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2002-04-02 第154回国会 参議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十四年四月二日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         堀  利和君     理 事                 大野つや子君                 佐藤 昭郎君                 清水嘉与子君                 福山 哲郎君                 高橋紀世子君     委 員                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 山東 昭子君                 段本 幸男君                 真鍋 賢二君                 江本 孟紀君                 小宮山洋子君                 谷  博之君             ツルネン マルテイ君                 加藤 修一君                 福本 潤一君                 山下 栄一君                 岩佐 恵美君    国務大臣        環境大臣     大木  浩君    副大臣        環境大臣    山下 栄一君    大臣政務官        環境大臣政務官  奥谷  通君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     加茂川幸夫君        文部科学大臣官        房審議官     玉井日出夫君        林野庁長官    加藤 鐵夫君        林野庁次長    米田  実君        経済産業大臣官        房審議官     大井  篤君        国土交通省道路        局長       大石 久和君        環境省自然環境        局長       小林  光君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○自然公園法の一部を改正する法律案内閣提出  )     ─────────────
  2. 堀利和

    委員長堀利和君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  自然公園法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会文部科学大臣官房審議官加茂川幸夫君、文部科学大臣官房審議官玉井日出夫君、林野庁長官加藤鐵夫君、林野庁次長米田実君、経済産業大臣官房審議官大井篤君、国土交通省道路局長大石久和君及び環境省自然環境局長小林光君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀利和

    委員長堀利和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 堀利和

    委員長堀利和君) 自然公園法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 段本幸男

    段本幸男君 自民党の段本でございます。先日に引き続きまして質問させていただきたいと思います。  自然公園法に入る前に、まず地球環境問題について少しお伺いしたいと思います。  前回大臣にお伺いしました。いよいよ京都議定書が先週の金曜日だったですか、閣議の方に出されて、そしていよいよ国会提出という段取りになるというふうなことでございますけれども、しかしこの京都議定書国会で批准すればいいというものではなくて、むしろこれからどういうふうに段取って本番実行していくか、それを外国に日本はこれだけやっているというのを見せていくかということが大事になってくるんだというふうに思っておりますけれども、前回もお伺いしましたが、大臣に、地球温暖化防止及びヨハネスブルク・サミットに向けてどういうお考えをお持ちなのか、その決意のほどを再度お聞かせ願いたいと思います。
  6. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今お話ございましたように、京都議定書及びその議定書内容を実現するための必要な国内措置を持った法律案というものを先週末に閣議決定いたしまして、これを国会に提出させていただきました。  御存じのとおりに、京都議定書というのは、京都では一応京都議定書の言うなれば骨格ができたということでありまして、今回御審議いただくのもその京都議定書をまず御承認願うわけでありますけれども、実は内容的には、COP京都ではあれがCOP3という会議でございましたが、それをCOP4、5とずっと続けてまいりまして、最後にCOP7で、昨年、これで一応各国が御承認いただく内容、それに足る内容というか、というものができましたから、今回これを日本としても国会承認ということで提出させていただいておるわけでございます。  御存じのとおり、今年はまた地球環境につきましての十年に一回の大きな会議ヨハネスブルクで行われるわけでございますので、これは是非ともひとつ、ヨハネスブルクではもちろん京都議定書ばかりではございませんけれども、いろんな地球環境問題、議論をするわけでありますけれども、ひとつやはり京都議定書というのは一番大きな項目一つになる。是非ともこれはひとつヨハネスブルクまでに発効するようにということで、日本としてもこれからひとつ御審議をお願いしたいと思いますし、それからまた、各国にもできるだけ早くこれを承認するようにということで働き掛けておるところでございますので、何といいましても、日本としては、やはりリーダーシップを取るということからもまず他国に先駆けてと申しますか、そういう気持ちでこれからも国会での御審議もお願いしたいと思っております。  まだ正直申し上げまして各国が全部出そろったというわけではございませんけれども、今申し上げておりますようにヨハネスブルクで間に合うようにということになりますと、これはひとついろんな手続もありますので、何とか五月中ぐらいには御審議を、五月の中旬ぐらいに御審議をひとつ終えていただきたいというのが私の方の希望でございますので、そのためにまたこれはひとつ精力的に御説明もいたしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思っております。
  7. 段本幸男

    段本幸男君 是非国会も挙げてこの批准について与野党問わず恐らく応援していこう、こういう気持ちじゃないかと思います。少なくとも私個人としては全面的に応援したいと思いますので、大臣に頑張っていただきたいというふうに思っております。  なお、この京都議定書が発効して効率よくいくためには、先般もお伺いしましたが、森林吸収メカニズムであるとか、あるいは産業界がどういうふうな形で取り組んでいくか、このことが非常に重要になるんではないかというふうに思っています。  先般は環境省の方にその御意見をお伺いしましたが、今日は改めてそれぞれ担当されて実施される省庁にお伺いしたいと思うんですが、まず、森林吸収メカニズムについて、林野庁でどのように取り組まれようとしているのか。とりわけ私が思うのは、この森林吸収メカニズムについて、単に林野庁の本庁がやればいいということではなくて、末端の施業に当たられる方一人一人が意識してそういうことを是非とも、やっぱり我々も地球環境に貢献するためにこういう形でやるんだという意識の浸透が非常に大事ではないかと思うんですね。それでその上で、いや森林というのは今木材価格が非常に低迷していますから大変なんだ、こういう部分でやはり国民の一部支援も仰ぎたいということがあれば、そういう皆さんに浸透した上でやるべき事柄ではないかと思うんですけれども、その辺の林野庁取組決意をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  8. 米田実

    政府参考人米田実君) 御説明申し上げます。  森林吸収源保全強化地球温暖化対策一つとして位置付けられておりまして、先般のCOP7におきましても年間千三百万炭素トン、約三・九%が第一約束期間において計上できる上限値というふうになっておる次第でございます。この場合、削減目標に算入し得る吸収量でございますが、一九九〇年以降に人為活動が行われた森林吸収量に限られるということがございまして、森林整備保全を積極的に進めることが重要と位置付けられておる次第でございます。  具体的には、今、先生お話ありましたような国民運動を盛り上げることを前提に、あわせまして、森林林業基本計画、昨年閣議決定された次第でございますが、これに示された森林の有する機能発揮発揮目標木材供給及び利用目標が達成された場合、森林経営による獲得吸収量上限値を、上限値程度吸収量確保が可能となっておりますので、これに向けて森林整備を進めていかなきゃいかぬと、かように考えている次第でございます。  現状のまま推移いたしました場合におきましては、確保できる吸収量三・九%を大幅に下回るおそれがあるというふうに大綱にもなっておる次第でございまして、このため、我が国に必要な吸収量確保するために、健全な森林整備、これまた先生指摘のとおり木材利用推進、こういうものを強力に進めていかなきゃいかぬと、かように考えている次第でございまして、いずれにいたしましても、林野庁といたしましては、地球温暖化防止を始めとする森林多面的機能持続的発揮、これに向けまして、森林林業基本計画に基づき重視すべき機能区分水土保全林、人との共生循環利用等々でございますが、こういうことに応じた整備木材利用ということを、森林林業に対する国民理解の醸成に努めるということも併せ行って、幅広い観点から森林施策推進に努め、これを通じて必要な吸収量確保に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  9. 段本幸男

    段本幸男君 是非、林野というものが国民の間で意識してもらうチャンスでもあるので、是非期待したいと思います。  次に、産業的な取組について経産省の方にお伺いしたいと思うんですが、現在、不景気が進んでいる中でこの取組を進めるというのは大変苦労が多いんだろうというふうに思っています。しかし、先般も言いましたが、日本技術立国ということでやってきました。現在好調な自動車産業、唯一の好調な産業かもしれませんが、これはやはり日本最先端環境取組をやった、こういう評価世界じゅうでやはり日本自動車産業を支えている、そんな面もなきにしもあらずではないかと思います。  是非、二十一世紀日本はやはり環境技術立国と言うんですかね、かつては技術立国だった、それを、環境を付けて、やはり環境最先端を行くことによって世界の信頼を得るような、こういう取組が必要になってくる。苦しいかもしれないけれども、あえてそうすることによって中長期的に日本産業を育てる、こんなふうなことになるんではないかというふうに思うんです。是非、この際、そういう指導をやっていただきたい。  現在、経産省でどういった指導をなさっているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  10. 大井篤

    政府参考人大井篤君) お答えいたします。  京都議定書目標というのは大変厳しい目標だというふうに考えております。その目標を達成するために、やはり私どもといたしましては、環境経済をどういうふうに両立していくのかと、こういうことを重視していかなければいけないというふうに考えております。  御指摘のとおり、現在の経済状況、大変厳しいものがあるわけでございます。対策を進めていく中で我が国経済に過大な負担が生じたり、産業空洞化あるいは経済活力の喪失、こういった事態は是非とも避けなければならないというふうに考えております。むしろ、温室効果ガスを削減する取組を通じて我が国経済活性化につながるような、そういった取組というものを積極的に講じていく必要があるのではないかというふうに考えております。御承知のとおり、産業界、現在自主的取組というものを積極的に講じておるわけであります。それなりの効果が出ておるというふうに考えております。  今般取りまとめられました地球温暖化対策推進大綱におきましては、エネルギーを起源とする二酸化炭素の排出抑制対策など、各分野において、御指摘のとおりの技術革新であるとかあるいは経済界創意工夫、こういったものが生かされる自主的取組対策の基軸としているところでございます。  経済産業省といたしましては、当面こうした取組を中心に、引き続き産業界と十分連携協力しつつ対策を進めていく考えでございます。
  11. 段本幸男

    段本幸男君 総論において、林野庁、そして経産省とも取組、非常にいい形を持っておられると思います。地球環境問題は一環境省がやるだけで事足りる問題ではなくて、国の行政挙げてこれに取り組むというふうなことが大事だと思っています。一番大事なのは、冒頭にも言いましたが、これから実行、実際にどれだけ世界日本が示せるかだと思います。引き続き各省においても取組をお願いしたいと思います。  それでは本題に戻りまして、自然公園法関係で質問させていただきたいと思います。  まず、自然公園法全般にわたる問題について前座としてお伺いし、その後に各項目についてお伺いしたいと思います。  まず、全体にわたる問題で、自然公園地域の問題なんですけれども、二十一世紀、今の時代は物の豊かさから心の豊かさへの時代に変わってきたというふうに言われております。とりわけ、最近では各国民がゆとりの時間を持って、それをどう過ごすかということに非常に腐心している、不景気なりに金の掛からない方法で自然と親しみたいとかですね、いろんなことをやっておられる。そういうふうに二十一世紀に入って物の価値観が変わり、国民考え方が変わってきたというふうに思っているんですけれども、そういう社会変革の中で、今、国土面積の一四%ですか、自然公園が指定されている面積は。この面積、ずっとこれまで、二十世紀に既に指定された、そういう結果として一四%ということになっているんですけれども、そのことが今の社会から見て合致しているのかどうか、その辺の評価環境省の方にお伺いしたいと思います。
  12. 小林光

    政府参考人小林光君) お答えします。  現在のところ、御指摘のとおり、自然公園、自然の風景地保護利用を図るという目的で三種類、国立公園国定公園都道府県立自然公園、この三種類合わせて五百三十五万ヘクタール、国土の約一四%に当たります。我が国自然保護地域制度で最も広い面積を占めている制度でございまして、我が国自然保護に大きな役割を果たしていると考えております。また、公園区域につきましては自然環境に応じまして見直しを進めておるところでございまして、今後も適正な自然環境保護に努めていきたいと、こう考えてございます。
  13. 段本幸男

    段本幸男君 ありがとうございます。  ところで、自然公園法全体に、今回改めて見さしていただいていて、自然公園という、先ほど二十一世紀で物の価値観が変わってきたと言いますが、そういう時代に本当に合っているのかどうかなという物の見方をしたときに、自然公園法の体系、これはたしか昭和三十二年に抜本改正された法律ではないかというふうに思いますけれども、これが自然を保護しようとしているのか、いや、それとも遊びたい、いろいろ利用したい、そういう利用する人たちに場を提供しようとしているのか、その辺の理念が時々の改正によっていろいろやってきた結果非常に不明確になってきているんではないか、ややもすると二兎を追って、あれもしたいこれもしたいというふうな格好になっているんじゃないかと、こんなふうに思うわけです。  これだけ利用者が、後にも言いますが、利用者が増えて自然が失われつつあるような段階になってくると、そろそろ、今回は一部改正ですけれども、もう少し長期的な視点に立って、片っ方では自然環境保全するために自然環境保全区域だったですかね、こういうものもやっておられますけれども、そういうものも含めて、一体日本全体の自然というのをどういうふうな枠組みでやるのか抜本的な整理をする、そういう長期的な視点も要るような感じがするんですが、これについては大臣の方からひとつ御答弁願いたいというふうに思っております。
  14. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今、段本議員からもお話がございましたけれども、やはり自然公園機能と申しますか、それをどういうふうに使うかという考え方、だんだんに歴史的に少しずつ変わってきておるんじゃないかと、正直申し上げますが、そういう気持ちを私は持っております。  元々、自然公園法の今までの書き方では、どちらかといえば自然の風景地保護とか利用とかいうことに非常に主眼が置かれておったということでありますけれども、先ほどからもお話がございますとおりに、その自然公園の中に、国立公園やら国定公園の中にいろいろと動植物もあるというようなことで、そういったものをまたひとつきちっと保護していくということがだんだんに考え方としても定着しつつあると思います。  ただ、今回、そこで、そういったところまで広げて、言うなれば自然公園法目的と申しますか、基本的な目的とするにはちょっとまだいろいろと、生物をどういうふうに保護していくか、保全していくかということについていろいろ実は環境省の中でも、あるいは関連の審議会の中でも御議論いただいておるところでありますので、今回はちょっとそこにそういう意味がはっきりとは打ち出してありませんけれども、我々としては当然今後の問題としてはそういうものをひとつ前向きで検討していきたい、いや、検討する必要があるというふうに考えておりますので、これはひとつ将来の問題としては前向きで真剣に検討しておるというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  15. 段本幸男

    段本幸男君 是非よろしくお願いします。我々も、自然、日本の残された自然をどうすればいいのか、積極的にまたそういう中で議論に加わらさせていただければ有り難いというふうに思っています。  次に、自然公園の中の生物とか風景を守っていこう、そういうことで今回も改正がなされているんですけれども、その守るという趣旨が、ただ規制を掛けるだけ、もちろんそのことは大切、それでいろんな形で守るということが大切なんですが、規制だけでは私は不十分ではないかというふうに思うんです。  私は、かつて熊本県というところに住んでいたことがあるんですが、阿蘇のあの草原を見ていると、やはり阿蘇草原は冬場に野焼きをやってみんなが地域管理している、その中に草原としての植物あるいは動物、いろんなものが、特殊のものが出てくる、こんなふうなことではないかと思うんです。  やはりそういう地域方々管理というものを入れた中で規制と、かつ地域の人を包含した中でやっていく、こういう形が一番日本の自然を守るのにはふさわしいんじゃないか。その意味においては、不足しているのは、是非環境省も、地域人たちの力あるいはNGOのいろんな団体がありますから、そういう人たちの力をかりる、さらに、力はかりるといったって、ただというわけにいかないですから、そういう人たちにもいろんな形で財政的な支援をしていい輪というのを作っていくことが大事ではないかと思うんですが、この辺について、どのような対策を取っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  16. 小林光

    政府参考人小林光君) 先生おっしゃるとおり、従来から国立国定公園管理問題、登山道の補修、整備ですとか美化清掃など、地域民間団体の方の自主的な取組、非常に御協力をいただいて行っていたところでございます。そういう力も今後とも必要だというふうに考えてございます。  そういう団体方々への助成措置とか、そういう支援措置のことでございますが、十分ではないんですけれども、例えば、地球環境基金などを通じてやるとか、それから環境省モデル事業というような形の中で阿蘇野焼きについて支援をするとか、そういう形で少しずつやっております。今後とも、民間団体方々と連携を取って管理を進めていきたいと考えております。
  17. 段本幸男

    段本幸男君 是非そういう形でいい形を構築する、長い時間掛かると思いますけれども、我々も政治の側からやっぱり努力していかなきゃいけない面ではないかというふうに思っています。  それから、もう一つ自然公園前提としてちょっとお伺いしたいんですが、私も農業の仕事に今までずっとかかわってきましたけれども、かつて食糧増産とかいろんな格好で、開拓という格好で自然の中にどんどん人間が入っていった、そういう時代があって、そしてある一定時期バランス取れて、今、山村においては高齢化とか過疎化が進んできて、場合によっては一番奥のところから挙家離村とか、そういう格好でどんどん人が引いていく、再び自然が戻してくる、こういう時代ではないかと思います。  そういう過渡期において、当然獣害であるとかいろいろな問題が起こってくるんですけれども、これから二十一世紀というのは、十年二十年タームで見たとき、ある部分はもういや応なくそういう自然の部分から人間が撤退していくという部分が出てきても仕方ないんじゃないか、こんなふうな感じもするんですが、しかし、そのときに本当に自然と人とのかかわりがどういうふうにあるべきなのかというのを考えた上で、きちっと自然に戻したり、あるいはそのかかわりを作っておかないと、後から気付いてやると、どんどんまた獣害がさらに町部に押し寄せるというのでは良くない。  そういう視点で何か長期的なビジョンを少し持っておく必要があるんではないかと。まあ自然公園とのかかわりにおいても、当然それは非常に重要なポイントになるんではないか、こんなふうに思うんですけれども、その辺について御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  18. 小林光

    政府参考人小林光君) 先生の御指摘のとおりだと思います。厚生労働省の推計でも、二〇五〇年には日本人口一億六十万人というふうに、減少するというふうに推測されておりますし、その一方で都市への人口集中というのが続くという、そういう状況ですので、御指摘のとおり、中長期的に国土保全利用について、その傾向を踏まえた上での対策が必要だと、こういうふうに考えてございます。  先般、三月二十七日ですが、生物多様性国家戦略が新しく決定されました。その中でも、自然を優先すべき地域として奥山、脊梁山地地域、それから人間活動が優先する都市地域、その中間にまた里地里山のような地域があって、そういう国土を三区分して対策を講じるべきだと、こういうふうな考え方を述べております。人と自然との関係、中長期的な変化を見据えて自然環境保全の水準は向上させる、そういう考え方、必要だと思っております。国土づくり社会づくりをそういう中で進めるということで、人と自然との共生トータルプランとしての新国家戦略を作ったと、こういう状況でございます。それに基づいて進めていきたいと考えております。
  19. 段本幸男

    段本幸男君 環境行政は、昭和四十五年の公害国会以来、ややもすると後追いでどちらかいうと来た。今、それをやはり、本来もう少し先を見てやる、取り戻すチャンスではないかと思うんですね。そういうものの一端として環境省も積極的に役割を果たしていただければ有り難いというふうに思っております。  次に、環境教育について、先般もちょっとお伺いしましたが、お話をお伺いしたいと思います。  東京の子供たちに聞くと、ウサギ動物園でしょう、上野動物園でしょうとしか言わない。ウサギは野山にいるなんということを全然知らない、そういう子供たち、やはりそういう子供たちに、できれば文部科学省総合学習の時間を取られた折に、自然公園の中で自然と触れさすことによっていろんなものを覚えていく、そういうあるいは心を作っていくことが大事ではないかというふうに思うんですね。  そんな意味では、環境省が、この四月から総合学習ができた折に積極的に文部科学省に働き掛けるべき。ただし、その働き掛けについては、教える人もいない、材料もない状態では何にもできないと思うんですね。やはりそういう指導者というんですかね、そういう育成とか、そういうことまで含めて環境省がやっぱりこういう形で日本環境教育をやりたいという意思を持っていく。例えば、今日は林野庁もおいでになっていますけれども、営林署の職員の方なんかは日ごろを通じていろんな識見をお持ちだと思うんですね。そういう人を活用するとか、いろいろな材料は各省が連携すればあると思うんですね。  是非、そういう環境教育について積極的に取り組むべきというふうに感じますが、その辺のお考えをお聞かせ願えますか。
  20. 小林光

    政府参考人小林光君) 自然環境保全をする心を養うとか、自然に親しんでもらって大事にする気持ちを養うとかいう意味自然環境教育、非常に大事だというふうに思っています。それは、特に自然の中で楽しんでもらって、体験を通じて身に付くものだというふうに理解をしています。  環境省におきましても、自然教育を実践するための指導者の育成ということに少しずつ取り組んでまいりまして、平成四年からのこの十年間に七百三十人ほどの養成という、指導者養成を行ったり、それから自然解説活動をボランティアにお願いをしまして、パークボランティアという形で約二千人の人が年間、毎年活動していただいています。そういうことを通じてやっておりますが、まだ十分だというふうには思っておりません。今後とも、その指導者育成を含めまして、環境教育推進のために力を、努めていきたいと思っております。
  21. 段本幸男

    段本幸男君 是非、重要な柱だと思いますので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それでは、今回の公園改正の中身について少しお伺いしたいというふうに思います。  まず、利用調整地区についてお伺いしたいと思うんですが、今回の改正の柱の一つは、新たに立入りを規制するような利用調整地区を設けようではないかと、こういうふうなことではないかと思っているんですが、この利用調整地区は具体的にはどのようなところを考えておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  22. 小林光

    政府参考人小林光君) 具体的な利用調整地区の指定を想定しているところでございますけれども、知床国立公園というところが北海道にございますが、そこの知床半島の先端部分、知床岬というところでございますけれども、そこに非常にヒグマと、人が大勢訪ねていってヒグマと遭遇したり、それからシーカヤックで大勢が来てごみを散らかしていったり、いろんな問題が起きていますので、地元の斜里町とか羅臼町と一緒になりながら公園利用等の管理について今検討を行っているところであります。そういうところが一つの対象地域になるんではないかなというふうに考えてございます。
  23. 段本幸男

    段本幸男君 その場合に、そういう利用調整地区は年じゅう立入りもう規制しちゃうのか、いや、季節によっていろいろ変動があるんではないかと思うんですが、その辺についてのお考えをお聞かせ願えますか。
  24. 小林光

    政府参考人小林光君) おっしゃるとおりです。例えば、知床の場合ですと、冬場は流氷が来たり、その到達距離も非常に長いものですから人が行くこともないですし、ほっておいても大丈夫だというようなこともあって、季節によって何人、もう規制はしないとか、場合によっては一日何人とかシーズン何人とか月に何人とか、そんなようなきめ細かな対応をしていきたいと考えてございます。
  25. 段本幸男

    段本幸男君 ところで、利用調整地区について、知床は分かったんですが、知床も大事でしょうが、しかし利用者が非常に増え過ぎていろんな形で自然が失われているというところは、もっとメジャーなところにもたくさんいろんな問題が出てきているんではないかと思う。例えば、尾瀬については、非常に立入りの人が多くて、私も三年ほど前行きましたけれども、もうたくさんの人がおられました。そういう結果、湿原植物が激減していくというふうなことが言われて、訪れた人だれもが、少しは規制なりなんなりで自然を守らないかぬのかなということを感じながら帰られる方が多いんではないかと思うんですね。  是非環境省としてはやっぱりそういうメジャーなところも、これから検討材料になるんだろうと思いますけれども、積極的にやって、もちろんメジャーなところ、やればやるだけ反動も多いし、現在なりわいをやっておられる、山小屋の人とかいろんな方おられますから大変だと思うんですけれども、あえてそれをやっていく御意思があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  26. 小林光

    政府参考人小林光君) 尾瀬につきましては、年間四十数万人の利用者が訪れて大変多くの方々が楽しんでいただいています。ただ、近年、ミズバショウのシーズンですとかそういう一部のシーズンを除いては大体利用が平準化してございますし、また山小屋の方も宿泊利用を完全予約制というような形で、土、日だけじゃなくて平日にも少しずつ広がっていくような形の中で、そんなに大きな問題というのは一部のところを除いては起きていないというふうに考えていまして、ただ、いろんな問題がございます。トイレの問題、山岳トイレの問題ですとかその他いろいろな問題がございますので、更に自然環境保全を進めていくことが大事だと思っています。  この利用調整地区を尾瀬にするかどうかにつきましては、山小屋等、その場所で事業を実施している方々もいらっしゃいますので、関係者と調整を慎重に進めながら今後の対策考えていきたいと思っております。
  27. 段本幸男

    段本幸男君 今現在、利用調整地区に似たような方法として、各所、例えば上高地であるとかあるいは南アルプスの北沢峠なんかでマイカー規制というのがたしか実施されているように思うんですが、このマイカー規制というのはどんな根拠でやられているのか。  また、マイカー規制、現在のあれではなくてもう少し強化するという意味では、今回の法律の中で何か入れて一緒にする方がより効率的な対策が立てられたんではないか、こんなことも感じるんですけれども、その辺についての環境省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  28. 小林光

    政府参考人小林光君) 現在、マイカー規制、上高地などを始め全国の国立公園十九地区で実施してございます。これは、道路交通法の規制などに基づいて実際はマイカーを規制しているということで、マイカーの進入を規制しているということです。県道などのそういう元々道路を、車を通すことが目的の道で交通規制するものですから、自然公園行政だけではどうしても対応できないということで、道路管理者とか警察当局とも協力しながら推進していく必要があるというふうに考えてございます。  利用調整地区との関係でございますけれども、一方で自然公園サイドでできる利用調整地区とマイカー規制というのは、そういう制度を組み合わせながら実効ある調整を進めていきたいというふうに考えてございます。
  29. 段本幸男

    段本幸男君 是非、各省の権益にわたるところでいろいろ難しいのはあると思いますけれども、あえて自然を守るという観点では、それを超えていろんな形で実施していただければというふうに思っています。  ところで、そんなものと似たような状況なんですけれども、先ごろ私は、時々山へやらせていただくものですから、先ごろも甲府のちょっと北側にある金峰山、キンプサンとも言うようですけれども、二千五百メートルぐらいの標高の山に登りに行きました。そのとき、山に登りに行くためには甲府駅からタクシーで行くと、実に七、八合目ぐらいまで林道がどんどん整備されているもんだから上の方まで行っちゃう。そして、大弛というたしか峠だったと思いますけれども、そこまで行くともうマイカーが一杯、もう林道所狭しと駐車されていて、自然、もちろん自然に親しみたい人がそれだけ多くいる。そういう人たちも大事にしなきゃいけないという面も分かるんですけれども、当然、多くそういう車で便利になって、入れば入るほど自然は当然失われていくという結果になる。  先ほども、自然公園法趣旨のところでも少し述べましたけれども、保護なのか利用なのか、いろんな意味環境省はこれから考えながら、実態、運用の中で考えなきゃいけないことではないかというふうに思うんですけれども、この自然公園法改正を機に環境としてはその失われ行く自然と利用との関係をどのようにお考えなのか、大臣にひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今も林道等もだんだん整備されるということ、これは実際に、林道を造るのはそれぞれの目的あるわけでございますし、その森林管理というようなことからも、あるいは現実に人が動くということであれば林道整備は、それは目的があるんですけれども、何せ、正直申し上げますと、利用者が非常に増加してもう大変だと、それが、利用者の増加に対する対策はなかなか正直言って追っ付かなくて自然環境に影響があるんじゃないかということは、もうこれは事実影響があると思います。ですから、これはもう何とかしなきゃいかぬということで。  今のところは、人の出入りの方の話は今回の法案の利用調整地区の制度というのもありますし、それからまた、先ほどから話がございますように、マイカー自体の規制とかいろいろあるわけでありますから、これは今のところはそういったもので、そういったもので、まず利用者の増加を合理的な範囲内に何とかして規制するといいますか、人と車ということで両方になると思いますけれども、しなければならないと思っています。  ただ、これが非常に多くなれば一体どうするんだと、もっと根本的な措置が必要かというようなこともございますが、差し当たりは、その今の人の増加ということについては、環境だけをいきなりその網をかぶせるということではなくて、まずはそこに絞ったところで措置を考えておりますけれども、これはまた一つ先ほどからお話がございますとおりに、そういった自然公園の中で環境をどういうふうに守っていくかという守り方の一つ部分だと思いますので、これはまた、検討事項としては今後もひとつ前向きに検討してまいりたいと思っております。
  31. 段本幸男

    段本幸男君 大変これだけいろんな自由時間ができて国民が楽しみたいという意識持っている、そのこと自身は決して悪いことないわけですから、そういうものとの調整、難しい問題だと思いますけど、新しいかかわりの問題について検討を深めていただきたいというふうに思っております。  次に、生態系保全についても今回の法改正の重要な柱になっておりますけれども、生態系保全のことについてお伺いしたいと思います。  先ごろ、中央環境審議会が答申出されて、その答申では、新生物多様性国家戦略の策定を踏まえて自然公園生物多様性保全の中心にするというふうなたしか位置付けになされていたかというふうに思っておりますけれども、そういう意識からすると、今回の自然公園法改正では、国の責務のところに一項ちょっと入った、それから特別地域の許可事項に動物の方が一項目入った、たったと言ったら非常に失礼なんですけれども、非常に中公審の言っている答申の割には非常に簡潔な改正点にすぎない。こんなことで、そういう中公審の求めるところができるのかどうか、その辺を大臣にひとつ御意見賜りたいというふうに思っております。
  32. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今回のこの自然公園法改正、確かに入口まで来たと、こういう感じだと思います。その生物多様性国家戦略、その中でどうやって公園の中で必要な措置、生物保全というようなことを、あるいは生態系の保全というようなものをどういうふうに進めるかというのは、これは正直申し上げまして、これから非常に一生懸命研究、検討しなきゃならぬ問題だと思いますが、取りあえずは今、それじゃいろいろと具体的な措置と結び付けませんと、何かせっかく法律作っても、ただ何かお経が書いてあるというだけではちょっと残念でありますので、これはひとつ入口まで来てそういった考え方を持っているぞということは示した上で、今後の具体策についてはこれまた随時勉強してまいりたいと思いますので、ひとつこれは入口まで来たというふうに御理解をいただきたいと思います。
  33. 段本幸男

    段本幸男君 これからも是非検討を深めていただければと思います。  そういう一環の一つに、私は、ミティゲーションという、要するに新しい、元の生物復帰というんですかね、そういうものが最近いろいろ言われておりまして、生態系保全のためには有効ではないかと言われているんですけれども。自然公園内でむしろ積極的にそういうことをやるべきだと思うんです。あるいはやっておられるのかもしれませんが、その辺の取組についてお聞かせ願いたいと思います。
  34. 小林光

    政府参考人小林光君) 国立国定公園など自然公園で何か道路などを造る場合に、大臣なり知事の許可が必要なわけですが、その許可を出す際に、保存緑地を設けなさいとかというような、自然環境に対する負荷の軽減をする措置が講じられております。  ただ、先生指摘のような、代替措置というような意味でのミティゲーションというところまではまだ踏み込んでおりません。大事なことでございますので、アセスメントを通じてでも、また自然公園独自ででもまた検討を今後進めてまいりたいと考えております。
  35. 段本幸男

    段本幸男君 先ほど大臣のおっしゃっておられた、生物に対するいろんな検討事項の中の一つとして御検討いただければ有り難いと思っています。  次に、私は、十年ほど前に東アフリカのケニアにあるナショナルパークというのを訪れさせてもらったことがあります。ここはもう広大な手付かずの自然、その中にぽつんと観察のためのロッジが造られている。こんな程度で、もう物すごい広い。なるほど、自然公園というのはこんなものかという感動をいたしました。日本でも、例えば根釧湿原について、やはりそういう資質を持っているところがあると思うんですね。  そういう部分については、やはり環境省は、どうしても非常に出にくいのは、土地所有の問題があって日本の場合はいろいろと出にくいんだろうと思うんですけれども、あえて財務省に言って土地を取得、あの分全部取得するというぐらいの気概を持ってやられるべきではないか、こんなふうな気持ちを持つんですが、いかがでしょうか。
  36. 小林光

    政府参考人小林光君) 現在、私どもとしても、自然環境保全上の調整上必要な土地につきましては、民有地買上げ制度というのを持ってやっております。広大な土地を買うというところまでなかなか行きませんけれども、昭和四十七年以来、そういうことを通じてやっております。必要な土地につきましては、できるだけ公有地化を図るというふうなことで努力してまいりたいと思います。
  37. 段本幸男

    段本幸男君 もう一つ、生態系保全の中で、全く、申し訳ないですが逆のこともちょっとお伺いしてみたいと思うんですけれども、動植物の保護、もう非常に大切なんですけれども、他方では、今現在、山村には獣害が非常に、イノシシ、シカなどの獣害が出て困っている。あるいは自然公園の中でも一部獣害が、シカの木の皮をはぐような、そういう被害が出ているというふうにも伺っておりますけれども、人と自然のかかわりにおいて、この獣害という問題をどういうふうにやっていけば、これもあるいは農水省辺りと関連する問題かもしれませんけれども、環境省としてどのように取り組もうとされているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  38. 小林光

    政府参考人小林光君) 最近、シカなど非常に急激に著しく増加している動物が深刻な農林業被害を与えております。そのため、平成十一年度に鳥獣保護法を改正しまして、特定鳥獣保護管理計画制度というのを作りました。これは、動物の生息状況を科学的に分析した上で、計画的にその捕獲などを行って生息数調整をしようと、こういう制度でございまして、これまでに二十九の地区で計画が作られて実施されております。  そういう制度を通じまして、農林水産省とも連携しつつ、鳥獣被害の軽減、適切な保護管理に努めてまいりたいと思っております。
  39. 段本幸男

    段本幸男君 先ほど言いましたように、人と自然とのかかわりにおいて、もう大変難しい、どこで線を引けばいいかというのは大変難しい問題だと思いますが、二十一世紀かかわりが増えてきて、やっぱり共生という観点では避けて通れない問題だろうと思います。是非、御検討をお願いしたいと思います。  それから、生物多様性保全の観点から見れば、自然公園法の中でも希少動物というのが、動物種というのがあるんではないかというふうに思いますけれども、こういうものを積極的に保護していく、その現状と対策をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  40. 小林光

    政府参考人小林光君) 自然公園法自然公園にもいろんな動植物、希少な動植物たくさんあります。そういう動植物の保護に関しましては、まず第一なのは生息地の保全ということで、自然公園法のいわゆる特別地域などにつきましては、許可とかいう制度で審査をして動植物の保護を図るように努めてまいりたいと思いますし、それから今般の改正におきまして、動物の捕獲の禁止も制度化いたしました。もちろん、高山植物等の採取の規制も従来からやってございます。  そういうことで、生息・生育地の保全と種の保全、両方を通じて自然公園における生物多様性の保全を図りたいと考えてございます。
  41. 段本幸男

    段本幸男君 その中で、今回、そういうこともあって里山保全とかいろんなことも併せ出てきたんではないかと思うんですが、以前、これは非常に細かい話で申し訳ないんですが、生物学者と話したときに、ただ単に点のものを保全すれば動物は生きられるわけではなくて、やはりそこが、すみかとして回廊になっていて、コリドーと言うんですかね、移動することによって動物というのはいい形の生活ができるんだというふうにおっしゃっていましたが、今回の自然公園法の中では残念ながらまだそこまで、もちろんこれからいろいろ検討する項目かもしれませんが、その辺についての環境省のお考え方をお聞かせ願いたいというふうに思います。
  42. 小林光

    政府参考人小林光君) コリドー、緑の回廊とも言っていますけれども、そういうことは非常に大事な概念だと思っています。野生動物の移動経路を確保するという意味で大切なことで、この三月二十七日に決定された生物多様性国家戦略でもその重要性を指摘したところでございます。  国立公園などを中心にそういうコリドーが張り巡らされるように、国土全体に張り巡らされるように、関係省庁それから周辺の地域の住民とも連携しながら、今後、努めていく、広げていきたいと思っております。
  43. 段本幸男

    段本幸男君 是非、やる以上は徹底を期してやっていただければ有り難いと思っております。  次に、風景地保護協定についてお伺いしたいと思います。  風景地保護については、たしかこれは、こういう法律改正する以前に、以前からナショナルトラストと言うんですかね、和歌浦とかああいうところで始まったんではないかと思いますけれども、ナショナルトラスト運動というものが始められた。  これについての環境省はどういう評価をされているのか、それで今回の風景地保護協定などにおいてどういう位置付けをしようとされているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  44. 小林光

    政府参考人小林光君) ナショナルトラスト活動というのは結構あちこちで行われていまして、全国で、私どもで把握しているので五十団体ほど、自然公園の中でも十二団体ほどが活動しています。この制度は、いろんなNGOの団体方々が民有地を買い上げて保全を図るという制度でして、我が国のように土地の非常に高い場所では若干費用的な面で行き詰まっている点もございます。  今回、風景地保護協定というのは、土地を買い上げることではなくて、その土地所有者と協定して、土地所有者に代わって自然の環境管理を行う、そういう制度考えたところでございます。
  45. 段本幸男

    段本幸男君 確かに、私も協定そのものが上手にいけば大変いい制度だと、大いに評価したいと思っているんです。ただ、本当はそれ以前に環境省は自ら土地を取得してきちっとやるんだというぐらいの気概というんですかね、本論をまずあって協定ならいいけれども、どうも協定だけというと、他人のふんどしで相撲を取っているような、おいしいところだけ環境省が食べているような、こんな見え方がしちゃうんですけれども、その基本のところ、要するに土地買上げの申出があればそれはもう従来からやるんだということなのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  46. 小林光

    政府参考人小林光君) 先ほども申し上げましたけれども、自然公園の民有地を買い上げる制度がございまして、一九七二年から順次取得を努めてまいりまして、七千七百五十ヘクタールほど現在までに取得をいたしました。そういうのを更に一層努めてまいりたいと思います。  今年度からは、今まで十分の五とか七の補助金で都道府県知事が交付公債を発行して民有地を買う制度でございましたけれども、国立公園は自らの責任において実施すべきだという考え方から、十分の十の補助制度に改めさしていただきました。そういうことで、今後とも、自らの土地取得、努力してまいりたいと存じます。
  47. 段本幸男

    段本幸男君 それでは次に、公園管理団体のことについてお伺いしたいと思います。  自然公園というのは、やはりその公園のある地域方々に対して十分な配慮をした上でそこをいい形で管理してもらうとか、いろんなことを考えるべきだと思うんですが、環境省は今まで、例えば自然公園のある地域の周辺の地域人たちがどんなふうに思っておられるのか、そういうものを聞かれたことがあるのかどうか。例えば最近、先ほど来何度も言っているように、自然公園に入りたい、いろんなところに行きたいといって、人がどんどん来る、人がどんどん来ることを本当は喜んでいるのか、いやいや、もう悪い面が出て大変なのか、そういうものを、意向を上手に尊重しながら民間の力をかりていく、こういうことが大事だと思うんですけれども、その辺についての取組をお聞かせ願いたいと思います。
  48. 小林光

    政府参考人小林光君) 政府で五年ごとに自然の保護利用に関する世論調査というのを毎回繰り返してやっています。ただ、個別地域ごとの自然公園、どこそこ国立公園に対して地元住民の意識を調査したことは残念ながらございません。おおむね五年ごとに国立公園の計画を点検をしたりしています。そういうときに、都道府県とか市町村など通じて住民の考え方というのを把握しているという状況でございます。  環境庁としまして、今現在、利用者の増加で観光面からは非常に地元にも喜ばれておりますけれども、一方で自然が、環境が悪化していくとか、自然の管理に費用が掛かるとか、そういう負担増に関する懸念もあることも承知してございます。
  49. 段本幸男

    段本幸男君 是非、地元のいろいろ意見を上手に把握しながらやっていただければと思います。  次に、公園管理について地元の力をかりる、私はもう大賛成で、是非こういう地元と一緒になりながら地域管理する、こういうことは大事だと思うんですが、その前提として、やはり地元に対して、今回の法律の中でちょっと見えなかったんですが、費用、対価をきちっと払っていくのかどうか、そういう姿勢が大事ではないかというふうに思うんです。  私は、以前、オーストリーに行ったんですけれども、あそこはEUの一環で環境支払という所得補償がなされています。田舎の方に行くと、環境支払は別段自然環境だけではなくて、有機農産物を作るとか、そういう面でもやっているんですけれども、そういうものをやっているところを見ると、地域の方が、いや、ここはヨーロッパアルプスの非常に景観のいいところで、いろんな人たちが来てそういう自然を楽しむところになっている、そういうものに対して我々自身もやっぱり積極的に保全していかないかぬ、そういう意識を農家の方が受け答えしておられるのを見て、こういう状態をやはり作っていくことがいい自然公園の行政かな、こんなことを感じました。  日本でも是非そういうふうな形を作る、そんな観点で是非対価をきちんと払って地元の方と一緒になってその意識もきちっと持ってもらう、こういうことが大切ではないかと思うんですが、環境省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  50. 小林光

    政府参考人小林光君) 御指摘のとおり、公園管理に関しましては、国自ら都道府県とか自治体とも協力しながらやるというのは基本だと思います。その上で、NGOの方々の協力を仰ぐというのがスタンス、基本的なスタンスだと考えています。  ただ、我が方も、今現在やっているのは直接支払のようなところまでまだ踏み込んだ検討が行われておりません。現在は、清掃活動に補助金を出しましたり、オニヒトデとかそういう駆除に、実際の活動費に対して助成をするというふうな形の中でやっております。  この十三年度からスタートしましたグリーンワーカー事業というのがございますが、これは現地の事情に詳しい地元の方々を雇用いたしまして、その方々自然公園管理、歩道の補修ですとか不当投棄されたごみの撤収とかそういうことをやっていただくような事業を、毎年一億円規模ですけれども、それでも五千人の雇用ができると、こういう事情でございます。現在は三十か所ほど年間やっていますが、こういう活動を是非拡充さしていただいて、その公園管理を充実さしていきたいと思っております。
  51. 段本幸男

    段本幸男君 よろしくお願いします。  それから、一つ確認事項なんですけれども、法三十七条で公園管理団体というのが位置付けられておりますけれども、この管理団体には地域管理やっている森林組合であるとか土地改良区であるとか、こういうところが非常に上手に使えば使いやすいところではないかと思うんですが、これを含めて考えておられるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  52. 小林光

    政府参考人小林光君) 公園管理団体につきましては、自然公園法上、一々の許可が要らない、協定に基づく行為については許可が要らないというようなこともございますので、きちっとその業務ができるということが条件でございます。そのための審査というのをやることになると思いますけれども、森林組合とか土地改良区の方々というのはそういう能力も人もおりますので、その審査をした上でございますけれども、対象になり得ると考えてございます。
  53. 段本幸男

    段本幸男君 私もよく山歩きを楽しましていただいています。先週末も奥多摩の方の山をちょっと歩いてきましたけれども、歩いてくると、いや、山道を整備する、あるいは道標を立てる、これは大変だろうな、お金も要るんだろうな、そんな意識を持ちながら山歩きをさしていただいております。  自然というのは、もはやただで入る、手に入る、こんなものではなくて、いろんな形でいろんな人のそういう力があってこそできるものだ、こういう意識をやっぱり国民の皆さんにもこれからは理解してもらう、これだけ利用者が多くなってくると、そういう意識を持ってもらう必要があるんではないか、こんなことを強く感じながらやっています。  例えば、山小屋行ってトイレ、最初のころ、有料トイレがたしか二、三年前ぐらいから出てきて、有料トイレ出てきたころ、えっ、こんなところ何で有料だという意識を持ちましたが、それによって水質がきれいになるんだ、トイレもきれいになるんだ、こんなんを見ているとそれは当然だと、こんな意識に私らもなりました。周りにおる人もみんなそんな意見だというふうに思っています。  そういうことを考えると、やはり利用者に、入山料がいいのかあるいはどういう形でいいのか、いろいろ知恵出さないと、そんな簡単に取れるものではないと思うんですけれども、国民にも利用者にも負担してもらうんだ。その財源に、先ほど来言ってきた、地元の人とかいろんな守ってくれる人たちにそれを財源としていく。今、こういう国の財政状態ですから、やっぱりそういう財源についても自らが知恵を出してやっていく、こういうことが必要なんではないかというふうに思いますが、環境省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 奥谷通

    大臣政務官(奥谷通君) 今、議員がおっしゃるように、チップ制のトイレとか清掃協力金といった形で一部において、百円程度でございますけれども、実施しておるところがございます。しかしながら、自然公園管理を充実させるためにはまだまだ不十分であります。中央環境審議会においても中長期的な課題として議論されております。また、平成十二年度に実施した国立公園に関するアンケート調査の結果で約七割の方が費用負担に肯定的な意見をお持ちでありまして、国民理解は得られつつあると考えております。  ただ、入山料につきましては、入口が限定されていない自然公園ですべての入場者から例外なく徴収するというのはまだまだ困難である等の課題が残っておりまして、今後、これらを含めまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  55. 段本幸男

    段本幸男君 自分自身が利用していて、それは実際にはいろいろ難しいなというのを感じながら、持っていますから、いろいろ知恵出さなきゃいけないんだろうと思いますが、是非、頑張って知恵を出しながら、上手な取組をやっていただきたいというふうに思っています。  次に、自然再生事業についてお伺いしますが、自然再生促進のためには、現在、与党でも自然再生促進法みたいなものを検討中でございますけれども、その自然再生事業に当たって、今現在は関係各省と連携しながらたしかやっておられるようなことをお伺いしていますけれども、その関係各省の連携にとどまらず、地方には田舎博士と言われるようなそういうものに非常に詳しい人たち、あるいはNGOの人たちもおられます。そういう人たちが参加しながら自然再生事業をやっていくことが非常にいい形のものが作れるんではないかと思いますが、その辺についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  56. 小林光

    政府参考人小林光君) 自然再生事業につきましては、自然環境に順応したきめ細かな対応が必要ということで、御指摘のとおり、関係方々の参加というのが不可欠だと考えています。調査の計画段階から、そしてまた事業の実施、事業実施完了後の維持管理に至るまで、地域住民、NGOそれからまた学識経験者の参加を得まして着実に取り組んでいきたいと考えてございます。
  57. 段本幸男

    段本幸男君 是非、いい形、本物、もうそういうものを目指して頑張っていただきたいと思います。  その里山の自然再生なんですけれども、しかし、里山の自然再生なるものはただ単に生態系が戻ればいいというものではないと私は思っております。むしろ、その生態系と、やはり地域の文化というんですかね、それぞれに農村文化なりいろんな形のものがあります。そういう人の営みが作り出してきたものと生態系が融合することによっていい形のものを醸し出してくるのではないか。棚田、これもやはりそれを管理してくれている人たちのなりわい。ため池も、そういういろんなビオトープとかなんとか言いますけれども、やはりそれを上手に管理している、田んぼの水を利用している人たちとの調整、そういうものがあって成り立つのではないかというふうに思います。  是非、そういう文化と生態系の融合辺りについて、環境省、どのようなお考えを持っておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  58. 堀利和

    委員長堀利和君) 時間が参りましたので、簡潔に御答弁願います。
  59. 小林光

    政府参考人小林光君) 里地里山の自然を再生するに当たりましては、このような地域環境をはぐくんできた伝統的な農林業の知識ですとか技術などの地域文化にも学びつつ、地域一体となて自然と人間共生関係を回復していくことが大事だと考えてございます。
  60. 段本幸男

    段本幸男君 自然公園法、いろいろお伺いしました。難しい問題あると思いますけれども、是非、これから二十一世紀に重要な問題だと思いますので、環境省の方にも頑張ってやっていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  61. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 民主党江本でございます。よろしくお願いします。  私は、この今回の自然公園法改正には賛成ということの立場で御質問をさせていただきます。  まず、自然公園法は、「すぐれた自然の風景地保護するとともに、その利用の増進を図り、もつて国民の保健、休養及び教化に資すること」ということを第一条に書いて、目的としております。保護利用という二面性を有する法律ということですが、二面性というより、保護をしながらも利用させると。相反するといいますか、また矛盾するというか、大変それを両立させるというのは非常に難しい法律ではないかなと。先ほど段本先生お話と多少ダブる面もあるかもしれませんけれども、そういった非常に難しい法律ではあると思いますので、そこで、私は、一つ具体的に日本の象徴であります富士山を例に取って幾つかお尋ねをしたいと思います。  富士山というのは、これは私なんかが日常、もちろん観光で一度も登ったことはないんですけれども、例えば新幹線で通っているときに左をぱっと見ますと、大阪から来るときは左ですけれども、天気のいい日は、こんなにきれいなものはないと、やはりさすが日本の象徴だというふうに感動するわけです。それから飛行機に乗りますと、必ず右手とか左手にきれいな富士山が見えますというようなことをアナウンスして、ほとんどの人がそれを見て感動したりするわけですね。  それから、私時々、段本先生のようにすばらしいところに、山登りとかしたことないんですけれども、たまにアクアラインを通って千葉方面にぶらっと行ってみるときがあるんですけれども、千葉の房総辺りからも富士山というのは物すごくきれいに見えるんですね、こんなにきれいに見えるのかなと思うぐらい。非常に景色がいいものですから、まあ行く行くあっちの方にいてもいいかなと思ったりもふっとするんですが、自然を愛する方ですので、そういう感覚をふっと持ったりもするんですけれども。  ところが、実際にこういうことを言う方がいるんですね。富士山というのは遠くから見ているととにかくすばらしいと、しかし実際に富士山に登ってみるととにかく余りの汚さに唖然とするというふうに言われる方が非常に多いんです。私は、本当は上がって本当に見たいんですけれども、そんな暇もないものですから、そういう人の話で言ってしまうので申し訳ないんですけれども、そういうことで富士山に対する近隣の、例えば静岡県とか山梨県とか、そういった自治体の方を始め環境NPOの団体の方とか、そういった方々がいろんな取組をされていると思いますけれども、そういう中でなかなか、取組をしてもきれいな富士山になるということはなかなか難しいと言われておりますが、環境省は、この富士山に対するそういう認識と再生というようなことに向けてどんな具体的なお考えをしておるのか、お聞きしたいと思います。
  62. 小林光

    政府参考人小林光君) 富士山につきまして御説明申し上げます。  富士山ですけれども、推定で登山者の数、毎年二十五万人ほどでございます。そのうち、山頂に登る方が十六万人ほどいらっしゃいまして、これに伴って、登山道沿いのごみの問題ですとか、山小屋から出ます、山小屋でのし尿の処理の問題、非常に大きな問題になってございます。  ごみ対策につきましては、平成八年に富士山地域美化推進会議ということで、環境省それから両県、市町村、民間団体、みんなで協力し合ってその美化推進を行っていきましょうということで、そういう会議が設立されました。また両県で、静岡、山梨両県でもクリーン作戦を実施しております。環境省は八合目以上の清掃活動というのをやっているところでございまして、ごみは、その年、五合目以上で八・八トン毎年出るというような状況でございます。  また、し尿の問題につきましては、山小屋が六合目以上に四十四施設、たくさんあります。そのうち二つはきちっとした処理をしているんですけれども、残りは垂れ流しのような状態というようなことで非常に大きな問題になっております。今回、トイレの関係で、民間の山小屋にも、トイレ改修に当たりましては二分の一の補助制度というのを作って一生懸命やっているところでございます。  以上です。
  63. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 正しくトイレの話を今からもう一度お聞きしたいと思いますけれども、富士山を世界遺産にという運動が起こりまして、国会でも請願が採択されました。ところが、視察に訪れたユネスコの委員が余りの汚さにため息をついて実現しなかったということを聞いております。別名白い川と呼ばれる、頂上付近に見える一本の白い線なんですが、これぱっと見ると残雪のように見えるらしいんですけれども、実はトイレから出たティッシュの川だというふうに言われております。ティッシュは水に溶けない。恐らくポケットティッシュなんかも使っていると思うんですが、今申されましたように、富士山でのトイレの問題というのは非常に深刻な問題だということで、抜本的な改善策を早急に講じないと霊峰富士がふん尿富士というふうに言われてしまう、そういう心配をされるぐらい今深刻な問題だと思います。  そこで、環境省としては今後、富士山に限らず、これは今、富士山の例を言っていますけれども、自然公園のトイレ問題というのは本当に深刻で、今経費の二分の一を補助と言われています。全国にも五か所ほどそういう場所があって、それに対して二分の一の補助ということをしているそうですけれども、維持費やそういったいろいろなものを含めて、そのような補助だけでいいのか、そういったことについての取組方をもう一度検討すべきじゃないかと思いますが、その辺についてお聞きしたいと思います。
  64. 小林光

    政府参考人小林光君) 国立国定公園のトイレ問題、従来から非常に大きな課題となってございます。平成三年度からトイレの改善と、汚いトイレをきれいで明るいトイレにしていきたいということで、全部で五百二十か所のトイレ、全国で改善をしてまいりました。  ただ、このトイレにつきましては、車で行けるようなそういう場所のトイレの問題でございまして、現在課題に上っておりますのは、先生指摘のとおり、山岳地のトイレの問題でございます。そのため、平成十一年度から、山小屋が合併浄化槽ですとか土壌処理方式の適正なし尿処理が作る場合には二分の一の補助を出そうということで、そういう制度を設けまして、平成十三年度から事業を開始してございます。これまでに二十施設について補助をしたところでございまして、さらに、十三年度の補正をいただきましたので更に二十施設、二十の山小屋に対して助成をしていこうということでございます。  富士山につきましても、四十四のうち、まだ十分ではありませんけれども、六の施設について一億二千万円ほどの事業費でトイレの改善というようなことを努めてまいりたいと考えてございます。
  65. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 それと同時に、ある程度利用者の負担というようなものも、先ほどお話出ましたけれども、こういったものも検討して、明確にこういったものに要るんだというようなことでこれを打ち出していく、そういった施策みたいなものを出すべきではないかなと思います。  そこで、私はちょっと縁がありまして、アメリカのアリゾナ州のスコットデールというところの名誉親善大使というのを十年以上前からやっておりまして、主に観光に関してアドバイスをしてくれと、外国の人からアドバイスをしてくれというような、そういう立場でそういった大使の役割を受けているんですけれども、アリゾナ州というのは皆さん御存じのとおり、今、知らない方はいないと思うんですけれども、大リーグのキャンプ地で有名な、イチロー選手とか彼らがやっているキャンプ地のそばなんですけれども、ここは御存じのとおり、大変自然環境が豊かな地域でございます。そういうところですから環境保全には大変熱心で、特に環境教育というものも非常に徹底をされております。  ちょうどグランドキャニオンが、有名なグランドキャニオンがそこに重なっているものですから、あれはアリゾナ州とニューメキシコ、ユタ、そういった四つのところが重なっている場所ですけれども、主にアリゾナ州の方がグランドキャニオンが近いんですけれども、そこの河川管理事務所では排せつに必要な容量の容器と知識、そしてすべてを持ち帰るという誓約なしには、このグランドキャニオンの中にハイキングに行ったり、それから川下りみたいな遊びありますね、ああいったものをすることに許可をしないというような仕組みがあるそうです。旅行者もあの辺に行く方はそれがもうごく当たり前のことだということで実行をしているそうです。携帯トイレ、トイレは当然ありませんから、そうすると、携帯トイレの中身を持ち帰ると、その持ち帰る意義について書かれた二ページほどの説明書というものも同時に発行して持たされるそうであります。  先ほどスイスの話がどこかで出たと思いますけれども、スイス辺りではどんなに高い山でもふん尿は下界に下ろして処理をするというふうに聞いております。これも実際行っていないので分かりませんけれども、是非とも視察で行きたいなと思っておりますが、そういった世界じゅうではふん尿とか、尿に対する考え方というのは一杯あるわけですから。  そこで、富士山ではどうかということですが、余りにもたくさんの人が登るようになったために自然浄化では到底間に合わないので、たまたま山小屋なんかでの人が莫大なお金を掛けて施設を作っているんですけれども、それでも間に合わないと。そこで、トイレ維持に自発的なカンパをお願いする箱なんかを作っているんですけれども、ひどいのになるとそのカンパした金を盗んでいくやつがいるという情けない話も聞いております。山梨県では何億円、数億掛けたらしいんですけれども、七合目の下山道に作ったものが年間の維持費だけでも一千万掛かるそうであります。先ほどチップ制のお話されていましたけれども、ここでチップ制というのをしたんですけれども、これは全体の二割ぐらいしかチップ置いていかないそうであります。  富士山には、先ほど年間二十五万人とおっしゃいましたけれども、私の方では三十万人と見ているんですけれども、ふもとまで含めると約三千万人が年間に訪れるんではないかと言われております。人間が一日に排せつする量は、昼前でちょっと申し訳ないですけれども、昼の御飯前で申し訳ないですけれども、成人の場合で尿が大体一日千二百ミリリットル、ふんが百四十グラムというふうにされておりまして、これを登山者全員がトイレを使用するわけがないにしても、この数字掛ける二十五万から三十万人を掛けて、この排せつ量を富士山に残すというふうに考えた場合、これはとんでもない話になりまして、それはもう自然浄化とかそれは問題じゃないと思うんですね。そうすると、やはりそれはもうとても世界遺産への道なんというのは見えてこないというふうに私は思います。  日本人は、観光に行けば、それが国立公園であってももう平気で排せつをしてごみをどんどん捨てていくと。これは一つは、これは直接因果関係あるかどうか分かりませんけれども、やっぱり休みが一斉になると、もう大体日本人というのは観光地でもどこでも人の行くところ一斉に行きたがる癖がありますから、人のいないところ、きれいなところを見て、きれいだなといって満足する人はいないので、どうしてもやっぱり観光地にどっと行ってしまって、どんなきれいな場所でも汚してしまうと。  私は、子供のときに四万十川のそばの小さな村の、おやじが警察官だったものですから、駐在所の子供として小学生のころ過ごしたことがあるんですけれども、そのころの四万十川というのはむちゃくちゃきれいで、今年行きましたけれども、やっぱりそれはもう昔の面影はないわけですね。よく見てみると、何か旅の雑誌とかいろんなところに、旅の専門家みたいなのがいて、カヌーの専門家みたいな人が出てきてここはすばらしいと書くものですから、やっぱりそこへみんながだあっと行くわけですね。そうすると汚れていくわけですね。その循環がするんですけれども、私はそういった習性のある国民に対しては、やっぱりそれは環境というものに対する保全、これに対する教育というものをこれはもっとしっかりしなければいけないんじゃないかと。そういう認識を常に持たせていないと、今のままでは幾らちょっとした便所を造ったって何したってそれはとても無理だと思うんですね。  そこで、二十一世紀環境時代と言われておりますけれども、これは学校で、先ほども学校教育の話されていましたけれども、学校教育とともに社会でもやはりそういった環境教育みたいなものを非常に充実しなければいけないんじゃないかというふうに思います。環境保全にはやはり、先ほども出ていましたけれども、ちゃんと指導する人、それからやはりお金、これが必要じゃないかなということを国民に多く知っていただくということが大変必要じゃないかと思います。  そこで、文部科学省は具体的にどんな環境教育を行おうとしておるのか、もう一度お聞きをしたいと思いますけれども、国内にはたしか四校か五校ほど環境専門学科みたいなのがございますね、高校に。たしか私の生まれ育ったところの四万十高校というところなんかもその学科があるはずなんですけれども、それは全国からしたらもうわずかなそんなものしかないということで、日常の中で環境教育をするにしても、どんな時間にどういうふうに教えているのかなかなか分かりませんけれども、しかし中にはこうして専門課程を設けて環境問題について学科として教えられているところもあるわけですから、実際に、しかしそういった環境保全だとかお金が掛かるとかということを広く国民一般に知らせるには、これは政府としても環境省としても、富士山の例を出していけば、一番メディアを通じてやれば広く国民には分かりやすいんじゃないかと思いますので、是非とも、大臣是非ともそういった広報宣伝活動、例えば教育問題みたいなものを含めるためには富士山の問題を広く伝えてほしいと、これを利用して伝えてほしいと思いますけれども、その辺についてお聞きしたいということと、もう一度、文部科学省環境教育についてどのような御見解かをお伺いしたいと思います。
  66. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 教育の方は文部科学省からも御説明いただけると思いますが、私、この教育というのは、もちろん環境ですけれども、その前に本当一般的に言えば、何というか公衆道徳の問題じゃないかと思います。ただ、それをよく分かっていただくためにはやはり富士山というような皆さんがよくお分かりのところを例に取って教育するというのは非常に大事だと思いますので、実は私もこの間まで富士山の話は、世界環境遺産にちっとも入れてもらえないということで大分怒ったんですが、怒っておりましたら、今度ちょっと幸か不幸か自分が大臣になっちゃったものですから、また大臣の立場からも、富士山の例などは一つ本当に一番説明するのによく分かる例でございますので、そういったものも含めてひとつ広い意味での環境教育の方も進めてまいりたいと思っております。
  67. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  学校における環境教育についてでございますが、環境教育につきましては、我が国の将来を担う子供たちがこの問題について正しい理解を持ち、責任を持って環境を守る行動が取れるようにするという観点から大変重要な課題であると受け止めております。小中高等学校を通じまして、関係教科あるいは道徳特別活動など、学校の教育活動全体を通じましてこの課題に取り組んでおるところでございます。  特に、この四月から新しい学習指導要領が小中学校で実施されておりますけれども、理科などの各教科における内容の一部としてこの環境に関する部分の充実を図っておるところでございますし、総合的な学習の時間という新しい時間におきまして、体験的、問題解決的な学習を通しましてこの環境問題についてもより教科横断的、あるいは総合的な学習を深めることが可能になったところでございます。  また、先生、専門学科等での取組お話がございましたが、私どもが承知しております限りでは、最新のデータ、二年ほど前でございますが、高等学校の普通科に環境コースというものを設けておりますものが、例えばお話にございました高知県四万十高校の自然環境コース、あるいは最近ですと鹿児島県の屋久島高校の環境コースといったものを含めまして七校ほど普通科の環境コースが設置されております。また、そのほか、いわゆる専門高校の専門学科でございますが、例えば群馬県立尾瀬高校の自然環境科など、幾つかの例が見られますし、普通科、専門学科以外の総合学科という分野におきましても環境に関する学習が各学校で取り組まれておるものと承知をいたしております。
  68. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 是非ともそういった、私が調べたところよりはちょっと増えているような感じなんで、こういった教育をするコースみたいなものがどんどん増えていくことを願っております。それと、さっきも話が出ましたけれども、自然公園の有料化というのは、先ほどの例からしてもやっぱりこれはお金が要るんだよというようなことも是非とも宣伝というか、きちっとした方針を立てていただきたいなと思っております。  そして、富士山を取り巻く問題はトイレだけではございません。これは、静岡県側ではたった一日のパトロールで不法投棄された産業廃棄物が十五トン以上見付かるというふうに言われておりますし、ペットや様々な動物を捨てていく人、それから車両等乗り入れ規制区域と知りながらオフロードバイクや四輪駆動車で丘を登る者、それから環境破壊のそういったすべてまとまったようなものが富士山にはもうどっぷり見られるということでございます。富士山というのは本当にみんなも行きやすい、幅が非常に広いものですから、そういったいろんな不心得者が一杯現れて環境汚染をしていくということでございます。  そこでお尋ねしますけれども、環境省自然公園保護に大体何人ぐらいの職員の方を配置しておられるのか。その配置をした役割とその権限というのはどのようになっているのでしょうか。  それから、国立公園管理業務が国の直轄となったために、自然保護官が許認可権などのデスクワークに一つは縛られてなかなか現場で働くレンジャーの姿が見えないというふうにも時に言われております。森林官と自然保護官の違いというのは何なんでしょうか。それから、両者の関係はどういうふうになっているのか。それから、人的交流もあるように聞いておりますが、我々国民から見た場合にその違いが余りよく分からないということでございます。それから、森林官の仕事の内容、それから自然保護官との違いは何か。両者が一緒になって仕事ができる方法があるのか。それから、自然保護官にしても森林官にしても、パトロールをする面積に対して人員が現状、適正であるとお考えなのか。  また、山のプロであります林野庁の職員を私はもっと有効に利用すべきではないかなというふうに考えております。今はやりのワークシェアリングという観点からしましても、私は諸外国から比べて非常にその点では少ないのではないかなというふうに感じておりますので、その点、環境省林野庁の方にお伺いしたいと思います。
  69. 小林光

    政府参考人小林光君) 現地の国立公園管理に従事している職員のことについて御説明を申し上げます。  通称でレンジャーと言っておりますけれども、現地の国立公園を始めとする自然保護に携わっているレンジャーの数は、現在、定員で二百十人ほどでございます。二十八の国立公園で二百万ヘクタールに及ぶ地域につきまして公園計画の計画作り、それからいろいろな開発行為に関する審査、それからいろんな利用の施設のための整備計画を作る、そういうふうなことに従事しております。そのほか、高山植物のパトロールなどにつきましても、森林官、林野庁の職員と共同して実施しているところでございます。  実は、環境省になる前の昭和四十六年、環境庁が発足したときにはレンジャーの定員は五十名ほどでございまして、徐々に増えてきまして、平成の初めに百名ほどになりました。平成になってから現在まで二百十人の定員になりましたのは、林野庁の職員を配置転換していただきまして環境庁の職員になっていただく、そういう中で定員が百名ほど増えてきたということでございます。  そういう中でございますので、今後も引き続き林野、特に国立公園の中で六割ほどが林野庁の所管する国有林でございますので、特に林野庁とは連携を深めて、一緒になって公園管理に努めてまいりたいと思っております。
  70. 米田実

    政府参考人米田実君) 御説明申し上げます。  まず、森林官の業務並びに権限等々でございます。森林官というもの、国有林の現場第一線の職員、組織でございまして、森林事務所というのを全国に点在させております。その責任者でございまして、国民に開かれた国有林の管理運営、経営を適正に行うということで、国有林野内における巡視などの管理業務、森林整備に関する各種事業の実行管理、こういうものに携わっている一方、その一環として、国有林内での森林窃盗などに係る司法警察権も有しているというようなものでございます。  この国有林野を預かる森林事務所でございますが、全国千二百五十六か所に配置されておりまして、その数だけ森林官がいるということでございます。国土の二割に相当する約七百六十万ヘクタールの国有林野を管理しておるわけでございまして、平均いたしますと一森林事務所当たりの管理面積、約六千ヘクタールという状況でございます。  お尋ねの点の、二番目の環境省のパークレンジャーとの連携の問題でございます。この問題、我が国有林、全国に広く所在しておりますし、地域特有の景観なり豊富な生態系を有する森林も多いということで、国有林野の管理運営等、環境省が所管いたします自然公園行政、密接な関係を有すると認識してございます。  このため、我々といたしましては、定期的に環境行政部局との連絡会議を開催することによりまして、森林計画の策定、自然公園区域における事業実施などに当たり連絡調整、意見交換を行っているとともに、現地におきましては、それぞれの現場を預かる森林官、パークレンジャーの間で連絡調整を図りながら業務を実施していると、かような状況でございます。今後とも国有林野の管理運営と環境行政との連携、十分配慮してまいりたいと思っております。  さらに、環境省林野庁との人事交流、人的交流を進めるべきではないかという話でございます。先ほど環境省の方からも御説明ありましたが、我々といたしましても、環境省林野庁との連携を図るという目的、観点のため、環境省との人的交流についても進めているところでございまして、具体的には、林野庁環境省の間で従来から部門間配置転換というものを実施しておりますが、このほか出向による人事交流も行っているところでございまして、特に平成十三年一月には中央省庁再編に伴い四十名というまとまった数を出向させたところでございます。  林野庁といたしまして、今後とも必要に応じ、環境省との連携を図るという観点から、人的交流を行ってまいりたいと考えてございます。  ありがとうございました。
  71. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 是非ともいい交流をしていただきたいと思います。  そこで、アメリカの森林保安官制度環境省のパークレンジャーとの最大の違いは逮捕権が付与されているかどうかだと思います。自然公園を不心得な連中から守るにはまずパトロールということになります。しかし、パトロールで発見できても逮捕権がないためにイタチごっこが続いているんではないかというふうに危惧しております。不心得な連中というのは、ほとんどが確信犯なんですね。見付からなければいいというような程度の認識ですから何度も何度も同じところへ来てやってしまうと。  そこでお尋ねをいたしますけれども、自然公園内で違法な行為を発見したときに、パークレンジャーは具体的にどのような行動を取るのでしょうか。また、どのような装備を備えているか。林野庁森林官には、森林法に基づく、先ほどお話ありましたように司法警察権ということが付与されているということですが、木材や貴重な高山植物の盗採などの違法行為には警察に書類送検ができるというふうに聞いております。自然公園法森林法は別物ですが、それぞれの、それでどの程度取締りの権限があるのか、それからまた罰則というのはどういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  72. 小林光

    政府参考人小林光君) 先生お尋ねの、アメリカの国立公園なんですけれども、アメリカの国立公園公園占用地という形で管理を行っていまして、営造物の公園というふうに言っておりますが、レンジャーはそのために土地の管理から治安の維持まで警察も消防もみんなやるという、そういう一貫の組織を持ってございます。  一方、日本国立公園は、土地を所有しないで、土地の管理権に有さない状況のまま地域を線引きして区域を定めて指定をしている、地域性の公園と言っておりますが、そういうことでございますので、治安の維持につきましてはほかの公園区域外のところと同じく警察が担っているということでございます。ですから、いろんな違法事件があったりなんかした場合には国立公園管理する環境省の職員が警察等に連絡をしてやると、場合によっては一緒にパトロールをするというようなこともございますけれども、そういう中で適正な対処をしているということでございます。  実際問題、ようやく機動力である自動車が全部事務所に配置されてやっています。最近は、携帯電話とか無線電話も少しずつ、無線も少しずつ整備しておりますけれども、将来的には、衛星の電話などがあれば大体山の中からでもどこでも通じるというようなことで、そういう配備を、強化を図っていきたいというふうに考えてございます。
  73. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 済みません。ちょっと、私への御質問ではなかったんですが。  たまたま、実は今朝も総務省の方から環境省に対しましていろんな自然保護、例えば自然公園どうやってきちっといろいろ必要な措置を取っているかというような勧告もございまして、ですから、私どもはそれについては検討すると言っているんですが、何せ、今のアメリカとかあるいはカナダも同じような状況かと思いますけれども、非常に強力なるレンジャーと申しますか警察権、司法権を持ったそういう組織があると。片や、日本の場合には非常に弱いということでございますので、今お話がございましたように、林野庁の方にはある程度そういった司法権を持った人がおられるわけですけれども、今後、きちっと林野庁のお立場あるいは環境庁の立場というものを総合的に考えて、どういう体制にするかということは私は中長期的には非常に大きな問題だと思いますので、せっかくの御質問もありましたし、これからひとつ真剣に考えさせていただきたいと思っております。
  74. 米田実

    政府参考人米田実君) 森林法の関係で御質問ございましたので御説明申し上げます。  森林法百九十七条以降、罰則、具体的に列挙してあるわけでございまして、森林窃盗罪から始まりまして森林放火罪、失火罪等々があるわけでございます。  まず、森林窃盗におきましては、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金、窃盗が保安林内の場合は五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金等々でございます。  また、具体的な例のお尋ねございました。具体的な例につきましては、平成十一年九月に国有林野内の天然林を四十三立米と、これの盗伐がございまして、これを、岡山森林管理所管内でございますが、管轄地検に森林法違反として送検いたしたという具体例がございます。
  75. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 今、大臣からも林野庁の方からもお話伺いましたが、改正案には行為規制や中止命令等の規定の拡充というようなことも書かれておりますし、それから、今お話しになったような罰金の額の引上げ等、それから所要の規定の整備を図るというふうな改正案になっておりますので、是非ともやっていただきたいと思います。  アメリカには、御存じのようにFEMAという組織がございます。これは先般のテロ事件なんかでも相当活躍されましたが、我が国でも奥尻の地震があったときなんかにこういったFEMAの存在というのが日本でも必要だというような話も出たという、そのFEMAですけれども、これはあらゆる緊急事態に対応できるようにということで法とスペシャリストが整備をされております。自然公園で火災などが発生した場合、最低でも警察と消防に即時に支援態勢を要請できるような独自の無線などというのが必要だと思います。パークレンジャーや森林官の手に負えないような事態が発生したケースを想定して、私は今のようなお話を総合しますと、FEMAのようなピラミッド型の組織形態というようなものも考えてもよいのではないかというふうに思っております。これは私の単なる思いですけれども。  実際には、環境省林野庁も管轄する地域がかなりダブっているところもあるわけですから、一つアイデアですが、せめて森林官とかそういう人のユニホームぐらいは統一して、それで何か使い古しの馬でもいいですけれども、馬に乗ってけん銃をぶら下げてみたいな、格好いいユニホームを着て森の中をこうパトロールしているというような姿がいいんじゃないかなと、ふとこう思ったんですけれども、実際には帯広に民間の環境保全団体があって、馬で山野を駆け巡りながらパトロールをしているという十勝森林警備隊というのがあるそうであります。こんなような組織というかシステムというか、こういったものをちょっと頭に浮かべてみると何かいいアイデアがあるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか、その辺について。
  76. 大木浩

    国務大臣大木浩君) やはり目に見える体制を作るということが、これは必ずしも今すぐに、いろいろと行政改革の中で人間余り増やしちゃいかぬというような話もありますからあれでありますけれども、やっぱり目に見えるものをきちっと作って、そういう必要な措置は取るぞという姿勢をきっちりと整えるということは非常に大事だと思いますので、これはまあひとつ、実は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、たまたま総務大臣とも話をしていまして、やっぱりこれは環境省だけではないかもしれませんけれども、そういった自然を守るための体制というのは、きちっと民も官も協力しながら強化してまいりたいと思っております。
  77. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 是非とも、そういったことで目に見える姿を見せていただきたいと思っております。そのことによって広く国民一般にも理解が得られるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  少し富士山からちょっと離れまして、先週の金曜日に私、杉並区にある和泉小学校の校庭が芝生化をされたということで、超党派の議員で作っておる校庭緑化推進議員連盟のメンバーとして視察をしてまいりました。実に見事な校庭で、是非ともまた皆さんには一度、この環境委員会のメンバーとして視察をしていただきたいと思いますが、大臣是非とも一度あの小学校のあの芝生を見ていただきたいと思います。  芝生化という効果は、非常に私はこれは抜群で、非常に大事な部分じゃないかと思うんです。聞いてみますと、子供が、芝生に入って遊んでいいよと言ったときに、まるでじゅうたんに上がるように靴を脱いで入っていったというようなことを聞きました。そういう中で、歩行器がないと、その中には歩けない子供もいたんですけれども、それが自力で歩こうとする姿を見て、そこの学校の校長先生が大変驚いたそうです。芝生の弾力というのは成長期の子供の足腰なんかにも非常にいい影響を与えますし、それから、アスファルトの校庭で育った中学生の骨格が異常に曲がっていると、異常な骨格をしているということが報告をされているそうです。何か、五本の指で立てない子供が非常に多いというようなことをこの前もお聞きしましたけれども。  なぜ学校の芝生のお話を今持ち出したかといいますと、日本公園の芝生には、ほとんどと言っていいほど、芝生に入るなというような表示が非常に多いわけですね。各自治体が管理している公園なんかも、きれいにしているんだから芝生に入るなと。ところが、最近は芝生に大分入ってもいいよというようなことで、日比谷公園なんかもたしか一昨年辺りは入っていいよって、入ってみたんですけれども、そのままになっているのかどうか、さっき電話して聞いたら、それはもうやめましたと、入るなというふうになったそうです。  それで、その理由として、元々観賞用の芝生だったということですね。それから、予想以上に傷みが激しい、人が入ると。それから、利用者が弁当などの食べかすをぽっぽこぽっぽこ放置すると。それから、ホームレスが芝生の上に住み着いてしまうと。これはふかふかしたいい寝床ですので、そんなことが主な理由だそうであります。  ホームレスの場合は、これはちょっとこことは関係ないですけれども、これもちょっと、じゃ、追い出せないのかと聞いたら、いや、法整備がまるでないので、ちょっと出ていっていただけませんかとお願いするぐらいしかできないんだというようなことで、強制排除ができないということですから、結果的にもう入らせないようにしちゃったというようなことなんですけれども、私は、それとは別に、環境省が所管する公園というのは多分あると思いますけれども、それはどういうふうな実態なんでしょうか。  それから、外国では芝生の研究が非常に盛んで、冬の寒いときでも芝生が青々している。上の枯れ草が落ちてきても、ちょっと払えば下はもう青々としているというようなところが一杯ありますから、非常にその景観を楽しむ芝生と、それから一緒に入って遊んでもいい芝生というようなことで、いわゆる国民の要するに保健とか休養及び教化に資するという意味でいいますと、この芝生の役割というのは非常に大きいと思うんですね。  私は、もっとどんどんどんどん日常から公園なんかで芝生で遊ばせるようなことをやっておけば、これは大人も子供も、やはり自然に対する、また公園に対する意識というのは非常に、ごみの処理だとかいろんなことを考える場としては非常に私はすばらしい効果を与えると思いますので、これは公園管理業務というのは恐らく前の、旧建設省ですか、これは。恐らくこれが、本当は環境省がもうそっくり全部引き継いで、その芝生の効用とか、文部科学省辺りに校庭の芝生化を推進したりとか、そういったようなことを含めて、少し重要性ということを考えていただいたらどうかなと思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
  78. 小林光

    政府参考人小林光君) 環境省が所管する公園についてのお尋ねでございました。  環境省が所管する公園自然公園という先ほど来のものとは別に、国民公園というか、例えば新宿御苑とか皇居外苑とかいうところの公園を所管してございます。  先生指摘のとおり、土とか植物に触れ合うということは自然と親しむ第一歩でございますので、非常に大事だというふうに我々としても考えてございますので、例えば新宿御苑なんかでございますと、一時的に芝生の養生のためにその立入りを禁止して、芝生が育つまでまだ入ってくださらないようにとお願いすることはございますけれども、原則としては開放するということで、できるだけ長い期間開放するように努めていきたいと思っております。実際にそういうふうに運営をしてございます。
  79. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 芝生には、冷却効果とか、それから二酸化炭素を削減させるというような効果もありますし、それからその広々とした緑のじゅうたんがどこへ行ってもあるような町づくりがあれば、環境があれば、何よりも心のいやしにもなると言われております。で、校庭の、学校の話ですけれども、校庭のない学校は屋上を芝生にするとか、それから企業のビルの屋上にも芝や花や木を植栽するということで、都市部のこういったことによってヒートアイランド防止効果があるんではないかというふうに言われてもおります。  こうしたことから、身近なところから取り組むことによってちょっとでも意識が変わっていけば、私は最終的には地球の温暖化の防止にもつながっていくんではないかというふうに思っております。  ちょっと地球の温暖化にまた突然飛躍しますけれども、確かに数値目標も大事ですけれども、地球の温暖化の原因にはいろんな説がございます。私も、いろいろのところで本を読んだりしているうちにだんだん混乱してくることが多いんですね。地球の温暖化なんというのは、これといったものがひょっとしたらないんじゃないかというふうに最近思うようになりました。  例えば、こういう記事がありまして、日本自動車工業会のデータを基にすると、自動車一台当たりのガソリン消費量は年間八百五十二リットルで排出ガス量は一年で〇・五三トンとなりますと。京都議定書削減目標は九〇年ベースなので、日本の二酸化炭素排出量三億七千万トンの六%に当たる千八百四十二万トンであるということですが、旧環境庁によると、九五年までに二酸化炭素は更に六千八百万トン増加したので、総量で八千六百四十二万トン削減しなくてはならないと。この辺の話は御存じでしょうけれども、それを排ガス量〇・五三トンで割ると一億六千三百五万トン、八千四百二十三台ですから、目標停止台数をこれで割ると三・四七倍という数字が出るということです。  つまり、京都議定書の数値目標を本気で守ろうとすれば、三年半もの間、日本人は自家用車を一台も動かせないということになるということですので、こういう記事を読みますと、この問題も目標ばかりが強調されて、削減方法や科学的な説明がもう一つ不足しているように思われます。  ですから、環境問題を語るときには、私自身もそうですけれども、本質的なことは、自分のやはり世界観として環境に調和していく生活様式を選択するという態度、そういったものが重要ではないかなというふうに思います。  たまたま環境委員会に所属しておりますから、様々な問題に関心を持って議論をしておりますけれども、やはりこれは身近なところから自分たちで本当に、さっき言った地域での芝生の問題とか、そういったことを含めた、ごみの問題、いろんな目に見えるものから自分たちが意識を持っていかないと、なかなかこういったものにはつながっていかないんではないかと。  だから、余りマニアックな議論ばかりに走らないで、地球温暖化というような問題も含めて今後取り組んでいきたいなというふうに思っておりますので、最後に大木大臣の御感想をお聞きしたいと思います。
  80. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 地球温暖化の、日本の場合には六%削減の数値目標のために、この間、皆様にもいろいろと御審議していただくわけでありますけれども、地球温暖化のための新しい大綱というのを作りまして、これが言うなれば現在の地球温暖化、その六%削減のための基礎になる一応の計画書でございます。  ただ、この計画書はまだ非常にきちっと細かいところまで詰めてないところもありますけれども、決してその計画に載っております数字というのは、マニアックと申しますか、全く実現性がないということではなくて、これはもう関係方面、これはもう関係各省、全部入っていただきまして、一応、もちろんだからまだ非常にこれからの目標としてどういう手段でやるかということについて細かいところは詰めてないところはありますけれども、これは実現できる目標ということでこれから努力させていただきたいと思いますので、どうぞひとつそういうふうに御理解いただき、またひとついろいろと御審議をいただきたいと思います。
  81. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 ありがとうございました。
  82. 堀利和

    委員長堀利和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  83. 堀利和

    委員長堀利和君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自然公園法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 谷博之

    ○谷博之君 私は民主党・新緑風会の谷博之でございます。  今回提出されております自然公園法改正、そしてそれに関連する問題について質問をさせていただきたいと思います。  なお、午前中のお二人の委員の先生方の御質問ともダブるところがございますので、この点はできるだけ視点を変えて簡潔にお伺いをいたしたいというふうに思っております。  まず、質問の第一は、自然公園法における生物多様性の保存のいわゆるその理念の位置付けの問題についてお伺いをいたしたいと思います。  これは段本委員の方からも質問ございましたけれども、実は三月の二十七日、御案内のとおり新生物多様性国家戦略が一応関係閣僚会議で決定いたしました。その具体的な施策ということで、特にその唯一の法改正ということで今回の自然公園法が一応の改正案が出てまいっているわけでありまして、これは非常に私はそういう意味でも時期を同一にして大変重要な問題だというふうに考えております。  しかし、そういう中で、今度の自然公園法改正の中で、この生物多様性の保存ということにつきましては具体的には国の責務というところにそのことが指摘をされておりますけれども、私は、本来これは「目的」の中に、第一条の中にこの問題は位置付けられるべき重要な問題だというふうに考えております。この点について、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  85. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今回、自然公園法の一部を改正するということで法律を出しておるわけでございまして、もちろんその自然公園の中でいろいろとこれから生物多様性というようなことを考えていくという、そういう問題が確かに存在するということは決して否定できないわけでございますし、今後も必要に応じていろいろと対策を進めていくと。つまりはその自然公園を管轄しております役所としていろいろとその責務を果たしていくということですけれども、今の法の目的の方に生物多様性の保全というのを入れるかどうかというのは、正しく、ちょっと午前中も同じようなことを申し上げましたけれども、今のところ、生物多様性の保全といいますと、これはまた非常に広い、必ずしもその自然公園法の範疇にとどまらない問題もあるんではないかということで、いろいろとまだ環境関係のいろんな審議会等々でも勉強していただいておるという段階でありますので、今回はその目的の中には入れなかったと。  しかしながら、いろいろとこれからその自然公園法に基づきまして行政を進めていく過程におきましてはそういう問題が出てくる、生物多様性の問題が出てくることは十分に承知しておりますから、いろいろと緊急の問題が出てくるということであれば、この法律の中でまたこれは処理できるというふうに私どもは理解をしております。
  86. 谷博之

    ○谷博之君 この問題については、財団法人の日本自然保護協会も具体的な提言をこの法案の改正の過程でいたしてまいりましたが、特にそこで触れられておりますのは、いわゆる生物多様性の保存を始めとする、言うなれば多様な環境機能の維持といいますか、そういうものを触れているわけでありまして、要するに、狭い意味のと言うと恐縮ですが、そういうものではなくて、全体的なそういう多様な環境機能をどうやってこれから維持をしていくのかという、こういうことからすると、私は、国の責務というところでそれを触れられているということですが、やはり目的に値するような大変大きな問題ではないかというふうに思っておりまして、これについては、今の大臣の答弁を一応受けまして、それはそれとして受け止めさせていただいて、しからば、じゃ、それに基づくその国の責務という、この部分について更に具体的な御答弁をいただきたいと思っております。
  87. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今度の法の中でも新しい改正によりまして、利用調整地区の指定とか風景地保護協定、特別地域規制強化等々、新しく仕組みが作られるわけでございますので、これによって当面予想される問題というのは対応できるんじゃないかと思っております。  ただ、これはこれからいろいろと実際には、先ほどお話ございましたけれども、国立公園あるいは国定公園、そういったものをどういうふうに活用していくかという、これは新しいまたこれからの問題だと思いますので、そういったものを視野に入れながら、もしこの法律が不十分であれば将来の問題としては考えるというふうに私どもとしては対応したいと思っております。
  88. 谷博之

    ○谷博之君 今の大臣から御答弁のあったそういう答弁の内容をより実効性あるものにしていくために、引き続いて私はお伺いしたいわけでありますが、特に自然公園の中にある、前回の私委員会でも質問いたしましたが、移入種の問題ですね、いわゆる外来種の問題が実は法改正には触れられていないというふうに思います。  具体的に申し上げますと、例えば国立公園の中で福島県の檜原湖あるいは北海道の大沼国定公園などにはもう既にコクチバスが放流されたり、そこに生息しているというふうなことが具体的にもう調査の中で明らかになっております。これは、いわゆるどういう形で入ってきたかは分かりませんが、特に動物の愛護及び管理に関する法律という、これは平成十一年十二月二十二日に改正になっておりますけれども、これについてはいわゆる「愛護動物を遺棄した者は、三十万円以下の罰金に処する。」というようなこととか、こういうような法律になっているわけですけれども、いわゆるそういう中でこの法律の中にも該当している動物というものは、「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」ということで、ここには魚類が入っていないわけですね。そういう意味で、国立公園の中にもこういうコクチバス、ブラックバスというのがどんどん放流され、生息されている。これについての特別な法の縛りがないというふうなところは一つ問題としてあると思います。  それからもう一つは、東京の小笠原にいわゆるヤギが非常に繁殖している。これは船員、だれか分かりませんが、船で持ってきてそこにすみ着かせたのではないかというふうな話もありますが、そのことによって増え過ぎて、小笠原のいわゆる生態系、植生が非常に変わってきているというか、大変な状況になっているというふうなことがありまして、これらの問題をどうするかというふうなこともあります。  結局、そういう意味からすると、このいわゆる持込みだけではなくて、言うなれば適切な管理、駆除といいますか、そういうものも含めてこれからそういう自然公園の中におけるこういう問題をどう取り上げていくのかということが問題になってくると思うんです。  いろいろこの法律を私拝見いたしておりまして、その中で特に十三条の三項の十五、それから十四条の二項の十、ここに実はこういう条文があります。風致や景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為、このものについて規制の対象というふうに一応政令で定めるというふうなことに書いてあるんですが、この点について、この移入種対策というのはここに含まれるんでしょうか。このことについて御答弁お願いします。
  89. 小林光

    政府参考人小林光君) 今、先生指摘の十三条第三項第十五号でございますけれども、知事ないし大臣の許可を受けなければしてはならない行為として、十五号には、「特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの」というふうに規定がございます。  この政令では、今直ちにこの規定で何をということを想定していませんけれども、何か緊急に風致に影響を及ぼすような行為があった場合、そういうものに対処するために設けた措置でございまして、必要があれば移入種対策についても適用できるものと考えてございます。
  90. 谷博之

    ○谷博之君 是非そういう方向で対応していっていただきたいというふうに考えております。  そして、先ほども午前中の質問に出ましたけれども、いわゆる自然保護官の問題、いわゆるレンジャーの問題ですが、これは江本委員からも御質問がございました。内容的には二百十名でこれだけの広大の国立公園国定公園管理できるんだろうかというふうなことがありますが、しかも関係者に聞きますと、あの広大の尾瀬には最近までたった一人しかこのレンジャーがいなかった。そして、しかもこのレンジャーは大体二年周期ぐらいでどんどん異動していくわけですね。しかも若い人たち、若いレンジャーの人たちはどうしても地元の皆さん方とのいろいろな形の関係が出てきますと、いい点いろいろ、改善する点いろいろ出てくるんでしょうけれども、そういうレンジャーの置かれているそれぞれの細かな状況もあるんだろうと思うんですが、ただ、全体として余りにもその数が少ないということは、これは言えると思います。  正に、こういう法律を作っても、その管理や、それが、きちっとそれが監督されなければこれはざる法と言わざるを得ないような状態になるわけで、この点については私の感想として指摘をしておきたいのでありますが。  そういう中で、この法律がいわゆる具体的な施行が平成十五年度からということになると思いますけれども、そうしますと、その前に、この十四年度の環境省のその予算の中で唯一これに、その前年の十四年度からこうした管理にかかわる取組等をしていくのではないかと思われるのが、いわゆる知床の新規で入っている調査費、生態系の管理モデル事業ですね。三千三百八十万余のこの新規事業は多分こういうものに関係するんだろうと思うんですが、予算的な意味で、こういう人員の増員も含めて、あるいはその内容の充実も含めて、これをやはり拡大をしていく必要があるのではないかというふうに思っているんですが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  91. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 今も委員御指摘がありましたように、午前中からもこの話が出ておるわけです。  今回の自然公園法改正も、本省もそうですけれども、現地の事務所また自然保護官の仕事が増える法律なわけですよね。それをどのようにして本当に実効性あるものにしていくかということは大変重要な問題であると思います。  私は、環境とか、そういう介護その他の非常に生活関連の役割がどんどん大きくなっている現状の中で、それと公務員の行革の観点からの余り増やしてはならないという、これ調整していくかということは大変大きな課題であると思います。  そんな中で、人も予算も現状では少な過ぎると、絶対数がどうしようもないということがあると。これをいかに国民の支持を得ながら環境省はその拡大に取り組んでいくかということ、これは与野党を超えて是非支援賜りたいというふうに思いますし、と同時に、全部公務員でやるのかということもあると。したがいまして、民間団体にもたくさんの組織もありますし、専門家もいらっしゃる、また国民全体的にも応援しようという方々がどんどん増えているという中で、それを生かしていくということも大事であろうと。  ただ、そのためにも現地にいらっしゃる自然保護官また事務所の役割が極めて大きいと。マネジメントの能力や調整の能力、またそういう動物、植物に対する専門家としての能力、それをフル回転させながらコーディネートしていく能力が求められていると。そういう方々の養成の在り方もこれからの課題であろうというふうに思います。  人を増やすための予算の努力についても懸命にやってまいりたいと思いますし、今おっしゃった事業面におきましても、グリーンワーカー事業一億円、こういう予算も生かしていく。また、今おっしゃったモデル事業につきましても、モデル事業という形で調査その他の予算で活用してまいりたいというふうに思っております。今、おっしゃったように、このモデル事業は三千三百万円等でございます。  繰り返しますけれども、人も予算も絶対的に少ない立場にあるというその中で、いかにそれを充実させたものにしていくかということは本当に緊急の課題であるというふうに感じております。
  92. 谷博之

    ○谷博之君 今、副大臣の御答弁の内容は私もよく分かるわけでありますが、例えば、今度のこういう行為規制の追加の問題については、今回の法改正によって特別保護地域から特別地域を含む面積という、対象が、範囲が広がりますので、大体面積的に言えば六倍ぐらいの広さになるのではないかと思うんですが、それでいてそのレンジャーの数が変わらないということは、これは正に先ほど私言ったような、そういうふうな矛盾が出てくるのではないかというふうに思っています。  環境省の予算の問題については、今お話しありましたように、特に今年度からいわゆる自然再生事業などのそういう事業も入ってまいりますし、予算がそちらにかなり回されるということになると余計厳しい状況にもなるんだろうと思いますが、これは正に大事な視点の問題でもあるということで、是非前向きの御努力をしていただきたいというふうに思っております。  続きまして、具体的に次の問題をお伺いしてまいりたいと思いますが、先ほども午前中出ました尾瀬の問題についてでございますが、尾瀬に至仏山、仏の至る山という山がございます。二千二百メーターぐらいの海抜の山ですけれども、そこの東側の面の登山道の問題と、それから長者小屋という有名な小屋がありますけれども、そこのいわゆる建築廃材の投棄の問題についてお伺いしたいと思っております。  この至仏山の登山道の問題については、一九八九年から一九九七年まで、八九年から九七年までの間は、その至仏山の植生に大変そういう影響を与えているということでこの登山道が閉鎖になりました。そして、その後この登山道が開かれまして、現在は登山ができる、そういうことになっているわけでありますが、ちょっと私の方でいろんな環境団体からの報告書を見ておりますと、例えば、残雪期ですね、雪のほとんど残っているときとか、あるいは雨が降ったとき、降雨時には、登山者は登山道のぬかるみを避けるために登山道のない植物群落の上を歩いて、そして植生を破壊していると。この登山道沿いの九か所の雪田群落は踏み付けられたことによってほとんど消滅してしまっていると、こういうふうな報告も出ているわけですが、そういう大変厳しいといいますか、状況の中で、これを具体的に、どういうふうな今状態にあるかということを、これは環境省としてもやはりしっかり調査をしなきゃいけないと思うんですね。そして、それもできるだけ早く、しかもそれは環境省が中心になって、もちろん地元の群馬県とかそれぞれの関係者の皆さんと一緒にやるということになると思いますが、こういうふうなことについて、まず現状と実態調査を含むそういうふうな活動の取組について御見解をお伺いしたいと思います。
  93. 小林光

    政府参考人小林光君) 今、先生指摘の尾瀬至仏山の登山道でございますけれども、ここは尾瀬の中でも二つの山の中の一つ、有名な山の一つ、至仏山から尾瀬ケ原へ下るルートとして重要な登山コースでございました。ただ、高山植物帯を、急斜面を下るものですから、人の踏み跡によって山が少しずつ削られていく、高山植物も影響があるというふうなことで、平成元年に閉鎖をいたしまして、植生復元事業とか歩道の整備とかそういうことをやってまいりまして、平成九年にいったん供用開始をしたところでございますが、先生指摘のように、雪解けの時期にやっぱり踏み外すというようなこともございまして、現在は雪解けの五、六月につきましては閉鎖をしているというような状況でございます。  これに関しましては、群馬県が主体となりまして、有識者を集めました尾瀬保護専門委員会というものを作りまして今後の検討を進めています。どういう対策を講じるかということについて検討を進めるつもりでございます。今年の雪解けを待ちまして現地調査に掛かって対応方針を定めていきたいと、こう考えてございます。
  94. 谷博之

    ○谷博之君 その点について重ねてお伺いをいたしたいわけでありますが、その場合に調査を、やっぱりもちろん地元群馬県を始めとして環境省の皆さんもその調査でやるわけでありますけれども、やっぱり一番その状況を常に目の前にして調査しているのは、いわゆるNGOの皆さん方、自然保護団体方々であろうというふうに思います。現に尾瀬自然保護指導員ネットワークとかいろんな団体がそういう調査をいたしておりまして、是非この至仏山の合同調査にはこういう方々意見を聞いたり、時には参加をさせるとか、そういうふうな形での是非ひとつ配慮をしていただきたい。  それから、もう一点は、先ほど申し上げました東斜面の登山道の再閉鎖という問題になるわけでありますが、その結果によってはそういうことも視野に入れて、この登山道については是非、これ以上状態が悪くなるようであれば閉鎖をも含む選択肢も是非考えていただきたい。  それから、保護策については、もう短期的なそういう身近な本当に目先だけの保護策ではなくて、長期にわたる、そういう形で是非取り組んでいただきたいというふうに考えているわけでありますが、これらの点についても再度お伺いしたいと思います。
  95. 小林光

    政府参考人小林光君) 至仏山の登山道に関しましては、NGOともよく連携をしていきたいと思っています。環境省、この問題を対応策を考える、具体化するに当たりまして、各段階で情報公開、それからNGOの方々の検討会への参加とかいうことも含めまして検討してまいりたいと思っております。
  96. 谷博之

    ○谷博之君 是非ひとつそういうことで、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、長者小屋の廃材不法投棄の問題についてでありますが、これは新聞にも報道されていましたので御案内の方も多いと思いますが、一九九九年にあそこの小屋の別館を建て替えをしました。そのときにその廃材を、敷地内に穴を掘ってそこに埋めてしまったということなんですけれども、これは一つはモラルの問題もありますが、言うならば自然公園の中でのそういうふうな行為というのは法に触れるのではないかというふうなことも言われております。  したがって、なぜこういうことになったか、その原因を明らかにするということですね。そして、これは是非発掘をしていただきたいと思っておりますが、しかもこれは第三者の立会いの下にそういうふうなことを行うべきではないかというふうに思っておりますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  97. 小林光

    政府参考人小林光君) 尾瀬の沼のほとりにあります長蔵小屋というのは、歴史的にも非常に古くから経営している山小屋でございまして、国立公園公園事業というものを執行しているものでございます。この長蔵小屋が改築の際に廃材を地下に不法に埋めたと、こういうことで、あってはならないことだというふうに思っております。  この問題につきましては、もちろん自然公園法の違反の問題で環境省も調べてございますけれども、警察においてもその不法投棄という、廃棄物の不法投棄の問題として調査される予定と聞いております。  環境省としましては、これらの調査において群馬県、警察とも協力しながら、自然公園法上の対応も併せて検討してまいりたいと思っております。
  98. 谷博之

    ○谷博之君 私、一つ先ほど長者小屋と言っていたとすれば、ちょっと訂正します。長蔵小屋ですね。  是非、そういうことで取組をいただきたいと思いますが、一つここで強く要望したいことがございまして、環境省是非尾瀬の将来像をこれから関係者と議論をしながら示していっていただきたいというふうに思っておりまして、特にそういう意味ではNGOの皆さん方を含めたそういった話合いの場を作ったりして、将来にわたっての、特に日本国立公園の中での尾瀬というのは正にシンボル的なそういう国立公園でもありますし、いろんな歌やあるいはいろんなところで写真や絵などでも紹介されておりますし、言うならば日本人の公園に寄せる思いの一番代表的なものがこの尾瀬だというふうに思います。  そんなこともございまして、是非、こういう細かな問題かもしれませんが、登山道の問題やあるいはこういう小屋の廃材の問題とか、そういうものもあります。  今、私ここに写真が、持っておりますけれども、(資料を示す)非常にこういう、先ほど申し上げました至仏山の登山道がこういうふうに大変荒れているという、こういう写真を今ちょっと持っているわけですが、ちょっと小さくて見えないかもしれませんけれども。こういう状況にもありまして、是非こういう瓦れきの山のような状態を一日も早く緑を取り戻して、しかも至仏山というのは一億七千万年前の大変古い時代の隆起した山であって、言うならば、そこに植生している植物というのは、北方系の貴重な植物群がちょっと数えただけでも二十以上あるというような、そういうふうな貴重なそういう植物も残っている、そんなようなところでもございますので、是非先ほど申し上げましたように、日本国立公園のモデルになるようなそういう形でこの尾瀬というものをしっかり守って、そして将来にわたるそういう姿を残していっていただきたいというふうに考えております。  以上、申し上げまして、この点についての質問を終わりたいと思います。  それから、続きまして、国立公園の問題について二点続けてお伺いしたいと思いますが、沖縄の山原と白保の問題についてでございます。  御案内のとおり、この沖縄の山原の国立公園化の問題は、一九九六年九月に当時の岩垂寿喜男環境庁長官が沖縄に行きまして沖縄の大田当時の知事と話合いをし、沖縄本島北部の山原地域を二十九番目の国立公園にしたいということで発表いたしました。ただ、そこに条件がございまして、この地域は米軍の演習場がございまして、そのいわゆる米軍の基地が部分的にせよ撤去していく中で、それを、残った土地を国立公園として位置付けていきたいと、こんなようなことを発表いたしました。  と同時に、石垣島の白保という地区も、これは非常にサンゴ礁の残ったすばらしい海でありまして、これも何としても現在ある西表国立公園の中にこの部分を組み入れていきたいという、こんなようなことがこの問題の発端になりました。  途中の経過については時間がありませんから割愛をいたしますが、特に米軍の基地の問題、北部訓練場のこの問題についてはまだ依然として解決がされておりません。しかし、聞くところによると、二〇〇二年ないし三年にそうした動きが出てくるかもしれないというようなこともありますが、現在は返還をされていない。また、しかし将来にわたってその部分が、基地が返還されてきたときに、それを、少なくとも貴重な自然を守っていくためには国立公園にこれを残していくべきだというようなことを国内外の研究者とか自然保護団体では強く指摘をしております。  そこで、この問題、山原の国立公園化の問題と、そして白保の西表国立公園への編入の問題について、その後の経過と現状はどうなっているかをお伺いいたしたいと思います。
  99. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今の山原とそれから白保のお話でございますが、今もお話がございましたように、岩垂環境庁長官がもう数年前にお話がありまして、それ以来ずっと話は続いておるわけでございます。  それで、まず山原の方ですが、これは平成八年度から自然環境等の調査に着手したということで、さらに、十年度からは地元の有識者を含めた検討委員会の設置をし、十三年度からは地元参加の方式によるワークショップの開催等を通じて、今、また地元の意見考えを広く伺ってということでありまして、基本的には国立公園への指定に向けて調査を継続中という状況でございます。  それから、白保の方は、これもいろいろと動きが多少進んだり戻ったりというような感じが私はしておるんですけれども、平成十一年の十月に石垣の市長さんが、当時の、国立公園指定につきまして現時点では時期尚早というようなことを言っておられたというようなことを私も聞いておりますけれども、その後またいろいろと状況が動いておりますし、これは引き続き、環境省としては、特にお地元の御意見なども聞きながら、関係者の理解を得るように努力をしてまいりたいと。ただ、ちょっと今、山原とは多少違うような感じで動いておるというふうに理解しております。
  100. 谷博之

    ○谷博之君 今の大臣の御答弁でほぼ中身は分かりましたが、この問題は具体的に国会の中でもいろんな議論が過去にもされておりまして、ちょっと私の手元にも一つ、二つその議事録等もあるんですが、二〇〇〇年の五月十日には沖縄北方の特別委員会で堂本暁子さんが質問をいたしております。  当時の環境省の答弁では、基本的には、山原地域自然保護と結果としての地域振興を図るために、国立公園指定を念頭に置きながら実施を進めていきたいというふうに答えております。そしてまた、ゾーニングについては、現在、自前の調査をやっているところで、現時点ではまだ決まってはいないが、地元とよく協議をしながら検討していきたいと、こういう答弁をしているんですが、現在の、今のお立場というのはこういう答弁と変わりはないのかどうか、更に確認をしたいと思います。
  101. 小林光

    政府参考人小林光君) 先生指摘のとおり、立場としては全く変わってございません。  この山原の国立公園化の条件としては、まず基地が返還されること、それからもう一つは地元の自治体始め住民の方々の賛同を得るということが一番肝心でございますので、返還の問題についてはいろいろな経緯がございますけれども、現在では、環境省としては地元に国立公園化に関しての理解をしていただきたいと、こういうことで、時間を掛けながら地元説明を続けているという状況でございます。
  102. 谷博之

    ○谷博之君 今、御答弁いただいた小林局長も当時はたしか自然保護局の計画課長の時代でしたかな、何かそんなことにも聞いておりますが、事情もよく知っていると思いますので、是非ひとつそういう基本的な考え方でこれからもお進めをいただきたいというふうに思っています。  それから、国立公園の続いて二つ目の問題でありますが、三重県の南島町の原子力発電の立地特別地域から解除された地域の伊勢志摩国立公園への編入の問題なんですが、これ私、今、三重県の地図を持っております。(資料を示す)  ちょっと大きいので広げられませんが、ここが伊勢志摩国立公園ですね。こういうことになっている。ちょっと見えにくいですか。ここが伊勢志摩の国立公園の場所になります。ちょうど南島町というのはここに当たるんですが、ちょっと見えませんね、小さくて。よく見ますと、伊勢志摩国立公園の範囲というのがありまして、そのちょうど境にこの場所はあります。  ここは、ちょっと経過を申し上げますと、二十数年間、中部電力がここに原子力発電所を設置しようということで計画を進めてきたわけでありますが、二〇〇〇年の二月二十二日に三重県の北川知事が、芦浜原発、これは芦浜原発というんですが、芦浜原発の建設は困難との見解を表明をして、それを受けた中部電力が芦浜原発計画を断念することを発表しました。そして、その後、同じ年の三月の十九日に中部電力が、計画の断念に伴い、建設のために必要な海洋調査を前提に地元の漁協に支払った漁業補償費等協力金、合計十五億円の返還を二つの漁協に要請する方針を表明した。そして、同じ年の五月十七日に通産省の資源エネルギー庁が、稲葉町長に対し要対策重要電源解除の方針を示した。そして、今年の三月の十九日に、この要対策重要電源解除を政府が正式に決定をしたということになっているんですね。  したがって、今までの経過からこの地区における原子力発電の建設がすべて白紙に戻ったということになるわけですが、こういうことを受けて地元の中にはこの地域を、伊勢志摩国立公園、これ戦後一番最初に指定された国立公園と聞いておりますが、このすばらしい景観の場所に隣接をしているところですから、是非加えてほしいという、こういう声が出ているわけですが、そうした動きを御存じかどうかということ、それからこれらに対する環境省としての対応はどういうふうに考えるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  103. 小林光

    政府参考人小林光君) 三重県南島町におきます原発計画があった場所でございますけれども、御指摘のとおり、伊勢志摩国立公園区域から海岸線にして数キロくらい離れているところで、近いところでございます。  ただ、ここは地元の南島町からも三重県からも伊勢志摩国立公園区域へ編入してほしいというようなまだ要望も来てございません。今後、公園区域への編入という要望があれば、必要に応じて、地元の意見を聞きながら、また調査を行って検討してまいりたいと思っています。  公園区域の変更につきましては、おおむね五年をめどに点検という形をしておりますので、そういう中でどこまで対応できるかどうか、検討してまいりたいと思います。  一つの条件としましては、その地域の自然景観が国立公園にふさわしいかどうかという観点が一つと、それからもう一つは、土地所有者の理解を得られて、また地元の自治体からも同意を得られるか、そういうところがポイントになるかと存じます。
  104. 谷博之

    ○谷博之君 私どもの調査では、この動きについては、一つは、国立公園区域の指定というのは過去にも見直しがあったというふうにも聞いておりますし、そしてまた、この伊勢志摩の国立公園の指定された経緯というのが、ちょうど何かまだ米軍が日本に駐留をしているころにアメリカ側の方からこの地域を指定した方がいいんじゃないかというような話があって指定をしたというふうな話も聞いているわけですが、いわゆる自然景観というのは、当然、国立公園としてここからここまでというふうに区域を決めたとしても、それはいろんな見方によってはその区域の変更というのは当然あり得るんだろうと思うんですね。  ですから、今申し上げましたように、多分ここはほとんど地続きの、一山越えた境のところだというふうに思うんですよね。ですから、そういう点で、正に景観としてはその区域と同じようなすばらしい景観になっているわけですから、是非見直しをして、せっかくそういうことで地元でそういう動きが出てきたとすれば、前向きにひとつ検討していただきたいというように思っております。  それから、最後に、里地里山の問題ですね、また自然公園法に戻って恐縮ですが。  そして、里地里山の問題で、特にその中でいわゆる民間ボランティア、NGOの皆さん方が果たしている様々な活動というものがあります。特に、その中に、里地里山の中でも国有林がかなりその部分を占めているというところもあるわけでありますから、特に大変、今、林野庁では山の管理といいますか、そういう点について、厳しい財政事情の中でもいろんなNGO団体の皆さん方の力をかりながら積極的に取り組んでいこうと、こういう今動きがあるというように聞いておりますが、そういう中で、特に自然公園の中の国有林のそういうふうな里山の管理里地里山管理について、基本的にどのようなこれから考えを持って推し進めようとしているのか、それについてお伺いしたいと思います。
  105. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 今お話しございましたけれども、国有林につきましては平成十年度に抜本的改革ということで新しい方向を打ち出したところでございます。  森林施業につきましては、民有林に先立ちまして、重視すべき機能に応じて森林を区分して、それに応じた森林施業を取っていきたいというふうに考えておりますし、また国有林として開かれた国民森林を目指すというようなことを今考えているところでございます。そういう中で、里山林の整備につきましても取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、ボランティアの問題につきましても、地域の実情を踏まえつつ、森づくりに参加をしたいという方々に国有林の場を活動の場として提供していくというようなことで、ふれあいの森という制度を作っておりまして、国民参加の森づくりというものを進めていきたいというふうに考えております。  また、こういったボランティア団体方々にも補助金制度等の支援策を紹介するなどして情報提供にも努めているところでございまして、これらを通じまして国有林における森林整備がきちっとできていくようにしていきたいというふうに思っているところでございます。
  106. 谷博之

    ○谷博之君 先ほど、午前中の質問の中にも出ておりましたけれども、そういうふうな活動の中で、特に特定非営利活動法人、つまりNGOの団体の皆さん方は、いわゆる利用者としてボランティア活動の中でこういう保護運動をしている団体、結構これあると思うんですね。  これらの人たちが、結局、公園管理団体として所有者との協定当事者に具体的になっていくためには何がじゃ必要なのかということ、それともう一つは、そういう方々に対して、財政的な支援についてどのように考えていったらいいのだろうかということが問題としてあると思うんですけれども、これらについてはどういうふうに考えますか。
  107. 小林光

    政府参考人小林光君) 里地里山保全に関しまして、原則的には土地所有者が管理をするという、自分の土地は自分で管理するというのが原則ですけれども、地元のNPO等のいろんなきめ細かな活動というのは大変重要な位置を占めておりますのは先生指摘のとおりだと思います。  今回の法律改正で、風景地保護協定の締結の主体となる公園管理団体につきましても、国や地方公共団体が情報提供等いろんな支援を行うということが法案にも明記されております。その風景地保護協定に従って行う行為につきましては、自然公園法上の行為規制というものを適用除外とするような措置も考えてございます。  さらに、御指摘の財政支援の件でございますけれども、地球環境基金というふうなものもございます。そういうものを通じまして、今後とも自然公園におけるNPO団体の活動推進につきまして、我が方とも一生懸命検討していきたいと思っております。
  108. 谷博之

    ○谷博之君 実は、私もいろんなそういうNGO団体との話の中で、いろんな御意見を聞かせていただくわけでありますけれども、こういうふうな意見を実はお伺いをしました。  これ、基本的な問題なんですが、一つは、里地里山の荒廃については、その防止でなくて積極的な手入れを行うということで、その手入れは農林漁業等のそれぞれのいわゆる山間地域の皆さん方、中山間地域の皆さん方との中で対策を密に取りながら十分な連携をしていく必要があるとか、あるいはまた、この業務には当然必要な金が掛かるわけだから、それは国がある程度その経費を負担する必要があるだろうというようなことも言われています。  それからもう一つは、行政機関の責任が、どこまでその保全業務にかかわっていって、必要によっては指定団体にその業務を委託するとか、そういうことも含めてやっていく必要があるのかというようなこと。  いろんなそういう意見が出ているわけですけれども、国としてはそういう、先ほど私が、今ちょっと後段申し上げたようなこういう考え方について、ちょっと重複するような質問になりますけれども、どのように考えているか、重ねてお伺いしたいと思います。
  109. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 林野庁といたしましても、里山林の保全を図るためにいろんな助成措置考えているところでございまして、例えば住民参加による森林ボランティア活動に対する資材費の助成でありますとか、指導者の育成に対する支援を行うとか、あるいは里山林を自ら育てようということで、森の育て親というような形で募集をいたしまして、森林所有者との間で取決めをしていただいて整備に取り組んでいただくというようなこともしているわけでございますし、またNPOの方々森林所有者から受託をして森林整備をするといった場合に、それについても助成を行うというようなことで考えているところでございます。そういった取組を通じて、里山林についても整備をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。  いずれにしましても、里山林というのは、昔、薪炭林というような形で炭を焼いたような里の近くにある林でございまして、それが薪炭材の需要がなくなって放置をされてきているという状況にあるわけでございますけれども、地域全体的な取組、あるいはそういった都市との交流の中で整備を図るというようなことも含めて、幅広い整備の在り方というものを考えていく必要があるというふうに思っております。
  110. 谷博之

    ○谷博之君 具体的な問題について、最後に一点、御紹介させていただきながらお伺いしたいわけでありますが、私の古くからの友人で、若いころからいろんな活動を一緒にやってきた作家の立松和平というのがおりますが、彼は栃木県では足尾に緑を育てる会という会を作って、毎年五百人の人たちと荒廃した足尾の山に今、植樹活動をしております。彼が、今年から古事の森構想というのを取り組もうといたしております。古事の森というのは古事記の古事、古い事という字ですね、古事の森。  これはどういうことかといいますと、日本の古くからの神社仏閣というのは大体五十年に一回ぐらい小破修理をし、全体の建て替えというのは、木造建築の場合は限界が四百年というふうに言われておりまして、こういうふうな建物の材料を作るための森を民間で木を育てていって取り組んでいこうという、こういう構想で古事の森構想というのがスタートしようとしております。  具体的には京都の鞍馬辺りをその候補地にして進めていこうとしているようでありますが、こういう一つの民間ボランティアといいますかNGO団体のそういう動きというのは、これは一つの例だと思いますが、非常に私は森林やあるいは自然に対する素朴なそういうかかわり方ということで大事なことではないかというふうに思っております。  また、栃木県には、御案内のとおり日光杉並木というのがあって、これが非常に、最盛期には二万数千本あった杉の木が今一万三千本ということで、もう半減してきている。いろんな環境の変化によって毎年百本程度これが枯れてきてしまっているというようなこともありまして、これを、言うならば杉並木オーナー制度ということで、県が立ち上がってこの杉の林を守ろうとしているような、そういういろんな動きもあります。  こういうことで、お伺いしたいのでありますが、特にその代表的な例としてのこの古事の森構想、これが今具体的にどのような形として動いてきているのか、それについて御説明いただきたいと思います。
  111. 加藤鐵夫

    政府参考人加藤鐵夫君) 国有林野事業におきましては、多様な森林を有するという特性を生かしまして、民有林からの供給が期待しにくい特殊な規格の木材等について、従来から計画的に供給をしていこうということで努力をしてきているところでございますが、歴史的に貴重な木造建築の修復用資材というものが実は減少してきているのではないかというような問題提起があるわけでございまして、それらにつきまして、我々も参加をしてそういった森を造っていくということをやってみたいというお話があったところでございます。  そういうことにつきましては、大変我々としても国有林の在り方として趣旨に賛同できるわけでございまして、そういう点で、それらの取組について、古事の森という名称でこれから整備をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  具体的には、今お話がございましたとおり、四月二十一日に、京都の鞍馬山でボランティアなどの方々に参加をいただきまして植樹を行うとともに、記念のシンポジウムを行っていきたいというふうに考えているわけでございますが、この鞍馬での取組が第一回、最初の取組といたしまして、更にそれぞれの地域方々からの御要望等も踏まえながら全国的に展開をしていくということも考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  112. 谷博之

    ○谷博之君 時間が来ましたので、質問をこの辺で終わりますけれども、最後に一点だけ。  午前中から午後にかけて自然公園法改正の質問等が出てまいりました、質問がなされてまいりましたけれども、私の方でも何点か自然再生法の保全の問題とか、あるいはまた特に移入種の問題とか、そしてレンジャーを始めとするそういう予算や人員の問題等について要望を含めた質問もさせていただきましたが、これらについては、基本的に私はこの法案にはもちろん賛成でございますが、そういう私どものといいますか、私自身のそういう要望等が何らかの形で附帯決議等で盛り込まれればというふうに考えております。  そのことを最後に要望として申し上げまして、私の質問を終わりといたします。  ありがとうございました。
  113. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  今日は、自然公園法内容改正について質問させていただきますが、最初に、今、環境といいますと地球環境から地域環境からあらゆることが含まれているというような言葉になってきておりますし、よく大学でも新しい学科ができるときには環境といいますと学科の新設がしやすいと。一つの流れ、ブームのような、国際とか環境、情報、バイオというふうに入れておくと新設しやすいというぐらい、環境という意味では絶対善のような形でとらえられておる時代でございますけれども、言葉としては様々な使われ方をする中で、この環境という考え方日本人、かなり意識的に取り組もうとしておりという中で、地球温暖化の法案も今国会出てくると。  そうしますと、十年前の一九九二年のリオの地球環境サミット、このときの中心テーマでありましたサステーナブルディベロプメント、持続可能な開発、これは各関連している学会等々でもかなり対応を模索してまいってきたわけですけれども、今回、リオ・プラス10ということでヨハネスブルクでサミットが行われる。そこの事務局長を務められていますデサイさんという方がこういうふうに述べられております。この十年間、リオデジャネイロの地球サミットでの合意を実行し切れなかった理由、今後何が必要かを明らかにすることがこのヨハネスブルクのサミットの目的であると。経済発展は長期の視点に立った資源や環境保護がともにあるべきだという認識を広めることは成功したと。ただ、現実の実践においてはなかなか難しいということで、この持続可能な開発、大変難しい概念ですけれども、これがもう国際的な合意になるぐらいのテーマとして立ち上げられている。  そういう中で、今回、自然公園法改正もさせていただくということになりますので、一つ基本的な理念とか哲学的な話で聞いておきたいのは、自然保護環境を建設していく、経済発展、今までするときには日本もかなりの勢いでしてきたわけですけれども、この関係をどういうふうに大木環境大臣はとらえられておるか、これを最初にお伺いさせていただければと思います。
  114. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 非常に広い御質問でございまして、なかなかどういうお答えをするといいのか、ちょっと私も実は迷っているんですが、今回の自然公園法との関係で申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、残念ながらまだ、この自然公園法をこれから更に充実させていくためにはいろいろと新しい要素も恐らく加えていかなきゃいかぬだろうと。ただ、今までの自然公園法というのは、必ずしも、何と申しますか、生態系だとか生物多様性とか、そういったものをそのまま直接に取り入れたものではなくて、むしろいろいろと、むしろ風致地区を維持していくというような感じが強かったものですから、先ほども申し上げましたように、今回の改正でもまだ入口のところにとどまっているというのが、率直なところ、そういうことだと思います。  ただ、これからの、今の福本委員もおっしゃいました、いろんな言葉を、お使いになりましたいろんな言葉の中でサステーナブルというまずそこを考えてみますと、一九七〇年代に例の成長の限界とかいうようなことが言われたときには、必ずしも自然、生態系とかそういうことよりは、むしろ人間の生活の中で経済活動とエネルギーだとか人間の生活とか、そういった絡みで議論されておったように思いますが、だんだんに今言ったような自然というものが前面に押し出されてきまして、今度は人間と自然というか、あるいは動植物との共生とか、そういったものがいろいろ出てまいりましたから、これはひとつ、ちょっと余りお答えにはならないかもしれませんけれども、やっぱりリオということを考えますと、まだ自然との共生というのは私は十分整理されていないと思うんです。  今度のリオのためにいろいろと準備会合やっておりますけれども、むしろまだ今のところは人間を中心とした貧困とかそちらの方に非常に中心になっておりますから、これからまた、しかし、これからまたいろいろ考えなきゃいけないんですが、ただ、やっぱり今のサステーナブルという言葉の中には、いろんな資源の活用と申しますか、あるいは動植物と人間との共生とか、そういった面を考えますと、やっぱりだんだんにそういった自然との共生というものが全面的に出てくると思います。出てくると思いますが、今のところちょっと、今度ヨハネスでどういうものが出てくるかということになると、ちょっとまだよく見えていないと。  実はかなりその会合でいろいろと議論いたしましたが、今のところはまだ、問題としては上がっておるけれども、これをどういうふうに扱うか、これからまだ数か月ありますので、そういった中でひとつまた検討は進めてまいりたいと思っておりますが、今のところはやっぱり、十年たった後さあ今度次の十年ということでありますけれども、今のところは議論というものはやっぱり人間とか人間の貧困とか、その辺に中心があるものですから、正直なところはそういう状態だと思っています。
  115. 福本潤一

    ○福本潤一君 ある意味では、持続可能な開発、自然そのものでいる状態と、そこに人為的な行為をして開発する、これはもう日本の国内に本当に自然そのものというのはもう残っているのかどうかというぐらい、現状になっていると思うんですね。  そういうときに、開発するときに、地方の行政、私も東京と松山、東京と広島とを往復していますと、都会と田舎という関係から考えますと、もう松山は環境すごくいいし、別に環境よりも経済を良くしてほしいんだという話が現実にはたくさん出てくるわけです。  そういう中で、国内の南北問題のように、例えば木一本、行政の地域で切ろうとすると地球温暖化の悪影響があるというような形で、木一本切って地球温暖化になるかな。ただ、パートナーシップ必要ですから、全体的な枠組みでやる必要はある問題ではあると思いますけれども、この開発と自然というものをとらえてきたときに、この自然公園法という名前ですね。国立公園昭和九年、最初、瀬戸内海も国立公園に指定され、さらには昭和四十五年ですか、西海海中国立公園、海中の国立公園まで出てきたというような流れがございます。  そういうときに、法律改正のときに国立公園法から自然公園法というふうに名前になっている。公園というのは、ある意味では人為的にも開発するわけですけれども、自然という名前をあえて付けられた。公立公園法と言われると、ああ中身と合致しているなというふうに思うんですが、このときの自然という意味合いはどういう意味で自然と名付けられたのか、これを最初にお伺いさせていただきます。
  116. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほどから同じようなことを答弁しておるんですが、今までの自然のときは、何となく優れた自然の風景という意味合いが非常に強かったわけですね。しかし、それは風景であってもそれはやっぱり大事な国民の財産だということでその風景をひとつきちっと保全していこうと、こういう感じだったと思いますけれども、最近はもう少し広くて、自然のむしろ中身がだんだんに充実してきておると思いますが、元々のスタートはそういうふうなことで名前が付いたんだというふうに私どもは理解しております。
  117. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、自然という位置付けが、現実に、特によく自然保護というふうになりますと何も手も付けられない。生態系やなんかを大事にする生物多様性の問題も今大きく新しい戦略ができ上がっているわけでございますが、自然そのものの状態でいると、治山治水、砂防というような工事等々までできにくいという現状が起こりますので、そういう意味では自然と開発の関係というもののバランスを、ある意味では中道を歩まないと現実には進まないという問題が、地域性も含めて、また南の開発途上国、また更には先進国の関係の中で具体的にはあるんだろうと思います。  そういう意味では、今回、新生物多様性国家戦略という形で改正されたようでございますが、このねらいと役割をお伺いできればと思います。
  118. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 生物多様性条約は、リヨン・サミットのときに採択されまして、日本は平成五年に締結いたしました。それで、平成七年十月に生物多様性国家戦略を決定したわけですけれども、一応、五年をめどに見直すということですので、その作業に入りまして、様々な時代状況の変化を踏まえて、環境省としましても関係省庁と協力して作業を行いまして、つい先日、三月二十七日に新国家戦略を決定したと、こういうことでございます。  ねらい、意義、今後の取組ということですけれども、新しい国家戦略は、自然と共生する社会実現のためのトータルプランと、こういう意義付けでございます。それで、種の絶滅を防ぐ、そして国土全体の生物多様性を保全する、また回復するための方向性を明らかにする、そのために実効性のある具体的施策の展開のための基本方針を示したと、これが中身でございます。  今後はどうするかということですけれども、この戦略、計画に基づきまして、環境省としましては関係省庁との連携を更に強化しまして、例えば生態系の保全、それからその絶滅防止対策、自然再生、里地里山保全、移入種対策、その他環境教育の充実、NPO、市民の参加、こういう観点から具体的な取組を効率的かつ効果的に推進していく、こういう取組をしてまいりたいと思っております。
  119. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、環境行政、大きく地球を視野に入れ、また様々な新しい法律改正、新設、できている大きな時代でございますし、二〇〇〇年は循環型社会元年ということで取り組み、生物多様性の問題、また生態系の問題も含めて、考察、バランスも取ってやっていただく必要があると思います。  一九九九年にダイオキシンの規制法ができましたし、二〇〇〇年には循環型社会基本法ができました。環の国という形で環境行政に取り組まれたわけですけれども、生物多様性の国家戦略の中で、私読みながら思わせていただいたのは、DNAというのはらせん構造になっていますよね。環の国と言っても、上から見たらそれは輪ですけれども、ただ単なる同じ同心円の輪ですと何も働き掛けができないということになります。これはらせん構造上にある生態系の中身を新しい違う段階で新しい生態系のレベルを作り上げるというダイナミックな方式じゃないと、これは何も自然に働き掛けれないというところの矛盾に陥るというふうに思いますので、是非ともDNAのらせん構造のように輪が発展していくような、そういう生態系も保持しながら、この新生物多様性国家戦略考えていただければと思います。  そういう中で、具体的に、自然公園法改正していかれるということですので、その中身を問う前に、具体的に、規制区域というのをやられました。日本はイギリス型でやられたと、ある意味ではゾーニングをする形でやられた。アメリカとかドイツのように施設設営型でやられたのではないというお話がございます。  そういう中の、私も瀬戸内海で育ったようなものでございますから、瀬戸内海の中で開発をしようとしたとき、さらに、西海国立公園というのが五島列島ございますけれども、そこで開発しようとしたとき、具体的にこの法律改正とどう絡むかという具体論でちょっと聞かせていただこうと思うんですけれども。  私がこの前、カネミ油症の問題で西海町、五島列島、福江の方、回らせていただいて、いろいろこれと国立公園法と絡む話があるなということで具体的にお伺いさせていただいておくんですけれども、五島列島の南の端、福江ですね、一番北の方に小値賀町という町があるんですね。そこで風力発電を造りたいという具体的な問題が起こりまして、斑島という島で計画を立てている。ある意味では環境にもいいと、風力発電でいこうというときに、これが規制区域内であったという問題があるわけですね。  今回、ゾーニングも、改めて新しいゾーニングも作られるということでございますので、その近くの西海国立公園内の宇久島という、宇久町ではもう二年前に完成していると。それよりもまだ風力が力があって風力発電ができやすいというようなときに、ここは風致地区といいますか、ある意味では規制を必要な地区に入っていたためにできなかったということが具体的に起こっている。これが要するに、ある意味では開発と、開発と言っても自然環境にはいいわけですから、開発と規制国立公園内の問題として具体的に起こっておるわけですが、この問題、承知されておるでしょうか。  また、これに対して、具体的に開発を進めるときに、その指定ゾーニングによってできるけれども、これはできたのは宇久島の方ですが、この小値賀島の方ではできていない、できにくい。また、地元の長崎県とか長崎の環境省に相談しても具体的に進めなかったということでとんざしておるようでございますが、こういうような地域指定の問題と開発の問題、最初に具体例としてお伺いさせていただけばと思います。
  120. 小林光

    政府参考人小林光君) 現在、先生今御指摘の事例につきましては、我が方、まだ具体的には承知しておりません。地元でそういう話があったのかもしれませんが、私どものところには上がってきていない状況でございます。  それで、一般論で申し上げますと、風力発電の例でございますと、最近では非常に規模も大きくなってまいりました。高さが六十メートル、七十メートルというような規模のものが造られると。そういう中で、国立公園の風致、景観にどういう影響を与えるのか、それから外から見た場合にどういう威圧感を与えるかというようなこと、公園利用者との関係も十分調査をしなければならないと思います。  ただ一方で、離島につきましては、どこにも行きようがないというふうな非常に離島の不便性もあります。今回の離島振興法で御議論いただいている点もそういうことでございまして、自然公園法におきましても離島のいろんな不自由さに関しましては十分な配慮をしていきたいと考えてございます。
  121. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味ではこのゾーニングがメインの法律という形で進んでおる中で、開発と、またその地域の特性を生かした一つの新しいエネルギー源としてなる、こういう問題が、ある意味では離島という離れた島ですね、この離島の中ではいろいろな形で起こる。  さらに、私ども、高知に行ったり、また島根、鳥取とか、ある意味では日本の南北の南に当たるような状況の問題のところでは、ゾーニングされていることが逆に足かせになっているという問題も具体的には起こっておりますので、今回大きな新たな目的で進められておるわけでございましょうけれども、この国立公園全体の、指定されている区域自然公園全体の、日本全体の中でどれぐらいの面積がやられていて、さらに、それに対する予算はどれぐらい環境省が取っておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  122. 小林光

    政府参考人小林光君) 離島に関しましては、離島の面積の二六%ほどが国立国定公園の中に占められてございまして、全国の平均ですと国立公園の中には九%ほどですから、非常に離島は公園になっている、国立公園になっている率が高いと、こういうふうに思います。それだけ景色の豊かな場所だ、きれいな場所だというふうに言えるかと思います。  そこで、国立公園を訪れる利用者というのも非常に多くありまして、離島はそれなりに観光の資源として重要な役割を果たしているし、観光客も多く訪れている、そういう面もあろうかと思います。  予算につきましては、離島分として、自然公園のいろんな整備費でございますけれども、平成十三年度で合計で九億円くらいの規模の離島分の整備費が計上されているところでございます。
  123. 福本潤一

    ○福本潤一君 離島のことを中心に聞かせてもらったので、今回、公明党内にも離島対策委員会作りまして、私も委員長として、今後様々な瀬戸内海また離島の問題、全行政のかかわること、すべて入ってきますので、この関係を最初に伺わさせていただきましたけれども、さらに、日本全体で、別に離島にこだわらず、全体で何%国立公園指定されて、国土の、三十七万平方キロと言われる国土の何%ぐらいが国立公園に指定されて、さらに、その全体予算は幾らなのかというのもお伺いさせていただきます。
  124. 小林光

    政府参考人小林光君) 今直ちに手元に数字がありませんので、また後ほどお届けに上がりたいと思います。
  125. 福本潤一

    ○福本潤一君 これは正確なお答え、私も計算していろいろみましたら、五・四%が国立公園国定公園、県の自然公園ということで、日本国土の七分の一が自然公園法によって指定されているというのが現状でございまして、そういう大規模な面積がこの中に指定されておるわけでございます。  そういう中での法律改正ですので、総枠予算も環境省二千四百億円の中で焼却炉関係、ダイオキシン対策関係が千数百億ですから、もう全体で言うと、環境庁の時代から倍増したといっても、倍増した半分はダイオキシン対策、焼却炉対策の予算でございますので、総枠予算としてもそう大きい予算ではないだろうと思いますが、これきちっと認識した上で今後の対策もしていただければと思います。  その中で、特別地域というのが具体的にあります。先ほどの小値賀町も特別地域指定されているところ、また普通地域のところありますけれども、その中で物の集積、貯蔵などの規制項目というのが新たに追加されたと。この集積、貯蔵という項目で新たに規制を更に追加したという理由と内容、またさらに、その効果について具体的にお答えいただければと思います。
  126. 小林光

    政府参考人小林光君) 特別地域におきまして、土石ですとかそれから廃車、廃タイヤ、こういったものを集積、貯蔵されることによりまして風致に直接の影響がございます。非常に見苦しい景観を呈する、そういうことが一つあります。それから、その置かれる場所が動植物の生息地である沢筋ですとかそういうようなところに置かれますと、そこに生息する動植物にも大きな影響を与えるというようなことで、生態系への影響も懸念されているところでございますので、そういう土石ですとか廃車、廃タイヤ、そのほかの廃棄物、そういったもので環境大臣が指定するものを集積する、貯蔵する、そういう場合を許可を要する行為として風致景観と生態系の保全を図りたい、こういう趣旨でございます。
  127. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味ではごみ等々かなり、東京のごみが埼玉に行ったりして、埼玉のごみが今度は瀬戸内海へ行って、島が、瀬戸内海ごみで埋まった島、私も知っておりますし、豊島やなんかも大変なごみでダイオキシン問題の日本の象徴のような状況になったりしました。  そういう意味では、この集積、貯蔵等々に関する規制をこちら側の環境問題の方から掛けていただいて効果を見守っていただくと同時に、今もう既にそういうふうになっている島、私は最初、瀬戸内海のゾーニング指定が国定公園国立公園とあるというときに島の中央部もそうなのかなと思っていたら、海の方はあるんですけれども、海岸部だけが国立公園ですというような現状があったようでございますので、住民がたくさんおるところはまた市町村の行政にかかわるとしましても、国立公園指定している中では、そういうごみ問題に対してもこういう新たな規制項目できちっとした対応をしていただければと思います。  さらに、今回の改正利用調整地区というまた新しいゾーニングが増えてきたと。ゾーニングだけでの効果というのはかなりの規制、監督の人員、メンバーもたくさん要るんだろうと思いますが、この必要性と、また今後想定されている場所が具体的にあるのか、この中身、また効果についてもお伺いさせていただければと思います。
  128. 小林光

    政府参考人小林光君) 自然利用利用調整地区に関してでございますけれども、これまで利用者が訪れることが少なかった原生的な地域に、最近では自然志向の高まりからカヌーですとか、そういうことを利用しまして増加しております。そういう人たちの集まってくることで自然景観への影響、自然生態系への影響が顕在化している状況に対応しまして、利用者数の調整をする、そういう目的利用調整地区という制度を創設したところでございます。  この指定予定の箇所につきましては、先ほど午前中の審議でも御説明申し上げましたけれども、知床半島の先端部、そういったところをまず予定をしているところでございまして、これらによって利用者の数を制限することで生態系への影響を緩和、できるだけ緩和したいということでございます。
  129. 福本潤一

    ○福本潤一君 生態系に悪影響を与えないような人数調整ができる地域として今後具体的に指定されていかれるんだと思います。  これも開発された狭い国土先ほど三十七万平方キロのうちの五・四平方キロと言いましたけれども、三十七万平方キロのうちの五・四万平方キロでございましたけれども、その七分の一にかかわるところに、更に自然がより残っているところはこの新しい創設された法案、ゾーニングで適切な運用をしていただければと思います。  文部省にも来ていただいておりますので、お伺いさせていただきたいんですけれども、この自然公園ですね、教科書の中で小中学校の生徒さん、どういう表現をされて、利用して環境教育することもあるでしょうし、どうこの自然公園のことを教育されているか、これについて最初お伺いさせていただければと思います。
  130. 玉井日出夫

    政府参考人玉井日出夫君) 自然公園に関します小中学校の教育でございますけれども、社会科や理科の教育内容にかかわって必要に応じて取り上げられているところでございまして、多くの教科書でも記述が見られるところでございますが、今年度から使用される新しい教科書で、例えばでございますが、小学校や中学校の社会科の教科書で、国土自然保護取組の例として国立公園を取り上げたり、あるいは地理的事象を追求する学習として具体的な国立公園国定公園を調べる活動などが記述されている例がございますし、また中学校理科の教科書では、自然と人間かかわりを学ぶ中で国立公園の分布が図示されているというようなところもございます。  いずれにせよ環境教育の充実が必要でございまして、その中で実際に児童生徒が自然体験活動を行うなど、実感を伴った理解を促す体験的な学習を行うことは意義があると考えております。そういう意味での体験活動が活発になるように、今後とも努めてまいりたいと思っております。
  131. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう新しい時代を迎えたときに、小中学生の教育というものが一番環境教育にとっては大事なんではないかなと。我々、どっぷりと、ある意味では高度経済成長以来、大量生産、大量消費、大量廃棄の中で生きてきた人間、また我々の父親、母親世代の、もうあの時代から循環型社会を既に実現していた世代の人間、また今度新たに成長して二十一世紀の中核を担う若者たちの時代、かなり意識が違ってきているなというふうに思います。嫁しゅうとめ問題も案外その循環型社会と大量生産のぶつかり合いのような現実の事例というのはたくさん見聞しますし、ドイツや何かで環境教育、二十年前は日本以上にいろいろな問題を起こしていた。  ただ、そこの中で、小学生、中学生にミミズ教育しながらですね、ミミズが食べないものはごみとして出すまいというぐらいの徹底した事例がございます。ミミズを飼って、それを見ながらカール君とかいうあだ名を付けて、その名前を付けた子供の配慮が学校のごみをもう百分の一ぐらいまで下げていって、さらに家庭の中で親を逆に教育するということもございましたので、自然教育、特に環境教育を実感を伴った形でやられると言っておられましたので、文部省、先ほど午前中は環境省から文部省にと言っておりましたけれども、この委員会の委員として文部省の方にきちっと申し入れさせていただけると思います。是非ともこの運動、総合時間という時間もありますし、環境教育に熱心になっておる今の時代、若い世代から教育を進めていかれることをお勧めしたいと思いますし、是非とも要望したいと思います。  と同時に、教育という問題と同時に、自然保護官、レンジャーというものが、今、朝八時十五分のNHKの番組の「ほんまもん」、「ほんまもん」という形でやっておられますが、あれの影響だけではないんでしょうけれども、環境意識の高まりの中からレンジャーになりたいという人が出てきておりますね。このレンジャーという職種の性格と、レンジャーになりたい生徒は、子供たちに聞いた場合に、どういうふうにしていけば今後レンジャーになれるのかというのを、具体的な話としてお伺いさせていただければと思います。
  132. 小林光

    政府参考人小林光君) パークレンジャーというのは正式には環境省の職員でございまして、現地に駐在する自然保護官と、こう申しております。すなわち国家公務員でありまして、具体的には人事院が実施します国家公務員の試験に合格して、更に環境省が実施する面接、採用面接試験に合格した者がレンジャーになって現地に派遣されるということでございます。  国家公務員の試験も幾つかありまして、Ⅰ種試験という場合には農学Ⅲというところで森林とか自然環境系の試験問題が出されます。それから、Ⅱ種の、Ⅲ種の人たちには林学ですとか農学ですとか土木、これは公園のいろんな整備員の関係もありますので土木の人も採用していますが、林学、農学、土木の試験区分に合格してきた者、そういう者の中から環境省が面接して採用するという形で、子供、お子さんたちにはそういう勉強をしてきていただいて、是非とも環境省レンジャー目指してきていただきたいと思っています。
  133. 福本潤一

    ○福本潤一君 このパークレンジャー、人数の増加があるとは言いながら、まだまだ具体的には枠も少ないと思います。  先ほど、午前中の質問ですかね、森林パトロール、アメリカの形、またこれドイツや何かは森林政策の中でこの立場の人にかなりの権限を与えられていると。むしろ、ドイツの林学の研究をしている人から言いますと、持続可能な開発というのは、基本的にはドイツの森林経営の保続という概念から生まれた言葉なんだということでございますので、是非ともこのパークレンジャー、一つの新しい時代森林を、日本の七割を占める森林を含めて対応できるような形になっていくといいなというふうに思いますので、そういう意味では林野庁環境省は合併でもしていただいて、総枠予算で日本自然環境国土保全をしていただければ有り難いなというふうに、ぐらいに思っていますので、今後パークレンジャー望む人、増えるような日本の教育が進められることをまた期待しておきたいと思います。  さらに、若干質問を投げておった中で聞かしていただいていない話をさせていただきますけれども、先日、山下大臣ですね、五島列島、西海国立公園の中にありますけれども、視察されたというふうにお伺いしております。カネミ油症のときも、五島列島、大きな被害を受けた島として我々も調査に行かしていただきますけれども、さらに熊本県の水俣にも行かれたということでございますので、その時点での具体的に現地調査をされた感想をお聞かせいただければと思います。
  134. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 副大臣に就任させていただきまして、富士箱根伊豆の方の、富士山の近くに生物多様性センターございまして、山の観点からの国立公園、勉強させていただいて、その後、海の方の国立公園ということで長崎の五島列島、勉強させていただきました。大変勉強になって、行かしていただいて良かったなと思っております。自然公園法、今日審議していただいておるわけですけれども、本当にこの法案の意義ということも含めまして勉強になりました。現地の自然保護官がいかに大変かということを感じました。  五島列島は二百以上を超える島で成り立っているわけですけれども、この福江島を中心に視察させていただきましたけれども、たった一人でこの自然保護官が、一つの島だけじゃありませんので、お仕事されていると。福江市、長崎県とも連携を取りながら、自治体からもいろんな御要望もあると。この方は林野庁御出身の方でございましたけれども、本当によくお仕事をされておりました。デスクワークだけじゃなくて、激しく現地を動かれながら闘っておられる様子、過労死で倒れられると思うような、そんな大変なお仕事でございました。やはり、民間の様々な支えがあって初めてできる仕事だなということを感じた次第でございます。  ただ、その福江の国立公園にも廃棄自動車の場所があると。今日、正に行為規制の中に入っておりますこの廃棄物法の集積の規制、大事な観点からの法改正であると思います。ただ、それもやっぱり現地の警察とか様々な方々と協力いただかないとなかなかお仕事できないなということも感じました。  ただ、先ほどから委員おっしゃっていますように、離島振興、大変本当にこれはもう大きな課題だなと。高齢化する一方ですし、若い人は島を出ていくと帰ってくる人は極めてまれであるという、そういう状況の中で、今後二十一世紀、こういう場所が自然との共生を目指す社会づくりという中で場所そのもの、離島そのものが経済的価値があると、存在自身が経済価値があるというふうな観点からの施策、必要かなというふうなことを感じました。  水俣の方ですけれども、ここは環境省直轄の研究所、国立水俣病総合研究センターというのが、水銀の研究を中心にされておるわけですけれども、私は、ここはもちろん水俣病の、世界の水俣ということで大変有名になったわけですけれども、市長さんのリーダーシップによって環境モデル都市にするんだということを宣言されて、市民の皆さんもそれに大きく賛同されて、二十三種類の分別収集を実現しておると。市民の皆さんも二十三種類にも分けてごみを出すわけですから、それも単にごみを出すだけでなくて、ペットボトルまた牛乳の紙パック、全部洗ってごみを出すということを市民の皆さんがもうよく理解し、子供たちも協力してやっているという環境教育のモデル都市みたいなそういう町に生まれ変わっているわけですけれども、水俣そのものが非常に自然環境豊かなところです、交通の便は若干悪い面もありますけれども。そういうふうな運動といいますか、闘いを展開されていること、非常に感動いたしました。  リサイクルセンターも行きましたけれども、におい一つしない、それは今申し上げましたように、きちっと処理をしてごみを出すという習慣が根付いているからであるわけでありますけれども。環境教育の面も廃棄物行政の観点から私は非常に感動したわけですが、水俣の方はそういう感想でございます。
  135. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では、今回行かれた水俣の方も、当時、公害問題で一番原点のような場所になっておりますし、国際用語にミナマタディジーズという言葉とユショウという言葉は、もう環境問題、化学的にやる研究者の中では国際用語として定着しているぐらいに、この熊本、また長崎、福岡で起こった過去の化学物質による公害問題、大きく取り上げられておりますし、特に五島列島で起こりました油症に関しましては、この食品、ダイオキシンによる、口から摂取によるダイオキシン公害ということで深刻な問題、及ぼしております。  環境と生命というのは、二つではございますが、もう一体不離でございまして、環境の中で育成された食物を食べて、また空気を吸って人間の生命の構成物になっておるわけでございます。環境に働き掛けてそれを善処するということもございますけれども、もう東洋の仏教の中でも環境と生命は一体不離だと、二にして不離だと、二つにして二にあらずという形の言われ方もしております。  是非とも、未来世代の国民の生活にとってまた生命にとって大事な問題が環境問題であるという思いで私どもこれ取り組ませていただきますので、環境大臣の方も、今回、新生物多様性国家戦略ということも出てきました。過去の乱開発とか過度の利用に関しましても、自然を積極的に再生、修復していくという具体的な必要があると思います。今後の自然再生の取組につきましても、さらには公明党も今、与党の中で自然再生法という法律を出そうとしております。具体的に、今回の自然公園の中における自然再生事業というものも進めていかれるようでございます。  この事業の進め方、また自然再生の取組について、大臣の見解をお伺いさせていただければと思います。
  136. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今の質問は、要するに政府が取り組んでおります自然との、何と申しますか、共生する社会ということの中で、自然の保全ばかりではなくて、既にいろんな意味で失われた、破壊された自然を再生と、再生というところに重点を置いてどういう取組をしていくんだというお話だと思いますが、先般新しく作りました新生物多様性国家戦略というようなものでもいろいろと方向やら具体的なものを示しておるわけでございまして、例えば里山や干潟の再生とか、直線化された川の蛇行化によって湿原が再生するとか、非常に具体的に、技術的な問題ですけれども、再生等の自然再生事業を、そういったようなものを、これはいろいろありますけれども、今、例示的に申し上げました、そういったようなものをこれから関係各省とも協力しながら進めていきたいというふうに考えております。  それから、自然公園がその中でどういうふうにまた役割を果たすかということでございますけれども、これはやはり自然の再生ということになりますと、いろんなものを総合的に考えていかなきゃいかぬと。そういったところからは、自然公園というものは、やっぱりいろんな意味でそういったことを総合的に考えていく場としては非常に優れた点もあると思いますから、自然再生事業の中のモデルになるようなものを自然公園の中でもひとつこれから考えていきたいというふうに考えます。  いずれにいたしましても、自然の保全と併せて、自然の再生というところもしっかりとやらせていただきたいと思っております。
  137. 福本潤一

    ○福本潤一君 特に公共土木事業も含めて、自然破壊につながるようなものも、今後大きな流れとして、小泉総理、自然再生になるように、また環境を保持するような公共土木事業も考えていくということでございますので、こういう今回の法律の中の自然再生事業、また新たに出てくる自然再生法、これも含めて環境省、大いに業として、また事業としても進めていっていただければと思います。  そういう中、先ほども若干は触れましたけれども、海に関する自然公園、まあ国立公園もそうですけれども、今まで山とか陸地のことが多いわけでございますが、日本で最初に法律制定されたときに、瀬戸内海国立公園昭和九年でございますし、海中国立公園というのも最初愛媛県の、これは先ほどの長崎の西海と同じ字を書いてニシウミと読むんですけれども、西海町というところの町長さんが、沖縄より立派なサンゴ礁は、テーブルサンゴですけれども、巨大なテーブルサンゴ、私もよく学生時代からスキューバダイビングしていましたので潜りに行っていましたけれども、一番大きなサンゴ礁があるんじゃないかというぐらい優れたところがありまして、そこの町長さんが必死で頑張って海中国立公園という制度を作ってほしいというのを昭和四十五年以前に働き掛けられてできたのがこの海中国立公園なんです。  ですから、私も、それ以後どういうふうにここの海中国立公園、保持、持続されているかなと。今まで海の中の公園ということでなかなか認識は薄かったようでございますけれども、今はテレビでもしばしば放映されるようになりまして、この西海海中国立公園、一番目の海中国立公園でございますが、そこでのそれ以後の取組、また更には具体的な問題点があったときにどういうふうに具体的に対処されたか。瀬戸内海の事例もあれば含めて、海にスポットを与えた自然公園法の中の取組、教えていただければと思います。
  138. 小林光

    政府参考人小林光君) 先生指摘のように、昭和四十五年に自然公園法改正を行いまして、海中公園という制度を作りました。これは従来の国立公園国定公園の中の地域の中で海の景観、海中景観が非常に優れたそういう場所を指定する制度で、海中公園と申します。熱帯魚とかサンゴ礁とか海草の非常に美しい景観を呈している海中の地域を指定して特定の行為を規制する、そういうような制度でございまして、まず愛媛県の西海町が第一号だった、御指摘のとおりでございます。  その後、最初に、四十五年の七月に六つの国立国定公園で第一回目の指定を行いまして、その後、順次指定を重ねてきまして、現在では海中公園地区というのが国立公園で三十三地区、国定公園で三十一地区、合計六十四地区が指定されているところでございます。  この中では、海中公園地区の調査研究、自然環境保全と健全な利用のための普及啓発、まあ海中公園はきれいなところでございますので、ダイバーとか非常に盛んに利用されます。そういう人たちにも海の中の自然景観を知ってもらうという、こういうようなことで普及啓発に努めておりますし、またサンゴ礁とか藻場の全国の分布の調査とか、そういう海中公園地区におきましてはオニヒトデの駆除とか、そういうようなことの事業を併せて行っているところでございます。
  139. 福本潤一

    ○福本潤一君 このオニヒトデの駆除も含めて具体的に取り組んでいただいて、県と環境省、連携取ってそういう自然のいい環境も保持していただければと思いますし、今回の法律改正、緊急時に現状の問題に対する対処として必要なことだというふうに思います。  今後、二十一世紀全体に向けて、この公園法、様々な課題をこれからも持っているんだろうと思います。もう少し長いスパンで、中長期的に見たときに、この自然公園法、今後の課題、どういうふうに環境省、とらえられておるか、これをお伺いして最後の質問にさせていただこうと思います。
  140. 小林光

    政府参考人小林光君) 今後、自然公園におきましては、責務の規定の中にも書かせていただきましたように、生態系の保全という点を従来の自然景観の保護に加えまして、重視してまいりたいと思っています。そういう中で、今国会で御審議いただいていますような公園法の改正ということを提案をさせていただきました。  そういう形の中で、日本の生態系保全の屋台骨としての役割自然公園、果たしてまいりたいと存じております。
  141. 福本潤一

    ○福本潤一君 では、終わらせていただきます。
  142. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の自然公園法改正は、自然公園における生物の多様性の確保を国等の責務に明記したことは前進だと評価をいたします。  ただ、今日、生物多様性は人類の生存基盤であるという基本認識があるように、非常に重要な課題となっています。改正案の第三条第二項で国等が生物多様性を旨として風景保護する施策を講ずるということではなくて、自然公園法目的そのものに生物多様性の確保を位置付けるべきだと思います。  そういう観点から、私ども、修正案を準備をさせていただきました。大臣のまずお考えをいただきたいと思います。
  143. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほどから同じような御質問も既にいただいておりますが、今回は、言うなれば今までの法律目的にしておりました自然の風景あるいは風景地というものを対象にして、それを尊重していこう、こういうところから、しかし同時に生物多様性の保全というのは、これはいろんな形からで、だんだん重要になってまいりますから、これももちろん取り入れるわけでありますけれども、とりあえずは目的の中へぽんと初めから置きますと、また、それじゃ具体的に何やるんだというようなことで、なかなかまだそこら辺が少し整理できていないところもありますものですから、責務としては、そういった生物多様性の保全についてのいろんな問題についても責務として考えるけれども、目的とまでは書き込まなかったというのが率直なところ現在の姿で、先ほどから、入口まで来たけれどもまだそこから十分には進んでいないと、こういうことを申し上げておるわけでございます。  今、修正案の方も御用意しておられるというようなことでございますから、それはまた後でお伺いいたしますが、今のところは政府としては、現実にやれることということと、それから目的というのを並べますと、まだいきなり目的として生物多様性云々ということを書き込むにはちょっとまだ早いかなという感じで、そこで止まっておるところでございます。
  144. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、入口まで来られたということについては評価するんですが、もう一歩踏み込んでいただいた方がよかったなというふうに思っています。  三月二十七日に地球環境保全関係閣僚会議が決定しました新生物多様性国家戦略では、国立公園等の自然公園について、従来の風景保護視点に加え、生態系、特に動物保護視点制度上位置付け、国土における生物多様性保全の骨格的な部分、屋台骨としての役割をより積極的に担っていきますとしています。ですから、国立公園等において生物の多様性の確保を中心とした自然環境保全を図ることを目的規定に明記をする、そして法律の基本的立場を明確にした上できちんと運用される必要があると考えているわけです。  日本自然公園制度はいわゆる地域公園で、アメリカのように国などが一元的に管理するものではない、これは先ほどからの議論でもされているところです。そこで農林業や観光の事業にかかわっている方々がおられるわけで、公園内の道路や河川、森林等の管理も、アメリカのように国の公園管理の部署が担当するのではなくって、都道府県や建設、農林関係などの他の部局が行っています。  国立公園内のこれらの事業でも生物多様性の確保は当然重視をされるべきだと思いますが、改正案では、生物多様性の確保を旨として、国立公園等の風景保護に関する施策を講ずるとしているわけですが、民間事業や他の部局の施策などにも生物多様性の確保は適用されるのでしょうか。
  145. 小林光

    政府参考人小林光君) 環境省以外の行政機関や民間団体がいろいろな事業を行う場合に、環境大臣や知事の認可ですとか許可ですとか同意を得ていただく必要がございます。  この認可等については、これまでも自然の風景保護する観点から行ってきたところでございますが、自然公園に生息、生育する動植物の保護の観点、一層重要でございますので、認可等を通じた自然公園の適切な施行によりまして、生物多様性の確保を旨として実施していただけるように努めてまいりたいと思います。
  146. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 生物多様性を確保するためには、種を絶滅させないということはもちろんですけれども、ツキノワグマのように生息地が分断している種においては、それぞれの地域で個体群を保全することが重要だと思います。新生物多様性国家戦略でも、生物多様性の保全上、個別の種ごとの対応だけではなくって、それぞれの地域の個体群を消滅させないという観点からの対応も大切ですと述べています。  地域個体群は、その地域の生態系そのものだと思います。生物多様性の象徴的な存在だとも言えます。国立公園等は、とりわけ野生動植物の地域個体群を守る大事な役割を担っているというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  147. 大木浩

    国務大臣大木浩君) もちろん自然公園国立公園の中におりますいろいろな種ということから考えてそれをきちっと守るということになれば地域個体群を大事にするというのは当然でございますが、ただ具体的な行政では、やっぱり各公園があるわけですから、その公園の中できちっとそういった対策を立てていけばいいと私は考えるんですけれども、何かそうではなくて、もっと全国的に何かやるということなのか、あるいは要するに国立公園の中であるいは自然公園の中で、そういった、要するに地域個体群ということを意識しながらそれをきちっと守るということに私どもはさせていただきたいと思っております。
  148. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律では、地域個体群の保全が位置付けられていないんですね、きちんと。それで各地の開発事業の環境アセスメントで、開発地域の個体群が絶滅してもよそで地域個体群が生息しているじゃないかという理由で影響は少ないと結論される場合が少なくないんです。  これでは地域の生態や生物多様性は確保できません。結局、各地で次々と地域個体群が消滅してしまって、最後には種の絶滅を防ぐことが極めて困難な状況に追い込まれる、そういうことなんです。その点を私は申し上げているんです。
  149. 大木浩

    国務大臣大木浩君) いろんなケースがあると思いますけれども、要するに、今の種の絶滅ということが、それを防ぎたいということが委員のお話だと思いますので、それはそのケースごとにそういうことにならないようにというふうに配慮すべきだと思っております。
  150. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 実は、アメリカの絶滅危惧種法、ESAは、守るべき種の定義で、種レベルで絶滅のおそれがあるものだけではなくって、地域個体群の保全にも取り組むということを明確にしています。しかも、そのESAは、単に種の絶滅を防ぐだけじゃなくって、指定した種が法律による保護措置が不必要になること、つまり絶滅のおそれがなくなるまで種を回復させるということを目標としています。実際にハクトウワシは見事に回復をしたということです。ハクトウワシを種の保存法の指定から外すということで大変大きな問題になって、私たちも関心を持って、一体どうなっちゃうんだろうということで見ていたんですが、実は、アメリカの法律の体系が違うんですね。とにかく絶滅危惧種に指定する、だけれども、どんどんどんどん保護をして増えていけば、それはもう立派に回復したということでそれを外していくということをしているようです。  ですから、生物多様性の確保というのは、私はそういう視点でとにかく絶滅、あっちこっちに個別個体群がいて、もうそれはいいよということでどんどんやっていったらもう本当に絶滅してしまうんで、個体、地域個体群も大事にする、総体としても大事にする、そして、ちゃんとそうしたら回復するまでもう徹底的に対策を取っていくというような、そういうやり方にしていくべきだと思うのですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  151. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 先ほど、措置については各公園ごとにと申しましたけれども、情報としてはそういった全国的にきちっと情報を持って、その上でどういうふうに種の保存ということを考えるかということは当然だと思いますので、そのように措置をしてまいりたいと思います。
  152. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 アメリカ型と一気に言ってもなかなかだと思いますけれども、是非そういう観点で研究していくことも大事だと思います。  自然公園法に国等の責務として生物多様性確保を明記した以上、国立公園等の管理自然保護の在り方も当然その観点から充実されなければ意味がないと思います。公園計画や日常の管理はどう変わるんでしょうか。
  153. 小林光

    政府参考人小林光君) 今回の法改正によりまして、自然風景地保護生物多様性の確保に向けた管理の在り方は大きく変わるものではないと思います。  生態系、生物多様性の確保を旨として自然公園についての施策を進めることとされましたものですから、これによりまして自然公園の日常の管理、計画の策定についてこれまで以上に生物多様性の確保を意識していくことになると、こう考えてございます。
  154. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 国立公園国定公園における保護施策の根底を成すものは特別保護地区や第一種から第三種までの特別保護地域のゾーニングを行う、そういう公園計画です。  しかし、これまでのゾーニングでは、林業や開発計画などとの関係で決められて、生物多様性確保の観点からは適切でないものが少なくないと思います。  例えば、岩手県の早池峰国定公園では、特別保護地区が県道を挟んで北側の早池峰山と南側の薬師岳に分断されています。一方、林野庁森林生態系保護地域として連続した区域を指定をしているんですね。自然保護団体は国、県に対して一体的な地域指定をするよう求めているんですが、県が公園計画変更の申出をしない。こういう今、自然公園法は県が申出をして、そして初めてゾーニングの計画、計画の見直しだとかそういうのをやっていくということになっているものですから、なかなか県が申出しないと見直しができないということになっているわけですね。  また、長野オリンピックのアルペンコースの設定で問題になった八方尾根ですが、中部山岳国立公園の第一種特別地域が何のバッファーゾーンもなく国立公園区域外に接して、そこに設置されたリフトを利用したスキーヤーが第一種特別地域内を滑っている、そういう現実があります。  小笠原の兄島の台地上では、小笠原固有のシマイスノキの低木林が広がって、世界でここにしかいない陸生のカタツムリが生息している、そういう意味では生物多様性からいえば第一級の貴重なところです。ところが、これまでの、先ほども話がありましたけれども、島などについては風景地保護という視点ですから、風景が美しいというところでその海岸は特別保護地区や特別地域に指定されても、生物多様性の観点から貴重な台地上は普通地域のままになっているということになっているんですね。一時、この小笠原の場合、空港建設の候補地とされて大きな問題になりました。こうした例はあちこちでたくさんあります。  生物多様性の確保を図るためには、公園内の野生動植物の生息、成育状況の変化をよく調査して、特別地域などのゾーニングを生物多様性確保の観点から見直し、機動的に公園計画を改める必要があると思います。そのために公園計画策定要領も見直すべきだと思いますが、局長、いかがでしょうか。
  155. 小林光

    政府参考人小林光君) 公園計画の地域指定といいましょうか、計画の線引きにつきましては、公園法の目的が風致景観の維持を図るというところにありますので、直接的にダイレクトにその動植物の生息地の保護というところにつながらない点があります。  ただ、考え方によっては、動植物も風致景観の一部であるというふうなこともありますので、より具体的に、先ほど生物多様性国家戦略でも自然公園生物多様性の屋台骨として機能すべきだという御指摘もありますものですから、そういうことも含めて具体的な線引きにつきましてはこれから、今現在、中央環境審議会で御審議いただいております、ゾーニングの在り方について御審議いただいておりますので、そういう課題の一つとして今後の検討にさせていただきたいと思っております。  制度的に、国定公園につきましては、やはりどうしても制度的に県の申出に基づいてやるというところがある、制度的には免れないものでございますけれども、基本的な考え方としてゾーニングの在り方というのを環境省で明示いたしますると若干ある程度都道府県もそういう配慮がされていくと考えております。
  156. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ですから、野生動植物も風景の一部じゃなくて、生態系そのものを目的に据えてやってくださいという、そういう修正案がやっぱり必要なんじゃないかなというふうに改めて思うところです。その点は大臣、しっかりと受け止めていただきたいと思います。  今回の改正では、オーバーユース対策として利用調整地域制度が新設されました。知床半島の先端部や小笠原の南島などが検討されているということです。有効に活用されるということが期待されます。  しかし、インテンションを持った者だけが入れるという制度が適用できるというところは限られていると思います。  先ほどからお話が出ている、登山者による踏み付けで高山植物の生育地が荒らされている尾瀬の至仏山、私もここに登りました。登った直後にあそこの登山道が閉鎖をされるということで、私どもも調査に行って、ひどいなといろいろ言っていたその声というのが反映されたのかなと思っていますけれども、いずれにしても、まだまだ大変な状況にあると思います。それから、早池峰山などのようなところにもこれは適用させるというのはちょっと大変なんじゃないかと思います。  この間も、私、尾瀬に行きましたけれども、木道整備がどんどん進んでいるんですね。木道整備などによる利用者の誘導というのは一定の効果があると思うんですけれども、ただ、人の増加にその整備を合わせていけばちょっと施設過剰になって本来の自然が失われてしまうんじゃないか、そういうおそれがあります。  改正では、利用調整区域制度の新設のほか、特別地域、特別保護地区で湿原などを環境大臣が指定して一定期間立入りを禁止することができる仕組みが新設されるとなりましたけれども、全面規制ではなくて適切な利用調整を柔軟に行える、そういう仕組みを設ける必要があるというふうに思うのですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
  157. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) 今までも何度かこの利用調整地区制度につきまして議論があったわけですけれども、自然、豊かな自然をしっかり保全する、保全しながらもしかし持続的な利用、持続的な人の利用確保する、そして、更に実効性を高めるためにこういう制度を設けるという趣旨なわけです。  それで、尾瀬の話ですけれども、今もお話ございましたが、現時点では利用者が大変多いと。約四十万人なわけですね。それが、ただ、どんどん増加しているという状況にはないと。比較的安定した利用人数になっていると。今までお話ございましたように、木道、また排水処理施設、それが整備されておりまして、一定の利用が保たれているという状況にあると。こういう状況ですので、利用調整地区の指定は現段階では必要ないと、このように考えております。  むしろ、山小屋等の事業者もいらっしゃいますので、関係者とも十分話し合いながら、マイカー規制などの環境保全対策を着実に進めていくという、そういう対応をすることが重要であると、このように考えております。
  158. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それから、先ほど議論があったところですが、もう一度確認させていただきたいんですが、移入種対策です。  移入種問題は、捕食による直接的な被害だけではなくて、既存種の生息条件の悪化、交雑による遺伝子の変化など、生物多様の確保に大きな影響があることははっきりしています。  環境省は、奄美大島のマングースについて、かつての国土環境委員会でいろいろ議論があった後、捕獲対策を行っているわけですけれども、なかなか実効性が上がらなくて苦労しているというふうに聞いています。侵入した後の対策では私は遅いと思います。やっぱり防止をしなきゃいけない。  改正で、特別地域や特別保護地域において風致景観に影響を及ぼすおそれがある行為を政令で指定して禁止できるというふうになります。元々生えていない植物を植える、あるいはそこにいない動物を放す、そういう行為を政令できちんと禁止をする、政令で指定をして禁止をしていく、そういうことが大事だと思いますが、改めて確認をしていただきたいと思います。
  159. 小林光

    政府参考人小林光君) 移入種の問題につきましては、未然に防止するということが一番の効果がある方法だと思っております。現在、移入種問題の検討会を作りまして全体像を検討してございます。どういう対策を取るか、この中で検討することになります。  自然公園におきましても、今御指摘の政令にそういう必要に応じてそういう種を、影響の大きな、になるおそれのある種を指定するということも検討していきたいと思っております。
  160. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、新設されました公園管理団体制度について伺いたいと思います。  これは、風景地保護協定とのかかわりでその受皿団体説明されているわけですが、国立公園等で風景地保護という以外にも、例えば教育活動とか清掃活動とか自然保護活動などに取り組んでいる団体がたくさんあります。こうした団体とも積極的に協定を結んで、そしてその活動を支援をしていく、そういうことが大事だと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
  161. 山下栄一

    ○副大臣山下栄一君) この公園管理団体制度の導入は今回の法改正の柱の一つになっておりまして、今もお話しになりましたように、NPOその他の民間で熱心に取り組んでおられる、非常に専門性も高い、そういう団体もたくさんございますので、それを積極的に活用する環境行政と、こういう視点の導入なわけです。  今お話ございましたように、この風景地保護協定の締結者にも入るわけですけれども、それだけではなくて、登山道その他の公園施設の維持管理などの業務も、そういう業務もこういう公園管理団体に担っていただくという、そういうふうに考えておりまして、公園管理団体と連携を図っていく公園管理、これをしっかり進めてまいりたいと思っております。
  162. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、私が例を挙げました公園管理といっても、例えば教育活動というのはちょっと公園管理とは少し種類が違うかなというふうに思うんですが、だとか、清掃活動はこれは公園管理に入ると思うんですけれども、あと自然保護活動というのも、これも教育活動の一環のような感じもしますし、教育をやりながら自然保護のいろんな対応をしていくというような、そういう活動もあると思うんですが、そういう活動も含まれるという理解でよろしゅうございますか。
  163. 小林光

    政府参考人小林光君) 公園管理団体につきましては、風景地保護協定の締結者だけじゃなくて、登山道の修復とか公園施設の維持管理など、清掃活動も含めまして、そういうことを活動できる団体も想定してございます。教育ももちろんそういうことになります。
  164. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 教育も含まれるということですね。  次に、具体的な問題を伺いたいと思います。ウミガメの産卵地保護について伺います。  ウミガメについてですけれども、二百種ぐらいいたそうですけれども、多くが絶滅をしてしまって、今世界で七種類しか残っていない。そして、そのうちの二種というのは、カリブ海のごく限られた地域、あともう一種はオーストラリアの北部という限られた地域で、世界的に分布しているカメというのは五種類しかいないということだそうです、ウミガメですが。  この日本で産卵するウミガメは、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの三種類だと言われています。それ以外にオサガメとヒメウミガメがいるのですが、そのうちの三種類が日本で産卵する。中でもアカウミガメは、日本が北太平洋で唯一の産卵地となっています。その保護日本の国際的な責務だと思いますが、近年のウミガメの産卵状況はどうなっているでしょうか。
  165. 小林光

    政府参考人小林光君) 国内のウミガメの繁殖状況、産卵状況につきまして、環境省で平成十年、十一年度に調査をいたしました。  過去にウミガメが上陸、産卵した記録がある箇所につきまして、八百三十四か所ほどあるそうですが、そこにつきまして三十の都道府県に委託しまして調査をいたしました。その結果でございますけれども、過去、調査年度を含みます過去五年間にウミガメの上陸が確認された砂浜というのは、アカウミガメで三百六十五か所、アオウミガメで八十六か所、タイマイで九か所等でございまして、二十五か所では新しく、今まで記録なかったんですが、新しくウミガメの上陸が確認された場所があります。  また、過去十年間、十年以上連続して上陸していた場所につきまして、百二十か所ほどございますが、調べましたところ、ウミガメの上陸頭数の減少傾向が見られた砂浜は四十七か所ということでございました。
  166. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 アカウミガメは、九〇年代初めには四千頭から四千五百頭くらいの上陸、産卵が確認されていますけれども、九〇年代半ばには三千ぐらいに減って、九〇年代の末には二千前後と、十年足らずで半減をしてしまっています。原因は何なんでしょうか。
  167. 小林光

    政府参考人小林光君) 上陸して産卵を行ったアカウミガメの頭数、減少傾向があるというのは先生指摘のとおりだと思います。  ただ、減少の原因につきましては、いろいろ言われております。例えば、砂浜が少なくなった、物理的に少なくなってしまったとか改変されてしまったとか、それから、車が海岸近くに通ることで光を発しますので、それにおびえて上陸しないとか、そのほか、人為の影響以外で海の温暖化とかという説もありますけれども、回遊行動の変化があったとかいうようなことで、いろいろ様々言われてございますが、実際、そのウミガメの生態についての知見が非常に不足してございますので、減少原因、科学的に十分解明されているとは言えない状況でございます。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 減少原因がきちっとつかまれていない、であればこそ、やっぱり現在の生息あるいは産卵、そういう状態を本当にしっかりと保護していかなければいけないというふうに思います。  実は、私、今年一月に、沖縄本島の最南端でウミガメが上陸する糸満市の大度浜を見てきました。ウミガメの保護活動をしている方の話を伺いました。  大度浜は全長約二キロメートル、沖縄本島に残っている最大の砂浜なのですが、砂浜の前面に岩礁が広がっています。ウミガメは、わずか数十メートルくらい、岩礁が切れているところから上陸をしているのです。ここは沖縄戦跡国定公園の第一種特別地域に指定をされています。波打ち際から五十メーターぐらいのところに、砂浜とモクマオウという木の、林を分断をするコンクリートの垂直な堤防が造られています。ですから、ウミガメはぎりぎりのところまで来て産卵するそうですが、もっと進もうとしてコンクリートの堤防をひっかいている傷もよく見付かるそうです。  ほかの産卵地でも、コンクリートの護岸や消波ブロックなどによってウミガメにとっての環境条件の悪化が進んでいます。産卵に上陸したけれどもいろんな障害物があって産卵できなかった、そして海に戻ることができなかったというのは、テレビなどのいろいろ報道も何回も私も目にしたことがございます。  こういう状況について、自然再生事業でこのようなところをよく検討して、そして適切に改善をしていくべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  169. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 今のその糸満市のところのちょっと状況、私もまだ見てないんでありますけれども、非常にコンクリートの壁が障害になって何か入ってこれないということですか、うまく、でしょうか。  いずれにいたしましても、これは本当に産卵のために上がってくるのが全然上がれないということで、それが種の絶滅にも、それこそ大きく言えば、種の絶滅からはともかくとして、非常に大きな影響があるということであればどういう状況であるか、一遍その辺は、恐らくコンクリート壁をお造りになったのにはもちろん何らかの理由があるわけでありますし、その辺はひとつ関係、恐らく国土交通省ですか、農林水産省ですか、そういった関係省とも一度相談いたしまして、実情を調べて、その上で必要な対策考えたいと思います。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ありがとうございます。  上がれるのは上がれるんです。産卵もできるんですけれども、砂浜が狭いし、それから、本来からいうと、林がコンクリート壁で分断されてなければ、カメはもっと奥へ行ける、安心して進めるという、そういう安息の地が守られるということにもなるので、どうしてそのコンクリートが、壁ができたのか、私もその辺はよく聞いてこなかったので、是非御検討をいただきたいと思います。  大度海岸には、昨年は十二回産卵が確認されたそうです。ところが、九月四日に産卵したアオウミガメの卵約百個が盗まれてしまいました。これはもう本当にとんでもない事件です。カメは一回に百個から百十個ぐらい卵を産むそうですけれども、そっくり盗まれてしまったと。この海岸は、以前は草木が茂って夜は真っ暗で来る人も余りなく、ウミガメは安心して産卵していました。ところが、一九九四年に大度園地として駐車場やアクセス道路が整備されたため、人の利用が急に増えて、夜遅くまでバーベキューや花火、カラオケなどで騒ぐ人が増え、ごみを放置して帰る人も後を絶たないといいます。ウミガメの産卵には、先ほどお話があったように、暗い、静かな環境が必要です。これではウミガメが安心して上陸できないし、産卵もできません。  今回の改正では、期間を区切った立入禁止を行うこともできるという規定を設けています。県を指導して、ウミガメの産卵を保護する計画をきちんと立てて、一定期間人の利用を制限するなどの対策を講じるべきだと思いますが、局長、いかがでしょう。
  171. 小林光

    政府参考人小林光君) 今回の法改正で、立入り規制に関しましては、御指摘のとおり、区域、期間を限って指定することができますので、必要があれば立入りを制限することができると思います。  御指摘の大度浜につきましては、まずは沖縄県と連絡を取って情報収集を努め、必要な調査を行った上で指定が、立入禁止の指定が必要かどうか判断してまいりたいと思います。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私も現地で話をしたんですが、現地では結構積極的に何とかしていかなきゃいけないという思いもあるようですので、是非お願いをしたいと思います。  次に、今、明治の森高尾国定公園、高尾山の北側の国指定史跡、八王子城址がある、城跡がある城山で、圏央道建設のトンネル掘削工事が行われています。  ところが、城山山頂近くの地下水位を観測していたボーリングの水位が、一月二十二日から十三メーターも急激に低下をしたということです。  原因は一体何だったのでしょうか。国土交通省、お願いします。
  173. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 先生から御指摘がございましたように、現在、八王子城跡のトンネルを施工いたしております。当該地域内に、坎井や御主殿の滝など、水環境保全することが極めて重要なものがございますので、学識経験者等から構成されます環境保全対策委員会を設置いたしまして、工法でありますとかを御提案いただいたところでございます。  その提案された工法により施工いたしておるところでございますが、八王子城跡トンネル工事が周辺の地下水に与える影響を観測するため、合計七か所設置いたしました観測坑の一つが平成十四年の一月二十二日から二月一日に掛け約十二メートル水位低下したことから、直ちに掘削を一時中断するとともに、このトンネル工事に伴う止水対策等を検討するため、平成十三年十月に設置した学識経験者等から構成されるトンネル技術検討委員会を二月一日に開催いたしました。  その結果、この委員会からは、まず第一に、観測坑の地下水位が急激に低下したことは、トンネル掘削が進み、予定していた止水構造区間、これは止水構造が必要となるトンネル区間でございますが、に近づいたことを示すというのが第一点。第二点は、地下水位の低下は、複雑なみずみちが影響しているということが考えられるとともに、この部分の水の岩盤に占める割合が少ないことが考えられ、岩盤内の水をわずかに引き出すだけでも地下水位低下をもたらしたことが考えられること。三点目には、水位低下した観測坑の水と坎井の水は、予想どおり不透水性により遮断されていると考えられる等との分析結果をいただいておるところでございます。当該内容につきましては、既に二月四日に公表させていただいたところでございます。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 要するに、今回のあの水の、水位の低下というのは、工事によって引き起こされたものだということであるわけです。  八王子の城山トンネル工事は、旧建設省の調査でも水が抜けるのではないかということがもう分かっていたので、私は、当時、国土環境委員会でしたけれども、この問題について具体的に、こういう地域は水が漏れるということで指摘をしてまいりました。こういう工事はやめるべきだということで言ってきたんですけれども、昨年、沢水の漏水が心配される区間についてはセメントミルクなどを注入する止水工事を行っているから大丈夫だということで、十六億円掛けてやってきたわけですけれども、それが、そういう工事を、想定していないところで今回の水位低下というのは、工事を、漏水を予想していない区域を掘っているときに今回の水位低下は起こったということです。  しかも、私、驚いたんですけれども、水位の低下が観測されたのは、掘っているところから二百メーターも離れた尾根の反対側なんですね。だから、全く予想していないところからの水が抜けたということだと思います。たまたまボーリング調査をしていたから水位低下が分かったわけですけれども、全体で七か所ですから、そのほかのところでどういう水位低下が起こっているか分からないわけですね。  ですから、私は、掘削工事をやめて、徹底的に原因を究明して、そしてその結果は今後きちんと公表していくべきだというふうに思いますが、その点いかがですか。
  175. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 八王子城跡トンネルの工事につきましては、平成十四年一月二十二日から掘削を中断いたしております。一月三十日から応急的な止水工事を実施しているところでございます。また、先ほど申し上げましたように、二月一日に開催いたしましたトンネル技術検討委員会におきまして、更なる慎重を期するため、止水構造区間の施工について、設計位置の若干手前ではあるが止水構造の適用を考えた方がいいとの検討委員会意見をいただいたところでございまして、これを踏まえまして、現在、本格的な止水工事を実施いたしておるところでございます。  今後のトンネル工事の再開に当たりましては、現在実施いたしております止水工事の効果を確認しながら検討委員会において御判断いただくこととしておりまして、今後その判断結果を公表しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今回の事態は、大規模なトンネルを掘ればいつどこで水が抜けるか分からない、トンネル工事が地下水にどういう影響を与えるのかということについては実際のところほとんど分かっていないということを示したと思います。  これまでも、霞ケ浦の導水トンネルや奥秩父の主脈を掘り抜く雁坂トンネルなど、トンネル工事による水がれが大きな問題になってきました。  八王子城山は国の史跡ですから、そして都立の自然公園ですから、これは国史跡ということで、文部省が曲がりなりにも、とにかく文化庁の指摘で、曲がりなりにもと言ったら悪いんですけれども、とにかく、後、結果的には大丈夫だということになったものですから、水文調査を行うように指示をしてそれを行ったわけですね。ですから、そういうことがあったわけですけれども。  いずれにしても、この圏央道のトンネルは、次は高尾山に行きます。高尾山は、国定公園で、都民のオアシスであるとともに、照葉樹林帯と落葉広葉樹林帯の境目に当たる学術的にも貴重な自然である。国際的な学者の方々も、ここは非常に重要だということを言っておられます。地下水にどういう影響が、分からない大規模なトンネルを掘るということ自体が大変な事態を引き起こすことが危惧をされます。  そういう点で、環境省として、国定公園である高尾山について、まだ水のそういう水文調査もやっているわけでもありませんし、本当に環境アセスについては従来の、以前の環境アセスでしたから、住民の皆さんからはこういう環境アセスでは不十分だというようなことが言われています。自然公園の生態系、生物多様性を守るためには、個々の利用者の小さな行為を規制するということはあるんでしょうけれども、山全体の自然環境を壊すようなそういう大型の事業について、やっぱり環境省としてもきちんと毅然として対応していく、必要なときにはちゃんと物も言っていくということで対応していただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  177. 大木浩

    国務大臣大木浩君) こういう工事、一般論として言えば、まずは土地の管理をしておられる方と、それから工事をしておられる主体という方がきちっと話をしながら進めていただくということでございますが、たまたま今お話しのとおりに、国定公園内でこういう話があるということであれば、当然に環境に非常な影響が出るということであれば、私どもとしてもきちっとまた新しいこの自然公園法の中で、規定にも従いまして、これからいろいろと必要なことは意見も述べさせていただくし、御相談もさせていただくということでございます。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  179. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  私は、自分が感じたことを受け止めて質問させていただきたいと思います。  私は、選挙地、徳島なんですけれども、往復しますときに飛行機の中から地上を眺めておりますと、自然林を開発したようなゴルフ場が非常に目に付きます。  私の選挙区は人口八十五万足らずの県ですが、十七に余るゴルフ場があります。このゴルフ場というのは、私の、これは本当に調べたわけではありませんけれども、大変強い農薬を使ったり、芝生をキープするために大変余り環境に良くないような工事をするというふうに聞いているものですから、全国の国立公園内にどのくらいのゴルフ場が許可されておりますでしょうか。ちょっとお教えいただけますでしょうか。
  180. 小林光

    政府参考人小林光君) お尋ねの国立公園内におけるゴルフ場の数でございますけれども、現在十四の国立公園に七十一か所のゴルフ場が営業をしてございます。
  181. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 やはり環境省のお役目というのは、人の健康と生命にかかわることを大切にするという基本はよろしゅうございますでしょうか。
  182. 小林光

    政府参考人小林光君) 御指摘のとおりだと思います。  環境保全をし、自然環境を守り、また人の健康影響を守っていくことが環境省役割かと思います。
  183. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 とすると、健康や生命を守るために公園国立公園があるのに、そこに非常に健康に良くない、公害というか大変悪い影響を与える、国立公園の中にゴルフ場があるというのは少々矛盾があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  184. 小林光

    政府参考人小林光君) 現在の状況をもう少し詳しくお話を申し上げたいと思います。  従来、国立公園の中にゴルフ場が公園利用施設として位置付けられていた時代がございます。これが、昭和四十八年でしたけれども、当時三木武夫環境庁長官の指示によりまして、自然公園法の政令を改正いたしまして、公園事業という望ましい利用の形の中からゴルフ場を削除するということになりました。昭和五十年には、自然公園法に基づくゴルフ場の許可というのをやめております。許可しない方針に決めました。したがいまして、昭和五十年以降、国立公園の特別地域ではゴルフ場の新設は一切ない、こういう状況でございます。
  185. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 許可をもう既にされてしまっているゴルフ場は、国立公園内の施設としてどのような規制、監督を受けているのでしょうか。
  186. 小林光

    政府参考人小林光君) 許可されているゴルフ場につきましては、一応営業の適正な営業管理というか、運営はなされているかどうかということに関して公園事業施設の場合には見てございます。  そのほか、これから、普通地域のゴルフ場につきましては、一定の面積制限といいましょうか、土地の形状の変更の規模ですとか周辺の植生の保全状況ですとか、そういうことを指導して運営をしています。
  187. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 本当にお言葉を返すようですが、国立公園の中に健康のために良くないゴルフ場があるということは私は矛盾を感じます。  原生林がゴルフ場として開発されたことにより、生態系にどのような変化が起きているか、お分かりの範囲でお知らせください。
  188. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 何せ狭い日本の中で大きな面積を要するゴルフ場を造りますと、どうしても生態系に影響ないとはとても言い切れないというのが一般的なお話だと思います。具体的にどういうことかということはあれですが。  一時は、ゴルフ場を造ると、芝生の関係で農薬をまいたりいろいろあったものですから、それの影響というのは非常に出てきたこともありますけれども、今、農薬の方はかなり規制しておると思いますけれども、しかし、あれだけの相当な面積をどうしても開発するわけでありますから、やっぱり原生林というようなものがあれば、それに対する影響は免れないということで、そういった自然公園の中にゴルフ場を造ることは、少なくとも日本においては余り好ましいことではないというふうに考えております。
  189. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 本当に私の田舎の町、人口五、六千人の町ですけれども、二つもゴルフ場があったりして、本当に何かゴルフできない人間人間じゃないみたいに言われますし、何かちょっとそこにおかしなものを感じます。  それからもう一つ、やはり環境の問題というのは本当に何というのかしら、一つの省じゃなくて、すべての省に関係しているし、人間の生命や健康に対して配慮するわけですから、物すごく大きな役割を持っていらっしゃると思うんですね。それで、私は、それを人間として知るためには、やはり幼児、それから小学校、中学校、高校、教育の中に、カリキュラムの中にそういう環境問題を入れた方が、必要だと思うんですけれども、そういう意味では、環境省はカリキュラムに何か影響を与えるようなあれがありますでしょうか。
  190. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 教育といいますといろんな場での教育もあると思うんです。もちろん学校での教育というのもありますから、それにつきましてはまた文部科学省の方でもいろいろと御配慮いただかなきゃいかぬと思うんですが、私は、やはり若い世代、子供に環境教育するのに一番いいのは、やっぱり自然と接触、自ら接触すると。それによって自然の大切さ、環境を守ることの大切さというのを実感するということが一番大切だと思います。  ですから、これはもちろん役所ベースでもやりますけれども、私は、一番やりやすいのは、各地域におきまして、町や村でやっぱりそういった場を作っていただく、そういう機会を作っていただくということも非常に大切じゃないかと思っております。かなりな自治体ではそういうことをやっておられるようでございますし、またいろいろとNGOでもやっておられるようでございますが、これはもちろん環境庁としてもまた努力をいたしますが、あらゆるそういったいろんな団体あるいは地方の自治体という方々にもまた御協力をいただいてひとつ教育を進めたいというふうに考えております。
  191. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 教育の場面なんですけれども、やはりほとんど一校一校工夫しているのはやっぱり少ない。文部科学省大臣が教務については全国のことを全部決めるというふうになっておりますし、私としては、やはり環境などというのは現場に出て、本当に肌で感じるような、子供たち感じるようなことが大切だと思いますので、やはり教育の場面は文部省の画一的なあれをどうしても削除しなければならないように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  192. 大木浩

    国務大臣大木浩君) まあ教育もやっぱり環境教育に限らないんですけれども、教育というのは、実効性ある教育をするためにはやっぱりその地域地域状況に適した教育をしないといけないと思います。全く画一的に教育するということになれば、昔よく笑い話にあったんですけれども、全然雪の降らないところで雪の話しても全然分からないとか、そういうようなことがよくあったんですけれども、それは文部省もそういうことはだんだんにお考えになっていろいろとやっておられますし、ですから、まず縦割りの問題についての対応策というのは、やっぱり私は各地域で、地域へ行けば、それは文部省の関係のこともそれから環境省のことも国土交通省のことも全部入ってきて、そこで一つの町や村でどうしようと、こういうことになるわけですから、やっぱりそれは、私は地域あるいはその地域におきますNGOでもどういう団体でもいいんですが、そういった意思のある団体がいろいろとやっていただくということが必要だと思うんです。  ですから、そういう方々に対して私どもの方で働き掛けるということは、またこれは環境省としても進めてまいりたいと考えております。
  193. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 環境の問題は大きな問題ですから、環境省から学校現場にいろいろアドバイスしたり、お互いにやっていったらいいと思うんですけれども、とにかく今の状況は文部省が全部決めていますから、そしてもう本当に全国津々浦々同じ勉強をしていて、それがいつの間にか工夫はしないというふうになってしまったと思うんです。それはやはり、私は今のその登校拒否児が百三十万人いるということを聞いただけでも、やはり何か学校学校の工夫が足りないし、環境の問題をカリキュラムの中に入れていくためには、やはり文部省のコントロールをどうにか取らなければならないと思うんですけれども、大臣、どう思われますでしょうか。
  194. 小林光

    政府参考人小林光君) 文部科学省におきましても、児童の学習の場におきまして、総合学習の時間というのを設けております。これは、文部省のカリキュラムをがちっと決めて、これをやれということではなくて、現場の先生方の創意工夫もかなり生かされるような制度でございます。  その中で、私どもも文部省とも話し合いまして、総合学習の時間を使いまして、自然体験をしていただくとか、そういう環境面における学習というのも連携をしながら取り組んでいく方向で今いろいろやっております。具体的な場所もございます。そのほか、子どもパークレンジャーの制度ですとか自然大好きクラブという形の中で、非常に多くの方々が参加していただいて、自然体験を通じて自然を学ぶ、そういうようなことも活動も徐々に進んでおります。そういう中で、環境学習が徹底していくようなことに更に一層努力してまいりたいと存じます。
  195. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 本当にやっぱり一つ一つの学校が子供たちの顔を見ながら一緒になってカリキュラムを組むということがどうしても必要だと思います。そして、先ほど思いましたけれども、やっぱり登校拒否児が百三十万人いるというのはどう考えてもこの教育のおかしさですから、本当に教育のことはもう少し地域地域、それから学校学校が主体的にできるようにしていただくようにやっていただきたいと思います。  今日はありがとうございました。
  196. 堀利和

    委員長堀利和君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について岩佐恵美さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩佐恵美さん。
  197. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、自然公園法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。  国立公園国定公園などの自然公園は、貴重な自然環境が残された地域を広く含んでおり、自然保護に大きな役割を果たすことが求められています。特に近年、生物多様性の確保が重要な課題となっています。しかし、現在の自然公園法は、風景地保護利用の増進を目的とするもので、野生動植物やその生息・生育環境保護は明確に位置付けられていません。政府提出の改正案が、国等の責務として、生物の多様性の確保を明記したことは前進ですが、依然として、風景の構成要素として保護するという範囲にとどまっています。生物多様性は、それ自体として重要なものであり、国立公園等において、最重点で取り組むべき重要な課題です。また利用の面でも、一面的な利用増進ではなく、自然に触れ合う中で、自然環境の大切さの理解を深める場としていくことが大切です。  以上の観点から、修正案は、法律目的生物多様性の確保を中心とした自然環境保全を位置付けるとともに、将来にわたって国立公園等の貴重な価値を維持する持続的利用を図ることをうたっています。  目的改正趣旨に沿って、具体的な規定も幾つかの修正を行っています。  第一は、特別地域や特別保護地域の指定など、風致や景観の保護に関する各条文でも、自然環境保全を前面に掲げました。  第二に、公園計画、公園事業について、規制又は施設に関するものという規定を改め、野生動植物の保護や、自然教育などを盛り込みました。  第三に、公園計画や公園事業を現地の実態に合ったものとするため、案を作成する場合に、その公園で実際に自然保護管理に取り組んでいる人たち意見を聞くことを義務付けました。  第四に、適正な公園計画や公園事業を進めるため、環境大臣が野生動植物の生息・生育状況などの自然環境や、公園利用状況などを、定期的によく調査し、活用することを求めています。  その他、海中公園地区において、熱帯魚、サンゴ、海藻など以外の海中動植物についても、捕獲等の規制をすることができるようにしています。  以上が修正案の主な内容です。  委員各位の御賛同をお願いします。
  198. 堀利和

    委員長堀利和君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより自然公園法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、岩佐さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 堀利和

    委員長堀利和君) 少数と認めます。よって、岩佐さん提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  200. 堀利和

    委員長堀利和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  福山哲郎君から発言を求められておりますので、これを許します。福山哲郎君。
  201. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は、ただいま可決されました自然公園法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     自然公園法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   生物多様性の確保の重要性にかんがみ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、新「生物多様性国家戦略」の実効性を確保するため、本法を含めた自然環境保全の法体系の見直しについて検討を行うこと。  二、自然公園における生態系を保全し、持続的な利用が図られるよう、利用調整地区制度を積極的に活用すること。  三、自然公園内の里地里山保全に向けて、風景地保護協定及び公園管理団体制度が的確に機能するよう、NGOとの連携を強化するとともに、財政支援を含めた支援策の拡充を図ること。  四、自然公園内の生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある種の個体を外部から持ち込むことを制限するなど、適切な移入種対策を講じること。  五、登山道の荒廃、トイレ整備の遅れなど過剰利用による自然公園利用上の問題が生じていることに対し、入園規制を含めた適切な手法を検討すること。  六、公園計画の策定に当たっては、地域住民、NGO等関係者の意見を十分反映させるようにするとともに、計画の定期的な見直しが行われるようにすること。    また、自然再生事業等公園計画事業の実施に当たっては、生態系等環境保全に万全を期すこと。  七、自然公園の有する多様な価値を客観的に把握するため、モニタリング等による自然公園に係る調査研究を推進し、自然公園管理及び運営の基盤となる科学的知見の集積の充実に努めること。  八、自然公園における環境教育及び環境学習の推進を図るとともに、利用者に対する適切な情報提供に努めること。  九、自然公園生物多様性保全の重要な場と位置付けられたことを踏まえ、公園管理に係る人員及び予算の一層の充実に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  202. 堀利和

    委員長堀利和君) ただいま福山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  203. 堀利和

    委員長堀利和君) 全会一致と認めます。よって、福山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大木環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大木環境大臣
  204. 大木浩

    国務大臣大木浩君) ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力する所存でございます。
  205. 堀利和

    委員長堀利和君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 堀利和

    委員長堀利和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会