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参考人(
伊勢桃代君) 御紹介にあずかりました
伊勢でございます。このように大局的また総合的見地から国の政策をお考えくださるという
調査会を大変大事に
思いまして、ここにお呼びくださいましたことを本当に感謝いたします。光栄に存じます。
それで、きょうは
国連人事について
お話しいたします。
先生方も
憲章については御承知のことと
思いますが、申しわけないんですけれども、ちょっと
憲章を読ませていただくことにいたしました。と申しますのは、
国連の人事というものはこの
憲章から出ておりまして、すべての人事政策というものはこれに沿ったものになっておりますので、ちょっと読ませていただきます。
これは
国連憲章の第百条に当たりまして、「事務総長及び
職員は、その任務の遂行に当つて、いかなる
政府からも又はこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、又は受けてはならない。事務総長及び
職員は、この機構に対してのみ
責任を負う国際的
職員としての地位を損ずる虞のあるいかなる行動も慎まなければならない。」、「各
国際連合加盟国は、事務総長及び
職員の
責任のもつぱら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者が
責任を果すに当つてこれらの者を左右しようとしないことを約束する。」、「
職員の雇用及び勤務
条件の決定に当つて最も考慮すべきことは、最高水準の能率、能力及び誠実を確保しなければならないことである。
職員をなるべく広い地理的基礎に基いて採用することの重要性については、妥当な考慮を払わなければならない。」、つまり
憲章の百条、そして百一条の文章でございます。
国連の公務員
制度と申しますのは非常に古い歴史を持っております。ちなみに、
国際公務員制度というものが一応今のような形で確立されたのは、一九〇五年の国際農業機構から発足していると言われております。いわゆる十九
世紀から二十
世紀に移り変わってきましたときに、
政府からの独立、そして
国際公務員特権及び免除、それからノーブルメヤーというような給与の考え方があるんですけれども、そういうものがつくられましたことは、これはあのころの国家体制、国家というものを基礎にしておりました
世界の政治情勢からは非常に画期的なものであって、そしてこれを皆さんが承諾したというところにやはり国際連盟、また
国際連合の非常に大きな意味があります。
その中で、機構と人事の
構造が今現在どうなっているかということをきょう御説明するのでございますけれども、きょう、表を三つお配りしておりますので、表2をちょっとごらんくださいますでしょうか。その表2ですが、これはまた後ほど
日本の
職員の問題等には触れますが、今ここで見ていただきたいのは、どういうような
構造になっているかということでございます。
上の方にUSG、ASG、D2、D1、P5、P4、P3、P2、P1と書いてございます。これは
国連の専門
職員の名称でございます。USGというのはいわゆる事務次長、明石さんがこのUSGに当たられたわけで、USG、ASGと申しますのはそもそも
最初から政治的に任命されるということが、もう既に一九二一年の国際連盟の時代からこれはそういうふうになっております。これは、考え方はどうなっていたかというと、いわゆる国のレベルで非常に
影響力のある、政治力のある方に一時的に
国連に来ていただいて、そしてその
影響力をフルに使っていただいて
国連の仕事をしていただくという、そういう指導力のある人を呼ぶということになっております。
それから、私ども
管理職と申しますのは、P5が課長職でございまして、それからディレクター、いわゆる部長職になりまして、D1、D2となります。基本的にはこの
人たちも下から上がってくるということですが、近年、そのD1とかD2も非常に政治的な色彩が強い採用になってきたことは確かであります。P5が課長レベルですから、これからいよいよ
管理職、またいろんなことの決定をするというレベルになってまいります。
この表は、いろんな問題を指摘しておりまして、また後ほど御説明いたします。
機構というのは、大体すべて局とか部とか課とか、そういうふうに分かれておりますので、課は課長、それから部が部長、そして局長がいわゆる事務次長のレベルになってまいるということでございます。
それから、採用方法でございますけれども、これは
国連の
事務局自体が私は一番系統立った採用方法をとっていると
思います。と申しますのは、
国連の
事務局は、大体三十二歳ぐらいまでの方、この表からいいますとP1、P2、ここまでは試験
制度で行っております。これは
日本ではほとんど毎年行っております。試験
制度というのは国別にやっておりまして、その国での候補者を募り、そして筆記試験、面接試験等を行い、非常に公平な立場で
国連の内部で
委員会をつくり、そこから試験にパスした人をまた今度はいろんな国の候補者とまぜて、そして考え、それを採用に持っていくという方法をとっております。
上の方になりますと、これは試験
制度ではなく、ベーカンシーアナウンスメント、いわゆる空席をすべて公告するということが
義務づけられております。この空席の公告でございますけれども、これは
国連事務局内部、外部、ニューヨークから発信しておりますので、ニューヨークの
国連代表部百八十八カ国にこれを伝え、そしてそこから御自分たちの国に発信をする。ですけれども、最近はコンピューターが非常に発達しておりますので、これはインターネットでもある
程度は今出ておりますのでごらんください。ベーカンシーアナウンスメントが出ますと、これに沿って自由に個人が応募できるということになっております。内部での
委員会制度というのがありまして、ここで外から採用するのか、または中からの昇進で空席を埋めるのかというようなことが討議されて決まるわけなんです。
人事決定に関する
権限と
分担でございますが、これがやはり
国連の非常に複雑なところになるわけなんですけれども、
国連の
事務局だけで申しますと、
国連の本部はニューヨークにございます。それから、
世界の五カ所にいわゆる経済社会
委員会というものがありまして、アジアではバンコクに大きな、ESCAPと呼んでおりますが、アジア太平洋地域をカバーする経済社会
委員会、それからヨーロッパはジュネーブ、アフリカはエチオピア、ラ米はチリ、そして中近東が、いろいろ紛争のために移ったのでございますけれども、現在はヨルダンというところで
活動しております。そういうところの一番上の方たちには相当な
権限が渡されております。ですから、中央の人事というのはニューヨークが主体でございますが、そういういろいろなオフィスにも人事というものがございます。
それから、もう二つ大きなオフィスがあるのでお知らせしますが、これはジュネーブとウィーンに二つ大きな
国連の事務所、それからナイロビに環境問題、都市問題をやっておりますところ、こういうように地理的には分布されておりますが、その
一つ一つの一番上の人、長、この方の人事に関する
権限等非常にあいまいなところがありますものですから、なかなかニューヨークの中央の人事とプログラムの
権限に関する担当の一番上の人、この
権限の
分担というものが人事の決定には非常に
影響してまいります。
それから、
国連が必要としている人材でございますけれども、これは明らかに二十一
世紀に向かう
国連が今後どういうふうに変化をしていくかということを見きわめる必要がまずあると
思います。先ほど
田所先生が
事務局に対する批判ということをおっしゃいましたが、やはり
事務局の
職員、適材適所かというようなことは、やっぱり二十一
世紀に向かってのいろいろな問題がありますけれども、ここで
日本と
関係して
国連が必要としている人材の面で特に問題になるような点としましては、コミュニケーションの問題それから経営能力の問題、これは後ほど
問題点、そして
国連人事と
日本のところで詳しく申し上げます。
それからもう
一つ、
国連の中にはもうほとんどあらゆる職業、職種がございます。例えば、これがユネスコですと教育
関係が主になるんですけれども、
国連の場合は職種というものはいかようにも分類できます。法律もあればコンピューターの
専門家もあれば、統計、会計、もうありとあらゆる職種が入っている。しかしながら、
専門機関の専門官というのはいないということ。例えばFAO、農業の専門官とかユネスコの教育専門官、それから労働問題はその
専門機関にお任せしますが、あとはすべての専門が入っている。ですから、
国連の採用の基本というのは専門職の人を入れているわけなんです。ですから、専門の技術を持っていないと
国連には入らないというのが基本線ではあります。
次に、
国連人事の
問題点でございますけれども、表1をちょっとごらんくださいませんでしょうか。
ここに、いろいろと言われております地理分布の問題があります。この地理分布というのは、地理的分布と言ってもよろしいんでしょうけれども、これはGDPパーキャピタの収入が基本になって
分担金をつくり、その
分担金によって望ましい
職員数の範囲というものを決めます。しかしながら、これは非常に複雑でして、例えば中国、インドなどは
国連がすべての人を代表しての仕事をする以上は人口ということも考えてほしいということで、人口に関する係数というものもここに入ってはおります。
それからもう
一つは、
分担金が非常に少ない、一人にも満たないというような国がございますが、これはそういうことを排除しない、とにかくみんなで一緒に仕事をやろうという
国連のそういう考え方ですので、一番下の枠、二人から十四人ぐらいの枠はすべての国に持たせておりますので、GDPだけではこれはちょっと
数字が違ってまいります。
そういうようなことをトータルにしまして望ましい
職員数の範囲というものを決めていくわけなんです。これが非常にいい点もあり、大事な点もあり、それから非常に難しい点、本当に人事をやっていく面からはいろいろな点がございます。
ここではちょっと
問題点を申し上げたいので申し上げますけれども、例えば米国は
分担金二五%を本当を言いますと払うということに決められておりますから、それを基準としての
職員数の範囲というものを決めております。大体この計算をしますときの
ポストの総数ですけれども、これも変わりますけれども、現在のところは大体二千七百
ポストを基盤にしております。二千七百、これは
通常予算から出た
ポストでして、
PKOとか先ほど言っておられます
予算外のお金というものによっての
人件費ということではありません。
こういうふうに地理分布をしていきますと、なかなか
国連側では適材適所、いわゆる非常に能力のある候補者がいてもその人を雇えないというようなことが頻繁に今出ております。
それと同時に、やはりこういうものをつくっておきませんと、どうしても人間というのは、あくまでもやっぱり上司は自分が仕事をしたい人とやるというようなこともある、文化的なこともある、いろいろなこともありますから、地理分布というのは難しいながら、何とかしてこれを活用しながら人事をやっていく、採用していくということで
国連はいつも悩んでいるわけなんです。
こういう地理分布があるものですから、結局、
権限を地域
委員会とかが持ちますと、人事が中枢的に政策をやりたい、しかしながらプログラムの方の長は自分のところは能力のある人を欲しいということの葛藤が絶えずあるわけで、ここで
国連の人事をする
権限というのは非常に難しいということがあります。
それから次に、終身雇用でございます。
この終身雇用というのは、御存じのように
国連も創設以来これは終身雇用であるから、とにかく独立を保つ、政治的にも中立、ニュートラルというより、インパーシアリティーの方がいいという御
意見もあったかと
思いますが、全くどこにも加担しない、そういう立場をとる
人たちを確保しておきたいということで終身雇用ということを言ってまいりましたけれども、今度はいろいろな問題が出てまいりました。
というのは、終身雇用をしておりますと、やはり先端的な技術がなくてはいけない分野があります。例えばコンピューターテクノロジーの分野。
国連は、例えば大きなコンピューターからパソコンに変わったときの苦労というのは大変なものでして、そういうような分野は終身雇用でない方がいいのではないかというような考え方も出てくる。しかしながら、法律部門では国際法、先例、いろいろあるからこれは終身雇用にしようとか、行政官は終身雇用とか、いろいろな
議論がありますが、いまだこれは
国連の人事政策として解決しておりません。
ですが、今の
アメリカからの強力なる圧力によって、とにかく縮小しろという圧力ですからなかなか
予算の枠も難しく、だんだん終身雇用というのが減ってきております。この減ってきているという実情、これがまた今後、
国連の能力ということに大変に
影響があるかと
思います。ですから、この点でも本当にそろそろ
国連としても確とした立場をとるべきという
感じがいたします。
それから、採用に関してですけれども、申し上げたように、能力一筋でいくということが非常に難しい、そして地理分布というものも考えますと、やはり政治的
影響というものが非常に出てきております。私が三十年前になりますけれども
国連に行ったときは、
政府に連絡するとかいうことは全く
思いもよらないこと、全くいけないことだと考えておりましたけれども、現在はその体制が崩れております。それで、これも本当に
国連が今悩んでいるところだと
思います。
ただし、
国連が非常に人事が政治化されたということはよく言われますけれども、百八十八カ国の全部大使がいらっしゃるわけでもないんですが、百八十八カ国が自分のところと言って主張されると、これはないにも等しいような圧力ですから、
国連としてはそういう立場で能力主義、能力本位でやるというような意気込みもありますけれども、これが高い地位になればなるほど非常に難しいという実態がございます。
それから、採用の方法でございますけれども、今
国連は
一つ一つの
ポストでやっているので、こういうことがいいのかどうかという
感じもございます。むしろ
国連に一括にして、そしてその中からいわゆる専門ゼネラ
リストというものをつくっていく方がいいのかとか、いろんな問題がございます。
一つここで申し上げておきたいのは給料の問題ですけれども、これは一九二一年にノーブルメヤーというコミッティー、
委員会がございまして、国際連盟のときでございます。このノーブルメヤーが決めた給料というのは、あのときは御存じのように比較するものが全然なかったわけですから、
国際機関というのは初めてですから、そこで、どこに基準を置くかということでノーブルメヤーが考えたのは、国家公務員の中で一番最高の国家公務員給料
制度というものを基盤にして、その上を行くということで決まったわけなんです。
一九四五年、
国連ができましたときはイギリスが基盤でございました。その後
アメリカ、今現在
アメリカを基盤にしております。この執行が非常に難しくて、
アメリカも何とかして
国連職員の給料は上げまいということで、もう一切聞かないというような
状態で今やっております。
それで、国家公務員の給料と申しましても、
アメリカの国家公務員
制度の中での給料体制は局によって違うんでございます。国防省とか国務省とか、そういうところで違うものですから、そこで、どこに基準を置くか等々の問題が非常にあります。
それから、給料を比較するということは本当に難しいことで、
国連の給与体制というものは、現在、住居費も非常に下に抑えておりますし、接待費、交通費、その他全部そういうものはございませんので、全く給料でみんなが賄っているという
状態であります。
最初の五年ぐらいは少々の住宅の手当はございますが、一切
国連は不動産に手をつけませんので、官舎、公舎、そういうものもないという
状態でございます。そういう面でも、今、
アメリカとのいろいろ摩擦はございます。
それから
国連自体が、先ほど申し上げましたように、終身雇用とかいろんな問題で総合的な人事政策に欠けています。これが非常に
影響しているのが昇進
制度なんです、キャリアシステム。後から申し上げますが、
日本の若い
人たちは非常な苦労をしておられます。やはり総合的人事政策の欠如、これは何年も言われていることで事務総長にも要求をされておりますが、いまだに
総会でこの結論が出ていないということであります。
国連人事と
日本でございますが、まず表1を見ていただきますと、ここで上からきますと米国、ロシア、ドイツ、
日本、フランスと、こうくるわけです。
ここで申し上げたいのは、
日本の
職員が非常に少ない、これは確かにそうなんです。表3を後で見ていただきますが、全体に
国際機関に占める
日本の
職員の数というのは少ないんです。しかしながら、
国連の
事務局を考えますと、百人を超えている国というのは、百八十八カ国のうちわずか五カ国であります。
ロシアの場合は非常に特殊な例でして、昔からずっといたんですが、これはソ連人としていたわけで、その方たちが今度ウズベキスタン、タジキスタンとか、そういうふうに分かれたときにどうしてもロシアに集中したということで、今、ウズベキスタンはまだ人数がゼロとか、カザフスタンとかまだ
職員が出ていない
状態の国が多いと
思います。そういうような
状態でございます。
それから、表2でございますが、ここで見ていただきますと、ここで私が非常に
感じますのは、先ほど申し上げたP5、課長以上、いわゆる政策決定に
関係してくるレベルの上、これが
日本は異常に少ない。ちなみに、米国は総体の人数が多いですからこれはしようがないんですけれども、米国八十八、ロシア二十四、ドイツが二十六、
日本が七というような
状態で、
日本は非常にたくさんの方がP2からP4に固まっているという
状態なんです。
それで、この4から5に上がるのは非常に難しいです。今、
国連の
ポスト数で一番多いのがP4なんです。P4を超えますと課長級。もちろんどこの組織もそうですが、数が減りますので、この政策決定にかかわるレベルに達するということが非常に難しい
状態であります。
それでは、どうして
日本人はそんなに少ない、少ないというのか、絶対数ではないんですけれどもこんなに難しいのですかと。例えば、
日本の
分担金からしますと二百九十四人、これが中間数ですけれども、そこまで行けるのに何で百六人なんですかと、こういう質問がよく出されます。
まず申し上げたいのは、とにかく
国連の方の人事政策というものを総体的にもっとしっかりとしてもらうということ、これは受け入れ体制というものがありますので、非常に大事な点だとは思っております。
それから、
日本側の方にも非常にいろいろな問題がございます。まず、コミュニケーション、専門職とコミュニケーションの二つは、これは
国連に働く以上は必須のものでございます。ここであえて申し上げたいのは、私は
日本の英語教育はもう早急に何とかしていただかないと、これは
国連だけでなく、ASEANでもどこでも本当に大変なことになると
思います。本当にこれはお願いしたいことなんです。
それから、
管理職人材の不足。P5以上は上に立って指揮をとらなくてはいけない。そのときに、コミュニケーションもできないというような上が来ると、下が大変な苦労をいたしますので、この点では
日本は非常に問題視されている国の
一つでございます。
日本人が能力の面で欠けていると、絶対そういうことはございません。今の
日本の若い方たちは大変な実力者です、伸びています。ですからよろしいんですけれども、その方たちをやはり引き上げるには、人事政策をしっかりして昇進
制度をやる、それから、上にもしっかりと
日本人が参画をして、そして政策決定にかかわるということ、この体制をして、そして
日本の国の
政府と一緒になって
国連の仕事に協力するということは非常に大事なことだと思うんです。そのときに、上に入ってくださる人材が少ない。
まず、給与が低い、これがあります。この給与をどうやって補うかという過去にいろいろの工夫はあったんですけれども、基本的には、
国連の
職員はよそから収入を得ない、
国連の収入で賄う、みんな同じレベルであるということを基本にしておりますから、余分な補足をするということは、これは基本的に禁じております。これは
憲章違反なんです。でありますので、ここでまた
日本が苦労するところなんです。
というのは、
管理職になればなるほど
日本の国内の給料と
国連の給料との差が異常に大きくなります。先ほど
アメリカに沿ってと言っておりますが、もう
アメリカの国家公務員
制度が一番高い給料を出している時代ではなく、今はドイツとも言われ、シンガポールは特別な
理由で、措置で高いと伺っておりますが、そういうような
状態でありますが、あくまでもこれは
アメリカが基本ということが政策でありまして、ここからは抜けられないということでございます。
それからもう
一つ、能力の面では全く
世界に劣らない、そして優秀な若い
人たちが出ている中で、やはり違うなと思うのが経営
管理の考え方なんです。これは
日本と国際社会とがときどき正反対なのではないかと思うぐらい違うわけなんです。ですから、
管理職に出す場合に非常に難しい、人材を探すのが難しいということでございます。
それで、やはり本当に
日本人の
職員を伸ばすということでは、若い人が入るということは、これは
国連というところはどんなに
財政上苦しくても新規の
職員は入れるということが
総会の
決議でございます。その
理由は、常に新しい血をここに供給しなくては
世界におくれるというので、P2、3、この方たちの雇用は続けてまいります。ですから、ここに優秀な
日本の若い人を送ることはできます。次は、この方たちをどうやって中から伸ばすかということ、これは
国連の
責任なんですけれども、なかなかこれがうまくいっていないということですから、こういう人事政策というものにやっぱり
日本の
政府も参画してくださり、そして強烈に
総会の第五
委員会で
活動していただきたいということを
思います。
それから、人材を育成するということを本当にしていただきたい。育成というのはどういうことかと、いろいろとお考えをいろんな方がお持ちです。私の限られたあれからいいますと、今、D1、2、そういうところに
国連、
国際機関に動いていただけるような方は必ず経営
関係の研修をお受けになる場を設けたいと
思います。
フランスでも博士号を取った後や専門職を取った後、そういった学校がありまして、エコール・ナシオナル・ダドミニストラシオンというパリにある学校なんですが、そこで一年ぐらい徹底的な経営行政の研修をするとか、やはり私は
日本もこういうような研修、コミュニケーションの研修は若い人というようなことで、そういう体制を本当につくっていただきたいと思っております。
それから、
日本として本当にここでお願いしたいのは、
日本の
政府また外務省の方々が
国連の場で非常に苦労しておられるというのは、
日本は内部を見ていろいろ調整をなさるものですから、外で発言ができなくなっているのではないかと思うんです。
よくここでも
お話しになったと伺っておりますが、
日本はどうも発言しないと言われておりますが、やはり内部からしっかりと基本をつくってあげないと、国際の場に出てちょうちょうはっしとやるところで発言が非常に難しくなるという
状態はあると
思います。それに加えて、
日本は本当にコミュニケーションをしない国ということは、これはもう明らかですので、どんどん
政府もいろんな発言を、もうミスとかそんなことではなくて、どんどん立場を確立していただきたい。
それから、上に人がいないということは、
国連の内部での人事
委員会に出る
日本人
職員がいないということなんです。これは本当に採用、昇進にかかわります。というのは、何も
国連が非常にいびつだということではなくて、
国連は何とかしてバランスのとれた、そして文化を超えた公平なる人事をしようとしている、努力はしているんですけれども、やはり
日本人がそこに要る。どうして
日本人がいいかといいますと、基本的に
日本人は公平なんです。それから文化的にも非常に公平な人が多い。ですから、
日本人をもっとそういう中枢の
委員会に出してほしい。ところが、出る人がいないんです。まず人数が少ない。そういうことなので、やはり上の方で人数をふやさなくてはいけないというようなことを痛感しておりますので、ちょっとここで申し上げました。
三十分を過ぎましたので、ありがとうございました。