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玉置委員 タクシー業界の昔からの大きな
課題は、車の台数と運転者の方々の収入が比例しないということなんですね。この原因をどうやって追求するかとさんざん悩んでいつもやっているのですが、
業界全体の総売り上げなのか、あるいは
運転手さんを
中心にして一人当たりの売上高の
確保なのか、その時々の
タクシー業界の事情が我々も非常にわかりにくい。だから、
基準を何に置いて、どういうときにこの緊急
措置を発令するのかどうかということは、非常に重要だと思うのですね。
いつも我々がお聞きをいたしますのは、経営者の方が
タクシーを増車して、ともかく数を走らせておけば経営者はまあまあそこそこ収入になるのだ、ところが、
運転手の方はふえただけ減収になる、こういう事態があります。その辺をどうとらえていくかということなので、ちょっと別々にお聞きをしていきたいと思います。
まず、九一年度と九八年度と比較をいたしまして、九一年度は、
タクシー業界全体の
輸送に関する売り上げが二兆五千億ぐらいありました、二兆五千四百六十三億ですね。それから、九八年度でございますが、二兆一千七百八十六億ということで、
運賃収入がこのように一七、八%ダウンしているというような
状況であります。そういうふうに見ていきますと、大変
状況として悪くなってきているということなんですね。
それから、一日一車当たりの
運賃収入というのがございまして、九一年度、東京で比較をいたしますと、一車当たり一日四万八千円の収入がございました。今、九八年度を見ますと、四万四千八百五十一円ということで、一割程度ダウンしてきている。近畿は、四万円が三万二千五百円になっているというふうに、それぞれどこの
地域を見ても収入が一車当たりダウンしてきている。
それから、運転者の人数で比較をいたしますと、九一年度が三十六万人運転者の方がおられました。これが九八年度は三十六万一千七百二十九人ということで、九八年度の方が運転者の方が増加をしているということであります。
そして、実車率といいますか、要するにお客さんが乗る時間でございますが、これは平均で、ざっとしか言いにくいのですが、例えば九一年度、東京で見ますと五四・三%が、今四七・七%。関西でいきますと、五三・三%が四四・八%というふうにダウンをしております。各
地方も全部、すべてダウンをしているということでございまして、こういう状態であるということなんですね。
こういきますと、
運賃収入が減って運転者が微増でということであれば、当然、それだけ収入が減るわけです。これをどう
判断基準の中に含めるかということ。
それから、きょうは労働省にもお見えをいただいておりますが、この
地域間格差が非常に大きい。いろいろな資料がございますが、この
地域の格差と、それから全産業の労働者が得ております年収と
タクシー運転手の方が得ておられる年収とに格段の差がある。それもこの不況になりましてからますます格差が拡大をした、こういうことなんですね。
一例を申し上げます。東京都で全産業の労働者の方の年収が六百八十八万円、
タクシー運転手の方が四百九十六万円、ずっといきまして、愛知県の全産業の平均でございますが五百九十五万円、
タクシー運転手の方が四百五万円ということで、これだけの差があります。
こういう産業間格差と今度は
タクシーの中での比較でございますが、先ほど申し上げました東京が四百九十六万円に対しまして、ずっと南の方へ行きまして
大臣のおられる和歌山は二百五十八万八千円というふうにどんと低くなります。そして、
委員長のおられる沖縄は二百十四万円ということなんですね。
地方に行くほどずっと安くなっているということであります。そして、大都市のあるところについてはそこそこの金額になっておりますが、それでも、例えば大阪のように全産業が六百十九万あるはずが、三百八十万しかない、こういう結果が出ているということでございます。
まず、労働省にお伺いをしたいと思いますが、この
地域間格差とか業種間格差が非常に拡大をしているのでございますが、労働行政から見て、こういう傾向についてどうお感じになり、またどういうふうな今まで施策をしてこられたか、この辺をちょっと聞きたいと思います。