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1999-11-10 第146回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第三号   平成十一年十一月十日    午前十時開議  第一 平成年度一般会計歳入歳出決算平成   八年度特別会計歳入歳出決算平成年度国   税収納金整理資金受払計算書平成年度政   府関係機関決算書  第二 平成年度一般会計歳入歳出決算平成   九年度特別会計歳入歳出決算平成年度国   税収納金整理資金受払計算書平成年度政   府関係機関決算書  第三 平成年度国有財産増減及び現在額総計   算書  第四 平成年度国有財産無償貸付状況計算   書  第五 平成年度国有財産増減及び現在額総計   算書  第六 平成年度国有財産無償貸付状況計算   書     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、議員石川弘逝去につき哀悼の件  一、議員村沢牧逝去につき哀悼の件  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  議員石川弘君は、去る八月二日逝去されました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ さき財政金融委員長労働委員長等重任にあたられました 議員従三位勲二等石川弘君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます     ─────────────
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 久保亘君から発言を求められております。この際、発言を許します。久保亘君。    〔久保亘登壇
  4. 久保亘

    久保亘君 本院議員石川弘君は、さき通常国会会期末、八月二日早暁、肝不全のため虎の門病院において急逝されました。  私は、ここに皆様の御同意をいただき、議員一同を代表して、従三位勲二等故石川弘君の御生前をしのび、謹んで哀悼の辞をささげたいと存じます。  温和なまなざしで、少しも偉ぶることなく、村夫子然とした語り口で相手の理解を求める君の信念に満ちた委員長ぶりは、的確な情勢判断とともに私たちに深い尊敬の念を与えました。一方、難局に遭遇しても、君は、毎日を明るく過ごすことを信条とし、人との出会いを大切にし、多くの友に慕われたのであります。党派は違っても、君と肝胆相照らす友となり得たことは私の喜びでありました。  どんなに多忙な中でも、週末、厚木での家庭菜園づくりを楽しみ、奥様との仲のよい農作業は、周囲のうらやむほどであったと伺いますが、見事な収穫をにこやかな笑顔で近所に配られる君の姿が目に浮かびます。多くの役職の中で、視覚障害者食生活改善協会会長を務めておられたことは、君の人柄を知る者にとってむべなるかなの思いであります。  そのような君の体調がすぐれないと仄聞しておりましたが、会期末、本会議場でお見かけし、短いあいさつを交わしては快方に向かわれているものと思っておりましただけに、突然の訃報に驚きを禁じ得ませんでした。君は、病を押して政治家責任を果たし、壮烈な最期を遂げられたのであって、君の生きざまに強い感動を覚えるのであります。  石川君は、昭和三年十月三日、金沢市に生をうけ、陸軍士官学校六十一期生として終戦を迎え、郷里に復員後、旧制第四高等学校に進学し、東京大学法学部を卒業、昭和二十九年、農林省に入省されたのであります。戦後の混乱の中で食料安定的確保重要性を痛感し、おじに当たる坂田英一農林大臣の影響も受けてのことであったと聞いております。  石川君は、学生であった多感な青年時代には、東京芸術大学への進学を夢見てひそかに歌の勉強を重ね、また堪能なロシア語を生かしてロシア民謡の翻訳を手がけていたのも君の知られざる一面であります。  農林省では、若手官僚として要職を次々と歴任し、昭和五十六年、畜産局長に就任され、畜産総合対策を発足させ、畜産経営体質強化及び畜産物需給への的確な対応を図るとともに、地域の特性を反映させた総合的な畜産施策基礎を築いたのであります。また、日米牛肉交渉を積極的にリードし、懸案の決着に導かれたことは、今なお省内に語り継がれております。  さらに、昭和五十九年に就任された食糧庁長官時代には、食管制度の大幅な運営見直しにより、集荷から販売に至る食料管理にかかわる各種活動活性化合理化に貢献されました。昭和六十一年、農林事務次官に就任された君は、卓越した指導力により、食料安定供給に努めることを基本に、生産性効率性の高い農業構造確立へ向け、今日の農政基礎となる二十一世紀へ向けた農政基本方針策定に尽力し、昭和六十三年に退官されたのであります。  平成元年七月、君は推されて参議院選挙自由民主党比例代表候補として出馬し、当選後は環境特別委員会予算委員会決算委員会等理事を務め、労働委員長も歴任されました。  平成六年、郷土の要請を受けて石川県知事選に出馬のため議員を辞職されましたが、惜敗し、野に遺賢なからしむべしとの声に翌年再び参議院選挙で本院に復帰し、大蔵委員会中心に君の活躍が注目されたのであります。金融機関破綻処理が政局の一大争点となる中で大蔵委員会理事としての君の存在は極めて大きいものがありました。  平成九年六月、大蔵委員長に就任した君は、委員長手腕が問われる金融問題等案件処理にその実力を遺憾なく発揮し、君の提唱による与野党フリートーキングなど委員会運営に特筆すべき努力を払われたのであります。  平成十年、委員会制度の再編を受けて、財政金融委員会初代委員長に就任され、郵便貯金などの公的金融農林水産金融などに所管が広がり、委員長にとっては大変な激務となりましたが、順調な運営は君の人柄手腕に負うところが大でありました。  このころから君の健康は損なわれ、病院から委員会へ直行することもたびたびであったと聞くのであります。しかし、君は周辺に入院の事実さえ一切漏らさず、国民生活に直結する重要法案審議成立のために委員長の席に平然と座り、責任を果たされたのであります。まことに壮烈というべきか、このことが君の命を縮めたとすれば、我々にとっては痛恨のきわみであります。  委員長の任務を全うした君は、休む間もなく金融問題及び経済活性化に関する特別委員会筆頭理事となり、臨時国会において、金融再生関連法早期健全化法等成立に渾身の努力を傾け、金融危機回避のために先頭に立たれたのであります。質疑の中で、単に過去からの責任を問うだけではなく、これからの前向きな行動を誘導することを主張し、金融再生について心底心を痛めておられたのであります。  現在、内外とも厳しい情勢の中で、我が国は重要な転換期を迎えております。ようやく出口が見え始めた金融問題ではありますが、世界的な大競争時代に入り、巨大銀行への合従連衡が活発化しつつあります。また、君が農林省を目指す契機ともなった食料確保については、さき国会成立した新農業基本法のもとで新しい局面を迎えようとしております。  このとき、君の高邁な識見と経験に基づくさらなる活躍が期待されていたのであり、君を失うことは、奥様を初め御遺族の悲しみはもとより、本院にとってもまことに無念であり、日本の未来にとって大いなる損失であります。  太平洋戦争の末期、祖国の風雲急を告ぐるとき陸軍士官学校にともに学んだ同期の桜が、君の同郷、同期の友奥田敬和君に続いて、また一輪、散り行く君に哀悼の辞を送る悲しみを越えて、私は、君の志を継ぐため同僚議員とともに全力を尽くすことを誓います。  ここに、遠く旅立つ石川弘君のありし日の輝かしい業績をたたえ、明るく豊かな人となりをしのび、本院を代表して心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げます。      ─────・─────
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 議員村沢牧君は、去る九月八日逝去されました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ さき建設委員長災害対策特別委員長重任にあたられました 議員村沢牧君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます     ─────────────
  6. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 村上正邦君から発言を求められております。この際、発言を許します。村上正邦君。    〔村上正邦登壇
  7. 村上正邦

    村上正邦君 「木曽路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた」。これは、島崎藤村の「夜明け前」の冒頭一節であります。  本日、私は、皆様の御賛同をいただき、議員一同を代表して、故村沢牧先生の御霊に、謹んで哀悼言葉を申し述べます。  行く夏を惜しむかのように、伊那谷にこだまする蝉時雨が例年にない厳しい残暑を感じさせていた九月二十五日、地元飯田市で、村沢先生を長年にわたりお慕いし、支持してこられた多くの人たちによる心のこもった合同葬が、しめやかにとり行われました。  私は、この御葬儀に参列して帰る途中、中央高速道路事故通行どめになり、やむなく木曽路一般道を中津川を経て名古屋に向かいました。  そこは、深山幽谷の地であり、今に至るも、「夜明け前」の冒頭一節に描かれたごとく、すべては山の中でありました。狭く急な坂道を転がるように、大きなカーブを何度も何度も繰り返しつつ、数百メートルを一気に急降下していくような、驚くほど峻険な山道でありました。  かつては平家の落ち武者が安住の地を求め、あるときは木曽義仲が京を目指して駆け抜けた道であろうと思いをめぐらせながら走っているとき、ふと、「人生に偶然はない」という言葉が頭をよぎりました。高速道路通行どめになり、険しい山合いの道をこうして走っているのも決して偶然ではない。  悠久の時の流れがここではとまっているかのような昔ながらの大自然、脈々と続いている人間の営み、そこに息づいている文化。  村沢牧さんを政治に駆り立てたものは何か、生涯をかけて守ろうとしたものは何であったのか、いささかなりとも実感として理解し得るために時と所を与えられた思いがしたのでありました。  村沢先生は、大正十三年八月一日、古くから遠山郷と呼ばれてきた長野南信濃村の農家の長男として誕生されました。わずかな平地と山の斜面を開墾した土地での農業と林業が、住む人たち生活の糧でありました。先生は、病弱だった御尊父を助け、若いころから農林業土木作業に精を出して家計を維持したと伺っております。  十五歳のとき、先生は相次いで大きな不幸に見舞われました。  杉の枝打ちをしているとき、過って木から落ち、右手の筋を切断され握力をなくしてしまわれました。さらに、御母堂が農作業の途中、狭い急斜面の山道から足を踏み外して転落し、三十七歳の若さでこの世を去ってしまわれました。  十五歳の牧青年の受けた衝撃はいかばかりであったかと察しますが、幼い兄弟を抱え、一家の中心になっておられた先生は、悲しみのふちからけなげにもみずからの人生に気丈に立ち向かい、戦時中は、ほとんどの若者が出征していく中、村の食料増産や木炭の生産に取り組みました。戦後は青年団活動農民運動平和運動情熱を傾け、地域人たち信頼を集め、いつしか指導的な立場に立たされていたのであります。  昭和二十四年、青年団活動で知り合った満子さんと結婚。その後、地方事務所に勤務しながら独学大学検定に合格し、必修であった東京での一年間のスクーリングを経て、中央大学法学部を苦学の末、卒業されました。東京での学費、生活費を支えたのは、幼い長女を抱えて、土木作業で得たわずかな賃金をためては仕送りした満子夫人の涙ぐましい陰の力でありました。  そのときのことを、「政治の谷間に光を」と題した著書の中で、「実に十三年の長い独学の道程(みちのり)であった。妻の深い理解協力なしには不可能だったが、この体験から、努力をすれば何とか出来る。今日はわからなくても勉強すれば明日はわかる。との自信を植え付けることが出来た」と述べておられます。先生の不屈の精神はこうして培われたものであります。  ある日、私は、長野から帰られた村沢さんを清水谷の議員宿舎に訪ねたことがあります。おにぎりナスの漬物で遅い夕食をとっておられました。そのおにぎりナスを私に勧めながら、平成八年に先立たれた奥様のことに触れ、「上京の折は、いつも女房おにぎりをつくってくれてね。それがいつしか習慣になって、今では自分でつくって持ち帰っている。わびしいな。女房にはずっと苦労のかけ通しで、引退したら、新築した家でゆっくりねぎらってやりたかった」としみじみと語っておられました。先生の飾らない朴訥としたお人柄とともに、あのときのナス漬けの味が忘れられません。  参議院議員としての二十二年間、先生は、予算委員大蔵委員建設委員長災害対策特別委員長細川内閣農林水産政務次官を歴任され、党にあっては農林水産部会長、シャドーキャビネットにおける農林水産大臣参議院議員会長などを務められました。中でも、農林水産委員会には二十年以上にわたって籍を置かれ、在職中に先生が行った百六十九回にわたる質問のうち、実に七十七回が農林水産委員会における質問であり、農政と弱者に光を当てた政治を目指して歩んできた先生の輝かしい足跡として本院の歴史に刻まれております。  平成五年十二月、先生農林水産政務次官に在任中、我が国が米の部分輸入を余儀なくされるや、「政務次官といえども内閣の一員になった以上、苦しくとも耐えなければならない。一方で国際貿易体制の問題も考えなければならない。この信条と現実の責務との矛盾に苦悩した。だが、私の政治信条、良心がそれを許さなかった。これが人間村沢牧生きざまと言う以外にない」と政務次官を辞任されました。  農政一筋にかけた、そしてみずからの生き方においても一分の妥協も許さない政治家村沢牧先生の真骨頂でありました。  また、先生は、新農業基本法案審議が大詰めを迎えた本年六月二十九日、病院を抜け出て委員会質問に立たれました。  はた目にも痛々しいほど、病魔との闘いに衰弱した体にむち打って、新しい基本法理念を踏まえた法体系の整備や基本計画のあり方などを順次ただされ、最後政府当局に「しっかり頑張ってください」と結ばれました。しっかり頑張れと厳しい口調で語られたお姿はまさに鬼気迫るものがあったと、多くの同僚議員から聞きました。農業を取り巻く環境をこれ以上壊してはならないという先生の振り絞るような叫びが、今や遺言になってしまいました。  所属する会派は異なっていても、私は政治にかける情熱を同じくし、多くの夢を共有しておりました。中でも、農業は国の基本であり、地域は自然を守り文化をはぐくみ、福祉は人間平等のあかしであるとの先生政治理念は、我が国が抱えている重要課題の解決に欠かせないものであります。私は、村沢先生にも直接申し上げましたが、影の内閣ではなく、橋本第二次閣内協力による実現による連立政権農林水産大臣になっていただきたかった。自然とともに生きる人たちに根差した、血の通った、新時代に通ずる、本音の農政確立していただきたかった。残念ながら政治情勢の変化で、それもかないませんでしたが、先生農林水産大臣にと心から願ったのは、党派を超えて、決して私一人ではなかったと確信しております。  さき国会会期末、本会議採決牛歩戦術が行われていたときであります。村沢先生は、お体のぐあいからして長時間立っておられるのがきっとおつらかったに違いありません。しかし、最後まで議員としての務めを果たされました。夜を徹した採決の堂々めぐりが続く中、梶原敬義先生とお二人でわざわざ私の議席まで来られ、牛歩もこれを最後にしなければいかぬ、積もる話もあり、国会が終わったら一度ゆっくり会おうと話しかけられましたが、この約束を果たせないままになってしまったことが残念でなりません。  九月八日、先生の御遺体は、生涯をかけて激しく戦ってこられた永田町を一めぐりし、国会正門にて多くの同僚議員に見送られながら、南アルプスを赤く染める夕日に誘われるように、愛するふるさと・遠山郷に帰っていかれました。今ごろは、先生を支え続けて先立たれた満子夫人に再会し、遠山川を見おろす段々畑に二人で腰をおろして、夫人の御苦労をねぎらい、積もる話をなさっておられることでありましょう。  村沢牧先生、あなたの肉体は土に帰っても、政治家村沢牧の魂はなお南信遠山郷の山野にあって、日本農業を守る鬼神となって生き続けられることを信じて疑わないものであります。  泡の如く、霓の如く、  幻の如く、響きの如く、  過ぎ去るものは實在に非ず、  空しきものは「我」に非ず、  死するものは「我」に非ず、  死せざるものこそ應に「我」なり。                     合掌            参議院議員  村上正邦      ─────・─────
  8. 斎藤十朗

  9. 鎌田要人

    鎌田要人君 ただいま議題となりました平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  平成年度決算外二件は、十年一月十二日に提出され、同年二月十八日委員会付託となりました。  また、平成年度決算外二件は、十一年一月十九日に提出され、同年二月十日委員会付託となりました。  委員会におきましては、決算審査のおくれを解消するため異例の措置といたしまして、平成年度決算外二件及び九年度決算外二件を一括して審査することとし、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを審査し、あわせて、政府施策全般について広く国民的視野から実績批判を行い、その結果を将来の予算策定及びその執行に反映させるべきであるとの観点に立って審査を行ってまいりました。  全体で十三回に及んだ委員会質疑では、内閣に対する警告にかかわる質疑のほか、決算早期提出に係る財政法の改正問題、行政監察及び会計検査院の指摘事項に関連した質疑など、行財政全般について熱心な論議が交わされましたが、それらの詳細は会議録によって御承知願います。  十月二十七日、平成年度決算外二件及び九年度決算外二件に対する質疑を終局し、討論に入りました。  両年度決算に対する議決案の第一は、平成年度決算是認、第二は、平成年度決算是認、第三は、内閣に対する六項目の警告であります。  討論では、民主党・新緑風会を代表して高嶋理事から、平成年度及び九年度決算について是認することに反対するとともに、両年度国有財産関係二件については賛成し、内閣に対する警告案について賛成する旨の意見が述べられました。  次に、自由民主党を代表して鹿熊理事より、平成年度決算外二件及び九年度決算外二件はいずれも是認することに賛成するとともに、内閣に対する警告案について賛成する旨の意見が述べられました。  次に、日本共産党を代表して八田委員より、平成年度及び九年度決算並びに国有財産増減及び現在額総計算書のそれぞれについて是認することに反対するとともに、両年度国有財産無償貸付状況計算書について賛成し、内閣に対する警告案について賛成する旨の意見が述べられました。  次に、社会民主党・護憲連合を代表して大脇委員より、平成年度及び九年度決算について是認することに反対するとともに、両年度国有財産関係二件について賛成し、内閣に対する警告案について賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、平成年度決算及び九年度決算採決に付しましたところ、いずれも多数をもって是認すべきものと議決され、次いで、内閣に対する警告案については全会一致をもって警告すべきものと議決されました。  平成年度及び九年度決算に係る警告は、次のとおりであります。     内閣に対し、次のとおり警告する。     内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。  (一) 国の一般会計において、平成年度に一兆六千百七十四億円と、戦後四回目の決算上の不足が生ずることとなったことは、誠に遺憾である。    政府は、近年、税収決算額予算で見込んだ額を下回る事態が生じていることを厳しく認識し、適切な税収見積り確立に更に努力するとともに、国の財政が極めて厳しい状況にあることにかんがみ、政府会計について貸借対照表の作成を検討するなど国民に対する財政情報の開示に一層努めるべきである。  (二) 神奈川県警察を始めとする各地の都道府県警察において不祥事案が相次いで発生し、しかも、一部事案についてその処理対応に適正を欠き、警察に対する国民信頼を著しく失墜させたことは、遺憾である。    政府は、都道府県警察における業務管理警察職員職業倫理教養等について指導を徹底し、この種事案再発防止に努めるなど、警察に対する国民の早急な信頼回復に万全を期すべきである。  (三) 防衛装備品調達において、契約企業により過大請求が行われ、しかも、その処理に際し、防衛庁幹部職員が不正に国への返還額を減額したことにより背任容疑等で逮捕・起訴され、また、組織的に証拠隠しを行っていたと受け取られてもやむを得ない事例があったことは、極めて遺憾である。    政府は、職員倫理意識向上を図るとともに、防衛庁契約企業との関係適正化原価計算に関する審査能力向上過払い事案処理に関する処理手続明確化などの諸施策を着実に実施し、防衛装備品に関する調達業務透明性公正性確保に努めるべきである。  (四) 本年九月、茨城県東海村の民間核燃料物質加工施設において、正規の手順と著しく異なる操業が行われた結果、我が国における初めての臨界事故が発生し、多数の被ばく者が生じたことは、極めて遺憾である。    政府は、かかる事故周辺住民を始めとする国民原子力安全対策に対する信頼を大きく損ねたことを厳しく受け止め、事故原因徹底究明被害者の救済に全力を尽くすとともに、核燃料施設安全規制強化等の抜本的な再発防止策策定原子力防災対策強化に努めるべきである。  (五) 文部省の委嘱等事業について、平成年度及び九年度決算検査報告において、二十六府県教育委員会等会計法令に違反した不正な経理を長期にわたり継続し、これにより捻出した資金目的外の用途に使用するなど、適正を欠く経理を指摘されたことは、遺憾である。    政府は、各都道府県教育委員会等に対して事業予算の適正な執行を行うよう指導するとともに、実地調査を含め、経理処理状況を的確に把握するための改善措置をとるなど、再発防止に向けて万全を期すべきである。  (六) 山陽新幹線において、本年六月にトンネルの内壁が剥落し、その後再発防止策を講じたにもかかわらず、十月に再度トンネル内において、コンクリートが落下する事故が発生したことは、遺憾である。    政府は、事故の原因を究明するとともに、鉄道事業者に対し、構造物の点検方法等の見直しを含め安全確保策を講じるよう指導を徹底するなど、鉄道の安全輸送に対する国民信頼回復に努めるべきである。  以上であります。  次に、平成年度及び九年度国有財産増減及び現在額総計算書について、採決の結果、いずれも多数をもって是認すべきものと議決され、両年度国有財産無償貸付状況計算書についてはいずれも全会一致をもって是認すべきものと議決されました。  最後に、委員初め関係各位の特段の御協力により、おくれておりました決算審査を精力的に進めることができましたことに対し、委員長として感謝を申し上げ、以上をもって御報告とさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  10. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  初めに、日程第一及び第二の決算二件について採決をいたします。  両件の委員長報告は、平成年度決算是認すること、平成年度決算是認すること及び両件の決算につき内閣に対し警告することから成っております。  まず、平成年度決算及び平成年度決算委員長報告のとおり是認することについて採決をいたします。  両件決算委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  11. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  12. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十五     賛成            百四十五     反対              九十    よって、両件決算委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  13. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することについて採決をいたします。  委員長報告のとおり内閣に対し警告することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  14. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  15. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十六     賛成           二百三十六     反対               〇    よって、全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  16. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、日程第三及び第五の国有財産増減及び現在額総計算書二件を一括して採決いたします。  両件を是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  17. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  18. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十六     賛成            二百十三     反対             二十三    よって、両件は是認することに決しました。     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  19. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 次に、日程第四及び第六の国有財産無償貸付状況計算書二件を一括して採決いたします。  両件を是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  20. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  21. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百三十六     賛成           二百三十六     反対               〇    よって、両件は全会一致をもって是認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  22. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 先ほど議決されました内閣に対する警告に関し、内閣総理大臣から発言を求められました。小渕内閣総理大臣。    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
  23. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。  政府としては、従来から国の諸施策の推進に当たっては、個々の事業の実態を踏まえ、適正かつ効率的に執行するよう最善の努力を行っているところでありますが、今般六項目にわたる御指摘を受けましたことはまことに遺憾であります。  これらの決議の内容は、いずれも政府として重く受けとめるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善してまいる所存であります。(拍手)
  24. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十時五十分散会      ─────・─────