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簗瀬進君 まだまだいろいろと
質問したいことはあるんですが、原則論ですのでもう
一つ、これは
大臣それから
発議者、お二人に聞かせていただきたいのは、
特殊法人が本質的に悪であるというふうな
議論は私はとりません。それはある
意味で社会が未成熟、
経済が未成熟の中でやっぱりいろいろな要請に対応する、いろいろな制約の中で
事業もしていかなければならない、そういう中で
出発をしてきたという
側面もこれは間違いなくあるわけです。ところが、
出発点ではそうであったけれ
ども、だんだんそれが自己
肥大化、自己増殖化、そして病理化して、感覚の麻痺をしていく。特にその最たるものが
天下りの問題だと思います。
しかし、
天下りの問題
一つとってみても、官僚の
皆さんからとってみれば、
日本の社会全体の中で自分の第二、第三の人生の持っていき場所がないというふうな形になってくると、結果として、官僚一人一人にとってみても、それは家庭人であり、子供を育て自分の老後を
考えなければならない、まだ生きがいもやる気もたくさんあると。そういう中で、じゃどこで自分の働き場所をつくっていくのだという形になって、手っ取り早く自分の
関係先に
特殊法人をつくる。また、それがやがては、
特殊法人をつくったということがその官僚の
一つの省内におけるステータスになっていって、そして将来の自分まで保障をしてくれる。こういうふうなものの中で、
特殊法人の外に今度は
公益法人やら株式
会社というようなものを
関係したものとしてつくっていく。言うならば、本来は民の
論理の中で、
営利企業の
論理の中でやらなければならないものに関して、まさに官の
論理でそれを取り込んでいってしまう。
私は、そういう
意味では、企業
セクターを
官僚セクターが、言うならば
特殊法人という形、株式
会社という形をとって、
官僚セクターが
営利セクターにきちんと位置づけられないものを食ってしまっている、こういうふうな結果になってしまっているのではないのかなと思うんです。でありますから、このような
認識について、
発議者、
大臣、どのようにお
考えになっているのかというのが一点。
それからもう一点、もっと大切なことは、そういう
意味で、自己増殖的に病理化した
特殊法人が生まれてくる過程にあっても、そこに勤めている人たちというのは、入社する際、その
法人に入る際はやっぱり自分の生きがいをそこに求めて、そして自分の生活をそこにかけてやっているわけであります。彼らにとってみれば、いわゆる上の方でどのようなプロセスでこの
特殊法人ができたのか、あるいはどのような社会的な背景の中でこの
特殊法人ができたのかということについては、それは自分の関知しないところなんです。そして、ここまで来てしまっている。そういう中で
特殊法人の
改革をしなければならないというのは、ある
意味では彼らにとっては自分に
関係のないところで起こった出来事の
責任を一人一人がしょわされるというふうなことで、非常にある
意味ではかわいそうな
部分もあるんですよ。これはすべての企業においてもそうだと思います。
でありますから、この
特殊法人の
改革をする際には、必ずそれは、一人一人の人たちが、自分たちはそこで悪いことをやるために
特殊法人に入っているわけじゃないんですよ。だから、そういうふうに
考えてみたときに、言うならば全体的な社会の変遷あるいは
営利企業や
日本の
経済の成熟の中でこの
特殊法人というようなものについてのきちんとした位置づけがようやく行われるようになった。しかし、その前提での彼らの生活あるいは今後の生活というようなものをいかに守ってやるのかということもこれは大変大きな政治の
課題であり、
改革を進めていく人々のそれは責務であると思います。
にもかかわらず、私は
衆議院のこの
議論を聞かせていただいたときに、どうもやっぱり
発議者の
太田さん、それは民の
論理でもう押しまくられている。その
部分、まだ踏み込むことはなかなかできないんだ等の、かなりはっきりとした、ある
意味ではちょっと厳しい御答弁が多かったんですね。私は、それは非常に残念であります。まさにそういう大きな流れの中で
改革していかなければならないけれ
ども、一人一人のそこに勤めている
皆さんの生活というようなものをどうやっていくのか。これは
改革を進めていく際の必ず車の両輪でやっていかなければならないものであって、それがしっかりとしていかない限りは、
改革はいたずらに社会不安を呼ぶだけなんです。
そのことについての御
認識をしっかりと聞かせていただきたいし、また、それに対してどういうふうな具体的な手当てをお
考えになっているのか、あるいはこの
特殊法人、今
審議をしているこの
議員立法の中ではその
部分がどのように考慮されているのかということを
発議者に聞かせていただきたいし、また、
特殊法人改革のこの
改革を進めていく際に、今の一人一人の勤めている人たちに対する立場をどういうふうに配慮していくのか、それについての
大臣の基本的な姿勢を聞かせていただきたいと思います。