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1999-11-12 第146回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十二日(金曜日)     午前九時四十分開議  出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 佐藤 静雄君    理事 原田 義昭君 理事 宮路 和明君    理事 田中 慶秋君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       加藤 卓二君    亀井 久興君       岸田 文雄君    小林 多門君       河本 三郎君    桜田 義孝君       西川 公也君    野田 聖子君       蓮実  進君    林田  彪君       増田 敏男君    松本 和那君       宮腰 光寛君    樽床 伸二君       平野 博文君    前原 誠司君       渡辺  周君    長内 順一君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君     …………………………………    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    国土政務次官       増田 敏男君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    建設委員会専門員     福田 秀文君     ————————————— 委員の異動 十一月十二日  辞任         補欠選任   野田 聖子君     河本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   河本 三郎君     野田 聖子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件     午前九時四十分開議      ————◇—————
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
  3. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、民主党の立場から、ただいま議題となっております国土行政基本施策及び建設行政基本施策についての質問をさせていただきます。具体的な質問も入りますので、その辺については大臣及び政務次官の方で明確な答弁を求めるものであります。  まず一つ中小企業景気対策、今国会において、中小企業国会とも言われておりますし、もう一つは、今国会の大きな争点は景気を浮揚させる、あるいは雇用の拡大ということを言われているわけであります。そういう点では、具体的な景気策として今建設省はどのような対応をされているのか。  例えば、公共事業費を見ても、上期だけにおいては本来ならば今まで前倒しをしている、私たちはそういう報告を聞いておりました。しかし、現実にはこの上期で三・六%の減というのがマスコミにもちゃんと発表されている。  一方において政府は、景気対策、あるいは今のように前倒しを含めてやると言っておきながら、結果は公共事業の総工事費は前年同期比三・六%の減、これでは景気対策になっていないではないか、まず大臣にお聞きしたいと思います。
  4. 中山正暉

    中山国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  今、景気低迷をしております中で、先生指摘のようにいろいろな新聞に載っておりますような現象もあるわけでございますが、できるだけ早期に今回の補正予算国会に提出いたしまして、先生方の御審議をお願いして、中だるみのないように、これから来年度の本予算にかけての前倒しの効果が出ますように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  5. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今政府考えているのと実体経済現場と、この差が余りにもあり過ぎる、こういうことなんです。  ですから、単なる前倒しの問題だけではなくして、景気対策を含めて、特に中小企業皆さん方は、仕事はない、そしてまた財政的な、資金の問題についても貸し渋り等々の問題で大変困っている、こういうことでありますので、今大臣が言われているようなことも、早急に具体的にそのことの実施に踏み切っていただきたい。  例えば、提案申し上げますけれども中小企業という形の中で、建設業一つとっても分離発注ができるわけです。かつてオイルショックのときには国を挙げて分離発注をされました。しかし、今日では分離発注が逆にされていない、これが実態なのです。分離発注どころか、スーパーゼネコン等仕事のないことはわかりますけれども。そういう点では、今から四年前に事務次官通達で、従来の分離発注をむしろスーパーゼネコン仕事中心としてという形の中で、一定点数を決めて、そしてA、B、C、このような発注で、地元の、ある一定の実力を持っていてもそのランクまで到達しない者は、現実にはその仕事自分の足元でやっていながらも、現実受注参加もできない。これであっては分離発注どころか、むしろスーパーゼネコン中心とする仕事だけを政府考えている、こんなことを言われても仕方ないと思います。  だったらば、具体的に、この分離発注とあわせて事務次官通達を、スーパーゼネコン中心とする発注のこの通達を今取り消す、あるいは通達を、むしろそれぞれの地方地元を含めて参加をできるような仕組みをさせる必要があるだろう、このように考えておりますけれども大臣、このことについてどのようにお考えになりますか。
  6. 中山正暉

    中山国務大臣 建設業中小企業を含めまして五十八万社、働く人六百六十二万と言われておりますから、地域住宅とかそれから社会資本整備を担い、地域経済とか雇用を支えている中小企業建設業者振興とそれから育成を図ることは大変重要な課題だと認識をいたしておりますので、先生の御指摘のように、分離分割発注につきましては、平成十一年度中小企業者に関する国等契約の方針、これは平成十一年六月二十九日の閣議決定をなされておりますが、これにおきまして、公共事業効率的執行に配慮しつつ「可能な限り分離・分割して発注を行うよう努める」という約束といいますか閣議での了解になっておりますので、積極的な推進を図っているところでございます。  また、発注標準のいわゆるランク制度でございますが、工事規模に応じた資格登録業者を分けて発注を行おうとするものでございまして、中小規模工事中小建設業者受注できるようにするために努力をし、これが重要な役割を果たしていると思いますので、先生の御指摘のように進めてまいりたいと思っております。
  7. 田中慶秋

    田中(慶)委員 閣議決定もあることは事実。通産省が、極端なことを申し上げると、中小企業の奨励を含めて、この分離分割発注の問題、具体的に指示をしておりますけれども建設省の場合は、分離分割発注地方に行けば行くほど地方自治体も含めてそれが少ない。ということは、先ほどの事務次官通達障害になっているのです、障害に。四年前に出された事務次官通達障害になっている。ですから、このことはもう一度通達事務次官なりあるいは政務次官大臣通達として、この問題の分離分割発注やそれぞれこのランク別のすそ野を拡大する意味で、そのことについてもう一度大臣から答弁をいただきたい。  もう一つは、実態として仕事参加をさせていただいているのですよ、下請、孫請みたいな形で。それだけの能力、技術を持っていながら、その点数制の問題を含めて参加できないわけでありますから、今の現状、この景気状態、国が中小企業、今度の国会中小企業と打ち出しているのですから、そのことに積極的に取り組む、もう一度その姿勢を確認したいと思います。
  8. 中山正暉

    中山国務大臣 先生の御指摘に従いましていろいろ内部でも協議をしたい、かように考えておりますが、さらに、比較的大規模工事につきましても、工事の技術的な難易度を適切に勘案しながら、施工能力に応じた範囲内で下位ランク業者上位ランク工事への参入を認めるという、いわゆる食い上がりによって積極的な受注機会確保が図られるようにいたしたい、かように考えております。  御指摘のように、建設会社一社がつぶれますと三社が逆にできたりしましたり、また合併した場合には、機会を減らすようなことになりますといけませんので、点数制で配慮をするというようなこともいたしておりますが、今後ともこれらの措置が着実な実施が図れるようにいたしまして、中小企業建設業者受注機会確保に努めてまいりたい。御指摘のような再度検討をいたしたいと思っております。
  9. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この問題についてはこの程度にとどめておきますので、今大臣が言われたこと、そのことをまともに受けて、そして今私が申し上げているように、ランク障害になっているその事務次官通達を、間違いなくそれは障害になっているのですから、そのことを排除していただきたい。  続いて、同じような景気対策一環で、先般も議論になりましたけれどもローン減税の問題であります。  今、現場ではどういう状態が起きているかというと、このローン減税が明確になっていないために仮契約したものが解除になっているのです。ですから、GDPがマイナス〇・一%下がった、こういうこともありますけれども、これ自体は、私は、今の具体的な政策ローン減税が不透明で、先を延ばすとかそういうものが不透明であったために、私の知る限りでも一社で何十件という契約が、仮契約していたものが契約破棄といいますか、そういう状態になっている。  これがたくさん出てきているわけですから、これは明確に、国もおやりになるようですから、具体的に一年なら一年、二年なら二年、そしてどういう方法でということも、従来と同じ方法なのか、そのことも含めて明確にさせる必要があるだろう、こんなふうに思っておりますので、その辺についての答弁をお願いしたいと思います。
  10. 中山正暉

    中山国務大臣 住宅ローン控除制度というのは、平成十一年度、十二年度の両年のうちで我が国の経済回復軌道に乗せていくための施策一環として、平成十一年度税制改正で創設がなされたことは先生の御指摘のとおりでございますが、この住宅振興までの期間にかんがみまして、マンションそれから戸建て住宅を問わず、平成十二年十二月末までの入居という適用期限の問題が今住宅投資に影響を与えることを懸念する声が先生の御指摘のようにあります。  来年度の税制改正につきましては、税調等において検討が進められていくことになるということで、私どももその決定を待ちたいと思っておりますが、住宅投資が息切れを起こすことのないように適切に対処することが重要だと認識をいたしております。  新たに住宅を取得して、平成十一年一月から十二年の十二月までの二年間入居した者には、十五年間にわたり、毎年住宅ローン残高一定の割合、所得税額から控除で最大五百八十万、百万円台のものが、これだけの五百八十万の控除を受けられるという制度でございますので、これは大変好評を得ております。  その意味で、この制度をどういうふうにするか。私も常々、これが断崖絶壁のように最後にならないようにしないといけない。マンションなんかでは、着工してから大体平均一年三カ月ということでございますから、入居ということを契約の段階、契約という形に変えていくのもいかがかというような検討がなされておるようでございまして、それをどういうふうにこれからやっていくか。まさに正念場を迎えておりますので、先生の御指摘、肝に銘じて対応したいと思っております。
  11. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今回の補正の中でも、住宅金融対策として二兆円という、これは具体的に決まっているかどうかわかりませんけれども、そのように報道されておりますね。  そうすると、場合によっては、ああ、これは住宅ローン減税かな、こんなことも想像できるわけでありますから、こういうことも含めながら、やはり今大臣が言っているように、高層住宅は三年も二年もかかるわけです、入居するまで。そうすると、キャンセルがそういう形で出てきているというこの実態を踏まえて、今大臣が言われたようなことを確実に実行し、そして国民皆さん方にその不安がないように具体的なことを明示すべきだ。私は、国がやっていることと現実実体経済が合わないような状態になっては、やはり景気そのものをせっかく浮揚させようと思っても現実にはならないわけでありますから、そのことを肝に銘じてやっていただきたいと思っております。  特に、今回の社会資本整備という国の基本政策がございます。その中には、やはり年間のこれからの新しい企業、要するに起業対策として、国もベンチャーを含めて相当力を入れております。こういうベンチャーの問題も含めながら、これは建設業として何らかの取り入れる、あるいは具体的なベンチャー中心とするような形の建設業としての取り組みは何か検討されているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  12. 中山正暉

    中山国務大臣 具体的に御報告申し上げるような検討はここで御提示するわけにはまいらないのでございますが、今、景気をどうこのミレニアム、きのうも経済新生策ということが発表されたわけでございますが、今御指摘のありました二兆円、住宅金融公庫の金利も二・八%に上がりましたが、これが十三万七千戸ぐらいの申し込みが今あっておりまして、六週間ぐらいこの期限も二・六で据え置いておきましたものを二・八に上げましたが、相変わらずたくさんの応募がございますので、国民のニーズに合った、いわゆる核家族と申しますか、いろいろ住宅に難渋をしていらっしゃる方々にいかに便宜を提供するかというのが我が役所の使命だと思っておりますので、努力をいたしたいと思っております。
  13. 田中慶秋

    田中(慶)委員 二十一世紀は、ある面では情報化、ある面ではベンチャーを含めた、こういうことでありますので、これは今すぐそのことに取り組んでいかないと、二十一世紀ももうすぐ、一九九〇年代ももう終わりなんですから、そのことに積極的に取り組む姿勢というものが必要であろう、私はこんなふうに思っておるわけであります。  特に、この景気対策一環でありますけれども中小企業経営者人たちは、今大変な状態を招いているわけでありますね。今まで保証協会の枠を中心として、特別融資五千万、無担保保証で昨年実行されました。ところが、もう返済の時期に来ているわけです。今度も十兆円という枠を補正で組まれるようでありますけれども現実に、今の現場そのものが大変な状態に来ているわけですね。仕事はない、そして返済期限も決まっている、来ている、これが事実であります。  結果として、今倒産をする、恐らく建設省は調べていないと思いますから、今の倒産件数の中で建設関連事業としてどのぐらいの倒産件数があるのか、あるいは関連倒産を含めて、その辺をどのぐらい承知しているのか、お聞きしたいと思っております。
  14. 中山正暉

    中山国務大臣 具体的な倒産件数、後ほど御報告を申し上げたいと思いますが、民間建設投資低迷などで厳しい経済環境の中で、建設産業についての極めて経営環境が悪い状態が続いております。  こうした状況の中で、中小企業者に対する円滑な資金供給を図るために、昨年十月は中小企業金融安定化特別保証制度が設けられまして、建設業者においても十分に活用をしていただいて、経営安定化を図られているところでございます。  本制度につきましても、経済新生対策、きのうの経済対策閣僚会議、それから与党を交えました経済会議があったわけでございますが、けさの閣議でも、これが経済企画庁長官から御報告がなされました。平成十三年三月末まで一年間延長をして保証枠を十兆円、これは前に先生指摘がありました二十兆出ておりますので、この保証枠を十兆円追加いたしまして、その制度の拡充がなされているところでございますけれども、今後とも建設業者経営安定化が図られることが、私ども大いに期待いたしておるところでございます。  御指摘のように、日本平均四・七ぐらいでございます。私の大阪では、失業率も六%に近いワースト地域になっております。西の方が大変ですし、これから冬が来ますと北海道、東北は余計に大変なことになるのではないかという心配もございますので、その対応を万全を期したいと思います。
  15. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣、これは本当に、建設業倒産というのは昨年よりもふえているんですよ、はっきり申し上げて。そして、一番大変なことは、仕事はないんです。そして、現実資金繰りをしようとして金を借りに行きます。そうすると、銀行は金を貸してくれないんです。ということは、担保が下がっているんです。半値、八掛けに下がっちゃっているんです、地価が下がっていますから。一生懸命返済をしてきてやっと借りようと思っても、現実には担保不足で金が借りられない。恐らくこの十兆円の手当てをしても、ぜひこれは大臣、みんなで官僚の関係でしっかりと申し合わせをしてそんなことのないようにしてもらいたいのは、今までの借金の分を差し引いて、一千万借りようと思って申し込んだのが半分以下になる可能性が十分出てきている。現実に前回もそれがあったんですから、今回もそのようなことの絶対ないようにしてもらいたい。これは本当ですよ。  まして、連日私ども中小企業人たちのいろいろな相談も受けているわけでありますけれども関連倒産が次々とある。一生懸命下支えをして頑張っている人たちが、一つ倒産をすると、それこそ今までの利益分も吹っ飛ぶ、それどころかマイナスになる。さらにもう一つ年間に二つ、三つされたら企業の存続も危うくなるどころか、自分がそのために命と交換している人もいるんです、はっきり申し上げて。これが実態なんですよ。そのことを政府はしっかりと認識していただきたい。  ということは、なぜ今三万人の自殺者がいるのか。三万人いるんですよ。その中で建設業人たちはどのぐらいいると思いますか。大臣、あるいはまた、せっかく総括制度ができたんですから、政務次官
  16. 加藤卓二

    加藤政務次官 今、大変大事な切実な話を田中理事からお話がございましたが、三万人という数字、本当に大変大きな数字でございますが、その中で、正確な数字はつかんでおりませんが、平成五年のときの数字では——人口動態などの産業別統計という形の中で、平成七年度の自殺者は二万一千人の中で、建設業就業者自殺者数が千百三十七人ということで、全体の五・四でした。それは、まだまだ建設業がこんなに苦しくないときの状況でございますので、この次に数字が出てくるときには理事さんがおっしゃられるような大変な数字になるんじゃないかというふうに危惧するわけでございますが、十二分に注意して、業界のそのような苦痛をなるべく和らげる努力をさせていただきます。よろしくお願いします。
  17. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今平成五年の議論をしているんじゃないんですよ、はっきり申し上げて。国会図書館へ行ってごらんなさいよ。いろいろなデータを集めてくれば、少なくとも平成九年か十年の資料がありますよ。ここに持ってきておりますけれども現実に今の数字とは、あるいは業種別にも全然違っているんです、はっきり申し上げて。大変な状態になってきておりますよ。  三万人の中で、平成五年、二万人足らずですよ。足らずと言うと大変失礼ですけれども、二万人もいるんですけれども、今三万人なんです。いいですか、この四年、五年の間に五〇%以上ふえているわけですから、これは大変なことなんです。特に去年、おととしのデータを見ますと、特に中小企業人たちが多くなってきている。それは、返済に迫られた、あるいは日栄みたいな問題も現実現場で起きているわけでありますけれども返済の仕方がなく、家があっても家まで全部とられちゃうんですから。こういう状態で困っているわけですから、やはりもっとこの実態というものを真剣に、みんなそちらにいらっしゃる人は政治家なんですから、五年前のデータがどうのこうのなんて言うんじゃなくして、真剣に今の実態というものを考えていかないと大変なことになってくる。  ですから、今あなたに五年前のことをここで言われても、納得するわけにはまいらないわけです。何のために通達しているんですか。その動向をどうしているんですか。私は、五年前の数字を聞くために事前にこのことを申し上げているわけじゃないんです。もう一回答弁してください。
  18. 加藤卓二

    加藤政務次官 業態別データについては平成七年度のものが最新でございますが、これではたしか、田中理事さんがおっしゃられるようにふえていることは事実でございますので、十二分に状態をつかみながら、なおかつお考えに沿えるように努力するつもりでございます。
  19. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これ以上のことをしてもあれでしょうから。ただ、私たちは今少なくとも政治家議論をしているんですからね。建設行政に対する政治家議論をしているんですから、少なくとも一年前ぐらいのことをいろいろな調査をしてほしい。私が今やっているのは、この三万人の全部のリストが集まるかどうか、今やっているんです。そして、三万人のリストを集めて、私は総理にこれを突きつけようと思っているんですよ、はっきり申し上げて。こんな厳しい状態、そして具体的な対策をしていただきたいと思っているわけです。  どうですか、一万人の交通事故死、国を挙げていろいろな交通対策をしたんじゃないんですか。今三万人出ている自殺者についてどのような対策をしているか、皆無ですよ。  ですから、そのことを申し上げているんであって、古いデータでやって、その対策をこれからすると言われてもやはりぴんとこないわけですから、その実態、ですから、実体経済といろいろな差が出るというのはそういうところなんです、はっきり申し上げて。そのことに心して本当にやってほしい。いいですか、答弁してください。
  20. 加藤卓二

    加藤政務次官 本当に中小企業のことを考えておられる田中理事さんのお気持ちが本当に、議会を通じてというよりも、この討論を通じて大変に肌で伝わってまいりますので、早速、帰りましてその数字をもっと正確につかんだ上で、再度お部屋の方に御報告に上がるつもりでおります。
  21. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひお願いします。  続いて、社会資本整備ということが今回の補正でも力を入れられているようでございますので、今、社会資本整備関連で、例えば交通渋滞大臣、あなたも車に乗るでしょう。車に乗りますと、朝でも晩でも大体交通情報が流れますよね。交通情報が流れて、この十年、十五年、恐らく私の地元ではその交通渋滞の箇所が変わっていない。大臣、そのことを一言で、建設省としてこの変わっていないことにどう思いますか。  私は、仕事をしていないんじゃないか、極端なことを言えば。そうでしょう。新しい道路をつくるのも結構。しかし、現実に十年も報道されていることが、遅々としてその解決が全然進んでいないということ自体が、社会資本整備ということであるならばそれを行っていない。どう思いますか。
  22. 中山正暉

    中山国務大臣 全く私も同感でございますので、私は、道路をやってくれという全国の知事さん、就任してまだ一月足らずでございますが、たくさんの方々が訪ねてこられますので、私はその方々に言っていますのは、道というのは入り口が、しんにゅうがつかないとこれはさらし首。道という字は入り口がないと、しんにゅうがないと首になる、これはさらし首だ。だから、私は、就任三日目には、これはこの間の委員会でもちょっと申しましたが、大和川左岸線工事認可はおりておりませんでしたし、京都から大阪へ入ります第二京阪国道、これも油小路からの工事認可をすぐにおろしました。  私は、すぐに、石原知事が地上から武蔵野市とかその他を見に行かれたということで、私もヘリコプターを出してもらって、「あおぞら」という建設省ヘリコプターがせっかくありますものですから、上からずっと東京を見て回ってきました。  この三千三百万人も住んでいるところで、経済中心の首都の道路は、実に、昭和四十五年、根本建設大臣が凍結をされてからずっと道路がついていないという現状を見ますと、私は本当に、先生のおっしゃるように、これでいいのかと。大体、日本の総人口の中で五十六億人時間損失がある、国民総生産は見えないもので十二兆円ある、こう言われます。  私は、観と見、これは変な話をしますが、宮本武蔵の五輪書の中には、観見二つの目付のことは、観の目を強く、見の目を弱く、見えないものを見なさいと。観音様の観という字ですね。世の中の音を見ると書いて、観世音と書いてございます。  ですから、私は、見えるものは見るな、それと同じように、どんなに損失があるかという先生の御指摘、それを認識して道路行政でも何でも進めていかないと諸外国から笑われる結果になる。インフラストラクチャーが日本はおくれている、私はそれで経済大国だといって大きな顔をしているのはいささか問題があるな。  先生のおっしゃるとおり、これはなかなか長年にわたって、だれかが反対するとそれがとまってしまう。政治というのは最大多数の最大幸福ですから、私は、一部の反対する人たちは説得をする義務が我々行政をする者にはある、かように考えております。
  23. 田中慶秋

    田中(慶)委員 実は、一週間かけて首都圏の交通、報道されている渋滞を全部調べたんです。十年前とほとんど変わっていないんです。このこと自体が、社会資本整備とか基盤の整備、今大臣が言われているように、全然取り組んでいない。  今陳情政治で、いろいろな形で地方に持っていったりいろいろなことをする。経済中心であるこの東京を含めて首都圏、そして交通の渋滞になっているところ、タイム・イズ・マネーと言われるように、時間の損。そればかりじゃありません。それだけ公害を、環境汚染も出しております。騒音も出しております。そして、資源のない日本がむだなエネルギーを使っているじゃないですか。そんなことを含めて、私は、これから社会資本整備、具体的に百カ所やるという、何かペーパーが新聞で報道されておりますので、具体的に聞きたいと思っております。  例えば原宿、横浜の戸塚に原宿六浦線、国道を横断している。長いこと陳情もされ、長いこと国もこの立体化の問題、もういいかげんにタイムスケジュールでぴしっとやってもらいたい。不動坂の問題も同じであります。  私、横浜新道をけさ通ってきましたよ。いいかげんにしてほしい、縄張りみたいに。いいですか、横浜新道は道路公団、三ツ沢の料金所以降が首都高速道路公団。この料金所まで行く間、本来ならば十五分、けさは一時間十分かかっているんですよ。そして、この料金所から東京まで三十分です。どう思いますか。これが連日ですよ。だから、私は、料金所を取っ払え、こんなことまで言っているんです。そして、何らかの料金システムを考えればいいじゃないか。  先ほど、大臣がボトルネックと言いましたよね。横浜新道、一般道、第三が四つのゲートのところから入ってくるんですから、込むのは当たり前なんです。六車線が二車線になるんですよ。こんなことを平気で、全然、開通以来このことを放置しているんです。まして縄張り争いでしょう、首都高速道路公団、道路公団。そして、その料金所を通過すると全然すいている。こんなことを、何回言っても行政はそのことに着手していない。はっきり申し上げて、私はここに来る前にも何回ももう言っていますよ。前回も言いました。  それどころか、国民との契約といいますか、そのこと自身も破棄にしているんですよ。横浜新道は昔五十円だったんです。混雑解消のために拡幅整備をするからということで百円にしたんです。そればかりか、いつの間にかルートを横横から第三まで拡大して二百円になっているんですよ。そして、今のように連日、朝晩の渋滞は全然解消されていない。  これでは道路行政を預かる建設省としておかしいと思わないですか、縄張り争いみたいなことを平気でさせておいて。皆さん政治家なんですから、しっかりとそのことについて、大臣及び政務次官、はっきりと考え方を述べてください。
  24. 中山正暉

    中山国務大臣 おっしゃること、全く、私もついこの間までそっち側にいたわけでございますから、特に私は大都市出身でございまして、いかに大都市周辺の機能が、道路というものが長年の間の、民主主義ということで、少数意見を尊重することも確かに大切でございます。そのために、賛成している大多数がどんなに迷惑をこうむっているかということを、その評価をちゃんと世の中がする時代が来て私は当然だという気持ちがいたしております。  長年のいろいろな意味での思想的な対立というのも解消されましたから、同じ方向を向いていかに歩いていくか、いかに日本が世界に貢献するためには経済を発展させなければならないかという、私はその責任があると思います。  道路の方も、ETCとかITSとかいう新方式を採用しておりますし、先生の細かい区域に関する御指摘は、道路局長が来ておりますから、もしお許しがいただければ直接の担当者から、その現場を詳しく知っておる者から御答弁をさせていただきますが、おっしゃるように、できる限り、私も在任中大いに、妙な言い方でございますが、道路を早く皆さんの便宜供与のために、それからまた環境のために、高速で走れば走るほど、速度を上げれば上げるほど、CO2とかNOx度が減るわけでございますので、渋滞が大変な環境汚染を広げる。  日曜日の晩十一時に見ていましたら、環八雲という雲が出る。環八の上に雲が発生する、その雲の状況をずっと記録している、写真を撮っている人の番組をテレビで見たわけでございます。今その番組のビデオを取り寄せてくれと役所にも頼んでおりますが、そういう意味で、先生の御指摘はまさに私ども考え方と同じでございます。
  25. 田中慶秋

    田中(慶)委員 局長の方はまとめて答弁をお願いしたいと思いますけれども現実問題として、今の申し上げた道路だけじゃなく、例えば道路と鉄道の立体化、これが非常に、私の地元で国道一号線が時間で遮断されるんですよ。こんなばかなことないですよ。そればかりではありません。例えば、今までは、私鉄と地方道が交差しているところは連続立体化というのはおくれているんです、財政が厳しいから。地方も厳しいことは事実です。  ところが、前回の質問で関谷大臣は、このことに前向きに、国道だけではなく地方道についても国は前向きに検討するということを言われました。  このたびの補正予算で、社会資本整備及び鉄道と道路の立体化ということが載っているわけでありますから、そのことを具体的に、例えば私の横浜であるならば、相鉄線沿線が全部立体なんて進んでいない、そのためにずっと随所で交通渋滞が起きているわけですから。私は、今できるもの、そして新しく道路をつくるもの、区分して、立体化や、今申し上げたような交通渋滞対策というものを率先してやるべきではないかな、これはそう考えております。
  26. 加藤卓二

    加藤政務次官 大臣もおっしゃいましたが、私たちも首都圏に籍を置く国会議員として田中慶秋理事のおっしゃること、もう本当に肌身にしみて、ずっと陳情してまいった者の一人で、今立場を変えてみて、きょうおっしゃっていることは、そのまま、どうやったら理事のおっしゃられるようなことにこたえられるのかなということで、ずっと考えているだけではなくて、みんなと相談してまいりました。  私もよくその場所わかっていますので、とにかく三ツ沢の料金所のところ、何とかならないのというのは、私は地元の代議士でなくも感じていることでございました。特にあそこはどうしてもだめなのかと言ったら、トンネルの中で工事をできないような状況の中なんで、料金所をふやすということはできない。きょうここで今言っているのは、自動料金受領システムというのを早くつくれば、全国の料金所が一遍にできなくも、少なくも首都圏の料金所ぐらい一番にやりましょうよ、そういう形でお話をしておりまして、この自動的な料金のシステムができ上がると、五〇%ぐらいは首都圏の人たちが利用してくれると、先生がおっしゃっている時間と距離の短縮が必ず行われる。  私も公約して出てきたのは、時間と距離の短縮をすることにおいて日本経済が発展するんだ、そういう気持ちでおりますし、過疎と過密で悩む地域に私たち選挙をしておりますので、田中理事のおっしゃっていることを具体的に、特に立体交差なんというのは当然これは、やればそれだけ社会活性化も行われるし、そのときには、どうしても予算獲得をというより、予算をぜひつくっていかなきゃいかぬ。ですから、私は、道路財源は絶対に大事にしなきゃいかぬなということを痛切に感じております。  きょうの理事のお話は、道路財源をきちっととって、しかもスピードを上げてやれ、こんなふうに感じましたので、熱意をもってお約束いたしますから、よろしくお願いします。
  27. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひ期待をしておりますし、これははっきり申し上げて、例えばCO2が国際約束でこれは減らさなきゃいけないわけですから、その原因の一つにもなるわけでありますし、あらゆることを含めて、このことにはしっかりと、その一番原因になっている渋滞や、立体化、新しいことばかりしようとしても、既存のものからできる。それをまず、将来のものと既存のものを分離しながらやっていただくように、今決意を述べられましたので、そのことを期待しながら、ぜひやっていただきたいということを重ねてお願い申し上げておきたいと思っております。  そこで、大臣交通事故死というのは年々減っているのですね。ところが、事故そのものはふえているんです。ということは、いろいろな因果関係はありますけれども、その一つに交通標識との因果関係、すなわち、今の日本道路の交通標識そのものが非常に見にくい。そして、次々と新しく出てきますから、そういう点では、都心に来るのに間違えちゃうと大変なことになってくる。そのために交通渋滞も、あるいは交通事故も起こしている、これが一つ。ですから、やはり抜本的に事故の解消のためにも、私はその標識その他について見直しをする必要があるだろうということが一つ。  それから、最近わかったことなんですけれども、交通事故による重度障害者、これが非常に多くなってきているんですけれども、その救済の措置がない。今の強制保険やいろいろな保険だけではこの救済ができていない、こういうことです。  ですから、それは運輸だとか同様のこと、そういうことを抜きにして、道路もその一つの原因をつくっているわけでありますから、道路を走って交通事故を起こしているわけですから、やはり道路管理者を含めながらいろいろなところに呼びかけて、この重度障害者に対する取り組み、これが大切だと思っています。  日本で、受け入れている病院の全体的なキャパシティーというのは非常に少ない。千人足らずですよ。今、重度障害者のために、ましてお年寄りはいいのですよ、いろいろな形のものがミックスしてできるから。ところが、三十歳、四十歳、あるいはまたそれ以下の二十歳代の人たちは、まさしく救済の措置がない。そのために、今まで御両親が勤めていた職場もやめて、自分の子供のために介護に当たる、これが現実なんです。ほとほと、費用その他も含めて疲れ切っているという、こんな手紙をいただきました。  このことも含めながら、私は、道路行政との関連というものは決してないわけではない、こんなふうに思っておりますので、このことについてぜひとも考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 中山正暉

    中山国務大臣 先生の御指摘のように、交通事故死というのは三年ぐらい一万人を切っておりまして、いい方向に向かっていると思いますが、それだけに、医療の進歩もありますから、重度の方々の問題というのが出てくるのではないか。十年度の交通事故死者数というのが九千二百十一人ということになっております。先ほど申しましたように、三年連続して一万人を下回っております。  結論的に申し上げると、重度障害、いわゆる交通事故の人的損傷者に対する補償というのは運輸省の所管でございますが、御指摘のように、道路標示その他、その因果関係が結びつくかどうかは別にいたしまして、建設省からも運輸省に、これはいずれ国土交通省、私は、平成十三年の一月六日から新しく交通と道路行政が一緒になるというのは、その意味でも大変期待ができるのではないかと。  先生の御指摘のようなことが同じ役所の中で連携がとれるのではないかという感じがいたしておりますが、建設省の中で私も話したときにも、道路標識なんか、例えば仮名で書くとなかなか読みづらい。日本人というのは漢字を形で覚えますから、道路標示なんかも漢字で書いてあると間違えずに出るけれども、仮名で書いてあると、何が書いてあるのか読んでいる間に事故が起こったりするというようなこともあると思いますから、先生の御指摘、モータリゼーションの時代でございますし、車も安全を考えていろいろな車種を検討なされていることでございますから、総合的な問題があると私は思いますので、御指摘を十分受けとめさせていただきたいと思っております。
  29. 田中慶秋

    田中(慶)委員 第一次原因というのが、道路標識とか道路の構造上の問題もありますので、ぜひそのことを前向きに検討していただきたいと思っております。  そこで、これは国土と建設と両方関係ありますけれども、再開発の事業がございますね。駅前の再開発とか、いろいろな再開発事業というのは、計画決定をされ、そして現実に着手をするまで、大変な時間を要しているわけです。あるところでは、十年も二十年も三十年も、こんな形のものがある。幸いにして、建設省の関係では、例の民都機構という組織をつくって、いろいろバックアップをできる組織もできました。あるいは、従来の住宅公団も都市整備公団に改組されてきておるようなわけです。再開発のこういうものを促進する意味でも、あらゆる機能をミックスして、時間の短縮こそが、少なくともそれぞれの時代に合った町づくり、あるいはそれぞれの機能の整備というものができるんだろうと思っております。  例えば、私は自分の住んでいる例示を申し上げますと、戸塚というところの再開発事業というのは昭和三十八年から議論をされているんです。そして、その事業主体も含めながら、横浜市も関連しているわけでありますけれども、なかなか遅々として進まない。そういうところでバブルが崩壊した。こんなことも含めながら、逆に民都機構とか新しく十月一日から都市整備公団もスタートされることになりましたので、そういうものが協力することによって再開発事業というものが促進をされていくだろう、こういうことでありますので、その辺についての考え方をお伺いしたいと思います。
  30. 加藤卓二

    加藤政務次官 再開発というのは、本当に地域にとって一番活性化につながるし、長い地域の住民の希望でございますが、そういう意味では、私たちも再開発に、建設省の中にある都市基盤整備公団だとか民都機構だとかを利用して一生懸命やっているんですが、複雑な権利関係や何かを解消していくためにどうしても時間がかかっているのかな、こう思います。最近は地所の値上がりというのはない、こういう前提になったので、地権者の協力も比較的得やすくなってまいっておりますので、そういう意味では、時宜を得た計画になるように、戸塚の問題も、私、自分のことのように考えながら、関係各位とよく協力して、その複雑な関係をほどく最大の時期は不景気なんだ、不景気のときにやるから値打ちがあるんだ、そんなふうに感じておりますので、ぜひひとつまた今後とも御指導をお願いしたいと思います。
  31. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、私は、再開発事業というのは今が一番チャンスだと思っております。非常に今まで土地が値上がりするものですから、なかなか思惑で協力が得られなかった。今はむしろ絶好のチャンスでありますから、このときに、民都機構のお金を利用するとかいろいろなことを含めて、ノウハウを利用しながら、ぜひ促進をさせていただきたい、これも要望しておきます。増田さんも同じ考え方でしょうから、大臣のもとですから、結構です。  そこで、実は大臣にお聞きしたいんですが、特に最近、行政改革、そしてイギリスのエージェンシーの問題等々を含めていろいろなことを検討しておるときに、私は、日本のこれからの企業責任、社会的責任、個人的責任というのがあらゆるところで問われてくると思うんです。そのことを考えたときに、今いろいろな許認可行政というものが建設省もたくさんあるんですね。もうあらゆることを含めて、みんな資格制度になっている。こんなのはやめた方がいいと私は思っている、はっきり申し上げて。そして、その資格制度をつくるためには財団をつくり、そして財団をつくって講習会をしてお金を集める、お金を集めて、ではそこにはどういう人が、言わずと知れていると思いますけれども、OBの人たちの天下りになっている、現実なんです、はっきり申し上げて。  ところが、ではこの資格制度がなくて仕事ができるか。私はそうじゃないと思うんです。社会的責任、企業責任というものをもっと明確にすることによって、そういうあらゆるものをスクラップ・アンド・ビルド、こんな形で見直す必要があると思うんです、はっきり申し上げて。特に、そういうものがなくても企業経営ができるものを、あえてその企業ランク別のところに、例えば経理責任者がいるか、専従者がいるかいないか、あるいは事務責任者の専従者がいるかいないかによって点数が加算されたりマイナスになったりするわけですから、こういうことも含めて、二十一世紀なんですから、思い切った見直しをして、社会的責任、企業責任、そして個人責任というものを前面に打ち出して、スクラップ・アンド・ビルド、こんな形の考え方をやる必要があるんだろうと私は思うんですが、大臣、いかがお考えですか。
  32. 中山正暉

    中山国務大臣 全く違う世界の話でございますが、この間、窓の外からのぞく人までが出てくるという、美容師として大変有名な人が美容師の資格を持っていなかったというので問題になったのが、週刊誌なんかで大分問題になっておりました。私も実は、個人的な話で恐縮でございますが、厚生政務次官をしておりましたときに、賀屋興宣という方から、ビルの上の水槽、あの水槽の中でちょうど人間一人が入って掃除するようになっておりますので、あの中で自殺した人がいまして、ビルで三カ月ぐらい人間のスープを飲んでいたと。だから、私は、ビルで防火責任者というのがあるんなら、飲料水責任者というのを各ビルでつくったらどうか。要するに、自治体なんかで、三階まではポンプアップする責任は厚生省が持っておるようでございますけれども、それから上というのは高い屋上のタンクからの水しかない。  その問題と同じように、建設関係でも四十二制度があるようでございます。侍の士のついておりますものとかそんなものがありますが、平成十一年三月三十日に閣議決定された規制緩和推進三カ年計画の改定におきまして、国民生活の利便性向上、当該業務サービスに係る競争の活性化等の観点から、各省庁においても、資格制度のあり方を見直して、計画期間内、平成十二年度までに所要の措置を行うということになっておりますから、私は、個人責任というのはしっかり決めなきゃいけないと思います、民主主義というものは裏返せば責任の制度だと思いますから。だれがやったかわからない、犯人捜し、責任者捜しに狂奔するようなことでは私はいけないと思いますので、先生の御指摘、資格の問題がただいたずらにある業界とかそういう関係者の権益を守るための制度で終わってはいけない、実質的に国民、民衆のために役立つ制度に私は発展していかなきゃならないと思いますから、両方の意味から、先生の御指摘意味を深めていって、規制緩和で、さっき最初に申しましたように器用な人なら自分で頭を散髪する人もいるわけでございますから、それを一々、昔は衛生の問題があったんでそういう資格制度というものができたと思いますが、大変衛生完備した世の中になりますと、そういう問題も含めて、資格制度というのは国全体の問題として私は再構築、再編成、再活性化、再利便化をする必要があると思います。
  33. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひそのことを期待申し上げたいと思います。  実は私もある資格を持っておるんですけれども、講習会に行ったことがあるんです。全然、別にその講習会で試験をするわけじゃない、二時間、三時間黙って、居眠りしている人はいっぱいいるわけですけれども、その判こによって資格がもらえるわけですから、このことを考えたらば、資格制度そのものに対するいろいろな疑義といいますか、そういうことも感じられるわけでありますので、やはり制度というものはしっかりと、そのために本当に必要なものかどうかも再度、今していただくということですから、ぜひ期待を申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、実は、いろいろな道路行政を含めて、工事中とかいろいろなことを含めて、地元との約束というのはやはり守らなきゃいけないと思うんです、はっきり申し上げて。ところが、首都高速道、横浜の南区のあるところで、騒音の問題とかあるいは粉じんの問題を含めて、そして、十年以上もやると言っておきながら全然やっていない、こういうことが現実にあるわけでありますから、約束事を守れる、こんな形をぜひとってほしいと要望して、時間が参りましたので、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  34. 平田米男

    平田委員長 青木宏之君。
  35. 青木宏之

    ○青木委員 自由党の青木宏之でございます。  今の田中議員の御質問を聞いておりましても、なかなか同感するところが多いのですけれども大臣も恐らくそうだろうと思うのです。それは、いわゆる都市出身議員として、また大臣地方議員を御経験だし、私も地方議員から出ておりますので、地方の細かいことやら、あるいは国政に来てからは地方を見る目、そういったことから、都市問題、ほとんど共通した認識があるのではないか、そういうことでお尋ねをするわけです。今の御答弁等をお聞きしておりましても、かなり意を強くするところがあるのですが、私は私なりに、若干関連する、同種の質問もございますけれども、私の立場からお尋ねをさせていただきたいと思います。  それで、都市問題でということになりますが、都市問題でやはり一番頭が痛いなというのは、今お尋ねが出ました交通渋滞の問題が一つは大きな問題であろうと思うのです。したがって、これは道路行政が主になると思うのです。  そこで、まず初めに、道路が主体になると思うのですけれども、そういう公共事業、今もお話がありましたように、なかなか遅々として進まない。今のお話は建設省サイド、当局はしっかりやっておるのか、こういうような御視点でのお話もあったかと思いますけれども、それはともかくとしまして、いろいろな場面を私も現実に見ておりますし、いろいろな住民の方々の御陳情も承っておりますので、怠慢ということはさておきまして、実際問題、これはなかなか難しいのが現状ではないのかな。  例えば、国ばかりでなくて市町村当局も、職員の方は朝な夕なにこれは大変な御努力をされて事に当たっておられるということはよく承知をしておるわけなんですね。にもかかわらず、実際なかなか道路一本すんなり開通しない。  自分のところの例を挙げてなんですけれども、国道でいうと三百二号というのが、環状線でございますけれども、これもほかのところに比べれば割とスムーズにいっておるのかなと思えなくもないのです。しかし、早く完成してほしい、開通させてほしいという気持ちからすると、なかなか遅いなという感じがするわけなんです。  その中でも一つ、鉄道との交差というのがやはりあるわけなんですね。そうすると、そこが、鉄道がなかなか通さないんですよ。鉄道が通さない。その理由は何かというと、昔からあるものですから、踏切が非常にたくさんあるわけなんですね。だから、そこを通す、かわりにと言ったら変ですが、かわりに左右といいますか前後の踏切をどんと減らしてくれ、減らしたらそこを開通させるというふうなことで、そうすると、踏切を、住民の方は生活道路で、そういう小さい踏切は生活道路で使ってみえるものですから、そこが閉鎖されてしまいますと渡るのに大回りをしなきゃならぬということで、今度は住民の反対があるのですね。住民の反対と鉄道のそういう意見とで、これは実際問題頭をひねってみえるのではないかと思うのです。しかし、だからといって、いつまでも完成、開通をおくらせるというわけにもこれはいかないと思うのですね。  そこで、根本的な問題として、まず一つは、こういう今申し上げたような現状、先ほどの田中先生のお話、もうこれは中山大臣も当然御承知だと思いますが、全国的に見てそういう傾向はほとんど認識はされておると思うのですね。  そこで、そういう認識のもとに、これでいいというわけでは決してないんですから、ではどうしたらいいのか、あるいは、法的な問題を含めて、現状の法整備に問題があるのかということを思いましても、これは強制執行法等きちっと法律的にはあるわけなんで、やろうと思えばやれるわけなんですけれども、実際には適用される例がほとんどない。  今申し上げた私の、ちょっと後でまた区切ってお尋ねしますけれども、連続立体事業にしても、一・九キロ、二キロ弱ですが、一・九キロをやろうとするのにまず十年はかかる、こういう今の回答というか報告をいただいておるのですが、そうすると、私の住んでおる地区内、行政区内のその一部なんですが、約三分の一弱が十年かかる。そしたら全部通るのに何年かかるのか。こういう話。さらにまたそれはずっと先まであるわけなんですが、それは万博の瀬戸までつながるわけなんで、そうすると、これはどうなるのか。こんな話なんですね。  だから、そういう道路ばかりじゃないのですけれども、いわゆるそういう公共事業が、計画団体、あるいは事業決定されてからでも非常に時間がかかる。これは、経済効率の点からいってもそうでありますし、それから、当然そういう工事によって渋滞がまた加速をされるということからしますと、先ほどの環境問題にも影響してくる、こういうことですから、ぜひこの辺で何とかもっとスピーディーに事業実施ができるような手だてをもう一遍お考えをいただくなり、そういう決意を持ってこれからの行政に対処していただきたいというふうに思いますが、まずそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 中山正暉

    中山国務大臣 実感として私も思いますのは、私の近くに豊里大橋というのがありますが、それがつい最近完成したのですが、その計画は私が生まれた昭和七年には立っていました。ですから、本当に百年河清を待つといいますか、そんな思いがいたしておりますが、先ほどから申しておりますように、そういう認識がだんだん、一般の方々にも、これはみんなで協力していかないと日本は大変な損をするなという思いが出てきたと私は思います。  先生の今御指摘の名鉄瀬戸線でございますが、鉄道高架化は、連続立体交差事業ではなくて街路事業として昭和六十三年にこれは高架化の補助採択をされております。現在、測量とか設計等が進められていまして、鉄道事業者との調整のおくれなどから事業が大幅におくれているという先生のお話が今ありました。  これは言い出し兵衛が金を持つと言ったらおかしいのですが、鉄道事業者が九%、わずかと言うとまた鉄道会社からしたら大変な問題になるのかもわかりませんが、私の大阪の町の片町福知山線というのも、当初二千七百億で計画されたものが、でき上がったときには三千三百億になっていたと思います。すっとできれば安く上がるものが、いろいろな問題が起こって、それは共同溝をつくっていわゆる三セクで片町福知山線を通すと同時に、一日八時間の踏切を、大阪の今度倒産しましたがホテルプラザとロイヤルホテルの間に阪神が路面交差しておりましたが、それを地下化したわけでございますが、それは阪神の負担が一〇%だと聞いております。  その例によるまでもなく、この間名古屋の知事さんともゆっくりお話をしたのでございますが、二〇〇五年の万博の問題がありますし、それから伊勢湾の空港の問題もありますし、私は知事さんにも、ひとつ一生懸命やりましょう、大いに協力してやりたいということを申しておりましたのですが、連続立体交差事業は、都市内交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化を実現するためでもありますので、都市の活性化を図ると同時に、またエキスポということで、世界からお客様を招く新しい名古屋、オリンピックでは名古屋は大変残念なことになってしまいましたが、青木先生がお力を入れていらっしゃいますこの問題につきましても、私どもは一生懸命に対応してまいりたい、一日も早く話がつくように私も努力をいたしたいと思います。
  37. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございます。  大臣、申しわけありませんが、公共事業全般の促進について、今、強制執行法があるわけですからやろうと思えばやれるんですが、現状実施されない、話し合いがつくまではほとんど我慢してやっておる、そのために、一軒でも二軒でも相手がうんと言わないと一年、二年とむだに過ぎてしまう、このあたりの考え方ですね。  法律が整備されておるんですから、法律は執行するためにあるので、できるだけ話し合いでというのはいいですが、何事にも我慢、限度というものはあるわけで、公共の福祉ということからすれば、やはり行政側が決意を持って事に当たらないとこの問題は解決しないのではないかという個人的な思いを持ちながら、ちょっとその辺のお考えをお聞かせいただきたい。
  38. 中山正暉

    中山国務大臣 確かに日本では、土地収用というのが実施された例は極めて少ないと言えると思います。  先ほどから申しておりますように、用地買収の迅速化のためには公共用地を計画的に取得していくことが極めて有効ということでございますので、公有地拡大推進法という法律に基づきまして土地の先買い制度とか、それから用地の国債制度、国債で払っていくとか、それからまた租税特別措置法なんかでその活用等について、これは五千万円の控除があるようでございますが、用地の先行取得を推進しているところでございまして、用地交渉が妥結しない場合には、適切に土地収用制度の活用を図ることが喫緊の問題として極めて必要なことであると思います。  建設省といたしましても、事業認定審査の簡素化等の手続の効率化、迅速化について通達するとともに、事業認定等に関する申請のルール、これは地建の通達からどのくらいでゴーサインを出すか、例えば用地を八割方取得した場合にゴーサインを出すとか、それから、くい打ちをしたらそれから三年たったらスタート、まあ三年でも長いなと思いますが、そういうものを申請のルール化をしたい。  それから、土地収用制度の積極的活用を推進して、あらゆる面で今後とも用地取得の迅速化を積極的に進めて、努めてまいりたいと思います。  先ほど再開発について田中慶秋先生から御指摘がありましたが、土地の値段が下がっているということがチャンスだというお話がありましたが、この問題も、今までとんざしているところなんというのは確かに今がチャンスだという感じがいたします。
  39. 青木宏之

    ○青木委員 では、ひとつよろしくこれからお願いしたいと思います。  次に、河川法に関する問題でございます。  年来、私、何とかならないかということで思い続け、実際に交渉してきたことなんですけれども、都市河川の上部、例えば一例を挙げますと、一番使わせてほしいな、認めてほしいなというのは、鉄道の駅とかターミナルあるいは繁華街、要するに人の集まるところ、今都市では自転車公害で大変困っておりまして、次から次へと自転車置き場を確保して必死になってやっておるのですが、それでもどんどん自転車が集まる。  これはマナーの問題もあるのでしょうけれども現実の需要からそういうことが起こるということもありますから、その辺の自転車置き場の確保という問題で、たまたまそこに都市河川が横にある、その上へ鉄板の金網でちょっと張り出させて、全部覆ってもいいですが、覆わなくても、半分だけでもあるいは三分の一でもいわゆる張り出しの形でやれば、私は、河川法上何の問題もない、河川管理上何の問題も不都合もないと思うのですけれども、今のところ認めていただけないというような状況なんです。  要するに、五項目に該当しないと認められないという課長通達ですか、ということでこれはやられているようでありまして、法律上はできないということはないわけで、法律上はできるとあるわけなんですから、ひとつぜひこの通達について御検討し、できたらというよりも、もし私が知らない不都合があるというならこれは考えなきゃなりませんが、私は不都合のないようにそれができるというふうに思っております。そのあたりの御見解をひとつお聞かせいただければと思います。
  40. 中山正暉

    中山国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  河川法で、「工作物の新築等の許可」、第二十六条で、「河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。」ということでございまして、水害に対するために緊急の河川整備を行ってきました結果、洪水の処理をまず重視した、生物のすまないコンクリートに固められた河川を都市で私どもも目にするわけでございます。  人口の集積が進んだ現代社会の都市におきまして、河川の空間は水と緑のオープンスペースとして、今度は新しい河川整備をやっていこうという考えで、コンクリートに囲まれたものよりも、できたら蛍が飛び交うような、町の中にもそんな昔の流れをよみがえらせたい、そんな気持ちでおりまして、魅力ある町づくりと一体化した河川整備をしたい。  都市河川の上空空間の活用については、先生の御指摘がありましたように、その場所場所で個別に検討していくという考え方を私どもは持っております。例えば、ここに図面があるのでございますが、下にこういう暗渠をつくって大きな水路をつくり、その上は子供たちが浅瀬で遊べるような、そんなものができればというふうに考えております。  建設省でも、その辺は昔と違ったいろいろな、日本もそういう都市空間の中で、それこそ小鮒釣りしかの川というようなふるさとイメージみたいなものを少し都市空間の中に入れることが、やはり貴重な、これからの住んで楽しい町づくりの中に入ってくる。その川の上に自転車の置き場が適切なのかどうか、その周りの雰囲気と合致する場合がありますから、個別の検討をさせていただきたいと思っております。
  41. 青木宏之

    ○青木委員 今の大臣の御答弁によりますと、ケース・バイ・ケース、こういうことで理解してよろしゅうございますね。——はい、ありがとうございました。  さっきのことでちょっと忘れておりましたが、またちょっと戻りますが、連続立体事業など公共事業道路もそうなんですが、地権者との用地買収の交渉に時間がかかるとか工事期間がいろいろな事情で結構かかるとか、それを短縮するようにというさっきの話なんです。  それともう一つは、お金の方の面なんですが、予算措置ですね。これが長い間に、用地買収がなかなか進まないとか工期の区切り方とかいろいろなことで決まってくるのでしょうが、だから、もう少し金の方でも一括投入というか、できるだけそこへ集中的に投入をしていく。こういうようにそろそろ、そろそろというか、そういうところもあるのでしょうが、早いところは案外早くぱっとできちゃったりもするので、もう少し全般的に、ここだといったら、そこへどんと集中して早くそこを完成させる、そして次へ移る。こういうような、あっちでもこっちでも満遍なくだあっと長くやるのではなくて、そんなようなことをぜひお考えいただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  42. 中山正暉

    中山国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。  可能性が大変高くなってきたと思うときには、そこへ一点集中する必要もある。特に、万博を控える名古屋なんかについては特に配慮をする必要があると思います。
  43. 青木宏之

    ○青木委員 それでは、今も河川のことで、親水性を高めるという、これは大変結構なことだと思います。と同時に、直接かかわるかどうかという点もあるのですけれども、間接的には当然かかわるのでお尋ねしたいのですが、いわゆる都市緑化ということに関してです。  どうしたって緑というのは都市以外に多くあるわけで、先ほどの交通等の環境汚染の問題とも絡みますし、今の河川の親水性、そういうこととも絡みますし、とにかく都市に緑を、自然をといいますか、そういう都市緑化を精力的に進める必要があるのではないか。これは、国ばかりではなしに、地方公共団体等々あるいは民間の御協力も得なきゃならぬことではありますけれども。  特に、これは恥ずかしい話ですが、私どもの名古屋というのは、昔から白い町などという変な名称がついておりまして、緑が少ない、こういうことで常日ごろから感ずるわけであります。  それで、先ごろ、都市緑化ということで、事業所の屋上の緑化については事業税減免措置、こういう大変結構な方向に今一歩進み出したと思います。しかし、これは基本的なインセンティブを与えるという種類のものですから、しかも、事業税だけの減免、固定資産税までいかない現状から見ますと、なかなか早急に緑化がされていくというところもまだちょっと見えない。  一方、公共施設等々、市町村、国とあるわけですけれども、では、そういったところがこれをやるのか。そうすると、事業税の減免は関係ない話ですから、ほとんどやってない。既存にやっておるところはそうなんですが、これからやろうとして取りかかったところは余り聞いたことがないのです。  まずは、隗より始めよという言葉がありますけれども、行政側、公共施設、これは一遍市町村ともよくお話し合いをいただいて、まず自分の建物、建造物から屋上緑化をしていこう、こういうことをぜひお進めいただきたいというふうに思います。  先ほど、道路の汚染の問題で環八雲というお話をされましたけれども、私どもの名古屋も、また恥ずかしい話ばかりで申しわけないのですが、昔飛行機で上から見たときと、今上から見たときと、歴然とこの差がわかるのです。名古屋に近づくと、名古屋の上は真っ黒なんですね。ほかは全部晴れて晴天なんですが、名古屋の上空へ来ると真っ黒なんです。それこそ名古屋雲なんですよ、大阪はどうか知りませんけれども。事ほどさように、相当これは環境汚染が進んでおる。  それで、また上をずっと行きますと、白い町ですから、本当に緑が少ない。地上におりますと、街路樹あるいは民家の庭木とか、結構緑が目に入るものですから、そんな少ないことはないじゃないかとは思うのですけれども、上から見ますと、もう本当に緑なんてないのですね。そうすると、建物の上ばかりが見える。この建物の上がもし緑だったら、上から見たら、地図の色は一変すると思うのです。  現在、壁面緑化とか屋上緑化とか、そういうことの研究が進んで、割と容易にできるようになってきておりますので、ぜひ、これはやろうと思えばできることですので、まずは、隗より始めよ、公共施設の上から緑化を早急にお進めいただくようにお取り組みをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  44. 中山正暉

    中山国務大臣 これはもう本当にいい御提案だと思います。  先ほど田中慶秋先生にお答えしたときの、日曜日の夜の十一時にテレビの番組を見てぞっとしましたのは、東京の壁面が、このままいってどんどん高層建築物がふえてくると、二〇三〇年ぐらいには温度が四十三度から四十五度になる、これはインド並みになってしまうわけでございます。そんなことを考えますと、いかに壁面に緑を、特に、少し壁との間隔を置いて、外側にツタをはわせるようなもの、そんなものがその番組の中で非常に強調されておりました。山形県のどこでございましたか、緑の下に家をつくるというような、町ぐるみでそういう計画も立てているところがあるということでございます。  名古屋は、戦後の市長が大変すばらしい人だったようで、広い道と、私ども大阪から行くとうらやましいような感じがいたします。大阪は物資の集積をした町でございましたから、町人が大きな庭をつくるとお取りつぶしに遭うというようなことで、蔵屋敷跡でございますので、公園面積は世界の大都市に比べて大阪が一番少ないのですが、名古屋の方にもそういう緑化政策がどんどん進むように、私どもも応援をいたしたいと思います。  御指摘の官庁施設につきましては、現在、国会図書館の関西館、いわゆる学研都市、これは緑の中にある町みたいなところでございますが、そことか、それから、女性と仕事の未来館という、東京都の港区などにおきまして、屋上の緑化等の新たな試みを、実施を計画しているところでございます。  これもそのテレビ番組の中で、いわゆる屋上に載せる土砂というのは、重量が大きくなりますと、建物の問題があります。それを、新しい研究がなされまして、土を軽量化する技術が進んでおるそうでございます。それから、それを入れる板を置いて、それが排水もできて、その番組の中で、画面の説明だけで恐縮でございますが、そういうものも研究されておるようでございますから、これからは民間にもお願いをして、都市が、先生が飛行機からごらんになったときに、黒くなっていたりビルで白かったりする、そこへ緑の色の加わることを私ども努力を重ねてまいりたいと思います。
  45. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございました。
  46. 平田米男

    平田委員長 中島武敏君。
  47. 中島武敏

    ○中島委員 政府は、今国会に第二次補正予算を提出し、再び公共事業の大幅な積み増しを行おうとしております。建設省補正予算に対する要望でも、事業費規模で六兆五千八百八十四億円、しかも、そのほかに財政投融資要望額が千二百五十三億六千万円となっております。  中身を吟味してみますと、一般公共事業費が四兆一千三百五十億円、うち道路整備費が一兆八千五百三十二億円で約半分を占めております。しかも、首都圏中央連絡自動車道、これは圏央道と略称呼ばれておりますけれども、あるいは東海環状自動車道、それから第二東名など、高速道路、高規格道路の建設が中心になっています。  これは政府景気対策として行った六十四億円に上る公共事業の積み増しにさらに上乗せするものですね。こうした公共事業の積み増しが景気対策にほとんど役立たないばかりか、それが大手ゼネコンを初め、巨大企業の大もうけや救済を目的とするものであることを私はたびたび指摘をしてまいりました。このような、ばらまきと批判されている公共事業を大胆に今見直すべきではないかと思うのですね。しかし、公共事業を見直す場合に、いわゆるゼネコン汚職以来、公共事業をめぐる政官財の癒着構造が正されたかどうか、この辺を検証しなければならないと思うのです。  そこで、私、具体的に大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども建設省が提出しました資料、これなんですけれども、この資料を見ますと、日本道路公団の過去三年間受注業者上位十社によりますと、受注業者がほぼ大手ゼネコンと電機メーカーで配分されているのではないかと思われます。  九七年、九八年度は大成建設がトップ。受注額も、九七年度が二百二十二億円、九八年度は二百三十一億円。鹿島建設も、九六年百四十億円、九七年百九十六億円、九八年二百十一億円で第二位です。住友建設も、九六年百四十三億円で一位、九七年百八十八億円で第三位、九八年百七十八億円で第四位となっています。大林組は、九六年百二十四億円で第六位、九七年は百五十三億円で第四位、九八年度も百八十六億円で第三位です。電機メーカーで見ますと、三菱重工業は、九六年百三十二億円で一位、九七年百四十一億円で第一位、九八年は百五十三億円で第一位。一位不動なんですね。特定の大手ゼネコンや電機メーカーに発注が集中しております。しかも、多少のでこぼこはありますけれども、順位も額もほぼ均等に配分されているということがこの資料からわかります。  それで、大臣、これは単なる偶然でしょうか、それとも、工事配分を何か調整しているのではないかというふうに思われますけれども大臣はどんなふうにごらんになりますか。
  48. 中山正暉

    中山国務大臣 私は、意図的なものではないと。特に、日本の高い技術を持っているそれなりの企業がそれなりの工事に着手してもらうことが、台湾あたりの地震でも、後で問題になるような建造物を建ててもらったらそれこそ困るわけでございますので、私は、やはりそれなりの立場にある企業がそれなりの活躍をしていただくことが実績としてこういう蓄積になっているというふうに思っております。これは世界からも信用を得ている企業でございます。  ですから、この問題は別に先生の御指摘のようなことではないのではないかというふうに私は解釈をいたしております。
  49. 中島武敏

    ○中島委員 私は、確かにいろいろ技術も高いとかそういうことはわかるんです。だけれども、毎年第一位をとるとか、あるいはまた第二位を堅持するとか、そういうふうに事がなるというのは、これは不思議でならないんですね。大臣のお言葉ですけれども、これは納得はちょっとできないなという気持ちを持つんですね。第一位、第二位、こうなるということは、大臣答弁からもそうなるということがなかなか出てこないわけでありまして、大臣、やはり不思議に思いませんか。私は、大臣にこれを調べてもらいたいと思うんですよ。
  50. 中山正暉

    中山国務大臣 先生指摘のような、やはりこれは長い伝統と歴史を持って、それだけの技術者を抱え、それだけの実績をこの日本経済の中で築き上げてきた建設会社でございますし、電機の方の工事業者でございます。  とにかく、先生がおっしゃる中小企業受注機会確保をいたしておりますし、それからまた、中小企業受注機会確保のために努めた結果、受注比率も二八%。発注工事は大手ゼネコン等が受注しているという御指摘でございますけれども、一般競争とか公募型指名競争とか、指名競争の入札方法についても、いわゆる自社営業努力により受注したものというふうな解釈をしておりますので、妙な例かもわかりませんが、オリンピックでも何でも、スポーツの競技でも、実力のある人はやはり実力のある結果を出すというのを、これだけ透明性のある日本国でございますし、先生の御指摘で私も自分自身としてこれは注目をしてまいりたいと思っておりますから、御心配をかけないような今後の行政に努めてまいりたいと思っております。
  51. 中島武敏

    ○中島委員 オリンピック選手の話を言われましたけれども、これとはちょっと性格が違うと思うんですね。これは入札でやるわけですからね。だから、重ねて調査していただきたいということを申し上げて、もう一つ申し上げたいと思うのです。  それは何かというと、九七年六月の末、首都高速道路公団が発注する工事をめぐって、三菱建設、それから南海辰村建設など十二社が談合を繰り返して、公正取引委員会から独禁法の不当な取引制限で排除勧告を受けたことは記憶に新しいところだと思うのです。  この事件で明らかになったのは、これら十二社が公団発注工事の大部分、新聞によりますと九割という報道をしている新聞もあるんですけれども、大部分を受注していたばかりか、十二社のうち九社が首都高速道路公団の管理職であった退職者を受け入れ、営業をやらせ、この談合にも深く関与していることが指摘をされました。しかも、これらのOBが建設会社在職の首都公団OBの組織、首建協会に属していた。公正取引委員会は、これらの事実を明らかにして、建設省に対して公団の監督指導を徹底するよう要請し、当時、十二社を公団工事の指名停止処分にするとともに、関与した職員を処分したわけです。  最近では、防衛庁でも官製談合が指摘されております。道路公団でも同様のことが起きていないか、この点についても伺います。
  52. 中山正暉

    中山国務大臣 先生の御指摘のように、過去において、首都高速道路公団発注建築工事指名業者十二社に対する勧告というのが、平成九年六月三十日、公正取引委員会から十二社に対して、独占禁止法第三条の規定に違反するものとして勧告を実施いたしました。  違反行為の対象というのは、管理所それから料金所等、道路附属施設等の建築、改築、改修等の建築工事についてそういう問題があったということでございまして、上記行為、そういういろいろな間違ったことを取りやめることを確認いたしておりますし、それから、今後、受注予定者を決定せず、各社が自主的に受注活動を行う旨を公団に通知いたしまして、自社の役員及び従業員に対する周知徹底をいたしております。  その点で、先生の御指摘のような、不正事件というのはどの組織にでもあることではございますが、こういうことがないように、今後とも、私どもは懸命に努力を重ねたい、いろいろそのための処置もとってまいりたいと思っております。
  53. 中島武敏

    ○中島委員 九六年の東京商工リサーチによりますと、第二回大手ゼネコン「天下り」役員調査、ここでも大手ゼネコンへの天下り役員は、建設省四十五人、これに次いで日本道路公団の幹部四十二人がゼネコンに天下りをしております。ほとんどのゼネコンに道路公団のOBがいるんですね。 私は、こういうようなことが癒着と不正を生むもとになっているんじゃないか、だから、この構造を変える必要があるんじゃないかというふうに思っているんです。  私、きょうここに、これですけれども日本道路公団技術者名簿というのを見まして、それで、相変わらず、ずっと天下りは続けられているなということを非常に痛感するんですけれども、やはりこういう構造を変えないと、大型公共工事を大手が独占をして、談合が行われ、価格が割高になるという公共事業の根本問題は解決されないんじゃないだろうかという気がしてならぬのですよ。そういう点では、公共事業の縮減を図る上でも、この構造を変えることはどうしても必要じゃないでしょうか。
  54. 中山正暉

    中山国務大臣 結論から申し上げますと、所管といたしましては、総理府それから総務庁の所管ということではございますけれども、十級以上の公務員の場合は二年間天下りはできないことになっております。それから、特殊法人とかそういうものに関しては原則自由ということでございます。  退職後の再就職をすることについて、職業選択の自由など基本的な人権にかかわることもありますし、それから、本人の知識、経験を生かすことは、社会的に有用な場合となることも理解をしていただきたいと思います。せっかくの能力とか知識とか経験とか、そんなものを持っている人を遊ばせるのも国家としての損失ではないかという感じもいたします。  ただし、先生のおっしゃる、そういう不正な目的を持って就職をするというようなことは全体としていけないことであるのは当然のことでございますので、その点の周知徹底、個人の倫理の問題。国家のために今まで働いていた人が、また国家の下支えをするための企業に入って、国家のために努力するということも、私どもは、これを貴重なものに考えない限りは国家の経済の根底というのは崩れると思いますので、今まで役所で、ある意味自分能力を制限されていたものが、民間に入ってまた違う意味での活躍をしてくれることは、私は、人材を活用するという、人材というのは簡単には育たないものでございますので、その意味でのいい連携というものは助長していかなければいけない、悪いきずなというのは絶たなければいけない、こう思っております。
  55. 中島武敏

    ○中島委員 大臣のお言葉ではありますが、やはり定年というのは一般職員にはあるんですね。そして、その定年まで仕事をして退職をするということになるんですけれども、しかし、建設省の場合とかあるいは道路公団の場合とかというのは、きちっとそういうことが守られているかといったら、そうじゃないんです。人材活用というお話はそれはそれとしてわかりますよ。しかし、そのことが天下りを許すものになってはいかぬのじゃないかというわけですね。そういう点では、やはりさらにこの問題についての検討を要求したいと思うんです。  やはり天下り構造を変えませんと、そうしませんと癒着はなかなかなくなりませんよ。そのことを申し上げて、次の問題に移りたいと思うんですが、私ども日本共産党は、公共事業がたび重なる景気対策の名による補正予算によって大幅に積み増しをされているという状況のもとで、去る十月二十日、建設省の京都国道事務所、それから二十一日には常陸工事事務所を視察いたしました。私は常陸工事事務所に行ったんですけれども、ここで非常に驚いたのは、いわゆる概算発注が大規模に行われているということであります。  それで、概算発注というのは、もうよく御存じだと思うんですけれども道路を例にとれば、断面掛ける延長、それによって発注金額をはじき出して契約をして発注をする、こういう簡略な発注方式なんです。本来だったら、詳細設計をして、数量計算を行って積算をして、入札をして、契約発注する、これが普通のやり方ですよね。ところが、そういうことをやっておりますと年度中には間に合わないということで、こういう発注形態をとっているわけですね。  これも建設省から出していただいた資料なんですけれども、この資料によりますと、概算発注の全工事に占める割合は、中国地方建設局の二八%を筆頭にして、東北二三%、北陸二一%、関東一六%にもなっているんですね。額で見ましても、関東は千三十億円、東北は九百二十七億円、中国が六百三十九億円、相当な額に達しているんです。  このことは異常なことだというふうに思いませんか。何でこんなような概算発注が多いのか、その理由について明らかにしていただきたいと思います。
  56. 岸田文雄

    岸田政務次官 概算数量発注につきましては、今先生の御指摘の資料等を見ましても、全国で、平成十年度実績が二千五百十八件、全体で約一三%という数字になっております。  この発注形式につきましては、先生も御案内のとおり、災害等、早期完成が必要とされる場合、あるいは景気対策等、早期発注の促進が要求される場合、こういった必要に応じてできるということになっておりまして、こうした必要性に応じてこの発注形式をとり、その結果として、今申し上げましたような数字に上っていると我々は理解しております。
  57. 中島武敏

    ○中島委員 いつでもこんなに大きな数字なんですか。これはそうじゃないんですよ。これは結局何かということは、今言われたこともそれはあるかしれない。だけれども、基本的なことを申し上げますと、予算がどんどんおりてくるんですよ。予算を消化しなきゃならない。そうすると、詳細設計までやって契約発注なんて、こんなことはできない。だから、どんどん予算消化のためにこのようなやり方がやられているんじゃありませんか。もう余りきれいごとじゃなくて、私はやはりきちっとした話をしてもらいたいんですね。  しかも、資料によりますと、概算発注の際の発注額と最終的な精算額の差である変更額、これが三〇%を超える件数が何と全工事数の一割前後になっているんです。  何でこんなことになっちゃうのかということなんですけれども、私はやはり、土地の手当てもちゃんとやっていない、それからろくな設計も、ろくな設計と言っては悪いけれども、詳細設計もやっていない。住民の意見、ジャンクションならジャンクションをつくるときに、こんなジャンクションでは困るんだ、道路をつくることは結構だけれども、こういうふうなジャンクションにしてくれ、そういう意見がいろいろありますよ、ところが、そういうことについても住民の意見も聞かない。それで、結局予算消化のために発注だけをやるというために、実際はやってみると三〇%も超える、こういう事態が生まれているんじゃないか。結局これは、工事費がやはり膨らんでいく方向だと思うんですね。それで結局、結果としてですけれども、大変むだな公共事業になるということを思いませんか。
  58. 岸田文雄

    岸田政務次官 平成十年度概算数量発注を行った工事のうち、変更金額三〇%を超えたもの二百五十六件、一〇%という数字になっております。  しかし、先生数字が膨らむのではないか、むだが生じるのではないかという御指摘でございますが、これは当初契約におきましても必要な数量は明示して契約を行っているわけでありますし、また、変更を行うにしましても、工事の進行において確定した設計数量に基づいて適切に変更しているわけですから、この形式によってむだが生じる、浪費がふえる、そういったことにはつながらないと理解しております。
  59. 中島武敏

    ○中島委員 技術論じゃないのですけれども、概算発注でどんどん発注してしまう、しかし、住民の皆さんの中にはやはりいろいろな意見があります。もう決めたんだからこれでやればよろしいというものじゃないのですね。やはり住民の中からの意見も十分吸収して、道路なら道路、この話は道路に限るわけじゃないのですけれども、ちゃんとやる、そういう意見も吸収して、それで設計もきちんとする。それから、概略設計だけじゃなくて、詳細設計まできちんとやる。土地だって、手当てだって全部できて概算発注をやっているわけじゃないでしょう。だから、どうしたってそこにはやはりむだを生じる余地を残してしまうんです。だから、私は言うのは、技術論じゃなくて、そういうやはり政治的な立場、政治的といいますか、そういう住民の目線で見たようなものは何なのかということも十分に考えてやっていく必要がやはりあるんじゃないかと思うわけです。  それでもう一つ、次を言いますけれども予算を消化し切れないから発注回数を減らす、そのために一件当たりの工事が大規模化するんじゃありませんか。これも伺います。
  60. 岸田文雄

    岸田政務次官 先生発注のロットの御指摘だと理解いたしますが、発注ロットにつきましては、工事性質等を考慮した上で適切に設定する、そうした考え方を推進するということになっておりまして、その際に考えなければいけないということの中に、中小、中堅建設業者発注機会確保、こういったことも考えなければいけない大きな要素だと考えておりまして、そういった要素のもとで発注ロットを設定しておりますので、発注ロットそのものが大型化している、そういったことにはつながっていないのではないか、実態に即した検討が行われているというように考えております。
  61. 中島武敏

    ○中島委員 どうもいただけないな、答弁は。  実は、九七年度建設省の公共工事着工統計、これをいろいろ分析してみました。その結果わかったことは何かというと、国や地方を通じた公共工事工事規模が、五億円以上が三二%、額にして十二・八兆円、一億以上五億未満が三〇%で十二兆円、五千万円以上一億未満が一五・九%で六・四兆円を占めている、そういう結果がわかりました。五千万円規模以上の工事が全体の七八%を占めているんですね。いかに公共工事が大規模化しているかということがこのことによってわかります。そのことを先ほどの答弁は否定しているわけじゃないわけなんだけれども、そういうふうになっている。五億円以上の工事は、資本金一億円以上の企業が全体の九一・九%を受注しているんです。これでは結局、大手ばかりに公共工事が回っていくことになるのではありませんか。また、工事の大規模化は雇用にもつながらないんです。そこで答えてもらいましょうか。
  62. 岸田文雄

    岸田政務次官 いずれにしましても、概算数量発注というものがそういったロットの大きさにつながっているということは当たらないと思っております。  そして、発注ロットにつきましては、先ほど申しましたような考え方で、先生の御指摘等も踏まえて、御懸念がないようにしっかりと努力をしなければいけない、そのように感じております。
  63. 中島武敏

    ○中島委員 ロットが大きければ、結局中小は受注できなくなってくるんですよ。大手が全部とるんですよ。何でそんなことになっているかといったら、どんどん予算ばかりつけるから、ちゃんと消化せねばいかぬということで起きてくるんじゃないですか。実態をよくお調べいただきたい。  それから、もう一つ言います。  今さっき言いかけたのは、同じく公共工事着工統計を使って計算したのです。雇用の問題なんですけれども、そうしますと、五億円以上の工事規模では、百万円当たりの就労者数は八・三人。ところが、一千万円未満では十八人になるんです。つまり、雇用効果という点ではどうかというと、工事規模五億円以上と一千万円未満を比較すると、半減しているわけです。私は、これは非常に大事な問題だと思うのです。  今、雇用問題というのは、これだけ社会不安を引き起こすぐらい大企業リストラ、リストラで、大変な失業者を生み出していく。この雇用失業問題というのが非常に社会問題にもなってきている、こういう時期でしょう。私は、そういうことからいえば、やはりロットを大きくするということは、結局雇用に役立たないということで、小さなロットの場合は、なぜかといったら、中小企業が働くことができるからですけれども。そういうことを十分にやはりここで考慮しなきゃいかぬのじゃないかというふうに思いますが、どうでしょう。
  64. 岸田文雄

    岸田政務次官 雇用にかかわる問題として、先生の御指摘もしっかり頭に入れて対応していかなければいけない、それは当然のことだと理解しております。  そして、ちょっと先生の御趣旨を理解してみますに、発注のロットとともに、概算数量発注によってまたロットが大きくなって、それがまた雇用云々というふうに理解したとしたならば、概算数量発注というもの、当初行い、そして後で変更を行う、二度手間になるものですから、確かに事務量ということを考えますと、逆にふえてしまうというようなことになるかと存じますが、詳細設計ということで一回で行った場合、それ自体の事務量はふえるわけでありますし、またその後、詳細設計であっても変更というものがないとも言えないということになりますので、概算数量設計と詳細設計との比較、これはなかなか難しいというふうに考えております。その辺は、概算数量設計と雇用との関係、必ずしも因果関係ははっきりはしないのではないか、そのようには感じております。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  65. 中島武敏

    ○中島委員 ちょっと時間も迫ってきておりますので、この問題についての結論的なことを二つ申し上げてお尋ねもしたいと思うのです。  ただただ予算を消化するとか、あるいはむだや浪費にもなるとか、大型工事化する、こういう点でいろいろ見解は必ずしも一致しておりませんけれども、やはり概算発注に問題がある。つまり、概算発注しなければならないほど予算をどんどんおろしてくるということに問題があると思うのですね。私は、そういう点では、大型公共工事を計画的に縮減する、減らす。それで、国民や住民が求める、そして中小企業人たちが大いに仕事をすることができる社会福祉施設とか、あるいは学校だとか、あるいは介護の基盤整備だとか、あるいは震災対策だとか、あるいは高齢者や障害者が暮らしやすいバリアフリーの住宅をつくるとか、こういうことに公共工事も転換をしていかなければいかぬのじゃないかということを申し上げたい。  それから、もう一つ言いたいのは、しかもこういうふうなことをやっておりますと、職場、現場はどうなっているかというと、残業時間ばかり大変ふえて、非常に多い。平均三十四時間とかあるいは百時間を超える人もいるとか、そういうふうに私たちは聞いています。これでは家族そろっての団らんも奪われる。労働条件、とりわけ建設省職員の長時間労働を早急に解決すべきだと思っています。予算消化のために概算発注しなければならないような膨大な大型公共事業を縮小すれば、転換をすれば、さっき私が申し上げたような、そうすれば残業もなくしていくことができるのじゃないかということを申し上げます。  時間がちょっと厳し過ぎるものですから、次のことに。  ことしの豪雨災害で、急傾斜地、これは非常にがけ崩れが多くて、多くの住民が命や家屋を奪われるという大変な犠牲を受けました。中でもひどいのは、崩壊事故の可能性がある場所に実は地下マンションを建設している。私は、先日、横浜市中区本牧荒井七十六のがけ地に民間業者が建設中の現場調査しました。ことし七月の豪雨でこの現場でがけ崩れが発生したのです。ここは、神奈川県が急傾斜地崩壊危険地域に指定しているところです。がけ崩れの発生で道路にも民家の庭にも土砂が押し寄せている。そして、マンション建設中の土地の隣接地に住む平井さんという方は、どうしてこんな危険なところにマンションを建設することを許可するのかわからない、ことしは七月、九月、十月の三回も被害に遭った、毎日不安でたまらないということを言っておりました。そのとおりだと思うのですね。以前はなかったのですかと聞いたら、以前は実はそんなこと、私はここで生まれたんだけれども一回もありませんという話なのです。それで今、ことしの災害で、そういうがけ崩れで大変な不安におびえざるを得なくなっている。  何でこんな危険なところにマンションを建設することを許可したのかということですね。私は、今の政府政策の上からいっても、これらの災害の教訓からいっても、これは違うのじゃないかということを思います。この点どうかということ。  時間がありませんので、続けていろいろ聞きます。  それから、私は率直に言いますけれども、片っ方では危険箇所に指定しているのですよ。もう一方ではマンション建設をオーケーする、許可するということをやる。こんなことは、これは矛盾でしょう。政治家ならきちっとわかると思います、だれが考えたって当たり前のことですから。  ところが、これは法律上の話をしますと、都市計画と建築規制がちぐはぐになっているのですよ。これは全くちぐはぐなんだ。それで、危険箇所にマンションを建てるときに幾らかの何か対策を講じればゴーサイン、こんなのはむちゃくちゃじゃないですか。私はどう考えてもこんなことはおかしいと思うのです。だから、これについてやはり改善措置をとらなければいかぬのじゃないかということが一つ。  それから、ここにつくられるのは、これがまた地下室マンションなんですよ。御存じだと思いますが、九四年に地下を居住用に利用できるように、建築基準法の規制緩和をやったのです。それで業者は、主にがけ地、それから傾斜地、こういうところにマンションをつくるようになったのですね。それで、業者に心配だから話をするとどう言うかというと、ここは岩盤がしっかりしているから大丈夫だ、こういうことを言ってやるわけです。神奈川県の方では、安全性を確保するために幾つかの要件を求めているということで、今言ったように建設は許可する、こういうことになっているのです。それで今度のような被害が出てきているのですよね。  僕が言いたいのは、ここに建てられるのは俗に言う地下室マンションなんです。それは、ここは一種低層住専ですよ。一種低層住居専用地域です。高さは十メートル以下でなければならない。それから、ここは環境が守られなければならない地域なんです、一種低層住専ですから。ところが、建物は何ができるかといったら、下から見れば何のことはない、地上三階、地下六階、合わせて九階の建物がどんとできるのですよ。これは矛盾でしょう。いろいろなことを言いますけれども、これは大変な矛盾じゃないでしょうか。  私は、建築基準法のさきの改正、規制緩和、これをやったときに容積率不算入の措置を悪用していると思うのです。もうちょっと時間がないから省略しますけれども、そういうことじゃないか。だから、この建築基準法の容積率不算入、これにはマンションを除いてもらいたい。マンションを除く。一般の戸建ての居住の方はもっと、何というのですか、ちゃんと豊かな生活を送りたい、地下に一階、結構、そういう気持ちなんですよ。  だから、参議院でも衆議院でも、僕なんかもそのとき言ったのですよ。これはマンションをつくるのじゃないか。察知して言ったのですけれども、いや、そんなことはありません、こういう局長の答弁ですよ。参議院だって言っているのですよ。これは地下につくるのだけれども、これは公共に負荷はかからない。なぜならば、車がふえるわけでもない、それから同時に、そのことによって景観も町並みも変わらない。そうなんですねと言ったら、そうですと言ってちゃんとはっきり答えているのですよ。  そんなおかしなことは、法の趣旨を悪用して、そういう三階建てしかできないところに三階プラス六階、九階建てをつくっているとしか言いようがないので、私はこの問題は、ぜひひとつマンション建設をこの法律から除外するというふうにはっきり、大臣、言っていただきたいのです。これは前に議論がいろいろあるのです。私はここでやったのです、やったのだけれども、この問題は建設大臣政治家としての判断、これが求められているのです。  それから、最後に言いますけれども、私は都市計画法の中にも環境という問題をやはり大きく位置づけるという必要があるのではないかということを申し上げて、まとめてひとつ答弁してください。
  66. 中山正暉

    中山国務大臣 先生指摘の場所、いわゆる本牧でございますか、この図面を見てみますと、がけ崩れしたところは、マンションを建てたちょっと横のところががけ崩れをしておりますようで、建築基準法は、今のいろいろ先生のおっしゃった矛盾がありまして、委任事務でございますから、特に、横浜のような指定都市は建築局がしっかりしているということで、建設省は信頼をして建築行政、確認申請を委任しましたが、原則は二十一日ぐらいで返してこなきゃいけないらしいんですが、その問題がございます。  確かに先般、本年六月の広島県等における激甚な土砂災害なんかがありまして、土砂災害により大きな被害をもたらすおそれのある区域については、関連する制度のより緊密な連携によって的確な住宅等の立地抑制対策がとれるように私ども検討をいたしておりまして、特に総理大臣から建設省に、これは前大臣のときのようでございますが指示がありまして、この間、これは私になってからでございます、河川審議会に総合的な土砂災害対策のための法制度のあり方というのを諮問した次第でございます。  おっしゃるように、下から見るとえらい高層になっていますが、建てる人は傾斜地から何メートルだからということで、先生のおっしゃるような結果になってしまったということを聞いておりますから、先生のいろいろお話しになりましたようなことを、雰囲気としてよく理解はできます。理解はできますので、そういう制度が法律の上でどういうふうになりますか。このごろは土砂災害で大きな被害が出なくなりましたが、この間も広島では三十人の方々の犠牲が出ましたから、特に日本は八割が山の国でございます。各所に地盤の弱いところがありますから、傾斜地ののりを、建てる人は、建物を建てるから、これで逆にここが補強されてよくなるんだなんということをおっしゃる場合もあるようでございます。  いろいろな、何とか住宅を建てて経済的な立場を堅持していきたいという私権の問題と災害の問題と個人の私有財産の利用の仕方、そんなものの一致点をどこかで法律的に見出して、後の時代に禍根を残さないようにしないといけないと私は思っております。
  67. 中島武敏

    ○中島委員 一言だけ。これは、がけ地とか危険地域、そういうところだけに限らないんですね。そのことは、やはり今度の法の中での一つの矛盾だと私は思います。ぜひひとつこの点が解決されるように大臣にもう一度申し上げまして、質問を終わります。
  68. 宮路和明

    ○宮路委員長代理 次に、中西績介君。
  69. 中西績介

    ○中西(績)委員 建設行政国土行政の基本的指針というのを先般の大臣のあいさつの中で示されております。私は、これに沿って一、二の質問を申し上げたいと思います。  まず、ごあいさつの中の建設行政国土行政の基本的指針で述べられておりますように、「その基本的使命は、総合的な国土計画に基づき、」云々からありまして、「豊かに花開く地域づくりを推進し、真に豊かな国民生活と活力ある経済社会を実現することにあります。」というように述べられています。この中で豊かにという言葉を使っておられるわけでありますけれども、豊かに花開く、あるいは真に豊かな、このような豊かさというものをどのようにイメージされておられるのか。  私、なぜこのことを御質問申し上げるかと申しますと、解釈の仕方によって基本的なものがうんと異なってくるのではないかということを感じますので、特にこの点についてお答えいただきたいと存じます。
  70. 中山正暉

    中山国務大臣 物には値段がありますが、心には値段がないといいます。本人が満足するところの豊かというのは、その人によって価値が違うと思います。  平均して日本は、衣食住という三つの豊かさの尺度というものがあるようでございますが、この間の委員会でも御答弁申し上げましたように、着るものはたんすの中に四十年、五十年分ぐらい備蓄がある、食べるものも、鼓腹撃壌と申しますか、太鼓腹をたたいて食生活に満足するということですが、今一番、人口の五六%ぐらいが二%の国土に住んでいるということで、外国から一時、バブルのときには、アラスカからチリの端まで東京の土地を売ったら買えるなんという話が出るぐらい、住環境というのは悪いと私は思います。  そこで、多様なライフスタイル、ライフステージの中で、ゆとりある住環境、住生活といいますか住まいをつくるということ、それからまた災害に対して安全で、高齢者に対して生活空間として安心、それから人、物、情報とかいうものの交流で活力といいますか、それから今申し上げましたような、先ほどから緑の少ない町の話が出ておりましたが、快適で緑に覆われた町というようなものをイメージして、豊かというイメージをどんなふうに日本で生活する人たちに与えていくか、そういうものの総合が豊かさというイメージだと私は思っております。
  71. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうであると思われるのは、その後に、安全で安心できる国民生活の実現の中に今おっしゃったようなことが述べられています。  そこで、今までは建設行政といえば箱物であったりあるいは道路であったりというように、さらにまた河川等を見てみましても、自然をむしろ逆に破壊するような形、ただ五十年に一度あるいは百年に一度の水害を防ぐためにということだけで、背後にあるいろいろな問題を全く考えずに、そうした表に出てくる点だけを考えていくというところに今お話がありましたような点が如実に出てきておるとしか考えられません。  したがって、近ごろは、そうした点もある程度加味されながら建設行政も進み始めたということを大変喜んでおるところでございますけれども、そこで、今言われました、「本格的な少子高齢社会、高度情報社会の到来や環境問題の深刻化などの変化に的確に対応していくことが重要であります。」ということがその後に述べられております。的確に対応するための、例えば少子高齢化社会に対する施策というのは、どういうものをイメージしておるのか。  あるいは、環境問題に対しましても、具体的に申し上げますと、例えば近郊であるならば、川崎における道路周辺における排気ガス問題あるいは騒音問題等を挙げていきますと、たくさんの問題があるわけですね。こうした問題等に対する、いまだに何十年という計画を立ててこれを規制するということになっていますけれども、依然としてこの分野については従前と変わりがないとしか言いようがないような状況に置かれています。  したがって、こうした問題等をどのようにこれから目指していくかということについて、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。     〔宮路委員長代理退席、原田(義)委員長代理着席〕
  72. 中山正暉

    中山国務大臣 私も中学校一年生のときに戦争が終わりましたが、何にもなかった大都市の焼け野が原からこうして世界の第二番目の経済大国という国家になる、もう一生懸命がむしゃらに社会的な蓄積を重ねてこなきゃいけないと思って、気がついてみたら大変な殺伐とした世の中を我々は築いてきたように思います。  やっと今、人間のゆとりって何だろうということを考えるときが来たときに、今子供を産むような環境にない、いわゆる少子高齢化で、いろいろな予測が立てられて、このままいくと、百五十歳ぐらいの老人が子供を見たら珍しいものを見たというのでたかってくるような世の中ができてくるなんという、ああ子供だなんていって百五十ぐらいの年齢の人が集まってくる、そんな悲劇的な予測をする方々がいらっしゃるわけでございます。  私は、やはりゆとりある住生活というのは、子育てがしやすい環境を、女性の方々が子供を産もうという気持ちになるような考え方と申しますか、文部大臣とか厚生大臣とか、それから労働大臣建設大臣でエンゼルプランというのを、今後の子育て支援のための施策の基本的方向ということでエンゼルプラン、天使に子供を例えてそういう言葉を使っておるようでございます。やはり広くてゆとりのある住宅の取得のための税制とか融資による支援とか、それから良質なファミリー向けの賃貸住宅、昔は貸し家、私らが子供のときは、はすかいに張ってある家がたくさんありました、貸し家と。簡単に賃貸住宅が手に入ったような時代。  今は、六割が持ち家の感覚になっておられますものですから、なかなかそこが難しいんでございますが、定期借家制度なんという制度ができてきましたら、どんどん過疎地に第二番目の住宅を持っていただくとか、そんな週休二日のような時代になってきました、余暇も楽しんでもらうような。  また、夫婦が仕事、そういう社会活動をしながら子育てしやすい環境整備をやるとか。  それから、できれば都会で職住近接型、私なんか、友達のサラリーマンなんかに聞きますと、遠いところから毎日旅行しているみたいなことで、勤めに出るのが大変だという話をしておられます。それからまた、大学の学生なんかに聞きましても、遠いところへ行ったので、勉強する時間が通学に大変とられて勉強ができないというようなこともありますものですから、学生さん方にも勉強してもらえるような通学、学問をする場所と、それから自分の住んでいる場所ができるだけ近くなるようなこと。  それからまた、身体障害者の方々とかそれからお年を召した方々には、バリアフリーの歩行空間のネットワークをつくるとか、安全な生活環境というのは、私はこれからの理想ではないか。  国土の形成の形、国土の特徴から、ヨーロッパへ行きますと、英国は日本よりも小さいですが山が見えません。フランスもそうでございます。平野に住んでいる国と、我々、急峻な山、国土の八割を山岳が占めている国の場合のそれなりの生かし方というのは、私はあるのではないかと思いますから。この大自然に恵まれた日本でございます。両方を、過疎過密と真っ二つに分かれるようなことを、この地域といわゆる都市部とをどうつないでいくかというのが、私はこれからの一戸一戸の家庭に思いやる政治ではないか、かように考えております。
  73. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、そうした意味で、今お答えになられたこととあわせまして、例えば同じ箱物なり人員を配置するということであるなら、少子対策で駅前保育というようなごまかし的なものでなしに、地域で子供を育てていくということを教育面では重要視しておるだけに、帰ってこられて、その地域にある、近くにある保育、このことをやはり考えるべきだと思う。  そうした建物に対する助成だとか、積極的にむしろやることによって、今のような状況でいくと、既に数字的に出ておりますように五十年もたつと大変な、労働者がいなくなるということだって起こってくるわけであります。そうしたことを考え合わせていきますと、今のような人種差別なりの概念がなくならない限り、労働力が足りない場合には今度は外国人を求めるということになります。ところがそれを差別するという、これはもう嫌というほど私経験をしています。ですから、こうしたことを考え合わせてまいりますと、それが嫌なら、そんなこと言っちゃいけませんけれども、むしろ積極的に少子対策をやってちゃんと民族の存続とあわせて考えていくというぐらいに、そこには大変な財政と力が要るということになるわけでありますから、人的なものも必要になってくるわけでありますから、そうした点を積極的にやる。  そのときに、建設との関係等からいたしますと、こうした建設のための土地の問題からあるいは箱物の問題からすべてが出てくるわけでありますから、ぜひそうした点あたりをこれからやはり、一つの住環境とあわせて付随するものがあるわけですね。そうしたもの等をぜひお考えになっていただきたいと思います。  さらにまた、環境問題等についてもディーゼル問題が依然として解決していないわけであります。これらについてはもうやはり思い切った施策をしていかないとできないわけですが、これは建設とは違いますから、やはり道路の周辺に人が住むということになりますから、そうなってくると総合的な施策というものが必要になってくると思います。  そうした点について、これから後、ただ建設行政でないということだけでなしに、総合的なものをやはりどのように志向していくかということが大変重要でしょうから、ぜひお考えになっていただければと思っています。  次に、後で、安全で安心できる国民生活の中にこういうくだりがあります。「私は、改めて国土の災害に対する脆弱性を深く認識し、」というようにありますが、この国土保全ということと災害ということをどう結びつけていくかというのがこれから大きな課題であろうと思います。  特に、近来のように地球温暖化とあわせて出てくる多くの問題は、降雨量が、従来型で五十年なかったから、あるいは百年なかったからということによって判断をしていいかどうかという問題だってこれから出てくる可能性があります。停滞して集中的な降雨があるわけでありますし、これは一つの例でありますけれども、そういうことを考えてまいりますと、自然との調和をどのようにこれから図っていくかということになると思います。  例えば、先ほどからのお話にもございましたように、住宅地の開発問題とあわせ考えてまいりますと、急傾斜地であるということと同時に、人工林そのものが既に荒廃をいたしまして、表土が出、そして、全くそこには保水力がないというような山が非常に多くなってきています。そうしますと、集中豪雨が出れば必ずそれはそのまますべてが流れていくわけでありますから、直ちに災害ということを引き起こす原因になっています。  ですから、これもやはり同じように、我が国国土の場合の脆弱性克服をどうするかということになってまいりますと、あわせ考えて、これは農林行政の中で考えなくちゃならぬということでなしに、今こうした建設問題とあわせて自然との調和というものを考えていく必要があると思いますけれども、これらについてお考えになっておられるかどうかお答えいただけますか。     〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 中山正暉

    中山国務大臣 まことに先生の適切な御指摘だと思います。  先生も水泳の達人で、学校の先生をしておられたから、子育てにどんな自然が必要かということは認識がお深いわけでございます。  私も、花の博覧会をやりましたときに調べてみましたら、今、治山治水のお話が出ましたが、昔の日本の万葉集の中に、   いにしえの人の植えけむ杉が枝にかすみたなびく春は来ぬらし という歌がありまして、千二百年も前にできた万の葉っぱの集という、その四千五百ぐらいの詩とか歌とかを入れた中の七五%は花と緑の歌でございます。それから、日本書紀の中には、スサノオノミコトが日本を平定したときに、胸毛を投げたらこれが杉の木になったとか、すね毛を投げたらカエデになったとかいって書いてあることは、日本の政治をした人がいかに治山治水、林野というものを大事にしたかということでございます。  今は山から材木がとれるのではなしに、海からとれる時代が来てしまいました。海から輸入してくるという意味でございますが、そんなときに、確かに山林原野、非常に荒れておりということを私ども思うわけでございますが、先生の御指摘のような、先ほどもちょっと申しましたが、過密と過疎という、日本は加工国家でございましたから、外国から資源を入れて、海岸に近いところで加工して早く輸出する。すると、そこへ公害が集積してしまいました。  それを今度はどこへ散らせるかという問題で長いこと悩んでまいりましたが、その問題にも大体、環境問題にも公害問題にも、私どもはめどがついてきたわけでございますので、これからは、先生おっしゃるように山林原野とか、日本の急峻な川とか、それに対する対応とか、それから水がもうあっという間に、昨晩降った雨はきょうはもう海に出てしまうというような地形を持っております日本でございますから、河川行政それから林野行政、これはもう省の境を越えて、一致結束して対応を立てていく必要がある、御指摘のとおりだと思っております。
  75. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、今ちょっとお答えの中にも出てまいりましたけれども、過疎の進行ということを考えてまいりますと、この部分は国土の保全にとって大変な影響をもたらすものだと私は思います。人が住まなくなった場合の中山地域の荒廃というものは、今目を覆うばかりであります。したがって、このことがまた、今度は水資源という、水との関係で大きな影響を与えております。  こういうことを考えてまいりますと、山林の放棄あるいは水田の放棄、こうしたことが次々と起こってくるということになりますと、今までより以上に気候の変化による自然の災害が増加すると同時に、こうした人災的なものも重なって出てくるということを考えなくてはなりません。  特に、水問題で考えますと、やはり山間部に水田があることは一つのダムとしての役割を果たしておるわけでありますし、これがまた伏流水になることによって水資源を確保できるということになるし、さらにまた今問題は、こうした点をすべて放棄をしてしまうということになってまいりますと、やはり中山地域対策というものをどうするかということになれば、必然的にやはり道路という問題がこれに付随して出てまいります。  道路整備がない中では、よく言われますように、公共工事でこういうところに道路を云々ということを言われますけれども、皆さんが今度は自然に親しむ場合にはその道路一つの役割を果たすでしょうし、それと同時に、そこに住む人たちにとっては生活の根幹をなすものになってくるわけでありますから、こうした点について、この国土計画を見直す際にも、こうした問題等を十分組み入れて道路行政というのは考えていく必要があると思いますけれども、この点についての御見解をお願いします。
  76. 中山正暉

    中山国務大臣 私は、交通でも道路でも川の水と似たところがあると思います。山の奥に降った一滴が木の葉っぱから小川に落ちて、それがだんだん海に流れ出ていく。道路もそうだと思います。都会にいかに人が移動するためにどんな便宜を図るか、都会の人がまた自然を求めて休養に行く場所にどんなふうに行けるかというので、私は、そういう支流から流れて本流に入るのと同じような、道路とか交通とかいうようなものは、この日本のような国土の場合には、国土形成の上で、その川の流れのようなものを人の流れに含めてくることが私は大事なことなのではないかな。それをいかに、大都市の場合は環状道路をつくって、その流れを、大都市の中を通過するものを早く通過させるような方法をとっていかなければならない。  東京の人口は、しばらくの間、ここ二、三年までは減っておりましたが、またことしあたり人口集中が、東京に集まってくるようなところがございますので、これは一時ふるさとUターン現象なんという言葉で言いあらわされましたが、Uターンがどうもとまったようでございますので、なお一層検討を加える必要があると思います。
  77. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、一つお願いでありますけれども、防災行政のあり方について、先ほどからずっとお話し申し上げてまいりましたように、自然の災害、台風、水害などを含めまして、災害は後を絶たなくなってきておりますけれども、国土が狭隘なために、無理な自然破壊をもたらすような開発をやはりどうしても進めるという傾向がまだ後を絶ちません。したがって、そうなれば、災害というのは多発することは当たり前になってくるわけでありますから、対策は、五十年、百年に一度の例えば水の災害を考えると、降雨量に対応できるものとして、ハードなものだけを今までは中心的にやってきたと思うのです。  したがって、こうした問題等については、先ほどからのお話にもございますように、こうした発想を改めていただいて、自然とどう共生し、そしてそのためには、別途、やはりそこを傷つけないようにして、他に金をかけてでもやるということぐらい考えないと、これからますますその傾向というのは強まるだろうと思っていますので、こうした問題等、防災行政を含めまして、これから対策とあわせ、計画も積極的に行っていただきたいと思っています。これはお答えいただくと時間がございませんので、大変恐縮ですけれども、この点ひとつ十分御検討いただきたいと思います。  そこで、道路行政について、時間がございませんけれども、一、二だけお聞きいたしたいと存じます。  道路におけるコンクリート落下、剥落が多発しておりますけれども、これは先般、六月二十七日の新幹線福岡トンネル、コールドジョイント事故のときにお聞きをしたときに、この剥落等については、国道では二件しかないということのお答えをいただいておりました。ところが、この福岡トンネルの二カ月後に、安全宣言をした途端にまた北九州トンネルでという、もう次々に、それから以降、新幹線、所々方々でそうした問題が多発しています。  ところが、道路トンネルについては二件のみということが言われておりましたけれども、先般ちょっとそうした問題も出てまいりました。ですから、やはりこの五年間で、こうしたトンネル、加えて高架での発生件数はどの程度あるのか。この点についてお答えいただけますでしょうか。
  78. 加藤卓二

    加藤政務次官 ただいま山陽新幹線のコンクリートの剥落以来、大変この問題が大きく取り上げられております。本当にトンネルは新幹線だけかということになると思うのですが、この問題に関しては、運輸省の方で、トンネル安全検討委員会というので個別に検討しておりますが、建設省でも、道路トンネル耐久検討委員会を組織して検討に入っているわけでございます。数字がまだはっきり固まらないところで申し上げるのも大変恐縮でございますが、むしろ委員の方が非常に詳しいな、こう感じて、勉強しなければいかぬなということを痛感しながら、この問題が新幹線、要するに運輸省の問題だけでなく、建設省に対しても大変大きな警鐘をたたいているんですよという御意味だと思いますので、省内を挙げて検討し、皆様に御心配のないような建設行政をやるよう努力してまいりますので、ひとつよろしくお願いします。
  79. 中西績介

    ○中西(績)委員 特に、高架での発生が相当後を絶たないような状況が出ておりますだけに、この点は、建設された時期だとか、それからその時期における建設者、担当した事業者の無責任な体制ということがいろいろあるようでございます。こうした点、もう時間がございませんのできょうはお聞きできませんけれども、建造年月日等で事故発生率が相当異なっておるということ等も出ておりますから、こういうものはやはり全部精査していただきまして、それに基づく具体的な対応調査を繰り返していただいて、ここから人命的な事故が起こらないようにぜひしていただきたいと思っています。  最後に、これだけはちょっとお聞きしたいんですが、特に地下トンネルなんかで、今まで打音検査ばかりですから、システム検査車両というのが営団地下鉄で唯一所有されているということを聞いています。原始的な、熟練労働者に頼るのではなくて、トンネルの多い我が国におきましてはこれだけでは限界ではないかと思いますので、さっき申し上げるように、建造年月日による工事のあり方、内容等、つぶさに検討すると同時に、今出ているいろいろな水漏れの問題も、出ているものをふさぐと今度はほかに出るからそこをふさぐことができないとかいうようなことをこの前の四月段階では言っておったのですね。ところが、それが今度は、具体的には水漏れから起こってきた北九州のトンネル事故です。  ですから、そういうような問題等が複雑にかかわり合っておりますから、ぜひこうした点について調査をしていただくと同時に、このシステム検査車両開発を補正予算で組むというようなことをお聞きしたのですけれども、これはどうなっておるのか、そして、もしこうした研究開発をするということになれば、年限的にはどれだけを目標にしてやろうとしておるのか、この点だけお答えください。
  80. 加藤卓二

    加藤政務次官 今、本当に、大臣の方でお答えするような問題にまで触れて発言せいという、大変責任の重大さを感じましたが、むしろ委員の方が本当によく御承知のことでございますので、その意を体して、質問の時間が短いのに御下命いただいたことで、今お答えするというよりも、むしろ、おっしゃられたことを守って頑張っていきますということでお許しをいただきたいと思います。  予算の方は、もちろん一生懸命とるということで頑張っておりますが、これも先ほど申したとおり、道路財源をぜひ獲得するということが一番大事な問題になっておりますので、その問題に触れさせていただいた、そんなふうに考えながら、他省庁ともよく話し合いながら予算の獲得に頑張っていくつもりでおりますので、よろしくお願いします。
  81. 中山正暉

    中山国務大臣 いろいろ御指摘をいただきました問題、これから補正予算をつくるところでございますので、今いろいろ検討をいたしておりますので、またそれに対して先生に御連絡を申し上げたいと思います。  私は、この間閣議でも、九州の崩落事故のあったときに、どうもバブルのときに浜砂を、海の砂をたくさん使ったのではないかという話を運輸大臣にいたしました。これはいろいろな問題があるようでございまして、塩害の問題、コンクリートの中の塩化物により鋼材が腐食してコンクリート構造物に損傷を与える現象とか、それからアルカリ骨材反応といって、セメントの中のアルカリイオンと骨材、砂利の中の鉱物との間で生じた化学反応でコンクリート内部で骨材が膨張してひび割れが起こるとか、それからコールドジョイント、先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートとの間の完全に一体化していない継ぎ目から起こるとか、いろいろな問題があります。  特に、先生指摘の福岡では、浸水の中でエレベーターで地下へおりて、あけた途端に水が入ってきて亡くなった。これは、全国に地下街が随分展開しておりますから、大河川がはんらんしましたら、例えば私の大阪の例を言いますと、地下鉄が百三十キロくらい、淀川とか大和川、天井川がはんらんした場合にはもうあっという間に地下街が水浸しになりますから、これは新しい問題として、私は、先生の御指摘のように、いろいろな問題で災害に対する安全というものに対応したいと思います。  いろいろ御指摘ありがとうございました。
  82. 中西績介

    ○中西(績)委員 ありがとうございました。
  83. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十六分散会