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1999-11-10 第146回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十一年十月二十九日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    理事 森山 眞弓君 理事 上原 康助君    理事 玄葉光一郎君 理事 赤松 正雄君       井奥 貞雄君    伊藤 公介君       飯島 忠義君    小川  元君       嘉数 知賢君    川崎 二郎君       木村  勉君    古賀  誠君       河野 太郎君    阪上 善秀君       櫻内 義雄君    下地 幹郎君       鈴木 宗男君    戸井田 徹君       山口 泰明君    伊藤 英成君       川内 博史君    藤田 幸久君       坂口  力君    山中あき子君       東  祥三君    井上 一成君       西田  猛君    古堅 実吉君       松本 善明君    伊藤  茂君     ————————————— 十月二十九日  井奥貞雄君が議院において、委員長補欠選任された。     ————————————— 平成十一年十一月十日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 井奥 貞雄君    理事 伊藤 公介君 理事 河野 太郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 森山 眞弓君    理事 上原 康助君 理事 玄葉光一郎君    理事 藤田 幸久君 理事 赤松 正雄君    理事 西田  猛君       岩下 栄一君    遠藤 利明君       小川  元君    嘉数 知賢君       木村  勉君    古賀  誠君       阪上 善秀君    下地 幹郎君       戸井田 徹君    山口 泰明君       伊藤 英成君    上田 清司君       川内 博史君    坂口  力君       山中あき子君    東  祥三君       井上 一成君    古堅 実吉君       松本 善明君    伊藤  茂君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    外務政務次官       東  祥三君    外務政務次官       山本 一太君    外務委員会専門員     黒川 祐次君     ————————————— 委員異動 十一月十日         辞任         補欠選任   飯島 忠義君     岩下 栄一君   川崎 二郎君     遠藤 利明君   川内 博史君     上田 清司君 同日         辞任         補欠選任   岩下 栄一君     飯島 忠義君   遠藤 利明君     川崎 二郎君   上田 清司君     川内 博史君 同日  理事牧野隆守君、茂木敏充君及び東祥三君十月五日委員辞任につき、その補欠として伊藤公介君、鈴木宗男君及び西田猛君が理事に当選した。 同日  理事福田康夫君十月二十八日委員辞任につき、その補欠として河野太郎君が理事に当選した。 同日  理事上原康助君同日理事辞任につき、その補欠として藤田幸久君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  国際情勢に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 井奥貞雄

    井奥委員長 これより会議を開きます。  このたび、外務委員長選任されました井奥貞雄でございます。この際、一言あいさつを申し上げます。  西暦二〇〇〇年を目前に控え、我が国国際社会における地位はますます重要になってきております。とりわけ、核軍縮地球環境保全の問題においては世界をリードしていくべきであり、そのためにも、米国もとより、G8、APEC諸国など世界各国との連携を一層深めていく必要があると存じております。  このような情勢の中で本委員会委員長選任をされましたことは、まことに光栄でありますと同時に、その職責の重大さを痛感いたしております。  甚だ微力ではございますが、委員皆様の御指導、御協力を賜りまして、公正かつ円滑な委員会運営全力で努めてまいる所存でございます。  何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  3. 井奥貞雄

    井奥委員長 理事辞任の件につきましてお諮りをいたします。  理事上原康助君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りをいたします。  ただいまの理事辞任及び委員異動に伴い、現在理事が五名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事に       伊藤 公介君    河野 太郎君       鈴木 宗男君    藤田 幸久君    及び 西田  猛君 を指名いたします。      ————◇—————
  6. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  8. 井奥貞雄

    井奥委員長 この際、河野外務大臣並びに東外務政務次官及び山本外務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣河野洋平君。
  9. 河野洋平

    河野国務大臣 このたび外務大臣就任をいたしました河野洋平でございます。井奥委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。  私は、今日までの日本外交の成果を十分踏まえながら、その使命を全うすべく全力を尽くす決意でございます。  申し上げるまでもなく、日米関係我が国外交の基軸であります。これに加え、私は特に近隣諸国、すなわちロシア、中国、韓国、ASEAN諸国等との関係に心を砕いてまいります。また、アジア太平洋をめぐる地域協力や国連を初めとする取り組みへのより積極的な参画を通じ、我が国の安全と繁栄、ひいては国際社会全体の安定と発展の確保に向けて最大限努力をしてまいりたいと存じます。  来年には、我が国議長を務めます九州・沖縄サミット開催されます。東京以外の場所で初めて開かれるサミットに当たって、沖縄県を初め各自治体と緊密な連絡をとりつつ準備を進める考えであります。二〇〇〇年という節目の年にアジア開催されるこのサミットでは、急速な高齢化高度情報化グローバル化により生じる諸問題を乗り越えて、二十一世紀が人類と地球にとってより明るいものとなるよう、明確なメッセージを沖縄から発出したいと考えております。  次に、北朝鮮情勢に関して申し上げます。  我が国は、北朝鮮の昨年のミサイル発射以来、米韓連携し、いわゆる包括的かつ統合されたアプローチを共同で練り上げてまいりましたが、先般、北朝鮮は、米国との協議が行われている間はミサイルを発射しない旨、発表をいたしました。我が国は、こうした事態を踏まえ、先般、チャーター便を再開することにいたしました。この措置により、米朝関係改善の流れが一層安定したものとなり、さらに朝鮮半島情勢全般及び日朝関係にもよい影響を及ぼすことを期待いたしております。  私としては、日米韓三国の緊密な連携もと日朝が互いに前向きの対応をとり合いつつ、日朝関係改善していくことができるよう、引き続き努力をしてまいる考えであります。  インドネシアの安定は、アジア太平洋地域の安定と繁栄のために重要であります。我が国は、ワヒド新大統領もとインドネシア改革努力を継続することを期待するとともに、引き続き支援を行っていく考えであります。  また、東ティモール問題については、情勢の安定と避難民状況改善を図り、独立と国づくりに向けたプロセスを順調に進展させるために、我が国としてでき得る限りの支援を行っていく考えであります。  近年、世界経済相互依存はますます深まっており、我が国自身繁栄のためにも、我が国は新たな国際的ルールづくりに積極的に参画し、世界経済発展に一層貢献しなければなりません。十一月末にはシアトルにてWTO閣僚会議開催されますが、貿易の一層の自由化WTOルールの強化のために、二〇〇〇年から始まる新たな包括的交渉に向けて、我が国としても全力を尽くしてまいる所存であります。  キルギス共和国で誘拐された邦人が先日無事解放されたのは、まことに喜ばしいことであります。私は、今次事件の教訓を踏まえ、海外の邦人援助関係者安全対策全力を尽くす考えであります。  今日の国際社会において我が国に期待される役割はますます大きく、その地位にふさわしい責任はますます重くなってまいります。そのような期待を我が国が果たしていくためには、国民皆様の御理解と御支援が不可欠であり、その観点からも本委員会での御議論は極めて重要と考えております。何とぞ、委員皆様の御指導と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。(拍手
  10. 井奥貞雄

  11. 東祥三

    東政務次官 このたび外務総括政務次官を拝命いたしました東祥三でございます。井奥委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつさせていただきます。  我が国の主要な外交課題につきましてはただいま河野外務大臣よりお話がありましたところ、私よりは、先般の私のパラオ共和国、スイスのローザンヌ訪問を踏まえ、一言あいさつ申し上げます。  近年、グローバリゼーションの進展によって世界は一種の運命共同体になり、世界経済相互依存も深化している中、我が国としては、新たな国際的ルールづくりへの積極的な参画を通じて、世界経済発展に向け一層貢献していく必要があります。  十一月末のシアトルでのWTO世界貿易機関閣僚会議に向け、WTOローザンヌ非公式閣僚会議開催され、私は深谷通産大臣とともに出席してまいりました。今後、シアトルに向けた準備作業が順調に進捗するかどうか予断を許さず、農業等困難な調整が予想されますが、二〇〇〇年からのWTOの新たな包括交渉立ち上げのために積極的に貢献していきたいと考えております。  二十一世紀に向け新たな秩序を模索していく時代に、アジア太平洋地域、そして世界の安定と繁栄に多くを依存している我が国が、みずからの安全と繁栄を確保し、国民の豊かで安全な生活を実現していくためには、外交を一層多角的、重層的に進めていく必要があります。このような観点から、私は、着任翌日にパラオを訪問し、南太平洋フォーラム加盟諸国との有意義な対話を行ってまいりました。  私が外務省政務次官を務めるのは二回目となりましたが、これまでのみずからの経験を踏まえて外務総括政務次官としての職務を全うし、また、河野外務大臣の御指導もと、引き続き力の限り取り組んでまいる所存でございます。本委員会皆様の御指導、御協力のほど、よろしくお願いいたします。(拍手
  12. 井奥貞雄

  13. 山本一太

    山本(一)政務次官 このたび外務政務次官就任いたしました山本でございます。衆議院外務委員会開催に当たり、一言あいさつを申し上げます。  二十一世紀目前に控え、国際社会相互依存を一層深めつつありますが、その一方で、大規模な国家間の戦争に至らない紛争、大量破壊兵器拡散の危険、環境問題など、種々の新たな脅威に直面しています。このような状況において、我が国の安全と繁栄を確保するためには、現下の諸問題に取り組むとともに、二十一世紀を見据えて、安定的な国際環境を主体的につくり上げていかなければなりません。  政務次官就任後、約一カ月が経過しましたが、この間、米国インドパキスタン及びドイツを訪問し、ただいま申し上げました核不拡散問題や環境問題などのグローバルな問題に取り組む機会を得ました。  まず、米国におきましては、米上院による包括的核実験禁止条約CTBT批准否決を受けて、河野外務大臣イニシアチブにより、米国に対して我が国懸念と憂慮を伝え、CTBT早期批准と核不拡散体制堅持を働きかけました。オルブライト国務長官を初めとする米国政府議会関係者との一連会談を通じて、私は、米政府CTBT批准への強い意欲を確認するとともに、米側に対して我が国の不拡散体制堅持に向けた強い関心を印象づけることができたと考えております。  また、昨年相次いで核実験を行ったインド及びパキスタンを訪問し、政府要人に対してCTBTへの早期参加を強く呼びかけてまいりました。さらに、パキスタンでは、今次クーデターが民主的手続によらない政権交代である点を我が国として憂慮している旨を伝えるとともに、早急に民政復帰への具体的プロセスを示すことの重要性を訴えてまいりました。  さらにまた、十一月に入ってからは、ドイツにて開催された気候変動枠組条約第五回締約国会議、COP5に出席し、京都議定書を遅くとも二〇〇二年までに発効させることを目指すべきこと、そのために国際交渉をより一層推進するよう各国に働きかけてまいりました。  私としては、今後とも引き続き河野外務大臣をお支えし、我が国に期待されている重責を全うしたいと考えていますところ、委員各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  14. 井奥貞雄

    井奥委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  15. 河野太郎

    河野(太)委員 おはようございます。先ほど、この外務委員会理事に新しく選任をされました河野太郎でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、冷戦の終結、ベルリンの壁の崩壊というのが一昔前の話になった、そんな感が最近非常にするわけでございますが、例えば、その当時、ドイツコール首相アメリカブッシュ大統領がその一連の出来事の中でどういう会話をしていたか、どういう電話会談があったか、そういう内容が早くも情報公開によってオープンにされている、そういう時期に来ているわけでございます。世界の趨勢は、既に十年前にあったことが、指導者たちがどういう情報もとにどういう決断をしたのかということが公開される中にありまして、我が国外交文書情報公開を振り返ってみると、これが極めて心もとない状況にある、この作業が極めておくれているわけでございます。  次に外務省外交文書公開をする、二千通の文書公開されるというふうに聞いておりますが、例えばその中には、かつての河野一郎農林大臣がどこぞの国を訪問したときの出張報告が含まれている。四十年前の話が、四十年前の出張記録がやっとここで情報公開をされる、これが今の日本外務省情報公開現状でございますが、欧米諸国情報公開と比べると極めておくれていると言わざるを得ない現状があると思います。  三年前に初めて外務委員会で質問をさせていただいたときからこの問題を取り上げて、外務省にもう少し何とかすべきではないかと申し上げておりますし、党内の議論でも、予算の時期あるいは折に触れ、この問題に触れておりますが、一向にスピードアップされる状況にないようでございます。これはもはや大臣イニシアチブによって、上からのトップダウンでやらざるを得ないと思いますが、外務大臣、どうお考えでございましょうか。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 情報公開は、一般的に言って、それが積極的に行われることが望ましい。それは、外交であれその他の問題であれ、情報公開というものは重要だということは何の疑問もないところだと思います。これは、何も国政にとどまらず、地方自治体でも盛んに情報公開について議論がなされ、またそれが実行されているところは多いわけでございますから、私もまた、一般論として、情報公開について積極的であるべきだ、公がその持つ情報公開するということに積極的であるべきだというふうに考えます。  しかし、そうはいっても、公開できるものとできないものとがある、これは委員も御理解いただけると思うんです。例えば、引き続き議論が行われている、つまり継続中の案件、こういったものは、それがたとえ十年たとうが二十年たとうが、さらにもっと長い年月がたとうが、国益を考えれば公開はなかなか難しいというものもあると思うんです。  委員が先ほど例に挙げられたベルリン壁崩壊前後の問題について言えば、これは恐らくそれぞれの国、それぞれの指導者の御判断もあったと思いますけれども、歴史的事実として一つ事態が終わったということもあるわけでありますから、それらについて公開がなされるということはあるだろうと私は思いますけれども、外交問題については、相手国とのやりとりもございますし、できるものとできないものとがどうしても出てくる。全面公開と言われても、それはなかなかそうはいかないということについては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  さて、そこで、外務省は御承知のとおり昭和五十一年から情報公開をやっているわけです。つまり、三十年を経たものについては公開するということで公開を行っているわけですが、その範囲が狭い、あるいは公開されるべき史料の数が少ないということに委員は御不満があるんだろうと思いますが、それは、その後さまざまな方々の御指摘あるいは外務省の中の事務的な作業も進んで、だんだんに公開の幅は広くなってきているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  私は、外務省におりまして、外交史料公開について積極的に取り組むべきだという考えを持っておりますから、役所に対しても、例えば今年度中にさらに幅を広げた情報公開を行うべきだという指示を既にしております。そしてまた、今年度中に今までよりも多い量の公開が行われるというふうに私は考えております。
  17. 河野太郎

    河野(太)委員 例えば、新しく二千通の外交文書公開をされるわけでございますが、外務省の御説明によりますと、二千通が新しく公開されますが、新しくマル秘指定がされる文書がその期間に三千通ある。要するに、幾ら公開をしていっても、お蔵に入っていく文書の方が多ければ書類はどんどんたまっていくわけでございます。  ところが、外務省に御説明に来ていただいて拝見をする史料等を見ると、何でこれが取扱注意になっていなければいかぬのか、何でこれにマル秘という判こが押してなければいかぬのか、あるいは、マル秘という判こが押してあるなら、何で私がその場でそれを見ることができるのか。そういう文書の取り扱いに関して、非常に外務省がルーズではないかという懸念を私は持っております。  例えば、この外務委員会を一度秘密会開催をしていただいて、外務省がある特定の案件について、どういう文書機密指定にしている、極秘あるいはマル秘というのがあるんだと思いますが、こういう文書はこういうことが含まれているからこういう条件でマル秘指定をしています、あるいはいつまでにマル秘指定をしているのです、そういうことを一度この外務委員会に、立法府に御説明を賜りたいと存じますが、いかがでございますか。
  18. 河野洋平

    河野国務大臣 委員外務省が御説明に伺って極秘あるいはマル秘文書について説明をしたのは、委員外務委員として委員会で御活躍をなさっているからであって、だれにでも秘密文書説明する、見せるというものではないのでございます。  情報公開が別に在庫を減らそうということでやっているのではないのであって、量がどんどんこのままでいけばふえていくではないかと言っても、日本外交の幅が広がる、日本外交がそれだけ難しい仕事に取り組んで、その難しい仕事がなかなか簡単に片がつかなくて、先方とのやりとりが重なって重なっていくということになれば、残念ながら公開をしばらく待っていただきたいという史料は多くなるということは、これはぜひ御理解をいただきたいと思うのです。  ただ、繰り返し申し上げますが、私は、一般論からいって情報公開という方向は望ましいというふうに思っておりますから、でき得る限り情報公開していくべきものだ、こう考えていることはぜひわかっていただきたいと思います。  さらに、文書の扱いについては、私もしばしば困惑することがあるのです。一体どういうふうに機密を保持すればいいかということについてはなかなか難しい。本当に機密を保持したいと思っても、それは外に出ることもありますし、それをどういうふうに機密保持をしていくかということについては、最近のように、さまざまな機材、例えばコピーでありますとか精密な写真でございますとか、いろいろなものがどんどん出てくるということになると、これはなかなか難しいところもあるわけで、文書をいかに機密を保持して保管するかということについては、なお一層考えなければならないという部分もございます。  繰り返して申し上げますが、公開すべきものは積極的に公開をする、そしてまた機密を守るべきものはきちんと守れるような手だてをつくるということ、双方を考えなければならないと思います。  もう一点つけ加えれば、外交政策にかかわっていただき、外交政策推進のためにいろいろと御示唆をいただく、御助言をいただく、あるいは御注意をいただく、あるいは御指摘をいただくべき国会の場において、でき得る限り皆様方に御説明をしていく努力をこれから先もしてまいりたい、そう思っております。
  19. 河野太郎

    河野(太)委員 先ほど委員長のごあいさつの中にもありましたように、日本にとりまして核軍縮というのは外交案件上の一つの大きなテーマでございます。しかし、残念ながら、日本核戦略、つまりアメリカの核の傘に入っていようということについては、そういうことは言われ、あるいは政府政策の中に含まれてはおりますが、本当にそれが有効なのか、あるいはそれについてどういう問題点があるのかということについての議論がなかなかされない。どうもそれについて議論をしないのがいいんだというような雰囲気があるような気がいたしますが、核の傘というものについて外務大臣はどのようにお考えなのでしょうか。  確かに、冷戦中は米ソの対立、つまり核兵器お互いを向き合っていた。向こうから飛んでくる核兵器を防ぐためにこちらも核の傘で我が国を守る、そういうことが必要だったのかもしれませんが、現時点で本当に核の傘というのが必要なのか。一体、核を保有している政府指導者は、本当に核を使う場面があるのだろうか。核というのは実際に使用される可能性がいまだにある兵器であるのかどうか。  それから、もしその核の傘、米国の核の傘が必要になった事態が仮に起きたとして、例えばロサンゼルスやサンフランシスコにその核の傘を発動したがゆえの報復が来るにもかかわらず、日本を守るために核兵器を発射するボタンを本当にアメリカ大統領が押すことができるのだろうか。  例えばコソボに介入するときに、なるべく米軍の兵士の命を守るために陸上部隊を投入せずに空爆に切りかえた。そういう米国世論等考えますと、とてもアメリカ政府指導者日本のために一つの都市を丸々犠牲にして核の傘を使ってくれるとは思いがたいというのが現状であろうと思うわけでございますが、こうした核の傘あるいは日本核戦略について、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  20. 河野洋平

    河野国務大臣 いろいろなお尋ねがあったわけですけれども、まず核の問題について、余りみんなしゃべりたがらないのではないかという御疑念をお持ちのようですが、これはこれまでも、例えば核の所在についてはお互いに言わないということがしばしばありました。  しかし、そうしたことを考えてみていただきたいと思うのですが、核抑止力というものは、これは、核がここにあるんですよということを見え見えに見せておいて抑止力だという極めてハードな抑止の方法もあれば、どこにあるかわからぬけれどもあるんだと言って、見えないで抑止力にするという方法もあると思うのですね。  いずれにせよ、日本アメリカとは信頼関係がある。これは絶対的な信頼関係があると私は確信をしています。日米間のそうした信頼関係に基づいて日米安保条約というものがあって、その日米安保条約の信頼関係に基づいて我が国の安全保障政策というものは組み立てられているのであって、委員のように、本当にアメリカはやってくれるかなという疑いを持ちながらでは安全保障政策というものは実際は成り立たないわけです。  いや、そうは言いながらも、そんなのうてんきでいいのかというふうにあるいはおっしゃるかもしれませんが、これはそんなのうてんきな話ではなくて、歴代の内閣、歴代の総理大臣日本指導者アメリカ指導者とさまざまな議論をし、さまざまなやりとりをして、日米関係というものは世界の中で最も重要な二国間関係だと日本も思いアメリカも言う、そういう状況下で日米安保条約というものがその非常に大事なかすがいになっていて、そして我々はその安保条約を大きな柱として安全保障政策をつくっているわけです。  したがって、何かあったときにアメリカは本当にやってくれるかねという疑念を持ちながらこの安全保障政策というものを進めるということは我々はとっていない。これはもう、アメリカは約束は守るということを前提にして考えているわけで、したがって、核の問題にしても、日本に核が持ち込まれているのではないかという御議論がこの議会でも随分ございましたけれども、我々はアメリカに対して、これまでのいろいろな話し合いを踏まえてアメリカを信頼してきている、こういうことなのであります。  したがって、私は、今の核の傘というものが有効かどうかという議論については、理論的にはいろいろ話はあると思いますけれども、今の世界情勢の中で、国際情勢の中で、我々はとにかく日米安保条約によって日本の国の安全保障政策をつくり上げている、そういう考え方に基づいているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  21. 河野太郎

    河野(太)委員 アメリカ日本の信頼関係に言及されましたが、アメリカ軍の基地が現実に日本にある、あるいは共同訓練をしている、あるいはその他いろいろな条約でこうしたことが担保されている、日本に何か万が一のことがあったときにアメリカ軍が自衛隊と一緒に戦ってくれるだろう、日本の国を守ってくれるであろう。これはかなりそう思っていい、そう信頼していいということはあると思いますが、それはあくまでも通常兵器の範囲内の話であるのではないでしょうか。  本当に核のレベルに万が一エスカレートした場合、そこにエスカレートしないんだ、そういう戦略で考える、そういう前提で考えるならば別ですが、もし万が一どこかの国が日本に対し、何か、こちらの言うことを聞かなければミサイルに積んだ核を日本に向けて発射するぞというおどしをして、しかもなおかつ、そのミサイルの射程距離が少なくともアメリカの西海岸あるいはハワイ、アラスカ等をカバーしている状況のときに、アメリカ大統領が、あなたが日本に向けて核を積んだミサイルを撃つならば我々が報復をするぞ、そう本当に言い切れるのか。あるいは、その相手国は、いや、そんなことはアメリカ大統領は言っているだけで、では、本当にロサンゼルスにいる何百万人の命と引きかえにアメリカ大統領がそのミサイルを発射するのかと考えた場合に、そこまでは恐らくやらないであろうというパーセプションがあると思います。  逆に言うと、そこまでアメリカ大統領日本のためにやってくれるという保証はどこにもない。通常兵器では日米関係の信頼関係はあると思いますが、残念ながら、核兵器にエスカレートしたときにはそのレベルにない。あるいは仮にあったとしても、そういうパーセプションは広がっていない、つまり、抑止力にはつながらないのではないでしょうか。
  22. 河野洋平

    河野国務大臣 我々は、これまでもそうした抑止力というものが陰に陽に働いて、日本の国の安全あるいは日本周辺あるいはアジア一帯の安定というものが維持されてきた、あるいは維持されるのに相当な役割を担ってきたというふうに考えているわけです。先ほど申し上げましたように、これまでも日米両国の首脳は繰り返し話し合い、そしてアメリカ政府も何度か日本に対して、日米安保条約に基づく日本の安全についてアメリカはその義務をきちんと果たしますというコミットメントを何度もしておられるという状況もあって、我々はそうしたことを信頼するという立場に立っています。  やらないのではないかというお考えが、本当にお持ちなのかどうかわかりませんけれども、やらないのではないかという具体的な根拠がそれではあるかというと、私は具体的な根拠はないと思いますね。もし、アメリカ日本を守らないだろうという根拠があるなら、根拠を示して質問をしていただきたい。我々は、安保条約によって相互の信頼関係というものが年一年強まりこそすれ、それが薄まっているというふうには思っていない。私は、日米関係というものを信頼してこれから先も外交政策を進めていきたい、こう考えています。
  23. 河野太郎

    河野(太)委員 質疑時間が残念ながら終了いたしましたが、もう少しこの問題については改めてどこか時間をとっていただいて議論をしていきたいと思います。  最後に、日本の国連の安保理常任理事国入りの件でございますが、議会は議会なりのやり方でこの問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。行政府の動き方と立法府としての議会の動き方は当然違うわけでございますから、議会は予算措置を含めた考え方で日本の国連の安保理常任理事国入りを目指して動いていきたい。これはある面で外務大臣政務次官を初めとする行政府の動きをサポートすることにつながると思っておりますので、ぜひこれを実現するように、大臣政務次官、力を合わせて頑張っていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  24. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、赤松正雄君。
  25. 赤松正雄

    赤松(正)委員 核の抑止力をめぐる河野親子の非常に興味深い議論の後を受けまして、私、公明党の赤松正雄が、やはり核をめぐる問題につきまして、河野太郎代議士の後を受けて少しお聞きをいたしたいと思います。  私なんかは、いわゆる米ソ冷戦、核の抑止論というものが非常に華やかな、日本において大きな物の考え方として、平和をどうやって構築していくか、維持していくかという流れの中で、抑止論というものが非常に華々しい役割というか、そういうものを持った時代に学生生活を送りましたので、核抑止論の重要性というのはよくわかるんですけれども、今、二十一世紀を前にして、先ほど大臣がおっしゃった、日米関係は非常に大事だ、日米安保条約のもと日米関係は極めて大事なんだ、よくわかります。しかし、河野太郎代議士が言われたような、アメリカが果たして約束どおり云々という、そういう期待どおりの抑止力というものを発揮できるかどうか、そういう観点ではなくて、私たち日本人が、日本政府が、また私たち政治の場にいる人間が、核兵器というものに対する態度、姿勢、こういうものについてもう少し、プラスイメージとは言いませんが、非常にマイナスのイメージである、核兵器というのは非常にやはり厳しいものだ、そういう観点議論というものもなされていかなくちゃいけない、そんなふうに思うんですが、順次具体的なことをお伺いします。  まず、河野外務大臣は、アメリカにおいて上院のCTBT批准の否決、十月十三日、これに対して素早く、十月十四日、日本時間でしょうか、抗議の談話を出されました。一方、先ほど山本次官のごあいさつにもありましたように、山本政務次官アメリカに派遣されて的確な対応をされたということを私は評価するわけでございます。二十一世紀目前にしまして、先ほど言いましたように、核兵器廃絶に向かって、今こそ日本世界唯一の被爆国としての立場から、アメリカにもロシアにも中国にも、どの国に対してもきちっと言うべきは言い、リーダーシップを発揮していかなくてはいけない、そんなふうなことを強く感じるわけです。そういった観点から、日本の核政策を改めてここで確認をしておきたい、そんなふうに思います。  まず、けさ方、報道によりますと、日本提出の核軍縮決議案でしょうか、正確な名前はあれですが、日本提出の核軍縮決議案が反対ゼロ、賛成がたしか百二十八とかと聞きました。棄権の国が幾つかあるようですけれども、採択されたとの報道に接しました。まずはおめでとうございます、こう言いたいわけですけれども、ただ、これはある意味で、反対がないというわけですから、言ってみれば核保有国もそんなに日本の提出した決議案に対して痛みを感じないというか、それはそうでしょう、当然そういうふうなことなんでしょうという精神的意味合いという部分が強いものではないのかなという感じがいたします。先般の参議院の野党の方の質問に対して総理は、日本核軍縮決議案等を出して日本独自の核廃絶に向けての努力をしていくんだということをおっしゃっておりましたけれども、私は、一応それは大事なことであろうかと思いますけれども、それだけではやはり足りない。  一方で、非常に注目をされているのが、国連の第一委員会での、いわゆる新アジェンダ連合が提出をしようとしているというのでしょうか、今私、ただいまこの時点で、果たしてその新アジェンダ連合が出した決議案がどういう取り扱いを受けているのかということをはっきり知らないんですが、現時点のその状況並びに日本の態度、去年はこの新アジェンダ連合が出した決議案に棄権をされたわけですけれども、ことしはぜひ賛成をしていただきたい、こう思っているんですが、現状について大臣からお伺いをいたしたい、そう思います。
  26. 河野洋平

    河野国務大臣 お尋ねの国連におきます決議案について御報告を申し上げたいと思います。  まず、お尋ねの中にもございましたが、我が方、日本が提案者となりましたいわゆる究極的核廃絶に対する決議案につきましては、お話のとおり、賛成百二十八、棄権十二という結果でこれは採択をされました。多少気になりますのは、棄権十二の中に、フランスでありますとか中国でありますとかロシアでありますとか、核保有国が、いわゆるP5のうち三カ国が棄権に回ったということがございますが、いずれにせよ、百二十八の賛成で採択をされたということをまず申し上げます。  二つ目の、いわゆる新アジェンダと私ども言っておりますが、この決議の採択もけさほど行われまして、これは全体で、賛成九十、反対十三、棄権三十七で採択をされております。  我が方、日本の投票態度でございますが、いろいろな角度から研究をいたしまして、国連の現場にも再三私自身電話連絡をして、本文の修正でございますとかやれる方法についていろいろ指示をいたしましたが、何といっても提案者の数が多いものですから、本文の修正についてはなかなか時間がかかってしまってできないという部分もございまして、最終的に私の判断で、本年、棄権をいたしました。  この投票態度については私自身もいろいろと思いはございますけれども、総合的な判断をいたしまして投票態度は棄権ということにした次第でございます。
  27. 赤松正雄

    赤松(正)委員 今河野大臣は、私自身もいろいろな思いがあるということ、そして提案各国が非常に多いんだ、本文修正になかなか困難を要した、そういうふうな意味合いを述べられ、総合的にことしも棄権をした、こういうことをおっしゃいましたけれども、さらに、その棄権の理由について二、三、こういう角度が修正されたならばよかったんだけれどもされがたかったというふうなその棄権の理由、それについてお述べいただきたいと思います。
  28. 河野洋平

    河野国務大臣 今私が申し上げましたのは、新アジェンダ決議案と申しますか、この決議案の提案国の主張というもの、我々いろいろと話し合いまして、その提案国の主張の中には大変共有できるものがございました。私自身、こうした考え方について随分と心を動かされたことは事実でございます。  ただ、一方で、この決議案の内容には、やはり核保有国と非常に厳しい対決姿勢を持っておるということがございまして、この核保有国との厳しい対決姿勢のその姿勢のとり方といいますか、そういうものについて私は部内でもいろいろ議論をいたしましたし、現場とのやりとりもいたしましたが、これでは、この決議が仮に採択されたとしてもその効果は、必ずしも我々が望んでいる究極的な核廃絶へのプロセスがこれによって縮まるとは思えない、早まるとは思えないということから、最終的に棄権をしたわけでございます。  しかし、こうした核軍縮への努力といいますか国際世論といいますか、そういうものは意味があるというふうに私自身考えておりまして、そうした世論の中で、核保有国との間に建設的な議論が行われて核保有国を動かしていくことができる、そういう状況をつくり上げたいと思っているわけです。  ちょっと話が長くなって恐縮でございますけれども、究極的核廃絶の決議案は、実は前回、私が外務大臣在任中に私のイニシアチブで国連に提出したものでございます。  当時、日本が国連に決議案を出したという実績もございませんし、核廃絶についての、つまり核廃絶というタイトルの決議案が国連で採択をされたということも一度もなかったわけでございますが、何としてもこれは日本イニシアチブでやりたいという強い思いから、現場を督励して、各国理解協力を取りつける、さらには核保有国の合意といいますか理解というものもできるだけ取りつけながら決議案を出させていただいたわけです。私が思っておりますよりも多くの支持者を得てこれが採択をされて、私、実は当時大変うれしかったものでございますが、正直申し上げて、これが、毎年同じものが出て同じように採択をされるということで一体意味があるかというふうに、実はそれはそれで、私自身自問自答しております。  ただ、しかし、今回の決議案、いや、これは毎年幾らかずつ決議案自体は変わっていく、少しずついろいろなものが足されて変わってきております。今回もまた、東京フォーラムで行われた議論、東京フォーラムの議論を視野に入れているよということを書き加えて出したわけですが、そのことが、東京フォーラムの議論について非常にネガティブだった国が今回我々の決議に賛成できない、しかし反対もしないということから棄権に回られたゆえんのものだと思いますが、やはり何といっても、核のない世界を目指していくというためには、核を持っている国がどれだけの理解を示すか、あるいはまた核が要らなくなる国際的な状況をどうやってつくっていくかということをよく考えながらやっていかなきゃいけない。一足飛びにこれはだめと言って留飲を下げるだけではやはり効果が薄い、効果がないというふうにも私は思ったり、この辺は、ぜひ私の心の中のいろいろな葛藤は御理解をいただきたいと思いますが、私はそう簡単にこの投票態度を決めたわけではございません。相当なことを議論し、考えた末、最終的に総合的に考えてここはという判断をしたというのが実情でございます。御理解をいただきたいと思います。
  29. 赤松正雄

    赤松(正)委員 今の河野大臣の心中を察してほしいというふうなニュアンスのお話の仕方、私はわかるような気がするんですけれども、ただ、重ねて私は主張させていただきたいんですが、先ほど、核保有国との厳しい対決姿勢のとり方というものがこの新アジェンダの決議案の中に出過ぎている、こういうことで果たして究極的な核廃絶に向けて実効性があるのだろうかということをおっしゃった。  私がこれから言おうとすることは、今大臣がおっしゃったことと通じるわけですけれども、では、日本の出したものが、みんながよくて、それでよくて、私たちが目指すべき方向に一歩でも進むのかというと、されど我らが現実でありまして、なかなか難しいものがある。  さすれば、先ほど来大臣がおっしゃっている、大臣御自身のこの日本の決議案、さらにはこの新アジェンダ連合の決議案に対する深い思いというものをぜひこれから、例えば来年に向けて、あるいは来年のことを言うとあれですけれども、これからの流れの中で、きょう一つの採決が行われたわけですけれども、日本がこの新アジェンダ連合の提案国と仮に一緒に行動を起こすということになったら非常に持つ意味が大きい。  もう十分にこんなことは私が言うまでもなく御承知のように、今中堅国家構想、NGOのグループがこの新アジェンダ連合について非常に力を入れている。つまり、政府間同士のこういった議論から、民間の代表、そうしたNGOの代表がそういった核廃絶に向けての発言を強めている。さっき大臣がおっしゃったように、国際世論の中に大きな影響をもたらす、そういう意味があるとおっしゃっておりました。  私は、この決議案を見ても、確かにそういう対決の部分はあるにせよ、それなりに段階を追って核廃絶に向けての努力をしていこうという部分があるわけでありますし、先ほど東京フォーラムの話を大臣おっしゃいましたけれども、東京フォーラムでは、こういった新アジェンダ連合による最近の努力というのが、核抑止論と何とかそれを廃絶していこうという二つの硬直した関係というものを突破する、そういう刺激を与える、そういう役割を果たしているんだということを報告しているわけですけれども、そういったことについて、日本政府は東京フォーラムのそういうありようについて支持をされているという立場だと私は理解しているわけです。それならば、ここから先、両方の共通点を見出す、そういう観点から日本政府努力が必要だ、そんなふうに思いますが、重ねて大臣の御見解と、それから東次官の御意見もあわせてお聞きしたいと思います。
  30. 河野洋平

    河野国務大臣 委員のお考えも非常によく私は理解することができるのであります。  東京フォーラムの中には、核の不拡散とか核軍縮における市民社会の役割が非常に大きいという指摘がございます。私も全くその点は同感でございまして、そういう市民社会の役割というものが大きな国際世論というものをつくり出していく、それは大変大きな力になるだろう。しかし、それはそう簡単なことではないけれども、その役割というものに注目をしなければいけないというふうに私は思っております。  これもちょっと余計なことでございますけれども、アメリカに対して、アメリカが実はCTBTの批准を否決したわけです。私は、これは極めて残念なことでして、私の前任大臣がウィーンに出かけて議長を務めて、CTBTをもっと広い国際的な合意を取りつけて発効していこうという大変御苦労をなさったということがございますから、私はもっと積極的に、CTBTを批准して、包括的な核実験の禁止についてアメリカが大きな役割を果たしてほしいと思ったものですから、その批准が否決されたということを聞いてちょっとがっかりいたしました。  山本政務次官に直ちにアメリカへ行っていただいて、アメリカ政府あるいは議会筋と話をしてもらいました。政府には、引き続きCTBTの批准に努力をしてもらいたいと。国務省当局は、それはやります、引き続き努力します、大統領もそのおつもりでございますということを言われたようですが、そこで我々がどういう動きをすることがアメリカ議会をして態度を変えさせることができるかというと、国務省はこれまた国務省なりにアメリカ議会に対応する取り組み方があるようでございまして、そうしたことも山本政務次官がよく聞いて帰ってきてくれました。そんなことも我々頭に入れながらやっていかなきゃいかぬと思っているわけでございます。  これから先もこうした国連の場における核軍縮への動きというものについて真剣に考え、かつ、効果的なものは何かということを日本として真剣に考えていきたいということだけ申し上げておきます。
  31. 赤松正雄

    赤松(正)委員 時間が参りましたので、最後に、先般、参議院本会議で野党委員の質問に対して小渕総理大臣が最後にこうおっしゃったのですね。既存の核兵器の安全性、信頼性を確保するためのものと承知しております。これは未臨界実験の話なんですけれども。  この既存の核兵器の安全性、信頼性、これは言ってみれば、国際政治の世界の中でこういう言い方をするということは私も理解しているのですが、核兵器の安全性という言い回しはやめた方がいい、私はそう思うのですけれども、大臣にその辺の、つまり、先ほど冒頭に申し上げました核兵器のいわゆる超マイナスイメージというものをもっと強調した方がいいという部分、そのことをお聞きして、私の質問を終わります。
  32. 河野洋平

    河野国務大臣 核にまつわるテクニカルタームがいろいろございまして、それの日本語訳もございます。そうしたことから総理お使いになられたと思いますが、もしそうしたことが委員おっしゃるような核のマイナスイメージということに非常に大きな影響があるとすれば、考えなければならぬというふうに思います。研究をさせていただきたいと思います。
  33. 赤松正雄

    赤松(正)委員 終わります。
  34. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、西田猛君。
  35. 西田猛

    西田(猛)委員 西田猛でございます。  私は、自由党から外務理事を務めておられました東祥三代議士の外務政務次官就任に伴いまして、このたび新たに外務委員会理事選任されましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  ただいま申し上げましたように、このたびの法改正によりまして、これは長たらしい名前でございますけれども、国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律というものができました。それによりまして、国会法でございますとかそれから国家行政組織法などなどが改正をされまして、国会法の第六十九条などに定められておりました政府委員制度という条項が削られております。それに伴いまして国家行政組織法が改正されて政務次官の数が増員され、かつ、東政務次官のように、今一般的に総括政務次官というふうに呼ばれておりますけれども、その政務次官というものは、その機関の長たる大臣の命を受けて政策及び企画をつかさどり、政務を処理しということで、完全に、今までの政務次官の位置づけから、大臣の命を受けて政策及び企画をつかさどる、ラインのナンバーツーとして位置づけられたわけでございます。  したがいまして、新しい東外務政務次官、それから山本外務政務次官の今後ともの御健勝と、それからますますの御活躍を切に御期待申し上げる次第でございます。  それで、ちょっと最初に前置きが長くなってしまいますけれども、この国会活性法の成立によりまして委員会の様相もさま変わりしてまいっていると思います。  ただし、そのことは必ずしも、国会の中から政府職員、お役所の皆様方の活躍の場がなくなるということでは決してございませんで、むしろ政府職員の皆様方におかれては、大臣や副大臣である総括政務次官及び政務次官を助けて、これまで以上にその仕事と能力の発揮がさらに期待されているところでございます。今までのように、国会対応で深夜まで質問が出てくるのを待って、いろいろなことを書いて、各省合い議で神経をすり減らすというふうな、非常に意味のないと申し上げると若干語弊があるかもしれませんが、非常にそういう生産性のないことに時間と労力を費やすのではなく、これは、私自身も十三年間ほど役所に勤めておりまして、本当に一体自分は何をやっているんだろうというふうに思ったことがございましたが、しかし、そういう生産性のないことではなく、これからは国家の官僚として、国の危機管理、それから国のあるべき方向のグランドデザインを腰を据えて、選挙を持っておる政治家としてなかなかでき得ないような、腰を据えた議論と能力の発揮を国のお役所の方にはしていただきたいという思いも込められているのでございます。  それからまた、やはり主権者である国民の皆さんから直接選挙で選ばれ、あるいは落とされる立場にある国会議員が、憲法に定める主権の行使者として国会の場で立法をし、そして行政をリードしていく、これはもう民主主義国家として当然のあり方でございますから、そのことがこの国会以降具現化されることを私たちは強く望んでおりますし、一人一人の国会議員がその方向に向かっての行動をしていかなければならないということが強く望まれているのだと思います。  加えまして、河野大臣におかれては、もう外交経験非常に豊かであられ、我々としても強く信頼をいたしておりますので、今後とも我が国外交に誤りなきを期していただきたいというふうに思っております。  そのような中で、外交というのは歴史そのものでございます。したがいまして、いろいろな国の行政作用はございますけれども、ほかの行政作用と異なっている分野が多々ございます。どのような地方分権が進みましょうとも、私自身も徹底した地方分権論者でございますけれども、外交、司法、裁判ですね、そして国防、この三つだけは、これはどうしてもやはり最終的に国という枠組みが行わなければならないものだろうというふうに考えております。  私自身は、行く行くの地球あるいは世界社会というものは、例えて申しますれば今の小選挙区制度ぐらいの人口四十万から五十万程度の行政単位。これは、なぜ四十万から五十万がいいといえば、一人一人のそこで住んでいる住民が、ある意味で直接、行政の長に、地域のことについては自分の意思を表明するあるいは希望を述べることができる単位ではないかなというふうに考えているのです。  そういう四十万なり五十万なりの行政単位が世界じゅうに何万、何十万とあって、そして世界的なことについては世界連邦政府のようなものがあって、今の国連が発展されればいいと思うんですけれども、地域地域はその四十万、五十万の行政主体が地域の住民の皆さんの意見を聞いて幸せに暮らしていく、そして地球経済あるいは世界外交はその世界連邦政府なるものが調整を図っていくということが今後の地球における平和と経済的発展にはよいのではないかなという個人的な考え方を持っているのですけれども、しかしまた、現実の世界に目を転じてみれば、これは国という存在が現実にあって、その中で国際社会が日々行われているわけでございます。  したがって、国の安全保障というものが、今の現実の国の安全保障というものがここにおいて非常に重要になってまいります。我が国は、今有しております憲法との関係で、我が国の安全保障については非常に長く、そしてつらい経緯を積み重ねてきたところでございますが、しかしながら、国の安全保障なくして個人の尊厳も幸せもなければ、家族や家庭の平和と幸せもないわけでございます。  そこで、まず大臣にお聞きしたいのでございますけれども、我が国は、これからも国の安全保障を万全に守っていかなければなりません。そのためには近隣の諸国と友好な関係を結ばなければなりませんし、国際社会の中においても世界の平和と安定のために寄与していかなければならないと考えますが、そういうふうに意識を持っている我が国でありながら、どうもほかの諸外国から日本についてどのように思われているのだろうかということが私ども心配になっているのでございます。  聞くところによれば、第二次世界大戦というものに対して、例えばヨーロッパなどでは、かつての旧枢軸国でありますし、今の国連憲章では旧敵国というふうに規定されているドイツですとかイタリアですとかという国は、第二次世界大戦においてのドイツやイタリアの行為がどういうものであったかということの歴史的な経緯の説明が、ある程度けじめを持ってきっちりなされている。したがって、欧州においては、ドイツやイタリアの第二次世界大戦のある意味での処理は一応の終結を見ているのだということの認識に立って、ドイツやイタリアなどと欧州の国とのおつき合いができているというふうに聞いているのであります。  他方、そうしますと、我が国のそういう第二次世界大戦における歴史的な経緯などについての説明、それからこういうものであったんだという発信が、特に近隣のアジア諸国の皆様方に対してどのようになされているのかということがやはり問題になります。そこを大臣はまずどのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただきたいと存じます。
  36. 河野洋平

    河野国務大臣 御経験に基づいていろいろお話をいただきました。まことにありがとうございます。  答弁を申し上げる前に、前段、議員が話しになったことについて、ちょっとだけ私の感想を申し上げたいと思うんです。  例えば、日本の国内で自治体の単位がどのくらいであることがマネジメントとしていいか、そういう御発想もあったんだと思いますが、世界的に見てどういう単位のものがこういうふうにあるといいなという、よくそういう話もあって、世界連邦制なんということを言われる方もあるわけでございます。  その場合に一番問題になりますのは、それぞれの国あるいはそれぞれの地域が持つ例えば文化とか歴史とか伝統とかというものが、そういう、つまりマネジメントの側面からいえば非常にしやすい単位があったとしても、それは文化的な側面とかそういう別の側面から見るとなかなかそう簡単でないなということをよく言ったりすることがあるのでございまして、私も、そうしたそれぞれの国あるいはそれぞれの地域が持つ歴史とかあるいは文化的な側面とかということをやはりかなり大事にしていかなければいけないということがあって、なかなか、マネージしやすいかしやすくないかということだけではそういかないでこうなっているんだろうなというふうに、私も議員と同じような見方をしているということをまず最初に申し上げます。  その上で、ヨーロッパにおきます戦後処理といいますか、それと、我が国を中心にアジアにおきます戦後処理とのことは一体どういうふうに思うか、こういうお尋ねだと思いますが、今申し上げたように、それぞれの国にはそれぞれの歴史があったりいきさつがあったりして、そう一概に向こうがこうだったからこっちもこうというわけにはいかないというのは、議員もよく御理解いただけると思います。  そこで、私実は外務大臣に今回就任をいたしました翌日に国連大学におきましてシンポジウムがございまして、私はそのシンポジウムにとうとう参加できなかったのでございますけれども、シンポジウムが終わった後、そのシンポジウムに参加をされた方々とお目にかかってお話をする機会がございました。  あるいは議員お気づきであったかもしれませんが、そのシンポジウムというのは、「ヨーロッパの戦後和解」というテーマで行われました。この「ヨーロッパの戦後和解」というテーマで行われたシンポジウムは、例えばポーランドの元外務大臣、あるいはフランスの元外務大臣、結局お見えにならなかったのですが、ドイツの元外務大臣、こういった方々をお呼びして、こう申し上げればもうおわかりのとおり、ドイツとポーランドあるいはフランス、こうした国々が一体戦後和解についてどういうことを考えていたか、どういうことをやってきたかということについて話を聞くというシンポジウムであったわけでございます。  一日かけたシンポジウムでございますけれども、その中で幾つか私も気になっておりました言葉に、例えばポーランドの元外務大臣であったバルトシェフスキという方がおられるのですが、この方に私お目にかかりましたけれども、この方は、戦争による傷は傷としてずっと残るんだ、しかしながら、その上で、つまり加害者と被害者がその上で一緒に生活していくということはできますよということを言っておられます。そして、一番問題は、政治家も含めてみんながそのことに無関心になってしまうときこそ問題が生じるということを忘れてはいけないということをおっしゃった。  そのほかいろいろなことをおっしゃっているのですが、例えば、政治家の持つべき姿勢と勇気が一番大切だと。このポーランドの元外務大臣は、ドイツについて言うならば、アデナウアー以来の歴代首相が周辺諸国に対して許しを請うといった姿勢をとる勇気を持ってきたことが重要だった、また、こういう姿勢を支えるシビルコラージュと言うのでしょうか、市民の側の勇気という意味だそうですけれども、そういうことも必要なんだということを、元外相でございますが、こういうことを指摘されました。  それから、その他、フランスからは、非常に有名な元外務大臣でございますが、デュマという方もおられました。デュマさんは、最も重要なのは、自分たちの時代に自分たちが起こした問題についてみずからの手で解決すべきだという政治感覚を自分は持っているということをおっしゃられました。ドイツからはゲンシャーさんが招かれていたのですけれども、ゲンシャーさんはちょっと体調を崩されて来られなくて、代理の方がお話しになったというようなことがございました。  ヨーロッパにおきますこれまた大変厳しい戦中から戦後にかけての状況をヨーロッパは乗り越えた、あるいは部分的には乗り越えつつあると言っていいのかもしれませんが、正直言って、そういう状況を我々もこうしたシンポジウムで非常に感ずるところも多うございました。  しかし、それはそれとして、アジアにはアジアのまた違った歴史、違った状況もあるわけでございまして、アジアの持つ歴史とかこれまでのいきさつとかというものを考えると、一概に言えない部分もあるなというのが正直な私の感想でございます。
  37. 西田猛

    西田(猛)委員 大臣とこういうふうなお話をしておりますと非常に楽しいものですから、時間のたつのが早うございまして、私の持ち時間がもうなくなってしまいました。  冒頭言われた世界連邦政府ができた後の自治体なり生活コミュニティーと申しますか、その単位、大臣が言われたように文化的な側面あるいは歴史的な側面がございますから、マネジャブルな範囲とそれからそういうものの整合性をとる、非常に賛成でございます。それらを踏まえられての御意見でございました。  つまるところ、私がお聞きしたかったのは、我が国は、憲法で書いてありますとおり、世界社会の中で名誉ある地位を占めたいという、しかも独立国家でございますから、しかも大きな経済的な力を持った国でございます。これからの安全保障、外交をどのように考えていくのかということを究極お聞きしたいわけでございます。いろいろ機微に触れる言葉もございますので、選び選びながら話をしなければなりません。  しかし、一例を申し上げたいと存じます。例えば、外務省の資料によりますと、条約の国際的な解釈と我が国のその条約に対する解釈とが異なっている場合があるわけでございます。  一例を申し上げますと、六七年の宇宙条約では、宇宙は平和的に利用しなければならないとされている。そこで、国際的な解釈によれば、その平和利用というのは、核兵器大量破壊兵器の配備といった侵略的な活動禁止ということだという解釈だそうでございます。ところが、我が国においては、この六七年宇宙条約の平和利用というものは非軍事的な利用なのだと。したがって、完全に平和的な利用に限定したものと解釈されているというふうなことがございます。  国際的に確立している条約の解釈と我が国の国内的なそういうものの解釈がこれだけそごしているというのは、どういう我が国外交的な特質をあらわしているものであると大臣はお考えになられますか。
  38. 河野洋平

    河野国務大臣 西田議員御指摘のとおり、条約の解釈というものは、すべてが同一の解釈を持たなければ本当の意味といいますか、ものがなかなか発揮できないということはあると思いますね。  ただ、これはちょっと私今お話を伺っていて、宇宙条約という条約もありますし、宇宙の平和利用という国会決議も日本にはございます。その宇宙の平和利用という国会決議も、解釈はいろいろな解釈を言う人がおります。ただ、はっきりしていることは、国会決議を有権的に解釈できるのは国会だけだ、国会決議を国会以外のものが有権的に解釈することはできないと私は思っておりますから、そこははっきりしているのでございますけれども、今の宇宙条約についての解釈については、私は、ちょっと今のお話、少し前に戻りますけれども、日本の国が国際社会にいかなる貢献をするかというときに、経済的な貢献もあるだろうし、政治的な貢献もあるだろうと思うのですが、戦後五十年、半世紀という歳月がたちましたけれども、日本がこれだけ豊かになったのは、何も五十年前から豊かだったわけではないのであって、その前半といいますかその前段は、もう焼け野が原の日本の国をみんなで経済的に立て直す努力をしていた時期もあるわけです。  それからまた、政治的に見れば、我々はゼロから出発したというよりは、むしろマイナスから出発したとお考えの方だっておられるわけで、そうしたマイナスの部分というもの、あるいはまだ焼け野原であったころのことを忘れるわけにはいかないのであって、そうしたことが頭の中にある以上、例えば、条約の中であっても軍事にかかわるものその他についてはどうしても少し日本的な解釈というものがそこにある、出てしまうということは、それはおかしいぞ、それは違うぞと言われても、やはりそういうことにならざるを得なかったのだろうと私は思っているわけです。  条約の解釈をどういうふうにするかということについては、冒頭申し上げましたように、それはその条約に参加したすべての国が同じ解釈をするというのは一番大事なことだと思いますけれども、我が国においては、我が国としての立場、我が国の置かれている立場から考えて、これはこういうふうに非常にストイックに考えるべきだ、そういう部分もきっと我々の先輩の判断の中にあったのだろうというふうに私の立場からいえば申し上げるべきだろうと思っているわけです。  ただ、委員の御指摘は、私、確かにそういう部分があるなというふうには感じました。
  39. 西田猛

    西田(猛)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今大臣は、先人の積み重ねてこられた日本外交に対する配慮のお言葉を述べられました。しかし、私たちは、これからの日本の安全保障と外交考えていかなければならないこともございますので、私のモットーでございます世界の平和と地域の繁栄のために、これからも外務委員会、頑張ってまいりたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  40. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤英成君。
  41. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。  実は、民主党は、今回の国会改革に伴いまして、イギリスの影の内閣、シャドーキャビネットならぬ次の内閣ということでネクストキャビネット、こういうものを設置いたしました。そして、私は外交・安全保障担当のネクスト大臣、こういうことになりました。そういう立場で、ぜひよろしくお願いをいたします。  実は、私がその外交・安全保障担当大臣ということになりまして、記者会見の場で就任あいさつをいたしました。そのときに、私はこういうふうに申し上げました。  かつて私がイスラエルに行ったときに、そのときの外務大臣がシモン・ペレスさんでありました。御承知のとおりに、彼は、首相をやられて、その後外務大臣をやられたわけですね。それで、私が彼の部屋で、首相を終えて外務大臣をやられるという例は余り多くないと思うんだけれども、どうでしょうか、こういう質問をいたしました。そのときに、彼は私にこういうふうに言われました。イスラエルにとって外交はまさに国の存亡を決定する、そういうふうに認識をしてやっておりますということを言われました。いかに外交が重要であるかということ、これは日本も全く同じなんだ、こういうふうに私は思います。  河野外務大臣、ペレスさんの言葉をどう受けとめますか。
  42. 河野洋平

    河野国務大臣 私も、ペレスさんとは何度かお目にかかっていろいろお話をさせていただきました。大変難しいパレスチナとの間の交渉に当たっても、ラビン首相とまことに絶妙のコンビでその交渉に当たっておられたのを横で拝見して、非常に感銘を受けたことがございます。  そのペレスさんがお話しになったと言われる今の言葉というものは、ただ単にイスラエルだけの問題ではなくて、これから世界各国、国際的に相互依存というものがますます深まっていく中で、どの国もひとりで生きていくことはできない、そういう国際情勢の中で外交というものが非常に重要になるという意味であれば、全くそのとおりだというふうに私は思います。
  43. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 河野外務大臣は、外務大臣を二度目をお務めになられているわけですね。私は非常におめでとうと申し上げたい、こう思います。  河野外務大臣が今回もまた外務大臣として任命されましたのは、外務大臣がどんなにか国の内外から信頼をされているというふうに思われているからではないのだろうか、こう思うんですね。  先ほど、ヨーロッパの歴史の話がありました。ベルリンの壁が崩壊してちょうど十周年という今この時期、ちょうどきのうもテレビでやっておりまして、南ドイツ新聞のヒールシャーさんだったかな、彼が、なぜベルリンの壁が崩壊したのか、あるいはその経緯のことについて若干触れておられました。そのときに、アデナウアーが西側との信頼関係をどんなに築いたか、そしてブラントが東側との信頼関係をどんなに築いたかということで、信頼という言葉を何度も言っておられました。私は、外交の最も重要な部分だろう、こういうふうに思うんですね。  そういう意味で、河野外務大臣は、御自分でも、自分は内外から非常に信頼されている、そして、それはまさに率直に、信念を持って言動を吐かれているといいましょうか、行動されているといいましょうか、ということなのだろうと思いますが、御自分ではどう思われますか。
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 まことにふつつかな人間でございまして、私自身、自分の信念に基づいて一生懸命努力をするという以外に私には道がないというふうに思っております。  ただ、前回もそうでございましたが、どの仕事でも、すべての人によく思われようと思っても、それはなかなかそうはいかない。特に外交問題は、外国との信頼関係を大事にすれば、時に国内からいろいろとそしりを受けることもある。これを避けるわけにはいかない。しかし、国内の支持、理解なくしては外交はできないということも、またあると思います。そして、外交というものは、一年ぽっきりで結論が出るとか終わるとかいうものでないだけに、相当長期にわたって理解を求める努力を続けていかなきゃいけない。どの仕事でも一緒だと思いますけれども、大変厳しいものだというふうに私は思っているところでございます。
  45. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 河野外務大臣が発言されたことについて幾つかお伺いしたいのです。  ちょっと古い話になりますが、ざっと二年ほど前ですが、週刊誌に、外務大臣がインタビューで、いわば自自連立政権等々について発言をされていらっしゃいます。その中で、いわゆる自自連立政権を批判する立場で、具体的にこういうふうに言われておりました。保保連立あるいは自自連立に関して、最近の小沢さんらの言動は与党になりたがっているふうにしか見えない、これは明らかに国民をだましている、反省を促したいというようなことやら、それからいろいろと書いてありまして、例えば、野中さんは、決してやるべきではない、これは保保連立等の話について、決してやるべきではないと明確に言っておられる、同じく、旧経世会の竹下さんや小渕さんだって保保がいいとおっしゃったという話を私は全く聞いていないということ等を述べていらっしゃいます。  そこで、河野外務大臣は、野中前官房長官と同様に、自自連立政権を擁立する立場に変わったのでしょうか。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 政局の変化というものは大変激しいものだとつくづく思います。  私は、小渕総理が、昨年の今ごろでございましょうか、国会において、いわゆる金融国会と言われるあの当時に、大変な困難な国会運営を懸命に努力をしておられたという状況を拝見しておりまして、こういうことではこれから迅速に政策を実行することは難しいというふうにお考えになって連立政権に踏み切られたのだろうと思うんです。  私は、連立政権をつくるということは、それなりに自分自身の主張を部分的に制限をするといいますか、妥協をするといいますか、そうせざるを得ない。本来からいえば、単独政権でいけば御自身のといいますか、一党の政策を遂行する努力ができるわけですけれども、連立政権を組むということになれば、それはお互いに譲り合う、妥協をし合うということが必要になってくるわけで、私は、さまざまな思いを小渕さんは持たれたと思うんですね。自分たちだけでいこうか、しかし、そうではなくて、もっと多くの、合意できる部分を持つ多くの仲間と一緒に組んで政権運営をしていこうかと。それはそれなりにリーダーとしての悩みがあったんだろうと思うんです。そして、最終的に自自連立を組む、さらには自自公連立を組むという判断をリーダーがされる。されるにはそれだけの段取りといいますか手順というものを踏んでなさるということであれば、これは自民党だけが譲歩するのではなくて、参加する方々もそれなりの譲歩をなさって参加をされるわけですから、その結果三つがまとまるということであれば、それはそれで政局運営、政権運営というものはそういうものなんだというふうに私は理解できます。
  47. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 その件については、また後ほど触れたいと思います。  先般、衆議院の本会議で、代表質問のときに私どもの党の鳩山代表が尋ねた問題であるわけですが、河野外務大臣が、ある宗教団体などが集まる会合でこういうふうに言われております。宗教団体と極めて密接な関係を持つ政党が政権の中枢に座り、政治上の権力の行使とかと言われかねないような状況、あるいは国から特権を受けているのではないかと言われかねないような状況が我々の目の前にある、このように危惧の念を表明されたわけですね。  それで、今の自自公連立政権というのは、まさにそれが現実になっているということだと思うんですが、その外務大臣が、今日の状況で、私が持っておりました危惧の念はほとんどなくなっておりますし云々というふうに言われて、さらに、憲法二十条との関係についても、国会において累次内閣として答弁があったということをもちまして、私は、今後は国務大臣として小渕内閣のもと仕事をしてまいりたい、こういうふうに先般言われておりますね。累次内閣のもとで憲法二十条のかかわりの答弁というのは、もちろん外務大臣は、これはもう何度もこういう話が行われているわけですから、承知の上でこういう話をされていると思うんですね。  そこで伺うんですが、外務大臣、先ほど私が申し上げたように、今日の状況で、私が持っておりました危惧の念はほとんどなくなっておりますしというふうに言われたんですが、それは何となく私はよくわからないんですね。私は、公明党の皆さん方とはずっと前からかなり親しくしていると思っているんですが、そうどこも変わっていないんじゃないかな、こう思っているんですよ。外務大臣が、いわばついこの間は非常に危惧の念を持っていた、それが最近は、今の状態では危惧の念は持たないようになったというのはなぜなんだろうか、具体的にどういう事例があったからそう思うのか、それを説明していただけますか。
  48. 河野洋平

    河野国務大臣 私はどういうことから申し上げればいいか、まず最初に憲法二十条の問題から申し上げれば、私自身が予算委員会等を傍聴したり出席したりしておりますときに、法制局長官からの答弁がございました。かなり突っ込んだやりとりの中で、最終的に法制局長官は憲法二十条の問題はないという御答弁をされたことを、自分でその場にいて確認をしておるのでございます。そうしたことが、私はそのとき一回だけ現場におりましたけれども、それ以外にも累次にわたってそういう議論があったということがまず一つございます。  それから、懸念はなくなったと私が申し上げましたのは、一つは、こういうことを具体的に申し上げていいかどうかわかりませんが、公明党の方々の政権参加というものを仮に非常に問題視をするという場合でも、自自連立というものができて、そしてさらにそれに公明党が加わるという状況になりました。もともと自由民主党一党でも十分に、それは非常に国会運営は厳しい、険しい道のりではあるけれども、やれるだけの力を持っている政党が連立政権を組むわけですから、それなりに、参加をしてこられる方と、先ほど申し上げましたように譲歩もあり、妥協もしながら政権運営をやっていくわけで、つまり、過半数に全く足らない状況で——いや、参議院はそうではないかとおっしゃれば、それは私は参議院についてはまた別の意見を持っておりますけれども、公明党の方々が参加をされても、公明党が政権の中で絶対的な権限を握る、権力を握るということにはならないというのは現実の問題としてあるではないか。もちろん、参加をされるわけですから、政策については大いに議論をし、その政策を入れるもの、あるいは妥協するものがあるかと思いますけれども、私は、今の状況、三党連立という状況下で懸念はないというふうに感じて、本会議で申し上げた次第でございます。
  49. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、かつて宗教団体の集いのときにお話をされた状況と今とどういうふうに具体的な変化があったから危惧の念はなくなったんですかというお話を申し上げた。今のお話がそれの回答になるとは思いませんが、例えば冬柴幹事長が、例えば公明党と創価学会が一致だったら憲法には許されないだろうかというような発言もされたりもしておりますが、さらに、白川代議士は、自自公連立政権が憲法二十条に違反するんだよと、文章まで書かれて出されたりしています。その辺はどうですか。
  50. 河野洋平

    河野国務大臣 議員お一人お一人はいろいろなお考えを持っておられると思います。しかし、今私申し上げましたように、政権に参画をしておられて、決して私がかねてある場所で申し上げたような状況でないということは私自身もはっきり申し上げられますし、危惧の念はないと言って間違いではないと思います。
  51. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 こういうようなお話をいたしますのも、冒頭申し上げましたように、私は、日本外交にとって諸外国等との信頼関係というのがどんなに重要かということを思うから、そして、この日本は信頼できるだろうか、あるいは外交の責任者は信頼できるだろうか、国のトップは信頼できるだろうかということを問われる話になるんだと思うんですね。そういう意味で伺っているわけであります。  冒頭、保保連合絡みの話をいたしました。もう一つ伺うんですが、その同じ雑誌のインタビューの中で外務大臣はこういうことを言われていますね。当時、二年前の五月だったと思いますが、保保連合の可能性がないわけではない、そして、保保連合が成立し、一時的な巨大政権ができるかもしれない、しかし国民はそれでいいとは思わない、だから長続きしませんよ、こういうふうに言っておられます。  現在の自自公連立政権は、衆議院で七〇%以上を占めているというまさに巨大与党を構成しています。どういうふうに思われますか。
  52. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、国民の判断というものが何より大事だというふうに思っておりますから、この連立政権が、真に国民のためを思い、国民の利益を目指して努力をしていけば、国民はこの三党連立政権を支持されるだろうと思います。しかし、一方で、国民を顧みず、ただただ数の多いことだけを楽しむということであるとすれば、それは、国民がそれを判断なさるに違いないというふうに思うわけです。  私は、少なくとも今の三党連立政権は、国民の利益、日本の将来というものを考えて、小渕総理のもとで真摯な努力が続いていくという確信を持っております。
  53. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、今の世論調査等々を見てみても、自自公連立政権について多数が支持しているという状況はどこにもないと思いますし、そんなデータを見たこともない。まさに多数が現在の自自公連立政権について否定的な見解だと私は思っております。  そこで、本日のある新聞のトップ記事に、自由党が自民党に合流を打診し、年内実現を目指す、こういうふうになっておりまして、小渕首相も具体的に検討に着手をした、このように書いてあります。どう思われますか。
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 まず、世論調査についてお尋ねでございますが、世論調査にはいろいろな種類の世論調査があるわけで、三党連立について支持をするかしないかという世論調査もありますけれども、各党の支持率についての世論調査もあるわけで、私は、民主党が自民党より支持率が高いという調査はここのところ拝見したことがございません。私は、民主党から三党連立についていろいろ御意見があるのは謙虚に伺いたいと思いますけれども、自民党も自由党も公明党も、それぞれが国民のことを思い、一生懸命努力をしているわけでございますから、そこはひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。  また、新聞が予測記事を掲げることを、一々こうした場でそれについてとやかく申し上げる立場に私はございません。それぞれがもちろん何らかの意図を持って、あるいは何らかの考え方を持ってお書きにはなっておられると思いますけれども、それが政党と政党の問題であればなおのこと、私がここで申し上げる立場でないということは伊藤議員もよくおわかりだろうと思います。
  55. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私が申し上げたのは、要するに一番最初に、外交というのはどうあるべきなんだろうかという視点での信頼関係のことを申し上げたつもりなんです。それで冒頭、保保連合絡みの河野外務大臣の当時の発言について聞きました。そういう話の延長線上としてこの自自合流の話というのも、一体それはどう考えるんだろうかという意味で私はお伺いしたわけであります。
  56. 河野洋平

    河野国務大臣 それぞれの政党にはそれぞれのお考えがあるのであって、私がそのことについてとやかく申し上げることはするべきでないし、そんなことを今考えておりません。
  57. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いや、外務大臣御本人としてはこの問題についてどう考えられますかということを伺っているわけです。
  58. 河野洋平

    河野国務大臣 個人的な見解をお尋ねになられても、私はこの場で外務大臣として外務委員会に出席をさせていただいておりますので、そうしたことに個人的なことを申し上げる立場にないというふうに申し上げる以外にないと思います。つまり、政党の問題についていえば、私自身が自民党を代表しているわけでもございませんし、この一新聞の記事を取り上げて云々ということをこれ以上私としては申し上げる立場でないことを重ねて申し上げます。
  59. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 では、また改めて本件については伺います。  もう一つ伺います。  先般、西村防衛政務次官が、日本の核武装発言やらあるいは女性べっ視発言の責任をとりまして防衛政務次官辞任いたしました。それについてまず伺いますが、いわば政治家の発言とその責任のとり方ということについて外務大臣はどのような見解をお持ちですか。
  60. 河野洋平

    河野国務大臣 政治家の発言というものは、一般論で申し上げれば、極めて重いものだと思います。  西村前防衛政務次官の御発言については、小渕総理大臣から国会の場で御答弁がございました。そのとおりだろうと思っております。それ以上のことを私が申し上げる材料を持ちません。
  61. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それでは、その任命権者であります小渕総理の責任のとり方ということについて外務大臣はどのように考えられますか。
  62. 河野洋平

    河野国務大臣 小渕総理が本会議の場あるいは幾つかの委員会の場に御出席になって、御自身から御発言をしておられます。きちっとみずからの、総理大臣として、つまり任命権者としての立場から御発言になっておられるわけで、総理がこのことについて、発言をしない、逃げ隠れせずにきちんと正面から国民にもおわびを言い、国会に対しても御自身のお考えを述べられたということで、私は一つの責任のとり方というふうに思います。
  63. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 西村防衛政務次官を任命いたしました、そしてああいう形になりました。外務大臣は、小渕総理に政権担当の資格がないのではないか、あるいは小渕総理が当事者能力に欠けているのではないかということは思われませんか。
  64. 河野洋平

    河野国務大臣 私はそう思っておりません。
  65. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 かつて羽田内閣のときに、河野外務大臣は自民党総裁でありました。そのときに永野法務大臣辞任をされました。このときは南京大虐殺の発言でありました。そのときに衆議院の本会議での代表質問で、河野当時自民党総裁がこういうふうに言われているのですね。「政権が発足して早々に、永野前法務大臣が、日本政府日本国民の歴史認識について諸外国に重大な誤解を与える、閣僚として極めて不適切な発言の責任をとって辞職した問題は、羽田内閣が政権担当の資格ばかりか当事者能力にも欠けることを示した出来事でありました。」このように言っておられます。  今回のケースを見れば、小渕自自公政権が、第二次小渕政権が発足をしている。そして、西村防衛政務次官がまさに核問題等々によって諸外国にも重大な誤解も与える。そして今回は、文字どおり政務次官も総理が任命をする、従来とは違った意味合いを持って任命をしていますよね。そうしたことを考えれば、あのときの河野総裁の発言はそのまま、今の小渕内閣の政権担当の資格ばかりか当事者能力にも欠ける、こういう論理になるのだろうと思うのですが、いかがですか。
  66. 河野洋平

    河野国務大臣 当時、私は野党第一党の党首として本会議で演説をさせていただいたわけでございますが、野党第一党の党首が政権担当者に対して政権をかわるべきだと言うのは、これは言ってもおかしくないと思うのですね。しかも、ああいういきさつでできた政権ですから、その政権の正統性を含めて、私は、羽田内閣を一日も早く交代してもらいたい、こう考えておったわけですから、そういう気持ちを込めて、当時いろいろな問題について相当厳しい演説をさせていただきました。これは野党第一党の党首としては、こういう演説がおかしいというふうには私は思っておりません。  それから、今回の西村問題にしても、当時と大変違うことは、非常に処理も迅速で適切だったのじゃないかというふうにも私は思いますし、何よりも国際的な反応が、当時は大変大きな反応がございました。そういうことも含めて私はそうした演説をしたのでございまして、今回の発言について、適切な処理を小渕総理がなさったということもあって、私は小渕内閣それ自体について国際的に大きな非難があったというふうには聞いておらないのでございます。私は、それは一つは適切な処理が行われたということにもよるというふうに考えているのでございます。
  67. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 あのときは野党だったから、無責任といいましょうか、こう言ったのも当然だよ、今は違うんだよというような言葉の軽さというか、そういうのが信頼を欠きますよという話を僕はしているのですよ。  さっき、西村防衛政務次官の発言の話を私はいたしました。ちょうど先週の土曜日ですが、日韓議員連盟と韓日議員連盟の合同総会がありました。そこで韓国の議員から言われました、日本は右傾化しているのではないかと。そして、西村防衛政務次官のことについても言われました。核武装してくるのではないかということを言われました。そういうふうに話にも出たりするわけですね。  現実に西村防衛政務次官が任命されたときに、ある新聞社は、私のところにインタビューがありました。何と言われたかというと、西村防衛政務次官就任についてどう思いますか、もう一つは、小渕総理は西村防衛政務次官考え方等をわかっていて任命したと思いますかという話がありました。  要するにそういうことなんですよ。だから、私は、外務大臣が永野法務大臣の問題のときに、内閣の担当能力がない、そういう資格がないではないかというふうに言われたとするなら、今の小渕総理も全く同じではないか、こういう意味で申し上げました。  それから、もう一つ伺います。  企業・団体献金について、この間、本会議でも河野外務大臣もお答えになられました。そして、企業・団体献金の話が、御承知のように、法律では来年一月から禁止することになっておりました。そしてそれが、自民党としてはそれを継続しようという話になった。そして、それをまた今度は禁止をする方向に持っていこうという議論がされております。きょう決定するのでしょうか。そのくらいの状況になっていますね。どう思いますか。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 政治改革について、各党にはそれぞれさまざまな考え方がございます。地方組織の意見あるいは地方議員の方々の意見、国政参画をしておられる方々の意見、経験に基づくもの、あるいは将来を見た上での意見、それはもう私が申し上げるまでもなく、伊藤議員はよく御承知のとおり、議員一人一人がさまざまな意見を持っておられるのですね。これを一つに集約することは、正直非常に難しい。それぞれの置かれている立場、地理的な状況、いろいろなものを考えて、それはさまざまな意見があって、それを一つにまとめるということの難しさを私は五年、六年前に本当にしみじみ感じていたのです。  当時、本当に大変な議論の中を私が最終的に判断をして細川総理との間に合意をつくったのです。合意をつくって、なおかつ今度は法律にそれをするときにもまたいろいろな意見が出て、これは議員も当時御経験だったと思いますけれども、その合意が衆参両院で判断が違ったり、さまざまなことがあって、そして最後に現在の法律ができたわけで、その間の、もう本当にこれでは自分はできないんだ、こうでなきゃできないんだというようないろいろな意見を最終的にトップに立つ人間がのみ込んで、抑え込んで、そして一つの結論を出すわけですから、私自身があのときに本当にやせる思いをして最終的な決断をした、そのときのことを思えば、私は、今自民党の中で迷走しているじゃないかとか、いろいろな意見があるじゃないかとかいっても、それは、そのいろいろな意見があるということが外に出てくるということはむしろ悪いことじゃない。そして、最終的に判断をする、その判断は党の総裁といいますか党のリーダーが最終的に判断をする。その判断こそ、やはり所属議員はみんなでその判断に従っていくということでなければならない。  それは一番やりにくいことではあるけれども、そうしていかなければこういう難しい問題はできないんだということを私は嫌というほど自分の経験で知っているものですから、それで本会議のときにも申し上げましたし、それ以後の記者会見でも、何度もお尋ねがありましたから、私は最終的には党の決定に従いますよということを申し上げているわけでございます。その最終的な党の結論というものがこれから出るわけでございますから、その党の最終決定には私は従いたいということがこれまで私が申し上げてきたことであって、そのことに、どうも私の説明が舌足らずといいますか、ぶっきらぼうであったというふうにおっしゃる方もありますけれども、私の気持ちは今申し上げたような経緯を踏まえて申し上げているということをぜひおわかりをいただきたいと思います。
  69. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 何度も申し上げますけれども、私は、これは外務大臣、全くそう思っていらっしゃると思います。日本が本当に責任を持って外交をやっていこうと思ったら、どれだけその信義を守ろうとかあるいは信頼される環境をつくろうかということだと思うんですよ。そのときに、外務大臣が今、党の決定に従うんだよと言われたその党の決定がまさに首尾一貫しておれば、あるいはほかの国から見ても極めてこれは信頼に足りるという状況になっているならば、これはどんなにかいいか、こう思うんですよ。  ところが、最近起こっている状況は、あの介護保険の問題でも同じ、定数是正も同じかもしれません。あるいは今度の企業・団体献金も同じかもしれない。こうしたものが、まさに選挙目当てじゃないか、あるいは場当たり的じゃないか、そういうふうに言われ、変節の連続ではないかと言われるような状況ならば、外務大臣としては、ほかの国と外交をやっていく上においてどんなにかこれは大変だと私は思うんですよ。そう思われませんか。
  70. 河野洋平

    河野国務大臣 私自身が、格好よくいようというふうにはもともと思わないたちでございます。同志の皆さんの議論が積み上げられて物事が決まっていく、これは一つの政党の姿でありますから、そして長い歴史を持ち、全国に組織を持つ政党として、さまざまな意見をくみ上げ、さまざまな段階で議論が行われ、最終的に決まっていくという状況は、これは、伊藤議員も組織の中で責任ある立場に何度もお立ちになっておられるからよくおわかりだと思います。本当はこう言った方が格好はいいな、こういうふうに自分はやりたいなと思ってもなかなかそうできないこともあるわけで、しかし、私は何度も何度もそうした経験をした上で、我慢をするところは我慢をするということが大事なんだということを私自身も知っておりますから、こういうことを申し上げているわけです。  しかし、それならおまえは何にも自説がなくて全体にただ流されていくだけなのかと言われれば、私は決して、そういうふうにただ何となく流されていくということでいいとは思っておりません。今この役を与えられれば、外交問題という私に与えられたこの仕事に関する限り、私は自分の信念というものをしっかりと守っていきたい。私の信念というのは、外務省省員それぞれからニュース、情報を吸い上げて、そして国民的な利益というものを熟慮した上で、総理の指導もいただきながら、守るべきものはきちっと守るという点では私は信念を持ってやりたい、こういうふうに思っております。
  71. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 何度も私は申し上げていますが、日本外交の最大のポイントは、いかに信頼されるか、そういう外交ができるかどうかということになると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  先ほど外務大臣の冒頭のごあいさつにもありましたけれども、北朝鮮問題について伺います。  特に去年の八月のテポドンの発射以来、ますます、いわば日本の安全保障という面から見ても、極めて重大な問題として意識されているようになってきていると思います。その後の今日までの経緯について私から特に説明はいたしませんが、北朝鮮が先般、いわゆる米朝間で交渉をしている間、その間はミサイルの発射を中止する、自制するということになっているんですが、このことについてどういうふうに評価をしておりますか。
  72. 河野洋平

    河野国務大臣 一つの国が、自分が持っている非常に重要な武器といいますか、そういうものを少なくともこの間は使わないということを明言されたということは非常に重要なことだろうと思うんです。問題は、それが米朝協議が続いている限り、こういうことを言っておられるところを議員は指しておられるんだと思います。  この米朝協議は、アメリカベルリンにおいて大変努力をされて、さらに引き続き米朝協議をやるという形をつくり上げ、もちろん、これは協議ですから、アメリカだけが努力をしたわけじゃない、恐らく北朝鮮の側も努力をされたに違いないと思いますが、いずれにしても、大変粘り強い交渉の結果こういうプロセスを歩み始めたわけです。今月にも米朝会談はさらに続いていくというふうに聞いておりますし、この米朝会談は期限を切って行われているわけではありませんから、双方がこれからさまざまな議論、協議が行われて、その協議がよい方向に進んでいくならば、さらに状況としてはよくなっていく可能性があるというふうに私は思っています。  もちろん、協議ですから、うまくいくこともあればなかなか厳しい状況になることもあるでしょう。しかし、それは、北東アジアの安定あるいは核拡散の危険というものを何としても食いとめようという気持ちからくる努力というものがございますから、この協議は引き続き先へ進んでいってほしいというふうに私は思っておりまして、この協議が続く限り北側が自己抑制といいますかそういうことをするということを明言したということは私は意味がある、大変意味のあることだというふうに理解しております。
  73. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 最近、北朝鮮からいろいろな発言等がされております。  私が非常に重要な話として思いますのは、ことしの八月に北朝鮮がいわゆる対日声明というのを発表いたしました。その中に、日本は過去のすべての犯罪行為に対し誠実な謝罪と徹底的な補償を行うべきであるということ等が述べられております。そしてまた、九月の二十五日には白南淳外相が国連総会で演説もされております。そしてまた、その後の記者会見等でもいろいろなことを話をされております。そのときもやはり、日本が過去の犯罪を清算し、そして補償するならば交渉に応じるんだよ、こういうような趣旨のことをいろいろ言われております。  最近私は、この手の言いぶりといいましょうか、そういうのを非常によく耳にするといいましょうか、目にするといいましょうか、そういう感じがするのですよ。それで、一体これをどういうふうに考えるのだろうかということなんですが、北朝鮮の方を見ると、これは謝罪や補償を前提に国交正常化交渉に応じようという意味で、いい方向に考えるのか、心配の方に思うのかとか、いろいろなことが考えられると思うのですよ。  そういう意味で、この最近の北朝鮮側のこうした過去に対する問題ということについての発言についてどんなふうに思うのか、そして、いわゆる謝罪と補償という話をされるわけですが、それについて政府としてはどういうふうに考えるのか、お伺いします。
  74. 河野洋平

    河野国務大臣 我々は、国交の正常化ということは極めて重要なことだと思っています。我が国に極めて近い朝鮮半島でございます。そこに存在する朝鮮民主主義人民共和国と申しますか、いわゆる北朝鮮との関係というものが今のような関係でいいのだろうかという思いは多くの人が持っておられるだろうと思うのです。このことは、安全保障の面からももちろんそうですし、それ以外にも我々が当然やらなければならない仕事であろうと思うのです。  それが、今伊藤議員がお話しのように、昨今政府声明という形で北から発出された。さらには、白南淳外務大臣が国連演説の後の記者会見でも言及をされた。つまり、日本に対していろいろと述べられたということは、日本との間の関係についていわゆる北朝鮮が何か考えておられるのだと見るのは当然だと思いますね。我が方がそう思うのは当然だと思います。我々とすれば、関係改善という場がそれによってできるかもしれないと私自身思いますし、この声明あるいはこの記者会見というものをでき得る限り注意深く読み、注意深く見ていかなければならないということがまず最初に申し上げられると思います。  その次に、議員がお話しの過去の問題についてのお尋ねでございます。  私は、この問題は、国交正常化交渉とでも言うのでしょうか、そういう交渉がまず始まる、そして、その交渉の中でこうした議論は十分に行われるというべきものであって、ここで、先方のいないこの場で私がこの問題について申し上げるというよりは、正常化交渉という交渉の場をつくり上げ、その場でお互い議論をし合うということがより建設的ではないかというふうに思っております。
  75. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私の時間はもうほとんどないのですが、最後にお伺いしたいと思うのです。  先般、チャーター便の運航停止を解除したときに、官房長官が、あれは談話という形だったでしょうか、発表をしていました。あの中にもこういうことが書いてあったと思うのです。要するに、米国は確固たる方針によって云々、しかし、我が国は米朝関係改善の流れを日朝関係に及ぼすことを期待してこうするんだよというふうに書いていました。我が政府北朝鮮政策といいましょうか、それがなかなかはっきりしないということだと私は思うのですよ。  それで、私どもも、早急に政府間で直接交渉をする形にぜひしてほしい、その中でいろいろな問題を協議することだというふうに思うわけでありますけれども、これからその国交正常化交渉及び例えば食糧援助の凍結の問題などについて、一体どういうふうにしてやっていこうと考えられるのか、お伺いします。  もう一つつけ加えたいのですが、私は、実は、日朝関係の問題にとってみればますますだと思うのですが、まさに信頼関係がないわけですね。今は、北朝鮮から見れば、アメリカとの関係、あるいは韓国との関係中国との関係、それからヨーロッパとの関係、この辺はかなり進んでいるのですよね。それぞれの濃淡はありますが、かなり進んでいる。EUとの関係も全く同じ、かなり進んでいる。しかし、日本との関係はまさに不信関係かもしれません。今日の歴史がそれをつくってきたのだろうと私は思いますけれども。そういう意味で私は冒頭から外交にとって信頼関係というのはどんなに重要かということを述べてきたつもりなんですよ。どのようにしてこれから北朝鮮との関係、信頼関係を含めてやっていこうとするのか、最後に伺います。
  76. 河野洋平

    河野国務大臣 北朝鮮側がアメリカを交渉相手としていろいろな交渉をするというのは、これは北側の方針でもきっとあると思いますが、米朝協議というものは、時に中断はいたしますけれども、テーブルが準備されてそこで協議が行われるということが形としてできているわけです。日本もまた、日朝交渉というものは一時ございましたけれども、それが中断をいたしまして、今、日朝会談というものはなかなか難しい状況になっております。  確かに伊藤議員おっしゃるように、北側との関係は、韓国との関係アメリカとの関係日本との関係、それぞれ大変濃淡があって、それからお互いに話をするテーマも違って、なかなか一律にはいかないのでございますが、日本としても、先ほどから申し上げておりますように、我々がやらなければならない大事な仕事であるというふうに私は考えまして、この問題に注意深く取り組みたいというふうに思っているわけでございます。そのためにはまだまだやらなければならないこともきっとあるだろうと思うんですが、我々がそうした国交正常化交渉とでもいうべき場をもう一度動かすために、その条件、状況をつくり上げるための努力も今後やってまいりたい、そういうふうに思っております。
  77. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
  78. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、上田清司君。
  79. 上田清司

    上田(清)委員 質問の前に、新自由クラブ時代は公私にわたりまして大変御指導いただきましたことを、この席をおかりしましてお礼を申し上げたいと思います。また、自民党の良識派として、外務大臣に御就任され、政府あるいは党においてその指導力を発揮されますことをまず祈念いたしたいと思っております。  それで、私は、実は先日の衆議院本会議場での政治献金問題についての、企業献金、団体献金の廃止問題についての河野大臣の発言を聞いて、それでは新自由クラブは何だったのだということを思わず叫んでしまいまして、それを聞いていた党の幹部が、それではきょう外務委員会に行ってただしてこい、こういうことで私はきょうこの委員会に立たせていただいておりますので、企業献金、団体献金等の廃止について大臣の御見解を改めてお伺いしたいと思っております。(発言する者あり)委員長、場外発言を禁止するか、退場させてください。
  80. 井奥貞雄

    井奥委員長 静粛に。
  81. 上田清司

    上田(清)委員 それではお伺いいたします。  大臣大臣考え方として、政治献金、企業献金、団体献金の廃止ということについて党の決定に従うということでございますが、大臣のお考えは基本的にどういうお考えでしょうか。
  82. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども伊藤議員に御答弁を申し上げましたが、自由民主党という政党に今所属をいたしておりまして、この自由民主党という政党は全国的に地方組織がございます。その地方組織は、それぞれ政治活動をするためにいろいろな苦労をし、いろいろな意見を持っているわけです。また、地方議員の皆さんもそうです。恐らく上田議員も、同志の地方議員の政治活動についていろいろ悩みを聞かれているだろうと思うんです。国政レベルで活動をしている国会議員にもそれぞれの意見があるわけです。  それぞれの政策、それぞれの意見はありますけれども、とりわけこの政治資金問題というのは、政党にとって、あるいは政治家にとって極めて身近な問題だけに、大変さまざまな意見があると思います。そういうさまざまな意見を一つにまとめるということは、実は至難のわざなんですね。私自身がこう言うと、例えば、おまえは恵まれておるからだ、おまえの選挙区はこうだからだと言われると、確かに一人一人の選挙区の状況も違うでしょうし、あるいは一人一人の、ケース・バイ・ケース、いろいろな状況がありますから、一人の判断で全体の意見を取りまとめるということが非常に難しい問題の一つですね、政治資金問題は。  しかし、そういう中で私は、五年前、六年前でございましたか、党の中での大変な議論を最終的にまとめて、それは当時、私は自民党の総裁をさせていただいておりましたから、総裁の判断で最終的に細川総理と合意をつくるということにいたしました。そのときにも党内には相当議論がありました。党内に相当議論はありましたけれども、最終的に自民党の総務会はしっかり交渉してこいということで私は交渉権をいただいて、細川当時の総理大臣と交渉してああした結論を出したということを、今でも決して忘れないのです。  そういう難しい問題でございますだけに、今回もまた自民党の中では、地方組織からも意見が出る、地方議員の方々からも意見が出る、国会議員にはそれぞれの意見がある。そういうことが、五年間やってみたけれども、この五年の間に、例えば政党助成金は出たけれども、それではどこまでその政党助成金が地方議員の政治活動あるいは政党活動を支えるか。  国政レベルは小選挙区制になったから、この地域では君が政治活動をやるということは即政党活動そのものなんだから、君にこの助成金を使わせるということは、それは君が使うのではなくて政党が使うということなんだよ、これはよくわかりますね。ところが、地方議員のレベルになると、それは依然として中選挙区制。特に、埼玉県もそうだと思いますけれども、県議会の皆さんは、同じ選挙区で、同じ政党でしのぎを削るということがあるわけですから、政党助成金がそういう人たちに対してどういう意味を持つかということは、国会議員の考えと地方議員の考え方との間には少し違いが出てくる。それを五年もやっていると、それはこうじゃないか、どうじゃないかという意見が出てくるのですね。  私は、五年前にこうしようということで党をまとめて合意をつくったわけですけれども、今もう一度議論をすれば、それはまた別のさまざまな意見が出るということもあるだろうということは想像にかたくないのです。しかし、最終的にこの議論がどういうところに収れんをしてどういう決定になるかということはまだわからないわけでございまして、私は、自分自身、総裁として党の意見の取りまとめに大変苦心をした経験を持つ人間として、これは最終的に党が決める、つまり、党が決めるということは総裁が最終的に決める、幹事長が決める場合もありますけれども、党幹事長あるいは三役、党の執行部が最終的に決めるということであればそれに従いますということを、あの本会議では申し上げたわけでございます。  それは、おまえの意見はどうなんだ、こう言われれば、私には私の意見はございます。しかし、私も、今私がここで意見を申し上げて、これは自民党のことを申し上げて他党の方に大変御無礼ですけれども、自民党は今、小渕さんのもとに求心力を持って党が一致してやっていかなきゃならない、そういう時期に、党が最終的に決められればそれに従うというのは、党所属議員として当然のことだろうというふうに思いましたから、本会議場でああいうことを申し上げた。  そのことで、かつての同じかまの飯を食った人たちが、あんなやつと同じかまの飯を食ったことはおれは恥ずかしいよともしお思いになるとすれば、それは党が今違うわけで、それぞれのお立場でそうお思いになる方もあるかもしれませんが、同じ党に今所属をして同じような政治活動をしているとすれば、それはおまえの気持ちはよくわかると言ってくださる方が多いだろうと私は思います。
  83. 上田清司

    上田(清)委員 よくわかりました部分がありますが、やはり細川元総理と河野総裁との約束について、いわば政党助成金を先食いしながら企業献金、団体献金の禁止を国民に約束したものだというふうに私は思っております。  そういう中で、そのための努力河野大臣も当然されておられたと思います。私も、五年後のことを考えて、千円、一万円の個人献金をたくさんいただいておりまして、総額で年間六百万ぐらいございます。極めて少ない政治資金を披露するのも恥ずかしいところでありますが、大体五〇%ぐらい個人献金があるという状態になっておりまして、多分、企業献金の方も切りかえになってもさほど大きく減ることなく、従来の政治資金の確保が私はできるものだというふうな態勢をとってまいりました。河野大臣も、当然地元においてもそういう御努力をなさって、五年後の来るべき日のことについて御努力をなさり、あるいはまた、今日こういう議論が起こるときに、党内であるいはグループの中でそういう発言や御指導をなさっていたのかどうか、この辺に私は疑念があるから、それは何だという意味を持っております。  また、党の意見に従うという御意見もありますが、例えば外交姿勢の中でも、党とまた政府は違う部分もございます。そういう意味で、必ずしも党の意見に従うことじゃなくて、党にどのような影響力を与えていくかということも、私は、外務大臣として、外交政策を決定する最終責任者として意味のあることではないかなというふうに思っております。  どうぞ三番目の資料を御配付いただきたいんですが、特に、今大臣が言われましたように、自民党の中にかつては新自由クラブで御活躍をされた方々がたくさんおられます。大原一三先生、今や小渕総理のブレーンとして名高いわけであります。甘利前労働大臣、小杉元文部大臣、柿澤元外務大臣、中馬総括運輸政務次官伊藤公介元国土庁長官、鈴木恒夫元文部政務次官、あるいは本席にも木村勉先生、あるいはまた木村守男青森県知事、佐藤敬夫私どもの議運筆頭理事、あるいは西川太一郎防衛政務次官、また、特異な政治的存在でもあります田中秀征元代議士は新自由クラブの政策委員としても御活躍をされた経緯がございます。あと、岩下栄一先生などもまた河野大臣の秘書官として、あるいは新自由クラブの活動家として頑張っていただいた経緯もございます。それは、政界浄化や政治倫理の確立のために夢をかけたグループであったと私は思っておりますし、当時学生だった我が党のファイター、松沢成文さんなどは、学生ボランティアとして新自由クラブの運動に参加したこともございます。  そういう夢をかけた論理を、新自由クラブ時代になせなかったことを、自民党総裁としてきっちり合意文書に盛り込まれたこと、これは大変すばらしいことだというふうに私は理解をしておりますし、そのことの実現のために河野外務大臣はあらゆる意味で努力されることが、実は国民に対する、あの新自由クラブ時代のさまざまな発言がございます、今お手元に配付させていただきました。幾つか読み上げてもいいんですが、時間もございませんので、第八十七回国会代表質問演説、これは、時の大平総理に対して、昭和五十四年一月三十日に代表演説をされたことでございますが、少しはしょって読みます。  以来あなたが進めてきた政治は、こうした美辞麗句とはうらはらに、無原則な妥協の連続であったと言わざるを得ないではありませんか。党内の派閥のしがらみに縛られて、先見性に欠けた古びた発想と既得権益の擁護に狂奔する人々の圧力に屈してみずからの理想を放棄してしまったことに、あなたは良心の痛みを感じないのでしょうか。 こういったお話もされておられますが、まさしく、自分で御意見も言わずに、党内の大勢に流れるままに御自身の見解を述べられるというのは、まさに良心が痛まないのかというふうに私は思っております。  それぞれ経緯があって、それぞれの政党の立場があります。委員長井奥先生にも私は親しく御指導いただいた立場の人間であります。しかし、政治家は自分の意見を、どの立場にいようと、一たび言ったことについて責任を持って、しっかりとそのための実現を図るべく努力をしている、その上でうまくいかなかったということに国民はその成果を評価するのではないかと思いますが、本会議場でのあの答弁は余りにも情けない発言ではなかったのか。じくじたる思いがある、こういう思いを吐露していただきたかった、こんなふうに私は思っておりますが、含めて、もう時間もございませんので、御発言を賜りたいと思います。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 かつての同志から大変厳しい御指摘をいただいて大変胸が痛いのでございます。しかし、他方、上田議員にも、かつての新自由クラブの考え方というものをあなたが民主党の中で本当に守って、貫いていっていただいているかどうかということについても、私は、あなたのさっそうたる若手議員としての活躍に大いに期待をしたいと思います。  往々にして、どうしてあのときの同志がこういうふうに敵味方に、まあ敵味方というのは余り適当じゃないですが、与野党に分かれて議論をしているのかと自分自身ふと思うことがあるんですが、お互いにそれぞれ政治的な理想というものがあって、その政治的理想は一つではない。政治倫理は我々にとって大きな理想の、大きなテーマの一つであったことは私は否定しません。しかし、それだけではなかった。それ以外にも我々がやらなければならない、果たすべき政治的な目標というものもお互いにあったと思う。そうしたことをひとつ考えられて、上田議員にもぜひ御活躍をいただきたいと思います。  それはそれとして、お尋ねでございますから。  私自身、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、この政治資金問題について、全く唯々諾々、何もしないでここまで来たわけでないということは、私が六年前に党のさまざまな意見を集約して合意文書を細川さんとの間につくったということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。さらに、あの当時は、あの合意をつくるだけではなくて、あの合意に基づいてつくられた法律案、すなわち政治資金規正法の改正案というものが国会で本当に難しい審議をして、大変多くの方々の御意見あるいは苦悩も私は聞きました。しかし、どうしてもやってもらいたいということでつくり上げてもらったものでございます。  この五年間、それぞれの議員の皆さんはそれぞれの御努力をなさったと思います。それは、先ほども申し上げましたように、それぞれの議員にはそれぞれの与えられている立場等もございますから、それなりに努力が実った方もあるだろうし、なかなか実らない方もある。しかし、そういう気持ちを持ってこられたということもお互い理解し合わなきゃいけないことだと私は思うんです。  恐らくきょうになるのだろうと思いますが、自由民主党の最終的な政治資金にかかわる判断というものは、小渕総理のイニシアチブによって決まるだろうと思います。その最終的な判断というものをひとつ上田議員にもよく見ていただいて、そしてそれを自民党がみんなで了解をして支えるということになれば、そのときにどういう点数を上田議員がつけられるか、そこはもう一度上田議員からその点数については伺いたいというふうに思います。  さっきも申し上げたように、自由民主党に所属をする人間として、現在、小渕総裁を中心に、求心力を持って党としてこの三党連立で政権運営を進めていく、政策を果断に進めるために努力をすることが今一番重要だというふうに考えておりますので、あえて上田さんの御批判は御批判として伺いながら、私に与えられたこの仕事を一生懸命続けていきたいというふうに思っております。
  85. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  ただ、河野大臣の言葉は歴史として議事録に残ってまいります。そしてまた、閣議なりを通じて河野大臣がどのように強いアプローチをなされたかということも国民各層は見ていると思いますので、大いなる期待を外さないようにしていただきたいということを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  86. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、松本善明君。
  87. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、今、日本外交が当面する課題というのはたくさんあると思います。北朝鮮問題とか核兵器の廃絶問題とか、あるいは核の持ち込みについての密約問題等々ございますが、国会全体の中で議論をしていきたいというふうに思います。  きょうは東ティモールの問題についてお聞きをしたいと思います。共通の認識に立つために、国連の総会の事業について外務省の作成した文書を引用しながら、この経過を振り返って質問をしたいと思います。  東ティモールの独立のために日本も積極的な役割を果たす必要があると思いますが、この前提として、日本外交がどういう態度をとってきたのかということがまず重要だろうと思います。  一九七四年にポルトガル政府が施政住民の自決と独立の権利を承認するとの非植民地化政策を打ち出し、そのもとでポルトガル施政地域が次々に独立を達成していく中で民族自決のための運動が活発化をして、七五年十一月に、独立の道をまさに歩もうとしたときに、インドネシアが軍事侵攻をして力で併合いたしました。  これらの経過はこの国連の総会の事業についての中で詳細に書かれておりますけれども、このときに日本政府は、国連の場でインドネシア政府を擁護する発言を繰り返してきております。  インドネシアの言い分は、第三十回の国連総会の事業によりますと、インドネシア政府はティモール島のインドネシア領に流入した難民を助けるために現地に赴いたというものでありましたが、日本政府は、これを非難するのではなくて、七五年十二月十一日の非難決議に反対をしたばかりか、投票理由の説明の中で、軍事介入を容認するものではないと言いながらも、ポルトガルの責任不履行がポルトガル領ティモール内の武力抗争を激化させるに至ったものであり、インドネシアの介入もかかる背景を考慮すべきであると、軍事侵攻に理解を示す発言をしておりました。七六年十一月十五日の非難決議にも反対をして、決議には対決を助長するおそれのある表現があるため反対するというふうになりました。さらに、七七年には一般発言で、インドネシアは同地域の非植民地に主要な役割を果たしてきたと認められる、東ティモール問題が依然解決されず、悪意に満ちた討論が続けられていることは遺憾であるということまで言って反対をしています。もちろん、非難決議にも反対している。日本政府が国連の場で武力併合のインドネシア政府を擁護し続けた、これは経過からすればもう明白であります。  私は、この時点で、こうした日本政府外交姿勢を外務大臣はどう考えているのか、これを反省する必要があるというふうに考えておられるかどうか、この点をまず伺いたいと思うのであります。
  88. 河野洋平

    河野国務大臣 アジアにおけるインドネシアの存在というものは極めて重要だと思います。  それは、例えば今日でいえば、ASEAN十カ国、人口およそ五億、インドネシアでは二億を超える人口がおられるわけで、何も人口が多い少ないということをとうとしとしているわけではございませんけれども、それだけ多くの人口を抱えているインドネシアというものの存在は非常に大きなものだと我々は思います。そして、そのインドネシアが安定して、正しい道を進んでいってもらえるということであれば、アジアの安定、平和のためには極めて重要なことだというふうにも思うわけでございますから、当時のインドネシアの主張あるいはインドネシアの行動について、恐らく注意深く見た上で国連において発言をされたものと思います。  往々にしてこの種の問題は、現場、現実というものを十分正確に見ないで議論だけが躍るということもないわけではないと思いますので、その点、日本の国がアジアの一国として国連で事実を確認しながら発言をし、投票態度を決めていったということは、それなりに信頼をしていいのではないかというふうに私は思っているわけです。  正直言いますと、当時の状況を私自身が確認できたわけではございませんので、これ以上のことは申し上げられませんが、私は、日本外交政策のこれまでの行動というものを見てそういうふうに想像をするわけでございます。
  89. 松本善明

    松本(善)委員 現実の発展の中で今までの外交姿勢がよかったかどうかというのを考えるということはやはり大変大事だと私は思うんです。今や、東ティモールの独立ということに根拠があるということは世界でも明白で、だれもそれに異論を言う人はない状態になっているんですね。そういう状態で今まで日本政府が、インドネシアのこの武力併合、これに対して独立ということになった。先ほど外務大臣は、独立と民主主義の方向を援助するということが必要なんだということを最初のあいさつで申されましたけれども、今事態は、インドネシア政府の武力併合をずっと一貫して非難しなかった、それを支持してきた日本政府の態度について反省をする必要があるのかどうかということが一つの出発点として大変大事であると思う。特に、住民の自決、民族自決、これは世界の大義だ思うんです。  この点について、ただ、今までやってきたことはよかったんだろう、よくわからないけれどもというようなことで果たしていいんだろうか。改めて外務大臣の見解を聞きたいと思います。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 誤解を恐れますのでもう少し申し上げますが、私が申し上げたのは、国連における日本外交の態度というものがどうかよくわからぬけれども多分そうだろうというようなあやふやなことで申し上げたわけではないことをまずお断りしておきます。  日本政府が東ティモール問題に対してとってきた態度の中で大事なことは、インドネシアとポルトガルとの間でもっともっと十分に話し合うべきではないか、この両国の話し合いが非常に重要だよということを言ってきたと思うんですね。そういうことを別にして、ただ単にインドネシアの行為、行動のある部分を取り上げて非難をするということでは正しい判断は出てこないのではないかというふうに私は思うわけです。  もちろん、松本議員がおっしゃるように、過去の我々がとってきた対応に対して、そのことが私はすべて正しかったと頭から決めているわけではございませんけれども、それなりに日本としてこの問題に十分関心を持ってやってきておりますから、私はこれまでのとってきた態度というものが違っていたというふうには思わないのでございます。
  91. 松本善明

    松本(善)委員 インドネシア政府自身が既にスハルト体制からの決別という方向に動こうとしていますし、東ティモールの独立を承認するという方向、そういう事態の中で、私は、すべて正しかったとは思わないということまでは外務大臣言われたわけですけれども、やはり日本外交について反省をきちっとすべきであるというふうに思います。  東ティモールの独立という意思表示が明確になって、その意思を保障しようというので、国連が二つの安保理事会の決議を採択いたしました。東ティモールの人々が結論を出したこの独立を保障するために日本政府が積極的な役割を果たす、これが今のこの関係外交問題としては大変大事だと思います。日本政府はこの支援のためにこれまでどういうことをやってきたのか、まとめてまずお話をいただきたいと思います。
  92. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題については、松本議員もお話しのように、一九七〇年代から国連でいろいろな議論が、それ以前からもあるわけですけれども、決議などが行われているわけで、今日の状況はその当時とは随分と進んできている。まして、昨今の状況を見ると、はっきりとインドネシア自身が東ティモールの独立について住民投票を認めて、投票を行うということまでしているわけでございますから、状況は変わってきているというふうに思うのです。  そこで、日本政府が東ティモール問題の平和的解決に向けて行ってきた支援というものは、私に言わせれば極めて積極的なものであったと申し上げていいと思います。  すなわち、八月三十日の直接投票の前に、東ティモール人の対話のための国連事務総長のもとでのプロセスに対する資金面での支援、国連東ティモール・ミッションへの資金拠出、あるいは広報用ラジオの供与、文民警察官及び政務官の派遣、こういったことを行ってきているわけでございまして、このことは我が国にとっても、我が国としてできる事柄に積極的に取り組んできたというふうに思います。
  93. 松本善明

    松本(善)委員 これからの東ティモールへの支援の問題でありますけれども、医療、衛生とか教育、住宅など、生活基盤づくりにやるべきことはたくさんあると思います。人的支援もさまざまな分野で必要になろうかと思います。政府は自衛隊の派遣の問題を検討しているということはいろいろ報道されていますけれども、それ以外の人的な支援も検討しなければならないと思いますが、政府が検討しているこれからの支援のメニューというか計画というのはどういうものがありましょう。
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 一般的に三つのカテゴリーといいますか、三つの方法があると思っております。一つは人的な支援でございます。これはUNTAET、東ティモールにおきます臨時行政組織に対して人を送るといったことがその中に含まれます。それからもう一つは資金援助でございます。三番目は、NGOとの協力による支援というものも考えていいだろうと思っております。この三つの種類の東ティモールに対する支援というものに私どもは取り組んでいっていいのではないかというふうに考えます。
  95. 松本善明

    松本(善)委員 私はこの点ではわざわざ、きょうこのことは聞くぞということを言って外務省には通告してあるので、もっと詳細なものが答弁されるのかと思いましたけれども、果たして十分な検討がされているのだろうかということを私は心配いたします。  それで、特に言いたいのは、自衛隊の派遣の問題については、これは言われております。例えば、インドネシア方面の調査団の調査結果というのが外務省の方から私たちのところにも来ておりますし、それから外務省のインターネットなどを拝見いたしましても、自衛隊の派遣はかなり熱心に検討しているということのようであります。ただ、そういうことでいいのかという問題があるかと私は思います。  まず、最初に確認しておきたいのですけれども、十月二十五日の安保理事会の決議でつくられました国連の暫定統治機構、これは国連憲章第七章のもとで活動するということにされており、国連の暫定統治機構はその統治を実施するために必要なすべての手段をとる権限が付与されるということが安保理決議でも明記をされております。ということになると、これは軍事的な問題まで含まれるので、この機構には自衛隊は参加できないということになると思いますが、まずその点は確認できますか。
  96. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっとその前に、松本委員から御指摘がありました件、私がちょっと資料を読み落としまして、前回御答弁をしておりませんので、改めてさせていただきます。  御指摘がございまして、東ティモールに対する支援について具体的なことを言え、こういうお話でございました。  人道支援について、十月二十七日に発出されました国連統一アピールなどを踏まえつつ積極的に検討をいたしたわけでございますが、東ティモールの復旧、復興につきまして、国連東ティモール暫定行政機構、UNTAETのもと仕事をするそのプロセス支援するために、日本の国として人的派遣、人道支援といいますか、そういうことをするという決定をいたしておりまして、国連当局とも打ち合わせをいたしまして、今般、高橋国際協力事業団参与が国連東ティモール暫定行政機構の人道支援・緊急復興担当の事務総長副特別代表ということに採用されるということが国連との間で決まっておりますことを申し上げます。  もう一点、松本議員からお尋ねの、UNTAETに要員を派遣するかどうかというお尋ねがございました。  この問題は、従来から、我が国の国連平和維持活動への参加に当たりましては、憲法、国際平和協力法の枠内で行われること、国内の支持を受けるものであり、また国際社会から評価されるもの、現地の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制が整え得ること、我が国が適切に対応することが可能な分野であること、こういった観点が必要でございます。  そうしたことから、現地調査団を出しまして、この現地調査の結果、それから国連や関係国際機関の意向などを十分に踏まえて総合的に判断を、これまでもしてまいりましたし、今回もしていかなければならないというふうに考えております。
  97. 松本善明

    松本(善)委員 国連暫定統治機構に自衛隊が参加できない、これは確認できるかということをお聞きしたのです。お答えがないんですが。
  98. 河野洋平

    河野国務大臣 今お答えを申し上げましたように、現地調査の結果、それから先ほど申し上げました四つの視点というものを踏まえて判断をしようと考えております。
  99. 松本善明

    松本(善)委員 外務省調査団の調査結果についても、西ティモールへ自衛隊派遣ということはいろいろ書かれています。けれども、東ティモールへ自衛隊を派遣することを検討しているんですか。これは大変重大なことだと思いますけれども、それは本当に事実ですか。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 失礼いたしました。少し混乱をいたしました。  調査団を出しているのは、御指摘のとおり、UNHCRからの要請にこたえて、西ティモールで仕事ができるかどうかということについての調査団でございました。東ティモールへの調査団は出しておりません。  そこで、今、東ティモールに出せるか、UNTAETの中に出せるかどうか、こういうお尋ねでございましたが、この問題につきましては、今私の念頭には、そうしたことは考えておりません。  しかし、あくまでもこれは国際平和協力法に基づいて考えるということでございまして、その判断は、先ほどから申し上げておりますように、四つの視点に立って慎重に考えるということでございます。
  101. 松本善明

    松本(善)委員 今言いましたように、国連の暫定統治機構は軍事の機能を持つわけなんですね。それに自衛隊は参加しないということは当然確認できるだろうなということを言っているのに、それを検討していると言うのですか。(河野国務大臣「いや、そうじゃない」と呼ぶ)では、はっきり、そこをちゃんと言ってもらわないと困る。
  102. 河野洋平

    河野国務大臣 誤解のないように申し上げておきますが、軍事的な面に参加をするということはありません。これははっきりしております。  しかし、UNTAETがどういう作業をするかということについてはまだ明確ではございませんから、そこのところまで申し上げられなかったわけですが、少なくとも軍事面に参加をすることはないということだけは明確に申し上げておきます。
  103. 松本善明

    松本(善)委員 それから、西ティモールの問題についても、自衛隊の派遣ということが言われており、きょうの新聞によりますと、西ティモール支援に航空自衛隊を派遣するような計画があるとのことが言われております。  現地調査団の報告によっても、西ティモールに残留すると見られる十万人の避難民に対して物資を輸送するということが問題になっているというお話でございました。そうすると、民間の輸送というのを考えて当然ではないか。  私は、日本外交というのは、やはり憲法九条を持った国の外交として、できるだけ民間の平和的な外交によってすべてを解決していくという姿勢が非常に重要だろうと思うのです。なぜ自衛隊の派遣という問題だけが検討されているんでしょうか、この輸送について。あるいは、既に輸送部隊を派遣するということの計画があるという報道まであります。これは一体どういうわけなんだ。民間の輸送をやるという考えは検討の対象にもしていないんですか。
  104. 河野洋平

    河野国務大臣 西ティモールへ参りました調査団からの報告書が出てきておりますから、その報告書に基づきましていろいろなことが検討されるということになると思います。  この調査報告は松本議員も恐らくお読みいただいていると思いますが、まだまだ検討するべき問題もあるというふうに思っておりまして、どういう形でどういうものが我々から支援できるかということをよく考えなきゃならぬと思っております。  他方、UNHCR、国連当局からも非公式な要請のお話は受けておりますが、公式な話はまだ受けていないわけでございまして、我々の調査報告に基づきます考え方はこれから固まっていくわけでございまして、その調査報告を踏まえて、これからどういう支援ができるかについてはまだまだいろいろなケースを考えていいというふうに思います。
  105. 松本善明

    松本(善)委員 そうしますと、きょうの新聞で報道されております、航空自衛隊の輸送部隊を十一月二十二日から平成十二年二月二十一日まで三カ月の予定で派遣するという業務計画を固めたというような報道がされていますが、これは事実に反しますか。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 まだ政府がそうしたことを決めたということはございません。
  107. 松本善明

    松本(善)委員 今非公式に国際機関からの要請があったと言われましたけれども、どこからどういう理由でどういう要請があったのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  108. 河野洋平

    河野国務大臣 要請については非公式でございまして、そのプロセスについては、明らかにするのには先方の了解ももらわなければなりません。まだ非公式な打診という域でございます。  しかし一方で、比較的近い関係にございますから、UNHCRの方々からは、口頭で、日本支援はどうしても必要だ、ぜひ考えてほしいという打診があったこともまた事実でございます。いずれ、これらの要請は公式に来るであろうというふうに考えております。
  109. 松本善明

    松本(善)委員 それは避難民のための物資の輸送なんでしょう。現地調査団の報告や外務省のインターネットによれば、それが今求められているというふうに言われているんですが、民間機でももちろん物資の輸送というのはできるわけなんだ。それが特に自衛隊機を要請してきているんですか。そうなれば、一体それはだれがどんな根拠で言ってきているんだろうということは、先ほども情報公開が必要だというふうに言われていましたけれども、やはり国民の前に明らかにすべきではありませんか。
  110. 河野洋平

    河野国務大臣 お言葉ですが、自衛隊もまたその仕事をするための候補の一つであってもおかしくはないと思います。
  111. 松本善明

    松本(善)委員 要請は、自衛隊というふうに限って来ているわけではないんですか。要請の中身は、要するに西ティモールへの避難民に対する物資の輸送でしょう。それを頼んできているのか、要請してきているのか、それともそれを自衛隊でやってくれということを言ってきているのか、どっちですか。
  112. 河野洋平

    河野国務大臣 大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、要請がどこから来たかとかということについては、極めて非公式な打診でございますから、そのことについてはここで申し上げることはお許しをいただきたいと思いますが、先方から自衛隊でやってほしいと明確に言ってきているというふうには私は聞いておりません。しかし、先ほども申し上げましたように、もしそういう物資を運ぶということになれば選択肢の一つであるなというふうに私は考えております。
  113. 松本善明

    松本(善)委員 西ティモールの避難民に対する物資の輸送が求められているということ、これは確認できますね。一応言葉でおっしゃってください。
  114. 河野洋平

    河野国務大臣 そのとおりでございます。
  115. 松本善明

    松本(善)委員 そうだとすると、これは民間機をチャーターして十分できることではないだろうか。外務省のインターネットを拝見しますと、東ティモールの避難民を救援するための物資輸送で、民間チャーター機アントノフ124を使って輸送したということでございます。そういうようにやればいいじゃないですか。なぜ自衛隊の派遣だけが前面に出て検討されるんでしょうか。私はやはり、当然民間機をチャーターして、要請があればそれの費用を出して民間機でやる、これは当然の外交的な態度ではないかというふうに思うんですが、外務大臣、いかがお考えになりますか。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、さまざまな選択肢がある、自衛隊機を使うことも選択肢の一つだということを申し上げているわけでございまして、先方からの非公式の打診によれば、一定期間の物資の輸送ということでございますから、そういう一定期間の物資の輸送というものを行うときにどういう方法が一番いいかということは真剣に考えなければならないというふうに思うわけでございます。
  117. 松本善明

    松本(善)委員 私は、自衛隊機を使うということを軽々に日本外交考えるのはやはり正しくないと思うんです。  といいますのは、例えばアジアの諸国の自衛隊に対する反応というのは決してよくないです。これは、例えば、韓国のマスコミでいえば、東亜日報社の発行の週刊誌「ニュース・プラス」では、「日本の軍事大国化の動きについて、「アクセルは新型だがブレーキがよくきかない自動車を連想させる」という指摘もある」というようなことも言っております。インドの英字紙の「ヒンズー」、これは、「日本を、米国の後見のもとであればアジアで軍事的威力を誇示する用意がある、「普通の国」により近づける。」それから中国、これは人民解放軍の週刊紙「中国国防報」ですけれども、それは「平和維持のための出兵のように、これは湾岸戦争のときのように、一度出したらやめることができなくなった、」「我々は日本の軍国主義の道を歩む人に忠告をする」というような趣旨。三つ挙げましたけれども、このようなアジアの諸国の自衛隊が何でも出てくるということに通じる警戒心というものは非常に強いものがある。  私は、日本アジア外交というのは、やはり戦前の侵略戦争の問題がありますだけに、何でも自衛隊で行くということが真っ先にあるのではなくて、やはり民間機を使って、そして物資の輸送なら物資の輸送、このティモールについての援助をしなければならぬということについては私は全く必要なことだと考えておりますけれども、これをやはりそういう形でやるという検討こそが必要なのではないだろうか。外務大臣に伺いたいと思います。
  118. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返しての御答弁で恐縮でございますけれども、物資の輸送を行うために選択肢があるということは申し上げたとおりでございまして、自衛隊機を使うというのもその選択肢の一つだというふうに私は申し上げているわけでございます。民間機を利用すればいいではないかという御指摘がございますけれども、民間機を使うには使うだけのまたいろいろと条件もあるだろうと思いますし、それは総合的に判断をしなければならない状況というものがあるんだろうと思います。  自衛隊が出ていくというのは、先ほども申し上げましたように、軍事面と申しますか、最前線で武力を持って云々ということはあり得ないわけでございますから、そうしたことは全くもう想定をしている人はいないと思います。そうではなくて、今申し上げましたように、自衛隊も物資の輸送に当たるとか、つまり平和的な仕事に従事するということだって当然あるわけでございまして、私は、そのことを行うことにちゅうちょする必要はないのではないか。  しかし、選択肢が幾つかある中で、もっとよりよい選択肢が、経済的にもあるいはその他のオペレーションの問題でもあるというのであれば、私はこれはもう、自衛隊機を使うということが唯一、これしかないんだということを申し上げているわけではないのでございまして、選択肢の一つとして、これがオペレーションその他考えていいということになれば、自衛隊機も選択肢の一つとして考えていいということを申し上げているわけでございます。  先ほどUNTAETの軍事的な面に参加することは絶対ありませんということは明確に申し上げました。その申し上げた意味は、繰り返して申し上げますが、五原則というものがあるわけでございますから、PKO法の五原則が満たされているということが大前提になるわけでございますから、そういうことを申し上げたということを御理解いただきたいと思います。
  119. 松本善明

    松本(善)委員 私は、外務大臣、PKOの五原則とか、すぐ自衛隊の派遣との関係議論になるという日本外交の姿勢を問題にしているんですよ。北朝鮮の問題でも、我が党は代表質問で申しましたけれども、日本外交は軍事あって外交なし、何でもまず軍事的な対応を考える、このやり方を考えないといけない。  まず、ひとつ具体的にそれではお聞きしましょう。大臣、聞いとってくださいよ。先ほどからちょっとかみ合った答弁がなかなかないので、やはり質問聞いとってもらいたい。  聞きたいのは、民間航空機をこの問題で検討したことがあるかどうか、どこかチャーターしようとかいろいろなことがあるかどうか、これが一つ。  今度、西ティモールですね。東ティモールの問題ではありませんよ、今西ティモールへの物資輸送の問題ですから。西ティモールで軍隊でなければ活動できないような情勢になっているのかどうか、この辺は大臣はどう把握していらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  120. 河野洋平

    河野国務大臣 民間機を使うことがいいかどうか検討したことがあるか、チャーター便を使うということを検討したことがあるかどうかという御指摘でございますが、先ほどからこれも繰り返し申し上げておりますように、現地に参りました調査団の報告書というものを十分じっくり検討をして、どういう対応がいいか、どういうオペレーションが最も適切かということを考えるという状況、今その段階だというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
  121. 松本善明

    松本(善)委員 もう一つ、軍事的な情勢が、軍隊でなければ活動できないような状態に西ティモールはなっているのかどうか、そこの情勢はどう把握しているのかということです。
  122. 河野洋平

    河野国務大臣 西ティモールの状況は比較的安定をしているというふうに聞いております。
  123. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣、時間にもなりましたので、これで終わろうと思いますけれども、これは、私、二日前に外務省の方に、この問題で聞くぞということを言ってあるわけですよ。それにしては、外務大臣、この問題についての把握は非常に弱いんではないか。答弁の御様子をうかがっておりましても、いろいろ後ろからメモが来たり、そういうことでないようにしようというのではないでしょうか。やはり、外交について外務大臣が責任を持って、ティモール問題ではどうするんだということでなければならぬというふうに思うんです。  それで、外務省調査結果についても、自衛隊のことばかり書いてあります。自衛隊を派遣するのは可能かどうかということばかりですよ。やはり、それが選択肢の一つだと言うならば、物資の輸送を頼まれている、要請されていると言うならば、当然のことながら、民間機はどうするのか、その条件はどうなのか、検討されなければならない。こういうことが、日本外交がゆがんでいる、アジアからも警戒をされるという、やはり私どもが再々今いろいろなところで申し上げておる軍事あって外交なしという状況ではないか。私は、外務大臣がこの機会に、東ティモール問題のみならず、日本外交のあり方について厳しく再検討されることを強く要請して、質問を終わりたいと思います。
  124. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤茂君。
  125. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 最初に、大臣と総括政務次官に意見を申し上げまして、一言御所見を伺いたいと思います。  河野大臣は、自社さ連立内閣当時の外務大臣でございました。村山内閣でしたか、私も当時は与党の一員でございましたから、特にあの沖縄での不幸な少女暴行事件が起きる、地位協定の問題、それから後をどうするのか。幸いにして当時、ペリーさんとかモンデールさんとかいろいろ御相談させていただきましたので、いろいろなことを懐かしく実は思い起こすわけでございます。当時の大臣の御活躍について、いつも百点満点をつけていたわけではございません。これは党が違いますからやむを得ないことでございまして、今、自自公という三党の時代のまた外務大臣に御就任になりました。  正直申しまして、村山内閣当時、それから今、国際情勢の変化もございますけれども、さまざまな意味で、外交戦略と申しましょうか路線と申しましょうか、対応の仕方など随分違いがあるというふうに私は認識をいたしております。ただ、個人的には、尊敬する、また地元の先輩としての大臣でございますから、やはり変わらざる見識を持って、また、よき平和主義者として、日本の憲法にふさわしい御努力をなさっていただきたい。自社さの外務大臣、自自公内閣の外務大臣という立場での御所見をまず伺っておきたい。  もう一点、外務大臣に伺いたいことは、先ほど同僚議員の質疑の中にございました国連での新アジェンダ連合の決議に関する対応の問題でございます。  先ほど大臣から、いろいろと考えて御判断をしたというお話がございました。その問題につきましての昨日付の林大使の我が国の投票説明という文章も、今、手に入れまして読んでいたところでございます。  十八の共同提案諸国の熱意を評価するということを前に置きまして、そして現実的で具体的な措置を通じてステップ・バイ・ステップで進んでいくべきであるというふうに我が国は思う。いら立ちから近道を探ろうというんではない方がいいんではないかということで、真剣に検討した後、日本は棄権することを決定した。なお、二〇〇〇年、NPT再検討会議が成功裏に成果を出すために、国連加盟国、とりわけ核兵器国に対して強く求めたいという趣旨が書いてございます。これが、大臣も御説明になりました現政府の態度だろうと思います。  ただ、私はちょっとニュアンスが違う。アメリカCTBT批准否決という事態がございました。いろいろ伺いますと、現クリントン政権のうちはもう無理だろうと。この間ペリーさんが新聞にちょっと言っているのを読んでおりましたら、やはり次期政権か、大統領選挙が終わった後、次の時代に再上程してどうするかしか道はないだろうと。  ただ、その間にABMの問題とかいろいろな問題があるのは事実でございまして、歯車が逆に回ったらこれは大変なことになる。来年、二〇〇〇年のNPTの会議がどうなるのかということが問われるというわけでございまして、やはり、この際、さまざまな努力我が国はしなければならないというのが今置かれた立場ではないだろうか。  アメリカの上院の否決のときに河野大臣がお出しになりました談話も拝見をいたしました。結構な中身だ、国民感情を反映している中身だと私は存じております。しかし、いま一歩、何かやはり決意を示すということがあるのではないだろうか。  そういう状況がありますから、新アジェンダ連合の決議、提案、昨年に比較をして日本ももっと受け入れやすいように幾つかのところをソフトにしてという御説明も、関係者からお話も伺いました。さまざま現実的な努力をしている。それから、一方的に核所有国に対する抗議あるいは反対という態度だけではいけないということも、関係者から、その提案にかかわる方々からも伺っているということでございます。  また、新聞を見ましたら、マクナマラ元国防長官、私は、ベトナム戦争が終わった後のハノイにおけるベトナム対話とか、やはり立派な人だと思ってあの方の活躍ぶりを見ておりますし、回顧録を読みましても相当正直なことをお書きになっているというふうに思うわけでございますが、もっとやはり日本自身の意見と判断をすべきではないかという趣旨の御発言を最近なさっているというふうにも伺っているところでございます。  また、新聞を読みましたら、中曽根元首相が、西村発言などの誤解を生まないためにも、世界に対する誤解を解消するためにも、やはり非核三原則を改めて堅持する決議を国会でやるべきではないかという御発言をどこかでなさっているということも拝見をいたしました。  ですから、大臣の御説明、それから林大使のこの投票説明、それはそれなんですが、今置かれている状況からすると、いま一歩、やはり被爆国として、それから世界に核廃絶の声を大きくやるという立場において、何も日米関係をぶっ壊せなんということは言いませんから、そうでない範囲で努力が必要なときではないだろうか。そのための何らかの行動というものをやはり政府、特に河野外務大臣、御苦労いただいてやられるべきではないだろうかと、先ほど来の経過を伺っても実は思うわけでございまして、これが第二点でございます。  それから、政務次官には、今まで長いこと同僚外務委員会メンバーとして個性的な御発言をいつも伺っておりましたが、やはりこういう状況で、しかもいろいろな意味で日本外交姿勢が問われる、ミレニアムか新世紀か、いずれにしても大事なときですから、やはり河野大臣の、任務上もそうですが、よき補佐官として、補佐役として、また、よりよき平和国家政策政府が展開するために汗を流すという役割であってほしいというふうに思いますし、同じ党の御出身でございました、更迭されました前防衛庁政務次官などについても、自分はこういうことでしたいというお気持ちがあるのではないかと思いますが、そのことを伺っておきたいと思います。
  126. 河野洋平

    河野国務大臣 伊藤議員から丁重な御質問をいただきまして恐縮をいたしておりますが、かつて外務大臣を務めておりましたときと今とでは、御指摘のとおり、国際情勢が相当大きく変わっております。日本外交のスタンスというものは、私は、そんなに変わるべきでないし、変わっていないというふうに実は思っております。日本がとるべき態度、姿勢というものはしっかりとした軸というものを持ってやっていかなければいけないわけでございまして、それは私自身、信念を持って臨みたいというふうに思っております。  前回外務大臣を務めましたときには、村山総理の御指導もと外交政策を進めてまいりました。あの当時もなかなか難しい時期でもございましたし、それから、ちょうど戦後五十年という節目のときでございましただけに、この節目でアジアの国々あるいは世界に対して日本考え方といいますか態度というものをはっきりさせようということで、総理以下大変御苦労、御苦心をなさいまして五十周年の談話というものをお出しになった、あのときのことを今でもはっきりと覚えております。あの談話、あの精神は、それから後の歴代内閣が引き継いでおられるわけでございまして、私もあの談話の気持ちというものをしっかりと持ちながらやっていかなければいけないというふうに思っているところでございます。  国連の決議に対する態度は、先ほども赤松議員に申し上げましたとおりでございまして、私なりにいろいろな思いがございましたから、この決議にどう取り組めばいいかということを相当深刻に考えました。  それは、私自身の思いというだけではなくて、今御指摘のとおり、来年はNPTの見直しの時期でもございますし、それから米ロ間にいろいろな交渉が進まなければならないというふうに私は思うものですから、そしてさらに、CTBT批准否決という事態がございましたので、ここは何か我々がやるべきことがあるのではないか、ここできちっとしなければいけないというふうにも思ったわけでございまして、山本政務次官に急遽アメリカへ飛んでもらってオルブライト国務長官に会ってもらったのも、実はそういう気持ちからでございます。  その後も、アメリカを初め各国のこの問題に対する態度その他を国連の現場、議場の現場にいる人間からいろいろ報告を聞きまして、さらには、さっき申し上げましたように、文案の修文がどこまでできるかとか、いろいろなことを考え作業はいたしましたけれども、決議案に対する投票態度は最終的に私の責任で棄権ということに決めました。これについてはいろいろ御批判もあるいはあるかと思いますけれども、さっき申し上げましたように、今後の究極的な核廃絶という我々の目指す目的にじりじりと近づいていきたいという気持ちがあることはぜひ御理解をいただきたいと思います。  さらにもう一点、まさに伊藤議員から指摘をされたのは、私にとって大変痛いところを指摘されたわけで、それではおまえ、何かシナリオがあるか、どうするんだ、どういうことが考えられるのかと言われますと、そこは大変痛いところでございまして、正直、今の私の感じは、靴の裏から足の裏をかいているという感じがしないでもないのでございまして、もっと直接的にかゆいところ、痛いところをがりがりっとかきむしりたいという気持ちはございます。  しかし、そのことが目的を果たす一番の近道かどうかということを自問自答しながら、何とか、日本国民的悲願とでも申しましょうか、また、だれが考えても核戦争に勝者はいないわけでございますから、世界の人々の願いというものを踏まえて究極的な核廃絶に向けて日本が少しでもイニシアチブをとっていく、そのためには今何をすることが一番いいのかという答えをこれから先も求めていきたいというふうに思っているところでございます。
  127. 東祥三

    東政務次官 初めての答弁の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  日ごろから伊藤先生には大変外務委員会で御指導を賜りましてありがとうございます。これからは、答弁するという立場で、また外務大臣を補佐するということで、いろいろと御指導賜れればと思います。  言うまでもなく、外務総括政務次官になる前まで、あるいはまた、前回の政務次官になる期間を除くと二百数十回私は質問しております。当然、あるときは公明党の議員として、そしてその後は自由党の議員として、そしてまた、その前に新進党の議員として、そして一政治家として、外交、安全保障に対しての自分自身の信念、あるいはまた党の考え方、それを踏まえた上でいろいろ発言をしてまいりました。当然、一政治家として、政府とは異なった考え方、あるいはまた国民の多様化する意見を反映してそういった考え方を議論していくことは極めて重要なことであり、また今後ともやり続けていかなければならない、そういうことなのだろうと思います。  ただ、十月の五日に、すべて今までの発言を踏まえてくれた上での総理からの外務総括政務次官就任の声をいただき、また、現外務大臣であります河野外務大臣に対しても、前回の外務大臣のときにもいろいろなことを私は言ってきた人間として、それを快く受け入れてくれて、そして政府の一員になりました。政府の一員というのは行政の一員でありますから、小渕総理また外務大臣の命を受けて、外交、そしてまた安全保障の問題に対して一致団結して、日本の国益を考え、あるいはまた国際社会における位置づけを考えながら職務を全うしていきたい、伊藤先生が言われたとおり、外務大臣を補佐できるように全力を賭して闘っていきたい、このように再度決意をいたしている次第でございます。  第二番目の、西村先生の、前防衛政務次官辞任の問題でございます。  結論はともかくとして、我が同志であり、また友人でありました西村先生の去就、出処進退の問題に関しては、西村先生自身がお決めになられたことであり、それに対して私がとやかく言うことではございません。  問題は、西村さんが言いたかったことは何かといえば、安全保障の問題というのはタブーを排した形でもって議論していかなければならない、とりわけ安全保障の究極の課題は何かといえば、国民の生命と財産を守るという政治家として常に追求していかなければならない問題である、その一点なんだろうというふうに思います。日ごろから彼と話をしていて、そういうことを感じる希有な政治家であると私は思っております。  ただ、今回のあの雑誌における、発言する場所、あるいはまた表現、そういったものが一気呵成に、彼に対して個人的に何の恨みもない人であったとしても、私憤を交えたかのように言っていることに対して、私は別の意味での気持ちを隠すことができません。私は心から、西村前防衛政務次官が決して、彼自身の国に対しての、また国民の生命と財産を守っていくんだというその意思、これが失われるとは思いませんけれども、今後ともその意思を貫いていただけるよう、心ひそかに願っているうちの一人でございます。  以上でございます。
  128. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 お気持ちは伺いましたので、これから当委員会でいろいろな議論を、国会改革の趣旨にふさわしいように議論していきたいというふうに思います。  二つ目に伺いたいのは、北朝鮮の問題でございます。  この問題がさまざま新しい局面が今広がってきているという御認識も先ほど伺いましたし、私もそう思います。それから、この間ロシアに参りましてロシアの外交委員長と会話をしましたら、日ロ問題のほかに、やはりアジアあるいはアジア太平洋規模での共通の安全保障という大きなテーマをもっとお互いに真剣にやらなくちゃならぬ、そのためにはやはり朝鮮半島の問題も打開しなくちゃならぬという趣旨については全く共鳴しますというふうなことでございました。先週の土曜日に、日韓・韓日議員連盟合同会議がございまして、そのときの分科会などのさまざまな御発言もそういう趣旨がみんな共通しているというときでございました。  何かやはり新世紀に向けて、そういう時代を具体化するというときではないかと思います。問題は、そこに向けてどう、知恵のある、あるいは注意深いか、そしてまた場合によってはやはり決断をしなくちゃならぬというテンポをどう進めるのかということだと思います。  私は、前から持論なんですが、この問題につきましては、非常にデリケートな配慮も必要とする、また決断も必要とする問題ですから、四つのことがパラレルで並行して進む。文学的に言いますと雁行という言葉を使うのですが、カリの列のように、何か気流の関係でちょっと乱れてもすぐにきれいな列になるという形が望ましい。  その一つは、四者会議といいますか、四国の協議の問題、南北、それから米朝、それから大事な日朝、これがほぼ並行してか、なるべく並行して進むということが非常に大事だ。そうでなくて、例えば米朝だけがえらく先行しますと、韓国の方にも疑心暗鬼が出る、何だという声が出るというようなことになります。  やはりそのところを特に、そういう進め方を日米韓、それから、やはり大事な影響、あるいは北に対するアドバイスなどを最近特にやっていただいている中国ももちろんありますから、日米韓中国、よく意思統一をし、意見交換をしながら、その四つが並行して進むような外交努力というのが進行上非常に大事なことではないだろうかというふうに思います。  そういう意味では、現実問題として米朝がえらく先行している。それはアメリカ考えもあるでしょうし、戦術的に北朝鮮側の方がそこにすべて集中しているといいますか、その状況もあるというところからそうなっておりますが、さらにそれに対して韓国側のいらつきもありますし、それから、日本がおくれているということに対して、日本ももうちょっとという声がアメリカからもいろいろ出るというのも事実になるわけであります。  そうなりますと、今と申しましょうか、このしばらくの間と申しましょうか、あるいはこの一、二カ月の間と申しましょうか、さまざまな条件がございますから期間的に一概には言えませんが、何か、今かこのしばらくの間のうちにどう進めるのかということを、やはりもっと知恵のある、エモーショナルな、ミサイルが来ればエモーショナルになるのは当然かもしれませんが、エモーショナル側面だけの国民性ではなくて、もっと注意深い、知恵のある、先々に対して展望のある、そういう合理性を持った判断、それから行動というものが求められている時期ではないだろうかというふうに私は思うわけであります。  そうなりますと、窓口を開く、やはりオープン・ザ・ウインドーをやりませんと、それはなかなかうまくやれない。例えば拉致問題なんかそう思いますね。私ども、一昨年の秋、自社さの与党三党で参りまして、目を三角にして大論争をいたしまして、その上でどうするかという詰めの議論をいたしました。それで、そのときには知恵を絞って、行方不明者の調査をやりましょうと。ところが、その後ちょっととげとげしくなると、あんなものはみたいな話になっちゃうんですね。ですから、何か糸口をつけてそれをどう広げていくのかという努力、さまざまな個性を持ったお相手の方々とやることですから、それが必要ではないだろうかというふうに思うわけでございます。  そういう意味でいって、ペリーさんの御努力とか、あるいはベルリンでの御努力とか、今さらに進められつつある努力とかいうものの中で、やはり間もなくか今か、少なくともこのしばらくの期間のうちに進められていく、何かそういうことにつきまして、与党間は当然でしょうが、与野党間でも、あるいは国民に聞こえるように、あるいはさまざまな有識者にも話をしてやるというようなことが求められている。  そういう中で、時々話題になります村山代表団、これもこれから日朝国交正常化戦略を考えましたら、やはり戦後の問題、未来志向の問題を含めまして、どうできるか。これは大変なことだと思いますよ。その糸口のドアをどう開けるのかということにもなるわけですから。何か、時々ある友好訪問とかイベントのようなことでは政治の責任は果たせないのではないだろうかというふうに思いますが、具体的なさまざまなことは別にいたしまして、今この時期でのお考えとか姿勢の置き方についての率直なお気持ちを伺いたいと思います。
  129. 河野洋平

    河野国務大臣 伊藤議員がおっしゃいましたように、北朝鮮との間の窓口と申しますか、話し合いというものは、アメリカは、米朝協議という言ってみれば非常にオーソドックスな協議が既に始まって、この十五日にはアメリカのカートマンと北朝鮮のしかるべき人との会談が行われるということがもう既に予定されております。また韓国は、民間実業家によるいろいろなパイプがございまして、これもまたそれなりにいろいろな情報の行き来をもたらしているように感じます。中国中国外交の責任者が訪朝をするというようなことがございました。  それに対しまして、日本はどうも今のところそうした動きが途絶えているわけでございます。いや、全く途絶えているわけではございませんけれども、何か、今議員がおっしゃったように、窓をあける、窓口をつくる、そういうことが大事な場面であると思います。  お話にありました村山訪朝団については、私ども外務省がこのことについてとやかく言う立場ではございませんが、しかし、実現されれば、私どもは、それが今まさに伊藤議員がおっしゃる一つの窓口となる可能性がそこに出てくるのではないかという期待はしていることは事実でございます。  しばらくの間——しばらくの間というのは、過去数年間を見てみますと、韓国の態度は相当変わってきているように思います。したがって、韓国自身も、大統領のいわゆる太陽政策というのでしょうか、包容政策というのでしょうか、ああいう非常にはっきりした政策というものを持っておられるし、そして日本に対してもアメリカに対しても、どうぞ北といろいろおやりくださいということを非常にフランクにおっしゃるという状況に今どうもなっているように思います。  先ほどからお話がございましたように、北側にもそれと受け取れる動きも御発言もあるわけですから、今、日本としても、こうした動きが出てくればそれに注意深く対応するということが大事だというふうに私は思っております。
  130. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう時間でございますから、また次回にさせていただきたいと思いますが、私は、今度の国会のあり方の改革につきましても賛成であります。  特に外交は、昔は、政府と昔の社会党と、安保、自衛隊といえば相交わらざる対決の構図という、目を三角にする、永久に平行線という時代がございましたが、ベルリンの壁から十年という記念すべき、きのうもテレビで見たのですが、ポスト冷戦の時代というのは、そういう昔の枠組みではなくて、お互いに同じテーブルで、同じ土俵で真剣な議論をしながら、国の将来を、何かコンセンサスをつくるというのが政治のとるべき姿勢であろうというふうに思いますし、さらにそういう意味での議論が深まるように私どもも努力してまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 井奥貞雄

    井奥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会