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1999-04-16 第145回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年四月十六日(金曜日)     午前九時三十分開議   出席委員    委員長 村井  仁君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 鴨下 一郎君 理事 柳本 卓治君    理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君    理事 石井 啓一君 理事 小池百合子君       大石 秀政君    大島 理森君       河井 克行君    栗本慎一郎君       河野 太郎君    桜田 義孝君       砂田 圭佑君    中野 正志君       中村正三郎君    平沼 赳夫君       村上誠一郎君    目片  信君      吉田左エ門君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       綿貫 民輔君    枝野 幸男君       海江田万里君    末松 義規君       玉置 一弥君    中川 正春君       山本 孝史君    大口 善徳君       谷口 隆義君    並木 正芳君       若松 謙維君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    佐々木憲昭君       矢島 恒夫君    横光 克彦君  出席国務大臣         大蔵大臣    宮澤 喜一君  出席政府委員         金融再生委員会         事務局長    森  昭治君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         北海道開発庁総         務監理官    斎藤 徹郎君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         国土庁地方振興         局長      中川 浩明君         大蔵政務次官  谷垣 禎一君         大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         中小企業庁次長 殿岡 茂樹君  委員外出席者         国民金融公庫総         裁       尾崎  護君         国民金融公庫理         事       加藤 靖昌君         北海道東北開発         公庫総裁    濱本 英輔君         環境衛生金融公         庫理事長    坂本 龍彦君         日本開発銀行総         裁       小粥 正巳君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   桜井  新君    吉田左エ門君   綿貫 民輔君     目片  信君   仙谷 由人君     枝野 幸男君 同日  辞任         補欠選任   目片  信君     綿貫 民輔君  吉田左エ門君     桜井  新君   枝野 幸男君     仙谷 由人君 四月十三日  日本政策投資銀行法案内閣提出第三三号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号) 三月二十五日  児童手当大幅拡充、新たな子育て支援制度に関する請願西博義紹介)(第一四九八号)  共済年金制度堅持に関する請願中野正志君紹介)(第一四九九号)  同(八代英太紹介)(第一五〇〇号)  同(藤井孝男紹介)(第一五二九号)  同(神田厚紹介)(第一六六七号)  同(熊谷市雄紹介)(第一六六八号)  同(白保台一君紹介)(第一六六九号)  同(虎島和夫紹介)(第一六七〇号)  消費税減税に関する請願東中光雄紹介)(第一五二七号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願(辻第一君紹介)(第一五二八号)  同(木島日出夫紹介)(第一六〇七号)  同(辻第一君紹介)(第一六〇八号)  同(志位和夫紹介)(第一六六四号)  同(藤木洋子紹介)(第一六六五号)  同(松本善明紹介)(第一六六六号)  大型所得減税消費税減税に関する請願寺前巖紹介)(第一六〇九号)  配偶者特別控除廃止に関する請願中川智子紹介)(第一六一〇号)  所得税基礎控除引き上げ課税最低限度額抜本的改正に関する請願山原健二郎紹介)(第一六一一号) 四月一日  共済年金制度堅持に関する請願臼井日出男紹介)(第一七一七号)  同(竹下登紹介)(第一七一八号)  同(仲村正治紹介)(第一七一九号)  同(細田博之紹介)(第一七二〇号)  同(江渡聡徳紹介)(第一七七五号)  同(藤井孝男紹介)(第一七七六号)  同(上原康助紹介)(第一八六〇号)  同(小林守紹介)(第一八六一号)  同(櫻内義雄紹介)(第一八六二号)  同(田中眞紀子紹介)(第一八六三号)  同(高鳥修紹介)(第一八六四号)  同(日野市朗紹介)(第一八六五号)  消費税減税に関する請願鈴木淑夫紹介)(第一七四八号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願石井郁子紹介)(第一七四九号)  同(大森猛紹介)(第一七五〇号)  同(金子満広紹介)(第一七五一号)  同(木島日出夫紹介)(第一七五二号)  同(児玉健次紹介)(第一七五三号)  同(穀田恵二紹介)(第一七五四号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一七五五号)  同(佐々木陸海紹介)(第一七五六号)  同(志位和夫紹介)(第一七五七号)  同(瀬古由起子紹介)(第一七五八号)  同(辻第一君紹介)(第一七五九号)  同(寺前巖紹介)(第一七六〇号)  同(中路雅弘紹介)(第一七六一号)  同(中島武敏紹介)(第一七六二号)  同(中林よし子紹介)(第一七六三号)  同(春名直章紹介)(第一七六四号)  同(東中光雄紹介)(第一七六五号)  同(平賀高成紹介)(第一七六六号)  同(不破哲三紹介)(第一七六七号)  同(藤木洋子紹介)(第一七六八号)  同(藤田スミ紹介)(第一七六九号)  同(古堅実吉紹介)(第一七七〇号)  同(松本善明紹介)(第一七七一号)  同(矢島恒夫紹介)(第一七七二号)  同(山原健二郎紹介)(第一七七三号)  同(吉井英勝紹介)(第一七七四号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一八五六号)  同(志位和夫紹介)(第一八五七号)  同(中路雅弘紹介)(第一八五八号)  大型所得減税消費税減税に関する請願保坂展人君紹介)(第一八五九号) 同月七日  共済年金制度堅持に関する請願衛藤征士郎紹介)(第一八八六号)  同(栗原博久紹介)(第一九〇五号)  同(江渡聡徳紹介)(第一九二九号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一九三〇号)  同(岸本光造紹介)(第一九三一号)  同(熊谷弘紹介)(第一九三二号)  同(増田敏男紹介)(第一九三三号)  同(亀井久興紹介)(第二〇〇七号)  同(岸本光造紹介)(第二〇〇八号)  同(熊谷弘紹介)(第二〇〇九号)  同(畑英次郎紹介)(第二〇一〇号)  共済年金制度堅持に関する請願伊藤茂紹介)(第一九〇一号)  同(桑原豊紹介)(第一九〇二号)  同(中沢健次紹介)(第一九〇三号)  同(畠山健治郎紹介)(第一九〇四号)  同(岩田順介紹介)(第一九三四号)  同(桑原豊紹介)(第一九三五号)  同(畠山健治郎紹介)(第一九三六号)  同(岩田順介紹介)(第二〇一一号)  同(桑原豊紹介)(第二〇一二号)  同(小林守紹介)(第二〇一三号)  同(仙谷由人紹介)(第二〇一四号)  同(畠山健治郎紹介)(第二〇一五号)  同(村山富市紹介)(第二〇一六号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願石井郁子紹介)(第一九八〇号)  同(穀田恵二紹介)(第一九八一号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一九八二号)  同(瀬古由起子紹介)(第一九八三号)  同(辻第一君紹介)(第一九八四号)  同(寺前巖紹介)(第一九八五号)  同(中林よし子紹介)(第一九八六号)  同(春名直章紹介)(第一九八七号)  同(平賀高成紹介)(第一九八八号)  同(藤木洋子紹介)(第一九八九号)  同(古堅実吉紹介)(第一九九〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一九九一号)  同(吉井英勝紹介)(第一九九二号)  大型所得減税消費税減税に関する請願藤木洋子紹介)(第一九九三号)  国民の暮らしを守るため、消費税率の三%引き下げに関する請願大森猛紹介)(第一九九四号)  同(金子満広紹介)(第一九九五号)  同(児玉健次紹介)(第一九九六号)  同(佐々木陸海紹介)(第一九九七号)  同(中路雅弘紹介)(第一九九八号)  同(中島武敏紹介)(第一九九九号)  同(東中光雄紹介)(第二〇〇〇号)  同(不破哲三紹介)(第二〇〇一号)  同(藤田スミ紹介)(第二〇〇二号)  同(松本善明紹介)(第二〇〇三号)  同(矢島恒夫紹介)(第二〇〇四号)  消費税率引き下げに関する請願志位和夫紹介)(第二〇〇五号)  消費税率三%への引き下げ食料品等の非課税に関する請願木島日出夫紹介)(第二〇〇六号) 同月九日  消費税減税に関する請願平賀高成紹介)(第二一九二号)  共済年金制度堅持に関する請願江口一雄紹介)(第二一九三号)  同(岸本光造紹介)(第二一九四号)  同(熊谷弘紹介)(第二一九五号)  同(畑英次郎紹介)(第二一九六号)  同(山口泰明紹介)(第二一九七号)  同(渡辺喜美紹介)(第二一九八号)  同(畑英次郎紹介)(第二三〇三号)  同(谷津義男紹介)(第二三〇四号)  共済年金制度堅持に関する請願岩田順介紹介)(第二一九九号)  同(桑原豊紹介)(第二二〇〇号)  同(小林守紹介)(第二二〇一号)  同(仙谷由人紹介)(第二二〇二号)  同(村山富市紹介)(第二二〇三号)  同(石橋大吉紹介)(第二三〇五号)  同(岩田順介紹介)(第二三〇六号)  同(桑原豊紹介)(第二三〇七号)  同(小林守紹介)(第二三〇八号)  同(村山富市紹介)(第二三〇九号) 同月十四日  共済年金制度堅持に関する請願浅野勝人紹介)(第二三五六号)  同(海部俊樹紹介)(第二三五七号)  同(保利耕輔君紹介)(第二三五八号)  同(大島理森紹介)(第二四一〇号)  同(杉山憲夫紹介)(第二四一一号)  同(知久馬二三子紹介)(第二四一二号)  同(平林鴻三君紹介)(第二四一三号)  同(古屋圭司紹介)(第二四一四号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第二五〇九号)  同(笹川堯君紹介)(第二五一〇号)  同(松永光紹介)(第二五一一号)  同(村山富市紹介)(第二五一二号)  同(横光克彦紹介)(第二五一三号)  共済年金制度堅持に関する請願石橋大吉紹介)(第二三五九号)  同(岩田順介紹介)(第二三六〇号)  同(桑原豊紹介)(第二三六一号)  同(小林守紹介)(第二三六二号)  同(畠山健治郎紹介)(第二三六三号)  同(村山富市紹介)(第二三六四号)  同(石橋大吉紹介)(第二四一五号)  同(岩田順介紹介)(第二四一六号)  同(小林守紹介)(第二四一七号)  同(畠山健治郎紹介)(第二四一八号)  同(村山富市紹介)(第二四一九号)  同(石橋大吉紹介)(第二五一四号)  同(岩田順介紹介)(第二五一五号)  同(小林守紹介)(第二五一六号)  同(五島正規紹介)(第二五一七号)  同(中桐伸五君紹介)(第二五一八号)  同(畠山健治郎紹介)(第二五一九号)  同(村山富市紹介)(第二五二〇号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願瀬古由起子紹介)(第二四〇八号)  同(辻第一君紹介)(第二四〇九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五〇六号)  大型所得減税消費税減税に関する請願中島武敏紹介)(第二五〇七号)  配偶者特別控除廃止に関する請願武藤嘉文紹介)(第二五〇八号) 同月十六日  共済年金制度堅持に関する請願斉藤斗志二君紹介)(第二五六九号)  同(笹川堯君紹介)(第二五七〇号)  同(自見庄三郎紹介)(第二五七一号)  同(杉浦正健紹介)(第二五七二号)  同(村田敬次郎紹介)(第二五七三号)  同(木部佳昭紹介)(第二六〇四号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第二六〇五号)  同(笹川堯君紹介)(第二六〇六号)  同(自見庄三郎紹介)(第二六〇七号)  同(島聡紹介)(第二六〇八号)  同(伊吹文明紹介)(第二七〇五号)  同(稲葉大和紹介)(第二七〇六号)  同(木部佳昭紹介)(第二七〇七号)  同(自見庄三郎紹介)(第二七〇八号)  同(高市早苗紹介)(第二七〇九号)  同(吉田幸弘紹介)(第二七一〇号)  共済年金制度堅持に関する請願岩田順介紹介)(第二五七四号)  同(小林守紹介)(第二五七五号)  同(五島正規紹介)(第二五七六号)  同(中桐伸五君紹介)(第二五七七号)  同(畠山健治郎紹介)(第二五七八号)  同(小林守紹介)(第二六〇九号)  同(畠山健治郎紹介)(第二六一〇号)  同(小林守紹介)(第二七一一号)  平地山林屋敷林を守るための相続税納税猶予制度適用に関する請願大野松茂君外  四名紹介)(第二七〇二号)  同(三ツ林弥太郎君外四名紹介)(第二七〇三号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願松本善明紹介)(第二七〇四号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)  日本政策投資銀行法案内閣提出第三三号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 村井仁

    村井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国民金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     —————————————  国民金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  平成九年九月二十四日の閣議決定特殊法人等整理合理化について」に基づき、特殊法人整理合理化を推進し、経済社会情勢の変化に応じた業務効率化観点から、国民金融公庫環境衛生金融公庫統合して国民生活金融公庫とするため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  第一に、国民生活金融公庫は、独立して継続が可能な事業について、当該事業の経営の安定を図るための資金環境衛生関係営業について衛生水準を高めるための資金その他の資金であって、一般金融機関からその融通を受けることを困難とする、国民大衆が必要とするものを供給し、もって国民経済の健全な発展及び公衆衛生その他の国民生活の向上に寄与することとしております。  第二に、環境衛生金融公庫は、この法律の施行のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて国民生活金融公庫が承継することとしております。  第三に、国民生活金融公庫役員につきましては、特殊法人統合趣旨に即して、役員数の縮減を行うこととしております。  第四に、国民生活金融公庫業務につきましては、その目的を達成するため、現行の国民金融公庫業務に加え、環境衛生金融公庫業務を引き継ぎ、事業者に対する小口事業資金貸し付け教育を受ける者またはその者の親族に対する小口教育資金貸し付け及び環境衛生関係営業者等に対する設備設置等のための資金貸し付けを行うこととしております。  第五に、国民生活金融公庫会計等につきまして所要の規定の整備を行うこととしております。  その他、環境衛生金融公庫の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 村井仁

    村井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 村井仁

    村井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
  6. 河井克行

    河井委員 皆様、おはようございます。自由民主党河井克行です。  きょうは、国民金融公庫環境衛生金融公庫統合法律案につきまして質問をさせていただきます。  この法案行政改革を着実に推進する、そういうふうな観点から見た場合、ぜひこれは早期に成立をしていただきたいなというふうに考えておりますが、一面、決して大が小をのみ込むというふうな事柄、具体的に言いますと、環境衛生に携わっていらっしゃる方々が将来にわたって不安な気持ちを持っていただくことがないように、やはりきっちりと担保をさせていただかなくちゃいけない、そんなふうに考えております。  振り返ってみますと、昭和四十二年の環衛公庫の設立以来、日本環境衛生業発展、そして環衛同業組合振興におきまして環衛公庫さんが果たされた役割は、調べれば調べるほど、また現場の声を聞けば聞くほど大変大きなものがあるな、そんなふうに高く評価をさせていただいております。  そして、自由民主党におきましても、環境衛生について関心が深い有志の議員でもちまして自由民主党環境衛生議員連盟というものを組織をいたしております。私も実は初当選直後から入れていただいております。この議連会長橋本龍太郎前総理でありますが、この二つ金融公庫統合されて発足するに当たりまして、当議連橋本会長が果たされた役割、随分大きなものがあったというふうに聞いております。  いずれにしましても、環衛関係方々からいろいろと、今回の統合につきましてぜひ不安をぬぐい去る意味で質問といいましょうか、そういったことをさせていただきたいと思います。  まず第一点目でございますが、今回の統合につきまして、将来にわたって環衛業に携わる方々資金繰りの面でお困りになることはないのでしょうかという点であります。  二つ公庫は従来別個の組織でありましたから、運営の差がありました。これをこれから統一、調整をする過程におきまして決して不利益にならないように、例えば、一つの具体的な質問ですが、新しい公庫支店長に与えられる貸付額の決裁の権限、これが低い方に合わされていってしまったらお困りになるな、できれば高額の方にぜひその基準を合わせていただきたい、そういうふうな質問もございます。また、現在の融資残高は、国民金融公庫が九兆円余り、また環衛公庫は一兆円余りということでありますから、ざっと九対一の違いがあります。そこで、これら二つ統合された後も、環衛関係方々融資枠はぜひとも別枠でしっかり設けていただきたいというふうな事柄。それから、この環衛公庫長期低利、固定という、借りている立場からしましたら大変計画的に返済ができるいい制度でありますから、この融資条件についても変更していただくことがないようにというのが願いであります。  まず最初に、以上の点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  7. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御質問の御趣旨は極めて明快でございますし、また政府も、河井委員の御趣旨に沿えますような法律の制定並びに運用をいたしたいと考えております。  詳細には政府委員からお答えを申し上げますが、従来環境衛生公庫が果たしてまいりました役割というものは、発足以来非常に大きなものがございます。そして、このたび両者が統合されますけれども、それはいわゆる環境衛生関連が併呑されるというような感じのものではございませんで、両方とも国民生活の健全な発展ということを所期しておりますことは同じでございますから、環衛公庫が従来果たしておりました役割はなお強化されて新しい銀行のもとに発揮されるものと考えております。  従来、環衛公庫の扱いはいわゆる委託ということでやっておりましたが、国民金融公庫全国に百五十二店舗がございますから、今度は直接にそこで扱うことになりますし、また設備資金の中で高額なものは今までいわゆる委託とされていない部分でございましたが、それなども今度は一緒に扱えることになります。それから、お話しになられましたように、資金等々につきましても別の枠を設定して、そしてそれが国民金融公庫の在来の仕事によって圧迫を受けるというようなことが当然起こりませんように十分配意してやってまいる、人員的にもまたそういうふうにいたさなければならないと思っております。  御質問の御趣旨というものは、十分私どもそれに忠実にやってまいるつもりでございますが、なお政府委員から補足をさせていただきます。
  8. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 基本的な考え方につきましてはただいま大蔵大臣の方からお話がございました。具体的なことにつきまして若干触れさせていただきたいと思います。  今回の統合に当たりましては、環衛貸し付け特殊性に十分配慮いたしました企画立案投融資業務の実施ができますように、環衛貸し付けにつきましては特別の融資枠を設定いたしまして、専門担当部門設置することといたしているところでございまして、統合によりまして環衛業方々に対する融資に支障を来すものというふうには考えておりません。  また、環衛業方々を初めといたします利用者の方にとっては、いわゆる統合に伴う利点もあるところでございます。ただいま大蔵大臣がお触れになりましたが、例えば、環衛公庫支店を有しておりません。したがいまして、これまで貸付業務委託しておりました国民金融公庫等におきまして取り扱っていなかった七千二百万円を超えます高額の融資案件につきましては、今回の統合に伴いまして、国民金融公庫全国の百五十二の支店におきまして相談あるいは受け付け業務が可能になるといったこと、あるいは、貸付制度改善等についての利用者の声が反映しやすくなるといった利点もございます。今後とも、環衛業方々が利用しやすいような制度運営に心がけてまいりたいと考えております。  それから、長期低利な有利な融資条件ということでの御質問でございます。  例えば、一般貸し付けにつきましては、貸付限度額飲食店営業で七千二百万円、旅館営業で三億円などというふうに設定をされておりまして、貸付期間は十三年という長期になっております。ほかに、衛生設備等につきましての特別利率も設けられているところでございます。  また、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律に基づきまして、環境衛生同業組合組合員営業振興を推進いたしますために振興計画というのを策定いたしまして、厚生大臣の認可を受けました場合には、その振興事業につきましては、貸付限度額飲食店営業の場合一億五千万円、旅館営業は七億二千万円などと引き上げられますし、貸付期間も十八年とさらに長期となります。また、利率も特別の利率が適用されるわけでございます。  今回の統合に当たりましては、環衛貸し付けにつきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、特別の融資枠を設定いたしますし、専門部門設置をいたしますので、これまでと同様の、環衛貸し付け特殊性に十分配慮した制度運営としたいというふうに考えているところでございます。
  9. 河井克行

    河井委員 もう一つの観点から質問いたします。  今回のこの二つ公庫の合併によりまして、役員の数が二五%削減、職員も段階的に一〇%ほど削減というふうに伺っておりますけれども、中小零細企業あるいは個人商店の大変重要な資金の需要におこたえをいただいている民間の、市中の金融機関、大変いろいろな面で厳しい中でありますから、資金需要はますますふえていくと思うのです。このような削減というものをこれからされるということですが、これで運営面の心配はないのでしょうかということもいろいろな団体から質問として上がっておりますので、ぜひこの際お答えをいただきたいと思います。
  10. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 資金繰りにいろいろ御苦労されておられます中小企業の方々資金需要にこたえていくということは、政府金融機関の重要な責務でございまして、両公庫におきまして、現在貸し渋りとかいろいろ問題がある中で、大変積極的に対応いたしているわけでございます。他方で、行財政改革の観点からは、職員数をできるだけ効率的に編成いたしまして、最低限に抑えるという要請もあるわけでございます。  この両方の要請に適切に政府としても対応してまいり、利用者の利便を損なわないように円滑な業務体制を両公庫にとってもらいたいと思いますし、新公庫になりましてもそういう方針でやっていく必要があると考えておるところでございます。
  11. 河井克行

    河井委員 続きまして、新しい公庫の名称についてなんです。最近もいろいろな名称のことがいろいろと話題になりましたけれども、やはり名は体をあらわすということのとおり、大事なことだと思っております。特に、今回の公庫の合併によりまして発足する新公庫、やはり私はあくまでも国民生活に密着した、そういう意味合いの名前をぜひともつけていただきたいなというふうに思っております。  と同時に、これは事前には質問通告していなかったのですけれども、大蔵大臣、ニックネームといいましょうか愛称を、やはり地域の方々が本当に親しんでお気軽に使っていただけるような、そういう意味で正式名称と別個に、愛称もぜひお考えいただければありがたいなということを個人的には思っておるのですが、以上の点についてお答えをいただきたいと思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新公庫の目的は、「国民経済の健全な発展及び公衆衛生その他の国民生活の向上に寄与」と書いてございますけれども、もちろん国民衛生というようなことも、広い意味では国民生活全般の非常に大事な部分でございますから、それをあわせまして国民生活金融公庫と名づけますことは比較的自然の成り行きであったかと考えております。  そこで、愛称というものは、確かに今までも国民金融公庫のファンとか衛生公庫のファンとかいう方がいらっしゃいますので、そういう中から自然に生まれてくることを期待いたしております。
  13. 河井克行

    河井委員 どうもありがとうございました。  以上の点につきまして、本当に大変積極的な御答弁をいただきましたので、この質問を聞いていただいている環衛関係方々も恐らく胸をなでおろしていただいているのではないかな、そんなふうに思います。  続きまして、きょうは厚生省の方にもお越しをいただいておりますけれども、環衛公庫とか環衛同業組合というのは、その業としての振興発展の前に、国民の生活衛生水準の向上を図るというのがまず大目的になっているのですね。そういう点から、新しい公庫が発足した後も、そこをつかさどっていただいております厚生省がやはりしっかりと関与すべきだというふうに思いますけれども、どのようなお考えの方針でやっていかれるおつもりか、お答えをいただきたいと思います。
  14. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 環衛貸し付けにつきましては、先生御指摘のございました環境衛生関係営業衛生水準の向上並びに経営の近代化の促進といったことを図りますために、厚生省におきましては、衛生水準の向上の観点から施設設備の整備の必要性の判断を行いますとともに、貸付対象の事業規模あるいは貸付限度額につきまして業種ごとの特殊性に応じてきめ細かく定め、さらに、都道府県あるいは都道府県環境衛生営業指導センターを通じましてきめ細かな指導を行うことが必要であると考えております。  このために、両公庫統合後も、環衛貸付業務につきましては、公衆衛生の向上あるいは環境衛生関係営業振興専門的な知見を持ち、かつ、その推進に行政責任を負います厚生省が責任を持って新公庫を監督するために、厚生大臣が主務大臣として関与するということとされているところでございまして、今後とも引き続きまして環衛貸し付けの適正な制度運営に努めてまいりたいと考えております。
  15. 河井克行

    河井委員 それともう一つ、地元の環衛の組合の方からの要望なのですけれども、せっかく二つ公庫統合されるのを一つのいい機会にしていただきまして、貸付対象外施設というのがあるのですが、この見直しを、これは昭和四十二年の設立当時の社会的通念にのっとった営業の実態に即して、これは対象ですよ、これは対象外ですよというのがあるわけです。この際、社会の移り変わりに応じてこの見直しをぜひやっていただきたい。具体的な中身についてはきょうこの場では申し上げませんけれども、その方針として明らかにしていただきたいと思います。
  16. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 環衛公庫につきましては、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律の適用を受けます業種を融資対象といたしておりまして、これらの業種の衛生水準を向上させ、あるいは近代化の促進を図るために金融面から支援することを目的としているところでございます。また、対象業種でありましても、社会的批判を受けるおそれのある営業、あるいは料金等が大衆的でないと認められる営業につきましては、貸付対象外としているところでございます。  このために、国民生活金融公庫事業を引き継ぐに当たりましては、現在のところ対象業種の見直しは考えてはおりませんが、今後とも環境衛生営業適正化対策の趣旨等に照らしながら、こういった点についても適切な制度運営に努めてまいりたいと考えております。
  17. 河井克行

    河井委員 今回の二つ公庫統合ということにつきましては、大体以上で質問をさせていただく項目は終わろうとしているわけですけれども、せっかくきょうは大蔵委員会質問をさせていただく機会をいただきました。私、一年に一度しかこの委員会質問する機会をちょうだいすることができませんで、昨年は五分しか時間がなかったものですから、恐らく来年までないと思いますので、せっかくの機会でありますから。  いわゆる政府系の金融関係、地域の中小零細企業とか個人商店のことをしっかりと考えていただいておりますが、私は、中心の主軸はあくまでも民間の地域の金融機関、これがやはりもっとしっかりしてもらわなくちゃいけないな、そんなふうに思います。  今、地元で国政報告会をしますと、一番多く寄せられる質問二つあります。一つは、北朝鮮から二発目のテポドンはいつ飛んでくるんですかというふうな質問が一点目。二つ目は、自分がつき合っている銀行とか金融機関は大丈夫でしょうかねというふうな質問が一番多いんですね。  せんだって、七兆四千億円余りの大手行への資本注入はしていただきましたので、表面上は、いわゆる金融不安というものは相当薄らいでいるように見えますけれども、地域の現場に入っていきましたら、皆さんの心の中で大丈夫かなという気持ち、特に、自分たちに一番身近な金融機関が大丈夫かなという不安感というのは、いろいろな情報が入れば入るほど、皆さんそんなふうな気持ちを持っていらっしゃるんじゃないかというふうに私は思っております。  そして、昨年十月一日から、これは本当に小渕総理がすごいリーダーシップを発揮していただきまして、全国の都道府県の信用保証協会に二十兆円の特別保証の上積みをしていただきました。我が広島県でも、広島県信用保証協会は五千億の枠があるんですけれども、もう既に先月、三千八百億円が使い切られております。全国でも二十兆円のうち十三兆円余りがもう使われているということであります。  私は、緊急事態でありますから、景気の下支えをするという観点から、この際、思い切ってもう十兆円ほどこの額を上積みするべきだ。地域のいろいろな方々とお話をしますと、皆さんそういう要望が強うございます。  その点につきまして、そういうふうなお声が上がっているということを現に聞いているかどうか、そして今後どのようにお考えかということについて、お答えをください。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年の秋ごろから非常に貸し渋りの状況が激しくなりまして、いろいろ金融機関にも呼びかけましたけれども、政府機関にもまたそれだけの準備をしてもらいましたが、何といっても信用保証制度を拡充することが一番早く、かつ適切であろうと考えまして、制度を設けました。年末にかけて非常に利用がありまして、ともかく年末は越せたというような声を聞くことができましたが、おっしゃいますように、十四兆円くらいの利用が現在までのところあると承知をいたしております。  それで、毎月の利用は、落ちつきましたので、以前ほど大きくはないようでございますけれども、おっしゃいますように、入り用があればこれは拡充することが極めて必要なことであって、そのことについては私は決して金を惜しまないつもりでございます。その点はどうぞ御安心をいただきたいと思います。  また同時に、地元でテポドンと並んでそういうお話があることを私も存じております。信用不安というものは、取りつけがあると思えばみんな取りつけに行きますので取りつけになってしまうし、ないと思えばないという種類のものでございますから、そういうことが、信用保証があったり、あるいは銀行への公的資金の投入があったり、あれこれいたしまして、今、国民の中ではかつてほどそういうことを心配していらっしゃらないと思いますが、やはり政府役割は、そういう疑心暗鬼を国民の中に起こさないようにというのがまず最初の役割でなければならない。その点は、今、いっときに比べますとやや落ちついてまいりましたけれども、ただいま申し上げますように、もし今の信用保証の拡大が必要であれば、いつでもいたす用意がございます。
  19. 河井克行

    河井委員 どうもありがとうございます。  それから、西暦二〇〇一年の例のペイオフの問題なんですけれども、もうすぐそこまでやってきておりまして、静かなる資金移動も始まっているというふうな数字も最近になって出てきております。私は、さっきから何度も言いますけれども、やはり地域の中小零細企業あるいは零細な商店を一番しっかり守っていただいているのは、地元の金融機関、なかんずく信用金庫とか信用組合というふうな協同組合組織金融機関の果たしていただいている役割というのは、随分大きなものがあるというふうに評価をさせていただいております。  そして、時間がありませんので詳しくは言いませんが、そういった協同組合組織金融機関と普通のそれ以外の銀行とでは、さまざまな点でやはり信金、信組の方にどうしても自由にできないというハンディキャップがあるのも、一面、制度的に事実であります。別にどうのこうの言うわけじゃないのですけれども、私は、その二〇〇一年のペイオフを、世界に進出しているような大銀行から家の近所の身近な信金、信組まで、全部一律に当てはめるのが本当にいいことなのか、やはり地域密着の業態については違う考え方もつくっていただくべきではないか。時間が余り残されていないわけでありまして、ぜひその点につきまして、方針といいましょうか、お考えで結構ですから、教えていただきたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、信用というのはみんなが信用すれば生まれるものでございますが、現在、いっときに比べますと、かなりその点は国民の気持ちが落ちついてこられたように思います。  同時に、金融監督庁あるいは金融再生委員会等において、既に中央のいわゆるマネーセンターバンクあるいは地銀までの検査を金融監督庁は終えておられまして、さらに広く検査を進めていかれるということでございますから、検査をして是正すべきところは是正する、それがある意味で一番国民が安心される材料であると思います。それは着々と進行をいたしております。  そういう意味で、そういう国民の安心が第一でございますが、同時に、二〇〇一年の三月末以降のペイオフの問題を、全体として、いわゆるそれから後の信用の確保ということをどのように考えるかということは、関係の審議会でいろいろこれから御審議をいただきたいと思っておりますので、御発言のようなことも十分審議会で考えてもらいたい。まだ時間がございますので、検討してもらうことにいたしております。
  21. 河井克行

    河井委員 せんだって、四月十三日に日銀の速水総裁が、新しいセーフティーネットのあり方についてもこれからしっかり問題提起をして考えていきたいという旨の御意見の開示がありました。今の大臣のおっしゃったこともそれと同じ文脈かというふうに思っておりますが、繰り返すようですけれども、やはり地域に本当に一番近いところの金融機関は少し違う御判断をぜひともしていただきたいなと、私は本当に重ねてお願いをいたします。  続きまして、せんだって、新しい金融検査マニュアルの中間見直しが行われまして、より実態に即した手法へと随分変わったというふうに思っております。あるいは、いい方向だというふうに考えておりますけれども、もう一つ、俗に言う償却、引き当てについてのガイドラインというものがあります。これにのっとって相当厳しい、いろいろな引き当ての積み増しとかというふうなものがことしの決算でも行われると伺っておりますけれども、これはあくまでも大手都銀、大変力が強いグローバルな銀行を念頭に置いたのが今のこのガイドラインであります。  私は、ぜひこの際、先ほど言いましたように、地域の貸し渋りを本当に抑えるという意味もありまして、地銀、第二地銀版の償却、引き当てについてのガイドラインをつくっていただきたいなというふうに思っておりますが、いかがお考えでしょうか。
  22. 森昭治

    ○森(昭)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の償却、引き当てのガイドラインと申しますのは、要管理債権について一五%とか、破綻懸念先七〇%というものをお指しになっていると思いますが、これは先生御指摘のとおり、先般、大手行に対しまして公的資金による資本注入を行うに際して、いわば目安として金融再生委員会が使ったものでございまして、現行会計基準とは違うものでございます。  先生の御指摘は、今回地銀、第二地銀が、昨年九月期の決算に対する集中検査がほぼ終了し、そしてその検査結果がぼつぼつ出てきている段階であるわけでございますけれども、またそれに基づきまして各地銀、第二地銀がこの三月期の決算というものを組んで、五月の下旬にはそれが外に出てくる、今こういうような時期であるかと思うのですけれども、各地銀、第二地銀が、自行のいわば財務体力というものがそれによってわかるわけでございまして、その際、資本不足と認識している銀行からは早期健全化法に基づく資本注入の申請があろうかとも思います。そういう場合の審査に際してどういう、先生のお言葉で言えばガイドラインあるいは目安というものをつくるかということでございますが、これにつきましては、そういう申請があった場合に法律の要件にのっとって審査するわけでございますけれども、その際に、金融再生委員会におきまして先生の御指摘も留意しつつ、目安というものをつくるあるいはつくらない、現行会計基準のままでいくということについて審議していただこうと考えております。
  23. 河井克行

    河井委員 ぜひ前向きにつくっていただきたいというふうに思います。  最後の質問になりますけれども、せんだって国民銀行がああいうふうな形で処理をされました。自己資本比率は六・五九%でありまして、国内行四%ですから、それよりも数字の上でははるかに上なんですね。にもかかわらず、ああいうふうなことになってしまいました。  私は、年末からことしの初めにかけまして、金融監督庁によって全国一斉に地銀、第二地銀、相当厳しい検査をしていただいた、その中身についても従来よりもやはり詳細に把握をしていただいていると思います。その上で、そうはいっても、このままで第二地銀とか地銀をほったらかしにするような事柄では、いつまでたっても力の強い地域の金融機関をつくり上げることはできません。ひいては地域の経済の回復にもつながらないわけでありまして、私は、裁量行政からの決別はもちろん必要なんですが、やはりある一定の方向性なりシナリオを持っていただいて、この地銀とか第二地銀の問題について、ぜひ役所としてもしっかり関与してもらいたいというふうに思っております。  最後はなかなかお答えしにくいと思いますので、ぜひ御決意をお聞かせいただければ幸いです。
  24. 乾文男

    ○乾政府委員 今お話がございました金融機関の再編の問題につきましては、これは基本的に金融機関の経営判断によるべきものでございますけれども、先ほどから御議論になっておりますいろいろな、ペイオフでございますとか、あるいは金融システムの改革の進展のそうした環境の激変の中で、各地域金融機関におかれましても、競争力の強化あるいは経営体力の強化を進めていく中でさまざまな動きが出てくる可能性があると思っております。  監督庁といたしましても、我が国の金融システムが全体として安定する観点から、私どもの持っております、検査でございますとかモニタリングでございますとかあるいは早期是正措置でございますとか、そうした監督権限を適正に運用することによりまして個々の金融機関の経営の健全性を図り、全体としてシステムの安定化を図るべく努力してまいりたいというふうに考えております。
  25. 河井克行

    河井委員 終わります。ありがとうございました。
  26. 村井仁

    村井委員長 次に、山本孝史君。
  27. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 おはようございます。  民主党の山本孝史でございます。早速質問をさせていただきます。  今回の二公庫統合は、特殊法人整理合理化あるいは業務効率化観点からなされるとお伺いをしております。統合で、ここは変えるべきだ、ここは変えるべきでないというようなさまざまな意見が交わされておる中、何が変わって何が変わらないのかということを明らかにさせていただきたいと思います。  新公庫の主たる主務官庁は大蔵省でございますので、大蔵大臣にお伺いをさせていただきます。  平成九年九月の閣議決定特殊法人等整理合理化について」の国民金融公庫の項目に、「環境衛生金融公庫設立当時の経緯に照らし、新機関の業務運営上特別の融資枠を設定し、専門担当部門設置する。」というふうにございます。  この記述にある状態というのは、昭和四十二年にこの金融公庫が設立されます直前の状態、すなわち、国民金融公庫に二百億円の特別融資枠を設定し専門の部局を設けた、その状態に戻ったという印象を受けるのですが、そういう状態に戻ったというふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は必ずしもそう考えておりません。昭和四十一年、環境衛生公庫ができました当時のことを私はよく記憶をいたしておりますが、その後大変に御利用があったし、また関係者からも信頼を受けて今日に及びました。その成長過程を見ておりますと、やはり歴史というものは戻るものではない、先へ進んでおるものだという感じがいたします。したがいまして、今回、別途の考慮から両者を統合するということになりましたが、それは恐らく環境衛生公庫につきましても、あるいはその利用者にとりましても、そのことが従来よりさらに便利になる、さらに有用になるというような形でこの統合が考えられ、また統合の結果がそのような形で現実に施行されていく。そのことは法律の中でも担保されておりますし、先ほどから御質問のとおりでございますから、環衛関係方々にとってもこれは一つの大きな進歩である、決してそこで歴史が戻ったというふうに私は観念いたしておりません。
  29. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 さらに便利になるということですけれども、従来から、環衛のお仕事については国民金融公庫が受託をされてなさっておられる、単に高額のものだけを環衛のところでやっておられるという部分、それが身近になるというその程度のものであって、余り利便性が高まるというふうには理解をしないんですね。それを御承知の上でそうおっしゃっているのだろうと思いますけれども。  もう少しお聞きをしておかなければいけないと思いますが、私は、当時の状態に結局は戻っただけではないか、戻った方が利便性が高くなっているのじゃないかというふうに思うわけですけれども、特殊法人整理合理化業務効率化という観点からであれば、中小企業金融公庫も含めた統合をして、しっかりとした中小企業金融の主体をつくるということの方がさらに中小企業の経営者にとっては利便性の高いものになったはずだと理解をするのですが、ここのところはどういう検討をされて加えないことになったのか、今後検討されるおつもりなのか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来の国民金融公庫の貸付対象は従業員が二十人以下の企業が九割を占めておるそうでございますから、これはもう中小公庫の貸付対象とほとんど重複しない関係になっておると思います。したがいまして、これを一つにするということは、全く考えられないわけではありませんけれども、全く貸付対象がその事業の規模において、あるいは信用度において違いますし、それを一緒にした場合に、本当に今国民金融公庫から利便を受けている人たちの利益が、それによってむしろ担保されずに損なわれるのではないかというふうに考えるべきではないか。そして、そういう非常に膨大な資金量の、膨大な貸付対象を持った一つのものに仕上がるということ、決してそれ自身絶対悪いとは思いませんけれども、多分、今国民公庫から便益を受けている人たちにとっては、それは決して有利なことにならないんではないか、こう考えますから、中小公庫との合併というものはやはり考えない方がいい、私はそう考えてまいりました。
  31. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 中小企業金融を一本化していく方がより利便性が高まるのではないか。確かに、その二十人のところで線を引いて、若干業態が違うので、零細な企業と一定の規模でやっておられるところは分けてやった方がいい、資金量の多いところにのみ込まれるのはいかがかと思うということで余り賛成しないというお答えなんですけれども、特殊法人整理合理化、あるいは国民生活の利便性の向上という点から、もう一度そこは検討を加えてみる必要があるのではないか。単に規模のところで線を引いて、閣議決定内容はそういう内容になっておりますので、そういうことではなかなか説明が不足するのではないかというふうにも思いますから、いま一度、今後のスリム化という点からも御検討をされるようにお願いしておきたいと思います。  先ほどの質問者に対するお答えの中で、現在それぞれが行っております貸付業務について、いろいろな制度がございますが、これは新公庫においてもすべて継続されるという御答弁がありましたので、その点はいま一度、現在ある貸付制度はすべて継承されると理解してよいかという点で御確認をさせていただきたい点が一つと、今回、新たに名称に生活というものが加わるわけでございます。新公庫においては、従来からある業務は継続される上に、新たな事業展開というものをどのように構想されておられるのかというところがいまいちはっきりしないわけですね。生活という二文字が入ることで、例えば住宅ですとか教育ですとか福祉ですとか、こういった生活資金、すなわち消費資金貸し付けを行っていくという方向に拡大をするのか。  すなわち、従来の中小企業金融に重点化するのか、あるいは、国民生活全般のいろいろな、申し上げているような住宅ですとか、今教育をやっておりますけれども、福祉ですとか介護ですとかという方向に拡大していくことをお考えになっておられるのか、この二点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前段につきましてお答えを申し上げますが、先ほど申し上げましたように、環衛資金貸し付けにつきましては一般事業資金とは別に融資枠を設定いたします。これは、過去の経験におきましてそうしなかったために余りいい結果になりませんでしたので、はっきり別除をいたしたいと思います。  それから、部門のつくり方でございますが、これも、環境資金貸し付け企画立案等を担当する環衛企画部と、それから融資審査を担当する環衛融資部の二つの部をきちっと置くということに考えております。したがって、この新しい公庫資金としては、事業資金貸し付け教育資金貸し付けそれから環境衛生業務、こういうふうに三本立てになっていくと思います。  なお、政府委員からお答えいたします。
  33. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 大臣からお答え申し上げましたように、両公庫業務は新公庫に基本的に引き継がれていかれるわけでございます。  なお、消費者金融的なものについてどう考えるかという質問がもう一つございましたが、その点につきましては、やはり現在の事業資金貸し付け教育貸し付け、環境貸し付け、この三つを柱としてやっていくべきものと考えております。現在、中小企業の方々等々、貸し渋りという非常に厳しい事態に直面しているわけでございますから、その当面の問題に全力を注ぐべきものと考えている次第でございます。
  34. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 生活という言葉が新公庫の性格として本当に的確なものなのかというのは、私も若干首をひねるところがあるわけです。  今のお答えを聞いておりますと、そうしますと、先ほどから、中小企業金融公庫との合併は考えないのだ、すなわち、大きなところにのみ込まれてはいけないので、もっと零細な企業規模のところに対する事業資金貸し付け等を考えていくのだということであれば、今教育資金貸し付けをやっておられますが、この部分は返上して、本来的には奨学金で対応すべきものがあるわけで、今、子育て政策を考えておられる中で新しい奨学金事業の展開も考えられているわけですから、国民金融公庫教育資金貸し付けに手を出しているというのは、中小企業金融ということからすると若干異質な部分があるというふうに思うわけであります。  今後、統合していく中で、新たな奨学金政策の展開等も考え合わせながら教育資金貸し付けから手を引かれるというお考えはないですか。
  35. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 国民金融公庫は、法律の第一条にもございますように、「庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことを目的とする。」ということで、零細な企業の方々に対する事業資金それから教育貸し付けという二つを中心にやってきたわけでございます。  この業務は、一般金融機関だけでは対応できない分野でございます。まさに政策金融機関が対応すべき分野で、補完しなければなかなか十分な資金供給ができない分野でございますから、新公庫になりましてもこの二つ業務、それから環衛公庫から引き継ぎます環衛貸し付け、あわせましてこの三つをやはり中心としてやっていくべきではないかというふうに考える次第でございます。
  36. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 従来のものに対してその他国民生活の云々とありますよね。その他国民生活ということでいくとどんどん広げられる可能性があるわけで、そういう意味で、事業展開は本来なら中小企業金融に特化すべきなんだ。  どういう性格づけのものをやっていくんだ、従来やってきたからそのままやっていくんだという今の御答弁ですよね。せっかく統合するんだから、あるべき資金をさらに重点的に特化していくんだ。その他の国民生活と、今度、国民生活金融公庫ですから、国民生活というところの生活に着目すればいろいろな資金貸し付けをつくれるわけであって、そういうお考えはないと今おっしゃいましたけれども、したがって、新しい公庫の性格はどういう性格になっていくのですか。従来の二つのものが統合されただけなのか、新たなものとして違う展開をしていくのか、そこのところを、どういうお考えを持っておられるのかを明確にしておいていただきたいというのが私の質問趣旨なんですね。  今の御答弁の繰り返しになるでしょうが、もう少しはっきりとした新公庫の性格をきっちりしておく必要があるのではないかというふうに思いますが、御答弁があれば。
  37. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 政策金融機関は、やはりその大前提といたしまして民間金融機関の補完ということでございますから、民間金融機関の状況を勘案しながら公庫業務については不断の見直しをやっていくべきものだと考えております。  ただ、現状におきましては、事業貸し付け教育資金貸し付け環衛貸し付けという分野につきましては、民間の金融機関に全部をゆだねるというわけにまいりませんので、教育貸し付けを含めましてこの三つの事業を中心に新公庫として業務を展開していくべきであろうというふうに考えるわけでございまして、将来につきましては、やはり繰り返しになりますけれども、政策金融機関としての補完的な役割というのを常に頭に据えて適正な業務範囲を確定していくべきだというふうに考えておる次第でございます。
  38. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 適正な業務範囲を確定する折は、ぜひ国会の議論に付していただきたいと思います。大臣がいみじくもおっしゃったように、歴史は戻るものではありません、先に進むものですということですから、どっちの方向に向かって進んでいくのかということをはっきり示していただかないと、これは議論にならないというふうに思います。  次に、資金面について若干お尋ねをしておきたいと思います。  法律案の二十二条の二、二十二条の三で、公庫金融機関からの短期借り入れ、債券の発行ができるというふうにされております。早速にも行うお考えがあるのでしょうか。あるいは、今後の資金調達をしていかれる中で財投資金にどの程度頼っていかれるのか、あるいは財投以外の資金をどの程度の割合まで高めていこうというお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  39. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 新公庫になりましても、基本的には政府からの借入金を中心に資金調達を行っていく考えでございます。  しかし、国民公庫環衛公庫につきましては、小規模の企業への貸し付けが主体でございまして、貸し付けの実行につきましては、公庫の、貸し手の側の都合と申しますか資金繰りで決めるというよりも、むしろ、借り手の方々資金需要で貸し出しの時期が決まるという問題がございます。大体月末に資金の決済等が行われる関係上、月末に貸し出しが実行されるということになるわけで、他方で、借りた方々からの返済でございますが、これは大体五日ごとにほぼ均等に戻ってくるということでございまして、資金の出入りにつきましてばらつきがあるわけでございます。その調整を短期的にする必要がございまして、その調整長期資金でやるのはやや不合理でございまして、そこのところにつきましては、短期の借り入れが民間金融機関からもできるようにいたしたいというのが今回の趣旨でございます。
  40. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 調整のための資金ということですから、資金計画全体の中で、保有される資金全体でいけば割合としては極めて少ないものだと。  そうすると、貸し付けの原資はほぼ一〇〇%今後とも財投に頼っていくという理解をしてよろしいのでしょうか。
  41. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 基本的にそのとおりでございます。  長期貸し付け長期の借り入れで対応していく、ただし、短期的な資金繰りについて効率的に行っていくために、その部分につきまして短期の借り入れを行うということでございます。
  42. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 これは当然そういうことになるんだと思いますが、今後とも政府は補給金を出していかれるお考えですね。
  43. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 両公庫につきましては、利益が生じた場合には国庫に納付を行う、他方で、損失が生じた場合には、経営基盤を維持いたしまして引き続き中小企業者の方々への円滑な資金供給を図るという観点から、収支差補給金を行うというような仕組みにしてあるわけでございます。  この仕組みは、新公庫においても基本的に引き継いでいく、変更はないということでございます。
  44. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 利益金が出れば納めるというのは理屈でありますが、環衛公庫はたしか利益金は一回も納めていないと思います。国民金融公庫は、昭和三十六年以降でしたか、利益金を納めていない。利益金の出る状態ではないわけですね。  補給金は、逆ざやが生じてくると当然そういう形になる、利ざやが稼げないからこうなっているということですから、今後ともに事務経費は政府が出すということは、政府金融機関として運営をされていくという性格は変わらない、財投で一〇〇%資金を出していくと。  財投資金をどう使っていくかという根本的な議論をしないといけないと思うんです。きょうは時間がありませんのでそこまで入り込みませんけれども、一応法律上、短期の資金繰りのために金融機関からの借り入れあるいは債券の発行まで、まあ金融機関からの短期借り入れまではいいんですけれども、債券発行と書いてありますので、債券発行計画をどう持つのかということによって少し色合いの変わってくる部分があると思いますから、その点で、確認の意味でお聞かせをいただいた次第であります。  続いて、新しい公庫組織面について若干お尋ねをしておきたいと思います。  まずは役員構成でありますが、御説明では、両公庫十五人が新公庫では十人になるという御説明であります。両方の公庫を合わせて法定十五人ですけれども、現状は十三人しかおられませんので、現状十三人が十人になるという理解の方が正しいんだと思いますが、現状、法定上でいえば十対五の両公庫からの役員の割合構成は、新公庫では何対何ぼになるんでしょうか。合併後どのような役員名簿にするお考えなのか、新総裁はどなたになって、どういったそれぞれの出身団体の公庫理事の割合になるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  45. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 役員の人数につきましては、法定の数につきましては御指摘のとおりでございます。それから、常勤につきましては現在十二名でございますが、これが新公庫におきましては八名になるということでございます。新公庫役員につきましては、総裁及び監事は大蔵大臣の任命になっております。それから、副総裁、理事大蔵大臣の認可を受けまして総裁が任命することとなっておりまして、それぞれの任命者により、新公庫業務の円滑、的確な遂行という観点から、それにふさわしい見識、人格等を有する者が任命されていくべきものだと考えておりますが、具体的なことにつきましては、法律が成立いたしまして、十月の発足でございますから、その間に鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、役員の構成につきましては、これまで政府閣議決定におきまして、特殊法人における国家公務員出身の役員数を抑制するということが決められておりまして、その趣旨を踏まえまして、各省庁ごとに主管の特殊法人全体につきまして国家公務員出身の役員数の抑制が行われてきているわけでございまして、この趣旨にのっとりまして新公庫におきましても役員の構成を決めていくべきものだというふうに考えておるわけでございます。
  46. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 国会は法律を通してください、あとは自分たちでやりますという答弁は認めません。  新しい公庫の新総裁はどちらから出るのか。もともと、これは四十一年の当時の、大臣おっしゃったように、国金の中にこの環衛の資金融資部ができたときの理事は一人なんですよ。環衛公庫理事はお一人であの部分を、二百億の部分をやっておられたわけで、それがいつの間にか四人、五人とふえてきて、今度は両方が一緒になるわけでしょう。資金量でいけば九対一ですよね、役員の数でいけば二対一ですけれども。  それが新公庫になって、言ってみれば、環衛公庫出身の理事の割合がどれだけ残るかによってこの公庫の性格は変わるんだというのが、多分、変えるべきでないとおっしゃっている環衛公庫側の皆さんの御主張だと思うんですけれども、そこのところがどういうふうになるのかということを、総裁を決めるのは大蔵大臣ですね。あとは中で決めなさいといったって、こんな理事のことは主務官庁の意見なしに決まるはずはないんだから、皆さん方はどう考えているのかということは今あるはずでしょう。
  47. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 総裁、監事は大蔵大臣の任命でございます。それから、副総裁、理事大蔵大臣の認可を受けて総裁が任命するということでございますから、理事につきましても、大蔵大臣が的確な人というのを見るわけでございますから、御趣旨も踏まえ、適切な役員の人選が行われるように心がけてまいりたいというふうに考える次第でございます。(山本(孝)委員「答弁になってない」と呼ぶ)
  48. 村井仁

    村井委員長 山本君、質疑を続けてください。
  49. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 二対一の役員構成が新公庫の中ではどういう役員構成になるんですかという質問ですよ。
  50. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 現在、両公庫の出身の役員の構成をどうするかというようなことについてはまだ具体的な検討をしていないわけでございまして、両公庫役割を勘案しながら、そういうことも含めまして検討していくべきものだというふうに考える次第でございます。
  51. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 これは、新公庫の定款を出すべきなんですよ、新公庫をつくるんだから。今回は国民金融公庫法の一部改正になっているからあれですけれども、では、改正された後の新しい公庫の定款を当然委員会の審議に付すべきだと私は思いますね。新しい定款はいつできるのか、それを承認して十月一日からスタートするわけでしょう。だから、新しい定款をいつ出すのか。
  52. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 定款が新公庫についてあるわけではございませんで、法律に基づいて新公庫が設立をされるということでございます。
  53. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新しい公庫の性格を検討するためにも、その新公庫の定款案というものを当然出すべきであるというふうに思います。それがあって初めて審議になるんだ。そうでなくても、今早く通せとおっしゃるのであれば、やはりこれは、できた時点で委員会に早速なりとも御報告をされて、さらにそこで検討を加えるというのが国会側の立場だと私は思います。そのように対応していただきたい。委員長、そういう対応でよろしいでしょうか。
  54. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、定款はないわけでございます。法律に基づいて新公庫ができるわけでございまして、もちろん、予算でございますとかいろいろ認可すべき事項は認可をいたすわけでございますけれども、そういう状況になっているということは御理解いただきたいと思うわけでございます。
  55. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 どの法律もそうなんですけれども、国会で早く法律を通してください、あとは政省令を私たちはそれに基づいてつくりますからとおっしゃるんだけれども、政省令込みの法案審議をするのが国会の立場ですから、今回でいけば、新公庫の性格がそこに出てくるわけだから、こういう定款でやりたい、こういう性格づけでやりたいんだというところをしっかりお示しにならないと、これは審議にならない。私は、ここで質問をとめてもいいんですけれども、それはおかしいと思いますよ。
  56. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 新公庫につきましては、法律で定める事項は法律で御審議いただき、それから法律で授権をいただきました政省令につきましては法律が成立いたしましてから作成するわけでございまして、その点、御理解をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  57. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 だから、それは国会の立場をあなたたちは軽視しているんです。私たちは国会の審議をそこまで含めてやっているんだから。我々がそこを要求していることに対してあなたは資料を出さないんだから、それはおかしい。だから、委員長、おかしいですよと私は申し上げたわけです。  だって、おかしいですよ。事業の性格はこういう事業でやりますと言っていることと同じで、こういう組織形態でやりますということも含めてやらないと特殊法人整理合理化にならないじゃないですか。そんなのは当然の話ですよ。中身がないじゃない。同じ答弁を繰り返すんだったら要らない。中身がないですよ、そんな話は。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この新しい公庫がいかなるものになるべきかということを今法律で御審議を願っておるわけでございますから、この法律案法律として成立いたしますときには、今度は、それに関連した政省令というものは私どもの責任でつくらなければなりません。理事会の方でお入り用でございましたら、その政省令の案というものは提示いたすことができます。
  59. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 法律が通ってから政省令が出てきても、なかなか政省令に対しての審議をするだけの対応がありませんので、先にそういうものはまとめて出していただきたいというのが私の今の考えであります。  役員について、今、国民金融公庫役員八人おられるうちの四人、環衛公庫役員は五人全員が官庁の出身者でいらっしゃいますね。今後、役員へのさらなる内部からの登用を進めるべきであるということを思います。そのことについてのお考えを聞かせていただきたい部分と、職員ですけれども、国金は大蔵省等官庁からの出向者は四千七百九十七人中で五人と聞いておりますが、環衛金融公庫は五十六人の職員中十八名が厚生省からの出向者でいらっしゃいます。  今回、職員の数は減らない、減らせないとおっしゃっていますが、私も生首を切るわけにはいきませんけれども、それぞれの出身母体の官庁から出向されておられるわけだから、出向者は速やかにもとの官庁にお戻りをいただきたいというふうに思います。そうすれば職員数は減りますから、そういう意味でスリム化ができるわけですから。この二点についてのお考えをお聞かせください。
  60. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 第一点目の役員における内部の登用の関係でございますが、これは裏返して申しますと、国家公務員出身の数の抑制ということでございまして、それは先ほど申し上げましたが、閣議の決定がございますから、これに基づいて対応していくべきものだというふうに考えておりますし、その方向でやってまいりたいというふうに考えております。
  61. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 官房長も答弁になっていない。  時間の関係で先に行きます。  今、環衛公庫が入っておられる三会堂ビルのところも、これは両方が一体化するわけですから、環衛公庫は本店事務所をできるだけ早く明け渡して一本化されて、こういったところでも経費の削減に努められた方がよろしいと思います。  運用面についてお尋ねをします。  国金、環衛ともどもいろいろ言われておりますが、今、昔金利が非常に高かったので五%を超えるところの金利で借りておられる方もおる。私のところに来ました陳情では、四・九%の金利のときに、平成五年のときですけれども、五兆円を超える資金の借り入れをされた旅館業の経営者がおられるんですね。返済十八年なんです。その後金利が下がって、現在、二・三%まで借出金利が下がっているんです。四・九が二・三まで下がったんです。今、金利の減免措置として、五%を超えるものについては五%まで下げるという措置をとっていただいているわけですけれども、この方が借りたとき四・九%なんですね。非常に高い金利で借り続けなければいけない。  できるだけ、やはり利息の減免措置の拡大というものを検討していただきたい。ここが非常に営業を圧迫している部分があるので、この五%というところを少し見直しをしていただけないだろうかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  62. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 国民公庫に対しまして中小企業者が有する五%を超えます債務につきましては、五%を超える部分の金利の減免措置は、七年の十月、政府の経済対策の一環として期限一年限りということで導入をされてまいりまして、その後の経済情勢等々を踏まえましてその都度期限の延長を重ねてまいりまして、現在は本年の十月十八日までになっているわけでございます。  ただ、この点につきましては、中小企業者を取り巻く環境、政策の効果、政策に要する費用等を総合的に勘案して設定すべきものでございまして、さらなる拡大につきましては、財政の状況等を勘案いたしますと、非常に慎重に考えるべきものではないかというふうに現在考えているところでございます。期限につきましては、現在、あと半年もございますから、景気の動向等を十分注意して検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  63. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 財政上の問題で、いろいろ要望はあるけれどもできないということなんですが、多分、同じ答弁が返ってくるのでしょうけれども、返済の条件変更をさらに弾力化していただきたいと思いますし、あるいは、再貸し付けの申し込みをした際に、かねての貸し付けの中で条件変更をしていたりすると再貸し付けが非常に難しい、渋られるという声もあるわけですけれども、こういった運用面の改善もできないのでしょうか。財政面、財政面とおっしゃっていますけれども、やはりここは経済対策として考え得る部分があると思いますので。  大臣のところにもこういうお声は届いておりませんか、条件変更をもう少し弾力化してほしいというようなお話。
  64. 尾崎護

    ○尾崎説明員 具体的な業務の問題でございますので、私からお答えさせていただきます。  まず、貸し付けについて、基本的に契約が一つございます。この契約をどういう場合に改めるかということなんでございますが、基本的には、一律に例えば金利を下げるというようなことは、契約の変更としてはちょっとおかしいわけであります。したがいまして、補給金という形で政府が御援助いただいているということでございます。  私たちの業務運営でいかがであるかというお話でございますけれども、私どもはやはりちょっと特殊な金融機関でございます、極めて零細、小企業を数多く扱っているわけでございますので、具体的なケース、お話を伺いまして、無理なく御返済いただけるように必要に応じて見直しをする、契約を更改するという努力はしております。平成十年度の実績で申し上げますと四万九千六百五十五件、前年と比べまして二四・七%増というような積極的な対応をいたしておりまして、御指摘のように柔軟に考えてまいりたいと思いますが、基本的には契約の変更でございますので、やはり限界はあるわけでございます。
  65. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 一生懸命やっているというお言葉なんですが、そうではないんだということで申し上げているのです。借り手の側としてはなかなか厳しい経営環境に置かれていますので。  ここは、公庫の方としては枠をはめられておられるわけだから、勝手なことはできないという御答弁になると思うのです。五%の金利を超える人に対しての補給金をいただいての利息の減免措置というのも、これは政治的判断というか政策的判断としてやっているわけですから、大蔵大臣、こういう現場の声も聞いていただいて、届いていると思いますけれども、ぜひ国金等の利用者にとってさらに使いやすい制度になるようにしていただきたいと思います。  時間の関係ではしょって申しわけありませんが、生活衛生局長にお伺いしておきたいと思います。  環衛の営業指導センターを通じて経営の健全化に努めておられるわけです。厚生省として業を所管するのはいかがかと私は思いますけれども、お尋ねしておきたいのは、厚生省としても各業界の危機意識は共有していただいているのだろうと思いますが、そのお考えをお聞かせいただきたい。  関係業種の業況の展望を、クリーニング業の皆さんでいきますと、今、コンビニですとかガソリンスタンドでも取り次ぎが始まりましたので、非常に取り次ぐ量が減ってきている。高齢化していますし、後継者難ということもありますから、クリーニング業は今非常に厳しい状況に各個店は置かれておられます。  ホテル業界でいいますと、これはぜひ大蔵大臣にお願いしたいのですが、郵政省関係のかんぽですとかを中心にいろいろな公的な宿泊施設ができてきますと、民間の旅館としては非常に苦しい経営に追い込まれるわけですね。官営の宿泊施設の設置は一定の歯どめがかかっているはずなんですけれども、進んでおりますので、特に郵政省、郵政大臣等に、機会があればぜひ大蔵大臣から官営の施設はやめていただきたいという申し込みもしていただきたい。  それから、飲食、理美容ともどもに非常に難しい状況に置かれておられます。  ということで、済みません、まず大蔵大臣からは、官営の施設が民間を圧迫することのないようにぜひ閣議等の場でおっしゃっていただきたいというお願いに対するお答えと、生活衛生局長からは、今所管されておられる環衛業界、どの程度危機的な状況にあるという御認識を持っていただいているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる民業圧迫ということはしばしば耳にするところでございます。ただいま御発言の趣旨は、私から当局にお伝えをいたします。
  67. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 いわゆる個人消費の低迷が続いているわけでございまして、環境衛生関係営業の経営につきましても大変厳しい状況にあると認識をいたしております。私どもの耳にも、各論として幾つかの例が入っているわけでございます。  環境衛生金融公庫の生活関連企業の景気動向等調査によりますと、平成十年の十月から十二月期では、赤字企業は三三%でございまして、対前年同月で売り上げが減少となりました企業が六七%でございます。いずれも増加の傾向にございます。  また、環境衛生関係営業は中小零細企業が中心でありますことから、金融不安に伴います民間の金融機関の貸し渋り等の影響を受けやすく、健全な経営に支障が生じることが懸念されているわけでありまして、このような状況に適切に対応いたしますために、環境衛生金融公庫におきましては、金融環境変化対策特別融資制度等の融資の充実を図りますとともに、全国環境衛生営業指導センター及び各都道府県の指導センターに対しましても、融資相談等につきまして十分な対応を行うよう指示する等の措置を講じているところでございます。  また、環衛業振興を計画的に推進いたしますために、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律に基づきます振興計画を策定した組合の営業者に対しましては、環衛公庫によります設備資金融資が、低利融資あるいは償還期限の特例等有利な条件で適用されますとともに、共同利用施設につきまして減価償却の特例が認められる等の税制上の特別措置が講じられているわけでございますが、今後とも、各業界の実情というものを十分お伺いしながら、経営の健全化のために対処してまいりたいと考えております。  なお、先ほど先生、公庫役員のところの御質問ですが、私の方から御答弁すべきところが漏れましたので、大変失礼いたしました。  環衛公庫におきましては、平成十一年の四月の時点におきまして出向者を昨年度より二名減らしているところでございますけれども、厚生省といたしましては、今後、新公庫への出向者につきましては、公庫のプロパーの職員の方々の育成あるいは適正配置といったこと、あるいは人事交流といったものを通じまして適切に対処していくようにしたいと考えているところでございます。
  68. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 終わります。ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
  69. 村井仁

    村井委員長 次に、上田清司君。
  70. 上田清司

    ○上田(清)委員 両公庫の責任者にお伺いしたいのです。  私は、国民生活金融公庫のこの生活は要らないというふうに思っておるのです。国民金融公庫で十分機能を果たすことができる。なぜ、わざわざ生活を入れなきゃいけないのか、その理由について両公庫の責任者にお伺いしたいと思います。
  71. 村井仁

    村井委員長 溝口官房長。
  72. 上田清司

    ○上田(清)委員 いや、委員長、ちゃんと質問に答えてくれないとだめですよ。尾崎総裁と坂本理事長にお伺いしたいのですよ。
  73. 尾崎護

    ○尾崎説明員 新公庫の名称につきましては、政府の方で御検討いただきましたことでございまして、国民金融公庫としての意見は差し控えさせていただきたいと思います。
  74. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 私といたしましても、政府でお決めになった方針に従って運営するという立場でございますので、考え方は同じでございます。
  75. 上田清司

    ○上田(清)委員 大体そんなところでしょう。  ところで、大蔵大臣環境衛生金融公庫支店がなくて本店業務だけで、実態的には国金の中の窓口で業務の処理をされたということは十分御承知だと思いますし、また、その他の金融機関に代理店として業務を委任していたと思いますが、こういうことを考えれば、かけかえだけでも看板代で相当お金がかかる。何か一説によると十六億というようなお話も聞いていますし、五十億というお話も聞いておりますが、この実態についてはいかがなんでしょうか。政府委員の方で結構ですよ。
  76. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 大体十二億でございます。
  77. 上田清司

    ○上田(清)委員 大変なむだ遣いだと私は思います。代理店数が一万四千百八、この代理店のいわば看板だとか、よくウインドーのところに白抜きで書いてありますね、国民金融公庫取扱店だとか、ああいう部分はだれが負担するのですか。
  78. 尾崎護

    ○尾崎説明員 国民金融公庫のケースで申し上げますと、代理店の看板は代理店が自分でおつくりになっておられるものでございます。
  79. 上田清司

    ○上田(清)委員 そうすると、そういう費用もまた御迷惑な話ですね。私は、国民のためにこの公庫はある、そして環衛業の業の人たちのためにある、お役所の都合で名前をくっつけたりしていることに関してすごい憤りを感じます、本当に必要なのかという。意味なんかないじゃないですか。全く意味がありませんよ。  国民環境衛生金融公庫といってだらだらと名づけるんだったらまだわかりますけれども、環衛関係の業種の人たちだって、国金に行きますよと言うんですよ、いつも。今から国金に行ってまいりますからよろしくと言って、私どもにも御連絡があるのです、窓口に少し声かけてスピードアップしてくださいとか、資金繰りの都合上で。国金に行きますと言って、環衛に行きますと言わないのですよ。それが、みんな看板がかわったら、かえってわかりづらいじゃないですか。迷惑な話じゃないですか。そんなのも気づかないのですかと私はきつく申し上げたいと思います。  どうしてそういうことをするのだ。メンツだという話ですよ。第一、大蔵委員会理事会で私がこのことを提案したら、委員長以下全員が、結構ですねと、そのとおりみんな言われたのですよ。大臣、どうでしょう。
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはいろいろ御意見のあるところだと思いますけれども、少なくとも、二つ公庫が一緒になるということは一つの変化でございます。よく、名は体をあらわすと申しますが、そういう変化があるときに、やはり前と同じ名前でいいとおっしゃいますのは、そういう御意見もあろうと思いますし、今政府の各省もどういう名前がいいかということでいろいろございましたところですから、名称というのは難しいものですが、やはり、二つのものが一緒になるときに前の名前をそのまま残しておくということは、これは考え方にもよりますが、一緒になられた方の立場からいえば、恐らく、それは前と同じかい、こういうことでよろしいのでしょうか、そこはやはり新しくなるんだから新しい名前にしたいと、普通の場合お考えになるのではないでしょうか。  経済合理主義からいえばいかがかとは思いますけれども、人情というのはそういうものでございますから、やはり新しいものになった、先ほどからお話しのように、決して環衛公庫の方が上だとか下だとかいうことでない、新しいものができるということは私は意味のあることだと思っていますので、十二億円というのは決して小さい金ではございませんけれども、公の機関が名前を変えるとなれば、やはりそれなりのコストがかかるということはあってもやむを得ないことだと私は思います。
  81. 村井仁

    村井委員長 申しわけございません、私からちょっと一言だけ。  理事懇談会で、私は、公正な運営を図る上で与党側に十分な検討をお願いをしたという趣旨でございますから、御理解をいただきたいと思います。
  82. 上田清司

    ○上田(清)委員 あるいは、ちょっと余計な発言があったかもしれません。委員長に対して申しわけないと思っております。ありがとうございます。  そこで、今いみじくも宮澤大蔵大臣が言われましたように、役所の方々の感性なんですね、今のお話は。国民の立場じゃないのですね。国民のために何をするかというのですね。お役人という言葉は、人のために役に立つ人たち、だから敬称をつけてわざわざお役人と言っているのですね。こういうことなんです。お役所も、国民のために役に立つところだと。国民の視点がないじゃないですか、今の答弁だと。いいですか。そういうことを私は強く申し上げたいというふうに思います。  先ほど同僚の山本議員からお話がありましたが、環衛の本店舗はなくすのですね。完全になくすのでしょうか。確認したいと思います。
  83. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 新公庫発足時におきましては、スペースの確保等難しい問題がございまして、当初から一緒にはできないわけでございますけれども、発足後、そういうスペースの状況等を考えまして一緒にすべきものだ、検討していくべきものだというふうに考えております。
  84. 上田清司

    ○上田(清)委員 なくすのですね。確認ですよ。
  85. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 そういう状況を見ましてなくすということでございます。
  86. 上田清司

    ○上田(清)委員 尾崎総裁、国民金融公庫の本店の方ですが、スペースはございますか。
  87. 尾崎護

    ○尾崎説明員 ただいまの状況も実はきちきちでございまして、現在の状況では無理でございます。
  88. 上田清司

    ○上田(清)委員 では、御近所に少し別室でもつくっていただいて、あるいは器に合わせてリストラも少しやっていくとか、そういうことも考えていただければ大変ありがたいと思います。  そこで、先ほどやはり山本議員の方からお話がございました。特に環境衛生関係では組合員でないと貸し付けができないということでありますが、今度大枠でそういう形がとられますが、この点についてはどのような形になっているのでしょうか。
  89. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 環衛公庫一般設備貸し付けを受けようといたします者は、原則といたしまして地域の環境衛生同業組合を経由いたしまして都道府県知事に推薦依頼状を提出するという仕組みになっているわけでございます。  この趣旨でございますが、零細な環境衛生関係営業者に適切な指導ができますように、環境衛生同業組合によります自主的な指導機能にも期待をしながら、業界の実情等に考慮した適切な融資を行えるようにするためでございます。  しかしながら、組合員でない方につきましては直接都道府県知事に提出することもできるということといたしているところでございます。  それからまた、振興事業貸し付けというのがございます。これにつきましては、環境衛生同業組合の長が発行いたします振興事業にかかわる資金であることの証明書というものを添付して申請するという仕組みになっているところでございます。これは、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律に基づきまして、いわゆる振興計画を策定いたしまして厚生大臣の認定を受けた場合に、その振興計画に基づく振興事業につきまして特別の貸し付けをする制度であるということに由来するものでございます。
  90. 上田清司

    ○上田(清)委員 新しい公庫では、そういうややこしい仕組みはなくてもいいのかどうかということを確認したつもりなんですが。
  91. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 新公庫業務が移管されるわけでございますけれども、今申し上げました仕組みの原則につきましては、そのまま移管されるということでございます。
  92. 上田清司

    ○上田(清)委員 せっかく統合をされて時代の要請に従ってやっていくわけですから、そういうところはむしろ簡素化されるような仕組みをつくったらいかがでしょうか、大蔵大臣
  93. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 現行の今私が申し上げましたような仕組みにつきましては、いわゆる環境衛生関係営業者の団体の方々からいろいろなお話をお伺いしながら、こういった方式でやっていくということで合意を得ているものでございまして、今直ちにそれらを見直すということは考えてはおりませんが、将来的にそのままでいいかということになりますと、引き続き関係者の御意見を聞きながら、より的確な融資が行われるという条件整備の必要性の検討は、これは当然のことであろうと思います。
  94. 上田清司

    ○上田(清)委員 私は、組合を通じて相互に研修やさまざまな情報交換を行いながら業としてそれぞれのレベルを自発的に高めていく、そういうことに関しては大変いいことだというふうに思いますし、組合に加盟される方々が多くなればなるほどまた組合が活発化し、なおかつ、その業種の技術水準等々も向上するというふうな考え方に立ってはいます。  しかし、やはり手続を簡素化するというのは非常に大事なことだというふうに私は思っております。やはり通常、例えば八百屋さんであれば八百屋さんの組合を通じて国金に行かれるかというと、そうじゃないわけですね。あるいは、建設関係の組合だったら建設関係の組合、管工事組合を通じて国金に行かれるわけじゃないんですね。その点を考えれば、おのずからその仕組みというのはより簡素になっていくべきだというふうに私は思います。逆に、貸し付けを得るために組合に強制的に入らなければならないという仕掛けが日本国憲法の原理からしてもよくない、こんなふうに私は思っております。  この点については、もう少し責任あるお立場の中から、大臣の答弁の中で、もう少しここは検討を加えていかなきゃならないというふうに御答弁をいただかないと、担当局長の御答弁だけではちょっと政治的に前向きに進むのかなというふうに私は思いますので、ぜひきちんとした御答弁を大臣から賜りたいと思います。
  95. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃっていらっしゃることは一般論としてよくわかりまして、組合というものができて、みんながそこで共存共栄をしていくということは、おっしゃるように好ましいことでありますけれども、今度は組合が、あるいはひょっとして組合の一部の人たちが力を持って、その結果として組合員一人一人が平等に扱われない結果になるおそれがあるということは日本憲法としてどういうことか、そういう問題の御提起です。  私は、問題の御提起の意味はよくわかっておりますが、何分にも、そういうおのおのの世界にはおのおのの世界のしきたりがあるし、いろいろいきさつもございましょうと思います。それは全部簡単に無視してしまっていいということではございませんから、殊にこの場合には、行政がたまたま私自身のじかに関係する行政ではございませんので、よくそこは政府委員から、また、所管の大臣にも御意見のあるところをお伝え願うことが適当なのではないか、こう考えます。
  96. 上田清司

    ○上田(清)委員 時間が参りましたので終わりますが、最後に、先ほど、山本委員からの理事の構成の問題だとかについて、官房長からちゃんとした答えが出てきませんでした。やはり人事の配置というのはその組織の性格づけを行うものですから、そこの部分がきちっとできていないというのはどういうことだろうというふうに私はすごく危惧を感じます。  内部の登用をしっかりしながら、意欲的に職員の人たちがきちっと頑張れば、理事になり、あるいは総裁になっていくという仕組みをきちっとつくっていく、そういうことが大事だ。要するに、できるだけ天下りを避けよう、そういうことを私は最後に申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  97. 村井仁

    村井委員長 次に、並木正芳君。
  98. 並木正芳

    ○並木委員 改革クラブの並木でございます。公明党・改革クラブとして質問させていただきます。  このたび、国民金融公庫環衛公庫統合するということですけれども、その方向性自体については特に異論はあるものではありません。  しかしながら、これまでの環衛公庫役割でございますけれども、環境衛生業界が厚生省の指導下にある、また、ある意味では国民の生活サービスに資している、こういう団体をそれなりに育成していく、融資制度としてはこういうための融資制度があるのはわかるわけですけれども、しかし実際、実務的にはこれまでにも国民金融公庫が行ってきたわけです。  そういうことを考えますと、これまでむしろ独立した機関として環衛公庫が一体必要であったのか、今回の統合自体はむしろ遅きに失した、こういうような考えを持っているわけなんですけれども、この辺についてはいかがお考えでしょうか。
  99. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 飲食店の営業でありますとか理美容業、浴場業等の環境衛生関係営業者につきましては、一般的に経営基盤が脆弱で非常に不安定であります上に、衛生上のさまざまな規制が行われているわけでございます。そういった状況にあるにもかかわらず、経営の近代化へのおくれというものがありまして、衛生水準の維持向上に支障を来すおそれがあるわけでございます。また、国民金融公庫による貸し付けでは、環境衛生関係営業特殊性に応じました融資を行うという要請にこたえることが必ずしも十分でなかったということがございまして、環境衛生関係営業に対します融資を行うことのできる専門性の高い独立した政府金融機関ということで、昭和四十二年九月に環衛公庫は設立をされたところでございます。  設立以降、環衛公庫は、環境衛生関係営業者の衛生水準の向上あるいは近代化の促進という観点から、業種ごとの特性に応じましたきめ細かい制度企画立案あるいは制度改善等に努めてきたところでございます。  なお、環衛公庫融資業務国民金融公庫等委託してきた点につきましては、既存の金融機関の窓口を活用しながら利用者の利便性の向上を図るという観点から行っているものでございまして、環衛公庫の必要性とは別の問題ではないかというふうに私どもとしては考えております。
  100. 並木正芳

    ○並木委員 まだ十分に理解はできなかったわけなんですけれども。  この両公庫の人事なんですけれども、特に幹部人事。これまで環衛公庫は、理事長は常に厚生省、そして理事、監事は周期的に厚生省あるいは大蔵省、警察庁等々、決まった年数というように近い状態でそれぞれ後任が決定されていく。国民金融公庫は、総裁は当然、大蔵事務次官がずっと務めている。こちらは生え抜きの人もいるようですけれども、省庁枠というのが設定されているように見受けられるのですけれども、こうした慣例というのがあったのでしょうか。
  101. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 先ほどの質問お答え申し上げましたが、総裁、監事につきましては大蔵大臣、主管大臣の任命でございまして、副総裁、理事につきましては主管大臣の認可を受けて総裁が任命するということでございまして、その都度、役員になる方の識見、経験等々を勘案しまして選任をしてきておるということでございます。
  102. 並木正芳

    ○並木委員 どうも、その指導、育成、そういう傘下にいろいろな団体がある、それに援助をしていく、そういうことはそれなりにはわかるのですけれども、考え方によると、一種子会社のような形で人事が行われていく、こういう慣行があるやに見受けられて、それ自体が組織の硬直化とかを招きかねない、こういう懸念をして、これからそういうことであってはならないというふうに思うわけですけれども、その辺については、今後特に改めるというようなところは考えていないのでしょうか。
  103. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 特殊法人等役員等につきましては、先ほど申し上げましたけれども、閣議の決定もございます。それから、委員の御指摘のような御意見もございます。それから、私が先ほど申し上げました選任の手続もございます。そういうものを総合いたしまして適切に運用してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  104. 並木正芳

    ○並木委員 そのお言葉のとおりでやっていただければということなんですけれども、要するに、統合しても、今度は違った枠組みをつくるというような中で人事管理等が行われていくというのは、私は好ましくないという考えを述べておきたいと思います。  ところで、今、理事役員の話が出ましたけれども、統合によりましてこの数は減っているわけです。しかし、職員数、組織はほとんど変わっていない。これはいろいろな方からの御指摘もあるところだと思いますけれども、閣議決定によれば、特殊法人等整理合理化というようなことで財政の点でも資する、こういうようないろいろな意義を考えているわけですけれども、こういった現段階の程度のもので果たして閣議が目指す行政改革と言えるのか、甚だ疑問があるわけです。  現在、貸し渋り対策等々問題になっておりまして、それなりに業務煩多ということをお聞きするわけですけれども、今後は一〇%削減とかいう話もありますけれども、その辺の職員数あるいは組織についての合理化や見直し、こういう見通しを明確にお持ちなのか、この方針についてお聞かせいただければと思います。
  105. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 両公庫の定員の削減につきましては、既に過去の計画におきまして十三年までの定員の削減の計画ができているところでございます。国民公庫につきまして二百名弱でございまして、環衛公庫についても同様な計画ができております。さらに、今般の行政改革等々でも特殊法人の見直しをやっているわけでございますから、御指摘の点を踏まえ、合理化について引き続き努力をしてまいりたいと思っておりますが、ただ、現状におきましては、御承知のように貸し渋りということで、両公庫とも全力を挙げて総動員して取り組んでいるところでございまして、現在の状況におきましては、今の体制をなるべく有効に使っていくということが大事ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  106. 並木正芳

    ○並木委員 なかなか現状の肯定的なお話しか聞けないわけですけれども、行政改革の意図するところは、業務の減量化、重点化に努め、将来にわたる財政負担を含め、財政依存の抑制に努める、こういう趣旨だということです。現状では、この統合がこうした方向性にない、職員数の減とか組織の合理的な明確な見通しも持っていないというようなことを感じるのですけれども、本当にこの統合で財政に資するところありとお考えなのでしょうか。
  107. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 発足する時点につきましては、御指摘のように確かに、職員数の削減も全体で八名でございますから、大きくはございません。しかし、これにつきましては、やや繰り返しになりますけれども、現在、貸し渋りということで全力を挙げて対応しているわけでございます。  しかし、そういう中で、統合に伴いまして総務部門を合体いたしまして、そこで合理化を図るというような努力はしているわけでございます。それから、業務量はふえておりますけれども、限られた人員を有効に活用することで対応するということで実質的な合理化を行っているということでございます。  両公庫の民間金融の補完という役割をしっかり頭に置きまして、経済の状況等を見ながら、両公庫役割に即した合理化、適正化を引き続き努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  108. 並木正芳

    ○並木委員 まさに大蔵省の、あるいは大臣もいろいろな場でおっしゃっている財政の健全化、その精神を厳しい中でも貫いていく、そういう意味では当然そうした方向性をぜひ進めていただきたい、そういうふうに思うわけです。  ところで、先ほどからお話し申し上げましたとおり、実務というのはこれまで国民金融公庫によって行われてきたわけです。そうしたことから、環衛公庫の職員の業務というのは委託依頼、これについてはそれなりの企画等もあるのだと思いますけれども、あるいは監査業務などであったと思うわけです。それが、統合された後、ある部分で特別な業務をやっている、そのような職員が今後どのような業務に従事して、新しい国民生活金融公庫の中でうまく役割を果たしていくのか。  その中で、新機関の業務運営上、特別の融資枠を設定して専門担当部門設置するということもありますけれども、その部門事業計画あるいは予算計画の主務大臣の認可というのを監視しながらこの中で働いていくというようなことなのかというふうにも解釈するわけなのですけれども、こういうふうになると、特別な権益を持った、省益を持った方がその中にいて働くということで、むしろ融資の柔軟性とか効率化というのが妨げられるのではないか。むしろ、先ほど融資額が大きくなるというメリットもあるというようなお話もあったわけですけれども、もっとフレキシブルな形で融資をしていく方がいいのではないかと思いますけれども、その辺の人事配置と今のお考えについての見解はいかがでしょうか。
  109. 小野昭雄

    小野(昭)政府委員 環衛貸し付けにつきましては、環境衛生関係営業につきまして、衛生水準を高める、また近代化の促進あるいは公衆衛生の向上を図るということを目的といたしているわけでございまして、一般事業資金とは融資目的が異なるということから、特別の融資枠を設定いたしますとともに、貸付制度企画立案あるいは融資業務に当たりましては公衆衛生等に関します高い専門性が求められます観点から、専門担当部門を設けることとしたものでございます。  また、新公庫におきましては、四半期ごとに貸付業務ごとの貸付予定額が明らかになるように事業計画及び資金計画を作成することとされておりますけれども、これは、環衛貸し付けに関します特別の融資枠事業計画及び資金計画において明らかにするという趣旨でございます。  政府金融機関におきましては、特別の政策目的を達成するために財政投融資資金等の公的資金を原資といたしまして政策融資を行うものでございますので、その事業計画及び資金計画につきましては、主務大臣の認可を通じ政府が責任を持って監督することが必要であるということで、融資の柔軟性、的確迅速を妨げるといったものではないのではないかというふうに考えております。
  110. 並木正芳

    ○並木委員 どうもまだこれから人事的な問題とかあるいは合理化とかが進められていくような気もしますけれども、そういったところも今後見守っていきたい。支店の合理化とかどこまでできるのか、あるいは本店、当然二つが一つになるのですけれども、その辺も、先ほどからまだ明確な方向性が見られないのですけれども、これはそういうことではお答えも繰り返しになるかと思いますので、その辺は見守っていきたい、そんなふうに思います。  ところで、国民金融公庫環衛公庫とも、延滞債権額及び延滞率とも増加してきているわけです。当然、私どもも、政府金融機関が貸し渋り対策に配慮してほしいというふうなことも申し上げてきました。  しかし、貸し渋り対策に資することはもちろん必要だと考えますけれども、ある面で、民間金融機関が今後、今まで貸すに貸せない、自分のところが火の車、こういう状態がやや落ちついてきて、しかしながら、貸そうと思っても貸せるような状態じゃないという、いわゆる顧客の方の懸念があるというふうな中に貸し増しをしていくということになると非常に事故率が高くなっていく、こういう考えもあるわけです。  この辺に一定の慎重さも必要であるというふうに考えるわけですけれども、その実態と最近の融資の傾向、やや不良顧客がふえていくというような傾向が見られるのかどうか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  111. 尾崎護

    ○尾崎説明員 お答え申し上げます。  最近の融資の傾向でございますが、平成九年秋の経済対策以降、非常に伸びが大きゅうございました。しかし、昨年の秋に特別保証制度が行われまして、政府の中小企業金融に対する対策が多様化されてきたことによりまして、最近は落ちつきを見せている状況でございます。  融資傾向の特色というお話でございましたが、現在の景気の情勢でございますので、残念ながら設備資金が弱い。それから、私ども新規開業貸し付けというのに非常に力を入れているわけでございますが、それも大体九年度、十年度、横ばいぐらいでございます。そういう中で、運転資金、つまり貸し渋り対策としての後ろ向き資金が伸びているという状況でございます。  私ども、とにかくお貸ししておりますお客様の四割が欠損企業であるというような、非常に経営基盤が脆弱な方々融資をしている状況でございますが、そういう中でお客様の御期待に備えてこれからも努力をしてまいりたいと存じます。
  112. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 環境衛生金融公庫関係について、概略を申し上げます。  私どもは、主として設備資金融資するという役割を担っていまして、もちろん運転資金もお貸しするわけでありますが、結果といたしまして大部分が設備資金でございます。最近の貸し渋りの問題というのは、私どもにとっても大変難しい問題でございますけれども、それと、環衛業界の経営状況が、やはり今日の不況の影響を受けてなかなか新規の設備投資意欲がわいてこない、あるいは従来の設備を改善するという意欲もなかなかわいてこないというようなことで、最近、貸付実績としては従来から見てやや低目に推移しておりますが、平成十年度におきましては、対前年度で四・三%の伸びを見まして、少し上向きかげんであるという感触も得ております。  一方、こういう中で、できるだけ資金需要に応じながらも不良債権を出さないようにという要請も当然あるわけでございまして、ここは私どもとしてもなかなか苦慮しておるところでございます。御承知のように、ほとんどを国民金融公庫と市中金融機関委託して審査、貸し付けをお願いしておりますので、その点については、十分現下の状況と適正な貸し付けを実施していただくようにお願いをいたしておるという状況にございます。
  113. 並木正芳

    ○並木委員 今のような御説明をいただいて、それなりに現在抱えておる問題もわかったわけなのですけれども、こういう情報の開示、その役割国民説明していくというようなことは大切かと思います。  ところで、開銀とか北東公庫、輸銀については、平成九年の三月期から、全銀協の基準によってリスク管理債権等を開示しているわけです。国民金融公庫環衛公庫もそれなりに情報開示が進められつつあると思いますけれども、統合後の国民生活金融公庫も不良債権の情報開示により、今のような問題、具体的な数字はなかったですけれども、これにより積極的に努め、融資実態を透明化していくべきだ。そういう時代なのじゃないかと当然お考えでしょうけれども、その辺について御見解はいかがでしょうか。
  114. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 国民公庫環衛公庫のディスクロージャーにつきましては、八年三月からの延滞債権につきましては公表をいたしておりましたが、御指摘のように、十年三月期から、リスク管理債権の考え方に基づきまして、破綻先債権、延滞債権及び三カ月以上延滞債権の額についても公表し、その充実に努めておるところでございます。  開銀、輸銀等と異なります点は、貸し出し条件緩和債権、金利減免債権等につきまして、環衛、国民についてできていないわけでございますが、貸付者の数が膨大であるというようなこともございまして、若干ほかの機関と異なる性格もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、新公庫業務の性格、政府金融機関としての特性を勘案いたしまして、民間金融機関における動向も参照しながら、御指摘の点、検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  115. 並木正芳

    ○並木委員 その実態は、大変数が多くて細かいというのは失礼なのかもしれませんけれども、そういった点での情報開示というのが安易に考えられがちとも思うので、その辺、その方向性、しっかりとお願いしたいと思います。  ところで、また財務についてなのですけれども、効率的な資金繰りを可能とするため、民間金融機関からの短期借り入れ及び債券発行を認める、こういう新たな財務の運営方法が行われるということなのです。具体的に、これを民間から借り入れるとか、短期ということですから、予算の端境期とかそういうつなぎ資金程度というふうに考えられているのかとも思いますけれども、ここらはどのような資金運用を考えられているのでしょうか。
  116. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 両公庫長期的な貸し付けにつきましてはいわゆる長期の借り入れで対応するという基本は今後とも変わりはないと思います。ただ、これまでもそうであるわけでございますが、両公庫とも小規模企業等に対する貸し付けが主体でございまして、先ほど少し説明申し上げましたが、貸し付けは借入者の方の事情によりまして月末の決済に対応するというようなことで、月末に貸し付けが集中するわけでございます。他方で、返済の方は五日ごとにやや平均的に行われるということで、月内、一カ月の間に資金繰りの変化が、ギャップが生ずるわけでございます。  そういう短期的なギャップに民間からの資金の借り入れでも対応できるようにするというのが今回の改正の趣旨でございまして、短期の資金繰り対策ということでございます。
  117. 並木正芳

    ○並木委員 わかりました。  いよいよ金融ビッグバンが実施されていく、そういう中で今後は間接金融よりも直接金融の度合いが大きくなる、こういうふうに言われております。  ただ、国民生活金融公庫が扱う顧客というのは、直接的に資金調達する、そういうような点では、事業者といっても小規模なもので、非常にそういう資金調達の方法というのは困難なものが多いとは思うわけですけれども、間接金融においても、今後、ノンバンク等々の規制緩和によって融資役割が変化していくんじゃないか、民間のそういう工夫がかなり見られていくんじゃないかというふうに思うわけです。そうした中でのこの国民生活金融公庫役割がいかに今後も存続していくのか、その辺の見通しについてはいかがお考えでしょうか。
  118. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 両公庫政府の貸付金融機関でございまして、政府系の金融機関役割は、やはり民間の金融の補完ということでございますから、民間で対応できる部分について政府系の金融機関がすべきではないのはもちろんでございます。  逆に、民間部門で対応できない部分につきましては、これは政府系がきちっと補完するということでないとその間の方々も困るわけでございまして、そういう面におきまして、当面におきましては、まだ民間金融機関の経営の状況等を見ますと対応できない部分というのが相当あるわけでございまして、そこは新公庫になりましても対応すべきものだというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、長期を見通しますと、それは、民間でもそういう部門にさらに進出するというようなことがございますれば、それに応じて新公庫業務を見直していくということではないかというふうに考える次第でございます。
  119. 並木正芳

    ○並木委員 では、この法案としての直接的な質問の最後ですけれども、もしよろしければ大臣にお答えいただければと思います。  民間が非常に貸しにくい、こういうような相手、そういうふうなことも言えるわけですけれども、そういう状況の中で政府機関がこれを肩がわりしていく、それほど国に財政的余裕がないんじゃないか。でありながら、もともとこの運営自体が赤字で当たり前だ、人件費等々は当然赤字になっていくわけですけれども、こういう政府金融機関というのが今後存続していくべきか。大変それは厳しい財政事情があると思います。その財政事情を勘案して、これを早期に全般的な検討をするべきと考えるわけですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 問題を、国民金融公庫、在来の国民公庫の仕事に限って申し上げますならば、公庫発足以来非常に長い年月がたちますけれども、ずっと私公庫の仕事を、詳しくではありませんが拝見していまして、やはり、経営でいえば、経営基盤が弱いといいますか大きな信用力がない、あるいは家庭には家庭でいろいろな問題がある、普通の金融機関の話、信用金庫の話にすらなかなか乗りにくいというようなケースを国民金融公庫がずっと何十年対応してきてくれたというその実績というものは、私は非常に大きなものであるというふうに考えております。  セーフティーネットという言葉を間違えて使いますと誤解を生みますけれども、少なくとも、そういう意味で非常に社会の安定、これは一定の層を私は申すのではなくて、しょっちゅうしょっちゅう入れかわっておりますから、だれだれが貧乏、だれだれが金持ちという気持ちはございませんけれども、絶えずそういう立場にいる人々のために働いてきてくれたというふうに考えておりまして、こういう悪い経済情勢でございますと、またそういう人たちに、政府のいろいろ、信用保証措置はそれといたしまして、やはりこういう機関が対応してきてくれたという思いがございます。  こんな悪い経済状態がいつまでも続いてもらっても困りますが、そうでなくなりましても、しかし、そういうニーズと申しますか、救済と申しますか、処理と申しますか、そういう必要をだれかはやはり持っていて、それに対応するとすれば、それはやはり基本的に利益を追求する民間の機関では十分に対応できないのではないか、そういう思いがいたしますので、私としては、経済がまたもとに戻り日本が繁栄に戻りましても、やはりそういう必要は常にあって、それは国の仕事でなければ適切に対応できないということではなかろうか。強いておっしゃいますので、十分根拠もないまま気持ちを申し上げておるわけでございますけれども、私は、そんな感じをいたしております。
  121. 並木正芳

    ○並木委員 その考えも、一つ有意義なことだと思います。ただし、今後ますます財政事情の中で検討すべき課題は多いと思いますから、それは逐次、今後いろいろな指摘をさせていただきたいと思います。  ところで、時間の関係もありますので、景気対策について、せっかくの機会ですので、数点お聞きさせていただきます。  四月の月例経済報告でも、現状認識が、景気というのが各種の政策効果に下支えされて下げどまりつつある、こういう判断で、住宅建設とか企業の業況判断、こういうのに改善の動きが見られる、また、ゼロ金利政策などで非常に金融市場の安定、安心感が高まった、こういうことも言われております。  しかし、今春の四年制大学卒業者のうち、就職希望者の内定率というのが、三月の一日時点ですけれども、八八・七%と、調査開始以来これは初めて九〇%を割るという最低の率になった、失業者数は三百万人を超えて大変雇用情勢が厳しくなった、こういうふうな傾向であります。また、先ほどの話にもありましたけれども、設備投資の大幅減というのが続いている。そういうふうな形では、景気はよくなってほしいという期待はあるものの、まだまだ回復軌道に乗ったとは言えないんじゃないかと思うわけです。  なおかつ、こういう状況の中で、総理は経済成長率〇・五%を必ず達成できるというふうに言い続けられているわけですけれども、年度後半の秋口には息切れするんじゃないか、こういう懸念が多くの方から指摘されているところだと思います。民間等々のいろいろな調査機関等におきましても、最高でゼロ、あるいは最低はマイナス一・八%と、このほどまとめられた主要経済機関の調査においてはそういう数字も出ております。また、世界銀行の見通しもマイナス〇・九%ぐらいじゃないかと。  これでもう海外は日本の景気回復の先行きを決して楽観視されていない、こういうことであるわけですけれども、なお現況において〇・五%成長を見通しておられるのか、その点、確認しておきたいと思います。
  122. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは昨年から申し上げていたことでございますけれども、平成十一年の三月になりますとかなり雇用が深刻になる、殊に各企業の決算というのは今から思っているよりはもっと悪いのではないか、そういう一種の空気ができ上がっていきますと、リストラもやりやすいと申しますか、雇用からいえば深刻な事態になるということは以前から申し上げておりました。  また、補正予算でも本予算でも雇用のための準備は十分いたしておるつもりでございますが、今そのところにかかってきておりまして、これは予想されないことではございませんでしたが、やはり起こってみて、なかなか深刻なことだというふうに思っております。  堺屋経済企画庁長官が言われますように、幾つか、そう思って見ると明るいことはございますのですが、ただ、設備投資は、おっしゃいますように当分大きな期待はできませんし、民間需要、消費というものも、こういう雇用状況もあり、また給与もオーバータイムなんていうのは到底ございませんし、だんだんパートになっていくというようなことで、消費性向が仮に上がるというようなことでもあれば別ですが、なかなか大きな期待はできない。ですから、各国が日本がそうおいそれとプラス成長にならないだろうと考えていることは、消費と雇用というもの、消費と設備投資というものがなかなか期待できないということを反映しているんだと私は思っています。  ですが、〇・五%のお話ですが、今我が国の経済はマイナス成長というのがもう五四半期続いておりますので、これはもうずっと滑っておりておるところでございますから、そこから仮に〇・五%のプラス成長があっても、そう自慢できるほどのことではない。前が前でございますから、五四半期も滑っているのでございますから、そこで〇・五%ぐらいの成長があっても、私は、自慢もできないが、そうそれは不可能なことだということもないのではないか。ただ、どっちにしましても、そこからぱっと非常によくなっていくというふうにはもちろん思っておりませんが、長い間の滑りがとまると考えることは、私はそんなに過度に楽観ではないというふうに思っております。
  123. 並木正芳

    ○並木委員 楽観じゃないということなんですけれども、〇・五%成長確保、これをしようと思えば、年度後半に向けて新たな景気刺激策、これを行わなきゃならない。そうするとまた赤字国債の発行だということになると、これ自体が先行きの大きな不安要因として景気の足を引っ張ってしまう。そういうことを考えると、むしろ現況が、物余り、人余り、機械余り、こういう調整局面であることを国民説明して、無理をして禍根を残すより、せいぜいゼロ成長までが精いっぱいと、むしろそんなところで頑張るべきじゃないかというふうにも考えるわけですけれども、それとも、あえて強力に赤字国債発行もしてさらなる景気対策を行っていくつもりなのかということ。  もう一つ、財政事情が大変緊迫しているわけですけれども、このゼロ成長を確保するのさえかなり思い切った方策を進めていかなきゃならない。こういうふうに考えると、政策減税といいますか、いわゆる二十一世紀に向けて日本経済の転換と雇用創出に役立つと言われている分野、そういう分野への投資減税、税制優遇措置ということですけれども、具体的には、都市再開発だとか情報インフラとか教育、人材育成、福祉インフラ、環境、こういう分野についてむしろ政策減税を進めていくべきという考えがあると思いますけれども、こういう形で、かなり厳しい税収でありますけれども、さらなる政策減税を行っていく。  あるいは、不動産の流動化ということで、これも、凍りついてしまったような土地取引であるわけですから、住宅減税といった対策にとどまらず、ここは期間を限定する必要はあると思いますけれども、土地譲渡所得税とかあるいは不動産取得税、登録免許税、こういうものの関連税制、こういったものに特別措置を考えていくということが必要かなというふうに考えるわけです。また、過剰生産設備を廃棄する、これを後押しする、償却に減税措置を大きく認めていく、こんないろいろな考え方があると思うんですが、これについて最後にお答えいただいて、質問時間になると思いますので。
  124. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 小渕内閣発足以後でも、補正予算あるいは十一年度予算等を通じてかなりのことをいたしてまいりましたが、それ以前も何年か相当な景気刺激策をやっておりまして、そういうことの累積効果というものがやはり一つ大事なことではないのだろうか。去年とことしと単年度を比べるのも一つでございますが、累積の効果というものがやはり無視できないのだろうというふうに私は考えておりますので、今といたしましては、私は、補正をするとかどうとかいうことを考えておりません、やるべきことはここまででやってきたというふうに考えております。  ただ、今おっしゃいましたように、一般減税ではなくて特定な政策目的を持った政策減税、それもかなり即効的なもの、あるいは投資、または、さっきおっしゃいましたような意味での資産効果に関係があるようなもの、そういうものはそれとして考える必要があるかもしれない。大きな金額に性質上なるわけではございませんけれども、そういうことはやはりいつも考えておく必要はあるだろうということは、私は御指摘のことはごもっともな話だと思います。
  125. 並木正芳

    ○並木委員 時間でございますので、ぜひその辺、重点化した減税措置を考えていただければと思います。  ほかに答弁を用意していただいた向きもあろうかと思いますけれども、大変申しわけございませんけれども、時間でございますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございます。
  126. 村井仁

    村井委員長 次に、矢島恒夫君。
  127. 矢島恒夫

    矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  まず、私は、提案されている改正法案の中の名称の問題で一つだけお尋ねしたいんです。  私、名は体をあらわすという言葉がありますけれども、国民金融公庫という名前が最もその体をあらわしている、こう思います。この名称変更の必要がないという理由については、既に同僚議員の方から質問等ありました。重複を避けまして一つだけ確認しておきたいわけであります。  それは、業務委託をしている全国に約一万四千店と言われている代理店、それから全国の郵便局、こういうところの看板の書きかえの費用については、看板の書きかえだけではないと思いますが、それらの費用については相手持ちだという御答弁がありました。つまり、代理店や郵便局持ちということですが、その費用の総額は幾らになりますか、お答えいただきたい。
  128. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 名称の変更に伴います経費は約十二億円でございます。
  129. 矢島恒夫

    矢島委員 その十二億円というのは、今私が質問したものも全部含めて十二億円というのかどうか、確認したいと思います。
  130. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 代理店の方は公庫の総裁からお答え申し上げましたけれども、公庫の方で手当てをするわけではございませんで、今の十二億円の中には入っていないわけでございます。
  131. 矢島恒夫

    矢島委員 だから、それは幾らになるかということを聞いたわけです。
  132. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 申しわけありません。そこは公庫の方で負担するわけではございませんので、把握できないわけでございます。
  133. 矢島恒夫

    矢島委員 代理店や郵便局に迷惑だけかけておいて、それが幾らになるかわからないというのは非常に無責任ですよ、それは。お願いしておいて、そして名称変更した、それでいろいろと費用がかかる、かかるけれども、それはあなた方が持ちなさい、幾らになるか全体では私たちはわからない。  これはやっていてもしようがないから、直ちにそれが総額幾らになるか計算してもらいたい。できれば、私がこの質問をしている最中にお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  法案の中の「目的」についてお尋ねします。  現行の国民金融公庫法の第一条を見ますと、「銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことを目的とする。」こうあります。これが今度の改正案によりますと、「一般金融機関からその融通を受けることを困難とする国民大衆が必要とするものを供給し、もつて国民経済の」以下云々となっています。  これは、現行の環境衛生金融公庫法の第一条の「目的」、この表現もあわせて生かされたもの、こう思うわけですけれども、この両方の、現行の二つの目的、これを統合した表現、つまり現行の国民金融公庫法資金供給の目的というのは基本的に変わらない、こういうふうに読むわけですが、そう理解してよろしいですか、大臣。
  134. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のとおりでございます。
  135. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、次に第四章、「業務」のところですけれども、業務の範囲が書かれております。  現行の国金法の第十八条第一項、ここには「生業資金及び教育資金小口貸付けの業務を行う。」とあります。第二項には、「銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して、小口事業資金を供給することをいい、」と書かれております。さらに、第三項に行きますと、「銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して、」以下、「必要な小口資金を融通することをいう。」こういう表現になっております。  そこで、改正法案の第十八条を見ますと、「生業資金」というのが「事業資金」という表現に変わっておりますし、あるいは、「小口貸付け」という表現も「小口事業資金」あるいは「小口教育資金」という表現になっております。  また、現行の環境衛生金融公庫法の方を見ますと、その「業務の範囲」というのが第十九条にありますけれども、それの内容というのが改正案の十八条に生かされているんだな、こうも読めるわけであります。ただ、現行国金法の十八条の二項、三項にある「銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して、」という表現が今回は消えているわけですね。  私は思うに、これは第一条の「目的」でうたわれているので重複を避けたというのかと思うのですけれども、そのとおりなのかどうか。したがって、改正法案というのは、基本的には現行の国金法の業務の範囲、それと環衛公庫法の業務の範囲、これを統合したものだ、こう理解してよろしいかどうか、お尋ねします。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  136. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のとおりでございます。
  137. 矢島恒夫

    矢島委員 その目的及び業務範囲、これは変わらない、こういう答弁だと思いますので、それは結構だと思います。  そこで、依然として今日不況が続き、金融機関の貸し渋りが続いているわけですが、十三日に発表されました日銀の三月の貸出・資金吸収動向、これを見ていますと、都市銀行など金融機関五業態の貸出残高、これは前年同月に比べて三・八%減、五百六兆六千六百億円、九八年一月から十五カ月連続マイナスになっている、こういう発表になっております。また、帝国データバンクが四月十四日に発表したところの九八年度の企業倒産件数、これは前年度比で〇・三%増、一万七千四百九十七件。バブル崩壊後で最も多い数字がここにあらわれております。  このような日本の経済の中で、銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して小口融資を供給する、先ほどそのとおりだとおっしゃられましたが、そういう国金の使命、こういうものはいよいよ重要になってきているということは申し上げるまでもありません。  そこで、総裁にお聞きしたいのですが、今私が述べたこととも関連して、今日、中小企業の置かれている現状を総裁はどう見ていらっしゃるか、その中で国民金融公庫はその役割を十分果たしていると言えるのか、その認識をお聞きしたいと思います。
  138. 尾崎護

    ○尾崎説明員 お答え申し上げます。  まず、現在、中小企業が置かれている状況についての認識でございます。  私ども、全国小企業動向調査というものを行っておりまして、これは四半期ごとに行うわけでございますが、いわゆるDIを調べておりますけれども、その状況は現在非常によくない状況でございます。  ただし、平成十年の十月—十二月、それから平成十一年の一月—三月と続きまして頭をもたげてまいりました。そう大きな上昇ではないのですが、少々上昇をしてまいりました。それから、次の期の見通しにつきましてもやはり上昇しております。全体のレベルが低い中で二期連続上昇という久しぶりの状況があらわれている、そういうことでございます。  売り上げとか資金繰り等を見ましても同様の傾向でございまして、若干よくはなってきておりますが、何しろレベルは依然として低いものですから、中小企業を取り巻く環境は今なお厳しい状況にあると私どもは認識いたしております。  その中で、国金は役割を果たしてきたかという御質問でございました。  平成九年秋の経済対策以来、先生御承知のように、国民金融公庫の貸し出しは大幅に増加してまいりました。貸し渋り対策と言われたものでございます。平成九年十二月から十一年三月までの貸付実績を申し上げますと、速報値ではございますが、件数約六十六万五千件、金額で約四兆六千億円、これを前年同期と比べますと、件数で約四万二千件、七%増、それから金額で四千七百億円、一一%増ということになっております。  状況の悪い中で、役職員一丸となりまして努力をしてまいりました。このような成果を上げているわけでございますが、私ども努力をいたしておりますが、これについて十分かどうかというお話については、自分の問題でございますので、判断を御容赦いただきたいと存じます。ただ、一生懸命努力をしてまいりました。
  139. 矢島恒夫

    矢島委員 一生懸命努力しているという御答弁ですけれども、十分かどうかというのは、いろいろと今までの統計数値等で判断していかなきゃならない問題があろうかと思います。十年度の速報値の話もございました。  そこで、私は、本当に十分かどうかということについて、いろいろな観点からお尋ねしていきたいわけであります。  その一つは、総裁は「実業界」という雑誌、九八年の十一月号ですけれども、その中でこういうことを述べていらっしゃいますね。「よく「国金は中小企業の駆け込み寺だ」などと表現されますが、貸し渋りの熾烈な今こそ私どもの出番であり、駆け込み寺として大いに利用していただきたいですね。」こういうことをおっしゃっているわけであります。さて、駆け込み寺になっているかどうか、この問題であります。  そこで、国金の方にお聞きしたいんですが、ひとつ、過去五年間の全貸し付けの件数、それから金額、どのように推移しているか、フローの数字でお答えいただければと思います。
  140. 加藤靖昌

    ○加藤説明員 それでは、実績についてお答えさせていただきます。  私ども、事業資金のほかに、先ほども御議論ございました教育貸し付け教育ローンもございますけれども、先生お尋ねの全貸し付けということでお答えをさせていただきます。平成十年度はまだ件数について確報が出ておりませんので、五年度から五年間の数字を申し上げさせていただきます。  平成五年度でございますけれども、件数が八十九万件、金額四兆五千五百億、それから六年度でございますけれども、件数七十七万件、金額三兆五千七百億、七年度、七十五万件、金額三兆六千百億、それから八年度でございますけれども、件数七十万件、金額三兆二千億、九年度、七十六万件、金額三兆四千九百億でございます。なお、十年度の金額の速報でございますけれども、金額につきましては三兆七千八百億程度になってございます。
  141. 矢島恒夫

    矢島委員 今のお答えから、件数で見てみますと、平成五年度、その前を見ますと大体増加しているんだと思うんですが、六年度から八年度までずっと下がってきて、九年度にやや増加している。特に九年度を見ますと、これは平成五年度に比べてみますと、件数でいいますと十三万前後の減少になりますか。それから、金額で見るとほぼ同様の傾向にありますね。平成五年度より九年度は一兆円超、わずか超ですが、一兆円以上少なくなっている、こういう結果が見られると思います。  私、資料をいただきまして、予算規模と実績の推移、これをちょっと見させていただきました。そうしますと、九年度、十年度とも予算規模は四兆四千百六十億円。実績はどうかといいますと、十年度は速報値ですけれども、九年度より二千八百五十三億円増、大体先ほどお答えいただいた三兆七千億円前後になっている。しかし、これも実際、平成四年度や平成五年度は四兆五千億円以上の実績があるわけですが、これに比べて少なくなっているという現象がございます。  私は、このことから、中小企業向けの政府金融機関融資枠二十兆円、大幅に拡充した、こう言ってきたわけですけれども、その中核をなす国金の実態を見ますと、平成五年をピークにしてずっと下がってきて、幾らか貸し出しはふえたとはいえ、ほとんど今の現状にふさわしいほどふえているものではない。貸し渋りの状況、そして今の景気の低迷、こういう中で二十兆円枠をつくってやった割にはややふえている程度、こういう状況なんですね。  ですから、例えば、同じ二十兆円枠ですけれども、保証協会の方へはもう本当に事務がし切れないほど中小業者の方が殺到した、ところが、そこで借りられない、だめだとなった人は、どうしても次は商工ローンだとかあるいはサラ金の方へ行かざるを得ないという状況が今日までの一つの特徴だろうと思うんです。やはり、そういう意味では、駆け込み寺だと総裁おっしゃったわけですから、駆け込み寺が実は商工ローンであったりサラ金であったりというのでは困るわけなんですね。総裁、どうですか。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  142. 尾崎護

    ○尾崎説明員 私も、ぜひ私どもを御利用いただきたいというように思っております。
  143. 矢島恒夫

    矢島委員 御利用いただきたいと言う中で、なぜ、それではこの国民金融公庫へ来ないで——表面的には保証協会の業務というのは後は非常に大変な事態が続きました。徹夜で皆さんやったという事態がありました。そこへ殺到した。しかし、そこで借りられなかった人もいるわけで、それが駆け込み寺の国金の方へ来ればいいわけですが、なぜ来ないかということになる。  それは、私たちはハードルが高いと思うんですよ。なかなか簡単に貸してもらえない状況がある。そこで、どうしてもサラ金やあるいは商工ローンの方へ殺到している。こういう事態が今日起こっているということが言えると思うんです。  そこで、このことについてもう少し調べてみたいわけですが、国金の方で、普通貸し付けの直貸しあるいは代理貸し、これの合計の数値で、個人の場合、平成五年度以降で、先ほどと同じでいいと思うんですが、貸付件数と金額ですね、どのように推移しているか。
  144. 加藤靖昌

    ○加藤説明員 それでは、実数についてお答えさせていただきます。  先ほど全貸し付けということでお答え申し上げましたけれども、ちょっと統計上、今回は事業資金の普通貸し付けということで御了解いただきたいと思います。  平成五年度でございますけれども、件数は三十万件、金額一兆五千九百億、それから六年度、件数二十六万件、金額一兆三千五百億、それから七年度、件数二十五万件、金額一兆二千八百億、八年度、件数二十三万件、金額一兆一千七百億、九年度、件数二十三万件、金額一兆一千七百億というようなことでございます。
  145. 矢島恒夫

    矢島委員 これも、総額の方の傾向と同じになるのは、その中の一部ですからなると思いますが、やはり件数でも平成五年をピーク、平成八年までずっと減ってくる、平成九年に微増。一件当たりの金額をちょっと計算してみたんですが、この四年間連続でずっと減少してきて、平成九年度は一件当たりの金額でいきますと最低になっているというのがここにあらわれている数値だと思うんです。  それから、法人について同じように過去五年間の件数、金額、お答えいただけますか。
  146. 加藤靖昌

    ○加藤説明員 それでは、先ほどと同じような事業資金のベースでお答えさせていただきます。  法人につきましては、平成五年度、件数二十九万件、金額二兆六千五百億、六年度、件数二十三万件、金額一兆九千四百億、七年度、件数二十三万件、金額二兆五百億、八年度、件数二十一万件、金額一兆七千六百億、九年度、件数二十四万件、金額二兆百億ということでございます。
  147. 矢島恒夫

    矢島委員 これは、こちらの法人の関係についてもおおよそ今までの状況と同じ、平成五年ピーク、以下減少、九年度やや増、しかし、一件平均でいきますと、個人の場合と同様、法人の場合も最低になっている、これがあらわれてきた数字だろうと思うんです。  私、さらに資本金の階級別にこれを見てみました。この五年間でずっと貸し付けの件数も金額もふえているのは資本金が一千万円以上という分類のところ、それよりも資本金の少ないところをずっと見てみますと、軒並みにこの間ずっと減ってきているんですね、ふえたことなし。こう見ますと、本当に金融公庫は、全体として小口融資ではあるけれども、特に法人への融資を見ますと、対象というものが資本金の大きい方へ偏っている、大口融資にシフトしている、こうこの数字の上からは言わざるを得ないわけです。  そこで、大蔵大臣、これらは私改善すべきだと思うんです。本当に、今までずっと私が述べてきた、サラ金へ行く、あるいは商工ローンへ行ってしまうというような事態がどこにあるかということを真剣に考える必要があるし、お客さんが借りに来てくれればいいんだというのでは、借りられない原因がここにあるから、だからそのところが改善できるかどうか検討するというのが、これが国民金融公庫の目的からしても重要だと思うんです。  そこで、大臣にお聞きしたいのは、資本金の増額それから融資総額を大幅にふやす、こういうことを行うことによって国民金融公庫の目的を達成する、これも一つの道ではないかと思うんですが、大蔵大臣、どうですか。
  148. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今お話を伺っておりまして、確かに駆け込み寺とはいいながら、もっともっと悪いケースはまだまだ駆け込み寺があるんだ、きっとそういうことは私はかなり事実だと思いますが、駆け込み寺にも恐らくいろいろありまして、ちゃんと駆け込めるケースと、余りちゃんとでないがどうも駆け込んじゃうケースと、いろいろきっとあるんだろうと思うのでございます。ですから、それは国民金融公庫がいわゆる官僚的であるというようなことでは必ずしもないのだろうと私は思います。  しかし、おっしゃるように、金がもっと豊かであればもう少しやれるんじゃないかとおっしゃる点もそうなのかもしれませんし、そこのところは総裁がきっといろいろな意味で一番御存じであろうと思いますので、一度、ただいま御指摘のような点につきましても私も総裁から御感想を伺ってみたいと思います。
  149. 矢島恒夫

    矢島委員 総裁、後で大臣とお話し合いいただければ。時間の関係で。  実はもう一つ、別の方向からの問題ですが、この国民金融公庫改正法に当たって、私、国金の職員の守秘義務について一つだけただしておきたいんです。  恐らく、御案内のとおり、昭和二十七年、講和条約の発効のときに国民金融公庫法が改正され、公庫役職員に対する国家公務員法の適用除外をした。  大蔵省にお尋ねするんですが、国金法の昭和二十七年に改正した中の附則の五項、これを読みますと、公庫に在職していた役職員に対するもので、それまでに知り得た秘密についてのみ守秘義務が求められる、それ以外の場合に守秘義務が求められることはないと考えられるわけですが、そう考えてよろしいんですか。
  150. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 守秘義務の関係につきましては、国家公務員の規定が二十七年に改正が行われたわけでございますけれども、附則の五項についての御質問でございましたが、その点につきましては、当時の状況といたしまして、公庫業務を行いながら国家公務員であるというのは不便だということでこういう改正がなされたわけでございまして、単に刑法等の刑罰の適用に関してのみ公務員と同様の取り扱いをするということになったというふうに承知しております。
  151. 矢島恒夫

    矢島委員 いろいろあっちこっち行ってちょっとわかりにくい答弁なんですが、要するに、国家公務員法の適用を除外した、このことについてはそうなんでしょう、そのことをはっきり官房長答えてないけれども。時間がないので。そうなっているんですよ、これは。後でよく調べてください。  そこで、国金総裁に聞くんです。公庫は、管理事質疑回答集という職員研修用の文書を作成しております。作成年月日は平成二年の三月です。その中にこういう記述があるんです。公庫は弁護士会からの照会に対して報告義務を負う、と同時に守秘義務を負うことになるというのがあって、これはそのまま今もそういう解釈でやっているんですか。
  152. 尾崎護

    ○尾崎説明員 御指摘の文書は内部の勉強用、研修用に用いられていたようでございます。平成二年当時のようでございますが、現在使用されているものではございません。  そこにございます守秘義務でございますが、国民金融公庫の職員に課せられる守秘義務は、一般金融機関と同様でございますが、顧客との信頼関係、それに公庫の就業規則に基づくものであると考えております。
  153. 矢島恒夫

    矢島委員 私はなぜこの質問をしたかといいますと、公庫の職員がそれぞれ企業や個人のところへ調査に出向くわけです。この調査に来た方に、第三者の立ち会いをしていいか、こう言いますと、いや、我々は守秘義務によって立ち会いは拒否するんだというので拒否されているという事実があるので質問したわけですけれども、これは、要するに一般金融機関としての守秘義務というのはわかりますよ。しかし、国家公務員としての守秘義務というのはなくなっているわけですから、そのことを理由に立ち会いを拒否するというようなことがあってはならないし、もしそうであったらこれをきちんと是正すべきだということを申し上げて、時間が来ましたので終わります。
  154. 村井仁

    村井委員長 大蔵省官房長から一言、先ほどの件について。
  155. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 先ほど代理店の書きかえの経費の関係を調べるということでございましたが、一万四千店舗ぐらいございます。正面の入り口等にガラスなどに書いてあるものでございまして、その経費は個々によって違いますので、推計になりますけれども、お聞きいたしまして御報告を後刻申し上げたいと思っております。
  156. 矢島恒夫

    矢島委員 終わります。
  157. 村井仁

    村井委員長 次に、横光克彦君。
  158. 横光克彦

    横光委員 社民党の横光克彦でございます。  私たちの国、今超高齢化社会を目の前にしているわけですが、それに備える意味からも、来るべき二十一世紀の活力ある日本の経済を実現して、国民生活の視点を重視した、そういった持続可能な社会を構築していくことが私は今喫緊の課題であろう、このように考えております。  そういいながらも、国の財政状況は極めて厳しいわけですね。今後こうした課題に広範に対処していく余力が乏しいといったのが現実であろうと思うんです。そこで、民間でできることはできるだけ民間に任せる、と同時に、民間の活動を支援しながら国の目標達成に向けて指導していく必要があろう、こういうふうに思うわけでございます。  そのためには、民間では今まで対応が困難でありました高いリスクを伴う分野、あるいは収益率が低い分野、こういった分野にまで民間の活動領域を広げる必要があるとは思うわけですが、とはいいながら、金融の大変革期の真っただ中でございます。おのずと収益を重視した市場化が一段と強くならざるを得ないという経済環境下ですね。  そこで重要になってくるのが政策金融ではなかろうか。つまり、国民生活の安定、向上に配慮していく立場から、これまで民間では望みがたかった公正さや、あるいは中立性を含んだ政府金融機関の担うべき役割はますます重要になってくると私は思うわけでございます。今回の法改正案のきっかけとなりました九七年当時の与党三党の特殊法人改革の論議に際しましても、私たち社民党は、政策金融が担うべき役割の重要性というものを強調してきたわけでございます。  このような位置づけを含めて、政策金融機関が果たすべき役割は今後とも重要かつ不変なものである、このように考えているわけですが、大臣といたしましては、この政策金融の役割をいかに認識した上で今回の法改正案になったのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  159. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはどのような経済の段階で考えるかによって多少違いますけれども、我が国の経済が非常に好調な時代には、政府関係機関の多くのものが民業を圧迫しているといって非常な批判を受けた時代がございます。しかし、今それは全く違う状況になっておりまして、民間にもいろいろお願いしていますけれども、やはり政府関係機関が出なければならない局面がまた、残念なことでございますかもしれませんが、多くなっております。  そして、これはしかしまたいっときのことだと思いますので、将来の日本を考えますと、結局、今お話しになられましたように、市場経済というものはやはりハイリスク・ハイリターンとかいう方に行きます。そうしますと、どうしてもそれに取り残された人々、あるいは企業もあると思うのでございますが、そういう人々をだれがお世話をしなきゃならぬかということになりますと、もう一遍、それは政府機関しかないということにまたなってくる。  そういうふうに、もう一つ、今の後の日本が繁栄した段階でセーフティーネットみたいなものがいろいろ入り用になってくるだろう、こういうふうに考えております。それで、そのときには分野がやはり分かれまして、民業を圧迫しているようなことではなくて、民業はもう少し元気のいいことをいろいろしてもらうことになっていかないといけないと思うのでございます。
  160. 横光克彦

    横光委員 確かに、補完あるいは競争の禁止とかありますが、こういった状況下、そしてまた、先ほどのお話がございましたように、駆け込みのさらに駆け込みが必要というような状況の中では、私は、この政府金融機関役割というのは今こそ大事であろう、このように考えておるわけです。  行政改革が全体的に行われているわけですが、特殊法人についても整理合理化が必要であるということは申すまでもありません。今回の統合は、九年九月の閣議決定に基づいて、小規模企業等に対する資金供給を行う政策金融機関として減量化あるいは重点化を行うためのものである、こうありますが、今回の統合業務及び事務の改善が十分に図られる内容になっているのか、これが一つでございます。  そして、いま一つは、顧客の利便の向上や組織効率化も必要なわけでございますが、新公庫はどのように経営及び組織効率化を図っていくのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  161. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 まず、組織効率化でございますが、両公庫の総務部門統合するということによりまして、人員をより有効に業務の方に活用できるようにするというのが一点でございます。  それから、環衛貸し付けにつきましては、国民公庫の店舗網が活用できるわけでございまして、専門的な指示も直接店舗に行うことができるとか、あるいは、業務の利便性ということにつきましては、その店舗網におきまして環衛貸し付けの直接の扱いができるわけでございます。従前は環衛公庫から国民公庫への委託が、例えば一般設備資金の場合で七千二百万円まででございましたが、それ以上のものについても今後は相談が現場でできるというようなことでございまして、利用者にもメリットが多く生まれてくるというふうに考えております。  さらに、経営の効率化の関係におきましては、先ほど来出ておりますけれども、常勤の役員の削減でありますとか職員の削減、数としては若干少のうございますけれども、貸し渋り対策でいろいろ業務がふえている中で削減しているということでございまして、そういう効率化を図っておるわけでございます。
  162. 横光克彦

    横光委員 今、役員体制の縮減、効率化の一端であるというお話でございますが、雇用の面でちょっとお聞きしたいんです。  今回のこの政府金融機関の改革においても、従前の特殊法人の改革と同様、対象機関の雇用問題には十分な配慮がなされ、雇用維持が図られる必要があることが当時の与党三党間では確認されているわけでございますが、この合意は遵守されているんでしょうか。
  163. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 両公庫が一つの公庫になりましても、雇用関係は基本的に継続するわけでございます。そういう観点から申し上げまして、効率化を進めながらも雇用維持の配慮は十分なされているというふうに考えております。
  164. 横光克彦

    横光委員 昨年来の貸し渋り対策で、国民金融公庫はまさに八面六臂の活躍をされているとは思うんですが、職員の労働条件は忙しい中で十分に担保されてきているのか、確保されてきているのか、お聞かせをください。
  165. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 貸し渋り等の対応のために業務量がふえていることは事実でございまして、そういう面で職員の事務負担が過重にならないように、公庫におきましては、例えばオンラインのシステムの、計算機をうまく活用するということでございますけれども、再構築をするというようなことで、業務自身の合理化を進めることによって負担の軽減を図るとか、それから就業の環境にも十分配慮しているわけでございます。  引き続き、公庫職員の労働条件が十分確保されるよう、私どもとしても公庫を指導してまいりたいというふうに考えております。
  166. 横光克彦

    横光委員 もう一つお聞きしたいんですが、定数減も含めた役員体制の見直しについては、内部職員の積極的登用を図る、いわゆるプロパーの登用を図るというのが当時の与党の合意でございました。  役員の定数減の部分は外部登用者削減によって行われねばならないと考えておりますが、この点はいかがですか。
  167. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 これまでの御質疑の中で、役員の構成等につきましてはいろいろお答え申し上げましたが、閣議の決定が既にございまして、国家公務員出身の役員数の抑制を行うようになっておりまして、各省ごとにその対応をしているわけでございます。そういう観点も十分踏まえ、それから役員を任命する際に、任命権者が、公庫業務の円滑、的確な遂行という任務に照らしまして、それにふさわしい人を選ぶということをあわせて考えてまいりたいというふうに思います。
  168. 横光克彦

    横光委員 国金の取引先の大部分、九五%は従業員二十人以下の小規模企業と聞いておりますが、そのような小規模企業というのは本当に経済環境の悪化の影響を一番早く、また最後まで受けやすい状況にあるわけですね。さらに、廃業率が開業率を上回るという現在の状況、こういった中であるだけに、政策的に新規開業者を支援していくことがより重要になってこようかと思います。  今回の統合後においても小規模企業や新規開業企業などに対して十分な支援ができる体制になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  169. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 国民公庫環衛公庫におきましては、そういう業務につきましても日ごろからノウハウの蓄積等をやっているわけでございます。新公庫になりましてもそういう方々業務に当たるわけでございまして、今の御指摘の点を踏まえ、そういう面に十分行き届くよう、私どもとしても指導してまいりたいというふうに考えます。
  170. 横光克彦

    横光委員 新規産業というのは、何も言われておりますハイテク産業だけではないのですね。ローテク産業だって、一生懸命新規を図ろうとしている企業はいっぱいあるわけです。とりわけ、最初に申しました超高齢化社会を迎えるに当たっての福祉産業、あるいは女性の起業の意欲、そういったいわゆるすき間産業がいっぱいあるわけです。そういったところに対する支援体制もどうか配慮していただきたいと思っております。  次に、中小企業は日本の企業の九九%を占めており、小規模企業向け等の政策金融機関がこういった小規模企業等に対して円滑に資金供給を行うことは今後とも重要なわけでございます。今回の統合に際して、整理合理化により減量化を行うことももちろん重要でございますが、引き続き、小規模企業等に対する円滑な資金供給、これを行うことができる体制もまた必要であろうと思っております。統合により顧客サービスを低下させるようなことがあってはなりませんし、とりわけ環衛関係営業者、こういった人たちに対する融資制度が後退するようなことがあってはならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  171. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 新公庫におきまして両公庫業務が基本的に引き継がれるわけでございますから、そういう面で顧客へのサービスは低下しないわけでございます。さらに、環衛貸し付けにつきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、国民公庫の店舗網が活用できるわけでございまして、その面での利便性が高まるのは確かでございまして、引き続き、顧客のニーズを両公庫におきまして的確に把握して、それに的確に対応するよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  172. 横光克彦

    横光委員 どうかその点はよろしくお願いいたします。  国民金融公庫の総裁にお尋ねしたいのですが、平成九年の秋以降、景気の低迷あるいは民間金融機関によるいわゆる貸し渋りによって、小規模経営を取り巻く環境は非常に厳しいわけでございます。政府におきましても、平成九年十一月の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」以降、数々の経済対策を掲げてきたわけですが、政策の実施機関がどれだけ小規模企業等の資金調達の円滑化に資する業務を行っていくかということが私は重要だと思うわけですね。新機関においても、こういった小規模企業等の方々に対する今後の貸し渋りにどう対応していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  173. 尾崎護

    ○尾崎説明員 国民金融公庫は、御指摘のような厳しい小零細企業の置かれている立場を十分理解しているつもりでございますし、また政府からも、その金融措置、遺漏のないように何度も御指導いただいているところでございます。そのような状況に対処するよう努力を重ねてまいりました。新機関になりましても、同じような努力をぜひ続けていただきたいというように思っております。
  174. 横光克彦

    横光委員 中小企業、中小規模の人たち、あるいは零細、個人の営業者たちというのは本当に、頼っている部分は政府金融機関であると思うのですね。こういった新機関ができたわけですから、そうした顧客のニーズにできるだけこたえ、そしてサービスの低下にならないことを強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  175. 村井仁

    村井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  176. 村井仁

    村井委員長 この際、本案に対し、上田清司君外一名から、民主党提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。上田清司君。     —————————————  国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  177. 上田清司

    ○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。  ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案理由を御説明いたします。  本法律案は、特殊法人整理合理化の推進及び経済社会情勢の変化に応じた業務効率化観点から、国民金融公庫環境衛生金融公庫とを統合して国民生活金融公庫を設立するものでありますが、もともと環境衛生金融公庫支店を持たず本店業務のみで、窓口業務国民金融公庫にゆだねていた実態があります。しかも、名称変更で十二億円の費用がかかり、全国一万四千百八代理店にもその費用を改めて負担していただくことになります。関連法の一部改正も四十九本あります。役所間のメンツより、利用者である国民の立場から名称を考えるべきだと思います。  以上の観点から、民主党は、修正案を提出いたします。  この修正案の概要は、極めて簡単にして明瞭であります。国民金融公庫の名称を国民生活金融公庫に改める改正規定を削るだけであります。  以上が、修正案についての提案理由及び概要であります。  各会派の御賛同を心からお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  178. 村井仁

    村井委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  179. 村井仁

    村井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出国民金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、上田清司君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 村井仁

    村井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 村井仁

    村井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  182. 村井仁

    村井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、柳本卓治君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。柳本卓治君。
  183. 柳本卓治

    ○柳本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 国民生活金融公庫業務実施に当たっては、法の目的に沿った円滑な融資に努めるとともに、今後の業務の実態に即しつつ、管理運営体制等について、適切な見直しを行い、効率的かつ効果的な運営に努めること。  一 国民生活金融公庫融資制度について、今後とも社会ニーズに応じて改善するよう随時検討すること。  一 不良債権の情報開示について、これまで以上にリスク管理債権等の情報開示に努めること。  一 国民生活金融公庫の設立後三年を経過した時期に、運営状況を勘案し、各種貸付業務をはじめ公庫業務について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  184. 村井仁

    村井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 村井仁

    村井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
  186. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  187. 村井仁

    村井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 村井仁

    村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  189. 村井仁

    村井委員長 次に、内閣提出日本政策投資銀行法案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     —————————————  日本政策投資銀行法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  190. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました日本政策投資銀行法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  平成九年九月二十四日の閣議決定特殊法人等整理合理化について」に基づき、特殊法人整理合理化を推進し、経済社会情勢の変化に応じた業務効率化観点から、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫廃止して日本政策投資銀行を設立するため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  第一に、日本政策投資銀行は、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資するため、一般金融機関が行う金融等を補完し、または奨励することを旨とし、長期資金の供給等を行い、もって我が国の経済社会政策に金融上の寄与をすることとしております。  第二に、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫は、日本政策投資銀行の成立のときにおいて解散するものとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて日本政策投資銀行が承継することとしております。  第三に、日本政策投資銀行役員につきましては、特殊法人統合趣旨に即して役員数の縮減を行うこととしております。  第四に、日本政策投資銀行業務につきましては、その目的を達成するため、経済社会の活力の向上及び持続的発展、豊かな国民生活の実現並びに地域経済の自立的発展に資する事業に必要な資金であって、設備の取得等に必要な資金等の貸し付け、債務の保証、社債の取得、債権の譲り受けまたは出資等を行うこととしております。  第五に、日本政策投資銀行の予算及び決算につきましては、国の予算及び決算とともに国会に提出し、その議決を要することとしております。  第六に、日本政策投資銀行の財務及び会計等につきまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  その他、日本開発銀行及び北海道東北開発公庫の解散に伴う経過措置等を定めることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  191. 村井仁

    村井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来る二十日火曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会