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2000-03-13 第147回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年一月二十日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 中村正三郎君    理事 赤城 徳彦君 理事 岩永 峯一君    理事 古賀 正浩君 理事 田中 和徳君    理事 石井 紘基君 理事 坂上 富男君    理事 谷口 隆義君 理事 佐々木洋平君       相沢 英之君    尾身 幸次君       奥山 茂彦君    亀井 静香君       倉成 正和君    古賀  誠君       佐藤 孝行君    滝   実君       林  義郎君    林田  彪君       原田昇左右君    堀之内久男君       三塚  博君    矢上 雅義君       山本 幸三君    吉川 貴盛君       綿貫 民輔君    生方 幸夫君       鹿野 道彦君    神田  厚君       菅  直人君    熊谷  弘君       葉山  峻君    赤羽 一嘉君       石田 勝之君    福島  豊君       米津 等史君    辻  第一君       中林よし子君    村山 富市君       栗本慎一郎平成十二年三月十三日(月曜日)     午後五時開議  出席委員    委員長 中村正三郎君    理事 赤城 徳彦君 理事 岩永 峯一君    理事 田中 和徳君 理事 石井 紘基君    理事 坂上 富男君 理事 谷口 隆義君    理事 佐々木洋平君       相沢 英之君    尾身 幸次君       奥山 茂彦君    倉成 正和君       滝   実君    林  義郎君       林田  彪君    原田昇左右君       堀之内久男君    三塚  博君       矢上 雅義君    山本 幸三君       吉川 貴盛君    綿貫 民輔君       生方 幸夫君    鹿野 道彦君       島   聡君    葉山  峻君       青山 二三君    石垣 一夫君       福島  豊君    西田  猛君       中林よし子君    春名 直章君       保坂 展人君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    郵政政務次官       小坂 憲次君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    政府特別補佐人    (人事院総裁)      中島 忠能君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君    政府参考人    (警察庁刑事局刑事企画課    長)           縄田  修君    政府参考人    (警察庁刑事局捜査第一課    長)           井口  斉君    政府参考人    (警察庁警備局長)    金重 凱之君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (防衛庁長官官房長)   守屋 武昌君    政府参考人    (防衛庁装備局長)    及川 耕造君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    政府参考人    (公安調査庁長官)    木藤 繁夫君    政府参考人    (文部省学術国際局長)  工藤 智規君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (労働省労政局長)    澤田陽太郎君    政府参考人    (建設大臣官房長)    小川 忠男君    参考人    (日本道路公団総裁)   緒方信一郎君    決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君     ————————————— 委員異動 一月二十日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     青山 二三君   石田 勝之君     石垣 一夫君 二月十八日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     鯨岡 兵輔君 三月十三日  辞任         補欠選任   菅  直人君     島   聡君   米津 等史君     西田  猛君   辻  第一君     春名 直章君   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   島   聡君     菅  直人君   西田  猛君     米津 等史君   春名 直章君     辻  第一君   保坂 展人君     村山 富市君     ————————————— 一月二十日  平成十年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十五回国会内閣提出)  平成十年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十五回国会内閣提出)  平成十年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百四十五回国会内閣提出)  平成十年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十五回国会内閣提出)  平成十年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百四十五回国会内閣提出)  平成八年度一般会計歳入歳出決算  平成八年度特別会計歳入歳出決算  平成八年度国税収納金整理資金受払計算書  平成八年度政府関係機関決算書  平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成八年度国有財産無償貸付状況計算書  平成九年度一般会計歳入歳出決算  平成九年度特別会計歳入歳出決算  平成九年度国税収納金整理資金受払計算書  平成九年度政府関係機関決算書  平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成九年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件  行政監視に関する件     午後五時開議      ————◇—————
  2. 中村正三郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期し、行政監視機能を果たすため  一、歳入歳出実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関の経理に関する事項  四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項  五、国が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項  六、行政監視に関する事項 以上の各事項につきまして、関係方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めてまいりたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。      ————◇—————
  4. 中村正三郎

    中村委員長 歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁緒方信一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村正三郎

  6. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  7. 中村正三郎

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。
  8. 岩永峯一

    岩永委員 岩永です。  保利国家公安委員長並び警察庁長官をお願いしておったわけでございますが、予算委員会が開かれておりまして、そちらに出向いておられるということでございますので、残念ながらお二人には御答弁いただけないわけでございますが、石川警察庁長官官房長に、警察庁を代表してひとつ御答弁をいただきたい、このように思います。  また、自由民主党の立場で質問をさせていただきますので、大変盛りだくさんございますが、ひとつ簡単明瞭にお願いを申し上げたいと思います。  私も、県会議員の二十年間におきまして、滋賀県警察本部実態には大変な関心を寄せてまいりました。現場の不規則な勤務形態や老朽化した宿舎や施設等の中で、現場警察官方々が涙ぐましい努力を払ってくださっているわけでございます。この方々のおかげで、治安大国日本があり、安心して暮らせる町づくりができてきたのであります。警察に対しては全面的に感謝の気持ちを持ち続けていましたし、今でも現場の皆さんには心より頭の下がる思いを持っております。  このような不幸な事件が頻発いたしましたが、警察の担う治安維持という仕事が大変重要であるということ、ほかに取ってかわることのできるものではないことを考えるに、この一連の事件に対して、単なるバッシングに終わらせてはならないと思うのであります。警察現場で実際に血と汗を流す方々が今まで以上に働きやすい環境をつくるのだ、治安大国日本を取り戻すのだということを肝に銘じながら議論を進めていくべきであると強く考えております。  我が自由民主党におきましても、既に去る三月二日、三月九日の二回にわたりまして、警察行政刷新検討委員会を開催し、警察再生信頼の回復に向けて真剣な議論を繰り広げている最中であります。その場において、現在の警察がこのような事態に至った原因について議論、分析されておりますので、まず最初に、その議論を御披露させていただきたいと思います。  まず一つに、警察とは、業務が独占されているということであります。  郵政省の郵貯事業などは、民間の宅配サービスとの熾烈な競争がございます。そして、業務を改善する努力を常に続ける必要があります。しかし、警察仕事は、競合する相手がおらず、競争が生じないことに安住してしまいがちになるということであります。  二つ目に、人事政治から独立しているということでございます。  つい数年前、ある経済官庁において、局長大臣により更迭されるということがございました。しかし警察では、大臣たる国家公安委員長が伝家の宝刀として人事権を行使することも不可能であります。人事がどうしても組織内部の目だけを気にしたものになってしまいます。  三つ目に、警察は怖いものなしであるということでございます。  政治家は、選挙の取り締まりで厳しくされるのが怖くて強く出にくい実情がございます。報道機関も、情報をいろいろ教えてもらわなければならないからどうしても低姿勢になります。このように、普通は、官庁を牽制する組織が強く出られないため、警察を抑える力がなかなか働かないということであります。  四つ目に、上意下達万能主義であります。  上の命令には下の人間は絶対に従わねばならないという縦社会でありますので、警察内部での相互批判の風通しが悪いということであります。結局、そのような窮屈な階級社会では、上の人間ほどそのような環境に安住してしまう結果になります。  五つ目に、警察には業界団体が存在しないということでございます。  農水省では農業団体、通産省では商工団体など、官庁がきちんと仕事をしなければどんどん突き上げを行ってくる団体警察庁には存在しないため、どうしても警察仕事ぶりは他省庁に比べて甘いものになりがちであります。  六つ目は、人事運用減点主義であるということであります。  一般企業なら、営業成績などによる加点方式人事運用が可能でございますが、警察では、仕事の性質上、どうしても減点主義になります。これで警察活動が萎縮しがちになり、事なかれ主義になってしまうおそれがあるのであります。  七つ目は、人事に対して警察全体が非常に敏感であるということでございます。  人事異動に対しては転居が伴いますので、どうしてもその動向に警察全体の意識が集中してしまいます。その結果、警察組織全体が内向的になってしまうという弊害が生じてまいります。  八つ目は、仕事の繁閑の差が極端であるということであります。  警察中央組織地方組織などで仕事が細分化され過ぎており、大変忙しく働いている部署の隣で非常に暇な部署があるというふうに、仕事の分け方にも問題があります。  最後に、民事不介入に名をかりて事件への関与が消極的であるということでございます。  小さな事件知能犯事件への地道な取り組みは、組織内で人事的に正当に評価されておらず、結果として、警察全体としてそれらの事案に対する取り組みが消極的になってしまうということであります。  官房長におかれましては、警察組織の立て直しに全力を尽くしていただけるものと存じますが、この場における警察庁の代表、官房長は、組織内部問題点を現在どのようにお考えになっておられるかということを最初にお伺いいたします。
  9. 石川重明

    石川政府参考人 私どもの認識でございますが、国民皆様警察に対する信頼というものが大変大きく損なわれている、監察制度あるいは人事教育制度、あるいは公安委員会あり方、さまざまな点についていろいろな御意見もあり、御批判もあるわけでございます。  さきの、緊急全国警察本部長会議というのを三月四日に開催をしたわけでございますが、そこで、国家公安委員長あるいは長官からも厳しく指示がございました。今般の事案の反省、教訓といたしまして、本部長等組織運営責任者が、その最高責任者あるいは最終責任者として、その職責の自覚のもとにきちっとした職務を遂行しているかどうか、あるいは、被害者の痛みあるいは国民皆様警察に期待するところを肌で感じて、国民の目線に立った警察活動が推進されているかどうか、こういったことについては、再度点検をし、きちっとした対応をする必要があるということをその場で確認をして、さらに今後の対策考えているところでございます。  私どもといたしましては、そういう厳しい御批判、そういうものを真剣に受けとめて、国家公安委員会の御指導も賜りながら、警察組織再生に向けて全力を尽くして取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  10. 岩永峯一

    岩永委員 次に、監察制度あり方について御質問いたします。  現在の監察部門は、県警本部長指揮下警務部下部機構が担ってきておるわけでございます。上意下達が絶対的に物を言う警察組織において、監察する者が監察される者の指揮下にいるということがそもそもおかしいのではないか、このように考えております。  身内による監察制度はなかなか機能しないものですし、また、それだけ行っていたのでは一般国民警察に対する信頼を回復することはできない、このように思うわけでございますが、官房長は、内部監査の限界についてどのようにお考えになっているのかをお伺いしたいと思います。
  11. 石川重明

    石川政府参考人 ただいま御指摘を受けましたが、警察では、不祥事案が発生した場合に、業務内容に精通をした監察部門中心となって調査を行う、解明された事実に基づき厳正な処分を行う、捜査が必要ならば捜査部門において捜査を行うということで監察の実を上げているわけでございますが、今般の事案によりまして、警察内部監査実効性が問われるといったような事態となっておるわけでございまして、私どもとしてもこれを大変重く受けとめているところでございます。  そこで、現在、今国会警察法の一部改正をお願いしておるわけでございますが、そこで、公安委員会による個別具体的な監察指示、これで不祥事案未然防止機能を持ちたい、それから、懲戒事由があると疑いがあった場合には、警察本部長等は、そのことについて事実を解明して、明らかとなった場合には公安委員会に必ず報告しなければならない、そういう報告義務規定、それから、公安委員の再任の制限に関する規定等について、いわゆる公安委員会機能充実強化に関する規定中心とした法改正をお願いしているところでございます。  また、この警察内部で行う監察が厳正に行われることを担保するために、ことしの一月に警察に関する国家公安委員会規則というものを制定していただきました。これによりますと、監察実施計画あるいは監察実施状況公安委員会に必ず報告されることになる、そういうことでございます。こういうことが相まって、まず第一義的に、警察内部監察というものをきちっとした機能をするようにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、外部監察とか第三者機関というようなことについても、いろいろ御指摘があることは私ども承知をいたしております。第三者制ということによって公正性が担保されるという点はございますが、いろいろな問題もあり、これについては慎重に検討してみたい、こういうふうに考えているところでございます。
  12. 岩永峯一

    岩永委員 監察部門につきましては、本部長ではなく公安委員会の直轄にするとともに、外部弁護士等監察部門に参画させてオンブズマン的な目を光らすべきである、私はこのように考えております。少なくとも、公安委員会警察組織から離れた独自のスタッフを備えることは必要であると考えるわけでございます。ただ、監察の遂行には警察業務に精通した捜査権限を有する者が必要となるので、警察官である監察官と併存をさすことも必要であろうか、このように私は考えております。  要するに、浄化作用制度に内在させることが最も必要と考えるわけでございますが、官房長はどういうような御見解をお持ちでございますか。
  13. 石川重明

    石川政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども第三者制と申しますか、そういうことによって公正性が担保される、確保される、こういうことはあると思います。  ただ、今委員も御指摘になりましたように、警察職員による不祥事が発生した場合において、問題点を正しく速やかに評価をするというために事務内容に精通した者が行う必要がある、そういう方々をどう確保するかという問題、あるいは、実効ある監察を行うためには新たに相当な体制を整備する必要があるというような問題もございます。また、非違行為や不適切な事務執行については部内で把握をされるということが多いわけでございます。  それから、監察結果に応じてその後の処置でございますけれども問題点の改善を図るためには、監察人事あるいは教育といったものが密接に関連してくるといったような問題もあるわけでございます。そういう意味で先ほどちょっと、慎重に検討する必要がある、こういうことを申し上げたわけでございます。  ただ、他方、現行の対策だけでは不十分である、こういう御指摘のあることも十分承知をしておるわけでございまして、今後、各方面の御意見を伺いながら、公正で実効ある監察実施方策あるいは体制というものについて十分検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  14. 岩永峯一

    岩永委員 私は、今回、この問題を調査している過程の中で、キャリア採用制度について大変な疑問を抱いたものでございます。  キャリアというのは、日本国家行政組織のトップに立って、そして実質的に国民のために、公僕として自負を持ちながら日本国家を動かしていく大変な大きな役割であろう、私はこのように考えております。  しかし、その過程の中で、では、どういうようにして採用するのかということでございますが、一次試験は、教養分野専門分野に関するマークシート試験でございます。これが終わるのが大体六月の中旬であって、そして二次試験論文人事院面接が七月中旬以降に実は続くわけでございます。  しかし、警察庁も含めて多くの省庁においては、内定者大半が事実上決定するのは、一次試験合格発表日、実は七月の初頭なのでございます。要するに、各省庁内定者大半は、二次試験論文が行われる前に決まっているのでございます。この時点では、登用権を持つ人事院面接は全く行われていないわけでございます。要するに、一次試験直後から六月下旬にわたって各省庁ごと非公式面接があります。その省庁内部個別面接マークシート試験だけによって大半省庁官僚が事実上決定されるわけでございます。  官庁訪問というのがございます。そして、一次試験が終わらない前に官庁訪問をする。一次試験が終わったときには、大蔵省、建設省、それぞれの省庁内々定というものを実は出すわけです。そして、内々定を出された者がほとんど実は二次試験に受かるというようなことでございますので、一次試験が通っても内々定をもらわない人は、二次試験論文面接を受けても実は通らない、こういうような実態が出てきました。  それで、私も調べたわけでございますが、平成十一年の場合、行政職で百三十人の一次試験合格者が出ているわけです。申込者数一万一千五百二十六人、約百倍の難関を突破して百三十人が選ばれるわけでございますが、何とその二次試験を放棄する者が行政職で二三・八%いるわけでございます。百三十人のうち九十九人しか二次試験受験者がいない。そして、その中から六十五人受かった、こういうことでございますが、百倍もの難関を一次試験で通って、なおかつ二次試験を二三・八%の人間が受けに来ない。ことしの場合だと三十一人の者が受けに来ない。それは、各省庁内々定をもらっていないから二次試験を受けてもだめだ、こういうようなことになっているのでございます。  私はこの実態を見たときに、やはり論文で自分の国家論を言う、そして面接で国に対する奉仕、公僕の精神というものを見てもらう、その中で気骨があるか、やる気があるかというのを実は人事院が見るべきだ。それなのに、その時点で全部放棄をしてしまうというのは、内々定がもらえないから行っても受からないだろうということなんですが、私はこれを見たときに、筆記試験で各官庁内々定を出してしまう、そして大事な面接なり論文を放棄してしまうということは本当にもってのほかじゃないか。また、人事院としては何をしているんだ、各省庁に全部内々定をされて、そして後で追随の面接論文を出している、こういうことを実は感じたわけでございます。  そういうような状況の中で、警察官僚のみならず、キャリア官僚腐敗体質及び省益中心主義につながると私は考えているわけでございますが、人事院総裁、ひとつここらあたりの、日本国家を担うべき人間採用というものをやはり人事院がもっと自信と勇気を持ってやってもらいたいと思うんですが、そこらの御見解をお伺いしたいと思います。
  15. 中島忠能

    ○中島政府特別補佐人 お話の中には少し誤解があるのじゃないかというふうに思います。  それぞれの省庁で訪問者に対して省庁の行政内容説明する、そして訪れる人は自己のPRということでやってくるのでしょう。そして、それぞれの省庁では、訪れる人たちの中でかなり人物的にもしっかりしているという人間に対しては、二次試験に合格したときにはもう一度いらっしゃい、うちの省は君のような人間というものに非常に興味を持っているということを言っておるのだと思います。そういうことをなぜ言うかといいますと、平成九年に民間企業サイドが就職協定というものを廃止して、官と民との間の人材獲得競争が非常に激しくなったという背景があるのだと思います。  ただ、今先生がお話しになりましたように、内々定というものをもらえないから二次試験を受験しないというのは、私はそんなに多くないんじゃないかと思います。  おっしゃるように、法律職、経済職、行政職という行政事務キャリアというのが毎年二百三十人ぐらい合格しておりますけれども、その人たちが、一次試験を合格して二次試験を受験しないというのは大体一〇%から一五%ぐらいおります。これはずうっとそういう傾向でございます。  なぜかといいますと、私たちの見ているところでは、一つは、やはりどうしてもあの省庁に行きたいということで、特定の省庁にこだわっている人がおるということと、もう一つは、最近の民間企業の中には、非常に興味のあるといいますか、力のある民間企業がふえてきておる、そういう民間企業の方の引きも非常に強くなっておるということがございます。今先生がおっしゃいますような背景があるのかもわかりません。  ただ、私たちは、今先生がお話しになりましたように、論文試験というものと面接試験を二次試験で行いまして、その結果によって最終合格者というものを決定し、最終合格しなければそれぞれの省庁採用されない。したがって、内々定をもらった人でも最終的に合格しないという人が毎年出てきております。したがいまして、私たちの方は、自信を持って国家の行政を担うにふさわしい人間というものを選定しておるつもりでございます。  ただ、こういう場でそういう御指摘がございましたので、そういうこともまた含めまして私たちのこれからの仕事の糧にさせていただきたいというふうに思います。
  16. 岩永峯一

    岩永委員 総裁、普通だと、一次試験が受かった、そして論文それから面接を終わった、その中で行政職だったら六十五人採る、そしてその六十五人の中で、君は大蔵省に行きたいのか、君は建設省に行きたいのかということで配分する。いや、大蔵省に行けなかったらやめる、そうしたら六十五人の六十六番目を補欠として採るとか。学校の教員だったらA採用、B採用そして補欠採用という形の中で順番にいくわけですよね。しかし、そういうことが一切ないわけですよ。このことに私は時間をとられるのは嫌です。だけれども、本当はそうなんですよ。  私はずっと大学生に聞いてきましたし、総裁がそうおっしゃるんだったら、ここにも大学生の、予備校のときの選抜講座というのがあるんですね。僕は一次発表前に何とか内々定までこぎつけましたとか、一次発表の直前に切られたようです、一次は受かったけれども、もう二次に行くのはやめます、やはりその子たちのいろいろな声が出ているんですよ。  だから私は、これは今回のキャリアの中で、ああいうように上司にこびへつらうことだけするような人間、それをやはり面接なり論文できちっとすべきだということの中で、人事院は、キャリア採用するのはやはりもっと真剣にやってもらいたい、こういうように思っておりますので、私は大変たくさん質問がありますので議論はやめますが、本当はこのことは議論を深めたい、このように思っております。  次に、国家公務員I種試験合格者以外の採用者、いわゆるノンキャリアと呼ばれる方々でも、捜査の経験やその後の識見の蓄積によりキャリア以上の指揮監督能力を獲得することは十分にあり得る話であります。しかし現在、キャリアとノンキャリアの壁は、一たん採用されると、せいぜいが準キャリアとして縮まることはあっても、絶対になくなることはありません。  だから、特に警察業務の特性等を考慮して、ノンキャリアでも、人事院面接や就業実績、地元住民の評判をもとに審査するなどの方法でキャリアに上がれる制度をつくったらどうでしょうか。また逆に、就業状況の思わしくないキャリアはその資格を剥奪するというようなことも考えたらどうか。  これを進めて、現在の国家I種試験は就職試験であるが、要するにこれを資格試験的なものに変える。例えば、検察官それから裁判官は司法試験を通らなきゃならぬ。私は、警察もやはり、国の治安を担うという資格試験をして警察官というものを採用すべきだ。要するにノンキャリアで入った人も、そのキャリア資格を取ったら、その時点からそのままキャリアになれるというような制度考えていくべきと考えるが、総裁はどういうようにお考えでございますか、簡単にお願いします。
  17. 中島忠能

    ○中島政府特別補佐人 基本的には、今先生がおっしゃった方向で私たちも考えたいと思います。II種、III種で入った方も能力のある方、成績のいい方は幹部に登用するという方向で、昨年の三月にそういう指針を出しまして、各省から推薦していただいて私たちの方で一定期間預かって研修を行い、そしてその結果を各省に知らせて幹部に登用していただくという制度を始めております。したがいまして、各省もそれぞれこの趣旨に賛成していただいて私たちの方に協力してくれていますので、少し時間がかかるかもわかりませんけれども、徐々に目に見えた効果が出てくるだろうというふうに考えております。  せっかくのお話でございますので、もう少し力を入れて努力してまいりたいというふうに思います。
  18. 岩永峯一

    岩永委員 残念ながら、現在では県警本部長にはノンキャリアからまだ二人の登用だというようなことでございますので、ひとつ積極的な御対応、それからキャリア資格という制度警察については将来つくっていくべきかどうか、ここらあたりについても今後の課題としてお考えいただきたいと思います。  それとあわせて、実は細川内閣以来、官僚の視野を広げるという意味で省庁間交流が盛んであります。その一環として県警本部長に他省庁から五名ほど現在も迎えていると伺っているわけですが、何とこの人たちの研修期間はわずか一週間だということだそうであります。国の治安、地方の治安を守らなきゃならぬのが、一週間の研修で最高指揮官としての指揮がとれるかどうかということを考えたときに、私は甚だ疑問でございます。実際にまだ不祥事が起きたということはございませんが、こんなことで大丈夫なのか不安でございます。  省庁間交流の一環として他省庁の人を迎えるポストにももう少し配慮が必要でございます。むしろ県警本部長のようなポストは現場のたたき上げを積極的に用いて、むしろ警務部長クラスに送って、会計だとか予算獲得だとかそういう部面での経験をさすということはわかるわけですが、ほかの省庁から本部長みたいな大事なところへ一週間の研修で行かせている、こういうことがおかしい、私はこのように思いますし、これは人事の問題でもあるわけでございますが、官房長の御所見をお伺いしたいと思います。簡単にお願いします。
  19. 石川重明

    石川政府参考人 本人の能力あるいは識見、勤務実績にふさわしいポストにその本人をつけることの重要性ということは委員指摘のとおりでございまして、都道府県警察採用警察官本部長への登用あるいは昇進のあり方というものについてはさらに十分配慮をしてまいりたいと思います。  ただ、出身府県の県の本部長につけることが果たしてメリット、デメリットいかがかという問題もございます。人事の公平性あるいは行政の中立性の担保という問題もございますので、こういった点については慎重に検討してまいりたいと思いますが、現在、推薦制度といって、都道府県警察採用された人たちがいろいろな形で活躍する場がございますので、そういうものを活用して、今御指摘のような方向で、そういった能力のある人をもっと登用するような方向に改善をしてまいりたい、このように考えております。
  20. 岩永峯一

    岩永委員 今回の事案の問題でございますが、処分が手ぬるいことに国民の不満はうっせきしております。警察に対する国民の不信感は臨界点に達してきております。国会においても連日その対応について論議をしておりますが、国家公安委員会並びに警察庁の独立性にいら立たしい思いをすることは、我々議員も国民も同じでございます。  しかし、国家公安委員会並びに警察庁の独立性は、選挙干渉などで日本の民主主義の存立基盤を根底からむしばんでいった戦前内務警察の反省に立って保障されたものであります。そのことを踏まえず、ただ警察を非難し国家公安委員会を糾弾することに、解散・総選挙を控えた現在、非常に魅力的なことであると言っている野党議員がおられますが、大変不見識なことであると私は残念でなりません。  例えば、毎日新聞の三月四日付朝刊には、ある野党議員が、民主党の議員が、処分が手ぬるいことに感謝している、不満のガスが国民に充満している方が野党にとっては選挙によいと本音を漏らしたと、その発言者の名前を明記した形で書いてあります。  国民が不満に思うことは当然です。しかし、それを政治的思惑によって扇動しようというのは、この国の存立基盤を根底からむしばむことであり、断じて容認することはできないと考えるのであります。この記事が事実だとするなら、何と情けない話ではないかと考えます。  批判は必要ですが、政治的思惑に基づいたバッシングは避けるべきであると私は考えております。政治的意図に基づくバッシングに対しては、国家公安委員会としても毅然と対応すべきだと私は考えております。もちろんその大前提として不祥事の再発を防止するということがありますが、それでも警察バッシングのような風潮を許すことはできません。  警察現場は地元に密着した存在でありますから、今回の事案とは直接関係の薄い現場警察官になるほどバッシングの対象になりやすくなります。その現場警察官の担っている治安維持などの任務に怠りが出ることは、結局、安全な市民生活を脅かすことであります。  そのようなことを避け、現場警察官たちの仕事を守ることができるのは、結局のところ、国家公安委員長及び警察庁長官を先頭とする警察組織一丸となっての再発防止に向けた決意と実行あるのみであります。そこで、この場における警察庁の代表として、官房長の御決意をお聞きしたいと思います。
  21. 石川重明

    石川政府参考人 私ども、こうした不祥事案の影響によって、日ごろ真剣に職務に取り組んでいる全国の大多数の警察職員が、その士気を阻喪して積極的な職務執行を逡巡するといったようなことがあってはならないというふうに考えております。そういった観点で、今後こうした不祥事案の再発防止対策全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  そういうことで、日々の警察活動が積極果敢に推進されることによって国民信頼を一日も早く回復するよう最善の努力を尽くしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  22. 岩永峯一

    岩永委員 私の気持ち、それから治安大国日本をここまで大きくしたということを踏まえて、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  終わります。
  23. 中村正三郎

    中村委員長 次に、谷口隆義君。
  24. 谷口隆義

    谷口委員 公明党の谷口でございます。  本日は、新潟少女監禁事件から大きくクローズアップされております警察行政全体への批判があるわけでございますが、このような問題について御質問をさせていただきたいというように考えております。  今回のこの警察行政全体に対する批判というのは、私は、先ほどの話にもございましたように、表面的な問題では解決できない極めて構造的な問題である、このように考えておるわけでございます。  戦後五十数年を過ぎたわけでございますが、我が国の教育であるとか、また安全保障であるとか経済の構造改革であるとか、いろいろなところにいわばひずみが出てきておるわけでございます。今回の一連の不祥事は、まさにそういう意味で構造的な問題である、このように考えるわけでございます。  今回の問題は、そういう観点で、極めて底の深い問題であったという観点で解決をしていかなきゃいかぬ、このように考えております。先ほど出ておりましたように、キャリア登用の問題であるとか、また国家公安委員会あり方の問題であるとか、また監察制度そのものの見直しですね、監察制度そのもののあり方の問題等々、この根底的な問題、骨格のところに焦点を当てて改革をしていかなければいけない、このように強く思うところでございます。  それで、まず初めに、今回のきっかけになりました新潟少女監禁事件について若干お聞きいたしたいわけでございます。この事件は大変不幸な事件で、御両親は大変苦痛のさなかに今あるのではないか、このように思うわけでございます。  平成二年十一月十三日に、この容疑者が、新潟県三条市内で、下校途中の当時九歳だった少女の胸にナイフを突きつけておどし、抱きかかえて車のトランクに押し込んで自宅に運んだわけでございます。その後、本年一月二十八日に保護されるまでの間、九年二カ月にわたって監禁を続けておったわけでございます。この当時、監禁された少女は九歳、小学校四年と聞いておるわけでございますが、もう既に今は立派なお嬢さんになっていらっしゃる年齢でございます。  こういう極めて傷の深い、被害者の方には大変な事件、また御両親にも大変な心の苦痛が伴っておる事件であるわけでございますが、そこで、まずお聞きいたしたいわけでございます。  今回、この三月三日に新潟地検が起訴をされたというように聞いております。被疑者が、未成年者略取と逮捕監禁致傷により起訴されたというように聞いておりますが、このような状況の中では、私は法律の専門家ではありませんのでわかりませんが、大体どの程度の量刑になるわけでございましょうか。まず初めにお聞きいたしたいというように思っております。
  25. 古田佑紀

    古田政府参考人 量刑につきましては裁判所の御判断でございますので、私から何らかの予測を申し上げることは差し控えたいと存じますが、本件につきまして法律上どのような刑が科され得るかということを申し上げますと、十年以下の懲役ということになろうかと存じます。
  26. 谷口隆義

    谷口委員 そのようなことを言われておるようでございます。九年二カ月にわたる大変な監禁状況の中で、この犯人が最高で十年というような刑の重さそのものが果たしてどうなのか、こういうようなことになるわけでございます。  どうもこの少女御本人が上申書を書いていらっしゃるようでございまして、捜査関係者によりますと、このようなことのようでございます。  ほとんど平仮名で、内容も、いかに自分が両親に愛情を持って育てられたかという幼少時の話が中心になっております。事件については、連れ去られたときの状況については書いてあるが、監禁の内容については全く触れられていない、小学校四年のときにどこに連れていかれ、そこで春の雪解けを九回迎えたということしか書いていない、こういうような上申書のようでございます。  この被害者の少女の御両親の立場に立ってまいりますと、これはもう許しがたい犯罪でございます。このような犯罪がたかだか十年の最高刑にしかならないという今の刑法全体の問題が私はあるのではないか。  従来から刑法の全面改正が必要だというような議論があったようでございますが、遅々として進んでおらない、これはいろいろ考え方があるわけでございましょうが。各州で違いますが、アメリカにおきますと、このような犯罪が起こった場合に、事によると百年以上の刑期になる、こういうような大変厳しいことになるようでございます。  今こういう状況の中で、この事件がきっかけとなって、また再び刑法全体の議論が行われなければいけないと思うわけでございますが、これに対して御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  27. 古田佑紀

    古田政府参考人 法定刑につきましては、犯罪の動向あるいはその社会的影響、その犯罪類型に対します国民感情、ほかの罪の法定刑とのバランスなど、さまざまな要素を勘案しながらその検討を行う必要があると考えております。  御存じのとおり、刑法は、法益を侵害し、またはそのおそれのある一定の行為に対しまして刑罰を科することにより、国民の生活の基本的秩序を維持し、国民個人の自由その他の権利を保護しようとするものでございます。そういう観点から、現在の法定刑は、法益の軽重や性質、行為の危険性などを勘案して、おおむね適切に定められているものと考えております。  ところで、御指摘の逮捕監禁致傷罪につきましては、現在、法定刑が傷害罪の刑と比較して重い刑により処断するということとされておりまして、この逮捕監禁致傷罪の刑につきましては、傷害罪の法定刑をも含めて検討する必要がございます。一方、近年におきます逮捕監禁致傷罪及び傷害罪の科刑状況を見ますと、最高刑に近い刑が科されるということはまれであるというふうな事情もございます。  確かに、御趣旨は私どもも大変よく理解されるところで、ふだんから法定刑の見直しということはいろいろな角度から考えておりますが、これらの罪についての見直しにつきましては、今申し上げたような種々の事情を考慮して慎重に検討する必要があると考えております。
  28. 谷口隆義

    谷口委員 明治四十年に現行刑法が制定されたようでございますが、時の移り変わり、今の犯罪の凶悪さ等々を勘案いたしましたときに、これはどう見ても、またここに来て刑法の全面改正議論がなされなければいけない、このように思うわけでございます。  それで、今回の場合にもちょっと議論になったようでございますが、PTSD、心的外傷後ストレス障害というのがあるようでございます。これは、事件や災害、事故など生命にかかわる重大な危険に直面した被害者が、心に大きなストレスがかかった後に生じるさまざまな心の傷害、心のけがと考えられている。このようなPTSDは重大な犯罪であり、処罰すべきである、このように考えておるわけでございますが、現行法の傷害罪にこのPTSDは含まれるわけでございましょうか。
  29. 古田佑紀

    古田政府参考人 一般的に申し上げまして、刑法におきます傷害とは、他人の身体に対する暴行によってその生活機能に障害を与えることを言うと理解されているところでございまして、生活機能に障害を与えるということの中には精神的な傷害を生じさせる場合も含まれ得るということでございます。したがいまして、PTSDも刑法上の傷害に含まれるというものでございます。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 今回の場合は、少女自身の今後のこともいろいろあり、PTSDを起訴の中に入れなかったというような状況も聞いておるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう種の犯罪がこれから激増するのではないかというように思っておるわけでございまして、このあたりの状況も法的に整理をしていかなければいけない、このように思うわけでございます。  それで、次に、今回の警察行政全体の問題になるわけでございますが、三月九日の日に小渕総理が、警察組織刷新会議、これは仮称でございますが、について、国家公安委員会でつくるべきだ、このようにおっしゃり、六人の委員の方が内定をしたというような状況のようでございますが、これについてお聞きいたしたいわけでございます。  この機関は、常設の機関なのか一時的な機関なのか、まずお答えをお願いいたしたいと思います。
  31. 石川重明

    石川政府参考人 今のお尋ねの警察組織刷新会議、仮称でございますが、これは国家行政組織法上の組織ではございません。あくまで国家公安委員会の事実上の意見聴取の場という位置づけでございまして、国家公安委員会の下にそういう行政機関が置かれるといったようなものではございません。この会議は自立的に行われるものでございまして、適宜会議が開催をされる、こういうふうに承知をしているところでございます。
  32. 谷口隆義

    谷口委員 いや、そういうことではなくて、常設されるのかどうかということを聞いておるわけでございます。
  33. 石川重明

    石川政府参考人 この会議につきましては、まだ第一回目の会合が開催されていないわけでございますが、そこで、今後どういうことを検討するか、また、どういう時期までにどういう作業を行うかといったようなことについては、その委員方々でお話し合いになって決められる、こういうふうに承知をいたしております。
  34. 谷口隆義

    谷口委員 どうもはっきりいたさないわけでございますが、そうしますと、現行あります国家公安委員会との関係はどのようになるわけでございますか。
  35. 石川重明

    石川政府参考人 国家公安委員会が、その決定に基づいてこの会議の発足を求めた、そしてこの会議における検討の状況を御意見としてお伺いする、こういう関係にございます。
  36. 谷口隆義

    谷口委員 ですから、その御意見というのは、警察組織刷新会議議論される大きなテーマは、今回の警察行政全体の批判に対する協議をされて、それを国家公安委員会の方にも報告されるというような形になるのだろうというふうに思いますが、ですから、その問題が解決したといいますか、一段落ついた段階ではこの警察組織刷新会議は解散されるというようなことを考えていらっしゃるわけでございましょうか。
  37. 石川重明

    石川政府参考人 これからどういう会議の運営をするか、いつまでこの会議が置かれるかといったようなことについては今後お話し合いになられるということだと思いまして、今の段階で確たることを申し上げるわけにはいきません。
  38. 谷口隆義

    谷口委員 それと、国家公安委員長に対しまして、現行は自治大臣国家公安委員長との兼任というようになっておるわけでございますが、これを専任閣僚にというような案も出ておるようでございます。これについてどのようにお考えなのか、また時期はいつごろされようとされておるのか、お聞きいたしたいと思います。
  39. 石川重明

    石川政府参考人 現在、国家公安委員会につきまして週一回定例の会議を開催することとされておるわけでございまして、国家公安委員会委員は、その職務の性格上、いつでも必要な報告等を受ける、また、極めて重要かつ高度な問題に対して判断を行う、かつ、緊急に対応する必要がある事案等が発生した場合には、委員長の招集に応じて参集してその職務を行う、こういう形で活動されておるわけでございます。したがいまして、委員の職は、五名いずれも常勤的性格を有するという形で位置づけられているというふうに承知をしておるわけでございます。  これを専任の常勤体制にすべきではないかといったようなことについて、私の立場でこれ以上申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。
  40. 谷口隆義

    谷口委員 自治大臣がまだ来られていないので、ぜひ聞きたかったわけでございますが。  来年の一月から省庁再編が行われるわけで、そうしますと、自治、郵政が総務省になるわけでございます。総務省を担当する大臣国家公安委員長を兼務するということになりますと現在以上に大変なことになるわけで、そういう観点で、果たしてどのように思われるのか、官房長、答えられるのですかな。
  41. 石川重明

    石川政府参考人 先ほど答弁申し上げましたことについて、国家公安委員長について専任閣僚とする案が出ているようだがこれについてどう考えるのか、こういうことでございますと、これにつきましては、憲法の規定によりまして、国務大臣の任命については総理大臣の行うこととされておるわけでございまして、私どもからちょっとコメントする立場ではない、こういうことでございます。
  42. 谷口隆義

    谷口委員 大事な問題がなかなか質問できないのですが。  今、兼任また専任というような話が出ておりましたが、国家公安委員会のメンバー五人のうち三人の委員の方が他の審議会も兼任されておるというようなことのようでございます。そういう意味で、他の審議会と兼任している、専任している、こういうような分け方と、もう一つは、ほかに職業を持っていらっしゃる方もいらっしゃるというようなことのようでございます。  国家公安委員会委員の勤務は常勤か非常勤かというようなことに対して、「警察法解説」によりますと、「国家公安委員会委員は、必要があればいつでも委員長の召集に応じて職務を行わなければならないことが建前であって、常勤的な性格を有する職員ではあるが、休日を除き勤務時間中その職務のみに専念しなければならない職員とは異なるものである。」というように、常勤扱いというような感じになっておるようでございますね。私は、やはり職務の重要性から勘案しますと、専任か兼任かというより、むしろ常勤でなければこのような重要な職務は全うできないというように思うわけでございますが、このあたりの議論はあるのでしょうか。
  43. 石川重明

    石川政府参考人 公安委員会の運営等にかかわる事項についてのお尋ねでございます。  最近は、定例会、週一回ということでございますが、いろいろな形でその運営についても工夫がなされておりまして、午前中やって中断をして、夕刻からまた始めるとかいうようなことが行われておるわけでございまして、いろいろ国家公安委員会について御指摘があることについては、国家公安委員会の方においていろいろ御検討をされ、改善すべき点があれば改善をするだろうというふうに私ども承知をしております。
  44. 谷口隆義

    谷口委員 この問題もやはり、自治大臣に来ていただけないので、質問にならないので困っていますが。  では、監察制度についてちょっとお聞きいたしたいわけでございますが、身内の監察ということで不祥事が起こったわけでございます。どうしても身内による監察というのは不祥事摘発に対しては甘さが出てくるのはもう常でございますので、そういう意味から、監察をする側、監察を受ける側、これは精神的にも経済的にも独立をしていかなければいけない、このように思うわけでございます。内部牽制が働かなければいかぬ、牽制的な作用がなければいけない、このように思うわけでございます。  今このような状況の中で、本日、私は大阪から上京したのですが、新幹線の中で、管区の中で監察部門を設けるというような案が出てきたというような報道があったわけでございますが、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  45. 石川重明

    石川政府参考人 管区警察局のことだろうというふうに存じますが、これにつきましては、各管区警察局には、局長以下の体制といたしまして監察官という職がございまして、そこにつきまして、先般の異動までで全員実員配置をしたところでございます。  管区の行う業務として各都道府県警察の調整業務がございますが、そういうものの中の一つとして、業務指導をよりきめ細かに各都道府県に行う、あるいは監察といった点について、やや特化した形で重点的に行うといったことが必要だろうというふうに考えておりまして、そうした体制の整備というものについて今後十分に検討をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  46. 谷口隆義

    谷口委員 監察状況でございますが、資料を取り寄せますと——自治大臣、来ていただきましたので、若干時間がございますので、後ほど質問させていただきたいと思います。  業務監察、服務監察、この二つの監察の種類があるようでございます。いずれにいたしましても、監察そのものは当初から年間の計画があるようでございますが、抜き打ちというのはないわけでしょうか。
  47. 石川重明

    石川政府参考人 業務改善を図るといった趣旨で計画的に業務監察を実施することがあるわけでございますが、いわゆる随時監察と申しまして、日にちをあらかじめ定めずに、急にある所属について監察を実施するということはございます。
  48. 谷口隆義

    谷口委員 監察の効果を一層高めるためには、当初の年間の計画における監察以外に、随時抜き打ち的な監察を行うべきである、このように思うわけでございますが、それに対する御答弁をお願いいたします。
  49. 石川重明

    石川政府参考人 例えば、ある特定の問題について、ほかの県でもいろいろな問題になっている、それでは自分の県はいかがかといったような趣旨で、急にその問題について監察が調べるという形での随時監察あるいは抜き打ち監察というものは今後とも行っていく必要があるだろう、こういうふうに考えております。
  50. 谷口隆義

    谷口委員 保利大臣、大変お忙しい中来ていただきまして、ありがとうございます。ちょっと大臣にお聞きいたしたいことがございます。  今、国家公安委員長と兼任をされていらっしゃるわけでございますが、来年の一月から省庁再編で自治、郵政が総務省になるというような状況でございまして、総務省を担当する大臣がまた国家公安委員長を兼務するというのは、大変難しい困難な状況になるのではないかというように思うわけでございます。  そんな状況の中で今、国家公安委員長を専任閣僚とするというようなお話が出ておるようでございますが、現在兼任していらっしゃる保利大臣御自身がどのように考えていらっしゃるか、御答弁をお願いいたします。
  51. 保利耕輔

    保利国務大臣 この問題は、かたいことを申し上げれば、憲法の六十八条一項の規定によりまして内閣総理大臣が行うことでございますので、私からこのことについて触れる立場にはないのでありますけれども、昨今の警察におきますいろいろな問題、さらにはこれから起こってくるであろう、起こってはいけませんけれども、例えばテロでありますとか、あるいは麻薬の問題でありますとか、外国人犯罪と数限りなくございますし、最近はハイテク犯罪が大分広まっております。  そういったことに対して、治安維持という観点から見るならば、日本の経済発展その他も全部治安の維持にかかってきているということを考えますと、国家公安委員長の任務というのは非常に重い任務であるということを私は感じております。そこからぜひ私の気持ちをお察しをいただければありがたいと存じます。
  52. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど官房長の方にも御質問したのですが、大臣にひとつお聞きしたいのです。  国家公安委員会のメンバーが現在五人いらっしゃるということで、他の審議会を兼任していらっしゃる方が三人いらっしゃるというようなことがあるようでございます。まず、事の重要性から考えますと、これはやはり専任にすべきではないか、このように私は思っております。  それ以外に、常勤か非常勤かということがあると思います。それで、この「警察法解説」によりますと、国家公安委員会委員というのは、常勤的な性格を有する職員というような規定の仕方になっておるようでございますが、現下の大変重要な職務の中で、これはもう常勤としてやっていくべきではないかというように思うわけでございますが、大臣御自身の御所見をお願い申し上げたいと思います。
  53. 保利耕輔

    保利国務大臣 常勤的性格でございますし、これからまた警察の問題、いろいろ起こってまいりますから、これから先は常勤的なお仕事ぶりになっていくだろうと私は思っております。そういう位置づけからして、現在の国家公安委員会でそのままいいかどうかということは大変心配であります。  今、警察庁の中に国家公安委員会の部屋がございますけれども、これは会議室でありまして、常勤をする姿の部屋がございません。そういうことからやはり直していって、国家公安委員会の独立、そして、警察の言いなりになっているのではないよという形をつくり上げていかなければならない。そのためには、事務体制等についても十分に考えなければならない、こう思っております。  そのような改革をすることによって、警察組織から離れた形で、そして警察をきちんと管理する、そういうものをつくっていかなければならない、こんなふうに考えております。
  54. 谷口隆義

    谷口委員 あともう一つ。  これも先ほどお聞きしたのですが、警察組織刷新会議、仮称でございますが、そういう会議がつくられて、委員の方も内定されておるようでございますが、これは一体常設の機関になるとお考えなのか、今回のこの問題に対する一時的な対応とお考えなのか、そのあたりをお聞きいたしたいと思います。
  55. 保利耕輔

    保利国務大臣 これは、私は常設の機関とは考えておりません。したがって、法律的な位置づけ等については、これは法律の上では何もございませんので、法律を出すということになれば国会の御審議をいただかなければならない事項だと思います。ただ、この警察事態にかんがみまして、経験を持っておられる方々にお集まりをいただいて、国家公安委員会にいろいろと意見を言っていただく、そういうような形で発足をさせました。  したがって、常設でずっと長く続くというものではなく、こうした事態を検討していただきまして、私はいろいろ御提言が出てくることを期待しておりますが、そういうものをつくっていただいて我々が参考にさせていただくという機関と私は承知をしております。
  56. 谷口隆義

    谷口委員 いろいろ各界の有識者がお集まりいただくような状況のようでございまして、私は、これは大変いいんじゃないかというように思っております。  ここでいただいた意見を今後も国家公安委員会の方にフィードバックさせるという意味においては、これは一時的なものにしないで、これは何らかの形で法改正も必要なんだろうというように思いますが、残すべきではないかな、今後の状況にもよるのだろうというように思いますが、残すべきではないかというように思っております。大臣御自身はどのようにお考えでございますか。
  57. 保利耕輔

    保利国務大臣 経験豊富な方がお集まりになっていらっしゃいますので、今後の運営等については、先々まで残す残さないも含めて、会合の中でお取り決めをいただきたいと思っております。
  58. 谷口隆義

    谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  59. 中村正三郎

    中村委員長 次に、西田猛君。
  60. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  きょうの決算行政監視委員会でも、一連の不祥事に端を発します警察の諸問題についてお話を申し上げたいと存じます。  保利国家公安委員長、それから警察庁長官を初め警察の幹部の皆様方は、本当に連日お疲れさまと言うほかはございません。しかし、私自身も役所に勤務しておりましたが、今回のこの事態は本当に断腸の思いでございます。警察は、やはり国家の柱でありますし、国の治安それから国の安全を守る重要な組織ですから、何としても立ち直っていただかなければならないと思っております。  そのような中で、私の提言も含めまして、皆様方に御意見を表明していただければと存じます。所管外だとか、あるいは、それは今はというお話もあるかとは存じますけれども、しかし、こういう国会の場で開かれた議論をそれぞれの考え方でしていかなければやはり物事は進んでいかないのだと私は思いますし、そういう議論を主権者である国民皆様方がごらんになれば、あ、やっているんだなと、大変な不祥事はあったけれども、それに向けて努力をしてくれているんだなというところは見えるのだと思います。  時間をかけてとか、あるいは、先ほども質問がありましたけれども国家公安委員会とは別の、刷新委員会でございましょうか、それも結構ですけれども、それはあくまでも有識者の方から意見を聞く本当に私的な機関でありましょう。そういうことじゃなくして、政府が、内閣が、あるいは国会が、一丸となってこの問題の刷新に取り組んでいるという姿を私たちは示していかなければならないのだというふうに思います。  そのような中で、一つお聞きしたいのは、やはり、警察という組織あり方をこれからどう考えていくのかということだと思います。  まず、導入といたしまして整理をしておきたいのですけれども、今、警察法、それから、そのもととなります国家行政組織法などで警察組織についてはいろいろ定められておりますが、まず、警察庁という機関でございますけれども、これは、国家行政組織法上はどこの条文に根拠を置く機関だというふうに認識すればよろしいでしょうか。これは、法制局長官、わざわざおいでいただいているのですが、お忙しい中恐縮でございますが、お答えいただければと存じます。
  61. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 お答えいたします。  警察庁は、警察法第十五条に基づきまして、国家行政組織法第三条の行政機関である国家公安委員会に置かれる機関でございますけれども、同法第三条の行政機関といたしまして同法の別表第一には掲げられていないものでございます。したがいまして、同法第三条の庁には当たりませんで、また、その組織、権限の内容等に照らしまして、同法第八条の審議会等あるいは同法第八条の二の施設等機関にも当たらないということになります。  したがいまして、国家行政組織法上の位置づけを見ますと、結局、同法第八条の三の特別の機関というものに当たるものと考えております。
  62. 西田猛

    西田(猛)委員 今法制局長官から御答弁いただきましたように、警察庁という組織国家行政組織法上の位置づけというものすらがなかなか明確ではないんですね。いわゆる行政機関というのは、国家行政組織法の三条に言う、今で言えば府、省、委員会、庁というものでございます。  それで、警察庁国家公安委員会、この国家公安委員会というのは総理府に置かれる外局なんですけれども、そこに置かれている機関なんですね。それで、根拠はと問われれば、長官も今言われたように、どうも八条でもない、八条の二でもないので八条の三だろう、非常に消去法的に八条の三ではないかなというふうにお答えになられました。私もそれは、法文上の根拠で言えばそうだと思います。  しかし、これ、なぜこんなに法文の根拠のことを言うかと申し上げますと、やはりその性格づけをしっかりとしていかなければこの問題には対処できないからだと思うんです。  そこで、あわせて法制局長官にお伺いしたいのですけれども、検察庁は、この国家行政組織法上はどこの条文を根拠としているというふうにお考えでしょうか。
  63. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 先ほど少し余分に言っておけばよかったのですが、検察庁も含めまして、これは八条の三の特別の機関になっております。  このことに関しましては、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律施行令第一条、ちょっと長い政令でございますが、この施行令で、国家行政組織法第八条の三の特別の機関ということで検察庁と警察庁を、これは政令で特別の機関というものを指定することになっているわけですが、その特別の機関のうちの指定されているものが、警察庁と検察庁が指定されておりまして、実定法上も特別の機関であるということは明確でございます。
  64. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございます。  これは少し事前にお話ししていなかったので恐縮ですけれども、今ちょうど行政機関の分類のお話が出ましたのでお伺いしたいのですが、この国家行政組織法の八条の三を根拠としているという機関はほかにございますか。
  65. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 例えば、これ以外では、一般的に、これは非常にたくさんあるんですけれども、私の存じておりますのは、例えば大蔵省の印刷局とか造幣局とか、そういうのは局という名前がついておりますけれども、この国家行政組織法の第八条の三の特別の機関であるというふうに解されております。
  66. 西田猛

    西田(猛)委員 今おっしゃられたように、国家行政組織法第八条の三に基づく組織はいろいろあるんですが、中でもやはり際立っているのがこの検察庁と警察庁なんですね。この二つの組織をよく見比べたときに、同じく法律の強制という点に係っているという点は私は共通しているんだと思います。  ただ、検察庁の場合は、きょうも法務省の方もたくさんおいでですけれども、検察庁は、一人一人が国家である検察官の集まりですから。検察庁法を見るとおもしろいんですね。検察庁法は、私、今持っていませんが、組織であるとか役所であるとか書いていなくて、検察官がいるところと書いてあるんですね。非常に微妙な言い回しだと思うんです。要するに、検察庁というまとまった組織があるのかないのかというところも非常に疑問である。というのは、検察官お一人お一人が独立行政官ですから、検察官一人一人がお役所なんですね。そして、それの集まっているところだというのが検察庁だ。  ところが、他方、警察庁は、間違いなくお一人お一人の警察官の皆さんは独立行政官ではありません。これは組織の中に勤務される職員の方でございます。そこらあたりから考え警察組織を事細かに分類していきますと、従来議論がございますが、大別しておよそ性質の異なる二つの作用が混在しているんじゃないかなというふうに私は従来思っているんです。  それは、端的に申し上げれば、一つは検察と同じように法律強制をする。英語で申し上げて恐縮ですが、その方が非常にわかりやすいですから、ロー・エンフォースメント、法律を強制する作用と、それから一般の行政機関と同じように、例えば交通規制をする、それから道路の占用許可をするとか、それから例えば自動車交通の許認可を受けるとかいう普通の、国民の権利義務に係るようなそういう行政行為を行う機関としての性格と、これは大別して二つあるんだと思います。  そして、現在の日本警察組織におけるやはり一番の大きな問題点は、この法律強制を行うというロー・エンフォースメントの機能と、そういった国民の権利義務、要するに普通の、普通のと申し上げると変ですが、許認可を行う、行政作用をする行政機関としての性格が一つどころに混在しているということ。  それとともに、これも自来問題になっておりますが、各都道府県警察に置かれる警視正以上の方は国家公務員だというふうな、国家としての警察と地方としての警察がこれまた随所各所で混在しているという、縦横のこの混在が問題なんだと私は思っているんです。  そこで、私のこれは提言なんですけれども、法律強制を行う部門と、それから、今申し上げたように道路の占用許可ですとか交通の規制などを行う、行政作用を行う機関としての警察とを分けた方がいいと私は思うんです。これはかなり大胆な提言で、自由党を代表しての意見でもありませんし、議論の糧ですけれども、私はもう分けた方がいいと思うんです。  なぜならば、他方において、オウム事件ですとか、それからかつての浅間山荘事件のような、そういう広域的な犯罪に対しては都道府県警察それぞれでは対処し得ないという問題があって、広域捜査が必要だ、各都道府県警の協力が必要だと言われていました。他方においては、道路の占用許可をするにも警察署に聞かなければいけない。そうすると、一般国民にとっては、どちらかというと威圧的な制服を着た人に申請書を出さなければいけない。あるいは、司法警察職員の身分を持った方が、これはその行為が軽いというのではありませんけれども、交通整理をされる、あるいはチョークを引いていかれる、これも大切なお仕事ではございますけれども、果たして司法警察職員でなければしてはいけないことなのかというふうなことを、一つ一つタブーなく議論をしていかないといけないと私は思っております。  ですから、やはり法律を強制するということは国の治安を保つ、あるいは国としての体制を保っていく上で非常に大切ですから、むしろここはひとつがっちりとしていかなければならない。強めると言うと非常に語弊があるかもしれませんが、きっちりとしていかなければならない。したがって、私は、警察庁長官を長とする国家警察的な組織を置いて、これが犯罪の捜査、ロー・エンフォースメントを専ら行う国の機関としてあったらいいのではないか。  他方、今申し上げたような行政作用を行う行政機関としての警察は、これはやはり地域に密着するものですから、都道府県に合議制の公安委員会があってもいいと私は思うんです。都道府県でやはり地域のボスとか地域の政治的な親分にそういう警察作用が左右されないように、公安委員会という合議制があっていいと思います。  それで、そのもとに、これは都道府県警察本部というのじゃなくて、都道府県公安委員会のもとに直接、実際の役所としての警察署を置いてしまったらいいと思うんですね。それで、警察署にそういう交通の規制ですとか道路の規制などなどの行政作用は行わしめる、それについて問題があれば都道府県公安委員会が行政機関として指揮監督するというふうにもう二つきれいに分けてしまう。  今申し上げたように、国家警察捜査を行う国の警察だけ、そしてこちらの都道府県公安委員会のもとにある警察署は地方の警察であって、地域のことを行う警察組織だというふうに分けてしまったら、私はお互いに有効的に機能するのではないかなというふうに思います。  もちろん、各都道府県に置かれる都道府県公安委員会のもとにある警察署は相互に密接な連携をとるべきですし、各都道府県の連携をとるべきです。しかし、広域的な犯罪、重大な犯罪については国家の法強制を行う警察が動くということがこれから考えられていいのではないかと私は思います。  まとめて御意見をお伺いする前に、それから、国における国家公安委員会という合議制の組織は、独立行政委員会と申しますか、これはもう重々皆様方、よく研究されて、認識しておられることだと思いますけれども、第二次世界大戦が終わったときにやはりアメリカ合衆国によってもたらされたものであって、これは、なぜあのような、太平洋戦争のような無謀な戦争を戦前の日本が遂行したのかということをアメリカが考えたらば、内務省を中心とする警察組織が家父長制的な日本国家を運営して、そしてこの国民を戦争に遂行せしめたのだという反省からできたものだというふうに、私は物の本で読んで、自分でもそう思います。  ところで、その持ってきたアメリカの国においても確かに独立行政委員会というのは多数あるんですけれども、アメリカにおける独立行政委員会が所掌している事務というのは、ほとんどが経済的な規制なんですね。例えば連邦通信委員会とか連邦交通委員会とか、そういう経済的規制を行うレギュレートリー・エージェンシーとしてあります。だけれども、国の治安とか国の公安をつかさどるようなことを合議制の独立行政委員会に任せている国なんというのは、私、ちょっと知らないですよ、特に近代先進国家と呼ばれる中で。国の治安だとか国の公安だとか、最もリーダーシップと迅速性を要する機関の指揮監督権がどうして合議制の機関にあるのか。私は、ここでやはりこれは見直していくべきではないかと。  今、専任の大臣を、要するに国家公安委員長を専任の大臣にしようというふうな意見もございます。結構ですけれども、しかし、それは専任の、そして直接の権限を持った独任の官庁であるべきですよ。独任の大臣であるべきですよ。そして、その一般的な指揮監督権のもとに警察庁長官を頂点とする国家の、捜査を行う警察組織があっていい。そこは、法務大臣と検事総長とのような関係であっていいと私は思うんです。その独任の大臣は、個々の事件や個々の捜査については指揮監督しません。一般的な指揮監督を行うだけで、そして、もし必要とあらば、警察庁長官一般的に指揮監督すればいい。個々の捜査、個々の事件は当然警察にお任せするということで迅速性を保っていける。  ただ、一朝事があって、必要とあらば、御存じのように、内閣総理大臣警察庁長官を直接指揮するという法規定も今ございます。これは大規模地震対策のときとか、そういう緊急事態には内閣総理大臣が直接に警察を指揮することもできるんです。そういうふうな迅速性も、他方、今の法制の中でも保たれているわけですから、これを恒常的に専任の大臣が行うということは考えられてしかるべきだというふうに私は思っております。  長々と自説を弄しましたけれども、この点につきまして保利国務大臣の御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 保利耕輔

    保利国務大臣 いろいろ貴重な御意見をちょうだいいたしまして、ありがたく拝聴をさせていただきました。  私が委員のお話を承りまして感じますことは、民事警察と刑事警察は分けた方がいいのではないかというふうな印象で私は受け取りました。確かに、警察行政というものをやる民事的なものはそれはそれでよろしいと思います。ただ、現在の警察体制というのが県警察体制をとっておりますから、いきなりそれを導入したときに混乱が起こりはせぬかという点は、私は多少心配を持っております。  現在、警察に寄せられます一一〇番等の情報は非常にさまざまでありまして、そういうものにどう的確に対応していくかというのは、これは民事の問題です、これは刑事の問題ですといって分けられないところもございまして、そういったものが混乱が起こらないようにしながらこのありさまというものも考えていかなければならないのではないかということを思いました。  また、国家公安委員会については、これは御承知のように、いろいろ勉強されて、戦前の反省から、警察の中立性、民主制を保つために国家公安委員会制度というのが設けれられた。最初時点では政治家は入っていませんで、委員五人だけでいろいろ物事を決めておった。しかし、政府の治安に対する責任というのを明確にしなければいけないということで、国務大臣をもって国家公安委員会委員長に充てるという警察制度改正があって、それが昭和二十九年のことでございましたから、それからえらい長い時間たっております。二十九年の制度改正のまま今日まで来ているというところに、多少、今日的な要素が少し欠けているところがあるのではないかな、こういう感じがいたします。  今までは、警察内部に対して国家公安委員会の目を入れるという制度ではなかったように私は思っておりまして、警察が外に向かってやるいろいろな仕事に対して中立性あるいは民主制の立場からこれをチェックしていくという、警察の外へ向かっての仕事に対してのチェック体制公安委員会であったのではないかと思うわけでございます。  しかし、昨今の警察内部、これは長い間封鎖社会というような感じでございましたので、いろいろなよどみといいますか、あるいは場合によっては腐敗したところが出てくるというようなこともあったのだろうと思いますので、今後は、国家公安委員会警察内部に目を入れていくというふうに変えていかなければならないかな。あるいはまた、変える方法というのは公安委員会だけではなくてほかのやり方もあるかもしれませんけれども、そうしたことを十分に我々考えながら、今後の警察刷新のために、できるだけ早く、多くの方の御意見を伺いつつ、この制度改正に取り組んでいかなければならないと思っております。  さまざまな貴重な御意見を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。
  68. 西田猛

    西田(猛)委員 大臣の御丁寧な御答弁、ありがとうございます。  今のままの体制で、今大臣も言われたように、国家公安委員会というものが警察内部に物を申していくことによって少しでも改善でき得ればというお話だと私は承ったわけでありまして、その方向もあるかとは存じます。  今おっしゃったように、国家行政組織法上言われている警察を所管する行政機関というのは国家公安委員会なんですよね。国家公安委員会だけがいわゆる三条の機関として警察の行政権限を与えられているのに、先ほど冒頭、イントロとして申し上げましたけれども、特別の機関として置かれている警察庁が実は、実権と申しますか、すべてのことを仕切っているのだというこの現実がいろいろな矛盾をはらんできた。  それと、私は、先ほども申し上げましてしつこいかもしれませんが、都道府県警察に、警視正以上の国家公務員とそうじゃない人がいるというところは、やはりこれは、残念ながら、考えていかなければいけないと思います。といいますのは、やはり任命権者が違いますし身分も違うというところが、私も詳しくは存じませんが、警察内部の方からもいろいろお話を伺っていますと、やはりちょっと苦しいところがあるな、そういうあつれきがやはり今回のいろいろな問題にも絡んできているんじゃないかなというふうに私は思いますので。  それと、国家公安委員会が都道府県警察に、内部に向かって言ったらいいというお話がございましたが、逆に、余り行き過ぎると、今度はまた政治の介入という難しい問題も出てまいりますし、ですから、私は、ここはもうこの際すっぱりと分けてしまって、だから言ったのです、都道府県には公安委員会を置いておいていいと。都道府県公安委員会というのはあっていいでしょうと、やはり地域ボスに支配されないように。  例えばアメリカなんかでは、もう御存じだと思いますけれども警察というのはそういうふうに権力の象徴であり、法強制をするものですから、しかも武器も持っていますから、これは徹底的に地方分権になじまなせければいけない、地域住民のしもべでなければいけないとして、アメリカでは建国以来ずうっと地方自治化されてきたのですけれども、ところが、十九世紀初頭ぐらいには、かえってそれが行き過ぎてしまったのか、地域のボスに警察が左右されてしまったのですね。  ですから、二十世紀の初頭ぐらいから刷新委員会がいっぱいできたりして、そしてアメリカの連邦裁判所は、一九六〇年以降、適正手続改革と呼ばれるような判決をばんばん出して、警察の職業化、プロフェッショナル化を進めていって、今のアメリカの警察になっているという経緯がむしろ逆にあります。ですから私は、国家レベルにおいてはもう捜査機関に特化したらいいと。  先ほど大臣は民事警察というふうにおっしゃいましたけれども、私は民事警察というのはちょっとどうかなと思うのですが、行政警察のことをおっしゃったのだと思うのですね、民事には余り警察は入らないでしょうから。要するに行政警察ですね、交通規制ですとか道路の占用であるとか。だから、それはもう地域にお任せしちゃいましょうと。だから、ボスに支配されないように、都道府県には公安委員会という合議制があっていいじゃないかと。そのもとで各署がそういう行政警察はやる。  国家組織は、これはもうある程度強力なものでなければいけません。私が頭の中で思っているのは、アメリカのFBIのような捜査機関がぜひあっていいじゃないかと。やはり検察庁の特捜機関とか検事さんたちにそれを期待するのはなかなか人的には無理ですから、能力的にはおありだとしても。ですから、やはり警察が国の機関として、重要な犯罪や広域の犯罪にはぴしっとした捜査で臨んでいかなければならないのではないかなというのが私のこの立論の根拠なんですね。  他方、法務大臣のもとにそういう国家警察機関を置くと、検察官と司法警察職員との関係がどうというふうな難しい関係も出てまいりますし、そこのところはいろいろと、これから政府の内部で、あるいは国会の中で議論をしていかなければならないと思います。  それから、最後になりますけれども、そのような私の立論としては、国家捜査を行う機関と、それから都道府県に、行政警察を行う、もちろん都道府県の警察が法強制をやってもいいわけですよ、もちろん司法警察職員として。犯罪を発見したときにはちゃんとやる。これはもう、よくアメリカの映画なんかを見ていてもおわかりのように、ニューヨーク市警察とFBIが来てちょっと権限争議をやるとかいうふうな場面がひょっとしたら出てきかねませんけれども。もちろん、地域の警察の方も犯罪捜査は当然していただく。だけれども、もっと広域的に重要な犯罪も見る国家機関もあっていいではないかというのが私の考え方なんですね。  それで、最後に、それらをひっくるめた、国家それから地方の警察機関を監察する制度として警察監察局というものを各ブロック局に置いたらいいのではないかなというふうに思うのです。管区警察監察局とでも申しましょうか。ですから、今警察庁の地方支分部局として置かれている管区警察局は、私は残念ながらもう要らないのではないかと思うのです。そのかわり、管区警察監察局というのを置いて、これは郵政にも郵政監察局といって、地方支分部局として、御存じのように、監察だけをやる機関がございます。  管区にそういう監察機関を置いてしっかりと、国家警察であろうが地方の警察であろうが監察する、それは警察を担当する独任の、私の意見ですよ、独任の大臣にちゃんと報告する、あるいは内閣に報告をして誤りなきを期していくというふうになったらいいのではないかなと思うのですけれども、この監察について大臣のお考え方をお聞かせいただけますでしょうか。
  69. 保利耕輔

    保利国務大臣 地域の、関東管区警察局というのは、やはり県をまたがる広域的な犯罪についてどこかで調整をする機関が必要ですから、そういう役割を一つ持っていると思います。同時にまた、監察を各警察についてやる、そういう役割も持っております。  ただ、今度の事件で非常に不都合なことがございまして、役割がなされていないということが世間的に言われているわけでありますが、実は、あの新潟におきます監察も、総員十三名だったと記憶しますが、行っておりまして、そのうち十二名は全部監察行為をきちんとやっておりまして、そういう監察体制には一応なっております。ただ、上の者が不心得でありましたために一人だけ抜けてしまったという格好になっておりますが、管区の警察局ではやはり監察体制は一応とっていると私は思っておるのであります。  ただ、それが不十分であるかどうか、十分であるかどうかということについては、十分私どもとしても検証をしていかなければなりませんし、いろいろ御提言を受けて、今後の監察あり方というのは、今後のいろいろな御議論を私どもとしてはよく拝聴させていただきながら、その監察が十二分に行われるように私どもとしても考えていかなければならないテーマだと思っております。
  70. 西田猛

    西田(猛)委員 大臣、ありがとうございました。  それでは、国民のための警察となれるように、深い議論と迅速な実行が必要だと思いますので、今後とも続けたいと思います。ありがとうございました。  終わります。
  71. 中村正三郎

    中村委員長 次に、石井紘基君。
  72. 石井紘基

    石井(紘)委員 民主党の石井紘基でございます。  警察庁長官最初に伺いたいと思いますが、いらっしゃいますか。  私ども民主党で政治と行政の不正を監視する議員の会というのをやっておりまして、警察庁長官には、たしか今月の二日の日でしたか、参議院の予算委員会で大変御多忙の中を時間を割いていただきまして、同僚議員と一緒にお会いをする機会をいただいたわけでございますが、そのときに、この処分の経過について、国家公安委員会委員方々との連絡等々あるいは公安委員長との連絡等についても時間を追って御説明をいただいたと思うんですが、もう一度それを確認させていただきたいと思います。  この処分の内容について、まず長官の方で中田局長と小林本部長について、一人は処分はなかったわけですが、内容を決められて、そしてそれを国家公安委員長に電話で報告をされた。国家公安委員長はそれでよかろうということであったということですが、そのときに、それじゃそれを持ち回りで決めよう、そういうようなお話があったのでしょうか。
  73. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の、今回の新潟の一連の不祥事におきます処分の関係でございますけれども、これは国会等でもいろいろ御報告申し上げておりますとおり、二月二十四日の夕刻、私のところに、今回の事案に絡まりまして、中田前関東管区警察局長から、新潟県の前本部長と夜、飲食をともにしマージャンをした、また監察につきましても、新幹線がおくれたことはありましたけれども、極めて短い時間しか監察をしていない、また新潟西港にも行きました、その辺のことのお話がございました。  これが事実であるとすれば大変問題である、職を辞すべき事案であるというように私は認識をいたしまして、その夜、大臣に御報告をいたしました。大臣からは、もし事実がそうであるとするならば、これは至急更迭すべしというような御判断もいただき、さらに調査を徹底するように、そしてまた、私の方から公安委員の方にも御説明を申し上げますということで御了解をいただきました。  翌二十五日午前、中田前局長から私は直接事情を聞き、また当時は新潟県議会が開会中でございましたので、前本部長からは電話にて官房長が事情を聴取いたしました。  午前中におきましてほぼ事実の全容を解明したというふうに私は思いましたので、当日の午後、都内の警察共済施設におきまして、御指摘でありました警察育英会に御出席でありました四名の公安委員の方に、事案の全体と、これにつきましての処分の方向につきまして御意見をいただきました。  四名の御意見は、速やかに更迭すべし、しかも処分につきましては、特に小林本部長の任命権、懲戒権は国家公安委員会にございますので、この小林前本部長につきましては厳しい処分をすべしというお話がございました。皆さん同じ意見でございました。その旨をまた午後に電話にてもうお一方に御連絡を申し上げまして、そして、その方も同じ意見でございました。  それで、私どもといたしましては、小林前本部長につきましては国家公安委員会の任免にかかわりますので、この懲戒処分につきましては、内規によりまして警察庁が原案をつくることになっております。最も厳しい処分といいますか、停職ということは考えられませんでしたので、減給の一番上限、百分の二十という案を我々で検討いたしました。  また、中田前局長につきましては、国家公務員法に触れるところがございます。職務懈怠でありますとか、あるいは信用失墜行為という行為がございましたけれども、本人のみずからの申告によって、しかも職を辞すことあるべしということをもって申告してまいりましたので、その辺をかんがみまして、私も相当悩みましたけれども、中田前局長につきましては、それは懲戒処分には付することとしないと。  ただし、本人は、警察にとどまりましても、将来、幹部としては十分にその能力を発揮するということは期待されない、職を辞すべきであるというふうにお昼の段階で申しておりましたので、それも含めまして、職を辞すということは、この場合につきましては、前局長は昨年の八月にその職についたばかりでございますけれども、その途中で辞させ、しかも、本来円満に退職するとすれば得られるであろう退職金から約二千万に近い額を減額されての引責辞職でございますので、私はその全体をかんがみまして、懲戒処分にかかわるところの違反はあるけれども、懲戒処分には付さないということで、私は任命権者でございますので、そう決定したわけでございます。  その私の決定と、それから、あわせて小林前本部長につきましては、これは本人も職を辞すということは、辞すべきということを私は申し向けまして、まだその段階では明確な辞意は出ておりませんけれども大臣には、百分の二十ということで回します、基本的な合意というのは得られておりますので、持ち回り決裁で進めてよろしいかと伺いまして、そのとおりに進めてよろしいという御判断を得ましたので、そのように進めたわけでございます。  また中田前局長の処分につきましても、これも、処分の権限は私にございますけれども、この私の考え方につきまして委員のお考えもそれなりに聞いておりましたので、それも踏まえまして、私が、彼につきましては引責辞職という形で措置をするということで、大臣にも御報告を申し上げたところでございます。
  74. 石井紘基

    石井(紘)委員 これまで出ておりますことについては、余り詳しくおっしゃらなくても結構です。  そういたしますと、二十五日の夕方に処分についての大臣との話をされたのですか。それはいつですか。
  75. 田中節夫

    田中政府参考人 具体的な処分の内容といいますか、減給とかあるいは、まだその時点では、ちょっと私、今時刻は記憶がございませんけれども、夕刻から夜にかけまして大臣にお伺いいたしまして、このように中田君につきましては措置したい、それから小林前本部長につきましては、このような形で持ち回り手続を進めてよろしいかということをお伺いしたのは、夕刻から夜にかけてだったと思います。
  76. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうしますと、それから再度、各国家公安委員の皆さんに連絡をとったわけですか。それは、五名の方々に何時から何時まで、全部連絡がとれたのか、電話でやったのか、どういうことだったのか。
  77. 田中節夫

    田中政府参考人 大臣の御了解を得た上で決裁に回ったわけでございます。  首席監察官が四名の方に順次回りまして、もう一方は電話で了解をとりましたけれども、その方につきましても別の者がその日のうちに決裁をとったということでございますので、その日のうちに事実上、決裁といいますか、それは全部とれていたという状況でございます。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは書面ですか、電話ですか。
  79. 田中節夫

    田中政府参考人 まず、四名の方には、自宅あるいは事務所に伺いましていただきました。もう一人は電話で連絡をとり、その上で書面でいただきました。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 通常、国家公安委員会の招集等は、国家公安委員というのは委員長を含めて六名ですから、国家公安委員長がそれはなされるべきことなんじゃないでしょうか。招集がそうだとすれば、あるいは持ち回りというのもそうなんじゃないんでしょうか。
  81. 田中節夫

    田中政府参考人 委員承知のように、警察法の第十一条によりまして、「国家公安委員会は、委員長が招集する。」このようになっておりますので、招集するかしないかにつきましては、これは委員長の御判断でございます。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 ですから、委員長は、直接他の公安委員方々とは接触は全然されなかったのでしょうか。
  83. 保利耕輔

    保利国務大臣 夕方でしたか、夕方か夜でしたけれども、処分案というのが示されまして、これで持ち回りしていいかというお話がありました。  私は、その当時予算委員会等でずっと張りつけになっておりましてなかなか動けない状態にもございましたし、それから、二十六日の処分を決定いたしますのは二十五日中に委員皆様方の御決裁をいただく必要があるということもございまして、委員皆様方がそれぞれよしということであるならばそれでいいよということを言いまして、持ち回りを指示させたのは私でございます。その責任は私にございます。
  84. 石井紘基

    石井(紘)委員 持ち回りにしても、それは国家公安委員会の形式上会議ということになるわけなんで、国家公安委員長がみずからそれはされなければならないことだったのじゃないのか。それからすると、この持ち回りというものが成立しないんじゃないかと私は思いますが、いかがでしょう。
  85. 保利耕輔

    保利国務大臣 事実上、合意が形成されておりまして、あとは署名をいただくというところでございますから、そこは持ち回りをさせることを私は了承し、指示をしたものであります。
  86. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういたしますと、持ち回りというのは、一堂に集まって会議をやることがさまざまな重大な事情によってできない場合にやるんでしょうから、そうした場合も、この招集といいますか、それにかわるものがあって、その上でそれを承諾されるかしないかという筋道になるのではないんでしょうか。  そうだとすれば、持ち回りを指示をするといっても、その内容もまたあるわけでして、指示をするのと、内容をどういう内容でもって提案をし、あるいはすぐに、直ちにいいですよとならないかもしれない、そこでいろいろな問題点も出てくるかもしれない、異論も出てくるかもしれない、そういうものを、これをほかの人にかえてやって、それが持ち回りだということは、これはできないんじゃないでしょうか。
  87. 保利耕輔

    保利国務大臣 持ち回りの結果、お昼の基本的合意がございますので、委員の間からは全く異論がなく、持ち回りの決裁の御署名をいただいた、このように承知をしております。
  88. 石井紘基

    石井(紘)委員 そのように承知をしておるということですが、全く異論がないということは国家公安委員長みずからが直接確認をされたことじゃないわけなんでしょう。
  89. 田中節夫

    田中政府参考人 今の委員の御指摘でございますけれども事務局たる私ども警察庁の方で、四名の委員の方につきまして、更迭あるべしということと、それからもう一つの処分につきましては、極めて厳しいといいますか、停職ではないけれども最も重い処分をすべきであるという御判断をいただきました。それは四名の方に直接私がお話しいたしましたし、また、もうお一方につきましては、電話でそのような御了解をいただきました。  そうなりますと、処分の案といたしましては、百分の二十という減給の一番最高限のところということになります。ですから、そういう意味で基本的な合意は得ていただいているということでございますので、その旨大臣にも御報告申し上げまして、具体的な処分の決裁の場におきましては、内容につきましては、大臣からは直接、処分をこうすべしというようなお話はございませんけれども、私どもが検討いたしました案をお示しして、これについて公安委員方々が合意しておるのであればこれで回ってよいということで、私どもがその合意の状況、それから各委員考え方について御説明をし、それで御判断されたものでありまして、大臣指示につきましても、私どもの判断を前提にした上での御判断だったと思います。
  90. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、その持ち回りというのは非常になってないものだと思いますので、そのことを申し上げて、この問題はそれだけにしておきますが、後で我が党の坂上委員がさらにこの問題を鋭く取り上げますので、先に移りたいと思います。  国家公安委員長は、私の質問についてはもう結構でございます。  オウム真理教の関連企業が省庁等のコンピューターソフトに関連する事業を大変大量に請け負っておったということが明らかになったわけですが、これは省庁でいいますと、文部省、建設省、防衛庁、それから警察庁、まあこれは警視庁ですが、それから郵政省というふうに発表されておるわけですが、具体的にどういう経路でどんなソフトがどういう会社に、オウムの関連の何という会社に流れておったか、その経路を、それぞれ名前と、できれば金額も挙げてお答えをいただきたいと思うのです。文部省からお願いします。
  91. 工藤智規

    工藤政府参考人 お答え申し上げます。  二月二十九日に警視庁がオウム関連施設を捜索しまして、私どもの所管の学術情報センターの電子図書館システムの開発の一部を受注していることが判明いたしました。  この学術情報センターといいますのは、もともとは東京大学の文献情報センターということだったのでございますが、全国の大学の共同利用に付するために、国立学校設置法に基づきまして、他の国立大学と同様に昭和六十一年に設置されたものでございます。  同センターで電子図書館システムというのを開発研究して利用に供しているわけでございますが、これは、一般の学術雑誌をコンピューターの中に入れましてインターネット等でアクセスできるようにするものでございまして、機密情報は全くないのでございますけれども、その学術雑誌の増加等に対応しましてシステムの一部を改修する業務をこれまで三社に委託いたしました。そのうちの一社から、平成九年度と十年度に、オウム関連会社であるということが判明いたしました有限会社のヴァンクールというところに一部が孫請のような形で下請に出されていることが判明いたしたところでございます。  金額は、平成九年度は、直接発注いたしました会社への発注額四千四百十万円中、当該ヴァンクールへ下請された実績が約千三百万、それから平成十年度が、総額五千五百六十五万円中約四百万円が下請に出されたということが判明しております。
  92. 石井紘基

    石井(紘)委員 一つ一つ言っていただくと時間がなくなっちゃいますので。  建設省については、関東地方建設局から、ニッセイエブロと書いてありますが、ニッセイエブロという会社に発注されて、そこからアクセスカウンター作成、ホームページのあれですね、これがコーネットというオウム関連企業に行った。それから、同時に下館工事事務所からも同様の経路で行ったというようなことが出ております。  それから、あとは防衛庁と警視庁があるわけですが、防衛庁の場合は、国防に関する問題ですので、これが相当大量にオウム関連企業に受注されておったということになりますと、これは非常にゆゆしき問題だと私は思うのですね。オウム関連の五社というふうに報道されております。  内容は、陸自システムの設定の一部を他の会社に発注したけれども、実際には教団関連会社が下請受注をして、オウム信者の技術者らは全国約十カ所の方面総監部などで作業に当たったと見られておる。そして、ファイアウオールという不正侵入防止システムなんかをすり抜ける情報なども知る立場にあったということですね。  オウム関連のMグループというのですか、この五社で働く人たちは四十人ぐらいの信者であって、この中には相当の専門家も相当数おる。大手企業の場合には、数千人分の人事データが書き込まれたフロッピーなども見つかったということなんですが、これ、防衛庁はどういうふうに考えておられるのでしょうか。簡単で結構です。
  93. 依田智治

    ○依田政務次官 お答えいたします。  防衛庁の場合、本当に防衛機密にかかわるような契約の場合には、特約しまして下請させない、もし万が一下請させる場合でも、しっかりと許可を得てやるという形でやっておりますが、今回のような一般の広報にも使うような通信システムの場合には、原則として一般競争入札でやるということでやっておりまして、その入札の結果、日本電子計算機という会社が落札した。その会社はさらにハード面を富士通に、それから富士通は、下請業者としてシステム設計構築をした富士通ディフェンスシステムエンジニアリング等がその据えつけをやり、それからさらにそこが、全国二十カ所に及ぶ整備を期間内に完成すべく、富士通ディフェンスエンジニアリングの作業員が不足になる分を下請として確保した、そういう中にオウムの関係者があった、こういうことでございます。  私どもとしては、やはり防衛機密にかかわるようなものについては厳重にチェックしていく。さらに一般的なものについても、今回の反省に立ちまして、何かチェックの方法があるかどうか、これは今後十分検討していきたい。  ただ、基地等に出入りする者につきましては、必ずその社からどういう人間が行くと、その場合でも、必ず作業等には立会人をつけて監視しながら作業させるということはやっておるわけでございますが、最終的にこの人間がオウムの関係者であるか、さらにこの企業がオウム関係会社であるかということはなかなか、恐らく治安機関といえども全部を網羅して掌握することは難しいと思うんですが、そんなことで、今後、できるだけそういう一般的な場合でも何かチェックする方法はないかどうか真剣に検討していきたい、こんなことで考えておる次第でございます。
  94. 石井紘基

    石井(紘)委員 防衛庁は、オウムの関連企業に行くまで、少なくとも防衛庁から出されたこのチャートを見るだけでも五段階もあるわけですね。こんなに次々に、下請、孫請、ひ孫請、やしゃご請というふうに回っていっている。そうすると、金額的にもどうなのかな、一番末端の値段と元請とは随分違ってくるなという感じがするわけですが、大変重大な問題だと思います。  それから警視庁の場合も、やはり何段階も経てヴァンクールとかそういうオウム関連の企業に行っているわけですが、警視庁はこの中で、例えば五千台の車両のナンバーや配置先あるいは車検の期限などを一元的に管理する、そういうシステムなんかの一部がオウムの関連企業に流れておって、覆面パトカーなんかの捜査車両などのナンバーなんかも流れておるということで急遽そのナンバーを変更したりしたというんですけれども、警視庁の場合は二年前にもこういうことが発覚しておったというわけでしょう。平成九年の十月に契約したものの中から発覚した。  ところが、それを隠しておったということによって、その間に大手の企業を含めて省庁の発注のものも九十社とかというような広がりを見せたというわけですから、これはどうして伏せておいたのか。伏せておいた責任というのは重大なものだと思うんですが、私が今聞きたいのは、警視庁は、こういった事実を隠ぺいしておったということに対して何らかの措置をとったのでしょうか。
  95. 金重凱之

    金重政府参考人 お答えいたします。  警視庁の方で、これは捜査として、二月二十九日の日に報道発表をした後にも引き続いて、本件事案を認知する端緒になった二つの事件、これで押収した各種の資料、これは三千百点あるのですけれども、これの分析を進めてきておったわけでございます。それで、押収資料が大変膨大でございますので、現時点ではこの約三割を解析しておるというようなことでございます。  そうした中で、今御指摘ありましたように、警視庁が、オウム関連ソフト会社が、警視庁をエンドユーザーとするところの車両管理システムというものでございますけれども、これの開発を受注した旨の記載があるということを押収したコンピューターのハードディスクの中から発見したということでございます。そういうこともございましたので、この二月二十九日に第一回目の公表をいたしましたけれども、その後判明したその他の企業とかシステム例をあわせまして、三月十日に追加の報道発表をしたという経緯がございます。  それで、この車両管理システムでございますけれども、警視庁が保有しておる警察車両約五千台余り、これの管理に必要な各種の情報を一元的に管理するシステムということでございます。これは各所属とオンラインで結んで運用するというようなシステムではございませんでして、警視庁の装備課が単独で運用する業務で、いわば管理台帳にかわるものとして開発されたものということでございます。  それで……(石井(紘)委員「もう結構です。私が聞いたことに答えていない」と呼ぶ)今、数字の……
  96. 中村正三郎

  97. 石井紘基

    石井(紘)委員 もう時間がなくなりますので。警視庁は、そういうものを隠ぺいしておったということに対してどういうふうに措置をしたのかということについて全然お答えにならないわけなので、困ったことでございます。  次に、公安調査庁ですか、オウムは今観察処分になっているわけですね。コンピューターソフト等の事業をやっているオウム関連企業について、これはやはり公表する、こういうところに発注が届いていかないようにすべきだ。これは警察庁もやはり同じだと思うんですが、警察庁としてはそういう行動をとるつもりはありませんか。イエスかノーかだけ言ってください、経過をずっと言われると時間がなくなっちゃうので。
  98. 金重凱之

    金重政府参考人 オウム関連企業すべて公表したらどうかということでございますけれども一般的に、特定の企業がオウム関連企業であるかどうかということとか、あるいはその取引先であるかどうかというようなことにつきましては、これは捜査上の秘密にわたるものもございますし、それからまた、法人の活動に支障を来すおそれというのもございますし、それから、そこで働いておる個人の名誉、プライバシーにかかわる問題というようなことにもなりますから、公表することは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  それからまた、オウムなんかの場合には、いろいろ会社の名前等がどんどん変更されておるというようなことがございます。これからも変更される可能性が高い。それから、会社ということではなくて個人事業の形態で受注しているというようなこともございます。ですから、個人事業の形態で行っているものにつきましても、個人名を公表するということになりますと、これは慎重に扱う必要があるものというふうに思っておるところでございます。
  99. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、オウムの関連企業というのはわからない。そして、コンピューターですからいろいろなソフトを組み合わせて発注が行くわけで、そうすると下請、孫請、ひ孫請とかやしゃご請とか行くうちにそういう企業のところへひっかかっちゃうというわけでしょう。それが膨大な数になっちゃったというわけですね。  しかも、防衛庁なんかの場合は、そうした防衛上の機密といいますかに類したものもある。あるいは警視庁、警察庁なんかの場合も、捜査とか取り締まりに影響のある覆面パトカーだとか、いろいろなそうしたもののデータも含まれている。それでいいというのが警視庁の、警察庁見解ですね。  では、公安調査庁はどうですか。
  100. 木藤繁夫

    木藤政府参考人 御指摘のオウム真理教の関連企業が官公庁あるいは大企業からコンピューターのソフト開発ということで受注していることにつきましては、当庁といたしましても重大な関心を持ちまして調査しております。  しかしながら、当該関連企業が官公庁などからソフト開発を受注している目的が、単なる経済活動であるのか、あるいはそういった官公庁などのデータを入手した上で将来不正に利用しようとしているのかといった、そういう受注の目的につきましては、現時点におきまして詳細が判明していないところでございます。  そうした目的が明確になっておらず、また当庁といたしましては、無差別大量殺人行為に関する危険性ということが十分な把握ができないままにそういった企業名を明らかにすることは、当該関連企業の営業活動を妨害する結果だけを招来することになりかねませんので、その詳しい実態などにつきまして、現在、鋭意調査しているところでございます。
  101. 石井紘基

    石井(紘)委員 あの団体は、松本サリン事件とか地下鉄サリン事件とか、一万人近い多くの直接的な被害者も出した。その結果、これは無差別大量殺人を過去に行った、そして今後もそうした可能性がある団体として、新たな法律ができて、私も、このオウム問題を考える議員の会というのを平成七年から四十数名の国会議員の皆さんと一緒にやっていて、そしてその規制法の法律案もつくって、政府が破防法でやると言っていたのを、それを取り入れて、そして昨年そういう法律がせっかくできたわけです。これは国家の転覆を目指しておったのですよ。そうでしょう。そういうものを、この営業の目的がどこにあるかというようなことが定かでない、そういうような答弁で通るのですか。  それはまた後で聞きますけれども、やはり郵政省も発注の中にそういったものが行っていたというんですけれども、郵政省はどうしてそういう経路、事実を出せないのですか。
  102. 小坂憲次

    ○小坂政務次官 お答え申し上げます。  私どもも、警視庁の方から通告を受けまして、郵政省業務管理システムという内容のものがあるのではないか、こういう問い合わせを受けたわけでございますが、私どものソフト関係調査いたしましたが、業務管理システムという名称の物件がないのでございますね。  したがって、一体どういう内容のソフトであったのか。この業務内容について警視庁と連絡をとりながら調べると同時に、また私ども平成八年以降発注をいたしました契約について精査をいたしましたが、該当する件名がございませんし、また平成五年以降のソフトウエア開発の契約社に、これは約六十社、約一千件近くあるわけでございますが、その開発に携わった下請、孫請を含めて、どのような業者が携わっていたか、関係していたか全部調査してくれ、こういう依頼を今して、この業務内容がどういうものであったかを何とか私どもも把握しようと、また警視庁の方も把握しようと両者で努めておりますが、そういった状況でございますので、残念ながら、今具体的にどれであったかということが特定できない状況にありますので、もう少しお時間をいただきたい、こう思っているところでございます。
  103. 石井紘基

    石井(紘)委員 警視庁がこの実態を、いろいろなほかの捜査や押収の中で、こうしたものが見つかったということを出されたことは大変結構だったと思うんですが、しかし、それをそのままにしておいたのじゃいけないわけであります。  郵政省なんというのはやはり通信の本家本元ですからね。ほかのところは大体出しているんだけれども、郵政省が出せないというのは、大体警視庁がこれを発表されたのは、ほかのところは全部事実としてあったのですよね。ですから、郵政省も私はあったはずだろうというふうに類推しているわけですが、早くやはり発見をしてもらわなければ困ると思います。  それから、公安調査庁に引き続いて伺いますけれども、今オウム真理教、何か今度はアレフとか名前を変えたらしいですけれども、これは今新法によって観察処分ということになっているわけですが、これをさらに一段上の再発防止処分というふうに持っていく、そういう考えはないのでしょうか。
  104. 木藤繁夫

    木藤政府参考人 オウム真理教は現在観察処分に付されているわけでございます。新しいオウム新法によりますと、さらに強い処分で再発防止処分という処分があるわけでございますが、それにいくかどうかにつきましては、法律上、非常に厳しい要件が書いてあるわけでございまして、観察処分によりましてその実態を明らかにして、その要件があるかどうか、それを積極的に検討してまいりたい、このように考えております。
  105. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっと私、時間を間違えておって、時間がなくなってしまいました。  関連して、サリン事件被害者というのは五千人を超える数がいるわけでして、この方々はそれぞれ当初病院にかかったときのカルテがあるのですが、これは医師法の二十四条でもって五年間でカルテは消却してよいということになっているのです。しかし、これを消却されてしまいますと、今後の補償の問題とか、あるいは後遺症の問題というのが出る可能性が非常に大きいわけで、しかも類例のない犯罪であるし、事柄が、化学物質がそういうものですので、遺伝子なんかに対する影響も学者、専門家の間ではかなり指摘されているわけです。  ですから、厚生省は、医療機関にこのカルテの保存というものを要請するなりなんなりということをきちっとした形でやっていただきたい、あるいは医師会なんかにもそういう要請をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。簡単に一言答弁してください。
  106. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 議員御指摘被害者方々のカルテにつきましては、医師法によって五年の保存とされておるわけでございます。継続的な治療など医学的に必要と判断される場合には、私が改めて申し上げるまでもなく、五年間の保存期間を超えましても、医療現場の常識として、医療機関において適切に保存されるものであります。  なお、裁判や補償など治療以外の目的のためにカルテを保存する必要がある場合には、あくまでも訴訟手続によって行われるものだ、このように承知いたしております。
  107. 石井紘基

    石井(紘)委員 ぜひ厚生省はこれに対して適切な対処をしてもらいたいと思うんですね。カルテの保存だけじゃなくて、やはり定期健診というようなものもきちっとやる必要があるというふうに思います。ちょっと時間の関係で、答弁は結構です。  もう一つ、私は、きょう農水省にも来てもらっておって、農業のことをちょっと最後に触れますが、財団法人林業土木コンサルタンツという財団法人が農林省の関連でございます。この財団法人は、有給の役員というものが、理事長一名、常務理事四名、常勤理事十一名ということで、全部で十六名おるわけですが、これは全部農林省関係のOBの皆さんでありまして、この報酬だけで年間二億三千万を超えているということであります。  ここは約八十億余りの事業をやっておりますが、農水省を初めとする各官公庁から事業を受けまして、それを、全部で幾つありますか、百六十六の会社に、主としてコンサルタント会社、大部分がコンサルタント会社ですが、こういうところに、丸投げとは言わないけれども、下請で出して、そして、出している金額が全部で十四億四千万円ぐらいです。しかし受注をする金額は、役所から得る金額は七十七億に、役所だけじゃありませんが、一部ちょっとだけ民間等も入っておりますが、七十七億で受けて、大変な利益を出しておる、そして、大変な人件費を捻出しておるという団体であります。  総理府の公益法人指導監督基準によりますと、所管の省庁からの出身者は役員の三分の一以内にとどめるべしということで、それがもう既に昨年の九月に終了していなきゃいけない、実行されていなきゃならない、そういうたぐいのものでありますので、私はこの団体を、そうした法令に背いておる団体である、必要のない団体であるというふうに断定していいだろうと思うのです。天下りのためにむしろつくったという声も多いわけでございます。  そこで、官房長官にお見えいただいているのですが、官房長官、この公益法人の指導監督基準を大きく逸脱して全然守っておらない、こういう団体を廃止するということを求めたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  108. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  公益法人の設立許可及び指導監督基準、これは平成八年の九月二十日に閣議決定をいたしまして、それを受けて各所管官庁では、本基準に適合しない公益法人に対しましては三年以内、すなわち平成十一年九月、昨年の九月まででございますが、本基準に適合するような指導をすることとされておりまして、所管官庁において、所管法人の指導監督に現在努めているところでございます。  今申し上げましたように、昨年の九月に三年がたっておりますので、十月一日付で、私どもは、この基準に反しないものがどれだけあるのか、そういうことを各省庁に提出するように求めておるところでございまして、その結果を見まして、私どもは、当然、廃止ということよりも、基準になかなかきっちり適合しないような難しい問題も多少あると思いますので、その辺も厳重に調べまして、できるだけの対処をしていきたい、そういうふうに考えております。
  109. 石井紘基

    石井(紘)委員 これで終わりますけれども、これは、民間がやるべき事業を官公庁のものが圧倒的に奪っておりますし、要するに、こういうものが民間の経済あるいは国全体の経済というものを、非常にその発展を阻害しておるわけですので、ぜひひとつ厳然たる対処をお願いしたい。  農水大臣にお見えいただきましたけれども、時間がなくなりました。大変恐縮でございます。
  110. 中村正三郎

    中村委員長 次に、坂上富男君。
  111. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございます。私は、本日は三項目について質問をさせていただきます。四十五分の時間をいただいておりますものですから、一問一答で今回は質問をさせていただきたいと思っております。  まず、その第一でございますが、私の町は三条市でございます。そして、その隣の町が加茂市という町でございますが、この加茂市の駅前で、先般、殺人事件が起きました。  三月十二日午前十時ごろ、加茂駅前の焼き鳥店の女性店主が、後頭部に十数カ所の傷を負って、同店二階寝室で殺害されていることが発見されました。実は、この隣は当直制の交番があるのであります。私は、これだけの事件でございますから、この犯行中、交番はこの犯行について察知することができなかったのだろうかということに非常な疑問を感じているわけでございます。  死亡推定時刻は、非公式発表でございますが、十日金曜日の深夜から十一日の土曜午前中にかけてと見られておると言われております。また、新潟県警の説明によりますと、この駅前交番は当直体制を組んでおり、金曜の夜は一人が勤務していたが、この間、隣から人が争う音など不審な様子には気がつかなかったということであります。顔見知りの犯行の可能性もあります。しかし私は、犯行時被害者が声を上げたことは十分に想定されると思うのであります。また、隣の交番勤務の警察官が何も気づかなかったというのはどうなんだろうかということに疑問を挟んでおります。  そこで、問題は、単に気づかなかったのか、二番目、交番が無人だった時間に犯行があったのか、三番目、警察官が気づかない状況にあった、例えば熟睡しておられたとかなどのことが想定されますが、この問題について、もう交番の隣で、交番に当直がおられるのに、どうもここで殺害が起きるなどということは全く想像に、慄然とするということを私は覚えているのでございますが、警察当局、これはどなたでもいいですが、的確にひとつ認識を発表してください。
  112. 井口斉

    井口政府参考人 御指摘事件は昨日発生いたしまして、きのうの夕方に捜査本部を設置して現在捜査中でございます。御指摘の交番につきましては、日勤制の所長が一名と交代制の勤務員五名、三交代の交番とお聞きしております。  それで、事件が起こったと思われる十日から十二日にかけての間でございますけれども、その間の勤務員に聞きましたところ、これまでの新潟県警の報告によりますと、これら交番員は事件に関するような不審な物音等は聞いていない、現在のところこういう報告をとっておるところでございます。
  113. 坂上富男

    坂上委員 警察庁、だから言っているのです。あなた方がそういうふうに認識をしていることは、私は今発表したのです。同じことを繰り返したって意味がない。問題点を三点、私は指摘したのです。  これは一体、単に気づかなかったのか、交番が無人だった時間にあったのか、警察官が気づかない状況にあった、例えば熟睡とか、そういうことを聞いているのです。こういう観点からこれは調査しなければいかぬ問題だろうと思っているから、どうなんですかと、こう聞いているのですよ。  答えられないでしょう、これじゃ。答えられるの。むだな時間をつぶしちゃあれだから、答えられなかったら、これから調査して答弁しますでいいですから、きちっとしてくださいよ。
  114. 井口斉

    井口政府参考人 御指摘の交番でございますけれども、先ほども申しましたように、普通ですと一名ないし二名の者が夜間帯におりますけれども活動形態によりましては、だれもその交番にはいないということがあり得る交番であると聞いております。  御指摘の件に関しましては、済みませんけれども、昨日本部をつくって、現在も現地で確認しておりますけれども、まだ十分に実態を把握でき、分析できておりませんので、その点につきましては、新潟県警の方でさらに検討されるものと思っております。
  115. 坂上富男

    坂上委員 こういう点、まさに国民の安心の問題です。今一番大きな問題が議論されている最中にまたこういうことが起きているわけであります。交番の当直職員にはあるいはうっかりさはなかったかもしれませんが、だけれども、交番の全く隣で、もうひっついているんですよ、こんな殺人事件が起きて警察が知らなかったなんという、こういう事案でいいのかということが私たちの全く素朴な心配なんですが、この点について長官、どんな感じですか。
  116. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、交番の隣でこのような凶悪な事件が発生したということにつきましては、私ども仕事あり方等も含めまして反省すべき点があるのかどうか、また、犯行時間の特定の問題等もございますので、そのときの勤務体制がどうであったのかということにつきましては、綿密な調査をさせていただきたいと存じます。
  117. 坂上富男

    坂上委員 責任を問うているわけではないんですが、国民が安心できるような体制をつくってください、これが私らの要望なんです。だから、その点をよく警察庁はお考えいただいて処置していただきたい、こう思っておるわけでございます。  その次、話は全く違いますが、これもまたしかし、大変経済界に与える影響が大きいものですから聞くんです。  新潟中央銀行の破綻に伴う問題でございますが、簡単に聞きますが、この新潟中央銀行の受け皿についてはどういうお考えがあるのか。分割譲渡がなされるというような報道もあるのでございますが、もしこれが分割譲渡というようなことになりますと、三つ割りにして、三つの地元銀行があるのでありますが、それをひっつけたって、これは余り意味がないんじゃなかろうか。私は、これは地域産業に与える影響は大変大きいと思っておるわけでございますが、一体金融庁、これに対する対応をどうされるのか、お答えいただきたい。
  118. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  昨年、第二地銀五行が破綻いたしたわけでございますけれども、そのうち新潟中央銀行につきましては、まさに先生御指摘のとおり新潟県の銀行ということで、やや東京の銀行あるいは大阪、近畿の銀行というのとは違いますということをよく踏まえた上で、受け皿探しにつきましては、できるだけ早く受け皿に譲渡を行うということが一番重要であるという物の考え方に従いまして、現在、金融整理管財人が、まずは新潟県内の複数の金融機関に協力を要請と申しますか、受け皿になる意思があるやないやということについて働きかけをしている状況でございます。  先生御指摘の分割譲渡というのが新聞報道になされていることは承知しておりますが、今何か、分割譲渡にするか一括譲渡にするかということを決めているという状況じゃ全くございません。基本的に、今までの例を申しますと、まずは一括譲渡というのが原則で物を考えていきたいというふうに考えております。
  119. 坂上富男

    坂上委員 もう一点、分割譲渡があるとするならば、県内の店舗と県外、長野、群馬あるいは埼玉、東京におありのようでございますが、県外と県内とは分割という可能性はあるかもしらない、これはどうですか。
  120. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、新潟中央銀行が破綻した際、県内の債権が約五三%、県外での新潟中央銀行の借り手への債権額というのは約四七%でございました。そういう銀行である中で、県内と県外を分けて考えるかどうか、これについても預金保険機構と密接に協議をして今検討しております。  先生御指摘のような面は確かにあるかと思いますけれども、すべてこれからの、各協力する銀行はどういうところがあらわれるかということについて、これから強力に、早期に受け皿探しをしてまいるべく現在鋭意努力しているところでございます。
  121. 坂上富男

    坂上委員 この際、要望しておきます。  新潟中央銀行というのは、本当に地域産業に大変協力をいただいた銀行だと私も思っております。また事実、関係者のところへ回ってみますると、大変よく御協力をいただいたと。そして、これが破綻をしたために、新潟県やあるいは政府機関がいわゆる特別融資的な制度を設けていただいた。したがって、新潟中央銀行が仮にそうなっても全く心配ないようにというような配慮があったと言われておりますが、どうも実際にやってみますと、今まで借りていたのを借りかえようと思って今度政府機関に申し込んだけれども、やはり思うようにいかないというような話が私のところまで時折持ち込まれてきておるわけでございます。  でございまするから、ほかの場合は、三年間融資を受けていた場合は新しい譲渡先銀行でも三年間そのまま継続ができるようにとかといろいろ条件がついて対応されているというお話のようでございますが、いわゆるこの受け皿について、地域産業に与える影響、こういうことについて金融庁やあるいは預金保険はどういうふうな配慮を心して対応されているのか、締めくくりの御答弁をいただきたいと思います。
  122. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  新潟中央銀行が破綻いたしまして、すぐに業務及び財産の管理に関する計画というものを金融整理管財人につくらせまして、当金融再生委員会承認しております。そのポイントは、善意かつ健全な借り手の保護、さらに、新潟中央銀行の資産劣化を防止する、あるいは国民負担を極力極小化する、そういうことを掲げているわけでございます。  先生御指摘のとおり、この善意かつ健全な借り手の保護というのが非常に重要なことでございまして、そういう意味におきまして、善意かつ健全な借り手でいる限りは、新潟中央銀行、破綻したとはいえ、現在金融整理管財人のもとで経営されている銀行でございまして、そういう善意かつ健全な借り手への融資を維持継続することが新潟中央銀行の価値を維持することにもなって、また受け皿が出てくるということにもなるわけでございまして、そういう面で適切な融資の継続ということを金融整理管財人を通じて指導している次第でございます。
  123. 坂上富男

    坂上委員 ぜひ地元産業界が不安に陥らぬように対応していただくよう強く希望いたしておきたいと思います。  さて次に、新潟県警の女性長期監禁事件について質問をさせていただきます。  この事件は、私はもうあらゆる機会に各種委員会で発言をさせてもらいまして、ずっと問題点指摘してきたところでございます。たびたびの質問でございますが、再度また質問をさせていただきたいと思います。  まず、質問するに当たりまして、本当に被害者の女性が一日も早く回復されますことを私はお祈りをしております。また、御家族や御親戚の皆様方に本当にお見舞いを申し上げたいと思っておるわけであります。質問のたびに私は御意見をこういうふうに申し上げさせていただいております。  さてまた、警察当局でございますが、連日の質問で確かに御苦労である。本日の質問をするに当たりまして、先週の終わり、刑事局長が体が大変不調である、そしてまた警察庁次長がこれまた入院なさったとかというお話も聞いておりまして、私も先週、刑事局長どうも体の調子がよくないのかなと感じておりました。しかし、刑事局長は極めて的確に、率直に事の真相について報告をいただいておりまして、私は、大変敬意を表しながら厳しい質問を続けさせていただきました。  しかし、体の不調だけは一日も早く回復していただきませんと、日本警察のためにもならぬと私は思っておるものでございまするから、きょうの答弁は課長さんでもあるいはその他の方でも、的確にさえ御答弁いただければ結構でございますのでということも申し上げていたわけでございます。でありまするから、あるいは私自身の質問の中で、直接前とのかかわりにおいて質問事項がつながらぬ場合もないわけでもなかろうかと思いますが、的確なひとつまず御答弁をいただきたいと思っておるわけでございます。  事の一つは、本件事件で起訴されました被告人の母親について、これは被疑者として今調べているのですか。
  124. 井口斉

    井口政府参考人 お答えいたします。  現時点におきましては、被告人の母親については、本事件の被疑者として捜査をしている状況にはないと聞いております。今後とも慎重に捜査するものと承知しております。
  125. 坂上富男

    坂上委員 そういうふうに聞いておきましょう。  それから今度は、これはテレビで放映されたのでおやっと思ったことが一つございます。  最初事件が発生してから、捜査中、警察犬を使われまして犯罪の追及に当たられたそうでございます。そして、その放映によりますと、この少女は自宅に帰るとき、時折でしょうか毎日でしょうか、ちょっとわかりませんが、時折と言った方がいいと思いますが、狭い道を、あぜ道とも言われているのですが、狭い道を通って帰るのが大体普通であったと。そして今回、警察犬を使って少女の動きについて追及してみたら、このあぜ道を越えて、割合広い道の、何十メーター先かわかりませんが、右折するところがあって、その右折する場所に警察犬がとまった、二度やってみても同じ状況があった、こういうことが放映されており、当時の署長さんもそれを説明をされたというふうに放映されているわけでございます。  まず、こういう事実はあったのでございますか。
  126. 井口斉

    井口政府参考人 そのとおり、その当日、警察犬を使いまして、少女のにおいを原臭といたしまして追跡、追及をやった事実はございます。
  127. 坂上富男

    坂上委員 だから、二度ともあぜ道を乗り越えてこの右角のところまで行ったのかどうか、こう聞いているのです、課長。
  128. 井口斉

    井口政府参考人 当日は三回実施しております。うち二回につきましては、右に曲がります、あぜ道は通っておりません、犬は。先ほど先生御指摘のあぜ道は通っておりませんで、通用門から出発いたしまして右折しております。右折した後さらに次の道を左に曲がる、その後の交差点で要するにわからなくなってしまった、こういう動作を二回しております。  三度目につきましては、今度はあぜ道を越えた部分、そこをスタートいたしました。そうすると、今度は犬は全く違う方向に向かいまして、先ほどの場所と全く正反対の方向に向かいまして、しばらく行ってまたわからなくなった、こういう状態でございました。
  129. 坂上富男

    坂上委員 もうそれ以外に、この事件の端緒たるというか、証拠たるといいますか、そういうことはほとんどなかったんじゃないでしょうか。  私も現場をよく知っておるのでございますが、川に落ちて不慮の事故に遭うという状況もありません。したがって、突然神隠しのようになってこの少女がいなくなった。唯一、警察犬が二度にわたって同じ場所まで、そのにおいによってこの場所まで行って、そこにぴちっと二度とまった、こういう状況でありますから、これなんかは確かに有力な証拠なんだろうと思うのでございますが、この辺、警察はこの問題をどう認識されたのですか。
  130. 井口斉

    井口政府参考人 犬の追及の件をもう少し詳しく御説明させていただきます。  確かに犬を三回使って追及しておりますけれども、この場所につきましては、小学生の通用門の通りということで、既にそういうたくさんの小学生の方が下校して使っている。あるいは、その現場付近で工事中でございました。工事員の方も出入りしているというわけで、多数の臭気が混在している可能性が高く、警察犬の追及という点でいきますと、必ずしもいい条件ではなかったというふうに聞いております。実際のところ、警察犬の追及状況も迷いがなくすっといったというわけではないとお聞きしております。  したがいまして、新潟県警では、もちろんこの犬の追及につきましても十分参考にしたわけでございますけれども、これをもってして事件、そこで拉致があったというところまでの断定はできず、引き続き事件、事故双方の観点から諸活動を実施というふうに聞いております。  ちなみに、今回救出されました被害者の供述、後でわかったわけでございますけれども、その当時警察犬が追及した経路は、実際に被害者からお聞きした経路とは実は違っておったということが判明しております。
  131. 坂上富男

    坂上委員 そういうことは問題じゃないのです。事件かどうかということの認定としての証拠資料になるんじゃなかろうか、こう言っているのです。これを事件として立件といいますか、できなかった条件はほかに何があるのですか。
  132. 井口斉

    井口政府参考人 本件につきましては、事件であるとも事故であるとも断定できる情報はございませんでした。発生直後におきましても、またその後におきましても、事件であると断定できる具体的な情報は特になかったものでございまして、新潟県警におきましては、事件の可能性を念頭に置いて所要の捜査を行ったものと聞いております。
  133. 坂上富男

    坂上委員 では、警察はどう思ったのですか。事故とも思わない、事件とも思わない、どう思ったの。
  134. 井口斉

    井口政府参考人 私どもは、事故の可能性もある、事件の可能性もある、したがいまして、事故捜査として、要するに、事故に遭った可能性があるとしての発見活動も行いましたし、同時に事件の可能性もあるというわけで、必要な捜査両方を行ったというわけでございます。
  135. 坂上富男

    坂上委員 では課長、事故の可能性というのはどういうことを指しているの、この場合。山まで川まで全部調査しているのですよ。それから用水路ですか、これなんて小さいところなんですよ。だから、仮にそこへ落ちても命にかかわるほどのことではないのですよ。だから事故だなどということはどうも……。車に乗っけてどこかへ行っちゃったんじゃないかということは、これはやはり考えてあり得ることなんじゃなかろうかと私は思っているのです。  もう一つ申し上げます。  私は最近、ある工場の団地を回ったのですが、そこで私にお話がありました。その方は、九年、十年前のここの少女の学校とは別の学校のPTAの会長さんでございました。その会長さんが私に言いました。あなたは随分国会でやっておられるようですが、実は私がPTA時代、三条市内のある学校で白い車が、ある学校というのはこの学校を除くのですよ、ある学校で子供が白い車に連れ込まれそうになったということが、一回ならず二、三回あったという話が流れておって、そこでPTAとしても、それを注意しましょうということをPTAの役員会に話をしたことがあります、こうおっしゃいました。これは、おっしゃった以上は事実なんでしょう。しかし、これが事件かどうかは私わかりませんが、その方は、そういうことがあったということをいつでも公の席で話をしても構いませんとおっしゃっています。  そういうようなことがいろいろあったという状況から見ますと、やはりこれは、事故だということをそのままにしておくということはいかがかと思うのでございます。やはり事件としての捜査が、ほかの、コンピューターの問題もありますが、それは除いて、この状況から見ても、全く突然神隠しに遭ったようなそういう状況で、警察犬がそんな追及もしてくれたり。あとは、事故という条件は全くなかったのだ、もう本当に警察官も消防団も地域の人たちもPTAの人たちも、連日少女の調査を盛んにされたんですよ。しかし、わからなかったのです。だとするならば、事故なんじゃないだろうかと思うことに私は大変問題があったのじゃなかろうか、こう思っておりますが、どうですか。
  136. 井口斉

    井口政府参考人 本件につきましては、おっしゃるとおり、事故であると断定するものもございませんし、また間違いなく事件であると断定するにも若干証拠が足りないというあたりで、事件、事故両方の観点でやっておった。ですから、事件ではないとして捜査をやっていなかったものではなく、事件の可能性をもちろん念頭に置いて、両方の観点から作業をやっていたというふうに理解しております。
  137. 坂上富男

    坂上委員 私の町に起きた事件なんですよ。私は、実はこの十年間といいましょうか、この問題を国会で質問すべきかどうかずうっと悩み続けてきたのです。と申し上げますのは、仮に質問をして、今言った程度の答弁で私が御答弁いただいたとすれば、御家族や心配する人たちはがっくりするだろう、こう思って実は遠慮していたのです。  しかし今考えてみると、もっと私は強く質問をして、こういう観点はどうだ、こういう観点はどうだ、こういう観点はどうだと、例えば皆さんから資料を出してもらってでも、この被告人の場合などは入力をしなかったというのでしょう。しかもその捜査範囲は、広域捜査をしなかったのでしょう。まさに私たちの町の三条、隣町、その近辺しか対象を広げなかったとも聞いているわけであります。そういう実態をよく明らかにしてもらって、もっと広げるべきだ、手落ちがないかということをもっともっと指摘をすればあるいは出たのかもしらぬな、私もこの問題についての責任があると私は今思っているのです。  だから、こういうふうなことから考えてみて、この事件というものは本当にあらゆる関係者が大変な心配をし、そしてこの成り行きについて大変心配をしているのです。だから私も、私自身、議員としての責任も感じているのです。そんなような観点から、事故かもしれない、事件かもしれない、しかしいずれかわからないでは、これは済まされないと思うんだがね、こんな程度の答弁で。長官、どう感じます。     〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕
  138. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、この事件につきましては、委員からも数次にわたり御質問をいただいております、まことに悲惨で痛ましい事件でございまして、私も、被害女性に、あるいは御家族の方々に心からお見舞い申し上げる気持ちも委員会で述べさせていただいております。  今担当者から申し述べましたけれども、この事件につきましての総括といいますか、全体としての検証というのはまだ済んでおりません。したがいまして、鋭意新潟県警におきましてもそれなりの努力はしてきたと思いますけれども、しかしながら、九年二カ月発見できなかったということの事実の重みというのは私ども大変深刻に受けとめております。  そういたしますと、捜査の当初の過程あるいは途中の過程で、今お話しのように、事故ではなくて事件と断定するような要素はなかったのかどうかということも含めまして、この検証に当たり、その辺も細部にわたって詰めてまいりたい、そして、またこういうような事案が二度と起こらないように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  139. 坂上富男

    坂上委員 ぜひひとつ本当に真剣な議論をしていただきたいと思っているのです。これは、選挙に利用するとか政治的に利用するとかという問題じゃないのです。まさに国民の命にかかわる問題ですから、ぜひまじめに、真剣に、こういうものを政争の道具に使うような発言は私は慎んでいかなければならぬと思っております。  さて、国家公安委員長に御質問をさせていただきます。  この間、警察の集中質問の際に問題が提起されました、持ち回り決裁についての適法性の議論がありました。  浦和地裁の判決、大阪地裁の判決、子細に私は検討いたしました。認識が、長官はもちろんのこと、国家公安委員長もおありなのでございましょうかどうか、これはぜひ私はもう一遍子細に検討させていただきたいと思って、御指摘をまず申し上げたいと思っております。  まず大阪地裁の判決。大事なポイントをちょっと読み上げます。  本件デモの申請については、既に三月十一日の定例会議において不許可と決定した原告からの最初のデモ申請と万博会場道路を進行する点において実質的に変わるものでなく、前回の不許可決定と時間的に接着し、その間に客観的情勢の変化はなく、また、デモ実施予定日も切迫していたのであって、これらの事情を考慮すると、本件は同規則第一条に定められた特別の事由がある場合に該当すると認められるから、同公安委員会がいわゆる持ち回り決議によってこれを不許可と決定したことには何ら手続上の違法はない、と言っているのです。  これは同じことを、きのうなのかおとといなのか知らぬけれども、この間やったばかりだ。だから、同じ議論なんだからもうそのあれは必要でない、こういうことで、これは特別事情に当たる、こう言って判断したことなんですね。でありますから、無効でない、合法だ、こう言っても、こういう条件がついているのですよ。  さて、その次。今度は浦和地裁の判決です。いいですか。これは無効だというのですよ。  不完全、不十分な説明を受けただけでなく、一部著しく正確性を欠く説明を受けたまま本件取り消し処分を決定したとうかがえるものであって、本件取り消し処分の審査判定手続は、違法であることは免れない。  そこで、持ち回りができるのが書いてある。  災害その他緊急な事態の発生した場合において、会議を招集することができず、招集してもこれを開くことができないときはいいけれども、そうでない限り、公安委員が直接一堂に会して会議を開き、その議決によることを要するのであって、これと異なり持ち回り方法によって会議を開き、その議決によって職権を行使することは、本来予定するところでない、よって、違法であるという判断をしているのですよ。  この二つ、どうですか、お読みくださって。もう条件がついているのですよ。これをもって合法だなどということは明らかに間違いです。  そこで、もう一つ。長官、こういうことを知っていますか。商法で、取締役会のことについて、最高裁の判例があることを知っていますか。最高裁はこう言っているのですよ。  取締役は、また、電話や書面によって議決権を行使することはできず、いわゆる持ち回り決議の方法も認められないと解されている。最高裁、昭和四十四年の判例、こうなんですよ。  したがって、長官、あなたがまず委員長に誘いかけられたようですが、持ち回りにしてくださいと。そして、それを委員長は御承認になったようでございます。これはやはり、長官、あなたは、大変私も言いづらいのですが、違法決定をしたことに対する責任はこの中に大きくあるのじゃないでしょうか。  もう一つ質問します。  二十六日、中田局長の報告がありました。これは、皆さんのお話を聞いていると、処分は甘過ぎる、言語道断だと思っている、こう言いながらみんな承認しているのです。もしも、この報告は委員会で否決する、承認できない、こうなったら、これは長官、どうなるのですか。長官、あなたが辞職ということになるのですか。委員長、これはどうなんですか。  この二点、お答えください。
  140. 田中節夫

    田中政府参考人 持ち回り決裁の違法性、妥当性の問題でございます。判例を二つ引用されまして御説明いただきました。  最初の大阪地裁の判例でございますが、これは同じような決定を二度する、要するに、事実上の合意というのは既に形成されているというような判断でありましたけれども、この際も、やはり事実上の合意がどのように形成されているかということが問題であろうかと思いますけれども。  この大阪地裁の判例につきましても、私どもといたしましては、既に一堂に会して会議を開いて、そこで実際に議論をしておる、また同じような結論になるのでというところにつきましては、これは各個に、公安委員会に連絡をしてやっております。したがいまして、その事実上の合意がなされたかどうかというところが問題になろうかと思います。  浦和地裁の判例につきましては、当該取り消し処分の結果に影響を与えるような可能性のある事項の中に事実認定上微妙なものが含まれ、被処分者においてこれを争う、これは運転免許の取り消し処分の決定でございますけれども、争う可能性のあるもの、その場合には持ち回りは違法である、こういうような判断を示しております。  したがいまして、私どもの今回の判断につきましては、公安委員の各委員が、今回更迭すべし、それから小林本部長につきましては、厳重といいますか、厳しい処分あるべしという御判断をいただきました。私どもは、厳しい処分と言いました場合には、当然にこれは減給の一番最高ということで判断したわけでございます。したがいまして、実質上の合意があったというふうに私ども判断したわけでございます。  それから、中田局長の処分について御意見がございました。  これは、私どもは繰り返し国会等で申し上げておりますけれども、この中田局長の行為、監察を実際その目的に従ってやらなかった、ほとんどやらなかったということにつきましては、これは職務懈怠あるいは信用失墜等の行為がある、国家公務員法で懲戒処分に付すべき事由があると判断いたしました。  しかしながら、その事由に基づきまして……(坂上委員「もう結構。もういいです。わかりました」と呼ぶ)
  141. 赤城徳彦

  142. 坂上富男

    坂上委員 委員長、答弁の前にもう一つだけ。つけ加えて御答弁いただきます。  これは三大新聞の一つでございますが、全国版に、「「新潟の監禁」被害女性 地域ぐるみで復帰支援 三条市が募金活動」こういうことが出ているわけです。これが私たち三条市民の気持ちなんです。  そこで、私は前から言っておりますけれども、これは初動捜査から捜査ミスがあったのだ、捜査ミスがあれば国家賠償法の対象だ。だとするならば、新潟県も国も一緒になってまず国家賠償法の賠償をすべきであり、また、これにかかわらず、国以下が挙げてこのことのために、復帰支援のための対応を金銭面でも強くやらなければならぬと私は思っておりますが、ひとつ委員長、二つの点と申しますか三つの点と申しましょうか、御答弁いただいて私は質問を終わります。
  143. 保利耕輔

    保利国務大臣 先生の御質問に対して初めてお答えをいたしますが、先生が先ほど仰せになりました被害者に対するお見舞い、さらにまた、御両親それから親族の皆様方に対して、私は、このたびの警察の不始末につきましては、心からおわびを申し上げたいという気持ちは先生と一緒であります。その上で、お答えを申し上げます。  まず、持ち回りにつきましては、私は、緊急性を考え、また委員の皆さんの意見が集約されているという判断に立ち、しかも二十五日中に御決裁をいただくという事情があったので、持ち回りを指示いたしました。その責任は私にございます。  それから、中田氏の問題につきましては、これは長官人事権者でありますが、長官の決めました処分を国家公安委員会としても了とした。これは、決裁書はもちろんございません。が、各人が長官のお話を聞いて、それでよろしいという御判断をなさったということでありますので、それをもって私は国家公安委員会の判断としてよろしいという結論を出したわけであります。  いろいろ御指摘をいただいておる点につきましては真摯に受けとめさせていただきますけれども、私は、今回の持ち回りのことにつきましては、やむを得なかった措置というふうに御理解をいただきたいと存じております。  女性の復帰についてでございますけれども、これは、新潟県がお取り組みになっていらっしゃる、あるいは地域の三条の皆様方がお取り組みになっていらっしゃることについては、私は心から敬意を表したいと思います。  さらに、国家賠償につきましては、これからの検討かと思いますが、警察庁において真摯な検討がなされますように私も努めてまいりたいと思っております。ただ、この問題につきましては、一般的にどういう形でこれが適用されるものかどうか、今後十分な検討をなされた上で、気持ちとしては、本当に心からお見舞いを申し上げなければならぬ、この気持ちを持って対処してまいりたいと思っております。
  144. 坂上富男

    坂上委員 どうもありがとうございました。
  145. 赤城徳彦

    赤城委員長代理 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、春名直章君。
  146. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。  私、地方行政委員会に所属しておりまして、この新潟県警問題、繰り返し長官また国家公安委員長にもお話を伺ってまいりました。改めて事実をしっかり認識をし、その上で警察改革という問題が出てくるのだろうと思います。その点でまだ不十分な点、私わからないことがたくさんありますので、幾つかに絞ってお聞きをしていきたいと思います。  まず、警察庁長官にお聞きします。  中田局長の一月二十八日、当日とった朝からの具体的日程、何時何分に何をされていたのか、このことについてまず御答弁ください。
  147. 田中節夫

    田中政府参考人 中田前関東管区警察局長の一月二十八日の行動でございますが、特別監察当日の一月二十八日は、新幹線列車事故のために予定よりおくれ、十一時五十五分ころ新潟県警察本部に到着いたしました。十二時十分ころ同本部から昼食会場に向かい、十三時十分ころ昼食会場から新潟西港への視察に出発、十五時〇分ころ新潟中央署に到着し特別監察を実施いたしました。十六時ころ新潟中央署の特別監察を終了し、同署を出発いたしました。十七時少し前に宿泊所に到着いたしまして、十八時ころから二十時ころまで新潟県警幹部と夕食、それから二十時三十分ころから約四時間ぐらい本部長とマージャンで遊興をしておるというのが一月二十八日の行動でございます。
  148. 春名直章

    春名委員 それは報告にも、新潟県警をめぐる事案に関する報告書ということで、これにもそういう中身が書かれてあるので、改めて確認をさせていただきました。  ところで、当日の特別監察の計画、どういう計画だったのか、そのことをお伝えください。
  149. 田中節夫

    田中政府参考人 私どもが把握しております事前の計画では、午前十一時〇〇分から午後二時三十分まで警察本部に対する監察、午後三時から午後四時三十分まで警察署に対する監察に当てる計画であったと報告を受けております。
  150. 春名直章

    春名委員 当日の計画は、十一時十分から一五時まで約四時間にわたって県警本部を監察するという計画でありました。今お話がありましたように、県警本部に局長がいたのはわずか十五分です。今ので改めて明らかにしておきます。  そこで、二十五日、中田局長辞職を決定する時点では、今お話が出されましたどれとどれの事実を長官は把握をされていたのか、そのことを具体的にお伝えいただけますか、二十五日の時点で。
  151. 田中節夫

    田中政府参考人 一月二十八日、新幹線でおくれたということは把握しております。それで、そのときに、十一時半ころ本部に到着いたしまして本部長等説明を聴取した、十四時ころ本部から出まして新潟西港に行った、十五時ころ新潟中央署監察、十六時に新潟中央署を出発いたしまして、十七時ころ宿泊所に到着をした、十七時五十分ころから十九時二十分ごろまで、これが夕食、それから八時ごろからマージャンをしたというような報告を受けておりまして、私どもといたしましては、この時点で既に監察の目的は達していないというような判断をしたわけでございます。
  152. 春名直章

    春名委員 今お話が出ましたけれども監察の計画とは全然違っていたということについて、基本的な認識はあったということですね。それはよろしいです。  では、国家公安委員長は、今、一月二十八日の具体的なお話が出されました。実際とは全然違っていたというその日程が紹介されましたけれども、二十五日の時点で、その中身についてどこまで御認識をされていたのか、どこまで報告を受けていたのか、このことを思い出していただいて報告をいただけますか。
  153. 保利耕輔

    保利国務大臣 詳細な時間関係については、私ももういろいろなところでお尋ねをいただいて、この件については私も頭の中に正確には刻まれておりませんけれども、いずれにしても、県警本部から出てマージャンをやったということ自体が本当に許しがたいという気持ちでいっぱいでございまして、そこまで詰めたお話を私は、報告は受けたかもしれませんけれども、覚えておりません。  しかしながら、この事案につきましては、本来しっかりした監察をやるべき一番のリーダーが、その十二名の監察に当たった方々を、置き去りにしてと言ってはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、事実上置き去りにして自分だけどこかに行っちゃったということについては、まことにけしからぬことだ、そのことは非常に強い認識は持っておりました。
  154. 春名直章

    春名委員 もう一回確認しますけれども、五時以降、監察官としてあるまじきことをやっていたということは非常に大問題になったのですね。それはそのとおりです。マージャンもしていた、酒を飲んでいた、雪見酒をやっていた。  ただ、監察官として五時までのその前の時間帯に監察をやっていなかったというこの重大な事実を、二十五日の辞職を決定するときに、国家公安委員長は自覚しておられなかったのかということは大変大事な問題ですので、もう一度お聞きします。
  155. 保利耕輔

    保利国務大臣 二十五日の時点で、県警本部に長いこといないでほかの場所へ行ったということについては、私は承知をしておりました。それはまことにけしからぬことであると思っておりました。それもありますが、それよりも、まずお酒の席にいて、そしてまた食事をし、そしてマージャンをやったということは、本当に許しがたいという気持ちが非常に強うございましたから、そちらの方の印象の方が強く残っております。  監察を抜け出してしまったということは、二十五日の時点では私は承知をしております。具体的に何時から何時までというのはございませんけれども、そこのことは認識をしております。
  156. 春名直章

    春名委員 抜け出していたというか、やっていないのですね。先ほどお話がありましたように、十一時十分から十五時まで県警本部できちっと監察をするという計画を、警察庁とも確認してやっているのですね。そして、三時半から五時まで新潟、まあ中央署になったわけだけれども、抜き打ちですから、どこかの警察署に行くということもそういう計画でやっているのですね。一日きちっとやる、特別監察ですから、これはどえらい大事な問題ですから、神奈川県警の最大の教訓ですから、それを実行しているのですからね。  ところが、今お話が出たとおり、十五分です。本部長と雑談をしたのかどうかはわかりませんが、訓示をされたのかお聞きをしたのかわかりませんが、その一番大事な県警本部の議論が、四時間日程があるのに十五分しかいないのですよ。だから、空監察だというて大問題になったのですね、これは。確かに、五時以降も、私も許せない。私も議論しまして本当にひどいなと思ったのですけれども、ただ、そのときに、五時以前の問題がこれぐらい深刻な問題だと、こういう御認識をもしお持ちにならないで辞職でよしというようなことを判断されたというのであれば、私はそれ自身問題だと思いますよ。  もう一点聞きます。国家公安委員長がそういう御認識なので推して知るべしなんですが、他の国家公安委員方々はこういう、まさに空監察だったという中身を、二十五日の持ち回りではとても私はそんなことは話ができていないという気がするのですが、まあそれは推測してはいけませんので。お一人お一人に対してそこまできちっとした御説明をされていたのか、そういう御認識をお持ちになっていたのかどうか、これは長官が直接話をされているようですので、一人一人どういう御認識なのか、どういう返事だったのか、思い出す限り言ってください。
  157. 田中節夫

    田中政府参考人 今大臣からも御答弁ございましたけれども、具体的な時刻等につきましては私も記憶は定かでございませんので、そこまで踏み込んで、十五分しか本部にいなかったというところを説明したかどうかにつきましては私も記憶しておりませんけれども、ただ、御説明申し上げているときに、ほとんど本部にいなかった、あるいは新潟西港に行ったというようなことにつきまして、監察本来の目的といいますか、達していない、そういうような監察であったということにつきましては、これは御報告申し上げております。  ただ、それは、その際、中田局長の任命につきましては公安委員は直接は関与しておりませんので、それにつきまして、特別処分すべきであるとか、それは私はもう職を辞すべき案件であるというようなことは申しましたので、それは当然そうだろうというような御判断をそのときにも関係委員の方からはお話がございました。
  158. 春名直章

    春名委員 委員長は余りよく覚えていないと最初おっしゃって、ただ、ほかのところへ行っていたということぐらいは思い出したと。それから長官は、新潟西港に行った、踏み込んでは言っていない、時刻などについては語っていないということだと御答弁されまして、私はそれだけで唖然としております、実に。  私は、特別監察というのはこんなものだったのかというふうに思いますね。辞職をされるときに、そういう適当な御報告をされて、確かに雪見酒とマージャンがばんと出ましたから、それ自身でももう大問題ですけれども、と同時に、彼は監察をしに行っているのであって、その監察をやらなかったというこの重大事実について、まさにそれ自身を大問題にして議論をすべきことなんじゃないんですか。それは、今のお話ではやられていないようです。  しかも、もう一回聞きます。  きょうの参議院の行政監視委員会ですか、うちの富樫議員が石川官房長に聞いたときには、二十七日の夜から二十八日の朝にかけて、新潟西港に行っていたということが改めてわかったので、二十八日にそのことをマスコミに報告したと御答弁されているんです。その点でも食い違いがありますので、新たに二十八日にそういうことがわかって、空監察だという記事が夕刊に全部出たんですね。その事実もちょっと違いますので、そこも確認をした上で議論を進めたいと思います。
  159. 田中節夫

    田中政府参考人 私どもの認識でございますが、二月二十六日に記者クラブに説明をしております。そのとき既に、そのときは、十一時三十分本部着、本部で本部長警務部長に監察説明聴取、その後昼食に行っているわけでございますが、十四時本部発、新潟西港視察ということで、新潟西港に行っているということはこのときにも明確にしております。  したがいまして、二十五日の時点で、新潟西港に行ったということは既に我々も把握しておりますし、今大臣から御答弁がございましたように、監察を離れてそういうところに行っているという認識は、二十五日の時点で既に把握をしておりました。
  160. 春名直章

    春名委員 それではますます疑問がわいてきたのでお聞きします。  この空監察の事実を基本的に全部認識をしていたんだが、辞職発表の理由には全くこのことは書かれておりません。二つの理由が書かれております。  一月二十八日は新潟県警に対する特別監察を実施した当日であるにもかかわらず、いいですか、監察終了後、監察を受ける立場の県警側と懇親をするという、監察担当官としての立場をわきまえない行為があったこと。これが第一の辞職をしていただいた理由だと。  第二の理由。少女監禁事件の加害者の発見等について、その重大性を認識すべきであるにもかかわらず、警察本部長に対し、指揮に専念するよう配意しない不適切な行動をとったこと。つまり、帰らなくていいのかねと一言言っただけだったと。帰らせるべきだったという意味かもしれません。  この二つの理由が辞職をするという理由になっているんですけれども、肝心の空監察だったという中身は、わかっていたにもかかわらず、二十五日の辞職のときにも二十六日の記者会見のときにも、全く中身が入っていない。これはどうしてでしょうか。
  161. 田中節夫

    田中政府参考人 これは、大臣からもいろいろ御指摘もございまして、この監察につきましては、お話しのように、昨年来、神奈川県の不祥事再発防止対策の一環としてやっていた、我々も指示をしていた、にもかかわらず、あるまじき行為をした。それは、特別監察側の目的を達しなかったことも含めてでございますけれども、そういうことも十分に本人に指摘をした上で私どもはそういう措置をしたところでございますので、記者会見でそのところを明確に、空監察という言葉は使っていないことは、この前の地行委員会の集中審議でも、それを空監察というかどうかにつきましてはいろいろ御判断があろうかと思うけれども、私どもとしては、監察の目的を達するような、そういう監察をしていなかったということにつきましては申し上げておりますし、そのような判断のもとに措置をしたということも申し上げているところでございます。
  162. 春名直章

    春名委員 では、もう一つ事実を聞きます。  二十六日の記者会見のときに、小林本部長と一緒に中田局長の辞職を発表したその記者会見で、具体的にこの特別監察について、計画どおり全くやられていなかった、どうも空監察という言葉がお嫌いなようですのでそういうふうに言いませんけれども、特別監察を全く計画どおりにやっていなかった、このことについてきちっと御説明をされたんですか。記者の皆さんにそういう説明をされましたか。
  163. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員お話しのように、言葉として特別監察を全く実施していなかったという言葉は、この記者会見メモを見ますと私はそういう言葉は使っていないように思います。しかし、そのところで、こういうふうに言っております。  管区局長警察本部長は再生の途の先頭に立って歩まなければならず、これまでも、その職責の重みと、その在り方について国家公安委員会警察庁として指導してきたところであるにもかかわらず、その職責を果たせなかったこと、警察庁として…… (春名委員「もうちょっとゆっくり言ってください。大きな声で言って」と呼ぶ)わかりました。  両名に対しまして、神奈川県警を始めとする一連の不祥事案の反省教訓の上に立ち、再発防止対策を講じてきたところであり、管区局長警察本部長は再生の途の先頭に立って歩まなければならず、これまでも、その職責の重みと、その在り方について国家公安委員会警察庁として指導してきたところであるにもかかわらず、その職責を果たせなかったこと、 というような中に特別監察を実施しなかったことも入っているというふうに私ども理解しております。
  164. 春名直章

    春名委員 勝手な解釈だなと思いますね。  二十八日の夕方に全面的に出たんですね、夕刊で。それで、二十七から二十八日に向けて、新潟西港に行って、県警本部には一切行かなかったということもお話しになったというふうに石川官房長は言われたので、それで二十八日の夕刊に全部それが出まして、全く空監察だったということが問題になったんですね。これはこの間も議論しました。それで、記者会見には、今のお話では、こういう特別監察、ほとんどやっていないというような中身を具体的には全然報道していないということを自己暴露されているわけなんですけれども、こういう状況だったんですね。  そこで、もう一点私は聞いておきたいと思うんですね。私は、特別監察にこだわっているのは、これが決定打だ、これで警察を変えるんだといって、本当にそのつもりでおやりになるというふうに私は答弁を何回も聞いていましたから、このことがどういう軽さなのか重さなのかということを問うているわけであって、そういうことで御勘弁いただきたいと思うんだけれども。  二十八日に、改めて国家公安委員会を開かれました。緊急に開かれました。で、三月の八日に私が御質問させていただいたときに、委員長はこんなふうに言っているんですね。二十八日の緊急会議では、監察者が監察後あるまじき行為をしたことが議論中心でありました、こういうふうにおっしゃって、思い出していただけたらと思うんですが、確かにそのようにおっしゃり、私もそうかと思ったわけです。ただ、その中身といいますのは、もう二十八日の時点ですので、特別監察を全然やっていなかったということはもう自明の理になっていたんですね。  ところが、二十五日のその処分を、辞職を決めた後三日間たって二十八日にこの緊急会議を開いたけれども、この特別監察をやらなかったということについて、この問題の重大性については、保利委員長は、これ自身はほとんど議論をされていない、国家公安委員会でも議論をされていない、こういうふうに私には読み取れるんですけれども、そういう御認識だったんですか。
  165. 保利耕輔

    保利国務大臣 二十八日の緊急の国家公安委員会は私が招集をいたしました。御承知のように、小林本部長に対する処分は国家公安委員会が既に持ち回りで決定をいたしておりますので、これについて、こういうことをいたしましたということに御意見がございますかということを私は問うてみましたところ、全委員、全くこれでよろしいという御判断をいただきました。これが小林元本部長に対する処分に対するコメントでございます。  中田さんのお話につきましては、その後、事実関係についていろいろお話が警察庁からもありましたけれども、これは処分の内容を変えるほどのことではないという御認定を五人の委員からちょうだいをいたしまして、それで、私は代表して、この処分を了としたという発表を対外的にしております。
  166. 春名直章

    春名委員 今の御答弁にかかわって、ちょっともう一度事実を確認します。  変えるほどのことではない、新たな事実がわかったが辞職というやり方を変えるほどではない、こういうふうに二十八日に結論になったということですが、新たな事実が二十五日以降わかった、認識したというのはどういう事実のことを指しているんですか。
  167. 赤城徳彦

  168. 春名直章

    春名委員 いや、これは国家公安委員長が今お答えになったことを言っていますので。どういう、事実が新たにわかったけれども処分を変えるほどのことはないという、どの事実かということ。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  169. 保利耕輔

    保利国務大臣 監察が短かったという事実であります。
  170. 春名直章

    春名委員 監察が短かった、十五分間しかやっていなかったということについての事実が——実はちょっと話が変わりますね。  二十五日の時点ですべてのことを全部話していた、しかし、二十五日過ぎてから、新たな事実として、監察が短くて十五分間しか話していないということがわかったというのは話が食い違っていますので、正確にしてください。
  171. 田中節夫

    田中政府参考人 私どもが二十五日の時点で把握しておりましたのは、二十六日の記者会見でも申し上げましたけれども、十一時三十分から監察といいますか、本部長警務部長も交えまして聴取をしたということで申し上げております。新潟西港につきましても、それは行っておりますし、それから新潟中央警察署の問題も既に御報告しております。それが二十八日の段階になりまして、その間で、十一時三十分ではなくて十一時五十五分に本部に到着をしておる、そういうことになったわけでございます。  したがいまして、今大臣から御答弁申し上げましたように、二十五日に私どもで判断いたしましたその時間よりは監察の時間が短かったという一部事実の違いはあるけれども、判断を覆すようなものではない、要するに監察の目的を全く達成していないというようなことについては判断は同じである、こういう認識を公安委員はされたのだというふうに思っております。
  172. 春名直章

    春名委員 いろいろ話が変わるのでこっちも質問しにくいんですけれども、結局、二十五分間、時間が違っていたということですね。十一時三十分に着いていたと思ったら十一時五十五分に着いていたんだ、その程度の違いだということですか。
  173. 田中節夫

    田中政府参考人 十一時三十分に着いて本部長等議論をした、監察をしたということ、その後、新潟西港に行った時間、それから中央警察署に行った時間等は、全くそれは、そのところにつきまして、最初の時間が十一時五十五分であるということの違いは別といたしましても、全体として、まことに不的確な、あるいは不適切な監察であったということについての御認識は最初からございまして、その時間が十五分しかなかったということでもって全体を覆すような判断には至らない、こういうような御判断だというふうに思っております。
  174. 春名直章

    春名委員 本来であったら四十分だった、しかし、十一時五十五分に着いたので十五分間しかやらなかった、それだけの違いだ、こういう御説明をされたわけです。それならば余計に私は腹が立ちますね。その時点で、二十五日の時点で、全然監察をやっていなかったということがもうはっきりしているんですね。それなのに、辞職で済ませましょうと。  では、私、ちょっと聞きますけれども、こういう監察の懈怠、決定的な制度としてやろうとしてきた監察の懈怠、監察制度、その責任者が懈怠したという問題については懲戒処分の対象にしないということですか、これからは。そんなことはもう絶対しないということですか。そういうことを国民に言うんですか。
  175. 田中節夫

    田中政府参考人 私は、委員会等で再三申し上げておりますとおり、今回の特別監察実態、本人の行動等につきましても、二十四日の時点で本人から申告があるまで把握できなかったということでございます。  したがいまして、今委員お話しのように、そういう職務懈怠と申しますか、特別監察の目的に沿わないような特別監察をした場合に処分をしないということを私は申し上げているわけではございませんで、自分がやった行為、そのことにつきまして、みずから申告をしたということを重く見たということでございます。
  176. 春名直章

    春名委員 それはもう議論済みなんですけれどもね。みずから申告しなければその後にどうせばれるんだったんですよ、そんなものは。わかり切っていることなんです。そういうことをいまだに反省されていないということは本当に許しがたいですね。特別監察というのはそれぐらいの軽さだったのかというふうに私は言わざるを得ないので、その点から見ても、今、警察制度の改革、いろいろな議論がされていますけれども、その前提として、今ある制度や今ある法律すら守っていないようなやり方をしておってどうなるんですか。そこを問題にしているんですよ。  次に進みます。持ち回りについて聞きます。  九日の参議院予算委員会の我が党の小泉委員の質問に対して、長官は、中田前局長の任免は私が権限を持っているので、どうすべきかいろいろ御意見をいただいたが、そこで一致を見たというものではありません、このように述べています。つまり、意見は、一致したということではなくて違っていた、中田前局長の任免権は私が持っているので、どうすべきかいろいろ御意見をいただいたということなんだ、一致を見たものではないとお述べになっています。  もう一回これを確認したいと思います。そのとおりでいいですか。
  177. 田中節夫

    田中政府参考人 これは一部新聞等にも書いてありますし、議事録をお読みになった上での御発言だと思いますけれども、これは、委員さんのお話をいろいろ伺いました。  そのときに、私の判断につきまして、職を辞させるということをしたいというふうに申しましたところ、それでは長官の判断に任せようという委員もおられました。また、何らかの措置というようなものを考えられないかというお話もございました。ただ、いろいろな、例えば戒告でありますとか、あるいは長官注意とかいうようなものがございますけれども、今後も職にあるということを前提とした場合に、それはどうでしょうかというような、そういう御意見もございました。  そういう意味で、意見の一致ということはなかったというのは、そういうふうにとられてもいいような御意見があった、いろいろ御意見があったということでございます。
  178. 春名直章

    春名委員 とりあえず、いろいろな御意見があったということで、長官はそれを判断材料にさせていただいたという意味で理解しました。  そこで、国家公安委員長、二十五日夕方、処分の案が発表された、委員の判断は決まっていた、それならばということで持ち回りでオーケーを出した、ゴーサインを出した、このように述べています。これも間違いないことだと思いますが、よろしいですね。
  179. 保利耕輔

    保利国務大臣 今委員が二十五日に発表したとおっしゃいましたが、発表はしておりません。  処分案が田中長官から私に示されました。これで全部の委員が問題なく了承するのであればよろしいと私は言って、持ち回りを指示したのであります。
  180. 春名直章

    春名委員 その処分案についての前提、そして持ち回りの問題について少し聞きますけれども委員長がおっしゃっていたように、持ち回りということは最初から私は脱法的だというふうに思いますけれども、ただ、二つの条件があるということを言われて、一つは委員全員が合意をしていること、もう一点は緊急を要することということなんですね。中田局長については全然緊急を要していないのでそれは論外なんですけれども、そういう二つの条件があるというふうにおっしゃっているわけです。  しかし百歩譲って、そういう持ち回りをやるというふうに言ったとしても、今のお話を聞いていても、委員全員の基本的な合意がきちっとあって、それで処分を発表したという前提が崩れているように思うんですね。それはどうですか。中田局長については、いろいろな意見があって、それを参考にしたということになっているわけでしょう。一致しているわけじゃないでしょう。その点、どうですか。
  181. 田中節夫

    田中政府参考人 委員に御説明申し上げたいのでございますけれども、持ち回り決裁は、これは小林本部長にかかわる分だけでございます。  したがいまして、中田局長に関するものにつきましては、持ち回り決裁ということではございません。私の決裁でこれは足りるものでございます。したがいまして、各委員の御説明というか、いろいろなお考え方は私の判断の中に含まれているということでございまして、これは持ち回り決裁ではございません。
  182. 春名直章

    春名委員 そのことはよく自覚をしております。決裁はそういうものではない。  しかし、事態は、御存じのとおり、二十六日の記者発表のときに、小林県警本部長等の処分についてという文書を発表されて記者会見をされて、その第一が小林本部長についての百分の二十、一カ月の処分という発表であります。第二に、中田局長は二月二十九日付で辞職をするということを一緒に発表しております。一緒に発表したのは、二十五日に了承しているからです。一体なんですよ、これ。こちらは、確かに任命権者は違いますから、ばらばらではあるけれども、それはよく自覚をしておりますが、ただし、二十五日の時点でこういう了を得るということを一緒にやっているからこういう発表をしているわけです。一体なんですよ、だから。任命権者は違うというのはわかっております。  では、持ち回り決裁というふうには言いません。持ち回りで、中田局長についてもこういう問題でいきたいということを、了をとりながらやっているわけでしょう。だから、持ち回りでやる前提が、中田局長については前提が崩れているじゃないですか。いろいろな意見があったというふうにおっしゃっているので、そのところをもう一回ちゃんと説明してください。
  183. 田中節夫

    田中政府参考人 何回も御説明して恐縮でございますけれども、持ち回り決裁の場合の、これは小林前本部長に対する事実上の合意、これはあったわけでございます。したがいまして、小林本部長につきまして、更迭すべし、厳しい処分、これはもう減給の一番最高というふうに理解しておりますけれども、こういう処分をすべし、ここにつきましては合意があったわけでございますので、これにつきまして、公安委員会の持ち回り決裁の前提となるところの事実上の合意、これはあったというふうに私どもは理解しております。
  184. 春名直章

    春名委員 そういう説明をされると本当に私たちはやるせないのですけれども、一緒にこれは全部やっているんですよね。ですから、あなたがこれを全部決めたということならそれでもいいけれども、それはそうでしょうけれども、しかし、国家公安委員会意見も全部伺って、確認をして、そしてその結果、中田さんについてもこれを出しているんですからね。そういう流れなんですよ、これ、全部。  そこで、国家公安委員長、お聞きをしたいと思いますけれども、県警本部長、そして中田さんの話で持ち回りという話があって、持ち回りについては、警察庁からそういうお話があったときに、これ、本当にいいかな、ちょっと待てよというような思いはなかったのでしょうか。まあいいかな、そういうふうにすぐ御判断をされたのですか。改めてもう一回聞いておきます。
  185. 保利耕輔

    保利国務大臣 今、私の心の中のことを申し上げることは控えさせていただきます。
  186. 春名直章

    春名委員 中田氏については急がないわけです。それから、事実の全容解明がやはり先でして、処分はそれからというのが教訓なわけですね。この間も、私、話をしましたけれども、それは例の岡光さんの、厚生事務次官のあの辞職の教訓がありましたね。ボーナスが出るということになって大問題になって、その後、人事院からの通告も出て、もっと慎重にやる、そういう通告も出ているわけですね。そういうことをもう経験してきているわけです、私たちは。  そこで、持ち回りをやるということについてのお話で、ちょっと委員長に聞いておきます。  他の行政委員会がありますね、国家公安委員会とは別の。公正取引委員会とか、それから中央労働委員会とか公害等調整委員会とか、同じ行政委員会があります。この持ち回りという決裁を要求されたときに、オーケーを出すそのときに、ほかのこういう委員会で、持ち回りの決裁をやっている、そういうことをやっているんだろうか、そういうことを調べさせよう、そのようなことはお考えになりませんでしたか、そのときには。どうですか。
  187. 保利耕輔

    保利国務大臣 二十五日中に決裁をつけなければいけないということがございましたから、そこまで細かく考えるゆとりはなかったと思っております。
  188. 春名直章

    春名委員 ゆとりがなかったということですけれども、それで今こういう大きな問題になってきているわけですが、私も、ほかの委員会はどうなっているのか、全部ちょっと調べてみました。  例えば公正取引委員会。公正取引委員会の審査及び審判に関する規則二十五条、「委員会が審判手続を行う場合は、委員長及び二人以上の委員出席してこれを行う。」と二十五条に書いてありまして、持ち回り自身が想定されておらず、実際にやっていないということでした。  人事院人事院会議及びその手続、これは人事院規則二—一ですけれども、「定例の会議は、東京都内の人事院の庁舎において行う。」場所まで指定されていますので、持ち回りなどは最初からあり得ないということでありました。  中央労働委員会。労働委員会規則の第六条、「総会は、原則として使用者委員、労働者委員及び公益委員の各過半数が出席した場合に議事を開くものとする。」こういうふうになっていまして、過半数が出席しないと会議は開けない。当然、持ち回りはやっておりません。  最後に、公害等調整委員会。これが決定的なんですけれども、公害等調整委員会設置法の十二条に、警察法十一条と全く同じ文章なんです、これ。「委員会は、委員長及び三人以上の委員出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」国家公安委員会と全く同じ規定なんですね。そもそも、三名以上出席しないと会議を開きませんから、持ち回りは想定していないし、やったこともないというのが姿です。これが当然の姿なんです。  この持ち回りというやり方がいかに脱法的かということは、皆さんが議論をしてきました。脱法的かということを置いておったとしても、もう一点、他の委員会と比しても、このやり方が余りにも異常だ、しかもこんな大事な問題をこういうやり方でやった、この責任は、私は改めて重大だというふうに思います。  この点、どのように御認識されますか、委員長
  189. 保利耕輔

    保利国務大臣 他の委員会の性格と、この国家公安委員会の性格は、これは法律論争になると思いますけれども、多少違うと思っております。その意味で、私は、今お話しのような持ち回りが不当であったという御意見については真摯に承らせていただきますが、私自身はやむを得なかったという判断をした、その責任は私にあります。  再三申し上げておりますように、任命権者から特段のお話がない限り、私は自分の判断は正しかったという前提に立って仕事を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  190. 春名直章

    春名委員 時間が来ました。こういう誤りを本当に正すことから、そこからやはり教訓を導き出して警察改革というのは取り組まれるべきだ、私は改めてそのことを指摘をしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  191. 中村正三郎

  192. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  まず国家公安委員長に伺いますが、今、持ち回りの件でずっと質疑が続いておりますけれども、この本部長局長、二人の処分問題、これは大変重大だということで議論が続いていると思いますが、この問題、重大だ、こういう認識はございますか。
  193. 保利耕輔

    保利国務大臣 それは、神奈川の事案の反省の上に立っていろいろと対策を講じてきた、その中で起こった事案でありますし、たまたま新潟で長いこと監禁状態にあった方が見出されたというそのときでありますし、それが重なっておりまして、大変重要な大事な事件であったという認識は、私は人一倍持っているつもりであります。
  194. 保坂展人

    保坂委員 内閣法制局長官に来ていただきましたので伺いますが、今、警察法の話も出ていましたけれども国家公安委員会の運営規則、これは何度眺めてみても、私どもクエスチョンタイムで土井党首もやりましたけれども、「国家公安委員会は、会議の議決により、その権限を行う。」「会議は、定例会議及び臨時会議とする。」こうあるわけで、何度読んでみても、持ち回りが根拠となる条文がないのですが、長官としてはどのような御見解でしょうか。
  195. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 お答えします。  持ち回りの件でございますけれども、御承知のように、警察法におきまして、国家公安委員会は、委員長及び三人以上の委員出席しなければ会議を開いて議決をすることができないというようなことが規定されているわけでございます。  ところで、他方、一般の合議体の議決方式といたしまして、例外的に、いわゆる持ち回り方式という議決があることは一般に御承知のとおりだと思います。ただ、この持ち回り方式といいますものはあくまで例外的なものでありまして、通常の議決方式としては、法令等で明文の規定が置かれていないのが通例であろうというふうに考えているわけでございます。  ところで、国家公安委員会につきましても、例えば、これはたびたび国家公安委員長の方からも御答弁いただいておりますけれども委員等の間で既に実質的な合意が形成されておりまして、かつ緊急を要するといったような場合においては、会議を開くことなく持ち回り方式により議決を得ることとしても、先ほど述べましたような法の趣旨に反するというようなことはないから、そのことによって当該議決及びこれに基づく処分の効力が直ちに否定されるというようなことはないであろうというふうに考えております。
  196. 保坂展人

    保坂委員 警察庁官房長に伺いますが、この国家公安委員会の運営規則の第八条には、「会議の開催日時、出席者及び会議の概要は会議録に記載するものとする。」そしてその二に、「会議録は、警察庁長官官房において調製し、保存する。」こうありますよね。この持ち回りのときの会議録はつくられたのですか。現在官房に保管しているのですか。簡潔に答弁してください。官房長、では長官でも。
  197. 田中節夫

    田中政府参考人 持ち回りの前提となるところの実質的な合意でございますけれども、御承知のように、これはこの運営規則に言う会議ではございません。したがいまして、第八条に言う会議録というものは作成されていないということでございます。
  198. 保坂展人

    保坂委員 この規則には除外事項はないのですよ。「会議録に記載するもの」としかないのですよ。持ち回りは除外するという特例事項はないのですよ。  では、それは会議ではなかったのですね。議決はなかったのですね。はっきり言ってください。
  199. 田中節夫

    田中政府参考人 繰り返して申し上げますけれども、これは、公安委員会の運営規則に定めておりますところの定例会議及び臨時会議のいずれでもございませんし、今回のこれは決裁の方法が持ち回りということでございまして、その前提となるところの会議というものは存在しないわけでございます。  したがいまして、今回は実質的な合意というのは、先ほど来御説明申し上げておりますように、私ども委員に個別に御説明をし、そして実質的な合意を全体として取りつけたということでございまして、その件に関しての会議録というのは、この運営規則に載っかってくるところの会議録というものではないと思いますし、会議録は存在しないわけでございます。
  200. 保坂展人

    保坂委員 国家公安委員長、たとえ持ち回りであっても、さっき法制局長官が言ったように、緊急を要する事態であったというならばこれは会議とみなして、実際に重大な案件を議決したわけですから、これは会議録をつくらなければいけないのじゃないのですか。どうしてつくらないのですか。委員長、何かお考えがありますか。
  201. 保利耕輔

    保利国務大臣 決裁書は厳然として残っております。決裁書があります限り、私は有効だと考えております。
  202. 保坂展人

    保坂委員 つまり、議論がなしということがさらにわかったわけですが、官房長官に来ていただいておりますので、この持ち回りの研究ということで私ちょっと調べてみました。  いわゆる持ち回り閣議という形態がございますよね。この持ち回り閣議というのは通常どのような形態で行われるのか。前提となる条件や原則などがもしあれば、簡単に御答弁できればお願いしたいと思います。持ち回り閣議というのはどういうものなのか。
  203. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 閣議においても原則としては全員が署名することにいたしておりますが、緊急の場合等、またやむを得ざる場合には持ち回り閣議を行っているのが現状でございます。
  204. 保坂展人

    保坂委員 それでは法制局長官に伺いますが、私の緊急の研究によれば、持ち回り閣議とは一種の閣議の変態、変わった形であって、これは、軽微な事項ないしは閣僚間の意見調整ができている案件について行われるものである、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。つまり、軽微なものということにちょっとポイントがあります。
  205. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 お答えいたします。  持ち回り閣議は、内閣が職権を行うのは閣議によるという内閣法の規定がございますが、その閣議のやり方として、一つの形式として持ち回り閣議という形式が従来から慣行として行われてきているということでございます。  その場合に、事案内容が重大であるか、あるいは軽微なものであるかというようなこと、あるいは、緊急性を要するかどうかというようなことも当然その内容の判断に入ってくるとは思いますけれども、緊急性を要するというような場合には、事案が軽微であれ、あるいは場合によってはかなり重要なことも定めざるを得ない、決定しなければいけないというような事態も全く考えられないわけではございませんで、それなりに、重要な場合でも緊急性が非常にあるというようなときには、持ち回り閣議というようなものもされているというふうに理解しております。
  206. 保坂展人

    保坂委員 「内閣制度百年史」、内閣官房が発行したものによれば、「持ち回り閣議は、定例閣議を待ついとまがないほど早急な処理を要する案件で、しかも、国務大臣の全員が一堂に会して議を重ねることをしなくてもその一致した結論の得られることが極めて明白であると考えられるようなものについて行われる。」というふうにあります。また、「内閣法逐条解説」では、これは法制局元長官の林さんの規定ですが、「「軽微な事項、急を要する事項、閣僚間の意見調整のすでにできている案件などについて」行われる」、「軽微な事項」とちゃんと書いてあります。  この「軽微な事項」ということは、一応前提として当てはまりますか、持ち回り閣議の場合。それだけ簡単に答えてください。
  207. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 お答えいたします。  今三つおっしゃられましたけれども、一つは軽微な事項、一つは緊急を要する事項、それから最後に御指摘なさいました、結論が全員で一致しているというような、閣僚の意思統一が既にあるというような場合という三つのケースを挙げていると思います。  それは、それぞれいろいろなバージョンにおいて、ケースにおいて組み合わせられることがあり得るものでございまして、必ず軽微なものでなければいけないというようなことが前提になっているとは理解しておりません。
  208. 保坂展人

    保坂委員 では、官房長官にこの点だけ伺います。  大変激務の中の閣僚を招集しての閣議の長い間の議論ですら、やはり持ち回りというのは通常の形ではなくて、今私が紹介したようなことが大体前提となっているわけです。この処分の件については大変重い事態なんですね。軽微な事態ではないと私は思います。この点の認識についてはいかがでしょうか。  持ち回りでやったということについてと閣議の今の前提についてと、やはりここを踏まえると、持ち回りでやったということは極めて不適当だったのではないかということについて伺います。
  209. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 この問題につきましては、私も再三質問を受けましてお答えをいたしておりますが、私は、三月二日の会議で、委員長出席され、全委員出席された場で決定されたことが最終的決定だと考えておりまして、以前に、それまでには私も個人的な見解としていろいろ申し上げましたけれども、最終的には、その決定を私も内閣の一員として重く受けとめなければいけない、そのように考えております。
  210. 保坂展人

    保坂委員 決定を重く受けとめるのではなくて、事態を重く受けとめていただきたいのですが、時間がありませんので。  今回、中坊公平さんが、司法制度改革の委員でありつつも内閣特別顧問になられたということについて一点、また官房長官に伺います。  この司法制度改革審議会は、審議会という名前はついていますけれども、内閣に置かれるもので、主任大臣は内閣総理大臣ですよね。委員は十三人で、司法のこれからということで大変重要な議論をいただいている。法務委員会で、司法全体をいわば内閣に丸投げすることについて、憲法上問題はないかという議論が終始ありました。けれども、これは独立性の高い委員会の審議を行っていただくのだということで、全会一致で賛成を見て審議会が生まれているわけです。  一方で、この総理特別顧問というのは、内閣のいわば非常勤の国家公務員、内閣の一員とは言えないまでも、内閣の内部ということは明白です。諮問をする側と答申を書く側、これが同じお人であるということにやはり疑念が多い、こう思うんですが、簡潔に見解を伺います。
  211. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  内閣の特別顧問は、内閣官房組織令によって、「この政令に定めるもののほか、内閣官房の内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」とされていることを受け、これに基づいて定められた規定によって置かれた今回のものであります。  中坊氏の内閣特別顧問としての任務は、金融、環境及び国民生活に関し、内閣総理大臣の要請に基づいて、国民の目線を生かして御助言をいただくという限定された職務内容となっておりまして、司法制度改革審議会委員としての職務と重複、競合するものではないという考え方をいたしております。
  212. 保坂展人

    保坂委員 司法制度改革審議会の設置法自体の提案理由は、国民生活の中で多様な変化が生まれてきて、司法がより身近にならなければならないのにたくさんの懸案がある、だからこういう審議会で議論するんだということなんですね。  官房長官、今の、総理が限定的に、金融、環境及び国民生活に関し、国民生活の中に司法は含まれないんですか。官房長官、お願いします。
  213. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  内閣特別顧問の所掌事務には、国民生活に関し内閣総理大臣から指示を受けた問題について助言を行うということは含まれておりますが、これは消費者契約にかかわる問題等を念頭に置いたものでございまして、司法制度改革とは別個なものである、そういうふうに解釈をいたしております。
  214. 保坂展人

    保坂委員 官房長官、確かに消費者契約も国民生活ですが、司法も国民生活に深くかかわってはいませんか。国民生活について意見や助言を述べるわけですから、司法について述べてはいけないという縛りはありますか。
  215. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私は、特別顧問の職務というのは、あくまでもアドバイザー的問題でありまして、助言を行うことが中心でありますので関係ない、そういうふうに解釈をいたしております。
  216. 保坂展人

    保坂委員 誤解のないようにお願いしたいのは、私は、中坊さんが司法制度改革審議会で大変貴重な存在である、大変大切な意見を主張しておられる、このことを非常に高く評価しているわけです。  だからこそ、こういう点には厳密に内閣の方でも配慮をしていただきたかったし、こういう原則論の議論は避けて通るべきではないと思います。もし審議会の委員が内閣顧問になって、それで法的に問題がないのならば、十三人の委員全員が顧問団になっても、これは論理的にはおかしくない、現実にはそういうことはないということがあるにしても。ですから、この点は強く指摘しておきたいと思います。  次に、国家公安委員長に、警察刷新会議というものができたのですね。これは国家公安委員会制度も含めて検討する会議だそうですけれども国家公安委員会議論によって国家公安委員会がその設置を決めたことになっておりますよね。  これはちょっと時間がありませんので、ぜひこの部分に関しての議事録、会議録ですね、これは会議されたわけで持ち回りじゃないんでしょうから、公開していただけますか。国家公安委員長いかがでしょうか。これは個別の捜査事件にかかわる問題じゃありません。国民の耳目、関心を集めている大切な問題ですので、情報公開していただきたい。
  217. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員会の中でどなたがどのような発言をされたかにつきましては、審議の具体的内容が公にされることになりますと会議におきます率直な意見の交換が阻害されまして、公安委員会の意思決定の中立性が損なわれるということがございますので、明らかにすることについては差し控えさせていただきたいと存じます。
  218. 保坂展人

    保坂委員 今度、では長官に伺います。  この刷新会議委員、例えば後藤田さんだとか中坊さんだとか、ほかにも何人かの方がいらっしゃいますけれども、これは、国家公安委員がお一人お一人推挙したのですか。それとも警察庁の下案リストがあったのですか。そのリストはだれがつくったのですか。簡潔にお願いします。
  219. 田中節夫

    田中政府参考人 委員の具体的な人選につきましては、我々の方としては、候補者を選びまして、それで国家公安委員会で御判断をいただいたということでございます。
  220. 保坂展人

    保坂委員 では、委員長にお願いしますが、これは大変重大なことなんですよ。この委員会国家公安委員の方にお一人お一人来ていただきたい。どういう識見を持って、この新潟県警不祥事初め一連の事態をどのように見てこられたのか、もう肉声で聞かなきゃわからない。こういう求めを現在しているところです。  ですから、まずは、この警察刷新会議というのは、国家公安委員会みずからもいわば刷新していく会議なんですね。どういう議論が行われたのかというのは、これは公開していただきたい。これは委員会で諮っていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  221. 中村正三郎

    中村委員長 理事会で協議いたします。
  222. 保坂展人

    保坂委員 それではもう一度、国家公安委員会の今の点について、この委員会ではそういうことにしますけれども、どうでしょう、国家公安委員の皆さんの中のアイデアだけなのか、それとも下案がちゃんとあって、下案を見て了とされたのですか。何分ぐらいで警察刷新会議は決められたのですか。国家公安委員長、お願いします。
  223. 保利耕輔

    保利国務大臣 どのくらいの時間協議したかは私も記憶が定かではありませんけれども、いろいろ、警察組織刷新会議、仮称ですが、これについてはどういう位置づけになるんだとかいうようなお話はかなりございまして、少し時間をとって協議をいたしました。
  224. 保坂展人

    保坂委員 これは、官房長官もいらっしゃいますから指摘をしておきます。  これは、警察庁の総務課が事務局をやっておられるんですよね。総務課からこの警察刷新会議のいわばペーパーが回ってきましたよね。これ、やはり一連の事態を見るとかなり深刻な大変な事態です。ですから、こういう問題についてはやはり、もう警察組織と切り離したところで人選を行うべきだと思いますし、国家公安委員会が、そういう意味で、また、みずからも検証しなければならない組織を監督するような形になっているのはとてもおかしいんじゃないか、再考を促したいという指摘だけにとどめます。
  225. 保利耕輔

    保利国務大臣 この組織は、国家公安委員会を監督するというような位置づけではございません。国家公安委員会の方からいろいろお話を伺わせていただくという場でございますので、そこのところはお含みをいただきたいのであります。  その上で、人選等につきましては、今お話しのとおりでありますけれども国家公安委員会の中でこのメンバーでよろしいという御判断をいただいて対外的に発表したものでございまして、中立、独立の委員が認定をして、そして発表した、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  226. 保坂展人

    保坂委員 今の答弁から、下案があって、国家公安委員の方はこれでよかろうというやりとりがあったというふうに推察されますが、ぜひ議事録を出していただきたいということを要求して、あと、残りの時間がわずかですが、道路公団の総裁と法務省刑事局長以外の方は、お時間があるでしょうから、どうぞ、これで終了しますので。  では、道路公団の総裁に来ていただいていますので、もう時間がほとんどありませんが、お聞きをしたいと思います。  日本道路公団において、例えば、反社会的な行為、あるいは常識では許されないような暴力であるとかあるいは威迫であるとか、こういうことを容認したり依頼した企業と道路公団が認識をした場合に、道路公団と当該の会社が取引がある場合に、見直すという姿勢を持っておられるのかどうか、具体的に伺いたいと思います。
  227. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 日本道路公団といたしましては、公共工事の契約の相手方としまして不適当と認められる場合、具体的に申し上げますと、法令違反によりまして役員が起訴されるなど、相手方企業として反社会的行為が明らかとなった場合には、当該企業を指名しないというようなこととしておるところでございます。
  228. 保坂展人

    保坂委員 総裁に続けて伺いますが、道路公団で、料金徴収ブースという、国民にとってなじみの深い、だれもが料金を払うブースですね、これの空調などの工事を道路公団から受注をして、長年にわたって納品をしているエープライという会社があると思います。このエープライで起こっている事態、これを道路公団はどのくらい把握しているのか、どのような問題だと現在のところ認識をしているのか、時間がありませんので簡潔に答弁いただきたいと思います。
  229. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 株式会社エープライというところにおきましては、労使関係の紛争がありまして、昨年八月ごろから、いろいろ組合活動の妨害等が行われているというような話を組合側から承っておるところでございます。  一方、会社側からも確認いたしましたけれども、いろいろ組合側のお話とは違うお話を承っておりまして、両方の話が食い違っているというふうに今のところ私どもでは認識をしております。
  230. 保坂展人

    保坂委員 では、これで最後の質問になるかと思いますが、本当ならこの二問だけではなくてもう少しお聞きしたかったのですが、法務省の刑事局長に、これは一般論としてで結構ですけれども、労働組合を結成した者が、憲法上保障されている団結権だとかあるいは団体交渉権などを行使しようとしたときに、例えば、車両とか服装とかによる威迫行為、暴力などによって事実上会社にも入れないし、またいわば近づくことができない、こういうことになったときに、現在の法律はこれを許しているのでしょうか。一般論で結構ですから、お答えください。
  231. 古田佑紀

    古田政府参考人 御指摘のようなケースにおきまして一般的に申し上げれば、刑罰法令に触れるような行為というのは当然犯罪に当たるということになると思います。(保坂委員「それだけですか」と呼ぶ)禁止しているとかそういうことになりますと、ちょっと刑事罰則そのものの問題ではございませんので、私の立場からすれば、犯罪に当たることになる場合があるということであります。
  232. 保坂展人

    保坂委員 この問題は、注目をして、さらに議論していきたいと思いますが、時間が来ましたので、終わります。
  233. 中村正三郎

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十三分散会