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1999-11-10 第146回国会 衆議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 岡島 正之君       伊吹 文明君    石崎  岳君       遠藤 利明君    小野寺五典君       大村 秀章君    鴨下 一郎君       鈴木 俊一君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田村 憲久君       滝   実君    戸井田 徹君       根本  匠君    桧田  仁君       堀之内久男君    松本  純君       宮腰 光寛君    宮島 大典君       山下 徳夫君    家西  悟君       石毛えい子君    五島 正規君       土肥 隆一君    中川 正春君       中桐 伸五君    古川 元久君       青山 二三君    大野由利子君       久保 哲司君    武山百合子君       吉田 幸弘君    児玉 健次君       瀬古由起子君    中川 智子君       笹木 竜三君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    経済企画政務次官     小池百合子君    厚生政務次官       大野由利子君    政府参考人    (内閣法制局第四部長)  山本 庸幸君    政府参考人    (厚生省老人保健福祉局長    )            大塚 義治君    政府参考人    (厚生省保険局長)    近藤純五郎君    厚生委員会専門員     杉谷 正秀君     ————————————— 委員の異動 十一月十日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     滝   実君   田村 憲久君     小野寺五典君   古川 元久君     中川 正春君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     宮腰 光寛君   滝   実君     大村 秀章君   中川 正春君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   宮腰 光寛君     田村 憲久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  厚生関係基本施策に関する件(介護保険問題等)     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件、特に介護保険問題等について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長山本庸幸君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君及び保険局長近藤純五郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 江口一雄

    江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中眞紀子さん。
  5. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 自由民主党田中眞紀子でございます。  丹羽厚生大臣及び大野政務次官、改めて御就任おめでとうございます。厚生委員会理事の一人といたしまして歓迎いたします。私は、かねてより、丹羽雄哉先生厚生大臣に再任なさるときに質問をさせていただくことを夢に見ておりましたので、きょうは、手ぐすねを引いてとは申しませんけれども、頑張りたいと思っております。  昨日大臣が、質問に先立ちまして「介護保険法の円滑な実施について」という政府方針を読み上げられました。その中で、平成十二年九月までの半年間高齢者保険料徴収しないことができるようにする、その後の一年間についても二分の一に軽減できるようにしましたという部分がございます。この苦労をして誕生した、これは小泉厚生大臣のときに、平成九年十二月十七日に介護保険法は成立したわけでございますけれども、その後、皆様大変苦労をしてここまで運んできたわけですが、三党連立になりましてから、私たち一般国民にはなかなか難しい、わかりづらいような見直しがされております。  私は改めてこの介護保険法というものを読み返させていただきましたら、こういうところがあるんです。百二十九条の一項にこう書いてあります。すなわち、「市町村は、介護保険事業に要する費用に充てるため、保険料徴収しなければならない。」ということが書いてあるんですね。百二十九条の一項。ところが、政府方針では、もう皆様すべて御存じのとおり、約一年半近くにわたって保険料徴収しないということは、これは、法律と合致しないことをやろうとするという大変大きなことではないかというふうに思います。  これは申すまでもありませんけれども法案が成立してから久しく時間がたつわけでございまして、厚生省マターになってはおりますけれども、憲法四十一条で国会というものは国権の最高機関である、そして国の唯一の立法機関であるわけですから、そこで決定したものを中身が変えられてしまうということは、当然法律違反になるわけですね。それを執行するのが厚生大臣ということになると、大変大臣責任は重くなってしまうわけですが、そこのところをちょっと御説明いただきたいと思います。  つい先日も、十一月二日でございましたけれども、私ども衆議院の本会議で、この法改正に対する問いに対して小渕総理は、与党法改正をしないことを前提に協議しているということをおっしゃっています。亀井政調会長の口からも再三そういうことを聞いておりますけれども法改正をしないということは、我が衆議院では総理もおっしゃっている。にもかかわらず、四日の参議院答弁では、これは事務方から取り寄せたペーパーでございますけれども保険制度を将来とも堅持していくのか見解を問うという質問に対して、総理は、財源は、制度実施状況を踏まえて、与党において協議されるものと承知いたしておりますと、昨日の政務次官財源に関する答弁と同じことをおっしゃっているんですが、政務次官総理と同じことをおっしゃったのできのうは感動いたしましたけれども、この答弁は、衆議院参議院、根幹の部分総理の発言が違っているんですね。  これは、閣僚でいらっしゃいますし、政務次官衆参両方の本会議に当然出ていらっしゃるわけですし、それから、火、木の定例の閣僚会議があるわけですから、これを知らなかったという——事務方が答えられることではないと思いますので大臣に伺っておりますが、総理のこのような答弁の仕方というのは、不明確ですから今後いかようにも変えることができるというふうにとれるんですね。法改正をしない、すなわち税方式に切りかえるということは明言はしていませんが、将来、半年後とは申しませんが、多分切りかえることも可能であるというような余地を残した、素地を残した答弁をなさっているんです。これは事務方からいただいた答弁ですから間違いがありません。  その辺のことを大臣は、やはり私たち国民に誤解を生まないためにも正確にお答えいただきたいと思います。時間の関係もございますので、平明かつ簡単に、端的にお答えいただければと思います。
  6. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、尊敬してやまない田中眞紀子委員から大臣就任を歓迎をしていただくということで大変光栄でございますが、同時に、手ぐすねを引いて待っていたというお言葉でございます。舌鋒鋭い田中委員からこのようなことで、大変私は気が弱いわけでございますので、どうぞひとつお手やわらかによろしくお願いを申し上げます。  それで、今田中委員が御指摘の百二十九条の第一項ですか、大変お詳しくお勉強なさっていらっしゃるようでございます。保険料徴収しないということと半年間との関係はどうかという問題でございますが、つまり、いろいろな三党間の舞台裏を申し上げることは適当かどうかわかりませんけれども、半年間にするのか、十カ月にするのか、あるいは一年にするのかといろいろな意見がありました。その中で、保険料徴収しなければならないということは、要するに、凍結期間年間ですと保険料徴収しないことになってしまいます。それから、年金からの徴収が前期と後期に分かれております。そういうことから、私どもの選択としては、もし仮に保険料徴収を猶予する場合には、法改正前提としない場合には半年間しかない、こういうような理解のもとにこのような決定をさせていただいたような次第であります。
  7. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 法改正をしないで、六カ月であってもそれでいいということがこの法案の中に書いてあるんでしょうか。
  8. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今ちょっと私の手元に百二十九条の一項のあれは持っておりませんけれども、大事なことは、保険料徴収しないということであります。要するに保険料徴収しなければならないということであります。ですから、一年間を通してトータルの意味において保険料徴収しなければならないということでございまして、技術的には、まず半年間は、それから残りの半年間については、要するに一年間ということで二分の一の軽減をしているということでございますのでこれに反しない、このように理解をいたしております。
  9. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 せっかくきょうは法制局にも来ていただきましたけれども、申しわけございません、私は政治家政治家で話をしたいと思います。  最初の半年間、それから後の一年間は二分の一取らない、トータルで一になるということは非常に綱渡り的なことでありまして、私ども国会議員もよほどこの法律を精通して読まないとわからないところですから、一般国民には特にわかりづらいところでして、このような非常に小細工的な見直しをするということは、そんなことをしてまでやらなければいけない理由がどこにあるのかと。  小沢自由党党首は、これは一貫して税方式でやりたいということをおっしゃっておられまして、ぶれているのは残念ながら我が自由民主党でございます。その辺のことについて、連立を維持するということが大事なのか、あるいは、国民皆様がここまで協力をしながら持ってきた、もちろん役所もそうですし市町村もそうです、我々一般国民もやっとこ納得して、七五%ぐらいの国民皆さんが、保険負担をしなければならないかもしれないということを納得してきている。市町村も苦しい財源を何とか捻出しながら知恵を出して、そして個人も町の活性化のために、市町村活性化のために、そして地域も一人一人を大切にして、いわゆる地方分権の萌芽、芽生えだと思うんですけれども、そういう形でこの新しい時代の法律を、みんなで自己責任で応分に分担していこうではないかという議論が始まっているときに、綱渡りのような見直しを何のためにしなければいけないか、お答えください。
  10. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 当然のことながら、自自公連立政権というものが樹立されておるわけでございます。そういう中において、三党の政策責任者皆さん方一つ考え方をまとめました。そして、政府といたしましてはそれを重く受けとめまして、このような措置をとったということでございます。  それで、先ほどから申し上げておりますように、私どもといたしましては、これはあくまでも半年間というのは、昨日も申し上げました。これまでは、先生御案内のように、例えば特別養護老人ホームに入居する場合にはいわゆる措置制度ということだった。ところが今度は、お年寄りあるいは家族皆さん方の希望に応じていわゆる契約をして利用する、こういう仕組みになってしまう。  それから、今認定作業というのが各審査会で行われておりますけれども、実際問題この申請をしなかったお年寄りもいらっしゃる、こういうこともありますし、いろいろな問題が、とにかく初めてのことでございますので生じていることも紛れもない事実であります。  そういう観点から、私どもといたしましては、この半年間はいわゆる理念、枠組みを変えるのではなくて、助走期間として位置づけて国民皆さん方理解を得る、このように御理解をいただきたいと思っております。
  11. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 これは、連立を守るというふうな内向きな議論から出た発想であると言わざるを得ないと思います。と申しますのは、やはり連立の一角を占めている自由党税方式ということを徹底しておっしゃっているわけですし、そして公明党さんも半分保険、半分税制ということを言っているわけですから、理念ということをおっしゃいますが、介護保険平成九年から来ているわけですから、保険ということは、とにかくあまねく国民みんなが負担をして、地域でこれを支えていかなきゃならない、保険でやらざるを得ないんだというところに来ているわけですから、その理念を変えていくという、その移行を三党連立のためにせざるを得ないというところに問題点があるんだというふうに思うんですね。  そのことは一番、大臣になられて大変お苦しいと思いますけれども、お喜びは申し上げておりますけれども厚生委員会関係のお仕事をずっと長いことやっていらっしゃる先生としては、個人的に怒りやら自己矛盾も持っていらっしゃるんでしょうけれども連立内閣閣僚として大変悩ましいお立場だろうということも理解ができます。  ここにジャパン・タイムズがございます。これは十一月六日付でございまして、ここに写真が載っているんです。有名な三人のトリオ写真が載っておりますが、これは、スペンド・ナウペイ・レーター、すなわち、今使っちゃって後で払えばいいじゃないかということをコアリション、連立政権が提案していると言って、このポリシーメーキングトリオ写真が、お三方、有名な方、私はダッチロールのトリオじゃないかと思っておりますけれども、この方々が載っております。  ただ、後で払うのではなくて、そもそも保険というものは負担と給付が一体でなければならない、これは原則なんですね。にもかかわらず、この原則を崩しているということは、日本語というのはなかなかあいまいな表現をしますが、英語というのは時として非常にわかりやすい簡潔な表現をするんですね。スペンド・ナウ、今使え、ペイ・レーター、後で払えということを言っているわけです。  そういう中で、この介護保険というものは国庫負担率が何%ぐらいの数字になるか、政務次官、お答えいただけますか。数字だけで結構です。
  12. 大野由利子

    大野(由)政務次官 ちょっともう一度、申しわけありません。
  13. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 介護保険導入は、国庫負担が何%になるかということです。
  14. 大野由利子

    大野(由)政務次官 介護保険全体のですか。
  15. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 これを導入すると。
  16. 大野由利子

    大野(由)政務次官 パーセントですか。介護保険は、公費が五〇%、保険が五〇%です。
  17. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 もちろんそうですが、国庫に対する負担です。
  18. 大野由利子

    大野(由)政務次官 そのうちの二五%。
  19. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 約一六・四%というふうに承知しておりますけれども、今現在、国の一般会計予算は約八十一兆円、そして税収は五十兆円を切るということですから、年大体三十兆円の赤字が出るわけですね。  昨日の厚生大臣答弁でも、財源の問題は、ほかの方が御質問なさったときに、これは赤字国債で賄うしかないんだということをおっしゃっておられます。ですが、赤字国債というのは財源じゃないんですね。これは借金ですから、借金を先へツケ送りするんですよ。大蔵省に聞いても、赤字国債財源だなんて申しませんでしたから。  そうしますと、年間三十兆円もの赤字を出している上に、さらに国費でもって一兆円も投入するということは、国民一人当たり約一万円の負担がかかるという計算になるわけですね、それがすなわち一六・四%もの国庫負担になるという計算になるんですけれども。  介護保険自体トータル費用年間四兆三千億ぐらいのお金がかかるということになると、ただ借金だけをどんどん膨らましているということは、やはり有権者、国民皆様方、私たちも含めて納得がいきませんので、そこのところで、新しい財源として本当に赤字国債以外で何があるのか。例えば所得税法人税とか相続税というものはこれ以上上げられない、だれも理解をもちろん示しませんから。そうすると、何があるんでしょうか、大臣
  20. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の高齢者保険料特別措置それから医療保険者対策財源でございますが、老後の最大不安要因でございます介護問題に対する観点からこのような措置をとらせていただいたわけでございます。  問題は、田中先生も御経験なさっていらっしゃると思いますが、これをどうとらえるかということでありまして、片っ方では十兆円を超える景気対策の問題もある、しかし一方では大変深刻な介護地獄という問題がある、そして、国民皆さん方に少しずつ御理解をいただいてやっていかなければならないというような、私は、それぞれの議員皆さん方考え方あるいは国民皆さん方考え方、こういうものに基づくものではないかな、こう思っておるような次第であり、いずれにいたしましても、これはもう昨日も申し上げましたけれども今世紀最大事業でございます。その点を十分に私ども国民皆さん方にも御理解をいただきたいと思います。  ただ、私といたしましては、我が国の大変厳しい財政状況というものを十分に認識をいたしております。そういう中において、今後は限られた財源の中で、いわゆる財政の再配分を含めた歳出のあり方、要するに国民にとって何が必要なのか、こういうものを幅広く御議論をすることが望ましい。私は昨日、現時点においては赤字国債に頼らざるを得ないということを申し上げましたが、田中先生、何か鋭い御提案があれば、ここでお示しいただければ幸いです。
  21. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 私は、まず、むだの見直しをするべきだと思いますが、時間の関係がありますので、私どもぺいぺいの一委員よりも大臣の方が一番知恵をお持ちでしょうし、スタッフも抱えていらっしゃいますので、次回お答えをさせていただいて、ほかの場でそういう機会があればと思います。今、反論権を行使なさっても、私は……(発言する者あり)私だって、もちろん当然リストラはするべきですし、それから、消費税につきましては、これが消費税に多分行くと思いますので、それはインボイス方式に持っていくということはかねてからの私の持論でありますから、これはまた別の機会に申し上げます。  それで、この問題で一番、今財源が厳しいとおっしゃっているにもかかわらず、在宅介護年間十万円ですか、家族介護慰労金。これは何でしょうか。自分も国会議員になったきっかけはこの介護の問題、人手が足りないということなんですね。  今回の介護保険導入につきましても、市町村は本当に認定の問題ですとか財源の問題とかマンパワー不足がありますけれども、私自身も一番感じていることは、良質なヘルパーさんを得られないということが実態なんですね。本当に家族は苦しんでいるんですよ。その中で、慰労金をぽんともらって片づく問題ではないというのが一般人たちの声であるにもかかわらず、ここでとりあえず御苦労さまでお金をまこう、財源もないのに。これはどういうことか、得心がいかないんですね。  以前も、ここに資料がありますけれども地域振興券というものが配付されまして、これは経企庁からいただきましたけれども、全国九千人に対して、どのような経済効果があったかという結果を調べましたらば、六千百九十四億円配ったけれども、GDPの個人消費で〇・一%だけの押し上げ効果しかなかったということなんです。これは景気ではありませんけれども慰労金というのは、私は世の中に納得されないものだと思います。なぜかというと、世の中では、お金では解決がつかない問題があるんです。それがこの在宅介護の痛みの問題なんですね。  それで、特に老老介護と言われていますが、六十、七十のお年寄りが、八十、九十のお年寄りの、下のお世話からお散歩から食事から入浴から、全部しなければならない。そこで十万円をもらったから、月八千三百円等をもらったから、いいヘルパーさんが見つかるわけがないんですよ。  こういうことが、本当に一般国民方たちの嘆きであり、怒りにつながるわけでして、連立も大事かもしれませんけれども、これはやはりばらまきだ。先ほど言ったような、余り効果がないようなばらまき政策一つであるということを、一般の方の声を聞きますと、私も国会議員として本当に胸の痛む思いがいたします。この点につきまして……
  22. 江口一雄

    江口委員長 質疑時間が終了しております。
  23. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 はい、わかりました。  それでは最後に、女性であり、公明党先生であり、政務次官で、この政策基本に座っていらっしゃる先生として、公明党さんは介護保険にも反対なさっていましたし、消費税アップにも反対でいらしたわけですけれども、この問題をどう思われるか、一言お答えいただけますか。
  24. 大野由利子

    大野(由)政務次官 済みません、家族慰労金の御質問ですか、財源の問題ですか。(田中(眞)委員トータルで結構です」と呼ぶ)トータル。  介護保険財源につきましては、昨日も答弁いたしましたように……(田中(眞)委員「それは聞きました」と呼ぶ)三党の連立でございますので、それぞれ主張すべきは主張する、しかし譲るところは譲って、そして来年四月から介護保険制度実施するということで合意をしておりますので、この介護保険制度が円滑に実施できるように全力を挙げて頑張ってまいりたい、こう思っております。
  25. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 終わりに当たりまして、本当に私ども国会議員は、現場の苦しみをしっかりと聞いて、そしてそれに対応して将来を見通した施策を立てて、責任を持ってこれを実行していくという勇気とその覚悟が求められているということをしっかり申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  26. 江口一雄

    江口委員長 次に、福島豊君。
  27. 福島豊

    福島委員 公明党福島豊でございます。  大臣政務次官、連日大変に御苦労さまでございます。  今回の介護保険制度実施に当たっての見直しといいますか、大臣は、助走期間ということでの措置というふうにおっしゃっておられますが、私は、これはやはり必要だというふうに従来から思っておりました。  先日も、十月から要介護認定申請の受け付けが始まったわけでございますが、こういう新聞報道がありました。川崎市が十月十五日までに判定した三百八十一件のうち、一次判定の結果を変更したのは二割の七十六件に上った。二割ですから、一次判定の仕方というのは大変改良されてきておりますけれども、まだまだ二次判定をきちっとしなければ適切な判断ができない。  要介護認定におきましても、相当の準備期間を置きましたけれどもこういうことであるわけでございまして、介護保険というのが本当に国民理解され定着するためには、経過的な措置をやはり講ずるべきであるというふうに思ってまいりました。ですから、今回の三党合意に基づく措置にいたしましても、十分理解できるものであるというふうに思っております。  それから、先ほどの田中議員の御質問にもありましたが、赤字国債に求めるではないかという指摘がありましたけれども、これは介護保険の施行によりまして二兆円の保険料負担というのが国民に求められるわけでございまして、その二兆円の保険料負担というのをいきなり本当に求めていいのかどうか。  それは将来的にはふえるわけです。ですから、その入り口のところでは徐々に求めていくというような考え方というのは、極めて私は妥当性のあるものだと。ずっと赤字国債でいくという話では全くございませんので、将来的にはその分しっかり負担をしていただきますという話でございますので、今回の経過措置というのはそれなりに評価をすべきではないかというふうに私は思っておりますが、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  28. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の政府特別措置は、連立与党三党の申し入れを深く受けとめて決定をしたものでございます。  そして、先ほどから申し上げておりますけれども、何せ初めてなことでございますし、また、お年寄り皆様方全般にわたって御負担をお願い申し上げる、こういうことでございまして、そういうことを踏まえて、私どもは、とにかく一番大切なことは、いわゆる寝たきりのお年寄り皆さん方が、あるいは御家族皆さん方が安心して老後を過ごせるような、こういうような体制をスタートさせることがまず大変大切なことだと。つまり、この大改革を来年の四月から円滑に実施するということが一番大切なことだ、こういう観点に立ちまして、このような措置を講じたものでございます。  昨日来申し上げておりますように、介護保険制度理念基本的な枠組みというものは揺るがすものではございませんし、私どもは、現場の市町村皆さん方、こういう大変御努力なさっていらっしゃる方々あるいは関係者の皆さん方と手を携えて、来年の四月から円滑に実施するように全力で頑張っていく決意でございます。
  29. 福島豊

    福島委員 マスコミも大変にぎわせたようでございますけれども、これからは全力で、混乱のないようにしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  それから、家族介護支援の問題ですが、田中先生おっしゃっておられましたように、私も、今まで家族が抱えてきた介護というものを公的な介護ということで置きかえて、そして家族の苦しみというのを少しでもやはり軽減しなければいかぬ、それは本当にそのとおりだというふうに思います。ですから、今回、慰労金等が盛り込まれることになりましたけれども、そのことによって公的な介護サービスの充実ということが決して後退するようなことがあってはいけない、それはそのとおりだというふうに思います。  ただ、この家族介護支援ということを改めて取り上げた意図というのは、在宅介護が充実しましても、そこでは家族の一定の御努力というのがあるわけでございまして、それをどういうふうな形で評価し支援するのかというのも一つ考え方としては大切だと。ただ、それが公的な介護サービスというものをわきに押しのけるようなことがあってはいかぬのだというふうに私は思います。  先ほど地域振興券の話が出ておりましたが、これは私は一言申し上げておきたいと思います。誤解があってはいけませんので、あれは要するに、ただの減税をした場合と地域振興券の形でそれを置きかえた場合と、どちらが経済効果があるかということが問われるべき問題でして、ただの減税であれば恐らく消費にはほとんど回らなかった、貯蓄に回っていたと思います。ですから、そこのところの比較を考えなきゃいかぬというふうに思います。  それはそれとしまして、政務次官にお尋ねをいたしますけれども、この家族介護支援については今申し上げたような思いを私は持っております。ですから、決して公的な介護サービスが後退することがあってもいかぬと思うし、そしてまた、別の角度で、家族の努力というものもちゃんと評価するという視点があってもいいと思う。この点についての政務次官のお考えを、みずから介護の経験もお持ちということでございますので、お聞かせいただければと思います。
  30. 大野由利子

    大野(由)政務次官 介護保険制度は、家族介護介護地獄から解放しようということで今回の介護保険制度がスタートをするというのが本来の趣旨であっただろう、こう思っております。ですから、できるだけ公的介護サービスというものを充実させて、そして、これが国民皆さんにあまねく広く利用していただけるようになるのが本来の趣旨であろう、このように思います。  しかし、何分世紀の大事業、初めて施行される制度でございますので、まだまだ現実には基盤整備が十分整っていない、ヘルパー等の人材育成がまだまだ需要に対して十分じゃないというような面もありますでしょうし、また、地方などにおいては他人を自宅に入れたくないとか、そういうことで、この介護保険制度が充実し、制度が運用されるまでにある程度なれるのに時間を要することがあるのではないか、このように想定されるわけでございます。  しかし、一方では、介護保険は強制保険でございますので、これからいろいろ保険料を払っていただかなければいけない、そして、保険料を払うけれども介護保険を利用しない人も出てくるわけでございますので、当分の間その慰労金として盛り込まれたということであって、この家族介護慰労金というのは、公的介護のサービスを後退させるということには決してつながらない。しかし、この家族慰労金のあり方等々につきましては今後引き続き十分な検討が必要であろう、このように思っております。
  31. 福島豊

    福島委員 次は、今回の政府の発表につきまして、細かな点を政府参考人の方にお聞きをいたしたいと思います。  今回の特別措置基本的に補正予算に盛り込まれるということになるわけでございますが、それに対しては、平成十二年度の本予算にこれは盛り込むべきではないか、こういう指摘もあるわけでございまして、補正予算になぜ盛り込んだのかということにつきましての御見解をお聞きしたいと思います。
  32. 大塚義治

    大塚政府参考人 介護に関する特別措置に関しまして、今回の補正予算に計上する理由についてのお尋ねでございますけれども、まず高齢者保険料に関する対策につきましては、基本的には、市町村の現場で混乱が生ずることがないように、各市町村ごとに国から交付する金額を早期にかつ具体的に確定をいたしまして、市町村の不安を解消するという必要があると考えております。  具体的に申し上げますと、法律上、各市町村は、二月あるいは三月の市町村議会におきまして、平成十二年度から向こう三年間保険料額を一括して条例で定める必要がございます。したがいまして、遅くとも二月までには、二カ年にわたる保険料軽減に関する国の交付金を具体的な金額として確定をさせまして、一括して各市町村に交付するということが必要になるというふうに考えております。  また、この高齢者保険料の軽減とあわせまして、準備経費の一部にも充てることができるような措置も講じたいと考えておりまして、これは年度内にも執行するということになりますので、これも当然年度内の措置が必要になってまいります。  また、医療保険者対策に関連をいたしましても同様でございまして、要は具体的な財政措置を早期に講ずる必要がある。事情は市町村保険者と基本的には同様でございます。  さらに、このほかに基盤整備に関連する経費、これも早期にサービス体制を強化する、充実させる必要がございますので、従来から補正の機会をとらまえて前倒し的に実施をする経費でございますけれども、今回これも盛り込みたい。  これらのことから、いずれの措置につきましても今次の補正予算に計上する必要があると考えておりまして、現在その作業を進めているところでございます。
  33. 福島豊

    福島委員 次に、医療保険者に対しての支援ということで若干疑問点がございまして、お尋ねしたいんです。例えば健康保険組合に対しての財政支援ということですが、どういうタイミングでこれが行われるのかといったような点、そしてまた、国保に対しましては、収納率が低下した国保に対して財政支援を行うということになっておりますけれども、収納率の低下というのをどういう時点で評価をして、そしてそれを特例交付金の算定に当たりましてどういうふうに反映させるのか、そういう具体的な手続につきまして現在の厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  34. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 今回の医療保険者対策でございますけれども、医療保険者の財政等の状況を酌み取りつつ財政支援を行うという基本原則でございます。具体的な方法についてはまだ検討段階ではございますけれども平成十二年度と十三年度の二年にわたりまして、財政状態の厳しい医療保険者に対しまして行うことを基本として考えているところでございます。  なお、先ほど老人保健福祉局長からもお話ございましたが、介護保険法の施行前におきましても広報とか普及啓発活動等がございますので、その準備費用、これにつきましては今年度内にも執行できる、こういうことを考えているわけでございます。  次に、国民健康保険でございますけれども国民健康保険は従来から大変厳しい財政状況にあるわけでございます。これに加えまして介護保険料が上乗せになる、こういうことでございますので保険料の収納率が落ちるのではないか、こういう懸念が前から指摘されているわけでございまして、これについて財政支援を行いたい、こういうことでございます。  収納率の低下の評価というのをどうするかということでございますが、私ども現在考えておりますのは、介護保険の第二号被保険者でございます国保の被保険者の属します世帯、ですから二号被保険者を抱えている世帯の収納率とそれ以外の世帯の収納率というものを比較いたしまして、有意に下がっているかということを基準にいたしまして財政支援を行いたい、こういうふうに今検討しているところでございます。
  35. 福島豊

    福島委員 次に、これも新聞報道等で扱われておりますが、自治体の判断で行われる上乗せ、また横出し給付に対応する保険料ですけれども、これについても今回の特別措置で対応していただけることになるのかどうか、この認識をお聞きしたいと思います。
  36. 大塚義治

    大塚政府参考人 介護保険制度におきまして、市町村が独自の判断に立ちまして実施をいたしますいわゆる上乗せでありますとか横出し分につきましては、公平の観点というものもございますので、今回の特別措置の対象とすることは考えておりません。
  37. 福島豊

    福島委員 それから、これもさまざまな懸念の中の一つとして挙げられておりますのは、ホームヘルパー利用者の利用者負担の軽減という措置でございますけれども、これは既利用者、既に利用しておる者に限定されるということになっております。  ですから、制度施行に向かいまして、やはり自分も使っておかなきゃいかぬなということで駆け込み需要がふえるのではないかとか、そしてまた、どう考えてもこれはやはり不公平だなという見方もあるわけでございまして、この点については新規の利用者にもこの経過措置を拡大すべきではないかというふうに私は思いますが、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 大塚義治

    大塚政府参考人 介護保険法上、御承知のことでございますけれども、一割の利用者負担というのが基本になっておりまして、新規の利用者あるいは他のサービスの利用者につきましては御負担をいただくことになるわけでございますけれども、低所得者につきましては、いわゆる高額介護サービス費の自己負担限度額を一般の方よりも低く設定をいたしたいと考えておりまして、無理のない範囲で御負担をお願いできるようにいたしたいと考えております。  ただ、現在、現にホームヘルプサービスを利用しておられる方につきましては、多くの方が現実問題として低所得の方でございますし、現在の制度では負担がほとんどないという仕組みになっておりますので新しい制度導入に伴いまして急激に負担が増加する、負担感を強く持たれるということになる懸念もございますので、今回の特別対策におきまして、激変緩和という観点に立ちまして、法施行時にホームヘルプサービスを利用されている方につきましては、経過的に軽減措置を講じようというものでございます。  また、駆け込み需要の御懸念ということもございますけれども、現在低所得の方を中心に御利用いただいているという実態も勘案いたしますと、私どもの見通しでは、そうした懸念はそれほど大きいものではないというふうに考えております。
  39. 福島豊

    福島委員 そもそも論で、なぜ一割負担でなければいかぬのかという話を、随分昔の委員会の審議で私も質問をした記憶がございます。実際に制度がスタートいたしまして、厚生省が定めた高額介護サービスということで本当に利用者の使い勝手が悪くならないかどうかというようなことについては、十分私どもは注視をしていかなきゃいかぬと思いますし、利用者のさまざまな自己負担が大きくてなかなかサービスが利用できないというような事態は、もし万一そういうことが起こるのであれば、速やかにこれは見直しを求めてまいりたい、そういうふうに私は考えております。  もう時間も残り少なくなりましたので、あと一点だけ。  デイサービスの件でございますが、さまざまな方が利用しておられます。先日も私、横浜市のデイサービスの施設を見に行ってまいりましたけれども、これが介護予防ということで極めて大きな役割を果たしているというふうに思います。  しかし、要介護認定から外れる方というのがかなり多数出てくるのではないかというふうに推定されております。デイサービス事業に取り組んでおられる事業者の方も大変不安に思っておりますし、そしてまた、現に利用しておられる方も大変不安に思っておられる。  これについては、一定の予算の措置が盛り込まれて、それぞれの自治体の判断で行われるということになるわけでございますけれども、しかし、現場の混乱が起こらないように適切な御指導をいただきたいというふうに私どもは思っておりまして、この点についての御見解を最後にお聞きしたいと思います。
  40. 大塚義治

    大塚政府参考人 現在デイサービスを利用している方々のうち、新しい制度によりまして、要介護認定制度の中では自立というふうに判定される方が一定の割合で生ずる可能性は、おっしゃるようにございます。したがいまして、介護予防、生活支援といった観点から、市町村などによりますさまざまなサービス提供を拡充していくことが必要であるということは、私どもも十分認識しているところでございます。  既に平成十二年度の概算要求におきまして、こうした事業を昨年度に比べまして拡充する要求をいたしております。例えば生きがい対応型デイサービス事業でありますとか、新しい事業を追加いたしまして拡充を要求しておりますけれども、今回の特別対策におきましてもさらに追加をいたしまして大幅に増額をするように、これは十二年度当初要求ということになりますが、追加の要求をするということを考えているところでございます。
  41. 福島豊

    福島委員 以上で持ち時間が終わりましたので質問を終わりにいたしますが、大変大きな制度を動かすわけでございます。大臣も当初の企画から携わっておいでになられたというふうに私は思っておりますが、円滑な施行に向けましてしっかりと御努力をお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 江口一雄

  43. 武山百合子

    ○武山委員 自由党武山百合子でございます。  早速質問に入らせていただきます。  ここのところ新聞報道やテレビ報道から、私の党は、党からもちろん話も聞きましたけれども、国費一兆円以上の投入ということで、四月から予定どおりにスタートする予定でいたわけですけれども自由党税方式という話もありまして、三党の中で、三党を優先するという形でこういう結果になったということはわかりますけれども、地元に行きましたら、選挙目当てじゃないか、理念はどこへ行ったのか、何しろ将来の展望もないじゃないかと言われておるわけなんです。  もう一度厚生大臣に聞きたいのですけれども理念そのものを国民にぜひ説明していただきたいことと、どういう経過でこういう話になったという、大枠でぜひお聞きしたいと思います。
  44. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先生も御案内のように、今、寝たきりのお年寄りは全国で二百八十万人おります。これが将来は五百二十万人まで見込まれております。そして、これまではいわゆる私的な問題として、一家庭の問題としてとらえられてまいりました。しかし、余りにも家族負担、しかも主に女性の皆さん方の犠牲のもとに行われてきた、これからは社会全体で支え合っていこうではないか、これが基本理念でありまして、今回のいわゆる三党の申し入れを受けた政府基本方針の中で、この理念というものは変更はしておらないということをまず申し上げる次第でございます。  それから、今回の議論を通じましていろいろな議論がそれこそ百家争鳴のごとく出て、要するに噴出しておるわけでございますけれども、もし仮に現場の皆さんの中に混乱を招くようなことがあったら、私どもは厳にその点を十分に反省しながら、いずれにいたしましても、来年の四月から円滑な実施に向けてさらに最善の努力をするように頑張っていかなければならない、こう考えているような次第でございます。  それとともに、私は、国民の生活に直結する介護保険というものを選挙目当てであるとかあるいは政略に関連づけて考えるということは、そういうことはないと思いますが、厳に慎んでいかなければならない問題だ、このように認識をいたしておるような次第でございます。
  45. 武山百合子

    ○武山委員 時期的にいつ選挙が行われるかわからないという現実なものですから、国民はもちろん状況がよくわからないということもありましてそういうことを言われるわけですけれども、今、地方公共団体、市町村は、突然のこういう状況で、こういう徴収の状態の変化、それから半年の後は一年間半額にするという状況に、パニック状態といいますか、そういう状態でいるところもあります。  それで、議論が混迷したわけですけれども、その中で、我が党が税方式ということで主張しているのですけれども厚生大臣は社会保険方式がやはりいいのかどうか。もちろん、いいというスタートで議論したわけですけれども、その辺が我が党と大変食い違うところで、今、保険方式がいいという、その点をぜひもう一度国民に説明していただきたいと思います。
  46. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、御案内のように、医療にしても年金にしても、そして来年の四月からスタートする介護保険にいたしましても、我が国の社会保障というのはすべて社会保険方式に基づいてなされておるということは、武山委員も御理解いただけることと思います。  それで、まず社会保険方式はどういうところがメリットがあるかということでございますけれども負担と給付の関係というものが明確になるんだ。この点が、税方式の場合は一律みんな同じでございます。今回の場合、特に介護保険というのは地方分権のシンボル的なもので行われるわけでございますが、それぞれの市町村がそれぞれの住民のニーズによってさまざまなサービスを行っていく。こういうものが税方式ですと全国一律になってしまう、その辺のところはいかがかな、こういう思いがございます。  これからは、私は率直に申し上げて、市町村によっては、いや、私のところは社会保障よりはもっともっと公共事業に力を入れるんだとか、さまざまな観点があると思いますが、そういう中で、住民の皆さん方のニーズに応じてやっていくというのがまさに社会保険方式でございます。それから、これまで社会保障の分野というのは、一般の民間活力というものに対してどちらかというと閉ざされた嫌いがあるわけでございますが、特に在宅サービスなどは、農協さんであるとかあるいは会社の事業者であるとか、いろいろな方々が大変この問題について熱心に取り組んでいらっしゃる。そういう意味において、これまでかつてないほどの議論を呼んで、そして、かつてないほどの広がりを呼ぶ。これが税方式ですと、先生御案内のように、予算が決められて、その中でやっていくということでございますので、その点で社会保険方式の方が最も適当ではないかな、私はこのように考えているような次第でございます。  これは介護保険だけでないのですが、医療、介護、年金につきましては、平成十一年度で国庫負担を合わせまして八兆八千億円でございます。一方、消費税収入は国の分といたしまして現在七兆三千億円と、既に一兆五千億円ほど不足いたしています。これが、高齢化がさらにピークになると見込まれております二〇二五年には、医療、年金、介護を合わせまして、私どもの推定ですと百兆円になるだろう。百兆円になりますと、これを現在の消費税で賄おうといたしますと、三六%になるんです。  これは実際問題として、確かに北欧の中には大変高い消費税を課しているところもあるように聞いておりますが、今我が国において、三%から五%に導入するときも大変な議論を呼んでなかなか国民皆さん方に御理解をいただけなかった、こういうことを踏まえますと、率直に申し上げて、今の時点で消費税に踏み切るということは、私は個人的には現実的ではない、このように考えているような次第でございます。
  47. 武山百合子

    ○武山委員 社会保障制度保険方式に大変こだわっているというか、これは私個人のあれですけれども。  また、国民年金も賦課方式といいまして、基礎年金、医療、国民健康保険、それも賦課方式で保険制度ですけれども、ずっとやってきて、その欠陥というものもお考えになったと思うのですけれども、現実に未納者が大変多い。それで、社会保険方式では将来破綻が来るということで、やはり国民は不安に思っているわけなんですね。  自由党が主張しております消費税で賄うという意味では、我が党の試算ですと決して三六%にはならないのですけれども、しかし、すべて今消費税で賄うというふうには言っていないわけなんですね。段階的にやるという、中身は細かい部分になりますけれども、それを全部やろうというふうには今のところ言っていないのですね。段階的にやる。もちろん丹羽厚生大臣は、議論の中でその話は十分聞いておると思いますけれども。破綻してしまった。  それから、高齢者医療、基礎年金、そして介護という三つの社会保障制度の中で、相変わらず社会保険方式がいいのか、税でいくべきか、ほかに何かあるのか、そういう議論は十分されてきたと思いますけれども、私からいいますと、相変わらず社会保険方式にこだわっているという部分がある。  社会保険方式の欠陥の部分はどういうふうにして埋め合わせする予定でしょうか。
  48. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私自身は決してこだわっているわけではありません。  御案内のように、現在の社会保険方式と申しましても、自己負担、それから保険料だけでは過重な負担を伴うということで、公費を投入しているということであります。これは私はいわゆる日本型の社会保険方式ではないかな、こう思っております。  そういう中において、少子・高齢化社会がだんだん進んでまいりますと、昨日も申し上げましたけれども、支える人間が少なくなって支えられる人間が多くなる、ここが大変大きな問題でございますけれども、これは、先ほどから私が申し上げておりますように、また三党の合意において、二〇〇五年において、年金、後期高齢者の医療、それから介護の問題について公費を半分まで、五〇%まで持っていく。こういうような形において、いずれにしても、社会保障というのは生活保護的な色彩のものではなくて、国民皆さん方の世代間の支え合いというものがなければ成り立たない。  特に必要なことは、先ほどから申し上げておりますように、ざっくばらんな話、保険料を払わない方ももらうということではなくて、あくまでも給付と負担関係というものを明確にして、そして非常に限られた、非常に財政事情が厳しい中においてみんなで支え合っていくんだ、この根本的な考え方がなくなれば、いわゆる社会保険方式というのはなくなっていくんじゃないか、私はこう思っております。  生活保護的な色彩が強く、あくまでも措置制度としては、これは率直に申し上げて、時代の流れに逆戻りしているのではないかな、私はこう思っております。今、生活保護費というのはたしか一兆円を超えております。いろいろな問題が出ております。こういう問題をも含めて、私は基本的に真の意味で、いわゆる社会保険方式では十分に面倒が見られないような難病の方々であるとか、公費でサービスしなければならない障害者の中の給付サービスの一部の問題であるとか、こういうものはきちんとしなければならないわけでございますが、少子・高齢化社会を迎えて、そして極めて厳しい財政状況の中で、みんなで世代間の連帯という中で進めていくことが現時点においては適当ではないか。  しかし、いずれにいたしましても、二〇〇五年までに与党三党の間で検討していただくということでございますので、その点は十分に尊重したい、このように考えているような次第であります。
  49. 武山百合子

    ○武山委員 そうしましたら、福祉のために使うといって消費税導入したわけですけれども、それと議論がどうなりますでしょうか。
  50. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御案内のように、平成十一年度予算総則の中におきまして、この三つの分野に消費税を充てるということを決めております。しかし、先ほど申し上げましたように、一兆五千億円不足しているのですから、予算総則の中で決めても、何かもう一つ説得力に欠けるのではないかという嫌いがあることは率直に申し上げて認めざるを得ないわけでございます。  私は、そういう意味において、将来はどこの分野までどうするかという問題は別といたしまして、いずれにいたしましても、そういうことも大変有力な意見であるということは私も承知をいたしております。
  51. 武山百合子

    ○武山委員 その辺が国民に非常にわかりにくいのですね。上げるときはさんざんあの手この手で、国民から見ますと、消費税を上げるのはこれこれこういうものに使うのだ、すなわち、自分たちが将来年をとったときのための高齢者医療だ、介護保険だ、福祉のために使うとさんざん説明した割には、ぱっと上げてしまって、実際はそれが国庫に入ってしまって、実際には使われていないのじゃないかと国民は解釈しているわけなんですよ。  ですから、そこのところを、今お話ししたところを国民にわかりやすく、こういうふうにして使っているんですよという説明がないということが、国民が大変わかりにくく、政治の世界からついつい遠ざかってしまう一歩でもあるわけなんですね。その辺をよく説明していただきたいと思います。
  52. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから御説明申し上げておりますように、消費税だけでは足りないのだ。要するに、先ほど申し上げた社会保障の三つの分野において既に一兆五千億円も不足しているのだ。この点が残念ながら、先ほど私も申し上げましたように、国民皆さん方にもう一つ理解をいただけない一つの理由ではないかと思っております。  そういう意味におきまして、私どもといたしましては、その分だけ消費税を今すぐ上げたらどうかということでございますけれども、私は現在の経済環境等を踏まえますと、必ずしも国民皆さん方の御理解を得られるとは考えておりません。そこで、私といたしましては、あくまでも消費税というのは現時点においては社会保障の財源の主力をなすものである、このように位置づけて考えているような次第でございます。
  53. 武山百合子

    ○武山委員 国民が今のお話でわかったかどうか、実際はもうちょっと政治の部分でも国民に説明しなければいけないわけですけれども。そこの部分はさておいて、時間も来てしまいましたので、もう一つ聞きたいと思います。  自民党の政調会長の亀井さんが、先日、家族介護に対する慰労金のところで、固定して考えていないということを評価したということなんですけれども、その辺はどういうふうな……。厚生省が家族介護保険から報酬を支払う条件として、他人に対する介護活動時間が同居する家族介護時間を上回るということを決めているわけですけれども、そのことに対して亀井さんが固定して考えていないことを評価したと述べて、弾力的に運用する必要性を強調したというんですね。ですから、またそれに対して改めて議論する機会があるのかどうか。
  54. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 家族介護に対するいわゆる慰労金の問題ではないかと思いますが、これはあくまでも、まず御理解をいただきたいのは、介護保険制度の枠の外で行っているのだということでありまして、予算措置で行われているのだ。  その中で、現金給付について、いわゆる重度、低所得者の方々に限定をして年間十万円までお払いしましょう、こういうことでございますが、あくまでもこれを実際に行うかどうかは市町村の判断でございますので、その点についてはちょっと御質問の趣旨が私ものみ込めない点がありますけれども、これはあくまでもどのように使うかということについては市町村の判断に基づく、そういう意味において固定をしていない、こういうことではないかと思っております。
  55. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、市町村がある程度自由に弾力的にいろいろと判断をしてやってもいいということですね、しかし上限は決まっていると。そういう意味に解釈して……。  時間が参りましたので、どうもありがとうございました。
  56. 江口一雄

    江口委員長 山本孝史君。
  57. 山本孝史

    山本(孝)委員 民主党の山本孝史でございます。  きょうは、小池百合子経済企画総括政務次官にもお越しをいただきまして、お忙しい中ありがとうございます。質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、厚生大臣にお伺いをいたします。  確認でございますが、今回政府が出されました見直し案というものは三党が合意した案であるのかということが一つ。それと、最終的な案なんでしょうか、来年四月までにまた見直しがあるということはあり得るのでしょうか。この案は三党合意案か、最終的な案なのか、この二点についてまず認識をお伺いします。
  58. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の政府の特別対策は、連立与党の三党の政策責任者の申し入れを受けて、政府として重く受けとめるということで決めたことでございます。この問題につきましては、官房長官を初め、関係閣僚皆様方とも十分に協議をいたしております。最終的に総理の御判断をいただいたものでございます。  政府といたしましては、そういうことで最終的な案と申しますか、もうすぐ四月の、間もなく始まるわけでございますので、この方針に変更はございません。
  59. 山本孝史

    山本(孝)委員 これから先、変更はないという認識厚生大臣はお示しになったわけですが、恐れ入ります、小池政務次官自由党としてのお立場をいろいろ新聞で私たちは拝見をしているだけなので、御確認をひとつさせていただきたいのです。  今これは最終案だとおっしゃいました。自由党は今連立を組んでおられまして、小沢党首が記者会見で月末の第二次補正予算の提出までにまだ再論議をするのだという御発言をしておられる。これは最終案ではないのだという認識をお示しになっておられるように思うんですけれども自由党としてはこれには納得しておられない、まだ論議をしていくというお立場でございましょうか。
  60. 小池百合子

    ○小池政務次官 山本委員の御質問にお答えしたいと思いますが、その前に、初当選以来、日本新党、そして新進党と、ずっと年金、介護、社会保障問題に真剣に取り組んでこられました山本委員の御労苦にまず敬意を表したいと思います。  このいわゆる政府案が最終かどうかということでございますが、自由党考え方をここで私が代表する立場には本来はないわけでございまして、むしろそれに対しての景気の影響はどうかとか、そういったことを本来政務次官としてはお答えするべき立場だというふうに思っております。  しかしながら、昨今の動きということで、ここで自由党考え方を整理して申し上げたいと思いますが、高齢化の社会を迎えるに当たりましては、民間活力が十二分に発揮されますよう、社会経済安定のためのセーフティーネットを構築するということが最重要課題であるという認識は今も当然変わっていないわけでございます。だからこそ、与党三党が合意した今回のいわゆる見直し案を提出したところでございます。  よって、これは時々間違える方がおられるんですが、我々は介護制度そのものに対して反対をしているわけではない。介護サービスは社会のニーズであり、また、これからそれに対してベストな案をみんなで構築していかなければならないということは主張し続けておりまして、介護制度そのものに反対しているわけではないということを改めて御認識いただきたいと思っております。  また一方で、年金問題、年金制度と同様に、この介護というのは、例えばわずか数年間というような短期の話ではございませんで、何十年にわたって続けていくということで、長期の運用にたえ得るものでなければならない。それだけに、今回、介護制度がスタートするに当たりましては、さまざまな問題点、これから何が起こるかわからない、未知の問題点も含めて、これを与党三党連立政権においてベターなもの、そしてベストなものに持っていく努力をするのは当然であるというふうに考えております。  その中で、最大の違いでございますが、これは先ほど武山委員の方からもお話がございました。また、何よりも新進党の中でこの介護制度について一番研究をしっかりなさっていたのは山本委員御本人だというふうに承知をいたしております。  そういう中で、この介護の問題は、実際には料金の徴収を含めた制度の運用の中で主体性を持つべき自治体の受け入れ体制なども勘案しなければなりませんし、また一方で、何よりも国が基礎的社会保障に関しまして責任を持つこと、つまりナショナルミニマムを明確にしていくことで老後、疾病の不安を取り除くことが大変重要であるというふうに考えるわけでございます。  その意味で、我々自由党はこれまでの新進党のときの主張を引き続き継承いたしまして、税方式を主張させていただいたところでございます。その意味では政策は一貫しているというふうに申し上げたいと思っております。  そして、負担の公平化を図るということと基礎的社会保障の財政基盤を確立するという、この両方を長期にわたって実行するためには消費税の福祉目的税化が必要であるということを踏まえ、その金額を基礎年金、高齢者医療、そして介護財源に充てるということは従来から主張をし続けているところでございます。  政党というのは、政策を主張しなければ政党の意味がないと私は考えているわけでございます。先ほどの御質問にお答えするならば、これは、私どもは政党の、そして連立政権与党の中にいる一員としての責任として、我々の主張をしっかりとお伝えをし、また、これは連立政権でございますので、一〇〇%満額でなければ嫌だということではございません。そして、その中でよりよい方法を与党協議を通じて引き続き主張を続けていきたい、かように考えているところでございます。
  61. 山本孝史

    山本(孝)委員 小池次官はとてもすばらしい自分の御意見を持っておられますし、弁舌さわやかでいらっしゃいますので、こういう場面を設定するとすこぶる自由党のPRをされるだろう、ここまでは想定はしているんですけれども、私の質問は、今の案からの変更を求めていくことがあり得るのかというところにあるわけですね。  今お話の中におっしゃいました、連立なんだから一〇〇%満額回答を求めることはないという言葉と、しかしながら税方式を主張しているんです、この点は変わりませんと。  こういうふうに考えますと、これは質問を変えさせていただければ、藤井幹事長は三党合意では保険料徴収しないということになっているんだというふうに三党合意の内容を御説明されておられます。しかしながら、今度、半年の凍結の後に一年間保険料半分徴収、そして十三年の十月からは全額徴収という形になっていますね、合意案は。そうしますと、保険方式というのを前提にしているというところからすると、その内容を踏まえた今回の第二次補正予算、この月末にでも出てくるのかもしれませんが、この第二次補正予算には反対をするんだ、自由党は反対である、こういうふうにもおっしゃっておられる。  そうしますと、今の政務次官あるいは小池さんとして、今の案のままで盛り込まれた補正予算が出てきたときに、自由党としてはそれに賛成されるんですか、あるいは反対されるんですか。
  62. 小池百合子

    ○小池政務次官 その御質問は幹事長もしくは小沢党首にしていただければと思っております。  今、私は政府の中におりまして、そして与党三党協議を傍らで眺めつつ、そして私は自由党の一員とすれば、これまでの主張が最大限取り入れられる、そこを考えていきたいというふうに思っております。
  63. 山本孝史

    山本(孝)委員 政治家同士の議論をやろうというときになって、確かに、政府の一員であるからという御主張をされるわけですね。  そうすると、三党の連立政権がそれぞれ協議をされて、その合意があるのかないのか。その合意をしっかり受けとめて、それを反映した政府案をつくった、見直し案をつくったと丹羽厚生大臣はおっしゃっておられる。自由党皆さん方は、新聞紙上で、補正予算には反対をするんだという御主張もされておられる。一体どっちが本当なんだ、自由党は一体どっちの考え方なんですかと思うわけですね。補正予算に対して反対をされるのであれば、これは連立解消ですかという話になりますね。  きょうのある新聞を見ましたら、「自由、自民に合流打診」、こういう見出しが立ってくるわけですね。片方で補正予算に反対をするというようなニュアンスを出しながら、片方では自民党と一緒になるんだ、こういう話は、政府の一員であられるかもしれませんが、これは自由党の名誉ということから考えても、あなたたちは一体どっちに行こうとしているんだという話は国民にとって非常にわかりにくい。  だから、御主張されておられるのは、御主張されておられるままですか、結局補正予算に賛成されるのですかという話になれば、自由党の今までの税方式というのはどこに行ってしまうのですかという話にもなってしまいますので、これはどっちなんですか。合流をされるというようなことも出てくる中で、補正予算というものに対して自由党はどうされるのですか。それは幹事長がお決めになるというのは今の時点かもしれませんが、であれば、我々はここではなかなか審議は進みませんね、この政府案というのは。  こういう無責任法案政府案を出してこられては困りますので、三党合意でやっておられるのであれば、これは補正予算はどうされるのですか。重ねてお伺いいたします。
  64. 小池百合子

    ○小池政務次官 自由党の行く末に大変不安を抱いていただきまして、まことにありがとうございます。  また、この問題は、先ほど来申し上げておりますとおり、各政党間での協議に今入っているわけでございます。そしてまた、立場を、政府の一員だからと、そこで分けるなというような御趣旨をおっしゃいますけれども、しかしながら、その与党の協議は担当者に任せているわけでございまして、そこで刻一刻どのように変化をしているかということは、私は承知をいたしておりません。  ということで、先ほどの補正予算に対しての賛成か反対かということを私に今聞かれましても、現在のところそれにお答えする材料を持っていないというのが私の答えでございます。
  65. 山本孝史

    山本(孝)委員 三党連立というものの内容が今の御答弁でもよくわかります。  一々どういう動きをしているかを把握する立場にはない、それはそうだと思います。しかし、たとえそれが補正予算であれ、予算というものを組んでいるというときに、その内容についてどうするのだという話が、その中に所属しておられる方がたとえ政務次官であっても、まだまだこれから変わっていくかもしれないというニュアンスで御答弁をされますと、今回の見直し案は最終的な見直し案なのかという最初の質問に対する大臣の御答弁は、そのまま真に受けるわけにはいかないというふうに私たちは思うわけです。  そういう意味で、今後変わっていくのであれば、変わっていくたびに、やはりこの委員会を開いてしっかりとした議論はさせていただきたいというふうに思います。  大野政務次官にもお伺いをしておきたいと思いますが、御党の坂口政審会長が、平成十二年十月までの一年間凍結期間を設けたのは制度の改革を協議するための時間なんだ、この一年間にいろいろ考えるんです、こうおっしゃっていますね。この一年間法律改正を求めて、国民により安心してもらえる制度をつくりたい、こういう御発言もあります。では、具体的にどのような改革を公明党としてはお考えなのか。  例えば、凍結が終わった後の平成十二年の十月からは半額を徴収するという方針になっておりますが、この方針を変更されるというようなことはあるのですか。
  66. 大野由利子

    大野(由)政務次官 私は公明党を代表してお答えする立場ではございませんが、御存じのように、公明党は、保険在宅介護に限定をして、施設の中でも療養型病床群と老人保健施設は従来どおり医療保険で、そしてまた特別養護老人ホームは税で、そういうことを主張しているわけではございますが、しかし、あくまでそれは、先ほども申しましたように、三党の連立でございますので、主張すべきところは主張するけれども、譲るところは譲るということで、来年四月から現在の介護保険制度実施をする、こういうことで合意をしているわけでございます。  今後のことにつきましても、三党の連立協議にしっかりゆだねてまいりたい、そしてその連立協議を踏まえて政府の適切な決定に従ってまいりたい、このように思っております。
  67. 山本孝史

    山本(孝)委員 私は、この場で今度は公明党の方にはぜひPRをしていただきたいときのう申し上げたわけです、こういうことを考えているのであればこの方向に行くんだというふうに。今度は政務次官というお立場で入られて、かねてからの公明党の御主張、いろいろあるものが実現していく、それはいいことだと思っている人たちもいるわけですね。  それで、一年の間に改革をするのですと。じゃ、具体的にどこをやるのだ。自己負担の三%、一割に戻っていくのはいかがなものかと思いますとおっしゃっています、十万円の介護慰労金部分も大変限定的になっている、これもどうかなと思います、こういろいろおっしゃっているわけですね。そういった部分があって、では、どうなるの、どうしたいのと言うと、これは三党協議にまっているからという話になりますと、我々国民は一体どこにいるんだ。待っていればいいんだと。どこまで待つんだ、こういう話になってきて、将来像が非常に見えにくくなるんです。  そういう意味で、きっちりとしたことをお話しされればいいのじゃないか、その内容次第によっては法律改正もあり得るわけですから。そうすると、平成十三年度から改正された介護保険法というものが適用になるのか、この一年間の間に法律は改正されるのか、そういう方向に持っていきたいというふうに政務次官としてはお考えになるのですか。
  68. 大野由利子

    大野(由)政務次官 山本先生とは私も同じ新進党で一緒にこうした福祉の問題を一生懸命検討してきた間柄でございますので、山本先生の御主張、また一生懸命エールを送ってくださるのがよく心情としては理解をする次第でございます。また、今回の特別措置公明党が主張してまいりました利用料の軽減等々、公明党の主張も今回の中で大きく反映をしている、このように思うわけでございます。  今後のことにつきましても、しっかりこの三党の連立の協議の中でこういう問題を検討していくのがしかるべきじゃないか、このように思っております。
  69. 山本孝史

    山本(孝)委員 もう来年の四月から始まる、準備期間は五カ月を切っているという中で今回の大きな見直し案が出てきて、さらに、そこではまだまだ不十分だ、これから先もまだ見直しをしなければいけないと。  制度というものは、小泉さんがこの委員会の中でもおっしゃいました、完全なものはないのだ、不完全でもいいから、スタートしてからよくやっていけばいいんだ、こういう話はありますね。ありますけれども、しかし、政治家なんですから、ここは一定のビジョンを持って、こうなるという予測を持って、変えるべきものは変えるんだという話でいかないと。ころころ変わるのですというのは困るのですよ。自治体も困るし国民も非常に混乱するわけです。  だから、どこまででどう変わっていくのかという話は、三党協議、三党協議とさっきからお三方ともおっしゃるのだけれども、それは非常にわかりづらい、外から見ていて。しっかりとした介護保険の将来像はこうなんだ、ここは変えていく可能性はあるけれどもというふうにはっきりおっしゃるべきだ。厚生大臣はこれが最終案だとおっしゃるから、ではこれでいいのかと思っていると、また違う。こんな話になってきたら、社会保障の将来像なんて考えられませんよ。とりわけ介護保険の場合は、介護保険料は年金から天引きされるから。医療保険の将来だって変わってくるでしょう。だから、そんなものが全部変わるので、介護介護だけでやっているけれども介護と医療と年金を同時に話をしていかないとわからないのですよ。だから、介護はどうしようかという話は、もっと広い視野でもって大臣なり政務次官なりがリーダーシップを持ってこうなるんだというビジョンを語っていただかないと、三党協議の結果待ちだという話ばかりしていると、政治家なんて要らないよという話になりますよ、私から言わせると。そう思いますけれども。  質問がいっぱいあるので先へ行かせていただきます。  小池政務次官には国債の増発で、宮澤さんは幾ら出してもいいんだとまたおっしゃいましたけれども、大蔵大臣らしい発言だなと思いますけれども、これをやっていると介護の本題へ行けませんので、申しわけありませんけれども。  丹羽厚生大臣にひとつ御確認というかお願いをさせていただきますが、介護サービス量の平成十四年度以降の見込みはどの程度になるのかという問題です。  これは、私が八月に質問主意書を出しまして、九月の中旬に受け取ったんですけれども介護サービス量の平成十四年度以降の見込みについては九月末を目途に中間的に取りまとめる予定だ、こうおっしゃいました。厚生省の職員の方も来るたびに、九月末には、先生質問主意書の答えを出しますからとおっしゃって、十月が過ぎ、十一月の今まで来ているわけですね。これはなぜ出ないのですか。平成十四年以降の介護サービス量は、各市町村がつくった事業計画の積算する数字を厚生省は持っているのになぜ発表しないのですか。
  70. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、平成十二年度から十六年度までの五年間介護サービスの量の見込みでございますが、地方自治体からの報告をもとにいたしまして現在取りまとめ作業をいたしております。  それで、ただいま先生から御指摘がございましたような、九月を目途に報告をする、こういうことで予定をいたしてございましたけれども、現在数値を精査する作業に大変時間がかかっておるということでございますし、また、率直に申し上げて、私自身も、こういうことをこういう場で申し上げるのはなにかと思いますが、特別対策等の問題でここ一週間ぐらいほとんど寝ておらない状態でございます。現場の人間もそういう意味において全く不眠不休でやっておりまして、これは理由にならないことかもしれませんけれども、できるだけ早く先生の方に御報告を申し上げたい、このように考えております。
  71. 山本孝史

    山本(孝)委員 理屈になりません。ここ一週間寝ているか寝ていないかという話は、三党の協議の中でもめている話であって、我々は関係しない。  私は、これは八月から、夏からずっとやっているのですよ。九月の末までには中間的に取りまとめて出せますと、何回もこの答弁を聞いてきましたよ。これは質問主意書に対する答弁書ですよ、内閣の答弁ですよ。内閣の答弁はあなたたちの仕事の都合で勝手にこんなに変わるのですか。十四年以降の数字、こんなものはエクセルシートで全部厚生省に上がっている話じゃないですか。それを集計すればいいだけの話でしょう。なぜその数字が出せないんだ、何が精査なんですか、自治体のやっていることをあなたたちは信用していないのか、私はこう思うわけですね。いつまでに出すのか、早く答えてください。——大臣として早急に出すとおっしゃったので、いつまでに出すのだ、早急というのは、そんな何週間もかかる話じゃないと思いますから。  しかし、大臣、私がなぜこれを言っているかというと、五年間事業計画をつくるでしょう。十二、十三、十四の三年間のサービス量の見込みをつくって、それで二千八百八十五円だとかというような金額が出てくるわけですね。その次に、十二、十三、十四が過ぎると十五、十六、十七の三年間保険料をまたつくるのでしょう。その前提になるのはサービス量なんですよ。各市町村がどのぐらいサービスを出すかという話なんです。それは五年間事業計画で各市町村から全部上がってきているわけです、厚生省に。そういう意味でいけば、この数字を見れば、これから先どのぐらい市町村保険料が上がるかということを想定できるのです。我々は想定ができるのです。そういう数字があって初めて、年金の、とりわけ基礎年金の水準をどうしようか、あるいは医療保険に対する老齢者の負担はどうなるんだろうかという次の話になってくるわけです。だから、基礎的な数字一つだから精査をして、そこで多く出すのか少なく出すのかというような話じゃなくて、判断するのは我々なんだから、数字を早く出してくださいと申し上げている。いつまでに出していただけますか。
  72. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 できるだけ早く出すように、提出しますように、私が責任を持って督促したいと思います。
  73. 山本孝史

    山本(孝)委員 再答弁に立たれて同じ答弁だったら意味がないと思います。  丹羽厚生大臣も、今回のこの保険料の凍結あるいは半額といった措置を講じた後に、私は地元でいろいろ説明会をやるんですけれども保険方式だと一生懸命説明してきましたよね。保険料は高いけれども、低所得者対策はやるからここは我慢してくださいよというので一生懸命説明をしてきた。それが、何か二階に上がってはしごを外されたみたいに、凍結だとかあるいは半分でいいんだという話になるでしょう。取ると言っていたものが取らなくていいよと言う。でも、その後また取る、しかも三年間たったらさらに高いものを取る、こういう話をするわけですよ。だから、そういう制度見直しというのは、私は、担当者にとっても説明し直しですし、とても苦しい話になるというふうに思います。  そのことも含めて、新聞とかを見ていましても、各自治体から、もういいかげんにしてほしい、我々の意見は全く聞いてもらってないじゃないかとか、あるいは困惑のレベルを超えているとか、これじゃ説明できませんよとか、いろいろこういう声が市町村から上がってきているわけです。  しかし、丹羽厚生大臣は記者会見で、今回の見直し市町村からの強い要請に基づくものだとおっしゃっておられる大臣認識と、市町村から出てくる、例えば全国知事会にしても全国町村会にしても、あるいは経済団体も含めて、いろいろなところから今回の見直しは反対あるいは遺憾だという表明が続いておりますね、そういう現実と、大臣のこれはいいことをやったんだという認識と、私は随分かけ離れているというふうに思うんですけれども大臣の御認識はどうなんですか。
  74. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、山本委員も十分に御理解いただけると思いますが、一番大切なことは、来年の四月から円滑に介護保険制度というものを実施することだ。  その中で、率直に申し上げて、九月からですか、審査会が行われている状態でございます。実際問題、私も現場を幾つか見ました。そうすると、大体夜の八時ごろから医師の皆様方であるとか福祉関係皆様方にお集まりをいただいて、実は一日に十数件しか審査できないとか、大変大きな問題がございます。それから、実はそれほど深い御理解をいただかないで申請をしなかった方、こういうお年寄りも、現に私も聞いております。  こういうような問題であるとか、それから先ほども申し上げて重複して恐縮でございますが、これまでは、例えば特別養護老人ホームに入る場合にはいわゆる措置制度で、市を通じて、町村の場合は社会福祉事務所を通じて入所していただいたわけでございますが、今回から、お年寄りは自分たちの希望に基づいて契約をして利用していただく。こういうふうに、これまでもう何十年間続いてきたことが大変大幅に変わるわけでございます。  そういう意味において、私どもといたしましては、正直申し上げて、この半年間はいろいろな問題が、市町村皆さん方もそうでございますが、実際に介護を受けるお年寄り皆さん方家族皆さん方、それから保険料徴収させていただく六十五歳以上のお年寄り皆さん方、こういう方々に大変な混乱が起きてはならない。こういうことを十分に考慮いたしまして、この半年間はあくまでも助走期間、このように位置づけてこのような措置をとらせていただいたわけでございます。  先ほどから申し上げておりますように、私どもが、いわゆる保険方式に基づいて、国民皆様方あるいはお年寄り皆様方から一年間保険料を猶予して助走期間として位置づけ、その後、山本委員も御理解いただけると思いますが、今まで実際問題、お年寄り皆様方から保険料負担していただくということは、私も大変苦労しております。山本委員も、実際問題、現場のお年寄り皆さん方に御理解いただくことは大変な苦労だと思います。私も、現場の市町村皆さん方からなかなか大変ですよということも聞いております。  こういうことを踏まえて十分に国民皆さん方の御理解をいただきながらやっていくということでありまして、私は、理念であるとかこれまでの考えというものはいささかも変わっていないということを十分に御理解いただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。
  75. 山本孝史

    山本(孝)委員 質問を繰り返します。  じゃ、大臣はどのぐらいの自治体なりをごらんになったんですか。現場をどのぐらいごらんになったんですか。助走期間とおっしゃっていますが、その助走期間を設けたことに対して、各市町村から、各団体から、遺憾だ、こういうことをやってはいかぬ、混乱を招くだけだという声が一斉に上がっているわけですよ。その声が上がっているということと、大臣が今ここで、聞いたんだ、大丈夫なんだとおっしゃっていることとの認識の差が私は激し過ぎると。あれだけ陳情書、要望書を受け取りながら、しかし、今これはいいんだというふうにおっしゃっておられる、その感覚を私は疑っているんです。全然現実と違うじゃないですか。どのぐらいごらんになったんですか。本当に、その皆さんの声をどんなふうに受けとめておられるんですか。認識が違うと思いますよ。
  76. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私自身、これまでかかわってきた問題でございますし、さまざまな皆さん方からファクスであるとか電話であるとかお手紙であるとか、この問題につきましていろいろな御意見を賜っておるような次第でございます。  率直に申し上げて、このぐらい温度差があるというものはなかなかない。例えば、私が視察した愛知県の高浜市というところにおいては、保険料なんというのはたくさん取られたっていいんだ、それよりもきちんとした給付サービスをしていただきたい、こういうような方々を一斉に見ました。しかし、率直に申し上げて、名前は申し上げませんけれども、すぐ隣のところへ行きましたら、離島を抱えているところなんですが、実際問題、住民の皆さん方に、例えばお年寄り皆さん方保険料を今後はいただきますということを説明できないんだ、こういうことを切々と訴えられたことも事実であります。  そこで、私どもといたしましては、確かに私も十分いろいろな方を知っております、秋田県の鷹巣の町長であるとか岩手県の宮古の市長であるとか、いろいろな方にも聞きました。また、地元の意見も聞きました。そういう中において、それこそ百家争鳴ではありませんけれども、このぐらいいろいろなばらつきがある。要するに、私ども政治家というものはいろいろな声を聞きながら集約をして、いかにして国民皆さん方が納得をして、進めていくことがまさに政治の役割ではないか。  確かに、かねてから、いわゆる福祉の問題、こういうような介護保険の問題に取り組んでいらっしゃる地域においては大変進んでおります。その一方で、残念ながら、まだまだ不十分なところもあるということを私どもは率直に受けとめながら進めていかなければならない、それが政治の責任ではないか、このように考えております。
  77. 山本孝史

    山本(孝)委員 例えば、今、愛知県の例を出されましたよね。それで、説明できない自治体があって、音を上げておられると。お年寄り皆さん保険料を払ってくれとよう言わぬのよという自治体がある。じゃ、半年間凍結して、その後半分ずつ上げて、三年過ぎたらさらに上がるという保険料の仕組みになっているものが、大臣の言葉で言えば、助走期間を設けたらその人たちは説明できるようになるんですか。そんなのはかえって説明できなくなりますよ、私から言わせると。  今いみじくもおっしゃいましたけれども、体制のできていたところと体制のできていなかったところがある。介護保険の審議というのはもう十年来ずっとやってきて、ここしばらくでやっている話じゃなくて、長年、この介護保険制度というのは厚生省にとっては非常に重要な制度だったわけですよね。医療保険が逼迫化する中で何とかこの介護保険制度はつくらなきゃいかぬ、こういう思いでやってこられた。その中で、法案審議をしたのは短い。しかし、法案ができてからほぼ二年たとうとしている。この間に厚生省はどういう高齢者介護システムを地域につくってあげたら一番うまくいくんだろうと考えてこられたのかというところが、私は厚生省はある意味では怠慢だったと思います。  丹羽厚生大臣も厚生行政についてはずっとかねてから見識を持ってお取り組みをされておられて、どう動かしていったらいいのか。私、率直に自分の反省も込めて申し上げますけれども、余りにもこの介護保険議論国会の中あるいは審議会の中だけだった。現場の声というのは外に追いやられていて、こういう制度さえつくってやればいいだろうという話になってきたんじゃないかと思うのです。  家族介護の話が亀井静香さんのあの発言一つでこんなふうにこんがらがってくるという話は、家族介護はどうやってこの介護保険の中に位置づけをするのかという議論が、実はなかった、薄かったんだと私は思います。施設なのか在宅なのか、どういう方向に行くのか。実は、本当にその地域介護保険としてどういう体制をつくってあげたらいいのかというビジョンなりモデルがなくてやってきた。私は率直にそういう思いがしますね。  それで、今、この混乱している議論の中でどうやっていったらいいのかというのは、ここはみんなで知恵を出し合うところだと思いますけれども、ようやくことしになって、鳥取県の西伯町の百人委員会の話が厚生白書の中に出てくる。大臣がおっしゃいました秋田県の鷹巣の岩川町長だって、ここ二、三年でやっておられる話じゃないですよね。もうずっと地域の町づくり、福祉を中心とした福祉の町づくりをどうやってやってきたらいいかということで取り組みをしてこられた中に今度の介護保険ができてきて、この介護保険一つのてこにしながらさらに地域の町づくり、福祉の町づくりをしよう、こういうふうに進んできているんですよ。迷っているのは国であって、厚生省であって、ビジョンを示さなかったあなたたちであって、実は地域の方はもっと進んでいたんですよ。そういう話を、もっとうまいこと国会にモデルを出しながらやれば、もっとうまくいってきたはずなんですよ。  一点お伺いしたいんですけれども、これは旧民主党の皆さんが御主張されて、法案の中で住民参加という、介護保険事業計画をつくることにも、あるいは介護保険を運用することに当たっても、もっと市民が参加する、住民が参加する形を盛り込みをしようということで修正になりましたよね。この住民参加というのが法の理念一つの柱になっています。衆参の附帯決議でも「介護保険事業計画の策定等に係る被保険者の意見の反映について適切な方策を講じるよう、地方公共団体を指導すること。」こういうふうになっているんですね。  厚生省に聞いたんですよ、では、どれだけ介護保険事業計画をつくるときにこの理念が生かされて住民が参加したんですか、今どのぐらい参加していますかと。  恥ずかしながらで申し上げれば、私たちの地元で、残念ながら介護保険事業計画に住民を公募しておられたという自治体が非常に少ない、私が見ている限りでも。その事業計画を一般市民に公開しておられるという自治体も非常に少ないんですよ。だけれども法律をつくったときは、住民参加ですよと言ってきたんですよ。附帯決議もついたんです。  では、厚生省はその後地方公共団体に対してどういう指導をしたんですか、こういうふうにお聞きしたら、データを持っておりません、平成十年十月のデータしかないんです、こうおっしゃるんです。なぜそんなデータしか持っていないんですか。ここが一番肝心だったじゃないですか、介護保険の中では。  だから、私の質問は、厚生省は、地方公共団体に対して、住民参加ということに対してどのような指導をしてきたのか、その指導は十分だったというふうに厚生大臣認識しておられるのか、その点をお聞きします。
  78. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私も、介護保険の問題につきましては足かけ五年ぐらい議論してまいりました。いろいろな議論がありました。お隣にいらっしゃる五島先生も十分おわかりであります。そういう中でまとめました。  そして、私があえて一点だけ申し上げたいのは、厚生省は怠慢ではないか、こうおっしゃった。確かに山本先生のような優秀でスーパーマンの方から見れば、厚生省の対応というのは生ぬるいとお映りになるかもしれませんけれども、私も、実際問題、毎日毎日議論をして、そして、若い諸君が呼ばれればどこへでも行って、土曜日も日曜日も返上して説明をしている。この姿を怠慢だとおっしゃるのは、私も、厚生大臣としてではなく、五年間厚生省が血の出るような努力をしてこういうふうにまとめてきたということを先生もぜひとも御理解をいただきたい。それだけ大変難しい問題だということを先生も御理解をいただきたい。  先生は大変優秀な方ですから、そんなにあれかと言われればそれまででございますが、そういう問題じゃないんだ。これは本当に——あの当時は自社さ政権でございました。毎日毎日朝から晩まで議論をして、その結果を踏まえて、若い諸君も、十人でも二十人でも百人でも、ありとあらゆるところに行って説明をして、そしてそういう中で少しずつ国民皆さん方の中で御理解をいただけるようになった。  そして今、一番大事なことは、寝たきりのお年寄りの問題が今回を契機にしてこれだけ国民皆さん方の大きな関心を呼んでいる、大きな議論を呼んでいる。(山本(孝)委員質問に答えてください」と呼ぶ)まずちょっと聞いてください。こういうことはないんじゃないか、このことを私は申し上げたい。  そして、山本委員にお答え申し上げますけれども、要するに住民参加でございます。これもあくまでもそれぞれの市町村がお決めになることであります。例えば町によっては百人委員会をつくって、いろいろなボランティアの方々で参加しているとか、それから、率直に申し上げて、そういうことを何回御説明しても、それぞれの今までの地域の実情によってそういうことができないところもあることも事実であります。しかし、私どもは、これはあくまでも地方自治の原点に立って、あるいは地方分権の原点に立ってなしていくものであって、住民の皆さん方に十分に御審議していただきながら、自分たちの町のこれからの福祉サービス、介護サービスはどうあるべきか、こういう観点から御議論をしていただきたい、このように考えているような次第であります。
  79. 山本孝史

    山本(孝)委員 私は、皆さんに褒められるほどに勉強しているわけではありません。しかし、地元を回っていて、保険か税かという話は別にしても、介護保険というのは自治体によって二十一世紀の日本の社会をひょっとしたら非常にうまくつくっていける、そういう思いがします。  そういう中でこの制度をどうやってやったらいいのか。大臣がおっしゃるように、それは全部自治体の責任だったんだ、できないところはできないままでいいじゃないか、こういうような答弁になってくるのは、私は厚生省としていささかどうかな。  大臣答弁というのは、いつもそうですけれども、きのうから聞いておりまして、人の言葉じりをとらえて反論をされる、あるいは質問に対して全く答えないで、私が今注意をしたら、ようやく質問にお答えしますがとおっしゃる。ちゃんと質問を聞いて、そこだけ答えてください。時間が非常に短いので。  そういう意味でいけば、確かにそれは地方自治体がやっているんだけれども、この保険制度を使って日本の国づくりをやっていこうというぐらいの気構えがあれば、私は厚生省が手とり足とりどこまでもやれとは言いませんけれども、どのぐらいに住民参加が進んだのかなと。あのときの法律理念、あるいは附帯決議までついた話、地方自治体を指導するんだという話になった、それが一体どこまで実現されたのかな、されつつあるんだろうかという経過は、厚生省は把握すべきだと私は思う。  それが、平成十年十月末、一年さきのデータでないとないんだ、介護保険事業計画を実際につくり始める段階のデータしか持っていないというのは怠慢だ、私はこう申し上げたんです。怠慢以外の何物でもないですよ、この話は。だからそういうふうに申し上げているので、そこは一遍やってみてください、各自治体に対して。  アポイントメントされて入る市民じゃなくて、本当に公募をされたという自治体、各団体の長として市民代表という形で入っておられるのもあるけれども、それは別にして、本当に公募された団体、それから、その会議をどの程度一般市民に公開を許しておられるのかという公開の状態、そんなことも含めて、この理念がどこまで生かされているのかをぜひ把握していただきたい、そういうふうに思います。うなずいておられるのでいいですけれども、ここはやってください。  それと、市町村の意見と丹羽厚生大臣の思いは違う。今、この見直し案を持ち出されてきたところの地方、市町村の混乱ぶりというのは、国会としてもしっかり受けとめてあげないと。これからの体制は違います。おっしゃっているように、町の大きさによって全然違います。人口規模によって全然違う。進みぐあいも違う。しかし、それは全部受けとめてあげなきゃいけない。  そういう意味で委員長にお願いですけれども、地方公共団体、今いろいろな要望書を出しておられます、遺憾の意を表明しておられます。そういう団体の方、あるいは非常にうまくいっておられるところの方も含めて、ぜひこの委員会に参考人として呼んでくださるようにお願いをしたいと思います。
  80. 江口一雄

    江口委員長 ただいまの自治体の参考人につきましては、理事会で協議いたしたいと思います。
  81. 山本孝史

    山本(孝)委員 次の質問に行く前に、先ほどの十四年度以降のサービスの見込み、あるいはそのサービス見込みを踏まえた上での、三年間過ぎた後の保険料がどの程度になると予測できるのかというところは、厚生省の事務方で後ろで相談をしていただいて、大臣に、いつまでだったらその数字は出せるんだということの御答弁をしていただきたい。今できますか。
  82. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今月中、できるだけ早く提出したいと思います。
  83. 山本孝史

    山本(孝)委員 今月中というよりは、補正予算を出す前にやっていただきたいんです。よろしいですか。
  84. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 できるだけそのような御要望に沿うように督促したいと思っております。
  85. 山本孝史

    山本(孝)委員 でも、何か実際には補正予算はおくれるみたいだから今月中と同じだと思いますけれども、できるだけ早くやってください。でないと、将来像が見通せません。  それから、これも議論で、きょう私の後に質問する皆さんが詰めてくださると思うのであれですけれども、今回の見直し案が新たな不公平を生んでいる。先ほど福島先生も御指摘になりましたけれども、ホームヘルプサービス利用時の自己負担三%、これは新たな利用者には適用されないということになっています。  それで、申すまでもなく、現役世代の保険料、今漏れ承るところでは政管健保の加入者はこの対象にはならないということになっていて、二号被保険者の間に随分不公平が生じるのではないかという話があります。  それからもう一つは、社会福祉法人からサービスを利用したときに、低所得者は五%の自己負担で済むけれども、社会福祉法人以外の事業者からサービスを利用したときは、法律どおり一割の自己負担を求められるという形に今回の改正案はなっている。そうすると、サービス提供者間で格差があって、社会福祉法人からサービスを買った方が安くて、一般事業者からは規定どおり一割だったら、一般事業者はなかなか入ってこられなくなりますね。こういう意味でも新たな格差を生んでいる。だから、見直しが新たな不公平を生んでいるのではないかというふうに思うのですね。  先ほど、最終案で、もう見直しはないとおっしゃったわけですけれども、その辺はどういうふうにお考えなんですか。いろいろ先ほどの御指摘もありましたけれども
  86. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御質問が多岐にわたっておりますけれども、まずホームヘルプサービスの問題につきましては、三党合意を踏まえまして、政府間におきまして、法施行時におきまして低所得者につきましては三%を三年間続ける、こういうことを明らかにいたしておるような次第でございます。  それから、社会福祉法人でございますけれども、社会福祉法人が給付サービスをした場合に、低所得者に対しましては例えば一割のところを五%にするとか、いずれにいたしましても、こういうような低所得者の皆様方の配慮というものを十分に考えていきたい、このように考えているような次第でございます。
  87. 山本孝史

    山本(孝)委員 なぜ社会福祉法人だけ五%に低減されるのですか。一般事業者からサービスをもらうと、一割自己負担をしなければいけないのでしょう。NPOの団体とかは一割を自己負担してもらわないとサービスは受けてもらえない。ということになれば、みんな社会福祉法人からサービスを買おうという話になってしまうじゃないですか。そういう格差を新たに生じさせる、社会福祉法人以外の事業者をいじめているような形になりませんかというのが僕の質問ですね。  大臣、これは私が勉強しているわけじゃなくて、法律の内容を見て、新聞を読んでいればいっぱいあちこちに出てくる話なんですよ。大臣は、こういう案をまとめておられるのだから、どこに問題があるのだという話はきっちりとポイントを押さえて聞いてもらわないと、答えになっていないのですね。  社会福祉法人と社会福祉法人以外の事業者の間に自己負担の格差が生じていますよ、こういうふうに申し上げているのです。こういうところも改正しないのか。あるいは、先ほど福島先生がおっしゃったホームヘルプサービスの三%という話。今ホームヘルプサービスを受けている人は三%の恩典を受けられるけれども、来年四月以降新たに受ける人たちは一割の自己負担をしなければいけない。  低所得者ほど介護を要する人は僕は多いと思います。だから、先ほど低所得者が駆け込みしないとおっしゃったけれども、私は、低所得者ほどそういう介護サービスを利用する人が多いのではないかというふうに思うのですね。そういう意味でも、どうなるんだということはしっかりと見据えていただかないとだめだと思いますよ。
  88. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 社会福祉法人に限定したことはなぜか、こういうことだと思うのですが、これは、社会福祉法人というのは民間企業などとは違ってあくまでも社会福祉事業というものを目的にしている、こういう観点で公益的な色彩が大変強いのだ、こういうことに十分配慮をいたしまして社会福祉法人を対象とした、こういうことでございます。
  89. 山本孝史

    山本(孝)委員 あとは午後にお任せしますが、今の話はおかしい。官僚答弁を読んだらそうなってしまうので、自分の頭で考えればこんなおかしな話はないなと思うのですよ。そういうふうにして見ていただかないと困る。  私は、もう一つぜひ触れておきたいのは、これは絶対おかしいと思うのです、家族介護慰労金の話ですけれども。  介護サービスを一年間利用しなかった、要介護度4と5の、なおかつ低所得の人に限る、こうなっていますでしょう。今回の家族介護慰労金の支給対象のこの人たちこそ、実は介護サービスの提供を一番受けなければいけない人たちですよ。その人たちに対して十万円を支給したから済むんだというような首長さんはいないと私は思いますよ。そんなことをやったら恥だもの。こんなことをやりなさいという案をつくられる厚生省も恥を知れと言うんですよ。これは何でですか。  要介護度4と5で一番困っていて、低所得で、一年間サービスを受けなかったら、次の年に十万円もらえますよという考え方はどこから出てくるのですか。介護保険理念なんてどこにもない。こんな話は、介護の現場なんて全く知らない人の発想ですよ。  要は、施設よりも在宅介護を進めますというのが介護保険理念だったんだから、そういう意味でいけば、私は、家族介護はもっと正当に評価されるという道はあったんだろうと思います。そこの議論をしないで、要は中途半端な形に来たんだよ、施設なのか在宅なのかという話が。在宅を本当にまともにやると、在宅はもっとお金がかかるから、実は適当なところでおさめておこうよという話だったと思うのですよ。その意味では、私は、亀井さんの問題提起というのは大変に貴重だったというふうに思います。  新聞を見ていますと、亀井さんが、今回の見直しをむしろ歓迎する声が市町村から届いている、こういうお話もありますね。私は、本当だろうかと思います。家族介護に対する介護保険の給付に関して、さっき武山先生もおっしゃったけれども、運用で私の主張が相当入る可能性がある、まだここは変わるというふうにおっしゃっていますね。例の家族介護に対する保険からの給付の問題についても、運用でさらに変わり得るんだ、拡大するんだというふうなことを新聞でおっしゃっておられる。  そうしますと、家族介護というのはどう考えるんだというのはやはり議論なんですよ。介護保険が始まる前にこの議論をもう一遍しておかないと、制度そのものがおかしくなる。枠の外で家族介護慰労金を出そうが何しようが、お金が出てくるという話は、それは枠の外だから、財源が違うんだからいいんだという話にはならなくて、やはりこれは介護保険の中なんですよ。関連した同じ話なんですよ。  そういう意味で、やはり家族介護をどうするかという話はしっかりやらなきゃいけないと思うのですよ。そういう意味で、私は亀井政調会長にぜひここへ来ていただきたい。亀井さんの御発言の真意、今後どうするんだという話をぜひ私たちは聞きたい。これは非常にいい問題提起をされたと思いますので、委員長、この点もひとつよろしくお願いします。
  90. 江口一雄

    江口委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議をいたします。
  91. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣への質問に戻ります。  もう一遍繰り返します。  要介護度4か5、寝たきりで大変重たい状態におられる方で、しかも低所得の方で、介護保険が始まっても一年間サービスを受けなくて、そして翌年になったら十万円上げるよという政策、それを市町村がとってもいいよ、こうおっしゃる大臣の頭の中というのはどうなっているんですか。
  92. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先生のおっしゃっていることがもう一つよく私なりに理解できない面があります。  これは率直に申し上げて、介護保険の問題については、家族介護負担が余りにも重過ぎる、特に女性の皆さん方の犠牲のもとに行われているから、家族介護負担を軽くしようではないか、こういうところからスタートしたわけでございます。  そういう中において、現金給付をしたらどうかという意見もございました。確かにドイツなんかは七割から八割が現金給付いたしております。率直に申し上げて、私どもはそれよりも、とにかくホームヘルパーあるいはさまざまな基盤整備を充実させることが重要であって、現金給付というものは家族介護負担の軽減に必ずしも直接結びつかないものじゃないか、こういうような観点から、現金給付については、実際問題として、今回の介護保険の中から外させていただいたわけであります。  しかし、だからといって、亀井さんがおっしゃっておりますように、あくまでも家族に対して、大変な重度の方々あるいは低所得者の方々、大変な肉体的、精神的な負担のもとに行っていることに対しましては、それぞれの市町村の判断に基づいて、例えば現金を十万円までやっても結構ですよとか、時にはリフレッシュしていただこう、こういうことでショートステイというものを優先的に認めていこうではないか、こういうことをしたものでありまして、私どもは、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな議論が出ましたけれども、あくまでもそういう観点に立って保険の枠外において予算措置として行った。  今、もう一度繰り返させていただきますけれども、ですから、この家族介護の問題はもっともっと議論しなければならないということでありまして、当面としては二年間に限定させていただいて、そして、これを今後どうするかについては十分に議論をした上でさらに検討していきたい、こういうような態度でございますので、十分に御理解をいただきたいと思います。
  93. 山本孝史

    山本(孝)委員 もっともっと議論したいとおっしゃいましたので、もっともっと議論したいと思います。始まる前に、今度の予算をつける前にもっともっと私たち議論したい。これは本当はもっともっと議論してくるべきだったのかもしれない。そういう意味も込めて、制度改正がいろいろ盛り込まれておりますから、もっともっと議論したいと思います。木村筆頭理事、そういうおつもりでどうぞよろしくお願いいたします。  繰り返しになりますけれども介護保険の枠の中でサービスを受けて、なおかつ手当として各自治体がお出しになるという話は、それはあるだろう。——わかりますか。介護保険の中でサービスを受ける、受けておられて、大変な状態で受けておられるな、サービスの量も申しわけないが十分でないということがあるから自治体が手当という形でお出しになる、その手当というものに国が補助してあげましょうかという考え方は、考え方としてはあるだろうなと私も思います。  皆さんがおっしゃっているのは、介護保険の中でのサービスを利用しなかったら十万円の家族介護慰労金を出すと。しかし、慰労なんかしてくれるな、何だと。だから、こういうことを考えてくるところに、厚生省が発しているメッセージというものが間違っている、そのことに気がつかれない厚生大臣というのはおかしい、私はこう申し上げているのです。私の言っていることがわからないとおっしゃったので、そこは与党の中でうなずいておられる方もおられるし、もう一遍厚生省の皆さんと相談してください。  この話はどう考えてもおかしい。そんなことでいいというふうに厚生省がメッセージを発していることが私は間違っていると言うのです。前段ではいいことをおっしゃったけれども、やっておられることはちぐはぐ。これは違うと私は思います。後でどうせ続くと思いますから、そこはお昼休みによく協議してください、クエスチョンタイムの中でも。大臣がクエスチョンを出されればいい。自分で回答を見つけられればいいと思う。  もう一つ、これはぜひ厚生省に考えていただきたい。低所得者対策という中で、世帯非課税の方たちだけを対象にする。低所得イコール世帯非課税だという考え方になっています。今度の自己負担を三%に下げる話も世帯非課税の話。あるいは、今の家族介護慰労金の話も世帯非課税の方たちを低所得とみなして出す、こうなっていますね。  保険料の賦課の話、五段階に分けますという中で、一番下に生活保護あるいは老齢福祉年金を受けている人があって、その次に世帯非課税、本人非課税だけれども課税というのが標準額、こういうふうになっていますね。世帯非課税だと保険料も安い、あるいはサービスも新たに受けることができる、今度こういう仕組みになっているんですよ。保険料徴収にそのシステムがあって、いみじくも皆さんはそこでそういうふうになっているよとおっしゃっている中で、繰り返しになりますが、さらに世帯非課税だと低所得とみなされて三%の自己負担でいいよ、あるいは家族介護慰労金ももらえるよ、こう言うんですね。  何が起こっているか。大野先生、申しわけありません。あの例の地域振興券と同じ話が今起こっている。要は、子供たちと一緒に住んで世帯を一つにしていると、自分たちはこの恩恵を受けられないんです、低所得者じゃないから。ということは、世帯が分離している方が低所得とみなされるんですね。子供と一緒に住んでいるよりは、住民票の上だけでもいいから別世帯にするんだという思いでみんないるわけですよ。それは地域振興券のときに十分わかったわけだ。もらえる人ともらえない人がいる。それは世帯が一緒だから、子供と一緒に住んでいるからもらえないんだという話になって、国がやっている公的なサービスを受けるのに世帯は分離している方がいいんだという話になる。亀井さんがおっしゃった日本の家族の美風を損ねるというのは、実はこういうところにあるんですよ、考え方でいくと。  だから、これは社会保障の原点の問題なんですよ。世帯単位で考えるのか個人単位で考えるのか、世帯単位も一緒に住んでいるときはどう考えるのかという、これは基本的な話なんですね。そこをどう考えられて、こういう世帯は非課税あるいは世帯課税というラインを引くのか、この問題も議論が足りなかったと思う。厚生省がこのやり方で出しておられる世帯ということに対する考え方はどこにあるのか、質問時間がないんですけれども大臣、もしお答えできるようでしたら答えてください。
  94. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 政党であるからすべて同じ考え方だとは思いません。しかし、当時の厚生大臣は現在政調会長の菅さんだったと思います、小泉大臣のときに成立をした。議論をしまして、どうもこの考え方について山本委員と菅さんとの間には大きな隔たりがあるなと、私は十分理解しておらないかもしれませんけれども、率直に言ってそういうふうに受けとめております。  私が申し上げたいことは、先ほどから繰り返しますが、これまでの一家庭の負担では限界が来ているんだ。こういう中において、先ほど申し上げておりますように、大変低所得者で重い方々を介護なさっている方に対しましては、それぞれの市町村がいろいろな形で慰労をなさる事業ということについては大変結構なことではないか、こういうことを申し上げておるわけでございまして、あくまでも介護保険の枠外のものでありまして、現金給付というような種類のものではないんだということを十分に御理解いただきたい。  それからもう一点、家族がこれによってむしろ分離するんじゃないか、こんなようなことをおっしゃいましたけれども、私は、この介護保険導入することによって家族の過重な負担が軽減されて、むしろきずなというものが強まっていくのではないか、こう考えております。
  95. 山本孝史

    山本(孝)委員 質問時間が過ぎてしまいまして残念です。議論がかみ合いません。後の質問者に譲りたいと思いますけれども一つだけ。  亀井さんの発言から始まった今回の見直し騒動というのは、低所得者対策の部分と中長期な社会保障ビジョンをどうするかという話を混同しているんですね。ビジョンを持たないままに当面のことをやるから、みんな先送りだ、場当たりだという話になってくるんです。今のこの世帯分離の話もそうです。  そういう意味で、もっとちゃんとした社会保障ビジョン、とりわけ年金と介護と医療と一緒くたにやらないと、介護介護だけでやるからこんな話になるんですよ。年金法を皆さんおろせおろせとおっしゃるけれども、年金から介護保険料は天引きですよ。基礎年金の水準をどうするのかという話をしなければ、将来像は見えないですよ。医療保険高齢者医療も、高齢者負担するんでしょう。今回の介護保険と今までの社会保険との一番の違いは、高齢者自身が負担するということですよ。その理念をどこかに置いてしまってやったら、今までの議論は何だったんだという話になるじゃないですか。そういうところをきっちりと示しながらやらないとだめだ。  だから、年金の話、年金の話とおっしゃるけれども介護保険の問題が片づかない限り年金なんかやっていられないですよ。この話は議論にならない。だから、ちゃんとそこは詰めていただきたい。  後、民主党の議員が午後やると思いますから、ちゃんと質問に答えていただきたいというふうに最後にお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  96. 江口一雄

    江口委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後零時五十七分開議
  97. 江口一雄

    江口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五島正規君。
  98. 五島正規

    ○五島委員 民主党の五島でございます。  与党議員さんたち、大変お集まりが悪いんですが、筆頭理事田中先生がおいででございますので、質問をさせていただきます。  まず、丹羽大臣に対して大臣就任のお喜びを申し上げたいと思うわけですが、どうもここまでぐちゃぐちゃになってまいりますと、この法案をつくる責任者の一人であった丹羽さんに責任をとらそうということかなということも勝手に考えまして、同情を申し上げるべきかお喜び申し上げるべきか迷うところでございますが、いずれにいたしましても御苦労さまでございます。  それで、質問に入るわけでございますが、午前中、お話を聞いていましても、今回の与党三党の処理というものが、法案の修正を行わずに実施するということに対して非常に無理があるというふうに考えます。とりわけ連立三党の御意見を聞いていますと、公明党さんも自由党さんも介護保険制度そのものの抜本的な変化あるいは改定を求めておられる。しかし、自民党としては、従来の経過の中で、現在の保険制度の枠の中で進めていきたい。これは、非常に大きな対立点がこの三党の中にはあるんだなということがよくわかりました。  にもかかわらず、こうした改定が法案の改定なしに行われる、これが果たしてどうして可能なのかということをまずお伺いしたいと思います。  介護保険法の百二十一条から百四十六条に相当する部分、あるいは実施規定の二百四条等におきまして、介護保険徴収及び実施の時期については細かく定められているところでございます。こうした内容から見ると、明らかに法律の内容を逸脱しているというふうに考えるわけでございますが、この介護保険制度にこのような措置を入れていくということが法的に可能であるというその根拠をまずお伺いしたいと思います。
  99. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、かねてから敬愛を申し上げております五島委員に激励をいただきまして、まことに恐縮でございます。  法改正を伴わずにこういうことができるかということでございます。  基本的には、三党合意で、法改正を行わないで、例えば、先ほどからお話が出ておりますような高齢者保険料の問題、それから二号保険料の問題、さらに家族介護に対する慰労金の問題、こういう問題につきまして、もしお許しをいただければ、ちょっと時間をかけて御説明をさせていただきたいと思います。  まず、一号保険料、つまり高齢者保険料の問題でございますけれども、先ほどからお話を申し上げておりますように、法規定の中で、田中委員からも御指摘がございましたけれども保険料は取らなくちゃいけない、あと年金の前期と後期を分けるという中において、具体的に半年間にした、こういうことでございます。  それから第二番目の問題といたしまして、医療保険者の対策でございますが、これは、二号被保険者の介護納付金を納める医療保険者について、それぞれの保険者の実情を酌み取りながらやっていく、こういうことでございまして、これも現行法上可能でございます。  それから三番目の問題でございますが、家族介護慰労金の支給でございますが、これも午前中以来お答えを申し上げておるわけでございますけれども、これはあくまでも介護保険制度の枠外でやっております。つまり、枠の中でやるときには法律改正が必要だ。枠外の予算措置でやっておるということでございまして、そういうことから、いずれも法改正は必要としていない、こういうことでございます。
  100. 五島正規

    ○五島委員 介護の社会化を保険制度で行う、この原則を維持するということですね。  保険制度というのは、先ほど来御意見もございましたが、負担と給付の関係を明確にする等々の点がございますが、もう一つ、やはり財政的な面から見ますと、予算制度でやるのか保険制度でやるのかの一つの大きな違いは、予算制度というのはあらかじめ決まった金額の枠の中で社会保障を実施していくということでございますから、超えるようなことがあるならばその枠の中において一定の制限をしていかざるを得ない。これはイギリスのナショナル・ヘルス・サービス等々が今陥っている大きな問題でございます。  一方、社会保険制度というのは、これを決算方式でもって最後に調整をしていくというところに特徴があるわけでございまして、ニーズが膨らむ場合にはそれが膨らんでいく、そして、それぞれの保険者の努力によってコストパフォーマンスを図るという長所を持っています。  そういう制度保険制度であり、さらに日本型と言われるのは、保険のシステムで処理される部分の中において、一定の、定率ないしは定額の国庫補助が入っているというのが日本型の社会保険制度の特徴だろうというふうに考えています。その点については、過去においても御議論したこともございますが、大臣の方も同意なさると思うわけです。  そうしますと、今回、高齢者介護保険料について国費でもって財政支援を行っていくというふうにおっしゃっているわけでございますが、保険制度でやっていくということであれば、それぞれの決算において国費の投入額というのは決定されていく仕組みになっていかざるを得ない。  そうしますと、例えば一号被保険者の保険料を半年間徴収せず、さらにその後一年間は半額として、国費でその分を補うんだということになりますと、言いかえれば、保険給付の一七%に相当する一号被保険者の保険料を、最初の半年を高齢者がゼロ、次の半年を八・五%、次年度の前半を八・五%負担する。そして、それぞれ公費の負担の中において、県、市は一二・五%ずつでございますが、国費を初年度においては、三七・七五%になりますが、次年度は二九・二五%、公費をそういう負担割合で投入しようとしておられるのか。それとも、これを一年単位でもって合算して、公費をそういう負担割合で投入しようとしておられるのか。それとも、これはほぼ目の子勘定で、一定の金額を国費が出して、どのように配分するかもお伺いしたいと思いますが、それをそれぞれの基金に投入した上で、保険料保険料徴収するというやり方をおっしゃっているのか。ここのところが保険制度と税との関係において極めて理解しがたい。一体どういうふうにしようとされているのか、お伺いしたいと思います。
  101. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 保険制度でございますので、これは、あらかじめ決められた税の中でそのサービスというものが制限されるものではない、そういうことになります。  今先生の御指摘がございました点でございますけれども平成十二年の四月から十月までの半年間保険料の割合は〇%、それから十月から平成十三年九月までの間は保険料の割合は一七%の半分。三三対一七でございますので、一七%の半分の八・五%になる、こういうことでございまして、今御指摘のありましたように、あくまでも、それによって国費の投入というものが制限されるものでない、このように御理解をいただきたいと思っております。
  102. 五島正規

    ○五島委員 大臣のお話、保険制度でやるんだというお話はわかりました。  そうしますと、実際の処理の仕方としては、初年度半年間はゼロ、その後半額ということになりますと、初年度において高齢者負担は四・二五%になりますね。これを一年間徴収すると言っているのか、半年たったところで一々決算をして処理をしていくと言うのか。もし決算をしてやっていくということになりますと、半年ごとに必ず補正予算を立てて処理をしないといけないということになってまいりますが、半年ごとに必ず補正予算を組まなければならないというふうなことを介護保険で義務づけるということが果たして可能なのか、その辺はいかがなんでしょうか。
  103. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 決算はあくまでも一年単位でやる。それから、交付金につきましては半年ごとにやらせていただく、こういうことでございます。
  104. 五島正規

    ○五島委員 そうしますと、決算は一年単位でやる、交付金については半年単位で入れていくということになりますと、高齢者保険料というのは、初年度で計算しますと保険料の四・二五%になりますね。この四・二五%は、初年度の最初の月からずっと四・二五%の比率で自治体に徴収義務を負わせるのか。こうしますと初年度の前半はゼロということが成り立たないわけでございますが。それとも、初年度の半年間はゼロにしろ、その上で、半年たった段階において高齢者保険料を初年度後半期については八・五%取れというふうにされるのか。  これは、国民に対しては初年度上半期は保険料は取りませんよとおっしゃっているわけですが、この辺が自治体に任されるのか。これは法律で定めるのか。法律で定めるとすれば、やはり何らかの法改正なりなんなりが必要だと思われるわけですが、いかがでございますか。
  105. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の半年間保険料の猶予の問題、それから一年間の二分の一の問題は、あくまでも国の基準の給付サービスに沿って交付する、こういう種類のものでございます。
  106. 五島正規

    ○五島委員 もちろん、そうなんでしょう。そこのところを聞いているわけではございません。  ただ、国が投入する金額は、今もおっしゃったように決算方式でもって、すなわち消費されたサービス量に応じた形でもってその分を国は基金に補てんするわけですね。そうだとしますと、一年単位でやると言った以上は、初年度においても高齢者保険料負担が四・二五%要ることは事実です。これを初年度の最初から四・二五%で自治体が徴収するようにさせていくのか、それとも、下半期になって自治体に八・五%の保険料徴収するようにさせていくのか、二つに一つだろうと思うわけですね。あるいは、これはどちらでもいいという任せ方もあるかと思います。  しかし、いずれにしても、これをそのようにやっていくとすれば、自治体が徴収するについても何らかの法の改正がないと、そのような形の処理はできないのではないか。その辺についてどうお考えかをお伺いしています。
  107. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、保険料でございますが、先生も御承知のように、三年間を通して保険料を決めていただく、こういうことでございます。それで、それぞれの市町村によって、ある町においては保険料が二%のところもあれば、ある町によっては五%もある。この分につきましては国の基準に沿う限り全額国の方で、半年分については保険料を免除する、そして二分の一の分についても当然二分の一の分を補てんする。そういう中で三年間保険料をそれぞれの市町村でお決めいただきたい、こういう種類のものでございます。
  108. 五島正規

    ○五島委員 大臣のおっしゃっていることを聞きますと、初年度に高齢者が払う保険料、最初の半年間については国がその金額を財政支援する、残る一年間については高齢者の一号被保険者の払う保険料の半額分に相当する分を国費で投入する。しかし、そのことが、高齢者から最初の半年間保険料を取らないとか、あるいは次の一年間保険料を取らないということを意味しているのではない、そのように理解してよろしゅうございますね。  三年間トータルにした中において保険料を決定していくわけですし、それから、決算方式で処理していくわけですから、当然、当初の一七%よりも減額された金額であったとしても、初年度から保険料徴収するということになるかと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  109. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私もよく御質問の趣旨がわかりにくい点がありますけれども、そういう意味ではありません。あくまでも最初の半年間については保険料を免除するという前提のもとに三年間保険料率を決めていただきたい。それから、その後の一年間については、二分の一の分については補充します、そういう前提のもとに三年間保険料を決めていただきたい、こういう種類のものであります。  仮に、ある町においては、保険料を最初からある程度徴収します、場合によってはこういうような町もあるかもしれません。しかし、これはあくまでも市町村の判断に基づくものでございますが、私どもが現在検討しております場合は、例えば仮の話でございますが、全額ではなくて、いや、我が町においては七割はいただきます、三割は我々の方でやりますといった場合には、我々は、交付金の性格から見て、三割については御辞退をいただきたい、こう考えております。
  110. 五島正規

    ○五島委員 結局、高齢者から保険料を取ることをどう避けるかということ、しかも、ここまで丹羽先生に対して言いたくないけれども、選挙も近いということで、大変無理をされてそういう御答弁になっているんだと思うんですね。  そもそもこの保険料というのは、三年間の単位を見渡して、その中で余り保険料の変動がないようにという形で保険料についても決定するという観点がこの介護保険をつくられる過程の中でも生かされたと思っているわけですが、それがますます逆の方向になってくる。  そういう意味では、今丹羽先生がおっしゃっているようなやり方をやるとするならば、これは実施時期の延期を、法改正をした上で特例措置か何かをやらないと、本来は到底この法に合致したものではないというふうに私は思うわけでございます。  幾つかの質問がございますので、またこの点に後ほど触れるかもわかりませんが、もう一つは、二号被保険者の介護保険料というのは医療保険と一体で徴収することになっています。  二号被保険者の保険料保険給付の三三%になっているわけですが、介護保険保険料といいますか額は、それぞれの保険の中においてはほぼ一定でございます。したがって、今言われているのは、財政状況の悪い保険団体、あるいはその中には市町村国保の団体が入るのかどうか、これも明らかにしていただきたいわけですが、そういうところに対して支援するとおっしゃっています。  ところが、保険団体の財政状況の悪化というのは、この介護保険導入によって悪化するわけではありません。現在の医療保険制度そのもの、医療保険本体における財政の状況が反映しているわけでございまして、したがって、財政状況が悪い保険者に国が財政援助をするということになりますと、現行の医療保険制度のもとで財政が悪化した保険団体に公費補助を行うということを意味してしまうのではないか、そのように思われます。  また、仮に市町村国保等をその中に含めるとしますと、市町村間における国保料の格差というのは八倍ぐらいまである。それぞれ保険料には非常に大きな格差がある中において、どのような形でもってそうした市町村国保に対する財政支援の基準をつくっていくのか、お示しいただきたいと思います。
  111. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、五島委員御承知のように、今回の医療保険者対策でございますが、介護保険料と医療保険料が一体として徴収される、こういうことでございまして、介護保険法実施に伴います医療保険法のいわゆる老人拠出金の部分でございますが、要するに大体一千百億ぐらい負担増になりますものですから、それを上回る一千二百億円ぐらいを医療保険全体として手当てをする、こういうことでございます。  その際、ただいま御指摘がございましたような、介護保険料を徴収する医療保険者の財政状況などに十分に配慮しながら、かなりばらつきが見られるわけでございますが、個々の保険者の実情を酌み取りながら財政支援を行っていきたい。  具体的には、例えば健康保険につきましては、既に財政基盤の脆弱な健保組合などについては医療保険料が高い水準にあるが、さらに介護保険料を上乗せすることによって保険料が相当高くなるケースが考えられる。まだこれから十分に詰めなければならないわけでございますけれども、今検討中でございますけれども一つの基準として、政管健保の保険料を基準にしながら、政管健保の保険料は千分の八十五になりますが、要するに、政管健保の保険料介護保険料千分の九・三を加えた千分の九十五、これは一つのあくまでも目安でございますが、こういうことを念頭に置きながら配慮をしていきたい、こう考えているような次第であります。  それから、国民健康保険でございますけれども、従来よりも財政運営が厳しい状況にあるということに加えまして、さらに介護保険というものを上乗せするわけでございますけれども、これによって保険料の収納率が低下するということが指摘されておりますが、私としては、幅広くこの問題については視野に入れながら検討していきたい、こう考えております。  それから、最後の問題でございますけれども、これはそもそも、五島委員指摘のように、医療保険制度そのものの抜本改革というものが十分になされておらないからこういうことになるのかということでございますが、私も率直に申し上げて、その面は否定できないものでございます。医療費が現在三%ぐらい増加しておりますし、老人医療におきましても六%ほどずつ増加しております。そういうものを国民皆さん方に御理解をいただきながら、いわゆる抜本改革、私どもは四本柱を中心にして研究いたしております。  例えば、診療報酬体系の見直しであるとか、薬価制度見直しの問題、高齢者医療制度見直しの問題、それから医療提供体制の見直しの問題でございますが、先生指摘のように、もう四十年以上続いている問題でございますので、率直に申し上げまして、これは大変難しい問題もございますが、一歩一歩できるものから段階的に実施して、私といたしましては、とにかくこれ以上できるだけ医療保険料が上がらないように、特に若い現役のサラリーマンの皆さん方負担にできるだけならないように、これから私どもは医療改革に向けてたゆまざる努力をしていかなければならない、こういうような決意を新たにしているものでございます。
  112. 五島正規

    ○五島委員 千分の八十五に九・三ということですが、老人医療費の削減もあるわけですが、いずれにしても、九十五程度を前提にして、それを超えている健保組合に対して助成を行いたい、そして個々についてはまだ決めていないというお話でございますが、この問題の原則は、今大臣おっしゃったように、医療保険制度全体の問題と、もう一つ保険そのものの問題があると思うわけですね。特に、健保組合トータルで見るのか、それとも各保険者単位で見るのかによって随分違います。  産業構造そのものが変革する中において、現在、非常に脆弱化している健保組合もあるし、まだ十分に体力のある健保組合もある。市町村についても、高齢化あるいは人口の変動によって非常に脆弱で、高い保険料を払わなければいけない市町村国保もあれば、比較的安定した市町村国保もある。それは御案内のとおりです。  そうした保険制度全体について、現在の健保組合の組みかえ、あるいは政管健保と健保組合、あるいは国保との関係、そういうふうなものを含めた形での見直しも視野に入れられるのかどうか、そのことを前提としてこの措置というものは検討されるのかどうか、そこのところを簡単にお願いします。
  113. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 率直に申し上げて、大変難しい問題でございます。例えば高齢者の医療保険制度につきましても、日経連であるとか連合では、いわゆる突き抜け方式、健保組合を中心にしてやるという問題もございます。それから、例えば、仮に高齢者の医療保険制度を独立した場合には、今度はその分保険料はなくなるわけでございますから、要するに国保をどうするか、こういった問題があります。  いずれにいたしましても、率直に申し上げて、今すぐにこの問題は、医療福祉審議会でも大変問題が難航しているようでございますし、すぐに処方せんは見つかりませんけれども、当然のことながら、そういうことも視野に入れながら医療改革というものをなし遂げていかなければならない、このような認識に立っております。
  114. 五島正規

    ○五島委員 政管健保と健保組合とを比べた場合に、健保組合がすぐれている最大の理由は、政管健保より保険者機能がはっきりしている。もちろん、健保組合の中でもその関係が随分不明確なところもないとは申しませんが、一般論で言うならば、明らかに健保組合が保険者機能を維持している。そして、この保険者機能というものがどこから出てきているのかということについては、やはり一番大きな問題は、負担と給付の関係が健保組合に関しては極めて明確であった。  しかし、健保組合そのものの努力とは関係のない産業構造の変化とかあるいは高齢化とかというものによって非常に健保組合の中で財政の悪化しているところがあるわけでございますが、そのことを考えると、保険者機能を喪失させるような形での国費の投入というものが果たして将来的にいいんだろうか。むしろ、この措置についてはやはりもう一度、保険者機能を強化しながらも、そうした今日の社会構造の変化に対応した保険システム、保険団体の組みかえというふうなことによってしか解決がつかないのではないか。それに目をつぶったまま国費を投入していくということについては大変問題があるのではないかと思われます。この問題は介護保険とも関連いたしますが、引き続きましてこれからの課題として問題提起させていただきます。  また、続きましてお伺いしたいんですが、今回の三党合意に基づく対策ということで、サービスの提供量が同じでありながら、結果としては、先ほどのお話でございますが、高齢者負担が大幅に変動することになってまいりますね。最初はゼロ、その次は八・五%、そして一七というふうに、短期の間に非常に変動が起こってまいります。  こういうふうな変動を国民は受け入れるだろうか、逆に非常に不信感を強めて、制度としての定着を妨げるのではないかというふうに考えますが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  115. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の特別対策でございますが、先生指摘のように、さまざまな御意見があることも私も十分に承知をいたしております。しかし、今一番大切なことは、この大改革をいかにして来年の四月から実施するか、このことに尽きるのではないかと思っております。  それから、高齢者保険料についてでございますが、先ほどから申し上げておりますように、各市町村に三年ごとに設定をしていただく、こういうことになっておりますが、今回このような措置になったわけでございます。これによって、今先生がおっしゃったような、要するに、サービス量は変わらないけれども保険料は変わるんじゃないか、こういうような御指摘でございますが、国民の方々が新しい制度になれるまでの間の、あくまでも一つはいわゆる助走措置として、さらに激変緩和として行っていくものでございます。  いずれにいたしましても、残された期間もあと五カ月でございますけれども、私は厚生大臣として、先頭に立って、国民皆さん方に不安が生じないように、皆様方の御理解を得るために最善の努力をする決意でございますので、どうか御支援のほどお願いを申し上げます。
  116. 五島正規

    ○五島委員 もしそのように処理されていくとしますと、二つ大きな問題があります。  一つは、これまで介護保険制度が整備されない中において、結果的には、非常にいびつな形ですが、介護の社会化というのが老人保健を使って実施されてまいりました。すなわち、老人医療費の中で処理をされてまいりました。  漏れ伺うところによりますと、自民党さんと日医との間で老人医療費を一割にするという合意があったとかいうふうな情報も流れているわけでございます。現在でも老人の医療費というのは、非常にわずかでございますが、現実にそこを利用されるお年寄り負担になっているのは事実です。これが、介護保険実施して、当初半年間はゼロである、そして次の半年間は八・五%である、こういうふうな変動があるとしますと、老人医療との整合性というものを一体どこでとるのか。結果的には一年半先まで老人医療の改定は先延ばしをして、そこで整合性をとろうとお考えなのか。そんなことをしておりますと老人医療費の方は途端にパンクするだろうと思われるわけですが、その辺はどうお考えなのかということが一つ。  もう一つは、この制度導入することによって、当然ながら、初年度において起こってきますニーズの量といいますか需要の量、これが再検討されないといけないだろうというふうに思われます。この辺は、この制度導入することによって初年度に必要となるサービス量というものに変化があるとお考えなのか、ないとお考えなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  117. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは、私厚生大臣でございますが、率直に申し上げて、段階的に実施するという、現在から考えますと、来年の四月から、医療改革の中で、まだ福祉審議会の中ですらまとまっておらない高齢者の問題について実際に実現することは不可能だ、こう考えております。  しかし、率直に申し上げて、老人医療の問題それから介護の問題というものは、分離はしたものの、ある意味において不可分な問題がありますので、当然のことながら、将来の問題でございますけれども、整合性というものは十分に考えながら、高齢者の医療保険制度というものを考えていかなければならない、こう考えているような次第であります。  それから、サービス量でございますが、今度のいわゆる財政措置によっていささかも変わるものではございません。
  118. 五島正規

    ○五島委員 私は、サービス量が非常に変わるだろうと思います。  とりわけ、非常にわかりやすい話ですが、現在、老人病院に入院しておられて、来年の四月から医療療養型と介護療養型に分かれてくる、そうしたときに、一方の介護療養型になれば保険料を払わなくても利用できる、医療療養型の場合はもちろん医療保険加入が前提となるというふうな状況をやっていて、混乱が起こらないとは思えない。  また、保険料を払っていなくても介護のサービスを当初半年間は受けられるわけでございますから、そこにかなり大きなサービス量の増加というものが出てくるのは当然だろうというふうに思うわけですが、そのことによって果たして施設介護の方に非常に変化が起こってくるのか、あるいは、こうすることによって在宅介護の方に非常に変化が起こってくるのか、当初の試算とは大きく狂ってくることは間違いないのではないか。大臣がおっしゃっているように、保険料がただであってもサービスの需要に変化がないということにはならないのではないかというふうに思います。  それとの関係の中で、もう一つは、介護保険保険料を支払っている重度の障害を持つ高齢者が、介護保険上の手続に従って介護認定をお受けになる。そして介護4、5というふうな介護判定をお受けになった。しかも、そういう介護判定をお受けになった上で介護保険に基づくサービスを受けない高齢者の方は、その代償として、その家族が年額十万程度の現金給付を受けられるというふうにおっしゃっています。  これを丹羽大臣介護保険の枠外であるとおっしゃっています。枠外であるとおっしゃるけれども、明らかに介護保険上の認定判定をお受けになるわけですね。そして、介護保険の4、5といいますと年額約四百万ぐらいに相当するでしょうか、そのサービスを辞退される。そのサービスを辞退されて、なおかつ、先ほど山本議員からの質問に出ておりましたが、世帯非課税であります。言いかえれば、収入のある家族と同居していない、そういう方に対して家族介護で十万円を給付するということです。  私は、これが介護保険と全く無関係であるのなら、なぜ介護保険サービスを受けているか受けていないかを問題にしなければいけないのか、あるいは介護保険上の手続に基づく要介護の4、5でなければならないのか、理解に苦しむところであります。このような措置導入することによって本当に御家族介護というものに対して報われるとお考えなのかどうか。  私は、介護保険制度ができても、家族あるいはその子供や孫たち、そういう者たちが、親の要介護状態に対する心配がなくなるなんというようなことはあり得ないと思っています。これは、子供の養育は両親の責任ですが、だからといって保育園制度や児童手当制度があることが親と子との関係を悪くするということがないのと同じだろうと思っています。  そういう意味では、介護制度そのものができた中において、亀井さんの話じゃありませんが、このようなわけのわからない手続で、障害を持った親と別居しないと十万円もらえないし、四百万のサービスの権利を放棄しないと十万円もらえないなんというふうな制度が逆に親子の関係家族関係を強化するなんというようなことはとんでもない話だと思っております。その点について、公明党から出ておられます大野政務次官、どのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  119. 大野由利子

    大野(由)政務次官 五島委員から大変多岐にわたる質問をいただきました。家族介護慰労金の支給、これは介護保険法の枠内ではなくて枠外の事業である。そして、家族介護そのものに対する給付や手当ではなくて、家庭で介護を行う家族への慰労として行われるものである。  そして、要介護4と5を基準にしているわけでございますが、介護保険法の枠外なのにどうして介護保険法の基準を使うのか、そういう御質問もあったわけでございます。この家族慰労金の問題は全国一律に行われるものではなくて、各市町村の選択で行われるものであるわけですが、基準がないと、全国ばらばらな基準であっても困るわけでございますので、今回の基準としまして要介護4と5に相当する方、そういう基準でやりたいということであって、要介護4と5に認定された人というのとは違う。そういうものに相当する方ですが、要介護4と5に認定されたという意味ではなくて、同じような基準の方に支払われる、そういうことでございます。  それと、もう一点でございますが、十万円の家族介護慰労金が公的サービスを後退させるような、その辺の御懸念の御質問もございましたけれども、今回の介護保険そのものが、家族介護の大変な重い負担を軽減する、本来こういう趣旨で発足をする制度でございますので、介護保険基本理念に反したりすることなく、また、基盤整備のおくれを招かないような形で実施することができれば、市町村が行う事業に対して、当面二年間に限って国も支援をしよう。  先ほどの午前中の質疑でも私答弁させていただきましたけれども、初めて行う制度でございますので、せっかく保険料を払っていながら、どうしてもこの制度を利用しない人も当然考えられるわけです。他人が家庭に入ってもらっては困るだとか、さまざまなことから利用しない人も想定されるわけでございますので、制度がきちっと運用されるまでの間、二年間に限って、この介護保険を利用しなかった人に対する家族の慰労として行われるものである、こういう状況でございます。
  120. 五島正規

    ○五島委員 介護保険上の認定ではなくて、介護認定上の4、5に相当する人に対して現金給付を行うというお話で、では、相当するかどうかというその判断はだれがどこでやるのかということをお伺いしておきたいと思います。  あわせまして、この家族介護の問題をどうするかという議論は、丹羽大臣も当時盛んにおっしゃっていたわけですが、幾つかの試案がこの案をつくる過程の中にもあったと思います。一つは、ドイツがやっているように、現金給付をやって介護を買わす、本人の責任においてあるいは家族責任において介護を買ってもらう。その選択肢を広げようという意見もあった。あるいは、バウチャー制度を創設して、家族家族介護介護判定に基づいてやれるという方法も一つの試案としてあった。あるいは、介護休暇に対する公費による賃金の一定の助成ということも議論としてございました。あるいは、障害者を持っている、高齢者を持っている家族に対する税制上の処理ということも検討されたと思うわけですね。  そして、そうした中においてこういう保険制度にまとまったと思うわけでございますが、それを変更されることについては、それは与党側の自由だと言われればそうなんですが、今大野議員が言われたそういうお話というのは、では、その中で一体だれを対象としてイメージに置いておられるのか。間違いなく、世帯課税が非課税ですから、単身のお年寄り、老老介護で老人夫婦だけあるいは非常に高齢者で子供も高齢化している、そういう世帯を対象にしておられるのかな。恐らくその単位しかならないだろう。そうなった場合に、そういう老老介護あるいは老人単身世帯の方々に対しては、私はむしろ、介護保険制度ができたことによってより公的サービスを提供することによってお年寄りの生活のクオリティーを上げていただく、そういう努力を行政の側はすべきだろうと思います。  ところが、逆にこのようなことをされますと、これは後ほどの例の三%という問題とも関係するわけですが、例えば介護サービス量というのは市町村によって決定できることになっているわけでございます。自治体が必要な介護サービスの基盤を確保せずに、結果として加入者に現金給付の選択を迫るということが合法になってしまうのではないか。そうなった場合、当該自治体の保険負担は極めて小さくなる反面、介護の社会化というのは大幅におくれて、介護保険の目的性が失われることになってしまいます。その点についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  121. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 午前中も御答弁を申し上げたわけでございますが、今回の政府の特別対策によって、今五島委員の御指摘のような、いわゆる社会全体で支え合っていくんだ、要するに家族負担を軽くするんだ、この基本的な理念はいささかも揺るぎがないんだ、このことをぜひとも御理解いただきたいと思っております。  そういう観点に立ちまして、私どもは、あくまでも、今申し上げたような、基本的にはやはりいわゆる保険制度の中でサービスを受けていただいて、そしてその中においてまた家族皆さん方の御協力もいただかなければならないことも事実でございます。ただ、現実問題として、今申し上げたような一定の条件のものについては、それはそれなりにやはり慰労の意を表す、こういうことでございますし、また、さまざまな問題についてそれぞれの市町村が判断に基づいて行っていくということでございまして、あくまでも私ども基本的な枠組み、理念というものは変更しない、しておらない、このような認識でございます。  どうかその点は、もう五島委員ともさんざんこの問題については議論をしたわけでございますし、私の考え方はいささかも変わっておらないということをあえて申し上げさせていただきます。
  122. 五島正規

    ○五島委員 もう時間がありませんので、簡単に。  先ほど質問させていただきました、介護保険認定を伴わない、要介護4、5に相当するというその基準はどういうふうに考えているのか、どのように決定するのかということ。  それからもう一つは、低所得世帯で、法施行時にホームヘルプサービスを利用している人については、当面、三年間は三%の利用料とおっしゃっています。各自治体の介護サービスの基盤が平等であるならば、これも一つの案だと思います。しかし、今、各自治体の間において、ホームヘルプサービスを全く実施していないところ、しているとしても極めて限られた量しかしていないところから、比較的豊富にされているところまであります。そうしますと、介護サービスの基盤整備がおくれて、そしてそこに住んでいる低所得者というのは非常な差別を受けることになるわけでございますが、それについてはどのようにお考えなのか。  この二点だけお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 大野由利子

    大野(由)政務次官 最初の、要介護の4と5でございますが、市町村で判断をするわけでございますが、この介護認定を利用することもあるということ。後の、市町村はやはり市民の皆さんの要望、ニーズにこたえていかなければいけないわけでございますので、十分な基盤整備というものを充実させていかなければいけない、このように思っております。
  124. 江口一雄

    江口委員長 午後二時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時五十三分開議
  125. 江口一雄

    江口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川正春君。
  126. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。  休憩前に引き続いて質問に入っていきたいと思いますが、先ほどは待ちに待ったといいますか、クエスチョンタイムが行われました。今回の国会、底に流れるものは、いろいろ課題もありますが、その中で一つ、政治がいかにリーダーシップをとっていくか、こういう歩みに対してまず第一歩が踏み出されていく、その国会であろうかと思うんです。そんな中で政府委員制度も廃止をされて、大臣あるいは次官が答弁をしていただくということであります。  そんな流れの中に、今回のこの介護保険法の特別対策というのが、突然三党合意という形で入ってまいりました。国民にとっては、我々のメッセージ、政治がリーダーシップをとっていくよというこのメッセージは徐々に浸透しつつありまして、それに期待を寄せるところがあるわけでありますが、ところが、もう一方で党利党略、あるいは選挙のための対策、そういうものがしっかり見えているにもかかわらず、国民を侮るような形である日突然三党合意というものが出されて、それが政治決断のような形で、これまで積み重ねてきた多様な議論、そしてその結果導き出された一つ介護法案というその法案、この根幹を翻してくるような形で政治が介入してきた、こういう構図になりつつあるんだというふうに思うのです。  これは、ただ介護保険の問題だけじゃなくて、これから我々が目指していこうとする政治体制そのものに非常に大きな傷をつけてしまう、こんなことにもなりかねないんじゃないか、こんなふうに思っておりまして、そういう危機感にも立って、そういった意味では、大臣がこの介護法については最高責任者であり、大臣政治家としてのすべてをかけた、そんな取り組みをやっていただいておるはずであります。  そこのところに期待をしながら、私は、三党合意合意であるにしても、最高責任者として、厚生大臣として、これからの答弁の中でぜひ考えを打ち出していただきたい、その中で政治がいかにリードしていくかというその姿勢を見せていただきたい、こんなふうにまず冒頭お願いを申し上げたいと思うのです。  その上に立って、大臣、三党合意をはね返してしまって、やはり法律の趣旨、当初のこれまで議論を長く重ねてきたその趣旨に基づいてやっていこうじゃないかというような意思を示していただけませんか。
  127. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、中川委員の御指摘の中で、三党合意がまさにこれまで議論をしてきた介護保険制度理念や枠組みを変更しているのではないか、こういう前提に立って御質問をされているようでございますが、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな議論がございますけれども、例えば家族に対する慰労金の問題であるとか、そのほかさまざまな問題につきましても、決してこれまで議論されてきた理念や枠組みを変更するものじゃないんだ、むしろ世紀の大事業を、しかもお年寄りに大変なコストをいただくということに対して、どうやって少しずつなじんでいただいて、御理解をしていただくんだ、これが私ども政治家最大の役割じゃないか。そこの認識がちょっと違うんじゃないかな、こういう感じがいたします。  それから、選挙でどうのこうのと言いますが、これはまさに寝たきりのお年寄りを、これまでは家族の重い負担のもとに行われていたものを軽くしようという問題でありました。軽減しようというものなんです。そういう国民生活に直結したものを選挙と結びつけて議論されることは、厚生大臣として大変心外でございます。
  128. 中川正春

    中川(正)委員 そういう弁明をされても、実質的に、それぞれ今から行われていこうとするものが、根幹の制度をゆがめていこうということがだんだんきょうの議論でもはっきりしてきておるわけであります。  それ以上に、国民世論というのは、私も、これまでこの問題が出てきてからのマスコミに取り上げられたそれぞれの声、あるいは全国知事会、全国市長会、全国町村会、それぞれ現場でこの問題を国民に説得をし、説明をし、そして理解を何とかつなげていこうと努力を負っていただく皆さん方のそれぞれの声を聞いていると、やはりみんな見透かされているんですよ。この問題の中で何が本当の意図であるか、見透かされているから、それぞれ反対をし、それぞれもう一回考え直してほしい、三党合意に流されるのじゃなくて政府は頑張ってほしい、やるべきことをやっていきましょうよ、私たち保険料を払いますよ、こういう国民の声があふれているんですよ。  それに対してどんな詭弁を使おうと、この事実に背いていくことによって、やはり政治主導といいますか政治としての責任が最終的には問われる。無責任じゃないかということになっていくのだろうというふうに思っております。  そのいろいろな国民の声に、ぜひこたえていただきたい、はっきりさせていただきたい、そういう問題を一つ一つ今から取り上げながら詰めていきたいというふうに思っております。  まず一つは、半年間は老齢者については保険料を払わなくていいよ。これは市町村が改めて国民に対してもう一回説明をしなければいけないんですね。そうすると、私たちもふだん接していてわかるんですが、その説明をすると、いや、国民としてはただほど怖いものはないのだ、そのツケはどこに回っていくのか、これは必ず返ってくるわけであります。とりあえずのところ赤字国債を発行しようじゃないか、さっきからこういう考え方が出ていますが、これはとりあえずのところでありまして、最終的にはどんな形で国民に対して回ってくるのか。そのことをはっきりしてもらった上で我々も判断しようじゃないか。これは当然の皆の反応だというふうに思うんですよ。それに対して説明責任はやはりあると思います。  はっきりさせてほしいのは、税金で返ってくるんですか、それとも保険料という形でそれぞれ再計算しながらその分はもう一回保険料に上乗せした形で返ってくるんですか。
  129. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから私が申し上げておりますように、この問題につきましては、市町村におきまして、あるいは住民におきまして、大変な温度差が残念ながらある。そのことに対して、先生は残念ながらちょっと認識がないのじゃないかなと。そうじゃなかったら、はっきり言って、私もこんなに苦労はしません。大変な苦労はしません。これは私も声を大にしてやっておりますけれども、大変ないろいろな議論があります。その辺のところをどうやって国民全体をまとめて、そしてお年寄り皆様方の御理解を得ながら進めていくかということが、我々政治家には必要なことじゃないか。  とにかくこれまでの制度から百八十度変わる。百八十度変わった。何回御説明しても、七十、八十のお年寄りの中には、これまでのいわゆる措置制度から契約型の利用型に変わることとか、率直に申し上げてこういうことになかなか御理解をいただけない方もいらっしゃるし……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。なぜ私どもは健康なのに保険料を払わなければならないのかという方もいらっしゃるし、私はそこが本当に悩ましいところでございます。  そういう意味において、これまで基本的には公費サービスで行われてきたものを、新しい時代に、契約にして、さらにもっとそれぞれの市町村が独自の判断でやっていこうというための一種の猶予期間といいますか助走期間というものを、いきなりやったら余りにも変わり過ぎて大変な混乱をする、中には申請を忘れていらっしゃる方もいらっしゃる、こういう方に対する猶予であって、そのことだけを取り上げてどうのこうのということは、私は合わない。  むしろ問題は、私どもが今ここで対立することではなくて、来年の四月から、これは大変な大事業でございますけれども、みんなで力を合わせて、はっきり言って選挙とかそんな次元じゃありません、そんな次元じゃなくて、みんなで力を合わせてこの介護保険制度というものを定着させていくことが、まさに我々政治家に求められていることではないか、こう考えております。
  130. 中川正春

    中川(正)委員 そういう話であれば、保険料徴収しないということだけじゃなくてサービス供給もしばらく見合わそうじゃないか、準備が全部できた上でやりましょう、こういう話になるのが普通なんですよ。ところが、サービス供給はやりますよということですから、これに対しては、では、そのコストはどうなりますかということは説明する義務があると思うんですよ。説明責任はありますよ。それが最終的に国民に回ってくるんでしょう、これは国民もわかっているわけですよ。  では、その回り方というのは、もう一回聞きますが、これは保険会計の中でもう一回回ってくるのか、それとも赤字国債を発行したら、それはそれだけのことで、税金で全部賄われていこうとしているのか、ここのところをはっきりしていく必要があるじゃないですかという質問です。
  131. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 それでは、ちょっとお聞きいたしますが、給付サービスをおくらすべきだとお考えなんですか。まず、その前提いかんについて私はお伺いします。
  132. 中川正春

    中川(正)委員 我々のところは、粛々と法律に決められたとおりに四月から両方ともやるべきだ、そういうことです。  しかし、先ほどの片方だけをおくらすということに対して、これはおかしいじゃないかという私の議論をしただけのことで、私たちは最初から粛々とやるべきだ、説得して両方やるべきだ。そういう形で国民も立ち上がってくれたじゃないか。あるいは、市町村では、大臣以上に汗を流して、日夜苦労しながら国民に説明をしている職員もいるんですよ。その人たちが、これはどうするのと国民に聞かれて、半年はわかるよ、しかし、それにしても、その半年の後の請求書というのはどこへ回ってくるのと。これははっきりさせてください。
  133. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ですから、中川委員、どうもそこの認識の違いがあって、粛々とやるとおっしゃるけれども、平均で二千九百円弱ですから、これについていろいろなトラブルがある中において、粛々といいますか一気にといいますか、これをやることが果たして適当なのかどうか。やはりいろいろな問題が、先ほども申し上げましたように仕組みそのものが変わるんですから、そういうことも御理解をいただきながら、特に年配のお年寄りの方でございますから、そういう観点から進めていくのであって、要するに来年の四月から実施していくためにはどうやっていくかということで、私は苦悩に苦悩を重ねた上でこのような結論に達した、こういうことでございます。
  134. 中川正春

    中川(正)委員 先に私の質問に答えてください。反論するのだったら、その後でしてください。  もう一回言いますが、この国民の問い、半年間猶予をするということですが、具体的に言えば七千八百五十億円、これは予算に計上されようとしている、これは赤字国債で一時補てんをしますよということですね。それに対して国民としては、最終的にはこれはどうなるのか、また税金で後送りをするんですか、私たちの子供や孫がそれを払っていくのですか、それとも保険という形で上乗せをしていくような再計算をしていくのですか、その中で保険料で払っていくのですかと。これはやはり答える必要があるでしょうということです。
  135. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 現実問題として赤字国債で賄わざるを得ないと思っております。凍結をしたからといって、これによって保険料を引き上げることは一切考えておりませんし、現実問題として、三年間を決めるんですから、その後は、できることは物理的に不可能です。
  136. 中川正春

    中川(正)委員 そうすると、税で賄うということですね。そういうことですね。正式に答えてください。
  137. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま申し上げたとおりです。
  138. 中川正春

    中川(正)委員 そうすると、この法律の趣旨というのは、もともと、半分は税でやりましょう、そして半分は保険でやりましょう、給付と負担の割合というのをここでしっかり国民にも理解をしていただいて、その上で、自立したというか、私たちのそれぞれ地方公共団体が今度は主体的な事業の当事者となって、地方分権の流れに沿ってこの仕組みをつくっていきましょう、こういう建前で来たわけでありますね。  それが、本来は保険で賄わなければならない部分を今度は税に置きかえるということ、しかも、高齢者にとっては半年間は一〇〇%税なんですね。これは法の趣旨そのものを組みかえていくということでありますから、法改正なしでこの政策を推し進めることは、その根拠というのが崩れるんですよ。その矛盾というのを抱えながらの話なんですが、これはどう整理するんですか。
  139. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 三党合意を受けまして政府方針を決めるときに、法改正は行わない、こういう前提のもとにこのような措置がとられたわけであります。  それで、要するに介護保険料は徴収しなければならない、こういうことでございます、まず第一は。それから、年金というのは、先生御案内のように、半年ごとに取る、こういうことでございますが、率直に申し上げてさまざまな御意見がありました。十カ月がいいんじゃないかとか一年がいいんじゃないかとか、こういうような意見があったことも事実であります。  しかし、私どもとしては、あくまでも保険料徴収する場合には、先ほど申し上げましたように、年金からの保険料が半年ごとに行われる、こういうことから、要するに、一年間法律に触れる問題である、半年間については、三年間の計画を立てて決めるわけでございますので法改正につながらない、こういうような立場に立って決めたような次第でございます。
  140. 中川正春

    中川(正)委員 申しわけないけれども、意味がわかりません。  もう一回聞きますが、法の趣旨は、半分は税金、半分は保険、こういうことですね。お答えいただけますか、大臣。これは正しいですね。法の趣旨は、半分は税金、半分は保険でやりましょう、これは正しいですね。
  141. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 半年は予算措置によって保険料を免除しましょう、そして、それから一年間については二分の一国が保険料を軽減する分を充当しましょうというのが正確でございます。
  142. 中川正春

    中川(正)委員 いや、今回の話じゃないんですよ。この介護保険法律のもともとの趣旨を言っているんですよ。手続の話じゃないですよ。半分は税金で、半分は保険制度で回していきましょう、こういうことですね。
  143. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御指摘のとおりでございます。ですから、半年間につきましては、あくまでもいわゆる助走措置として、そして、いろいろなトラブル、混乱しないような観点から、もう一つは激変緩和の観点からでございます。  基本的には、今申し上げたように、半分というよりは、一割が自己負担で、残りの九割について、半分は要するに公費が負担をする、半分が保険料でございます。
  144. 中川正春

    中川(正)委員 そういう法の趣旨からいくと、今回の措置で半年間免除をしますということになると、老齢者についてはそのかわりに税がおりてくるわけです。今回の交付金あるいは補助金というのは税ですよ。こういう話があったわけですから、これは税でおりてくる。そういうことになると、老齢者については一〇〇%が税金になりますね。これは法の趣旨からいっておかしいじゃないですか。だから、法改正が必要なんでしょう、こういうことを言っているんですが、それに対する答えがなかなか出てこないんです。はっきり答えてください。
  145. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げておりますけれども年間を通じて保険料徴収するということが法律に決められておるわけでございます。
  146. 中川正春

    中川(正)委員 いや、そこのところは理解できませんね。もう少し理解できるようにちゃんとした言葉で詳しく説明してください。
  147. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 制度発足時の平成十二年度の前半に限っては、その期間に見合った財政措置を行う。先ほどから申し上げておりますように、半年間でございますから、これについては徴収を行わなくても法改正を伴わないんだ。これがまず第一点。  それから、第二点でございますが、具体的には、保険料徴収原則として年金から天引きする、いわゆる特別徴収でございますが、この特別徴収は、先ほどから申し上げておりますように、半年ずつ行われるんだ。上半期と下半期に。上半期は仮の額によって徴収されることになっておるわけでございます。ですから、平成十二年度の上半期の仮徴収については、施行当初であるという特殊な事情を踏まえて、それから、市町村がこれをどうするか、先ほどもちょっと申し上げましたけれども市町村が取るか取らないかということは、これはあくまでも市町村の判断でございますけれども、要するに法律上可能になっておる、こういうことでございます。
  148. 中川正春

    中川(正)委員 半年であろうと一年であろうと税金で丸々カバーするんだということには変わりないわけですから、そこのところはどう説明してもへ理屈でしかない。これは単純に見たらそういうことですよ。だから、これはやはりもう少し原点に戻って、法律の趣旨そのものの議論から始めないと、こういう政策は突然には入らない。だから、根幹を揺るがしてくるんだということになってくるわけであります。  だから、国民に対して説明するのに、さっきのような説明は通りませんよ。この半年間何でこれはカバーするんですかと言ったら、税金でカバーする。もともとこれは保険ということじゃなかったんですか。我々は保険で払うつもりだったんでしょう。こういうことでしょう。それを突然、いや、それは税金ですよ、こういう話になるわけですから、こんなような話は国民に対して説明できない。恐らく市町村の現場の担当者もできないと思うんですよ。さっきのような大臣の話ではこれは理解できません。そこのところはもう一回原点に返って議論をしていかなければならないと思います。
  149. 江口一雄

    江口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  150. 江口一雄

    江口委員長 速記を起こしてください。  それでは、大塚老人保健福祉局長。
  151. 大塚義治

    大塚政府参考人 法技術的な観点での御説明になりますことを御容赦賜りたいと思うわけでございますが、さまざまな予算措置を講ずる場合に、当然、財源的な措置は予算で措置をいたしますが、それを執行する場合に法律的な改正が要るのか要らないのか。これは法律的な実務上の観点から検討することになるわけでございます。  今回の御提案、政府考え方の中で、制度が施行されます平成十二年度四月から半年間保険料徴収しないという財政措置を講じた場合に、それが法律改正を必要とする規定かどうか、現行の法律改正を必要とすることになるかどうかという御議論につきまして、法技術的な観点からの御説明を申し上げたいと思います。  先ほど大臣から御答弁申し上げた内容と重なるわけでございますけれども、この介護保険制度保険料徴収の新しいシステムとしましては、年金からいわゆる天引き、特別徴収をするという仕組みを新たに導入いたしております。この関係で、特別徴収と例外的に普通徴収、この組み合わせで保険料をちょうだいするということになっておりますが、特別徴収につきましては、徴収システムとの関係が、巨大なシステムがございますので、それを実質的な背景といたしまして、上半期と下半期、年金の支払いが年間六回でございますので、二月置きになっておりますので、上半期三回、下半期三回、この六回の際に年金から天引きをして保険料徴収する、こういうシステムをとっております。  したがいまして、そうしたシステムを背景に、通常の年の上半期を仮の額で徴収する仮徴収ということにいたしまして、後半を本徴収、細部の調整は本徴収の際に金額の調整を行う、こういう方向性をとっております。  ただし、平成十二年度、施行時の上半期の仮徴収につきましては、施行当初であるというさまざまな事情がございまして、特に市町村の判断によって特別徴収、つまり年金からの天引きを行うことができるという、いわば市町村に権限、判断をゆだねる規定が設けられております。スタートいたしますと、原則としては特別徴収徴収が行われる、こういう仕組みになっております。  そういたしますと、この上半期につきましては特別徴収市町村の判断で行われないことがあり得るわけでございますが、その場合には、今度は普通徴収という規定に移ることになります。  普通徴収につきましては、法律上も、その徴収の時期でありますとかその他条例で定めることができるということになっておりますので、制度発足時の平成十二年度の前半に限って申し上げれば、しかるべき財政措置が行われれば、その間の保険料徴収をいたさなくても、実定法上、どこかの条文を改正しなければ執行ができないということではなくて、現行法の中でも、先ほど申し上げました、特殊な制度発足当初の規定になっておりますことから、特段、具体的な条文の改正を伴わないで本来の財政措置が執行できる、つまり半年分の保険料を軽減する措置が講じられる、こういうのが現行法上の解釈でございます。  したがいまして、法律改正を行わなくて年度前半の保険料の軽減が法律上は可能であるということでございます。  以上でございます。
  152. 中川正春

    中川(正)委員 こうして法律上でごまかすやり方というのはやはり国民に対して説得力がないですよ。だから、本来はこういうシステムですよという説明をする意味でも、法改正国会論議を通じてやっていく、そんな正々堂々とした姿勢というのがやはり与党サイドで欲しい、やるんだったら。我々は反対していきますけれども。そういうことをまず申し上げておきたいというふうに思います。  それからもう一つ。これに関連して、先ほどからたびたびお話に出ていますが、私のところにもこんな話が来ているのです。市町村によっては、今回の介護保険というのは地方分権推進の一環で、まず第一歩だ、その中で市町村長の裁量を十二分に入れ込みながら市町村間同士で競争していくぐらいのトータルなシステムを組んでいきますよという、そんな意気に燃えたというか、しっかりした意識を持った市町村長さんが多いわけです。そんな人たちにとっては、今回の話は間違っている、我々はそうやって国民に説明してきたんだから、国がそう言っても、私たちは今回の保険料徴収はしていきますよ、そのように市民を説得していきますよという市町村は当然あらわれてくると思いますし、ぜひそうしていきたい、こういうことなんです。  さっき大臣から答弁がちらと出ていたのは、そのときに、保険料徴収したところには今回のいわゆる補助金、交付金というのはおろさない、国の言うことを聞いたところだけおろしますよ、こういうニュアンスで答弁があったわけでありますが、そこのところをもう一回はっきりと答えていただきたいと思います。
  153. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の保険料などのための交付金でございますが、それぞれの市町村にいわゆる交付金の基金のようなものをつくっていただく、こういうことでございまして、施行当初半年間保険料徴収を行わず、またその後の一年間保険料二分の一を軽減するということを前提にしておるわけでございますが、先生が御指摘のように、いや、うちの町では、そうはいったってやはり保険料を取るんだということは、それぞれの市町村の独自の判断にゆだねるものでございますけれども、この交付金の趣旨というものは、あくまでも保険料の免除の分と軽減の分を交付する、こういう趣旨でございます。  そういう観点から、要するにペナルティーとかそういうような性格のものではなくて、こうした対応を行わない市町村については基本的には交付金の交付を行う必要はない、こう考えています。
  154. 中川正春

    中川(正)委員 これも市民にとってはおかしな話なんですよね。保険料徴収する市町村があるとすれば、その市民というのは、私たち保険制度の中で法律の趣旨を理解したから自分たち保険料を払っていこうよ、こう立ち上がった人たちですよ。その人たちに対しては交付金がおりてこないで、何やかんやと文句を言って保険料を払わない、払わなくてもいいよという市町村に対しては、それじゃ仕方ないから交付金をおろそうなんて、これはモラルハザードですよ。どう思われますか。
  155. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたけれども保険料徴収する市町村に交付金を交付しないという取り扱いは、交付金の趣旨、性格、目的から考えまして、これはペナルティーとして行うものではございません。ですから、モラルハザードという問題とは次元が全く違うものと考えております。  なお、市町村に対しまして、今回の措置は十分に御説明をした上で御理解をいただくように努めていく所存でございます。
  156. 中川正春

    中川(正)委員 それじゃ、今回の政府の趣旨に反して、私の市町村は、この介護保険制度は、もう全部準備ができたんだ、市民は納得しているんだ、その中で保険料を払いますよというところに対しても、無理やり、いや、それはだめだよ、取ったらだめだよ、そういうところまで政府がいくんですか。
  157. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと話は違いますが、少子化対策のときも、これは少子化対策にお使いくださいということで二千億円をことしの第一次の臨時補正で決めたわけであります。それと同じであって、使い道について、要するに今回は保険料の猶予あるいは軽減にお使いをいただきたい、こういうものでございまして、中川委員が御指摘かどうかわかりませんけれども、例えば、いや、うちの方はこれは基盤整備に使いたいんだという話とこれは別な次元でありまして、基盤整備については一千億弱準備をいたしておるような次第でございます。
  158. 中川正春

    中川(正)委員 そういう趣旨であれば、私のところは保険料徴収しますよ、そういうところにお金をおろして、それを基金にしながら、将来の保険料率の決め方の中でその分を減免していくという還元の仕方があるんです。これをさせたらどうですか。
  159. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 そういうお考え方があることも十分承知しておりますけれども、先ほどから何回も何回も繰り返し申し上げておりますけれども、今回の保険料の免除というのはあくまでも、これまでのいわゆる措置制度からいわゆる契約制度に変わるとか、すべての面において世紀の大事業でございますので、その点を猶予するという観点から考えるということでありまして、その点についてぜひとも先生の御理解をいただきたいと思います。  例えばAという町は仮に全額免除をするとか、片一方の方ではどうのこうのとほかにも使うということになりますと、かえって現場に混乱が起きて、ますます市町村長さんに御迷惑をおかけすることになるのではないか、私はこう考えています。
  160. 中川正春

    中川(正)委員 大臣は論理破綻を起こしているような感じがするんですよね。  これは、もとは、保険制度で給付と負担の割合をしっかり意識をしてもらいましょうということでスタートしているわけでしょう。それを、今度は税金で持ちますよという話で横やりを出してきているわけですよ。それに対して、市町村によっては、いや、もとの話でいきましょう、保険料徴収しましょう、そのかわり、せっかく国の方から交付金を渡してくれるのであれば、それはいただきますよ、それを何に使うかといったら、保険料率を下げるために、保険負担を下げるために使いますよということで、同じ趣旨で使うんですよ。基金に積み立てるわけですから。だから、そういうような形で、何も矛盾は起きていないじゃないですかということなんです。それをわざわざ、徴収をしないところだけお金を渡して、徴収をしたところは一銭も渡さないよ、こんな論理矛盾はないですよ。
  161. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の場合は、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、来年の四月からの問題でございまして、要するにいつ交付金を使うかという問題、そしてその目的、趣旨を踏まえて、反するものと考えています。
  162. 江口一雄

    江口委員長 時間が経過をしております。
  163. 中川正春

    中川(正)委員 時間が経過しているんですといったって、わからないんですよ、大臣答弁の意味が。何とかしてください。
  164. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 それでは、語尾がはっきりしなかったようでございますので、恐縮でございますが、もう一度繰り返し発言をさせていただきます。  今回の交付金制度というものは、各市町村に基金を設けて、そして来年の四月からの半年分についてお使いください、その後については、二分の一について国の方から負担をいたしますからお使いくださいということでございますので、先生がいろいろお考えいただいているような、将来のためにこれをとっておくというようなことは、その目的から反するということを申し上げている次第でございます。
  165. 江口一雄

    江口委員長 時間が経過をしております。
  166. 中川正春

    中川(正)委員 これは大事なことなんで、次にバトンタッチをして——時間をいただけるそうです。  どうですか大臣、これは、もともとの出発がそうした矛盾の中で出発してきて、非常に苦労をしておられるということなんです。その中で、さっきの交付基準、どういう条件で交付していくかという話ですが、基本的に大枠の中で保険料を賄っていくということのために税金を使うという方向があって、その保険料を賄うという基本基準があるのであれば、それがこの半年であろうと将来であろうと、これからの基金に残していく、あるいはすぐ使う、どうであろうと、そのぐらいは地方分権の趣旨の中でそれぞれの市町村長に任せていくというふうな形で、やはり納得のいくシステムというもので——これは我々は反対だけれども、仮にやるのであればそれぐらいの話はしないと。これはやはりおかしいですよ。これは筋が通らないですよ。     〔委員長退席、田中(眞)委員長代理着席〕
  167. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げておるとおりでございます。  ただ、先生の御提言といいますか御意見というものも一つ考え方として私も十分に承っておりますが、基本的には私が先ほど申し上げたことに変更はございません。
  168. 中川正春

    中川(正)委員 大臣、ここがリーダーシップなんですよ。ここが政治なんですよ。国民にわかるように我々がどう説明できるか、そこで政治が生きてこないと。幾ら三党合意と厚生省とのいろいろな話の中でいろいろあるのだろうと思うのですが、しかし、常識的に考えてさっと理解できるような、そんなシステムでないと、また疑われますよ。これは、もともとはやはりどう考えたって選挙目当てです。そういうことじゃないですか。そこの政治のリーダーシップというのを、もう一言頑張ってください。
  169. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 せっかくの御激励でございますけれども、これは私と中川委員との認識の違いでございまして、かえって混乱を起こすことによって市町村にとって大変なことになるのではないかということでございます。  これは三党合意をもちろん重く受けとめて決めたことでございますけれども、片っ方では保険料に使うと言っておきながら、片っ方で全然違うところへ使ってしまうということになると、かえってややこしくなるのではないかというのが現時点における私の認識でございます。
  170. 中川正春

    中川(正)委員 それでは、きょうはここで矛をおさめますが、次のバッターが続いていますので、頑張ってください。
  171. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 それでは、民主党さんが持っておられる時間内で、石毛えい子さん。
  172. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。  大臣政務次官、お疲れのことと存じますが、引き続きよろしくお願いいたします。  午前中来、家族介護について、慰労金をめぐりまして何人かの委員の方が御質問をなさっていらっしゃいましたけれども、私もその点についてもう少し踏み込んで質問をさせていただきたいと思います。  この介護保険法の四月実施に向けてどうするかといいますのは、ずっと自自の間でもいろいろと議論が引き続いてまいりましたけれども、私が改めて申し上げるまでもなく、十月六日の自自公政策担当者会議における亀井自民党政調会長の発言をきっかけに、与党党合意、そして政府見解というような大展開、三党連立に伴う大展開に移ってきた、そういう流れだと思います。  まず最初に、大臣及び政務次官に、極めてプリミティブかつオーソドックスにお伺いしたいと思いますけれども、亀井自民党政調会長の、親を子が面倒を見るという日本の家族の美風という、この家族観、お考えに対しましてどういう所感をお持ちか、そのあたりからお聞きしたいと思います。
  173. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、石毛委員に申し上げますが、家族での介護というのは大変な御労苦を伴うものでございまして、介護をなさっていらっしゃる家族の方々に対しましては、深い敬意を表するものでございます。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、今回の介護保険制度の趣旨といいますのは、家族の方々の負担ではもう限界があるのではないか、こういうことから社会全体で支え合っていこうではないかということが介護保険制度であるということで、あくまでもこれは家族の、特に女性の皆さん方が大変な犠牲になっている例が多いわけでございますけれども、こういう方々に対する負担を和らげるものだ、こういうふうにまず御理解をいただきたいと思っております。  それから、亀井政調会長の親子関係の美風云々ということは、私は亀井政調会長よりは幾らか若いものですから、こういう問題で美風という言葉は余り私自身は使いませんけれども、ただ、子供さんが親を思う気持ちということは大切にしなければならない、こう思っているような次第でございますし、先ほどから申し上げておりますように、亀井政調会長の御発言というものは、決して、私どもが当初から考えておりますこの趣旨、理念というものをいささかも変えるものではないということでございます。
  174. 石毛えい子

    ○石毛委員 同じ質問でございますが、政務次官、お願いいたします。
  175. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今回の介護保険制度は、やはり家族介護の過重な負担を軽減しよう、もっと社会で介護を担っていこうということで導入された制度である、このように思っております。  もちろん、介護保険制度導入されましても、家族介護負担がゼロになるわけではございませんし、親を思う子供の気持ちというのは大変大事にしていかなければいけない、こう思いますが、これが日本の美風であるということが、それに寄りかかるということはよくない、社会で安心してみんなで支え合う介護保険制度を築こうということで今回の介護保険制度導入された、このように承知をしております。
  176. 石毛えい子

    ○石毛委員 大臣の御発言も政務次官の御発言も、家族介護ではもう支え切れない、そういう時代になっているからこそ、社会的な支え合いとしての介護の仕組み、介護の社会化を進めなければならない、とりわけ女性の犠牲の上に立っているという、この一点。それからもう一点は、とはいえ、美風という表現を使うかどうかはともかくといたしまして、子供が親を思う気持ちは大切という、その思いは共通のところがあるということが二点目。三点目、ここが私は特別対策というかかわりで考える場合に非常に重要な点だと思いますけれども、趣旨に変化なしというふうに大臣はおっしゃいましたし、政務次官もそういう御発言をなされたというふうに確認を念のためにさせていただきながら、次の質問に移ります。
  177. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 討論中でございますが、速記をとめてください。     〔速記中止〕
  178. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 速記を起こしてください。  石毛えい子さん。
  179. 石毛えい子

    ○石毛委員 先ほどの大臣の御答弁は、家族介護慰労金を出しても介護保険の趣旨にはいささかの変化もないという御答弁でございました。  そこで、私は、十月二十九日の三党合意といいましょうか、政府に対する申し入れを受けまして、十一月五日に政府から「介護保険法の円滑な実施に向けて」という政府方針が出されておりますけれども、そして、この方針に関しましては、きょう午前中、民主党の山本委員の御質問に対しましても、この方針で変化がないというふうに御答弁になられましたけれども、この「家族介護支援対策」のところを見ますと、どうしても気になる文言がございます。  それは、どう書いてありますかといいますと、「そこで、介護を行っている家族にどういう支援を行えばよいかということについては、さらに十分議論を重ねる必要がありますが、その結論が出るまでの間、市町村が、介護保険法とは別に、家族介護の支援事業を行った場合には、国も助成いたします。」というふうに書かれております。  慰労金につきましては、ずっときょうの議論の中でも出されておりますように、市町村実施する場合に介護保険法とは別にというお話でございますけれども、これはむしろ、後ほどちょっと介護保険との関連でも問題点指摘したいと思いますけれども、この家族介護支援対策に対する政府方針で重要なところは、「介護を行っている家族にどういう支援を行えばよいかということについては、さらに十分議論を重ねる必要がありますが、その結論が出るまでの間、」という、ここだと私は思うのです。  そこで、その「十分議論を重ねる必要があります」という、その議論というのは、政府とすればどういう想定をなさっておられるか。あるいは、「その結論が出るまでの間、」という、その結論につきましてはいつを指しているのかということを御確認いただきたいと思います。
  180. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 亀井発言以来、家族介護の問題、特に彼は現金給付を保険の枠の中でということを強く申しました。  これは先ほどから申し上げておりますように、法改正を伴うものでございますし、当時、もう四年前か五年前になりますけれども、ドイツのように七割、八割がみんな現金で行って、介護整備というのは、要するに基盤整備は全然行われていないんだということで、いろいろな意見はあるけれどもこれは行わないというような結論が出て、このような法律というものができ上がったというようないきさつがあるわけでございます。  いずれにいたしましても、この家族介護の支援のあり方につきましては、さまざまな議論がなされておりまして、これはそれぞれの見方によって異なることでございます。  そういう中で、私どもといたしましては、要するに、家族介護を行っていらっしゃる家族の方々に対して保険の枠の外において給付金を差し上げるとか、あるいはリフレッシュ事業をするとか、それからお互いに大変な悩みを持っていらっしゃいますから、そういうような交流事業に対する助成、育成をするとか、こういうことを行っていこうではないかということで、基本的に現金給付とは違うんだということをまず御理解をいただきたいと思っております。  こういうようなことで、率直に申し上げて、あの当時いろいろな議論をしましたけれども、またこういう問題についていろいろな議論が出ておるわけでございますので、私ども政府といたしましては、家族介護の支援のあり方につきまして引き続き幅広く御意見を、いろいろな御議論をしていただきながら、そういう状況を踏まえてこれからも政府としても検討していきたい。一応の目安としては、平成十三年度末までに決めたい、こういう一つの一定の方向性を出したい、こう考えているようでございますが、中身については全く考えておりません。  なお、私個人的な意見を言わせていただきますならば、あくまでも、これは保険というものでございますけれどもお金を集めてお金を配るというものではなくて、要するに家族皆様方負担を軽くするんだ、こういう観点から、私は、この現金給付ということは、今の時点で申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、あの当時から民主党の菅代表と意見が一致しておったわけでございますけれども、ホームヘルパーさんが少ないとか、あるいは施設が少ないとか、こういう問題に力を入れていくことが先決であって、ドイツのように七割、八割が現金給付を行われているということで基盤整備が進まないというような轍を私どもは踏んではならないのじゃないか、こういうような認識を持っているようなものでございます。
  181. 石毛えい子

    ○石毛委員 中身については全く考えていないというふうに今大臣おっしゃられたと思いますけれども、「さらに十分議論を重ねる必要」という、その重ねる必要の中身については今のところ特定しているわけではないという御趣旨の御発言だったと思います。  私は、大臣がそういうふうにお考えになられたとしましても、この間、日を追って、少し家族介護につきましての新聞の記事を整理してみますと、どうも亀井政調会長が発言されてから介護保険の外での家族介護慰労金というところに落ちつくまでに、考え方がむしろ、言い出した方の趣旨と、特別対策として一応まとめたこの形の中身が何か天と地ほども変わっているというふうに申し上げてよろしいでしょうか、そういう感じがいたします。  少しそのあたりを申し上げてみたいと思いますけれども、余り時間もとるわけにいかないのですが、例えば亀井政調会長は、これは十一月六日の新聞によりますと、当初は五万円程度の現金給付を自分は考えていたというふうにおっしゃられています。それから、受ける方についても、ここがちょっとあいまいなところがあるかと思いますけれども、最初は介護の必要のある重い方に介護保険制度を集中して、高齢者の軽度の方については家族までやる必要があるのかどうかというような御発言であって、スタートのときは軽重が逆転していた。それが途中に行きますと、これは十月二十五日の新聞報道ですけれども、自民党のお考え方とすれば、月額二万円から三万円の家族介護手当ではどうかという、このときは家族介護手当なんですね。  そしてまた、保険制度の枠内か枠外かという問題と、それからこのときは低所得というふうには限っていなくて、所得税納付世帯には税額控除をすればいい、納付していない低所得世帯には現金支給というようなことで、支給対象を所得で特定はしていなかった、そういう議論も中間にあったように新聞では報道されております。  金額からいいますと、五万から二万、三万。そして、慰労金となりましたら年十万というふうになったわけです。名称は家族介護手当から家族介護慰労金に変わりました。それから、所得は一般対象から低所得に変わりまして、要介護状態のところは亀井政調会長の発言とは逆に軽度から重度に変わったということで、三党の政策責任者会議で発題された当時、それからしばらくの間の経緯を見ていて報道されていた内容と、それから、三党合意の文言と政府方針との間には余りにも落差が大き過ぎるというふうに思います。  月五万円という金額がなぜ年十万円の慰労金で決着したのだろうかとか、申し上げれば切りがないというふうに思いますけれども、こういう経緯を見ておりましてだれしもが思うことだと思いますけれども、その上で、この十一月五日の官房長官の出されましたペーパーを拝見しますと、先ほど申し上げました、介護を行っている家族にどういう支援を行えばよいかということについてはさらに十分議論を重ねる必要があり、結論が出るまでの間、介護保険法とは別にということでございますけれども、問題は、十三年度末になりましたらもう一度この議論が蒸し返されることになるんだと思いますけれども、本当に、大臣がおっしゃられましたように、介護保険の趣旨をいささかも変えることなく、介護保険制度とすれば現金給付はしない、そういうことで確認してよろしいんでしょうか。
  182. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、申し上げさせていただきますことは、私自身も三党の政策責任者会議に何回となく呼ばれました。この問題について私なりの考え方を申し上げさせていただきました。  そういう中で、私が申し上げましたことは、この介護保険制度理念、枠組みを変えてもらっては困るということを繰り返し繰り返し申し上げたわけでございます。そして、最終的にはこのような形で、保険の枠外で家族慰労金ということが決まったわけでございますが、途中の経過についていろいろな意見が出てきたことも事実でございますが、亀井政調会長あるいはそのほかの政策責任者の方々もこれを了としていることでございますから、今私がこのことについて言及することは避けたいと思っております。  それから、先ほど申し上げましたことは、これだけ大きな問題を呼んでいる問題でございますので、十三年度末までに一つ考え方議論していただくということでございまして、先ほど私が申し上げましたことはあくまでも個人的な意見でございまして、これからどういう形になるにせよ、いずれにいたしましても十分に議論をしなければならない。  特に、当時、四年前でしたか、五年前でしたか、この問題についても大変な議論をいたしました。蒸し返すという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、この問題について政府部内で十分に検討をするということでございまして、先ほど私が申し上げましたことはあくまでも私見でございまして、これからどういう形になるかわかりませんけれども、こういうことを含めて三党間におきましては十分に議論をしていただくということでございますし、私ども政府といたしましても、家族介護の支援のあり方については検討をしていく、こういうことでございます。
  183. 石毛えい子

    ○石毛委員 何だかよくわからなくなってきたのですが、その三党協議の席に大臣が御出席なされて理念、枠組みを変えてもらっては困るという発言をされ、それについては了とされた。政調会長は……(丹羽国務大臣政府が決めたことについて、最終的に」と呼ぶ)政府が決めたことについては最終的に了とされた。  しかしながら、十三年度末までの状況を見て、これから三党が、そのときに連立が今の枠組みであるのかどうかというのもわからないことでございますけれども、今の時点では、十三年度末にはまたどういう議論になって出てくるかというのは、それは議論としてあり得るということで、先ほどおっしゃられた、中身について変えるつもりはないというお考えは大臣個人的な見解である、こういう御発言ですね。
  184. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 三党の中でさまざまな問題について御議論をしていただくということが、三党合意の、私もちょっと寝不足でございまして忘れておりますが、たしか七項目めにあるんです。その中で当然御議論をしていただくだろうということが私の一つの予測でございます。  それと、私どもが申し上げておりますことは、政府として、これはあくまでも二年間、予算措置を設けてつくっていることでございますので、当然のことながら、各界各層、いろいろな皆様方の御意見を踏まえながら一つの結論を出すということでありまして、私が個人として申し上げましたことは、今一番大切なことは家族負担の軽減をすることであって、現金給付というものがばらまき福祉につながるんじゃないかという、私見でございますけれども、私はこういう考え方を持っておるわけでございますけれども、これはこれから二年間かけて十分に御議論をしていただいて、そしてその中の一つとして三党合意も十分に尊重しなければならない、そしてまた、この厚生委員会先生方の御意見というものを十分に尊重していかなければならない、こういうような認識をお示しした次第でございます。
  185. 石毛えい子

    ○石毛委員 私は、この介護慰労金につきましては、介護保険の枠外で、しかも金額が年額十万円だから大したことないじゃないかという受けとめ方も一部にはあろうかと思います。  ただ、この金額が仮にこれからの議論の中でもっと大きくなってまいりますと、介護保険の枠外と申しながらも、介護保険の枠外で現金給付で動いていくのか。それが動き始めれば、まさに社会的に介護サービスを充実していこうという介護保険のバックボーンそのものに大きな影響を及ぼしていくということになりますので、枠外であるから皮膚に刺さった小さなとげというような話ではないというふうに私は受けとめております。  そういう意味で、今大臣はそういう御答弁をされましたけれども新聞報道などを見ておりますと、政府見解、十一月五日の後の新聞報道でも、まだ亀井自民党政調会長は運用の面でとかさまざまに申されておられますので、これは家族介護だけの問題ではないと思いますけれども、午前中に山本委員からも要請されましたけれども委員長、ぜひ亀井自民党政調会長を参考人として委員会においでいただくようにお取り計らいいただきたいと思います。
  186. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 後ほど理事会を開きまして、検討させていただきたいと思います。
  187. 石毛えい子

    ○石毛委員 次の質問でございますけれども家族介護家族介護というふうに随分声高に強調されているわけですけれども、私は、日本で今家族介護が一体どれくらい成り立っているのだろうか、そのことについて疑問といいましょうか、そういう考え方、受けとめ方をしている者でございますけれども、今日本の現状の中で家族介護はどのような実情にあるのかということを、別に細かいデータは結構でございますので、御披瀝いただければと思います。
  188. 大野由利子

    大野(由)政務次官 細目にわたる質問でございますので、本来なら政府参考人答弁がふさわしいかと思いますが、一応私の方から答弁をさせていただきます。  家族介護が行われている家族数についての質問でございますが、平成十年時点で約百十万世帯と見込まれております。このうち、要介護者が寝たきりである世帯は三十二万世帯となっております。
  189. 石毛えい子

    ○石毛委員 介護の状態が軽いという状況のときには、御家族の力でも介護は可能かと思いますけれども、私が非常に注目をしておりますのは、これは厚生省の方からデータをいただきまして計算をしてみたのですけれども特別養護老人ホームに入っていらっしゃる方、老人保健施設に在所しておられる方、それから老人病棟、介護力強化病院に入院されている方、療養型病床群の在院患者さんの人数を全部合わせますと、九八年十月、昨年の十月のデータですが、六十五万六千人おられます。  それで、今、政務次官のお話ですと、御家族の中で寝たきりというような状態の、重い介護を必要とされる方は三十二万人ということですから、既に、家族介護というよりは入院・入所施設介護の方が進展しているというふうに見た方が日本の今の実情をあらわしているのだと思います。  そういう状況の中で子供が親を見るのが美風だと言うのは、私は実態認識と外れているというふうに実は亀井自民党政調会長の発言に対しては思っているわけですけれども、このあたりにつきまして、政務次官はどんなお考えをお持ちでしょうか。
  190. 大野由利子

    大野(由)政務次官 平成十年度の実態を先ほど申し上げましたけれども、これからますます高齢社会になって、寝たきりの方々がますますふえる、このように予想されている状況でございます。  そういった意味で、すべてを施設介護のみで賄うということはなかなか難しいというようなことで、今回、介護保険制度在宅介護を中心にしっかり拡充をしようということで設けられた。もちろん、施設介護というものもさらにさらに充実はさせていかなければならないわけですが、すべて施設介護だけでは財源的にも賄い切れない、こういう意味があるのではないか、こういうふうに思っておりまして、在宅介護の充実というものも非常に必要でございますし、また家族の在宅での介護には過重な負担介護地獄のような実態があることも事実でございますので、この介護保険制度の施行によって家族負担を軽減していく、こういう趣旨でこの介護保険制度導入された、このように承知をしております。
  191. 石毛えい子

    ○石毛委員 三十二万の在宅の寝たきりの方がおられるということで、この方たちは全部在宅の寝たきりでいらっしゃいますから、要介護認定でいきますと4、5に当たると想定されると思いますが、それに低所得ということをクロスしますと、慰労金の受給世帯はどれくらいになるか、ただし、これはサービスを使わなかったという前提でございますから、そのあたりの判断の仕方というのは少し考慮の必要があるかと思いますけれども、どれくらいに上るとごらんになっていらっしゃるか。
  192. 大野由利子

    大野(由)政務次官 家族介護慰労金の支給対象者は、今お話がございました、重度で低所得の高齢者介護する家族としておりますので、現時点では、最大で約七万六千人、支給総額は最大で八十億円程度になります。  しかし、これは、本事業市町村の選択により行われる事業であるということもございますし、また一年間介護保険サービスを利用しなかったということを要件にしております。  介護保険制度というのは、できるだけ公的サービスを利用していただくということが本来の目的であって、それを大いにPRし、それを積極的に推進をするのが本来の趣旨であって、これが何らかの事情、例えば他人は家庭に入ってほしくない等々、介護保険に対する心理的な抵抗感が強くて、結果として使わなかった人に家族介護慰労金をという趣旨でございますので、実際の額ははるかにこれより小さくなる、このように思われます。
  193. 石毛えい子

    ○石毛委員 実際の額ははるかに少なくなるのかもしれませんけれども、今の政務次官の御答弁ですと、七万六千世帯くらいが最大だろう。マックスそれくらいだろうと。在宅で今寝たきりの方は三十二万人ですから、約八万人差し引きますと、二十四万人が寝たきりということですよね。それで、寝たきり及びそれに近い状態で施設の入所の方は既に六十六万人おられるわけです、医療機関を含めまして。  そうしますと、介護保険法の目的というのは、在宅サービスを充実するということが法の総則の中にきちっと条文としてうたわれているわけです。介護保険の本旨をいささかも慰労金の給付によって揺るがすものではないというふうに言われますけれども、それでは、日本で、それこそ老人福祉法が施行されてから何十年になりますでしょうか、六三年ですと三十五年くらいになりますでしょうか、それで在宅サービスが充実してこなかったのは、あるいは、在宅在宅、家族介護が美風だと言いながら、今、家族で重介護と入院・入所の割合は、実に一対二で入院・入所の方が多いんですよね。それなのに、日本はあたかも全体が家族介護であるかのような語られ方が一般にされ過ぎているというふうに私は思っていますけれども、ここで今すごく大事な点は、在宅介護サービスをいかに充実していくか、そこのところだと思うんですね。  大臣、そしてまた政務次官、次にお答えいただけたらと思いますけれども、在宅サービスが充実してこなかったという理由はどのあたりにあるのか、そしてまた、これから充実していくとすればどうしていったらいいのか、お考えを御披瀝いただければと思います。
  194. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まさに、介護保険制度導入するということは、ホームヘルパーを初め、在宅サービスを充実させることではないか。  これまではそれぞれの市町村において公費におけるサービスが行われてきた。ある意味においてそれぞれの市町村が予算措置を決めて、そういう中で行われてきた。今度は新しい保険制度のもとで、民間の方々、NPOの方々、いろいろな方々がホームヘルパーなり在宅サービスに御尽力をいただくわけでございます。そういうところが在宅サービスがこれまで普及しなかった理由の一つではないかな、私はこう思っております。  それから、地方におきまして、正直申し上げて、その地域の風土にもよりますけれども、なかなかそういうようなネットワークができておらないし、それから、大変熱心な市町村もございますけれども、どちらかというと、そういう福祉の面よりは、道路をよくしたりあるいは公民館をつくってほしい、こういうようなニーズが大変高くて、私も政治生活を二十年送っておりますけれども、何でおまえはこういうことばかりやっているのだということで、いつもおしかりを受けてまいりました。やはりそういうような国民の意識の問題というものが一つの大きな要因になっているんじゃないか。  しかし、今度の介護保険導入をめぐって、介護保険制度だけでなくそのほかの分野においても、寝たきりのお年寄りあるいは痴呆症のお年寄り、こういう問題をこのまま放置しておいてはならないんだ、みんなで支え合っていこうじゃないか。そのためには、NPOの方々にも御活躍をしていただかなければならないし、あるいは認定で外れた自立の支援に対しても、話し相手であるとか託老所であるとか、あるいは高齢者の生活福祉センターをつくっていこうじゃないかということで、こういうお年寄りの問題について国民挙げて御関心をいただきまして、そして私ども皆様方の御支援でこういうことができますことは大変画期的なことであって、私は、まさに今大きく社会システムが変わろうとしているのではないか、こう認識をいたしております。
  195. 石毛えい子

    ○石毛委員 確かに、措置から保険になってマーケットが大きくなって、民間事業者が出てというふうに、その流れは介護保険によってつくられると思いますけれども、私は、今の介護保険の動向を見ていましても、厚生省が、在宅サービスを充実する、あるいは、自宅外在宅という考え方も最近は出てきておりますけれども、そうしたことを拡充していくというノウハウを積極的にお知らせしてこなかったというのが大きな理由だと思っております。  今回の介護保険事業計画を見ておりましても、自治体の考え方は、今までの延長線上で事業計画をつくりますと、今介護保険事業計画を公表していただいたら、出てくる一番の大きな声は特養が足りないという声だと思います。絶対に今の中からは在宅サービスが不足しているという声は、絶対というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、出てこないんじゃないかと私は思います。  スタートを切っていくときに、恐らく介護保険の本旨に外れかねないような動きが今あるのではないかというふうに私は思っておりまして、在宅サービスを充実していくためには、ホームヘルパーさん、訪問看護婦さん、OT、PTの方、さまざまなサービスのネットワーク、それがいかに円滑に展開していくかという、そのノウハウを厚生省が積極的にリードをとるということが大事なんだと思います。家族介護慰労金制度の外で出すと言われればそれまでですけれども、むしろそういうノウハウの展開に積極的な財政投入をしていただきたいと私は思います。  このことに関連して、政務次官にお尋ねをしたいと思いますけれども政務次官の御党、公明党さんでは、介護保険制度の改革に関しまして、施設は税で、医療機関は保険で、在宅の部分介護保険において保険導入というふうにおっしゃられておりますけれども、このお考えですと、税の特別養護老人ホームへのニーズはかなり大きく出てくると思いますけれども、在宅のニーズというのは拡充していくというふうに公明党さんの案ではお考えになっておられるのかどうか、そこの点を確認させていただきたいと思います。
  196. 大野由利子

    大野(由)政務次官 公明党を代表して答弁するのもふさわしくないのではないかと思っておりますが、お尋ねでございますのでお答えさせていただきます。  おっしゃったように、公明党の案では、在宅のみ保険、あと施設介護の方は医療保険と税で、そういうふうに主張しているわけでございますが、要介護認定のシステムとかサービス利用を措置から契約に移行させる、こういうことは全く変更がない。現行の介護保険制度そのものである。  そして、財源なんですが、税財源であろうと保険財源であろうと、契約による利用者の選択というものが確保されて、そして、需要に応じた施設介護サービス供給というのは市町村の計画によって供給がコントロールされる。今病院できちっとベッド数というものがコントロールされているように、そういう施設というものは市町村の計画によってコントロールされるわけでございますので、施設介護が税になったから一方的に施設ばかりふえて、保険在宅介護の方は手薄になるというようなことはあり得ない、このように思っております。
  197. 石毛えい子

    ○石毛委員 介護保険事業計画といいますのは、一般的にはニーズ調査をするという方法論があると思いますけれども、ニーズというのは供給に影響されて出てくる部分もありますから、施設の方の供給が多ければニーズはそちらに出てくるということがございます。  それから、サービスを計画していくというようなことは、自治体のリーダーシップがあるわけですから、そのときに保険料を高くしていって在宅基盤を充実していくよりは、税に依存した方がいいという考えになれば、当然、在宅よりは入所施設の方にサービス基盤はシフトしていくのが普通だというふうに予測されますから、必ずしも住民の選択が一義的に決めるというふうにはならないのではないかと私は考えております。  もう時間がありませんので、このことにつきましてはこのままにしたいと思いますけれども政務次官に続けて二点、確認の意味での質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、五島委員家族介護慰労金の給付の認定に関しましての御質問で、要介護度4、5相当の場合に介護保険の要介護認定を利用することもあり得るというふうに政務次官は後段の部分で御答弁をなさいましたけれども、これはそうなのでしょうかということと、それでしたらば介護保険制度の目的外利用ではないでしょうかということ。それから、慰労金介護保険の外ですから、その認定を利用するということはプライバシーの侵害になるのではないでしょうか。制度制度を野合させるというのはいかがなものかということが一点。  それからもう一つ家族介護慰労金を受ける方の場合の介護の質というのは、だれがどこでどういうふうに担保をするんでしょうか。その二点を。
  198. 大野由利子

    大野(由)政務次官 先ほどから何度も出てまいりましたけれども、この家族介護慰労金家族介護をする人の手当として出されるものではない。そういうことで介護保険法の枠外で、いろいろな事情があってどうしても利用しない人が出てきた場合に何もなしでいいのかというようなこともあって、この介護慰労金というものが考えられたわけでございます。  あと、その認定の基準ですが、要介護度4と5に相当する人ということで、要介護4と5に認定された人という意味ではないということが一点ございます。そして、要介護認定は一次判定、二次判定がございますけれども、この家族介護慰労金に関しましては、一次判定で要介護4と5に相当するとなれば、それで十分、市町村はその判断を参考にして決定をすることがあるということで、介護認定認定市町村家族慰労金の支給に対する認定は必ずしもイコールじゃないということを答弁させていただきたいと思います。
  199. 石毛えい子

    ○石毛委員 私はその御説明ではよく理解できないのですけれども、コンピューターで第一次判定に入れて4、5というのは、確かに第二次判定をしなければ、介護保険制度とすれば最終的な認定ではないのかもしれません。ですけれども申請をして、訪問調査を受けて、第一次判定を受けていくということは、これは介護保険にかかわってのシステムであって、慰労金を受け取るシステムではないわけですから、慰労金のシステムに介護保険のシステムを使うということは目的外利用ではないですか。それから、そのシステムを利用して慰労金を支給するということはプライバシーに触れませんか、これは自分が申告すればいいというお考えなんでしょうかということを質問したということ。あと、慰労金を受けた場合には、これは介護の質の担保というのはどうでもいいのでしょうかという話です。  それで、あえてつけ加えさせていただきますと、東京を初めとしまして、今かなりの自治体でいろいろな手当を出していると思います。もしかしたらば、この慰労金十万円を出すということは、市町村が独自にやる何とか手当、何とか手当の肩がわりをしてあげるにすぎないという政策的結果と、それから、それが特にそうなりやすい状況的な今があるのだろうというふうに私は思っていますけれども市町村がやる場合には、そういうことにわざわざ国が助成しますということで、国が貴重なお金を使って加担をするんですか。そういう質問です。
  200. 大野由利子

    大野(由)政務次官 済みません。多岐にわたる質問答弁漏れがございました。  先ほどの認定に関しましては、要介護4及び5に相当する者ということであって、要介護4及び5に認定された者というわけでは決してありませんので、市町村が独自に別の判定の方法を導入していただいても結構でございますし、また一次判定を利用していただいてもいいということでございますので、必ずしもおっしゃることは該当しないのじゃないか。  ただ、全国的に市町村によって全くばらばらに家族慰労金が支給されているとなると、これまた不公平だということで混乱のもとになりますので、やはり国費を出す以上は基準を定める必要があるということで、要介護4及び5に相当する状況の人、そういうことでございます。  そしてまた、先ほど家族介護の十分な内容のチェックができるかどうかということをおっしゃいましたけれども、それはやはり人間の尊厳にかかわることでございますので、家族介護がちゃんと行われているかどうかということは、これは家族慰労金とは別途の課題ではなかろうか、こういうふうに思います。
  201. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 持ち時間が終了しておりますけれども
  202. 石毛えい子

    ○石毛委員 これは政治の話ですから、与党合意政府案の間で、必ずしも私などが想定するように内容が進むというふうにはいかないとは思いますけれども、きょう申し上げさせていただいた中でぜひ御注目いただきたいのは、施設入所、入院の方が圧倒的に多くて、今の日本は家族介護の美風なんと言っている実情ではない。そういう実態のないところで美風かどうかというような議論、あるいはそれに対して慰労金を出すかどうかという議論に多くの時間を費やし、三党間あるいは政府との間でいろいろな呻吟がなされるよりも、本当に家族がお互いの関係を結び合えるような安心できるサービスの質と量をどれだけ充実していくことで家族介護がちゃんとできるようになるか、そのことをきちっと議論してほしい、そして政府はそこにリーダーシップを発揮してほしい、与党合意にどうすり合わせるかというところで政治を動かさないでほしい、そのことを一番強調したいと思います。  持ち時間が過ぎました。失礼いたしました。
  203. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 児玉健次さん。
  204. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  今国民の関心が一番集まっている課題の一つが、介護保険がこの後どのようになるか、その問題です。高齢者の人間としての尊厳を保障するために、高齢者に社会が全体として責任を負う公的介護制度は世界の趨勢であって、そして、日本にとって現在及び将来に向けてこれは不可欠の課題だ、そのように私は考えております。  政府が提出された介護保険最大の問題は、国民から保険料徴収するけれども、国と自治体が必要な介護サービスを提供できない、そのことでサービスから排除される人が多数生まれる、ここに問題がある。日本共産党は介護保険国会審議の過程から一貫してこのことを指摘してまいりました。保険あって介護なし、もしこのような事態が生じたら、国政への国民の信頼が根本から失われてしまいます。  そこで、日本共産党は、介護保険の深刻な事態を打開するために、まず基盤整備の促進、そして必要な制度の改善のために力を尽くして、それが一応の解決を見るまでは保険料徴収を凍結する、こういう緊急の提起を七月五日に行って、宮下前大臣にも、ここにおいでのすべての党に私からそれはお渡しした次第です。  そこでお聞きしたいのですが、政府与党もこの介護保険をめぐる深刻な事態に気づかれたようで、このたび特別対策を発表された。厚生大臣に伺いたいのですが、この特別対策によって介護保険制度国民に歓迎される形で実施されることになるとお考えかどうか、まずその点を伺います。
  205. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児玉委員にお答えいたします。  介護問題に今国民が大変な大きな関心を持っていらっしゃるということで、児玉先生自身がこの問題について大変御熱心に取り組んでいらっしゃることに対しまして、まず心から敬意を表したいと思います。  それで、私ども政府が決めました特別対策でございますが、基本的には市町村の御要望を踏まえまして決めさせていただいたものでございまして、今率直に申し上げて、高齢者保険料の取り扱いの問題については、ある時点におきましては共産党さんの考え方も何か政府とちょっと似通っているような感じもしないでもないんですが、いずれにいたしましても、私どもは、基本的には来年の四月から円滑に実施するものとしてこのような特別対策を組ませていただいたわけでございまして、基本的に国民皆さん方から御理解をいただけるものと確信をいたしておるような次第でございます。
  206. 児玉健次

    ○児玉委員 肝心な点は何かといえば、今、国民がこの介護保険に何を求めているかという点ですね。一時的、時限的な凍結、軽減措置では、今日の深刻な事態は解決されません。介護保険実施を目前にして、今必要なことは、実効性があり、そして制度そのものに根差した恒常的な是正措置を緊急的に行う、そのことが問われています。私は、そういった立場から、まず基盤整備の問題を、施設介護の中心である特別養護老人ホームの問題を中心に取り上げたい、こういうふうに思います。  大臣、ちょっと見てください。ここに「旭川市からのお知らせ すぐわかる介護保険 平成十二年四月スタート」、そして、「厚生省老人保健福祉局 介護保険制度施行準備室 監修」と記載されています。  それの四ページを見てみると、なかなかわかりやすい図がありまして、介護サービスを受けたいと思う方が要介護認定申請する。そして、そこで例えば介護度2とか3とか、そういうふうになる。矢印が示されていまして、施設への入所を希望する場合、紹介、直接申し込みもできます、こうなっているんですね。紹介する矢印と、本人が直接施設に申し込むことができます。  きのう、丹羽大臣は論議の中で、今回の制度は契約によって行うことになる、こうもおっしゃった。今、旭川市の特別養護老人ホームの待機者は三百三十五名です。そのうち自宅で待機されている方が六十七名です。自宅で待機されているお年寄りが当然要介護認定を経て特別養護老人ホームへの入所を申し込む。しかし、残念ながら空床がないという理由でその希望がかなえられない。保険制度としてこれでは契約違反になるのではないか、私はそう考えますが、大臣、いかがでしょう。
  207. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、各市町村からいろいろな御要望を踏まえまして、私ども政府といたしましては新ゴールドプランというのをつくりました。これは児玉委員御承知のように、特別養護老人ホームにつきましては二十九万床を目標にいたしております。これは、二十九万床全部達成をいたしました。しかし、今、旭川市のようにそういうような実情があることも、現実問題として私どもも承知いたしております。  そういうことを踏まえまして、私どもといたしましては、この新ゴールドプランに続きまして、今度はスーパーゴールドプランというものを、私の念頭にありますことは、五年計画でございますけれども、これを策定して、そして、どうしても特別養護老人ホームをつくりたいというような市町村については、その中で十分にその希望というものを満たしていきたい、このように考えております。  ただ、私が申し上げたいことは、すべて特別養護老人ホームができれば介護の給付サービスがなされるということではなくて、先ほどの御質問にもございましたけれども、いろいろな考え方がございます。  むしろ施設よりも在宅を重視するべきではないか、その中において、ホームヘルパーさんをもっともっと養成するべきではないか、こういうような御意見もございます。それから、施設につきましては、もう先生御案内のように、特別養護老人ホームであるとか、あるいは老人保健施設であるとか、療養型病床群であるとかいろいろな問題がございます。  それはそれぞれの地域によってお決めをいただくものでございまして、住民の皆さん方がどのような給付サービスというものを求めているか、それにこたえて地域で御判断をいただき、そういう中で、私どもといたしましては、新ゴールドプランの段階においては特別養護老人ホームというものがそれほどの要望としてなかった部分も、今度上がってきた場合には十分に地域の実情というものをしんしゃくしながら、新新ゴールドプラン、仮称でございますが、スーパーゴールドプランの作成に当たっていきたい、このように考えているような次第でございます。
  208. 児玉健次

    ○児玉委員 大臣、誤解してほしくないけれども、私たちは在宅の介護の重要性については非常に重視をしています。そして、施設の介護サービスもこの後さらに前進させていかなければならない。その両面を考えているのであって、片一方だけ言っているわけじゃない。さっき、質問の冒頭に私が言ったように、この際は施設介護の中心である特別養護老人ホームに絞って質問する、そう述べているので、その前提はよく踏まえてください。  言いたいんですけれども、来年の四月、さっきのケースですよ、旭川で現実に自宅にいらっしゃって、今までもずっと待ってきたし、そしてこの十月からの申請をして、改めてまた要介護3とか4とかになる。空床がなくて入れない。これはやはり契約からすれば契約違反ということになりませんか。なるかならないか、その点を聞きたいんです。
  209. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 何をもって契約違反とおっしゃるかわかりませんけれども、それぞれの地域が、旭川市は旭川市でそのような供給サービス、基盤整備というものを準備、整備なさっておるわけでございます。  そういう中において、旭川市においてどうしても特別養護老人ホームが不足しているからつくりたい、こういう御要望があれば、私どもは当然御相談を申し上げて前向きに検討したい、こういうことでございます。
  210. 児玉健次

    ○児玉委員 この図からいっても直接入所を申し込むことができる、直接申し込んだらあきがありません、そういう場合に、介護保険制度保険制度であるとすれば、そして保険料を納入する以上一定の給付が約束されるわけですから、その約束が満たされないという意味ではこれは極めて残念な事態ですね。  そこで、話を進めましょう。皆さんのところに資料を配っているから、ちょっと出してください。  これは、ことしの二月十六日、十七日の時点で、私どもが手分けをして全国四十七都道府県に直接伺ったものです。特別養護老人ホームの待機者がどのくらいいるか。十一万三千六百九十六名。そして、それぞれ都道府県がそれを掌握した時点にはばらつきがありますけれども、大体その十一万何がしという大きな傾向には変わりがないだろう。そして、今大臣がおっしゃった、二十九万であった特別養護老人ホームを三十万床にふやす、その分を見込みつつも、現在の入所希望者の増加を考えれば、来年の四月、九万人余りのお年寄りが入所できない、こういう事態が生まれる。この事態を決して先送りすることはできない。そのことを私は一つ強調しておきたい。どうですか。
  211. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、ゴールドプランは、私の記憶ですとたしか十年前につくりました。各市町村の御要望を踏まえてつくったわけでございますが、その後、私どもが、あるいは市町村が想定していた以上にこういうような希望者が多いのだ、こういうふうに私は認識をいたしておりますので、先ほど申し上げましたような新新ゴールドプランと申しますか、スーパーゴールドプランの策定というものを早急に急がなければならない、このように考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、できるだけ介護認定を受けました方々の御要望に沿うように、私どもとしては最善の努力を尽くしていく決意でございます。
  212. 児玉健次

    ○児玉委員 文字どおり最善の努力を尽くしてほしいし、そして国家ぐるみの契約違反の状態というのはまずいですから、これは極めて短時日のうちにそちらの方に行っていただく。  そこで私は一歩踏み込みたいのです。今、来年の四月から実施されようとしている、そのことを目前にして、特別養護老人ホームへの入所が必要であると行政が判断しながら在宅で入所を待機させられているお年寄りの問題、在宅の待機者の問題、このことについてはとりあえず緊急にこの事態を解決する必要があるだろう。現に家にいらっしゃって、そして御家族苦労や御本人の強い希望を考えれば、在宅で入所を待機させられているお年寄りの問題を緊急に解決することが今必要ではないか、そういった訴えを私のところに非常に多く寄せられます。この訴えをぜひとも実らせていただきたいと思うのですが、どうですか。
  213. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは、特別養護老人ホームでございますから、率直に申し上げて、すぐ一週間でできるとか二週間でできるとか、こういうものじゃないということも現実問題であります。  そこで、これは全く私見でございますが、基本的に大きな流れとしては、これから施設にお入りになる方は、どちらかというと重度の方を中心にしてお入りいただくんじゃないか。そして、認定度が1とか2とかいう方は、比較的軽度の方、在宅サービスで十分に、十分という言葉は適当かどうかわかりませんけれども、供給サービスが満たされる方、こういうことも含めて、これからはそれぞれの市町村と施設との間で十分に協議をしていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。  それでは間に合わないじゃないかという方につきましては、現実問題といたしましては、特別養護老人ホームを早急につくらなければならないと同時に、ホームヘルパーサービスやショートステイなど、在宅サービスの供給体制というものを充実していくことが不可欠ではないか、こういうふうに考えております。
  214. 児玉健次

    ○児玉委員 事情を知り尽くされているわけですから、大臣は。すなわち、待機者というのは入所を希望している人ではありません。厚生省自身がおつくりになった特別養護老人ホームへの入所の基準では、それを行政や医師や施設の責任者などが慎重に判断して特養への入所が適当、こういうふうになっているわけですからね。  それからもう一つ、私は余り枝葉末節を大臣議論したくはないけれども、要介護度が軽度であるか重度であるかということは施設入所を排除しませんね、この制度そのものがそうなっているのだから。そこのところも私ははっきりさせておきたい。  そこで、政府参考人としてお願いしている局長に私は伺いたいのだけれども、今私たちが九万人と推定する来年四月の待機者の中で、自宅で待機させられることになる人たちの数はどのくらいになりそうか、いかがでしょう。     〔田中(眞)委員長代理退席、衛藤(晟)委員長代理着席〕
  215. 大塚義治

    大塚政府参考人 いわゆる入所待機者というのは、必ずしも御承知のように厳密な定義がございませんし、市町村それぞれあるいは都道府県それぞれ、判断あるいはデータの必要な内容が異なっておりますから一概に申し上げられませんけれども、実際にいわゆる待機者と言われる方々の中には、端的に申し上げれば、御希望はあることは間違いないのでしょうけれども、施設に入所していただくのが本当に妥当かどうか、あるいは在宅でさまざまなサービスを受けられる可能性があるのではないかといったようなことがございまして、(児玉委員「そのことを聞いているのでなくて、何人ぐらいいますか」と呼ぶ)そういう基礎的な、整理をちゃんとしたデータというのがなかなか難しゅうございます。したがいまして、率直に申しまして、御希望があるというだけで入れない方という判断はいたしかねますので、ただいまの時点で明確に計数を申し上げることはできないと考えております。
  216. 児玉健次

    ○児玉委員 それは大変私は問題があると思いますね。  大臣、総務庁の行政監察局が本年の九月に厚生大臣に対して勧告をしておりますが、その中で、総務庁は独自に全国十七道府県、五十一市町村について調査をして、市町村特別養護老人ホームへの入所を要すると判断し——大塚局長のように希望じゃないのです、市町村特別養護老人ホームへの入所を要すると判断し、あきがないために入所できない状態でいる在宅の方々が約三割前後というふうに見ていますね。私は、その調査のデータも拝見しました。  そして、私たち自身が独自にも調べています。例えば政令都市で、札幌、千葉、名古屋、神戸、広島、北九州、福岡、この七政令都市では、多少調査の時点にばらつきがある、しかし、見事に施設で待機している方と在宅で待機している方を掌握しています。今の七つの都市で、全体の待機者が一万五百五十九名、そのうち在宅で待機させられている人が三千百一名、二九・四%です。行政監察局のこの三割前後というのは妥当な数字だと思いますね。  そうすると、九万人の待機者の中で三割だとすると二万七千、三万前後の方が今自宅にいて、そして家族といろいろお考えになりながら特別養護老人ホームへの入所を非常に強く期待されている。こういう方に対して、とりあえず緊急の努力、しかもそれが例えばホームヘルプとかなんとかという形での在宅介護を御本人が希望されれば、当然それはそのようにしなければいけないけれども、あくまでこの保険制度に基づいて施設への入所を希望される場合は、そこに対する特別な手だてが講じられなければいけない。大臣、どうでしょうか。
  217. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 特別養護老人ホームにつきましては、全体的には、先ほど申し上げましたように、新ゴールドプランの中で達成をいたしております。しかし、率直に申し上げて、地方と都市部で格差があります。どうしても都市部の場合は地価が高いし土地の確保が非常に難しいということで、都市部においてはなかなか特養というものがつくりにくいということも事実でございます。  そういうことを踏まえてどういうことを行っていくかということでございますが、先ほどのお話の繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、やはりできるだけ早くこの整備の充実を図るとともに、先ほど申し上げましたような、いわゆる在宅を中心にして、国民皆さん方が、要するに保険あって介護なし、このようなことがないように万全の対策をとっていきたい、このように考えております。
  218. 児玉健次

    ○児玉委員 まさに今の大臣のお答えのとおり、万全の措置をとっていただきたい。  そこで、もう一つの問題です。今、いみじくも大臣は、都市と地方の格差の問題をおっしゃった。そのことに触れたいと私は思います。  介護保険法の第三条は「市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする。」このように明記しております。今までの措置制度のときのように、ある程度広域的に行政上の努力をして、そして在宅介護や施設介護などについて調整し合うということは、もちろんこの後も市町村の努力によって不可能ではありませんけれども、今までとは違った事情になります。  北海道の後志支庁に島牧村という日本海に面した美しい村があります。私もたびたび訪れます。この村では、これまで周辺の町村に特別養護老人ホームその他の入所をゆだねていたのですけれども介護保険制度実施されると事情が変わってくる。そこで、村として用地を確保して、村立病院に隣接して特別養護老人ホームを村の責任で建設すべく計画をしてまいりました。そして、これはよくおわかりのように、私が特別養護老人ホームは施設介護の中心だと言うのは、ショートステイ、デイサービス、そして多くの場合、介護支援センターも併置していますね。そういう場所ですから、これがあるということは住民にとって非常に安心なことですね。それがないから、今度の介護保険実施に備えて村独自で建設しようと熱意を持って努力をなさっている。  ところが、いまだそうなっていない。なぜか。それは、その施設を設置するに当たって参酌すべき人口当たりの標準率というのがある。三・四%だとおっしゃる。そして、その中で特別養護老人ホームは二十分の八だと。北海道は三・四%を既に超えている、こういう理由で島牧村の建設計画はいまだに抑えられたままですね。  この村だけではありません。同じ後志支庁で、特養ゼロが八町村、そのうち五町村がみずからの責任で設置することを熱望しています。こういうところの希望にはこたえるべきじゃないか、私はそう思う。大臣答弁を求めます。
  219. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この特別養護老人ホームを初め、そのほかの施設についてもそうでございますけれども地域間によって非常に開きがあるということは事実でございます。  私といたしましては、基盤整備がおくれております地域においては、早急にその充実に取り組めるよう基盤整備を急ピッチでお手伝いをしていく決意でございます。  いずれにいたしましても、これは各市町村がどういうような熱意を持って、今先生の御指摘では大変な熱意を持っていらっしゃることでございますし、また、特別養護老人ホームというのはまさに介護サービスの中核的な役割を果たしているということも十分に認識をいたしております。  そういう意味におきまして、まだ五カ月ございますけれども、いずれにいたしましても、私どもは個々のケースについても御相談を申し上げて全面的な御支援を申し上げたい、こう思っております。  なお、今回の補正におきましても、特別養護老人ホームなど施設の整備について上乗せを進めて、いわば前倒しをしてやっていく決意でございます。
  220. 児玉健次

    ○児玉委員 私、ちょっと北海道のことを言い過ぎたかなという感じもしておりますが、今の問題は文字どおり全国的な問題ですね。  これは厚生省が一九九七年四月一日現在の資料をお持ちだけれども、全国三千二百五十五市町村のうち、特別養護老人ホームが設置されていないのは千四十七町村。市はすべて既に設置しています。町村が残っている。そして、その町村の多くは、さっきの島牧村のように、海岸地域であったり山間僻地であったり、そういう場所が多いですね。そして、いまだに設置されていないということについていえば、それぞれの町村にはさまざまな経過、さまざまな事情があります。だから、私は、それを一律にとは申しません、少なくともそれらの町村の中で設置を希望するところについていえば優先的にこたえる、そのことが必要だと思います。大臣答弁を求めます。
  221. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、これはまさに介護保険というのは地方分権の象徴的な問題でございます。それぞれの市町村が希望する場合、あるいは一市町村だけではなく広域として希望する場合、さまざまな問題がございますけれども、いずれにいたしましても、地域住民の皆さん方のニーズにこたえることが私どもの役割だ、このように考えているような次第でございます。
  222. 児玉健次

    ○児玉委員 じゃ、次に移りましょう。  次は、介護保険国民の願いに合致する形で動くかどうかという重要なかぎの一つが低所得者対策だ、私たちはそのように考えております。この問題を、予算委員会やこの厚生委員会などで何回繰り返して議論してきたことか。今、そのことを私は若干個人的にも振り返ります。  具体的に申しましょう。厚生省は、ことしの四月九日の事務連絡で介護保険条例準則案をお示しになりました。ここに至る経過で、私も一月の予算委員会で、それまで自然災害に限るというふうに言われておったわけですけれども、さまざまな議論の中で、一つは震災、風水害、火災その他、二として新たに世帯の生計を主として維持する者の死亡、長期入院その他、三として業務の休廃止、失業等、四として農作物の不作、漁業の不漁、そういうふうに挙げていらっしゃる。これは、私は重要な一歩前進だと考えております。  その上に言いたいのですけれども、それぞれの項目が具体的ですから、こういう場合、普通は「前各号に類する事由があつたこと。」という条項をつけ加えるのが常識だと思うのですね。そのように付加していただきたい、こう考えるのですが、いかがでしょうか。
  223. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先生が御指摘のことは、条例の準則の中でさまざまな災害とかそういうものについて付加をしろ、こういうことでよろしゅうございますでしょうか。  介護保険法につきましては、御案内のように、その所得に応じまして、負担能力に配慮いたしまして五段階の保険料というものを定めているところでございますが、さらに、例えば災害などの特別の理由によりまして一時的に被保険者の負担能力というものが低下した場合には、市町村が条例によって定める保険料をさらに減免することができるということでございます。  このように市町村が判断をいたしまして減免をした場合には、まず、その市町村が、第一号被保険者、つまりお年寄りでございますけれども、共同して負担をすることになりますけれども、災害などによります減免分の一部につきましては、二五%の中の五%が調整交付金になっておるわけでございます。五%、二千億円でございますけれども、これを交付することによりまして市町村財政を支援する、こういうような方向で検討していきたい、このように考えているような次第でございます。
  224. 児玉健次

    ○児玉委員 大臣、ちょっと確認をしたいのですが、多分大臣は今お手元に厚生省が出された準則二十四条をお持ちだと思うんです。ちょっとごらんになってください。  そこで、先ほど言いましたように、一は、一言で言えば自然災害です。二、世帯主の死亡もしくは長期入院。三、事業の休廃止、失業等。四、不作、不漁。これらが厚生省の準則に既に入っていることを確認していただきたい。いかがでしょう。
  225. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 そのとおりでございます。
  226. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、話をさらに進めたいんです。  それぞれが極めて具体的です。それだけに、こういう場合、例えば国民健康保険の施行令などでも構造がそうなっているわけですが、具体的に述べた上で、「前各号に類する事由があつたこと。」という条項を加えることで、市町村の担当者の判断というのは非常に柔軟に、かつ現実に合ってくるんですね。そういう項目を付加していただきたいというのが私の質問です。
  227. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 第二十四条のただいま先生から御指摘いただきました四つの問題について、基本的には十分にこれが満たされている、このように考えております。
  228. 児玉健次

    ○児玉委員 では、この問題はまだ少し時間がありますから、第五として、国民健康保険などでそうなっているように、「前各号に類する事由があつたこと。」それを付加するかどうか。皆さんは事務連絡をお出しになるときに、その前のところで、最終的な条例準則は必要があれば見直し等を行った上で送付する予定と書いていらっしゃいますから、そして、これは大臣もよくおわかりのように、どのような条例をつくるかというのは市町村の裁量にかかりますから、そのときこれはあくまでモデルの条例で、市町村を拘束するものではありません。しかし、モデルのものがベターであれば市町村としては仕事がしやすいわけですから、そういう意味で検討を求めたいと思うんです。いかがでしょう。
  229. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど申し上げましたように、これで一つ保険料減免の事由としては満たされておりますけれども、あくまでも市町村の独自の判断によることは言うまでもありません。それを私どもが妨げるものではありません。
  230. 児玉健次

    ○児玉委員 その点は今後の検討を求めます。  それでは、同様の問題です。  私たち日本共産党はこの介護保険法案に反対いたしました。私自身、ある意味では珍しいケースかもしれませんけれども衆議院会議で二度反対討論をいたしました。参議院から返ってきたときもう一回やったわけですね。しかし、私たちは積極的な提案を行うことをもって政党の任務だと考えていますから、随分何回かこの介護保険の具体的な改善についての提起をいたしました。  そのとき私たち国会の審議で一つの手がかりにしたのは、一九九七年の十二月三日参議院会議で、私たちを含めて全会派一致して採択された決議の中に次のような項目があります。「全ての国民が適切に介護サービスを利用することができるよう、低所得者に対する必要な措置を講ずること。」文字どおり全会派が一致してそのように打ち出しました。  今、六十五歳以上の日本の高齢者の暮らしを見てみましょう。高齢者世帯全体の五六%が年金だけを頼りにして生活をしています。そして、国民年金の受給額は、いまだ月平均四万円です。そして、特に私たちがここは何とかと思っているのは、女性の高齢者で、特に単身世帯ですね、ひとりで暮らしていらっしゃる女性の高齢者で年収五十万円未満、これは月に直せば四万二千円ですよ。それが全体の世帯の一割に及んでいる。こういう方たちに対して低所得者対策と減免制度を明示することが必要だ。市町村もそのことで今大変な議論を始めています。  そのとき何がネックになっているか。大臣、先日も私は、各地の議会で苦労されている議員の方に集まっていただいていろいろお話を伺ったんだけれども、この減免分が一号被保険者の方に負わされたのでは文字どおりその地域保険料が上がりますから、これに対して国及び都道府県が責任を負ってほしい、減免制度に対する国の財政責任を明示する、そのことが必要だと。  私は、その際、国民健康保険制度のことを少し調べてみました。非常に不十分なものです。滞納者も多くなっていて、皆保険制度としての性格が今まさに危機に瀕していますね。その国民健康保険制度でさえ、七割、五割、二割の軽減措置、国が二分の一を負担する、九八年でその金額は六百七十億円、九九年で千七十億円ですね。それから、災害その他の特別調整交付金は、九八年で千五百四十八億円です。厚生省からいただいた資料ですから間違いないと思います。これだけのことを国保は不十分ながらやっています。  介護保険制度についても、減免制度に対する国の財政的な支援を今具体的に講ずる必要がある、このように私は考えます。大臣のお考えを伺います。
  231. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児玉委員の御指摘は低所得者対策の一つだと思います。  この介護保険制度でございますけれども、例えば利用者の一部につきましては上限を設けております。具体的に申しますと、一般が三万七千二百円でございますけれども、低所得者の皆さん方に対しては二万四千六百円ということの上限で配慮をさせていただいております。  それから、現在、ホームヘルパーを利用している方々の八割、四十万人のうち大体三十万人の方が実は現実問題としてこれまで免除されてきたわけでございます。こういう方々に対しましては、本来ならば一〇%の自己負担を御負担いただくわけでございますけれども、当面三%といたしておるような次第でございます。  そのほか、低所得者対策につきましては、先生御案内のように、例えばこれまで融資の問題で低所得者の皆さん方だけに融資をしてきた。特に住宅なんかそうでございますけれども、こういうものに対しまして、今度は介護費用についても御利用していただこうとか、さまざまな問題について私ども配慮をいたしておるような次第でございます。     〔衛藤(晟)委員長代理退席、安倍(晋)委員長代理着席〕
  232. 児玉健次

    ○児玉委員 さまざまな制度があるということは私も承知しております。さっきの限度額の三万七千二百円についていえば、単身であればそれが適用されるのが療養型病床群だけである、既に議論したことです。  大臣、私がお聞きしているのは、そういったことについて、制度設計上、皆さんはいろいろ考えてはいらっしゃるけれども、肝心な点は、例えば全国町村会がことしの六月十六日に緊急要望を出していますが、それは、先ほどの国保の軽減措置や特別調整交付金のことを町村会の皆さんはよく御存じですから、こうおっしゃっている。「低所得者に対する保険料については、減免措置を講じるとともに、同措置にかかる国、都道府県による財政補填制度を創設すること。」御存じだと思うんです。この要望にこたえる必要があると思う。六月十六日、町村会の緊急要望です。お持ちでなければ今お渡ししますけれども、この要望にこたえていただきたいんです。
  233. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先生御案内のように、保険料につきましては五段階が設置されております。いわゆる非課税世帯で、夫婦が非課税でお子様が課税されている場合を一とした場合に、要するに、例えば生活保護などの方々に対しては保険料を半分にする、さらにその上の方については四分の三にする、このような減免措置をいたしておるようなところでございまして、私どもといたしましては、低所得者の皆さん方保険料についても精いっぱい配慮をいたしておるところでございます。
  234. 児玉健次

    ○児玉委員 今の問題は続いて議論をしたいと思いますね。国民健康保険では不十分であれ国の財政的な補てん策があるんですから、それが介護保険にないというのは制度上の大きな欠陥です。その点についての検討を私は求めます。  制度上の問題ということで、保険料、利用料本体について私は触れなければならないと思うんです。  今、国民が強く求めているのは、保険料、利用料を時限的にどうこうするということよりも、恒常的に制度として大幅に軽減することです。このことについて、日本共産党は、介護保険制度導入に当たって、福祉と保険の結合を提起しました。政府はそれを退けました。そして、事実上保険一本になった。そして、国民に対しては二兆円の新たな保険料負担を求めておきながら、制度が構想された一九九五年、制度設計の段階でこの財政的な設計図を私は厚生省からいただいた、これを見ますと、国の負担はそれまでの一兆五千五百億円から保険導入に際して一兆一千八百億円に減じている。三千七百億円減じているんですね。もしこれが保険料に入っていけば、たちどころに全国の保険料は二分の一になりますね。三千七百億円も軽減した。これが今日の深刻な事態を生み出した根源です。  国の負担を大幅に増額して国民全体の保険料、利用料を引き下げる、そこに今日の国の責務がある、私はそう考えます。大臣答弁を求めます。
  235. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから御答弁をさせていただいておりますけれども政府の特別対策といたしまして、来年の四月から六カ月間は保険料を猶予する、それから一年間につきましては高齢者保険料を半分に軽減して、高齢者が新たな負担になれていただくように配慮するようにいたしておるようなところでございます。  これはあくまでも、先般来申し上げておりますように、介護保険法の円滑な実施を図るものでございまして、委員指摘のような恒常的な保険料の大幅な軽減措置を講ずることではございません。その点は御理解をいただきたいと思っております。
  236. 児玉健次

    ○児玉委員 今の御答弁にかみ合わせて、私は最後のテーマに入りたいと思うんです。  それは、このたび政府は本当にこのままでいったら介護保険が深刻な事態になるということを幾らかお気づきになったようですね。それで特別対策をとられた。読んでいて私がうっと思った言葉があるんです。それは、「本格的なスタートにむけての助走期間」、よくも言ったものだと思いましたね。先ほどの議論で、亀井さんのならし運転——ならされる国民が迷惑だと私は思うんだけれども、「本格的なスタートにむけての助走期間」、それは六カ月であり、一年であり、三年であり、もっと長いものはもうちょっとありますね、利用料に関していえば。  それで、その期間に日本の高齢者の生活がどう変わっていくのか、そこのところを一番よく御存じなのは、政府であり、厚生省だと私は考えます。皆さんがおっしゃる助走期間、そしてその後の若干の措置、その間に何があるか。高齢者医療の定率化、先日の大臣の所信的なごあいさつの中でも、準備が整い次第ということで医療制度の改悪に触れられた。そして年金制度、給付は減ることはあっても決してふえることはない。そして、その年金から介護保険料は容赦なく引かれることになる。そして介護保険について、今いみじくも大臣は、制度にさかのぼっての保険料の軽減措置については考えていないとおっしゃった。私はそれは再考を求めますが、ある人がいみじくも言った、この後出てくるのは高齢者にとって介護と年金と医療の三重苦だと。  そういう中で、今までのこの議論からも明らかになったように、例えば低所得者対策の確立についていえば、今まで出されたメニュー以外への何らの具体策もない、そして一番国民が求めている制度としての恒常的な保険料、利用料についての改善も考えていない。こうなると、矛盾の噴出を先送りするだけですね。加えて、財源赤字国債として新たな国民負担を求めることになる。  私は率直に言いましょう。介護保険の内容を国民の期待にこたえて改善するためには、当然一定の財源措置が必要です。私たちはそう思っている。その財源措置は、国民の新たな負担に求めるべきではない。国の予算の枠内で、支出内容を変更して、ゼネコンや銀行などに対する財政支出を思い切って切り詰めて、財政支出を社会保障中心に転換していけば、介護保険を改善するために必要な財源は十分生み出すことができる。まして、消費税に仰ごうとしたり福祉目的税化、これはもう論外だと思いますね。なぜかといえば、消費税は大企業の社会保障負担を免れさせてしまいます。そして福祉目的税、結局それは社会保障を充実させるために間接税を引き上げるか、それとも社会福祉水準の切り下げを選ぶか、国民に選びようのない選択を押しつけることになってしまうからです。論外だと私は率直に言いたい。  そこで大臣、私は申したいのですけれども、やはりこの際、制度として恒常的に国民の願いに合致する努力をするのでなければ、矛盾の噴出を先送りするだけになりますよ。そこのところについての根本的な検討を私は求めたい。いかがですか。
  237. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいまの児玉委員の御発言をお聞きいたしておりまして、一つの提言として受けさせていただきます。  私自身も、限られた財源の中で財源の再配分ということを真剣に考える時期に来ているのではないか、こういう認識においては同じでございますし、国民皆さん方理解を得ながらこの介護保険制度を円滑に来年の四月からスタートさせたい、このような決意を新たにいたしておるようなところでございます。
  238. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、同僚議員にも申したいのですけれども、先ほどの国民に新たな負担をつける——ある新聞のコラムが非常に興味深い比喩を言っていましたね。猿に対してえさを与える、朝三つ、夜四つと言ったら怒ったから、それで朝四つ、夜三つにする、これはまさにびほう策ですよ。国民はそんなことでだまされるほどではありません。  先ほど田中眞紀子議員が英字新聞のことをおっしゃったけれども、何でしたか、スペンド・ナウペイ・レーター。まさに新しい国民に対してツケを回すことですね。その道を選ぶべきでない。  今国家の財政構造を切りかえることで、保険料、利用料、そして低所得者対策について、国民の願いにかなう改善が可能だ。その点について、私は最近非常に興味深い発言を聞きました。それは日本医師会の臨時代議員会、十月二十六日です。医事新報の十一月六日号を読んでいましたら、医師会の坪井会長が次のように述べていらっしゃる。「財源問題について、私どもは現在の国の配分構造に大変不満をもっている。これは欲張りで言うのではなく、国が社会保障をどう考えているのかという政治哲学に疑念があるということだ。」と。この発言を受けて、私たちが何回かこの委員会に参考人としておいでいただいた糸氏副会長さんは、「銀行などに公的資金を数十兆円も惜しみなく出した国は、国民の命と健康を守る皆保険制度を支援しないのかと言いたくなる」と。私は、これは見識のある発言だと思いますね。  こういう立場に立てば、日本共産党が提起をしているように、この介護保険制度の是正が迫られている部分について全力を尽くして是正する、その努力が実るまでの間は保険料徴収しない、このことが実現可能なことになります。私は、そのことに確信を持っています。  大臣の再度の答弁を求めて、終わりたいと思います。
  239. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児玉委員が御指摘になりましたコラムを実は私も拝見いたしております。  いずれにいたしましても、そのような誤解を招くということは大変私といたしまして心外でありますし、介護問題というのは、本当に寝たきりのお年寄りの大変深刻な問題でございまして、こういった次元の問題で議論する問題ではない、このように考えているような次第でございます。  私どもは、今後、来年の四月に向けて、特別対策で国民皆さん方の御理解を得ながら進めていきたいと思いますが、直すべき点につきましては柔軟に対応することにはやぶさかではありません。
  240. 児玉健次

    ○児玉委員 時間が来ましたから、引き続き議論をしたいと思います。  終わります。
  241. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 中川智子さん。
  242. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  丹羽大臣、そして大野政務次官の御就任おめでとうと冒頭に一言申し上げたいと思います。そして、あと私の後の笹木議員と二人ですから、頑張って、熱のこもった御答弁をぜひともよろしくお願いいたします。  私も、議員になりまして三十二日目に、国会で、本会議でこの介護保険法についての代表質問をいたしました。現在、衆議院では五百人のうち女性はたった二十五人です。その二十五人という女性議員の少なさもさることながら、本当に、五百人の中でどれだけの方が介護の経験をし、その介護の苦しさを実際肌身をもって知っていてこの介護保険法に取り組んでいくのかという思いと、世の中のたくさんの女性たちの叫びを私自身背負って代表質問をいたしました。その後、長い長い審議を経てやっと成立したのが介護保険法でした。  この間、介護保険をあれだけ一生懸命みんなで話をした、必死で。助走期間は二年前からありまして、助走期間中に倒れるぐらいしんどい思いを自治体がしながら、ここに来て何なのかという怒りの声をぜひとも、大臣に届けたいというよりは、自民党の別の人に届けたいのです。大臣は、自社さ連立政権の中で、本当に厚生行政、そしてまた、国民が何を望んでいるのかということをしっかりと受けとめて、いい社会福祉、社会保障のシステムをつくろうと、ともに頑張ってきた仲間だったと思います。  そして、最初に、政調会長の発言があり、このようなひどい状況になったときに、丹羽大臣怒りを持ってそれに対してたくさんの意見を述べていらっしゃいました。でも、きょうの審議の答弁の中で、大臣は気が小さいとかいろいろおっしゃいますが、大臣は決して気が小さい人ではありません、勇気を持った人です。そして、国民の望んでいるものが何なのか、この介護保険法そのものが何を目指し、この理念をどう生かしていって、市民一人一人の声を聞いて魂を入れていく作業は私たち自身がやはりやっていくのだという決意をしっかり大臣は胸のうちにお持ちだと思うのですが、本音のところ、大臣が何かトーンダウンをしてしまったような気がするのです。  大臣、ここで胸のうちをはっきり出したら少し疲れがとれると思いますので、今のこの状況、介護保険がこんなにもみくちゃになっていることを、本当のところその思いと、自民党の中でも全然意見が違う、自由党さん、公明党さんの顔色をうかがって、自分の足元の自民党の中からまだまだ意見が噴出している最中という、このような状況をどのようにごらんになるか、まず最初にお願いいたします。クエスチョンタイムみたいなもので、冒頭のジャブというふうに思ってください。
  243. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 二回にわたって中川委員が代表質問でこの問題について御質疑をなさったことに対しまして、大変心から敬意を表する次第であります。  私自身、実際問題、トーンダウンしたと思っておりません。と申しますのは、これは先ほどから申し上げておりますように、基本的な理念、要するに私どもが求めておりますのは、これまで寝たきりや痴呆症のお年寄り介護の問題というのは一家庭の問題であった、それもどちらかというと閉ざされた私的な問題であった、これは特に女性の皆さん方の犠牲に負うところが大変大きいのではないか、こういうことでございましたけれども、今度の介護保険導入によって社会全体で支え合っていこうではないか、この理念基本的な枠組みはいささかも変わっておらないということでございます。この点をまず十分に御理解をいただきたいと思っております。  それから、何をもってトーンダウンをしたかということでございますが、三党間の合意を受けて、これは三党間にはいろいろ意見がありますから、率直に申し上げて、すべてが満足にいっておらないところもあると思いますけれども政府としてそれを重く受けとめて、特別対策を決めさせていただいたような次第でございます。  その中にはさまざまな問題がございます。私の察するところによりますと、中川委員の御指摘の問題は、一つ高齢者保険料の取り扱いの問題、それからもう一つ家族介護の問題かな、こういう感じでありますけれども、間違っていたらまた直していただきたいのですが。  高齢者保険料の取り扱いの問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、とにかく、これまでお年寄りから保険料をいただいていなかった。今度はお年寄りから保険料をいただかなければならない。これは、率直に申し上げて、私一人では——私も先頭に立って頑張ります。しかし、中川先生も頑張っていただいて、こういう時代なんだから、ひとつ元気なお年寄り皆さん方も、みんなで支え合いましょうということを、これは政争の問題じゃなくて、国会議員全員が努力して国民皆さん方に訴えなければならない、こういう問題ではないかな。  そういう中において、先ほどから私が申し上げておりますように、これまでの介護システムは、どちらかというと公的サービスによっていたわけでございますが、これが百八十度変わるわけでございます。  私の地元の例を申し上げて恐縮でございますけれども、率直に申し上げて、例えばお年寄りの中には保険料徴収されないと思っていらっしゃる方も実はまだまだいらっしゃると聞いています。そういう方もいらっしゃるし、申請のことについてもよくわかっていない方もいらっしゃる。それから、これから特別養護老人ホームなどが措置制度からいわゆる契約型の利用型になるということもわかっていない方もいらっしゃる。  そういう意味において、先ほどから申し上げておりますように、どちらかというとこれまで長年続けてきた公費によるサービスというものをいわゆる保険型に変えるわけでございますので、当然、国民皆さん方理解を得ながら進めていかなければ、せっかくの介護保険サービスというものが本当に国民皆さん方理解されないのではないか。そういう意味において、政党を乗り越えて、みんなで力を合わせて、これからの時代でございますので、世代間の連帯とともに、お年寄り皆様方にもそれ相応の御負担をお願い申し上げたい、厚生委員会皆さん方においてはその点を十分に御理解をしながらぜひとも御支援をいただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。
  244. 中川智子

    中川(智)委員 だから、四月からちゃんと保険料を取って始めようということになったわけですよ。ですから、今大臣がおっしゃるように、この人はまだわかっていないからといったら、百年たっても介護保険法は施行できません。やり始めてから、その方たちにきっちり広報活動もし、こういうサービスもあるんだよと丁寧にやっていく。  それが、四月からやろうと言っていたのに、半年お金は取りません、それから一年は半額ですと。大臣国民お金をもらわないということに対して本当に喜んでいらっしゃると思いますか。一言でお願いします。ばらまきじゃない、これは本当に喜ばれているんだという自信がありますか。
  245. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 率直に申し上げまして、大変この問題は悩ましいところでございます。しかし、現実問題として、個人個人市町村によって大変な温度差があるわけでございます。私も懸命にいろいろな方々に御説明を申し上げますが、御説明を申し上げて、御理解をしていただく方もいらっしゃるし、かといってなかなか御理解をいただけない方もいらっしゃる、これが現実ではないか。  中川先生はどういうふうにお考えになるかわかりませんけれども、実際問題、みんなで力を合わせてこれを乗り切っていかないと、これは私一人の問題ではなくて、先ほどから申し上げておりますように、本当にみんなで努力をしながら進めていくこと。とにかく一番大切なことは、この四月から円滑に実施をすることであって、その中で軌道に乗せていく、このことが何よりも大切だ、このように考えているような次第であります。
  246. 中川智子

    中川(智)委員 ですから、大臣を先頭にリーダーシップを発揮していただいて、厚生委員会はみんなでやろうと決めたんですから、それで応援しようと思っていたところに、何か助走期間の間に綱を張られたり石ころを置かれたりというような感じですよ。その辺の怒りというのが、樋口恵子さんから憤死寸前というファクスが入りました、ですけれども、やはり頑張ってやっていこうと。  そのためにはっきりと確認したいことは、いろいろな質問で重複するかもわかりませんが、政府方針は、基本的な問題の解決を先送りしたということはまず認識していただきたいと思いますし、保険料の半年間徴収凍結というのは保険制度——小池次官もきょう出ていらっしゃいましたが、あの方は一貫して介護制度ということで、保険ということはいまだに言っていらっしゃいませんね。ですから、保険認識さえも与党の中でばらばらだということがきょう改めて明らかになったのですが、保険制度基本理念をゆがめるだけでなく、一兆七百億円もの財源を要して、しかもその財源を、もう財源じゃないわけなんですが、赤字国債で賄うということになれば国民全体に将来非常に大きなツケを残す。私なんか、本当に子供たちに申しわけない、またまた負の遺産を背負って生きていく、生まれてくる人たちに申しわけないという思いでいっぱいなんです。  まず第一点、確認したいんですが、三党合意を受けた政府方針というのは、法改正には及ばないというところで半年ということで出されましたけれども、改めて、これは法改正は必要ない、法改正はしないということでよろしいんですね。
  247. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  248. 中川智子

    中川(智)委員 それで、半年、そしてその後一年、政府与党の思惑どおりの期間が一定過ぎましたらば、介護保険制度は一切法の定めるところに戻るという認識でよろしいですね。その確認をさせていただきます。
  249. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど中川委員からお話がございましたように、先送りは断じてしておりません。最初から私どもは、社会保険方式の中において、余りにも大改革であり、世紀の大事業であるからということであって、お年寄り皆様方に御理解をいただくためにこのような措置をとらせていただいたということでありまして、先ほどから繰り返して恐縮でございますが、理念、枠組みは一切変更しておりません。
  250. 中川智子

    中川(智)委員 十一月五日、官房長官の発表がございましたが、そのペーパーを拝見しますと、「平成十二年四月から九月までの半年間高齢者保険料徴収しないことができるよう、その分を国で負担することとします。」という言葉がありまして、その次に「さらに、半年が経過した平成十二年十月からの一年間は、高齢者保険料を半額に軽減し、高齢者皆さんに新たな負担に慣れていただくよう配慮」しますという言葉で、明らかに国の負担という言葉がその後の一年間の半減に対しては語られていないわけなんですが、なぜこのような形で姿があいまいになっているのか。そして、ここの理解としてどのようにすればいいのか、御答弁をお願いします。
  251. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 保険料の猶予の半年分、さらに激変緩和の一年間の二分の一の分につきましては、必要な財源については全額国において負担する考えでございます。
  252. 中川智子

    中川(智)委員 わかりました。その三点をまず確認して、次に移りたいと思います。  第一号被保険者の保険料に関して伺います。  これが最大問題点で、その保険料を半年、一年ということで、言ってみれば選挙目当てというところが見え見えであります。ここのところで、政府与党保険料徴収を凍結したということで、改めて第一号被保険者の保険料を公表した区市町村の算定を検証しますと、この点に関する厚生省のワークシートを超えて、市町村、東京都などはいわゆる上乗せ、横出し、大都市加算、そして第二号被保険者分を含めて介護に係る一切の費用基本的に第一号被保険者の保険料に積み上げる方式というのを、この間、算定の中でとっています。これで、九五年当時において二千五百円という厚生省の当初案を大幅に超える自治体も生まれたというふうに言っていいと思います。  しかし、高齢者介護というのは、介護保険制度における保険で給付されるサービスだけではやはりこれからもなかなか間に合わない。深刻で切実な高齢者介護問題は、介護保険保険給付と各自治体の福祉施策とをきっちりと連動させて、そして高齢者の福祉という大きな視点で進めることがとても大事だと思います。それが今、自治体などで、上乗せ、横出しのサービスをある意味では切っていかなければいけないような事態も生まれているわけなんですけれども、自治体の高齢者福祉全般の底上げということを図るならば、国が別途財政措置をすることが福祉の部分を厚くして、みんなに安心を生む福祉政策というのがかなうんだと思います。こういうふうな国の積極的な対応で第一号被保険者の保険料を全般的に縮めることができると思うんですが、その点に関していかがでしょう。
  253. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 中川委員も御理解いただいていると思いますが、今回の介護保険制度というのはあくまでも地方分権であります。それぞれの市町村がどのような給付サービスを行い、どのような保険料を取るか、あるいは上乗せであるとか横出しであるとか、これはあくまでもそれぞれの市町村によるものであります。  ですから、私が先ほどから申し上げておりますように、ほかの市町村より、例えば国の基準よりはホームヘルプサービスを多くするとか、こういうような問題につきましては、それぞれの判断に基づいて、そして住民の皆さん方のニーズに基づいて御理解を進めながらやる問題でありまして、これはあくまでもそれぞれの市町村が御負担をしていただくものでありまして、これを国が負担するということは地方分権にいささか反するのではないか、このように考えています。
  254. 中川智子

    中川(智)委員 そうですね。これは本当に地方分権一つの大きな大きな仕事として進んでいったはずです。そこはきっちりと理解しているつもりなんですが、きょう私が手に入れました資料の中で、全国町村会、また政令都市の市長会議、さまざまな市町村から、自治体から、今回の介護保険料の軽減というのは賛成できないという異議申し立てが、これは本当に沸き起こっているわけですね。一つは、「与党三党は保険者である町村の意見を聞くことなく介護保険制度の根幹にかかわる議論を行い、これを受けて政府が特別対策を決定するなど、国の政策決定経過は誠に遺憾」ということが声明として発表されております。  丹羽大臣は、先ほどいろいろな自治体で意見を聞いたと言われますが、政府の表明した後きょうまでの間に、市町村会なり政令指定都市の市長さんの方々を集めて、きっちりと政府のこれからの方針を、介護保険の凍結の問題、根幹にかかわる部分理念の問題、そこをぶつけて、自治体の首長さんたちの意見を聞く場をお持ちになりましたでしょうか。
  255. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 具体的に大勢の皆さん方を集めてお話は聞いておりません。ただ、町村会の代表の山本会長を初め、各市町村長の方々が大臣室に訪ねていただいたり、あるいはファクスを通じてさまざまな御意見をお聞きいたしておるようなところでございます。  さまざまな御議論がございますけれども、おおむね私どもの特別対策について評価をいただいているところでございます。
  256. 中川智子

    中川(智)委員 評価をいただいているわけなんですね。では、地方自治体の首長さんは納得しているということでよろしいのですか、大多数の意見として。もう一度御答弁をお願いします。
  257. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 納得しているとか、そういう言葉のあやでございますからなかなか難しいのでございますが、特別対策については感謝の念をいただいているところであります。
  258. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、これはきょうの一番新しいニュースで、「介護保険料の軽減、賛成できない」、全国町村会の声明です。そして、九日開かれた第十一回指定都市市長会議の中で介護保険に関する緊急意見書を採択したと、これはうそでしょうか。もう一度お願いします。
  259. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 それはきょう決まったんですか。まだ拝見しておりませんが、もしよろしければ見せてください。
  260. 中川智子

    中川(智)委員 では、これはコピーして早急に差し上げますけれども大臣認識と、市町村、自治体の現場の声というのがどうも乖離しているような気がいたします。  午前の審議の中での山本委員の、参考人として自治体の方、そして市民の方の意見を聞くための委員会をしっかり開催してほしいという要求を私もあわせていたしますので、委員長さんではないですが、代理で結構ですので、きっちりこの厚生委員会としてそれをやるべきだし、そのことに対しての訴えをいたします。
  261. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 その件については後ほど理事会で検討したいと思います。
  262. 中川智子

    中川(智)委員 そして、その委員会をやるときに、ぜひとも大臣に御同席いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  263. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 その件につきましても理事会で決めたいと思います。
  264. 中川智子

    中川(智)委員 このコピーを最初に差し上げておけばよかったのですが、大臣がこれを後で読まれまして、耳に届いているのとは違うなということになったら、大臣もぜひとも現場の声は聞きたいと思われますよね。
  265. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 特別対策で大変慌ただしい日々を送っておりますけれども、いろいろな機会に、先ほどから申し上げておりますように、ファクスを通じてとか、あるいは実際に私のところにおいでいただいておる方々からお話を聞いているつもりであります。  率直に申し上げて、大変御熱心にこれまで取り組んでいらっしゃるところの皆さん方の中には、戸惑っていらっしゃる方もいることも事実です。しかし、実際問題として、介護保険制度が四月から実施されることに対するいわゆる基盤整備の問題であるとか、住民との間にまだまだ認識、意識の格差のあるところ、要するに大分その問題についても開きがあるところがありまして、私としても大変悩ましいところでございますが、要は、先ほどから申し上げておりますように、この四月から大変な大改革でございますので、円滑に実施するということにおいては各市町村皆さん方も意見は一致している、このように考えているような次第でございます。
  266. 中川智子

    中川(智)委員 本当にお疲れのところを揚げ足をとるみたいで申しわけないのですが、熱心にしてこなかったところは納得されているみたいに聞こえて、本当に気の毒だなと思うのですよね。でも、大臣が今の答弁の中でおっしゃったように、これは地方分権、地方自治体がやるところなので、一番声を聞くべきところは地方自治体なわけなんです。国が一生懸命頑張ってきた地方自治体に、ある意味では、その意見は後から聞く、こう決まったからやれということでやることがどれだけひどい仕打ちなのかということです。  まず与党三党の……(発言する者あり)ちょっと。今やじに答えてはいけませんね。ぜひとも委員会の中で首長の意見を聞くべきだ。また、市民の人たちが実際こういうことを喜んでいるかどうか。今マスコミなんかでも、一生懸命よかれと思ってやったことが何だかマイナスになってきているという、悲しい悲しい事態が生まれているわけなんですね。引き返すなら今だと思います。ですから、引き返すための勇気のある討論を、議論をしっかりとこの厚生委員会はやる義務がある。法律をつくった場所なんですから、それをやらなければいけない。政治家としての一人一人の責任だと私自身は痛感しております。それを申しまして……。  最初に私が言いましたように、家族介護では自分の心が鬼になる。これは連合がつくったアンケートなんですが、要介護者に対して憎しみを感じることがあるかというアンケートで、約四〇%が感じたというアンケート結果があります。また、要介護者に対する虐待の有無、虐待をしたという経験がある人が半分、五〇%あります。私も、代表質問の中で言いましたが、割と優しい人間だと思っていたのです。ところが、自分自身が介護をしている中で、トンネルの出口がない。いつまで続くのだろう。子供は二歳になればこれぐらいになる、三歳になれば子育ての苦労というのは軽減できるという感じなんですが、家族介護するのは限界がある、社会的に支えていこうというのでこれが始まったのに、本当に国民をばかにするような親孝行論へもう一回入って、年間十万円の慰労金を払うという、これほど人をばかにした話はないと思います。  例えば要介護4、そして要介護度5の七万六千人を給付対象に絞り込んで、年間十万円の介護慰労金と紙おむつなどの現物給付を考えていらっしゃるみたいですが、周知のとおり、介護保険では、在宅の場合、上限として要介護4は三十一万三千円、5は三十六万八千円。これは年間に直しますと、実際にサービスを受けると四百万円を超えるわけですね。それが何か日本の土壌というか風土というか、そういうところにおんぶにだっこで軽く済ませようとしている。介護保険が始まるにもかかわらず、まさしくその足を引っ張るような慰労金ということが出たことに対しては、丹羽大臣もこれはおかしいと思っていらっしゃると思いますので、ここのところの本音をもう一回伺いたいというのが一点。  もう一つは、この介護慰労金の支給は、介護保険法制定に当たっての厚生省の方針と明らかに矛盾することになると思います。そして、矛盾しないというような答弁じゃなくて、もう少しこれに対する大臣のはっきりした明確なお考えを述べていただきたい。  政府参考人大塚局長に伺いたいのですけれども、これはずっと述べられていたように、住民税非課税、また介護サービスを前年度に利用していないということを条件にしていますが、都市部においてはほとんどこの該当者はいないのではないか。それは地方自治体の声として上がってきているのですが、厚生省は該当する数をどれぐらいというふうに把握しているのかを伺いたいと思います。最初は厚生大臣、次は政府参考人の方に。
  267. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 家族介護に対する支援と介護保険制度とは矛盾していないと考えております。
  268. 大野由利子

    大野(由)政務次官 家族介護慰労金は、今回の介護保険家族介護の手当として出したり現金給付として出すという性格のものではなくて、介護保険の枠外で、本来なら介護保険を使っていただく、どんどんPRをして今回の介護保険制度を使っていただくのが本来の筋でございますが、いろいろな事情からどうしてもこの介護保険を使わなかった人が出てくることも想定されるわけでございますので、保険料を払いながら使わない人に対して、放っておくわけにも多少はいかないようなこともございまして、家族が肉親を家庭で介護していらっしゃる慰労金として出すということでございますので、厚生省の今までの方針と決して食い違っているということはない、このように思います。
  269. 大塚義治

    大塚政府参考人 家族介護慰労金の支給対象者の数の推計でございますけれども、都市部あるいは都市部以外という詳細な区分はまだできませんけれども、全国的に平均的な私どものデータから申し上げますと、まず、要介護度の4あるいは5に相当する方というのが一つの条件でございますが、これが全体で二十五万人強ぐらい全国ではおられる。それから、住民税非課税世帯に属する方という前提でございますので、これが全体の約三〇%。それらを掛け合わせることになりますが、全体で約七万六千人程度。さらに、それらの方々が一年間サービスを御利用されないということになりますと、その率はもう少し状況を見てみませんとはっきりはわかりませんが、そういう意味では最大で八万人弱というような推計をいたしております。
  270. 中川智子

    中川(智)委員 時間になりましたので終わりますが、矛盾していないということを大臣の口から伺うとは思っていませんで、ショックで口がきけないぐらいの感じでございますが、また後ほどの討論にゆだねたいと思います。ありがとうございました。
  271. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 笹木竜三君。
  272. 笹木竜三

    ○笹木委員 笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。大臣政務次官にお伺いをしたいと思います。  最初に、以前にもこの委員会で質問したことがあるわけですけれども、この介護保険制度実施に当たってどれだけ政策評価をされているのか、そのことをまずお伺いをしたいと思います。  例えば成立をしました中央省庁等改革基本法、この中では政策評価ということをしっかりとうたっております。行政が実施しようとする事業については事前に、見積もりと言っていいと思いますけれども、事前の評価もする。そして、実際に施策を行って何年かしたら、その最初の見積もり、計画、目標に対してどれだけ達成したか、これをしっかりと評価をしていく、事後の評価もしていく。これを法律でもしっかりと明記をしているわけですけれども、今非常に議論にもなっていて、国民にとって非常に大きなお金が動く、もちろん国にとっても市町村にとってもそうですけれども、この介護保険制度についての事前の評価体制はどういうふうにされているのか。  具体的にお聞きしたいのは、例えば目的としてうたわれていた、この介護保険をやることで、リハビリとか介護をよりきめ細かくやることで、現状よりも寝たきり自体を減らしていくんだ、今後予想される寝たきりの人口も減らしていくんだ、あるいは社会的入院も減らしていくんだ、介護の体制を充実していく、そういう目的があったはずです。そういったことを具体的に数字で、あるいは目標の達成度として、今事前の見積もり、計画をされているのかどうか。これは制度についての根幹にかかわることだと思います。  最初に説明させていただきますと、以前こういう議論をしましたら、政府委員の方が、例えば現在の老人医療費の中で介護的要素、介護的活動をしている老人保健施設、あるいは療養型病床群のある部分、こういったところでやっている介護的な要素をこれからは介護保険でやることになるからその分老人医療費は減るというお答えがありましたけれども、これじゃ答えになっていないわけで、単に医療費でやっていたのを介護でやります、これは何の政策効果でもないと思います。  お聞きしたいのは、社会的入院あるいは寝たきりそのものを減らしていくといった、当初の、この制度を始めるに当たって説得材料にしていたその目的について、どれだけの見積もり、目標を設定されているのか、それをお伺いしたい、そう思います。
  273. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、政策的な評価ということでございますが、介護保険法実施によりまして家族介護負担の軽減が図られるということは、これは当然のことでございますが、私といたしましては、これまでどちらかというと一家族の問題として余り表舞台に出てこなかった問題ではないかな、こういうふうに考えておるわけでございますが、介護の問題というものが初めて歴史の表舞台に出てきた、これは大変大きな効果ではないか、このように考えているような次第であります。  それから、いわゆる社会的入院の問題でございます。現在、一般の病床に介護を主として入院していらっしゃる方は、長期的なお年寄りでございますが、大体七万人ぐらい、こう言われております。この介護保険制度導入によりまして、看護や介護やリハビリなどが必要な方については、療養型病床群の整備を進めていく。  それから、今自立の問題も御指摘ございましたけれども、自立の可能な方につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども高齢者の生活福祉センターあるいはケアサービスなどの整備を進めていきたい。それから、いわゆる在宅で、自分の住みなれた家庭で、子供さんや、あるいは自分が育ててきた花や木などを見ながら老後を過ごしたいという寝たきりのお年寄りの願いがあるわけでございます。ホームヘルプやデイサービスなどの在宅サービスの一層の充実を図って、今御指摘のような社会的な入院というものの解消を図っていきたい、このように考えているような次第でございます。
  274. 笹木竜三

    ○笹木委員 確認をしたいわけですけれども、例えば、この厚生委員会で前大臣は確かに医療と介護の相互関係をもっと明確にすべきなんだろうと、前回質問させていただいたときにはお答えをいただきました。あるいは、いろいろな医療関係、健康保険関係の団体からも、介護保険制度導入には非常に賛成だ、それによって老人医療のいろいろなコスト、むだなコストは下げていってほしい、あるいは、介護保険の積極的な効果によって寝たきりを減らしてほしい、そういった期待が非常に強いわけです。前大臣は、もっと医療と介護関係を明確にすべきだ、そういったことも取り組んでいくとお答えいただきました。このことについて、今言った事前の見積もり、具体的に社会的入院はどれだけ、パーセントでもいいです、目標として設定するのか、あるいは、事前でやると同時に、何年か制度を施行された後に必ずそういった事後評価をされるのかどうか、この確認がしたいわけです。あわせて大臣政務次官にお答えいただきたい。  政務次官が属している会派は、行政の行う事業に対する評価、行政評価を積極的に行うべきだと主張されています。そういった点から、今言った介護効果を目標としてしっかりと設定をする、そして事後評価もしっかりとする、そういったことについてここで約束をしていただければと思います。
  275. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員は、数量的に目標を立てろ、こういうことでございますが、率直に申し上げて、できるものとできないものがございまして、現時点において、なかなか今ここで直ちにお示しするような準備が整っておりません。  それから、健康日本21というものをこれから厚生省として進めていきたい、こう考えております。これは、例えばアメリカの学者、私も実際お目にかかったことがあるんですけれども、いろいろなノウハウをつくりまして、これからは元気で長生きをするようなお年寄りをつくるためにはどういうようなことが必要か、例えば栄養の問題、運動の問題、それから生活改善の問題、そういうものを総合的に厚生省としてもつくり上げていく。  いずれにいたしましても、健康で長生きをして、そして、できればいつまでも寝たきりにならないようなお年寄りをつくっていくことが私ども最大のねらいだ、このように受けとめております。
  276. 大野由利子

    大野(由)政務次官 御指摘のように、公明党は、行政改革に政策評価が必要だということを今主張しております。  政策評価のやり方、具体的な中身につきましては、当然行政の中身によっても変わってくるわけでございますので、厚生省も、これから厚生労働省になってまいりますが、どういう政策評価をこれからしっかりしていくのがいいのかということは、今後の課題としてしっかり検討してまいりたい、このように思います。
  277. 笹木竜三

    ○笹木委員 もう時間が来ましたので締めくくりますけれども、もちろん数字で示せるものと示せないものがあるのは、それは私も同感です。しかし、具体的にどういうような事前の政策評価、見積もりをして、何年かたったらしっかりと政策評価をする、それを今から準備をしているはずなんで、ぜひ事前にもその準備状態を公開をしていただきたい、そう思います。  それと、きょうはできませんでしたけれども、民間の事業者の参入、これは私も大賛成なんですけれども、民間の事業者が担える部分と担えない部分、あるいは、地域によって、過疎地とかいろいろな違いもあると思いますけれども、そういったことをしっかり区分けがされているのかどうか、位置づけがされているのかどうか、それもまた次の機会質問したい、そう思います。  質問を終わります。
  278. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十九分散会