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1999-05-27 第145回国会 参議院 文教・科学委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
平成十一年五月二十七日(木曜日) 午後一時開会 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
南野知惠子
君 理 事 狩野 安君 馳 浩君 江本 孟紀君 松 あきら君
日下部禧代子
君 委 員 阿南 一成君 亀井 郁夫君 北岡 秀二君
世耕
弘成君
仲道 俊哉君 橋本 聖子君 石田 美栄君 本岡 昭次君 山下 栄一君 畑野 君枝君 林 紀子君 扇 千景君
田名部匡省
君
事務局側
常任委員会専門
員
巻端
俊兒君
参考人
専修大学法学部
教授
齊藤
博君
社団法人全国環
境衛生同業組合
中央会理事長
森
茂雄
君
社団法人日本音
楽著作権協会会
長
遠藤
実君
社団法人日本芸
能実演家団体協
議会専務理事
棚野
正士
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ─────────────
南野知惠子
1
○
委員長
(
南野知惠子
君) ただいまから文教・
科学委員会
を開会いたします。
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
の
審査
のため、本日の
委員会
に
参考人
として
専修大学法学部教授齊藤博
君、
社団法人全国環境衛生同業組合中央会理事長森茂雄
君、
社団法人日本音楽著作権協会会長遠藤実
君及び
社団法人日本芸能実演家団体協議会専務理事棚野正士
君の
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
南野知惠子
2
○
委員長
(
南野知惠子
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
南野知惠子
3
○
委員長
(
南野知惠子
君)
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 本日は、
参考人
の
方々
から御
意見
を承った後、
質疑
を行います。 この際、
参考人
の
方々
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙のところ本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。
皆様方
には、ただいま
議題
となっております
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして忌憚のない御
意見
をお述べいただき、今後の
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず、
齊藤参考人
、
森参考人
、
遠藤参考人
、
棚野参考人
の順序でそれぞれ十五分程度御
意見
をお述べいただいた後、各
委員
の
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は、
意見
、
質疑
及び答弁とも着席のままで結構でございます。 それでは、まず
齊藤参考人
から御
意見
をお述べいただきたいと存じます。
齊藤参考人
。
齊藤博
4
○
参考人
(
齊藤博
君) ただいま御紹介いただきました
齊藤
でございます。 日ごろより
我が国
の
著作権法制
につきまして意欲的に取り組んでいらっしゃいます
先生方
の前でこのように
お話
しできますことは、まことに光栄でございます。 本日は、五点に絞りまして
お話
をさせていただきます。 第一点は
国際著作権界
の
動き
、第二点としまして
技術
と法の
結合
、第三点としまして
頒布権
と
譲渡権
、さらに四点としまして
上映概念
の
拡大
、そして最後に
附則
十四条の
廃止
、以上の五点でございますが、時間の
関係
で時には省略するところがあろうかと存じます。 このところ、もう少し詳しく申し上げますと、一九九〇年代に入りまして
著作権法制
を取り巻く状況の
動き
というものは激しさを増しつつございます。
一つ
には、
著作物
や
実演等
を
利用
する
技術
の
開発
がございます。CDやDVD、
フラッシュメモリー
など、
著作物等
を記録する
媒体
の
開発
に加えまして、
宇宙衛星
、光ケーブル、
インターネット
など、
著作物等
を伝送する
媒体
の
開発
もございます。もう
一つ
には、多様な
媒体
の
開発
が
著作物等
の
地球規模
での
流通
を促しつつございます。そうなりますと、
著作物等
を
保護
する
水準
に
諸国
の間で開きが生じないよう、
諸国
の
法制
をハーモナイズすることが求められるようになるのでございます。 そして、近年の特徴としまして、
条約
の持つ指導的な役割が改めて注目されるようになりました。
著作物等
を
利用
する
技術
の普及につき、
技術先進国
と
途上国
の間に生じていました乖離が狭まってきたのでございます。
衛星
を介しまして
著作物等
を送受信すること、これは今や
地球規模
で行われております。しかも、
途上国
におきましても、大きな
基盤整備
を要することなくこの種のことを行うことができるようになったのでございます。そのような中で、
著作物等
の
地球規模
での
保護
が急がれるようになってきたのでございます。 その
一つ
に、一九九四年の
世界貿易機関
、いわゆる
WTO設立協定
に附属しました
知的所有権
の
貿易関連
の側面に関する
協定
、
通常TRIPS協定
と呼んでおりますが、この種の
協定
がございます。そこには大胆な
規定
が盛り込まれております。すなわち、
WTO
に加盟する国や
地域
に対しまして、
ベルヌ条約
に加入していなくても、
ベルヌ条約
の定めるところを遵守するよう求めているのでございます。事は急を要するものでございますから、
ベルヌ条約並み
の
保護水準
を
ベルヌ同盟国
の範囲を超えて一気に達成しようとする大胆な戦略がとられているのでございます。もっとも、
著作者人格権
の
保護
は除かれています。
貿易関連
の面からまずは
財産権
の
保護
を達成しようとした結果でございます。 一九九六年も押し迫りました十二月には、
世界知的所有権機関
、いわゆる
WIPO
を舞台にしまして、
WIPO著作権条約
、
WIPO実演
・
レコード条約
が採択されております。この段階になりますと、
著作物等
をおさめた
パッケージタイプ
のソフトの
流通
、俗に言いますと、いわゆる物流から
インターネット等
による
著作物等
の
送信
へと関心が移ってくるのでございます。
WIPO
の
二つ
の
条約
もその点に焦点を合わせたものとなってございます。そこには、このたびの
改正案
にございます
技術的保護手段
の
回避
や
権利管理情報
の
改変等
への
対応
も含まれているのでございます。 次に、
技術
と法の
結合
につきまして短く
お話
をさせていただきます。
技術的保護手段
の
回避
への
対応
にいたしましても、
権利管理情報
の
改変等
への
対応
にいたしましても、
デジタル時代
を迎えました
著作権法制
のあり方を見ることができるのであります。これまででございますと、
技術
と
著作権法
は相対する
関係
にございました。どちらかといいますと、極端な
言い方
をいたしますと、敵対する
関係
といいましょうか対立する
関係
にございました。しかし、デジタル
技術
は、その特性に注目しますときに、
著作権等
の
保護
、
管理
にとりまして力強い友人であるということがわかったのでございます。
著作物等
を
無断利用
から
保護
するために
技術
の力をかりることができるようになったのでございます。 その場合、
著作物等
に
無断コピー
や
無断送信
を抑止する
信号
を入れ込む
方法
が
一つ
考えられます。さらには、
著作物等
に
著作権等
の
管理情報
を入れ込むことも可能でございます。
信号
を入れましたり
電子透かし
を入れる手法は
デジタル時代
なればこそ可能なのでございます。この
技術
は、
権利
の
保護
、
管理
のみならず、
著作物等
の
流通
にも変化をもたらそうとしているのでございます。 その一方、いかにすぐれた
技術
でございましても、これを迂回する装置を売る者、あるいは用いる者もあらわれてきます。
権利管理情報
にいたしましてもその
改変等
は
技術
的には容易でございます。ここで法の関与が求められるようになるのでございます。このたびの
法改正
の意図も、
技術
と法の好ましい
関係
を保持する中で、
著作物等
の
保護
につき新たな枠組みを提供するものと申すことができるかと存じます。 第三点としまして、
頒布権
と
譲渡権
につきまして簡単に
お話
をさせていただきます。 一九九六年十二月の
外交会議
におきましては、
二つ
の
代替案
が示されたところでございます。
一つ
は
頒布
、
輸入
の両
権利
を定めたもの、もう
一つ
には
頒布権
のみで
輸入権
を組み合わせないものでございました。この
二つ
の案のいずれをとるかということで議論がなされたわけでございますが、
輸入権
に消極的な国が多かったために、結果としましては
頒布権
のみを定めた案の方が採択されたところでございます。 そこまではよろしいのでありますが、
我が国
の問題に戻してみますと、
譲渡権
の創設という
立法上手
間のかかることをなさなければならないことになった次第でございます。詳細はまた別の
機会
に御
説明
があるのではないかと存じます。 第四点としまして、
上映概念
の
拡大
でございます。
映像表示技術
の
開発
は、
映画
の
著作物
のみならず、美術や写真の
著作物
など、
静止画
や言語の
著作物
のディスプレーをも可能にしてきたのでございます。そこで、これまでの
映画
の
著作物
につき認められてきました
上映権
をその他の
著作物
にも及ぼそうということで、
法改正
がなされようとしているところでございます。これも、
著作物
の新たな
利用技術
への
対応
と申すことができます。 第五点としまして、
附則
十四条の
廃止
につきまして申し上げたいと存じます。
昭和
四十五年における
著作権法制
の
全面改正
に際しまして、
演奏権
の
保護
を強化する一方、当時の
利益状態
を急激に変えることを避けるべく、
経過措置
の
一つ
として設けられましたのがこの
附則
十四条の
規定
でございます。 政令で定める
事業
において行われるものを除き、当分の間、
録音物
による
演奏
、
録音物
の
再生
は自由、すなわち無
許諾
、無償で行うことができるとしたのでございます。当時におきまして、比較的小規模に経営する
喫茶店等
における
レコード
の
演奏
につきましては、それまでどおり自由に行うことができるとしたのでございます。
演奏権
の
保護
を国際的な
水準
、すなわち
ベルヌ条約ブラッセル改正条約
の求める
水準
にまで引き上げようとする中で、小さな
喫茶店等
における
レコード演奏
という、当時に存しました
特殊事情
に注目しまして、例外的、限定的に、それも
経過措置
として
演奏権
を制限したのでございます。その限りにおきましては、
附則
第十四条の
規定
は既にその使命を果たしたと申すことができようかと存じます。 簡単でございますが、以上で終わらせていただきます。
南野知惠子
5
○
委員長
(
南野知惠子
君) ありがとうございました。 次に、
森参考人
にお願いいたします。
森参考人
。
森茂雄
6
○
参考人
(
森茂雄
君) ただいま御紹介にあずかりました、私は
全国環境衛生同業組合中央会
を代表いたしまして、きょうお招きにあずかりまして本当にありがとうございました。 私
ども
の
団体
は、二百五十四万施設、六百万人の
会員
を擁しております。私は実はこういう難しい問題には非常にわかりの悪い
すし屋
のおやじでございます。したがいまして、
江戸っ子
ではございますが、おわかりにならない点、そして私の申し上げる点に御無礼がございましたら
お許し
を賜りたいと思っております。 実は私
ども
、この問題につきまして、本年の二月十九日に
文化庁
の
吉田著作権課長
さんから初めて
附則
第十四条の
廃止
についての
内容説明
をお受けいたしたわけでございます。 これに対しまして零細な
利用者団体
、私
ども
の今の
団体
でございますが、特に現在まで放置をされていた問題について、何で今この時期にこんな問題について急遽
著作権法
の一部を
改正
するんだろうか、また、その
法案
が出されてひとり歩きされてしまうんだろうか、非常な
社会的混乱
という問題についてお考えいただいていないんじゃないかというようなことで、実は私
ども
の
全国環衛中央会
の
理事長会
といいます
会長会
を開催させていただきました。 これは、
日本
でございますので九州から北海道までそれぞれの
業種
の
会長
がおられまして、その
方々
にお
集まり
をいただきまして会を開いたわけでございます。そして、
文化庁
さんの方の
お話
によります第十四条の
廃止
につきまして
反対
したいというような
皆様
の御
意向
がまとまりまして、
反対
という要望を実は作成させていただきました。 これまでの間には、
文化庁
さんと
厚生省
さんとお
話し合い
をしていただいた上で、私
ども全国環衛中央会
の
意向
という形で、全
理事会
の決議をもちまして
反対
をさせていただいたわけでございます。これはもう
文書
でお渡ししてございますので、ごらんをいただいたかと存じます。 特に私
ども
の
環衛業
にとりましては、昨年の二月ごろから行われました五坪店以下までという例のカラオケ問題でございますが、この問題につきましても、実は徴収の問題についてかなり私
ども
の
団体
では御
協力
を申し上げてきたというのが
現状
でございましたが、それにつきまして
アウト
と
イン
と申しますか、実は
組合員
以外の
方々
の
契約率
が非常に低いということが言われておりまして、
組合員
からは、
組合
に入っているがためにこのような押しつけを受けてしまうのではないかというような、公正、不公平の問題が非常に浮かんできておりまして、何でこの時期に十四条を
廃止
するんだというような問題でございました。 二月二十六日になりまして、きょうお隣におられます
JASRAC
の
遠藤会長
に初めてお会いをさせていただいたわけであります。そのとき私
ども
では、一番
関連
のございます
ホテル
・
旅館業
、
社交業
、そして
飲食業
の
団体
の代表の方を交えまして、私と
中央会
の
専務
が立ち会ったわけでございますが、
皆様
から異口同音に全く話にならないというようなことが出まして、
関係団体
に、私
ども
に
協議
もされずに今日このようなことについて
お話
をされたということは非常に心外だというような話までその時点では出たわけでございます。
遠藤会長
さんは御同席をされましたので、そのときの模様はよくおわかりだろうと私は思っております。私
ども
が最も申し上げたいのは、
利用者
に対しまして公正な
利用
、そして
協力
を得るという問題ではないのか、そういう御
説明
が十分にあってもしかるべきではないのかな、こう思いました。 そしてまた、その後でございますが、この間、
文化庁
、
厚生省
さんにお願いいたしましてお
話し合い
を続けていただいた結果、五月六日に
林田文化庁長官
にお会いをさせていただくことに相なりました。
お話
を伺っておりますと、ただいま
先生
が
お話
をされたような
ベルヌ条約等
の
問題等
も伺いました。
世界
における
日本
の
立場
という
問題点
につきましても
文化庁長官
から
お話
をちょうだいいたしました。 私
ども
は、この問題についてはよく存じてはおりませんが、しかしながら、国際的な問題ということが出ましたので、私
ども
は
JASRAC
さんとともにこの問題について真剣に考えていこう、そして特に
文化庁
さんの方から仲介の労をとってくださるということでございましたので、細部の問題につきましては今後私
ども利用者団体
との間に入っていただいて
十分意見
をお聞きいただき、公正の問題、
アウト
・
イン
の問題、それからそのときに実は十四年四月以降というような
お話
を伺ったのでありますが、私
ども
の
団体
で決議いたしました十七年四月以降というようなことを
長官
に申し上げたわけでございまして、この問題につきましては後刻お
話し合い
の席で御指導を賜ろう、こういうふうに私
ども
は思いました。 それからまた、五月十日でございましたが、私
ども
では
理事会
を開催いたしまして、
著作権法
問題の
全国
の
理事会
でございまして、
全国
の
理事長
さんにお
集まり
をいただきまして検討し、そして今の
文化庁長官
の
お話
も交えまして、
全国
の
環衛
の
連合会
に
文書
をもちまして
現状
の御報告をしたというのが
現状
でございます。 私
ども
は、
著作権法
の
改正
の問題につきまして、本来でございますと絶対に
反対
だという
意見
を通したいわけでありますが、先ほど申し上げましたように、
文化庁
の
林田長官
と
お話
をいたしました際、国際的な問題だということは私
ども
も
理解
をしなくてはならない、無視できない問題と考えまして、やむを得ず、まことに申しわけのない
言い方
ではございますが、
条件つき
で黙認と申しますか、そういう形をとらざるを得ないのではないだろうかということであります。 実はこの問題につきましては、私
ども
といたしましては、守れる
法律
をつくっていただきたい、そしてだれもが参加できて、
皆様方
がこの金額なら全員が賛成しようよと言っていただけるようなものであれば、私
ども
は喜んでその中で多くの
アウト
の
方々
を御勧誘申し上げよう、こういう
気持ち
は変わっておりません。 以上であります。
南野知惠子
7
○
委員長
(
南野知惠子
君) ありがとうございました。 次に、
遠藤参考人
にお願いいたします。
遠藤参考人
。
遠藤実
8
○
参考人
(
遠藤実
君)
遠藤実
でございます。 本日は、私
たち
の
立場
や
意見
を申し述べる
機会
を与えていただきまして、まことにありがたく、まず冒頭に心より感謝をし、御礼を申し上げる次第であります。 私は、
作曲家
であるとともに、現在は
日本音楽著作権協会
の
会長
を務めております。以下は
略称JASRAC
と言わせていただきます。本日は
二つ
の
立場
から考えを述べさせていただきますが、
JASRAC会長
の職というのは日常の実務には直接携わる
立場
ではございませんので、細かい点については不案内なところがあるかもしれませんが、この点あらかじめ
お許し
をいただきたいと思います。
委員
の
先生方
には既に御承知と存じますが、
JASRAC
とは、今から約六十年前の
昭和
十四年に、私
たち
の先輩である
作詞
・
作曲家
が中心になってみずからの
権利
を守るために設立した
社団法人
でございます。当初六十八人でスタートした
団体
は、今日では約九千五百人の
作詞
・
作曲家
と、約千七百のプロモートを行っている
音楽出版者
が
会員
・
信託者
として参加しております。
JASRAC
はこうした
会員
によって運営されている組織でありますので、
作詞
・
作曲家
、
音楽出版者
の
会員
の
選挙
によって七十五名の
評議員
が選ばれ、その中からさらに
選挙
で各六名の
理事
が選出され、合議によって物事を運営するというシステムをとっております。 私
たちJASRAC
の
業務
でありますが、一万一千二百名の
権利者
である
会員
・
信託者
から
著作権
をお預かりして、
音楽
を
利用
する
方々
から所定の
使用料
をお
支払い
いただき、その
使用料
を
権利者
に分配するという
著作権
の
管理
を主な
業務
としております。また、
外国
の
音楽
につきましても、六十八カ国、九十三
団体
の海外の
著作権協会
と
相互管理契約
を結んでおりますので、
日本
で使われるほとんどの
音楽
が
JASRAC
で
利用許諾
を受けることができるようになっております。このように、
作家
の
著作権
を守ると同時に、
音楽
を
利用
される
皆様
の窓口として
利用
の円滑を図っているわけでございます。 今回の
著作権法
の一部
改正案
では、既に御案内のとおり五項目の
改正案
が提出されております。この
改正案
の
内容
はいずれも、
世界知的所有権機関
、
WIPO
新
条約
を批准して
我が国
の
著作権制度
の国際的な調和を図っていくために必要な
法整備
であり、
著作権者
として念願してきたものでございますので、ぜひ今国会での成立をお願いしたいと考えております。 本日は、これらの
法案
のうち、私
たち音楽家
にとって長年の悲願でございます
附則
第十四条の
廃止
につきまして
お話
をさせていただきたいと思います。 今、
日本じゅう
で毎日たくさんの
バックグラウンドミュージック
、
BGM
が流されております。
喫茶店
、デパート、
ホテル
、また銀行の
ロビー
、空港の待合室などで一日に使われる曲の数は恐らく数千万曲に及ぶと思われます。ところが
日本
の
著作権法
では、
附則
十四条の
規定
によって、
レコード
などの
録音物
を使って
再生演奏
を行っても
著作権使用料
を支払わなくてもよいことになっております。これは
世界
的に見ると極めて不合理な
規定
であると受け取られております。私
たち音楽
をつくった者は、この
規定
によって、
自分
の
作品
がどれだけ
BGM
で使われても一切その対価を受けることができないのであります。そればかりか、
外国作品
についても同様でありまして、
外国
の
音楽家
からも
日本
の
対応
を早急に改めるよう強く求められているのが実情であります。 どのような
業種
であれ、営業していくためには、商品の仕入れや
電気
、ガス、水道、家賃の
支払い
などさまざまな経費が必要だと思います。しかしながら、
音楽
だけは一切
支払い
をしないで自由に使って構いませんという
法律
になっております。
音楽
は、お客様の雰囲気を盛り上げて
購買意欲
を喚起したり、
ロビー
での待ち時間に
気持ち
を和ませたり、水や
電気
のように目には見えないところでいろいろなお役に立っているはずです。また、お役に立っているからこそ、これほど多くの皆さんから御
利用
をいただいているのだと思います。それにもかかわらず、
音楽
だけはただですよというのでは、国際的な
理解
を得ることはできません。 なぜこのようになったのかと申しますと、現在の
著作権法
は今から約三十年前の
昭和
四十五年に
全面改正
をされたものです。それ以前の旧
著作権法
は、出所を明示すれば自由に
レコード演奏
を行うことができることになっておりました。この
昭和
四十五年の
改正
の際にもこの部分が大きな論点の
一つ
となりましたものの、
著作権法
の本則では、私
ども
の
希望どおり
に生
演奏
と
録音物
の
再生演奏
を同じに扱うことになりました。 ところが、その当時、
レコード演奏
を多く行っていた
喫茶店
などの
事業者
の
方々
に急激な御
負担増
をかけないことなど政策的な配慮が優先された結果、当分の間の
措置
として、営業上
音楽
の
利用
が不可欠な一部の
業種
を除いて、
レコード演奏
からは料金を取らないという
権利制限規定
が設けられたのであります。私
ども
は、この
措置
には
大変不満
でございましたが、互譲の精神が必要なことも
理解
しておりましたし、この
規定
には「当分の間」とあるわけですから、それほど遠くない将来に
廃止
をされるのだと期待をし、ひとまず
法改正
を優先させることにしたのであります。 しかしながら、当分の間であったはずのこの
措置
が既に三十年を経過してしまい、この間に
音楽
の
利用方法
も大きく変わりました。今や
BGM
は、
レコード
などの
録音物
を用いる
時代
から、
有線放送
などを用いる
時代
へと移ろうとしています。国民の
皆様
の
著作権
に対する
理解
も三十年前とは比べようのないほど深まったと考えております。また、私
どもJASRAC
も、大量な
音楽利用
を効率よく、かつ公平に
管理
できるように努力を続けておりまして、
管理
をお任せいただいても十分に
対応
し得るだけの
基盤
はできております。現在では、
附則
十四条を残しておく理由は全くなくなったのではないかと思われます。 次に申し上げたいのは、この
附則
十四条のような
規定
は国際的にも例を見ないものでございます。国際的には、生
演奏
と
録音物
による
演奏
は同一に評価されるべきものとされております。
附則
十四条のような
規定
は、
欧米先進国
はもとより、
アジア地域
にも見られておりません。 初めに申し上げましたように、
JASRAC
は
外国
の
著作権管理団体
と
管理契約
を結んでいます。お互いに
相手
の国の
音楽
が
自分
の国で使われた場合は、その国の
著作権協会
が
使用料
を徴収して
相手
の国の
団体
に送金することになっております。この
契約
があることによって、私
たち日本
の
作家
は、
外国
で
自分
の
音楽
が使われたときその
使用料
を受け取ることができるのですが、この
附則
十四条があることによって、
外国
の
作品
が
日本
で
BGM
で使われても
使用料
は一切支払われないのであります。 例えば、昨年
我が国
で大ヒットいたしました「タイタニック」という
映画
がございます。この
映画
のテーマは大ヒットしていまして、今でも毎日のように町に流れています。ところが、この曲をつくった
外国
の
作家
の手元には
著作権
料が届くことはないのです。このことは、EUなどから
ベルヌ条約
という国際的に
著作権
を
保護
し合う
条約
に違反しているのではないかとの指摘を受けておりますし、
JASRAC
も国際
会議
などで
外国
の
著作権管理団体
から早期に是正するよう要望を受けております。このような不均衡は、
我が国
の国際的な地位から考えても一刻も早く改善をする必要があるのではないでしょうか。
著作権
と聞くと、一部の
利用者
の
方々
から高額な
使用料
を払わなければいけないのかといった不満の声も上がるかと思いますが、しかし私
ども
も、
BGM
の
音楽
管理
に当たってそれほど高額な
使用料
をいただこうと考えているわけではありません。
BGM
利用
は
全国
津々浦々の非常に広い範囲で行われているのですから、一人一人の末端の
利用者
にはできるだけ御負担をかけないように、広く薄く
管理
していく
方法
を工夫したいと考えております。
法律
が変わったからといって、いきなり
使用料
を払えなどという
言い方
をするつもりはありませんし、
著作権
の制度や、いただいた
使用料
がいかに公正に分配されているかなどの仕組みについて詳しく
説明
をさせていただくために、十分な広報と周知のための期間を設けたいと考えております。また、料率の決定に当たりましても、一方的に決めるのではなく、
文化庁
の御指導を受けながら、現在のようなこうした経済情勢を踏まえて、
利用者団体
の
方々
と十分話し合って円満に決めていきたいと真剣に考えております。
作詞
家、
作曲家
といいますと、マスコミなどに取り上げられるような一部の著名な人ばかりが注目されていますので、一見華やかな職業のように思われるかもしれません。しかし現実には、
JASRAC
の
会員
・
信託者
の中で
著作権
の
使用料
だけで生活ができる人はほんの一部でございます。 また、
音楽家
がその才能を本当に発揮できる期間は、一般にごく短い期間に限られてしまうものです。いっときは売れっ子と言われるような時期があったとしても、それはごくわずかの期間にすぎません。若い感性はいずれ衰えるものであります。そのとき、私
たち
の生活を守ってくれるのが
著作権制度
であります。この制度があるからこそ、私
たち
はあしたへの希望を持って創作活動に取り組むことができるのであります。 しかし、この
著作権制度
も、
作家
生活を保障するにはまだまだ十分なものとは言えません。例えば、
JASRAC
のメンバーである九千五百人の
作詞
・
作曲家
のうち、
JASRAC
から受ける年間の分配額が百万円以下の
作家
が実に八七%にも上っており、五百万円以上の分配を受けている
作家
はわずか五%にすぎないのが実情であります。 ことし十一月には、
世界
じゅうの
著作権協会
の
集まり
であるCISACという国際
団体
の
理事会
、執行
委員会
等を東京で開催することになっております。また、この
機会
に
世界
の各国の
著作権
関係
者などをお招きした国際シンポジウムも開催する予定でございます。これらの国際
会議
の席で、
我が国
の長年の懸案であった
著作権法
附則
十四条の
改正
が成立されましたことを報告させていただくことができれば、これ以上の幸いはございません。何とぞ、私
ども
の三十年来の悲願を御
理解
いただきますよう伏してお願い申し上げます。 本日は、このように
作家
の
権利
を守るための
意見
を述べる
機会
をつくっていただきましたことを、御
出席
のお一人お一人の
先生方
に厚く御礼申し上げます。 ありがとうございました。
南野知惠子
9
○
委員長
(
南野知惠子
君) ありがとうございました。 次に、
棚野参考人
にお願いいたします。
棚野参考人
。
棚野正士
10
○
参考人
(
棚野
正士
君)
社団法人日本芸
能実演家団体協
議会、略称芸団協の
棚野
でございます。 芸団協は、
著作権法
に言う実演家、すなわち俳優、
演奏
家、歌手、舞踊家等の
団体
、五十九
団体
を正
会員
とする
社団法人
でございます。実演家総数としては六万四千人をカバーしております。 本日、
参考人
として
出席
できましたことを本当に光栄に存じております。心から厚く御礼を申し上げます。 実演家を代表して次のとおり
意見
を申し上げます。 一九九六年十二月に作成されました
WIPO著作権条約
、
WIPO実演
・
レコード条約
への
対応
を中心としまして、
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
が本文教・
科学委員会
で審議されますことを実演家の
立場
からもまことにうれしく存じております。今国会で
改正
法が成立することを強くお願いする次第であります。とりわけ、
録音物
による
演奏
についての
経過措置
の
廃止
は著作者にとって三十年間の悲願でありまして、著作者のパートナーである実演家としても
著作権法
附則
第十四条の
廃止
に積極的に賛成いたします。 近年の情報のデジタル化、ネットワーク化に伴い、実演の
利用
が急激に発達、多様化しております。
著作権法制
度の見直しが実演家の
立場
からも要請されるところでありますが、緊急課題を
一つ
だけ報告申し上げます。それは、視聴覚的実演の
保護
、
映画
の
著作物
あるいは映像に係る実演の
保護
の課題であります。
著作権法
で、実演家は録音権、録画権、放送権、
有線放送
権、
送信
可能化権等の
権利
を与えられておりますけれ
ども
、実演家の
許諾
を得て
映画
の
著作物
に録音・録画された実演については、この
権利
は適用しないと定めております。
法律
は、実演家に右手で
権利
を与え、
映画
の
著作物
については左手で
権利
を取り上げるという結果になっております。ただし、テレビ番組の場合は実演家に一定の
権利
が与えられております。 この問題は、現行法成立のときからの三十年間にわたる課題であります。
映画
の
著作物
に係る
権利
について、一九七〇年に成立しました現行
著作権法
は、伝統的
映画
の伝統的
利用
を前提として定められたものでありまして、その後急速に普及したビデオはその前提に含まれておりません。一九七三年、
著作権
審議会第三小
委員会
報告書にもそのことが書かれております。まして、その後の映像の新しい入れ物でありますLD、DVD、CD—ROM等の
開発
、
インターネット
の普及あるいはケーブルテレビ、BS放送、CS放送等、映像の新たな
利用
手段の発達は当然に前提としておりません。一九六〇年代の
実演等
の
利用
手段と九〇年代のそれを比較しますと格段の差があり、
法制
度の見直しは不可欠であるというふうに考えております。 この問題は、国内法の問題であるだけでなく、国際
条約
の問題でもあります。
日本
の
著作権法
は実演家の
権利
に関して、一九六一年に作成されましたローマ
条約
、実演家、
レコード
製作者及び放送機関の
保護
に関する国際
条約
をモデルにしております。そして、ローマ
条約
では、この
条約
のいかなる
規定
にもかかわらず、実演家がその実演を影像の固定物または影像及び音の固定物に収録することを承諾したときは、その時以後実演家の
権利
の
規定
は適用しないと
規定
しております。この
規定
は、
WIPO
「ローマ
条約
解説」自体が認めているとおり、伝統的
映画
の伝統的
利用
しか想定しておらず、映像の
技術
的発達、
利用
手段の
拡大
に適応しておりません。 「ローマ
条約
解説」ではこう述べております。ローマにおける交渉者
たち
は、疑いなく、過去六十年間存在した
映画
のことだけを考えた、その後、例えば家庭内で上映するために販売されるビデオのような新しい
利用
手段が
開発
された、このように解説しています。 情報・コミュニケーション
技術
の発展によって生じる課題について適切な解決策をもたらすために、ローマ
条約
にかわる国際規範として、一九九六年十二月に三十五年ぶりに
WIPO実演
・
レコード条約
が作成されまして、さらにこのときの
外交会議
の決議を受けて、現在
WIPO
で視聴覚的実演に関する議定書が検討されております。 以上のように、
映画
の
著作物
に係る実演、あるいは視聴覚的実演の
保護
は国内的にも国際的にも緊急の課題になっております。国内的には、
著作権法
の見直しの問題として、
文化庁
の映像分野の
著作権等
に係る諸問題に関する懇談会、映像懇で一九九七年以来検討が行われております。また、国際的には
WIPO
の常設
委員会
で検討が進められております。 この問題は、国内的にも国際的にも実演家にとりまして二十世紀に残されました最大の課題でありまして、二十一世紀に至るまでにどうしても解決をしたいと強く念願する次第であります。 以上のことを踏まえまして、この緊急課題についての実演家の基本的考え方を申し上げたいと思います。 一、情報のデジタル化、ネットワーク化の急速な発展は実演の
利用
に重大な影響を与えており、実演家の経済的、人格的
権利
について、特に映像に係る実演家の
権利
に関し
著作権法
の見直しを行うべきであります。それによって、
著作権制度
が実演家の創造活動を促進することができ、映像文化、映像産業の健全な発展に資する、このように考えます。 二、日々急激に発展、変化する今日の社会的、文化的、
技術
的状況において、映像に係る実演家の
権利
について三十年前の
著作権法制
度を維持するのでは新しい
時代
に
対応
することはできません。 三、実演は、
著作物
同様、知的創造行為の所産であり、実演家は単に
著作物
の伝達者ではなく、創造者、創作者であります。実演家の
権利
は、
著作権
そのものとは概念されないものの、
権利
の
内容
は著作者の
権利
と同等であるべきであり、
権利
のあり方からいえば、実演のすべての
利用
について実演家の
権利
が及ぶべきである、このように考えます。 四、この場合、映像に係る実演と音に係る実演を差別することなく、すべての実演が
保護
の対象となるべきであります。 五、一九九六年十二月の
外交会議
の決議に基づき
WIPO実演
・
レコード条約
議定書が検討されている状況を考えても、国際社会においてリーダー的な
立場
にある
日本
は、国際規範の作成について積極的役割を果たすとともに、早急に国内法の見直しを行うよう
関係
者が
協力
すべきであると考えます。 以上でございます。ありがとうございました。
南野知惠子
11
○
委員長
(
南野知惠子
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。 なお、各
参考人
にお願い申し上げます。時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお述べいただきますようお願いいたします。 それでは、
質疑
のある方は順次御発言願います。
馳浩
12
○馳浩君 自民党の馳浩です。よろしくお願いいたします。 まず、
齊藤参考人
にお伺いいたします。 今後の
日本
の
著作権法
上の課題ということで、
技術
的な動向、国際的な動向に照らし合わせて緊急性のあるテーマ、これは何なのかということを教えていただきたいと思います。といいますのも、我々この
委員会
でもほぼ毎年のように
著作権法
の
改正
について取り組んでおりますが、残念ながらいつも
WIPO
の
条約
を受けて後追いということになっておりまして、どうしても泥縄式になっているのではないかなというふうな観点を持っております。今ほど
棚野参考人
からいただいた御
意見
な
ども
非常に今後の
法整備
に向けて重要な問題ではないかと思いますが、専門家の
立場
から御
意見
をいただきたいと思います。
齊藤博
13
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。
先生
御存じのように、デジタル
技術
あるいはネットワーキング、この領域におきまして大きな発展を見ている現在でございます。そういう中で、今回の
改正
もございますが、さらにその次の段階として何があるかということを考えますと、
一つ
には
権利
の制限
規定
の見直し、これが緊急の課題ではないかと個人的には思う次第でございます。 これは、例えば私的使用のための複製とか、あるいはそのほかの制限
規定
、
著作権
を制限する
規定
内での複製等の
利用
行為、これも、デジタル
技術
を駆使しました
権利
の
管理
システムというものができましたときには、あるいは通常の
利用
形態と同じように扱うことができるのではないか。もちろん金銭の面におきましては従来どおり低いものになろうかと思いますが、
権利
の処理の仕方としては同様なものになろうかと思います。そうしますと、通常の
著作物等
の
利用
と、それからこれまで行ってきました
権利制限規定
内での
利用
、これは同じ
技術
で処理ができるのではないか。 もちろんこれはデジタル
対応
の場合だけでございますから、アナログ
対応
の状況というものは依然として残ります。したがいまして、
権利制限規定
を見直すにしましても、デジタル
技術
に特化した見直しが必要かと思います。 長くなるといけませんので項目だけ申し上げますと、さらに
権利
保護
の実効性の確保、エンフォースメント、これも極めて重要かと思います。 水際
措置
、これが有体物、複製物の移動でございますと税関等を通しましてチェックができるわけでございますが、ただいまはもう空から入ってくる、こういうときに
権利
の
管理
あるいは
著作物等
の
保護
につきましてどういうシステムが可能なのか、考える必要がございます。 最後に、国際私法、
インターネット等
を考えますと、
著作物等
を含む情報が
地球規模
で行き交うわけでございます。その際に準拠法をどうするかとか、かなり国際私法の面の詰めというものが残っているような気がいたします。 以上でございます。
馳浩
14
○馳浩君 先ほど来の
お話
を伺っておりますと、
附則
十四条の
廃止
について
齊藤参考人
にお伺いいたしますが、どうしても
日本
人の
著作権
という
権利
に対する考え方が非常に未成熟ではないかというふうに思っておりますが、今後の課題も含めまして、
齊藤
教授
はどのように
日本
人の中にこの
著作権
というものの
理解
を定着させていくべきか、現行どの程度
日本
人が
理解
しておるのかなということの、日ごろ思っておられることをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
齊藤博
15
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 非常に大きなテーマでございます。
附則
十四条そのものはかなり特殊なものでございますので、今の御質問は一般的な御質問として受けとめさせていただきます。 御指摘のように、所有権を初めとします有体物に関する
権利
につきましては、法学教育も充実していますし、一般の意識も高い、モラルも高いのが
現状
でございます。他方、
著作物等
の無体物に関する
権利
につきましては、意識は決して高いものではない、情報につきましてのモラルもやはり低いと、このようにもうほとんど断定してよろしいのではないかと思います。 これは、無体物に関する法学教育もおくれている面がございます。もう
一つ
、現場の面で考えますと、一本二十万あるいは百万のソフトを瞬時にコピーできる、目の前でコピーできる。これはある意味では、これまでの財産の感じからすると不思議なことなのでございますね。しかし、今それが瞬時にできるということ、これはかなりの誘惑でございます。これを法意識の面あるいはモラルの面できちっとガードしていく、こういうことが急務であろうかと思います。繰り返しになりますが、法学教育のこの面での充実、それに伴いまして一般の
方々
への啓蒙とか、こういうことが必要であろうかと存じます。
馳浩
16
○馳浩君
森参考人
にお伺いいたします。
お話
を伺っておりまして、二点
問題点
があるのかなと思います。 まず一点目は、細部の問題は今後詰めていく、
条件つき
というふうな言葉がありましたが、これは具体的にはどういう点なのかお聞かせくださいというのが一点目です。 二点目として、さりとて、
文化庁
の仲介もあり、ほぼ
理解
を深められたと思いますが、その公平の面ですね、
組合
に加盟している人としていない人。ということになってくると、みんな
組合
から脱退していくんじゃないかというふうな心配、あるいは現在
組合
に加盟していない方にちゃんとこの
法律
に基づいてお
支払い
をしていただけるように加入を求めていくかという、この現場での御苦労というのは森
理事長
を初め考えていかなきゃいけない点だと思うんですね。その点についてのコメント、この二点をお聞かせいただきたいと思います。
森茂雄
17
○
参考人
(
森茂雄
君)
先生
からの
お話
のとおりだと思います。 私
ども
の
団体
でも実は
アウト
の問題については非常に難しい問題がございます。それだけに、
JASRAC
さんの御
対応
はどうされるのか。
組合
に入っているがために、このような問題について、何でもかんでも
組合員
だからあなた方は
協力
しなさいと。これでは確かに抜けてしまうような状況でございます。 したがいまして、せんだっての
お話
からいたしましても、公平を欠くようなことでないお
話し合い
を進めてくださるという点を私
ども
は
理解
をいたしまして、その点で、今後御
協議
をさせていただく中で十分申し上げながらこの問題は解決していきたいと、かように思っております。
馳浩
18
○馳浩君
利用者
として支払う側と徴収する側で、
法律
で決まったから払えよ、今まで払っていないのに何だ、こういうふうな平行線になっちゃ困るんですね。やっぱりお互いの常に
話し合い
のもとでの
理解
が私は必要だと思いますので、その点は今後、もちろん
文化庁
にも仲介の労をとっていただきながらも、お互いに
理解
を深めてやっていっていただきたいというのが我々の
一つ
の考えであります。
遠藤参考人
にお伺いしたいんですが、そんな意味で、実は
日本音楽著作権協会
の
業務
の実態ということについて少し詳しくお伺いしたいと思います。 現在、協会が
著作権
の信託を受けて
管理
している
権利者
の数、
使用料
徴収額及び分配額、経費分として差し引かれる手数料額、これはどのようになっているのかという実態をお聞かせいただきたいということと、加えて、それが欧米
諸国
の
音楽
著作権
団体
と比較した場合にどうなっているか、協会としての運営の実態といったものを少しお聞かせいただきたいと思います。
遠藤実
19
○
参考人
(
遠藤実
君)
JASRAC
に
権利
を委託している
会員
・
信託者
の数は、約九千五百人の
作詞
・
作曲家
と約千七百の
音楽出版者
を合わせて一万一千二百人となっております。
JASRAC
が平成十年度に徴収いたしました
使用料
は九百八十四億八千万円でございまして、分配額は九百七十四億二千万円でございます。 また、
JASRAC
を運営するための経費となります
管理
手数料の額は百三十八億二千万円となっております。
JASRAC
の
管理
手数料率は平均で一四%程度となっておりまして、これは国際的に見ましても低い方の
水準
でございます。
馳浩
20
○馳浩君 わかりました。 まず冒頭に申し上げたいのは、
権利者
と、それから
利用者
から
利用
料金を徴収する、そういう仲介の
立場
にありますので、運営については非常に大変な御苦労も多いと思いますが、公平で公正な運営を今後もしていかれることを望みます。 と同時に、今後の
全国環境衛生同業組合中央会
との
関係
というものはやはり常に円滑に、
文化庁
の方にばかり顔を向いているのではなくて
利用者
の皆さんの方にまず顔を向けて、円滑に事を運ばれるようなお取り計らいというものをお願いしたいと思います。 その点について何かコメントをいただきたいと思います。
遠藤実
21
○
参考人
(
遠藤実
君) 全く
先生
の御指摘のとおり、
環衛
の森
理事長
とは仲よく兄弟のようにおつき合いをしたいと思っております。そして、お互いが本当に心行くまで話し合って、納得をした上でしっかりと握手をしてまいりたいと思います。そして、一万数千人の
会員
のために、少しでも生活が楽になるように頑張りたいと思っております。
馳浩
22
○馳浩君 ありがとうございます。 最後に
棚野参考人
にお伺いいたしますが、きょうは
一つ
の問題提起として御
意見
をいただいたと思います、実演家の
著作権
の問題ということに関して。 これは将来的な課題とは思いますが、さてそうなったときに、実演家の映像物に係る
権利
について、実際に芸団協として円滑な
権利
の処理というのはしていくことができる体制にあるのかどうか、この辺が大丈夫でしょうかというふうな観点です。
棚野正士
23
○
参考人
(
棚野
正士
君) 実演家は一人一人が
権利者
でありまして、
先生
の御心配ももっともだと思います。そして、
一つ
の
作品
には多数の
権利者
が関与しておりまして、円滑な
利用
のためには包括的な
権利
処理ということが当然に求められるであろうというふうに思います。 芸団協では、
昭和
四十六年の
著作権法
施行以来、包括的な
権利
処理機構の役割を果たしてまいりました。特に、平成五年には専門機関として、実演家の組織として実演家著作隣接権センターを発足させました。そして、昨年の十二月にはこの隣接権センターを
関係団体
の
協力
を得まして再構築いたしました。
権利者
をすべて含めまして、当然俳優も含めまして実演家の包括的な
権利
行使システムの体制はもう既にできていると思います。ですから、いつ
法改正
がされても受け入れ体制はできているというふうに申し上げたいと思います。
馳浩
24
○馳浩君 素朴な質問なんですが、では、そういう場合には十分に円滑な分配がなされることができるということですね。
棚野正士
25
○
参考人
(
棚野
正士
君) はい、そのように思います。 なお、
昭和
四十六年から
映画
の中でもテレビの番組については
権利
処理を既にしておりまして、そこでは
昭和
四十六年以降の実績がありますので、私は十分に包括的な
権利
処理はし得る体制にあるというふうに申し上げていいかと思います。
馳浩
26
○馳浩君 私は、これは要らぬ心配かもしれませんが、例えば
映画
になったとき、主役、準主役、助演、脇役、果ては通行人までたくさんの方がかかわっておられるというときにどのように分配なされるのかなと。素人考えで申しわけありませんが、そういったことも含めて大丈夫なのかなというふうにお聞きしたんですが、いかがでしょうか。
棚野正士
27
○
参考人
(
棚野
正士
君) テレビ番組の例で申し上げますと、これは既に
昭和
四十六年から芸団協で処理しているわけなんですけれ
ども
、例えば大河ドラマの場合、多い場合は六百人の出演者がいるんです。この場合は芸団協が包括的に
使用料
を受け取りまして六百人一人一人に分配しているんです。ただその分配は、俳優の出演料に応じてランク分けしまして、おおよそのランクで一人一人の
使用料
を算出している。ですから、その実績はありますので、ノウハウは既にあるというふうに私
ども
は思っております。
馳浩
28
○馳浩君 こんなことを聞いて失礼なんですが、そのランクづけでもめたりすることはないんですか。
棚野正士
29
○
参考人
(
棚野
正士
君) 出演料というのはいわば制作者の企業秘密ですので、私
ども
の方にはこの出演料は公開されません。ですから、制作会社の方に依頼をしまして、あるいは放送局に依頼して俳優のランクを決めてもらう。これにつきまして今までクレームのあったことはないように思います。
馳浩
30
○馳浩君 ありがとうございました。 終わります。
江本孟紀
31
○江本孟紀君 民主党の江本でございます。 きょうは各
参考人
の皆さん本当にありがとうございます。お忙しいところ、我々のために来ていただきまして本当にありがとうございます。 きょうは、この
著作権法
の
改正
については我々も
法案
そのものには賛成の
立場
で、そういったことでいろいろ御
意見
を伺って、そしてなお審議をしてということで皆さんにおいでいただきました。ただ、私
たち
も全部わかっているわけじゃありませんのでちょっととんちんかんな質問をするかもしれませんけれ
ども
、よろしくお願いしたいと思います。 私個人で言わせていただければ、
齊藤
先生
とはかかわりないと思いますけれ
ども
、あとの方とは私もちょっとかかわりがあります。というのは、歌の方でいいますと、私は素人ながらちょっと歌がうまいものですから、昔
レコード
を出させていただいたこともあって、枚数でいうともう三十枚ぐらいあるんです。曲も結構あるんです、もうほとんど店では売っていませんけれ
ども
。それで、どなたが作曲したのか、
作詞
をしたのかというのは余り覚えていないんですけれ
ども
、ただ、
JASRAC
の役員の中に、池田充男
先生
とか、それから友達では中山大三郎さんとかいろんな方がいて、そのかかわりということでいうと、単なる人のことじゃなくて、私自身も
レコード
を出したりなんかしたことがあります。 それから、実演家ということでいいますと、私も野球をやめた後いろんなことをやりまして、バンドを組んで歌を歌って
全国
を回ったこともあるんです。そういうことでいいますと、実演家の方になるのかなと。しかし、人の曲を勝手に使って歌っていましたので、その辺のことがどうなるのかなと、ギャラをもらって歌っていたものですからね。ただ、バンドとかそういう連中には本当に食えない連中が多い、ミュージシャンなんかですね。彼らともギャラを分け合って、いろんなところへ行ったこともありますし、それからいろんな
団体
から誘われて行ったこともある。そんなことでかかわっていたんですけれ
ども
、ただ、
著作権
とかそういうことに関しては、一般的に本当に関心が薄いといいますか、我々もそんなに考えていなかったです。 私は本も四十冊ぐらい出していますので、本の方の
著作権
については多少、もめたりなんだりいろんなことがあって関心はあったんです。そんなことで、今回の件についても、この
権利
は非常に大事な部分であるということで、実感として
自分
にもかかわっているということできょうは質問したいと思います。 とりあえず
遠藤
先生
にお伺いしたいんですが、長年の念願といいますか、いろんなケースで問題になってはいたんですけれ
ども
、
附則
十四条の
廃止
ということが今回の
法案
に盛り込まれたわけです。
遠藤会長
は、
音楽家
、それからそういったことですばらしい実績を残しておられますし、特に思いが深いと思うんですが、その点についてお
気持ち
をもう
一つ
聞かせていただきたいと思います。
遠藤実
32
○
参考人
(
遠藤実
君) 江本
先生
の幅広い才能を改めて伺うことができましたが、私、
作家
自身としてこの
附則
十四条という言葉は三十三歳のころ聞いているんです。今、六十六歳になりました。この問題は
作家
の間で消えそうになったりまた火がついたりして、
作曲家
として考えても、早く上程して皆さんに少しでもこの
権利
の得を与えてあげたいと。 私は、苦労を自慢するわけじゃありませんが、流しの生活を九年十年やりまして、裏町で鉄線のギターで指から血を流して、これはドだ、これがミだ、これがソだといって音を掌握して
作曲家
になった私ですから、
著作権協会
から初めて印税をもらったとき、真っすぐに座れない四畳半の馬の背中みたいなところで、そのお金を見て妻と本当に手を取り合って、はあ、歌にこういう
権利
があるのかと。 江本
先生
おっしゃったように、
著作権
という言葉は大変難しい響きなんですが、人に人権があるように、
作品
にも
著作権
がある、そういう御
理解
を賜りたいと思います。 私は新潟県の出身ですが、この
会長
をやってから
著作権
、
著作権
といつもいつも聞いているものですから、なかなかいい曲が昔みたいにかけなくなりまして、この問題を解決して早く
会長
をやめたいというのが本音でございます。そして、あなたのふるさとはどこですかと聞かれて、今までは新潟県と言っていたんです。この前、
著作権
、
著作権
と言っていましたから、ふるさとはどこですと言われて
著作権
と言ってしまったぐらい、こんな思いでございます。
江本孟紀
33
○江本孟紀君
遠藤会長
の思いは本当に、長い歴史の中で十分
理解
できます。 そこで、それと相反するといいますか、森
理事長
に少しお聞きしたいと思います。 今回のこの
附則
十四条の
廃止
によって新たな
使用料
の負担ということが生じた業界の代表であられるわけですけれ
ども
、先ほどの中にも、最初はこれは当然
反対
だと、長い間ほっておいて今ここで何なんだという
お話
がありましたけれ
ども
、最終的に御
理解
を示されたということで、その理由について先ほど国際問題の件も少し
お話
しされましたけれ
ども
、それ以外にも、これに関しての納得したポ
イン
トといいますか、そういったものがもしございましたらお願いしたいと思います。 それから、このことについてもう一度全体的にお願いしたいと思います。
森茂雄
34
○
参考人
(
森茂雄
君)
先生
の御質問、非常にうれしいです。やっと僕の味方があらわれたなという感覚がいたしました。
遠藤
先生
の
著作権
という、御
自分
の出身県がお変わりになったように、私は
すし屋
ですから河岸へ行って毎日魚を見ているんですが、どうもお魚が
著作権
に見えてしようがないんです。本当に苦しい思いをしながら一緒に出てまいりました。 私は、第一に、国際的な問題だという考え方がまずございました。第二番目には、
文化庁
さんが仲介の労をとってくださるということでございます。そして三番目には、何といいましても、
遠藤
先生
は人間の機微に触れられる立派な
先生
でございますので、今後
お話
をしていく上には必ず
先生
との間で
理解
を得られるのではないか、こう思いました。そして最後には、
日本
の将来の問題でございます。将来を考えたときに、私
ども
やはりいつまでもこういうことは言っていられないのではないだろうかという点で、
全国
の皆さんを納得させるということは容易な問題ではございませんが、
先生
おっしゃるように料金の
問題等
出てまいりますから、これについては今後十分に
対応
させていただきたい。 私は特に思いますのは、
音楽
の文化的所産といいますか、そういう問題は
財産権
でございましょう。そして、これは国民の
利用
があって初めて評価されるものだ、こういうふうに思っておりますので、こういう
時代
に参りましたので、
遠藤
先生
とこれから十分討議を続けていきたい、かように思っております。 ありがとうございました。
江本孟紀
35
○江本孟紀君 次に、
齊藤
先生
にちょっとお聞きしたいと思います。本当は事細かくいろんなケースを
先生
のお考えで聞かせていただきたいんですけれ
ども
、私、これは
遠藤
先生
に聞いてもいいかなと思ったんですけれ
ども
、時々私も北島三郎さんのゴルフコンペに呼ばれて行くことがあるんですが、そうすると一日じゅう三十六ホールに演歌がずっと流れているんです。例えば、旅館、
ホテル
、そういった施設の
業種
が今決められていますけれ
ども
、ゴルフ場なんかはどうなるんですか、そういうケースの場合。済みません、
齊藤
先生
によく聞こうと思ったんですけれ
ども
、これはどうしても
遠藤
先生
の方に。
遠藤実
36
○
参考人
(
遠藤実
君) それがやっぱり問題になっていて、そういうものもいただくということになっております。
江本孟紀
37
○江本孟紀君 今、一応旅館、
ホテル
、そういった施設ということになっていますけれ
ども
、
業種
をもっと明確に、例えばどこそこというふうにこの先何かに表示されるとかということはあるんですか。
遠藤実
38
○
参考人
(
遠藤実
君) 幅広く
音楽
を使って営業等々しているところは、大体、
環衛
さんを初めとした
ホテル
、それから
ロビー
とか空港のレストランとか、そういうところが対象だと思います。やはりゴルフ場でそういう
音楽
は
気持ち
をよくさせておりますから、それで球が飛ばない人はゴルフが下手な人でございます。それは
音楽
に
関係
はないと思いますが、ゴルフ場は営業をしているわけですから、そこに
音楽
が流れているということについては、やはり
バックグラウンドミュージック
というような対象になるかと思います。
江本孟紀
39
○江本孟紀君 その質問はちょっとしづらかったんですけれ
ども
、ゴルフ場でやるとき、北島さんが全部主催なんです。そうすると、主催の人が
自分
の曲をずっとかけているわけですから、そういう場合もそんなに分けられないのかなというのがちょっとあるんですけれ
ども
、その件はいいです。
遠藤実
40
○
参考人
(
遠藤実
君) 北島君のゴルフコンペで北島君自身が御
自分
の
作品
をかけているとしたら、御
自分
が支払ってくれればいいと思います。
江本孟紀
41
○江本孟紀君 そうでしょうね。 そこで、
齊藤
先生
にお聞きしますけれ
ども
、
先生
は
著作権
審議会第一小
委員会
の主査でいらっしゃると思いますが、今回の
法案
は第一小
委員会
で審議をされて国会に上がってきたということですけれ
ども
、
附則
十四条の
廃止
という結論が今回出たわけですが、審議会ではどのような
お話
があって今回こういう形になったのか、お伺いしたいと思います。
齊藤博
42
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 これは一回の審議ではございませんで、幾つかの段階を経てございます。かなり大きな問題でございますので、まず第一段階としまして、平成四年の第一小
委員会
におきましては、条件整備を進めまして、それに応じて立法
措置
を将来検討すべきだ、こういうところにとどめてございます。第二段階としまして、平成八年の第一小
委員会
におきましては、
利用者団体
の
理解
を得るための広報活動、それから、
附則
十四条の
廃止
に際しまして
権利
処理のルールをどうやって整備するのか、この辺の検討がまず必要である、こういうことにとどめました。そして、このたびの第一小
委員会
、昨年のまとめになった次第でございます。 なお、あわせまして、
有線放送
等の普及によりまして、
録音物
による
演奏
そのものが後退しているという
現状
もあろうかと思います。したがいまして、
利益状態
に大きな変化はかつてほど生じないのではないか、こういうことでございます。
江本孟紀
43
○江本孟紀君 次に、もう一度
遠藤会長
にお伺いしたいと思いますけれ
ども
、
日本音楽著作権協会
という協会ですけれ
ども
、こういうことによって
事業
をされて、
権利者
というか、そういった人
たち
に
使用料
を配分して、そしてその
権利
を
保護
してあげるという意味では大変結構なことでありますけれ
ども
、やはり基本的には
音楽
文化を振興していく、そういったことも含めて非常に大事な存在である、文化的な意味合いからしても非常に大事な存在であるということです。 私は、
音楽
というような
一つ
の範囲からいいますと、
日本音楽著作権協会
というのはやはり公益法人として、
音楽
でいえば創作振興、それからそういった点にかかわる文化
事業
なんかに対していろんな形で取り組んでいかなければいけないのではないか。これはちょっと僣越な
言い方
ですけれ
ども
、そういった意味で、どんなことを考えておられるのかお聞きしたいと思います。
遠藤実
44
○
参考人
(
遠藤実
君)
先生
から御指摘がございましたとおりに、
JASRAC
といたしましては公益法人として、ただ
使用料
をいただくだけでなく、社会のために役立つ
事業
を行う必要性を痛切に感じております。 そこで、昨年四月に定款を変更いたしまして、
会員
の
皆様
からいただいた会費などによりまして、
著作権
思想の普及と
音楽
文化の振興を目的とした各種
事業
を実践しておるところでございます。これまでには
演奏
会とか寄附講座とか
音楽
療法への助成などの
事業
を行ってまいりましたが、今後さらに検討を加えまして、一層国民から喜ばれる、そして、
JASRAC
といいますと一千億近い徴収をしている金持ち
JASRAC
という全く誤解されたイメージを、そういった文化
事業
によって一掃したいと思っているんです。 この一千億近い徴収料が、入ったものが全部
著作権協会
のもので、大金持ちだというようなまだ考えを持っておられる議員の方もおるわけです。それは全く違う。それは全部
作家
に分配をしてしまって、
著作権協会
は一銭も、一円も財産を持っていない
社団法人
でございます。ですから、今度は定款の
改正
をしまして会費を導入したりして、その財源でもって文化
事業
を大いに促進していきたいと思っております。
江本孟紀
45
○江本孟紀君 ありがとうございました。 時間が来ましたので、これで終わります。
松あきら
46
○松あきら君 きょうは、
参考人
の
皆様
、当
委員会
にお出ましをいただきまして本当にありがとうございます。 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 私も長い間舞台をやっておりまして、少なからず
関係
しているわけでございますけれ
ども
、
世界
の流れに今まで沿っていなかった、これは
世界
の流れに沿うためにも、そして芸術、文化を育てるためにも
著作権
というものが守られなければいけないというふうに私は思っているわけでございます。 森
理事長
の
お話
も先ほど来伺っておりまして、まさに今不景気で世の中がこういう時期ですので、何でこの時期にという、それは本当にそのとおりであるというふうに思います。しかし、中身をこれからしっかりと御検討いただくということで、この大きな流れの中で、国際化、国際的な流れの中でこれは認めていかなければならないという
理事長
のお考えはすばらしいなというふうに思ったわけでございます。 今、新聞などにもありますように、宇宙からの曲宅配なんということで、
衛星
等を使いまして、カラオケですとかいろいろな曲もどんどん
衛星
通信で流れてくるような
時代
になりました。そうなりますと、例えば
ホテル
とかレストランとかいろいろなところで
BGM
とかに使われるわけでございますけれ
ども
、
遠藤
先生
、この
BGM
の曲というのを正確に把握するのはとても大変かななんて思うんです。例えば、だれの
作品
がどれぐらい使われているかということはどのように把握するのかなというふうに思うわけでございます。それと、その金額は大体お幾らぐらいになるのか、まず伺わせていただきたいと思います。
遠藤実
47
○
参考人
(
遠藤実
君) 今、通信カラオケ等いろいろ
音楽
の流れが急速に変わってまいりまして、一枚一枚CDをかけているという
時代
から、まさに今、
有線放送
でもってそういう
音楽
が流れているわけでございます。そして、その
有線放送
はどこで何をかけたかということがちゃんとわかっておりまして、そういうデータと、それからサンプリング調査をしたりして計算をするわけです。 個別の店ごとのサンプリング調査の組み合わせによって正確な分配を期したいと考えておりますし、
有線放送
事業者
からいただく資料と、カラオケの場合のように、統計学に基づいて選ばれた個別の店ごとのそういった調査でかなり正確な数字が出ます。そして、この
改正
によりまして一人の
作家
に対する分配額は、当面は余り多くありません。例えば月額六千円の
有線放送
代としたらば、
著作権協会
は恐らくその一%以下、ですから、お店で六千円お払いをするような場合は六十円、一店から六十円の
使用料
をいただくというような、まことに謙虚な値段ではないかと自画自賛をしております。
松あきら
48
○松あきら君 六十円ということで、その六十円が高いか安いかというのは私もちょっと言えないわけでございます、隣に森
理事長
さんのお顔を拝見しているわけでございますので。 今、資料を拝見しておりまして、
遠藤
先生
が先ほどからおっしゃっておりますけれ
ども
、約八七%の方がいわゆる収入が百万円以下の方、
著作権
料がゼロの方も随分多いという数字が出ておるんです。例えば
著作権
料ゼロの方で
会員
の方というのは、前は売れていたけれ
ども
、
時代
で売れていなくてこういうふうになったというような、そういうことでしょうか。
遠藤実
49
○
参考人
(
遠藤実
君) 以前、私
たち
の
会員
資格というのは、三年間連続で年間三十万円の
使用料
が入れば正
会員
として資格を得られるわけです。三年続いて四年目から全くゼロになってしまったという方でも、一回正
会員
になりますともうずっと正
会員
なわけです。 そういうことでもって、ゼロ
会員
でありながら正
会員
である方に対しても、通信のいろんなものとか連絡とか、それから
JASRAC
で発行しているいろんな本を送ったりしまして、そういった負担も計算をしますと膨大な数字が並んでしまうわけで、そういう点で、これから
使用料
が減っていった場合、かなり苦しい状態になるのではないかということを危惧しております。
松あきら
50
○松あきら君 先ほど会費を取るようになったというふうにおっしゃっておりましたけれ
ども
、そういう収入がゼロとか低い方
たち
からの会費はどのようになっているんでしょうか。
遠藤実
51
○
参考人
(
遠藤実
君) それは、正
会員
として残りたいですか、残らないで、正
会員
をやめて
信託者
だけでも結構ですよという
二つ
の選択肢を提示しまして選んでもらいます。
自分
はもう会費を払いたくないという方は、正
会員
をやめて一般の
信託者
として信託をしていただければ、また
作品
に使用価値が出て
使用料
が入れば、
信託者
であっても
会員
であっても公平に分配はされていきます。
松あきら
52
○松あきら君 江本議員もおっしゃっておりましたけれ
ども
、そういった方
たち
にもいろいろな資料等をお送りしたり、なかなか苦しいという
お話
でございましたけれ
ども
、やはり創作活動また
音楽
振興のために、私もぜひこれからも文化的な
事業
として広げていってほしいという思いでございます。 次に、芸団協の
棚野
専務
理事
さんにお伺いしたいと思います。 先ほど、現在の状況を考えて再考してほしい、実演家の
権利
を認めてほしいということでございます。ちょっと基本的なことで申しわけないんですけれ
ども
、包括的な
権利
システムができているというふうに先ほどお答えになっていたと思います。これは
日本
ではまだ認められていないんですけれ
ども
、例えば諸
外国
、欧米等ではどういうふうになっているんでしょうか。
棚野正士
53
○
参考人
(
棚野
正士
君) ヨーロッパの場合も映像の
権利
をきちんと
許諾
権で認めている国というのは意外に少ないんですけれ
ども
、しかし報酬請求権でカバーするとか、つまり、映像についても実演家の
権利
は、
許諾
権であるとか報酬請求権であるとか、
権利
の形は別にしてもきちんと認めている国は非常に多いです。また、経済的な
権利
だけではなくて、人格権も
著作権法
の中にきちんと実演家について定めているという国はかなりございます。 ただ、アメリカの場合は別でして、アメリカの場合は
著作権
的な
法制
度上の
保護
はありません。ただし、
契約
によって実演家の
権利
、俳優の
権利
はきちんと守られている、アメリカの場合は
契約
というシステムで守られている、このように思います。
松あきら
54
○松あきら君 今、人格権というのを初めて私伺いまして、私も演じていた一人といたしまして、つくづくああそうだな、これはとても大事な観点であるなというふうに思います。 アメリカは、こういう
法制
度そのものはなくても
契約
でという
お話
がありましたけれ
ども
、アメリカというのは非常に芸能人に対して手厚いというか、そういうところでございますから、ま
たち
ょっと
日本
などとは違うんだというふうに思います。 次に、
齊藤
先生
にお伺いしたいと思います。 先ほど、
権利管理情報
、
電子透かし
のことも
お話
に出てまいりましたけれ
ども
、いわゆる
電子透かし
につきまして、今後どのように活用され、またそれが
著作権
保護
とどのように
関連
してくると思われるか伺いたいと思います。
齊藤博
55
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 先ほど例としてお出しになられました空からの
音楽
配信、こういうことも含めまして、それをターミナルというか端末段階で
権利
を
管理
する、こういう仕組みが可能になろうかと思います。 つまり、従来でございますと、どういう曲がどれだけ流されたかということが把握できませんけれ
ども
、この
権利管理情報
を
著作物等
に埋め込みますと、固有のコードが入りますものですから、これを
管理
システム、あるいは私
ども
は電子的
著作権
管理
システムと言っておりますが、そういう中で処理をする。そうしますと、だれがどういう曲を複製したとか
利用
したとか、こういうことがかなり正確に把握できるわけでございます。その前段階として
権利管理情報
を埋め込むことが必要であろうかと、このように思っております。 以上です。
松あきら
56
○松あきら君 確かに、
先生
のおっしゃることはわかります。そういうふうに入っていますと、一々調べなくても、空から降ってきても、どこかからだれかが勝手に流したりしたとしてもそれが把握できるということで、これから大事な点かなというふうに思います。
インターネット
ですか、いろんな
方法
で今流れてくるようになりましたので、大事な観点かなというふうに思います。 もう
一つ
先生
にお伺いします。
著作権法
の
権利
侵害に対する手段は、
権利
が侵害された場合に、民事とかあるいは刑事で今までは事後的に行ってきたわけですけれ
ども
、今回の
技術的保護手段
というのは、
回避
専用装置などを規制することによって
権利
侵害を事前に防止するものであるというふうに思います。
著作権法
にとっての意味というのはどのようにお考えでしょうか。
齊藤博
57
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 確かにこれは画期的なことかと存じます。
著作権法制
のあり方にとりましても、これは画期的なことかと存じます。
デジタル時代
に突入しますと、侵害によって生ずる損害の規模というものが極めて大きなものになります。
先生
御存じのように、デジタルの特性を考えますと、劣化しない、それから容易に非常に簡易な仕方で
送信
ができる、
インターネット
も含めまして
送信
ができる、こういうことでございますので、一たび侵害がなされますと事後的救済というのはほとんどできない。あるいは、通常の差しとめ請求にしましても
対応
し切れない。そういうことで、一歩前に装置等につきまして規制をしよう、こういうことであろうかと思います。 以上でございます。
松あきら
58
○松あきら君 私も、森
理事長
さんに、これから業界として
JASRAC
さんとか
文化庁
にどのような御
意見
、御要望があるかお伺いしたいという質問をしようと思っていたんですけれ
ども
、それでは、それを再度伺って終わりにしたいと思います。
森茂雄
59
○
参考人
(
森茂雄
君) 大変うれしい御質問をいただきまして、まず感謝いたします。 先ほどから何度も申し上げましたように、
長官
と
遠藤会長
さん、非常に御
理解
がございますので、十分配慮した上で相談しましょうと言ってくださいましたので、その点にすべてをお任せしたいと思っておりますが、先ほど
先生
の御質問の中ですごくうれしかったことがございます。 これは、私
ども
としましては、
使用料
の問題とか実施の時期、それからこういう問題については十分に煮詰めていただかなくちゃならない。そのための容認だと、私はそう思っているんです。先ほど六十円という話が出ていましたが、私
ども
は二十円か三十円だと、そういうふうに思っています。それから、十四年という問題は十七年だと、私はそう思っています。これはかなりやりとりがあることだと思いますが、でも
環衛業
者は今非常に困っているんです。この
現状
をどうしても
理解
していただきたい。私は、それをもう一回申し上げるチャンスを得まして感謝いたします。 ありがとうございました。
松あきら
60
○松あきら君 ありがとうございました。
林紀子
61
○林紀子君 きょうは四人の
皆様
に来ていただきまして、いろいろ
参考
になる
お話
を聞かせていただきましてありがとうございます。
日本
共産党の林紀子でございます。 私は、まず
遠藤参考人
と
齊藤参考人
にお伺いしたいんです。同じ問題なんですけれ
ども
、実は、この
著作権法
改正
ということになりまして勉強を始めましたところ、大変素朴な疑問なんですけれ
ども
、これはどう考えたらいいのかなということがありましたので、そこからお聞きしたいんですが、それは
著作権
と著作隣接権との
関係
なんです。 といいますのは、
遠藤参考人
のすばらしい数々の
作詞
・作曲があるわけですけれ
ども
、そういうすばらしい
作詞
・
作曲家
がいてこそすばらしい歌ができるというのはよくわかるんですが、すばらしい歌を
作詞
・作曲されても、それを実演する人、歌う人、
演奏
する人がいないと私
たち
の耳や目には届かない、楽譜を見ただけではそれがぱっと頭には浮かんでこないわけです。そういうことで、私も「北国の春」などは大変好きな歌なんですけれ
ども
、千昌夫さんがいたからこそ私
たち
の耳に届いてくるということがあると思うわけです。そういうことでは、まさに
著作権
と実演者の著作隣接権、それはもう本当に一体不可分じゃないかというふうに思うわけです。しかし、今現在のこの
法律
の中では、
保護
される
権利
という意味では、
著作権
と著作隣接権というのは大分開きがある、差があるんじゃないかというふうに思うわけです。 そういう中で、全くぴったり同じでいいのかどうかというのはわからないんですけれ
ども
、両者の
権利
というのは限りなく同等に
保護
をしていくという方向に向かっていってもいいんじゃないかなという本当に素朴な疑問なんですが、持ちましたので、まず、著作者である
遠藤参考人
と、それから研究者である
齊藤参考人
にそれぞれお聞かせいただけたらと思うんです。
遠藤実
62
○
参考人
(
遠藤実
君)
先生
の御指摘する、つくる方、そして演ずる方、それは一体でありたいという
気持ち
もあります。しかし、
作品
がまずなければ全く歌い手はゼロでございます。ですから、やはり
作品
が重視をされ、それを歌った歌い手がその次に来る、これが私は、欲張りでなくて、正しい考え方ではないかと。何もないところから創作する、そしてそれによって、
自分
に合った楽曲を歌い手さんがもらって、ぴったりしたから大ヒットするわけです。 いずれにしても、同じ
権利者
として双方とも厚く
保護
していただければ一番ありがたいと思いますし、近い将来はそういうことになっていくと思います。どっちがこっちがというような仲間げんかをしてもしようがありませんから。ただ、私
たち
作曲家
から言わせますと、全く何もないところから身を削るような思いをしてつくるわけです。そういうオリジナリティーに対しての対価は、やっぱり作者の方がというような、欲張っているんじゃないかと言われれば、私はそうですかと言いますけれ
ども
、素直な
気持ち
で言うとそういうことですが、いずれにしても、同じ
権利者
として双方とも厚く
保護
して、
日本
にいい歌がもっと生まれる、そして
世界
じゅうにいい歌がたくさん生まれることが平和のあかしだと思います。 そういうことでもって、さっき松
先生
からもいろんな質問がありましたが、
会長
職というのは実務をしておりませんものですからこのくらいのお答えしかできませんが、
先生
がおっしゃるように、同じ
権利者
同士でもっともっと話し合って、同等になるようになればいいなという願いだけここで述べさせていただきます。
齊藤博
63
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問は、学術的なテーマでありますと同時に、国際政治が絡んだ相当生臭いテーマでございます。 ざっと申し上げますと、
著作物
なり
著作権
でございますが、この
著作権
の客体であります
著作物
は、表現の成果物とまず御認識いただいてよろしいかと思います。表現された物でございます。 これに対しまして、隣接権の客体と申しますのは行為の方でございます。ただいまも
お話
ございました
著作物
その他の情報を伝達する行為、実演もそうでございますし、
レコード
の製作あるいは放送、
有線放送
も同様でございます。したがいまして、
事業者
とか実演家、その行為に重点を置いてございます。したがいまして、
保護
の対象が違うということでひとまず分けてよろしいんじゃないかと思います。 そうしますと、
保護
について上下の
関係
というものはないわけで、
保護
期間をそろえるという、数字のそろえ方は可能でございますけれ
ども
、そもそも
保護
の客体が違うというようにまず考えております。 しかし、もう
一つ
の国際政治が絡んだ問題ということになりますと、これは
国際著作権界
には大別しまして
二つ
の
法律
主張がございます。
一つ
は英米法系の主張、アメリカ、イギリス等の主張でございます。それからもう
一つ
はヨーロッパ大陸法系の主張、
我が国
もその中に属してございますが、こういう考え方がございます。 大陸法系の
諸国
は、隣接権につきまして極めて重視をしまして、ローマ
条約
、隣接権
条約
でございますが、そういうものにも積極的に加入してきたわけでございます。しかし、アメリカはその種の
条約
には入ろうとしないわけでございます。どうしてかと申しますと、同国におきましては
レコード
も
著作権
の客体と割り切るわけです。製作物でございます。これも
著作物
の中で考えるわけでございます。隣接権という特別な概念を必要としないわけでございます。ここに大きな違いがございまして、今日におきましても国際
会議
等においてその辺の考えのずれというのは常に出てきております。 以上であります。
林紀子
64
○林紀子君 次に、
森参考人
にお伺いしたいんです。 先ほど、今回の
附則
十四条の
廃止
やむを得ず、
条件つき
でというような
お話
で、これから
話し合い
を煮詰めていくということだったわけですけれ
ども
、その中で、守れる
法律
をつくってほしいという
お話
がありまして、私も
方々
の飲食店の方とか
利用者
の方の
お話
を聞きますと、今大変な不況の中で、本当に今どうしてという
お話
を必ず聞くわけです。 その中で、守れる
法律
ということで、この金額なら全員賛成だという線でという
お話
がありまして、今回の
改正
にかかわっては二十円とかいう
お話
が具体的に出ておりましたけれ
ども
、今までの
利用者
の金額、それもなかなか大変じゃないかという
お話
も出ております。 具体的に幾ら幾らという生の数字は言いにくいかもしれませんけれ
ども
、考え方の基準みたいなものというのが何かありますでしょうか。
森茂雄
65
○
参考人
(
森茂雄
君) ありがたい御質問をま
たち
ょうだいいたしました。 これはやはりお
話し合い
の問題でございまして、ここで申し上げるべきではないと私は思っておりますが、それでも、仮にこの問題が通りまして、そして広く多くの
方々
がこの費用を納めるようになりますと、当然安くなるべきではないか、私はこういうふうに思います。 例えば、先ほどの
先生
の
お話
の六十円が、二十円が妥当かどうかわかりません。しかし、それと同じような考え方を持っていきませんと、私
ども
は平等という考え方を常に思っておりまして、
アウト
の
方々
の問題もございますので、まじめな
会員
が泣かされるのは嫌です、かえってそういうふうに申し上げて、できるだけ
文化庁
さん、そして
先生
との調和をとっていただいた上で料金問題は決定をさせていただきたい、期間の問題についても
お話
をさせていただきたい、かように思っております。 ありがとうございました。
林紀子
66
○林紀子君 それでは、次に
棚野参考人
にお伺いしたいんです。 今回の
改正案
では映像実演家の隣接権の
保護
というのは見送られたわけですけれ
ども
、もしこれが
改正
されて隣接権が
保護
されるということになったら、この
権利
というのは、先ほど来
お話
がありますけれ
ども
、
許諾
権とか報酬請求権とか人格権とかということを挙げていらっしゃいましたけれ
ども
、この
権利
の行使ということについては具体的にどういうふうに行おうとしていらっしゃるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
棚野正士
67
○
参考人
(
棚野
正士
君) まず、基本的な
法制
度の見直しの実演家側の姿勢の問題なんですけれ
ども
、
文化庁
の映像懇談会で昨年ですか、
一つ
の具体的な提案を申し上げたんです。単に原則的なことを申し上げているだけではなくて、具体的な提案を申し上げたんです。それは、要旨としてはこういうことなんです。 三項目ございまして、一番は、映像の複製、
頒布
、貸与、公衆
送信
等実演の
利用
については、実演家には
許諾
権を
規定
する。ただし、映像制作者に強い
反対
があるのであれば、実演家がその実演の映像の制作に寄与することを約束したときは、
反対
または特別の
契約
がない限り映像の
利用
について
反対
することができないと
規定
することもやむを得ないと。ただ、この場合、視聴覚固定物の制作者あるいはその
利用者
は、実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。その実際上の実演家の
権利
行使の
方法
としては、
団体
による包括的な
権利
行使システムが必要である。三番は、実演家の人格権を
規定
するということであります。 なお、先ほど申し上げましたように、芸団協は
関係団体
の
協力
を得まして実演家著作隣接権センターを設置しておりまして、包括的な
権利
行使の体制は既にでき上がっているというふうに私は思っております。 以上でございます。
林紀子
68
○林紀子君 ですから、今の
お話
ですと、
映画
の場合はビデオ化されて次々とテレビに流されても全然
保護
の対象になっていないけれ
ども
、そういうことが実現した場合には、やみくもにそれを使ってはならないよということは言わないという、そういう話ですね。
棚野正士
69
○
参考人
(
棚野
正士
君) 実演家の
立場
は、映像の制作者あるいはその映像の
利用者
と決して対立する
関係
じゃなくて協調
関係
にあるだろうと思います。パートナーだと思います。ですから、実演家にとりましては映像文化あるいは映像産業の進展ということが非常に重要でありますから、映像
作品
自体の円滑な
利用
というのはまず考えられるべきであろう。 そういうことからいいますと、やみくもに実演家が
権利
を振りかざす、
権利
というのはある意味では刀ですから、非常に危ないですから、やみくもに一人一人が振り回すということはいたしません、できない、こういう仕組みをぜひつくろう。そのためには、一人一人が刀を振り回すのではなくて、実演家著作隣接権センターという
一つ
の機構によって包括的に処理をする、このように考えております。
林紀子
70
○林紀子君 実演家の皆さんの今の生活の状況、先ほど
利用者
の方の
お話
を伺ったんですけれ
ども
、その実演家の皆さんも今生活的には大変だ、所得の部分では大変だということを、芸団協が九七年に「芸能白書」というのを出されているのを私も見せていただいたんですけれ
ども
、年間所得というのが普通は、サラリーマンでしたら年収五百万、六百万ぐらいのところで人数からいうと山型のカーブになるんだけれ
ども
、実演者の方
たち
の表というのは限りなく年収百万とか二百万のところが高い山になって、だんだん高額になるに従って低くなっていく、人数は少なくなっていくという表を見せていただいたんですが、その実演者の方
たち
の実態といいますか、そういうものはどういうものなのかというのを聞かせていただけたらと思います。
棚野正士
71
○
参考人
(
棚野
正士
君) 私
ども
では五年に一度、芸能実演家の活動と生活実態調査をやっておりまして、九四年の資料によりますと、現代演劇にかかわる俳優
たち
の生活実態なんですけれ
ども
、収入を見た場合に、現代演劇にかかわる俳優
たち
、平均四十一・五歳、平均年収は三百七十八万円なんです。ただし、二百万以下が四三%を占めておる、こういう状況でございます。ですから、実演家というのは非常に厳しい状態にあるというようなことが言えるかと思います。 それで、
法制
度が整備されることで経済効果がどうなるのかということがあるかもしれません。ただ、実演家にとりましては、
法整備
というのは必ずしもお金の問題ではないように私は常々思っております。といいますのは、実演といいますのは全人格が投影された実演家の唯一の財産でありまして、問題は、それがルールなしに実演家の意思の全く届かないところで使われる、ここに問題があるのではないか。 そういう意味でいいますと、ルールができ、秩序が形成されて、わずかでもお金が俳優
たち
に入ってくるようになりますと、そのことは単にお金の問題ではなくて、俳優、実演家に払われる敬意の問題であるというふうに思うんです。そしてそのことが、俳優
たち
、実演家
たち
の生活あるいは仕事を支えていくのではないか、このように日ごろ思います。そういう意味で、
法制
度の整備は非常に重要であるというふうに思います。
林紀子
72
○林紀子君 では、最後にお伺いしたいんですけれ
ども
、今、一人一人の実演家の
お話
を聞きましたけれ
ども
、
日本
全体を見渡して今度は大きな話で文化振興という面から考えましたら、国に対する予算の問題とか税制の問題とかいろいろお考えがあるかと思うんですが、文化振興という面でどういうことを国の方に御要望があるかということも最後に伺わせていただきたいと思います。
棚野正士
73
○
参考人
(
棚野
正士
君) 実は、
著作権
の問題もさることながら、そのことこそ全芸能実演家にとって最大の問題であるように思うんです。 昨年、
文化庁
が「文化振興マスタープラン 文化立国の実現に向けて」という非常にいい報告書を出しまして、私、愛読しているんですけれ
ども
、その中でこう書いてあります。「心豊かな活力ある社会を形成していくためには、科学
技術
と文化いずれも振興する必要があり、科学
技術
創造立国の実現とともに、文化立国の実現が不可欠である。」というふうに述べております。そしてまた、この報告書の中で、文化に対する投資、支出は経済を活性化するものであり、文化の振興はそれ自体に大きな意義を有している。そればかりではなくて、より高次な経済社会への転換を促し経済改革に資すると。要するに、文化は経済を活性化する、活性化につなげるという視点を述べておりまして、そのことに非常に私
ども
は注目するわけなんです。 そして、芸団協として
二つ
のことをぜひお願いをしたい。
一つ
は財政問題であります。
文化庁
の資料を見ますと、
文化庁
予算は平成十年度、八百十八億なんです。これは国の一般会計の予算総額に比べて、全体の一般会計予算総額の〇・一%なんですね。私
ども
の
立場
でいいますと、
文化庁
予算を少なくとも国の一般会計予算の〇・二%ぐらいにぜひしていただきたい。 それともう
一つ
は、芸術・文化
団体
の経済
基盤
強化のために税制
改正
をぜひ御検討いただけないか。この
二つ
のこと、財政問題と税制の見直し、この問題を常に考えております。 以上でございます。
林紀子
74
○林紀子君 ありがとうございました。
日下部禧代子
75
○
日下部禧代子
君 きょうは、お四方から、現場からの非常に率直な御
意見
を承ることができまして、本当にありがとうございます。 それでは、まず最初に
齊藤
先生
にお伺いいたしますけれ
ども
、我々が今
議題
にしております
法案
といいますのは、一九九六年の
WIPO著作権条約
の批准に向けての国内の
法整備
、
法制
度の改善ということが一番の大きな目的ではございます。ところで、
外国
におけるこの
条約
の批准に向けてのさまざまな
法整備
というのはなされていると思いますが、その辺の状況について、まず一点お伺いしたいというふうに思います。 それからもう一点は、今現在、国際的な課題というのはどういうものがあるのか。この二点について、まず
齊藤
先生
にお伺いしたいと存じます。
齊藤博
76
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 この新
条約
への加入といいましょうか、その準備は先進国におきましては鋭意進められているところでございます。現在のところ、既に加入を果たした国というものは数は少のうございます。しかし、先進国、もう少し詳しく申し上げますと、アメリカにおきましては昨年立法
措置
を終えまして、いつでも加入できる状況、準備は完了していると考えてよろしいかと思います。 今度ヨーロッパでございますが、これは御存じのように、まずディレクティブをつくりまして、それを今度は国内法におろしていく、こういう仕組みに変わりましたものですから、ただいまの段階、ディレクティブの案づくり、これに若干手間取ってございますが、これも終えましたならば、EU加盟国それぞれが国内法を具体的に整備する、こういうことで、そう時間はかからないのではないか、このように思っております。 それから次に、
国際著作権界
での課題という御質問でございますが、当面の問題でございますと、既に
お話
も出たかと存じますが、放送
事業者
の
保護
、これまで実演家、
レコード
製作者までは終えましたが、今度は放送
事業者
が残ってございますので、そういうものをさらに別途
条約
をつくるかどうか、こういうことが急務の検討課題かと存じます。 それから、映像の
保護
の問題がございましょう。 もう少し進めますと、先ほ
ども
お話
し申し上げましたように国際私法絡みの問題でございます。準拠法の扱い、このあたりにつきまして
著作権法制
と国際私法の面、この突き合わせといいましょうか、これを行う必要があろうかと存じます。 以上であります。
日下部禧代子
77
○
日下部禧代子
君 次に、
遠藤会長
にお伺いしたいと思います。
会長
は、
日本音楽著作権協会
会長
でいらっしゃいますが、今、
齊藤
先生
からも、国際的にもさまざまな
著作権
に関しての課題があるということを伺ったわけでございますが、現行の
著作権制度
について、この点はどうしても改善すべきだなというふうにお思いになっている点がございましたら、まずそれをお伺いしたいと思います。
遠藤実
78
○
参考人
(
遠藤実
君) これからはデジタル化、ネットワーク化の急速な進展に素早く
対応
することが大切になると思います。この点では
我が国
の
対応
は国際的に見て大変進んでおりまして、今回の
改正
においても
権利管理情報
の改変の規制などが盛り込まれていることは大変ありがたいと思っております。 もう
一つ
は
著作権
の
保護
期間の問題でございます。
我が国
の
著作権
の
保護
期間は著作者の生存期間と死後五十年を経過するまでとなっておりますが、これをさらに延長していただきたいという声が私
たち
の方にも相当あります。
世界
の流れとなっておりまして、ヨーロッパでは既にドイツやフランスなどが死後七十年の
保護
期間となっております。また、昨年はアメリカにおきましても
著作権
の
保護
期間を七十年に延長する
法律
が成立をいたしました。 ですから、ぜひ死後の
保護
期間を長くしていただきたいということがお願いでございます。
日下部禧代子
79
○
日下部禧代子
君 非常に具体的な
お話
になりますが、コピープロテクトの解除をする装置などについての製造とか販売の禁止ということが今度の
法改正
でできるように、違反者に対して懲罰ができるようになるわけなんですが、最近の新聞を見ますと、
一つ
非常に新しい、MP3というのですか、これで
インターネット
で非常に簡単にいわゆる海賊版ができるということが報道されております。 こういうふうな想像もできないようなさまざまな
技術
の発達というのは、いい面と、それからこういった
著作権
なんかの侵害をもたらすという大きな課題も含んでいるわけでございます。例えばこのMP3について、これは警察庁が
動き
始めたようでございますが、
著作権協会
の方としてはどのような
対応
を考えていらっしゃいますか。
遠藤実
80
○
参考人
(
遠藤実
君) 現在のデジタル化、ネットワーク化の
技術
の進歩は、まさに
先生
おっしゃるとおりに目をみはるようなものがございます。このような
技術
は、社会を豊かにするすばらしいものであると同時に、
一つ
間違えますと一国の文化を滅ぼしてしまうほどの危険をはらんでおります。 マスコミなどで盛んに今取り上げられておりますが、
インターネット
でだれもがCDとほとんど変わらないすばらしい音質で
音楽
配信が行えるというような状況になっておりまして、MP3という
音楽
の音を圧縮する機器があるわけです。ですから、どれだけ
作家
が情熱を傾けてつくった
作品
でも、あっという間に
世界
じゅうに無料でばらまかれてしまうということが実際に起こっておるのです。大変な危機感を持っております。 以前は、こういったものをCDに入れようとしますと、アメリカの
音楽
であれば何カ月もかかったんです。何カ月もかかりますとその電話料だけで大変だから、だれもコピーはしなかった。それが半年になり、三カ月になり、一カ月になり、今は数秒です。数秒で既にCDの録音をされてしまうというような恐ろしいMP3であります。 今回の
法改正
におきましても、
権利管理情報
の改変の規制を織り込むなど、この面での
法整備
を進めていただいているところでございますが、
インターネット
の
世界
では国境がありませんので、そして空にもう無数な
音楽
が飛び交っています。形のないものです。 今後は、これまで以上に国際間で協調して、これにどう対処していくかということが大きな問題だと思っております。
日下部禧代子
81
○
日下部禧代子
君 それと、もう
一つ
遠藤
先生
にお伺いしたいのですが、私はヨーロッパにかなり長いこと住んでおりまして、また
日本
に帰って、あるいは行ったり来たりしておりますと、
日本
というのは至るところで、
音楽
らしきものと言っていいのでしょうか、
音楽
というよりはむしろ音があふれてしまっているというすごい違いを感じるんです。だから、確かに
音楽
が流れている、しかしながらそれはもはや
音楽
というよりは騒音になってしまっているというふうなことを実感として感じるのでございますが、この辺の現象と
著作権
についての我々
日本
人の感覚というものとの何か
関連
性というのはあるとお思いでしょうか。
音楽家
としていかがでしょうか。
遠藤実
82
○
参考人
(
遠藤実
君) 若い方の好む
音楽
が、私
ども
の年配になりますと、大変力強いビートは感じるんですが、先ほど
先生
がおっしゃったように、ともすると騒音に、これはここだけの話にしてほしいんですけれ
ども
、
著作権協会
の
会長
としては言ってはいけないことを言ってしまったという感じでございますが、そういうふうに聞こえてきてなりません。 ヨーロッパの方は、私は余り
外国
を旅しませんが、確かにきれいなメロディーが時々流れているというような状態です。それは本当に町を豊かにしたり、人の心を和ませたりします。 でも、今
先生
がおっしゃる騒音にむしろ近いというか、人間がつくった
音楽
でなくて、まさにロボットがつくったというような、情緒というものも本当に感じられないんですね。でも、
一つ
の
作品
として登録をされれば、そこには
著作権
が発生します。また、そういう
音楽
が我々の心が和むというような音を超えて今売れているという状態に、非常に反省をしたり、私が古くなったのかと後悔をしてみたり、勉強が足りないなと思ったりしております。 やはり
日本
人のよさというのは、
音楽
が終わった後、それからショーが終わった後、その余韻に酔いしれて、余韻に感動を持って、そしてまた人との別れも、後ろ姿を見てもう一回あの人と会いたいというような、そういう余韻のあるすばらしい
音楽
をつくっていきたいとなお心を燃やしている者でございます。
日下部禧代子
83
○
日下部禧代子
君 ぜひともそういう余韻を楽しませていただけるように、受ける側もそういう環境、そして心持ちにならなきゃいけないなとつくづく思いました。私
ども
この仕事をしておりますと、そういうゆとりがございませんので、大反省を今したところでございます。
遠藤実
84
○
参考人
(
遠藤実
君) 余韻の
遠藤
というぐらいでございますから。
日下部禧代子
85
○
日下部禧代子
君 ところで、森
理事長
にお伺いしたいのでございますが、今回、
附則
の十四条というのが
廃止
されますと、具体的にどのようなところでどのような形での影響をお受けになるのでございましょうか。
森茂雄
86
○
参考人
(
森茂雄
君) 私
ども
は、とにかくこの問題につきましては非常に不勉強でもございましたし、いきなり出てきた問題でございましたから随分悩みました。実際に行きますと、放送権だとか伝達権だとか何権だとかさっぱりわからなかったです。ですから、一般の私
ども
の
会員
の
方々
がこれならいいよと納得していただくには、私
ども
は、これから
文化庁
さん、そして
先生
を交えて
お話
をする中でしかお答えができません。 特に考えられますのは、私
ども
には
全国環衛中央会
という
全国
の
理事長
の集まる会がございます。それから、それに関しまして業態問題研究会というのを持っております。この中で十分に討議をした上でお答えを出しながら、結局は料金の問題でございます、そしてその時期の問題でございますから、その点ははっきりお答えをいただきながら、
皆様
が納得した上で了解をしていきたい、かように思っております。 先ほど申し上げたように、
日本
の将来のためには、これはどうしても私
ども
も黙認せざるを得ないという点は変わっておりません。 ありがとうございました。
日下部禧代子
87
○
日下部禧代子
君 先ほどの
お話
の中で、ことしの二月二十六日に初めて
文化庁
から
お話
があったとおっしゃいましたね。それまでは何もこの問題については御検討の
機会
が与えられなかったのでございますか。これでは余りにも時間がなさ過ぎると私も思います。
森茂雄
88
○
参考人
(
森茂雄
君) 本当でございます。伺うところによりますと、
著作権
審議会、それから
利用者団体
との十分な
話し合い
をというふうに言われているのだそうでございますが、その
説明
が二月十九日だったんです。そして、私は二月二十六日に
遠藤
先生
に初めてお会いしたんです。 よく考えてみますと、私
ども
の今までの担当の方から聞きますと、カラオケの問題につきましては二カ月に一度程度の
JASRAC
さんとのお
話し合い
があったそうです。しかしながら、この問題については一切触れておられなかった。非常に汚いと言って怒った長がおります。これはお名前は言えませんが、そういうことでございまして、
遠藤
先生
はその席で私とともに御
自分
の配下の方にも、お前
たち
は注意をしていないということをおっしゃっていただいたので私は下がりましたが、そういう
現状
がございました。
日下部禧代子
89
○
日下部禧代子
君 やはりそれは本当に期間を必要とされるのだなというふうに、今の
お話
を承りましてそう思いました。 次に、
映画
の件につきまして少し承りたいと思います。 特に、
映画
の著作者の一人である
映画
監督でございますが、
日本
の
著作権法
では、今も
お話
がございましたけれ
ども
、
映画
監督が
映画
製作者に対して製作に参加することを約束しているときというのは、それはもう
著作権
というのが
映画
製作者に帰属するというふうに
規定
されているようでございます。 そこで、
齊藤
先生
にお伺いしたいんですが、これは
著作権法
の二十九条あるいは九十一条、九十二条でございますか、
関係
する条文は。それで、この
法律
でこういう取り扱いになっている背景というのは一体どういうところにございましたのでしょうか。
齊藤博
90
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。 これは非常に長い沿革がございます。しかし、時間が限られていますのでかいつまんで申し上げます。
先生
御存じのように、
映画
の製作に関与する者は非常に多うございます。著作者だけを取り上げましても、総監督以下多くの者が関与しています。他面、
映画
の製作には多額の資本を投下しなければいけない。したがいまして、
映画
の
利用
面も確保するという面がございますものですから、
国際著作権界
におきましても、
著作権
をどういう形で集中させることができるか、さまざまな試みがなされてきたところでございます。
ベルヌ条約
レベルでも、一九四八年のブラッセル
改正
条約
の段階までは
映画
が独立の
著作物
であるということは認めていますが、その著作者はだれなのか、あるいは
権利
がだれに帰属するのかということにつきましてはなお議論の余地が残っていたわけでございます。 一九六三年のジュネーブの専門家
委員会
におきまして今度はイギリスが、制作者を著作者として扱うことができるのではないか、こういうかなり大胆な提言をするわけでございます。これは先ほ
ども
申し上げましたように、英米法系
諸国
と大陸法系
諸国
、この辺の
法律
主張が違いますものですから、今の提言につきまして大方の賛同は得られなかったわけです。 そういうときに出てきた案としましては、製作者に
著作権
を集中する方式、これにつきましては異論がないところでございますけれ
ども
、製作者への
著作権
の譲渡を推定する方式、これが
一つ
あります。それから、製作者に
著作権
を法定譲渡する方式、
我が国
の二十九条はそういう方式でございます。さらには、著作者は
反対
または特別の約定がない限り
映画
の
利用
を禁止することができないという、こういう種類の比較的マイルドな方式、こういうことが提言されていたわけでございます。 そして、最終的に一九六七年のストックホルムの
外交会議
におきましては、
著作権
の保有者を定めることについては国内法に留保する旨の案が採択されてしまいます。そうしますと、どういう仕組みを採用するのか、これは国内法がお決めになるということで、
我が国
は先ほど申し上げましたように二十九条、法定譲渡の道を選んだ次第でございます。 以上でございます。
日下部禧代子
91
○
日下部禧代子
君 最後に
棚野
さんにお伺いしたいんですが、今の御
説明
のような経過、背景があったようでございますが、
映画
の場合、いわゆるワンチャンス主義というんですか、それが
日本
でとられていることが
映画
の第二次
利用
なんかにかかわってくるわけでございまして、私自身もこの
お話
をたびたびあちらこちらで伺っております。 したがいまして、今さまざまな御努力をなさっている
お話
を伺ってございますけれ
ども
、今、国内外でどのような形で取り組まれているのかというのは、
一つ
はこの審議会がございますね、今まだ
文化庁
の中にございます。それがございますが、それ以外に具体的に
一つ
二つ
お挙げいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
棚野正士
92
○
参考人
(
棚野
正士
君) この問題はもう三十年以上の俳優
たち
のまさに悲願でございまして、現行法ができたときから俳優
たち
がこの問題に取り組み、多くの方が亡くなっている。それで、問題はやはり
法制
度の見直しということであります。そういう意味では、政府に対し、国会に対し、あるいは政府の諮問機関である
著作権
審議会等に対して
理解
を求めていく、こういうことを続けております。 ただ、国際的にも連携しませんと、これは国際的な問題でもありますので、国際俳優連合、FIAという組織があります。あるいは国際
音楽家
連盟、FIMという組織があります。こういったところと一緒に連携しながら運動している。なおかつ、
法制
度の見直しだけではなくて、
一つ
はワンチャンス主義ということも言われておりまして、
契約
システムの確立ということが非常に大事ですので、
契約
問題についても取り組んでいる、こういう状況でございます。
日下部禧代子
93
○
日下部禧代子
君 ありがとうございました。
扇千景
94
○扇千景君 四人の
参考人
におかれましては、本当に貴重なお時間を当院の審議のためにお運びいただいて、御礼申し上げたいと思います。私が最後の質問になります。 同僚議員からいろいろ御質問ございましたけれ
ども
、きょう私
ども
は改めてこの
著作権法
の一部
改正
ということに取り組んだわけですけれ
ども
、この
法案
が国会に出てまいりますまでにも、きょう、森
理事長
が払う側、片方の
JASRAC
はもらう側という、利益
関係
が明快に払う方ともらう側というこの調整のために、私は本来もっと早く国会にこの
法案
が出てくるべきだったと思います。 しかも、これは参議院先議の
法案
でございますから、今国会の会期末を考えますればもっと早くと思っておりましたけれ
ども
、担当の
文化庁
としては、なるべく両者の御
意見
を聴取して、お互いが
理解
し合った上でこの
法案
を出したいということで今日までおくれたのであろうと
理解
しておりまして、御両者の
話し合い
を待ったということで今日になったということを頭の中に置いております。 今
お話
を伺っておりまして、一番
日本
が
著作権
に関しては後進国であると言わざるを得ない状況であるというのはぜひ森
理事長
に御認識賜って、御
自分
たち
のお仕事の順調な発展のためにも、これと仲よくしていくことが売り上げの倍増にもなる、雰囲気がよくてお客様もたくさん買ってくださる、この不況を乗り切るためにはぜひこれは必要なことなんだということを、
会員
の皆さん方とぜひ話し合っていただきたい。 先ほどからお伺いしておりましたら、
JASRAC
の
遠藤会長
とも仲よく手をつないでいきたいということを聞きましたので、私はもうそれを伺っただけでも当
委員会
に御
参考人
として来ていただいたかいがあったなと思っておりますけれ
ども
、再度、森
理事長
のお考えと方針をお伺いしたいと思います。
森茂雄
95
○
参考人
(
森茂雄
君) ありがとうございます。 もう何度も申し上げましたが、やはり余りにも唐突に出された問題であっただけに、私は十分
理解
ができませんでした。
遠藤
先生
とお会いをいたしまして、非常に
遠藤
先生
のお人柄に触れましたから私はこうは申し上げておりますが、本来でございましたら、この問題に対しては絶対
反対
ですとあくまでも言い切るのが私
ども
の業界の代表だと思っております。 しかし、今
先生
がおっしゃられたように、
日本
の将来という問題を考え、
日本
が一番おくれているということは私
ども
もともに認識しなくてはならないというのは、
文化庁長官
から十分お伺いいたしました。その上で、私はそういう意味で黙認せざるを得ない、こういう形であります。
扇千景
96
○扇千景君 森
理事長
の
お話
もわかりますけれ
ども
、
JASRAC
さんも
著作権
のセンターもおつくりになって御勉強になり、あるいは芸団協さんも御存じのとおり隣接権センターもおつくりになって、おのおの
団体
というものは
自分
たち
の職業の将来に関して勉強していらっしゃいますので、
社団法人
でいらっしゃる限りは、
自分
たち
の営業の
権利
等々も含めて、
文化庁
が言ってきたのが遅いというのは私も遅いということを改めて
委員会
で言いますけれ
ども
、やっぱり
団体
として勉強しながら、今の社会に
自分
たち
はいかに位置するべきかということを御自身で研究なさるということも、私は
一つ
抜けていたのではないかなと言わざるを得ないと申し上げておきたいと思います。これからの皆さん方の業界の発展のためにも、今後は
時代
におくれないように
社団法人
として研究していただきたいということを申し添えておきたいと思います。
齊藤
先生
、いろいろ審議会等々で御審議いただいてお世話になっておりますけれ
ども
、今、森
理事長
のおっしゃるように、私も冒頭に申しましたように、
著作権
というものが
日本
に行われて本当に後追いで来たものですから、先ほど同僚議員からもありましたけれ
ども
、国民一人一人の
著作権
に対する認識というものが大変低いと言わざるを得ない。 その中で、先ほど料金の話がいろいろ出ましたけれ
ども
、今回のこの十四条の撤廃ということに関しては、三十年来の悲願であったからということで私はいいと思うんですが、金額が出てしまったのであえて言いますけれ
ども
、
世界
レベル、今いろいろ加盟国の話が出ましたけれ
ども
、この加盟国の大体の平均からいいまして、
WTO
の百三十四カ国加盟、あるいは隣接権問題の百四十五カ国加盟ということから比べまして、
世界
的なレベルで
著作権
の今の徴収料というのは、各国段差があろうと思いますけれ
ども
、果たしてどの程度であるかお教えいただきたいと思います。
齊藤博
97
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。
著作物
利用
の形態によってこれはまちまちかと存じます。したがいまして一律には申し上げることができませんが、その
利用
の量は非常に多うございますから総額は多い、しかし単価はそう高いものではない、このように認識しております。
扇千景
98
○扇千景君 単価は高くないというのは、今、森
理事長
からなるべく二十円ぐらいにしてほしいとか、あるいは
遠藤会長
の方から六十円ぐらいではないかということの、国際レベルの相場というものはお考えになり得ますでしょうか。
齊藤博
99
○
参考人
(
齊藤博
君) お答え申し上げます。
附則
十四条絡みでございますとかなりホットなものでございますので、私が勝手な数字をお出ししてもまた混乱を招くかと存じます。 しかし、原則的なことを申し上げますと、
演奏権
の制限につきまして、
我が国
は不自然な形で二本立ての制限
規定
を設けていたわけです。これははっきり確認しておかなければいけない。
一つ
は、
附則
十四条という暫定的な
経過措置
がついています。それからもう
一つ
は、正規の制限
規定
がございます。営利を目的としない
演奏
につきましては自由に行うことができると三十八条に書いてございます。 したがいまして、変則的な制限の方は外し、本来の
演奏権
の行使が可能であるということであれば、やはりそれなりの対価というものは、場面にもよりますけれ
ども
、請求することは可能であろうかと、このように思うわけであります。
扇千景
100
○扇千景君
遠藤参考人
としては、三十年来の念願がかなって、きょうは大変明るい
気持ち
で御
出席
いただけたと思います。ですから後で申し上げます。 ただ、芸団協、芸
能実演家団体協
議会という舌をかみそうなあれですから芸団協と略させていただきますけれ
ども
、芸団協の
棚野
さんの
お話
で、先ほどからも話に出ておりましたいわゆる実演家の隣接権問題ということに関して、今回もこの
条約
の中には組み込まれておりません。 しかも、私も女優の端くれをしておりまして、二十五年間女優をしまして、
映画
にも出ました、舞台にも出ました、テレビにも出ました。先日もこの
委員会
の
理事会
で、ゆうべ夜中の
映画
であなたを見たよと言われましたけれ
ども
、私には上映通知もありませんし、一銭も入りません。入っていれば皆さんにおコーヒーぐらいおごれたんですけれ
ども
。 そのようなことで、いわゆる実演家というものに対しての
権利
の
保護
というのがまだ抜けているわけですけれ
ども
、それに対して隣接権センターを設置して
棚野参考人
の芸団協では研究なさっておりますけれ
ども
、現在、どのくらいの回数で、どのような結果が出ているのかがわかれば簡単にお聞きして、細部の資料であれば
委員
に後日お配りいただきたいと思いますけれ
ども
、お願いしたい。
棚野正士
101
○
参考人
(
棚野
正士
君) 実演家著作隣接権センターを昨年再構築しまして、しかも
関係団体
の
協力
を得て再構築したんです。それで、
関係団体
といいますのは、現在の芸団協の正
会員
団体
、五十九
団体
六万四千人以外の
関係団体
、具体的な名前を申し上げますと、
日本
音楽
事業者
協会あるいは
音楽
制作者連盟、
事業者
あるいは制作者といった実演家のパートナー
たち
の
協力
も得て隣接権センターを再構築したということを申し上げたいと思います。 そういう意味では、従来は
社団法人
芸団協内の隣接権センターでありましたけれ
ども
、今後はいわば、法人芸団協の中にありますけれ
ども
、
日本
の隣接権センター、しかも
内容
的には
世界
最強のものにしたい。隣接権処理、実演家の
権利
処理もヨーロッパにおいてもまだまだ発展途上でございまして、隣接権処理のシステムを
日本
としてはむしろ発信したい、輸出したいというぐらいの意気込みであります。そういう意味では、芸団協における著作隣接権センターはそういった方向を目指すということで
委員
がみんな努力しております。 そして、
権利者
の数でいいますと、
日本
の実演家の
権利
を所有する人
たち
の相当部分は既に私
ども
はカバーしているというふうに申し上げていいかと思います。 ただ、隣接権センターが初めてできたというのではなくて、むしろこの種の
業務
は、
昭和
四十六年、現行法施行以来、芸団協がある部分では、例えば
レコード
の二次
使用料
とか貸し
レコード
の問題とか、
文化庁
の指定
団体
としての
業務
を行っておりますので、そういった実績に立ってつくり上げたということでございます。
扇千景
102
○扇千景君
遠藤
先生
にもお伺いしたいんですけれ
ども
、先ほどから九千五百人、要するに千七百人を合わせて一万一千二百人という
お話
がございましたけれ
ども
、
日本
の
音楽家
の中に
JASRAC
に所属しない人はいるんですか、いないんですか。いらっしゃるとすれば推定どれくらいいるのか。おわかりになりますでしょうか。
遠藤実
103
○
参考人
(
遠藤実
君)
JASRAC
に加盟をしていなくても、
JASRAC
に所属をしたりしている出版者に所属をしている、その出版者が
JASRAC
に入っているということで、ほとんど入っていると言っても過言ではないと思います。
扇千景
104
○扇千景君 同じことを森
理事長
に伺いたいんですけれ
ども
、今、森
理事長
が
理事長
として御
出席
いただきましたお
立場
の
全国環境衛生同業組合中央会
、この会に所属しない一般の、もっと零細な、私は何とかですと今
お話
ございましたけれ
ども
、町のおそば屋さんですとか、その辺の加盟していない人
たち
がどういう御
意見
かということもあろうと思うんですけれ
ども
、それはどのくらいの率で未加盟者がいるんでしょうか。
森茂雄
105
○
参考人
(
森茂雄
君) 正確には申し上げられませんが、
業種
によって全部違います。例えば私
ども
に今十六の
業種
がございまして、理容、美容、クリーニング、公衆浴場とか、それぞれその中ではかなりの参加率、要するに
組合員
が大勢の
業種
もございますし、また中には半数近いという
業種
もございます。 しかし、この
JASRAC
さんとの問題については、先ほどの
先生
のお言葉を返して申しわけないんですが、私
ども
は絶対に今日まで御
協力
をしてきたわけです。これからも
協力
をしていくんです。そしてその中において、
先生
と手を組みながら、お
話し合い
をした上で、一般の
方々
が、こういう料金を設定してくれてよかったと言っていただいて初めて私は文化というものが向上していくんだと思っています。 したがって、現在
組合
に入っておられない
方々
に対しても、
社交業
の
理事長
さんを通じて、どうか説得してください、お仲間に入れてくださいと、こう申し上げております。
扇千景
106
○扇千景君 その場合、これは森
理事長
もそうでしょうし
遠藤会長
もそうだと思いますが、
会員
でない人
たち
の
話し合い
もあるけれ
ども
、その人
たち
の
著作権
料の徴収の仕方はどこが関与し、どこが交渉するんでしょうか、お二方に伺いたい。 それじゃまず、
JASRAC
さんはどういうふうに。
遠藤実
107
○
参考人
(
遠藤実
君)
JASRAC
の職員が入って
説明
をして、そして心の解け合いを感じ合いながら徴収をしていきたい、そういう考えで職員が当たります。
森茂雄
108
○
参考人
(
森茂雄
君) 非常に難しいことだと思います。 私
ども
は
団体
で
話し合い
をいたしますが、今の
先生
の
お話
は個々の問題のように伺います。ですから、私は、こういうことを
先生
に申し上げては失礼なのでございますが、
JASRAC
さんがお
一つ
でございます。第二、第三の
JASRAC
さんがあればもっと値段交渉は別だと思っております。
扇千景
109
○扇千景君 もう一度伺いたいんですけれ
ども
、
遠藤会長
、そうしますと、加盟していらっしゃらない方には個別に
JASRAC
の事務局の人が直接に一対一で交渉をして、一たんは
JASRAC
にお払いいただくということになるんでしょうか。
遠藤実
110
○
参考人
(
遠藤実
君) そういうことになると思います。 それから、先ほど
先生
がおっしゃったように、ちょっと話が飛びますが、
著作権
料の総額、国際
水準
から見てですけれ
ども
、たまたまここにありますが、徴収の総額は、アメリカ、ドイツに続いて
世界
で
日本
が三番目でございます。そして
演奏
関係
の徴収額では、国内総生産、GDPから見ますと
世界
で二十一番目です。国民一人当たりが支払った
使用料
では
世界
十六番目という状況でございまして、
日本
の国力や
音楽
が
利用
される量を考慮に入れますと、さらに低いレベルではないかと考えております。
扇千景
111
○扇千景君 きょう、こうして
参考人
においでいただきまして、それぞれの
組合
なりあるいは
団体
の長として御
意見
をいただきましたけれ
ども
、これから
文化庁
も指導をして、今申し上げましたように、
組合
に入っていない人
たち
がこれから払わないときには、あそこは何だとか、
日本
の低レベルだという、そういうふうに
会員
じゃない人
たち
の
著作権
に対する認識が私は漏れている部分があろうと思いますので、そのことに対しては、お互いの業界で切磋琢磨し合って、検証し合って、
組合
に入っていない人にも、今の
著作権
のあり方、
著作権法
というものがあるということの認識をぜひ先頭に立って周知徹底して、みんなが
気持ち
よく、
音楽
やいろんなものを聞きながら不愉快になるということじゃ逆効果でございますので、ぜひその辺の御指導を、きょうせっかくおいでいただいた森
理事長
、
遠藤会長
に重ねて御努力していただきたいと思います。 もう
一つ
、
棚野参考人
におかれましては、今回、映像実演家の方の漏れている部分を、私
ども
も力及ばずだったんだろうと思いますけれ
ども
、今後
著作権法
の
改正
の中に御要望が達せられるようにぜひ
文化庁
にも働きかけていただき、きょうも同僚議員がみんなこうして聞いておりますので、頑張っていきたいと思います。 そしてもう
一つ
、最後の締めでございますから申し上げたいんですけれ
ども
、今、
遠藤
先生
が、
我が国
の総生産量の一人の率からいえばまだ低いですと、
著作権
の徴収料から見れば
世界
第三位だとおっしゃいました。 私は、大変この
委員会
として恥ずかしいと思いますことは、文化立国だということで
文化庁
はおいしいことを文章には書いておりますけれ
ども
、御存じのとおり、
文化庁
予算が八百十八億、
JASRAC
の収入が言ってみれば九百八十四億と、
文化庁
予算よりも
JASRAC
の
著作権
の徴収料の方が多いということは、
我が国
にとっては大変恥ずかしいことである。何のための
文化庁
の設立か、何のために
文化庁
があるんであろうかということで、私は、きょうの
委員会
で
参考人
の
皆様
と一緒に
日本
の文化のために頑張っていくことを
参考人
の
皆様
にお約束して、質問を終わりたいと思います。
南野知惠子
112
○
委員長
(
南野知惠子
君) 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 この際、
参考人
の
方々
に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、長時間御
出席
いただき、貴重な御
意見
を賜りましてまことにありがとうございました。本
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十八分散会