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鈴木寛君
民主党・
新緑風会の
鈴木寛でございます。
私は、
参議院の役割という
議論がございますけれ
ども、私の中では大変明快でございまして、結局、数の論理に対する立憲主義の実現と、これを担っているのが上院と裁判所であるということは自明の理でありまして、
我が国の上院である
参議院が立憲主義の実現を図るというのがその役割だろうと。とりわけ、
日本においては司法消極主義でありますから、そういう
意味でも
参議院の課せられた役割というのは大変に高いと。じゃ、立憲主義の最たるものは何かと。これはまさに基本的人権の実現ということでありまして、数の論理の中で埋もれてしまう特に少数派のまさに人権といいますか、平和と幸福の確立ということについて、やはり
参議院が率先して取り組むべき役割を持っているというふうに思います。
とりわけ、まさに
調査会というのは、何人の先生、何人の方からも御
発言がありましたように、中長期的な
課題についてじっくり取り組んでいくということで、
調査会こそがこの立憲主義の実現ということについての最大の責務を負っていると、こういうことだと思います。
では、翻って、この
共生社会の
調査会は何をすべきかと。二十一
世紀の
課題は、まさにマルチカルチュアリズムの時代においてどのように少数派というものの尊厳というものを確保し、さらにその実現をしていくのかということになりますから、そのマルチカルチュアリズムにおける少数派問題ということをきちっと取り扱っていくと。過去三年間の
調査会の
活動も、そういった基本方針に非常に沿った
活動が行われてきたというふうに思います。
先ほどから
議論を聞いていますと、
児童虐待にするのか、それとも
男女にするのかという二大争点の
ごとくなっておりますが、少し
お話を申し上げたいのは、私は、実はプロップ・ステーションというNPOをお手伝いしております、この七年間ほどですね。ここは何をしているNPOかといいますと、
障害者を納税者にという運動をいたしております。しかし、ここで
障害者の訳として、我々はハンディキャッパーという言葉は一切使いません。皆さんにチャレンジドという言葉を覚えていただきたいわけであります。
この中には一神教者、多神教者、いろいろいらっしゃるんで、そこはケネディ大統領がこう言っているということで御理解いただきたいんですが、これはケネディ大統領が大変好んで使われた言葉でありまして、神から挑戦する機会、使命を与えられた人々ということでチャレンジドという受け身形になっております。
ここで我々が言っているチャレンジドというのは、もちろん知的、身体的
障害者は含みますが、しかし老人もチャレンジドであり、そして
子供もチャレンジドでありという、別にすべて、今の
社会構造の中から歴史的、制度的に挑戦を強いられている、そしてそのことを、先ほど
大仁田委員もありましたけれ
ども、前向きにポジティブシンキングでとらえて、具体的なその
活動をしていこうとしている人をチャレンジドといい、それを応援をしていこうというのが我々のNPOの基本方針であります。
昨日も、チャレンジド・ジャパン・フォーラム第七回、これ七年目に入っておりますが、その初回から私は携わってきたわけでありますが、このような発想で、二項対立ではなくて、もう少し新しいパラダイムというものについて御
議論ができないかなと。
私は、個人的にはこの
リプロダクティブヘルス・ライツの問題というのは大変重要な問題だと思っております。それは、チャレンジドの中の非常に重要な一部として、部分、対象者として、現在のあるいは過去の歴史的な、あるいは制度的な
日本社会の背景において、
女性がチャレンジドであるということは私も
現状認識として認めるべきだというふうに思っていますが、しかし、そのチャレンジドは
女性がすべてではないと思います。なので、こうした発想に基づく御
議論をいただきたいなということでございます。
例えば、
児童虐待の問題、これも大変な問題だと思っていますが、ちょっと皆さん、もう一回
ドメスティック・バイオレンスということを文字どおり訳しますとどうなるか。ドメスティックというのは、これ家庭内ということですから、家庭内
暴力防止法というのが
ドメスティック・バイオレンス防止法の正式な訳でございます。現行法は、
配偶者からの
暴力の
防止及び
被害者の
保護に関する
法律となっておりますが、
配偶者からの
暴力を初めとする家庭内における
暴力の
防止というふうに例えば
DV法を
改正していくということになれば、その第一類型としてはその
配偶者、しかし、通常
男性が
暴力を行うときというのはそこに
子供も巻き込まれている可能性というのは非常に高いわけでありまして、別にそのことを排除する、
児童虐待を排除する必要はないわけであります。
特に、現行
児童虐待の実態を見ますと、家庭外の問題については児童福祉法など、あるいは刑法によってそれなりの対応が、もちろんここも不十分でありますが、しかし、とりわけ問題なのは、家庭内における、あるいは隠ぺいされた、クローズなサーキットにおけるいわゆるバイオレンス、要するに弱者に対するバイオレンスが問題でありますから、例えばこうした
DV法という
議論をもとにこの対象を広げていくというような
議論の設定の仕方もできると思います。
それは別に、最後の
法律論でありますからいいんでありますけれ
ども、いずれにしても、そうした二項対立から超えて、我々が新しいやっぱり我々なりの概念設計というかフレームワークというものをつくっていくということを少し
最初の間は考えていって、その共通理念の中で、
社会的ニーズの高い問題からそのワーキンググループなり対象別に個別の
議論をしていく、あるいはそれを包括法ということで実現することも可能なのかもしれないということを思います。
それから、最後に申し上げたいことは、もちろん世論の喚起ということは極めて重要であります。しかし、
国会議員が独占的に行使できる権利は何かというと、これは
立法の権利と、それから税金の徴収とその配分については、これはほかの方はできない、まさに国民の皆様方から我々に独占的に負託をされている権利であるということからしまして、私は、最終的なこの
調査会の
成果物としてはきちっとした
法律という形で
提起するということがやはり望ましいし、そのことが私は国民の皆様方の負託にこたえる最大の方法論だというふうに思っておりますし、とりわけ超党派で取り組めるという
調査会のメリットといいますか、最大のメリットをもかんがみまして、そうした
DV法に倣った形の法案制定に向けたアウトプットが出ることを強く期待をいたしまして、
発言にかえたいと思います。