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2000-05-12 第147回国会 衆議院 労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 赤松 広隆君    理事 谷畑  孝君 理事 能勢 和子君    理事 穂積 良行君 理事 森  英介君    理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君    理事 河上 覃雄君 理事 大森  猛君       大村 秀章君    木村  勉君       小林 多門君    白川 勝彦君       田中 昭一君    棚橋 泰文君       長勢 甚遠君    福永 信彦君       松本 和那君    村岡 兼造君       山本 公一君    渡辺 具能君       石橋 大吉君    中桐 伸五君       松本 惟子君    西川 知雄君       寺前  巖君    青山  丘君       笹山 登生君    畠山健治郎君       土屋 品子君       …………………………………    議員           大森  猛君    議員           木島日出夫君    労働大臣         牧野 隆守君    労働政務次官       長勢 甚遠君    政府参考人    (法務大臣官房審議官)  小池 信行君    政府参考人    (労働省労政局長)    澤田陽太郎君    政府参考人    (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君    労働委員会専門員     渡辺 貞好君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     山本 公一君 同日  辞任         補欠選任   山本 公一君     白川 勝彦君     ————————————— 五月十二日  企業組織再編における労働者保護に関する法律案日野市朗君外四名提出衆法第九号) は委員会許可を得て撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  企業組織再編における労働者保護に関する法律案日野市朗君外四名提出衆法第九号)の撤回許可に関する件  会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案内閣提出第六一号)  企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案大森猛君外一名提出衆法第一六号)     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 赤松広隆

    赤松委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  日野市朗君外四名提出企業組織再編における労働者保護に関する法律案につきまして、提出者全員より撤回申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松広隆

    赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 赤松広隆

    赤松委員長 内閣提出会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案及び大森猛君外一名提出企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案の両案を一括して議題といたします。     —————————————
  5. 赤松広隆

    赤松委員長 この際、内閣提出会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案に対し、森英介君外四名から、自由民主党民主党公明党改革クラブ保守党及び自由党の五派共同提案による修正案提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。鍵田節哉君。     —————————————  会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 鍵田節哉

    鍵田委員 民主党鍵田でございます。  ただいま議題となりました会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  同法律案は、今国会提出され、慎重かつ熱心な質疑を行いました。こうした審議を踏まえ、自由民主党民主党公明党改革クラブ保守党及び自由党の五会派間で数次にわたり精力的な協議を重ねた結果、本案に対して、以下の修正案意見の一致を見たものであります。  本修正案は、「分割会社は、当該分割に当たり、労働大臣の定めるところにより、その雇用する労働者理解協力を得るよう努めるものとする。」との一条を加えるものであります。  これは、会社分割に当たり、分割会社にその雇用する労働者理解協力を得るよう努めることを義務づけることにより、労働者保護を図ろうとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  7. 赤松広隆

    赤松委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  8. 赤松広隆

    赤松委員長 内閣提出会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案及び森英介君外四名提出修正案並び大森猛君外一名提出企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案の各案について議事を進めます。  この際、お諮りいたします。  各案審査のため、本日、政府参考人として法務大臣官房審議官小池信行君、労働省労政局長澤田陽太郎君及び労働省労働基準局長野寺康幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 赤松広隆

    赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  10. 赤松広隆

    赤松委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。城島正光君。
  11. 城島正光

    城島委員 民主党城島でございます。  労働大臣に何点か質問をさせていただきます。  合併営業譲渡を初め企業組織再編が増加している中で、これにかかわる労働者保護に関する諸問題については、学識経験者中心とする検討の場を設け、速やかに結論を出すべきと考えます。そして、政府としては、検討内容を踏まえ、適切に立法を行うべきと考えております。  以上、二点について労働大臣の御見解を承ります。
  12. 牧野隆守

    牧野国務大臣 政府としましては、御指摘検討の場を設け、立法上の措置を含め十分に検討し、適切に対処したいと考えております。
  13. 城島正光

    城島委員 立法化する場合には、その時期についてはどういうお考えなのかを質問したいと思います。
  14. 牧野隆守

    牧野国務大臣 本法施行後、企業分割等にかかわる状況を踏まえ、できる限り速やかに結論を得て対処したいと考えております。
  15. 城島正光

    城島委員 学識経験者についてでありますが、労働組合の推薦する研究者等を含むものというふうに考えてよろしいでしょうか。
  16. 牧野隆守

    牧野国務大臣 学識経験者につきましては、労働法商法企業組織論等専門家を予定しております。また、学識経験者構成する研究会においては、労使から十分な意見聴取を行うことにより御趣旨にこたえてまいりたい、このように考えております。
  17. 城島正光

    城島委員 会社分割に当たって、事業主は、通常、労働組合等との事前協議を行うものというふうに考えてよろしいでしょうか。
  18. 牧野隆守

    牧野国務大臣 御認識のとおりと考えております。
  19. 城島正光

    城島委員 労働契約承継法案修正によって新たに加えられる第七条において、「労働者理解協力を得る」とありますが、その具体的内容についてお尋ねしたいと思います。
  20. 牧野隆守

    牧野国務大臣 労働契約承継法案修正によって新たに第七条が加えられた場合には、その規定を受け、労働大臣が定める規則である省令において、「労働者理解協力を得る」、この条項は、当該事業場において、労働者過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合労働者過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者過半数を代表する者との協議によって行う等のことである旨を規定する考えであります。
  21. 城島正光

    城島委員 以上で終わります。
  22. 赤松広隆

  23. 大森猛

    大森委員 日本共産党大森猛でございます。  前回の質問で、この法案が名称で労働契約承継法案、こう名乗って、法文上でも労働契約という用語が随所に使われているわけでありますけれども、肝心の法案の条文には労働契約の定義が明記されていない、この点を指摘をいたしました。  私の質問に対して、労働省答弁では、労働基準法第十五条、労働条件明示規定に基づく規則第五条で示している、賃金を初め勤務場所、従事すべき業務、始業、終業の時間や休憩時間、休日、休暇などの労働時間、退職に関する規定退職金などが労働契約中心となるものである、こういう回答がありました。また、この法案では、会社分割し、新たに設立する会社労働者転籍されることが会社分割計画書記載されている場合には、その労働者労働契約は当然承継されるという御答弁でもありました。  そこで具体的にお聞きをしたいわけですが、分割して設立される会社が今までの勤務場所とは違うところに設立されるということは十分あり得るわけであります。例えば、田町にある本社ビルの一部門分割して千葉県の幕張副都心のビルに新たに設立されるというような場合でありますけれども、横浜から通勤している労働者であれば、通勤時間はもちろん、交通機関の乗りかえも含め経路も相当変更されることになるわけですね。  これまでの労働契約がこういう形で大きく変更される場合も当然承継されると言えるかどうか、事前労働者に対して労働契約変更手続が必要になるんじゃないかと思うわけですが、明快にこの点をお答えいただきたいと思います。
  24. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 今、勤務地が大きく変更される場合という例を先生おっしゃいましたが、労働契約の締結に際しまして勤務地が限定されていない場合には、当該労働契約会社分割の効果によって当然に承継され、また、その際にあわせて転勤を命ずることにより勤務地変更を伴うことは可能であると考えます。
  25. 大森猛

    大森委員 そうしますと、勤務地本社なら本社と限定されている労働契約の場合は事前労働契約変更手続が必要になる、当然こうなるわけですね。
  26. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 労働契約において明確に勤務地が限定されているという場合には、承継の前に契約を変える等の手続が必要になると思います。
  27. 大森猛

    大森委員 変更手続事前に必要になるということでありますが、したがって、そういうことを考えますと、分割計画書転籍記載があったというだけの通知では、これは不十分に当然なってくると思うんですね。  そこで、法案の第二条第一項柱書き省令で定める事項には、これらの主な労働契約内容だけではなく、労働者が今後の自分の身の振り方を判断できる、そういう新会社の規模や生産高あるいは将来見通し、こういうものについて、分割計画書内容を可能な限り通知すべきだと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
  28. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 今御指摘事項につきましては、基本的には労働者自分の将来を判断するための要素として有効な事項であると考えられますが、その一方で、先生が具体的に申された中で、例えば会社の将来の見通し等については、その時点では不確定な要素が種々存在するなど、現実的には、御指摘になった事項すべてについてはなかなか困難な面もあるというふうに考えております。  私ども省令で定めます労働者への通知事項について現在考えておりますことを申し上げますと、分割会社本店等に備え置かれる分割計画書等によって明らかになっている事項のうち、労働者にとって将来を見通す上で大事なもの、例えば、分割の実施時期、新設会社本店の所在地、それから分割後におきます労働者の従事すべき業務等労働条件に関する事項、あるいは労働契約承継先である会社事業などその会社に関する事項、また、各会社分割会社設立会社それぞれが負担すべき債務の履行の見込みがあるということ、またその理由等々を通知することを考えております。  いずれにしましても、今先生がおっしゃったように、通知を受ける労働者立場にも十分配慮して、適切なものを策定していきたい、こう思っております。
  29. 大森猛

    大森委員 これまでの議論の中で、これから労働者が乗り込む船が泥船になるのか新鋭船になるのか、泥船にしないという商法上の歯どめはあるというようなお答えもあったわけでありますけれども、しかし、その船が燃料を積んでいるのか積んでいないのか、あるいは速力が極めて遅いものなのか、そういうことも含めて、労働者が実際に、記載されている労働者記載されていない労働者も判断できる、そういう通知をぜひ積極的に行う方向具体化をしていただきたいと思います。  次に、主として従事する労働者が拒否した場合の取り扱いについてでありますけれども設立会社業務部門に主として従事する労働者で、分割計画書記載された労働者には同意を求められない、この法案では異議申し出の権利も認められないわけですね。ところが、同じ主たる業務に従事している労働者で、残留させられる、記載されなかった労働者については異議申し出権が与えられるということになっているわけです。  先ほど申し上げたような通勤事情等あるいはさまざまな他の条件によって、記載をされた、しかし行きたくないという労働者はじゃどうするかということであるわけなんです。異議申し出権はないということで、もしこの転籍を拒否したら、この労働者はどうなるのか。転籍を拒否したことを理由解雇することになるのか。そして、この場合は分割理由とした解雇ということになると思うわけですが、こうあってはならないと思うわけですね。この点お聞きをしたいのと、こういうケースが発生した場合、もし労働省に訴えがあった場合、労働省はどう対応しますか。
  30. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 先生指摘のようなケースでございますが、そうした場合に当該労働者転籍したくないという場合には、それは御本人のまさに主張でございますので、結果的には御本人自己退職をするということになると思います。  そして、私どもとしては、そうしたことがなるべく起きないように、事前労働者に先ほど申しました通知をして、十分判断をし、また分割会社の方とよく話し合い、相談をするということをぜひしていただきたい、こう思っております。
  31. 大森猛

    大森委員 もし記載された労働者が拒否をした場合は即自己退職ということになるんですか、これは。
  32. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 結果的に、最終的にはそうなります。  私は行きたくないといった場合には、今回の法律上の構成としては、当然承継でありますから行かなければならないという法律構成であります。したがって、その前段において、労働者使用者との話し合いで、それはまさに交渉事として、もとの会社に残るということを使用者が認めれば、それはそれで法律が強制することではございませんが、話し合いがつかないということになりますと、結果としては自己退職という道になるだろうと思います。
  33. 大森猛

    大森委員 転籍も嫌だ、退職もしたくないという場合は、会社解雇であり、そして労働省は、仮にそういう労働者が訴えてきても、それは仕方がないという答弁にこれはなるわけですか。
  34. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 これは解雇ということにはならないので、あくまでも自己退職ということでございますので、労働省としては法的にはそれ以上のことはできないということになります。
  35. 大森猛

    大森委員 この点がやはりこの法案の持つ一番重要性、しかも現実的には、例えばさきにこの委員会でも取り上げた日産でも、東村山市から神奈川県への転籍はとても困難だということとか、現実にはたくさんある問題だと思うんですね。こういう点で、主として従事している労働者記載された場合に、本人意思が反映されない、やはり重大な問題点が解決されないままきょうを迎えたということが言えるのではないかと思います。  次に、法案第二条第二項、労働組合への通知の問題でありますけれども法案では、労働組合との間で労働協約を締結しているときは、その組合に対し、分割計画書の中の労働協約承継の有無を書面で通知しなければならないと規定しているわけです。  労働協約を締結している場合の通知義務規定は当然でありますけれども、この規定は、会社労働協約を締結していない労働組合会社分割計画通知してはならないという禁止規定にはなっていないということですね。その点の確認と、あわせて、こういう労働協約を締結していない労働組合、これに通知することはむしろ望ましいことじゃないかと思うわけなんですが、この点、お答えいただきたいと思います。
  36. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 先生指摘のとおり、この規定は、労働協約を締結していない組合通知することを禁止する規定ではございません。望ましいかどうかというお話になりますと、労使が円滑なコミュニケーションを図って会社分割を実施していくという観点からは、労使の自治の範囲内でございますが、労働協約を締結していない組合に対しても事前通知が行われることは望ましいものと思います。
  37. 大森猛

    大森委員 この点も、例えば職場の中で二つ組合があってというような場合とか、組合を結成した直後とか、現実にあるケースでもありますので、重要な点ではないかと思います。  次に、労働協約のみなし条項就業規則制定との関係についてお聞きをしたいと思います。  法案の第六条三項では、分割前の会社労働組合との協約が締結されている場合、分割計画書協約承継しないと定めた場合でも、その組合員が新設される会社転籍された場合には、その労働者範囲労働協約が締結されたものとみなす、こうなっているわけですね。  そこで、労働協約就業規則作成との関係について具体的な点をお聞きしたいわけですが、労働基準法第九十二条、法令及び労働協約との関係では「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」と規定しております。会社分割されれば新会社となる。当然のことながら、会社は、労基法第八十九条、九十条に基づき、就業規則作成し、届け出なければならないわけです。作成すべき就業規則は、当然のことながら労働協約に抵触するものであってはならないものであります。  会社労働協約承継しないと分割計画書記載していた場合として、三つケースについてお聞きをしたいわけですが、一つは、転籍した労働者の中で組合員少数の場合、この労働者にはこれまでの労働協約が締結されたとみなされているわけですから、この組合員だけには他の多数労働者に適用されるものとは異なる就業規則制定が必要じゃないかという点が第一点。  二つ目は、労基法第九十条で、就業規則を定める場合、過半数組合過半数代表者意見を聞く、こういうことになっております。したがって、転籍労働者の中で組合員過半数を超えている場合にはどういう手続になるか。  それから三つ目は、転籍労働者の四分の三以上が労働組合員の場合、労働協約は締結されたものとみなされているわけですから、労働協約以下の就業規則作成できないということになるはずですが、そういうぐあいに理解していいかどうか。この三つケースについて、一点一点具体的にお答えをいただきたいと思います。
  38. 野寺康幸

    野寺政府参考人 今の三点でございますけれども、順番にお答え申し上げたいと思います。  まず、労働協約が適用されます組合員少数であるという場合でございますけれども、その場合でありましても、まず労働協約が有効であるということになるわけでございますから、それらの方々に就業規則が適用される場合、その協約に反してはならない、そういうことになるわけでございます。したがいまして、組合員に関して非組合員と異なる就業規則を定める場合もあり得るということになります。  その次に、設立会社事業場過半数を組織する労働組合が存在する場合でございますけれども、その場合には、就業規則作成に当たりまして、労働基準法九十条の規定に従いまして、当然その組合から意見を聞くということになるわけでございます。  最後に、一つ労働協約がその事業場の、先生四分の三以上というふうにおっしゃいました、の労働者に適用されている場合には、労働組合法十七条の規定によりまして、その協約が非組合員にも適用されるということになるわけでございますが、その場合には、拡張適用を受けます非組合員労働条件につきましても、就業規則において協約を下回る労働条件を定めてはならないということになっております。
  39. 大森猛

    大森委員 最後質問でありますけれども先ほど労働大臣からも御答弁がありましたが、今日の大企業のリストラは、合併営業譲渡など、今回予定されている分割にかかわるものだけではなくて、現実にはこういう合併営業譲渡の中で、多くの労働者が新たな会社に採用されなかったり、あるいは労働条件が大幅に引き下げられる、こういうことが相次いで起こっているわけであります。  こういう問題に対して、これまでの審議の中では、現行法及び裁判の判例等を積極的に活用していくという答弁と同時に、今後、立法的な措置も含めて、こうした合併営業譲渡に当たって労働者保護する、そういう方向検討されるという御答弁があったと理解をしてよろしいでしょうか。
  40. 牧野隆守

    牧野国務大臣 御指摘の問題につきましては、先ほど城島議員の御質問お答えしたとおりであります。  政府としましては、立法上の措置を含めて十分に検討いたしまして、適切に対処したい、このように考えております。
  41. 大森猛

    大森委員 我が党も三月二十八日に国会提出した企業合併営業譲渡分割に伴う労働者保護法案、これを採択していただければ今後検討する必要は全くないわけでありますけれども、私ども日本共産党は、これに加えて解雇規制法案あるいはサービス残業根絶法案などを提起しているわけなんですが、こうした提案に対して、さまざまな議論の中で、政府の側は、一律に法律で決めるのはいかがなものかというような御答弁ども行われてきました。  しかし、今、本当に国際競争を公正に経済面でも進めていく上では、ヨーロッパ等と対等なそういうルールがやはり必要じゃないか。二十一世紀に公正なそういう国際間の経済競争を行っていく上でも、私は、こうしたルール法律、きちんと法制面から解雇を規制し、あるいは労働者保護する、こういうものが必要じゃないかと思うわけであります。この点で最後労働大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 牧野隆守

    牧野国務大臣 企業形態変更に関しまして、合併営業譲渡、そして今回の分割と、いろいろな方法が考えられるわけでありますが、その場合に、そこで働いておられる労働者立場というのは十二分に尊重されなければならないわけでありまして、法案の御審議に際しまして、各先生から非常に真摯な御質問をちょうだいいたしたわけでありますが、各先生方の御意思を十二分に受けとめまして、さらに審議を尽くさせていただきたい、このように考えております。
  43. 大森猛

    大森委員 終わります。
  44. 赤松広隆

  45. 畠山健治郎

    畠山委員 私は、一昨日に引き続きまして労働省に、そしてまた昨日、商法の一部を改正されたということとのかかわり合いで法務省にお尋ねをいたしたいというふうに思っております。  まず、労働省お尋ねをいたします。  労働大臣の定める指針について、おおむね二点の説明がなされておりますけれども、その内容はといえば、極めて具体性に乏しく、すべて本委員会での審議を経て策定すると極めてあいまいなものでございます。しかし、本案の主たる内容が部分的な包括承継に基づき、その具体的な部分は指針省令にゆだねられている以上、その内容の具体的な事項審議されないまま本案の成立を図ることは、立法府としては極めてその無責任さが免れないと言わざるを得ないというふうに思うんです。  そこでお尋ねをいたしますが、私は、他の委員からも指摘がございました指針省令内容にかかわる指摘事項について、労働省としてどのように整理をし、認識しておるのか、この点を改めて確認をいたしたいと思います。
  46. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 労働大臣が定める指針につきましては、これまでの審議におきまして、畠山先生ほか多数の先生方から、その明確化を図り、具体的にわかりやすいものにするようにという御指摘をいただいております。私どもも、もとよりそういう考えで取り組んでまいります。先生方の御指摘を重々踏まえてやっていきたいと思っておりますし、指針をつくった暁には、それが世間に十分周知されるように、広報、関係資料の作成、周知徹底をやっていきたい、こう思っております。
  47. 畠山健治郎

    畠山委員 今の答弁説明を聞いても、どうしてもよくわかりません。これまでの答弁の域を出ていないというふうに言った方がいいかというふうに思います。  この前もお尋ねをいたしましたが、附則第七条のもととなっておりますところの労働関係法制等研究会報告の意味するものは、労働契約の移行に際しての労使協力労働者事前の意向聴取など、要するに労使自治による契約承継の円滑化を図ることは明らかとなっておるはずであります。その際、私が具体的に提起をした二つの課題に対して、労働省はどのように受けとめていらっしゃるんですか。この前指摘しておる二つの課題です。
  48. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 もし間違っておりましたら、大変恐縮で申しわけございませんが、前回、先生からは、本人の人事経歴といいますか、人事異動のキャリアパスの話と業務経験、この辺についてぜひ、私どもが申し上げた二つの基準だけではなくてやるべきであるというお話がございました。  その点についてお答えいたしますと、まず、人事異動や業務経歴につきましては、確かに、私どもが申し上げました、分割計画書等作成時点における仕事、それ以前の一定期間の仕事に加えて、付加的な要素としてこの辺を考慮することは有効ではないかなというふうに私は今思っております。
  49. 畠山健治郎

    畠山委員 二つの指摘ということの一点はお答えいただけましたが、それらも含めてこれからさらにお尋ねをいたしたいというふうに思うんです。  具体的にお尋ねをしますが、労使が留意すべきことや実施すべきことに関連して対等な労使自治を保障する前提として、分割前の経営状況、分割会社の経営見通しなど経営情報の全面的開示義務を明記する必要があるんではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  50. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 お答えいたします。  その点につきましては、労働者がみずからの将来を判断する上で大変重要な情報でありますので、できる限り通知の中に含めたい、こう思っておりますが、先般も申し上げましたが、将来についての情報になりますと、かなり確実なものでないと通知することがかえって混乱を生むことになりかねませんので、私どもは現在、会社分割の際に本店等に備え置くべき分割計画書等で明らかになっている事項のうち、例えば新設される会社等の本店の所在地だとか、分割後において労働者が従事すべき業務などの労働条件に関する事項、あるいは会社の将来ということになりますと、分割会社設立会社双方が負担すべき債務の履行の見込みがあるということ、またその理由、こういうようなことをぜひ盛り込んでいきたいと思っております。
  51. 畠山健治郎

    畠山委員 ちょっと先ほどの答弁と重複しますが、継承される不利益あるいは継承されない不利益から労働者保護するために、主たる業務であれ従たる業務であれ、承継対象となる労働者について、該当労働者分割に至るまでの人事異動の実績、あるいはそうした人事異動による従来の業務経歴に対する勘案期間について、どの程度の期間を指針に明記するのか。少なくとも一年程度の対象期間が必要と考えますが、いかがでしょう。
  52. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 その点についてはこれから十分議論しようと思いますが、一定期間を決めると、では、その直前はどうなんだという問題が起きますので、その辺を踏まえてみんなが納得できるような期間を定めていきたいと思います。なおしばらく指針をつくるまでに時間がございますので、関係方面の意見を十分踏まえて、また、先生方の御指摘も踏まえてやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  53. 畠山健治郎

    畠山委員 主たる業務あるいは従たる業務について例示主義をとることはやむを得ないというふうに思うんですが、当該労働者業務経歴、つまりゼネラリストとしての性格を持つ労働者については、分割時点での業務のみで判断することなく、それまでの経歴を勘案すべきだと考えます。ぜひこの点も指針に入れるべきだと考えますが、いかがでしょう。
  54. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 典型的な例として、ゼネラリストという御指摘がございました。ゼネラリストといいますと、通常、企業内のいろいろな部門を横に幅広く移動してキャリア形成を図っていくということでございますので、一面、いわば非常に汎用性の高い資質が蓄積されているという面がありますが、場合によっては、例えば、ゼネラリストが研修などのために、承継される営業にたまたま来ているとか、そういう場合は明らかに主たる業務とは言えないわけですから、そうした点も十分考えて、先生の御趣旨を踏まえて対処していきたいと思っております。
  55. 畠山健治郎

    畠山委員 次に、商法改正について法務省にお尋ねをいたしたいというふうに思うのです。  労働契約継承にかかわる手続面での修正がなされたと承っておりますが、そうした修正本案と密接不可分な関係にあると考えますので、同法執行に当たる法務省の考えをお伺いいたしたいというふうに思うのです。  修正内容確認でありますが、「分割計画書及び分割契約書に記載すべき事項について、分割をする会社より承継する権利義務として債権債務、雇傭契約を例示するものとすること。」これが第一点。第二点は「分割をする会社は、分割計画書又は分割契約書を本店に備え置くべき日までに、労働者協議をするものとすること。」大要この二点から成っておるというふうに承っておりますが、それでよろしいのですか。
  56. 小池信行

    小池政府参考人 衆議院で議員提案の形で修正されましたのは、今委員指摘のとおりの内容というふうに承知しております。
  57. 畠山健治郎

    畠山委員 そこでお尋ねをいたしますが、附則第五条第一項修正の中身において「労働者協議をするものとする。」とありますが、ここに言う「協議」とは合意なのかそれとも話し合いなのか、法務省はどのようにお受け取りになっておるのか、お伺いをいたします。
  58. 小池信行

    小池政府参考人 御指摘修正は、先ほど申し上げましたように、議員提案に係るものでございますので、法務当局の立場といたしましては、こういう条文の客観的な解釈としてはどうかという観点から御答弁をさせていただきたいと思っております。  この条文の中身からいたしますと、ここでは、協議をするということが会社に対しまして義務づけられている。それで、もちろん会社は誠実に協議をしなければならないものというふうに解釈されるわけでございますが、労働者との間の合意の成立、そこまではこの修正案では要求されていないものというふうに理解しております。
  59. 畠山健治郎

    畠山委員 合意ならば両者の一致が求められるが、話し合いということであれば両者の意見の一致は必要とされません。今おっしゃるとおりだというふうに思うのですね。  会社にとって営業上有機的一体性を持つ労働者は、一致しようが一致しまいが最終的には一方的に分割計画書記載することができる、それが法律の基本的考え方ではないかと思うのです。そうだとすると、本修正案の法的な効果について、どのように考えたらいいのか、お伺いをいたします。
  60. 小池信行

    小池政府参考人 修正案の附則五条一項は、労働関係承継に当たりまして労働者の意向を尊重する、そういう目的から出た規定であろうというふうに理解をしております。  ただ、先ほど御答弁いたしましたように、必ずしも合意の成立というところまでは要求しておりませんので、仮に分割に伴う労働関係承継につきまして会社労働者との間で協議が成立しなかったといたしましても、そのこと自体が会社分割の効果に直接影響を与えるものではないというふうに理解をしております。
  61. 畠山健治郎

    畠山委員 附則第五条第一項の修正は、つまるところ話し合いをしたかしなかったかという点で会社分割手続を補強する意義はあろうかと思いますが、これによって営業と労働者の有機的一体性による包括承継という法の根幹部分は変わらないと考えますが、この点、法務省に確認をいたしたいというふうに思います。  また、労働契約承継法案は、会社分割計画書などに記載された労働者の部分的包括承継にかかわる内容である以上、商法修正による法律上の影響はないと考えるが、労働省見解はいかがですか。
  62. 小池信行

    小池政府参考人 仮に労働者との間の協議が成立をしなかったといたしましても、会社側が分割計画書承継すべき労働契約として記載されたもの、これにつきましては、分割の効力の発生により当然に設立会社あるいは吸収会社承継されていく、これは法律的な性質は包括承継であるということにおいては何ら変わりはないというふうに思っております。  ただ、一定の措置労働契約承継法の方でしておりますので、その点は労働省の方から御答弁があろうかと思います。
  63. 澤田陽太郎

    澤田政府参考人 今法務当局から御答弁ありましたように、商法改正案の修正包括承継というものに影響を与えるものではないということでありますので、当然、私ども承継法案も今回の商法改正と一体のものという法律上の仕組みになっておりますので、私ども承継法案にも影響を与えるものではない、こういうふうに考えております。
  64. 畠山健治郎

    畠山委員 最後に、労働大臣お尋ねをいたしたいというふうに思うのですが、いずれにしても、この商法の一部改正並びに労働契約承継法によって、労働者が少なからぬ不安を持つことは変わりない。これで安心できるというような中身には至っていないというふうに、残念ながら言わざるを得ないというふうに思うのです。そこで、今起こっておる深刻な雇用不安、そして失業率、こういう状態を見るに当たって、この法律によって少なくとも懸念される部分が拡大をするというようなことになってはならない、こういうふうに考えますので、その点での労働大臣の決意のほどを。  それからいま一つは、国際競争力並びに生き残りといえばその行き着く先は労働者いじめという格好になって競争されたのでは大変な迷惑だというふうに言わざるを得ない。そこで、大事な部分は、労働者保護という立場のILOだというふうに思うのですね。これをもっともっと、残念ながらILOの批准の状況からすれば決して日本は先進国とは言えないような状況に今現在置かれておるわけでありますから、これに対する労働大臣の決意のほどをお伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。
  65. 牧野隆守

    牧野国務大臣 今の情勢は、雇用不安、戦後最高の失業という状況にございまして、すべての皆さんが心配しておられること、私どもは十二分に承知いたしております。したがいまして、私初め労働省立場といたしましては、労働者の皆さんが不安を生じないように、特に私どもとしましては、労働者の皆さんの立場に立っていろいろな調整等をきちっとしなければいけないなと。  いずれにしましても、先生指摘の雇用不安をこういう形によってさらに倍加する、そういうことにはならないように細心の注意を払いまして、労働省が持っております今の施策の運用に当たらせていただきたい、こう考えております。  ILOにつきましても、ILOの基本的な考え方というのは私どもよく承知いたしておるわけですが、各国それぞれの実情がありますから、基本的な精神は当然同じでありまして、実情に合うようにタイムリーにいろいろな措置を講じさせていただきたい、こう考えます。
  66. 畠山健治郎

    畠山委員 決して十分ではございませんが、時間になりましたので終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  67. 赤松広隆

    赤松委員長 以上で質疑は終局いたしました。     —————————————
  68. 赤松広隆

    赤松委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。寺前巖君。
  69. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、我が党提出企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案に賛成し、政府提出労働契約承継法案に対し、反対の討論を行うものであります。  政府案に反対する理由の第一は、商法改正による会社分割法制の導入によって分割して設立される会社がこれまでとは違う別会社であるにもかかわらず、そこに労働者を移籍することについて、この法案では、その労働者本人の同意を求めないこととされているからであります。  基本法である民法第六百二十五条第一項では、「使用者ハ労務者ノ承諾アルニ非サレハ其権利ヲ第三者ニ譲渡スコトヲ得ス」と明文で規定しており、また最高裁も、労働契約の一身専属性にかんがみ、労働者の承諾があって初めて転属が効力を生ずると判示し、判例法理としても、転籍には本人同意が原則であることは既に確立されております。  ところが、この法案は、労働省が設置した企業組織変更に係る労働関係法制等研究会の報告で明らかなように、この本人同意の原則が会社分割にも類推適用される可能性があり、リストラを促進し、大企業本位の会社分割を容易にするためには邪魔であるとして、盛り込まなかったのであります。  第二の理由は、会社分割計画書を策定するに当たって労働組合への事前協議を義務づけていないこと、また、労働組合労働協約を結んでいなければ組合には通知さえしなくてもよいこととしていることであります。  今、現実に進められている子会社化でも、人減らしや賃金、退職金の不利益変更などが行われています。会社分割によって、これまでの労働者の配置や労働条件に変化が起きるのは必然であり、したがって、労働組合との事前協議を義務づけることは当然であります。また、労働協約を結んでいないというだけで労働組合会社分割の計画を通知さえしないというのは、労働組合の存在さえ否認するものであり、到底認めることはできません。  また、会社が、分割計画書作成と並行して、労働組合員であることなどを理由として、あらかじめ設立会社に移籍する労働者分割会社に残留させる労働者へと恣意的に配転や出向を行い、事前にふるい分けをすることが十分にあり得ます。このことに対し、何らの規制もありません。  第三の理由は、本法案会社分割する場合だけの不十分な対応策であり、その他の企業組織再編は一切その対象にしていないことであります。  法案の名称こそ労働契約承継等に関する法律案となっていますが、労働契約労働協約が全面的に承継される保証もない上に、合併営業譲渡を対象にしていないのでは、今日のリストラのもとでの労働者の雇用安定や権利の保護は到底望めません。  以上が反対の理由であります。  最後に、修正案提出されましたが、労働者個々人との事前協議は当然としても、本人同意の原則抜きでは、その法的安定性は担保されません。  本法案撤回を要求するとともに、我が党が提出している企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案のように、会社分割だけでなく合併営業譲渡など企業再編全体を対象にし、労働契約協約が全面的に保証される制度を求め、討論を終わります。
  70. 赤松広隆

  71. 畠山健治郎

    畠山委員 私は、社民党を代表し、内閣提出会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案及び五会派提出修正案並び日本共産党提出企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。  この間、産業競争力のみを優先する政府の政策によって、我が国にはリストラのあらしが吹き荒れておるとともに、下請中小企業の整理淘汰が果てしなく進み、これにより、痛みや負担は弱者にとってはもはや耐えがたきものとなっております。  中でも我が国の労働者は、EU諸国に比べると十分な権利保障のないまま、厳しい失業状態のもとで、これまでセーフティーネットが次々と改悪されていることで、先を見通せぬ不安な生活状況に追いやられております。  このような弱い立場にある勤労者、中小企業事業者の権利や生活を守る立場から私はこの間の審議に臨んでまいりましたが、内閣提出法案はそうした不安を助長こそすれ、緩和するものではないと言わなければなりません。  確かに、会社分割に伴う労働契約承継法は、会社分割のその局面においては、雇用や労働条件の最低限を守る仕組みにはなっております。  しかし、会社分割により生ずる雇用問題は、分割局面だけで終わらないのも事実であります。設立会社承継される労働者はまだしも、分割と同時に、あるいは分割と前後して、会社分割理由とした人員整理が野方図に行われることは容易に想定されるところであります。  しかるに、原案、修正案ともに、その歯どめとなる措置に関してはあいまいなものであり、辛うじて読み取れる箇所においても訓示規定の水準にとどまっておると言わざるを得ません。そうした点から、修正案の努力には敬意を表しつつも、満足し得る内容とは言えません。  このままでは、商法改正と相まって、分割の影響を最も強く受ける下請労働者を初めとする多くの人々に対する十分なセーフティーネットを欠いたまま、大がかりなリストラや下請中小企業の整理淘汰に道を開くことは疑いないものであり、その意味では、本案審議は全く拙速に過ぎると言わざるを得ません。  また、会社分割の司令塔となる持ち株会社の団体交渉の応諾義務のあり方については何ら触れていないことも、本案の重要な疑問点であることを強く指摘しておきたいと存じます。  企業の行き過ぎた行動を規制する法制があいまいなまま、しかも、企業形態変更等を理由とした解雇制限規定などが明文化されないままの承継法の制定は、将来に禍根を残すことは明らかであります。論議を尽くし、慎重な立法作業を望むのも、まさにここにあります。  なお、共産党のいわゆる労働者保護法については、現実性の面で問題があると考えます。  以上の理由をもって、原案並びに修正案並びに共産党案に反対する私の反対討論といたします。
  72. 赤松広隆

    赤松委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  73. 赤松広隆

    赤松委員長 これより採決に入ります。  まず、大森猛君外一名提出企業組織再編を行う事業主に雇用される労働者保護に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  74. 赤松広隆

    赤松委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、内閣提出会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、森英介君外四名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  75. 赤松広隆

    赤松委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 赤松広隆

    赤松委員長 起立多数。よって、本案修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  77. 赤松広隆

    赤松委員長 この際、ただいま修正議決いたしました本案に対し、河上覃雄君外四名から、自由民主党民主党公明党改革クラブ保守党及び自由党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。笹山登生君。
  78. 笹山登生

    ○笹山委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     会社分割に伴う労働契約承継等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 合併営業譲渡をはじめ企業組織再編に伴う労働者保護に関する諸問題については、学識経験者中心とする検討の場を設け、速やかに結論を得た後、立法上の措置を含めその対応の在り方について十分に検討を深めること。  二 企業組織再編のみを理由として労働者解雇することができないとする確立した判例法理の周知徹底を図ること。  三 企業組織再編のみを理由とした解雇の未然防止に努めるとともに、解雇をめぐる個別の紛争が生じた場合においてその迅速な解決を促進するための制度の整備及び施策の充実を図ること。  四 会社分割に当たり、事業主が本法律趣旨内容を踏まえ、労働者との協議を行うことを促進するための施策を講ずること。  五 会社分割に伴い企業を移籍する労働者については、本人意思が十分に尊重されるよう、民法等の趣旨を踏まえ、その周知徹底を図ること。  六 会社分割理由とする一方的な労働条件の不利益変更はできないことを指針に明記するとともに、その周知徹底を図ること。  七 本法第八条の指針の策定に当たっては、労使を含む検討の場を設け、その意見を踏まえて策定すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  79. 赤松広隆

    赤松委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 赤松広隆

    赤松委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。牧野労働大臣
  81. 牧野隆守

    牧野国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。     —————————————
  82. 赤松広隆

    赤松委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 赤松広隆

    赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  84. 赤松広隆

    赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三分散会