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1999-12-01 第146回国会 衆議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月一日(水曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 岡島 正之君       伊吹 文明君    石崎  岳君       遠藤 利明君    大村 秀章君       鴨下 一郎君    鈴木 俊一君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       田村 憲久君    戸井田 徹君       根本  匠君    桧田  仁君       松本  純君    宮島 大典君       山下 徳夫君    家西  悟君       石毛えい子君    菅  直人君       五島 正規君    土肥 隆一君       中桐 伸五君    古川 元久君       青山 二三君    漆原 良夫君       大野由利子君    坂口  力君       吉田 幸弘君    鰐淵 俊之君       児玉 健次君    瀬古由起子君       中川 智子君    濱田 健一君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    厚生政務次官       大野由利子君    政府参考人    (厚生省年金局長)    矢野 朝水君    厚生委員会専門員     杉谷 正秀君     ————————————— 委員の異動 十二月一日  辞任         補欠選任   家西  悟君     菅  直人君   大野由利子君     坂口  力君   久保 哲司君     漆原 良夫君   中川 智子君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   菅  直人君     家西  悟君   漆原 良夫君     久保 哲司君   坂口  力君     大野由利子君   濱田 健一君     中川 智子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国民年金法等の一部を改正する法律案について  年金資金運用基金法案について  年金福祉事業団解散及び業務承継等に関する法律案について     午前九時三十五分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  去る十一月二十六日の当委員会における年金関連法案の採決につきまして、円滑なる運営ができなかったことはまことに遺憾に存じます。  今後は公正かつ円満なる委員会運営を行いたいと存じますので、委員各位の御協力のほどを心からよろしくお願いを申し上げます。      ————◇—————
  3. 江口一雄

    江口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国民年金法等の一部を改正する法律案年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団解散及び業務承継等に関する法律案について、明二日木曜日午前九時三十分、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  5. 江口一雄

    江口委員長 国民年金法等の一部を改正する法律案年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団解散及び業務承継等に関する法律案について発言を求められております。  お諮りいたします。  各法律案について、本日、政府参考人として厚生省年金局長矢野朝水君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 江口一雄

    江口委員長 これより順次発言を許します。衛藤晟一君。
  8. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 自由民主党の衛藤晟一でございます。質問をさせていただきたいと思います。  今回の改正法案は、二十一世紀を控え、本格的な高齢化社会を迎えようとしているまさにその転換期において、今後の年金制度がいかにあるべきかを真剣に考えた上で提案されたものであるというぐあいに認識をいたしております。  国民皆様の間からは、本当に年金はもらえるのか、年金制度の将来は大丈夫かといった、老後に対する心配や不安の声が少なくありません。老後収入の全額を年金に頼っている方が高齢者世帯全体の約六割を占めるなど、今や年金高齢者所得保障の中心として欠くことのできない重要な役割を担っております。年金制度に対しては、国民皆様老後を支える屋台骨として、今後も長期的に安定した年金給付を行うことは大きく期待されていると考えております。  その一方で、特に若年世代からは、少子高齢化が進行する中で、自分たちは将来の負担にたえられるのかといった不安の声が聞こえてきます。御存じのとおり、二十一世紀に向けてさらに少子高齢化進展する中、現在の制度を放置した場合には、厚生年金保険料率は最終的には現在の約二倍に当たる三四・五%に上昇するものと予想されております。こうした負担に将来世代はたえられるのか、これが不安のもととなっているわけであります。  逆に、負担抑制のみを考えて、厚生年金保険料率を今後ずっと現在の水準に固定することとした場合には、今度は給付水準現行の六割程度にとどめなければならなくなると試算されています。  年金制度は、基本的には、現役世代保険料負担高齢者世代を支える世代間の助け合いの考え方運営されています。したがって、改正に際しては、保険料負担する現役世代年金給付を受ける高齢者世代のいずれか一方に偏ったやり方ではなく、双方が納得でき、国民的な理解を得られるものとすることが不可欠であります。全国民共通の財産であるこの年金制度を、将来にわたり持続可能なものとするために必要な改革の具体的な内容について、国民的な理解を得ていくために、複数の選択肢を示した上で、国民に開かれた議論を積み重ねることが不可欠と考えます。  今回の改正案は、平成六年の前回改正努力実績を踏まえ、その延長線上のものとして結実した結果であり、きのうきょう突然出てきたものではありません。長い期間にわたる議論を経て今日に至っているものであります。  政府は、今回の改正案を取りまとめる過程で、国民に対する情報公開や幅広い視点を踏まえた検討をどのように進めてきたのか、まずこの点をお伺いいたします。
  9. 矢野朝水

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  公的年金といいますのは、加入員が七千万人いらっしゃいます、それから受給者が二千六百万人、つまり、国民一人一人に直結する問題でございます。したがって、年金をどうすべきかという問題につきましては国民的な議論合意形成が不可欠である、こう考えておるわけでございます。  今回の制度改正、これは五年に一度の財政再計算ということで三年前に始めたわけでございますけれども、徹底した議論をしていただくということで、年金審では延べ三十四回にわたりまして議論をしていただいたわけです。そして、今回、改正に当たっては、情報公開を徹底したいということでございまして、審議会に膨大な資料を提出しました。それから、審議会議事録、こういったものは情報公開をしたわけでございまして、議事録などはインターネットでも見られるようにしたということでございます。  それから、年金をどうするか、これは究極的には国民選択の問題でございます。したがって、国民的な議論選択に資するようにということで、私どもとしては、平成九年の十二月に五つの選択肢というものを出したわけでございます。こういったものをもと議論をしていただいたわけでございます。  それから、年金について情報公開が不十分だ、こういう御指摘が前からあるわけでございまして、こういった声にこたえるために、平成十年から年金白書を発行することにいたしました。今回で二回目の年金白書でございます。  調査の徹底ということも考えたわけでございまして、平成十年三月には年金改革に関する有識者調査、これは二千人を対象に実施いたしました。それから、若い人の声も聞く必要があるということで学生調査もやりました。これは十七校、三千三百人を対象調査いたしました。それから総理府では、公的年金制度に関する世論調査も実施していただきました。  こういった調査結果、それから、手紙とかはがきとかインターネット、こういったものを通じて寄せられた国民からのいろいろな声も参考にいたして今回のような制度改正を取りまとめていったということでございます。
  10. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 平成六年の前回改正案のときに、自社さ政権もと、私どもは、今のような情報公開を初め徹底した議論をということで、五年間、政府与党はそういう努力を続けてきたというぐあいに私は思っています。そういう意味では、いまだかつてないぐらいその努力を続けてきた結果ではなかろうかというように、私も同様に考えている次第でございます。  さて、次の質問に入りますが、少子高齢化進展など年金制度を取り巻く環境が大変厳しくなる中で、現役世代高齢者世代年金に対する不安を解消するためには、将来の若者にも無理のない負担高齢者の安心した生活を支える確実な給付というこの二つを今回の改正で約束し、年金制度を長期的に安定した信頼できるものにすることが重要ではないかというぐあいに考えます。この改正法案は、年金制度に対する不安を解消するとともに、制度に対する国民皆様の期待にこたえたものとなっていると私は確信いたしておりますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  11. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、衛藤委員からお話がございましたように、国民の間では老後に対する漠然とした不安があるのではないか、中でも最大の関心は、特に若年世代の間で、自分たちが将来、年金をもらえないのではないか、こういったような不安が一部にあるということも紛れもない事実ではないか、こう思っておるような次第でございます。  今回の改正におきましては、国民老後を支える年金制度につきましては、将来にわたって安心して信頼できるものにしていかなければならない、これがまず大前提でございます。このため、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付というものを約束するという考え方に立ちまして今回の改正案を提出したわけでございます。  具体的には、高齢化ピーク時におきましても保険料年収の二割程度にする、それから、無理のない負担に抑えるということ、すなわち厚生年金給付水準見直しを図ることなどによって、将来の少子高齢化進展経済の低成長を踏まえながらも、将来世代の過重な負担を防ぐとともに現役世代手取り年収のおおむね六割程度確保する、こういうことを最大のねらいといたしておるような次第でございます。  いずれにいたしましても、今回の年金法改正によって、国民の一部に不安があるとすればこの不安を解消して、年金に対する国民信頼を揺るぎないものにすることが最大のねらいでございます。
  12. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 先日の公聴会の席で、連合御出身の公述人から「安心と信頼年金 政府改悪案に反対し、たしかな老後保障を!」と題するパンフレットが配られました。これを拝見いたしました。大変問題がある記述ではないかと思われる点がございますので、ちょっとこれについて意見を申し上げたいと思っています。  例えば、年金額の表示についてでありますが、パンフレットには、現行制度における二〇二五年のモデル年金水準を二十一・一万円、平均水準では十九万円、社会保険料負担を考慮した手取り額では十六万円としております。改正案ではこれが十四・五万円まで下がるというぐあいになっています。これは、政府の示すモデル年金額である一九九九年で二十三・八万円、二〇二五年で四十一・八万円程度という数字に比べ、あたかも年金実績が減少していくかのような印象を与えています。  しかしながら、この試算は、よく見ると独特の前提を置いています。具体的には、まず一つには、男性サラリーマン世帯前提とした政府モデル年金の額について、その比較対照に、あえて男女平均年金額という全く異なるものを持ってきて比較をし、年金水準を殊さらに低いものであるかのように表現をしたということであります。  二番目は、二〇二五年のモデル年金の額を表示する際に、今後二十六年の間、引き続き、ずっと現役世代名目賃金は全くふえないという仮定を置いて計算した低い金額を持ってきたということであります。連合は、毎年賃金ベースアップを求めてきているのではないかというぐあいに思うんですけれども、これは一体どういうことなのだろうという感じを持ちます。  さらに、三点目は、年金額から社会保険負担などを差し引いた手取り額という、年金以外の収入があることを無視した概念で論じ、これまた年金額を低目に表示しているという点であります。これは、よく言っても現実性の乏しい試算と言わざるを得ませんが、このような試算を示すことによって、国民皆様の間に不要な年金不信をあおる結果となっているのではないかという感じが私はいたしています。  また、保険料負担の面についても、連合試算では、政府案のように給付適正化をしなくても、二〇二五年の保険料率国庫負担率二分の一ベースで二五・四%、三分の一ベースでも二八%にしか上昇しないというぐあいにしております。これは、政府案試算における月収ベースで三四・五%に比較して余りにも低く、この数字であれば、まさに年金は将来、何もしなくても大丈夫ですよ、改正の必要が余りありませんよというような印象を与えています。  さらに、この保険料率試算は、一方で、将来の給付費を過小に見積もっており、他方で積立金労働力率上昇による保険料率引き下げ効果は、政府案よりも過大に計算されています。いわば、甘い見通しに基づいているものではないかというぐあいに考えられます。  また、大変重要な点と思いますが、実は、この連合試算は、二〇二五年の一時点の保険料率のみを論じているばかりで、政府案のように二〇五〇年ごろの高齢化ピーク時も含め、将来にわたり収支を均衡できるようなものとして計算をしていないという大きな問題点があります。  政府案がきちんと視野に入れて計算に織り込んでいる二〇五〇年という年は、ことし生まれた子供たちがまだ現役世代として保険料負担しているころです。年金制度の目から見ればごく近い将来とさえ言えますが、そのころどんな負担になるのかという点を度外視した計算は、将来世代に対し、責任あるものと言えるのでありましょうか。このような試算を示すことによって、国民皆さんの目から制度改正必要性を覆い隠す結果となることを大変懸念いたしています。  さらに、国庫負担割合の二分の一への引き上げについて、一般財源により直ちに実施するとしています。我々は責任政党として、国庫負担割合引き上げについては、安定財源確保と一体的な議論が必要であるという主張をしているわけであります。連合資料では、この一般財源確保の手法について何ら触れられておらず、無責任ではないかというように思います。  こうした甘い前提に基づき、今回の改正案について給付水準抑制だけを自己目的とする改悪案との指摘がなされていますが、これについて大臣はどのようにお考えか、お伺いいたします。
  13. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 政府案につきましては、先ほど来衛藤委員から御指摘をいただいておりますように、少子高齢化社会が大変急速に進んできておる中におきまして、また一方で経済が低迷をいたしておるような、年金制度を取り巻く環境というのは大変厳しいものがあるわけでございます。この現実というものを直視して、問題は、先ほどからお話が出ておりますように、将来世代の過重な負担というものをいかにして避けていくか、このことが大変重要なことではないか、このように考えております。  ですから、まさに働く勤労者皆さん方、つまり、連合にお入りの方かどうかわかりませんけれども、こういう方々の保険料というものを十分に加味したものでございまして、私どもは要するに、将来にわたり安心して信頼できる年金制度の構築を目指す、こういうことでございますので、そのような御指摘というのは当たっていない、こう考えております。
  14. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 最後になりますが、今回の年金改正法の施行と同じくして、介護保険法も来年の四月施行されます。いよいよ実施されます。高齢化の進行という共通の事情を踏まえて、年金、医療、介護のそれぞれの分野で二十一世紀をにらんだ長期的な政策が求められ、我々もそのことを今真剣に考えているわけであります。  縦割り議論では限界があります。これからの社会保障考えるに当たって、まさに真に豊かな老後確保する総合的な観点から、横断的に検討することが不可欠ということで、我々もその検討を始めたところでございます。大臣においてもどのような総合的な検討を行う予定か、これに取り組む大臣の決意をお伺いいたします。
  15. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この問題につきましては、この委員会でもさまざま御指摘がございました。たまたまきょうおいでいただいております公明党の坂口政審会長が、私のところにお訪ねをいただきまして、いわゆる縦割り行政と見られているけれども、これからは一体的に老後の安心を守るという立場から考えていくべきではないか、こういうような御提案がございました。  これにこたえまして、私自身が総理に御相談を申し上げましたところ、これは政府全体として取り上げていこうではないか、こういうようなことになりまして、総理の下に社会保障のあり方についての制度の横断的な議論を進めていくような場を設けていく、このように考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、ことしじゅうにこれを立ち上げまして、来年の秋口ぐらいには結論をまとめたい、このように考えているような次第でございます。
  16. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 終わります。
  17. 江口一雄

  18. 坂口力

    坂口委員 久しぶりに質問をさせていただきますが、時間が十五分でございます。菅さんの八十三分がうらやましい限りでございますけれども、短時間でございますので簡潔に質問させていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、高齢化社会の中で年金生活の柱であり、また社会保障全体の中の柱であるというふうに思います。それだけにこの年金法案というのは重要な法案でありまして、その方向性を間違ってはならないと思っております。今回提出されておりますこの年金法案は、総論として見ました場合に、その方向性は間違っていないと思っております一人でございます。ただ、具体的な問題になりますと、幾つかの問題点もございますので、きょうは、その中の幾つかを質問させていただきたいというふうに思います。  第一は、国庫負担の問題でございますが、三分の一から二分の一に引き上げるということにつきましての合意はできているところでございますが、その記述が明確ではございません。これは早く二分の一に引き上げをしなければならないというふうに思います。現在保険料凍結がされているわけでございまして、保険料凍結解除をやらなきゃならないわけでございますが、そのときにあわせて二分の一への引き上げも同時に行うべきだというふうに思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。  またあわせまして、国民年金基礎年金水準見直しと申しますか、水準への配慮というものも大事でございまして、現在のように生活保護者にも及ばないような基礎年金は少し問題がある。もう少しここは努力をしなければならない点ではないかというふうに思っておりますが、あわせて御答弁いただければ幸いでございます。
  19. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げについてでございます。委員からは、保険料引き上げ凍結解除を同時にしたらどうか、こういうような御指摘でございますが、既に年金制度改正大綱でもこのことは実は明記いたしております。この法案には入っておらないわけでございますが、そういうこともございますし、私は、保険料引き上げ凍結解除を行う時期と、国庫負担を二分の一に引き上げる時期を同じとするというのが基本的な考え方であって、坂口委員考え方と同じであります。  いずれにいたしましても、安定した財源確保するということは言うまでもないことでございますけれども保険料引き上げ凍結解除の時期もございまして、率直に申し上げて、五年後の二〇〇四年まで待てるのかな、こういうような思いがないでもありません。できるだけ速やかに実施する方向検討をしてまいりたいと思っております。  それからもう一点でございますが、国庫負担割合を二分の一に引き上げる際に、同時に基礎年金水準見直しについてはあわせて検討をしていきたい、このように考えているような次第でございます。
  20. 坂口力

    坂口委員 次に、基礎年金の繰り上げ減額率の問題でございますが、現在では四二%というふうになっておりまして、いささか高過ぎる。これは連合等からもかなり御指摘のあるところでございまして、私もそう思うのです。せめてもう少し、三〇%台、三〇%台もいろいろでございますけれども、低くすべきではないかというふうに思っております。この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 老齢基礎年金減額率につきましては、この委員会でも各委員から御指摘がございました。私といたしましては、新規の裁定者につきましては、老齢厚生年金のいわば一階部分でございますが、支給開始年齢引き上げにあわせて、つまり平成十三年、二〇〇一年から見直す方向で早急に検討したい、このように考えているような次第でございます。  それでは具体的にどうかということでございますが、これからの検討課題でもございますが、この委員会でもたびたび御指摘があったわけでございますが、昭和三十六年当時用いた生命表では、六十歳のときからの平均余命が男子で十四・九七年でありましたが、現在の生命表では二十・三〇年になっておるわけでございます。こうした伸びを考慮すれば、繰り上げ減額率は、現在四二%でございますが、あらあらでございますが、三五%前後になる、こういうふうに考えていただければと思っております。  いずれにいたしましても、今後、精査をいたしまして検討していきたい、このように考えているような次第でございます。
  22. 坂口力

    坂口委員 ぜひそのようによろしくお願い申し上げたいと思います。  将来の年金計算でございますが、現在は合計特殊出生率一・六で計算されているというふうにお聞きをいたしておりますが、御承知のとおり、合計特殊出生率は一・三八になっているわけでございます。人口統計によりますと、研究所の研究によりますと、将来、これは一・六ぐらいに回復をするということのようでございますが、なかなか至難のわざでありまして、そう簡単に一・六に行かないのではないかという気がいたします。かなり少子化対策をやらないと、そうはならないのではないかという気がいたしますので、その辺についてどうお考えになっているかということをお伺いしたいと思います。これは、年金法案そのものの中身といいますよりも、社会的な変化の中で年金をどう見ていくかということとかかわる問題でございますので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  23. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 少子化対策年金問題を直ちに結びつけるのが適当かどうか、これは別問題といたしまして、将来にわたる年金制度の安定的な運営確保という観点を念頭に置きながら、連立与党間における御議論を踏まえまして、総合的な少子化対策の一層の推進のために、本年の末までに、関係閣僚会議における少子化対策基本方針の策定、それから、基本方針を踏まえました新たな少子化プランの策定など、少子化対策の具体化につきまして、政府与党が一体となって積極的に取り組んでいく決意でございます。
  24. 坂口力

    坂口委員 ちょっと語尾のところが歯切れが悪うございましたけれども、ぜひひとつ検討を重ねていただきたいと存じます。  最後の問題でございますが、きょうは年金議論でございますけれども高齢者介護保険料年金から強制的に徴収されるということになりましたために、介護保険と年金の関係、すなわち、介護保険の導入によりまして年金に非常に重大な影響を与えるようになりました。しかも、高齢者保険料負担というのは、国民健康保険の保険料比較をいたしまして非常に割高になっております。高齢者介護保険料につきましては、年金あるいは医療その他トータルでもう少し見直ししていくべきだというふうに私は思っておりますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  国民年金だけの方でありますと、四十年、満額お掛けになって六万七千円、御夫婦で十三万四千円。この皆さんが、国民健康保険としてお出しになる、これだけしか収入がないという場合には、国民健康保険は千五百円ないし千六百円というふうにお聞きをしております。しかし、介護の場合には二千三百円ないし四百円になるわけでありまして、医療保険料比較してかなり割高になっているわけでございます。この点につきましてどのようにお考えになっているか、あわせてお聞きをしたいと思います。
  25. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今委員が御指摘なさいましたようなことを配慮して、連立与党三党間で、半年間につきましては保険料を猶予する、それからまた、一年間については二分の一にする、こういうことの提言を踏まえまして、政府として最終的な方針を決めさせていただいたような次第でございます。  いずれにいたしましても、これからはお年寄りの皆さん方にも御負担をしていただかなければならないということで、十分な理解をいただかなければならない、こう考えておるような次第でございます。  さらに、介護につきましての財源及びそのあり方につきましては、三党間で制度の実施状況を見ながら今後協議する、こういうことにされておるわけでございます。政府といたしましても、その協議の結果を踏まえまして、特に低所得者、今委員から御指摘がございましたように、低所得者のお年寄りの皆さん方の取り扱いなども含めまして適切に対応してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  26. 坂口力

    坂口委員 最後にいたしますが、いずれにいたしましても、年金法案が過去にも何回か出たわけでございまして、年金改正案が出ますごとに内容が変化をしていく、そのことに対して国民皆さん方は非常に不安に思っておみえになるわけであります。  年金というのは非常にきちっと計算のできるものでございますから、そうそう、五年ごとにだんだんと中身が悪くなっていくというようなことは国民に対して申しわけないわけでありますので、もうこれ以上この中身は悪くならないというようにしなければなりません。そうしなければ年金信頼を得ることができないというふうに思います。そうした意味で、もうこれで大丈夫かと一遍念押しをして、終わりにさせていただきたいと思います。
  27. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 大変貴重な御意見でございます。御案内のように、年金というのは、いわゆる人口構成であるとか経済のそのときの状況によって変化するものでございますが、私どもは、十分そういう点を踏まえながら今回の案を出させていただいたような次第でございます。  いずれにいたしましても、将来にわたって揺るぎない、長期的に安定した年金制度確立を目指していきたい、このように考えているような次第でございます。
  28. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。終わります。
  29. 江口一雄

    江口委員長 菅直人君。
  30. 菅直人

    ○菅(直)委員 久しぶりに厚生委員会の場に出席をさせていただきました。四年ほど前になりますか、今の丹羽大臣の席に座って以来、この委員会で質疑には参加をしてまいりませんでしたが、この年金法案の大変重大な課題がまだまだたくさん残っているということで、せんだって議長の方からの裁定もあり、もっとしっかり議論するようにという指示でもあると受けとめておりまして、私も参加をさせていただいたところであります。  冒頭、委員長に申し上げておきますけれども、私の方は政府参考人はお願いをしておりませんので、そのことはよく頭に入れてお願いをいたしたいと思っております。  せっかく今坂口さんが年金の根本的な問題をお話しになりましたので、私もそこから少し説き起こして、特にきょうは、それに加えて、年金資金の自主運用の問題についていろいろとお尋ねをしたいと思います。  まず、丹羽大臣、先ほど坂口さんも言われておりましたが、今回の法案は、将来、出生率が一・六程度になることを前提として試算がされているようであります。これは、五年前といいましょうか、たしか平成四年のときは、二〇二五年には一・八になるというふうに試算をされた、さらにその前の一九八六年のときには、二〇二五年には二・〇になると試算をされたというふうに思いますが、こういうふうにどんどん見通しが変わってくることについて、大臣としてはどういう認識をお持ちなのか、なぜなのか、お尋ねをしたいと思います。
  31. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御案内のように、長期にわたります人口推計によります出生率は、将来における結婚する女性の割合であるとか夫婦の子供の数などの仮定に基づいて決められておるわけでございます。その仮定が、推計時点で得られている直近の実績値やそれまでの傾向を踏まえまして、御案内のように、高位と中位と低位と、幅を持って客観的、技術的に行っているものでございます。これは、楽観的な仮定を置いているとかそういう問題ではございませんで、結果として、過去の人口推計における出生率の見込みが実績値よりも高いものであったことは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、より正確に将来の人口を推計するために、例えば直近の平成九年度におきましては、前回平成四年の推計に比べまして、生涯の未婚率のさらなる上昇や夫婦の子供の数の一層の減少というものを見込んでおるわけでございます。生涯の未婚率でございますが、平成九年度の推計では一三・八%、それから、夫婦の子供数でございますが、平成九年度では一・九六人でございます。  私といたしましては、これまで急速に進行している晩婚化や未婚率の上昇に対しまして、少子化対策の充実であるとか将来にわたって安定した年金制度の構築に向けて取り組んでいかなければならない、このように考えているような次第でございます。
  32. 菅直人

    ○菅(直)委員 今私が聞いた趣旨とややずれているんですよね。つまり、五年前には一・八という推定をされたんです。五年前が一・八だったわけじゃないんですよ。同じ二〇二五年に対する推定として、五年前は一・八と推定され、約十年前は二・〇と推定し、今回は一・六なんですね。これでいくと、また五年後には、いや、あのときは一・六と言ったけれども、またこれから推定し直してみると、例えば一・五とか一・四とか、そういうふうになるのではないか。  先ほど坂口さんが最後の質問で言われたけれども、本当に国民は、今の法案に沿ってやれば二〇二五年にはここで言われているとおりのことになるということを信用できるのかどうか、信用できないんじゃないか。一番基礎的な数字そのものが〇・二変わるというのは相当大きなことですよ。そういう意味で、一体なぜこんなに、五年ごとにやるたびにそういう大きなことになっていくのか。  結局は、今のシステムについて、まあまあこの程度で何とかなるだろうという甘い見通しのために、五年置きに、五年前に言ったことと全く違うことを言わざるを得なくなっているんじゃないか。ですから、この法案議論する上では、まずこの出生率の考え方そのものからして議論をしなければ、五年後に言われているとおりになるという信頼性がないのではないかということを言っているんです。どうですか。
  33. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 平成九年の人口推計におきます合計特殊出生率でございますが、平成十二年度に一・三八で底を打ちました後、三十年かけて一・六一まで回復する、こういうような見込みを立てておるわけでございます。これは、現在晩婚化が進んでおりますちょうどその過程でございまして、高齢世代というものは既に子供を産み終えておるわけでございますが、若年年齢世代はこれから結婚をして出産に入るために、現在は合計特殊出生率が低い状況になる、こういうことから、決して私は楽観的な数字ではないと。それとともに、今政府あるいは政党挙げて少子化対策に取り組んでいただいている、こういうところでございます。
  34. 菅直人

    ○菅(直)委員 これ以上この問題ばかりやっても時間がたつばかりですが、少なくとも基本的な数字がこのように極めて根拠が定かでない。私も確かに厚生大臣のときによく聞きました。二十五歳から三十歳までの間の未婚率が五年置きに五〇パーから六〇パーに、六〇パーから七〇パーになっている、だから、まだ未婚の人たちがたくさんたまっているから、そのうち、だあっと結婚するだろうから戻りますというようなことを当時も聞きましたけれども、おかしいな、そんなことになるかなと思っていたら、やはりならなかったというのが今回の数字であります。そういった意味で、一番基本となる数字そのものが大きく信頼性を損なっているということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、もう一つの大きな課題であります年金資金の自主運用の問題についてお尋ねをしたいと思います。  今回の法改正の中で、百四十兆とも言われる年金資金をこれからは全額自主運用するという方向が打ち出されております。まず、大臣に基本的なことをお聞きします。この自主運用によって、被保険者、つまり、加入者にとってどういうメリットがあるのか、加入者にとってこれまでのやり方に比べて運用収益がふえて負担が少なくなる、あるいは給付が大きくなる、そういうメリットがあるというふうに考えての改革なのか、その点をお聞きしたいと思います。
  35. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 菅委員御案内のように、これまでは財投の運用部資金を借りて、利息を払って回していた。これが、実際、市場の低迷によりましてなかなか最近実績が上がらない、また株が上がってまいりまして累積赤字が減ってきている、こういうことでございますが、今度直接やることになれば、今、直近では大体二%ぐらいでございますけれども、そういうようなものを借りなくて済むということでございまして、それだけでまず間違いなく健全な運営ができる、このように考えております。
  36. 菅直人

    ○菅(直)委員 厚生大臣、今の答弁は大変重要ですよ。今の答弁で本当にいいんですね。  つまり、基本的に百四十兆円というのはどこにあるんですか。特別会計にあるんでしょう。特別会計にあるものが今資金運用部で、まさに財投金利で、その金利を特別会計がもらっているんでしょう。今の話を聞くと、財投の利息を払っているから難しいんだ。では、その利息はどこに行っているんですか。
  37. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この委員会でたびたび指摘されていることは、年福事業団において一兆二千億円の赤字が出た、そういうことで大丈夫か、こういう御指摘がありました。それで、その問題につきまして、私どもといたしましては、今までは財政投融資資金から、資金運用部から借りておりました、この逆ざや分だけでも解消することができます。現に、信託銀行などほかの民間の金融機関と比べまして決して遜色のない運営は行っておりましたが、その分だけが逆ざや的になってきたんだ、このことを申し上げておるわけでございます。
  38. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか。(発言する者あり)黙っていろ。厚生大臣が全然わかってないじゃないですか、今のことは。まず、私は百四十兆円のことを聞いているんですよ。そして、百四十兆の次に今の年福の問題もいいですよ、一緒で。  いいですか。百四十兆円の金を資金運用部に預けているんでしょう。資金運用部に預けているんでしょう、百四十兆を。それで利息をもらっているんでしょう、特別会計は。そうでしょう。その同じ利息で二十六兆年福が借りて、それで差が出ているんでしょう。年福が払った利息は、資金運用部をスルーしてもう一回戻っているんじゃないですか、特別会計に。つまり、同じ金利をもらっているんですよ。百四十兆預けて同じ金利をもらっていて、つまり、財投金利をもらっていて、その同じ金利でまた借りているんですよ。そして、そこで差が出て赤字になっている。貸出金利が高いから赤字になった、財投金利が高いから赤字になったというんだったら、百四十兆の財投金利が低かったらインカムはもっと減るはずでしょう。  つまりは、加入者にとって何がプラスになるんですか。財投金利が下がったらプラスになるんですか。大臣、そこだけまず答えてください、イエスかノーか。
  39. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 要するに、財投金利の利払い分をお返ししない分だけプラスになることは紛れもない事実です。  これは、現に、盛んに言われておりますことは、菅委員も御経験があると思いますが、この五年間を見ますと、黒字の年が二年、赤字の年が三年となっております。ちなみに、菅委員厚生大臣をして在職されました平成八年度は三千億円の赤字になっておるわけでございます。ですから、非常に難しいものだな、こういうような思いがいたしております。
  40. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうも、大臣、基本のところがわかっていないんじゃないですか。与党皆さんもあれでしょう。  今の年福の話ばかりしているんですよ、大臣丹羽さん。私は、年福の話をする前に、まず基本的な話をしているんですよ。厚生年金で約百四十兆のお金が集まっているわけでしょう、特別会計に。基本的にはどうやって運用しているんですか。資金運用部に預け入れているんじゃないですか。そして、預託金利をもらっているんじゃないですか。今度は、それを全部、資金運用部をやめて自分でやると言っているんですよ。今までは、一たん資金運用部に全額預けて利息だけはもらっているけれども、そのうちの二十何兆かをもう一回、年福で財投という形で借りて、そこで赤字を出しているんですよ。今の厚生大臣の話を聞くと、いや、その利息を払わなくていい分だけ得をします。本当に加入者が得するんですか。加入者が得をするんですか。(発言する者あり)大臣に聞いているんですよ、木村さんに聞いているんじゃないの。加入者が得をしないじゃないですか、全然。黙っていれば、利息、財投金利分だけもらえるのに、それを、わざわざ自主運用をやったから赤字を出しているんじゃないですか。どうですか。
  41. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどからお話を申し上げておりますように、これまでの集めました保険料というものは財投の方に回されていた、そして、一部の二十六兆円が年福事業団の方で運営されてきた、こういうような仕組みでございましたが、基金のもとでは一括して自主運用される、こういうことでありまして、私が申し上げましたことは、果たしてやっていけるのかどうか、赤字が出ているじゃないか、こういうような御質問に対しましたものですから、それに対してこのように申し上げたわけでございます。
  42. 菅直人

    ○菅(直)委員 これはちゃんと答えていただけないと、本当に質問ができませんよ。私は、別に年福の一兆円の話までまだ言っていません。一番基本的なことを言っているんです。  今までのように、昭和六十一年より以前でもいいですよ、従来のように年金資金を資金運用部に預け入れて、財投金利分、つまり、預託金利を受け取っているという仕組みから、今回は全部を新しい基金で自主運用するというわけですよ。今、この経過の中では、その一部を一たん、百四十兆なら百四十兆を資金運用部に預け入れて、それは丸々金利をもらっているんです。その一部をまた同じ金利で財投資金として借り出して、そしてそれを、まあ〇・二ほど上乗せしているかどうかは別として、そして……(発言する者あり)厚生大臣が答えればいいんですよ。そしてそこで、いいですか、厚生大臣、そこで運用したために累積で一兆余りの赤字が生まれた。私もあの以前の答弁を見ました。そうしたら、財投金利が高いのがあるものだから運用が難しかったと。それはそうかもしれません、そこだけとれば。しかし、百四十兆の話をしているんです。だってそうでしょう。一部そこが黒字だって、全体が赤字になったんじゃどうしようもない。百四十兆の、つまり、従来の予定利回りも、五・五で回るのが今度四に下げられたようですが、かつてはもっと高かったのがだんだんこうなっている。そして、その予定金利で戻ってきている。  最初の質問をもう一回しますよ。資金運用部の年金資金を全部自主運用することによって、トータルの運用収益が、百四十兆についてトータルの運用収益が大きくなる、ふえるという見通しでやられるんですか。イエスかノーかで答えて下さい。
  43. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 大きくなって、加入者の皆さん方に還元する目的でやるものであります。
  44. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっと、よく聞こえませんでした。もう一回よく答えて下さい。
  45. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 大きくなって、加入者あるいは年金を受給している皆さん方に還元することを目的にしております。
  46. 菅直人

    ○菅(直)委員 よくわからない。  いいですか。自主運用することによってその運用収益がトータルでふえるんですか、どうですか、ふえるという見通しですか。
  47. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ふえるという見通しであります。
  48. 菅直人

    ○菅(直)委員 ふえるという見通しと言われましたね、今。そうですね、大臣、うなずいておられますが、なぜふえるんですか。  いいですか。例えばここに、少し数字を見てみますと、この間、年福事業団が運用した金利は、先ほども言われましたが、財投金利よりも低い金利がほとんどでした。二十六兆の運用で一兆余りの穴をあけました。同じような運用を百四十兆でやったら、それだけ赤字がふえるということですよ。いや、あのときは失敗したけれども、今度はうまくいくんだとなぜ言えるんですか。
  49. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この年福事業団におきます二十六兆円の借り入れに伴います自主運用が、現在、三月の末で一兆二千億円の赤字が出て、その後、市場の好転によりまして、現在は四千億円まで縮小しておるということは、この委員会で申し上げてきたところでございます。そして、今後、自主運用することによりまして、先ほどから申し上げておりますように、少なくても財投資金に対する利払いというものはしなくて済むということであります。  それから、国民皆さん方年金に対する不安というものがないように、厚生大臣もとできちんとした指針というものを設けまして、いわゆる債券を中心にして今度は運用していく。債券を中心にして運用していたのでは、率直のところ、御案内のように利ざやというものは稼げない、こういうことでございまして、こういったようなことにおいて、健全な運営をしていきたい、このように考えています。
  50. 菅直人

    ○菅(直)委員 全然間違っているんですけれども、答弁が、何回も言うように。利息を払わなくていいからその分得をする。利息を払わなくてよかったらその分得をするというのは、そこだけで言えばそのとおりでしょう。しかし、もともと資金運用部でその利息をもらっているんですよ。それが一円ももらえなくなるんですよ。今までは黙っていて百四十兆円の財投金利をもらっているのに、今度は一円ももらえないんですよ、少なくとも資金運用部からは。今度は、自分でやって、それよりレートが低かったら全部が失敗するんです。ですから……(発言する者あり)ちょっと、ほかの委員を黙らせてください、大臣に聞いているんですから。  そこで、今の問題は残っていますけれども、あえて今の問題は後でもう一回戻りますが、もう一つだけ聞いておきましょう。  大臣、今、年福事業団のことが出ましたが、まず年福事業団から聞きましょう。運用コストが年間どのくらいかかりますか。
  51. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 年福事業団におけます運用手数料でございますが、これまで運用手数料をできるだけ減らしてまいりました。この結果、平成十年度では総額三百九十億円、運用手数料率は〇・一七%でございまして、ほかの機関投資家に比べて低い水準になっております。
  52. 菅直人

    ○菅(直)委員 昭和六十一年以来、累積でどのくらいになりますか、手数料。
  53. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この問題につきましては、数字の問題でございますので、正確を期すために政府委員の方から答弁をさせていただきたいと思います。
  54. 菅直人

    ○菅(直)委員 結構です。要らないです。細かい点はいいです。大体三千億と聞いております。  では、平成十年が三百九十億だとしたら、今度は百四十兆円全部を運用したときは大体どのぐらいかかりますか。比例して考えると、この五倍ぐらいかかるのですよね。年間二千億ぐらい、そう考えていいのですか、大臣
  55. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 もと数字は、菅委員が御存じで申し上げたことについて、私からとやかく申し上げる立場にございません。
  56. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか、私が何を言いたいかというと、別にその数字が当たっている、当たっていないを言いたいんじゃないのです。運用にはコストがかかるということを言うのです。  ついでに聞いておきましょう。資金運用部に預けたときには、運用コストというのはかかりますか。
  57. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 かかりません。
  58. 菅直人

    ○菅(直)委員 そうですね。一円もかからない。  では、この三百九十億円が一体どこに行っているか。いろいろな信託銀行とか生命保険会社とかに行っているのですね。そういう理解でいいですね、大臣
  59. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 そのとおりであります。
  60. 菅直人

    ○菅(直)委員 そうすると、たとえパフォーマンスが悪くて結果的に収益が上がらなかったという場合でも、大体この手数料は支払われているわけですね。
  61. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 あらかじめ決めたものについては履行します。  ただ、私どもは、成績の悪いものについては、当然のことながら、その年の契約において十分に配慮して行ってまいりました。
  62. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこで、この資金運用について、たしか年金資金運用基金法二十六条二項にも書いてありますが、適切な情報公開とか透明性というものをしっかりしなきゃいけない。これは大臣もそうお思いですか。
  63. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 同じ認識であります。
  64. 菅直人

    ○菅(直)委員 そうすると、いろいろな金融機関に運用を任せて相当巨額の手数料を払っている。まさかそんなところに厚生省から天下ったりはしていないのでしょうね。大臣、どうですか。
  65. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 天下りがどうのこうのという、これから始める問題でございますが、いずれにいたしましても、何かもし仮に厚生省関係の出身者がその才能を見込まれてその職場に勤めても、襟を正して、国民皆さん方からそのような誤解を受けないようにしなければならない、こう考えております。
  66. 菅直人

    ○菅(直)委員 特別にディーラーの才能がある人が厚生省にたくさんいるかどうか知りません。  では、言ってみてください。例えば、どういう人がどこに行っているのですか。私が聞いているのは、生命保険会社に三名、信託銀行に一名。これだけかどうか知りませんけれども、どういう人がどの銀行にどういう待遇で行っているのですか。(発言する者あり)
  67. 江口一雄

    江口委員長 静粛にお願いします。
  68. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 個人名にかかわる問題でございますので、これについては、答弁を差し控えさせていただきます。
  69. 菅直人

    ○菅(直)委員 先ほどの情報公開と透明性というのは、どういうことなんですか。情報公開と透明性は、大臣もそのとおりだと言っていて、これだけの巨額の手数料を払っていて、そして、天下りがありながら、なぜ言えないのですか。だめですよ、こんなの。
  70. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私が念頭にありまして申し上げましたことは、要するに、新しい基金のもと厚生大臣が指針をつくって、そのもとでどのような忠実義務、注意義務、こういうものを持たせて、それによってまた受託者にさせるか、この辺のところをきちんと透明にしなければならないということであります。個々の一人一人の名前について明らかにするということが、直ちに今委員の御指摘に当たらない、このように考えているような次第であります。
  71. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちゃんと答えてください。でなければ、これ以上質問できません。
  72. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは一般論でございますが、何もこれ、厚生省ということだけではなくて、営利企業への就職につきましては、離職後二年以内の者は、国家公務員法第百三条に基づきまして、人事院の承認を得ることになっております。その承認された者につきましては、人事院から公表されております。  しかし、二年を超える者につきましては、国家公務員法第百三条に該当せず、承認を必要としないことから、厚生省としては、現在把握する立場にないわけでございます。  お尋ねの、受託運用機関に就職していらっしゃる厚生省OBの実態につきましては、本人の連絡などによりある程度把握しておりますけれども、氏名等の公表につきましては、個人にかかわる情報でございまして、今私がこの立場で申し上げることは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  73. 菅直人

    ○菅(直)委員 私が厚生大臣のときにいろいろな問題がありまして、製薬メーカーに対する天下りはやらないということを決めて、それが少なくとも実行されていると私は思っております。まあ、実行されていなかったら、その後の問題ですけれども。  今私は、天下っていけないとかいいとか言う前に、まず情報公開をしなさいと。今でも毎年四百億前後の手数料を払っている。これから、それが五倍もの規模になろうとしている。そのときに、いや、どうもこの銀行は余りよくないな、うまくいかないな、しかし、あそこにはうちの何とかが天下っているからな、そういうことになるのじゃないですか。これが答えられなければ、私はこれ以上質問を続けませんから。
  74. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員のお求めは、具体的な名前であるとか具体的な役職であるとか、そういうことでしょうか。
  75. 菅直人

    ○菅(直)委員 いや、ごく普通の話ですよ。  私のところには、数でもまずはいいですよ、例えば、どの信託銀行に何人どういう人が行っていて、どの生命保険会社に何人どういう人が行っていて、どういう仕事をしているのか、もとどういう仕事だったのか、私は名前まで言っても構わないと思いますけれども、そのことを聞いているんですよ。
  76. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 昨日夜十時ごろ、菅委員からそういうような御指摘があったと私もお聞きしました。それから担当課において夜を徹して調べておるわけでございますが、要するに人事異動もありますから、現在どういう仕事をしているのかとか、その後どうなのかということをなかなかつかみにくいわけでございますけれども、厚生省の職員で、退職をしました後、年金福祉事業団の受託機関でございます金融機関に在籍している者は、非常勤も含めましてでございますが、現在四名でございます。  なお、ちなみに、年福事業団の運用機関は、全部で五十弱、四十七、八だと思います。(発言する者あり)  先ほどから申し上げておりますように、菅委員の御主張なさる情報公開と、今私がこの場において、非常に不確かで、名前を挙げて役職を挙げるということの情報公開とは、意味するところが違う、このように考えています。認識の違いであります。
  77. 江口一雄

    江口委員長 速記をとめます。     〔速記中止〕
  78. 江口一雄

    江口委員長 速記を起こしてください。  この問題、ただいまの菅委員の問題につきましては、理事会で協議をしたい、このように思います。  ただいまの菅委員のこの問題につきまして、大野政務次官から答弁をお願いします。
  79. 大野由利子

    ○大野(由)政務次官 では、非常に細目にわたる問題ではございますが、私の方からお答えいたします。  常勤で住友信託銀行の顧問にお一人、非常勤で日本生命保険顧問にお一人、それから安田生命顧問にお一人、住友生命顧問にもうお一人、以上四名でございます。(発言する者あり)  常勤の方、元児童家庭局長でございます。あと、非常勤の方が大臣官房付の方、九州地方医務局長の方、そして社会保険大学校長の方、以上四名でございます。
  80. 菅直人

    ○菅(直)委員 大野さん、せっかく立たれたから聞きたいんですけれども国民の金を運用するところに厚生省のお役人がどんどん天下っていく。普通、年金以外でいうと、厚生省でそういう運用とか銀行業務に精通した人がそうたくさん生まれてくるような職場は少ないと思うんですよね。大野さん、どう思いますか、こういうの、不明朗だと思いませんか。
  81. 大野由利子

    ○大野(由)政務次官 今後、国民皆さん信頼性を高めるためにも最大限の透明性、努力をしていく必要がある、このように思っております。
  82. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 要するに、公務員も、終わった後どこかで働かなければならないということでございますし、問題は、そこの間に癒着であるとか何か問題点があるかどうかということから考えるべきだ、こう考えています。
  83. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっと大臣は事を小さく考えているんですよ。  いいですか、先ほどの最初の質問もほとんど、大臣、申しわけないけれども、わかっておられない答えになっています。どういうことかというと、公的年金積立金をどこの責任で運用すべきか、さらには、どういう運用の仕方があるかということが大問題なんですよ。  どういう運用の仕方があるかに関して言えば、アメリカでもクリントン大統領とグリーンスパンFRBの議長の間で大議論があって、基本的に株式などのリスクの高いものは向いていない。もともとこれは、厚生年金年金ですから、約束された給付を確実にするというのがまず大原則であって、確定拠出のように、それ以上もうかった、もうからないというのは、だれも責任を持てないじゃないですか。今度の新しい仕組みでは、厚生大臣の責任ということになっていますよ。厚生大臣、どうやって責任を持ちますか。  ですから、今申し上げたのは、そういうときに、何のためにそれじゃわざわざ、この十数年間の実績でいえば、自主運用など年福にやらせない方がよっぽどよかったにもかかわらず、総額三千億円もの手数料をいろいろな銀行にばらまいて、そして今や列をなしていますよ、運用をうちにやらせてくれ、うちにやらせてくれと。  結局は、厚生省が自主運用をすることによって自分の権限を広げて、そして損が出たときはそれはまた特別会計がかぶってくれる。だって今度の場合そうでしょう。年金福祉事業団が合併したら、その赤字はどこへ行くかといったら、全部本体と一緒じゃないですか。つまりは、何のためにそんなことをやらなきゃいけないのか。私は、いろいろ調べてみて、どうも厚生省の権益拡大のためじゃないか、だから、聞いているんですよ。天下り先で悪いことをやった、悪いことをやらない。大体、国民が預けた年金をそういうところに出して、何で厚生省がそんなところに行かなきゃいけないんですか。どうですか。
  84. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどもお話を申し上げましたけれども、年福事業団の受託機関というのは四十七でございます。そのうちの四つ、四行でございます。これをもって一切だめだという見方もありますし、これによって何か恣意的にどうのこうのということは一切ございません。
  85. 菅直人

    ○菅(直)委員 そういう話になるんなら、それではもう一つだけ先に進みましょう。  グリーンスパン議長とクリントン大統領の論争というのはどう思われますか。
  86. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 アメリカでは、御案内のように、これまで債券を中心にして市場が運営されていた、それに対しまして、いわゆる株式の運用についてクリントンが提案をいたしましたが、これについて、議会において否決されたということは承知いたしております。  私は、現在の年金の運用というのは、率直に申し上げて、アメリカの場合は、指摘されましたことは、PKO的な、政治的に働くのではないか、こういうような心配があったというふうなことが議会における反対の一つの大きな意見だった、こう思っております。  日本の場合はそういうことはあり得ないわけでございますし、先ほどから申し上げておりますように、厚生大臣もとに新しい指針をつくって、しかも長期的な、要するに、債券そのものを分散していく、こういうことでございますし、例えば、債券を五〇%以上買うとか、株式を三〇%以下にするとか、いずれにいたしましても、国民皆さん方のそういうような年金の自主運用に対する不安というものを払拭していきたい、このように考えているような次第であります。
  87. 菅直人

    ○菅(直)委員 全く答えてないじゃないですか。こんな質疑だったら何十時間やったってほとんど無意味だ。  いいですか、アメリカの議論は二つあるわけですよ。一つは、公的な資金、積立金をどういう方面で運用すべきか。アメリカの場合は九〇%以上がいわゆる市場性の少ない国債などで運用されているわけですよ。それから、逆に言えば、株をたくさん買った場合には、事実上国が民間の株をたくさん買うわけですから、監督すれば国が民間をコントロールすることになるし、監督しないとなったらその株に対して無責任な形になるから、そういうものはやるべきでないというのがこの議論なわけですよ。  何にも答えていないじゃないですか。どうですか。
  88. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私が先ほど申し上げたことと菅委員が今申されたこととはそう大差はない、こう考えております。要するに、アメリカにおいてはこれまで債券で運用されていた。これに対して、その議論の中で、PKOであるとか市場への悪影響、こういうものを排除する、こういうことでアメリカにおいて否定された、こういうふうに考えております。
  89. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、大臣としては、グリーンスパン議長の見解に近いんですか。賛成なんですか、賛成でないんですかと聞いているんです。
  90. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたように、基本的には、国民から信頼されるという意味において、債券を中心にして五〇%以上買う、株式というものはできるだけ少なくして例えば三〇%以下にする、こういうようなものを今後大臣の指針としていきたい、こう考えております。
  91. 菅直人

    ○菅(直)委員 これはちゃんと議論してください。今の話は、三〇%は株式運用してもいいと考えるということですか。
  92. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 現在はそのような仕組みになっております。
  93. 菅直人

    ○菅(直)委員 百四十兆の三〇%をそれでやったらどうなります。四十兆円ものお金が厚生省の運用で株式市場に流れ込むということですよ。そういうことをやるべきでないとグリーンスパンは言っているんですよ。
  94. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私が申し上げておりますことは、あくまでも現在の年福事業団の二十八兆円における自主運用の基準でありまして、こういうものを十分にしんしゃくしながら、国民皆さん方年金受給者、あるいは年金に加入なさっている皆さん方が安心できるような構成、指針というものをこれから十分に検討してつくっていきたい、こういうことでございます。
  95. 菅直人

    ○菅(直)委員 聞いていることを答えてください。私は年福の過去の話を聞いているんじゃない。新しい基金について、これから百四十兆の運用をどうするかということを聞いているんですよ。三〇%ぐらいは株式でいいと思っているということですね。
  96. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておりますように、一兆二千億円に及ぶ累積欠損というのが出た、こういうことの教訓を踏まえて安定した構成というものを考えていきたい、こういうことでありまして、今後のことについては、まだ時間があることでございますから、これから専門家とも十分に御相談をしながら決めていきたい、このように考えています。(発言する者あり)  まだ内部の研究会の段階でございますけれども、研究会の段階では、新しい基金のもとでは債券は八〇%ぐらい、それから将来において株式は一〇%ぐらい。これはあくまでも内部的な研究会の段階でございまして、こういうものを参考にしながら、時間がまだあることでございますので、十分に検討しながら決めていきたい、こういうように考えています。
  97. 菅直人

    ○菅(直)委員 もう一度、丹羽大臣、どうも年福事業団の話をごっちゃにされているから議論が余計おかしくなるんで、はっきり聞きますけれども、今度の新しい法律では年福事業団は当然なくなるわけですよ。そして、全額を従来の資金運用部ではなくてこの新しい基金が自主運用するようになるわけですよ。いいですか。一応年福は外して考えましょう、わかりやすくするために。  つまり、今まで、資金運用部の使い方がいい悪いはまた全然別の問題として財投の問題があります。ただ、今はそれは別の問題として、やるんであれば大蔵と連合審査でもたくさんやってください。大いにやればいいんで、あと百時間はたっぷりかかるでしょう。  ですから、それはそれでやればいいんですが、まず、この厚生年金の問題でいえば、従来は、財投金利が黙ってもらえていた、運用コストもゼロだった。先ほど大臣自身が言われた。今度は、全額を新しい基金でやる、厚生大臣の責任のもとでやる、当然コストがかかる、リスクもかかる。そういう運用の仕方が、加入者、つまり被保険者にとってどういうプラスになるんですか。  少なくとも、二十六兆の運用をやった結果でいえば、自主運用しないときの方が被保険者にとっては経済的にはプラスになっているわけです、数字の上では。それなのに、前回うまくいかなかったけれども今度新たにやったらうまくいくという理由がどこにあるんですかと聞いているんです。
  98. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから御答弁を申し上げておりますように、そうした経験を踏まえましてこれから大臣の指針というものを決めていきたい、このように考えているような次第であります。  ちなみに、菅元大臣にお聞きしますが、そうすると、菅委員は、自主運用そのものに反対だ、こういうことですか。どういう方法がよろしいと考えているんですか。
  99. 菅直人

    ○菅(直)委員 私も当時年福事業団の事業については疑問を持っていましたが、十カ月間の任期の中で……(発言する者あり)
  100. 江口一雄

    江口委員長 お静かに。静粛にお願いします。
  101. 菅直人

    ○菅(直)委員 任期の中では、幸か不幸か、私は厚生大臣のときには予算案を出しておりませんので、一月から十月末までですからね。  それはいいとして、今のせっかくの丹羽さんの御質問ですから……(発言する者あり)
  102. 江口一雄

    江口委員長 静粛にお願いいたします。
  103. 菅直人

    ○菅(直)委員 丹羽さんの質問ですから私の考え方を申し上げますが、私は、厚生大臣がですよ、厚生大臣が責任者で百四十兆円のお金を自主運用するというのはやめた方がいい。これはアメリカでも、大統領が自主運用しているわけじゃありません。完全な第三者機関で、しかも九〇%は株とかじゃないですね、非市場性のものです。  幾ら何を言ったって、PKOはやっていないとかいろいろ言ったって、丹羽さんが大臣で全部の責任を持っていたら、やはりこれは政治的に何らかの配慮が働くんではないだろうかという思惑だけでマーケットは動きます。理事がいろいろ言っているから丹羽さんが影響されるんじゃないかということで場合によったら動くかもしれない、銀行株を買うかもしれない。ですから、そういう意味では、私は、厚生大臣が責任者で百四十兆ものこんな巨額の、こんな巨額のものを運用するというのは世界じゅうないですよ、そういうのはやめた方がいい。  私の意見は言いました。だから、丹羽さんはそうでないと言うんだったら、根拠を示してちゃんと答えてください、国民に。
  104. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 菅委員考え方、もう一つわかりにくいんです。  要するに厚生大臣がやらない方がいいんだ、こういうことまではわかったんですが、その後を、じゃ、どこでどういうふうにしたらいいのかということでありまして、私どものところも、基本はあくまでも、厚生大臣が指針をつくって、そして、六人の構成による基金の理事会のもとできちんと義務をつくって運営をしていく、こういう基本的なものであります。  それにかわる何か対案をお持ちでいらっしゃいますか。
  105. 菅直人

    ○菅(直)委員 何か座る場所を交代しても結構ですけれども。  私は、そこまで議論をすればいろいろあります。だから、大いに議論しましょう。  例えば、これだけ巨額の積立金、今の試算では人口のいわゆるピーク時と言われる二〇三〇年以降も巨額の積立金を持つような設計になっています。果たしてそんなことが必要なんだろうか。つまりは、基礎年金は二分の一にし、将来は全額を税で賄って、そのときはそれは消費税上げなきゃいけないかもしれません。しかし、それより上の二階建ての部分については、ピーク時後まで、若干のそれはいろいろな平準化の問題はあるかもしれませんが、それを超えてまで巨額のお金を維持しなければやっていけないような、そういう仕組みそのものが私はおかしいと思っているんです。ですから、私は、そういう設計の試案を出してもらいたいと思っているんです。そういうやり方があるじゃないか、現実に。  そして、いろいろ聞かれましたから言いますけれども……(発言する者あり)ちょっと静かにしなさい。私は、何度も言いましたように、厚生大臣が責任を持ってやる仕組みよりは、少なくとも、今の資金運用部のやり方が、それ自身がいいとは全然思っていません、これも財投債で若干変わるでしょう、しかし、少なくとも、厚生大臣が直接運用する仕組みよりは、まだ現在の方が受給者にとって、私にとってじゃありませんよ、加入者にとって、被保険者にとって安心できる制度だ。厚生大臣が、十何年間で二十六兆円の運用だけで一兆円も大赤を出すようなやり方を幾ら反省したからといって、そんなにうまくいきっこない。  ですから、私の意見は言いましたから、今度はそろそろ自分の答弁をしてください、私の質問に。
  106. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 そうすると、今の菅委員の話をお聞きしておりますと、財投をそのまま残してその中でやれ、こういうような考え方に立つ、こういうことではないでしょうか。  私どもは、現実問題として、菅大臣のときに多額の累積赤字が出たわけでございますが、こういうことを踏まえまして、先ほどから申し上げていましたように、二十六兆円について直接運営することによって少なくとも利ざや分だけは稼げます、それとともに、これから構成においては債券を中心にして行っていきます、こういうことを申し上げているわけであります。
  107. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の答えだとこれ以上質問できませんよ。  聞かれたでしょう、利ざや分だけはプラスになる。なぜ利ざや分だけプラスになるんですか、何回も言ったように、さっきから説明したように。つまり、利ざや分だけというのは、ゼロベースのときに利息を払わないで済むからその分だけプラスになるというもし勘違いを大臣がされているとしたら、これは基本的間違いですよ。目いっぱい一回もらっているんですよ、特会に。特会に一回もらっているものを利ざや分だけは自主運営だったらプラスになるというのは逆じゃないですか。それは百四十兆円の話。  ちょっとこの答弁じゃこれ以上質問できません。ちゃんと答弁、変えてください。(発言する者あり)
  108. 江口一雄

    江口委員長 速記をとめます。     〔速記中止〕
  109. 江口一雄

    江口委員長 速記を起こします。  丹羽厚生大臣
  110. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、全額預託のもとで安全な運用が行われておるわけでございますが、この金利が、御案内のように、最近低下をいたしまして、収益がそれに伴いまして当然のことながら低下をしている、また、財投預託というものは廃止して現在の仕組みは維持できない、こういうことでございます。  それから、全額の自主運用で、先ほどから申し上げておりますように、安全かつ有用なことができる、こう確信をいたしております。
  111. 菅直人

    ○菅(直)委員 私の質問に全く答えていないんですよ。  いいですか、何回も言いますけれども、従来の資金運用部に全額預けて財投金利分をもらっているよりも、今回全額を新しい基金をつくって厚生大臣の責任のもとに運用する方が、被保険者にとって、つまりは加入者にとってなぜプラスになると考えるんですか。  少なくとも、昭和六十一年からの年福事業団の自主運用は、つまりは財投金利の運用はできなかったわけですよ。それより低かったわけですよ。今度は二十六兆じゃなくて百四十兆が全部低くなるわけだから、ある意味では、財投金利を基準とすれば、今は二十六兆だからその分だけれども、今度は五倍の規模ですから、場合によったら、少なくともその基準で考えれば五倍の損失を出す。それを目標金利としたらその目標よりも下がるじゃないか。  そういうやり方をこれまでやっていながら、なぜ今回からうまくいくという根拠があるんですか。それがなければやめておけばいいという話になるじゃないですか。ちゃんと答えてください。
  112. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 財投金利の平均は四・四%ある、これが直近で下がってまいりまして、先ほどから申し上げましたように二%程度になってきた。こういうことであって、菅委員からも御指摘のように、経済が低迷している中で、民間の他の機関並みの成績を上げているけれども、その分は十分に賄えるものがなくて逆ざやになって赤字になったんだ、こういうことであります。  いずれにいたしましても、今後は厚生大臣の指針をもとに、先ほどもちょっと一端を申し上げましたけれども、安全で有用な運用を行っていきたい、こういうことに尽きるわけであります。(発言する者あり)
  113. 江口一雄

    江口委員長 静粛に。静粛にお願いします。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  114. 江口一雄

    江口委員長 それでは、速記を起こしてください。  丹羽厚生大臣
  115. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、例えば厚生年金の場合、平成四年度では運用利回りが五・八二でございました。その当時の預託金利が五・二一でございまして、これはプラス。厚生年金の運用利回りでございますが、要するに、高いときもあれば、株価の反映によって低くなったこともある。  それに、財投金利も高いときもある。先ほど申し上げましたように、最近の平均で四・四パー、今は二%ですよ。ということでありまして、そういう中で財投金利はこれからさらに低下していくんじゃないか、低くなっていくんじゃないか。そうなっていきますと積立金の利回りもその分は低くなっていく、こういうことであります。(発言する者あり)  どうして御理解いただけないのか、ちょっと私も……。  ですから、菅さん、菅さんとは昔からよく意見を交わした仲ですから申し上げますけれども、株価でありますからそのときの市場によっていろいろ変わるわけであります。御案内のような非常に株価が低迷しているときにおいて、財投の借り入れの金利すら払えなかった、これが赤字であったんだということでありまして、要するに、今後は財投に少なくとも利息は払う必要ないんですから。  また、率直にもっと言わせていただければ、自主運用の還元を多くするためには——要するに、債券の部分が多ければ、それは当然のことながらその分だけ還元する部分がちょっと少なくなるわけです、実際問題。ところが、今後はそれがなくなるんですからいいということでありまして、これは何度も申し上げていることであります。
  116. 菅直人

    ○菅(直)委員 丹羽さんには申しわけないですけれども、個人的なつき合いはつき合いとして、最初の一問目から答えてないわけですよ、何回も言いますように。  ごく簡単なんですよ。今回のこの新しい基金をつくって全額を自主運用することが、被保険者つまり加入者にとって、従来の一切そういうことはやらなかった六十一年以前に比べてプラスになるというのであれば、どういうことでプラスになるとお考えですかということを私はずっと一貫して聞いているんですよ。  どうも丹羽さんの考えの混乱は、財投金利で預かっているから、今は株が安いものだから財投金利分の収益が回らなかったから赤字になる、これからは財投金利を払わなくて済むからその分得をするんだみたいな答えなんですよ。  それはそこだけの話で、百四十兆からいえば、もともと財投金利分は百四十兆円分もらっておいて、二十六兆分だけもう一回同じ金利で預かって運用するんですから。もし財投金利を払わないと年福事業団が言ったら、じゃ当然ながらもとの百四十兆についてもその二十六兆を外した分しか払いませんよということになるのは当たり前であって、そんなのはだれが考えたって当たり前なんですよ。そのところが混乱しているものだから、私が、なぜこの十何年間やってうまくいかないのが今度急にうまくいくんですかと。  しかも、先ほどから言っているようにコストがかかるんですよ、運用コストが。〇・一七と言われましたが、〇・一七というのは決して小さな額じゃありませんよ。百四十兆の〇・一七といったら二千億円ぐらいの金が毎年毎年かかるんですよ。先ほど今の赤字が四千億だと言われたけれども、四千億の赤字といったら、十何年間で手数料払っているのが三千億ですから。  ですから、そういう新しい機構をつくることがどこでメリットがあるんだ。私は、どうもメリットよりもデメリットが大きいんじゃないか、リスクは大きいし、手数料はかかるし。じゃ、それなのにやろうとしているのは、厚生省が自分でやることによっていろいろな権力が大きくなる、天下り先もふえてくる、さっきは四人だと言ったけれども四十人になるかもしれない。これが答えられなければ、これはもともとの一番のスタートですから、こういう制度をつくるという趣旨そのものについて答えていないのですから、これが答えられないのだったら審議の進めようがないですね。
  117. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから繰り返して恐縮でございますが、今後は年福事業団のさまざまな経験を生かしまして、今後の年金積立金の自主運用につきましては、年金の特別会計からコストがかからない形で直接供給される資金を運用するという仕組みに変わるわけでございます。  その場合の運用の基本方針として定める資産の構成割合でございますけれども、先ほどからちょっと申し上げておりますように、まだ内部で検討中でございますけれども、現在の年福事業団の資産構成よりも株式の比重は下がる、こう考えておりますが、具体的には、厚生大臣保険料拠出者の代表者や金融機関あるいは経済などの専門家の話を聞きながら策定をしたい、こういうことでございます。
  118. 菅直人

    ○菅(直)委員 残念ながら、これ以上質問できません。  つまり、手数料が〇・一七かかり、そして財投金利よりも高い金利で運用しない限りは、前の制度に比べて今度の制度がプラスになることはないのにもかかわらず、なぜそうなる見通しがあるかということを一言も答えない以上は、まず、この提案を取り下げてください。
  119. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは先ほど委員から御指摘がありましたような、つまり、年福事業団において、現在は四千億なんです。ことしの三月末は一兆二千億で、株価が上がった、こういうことでございますが、その場合の結果責任をどうするか、こういうことに尽きるのでしょうか、その辺のところをお聞きしたいのです。
  120. 菅直人

    ○菅(直)委員 話が最初の最初からじゃないですか。私は百四十兆の話をしているんですよ。ですから、こんな答弁で続けられるわけないじゃないですか。
  121. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 繰り返し同じ答弁で恐縮でございますが、ちょっと数字を入れさせていただきます。(発言する者あり)いやいや、数字を入れてお話を申し上げます。いや、トーンは変わっていないです。  要するに、年福事業団の最近の利回りでございますが、七年度が一一・〇三、八年度がちょっと下がりますが三・九八、九年度が七・〇六、それから十年度が二・七一でございます。  ちなみに、新規の財投の預託金利でございますが、七年度が三・四一、八年度が三・二〇、九年度が二・四八、それから十年度が一・七二ということでございまして、いずれも財投を上回っている成績を上げておる、こういうことであります。
  122. 菅直人

    ○菅(直)委員 答弁になっていませんから、これ以上は質疑はできません。(発言する者あり)
  123. 江口一雄

    江口委員長 御静粛に。御静粛に願います。
  124. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 将来、現在の財投金利よりも金利が高くなれば、当然のことながら年金の自主運用ももうけが多くなりますし、経済が低迷して低金利になれば現在の財投金利よりももうけは少なくなる、これは自明のことであります。率直に申し上げて、すべては経済の動向によるということは否定できないことであります。
  125. 菅直人

    ○菅(直)委員 本当に困るのですけれどもね。十年利付国債の表面利率、現在二・〇ですが、それに小泉さんが頑張って金利の上乗せ〇・二を乗っけて、それで今預託金利にしているのですよね、たしか。そうでしょう。だから、黙っていればそれだけもらえるわけですよ。それを、年福事業団でやってみたらうまくいかなかったわけですよ、そういうものに比べて。  ですから、預託制度がなくなるにしても、従来の仕組みであれば、ある基準、その一つの基準より上でやれば自主運用はプラスがあるけれども、それより下回れば、百四十兆でも自主運用はマイナスになるわけですよ、加入者にとって。しかも、今回の実績では〇・一七の手数料がかかるのですよ。そんな高いパフォーマンスを丹羽厚生大臣のこの知識で運用ができるのですかということを言っているのですよ。危ないと国民が思ったら、こんなことはやらない方がいいのじゃないですかと言っているのですよ。  これは厚生大臣の責任ですからね。法律がそうなっているのだから。丹羽さんの次の厚生大臣も同じですよ。私が厚生大臣もとても百四十兆を、そんな責任は持てないですよ。赤字になったらどうするかといったら、結局は後で掛金を引き上げるだけじゃないですか。
  126. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ですから、先ほど私が申し上げたのは、菅委員質問の趣意というのは結果責任を問うものでありますかということをあえてお聞きしたわけです。
  127. 菅直人

    ○菅(直)委員 結果じゃなくて、これから変えようとしていることのメリットがどこにあるのですかと、最初の質問から聞いているじゃないですか。これから変えようとしていることのメリットがどこにあるのですかと聞いているのですよ。法案を出されたのはそちらですよ。
  128. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど来お話を申し上げておるわけでございますけれども、これまでの自主運用については、一部において必ずしも保険料の拠出者の利益のために最もふさわしい適用になっていないのじゃないか、こういうような指摘がございました。  そういうことを踏まえまして、昨年の六月の中央省庁の改革基本法におきまして、財政投融資制度改革の抜本的な一環として、御案内のように、年金積立金の運用部資金の預託業務を廃止する、こういうような方針が打ち出されたわけでございます。  その上に立って、このような今度の基金というもので自主的に運用していこう、こういうことになったわけでございますけれども保険料の拠出者の利益のための最もふさわしい方法で、先ほどから申し上げておりますように、安全かつ確実なものを基本としながらできる限り効率的に行っていきたい、こう考えているような次第であります。(発言する者あり)  何度か申し上げておりますように、財投の預託がなくなるわけでございますので比較しようがありません。財投の預託がなくなるわけでございますから、今度の新しいものと比較することはできません。(発言する者あり)
  129. 江口一雄

    江口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  130. 江口一雄

    江口委員長 速記を起こしてください。  委員長から一言申し上げます。  ただいまの菅委員質問でありますが、中央省庁等改革基本法というのがございます。その二十条、「財務省の編成方針」ということの中に、年金基金特別会計等国民年金に係る積み立てにつきまして、「資金運用部資金法第二条に基づく資金運用部への預託を廃止し、並びに資金調達について、既往の貸付けの継続にかかわる資金繰りに配慮しつつ、市場原理にのっとったものとし、並びにその新たな機能にふさわしい仕組みを構築すること。」こう書かれております。ですから、ただいまの議論は、その法律にのっとってこれからそういうものをどうつくり上げていくのかという議論だと委員長として認識をいたします。  ですから、その辺をしっかりと踏まえてひとつ御議論をいただきたい、このように思います。
  131. 菅直人

    ○菅(直)委員 委員長大臣のかわりに説明するというのも変な話ですし、まして中央省庁云々というのは我が党は賛成もしていませんし、そうやったからこうなるんだという説明も全然ないです。  私が言っているのは、一般の加入者にとってそういうやり方がプラスになるんですか、なるんだったらどういう根拠ですか、こればかり聞いているのに一つも答えない。法律が六月に通ったからということを理由にするんだったら、もしそれが間違っているんだったら、法律を変えればいいじゃないですか。これじゃ、これ以上質問できません。
  132. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 菅委員は、先ほど厚生大臣が責任を持ってやるべきじゃないんだ、第三者がやるべきだ、要するにこういうような御意見でございましたけれども公的年金でございますので、まさに厚生行政の一環でございますし、この部分について私が責任を持ってやるというのが本来の趣旨ではないか、こう考えています。(発言する者あり)
  133. 江口一雄

    江口委員長 速記をとめます。     〔速記中止〕
  134. 江口一雄

    江口委員長 速記を起こします。  丹羽厚生大臣
  135. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 同じ答弁ではだめだ、こういうことでございますが、あくまでもこれは市場によって左右されるものでございますので、その点は当然のことながら菅委員も御理解いただけると思います。  そういう中において、これまでのものが廃止されるわけですから、これとは比較できない。新しいもとにおいて、先ほどから申し上げました、まだこれから検討しなければならない問題も多々ございますけれども、要するに、債券を中心にして買って、国民皆さん方に安心して、そしてより有利なものにしていく、こういうことであります。  ただ、私がそこで申し上げたいのは、菅委員は、それではあなたは、結果責任というのをいうのか、こういうことについて、行き着くところはそういうことかということをあえて申し上げたい、こういうことなんです。(発言する者あり)
  136. 江口一雄

    江口委員長 着席願います。着席をお願いいたします。  丹羽厚生大臣
  137. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私の申し上げていることは一貫しております。先ほどから申し上げておりますように、まず基本といたしましては、現在の財投制度というものが廃止される、こういう中において、これまでは財投から平均で四・四%、直近では二%で借り入れてきておる。その利払いが、まず……(発言する者あり)お座りください。私も一生懸命答弁していますから。  要するに、その分あれでございますし、先ほどから申し上げておりますように、これから厚生大臣もとでより安全で有利なものにする指針をつくっていきたい、こういう基本的考え方は変わりありません。  あとは、率直に申し上げて、これはあくまでもすべては経済の動向によるもの。それはおわかりいただけるでしょう、実際問題。そういうものなんです。(発言する者あり)いや、そういうものなんです。だから、私が申し上げていることは……(発言する者あり)
  138. 江口一雄

    江口委員長 静粛に。静粛にお願いします。
  139. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ですから、基本的には財投から借りる必要がなくなりますから、債券を中心にして、そして株式においてこの運用をしていけば、当然のことながら、確実にこれが運用される、こういうことでございます。
  140. 菅直人

    ○菅(直)委員 これ以上は質問できません。質問は保留しますから。
  141. 江口一雄

    江口委員長 申し合いの時間が経過をしております。結論をお急ぎください。申し合わせの時間を経過しておりますので、結論を急いでください。(発言する者あり)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  142. 江口一雄

    江口委員長 速記を起こしてください。  丹羽厚生大臣
  143. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどからお聞きいたしておりますと、要するに自主運用そのものがけしからぬ、こういうことであるならば、これはまた話は違う次元の話だ、私はそう思います。  それで、先ほどから申し上げておりますように、年福事業団の百四十兆円のうちの二十八兆円分については、一兆二千億が累積欠損しました。こういうような経験を踏まえまして、今後は、あくまでも内部の私的な、要するに勉強会でございますけれども、こういうことを中心にしてそれを検討します、債券を中心にして株式をあれする。しかも、これはもうあくまでも、御案内のように長い株ですから、そういうものをやるわけでございますので、そういう御懸念のようなことを払拭するようにやっていくことが我々の今度の基金の目的でありまして、菅さんがおっしゃるように、基金がよくないんだ、もう一回財投の方がいいんだということになると、あくまでも認識の違いだ、こうしか言いようがありません。
  144. 江口一雄

    江口委員長 以上で菅君の質問は終了いたしました。  瀬古由起子さん。
  145. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  まず私は、この間の年金審議が、極めて民主主義のルールを離れて推移したということを大変残念に思うとともに、国民の世論をバックに、衆議院議長や副議長の努力もあって、引き続き審議が実現したことを喜びたいと思います。今後の審議が一層充実して国民の期待にこたえるように私たちも努力をしたいと思います。  まず最初に、年金積立金問題について質問をいたします。  年金白書では、アメリカの例が持ち出されております。社会保障年金積立金を市場運用することの可否が議論されて、政府による政治的圧力の可能性、資本の効率的配分を妨げる可能性等への懸念が、このアメリカの例でも指摘をされているわけですね。国による企業への支配、介入、また株主の権利を行使しなければ企業チェックが働かない、こういう問題が指摘されております。  結局、アメリカでは現在どうなっているんでしょうか。
  146. 矢野朝水

    矢野政府参考人 アメリカにおきましても、年金積立金の運用あるいは年金の将来のあり方は大変な議論になっておるわけでございます。そういう中で、現在積立金は特別の国債だけに運用されておりますけれども、株式で運用すべきだ、こういう有力な意見がございました。ただ、これに対しましては、ただいまお話にございましたように、政治的圧力によって左右されるんじゃないか、あるいは市場への悪影響があるんじゃないかといろいろ反対意見もございました。  そういう中で、これはごく最近でございますけれども、ことしの十月二十六日でございますけれども、クリントン大統領は、従来の株式運用を認めるという立場から認めないという立場に変更された、こういうことを聞いております。そして、社会保障積立金につきましては、財政余剰を財政赤字の借金返済に充てて、その返済利子などによりまして基金の積立金を増加させる、こういう方針がごく最近明らかになったということでございます。
  147. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今、結局アメリカでは全額市場性のない国債に運用されているわけですね、いろいろ議論がありましても。  それで、先ほどから出ておりますように、FRB、米国連邦準備制度理事会のグリーンスパン議長が、政府が市場に介入するのは好ましくなく、株価が下落すれば年金財政は不安定になる、株式運用を導入しても公的、私的年金を総合した運用パフォーマンスが向上することはない、こう言って、クリントン大統領の株式運用提案に対して反対しています。  アメリカは結局株式運用を断念しているわけですよ。世界の常識からも外れた、リスクを伴う株式運用はやるべきでないと私は思います。(発言する者あり)アメリカでも、学ばなければならないことは学ばなきゃいかぬわけですよ。  では、三月の決算期に、実は政府は株価の引き上げを公然と明言いたしまして、株価操作、PKOに公的資金を投入した。株価をつり上げて、ゼネコン、大企業の保有株の含み益を拡大させて、この株の一部を売却して不良債権の処理に充て、決算を乗り切らせているわけです。  さらに、国際的な金融ビジネスを展開しようとする大手の銀行のために、国際決済銀行の自己資本比率八%以上にしなきゃならない。そうしますと、その自己資本に算入できる保有株の含み益をふやすために、規制緩和後の年金積立金がこのPKOに利用されて下がり続ける株を購入する、こういう事態にもなるわけです。  株式市場のあり方からしてもこれは大変問題だ、実際には政府がインサイダー取引をしているのと同じことだ、こういう指摘もあるわけですね。ゼネコンや大企業のために、老後の頼みの綱として今苦労して保険料を払い込んでいる国民が、株の上がり下がり、先ほど大臣が何遍も言われましたけれども、株の動向があるわけです、それによってなぜ犠牲にならなければならないのか。国民の貴重な積立金をこんな使い方していいのか。国民への背信行為、こういうような道はあり得ないと大臣は断言できるんでしょうか、その保証はどこにあるのか、お聞きしたいと思います。
  148. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど菅委員の中でもこの質問が出たわけでございますが、今後の新しい仕組みの中でも、これまででも同じことでございますが、要するにPKOを行ったようなことはあるべきではありません。(瀬古委員「済みません、もうちょっとはっきり、大きな声でお願いします」と呼ぶ)連日なものですからちょっと声がかれまして、申しわけございません。  問題は、先生の御懸念なのは、アメリカにおいてはクリントンとグリーンスパン、クリントンが提案したんですが、こういうことについて否決されたんじゃないか、それをなぜあえてやるのか、こういうことでありますけれども、日本とアメリカとのまず政治的な仕組みというものが異なるということであります。  例えば、アメリカの場合には政権が交代をいたしますと、すべてかどうかはわかりませんけれども、ほとんど上の方は交代をしておやめになる、こういうことで、共和党政権と民主党政権との間でそういうやりとりがある。こういうことが一部に、政治的に株の運用というものが恣意的にされるのではないか、こういうような御懸念があるのではないかと思っておるわけでございますけれども、我が国においては、これまでもそういうことはございませんし、今後も、いわゆる年金積立金を利用したPKOというものは制度的に廃止されているものでございますので、そういうような御懸念はございません。
  149. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そんな場合はないと言うけれども、実際には政府が公然と株価を引き上げると言って、そしてその操作が行われる。これだけの莫大なお金が投入されるわけですから、幾らでも動かせるということは可能になるわけですね。  幾らありませんと言ったって、あなたたちが今まででも言われたように、株の運用に対してはどこがアドバイスをしているのか。銀行関係者が、年金福祉事業団でもそうですけれども、四名も銀行から出向している。そして、いろいろなアドバイスを受ける。年金資金運用センターでも、専門家がアドバイスして、今売る、買う、こういうものを指導しているわけですよね。  そうすると、銀行にとって、大企業にとって、今株を上げるのがいいのか下げるのがいいのか、今決算だから大変だという意図が働くというのは当然のことなんですね。そして、事実上そういう形で今まで政府がやってきたために、今まででも、インサイダー取引じゃないか、政府がそんなことをやっていいのかという指摘がされているわけです。これが百四十兆円にもなれば、当然市場を大きく左右するというのは懸念されているわけです。  だから、アメリカだけじゃありませんよ、ほかの国でも、こういう年金国民老後のための貴重な資金については、安全に運用するというのが当たり前になっている。それをあえて今回は自主運用という形で、今までは五・三・三・二ということで安全性の高い債券を五割以上にした、こういう一応歯どめがあったわけですね、その規制まで取っ払ってしまうわけですから、一層危険な、そういう損失をしたときにどうするんだという国民の不安が起こってくるというのは当然じゃないでしょうか。その点、いかがですか。大臣、お願いします。
  150. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 その点も先ほど御答弁を申し上げたところでございますが、いずれにいたしましても、この運用についての基本方針というものを決める、そういう中で御懸念のようなことを払拭して、そのようなことが起きないようにしなければならない、こう考えておりますし、当然のことながら、基本方針の遵守や関係者の責任というものは制度上明確にいたしておるものでございます。
  151. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 運用の基本方針を決めるといったって、今出されていないわけでしょう。それで、国債など安定した資金の運用の枠だけ取っ払って、これから運用指針を、方針を決めるんだと言われても、一体どんな不安な運用になるのかというのは国民はわからないわけですね。少なくとも、法案を出すなら、運用方針はこうですよ、絶対安全ですよということを、国民に納得できる形で同時に運用方針を出すのが当たり前じゃないでしょうか。その点は、大臣、いかがでしょう。
  152. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 いずれにいたしましても、これから年金の被保険者等の意見も十分に聞きながら、安全な運用指針というものを決めていきたいと思っております。
  153. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 どなたの意見を聞きながら決めるということなんですか。もう一回正確に言ってください。どなたの意見を聞きながら決めていきたいと言われるんですか。
  154. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 年金の被保険者などの御意見というものを十分に聞きながら進めていきたい、こういうことです。
  155. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 それなら、今きちっと、こういう運用方針でいいですかと言って、国会で論議しているわけですし、被保険者の人たちが心配しているわけです。法律を決めてから後で相談すると言われたって、国民は、そんなばかなことはないと言うのが当たり前じゃないですか。なぜ今、その運用方針について、こういう形でやりたいということが出されないんですか。もうともかく、後何をするか任せてくれと言うだけで、出さなければ、国民が知らない間に危険な運用に自分たちのお金が使われるということになるじゃありませんか。常識で考えても、大臣、そう思いませんか。
  156. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 法律的にも、その安全、確実ということは明記しておりますし、当然のことながら、年金制度そのものにかかわる問題でございますので、そのことを十分に考慮してやっていきたいと思います。
  157. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 結局、方針も出さないで、国民には白紙委任してくれと言うようなものなんですね。そして、安全、確実だと言うけれども、もうさんざんここでも論議されていますけれども年金福祉事業団だって安全、確実にやる予定だったわけでしょう。しかし、八十八万人分の年金に相当するような損失を出している、そして、その責任をだれがとるのかといったってだれも責任をとらない、こういう仕組みがあるわけです。  今度だって、新しい基金運用の枠組みはできるわけですけれども、それだってだれも責任をとらないという仕組みになる。それどころか、運用資金が赤字になったらそれに補てんできるという仕組みまでできちゃうわけですよ。こんなこと、やはり国民は納得できないと思うんですね。ましてや、安全、確実にというその枠組みも、半分ぐらいは国債等の安全な運用をやるんだぞというその枠組みまで取っ払ってしまったら、これはますます大変だなということを国民が思うのは当然だと思うんです。  そこで、お聞きしたいんですけれども、この株の売買に当たって、先ほどから若干出ておりますけれども、実際に莫大な手数料を金融機関や投資顧問会社に払うわけですけれども、この経費は大変大きなものがあると思います。年金福祉事業団が株の売買などで払った手数料というのは、この十五年間で大体どれぐらいになるんでしょうか。
  158. 矢野朝水

    矢野政府参考人 これは六十一年度から制度が始まっておりまして、これまで支払った手数料、これは株だけではございませんで、主に債券が中心でございますけれども、すべての手数料を合わせますと、平成十年度までで三千三百七十二億円でございます。  ちなみに、平成十年度だけとりますと三百九十億円、資産総額に対しまして〇・一七%ということでございまして、これは、先ほど大臣が答弁を申し上げましたように、ほかの機関投資家と比べますとかなり低い運用手数料になっております。
  159. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 三千三百七十二億円なんて、中途半端な数じゃないですね。この国民積立金がこういう形で、手数料でいえば、何回、どういう形でやったのかということだってなかなか国民はチェックできないわけですよ。百四十兆円もこれをやりとりして、それこそ、この何十倍になるんでしょうか、何倍になるんでしょうか、莫大な手数料を金融機関や投資顧問会社に払うことになる。まるで金融機関の救済システムみたいなものをつくるようなものなんですね。  年金福祉事業団のつくり出した赤字は、注意義務、今度新しく法律には書き込まれるわけですけれども、その注意義務違反にもならない。だれも責任をとらない。そして、国民の大事な年金積立金を、マネーゲームといいますか、市場投資をやって、今までの年金福祉事業団のそういう失敗にも懲りず、マネーゲームにいよいよ厚生省が本格的に乗り出す、こういうふうに国民が見ても当然だと私は思うんですね。  そういう点では、本当に、こんなマネーゲームをやるというのが厚生省の仕事なんだろうか。本来でいえば、今、国立病院で統廃合をやめてもらいたい、それから働く看護婦さんやお医者さんや医療の関係者、福祉の関係者をふやしてほしい、こういう声がいっぱいわき起こっていて、本当に今そこに力をつぎ込まなきゃいかぬのに、莫大な費用で厚生省がマネーゲームをやる、こんなこと、許されていいんでしょうか。いかがでしょうか。
  160. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、先ほど瀬古委員の中で、今までは五・三・三・二というのがあるけれども、取っ払うんじゃないかということがありましたが、先ほど申し上げましたように、今これを検討いたしておるわけでございますし、また、むしろ債券の割合というものをふやす方向でやっているんだということでありまして、取っ払うような考え方は全くございませんということをつけ加えさせていただきたいと思っております。  それから、今御指摘の点でございますけれども、先ほど来申し上げておりますけれども、この積立金は、将来の年金給付の貴重な財源でございますし、その運用というのは、保険料の拠出者の利益のために最もふさわしい方法で、安全かつ確実というものを基本にしながらやっていかなければならないということは言うまでもないわけでございます。金融資本市場において分散投資をすることによって、こういうものはもう理論的に確立されておることでございますし、私は、いわゆるマネーゲームというのは、毎日毎日、短期的な危険なものに手を出してやるというのがマネーゲームであって、これはあくまでも長期的に考えてやっていくことでございますので、マネーゲームと呼ばれるような筋合いのものではない、こう考えています。
  161. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 実際には、市場というのは、先ほど大臣が言われたように、株も上がり下がりするわけですよ。この年金積立金というのは、被保険者にとっても、将来の安定した生活を保障する一番基本的な財産なんですね。それは、先ほども私が言っておりますように、一番安定した、安全な方法で確保していくということが当たり前なんですね。ところが、市場運用をすれば、市場によってはマイナスになることもあるわけですよ。しかし、そんなことをやらなくても、基本的な、安全な運用のやり方というはあるわけですね。そういう点では、なぜあえて市場運用をするのかということが問われるわけです。  そういう点では、先ほどから出ておりますように、銀行関係者がそこにべったりかかわっているとか、また今までの仕組みでいったって、失敗しても責任をとる仕組みがないとか、こういう基本的なものが不十分なまま、ある意味では反省もされないまま強行されていくわけですから、これはやはりもう一度改めて年金の資金、積立金とは何かということが問われるんじゃないかというふうに思います。  そこで、時間がございませんけれども積立金の問題なのですが、今莫大な積立金があるわけです。積立金の状況は、日本は年金の五・五年分、アメリカは一・五年分、イギリスは一・二カ月分、ドイツは一カ月分。こういう世界の積み立てを見ましても、日本の場合は、世界にも例のないため込みになっています。  将来が不安だといってどんどん積み立てていく、一体それだけの積立金が本当に必要なのだろうか。女性や高齢者の今後の働き手、私はもっとこれをふやしてもらいたいと思っているわけですが、そういう条件整備をして、年金の支え手、こういう人たちをうんとふやせば、実際にはこういう状況というのは、積み立てをやらなくてもいい状況というのに変わってくると思うのです。  そして今、この積立方式をどうしても維持しようと思いますと、例えばインフレなどで対応しようとしますと、結局、リスクの高い投機的な市場に国民の資金をつぎ込むという方向にもなりかねないわけですね。これは、やはりこの莫大な積立金、積立方式のあり方そのものも今回見直さなければならないというふうに思います。  この積立金を計画的に、段階的に取り崩す、見直す、こういうことをやれば、年金保険料負担もこれほど高い方向を出さなくてもいいわけですし、実際には、国民に安心した年金方向も打ち出せるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
  162. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 積み立てというのは、御案内のように、将来世代の過重な負担を回避したい、こういうようなことで、要するに、将来的に利子収入を活用することによって保険料を軽減する、こういうことで積立金というものをしておるわけでございます。もし仮にこれを取り崩すようなことになりますと、将来の積立金というものが減って、それに対応した分だけ利子収入というのが減るということは言うまでもないわけでございます。  いずれにいたしましても、私たちが今積み立てているのは、若い世代皆さん方自分たちの将来はどうなんだ、こういうような不安があるわけでございますので、今積み立てをしておるわけでございます。  現在、五・五か五・四と言われておりますけれども前回委員会でも申し上げましたけれども、これはピーク時でございまして、要するに、少子高齢化進展に伴いまして、だんだんに減少していくということであります。
  163. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 わずかな時間ですけれども、やはりやればやるほど解明しなければならない問題がたくさんございます。引き続き充実した審議を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
  164. 江口一雄

  165. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間がございませんので、私、簡潔に大臣にお尋ねいたしますので、大臣も簡潔に答えを出していただきたいと思います。  まず冒頭に、こうして厚生委員会で改めてこの年金問題の審議がなされているという事実に基づき、二十六日の金曜日の採決は無効であるということをまず私は主張させていただきたいと思います。  きょうの質問の一点目でございますけれども大臣は、二〇〇四年までに二分の一という附則に明記したことを、十七日の委員会では、大変画期的というふうにお答えになっておられます。しかし、九四年、前回の改定期に、今回の改定期には、既にこの二分の一ということを実際上担保するということで、村山政権の中で方向性が見つけられている。国民皆さん方は、また先送りですか、五年後も本当にこれは担保できるのですかという不安感がいっぱいですが、この問題について、私は国会の軽視じゃないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  166. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 前回改正時、つまり五年前でございますが、このときは、要するに、国会での委員会の総意として附帯決議として決められたものであります。今回の年金法改正におきましては、政府の段階におきまして、「当面平成十六年までの間に、安定した財源確保し、国庫負担割合の二分の一への引上げを図るものとする。」という附則を設けたということでありまして、私は、今回の附則、法律に、当初から書いたという意味は大変重いものがある、こういうふうに考えております。
  167. 濱田健一

    濱田(健)委員 私は、連立の時代に、そのときの与党がしっかりとその方向性を決めたことが、枠組みが変わるとまた違った方向に変わるというのは絶対許せないというふうに申し上げておきたいと思います。  もう一点。賃金スライドの凍結給付水準の削減について、大臣は、これも十七日の委員会で、私たちの時代はいいのですというような答弁をされております。私は、大臣はいいのかもしれませんが、これからの国民にとっても、可処分所得等々、本当にしっかりと担保できなければならない部分、特に来年から介護保険制度、聞くところによりますと、四月からは公的介護はスタートするけれども介護保険制度はスタートしないのだというふうに言っておられるようでございますけれども、こういう部分の保険料等々、掛けなければならない中での可処分所得の担保というのは大変大事だと思うのです。賃金スライドを維持していくということは非常に大事だと思うのですが、大臣、いかがですか。
  168. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 たしか、中川委員のときに申し上げたと思います、同年代でございますから。  つまり、私が申し上げたいのは、現在は四・三人の現役世代で一人の高齢者を支えておる。これが将来、二〇二五年でございますが、現役世代二人で一人を支えなければならない。こういう時代がやってくるということが、若い人たちの間で年金に対する不安を呼んでいるのではないかという一部の指摘を申し上げたわけでございます。  それから、年金給付水準につきましては、受給の開始時に現役世代手取り年収のおおむね六割を確保するとともに、その後は物価スライドするということを今回の法案で明らかにさせていただいておりますけれども、可処分所得の問題について委員から御指摘がございましたけれども高齢者の可処分所得というのは、平均でございますが、二十三万二千九百二十一円、実収入の九二%という水準になっております。なお、現役世代の可処分所得でございますが、実収入の八四%でございます。  率直に申し上げて、これまではお年寄りはどちらかというと、そういうような公的な負担というものはやや軽減する嫌いがありましたが、私どもは、やはりお年寄りの中にも貧しい方々、所得のない方々については今後も手厚くしていかなければなりませんけれども、相応に所得のある方についてはそれ相応の御負担をしていただかなければ、これからの少子高齢化社会時代は乗り切っていけない、こういうような認識に立つものでございます。
  169. 濱田健一

    濱田(健)委員 現在の保険は保証されるというふうに言われますけれども、現在受給されている皆さんも、これから受給を受ける皆さん方についても、保険の中身が拡大していかないという逆の保証がこれによってなされることについては、非常に生きていく意欲を失う中身だとして検討を要すると私は主張させていただきたいと思います。  それと、高齢者の雇用についてですが、六十五歳現役社会ということを展望される昨今でございますけれども年金が六十五歳支給に段階的に変わっていくという中で、労働省と提携して全力で取り組むと大臣はおっしゃいます。しかし、日本の今の定年制、やっと六十歳というところにたどりつつある中で、この六十五歳現役というものをどう担保されようとしているのか、そのビジョンを明確に示さなければ、ああそうですかと言えないのですが、現時点で、大臣、どうお考えですか。
  170. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは前回のいわゆる基礎年金の部分を六十五歳にするときも大変御議論が出ました。  まず、雇用の問題でございますが、その前提として、こういうことにさせていただきましたのは、平均寿命というのが大変延びてきておるんだということは先生も御承知のことと思います。現在、男性の平均寿命が七十七・一九歳、女性の場合は八十三・八二歳でございまして、今や世界の中で最も長寿化が進んできておる、こういうことでございます。そういう中で、六十五歳以上の支給というのはもう世界的な趨勢でございますし、アメリカではそれをさらに二歳上げて六十七歳にしよう、こういうような動きが出ておるわけでございます。  それはそれとして置いておいて、今先生お尋ねのございました雇用の問題でございますが、かつては五十五歳定年、こういうことでございましたが、現在は六十歳定年というものが定着いたしておりますし、今後定年年齢というものが引き上げていかれる傾向にある、こう認識をいたしておるような次第でございます。  現在のところ、まだ、六十歳代前半で働いていらっしゃる方は六〇%弱でございますけれども、今後、いずれにいたしましても、労働省と十分に連携をしながら、例えばシルバー人材の活用などいろいろな、私の地元でも大変活発にやっております、そういうものを通じて、具体的に六十歳代の前半の皆さん方が雇用の場につけるような環境づくりのために努力をしていきたい、こういう決意でございます。
  171. 濱田健一

    濱田(健)委員 五十歳でも五十五歳でもその仕事の中身によって、定年制というか、仕事をリタイアしていく中身というのは幾らでもございます。その辺の細かい点を分析しながらの対応でなければ、国民皆さん方一人一人の年金に対する意欲といいますか、信頼というものは失われてしまうということを申し上げておきたいと思います。  時間がなくなりました。  先ほどから年金福祉事業団そのものの問題と運用資金の問題が出されております。私はその中身を今この時間に触れることはできませんけれども、いろいろな問題がありますが、この年金福祉事業団解散及び業務の継承に当たって、現在の年金福祉事業団で雇用されている皆さん、働く仲間の皆さんです、この皆さん方の労使関係に配慮するということと、雇用の継続に万全を期すということが非常に大事であるというふうに主張させてもらいたいと思います。  各地にありますグリーンピア、鹿児島にもグリーンピア指宿というのがございますけれども、この年金資金の運用基金が継承する管理運営の期間において、徹底した改革を進め、譲渡に値する魅力的な施設としなければならないと私は思っているところでございまして、雇用の確保や地域経済への影響等に十分配慮するとともに、各基地施設の改修費用についても必要な予算措置等が講じられていく必要があると思うのでございますが、この二点について、大臣、いかがですか。
  172. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 グリーンピア事業からの撤退でございますが、十年をめどに撤退していこうということでございますが、これまで地域に果たしてきた役割、それから全部で三千五百万人の方々が御利用なさった、こういうこともございますし、当然のことながら、いわゆる職員の皆さん方の雇用や地域経済への影響というものを十分に考慮しながら、時間をとってこの問題の解決に当たりたいと思っております。  当然のことながら、改修、修繕などを行いまして、基本的には、今実際に運営をなさっていただいております県に譲渡といいますか、買い取っていただくことが一番望ましいと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、先生が御指摘になった点については十分に配慮しながら進めていきたい、このように考えております。
  173. 濱田健一

    濱田(健)委員 最後に無年金の問題でございます。  この無年金障害者の関係については、根幹にかかわる大変難しい問題と十七日の委員会大臣発言をされておりまして、果たして、五年前の附帯決議を含めて、今後取り組んでいかれる御姿勢があるのかないのか、私たちにははっきり見えない。  この五年前の附帯決議、無年金障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め速やかに対応することというふうに書かれているわけでございますが、この無年金の問題について、これからどういう展望を示していかれるのか、その辺をお聞きして終わりたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  174. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これにつきましては、私、何人かの委員の方からたびたび御質問を受けております。  問題は、いわゆる社会保険方式という保険方式の中で無年金の障害者の問題についてどう考えるかという点で、なかなか難しいことがあるということは事実でございます。  ただ、この問題につきましては、この委員会におきまして、先ほど申し上げておりますように、大変いろいろな方々から御質問を受けておるわけでございます。  なお、今この場で私がやる気があるとかないとかという問題ではなくて、どういうふうにしたならば、もし仮に救済する場合、救済することができるのかどうか、その場合に保険料を払った方との兼ね合いはどうなのか、年金制度のあり方そのものの根幹にかかわってこないかどうか、こういう面もございますけれども、少し時間をかけて、具体的な事例を精査しながら、関係方面の御意見も十分にお聞きしながら、幅広い観点から検討を行っていきたいと思っております。
  175. 濱田健一

    濱田(健)委員 五年前の課題、二分の一国庫負担の問題もこの無年金の問題も先に送られている。さあ、この五年後、どういう政界の状況になっているか、日本の国の政治の状況がどうなっているかわかりませんが、国民皆さん方がそのときそのときに決められた国会の意思、決議というものが五年間という枠の中でほとんど前進しないということについては大きな失望だと思われているわけでございまして、そういう点をしっかりと踏まえながら、この年金の問題については、この国会の中でももっとしっかりと論議をしていただきたいというふうに思っております。  終わります。
  176. 江口一雄

    江口委員長 次回は、明二日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会