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2000-03-22 第147回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月二十二日(水曜日)     午前九時五十分開議  出席委員    委員長 井奥 貞雄君    理事 伊藤 公介君 理事 河野 太郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 藤田 幸久君    理事 赤松 正雄君 理事 二見 伸明君       飯島 忠義君    今村 雅弘君       小川  元君    嘉数 知賢君       川崎 二郎君    木村  勉君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       戸井田 徹君    山口 泰明君       山中あき子君    伊藤 英成君       上原 康助君    古川 元久君       坂口  力君    丸谷 佳織君       東  祥三君    井上 一成君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    外務政務次官       東  祥三君    外務政務次官       山本 一太君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    柳澤 協二君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    外務委員会専門員     黒川 祐次君     ————————————— 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     今村 雅弘君   川内 博史君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     阪上 善秀君   古川 元久君     川内 博史君     ————————————— 三月二十一日  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  国際情勢に関する件     午前九時五十分開議      ————◇—————
  2. 井奥貞雄

    井奥委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として、委員松本善明君の質疑に際し、防衛庁運用局長柳澤協二君、防衛施設庁長官大森敬治君及び運輸省航空局長岩村敬君の出席を、また、委員上原康助君の質疑に際し、運輸省航空局長岩村敬君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 井奥貞雄

    井奥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  5. 河野太郎

    河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。  台湾総統選挙がございました。これから新総統が就任されるまでいろいろなことが起こるのではないか、一つボタンをかけ違うとそれが大変なことにつながりかねないのではないか、そういう認識のもと、山本政務次官質問をさせていただきたいと思います。  先般、アメリカ国務省高官にお目にかかりました折に、アメリカ国連に対する行動にやや私は疑義を持っている、そういう話をいたしました。安保理に持ち込む案件と、安保理が否決をするのが見えている場合には安保理に持っていかずにNATOへ持っていく、その場その場で案件を持っていく場を変えるというのはいかがなものか、そういう質問をしましたところ、その米国政府高官は極めて明快に、そのおまえの指摘は正しいが、それはそのとおりではないか、否決されるのがわかっているものを安保理に持っていく必要がどこにあるんだ、そういう発言がございました。  私は、そういうアメリカの、安保理を都合のいいときだけに使うという行動は、国連の権威あるいは安保理決議正当性をゆがめることにつながるのではないかと思います。それについて、国連問題に非常に積極的に取り組まれている山本政務次官の御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 山本一太

    山本(一)政務次官 今河野委員指摘の話でございますが、今の発言というものは仮定事態の話ということで、なかなかお答えしにくいところもあるのですけれども、昨年のコソボ危機などに見られますように、国連を初めとするさまざまな対応議論されたわけでございますが、国際の平和と安全に非常な責任を持つ安保理の機能、その重要性というものはこれからも失われることがないと思いますし、アメリカにとっても、国連重視という政策は一貫しているのではないか、このように考えております。
  7. 河野太郎

    河野(太)委員 私の質問仮定でも何でもなくて、アメリカ政府高官が実際にそういう発言をしたのを聞いての質問でございますし、その発言内容の要旨に関しましては、私は、政務次官も報告が上がって御存じのはずである、そういうもとに質問をしているわけでございますので、仮定議論ではございません。  もっと具体的なことを申しますと、この政府高官は、台湾危機に当たってはという例を出されました。台湾危機に当たっては、アメリカ安保理決議を求めない、彼はそう発言をしているわけでございます。これは仮定でもなくて、そういう発言が実際になされました。その場に外務省国連の担当の課長さんもいらっしゃって、聞いていたように私は思うわけでございますが、中国拒否権を行使することが間違いない以上、アメリカ国連安保理台湾危機に当たっては案件を上げることはない、日米両国協議をして対応を決めるんだ、そういう発言でございました。これは日本政府の了解と一致している、そう考えてよろしゅうございますか。
  8. 山本一太

    山本(一)政務次官 今の河野委員台湾危機という言葉でございますけれども、これはあくまでも全く仮定状況でございまして、こういう仮定状況について具体的にコメントするというのは極めて難しいというふうに考えております。そういうことを想定するということ自体もなかなか難しいことでございます。  政府高官の話については、正式な場で行われたものかどうか、ちょっとよくは存じ上げておりませんけれども、今の御質問は、台湾の問題というのはまさに仮定状況に対することであって、これについて具体的にお答えするということは差し控えさせていただきたいと思います。
  9. 河野太郎

    河野(太)委員 今の日本台湾で何かが起こる場合にどう対応するかということを想定せずに外交をやっているとすれば、今の外交責任者は総じて辞表を出さなければならぬと思います。これは仮定でも何でもない、現に起こり得る話でございます。  そして、私が今お伺いしているのは、仮定の話でも何でもなくて、アメリカ政府高官が実際に行われた発言についての質問でございます。外務省関係者の方もその場にいらっしゃって聞いていた話に対する質問でございます。きちっとお答えをいただきたいと思います。
  10. 山本一太

    山本(一)政務次官 同じお答えを盟友の河野委員にするのは大変やりづらいのですけれども、これはあくまでも仮定事態ということで、その仮定事態に対して日本政府云々する、具体的な話をするということは、いろいろな意味において不適切だというふうに私は考えております。  先ほど日米協議をするのかというお話がこの台湾についてございました。あえて申し上げるならば、我が国は、日米安保条約に基づき、施設・区域の使用を認めている、米軍一定行動に対しては、これが我が国の意思に反して行われることのないよう事前協議を義務づけているということでございまして、事前協議制度というものは、米国一定行動をとろうとする場合に事前我が国に対して協議を行わなければならない、こういうことを義務づけておりますので、さっきの協議という話がございましたが、こちらから米側に対して事前協議を行うという性格のものではないということは申し上げたいと思います。
  11. 河野太郎

    河野(太)委員 アメリカ政府高官が、台湾有事が起こった際には国連安保理決議を求めず、日米両国間で協議をすると発言したのは、仮定でも何でもございません。どこが仮定の問題なんでしょうか。
  12. 山本一太

    山本(一)政務次官 その台湾事態がまさに仮定状況だと思います。こういう事態が起こると推定されるとか、あるいは仮定状況について日本政府がこういう行動をとる、こういうことを申し上げることは差し控えさせていただきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  13. 河野太郎

    河野(太)委員 アメリカ政府高官与党議員に対してそういう発言をしている以上、外務省はこれを肯定するのか否定をするのかしなければ、この外務委員会での外交審議の先が続かないではありませんか。どういうお答えをされるのか、仮定の問題ではなく、きちんとお答えをいただきたいと思います。
  14. 東祥三

    東政務次官 河野委員の御指摘の角度それ自体はわかるのですが、そもそも河野委員を初め与党議員皆さん方と、河野委員が言われている国務省政府高官との懇談会の席上、政府高官が言われたことに対して、政府としてどのようなコメントをするかということに関しては、一切言うべき内容のものではない、このように思うわけです。  台湾海峡の問題、そしてまた台湾をめぐる問題については、御案内のとおり、選挙があって新たなるリーダーが決められている、そういう状況の中で、台湾をめぐる問題が、台湾そしてまた中国海峡両岸の直接の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望する、これが日本政府立場ですから、したがって、今河野委員が言われている点は、それとは別の選択肢の場合どうするのかというお話でございますから、今の日本立場としてはそういう前提に立っていないということですから、それについて今とやかく言う問題ではない、このように思うわけです。
  15. 河野太郎

    河野(太)委員 そうすると何ですか、日本政府台湾で何か起こらないことを祈りながら外交をやっている、起こってしまったときのことは全く想定していない、そういうことでよろしいんですか。
  16. 東祥三

    東政務次官 今、日本政府が、台湾をめぐる問題、両岸関係の問題についてどういうスタンスであるかということが重要でありまして、今河野委員が言われるとおり、もしそういう事態でない場合どうするかということは、また別問題でございます。それについて、何も考えていないだとかいうことではないと思います。
  17. 河野太郎

    河野(太)委員 今日本政府がこいねがっている事態でない事態台湾周辺で生じた場合に、日本国連安保理決議を求めるのか、それとも、政府高官が言うように、安保理決議を求めず、日米両国話し合いをして行動を決めるのかということをお答えいただきたい、そう質問しているだけでございます。どちらでございますか。
  18. 東祥三

    東政務次官 それはまさに仮定の問題ですから、それについて答える必要はないと思います。
  19. 河野太郎

    河野(太)委員 常識的に考えまして、台湾で何か有事が起きたときに国連安保理決議を求めると日本政府想定をしているならば、中国拒否権があってこれは安保理決議ができない、ではどうするのかということを我々は考えなければいかぬわけでございます。常識的に考えれば、中国拒否権を使う以上、日米両国協議をして、台湾有事に対してどう対処するのかを決めなければいかぬということになるのが恐らく論理的な帰結ではないかと思います。  そういう前提のもとで、日本のこれからの台湾危機に対する外交をどうするのかを考えるのがこの外務委員会ではないですか。その前提すら政府が何も言わないというのでは、ここの外務委員会で何を考えろと言うのですか。
  20. 東祥三

    東政務次官 考えることはたくさんあるのでありまして、河野委員が言われるとおり、台湾でもし何かあればと、これは仮定です。一方、一般論で申し上げれば、日本の平和と安全、これに著しい影響を与えるような事態になったときにどういうふうにするのか。あくまでも台湾中国との両岸関係においては話し合いでもってやっていただきたいと。今、事前に、そういう枠組みなしで、台湾に対して日本がどうするかだとか、あるいは中国に対してどうするか、そういう枠組みでの前提に立っていないわけですから、そもそも河野議員が言われている前提と私が今話している前提が違うわけでございます。頭の体操では幾らでもできますけれども、それは、この場ではなくて、ほかの場があるならば幾らでも議論させていただきたいというふうに思います。
  21. 河野太郎

    河野(太)委員 将来起こるべき事件にどう対処するかというのを考える際に、仮定の問題には外務省が答えないというのでは、この外務委員会審議はできないと思います。暫時休憩をして、そのあたりを理事会で取り上げていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  22. 井奥貞雄

    井奥委員長 速記をとめてください。     〔速記中止
  23. 井奥貞雄

    井奥委員長 速記を起こしてください。  政務次官から再度答弁を求めます。
  24. 東祥三

    東政務次官 河野委員の御質問は、台湾で何か起これば、それに対して日本としてどうするのか、そのときに安保理決議というものは出ないのではないのか、また、そういう前提日本としてどういうふうに考えるのか、出ないということがわかっていながら国連安保理決議を求めるのか、そうでないときにはどうするのか、こういう御質問なんだろうと思うのです。  この点については、繰り返しになりますけれども、台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されることを強く希望するのが日本の現在の立場でございますから、これと異なる前提を置いて御質問のような内容についてお答えするのは控えなければならないと思いますし、控えさせていただきたい。よろしくお願いします。
  25. 河野太郎

    河野(太)委員 今の日本外交当事者が全く当事者能力を欠いているということが今の答弁でもよくわかりました。どうすれば日本外交議論が深まるのか、もう少し立法府の中で考えていかなければいかぬのだろうと思います。与党ですから、不信任案というわけにもいきませんが、それぐらいの気持ちでございます。  さて、台湾有事が起きて、輸送の安全が確保されず自衛隊が出動できない場合に、米軍邦人救出を依頼するような事態が起こりかねないと思います。その際に、日米安保条約あるいはガイドラインその他に基づいて日本国民を他国民よりも高い優先度で救出してくれ、そういう依頼をすることになるんでしょうか。
  26. 山本一太

    山本(一)政務次官 ただいまの話も仮定状況想定した御質問ということなんですが、これも具体的にお答えするというのは、先ほど総括からお話があったように、無用誤解を招きやすいというところはあります。  しかし、一般論としてお答えを申し上げれば、外国で緊急事態発生をする、そして当該国在留邦人の保護を十分行い得ず、実際に邦人退避を必要とする事態発生した際は、それはそれぞれの個別の状況に応じて、比較的安全な場所での一時待機とか、あるいは友好国、例えばアメリカなんかの友好国との協力の可能性を含めて、その時点で最も迅速でかつ安全な退避手段を活用して、邦人の安全かつ適時適切な退避最大限努力をするというのが基本方針でございます。
  27. 河野太郎

    河野(太)委員 今の台湾状況にかんがみて、一体全体どういう事態が起きたときに日本危険度情報を上げて、あるいは台湾にいらっしゃる邦人退避勧告をする、そのためのクライテリアは一体どういうことなのか。  あるいは、韓半島有事に関するスタディーの中で、最終的に一万人まで韓半島にいらっしゃる邦人の数を減らすんだ、そういうスタディーがあったように思われますが、台湾で何かあった場合に、どの時点邦人退避勧告を発して、最終的にどの数字まで邦人の数を減らしておく必要があると外務省はお考えですか。
  28. 山本一太

    山本(一)政務次官 今河野委員のおっしゃったことは、これも仮定状況ということだと思いますけれども、これを想定した形で具体的にお答えするのは、先ほど申し上げたとおり、無用誤解を招きかねず、適切でない面があると思います。  しかし、これもクライテリアの話でございますから、一般的に申し上げれば、海外の危険情報というものは、これは現地治安状況とかあるいは邦人生命等に対して直接の危険が及ぶ、こういう可能性を含め、現地情報を総合的にいろいろな面から勘案をして発出しているということでございます。例えば、大まかな目安ですけれども、現地治安がどの程度本当に悪化しているのかとか、あるいは何か発生可能性が高まっているだとか、あるいは現地にいる邦人生命等に関して危険が及ぶような可能性が高まっているか、こういうことを勘案して発しているということでございます。  それから、さっき韓半島の話があったと思うんですけれども、どの程度まで邦人の数を減らしておく必要があるのかというのも、これも何かが起きたときという仮定状況ですから具体的にお答えすることは差し控えたいと思いますが、これも一般論としてお答えを申し上げるならば、緊急事態発生しているか、あるいは緊急事態発生する可能性が高い、こういう状況にあって、在留邦人の命やあるいは身体に危険が及ぶ可能性が極めて高い、こういうことが判断される場合には、政府として現地情勢を総合して退避を勧める、こういうことになっております。  なお、実際に退避が必要な事態になった場合には、退避を希望する邦人全員が迅速かつ安全に退避できるように最大限に努めていくというのが基本方針でございます。
  29. 河野太郎

    河野(太)委員 何を聞いても全部仮定の話で逃げられてしまいますので、仮定でない質問に変えさせていただきたいと思います。  今、中国戦略核ミサイルをふやしているのか、ふやそうというプログラムのもとに動いているのかどうか、日本政府認識をお伺いしたいと思います。
  30. 山本一太

    山本(一)政務次官 今の御質問でございますが、中国は最近、ハイテク条件下におけるいわゆる防衛戦闘能力、これを向上させるために軍の近代化を進めているということは承知をしております。しかし、今河野委員のおっしゃった戦略核ミサイルも含め、個々の兵器の開発とかあるいは配備等計画については明らかにされてないというのが状況でございます。
  31. 河野太郎

    河野(太)委員 そうしますと、日本政府は、中国戦略核ミサイルプログラムについて、どういう前提日本外交政策を立案しているんでしょうか。
  32. 山本一太

    山本(一)政務次官 十分な関心を持ってしっかりとフォローしていくということだと思います。
  33. 河野太郎

    河野(太)委員 これは仮定の問題でも何でもありません。中国戦略核ミサイルを今二十基程度持っているということでございますが、これを中国がふやそうというプログラムのもとに動いている場合の日本外交と、そうでない、このまま維持しようというプログラムのもとで動いている場合の外交政策は違いが出ると思います。  日本政府は、中国戦略核ミサイルの数についてどういう前提を置いて外交政策を組み立てているのかをお伺いしているんです。
  34. 山本一太

    山本(一)政務次官 先ほどお答えを申し上げましたが、中国が、ハイテク条件下における防衛戦闘能力を高めるための軍の近代化を進めるということは承知をしておりますが、具体的な、先ほど河野委員のおっしゃった戦略核ミサイルも含めた配備計画等については、これは明らかにされておりません。しかしながら、もちろん、先ほど申し上げたような中国の動向につきましては総合的に十分勘案をしながら、それを日本外交政策の中に反映をさせていくということであると思います。
  35. 河野太郎

    河野(太)委員 勘案した結果は拡大なんでしょうか、現状維持なんでしょうか。
  36. 山本一太

    山本(一)政務次官 ちょっと御質問の趣旨がわからなかったので、もう一度お願いします。
  37. 河野太郎

    河野(太)委員 総合的にいろいろな情報勘案して日本外交政策に反映させるというお答えがございましたが、勘案した結果、日本政府は、中国戦略核ミサイルはふやすプログラムに乗っていると考えているのか、それとも現状維持と考えているのか、どちらを反映して外交政策をつくっているんでしょうか。
  38. 山本一太

    山本(一)政務次官 先ほど申し上げたとおり、軍の近代化が進んでいるということは承知をしておりますけれども、今おっしゃったような具体的なミサイルの数とか具体的な配置とかいうことについてはまだまだ分析が必要だというふうに考えます。
  39. 河野太郎

    河野(太)委員 アメリカの国防省は、中国戦略核ミサイルをふやすプログラムに乗っているという前提でいろいろと準備をしております。日本もそれと同一のプログラム中国があると考えている、そう想定をしてよろしいんでしょうか。
  40. 山本一太

    山本(一)政務次官 先ほど申し上げたとおり、今おっしゃったアメリカお話はここでは承知しておりませんけれども、日本としては、今その状況をしっかりとフォローしていくという段階であると思います。
  41. 河野太郎

    河野(太)委員 全く仮定の問題じゃないにもかかわらず、質問お答えをいただいておりません。  もし中国戦略核ミサイルをふやさない、現状維持プログラムであるならば、アメリカ弾道ミサイル防衛構想を実際配備をすることによって中国核戦略プログラム拡大方向へ向かっていくわけでございます。ですから、日本は、アメリカに対して、この配備を中止する要請をしなければならぬと思います。あるいは、逆に、中国が現在戦略核ミサイル拡大傾向に沿ったプログラムに乗っているというならば、日本は、対中国ODAの見直しその他を含めた外交政策をとらなければいかぬと思いますが、いかがでございますか。
  42. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも、議員の御質問は、仮定質問ではないと言いながら、もし中国云々と。もし中国云々というのはまさに仮定質問でありますし、もし中国云々、そしてその場合にはアメリカはこうであろうということも、これまた仮定の上の仮定を重ねて質問をしておられるように思うんです。  しかし、それはそれとして、全く一般論として、軍縮というのが我々の主張でありますから、お互いにそれぞれの塀を高く高くし合うということは決して好ましいことではない。塀を高くというか、攻撃力を高いレベルに持ち合うということは決して望ましいことではない。望ましいことではないと言うだけでは問題は解決しないわけでございますから、それぞれ、アメリカ台湾に対して、恐らくアメリカ台湾独立を支持しないだろう。支持しないと、これははっきり三無、スリーノーと言っているわけですから、アメリカ台湾独立を支持しない。日本中国に対して、これらの問題を武力で解決することはするべきでないとはっきり言っておりますし、アメリカもまたそういう主張をしているわけで、そういう主張をするならば、その主張が具体的にそういう方向に行くような努力をするということは、アメリカにもまた我々は言わなければならないことであろうと思っているわけです。  それから、ODAについてお触れになりましたけれども、ODAの問題は、これまたODA原則があって、この原則については、一つ、二つで問題を決定するのではなくて、総合的な判断というものが必要になってくる。  例えば、中国に対する日本からのODAの中には、環境問題に触れた部分が相当たくさんあることは議員承知のとおりです。中国が環境問題に十分意を払わなければ、公害問題というものは、大気汚染問題というのは日本にも当然かぶってくるわけでありますから、そうした点にも配慮が必要であると思います。また、中国社会あるいは中国経済自体が安定した、そして国際社会の中でしっかりとした地位を占めるということは、中国の安定と申しますか、あるいはアジアの安定に資するということも考えなければならないわけで、ODA政策というものは総合的な判断も必要だということは十分議員も御承知のとおりだと思いますが、そうした点に十分意を用いながらこれからの政策を決めていくことが肝要だというふうに思います。
  43. 河野太郎

    河野(太)委員 大臣御出席になりましたので、最後に、沖縄の米軍基地の問題についてお伺いをしたいと思います。  現在、普天間基地の移設の問題で日本政府はいろいろ努力をされておりますが、この外務委員会で一月に沖縄の視察に参りました。そのときに、沖縄の市会議員さんあるいは県会議員の皆様、いろいろな方と意見交換をさせていただきましたが、その中で、今海兵隊が使っているヘリの後継機についての議論がいろいろと出てまいりました。  今沖縄の海兵隊が使っているヘリコプターは二機種、しかも相当昔に開発され、相当長い年月使われてきたヘリコプターでございます。現在、米軍、海兵隊の計画を見ますと、このヘリをオスプレーという新型の機種で代替する、そういう計画米軍の中は進んでおります。現に、沖縄で使われているヘリコプターの後継機は、このオスプレーを除くと米軍プログラムの中に見当たらないわけでございます。  仮にこのオスプレーを導入するとなれば、基地の予定地あるいは現在の普天間基地周辺の方々が直接御心配になるのは、一つは、この後継機が、騒音の問題として、現在のヘリコプターよりも騒音が大きいのか小さいのか。そしてもう一つは、このオスプレーというのは開発途中で何度か墜落をした、そういう実績がございます。このオスプレーという機種の安全性についてはきちんとしたレベルにあるのかどうか。この二つの問題が、基地の周辺の皆様のいろいろな御心配があるわけでございます。  この二つの心配をクリアして、このオスプレーというのはきちんと安全性が確保されている、そして騒音の問題も前任機よりも騒音は小さいんだということを沖縄の皆様に了解をしていただいた上で、この機種を沖縄に導入するのかどうかという議論日本政府米軍とすべきだろうと思いますが、我々が視察に行ったときの防衛施設庁の反応は、まだ米軍からは何も聞いていないという答えでございました。  しかし、アメリカのホームページを見れば、秘密でも何でもない一般のホームページに、このオスプレーでこのヘリコプターを代替するんだということが出ておりますし、正式なペンタゴンのものではないといいながら、海兵隊がつくっているホームページの中にはオスプレーを沖縄に導入する時期が示されているものもあるわけでございます。ですから、防衛庁なり外務省が仕事をきちんとしていれば、この機種がヘリコプターを代替するものであるということは当然わかっていなければいけないわけですし、そういうことがわかれば、このオスプレーという機種はどういう機種なのかという問い合わせをアメリカにするのはごく当然のことだと思います。  しかし、防衛施設庁は、アメリカから通告がないから何もこの機種については知らないということを繰り返すばかりで、こういう反応では、こういう対応では、沖縄の県民の皆さんが日本政府に対して不信感を持たざるを得ないと我々も思ったわけでございます。  それ以来、外務省あるいは防衛庁に、この導入の是非を議論する前に、一体、少なくとも騒音の問題はいかがなものか、安全性の問題はいかがなものかという問い合わせをやっておりますが、二カ月たった今日、何の回答もいただいておりません。現に、このオスプレーという機種は米国内で既に生産が開始されているものでございます。そうした情報が、そうしたスペックが米軍の手元にないとは到底考えられないわけでございます。  そうした情報の開示も米軍から日本政府が受けないというのであれば、これは日米安保の相互信頼に基づかない行動であろうと思いますし、そうした情報を沖縄の県民の皆様が望んでいることがわかっていながら依然としてそうした情報を伝えることができないという日本政府対応には、私も、少しおかしいのではないか、そういう不信感を持たざるを得ません。  一体全体この問題に外務省はどのように対応されていくのか、こうした情報をきちんきちんと必要なタイミングで提示されるお考えがあるのかどうか、外務大臣にお伺いをしたいと思います。
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 オスプレーの性能については、アメリカの報告書によって低騒音だということが記されているということは、我々は承知しております。また、これは、安全性について我々が問い合わせたとか確認をしたとかということはありませんが、アメリカがその機種を生産を始めるということになれば、それは安全性が確認をされなければそんなヘリをつくるということはないと、これは私は一般的な常識として思います。  しかし、他方、そのオスプレーが沖縄に配備されるかどうかということは、これはまた別の問題であると思います。確かに、オスプレーというヘリを開発しているということがホームページに記されているということは我々も承知をしておりますが、そのオスプレーが現在の沖縄にあるヘリの代替機として使われるかどうか、さらにはそれがいつからそれでは投入されるかということになりますと、これは公式の発表はないというふうに承知をしておりまして、私どももこの問題については米側に問い合わせたこともございます。しかし、米側にはまだ公式の予定が確認をされているという事実はないのでございます。  したがって、オスプレーが、周辺の状況からこれではないかという話があるということと、これがアメリカ側の公式の計画の中で沖縄に配備をされるということが決まっているということとは別の話であって、私どもは、そういうことが公式に決まっているという情報は確認をしていないのでございます。  さらに、議員が沖縄県民が望む云々というお話をされましたけれども、私どもは、どの機種が投入されるか、あるいは、第一、代替されるかされないかということについては、これはあくまでも米側判断米側が決めることであって、我々がこれにしろ、これにするなということを言うという立場ではないだろうというふうに考えているところでございます。
  45. 河野太郎

    河野(太)委員 もう時間がありませんからコメントを述べるだけにいたしますが、本日の質疑、とにかく何を聞いても、将来的にどうするのかというのは全部仮定の問題ということでお答えにならないという政府対応には、極めて強い憤りを感じるものでございます。これはむしろ、立法府を今の政府が無視をしていると言うべきものではないかと思います。  この問題について、少し外務委員会の中できちっと、どう対応をするのかということを考えていかなければいかぬと思います。きょうのような答弁を繰り返すのであれば、政府から提案される法案並びに条約について、この外務委員会はどのような審議をするのかということを少し考える必要があるのではないかと私は思います。  それから、何事も決まってから通知をするという今の日本の防衛の問題に対するあり方も、決まる前に日米両国議論をする、あるいは、日本の国内で防衛問題についてきちんと国民議論をする、その情報を提供をする、そうした使命がこの外務委員会にはあると思います。  そういう面で、ただいまの外務大臣の御答弁には私は納得しかねることが大でございますが、時間が切れてしまいましたので、また次回に延ばさせていただきたいと思います。
  46. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、赤松正雄君。
  47. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 仮定の問題とか仮定以外とか、仮定の問題を仮定以外のところに出されたような感じがする河野委員質問でございました。  私は、北朝鮮の問題について御質問をいたしたいと思います。  九二年の十一月以来実質的に中断をされていました日朝交渉が再開をされるということは大変に好ましいことである、こんなふうに思いますが、言うまでもなく、日朝間にはたくさんの難問が山積をしておりまして、難航は必至だと思われます。そこで、交渉に当たっての基本的な外務省の姿勢、考え方というものを確認いたしたいと思います。  河野外務大臣は、三月十四日の外務省における記者会見で、前日の日朝赤十字会談についてこんなふうなことをおっしゃっています。人道支援を緊急に行うことが重要であるとそれぞれ考えている、あるいはまた、双方の考え方を確認しながら同じテーブルで議論することに大きな意味がある、前進しているのだ、こういうふうなことをおっしゃっておりますけれども、ここでおっしゃっている人道支援をめぐる日朝双方の考え方というのはどういうものと思っておっしゃっているのか、それについてお聞きをしたいと思います。
  48. 河野洋平

    河野国務大臣 日朝交渉を行うことの意味というものはいろいろございます。  まず、日朝間の極めて不正常な状況を正常化する。これはまさにこの五十年、我が国がやらなければならなかった国交の正常化という意味で、一番大きな問題であろうと思います。しかし一方で、緊急度の高い、あるいは我々にとって最も痛みの強い問題の一つは、拉致問題の解決でございます。さらには、日本人妻の里帰りの問題、これも人道問題として重要な問題だと認識をいたしております。  一方、北朝鮮側には北朝鮮側の主張があって、具体的には、一九四五年以前の北朝鮮側の日本における行方不明者についての調査というものをやってほしいという希望もありますし、さらに大きな問題として、飢餓に悩む人たちに対する食糧援助というもの、これは北朝鮮の主張でもあると同時に、国際社会がそれを認めているわけですから、こうした問題に対する日本側からの支援を求める、そういう考え方が先方にあるわけでございます。もちろん、先方もこの不正常な状況をどうやって正常化するかということについて大きな関心があることも当然だろうと思っております。  こうした問題をテーブルにのせて、テーブルを囲んで議論をするということの重要性は、我々として強く感じているというところでございます。
  49. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今おっしゃったのは、日朝間が過去長い経緯の中で抱えている基本的な問題と、それ以外に今直面する双方が抱えているテーマがあるということで、日本側からすれば、いわゆる拉致問題、それから日本人妻の里帰りの問題、それから向こう側からは、一九四五年以前の行方不明になった戦争被害者、あるいはまた飢餓的状況にある北朝鮮の食糧事情、こういうふうなことをおっしゃいました。  この認識というのは、今に始まったことではなくて、従来から一貫して変わらないことなのでしょうか。双方の考え方がここへ来てはっきりしたということですか、それとも、前からはっきりしていたのが、改めてということですか。その変化があるのでしょうか。
  50. 河野洋平

    河野国務大臣 ちなみに申し上げますが、三月の十三日の日朝赤十字会談におきます共同発表というものがございます、もう御存じのとおりだと思いますが。この共同発表におきまして、四点、双方が合意をしているわけでございます。第一にふるさと訪問、第二に拉致問題、第三に一九四五年以前の行方不明者の調査、第四番目にWFPを通じて十万トンの食糧支援、この四点が日朝赤十字会談の共同発表の中で合意されて発表されたものでございまして、少なくともこの四点については両国の問題意識を双方が共有をしたということだとお考えをいただきたいと思います。
  51. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私の先ほど質問、従来と変わりがあるのかどうかにはお答えにならなかったわけですけれども、私は、この二国間における交渉の中で、いわゆる食糧支援というものは別の問題だろうと思うのです。  日朝間に横たわる問題というのは、やはり我々が北朝鮮在住の日本人の安否という問題を出す、いわゆる拉致問題というものの解決を迫る、向こうは、いわばもっと長いスパンというか、一九四五年以前の、あの戦争の被害者として行方不明になった人を持ち出すというのが、ある意味で基本的な人道支援に関するテーマであって、いわゆる食糧支援というものを絡めると事はややこしくなるというふうに私は思うんですけれども、これは大臣、どういうふうに思われますか。
  52. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに、議員がおっしゃるとおり、食糧問題というのは近年ますます緊急度が高くなっている問題であって、ずっとさかのぼって、どこまでさかのぼるかというのは問題がありますけれども、最初からこういう問題があったかどうか、双方が突きつけ合っていたかどうかということになると、今が一番そういう意味では要求度が高くなってきていると言っていいかと思います。  しかし、こういう問題について我が方がこたえるということが全体を動かすという意味で意味があるというふうに我々は考えたわけでございまして、それと同時に、何といっても、国際的に見て、北朝鮮に対する人道支援というものは国際的な認識として必要だということがはっきりしているわけでございますから、この点についてこたえたということであって、このことが全体をややこしくするのではないか、複雑化するのではないかというふうに現在は考えておりません。
  53. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、やはりこの問題、後で述べることとも関係してくるんですけれども、いわゆる食糧支援というものを二国間における人道支援とは分けて行うべきだと思います。  既に一九九八年の六月に、北朝鮮側は当時の交渉の中で、いわゆる行方不明者が見つからない、調べた結果見つからないというふうなことを約二年前にはっきりさせた。そこがまた改めてこの段階で、先ほど大臣おっしゃった日朝赤十字会談の四つの確認項目の二つ目の中で取り上げられているということに、私は非常にいぶかしいものを感じます。  では、九八年六月に調べたけれども見つからなかった、それは調べ方が悪かったのか。今回もう一遍これをやるということについてはどういうふうな前進があったのかどうか。その辺の認識はどうされているんでしょうか。
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに、議員がおっしゃるように、前回も一度は先方からそういうものはないという旨の返事があったわけでございまして、今回それをさらに重ねて要求をするということにどれだけの成算があるか、そういう意味だと思いますが、私どもも、前回と同じようなことを同じように求めては意味がないということで、少し我が方から具体的にいろいろなことを言っているわけです。  例えば、今度の会談におきましても、日本側からは、新聞や放送、その他の方法を通じて調査が北朝鮮内で周知されるようにまずしてほしい、つまり、目に見える形で、捜しているということが我々にもわかる、我々にもというか北朝鮮内でわかるようにしてほしいというようなことを求めたわけでございます。  ただ、これに対しまして、北朝鮮側からはすぐに、わかりました、そうしますという返事はございませんで、この問題は、効果の上がる方法かどうかということを今後よく一緒に研究していきたいという返事にそこはとどまっているわけでございますが、そうした人捜しの方法についてまで踏み込んでこちら側から指摘をすることについても、耳を傾ける姿勢に先方がなっている。  さらに、これから赤十字会談をやるたびに進捗状況について先方は報告をしますということを言っておりますし、これから先、調査の具体的方法などについてもこちらは注文をつけていくということについて、向こうにはその旨言ってあるということでございます。  そして、今回の、先ほど申し上げた共同発表の中にも、当該機関がしっかりとした調査を開始した旨通報し、また、調査の結果、仮に見つかれば日本側に通報し、適切な措置をとる旨説明をしたと。適切な措置とは一体何だということでございますけれども、これは、本人が帰国を望めば帰国をさせるという意味であろうというふうに私どもは解釈をしているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、今後、赤十字会談の都度、先方がその進捗状況を報告するということは、我々として大事な情報であろうというふうに考えているわけです。
  55. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、今、正確に言うと最後まで読んでないんですが、高沢皓司さんの「宿命」という本を読んでいるんですね。これは、もともと彼自身がよど号事件に興味を持ってというか、深くかかわっているということで、そこから始まってさまざまな拉致事件の真相について探った、非常に深い感動を覚える本でありますけれども、そういうことも踏まえて、私は、いわば日本側の拉致事件に対する姿勢というものはもういろいろな角度から、さっき大臣おっしゃいましたけれども、あの手この手で北朝鮮側に伝えなくちゃいけない。  それが、先ほど来のお話を聞いておりますと、今まで、従前の北朝鮮は、どちらかというと、そういう問題を出すと一九四五年以前の問題を出してきて、それである意味で相殺を図る。現実に、先般も北朝鮮問題の専門家といろいろお話をしたんですが、いわゆる拉致という問題に関する先方の受けとめ方は、非常に気軽に考えているというか、そう深刻に考えていない、もっとたくさんの行方不明者が我が方にはいるんだというふうな受けとめ方をしているというふうな指摘がありましたけれども、今大臣のお話を聞いて、そういう点については大きく先方は考えを改めたというふうに理解してよろしいんですね。簡単に。
  56. 河野洋平

    河野国務大臣 これまでも、しばしば我が方としてはこの問題を提起しているわけでございます。したがいまして、北朝鮮側は、この問題が我が方にとっていかに高い関心度を持っているか、非常に痛みを伴っているかということを十分に理解をしているはずだと我々は考えております。そして、他の問題を議論するときに、この問題について、これを横によけていくというわけにはなかなかいかないということについても、先方は我が方の主張を聞いているということは間違いがないというふうに思っております。
  57. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほども申し上げましたが、私は、これから交渉が再開される、日朝間の今回の交渉というのは、先行きうまくいくのかどうか、大いなる疑問を持っております。  超党派の訪問団を受けてのことだと思われますけれども、こういうふうに事態が新たに再開されるという背景には、大臣も記者会見の中で、北の外交の多角化、ことしになってイタリアとの国交回復といったふうなことを初めとして、さまざまな変化の兆しが見えるのだということをおっしゃっておりますが、私は、基本的には変わらない。確かに、アメリカ一辺倒というふうな、あの一九九三年以降北朝鮮がとり出した、ともかくアメリカのみを窓口とするというやり方を少し変えて、多角化させる方向を見せているということはうかがえるわけですけれども、しかし、基本は変わらないのじゃないかというふうに見ています。  というのは、例えば私の同級生ですけれども、小此木政夫慶応大学教授、彼は、北朝鮮の外交の姿勢というのは恫喝と求愛なんだという言い方をしています。恫喝と求愛のこの二つのモードを使い分けているんだ、こう言います。私は、似たような感じですが、従来国際政治で言われている弱者の恐喝という観点で、恐喝と物ごいといいますか、そういうものをうまく使い分けている。今後もそういう格好で出てくるだろうと思うんですね。  そういったときに、従来の日本は、向こうが恫喝で、例えば核疑惑というものがある中でミサイルを開発する、人工衛星と言いつつ日本に向けて撃ってくる、こういうふうなことがあったときに、たちどころにそれにすぐに個別に反応して、例えば交渉をやめてしまう、あるいは経済的にそれを包囲するというか、従来のパターンをやめるというふうなやり方。日本外務省は対話と抑止という言葉をお好きでよく使っているようですけれども、私は、北に対する基本的な姿勢というのは、先国会の日米ガイドラインを確立するもので防御というか防衛の一つのシフトをしいた以上は、そういう向こうが交互に使い分けてくる流れに一々個別の反応をするのじゃなくて、粘り強い交渉姿勢、対話というものを持続的に続けていくということが大事だ、こんなふうに考えているわけです。  そういうふうな一般論を述べた上で、仮に再びミサイル発射ということがあった場合、まだ始まっていないわけですけれども、これからの交渉についてどういう姿勢で臨まれるのか。私は、今申し上げたように、であっても、いろいろなあの手この手で交渉を続けるべきだという姿勢でありますけれども、大臣、お答えを願いたいと思います。
  58. 河野洋平

    河野国務大臣 米朝協議の極めて重要な点は、この協議が継続している間はミサイルは凍結をされるということが極めて重要で、この約束をアメリカは極めて重要視しているわけであります。我が方としても、もちろんそこに注目をしているというわけでございまして、この協議が継続中にもしミサイル問題ということがあれば、アメリカは恐らくこの問題について何らかの態度をとるということになるのではないか。これは米朝協議の中での話し合いを受ければそういうふうに見るべきだと思います。  日本もまた、国交正常化交渉というものを始めるときには、この点に十分注意を払わなければならないというふうに思いますし、対北朝鮮政策は、日米韓の三国が政策を共同してつくって、練り上げて対応をするということにしておりますのも、日本ただ一国では、対話と抑止といっても、日本の抑止力というものがどのくらいあるかという御指摘もあるだろうと思いますが、日米韓三国が共同して対北朝鮮政策について検討し、案をつくり上げるということになれば、これはそれなりの効果があるというふうに思っているわけです。
  59. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 次に、沖縄サミットに関連する問題で日米関係のことについて、残った時間お聞きしたいと思います。  沖縄サミットのことが語られる場合、サミットの成功という言葉がよく使われます。この言葉が非常にひとり歩きしているのですけれども、際立って広いテーマですから大変に答えにくいと思いますが、外交的という観点からすれば、私は、結局無事に終わればそれは成功というふうなことを考えておられるのじゃないのかなというか、結果的にはそうなるんじゃないのかなという気がしているのです。  日本としては沖縄を平和の象徴、シンボルとして位置づけたい、しかし、アジアの現実というのはそれは許されないという側面がある。そうしますと、結局はアメリカの戦略拠点としての沖縄といういわば現状追認ということだけに終わるのじゃないのかなという予測というか感じを私は持っているのですけれども、外務大臣のこのサミットにおける外交的成功という意味について、極めて簡潔で結構ですので、教えていただきたいと思います。
  60. 河野洋平

    河野国務大臣 議員がおっしゃるように、サミットの成功というのは語る人によって意味が違ってくると思います。ロジスティック担当者が語る場合には、無事に終了する、大変気持ちよく会議に参加された方がさよならと言って飛行機に乗られるということが成功だという意味の場合もあると思います。  しかし、今議員がおっしゃるように、外交的な分野でサミットの成功とは何かということを質問されれば、やはりサミットが、二十一世紀を臨んで、これからの二十一世紀が人類にとって一体どういう世紀になるか、それは目の前にあるさまざまな問題を克服することができて明るい世紀になるであろう、そのためにみんなが協力するよという議長宣言のようなものが発出をされるということが何よりも重要だろうと私は思います。  そしてまた、沖縄という場所で開かれるサミットということが、欧米の人たちをして、東洋の文化、文明、そういったものが非常に多様であって、さまざまな文化、文明がここにもあるということを認識してくださるということが次に重要だと思います。  もちろん、議員がおっしゃるように、沖縄が今置かれている非常に厳しい状況というものも、時に欧米の首脳の意識の中に意識されていくであろうというふうにも思います。  そうしたことをひっくるめて、沖縄からさまざまな明るい情報が発信される、それから沖縄というものについての認識が欧米の首脳の中に認識をされる、そういうことが重要ではないかというふうに思います。
  61. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今の外務大臣の、包括的なサミットの成功というのはそういうことだと考えておられるのはわかりました。  私はさっき、結局無事で終われば云々という角度から申し上げましたけれども、そこで、私は非常に大事だと思うのは、沖縄の皆さんの住民感情をどう和らげるかという、今大臣に答えていただいたのとはちょっと違う角度のお話ですけれども、やはり大事なポイントだろうと思うんですね。  今、五年間の期間をもって見直しの時期に当たっているいわゆる在日米軍の駐留経費の問題ですけれども、私は、金額を削減するとかあるいは見直すとかという問題よりも先に、第一義的に通らねばならないというのは、ホスト・ネーション・サポート、受け入れ国支援。  これは、かつて東政務次官なんかといろいろ党内で議論したときに、しきりに東さんはHNSのことを言っておった時期があって、非常に懐かしく思い出すのですけれども、HNS、ホスト・ネーション・サポートということを、当時私なんかは際立って思いやり予算という角度で削減すべしという側に立っていたんですが、今そうじゃなくて、ホスト・ネーション・サポートというものに見合うものというのは、いわばゲスト・ネーション・マナーというか、要するに、日本に駐留する米軍の、いわば日本を守ってやっているんだから見合うだけの支援をということではなくて、ゲスト国としてのマナーというものが問われているんじゃないかというふうに私は思います。その観点からすれば、それこそHNSじゃなくてGNMというふうに私は思うのですけれども、これが、具体的には地位協定の改善という問題がやはり非常に大事なテーマだろうと私は思うのですね。  例えば、今回、きょうの委員会で先輩議員が後で質問をされると思うのですが、例の嘉手納RAPCONですか、いわゆる基地管制業務の返還というものは、日本側の問題提起に大臣は向こうがこたえてくれたんだという話をされているようですけれども、これももちろん大事。今まで現地、沖縄の皆さん、県当局が強く要望していたことではあるのですけれども、もっと、より住民サイドの観点からいえば、航空機騒音の問題でありますとかあるいは環境問題とか、そういう住民生活に密着した問題について地位協定の改善を迫っていく。例の少女暴行事件以降、非常に燃え上がった地位協定改善の動きも、やはり日本全体では少し終息したような感じはありますが、沖縄ではいや増して強い要求があると思うのですね。  そういったことに関して、私は日本政府として、今回のRAPCONで終わりというのではなくて、強く求めていくべきだ。それが、別にサミットということではなくて、もとより長い日米関係における私の言うところのゲスト・ネーション・マナーという点で大事であるということが、いわゆる思いやり予算なんという問題より前にあるべきことだろうと思うのですが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  62. 河野洋平

    河野国務大臣 議員がおっしゃるゲスト・ネーション・マナーというのは、まことに一つの問題点を指摘していると思います。  ただ、日本人の感覚からいうと、これは、それこそこちら側が向こうに押しつける、こうしろということとはちょっと違うように思うのですが、しかしそれはそれとして、私どもが今アメリカと話し合っているのは、やはりよき隣人として振る舞うべきですよというよき隣人政策とでもいいますか、そういうことを提唱し、そういう考え方で自分たちはやりますと向こうは全く自発的にそういうことを言っておられて、よき隣人政策というものをお互いに定着させたいという気持ちが非常に強いということをまず申し上げたいと思います。  地位協定の問題は、もう議員が御指摘のように、私が前回外務大臣を務めましたときに、沖縄の県民の皆様方のお気持ちというものを私なりに解釈をして、問題提起をして、長い年月かかって成功するためには相当な難問題があるということであるならば、地位協定の運用の改善をすることによってこの問題をできるだけ早期に解決をして、そして問題となっていた容疑者の身柄の引き取り、その他の処理をしたいという気持ちから、地位協定の運用の改善ということを私は申し上げて、これは沖縄県民の皆さんには御理解をいただけずに、大変おしかりをいただいたことを今でも強く意識をしておりますけれども、しかしその後、沖縄県の皆様方とのお話し合いで、SACO最終報告の中に地位協定の運用の改善というものが九項目入れられて、その九項目は既に全部具体化されて、今はこの問題、SACOの最終報告の九項目についての問題はなくなっているというふうに思っております。  ただ、まだまだやるべきことはあるという沖縄の皆様方の声にも我々は十分注意深く耳を傾けなければならないというふうには、一方で思っているところでございます。
  63. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 時間が参りましたので、最後に一つだけお話をさせていただいて、大臣の考え方を聞いて終わりたいと思うのです。  先ほど、サミットについての世界に向けてのメッセージという部分で、私どもは沖縄に国連の機関、例えばアジア本部のようなものを誘致すべきではないのかという考えを、党中央の政策としても出し、かつ現地沖縄でもそういった署名運動を展開しているところでありますけれども、国連による平和へのメッセージこそ沖縄から発信されるべきだという観点で、沖縄に国連の機関、例えばアジア本部のようなものを持ってくるという考え、どういうふうに思われますでしょうか。それについてお聞きをして、終わりたいと思います。
  64. 河野洋平

    河野国務大臣 今議員が提案をなさいましたことにつきまして、我が国はかねてから、御承知のとおり、国連中心といいますか、国連外交といいますか、そういうものを極めて重視しておりますし、議員が御指摘の、沖縄でサミットを開いたこの機会にこうした問題が少しでも前進することを期待しておられるお気持ちは、大変貴重な御意見として承っておきたいと思います。  国連の役割でありますとか、あるいは一方で沖縄の持つ歴史的、あるいは地理的といった方がいいかもしれませんが、地理的特性というものを踏まえてどういうことが考え得るかということをよく我々も研究をする必要がある。一方で、国連が現在財政的に非常に厳しい状況にあるといったような状況もありますし、それらをひっくるめて、国連の機関と申しますか、そういったことが沖縄に置かれるということの意義は、我々としても大変意義深いものがあるのではないかというふうに今の御意見を伺いながら思った次第でございます。  これはひとつ今後の研究課題というふうにさせていただきたいと思います。
  65. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ありがとうございました。終わります。
  66. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤英成君。
  67. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。  まず、台湾の問題についてお伺いをしたいと思います。先週末、三月十八日に、世界が注目をしていた台湾総統選挙が行われました。この選挙について、あるいはその結果につきまして、外務大臣としてどのように評価をされていらっしゃるか、まずそれについてお伺いをいたします。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 このたび台湾におきまして陳水扁氏が新たな指導者に選ばれたわけでございます。我が国としては、こうした新しい状況のもとで、台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されること、そしてそのために両岸間の対話ができるだけ早期に再開されることを期待しているわけでございます。  我が国立場日本立場は、日中共同声明に基づいて、日中間で安定的な協力関係を発展させる一方で、日台関係については、非政府間の実務関係として、民間及び地域的な往来を維持していくというかねてからの方針は変わらないというふうに考えております。
  69. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今後どういうふうに対応していこうかというお話を今されたんだと思うんですが、私がちょっとお伺いしたかったのは、今回の結果をそもそもどういうふうに評価するんだろうかということで伺ったつもりなんです。  今回、この選挙を通じて、国民党から民進党の陳水扁氏に移るんですね。それで、そういう形で国民党から民進党への政権交代が行われることになったんですね。そのことについてどういうふうに思われるんだろうか。先般、アメリカのクリントン大統領は、台湾の民主主義の強さを明確に示すものだという言い方をされて、歓迎、評価をされたと私は思うんですね。そういう文脈で、外務大臣は、台湾の民主主義あるいは台湾における国民党から民進党への政権交代ということについて、どう思われるでしょうか。
  70. 河野洋平

    河野国務大臣 台湾が指導者を選ぶために再び民主的な手法によって、つまり選挙によって選ばれたということは、非常に意義のあることだというふうにまず思います。  それで、その選挙の結果につきましては、現在までいろいろと選挙結果についての分析等が行われているわけでございます。私ども外務省としても、その選挙の結果についての分析をしているわけでございますが、現時点でその分析について十分にでき上がっているというふうには実はまだ思っておりません。つまり、まだ十分な情報が収集されていないという意味を含めてそう申し上げているわけです。  それは、一般的に言えば、国民党から二人の候補者が出て、その候補者の選択の点でいろいろ問題があった、つまり、国民党及び国民党から離党をされて無所属で戦われたお二人の候補者というものがあって、そうしたことが国民党以外の政党、すなわち民進党の候補者の当選に相当大きな影響があったということは、これはもう一般的に言われて、それはそうだと私は思います。  さらに、国民党に対する批判があったという意見もございますけれども、それではその批判とは一体何が最も大きな批判であったかということになりますと、これは見方、まだまださまざまでございまして、これという決定的な分析というものはまだでき上がっていないというのが現状でございます。
  71. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 すると、外務大臣としては、現在の時点では、台湾の民主主義もなかなかすばらしいものだというような認識には今のところまだ立っておりませんという意味でしょうかね。
  72. 河野洋平

    河野国務大臣 いや、そうではございません。民主的な手法によって、つまり選挙によって指導者が選ばれたということは大変意義深いということを申し上げているわけでございます。
  73. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 本日の新聞の報道されるところですと、台湾の新聞が世論調査をされた。そして、その世論調査の結果ですと、陳水扁氏の当選が決まったことについて、その選挙の翌日世論調査をされたようなんですが、有権者の約七割の人が今回の選挙結果に満足をした。しかも、同時に、今度は台湾の別の新聞が世論調査をしたようでありますが、それでは、選挙の仕方の問題についても、その選挙方法も今の選挙方法のままでよい。要するに、今回は過半数をとっていなかったんですが、だけれども総統になるわけですよね。当選をされたという意味においての選挙の仕方についても、現行のままでよいという人たちが六〇%以上占めている、こういう世論調査が出ております。それについてはどう思われますか。
  74. 河野洋平

    河野国務大臣 台湾選挙の仕組みについて、その仕組みがいいか悪いかということを我々が言う立場ではないということをまず申し上げたいと思います。そして、世論調査の結果については世論調査の結果として、我々は一つのデータというふうに見てとらなければならないと思いますが、確かに、当選者が四〇%に満たない得票率で当選をされたという状況のもとで、その翌日ですか、七〇%の人がこれを支持したということとの関係は一体どういうふうに見るかということなどについて、私どもにももっと研究しなければならない部分もあるのではないかというふうにも思っているわけでございます。
  75. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 冒頭、クリントンの発言の民主主義の云々という話をしたんですが、クリントン大統領よりは外務大臣の方が、今回の選挙を見て、台湾の民主主義云々という、その民主主義の強さということについてはもうちょっと評価するのに時間が必要だという考え方をとっていらっしゃるということなんでしょうかね。
  76. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、台湾におきます選挙の方法というものは定着をしているというふうに思っておりまして、その都度その都度、そのことを大歓迎すると言う必要がもう既にあるかどうかというふうにすら思っているわけでございます。仮に、日本選挙が終わった後でどこかの国が、日本が民主的選挙を行ったことを歓迎すると言われて、それが何か意味があるだろうかとちょっと思ってしまうわけでございまして、それはそれぞれの国の評価でございますから、アメリカがそれを大変喜ばれるということも一つの評価であると思いますし、私どもが、そのことはもう既に前回も行っているわけでございまして、今回も同じように行ったということで、その都度そのことについてどういう形容詞をつけるかということは、このことに関する限りそう大きな問題ではないというふうに私は思います。
  77. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これまで、冒頭、私が政権交代の話をいたしました。それについても、外務大臣として、そのことの意味といいましょうか、台湾の政治におけるこのことの意味ということについてもうひとつわかりにくい、こういう感じを抱きました。  実は、台湾関係に非常に詳しい方に、例えば、台湾で腐敗防止法のようなものをもっとやった方がいいんじゃないだろうかという話をいたしましたら、いわば、腐敗防止法という次元と違うぐらいの状況といいましょうか、今起こっていることは、日本で考えればけた違いのことがあそこでは起こっているという話がありました。そのときに、最も意味のあるのはやはり政権交代だという話をされました。どう思われますか。
  78. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも、台湾の問題について、確たる証拠といいますか、事実を見ずに、こういうことがあるのではないかとか、こういう感じだとかといって論評をすることは控えさせていただきたいというふうに思います。  それぞれの考え方で、それぞれのやり方でよりよく納得のいく結果を得る努力というものがそれぞれなされることを期待するということ以上のことは控えさせていただきたいと思います。
  79. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 二月の下旬に中国がいわゆる台湾白書というのを発表いたしました。この意図はどういうことであると外務大臣は思っていらっしゃるのか。そして、その台湾白書に対して、今回の選挙台湾の有権者はこれに反発する感情があったと思われるのかどうか。どう思われますか。
  80. 河野洋平

    河野国務大臣 中国台湾白書、つまり「一つ中国原則台湾問題」と題する白書を発表されたわけですが、この発表の時期とか発表の仕方等を考えれば、やはり何がしかの意図があったかもしれないというふうに思われても仕方がないタイミングのように思います。  しかし、その台湾白書なるものの中身は、これは中国側が説明をしておりますように、その内容は新しいものではない。言ってみれば、トウショウヘイ氏の発言からこの方さまざまな発言があって、それらを集大成するといいますか、一つにまとめて白書というものはつくられているのであって、台湾白書発表の際に、その中に新しいびっくりするようなことを入れたということではない。これは、朱鎔基氏を初めとして中国側の方々が累次にわたって説明をしておられることから見て、私はそうだろうと思うのです。  この台湾白書によって選挙の投票動向がどういうふうになったかということをお尋ねでございますけれども、これはどうも私どもは論評をする立場にございませんと申し上げる以外にないかと存じます。
  81. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回の選挙戦あるいは台湾選挙に当たって中国からは、報道のされ方によりますと、口でかなり攻撃といいましょうか牽制といいましょうかということがされたり、あるいは文書で、これも牽制なんでしょう、そういうものが非常に出されたりしたということですよね。このことがいわば中国にとって好ましからざる候補者を勝利に導いたということを考えられますか。
  82. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、投票動向にどういう影響を与えたかということは、確たる事実関係とかがございませんし、しかも、このことは我が国として論評をするということは控えるべきだろうと思いますので、御容赦をいただきたいと思います。
  83. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 どういう認識を持っていらっしゃるかということを私は伺ったわけです。なぜこういうことをお伺いするかというと、恐らく、こういうものがどういう影響を与えるんだろうか、その認識のもとに外交は展開されますね。これは日本にとってもあるいは台湾にとっても中国にとっても、みんなそういうふうに動くはずですよね。だから外務大臣認識をお伺いしたわけですが、今のようなお話でありました。認識がないのかどうかはわかりませんが。  それでは、いわゆる三通という政策に対して、これは中国主張をしていると理解しておりますが、台湾が今日まで慎重論、あるいは急がない形で進めるといいましょうか、いわば慎重論をとってきたと私は思うんです。  そこで、外務大臣認識を伺うんですが、中国はなぜこれを推進しようとし、台湾はなぜ慎重論をとってきているというふうに認識をされますか。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 いわゆる三通政策、通信、通商、通航でしょうか、航海・航空路開設、こういうことを中国側は呼びかけているわけでございます。これらは、海峡を挟んで経済活動が非常に活発になってきております。この活発な経済活動を考えれば、通信も通商もそして交通問題についても積極的になろうということを提案することは一つの考え方であろうと私は思います。  一方、台湾側がこのことについてどういうふうに考えているか。今議員がおっしゃるように、台湾側が慎重だということでございますが、これが慎重というべきか消極的というべきかはちょっと申し上げる立場ではございませんけれども、いずれにしても、強いて言えば時期尚早といいますか、もっと時期が熟したときでということではないかというふうに推測をいたします。新しい指導者が選ばれた後どういうふうにこの問題にかかわっていくかということも、また我々は十分注目をしたいと思っております。
  85. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時期尚早ということじゃないかと言われましたけれども、何が時期尚早なんだろう、なぜ時期尚早なんだろうかということですね。それをどういうふうに認識されますかということ。  それからもう一つ外務大臣は冒頭、政府としてもということなんでしょう、要するに、これからこの選挙を踏まえていかに両岸の対話を促進するか、対話を進めてほしいということを言われました。私も自分の談話として、対話を早急にという話をいたしました。  では、その対話を促進するという意味とこの三通という問題について、外務大臣としてはあるいは日本政府としては、台湾に対しても、ぜひ三通政策台湾としても前向きにあるいは積極的にやってほしい、このように考えていると考えていいんですか。
  86. 河野洋平

    河野国務大臣 台湾側の考え方を推測いたしますと、やはり安全とか互恵とかという点が非常に重要だと考えているのではないかというふうに思います。私どもは、両岸の対話ということを求めている、あるいは対話が必要だというふうに思っているわけでございますから、ぜひその対話の中でこうした問題も話し合ってほしいというふうに思います。
  87. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 では、三通という問題については、三通というこの三つの、通信、通商、通航という部分については促進されることをぜひ期待しますということでしょうか。
  88. 河野洋平

    河野国務大臣 それは、双方の合意によって、この両岸の対話の中でいろいろな話がなされるでしょう。その話の中でこういった問題も議題に上ってくるであろうというふうに推測できるということを申し上げたわけです。
  89. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ちょっと確認いたしますが、これはもちろん両者がその対話の中で解決をしていくんですが、そしてまたその合意に基づいていくんですが、それは、この三通ということについて促進されるべく合意がされることを期待する、こう考えていいんですか。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 双方が合意をされることを期待します。
  91. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それが促進されるように合意されることを期待するというふうに理解いたします、よっぽど違ったらまた言ってくだされば結構ですが。  では、もう一つ、WTO加盟の問題について、中国台湾双方のこの加盟ということに対して、政府あるいは外務大臣としてはどういう態度でいらっしゃいますか。これは積極的に働きかけていらっしゃるんでしょうか。
  92. 河野洋平

    河野国務大臣 早期加盟に向けて積極的に日本としても努力をするという立場でございます。
  93. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これは台湾も両方という意味ですね。それでいいんですね。わかりました。  それから、その次に、今アメリカの議会で、いわゆる台湾安保強化法案というのが審議されています。圧倒的多数で下院を通過いたしました。これが成立した場合に、どういう影響を今後与えることになると考えられるかですね。どのように思われますか。
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 台湾安全保障強化法という法律案は、二月一日に米国議会下院を通過しております。まだ上院における審議日程等は未定でございまして、上院がどういう審議をなさるか、どういう御判断をなさるか、これは我々にはよくわかりません。よくわかりませんが、我々がこれまでさまざまな機会にさまざまなレベルで米国政府関係者と話をし、米国政府関係者の話を聞いているところでは、この法案がむしろ台湾の安全を低下させる可能性がある、台湾安全保障強化法というけれども、この法律をつくることによって台湾の安全が低下するということが考えられる、アジアにおける安定を損なうものとしてその成立にはアメリカ政府は反対だということを表明しているというふうに我々は承知しているわけでございます。  こうしたアメリカ政府立場我が国としては十分留意する必要があるというふうに考えております。
  95. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話は、アメリカ政府の、これができるとむしろ逆に台湾の安全を低下させることになるだろう、その考え方を日本政府としてもあるいは外務大臣としても、今留意をされると言われましたけれども、それはそういうふうに考えますという意味ですね。  では、もしもそうだとしたときに、日本政府からそのアメリカ関係者に、今の認識のもとに、この台湾安保強化法案は成立しない方がいいという意味で何らかの働きかけをしていますか、していませんか。
  96. 河野洋平

    河野国務大臣 これはアメリカ国内の問題でございますから、先ほども申し上げましたように、まだ上院がどういう審議をなさるか、どういう判断をなさるかということもわかりません。今、アメリカ国内の議会におきますそうした議論について我が方があれこれ申し上げるというつもりはございません。
  97. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 冒頭、外務大臣から、中台間の対話の促進等についての考え方は言われました。この中台関係でいわば最も心配されますのは、軍事的な緊張関係、衝突ということもあるのかもしれません。そういう緊張をなくすためにという意味で、この緊張緩和のためにその対話を通じて活動する、そういうふうに言われたんですが、具体的に何らかのアクションをとるということは、そういう意思はありますか。
  98. 河野洋平

    河野国務大臣 私はもうかねてから中国政府に対しましては、台湾をめぐる問題について武力を行使するということは適切な対応ではない、そういうことはすべきでないということは繰り返し述べてきておりまして、この考え方はこれから先も伝えたいと思っております。
  99. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 実は、昨年、李登輝総統が特殊な国と国との関係云々ということを言われたときに、私は、八月に台北に飛びまして、李登輝総統にお会いして、一時間ちょっと直接お話をいたしました。そのとき私が申し上げたのは、いわゆる台湾海峡が非常に緊張した状況になること、いわば台湾海峡が波高くなる話は、アジアにとっても、もちろん日本にとってもですが、これは何としても避けたい、そのために、そういうふうにならないように中台間で対話をぜひやってくださいというお話を申し上げたりしたんです。  先ほど外務大臣は、中国云々という話がありました。今アメリカも、中国に対してもあるいは台湾に対してもそれぞれ、要人が両方訪問する予定やら、いろいろ動いたりしていますね。いろいろ報道されているとおりです。日本政府としては、台湾に対して何らかの具体的な行動はとるつもりがありますか。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 台湾に対しては、政府としての立場と申しますか、パイプはございません。したがいまして、政府として台湾に何か物を言う、政府として何か物を言うということはありません。  しかし、先ほども申しましたように、アメリカ台湾独立を支持しないということを明確に繰り返し言っているわけでございまして、アメリカのそうした発言というものは我々も承知をしておりますし、中国側の対応について我々が十分意を用いるということは、やはりそれはそれなりにこの問題について非常に意味のあることだというふうに私は考えております。
  101. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 李登輝総統が、これは総統をおりられてからなのでしょうが、日本に訪問したい、あるいは李登輝さんを日本に呼びたいという話もあると承知しておりますけれども、日本を訪問するあるいは訪問したいということになったときに、政府としてはどのように対応されますか。
  102. 河野洋平

    河野国務大臣 全く仮定お話でございまして、今そのことに我々がコメントする立場ではないというふうに申し上げておきます。
  103. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いつもそうして仮定お話にはという話でした。先ほど御子息の河野議員が、それこそ外務大臣ほか不信任案でも出したいような話をされたりしておりましたけれども、よく外務省も予防外交、予防外交と言うのですよ。これは起こってからでは遅いのですよ。だから、事前にどういうふうに対処するかということを考えなきゃならぬ。だから、外務省もあるいは外務大臣もといいましょうか、口ばかりで行動していないのかもしれないとさえ思いますよ。  李登輝さんのことについて何かありますか。
  104. 河野洋平

    河野国務大臣 申し上げることはありません。  しかし、先ほど来の自民党議員質問につきましては、やはり我々は国益を考えて問答をしなければならないと思います。外務省という立場、特に外務大臣とか外務政務次官という立場で公式の場で物を言うときには、やはり国益を考え、国際的に見てもそのことが緊張を高めるような議論をするということは、適切な議論だと私は思いません。先ほど来の政務次官の御答弁を私は全く支持したいと思います。
  105. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次のテーマで、国連改革のことについてお伺いいたします。  外務大臣外交演説の中にも国連改革のことについて触れられております。本当に重要な話、しかも、ことしの九月には国連ミレニアム総会も行われます。ミレニアムサミットも行われますね。そうしたときに、この国連改革、特に安保理改革については活発な議論が行われることが期待されているわけですね。そして、このミレニアムサミットに関して、アナン事務総長もその報告書の中で、この包括テーマは二十一世紀における国連というふうにし、そしてサブトピックスとして国連強化ということになっているわけですね。  そこでお伺いしたいのですが、先週月曜日、三月の十三日に、グリラブ国連総会の議長にもお会いをしていろいろ話もさせていただきました。そして先週の金曜日には、アメリカのホルブルック国連大使とも話をさせていただきましたけれども、ともにいわば国連改革の問題について話をいたしました。  そこで、実は私は、さっき申し上げた国連総会の議長にもあるいは米国国連大使にも申し上げたのですが、いわば国連改革、国連改革と言うけれども、口ばかりじゃないか、何年たっても実際に進んでいない。そして、日本の財政状況はまさに先進国で最悪の状況、しかし日本国連の分担金は、安保理アメリカ以外の常任理事国四カ国を合計したよりも多いわけですよ。いつまでこんな状況が起こっているのだろうか。日本の納税者からすればいわば我慢ならない話じゃないか、大変なフラストレーションを感じますよ。国民もそう思っています。だから、それぞれ関係者が御努力をしていることについては感謝はするのだけれども、ことしはまさにミレニアムの年、そしてそういう意味でミレニアムサミットも行われるわけなんで、ぜひ国連改革を進める年にしていただきたいという話を申し上げました。  そこで伺います。  外務大臣は、この国連改革をどのぐらいの熱意で本当にやろうとするのか。そしてそのときに、常任理事国は、アメリカの大使は二十カ国か二十一カ国ぐらいにするといいと思っているという話もされました。その考え方も言われましたけれども、日本は本当にどうしたいと思っていらっしゃいますか。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 国連改革は、二十一世紀を目の前にして極めて重要な問題だと思います。  議員も御承知のとおり、昨今国際社会の中で起こっているさまざまな問題は、なかなか現在の国連では解決が難しい問題が次から次へと起きている。それは、もっと言えば、現在の安保理が十分機能し得ないような問題が起きているということはだれもが認めていると思うのです。  しかし、それでは、今の国連はだめだ、今の国連では問題解決ができないからといって、国連以外の機関をつくることができるかといえば、国連以外の機関などつくれる可能性が今あるとは全く思いません。ということになれば、国連を改革し、国連をリフォームして、そうしたさまざまな問題に対応できる能力を国連が持つということ以外にないわけですね。ということになれば、当然国連改革に我々が情熱を持って、熱意を持って取り組むということはだれしも異存がないことだと思います。  さて、総論はそういうことなのですが、いざ各論がどうかということになると、それではどういう方法があるのか。やはり、百八十カ国を超える国々が参加している国連で、機能的、効率的、そしてだれもが納得できる結論を導き出す方法は一体どういう方法があるかといえば、やはり理事国というものをつくる、理事会というものをつくる、その理事会の中には常任理事国を置く、さらに非常任理事国を置くというやり方というのは、一つのやり方だ。  しかし、その常任理事国、いわゆるP5と呼ばれる国々だけで国際社会全体の意見がそこに集約できるかというと、それは非常に難しい。これは、さまざまな国際機関の議論の中でももう既に、例えば開発途上国の意見というものがどうやって反映されるか、開発途上国の人たちは、自分たちの意見が反映されないということに大変なストレスを感じているということなどもありますから、やはり理事国の中に、あるいは常任理事国の中に開発途上国の国を幾つか入れる必要があるのではないかという議論も一方であるわけです。  そういうことになって、次の問題として、さらば理事国を何カ国にするかということから、二十一という説もあれば、二十六、七という説もあれば、二十四という説もあるわけです。アメリカは、国連改革に賛成です。そして日本の、少しこれは言い過ぎかもしれませんが、我が国の常任理事国入りについても、アメリカはこれを支持すると言っておられます。しかし、その一方で、アメリカは二十一カ国という数に今のところこだわっておられる。二十一カ国という数にこだわられると、日本は常任理事国に入る可能性というものが、具体的にはめていくとなかなか難しいという事実を繰り返し今アメリカにも説明をし、この数においてアメリカにもう少し柔軟な対応をとってほしいというのが今我々の希望でございます。  それについて、アメリカ側からはまだはっきりとしたお考えというものは示されておらない。先般のホルブルック大使も、いろいろ意見があるな、いろいろ考え方があるなというふうに言っておられて、大使との先般のお話し合いでは、これでなければだめというほど断定的、硬直的なお話ではありませんでしたけれども、かねてからアメリカが言っている数というものを変える決定的なお答えも得られなかったという問題がございます。  それからもう一点、議員は、国連の予算、財政の問題について触れられました。つまり、分担金の問題について触れられました。国連の分担金が、我が国の分担率は、議員がおっしゃるように、常任理事国、アメリカを除く四カ国の合計よりも日本一国の分担率は高いということで、それでなおかつ日本安保理のメンバーにもならないというのでは、我が国納税者の気持ちからいえば、これでいいのかというおしかりを我々外務省は受けますよ、受けておりますよということをアメリカ大使にも申し上げましたし、総会議長にも私からも申し上げました。  これについては、いや、その事情はよくわかるということをおっしゃっておられまして、これからこの問題についての議論が始まるということでございますから、こうした主張はこれから先も続けていきたいと思っております。
  107. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今言われたような感じで、国連改革もどうしてもしたい、だけれども、こういう状況で、アメリカにもこのように言っていますという話でありました。  先ほど、沖縄サミットの成功とは何だろうかという話が同僚委員からもありました。私は、今度の沖縄サミットは、総理がおっしゃるように、これからの二十一世紀のためにどうやっていろいろな問題を解決していくのだろうか、その大きなシステム、制度はやはり国連だと思うのですよ。今回のこのサミットのいわば最優先課題は国連改革をどうやって進めるかということをやることなんだろう、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  108. 河野洋平

    河野国務大臣 サミットの議論国連改革が重要だという議論はあり得ると思いますが、具体論になると、これはG8の国々では利害が対立をするわけでございまして、それ以上踏み込むことはなかなか難しいかもしれないという感じがいたします。  今私がG8であり得るかもしれないと申しましたけれども、もう少し申し上げれば、G8サミットというよりは、G8の外相会議では国連改革の問題について何らかの議論があり得ると申し上げた方が正確であるかもしれません。  しかし、御承知のとおり、G8サミットのうちの三カ国、アメリカ、イギリス、フランスは常任理事国、日本、ロシア、ドイツ、カナダ、イタリーは常任理事国ではないわけです。こういう国々のサミット首脳が集まられて、常任理事国を何カ国にするか、どこを入れるかという議論はなかなか議論のしにくいところだろうというふうに思うものですから、総論として議論はあるかもしれないけれども、各論のところまで行くのはなかなか難しいのではないかということを申し上げたかったわけです。
  109. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 外務大臣、何となく、例えば外相会議の場でもそうなんですが、そういう議論にもなるかもしれませんというぐらいの感じなんですね。どういうことをしたいんだ、どういうふうにするんだよと、あるいはそういう国々に働きかけるとか、もっと積極的にやらなくては、日本外交はどこに行っているのだろうかというふうに思います。  時間も来てしまったものですから、最後に一つだけ伺います。  ODA絡みなんですが、時間もありませんので結論だけ申し上げますが、先般、中国の北京に首都国際空港が完成をいたしました。これには日本の三百億円のODA資金を使っていると私は思います。これが、報道によりますと、中国がこの空港施設を株式会社にして、そして二月には香港市場において上場して、それがフランスのパリ空港社に、その株の三〇%ぐらいでしょうか、三十数%でしょうか、買われたということですね。  これは極めて重大な話だろうと私は思うのです。この問題についてどのように考え、どのように対応をしておりますか。
  110. 河野洋平

    河野国務大臣 まず、一般論をひとつ申し上げたいと思います。我が国は被援助国の民営化を支援するという立場にあるということは、まず一般論として申し上げたいと思います。つまり、経済構造を国営化から民営化に移すということが、我々、被援助国に対しての期待の一つであるということを一般論としてまず申し上げておきたいと思います。  今具体的に議員が御指摘になりました北京国際空港の株式会社措置につきましては、円借款の借入人、すなわち中国政府でございますが、及び実施機関、これは中国民航総局でございます、この借入人も実施機関も変更はない。したがって、我が国中国政府に対する債権及び事業目的の確保に対する影響はない。つまり、借入人は中国政府でございますし、実施機関は中国民航総局でございますから、債権も確保できるし、その事業目的も確保できる、そういう点で影響はないと考えております。  しかし、我が国にとって、本件円借款にかかわる債権保全及び案件の適正使用の確保の観点から、円借款案件完成後の維持管理体制でありますとか所有にかかわる措置の変更は重大な関心を持たざるを得ません。中国側に対しまして、今後、株式化などの措置がとられる場合には事前我が国協議をする必要があると申し入れたところ、中国側より、今回の件について、大変遺憾であり、今後このようなことがないようにしたいという回答を得ておるわけでございます。  議員がおっしゃるとおり、三五%が香港市場で売られたということでございますが、株式の六五%は国営企業が保有をしているという事実も他方ございます。
  111. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 本件はまたの機会に扱わせていただきます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  112. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、玄葉光一郎君。
  113. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。  一月、二月、それぞれ、衆議院の外務委員会、民主党の訪問団で沖縄に行ってまいりました。その調査を踏まえて、普天間の移設問題、特に使用期限問題についてお伺いをしたいと思います。  言うまでもなく、使用期限問題というのは、沖縄県や名護市が、普天間の飛行場は受け入れるけれども使用期限を十五年にという、いわば受け入れのために要求した条件をめぐる問題であります。この点について、今国会における外交演説で、河野外務大臣は、昨年十二月二十八日の閣議決定に基づき、適切な対応をすべく、全力で取り組んでいく、そうおっしゃっておられます。  それでは、閣議決定とはどんな閣議決定だったのかということでありますけれども、使用期限問題については、政府としては、「国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、」「米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府協議していく」、こういう閣議決定がなされて、それに基づいて、河野外務大臣は、全力で取り組んでいく、そうお答えになっておられるわけであります。  先日、コーエン国防長官がお見えになったわけであります。河野外務大臣も会談をされたというふうに聞いておりますけれども、その中で、この使用期限の設定の問題について取り上げたのか、あるいは兵力構成等々の軍事態勢の問題について協議をしたのか、それらも含めて期限の設定という問題についての具体的な取り組みをお伺いしたいと思います。
  114. 河野洋平

    河野国務大臣 先般、コーエン国防長官が訪日をされました。その際、普天間飛行場の移設、返還問題に関しまして、私とコーエン長官との会談におきまして、私から、普天間飛行場の移設、返還に関する日本政府立場は、先般、瓦防衛庁長官よりコーエン長官に対し、また私からオルブライト国務長官及びバーガー大統領補佐官にお伝えしたとおりだ、日本政府としては、閣議決定に従って、引き続きSACO最終報告及び日米安保共同宣言を踏まえて米国政府と緊密に協議をしていきますということを述べました。  これに対しまして、コーエン長官からは、米国政府立場も先般来瓦長官にも伝えてあるとおりでありますという御発言がございました。
  115. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 コーエン国防長官が、今月十七日の午前、日本記者クラブで記者会見をしております。その席で、報道でありますけれども、安全保障上の必要性は、その時々の状況や脅威によって決められ、人為的な限定で決まるものではないというふうに述べられ、事実上、使用期限の設定を拒否し、その上で、日本側もそうした政策を支持しているというふうに述べたという記事がございました。  そこで、外務大臣にお伺いをしたいのは、できれば東総括政務次官にもお伺いできればとも思うのですが、この使用期限の設定という考え方あるいは政策、これらは正しい政策であるのか、それとも誤った政策であるのか、どうお考えになられるか、お伺いをしたいと思います。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 まず申し上げられることは、知事あるいは市長の御発言、問題提起というものは、沖縄県民あるいは市民の気持ちというものを体して述べられたものだというふうに私は思います。恐らく、知事のお気持ちの中にも市長のお気持ちの中にも、県内移設であるとか受け入れであるとか、そういったことについて決断をするということは、まことにつらい決断といいますか、苦しい決断であったに違いないというふうに私は思っているわけでございます。  知事の御判断は、普天間の基地の存在というものに対するさまざまな問題というものも御判断の中に入っているだろうと思いますが、そうしたあれこれを含めて、知事は知事としての判断を示され、市長は市長としての判断を示されたわけで、この御判断はやはり重いものだということを考えなければならないと思います。  政府としては、この知事、市長の御判断は重いものだというふうに受けとめておるのでございまして、この考え方が正しいか間違っているかということを今申し上げるよりも、沖縄県民のお気持ち、とりわけ知事、市長のお気持ちというものを重く受けとめるという政府の閣議におきます判断をぜひ御理解いただきたいと思います。
  117. 東祥三

    東政務次官 私にも問いかけがあったのですが、今河野外務大臣が申し上げたとおりでございまして、それにつけ加えるものは全くありません。
  118. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 知事の思い、県民の思い、これを重く受けとめる、これはもう当然のことであります。  ただ、私がお尋ねをしたのは、基地の使用期限を設定するということは正しい政策なのか正しくない政策なのかということを聞いたわけでありまして、外務大臣お答えをいただきたいと思います。
  119. 河野洋平

    河野国務大臣 政府としては、国際情勢もあって大変厳しい問題であるという認識を持っているということでございます。
  120. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 厳しいのは当たり前でありまして、では、少しつけ加えてお聞きいたしますと、安全保障上、基地使用の期限を設定するということは、正しい考え方なのですか、それとも正しくない考え方なのですか。正しい政策なのですか、誤った政策なのですか。その点についてお伺いをしたいと思います。
  121. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたように、正しいか正しくないかというよりも、少なくとも現在我々は、知事、市長の御判断を重く受けとめる、そしてアメリカとの話し合いの中でこれを取り上げていくという態度をとっているのでございまして、私は、このことが正しいか正しくないかということを今ここで申し上げるだけの、そういう判断をする十分な材料というものを持っておりません。  つまり、議員のおっしゃることは、全く白紙の上に字を書くという発想でおっしゃっておられるわけで、これまでの歴史的な経緯でございますとか、さまざまな問題を全部含めた総合的な判断ということも必要であろうと思います。  私は、コーエン長官の記者会見も、一般論としてお述べになっておられる。すなわち、コーエン国防長官の発言は、記者会見の冒頭、末尾で繰り返し述べているように、日米安保共同宣言を踏まえ、日本側と緊密に協議をしていくということを、コーエン長官は冒頭と締めくくりの言葉としてこういうことを言っておられるわけで、今議員が引用されました部分については、コーエン国防長官の一般的な議論ということであろうというふうに私は思います。
  122. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 では、総括政務次官も同じですか。
  123. 東祥三

    東政務次官 外務大臣と全く同じです。  ただ、玄葉委員はよく御案内のとおり、全くの一般論お話をするときに、今の世界の情勢あるいはまたアジアの情勢、そういうものを厳しく観察しているときに、例えば大量破壊兵器が地域に存在しない、あるいはまたミサイルも存在しない、あるいはまた通常兵器も全くない、そういう前提であるならば、当然、議論されているときの国際情勢の厳しさという部分は払拭されるわけですね。では、そういうことをちゃんと考えた上でどういうふうにするのかという視点を、常に安全保障の問題であるならば考えておかなくちゃいけないじゃないんでしょうか。それを全く無視した形でもって安全保障論というのは、政策というのは語ることはできないわけですから。  それを踏まえた上で、大臣が何度も何度もおっしゃられるとおり、閣議決定を踏まえた上で、県知事並びに市長の決意、また沖縄県民の心、また市民の心を踏まえた上でこの問題に対して対処していく、それに尽きるだろうと思います。
  124. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 いわば安全保障上は、一般論として言えば、基地使用の期限の設定は日本政府としては正しい政策とは思わない、そういうことですね。別に私、言質をとるために申し上げているわけじゃないんですよ。本当に議論するために申し上げているんですけれども。
  125. 河野洋平

    河野国務大臣 必ずしもそうと言い切れないこともあると思います。つまり、この手の話は、ケース・バイ・ケースといいますか、一つ一つの問題についてしっかりと話し合うべきものであって、一般的なマニュアルに当てはめてイエスとかノーとか、正しいとか正しくないとかという判断をする問題ではないというふうに思います。
  126. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 では、必ずしも誤った政策とは言えない、基地使用の期限の設定は誤った政策とは言えないということであれば、日本政府としては日本の国益からして、この基地使用を十五年にするということについて米国側に、取り上げる、あるいは単に伝える以上のことを、今後交渉して、かち取るという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、やっていくおつもりがあるということと解釈してよろしいですか。
  127. 河野洋平

    河野国務大臣 もう一度申し上げますが、普天間飛行場の代替施設の使用期限問題につきましては、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり、厳しい問題であるとの認識を持っておりますけれども、沖縄県知事及び名護市長からの御要請があったことを重く受けとめまして、これをアメリカ政府との話し合いの中で取り上げたところであり、今後国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含めて在沖縄米軍の兵力構成などの軍事態勢につき、米国政府協議をしていく考えであります。
  128. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 今の答弁では全く質問に答えていない。  だから、私は、何度も言いますけれども、基地使用の期限の設定という問題について、正しいのか誤っているのか、もし誤っていないんだということであれば、取り上げる以上のことをこれから、それであれば可能性としてでも結構ですよ、可能性としてしていくおつもりがあるのかないのかということを聞いているわけです。
  129. 河野洋平

    河野国務大臣 全く繰り返しで申しわけありませんが、正しい、正しくないという判断を今持っているわけではございませんが、米国政府協議をしていくということは申し上げていいと思います。
  130. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私がどうしてこういうことを申し上げるかというと、ポーズだけとっていくというのが一番よくない、そう思っているからなんです。つまり、実は私自身は、安全保障上、基地使用の期限の設定を十五年に限定するという政策は正しい政策とは思わないですよ。私は、いずれにしてもポーズだけとるというのが一番いけない。つまり、言葉で逃げられる問題なのかということです。これから恐らく河野外務大臣米国外務大臣と何回か会談されていく。瓦防衛庁長官も国防長官と何回か会談されていく。次の会談、次々回の会談、どうしていくのか。これを協議していくんだということになれば、沖縄の皆さんはいたずらに期待度が高まりますよ。  私は、私の考えを言えば、いずれにしてもはっきりさせた方がいいと思うんです。これは正しくない政策なんだ、しかし、外務大臣がおっしゃったように、県民の皆様のこれまでの経緯、歴史的な重みを受けとめれば、その言葉を重く受けとめて取り上げていく、しかし、交渉してかち取るということはしないんだったらしない、そのかわり、例えばこうだ、例えば本土移転も視野に入れてこれから基地の問題を考えていくんだというふうに言うのか。それとも、これは正しい政策だから、誤っていないからかち取っていくんだということなのか。私は、はっきりさせるべきだろう、そう思って聞いているわけであります。  むしろ、非常に心配をしています。つまり、ポーズだけとっている、その姿勢が沖縄県民に、いわばいたずらに期待度を高めて、その結果、大きなうそをついたような感じを持たれるのではないだろうか、そのことを非常に危惧して聞いているわけであります。いかがでありましょうか。
  131. 河野洋平

    河野国務大臣 御心配をいただいて大変ありがたくお礼を申し上げますが、私がこれからやるべきことは二つでございます。一つは、米国政府協議をするということ。もう一つは、外交政策あるいは外交努力によって国際情勢を肯定的に変化させていく努力をする。この二つが私がやらなければならない重要な仕事というふうに心得ております。
  132. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 普天間の解決への道筋が、私には外務大臣の御答弁からは見えません。どういうプロセスで、どういう道筋でこの普天間の解決をしていこうとお考えになられるのか、もう一度御答弁願います。
  133. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから繰り返しの御答弁で申しわけございませんが、私としては、小渕内閣として、閣議決定をした内閣としての方針をもって米国政府協議をするということ以外に、今申し上げるべきものはございません。
  134. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 では、もう一回確認します。  閣議決定は、米国政府との話し合いの中でこの使用期限問題については取り上げるとともに、軍事態勢全般について、つまり兵力構成等の軍事態勢、これは多分海兵隊だとか、そういう軍事態勢について協議するということで、取り上げる以上のことはしないということでしょう。そういうことですね。はっきりさせた方が私はいいと思います。
  135. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから、協議をしていくと申し上げております。
  136. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 では、確認をしたいと思いますけれども、この閣議決定は「在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府協議していく」、こうありますけれども、これは使用期限の十五年問題も含めて協議していくというふうに理解してよろしいわけですか。
  137. 河野洋平

    河野国務大臣 普天間の移設問題についての代替施設の問題についての閣議決定でございますから、そこに含まれているというふうに理解していただいて結構でございます。
  138. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私、少し明らかになったことがこの委員会でありました。  私は、この十五年問題というのは、単に、日本政府としては基本的に正しい政策ではないと考えているというふうに考えておりました。したがって、取り上げ、伝えるだけでそれ以上のことはしていかないんだろうというふうに考えておりましたけれども、そうではない、協議して、場合によってはこの十五年の期限の設定をかち取っていくんだ、そういう姿勢だというふうにこの委員会で私は認識を新たにしたというか、認識を変えましたけれども、それが正しいか否かは別として、そういうふうに理解をしてよろしいわけですね。もう一度確認をさせてください。
  139. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返しでまことに恐縮でございますが、政府として代替施設の使用期限につきましては、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、知事、市長からの要請がなされていることを重く受けとめ、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府協議していくこととするというのが閣議の決定でございます。
  140. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私は、何か外務大臣の意思が見えない。そして、普天間問題についての解決の道筋が本当に見えないです。非常に心配もしております。  我々としては、そもそも、狭い沖縄県内だけで広大な基地の整理、統合、縮小ということを実現するのにはやはり限界があるのだろう、そういう認識をしています。したがって、無理が生じてきているなと。ですから、先ほども申し上げたように、本土への移転も視野に入れたSACOの再検討などを考えていく必要があるのではないだろうか、そう考えているわけであります。  もう一度お聞きしたいと思いますけれども、また同じ答弁にしかならないのかどうか。  米国政府協議をして、期限の設定、十五年問題について、場合によってはかち取る意思が、これは外務大臣からしたら、今の答弁からするとかち取るというふうに理解していいのかなと思ったんですけれども、かち取る意思があるのかどうなのか、それとも、沖縄県あるいは名護市の皆さんに、この条件はやはり厳しいし、本来、安全保障上正しい政策とは言えないので、撤回をお願いするのか、あるいは条件を緩くしてもらうことをお願いしていくおつもりなのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  141. 河野洋平

    河野国務大臣 国際情勢もあり厳しい問題があるということも、閣議の決定の中にはそういう認識も入っているわけでありますけれども、国際情勢もあって厳しい問題があるという認識は持っているけれども、やはり、知事、市長の要請というものが一方にあるんだよ、だからそれは重く受けとめますということを閣議の認識として述べているわけです。これが我々の基本的な認識でございます。  そして、国際情勢の変化というものにも対応して、代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成などの軍事態勢についてアメリカ政府協議をしていくこととするということが閣議の決定でございますから、この閣議決定に沿って私どもは米側と話し合っていくということであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  142. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 何か私は非常に心配ですね。ポーズだけとっていく、そういうふうに聞こえる。その結果、沖縄県民の期待は高まる、現実にはかち取れない、そういうことになるのではないだろうか、そう危惧をしています。言葉で逃げられる問題ではない、はっきりさせて進めた方がよいと自分自身の考え方も申し上げさせていただきたいと私は思います。  次に、サミットのこともお尋ねをしたいと思いますけれども、まず、なぜ沖縄でサミットを行うのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  143. 河野洋平

    河野国務大臣 サミットをどこで行うか、これはいろいろ議論がございました。世界各国、八カ国でサミットが行われるわけでありますけれども、過去三回同じ場所、つまり東京で行った、同じ場所で行ったという国は余りないわけでございます。日本としても、今回は東京を離れて地方で開催をしてはどうかということがまず基本認識としてあったと思います。  地方で開催をするということについて、地方各地区から大変熱い誘致の申し出がございました。全国各地から我が方でサミットを開催すべしという御要請があったのを、最終的に小渕総理の御決断で沖縄ということに決まったわけでございますが、小渕総理は、沖縄決断について、もろもろの思いがありましたということを言っております。  そのもろもろの思いはまさにもろもろの思いなのだと思いますが、その中には、沖縄県民の熱いサミット誘致への気持ちというものが非常に強かったということも一つあると思います。さらには、沖縄が持つ歴史あるいは文化、そういったものにも総理は着目をされたかもしれません。また、これを機会に、沖縄県民が新たな生き方といいますか、つまり、経済構造を含めたそういったものを見つけるという一つのことになるかもしれないということもあるいはあったかもしれません。  とにかく、もろもろの思いを込めて沖縄にしました、その大きな理由の一つは、知事を初めとする沖縄県民の熱い誘致への気持ちでありました、こういうふうに私は聞いております。
  144. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 サミットの開催地に沖縄が決定された直後の記者会見で、稲嶺知事は、県民に基地の整理縮小の要望があることも十分認識してもらえるはずだというふうに述べておられます。  当時の野中官房長官は、県民の中には沖縄の米軍基地の現状を見てもらいたいという思いがあるがという質問に、日本政府はそのことを十分認識して今回の沖縄サミットを決定した、こう言っておられるわけでありますけれども、そういう思いをどういうふうに沖縄のサミットに具現化していくおつもりか、お尋ねをしたいと思います。
  145. 河野洋平

    河野国務大臣 アメリカのクリントン大統領も、沖縄県民のお気持ちについて自分は十分センシティブだということを言っておられました。これはまさに今議員がおっしゃったことへの答えであろうと思います。
  146. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 沖縄でサミットを行う意味というものをどのように考えるのか、これは多角的に考えていかなきゃいけないと思いますけれども、その大切な一つに、この基地の問題というのはどうしても避けて通れないのだろう、そう思うわけであります。稲嶺県政も知事選で、沖縄の心を世界へといって、米軍基地の現状を見てもらうのだということをいわばスローガンにして戦っておられたようであります。  私は、この沖縄サミットで基地の問題がどう取り扱われるのかということに大変興味がありますけれども、これはどのような取り扱いがなされるのでしょうか。日米首脳会談もございます、あるいは外相会談等々もあるでしょうけれども、いかがでありましょうか。
  147. 河野洋平

    河野国務大臣 まだサミットの議題が正式に決まっているわけではございませんから、確たることを申し上げることはできませんけれども、ただ、サミットの議題の中には、やはりもう少しグローバルな問題を議論しようというG8のメンバー国の意見というものがあるということは我々も承知をしております。  議員承知のとおり、やはりサミットでございますから、少なくとも、二十一世紀を視野に入れて、国際社会がどういうことに注意を払い、どういう問題を克服し、どういう安心を得て明るい二十一世紀を展望することができるかということが、恐らく八カ国の首脳の議論としてはそういうテーマに向かって絞られていくのではないかというふうに思っております。  他方、今議員がおっしゃった、沖縄の現状というものは、とにかく現地に来られるわけですから、現地に来られた首脳の方々が沖縄の現状というものを肌で感じられるということは間違いのないことだというふうに思います。
  148. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 沖縄でサミットが行われる意味、また、先ほど外務大臣がおっしゃったように、沖縄返還後アメリカの大統領が初めて沖縄の地におり立つ意味というものを考えると、この沖縄サミットでは、特にこれはバイの、二国間であってもいいわけでありますけれども、基地の問題について一定の前進が得られる一つの機会にしなければならないのだろう、そうすべきだろう、そう考えるわけであります。その点についていかがお考えですか。
  149. 河野洋平

    河野国務大臣 アメリカ大統領は、自分は沖縄に行くことを非常に楽しみにしているという意味のことをおっしゃっておられたと記憶をいたしておりますが、沖縄の問題が日米両国の首脳によって話をされる、つまり日米首脳会談というものが行われ、これも、いつ、どこでやるかということについてもまだはっきりいたしておりませんが、いずれにせよ行われるであろうという予測はできると思いますが、その日米首脳会談でどういう問題が取り上げられるか、どういうふうに議論がなされるかということについては、まだこれから我々、準備の作業で整理をしていかなければならない問題だというふうに思っております。
  150. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 やはり、今ボールは、この普天間の移設の問題などは特にそうでありますけれども、日本側にあるわけでありますから、沖縄サミットをある意味ではてこにして基地の整理縮小に向かっていくということは、私は逃げないで行っていただきたいと思うんです。  よく沖縄サミットの成功と、先ほど赤松委員からも話がありましたけれども、沖縄サミットの成功、成功という言葉が新聞等々あるいはテレビなどでも躍っているわけでありますけれども、では、沖縄サミットの成功とは一体何なんだろう、何をもって成功というのかということは考えていかなければならないんだろうと私は思っています。  たくさんあるとは思いますけれども、その一つの重要な側面として、この基地の問題というのはどうしても、沖縄で開催をする以上は、そのリスクをある意味では日本政府はみずから背負ったわけでありますから、そのリスクから逃げないで基地の問題にやはり取り組みをしていただきたい、そう思います。  沖縄サミットの成功という言葉を使うときに、私は、基地の問題に一定の前進が得られずして沖縄サミットの成功という言葉は沖縄サミット後に使っていただきたくないとあらかじめ申し上げておきたいし、注文しておきたいし、くぎを刺しておきたい、そう思います。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  151. 河野洋平

    河野国務大臣 私、先ほど赤松議員お答えをいたしましたけれども、サミットの成功というのは、語られる人あるいはそれぞれの役割によっていろいろな成功というようなものがある。ロジスティックを担当する人にとって成功といえば、全く無事にサミットが終了すれば成功とおっしゃるかもしれないし、外交担当者からすれば、また成功という意味は違うかもしれません。沖縄の方から見れば、沖縄の方としてのサミットに対する期待がありますから、その期待にどれだけ結果が合っていたかということによるんだろうというふうに思います。  ただ、余計なことでございますけれども、サミットというものは一体何かということについて、我々はこれから先もう少し先進国の首脳、G8の首脳の皆さんに、サミットというものは、とりわけ今回のサミットというものはどういうものかということを、十分、お互いの考え方を出していただいて、一体何を今回の沖縄サミットの最も重要なテーマとするか、それが八カ国の首脳によって合意できるかという議論もしていかなければならないという問題が残っているということだけは、ぜひ議員に御理解をいただきたい。
  152. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 一言だけ。  そもそもサミットとは何かということは重々承知をして申し上げているわけでございまして、基地の問題から逃げないで取り組んでほしい、そう思います。以上です。
  153. 井奥貞雄

    井奥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  154. 井奥貞雄

    井奥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本善明君。
  155. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣に、まず三沢の在日米軍の問題についてお聞きをしたいと思います。  アメリカの太平洋軍は、三沢基地の第三五航空団をアメリカ空軍で構成されている航空遠征軍に正式に編入したことを発表いたしました。外務省はこのことを把握していたのかどうか、あるいは米側に照会をして説明を受けるか確認をしていたか、このことをまず伺いたいと思います。
  156. 河野洋平

    河野国務大臣 二月の二十九日、米空軍が三沢飛行場第三五戦闘航空団第一三飛行隊所属のF16CJ戦闘機八機と約二百七十名の支援要員を、第五航空宇宙遠征部隊の一部として、サザンウオッチ作戦のため湾岸地域に展開する旨発表したことを承知しています。
  157. 松本善明

    松本(善)委員 これは正式に第五航空遠征軍の構成部隊になったということで派遣をされたんだと思いますが、そういうふうに確認をしていますか。
  158. 河野洋平

    河野国務大臣 第五航空遠征軍の一部として編入をされたと。
  159. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣が御答弁されたとおりでございますが、そうすると、この航空遠征軍がどういう性格のものかということが問題になると思います。  これは、太平洋空軍のホームページにあります太平洋空軍ニュースで詳細に明らかにされているものでございますけれども、太平洋空軍ニュースは二月の二十九日付のものです。もちろん外務大臣、こちらからもお渡ししましたのでお読みいただいていると思いますが、この記事は、今回の新たな事実として、三沢の部隊が航空遠征軍に、今後十五カ月のローテーションで一回につき三カ月間遠征軍の展開任務に当たるということが明記をされております。  これまでも、在日米軍が一時的にイラクなどの極東を離れた海外で活動することはありましたけれども、今までと全く違うのは、サザンウオッチ作戦、イラクの飛行禁止区域を南から監視する作戦ですね、このサザンウオッチ作戦という海外での明確な作戦任務を与えられた遠征軍部隊の正式な構成部隊に体制上組み込まれたということが問題だと思います。  この航空遠征軍は部隊の展開に計画性がありまして、スケジュールに従ってローテーションで展開任務が与えられているという恒常的な体制であります。これに基づいて、ことしの六月には、三沢の第一四航空中隊も第七航空遠征軍の部隊として海外での任務に出発する予定というふうにされております。だから、一三航空中隊が行って帰ってきたら今度は第一四航空中隊が行く、こういう形でローテーションを組んで航空遠征軍の正式の部隊として活動する、こういうことなんです。  そうなりますと、申し上げるまでもなく、日米安保条約の六条で決まっておることは、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために米軍はいることができる、日本の安全はもちろんですがということです。イラクが極東の範囲でないことは明白であります。ここに恒常的に行くという部隊、イラクの作戦に恒常的に参加をする部隊に三沢の空軍が正式に編入されたということなんです。  これは、いわゆる極東の平和と安全のみならず、アメリカ軍の世界的な戦略に沿って在日米軍が活動する、これは明白に日米安保条約の六条を逸脱したということになるのではないかと思いますが、外務大臣はどのような見解をお持ちでありますか。
  160. 河野洋平

    河野国務大臣 日米安保条約第六条は、米軍我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するために、我が国において施設・区域を使用することを認めているわけでございます。我が国の施設・区域を使用する米軍が、その抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与していることは明らかであって、このような実態にある以上、その米軍の個々の部隊が極東以外の地域に赴き、またはかかる地域から帰投するといった行動をとったとしても日米安保条約上問題はないわけでありまして、このような意味で、日米安保条約は、我が国の施設・区域を使用する米軍の任務を極東の地域内に限定しているわけではありません。
  161. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、問題を理解していただいているかどうか。今まではそういうふうに答弁をしていたのですよ。だけれども、今回は少し違うわけですよ。恒常的に、極東ではないイラク、今回の場合はイラクですね、イラクに出動する部隊としてその部隊に編入された。だから、日本にいる部隊の恒常的な任務がイラク作戦も含まれるということになる。  これは、極東の平和と安全のためにいるという部隊がたまたま別の任務を負ったということではないのですよ。今まではそういうことで説明していました。ところが、今回は恒常的な部隊に編成された。ここのところはどうも、外務大臣外務省もまともに考えていなかったんではないかなと、今の御答弁の様子を見ますと思うわけです。何とお考えになりますか。  かみ合うように、委員会を無難に過ごすというんじゃなくて、はっきりと、先ほど来もはっきり答えるべきだということが自民党の議員からも言われておりましたけれども、やはりここは国民の前に問題点を明らかにする場所なんですよ。私の指摘した問題点がどうなのかということが、この議事録を読んだ国民がわかるように答弁していただきたいと思います。
  162. 河野洋平

    河野国務大臣 この航空宇宙遠征部隊というのは、アメリカの本土空軍、予備役空軍及び海外に駐留する米軍の一部を十個の航空宇宙遠征軍に分けまして、二個遠征軍ごとにローテーションを組んで、一回九十日を基準として海外に展開するものであって、突発する地域紛争に空軍戦力を迅速に展開させるため、及び海外における展開兵力の効率的な運用を図ろうというものがこの計画の趣旨だと言われておるわけでございまして、こういう意味におきまして、先ほど来申し上げておりますように、六条の規定を逸脱するというふうには思いません。
  163. 松本善明

    松本(善)委員 大臣、私の問題提起を御理解いただいているでしょうか。お読みになったことはそのとおりですよ。そうですけれども、私の言っているのは、そういう部隊ですよ、恒常的に極東以外で活動するということになっている部隊に組み入れられた、あなたは先ほど編入されたというふうに答えられた、そういう部隊になったんですよ。それを恒常的な任務、極東以外の戦闘任務ですね、サザンウオッチ作戦もそうですが、恒常的にローテーションを組んで極東以外の戦闘任務につくことが決まっている部隊、それが日本にいるということは、極東の平和と安全のために米軍日本にいるということから違うんじゃないですか。やはり、極東の平和と安全以外の任務を持った、米軍の全体の行動の中に組み入れられている、そういうところのけじめは全くなくていいのかと。文章をお読みになるより、私の聞いたことにかみ合うように、なるほどそれについては政府はどう考えているんだということがわかるように答弁していただきたい。それが本来の答弁の趣旨だと思うんですが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  164. 河野洋平

    河野国務大臣 恒常的なものではない、ローテーションに組み入れられているものだということを議員もおっしゃっておられるわけで、私も先ほど、これはローテーションの一部になっているというふうに我々の認識を申し上げたわけです。これが、もしローテーションではなくて恒常的にそのものだということになれば、議員の御指摘がやや我々に理解ができるのですが、ローテーションで入っているという実態から見ると、どうも、議員の御心配といいますか御質問が、我々にはよく理解できないわけでございます。
  165. 松本善明

    松本(善)委員 大分近くなってきたんですがね。  ローテーションを組むというのは、定期的に行くということなんですよ。第一三航空中隊が行った後は、今度は第一四航空中隊が行くんですよ。だから、ローテーションといっても、それはどこの部隊だってずうっと行きっ放しということはできないでしょう。だから、それはローテーションを組むんですよ。組むんだけれども、その任務が恒常的にあるということなんですよ。ローテーションを組むということが恒常的でないというようなことになりませんよ、日本語としても。どうですか。
  166. 河野洋平

    河野国務大臣 イラク南部の飛行禁止区域の監視ということが一つの任務だ、こういうふうに言われているわけでございますが、このサザンウオッチ作戦、イラク南部飛行禁止区域監視というもの自体が恒常的に続いていくものかどうかという問題もあるだろうと思いますし、私は、恒常的という意味をどういうふうに議員がお考えになっておられるかということをむしろお伺いをしたいと思います。
  167. 松本善明

    松本(善)委員 サザンウオッチ作戦というのは、南側から監視するんですよ。それで、ノーザンウオッチ作戦というのは、トルコ側から監視する。これは米軍のイラクに対する作戦なんですよ。それに、どの部隊も全部それはローテーションを組んで行きますよ、アメリカにいる部隊だって。その任務は、航空遠征軍というアメリカの世界的な戦略といいますか、そういう部隊の中に組み込まれている。だから、これはローテーションを組んでいるから恒常的ではない、それはもう到底通用しません。やはり、恒常的にイラク作戦に、今はイラク作戦ですよ、だけれども、航空遠征軍というのは、イラク作戦でなくても全世界的に展開をやるんですよ。そこに編入されたということが重大だと思わないかと。今までと差があるんです。  これはもう、空軍ニュースのインターネットを見ても明白に差があります。これは司令官も全部言っています。今までとは違うということをはっきり言っています。検討が不十分ならば、これからもう一回検討するとお答えいただきたいし、今の答弁では到底わからないですよ。ちゃんとやはり国民にわかるようにお答えをいただきたい。
  168. 河野洋平

    河野国務大臣 今まさに議員お話しになりました、イラクにおける作戦が終われば別のところへ行くだろうということをおっしゃったと思いますが、我が国の施設・区域を使用する米軍がもしこういうことが認められないということになれば、我が国の施設・区域を使用する米軍はいわゆる極東とは関係のない地域に赴くことが認められないということになれば、我が国の施設・区域を使用する米軍は、いわゆる極東との関係のない地域で行動できないということになるわけでありますが、これは、必要に応じ必要な場所に移動するという軍隊の有する機動性という属性からして不合理ではないでしょうか。日米安保条約は、こうした不合理なことを想定しているとは私は考えておりません。
  169. 松本善明

    松本(善)委員 大臣、私どもは今の見解にも反対ですが、それは、航空遠征軍に編入をされる前の答弁と何も変わらないんですよ。  私が提起をしているのは、そういう航空遠征軍に編入されたと。あなたも、編入されたと。恒常的にその任務を持つ部隊に入ったんですよ。その問題を今までと同じように考えられているというのは、やはり安保条約を幾らでも広げて考えるという、本当にけじめのない、そういうことをやっていると、もうアメリカにばかにされ通すと私は思いますよ。これについて何の一言も言わないで、何でもどうぞおやりくださいと。もう条約はあってなきがごとしということになろうかと思います。  今の答弁では到底納得しない。私が納得しないだけでなくて、国民はみんな納得しないと思います。そういうことでやろうとすることについて厳しく抗議をいたしまして、次の問題に移ろうと思います。もし何か言いたいことがあれば、後で言っていただいても結構ですけれども。  もう一つは、山梨で起こりました低空飛行の問題なんです。  これは、低空飛行の問題、何回もやりましたが、また起こっている。昨年の十二月ごろからことしの二月にかけまして、山梨県の富士川や早川沿いの地域で、戦闘機の低空飛行が多くの住民によって目撃をされております。低空飛行の目撃が集中したのは二月十五日から十七日でありまして、場所は、国道五十二号とJR身延線が並行して走る狭い山間地であります。  それで、ある程度資料もお渡しをしていたんだけれども、ちょっと、外務大臣、物を見ながら……。  その普通の写真は十六日のものです。書いてあるように、十六日に写したものです。それから、林が写っている上に乗っているのが、これは十七日のものです。それぞれ説明があります。  それで、三枚つづりのものは、これはYBSテレビのニュース番組で、飛んでいるところを写したものです。それで、外務大臣のところには行っていますが、委員の皆さんにちょっとテレビのテロップだけ読みますと、「二機は南から北に来て南へと飛び去った」と。二月十六日の夕方の放映です。「国道五十二号線沿いの相又や早川のあたりで曲芸飛行をしている」、次のものは、「十一時十分頃、」これは午前中ですね、「F14トムキャットが富士川や山沿いを飛んでいた」。これは、テロップは米軍のコメントでしょうね。「海軍配備の機体の飛行の確認を急いでいる」「戦闘機はF14トムキャットか」、こういうテロップをつけて山梨のテレビが放映したわけです。これは、見ている人もいっぱいいるし、写真もあるというものです。  写真から見ると、これがもう間違いなくF14だと素人でもわかります、可変翼を持ったものですから。これは、主翼の幅が細い形状から見ますと、可変翼を持った米空母艦載機のF14ということがほとんど間違いない。専門家から見れば一遍にわかると思います、テロップもそういうふうに言っていますから。これが出て、関係の町長さんたちがみんな、とんでもないということになったわけですよ。  それで、これは身延山のロープウエーのそばなんですね。下手をしたらイタリアの事故みたいなことになりかねない。それで、身延山の久遠寺のロープウエーで働いている男性は、十五日の朝十時二十分のゴンドラで頂上の仕事場に向かっているときでした、真横をすごい速さで戦闘機が飛んでいった、しばらくすると今度は複数の戦闘機が富士川から身延山の中腹をかすめるようにすごい音を出しながら飛ぶのがここから見えた、ロープウエーが切断されるんじゃないかと恐ろしかったという体験を語っています。  それで、そこの辻さんという早川の町長さんは、十六、十七日に米軍機が飛来した、すごい爆音に驚いたり、恐ろしかったという町民からの問い合わせの電話が役場にあった、昨年の十二月三日にも見たという住民もいる、この早川沿いには水力発電施設や送電線、林業用のワイヤのほかに町民の飲料水用のパイプが沢に張られており、米軍機がこれに接触でもしたら大変な事故になる、米軍のパイロットは脱出装置で飛び出せばよいが、住民はたまったものではない、こんな危険な低空飛行はやめてもらいたいと。  それから身延の町長、南部の町長、中富の町長、鰍沢の町長さん、市川大門の町長さん、六郷の町長さん、これは事故が起こってからではもう取り返しがつかないんだということで、住民の安全のためには放置できないとみんな言っているんですよ。  それで、山梨県の北富士演習場対策課ではこの問題では横浜防衛施設局に対して、戦闘機の所属、機種、飛行の目的、今後の訓練予定、飛行に関する法的規制の有無、この五点について質問書を提出したということですが、今の段階では何の返事もないということです。  防衛施設庁長官、この質問書が出されたことは知っているのかどうか、米軍に照会したのかどうか、米軍機であることを確認したのかどうか、伺いたいと思います。
  170. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の点につきましては私どもも承知しております。先月の十七日に山梨県の方から横浜防衛施設局に照会がございまして、これを受けまして横浜防衛施設局は翌日の十八日に厚木の米海軍に文書をもちまして事実関係の照会を行っておりますけれども、現在に至りましてもまだ回答がないわけでございまして、私どもといたしましては再三回答を督促しているところでございます。また、厚木の米海軍の上級司令部に当たります横須賀の在日米海軍司令部、また横田の在日米軍司令部にも照会いたしまして回答を督促しているところでございます。
  171. 松本善明

    松本(善)委員 これは二月ですが、十二月ごろから起こっていて、いまだに返事がないというのは一体どういうことだろうか。  外務大臣、これはどう思いますか。日本国民の安全の問題ですよ。日本の空の主権の問題ですよ。何と思いますか。いまだに何の返事もない。外務大臣、どうお考えか、お聞きしましょう。
  172. 河野洋平

    河野国務大臣 低空飛行の問題は、これまでも何度か、こうした低空飛行を体験した方々から連絡がございまして、私からもアメリカ政府あるいは米軍関係者に注意を喚起したところでございます。  もちろん、一般論として、米軍が行う訓練は日米安保条約の目的達成のために必要であるということはあるとしても、この低空飛行が安全に行われる、あるいは住民の理解を得て行われるということが大事であろうというふうに私は考えておりますから、米国政府あるいは米軍に対して、低空飛行問題については繰り返し注意を喚起してまいりました。米軍からは、十分注意をしてやっておる、あるいは、日本法律あるいは米国法律、そういったものを遵守して自分たちは行うことは当然であるという旨の話が返ってきております。  今の山梨県の問題について米側から何の返事もないということについては、私も今初めて伺いましたけれども、これらの問題についても、我々からさらに米側にも問題を提起してみたいというふうに思います。
  173. 松本善明

    松本(善)委員 いや、一般論じゃなくて、これはもう本当に具体的な問題なので聞きますが、防衛庁の運用局長、来ていただいていると思うが、自衛隊機が二月十五日から十七日にかけて山梨県で今言ったような低空飛行訓練をやったことはありますか。
  174. 柳澤協二

    柳澤政府参考人 お答えいたします。  御指摘の日にちの間に、先生先ほど言っておられた身延山とか早川とか、あちらの方面で飛行しておりました自衛隊の戦闘機はないものと確認しております。
  175. 松本善明

    松本(善)委員 自衛隊ではない。  運輸省に聞きますが、十五日から十七日にかけて他国の航空機の飛行に関する届け出や記録が残っているか。全体を聞きたいんですが、何か一遍に調べることはできないというお話で十七日を調べていただいたわけですが、十七日にそういう記録がありましょうか。
  176. 岩村敬

    岩村政府参考人 運輸省で調査いたしましたところ、二月の十七日に他国の戦闘機が、先生御指摘の富士川、早川沿い、すなわち行政区画でいいますと山梨県の市川大門町、六郷町、中富町近辺、この上空を通過地点とする飛行計画についての通報はございません。
  177. 松本善明

    松本(善)委員 今言ったように、自衛隊機でもない、それから届け出もない、わからないといったら国籍不明機か米軍機かということになるんでしょう。  外務大臣、いいですか、私はこういう問題、本当は防衛施設庁が、問い合わせがあったらすぐ私が今やったように自衛隊機はどうだ、届け出はどうだと調べて、米軍以外ないじゃないかということで米軍に詰めて、はっきり、米軍だということならそれに対処しなければならない。何もやっていないという。今の状況を、私が聞いたことを本当は防衛施設庁がやるべきことなんですよ。政府がやるべきことなんですよ。そして、米軍にわかりませんでは済まぬぞということをやるべきなんですよ。  外務大臣、どう思いますか。この対応は、一体日本国民の安全を本当に考えているのかということと違いますか。外務大臣答弁を伺いたい。
  178. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、これまでも、低空飛行による体験を訴えてこられた方がおられます。そうした場合に、私どもとして、米軍に対して事実関係を確認すると同時に、米軍に、十分安全が確認されていたかどうかということ等についても話をしているわけでございまして、私は、今回の問題に米側が何にも対処をしなかったというのは一体どういう理由かよくわかりませんが、日本アメリカとの信頼関係からいえば、松本議員がおっしゃるように、あれこれ詰めて、最後に、詰め将棋で、おまえ以外にないだろうと言わなくても、米側に問い合わせれば、米側米側として誠意のある答えが返ってくるというふうに私は思っております。  今回の場合になぜそうでなかったか、私には何かよく、理由があったかどうか存じませんが、これまで累次にわたって、こういう問題があったときには、日米関係というものの信頼の上に、双方が誠意を持って対応してきたというふうに私は理解しておるところでございます。
  179. 松本善明

    松本(善)委員 そうじゃないことがあるんですよ。  この間宮城県で、小渕さんが外務大臣のときです、米軍は飛んでいないということで、それで終わりになっちゃった。それは、後から私の部屋へ来たら米軍だったと言ったけれども、議事録上は国籍不明機になっていますよ。そういうような対応はもう絶対に許されないと思いますよ。  一般論じゃなく、具体論ですよ。これはもう下手をしたら、イタリアみたいにロープウエーが切断されて、人身事故になるかもしれないというせっぱ詰まった問題です。起こってからではしようがないんですよ。やはり緊急な対応が、調べて、では、こういうことが起こらないようにどうしたらいいかということをやらなければならない。私は、そういう点でいいますと、防衛施設庁もそうですけれども、外務省対応が非常に弱いと思っています。  その例として一つ聞きますが、昨年の八月六日、この委員会で私は、陸前高田の在住の伊勢さんという人が自宅の上空を飛ぶF16を撮影して、水準器などを使って、飛行高度は二百八十メートル、誤差を考えても二百七十から二百九十メートル、詳細な算式を示して紹介をいたしました。二百八十メートルだとすれば、日米間の確認済みの最低飛行高度三百メートルに違反していた可能性があるとお尋ねしたところが、当時の外務省竹内北米局長からは、外務省としてもできるだけの調査をして、当然努力をしたいという答弁がありました。  昨年の八月からの間に外務省は一体何をやったんですか、この問題については。
  180. 河野洋平

    河野国務大臣 委員指摘の件につきまして、事実関係を外務省から在京米大を通じて確認をいたしましたが、昨年八月の本委員会において御指摘のあった期日、すなわち平成十年十一月二十日に米軍所属のF16が当該地域を飛行していたかどうかは確認できませんということでございます。
  181. 松本善明

    松本(善)委員 それで、そのままなんでしょう。それっきりなんでしょう。どうですか。それ以外はやっていないんでしょう、外務大臣。違いますか。そのほかにやりましたか。
  182. 河野洋平

    河野国務大臣 その他の作業があったという報告を聞いておりません。
  183. 松本善明

    松本(善)委員 だから、そこが問題なんですよ。米軍に確かめて、わかりませんと言ったら終わりだ。そうしたならば国籍不明機だと。そうなったら本当は自衛隊はスクランブルをかけないかぬところでしょう。何の対応もしていないわけですよ。  私は、外務大臣、ちょっとお聞きください。竹内さんに質問したときは、写真から計算方式から全部お渡ししたんですよ。そうしたら、当然に外務省はその計算方式が正しいかどうかということを確認し、これはやはり米軍だということならば、米軍が知りませんと言ったら、とんでもないじゃないかということで対応をしなければならぬ、それが日本政府じゃないですか。山梨の問題にせよ今の問題にせよ、もう本当にアメリカの言いなりですよ。それでいいのか。私は、そんなことはいつまでもいつまでも許されることでは絶対にないと思うんですよ。  山梨の問題、本当に人命にかかわる問題です。すぐ調査をして、これに対してどう対応するかということをやりますか。
  184. 河野洋平

    河野国務大臣 十分調査してみます。  低空飛行訓練というものの必要性については、我々もこれを認めざるを得ないと思います。先ほど申し上げましたように、この手の訓練が日米安保条約の目的を達成するために必要だということであれば、それは認めざるを得ないと思いますが、その方法等については、日本の法令、法規に十分照らして行われなければならないというふうに思います。この点は繰り返し、先ほど来申し上げておりますように、米国、かなりのハイレベルに私からも申し入れをしておりますし、在日の米軍に対しても累次注意を喚起しております。  山梨の低空飛行が本来の法規に照らして正しい飛行であったかどうかということについても、これはもう今や調査のしようもないように思いますけれども、もし可能であるならば何らかの確認をいたしたいというふうに思います。確認することの難しさということも、これは議員も御理解いただけると思いますが、私としては誠意を持って対応してみたいと思います。
  185. 松本善明

    松本(善)委員 時間でありますので終わりますが、確認のしようがないことないんですよ。テレビ局はちゃんとビデオに撮っているわけでしょう。きょうお渡ししただけでなくて、写真もいっぱいあります。調べようと思えば幾らでも調べられます。  これは、安保条約に対する意見の違いのいかんにかかわらず、例えば東北北海道知事会とか渉外知事会とか今御紹介した山梨の七町の町長さんとか、もう全国的に、安保を認めるか否にかかわりないんですよ。これは住民の安全に重大なんだということで、切実なことになっている。私は、緊急の問題としてやはり直ちに調べて、対応方法についてきちっと国民にわかるようにされることを要求して、質問を終わります。
  186. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、上原康助君。
  187. 上原康助

    上原委員 私は、まず、嘉手納RAPCONの日本側への移管問題についてお尋ねをしたいと思います。  この件につきましては、今委員会あるいは安全保障委員会また沖特、時には予算委員会等で、回数は数えてはいませんが、恐らく何十回と私は取り上げてまいりました、一九七一年の沖縄国会以降、沖縄返還の昭和四十七年、七二年以降。遅きに失したとはいえ、去る三月十六日に河野外務大臣とコーエン米国防長官の会談で嘉手納RAPCON、いわゆるレーダー・アプローチ・コントロール・システムを日本側に移管するということが合意されたようであります。その成果につきましては、河野外務大臣の御努力、あるいは運輸省、政府関係者の皆さんの御努力を多とするものであります。御苦労さまでした。  そこで、問題は、果たしてこれが沖縄県民や日本国民が納得できる内容で実現していただけるかどうかということなのですね。別の案件もありますので、余り具体的というか、中身を全体的にお尋ねすることはできませんが。  そこで、お尋ねしたい第一点は、コーエン長官は、米軍の運用上の所要が満たされることを前提日本側に移管する、こう言明というか明言をしたというふうになっておりますね。これは、運輸省や外務省から出た当日の両大臣の会談内容のメモにもこういうふうに規定されている。  米軍の運用上の所要が満たされることを前提という、この運用上の所要が満たされるという米側の条件の内容は何だったのか。恐らく両大臣の関係ではここまでは議論していないかもしれませんし、技術専門者に任すということでもあるから、そうかとも思うのですが、このコーエン長官の指摘をしたことに対する外務大臣あるいは外務省、運輸省の御認識は一体どうなのか、ぜひ明らかにしていただきたいと存じます。まず外務大臣からお答えください。
  188. 河野洋平

    河野国務大臣 嘉手納RAPCONの問題は、しばしば本委員会でもお取り上げがありまして、私としても、時期が来ればこの話は必ず米側と話をしてみたい、こう考えていたところでございます。  本年になりまして、ワシントンで行われましたオルブライト長官との外相会談におきまして、私から取り上げて、オルブライト長官に、この点ぜひ検討してほしいということを問題提起いたしまして、議員が今お話しのように、過日のコーエン長官との会談で一定の返事を先方からもらったわけでございますが、その返事の中に、今お話しの運用の所要という言葉が入っておりました。  この運用の所要につきましては、これが難しいところは、民間航空機が利用する那覇空港と米空軍が利用する嘉手納飛行場とが近接しているというところにかなり問題があると思われます。もちろん、安全性を確保するということが大前提でございますけれども、それとともに、軍用機は民間機と違って、必ずしもダイヤどおり決まった時間に離発着をする、前々から予定しているスケジュールどおりに飛ぶということにはならないかもしれないということもございますし、典型的には、今もちょっと話題になりましたが、緊急発進ということもあるという安全保障上の問題がある。  こうした必要性が満たされるかどうかということなどがこの米軍の運用の所要という意味に含まれているというふうに私は理解をしておりますが、これらの問題は、やはり専門家レベルでの議論によって克服される、解決されるという問題だということで、専門家レベルの討議にこの点はまちたいということでございます。
  189. 上原康助

    上原委員 運輸省もお呼びしてありますからお答え願いたいわけですが、その前に、今度の合意によって、基本的な認識としてというか理解として、航空管制権、いわゆる管制業務の権能というか権限は日本側に移管されるということで合意された、こういうふうに政府認識しておられるのか、あるいはそういうふうに受けとめていいのかどうか。この点はぜひ明確にしておいていただきたいと思うのです、技術的な問題をおっしゃる前に。
  190. 岩村敬

    岩村政府参考人 それでは、その前に、技術的な米軍の運用所要についての運輸省としての考え方について御説明を申し上げます。  米軍の運用所要につきましては、先ほど外務大臣からも御答弁ありましたように、現在日米間の専門家のレベルの返還についての協議をいたしておりますが、その中において、米側の具体的な考え方を聞き、詳細に議論を今後行う予定でございます。したがいまして、現時点においてその内容については承知をしていない、まだそういう状況にございます。
  191. 河野洋平

    河野国務大臣 議員が御指摘になりました問題でございますけれども、私は、コーエン長官との話し合いの中で、嘉手納RAPCONの問題については日本側に返還する、こういうことを言っておられるわけでございますから、今議員が御指摘になりました問題は、日本側に返還するという意味で読み取っていいというふうに思います。
  192. 上原康助

    上原委員 これは、地元沖縄県においてもあるいは本土マスコミも含めて相当大きく報道されたことは御案内のとおりです。今まで、後でSACO問題もちょっと触れますけれども、すべてが期待外れになっているのですね、いわゆる沖縄問題というのは。だから、政府に対する不信感がずっと積もってきている。それが非常なストレス、フラストレーションとして、マグマとしてたまっているというのが沖縄問題だと思うのですね。  そういう意味で、今度のこのRAPCON移管問題も、地位協定第六条との関係もあると思うのですね。これはどういうふうに整合性、整理をしていくか、できたらお答えいただきたいのですが。空の主権、いわゆる日本の主権にかかわる航空管制権というものが、暫定的に復帰の時点で取り決められたものが二十八年有余も米側が握っておった、運用しておったというところに根本問題があるわけですから、そのことを解消できないとなると、これはまたぬか喜びということになっちゃう。そのおそれはないですね。  これは技術的な問題、専門的に詰めるということですが、専門的に米側協議をしていく場合だって、日本側が航空管制権を運用して十分やっていける、そういう立場に立ったこれからの航空運用分科会かあるいは合同委員会か知りませんが、そこでやっていくということだと思うのですが、そういう理解でいいですか。
  193. 岩村敬

    岩村政府参考人 運輸省は、ターミナルレーダー管制業務を国内の多数の空港において実施をしております。そういう意味からすれば、既に沖縄空域で当該業務を実施できる能力及び技術は十分有しておるというふうに思っております。そういう前提に立って技術的な詰めをしてまいりたいというふうに考えております。
  194. 上原康助

    上原委員 まだこれから協議をしていかれるということですから、その推移も見なければなりませんけれども、先ほど私が指摘をしたことについてはぜひ日本側としてきちっとやっていただきたいということ。  そこで、これは河野外務大臣お答えいただきたいわけですが、恐らく長い間の懸案であったということと、きょうも何名かの同僚委員が御指摘したように、サミットも七月に控えている。一つでも解決できそうな課題は解決していきたいという日米政府の熱意というか努力というものも双方にあったから今回の合意に達したのじゃないかと私は思うのですね。  そうしますと、専門的、技術的な問題が困難なことがあるかもしれませんけれども、やはりこの航空管制権の日本側への移管についてはサミット前に解決するということが、日米政府にとっても、サミットのいうところの成功、あるいはこれからのSACOの課題、普天間飛行場移転問題等を含めて、沖縄問題を解決していく上で非常にいい一つの結果、成果として評価されていくのじゃないか。また、県民もそのことを期待していると思って申し上げるわけですが、あと三カ月程度しかないわけですから、なかなかそう簡単にいかぬといえばそれまでかもしれませんが、しかし、日米両国で、やりようによってはこれはできない相談ではない。運輸省はかねがね、受け入れの能力は十分持っていると、技術的にもノウハウの面においても。いかがですか、大臣。
  195. 河野洋平

    河野国務大臣 これから先専門家レベルで詰めていただくわけで、専門家でない私が軽々に軽受け合いをするわけにはいかないと思います。どれだけ専門的な問題が今後克服されなければいけないかが私にはよくわかりませんので、ここでいい返事を申し上げるというわけにはまいりませんが、今議員お話しのように、この問題について、県民の皆さんの期待といいますか思いというものが大変多いということを、昨今、コーエン長官とのやりとりの後、私のところにも大分御連絡をいただきました。それから、いつも辛口の議員から、若干でございますがお褒めのお言葉もいただきましたということなどを踏まえまして、専門家レベルの皆さんにも今の議員のお気持ちはぜひ伝えて、努力をしてもらうように私もお願いをしてみたいと思っております。
  196. 上原康助

    上原委員 運輸省はどういう御認識ですか。私はできないことはないと思うんですがね。それはむしろ政治判断でしょうね、やるかやらないかのことは。専門的、技術的な面でそんなに難しいのかどうか。
  197. 岩村敬

    岩村政府参考人 先ほど外務大臣の御答弁にありましたけれども、たまたま那覇空港と嘉手納空港が非常に近接をしている。それで、両方の空港にそれぞれ離発着する飛行機の管制をどういう形で一元的にできるかというところが技術的なポイントでございます。  いずれにいたしましても、当方としてはそういう専門的な能力を持っているというふうに考えておりますので、返還できるように具体的な詰めを全力を挙げてやっていきたいというふうに思っております。
  198. 上原康助

    上原委員 いつも苦言を呈しながらの質問ですから、河野大臣、余り快く思っていらっしゃらないかもしらぬが、もともと育ちも環境も悪いものですから、しかし、心は優しいので、もう少し外務大臣も元気を出して、七月のサミットまでに県民の期待にこたえる解決法をぜひお出しになっていただきたい。そうすれば、もっと高く評価をした立場でまた質問をする機会があるかもしれませんから、要望を強く申し上げておきます。  そこで、次に、普天間移設問題について、ちょっと基本的な点だけお尋ねしておきたいのですが、先ほど来、十五年期限の問題がございました。これはいろいろとらえ方があると思うのですが、もう一遍外務大臣に確認を、この間も私は安全保障委員会で、瓦長官、両大臣にこの問題をいろいろお尋ねしたのですが、余りかわりばえのしないきょうの答弁でもあったわけです。  要するに、沖縄県知事と名護市長が十五年の期限というものを日本政府に提起をしている。それは、政府としてぜひアメリカ協議をして取りつけてもらいたい。そうでなければ、もちろん、県は四項目でしたか、名護市は七項目、一々申し上げませんが、その中の一つですね。その中の一つにしても、それは重要なファクター、要素、要因なんですね。きょうも、重く受けとめる、沖縄県民の声としてそれは無視できない、これは私はそうだと思うのですね。そういう姿勢は評価していいと思う。  そうなりますと、もし政府が十五年期限についてアメリカ側との合意が取りつけられないとすると、沖縄県も名護市も、移設は容認できない、あるいは、白紙撤回とまで言わないにしても、撤回することもあり得るという前提に今のところは立っているのでしょう、現段階では。そこまで重く受けとめておられるのか。何とかなるのじゃないかという、沖縄向けの言葉とアメリカ向けの言葉と国会で答弁向け、三枚舌とは言いたくないのだが、どうも使い分けているのですね。正直言ってそうとしか受けとめられない。これはどうなんですか、御認識は。
  199. 河野洋平

    河野国務大臣 結果は一つしかないわけでございますから、その唯一の結果を得るべく努力をするということでございます。  先ほど玄葉議員にも繰り返し御答弁を申し上げましたように、今議員お話しのように、沖縄県民の大変つらいお気持ちというものにもこたえなければならないし、日本の安全というものも十分考えていかなければなりません。さらに、それらを囲む国際情勢というものも一方にあるというさまざまな要因というものをきちんと認識をして対応していこうということが十二月の閣議決定の中にもろもろ含まれているわけでございまして、あの閣議決定を逸脱して何かをやるというつもりは私には全くございませんし、あの閣議決定の中で自分自身としてできるだけのことをしたい、ベストを尽くしたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。
  200. 上原康助

    上原委員 私の認識は、個人的というか、前々から私はこのSACO合意というのは、全面的に否定をする立場にはありませんが、疑問を持っておりますので、私はもうこのSACO合意というのは既に暗礁に乗り上げていると見ているのですよ、率直に申し上げて。これは時間があれば系統立てて質問しなければいかない面がありますが、その点だけ指摘をしておくわけです。だから、民主党は、やはりSACOというものを、仕切り直しをしなければ普天間は動かないというのが私の認識だということも申し上げておきたいと思います。  そこで、河野大臣、この十一年十二月二十八日の閣議決定を皆さんよく引用なさいますね。確かにここには使用期限問題というのがある。ここには十五年というのは何も触れていないのですよ。先ほども、いや、この内容には含まれているという苦しい御答弁でしたが、ある。これは日本政府の、いわゆる内政というか、一つ政府政策判断だと思うのですよ。  だが、重要なことは、SACOの最終報告の文章だと私は思う。これは日米間の合意事項でしょう、このSACO最終報告というのは。  これも、いろいろ勉強というか復習をしてみますと、「普天間飛行場に関するSACO最終報告(仮訳)」、八年の十二月二日のものには、これの「はじめに」のc項の中には、こういうフレーズがあるんですよ。  「SCCは、日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)の監督の下に置かれ、技術専門家のチームにより支援される日米の作業班(普天間実施委員会(FIG フテンマ・インプリメンテーショングループ)と称する。)を設置する。FIGは、日米合同委員会とともに作業を進め、遅くとも平成九年十二月までに実施計画を作成する。」となっているんです。今、平成何年ですか。「この実施計画についてSCCの承認を得た上で、FIGは、日米合同委員会と協力しつつ、設計、建設、試験並びに部隊・装備等の移転について監督する。このプロセスを通じ、FIGはその作業の現状について定期的にSSCに報告する。」これが日米の合意なんですよ、そもそもの。  何が「平成九年十二月までに実施計画を作成する。」と。三年有余たってもできていないじゃないですか。盛んに、SACO合意は着実に進捗しているとか、さっきも、日米地位協定についても、きょう時間がありませんから、それは質問できませんが、六項目はもう完全に履行されていると。それも履行されていないと私は解している。  今私が指摘をしたことについては、この日米間の合意と、政府が閣議決定しましたと盛んに沖縄向けにあるいは国民向けにPRしていることとの整合性というのか、どっちが優先する、アメリカは恐らくこれを前提にして普天間問題を認識していると私は見ていますよ。私はそれは矛盾していると思って申し上げているんですが、外務大臣外務省の御認識はどうなのか、政府はこの点についてどうしようとしていかれるのか、もう一度お答えください。
  201. 河野洋平

    河野国務大臣 議員承知のとおり、SACOの最終報告というものは、沖縄の意見も十分尊重をし、日米両国で合意をしたものでございます。このSACOの最終報告を着実に実施することが当面最も重要だという認識に立っております。  確かに、議員が御指摘の部分について、既にもうその日は超えているではないかという御指摘はそのとおりでございますが、他方、それでは最終報告は何もできていないかというと、そうではないわけでございまして、最終報告の中でも既にできているものもあることはお認めいただきたいと思います。すなわち、安波の訓練場の問題でありますとか北部訓練場の問題などにつきましては、着実にその実施に向かって進んでおりますし、読谷補助飛行場のパラシュート降下訓練の伊江島補助飛行場への移転などもその一つでございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、地位協定の運用の改善につきましては、最終報告に書き上げてございます九項目につきましては、すべて処理ができていると承知をいたしておりまして、すべてできているということは決して申しませんけれども、最終報告の中で実施に移されているものも少なくないということは、ぜひお認めをいただきたいと思います。
  202. 上原康助

    上原委員 それは、あれだけ大々的に宣伝もなさっておるんだから、何もやっていないでは済まされない話で、外務大臣、それは幾分かはやっているでしょう。しかし、目玉は普天間と那覇軍港ですよ。全く目玉は動かぬじゃないですか。全く静止状態ですよ。  例えば、もう一つ指摘しましょう。  ギンバル訓練飛行場、平成九年末までを目途にギンバル訓練場を返還するというのにいまだに移っていない。そういうのはたくさんあるんですよ、この「土地の返還」という中に。時間が、きょうは後の日程がありますから。  それと、昨日の名護市の議会でも、名護市長さんも運用条件をさらに明らかにしておられますね。そして、十五年の使用期限問題が決着しなければ代替施設は着工すべきではないとの認識を明らかにしたと。使用期限問題をはっきりさせなければ着工は難しいのではないかとの質問に対しては、そのとおりだと。だから、皆さんが思っておられる以上に、沖縄側の責任ある立場にある市長とか県知事もこの十五年問題については大変重く見詰めながら、政府の対米交渉をやっているということをぜひ御認識していただきたいし、名護市長の昨日のこういう問題について、政府はどういうおつもりか、これが一つ、聞かせてください。  それと、基地内の廃棄物の問題についてもちょっとお尋ねしたかったんだが、もう時間がありませんから。  これは質問項目にはありませんけれども、外務大臣、もう一点、日米間で今大変重要な協議案件になるのが、いわゆる在日米軍駐留経費の問題、言うところのいわゆる思いやり予算、まあ駐留経費と申し上げましょう。このことは、仄聞しますと、サミット前に日米間で合意をしたいというつもりで協議をしている、公式、非公式か知りませんけれども、そういうように言われているわけですが、外務省としてはどういうめどでこれを合意に持っていこうとしておられるのか、その二点についてぜひ御答弁を願いたいと存じます。
  203. 河野洋平

    河野国務大臣 名護市長の御発言は新聞等を通じて拝見をいたしております。まだまだやらなければならない問題が幾つもあるということを名護市長の御発言の中から私どもは読み取っておるわけでございます。  基地の中のごみの問題も議員ちょっとお触れになりましたが、この問題は、在日米軍アメリカ国防省の策定した基準に沿って、環境に関し、我が国の国内法上の基準と米国の国内法上の基準のうち、より厳格な方を選択するという基本的な考え方に基づいてやるということでございますから、まずそこだけきょうは御答弁をさせていただきます。  ホスト・ネーション・サポートにつきましては、この問題は、先般のコーエン長官とのやりとりの中で、事務的にこの問題についてまず議論をさせようということにいたしました。来年の三月が期限でございますが、その期限が終わった後、在日米軍に対します費用負担の問題がどういう形になるかということをまだ固めておるわけではございませんで、まず事務レベルで話し合いをさせようということでコーエン長官とは話し合った次第でございます。
  204. 上原康助

    上原委員 そうしますと、当然、サミットでは日米首脳会談もありますよね、二国間首脳会談、あるいは外務大臣、国務長官の。それまでにHNSについて日本側の意向を伝えるとか、あるいは合意を見るような努力をするという考えではない、あるいはそういうふうになるのかどうか、そこだけちょっと聞かせてください。
  205. 河野洋平

    河野国務大臣 在日米軍の費用負担につきましては、七月に行われると予想される日米首脳会談でこの問題について結論が出るというふうに考えておりません。
  206. 上原康助

    上原委員 終わります。
  207. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤茂君。
  208. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 外務大臣の憲法観をまず伺いたいと思います。これは、国会に設置された憲法調査会が私ども議員の本格的な論議の場でございますから、ここで大論争しようというわけではありません。  二つだけ伺っておきたいと思います。と申しますのは、やはり、これから先、日本はどういう道をたどるだろうか、あるいは憲法などの議論に関係をしてどうなるだろうかというのは、諸外国、特にアジア諸国では関心を持たれるところだろうというふうに思います。  そういう意味から二つお伺いしたいんですが、一つは、日本国憲法の理念がございます。平和主義とか基本的人権とか主権在民とか、幾つかの原理がございます。私は、近代社会の重要な原理として、国際的にも通用する大事な原理だというふうに思いますが、外務大臣は村山内閣のときも大臣を務められまして、あのときには、自社さの当時には私も党の役員を務めておりましたので、政策協議、その冒頭には、日本国憲法の理念を尊重しという意味の言葉を書いておりましたし、また、戦後五十年に当たっての八・一五総理大臣声明なども、現在も、総理も外務大臣も変更あるいは否定はされていないというふうに存じます。幾つかそういう原理というものをやはり尊重し、大事になさるおつもりかどうかというのが一つでございます。九条の扱いともやがては関連することでございます。  もう一つは、私は、特に外交という面から見まして、五五年体制当時と同じような憲法論争というのはふさわしくないと思います。やはりこれから必要なのは、二十一世紀時代の日本、二十一世紀と申しましても百年間はわかりませんから、せめて二十一世紀前半か初頭か、我々が考えなければならない、そういうスタンスの中で、どのような外交戦略、世界において、アジアにおいてどのような日本、そういうビジョンあるいは政策の中長期的な枠組み議論というものが常に前提にあって、また、そういうことを先行させながら、では憲法ではどうしたらいいのかという形に行くというのが、国民の皆様から見てもふさわしい議論の仕方ではないだろうかというふうな気がするわけであります。  そういうことを考えますと、特に、先ほど来同僚議員の、もっと歯切れのいい戦略性や見通しのある外務大臣の御答弁をという話がありましたが、私も同感でありまして、やはり、そういう意味での議論が、大臣と論争するだけではなくて、議員間でもけんけんがくがく行われるということが望ましい、そういうのがこれからあるべき議論ではないだろうかと思いますが、その二点、いかがでしょう。
  209. 河野洋平

    河野国務大臣 国務大臣として憲法遵守の義務がございますということをまず最初に申し上げた上でお答えを申し上げたいと思いますが、私は、日本国憲法の民主主義そして基本的人権の尊重あるいは平和主義と申しましょうか、そういった基本理念というものは広く国民の支持を受けているし、これは新しい時代に向けてふさわしいものであるというふうに考えております。そして、国会におきまして、立法府におきまして憲法調査会が設置をされまして、そこで極めて精力的な審議が行われているということを私は大変敬意を表したいと思います。  外務大臣として申し上げていいと思いますが、国際社会の中では、今、私にとってとても気になることは、やはり世界の趨勢、流れの中で、国家主権というものを非常に大事にするという考え方と、むしろ国家主権よりは人権というものにウエートを置いた考え方が台頭してきているというのと二つの、まだほかにもあると思いますけれども、目立って二つの動きがあるように私には感じられます。国家主権というものを大事にして、その主権が侵されることについて非常に厳しく対応する、そういう考え方、これも一つの考え方であろうと思いますし、一方、そうした国家主権とか国境を超えてでも人権というものを大事にする、それはただ単に人権尊重と口で唱えるだけではなくて、人権が著しく損なわれるということを目の当たりにすれば、そのためには行動するという傾向もあるというわけでございます。  この二つの考え方をどういうふうに見ていくか、我が国が一体それに対してどういう対応をするかということなどは、今後の二十一世紀の、先生初頭とおっしゃいましたけれども、二十一世紀に向けてかなり大事な問題になってくるのではないかという感じをいたしております。
  210. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣が後段におっしゃいましたことは、例えばドラッカーがもう十年近く前に言われているいろいろなことが今現実のものになっているというふうな思いがいたします。そういう豊かな構想力と展望というものを常に前提にしながら、何か言葉の、条文の憲法論争とは違った、そういう勉強がやはり大事ではないだろうかという思いを私もいたしているところであります。  次に、いわゆる思いやり予算、ホスト・ネーション・サポートについて質問をしたいんですが、その前に、大臣も同じ神奈川県でございますから、ちょっと関係することで一言だけ伺いたいんです。  厚木の基地隣接のエンバイロテックのダイオキシンの被害の問題がございます。そしてまた、厚木のNLPの騒音問題、長い長い問題でございます。神奈川県は、不幸にして沖縄に次ぐ全国第二の基地県でございまして、これは党派を問わず、みんなやはり関心の高い、また大事な政治の使命でもあろうというふうに共通に思っていることだと思います。  先日、厚木の基地爆音防止期成同盟、鈴木さんという方が委員長ですが、それから、私もおつき合いをしてこの間も施設庁に一緒に参りましたが、第三次厚木爆音訴訟団の団長の真屋さんという方がいらっしゃいます。防衛庁長官が厚木に参られまして、その後でこのような声明を出されました。ダイオキシン被害は、人種、性別を問わず救済されなければならない、しかし、違法爆音の視察に日米両国政府高官は四十年来だれ一人来たことはありません、ダイオキシン問題では防衛庁長官、コーエン国防長官が急遽視察に来ました、ダイオキシン被害の解決は八年間でめどづけをしながら、違法爆音問題解消の抜本的音源対策は四十年間放置されたままでありますという趣旨の声明を出されました。  関係者に私聞きましたら、こういう言い方をしておりました。四十年間爆音にさらされて、あるときには無届け演習開始、政府アメリカ側への遺憾の意も表明されましたが、ということもございました。それは、市街地の中の軍用滑走路ですから、しかも夜間離着陸の訓練をするという非常に爆音の大きい問題でございますから、私が申し上げるまでもなく、非常に住民の皆さんには厳しい問題であります。四十年間一度も、閣僚は、地元の方も含めてそれを実際に話を聞いたり見に来られたことはありません、アメリカから言われたら防衛庁長官は朝五時起きして現地に飛んでいきました、情けないし悔しい思いがするということを言われておりました。厚木基地周辺の現地の住民の皆様からしたら、本当に気持ちとして私はそういうことだと思います。  外務大臣も同じ神奈川県民でございますから、そういう気持ちは共有されるものと私は信じますけれども、どういう対応なりお気持ちを、外務大臣として、あるいは日米関係に大きなウエートを置く、担当される閣僚として、どうお考えになりますか。  なお、私は申しますが、随分前ですが、横浜の私の家の近くで米軍の戦闘機の墜落事件がございました。二人の、一歳と三歳の子供がその日に大やけどで亡くなりました。土志田和枝さんという若いお母さん、二十七歳の若いお母さんが大やけどでしゃべれない、必死に思いを日記に書いて、私もお手伝いし、出版してたくさんの人に読んでいただきましたが、そういう事件がございました。平和の空の願いを込めてということで、横浜にみんなの力で母子像をつくりました。小さい二人の子供と若いお母さんの像をつくりました。  その話を予算委員会で申し上げたことがございます。そのときに、当時の防衛庁長官は、すぐ電話が参りまして、伊藤さん、安保の光と影というものがあることは私よくわかりました、済みませんが、私もその母子像のもとに心を込めた花束を持ってお伺いをしたい、御案内いただけますかと。喜んで私は御案内をいたしました。そのときの防衛庁長官は加藤紘一さんでございました。  申し上げましたような厚木の関係者の思いというものに対して、大臣、特に地元神奈川の御出身の大臣として、どう思われ、どうなさろうとなさいますか。
  211. 河野洋平

    河野国務大臣 私も、議員お話しのように、神奈川県の県民の一人として、さらにまた、厚木基地はかつて私の選挙区でもございました。随分とあの周辺には、私も支持者の声を聞くために回った経験もございます。支持者と一緒に米軍の飛行機のおなかというものを随分見せられ、真上を飛ぶ飛行機のおなかを居間から振り仰いで見たこともございます。あの爆音の大きさ、すごさというものを私は実体験として承知しておるものでございます。  私は、今度の神環保の問題は、神環保の問題として今関係閣僚が集まってこの問題解決のためにいろいろな議論努力をしているわけでございますが、爆音の問題につきましても、これが放置されていたわけではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。  かなりの方々にはおわかりいただいておりますが、厚木基地の爆音は、一つは、大変大きな問題となりましたのは、夜間の離発着問題でございます。いわゆるNLPと申しますか、ナイト・ランディング・プラクティスという夜間の離発着訓練が、周辺の住民にとってどのくらい苦痛であったか、あるいは夜遅くまで勉強をする子供たち、あるいは夜遅くまで内職をなさる方々にどれだけの苦痛を与えたかということを私は何回も聞かされました。  そこで、政府は、何としてもこの夜間離発着訓練というものをできることならやめさせたい、やめてもらいたいという気持ちもあって米側とも話をして、しかし、米側は、この夜間の離発着訓練というものはどうしても必要なものだという強い希望がございまして、いろいろ解決策を探った結果、硫黄島に飛行場をつくって、その硫黄島で夜間の離発着訓練をしてもらいたいということで、これは日本政府がそれだけの負担をして硫黄島にそうした訓練施設をつくったわけでございます。  その硫黄島の訓練施設に夜間の離発着訓練はできることなら全部移ってほしいというのが我々の気持ちでございましたけれども、それは必ずしも全部移るというところまでいっておりません。ざっと我々が試算をいたしましても、これはいつと比較するかというのは非常に難しいのでございますけれども、恐らく八〇%ぐらい、あるいは八〇%を少し超えるか、これは数え方にもよりますけれども、八割前後の夜間離発着は硫黄島に移っております。  そういう言い方からすれば、量的にという言い方は適当でないかもしれませんけれども、回数でいえば八割の回数が減ぜられている、八割の回数を減ずるだけの訓練施設を硫黄島に新たにつくることによってこれを減らす努力はされていた。  これは、厚木基地周辺の皆さんが、自分たちのこの苦痛を取り除くために政府は一体何をしてくれたのかというお怒りもあるし、御不満もおありだと思いますけれども、政府はそれなりにNLPの回数を減らす、それによる爆音を減ずるための努力を具体的にしていることは事実です。しかし、恐らく住民の皆さんからいえば、ゼロになればほっとなさる、ゼロになればほっとなさるけれども、二割残っていれば、やはりそれは解決されたとは当然お思いにならないのだろうと思います。  一体、それでは、なぜ二割がどうしても残ってしまうのかということでございますけれども、これは訓練の仕様、態様によりましてどうしても厚木でなければできないという幾つかの条件があるというふうに説明を聞いております。その説明を聞いて、さらにこの二割を何とかする方法があるかどうかということは研究はいたしておりますけれども、現状ではなかなかこれ以上の数を減らすということの決定的な、あるいは解決策というものが今直ちに見当たらないという状況ではないかということを大変残念に思いますと同時に、御苦心をいただいております方におわびを申し上げたいと思います。  なお、米側もそれなりに、例えば学校の試験の日はこれを避けるとか、とりわけ、例えば英語の試験のヒアリングの日はこういうことはやらないよとかいうような配慮はしつつあるというふうに聞いておりますが、さらに一層住民の皆様方のそうした御要望、御希望というものには耳を傾けたいと思います。
  212. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私が伺っているのは、姿勢というのか、気持ちのことを申し上げたので、アメリカに言われた、コーエンさんがいらっしゃった、防衛庁長官が何か朝五時起きして行ったそうであります。一遍だって防衛庁長官がこの四十年間、来て、話を聞いてくれたことがあるか、状況を見てくれたことがあるかと思うのは、関係の住民としては当然の気持ちでございましょう。  民主主義の世界ですから、大臣もおっしゃったように、すぐできるかどうか、いろいろな問題があります。気持ちはわかってもらうように努力をするというのが政府であり、政治というものだと私は思います。  私が伺いたいのは、防衛庁長官とお話をして、みんな怒っているよ、あんた、私も行くからでも、あなたも、どっちか、どっちでもいいのですが、現地で話を聞く、少なくとも現地の皆さんの事情を聞く、また、大臣がおっしゃったようなことを懇々と御説明をして将来を考える、そういうことをなさるかなさらないか、いかがですか。
  213. 河野洋平

    河野国務大臣 議員の御忠告を大変重要な御忠告だと思って受けとめさせていただきます。
  214. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 思いやり予算の方、時間があれですから、一つだけお伺いをいたします。  私は、コーエンさんとの話の経過など、いろいろ報道を見たり伺ったりいたしておりますが、やはり大事なことは、公正な日米関係を以後どうつくったらいいのか、未来も展望しながら、現実は現実ですから、未来に向けて一歩一歩、しかも現実的な努力をどうしたらいいのかということがあらわれるような努力というものが必要なのだろうと思います。  ある意味では、世紀の節目ですから、いろいろな意味で、国の方も政府の方も、あるいは民間、いろいろなレベルで二十一世紀への日米関係というものを幅広く創造していく、そういう時期、そういう中の一つとしてこういう問題もあるのだろうという気がいたします。  経過からしましたら異常なことでございまして、金丸防衛庁長官、当時、アメリカは円高で大変だから六十二億円出してやれよというところから始まりました、ぱっと見たらそこに金丸さんのお写真がございますけれども。というわけでありまして、あれからいろいろと変わったわけであります。状況は大きく変わりました。東西冷戦は終わりましたし、アジアがどうなるかが大きな課題であるということでございますし、日本の方が深刻な財政難ということも事実でございます。筋の通った、あるいは公正な日米関係というのはどう考えていくのか。現状をそのままオーソライズして出しましょうというだけのことでは違うのだろうと思いますね。  よく知られているいい評論をなさる寺島さんという方がいらっしゃいます。三井物産だったでしょうか、何かのあれで、また、早稲田や何かの客員教授もおやりになっている。この間、ある雑誌にお書きになったのを見ましたら、こう書いてありました。「私は、「対米関係の再設計」において、「日米安保の再設計」にこだわりたい。」「日本から見た安保は、米軍の駐留経費の七割を日本が負担する仕組みといえる。」「思いやり予算の見直しなど、そろそろ日本の側から提案をしなければいけない時期にきている。 だからといって私は反米・反安保の立場ではなく、むしろ親米派といってもいいが、今後もアメリカとの軍事協力関係が大切になると信じている立場の人間こそが、自立と自尊をかけて踏み込むべきときがきていると思うのである。」という文章をお書きになっておりました。  私自身とはちょっと立場は違いますけれども、しかし傾聴に値する御議論だなというふうにも思います。  そういう視点から、さっき大臣から同僚の上原さんへの御答弁がございまして、これからいろいろな事務的その他作業をしていくとございましたが、構え方として、姿勢として、そういう角度から問題の打開を図り、そしてまたフェアな、公正な、しかも、やはり日米関係の二十一世紀を見据え、現実からいい方向に行くという意味での何か柱をぼんと持って交渉に当たっていくということが大事ではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
  215. 河野洋平

    河野国務大臣 大変勇気の要ることだと思います。  少なくとも、現実はアメリカのプレゼンスというものがこの周辺の安定の支えになっているというふうにだれもが、だれもがというのは言い過ぎですけれども、多くの人が思っているわけでございまして、その大きな柱を一遍見直そうということでございますから、今の議員の御提案は大変勇気の要ることだというふうに思います。  しかし、私どもが今やらなければならないのは、何とかして外交努力によって、日本周辺の国と国との関係がより信頼できる、あるいは、より透明な関係というものになっていく努力というものがどうしても必要ではないかということを私は考えているわけでございまして、力による安定といいますか、そういうものをこれから五十年、百年、ずっとそのまま続けていけるかどうか、あるいは、いっていいかどうかということになれば、これはなかなかそう簡単なことではないというふうに思います。
  216. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これで終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  217. 井奥貞雄

    井奥委員長 内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  外務大臣より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣河野洋平君。     —————————————  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  218. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  改正の第一は、在ユジノサハリンスク日本国総領事館の新設を行うことであります。  改正の第二は、ナイジェリアの首都機能の移転に伴い、在ナイジェリア日本国大使館をラゴスからアブジャに移転することであります。  改正の第三は、在ユジノサハリンスク日本国総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めるとともに、最近における為替相場の変動等を踏まえ、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額及び研修員手当の額の改定を行うことであります。  なお、以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額等の改定は、在外公館に勤務する外務公務員の生活に直接関係することであり、四月一日から実施する必要がございます。さらに、ナイジェリアは既に全省庁のアブジャ移転を済ませているため、今後の迅速な外交活動の展開のために早急に在ナイジェリア日本国大使館をラゴスからアブジャに移転する必要がありますことから、できるだけ速やかな法改正が必要であります。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。
  219. 井奥貞雄

    井奥委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、来る二十四日金曜日正午理事会、午後零時五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会