますが、自衛隊米英軍の指揮下に入ることは全く想定されておりませんと、こう答弁されておるわけです。  これは、なぜ米英軍と指揮関係に立たないのか、なぜこれ、想定されていないのか。現実には、先ほども言いましたように、米英軍のやる仕事、つまり治安維持の活動、人道復興支援、この点では仕事は基本的には一致しているのに、なぜこれが指揮関係に立たないのか、ここをまず御説明いただきたいと思います。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これ、我が国支援活動というのは我が国の主体的な判断で行うんですよ。だから、協力するのは当然ですけれども、指揮下に入るわけじゃない。そこが違うんです。
  163. 小泉親司

    小泉親司君 国連の決議一四八三、これはあなたが何遍も引用される。この中に、前文の中ですが、占領国でないその他の諸国が当局の下で現在活動している、又は将来し得ることに留意しと明記しております。つまり、これから派遣される国及びその国の軍隊、こういうものは占領機構の下で活動するんだと言っている。これは国連決議一四八三でも言っていることであります。  この点については、最近公表されて、私、ここに、米英占領軍、CPAの一番新しい機構図があります。その機構図の中で書いてあるものは、いわゆる国際的な調整評議会に参加をして、これは指揮権に立たない、調整評議会に参加をして、これについては国連決議の一四八三で明記されたような安全、安定の回復の活動や人道復興支援をやると、こういうふうにこれ、明記されているんですが、こういうものにも当然、総理、参加をされるんですね。──総理総理総理総理ですよ。
  164. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 取りあえず、ちょっと事実関係に関係することでございますので、私からまず申し上げたいと思いますが、国際調整評議会というのは、これは、支援について、それをいろいろな国との間で調整をするというところであります。我が国としては、イラクにおいて行う活動は、そことも調整をしながら行うというのが具体的な動き方であります。
  165. 小泉親司

    小泉親司君 私は、初めてこの国際調整協議会とやると外務大臣がお認めになりました。私、外務大臣に、いや外務省に、この国際調整協議会はどういう組織かと言いましたら、大変これはホームページの中で詳細に、このいわゆるICCという、国際調整協議会の仕事については規則で書いております。ところが、わずかこのぺら一枚、しかも五行しか書いていない、こんなペーパーで私はだまされるわけにはいきません。  総理大臣、私は、ここで書いてある、外務省の資料でも何て書いてあるかといえば、イラク連合暫定施政当局、CPAに属する国際調整評議会、これと調整やるということになったら、必然的に占領軍と一体である、占領軍に属しているということになると思いますが、総理、いかがですか。
  166. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) お答えいたします。  よく調整しながら、協力しながらやるということであって、これは日本が主体的に判断することなんです。
  167. 小泉親司

    小泉親司君 じゃ、総理もこの国際調整評議会に参加するということをお認めになるんですね、総理。──いや、総理ですよ。今、総理答弁したんですから、総理です。
  168. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これも事実関係ですので私からお答えさせていただきますけれども、これとも、このICC、国際調整評議会というところは何をするところかといいますと、これは国際社会イラク復旧・復興開発支援への参加を支援、慫慂することを目的として設立をされている組織であるわけです。  それで、その権限は、決議一四八三に従ってイラクの支援を慫慂すること等であるという権限を持った組織でありますから、我が国としては必要に応じてこことも調整を行うということでございます。
  169. 小泉親司

    小泉親司君 総理質問できるせっかくの機会なんですから。私は、何遍も総理に、もう十分な時間をいただいて、テロ特措法のときには、総理、私は、覚えておられるかどうか分かりませんが、一時間半、総理にやらせていただきました。ところが、外務大臣がそうやって妨害された発言すると、私、わずか二十五分しかないという問題があるんですよ。総理、しっかりと答えていただきたい。  そこで、私、総理にお尋ねしますが、総理は、占領軍に入らない、だから日本は交戦国でもない、つまり戦争に参加したわけではない、占領軍に加わるわけではないので憲法上の問題は生じないんだと、こういって説明されてこられた。しかし、衆議院の参考人質疑で公述した国際法専攻の松田大阪市立大教授は、交戦国かどうかはイラク攻撃に参加したかどうかという過去の実績で決まるわけじゃないんだ。他国が軍事占領を行っている場所に行って、その占領の継続に役立つ行動を行えばその国も交戦国になるのです。ちなみに、安全確保活動はもちろん、給水や食糧の輸送で占領の実効性、継続を支援する行動はすべて交戦権の行使に該当し、イラクからの正当な反撃の対象になりますと述べられている。  こういうふうな、いわゆる安全確保活動はもちろん、給水や食糧の輸送で占領の実効性、継続を支援する行動ということは、これは占領軍に加わることになるという見解ですが、いかがでございますか。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう説もあるということでしょう。それはいろんな説がありますよ。日本は交戦していないんですから。戦争に参加していないんですから。もうそれはいろんな説があるからどうだこうだと言われたら、それはどういう説を披露されるのも御自由ですが、日本としては戦争をしていない、交戦をしていないんですから。決して交戦国にはなっていない、イラクの復興、国づくりに参加するんだということであります。
  171. 小泉親司

    小泉親司君 私、こういうふうなCPAの機構図などを示して、国際調整評議会と調整するということをおっしゃったということは、これはCPAのこの機構図の中にも、これは与党の調査団が報告したものと比較的似ておりますけれども、この点では、この中にちゃんと貢献国家と、これちゃんと書いてある。だから、こういうことに参加して、この機構図の一部に入っているということは、私、明確だというふうに思います。  そこで、もう一つ、私お尋ねしたいのは、こういう占領軍の活動の中で、今占領軍が何をやっているのか。今、もう御承知のとおりフセイン前政権の残存勢力の掃討作戦だ、こう言って、今もう全土が戦争状態だと。例えば、アビザイド中央軍司令官が七月十六日の記者会見で、米軍は全土で典型的なゲリラ戦闘を実行している、これは米軍のドクトリンによれば低強度戦闘であるが、それは戦争だと、こう言っておられる。  ということは、事実上、今のイラクの情勢は正に戦争だと。こういうふうな、私は、この法案ではアメリカの占領軍や他の国連加盟国が行う安全と安定の活動、回復活動の支援も行うということになっておりますが、こういうアメリカの対ゲリラ戦闘への支援、こういうものも、総理、これは法案の安全と安定を回復する活動に入るという総理は御見解でございますか。
  172. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、非戦闘地域で後方支援という形で、各国の軍隊とも協力する場合はあり得ると。決して戦闘行為にはつながらない、非戦闘地域支援活動をするという枠内でやり得る場合もあるということであります。
  173. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、そういう対ゲリラ戦闘への支援も含まれるという御見解だというふうに思いますが、そういうことなんですか。いやそれ、総理ね、はっきりと答えてください。私は、対ゲリラ戦闘への支援をやるのかとお聞きしているんだから、ぐるぐる持って回った言い方をされないで、どっちなんですか。
  174. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、非戦闘地域で、日本は戦闘行為でないという分野で後方支援はあり得る、それはよく状況を判断しなきゃならないということであります。
  175. 小泉親司

    小泉親司君 私、そういう問題について、なぜこれ質問したものに答えられないのか。  例えば、総理は衆議院では、例えばガラガラヘビ、総理は覚えておられるかと思いますが、砂漠のサソリ作戦、こういう米軍がやっているフセイン前政権の残党、いわゆる残存勢力を掃討する作戦、これどうなんだと、こういうのを支援するのかと、この法案では支援するのかと質問をすれば、総理は、いや非戦闘地域でやればできるけれども戦闘地域でやったらこれはできないと言うけれども、実際に、それじゃこの問題については、この支援活動自体を、非戦闘地域であれば支援できると、支援するということは、これは間違いないんですな。
  176. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、アメリカ、イギリスがどういう展開、軍を展開するかというのは分かりませんが、日本はこの法律の趣旨にのっとって、非戦闘地域であり、そしてイラクの復興支援に役立つ場合なら自衛隊支援活動もあり得ると言っている。それは状況を見なきゃ分かりませんよ。常にどこに行くか分かんないじゃないですか、アメリカが。しかしそれは非戦闘地域に限られる、日本の活動戦闘行為じゃないと。これは、必ずその支援がアメリカゲリラ活動に向かうのかどうかというのは、それは地域を見なきゃ、状況を見なきゃ分かりません。それは、バグダッド市内で起きましても、戦闘地域と非戦闘地域あるでしょう。これはそのよく状況を見て、法律の趣旨にのっとった形で自衛隊が派遣される場合はしなきゃならないということであります。
  177. 小泉親司

    小泉親司君 私、もう一つだけ総理にお尋ねしたい。  私は、派遣される自衛隊イラク国民との関係がどういう関係になるだろうかと、これを私は一番危惧する問題なんじゃないかというふうに思います。  そこでお聞きしたいのは、例えばイラクでは、確かにフセイン政権の残党掃討作戦もある。しかし、今日のテレビでも、CNNでもやっておりましたけれども、六月二十四日、七月二十四日、失礼、今日、イラクではいわゆる職よこせのデモが起き、CPA、つまり米英占領軍に対する抗議デモが行われたということを今日報道しておりました。つまり、イラク国民に対する、イラク国民が占領軍に対する抗議の声を今上げている、こういう問題について、例えば六月十八日にはイラクで職よこせのデモが行われました。そのときに、私もこの委員会でも質問したんですが、そのとき米軍がこれに対して発砲した。私、これは大変重大な問題だと思いますが、総理はこういう米軍の活動というのは合法だというお考えなんですか、それともそれは、そういう活動はこの法案では支援する活動の、ちょっと、対象に入るんですか。外務大臣、ちょっとやめてください。入るんですか、総理
  178. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 事実関係でございますので申し上げたいと思いますけれども、まず、一四八三で米英の当局は国際法上認められて、正当にイラク国民に対してそれを今、施政を行っているわけですね。これは正当なんです。したがって、イラク国民がこの正当性を否定をするということはできない、国際法上できないということであります。  それで、さっき自衛隊との関係ということをおっしゃいましたけれども、活動を、この法律に基づいて自衛隊が行って活動をするということがあった場合に、イラク国民自衛隊を攻撃するということは正当かということでいえば、これは国際法上これを正当化する根拠というのはありません。イラク国民との関係というのは、CPA当局とイラク国民との関係であるということです。
  179. 小泉親司

    小泉親司君 今の外務大臣答弁は全然分かりません、何を言っておられるのか。  私、総理ね、総理にお聞きしているのは、例えば、川口外務大臣、私、これで言い訳しているんじゃない、今の言い訳しているんじゃないかと思うんだけれども、七月二日の衆議院のイラク特で、自衛隊に対してイラク国民の抵抗があるとしたらどうするのかという質問に答えまして、「イラク国民の抵抗、それは事実上全くないということを申し上げるのは難しいかもしれませんけれども、法的にはその抵抗は合法的ではないということです。」。  つまり、イラク国民の抵抗というのは、これはCPAが仕切っているんだから、これに対して抵抗をするというのは非合法なんだと、こう言っておられる。総理も同様の見解なんですか。
  180. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はい、そのとおりであります。
  181. 小泉親司

    小泉親司君 私は、それはひどい答弁だと思いますよ。  そこで、私、一つ、この問題について、この問題については私も川口外務大臣にこの問題としてはもう既にやり取りいたしました。  そのときに、じゃ、非合法だと、そうなってくると、イラク国民が、例えば自衛隊に対して、これは軍服を着ている、当然これは占領軍の一部だ、だからこれはけしからぬといって様々な抵抗闘争をやる。それに対してどうするんだと言ったら、今度は川口大臣は、十日の私の質問に対して、これは、イラク国民自衛隊に抵抗したときは自然権的な権利として武器の使用があり得るんだと、こう答弁された。その点も総理は何、お認めになるんですか。
  182. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、攻撃されて身を守るためのこれは正当防衛ですよ。
  183. 小泉親司

    小泉親司君 何でイラク国民に対する、様々なデモに対して発砲したりですね、そういうふうなことが何であれなんですか。初めに私、言っているじゃないですか、そういうことについては。  外務大臣がごまかしているだけの話で、総理、私の言っているのは、例えば職よこせのデモ、これに対して米軍が発砲した。それは外務大臣は、これは合法ではないんだと、そういう抵抗は、と言っておられるんですから、その意味総理、私は自衛隊が、もし様々なデモなどがあった場合に、その点について私、武器使用があると言ったら、イラク国民に銃口を向けることになりますよ。その点は総理いかがですか。
  184. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、そうじゃない。自衛隊に発砲してきたらという質問だから答えたんです、それは正当防衛だと。何にもしないのに自衛隊が発砲する、そんなことするわけないじゃないですか。
  185. 小泉親司

    小泉親司君 あのね、総理、ごまかしちゃ駄目ですよ。  私が言っているのは、イラクの、いいですか、私が言っているのは、六月十八日に職よこせのデモがあった、それに対して米軍が発砲したと、これは私は、大変重大な問題だ、これは絶対に認められないと。そういうことが自衛隊に起きたときに、これは武器使用をするということについてはどうなんですかと総理に聞いたんですよ。そこははっきりしてください。
  186. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはね、米軍と自衛隊、ちょっと分けてください。  米軍がいろいろ治安活動、あるいはイラク国内の安定、安全確保活動している。そういう際に、まあいろんな状況が起こると思います。中には、デモの中に紛れてアメリカ軍を攻撃するのもあるかもしれない。それに対しては、アメリカは自己防衛として発砲する場合もないとは言えない。  自衛隊自衛隊だってそれは、デモをしているときに発砲するなんて、そんなあり得ないですよ、イラク国内の国づくり支援しているんですから。  それが、もしイラク国民の中で自衛隊を攻撃した場合、それに対しては正当防衛の権利があるということです。
  187. 小泉親司

    小泉親司君 これは総理総理、これは例えば、ブッシュ政権に大変影響力のあるアメリカの外交問題評議会の資料でも米軍へのレジスタンスという文書をまとめているんです。この文書の中で、だれが米軍を攻撃するのか、攻撃者はフセイン前政権の残存勢力だけではないだろう、しばしばイラクの占領軍の存在と行動に怒る普通のイラク人を含んでいるように見えるんだと。ここが一番私は重要で、こういう問題については絶対に私は自衛隊が銃口を向けてはいけないと、これは私はこの点については強く要求をしたいというふうに思います。  そこで、私は、今度のイラク特措法というのは、やはり自衛隊イラクに派兵して米英占領軍の支援を行う、私、憲法違反の自衛隊派兵法だということは明瞭だと思います。  私、イラク戦争の問題については外務大臣とやり取りしてまいりましたが、このイラクの戦争は国連憲章違反、国際法違反の戦争であることは明白で、この点で七千人以上のイラク国民を何の大義もなく殺りくした戦争を強行したというのは大変重大だというふうに思います。  国連決議では、総理も認めているように、軍隊派遣の要請はしていない。このような自衛隊派兵は絶対に認められないと思います。同時に、イラクの復興支援は、自衛隊という軍隊の派遣ではなく、国連を中心として、電気や水の供給、食糧、医薬品など、非軍事的手段で積極的に行うべきだというふうに思います。  自衛隊をただひたすら米英占領軍の支援のために派兵する本法案は廃案にすべきだということを強く要求したいと思います。  数の力でこれを押し切るということは絶対あってはならないということを指摘をいたしまして、私の質問を終わります。
  188. 広野ただし

    広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。  何か非常にたくさんの人たちが集まりまして、緊迫をしてきております。往々にしてこういうときは強行採決がされるという前兆なのかなというふうに思ったりもしておりますが、与党の方々、そしてまた委員長には、是非円満な運営をお願いをしたいと思います。まだまだ質問がたくさんあるわけでございますので、よろしくお願いをいたします。  総理にお伺いします。  テキサスのクロフォードでブッシュ大統領に会われたときに、イラクに対して協力を要請され、陸上自衛隊を派遣をするということを約束されたことはございませんか。
  189. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういう約束したことはございません。  日本は戦闘行為には参加しないが、戦争が終わった段階において、イラク復興支援のためには、日本ができるだけのことはやる、日本が主体的に考えるということを申し上げました。
  190. 広野ただし

    広野ただし君 アーミテージが、いよいよ日本も観客席から下りて球場に出てきた、プレーヤーになってきていると、こう言って歓迎の意を表しましたが、このことをどう思われますか。
  191. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、日本がその国力、経済力にふさわしい活動イラク復興支援のために動き出したなという評価の声だと思っております。
  192. 広野ただし

    広野ただし君 私は、やはり内々にアメリカから打診があり、それについて総理が約束をしておられるんだというふうにやっぱり思えてならないんですね。  ところで、イラクにおいてアメリカ占領軍、占領軍の指揮下に日本が、陸上自衛隊が入ったらば、これは憲法上どういうふうなことになりますか。
  193. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは法的な、法理論上の問題は別の専門家に答えていただきますが、今回は指揮下に入りません。入りません。議論の余地ない。入らないんですから。
  194. 広野ただし

    広野ただし君 入りませんということは、指揮下に入ったらば憲法上どういうふうなことになるかということを政治家小泉純一郎として考えておられるかということを、専門家じゃなくて、総理として憲法上どうなるんだということをお聞きしておるんです。
  195. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、今回は入らないんですから。入らない前提議論をしているんですから。入ったらどうかと、それ、考えてない。
  196. 広野ただし

    広野ただし君 そういうことについてしっかり答えていただきたいと思うんですが、私は、協力ということを言っていますが、協力というものの、実質指揮下に入るということがあった場合、これは完全に憲法違反であると、こう思っておりますが、私の見解についてどう思われますか。
  197. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、今の憲法におきましても自衛隊憲法違反だと言う方も学者の中でおりますから、どういう議論がされるのか、その場合は専門家によく議論をゆだねて聞いてみたいと思います。
  198. 広野ただし

    広野ただし君 専門家じゃないんですよ。これは、総理、やはりそういう場合が往々にして海外においては起こり得るということなんですよ。  実際、じゃ自主的な協力と言いつつ、アメリカ軍との間で物品の輸送ですとかいろんなことがある。そして、そういうときにテロですとかいろんな事態が予想されるわけですね。そうしたときに身を守るためにいろんなことが起こり得る。そして、アメリカ軍からのこうしたらいいんじゃないかと、こう言われて動く。そういう場合どうなるんですか。それが協力か指揮かという細かいことを言うんじゃなくて、指揮下に入ったとしたらどうなるんだということを言っているんです。
  199. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私は法律の専門家でありませんが、私の率直な意見を申し上げますと、それはもしそういう占領軍といいますか、どういう形であれその当局が武力行使に向かうという場合に指揮下に入れば、私はこれは憲法違反だと思いますね。しかし、戦闘行為が全く行われていないと、そういう当局もあると思います、そういう活動に、指揮下に入って、全く戦闘行為でない復興支援、人道支援という形に指揮下に入るという場合はどうかと、また別の議論があっていいと思います。
  200. 広野ただし

    広野ただし君 この間も私申し上げたんですが、憲法との関係で今回のイラク特措法は正に迷路のようなところをすき間を縫って作っている。誠にそういう法案になっているんだと、だから指揮下には入らないんですよと、あるいは戦闘地域には行きませんよとか、あるいは正当防衛論で対応をするんだとか、そういう法案になっているんですよ。ですから、私はもう誠に欠陥だらけな法案だなと、こう思っているんですが、そのことは別にしまして。  ところで、先ほどこのイラク特措法は枠組み法だとこうおっしゃいました。それで、その枠組み法というのはよく意味が分からないんですけれども、ところで、この陸上自衛隊をやはり非常に、現在のような戦闘状態にあって非常に危険だというときに派遣をしないということだってあり得るんですか。簡単に言いますと、空振ることはあり得るんですか。
  201. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは可能性ということを言えば、あり得ると。これは自衛隊を派遣しなければならないという法案じゃないんですから、自衛隊を派遣できるという法案ですから、状況を見て派遣しない場合もあるし、派遣する場合もあるということであります。
  202. 広野ただし

    広野ただし君 その派遣しなかった場合の国際的な影響、例えば対米的な何かコミットしておられますとこれは大変な影響になるんですけれども、国際的な影響というものを、コミットのことは別にしてどういうふうに思われますか。
  203. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私は日本の立場というのはいろいろの場ではっきり表明しております。日本としては、戦闘行為には参加しないと、自衛隊を派遣する場合もあくまでもこれは非戦闘地域であり、非戦闘行為である、復興支援活動だということを表明しておりますので、そういう状況にない場合に自衛隊を派遣しないからどうなるんだという質問でありますけれども、それは日本の立場を理解してもらえると思いますよ。
  204. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、与党内なんでしょうか、どこか分からないんですが、秋に総選挙が考えられると、予定されているんだと。その総選挙の前にはイラク自衛隊を派遣はしないんだと。もし派遣して犠牲者が出たり被害が出たら、これはもう選挙に直ちに影響をするというようなことで、極めて政治的な観点での派遣の時期を決定をする。こういうことについて総理はどうお思いでしょうか。
  205. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、まだいつ選挙があるかというのは言っていないんですよ。言っていないどころか、私にも分からないんです、状況を見て判断するんですから。それをあたかも、もういつ、選挙は決まったかのような議論でされるというのは、実に私にとっては迷惑なことでね、これはあと任期一年ですから、一年以内にあるのは確実ですよ。しかし、いつやるかというのは……(発言する者あり)だれか、あしたからとか言ったけれどもね、それは分からないんだから。
  206. 広野ただし

    広野ただし君 選挙と別にですね……
  207. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、選挙とは、この自衛隊の派遣とは全く別です。関係ない。
  208. 広野ただし

    広野ただし君 それは本当に守っていただきたいと思います。  何かそういうことで政治的に物事を判断をするんではなくて、協力をしなければならないという、私の協力は国連から出ている人道支援あるいは経済復興支援に限ってやればいいという考え方ですから、そして、そのことについてもう一回お伺いしますけれども、そういうふうに限定したら、何か問題があるんですか、総理
  209. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、復興支援づくりに派遣するんですから、今、問題、人道支援、復興支援に派遣するんですから問題ないと思いますよ。日本ができる範囲でやると。
  210. 広野ただし

    広野ただし君 治安維持活動に対する協力じゃないんですか、これは。
  211. 松村龍二

  212. 広野ただし

    広野ただし君 いや、委員長委員長、今、総理にお願いをしているんです。
  213. 松村龍二

    委員長松村龍二君) ああ、そうですか、はい。じゃ、福田内閣官房長官、取りあえずお答えいただけますか。
  214. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) はい、それじゃ私から答弁。  復興人道支援ともう一つ安全確保支援活動、二つありまして、安全確保支援活動することは、これはあくまでも支援する国が若しくは組織がイラクの国内における平和と安全のために尽くしているという、そういうことである活動に対して支援をする、そういうことでありますので、これは、結果、イラクの復興に貢献するわけですから、したがって、その活動することについて、日本として活動することについて何ら問題はないんです。  それは復興支援活動もございます。それはしかし、それもやったらいいと思います。しかし、今申しました安全確保支援活動もこれもできるんだったらやったらいいんですよ。
  215. 広野ただし

    広野ただし君 国連の決議一四八三は二つに分けているんですね。ですから、人道支援と経済復興支援、そして今、私は治安と言いましたけれども、安全確保に関する協力と。ですから、私が言いますのは、その前段階の人道支援と経済復興支援の方に限定をしたらば何か問題があるんですかと言って総理に聞いているんです。──いや、それはもう総理にさっきから聞いているんですから、もう官房長官、ちょっとやめてください。
  216. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 問題ないですよ。問題ない。
  217. 広野ただし

    広野ただし君 いやいや、問題ないんじゃなくて、人道支援あるいは経済復興支援に限定をする、そういう協力ということで限定した場合に問題があるんですかと言っているんです。
  218. 松村龍二

  219. 広野ただし

    広野ただし君 いや、総理総理です。
  220. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは日本としてできることをやるわけですから、イラクの国内における安全及び安定を回復するために行われる活動であるかどうかと、それを見極めてやるんです。
  221. 広野ただし

    広野ただし君 そこが詭弁でしてね、人道支援、安全を確保していくことが経済復興支援にも協力するんだ、いずれは寄与するんだ、これは全くおかしい論法なんですよ。完全に分けているんですから、ですから、アメリカ軍に対する協力になるんじゃないかということをみんなが問題をしているんですね。そういうところを私は明確に答えられないことが誠におかしいと思っております。  それともう一つイラクとの、簡単に言えば文化の差、言語が違いますね、そして民族、宗教が違う、そしてまた習慣が違う、もう歴史が違うと。こういうことから、私は、陸上自衛隊が出ていった場合に、向こうの国民の皆さんといろいろと接触をするわけですね。そうしますと、その間に誤解が誤解を呼んで、例えばこの間もアメリカ軍が犬、わんちゃんを連れてイラク国民、庶民の家に入ったんですね。これはあちらからいいますと大変な侮辱になるんです。例えば、日本でも畳の上に土足で上がりますと、外国の人が、これが大変な侮辱にやっぱり感ずる場合があるわけですね。今はかなりそういうことは分かったとしてもですね。  ですから、簡単に言うと、そういういろんな習慣の差というものが誤解を誤解を呼んで、イラク国民というのは大変プライドの高い、これはもうメソポタミア文明以来、またハムラビ法典のあるすばらしいそういう文化を持っている国民なんですね。それが習慣等の違いで誤解が誤解を呼んでどんどん大きな事件に拡大をする、場合によっては犠牲者が出る、被害が出るということについて、総理はどうお思いですか。
  222. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その国の文化、習慣、宗教の違い、これについては十分配慮しなきゃいけないと思っております。  今、広野議員言われたように、例えば日本座敷に土足で上がられたら、これは日本だって、日本人だって怒るでしょう。だから、そういう習慣の違いとか、よく行く前に啓発といいますか教育といいますか、その文化を理解するような認識を持った上で日本国民が行くように配慮しなきゃいかぬと思っております。  決してイラク人を傷付けるような、あるいはイラク人の誇りを侵害するような行為はしないような、そういう配慮は十分なされるべきだと思っております。
  223. 広野ただし

    広野ただし君 本当にそこは大切でして、それによって本当自衛隊に被害が出たり、あるいは犠牲者が出たり、あるいは逆にイラク国民に大きな犠牲者が、被害が出るということがあったら、これはもう本当小泉内閣の大きな責任になるんだということを私は訴えまして、終わりたいと思います。
  224. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  お疲れでしょうが、最後ですのでよろしくお願いいたします。  まず、総理にお伺いいたしますが、先ほどもお話がありましたけれども、去る二十三日の党首討論で、イラクの非戦闘地域一体どこかとの質問に対して、総理は、そんなことが私に分かるわけがないでしょうという趣旨の答弁をなさいました。  お忘れかもしれませんが、総理は、去る六月二十四日の衆議院本会議で、我が党の同僚議員が戦闘地域と非戦闘地域との区別について質問したのに対し、政府としては、自ら現地の状況を幅広く調査するとともに、諸外国から、諸外国等から得た情報を総合的に分析することにより、本法案に基づく活動区域をいわゆる非戦闘地域の要件を満たすように設定することは可能であると考えているとお答えになりました。  そこで、お伺いしたいんですが、非戦闘地域イラクの戦況によって決まるのでなくて、政府が主体的に設定することができるとお考えですか。
  225. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはよく調査して判断しなきゃいかぬと思っております。  先日、私には分かるわけないと言ったのは、これは率直に言ったわけであって、私が調査するわけでありませんし、私が調査してもそれは専門家じゃないから正確にならないんでしょう。やっぱり専門家がよく判断して、状況を見極めて非戦闘地域かどうかということを事前に十分調査の上で、派遣する場合はそういう地域に派遣しなきゃならぬと思っております。
  226. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 せんだっての審議の際に、総理を始め防衛庁長官、戦争を知らない世代ということを伺いましたけれども、実は私は戦争世代でございまして、戦争の実態というのは嫌というほど知っているつもりでございます。戦争の世紀と言われた二十世紀の苦い体験を踏まえ、二十一世紀こそは戦争という大量殺りくのない、平和で人権が尊重される、民主主義が普遍的価値として世界じゅうに共有される世紀にしたいと常々考えております。  そのためには、まず、我が日本の外交はどうあるべきかについて慎重に吟味する必要があると思っております。既に多くの外交専門家や国際問題を研究している学者、研究者などから様々な提言がなされていますが、私は、差し当たって何をすべきか、私なりに二つの点について意見を申し述べたいと思います。  まず第一に、米英などの軍隊によるイラク占領を自衛隊を派遣して支援するのをやめるべきだと思います。  私たちは米軍の占領下で二十七年間、憲法の適用もなしに生活した苦い体験から、外国の軍隊による占領が被占領下の人々にいかに過酷な非人道的犠牲を強いるかを知り過ぎるほど知っているからであります。大規模な戦闘は終結したとはいえ、イラクでは今も散発的な戦闘が続いているのですから、そんな危険なところへ自衛隊を派遣し、万が一にも武力行使をする事態になれば、戦後半世紀以上も一人の外国人をも殺害したことのない自衛隊の誇るべき歴史に大きな汚点を残すことにもなりかねません。  改めて申し上げるまでもなく、我が国は国是として、憲法によって交戦権を否定し、国際的な紛争を武力によって解決することはせず、平和的に解決していく道を指し示しています。ですから、あくまでもその国是を守り、貫き通すべきだと思います。  第二に、米英軍などのイラク占領への軍事的及び財政的支援を差し控えるべきだと考えます。  食糧や医療、教育面での我が国独自の支援は財政事情の許す限りやるべきだと思いますが、いわゆる戦費の分担金としての支出はなすべきではないと考えます。せんだって外務大臣は、その考えはないとおっしゃいました。(発言する者あり)
  227. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 静粛にお願いします。良識の参議院の府でございますので、粛々と議事を進めてまいりたいと思っておりますので、特に静粛にお願いします。  続けて御質問をお願いします。
  228. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 日米安保条約を結んでいる以上、一方の当事者である米軍をあらゆる面で支援するのは当然といった考え方があることはよく知っております。  しかし、米軍への支援について言えば、既に我が国は、一千万坪とも言われる在日米軍基地に土地を提供しているだけでなく、毎年六千数百億円もの巨額の駐留経費を乏しい国民の税金の中から支払っています。特に沖縄の場合、在日米軍専用施設の七五%を負担しているだけではなく、二十九か所の海域、海の部分ですね、水域、沖縄の空域の四〇%に相当する二十か所の空域までも提供させられているのです。ですから、安保条約に基づく支援措置は十分過ぎるほど講じていると言っても決して過言ではないと思います。  米国は、このたびのイラク攻撃で予想以上に戦費や駐留費がかさんでいるとして、戦費のおよそ八割を同盟国が負担することを期待しているようですが、この点について、総理はどのような対応をお考えでございますか。
  229. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大田議員が知事として沖縄においていろいろ御苦労されたことはよく承知しております。そういう実際の沖縄県の行政の最高責任者としての経験から、米軍との在り方について見識を持っておられることについてもよく私は承知しております。  そういう中での御発言だと思っておりますが、日本も今まで、戦後一度も交戦、外国と交戦したことはない、また内戦もない。そして、死者を、自衛隊におきましてもそういう戦争による死者を出したこともない。これは正に誇り得るべきことだと思っております。  日米安保条約を結んで米軍に基地を提供すると戦争に巻き込まれるという議論もありましたけれども、現実はそうでなかったと。むしろ、米軍と安全保障条約、米国と安全保障条約を結んだことによって、今日まで日本の平和と繁栄と独立が確保されたと、我々はそう思っております。もちろん、そういう意見に対して違う意見があるのも承知しております。  米軍と協力するからこれが戦争につながるかというと、それは時と場合によって違ってくる。イラクにおきましても、私は、米軍と協力する場合があっても、これは非戦闘地域であると、イラクの復興支援活動なんだという大きな枠がはまっておりますから、そういう点については十分配慮しながらこれからも自衛隊活動については考えていかなきゃならないと思っております。
  230. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 自衛隊法では、その第三条で、自衛隊の任務について、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と決めています。また、自衛隊員は、自衛隊法施則、施行規則の第三十九条、一般の服務の宣誓の規定に則して、「我が国の平和と独立を守る自衛隊使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、」「国民の負託にこたえる」と宣誓した上で入隊しています。  しかし、本イラク特措法案が成立すれば、政府は、一種の交戦規則とでも言うべきものを作って、自衛隊が武器を携帯してイラクに派遣するとすれば、そのことは自衛隊員に、憲法を始め自衛隊法及びこの宣誓を破れと言うに等しいものではないかと考えます。  一般に、自衛隊員は命じられれば危険も顧みず国民の負託にこたえる責務があると言われるのですが、それはあくまで日本が外国から侵略されたり武力攻撃を受けたときに危険を顧みないで国民の負託にこたえるという意味であって、海外で米英軍支援活動をするために、自衛隊員が命を顧みないで果たさねばならぬ責務というのを負っているわけでございますか。防衛庁長官
  231. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは委員自衛隊法の仕組みをよく御存じの上での御質問だと思いますが、これ、仮にこの法律が成立をいたしたといたしますと、これはPKOと同じように、本来的任務、付随的任務とございますが、この付随的任務ということに相なります。これはPKOなんかと同じ系列に入るわけでございます。  それから、自衛官の宣誓に反するではないかというお話ですが、この中にも「法令を遵守し、」というふうになっております。この法律が仮に可決、成立ということになりますと、これも日本国の国会の御審議を経て決定された法律でございますので、自衛官の宣誓に何ら反するものではございません。
  232. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 せんだっても、連合審査のときに総理防衛庁長官について、このイラク法案とのかかわりで決意をお伺いしたわけですが、総理は私の質問を誤解されたのか、ちょっと私の納得のいかない御答弁がございましたので、お許しをいただいて改めてお伺いしますけれども、このたびの法案が国会で審議されている過程で、私のところに知人や未知の多くの方々から、絶対にこの法案を通しちゃいけないと抗議の要請が随分ありました。それらの中で私が非常に胸を打たれたのは、この法律を通すなら真っ先に総理大臣防衛庁長官外務大臣官房長官のお子さんたちを自衛隊の一員として真っ先にイラクに派遣すべきだという抗議の手紙が来たことでありました。  なぜ、こういう手紙が来るかという、まあこの種の手紙は沖縄の新聞にも大分出ておりましたけれども、なぜこういう手紙が来るかというのを考えてみますと、実はこのイラク法案の審議の過程で、殺す側の論理ばかりが議論の中心になっていて、殺される側の一般住民、一般国民の問題がほとんど議論にならないという、ならなかったということが一つあるのではないかというふうに考えるわけです。  せんだっても申し上げましたが、アメリカの良識派の上院議員ロバート・C・バイドという議員は、イラクの国の人口の過半数が十五歳以下の子供たちで占められているという事実を指摘しまして、このような国に対して軍事攻撃を行うのは何らの大義もないということを言っておられるわけです。私は、日本の政治家やお偉方からこの種の言葉が出てこないのが残念でならないというふうに思っているわけです。  大正時代の著名な言論人の長谷川如是閑が「戦争絶滅受合法案」というエッセイを書いておりますが、その中でデンマークのフリッツ・ホルムという陸軍大将が、戦争を絶滅させること受合法案というものを起草して、これを各国に配布したことを紹介しております。  ちなみに、その同法律の内容は、まず最初にこう述べています。戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力を生じたる後、十時間以内に次の処置を取るべきこと。すなわち、次の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、できるだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。一、国家の元首。ただし、男子で、君主たると大統領たるとを問わず。二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。三、総理大臣及び各国務大臣並びに次官。四、国民によって選出されたる立法府の男性の代議士。ただし、戦争に反対の投票をなしたる者はこれを除く。上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態等をしんしゃくすべからず。ただし、健康状態については、召集後、軍医官の検査を受けしむべし。  ここで大事な点は、上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦又は使役婦として召集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべしと、こういう法案の内容になっているわけです。  そこで、一言申し上げますが、去る沖縄戦で、沖縄には十二の男子中等校と九つの女学校があって、ほとんどすべて十代の若者たちだったわけですが、これが何らの法的根拠もなしに戦場に送られて、今申し上げたように野戦病院の従軍看護婦としてとか、あるいは学生隊というのは銃を持たされて、戦争の仕方も知らないのに第一線に送られたわけです。個人的で失礼ですが、私も一学徒兵として一丁の銃と二個の手りゅう弾を持って戦場に出されました。同級生百二十五名いましたが、生き残ったのは三十名余りでしかありません。  そういった点から考えますと、戦時中、司令官とかお偉方はごうの奥に入って一歩も外に出てこない、そして弱い立場の人々だけが第一線に送られて大変な犠牲になったわけです。  ですから、失礼な言い方をお許しいただきますと、戦争を知らない防衛庁長官とか、そういう方は、是非戦争の実態がいかなるものかということをお考えいただいて、今回のイラク法案についてもお考えいただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  233. 松村龍二

    委員長松村龍二君) 総理、御退席いただいて結構です。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
  234. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)    〔委員長退席〕    午後七時三十四分      ────・────   本日の本委員会における阿部正俊君の発言の  後の議事経過は、次のとおりである。   ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全    確保支援活動実施に関する特別措置法案    (閣法第一二〇号)     右案は、討論を省略し、可決すべきもの    と決定した。