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国務大臣(清水嘉与子君) 第百四十七回
国会における
参議院国土・
環境委員会の御
審議に先立ちまして、
環境行政に対する私の
所信を申し述べ、
委員各位の御
理解と御
協力をお願いしたいと存じます。
二十
世紀の
最後の年を迎え、二十一
世紀において
国民が真に豊かで安心できる暮らしを
実現していく上で、その
基盤となる
環境を守り子孫に引き継いでいくことは、
我が国だけではなく世界においても最も重要な
政策課題の
一つであると認識しております。
その中でも、地球温暖化問題は人類と生態系の存続そのものに深刻な影響を及ぼすおそれのある重大な問題でありますが、現在、既にその影響が海面上昇等の形であらわれ始めていると考えられるなど、人類
社会の
基盤を揺るがしかねない
状況が生まれつつあります。
また、大量の廃棄物の
発生、最終処分場の逼迫、不法投棄の増加等が
社会問題化しており、廃棄物・リサイクル
対策はまさに待ったなしの緊急の
国民的
課題であります。
さらに、ダイオキシン、
環境ホルモンなどの化学物質による人の健康や生態系への影響についても、現代に生きる私たちだけでなく将来の世代への影響も懸念される問題として
国民に大きな不安を与えております。
来るべき二十一
世紀においてだれもが安心して暮らせる
社会を築くため、
国民が
環境に対して抱いている不安を早急に取り除いていくことは
環境行政に今求められている重大な任務であると考えております。
こうした
我が国が直面している地球
環境問題や廃棄物・リサイクル問題、ダイオキシン等の
環境汚染問題などの国内外の
環境問題は、いずれも大量生産、大量消費、大量廃棄という私たちのこれまでの
経済社会システムや
生活スタイルの
あり方に根差しております。
その根本的な解決のためには、
我が国の
社会全体の
あり方を見直し、
環境への負荷が少なく、かつ豊かな暮らしを
確保することができる循環型の
社会を構築していくことが必要であります。
また、
国民の関心の高いダイオキシンを初めとする化学物質問題等の緊急の
課題については、安心を取り戻していただくため、必要な
対策を
国民の
理解を深めるよう努めながら着実に進めることが重要であると考えております。
このような
対策とともに、来年一月の中央
省庁再編を控え、
我が国が
環境立国として世界をリードできるよう国内的にも国際的にもしっかりとした仕事ができる
環境省をつくり上げ、
国民の
環境行政に対する
期待にこたえたいと考えております。
私は、このような認識の
もと、次の
施策に重点的に取り組んでまいります。
第一の柱は、地球
環境と共生できる循環型の
社会づくりの
具体化であります。
まず、物質循環の
確保による
環境負荷の低減を目指し、廃棄物・リサイクル
対策を総合的、
計画的に
推進し、
循環型社会の構築を図ることが重要であります。このため、今
国会に
基本的な枠組みとなる新たな
法律案を提出する予定であります。また、需要面から
環境負荷の少ない
循環型社会づくりを進めていくため、リサイクル製品等への需要の転換を
促進する新たな仕組みについても鋭意
検討を進めてまいります。
循環型社会の
実現のためには、地方
公共団体、
事業者、
国民、民間団体の各主体による
循環型社会づくりに向けた
取り組みを
促進することが重要であります。このため、
環境保全型の製品、技術の
開発普及を
推進するとともに、草の根の活動等に対する
支援や
環境教育、
環境学習の
充実強化を図ってまいります。
さらに、新たな
環境問題に対応するとともに持続可能な
経済社会の具体像とそこに至る道筋を示すため、
環境基本計画の見直しを行ってまいります。
第二の柱として、ダイオキシン類等の化学物質問題への積極的、体系的な
取り組みを
推進します。
ダイオキシン問題については、ダイオキシン類
対策特別
措置法の制定により
対策の枠組みが
整備されたことを踏まえ、大気、水質、土壌に係る
環境基準等の維持達成を図るため、ダイオキシン類
対策を
具体化し、強力に実行してまいります。
また、昨年制定された特定化学物質の
環境への排出量の把握等及び管理の
改善の
促進に関する法律の着実な施行に向けて、化学物質の排出量等の把握、公表等が円滑に行われるための
基盤整備等を進めます。
環境ホルモンの問題については、科学的知見を早急に収集するための
調査研究等を
推進してまいります。
第三の柱は、地球温暖化を初めとする地球
環境問題に対応する内外の実効ある
取り組みの
具体化であります。
地球温暖化
対策については、本年十一月に予定されている気候変動枠組み条約第六回締約
国会議を成功させ、少なくとも二〇〇二年までに京都議定書を発効させるため、国際的な
環境づくりに
全力を尽くします。国内においては、京都議定書の締結に向けて六%削減の
目標を達成するための実効ある地球温暖化
対策を
具体化してまいります。
また、二月末の日中韓三カ国大臣会合を皮切りに、四月には大津市においてG8
環境大臣会合が、九月には北九州市においてESCAP
環境大臣
会議が開催される予定であります。これらの大臣級の国際
会議等を通じた
政策対話やアジア太平洋
地域等に対する国際
協力の
推進により、地球サミット後十年目の節目の年となる二〇〇二年、いわゆるリオ・プラス10において、途上国を含め世界全体の
環境政策が大きく飛躍することとなるよう世界の地球
環境問題へ
取り組みます。
第四の柱は、
大都市地域の自動車
環境対策等の拡充であります。
大都市地域における自動車交通等に起因する
大気汚染等の
改善を図るため、大型ディーゼル自動車の代替に重点を置いて低公害車の普及を
推進するとともに、自動車から排出される窒素酸化物の総量削減のための新たな
施策の
検討や新たな騒音
環境基準に対応した
道路交通騒音
対策の
充実を進めます。
浮遊粒子状物質については、規制を含め総合的な
対策を進め、さらに微小な粒子状物質について、測定・
評価手法の
確立を目指すとともに健康影響についての
検討を進めます。
また、
国民からの悪臭に係る苦情件数の増大に対処するため、悪臭防止法に基づく
対策の
強化の方策について鋭意
検討を進めてまいります。
第五の柱は、
国土のそれぞれの場所に応じた多様性のある自然の積極的な
保全であります。
森林や湿原など
国土の異なった場所に応じて、それぞれに多様性のある自然が保たれるよう
戦略的な
保全を進めてまいります。
また、人と野生鳥獣との共存を図るため、昨年改正された鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づき、科学的で
計画的な鳥獣の保護管理を積極的に進めます。
さらに、自然との触れ合いの
推進を図るため、自然公園等において
環境との共生や
自然環境学習等に重点を置いた施設
整備を進めるとともに、自然体験学習などのソフト面の
施策等を
充実してまいります。
第六の柱は、公害健康
被害の補償と予防であります。
公害健康
被害者の救済に万全を期するとともに、健康
被害を予防するための
施策の着実な
推進を図ります。
水俣病
対策については、水俣病総合
対策医療事業など、
平成七年十二月の閣議了解等に盛り込まれた
施策を着実に
実施してまいります。また、水俣病
対策に係る熊本県の地方債償還に支障を来さぬよう、
所要額を国が補助いたします。
第七の柱は、二十一
世紀にふさわしい
環境行政を的確に進め得る
環境省を
実現するための体制
整備であります。
来年一月に
環境省が設置されることに伴い、廃棄物行政の一元化、化学物質
対策を初めとする幅広い
事務の共管化、地球
環境問題への
取り組みの
強化等に対応した組織、定員を
確保し、体制の
充実強化を図るとともに、新しい時代の
環境行政への
国民の
理解と参画を進めるため、
環境に関する
調査の情報をわかりやすい方法で
国民に
提供してまいります。
以上、七つの柱を軸に
環境行政を進めてまいります。
本
委員会及び
委員各位におかれましても、
環境行政の一層の
推進のため、今後とも御
支援、御
協力を賜りますようお願い申し上げます。