運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-11-10 第146回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 仲村 正治君    理事 石破  茂君 理事 実川 幸夫君    理事 菅  義偉君 理事 森田 健作君    理事 高木 義明君 理事 玉置 一弥君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       木村 隆秀君    久野統一郎君       栗原 裕康君    坂本 剛二君       中馬 弘毅君    中野 正志君       望月 義夫君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    渡辺 具能君       奥田  建君    鍵田 節哉君       佐藤 敬夫君    中山 義活君       永井 英慈君    前原 誠司君       石田幸四郎君    倉田 栄喜君       岩浅 嘉仁君    松浪健四郎君       寺前  巖君    平賀 高成君     …………………………………    運輸大臣         二階 俊博君    北海道開発政務次官    米田 建三君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 十一月十日         辞任         補欠選任   木村 隆秀君     吉川 貴盛君   今田 保典君     中山 義活君   岩浅 嘉仁君     松浪健四郎君 同日         辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     木村 隆秀君   中山 義活君     鍵田 節哉君   松浪健四郎君     岩浅 嘉仁君 同日         辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     今田 保典君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  海上保安に関する件     午前十時三分開議      ————◇—————
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として運輸省鉄道局長安富正文君及び同航空局長岩村敬君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 仲村正治

    仲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田左エ門君。
  5. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 大臣、おはようございます。そして皆さん、おはようございます。  大変困難な日本国の危機的な状況、これを何とか切り開いていこうというこの国会、その名も中小企業思いをかけてということでありますが、こんな状況の中で、二階大臣、最初からこれに立ち向かい、運輸行政のリーダーとして御努力がいただける場面を心から御期待申し上げたい、そのように思いながら質問を少しさせていただきます。  初めて大臣あるいは政務次官からじかに答弁がちょうだいできるというこうした折に質問の機会を授かりますこと、心から感謝を申し上げさせていただきます。  まず第一に、日本の空の玄関、空港整備についてお伺いいたします。  成田空港問題は、平成十一年九月三日に二千二百メートルの申請で一応暫定決着か、羽田はこれまた去年、C滑走路民間航空路、これの便数割り当て大変難儀をしたやりくりを見ますと、成田も大方いっぱいかな、B滑走路の一部を手入れすることによって少しはやりくりがつくと伺ってはいますけれども。  こうした中で、東京湾メガフロート構想というのが今私どもに聞こえてまいります。首都圏空港との関係の中で、もしも設置されていくとした場合に、このメガフロートの役割は成田羽田というかかわりの中でどんな意味合いを持って設置されるのか、まずこれをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 二階俊博

    ○二階国務大臣 吉田委員にお答えいたします。  羽田空港は、御承知のとおり、国内需要の増加から二十一世紀の初頭には恐らくその能力の限界を超すだろうという予想がなされておりますために、首都圏空港につきまして、運輸省としては平成八年度から海上中心調査を進めておるところであります。航空機の騒音問題、これをどう解決するか、そしてアクセスの利便を含めて首都圏航空拠点としての視点から首都圏空港考えていかなくてはならないと思っておるわけであります。  お尋ねメガフロート活用につきまして、私もなかなかそのチャンスに恵まれませんでしたが、先般、時間を都合しまして横須賀メガフロート実験場へみずから行ってまいりました。周囲の期待にこたえて関係者等相当奮起して頑張っていただいております。  メガフロート空港への利用の可能性につきまして、御承知のように現在調査が行われておるところでありますが、首都圏空港としての活用については、今後の首都圏空港の位置の選定とあわせて、当然埋め立てを含めて構造上の検討をしてまいります際にメガフロートは大いにその一つの対象として考えてまいりたいというふうに思っております。  なお、平成十年度からは民間において、今申し上げました横須賀沖に一キロメートル、そして幅が六十メートルの浮体空港モデルを建設し、実験調査を行っておるところであります。安全基準策定等メガフロートの円滑な導入のための環境整備を今行っておりまして、平成十二年度の予算要求の中に経済新生特別枠二億円を要求いたしまして、これらの問題に対して積極的に対応していこうと考えておるところでございます。
  7. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 御丁寧に御説明いただきましてありがとうございました。  さて、大臣着任早々首都圏第三空港に関連して静岡福島という御発言がございました。これは、東京周辺に集約される空港をもっと大きな視野でとらえて解決していこうという大臣運輸行政にかける思いが強く感じられて、周辺地方空港を持つ自治体は、こぞって期待を強くさせていただきました。  我田引水でありますが、我が新潟空港おかげさまで二千五百メートル滑走路整備させていただきました。ビッグバードと言うにはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、地方空港としては他に類のない先端機能整備を整えた空港ターミナルビルをつくらせていただいております。三十五カ国にも及ぶ乗り入れ待ちの国々に、ここのところを少し手入れすると、地域バランスも見ながら、日本海側でのよいそれらの受け皿になれるのかな、そんなふうに考えております。これは私のひとり言になりますが、もう五百メートル、引き続き滑走路を延長したらよいのにな、そんな思いがいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。仲間は持つべきです。  さて、大臣、少しこのことをPRさせていただきますと、現在、新潟—東京間は一時間三十七分でおかげさまで行き来ができます。そして、大宮からは飛行場まで一時間四十五分、高崎からは一時間三十五分、いろいろとエアポートセールスをさせていただいたものですから、北関東、特に高崎、そして今度は高速道路新幹線も長野へ届いているものですから、あの辺では徐々に新潟空港のことをマイエアポートという、そんな感じが浸透しつつある、このように私は感じています。  なお申し上げますと、細かくは避けますが、ハバロフスク、イルクーツク、ハルビン、上海、西安が二便とか、グアム二便、ホノルル一便とか余りにもお客で混雑するものですから、この十月三十一日からはソウル便が週五便にもなります。結果として、成田、関空、名古屋、福岡に次いで全国第五位の国際定期路線を持つ空港という位置づけでございます。  首都圏空港需要の一部を補完する空港としてこれを位置づけることに、今の私の雑駁な説明ですけれども、大臣の御感想をひとつお聞かせをいただければと思います。
  8. 二階俊博

    ○二階国務大臣 現在、運輸省では、第七次の空港整備七カ年計画に基づきまして、海上中心とした新たな拠点空港の建設を前提として、総合的な調査を進めておりますことは委員承知のとおりであります。  首都圏空港整備されるまでに相当の年数を要することでありますから、当然それまでの間、例えば福島空港、例えば静岡空港ということを私は申し上げてまいりました。現に福島須賀川空港は既に国際空港の様相を呈しておりまして、成田が満杯でチャーター便等が着陸できない、その際に、どうしても受け入れをその周辺でということになりますと、当然今は福島空港になるわけでございます。(「仙台もあります」と呼ぶ者あり)もちろん、仙台はもう既に有名な空港でございますから、仙台仙台として独立したような空港で、国際空港でございます。  そこで、当然、今吉田委員指摘新潟空港は既に二千五百メートルの滑走路を有しておられる、今日までの関係者の御努力に対して、私は改めて敬意を表したいと思うわけであります。  上越新幹線などのアクセス確保されておりますために、首都圏空港整備されるまでの間、私は、首都圏北西部航空需要の一部を分担していくことが大いに期待されるであろうというふうに思っておりまして、吉田委員の御指摘に対して同感の意を表しておきたいと思います。
  9. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 大変ありがとうございました。  引き続きでございますけれども、大臣新幹線整備に殊のほか御造詣が深い、このように漏れ伺っております。そんな思いから、過日開催されました新幹線在来線の直結を検討している運輸省新幹線直通運転化調査委員会、ここでは羽越本線など七線を指定したという記事を見ました。新幹線はすべて十年間で完成するとさきの自由民主党の全国政調会長会議亀井静香政調会長が発言され、もとより新幹線は投資した公共事業費を全額回収できる有力な公共事業であると私は信じています。すべてが平成二十一年度に同時開業されたならば、平成五十八年度には全額回収されるという私の友人の調査によるシミュレーションも理解をさせていただいております。  こうした中から、これからフリーゲージトレーン導入によって、我が新潟—酒田、あるいは大臣の地元の大阪—和歌山とか七項目あるわけですけれども、新幹線が延長をされると、さきに申し上げた五十八年には全額回収できるというこのシミュレーションの上に、よき効果を増すことができるのではないかなと想像をしているわけです。調査委員会での今後の調査の結果によるものと考えられますが、現時点において、これらについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  10. 二階俊博

    ○二階国務大臣 フリーゲージトレーン活用についてのお尋ねでございますが、まず新幹線については、大変要望の強い、熱心な、県を挙げてこれに取り組んでおられる地域がたくさん残っております。それについて、先般自自両党の協議におきまして新幹線早期完成に向けて大いに努力をしていこうということをお互いに誓い合ったわけでありますが、その新幹線の未着工区間にも、恐らく今後とも新幹線による開発ということは難しいと思われるような地域に対しても、やはり国土の均衡ある発展という観点から、大いに期待を持っていただいて、新幹線在来線との直通運転ができるというこの画期的な技術開発効果をそれぞれの地域に均てんしていく、これが運輸行政としても大事なことではないかというふうに考えている次第であります。  そこで、既に御承知のとおりでありますが、あの山形新幹線のいわゆるミニ新幹線で四十二分、東京からの時間を縮めてございます。さらにまた、秋田新幹線で四十八分縮めてございます。この両新幹線は今日の不況の時期にあっても営業成績は相当上がっております。それらのことを考えますと、フリーゲージトレーン活用によって、それぞれの地域新幹線直通運転ができるということがもし可能ならば、私は大いにこれを進めていかなくてはならないというふうに思っております。  実は、アメリカコロラド州、デンバーのすぐ近くでございますが、そこでフリーゲージトレーン実験を行ってもらっております。行ってもらっておるというのは、アメリカ民間実験場で、日本から車両を持っていってそこで実験していただいておるわけでございます。アメリカの民謡で有名な「コロラドの月」というのがありますが、そのまさにコロラドの月の光のもと、夜間も休むことなく、将来にわたっては六十万キロを実験する必要があるということで、今アメリカでやっておるわけです。私もそれに乗車してまいりましたが、二百二十五キロを記録するところまで実験線は成功いたしております。恐らく、技術関係者の意見を総合いたしますと、三百キロは優に達成できるであろうというふうに言われております。  このような状況でございますので、今委員からも御指摘のとおり、平成十一年度から二カ年間の予定で、今後の高速鉄道網の一方策として、お話のありました羽越本線新潟—酒田間を含め、新幹線直通運転化事業について、収支採算性、費用対効果及び経済波及効果等も含めて将来の事業化可能性調査してまいりたい。  しかし、ただ調査をしているというのではなくて、着工に向けて、実現性に向けて、大いに取り組んでいきたい。その運輸省の意気込みは、第二次補正予算におきましても二十七億円の要求をしておりますところをぜひ御理解いただきたいと思いますし、同時に、応援もお願いしておきたいと思います。  このように、新幹線直通運転化事業を進めていくためには、まずはそのフリーゲージトレーン技術開発、これが必要であります。先般も国際的な鉄道技術者の総会が立川で開かれたわけでございますが、その際にも、世界の鉄道技術トップレベル皆様方から大変な評価をいただいております。一層自信をつけて、この成功に向けて努力をしてまいりたいと思いますので、関係の沿線の議員の皆様には一層お力添えを賜りたいと思っておる次第であります。
  11. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 終わります。ありがとうございました。
  12. 仲村正治

    仲村委員長 次に、倉田栄喜君。
  13. 倉田栄喜

    倉田委員 公明党の倉田でございます。  二階新運輸大臣の果敢、果断な実行力期待をしながら、質問をさせていただきたいと思います。  さて、先般の大臣のごあいさつの所信等をお伺いしながら、大臣は、特に安全性確保運輸安全戦略会議を設置するなど、安全性確保を重視されながら施策を進めていかれるように拝聴いたしました。  そこで、きょうは少し時間もなくなりましたので、安全ということを中心にしながらお伺いをさせていただきたいと思います。私が最近読みました「鉄道員」それから「沈まぬ太陽」、この二つの読み物を読みながら思うところがありました。  「鉄道員」の方は、これは映画にもなりました。私は映画の方は見ておりませんけれども、あの文章の中で、いわゆる雪の中の列車というのか、汽車に対して主人公が敬礼をして送る、この一文のところを読みながら、今はどうであるかわからないけれども、かつての鉄道に従事する方々の安全に対するその崇高な使命感というのか、あるいは、いわゆる人の生命を預かっているのだという思いがあの敬礼をする一つ文章の中に凝縮されていたように私は思いました。  今、この鉄道運輸に従事する方々職場というのは、安全に対する訓練とか思いとか、そういうものはどうなっているのだろう。これは、決して運輸に従事する人たちだけの問題ではなくて、我が日本国の問題として、いわゆる職人的意識であるとか、その職場が持っている機能性使命というものはどういうふうに伝わっているのだろうか。かつては先輩から後輩に対して厳しい訓練があったのだと思いますけれども、今果たしてどうなっているのだろうかなと、あの「鉄道員」の一文を見ながら強く思ったわけであります。  一方で、「沈まぬ太陽」という本も、またこれも読み物として読みながら、そこでは一つ個人使命感とか安全感とか、あるいは現場が一生懸命に安全に対する思いを持ちながらも、前段の「鉄道員」の方でそれはどうなっているのですかという問題意識を持ちながらも、一方で、そういうことが仮にあったとしても、今度は組織自体がどうもそれを妨げるような組織機能になっているような、あそこに書かれている病理的なおぞましい部分はともかくといたしましても、いわゆる組織体機能として個人使命感とか安全に対する強烈な自負心というものを妨げるようなことになっていはしないか。「鉄道員」と「沈まぬ太陽」を読みながら、私は強くそういうことを思いました。  そこで、大臣は、運輸安全戦略会議を設置して安全ということに対して総合的に検討をし、施策を講じていかれるということでございます。その中に、いわゆる運輸に携わられる方々安全意識あるいは自負心使命感、そういうものをどういうふうにして育てていくのか、そういう部分。確かに今まで、国営から民営に移って、それぞれ民の自主的な努力の中でやられていることだとは思いますけれども、果たしてそれだけで十分なのかどうか。今現実、この運輸輸送という仕事に携わっておられる方々の安全の意識、あるいは職業としての訓練教育、それをどうすればいいのかということについて、まず大臣に、今その部分についてどういう御認識なのか、そして、その御認識もとにして、これからどうしていけばいいのか、その点についての御認識とお考えをお聞きできればと思います。
  14. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま倉田委員から、「鉄道員」、「沈まぬ太陽」、最近大変注目を浴びておりますそうした著作から引用されましてお話がございました。私も、いずれも同感思いをいたしております。  私は、就任早々、官邸での記者会見の際にも、運輸行政の要諦は安全が第一だということを申し上げました。その当時はJR西日本事故も、小さいのは幾つかあったかと思いますが、目立つような大きなものはまだなかった時期でございます。私の念頭には、東海村の原子力の事故、これを他山の石として、我々運輸行政の中にも東海村と同じようなミス、あるいはなれからくる怠慢、そういうことがあってはならないという思いから、安全について大いに努力をしていかなくてはならないと。  時間と競争する仕事であると同時に、特にJRの場合は民営化をして、企業のコスト、そして収益を上げるということにそれぞれ力を注いでいることには間違いありませんし、同時に、株式上場等を目指しますときに、当然その利益がどうだということに重きを置かれることは、これは自然の成り行きのようなものでございます。しかし、それだからこそ安全の問題をなおざりにしてはならないということを、私は、運輸関係皆さんや三万七千の運輸省職員全体にその考えが及ぶように申し上げてまいりました。  そこで、早速、ただそれを会見で申し上げただけではなくて、運輸省事務当局とも相談いたしまして、梅崎事務次官をキャップにいたします今御指摘安全戦略会議を設置したわけでございますが、それと並行して次々にJR西日本のああいう事件といいますか事故が発生したわけで、私は新幹線非常事態だということを申し上げて、これらに対する基本的な立場に立ち返って一から出直すぐらいの気持ちを持ってやるべきだと。  私は、当然そうした工事あるいはトンネル問題等については素人でございますが、素人でも素人なりの考えがある、そういう思いから、先般も私自身、作業車に乗ってトンネルの中をずっと見てまいりました。それだけではなくて、朝、始発が出発する直前にもう一度点検をするための確認車というトロッコのようなものを、前に三人、後ろに三人乗れる程度のそういう列車をどこのJRでも出しておるわけでございますが、私もそれに乗せてもらいまして現場確認してまいりました。朝三時四十分ぐらいに出発して、両方から行き来して検査をやっておる実態、それから一つ一つ点検している実態等も見てまいりました。  そこで、私は、JR幹部にも申し上げていることは、これからはトンネルの中の点検だとか確認に際してJR幹部も参加してやるべきだ、同時に運輸省も、ただ警告書を出したりそういうことだけではなくて、今申し上げた非常事態に対してみずからも現場に赴いて対応すべきである。したがって、今運輸省運輸局のそれぞれの担当者現場に赴いて、今一緒になって問題の解決、原因の究明に取り組んでおるところでございます。基本的に、今倉田委員指摘のように、私は安全の問題というものは何よりも優先すべきものだというふうに考えております。  したがいまして、先ほど申し上げましたが、運輸省のそれぞれの職員、すべての職員を総動員すると同時に、運輸省関係会社は大体二十万社ございます。そのうち、特に安全に関係があるのは十七万社ぐらい、こういうことでありますが、いずれにしましても、二十万社の関係者、そこに働く人たち、三百五十万人と言われておりますが、すべての皆さんの御協力を得て、安全についての徹底した出直し、認識に対して反省の上に立って再スタートを期したいというふうに考えている次第でございます。
  15. 倉田栄喜

    倉田委員 今大臣からもお答えをいただきましたけれども、私の問題意識のまず第一は、輸送業務に携わる方々お一人お一人の安全に対する使命感責任感、そのお一人お一人の目が、システムとしての安全、機能としての安全体制が万が一抜けたときに、お一人の目がそれを防止する、そういうことはあり得るわけであります。その最後の防止策だと思うのですね。  そうしますと、この業務に携わる方々の安全に対する責任感使命感というのがどういう形で、これから従事される方々あるいは今おられる方々に、機能、醸成されていくだろうか。そこに対する教育訓練というのはそれぞれの社でおやりになることだろうと思いますけれども、国としても十分お考えいただきたいということが一点であります。  そして、そのことをきちっと確立しなければならないということを申し上げた上で、例えば「沈まぬ太陽」、御巣鷹山のあの墜落事故に見られる、あれが直接そうだったとは思いませんけれども、その根底にあるのは、今大臣お話がありましたけれども、いわゆる効率性会社経営としての運営、収益性、そこの追求がいわゆる安全性というものに対する圧迫になってきているのではないのか。安全第一だと言いながら、でも、一方ではこの国際競争下収益性効率性ということも追求していかなければならない。そうでなければ会社そのものが成り立っていかないということは、これも一つの命題としてあり得るわけであります。私は大臣は両立という言葉はお使いにならないと思いますけれども、安全性を第一としながらも、一方で経営性収益性という問題、効率性ということも追求しなければならない。そうすると、どこかに、言葉だけではなくて、システムとしてあるいは考え方としてそれをどういう形に調整するのか、その基準が具体的な形でなければならない。  例えば「沈まぬ太陽」で言えば、現場飛行機を、機体整備責任者が最終的にこれでいいですよというふうに飛ばすゴーサインを出したときに、そのゴーサイン、これはだめだということが果たしてきちっと言えるようなシステムになっているのかどうか。時間に間に合わせるためにだけともかく点検をしているような状況になっていないのかどうか。  我が国の航空業界の中において、最終的にその修理責任者の方がこれは飛ばせませんよと言ったときに、どのくらいの飛行機機体がストップしているのかどうか。まだ私数字は持っておりませんけれども、しかし、そういうふうに一方で効率性経営性というものがあるわけですから、今申し上げました安全の確保ということで、これをやはりきちっと、この場合はこうだということが外部に見える形で、基準として、考え方として存在しなければならない。  今大臣は、ともかくまず安全が大事だというふうに申されましたけれども、それが言葉だけではなくて、経営の安定性、効率性、そして国際競争に残っていかなければならない、こういう要請に対してもどのようなことを基準として具体的に考えればいいのか、その点について、大臣の所信があればお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 二階俊博

    ○二階国務大臣 最近の事故例を、今申し上げました運輸安全戦略会議において検討いたしております。  運輸事業者に対しては、社内規定の整備、あるいは、お話にありましたように、教育訓練による社内規定の徹底、さらに検査体制の確立、責任体制の明確化を柱とする緊急総点検の実施を指示いたしておりまして、十一月の末までに事業者の報告を受けることといたしております。  十二月十日から一月十日にかけて実施される年末年始の輸送等に関する安全総点検のときに、緊急総点検の内容について運輸省職員が重点的に立入検査を実施するなど、これから教育訓練あるいは組織管理等の問題点を念頭に入れて安全の確保に取り組んでまいりたいと思っております。  今行っております種々の調査に基づいて、今委員から御指摘のありました安全確保の哲学といいますか基本的な認識を、運輸省も事業者も、お互いに双方の責任において再確認をして取り組んでいきたいと思っております。
  17. 倉田栄喜

    倉田委員 あと関連で赤羽委員の方にお願いしたいと思いますが、一方で、国際競争に打ち勝つためにはコスト削減という要請があるわけでございますから、ここはやはり国も十分な対策を講じていただきたい。  同時に、安全という問題は、外部監査あるいは監視、検査体制、これが客観的に見えるような制度の整備をしていただきたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わります。
  18. 仲村正治

    仲村委員長 次に、赤羽一嘉君。
  19. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。おはようございます。  運輸行政に精通され、実行力のある二階運輸大臣もとできょうから新たな形で議会活動が始まるわけでございまして、きょうは五分ぐらいしかありませんけれども、今後も忌憚のない活発な議論をさせていただき、新しい運輸行政、二十一世紀へ向けての運輸行政を一生懸命やらせていただきたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。  大臣御就任以後の新聞記事等々、ずっと一貫して読ませていただきました。まさに日本はこれから社会資本を充実させていかなければいけないという大臣の気持ちというのは非常に伝わってまいりましたし、私はそこに異議を申し立てる気持ちはございませんが、やはり財源という問題がある限り、何を優先していくか、やはり優先順位をつけていかなければいけない、具体的にはそういうことだというふうに思っております。  そこで、私、整備新幹線云々ということを言うわけではございませんが、まさに高齢社会が急速に進んでいく中で、やはり鉄道機関またはバスのバリアフリーというのは、運輸省の今年度の予算、また補正予算にも大いに入ってきておるところでございますけれども、ここは本格的に運輸省主導で旗を振っていかなければいけないんではないか。福祉というのは厚生省だけの仕事ではなくて、まさに毎日の足、生活の足を支えている運輸省こそそういった側面を一生懸命やっていかなければいけないんではないかというふうに思っております。  今の中で、例えば、鉄道駅、全国八千五百の駅のうち、高低差が五メートル以上、一日の乗降客数が五千人以上、こういった対象駅が約二千駅あるうちでエレベーターが設置されているのは約三分の一。また同時に、路線バスは全国で六万台あるそうですけれども、ノンステップバスは四百三十三台、〇・七%、無公害のノンステップバスに至っては、全国で今三台、〇・〇〇五%と、数字にもなかなかあらわしにくいぐらいの状況であります。  これは毎年の予算で財政当局とやり合ってとっていくというよりも、厚生省がゴールドプランとか新ゴールドプランということで十カ年計画で数値目標を出して派手にやっておりますので、私は、ここでバリアフリーの十カ年プランというようなものをつくって、二〇一〇年までに、そういったこともあると思いますが、具体的なプランニングをして数値目標を入れて運輸省主導で発表されるべきではないか。こういったことで、予算の枠外で、こういう社会にしていかなければいけないんだということを大いにやらなければ、なかなか毎年毎年の予算で獲得していくというのは難しいのではないかというふうに思っております。  そのプランニングの発表についてどう思われるかということが一つ。また同時に、事業者についても、そういった施設を義務化していくような誘導策もするべきではないかと思いますが、この二点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  20. 二階俊博

    ○二階国務大臣 赤羽委員から今社会が求めております最も重要な点を御指摘いただきました。  本格的な高齢化社会の到来、障害者の社会参加の要請の高まり等を背景にいたしまして、高齢者や障害者に鉄道や軌道を安全かつ円滑に利用していただくためには、どうしても駅のバリアフリー化の緊急課題、これを解決していかなくてはならない。  それから、ただいま御指摘にありましたような、既に閣議におきましても、生活空間倍増戦略プランの中で、御承知のように高齢者に優しい空間の拡大ということで、私どもは、原則として二〇一〇年までに、所要のエレベーター、エスカレーターを整備することを目標に、バリアフリー化を推進してまいりたいというふうに考えております。  今御指摘のように、二〇一〇年までといいますと、予算で三千億、四千億というふうな数字が頭に浮かぶわけでありますが、これらにつきまして、年々の運輸省内の予算だけではなくて、福祉ということを考えて十カ年プラン等を作成して対応してはどうかということでございますが、私ども運輸省としても、法制化あるいは義務化というふうな問題につきまして、きちっとそういう意識を念頭に置きながらこれから対応してまいりたいと思っております。  鉄道駅のエレベーター、エスカレーターの具体的な整備計画、設置状況につきましては毎年公表しておりますが、平成十一年度において、エレベーターは二十八事業者百一駅、エスカレーターは二十四事業者百四十一駅が整備される予定となっております。  ただいま御指摘のようなことを十分理解をした上で、今後、時代の要請に運輸省として積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  乗り合いバスについてのノンステップバス、強力にこれを推進すべきだということで、ただいま数字も示されて御質問がございましたが、全くそのとおりでございまして、今のような状況はまだ、地域に見本のような形で走っているにすぎない今の状況でございます。これをきちっと普及させていくための対応につきまして、補助等の支援措置を講ずる、あるいは計画的なノンステップバス化を進めていくために、制度上、予算上の措置も含めて関係業界とも緊密に連絡をとりながら対応してまいりたいと思っております。  以上です。
  21. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございました。  自自公政策の目玉として交通弱者対策の推進に私たちも頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。
  22. 仲村正治

    仲村委員長 次に、松浪健四郎君。
  23. 松浪健四郎

    ○松浪委員 おはようございます。  自由党の松浪健四郎でございます。質問させていただきますことを大変光栄に存じます。  まず最初に、関西国際空港のことについてお尋ねを申し上げたいと思います。  関西国際空港は、成田東京国際空港と並んで我が国を代表するハブ空港となっております。そして、関西国際空港にありましては、この七月から二期工事の現地着工が行われ、その工事の姿を今見ることができるわけでございますけれども、大臣は、平成元年の十月十三日に予算委員会で、そしてまた同じ年の十一月十五日にこの運輸委員会で関西国際空港の連絡橋南ルートについて御質問をされております。私も、古賀運輸大臣当時、同じ質問をさせていただきました。  つまり、関空は空港島という世界的に希有な空港になっておりまして、現在、東側に一本連絡橋がございます。しかしながら、大臣が就任のときにおっしゃいました安全第一でなければならないという視点からするならば、たった一本しかない連絡橋であれば、万が一のときに、災害、事故等においてこれは安全第一の空港とは言えなくなるのではないのか。そこで私は、この南ルート、これについて政府は調査検討を進めていただきたい、こういうお願いでございます。  折しも、国土庁を初め関係五省庁で実施されました関西国際空港活用した広域国際交流圏整備計画調査におきましても、災害時の有事に際しても空港機能を安定的に発揮させるため、選択性のあるアクセス確保に努める、このように位置づけられております。このことについて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  24. 二階俊博

    ○二階国務大臣 関西空港周辺に選挙区をお持ちの松浪委員からの質問でございます。  私も、実は過去に今松浪委員が御指摘になりましたのと同じような趣旨の質問を江藤運輸大臣に申し上げたことを記憶いたしております。それは、関西国際空港が建設されればまるで宝の島がやってくるというようなふれ込みで、周辺地域は大変な意気込みで関西国際空港期待を寄せたわけであります。やはり、アジアに向けてのハブ空港としての大きな役割を思うと、関西国際空港が当初予測したほどの効果をもたらしておるかどうかということに対してはいま一度検討してみる必要がある、そうした中に今御指摘の南ルートの問題等についても十分念頭に入れて考えていかなくてはならないのではないかというふうに思っております。  安全性確保につきましては、もし一本の現在のルートで何か特別な事故が生じた場合に、空港全体の機能が麻痺してしまうというようなことがあってはならないわけであります。そうしたことも考えた上で、先般の関係各省の調査の結果、関西国際空港活用した広域国際交流圏整備計画調査の中で、今委員が御指摘のとおり、多様性のあるアクセス確保に努めるべきだということを言われておるわけでありますから、運輸省としましても、新たなルートの整備の必要性について、まず地元の関係者の御意向、それから、大阪府を中心に、周辺府県の動向等も十分考慮に入れた上で、今後どうするかということについて少し時間をかけて検討してまいりたいと思っております。  したがいまして、地域関係者皆さんの御要望、市町村の御要望等は常にいわゆる陳情という形でいつのときにもずっと繰り返されておりまして、この問題こそ古くて新しい問題だという感じがいたしております。委員の御理解や御協力をいただきながら、もう一本のルート、いわゆる空港連絡南ルートについての検討、研究をこれからも引き続き運輸省として行ってまいりたいと思います。
  25. 松浪健四郎

    ○松浪委員 どうもありがとうございます。とにかく大臣期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  あと、小さな問題になりますけれども、今関空—羽田便というのは毎日十二便飛んでおります。伊丹—羽田間は十五便であります。しかし、伊丹—羽田間の十五便というのは大体一時間に一便、非常に利便性に富んでいるわけでありますけれども、関空の十二便は朝と夜に集中しておりまして、非常に使い勝手が悪い。地元の人がわざわざ伊丹まで行かなきゃいけないというようなことになっておりますので、大臣の方から航空三社に、もうちょっとダイヤについて考えろ、地元の人が困っているぞというふうに強いお願いをしていただきたい。  もう一つ、これは大臣のお力で連絡橋を渡る値段が安くなりました。これは十二月末までということになっておりますけれども、我々としてはもうちょっと続けていただきたい、願わくはもっと値段を下げることができないのかということ、この二つをお尋ねしたいと思います。
  26. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま松浪委員から、珍しく謙遜をされて小さな問題と言われましたが、関西にとりましても東京にとりましても、関西空港羽田路線を充実させることは極めて大きな問題だと我々認識をいたしております。朝早く東京を立って関西の方に赴いても、関西空港を利用して東京へ帰ってもう一仕事というわけにはまいらない、そういう不便な状況は随分関係者から聞かされておるわけでございます。  むしろこれからは、運輸省運輸大臣が云々ということをおっしゃっていただきましたが、運輸省航空会社に、このダイヤ、この時間に飛べということを申し上げる立場にありませんので、そこは私どもも努力をいたしますが、どうぞ地元におかれても、各航空会社がこれならばもうかるか、これならば人が集まるかということを最終判断されるわけでありますから、地元の関係者の御熱意と、そして、集客できるなという判断を航空会社が持てるようなそういう運動といいますか、航空会社との協議もしっかりとお進めをいただきたい。その上で運輸省は、機会あるごとに航空各社に対しましてその要請を行ってまいりたいと思います。  連絡橋の問題につきましては、むしろ地元の松浪委員から、当時私が部会長をやっておりました自由党の交通部会におきまして大変強い御発言がございました。したがいまして、私もそれをその際サポートした一人でございます。  関西空港は普通のときは閑散としておるときもありまして、あそこで御商売をやっておられる方々も、最初の思惑、そして、関西空港側から提示された権利金、家賃等を考え合わせると経営にきゅうきゅうとしているというふうな状況を我々はよく耳にするわけであります。例えば、年に一回ぐらいあの橋を無料で開放するときがございます。そのときには、まるで祭りでも起こったのかと思うほどあの関西空港にいっぱい人が集まってきております。  それらを思うと、橋の通行料金を若干下げることが空港全体の発展につながるであろうということを我々は思うわけでありますが、そこは、関西国際空港株式会社も御承知のように多額の借金を抱えて出発しておる会社でありますから、これをむやみに開放、値段を下げろと言うわけにはまいりません。しかし、スタートして間がありませんが、六・五%ぐらい前年同月よりお客がふえておるというこの実態考えながら、委員が御指摘のようなことにつきまして私どもも努力をしてまいりたいと思います。  以上でございます。
  27. 松浪健四郎

    ○松浪委員 どうもありがとうございました。
  28. 仲村正治

    仲村委員長 正午から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時五十七分休憩      ————◇—————     午後零時一分開議
  29. 仲村正治

    仲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。前原誠司君。
  30. 前原誠司

    ○前原委員 民主党の前原でございます。  それでは、二階運輸大臣あるいは政務次官皆さん方に質問をさせていただきたいと思います。  運輸の問題に入ります前に、幾つか大臣にはお聞きをしたいことがございます。この連立内閣で、唯一自由党から出ていらっしゃる閣僚でございます。運輸大臣は、北海道開発庁長官であると同時に国務大臣で、憲法六十六条、内閣は連帯をして国会に責任を持つ立場から、幾つかお話を聞いておきたいというふうに思います。  自自公政権ができて、私は余りこの自自公批判というのを地元でやっていません。なぜかといいますと、私もさきがけにおりまして、自社さ政権というものがありましたので、余り偉そうなことは言えないなということで、自自公に対しての批判はしておりません。  ただ、自自公と自社さのときの違いを二つほど挙げると何かといいますと、一つは、自社さのときは事前の三党の政策合意があった。自自公のときは、あるということになればあるのかもしれませんが、自自の二党にもある、自公の二党にもあるけれども、自自公の三党には私はまだ確固としたものはないのじゃないかと。後で触れます介護問題なんかもそうであります。少なくとも、政策合意というものを前提とした内閣であったということ。もう一つは、自社さのときは首班指名をやっているんですね。したがいまして、その二点が違うということで私は話をしているんです。  いずれにしても、過半数を一番大きな政党がとれていないということになるとどこかと組まなきゃいけないということは、議院内閣制あるいは民主主義の政治においては仕方がないことだと思いますので、ぜひ国民に目を向けた政治というものをやっていただく中で、後は国民が選挙のときにどう審判をするかということだと思います。私も、そういう観点から議論をさせていただきたいというふうに思います。  あともう一つ。蛇足になりますけれども、これは御答弁いただかなくて結構です。  当時、民主党ができて、自由党さんも公明党さんも野党であったわけであります。そのときに金融国会というものがあって、二階大臣もよくおっしゃっておりますけれども、当時菅代表がこれは政局にしないと言ったことで幻滅をしたんだ、こういう話がございました。  私は、当時の代表の肩を持つまでもなく、また民主党の一員だからというまでもなく、あの当時あれを政局にしていたら、銀行の連鎖倒産というものがさらに進むのではないかという本当の危機感を持っておりましたし、また、そういう中で野党といえどもその中身に責任を持つということは、今でも私は間違っていなかったというふうに思っております。  私の感想ですので、聞き置いていただいて結構でございます。まずその点だけ、ぜひ二階大臣お話をするときには申し上げたいなと思っていましたので、お話をさせていただきました。  さて、先ほどの政策の問題でありますけれども、このことだけはぜひとも聞いておきたいというふうに思いました介護保険であります。  先般、新聞では見切り発車などと言われておりますけれども、政府が見直し案を決定した。その骨子は、二〇〇〇年四月から九月までの半年間は六十五歳以上の保険料を徴収しない、十月から一年間は半額に減額をする、四十歳から六十四歳までの保険料の負担増分を国が医療保険者に一年分財政支援をする。いろいろあります。あとはホームヘルプサービス等々、あるいは低所得者に対する年額十万円までの家族介護に対する慰労金支給、こういうものがございますけれども、これについては自由党さんは了承されていないというふうに承っております。  まず、事実確認だけで結構でございますが、この政府の見直し案について、自由党の幹部として、あるいは自由党の一員としてどういうふうに見ておられるのか、御質問をさせていただきたいと思います。
  31. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、民主党、次の内閣、社会資本整備担当として御就任いただきました前原委員に、おめでとうと申し上げたいと思います。今後、御一緒に運輸問題についていろいろ御意見を交わしながら取り組んでまいりたいと思います。  ただいま、自社さの時代のお話、そして自自公の問題についてお話がございました。当然のことでございますが、金融国会の際の菅代表の御発言につきまして、私も何回かそのことに言及したことはそのとおりでございます。と申しますのは、私も、民主党、公明党、そして自由党、きょうここに玉置委員もいらっしゃいますが、当時の国対委員長として自由民主党を相手にして懸命に奮戦をしておった、そういう時期のことだと思います。  我々は、今、菅代表の御発言云々という前に、国会議員として最も大事な首班指名におきまして、記名の上で菅代表に投票したという事実もぜひお忘れなく。これにつきまして、お互いにそのときの思いを、常に国民の皆様に目を向けて政治をやっていく、参議院選挙終了後のあの状況を受けて、お互いに目指した方向は誤っていなかったと今でも思っております。  しかし、行く道はそれぞれあろうとも、我々は、国民の皆さんに対して今何が大事かということを常に心に問いかけながら、これからも取り組んでまいりたいと思います。民主党の御健闘をお祈りします。  介護制度の問題につきましては、今るる御指摘のありましたとおり、自自公で七項目にわたって合意を見て対応しておることは事実でありますが、先般、介護制度の見直しに関する三党の合意を受けた今回の政府の特別対策が自由党の欠席のままに決められたということに関しまして、小渕連立内閣の閣僚の一人として、私自身はまことに残念に思っております。夕刻、ちょうど横浜に出張中でございまして、そこに各方面から電話で連絡をいただきましたが、何ゆえにこういうふうになったかということも含めて、大変残念だなという思いがいたしました。  しかし、今後も引き続き協議は続けられるということでありますので、自由党も加えた三党間で合意が得られることを強く期待いたしております。
  32. 前原誠司

    ○前原委員 まだ野党には説明が当然ながらございませんけれども、今国会に出される補正予算の中身の中に、政府の決定というものを既に前提として、一兆円余りの予算についての手当てが内容に書かれていて、それに対して御党の藤井幹事長が怒られて、これでは補正予算に反対だ、こういうような話もあるわけなんですね。  ということは、今の話を突き詰めていくと、二階大臣は当然閣僚のお一人でありますし、補正予算に反対をされるということはあり得ない。あったらこれは内閣の不統一、不一致になるわけでございまして、そういうことはあり得ないし、あったときは違う形になるんだろうというふうに私は思います。  ということは、もしこういう議論を突き詰めていって、自由党さんの意見というものが通らなかった場合においては、自由党さんは連立を離れるということになるのか。いや、介護のことだけでいかに自由党の意見と違っても、最終的にはこの考え方には従うのか。その辺をはっきり伺っておかないと、二階大臣にこれから運輸の問題を御質問しようとしても、国務大臣として、いよいよ今国会の中心テーマになる補正予算に対してどういう態度をとられるのかというのが不透明な中で、今後の運輸行政にわたる大事な部分の議論というものはなかなかできにくいというのがありますので、その辺はちょっとはっきりしていただかないと今後の議論ができませんので、よろしくお願いします。
  33. 二階俊博

    ○二階国務大臣 介護制度の見直しの問題につきましてはただいま御答弁を申し上げたとおりであります。  今お話しのように、補正予算におきまして、さきの各委員の御質問に対しましても御答弁の際に触れてまいりましたが、運輸省として、私の責任において要求している予算がございます。その予算が今後審議にかかってくるわけでありますから、私の責任を全うする方向というものは委員も御承知のとおりでございます。  介護の問題につきましては、私は必ず合意が得られる、そういうふうに信じております。
  34. 前原誠司

    ○前原委員 内閣法制局に伺いましたら、今までこの手の問題というのは、憲法六十六条の問題についての見解というのは一例ございました。  ちょっとそのときの状況というものを御説明したいと思うわけでありますけれども、このときは、平成五年十月八日ですから細川連立政権のときだと思います。当然あのころは先生も中核におられました。新生党でございましたね。中核におられました。そして社会党さんが連立内閣に入られて、今までの自衛隊違憲とか日米安保反対、こういうものについて、要は、当時の野党の自民党さんから、内閣の不統一ではないか、こういう質問が出ているわけですね。それについて内閣法制局の考え方が、当時の武村官房長官を通じて出されているわけであります。  ちょっと読ませていただきましょうか。宮澤弘先生が質問されたものでありますけれども、これは参議院の予算委員会です。   昨日、本委員会における質疑の中で、宮澤委員から自衛隊違憲発言との関係で憲法第六十六条についての政府統一見解が求められましたので、これについて述べさせていただきます。     自衛隊違憲発言と憲法第六十六条第三項についての政府統一見解  一 憲法第六十六条第三項は「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」旨を定めているが、ここに「連帯して」と規定しているのは、内閣は国務大臣の全員で組織する合議体であるから、内閣の施政について一体として責任を負うべきであるという当然の趣旨を明らかにしたものと解される。 つまり、全員で組織する合議体ということで、一人ももちろん欠けてはいけないということがここには書いてあるわけです。  二 仮に、国務大臣の立場において明らかに内閣の一体性を損なうような言動をとった場合には、右の規定との関係でいわゆる閣内不統一の問題を生ずるものと考える。 こういうことなんですね。「しかしながら」というところも読ませていただきますが、    しかしながら、国務大臣が一政治家あるいは政党の一員としての立場から「現在の自衛隊の実態については違憲である」というような見解を述べたとしても、国務大臣の立場において内閣の方針に従うということである場合には、憲法第六十六条第三項との関係でいわゆる閣内不統一の問題を生ずることはない。 つまり、例えば二階大臣が、党の方針はこうだ、党の方針はこうで自分の意見もそうだけれども、しかし内閣の一員としては内閣の方針に従うと言えば、私が今質問しているような閣内不統一にはならないということが書いてあるわけですね。    なお、国務大臣が一政治家あるいは政党の一員としての立場において見解を述べる場合には、特に明確に一政治家又は政党の一員としての見解を求められた場合はともかく、国務大臣としての発言ではないかとの誤解を生じさせることのないよう慎重に対処すべきものと考える。 これが、唯一ありました今までの見解でございます。  そういう意味で、介護保険については自民党、自由党、公明党の三党の間で、今は政府案には反対をしているけれども、これは先ほど、自由党の考え方にある程度沿った形でまとまることを期待すると。あるいは、まとまることを期待するとおっしゃったのかどうかわかりませんが、もし後でつけ加えられるならばつけ加えていただきたいと思いますけれども、そうならなかった場合においては大臣の立場を優先されるのか、あるいは自由党としての党の立場を優先されるのか、その点をちょっとお伺いしておきたいというふうに思います。
  35. 二階俊博

    ○二階国務大臣 前原委員から仮定の問題につきまして、また事例を引いて、大変御親切な御質問をいただきました。  私は先般、参議院の本会議におきましても、三党連立でございますから、自由党の意見が常に一〇〇%通るということではないことは当然のことだということを申し上げてまいりました。したがいまして、三党それぞれ政策部門の責任者がいろいろ協議をしておりますことは私も承知をいたしておりますが、その協議がまとまるであろうということを私は信じておる、こう申し上げたわけでありまして、内閣の一員として、小渕内閣の方針に従って行動することは当然のことだとこれまた考えております。
  36. 前原誠司

    ○前原委員 また新たな段階になったときに、今の前提、また、きょう御発言をされた中身の中で、もしそごを来すようなことがあれば追及をさせていただくということで、この点についてはこのぐらいにしたいと思います。  あと一点だけ、済みません。運輸問題に入る前に、事前通告はしておりませんが、気になったことがあったものですから、一つだけ聞かせていただきたいと思うのです。  きょう、ある新聞の一面に、自由党が自民党に合流を打診している、年内にも実現を目指すということが書かれておりました。ほかの新聞には書いてありませんで、一紙だけでございましたので、定かかどうかはわかりません。私も記事を読んだだけでございますが、これが一つの、ある程度の真実とすれば大きな流れになりますので、自由党から出ておられる唯一の閣僚としてこのことについて、本当か、そんなの知らないよというふうにおっしゃるのか、ちょっと見解をお伺いできればというふうに思います。
  37. 二階俊博

    ○二階国務大臣 私も、御承知のとおり、以前は自由党の国会対策委員長の立場で自自連立を推進した一人でございます。その間、自民党の幹部皆さんと、選挙協力等についても再々にわたって意見を交わしたことがございました。そのときに、行き着くところ、一緒になった方が早いのではないかというような意見がどちらからともなく言われることがあったり、我々もまた、お互いに議員というのはみんなそういう経験があるわけですけれども、エレベーターに乗ったり廊下を歩いたりしておりますと、どうだ、もうそろそろ、そんなに意見の違いもないのだから一緒になったらどうだというふうなお声がかりをいただくこともしばしばございます。  我々は常に、理念、政策が一致すれば、いかなる政党とも協力、協調し合うということは内外に申し上げてまいりましたが、党と党とが一緒になるというふうなことにつきましては、まだ党内でそこまで議論が煮詰まっておるというふうな状況ではありません。
  38. 前原誠司

    ○前原委員 ありがとうございました。  それでは、本題の運輸問題について議論をさせていただきたいと思います。  大臣はこの道の専門家でございますので、いろいろ教えていただきながら、私も、さっき大臣がおっしゃったように、反対をするだけが野党ではない、建設的な意見を言いながら、できる限り実現をしていくための努力をしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず初めに、需給調整の規制緩和の問題につきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  関連の法案というものが、鉄道、貸し切りバス、国内旅客船、それから航空、この四つの分野で、第百四十五国会において成立をいたしました。また、本年の四月九日に、乗り合いバス、タクシー、港湾運送事業というものについて運政審の答申が出されて、多分来年の国会にそういった関連の法案が提出をされるのではないかというふうに思っております。  乗り合いバス、タクシーに限定をして一つ一つ伺っていきたいというふうに思います。  当然、いろいろな専門家の方々が集まられて、需給規制撤廃ということを一つの方向性として答申をされたわけですから、それなりのいわゆるプラスの面、それなりの説得材料というのはあろうかと思います。これから免許制から登録制にするということも、参入の自由、脱退の自由というものを含めて、それを実施していかれようとしているわけでございますが、一つちょっと事例を申し上げて、私、マイナスのことを申し上げますので、こういう場合はではどうしていくのかということについて、大臣の御見解をいただきたいと思います。  私は京都の出身でございまして、会社の名前をはっきり言った方が皆さん方もわかると思いますが、MKという会社がございます。タクシーの会社でありまして、京都だけじゃなくて、大阪とかあるいは今東京にも進出をされている。やり手の社長さん、会長さんがおられるところでありまして、このMKが乗り合いバスの需給調整規制の撤廃、規制緩和というものを念頭にバス事業に参加をしようという計画を立てられております。これはもう大臣のお耳に入っていると思います。  どういうやり方をされるかというと、百円バスなのですね。どういうところを走らせるかといいますと、京都の人のいっぱいいるところを中心的に走らせる。観光地から観光地、あるいは観光地から繁華街、あるいは京都駅とか、そういう乗降客、利用客の多いところを中心に走らせる。しかもその前には、アピールとして一定期間無料でそういうバスを走らせる。こういう計画をお持ちだということであります。  もちろん、法律ができた暁には、その法律にのっとって、創意工夫をして、そしていろいろなチャレンジをしながら企業が道を開いていくということを私は妨げるものではありません。  しかし、バスという公共交通を考えた場合に、これは飛行機の分野でも議論はあったと思いますけれども、要はドル箱ばかり走る、そうしたら黒字になるかもしれない。しかし、公共交通というのは、例えば、市内から余り人の住んでいないようなところ、いわゆる過疎地とか僻地と言われるようなところも走らせて、要は、京都市営交通バスというのは大赤字なんですけれども、それでももうかっている路線というのはあるわけです。百円もうけるために幾ら使うかという、指数では一〇〇を切っている路線もあるわけですね。そういうところは、とんでもない営業指数を上げているところとある程度相殺をして、なおかつそれがトータルとして赤字になっているということであります。  市バス自身ももちろん改善していかなきゃいけないところはいっぱいあります。私は労働組合の方々と話をするときに申し上げるのですね。利用者の立場に立ったサービスが本当にできているか。あるいは、一般の車が運転をする中で市バスというのは何という運転をするのだと言われるようなことのない運転が本当にできているのかどうか。あるいは、よく言われているように、市バスの運転手さんの給料は高過ぎるという批判があるけれども、それはどう考えるのかとか、そういう公共交通なりに改善をしなくてはいけないところは確かにあると思うのですね。  しかしながら、公共交通という使命考えたときに、こういう需給調整規制というものを外していく、撤廃をしていくということになって、いいとこ取りを民間企業にされていった場合に、トータルとしてそういう公共交通というものは、大きな赤字を抱えるか、あるいは、公営企業体として一応京都市交通局も独立採算制をとっているわけなんですけれども、赤字をどんどん生んでいっているわけですが、こういったものは立ち行かなくなるんじゃないかという率直な不安と問題意識を私は持っております。  大臣におかれまして、こういう不安にどういうふうに説明をして、またこれを進められていくということであれば、それに対するどういう対症療法というものがあるのか、その点についてお答えをいただきたいというふうに思います。
  39. 二階俊博

    ○二階国務大臣 規制緩和の法律あるいはその法律の施行等につきましてるるお話がありました。そのとおりでございますが、問題はバス、タクシー、これから取り組まなくてはならない重要な課題でございます。  先般もタクシーの関係者全国の代表の皆さんのお集まりの会議がございました。運輸省では、前例、慣例がありますから、いいとか悪いとかは別として、この会議には通常大臣があいさつには出ていないんだ、こういうふうなことを耳にいたしましたが、私は、こういうときだからこそ出向いて、お伺いをして関係者皆さんの御意見を一人でも多く聞くことが大事だと思って、この間実は行ってまいりました。  かなり緊張した雰囲気の会議でございました。一口に言って、就任早々とはいえそうウエルカムというような感じではなかったかと思いますが、それでも関係者皆さんに私はこう語りかけました。この規制緩和の波をお互いに乗り越えていくためには、運輸省とバス、タクシーの関係者皆さんが対立してこの問題を考えるのではなくて、ともに手を携えてこの波を乗り越えていこうじゃないか。そのために運輸省はいついかなるときでも皆様と協議をして、納得のいくまで話し合いをするつもりだということも申し上げてまいりました。  ごく最近でございますが、法律を提出させていただくということになれば、およそ十二月いっぱいには方針というものをきっちりまとめ上げなくてはならない。したがいまして、今までも運輸当局は随分関係者皆さんと議論をさせていただいておりますが、なおこの段階でもう一度、今前原委員指摘のように、やはりこれは国民の足、公共交通機関でございますから、国民の皆さんのためにどうあるべきかということ、同時に、今企業を既得権を持ってやっておられる方々に対しても経営上不安感をもたらすようなことをドラスチックにやるべきかどうか。同時に、これらの事業の背後にバスやタクシーの運転手さんを初めその他の従業員の皆さんも多く存在しておられるわけですから、これらの皆さんの生活を脅かすというようなことがあってはならない。そういうことも十分考えて対応していかなくてはならないと思っております。  それから、今過疎バスについての言及がございました。私はこれはまことに重要な問題だと思っております。過疎地域へ行けば行くほどバスを利用されようとする方々が、もしそれができ得ない場合に、それにかわる交通機関といいますか、その交通輸送の方式があるかというと、ほとんどその方策を見出し得ないような状況でありますから、過疎バスの存続等についても十分配慮しなければいけない、そのために公共交通機関にお願いする、そういうことに対して、経営上の問題も含めて、運輸省としては真剣に取り組んでいかなくてはならない。  今、MKのお話もございました。現在の制度の中で、前原委員指摘の件につきましては運輸局で目下審査をさせていただいているところでございますが、いずれ、どういう結果にしろ、また御相談をしながら京都の事情等もよく伺って我々は対応していきたいと思っております。
  40. 前原誠司

    ○前原委員 バスあるいはタクシーの業界の方々、またそこに働く労働者の方々の立場というものも十分考えながら施策を進めていかなければいけないという御認識だったと思いますし、運輸省とバス、タクシー会社が対立してはだめだというのはそのとおりだと思います。  ただ、今のところでもう一つはっきりさせておきたいことは、では、この答申の方向性というものは変わらないんだ、しかし、進めたときに出てくるいわゆるマイナス要因をどうフォローアップするのか、あるいはどう助けていくのかということで運輸省としては考えていきたいということをおっしゃっているのか、もしくは、鉄道、貸し切りバス、国内旅客船、航空の分野ではもう需給調整規制の緩和、撤廃をやっているので、この分野についても、つまり乗り合いバスあるいはタクシーなどの分野についても基本的にはそれは進めていくんだというのか、これが最初の方ですね。あるいは、もう一度規制緩和を、逆行すると言ったら言葉は悪いですけれども、進めていった場合にどういう状況が生まれるのかということを考えながら、例えば規制緩和のスピードを緩めるとかあるいは規制そのものを見直すということもあり得るのか。  今大臣のおっしゃった意味は前者なのか後者なのか、どちらに重点を置かれているのか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  41. 二階俊博

    ○二階国務大臣 答申は、お願いをしたことでありますから、これを尊重しなきゃいけないことは当然のことだと思いますが、しかし、今タクシーの関係者、バスの関係者から毎日のように運輸省当局にいろいろな御意見が寄せられております。そういう中にあって、常に国民の皆さんのそういう要望、意見に耳を傾けながら行政を推進していくという上においては、いかなる方策であれ、いかなる政策であれ、バス、タクシーに関係する皆さんの御協力を得なければ行政を全うすることはできない、私はそういうふうに考えております。  個々のさまざまなケースがあろうと思いますが、私たち今運輸省の中において議論をしておりますことは、できるだけ関係者皆さんの不安をなくし、そして、今、前原委員お話しになりましたように、この時期、この社会環境、情勢の中で、規制緩和をしないんだというわけにはいかない、そういう環境を踏まえて、私たちは、円満にこの規制緩和の問題が落着しますように、今後、関係者皆さんと一層話し合いを詰めていきたい。それは、先ほど申し上げましたように、十二月いっぱいが目途だろう、このように思っております。
  42. 前原誠司

    ○前原委員 規制緩和という言葉、あるいは規制緩和に反対ということになれば、中身を問わずに、どうしても何か規制緩和を推進する方が改革派で規制緩和はだめだと言う方が守旧派というふうに見られがちであります。私は、あえてみずから守旧派のグループに入ってもいいと思っていますけれども、経済的な規制はやはりこれからどんどん見直していって緩和の方向にいくべきだろうと思いますが、やはり社会的な規制については、そういう風潮だからこそブレーキをかける勇気というものも持たないといけない部分があると思うんですね。過ちがあったら、それについては改めるということにちゅうちょしてはならないというふうに思います。  この需給調整規制というものについては、やはりある程度存続していかないと、末端のバス、それからタクシー、そういったところは生き残っていけないのではないか。あるいは、都市交通と言われる公共交通も、いいところばかり民間にとられて、そしてあとの人のいないところ、採算の合わない部分については公でやりなさい、財政措置を国からもらってやりなさいというのではおかしいというふうに思うんですね。  今の大臣の御答弁では、どちらに重点を置くかということがいまいちよくわからなかったわけであります。どちらに重点を置くか、真ん中ということなのかもしれませんけれども、もう一度その点について。  先ほどおっしゃった中でおやっと思ったのは、答申は答申として尊重はするけれども、それは決められたことではない、それは現実的に政治の世界、行政の中で検討していくことだとおっしゃいました。  この需給調整規制の問題についてはぜひとも、もちろん業界も自助努力をしてもらわなければいかぬ、改革をしていかなければいかぬ。しかしながら、公共交通手段であるということを考える中で、この規制緩和、撤廃については極めて慎重に運輸省としても当たられたいという思いを込めて、もう一度大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  43. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省としましては、従来より、競争の促進、サービスの向上等を視点に規制緩和に積極的に取り組んできた今日までの経過がございます。  ちょっとお聞きいただきたいのですが、先ほど佐藤先生がお見えになっておられたのですが、ある席である政治評論家の方が、規制緩和に一番反対しているのは運輸省だ、規制緩和を推進していくためには運輸省をなくしてしまえばいいんだ、こう言われました。当時、私、運輸省政務次官を務めておりましたときに、ここはやはり一言なきゃいけないと思ってその評論家とも話し、後々運輸省の規制緩和の状況等について詳しく御説明を申し上げる機会を得まして、後に巻紙をもって、よくわかった、理解した、今後はああいう乱暴なことは言わないとおっしゃっていただいたことがございます。  規制緩和の問題、極めて重要な意味合いを含んでおると思いますが、先ほど前原委員からも御指摘のありましたとおり、規制緩和といえば何でも緩和してしまえばいいというのではなくて、特に安全の問題、あるいは経営上の問題等については、その業界が混乱に陥ってしまうようなことに関しては、やはり運輸省としてはしっかりした、このごろ指導という言葉が適当かどうかわかりませんが、アドバイスをしていくということが大事だと思っております。  今後は、平成十一年の三月三十日に閣議決定されております規制緩和推進三カ年計画にのっとりまして、運輸政策審議会からいただいた先ほどの答申を踏まえて、乗り合いバス事業、タクシー事業、港湾運送事業について、事業規制の緩和を行ってまいりたいと思っております。  その際には、需給調整規制の廃止等に伴う生活路線の維持、安全の確保、利用者保護等に配慮することとし、関係各方面の御意見を伺いながら所要の法案を次期国会に提出すべくこれから、先ほどからも申し上げておりますように年内いっぱいしっかり頑張ってまいりたい、このように思っております。
  44. 前原誠司

    ○前原委員 もう御答弁は結構ですけれども、この間地元で全自交のグループのタクシー会社の労働組合の大会に出まして、さっき大臣がある会合に出られたときにウエルカムという雰囲気じゃなかったというふうにおっしゃいましたけれども、私も全くそういう雰囲気の中で出てきたんですね。つまり、それほど厳しいぴりぴりとした雰囲気の労働組合の大会というのも珍しいわけであります。  後で委員長に話を伺いますと、いいときには年収が平均四百二十万ぐらいあった、しかし、今は大体平均三百三十万を割り込むぐらいになってきて、このまま続けば三百万を維持できるかどうかもわからないような状況になってきているという話がありました。月収でいうと、一時金などを含めても込み込みで平均で二十七万ぐらいかなというふうにおっしゃっていまして、関西、大阪なんかでは、いわゆる最低賃金にも抵触しかねない状況になってきつつある、こういう話でございました。  もちろんこれは、運輸省の指導、行政の指導ということを離れた日本の大きな景気の問題等もありますし、あるいは、私もあえて何度も申し上げますけれども、業界内の自助努力というものも会社も含めて避けて通れない話でありますし、そこまで甘やかす必要はないというふうに思いますけれども、かなり厳しい状況に業界が置かれているのは事実だと思います。そういうこともぜひ、今後決められるに当たって、今までもよくいろいろなところでお話を聞かれていると思いますけれども、いろいろな方々お話を聞かれながら、リーダーシップを発揮してお決めをいただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。  次に、整備新幹線の話をさせていただきたいと思いますが、その前に、JR各社の民営化の問題も後で絡んできますので、あわせてお話をさせていただきたいというふうに思っております。  JR各社の保有株式、日本鉄道建設公団の保有株式も含めてでありますけれども、JR日本が発行済みの株式数が四百万、うち五十万株は鉄建公団が持っている。そして、JR西日本については二百万のうち六十三万、JR東海については二百二十四万のうち八十九万ということであります。大臣が一番お詳しいですけれども、北海道、四国、九州、いわゆる三島と言われるところと非常に経営が厳しい貨物においては、いまだに一〇〇%鉄建公団が株式を保有しているということであります。  分けて御質問をしたいわけでありますけれども、ある程度の業績を上げつつある東、西、東海、これの完全民営化という問題について運輸省としてどういうお考えなのか。それから、超低金利が続きまして、いわゆる基金の運用益がなかなか得られない中で苦しんでいる三島また貨物会社、特に赤字が常態化している貨物について、いわゆる株主のトップになるのかもしれませんけれども、運輸大臣としてどうお考えなのか。まず、その点についてお伺いしたいと思います。
  45. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お答えいたします。  JR各社の完全民営化に向けた取り組みの中でのJR本州三社の売却実績や鉄道公団保有株式数につきまして今委員から御指摘がありましたが、まことにそのとおりでございます。私たちは、常にJRの完全民営化ということが大きな目標にあって、国鉄を分割して今日に至っておる。その中において各JR経営改善のために懸命の努力を続けてこられたこと、これは私は率直に申し上げて評価をしたいというふうに思っております。  JR日本JR西日本及びJR東海の本州三社については、六十二年の国鉄改革後、順調に経営が推移しておる、こういう認識を前原委員と共有するものでございますが、これに対し、JR北海道、JR四国、JR九州及びJR貨物の四社は近年、お話のとおり、低金利による経営安定基金の運用益の大幅な減少等で非常に厳しい経営状況にあると認識をいたしております。このため、四社につきましては、早期に完全民営化に向けた環境整備が整うように、今後とも経営基盤強化のための支援策を検討してまいりたいというふうに思っております。  そして、さきに申し上げましたJR東、西、東海の三社、これは比較的成績がいいわけでありますが、完全民営化に向けてのそれぞれの足取りというのには会社ごとに多少差がございます。今、これらをどう調整していくかということも含めて、JR各社と事務当局がいろいろ話し合いを行っておるところでございます。  そして、先ほどから御議論が続いておりますJRも含め、航空その他ももちろんでございますが、安全性確保ということも念頭に入れて、何でも早く民営化すればいい、何でも上場して株が高くなればいいということだけではなくて、安全性確保等にも十分認識をしながら各経営者の皆さんと協議を続けていきたい、そして一定の結論を得たいというふうに思っております。
  46. 前原誠司

    ○前原委員 私が大臣にこれを御質問させていただいた一つの理由は、完全民営化が目的で国鉄を分割・民営化したんだというお答えがありました。なぜお伺いしたかといいますと、整備新幹線との絡みなんです。整備新幹線というのは、全国新幹線鉄道整備法という法律、これは昭和四十五年につくられた法律でありますけれども、それに基づいて整備新幹線という話が出てきているわけです。  私の整備新幹線についての考え方は後で触れさせていただくといたしまして、さっき大臣が御答弁になったように、東海、東それから西、この三社が完全民営化をされたときに、言ってみれば、この法律との兼ね合いはどうなるんだろうかというのが私の非常に大きな関心事なのですね。要は、株を国が保有しなくなったときに、言ってみれば、整備新幹線をつくりました、東海さんやってくれ、嫌です、東やってくれ、西やってくれ、嫌ですということになる可能性はあるわけです。今、株式を保有しているからどうのこうのということではないのかもしれませんけれども、完全民営化をされたときのこの法律との整合性というのは一体どうなるんだろうか。  つまり、この法律に基づいて、大臣も御就任をされたときには整備新幹線については非常に意欲を持って、今は財源を考えることなくとにかくやろうということをおっしゃっております。完全民営化とのそごを来さないのかどうか、その辺は大臣、どのようにお考えをされているんでしょうか。問題ないというふうにお考えなんでしょうか、完全民営化との絡みで。
  47. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御質問のとおり、完全民営化に向けて新しい法律を提案させていただこうということの心の準備をそろそろしていかなくてはならないと同時に、法案が提出できる環境を整えていかなくてはならない。それは、まずは第一義的にはJR各社の意向というもの、これが大事なことでございますし、同時に各党の御意見等も十分念頭に入れて、このことに処していきたいというふうに考えております。  我々が法律を提出する際には、現行の新幹線の法律とそごを来さないように考えることは当然のことでありますので、その点は十分御意見を踏まえて取り組んでいきたいと思います。
  48. 前原誠司

    ○前原委員 ということは、完全民営化をした暁には、全国新幹線鉄道整備法というものをまた改正する中で、もちろんJR各社との意見交換も十分なされるとは思いますけれども、そういった法改正によって完全民営化されたJR本州各社、基本的には本州各社になると思いますけれども、そういったところが引き続き整備新幹線を担っていくというおつもりで今の話を承っていいんですか。
  49. 二階俊博

    ○二階国務大臣 新幹線整備につきましては、現行の負担の方式には変わりはありません。民営化をされても、同じように対応していただくということであります。
  50. 前原誠司

    ○前原委員 そこで、整備新幹線の話をさせていただきたいんですが、我が党にもいろいろ各地から来られていまして、高木理事は長崎でいらっしゃいますし、北海道の議員も結構おられます。したがいまして、整備新幹線はだめよというような党内の雰囲気では全くありません。  ただ、私は、今回社会資本整備の担当をさせていただく中で一つの提言というか、議論、これからずっと大臣ともやっていきたいと思う一つの議論をさせていただきたいと思うのですね。  どういうことかというと、再来年の一月から国土交通省になりますね。今、公共事業を規定している五カ年計画というのは十六本あるんですか。その中に当然新幹線はありません。そういった十六本のものは、もちろん農水とかの関係するものもありますので、すべて国土交通省に包含されるということはありませんけれども、私は、建設省あるいは運輸省、北海道開発庁、国土庁というものが一体になるんであれば、そういう財源、五カ年計画というものもある程度やはり融合してこれから考えていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。  つまり、今の五カ年計画でありますと、先ほど私建設委員会でも質問いたしまして、中山大臣が、長期的に見ればちゃんと、割り振りというか割り当ての比率は変わっているんですよということでしたけれども、かなり長期的に見ないと、この五カ年計画の十六本の比率というのはなかなか変わっていないと思います。既得権益化しているということなんですね。  ということは、後で申し上げますが、日本の財政状況というものを考えたときに、あれもこれも型の公共事業、だから整備新幹線が悪いとは私は言いません。整備新幹線が悪いとは言いませんけれども、やはりあれかこれかというふうな、地域で選んでいただくような、つまり、高速道路もお願いします、あるいはスーパー林道もお願いします、あるいは整備新幹線もお願いします、何でもその十六本の器の中からお金を引き出してきて、とにかく地元の利益のためにやるんだということでは、特に人口密度の低い地域ではむだな公共事業とやゆをされても仕方のない状況にこれからなっていくんじゃないかというふうに私は思うんですね。  したがいまして、財源問題、十六本あるもの、整備新幹線も含めてある程度、国土交通省になるという前提の中で、その財源枠、五カ年計画というものをまとめていく努力を、ぜひ運輸省にもリーダーシップをとっていただいて、国土交通省に移行するまでこれから一年ちょっとあるわけですから、五カ年計画もそれぞれいつからいつまでという五カ年がばらばらでなかなか一つにまとめにくいという技術的な部分はございますけれども、あれもこれもという財源論から、あれかこれかというような形に変えて、その中に整備新幹線も入れていく。  だから、整備新幹線をある地域が求めるのであれば、では道路はなかなか厳しいですよという話の中で合意をしてもらうとか、そういう形をやはりつくっていくべきではないかと思うのですが、これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  51. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今、民主党の運輸大臣からの意見の交換といいますか、提言がございました。私も、幾つかの点で思いを同じくするところがございます。  新幹線の問題を前にも、見直しの問題に遭遇したときに私はたしか二度目の運輸政務次官を担当させていただいておったころでございます。新幹線の問題を対大蔵、あるいはそれぞれの政党でいろいろ議論をしていく上において、やはりあれもこれもという、今おっしゃるように、大きなダムもやりたい、新幹線もやれ、そして大きな公園もつくれ、これを全部一緒にして押し出してこられた日には、これは財政当局としてももたないわけでありますし、第一、運輸省としての説得力がないわけであります。  そこで、私は大変厳しい質問を申し上げたようでありますが、それぞれの関係の県知事においでをいただいて、私は、知事の御意見を絶対公表しないから、あなたの方の公共事業新幹線をどうしてもとおっしゃるなら、これとこれは後回しでもいいということをまとめて持ってきていただきたい、そこで初めて新幹線を本気でやろうという知事の意向が私たちにも伝わるし、我々もそういうことで財政当局を説得することもできる、そういうことを申し上げたことがございます。それだけに、今前原委員がおっしゃっていただいたことは大変私も理解ができるわけであります。  それでは、鉄道空港、道路、この公共事業を全部一緒にしてやってはどうかという御提案でございますが、これから国土交通省が発足するわけでありますから、私は、国土交通省が発足した新たな状況もとで、総合的な交通政策のあり方を検討していくということでは随分雰囲気も変わってこようと思うんです。  今ですと、やはりそれぞれの省庁に、縄張りという表現がいいかどうかはわかりませんが、伝統的な主張、それからその制度が成り立ってきた生い立ちというようなものをずっと引きずっております。いい言葉で言えば、そういう伝統を担って今日まで努力されてこられたわけでありますから、一概に、建設省と運輸省とが一緒になるんだから、いろいろな長期計画も今一緒に考え直したらどうだということは、すぐにその成果を得るということはいろいろな面で困難な場合がありますが、今はとにかく、建設省と運輸省と国土庁と北海道は国土交通省として一緒になるんだということの気持ちといいますか、芽生えのようなものは各省の間で出てまいりました。したがいまして、これからは、今お話しのようなことで、効率的な交通関係の社会資本の整備という観点から、私たちは特に建設省とも十分連絡をとって対処していきたい、そして必ず御理解が得られるような努力をいたしたい。  先ほど前原委員は建設委員会で北海道開発庁の問題につきましても御意見をいただいたようで、大変力強く思っておりますが、今までの制度に基づいて、それぞれの省庁の応援団がみんなで旗を振って、一歩もそののりを越えてはならないというふうな雰囲気ではなくて、これからは一緒になるんだという雰囲気の中で、今御提案のあったようなことにこれから対応していきたいと思っております。
  52. 前原誠司

    ○前原委員 我々もそういったことで建設的な提案を常にしてまいりますので、ぜひ議論を深めていって、むだな公共事業ができるだけないような形で、その中で新幹線考えていくということが、私は国民に理解を得られるんではないかと思っています。  時間が参りましたので、最後に二つ、質問をさせていただきたいと思います。  米田北海道開発庁総括政務次官がわざわざお越しでございますので、政務次官にお伺いをしたいのは、先ほどちょっと私もその建設委員会で伺ったんですが、中山建設大臣が北海道新聞の取材を受けて、どういう伝わり方をしたかわかりませんが、国土交通省になった暁には、北海道局というものはいずれ要らないのではないかという発言をされました。私は、北海道の特殊性というものを考えた場合には、いずれというのは、それはずっと未来永劫まであるかないかというのはもちろんわかりませんけれども、当面は北海道の特殊性を考えた北海道局というものは国土交通省の中でも位置づけをしていかなくてはいけないのではないかと思っておりますが、担当の総括政務次官としてのお考えをお聞きしたいのが一点。  もう一つは、大臣に対して、東京国際空港の問題をちょっとお伺いしておきたいのですが、新東京国際空港、つまり、成田は基本的には国際線、そして東京国際空港、つまり、羽田は基本的には国内線というすみ分けを運輸省考えてこられておりますし、またそうしないと、成田の拡幅の問題なんかは地元に対して説明がつかないという事情があるのはよく存じ上げております。前の運輸大臣の川崎大臣なんかも、二〇〇二年までにというような話の中で相当御苦労をされていたことも漏れ伝わっております。  ただ、なかなか難しい状況の中で、羽田も今、離発着枠がいっぱいで間隔を短くしようなんという話もされているみたいでございますけれども、夜間、例えば国際便として、少なくともチャーター便、できれば定期便というものを、本数は、もちろん騒音の問題等もありますので、もちろん成田とのかかわりの中で、そんなに目立って多く、メーンにはならないと思いますけれども、ある程度の枠を設けて考える、夜間利用というものも沖合展開も含めて考えていくということが必要なんじゃないかと思います。  その点について、大臣と米田総括政務次官にお伺いをしたいと思います。
  53. 米田建三

    ○米田政務次官 前原委員にお答えをいたします。  国土交通省に北海道開発庁が移行する、この件につきまして、大変御理解ある観点からの御質問をいただき、ありがたく思っております。  平成十三年からの新しい体制の発足に伴いまして、北海道開発庁は、中央省庁等改革法及び国土交通省設置法、この両法に基づきまして、北海道開発に係る公共事業関係予算の一括計上及びその他の現在の北海道開発庁の機能は、仮称でありますが、国土交通省に置かれる北海道局が継承すること、こういうことになっております。  また、地方支分部局としての北海道開発局でございますが、従来行ってきた直轄公共事業の実施に加えまして、新たに補助事業関係の事務等につきましても、本州に置かれる国土交通省の地方整備局と同様に分掌することとされております。  このように、北海道が大変可能性に満ちた、そういう土地でありながら、大変基盤整備がおくれている、こういう特殊な事情にかんがみまして、これからも従来と変わることなく、国土交通省への移行後も引き続き北海道開発行政の着実な推進を国として図ってまいりたい、このように考えております。どうか御理解、御支援のほど、よろしくお願いをいたします。
  54. 二階俊博

    ○二階国務大臣 羽田空港成田関係でございます。  まず羽田空港の処理能力でございますが、これを見直して発着枠を拡大するということを新聞紙上等で内外に明らかにいたしておりますが、またその発着のダイヤ等につきまして、どのように透明性を保持しながら国民の皆さんの利便に供するかということで、委員会等を開いて対応しようということもいたしております。しかし、そこで私どもはいろいろ思いをめぐらすわけでございますが、今、国際線に発着枠を回すという余裕は全く感じられない、こういう状況でございます。  そこで、前原委員からの御提案の国際チャーター便等を夜、つまり深夜、早朝の時間帯に飛ばすことはできないか、このような御提案はしばしば伺ってございます。先般も、東京都の石原知事がお見えになりまして、首都圏第三空港の問題を含めて、羽田の国際化の問題についての御提言がございました。  私ども、先輩運輸大臣でもございますから、首都圏第三空港といえば東京都と関係が深いわけですから、今後御一緒に御相談をさせていただきたいと申し上げましたが、今前原委員御提案の国際チャーター便の件につきましても、国際線の就航につきましては、機材が御案内のように大変大きいものでございますから、それだけ騒音も大変憂慮するところがあるわけでございまして、それが千葉県に影響するということもありますので、ここは慎重を期してまいりたいと思っております。  いずれにしましても、首都圏国際空港の問題を含め、首都圏の旺盛な航空需要というものに対して、あらゆる方法を想定しながら対応していかなきゃいけない。余りかたくなになって、これはだめ、これはだめというのではなくて、先ほども新潟の空港まで首都圏空港考えてはどうかという御提案がありましたが、それすら我々は検討していかなくてはならないと思っておるわけでございまして、今御提案の件につきましては、成田空港の平行滑走路を早期に整備する、首都圏の最優先課題であるということに関しましては、委員も十分御理解をいただいておるただいまの御質問でございましたので、意を強くしておるわけでございますが、成田の問題を最重要に考えながら、首都圏航空需要についての対応は柔軟に今後とも対処していきたいと思っております。  ただ、一つ、二〇〇二年というお話が先ほどございました。二〇〇二年は、もう御承知のとおり、ワールドカップでございますが、先般私も韓国に参りまして、日韓閣僚懇談会に出席してまいりました。韓国側からのシャトル便等についての要望もございましたが、今は成田空港を拡大することに専念いたしておると同時に、たとえ羽田の枠が広がったとしても国内需要でいっぱいでございますから、今後、他の空港のことはともかくとして、羽田と韓国との間のシャトル便については、これはあらかじめお断りを申し上げておきたいということを、私は韓国の閣僚にも、あるいは韓国の総理も含めた、我が方の総理も含めた全体会議の席でも、そのように御認識をいただくことを私からもつけ加えて申し上げさせていただいた次第であります。  以上でございます。
  55. 前原誠司

    ○前原委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  56. 仲村正治

    仲村委員長 次に、高木義明君。
  57. 高木義明

    ○高木委員 民主党の高木でございます。  二階大臣の所管事項であります海運、造船問題を中心にして、お尋ねをいたしてまいります。  まず、外航海運の問題でありますが、冒頭に、実は昨日の報道でも出ておりましたが、アロンドラ・レインボー号の海賊事件について、その対応についてお伺いをしておきます。  実は、私はかねてからこの問題については非常に憂慮いたしておりまして、今回の質問の準備もいたしておりましたが、昨日無事であったことが明らかになっております。すなわち、昨日の十六時、東京船舶株式会社から運輸省に対し連絡があっております。アロンドラ・レインボー号船長池野氏本人から電話があって、現在タイのプーケットの警察に保護されておる、乗組員は全員無事である、こういうことでございました。  このことについては、私は、全員無事ということで大変喜ばしいことだと思っております。しかし、この事件が起きてから、乗組員家族はもとより、関係者は大変な心痛の毎日を送っておったのでございまして、全日本海員組合からも大臣に対して、その対策について、もちろん捜査を含めた対策について強い要請が行われておりました。外交ルートを通じて関係沿岸国政府に対し本船の捜索に全力を尽くしていただきたい、それから外航船舶に係る窃盗・強盗等対策会議、これは既に官民において構成をされておりますが、これを早急に開いて情報を開示し今後の対応に万全を尽くしてほしい、こういうことでもございました。  今回の事件は既に解決をしたわけでございますけれども、実は、この海の難所と言われておるマラッカ海峡での海賊事件は、今日までかなり深刻化をきわめておったわけです。我が国ではそんなに報道はなされておりませんけれども、海上輸送に携わる者としては本当に深刻な課題であったわけです。  ことしの五月に、運輸省日本商船へのアンケート調査をいたしております。それによりますと、一九九四年から九八年に発生した被害は六十四件、運輸省で把握をした件数の七倍に達していた。九七年以降は脅迫、強盗などの凶悪事件がふえておる、こういうことでございました。  実は、昨年の九月二十七日に、このアロンドラ・レインボー号事件と同じようなものが既に発生をしております。日本の便宜置籍船「テンユウ」二千六百総トンが、これはインドネシアでございますが、クアラタンジュン港を出港後消息を絶ちました。これも、アルミインゴット三千トンを積んで、韓国・仁川港に向かっていたわけでございます。昨年の十二月二十一日に中国で、自称ホンジュラス籍「サンエイ1」と船名を変えて入港して発見、韓国人船長、機関長と中国人船員の合計十四人の乗組員は全員インドネシア人にかわっておった。その後、関係者、犯人は逮捕されました。このような事件は、今回解決をしましたけれども、これまでずっと起こっておった問題です。  まさにマラッカ海峡は、私が申し上げるまでもなく、我が国の海上物資、これの生命線とも言われておる重要な航路であります。最近では、VLCC、大型タンカーが襲われたという報告もたくさん入っております。タンカーの船会社としては、まず自助努力として、例えば船尾部分に照明灯を増強していくとか、あるいは喫水線を少し上げながら航行するとか、そういう対策も講じておるわけでありますが、この問題を放置することはできないと私は思っておるのです。  そこで、仮にこういう事件が発端となってあの付近で大事故にもなると、これは大変なことになります。この事件について、私は重要な関心を持っております。今回のアロンドラ・レインボー号の事件を踏まえて、今後どのように再発防止について政府として取り組んでいかれるのか、はっきりお答えをいただいておきたいと思っております。
  58. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、同船あるいは船員の皆さんの生活の向上等、今日まで随分熱心に取り組んでこられた高木委員の御質問でございますが、御質問にありましたように、幸いにしてこの問題が、生命の無事を確認することができ、一応の解決を見たことは大変結構なことであったわけであります。  今御質問の趣旨にもありましたように、この問題が解決したからよかったということだけではなくて、このことを十分念頭に入れて今後の対策を考えてまいらなくてはならない。私もこの問題に対して、事件発生以来、外務大臣あるいはそれぞれ関係の先とも連携をとりながら、一日も早い解決、現行法の中で何ができるかというふうなことも考えながら、海上保安庁等も繰り出して対応を図ってきたところであります。  近年、日本関係船舶に対する窃盗、強盗等いわゆる海賊事件というのが多発しておるこの状況を大変憂慮しているものでございます。本年の七月から、運輸省中心となりまして、外務省、海上保安庁そして日本船主協会等の官民関係者による外航船舶に係る窃盗・強盗等対策会議を発足させ、今日まで対策を協議しておる、そういう真っ最中に起こった事件であります。  具体的には、東南アジア等における近年の日本関係船舶に対する窃盗、強盗事件のほとんどが沿岸国の領海内で発生していることから、政府として、警備の強化等を沿岸国政府に要請いたしております。船社としましても自衛策を強化し、また、国際海事機関、IMOにおける取り組みにも積極的に参加しているところでございます。  今回のアロンドラ・レインボー事件の発生によって、出港直後に海賊に襲われ船が奪取されたものであるということを考え、まずインドネシアを初めとする沿岸国に対し、外交ルートを通じて、事件の解明、犯人の検挙とともに警備の強化等を改めて申し入れるつもりであります。  さらに、今回の事件について、なお解明すべき点が多いわけでありますが、本船が消息を絶った後、船会社から事件の発生を我が国及び現地当局に通報するまでに日数を経過しておるわけでありまして、これらの問題点につきましても、再発防止を図るという意味から、十分調査の上、今後これらのことを参考にしながら、対策を一層強化してまいりたいと考えておる次第であります。
  59. 高木義明

    ○高木委員 捜索には我が国から海上保安庁も十月三十一日に出動をしておるわけですが、運輸大臣、これは我が国にとっても各国にとってもそうなんですが、まさに内閣が責任を持って、国民の安全と財産を守るという観点から、そういうレベルで取り組んでいただかなければ、これは大変なことになるだろうと私は思っておりますから、ぜひそういうことでお取り組みをいただきたい。お願いします。
  60. 二階俊博

    ○二階国務大臣 たまたまでありますが、二、三日前、小渕総理と国家の危機管理という問題について若干の意見を交わす機会がございました。政治のすべては危機管理だ、総理自身がそういう認識をされております。したがいまして、運輸省が担う、先ほどの海賊の問題も当然、同時に陸海空にわたる交通の運営においての危機管理、これまた極めて重要でありますが、あわせて我々は万全の体制をしくべく努力してまいりたいと思います。  なお、ちょうどこの事件の発生以前に、海上保安庁におきまして、それぞれの管区本部長を招集して、そうした問題についての対応について海上保安庁長官から、また私からも真剣な取り組みについて訓示を行ったところでありますが、今委員の御指摘等を踏まえ、今回の事件を念頭に、さらに積極的な対応を図ってまいりたいと考えております。
  61. 高木義明

    ○高木委員 さて、外航海運は、そのようなある意味では大きなリスクを抱えながら我が国の国民生活に欠かせない物資を運送しておる、そういう使命感に燃えてその方々は日ごろ頑張っておるということを私は忘れてはならぬと思っております。そういう意味で、いわゆる日本籍船あるいは日本人船員がこのところ大変減少しておることに危機感を抱いておるものであります。  そういうことと同時に、昔から海上運送というのは裸の自由競争と言われておりまして、国際競争というのはついて回ってきたのです。さらに、今後とも国際競争力をつけるという意味で、例えば円高や我が国の高コスト体質、こういうことを克服しながら海運会社としては頑張っておる。もちろん、そういう中で、将来に向けて、我が国の海洋国家としての海事技術、この継承も大切な一つの課題であろう。そういうものをあわせて実現するために国際船舶制度というのがあるわけですが、私の認識からはまだ不十分だ、このように思っております。まさに道半ば。  今、日本籍船の場合、平成十年度百六十八隻ありますが、うち百三十一隻が国際船舶、そして日本人船員は平成十年四千四人という状況でございます。前年度からしても、百八十二隻から百六十八隻、四千五百四人おったものが四千四人、それぞれ減少の事実、この歯どめがかかっていない、そういう意味で私は非常に問題を感じるわけであります。  この国際船舶制度は、我が国の海上輸送確保上重要な日本籍船を守り、そして税制上の優遇措置をとるということが大きな柱でございます。この国際船舶制度、そしてまた我が国の日本籍船を確保し、日本人船員を確保する、そういう状況について、運輸大臣としてどのように認識をされておるのか。
  62. 二階俊博

    ○二階国務大臣 日本人船員及び日本籍船の確保を図るということは、貿易物資の安定輸送という観点からも大変重要な問題であるということを認識いたしております。  日本籍船の国際競争力強化を図るために、平成八年に国際船舶制度を創設し、登録免許税や固定資産税の軽減措置など税制上の支援措置を講じてまいりましたことは、委員も御承知のとおりであります。  その後、これらの税制上の支援措置の対象船舶を拡大し、また平成十年十月からは若年船員の養成プロジェクトを実施し、さらに本年五月には外国資格の受有者を運輸大臣の承認により船舶職員として受け入れる制度を導入するなど、国際船舶制度の拡充に努めているところであります。  特に、この外国資格の受有者に対する承認制度は、日本籍船のコスト競争力の向上の点からも大変寄与するところが大きいわけでありまして、来年の早い時期にもこの制度による承認船員が誕生するものと期待をいたしております。  今後、関係者努力により、この制度が活用され、その効果が発揮されることを期待しているものであります。  また、日本人船員の養成について、海技の伝承についてのお尋ねがございました。  我が国にとって、国民生活に必要な物資の安定的な輸送を行う日本海運は、御指摘のとおり不可欠のものであります。国民生活上極めて重要な役割を果たすと同時に、今日までの経済の発展を支えてきた、この事実は、私も委員思いを同じくするものであります。  日本海運及びそれを運航する日本人船員、この重要性は改めて申し上げるまでもありません。国際競争の中で、我が国の海運を取り巻く環境は変化をしてきておりますが、日本海運を支える日本人船員の必要性は全く変わることなく、それなくして我が国の経済のさらなる発展はあり得ないとさえ思っておるものであります。  なお、今般の臨時国会において、船員教育機関については、独立行政法人化のための法案を提出させていただいておりますが、これを契機として、優秀な日本人船員の養成及び海技の伝承について、さらなる充実強化を図るよう十分配慮してまいりたいと考えております。
  63. 高木義明

    ○高木委員 この国際競争力強化のためには、やはり税制上の支援措置というのが一番重要であろうと私は思っております。  日本人船員を減少させることなく国際船舶制度を進めていくには、今ある便宜置籍船、フラッギングアウトの買い戻しによって国際船舶をふやす以外に方法がないと私は思っております。  まず、少なくとも外航海運の支援策は、政府の手厚い支援を受ける欧米の外航海運と対等な競争ができる環境整備をしてやらなければならぬということです。特に税制上、例えば減価償却の法定耐用年数の短縮とか、償却可能限度額の拡大、今九五%、これを一〇〇%にしてやる。また、オランダとかノルウェー、ギリシャ、海運先進国が導入をしておるトン数税の導入、こういうものを各国は支援をしながらそのような目的を果たしておるわけであります。  今、このトン数税ということについて若干新しい動きがあるのですが、このトン数税制というのは、船会社が運航する船舶の一隻ごとのトン数に基づいて、その損益にかかわらず一定の税金を支払う仕組みでありまして、法人税のように赤字が出れば納税の義務はないのと違いますが、安定した経営が見込めるときは、その課税額は法人税と比較して格段に安くなるような料率が設定をされておる。既に欧州では、オランダ、ノルウェー、ギリシャが導入して、またドイツも導入の方向を決定しておる。  これで最も成功したのがオランダと言われております。導入以来、百二十隻の船舶がオランダ籍に戻って、新たに四十社もの海事関係会社が創立され、二万五千人の雇用が創出をされた、こういうこともあっております。また、イギリスにおきましては、このトン数税制の導入が決まりまして、イギリスの船会社P&Oは、五十隻以上の外国船籍を英国籍に戻す。現在浮かんでおります世界最大のクルーズ客船、これはリベリア船籍でありますけれども、グランド・プリンセス号、これもこの中に含まれる。そういうことになりますと、訓練生や船員の倍増も図られていくであろう。こういう新しい世界の動きを見ても、我が国の国際競争力強化のための税制の果たす役割は大変私は重要なものがある。  そういう意味で、これは税制ですから、運輸大臣の一存でどうのこうのとは言えませんけれども、やはり所管の大臣として、先頭に立ってこのようなことを指摘し、そして解決に向けてまさに持てるリーダーシップを発揮していただきたい、私は、そういう思いが強いのであります。  どうぞ、ひとつ大臣の御認識を。
  64. 二階俊博

    ○二階国務大臣 税制上の御指摘でございますが、日本船主協会からも海運関係税制の要望を伺っておりまして、運輸省としては、海運関係税制の要望については、すべて来年度の税制改正要望に盛り込んでいるところであります。また、諸外国の海運に係る税制等については、ただいま御指摘のとおりでありますが、その社会的背景、税体系等にそれぞれ国によって違いがあることはこれまた当然のことであります。  したがいまして、一概に比較することは難しい面がありますが、今後とも国際競争力を強化する、それに資する税制のあり方について引き続き積極的に検討してまいりたいと思います。
  65. 高木義明

    ○高木委員 特別償却制度の拡大、固定資産税、登録免許税の非課税を便宜置籍船並みに軽減をするということは私は必要不可欠であろうというふうに認識をしておりますので、ぜひこの点について努力をいただきたい、このように思っております。  さて、このような世界の外航海運でございますけれども、今造船の環境も非常に厳しくなっております。二〇〇〇年代の建造需要は約二千万総トンから二千五百万総トンと言われております。そして、今の世界の建造能力は約三千万総トンと言われております。これは、この数字が示すように、既に建造能力が需要よりも大きい、いわゆる供給過剰の数字になっております。  こういうことから、我が国造船界をめぐる環境も今後さらに厳しくなっていくのじゃないか、いわゆる国際競争が激しくなってくる、このように私は認識をいたしております。  例えば、よく言われておりますけれども、お隣の韓国、同じ重工業という仕事をしておりましても、幅広く多角化が進んでおる日本とまだ造船業の比重が高い韓国とでは構造面で大きな差が存在するわけであります。しかしそれでも、一九九八年の竣工実績を見ると、かつて世界一の建造量を誇った日本の大手七社の合計四百六十一万総トンに対して韓国の大手五社の合計は七百五十万総トンとなっております。大手同士の比較ではもう既に、韓国を一〇〇として日本は六一の水準になっておる。そういう状況を見ますと、私は、我が国の造船業をめぐる環境もこれは物すごく厳しくなっている。  もちろん、これは企業経営戦略にかかるわけでありますから、国がどうのこうの言う問題ではないわけです。しかし、自助努力でどうにもならない、例えば円高という経済環境、あるいは公正な国際競争ができない障壁、こういうものについては、私は、我が国が先頭に立ってそういうものを改善していかなければならぬ、このように思うわけであります。  したがって、まずは現在の世界の造船環境についてどのように認識をされて、そしてこれは、国際協調の中で不当なダンピングをさせない、あるいは公正な競争ルールを確保する、またそれに伴う諸問題について、国際的なテーブルの中で我が国としてはどのように努力をしてきたのか、また、今努力をしようとしているのか。この点について、この際御所見を賜っておきたいと思います。
  66. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほど、世界の建造能力が三千万総トンである、私どももそのように把握をしておるわけでありますが、二〇〇〇年代の建造需要というものは恐らく二千万総トンないしは二千五百万総トンになるであろうというふうに認識をいたしております。  それらの観点に立って、この造船業界の今日の不況の状況、そして先ほどお示しになりました韓国との比較等を考えますと、今後相当の決意を持って造船各社の生産体制の見直しやコストダウン等につきましても、経営の効率化にそれぞれ努力をされております造船業界に運輸省としても適切にバックアップをしてまいりたいと考えるものであります。  今、我が国の造船業は過去五年間で一千万総トンを超える高水準の受注量を保ってきましたが、最近の御指摘の円高により本年の受注量は八百万総トン、つまり二割減少をいたしておる状況であります。  これらのことに直面するときに、円高に対する造船業の対応、当然これはそれぞれの企業努力にまつところが多いわけでありますが、これは高木委員も御指摘のとおりであります。私ども運輸省としても、日本の誇る代表的な産業の一つであります造船業が今後隆々発展するための施策運輸省としても今後とも真剣に取り組んでまいりたいと考えておるものであります。
  67. 高木義明

    ○高木委員 私は先ほど述べましたけれども、国際社会の中でそれぞれフェアな競争をしていく、そして悪かろう安かろうというふうなものを除いていく。  そういう中で、アメリカが、これまでOECDの造船協定を進めていこうという立場にあったのですが、ここに来てどうもこれを批准しない。これは非常におかしいし、何ゆえにアメリカがそのようにこだわっているのか、大変私は問題を感じております。  このOECDの造船協定というのは、既に御承知のとおり、欧州連合、日本、韓国、ノルウェー及び米国、ここが交渉し始めました。これは、先ほど私が申し上げましたように、一九八九年、米国の造船工業会が提訴をしたわけです。世界の公正な競争をしようということで提訴したにもかかわらず、今日残ったのはアメリカだけだ、こういう非常に納得のいかない状況にあっております。  そこで、私は、ぜひ米国に対して、早くこの造船協定を批准されるように強く求めていくべきではないかと思っております。アメリカアメリカで国内のいろいろな事情があるんでしょうけれども、しかし、これはみずからが言い出して、そして今になってこれをしないということは、私は、我が国と友好関係にある米国として納得できないことだと思っておりますが、この点について政府の対応を聞かせていただきたい。
  68. 二階俊博

    ○二階国務大臣 世界の造船市場に公正な競争条件を確立するためには、OECDの造船協定の早期発効が必要であるということは十分認識をいたしております。しかるに、同協定が発効するには米国が批准する必要があるということについて、今御指摘のとおりであります。  我が国としては、一九九六年の同協定の締結以来、機会あるごとにアメリカに対し早期批准を働きかけてまいりましたが、アメリカの造船業界が、御案内のように、同協定で禁止されている公的助成の廃止に反対していることから批准ができない状況にあると聞いております。このため、引き続き我が国造船業界に対しては米国造船業界への働きかけを要請するとともに、運輸省といたしましても、あらゆる機会をとらえて、議会の関係者及び政府に対し働きかけを行ってまいる決意であります。  私自身としては、昨日もある問題でスレーター運輸長官に手紙を差し上げたところでありますが、スレーター長官からは、十二月五日から三日間ぐらいの予定で日米の運輸問題について協議をしたいということであります。ちょうど国会開会中でございますからその日程がうまく折り合うかどうかわかりませんが、きょう御意見のありましたことを重ねてスレーター長官に私の方から書簡を送って、早期批准に御努力をいただく、あるいはいただきたい旨を申し上げるとともに、現状がどうなっているかということをお尋ねしたい、このように思っております。
  69. 高木義明

    ○高木委員 よろしくお願いいたします。  そこで、大手の造船、いわゆる世界の中での我が国の造船業の今後については私は今申し上げた認識でございますが、現実に、我が国のいわゆる中小造船は、これらの長引く不況もありましょうし、あるいは海運市況の話もありましょう、多くの要因が重なって、今本当に塗炭の苦しみといいましょうか、この状態が続きますと、もうほとんどが休業、廃業、倒産、こういうことになるのでなかろうかという懸念が持たれております。  中小造船というのは、全国のそれぞれ地場にあって、大切な雇用を支え、そして産業の活性化に非常に役に立っておる。そういう造船業が、今非常に経営面で厳しい状況があるということを私は思うわけです。  そこで、もちろん中小造船業も、構造改革の中で、いわゆる設備削減をしたりリストラをしたり、努力をしております。しかし、そういう状況にありながらもこのような認識であって、既に政府に対しても、こういったところの関係者がいわゆる嘆願をしておるということも聞いております。この点についてどのように認識をされておるのか、競争力強化についてどういう対応が進められておるのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  70. 二階俊博

    ○二階国務大臣 中小造船業を取り巻く状況というものにつきまして、今委員からるる御説明のあったところでございまして、私も同じ思いでおります。憂慮をいたしております。  中小造船業というのは大体千二百社あるようでございますが、それぞれまことに中小でございまして、経営規模が小さいということも問題の一つでございますが、近年の漁船の需要の低迷、これが大きな原因になっておると思いますが、平成八年以降の内航船の建造需要の激減という事態、深刻な不況に直面していること、いまだに需要が回復しない状況にあります。  このため、運輸省といたしましては、過剰となる設備の削減を促進するために、造船業基盤整備事業協会による設備買い上げ制度を整備するとともに、産業基盤の強化を図るために、平成十年七月の中小企業近代化促進法に基づく近代化計画に沿った、情報化の導入による生産性の高い低燃費の船の開発等新規需要の創出等を内容とする構造改善事業を推進しているところであります。  中小企業が不況を克服し、今後も需要の変化に的確に対応した船舶を供給できるように引き続き対応し、施策を推進してまいりたいと思いますが、時、中小企業国会と言われておるときでございます。中小造船業を取り巻く環境、ただいま委員の御指摘のとおりの状況であるということを私どもも認識をいたしております。それらについて、今後とも競争力の強化を推進していくことができる対応を運輸省としても積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  71. 高木義明

    ○高木委員 これはまさに中小企業としても、意識を含めて、前向きにとらえていくべき問題であります。  と同時に、二つのポイントについて私はお答えいただきたいんです。  一つは、これは内航海運関係になります。これは、いわゆる船腹調整事業を今後段階的に縮小していくという観点から、暫定措置事業というのが一つの制度としてできました。今それが進捗しておりますけれども、この暫定措置事業の中に建造納付金制度というのがありまして、この建造納付金の負担が非常に重い、だから船主としても建造意欲がわかない、暫定措置事業が終わるまで待っておる、こういう実態もあり、何とかこういうところは国の政策として、このように船腹調整制度が暫定措置事業として衣がえをし、そして自由な競争をしよう、そして活力を持たそうということでやっておるわけですから、こういうときにこそ公的資金をこういうところに使ってやる。まさに、この国会は中小企業国会、こういうことを言われておるわけですから、まさに地場においても、雇用においても、そういう手だてをすれば私は大変役立っていくというふうに確信をしております。  同時に、我が国はまさに海運あるいは海洋国家であります。いわゆる官公庁船をどんどん近代化していかなければなりません。そういう意味で、そういう中小、地場の人たちにできるだけ、これはもう地方も含めて、官公庁船の近代化のために前倒しをしてそういう需要を確保してやるということが私は大切じゃないかと思いますが、この点についてはいかがでしょう。
  72. 二階俊博

    ○二階国務大臣 納付金額の問題について御指摘がございました。  納付金額が高いために新規建造が手控えになっておるという御指摘でありますが、運輸省としましては、やはり長引く景気の低迷、荷主の物流提携等の動きから船腹過剰感が強まっていることが建造需要を冷え込ませた最大の原因だと認識をいたしております。  船主の建造意欲を喚起するためには、何よりも景気の回復による輸送需要の回復、当然のことでありますが、まず第一番に大事なことであります。暫定措置事業の推進による過剰船の処理が肝要であると思っております。このため、政府としては、景気の本格的な回復を目指しながら、暫定措置事業の円滑な推進に今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  暫定事業に対しての公的資金についての御指摘がございますが、国が直接的な財政措置を講ずるということは、これは困難なことだと思っております。しかしながら、交付金に要する資金を低利かつ円滑に調達できるように、政府保証のもと運輸施設整備事業団が内航総連に融資する制度を設けており、次期補正予算においてもこのための政府保証枠の増額を要求しているところであります。  なお、暫定措置事業においては、この事業を不必要に長期化させないという意味で、交付金単価を毎年漸減することによって、この事業の総所要資金を抑制する仕組みがとられているところであります。  いずれにしても、御指摘のように、中小企業国会にふさわしいように、中小の造船業あるいは造船業全般に関して、船主の意欲を喚起することができるような対応を図るように努力をしてまいりたいと思います。
  73. 高木義明

    ○高木委員 官公庁船のいわゆる発注、これはちょっと後でお願いします。  今大臣が言われましたように、基本的には景気回復、これにあると思うんです。だから、私たちは、やはりそういう意味では早く景気対策、経済の構造改革をしなければならぬと思っております。同時に、やはり我が国の物流の四割を担うという海上輸送、これを活発にするというのも大事なことです。  というのは、まさに我が国の政策として、モーダルシフト、もちろんモーダルシフトは海運だけじゃありません。鉄道と自動車、空と陸という多面的な角度からやられるわけですけれども、例えば、これは運輸省の政策局が調べておるのにも、横浜から九州の福岡県に十トントラックで道路を通っていった場合と、いわゆるフェリーで物を送った場合、輸送費は三一%削減、労働力は七六%削減、エネルギー消費量四一%削減、CO2排出量三九%削減、こういう調査の資料も出ておるわけです。  そういう意味で私は、今後まだまだ物流コストを下げろという流れのある中で、モーダルシフトも徹底的に進めていただく、これは言っておる割に動きは非常にのろい。これこそ政治のリードでこういうことをやっていかないと、環境問題もありますし、この国の活性化はうまく回っていかない、私はそのように思っております。もっと海運活用すべきだ、このように思っております。その点どうでしょう。
  74. 二階俊博

    ○二階国務大臣 モーダルシフトにつきましては、海運または鉄道による輸送の適性があると考えられている長距離、五百キロメートル以上ということでありましょうが、雑貨輸送の分野においては、海運鉄道の比率を二〇一〇年に五〇%を超える水準に向上させることを目指しておりまして、その推進を図っているところであります。これにより、その水準は、昭和六十年の三五%から平成九年度には四二%と若干ながら増加しておりますが、今御指摘のように、私は、モーダルシフト、モーダルシフトと呼んでおるだけではなくて、実際にモーダルシフトが現実化するような対策を考えなくちゃならないと思っております。  今物流コストの低減ということにも言及されましたが、私は先般横浜港に参りまして、横浜港に荷揚げをされております各地からの、各国からのいろいろな製品、例えば牛肉なんかもどんどん入っておるわけでありますが、その物流コストというものは極めて低廉なもので入ってきておるわけであります。したがいまして、今御指摘のモーダルシフトを推進していくということは、消費生活の上においても極めて重要な役割を担うものであります。  したがいまして、まず、受け皿であります海運及び鉄道についての事業者が事業活性化のために積極的な努力を行っていただくことが重要でありますが、物流設備の整備等につきましても対応していかなくてはならないと思っております。
  75. 高木義明

    ○高木委員 時間がもう参りましたから、こちらからあと一点。  まさに新しい、我が国が世界をリードする技術として、造船技術を活用するための一つメガフロートのプロジェクトもございますし、片や超高速船、TSLのプロジェクトも今運輸省中心として業界で進められております。  一つメガフロートについては、もう既にフェーズIIという段階になりまして、離発着訓練の段階に入っておりますが、今研究を幾ら続けるということじゃなくて、むしろ、首都圏第三空港をこのメガフロートでやれないかという一つ検討を政府の中につくっていく、あるいはその他、夜間離発着訓練もそうでしょうし、公共スペースの確保についてもそうでしょう。その点について一体どうお考えなのか、ぜひそういうことをやってほしい。  もう一つは、TSL。ことしの不審船問題で、我が国の造船技術というのは、こんなに遅い船があるのか。逃げられた、恥ずかしい話。絶対そうではないんです。TSLという技術もあるんだから、海上保安庁にこのようなものを入れて、リスクのかかる問題ですから、これは国としてこういうものをどんどん進めていく、もちろん民間輸送体制はまた別の問題として取り組んでいただく、この点について、もう時間がありませんから、決意だけよろしく。
  76. 二階俊博

    ○二階国務大臣 できるだけ簡潔に申し上げます。  メガフロートの問題につきましては、私はこれは最初に御説明をいただいたのは高木委員からでございまして、新進党の時代にこの議員連盟をつくり、何回かお誘いをいただいたんですが、議員連盟には参画してまいりましたが、現地を視察するということは、ちょうどぐあいが悪くて何回かそのチャンスを逸しました。  したがいまして、先般急遽メガフロート、現地へ行ってまいりました。もう、おっしゃるように、実験を繰り返しているという段階ではなくて、実用化に向けて相当思い切った方策を打ち出していかなきゃいけないときだというふうに思っております。  先ほど、首都圏第三空港の問題につきましては、これからの埋め立てあるいはこのメガフロート等対策を検討していく上において一つの方策であるということを申し上げましたが、メガフロートの問題を十分念頭に入れてこれから対応していきたいと思っております。  また、メガフロートは、今とりあえず空港ということを対象にして考えていけば後は何にでも活用できるということでおやりになっておりますが、私は、これにも相当の予算等を投入して、もっと、一千メートル、また幅六十メートルの広さがあるわけですから、いろいろな実験ができるわけです。今もう既に芝生を植えておりますが、家も建てる、芝生も植える、野菜もつくる、そういうことから、メガフロートそのものがどれだけ大きな革命的な技術を世に提供したかということ、これを評価しながら、運輸省としては積極的に取り組んでいきたいと思っております。  テクノスーパーライナーも、百四十億円の調査費をかけて、そしてこれを今は静岡が購入して運航しておるわけでありますが、これもそろそろさらに実用化するために対応していかなくてはならない。  海上保安庁の問題に関しては、先般海上保安庁長官がみずからこれに乗って検討してきたようでありますが、今後、巡視船艇等については、テクノスーパーライナーのこの威力を、先ほど御指摘のような先般の北朝鮮と思われる不審船に対して、テレビをごらんになったすべての国民は、途中から引き離されていったあの姿は屈辱と受け取っておると思っております。それらに対して、テクノスーパーライナーも念頭に入れながら、運輸省はできるだけ早い機会に、ああした船には絶対負けない船を早急に建造する、全省挙げて取り組んでおるところでございます。
  77. 高木義明

    ○高木委員 終わります。
  78. 仲村正治

    仲村委員長 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時二分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  79. 仲村正治

    仲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。奥田建君。
  80. 奥田建

    ○奥田(建)委員 民主党の奥田建でございます。今まで党としまして二時間近い質問時間をいただいております。私の方からは、少し地域色の強い質問になるかと思いますけれども、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず、私自身石川県の選出でございますので、整備新幹線に関しての質問をさせていただきます。また、地域の方でも長く熱い要望がある中での、私、個人的にも大いに強力に推進をしてほしいという立場での質問となります。  既に、既着工三線、こちらの自治体の方、長いところでは三十年近い歴史、私どもも地域を挙げての活動をしまして二十五年余りの歴史を持っております。住民自体も一丸となって、北陸だけではなく九州、東北の方でも早く供用を開始してほしいというのが地域の方のお心だと思っております。また、未着工の計画路線の部分でも、やはり新幹線を待ち望む気持ちは同じかと思います。  長い歴史の中で、国鉄の分割・民営化あるいは財源のスキームの見直しという中で地方自治体負担といった重荷が出てきたり、あるいは、これから先にはやはり在来線問題といった大きな課題を各地域で持っておるわけですけれども、やはりそういった課題を乗り越えてでも、一日も早い新幹線の開通を待つといったような気持ちかと思います。大臣自身も長い間こういった問題について取り組んでまいりましたでしょうし、また地方の議会の方でもやはり長い歴史を持っている問題ですので、私ども以上に大変この問題については知識も、あるいは意見もあるという方もたくさんおられる次第でございます。簡単に言えば、ずっと待ち続けて、願い続けておりますけれども、一体いつになって新幹線は走るのだろうかというのが、多くの沿線あるいは地域方々思いと思っております。  さきの与党間協議の中で、新幹線を国家的プロジェクトとして位置づけ、公共事業関係費あるいは新幹線の譲渡収入のほかに公共事業等予備費というものを組み込んでいただき、あるいは新規着工三線についても、新たに手をつけて、また見通しをつけるという御意見を出していただきましたこと、あるいは、大まかではありますけれども何とか供用までの見通しといいますか、目標を示すということは、大変評価すべきことと思っております。  しかしながら、財源問題あるいは北陸新幹線に関しては、やはりあいまいな言葉での表現であり、私も含めてある種の不安を抱きながら見守っておるというのが現状であるかと思っております。北陸に関しては、やはりまだら着工との批判なども沿線地域からも出ております。与党間協議と、あるいは政府の方針とはっきりと一致していただければわかりやすいのですけれども、そういったところにやはり若干の食い違いもあるように思っております。今、与党間の意見が出た後、やはり政府としての対応はどういった結論をお導き出していただけるのかということに多くの注目が集まっておる時期でもあるかと思います。  そこで、まず総括政務次官の方にお尋ねさせていただきたいと思います。  現在建設中の整備新幹線の完成予定時期、言える部分、言えない部分があるかと思いますけれども、完成予定時期の見通しそして進捗状況、特に北陸新幹線の方であいまいになっている部分も多いですので、そちらの方にも言葉をいただければと思う次第でございます。
  81. 中馬弘毅

    中馬政務次官 奥田建委員にお答えします。奥田さんといえば敬和先生、私が政務次官をしていますときの自治大臣でございまして、こうしてこの席で答弁に立つのも何かの御縁かと思います。  新幹線のことでございますが、新幹線は、昭和三十九年に開通いたしましてから、本当に日本の国土軸としての大きな役割を果たしてまいっております。東海道、そしてまた山陽、東北の方にも延びてまいりました。しかし、それが非常に有用なものというその評価が上がるにつれて、地方でもその御希望がどんどんとふえてくる、期待が高まってきていることは事実でございます。  そういう中で整備新幹線があのような形で計画をされているわけでございますが、先生の御地元であります北陸、これにつきましても一つの計画はできているわけでございます。しかし、御承知のようになかなか進捗していないことも、これまた事実でもございます。どの町におきましても、そして、計画が決まった以上一日も早く自分のところに、そして、いつ新幹線が我が町に通るのだろうというその御期待があろうかと思います。  とはいいながらも、それぞれ思惑が違ったり、また御要望が違ったりもいたします。そうする中で、例えば北陸の場合で申しますと、これは今一応政府の方としまして、これは自自の合意にもありますように、スーパー特急の方でやるという一応の前提の中で、整備新幹線着工区間の工事が始まっていることは御承知のとおりであります。  しかし、また一方でフル規格でという話が今ずっと上がってまいりまして、フル規格でありますと、御承知かと思いますが、着工してからまた二十年というような話も今度の計画決定で決まっておるわけでございます。そうしますと、御地元において、七、八年でもいいから先にスーパーで通してほしいというお声と、同時にまた、二十年かかる、それでもフルがいいのだ、こういう一つの議論も出てきているようにも伺ってもおります。そういうことも踏まえまして、私たちは十分に対処していかなければいけないと思っております。  ただ、自自の合意におきましてそういうことをはっきりとうたいましたがために、少しそのことが期待が膨らんでいるようではありますけれども、この自自の合意で申しましても、ここにはかなり前提条件がついておりまして、財源確保については政治の責任において今後最大限の努力をするという、政治の方にかなり、我々に対しまして一つの宿題が課せられているわけでございます。  と同時に、またいろいろな試算も出ておりますけれども、仮にといったような前提を置いた上で、毎年千五百億円程度のものが今後十数年にわたって確保されるならばこういうことも可能でしょう、こういう前提をつけながらの、一つの未着工区間にも言及をしております。そういうことでございますから、皆様方が御期待の北陸新幹線において、現在進捗率が幾らだとか、あるいは完成時期がいつだというのは、ちょっとここで明確にお答えできるわけでもないかと思います。  それは、先ほど言いましたように、諸条件が固まらない限り、財源の問題からあるいはJR西日本の取り組みの問題だとか、そういったこと、それぞれ詰めてまいると同時に、地元の御要望の向きももう少し固めていただくことも含めて、私たちはそれを慎重に見守りながら、運輸省としても対処してまいりたいと考えているところでございます。
  82. 奥田建

    ○奥田(建)委員 運輸省の方に非公式の場でお話を聞きましても、やはり一番の問題は財源なんだ、財源の方で何とか手当てがつけば、少しずつでも財源の分は前に進むことができるのだというお話を聞く機会が多うございます。  ただ、今から、着工している部分も、スーパーだ、フルだという前提を確定して、フルなら二十年というふうに言われても大変先の長い話でございます。いろいろな開通までの新幹線の誘致運動といいますか要求運動をしておる方々も、本当にもう自分の生きている間に乗れないのじゃないか、乗れなくて先に逝った人もいますけれども、それどころか、私どもでさえ新幹線というのは果たして乗れるのだろうかという思いを抱かざるを得ないような状況であるかと思います。  政務次官のお答えのように、国土の均衡ある発展あるいはグランドデザインの中でも、長い間、日本海国土軸というものをやはり国の施策として訴えられております。その中の一つの背骨というものがこうやって長い間形にならないというのは本当に悲しいものでありますし、またそういったビジョンを実現するためにも、ぜひとも必要な交通機関であるということを御理解いただきたいと思う次第でございます。  今財源問題、あるいはスーパーにするのかフルにするのかというお話もございました。確かに、運輸省の方あるいはJRの方、そして地域の方、地域の行政、そういった方の多くの合意のもとに進めなければ、やはり一番最短距離の効率的な整備というものが進まないのかなと思います。  また、余りにも長い時間を思いますと、大臣さきの答弁にありましたように、フリーゲージの進歩、現実化は五年、十年先かもしれませんけれども、そういったものがなったときに、高速輸送あるいは大量輸送というものが可能であるならば、そういった選択肢も真剣に考えるべき余地のあるものなのかなということもきょうの答弁を聞いておりまして思う次第でございます。  そこで、まず財源がなければどんな計画もなかなか進行できないということでございます。  本年度は、先ほども述べましたように、当初の事業予算に加え、予備費の増額が図られました。今これから補正予算についてのいろいろな御審議があるかと思いますけれども、現状のところで、補正予算での要求状況といったものを中馬総括政務次官に聞かせていただければと思います。
  83. 中馬弘毅

    中馬政務次官 今の御要望の向き、本当に強いことは私たちも実感をいたしております。  しかし、先ほど言いましたような状況でございますから、一日も早くというまたお声、これにこたえるためには、一つの解決策としてのフリーゲージトレーン、これが実用化されますと、今言いましたことが両方を兼ねた形で少しは可能になってくるのじゃないかと思います。  そういうことの研究等も進めさせていただいておりますが、今御質問の本年度の整備新幹線の予算でございますけれども、当初予算を千六百三十四億の事業費ベースで獲得いたしました。そのうち、公共事業関係費は三百十七億円でございますが、公共事業等予備費の方でまた六百三十億事業費追加。そして、この二次補正におきましては、五百七億円私たちは要望をいたしております。公共事業関係費は三百三十八億でございます。これをトータルいたしますと、今年度で二千七百七十一億円というかなり大きな額の事業費を確保することになります。  そのうちの公共事業関係費は千七十五億でございますが、自自公の合意に入っております毎年千五百という数字になりますと、なかなかこれでも届かないかなという気がしているわけでございまして、それを国土交通省になりましたらもう一度発想を変えてでも、ひとつ大きな財源策も、あるいはまた地元の御期待にもこたえられるような何か施策考えていけるのではないか、そのようにも思っておるところでございます。
  84. 奥田建

    ○奥田(建)委員 前にも、今の質問のときにも言いましたけれども、今年度の予算につきましては、前例から考えますと本当に大変頑張っていただいておると思う次第でございます。あるいは補正予算の分も、こういった連立の合意の中の骨の部分でございますので、ぜひともその数字の獲得のために頑張っていただきたいと思う次第でございます。  ただ、どちらもそういった年額、最低でもという言葉は当てはまらないのかもしれませんけれども、一千五百億の財源を確保し続けていかなければ、そういったスムーズな進行、あるいは見通しを立てた進行というものが難しいということでございます。どちらも最初の予算以外は単年度の予算でございます。来年以降やはり大変な努力が毎年毎年行われなければいけないということになるかと思います。来年度からのそういった予算は確保できるのか、確保するための方策はあるのかということを思うと少し心配になる次第でございます。  今の政府の財政自身、私もまだ新人の議員でございますけれども、大変じくじたるといいますか、あるいは憂うべき事態であるという思いを持っておるものでございます。しかしながら、公共事業に関して、硬直化したといいますか、既得の枠の中で予算を考えていくというシステム、そういったシステム自体をやはり大臣の就任を機に、あるいは国土交通省という新しい省に統合されるのを機に見直していただきたいと思う次第でございます。そういった予算自体を、めり張りのきいた、世の中のニーズに力強くまた素早くこたえるものに形を変えていっていただきたいと思う次第でございます。  今の話題にさせていただいております整備新幹線について申しますれば、やはり国家的プロジェクトというありがたい名前をいただいてはおりますけれども、本当にその中身は国家的プロジェクトと言うに値するものなのかということを見ておりますと、大変心細いものがございます。大体、公共事業関係費、その中のシェアというものが〇・三四%、そういった姿が本当に国家的プロジェクトという名のもとに進めるものの姿なのか。予算にまだ疎い部分はありますけれども、力強く事業を推進するための特別枠、安定した財源を確保する枠といったものがあってもいいのじゃないかとさえ思う次第でございます。  さきの前原議員の質問にもありましたけれども、やはり中期計画あるいは長期計画といったもので、国が責任を持ってこの事業は邁進させていくという、すべての事業とは言いません、そういった中の一つの事業だというものをきっちりと政治のリーダーシップを持って示していただければと思う次第でございます。  そこで、運輸大臣の方に御質問させていただきます。  新幹線の方にも大変御理解の深い大臣ではございますけれども、これからの整備新幹線の進め方、推進といったものに当たっての大臣の御見解と御決意をお伺いしたいと思います。
  85. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま、民主党所属の奥田建議員から新幹線に対する激励をいただきまして、大変意を強くしておるところであります。  整備新幹線の重要性等につきましては、先ほど来、中馬総括政務次官から御説明を申し上げたとおりでありますが、私は、やはり政治は何をなすかということが一番大事なことであって、先般、昨年の暮れ以来進めてまいりました自自連立の中で、私たちは、停滞しております新幹線整備の促進等について、この際国家的プロジェクトとして位置づけをして、例えば中部国際空港であるとか、もちろん成田、関西国際空港、中枢・中核港湾の整備、そして、先ほどからお説の新幹線整備促進を図るべきだということで、五千億の予備費を計上することを自自の間で約束をし、それを具体化したものであります。御案内のように、この予備費の性格からいたしますと、三月三十一日までに完成をさせなくてはならないという問題が一つ横たわっております。  そういうわけで、本来、千億、二千億のオーダーで新幹線につぎ込みたい、そういう意気込みを持って自自の間で協議を行ったわけでありまして、当時、森幹事長やあるいは野田当時の幹事長、そして自由民主党、自由党の私ども国対委員長等が最終的には四人で合意をしてそうした案をつくり上げたわけでありますが、結果的には六百三十億の事業費を確保するにとどまったことは、私たちの出発のときの思いと結論との間に若干の温度差があることは否めない事実であります。  いずれにしましても、進捗がやや停滞ぎみであった新幹線に活を入れて、そして前向きに進めていこうということは、これはいかなる政党といえども御了承、御了解をいただけることだと私は思っております。今まで自自ということを申し上げてまいりましたが、今や政治は自自公に及んでおります。今、民主党の奥田議員からそうした新幹線に対する積極的な思いをお聞きしまして、私は大変意を強くいたしております。  そこで、仲村委員長初め運輸委員会の皆様のお力をちょうだいしながら、私どもは、予算さえきちっと確保できれば幾らでも積極的にやりたいわけです。それでは、運輸省の中で新幹線だけやればいいかといったら、そうではありません。したがいまして、大蔵省との間の予算のせめぎ合いの中で、思うような結果を出すことは大変困難な事情にあることは御承知のとおりであります。しかし、その中にあっても、私たちは、国是ともいうべきいわゆる国土の均衡ある発展のためには、国民の皆さんの前に現在提示しておる新幹線着工区間、未着工区間、これの完成に向けて努力していくことが政治として極めて重要なことだと思っております。  私も、ずっと新幹線のプロジェクトチームの一員として参加をしてまいりました。実は、私ごとですが、私の選挙区には、いつの時代が来ようとも、新幹線には何の関係もありません。しかし、何の関係がなくても、このことが国家的に必要だということぐらい私は十分認識をいたしております。今後全力で新幹線整備に取り組んでいきたいと思っておりますので、一層の御支援、御協力をこの際お願いしておきたいと思います。  なお、一言つけ加えさせていただきますと、私は今奥田建委員の御質問をお聞きしながら、また、今こうしてこの席に立ってお答えをしながら、今は亡き奥田敬和元運輸大臣のことを思い起こしております。大変お世話になってまいりました。いわゆる先代奥田先生の政治的盟友とも言える石川県の長老の県会議員の皆さんや精鋭の皆さんが先般こぞって運輸省においでになりまして、新幹線の必要性と奥田元運輸大臣の話をひとしきりなさってお帰りになりました。私は、奥田大先輩のことを想起しながら、新幹線の問題について北陸沿線の皆さん思いを何としても実現に向けて努力してまいりたい、こういう決意でおりますことを申し上げておきたいと思います。
  86. 奥田建

    ○奥田(建)委員 どうもありがとうございます。(「鳩山党首は反対しているぞ」と呼ぶ者あり)いや、そんなことはございません。うちの地元へ来てしっかりとごあいさつをいただきました。  ただ、私も、今の与党側の、全体の予算について何でもありの何でもいただき何でもばらまきといった、そういった姿勢までを肯定するものではございません。やはり先ほども言いましたように、進めるべきもの、耐えるべきもの、そういったものをはっきりと打ち出し、また理解される、そういった予算あるいは議会であっていただきたいと思う次第でございます。  ちょっと時間の方が差し迫ってまいりました。海上保安関係にもう一問御質問させていただきたいと思います。保安の関係では先ほど高木委員の方からお話があったと思います。私の方は、かなり前のことになりまして少し記憶が薄れてきたかもしれませんけれども、日本海沖で起きましたナホトカ号の重油流出事故に関連した質問でございます。  大変多くの方々の御協力のもとに海岸清掃といいますか、重油の回収作業に当たらせていただきました。九年の一月ですから、もう二年以上前のことです。ただ、今もこういった補償問題などで各自治体は頑張っておるわけでございますけれども、海上保安関係ということで、その後もいろいろな法的な整備あるいは設備的な補充、補充といいますかそういったことが行われていると聞いておりますけれども、私が一番心配しますのは、十年以上も先のことになるのかもしれませんけれども、いまだ隠岐島沖に沈んでおります船体のことでございます。沈没船体には一万キロリットルと推定されるような重油がまだ残存しておるわけでございます。これは流出した重油の優に一・五倍の量になると聞いております。  こういった事態に対して、確かに今は二千五百メートルの海の底にあるということで手のつけようがない、あるいは確実な回収方法というものがないということが検討委員会の報告でもございました。海上保安関係ではございませんけれども、近ごろの世相の中で、一つの危機管理といったものに対してやはり私も含め多くの方が不安を抱いている時期ではないかと思います。しかも、今まで報道に見られたような、予想されない危機管理ではなく、ある意味でしっかりとここにこういった問題点があるといったことを把握できるというか認識できる事態であり、そういったまた新たな流出というものが予想し得る危機でもございます。  政務次官お尋ねいたしますけれども、こういった法整備あるいは施設の拡充とともに、今の残存油の対策といったものをお聞かせいただければと思う次第でございます。
  87. 中馬弘毅

    中馬政務次官 平成九年の一月でしたか、発生しましたナホトカ号の重油流出事故、当時は一万九千トン積んでおったようですが、九千トン流出して、今残存しているのが四千トンともまた一万トンとも言われております。この七月にも潜りまして、いろいろと調査をやりました。しかし、船尾部が静止状態で安定している、そしてそう腐食も進んでいないといったようなことで、何か小さな油がぽこっぽこっと時々出るぐらいの状況ですから、今のところ差し迫った危険があるとは思われません。しかも、二千五百メーターという水深でございますから、これを何か今すぐ処理できるとかいうことでもないので、今はそっとしておくぐらいしかないかと思います。  それはともかくとしまして、こういった油流出事故に対してどう対処するか、海上保安庁の大きな役割でもございます。そういうことで、具体策としましては、相手の国の船、そこまで臨検するわけにもいきませんから、寄港国、入ってきた船舶の監督、これを強化する。それから、大型の油の回収装置等油防除の資機材、これの整備をする。そしてまた、荒天対応型の大型油回収装置等の研究開発の推進、こういったことをやっております。また、油回収機能を有するしゅんせつ船の整備、バキュームのような形でぐっと吸い込むわけですけれども、こういったことの整備だとか、あるいは日本海を取り巻く諸国によります国際協力の強化、こういったことを提言し、そしてそれをすべて今実施しているところでございます。  こういったことを受けまして、これまでに外国船舶の監督、ポートステートコントロールと申しますが、これの強化として全国に五十八名の外国船舶監督官を配置をいたしました。また、油防除資機材の整備としまして、門司に大型油回収装置を一基配備するとともに、横浜港など九つの海上保安部に高粘度油回収装置を配備します。また、各地の海上保安部署に約四千缶の高粘度油対応の処理剤を配備しましたし、また、荒天対応型の大型油回収装置等の研究開発を推進いたしております。平成十年度から四カ年計画でございます。そしてまた、大型しゅんせつ兼油回収船、これは十二年の十月に竣工予定です。今建造中です。そしてまた、平成十二年度の概算要求におきまして、新潟港で大型のしゅんせつ兼油回収船の建造を計上いたしております。  また、国連環境計画、UNEPですけれども、これの提唱している行動計画の一つであります北西太平洋地域海行動計画、これにおける本部事務局の誘致、日本に持ってきたいということも含めて、こういったことに対しましての国際協力体制の構築に頑張っているところでもございます。
  88. 奥田建

    ○奥田(建)委員 時間が来ましたのでこれで終わりとしますけれども、いろいろな対策を講じたけれども、日本海の荒波で何もできなかったということのないように、また臨機応変な対応、予想しながらまた警備に当たっていただければと思う次第でございます。  どうもありがとうございました。
  89. 仲村正治

    仲村委員長 次に、平賀高成君。
  90. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。  二階運輸大臣は、就任前から大変運輸行政については造詣が深いと伺っております。そして、山積しているさまざまな問題についても本当に邁進をされているというふうに伺っております。  そこで、まず最初に、一千四十七名問題、これは採用差別の問題でありますが、今から十二年前に国策としてこの問題が発生をしました。既に十二年がたったわけでありますが、特に国会でも、一人たりとも路頭に迷わせない、それから、組合間の差別はしない、こういう附帯決議もこの間行われてきました。しかし、そういう公約は、言明はいまだに守られてはおりません。そのために、今、全国各地で、この一千四十七名問題を早期に解決するべきだ、こういう広範な声が起こっております。特にことし九月の東京都内の議会の中でも、六つの区議会、それから十六の市議会、そして一つの町議会、全部で二十三の議会で、地方自治法に基づいて、この問題の早期解決を求める意見書の採択が行われたわけです。その後も意見書採択の動きは続いているわけです。  私は、この問題の早期解決を求めるこうした国民の声に運輸大臣としてぜひ積極的にこたえていただきたいと思いますが、この点での大臣の見解を求めます。
  91. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほど前原委員からもお尋ねがございましたが、いわゆるJR発足時の職員の不採用問題、いわゆる一千四十七人の問題は、中央労働委員会の命令を不服としてJR及び国労等の労働組合双方が東京地裁に対し命令取り消しを求めていた行政訴訟につき、JR全面勝訴の判決が昨年五月二十八日に言い渡されたところであります。敗訴した中労委及び国労は、判決を不服として控訴をして、いまだ係争中であります。  運輸省といたしましては、国鉄改革に際し、再就職先が未定であった旧国鉄職員については、再就職が可能となるように、昭和六十二年四月以降三年間清算事業団職員として、再就職対策に万全の措置を講じたところであります。  現在は、自由民主党及び社民党が中心となって、JR各社と組合の話し合いの開始に向け、いわゆる人道的な見地から政治的な努力がなされていることを承知いたしております。  運輸省としましては、こういった政党間の協議の動向等をも踏まえて、問題解決に向けて何かなすべきことがあれば引き続き努力をいたしたい、こういうつもりでおります。
  92. 平賀高成

    ○平賀委員 この問題というのは、原点は、国策によってこの問題が生まれ、そして国会の場でも大臣が、一人たりとも路頭に迷わせない、そして組合間の差別は行わない、こういう言明を行って、附帯決議もできたわけです。ですから、大臣はそういうことをしっかり実現する責務を持っていると私は思うのですが、この点についての考えを聞きたいと思います。
  93. 二階俊博

    ○二階国務大臣 行政の継続性を思うときに、当然そうした問題がずっと課題として残っておることを承知いたしております。これらの問題について一日も早い解決を願う気持ちは変わりありません。  先ほど申し上げましたように、自由民主党と社民党との間で、いわゆる自社さの中での御協議が続いておったというようなことで、当時、私も自由党の交通部会長という立場で若干御相談に応じたことがございますが、その当時は自由民主党と社民党との話が進んでおりまして他の介在を許さないような状況でありましたので、今、その結果を待っておるところであります。
  94. 平賀高成

    ○平賀委員 今、行政の継続性ということが言われ、前大臣からずっと引き継いでこられました問題についてはしっかり守っていくという趣旨の答弁があったと思います。  それで、ことしの五月二十五日に一千四十七名問題で、当時の野中官房長官は、放置できない気持ちはよくわかる、JR各社や労働組合に対して、解決に向けて努力をしたい、また、川崎二郎運輸大臣に対してもしかるべき対応をするように指示する、こういうことが述べられました。この解決に向けて運輸省JR各社との話し合いを行ったそうでありますが、もう一方の当事者であります国労などの労働組合については、何ら話し合いなどは行われていないわけです。本当に解決をするためには、やはり国労を初めとした労働組合とも率直な話し合いをするべきだと私は思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  95. 二階俊博

    ○二階国務大臣 実は、国労の問題につきましては、かつて社民党の伊藤茂先生が運輸大臣をなさっておられたころ、私はそのもと運輸政務次官を担当しておりました関係で、この問題につきましては伊藤元運輸大臣からも再々お話があり、国労の皆さんお話も以前はよくお聞きしたことがございます。運輸大臣に就任後、まだ国労の皆さんにはお会いをいたしておりませんが、いつでも門戸を開いて、御意見があれば承るつもりでおります。
  96. 平賀高成

    ○平賀委員 今の答弁を聞いていまして、この問題の原点は、先ほどからも述べておりますとおり、政府の政策によって生まれた問題であって、そして大臣もさまざまな発言を繰り返してきたわけですから、この問題を守っていくという、これは国権の最高機関の国会の場での発言でありますから、ぜひこの点を忘れないように対応していただきたいということを改めて要請しておきたいと私は思います。  次に、景気対策として公共事業を拡大するというやり方について質問をしたいと思います。  今政府が、景気対策としてさまざまな公共事業全国各地で行っております。ところが、この景気を回復すると言われている公共事業全国で大きな政治のゆがみをつくり出しているわけです。既に十年間で六十兆円以上の公共事業関係費が景気対策として、国家や地方財政の赤字をしり目にたくさんの予算が投入をされてきました。しかし、いまだに景気回復に役立っていないことは明らかだと私は思います。私は、景気回復と称して公共事業を拡大するというやり方は見直すべきだと思っていますが、この点について大臣考えを聞きたいと思います。
  97. 二階俊博

    ○二階国務大臣 景気の本格的な回復と新たな発展基盤の確立を目指すために、二十一世紀型の社会インフラの整備等を積極的に推進していく必要があるという立場に私は立っております。  しかし、御質問のように、景気対策だから公共事業という発想よりも、公共事業もともと必要なわけでありまして、景気がよかろうが悪かろうが社会インフラの整備は必要なものであるわけでありますが、たまたま財政が困難な状況の中にありますので、景気回復の問題とあわせてこの問題が取り上げられておるというふうに理解をいたしております。  特に、二十一世紀をにらんで、私たち運輸省が担当いたします空港鉄道、港湾等の分野においては、経済的効果の大きい国家的プロジェクト、これに重点的に投資を行っていこうという方針であります。ただし、その実施に当たっては、事業採択後の再評価の実施等の取り組みにより、一層効率的、効果的な実施を図ってまいらなくてはならないことは当然のことだと思っております。
  98. 平賀高成

    ○平賀委員 景気回復のためと称して公共事業をやってきたというのは、九二年の宮澤内閣以降、八回にわたって六十兆円以上の予算が投入されても景気回復がまだできていない、こういうところから、役に立っていないということは今明らかだと私は思います。  それから二つ目に、今の景気回復のために公共事業にお金を使うというやり方が、今、国の財政にとっても、赤字国債が大きくなっておりますし、それから地方自治体の財政の問題にも非常に大きなおもしとなっております。  それから三つ目に、公共事業をやったとしましても、ゼネコンという巨大な企業がほとんどその利益を持っていく、地元の中小の建設業者の皆さんにはほとんど利益が入っていかない、こういう大きな問題があるわけです。ですから、この機会にぜひ、こういうふうなやり方について見直していただきたいと私は思っています。  そして、今、全国のさまざまな地方自治体が財政危機に陥っているわけでありますが、特に、公共事業地方単独事業が地方財政危機の要因になったことについては政府も認めているところです。特に、中部国際空港を進めている愛知県では、九八年度で一千五十億円の収支の不足が見込まれて、戦後初めて赤字団体になるかもしれないということになって、知事が財政非常事態宣言を出しているわけですね。しかも、そういうふうな財政状況のときに、関連事業も含めますと、これから一兆五千億円もかけてこの中部国際空港をつくろうとしているわけです。そのために今、さまざまな社会保障の分野をどんどん削るということが進んでいるわけであります。  私は、きょう日経新聞を見ておりましたら、  九九年度の公共事業予算のうち上半期中に契約を終えた金額は十六都道府県で前年水準を割り込み、国が目標としていた一割増を達成できなかった自治体は三十四都道府県にのぼった。九八年度第三次補正予算公共事業の執行が今年度初めまでずれ込んだうえ、地方財政の悪化による財源不足で地方単独事業を中心に予算を抑制したことが響いている。 こういう記事が出ているんですね。  景気回復だということでさまざまな公共事業をやってきましたけれども、地方自治体としてはさまざまな借金をしますから、そのために政府が今進めている公共事業そのものができなくなった、今、こういう状況地方自治体が置かれているわけです。こういう状況にあるときに、大臣はこういう問題について、そのまま構わないからどんどんやっていこうというふうな立場でやられるのか、それともちゃんと検討するべきだというふうに考えられるのか。その点について聞きたいと思います。
  99. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省といたしましては、公共事業について負担を行う地元の地方自治体と常に協議をしながら、地方自治体が耐え得る状況の中で予算づけ等を行ってまいるように、今日までもいたしておりますが、これからもそういう点は十分注意をしてまいりたいと思います。  なお、現在策定中の経済新生対策における公共事業の円滑な推進のためには、今委員指摘公共事業の追加により生ずる地方負担額については、先般も、閣議後の閣僚懇談会におきまして保利自治大臣から、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、原則として地方債の発行及びその元利償還金の全額の交付税措置により対処するなどの地方財政措置を講じる方針であるということを承っておりまして、間もなくそうしたことが地方自治体にも伝えられるであろうというふうに思っております。
  100. 平賀高成

    ○平賀委員 今大臣が答弁されたことについて、まさにその問題がきょうの日経新聞の同じ記事の下の段に出ているんですね。どういうふうになっているのかといいますと、   政府が十一日にまとめる経済新生対策にも地方単独事業は盛り込まない方向。事業規模で六兆—七兆円を追加する直轄事業、補助事業については、財政難の自治体が地方負担分の全額を地方債で賄えるようにして、元利償還費も地方交付税で国が補てんする対策を打ち出している。 これは今言われたとおりです。そして、   しかし自治体側はさらなる債務膨張を敬遠、特例措置を活用しない動きも見られる。 まさに地方自治体の方はこういう状況に今なっているわけです。  そこで、景気対策最優先で進めているこの中部国際空港の問題について聞きたいと思います。  この空港は、政府の景気対策の目玉として、昨年度の第一次、第三次補正で、事業規模で約六百億円、ことしの補正予算でも四百三十一億円が予定をされております。しかし、本当に現空港が二十一世紀初頭に処理能力、つまり発着能力を超えるかどうかが大変重大な問題だと私は思っています。現空港の年間の発着回数は十三万回で、これを二十一世紀の初頭に突破するということを前提に空港建設が採択をされたわけです。  そこで、航空局長に聞きたいと思いますが、現名古屋空港の九七年度の発着回数と一週間の平均の便数、旅客便の平均座席利用率、全国の路線別平均座席利用率、そして航空会社が採算ラインとして見ている座席利用率は、それぞれどのぐらいになっていますか。
  101. 岩村敬

    岩村政府参考人 お答えいたします。  最初に、名古屋空港の発着回数でございますが、九七年度で約十一万二千回でございます。これを週平均にならしますと二千百五十四回でございまして、うち国内定期便が九百九十二回、国際定期便が三百六十四回、その他の不定期便が七百九十八回という内訳になってございます。御指摘のように、発着回数は毎年増加を続けておりまして、実は、我々の予想しておる二〇〇〇年の数字、十一万一千回と言っておりますが、既に九七年度において超えておるわけでございます。  それから、旅客便の平均の座席利用率、いわゆるロードファクターでございますが、名古屋空港を離発着する国内定期便の九七年度の実績でございますが、五六・三%というふうに聞いております。また、国内線の全国路線、名古屋空港も含めた全路線の九七年度の実績は六三・二%というふうに聞いております。  それから、もう一つ質問の採算ラインの問題でございますが、座席利用率と採算の関係でございますが、実は、路線ごとにお客様が実際にどういう運賃で御利用されているか、すなわち団体客が多いのかまた個人のお客様が多いのか、そんなことによっても違うわけでございまして、路線ごとに運賃レベルが違いますので、一概に何%が採算ラインだとは言えないというふうにエアラインから聞いておるところでございます。
  102. 平賀高成

    ○平賀委員 今いろいろ答えていただきましたが、特に旅客便の平均座席利用率、これは私の調査では五五・七%、そして全国路線別平均座席利用率でいえば六三・二%というふうなことが答弁の中でも言われました。  それで、採算ラインは果たして幾らかについてはなかなかわからないということなんですが、しかし、これまで関係者の中では大体六〇%ということが一つの大きな目安として言われてきたわけです。  それで、私の試算によりますと、九七年度の名古屋空港では、ダブル路線、一つの路線に二つの会社が参入するという路線ですけれども、それが二十七・四便です。そして、平均座席利用率は五二・三%ということで、単独路線で行っている路線で五〇%を切っている便も二便あるわけです。ですから、一応採算点を六〇%として、それを下回るダブル路線を半分としまして、そして単独で、一社だけでやっているところの二便について加えますと、週十五・七便の減便になるんですね。それで、九七年度の年間定期発着回数三万七千八百八十八回のうち、八千二百六十二回減便することが可能になるわけですね。効率のよくないところの便数を削るというふうなことをやっていきますと、一年間の三万回のうち八千二百六十二回減便することが、これは一つ可能性としてあるということなんです。さらには、今国際航空では、航空会社間のアライアンスということでグループ化が進んでいまして、こういうことからいいましても、発着の効率的な利用が営業戦略としてこれから進もうとしているわけです。  私は、以前この運輸委員会で名古屋空港の問題を議論したときに、今の名古屋空港の十三万回という中には自衛隊の発着もありますし、それから民間の小型機の発着の回数もありますし、全部でこういうふうな十三万回という回数がありますけれども、定期便を優先するという原則で、なおかつ自衛隊の問題についてもいろいろな調整を図ったり、別のところに移すとかいろいろなことをやっていったら、今の名古屋空港でも二十一世紀に対して十分対応することができるんだということを言ったことがあるんです。  ですから、こういうことも、やはり今からでも検討は遅くないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  103. 二階俊博

    ○二階国務大臣 平賀委員と若干見解を異にするわけでありますが、現在名古屋空港の処理能力が、恐らく二十一世紀初頭には限界に達するであろうという予測を持っております。中部国際空港は、中部圏の航空需要の増大に対応するためにも必要であり、来るべき二十一世紀において内外の交流を支える基盤として、また高度な人口、産業の集積を有する中部圏の今後の発展の基礎となるものである、したがって重要な国家的なプロジェクトと認識をいたしております。  したがいまして、同空港につきまして、第七次空港整備七カ年計画においても最優先課題として整備を推進する、いわゆる大都市における拠点空港一つとして位置づけをしておるところであります。したがいまして、二〇〇五年の開港を目指し、平成十年度から第一種空港として事業に着手しているところであります。  御承知のように、三県合わせますと人口にしても一千万を超えるわけでございまして、また、三県内の総生産、約五十兆円をこれまた超えておるわけでありまして、これらの大都市としての位置づけを考えますときに、二〇〇五年の開港を目指して一層努力をしていきたいというふうに考えております。
  104. 平賀高成

    ○平賀委員 今、中部国際空港の位置づけのお話がありましたが、航空法の改正で規制緩和が行われまして、これからは参入も撤退も自由だということになっているわけです。ですから、今まで私はトリプル路線とかダブル路線の話をしまして、座席の利用率が五〇%を切っているようなところについては、航空会社としましてもこれは効率が悪いですから、そういうところはどんどん撤退もこれから自由にできるということになっているわけですね。  ですから、これから二十一世紀の初頭に中部国際空港はどうしても発着枠からいっても必要だという説明がありましたけれども、しかし、今の実態から見ていると、効率が悪いところは便数がどんどん減るわけですから、その分全体の枠としては余裕ができてくるわけですね。  しかも私、名古屋空港に行きましたら、国際ターミナルの部分は拡大されて、ことしの四月に完成しまして、今まででしたら三百八十万人、これが九八年度の計画旅客規模ですが、これを大きく上回って今度は四百五十万人の収容能力がある、こういうふうに今なっているわけですね。  そういうふうに、改修までしてきたにもかかわらず、これを全部一元的に運営するということで、名古屋空港はやめて新しい中部国際空港に行くというわけでありますけれども、どう考えても今の名古屋空港は十分活用できていく、そういう可能性があるんだ。ですから、今からでも遅くありませんから、やはり中部国際空港の建設の問題については見直すべきだというふうに私は思います。  それから、私は静岡空港についても問題があると思っておりますので、静岡空港について聞きます。  静岡空港は、需要見通しがくるくる変わってきています。本当に空港整備の計画が必要なのかどうなのかということが、今大問題になっています。しかも、県の財政難を押して進められようとしているわけです。  当初、県民には八七年に、航空需要予測は年間四百万から五百万あるんだという説明がされてまいりました。そして九六年の空港建設の採択をやったときに、西暦二〇〇二年に百七十八万人の需要があるんだということになりました。しかし、その後財政の問題などもあって、これが二〇〇六年に百七十八万人になる、こういうふうな変更がありました。ことしの九月の県議会で需要見通しがそういうふうに変わってきたんですけれども、最近はさらにこれが変わりまして、今度は年間百万人でも採算がとれるんだ、こういうことになってきているわけです。ですから、私は、本当にどうしてもこれが必要な空港であるのかどうなのか、非常に疑わしいと言わざるを得ないわけです。  とうとう県知事が、なぜここまで空港建設が必要なのかということを問われて、最後に、これは今臓器移植などがいろいろ行われているために、緊急にそういう患者さんを運ぶために静岡空港が必要なんだ、こういう答弁まで県議会で行っているわけです。ですから、景気対策といいましても、まず空港建設ありき、こういうやり方を見直すべきだと私は思うわけであります。  地域要求があったからということで運輸省の方もそれを認めてしまう、こういうあり方を是正するべきだと私は思うのですが、大臣の見解を聞きたいと思います。
  105. 二階俊博

    ○二階国務大臣 静岡空港は、静岡県が設置、管理する第三種空港であり、二千五百メートルの滑走路を有する新空港として建設中であります。四百万人近い人口を擁する静岡県、正確には三百七十五万人ぐらいでしょうが、北海道あるいは九州、沖縄方面との交流に当たって、鉄道や道路を利用した場合に多くの時間を要すること、羽田空港または名古屋空港を利用した場合にも二時間程度のアクセス時間がまた必要であるという状況の中から、空港設置についての大変強い要望が運輸省に寄せられておったわけであります。  今後、景気の回復等も十分期待をしながら、空港の需要のあり方等については、運輸省としましては再評価システムというのを当然導入をしておるわけでありまして、事業採択後一定の期間を経過して未着手または継続中の事業を対象に再評価をするわけであります。  静岡空港については、平成六年度に事業に着手し、五年を経過したことから、経済社会情勢全体の動向、事業の進捗状況等を踏まえて、再評価を実施すべきか否か予備的な検討を今行っておるところであります。  しかし、私たち運輸省といたしましては、静岡空港周辺には旺盛な航空需要があることから、空港の必要性についてはいささかも揺るぎないものと考えております。  あわせて、一層国際化が進展する中で、静岡県と国際化社会との関係等を考えても、二千五百メートルの空港静岡に建設されるということは、私も再々申し上げておりますとおり、首都圏第三空港という場合にも、例えば福島須賀川空港静岡空港、あるいは仙台空港も含めて、きょうは新潟の空港も加わりましたが、そういう幅広い視野に立って国際化社会に対応していくために空港は不可欠のものであって、景気がよくなったからとか予算が余ってきたから空港をつくろうかといってすぐできるものではありません。せっかく芽生えた空港需要に対する県民の総意、静岡県議会でどんなやりとりがあったか私はつぶさに承知をいたしておりませんが、静岡県としては相変わらずこの問題の推進に努力をしたいという決意を知事自身が述べておりますことを私は承知をいたしております。
  106. 平賀高成

    ○平賀委員 いろいろなところで空港建設が次から次へとやられるということについては、空港問題を初めとして、全国的な一元的な交通政策を確立できていないところにこういうふうな問題が起きていると私は思うのです。  ですから、改めてそういうふうなことを要求しながら、実際に静岡空港の建設をする静岡県の今の財政実態というのは、長期債務が一兆九千億円あります。借金の利払いが毎日二億円です。公債負担比率が一五%を記録して、財政危機に今直面をしているわけです。それにもかかわらず、空港建設などの大きな計画を進めるために県の職員の給与をカットする、こういうことまで今進めようとしているわけです。  景気回復のためにということで公共事業を次々とやっていく、こういうことが深刻な形で今いろいろな分野で出ているわけですから、私は本当に今の景気を回復させるということであるのでしたら、やはり本来の国民の消費購買力を高める対策を講ずるとか、さらには公共事業の問題についても生活密着型のものに切りかえ、なおかつむだを削っていく、こういう本来のあり方に改めるべきだということを、改めてこの議論の最後に要請をしておきたいと思います。  そして、最後に、大臣もこの委員会で強調されておりましたが、所信のときにも申されました運輸行政の安全問題について質問をしたいと思います。  特に、一番焦点になっているのはコンクリート問題でありますが、コンクリート問題については今度の十七日に当委員会でも行いますので、私はきょうは安全問題でも特にJRに対する警告がこの間非常に多い、この問題について質問をしたいと思います。  JRに対する警告の発出は、一昨年十二件、昨年は九件以上となりまして、ことしの一月からは既に十六件を記録しております。いずれも重大な事故につながりかねない事態の発生と、鉄道事業としての資格にかかわる公共性や公益性に重大な損失を与えた案件ばかりであると私は思っているわけです。  こういう警告書の発出の増加というのが重大事故の予兆のあらわれだと認識すべきだと思いますが、この点で大臣はどのように見ておられるのか聞きたいと思います。
  107. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御指摘警告書の問題でありますが、私はこの警告書につきまして、運輸省事務当局及びJR西日本に対しても、もっと警告書の重みというものを感ずるべきである。例えばJR西日本に限って申せば、五回も警告書を出しておる。出す方も出す方ですが、受け取る方も受け取る方。もう少し双方の責任の重大さを感じて対応してもらいたいということを厳しく申し上げております。  したがいまして、警告書の問題はそのようにして、警告書の意味合いというものを重く受けとめて、安全で安定した鉄道輸送確保に万全を期するようにということを強く申し上げております。  運輸省においても、安全にかかわる危機管理体制の確立を図るという観点から、事務次官をキャップといたします運輸安全戦略会議というものを設置し、この際、みずから初心に返って、警告書を発する側も初心に返って、事故の防止体制について万全を期してまいりたい。  私も先般、韓国における閣僚会議から帰ってきて、その足で羽田から北九州に向かったわけでありますが、夜中の三時、四時という時間にトンネルの中で作業しておる作業員の皆さんや、JRあるいはまた運輸省の出先のメンバー等の努力というものは一応多とするものであります。しかし、私は、改めてそうした皆さんに責任と誇りを持ってもらいたい、トンネルの安全を図る、鉄道の安全を図るということに対して、責任を感ずると同時に誇りを持って仕事をしようではないかということを呼びかけてまいったつもりであります。  これからも委員各位のいろいろな角度からの御意見を謙虚に受けとめながら、安全の確保に全力を尽くしてまいりたいと思います。
  108. 平賀高成

    ○平賀委員 今警告書の問題について、出す方も出す方だけれども、受け取る方も受け取る方だというふうなお話がありました。  特にこの点では、ことしの二月二十一日にJRの山手貨物線で保線作業をやっていた作業員の方が五名一度に亡くなるという重大な事故がありました。この問題を教訓として、ダイヤを事前に運輸省が作業者に渡すという問題や、それから列車が入ってこれないような閉塞区間にして工事をやるとか、さらには見張りをしっかり立てるとか、いろいろな対策が講じられました。  ところが、そういうふうなことをやっていながら、九月七日にJR武蔵野線で、これはトンネル検査をやっていたところに貨物列車が二回も通っていくという信じられないようなことが起こったわけです。またこの問題では、運輸省は九月七日に警告書を出しました。  一々ここでは読み上げませんが、私は、なぜこういうことが繰り返し繰り返し起こるのか。この警告書というのはどういう法律を根拠にして出しているものなのか、それから警告書は強制力があるのかないのか、この点について鉄道局長に聞きたいと思います。
  109. 安富正文

    安富政府参考人 警告書の法的位置づけについてお答えしたいと思います。  鉄道事故あるいは輸送障害が発生した場合に、運輸省鉄道事業者に対して通常出します警告書、原因究明と今後の安全対策について指示しておるわけでございますが、この警告書は、法的には、鉄道事業者に対して書面の交付の形で行います行政指導という形で位置づけられております。  したがいまして、あくまで行政指導ですから法的な強制力はございませんけれども、ただ、書面の形で行うということにおいて、行政指導の趣旨、内容、それからこれが早急かつ確実に行われるということを我々として強く指導しているということでございます。
  110. 平賀高成

    ○平賀委員 警告書は強制力のないものだという答弁がありました。強制力がなければ、その警告書に基づいて具体的にどういうふうな対策を講ずるかどうかというのはこれはJRの判断にかかっているわけであります。  ですから私は、こういう強制力もないようなものを乱発するというのは、やはりそういうふうなことの反映だと思っているわけです。鉄道事業法の二十三条では、業務改善命令をきちっと強制力を持って出すという法律がせっかくあるわけなんですが、いまだかつて一度もこれが発動されていない、こういうふうな問題もあります。  ですから、大臣が先ほど、安全問題については本当に全力を尽くすというふうに言明をされましたので、この言明どおりの運輸行政を改めて要請いたしまして、時間が参りましたので、以上で私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  111. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、来る十七日水曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会